第026回国会 農林水産委員会 第48号
昭和三十二年六月六日(木曜日)
   午前十一時九分開議
 出席委員
   委員長 小枝 一雄君
   理事 吉川 久衛君 理事 白浜 仁吉君
   理事 助川 良平君 理事 田口長治郎君
   理事 中村 時雄君 理事 芳賀  貢君
      大野 市郎君    草野一郎平君
      原  捨思君    木名  武君
      松浦 東介君    松野 頼三君
      村松 久義君    赤路 友藏君
      足鹿  覺君    石田 宥全君
      石山 權作君    川俣 清音君
      楯 兼次郎君    中村 英男君
      成田 知巳君    日野 吉夫君
      細田 綱吉君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 井出一太郎君
 委員外の出席者
        検     事
        (刑事局長)  井本 臺吉君
        農林事務官
        (大臣官房長) 永野 正二君
        農林事務官
        (農地局長)  安田善一郎君
        農林事務官
        (農地局管理部
        長)      立川 宗保君
        建設事務官
        (計画局長)  町田  稔君
        建設事務官
        (河川局水政課
        長)      國宗 正義君
        参  考  人
        (愛知用水公団
        総裁)     濱口 雄彦君
        参  考  人
        (愛知用水公団
        理事)     伊藤  佐君
        参  考  人
        (愛知用水公団
        理事)     中川 良吉君
        参  考  人
        (愛知用水公団
        理事)     櫻井 志郎君
        専  門  員 岩隈  博君
    ―――――――――――――
六月六日
 委員茜ケ久保重光君辞任につき、その補欠とし
 て楯兼次郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 愛知用水公団の事業運営に関する件
 農地問題に関する件
    ―――――――――――――
○小枝委員長 これより会議を開きます。
 愛知用水公団の事業運営の問題について調査を進めます。
 本日は参考人として公団より総裁濱口雄彦君、理事伊藤佐君、理事中川良吉君、理事櫻井志郎君、以上の四名の方がお見えになっております。公団の事業進捗状況につきましては、さきに一応参考人各位より説明を聴取したのでありますが、本日は総裁もお見えになっておりますので、この際あらためて説明を聴取することにいたします。それでは濱口参考人にお願いいたします。濱口総裁。
○濱口参考人 公団のただいままでやって参りました仕事の概要を申し上げます。
 公団が発足いたしましたのは一昨年の十月十日でございます。さっそく農林省より示されました事業基本計画に基きまして現地の測量、地質検査等を柿密に調べて参りました。その結果昨年の十二月十八日付でダム地帯の事業実施計画を提出いたしました。これはかねがね農林省との打合せによりまして、何分にも事業が大きいのでございますから、早く着手するのが一番いいと思いまして、ダム地帯それから水路を二つに分けまして、兼山取入口から高蔵寺まで、以下下流、こう三つに分けて事業実施計画を出すということに話がまとまりまして、その線に沿って調査を進め、まずただいま申し上げましたように、ダム地帯の事業実施計画を提出したのでございます。
 一方、世界銀行との借款でございますが、これは公団発足以前から農林省と世界銀行ないし世界銀行の信頼するアメリカの技術者との間に話が進んでおりましたのを公団が引き継ぎまして、まずこの技術者たるアメリカのエリック・フロア社との技術援助契約の締結を進めまして、昨年の五月にこの技術援助契約は締結されたのでございます。それと同時に、先ほど申し上げましたような事業の測量等を進めまして、その概略ができましたので、昨年の暮れに櫻井理事がアメリカへ参りまして、向うのエリック・フロアの本社とも十分打ち合せて世界銀行にもこれを説明し、その借款を要求して参っております。
 御承知のように、元利金の支払いは法律によりまして政府が保証しておりますけれども、世界銀行の方針といたしましては、元利金が確実に償還せられることのほかに、この事業が成功する、こういうことに非常な重点を置いておりますので、その技術面について向うからいろいろの質問があり、その都度当方はこれを説明して参ったのでございます。そのうちに、御承知のように、ことしの四月に世界銀行の担当の人が見えまして、なお五月に入りましてブラック総裁も見えたのであります。この世界銀行のブラック総裁の来品の要務は、日本経済の一般にわたっし調査するということでございましたが、そのうち特に時間をさいてもらいまして、こちらにいる担当の人と借款の交渉を進めたのでございます。その結果、今月の十五日ごろに公団から相当の権限を持った人をよこしてくれ、そうすると契約案文をそこで作成しよう、そうしているいろの世界銀行内の手続の関係上順調に進んで七月の終りに調印の運びにいたしたい、こういうような向うの申し入れがございまして、ただいまそういうように取り運んでおります。一方世界銀行の借款の成立にはこの事業を達成するために政府において資金を出すということを保証してくれ、こういうことが一つの重大なことになっておりますので、その点につきまして、農林省当局にその手続をとっていただきたい、資金を確定されて、その保証をするようにしていただきたい、こういうことを申し出ております。先ほど事業の方で申しおくれましたけれども、エリック・フロアと技術提携が五月にできますと、さっそく向うの技術者が参りまして、公団の技術者と力を合せて精密なる調査、下準備を整えまして、告示があり次第ダム地帯から直ちに着工できるというような段階に参っております。
 大体概略でございます。
○小枝委員長 これより参考人に対する質疑を行います。質疑の通告がありますので、順次これを許します。楯兼次郎君。
 〔委員長退席、吉川(久)委員長
 代理着席〕
○楯委員 この愛知用水の問題は、すでに当委員会において再三再四質疑が重ねられ、論議をして参りました。だからもう当委員会あたりで、いかなるところに盲点があるか、その盲点をわれわれは質問をし、関係者はよく理解の上に立って作業を進めていかなければ大きな世論の反撃を受けると私は思います。従って私は簡単にそういう点を中心にして質問をいたしたいと思いますが、まず最初にわれわれが漏れ聞いておりまするところでは、仕事に着手するのが非常におくれたので、この愛知用水の仕事についてその効果に疑義が出てきた、こういうようなことを聞いておるのでありますが、そういう動きが公団内あるいは農林省の中にあるかどうか、第一にこの点をお伺いしたいと思います。
○井出国務大臣 愛知用水の工事関係につきましては、大体ただいま総裁からその経過についてお述べになりましたのでさように御了解をいただきたいと考えております。これが発足以来だいぶ日がたって、告示その他もおくれて参りましたゆえんのものは、何といたしましても、日本の農業土木としましては画期的なものでございまして、十分念に念を入れて慎重を期したい、こういうことで今日に至ったわけでございますが、今楯委員の御指摘のような、これによって効果に対して疑義があるというようなことは断じてございません。当初の目標に従って近く着工にも至る運びと相なるわけでございます。御承知のように、余剰農産物の第一三次協定を受け入れないということから資金関係に若干のそごを来たした、こういうこともあり、かたがた世銀との関係は、ただいま総裁から申し述べられましたように、なかなかきつい条件でございまして、これらを最終的にブラック総裁の来朝を待って解きほぐすこともできたような次第でありまして、そういう関係もあって今日に至ったような次第でございます。技術的に見まして、農林省、公団それぞれの角度からいろいろ検討に日を要したわけでありまするが、これも大体において妥結点が見出せる段階に相なって参りましたので、近く告示に取り運び得る、こういう見通しに立っておる次第でございます。
○濱口参考人 公団といたしましては、この告示がおくれたことは非常に残念でございますが、今直ちに告示をしていただくならば、ただいま大臣の申されましたように、できるだけ全力を尽しまして、予定の期間内に工事を完了できるのじゃないかと考えております。
 なお現地の人々が一日も早く工事にとりかかってもらいたいというのは当然のことでございまして、その点から、工事促進という声があることは聞いております。しかし公団の内部の職員は、これもやはり早く工事をやりたいという熱望はございまして、別にそのために内部が動揺しているとか、そういうことはただいまのところ何もございません。
○楯委員 それでは農林大臣にいま一つ簡単にお伺いしたいと思いますが、大体このような事業を余剰農産物の受け入れに伴う見返り円というような不確定な原資によってやろうとするところに、今見るような困難と問題があると私は思うのでありますが、今この問題を言いましても仕方がございませんので、将来の問題として、このような財源を使って仕事をやるという点について農林大臣はどのように考えられるか。八百五十名の職員がすでに一年有余も――いろいろ事情があるとは思いまするけれども、第三者が見れば、多数の人間がなすところなく徒食をしておる、こういうふうに地元においては非難をされておるのです。いろいろ原因はあると思いますが、その根本原因は、このような不確定な財源を中心として仕事を進めるところにあると思うのでありますが、将来の問題としてどのようにお考えになりますか、お伺いしたい。
○井出国務大臣 余剰農産物による見返り円資金は、御承知のようにその金利の点において非常な有利性があるわけでございます。従いましてこの発足に当って導入をせられたわけでございますが、将来もしもそういったものにさらに期待ができる場合は、この金利という点から、私はあえてこれを拒むものではないのでありますが、かりにそれが受け入れがたいという場合といえども、これは財政資金なりその他の国内資金を充てることによりましてまかなうことは十分に可能でございますので、そういう点は財政当局とも話し合いをしておるような次第、御心配はなかろう、かように考えております。
○楯委員 ほかの方法によってまかなう、財政当局と折衝をしておると言われますが、その折衝が、わが党委員がこの公団法成立の際に提案をいたしました附帯決議が忠実に行われないところに、私は問題があると思うのです。あなたは簡単に交渉をしておる、こうおっしゃいますが、相当長期間にわたってもこの見返り円にかわるすべての条件が、妥結をしないように聞いておりますが、大臣が言われるようにさして簡単に事が運んでおるかどうか、もう一回お伺いしたいと思います。
○井出国務大臣 この問題は、当初考えましたように順調に見返り円資金の利用ができますならば、もとより問題はないわけでございますが、今楯委員御指摘のように、協定が第三次については成立をしなかったというふうなことからいたしまして、若干のそごを来たしましたことは事実でございます。けれどもこの国家的な大事業に対しまして、かりにその金が使えないという場合といえども、国の責任において他の資金をこれに充てることによって、当初計画と大差のないような方向において処理ができるもの、かように存じておるわけでございます。
○芳賀委員 楯委員の質問に関連して農林大臣にお伺いいたしますが、公団と農林省の間において、実施計画をめぐって意見の不一致があるというように伝えられております。それで実施計画並びに基本計画等の問題は、御承知の通り公団法に基いて明らかになっておるわけでありますが、まず農林当局としては、法の第二十条に基いて基本計画を農林省自身が策定されて、これを公団にお示しになって、公団においてはその基本計画に基いて実施計画を立て、これを農林省に提出して、それで農林省はこれに十分判断を加えて公示をするという、法律の上からいくとそういう手続になっておるわけであります。それでこの間の経緯、基本計画を農林省はいつ公示なさって、その後公団の方から実施計画が出されて、現在それはどのような段階において処理され、実施計画というものが法律上から見て明らかに公示される時期はいつになるか、その間の対立そごがあるとすれば、どういう点に対して公団側と農林省側において意見の不一致があるか、その点に対してこの際具体的な説明を願いたいのであります。
○井出国務大臣 公団法に基きます基本計画あるいは実施計画の問題は、ただいま芳賀委員御指摘の通りであると思います。そこで昨年の暮れに公団側から計画書の提出を受けたわけでございます。自来これを細密に検討をいたしました。その間に技術的な問題その他考え方に若干の距離もあったろうかと思います。けれどもそれは今日におきましては統一せられまして、両者十分な話し合いを遂げつつある段階でございまして、ただいまの見通しからいたしまするならば、あと十数日程度の時間をかけまするならば、告示をいたすことが可能であろう、こういうふうに考えております。
○芳賀委員 私の聞いたのは、具体的に実施計画に対する農林省の検討が時間的にまだ相当かかるということになるのは、やはり問題点があるから、検討に時間を費しておると思うのです。しからば公団の方から具体的な実施計画というものはいつごろ出されて、その実施計画の内容というものは、法第十九条に示した各項、各号に該当するような、そういう事業の建設上名実ともに実施計画に値するようなものが果して出ておるのかどうか、その点はいかがです。
○安田説明員 私から補足して申し上げてよろしゅうございますか。――基本計画は三十年に出ておりまして、それに基く実施計画は、一応ダム分といたしまして、正確に申しますと、愛知用水公団実施計画牧尾ダム分といたしまして、昨年の十二月の半ば過ぎに御提出になりましたが、公団法に従いまして、この提出には関係県知事に公団からの協議が必要でございます。当時出ましたものは、岐阜県と愛知県の知事の協議に対する回答がありまして、協議回答書が添えてありました。長野県知事は協議に対する回答がなく、単に公団作成の簡明なる経過のみを付して提出されたのであります。同県知事の回答書は追ってつけ加えて提出になったわけでありまして、完結しておらないと認めたのであります。ダム分は長野県でありまして、岐阜県と愛知県は幹線水路、支線水路、調整池の施行地域でございます。その後二月になりまして、長野県知事の協議に対する回答書がきましたが、補償等のたくさんの事項を掲げまして、それが特にダム部分の住民の補償が十分にいたされなければ着工は反対であるという内容を添えた意見書がきましたので、そこで実施計画を告示することとしての協議の回答書であるかどうかを私の名前をもちまして知事に問い合せまして、ある一点はまだ協議をしていただかなければならぬ、その協議の一点は工事用道路のことであります。間接補償のことでございました。そこでその後の折衝がありまして、長野県から口頭をもって、実施計画ダム分としての告示については、告示されることは了承すると文書によらずして回答を得ましたのが五月四日でございます。その間に農林省と公団においてそれを検討しましたところ、実施計画につきましては、基本計画にのっとるべきであり、と同時にその後の情勢の変化を入れるのはやむを得ないと思いますが、世銀が推薦し、公団が認めた企画設計会社のエリック・フロア会社の手助けを得て、公団が実際に設計を立て得る範囲においては、早期に着工することをも考えまして、できる範囲で実施計画を立てることはやむを得なかろう、こう思いましたが、長野県におきまするダムの工事だけで岐阜及び愛知の施行地域及び受益者特にそれが愛知用水公団事業の費用を負担する農民のおるところでありますから、そこの意見を聞くために実施計画は告示されるのでございますから、従いましてダム分だけの実施計画は告示として不適当である、幹線水路も調整池も支線水路についてもできる限り新しい実施計画で持ちまして、また実施計画の要点であるところの事業費、あるいはその事業費の負担割合と関係政令には書いてありますが、そのことも余剰農産物資金が一応受け入れ休止になりました現段階で、話が農林省、大蔵省、公団の間においておおむねまとまりつつあるものを最新数字で告示をする要がある。しかるにその以前の事業費及び負担割合において、特に事業費はその後増高しておりますので、その分においても新しいものを書くべきであるという判断をいたしまして、公団に向いまして、提出されたものは古い数字が書いてありますから、農民の意見を問うのには適当でないというので、新しい補正を要求して今日に至りました。過般農林大臣からその旨を明確にいたしたことによりまして、公団側もこれを受け入れられつつありまして、ちょうど公団の実務の中堅連中は、きのうのお打ち合せによりますと、きょうからその作業を始めて所要の手続をしようとしておられます。
 それ以後の見通しにつきましては、農林大臣から申し上げた通りでございます。
○芳賀委員 今の局長の説明によると、農林大臣の言われたような、そう安易なものじゃないと思う。
 そこで農林大臣にお尋ねしますが、実施計画の検討に対してまだ時間がかかるということは、今局長から説明のあった通り、当然全体の実施計画が出さるべきにもかかわらず、単にダム部分だけの実施計画が出されたというところに問題があると思うのです。農林大臣のお考えとしては当然のことでありますけれども、愛知用水関係の事業の全体の実施計画が出なければいかないという態度というものは、農林省としては一貫されておるかどうか、その点はいかがです。
○井出国務大臣 建前はそういう考え方の上に立っております。それをどういうふうに表現するかというような問題等につきましてただいま協議をいたしつつある、こういうことに御了解いただきたいと思います。
○芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。大臣のお考えとしては、場合によっては分割した部分的な実施計画に対する公示でもあえてできるというのですか。この法律は当委員会において審議した歴史があるのですが、全体の実施計画がわからない中において、ただ単にダム部分だけの分割されたような実施計画を、そういう区分されたものが次々に出るというような形ということになれば、これは全体計画に対する、たとえば受益者の正しい意思の反映とか、事業全体に対する今後の見通しとか、そういうものは全然持たないままに事業が実施に入るということになると大きな問題だと思うのです。これに対しては当然農林省として当初から明確にして基本計画を立て、公団が実施計画を出す場合においては、このような内容と形の上に立ったものでなければならぬということを、むしろ指導的な立場に立ってそれを指示して参れば非常に能率的であり、効果的だったと思うのですが、今の大臣の言葉を聞くと、そういう点に対しても、農林省当局も非常に一貫性のないような、自信のない態度を今日までとっておったというふうにも考えられるのですが、そういう一番大切な点に対しては、この際農林大臣として明確な態度を表明される必要があると思います。
○井出国務大臣 お説のような建前で進んでおるわけでございます。こういった大事業でございますから、あるいは補正というふうな場合もあるかもしれませんが、建前は全体的に考えてやって参る、こういうことでございます。
○芳賀委員 どうして幹線工事の実施計画が出ないのですか。この点は濱口総裁にお尋ねします。
○濱口参考人 先ほどもちょっと概要の説明のときに申し上げておきましたが、何分にも事業が大きいのでありまして、全部の精密な調査測量をやっておりますと、いたずらに時日を経過いたしますので、まずできた分からやり、やっておる間にまた次をやる、こういうような建前で、農林省とそういう打ち合せのもとに分割して参ったのであります。
○楯委員 今基本計画の問題に入りましたので、私もこれをお聞きしたいと思いますが、そういうことが法的に可能であるかどうかという点を農林大臣にお伺いしたいと思います。全体の基本計画、これに伴う実施計画という形でいくのが当然なことであり、かつ受益者の農民の負担という面にもこれは関係してくる。なお資金計画も十分立っておらないにもかかわらず部分的に着工していくということであっては、われわれとしてはどうも納得できないのです。従って、そういうことが法的に可能であるかどうかという点をお聞きしたいのです。
○井出国務大臣 法的には、先ほど来も問題になっておりますように、基本計画の線に沿って実施計画を立てる、こういうことでございますから、全体的な視野においてこれをながめて実施計画を示さなければならない、こういうことでございます。
○楯委員 農林省は基本計画を公団に示して、これに基いて公団の方では実施計画を立てる、公団の方では、私どもが聞いておりますところでは、全体の実施計画というものは立っておらない。ダムと幹線用水路の計画を立てて、これから着工していきたい、そういうふうにわれわれには受け取れるのです。そういうことは全体に及ぼす利害という点を考えて参りますと、われわれにはどうしても納得できない。それでは行き当りばったりじゃないかと思うのです。幾らかかるか、どういうことになるかわからない、あとのしわ寄せは農民のところにいくだろうと思います。お前たち負担せい、こういうことになってくるのじゃないかと私は思いますが、この点についてはどうですか。
○井出国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、全体的な計画というものを示す、これがもとより建前でございます。ただその精密度と申しましょうか、あるいは繁閑の度合いと申しましょうか、こういうものが表現上には出てくることはあり得ると思いますが、全体的立場においてものをとらえるということでなければ相ならぬと考えております。
○楯委員 それでは農林省の方では、当然全体計画という線でやったと私は思います。公団の方では、その全体の基本計画に対する実施計画をなぜ立てないか、どういうことで部分的に着工していくという形になったのか、この点を一つ総裁にお伺いしたいと思います。
○濱口参考人 先ほどもちょっと触れておきましたように、公団の今の技術の陣営におきまして全体を全部精密に調査するということは短時日では不可能なんで、それを待っておりますと全部の工事はとてもできないということで、ただいま申しましたように分割的に事業実施計画を立てたわけでございます。
○楯委員 待っておれないと言われますが、しかし全体に対する実施計画を立てなければ仕事の全貌、結果というものがわからないじゃないですか。あなた方はダムと幹線用水路だけははっきり把握することができるが、あとはそのとき以後実施計画を立てて、どうなろうと――ちょっと言葉は悪いかもしれませんが、結果はどうなろうと、それはあとのことだというふうにしかわれわれの方では受け取れない。この大事業をやるのにそんなずさんな計画はないと思うのです。私は何かほかにそうせざるを得ない原因があったのではないかというふうに考えておりますが、その点をもう一度御答弁を願いたいと思います。
○濱口参考人 何かほかに理由があったのじゃないかというお話でございますが、別に他意はございません。全く技術上の見地から、工事を早く全部を完了するのには分割するのが一番適当だ、こう考えてやったわけでございます。
○楯委員 われわれはどうも了解ができないのです。繰り返すようでありますが、この大事業をやるのに、幾ら技術面からできないとか、日にちがないとか、人が足らぬとかいいましても、一応全体の実施計画が立たなくて、やりやすいところから、小口からやるというようなことは、どうしても納得ができないのです。私は何かほかに原因があると思うのですが、一つここで率直に、そうせざるを得なかったという点を御表明願いたい。
○濱口参考人 先ほどから率直に申し上げておるつもりでございます。もう基本計画で、ごく大ざっぱなことでございますが、全部水路ができておる、そこを公団になりましてまたここはこうしなければいかぬという大体のあれができ、これは無事にいくという見通しのもとにやったのでございまして、ただ事業実施計画を分けてやった方が工事の進捗をはかる上に都合がいい、こう考えたのでございまして、何も別に他意があるわけではございません。
○楯委員 それでは、私は農林省にお聞きしたいと思いますが、そういう公団の態度に対しまして、それを先ほどの農地局長のお話では、話し合いがついてきた、こういうようなことを言われておりますが、そういう公団のやり方について、その態度を認めてこの仕事に着工されるのであるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
○井出国務大臣 工事を促進させるという立場で、公団側は先ほど来お述べになったように考えられたわけでございましょうが、農林省としましては、先ほど来申し上げているように、全体的な立場でとらえなければならぬ、こういうことで公団側にわれわれの考え方を示して、やはりこれでいくべきであるということで、ただいま話を進めておるような次第であります。
○楯委員 それでは、同僚委員からこの点について疑義がありますので、あとから質問が出ると思いますから、私は先に進みたいと思います。
 世界銀行の借款の成立以前において、部分的でも工事に着工することができるかどうか。われわれ漏れ聞いておるところによりますと、そういうことはできないように聞いておるのでありますが、できるかどうか、この点を一つ農林省の方にお伺いしたいと思います。
○安田説明員 三十年に愛知用水公団法が国会の御審議経まして成立しました以後、法を施行する上においての農林省と大蔵省との覚書によりまして、資金、工事の今後の見通し等をも考えた結果だと私は思いますが、世界銀行からの借款が確実であると認められるまでは本格的工事はしないことという申し合せがございました。その後大蔵省と話し合いをしまして、これを撤廃いたしました。ごく最近でございます。なぜかと申しますと、予算、資金の面におきまして一年ごとではございますが、国会の御審議を経まして、予算と政府資金の明確なる御可決を願ったのでありますが、国の資金をもって公団が事業をいたしますことは当然であるという考えを持ちまして、そういうふうに話し合いをいたしましてそういたしました。本格的工事がどのぐらいできるかは、設計とか補償とか、住民の納得とか、機材その他の資材等諸般の情勢が伴って、工事が着工できるという条件ができたときにはできるわけでございまして、国内問題だと思います。ただ世界銀行の借款は、この工事に使います輸入機械分に充てられる部分だけでございまして、その輸入機械の調達が、現に輸入されて使用し得る状況になければ工事が着工できないかどうかということだけにかかっておると思います。
○楯委員 三月くらい前であったと思いますが、この農林委員会で愛知用水が議論をされたその日であったと私は記憶いたしておりますが、櫻井理事が借款の交渉でアメリカからちょうど帰って来られる日ではないか思いますが、そのときの関係者の答弁では、櫻井理事が帰って来られれば借款成立まず間違いなしとの印象を受けたわけです。櫻井理事はきょう出席しておられようですが、そのときなぜ不調に終ったかという点を簡単に一つ説明していただきたい。
○櫻井参考人 私が世界銀行へ参りまして、世界銀行と交渉を始めました最初は技術問題でありました。技術問題の交渉を一応いたしまして、向うの質疑に対して当時まだできておりませんでした関西電力が行いまする発電所の設計だけを除きまして、あとは事実上の問題はほとんど全部終了したわけであります。これは三月になりまして、世界銀行から技術上及び農業上の問題に関しては満足すべき程度に明確にされたという文書が来ておりますことでも証明できるわけでございます。がしかし、先ほど大臣及び総裁からお話がありました、ちょうどことしの一月の中ごろでございましたか、すでにお触れになりました第三次余剰農産物の受け入れがキャンセルになった、それに伴いまして、公団の事業資金計画が一応すっかり御破算になったわけでございます。私はもちろん資金計画についてたしか二月の四、五日であったと思いますが、説明を始めたのでありますけれども、君の説明は架空な説明だ、現に日本側は見返り資金の受け入れを一月十幾日にキャンセルしたではないか、お前そのことを知っているか、こういうことで私はそのことは知っている、知っているが私はこんなことを私の個人的な見解として申し上げたのですが、あるいはそれに対して政府がどういう処置をとられるか、私にはわからない、わからないがあるいは第四次余剰農産物の受け入れということがあるかもしれない、あるいはないかもしれない、それは私にはわからない、だから私が今説明しようとすることは全然根拠がないことだということではないということで、説明をしたのでございますけれども、現実に余剰農産物の受け入れが中止になっておる、その現実からして、君のその計画はだめだ、こういうことになって資金計画は中止いたしまして帰ったわけでございます。以上であります。
○楯委員 そのときに、あなたが交渉に持っていかれた資金計画というものは、われわれが聞いておるところでは当初の二百六十四億円から大きく上回って三百四十五億円の事業費というところで交渉に当られたということを聞いておるのでありまするが、間違いございませんか。
○櫻井参考人 お説の通りでございます。
○楯委員 その三百四十五億円の資金計画というのは、農林省等の関係者が寄ってよく計画を練り直した合意の上に立った資金計画であるかどうかという点をお伺いしたいと思います。
○安田説明員 私の方から先に申し上げます。櫻井理事がお答えになりましたのは、少し誤解されてお答えになったと思います。楯委員の二百六十数億に対応するものではございませんで、二百六十数億とおっしゃったことに匹敵するものは基本計画では三百二十一億です。それを農林省と打ち合せまして持っていきましたのは、三百四十三億ベースのものであります。総事業費であります。当時公団の案はそれよりもっと多くありましたが、しかし櫻井君の世銀への交渉は世銀の技術部がアメリカからヨーロッパへ正月に行ってしまうから、とりあえず技術計画だけの打ち合せを先にやろうというので行かれたので、大蔵省とよく打ち合せるものでなしに、まずこういうものもあるということもを持っていって、本来の交渉事項でないこととして持っていかれたものです。
○櫻井参考人 先ほど私その通りでございますと言いましたが、数字を私聞き違えまして、三百四十五億、こういうもので持っていったことは、今農地局長からお答えした通りであります。
○芳賀委員 関連して尋ねますが、この基本計画と実施計画との関連ですね、この法の二十条には、農林大臣が基本計画を定める、その場合にはこれこれのことを記載しなければならぬということになっておりますが、その場合法二十条の二項の四号には、「所要事業費及びその負担割合に関する事項」というのが明らかになっている。ですからこれらのものも記載して公表されておると思うのです。ですから、この場合のその所要事業費の総体というものは、基本計画の中においては幾らにして公表されたのですか。私どもの記憶としては二百六十四億円というふうに記憶しておるのです。ところがただいま安田局長の説明によると、必ずしもその数字でないというふうに聞えるのです。ですからそもそも農林大臣が公表した場合のこの基本計画におけるその所要事業費というものは、幾らで公表されたのですか。
○安田説明員 大臣にかわりまして補足申し上げます。基本計画二百六十三億二千五百万円は、総経費を先ほど申し上げました三百二十一億円余、その内訳、事業費三百億三千万円、事務費二十億九千八百万円、こういう内訳によりまして持ちました総経費三百二十一億、専用施設、言いかえますと、発電、水道等の専用施設でありますが、それへの融資三十七億、また施設残存価格――公団が解散時に持っております施設の残存価格の見積りでございます。これを十九億一千万円、建設利息を二十四億一千万円としまして、結局いわば農業は必ず使うが電気、水道も使うという共同施設、ダムの幹線水路でございますが、そういうものが二百六十三億としまして、基本計画になっております。
○芳賀委員 そこでお尋ねしますが、この基本計画の範囲内において実施計画というものは作るわけなのでしょう。基本計画と全く異なった実施計画というものはあり得るはずがないのです。先ほども繰り返してお尋ねしておるのは、実施計画を出す場合においては基本計画にのっとった実施計画でなければならぬのであって、ただこれは単に工事の実施だけではなくて、それに要する工事の所要量というものは、基本計画に沿って果して可能な範囲内において計画が策定されておるかどうかということを確かめるためには、どうしても全体の実施計画というものが出されなければ、これは確認ができないと思うのです。
 そこで先ほど濱口さんの説明によると、工事を進める場合においては、総体の実施計画を出さなくても、区分的な、こま切れ的な実施計画を出すことも可能であるし、そのことの方が能率的であるということをいわれるわけなのですが、しかしその場合においては、この所要事業量の範囲内においてそれがおさまるかどうかという見通しというものは何にもなくて、そして区分的な実施計画が出されるということに対して、これは農林大臣として容認することができないというのは当然だと思うのです。ですからその基本計画の範囲内において実施計画というものが、工事のその所要量というものが、果して経費のつじつまの合うようなことがやれるのかやれぬのかというような点に対しては、これは農林大臣並びに公団の総裁からもその見通しと具体的な内容について、ぜひ説明が必要だと思います。
○井出国務大臣 実施計画は当然基本計画にのっとって制定をされなければならぬものでございます。それでその場合、ただいま芳賀委員御指摘の総事業費というものは基本計画に示されておるわけでありますからこれに準拠しなければならぬと思います。そこでその後資金計画その他が変化して参りましたので、資金の所要量にも変更がございました。従いましてそれに関する限りは基本計画の一部変更をしなければならぬ、こう考えまして、ただいまそういう点につきましても公団側と協議をいたしておる状態であります。
○濱口参考人 基本計画には所要資金およそ二百六十四億円と書いてございます。それでその範囲内で実施計画も立ててあるわけでございます。実施計画の中に所要量はちゃんと書いてございます。
○芳賀委員 それじゃ全体の実施計画はできておるのですね。その範囲内でやっておるというのは、あなたはさっきは出ておらぬと言ったじゃないですか。ダム部分とか区切ってやらなければ能率的にいかぬから、全体の実施計画はまだできておらないけれども、部分的な実施計画でぜひやらなければいかぬということをあなたは先ほどまで言っておった。ところが今度は二百六十四億の範囲内において実施計画ができて、それでやれるというようなことは、これは全く違う答弁じゃないですか。全体の実施計画があるならあるとここで言ったらどうですか。
○濱口参考人 この事業実施計画には全体の資金の所要量は載せてございます。なお詳細は伊藤理事からでよろしゅうございましょうか。
○吉川(久)委員長代理 いいですね。――それでは伊藤理事。
○伊藤参考人 私から補足説明をさしていただきます。世界銀行の方へ持って参りました、先ほどお話が出ました三百四十五億円、これの内容は末端までのもので書いてございます。ですから実施計画という形の、この法律に示されましたそういう形のものは、先ほど総裁が申されましたように一部しかできておりませんけれども、実質上の計画といたしましては、世界銀行に持って参りました全般を通ずるものはすでにできておるわけでございます。
○芳賀委員 アメリカへ持っていった実施計画でやれるのですか。実施計画というのは架空な計画じゃないのですよ。これは十九条にちゃんと示されておるじゃないですか。よそに持ち出す書類は、あたかも実施計画は全部できたようなものを持っていって見せて、国内における事業建設に当ってはまだ実施計画ができておらぬから部分的なものでやっていく。そういうものは全く責任のない態度であり、答弁であると思う。今まで公団というものは何をやったのですか。その点もう少し責任のある答弁を願います。
○安田説明員 公団にお聞きになりました一つの点について、ばらばらにお答えになったようでありますので、私からの御説明で御判断を願いたいと思いますが、世銀に持っていきましたものは、櫻井理事が行きましたのは、先ほどのような目的で年末と正月に渡米いたしましたので、農林省もその打ち合せを受けましたが、その内容においては資金計画の打ち合せに行ったのではございません。資金計画を正式に国内できめまして世銀に交渉いたしますのはこれからでございます。そのこれからの話の見通しが総裁からお話があったことだと思います。ところが基本計画は、先ほど申し上げました農業中心の事業では二百六十三億、公団が使う金総経費三百二十一億で基本計画はできておりますが、これはダムで、一部の経費が節約されたり、幹線水路の計画によりまして、公団の計画によりまして経費の増加があったりしまして、総経費が今では三百二十一億に対して三百三十一億というところでは、農林省、大蔵省、公団と一致しておるのであります。しかしまだ案であることは間違いないのでありますが、早急に決定することといたしております。そういうものでございます。
○吉川(久)委員長代理 石田宥全君。
○石田(宥)委員 最初に農林大臣から伺いたいのですが、私どもはこの法案の審議に当りまして、余剰農産物の見返り円を重要な資金源にするということについて疑いを持ちまして、この点について、もし見返り円をとめるようなことになった場合のことを想定いたしまして、この点をやかましく追及したのでありますが、われわれが心配をいたしておった通りに、第三次余剰農産物の受け入れが取りやめになった。この見返り円の取りやめになったことに関連して、その資金源は預金部資金が充当されることになったわけでありますが、それに伴って四分の利息が六分五厘というふうになる。この金利の負担部分が農民にしわ寄せになるというような、これはあとで詳しく質問いたしますが、問題を生んだのであります。ところが最近伝えられるところによりますと、第四次余剰農産物の受け入れについて、外貨の関係やらあるいは国内農産物の関係等から、あるいはまた今問題になっております愛知用水公団の事業実施計画推進等のために受け入れをするという方向に大勢が向っておる、こういうことが言われております。第三次余剰農産物を受け入れするかしないかという問題の際にも、大蔵当局は初めから受け入れに反対であった。ところが農林当局は農林関係の事業実施資金として農産物そのものは必要ではないけれども、その資金が必要であるから、第三次余剰農産物も受け入れすべきであるという意見を持っておられたようであります。余剰農産物の受け入れをすることは国内の農業の上に非常に大きな影響をもたらすものでありまして、われわれはこれに対して断固反対しなければならないと考えるのでありますが、農林大臣は第四次余剰農産物の受け入れに対してどういう考えのもとに臨んでおられますか。まだもちろん政府として結論に到達したわけではないでしょうが、農林大臣の考え方が今後大きな影響をもたらすものであろうと考えますので、所見を伺っておきたいと思います。
○井出国務大臣 昨日も第四次余剰農産物協定についての御質問が出ましたが、その際もお答え申し上げました通り、まだ政府としてはそういった話し合いまでには至っておりません。岸総理も帰られたばかりでございまして、私も近々に総理とお目にかかりまするので、そういった問題にも触れて参りたい、このように考えるわけでございます。ただ第三次の協定を見送った当時に比べますると、状況が若干変化しておるということは事実かと思うのであります。たとえば豊作の影響というふうなものも、半年たちました今日はよほど変って参っておるようでございまするし、あるいは手持ち外貨の事情等も変化があるようでございまして、そういう点を大局的にどう判断するかという問題でございまして、まだただいまのところでは決定的なところまで参っておりません。
○石田(宥)委員 第四次余剰農産物の受け入れについては、岸総理が渡米をされるまでにおよそ政府の方針がきまるであろうと予想されるのでありまして、すでにもうあと幾日もないわけでありますが、ただ農林大臣は、きのうからの答弁でも、ただ慎重々々でごまかしていこうという態度であります。そうではなしに、率直にもっと大臣の考え方というものを出してもらいたいのです。大蔵省方面の意向では、外貨の関係等でやはり受け入れの空気が強い。農林省の方は、ことしの作柄が果して前年度や前々年度のような豊作が予想されない、従って受け入れてもいい、ことに公団事業等見返り円を資金源とする事業の推進のためにも受け入れるべきだという意向が強いというふうに伝えられておるのです。大臣の所見を率直に承わりたいと思います。
○井出国務大臣 いろいろな条件が半年前とは変ってきておるということは事実だろうと思うのでございます。従いまして日本の食糧需給の関係等もにらみ合せて勘案しなければなりませんので、本来ならば作柄の見通しがついて後ならば一番けっこうなのでありますが、今さしあたりそういった見通しもできかねるわけであります。さような次第でございましてもろもろの条件を十分に検討をいたしました上で、近く態度を決定いたしたい、こう思っております。
○石田(宥)委員 そこでこれは仮定の問題でありますけれども、第四次余剰農産物を受け入れるということになりました場合に、当然その資金源は愛知用水の資金源に切りかえられる可能性があると思うのでありますが、どうですか。
○井出国務大臣 これは仮定の問題ではございますが、受け入れられるという場合が生じました際は、やはり金利関係その他から考えまして愛知用水事業にもこれを用いるべきであろう、こう存じております。
○石田(宥)委員 見返り円の資金に対する利率と預金部資金の利率の差、四分と六分五厘の差額というものが工事終了に至るまでの間において金額としてどの程度になる見込みでありますか。
○安田説明員 四分の場合に二十年の年賦償還を見ますと、複利計算で償還金は元金の一・四倍くらいになると思います。六分五厘の場合だと一・八倍くらいになると思います。その差になるわけであります。それに元本、たとえば五十億なら五十億、当初予定しておりましたように百億なら百億、こういうふうになるわけであります。
○石田(宥)委員 金額でどれくらいになりますか。
○安田説明員 五十億と見ますと約二十億であります。百億と見て四十億であります。
○石田(宥)委員 そういたしますと、五十億と見て二十億、百億と見れば四十億、これは当然でありますが、そこで電力関係の利息、それから水道関係の利息は七分五厘の六分五厘でこれはきまっておる。そういたしますと、電力関係、水道関係の利息は、利率は決定して動かすことができないとすれば、その金利の増加分というものは、ことごとくこれは農民関係にしわ寄せされると考えますが、どうですか。
○安田説明員 公団法制定当時、また基本契約制定当時は、法及び関係官方面の折衝等によりまして、電力、水道は法にも書いてありますが、公団との協議になっておりまして、金利の点は約定金利で行うことになっております。その当時の約束をそのまま申し上げますと、電力の方には九分でお願いしようという政府のプランと、六分五厘でお願いしようという政府のプランが、両方実は出されておったのであります。そこでそれでは事業の計画、さらには着工、世銀借款等が進んでくる建前では不確定ではいけないから、もともとの建前が、公団の事務費は使うべき金の金利差でまかなうという建前でこれは出発いたしましたので、あわせまして農業電力、水道等の間は、電力、水道に重きを置きまして、そこの方から余分に負担力を出してもらう、こういうことにもなり、その前に国会の附帯決議もございましたので、趣旨に応じまして第四次余剰農産物を考えない場合、今可能なる公団の資金の平均金利は五分四厘三毛くらいになりますが、約定で行うということと合せまして、すでに去年きめました七分五厘で動かしがたい状況になった負担をかけてあるということになっております。水道等は愛知県との協議でこれもきめるという基本の制度のもとに、当時から六分五厘ということになっておるのでありまして、飲料水、上水道、農業用水の関係から見まして、六分五厘を上げることが非常に困難であります。
 なお短日月の間に検討して、近く私は愛知県知事とも御相談するつもりでありますが、その面は相当困難でございます。従いまして金利が上った資金を使って、国が持たない場合は、農民にかかってくることになるわけであります。そうでないといたしますと、国と県と農民が負担する建前にどうしてもなってくるのでございます。
○石田(宥)委員 それに伴います農民負担は、当初の計画では、ずっと終りまして三万五千六百六十六円であったと記憶するのでありますが、今の局長の答弁では、まだ農民だけが負担するか、あるいは国と県と農民が負担するか、またその負担の比率がどういうふうになるかという点はきまっておらないのですか、きまっておるのですか。
○安田説明員 まだ政府側の最高首脳部のところではきまりませんで、内部で協議中であります。
○吉川(久)委員長代理 ちょっと石田君に御了解願いたいのですが、大臣はただいま参議院の農林水産委員会において、米価問題についての答弁に当ることになっております。そこで参議院は午後はきょうは都合でございませんので、大臣に関する質疑だけを一つお願いしたいと思います。もしございませんでしたら、質疑の通告はあとに足鹿君がございますが、お含みの上でお願いいたします。
○石田(宥)委員 それでは大臣に一つ伺いますが、聞くところによると世銀借款の点でほぼ了解がついて、六月の十五日ごろまでに世銀の方へ代表を派遣しなければならないというような事態になっておるということであります。世銀の借款の金額については、当初よりも減額されたようでありまして、およそ二十九億というふうに承わっておるのでありますが、その金額は聞違いがあるかないか。それからもう一つは、当初の世銀の借款利率でありますが、これは五分五厘というふうに承わっております。しかしながら五分五厘では負担が過重であるということで、これを五分に引き下げを要請されておったように聞いております。この五分五厘を五分に引き下げるという点については、どのように話し合いが進んでおりますか、この点を承わりたい。
○井出国務大臣 金額についてはおおむね二十九億ということでございます。それから利率については、ブラック総裁がこられて示された線は、五コンマ八分の五ということでございまして、五分五厘より少し高目であります。こちらは当初五分という線で進めておりますので、これがなお十分に折衝をいたしましてできるだけ低目に持って参りたい、こう考えております。
○石田(宥)委員 そういたしますとまだ利率の点については協定はついておらないと了解してよろしいのでありますか。
○井出国務大臣 これから話し合いの余地があるものと考えております。
○石田(宥)委員 そういたしますと、先ほど来の質疑応答の中で承わりますと、実施計画が公団側ではほぼできたということについて世銀と折衝が行われた、こういうことでありますが、事実は実施計画はまだ成立しておらない。また世銀との関係についても、重要な利率の点が調整がついておらないということになりますと、世銀に対しては櫻井理事が一応末端部分までの実施計画が完了したという建前で折衝されたということであります。しかるに事実は今申し上げる通りであります。こういうことになりましたならば、その実情が世銀側にわかってきたときに、果して借款というものが成立するかしないかということは重大な問題になると思うのでありますが、そういう点について大臣並びに櫻井理事の見通しを承わりたい。
○井出国務大臣 世界銀行との話し合いにつきましては、先般ブラック総裁あるいはそれ以前に先方の係員もやって参りまして、かなり詰めたところまで話はいたしてあるわけでございます。従いまして、私どもの見通しは、十分な了解が遂げられる、こういうふうに存じております。
○櫻井参考人 実施計画の内容と、農林省から公団に示されております基本計画との問題がございますが、実施計画の場合には非常に精細になって参ります。それから、農林省が立てました基本計画というのはさほど精細なものではございません。しかし相当の時間をかけて調査されておりますので、実施計画を立てましてもほとんどこれに近いものが出て参ります。従って先ほどからお話しがありました告示のための実施計画ができておらないから、その点が非常にずさんじゃないかというようなお叱りも受けたのでありますけれども、この点につきましてはもちろんダム、幹線水路、支線――開墾の方は農林省と県で、農林省から県に委託してやっておられるのでありますが、それらのものにつきましては、実施計画ができたときには、基本計画とごくわずかの相違は出て参りますが、現在の段階では、ダム、幹線水路で行いましても結果的には大した違いはない、そういうものが出て参っております。従ってそういう点につきましては御心配はないと私は確信いたします。
○石田(宥)委員 そこでこの実施計画の問題ですが、先般この問題で私が質問をした際に、総裁も大臣も御出席がなかったのでありますけれども、農地局長並びに理事の方は、県営該当部分というものは県に委託をしておる、実施設計も委託をしておるのである、工事も委託工事をやるんだ、こういうことであったわけでありますが、それがまだでき上っておらない、そういうことになりますと、私どもが先ほどからの質疑応答を通じて考えさせられることは、まだ金利の差額についての負担区分も明瞭でない、それから幹線水路もようやくでき上る段階まできた。支線については県の方から上ってきておらない、こういうことになりますと、櫻井理事の話では、当初の計画と実施設計ではそれほど開きはないということでありますけれども、われわれが心配するのは、やはりその全体の計画が完了しないうちに着工をして、それがためにさらに農民負担が重くなるというような事態の発生をおそれるわけなんです。先般も私申し上げたのでありますけれども、この愛知用水関係の地帯におきましては、果樹園等の関係は農家も相当経済力を持っておりますけれども、そうでない畑作地帯やあるいは水田地帯等にある農民は、必ずしも豊かではないのであります。それが総額にいたしまして三万五、六千円以上という負担がかかるということになりますと、告示がなされ、縦覧期間等もありまして、そこで農民側から続々と異議の申し立て等が出てきた場合に、これが混乱の状態に陥ることをおそれるわけであります。従ってダム地点であるとか幹線水路だけを区切って告示をするというようなことはわれわれは賛成できがたい。こういうことを先般も申し上げたのであります。大体の事情はきょう明らかになったようでありますが、しかしこの質疑応答を通じても明らかになったことであるけれども、農林省と公団との間にどうもしっくりいかない面が多い。これは一体どこに原因があったのか。たとえば人事の関係等についても、戸嶋という監理官を重要な段階に更迭をしておる。これは安田農地局長が、自分の意見に忠実に従わないから、これを更迭したのだというようなことも伝わっておる。こういうふうに三十年の十月に発足いたしまして、いまだ工事も行われておらないという現状のもとにおいて、最も重要な段階において農林省の愛知用水の監理官の更迭等が行われる、こういうことも事業推進に対する一つの大きな問題であろうと思うのでありますが、この機会においてこれは大臣の方から、どういう理由で重要な段階において人事の更迭などを行なったのであるかということを明らかにしてもらいたい。
○井出国務大臣 人事の問題についてお触れでございましたが、戸嶋君は農林省の農地局参事官で、かつ愛知用水公団の監理官である、こういう兼務の立場にあったわけでございます。これはやはり専任の監理官を早目に決定しなければならないという考え方でおりまして、たまたまこれが先般実現をしたということでございます。
○石田(宥)委員 この問題はこれ以上追及しようと思いませんが、次に公団の運営の問題であります。先般もいろいろ承わったのでありますけれども、愛知用水公団の事務の本庁は名古屋にあるということであります。しかるに東京に総裁室というものを設けて、事実上の本拠は東京にあるかのことき観を呈しておる。またそういうことからいたしまして、理事の中には家族を東京に置いて、東京が自分の家であるにもかかわらず、名古屋から出張して出張費用弁償を取っておるというようなことも承わっております。そういうことが愛知用水公団の内部における総裁並びにその他の幹部に対する不信の重要な原因ともなっておるように考えられるのであります。総裁室というものを東京に置かなければならないという理由が一体どういうところにあったのか。愛知用水公団の本拠が名古屋にあるとするならば、東京は東京事務所なりあるいは東京出張所というならば話はわかるけれども、総裁室というものを東京に設置する、こういうことは、むしろこの公団の内部のみならず、農林省側や大蔵省側ともこれはいろいろな微妙な関係を持つので、やはり事業推進に対する大きな阻害事項の一つではないかと思うのでありますが、農林大臣が総裁室を東京に設置することを許可をされた、承認をされた理由、それからまた総裁に対しては、今申し上げたような総裁室設置と公団の内部の運営の問題についての所見を承わりたい。
○井出国務大臣 総裁室は名古屋の公団の木所にございます。東京は分室と申しましょうか、そういう考え方でおるわけであります。
○濱口参考人 ただいま大臣から御答弁がありましたように、総裁室は主体は名古屋にあります。ただ私が世銀折衝それから官庁関係の折衝が多いので、こちらにおるのが自然に多くなりますので、一部分の、ごく少数の者がこちらに駐在しておる、こういうことになっております。
 それから次の御質問でございますが、何分にも公団ができましたときに、その理事の人々がみな東京に本居を持っていたのであります。それで、向うに行きますのも、いろいろの家庭の事情の関係で全部が行けないということで、単身で参っております。そういうわけで、またその理事が官庁関係なんかで出張することはございます。しかし、その出張旅費につきましては、普通の規定の旅費の三割、つまり七割減額して三割きり支給はしていないということになっております。その点につきまして、職員の別段不平とかいうようなことは、私耳にいたしておりません。
○石田(宥)委員 あとでまた同僚委員の質問もございますし、時間の関係もありますので、あと一、二点でとどめたいと思いますが、今の総裁室の問題ですが、大臣の答弁によりますと、名古屋に総裁室があって、東京にも総裁室がある。実はこれは当初は農林省は東京における総裁室は認めがたいという態度をとっておった。しかるに後にこれを認めるに至った。今申し上げるように名古屋に総裁室があるのなら、ここは分室なり出張所なり、あるいは東京事務所なりというなら話はわかるのです。ところが、これには伝えられるところによれば、濱口総裁は就任を受諾した際に、僕は東京を根拠にして東京中心に活動するのだという条件を大臣につけたのだから、おれは東京中心に活動しなければならないということで、当初農林省はこれを承認しがたいという態度であったけれども、総裁の主張の前についにこれを認めざるを得なくなったということが伝えられておるのです。それは二つある。一体そのどっちがほんとうの総裁室なんです。
○濱口参考人 総裁室は先ほど申しましたように、本所に置くという建前になっております。ただごく少数の者、世銀折衝関係の者、それから向うからやって参りますいろいろの会議なんかをこちらで取り次ぐ関係、それから人事のごく少数、ほんのわずかな者がおります。それから東京は東京事務所になっております。東京事務所の中こ……。
○石田(宥)委員 看板を書きかえましたか。
○濱口参考人 東京事務所は初めから事務所で、これは登記してございます。その部屋の中にいるわけでございます。
 それからまた石田さんの御質問に、私が総裁に就任するときに、東京にいるという条件を持ち出したとかいうお話がございましたが、そういうことはございません。
○石田(宥)委員 まあこの問題はこの程度にいたします。
 そこで基本的に、基本計画と実施設計の間に大した開きはないということは、これだけの大事業で三百二十一億が三百二十一億になるというふうに変ったわけでありますが、一体今までにしぱしば新聞にも報ぜられたように、農林省の考え方と公団の考え方に、とかくしっくりいかないものがあって、たとえば昨年の十二月中に、一応の計画書を出して公示を求められた。ところが農林省の方は、そういうわけにはいかないといって突っぱねておる。これは二者一体で、どっちも共同責任なんですよ。共同責任であるのに、公団と農林省とがことごとく意思の疎通を欠いておるということは、一体どこに理由があるのです。同時に、この問題を進めていく上において先ほどの答弁によりますと、近く調整ができる、こういうことでありますけれども、まだまだ、きょうの質疑応答の中で現われたように、われわれはその通りに受け取るわけにはいかないのです。受け取るわけにいかないとすると、最後には公団法第四十五条ですか、農林大臣は必要な監督命令を発することができるということになっておる。わずかな点で意見の調整ができないという場合において、農林大臣は農林大臣の権限に基いて監督命令を発してでも一定の期間にこれを公示して推進をするという用意と心がまえがあるのかどうか。もしその調整がととのわなかった場合においては、さらに半年なり一年なり延長されるおそれすらなきにしもあらずだと思うのですが、この関係の調整についていかようにお考えになっておりますか。
○井出国務大臣 農林省と公団とは全く一体でなければならぬということは御指摘の通りであります。私もとよりその考え方でおりまするし、それは同時に濱口総裁のお考えでもあろうと思うのであります。ただ農林省はどちらかといえばプリンシプルというような立場に立ち、あるいは公団はプラクティカルな立場に立たれたというふうなことから、若干従来論点等もあったと思います。先ほど来申し上げるように、ただいまこれを十分に話し合うということを進めておる次第でございまして、近くまとまる予定であります。またこの間が今の四十五条云々というふうなことになるような懸念は、私は万ないもの、こう信じて話し合いを進めておるわけであります。
○吉川(久)委員長代理 足鹿覺君。
○足鹿委員 私は同僚議員の質問で大体尽きたようでありますから、二点だけ特に大臣にお伺いしたいと思うのです。先ほどからいろいろと議論になっておりますが、余剰農産物の見返り円がだめになった。従って資金運用部からの資金にこれを乗りかえていかなければならぬ。その利子の上昇分だけを見ましても、一反当り二百円くらいの上昇があるというふうに私どもは聞いております。またこれはこまかいことでありますから、大臣は御存じかどうか知りませんが、この工事自体が非常に工費が高くつく、それが従って農民負担に重くはね返ってくるということについて、いろいろ伝えられるところによりますと、技術顧問団に対するところの経費が非常に大きいものがある、また世銀の約三十億ばかりの金はすべてアメリカからの機械輸入の経費にこれが充てられるという、また工事方法にしてみましても、ロックフィル工法によって、従来のコンクリート工法を改めて、若干の経費は軽くなりますが、これが新しい工法でやるために、非常な技術顧問料等、大きなものを払わなければならぬ。また一面畑地灌漑に対しては、スプリンクラーをつける。そのスプリンクラーによって畑地灌漑をやると特許料が非常に高くつくということも世間で言っております。これらのものが相累積して非常な農民負担の累増ということになるのではないか。私どもは一昨年この法案を、いろいろ疑義はありましたが、日本農業の新しい一つの前進の形において、こういった農民負担の点に疑義なからしめる措置をとることによって、一応これは通すべきだという考え方に立って協力をいたしたのでありますが、私どもが当時心配をしておったことが残念ながら現実の問題として出てきた。その具体的なことについては、同僚議員がしばしば今指摘されましたから反復することを私は避けますが、この際農林大臣に以上の観点からお尋ねしたいことは、基本的な農民負担の軽減対策いかんということをまずお伺いいたしたいのです。
○井出国務大臣 ただいま御指摘のような点につきまして、農林当局としても非常に苦慮をしながら参っておるわけであります。金利関係から、安い資金が導入せられるということが一番けっこうなわけでありますけれども、さように参らない限りにおきましては、農民にこれを全部しわ寄せをするというふうなことなく、国の負担というふうなものもできるだけよけいにするということで、実はこのほど来ずっと財政当局とも話し合いをして参っておるような次第でございます。
○足鹿委員 たとえば、余剰農産物の見返り円が打ち切りになった。従ってこれを資金部資金に乗りかえていくという場合においては、明らかに二分四、五厘の金利がかさんでくるわけなのです。これは公団の責任でもなければ農民の責任でもない。これは国の一つの施策が変ったために出てくる結果でありまして、結局その責めは政府自体が背負ってこの処理に当らなければならぬと思うのです。現在大蔵省といろいろと折衝をしておるということでありますが、私の見解をもってしまするならば、他のものはまだこれからいろいろ申し上げますが、この資金部資金と余剰農産物の見返り円の利子の差額というものについては、すべて政府の責任において処置すべきものだと私は判断をいたしますが、そのような判断に基いて大蔵当局と御折衝をなさったのでありますか、もう少しその構想について大臣の御所信を明らかにしていただきたいのであります。
○井出国務大臣 もとより御指摘のような建前で進めておるわけでございますが、実際問題に相なりますると、全部が全部これを国費負担というふうなことに相なるかどうか、努めて今その努力をいたしておるさなかでございます。
○足鹿委員 御努力になることはけっこうですが、これは議論の余地は私はないと思う。大蔵当局がどのような見解に立たれるといえども、これは議論の余地はないです。国の施策が、方針が変った、これはあくまでも国の責任であって、その地方住民の受益者の負担にするとか、あるいは地方自治体の負担にこれを分けるとかいうようなことは、私は許されないと思います。当然これは政府の責任において処理すべきものである。これをたといわずかであろうとも、地方自治体やあるいは受益者に転嫁していくということは、われわれが当初この公団法を審議したときにおいても、厳重な警告が与えられた。その附帯決議の中心としてすべての論議の集中したのはその一点にあったわけです。当農林委員会としては、従って農林大臣は、公団法の審議の経過またその後におけるいろいろな経緯にかんがみられて、少くとも今私が指摘した一点については、これを他に転嫁することなく、政府自身の責任において処理されることを私は強く期待をし、必ず実現してもらいたいと思います。
 そこで第二点は、最近幹線水路の敷地を買収する必要が出てきておる。その買収するために農地補償要綱なるものを公団当局は検討をしておると伝えられておりますが、これは農地の補償については、国の施策の一端を占めるものだと思うのです。ただ単に公団事務当局がそのときの情勢判断に基いて、たとえば幹線水路百十キロ、つぶれ地面積五百五十町歩と私は聞いておりますが、このような膨大な農地をつぶすのです。農地あるいは宅地あるいはその他の原野をつぶすのです。従ってこのような大量な農地の補償については、少くとも国は一つの基準を立て、これに基いて、他にいろいろな悪影響やまた一つの悪い先例を残さないために、受益者が一方において喜ぶと同時に、その陰に泣くもののないために、万全の措置をとらなければならぬと思うのでありますが、こういう補償要綱というようなものは、公団の責任においてなされていいのでありますか、農林省との関係はどういうふうになっておるのでありますか。この点を大臣なり公団にお伺いいたしたい。
○井出国務大臣 この問題につきましては、公団と農林省の間で十分に連絡をとりまして、足鹿委員御指摘のような点は、まさにその通りでございますので、それを配慮して事に当りたいと考えております。
○足鹿委員 これは公団の方では農林省の指示を受け、協議を受けて実施をされる立場なんで、要綱とかいうような、ある一つの問題を規制していぐようなものは当然おやりにならぬ方がいいと私は思うのですが、この点どうですか。
○伊藤参考人 ただいま足鹿先生のお話の点でございますが、別に公団といたしましては、こちらで要綱というふうなものをまだきめておるわけでも何でもございません。ただ、実際に交渉に当りまた補償をいたしますのは公団が当りますので、それに対しましてどういうふうな方法で、どういったようなことでやったらよろしいか、あるいはまた近傍の類似価格その他のものを調べまして、いろいろ素材は作っております。それにつきましては、当然農林省なりあるいはまた県なりと十分に御相談をいたしまして、結果のまとまったものによりまして実行に移す、かように考えております。
○足鹿委員 私は、小さな面積なら問題でないと思うのです。幹線水路だけでも五百五十町歩といえばこれはとても大きなものです。受益面積に比べまして、パーセントはわずかであります。が、その及ぼす影響はきわめて大きいのであります。大臣にはそういうこまかいことはおわかりないでしょうが、先ほど述べましたような趣旨において農林省としては善処せられんことを、私はこの機会に強く要望しておきます。
 それから基本計画の改訂は、今までの質疑応答の線を通じてみると、現在やむなき状態に立ち至っておるようでございます。そうしますと、実施計画もおのずから変更を加えられることはこれまた当然だろうと思うのであります。そこで実施計画の内容についてでありますが、私がただいま指摘いたしましたように、技術顧問団がおいでになった、これは日本の農業技術あるいは土木技術が果して愛知用水の工事を担当する能力があるかないかということにも私は通じると思うのです。何とならば、私どもが先年あそこを視察したときには、もう現に現地においては丁張りの準備も行われて大体そのめどがついておったように思います。ああいうことが日本の農業技術や土木技術陣でできないはずはない、私はこういうふうに思っておりまして、日本農業技術に対する一種の侮辱だと思うのです。このものに何億の膨大な顧問団の経費が充てられる、またただいま私が指摘いたしましたように、ロックフィル工法に基くものだと言われるが、このロックフィル工法に基くダムの構築については、農林省の技術者は数次にわたってアメリカへ行きまして、そして調査研究をして、私どもに現地でその所信のほどを明らかにされておるはずであります。でありますから、日本の農業技術の面からいって、あるいは土木技術の面からいいましても能力があるし、また新しいロックフィル工法に基くダムの構築技術にしてみても、多額の経費をかけて権威ある人を現地に派遣をして研究をして、なおどうして技術顧問団の必要があるのですか。私はその点は納得できません。これは農民の負担、あるいは工業用水あるいはその他この愛知用水によって生まれる恩恵に浴する人たち、この受益者負担に著しい影響をもたらすと思いますので、今さらこれを持ち出すことは時期的にもどうかというふうにも考えますが、この点は当初法案の審議に当ったときにも、私どもが繰り返し繰り返し主張した点でありますので、今後といえども実施計画の上において、ただいま大臣は地方自治体や受益者にはそう全部かけぬということはなかなか無理だかもしれぬというようなことをおっしゃいましたが、私は了承いたしませんが、もし百歩を譲って、かりに大臣の言うようなことになったとしても、その実施計画の面において軽減する余地は、ただ単に事務費のみならず――事務費にしても二十億近い軽減が当初よりなされるように承わっておりますが、そうすると当初の計画というものはずさんきわまるものだったとも一応言えると思うのです。十数億、二十億に近い事務経費が節約できるなんということは私どもは実にあ然としております。とするならば、事務費においてしかり、実際の工事を進めていく上におきましても、今私が指摘したような点を今後十分に取り入れて考えられることにおいて、ある程度工費の軽減をはかるということは、私は何人も肯定できることではないかと思うのです。たとえば私が今指摘いたしましたスプリンクラーの使用でありますが、これはガーデン農法みたいなやつです。アメリカではほとんど芝生の散水とか、いろいろなことに使っておりまして、日本でも最近私も若干知っておりますが、これはほんとうの大農に適用できるかどうかということについては疑問があるのです。これをどの程度まで公団当局は入れようとしておられるのか私どもわかりませんが、こういうものにはアメリカのものすごい特許料がくっついておる。日本で作れば三分の一以下でもできるものが、べらぼうな特許料を含めて、結局それが農民の負担になってくる。一々指摘いたしますとまだ幾らでもありますよ。そういった点をやはり実施計画の面において考慮される余地があるのではないかと私は思うのです。いたずらに六月十五日に世銀に交渉に行かなければならぬというようなことを巷間伝えて、そのために部分的な実施計画でもいいというような判断を一時公団当局は持たれたようでありますが、それは私は大きな誤まりだろうと思うのです。私どもにもいろいろ意見はありますが、今後世銀の資金が入り、日本の農地の造成やあるいは農地の改良やいろいろな面においてそうしたことが起き得ることは私は否定できないと思うのです。従ってこのたびの愛知用水の問題につきましては、一つの手本をあとへ残すものにもなろうと私は思うのです。従って実施計画が今日まで延び延びになっておる責任の追及は同僚議員からいたされましたから私はこれ以上申し上げませんが、ある程度話を伺っておりますと、計画の根本的な改訂を必要とするような面もあるように私は思います。基本計画の改訂が行われれば実施計画も当然改訂されるのでありまするから、その改訂に当って、今私が指摘いたしましたような観点に立って、受益者負担が著しく増高しない、しかも技術的にも間違いのないやり方をこの際政府としても公団とよく連絡をとられておやりになることが必要ではないかと思うのです。これは幹線水路や支線水路等もありますが、まだその先になりますと、土地改良区を今度は作らなければなりますまい。その土地改良区の経費等、いろいろなものをまとめますとこれは大へんな農民負担になりますよ。最近各地でこの農民負担の点から政府の補助金の返還が起きるような遺憾な事態がちょいちょいあるようでありますが、私はここで急いで下手な実施計画の改訂をして、これを結局においては農民に押しつけるようなことをしないで、ほんとうにここまできたものならば、お互いが心機を一転して、私が今まで指摘したような点についてある程度反省し、少くとも前途に暗影を残さないような万全の措置をおとりになることが私は好ましいと思いますが、その点について最終的に農林大臣の御所信を承わりたいと思います。
○井出国務大臣 るる御指摘をいただいた点はまことにもっともと存ずるのでありまして、すでにエリック・フロアなりと契約をいたしました分等については、これは改訂をするということもいかがかと思われますが、内部的にまだ節約する余地があるというふうな点には十分思いをいたし、また公団当局もそのつもりでおられるはずでございますので、そういう点はできるだけ御趣旨の線に沿いたいと考える次第であります。
○足鹿委員 大臣に対する質問はけっこうですが、伊藤さんと櫻井さんにこの際伺っておきたい。私が今指摘したような点について、技術を担当し、また農民の出身で本法案成立のためには特に伊藤さんは非常に御尽力をなさったようですが、もう少し公団当局として直接技術なり事務を担当する責任者――総裁はこれを統括しておられるわけでありますから、こういうことを一々申し上げても御存じないでしょうが、私は櫻井さんと伊藤さんには、特に私が今指摘したような点についてのお考えをこの際承わっておきたいと思います。先になって、持ちも捧げもならないような最悪の事態が一度は出てくると私は思うのです。その日に備えて、やはり私どもは事前の対策を考える必要があると思います。もうすでに資金の調達の面においてこういう手違いが出てきているのですし、今後もいろいろな点でまだ長年月を要してこの工事は継続されるわけでありますから、当然もう少し私が指摘したような点、他の同僚委員がいろいろと指摘をされたような点について、具体的な反省と今後の対策というものがあってしかるべきだと思うのです。その点を伺いたいし、それからこの際私の質疑を終りますから、今私が述べましたような点について、技術顧問団の経費、あるいはその他特殊な経費を要する事項について、あとでけっこうですから、一資料として御送付をお願いしたい。
○伊藤参考人 技術的な面につきましては櫻井理事からお答え申し上げることと思いますが、ただいま足鹿先生からお話のございました中で、特に私どもも関心を持ち、またぜひさようにお願いしたいと考えておりますことは、農民負担の増高にならないようにという点でございます。その点ちょっと公団の立場と違い、私地元の一人として複雑な立場にございますけれども、いずれにいたしましても法案御審議の際に一番問題になりましたのは、農民負担の増高にならないようにという点でございます。ただいまのところ政府の政策の変更によりまして一時増高になるかのことき観を呈しておりますけれども、この点は政府の御配慮によりまして、増高を来たさないようにぜひお願いいたしたい、かように考えております。
 なお先生の御指摘の中にございました、また先般石田先生からも御指摘のあったことでございますが、末端の方の土地改良区の費用も含めて非常に大きなものになるじゃないかという点、これは確かに一つの問題の点でございますが、しかし一面から申しますと、愛知用水の事業につきましてはほかの国営や県営、団体営などと違いまして、たとえばほかの県営、国営で申しますと、国営の部分だけの費用、あるいはそれに県営の分が加わり、団体営の分が加わるというふうに、別々になっていることが多いのでございますが、愛知用水の分につきましては、国営の分から団体営の末端の五町歩の分に至るまでを一括して事業費に計上してございますので、その点はだいぶほかの方と――見かけは大きいように考えられまするけれども、実際は頭からしっぽまで行っておる。ただし五町歩未満のところにつきましては、これは御指摘のように土地改良区の方の仕事になるのでございます。そういう点はできるだけ費用を節約して参る方針をとって参らねばならぬと考えておりますが、五町歩未満のところでございますと、先生も御承知のように、既存の水路を利用するという点が非常に多うございまするし、また農家の自家労力によってやるという点も多うございますので、費用の増高という点につきましては、末端の方になるほど少くなって参る、かように考えております。
○芳賀委員 大臣がお急ぎのようですから簡単にお伺いいたします。第一点は、今日まで農林省と公団の間において意思の疎通が欠けておるということは明白なんですが、今後これを順調に進めるためにはそういう禍根を一日も早く除いてもらいたい。それに関連してお尋ねしたい点は、櫻井理事が責任者間の交渉に行ったとき、資金計画を三百四十五億ということで持っていったわけですね。これは最初お尋ねした当時の基本計画の二百六十四億円とはだいぶ違うわけなんです。ですからこの交渉に行ったとき携行したところの資金計画というものは、おそらく農林省との間において事前の打ち合せとかあるいは了解が行われて出かけられたと私は考えておるのですが、この点は両者間においてどうであったかという点が一点。
 それから最近はいろいろな情勢の変化等によって、特に大蔵当局においても資金計画をおよそ三百三十一億円程度までに是正してもいいだろうというような空気も濃化されておるように聞いておるわけでありますが、そういうことになると当然これは基本計画の改訂ということになるわけでありまして、この点に対しては農林大臣としてもこの際明らかな態度をお示しになる必要があると思うので、その点はどうであるかという点。
 それから、基本計画が改訂になれば必然的に負担区分というものはまた変って参りますので、先ほどからいろいろな意見が出ておる通り、地元の農民負担が変ってくる。二百六十四億円の場合はおおむね反当二千五百円であったのが、もし三百三十一億になればこれは反当三千五百円ということになって、反当一千円の負担増ということに当然なるわけです。この点に対してはどういうような具体的な方策を持って――大臣が言われるような地元負担、特に農民負担に対してはそういう重圧をかけないという具体的な考え、この三点に対して御答弁願います。
○井出国務大臣 櫻井理事が年末から年初にかけて渡米をされました際は技術的な説明が中心でございました。先ほどの三百四十五億でございますか、これは必ずしも正式なものでなく、一応参考的に示されたというふうに了解をしております。
 それからこの資金計画の改訂によりまして基本計画にも響いて参るわけでございますが、御指摘のように農民負担をでき得る限り低目に押えなければならぬということで、ただいま大蔵省、公団、農林省、それぞれの間でその問題を詰めておる次第でございまして、御趣旨の線に沿うて処理をいたしたいと思っております。
○川俣委員 大臣がおる間に資料の要求をいたしたいのです。なぜかというと、公団の責任かあるいは農林省の責任か、こういうことが将来問題になるだろうと思うのです。そこで大臣のおる間に資料の請求をいたすのであります。これは経費区分を明らかにいたしました明細書を出してほしいということであります。公団法が成立いたしました当時におきまして、基本計画ができておるということを政府が言明いたしまして、この公団法が通過いたしておるわけであります。ところが基本計画なるものも実はたびたび変更になったように聞き及んでおりますが、公団法が成立いたしました当時、当初の基本計画と実施計画とを対比したものを一つ。それから支出項目を明らかにしてほしいと思うのでありますが、これは実施計画がないとかということを言われますけれども、実施計画がなければ資材等の購入があんな膨大に行われておるわけはない。基本計画だけでは発注のできないものまですでにいろいろ入手されておるようであります。その、資材の入手の点から見ますると、すでに実施計画ができておるとも見なければならぬ。できていないで、もしも実施計画なしに資材を入手いたしましたとすれば、その責任は公団にあるのか農林省にあるのかという問題も起きて参りますので、当初の基本計画と実施計画の対比がぜひ必要でございます。並びに今まで支出されました、あるいは未払いのものもあるでありましょうが、支出決裁済みのものの区分を明確にいたしまして、資料としてお出し願いたいと思います。
○櫻井参考人 先ほど足鹿先生からまことに御適切な御意見ありがとうございました。特に具体的に例をおあげになりまして、スプリンクラーの問題をお取り上げになりましたが、おっしゃる通りであります。私どもといたしましては、スプリンクラーを利用して畑地灌漑をやるという方向を最小限度に限定をいたしております。ちょうど足鹿先生の御郷里のように非常に浸透の強い砂地等ですと、スプリンクラーが比較的技術上有利という点が出るのでございますが、愛知用水の畑地灌漑受益地域では一般的に申しましてむしろスプリンクラーを使うよりも時間灌漑、ファロー・イリゲーションといっておりますが、その方法をとった方が現金支出がごく少くなりますし、はるかに有利という見解に現在立っております。言うまでもなく技術上の問題は最も安く最もいい仕事をやる、そうしてその工事が持続性を持つという見解に立って今努力いたしております。それから芳賀先生の農林省の基本計画の数字で、二百六十三億というものと三百四十四億というものと御比較になりましたけれども、この比較は、先ほど申し上げましたように、当らないのでありまして、三百六十幾らというものと三百二十一億、つまり事務費とか電気の専用施設、つまりは発電所の建設の公団から金を貸す分、あるいは県の行います水道のために金を貸す、そういうものをすべて包含したものが三百二十一億、そうしてそれに対比するものが現在三百三十一億、こうなっているわけであります。
 以上お答え申し上げます。
○吉川(久)委員長代理 午前中の質疑はこれをもって終了いたします。
 参考人各位に申し上げます。長時間にわたって御意見が述べられ、また質疑に応ぜられまして、本案審議に御協力いただいてありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
 これにて休憩いたします。午後は二時半から再開いたします。
   午後一時二十三分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時十四分開議
○小枝委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 農地に関する問題について調査を進めます。質疑の通告がありますので順次これを許します。成田知巳君。
○成田委員 農林省と法務当局に、最近香川県の高松に起きております地主の小作地不法取り上げと申しますのは、実力行使による非合法的手段による土地取り上げの問題がありますので、これについて御質問いたしたいと思いますが、その前に順序としまして農林当局にお伺いしておきたいのですが、御承知のように全国農業再建協同組合という地主連盟が中心になりまして、香川県、石川県、あるいは大分県、あるいは兵庫県の淡路島、こういう地帯に地主の集団的な土地取り上げ申請が行われております。香川県だけでも約六千件に及ぶ土地取り上げの申請が行われております。これは農地当局もすでに御承知と思いますが、この集団的土地取り上げ申請というのは、農地法の二十条第二項でございますか、形式的にはそうなっておりますが、こういう集団的な土地取り上げの申請が行われるはずはない、これは常識的に考えられるわけなんですが、この土地取り上げ申請の状況、これに対する農林当局の御見解、これをまず承わりたいと思います。
○安田説明員 ただいま御質問になりました農業再建協同組合を中心にしました地域では、香川県を中心にしまして大分、石川、あるいは兵庫の淡路島等において、最近集団的な小作地の引き上げ運動と、その実力行使ともいうべきことが発生いたして、継続いたしております。その状況を申し上げます。
 特に香川県がその発生件数及び団体の中心部でもありますので、そこを中心に申し上げます。昨年三月にこの問題は特に発生を見ましたので、香川県下の集団的な小作地返還の具体的な申請が県に向ってございました。本年の七月までで総件数は五千六百五十一件、関係地主は二千百一名、関係の小作人は四千八百十四名、関係の小作地面積六百四十六町歩六反、関係農業委員会数は六十五に達しておるのであります。規模としましてはあるいはその動きの大きさとしましては、そこをもって頂点といたしましてその後増加は必ずしも出ておりません。また新らしい方法においての手だてが企てられ、実行に移されておるものもございます。このうち、この件につきまして県において処理しましたものは四千三十八件でございまして、内訳は許可四件、不許可三千百七十九件、却下八百十四件となっております。不許可処分については、九百六件の農林大臣に対します訴願が提起をされております。許可いたしましたものは、二年ないし農地改革後引き続いて小作料を小作人が全く納入をしない、信義に反する度合いがひどいもので、県当局、農業委員会の勧告がありましても納入しなかったのが二件、小作料を納めないのみならず、みずから耕作を放棄して宅地化した人が一件、その他これに準ずるものが一件の四件だけでございます。それが許可をされました。運動によって集団的に行われておることを私どもは認めます。同時に個々の案件について申請が出ておるわけでございます。この小作地引き上げの理由としましては、地主の自作を相当とする、また小作料の利回りが悪いという一般的抽象的なものが多いのでございますが、申請書にもそれが記載されておりますが、中には小作人が小作料を支払わない、小作人が無断転貸を行なっているという理由をあげたものもありましたが、調査の結果ほとんどそのような事実は認められなかったのでありまして、以上のような措置になりました。その後農林省におきましては、ごく最近香川県の知事さんと農地部長とも具体的に事務打ち合せ、方針の打ち合せ等を行いましたが、この香川県農業再建協同組合では、以上のように集団的な小作地取り上げ許可申請という形の運動がほほ限界に達したので、あるいはそう思っておると思われますので、本年に入りましては他の運動形態をもとりまして、一部の町村では農地買収登記の取消し申請を農業委員会に提出しましたり、宅地地代の増額を要求するような動きも見られます。特に注目を要する点は本年四月中旬以降、大川郡松尾地区外十四地区で地主が小作人に土地返還通告をしておることでありまして、中に円座地区、庵治地区のように地主側がいわば実力行使をしまして、小作人の耕作いたしております耕作地に立ち入りまして、小作人側と紛争を惹起するところも出て参りました。これに対しまして私どもは県とお打ち合せをいたしまして、五月二十一日に農地法の厳正励行について県下の市町村農業委員会長あてに通達をいたしますとともに、一般農家の方々にも「農地法早わかり」と題するパンフレットを配布、啓蒙いたしまして、農地法違反行為の未然防止に努めておりまする一方、県農業会議とも協力いたしまして、地元の農業委員会をして関係者に農地法違反行為をやめるように説得をさせました。実力行使的なことを行なっておられる方についても同様にしたはずでございます。その中には現行法を守りようがないなどの言辞を弄する者もあったようでございますが、以上のような措置をとりました結果、なお反省の色が見られなかった庵治地区の地主五名につきましては、先ほど申し上げました知事との打ち合せによりまして、知事はまた同地方の地検に御連絡の上、六月一日同地区委員会の名をもちまして告発の手続をとりました。また同日香川県農林部長は地主団体の代表者二名と耕作農民の団体の代表者二名を招きまして、農業会議会長立ち会いのもとに農地法の順守、暴力的行為の発生しないよう勧告をいたしまするとともに、県下の市町村農業委員会長あてに農地法違反事件発生に対する緊急措置について必要な通達をいたしまして、事態の推移に特に留意の上適時適切な措置をとるように指導して参りました。農林省といたしましては、主務課長を現地に派遣いたしまして事情を調査せしめたほか、先ほど申し上げましたように、香川県の知事、部長さんに対しましてよく打ち合せの上指示しまして、農地法の厳正励行をいたすよう指導しまして、県も金子知事その他部長等以下ともによく努力をして下さいまして、また本省からは専門官を県内に長期派遣をいたしておりまして、その趣旨がよく徹底してこの種の件が繰り返しいわんや拡大して発生されることがないように努力中でございます。また最近県の不許可の処分に対しまして大臣あてに訴願が提起されたものについては、厳重に審査を行いまして、現在処理しましたものはすべて棄却をいたしております。
○成田委員 今詳細な経過の御報告がありましたのですが、こういう集団的な土地取り上げの運動、さらに申請が不許可になったにもかかわらず土地返還の通告をやる、はなはだしきに至っては実力行使をやりまして耕作地を奪い返そうとしておる、こういう行動に対しては、いろいろ県当局あるいは県農業会と御連絡の上阻止されておるようでありますが、ただ問題はそう簡単なものではなしに、背後に一つの勢力があると思います。そこで今の御報告にもありましたが、地主はこういうことさえ言っておるのです。私たちは農地法は憲法に違反するので法律とは思っていない、人に貸した田を返してもらうのがどこが悪いのだ、そのためには血が流れても仕方がない、こういうような意見さえ吐いている地主がいるわけです。そこでこういう考え方なり農地法は憲法違反だ、こういうような曲解をしておるということは、一部農業団体の宣伝が相当浸透しておる結果だと思うのですが、この問題について農林当局は、農地法の根本に関する問題なのですから、もう少し積極的な態度で農地法を守る必要を関係農民に知らす必要があると思うのですが、今後どういう手をお打ちになろうとしておるか承わっておきたいと思います。
○安田説明員 ただいまの御質問と同様な御質問は、過般一応閉会になりました国会で、農林大臣に向いまして社会党委員から御質問があったところでございまして、農林大臣は農地法の励行につきまして特段の努力をいたしますとお答えしたと記憶いたしております。その方針のもとにあわせまして、農業会議、農業委員会のように、直接農地法の関係事務を取り扱いまする行政補助機関と申しますか、また農業団体について啓蒙の努力をいたしてもらいまするほか、農地法をしっかり守っていこうという建前の農民の団体の方々も有力におありですから、本件に関しましてはそういう団体の協力も得られるようにという趣旨におきまして、過般全国の都道府県の農林関係部長会議を大臣主催のもとで開催をいたしましたときにも、私から明確にその指示をいたしております。
 なお十分ではございませんが、農民のお方々に、地主であろうと小作であろうとごく信望の厚いお方で、よく農地制度も御理解願えるお方々を現地に派遣して、心から農地法の励行をはかっていただくようにというようなことなども、香川県当局と具体的に打ち合せ中でございます。
 その他考え得ることは、検察当局で御処理願うことにつきましては、その方面への連絡をすること、なお適正と思われることが内定いたしますれば、どしどし実行するつもりでございます。
○成田委員 そこで法務当局にお尋ねいたしたいと思いますが、今の農地局長の御説明にもありましたように、高松で円座地区と庵治地区ですが、実力行使による土地取り上げが行われておる。この地主は土地返還請求を県当局あて申請いたしまして、不許可処分になったのです。不許可処分になったにもかかわらず、今度は田植え前に自分が田を耕すのだ、こういうことを一方的に耕作農民に通知いたしまして、みずから肥料を持っていってその耕作地を占有したわけです。そこで小作人団体と対立いたしまして、一時円座地区では血の雨が降ろうとした。これを県当局その他が中に入りまして、円座地区では一応問題は解決したわけなのですが、庵治地区におきましては地主はどうしても承知しないのです。そこでついに庵治の農業委員会から農地法違反ということで告発したわけです。この事実を法務省当局は御承知かどうか、まず承わりたいと思います。
○井本説明員 ただいまお尋ねの問題のうち、高松市の円座町関係につきましては、私どもに報告がきておりませんが、庵治地区の関係につきましては出がけに告発があったということだけの報告を受けたのみで、詳細の点につきましてはまだ報告を受けておりません。
○成田委員 そこで今申しましたように、円座地区の方は一応地主の方も肥料を撤去いたしまして、現在のところではそう問題は紛糾してないのです。問題はもちろん残っておりますが……。ところがあとで起きました庵治地区の方は地主が肥料の撤去の要求を聞きませんで、ついに農業委員会から告発されたのです。これはちょうど傍聴に県の農地部長もおいでになっておるので、参考人としてお聞き願っても間違いないのですが、そこで承わりますと、検察当局は現地調査にお出かけになるとかなったとかいうお話なのですが、その結果はもちろんまだ本省には来てないと思いますが、ここで一つ明らかにしていただきたいことがあるのです。それは農地法の二十条の解釈なのですが、「農地又は採草放牧地の賃貸借の当事者は、省令で定めるところにより都道府県知事の許可を受けなければ、賃貸借の解除をし、解約の申入をし、合意による解約をし、又は賃貸借の更新をしない旨の通知をしてはならない。」こうなっております。そこで先ほど農地局長からもお話がありましたように、大川郡の松尾地区を初めとして十四件に及ぶ土地返還の通告が出ているわけです。これがこの二十条に違反すると思うのです。それから円座だとか庵治地区におけるがごとく、単に返還請求の通告をしただけでなしに、実力をもって耕作権を奪い返そうとした。このために農民の反対を押し切って自分が肥料を持ち込んだ。これはまっ向から第二十条に違反するものだ、こう解釈しなければいかぬと思いますが、いかがでしょうか。
○井本説明員 刑罰法規は、御承知の通りこれは厳格に解釈しなければならぬものと私は考えております。従って農地法の二十条に規定がありますような「賃貸借の解除をし、解約の申入をし、合意による解約をし、又は賃貸借の更新をしない旨の通知をしてはならない。」という規定がありますので、これに違反した場合には九十二条の罰則によって罰せられるわけでございますが、これに当らないような場合には、やはりこれは犯罪にはからない、この農地法の規定する犯罪にはならないというように考えるわけでございます。ただしこの二十条、九十二条の規定に当らない場合でも、たとえば禁止された場所にゆえなく入ったというような場合には、場合によっては軽犯罪法の規定の適用がある場合もありますし、他の犯罪に触れる場合もあると思いますが、具体的には当該の問題をよく検討いたしませんと抽象的にはただいまここがすぐ何条の条文に触れるということは申し上げかねるわけであります。
○成田委員 刑罰法規を厳重に解釈する、これはごもっともだろうと思います。それから第二十条に該当した場合には、九十二条の罰則の適用がある、これは当然のことだと思います。そこで今農地局長もお話しがありましたように、農地の返還通告を大臣の許可を得ないでやった、こういう事実がはっきりしておるとすれば、二十条にまっ向から違反する。この事実があったかどうかという認識の問題は別なんです。しかし今農地局長も言われましたように、土地の返還通告をやっておることがはっきりしておる。こういう事実があれば、二十条の都道府県知事の許可を得ないで賃貸借の解約の通知をした、これにもさらに当てはまる。この場合でもまだ考える余地がある、このようにお考えですか。そこで農地局長にお尋ねいたしたいのですが、先ほど御説明のありました土地返還の通告、これは第二十条の違反だ、こういうように考えていいかどうか承わりたい。
○安田説明員 私は農地法を執行する局の局長として違反であろうと思います。ただしただいま刑事局長が申されたような配慮をする要もありますから、たまたまもって香川県知事は元判事さんをしておられたほどの法律家でありますから、金子知事においてその点もよく留意して下さって、はっきり告発するに足ると判断されたら、しかるべく指導を願いたいというお打ち合せをしておるわけであります。その結果のことでありますから、私は知事を信頼しております。
○成田委員 そういたしますと、県当局の当然これは了解の上だと思いますが、庵治の農業委員会ではすでに告発をやっておるわけです。そういう意味で二十条違反ということは確定的だと思います。それからさらに返還の通告だけでなしに、これも農地局長が御説明になったのですが、実力行使をやっておるのです。これは二十条違反だということは疑いないと思う。そういう事実を是認されて、その上で一つ御判断願いたいのですが、そういう事実があるとすれば、二十条の解釈の余地がないと思いますが、いかがですか。
○井本説明員 お尋ねに対してお答えになるかならないかわかりませんが、二十条の規定にあるような「賃貸借の解除をし、解約の申入をし、合意による解約をし、又は賃貸借の更新をしない旨の通知をしてはならない。」こう書いてあるので、これに解れるような状況であれば、犯罪になりますというように申し上げざるを得ないのでございます。
○成田委員 その点で非常にはっきりしたのです。農地局長の御説明なり、あるいは現地を私たち知っておりますが、そういう事実がはっきりしておるわけです。しかも悪質であるということは……。刑事局長のお話しのように、刑法だからできるだけこの点については慎重に扱わなければならぬ、これは当然ですが、単なる通告ではなくて実力行使で耕作農民の耕作地を占有した、実力行使に出たということは最も悪質だと思うのです。これをお許しになるなら農地法というものは完全にくずれてしまう。もともと地主連盟というものは一つの計画的な意図のもとにやっておるのです。香川県を一つのテスト・ケースとして自分たちの主張を裏づけるような事実が出れば全県下に及ぼし、全国的に及ぼしたいという計画的な意図のもとにやっておるのです。そこで刑罰法規の適用というものは慎重におやりにならなければいかぬことは当然なんですが、一面農地法を守るという立場から言えば、こういう悪質なものに対しては一罰千戒という立場からこの法規を運用になり、検察当局としてもそのような方針でお臨みになることが正しいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○井本説明員 農地法違反の事実が明らかになりますれば、私どもといたしましてはこれを厳重に追及する気持は十分持っております。われわれの方で扱いました数を参考のために申し上げますと、二十八年度には百十三人、二十九年度には二百七十五人、三十年度には二百三十人、三十一年度には二百五十二人の数を扱っておるのでございますが、今回のことき告発がありますれば、これはもちろんその告発に基きまして厳重に公正に調べたいと思っておりますが、不幸にしてわれわれの方も手がありませんので、全般的に農地がどうなっておるかということの検討はできませんけれども、できるだけ関係官と連絡協調をはかりまして、発見次第かような農地法違反につきましては厳重に処置をしていきたいというふうに考えております。
○成田委員 そこでくどいようですが重ねて申し上げますが、これは一つの地主団体のテスト・ケースとしての問題なんです。ここではっきりした法の厳格な適用をお示しにならないと、問題はさらに広がっていくと思うのです。そのためにこの問題については特に留意されまして厳重に処罰するものは処罰する、こういう態度をとっていただきたいと思います。それに関連して非常に私たち心配しておることは、地主側から県の小作主事を今度は逆に告訴しておるのです。というのは、これも近くそういう情報が入ってくると思いますが、小作主事の農地問題に対する取扱いが不公平である、自分たちの財産権を侵害するのだ、こういうような理由で地主側から問題を検察当局に持ち出しておる。それだけじゃなしに小作主事の家だとかあるいは関係の課長の宅を夜地主の連中がおとずれましてどうかつするような態度に出ておる、従って関係官の身辺の安全の保証さえ今危惧されておるような情勢です。こういう問題について関係官の身辺の安全をはかるということで特段の措置が必要だと思うのですが、この点についてはいかがでありましょうか。
○井本説明員 検察側といたしましては厳正公平でありますから、いやしくも違法な点がありますれば、その点については厳重に追及をして参りたいと考えておるわけであります。具体的な問題になりますると、ただいま手元に資料がありませんので何ともお答えいたしかねますが、日本国民が違法な状況のもとに身辺の危険を感じるというようなことはあり得べからざることでありますので、現地ともよく連絡をいたしまして、予防警察をになっておりまする警察関係の関係機関ともよく連絡をして、さようなことのないように努めて参りたいと考えております。
○成田委員 そこで最後に希望を申し上げておくのですが、問題はこういう最悪な事態に持ち込みまして、そうして刑事事件になるというようなことは、私たちとしてもあまり好ましく思っておりません。そこで農林省当局といたしましては、極力行政措置でこういう事態の発生しないように御努力を願うとともに、法務省当局ではここで問題をうやむやにしたり、中途半端な解決をいたしますと、さらに問題は内註し、広がってくると思います。この機会に一つ断固たる処置をおとり願いたいということを特にお願いするわけであります。
 それから委員長にお願いしたいと思いますが、でき得れば、問題はこれほど深刻化しておりますので、閉会中の国政調査の件がありましたら、ぜひ香川県に関係の委員の方にお出向きを願いまして、実情調査をして今後処置を御研究願いたい、こう思っておるわけであります。以上で終ります。
○小枝委員長 委員長への要望でありますが、この問題はまた後ほど理事会等を開きましてよく相談の上善処をいたしたいと思います。
 細田綱吉君。
○細田委員 今成田さんの御質問になったことで、これは抽象的な法解釈の問題ですが、御承知のように農地法の二十条で解約の申し入れをしちゃいかぬ、そうしてこれが九十二条に知事の許可なくして解約の申し入れなんかをした場合はこういう罰則がある。これは解約の申し入れというのは、言いかえれば地主が土地の占有を所有者に戻す前提の行為なんです。前提の行為として解約の申し入れを許可なく、してはいかぬ、それに違反したら九十二条一で処罰するぞ、こう規定してある。従ってその占有を回収する前提の解約の申し入れがすでに九十二条違反であると明記してある限りはその解約の申し入れを抜きにして、そういうあらかじめの意思表示を抜きにして、今成田委員の質問したように、地主が直接もう占有の奪還をはかってしまうというような場合は、もちろん私は二十条の第一項を踏むというよりは乗り越えてきているのですから、明らかにそういう場合も当然九十二条違反であると考えるのですが、この点あなたの御意見、御解釈を伺いたい。
○井本説明員 さような御質問があるかと思いまして、実は目頭に刑罰法規は厳重に解釈すべきものであるということを一席申し上げたのでありますが、第二十条に規定のあるようなことがなければ私は九十二条違反にならないと思うのであります。この解約の申し入れというのは一片の文書であるとか口頭であるとかということでなくて、事実上の解約の申し入れと法律的に認められるような状況があれば、この罰条の問題が問題になってくると考えるわけでございます。従って細田先生にかように申し上げて恐縮でございますが、やはり農地法の二十条に触れるようなことがあって初めて九十二条に罰則が出てくるということになる結論でありまして、これに当るようなことでなければこの農地法の犯罪になるということは申し上げかねる次第でございます。
○成田委員 ちょっと補足して。今の問題はケースが二つあり得ると思うのです。一つは今細田さんの言われたように解約の通告をしないですぐ飛び越えて事実行為をもって解約をやる。すなわち占有の奪還をやる。こういう場合もあると思うのです。それから解約の通告をし、そうしてそれに引き続いて実力行使をやる。この二つの場合があるのです。香川県の場合は、解約の通告をし、しかも実力行使をやった。従って、知事の許可を得ないで二十条の解約の通告ということは確実にやっているわけです。それに加うるに、実力行使をやった。従って、これが二十条に該当することは当然だと思います。それから、解約の通告をしないで直ちに実力行使をやった場合でも、これは事実行為で解約の通告をやったのと同じなんです。これも解釈の余地はないと思うのです。特に香川県の場合には、解約の通告をやり、しかも事実行為で占有の奪還をやった、こういう非常に悪質の場合ですから、その点は十分御理解の上御処置を願いたいと思っております。
○井本説明員 繰り返して恐縮でございますが、解約の申し入れをなしと書いてございますから、かような事実と認定できれば、この罰条が生きて参りますが、そのほかの場合におきましては、他の罰条にいろいろ触れる場合があると思います。けれども、直接この解約の申し入れをなしということに当らなければ、どうもこの罰条の適用のしょうがないので、その点は一つそういうふうに御了承をいただきたいと思います。
○成田委員 農地局長にお尋ねいたしますが、先ほどの御報告の中で、大川郡松尾地区を中心にして十四件でしたか、土地の返還の通告があった、そういう御報告がございましたが、それは一間違いございませんね。
○安田説明員 間違いございません。
○成田委員 刑事局長、今の農地局長の御答弁でもおわかりのように、二十条に書いてある解約の通告というものは、はっきりあった。これは事実なんですから、その上で御処置を願いたいと思います。
○細田委員 しつこいようですけれども、今、成田委員の言ったように、解約の申し入れをして、さらに賃借人の同意を得ないで、地主が占有の回収を直接はかるという場合と、解約の申し入れをしてなくて、直接占有の回収をはかる、まあ奪還といいますけれども、はかるという二つのケースが確かにあると思う。今、私どもの見た場合に、解約の申し入れをしなくて、地主が直接土地の占有回収をはかった場合は、これは当然この二十条に包括されて処罰の対象になる。この点解釈問題で、法務当局の二十条の解釈を、ぜひ伺っておきたい。あなたの先ほどの御答弁では、依然としてこの条文の朗読をされておるようですが、条文の朗読はいいのです。解約の申し入れということは、土地の占有を先ほど申し上げたように、回収する一つの前提行為でしょう。従ってそれをなおかつ、しないで、いきなり占有の回収を直接実力行使をするということが、なおふらちなことは申し上げるまでもない。従ってそれは当然解約の申し入れをしておかないで、地主が直接実力に基いて占有の回収をはかった場合は、二十条にもちろん包含されるものと私は解釈するが、刑事局長の御解釈を承わりたい。
○井本説明員 とにかく繰り返して恐縮でございますけれども、解約の申し入れという一つの意思表示ですが、いろいろな形でそういう意思表示があると思う。しかしその解約の申し入れというように認定ができなければ、この罰条には触れないので、事実上実力行使をしたというのに対する罰則は、また別途にあると思うのです。とにかく私が目頭に申し上げましたように、この二十条の規定に当るような、ことに認定ができれば、これが生きてくるということを申し上げざるを得ない。ただ、人のたんぼに入ったら、すぐ二十条に当るといっても、それは二十条に当るとは申し上げかねるわけであります。ただし解約の申し入れというものは、必ず文書によらなければならぬとかなんとかいうことでなくて、その形態はまたいろいろあると思いますけれども、具体的な実情を調査いたしませんと、抽象的にはお答えいたしかねますが、細田先生のような解釈は、私にはちょっと解しかねますので、あくまでも二十条の解約の申し入れに当るかどうかという点で、結論が出るというように考えます。
○細田委員 そうすると、今のあなたのような御解釈でいくと、利口な地主は解約の申し入れなんかしないで、じかに実力行使をやってしまう。実際そういう例が私の県にもある。あそこはこの春耕作しようと思って入ったところが、行ったら、もう地主が入って肥料をまいてしまった。それは中に入って返させたけれども、しかしそんなような場合は、意思表示と認められる行為あるいは意思表示がなくて、いきなり自分のたんぼだから、お前のところにはやらせない、きょうから作るのだというのだったら、刑罰法規に触れない。あなたはほかに規定があるとおっしゃるのだが、そうしたら、これは処分の対象にならないのですか。おかしいじゃないですか。
○井本説明員 ほかに、たとえば軽犯罪法にさような取締り法規がございますから、実力行使に対しては、別途にまたさような不法行為については救済手段があるので、農地法そのものはその条文に書いてある通り解釈しないと、みだりにこれを類推拡大解釈するということは、私はちょっと危険であるというふうに考えております。
○細田委員 刑事法規ですから、もちろん拡大解釈は許しませんが、むしろまた無用に縮小の解釈も危険なんで、あなたのおっしゃるほかの刑罰法規というと、おそらく刑法による器物その他の投棄というようなことになるのじゃないかと思うのですが、これはやっても、従来のわれわれの経験では、いくら告発しても、そんなものは検察当局が取り上げはしませんよ。それは私自身の経験で取り上げません。これは投棄だけ取り上げるといっても、それはナンセンスである。あなたの御解釈は、意思表示がなくて、いきなり実力をもって占有の回収であったら九十二条違反でない、あなたのきょうの御解釈はそうであるらしいが、これはもう一度あなたに十分御研究を願いたい。ほかに刑罰法規というのは、どういうことをさすか、私知りませんが、あったらまたお教えいただきたい。
○井本説明員 軽犯罰法の第一条第三十二号というのに「入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入った者」というものは、処罰される規定がございます。これなどには完全に当ると私は考えます。
○細田委員 軽犯罪法というのは、私見たことがないので申しわけありませんが、おそらくこれは罰金ぐらいのものだと思います。罰金ぐらいだったら、地主は覚悟してやります。われわれの社会常識では、一応意思表示をして、そうしてかりに実力行使にしても、占有の回収をした方がまだ常識的な行為である。それをいきなり無通告で占有を回収したという場合には、これは常識のない、そうしてまた狂暴な地主である。それであるのに、常識ある意思表示をやった方がひっかかって、そういう常識のない方法をやった方がひっかからぬというのじゃ、これは立法の精神じゃないと思う。これはあなたのきょうのそういう御解釈だというのじゃ、やむを得ないのだが、これはもう一度とくと御研究を願いたい。それからこれは判決例に待つといっても、あなたの方が取り上げなくて起訴しなかったら、裁判の判決の例に待つわけにいきはしない。これはあなたの方でほんとうに御研究を願いたい。きょういきなりの質問でございますので、あなたの方で御存じなかったら、あとでお調べになって、当委員会で一つ御報告を願いたいのですが、千葉県の利根土地改良区、これは国の所有であってまだ農林大臣の管理に属しておりまする開墾地です。千五百町歩ぐらいですか、利根川流域です。これはまだ農林大臣の所管に属している、もちろん管理に属している。ところがその土地のボスが開墾すると片っ端から占有してしまって、農林省も一年遊ばしておくより少しでも作らしておいた方がというような一時的なつもりでこれは黙過しておったと思うのです。ところがそれを占有してしまった。そうして千葉県当局からも、お前たちいつまでも占有をやっておったのじゃ困るという忠告を受けた。ところがどうしてもそれを返さない。依然として耕作を継続しておる。そこでその近所の適正な配分を受けようとする人たちがまた、とにかくお前たちそんなばかな乱暴な話があるか。農林省でまだ管理している。しかも県から注意を受けながら、そんなばかなことがあるかといって注意をしたところが、集団的に暴行を受けた。三週間以上の角膜炎出血という集団暴行を受けている。そこで告訴人吉田定次、被告訴人が吉田春吉外五名、被告訴人は全部で六名。これなどもずいぶんむちゃな話だと思う。自分たちが違法に国有地を占有しておいて注意を受けたら、このやろうなまいきだといって集団的に暴行してこういう傷害を与えた。これは告発しておる。私も検察庁に行きました。千葉地方検察庁松戸支部に行って副検事さんだったと思いますが、よく事情を申し上げてお願いしておいた。何かこれが最近聞くと不起訴処分になった。私はどうして不起訴処分になったかわからぬ。しいてひがんで申しますならば、どうも検察当局は告訴事件は重大な問題でなかなか取り上げない、警察から送致される事件はふんどし一枚を取っても無中で捜査をするという、少くとも戦争前はそういう傾向が確かにあった。そういうケースに当っておるのじゃないか。これが問題になって検事限りで不起訴になるというのは私には意味がわからないのですが、まだ取調べの過程にあるのか、あるいは不起訴処分になったらどういう意見で検事は不起訴処分にされたのか。お知りになっていなければお調べの上当委員会に御報告を願いたいと思います。
○井本説明員 どうもお話を承わっておりますと、これはあまり性質のいいこととも思えません。われわれ暴力事犯につきましては機会あるごとに厳重に取り締りをするように申し伝えてありまするので、実はきょう突然のお尋ねでございますので状況はよくわかりませんから、帰りまして詳細取り調べてみたいと考えております。
○成田委員 ちょっとさっきの問題に返るのでありますが、刑事局長の御答弁では、法二十条の解釈として、知事の許可を受けないで解約の通知があった、その場合はそういう事実があれば二十条に違反する、実力行使の問題についてはこれはその二十条に該当しない。こういう御解釈じゃなしに、そういう実力行使をやった場合、その具体的な事実を判断して二十条の解約の通告に該当するかどうか、該当するとすれば二十条に違反するものだというように、その事実認定の問題で解約の通告と見なされるかどうか、こういう解釈の余地がある、こういう御答弁だと承わっておるのですが、それでよろしゅうございますか。
○井本説明員 私先ほどさような趣旨で申し上げたので、解約の申し出というのは何か文書を突きつけなければ申し出にならぬというのでなく、いろいろ実情があると思いますので、具体的な問題といたしましては、しさいに取調べいたしませんと何とも結論が出ない。ただ条文はこう書いてありますので、条文にはこうなっております。しかし具体的な問題はいろいろ検討いたしませんと明確な結論が出ないという趣旨で申し上げたのであります。
○成田委員 そこでその実力行使の場合でも、その実力行使というものが、周囲の状況を判断しまして、いわゆる解約の通告に該当するものだ、こう認定される場合もあるし、またされない場合もあるかもわからない。しかし実力行使だからといって、先ほども細田委員との質疑応答の中に、刑事局長の御答弁なり細田さんの御意見なりで、実力行使の場合該当しないのだ、こういうような解釈にもとれるように私ちょっと聞いたのですが、そうではなしに、今の御説明のように、そういう文書には解約の通告と書いてある、従って解約の通告があれば二十条に該当することは明らかであるが、実力行使をした場合、それが解約の通告に当るか当らないかということは、具体的に事実を判断して、事実を見た上で決定するのだ、こういうように解釈してよろしいわけですね。
○井本説明員 解約の申し出と実力行使というのはあまりにかけ離れたお言葉でございますので、先ほどさようなお答えを申し上げたわけでございますが、卑近な例を申し上げて、はなはだ恐縮でございますけれども、たとえばミカン一つ買いにいくにしましても、そのミカンを私に売ってくれということを言って、くれるのでなくて、金を出して突き出せば向うからミカンを包んでよこす、結局売買契約の成立ということがあり得るわけで、具体的の問題をしさいに検討いたしませんと何とも申し上げかねるが、その二十条の条文に触れるようなことになりますれば、それは文書の解約の通告がなくても該当する場合もあり得るということを申し上げたわけでございます。
○細田委員 農地局長に伺いたいのですが、今ちょうど出ましたからこの問題から先にお尋ねしますが、千葉県の柏市と我孫子町の両域にまたがるいわゆる利根土地改良区の配分はまだ農林大臣において所有管理中であって、配分はまだですか、この点をお伺いいたしたい。
○安田説明員 同地区におきまする国有地七十余町歩につきましては、配分が全部してないというのではございません。
○細田委員 配分がまだ全部してないというのではないというのは、どういう段階にあるのですか。
○安田説明員 管理部長より詳細申し上げます。
○立川説明員 ここは非常に事情が錯雑をしておりますので、少しく経過を申し上げないとおわかりにくいかと思いますから、一通り経過を申し上げたいと思います。
 このところは全面積千二百町歩に及ぶ非常に広い土地でありまして、利根川の堤防のそばであります。終戦の直後には、むしろ遊水池的なところで、少し利根川の水のかさが増しますと、そこはもう川の中になる。それで耕作ができない。ところがそこに堤防の増強をするということと、それから排水ポンプを据え付けまして排水施設をやるということになりまして、だんだんここが耕地となる状態になってきたわけであります。そこでその土地につきましてだんだんその近傍の人が、あそこはたんぼになる可能性が出てきた、こういうわけで漸次県に申請をしたり、中には無断でやったり、そういうことで耕作を始めたわけであります。そこで昭和二十三年におきまして、一部旧国有地もあったわけでありますが、一部は河川敷の荒れ地を買収いたしまして国の所有といたしまして、それを昭和二十六年に入植者、増反適格者に対して売り渡しをいたしました。ところがこれはいろいろと詳しい事情がありまして、地元の農民も非常に急速売り渡しを急がれました。また政府側としてもその要望にこたえまして急速の売り渡しをいたしましたために、その中で現実に耕作をしておりますところ、あるいは現実に増反、入植の許可をいたしましたところと、その売り渡しの地籍、地盤が食い違っておったというようなことがございます。そこで地元の農民からはそれは困るという意見もありました。だんだん調べてみますと、なるほどそういう点も出ておる。そこで関係者とよく相談をいたしまして、昭和三十年であったかと思いますが、千二百町歩の全面積にわたりまして詳細な現地調査、一筆調査をやり、地籍と現耕作者とを確認いたしまして、さらにその関係の人たちと十分に打ち合せをいたしまして、その土地の再配分をいたしたわけであります。そこでこの全地域は約二十一の小さな地区に分れておりますが、そのうち二十地区はその結果によりまして関係者一同異議なくその売り渡した地積と現耕作地とを調整いたしまして再配分を完了いたしたわけであります。ところがそのうち一つの地区、花野井部落というところは関係者の中にいろいろ複雑な紛争がありまして意見がまとまりません。それで現在に至ってもこの紛争が続いております。そこでその点の処置を今行いつつあるわけであります。さてそういう再配分の過程におきまして一部政府が農地法七十二条で買い戻しまして、そうして売り渡しをするという措置を講じるところがございます。それが全体で七十町歩になります。そのうち大部分は先ほどの関係者がみな異議ないというところの二十地区に属しておりますので、その二十地区につきましてはいまだ再売り渡し手続は完了しておりませんけれども、これは問題がないところであります。ところがその七十町歩のうち十町三反というところはこの花野井部落関係の地籍でありまして、この土地については先ほど一言いたしましたように争いがございます。さような状態であります。
○細田委員 管理部長の御説明と現地の報告とは違うんです。現地の人たちの言うところでは、あなたの今言う十町三反だけでなくて、七十町歩というのがまだ配分になっていない。そこでさらにその点を再調査願いたいのが一つ。それで大体その紛争のあるところはどうしようというのですか、農林省の方針を伺いたい。
○立川説明員 その地積は約一年以来紛争のところでありまして、現在耕作をしております三十五人の人と、それからさらにその地積の配分を受けたいという約六十名の人との間に意見の食い違いがあるわけであります。それにつきましては、現在耕作をいたしております人から一定の地積をやはり出してもらいまして、新しく耕作しようという人に土地増反の許可をする、こういうような方向で処置をしなければならないと思いますが、具体的にはこれは地元の両方の関係者並びにその間に立つ人もおりますが、そういうような人の意見の合致をみなければなりませんので、従来の調停がうまくまとまりませんで、ごく最近でございますが、最後に千葉県の副知事が中心になりまして、ここ一ヵ月ほど前からそのとりまとめの相談をいたしております。究極におきましては、地元で耕作能力を有し、そうして経営面積が不足だという人に適当の経営面積が確保されるということが理想でございます。何しろ希望が多くて土地の面積が少いのでありますから、その間をみなの納得のいくように調整するという処置をするよりほかない。具体的の処置としては、千葉県当局がせっかく苦心をして努力をいたしておりますので、その処置を十分監視指導して妥当な結論に持っていくようにいたしたい、こう考えております。
○安田説明員 細田先生のただいまの御質疑で東利根地区のお話がございましたが、先般の佐原地区等についても土地配分の問題がございました。なお一地区等は、ごく最近でございますが、私自身もこの種の問題について直接の責任者である千葉県当局が行政の明快さを欠くことがあるじゃないかという危惧を持ちましたので、東京の農地事務局及び千葉県に向いまして、それらの地区の実際の計画と現在の段階の詳細なる報告を求めまして、また農林省の適当な職員を数回ずつ現地調査をさせました。地積のことでございますので、一、二明確でないことがございます。過去において県知事のやったこと、現状において県知事のやられようとすることがまず第一に判断の材料になりますので、その趣旨をもちまして、事務スタッフを適当に強化する要もあると思いまして、千葉県知事ともよく話しまして、農林省から数日前に適当の部長を採用してもらいまして、その手腕に期待しまするとともに、副知事くらいは責任をもってこの問題を処置してもらいたいということにいたしまして、その後待っておるわけであります。その一端を管理部長は申し上げたのであります。その結果に待ちまして、農地法ないしは旧農地の所有権者をどう尊重すべきかということとあわせまして、できるだけすみやかに明快に措置するつもりでございます。
○細田委員 ちょっと伺いますが、農林大臣は、一応現況において耕作している限りは、行政執行によってその土地の占有を農林大臣に移すわけにはいかないのですか、あるいは法規上可能なんですか。
○立川説明員 この地域は……
○細田委員 いや、この地域だけじゃなくて、全国どこでもいいんですが、開墾した土地を農林大臣の許可なくして勝手に耕作している人たちの占有を、行政執行で農林大臣に移すことができないかという、法規の解釈を伺っているのです。
○立川説明員 これは一般論でございますならば、開墾地へ他の人が勝手にまた入ってくるということになりますと、それは結局占有している人が占有排除をして自分の占有を回復するという民事上の争いになる。それを国が介入をしてぽこっととっていって、また国の占有に移すということは適当でないと考えますが、いずれにいたしましてもこの地籍は――具体的な話に戻りますが、この地籍は非常に具体的な事情が錯雑しております。理屈でぱちっと割り切りますならばそれも簡単でありましょう。しかしそれはかえってまた逆にいろんな紛争を山ほど生むと思います。従ってこれは関係者が十分納得をして、それで行政的にも妥当だという処置を講ずることを主眼にして考えたいと思います。
○細田委員 私の伺っておりますのは、行政執行による占有の回収はできないのかということで、妥当でないとか妥当であるとかいうのじゃない。法規上可能か不可能かということを伺っているのが一つ。それから、部長の言われるような、十分協議して、当事者納得の上、これはきわめてけっこうです。説明の結論はけっこうですが、具体的には、欲の皮の突っぱっている連中が、一たん耕作して、納得のいく協議なんかできるものじゃない。
 それで私は一つ例を申し上げてみます。あなたの方でやった茨城県猿島の森戸干拓、鵠戸沼三百五十町歩の干拓ですが、地図の上では三百五十町歩ですが、実際はそんなになくて、二百町歩くらいです。それであとの百五十町歩は、天保時代からかどうか知らないが、とにかく大昔からだんだん埋まっていったんだから、そこへ近所の農民がたんぼを作った。戦争中や戦後はもちろん供出の対象になって、供出までしている。天下公然とそれを作っている。ところがあなたの方ではまん中のどぶたまりを干拓するということで、農林省から国の地籍に全部――しかしたんぼになった所はそのままなんです。実際はそのまま。ところがそれに手をつけて、図面の上では全部あなたの方は取り上げてしまった。そしてまた一面干拓にかかる。その地方の有力者が、利根土地改良区と同じように、できたところを片っ端から耕作をさせている。そして一たん耕作したら、地方の有力者ですから放しやしませんよ。何のことはない、せっかく従来から自然に埋まったところをたんぼにして何十年と作っておった人たちが、しかも供出をしておった人たちが、取り上げられてしまう、干拓の結果減反になってしまう。そしてその地方のボスは一これは現実にある、私は調べ上げているのだが、役場の吏員に配分している。分家して何も百姓をしてないのに配分した。ある人はそこの呉服屋に配分した。ある人はとうふ屋にまで配分した。そうして非常に面積の少い、いわゆる零細農家に増反が行き渡っていない。むしろ取り上げて零細農家をこしらえてしまっている。それでわれわれが入って、当時本委員会の委員であった日野委員なんかにも二回も現地調査を願った。きわめて配分が不公平であるということは、稻富、日野両君もよく知っておる。当時あなたのところから、稻富、日野両委員が行くものですから、農林省の当該官吏も一緒に行ってくれて、その前で、これはきわめて不公平だということをちゃんと言明している。それでも帰ったら、もう台風一過、そのまま居すわってどうにもならぬ。最後は、三百五十町歩くらいの広いところですから、わずかに三町歩か三町五反くらいのところをいわゆる調整面積と称して、われわれ、ここから出して、減反した人、あるいは見かねる零細農家に増反をしますと言って、結果において何もしゃしない。だからあなたのところでこんなばかなことをしておると、東利根土地改良区にしても、鵠戸沼の改良区にしても、何のことはない、あなたのところの干拓はボスの養成機関だ。地方のボスにとってはまことにけっこう、農林省様々だけれども、忠実な中以下の農家にとってはこういうことはまるで鬼門です。そこで私があなたの方に占有回収の行政措置はないかと伺ったのはそれなんです。妥当であるとか妥当でないとかいうことはそのあとでまた質問する事項ですが、まず行政執行による占有の農林大臣への回収が法律上可能か不可能か、これを伺っておきたい。
○安田説明員 細田先生のおっしゃった例は、私の就任日が浅く、不勉強のために、まだ全然聞いたことがない例でございます。細田さんがおっしゃいましたことがほんとうであるかどうかすら知りませんので、とくと調べまして、参考にいたします。利根地区のことについてのことは、それに関連して一般的に法律上解釈として可能かどうかということだと思いますが、ただいまのところは、法律上は可能であると思います。それを事実とつき合せていつどうするかということは、他の措置をも加えて、その前提として私が申し上げましたので、よく事実と、県のやったこと、やろうとすることとを確めまして、明快に処理いたしたいと思っております。
○細田委員 農林省には、干拓あるいは開墾ということは熱心にやられるが、その配分に対して確固たる方針がない。というのは、今質問の対象になっておりまする利根土地改良区もそうなんですが、さっき私の説明しました森戸干拓もそうです。干拓したときから片っ端から仮配分して、土地の所有権を移動してしまう。これは全体を干拓しあるいは開墾して、さてといって協議の上に乗せない限りは、片っ端から土地の所有権の移動までしてしまったのでは、これはできませんよ。非常に配分の点においてはルーズというか、方針がない、これはどういうふうにしてあなたの方は配分の方針を立てておられるか、その点を一般論として伺っておきたい。言いかえれば、できた片っ端から便宜だれでもいいから配分してしまうのか、完成の結果適正な配分の方法を断固としてとっているのか、この点一つあなたの方の方針を伺っておきたいと思います。
○立川説明員 干拓地、あるいは開拓地も同じでありますが、その増反をいたします場合の基本的な方向といたしましては、その当該の土地に関してその近傍の増反でありますから、現に農業を営んでいる人々の経営面積の不足を補うということであります。従って増反選考の要件といたしましては、第一にその現地に著しく遠くてはいけませんから、近くて耕作できるということ、それから現在の経営面積におきましてさらに面積を拡大しなければ経営が成り立たない、あるいは経営が非常に不十分である、こういう経営条件、それからその経営の能力、労働力、それから現在の農業上の諸設備、以上のような事柄を考えまして増反の選考をする、こういうことが建前であります。ただ終戦後の非常に錯雑をいたしておりましたところ、昭和二十三年なり四年なりというような時期におきましては、世の中の全体がやはりきちんとした秩序も整備をしておりませんでしたので、私がただいま申し上げたような趣旨に必ずしものっとっていないというような増反配分の地区があることは事実であります。でありますが、漸次その後整備をいたしまして、その増反選考の適切な励行ということが近時では非常に厳密になってきた、こういう工合に考えております。
○細田委員 部長のおっしゃることは説明としてはまことにりっぱですが、私はむしろ逆だと思う。終戦後のごたごたの当時は、当時の地主並びに地方のボスは自信を失っておった。従って農林省の方針のごとく適正な配分が行われた。ところが近時地方のボスは非常な自信を持ってきて、そしてあなたたちの監督と指導の不十分と相待って勝手ほうだいな占有と所有権の取得をしている。そして今あなたの言ったような基準に基いて分配していない。今申し上げたように増反の能力があって、そしてなおかつ零細な農家で、十分な農業経営の意欲に燃えた人たちには必ずしも分配していない。また既成耕地とともに分配を受けて二町何反になったり何かしているのもある。今言ったようにとうふ屋まで受けておる。それが適正な農家に設営するならいいが、二反や一反五畝ずつそういう人たちにやっておる。これはむしろ逆ですよ。地方のボスは非常な自信を得て、農林省何者ぞ、農地部長の存在なんかないんだ、こういうのでやっておる。逆ですよ。
 そこで一つあなたが先ほど御苦心になっておる、まず第一に千葉県当局の努力に待ってということがありまするので、これは千葉県当局としても、農林省がこんなにだらだらしておっては、農林省をバックに強く出られない。それだから一つあなたの方でも強いてこ入れをして、済んだら、当農林委員会に一応の原案ができたら報告を願いたい。
 それからさらに伺うのですが、今年度の開拓です。開墾可能の原野もしくは平地林等に対する開墾は、農林省は面相で幾ら、予算は幾らと予定しておりますか。
○安田説明員 最後の一点の御質問、すなわち本年度の開墾予定地のための買収予定面積とその予算は幾らかということを除きまして、細田先生のおっしゃいましたもろもろの御発言の全部、そのように農林行政が一般的であるとは――だらしがないとは思いませんが、今日までだらしがないと思われるようなこともあったかと思いますから、今後はそういうことがありませんように、できる限りの尽力をいたします。あわせまして農林委員会の皆さん方にも御協力と御指導をお願いいたします。
 最後の一点は、この間の国会で資料を御配付申し上げたつもりでございますが、ただいまは私は記憶を失いました。
○立川説明員 本年度の開拓用地の買収予定面積は、二万四千町歩であります。開墾そのものはすでに買収をして売り渡したものを入植増反者が開墾をする、その計画が別にございますが、これは正確な数字は今宙に覚えておりません。
○小枝委員長 ちょっと細田委員に申し上げますが、刑事局長は、法制審議会が開かれておるそうですから、先に一つ……。
○石田(宥)委員 関連して。農地法九十二条の適用の問題ですが、実はこれはあとで局長からも伺わなければならぬのですが、最近農地法の適用が乱れてきておりまして、九十二条に書いてあります三条、四条、五条、二十条、二十三条等の違反が続出しておるのです。ところが、これに対しては、私は農林省の方の指導も適切でないと思うのでありますけれども、地方の農業委員会に対して手続中に、すでに地目の変換を行なったりいろいろやっておる。知事の許可がなければできないところの処分を、市町村の農業委員会に対し文書を提出すると同時にこれを実施しておるような例が非常に多いのですね。これは先ほど成田委員から言われたように、やはり全国の地主団体の活動が大きく影響して行われておるのです。これに対してはよく告訴、告発が行われるのですけれども、地方でわれわれが検察官や裁判官によく会っていろいろ話をするのです。ところが多くの判検事の諸君が、どうもわれわれは以前の民法が頭の中にこびりついておって、農地法なんていうものは、何か邪道のような感じがして取り扱いにくいんだ、こういうことを言っておるのです。それでそういうことが一つの先入観念になっておることでしょうけれども、しかし法律がもう厳然としてあるのです。にもかかわらず検察庁当局は、ほとんどこれを無視しておるということじゃないでしょうが、ほとんどこれを処罰の対象としておらないのです。従ってあなたのところまではあがってこないかもしれないけれども、法規の明文があるのですから、これに対してはやはり特別な配慮をしてもらわなければならないと思うのですが、御意見はどうなんですか。
○井本説明員 先ほども申し上げましたように、農地法違反につきましては、われわれといたしましても非常な関心を持っておるわけでございまして、いやしくも農地法違反の事例がございますれば、それについては厳正公平にこの法律の目的を達しますように配慮して処置していきたいというふうに考えておるわけでございます。かようなことはいろいろな検察官の会合の際にはときどき申し伝えてあるわけでございます。なおこの問題につきましては、今後もたびたび検察長官あるいは次席検事等の会合がございますので、さような際に申し伝えまして、農地法の厳格な適用を進めていきたいというふうに考えております。
○石田(宥)委員 どうも中央の会議ではえらい人ばかり集まってきて、それが徹底しないおそれがあるのじゃないかと思うのですが、この機会に特別に通牒等を発せられることを希望するわけです。そういう何か文書をもって末端まで徹底するような御配慮は願えないでしょうか、どうですか。
○井本説明員 お話の点につきましては、帰りましてよく検討いたしまして、前にさような通牒など出ておりませんければ、何らかの方法で末端に徹底するような適正な措置をいたしたいと考えております。
○石田(宥)委員 ついでに局長にお尋ねしたいのですが、最近今申し上げた三条、四条、五条、二十条、二十三条等の違反事項が非常に多くなっております。私も県の農業会議の委員をやっておりまして、先般二回ほど出席してみたのです。昨年ごろよりは本省の指導よろしきを得たと見えて取扱いは事務当局がかなりよく選別をしておるようですが、しかし事実は活動費、旅費不足でなかなか十分な調査が届いておらないということが多い。これが実情です。そこでそれを追及してみますと、この点は考え方としては県の事務当局などはかなりよく考えておるが、遺憾ながら活動費が十分でないために行き届いておらない。しかし取扱いの関係はよく整理されておって、実は喜んで参ったのでありますが、問題は今刑事局長にお尋ねしたこの点の適用です。これはずいぶんたくさん違反事実があがっておるのです。これは県の諸君も知っておる。知っておるにもかかわらずそれを妥協させてしまう。ほとんど処罰の対象に持っていかないような指導をしておるのです。これでは農地法の厳正実施ができない。やはり違反の事実については厳重に処罰規定を生かしていかなければこの法律は守られないと思うのです。いろいろな事務上の指導はけっこうだと思うのですが、今度は一つこの処罰規定をもっと厳重に励行させるように、もちろん地主団体の圧力をどこの県でも相当受けておりますが、しかし事務を扱っております者はやはり農地法の精神を守らなければならない気持はあるのですから、もう一段とこの点については特別な配慮をする用意があるかどうか、また私が今申し上げたように考えておられるかどうか、この点をまず伺っておきたい。
○安田説明員 石田先生のおっしゃいますように方向、方針につきましては全く同様に考えております。ただいまも建長寺で全国の農地主事を集めまして、三日間の研修及び方針の徹底をはかっております。また農事調停に関しましては裁判所とわれわれ及び県庁の農地関係職員との間の協議も定期的に行なっております。ただ検察当局に関します限りは、そう深入りしてどうこう申し上げたことはございません。別途ずっと前に農林委員会で御決議をいただきましたことに応じまして、農地法励行に関します都道府県知事に対する大臣の厳重な通達を出しまして転廃用でも、現に北海道知事から北日本石油株式会社の件については告発をいたしました。今回も先ほど申し上げた通りであります。それらについては少しどうかという意見もありますが、やるべきことはやるようにということでやっております。
 残りの旅費、庁費、事務費の点でございますが、本年度努力しましたが、予算上なかなかうまくいかないのでありますが、庁費で正規の会計法上のやり繰りができる範囲ではぜひ農地法励行関係の事務費、旅費を優先確保しております。また皆様方のおかげで農業委員会法の改正によりまして農地関係の委員会の事務員の身分保障をより強化することもできました。今般また、全国農業会議所に向いましては特に農地部を設置して力を入れて全国的に活動してくれるようにずっと前から要望しておりましたが、最近やっと課を作ってくれたようであります。まだ不満でありますが、逐次やっております。しかし農地法の現行法規は全国的な農地の国家管理とか農地価格の全面的な統制を持っておりません。小作料はそう玉ありますが。そこでときどき予算折掛などいたします場合でも、あるいは干拓地の場合でありましても、自由価格と申しますか、市場価格みたいなものと、政府の未墾地農地を買収する場合のこと等に関連いたしまして、農地沖の励行がなかなかむずかしいのじゃないか、また時勢に合わない部分があるのじゃないかというプライベートな意見が述べられまして、もやもやしておるところがあると思います。これらにはなお努力をいたしまして、日本の農業に合いますような農地制度の維持にさらに努力をしたいと思っております。
○石田(宥)委員 今細田委員が質問された開墾適地の買収の問題ですが、前の委員会でもちょっと御質問申し上げたように、ことしは買収の予算が若干減額されたわけであります。これに対しては既買収地の売り払い代金等によって相当量の買い上げが可能であるという答弁があったはずです。最近農地課長会議が行われました際に、本年度の未墾地買収は従来の継続分に限って新規はこれを行わない方針であるということが明らかにされたと承わっておるのであります。そういたしますと、未墾地買収というようなものは、ことに本年度に入って買収をするようなものは、およそ数年前からの計画のもとに準備が進められて参っておるものが多いのでありまして、それを数年間準備をしてやってきて、いよいよこれから買収をするんだというような段階に入ったものが、新規は買収しないということになりますと、それでなくてさえも、先ほど問題になっておるように、地主団体等が県当局等に圧力をかけて、未墾地の買収は阻止しようとしておるときに、それに迎合するかのごとき感を持ち、また地主団体はそれをもって自分たちの要求が政治の面に現われたようなことを盛んに宣伝しておるわけです。そういう点から考えて、この問題は相当重要だと思うのでありますが、もし予算の関係でどうしてもこの新規の買収が不可能であるということであるならば、なぜ一体今まで買い上げておったものの売り渡しを急がないのか。すでに至るところにおいて買収したところの山林が、まだ農林省の所管のもとに放置されておる。これを早急に処分をして地元民の要望にこたえるならば、必ずしも私は予算の波額というものが、新規の買収ができないというような事態ではないと考える。はなはだしきに至っては、もう五年も七年も前に買収をした山林を、立木をそのままにして伐採命令すら出しておらない。地元の農民がいかに開墾すべく要請をしても、これを顧みないで放置されておるような実例が各地にあるのです。どうしても新規買い上げの対象にできないのかどうか。またそういう方針は変えられないのかどうか。そういう方針を農地課長会議に明示したということであるが、そういうことについて一つ明らかにしておいていただきたい。
○安田説明員 本年度の買収費の予算につきましては、ストックが、すなわち自創会計のすでに買いましたストックがたくさんあると申しまして、ストップと聞き間違えられましていろいろおしかりを受けた記憶をまだ持っておりますが、あわせましてそのストックの中で、不用地が相当あって開拓等にも資する、ほかの方にも資することが多いものは早く売り渡してしまう、不用地の処分を早くしてしまうことをはっきりと申し上げましたが、石田先生が今おっしゃる通りの気持でございまして、またそれが未墾地や山林、平地林の所有者等に響くような事態はよろしくないことだと思います。そういう心配が出ないようにやるつもりであります。また過般の農地課長会議では、農林省の方針というお話でございましたが、私ども農林省の現におる者がそういうふうにきめて申したことはございません。今年度の全般の当面の措置としまして、予算施行上の順位等に関係しまして、土地買収の予定地の順位のことでございますが、すでに継続しておるような既開墾地とか、土地改良事業の水路を作る場合とか、すでに三回ぐらいに分けて買う予定地の一回、二回ぐらいが済んだ、むずかしくて残っているやつがあるけれども、それをまず片づけなければだめだとか、水没農家を早く移転してもらう、農地に引き当てる土地を買う場合とか、入植農家数を四千戸と予定しておりまするものを具体的に早くやれ、こういうようなことを課長が説明したのが誤り伝えられたのだと思います。ことしでも大体特に未墾地等は政府が買収しましてから三年目あるいはそれ以後にやっと適地になって入植していただけるのでありますから、新しい土地を買収しないということはございません。
○細田委員 今年も若干の予算の減額はあったのですが、しかし先ほど部長のおっしゃったような面積を新しく買収する、ところが局があり、部長があり、局長があるから予算は取らなくちやならない、こういうので予算は取ったけれども、実際は去年はほとんどできていないのではないですか。あなたの方の予算は実際に実行されたのですか。私はこの点をまずお伺いしたい。たとえて申しますと、茨城県なんかは一昨年から水戸の近所の渡里地区という所の未墾地を県知事がごしゃごしゃやらしておいたけれども、ほかに一つも買収していませんよ。そこでその例を見るならば、どうも全国的に予算は通り、計画は立てるけれども、未墾地の買収なんというものは実際は行われていないのじゃないか、こう私は推測せざるを得ない。そこで去年の実績はどうであったか、これが一つ。いま一つは知事が公選になって、昔の官選知事のように、あなたの御承知のように、思う通りにいかないことはよくわかる。そこでさっきも利根土地改良区についての行政権の発動が可能かどうかということを特に伺ったのですが、農地の未墾地の買収について県へ幾多の適地の買収の申請はあるが、県がそれを顧みない、あなたの方は官選知事でないからなかなか思う通りにいかない。たとえて申しますと、私の茨城県なんぞは、開拓地の全国的の傾向かどうかしれませんが、営農課に直してしまう、ことさらに開拓行政サボタージュの看板を堂々と掲げて、そうして何もしない、これじゃ開拓課の職員の費用は、たしか国からいっていると思うんだが、今言う営農課の職員の給料は知らない、あなたの方で予算をとったって知らない。こういう場合にあなたの方は県へ行ってつぶさにどういうところが申請されておるか、県の取り上げ方が適当であるかどうかという検査を実行しておられるのか、そういうことはしていないのか、公選知事にまかせっきりであとはあなたまかせである、この点と二点伺います。
○安田説明員 昨年度の開拓用その他の農業開発のための予算は全部施行済みでございまして、その予算が足りないほど買収手続を進めております。最後に年度末には大分県の土地を買収するのに金が足りませんので、本年度分を予定して予約する等のことをしてもけっこうだという腹でやることにいたしました。御指摘の茨城県が一番成績の悪いところでございます。ほとんど唯一のところでございます。茨城県につきましては、渡里地区の三百数町歩を買収する予定のところが円滑に進みませんので、去年は九十三町歩までは私自身も督励をいたしまして買収したところでございます。あとの県の督励は、特別会計の運用と予算配付の状況で、配付を最初しましても具体的に買収しないところは予算がもったいないですから、要るところへ回して本省は調整をしなければなりませんので、それを通じまして随時調べておりますが、なお細田先生の御意見を伺いますると、そういう検査自身を自治体の開拓行政がこのままでよいかどうかを別個に調べる要があるかと思いますので、これからやります。
○細田委員 私局長の言うことがはっきりわかりませんが、要するにどういう開墾申請が出て、それをどういうふうに県が取り上げて、あるいはその開墾の申請が適地であるかどうか、そういう実態調査から県の取り上げ方を、直接農林省が係官を派して検査をする制度はないのか、あるいはしておるのか、それを伺いたい。
○安田説明員 さっきそれに対してお答えを申し上げましたけれども、逐一の案件を全部についてやっておりませんでしたが、予算の執行と県別の調整をする必要がある限りにおいては、従来はやっておりました。ただいま細田先生の御意見を聞きまして、別個に都道府県がその県に関して申請をどう受け付けて、どういうふうにやり、やった結果を報告するばかりでなくして、県へ出た申請をも調べるよう認めますから、そのことについてはこれからやりますと、こう申し上げておるのであります。
○足鹿委員 私は建設当局と農林省当局に農地の壊廃の問題と土地収用法の改正の問題につきまして若干お尋ねをいたしたいと思います。
 まず最初に建設省にお尋ねをいたしたいのでありますが、去る五月二十日閣議におきまして南條建設大臣の提案により、ダム、道路、飛行場などの建設に必要な土地の収用を円滑にするため、建設省の権限を拡大する土地収用法改正を検討することを了承したと伝えられておりますが、この点について両省の関係主管局長はお聞き及びでございましょうか。どのような事情にあるか承わりたいと思います。
○町田説明員 ただいまお尋ねのありました、閣議における建設大臣の土地収用法に関します発言内容につきましては、承知いたしておりません。
○安田説明員 新聞に出ましたので、農林大臣にさっそく尋ねましたが、閣議でそういうことがあった記憶がない、こういうことでございます。しかしそういうことがあるかもしれないのだから、勉強はしておくようにというので、勉強中であります。
○足鹿委員 南條建設大臣は一時ごろ待機してもらっておったのですが、他の質問が長いので、とうとう行方がわからなくなって、私も断念しておるのですが、こうなりますと、南條さん自体が当委員会に出られて、どうであったかということをお尋ねをしないと問題は解決いたしませんが、やむを得ませんので一般的に現在問題になっておると伝えられております土地収用法の改正の問題、また公有水面埋立法との関連の問題とをまず最初にお尋ねをしてみたいのであります。今度の南條建設相の提案は、直接の動機となったのは鳥取県美保の自衛隊飛行場拡張のための海岸埋め立て並びに今国会を通過いたしました高速自動車道路法に基く名古屋−神戸間の道路の建設あるいは各地のダムの建設の用地買収などが土地収用法の規定によってその町村議会の議決または知事の認可という段階を踏まなければならないために紛争が長引き、事業の着工に支障を来たしたためであると具体的に伝えられておるのであります。従って安田局長のただいまのお話では、農林大臣は記憶がないとおっしゃるし、建設省の計画局長は知らぬということでございますが、問題がこう具体的になって参りますと、これは必ず、閣議で取り上げたか取り上げなかったかということはまず一応おくとしても、今後問題になると思うのであります。
 そこで最近農林省からもらいました農地の壊廃についての第三十二年次農林省統計によって調べてみますると、許可件数が十一万五千四百七十件に及び、壊廃の面積は四千九百七十四町歩に達しておると農林省の資料は伝えておるのであります。そこでこれにさらに高速自動車道路等が大規模に建設をされ、また住宅政策の強力な推進等が行われる、いろいろな点から都市が急速に拡大していくというような点から考えますと、今後急速につぶれ地の問題は多くなってくると大体思われるのであります。そこで聞くところによりますと、農林省は農地の転用基準についているいろ検討しておるといわれますし、また建設省は土地収用法の改正等についても、これは閣議決定とは別な面において検討しておるといわれますが、その現状はどういう状態でありますか、両局長からそれぞれお答えを願いたい。
○町田説明員 土地収用法の改正についてお答え申し上げたいと思います。土地収用法につきましては各方面からいろいろの改正の要望が出ておるのでございまして、ただいまもお話のございましたように、道路、住宅等が非常に大きく建設をされることになっておりますが、いずれの場合にも一番問題になりますのは、用地の確保でございまして、その用地を確保いたしますために必要ある場合には土地収用法を発動せざるを得ないのでございますが、現在の土地収用法はきわめて手続が繁雑と申しますか、慎重に手続をいたすようになっておりますので、企業者側から見ますと、いま少しく簡素な形で土地の確保ができないか、そういう意味の改正をしてもらいたいという要望がかなり強いのでございます。他方収用をされる側からは、土地収用法では収用される者の権利の保護がなお厚くてよいのではないか、たとえば補償の基準等につきましても、いま少しく詳細に法律の中に規定をしてもらいたいというような希望もあるわけでございます。土地収用法に関しましては各方面から各様の意見がございます。それでかねてから大臣より、これらの各要望を十分検討いたしまして、もし現行法に改正を加える必要があるならば、改正の準備をするようにということは命ぜられておるのでございまして現在これらの各要望等を取り集めて検討いたしたい、準備を進めておる段階でございます。
○安田説明員 ただいまのお話、建設省の計画局長ないしはその他の方々からも、今初めて聞いたわけであります。あとは新聞で読んだのであります。また転用許可基準については予算もいただきましたので、根拠法は農地法を使いますので、すでに厳としてございます。産業の発展とか国民生活の伸張とかいろいろな見地で生活、生産その他経済の進歩に伴ったこと、相当頭に浮びますが、新憲法で財産権とか人の生活が規定せられておる建前はもちろんのこと、私どもは農林漁業の行政を担当させてもらっておるわけでありますから、他面農業土木等は企業者の立場も持っておりますが、この三者をよく考えて研究をしております。まだ申し上げる段階ではございません。
 農地の転用許可基準も全国の農地課長等に御参集を願って会議はいたしましたが、足鹿先生の御意図に反するように、無用に農地をつぶしたいという申請が出るおそれもあり、悪用されるといけませんので、まだ申し上げる段階にまで至っておりません。
○足鹿委員 これはこの間の南條構想でありますが、土地収用法を改正していく。その改正の中心は手続を簡素化していく、こういう点にあったようでありますし、ただいま計画局長のお話を聞きましても、また同様その点に中心があるように伺ったのであります。社会情勢の進歩していくにつれまして、道路なり住宅なり、あるいは工場なりまた都市の拡大ということは防ぎ切れないものでありまして、これはいかんとも現在の情勢をもってしては阻止し切れない必然的な面もあると私は思うのです。だがしかし都市の過大防止にしてみましても、あるいは農地のその他による壊廃にいたしましても、被害を受けるのはいつも農地に関係を持つものがその被害を受けるのでありまして、従ってたとえば一例を申し上げますならば、現在の土地収用法にはかえ地の土地収用権というものはきわめて手ぬるい規定になっておるようであります。たとえば収用法の八十二条でありますか、何条でありましたか忘れましたが、一応そのかえ地について勧告を出す程度というような規定になっておるようであります。かえ地に対してすももそういう状態でありますから、農民は営農の基盤を剥奪されて何がしかの、そのときとしては相当の金をもらったとしましても、遂に数年後には基地周辺の農民が土地を奪われたり、あるいはダム周辺の農民が土地を奪われたりして、あわれな末路をとげるように、結局は農業を続けることができなくなって没落してしまう、こういう実情になっておるのであります。ところがそういう相当の損失補償を受ける場合はまあまあでありますが、力のない地帯においては、損失補償も正当に要求もせず、またしても、ほとんど耳を傾けられずして泣き寝入りというような実情は枚挙にいとまがないのであります。こういう現実の情勢の中にあって収用法の権限を拡大しその手続を簡素化することに力を入れて、これと並行しなければならない当然の問題である損失の補償問題はむずかしいからあと回し、またこれに関連するか宝地の収用権等についてもタッチをしないということになりますと、これは総動員法の復活のような、きわめて権力的な一方的な法律改正になり、その適用を一歩誤まりまするならば、これは非常に大へんな事態が起きる。従って高速自動車道路法を何ぼ決議しても、農民の抵抗に遭遇して目的は達成できない。また基地の問題にしても同様といわなければならぬと思うのです。従って私は建設当局が建設大臣の構想だと言われることについては、断じて承認するものではありません。反対するものではありますが、百歩かりに譲ったとして、少くとも社会の進歩につれて農地の転用はある程度やむを得ないという立場に立ったとしても、手続の簡素化あるいは権限の強化ということに力を入れて、これに伴う総体的な措置を軽視するというような態度は、私どもとしては、どのような見地からしましても納得し、了解することができないのであります。この点につきましては、私は最近の情勢を見ておりまして、農林省に大いに奮起といいますか、元気を出して、被害者の農民の立場に立って大いに事前の研究をされて、そうしてこれは同じ政府の中のことでありますから、建設省の一方的なことにならないように、十分私は御検討を願いたいと思うのです。大体こういうことは、建設省が主管省であるからといってそこで勝手に立案されるものでありますか、あるいはこういう大きな、たった去年――おととしでありますか、法律の改正が行われたばかりでありますが、こういうふうにまた大きな改正が話題に載っておるというような場合には、関係省として私は農林省の立場はきわめて重要だろうと思うのですが、事前に何らかの、協議会を作るとかあるいは審議会を設けるとか、何らかの方法によって適正に調整をはかっていくことが私は必要ではないかと思うのです。そういうようなことについてはお考えはないものでございましょうか、両局長にこの際お尋ねしたいのです。
○町田説明員 ただいま御意見のありました点は私どもまことにごもっともと思うのでございまして、公共の利益の増進と私有財産との調整をはかるということが土地収用法の目的になっておりますので、私有財産の尊重というにとにつきましても十分考慮いたしました改正案でなければならないと思います。もし改正を要するといたしました場合には、そういう案でなければならないと思います。なお先刻お答え申し上げましたように、現在改正の必要があるかどうかということについて調査をいたしたいと思いまして準備をしておる段階であります。もちろん案等を作ります際には、関係各省、ことに農林省とは緊密な御連絡を申し上げまして進めて参りたいと思います。その方法といたしまして、関係各省間の委員会等を作りまして審議をするということも一つの方法だと思います。それらの点につきましては、今後検討いたしたいと思います。
○安田説明員 計画局長がお述べになりましたように建設省もお思いのようですから、そういうことをお願いしたいと思いますが、私どもの方から言えば、政府一体となる意味においても、また農林省固有の立場からしましても、当然立案の方針のときからお打ち合せを願いたい。また私どもが独自に考えることもよく要望をいれてもらいたい。事によりますと、内務省が廃止になりまして以来、建設省に置くのがいいかどうかということまで建設省にあることもあるように思います。東北開発促進の場合でも、東北興業の監理官が建設省にあったのは何も意味がないと思います。最近はそれが修正になりましたけれども、その他の事項でも一、二はそういうことがあるように思います。たとえば河川法は今回法律改正をしてもらいまして、農林省と十分協議を整えてから建議を実施してもらうようにいたしましたが、この前の国会で法律改正をお願いしましたけれども、そういうようなふうに、この問題も単に企業者の面から問題点をとらえてもよくない問題の一つと思います。また土地調整委員会というようなものもありまして、それらも考えていいことじゃないか。いずれにしろ、計画局長が適切におっしゃっておりますように、関係省でよく協議してやるということでございますから、私どもも非常にけっこうでありがたいと思います。今申し上げたことは、ここでそのまま建設省に申し入れてもけっこうだと思います。
○足鹿委員 それで少し具体的な問題についてお尋ねをしたいのでありますが、まず最初に農地局長に、地方的な問題で恐縮ですが、一つお伺いしたい。
 それは鳥取県の美保というところにアメリカ軍の空軍基地があった。現在は自衛隊の航空部隊が共同使用をしておりますが、この自衛隊の方で今度中海干拓計画の一番中心点になる地帯に、幅約五百メートル、長さ千メートル、高さ五メートルくらいの埋め立てを行いまして、ジェット機の滑走路の延長を計画いたしまして、これを中海の海のまん中に突き出してくるわけであります。これは一万数千町歩の中海の干拓計画を、現在調査費がつきまして農林省が調査を進めておられますが、また中海の淡水化の問題、また建設、通産、運輸等において三省間で計画が立っております地方産業都市圏の指定地にもなる候補地でございますが、そういった一連の、将来山陰地方の工業並びに新しい農業地帯として地方民はその成果を期待しておる。そのまん中に飛行場の拡充が行われようとしておる。いま一つは、飛行場の付帯設備である通信施設の拡張でありまして、その関係面積約二百四十町歩にわたるのであります。これを呉の調達局が米軍の通信施設として農地の提供を迫って、昨年の六月からもめておるのであります。ところがこのジェット機の滑走路の拡張の点につきましては、昨年の九月一日付で、自衛隊の、防衛庁当局の出先が鳥取県知事あてに、使用の許可申請を提出したことから、これが表面化いたしまして、現在非常な大きな問題になっておるのであります。問題は、この飛行場の拡充の方は農地には関係なくして海を埋め立てるのでありまして、その適用法令は公有水面埋立法に基くものであるということが、先月の十七日の建設委員会で南條建設大臣等の御答弁によってその適用条文が明らかになりましたが、その際農林省の堀技術課長も御出席願っておりまして、こういう国がすでに大計画を立て、一万数千町歩の埋め立てを計画し、また将来の工業地帯としての中海淡水化をはかり、川のつけかえを行うというようなきわめて大規模な国家的な事業が行われるそのまん中に、こういう飛行場の、しかもジェット機のF100が今後飛ぶということになりますと、航路は不安になりまするし、将来産業都市圏を建設していく上におきましても、また一般の教育を行う場合でもその騒音によるとか、いろいろな面で支障が非常に多くありまして地元民としては知事を初め、市議会も反対の態度をとって今日に至っておるのであります。こういうものが一方的に次から行われるということについて、農林当局はこの事実を知っておられるのかどうか、知ってはおるけれども、正式にまだ建設省からは相談を受けておらぬ、こういうことでございました。ところが今月の二日に小瀧防衛庁長官が郷土入りをされまして、そうして国会が済んだとたんに、国会開会中は無理なことはしないしないの一点ばりでありましたが、郷土へ入ったとたんに、美保基地の拡充は強行するのであるという意味の談話を発表いたしました。そこで地元の人たちが、その宿舎と予定されるところに、米子市の宿舎にお着きになるところべ陳情に行ううとしたところが、偽名を使って別だ宿屋へ自分はとまって、そして秘書官が大臣が指定されておった宿屋に大田の身がわりにおって、とうとう行方不明になって雲隠れをしてしまったという事件が起きた。それでこれは大へんなことになったというので、地元では非常に憤慨し――これはいずれ内閣委員会で私は小瀧さんに言おうと思っておりますが、一国の防衛を担当する者が五十人や百人の陳情にしっぽを巻いて偽名投宿をする。昔だったら警察ざたの問題でありますが、そういうことをやったわけです。これに端を発しまして、地元民は非常に激高しておりますものの、一面基地拡張は強行するであろう、こういうことに大体地元の意向が不安を感じてきたわけなんです。そこでこの際農地局長に私伺っておきたいのでありますが、そういう中海干拓あるいは中海淡水化というような大計画を、農林省みずからが調査費をつけてすでにもうスタートを切っておるときに、そういうことをやることについて正式の相談もその後受けておられぬと思うが、今後もし防衛庁がそういう態度に出てきた場合には、農林省としては技術的に見てまたいろいろな角度から見てどういうふうな御検討を現在しておられますか。これは将来のことに属するようでありますけれども、この際農地局長に当面の責任者としてお考えを聞いておきたいのです。
○安田説明員 防衛庁から正式に打ち合せを受けたり、建設省から正式にお話を受けたことはございません。昨年末堀課長が他の用務で行きました際に、中海干拓計画には支障がないと誤解されるようなことを記者に言ったとして、地方新聞に大きな見出しをつけて記事が出たことについては、技術課長ごときがそういうことを勝手にしゃべるものではないと大いに叱りつけました。なお干拓計画を推進する上においてのことと、そこへ農地ができた場合の環境というものも農業としては考えなくちゃいかぬことだから、そういう研究はしてくれ、そういうことを計画部で専心やるようにというふうに言ってありますが、私はまだ結論を聞いておりません。ただ他の場合で、これは私個人の意見でございますが、普通にいわゆる軍事基地化は全部反対というのは、防衛庁や日米安全保障条約がある場合に、私どもが全部主張を通し得るかどうかということは、必ずしもよくこたえ得ることでないと思っております。あの美保基地のことは、自主的に私どもが調べた限りにおいては、相当の計画も立っておって、ジェット基地のようでありますし、防衛庁の予算というのはわかりにくいのでしっかりわかりませんが、十億くらいことしの工事費として予算が組んであるということをひそかに漏れ聞いておる程度で、その間に処してどうしたらいいかということとか、足鹿先生がおっしゃいましたように、その議が正式に出てきた場合に、農林省に打ち合せがあった場合にどうするかは、大臣とよく相談しまして、そうでないと、当局の宝任者とおっしゃいましても一局長でありますから……。
○足鹿委員 大臣によく相談をしておいて下さい。
 それから、日本海沿岸には、このジェット基地が将来美保を含めて四つできるということなんです。第一の候補地が美保、その次が石川県の小松、それから秋田県と新潟――新潟はすでに反対運動の激しいのが起っておりまして、みなこれは農地の壊廃を伴う。小松がやや美保に似たような水面との関係がありますが、みな農地との関係があるわけなんです。これは、非常に地方的な問題でおそくまで迷惑をかけるようでありますが、美保の問題はただ単なる地方の問題ということではなしに、関連して今後各地に同様なケースというものが起るということが予想せられておりまして、農林省としても一つ十分検討をわずらわしたいという点であります。
 次にこれは建設当局にお尋ねをいたしたいのでありますが、この間五月十七日の建設委員会で私が大臣にお尋ねをした際に、水政課長さんでしたか、美保の場合には公有水面埋立法を適用するのだが、しかし測量調査等については土地収用法に基いて行うのであるという意味の御答弁もあったようでありますが、土地収用法だといたしますと、それは第何条と第何条に基いてそういうことが行われるのでありますか。その間の適用条文、また解釈等を一つこの際詳細に御説明を願いたい。
○國宗説明員 この前御答弁申し上げました関係上引き続いて申し上げますならば、土地収用法の第十一条に基きまして収用法の適用のあり得る事業につきましては、事業の準備のための調査立ち入り権があるというわけでございます。
○足鹿委員 十一条の何項ですか。ちょっともう少し詳細に言って下さい。
○國宗説明員 第十一条は、「第三条各号の一に掲げる事業の準備のために他人の占有する土地に立ち入って測量又は調査をする必要がある場合においては、起業者は、事業の種類並びに立ち入ろうとする土地の区域及び期間を記載した申請書を当該区域を管轄する都道府県知事に提出して立入の許可を受けなければならない。」これが本文になっておりまして、この場合は起業者が国である場合でありますから、国であります場合には立ち入ろうとする土地の府県知事にあらかじめ通知して許可にかえて立ち入ることができる、そういう規定になっておるわけであります。
○足鹿委員 土地収用法第十二条によりますと「前条第三項の規定によって他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、立ち入ろうとする目の五日前までに、その日時及び場所を市町村長に通知しなければならない。」とありまして別段これには罰則がないようでありますが、これとの関係はどういうふうになるのでありますか。
○國宗説明員 ただいまの十一条は、そもそもの立ち入り調査権の発生するための必要なる要件でございまして、第十二条は発生いたしました立ち入り権に基きまして具体的に土地に入ります場合に必要なる措置といたしまして市町村長に通知するわけでございます。さらに市町村長はその旨を土地占有者に通知するか、あるいは公告をするということが規定されているわけでございます。
○足鹿委員 そうしますと、この収用法の第十一条について、もし知事が許可をする場合には、その地元の市町村長あるいは市町村の議会というようなものに相談をするとかなんとかいうようなことは、他の条文、規定等でないのでありますか。土地収用法は膨大なものでありますので、私は全部よく承知しておりませんが、そういった手続の問題を一つお尋ねいたします。
○國宗説明員 第十一条に基きます土地収用法の適用を予定される事業のための立ち入りの許可につきましては、これは国の事務と考えておりまして、そうしてこの国の事務を行うについては、都道府県知事は地元諮問等の必要はない、こういう規定になっているのであります。
○足鹿委員 それはおかしいじゃないですか。公有水面埋立法の第三条によりますならば、「前条ノ免許ハ地方長官期間ヲ指定シテ地元市町村会ノ意見ヲ徴シ之ヲ為スヘシ」と規定されているわけであります。従って海面を埋め立てせんとする場合の適用本条は、当然公有水面埋立法第三条あるいは第四十何条でありますか等に基くものと私どもはやはり確信をいたしているのであります。それに基いて埋め立てをすること自体が目的でありますから、その目的を達成するために必要な調査測量等をするのであって、調査測量すること自体が目的ではないわけであります。目的の本体は埋め立てをしてジェット機の基地を拡充するということであります。その目的に従って調査測量の必要が出てくるのである。調査、測量だけを目標にしておるのではないでありましょう。従って、国の施設であろうと何であろうと、やはりその目的に付随して当然十一条というものは解釈さるべきものではないか。私は法律家ではありません。今初めてこの条文を適用するのだということを聞いて、実はちょっと驚いておるわけなんですが、常識としてそういうことになりはしませんか。そう簡単にやっていいものですか。免許自体は地方長官の許可を必要とする。海面の埋め立てば、その埋め立てをせんとする場合には、市町村議会の承認を必要とする、意見を徴することになっておるという厳重な手続があるにもかかわらず、調査、測量はやるかやらぬか、やってみるというのではなくして、もうすでに防衛庁はやると言っておるのです。この間から大臣がお国入りしてやると言っておる。そういう場合に、すでにもうはっきり公有水面を埋め立てるということを前提とし、しかも知事がそれを許可するのかしないのか、地元市町村当局が同意を与えるか与えないかということは、私どもが今関知する限りでは、ほとんどおぼつかない。そういうときに、何も必要があって十一条の適用を行なって調査するのですか、測量するのですか。これは解せぬと思うのですね。そういう解釈はどこから出るのでしょうか。
○國宗説明員 今御指摘の土地収用法第十一条と申しますのは、あくまでも事業の準備のためでありまして、準備測量、調査をいたしませんことには、果してその事業が事業として成り立つか、あるいはその計画の通り実行できるかというための調査でございまして、必ずしも直ちに土地収用法にいくというほどのことでもございませんし、土地収用法にいきますならば、非常に詳細なる手続規定を持っておるわけでございます。私ども所管しております公有水面埋立法につきましても、公有水面埋め立てのための準備調査ならばやはり土地収用法によらざるを得ないのでございまして、公有水面の免許を得たならば、公有水面埋立法第十四条によりまして、工事に必要なる調査はできるわけであります。そして公有水面埋め立ての免許を受けますためには、地元の市町村会の意見を徴する等の非常に慎重なる規定を持っておるわけでありますが、調査のためにはあくまで先ほども申し上げましたように、まず計画を作り、あるいは計画を確定するための準備でございますものですから、そのような手続になっておるわけでございます。
○足鹿委員 まだ確報を得ておりませんので、これは何とも申し上げかねますが、本日送達してきました地方紙によりますと、すでに防衛庁は測量調査を終えた、こういう報道を行なっておりますが、建設省にはそういう事実について相談がありましたかどうか。防衛庁は国の施設を行うからといって、勝手に無断で何らの予告もなしに立ち入り調査する権能が、この土地収用法のどういう条章によって与えられておるものでありますか。十一条でそういうことは可能ですか。だれも知らない。県庁も知らない。地元の市町村も知らない。ところが防衛庁の言うところによると、すでに調査は完了しておる、測量も済んでおる、こう言っておるのです。これは一体どういうことになるのでありましょう。土地収用法の第何条に基いて、そういう暴挙が許されるものでありましょうか、それを伺いたい。
○國宗説明員 本件につきましては、いまだ公有水面埋立法による正規の申請は、都道府県知事には申請されておりません。従いまして、建設省にも、この正式の手続としての相談はないわけでございます。防衛庁からは正式な手続がございませんが、実際上いかなる方針で、あるいはいかなる手続で、品いかなる法律の適用でもってやるべきかという事務取扱いについての相談は、実際上はあるわけでございます。従いまして、ただいまの準備調査が完了したという話につきましては、どの程度の準備調査であろうか、その辺につきまして私ども報告を受けておらないわけでございます。なお、調査と申しましても、実査もございますれば、図上における調査もございますし、そのあたりも必ずしもつまびらかではないのであります。
○足鹿委員 十一条の後段の規定によれば、知事の許可を必要とする。国の施設の場合には知事の許可は必要としないけれども、あらかじめ知事に通知するということになっておるのでありますが、一向知事にもそういう通知はない。私の五月十七日の質問において建設大臣は何と言われたか、速記録をお読みになればわかりますが、また十八日の内閣委員会において、防衛庁長官も、国の方針のきまらないうちは、去年の九月一日に出したような測量、調査の使用願等は今後は出させないということを言っております。はっきり速記録にそういっております。防衛庁長官もそう言っておるし、建設大臣もそう言っておられますが、にもかかわらず、調査、測量は完了したと豪語する。しかも建設省当局には何らその申請も出ておらぬ。去年の五月一日以降において正式の文書をもっての申請は出ておらない。また鳥取県知事に対しての通報もないということになりますと、これは明らかに違法なやり方ではないかと思うのですが、その点いかがですか。
○國宗説明員 まず今の調査がどの程度だか、私ども具体的に把握しておらないのであります。考えまするに、他人の土地に強制的に立ち入る場合の話でございまして、同意を得てやる場合には何ら支障はないわけであります。さらに公有水面におままする調査につきましては、これは法律上まだむずかしい問題がございますが、おそらくや国が調査いたしまするにつきましては、特別法律の措置はなくして調査できるのではないか、このように考えるわけであります。
○足鹿委員 先ほどからあなたの御見解としてそういった御意見でありますが、この第十一条によりましても、後段においては、「事業の種類並びに立ち入ろうとする土地の区域及び期間身都道府県知事にあらかじめ通知することをもって足り、許可を受けることを要しない。」とうたっておるわけでありますから、そう一方的にやれないはずだと思うのです。知事にも一応通告をしなければならない。この間十七日の建設委員会において水政課長も立ち会われて、大臣の答弁にあなたも同席しておられたはずなんです。大臣はそのとき、速記録にはっきり残っておりますが、去年の九月一日に防衛庁の出先からそういうものが県知事に出され、県知事が建設省との間に数次にわたって法解釈を行なって、これが表面化した経緯を申し上げて、今後国がまだやるともやらぬとも態度がきまらないのに、こういう調査、測量の使用願を出すのは間違いではないかということを私がただしたのに対して、それは間違いである、今後は国の態度がきまらない限りそういうことはやらせない、こういうことを防衛庁長官も建設大臣も同様に御答弁になっておるのです。そうすると、あなた方の方にもその後防衛庁からは全然連絡もない、県知事にもないということになりますと、これは一体どういうことなんですか。防衛庁が建設当局にも相談をしない、中海干拓や淡水化の重大問題をかかえた農林当局にも正式には相談がないということになると、これは防衛庁の独断で、あるいは小瀧さんの一人よがりの言かは知りませんが、いずれこれはただすべきところでただしますから、別に他のことについてはあなた方は御心配する必要はないのです。今申しますことは、建設省に相談があったか、何らかの通知があったか、またこの十一条関係によっては、建設省には何らそういうことを相談する必要はないのか。公有水面埋立法との関係と十一条との関係、その他適用の条文がありまするならば、それとの関係においていま一応明らかにしていただきたい。
○國宗説明員 事業の実施と調査の方針等につきましては、先ほど関係大臣から御答弁申し上げた通りでありますが、公有水面埋立法の免許を得る前の調査の手段としましては、先日の五月十七日の建設委員会で私が説明申し上げましたように、やはり収用法の許可にかかわる国の事業でございますから、通知でもって調査権を得て調査いたすことが、他人の権利を侵害いたします場合つまり他人の土地等に立ち入って調べる場合には、適当な法律上の解釈であることはこれは間違いないわけでございます。ただこの前に申し上げましたように公有水面、つまり海面につきましてはこれはおそらく争いがある問題であろうと思いますが、こういう場合にも少くとも公有水面埋立の許可を得る前提でもって調査する調査でございまして、その場合におきましても慎重を期することはもちろんけっこうでございますが、公有水面は許可を得なければ調査ができないかということにつきましては必ずしも許可を得なくてもできるのじゃないか、このように考えるわけでございます。
○足鹿委員 押し問答ですから、建設省には防衛庁から具体的な連絡があったかなかったかという、そういう具体的なことを一つ簡潔に御答弁願いたい。局長でもけっこうです。
○國宗説明員 建設省には公有水面の手続に乗った手続としての相談はございません。県にも私らの方の報告によりますとまだ受理はいたしておりません。調査につきましてそのような通知を受けたかどうかは、実は私の方の局自身の所掌ではございませんが、私の方は少くとも聞いておりません。
○町田説明員 土地収用法関係の十一条に基く通知を都道府県知事にしたかどうかにつきましてはつまびらかにいたしませんが、建設省にはともかく直接何らの連絡はございません。
○足鹿委員 大体明らかになりましたが、建設当局のお考え方としては、当然都道府県知事に通知を行うと同時に、関係の深い行政官庁として何らかの通告があるべきものと思量せられるかどうか。なくてもいいものですか、その辺の解釈はどうですか。
○町田説明員 この十一条に規定いたしてございます他人の占有する土地に立ち入って測量または調査をいたしておるとしますれば、これは当然十一条に基いて都道府県知事に通知をして行うべきものでございますから、そういう手続がなされておらなければならないと思います。十一条に該当いたしまして他人の占有する土地に立ち入って測量または調査をいたしておるとしますれば、この手続が必要であったと思います。なお建設省への連絡は土地収用法に基いては必要でございません。
○足鹿委員 どうもありがとうございました。大へんおそくなりますので、これ以上申し上げるのは恐縮でありますが、最後に質問を終るに当りまして農林、建設両当局に、今まで私が述べた点について、私は反対とか賛成とか、そういうことではなしに、純粋の一つの法解釈やあるいは行政官庁間における連絡の問題や、あるいは手続や適用条文等の点についてただしたわけであります。いやしくも国家目的が――私はいろいろこの自衛隊の基地拡張については議論を持っておるものであります。もちろん反対の議論を持っておるものでありますが、そういう議論をここでしてみたところで、それはあなた方との間の議論にはなりませんし、ほかの場面の問題であるから申し上げませんが、少くともこうしたことについては疑義のない、問題のない事態であれば、少々適用の条文を誤まったり解釈を間違えても、これは問題はございません。しかし地元は生死の関頭に立ち、砂川よりもより以上の流血の惨を起すか起さぬかという重大な問題なのです。従ってこの問題については、法の適用とかあるいはその他については、事務当局として賛否とかということではなしに、純粋の解釈なりあるいは手続等について十分慎重な態度をもって臨まれることを私はこの際申し上げておきたいと思います。特定な立場に立つということではなしに、純粋に事務的な立場に立って判断をされ、今後の取扱いを――もし措置を必要とする場合にも取扱いをしていただきたいということを終りに申し上げて私の質問を終ります。どうもおそくまで済みませんでした。
○細田委員 さっき私申し上げた未墾地の買収について、先ほど農地局長からもありましたが、全国的に見てまれな不成績な県、茨城県の知事、農地部長等を当委員会へ参考人として適当な、なるべく早い時期に御喚問下さるよう委員長においてお取り計らいをお願いいたします。
○小枝委員長 細田委員の御発言につきましては理事会に諮りましで適当な処置を講ずることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十七分散会