第026回国会 内閣委員会 第17号
昭和三十二年三月十四日(木曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 相川 勝六君
   理事 大平 正芳君 理事 福井 順一君
   理事 保科善四郎君 理事 石橋 政嗣君
   理事 受田 新吉君
      江崎 真澄君    大坪 保雄君
      北 れい吉君    薄田 美朝君
      田村  元君    床次 徳二君
      船田  中君    眞崎 勝次君
     茜ケ久保重光君    下川儀太郎君
      中村 高一君    西村 力弥君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 中村 梅吉君
        厚 生 大 臣 神田  博君
       国 務 大 臣 大久保留次郎君
 出席政府委員
        検     事
        (大臣官房調査
        課長)     位野木益雄君
        法務事務官
        (矯正局長)  渡部 善信君
        法務事務官
        (入国管理局
        長)      内田 藤雄君
        厚生事務官
        (大臣官房総務
        課長)     牛丸 義留君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局環
        境衛生部長)  楠本 正康君
        厚生事務官
        (児童局長)  高田 浩運君
 委員外の出席者
        専  門  員 安倍 三郎君
    ―――――――――――――
三月十三日
 委員淡谷悠藏君辞任につき、その補欠として中
 村時雄君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
三月十三日
 紀元節復活に関する請願外二百件(纐纈彌三君
 紹介)(第二〇五八号)
 同外二百件(纐纈彌三君紹介)(第二一〇一
 号)
 同外百件(纐纈彌三君紹介)(第二一三七号)
 恩給額調整に関する請願(小山亮君紹介)(第
 二〇五九号)
 同(原茂君紹介)(第二〇六〇号)
 同外十件(松平忠久君紹介)(第二〇六一号)
 同(山下春江君紹介)(第二〇六二号)
 同(有田喜一君紹介)(第二一〇三号)
 同(渡海元三郎君紹介)(第二一〇四号)
 同(小坂善太郎君紹介)(第二一〇五号)
 同(山本猛夫君紹介)(第二一〇六号)
 同(田中稔男君紹介)(第二一四一号)
 停止中の旧軍人恩給支給に関する請願(小笠公
 韶君紹介)(第二〇六三号)
 旧軍人関係恩給の加算制復元に関する請願外三
 件(中馬辰猪君紹介)(第二〇六四号)
 同外七件(床次徳二君紹介)(第二〇六五号)
 同外二件(長谷川四郎君紹介)(第二〇六六
 号)
 同(池田清志君紹介)(第二一〇八号)
 同(遠藤三郎君紹介)(第二一〇九号)
 同(竹内俊吉君紹介)(第二一一〇号)
 同(中村庸一郎君紹介)(第二一一一号)
 同(原捨思君紹介)(第二一四二号)
 同(松岡松平君紹介)(第二一四三号)
 元満鉄社員に恩給法適用等に関する請願(愛知
 揆一君紹介)(第二〇六七号)
 同(池田禎治君紹介)(第二一〇七号)
 同(有馬英治君紹介)(第二一三九号)
 下郷町の寒冷地手当引上げの請願(高木松吉君
 紹介)(第二〇六八号)
 兵庫県下の寒冷地手当引上げ等に関する請願(
 有田喜一君紹介)(第二一〇二号)
 傷病恩給増額に関する請願(中崎敏君紹介)(
 第二一一二号)
 元外地鉄道職員に関する恩給法等の特例制定に
 関する請願(芳賀貢君紹介)(第二一四〇号)
 旧海軍特務士官及び准士官の恩給是正に関する
 請願(田中稔男君紹介)(第二一四四号)
 同(保科善四郎君紹介)(第二一四五号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第五九号)
 法務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第六六号)
    ―――――――――――――
○相川委員長 これより会議を開きます。
 厚生省設置法の一部を改正する法律案及び法務省設置法の一部を改正する法律案の両法律案を一括議題といたします。
 質疑を許します。茜ケ久保重光君。
○茜ケ久保委員 所管が違うのでありますけれども、ちょうど法務省設置法の一部改正が出ましたので、少しお伺いしたいと思います。
 それはいろいろありますけれども、特に刑務所関係の看守――昔は看守と申しましたが、今は何と言うかわかりませんが、看守の処遇についてでありよす。自分のことを言って恐縮ですが、私、昭和六、七年ごろ、二、三年刑務所のお世話になりまして、いろいろ感じたことがあったのであります。そのときに私が感じましたことは、看守に対する当時の処遇が非常に悪いということでありました。私どもは未決でありましたが、未決、既決を問わず、刑務所にお世話になっている者に対する看守の取扱いが非常に粗雑で、自分たちの苦しい生活からくるうっぷんから、刑務所内における生活を余儀なくされている弱い者に非常に強く当った、従ってそういったよけいな圧迫が非常に多いということを感じました。私ども中にいながら、囚人的な扱いを受けている者かな見てさえ、看守諸君のそういう処遇関係や気持に対して、むしろ同情をするというような状態であったのであります。未決、既決を問わず、刑務所に行く者は、もちろん何らか国の法律を犯したあるいは犯した疑いのある者でありますから、それでなくても非常に精神的な打撃を受け、また非常に煩悶をしておるという状態でありますので、もちろん優遇しろとは申しませんが、少くとも取扱い等については相当考慮すべき点があるにかかわらず、看守諸君の処遇上の問題からいろいろと問題が起るということがありましたし、なおまた私どもがそういう事態におきましても、いろいろ収賄その他の点もありまして、思わしくない点があったのであります。こういう点で、もちろん看守の処遇を一般公務員よりも優遇すべきであるとは申しませんけれども、私の存ずる限りにおいては、いろいろな地位あるいはそういった待遇等において、一般の公務員よりも非常に差があるような点があったと思うのであります。しかし私も今日の状態は存じません。けれども、私がときどき刑務所付近を通ったり、あるいは刑務所の看守諸君の様子を瞥見するところによると、依然として前の時代と大差ないような感じがいたしますので、この点について現在はどのようになっておるか、その状態を聞き、できるだけそういった問題が大いに改善されることを望むわけであります。幸い法務大臣中村梅吉先生は、お人柄から申しましても、私ども常日ごろ非常に尊敬しておる方でありますので、せっかく大臣におなりになった機会に――もちろんこれが一気に解決するとは申しませんけれども、少くとも看守の諸君が喜んで働けるように、優遇と申しますか――中には非常にけしからぬものもありましょうけれども、いろいろな社会環境から心ならずもそういった生活を余儀なくされる諸君に対し、いわゆる人間的な取扱い――そのことそのことは刑を終えて出てきた人の更生への道の大きな力だと思うのであります。こういった点で、大臣に対してこまかいことはお伺いできませんが、大臣としてのこれに対する御所見なりあるいは今後の御抱負等をお伺いできますならば、私どもとしても非常に幸いであるし、またそういったことは全国の刑務所関係の恵まれざる職員諸君に対しましても、大きな希望となると思うのであります。抽象的なことでけっこうですから、この際一つ承わっておきたいと思います。
○中村国務大臣 大へん御理解のある御発言をいただきまして感謝いたします。お話の通り看守につきましては待遇の問題と心の安定ということが最も大事だと思います。看守自体の心がすさんでおりますと、自然被疑者として拘置所におる者あるいは刑を受けて刑務所におる者の取扱いが粗雑になるおそれがありますので、この点は十分注意すべき点であると思います。待遇の具体的な俸給等につきましては、他の公務員との関係もあります上、私、具体的に詳細は存じておりませんが、大体均衡のとれた状況にあると思うのでありますが、法務当局といたしましては近来官舎の整備と、それから研修所を設けまして、研修所に一定の期間若い看守の人たちを収容いたしまして、そしてその研修所で相当の期間看守としての心得その他について教養を与える、そういう教習についても努力をいたしておる次第であります。実は私刑務所関係で今後特に改善を要すると思いまして、在任中に努力をしてみたいと思っておりますことは、従来行政整理のありますたびごとに、各省一律に二割減なら二割減ということに行政整理が行われて参ります。その場合に刑務所の看守のごときは一定の人間、物でなく人間を扱う職務でありまして、他の机の上でやる行政事務のように能率を上げればそれだけ人間を減らせるのだということはよほど趣きが違うのであります。しかしながら行政整理で一律に二割減ということに規模がきまりますと、法務当局だけの特殊事情で二割減は困りますといってしまえば、その行政整理は根本的にくずれてしまうというようなことから、従来の責任者でありました人たちも余儀なくこれに応じて参りました関係上、非常に人員が窮屈になって、ほんとうにゆとりのない、教習所に人を抜いてきて集めるのさえその人員の上からいいますと困難を感じておりますが、しかし教養は大事でありますから、これに現在努めておるのであります。この点は政府としてもぜひ考えて改めなければならない。ことに、私まだ就任早々でありまして現地の刑務所の視察等をできないでおるのでありますが、話だけをいろいろ勉強のできる範囲で研究をいたしておるのであります。ことにそういう状態で人員が極度に切り詰められておりまする上に、刑務所等におきましては臨時に護送等の事柄が起きまして、その手いっぱいの人間の中からどこかへ送り届けなければならないということが起ります。その人間が引き抜かれるためにさらに手いっぱいのところが欠陥を生ずるというような実情にあるのであります。その結果看守の諸君としても、言葉をかえていえば過労といいますか、職務過重のためにやはりきつく当らなければならぬ、親切に事を処すべき場合でも、それが親切を欠くようなきらいが多分にあると思います。戦前等は看守の刑の執行を受けておる者に対する態度、感じというものが、今日とは違っておったと思いますが、現在は民主的な時代になりまして、決して看守が官僚風を吹かして留置人あるいは拘置所におります懲役に服しておる者を、特に精神的に圧迫するということはないと思います。またないようにいたさなければなりませんので、この点は教養として十分改善をすべきだと思うのでありますが、実際の上において待遇のほかにそういうような欠陥があるように私ども承知いたしておりますので、なお国会等一段落いたしまして、現状をつぶさに視察ができる時期が来ましたら、私は極力これらの実情を調査いたしまして、そうしてわれわれの政治的な立場に立ってこういう隘路を解決することに最善を尽したい、かように考えている次第であります。
○茜ケ久保委員 大体法務大臣の誠意のあるお答えだと思うのでありますが、おそらく現在はこういった趨勢があるのではなかろうかと思うのでありますが、これは適当な言葉がございませんが、以前から巡査、さらに看守という職務につく人たちは一般の仕事に適しないと申しますか、つけないような人たちが従前は入っておった。最近はそうでないと思うのでありますが、いわゆる巡査になれないような人が看守になるというので、仕事の上では一般から非常に蔑視を受けるような形があったわけであります。そういったことが看守という業務に携わる人たちの素質をはっきり現わしていたと思うのであります。そこでやはり私は勤務場所がああいう特殊な場所であると同時に、給与等についても非常に低いというようなことが余儀なくされたと思うのであります。しかし私はいかに刑務所がたくさんございましても、いかに刑の執行をされましても、刑務所の中におけるいわゆる服役者の精神状態をよく理解をして、やはりまともな人間に――もちろん私は教育をせよとは申しませんけれども、やはり人間と人間の接触でありますから、これは中に入って見ぬとわからぬのでありますが、私ら未決でありましたから、いわゆる囚人扱いではなかったけれども、当時はほとんど囚人と同じような立場に置かれたのでありますが、中の生活は二、三年してみなければわからぬことであります。しかし入りませんでもお考えになればある程度わかるのでありますが、精神的にはまことにアブノーマルな状態でありまして、今言うように、よほど普通に扱っていても片方はひねくれるようなことが多分にあるのです。心ないことをされますと、これがますますひどくなるというのであります。そこで現在採用される看守の教養の程度、いわゆる新制高校卒程度とか、あるいは私はやはり大学を出たような人たちも、進んで看守の職につけるような状態が望ましいと思うのであります。しかしこれは望ましいのでありまして、現実にはむずかしいのでありましょうけれども、そういったいわゆる優秀な――もちろん私は今の看守の諸君が優秀でないとは申しませんけれども、優秀と目される諸君がやはりそういった業務にどんどん携わってもらえるような状態が生まれることが、非常に望ましいのであります。従いまして今後大臣が直接刑務所等を訪問されまして、具体的に御検討願うことは非常に望ましいのでありますが、それにはやはり一番大きな問題は、一般の公務員と刑務所の職員の、特にそういう看守といったような形の諸君が、プライドを持って従事できるような環境を作っていただきたい。当時私が非常に感じましたことは、勤務時間が非常に長時間にわたるのが多かったようであります。今日はそうでもないと思うのでありますが、非常に長い勤務に携わるので、勤務の交代時間二、三時間前になると、ただ帰ることだけを考えておられるのか、一々私どもの挙措に対してよけいな干渉等もだいぶ受けたんであります。これを私考えてみますと、中から見ておって、ほんとうに狭い暗いところに立って長い時間おられることは、むしろ私どもはすわったりあるいは、寝ることは許されませんが、昼の時間は相当楽な姿勢をしておるのに、看守の諸君はすわることもできないし、始終立ったままあるいは歩いたままです。むしろ私どもおりの中から外を見て、逆に看守諸君がおりの中にいるような錯覚を受けたんであります。こういう状態では、今申しますような、また法務大臣の御期待されるような、人間味のある仕事はできぬと思うのであります。こういったことは非常に古い話でありますので、私のこうした心配が現実においてはもう解決されて、りっぱになっておるならば非常に幸いでありますが、そういうことも、民主化されたとはいいながら、おそらく依然として――官僚組織の上下と申しますか、上級者と下級者の立場が一番明確に出ているのは警察、さらにまたこの刑務所といったところだと思うのであります。そういった点をお含みの上、法務大臣は行刑の実をほんとうにあげるためにそういった面からぜひ御考慮願いたい。私は受刑者に対して特別に優遇をしていただきたいとは申しませんけれども、人間と人間の接触面、特にいわゆる罪の自覚を持っておる受刑者と、これを監視するという立場にある看守諸君の、人間的な触れ合いの場面を――岸総理のおっしゃる政党の話し合いの広場と申しますか、政党の中でもそういうことをやっておるが、特に私はこの刑務所の中における受刑者と、これを監視する立場にある刑務所職員の人間的な接触の広場を、一つぜひあたたかいものにしていただくために、そういったことをなお一そう御考慮願いたい、かように思うのであります。担当の局長が見えませんので、具体的な点もいろいろお聞きしたかったんでありますが、これはまた後日に譲りまして、きょうはせっかく法務大臣参りましたので、以上の点を要望し、ぜひその実現を期して、中村人情法務大臣の御在任中にできるだけその御解決を願いたい、こういうことを特に御要望申し上げる次第でございます。
○中村国務大臣 承知いたしました。できるだけ御期待に沿うように努力をして参りたいと思います。ことに未決の拘置所におきましては、御承知の通り近来衣服、食糧等の差し入れも非常に自由になりまして、一部からはあまり自由に過ぎるじゃないかという声さえあるぐらいに近来は改善されておりますが、問題はそれを取り扱う看守の心理状態、あたたかさというものが非常に被疑者にも影響いたします。ことに既決囚になりますと、近来服役者に対してはできるだけ職業補導のような意味で作業をさせることに力を注いでおりますので、作業関係におきましてもできるだけ職業を補導し、職業を覚えさせるという一つの親切味をもって看守の方も努めていく必要があろうかと思いますから、御指摘の点につきましては、十分今後一そう注意いたしまして御期待に沿うように努力いたします。
○茜ケ久保委員 ただいま法務大臣にいろいろお伺いをし、また御要望申し上げたのですが、局長が見えましたから看守の処遇問題を中心に伺ういたいと思います。
 私がお世話になったのはもう二十数年前のことでありますので、もちろんそのころとはずいぶん違うと思うのでありますが、しかし依然として変らない点があるようでありますので、簡単でけっこうでございますが、看守の勤務時間等を中心にした勤務状況、それから待遇の問題について、もちろん一般公務員でありますから、公務員の給与ベースでいきましょうけれども、私どもの今まで知っておった限りにおいては、同じベースでもいわゆる一般公務員のクラスより非常に低い、最低のクラスにあるような気がするのです。依然として今でもそういう状態にあるのか、そういう点について簡単でけっこうでありますから伺いたい。
○渡部(善)政府委員 看守の勤務状況でございますが、実は看守の勤務は御承知のように普通の公務員と違いまして、四六時中勤務をいたさなければならない特殊な勤務なのであります。われわれといたしましては、看守の勤務状況は現在非常に過重でございます。そのために毎年看守の勤務の緩和をはかるべく増員を要求しておるのでございますけれども、定員の増加ということはなかなかむずかしいことでございまして、われわれの考えておりますような勤務の緩和ということはなかなかむずかしいのが現状でございます。私らの方で勤務の疲労度をいろいろと調査をいたしておりまするけれども、公務員等の中でも一番疲労度がきつく現われて参っております。これを何とかして緩和いたしたいということを常に念願いたしておりまして、本年はそういう趣旨から三十二年度の関係で看守の定員を二百二十名増員をみたのでございます。これはこういうふうな点をお考えいただいて多少の増員をいただいたことと考えておりますけれども、なおこの勤務の緩和については今後とも努力いたしたいと考えております。
 看守の勤務は夜勤の看守がおるわけでございますが、これが、ほんとうから申しますと、翌日の八時には下番しまして休息をしなければならないものでございますけれども、定員の関係から、やむを得ず引き続き出廷等につかざるを得ないような現状でございます。それを緩和すべく目下極力努力いたしておるのでございます。
 なお給与でございまするが、これはだいぶ改善されて参ったことを私は喜んでおるのでございます。なお不十分だとは思いますけれども、矯正職員には特別の給与をしいていただいております。矯正職員の俸給表ができております。これは大体四号調整、少し多くちょうだいいたしておるのでございます。矯正の一級と申しますのは、大体一般の号俸の四級に相当するわけでございまするが、四級の一号俸が五千九百円に対しまして、矯正の一級は六千四百円でありまして、約五百円高くちょうだいいたしておるわけでございます。そのほか七級がちょうどこちらの十級に当るわけでございます。十級の一号が普通一般の号俸でございますと一万九千八百円でございますが、これが矯正給でございますと二万二千八百円ということになっております。矯正給は一級から八級までありまして、八級は大体一般給の十一級と同じくなっております。そこで八級から上は普通の十二級ということに切りかえられることになっております。さような関係で刑務官、矯正職員一般の号俸は、普通一般の号俸よりも、その勤務等が加味せられまして多少色をつけていただいております。なお超過勤務等につきましても、普通の一般職よりも超過勤務手当は認められておりますので、その点ではわれわれとしては喜んでおる次第であります。
○相川委員長 福井委員。
○福井(順)委員 出入国管理業務は、かつては外務省がやっていたこともありまして外務省との関係はまことに深いものがあると思います。その点の調整はどういうふうにやっておりますか。
○内田政府委員 ただいまの御質問でございますが、実際に外務省との関係は非常に密接でございます。それで、実は私自身がそうなんでございますが、外務省の方から参っておりまして、そのほか人の面で相当数が外務省のものが参っております。そういった人的な関係を通じまして、きわめて密接な協力関係を保っておる実情であります。法律制度的には格別ございませんが、定期に密接な協力関係で仕事をしておるわけでございます。
○福井(順)委員 出入国管理業務は、個人の基本的人権や国際問題に関連する点が非常に多い。たとえば退去強制、身体検査、罰則の適用等がそうですが、その取扱いは慎重をきわめなければならぬと思いますが、担当者の教育、訓練というようなものはどういうふうにやっておりますか。
○内田政府委員 お説の通り入管の業務というのは、正規の入国者である、たとえば観光のお客さんを羽田で扱うようなことから、他面は退去強制になったものを収容いたしまして、さらに送還を行うというような、人権に非常に密接に関係した業務まで、相当多岐にわたっておるのでございます。従いましてこれの教養の問題というのは、われわれとしても非常に重きを置いておるのでございます。現在法務研修所におきまして入管の関係の部局がございますが、そこで予算の許す範囲において研修に努めておるのでございます。法務省の中で申しますと、現在までのところは入管関係のものが、これもわれわれの希望通りではございませんが、一番率のいい形で現在教養に努めております。
○福井(順)委員 広島の入国管理事務所新設の具体的必要性というものはどういうことでしょうか。たとえば関係機関との連絡上でのどういう不便があるか、その他の業務遂行上の不便と書いてあるが、どういうところで不便があるか、お答えを願いたいと思います。これは大臣にも一ぺんくらいお答え願いたい。
○内田政府委員 あとで大臣からもお答え申し上げるとして、私先に失礼いたしますが、従来中国地方にございますのは下関と松江であります。下関は御承知の通り福岡と並びまして、あの地区は密入国者の一番多い地区でございまして、そういった特殊性から下関はぜひ存置してもらわなければならぬと思うのでございますが、従来松江にございましたが、松江の地区では仕事の量も実は非常に限定されておったのでございます。他方下関にございまして瀬戸内海をずっと持っておりますと、下関の管轄範囲が非常に広くなりまして、ことに瀬戸内海のあそこに入って参ります韓国漁船の問題が多いのでございますが、これなどにつきまして非常に不便だったのでございます。それからもう一つは、御承知の通り、中国地区の行政上のいろいろな中心は広島でございまして、検察庁あるいは警察その他各機関の中心的な機関はみんな広島にございます。そこで下関から連絡するにはまことに不便でございますし、松江ではもちろんこういった連絡もできません。そこで従来の仕事の状況を見まして、松江の事務所を広島に移しまして、瀬戸内の従来下関の持っておりました多くの港をそこに管轄させ、また今申し上げましたような、他の国の行政的機関との連絡に当った方が、全般としまして非常に有利である、こういうふうに考えたわけでございます。
○福井(順)委員 日ソ国交回復に伴って新たに稚内等四個所に出張所を設けるということでありますが、新事態とは具体的にどういうことを指すのか、これは一つ大臣から御答弁願いたい。それからこれらの場所における業務実績を説明していただいてまたこれらの場所以外に必要なところはないものかどうかということも、あわせて御答弁願いたいと思います。
○中村国務大臣 国交回復に伴いまして、両国の経済関係等を通じて、いろいろ出入国関係も新たに増加して参りますので、その趨勢を大体想定いたしまして、今度のような稚内ほか数個所の出張所を新設いたしたいと思うのであります。そこで今広島地区について申し上げましたように、大体入省局といたしましては、過去の取扱いの実績と、今後の見通し、あるいは事務の取扱いの便宜等を勘案いたしまして、今回一部広島の場合のように松江を広島に移しまして、受持ちの担当区域を再編成いたしまして、整備をするということと、今お話のございました、新しい国交関係に伴いまする、大体必要と想定される場所にそれぞれの施設を設置いたしたい、かような趣旨に出ておる次第でございます。
 なお実績等につきましては、局長から……。
○福井(順)委員 これは大臣に御答弁願いたいのですが、新事態というのはどういうことか、具体的にその点だけを御答弁願いたい。
○中村国務大臣 大体国交の回復に伴いまする出入りのために漁船その他の船の出入りをいたしますところ、これを中心に考えておりますので、今後日ソ間がこういうふうに国交が調整されて参りました以上は、こちらの船も向うの港に寄港いたすでありましょうし、ソ連関係、その他の諸国の船も日本の港に寄港し、いろいろ港における出入りがございますから、そういう要衝を大体見当をつけまして、とりあえず今回の機関の設置をいたしたい、かような趣旨に出ております。
○内田政府委員 ちょっと補足さしていただきます。ただいま実績の話がございましたが、稚内と根室につきましては、実績と申し上げるほどのものは、実は過去においてはございません。ただわれわれといたしましては、御承知の通り、日ソの海難協定ができておりまして、避難港として将来利用される公算が相当あるということを一つ考えております。それから敦賀、酒田につきましては、酒田は昨年度におきまして入港船舶が二十九隻、それから敦賀は過去においては二隻でございますが、これはまだ決定はいたしておりませんが、過去におきまして御承知のように敦賀にはソ連の領事館もございましたような実情にございますので、将来果して領事館が設置されるかどうかはわかりませんが、やはり従来の伝統から、日ソの貿易というようなことになった場合には、かなりあの辺に船が入る公算が多いのではないかというようなこと それから酒田はただいま申し上げましたように、相当な実績もございまして、中共との貿易などから入ってくる船もございますので、そういったことから二カ所に設置したい、こういうふうに考えております。
○大平委員 一つだけ関連して。これは実体の問題じゃないのですけれども、また今度の法律をどうこうという問題ではないのですけれども、地方行政機関の根拠法令ですが、裁判所の支所、検察庁の支部、法務局の支局、こういったものはみんな法律によらずに、設置規則か何かでできておる。それから警察なんかは条令でできておる。それから税関の支署なんかも組織規程でできておる。国鉄の駅とか、機関区とか、保線区とか、車掌区とかいうようなものは、国有鉄道の組織規程でできておる。郵便局は告示でやっておる。こういう事例を見てみますと、地方機関にはずいぶん法律によらぬでできておるものがございますが、入国管理事務所とか、出張所とか、非常に弾力的に運営しなければいかぬ、国際関係の繁閑に応じて、弾力的に調整して、それにアダプトする行政を即時即応の形でやっていかなければいかぬのに、これが法律によるというのはどういうわけか。何か特別の理由があるのでございましょうか。それが一つ。それから、もし将来私が申し上げるように、これは法務省令できめるというようにおやりになる意図があるのかないのか。その点だけ伺っておきたいと思います。
○中村国務大臣 実はこの種の出張所等につきましては、所管省の省令等で定めることができれば非常に便宜と思うのでありますが、地方自治法の百五十六条の六項によりますと、国の行政機関は国会の承認を経なければならないという制限にどうしても当てはまるように解釈せざるを得ないので、そこで設置法の改正によりまして国会の承認を得たい、かような次第でございます。なお詳細につきましては、政府委員から申し上げます。
○内田政府委員 実は入管の立場から申しますと、全くただいま御質問の通りに考えておるのでございます。ただ大臣も申しましたように、地方自治法第百五十六条第六項に、「国の地方行政機関は、国会の承認を経なければ、これを設けてはならない。」という規定がございます。ところが次の第七項には、非常に広い範囲の例外的なものが羅列してございますですが、入管の方はこれに入っていないのでございます。過去におきましても、これに入管の出張所を入れてもらいたいということで、政府部内におきましていろいろ折衝して参りましたが、遺憾ながら今日まで実現を見ておりませんものですから、やむを得ず今回もこういう形で法律案として出したわけでございますが、将来できますことならば、この地方自治法の第七項の中に、入管の出張所も入れるようにいたしたい。今後努力して参りたいと思っております。
○相川委員長 西村力弥君。
○西村(力)委員 法務大臣にお尋ねいたしますが、一昨日の午後日米合同委員会の刑事裁判の分科会が開かれたわけでございまするが、当方からは法務省の係官が代表として出席されたはずでございます。その際外事裁判権に関するどういう方針を指示なさって出席せしめたか、その点まずお尋ねいたしたい。
○中村国務大臣 日本側の裁判権分科小委員会の委員長である責任者は、法務省の津田秘書課長が出席しておるのであります。私どもといたしましては、従来警察及び検察庁におきまして事件の内容、それから管轄の問題、あらゆる角度から検討し、またそれの裏づけとなるべき証拠を収集して参ったわけでありますが、最後の結論を出すに当りましては、最高検察庁に現地の検事正、次席検事あるいは担当検事等を集めましてそうして中央の者もこれに参画をして――直接取扱い者のみでありますと、ややもすると、自分らの考えに偏した見方では、これは外国との折衝になりませんから、慎重に最高検で検討いたしました結果、かねて御承知の通り、管轄権は日本にある、こういう結論を得ましたので、この主張を貫き、かつその裏づけとなるべき諸般の実情をその際、十二日の分科委員会で詳細にわが方から説明をいたさせたのであります。これに対しましては即座に結論が出ませんで、米軍側におきましては、一応こちら側の主張とその裏づけとなるべき証拠関係とを十分説明を聞きましてこれを持ち帰って、まず、自分たちが検討するということと、検討した結果を、何か向うとしてはいろいろな機会に合議すべき筋が何本にもなっておるそうであります。これらを処理した上でもう一回会合を開こう、こういうことでまだ次の会合の日取りは明確になっておらないようでありますが、若干これに日数をかしてもらいたいということであったそうであります。
○西村(力)委員 そういう分科会の持ち方でありまするが、米側としては今もって結論を出さない、日本側の出方を待つ、こういう態度をとっておることは今の御答弁でも明らかですし、また私たち十一日の午前中に米国大使館に参りまして、カーペンター一等書記官と会見して、われわれの見解――日本国民全体というてもいいような見解を強く申し入れてきたのであります。その際も彼らは事の処理を遷延する、こういう傾向が非常に見えるように思えてならなかったのであります。そういう日米合同委員会の場合において、こちらの見解を出す、これは堂々たる態度でけっこうでございますし、それを貫いてもらわなければならぬと思うのですが、やはりこちらの言い分を聞いてから向うの態度をきめるということじゃなく、向うは向うの見解を持って出席する、こういう態度でなければ対等の会議というわけにいかないのじゃないか。今の御答弁を聞いていると、日本側は向うさまにイニシアを握られたままで、こちらの言い分だけを述べて、向うさまの御判断等にまかせるというように聞えてならない。向うは向うとしてのやっぱり見解を示して、対等の立場で話し合いを進めていくのでなければ、これはいけないのではないかという私は感じを持つのです。法務大臣はその点はどうお孝、えになりますか。
○中村国務大臣 従来の例等が非常に今回の結論を検討づける上においても関係があると考えまして、私ども実は従来の先例等につきましても、一応実情を調査し、検討をいたしておるのでありますが、従来日米両国の刑罰法規に照らして両国の法規関係から見て、犯罪の構成に疑いない事案で、管轄だけが問題になりました場合におきましては、大体アメリカ側としては、アメリカ側の見解は一応ありますけれども、日本側が筋の通った主張とその裏づけとなるべき証明をひっ下げて当った場合には、大体アメリカ側が譲歩をいたしまして、日本に裁判権を譲っておる。ずいぶんこのために正面衝突をしたことはあるそうでありますが、結果的には今までの例では、そういう場合にはアメリカ側は日本に裁判権を渡して結論としては解決はいたしておるようであります。ただ管轄について非常な争いになるのは、アメリカ側自身は日本側に裁判権があるものとして日本で裁判をやりましたが、被疑者自身が裁判権は日本にないはずだという主張をして、その争いで最高裁判所までいった事例もあるようでありますが、両国間においては、そのことのために対立のままで終ったということはほとんどないそうでありますから、今回もわが方の主張が正しいということと、ただ主張だけでなしに、その裏づけとなるべき理論及び証拠をもって当っていけば、打開できるものと私は考えておるのであります。日数につきましては、先刻申し上げましたような次第で、日本側から出ております小委員長としましては、ぜひ一週間以内くらいに結論を出してくれということを要望したのだそうでありますが、先方といたしましては、ただ自分らの見解だけではなしに、これは合議すべき筋が実はいろいろな複雑な組織があるために、数カ所にわたっておるので、これらをこなしてくるのにはどうも一週間では無理だ、それ以上の若干の日数をほしい、こういうことであったそうであります。
○西村(力)委員 そのような方式で交渉を進められるということは、従来の例からいいまして、大体成功をおさめておるという観点からなされたということでありますが、またそれ以上私はその点をとやかく申し上げようとは思いません。ただ早急に一つ日本の正当なる主張を貫くように努力を願いたい。
 それからその際においてアメリカ側から、何か口頭でもってそういう申し入れがきておるとか、こういう意向がわれわれに通知されておる、こういう話しはなかったかどうか。実を申せばその午前中に参ったときに、分科会にアメリカ側としては、こういう申し入れを受けておるということを提示する、こういう約束があるのでございます。何か口頭でもあるいはその他の方法でも、そういうことがなされたかどうか、お聞かせ願いたい。
○中村国務大臣 実はそれまで報告を聞いておりません。ただ分科会の経過だけを私は報告を聞きました。後刻なおあらためて確かめておきたいと思います。
○西村(力)委員 次に出入国管理の問題でありますが、中国との貿易を活発ならしめる決定的な条件として、中国の通商代表部を日本に設置するというようなこと、このことは中国において話しを聞きますと、大体代表者の選定も終っておるような次第に私は承知しておるのでありますが、この代表部の諸君の指紋を取る問題、これは政府側としても十分に考慮せられておる問題だと思うのです。現在その件に関して政府側としてはどういう考え方を持っておるか。事の進捗をはかろうとなさっておるか、この件に関する問題についての見解なり、政府全体の方針を明確にしていただきたい。
○中村国務大臣 法務省としての立場についてまず第一にお答えいたしたいと思います。実は外国人登録法に基きまして、法律の定めるところによって、外国人で日本に滞在して一定期間を過ぎる者については、それぞれ各市町村役場におきまして指紋を取って登録をいたしておるのでございまして、特殊の一国に対して特例を設けるということは事実上できないのであります。もし一国について特例を認めるようなことがありましたならば、統一した外国人登録法というものの根本が維持できませんから、法律の定めがあります以上は、法律に基いて法務当局としては、この外国人登録を実施していく以外に方法がないと思います。ただ問題は、中国通商代表部が設けられます場合に、この人たちの身分をどう取扱うかということが政治問題としてほかに残されるわけであります。法務省の外国人登録といたしましては、国際慣例にならいまして大公使館あるいは領事館等外交機関、及び公務を帯びて日本国に入国することを日本政府が承認したものについては、登録を除外いたしておりますから、国際慣例の範囲内において取り扱うかどうかということになるわけだと思うのであります。そこで、通商代表部の人たちを公務を帯びた入国として日本国政府が認めるかどうかということについては、これはどちらかといえば主管である外務省が中心になりまして検討すべき事項であろうかと思いますが、目下政府部内におきましては、いろいろ機会あるごとにこの問題を協議いたしておるのでありますが、いまだ結論が得られない状況にあると承知いたしております。
○西村(力)委員 きのう海外同胞引揚特別委員会において、そこにいらっしゃる厚生次官のお話では、中共における行方不明者の調査のために係官を派遣する、こういうことを現在ジュネーヴにおいて先方側と交渉中である、こういうお話でございます。この行かれる人は政府の職員である、ただ行く資格がどうなるかということに相なることと思うのですが、その場合において、先方との話し合いにおいては、やはり準公務員とか準国家の代表というような立場で扱うという扱い方について話し合いの余地が十分にあるのじゃないか。それを逆に考えましても、これは相当政府側としては考える余地が存するものであるし、また考えなければならないと思うのです。なお法務省設置法に伴って提出をいただいた関係参考資料を見ますると、指紋押なつ状況というのが最後にありますが、朝鮮の方、あるいは韓国の方、こういう方々が現在五十八万六千六百四十六人おる、その中で指紋押捺をやっておるのは二十九万人だ、こういう資料が出ております。その他の外人についても、これは全部が全部指紋押捺をやるということはありません、これでけっこう済んでおるというか、法律の建前から言うとこれではいけないのですけれども、事実はこれで済んでおるということもあります。こういう状況から見まして、中国との貿易を強化するという国の大方針が立つならば、十分に解決の道は講じ得るのじゃないか、かように考えるわけであります。そういう点について法務大臣としまして一段と問題の解決に努力あるいは考慮をせられることが望ましいのでございます。まあいずれにしましても私たちとしては、法は法でありますけれども、いろいろな現状から言いましても、解決される方法があるとするならば、ここで大乗的な、政治的なというか、そういう解決をせられることが望ましいと思うのであります。
 次に、立川の飛行場に出入国管理事務所の出張所を今度設けられる、こういうことでありまするが、あそこにそういう事務所を設けなければならぬ必要性はどういうところにあるか、これは専門の方に一つ御答弁を願いたいと思う。
○内田政府委員 立川のことをお答え申し上げます前に、ちょっと誤解を解かしていただきます。
 外国人登録法は十四才未満の者には適用しておりません。その結果、全部の在留しておる者の数と登録を済ませた者との差が出ておるわけでありまして、それは法律にもちゃんと規定してございます。従いまして、成年者であるにもかかわらずある特定の例外を設けたということは、過去において一つもございません。その点だけは御了承いただきたいと思います。
 それから立川の問題でございますが、これは正式に申しますと、御承知の通り立川は軍の飛行機が出入りしておるわけなのであります。しかし実際は軍用機は乗って出入国いたす者の数が相当にございます。その結果、すでに二年ほど前から立川には一応出張員を出しておったのでございます。実績を申しますと、昨年度におきまして正規の入国者は立川から九百六十三名でございます。それから正規の出国いたした者は九百六十八名でございます。そのほか特例上陸と申しまして、乗り継ぎ等のために上陸を認めました者が五百五十二名でございます。こういう数字がございまして、実際上立川から出入りしている者がございますから、そのために、今まで非公式な形で出しておりました出張員を正式の出張所にいたしたい、こういう考えでございます。
○西村(力)委員 この点は法務大臣にお尋ねしたいのですが、どうも使用条件というものを向うが勝手に自由にするといいますか、そういうことが非常にひんぱんに起きておる。この間も富士山ろくで実弾を投下した。使用条件の協定には実弾投下は認めていないにもかかわらず実弾を投下した。しかもそれが区域外四キロの地点に落下しておる。五メートルくらい離れたところに落ちたならそれたと言えるけれども、四キロの地点になると故意に落したということになる。使用条件に違反するだけじゃなくて、故意に住民の人命財産を損傷する危険がある区域外に直接落すということは、米国側の考え方がまことにわれわれとしては納得できない、了承できない、こういうことなんです。立川においてもあそこの使用条件はもっともっと厳格であるべきじゃないか。一国の首府である東京に外国の基地を置くだけでも日本人としてはまことに歎かわしい。残念です。その立川基地には勝手に軍用機を利用して民間人が出入りをするというようなこと、それを認めた上に立って、仕方がないから出張所を置いて出入国を管理する、こういうような行き方はまことにわれわれとしては残念に思わざるを得ないわけです。そういう出張所を置く前に、使用条件の違反に対してはもう少しきぜんとした態度で向っていくのが正しいのではないかと思われる。私は立川基地に出入国管理出張所を置くということを見まして、全国に起きている使用条件違反のケースなどを思い起して、政府側のこの態度なり、何でも向うの御無理はごもっともとしてそのしりぬぐいをやっていくというのは、まことに残念ではないかと思う。その点に対して法務大臣のお考えを一つ承わりたいと思う。
○中村国務大臣 私の方といたしましては、現実にそういう実情にあります以上は、法務省の所管をしておりまする業務を完全に遂行いたさなければならない、こういう立場に立って、従来も出張員を置き、この出張員を正規の出張所として設置をいたしたいということでございます。なお、爆弾が区域外に落ちたとか、あるいは使用条件の問題等につきましては、どちらかといえば所管は調達庁にあるかと思うのでありますが、法務省といたしましては、御指摘の点については十分注意し善処いたしたいと思います。
○西村(力)委員 善処して解決してもらわなければならぬと思うのですが、ただ立川のようなああいうところに一般人が着陸し、あるいはそこから飛んだりした場合には、管理所を置いても、軍関係の軍人軍属との判別がなかなかむずかしい場合があります。そこにいろいろな、そういう関所をくぐるというようなこともあるのではないかと思われるのです。ですから、ことさらに立川のようなところから出入りすることを強くとめていくような工合に努力していただかなければならぬのじゃないかと思うのです。そこで係の方にお尋ねいたしますが、立川のような場合においても、日本に出入国する人々を一人残らず完全に公正なる管理ができるかどうか、私はその点に関しては非常に疑問を持っておるのです。たとえば板付なら板付とするならば、羽田の空港のように民間機の着陸する場所と軍関係の飛行機の着陸する場所とは判然と区別されております。そうすれば楽でしょうけれども、立川においては全然されてないはずです。そうするとその管理は非常に困難をいたすということが予想されるわけなんです。その点に関してはどうでしょう。そういうことはなく、はっきり完全にできるという御見解であるのか、そういう点たついてはどうですか。
○内田政府委員 ああいう基地におきまして、軍用機を利用した出入国が、基地協定に違反するものであるかどうかにつきましては私は存じませんが、実情といたしましては、現在朝鮮との往復の問題あるいは沖縄との往復等にからみまして、軍用機が利用される実情にあることは、その当否は別といたしまして実際存在しておるわけでございます。われわれの方といたしまして、この立川等の基地を利用いたしました出入国につきましては、非常に不完全な状態でありまして、その後米軍側といろいろ交渉の結果、ともかく向う側がシヴィリアンの場合には必ず入管の方へ出頭させるというとりきめができまして、それに基きまして現在動いておるわけでございます。しかしお説の通り、基地の場合におきましては、われわれの事務所は基地の外にございますし、必ず向うがシヴィリアンの者を全部連れてきておるということを確認いたす方法はございません。従いまして基地からわれわれの事務所を経由しないで入っておるものがないとは申されないと存じます。これは実はわれわれの方もそういう者がないかということにつきまして、あまり公然ではございませんが、いろいろ調査をいたしておりまして、相当はっきりしたデータを得ましたときには、さらにそういう点につきまして米軍と交渉いたしたいと思って準備はいたしておりますが、現在までのところはっきりそういうものをまだつかまえておりませんものですから、データをもって交渉する段階には至っておりません。しかし御指摘のように、われわれ自身もそういう者があり得るであろうという懸念は持っております。
○西村(力)委員 ただいま御答弁のように、確信をもってもぐりがないとは言えないという実情にある。また使用条件違反ということは明確でありますので、先ほどの法務大臣の善処という言葉だけではわれわれとしては不明確であります。もう少し法務大臣としての見解、善処の方法というか、そういうことについてお聞かせを願いたいと思います。
○中村国務大臣 先刻やむを得ず善処と申し上げたのでありますが、私どもといたしましては基地使用の約束が安保条約に基いて、また行政協定等によってどういうようにできておるか、その詳細の点を十分承知いたしておりませんので、これを所管の当局と協議いたしまして十分検討をして、もしそれがまさしくそれらの基準にはずれておるものであるとするならば、厳に交渉をいたしまして、そういう条件にはずれないようにいたさなければならない、こういう趣旨に考えておるのでございます。具体的にどうするかということにつきましては、私どもその基本を存じませんから、基本を十分に検討いたしました結果、善処いたしたい、かように考えておる次第でございます。
○相川委員長 中村高一君。
○中村(高)委員 入管局長にお尋ねいたします。華僑のマカオへ行くという旅券で中国に行ったというあの問題で、われわれのところへも陳情書がきておるのでございますけれども、あれはどうなっておりますか、御報告願いたい。
○内田政府委員 あの問題のいきさつをごく簡単に御説明申し上げます。華僑がマカオへ行ってきたいからという話はだいぶ前からございましたが、その前にマカオあるいは香港の再入国を取りまして参りました者が、これは確認できた数はごく少数でございますが、中共の本国の方へ参りまして、むしろそれが主目的で香港またはマカオヘの再入国を取って行ったという例が前にあったのであります。そこであの問題が起りましたときに、そういう前例からいろいろ異論がございまして、もちろん考えようによりましては中共本土との再入国を認めてもいいじゃないかという意見もむろんあり得るわけでございまして、それの当否を今ここで議論いたすのではございませんが、ともかく当時の情勢といたしましては、まだ中共へ行って帰るということは認めないという建前のときでございましたから、前にこういう例があるので、実はマカオへ行って中共へ行かれるようなことがあっては、われわれとしては困るのだというようなことで、華僑総会といろいろ話をして参ったのでございます。その結果、それじゃ本土には行かぬから、マカオだけで帰るから一つ再入国をくれ、こういうことでございましたので、それではそういう条件で再入国の許可を出しましょうということになったのが最後の結着だったわけでございます。それでそういう条件づきでわれわれは再入国を出しましたところが、マカオに着きますとすぐに、翌日でしたか、翌々日でしたかに、中共の本国の方へ行ったわけであります。これは香港の方からすぐ報告も参りましたし、またその点は当人たちも争っておりません。自分たちも行ったということを認めておる。そういったいきさつから、われわれとしましては、俗な言葉で申しますと、あまりになめたやり方と申しますか、これだけ約束しておいたのにすぐ行く、これでは少し話が違うじゃないかということで、われわれは再入国許可を取り消したわけでございます。再入国許可を取り消しますと、今度は査証なしで日本へ入ってきたということに法律上なるわけでございます。そこでそれを理由にいたしまして、一応われわれは退去の決定をいたしました。しかし今、一応と申し上げておりますのは、そのほかに法律上争う道があるわけでございます。それで入管令五十条の線に乗りまして、法務大臣の特別在留許可を求める道がございまして、その進行途上におきまして、この華僑の問題の十名の人が行政訴訟を起しました。現在その行政訴訟が進行中でございます。しかも行政訴訟を出しました際の仮処分をとりました結果、現在われわれは違反審査と申しておりますが、それを進行でき得ない状況でございます。その結果、事件としては、いまだにペンディングな状況にあるというのが現状でございます。
○中村(高)委員 一部は入国をして、今局長の言われるように、行政訴訟を起しておるようですが、まだ何人か入れないのがありますね。
○内田政府委員 二名ございます。
○中村(高)委員 これはどういうふうになることになっておりますか。
○内田政府委員 これは理屈の上から申しますと、再入国許可が取り消されておりますから、今度は新たに香港のあそこにおります人としてでございますが、香港の総領事館にでも出頭いたしまして、日本への入国査証をとって入ってきてもらうということになるわけでございます。
○中村(高)委員 前に入ってきたのは査証なしで入ってきた。これはそうすると一時仮入国というようなことでもして入ったのだと思うのです。査証なしで入ってきたのが内地にいますね、これはどういう手続ですか。
○内田政府委員 お説の通り仮上陸で認めたわけであります。それは船の場合でございますと、上陸拒否でその船に乗って帰れということが言えますが、飛行機でございますから、羽田におりてしまったものはどうにも一応はやむを得ないわけでございまして、仮し上陸で認めておるのが現状でございます。もしかりにこういうことを――私は扇動いたすわけではむろんございませんが、もしかりにほかの二名が飛行機で来てしまったという事態が起れば同様に取り扱わざるを得ないと思っておりますが、しかしおそらく航空会社は切符を売らぬと思いますから、まずないだろうと思っております。
○中村(高)委員 そうすると飛行機の切符を買わなければむろん入って来られないのですし、査証なしでは切符は買えないはずなんですが、何かごまかしたというか、どういうふうにして入ってきたのですか。
○内田政府委員 その点は全く一つの手違いとでも申すより仕方がないのでございまして、航空会社への通知が適宜に行われなかったためにそういう事態が生じたわけでございます。
○中村(高)委員 私たちのところへ陳情や何かで言うてくるのを見ると、非常に長く三十年も何十年以上も日本におって、家族もおる。それで入ってこられないのでどうも残っておる諸君は非常に困っておるらしいのですが、その事情も私らわかると思うのです。これらの華僑はいずれも長く日本におって問題を起したこともない人だとするならば、やはりこれは何か仮入国みたいなことにして、そうして違反であった点はまた別に方法を講ずることにして、何か仮入国を認めてやるというようなことは必要だと思うのでありますけれども、家族や何かみなそのまま置いておいて、そうして入ってこられないという形はまずいと思うのであります。密入国したり何かしたのとはちょっと事情が違って、このままいつまでも入ってこられない、そのまま置くというのもまずいと思うのですが、それに対して何か政府側として考えておられるのですか。
○内田政府委員 全く私どもも家族の人たちの気持はごもっともだと思っております。われわれの当初の考え方は先ほど申し上げましたように、十名の者につきましても一応の退去はいたしましたものの、最後の結論につきましては十分その事情によって善処いたしたい、こういう考え方でおったのでございますが、先ほど申し上げましたようないきさつで行政訴訟になりまして、またその仮処分の結果、われわれの業務が進行し得ないという状況になっておりますために、その問題がペンディングの間に、向うに残った二名につきまして、正規な入国を認めるというのもちょっと段階として飛んでしまうのではないか、こういうふうに考えておるわけでございますが、そのことは将来この二名の者をどうしても入れないのだという、こういうことをきめているわけでは毛頭ないわけでございまして、状況の進展に応じまして、ただいまのお申し出のような趣旨において十分善処いたしたい、こう考えておるわけでございます。
○相川委員長 西村力弥君。
○西村(力)委員 厚生省設置法に関連して、行政機構の問題について大久保担当大臣に御質問申し上げたい、こう思うのです。上下水道、工業用水道、いずれもこれは都市計画上非常に大事なことでございますが、この行政が従来建設省、厚生省あるいは通産省、こういうところにまたがっておって非常に迷惑をこうむるのが国民関係者だ、こういう状態であったのです。まあ水道のことをお願いするには、やはり厚生省にも建設省にも同時にお願いしなければならぬ。どちらか先に行くと一方の役所が不満を言う、お顔色が悪い。またその起債の問題になりますと、地方の財務部からずっと上までやってこなければならない。一方においては郵政省の関係もありますので、そういう方面にも行かなければならぬ。非常にむだな苦労が関係国民に避けられない問題としてあったわけなんでございますが、今回一月十八日閣議決定としまして、三分割の方法を大体出された。この点は確かに一歩前進せられたものであると思って私たちは喜んでおる。ただその分け方を見ますると、まことに不徹底ではないか、こう思うのです。工業用水道が通産省所管になる、こういうことはあまあいいとしても、下水道において、これは建設省である。しかしながら終末処理問題は厚生省、こういう工合になっておる。その点はまことに不徹底である。また基本的にいいますると、これは何も建設省の肩を持つわけでもなんでも私たちはないのでございますが、都市計画の全般の問題としては切実な問題外である。しかも上水道にしても河川行政も密接する、こういうことなんでございまして、上下水道も、これは建設省所管になった方が一番この仕事の性質上いいではないか、こういう工合に考えられるのですが、その点は日本の官庁機構の問題からいいまして、一がいにそこまで踏み切るまでのことはなかなか問題もあると思いますので、その点に対する私の考え方を強く申そうとは思わないのでございまするが、この下水道問題について、終末処理場だけ厚生省に分けた、こういうようなことに対しては、どうも不徹底である。そうなりますと、下水道の問題については同じ計画で、同じ資金で事業をやるにかかわらず、厚生省と建設省と町方にまたがって問題の解決をはからなければならない、こういうことになってくるわけでございます。その点について、閣議でそういう決定をしたそのほんとうのところ、理由、考え方を一つ御説明を願いたいわけでございます。
○大久保国務大臣 ただいま水道及び下水に関する問題につきましてのお尋ねでございます。この問題は長い間の懸案でありまして、厚生省と建設省に関係を持つので、いわゆる所管の争いといいますか、長い間この問題についての研究がありましたが、今回所管の方法をきめました次第でございます。原則として、上水道については厚生省所管、それから下水道につきましては、終末処理場を除いて建設省、これは下水処理の関係、汚水処理の関係がありましてそれを除いては建設省が所管をする、それからその際つけ加えてきめましたことは、工業用水についての所管もやはり問題になっておりましたけれども、これは通産省にまかせる、こういう三つの原則をきめました次第であります。これは理想的かどうか、まだ最近きめたばかりでありますが、前の所管争いをした時代よりは一歩前進して明らかになったことと存じております。
○西村(力)委員 その点は法案そのものにも示されておりますので、御説明いただかなくてもわかるのですが、なぜ上水道を厚生省が担当することが正しいのか、不水道を建設省が担当するのが正しいのか、しかも下水道において終末処理場だけどうして厚生省が担当しなければならないのか、こういう点です。これは政府で案を作られた限りにおいては、相当の検討と結論を持って提案されておるだろうと思うのです。その点について、政府の考え方をお聞かせ願いたいわけであります。
○神田国務大臣 今回厚生省設置法の一部改正の内容になっております、いわゆる上水道が厚生省、それから、これは建設省の方からまた設置法の改正をお願いしておるはずでございますが、下水道が建設省、終末処理が厚生省、行政管理庁の方との今までのいろいろな打ち合せ等によりまして、こういうようにきまったわけでございます。これは一体どういうことでそうなったかというお尋ねに承わったのでございますが、お尋ねにもございましたように、水道、下水道あるいは終末処理というものは、一つの有機的結合をなすものでございますから、一つの省で担当するという考え方も私はあり得ると思うのでございます。どの方が能率がいいか、どの方が合理的かというようなことで、ここまでくる道程といたしまして、実はいろいろ研究課題になりまして、今のようなことに踏み切ったわけであります。その際に、こういうふうなことが一番いいだろうということは、御承知のように上水道それから下水道、終末処理は、何といっても国民の衛生問題と非常な関連を持っておるわけであります。そこで、上水道関係は何といってもそれらの専門知識を持っており、また国民生活と密接な関係を持っておる厚生省が担当するということは当然だろう。そこで、その終末処理の間の下水道の問題になるわけでございますが、下水道は御承知のように、水道の排水も入りますが、何といっても一番多く入るのは、雨水が一番たくさん吸収されるわけでございます。それからもう一つは、道路の下を通っている、しかも大きな工事でやっておりますし、道路は都市計画その他によって建設省が担当しておる、それから汚水を下水がのむというような関係で、これは今までの例によりますると、厚生省と建設省が共管になっておった関係上、いろいろ道路の問題が関係して参りまして、むしろ、工事の促進を阻害している。官庁の両方持ちになっているものですから、一つの書類が両省を回る関係上、そのために公共団体に与えた被害と申しましょうか、非常な迷惑をかけた。ことに最近都市計画が御承知のような事情でいろいろ進んで参りますと、そのつど下水道の問題がからまって参りまして、行政能率を上げるためには、どうしても道路管理をやっておる建設省にやった方がいいじゃないか、公共団体も、理論よりも実際上はそうしていただいた方が工合がいいという便宜論も非常に手伝っておると思うのであります。下水道の工事をやるならば、たとえば厚生省がちょうだいしておって専管になっておっても、道路の下を通るものですから、その点でどうしても建設省の方と協議をしなければならぬ。そこでまた時間がかかる。それならばいっそ理屈としては、上水道から下水道、終末処理を一貫してできることが私は理想的だと思いますが、今申し上げたように、法令の仕組み、官庁の権限の問題等がございまして、むしろそういう筋を通しますと渋滞して市民に御迷惑をかけてしまう、こういうことで、この際そういう点で割り切って下水道は建設省の担当にしよう、ただし、終末処理になりますと、ちょうど上水道の際にも申し上げましたように、この処理を一歩誤まりますと、国民生活の非常な脅威になる。ばい菌の問題にいたしましても、あるいはまたその処理方法にいたしましても、これ何といってもこの方面の行政を受け持っており、国民生活の実際の面を受け持っておる厚生省が担当する以外には方法はないのであります。上水道は厚生省で、終末処理も厚生省で、中だけが建設省だということは、感じからいってもおかしいのでありますが、今の行政機構からいくと、そうしなければ行政能率が上らない、非常なむだをしておる、こういう便宜論と妥協した、というとはなはだ言葉がどうかと思いますが、そういうことが一番重点に考慮された案件でございます。長い歴史を経て争って参ったのでありますが、内務省の中に今の建設省、それから衛生局というものがあったときにも、なかなか大へんなことでございましたが、省も違うし、上水道、下水道が今の都市の整備からいっておくれておりますから、そういう事態を取り返す意味からいってみても、思い切って今度は両方の共管をやめた方がいいではないか、こういうことであります。もちろんこれは行管の審議の際にも両方から出ての話し合いでございまして、長い間の懸案を今度今申し上げたような事情で一挙に解決したい、水道も早く共管をやめて一つ地方の要望にこたえよう、下水も地方の要望にこたえたい、終末処理もこれからが問題になるところでございます。これは今まで割合ほったらかしのことなんでございますが、最近の屎尿処理、農家が糞尿を使わなくなった事情から見て、これは一、二年来特に大きな問題になってきていて、さらにここ数年のうちには大々的に解決しなければならぬような事情もございますので、この際分離して明確にし、行政効果を上げていきたい、こういうことが主眼で今度お願いしたようなわけでございます。
○西村(力)委員 理想を私は言うのをやめようと思う。そんなことを言うても官庁のいろいろな現在の争いといってはちょっと語弊がありますが、そういうのはしかく簡単ではないと思いますので、そういうことは申し上げませんが、終末処理だけどうしても厚生省が主管しなければならないというそういう理由がどうしても私には納得できないのです。これは政府がそこまでいったのならば、百尺竿頭一歩を進めるといいますか、これははっきりと三分割した方が、国民としては非常に好都合だったと思う。独立した終末処理場ですとこれは厚生省が所管してけっこうだと思う。しかし下水道に関連しての終末処理場は、やはり一貫した方がいいのではないか、こうなってくれば政府側がせっかく進めたにかかわらず、下水道に関してはやはり二またをかけたいろいろな努力をせざるを得ない、苦労をせざるを得ないということになってくるわけです。公衆衛生上、一歩を誤まれば重大な結果を見るとおどかしめいた言葉を聞きますが、建設省は衛生なんか考慮しないというふうに厚生省はお考えになるかしりませんが、しかし建設省にしたってそういう下水道を全般の責任を持つ場合においては、そんな公衆衛生に重大影響を与えるようなむちゃは決してやらぬだろうし、そういう場合においては建設省としての協力ということがあり得る。むしろそういう形こそ、日本の政治においては望ましいのではないかと思う。上水道がかりに建設省の所管になった場合において、水質の検査は厚生省の公衆衛生局ですか、どこでも水質検査を十分にやっていく、そういう形でもできるはずですし、そういう協力態勢をとって行政の分掌を明確にし、そして国民の不便を除くということは大事ではないか。どうも大臣の御答弁は、せっかくでございますが、私としてはやはり終末処理場を下水道から分離して厚生省所管にしたということの理由、これはどうしても納得はされないのです。こういう法案提出がなされてこれが通過になれば、また一応前通した姿はあるけれども、関係公共団体の苦労というものは決して解消しないであろう、しかも都市計画はそういう下水道の問題にせよ何にせよ、どこの都市でも金さえあれば今にもやらなければならぬというところが全国至るところにあるのだろうと思う。これ非常に緊急な問題です。どこの町でも、そういうことがうまくいかないために、市街を流れる川に汚物を捨てる、ひどいのになると、屎尿までも捨てるということがひんぱんに起きているのではないか、それを早急に解決することが非常に大事なわけですが、そういう場合において公共の都合ということを第一義に考えていって、問題を前進させるということが正しい道であると思うのです。私は、厚生大臣としては今の考え方はそうでございましょうけれども、将来においてはやはりそういう考え方にたって、下水道は頭から足の先まで全部建設省の所管にする、こういうような方向をとるべきであるという工合には考えられない、これは厚生大臣に御答弁を願ってはちょっと酷ですが、できるならば大久保国務大臣に伺っておきたいのですが、こういう進め方をぜひ大政治家の大久保さんに御推進願いたい。要は第一義的に考えれば、公共の都合、便宜ということを考えることが一番大事ではないか、官庁のいろいろな所管争いというようなこともありますけれども、それを克服するということがまことに大事ではないか。ここまで進んだのだから、あと終末処理場だけ建設省に移管することも決して大しためんどうなことではない、こう思うわけです。その点に関して一つ所信のほどを承わりたい。
○大久保国務大臣 ただいまいろいろお話を伺いましたが、その通りであります。あなたがそれほど、お話をされるだけ、この行政は複雑で、しかも一般の国民に迷惑をかけておった。いわゆる所管争いといいますか、なわ張り争いといいますか、ようやくこれが原則がきまって、下水の方は建設省でやるんだ、上水の方は神田厚生大臣がとるんだ、終末処理場はこちらがとるんだという原則だけきまった。これにも理屈を言ったら限りがないと思うのですが、とにもかくにも事務当局が話し合って、こういう原則を立てましたのですから、しばらくの間これでやらせてもらいたい。やってまだあなたの言う通り実際に当てはめて工合が悪いというような事件が発生しました場合には、それはそのときの適当な処置をとりたい、こう思いますから、御了承を願います。
○西村(力)委員 一月十八日の閣議決定は、各省にまたがっておる所管ということは、公共団体にえらい迷惑をかけるからこれを整理しよう、こういうように所管がまたがっておることは不都合だということを前提としてこういうことになったわけです。だから下水道一本が二つの省に分れておったんでは、不都合が起きるということは今からでもわかることです。ですからそれをやってみてその後というようなことは、一月十八日の閣議決定の趣旨そのものを没却せられることになるのではないかと思うのです。ですからこの際将来の方向としてもっと進んだ考え方を披瀝していただかなければならないと私としては考える、大久保大臣いかかでございますか。
○大久保国務大臣 ただいま申しました通りでありまして、とにかく三つの事務当局の打ち合せによってそういう方針をきめましたのですから、これで当分やってみたいと存じます。
○西村(力)委員 当分やってみるということで、やってみた結果不都合が起きないと予想されるか、起きると予想されるか。その点が前提となるわけなのです。ただ政府としてこの法案を出したのだから、やっとここまでいろいろ問題をまとめたのだからこれでやって入るという考え方はわかるのです。しかしそれでも不都合が起きる、公共団体の迷惑はやはり残る、こういうことを認められるかどうか。これが前提となってのお話を一つ願いたい。
○大久保国務大臣 前よりはずっと楽になった、国民に対して申訳が立つと私は思っておりますけれども、人間の事務であるから全く支障がないということは申すことはできませんけれども、従来よりはよくなった、こう考えております。
○西村(力)委員 私の話は下水道を、終末処理場は厚生省、それまでのところは建設省と二つに分ける、このことに限って今私は話をしておる。全般的にいうてよくなったということは私も率直に認めます。ですが下水道の中を二つに分割しておるということは、これに限って話をする場合においては、こういうことは結果として当然公共団体においては一本化よりも不都合が存在するということをはっきり認められることが率直な立場ではないか、こう思うのです。
○神田国務大臣 私の先ほどの答弁足らなかったかもしれませんので、補足したいと思いますが、今こうやっても不都合が残るのじゃないかという御心配でございますが、それは行政のことですから心配をしてみることはいつの場合も当然でございますが、今度は窓口が一本になったわけです。これは公共団体が水道もおやりになる、下水道もおやりになる、終末処理場も、公共団体が一つでおやりになるのでありますから、そのおやりになる公共団体が総合的に計画をお立てになって、水道はこういうふうにしていきたい、それを受けて下水道はこういうふうにしていきたい、下水道の終末処理はこういうふうにしていきたい、その下水道と直結してない終末処理だけは先にやって、あとは下水道は三年か何かの計画でそこへくっつけたい、こういうように考えるのでありまして、その施設する公共団体は一つでございますから、その当該公共団体からみまして、水道なら厚生省、下水道なら建設省、終末処理場は厚生省が持ってくれば、これはどんどん仕事がはかどっていく、こういうことですから、公共団体の側から見ると非常に喜んでおられるわけなんです。今まで権限争いで――権限争いでなくとも両方で調査をなさいますから、両方にまたがったことが半分の手数で済むんじゃないか。もう一つその前にさかのぼって、これは建設省でできるんじゃないかということは、結局金や人の問題でございますから、どこの省につけても私はできると思います。しかしそうなって参りますと、みんなが一貫作業をするような形になってしまって、行政の機構が紛淆すると思う。そこで私が先ほど申し上げたように、国民生活の衛生上の問題は厚生省が持っているのだから、上水道は厚生省がやる。厚生省が担当すれば、現にそういった要員を持っておるのですから、そのまま、試験所もあり、研究所もあるからやっていけるのじゃないか。建設省がやるんならそれまで移さなければならない。それから機動力というものは、やはり二重になるんじゃないかと思うのです。下水道の方はさっき申し上げたように、水道から流れる汚水よりも、雨水を対象としている問題が多いのです。そこで水道の計画ということになりますと、ことに道路の下を通りますものですから、道路とにらみ合せて、厚生省がかね合いでやっていく。そうすれば一つできまっていく。だから便宜論で、理屈を言うと今お述べになられたことがいろいろ出るだろうと思います。しかし理屈を忘れて、公共団体が一番やりいいようにしようじゃないか。今の機構をそのままにして、有事即応で監督もできれば指導もできるということにする。中の下水道だけは建設省がおとりになって、上と下は厚生省、こういうふうに割り切ったわけでございまして、御議論ではおっしゃられるようなことがいろいろあろうかと思います。しかし今の段階においては、施設をおやりになる公共団体が非常に楽になったと喜んでおるわけでございます。また時代が進展して参りますから、その先のことは先のことで、当面して参りましたならばもう一ぺん――これはさめたら改正しないんだというのではなく、今大久保国務大臣からもお述べになりましたように、とにかく今一応喜んでいて、今までなわ張りでできなかったことを政治力で両方納得さしたのですから、今の段階で申し上げると非常に進歩だと思うんですよ。決してほめてくれといって申し上げているのじゃない。権限争いをとにかくここまで圧縮した。これでやってみて、またもっといい方法が出てきたら、その際には改正することはいとわない。こういうことを大久保大臣は申し上げておるのだと思います。どうかさよう御了承願いまして、一つよろしくお願いいたします。
○西村(力)委員 神田厚生大臣の御答弁は、これはやっぱり自信もあるでしょうけれども、苦しいような立場は私たちも察せられるのですが、ここまで一応三分割の形を不完全ながらも進められたことに対しては、先ほで申しましたように、私たちは喜んでおるということを申し上げた。ただ、そこで下水道が一貫しない点だけが画龍点睛を欠いている、まことに遺憾に存ずる、こういうわけです。そこで今の御答弁大へん苦しいようでございますが、終末処理場だけ先に作るというようなお話がございましたが、下水道の終末処理場だけを先に作るというような例がありますでしょうか。屎尿だけを集めて処理する、こういう終末処理はあるでしょうけれども、下水の終末だけ作るというような、そういう計画は実際にあるかどうか、あったらお知らせ願いたい。下水道は雨水がたくさん入るから膨大なものを作らなければならぬでしょう。下水道全体の計画ができて終末処理場も一緒に動かしていく、こういうことだと考えられますけれども、言葉じりを拾うようですが、その点をお知らせ願いたい。
○神田国務大臣 現に下水道の工事が大工事で、その工事に直結ができなくて終末処理場を直結しようというのでやってる個所が相当あるのでございます。私の静岡市などもその一つの例でございますが、下水道はなかなか金がかかり、時間がかかります。年次計画でやっておりますから、それを待ち切れないで、終末処理場を並行して作りまして、そうして、たとえば静岡の例を申し上げますと、終末処理場は三年計画で来年度でき上る、下水道はまだ一、二年先になるというようなことでございまして、現にそういうところまできておる段階でございます。事実そうなっております。
○西村(力)委員 その点ですと、これは全体の計画が立って、仕事の順序ができて――先ほどのお話と違うのじゃないかと思いますが、それはやめましょう。それで私が申しました趣旨は、一歩前進せられましたが、とにかくこれではまだ公共団体としては、前に比べて喜んではいるけれども、また将来においてはいろいろな不都合、不便が起きてくるから、これは遠からずもう一段整備するという方向をすぐとっていただかなければならぬ、こういうことを強く希望申し上げまして終ることにいたします。
○相川委員長 それでは他に質疑の通告もありませんので、これにて厚生省設置法の一部を改正する法律案の質疑は終了いたしました。
 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、本法律案に対する討論はこれを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○相川委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。
 これより厚生省設置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。本法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔総員起立〕
○相川委員長 起立総員。よって本法律案は全会一致をもって原案の通り可決いたしました。
 なお本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○相川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
○相川委員長 引き続き法務省設置法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。受田君。
○受田委員 これは今回の法務省設置法に関連する問題としてお尋ねしてピリオドを打ちたいと思うのでありますが、従来この法務省という役所は、あたかも別格官幣社のごとき機関として、行政、司法、立法のうちの司法部門を担当する形において、一般行政の性格と違った要素をいつも持っておる点があると思うのです。その一つが、ここで今指摘したいところの、法務省のお役人で検事の身分にあって法務省の局長をしている人たちがある程度おることを知っております。一般行政の問題とこうした法務行政というものをあたかも別の系統であるかのごとくに見せかけておる一つの事案として、検事の身分であって、検事の俸給をもらって法務省の局長などをやっておる現実があると思うのでありますが、大臣も事案それをお認めになりますか。
○中村国務大臣 御指摘の通り事実であります。
○受田委員 ところが、その職務は局長の職務を行なっておられる、検事の仕事をしておられないのです。検事の仕事をしないで局長の仕事をしておる職員に対して、検事の俸給を与えるということは、これは給与体系を乱し、また法務省をして他の省と別の役所のごとき印象を与える大へんな問題点であると思うのでございますが、大臣の御見解はいかがでございましょう。
○中村国務大臣 実はこの点は御指摘のような感じの出るのもやむを得ないと思いますが、ただ法務省は、御承知の通り裁判検察に関係をした業務がほとんど大部分でございますので、本省の局長その他の係官にいたしましても判事または検事の経験を持った者、その実務のわかる者であることが非常に実質的な要素として必要でありますので、検察関係、裁判関係と法務本省との人事の交流は常時できる態勢になければ適当ではありません。この点は、御承知の通り法務省設置法に明瞭に規定をされておりまして、法務省設置法で検事または判事の資格のまま局長その他法務本省の行政事務につけるような制度にしていただいておりますので、この法務省設置法に基きましてさような措置をとっておる次第であります。
 なお年令等からいいましても、裁判検察関係の人たちは、一般行政官よりは――認証官にいたしましても、一般行政庁の認証官の場合には大体年令が四十二、三才、あるいは多くて五才という程度が多いのでありますが、法務省関係の認証官は平均年令五十才というような、他の官庁に比較いたしまして大学の卒業年度などから申しましても大体七、八年は少くともおくれておりますので、これらの人たちと連繋をいたしまする行政をいたしますには、やはりそれとつり合った、判事または検事の年令または実力とつり合った者が本省におりませんと、行政事務も円滑に参りませんので、さような特別措置を講じていただいておるような次第でございます。その点をどうぞお含みをいただきたいと思います。
○受田委員 私は、大臣の御答弁の年令的な問題、あるいは判検事と法務省の職員との人事交流などの便宜上の問題というものは、この際大して議論にならぬと思うのです。なぜかというと、局長の職務を行う職員の判事、検事の俸給を与えるというここに法体系を乱している点があり、これを私は指摘をしたいのです。法務省だけがそういう特例を持っているというところに何らか法務省に対する疑惑といいますか、特権的な機関としての印象を与えるおそれがあると思う。少くとも給与というものはその職務に対して支給するものであります。ですから、判事、検事の身分、資格で局長を兼ねるというのであれば、それは判事、検事の仕事をしていなければならないわけです。そして同時に兼務であるから局長の仕事をする。ところが、法務省のそうした高級職員は判事や検事の仕事をしておるのではないのです。一般法務行政を担当しておるわけです。その一般法務行政を担当しておる職員が、判事や検事の給与をもらうのは筋違いだと私は今指摘しておるわけです。これは単に今の大臣の御答弁では納得できない点でございますので、そこを明瞭に御答弁願いたい。
○中村国務大臣 御指摘の点は、法務省設置法にそうあるとしても、それは法体系、給与体系を乱すものだから改善すべきではないか、こういう御指摘のように拝聴いたしましたが、先刻も申し上げましたように、法務省と他の検察司法関係との人事交流というものはどうしても必要でございますし、また年令的に、あるいは学歴、学校卒業年度等から見まして大体現場で仕事をする人たちと、本省の局長等になりましてそれに関連した行政を行います者とのつり合いの上からいいましても、実質の問題として、やはり検事と同様の俸給を――業務は局長でありますが、検事の地位のままで局長の地位につくのでありまして、検事と同等の俸給を与えることにいたさなければ、人事の交流が全く行き詰まってしまってできないことに事実上なりますので、この点は、私どもとしては、なるほど給与体系という面から議論をいたしますと、他の官庁との関係等も考えられますが、実際の法務行政運用上やむを得ざるところである、かように考えておる次第でございます。
○受田委員 裁判官には裁判官の報酬等に関する法律というものがあり、検察官には検察官の俸給等に関する法律が別々にできておる。しかもその裁判官の報酬等に関する法律などを見ますと、一般公務員よりは三号ないし四号高いところに裁判官の報酬が置かれておる。従って裁判官の身分にあった者、あるいは検察官の身分にあった者が法務省の役人に転出した場合には、一般行政の職にある人より高い給与をもらっている人がなるのであるから、そこで前の俸給をもとにして計算することにすれば、自然に高い方をとるということになって、一般法務行政の職員としてでなくして、それよりも高い給与体系にある者をそのままの形で受け入れることになると思う。一般行政職というものは、一般行政なりの職務の責任と内容を持っているものである。それは判事や検事の職の内容を持っているものじゃないのですから、従って法務省の一般の役人になられた場合は、特別に高い給与体系にある俸給表を適用するのでなくして、一般行政職の俸給表を適用するのが私は筋だと思うのです。法務省設置法に判事や検事の資格にある者を充てることができるということは、結局俸給まで判事や検事の俸給を渡してこれを待遇せよという意味でなくして、判事や検事の身分にある者が一般行政職の法務省の役人になることができるものだと私は了解しているのです。その意味においても、俸給は新しい職務の行政職の俸給を支給するのが順序である、こう考えるのですがいかがでしょう。
○中村国務大臣 判検事から局長の事務をとる人間につきましては、御指摘のような問題もありますので、法務省設置法では、実は一定の限度をきめておるのであります。一定の範囲内においてそれができるのです。判事から法務省へ参ります人は、判事の地位でなく検事の地位に変りまして、検事として法務省の本省の業務に当るわけでありまして、本務はあくまで検事であるわけであります。ただそういうような点を顧慮いたしまして、法務省設置法におきましては人数を無制限にやらせないで、大体限界を定めてやっておる次第であります。これはいろいろ御議論もございましたが、部内の人事交流の上から必要最小限度のものである、と私どもはさように考えておる次第でございます。
○受田委員 中村さん、あなたは非常に幅を持った政治的手腕の豊かなお方であるのですから、この際法務省の従来の禍根を一掃するために手腕を発輝願いたい。判検事の身分にあった者が法務省の高級職員に転出する場合に、従来の俸給をもらって出るという形のものが法務省だけに――他の省に実例がないのです。法務官だけがそれをやっているということは、これは重大な一つの問題点だと思う。あなたの在任中に、そうした他省に見ることのできない法務省の一般行政職にある職員をして判検事の俸給を与えるという、こうした実際に職務に当っていない人の俸給を与えるというような形のものをとらしめないように改正する意思はないかどうか。従来の法規の欠陥を改めて、この際一般各省と同等の措置をするという御決意を持っているかどうかの御決意の点を伺いたいのであります。ほかのことは御答弁要りません。
○中村国務大臣 決意を聞かれますと、私どもといたしましては、法務省と検察庁は実際連携をして常に業務を行わなければなりませんので、行政事務という形ではありますが、本質的には一体であるべきたと思うのであります。そういう一体の形において行われる業務につきましては、活発な人事の交流がなければとうていその本来の使命を果すことはできないと思うのです。さような見地から、私どもといたしましては現行の法務省設置法に規定されておりまする特例は、国会の議決を得ましたこの制度は適切なものであって、これを変えるということはできない。法務省というものは本質が一体の業務でありながら、行政事務、検察というその必要の仕事だけによって区分がされましたら、とうてい本質の一体を生かすような人事の交流が不可能になりますから、どうぞさような意味において御了承をいただきたいと思います。
○受田委員 あなたの前任者でいらっしゃった某法務大臣は、法務省内部の意見が全部、恩赦に選挙違反その他の政治犯はこれを掲げてはならないと決意をしたにかかわらず、驚くべき恩赦を実施された巨頭であります。これは後世法務省の大臣としてはなはだ信頼を失墜した大問題と指摘されるところであります。私は法務省という役所がそうした古い因襲で判事や検事に支配されて、大臣が一般法務行政の上で、この間の恩赦を政治犯に限ったようなのは、これはまことに千古未曽有、空前絶後のものだと思うのですが、今後正しい法務行政を行う場合に、検察官や判事とかわった立場で法務行政をやっていくのが、法務省の一般行政の立場としては私は筋が通ると思う。判事、検事の顔の色をうかがいながら仕事をするということでなくして、筋の通った法務行政をやる、これが正当な一般職の法務省の職員であるべきだと思う。あなたのお説によると、古い法務省内の判検事をはなはだしく重く用いて、判検事の巣くつのごとき法務省になっている印象を私は多分に受けるのですよ。法務省という役所は、やはり法務省設置法に基く一般行政の機構の上に立った役所であって、法務省そのものは裁判所じゃないのですから、私はその意味においては 願わくばもっと他省との均衡がとれて、他省と変った色彩を発揮し過ぎて法務の一般行政の権威を失墜するような形であってはならぬと思う。従って一方においては給与体系をくずし、一方においては法務一般行政の権威を失墜するごとき大臣の発言は、はなはだ納得できがたいと思うのでございますが、再考をされる余地なきやいなや、あらためて御答弁を願いたい。
○中村国務大臣 いろいろ御指摘でございますが、この点については私直ちにどうも再考する余地のない問題ではないか、かように考えております。ただ法務行政の本来の姿といたしましては、他の省と違いまして、もちろん所管大臣といたしましても政略的な行政は慎しむべきであって、同時に部内の者が、それぞれ他の司法畑の本職のままで行政事務をしばらくとっておるという姿にかんがみまして、事務当局も他の行政庁の事務当局とは違って、きぜんたる一つの信念を持って当ってもらう、また大臣もこれに即応いたしまして、できるだけ政略にとらわれない法務行政をやっていく、こういうことがいいのじゃないか、かように考えております。
○相川委員長 他に質疑の通告もありませんので、これにて法務省設置法の一部を改正する法律案に対する質疑を終了いたしました。
 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○相川委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。
 これより採決に入ります。本法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔総員起立〕
○相川委員長 起立総員。よって本法律案は全会一致をもって原案の通り可決いたしました。
 なお本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○相川委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。
 次会は明十五日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十一分散会
     ――――◇―――――