第026回国会 予算委員会 第6号
昭和三十二年二月十五日(金曜日)
    午前十一時四十一分開議
 出席委員
   委員長 山崎  巖君
   理事 江崎 真澄君 理事 川崎 秀二君
   理事 河野 金昇君 理事 小坂善太郎君
   理事 重政 誠之君 理事 川俣 清音君
   理事 柳田 秀一君
      今井  耕君    植木庚子郎君
      宇都宮徳馬君    太田 正孝君
      小泉 純也君    河本 敏夫君
      坂田 道太君    周東 英雄君
      須磨彌吉郎君    楢橋  渡君
      野田 卯一君    橋本 龍伍君
      福田 赳夫君    船田  中君
      古井 喜實君    松本 瀧藏君
      三浦 一雄君    山本 勝市君
      井手 以誠君    今澄  勇君
      勝間田清一君    河野  密君
      小松  幹君    田原 春次君
      成田 知巳君    西村 榮一君
      古尾 貞雄君    森 三樹二君
      矢尾喜三郎君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣臨
        時代理     岸  信介君
        大 蔵 大 臣 池田 勇人君
        農 林 大 臣 井出一太郎君
        運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君
        国 務 大 臣 田中伊三次君
 出席政府委員
        内閣官房副長官 北澤 直吉君
        法制局長官   林  修三君
        大蔵事務官
        (主計局長)  森永貞一郎君
 委員外の出席者
        専  門  員 岡林 清英君
    ―――――――――――――
二月十二日
 委員山口喜久一郎君、小平忠君、島上善五郎君
 及び森三樹二君辞任につき、その補欠として八
 田貞義君、栗原俊夫君、滝井義高君及び横錢重
 吉君が議長の指名で委員に選任された。
同 日
 委員八田貞義君、栗原俊夫君及び滝井義高君辞
 任につき、その補欠として山口喜久一郎君、小
 平忠君及び島上善五郎君が議長の指名で委員に
 選任された。
同月十三日
 委員井手以誠君、今澄勇君、小平忠君、河野密
 君、西村榮一君、古屋貞雄君及び横錢重吉君辞
 任につき、その補欠として井岡大治君、横路節
 雄君、栗原俊夫君、田中武夫君、井上良二君、
 北山愛郎君及び森三樹二君が議長の指名で委員
 に選任された。
同 日
 委員井岡大治君及び森三樹二君辞任につき、そ
 の補欠として井手以誠君及び岡本隆一君が議長
 の指名で委員に選任された。
同 日
 委員岡本隆一君辞任につき、その補欠として森
 三樹二君が議長の指名で委員に選任された。
同月十四日
 委員山口喜久一郎君、井手以誠君、井上良二
 君、井堀繁雄君、勝間田清一君、北山愛郎君、
 小松幹君、島上善五郎君、田原春次君、森三樹
 二君及び横路節雄君辞任につき、その補欠とし
 て山下春江君、河野密君、今澄勇君、平田ヒデ
 君、岡本隆一君、古屋貞雄君、森本靖君、堂森
 芳夫君、横山利秋君、片島港君及び春日一幸君
 が議長の指名で委員に選任された。
同 日
 委員山下春江君、今澄勇君、春日一幸君及び田
 中武夫君辞任につき、その補欠として山口喜久
 一郎君、横路節雄君、滝井義高君及び井手以誠
 君が議長の指名で委員に選任された。
同 日
 委員滝井義高君辞任につき、その補欠として井
 上良二君が議長の指名で委員に選任された。
同月十五日
 委員井上良二君、岡本隆一君、片島港君、栗原
 俊夫君、堂森芳夫君、永井勝次郎君、平田ヒデ
 君、森本靖君、横路節雄君及び横山利秋君辞任
 につき、その補欠として西村榮一君、勝間田清
 一君、森三樹二君、小平忠君、島上善五郎君、
 成田知巳君、井堀繁雄君、小松幹君、今澄勇君
 及び田原春次君が議長の指名で委員に選任され
 た。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和三十一年度一般会計予算補正(第1号)
 昭和三十一年度特別会計予算補正(特第1号)
    ―――――――――――――
○山崎委員長 これより会議を開きます。
 昭和三十一年度一般会計予算補正(第1号)及び昭和三十一年度特別会計予算補正(特第1号)を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 柳田秀一君より発言を求められております。この際、これを許します。柳田秀一君。
○柳田委員 去る一昨日の予算委員会第三分科会でわが党の井上、横路両君から井出農林大臣に三十年度、三十一年度の食管会計の赤字の問題について質問いたしましたところ、井出農林大臣は十三日には三十年度赤字三十四億、三十一年度赤字百六十一億は、三十二年度の補正予算において一般会計から繰り入れる、こういう御答弁をされたのであります。
 そこで、わが党はさっそくに政府に申し入れをいたしました。その要旨は、三十二年度本予算審議中に補正予算提出を既定の事実とするようなことは、本予算審議を無視するもはなはだしい。補正予算提出が予定されておる以上は、政府は直ちに三十二年度本予算の編成がえをすべきではないか。第二は食管赤字処理に関連して、消費者米価引き上げの問題は特別調査会の答申を待って処理するとのことであるが、本問題の重要性にかんがみて、衆議院において予算審議中に正式態度を決定して、予算委員会に臨むべきであるということを、岸首相代理に申し入れをしたのであります。
 ところが翌十四日、昨日同第三分科会で井出農林大臣から発言を求められて、十三日の発言を訂正されました。その要旨は三十年度、三十一年度の赤字はこれを消費者に負担せしめることなく、政府の責任において食管会計の特別調査会の結論を待って善処したい、こういうことであります。そこでさらに井上、横路両君から追及いたしました結果、農林大臣は、農林当局としては一般会計から繰り入れるようにしたい。というのが善処のさらに突き詰めた内容であります。私たちはこれ以上まだ政府の態度はわかっておらぬのであります。従ってここに農林大臣及び大蔵大臣から善処とはいかなるものか、善処の内容はどういうものかということをお尋ねしたいと思うのであります。
○池田国務大臣 食管会計の予算の措置につきましては、一応私からお答え申し上げたいと思います。
 御承知の通り、米価問題につきまして政府においては特別調査会を設けまして、食管会計の合理化について根本的に検討するという建前になっております。私はその結果を見まして、昭和三十年度の赤字、三十一年度の赤字見込額等を処理したい考えでおったのであります。その後いろいろ議論がございまして、決算の確定したものについては補正予算を組んだらどうかという有力な意見がございますので、では決算の確定いたしました三十年度赤字三十四億円につきましては、第二次補正でこれを埋めることを考えようということに決心いたしました。
○柳田委員 三十年度の分は第二次補正によって一般会計から繰り入れる、さようでございますね。ところが三十一年度の百六十一億はいかが相なりますか。
○池田国務大臣 三十一年度に生ずべき赤字はまだ決算も確定いたしておりませんので、私はこの際は補正予算を組まず、特別調査会の結論を待って適当な処置をいたしたいと考えております。
○柳田委員 特別調査会の結論を待ってということでありますが、この問題はまたあとにも譲りますけれども、特別調査会は食管会計の根本的の検討をされると思うのであります。井出農林大臣は、消費者には負担せしめぬということなのですが、それでは三十一年度の百六十一億も特別調査会の結論を待って、と一応そこまで折れましょう。結論を待ってそれで百六十一億全部が埋まるわけじゃありませんが、一般会計から何らかの措置を補正としておやりになるのですか。
○池田国務大臣 三十一年度におきまして赤字が幾ら幾らと決定いたしましたならば、それは財政上、予算上措置せざるを得ますまい。その場合においてどこから措置するかということになりますと、御承知の通りほかから持ってきようはないのでございまして、一般会計で将来考えるということになると思います。
○柳田委員 これまた重大でありまして、三十二年度予算を審議しておるときに、今の言葉から出てくるものは特別調査会の結論を待つ、ほかからどこからも持ってくるところがないから、まずまず一般会計から繰り入れざるを得ぬということは、三十二年度においては一般会計から繰り入れて食管会計の補正は出さざるを得ぬということを、言外に大蔵大臣は御答弁になったと思うのです。これはまた重大であります。こういうことになってくると、私たちは昭和三十二年度本予算を審議しておることはナンセンスになってくる。われわれが政府に申し入れた第二項がそれなのです。なぜそれならばはっきりと昭和三十一年度の百六十一億を昭和三十年度の三十四億とともに今度の第二次補正で組めないのですか、その根拠を一つお示し願いたい。
○池田国務大臣 御承知の通り、特別調査会の結論が出ませんと、どれだけの赤字になるかわからないのでございます。しかも決算は確定いたしておりません。従いましてそれが確定いたしましてから措置をすることが適当だと思います。
○柳田委員 特別調査会というものは、これは法的根拠もないものであります。われわれは憲法によって国権の最高機関として予算を審議しておる、どちらが重要に見られるのでありますか。
○池田国務大臣 欠損の幾ばくかを確定いたしまして措置することが適当と私は存じます。
○柳田委員 しからば私は池田大蔵大臣にお尋ねいたしますが、三十年度三十四億の赤字が出ました。しかしこの赤字は三十年度においては一応補正で処理されておった。そのことは第二十四国会、昨年の二月の国会で政府は補正予算を出してこられました。その説明を一つ今から読んでみます。食糧管理特別会計は三十年度末において百六十七億円の損失が見込まれるが、この特別会計における損失は一これからが大事ですよ。三十年度において処理し、三十一年度においては厳に収支の均衡を確保する方針のもとに、こういう方針のもとに二十六年から出ましたところのインベントリーから巨億を食いつぶして、一般会計からその足らずまえの六十七億を埋められて処理する。その結果なおかつ決算帳じりにおいては三十四億の赤字が出た。これは大蔵大臣から言わすと、それは前内閣がやったことだ、河野君と一萬田君のやったことだと言われるかもしれませんが、ここに書いてある、三十年度は三十年度において処理し、三十一年度においては厳に収支の均衡を確保するというこの方針は、たといどのような内閣にかわろうとも、これは根本の一貫した原理でなければならない。そのことは財政法第十二条の会計年度独立原則というもので、財政法十二条の精神としてこの会計年度独立原則がどの内閣であろうとこれは続いておるのです。たとい内閣がかわったからといっても、こういうような財政法の根本原理というものは貫かなければいかぬ。河野農林大臣と一萬田大蔵大臣、その当時の両州はさすがにこの財政法の精神によって、見込まれるところの赤字の百六十七億をちゃんと処理された。ところが三十一年度は百六十一億の赤字がちゃんとはっきり出ることは、あなた方はこの予算説明ではっきり申しておられる。それがもう見えておるにもかかわらず、これをほおかむりして、そうして何ら法的根拠も何もない調査会の結論を待っているということはどういうことですか。
○池田国務大臣 特別調査会に法的根拠があるないの問題と、補正予算を組む組まないの問題とは違います。補正予算を組む場合におきまして、昭和三十二年度におきまして、決算上非常な動く要素のあります場合におきまして補正予算を組まないのが私は至当だと思います。しからばさきの内閣において補正予算を組んだ理由は一応あの予算でとんとんと申しますか、赤字はこれでないものという見通しがついたからそこで処理をいたしたのであります。三十二年度におきましては、御承知の通り食管会計の合理化について根本的検討を加えるという前提でありますがゆえに、今回は補正予算を組まなかったのであります。
○柳田委員 われわれは今予算の審議をしておるのであって、決算を審議しておるのではありません。これは大蔵大臣の御存じの通りです。そこで百六十七億にいたしましても、やはりこれでとんとんになるという見通しのもとに、三十年度は三十年度において処理をいたそう、そうして決算じりを見ればなお三十四億の赤字になった。これはやはり筋を通しておられた。あなたの態度はそういうような財政法の根本精神を全然無視されておる、すなわち三十二年度において多少動いてくるかもしれないということでやろうというのでしょう。会計年度独立の原則というものは、後年度の歳入をもって当該年度の経費を支弁してはならぬということが原則なのです。そうでしょう。後年度の歳入をもって当該年度の経費を支弁してはならぬというのが会計年度独立の原則なのです。これが十二条なのです。あなたは先般の十億円のつまみ金の問題にしてもこの問題にしても、すべて財政技術の問題でほおかむりをされようとしておる。やはり大蔵当局というものは、もう少し予算を編成して国会に審議を仰ぐ以上は、筋を通してこなければいかぬと思う。ただ表面を糊塗するというだけでは相済まぬと思うのです。重ねてお伺いします。
○池田国務大臣 特別調査会の結論によりましていかように出るかわかりませんが、百六十一億ということは、私は正確な数字じゃない、相当動くのではないかと思います。従いましてそういう非常な強い要素を持っております数字は、これを補正予算で組まなくても決して財政法の極言に反するものではございません。
○柳田委員 そういうような百六十一億が正確な数字でないというものを、どうしてこの予算の説明に、あるいはあなたの御説明に出されるのですか。動くというなら、その動く根拠を示して下さい。
○池田国務大臣 消費者米価というものが今のままでいくというときには、一応こういう程度のものになるかもわかりません。しかしもし万が一にも消費者米価が動いた場合におきましては、その数字は動くのでございます。しかし私はその場合において動くか動かぬかをここで申し上げるわけじゃございませんが、そういうような非常なアンノン・ファクターを持っておりますので、この際は決算によって措置しても、財政の原則をこわすものじゃないという考え方から措置いたしたのであります。
○柳田委員 そうすると、今の大蔵大臣の答弁をもう一度要約いたしますと、百六十一億は米価の問題が、これは米価がこのまま動かなければ百六十一億は動かぬが、万が一にも米価に多少効きがあれば、この百六十一億もアンノン・ファクターになるのだ、こういうことですね。そういたしますと、農林大臣が分科会で言われたのは、三十年度、三十一年度の赤字に対しては、消費者に負担せしめることなく、政府の責任において善処するというこの答弁と、あなたの答弁とは食い違っておるじゃありませんか。
○池田国務大臣 三十年度は確定いたしております。しかし三十一年度につきましては、今のままで繰り越しの三月三十一日をやればよろしゅうございますが、その米が三十二年度へ参りますから、そこでアンノン・ファクターが出てくるというのであります。しかも血管会計におきまして根本的な合理化策を講ずる場合におきまして、私は将来の食管のあり方につきましていろいろな議論が出てくると思います。その場合にこれは米のための赤字か、あるいは農産物価安定法の赤字か、いろいろな点がございますので、この際はこれを補正予算を組まない方が適当と考えたのであります。
○柳田委員 だんだん話がおかしくなりまして、最初池田さんは米価がこのままならばなるほど百六十一億は動かぬが、米価が多少なりとも万が一にも動いた場合には、これは動いてくる、こう言う。そこで突っ込んでいくと、アンノン・ファクターというものを説明になった。これはなるほど食管会計はいろいろと要素がございましょう。たとえば生産者米価もそうでしょう。消費者米価もそうでしょう。あるいはそのほかに輸入米麦の買付量もそうでしょう。輸入米麦買付価格もそうでしょう。そのほかいわゆる中間経費と称せられるものも、そのファクターの一つでしょう。あるいは食糧庁や食糧事務所の人件費、事務費もその一つのファクターでしょう。そういうようなもろもろのファクターはよくわかっております。さらにまたかりに調査会の結論を待って消費者米価が一升百九円のものを百十七円五十銭に、八円五十銭上げるとしても、これは実際上はできませんけれども、四月一日からこれを上げるとするならば、現在食糧庁手持ちの米の評価益によって、八十億ほど四月一日から赤字が減るということは、われわれは昨日分科会で承わりました。そういうことはよく存じております。しかしながら井出農林大臣が言われたのは、三十年度、三十一年度の赤字は消費者に負担せしめることなくして、これを政府の責任において善処したいというのと、あなたが言われるように米価がそのままならば百六十一億は動くまいが、米価に多少なりとも、万が一にもこれが変動がある場合には動いてくるということは違うじゃありませんか。井出農林大臣にはっきりそれをお伺いいたしますが、あなたは三十年度、三十一年度の赤字に対しては、消費者に負担せしめることなく、政府の責任において善処したい、こうおっしゃいましたが、それはその通りでありますか、もう一度確認いたします。
○井出国務大臣 お答えいたします。お尋ねの三十一年度赤字と申しましたものは、その際も若干の可変的要素はある、こういうことは申し上げてあるつもりでございます。従いましてこれが過去にできた赤字であるとこういう意味においては、消費者に負担をさせてはならないものであろう、こういう意味で申し上げた次第でございます。
○柳田委員 だから過去に生じた赤字は、大蔵大臣は今度は消費者には負担せしめない、過去に生じた赤字百六十一億、これを調査会の結論に待つということは、結局これは消費者の負担になってくる。消費者米価の引き上げ――そのほかの中間経費だ何だというものは知れたものです。大蔵大臣の答弁とやはりそこが違います。調査会の結論を待つまでもなく、百六十一億は一応ここで処置されて、河野農林大臣や一萬田大蔵大臣がやられたように処置されて、さらに決算じりを見た上において今度の三十四億の補正のごとく処置されるなら、これはわかる。もうすでに百六十一億というものは出ておるのに、なおかつそれを今度わざわざ三十四億補正されるのに、なぜそのついでにおやりにならないか、どうしても私にはその根拠がわからない。もう一度明確にお答え下さい。
○池田国務大臣 従来とは違いまして、先ほどから申し上げておりますように、特別調査会で根本的に合理化方策を講ずることに今度はなっておりますので、その結果を待って決算が確定してからやっても、私は財政法に反するわけでもございませんし、それがこの際としては適当だと考えたのであります。
○柳田委員 それでは大蔵大臣、特別調査会の結論を待って、アンノン・ファクターのうちで一番動くところは何ですか。
○池田国務大臣 結果を見なければどうかわかりませんが、いろいろあると思います。
○柳田委員 そういうような誠意のない答弁では、われわれは予算の審議はできませんよ。少くとも百六十一億が多少動くとするならば、そのアンノン・ファクターのうちでどれが一番動くのか、それくらいのことはあなたわかるでしょう、おっしゃって下さい。あなたの腹では、それは申すまでもなく消費者米価の値上げです、それはわかっておる。口から出なくても、それはそう思っておられるでしょう。しかしながら、それをただごまかしただけでは通りませんよ。やはり何といったって、そのうちで動くのは消費者米価ですよ。だから、それが現在手持ちの評価基準によって違うから、そういうようなファクターがあるから、この際百六十一億は処置せぬ方がいいだろう、こうでしょう、そうじゃないですか。あなたが正直だということが売りものならば、これくらいのことは正直にお答えなさい。
○池田国務大臣 どれが一番動くかということは、やはり調査会の方々がお考えになった決定を見なければ申し上げられません。
○柳田委員 いやしくも責任持って内閣を構成して、しかも食管会計というものを預っておって、その調査特別委員会の結論を待たなければ全然わからぬというような、そんな無責任なことで責任ある内閣がどうして担当できますか。
○池田国務大臣 私は調査会の結論を待って、そして決算確定して処置してもいいと考えておるのであります。もちろん赤字で繰り越す場合もございますし、あるいは一萬田大蔵大臣がおやりになったように、一応想像で埋めていく場合もあります。昭和二十九年には赤字のままいっておる例もあるのであります。ことに今年は先ほど申し上げますように、根本的な再検討を加えようというときでございますので、その結果を待って、決算確定によって処置して差しつかえないと考えております。
○柳田委員 それではさらに突っ込んで聞きましょう。輸入米麦の買付量、輸入米麦の買付価格、食糧庁及び食糧事務所の人件費、事務費、食糧維持管理の管理費、そのファクターだけで百六十一億が埋まると思いますか、埋まらぬと思いますか。どうです。
○池田国務大臣 今まで食糧管理特別会計の赤字のおもなものは米の赤字が相当ございますし、また外麦につきましての黒字が相当ございますし、お話の通りに金利、倉敷料、事務費等もございますが、そういうものによってかなり動くのでございます。従いましてそういう点もありますし、またいろいろな消費者価格の問題等もございましょうが、私は財政当局といたしましては決算確定を待って、特に今回のように根本的に再検討をするというときでございますから、補正予算を組まないで、赤字のままでやって差しつかえないと考えておるのでございます。
○柳田委員 そうすると決算確定を待ってということは、七月にならなければわかりません。五月末日に打ち切って七月にならなければわかりません。そうですね。そうすると特別調査会というものはいつごろに内閣に答申があるというのか、内閣はその結論を待つのですか。大体の目安はいかがですか、総理大臣から……。
○岸国務大臣 お答えします。本日の閣議でこの調査会を置く構成等もきめたのでございます。できるだけ早く結論を得たいと思っております。しかしあらかじめいつまでにこれを得るということは、予定することはちょっとむずかしいと思います。
○柳田委員 あなたも昨日わが党から申し入れした趣旨は御承知だと思います。もう一皮読んでみます。政府は食管会計赤字処理に関連する消費者米価引き上げ問題は、特別調査会の答申を待って処理するとのことであるが、本問題の重要性にかんがみ――本問題の重要性というのは、こういうような消費者米価の問題は給与べースに響き、一般物価にも響く、従って三十二年度予算案全体に響くのです。こういうような本問題の重要性にかんがみ、衆議院において、本院において現在審議しておる予算審議中に政府の正式態度をきめて予算委員会に臨むべきである、こういう申し入れをいたしましたが、これに対しては何ともお答えしかねる、こういうことですが。私たちは石橋総理が御病気中であろうと、そうしてまたその施政が針演説でも一月の末から二月の四日に延ばし、さらに予算委員会でもあなたの代理のもとにこうして審議に協力いたしてきております。われわれ野党にも、野党は野党なりにやはり協力の限度がありますよ。政府がこのような無責任な態度でおられるならば、われわれはこういうような三十二年度本予算に全部関係あるところの消費者米価の決定を見るまでは、予算の審議はできない、従ってどうしたところで調査会の結論は衆議院の予算審議中に出さなければわれわれは審議できない、こういうように野党は野党なりに善処しますが、それでよろしゅうございますか。
○岸国務大臣 昨日今お読みになりましたような社会党からの申し入れを確かにお受けしました。答弁申し上げましたようにこれをまじめに真剣に、できるだけ早い機会にその結論を出したいと思っておるのでありますけれども、しかし必ずしもいつまでにするということを、こういうことの性質上お約束することはできないと思います。
○柳田委員 私たちは条理を尽してお尋ねしておるのです。何も無理を言っておるのじゃない、ことしは自然増収もあるわけなんです。だから河野農林大臣や一萬田大蔵大臣がおやりになったごとく、とりあえず百六十一億を処置されたらどうですか。そうして百六十一億帳じりを合わして、とんとんにしておいても、決算じりにおいてなおかつ赤字が出たならば、また補正の道もありましょう。そのとき黒字になったらけっこうなことです、そうでなくても食管会計を食いつぶしてきておる、インベントリーすらも食いつぶしてきている。そうなってくると、ますます窮屈だ。しかも来年度においては、消費者米価の値上げをしようと言っておるのです。そういうときには、食管会計が苦しいよりも楽な方がまだいいのです。一般会計から百六十一億入れて、多少なりとも楽にしておいて、その上において避くべからざるところの消費者米価の問題を考えるならよろしいけれども、消費者米価の値上げを見込んでおいて、そのために百六十一億組まぬというのは、食管会計を健全にやるというのでなしに、消費者米価の負担によってどうにか百六十一億をごまかし切ろうという魂胆だと思いますが、井出農林大臣、あなたは率直な方ですが、和田さんに対する答弁でも、三十年度、三十一年度補正において組むように大蔵大臣もはっきりそう言っております。そういうようにあなたは言っておるのです。だから予算委員会においても失言でなしに、横路君や井上君の質問に対しては、その本心を暴露している。閣内においてもほとんど意見が一致しておらないのです。考え方が違うのです。ただ大蔵当局としては、何とか財政上の措置で抜け切ろう、こういうのです。もっと筋を通しなさい。筋を通されるならば、われわれ野党として協力しましょうというのです。どうしてことし百六十一億円の赤字埋めができないのか。財政法の精神であるところの会計独立の原則によって、三十二年度、後年度において生ずる歳入で三十一年度の経費をまかなってはいかぬのです。これは原則なんです。そういうことをやろうとしておる。たとい特別会計であろうと一般会計であろうと、この原則は同じです。内閣がかわろうと同じなのです。だからお出しなさいと言っている。どうして出さないのですか。岸さんは首相代理としてどうお考えになりますか。
○岸国務大臣 この問題につきましては、財政当局と、食管の直接の責任者である農林大臣との間に、よく話し合いをいたしまして、先ほど来両相が答弁をしていることで私はきわめて明瞭であると思うのです。大蔵大臣も農林大臣も、三十一年度に生じたところの赤字を消費者に負担させるということはしたくない。しかし、今見込んでおるいわゆる百六十一億の赤字なるものは、正確に言うと、決算が済まないと相当動くおそれがあるのだから、従って決算を待って、これに対する処置を政府としては考える、こういうことを申しておるのでありまして、私はその点においては両相の意見も矛盾しておらない、こういうふうに思っております。
○柳田委員 動く材料というのは、消費者米価なんです、その問題がきまらぬものだから、池田大蔵大臣は苦しい答弁を続けておる。あなたを総理に推すときには支持された河野さんや一萬田さんの内閣のときには、はっきりと、決算じりを待つまでもない、当該年度のことは当該年度で解決いたしますと、三十一年度においては、こういうような収支均衡を確保するというために、一応百六十七億をちゃんと埋められたのです。そういう筋を通しておられるのです。ところが今度、財政の権威である池田さんは、過剰自信といいますか、自信があるものだから、ごまかしで、操作でいこうとするのだ。あなたはどっちが正しいと思いますか、どうですか。
○岸国務大臣 同じことをお答えして御満足いかぬかと思いますけれども、私は先ほどの答弁を繰り返すほかはないと思います。
○柳田委員 それでは大蔵大臣にお伺いしますが、三十年度の三十四億は補正で出すと言われましたが、いつ出されますか。
○池田国務大臣 ただいまのところ、第二次補正につきましては、義務教育費の負担の増加とか、軍人遺家族の恩給の増加とか、あるいは戦傷病者に対する措置等八、九十億円の補正予算を見込んでおるのであります。また沖縄の方々に対しましての措置等もございますので、三十四億円の分は、ただいまお答え申し上げましたように、三月の上旬くらいには一応組みたいと思います。
○柳田委員 三月の初めだという。そうすると三月の初めになるということは、なおまだそこまで計数が事務的に進んでいない、こういうように了解してよろしゅうございますか。
○池田国務大臣 今各般の問題につきまして検討いたしております。非常にこまかいものもございます。ことに沖縄の方々に対しましては、在外財産等の問題とも関連いたしますので、一群おくれるものはそれじゃないかと思っております。
○柳田委員 わかりました。本来ならば、総理の御病状で予算審議がおくれ、また内閣の予算提出がおくれて、予算審議の期間は短かいですから、補正予算を第一次、第二次とこまぎれに出すべきじゃないと思います。百歩譲って、大蔵大臣の言われるように、なお未確定要素もあるからおくれるというならわからぬことはない。しかしながら三十年度は決算が済んで確定しているでしょう。第一次補正のときにどうして出してこられないのです。わざわざ三月まで待つ必要はない。確定しているのですから、今お出しになったらいいじゃないですか。
○池田国務大臣 先般申し上げておりますように、特別調査会がございますので、今までの赤字はずっと繰り越してやっても差しつかえないので、三十一年度分と一緒に三十年度分も処置するつもりであったのであります。しかるところ、皆さんの御意見もありますので、これは決算確定いたしておりますから、第二次の補正で出すことにいたしたいと思っております。
○柳田委員 そういうふうに、大体大蔵当局は、最初においては財政法の精神も何もかもじゅうりんして、三十年度決算の確定したものまでも三十二年度に持ち越そうとされた。そうしてわれわれ野党の追及にあって、あわてふためいて閣議を開いて、補正を出しますということになった。この前の在外資産の問題でもその通りであります。一貫した精神は一つもない。ただ国会を乗り切ればいい、こういう考えで進んでおられる。こういうふうに確定している。しかも現にわれわれは補正予算を審議している。きょうの議題は補正予算である。もうすでに三十年度の決算で確定した三十四億を出すというならば、この補正予算を修正して出してきなさい。これは当然でしょう。補正予算を修正してお出しになる気持がありますか。
○池田国務大臣 第二次補正予算を予定いたしておりますので、そのときに一緒に処置して差しつかえないと思います。
○柳田委員 わかりました。それならば、われわれといたしましても、この第一次補正は、第二次補正が出てくるまで待ちましょう。だから政府の方でどうぞ十分に善処して下さい。われわれの方では、第一次補正の審議は、第二次補正が当然出てくるのですから、それまでお待ちいたします。どうぞその間に十分計数を整理して、御善処願いたい。
○池田国務大臣 第一次補正は、その内容が示しますがごとく、財政投融資の関係がございますので、一般会計の予算と同時に出すことが適当であると考えたから出したのであります。しかしてこういう問題につきましては、第二次補正を予定いたしておりますし、それから三十年度の赤字につきましては、先ほど来申し上げましたように、当初は三十一年度一緒に処理するつもりでおったので、本補正予算第一号につきましては入れなかったのであります。
○柳田委員 政府の方でも、当初は三十一年度と一緒にやるつもりだったが、野党の追及で三十年度だけは先に出すとおっしゃるならば、それはいいのです。なお今度は四百億を出される。産業投資特別会計の三百億と地方財政の百億出された。だから第一次というか第二次というか、あるいは今度第二次を出されても、それは予算編成上においては第一次、第二次というナンバーがついても、出す期日は同じくらいに出されたらいい。われわれはこの短かい審議期間に、わざわざ補正予算を審議しておるのですから、今確定要素であるところの決算の帳じりが済んでおるものでもおなかつ補正予算をお出しにならぬのなら、あなた方の第一次補正を修正されるか、修正できぬのならこの第一次補正の審議は第二次補正が出るまで、しばらくの間政府に猶予を与えますから、どうぞその間ゆっくりと審議されて善処されたらよろしい。そのどちらかですよ。われわれが言うように第一次で修正をされるか、さもなければわれわれは政府が第二次を出されるまでの間、計数整理の時間を与えるように善処したいと思いますが、どちらですか。
○池田国務大臣 一応第一次として出しておりますので、これを早急に御審議願いまして、そうして三月上旬には第二次として出しますから、この分は一つ早急に御審議願えれば幸いだと思います。
○柳田委員 政府の方はそれでいいが、私たちはそうは参らぬということをはっきり言っておる。あなたの方でそういう確定要素すらお出しにならないのならば、第二次が出るまで私たちは政府にこれに対する計数整理の時間を十分に与えますから、その間第一次審議の方は暫時待ちましょうと言っておる。はなはだ親切に老婆心をもってわれわれは言っておるのであって、私たちはそういうふうに態度をきめておる。それがおいやならば、あなたの方で現在それでは困るというなら、第一次補正を修正して組みかえてお出しになるか、どっちですか。二者択一のどっちをかお答え下さい。
○池田国務大臣 これはせっかく出しておるものでありまして、事柄はわかっておりますから、審議を早める意味において、この分を早く御審議願えればよいと思います。
○柳田委員 だから、そこであなたの態度が問題になってくるんですよ。私たちの言うように筋を通しなさい。百六十一億でも、これは大体消費者米価に手をつけなければ確定なのです。手をつけるからこそ未確定になってくる。それを三十二年度において何とか処理しようとして、そうして今回はごめん願いたい、どうぞ一つ三十年度だけでごかんべん願いたい、こういうように出てこられる。だから政府が筋を通されるならばわれわれも協力しましょうと言っておるのですよ。それをその方はほおかぶりをして、自分の出した方はどうぞ御協力下さいというようなことでは、野党側にも協力の限度があるということを最初から申しておるのですよ。だからきまっておるのですから今回一つ組みかえて下さい。組みかえられるまでの間は、しばらく委員長において休憩せられるよう、一つ善処されるようにお願いします。
  〔「休憩々々」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 午後一時再開することといたしまして、暫時休憩いたします。
   午後零時二十三分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時一分開議
○山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 先ほどの柳田君の質疑に関連いたしまして、川俣清音君より発言を求められております。この際これを許します。川俣清音君。
○川俣委員 この際補正予算について、柳田君に対する大蔵大臣の答弁は要を得ませんので、さらにお尋ねいたしたいと思うのでございます。
 第一の点は、三十年度予算から生じました三十四億の損失を第二次補正で埋め合せようというような答弁であったと思うのですが、なぜ第一次補正でやることができないのか、この点がまだ明瞭に答弁されていないようであります。あえて第二次補正でなくても、目下審議中の第一次補正を修正されても、実際の効果としては大した変化はないと思うのに、何ゆえに第二次補正でこれを取り上げていかなければならないか、その理由を明らかにしてほしいと思います。
○池田国務大臣 今田会中に第二次補正を予定いたしておりますので、一応第一次の補正は、先ほど申し上げましたように、三十二年度の予算と関係ございますので、一緒に出しましたような次第で、そのほかの分は三十一年度分としてほかの分と一緒にやって差しつかえない、こういう考えで、第二次補正のときまでお待ち願いたいと申し上げるのであります。
○川俣委員 その説明だけでは十分ではないのです。三十年度の三十四億の欠損は、いつこれをお認めになったか、おそらく今度の予算編成前にすでに明らかになっておったところだと思うのでありますが、大臣の今の答弁だと、何か最近これが明らかになったような答弁にも聞えるのですが、大蔵当局としてはいつごろからこの損失をお認めになっておりますか。認められたならば、これに対する手当が当然なされなければならない義務を財務当局は持っておられると思うのですが、持っていなかったということをお認めになるのか、この点もあわせてお尋ねいたします。
○池田国務大臣 三十年度の食管会計の赤字は、決算確定いたしましたときからわかっております。しからばその分を補正で組まなかったのはどういう理由かと申されるのでありますが、この点につきましては、先ほど申し上げましたように食管会計の赤字の決定額、赤字見込額につきましては、特別調査会の結論を待って、一括して処理する考えでおったのであります。しかるところ決算確定した分は離してやったらどうかという意見が多うございますので、そういうふうに変更したわけでございます。
○川俣委員 それはそのままにしておきまして、三十一年度の損失見込額百六十一億については、三十二年度の補正予算で組まれるような説明でもありましたし、また今年度内において処理するような御説明でもありましたが、一体どちらでございますか。
○池田国務大臣 三十一年度の赤字につきましては、決算確定を待ちまして、そうして金額の確定の後、処理いたしたいと存じております。
○川俣委員 それではさらにお尋ねいたしますが、昭和三十二年度予算の説明に当りまして、大臣は主計局長をして説明させましたが、その説明によりますと、「三十二年度においては、その合理化について全面的に検討し、米価その他食糧管理特別会計の基本問題を処理するため、特別調査会を政府に設置し、損失の処理、価格体系等についてはその結論をまって措置すること」といたしております、という説明をやった。三十二年度においてはという説明であった。三十一年度のことは一度も説明されておりません。これからの三十二年度においては、会計年度三十二年度においては、その合理化について全面的に検討する。との説明を撤回なさるのですか。
○池田国務大臣 別に間違いないと思いますので、撤回するつもりはございません。
○川俣委員 三十一年度のことに触れていないじゃないですか。特に三十二年度においては、ですよ。三十二年度においてはその合理化について全面的に検討し、三十一年度については検討するも何もない。特に三十二年度においてはと、こういう説明をされているのです。説明がないのです。ですから、これは予算書を撤回されますか。三十一年度も含めて検討するという説明にはなっていません、三十二年度においては特別調査会を設けてやる。全く最初の説明と違うじゃないですか。違うならば、勇敢に撤回されたらどうですか。
○池田国務大臣 三十年度、三十一年度及び三十二年度につきましては、三十二年において処理する、こういっておるのであります。三十二年度分についてのみ三十二年度にやると書いてないのでありまして、三十二年度において過去の赤字の分も一緒に処理するという意味でございます。
○川俣委員 あなた、それでいいのですか。特にとある。特に三十二年度においてはという説明をされておる。どうです。三十一年度は説明されてはおりませんけれども、あなたの方で三十一年度の損益計算書はちゃんと出ておる。これで明らかです。(「言葉じりだ」と呼ぶ者あり)言葉じりじゃない。三十一年度の計算書がちゃんと出ておる。昭和三十一年度食糧管理特別会計予定損益計算書、三十一年四月一日から三十二年三月三十一日に至る予定損益計算書がちゃんとついておる。これに基いて審議してほしいというのが、あなたの、今度の国会に臨んでの大蔵省の説明と了解しておる。そうじゃないのですか。これに基いて審議してくれということじゃないのですか。
○池田国務大臣 「昭和三十二年度予算の説明」の四十二ページに、お話の通り、「三十二年度においては、その合理化について全面的に検討し、米価その他食糧管理特別会計の基本問題を処理するため、特別調査会を政府に設置し、損失の処理、価格体系等についてはその結論をまって措置することとしている。」こういうふうに書いてあります。このことは三十二年度においてお手元に配りました付属書類、赤字を繰り越しておりますから、それをも含めて言っておるのであります。しかも三十二年度におきまして、三十二年度の予算につきましては繰越米その他の関係がございますので、そういうものも含まっておることは当然でございます。
○川俣委員 大蔵当局はここ数年来特別会計の健全化を主張されまして、年度内に処理するという方針を立てております。昨年と同様な方針をとられておるわけです。従いまして、従来の方針をとられたその上に、三十二年度においてはこうやるのだと、こう理解するのが良識ある解釈だと思うのであります。もしも三十一年度にとった方針と違っておりますならば、あなた方の方は昭和三十一年度はこうやったが三十二年度はこういうふうにやると、今まではこういうふうに説明されております。従って三十一年度の決算については何も触れておられない、三十二年度についてはこうやるとこう言うておる、重要な変更の場合は常に説明されておるわけであります。去年までは、在庫をもって損益計算をしておりながら、今年から変えなければならないという理由はどこにあるのですか。
○池田国務大臣 従来と違いまして、食管につきまして根本的な合理化の検討をするという建前にいたしておりますので、従来とそれが違いますので、今回は決算によってやることにいたしたのであります。
○川俣委員 これは三十一米穀年度とあなたは誤解されておりませんか。三十一年会計年度は年度で処理するのが大蔵省並びに閣議でもあなた方がとられた方針じゃないですか。去年買い付けた米をことしの十月までにどう処理するかという問題と、会計年度とを混同しておるのではないですか。
○池田国務大臣 私は米穀年度では言っておりません。予算上の会計年度で言っております。
○川俣委員 そういたしますと、三十一会計年度に今後の消費米価を上げたといたしまして、どれだけの変化がくるのですか。
○池田国務大臣 消費者米価の問題で、三十一年度の決算には大して影響はございません。
○川俣委員 そういたしますと、決算に変動がなければ、予定された損益計算書に基いて出されたものに大きな変動がないと、こういうことになるのではないですか。百六十一億は大した変化がない、なければ特別調査会を作ってから変動があるというのはどういうことなのですか。
○池田国務大臣 まだ決算上これから二ヵ月もございます。私はそれを見てからやって差しつかえない、今までの方針でも、何も補正予算のときにこれをどうしても組まなければならぬというふうなことはない、また三十二年度の予算当初においてこれを組まなければならぬという規定も何もない、今言うお尋ねのような特殊な事情がございますので、一応決算によってきめる、こういう建前にしたのであります。
○川俣委員 特殊な事情というのは決算が明らかにならないからというのではないのでしょう。特殊な事情とはあなたが先ほどるる説明されました特別調査会の結果を見てと言うので、変更になるかと言えばならない、調査会の決定によっては損益に百六十一億の赤字には影響ないという答弁でした。ただあなたの説明によりますと、これからまた決算してみなければわからない、これから決算してみなければわからないということであれば、去年もおととしも同じだ、去年は百六十九億か七億の欠損を見積りました。それに対して一般会計から繰り入れるインベントリー・ファイナンスで百億を加えてこれを決算する、補正でこれを見ておるわけであります。その年はその年で決算をつけようという従来の大蔵省の方針は、去年もおととしも同じですよ、これから出てくるであろうところのものは一応見送って決算をする、こういう建前をとっておられる。今度は別だというのは、あなたが別だ別だということは、特別調査会の答申を待たなければならないというので、待って変更があるかといえばないという。ではなぜ待たなければならないか、変更がないものであったら待つ必要はないでしょう、従来と同じ方針をとっていいじゃないですか。
○池田国務大臣 特別調査会ができまして、結論がいつごろ出るかということが問題でございます。もし万が一早く米の値を――万が一でございますよ、わかりませんが……。そのとき早く米の値が上るという場合においては、この繰越米の見込みをどうするかということを考えられる時間的の問題もないことはございません。私はそういう意味で絶対にこれは動かないということを言っておるのじゃないのであります。詳しいことは事務当局から御説明いたさせます。
○川俣委員 それは結論を得て、三月中にでも値上げをするというなら別問題です。年度内に値上げするというようなことを含んであなたは答弁されておるのですか、万が一にもというのは、万が一にも三月中、年度内に消費者米価を上げる、こう理解してよろしいのですか。
○池田国務大臣 問題は百六十一億の赤字と申しましても、昭和三十二年度に参りまして米の値が動いたときには一応百六十一億として出ましても、相当の将来において動きを見ることがございますので、本年のような場合においては私は決算確定を待ってやるのが至当と考えておるのであります。
○川俣委員 あなたの答弁はさっきの答弁と違うじゃないですか、特別調査会を設けて米価に変更があっても三十一年度の決算においては大した変化はない、どっちがほんとうなのです、変化があるというのと。あまりにでたらめな答弁をしちゃいかぬよ。
○池田国務大臣 米の値の上ることが万が一ずっと先にきまるような場合において、そうして締め切りのときにはそれは大して影響はいたしません。しかしその時期その他によって決算確定の七月までに結論が出れば、異動することはあり得るのであります。
○川俣委員 三十一年度の決算には影響ないので、その米穀年度の内においては影響するかもしれません。三十一年度の決算には将来の値上りが影響はないので、食管特別会計の規定のどこを見ましても、さかのぼって評価するなんということはございません。損益計算するということはないのですよ、三月三十一日をもって決算する、ただし実際の決算がおくれておるけれども、食管会計の法規に基けば三月三十一日をもって決算する、その集計が六月とか七月になることはありましても、三月三十一日をもって決算することになっておる、これはお認めでしょう。将来上るものをもって最後の値段が動くなどということで、前年度の会計年度を動かしたという例はありません。そこであなたは、特別調査会ができても再六十一億には変りがないという答弁をされたのだと思う。二つの答弁をされております。食管会計の規定からいきますと、あなた方が出しておられる決算の予定書の百六十一億の赤字がもしも不確定だというなら、この予算書を変えなければならぬ。不確定の要素をもって審議を求めるということは、はなはだもって無責任きわまる態度である、私はそう理解する。おそらく責任を持って提出されたものだと思うが、どっちなのです。
○池田国務大臣 私は繰り返して申し上げますごとく、原則として決算確定の場合を見て補正するか、あるいは前年度からそれを見込んでやるか、いろいろな方法がございますが、ことしのような場合には決算確定によってやった方がいい、こういう考えでいっておるのでございます。百六十一億は一応の予算であります。一応の予算であってもいいではないかというお話でございますが、自然増収その他の見合いもございますので、今年は決算確定でやるべきだ、こう考えたわけでございます。
○川俣委員 いよいよもってあなたは答弁をのがれている。自然増収が今見込まれるのですか、三月三十一日までに自然増収が見込まれるのですか、見込まれるならば、見込みを出していただきたい。これは三月三十一日で締め切られるべきものです。もう食糧庁としては大体の見通しをつけておられる。それは七月に締め切るのじゃない、三月三十一日の締め切りですよ。
○池田国務大臣 自然増収というのは、三十一年度の赤字を埋めるべき財源の自然増収でございます。食管会計の、自然増収という意味じゃございません。
○川俣委員 それはおかしいではないですか、百六十一億に変更があるかどうかを聞いている。それが動くという説明の中で自然増収がある、こういう説明をされた。一般会計から繰り入れるか繰り入れないかということは第二の問題です。百六十一億に変更がないということでお出しになっておるのじゃないか、それを特別調査会の結果を見なければわからないということになると、それは不確定な要素だから組めないということになると、この決算書はおかしいではないか、どっちだと聞いている。
○池田国務大臣 百六十一億というのは今の見込みでやっておるのでございます。三月三十一日現在のなには、米ばかりじゃございません。いろいろなものがございますから、何十億という動きはございますまいが、ある程度動くことは予想されるのでございます。しかしその動くのをネグレクトする、無視するかどうかということは問題がございますが、今年のようなときは決算確定を待ってやって差しつかえない、こういうことで補正予算に入れなかったのでございます。
○川俣委員 もう一度お尋ねする。百六十一億には大きな変化が来るというようにお考えになっておるのか。あなたは、特別調査会の結果を待たなければはっきりしたものは出ないということになると、百六十一億に大きな変化が来るということを予想されておる。そのようにも答弁されるし、百六十一億は特別調査会の決定には影響がないとも答弁される。この二つを、あなたはここで速記録をごらんなさい。これでは審議できませんよ。委員長この点を明確にしなければならぬ、二つの意見を持って答弁することは許されないと思います。暫時休憩願いたいと思います。
○山崎委員長 何か答弁ありますか。
○森永政府委員 若干事務的な問題にわたっておると思いますので、私から補足的に申し上げます。
 従来食管会計の決算に当りましては、むろん三月三十一日現在の決算をするわけでございますが、その決算に当りましては、出納締め切り期限でございますところの七月末日までの資料によりまして最も適正な評価をいたしておる、それが従来の実情でございます。その辺の詳細なことは食管当局からお聞きしていただいてもけっこうでございますが、そういうことでございますので、決算が確定していないという今日の事態に対しまして、いろいろ今後変動があり得る見込みでございますので、法算確定後これを処理いたした方がよろしいのではないかということで、本年度内に補正を出さないということにいたしておるわけでございます。なお前例を申し上げますと、三十年度は、先ほど御指摘がございましたように、年度中に百六十七億の赤字が予定されましたので、三十年度中に埋めました。そういう場合もございますが、その前の年の二十九年度をごらんいただきますと、これは年度内に赤字が出ることが明らかでございましたけれども、その赤字は年度内には補てんいたしませんで翌年度以降に持ち越しました。特別会計の赤字処理について確たる原則があるわけではございませんので、この会計のそのときどきの実情で、その年度内に補てんしたり、あるいは翌年度に補てんいたしたりしておるわけでございます。そのときどきの事情に即して最も適切な解決の手段をとっておるわけでございまして、三十年度のみが唯一の前例ではございません。また他の会計の例を見ましても、年度内に赤字が出ることがはっきりいたしておりましても、その赤字の処理についていろいろ問題がございますような場合には、赤字のまま決算をいたしました例もいろいろあるわけでございます。さような前例等から考えましても、今回の措置が決して異例に当るわけではございませんので、御了解をいただきたいと思います。
○川俣委員 私の質問に対する答弁になっていない。私の大蔵大臣に尋ねておるのは、特別調査会を設けた結果、その結果に基いて変更があるようにも答弁されておる。また変更のないようにも答弁されておる。従って、どちらであるか明らかにならなければ審議を進められないから休息願いたい、こう言っている。前例などを聞いているのではない、前例についてはまた意見がありますけれども、どちらかと聞いている。
○池田国務大臣 特別調査会の結論が出まして、もし万一上げるということになれば、その時期等によりまして、それは評価の問題が起ります。たとえば三月三十一日に持っておった米につきまして、三十二年度の配給についてまだ残りがあるというときには、私は評価の問題が起ってくるのではないかと思います。こういう点につきましては、食管会計の方で今までやっておりました例によるわけでございますが、もしそういうことが起り得るといたしますれば、百六十一億には異動が生ずると思います。これは今までの食管の例を私はよく存じませんからわかりませんが、もし万一上げることにして三月三十一日の繰越米が高い値段で配給になるときには、七月三十一日の決算までにそういうことが起った場合に、評価がえをするとすれば百六十一億は動くことになります。評価がえするかしないかは事務当局に聞いてみなければわかりません。
○川俣委員 会計年度でお尋ねしているのですよ。三月三十一日在庫をもってあなた方は決算書を作っておられる。三十一会計年度から三十二会計年度に持ち越したものは、値上りは三十二会計年度に益になって出てくる。従来もそうであります。その年度内に値上げがあれば、これは別ですよ。ですから米穀年度であれば同一年度です。会計年度は別ですよ。財政法に基いてあなたはこの法案を提出された。収支計算書もまた三月三十一日を切って出された。これは見込みでしょう。見込みに狂いあることを私は責めておるのじゃない。あなたは特別調査会の決定によって非常に大きな影響はないという答弁をされておるのですよ。三十一年度の決算には影響がない。これはおそらく会計法から言われたのだろうと思う。今度は影響あるという答弁と、二つされておるじゃないですか。どっちかわからぬですよ。私の聞き違いですか。どうもあなたの頭の混乱のようこも思う。
○池田国務大臣 私は今食管の関係係官に聞いてみましたが、およそ常識をもって考えるならば、三月三十一日現在の繰り越しの米の値段は、昭和三十二年度においては一応動かさないという前提のもとならば、これはお話の通りにいくと思います。外麦の評価その他でよろしゅうございます。もし万一七月三十一日の決算確定のときまでに、米の値段について異動がありとした場合において、三月三十一日の在庫米の評価で、しかも三十二年度でまだ消費していないものをいかに評価するかという問題があるわけです。(川俣委員「問題なんかない」と呼ぶ)いや問題があります。それは会計年度でも、決算確定のときに、その当時の値段でやるか、あるいはその在庫を万が一高い値段で売るというときに、その高い値段で売る分についてのみ評価がえをするかということは、食管の方でどうやっておるかこれはわかりません。もし評価がえをするということになれば、動くということは当然でございましょう。そこでもし評価がえをしないのだということになれば、百六十一億円の動きというものは、ごく少くなりましょう。私が申し上げることは、そういう問題もありますが、決算確定でやった方がいいという考えで、決算確定まで待とうというのであります。しかし決算確定した三十年度分につきましては、先ほど来申し上げたように補正予算でやっていく、こういうことになります。
○川俣委員 これは三月三十一日に決算が終るのですよ。その集計は事務処理で七月まで延びている。あなた方は、公共事業費などは四月十五日までに決算をしてこなければ、あとの繰り越しは認めないという厳重な通達をしているじゃないですか。一般の公共事業に対してすら、そんなやかましい通達を出しているじゃないですか。食糧管理法には、三月三十一日をもって計算をする、そうなっているのですよ。評価がえをするなんということは一つもありません。事務当局に聞くまでもない。評価がえで益を出すなんということは一つもありません。三月三十一日で決算をすることになっておる。その結果幾らかの動きがあることは認めます。食糧管理法を改正されての考え方ですか。
○池田国務大臣 私は今の評価の問題につきましては、お断わりしておるように、どういうふうにやるか、今までの例を存じません。これは前もってお断わりしておきました。しかし三月三十一日で切りますが、その切り方の問題をきめるのは、七月末の決算確定のときでございます。そこで三月三十一日の繰越米につきまして、その後に異動があった場合に、その異動を見るという取扱いならば、これは百六十一億円が動くことあるべし。異動を見ないというのならば、これはお話の通り、百六十一億円はそう違うことはない。百六十一億円程度に相なってくると思います。
○川俣委員 そういう答弁になると、むちゃですよ。農林省所管特別会計予算参照書、これに昭和三十一年度食糧、特別会計予定損益計算書というものを出されておる。一応三月三十一日を目途にして、一応の計算を終っておる。これが非常に不確定だということになったら、審議できませんよ。あなたがみずから不確定だということを認めるなら。これに変更がある、重大な変更があるというなら。これは予定でありますから大きな変更はないということで提出されておると思う。予測するような大きな変更があったら、当然予測されるようなものは入れなければならない。どうなんですか、これを修正されるのですか。出し直されますか。
○池田国務大臣 米の値段が今のままでいくということで計算いたしました予定でございます。従いまして、缶ほど来申し上げますように、決算のときに繰り越しの現在量をどう見るかということにつきましては、農林当局からお答えしていただくことにいたします。そのお答えがあってからあとにお話を承わります。
○川俣委員 農林当局に聞いているのじゃありません。大蔵当局が出されたものについてお尋ねしておる。あなたの財政説明についておる参考書類です。あなたの演説に付帯しております参考書類です。これを参考にして財政演説を聞け、こういうことでしょう。これによりますと、明らかに百六十一億何がしという損失を出しておられる。これを土台にして審議してくれというのじゃないですか。別なものがあって、それを審議してくれ。審議の対象はどっちなのですか。今説明されたようなものを対象にして審議を求めておられるのか、この参考書を基礎にして審議を進めようと願っているのか、どっちなのですか。
○池田国務大臣 もちろんその参考書を基礎として御審議下さい。従いまして、百六十一億円には評価の問題を前提に置きましたが、これはもし私の想像するようなことならば動きましょう。しかし百六十一億円を出します根拠は、農林当局がやって出したのであります。将来の問題につきましては、今言ったような評価の問題があれば動きますが、それがなければ百六十一億円は大差はないと思います。しかしいずれにいたしましても決算確定によって処置することが、私は昭和三十二年度では適当と考えたから、赤字を繰り越すことにいたしたのであります。
○川俣委員 もう一度お尋ねします。あなたの審議を求められておるのは、百六十一億の欠損を基礎にして審議してほしい、こういうことでしょう。そこで私はお尋ねしておる。あなたの要求に基いて審議しております。対象になっておるこの赤字の百六十一億、三十一年度の赤字として出されておるものをどう処理されるつもりか、こうお尋ねしておる。あなたの要求に基いて、説明に基いて、審議の対象にしてくれといって提出されたものを土台にして、あなたにお尋ねしておる。私の作ったものじゃない。あなたが求められております審議の対象にしておりますこのものをあなたはどう処理されるか、こうお尋ねしておる。
○池田国務大臣 一応百六十一億円と予定して御審議を願っておるのであります。しかして、もう一つの問題、百六十一億円でいいか悪いかという問題、その問題につきましては、ある程度の動きがございますと――大きく動くか動かぬかという問題につきましては、それは評価によって大きく動く場合もあります。しかし一応百六十一億円を予定してやっております。問題は二つございます。そこで百六十一億円とぴしゃっときまっておっても、そのときに決算確定を待ってやるか、あるいは当初から赤字見込みを補てんしてやるかという問題は、先ほど主計局長が言っているように、そのときどきによって変っております。私は今年度におきましては決算確定を待って処理すべきものと考えて、百六十一億円の予定で御審議願っておるのであります。
○川俣委員 これは決算の時期が七月じゃないのです。決算の時期は三月三十一日、精算がおくれておるだけです。今二月ですから三月三十一日のこれは見積りでしょう。しかしながら大体今までやってきたところからこうなるであろう、こういうことですから百六十一億が一銭も動かないというようなことは常識的に考えられない。そんなことを論じていないのです。これは三月三十一日の決算なんです。従ってあなたは通達を出しておられるでしょう、公共事業は三月三十一日に締め切って、その報告を四月十五日までに求められておるじゃないですか。なかなかそんな精算ができないのを民間に対してはそういう強要をされておる、あるいは他の省に対してはそういう強要をされておる。決算の時期は三月三十一日です。精算がたまたまおくれておるだけです。従ってその精算の結果動くことは何人も認めておる。あまり大きく動かない。これは明らかにあなた方が説明されておりますものをどう処理されるつもりなのか。今、国会は審議中ですよ。予算の提出権は政府にある、よその意見を聞かなければ予算を提出できないというものじゃないでしょう。それは無責任ですよ。憲法に基いて政府が予算の提出権がある、よその意見を聞かなければ提出できないのなら投げ出したらどうです。そんな無責任な内閣だったら投げ出したらどうです。おそらく責任を持って提出されたからには、外部でどうあろうとも、自分はこう処理するつもりだということがなければならぬ。それでなければ責任政治じゃない。予算書を出さない前なら別です。出したからにはその責任を負わなければならぬじゃないかとこう聞いておるのです。
○池田国務大臣 決算期は三月三十一日でございますが、決算の確定は七月三十一日まででございます。従いましてあなたの第二にお聞きになります動くか動かぬかの問題につきましては、こういうやり方は農林省の一応の所管になっておる共管でございますから、こまかい評価の方法については農林当局の意見をお聞きいただきたい、こう言っておるのでございます。これは農林、大蔵両省の所管でございます。他にあるわけではございません。やはり実際にもとを作るのは農林省でありますから、評価問題につきましては農林省の省内の問題でございますから農林省の意見をお聞きいただきたいと思います。ただ米価を今のままでいった場合には、一応百六十一億円の赤字が出る予定だというので御審議願っておるのであります。
○川俣委員 これは農林当局から聞くまでもない。おそらく農林当局は食糧管理法に基いてやらなければならないのでありますから、大蔵省の強要があろうとなかろうと、これは忠実なる官吏とすれば、行政官とすれば、食糧管理法の諸規定に従ってやらなければならぬから、あなたからわざわざの説明でございますが、聞くに及ばない。そこで一体大蔵大臣はほんとの腹は米価を上げたいのではないですか、どうなのです。一度閣議で、三十年度、三十一年度は、上げるかわりに一応は計算しよう、そういうことを一応きめたのではないのですか。三十年度、三十一年度は百六十一億も含めて一般会計からこれを補てんする、そのかわり三十二年度からは一つ値上げをして食管会計をまかなったらどうだ、こういう閣議決定を今なお尊重されているのではないですか、そうじゃないですか、それをすっかり御破算にしたのですか、この点をお尋ねしたい。
○池田国務大臣 米の値上げにつきましては、お話の通り一応閣議ではある程度引き上げよう――金額はきめておりません、引き上げようということにきまったのであります。しかしその後とくと考慮いたしまして白紙に返ったのであります。私はその決議に加わった一人でございますが、白紙に返っております。
○川俣委員 そういたしますと、値上げに伴って問題になりました三十年度並びに三十一年度の赤字を一般会計から繰り入れるということも白紙に返したのだ、そのかわり値上げも返したのだ、こういうふうに説明になるのですか。これは値上げに伴って与党に説明された場合も、一般会計から繰り入れるかわりに、三十二年度においては健全財政の建前からして値上げを求められた、こういうふうに聞き及んでおりまするし、当時あなたが新聞等に御意見を発表されたのにも、そういうふうになっております。だから両方白紙に返した。従って両方白紙に返した結果、三十一年度百六十一億については今にわかに答弁できない、こういうふうに親切に理解すべきかどうか、この点あなたにお聞きしたい。
○池田国務大臣 米の値上げにつきましては白紙に返しました。しこうして昭和三十年度、三十一年度の赤字確定額あるいは赤字見込額につきましては、特別調査会の結論を待って一括して処理しよう。こういうことにしたのであります。だからこれは白紙とはちょっと言いにくい、一括して処理しよう、こういうことでございます。
○川俣委員 そういたしますと、最初の米価値上げのときには、三十年度、三十一年度の赤字は一般会計から繰り入れるつもりだったけれども、この問題を調査会に移したために、それらのものを取り消した。従って新聞等を見ましても、当然値上げはしかるべきだ、こういう御意見のように聞き及ぶのです。これに対してはいろいろな意見がありますけれども、また別な機会に譲ることにいたしまして、どうですか、ほんとうは上げると、こういうのですか。上げたいという希望じゃないのですか。そういう希望がなければ、今百六十一億の赤字をきめてもいい。何か期待があるから、その期待にぶら下っておって、この問題の処理がつかないのではないですか。
○池田国務大臣 上げたい、上げたくないの問題ではないのでございます。とにかく合理化をいたしまして、適正な食管会計の運営をいたすまで待とうということでございます。しこうして今農林当局に聞きましたところ、私が先ほど想像しておりましたごとく、三月三十一日が年度末で、そこで締め切りますが、評価その他はその後の事情によって繰越米の値段を変えるそうでございます。そういたしますと、先ほどお話し申し上げましたように、もし上ったとすれば百六十一億円は動きます。これは前提がございます。そうしますと私が想像したように百六十一億は上げたとした場合において、いつからということによって、相当動くことがあり得ます。この点は第二の論争の問題として農林当局にお聞き下さってもよろしゅうございますが、今休憩中に聞いたらそういうふうになっておりますから、私の想像通り相当動くことあるべしということを考えておる。しかしそれは米の結論を待たなければわかりません。
○川俣委員 この点については今なお特別調査会の結果を見なければ変更できないのか、あるいは百六十一億というものはすでに確定したものと見てよろしいのか、この点については明確な答弁がないのです。いろいろと曲げておられる。従いましてこれは十分速記録を調べてさらに検討する必要がありますので、暫時休憩願いたい。
○山崎委員長 成田知巳君より関連質疑の申し出があります。これを許します。成田知巳君。
○成田委員 この食管の赤字の問題についての井出農相と池田大蔵大臣の答弁を聞いておりますと、井出さんの答弁は必ずしも論理は明快じゃないけれども、正しいことを言っていると思う。池田さんのは全く逆でして、理路まことに整然としておりますが、間違ったことを言っておると思うのです。そこで私簡単にお尋ねいたしますから、池田さんも一つ理路整然と正しい御答弁を願いたいと思うのです。
 そこで第一点ですが、今の御答弁を聞いておりますと、百六十一億の赤字は、決算確定を待って処理したい、こういう御答弁なのです。ところが私まことにふに落ちないのは、今度の予算案を見ましても、三十一年度の自然増収というものはまだ決算確定していない。この自然増についてはいわゆる積極財政という建前で、しかも三十二年度の経費までも自然増でまかなおうとしております。財政というものは、私から大臣に申し上げるまでもなく、支出というものは不確定な支出でも考慮しなければいかぬ、収入は極力低目に見るというのが財政の原則だと思います。ところが歳入についてはまた決算確定していないにもかかわらず、一千億の自然増を見て予算に計上されながら、歳出については約百六十一億という赤字が見込まれるにもかかわらず、決算確定してないからこれは予算に計上しませんというのは、財政の根本原則に反すると思うのです。その点をまず承わりたい。
○池田国務大臣 自然増収によりまして当該年度の歳出に充てる場合は、御承知の通りたびたびございます。それから自然増収によりまして財政に弾力性を持たすために、今回は法律を提案いたしまして、資金というものをこしらえて、そして財政の年度別の弾力性をはかるようにいたしております。片一方の特別会計におきましては、先ほど主計局長が答えましたように、赤字について赤字繰り越しの場合もありますし、また補てんしていく場合もある。しこうして私は今回の食管につきましては、先ほど来申し上げますごとく、決算確定してやった方がいいと考えまして、そういたしたのであります。
○成田委員 私はそういうような技術論を聞いているのじゃないのです。財政の原則からいきまして、歳入についてはまだ決算も確定していないにもかかわらず、一千億の自然増を見込んでこれを財源とされながら、歳出についてはまだ決算確定してないからということで予算措置をなさろうとしない。これはやはり財政の基本原則に反するのではないか。政府のまことに勝手なやり方だと思う。その点の基本的な考え方を承わりたい。
○池田国務大臣 基本的な考え方はその当座々々によりまして、時宜に適した処置をとることがいいと思っております。
○成田委員 それがあなたが論理整然とうそを言っている、間違ったことを言うということなんです。それでは国民は納得しませんよ。それじゃそのつど財政と言われても仕方がない。これは蔵相、もう少し虚心たんかいに謙虚にお考えになった方がいいと思うのです。
 そこで特別調査会の結論を待って処置すると言われるのですが、今川俣委員の質問に対して、米価については蔵相は全く白紙だとおっしゃいましたね。その通り解釈してよろしゅうございますか。
○池田国務大臣 その通りでございます。
○成田委員 これは蔵相がみずから寄稿されたのだから、よく知っていらっしゃると思います。中央公論の三月号に「積極財政はインフレ財政ではない」こういうことで蔵相がお書きになっております。その中にこういうことがある。「米価については今はふれたくない。私には私の考えがあり、それを現在でも正しいと信じているが、国民の諸君に正しく納得していただくためには、また他の機会に詳述したいと思っている。」今あなたは白紙だと言われましたが、あなたはこの信念を持っておるな……(「あれを書いたのは十二月だ」と呼ぶ者あり)十二月号が三月に出るか、少しは読みなさい。消費者米価の問題におきまして特別調査会が設置されて、その方針がきまったあとのことなんですよ。そこで今、米価について触れたくない、しかし自分で信念を持っておるというのですが、その信念を通されたらどうですか。
○池田国務大臣 ここの答弁は大蔵大臣として、内閣閣僚の一人として答えております。中央公論に出しましたものは自分の考えでございます。で米に対する考えは常に変って参ります。従ってそのときどきによって処理しなければならない問題だと思います。
○成田委員 今、あなたは個人たる池田勇人、大蔵大臣というような考え方です。池田勇人、大蔵大臣であり個人であるというような答弁です。しかしながら中央公論には、はっきりと池田さん、書いていらっしゃいますよ。「とにかく、私も政党に籍を置く者の一人として、堂々とした明るい政治を念願している。」従って国会を通してあなたの信念を披瀝されるのが政党人としての当然な役目だと思う。あなたが今正しいと信じている信念をここで吐露しなさいよ。
○池田国務大臣 民主主義は多数決でございますし、私は石橋内閣の大蔵大臣として内閣の決定に基いてやっているのであります。個人の意見を聞かれれば、また別の機会に申し上げますが、今は個人としては……。
○成田委員 そこで井出さんに関連がありますからお尋ねいたします。食管の赤字の処理の問題ですが、これは中間経費その他を節約するとしても限度があると思う。三十一年度についても百六十一億の赤字が大体予想されているのですが、この赤字を解消する道は神様が考えても大体三つか四つしかないと思う。その一つは、生産者米価の引き下げだと思うのです。買い入れ米価の引き下げ、一つは消費者米価の引き上げだと思う。他の一つは一般会計からの繰り入れだと思う。最後にこの三つを適当に組み合せる方法もありますが、これはまあ別問題だと思います。
 そこで、井出さんは消費者には迷惑をかけたくないと言っていらっしゃる。ということは、消費者米価の引き上げは考えていない、反対だ、こういう結論になると思いますが御答弁を願いたいと思います。
○井出国務大臣 お答えいたします。今御指摘のように赤字解消の道はおよそ三つでございましょう。もちろんなお企業努力というふうなものも若干は期待していいでありましょう。この三十一年度の赤字は既往において生じたものでございますので、これについてはこのほど来分科会でも御答弁申し上げましたように、これを新たに消費者に転嫁いたしたくはないというのが私の考え方でございます。
 それからこの機会にちょっと付言をいたしておきますが、先ほど大蔵大臣も言われましたように、在庫評価の問題でありますが、これは従来の食管のやり方といたしましては、たとえばこの三月三十一日に在庫の現在量を計算いたします。これが万が一将来消費者価格が変動してその変動した時期に、なお三月末繰り越しの米が保有してあったという場合はその米に響いて参りまして、三十一年度の収支にそれが関係を持つというのが従来の食管のずっと伝統的なやり方であったようでありますから、一言申し添えておきます。
○成田委員 三十一年度の赤字は消費者負担にいたしたくない、そうしますと三十二年度に予想される赤字については、消費者負担ということもあり得る、こういうことをお考えですか。
○井出国務大臣 三十二年度の食管のあり方について、実は私も就任早々検討を加えて参ったのでございます。それで食管の合理化、健全化と申しましょうか、いろいろの角度からメスを入れてみる必要があると思います。その場合私の考え方といたしましては、これはなるべく消費者に転嫁することは避けたいのでございますが、ほんとうに分析をいたしまして、食管の合理化、健全化をはかります場合には、やはり消費者価格にもあるいは手を触れねばならぬのじゃないかという感じは私も抱いておるのでございます。このことはせんだってもこの席でお答えをしましたし、分科会でもそのような意味のことは発言いたしておいた次第であります。
○成田委員 そうすると、まず三十一年度の問題に限って申し上げたいと思いますが、昭和三十一年度はもう既往のことなんですから、生産者米価の引き上げはもちろんできません。それから消費者米価の引き上げもできない。こうなりますと結局一般会計からの繰り入れになる。これを決算を待って処理したい、こういうお考えだと考えてよろしゅうございますか。
○井出国務大臣 そのように御了解いただいてけっこうであります。
○成田委員 そういたしますと三十二年度の赤字につきましては、生産者米価の引き下げはもちろん考えてない、こう考えてよろしゅうございますね。
○井出国務大臣 これは予算米価にも示してございますので、最終的には特別調査会の御検討もいただくことになりましょうし、また米価審議会という機関もございますので、それにお諮りをしなければなりませんが、お示ししてございます予算米価というものが拘束するであろう、こう御了解をいただきたいと思います。
○成田委員 そこで決算を待たなければ確定しないといわれている約百六十一億の赤字なんですが、先ほどの質問に対してなぜ第一次補正で出さなかったか。これに対して大蔵大臣は第二次補正でやりたい、こういうお話なんですね。第一次補正は三十二年度の本予算との関連があるから組んだ、こういう御答弁だったと思いますが、第一次補正と第二次補正の性格の相違を明らかにしていただきたいと思います。
○池田国務大臣 別に性格には違いはございません。ただ一般会計予算を出しますときに、一般会計予算に不足した点につきまして資金の関係がございますので、一緒に出した方がよいと考えて一緒に出したのでございます。
○成田委員 そうしますと、この三十年度の三十四億の赤字も確定したわけですね。不確定要素は何もないわけですね。といたしますと、第一次補正と一緒にして出す、時間の関係からいきましたならば確定したものをまず処置していく、これが原則だと思いますが、当然第一次補正に、三十四億の赤字を処理されるという御方針がきまった以上、入れるべきではないかと思いますが、どうですか。
○池田国務大臣 今朝来お答え申し上げた通りでございますが、一応食管の赤字につきましては、三十年度確定額及び三十一年度予定額を一括して処理した方がよい、処理しようと初めは考えておったのでありますが、その後確定した分だけはやったらどうかというふうな議論もございますし、第二次補正を最近出しますので、しからばそのときにそれを入れたい、こう考えております。
○成田委員 これは岸臨時総理にお尋ねいたしたいのでありますが、今の井出農相あるいは池田さんの御答弁をお聞きになってもおわかりのように、この百六十一億の赤字というものは決算が確定しておって既往の赤字である。そういう事実があるわけですね。百六十一億がゼロになることはないと思います。幾ら減っても七十億あるいは八十億、この程度は常識的に明らかに出ると思います。そこでこれは財政法の問題にも関連してくると思います。補正予算を当然お出しになるわけですが、決算確定後に補正予算をお出しになると言っておられますが、これは既往の赤字であります。財政法二十九条では、内閣は予算作成後に生じた事由に基き必要避けることのできない経費については追加予算を作成することができるようになっておりますが、この場合は予算作成後の事実ですね。ところがこれはもう予算作成前に生じた事実なんです。従ってこれを補正予算でやることは、財政法二十九条の精神に反すると思いますが、臨時総理大臣の御答弁を承わりたい。
○岸国務大臣 私は反していないと考えます。
○成田委員 その理由を一つ明確に願います。
○岸国務大臣 従来からの先例もたくさんございまして、差しつかえないと思います。
○成田委員 先例の問題じゃないと思います。これが財政法上正しいかどうか。もし先例があるとすればそれは悪例なんです。従って先例を問題にする筋のものではなくて、この財政法二十九条の解釈から言ったら、もうすでに井出農相もお認めの通りこれは既往に出た赤字なんです。それが百六十一億になるか百五十億になるか、これは決算が確定しなければわかりません。従ってこれは補正予算でやるべきではなくて、少くとも判定されるだけの赤字の数字というものは、当然本予算でまかなうべきである、かように考えますがいかがでありますか。
○森永政府委員 第二十九条の解釈の問題でございますので私から申し上げますが、第二十九条というのは当初予算がきまりました後に補正予算を出す場合の規定でありまして、同じ年度のことを規定しておるわけであります。従いましてただいまお話のように、来年度の予算作成前に三十年度の決算は確定いたしておりますが、これは三十一年度の予算から申しますと、予算作成後に事情が変化したわけでありまして、従いまして三十一年度の補正予算を出すことは、まさに二十九条の規定で予定いたしておるところであります。この二十九条の規定では予算作成と補正と両方出ておりますが、両方とも同じ年度の予算のことを規定しておる規定でありますので、年度がまたがって来年度の予算作成前に確定しておるから、それの補正はできないとおっしゃられると、これはいろいろな場合に補正予算が出せなくなって困るわけであります。
○成田委員 そうしますと先ほど井出農相の御答弁がありましたように、三十二年の赤字は一般会計からの繰り入れか、あるいは一部消費者負担によってやらなければならなない。これは赤字が予想されておるわけでありますね。そうしますと、従来の御答弁にもありましたように、これは補正という形で出ると思うのです。そうすると、この百四十二億の赤字の数字というものは確定しておると思うのです。これをいかに処置されようとしても処置する方法はおのずからきまっているのです。やはり補正という形で出なければいかぬと思うのです。そうすると、補正が予定されているのに、今の本予算審議をやるということは、予算審議の内容を無意味にするものではないか、こういうふうに考えるのですが、いかがでしょう。
○森永政府委員 法律論にわたりますので、私から便宜申し上げますが、来年度の食管会計予算は、現在の消費者価格を据え置くことを一応の前提として編成いたしましたので、百四十二億円の損失が出ておりますことは御承知の通りでございます。そこでそれをどうするかという問題に関連して特別調査会を作りまして、そこで食管会計の根本的な検討をお願いするわけでございますが、その場合に、対策がきまりまして、百四十二億がどうなるか。そこで百四十二億をどうするかという問題が初めて出てくるわけでございまして、場合によりましては、予算措置が必要であるというような場合も起り得るかと存じますが、それを必ず来年度予算の補正でやるということを今から予測しておるわけではないわけでございまして、その結論のいかんにもよりまするし、また予算措置を要するといたしましても、その場合は必ず補正というふうにきまっておるわけでもございません。特別会計の欠損の処理の前例を先ほど申し上げましたが、いろいろな場合があるわけでございまして、今日から必ず補正を前提とした予算の御審議をお願い申し上げておるという次第ではございませんので、その点御了承いただきたいと思います。
○成田委員 これは事実の判断の問題なんですが、百四十二億という赤字が予想されておるのでしょう。それを処置する方法というものは、おのずから限定されているわけなんですから、今主計局長の言われたように三十二年度で必ずしも補正をやるとはさまっていない、こう言われることは私は筋が立たないと思うのです。全然赤字がない、将来赤字が出るかもわからない、こういう場合でしたら必ずしも三十二年度の予算で、補正を出すとは言えない。しかし百四十二億の数字が出ている以上、当然補正が前提だと考えるのがほんとうじゃないですか。
○森永政府委員 これは結論のいかんによりまして、百四十二億が解消すればもちろん問題はございませんが、ある程度残りましたといたしましても、それについて何らかの予算措置を必要とする場合に、その予算措置をいつやるかという問題でございます。今のところ必ずこれを補正でやるという必要もないわけでございまして、このことは先ほど来申し上げておりますように、特別会計の損失補てんにつきましては、その年度に処理した例もございまするし、翌年度に処理した例もございますし、これはそのときの結論のいかんにもよりまして、結論が違ってくるわけであります。従いまして、目下のところ必ず補正を必要とする予算を御審議願っておるというわけには参らぬのじゃないか、かように考えるわけであります。
○成田委員 最後に申し上げておきますが、事実が証明すると思うのです。その場さえ切り抜ければいいという無責任な態度。必ずこれは事実が証明します。補正の問題が起きてくる、こういうことをはっきり申し上げておきます。
 それから特別調査会云々の問題ですが、これも政府は苦しまぎれに特別調査会というところに問題を預けてしまった。隠れみのにこれを利用しておるという印象は国民みんな持っている。もう少し明朗な政治をやってもらいたいということを最後に要望しまして、私の質問を終ります。
○山崎委員長 古井喜實君。
○古井委員 私は今回の補正予算に大きな関係を持ち、また来年度予算の一つの問題点であります地方財政の問題について関係大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、その前にすべての前提になります政官界の粛正の問題について岸臨時代理にお伺いいたしたいと思います。
 どの内閣にいたしましても個性がありますことは当りまえのことでありますし、悪いことではないわけであります。ところで石橋内閣の個性のように国民に強く映るところは、経済内閣であるというところであるように思うのであります。この個性をできるだけ発揮されて、経済、産業の発展のために大いに使命をお尽しになるということを、大いに要望もし、期待をいたすわけでありますが、ただ反面におきまして、道義とか精神とか、あるいは文化とかいう方面の色彩、においがいささか薄いのではないかという感じを国民に与えておるようにも思うのであります。たびたびこういう方面について声明とか演説等に開陳されておる点はありますけれども、何がなし身につかぬようなところがあるように思うのであります。今の内外の情勢の推移などから申しまして、民族精神の高揚をはかっていくなどということは、きわめて重要であろうと思うのでありますが、こういう辺についても重々御考慮があるだろうと思います。またこの議会の運営の問題につきましても、運営の正常化ということをはっきりおっしゃっておりますけれども、これもただこの国会を巧みに切り抜けるというだけの意味ではなくして、やはり民主政治の将来のために、この議会政治の倫理、ルールを確立するという、やはり真剣みと熱意がなければならぬのじゃないかと思うのであります。こういう辺いろいろ問題はあるかと思いますが、これはこの機会には端折ってしまいまして、政官界の粛正の問題だけについて御所信を伺いたいと思うのであります。
 汚職、疑獄の問題は跡を絶つ模様がないのであります。いわばカラスの鳴かぬ日はあっても汚職、疑獄の記事が新聞に出ない日はないというくらいな状況でありまして、国民はあいそをつかし、さじを投げてくるようなこともなきにしもあらずと思うのであります。
 まず官界でございますけれども、官界の刷新粛正のことについては、いろいろ御努力をなさっておることも承知しないではありませんけれども、実効が上るのか上らぬのかという点になると、ほんとうに実効が上るのか、まことにこの点に疑問を持つのであります。で、それについて思いますことは、まずもって官界に厳粛に臨む前に、政界、政治家方面において率先して範を示し、風をなすということをまじめに考えなければ、いかに官庁の諸君などに説法いたしましても、百の説法何の意味もなく、から念仏に終るんじゃないかと私は思うのであります。そこで多少政治家としては痛くても、身をもって範を示すような策をとるべきではないだろうか。それにはやはり品ではだめでありまして、たった一つでもよいのでありますから、説明を要せずしてわかる具体の策を講ぜられることが必要ではないかと私は思います。この意味におきまして私は一つでけっこうだと思いますが、ぴりっとしたこれだけでわかるということを実行なさってみたらどうであろうかと思いますのは、よく今までも論議のありますものの一つとして、私はあっせん収賄罪などの検討を本気でなさってみたらどうであろうかと思う。確かにこれは痛い劇薬かもしれませんけれども、それくらいなことを一つ実行すればやはりこれは言わずしてわかるということになるのではないかと思うのであります。政官界の粛正をやることができれば、もうそれだけでも一つの内閣の使命は十分であるとさえ思うくらいでありますので、この点につきまして石橋総理の代理であられ、また将来ある政治家であられる岸大臣の御所信をぜひ一つ伺いたいと思います。
○岸国務大臣 お答えをいたします。政治を清潔なものにし、政界官界を通じて綱紀の粛正をするということは、国民の強く要望しておるところであり、わが内閣としましてはこの点は特に重大に考えておるわけであります。すでに施政方針におきましてもまず改むべきは政治であり政府であるという立場を明瞭にし、もって政界官界の粛正を達したいという心構えで臨んでおるわけであります。この問題はだれしもが考えており、また理論として反対する者は一人もないのでありますけれども、ほんとうに古井君の言われるように具体的に何らかの方法を講ずるにあらざれば、ただ単にから念仏に終るおそれもまた多分にある問題であります。この点に関しましては政府としては、ただこの問題がから念仏に終らないように、あらゆる点で努力していかなければならないと思いますが、今おあげになりましたあっせん収賄罪の問題につきましても、私は趣旨として古井君のお考えに賛成でございます。ただ古井君も御承知のようにこの問題につきましては、いろいろ法律的に見ましても技術的に困難な点もございますし、十分研究してやらないと、あるいは角をためて牛を殺すような結果になってもこれは遺憾でありますから、十分一つ真剣に検討してその趣旨を実現したい、こういうふうに考えます。
○古井委員 ただいまの問題につきましては御答弁で御趣旨はよくわかりました。そこで仰せのごとく、半面いわば劇薬でありますので、どの策でもきき目のある策は半面がありますので、その辺は踏み切って大きなところからお考えを願いたい、これをお願いいたします。
 次に地方財政の問題でありますが、今回の補正予算また来年度の予算におきまして、地方財政の問題はやはり一つの問題点に残っているのではないかと思うのであります。この予算を見まして、今まで努力してきた地方財政の再建、健全化という一貫した政策が、この予算においては後退しているのではないか、あるいはその政策が混迷に陥っているのではないかというふうな疑問が少し起るのであります。一昨年地方財政のために臨時国会を開くというほどのことが起ったのでありますが、もう軒並みに赤字団体に転落してしまってほうっておけないということで、ああいうふうに年度途中でありましたけれども臨時国会まで開いて、百八十八億でありましたかの財政措置で、交付税百六十億を年度中途に追加するというような非常措置さえとった。このときからまた始まって三十一年度の予算においても、あらゆる点において考え得る問題は実現しようという努力がなされたわけであります。そういうふうにいたしまして、一方自治体の方の努力もありましょうけれども、とにかく地方財政の再建と健全化は緒につき出したのであります。ところでその節から残ってしまったといわれた問題がいわゆる公債費です。各地方団体において地方債の元利の支払いがだんだんかさんでいって、これがほうっておけば地方財政の命取りになるといわれておった、この問題が一つ残ってしまったわけであります。残ったということは一萬田大蔵大臣も三十一年度予算審議の際にこれは認められたわけであり、事実残っているわけであります。この問題に対してどういう回答を与えているかと中しますれば、予算措置の上から見ますと、まことに不明確であります。ほんとうに対策があるのかないのかさえ不明確だと思います。それからまた国税の減税に伴って地方財源に欠陥を起す、こういう新しい問題が起りましたのに対して、この財源の欠陥を補てんするという点におきましても、交付税一%の引き上げにとどめるというようなことであって、関係団体にも敵しい不満を起している。要するにこの辺におきまして、今までせっかくやってきて、もう一歩というところまできたのに、再建健全化の政策が混迷に陥ったのではないかという疑いを持たせているのであります。これは私が持っているだけではない。関係自治団体全部、全国の自治体もそういう心配を持っているのであります。私はこの辺一体ほんとうにどうお考えになっているのか。まさかこの辺でぶちこわしてしまおうとお考えになっているとは思いませんけれども、まずもって御所信を伺わなければならぬのであります。特にそれにつれて二つのことをお伺いしておきたいと思う。一つは、よく冗談のように言われますけれども、地方団体というものはやっかいな道楽息子だといわぬばかりのお考えが、そこらここらになきにしもあらずであります。金をやればやるだけむだ使いをしてしまう、締めるに限る、こういうふうにいわぬばかりの考え方が間々あるのであります。間々あるのではない、露骨にいえば、はっきりあるのであります。こういう考え方が財政の施策の上にも現われてくるのではないか。なるほど地方団体は多数ありますから、よいのもありましょうし、悪いのもありましょうけれども、おしなべてどうも信頼できない、困ったものだというような、全体論として考えを持つなどというのは、私はとんでもない誤まりだと思っております。どこだってよいやつと悪いやつはいるのである。国の官庁だってよいのもあれば悪いのもあるということでありまして、こういう偏見は、まさかありはいたしますまいけれども、念のためにお考えを伺っておきたい。
 もう一点は、一体地方財政は騒ぐけれどもそれほど窮屈じゃないのだ、余裕は実際はあるのだといわぬばかりの考え方を聞くのであります。いわんや来年度の問題になれば、自然増収がたくさんあるから、地方財政も非常に楽になっておるのだというような論も聞くのであります。なるほど来年度の問題などを見ますれば、自然増収があることは間違いありません。けれども問題は、この財政需要というものが変るか変らないかということであって、財政需要が地方だけは変らないのだ、こういうことなら、自然増収があれば楽になります。けれども財政需要が変るならば、これはそれと財源の増加とがマッチするかどうかということがポイントであって、自然増収があるであろうという一口で片づけられる問題じゃないのであります。財政需要の問題について、一つもと言ってもいいくらい――一つもは言い過ぎでありますけれども、閑却されておる。ここに誤りがありはしないかと私は思うのであります。ことに大蔵大臣のごとくたんのうのお方は御承知の通りに、昔から地方財政の規模と国家財政の規模とは大体同じであります。むしろ地方財政の方が上回っておるのが普通である。これは過去がそうなんで、これまた常識でもある。そこで国の予算規模が、かりにここで一千億大きくなるというなら、常識論からいっても地方財政の規模も一千億ふえる、これが当りまえの結果なんで、こまかしいことを積み上げて申し上げれば何ぼでもありますけれども、これは常識論なんです。つまりそれだけ財政需要がふえるのだ、こう言っても、大見当間違いないのであります。自然増収があるあるといって片づく問題じゃないのであります。そこで今の自治体に対して、これは信頼のできない厄介ものだとか、あるいはやはり比較的豊かなんだ、財政需要というものは国はふえるけれども、地方はふえないのだ、こういうお考えはまさかありもしまいけれども、次の具体問題に入る前に、お答えを大蔵大臣からいただきたい。
○池田国務大臣 地方財政につきましての御質問でございますが、一昨年来地方財政の立て直しに官民とも御協力いただきまして、地方財政は最近よほどよくなりつつあると私は思っております。厄介な道楽むすこなどとはとんでもないことで、私といたしましては、この上とも地方財政の健全化が進んでいって、ほんとうに国民に接触した自治行政が生まれてくることを念願してやまないのであります。なお地方財政状況につきましては、最近の経済界の好況によりまして、相当豊かになったとは申しませんが、前に比べましてはよほどよくなりました。しかし何分にも数年来の行政の経過がございますので、これは徐々にやはり直して、向上さしていかなければならぬ、こう考えておるのであります。国ばかりがよくなっても、地方財政が悪くては何にもならないことは、古井さん御承知の通りであります。相ともによくなることを期待してやまないのでございます。
○古井委員 ただいまのお考えの通りでありますれば、まことにけっこうしごくでありますので、この点は了承いたします。くどいようでありますけれども、いわば国の財政と地方財政は単の両輪でありまして、片方が幾ら健全に回っても、片方が動かなければ仕事にならない。いろいろ国の方で、たとえば国民皆保険、国保を全国的に普及するといっても、地方が動かなければどうにもならない。住宅を建てるといってもそうでありましょう。道路その他建設関係の事業をやるんだって同じであります。これはすべてがタイアップして実現されるのでありますし、ことに実情は、たとえば公共事業費を三割ないし四割ぐらい返上しておる県などもあるのであります。せっかく国の方で道路だ何だ補助を割り当てても、府県が負担できないために、相当大きな部分を返上してしまっておる県もあるのであります。せっかくの施策が生きてこないという実例もたくさんあるのであります。ことにまた健全化ということも、長い間、国の方は健全財政政策で、公債を発行しない、こういうことであるにかかわらず、地方の方は公債でいけというようなわけで無理をさせ、不健全政策といわぬばかりのことがあったのでございますから、今後格別に地方財政の健全化のために御考慮が願いたいと思います。
 そこで公債費対策の問題でありますが、先ほども申し上げましたように、公債費の問題が地方財政では残された問題の中心であります。現状は皆さん御承知の通りでありますから、くどくは申し上げませんが、三十一年度の実情を見ましても、全国の府県で、公債の元利払いが税収全体の半分以上になっておるという県が十三県あるようであります。つまり税収の半分以上は、もう公債の元利払いに充てておる。ひどいところは、税収の九〇%以上が公債費に充てられておる。こういう例さえ二県あるようであります。しかも公債費はこれから先だんだん膨張して大きくなりますことは、もうわかって、数字さえ出ておるくらいであります。試みに三十二年度の公債費を見ますれば、全国的に公債費が七百六十七億でありますが、三十三年度には八百二十七億、つまり六十億ふえる。昨年とことしと比べても百四十億あまりふえてきておる。三十九年度に至れば一千億を突破するということになっております。つまりこれがもうぐんぐんと大きくなっていくことがはっきり見えておるのであります。いわば、ほっとけば命取りになるガンであります。でありますから、このガンに手当しろといって地方団体が騒ぐのも無理はない。無理はありませんし、国会の両院でも、当該委員会はこの問題に対して善処するように決議をしておるのであります。そこで今回の予算を見ましてどこに公債費対策があるのであろうかということであります。ただいまの補正予算の中に一般会計から百億、交付税特別会計に繰り入れる。今年度の公債費は問題にいたしておりません。今年度は済んだことだと思ってあきらめておる。今まで騒いでおる問題は、来年度の公債費の問題であります。来年度の公債費にこたえよということであります。そこで、予算の上ではただそれだけしか今年度繰り入れがありませんが、これが各方面で要望しておる来年度の公債費対策であるのでありましょうか。それ以外は見当りません。あるのでありますれば、どういう方法、どういう内容で来年度公債費対策として実行されるのか、その辺のことをまずもって自治庁の長官からお伺いいたしたいと思います。なお予算案を閣議で決定されるときにも、来年度の公債対策はちゃんとある、こういうことで何項目かきまったように伺っておりますし、新聞にも報道されておりますから、あるに相違ないと思います。ただ、予算ではそれだけしか見当りませんので、その辺について御説明を願いたい。これは、私が伺うだけでなしに、責任ある大臣の立場から全国の自治体にこれを知らしてやってもらいたいと思います。
○田中国務大臣 新年度の公債費の具体的対策としてどういうやり方をするのかというお尋ねでございます。
 まず、ただいまお話しのように、公債費の重圧が日を追うに従って忍びがたいものになりつつあることはお説の通りでございますので、何とかこの公債費対策というものを具体的に地方各自治体の得心するごとくに立てて参りたい、こう考えたわけでございますが、理想といたしましては、予算の柱の上に別の公債費の柱を立てまして、予算の実行として国の責任を明らかにして、補給すべきものはその公債費の補給をいたしまして、重圧を緩和するごとく努力をするということが行き方としては最も理想のことでございますが、来年度は財政上の都合もあり、かつ地方税収自体に若干の減収もあろうというようなことから、特に財源の都合等を勘案いたしました結果、補正予算によって収入となりますものを公債費対策の財源に充てていきたい、こういうふうに具体的に考えておるわけでございます。ただいまお説のありましたように、すでに御審議をいただいております第一次の補正予算において百億円の交付税が収入となるわけでございます。しかし、この百億円全部を公債費に充てるというわけにはいかない事情がございます。第一に、昨年の十二月末に国家公務員の年末手当のアップ、〇・一五をいたしております。この〇・一五分の国家公務員の年末手当の引き上げに対する財源分を地方には回していない実情になっておりますので、まずこの金が百億入りましたならば、その金のうちから、十六億内外でありますが、この十六億内外をこの方面に配分したい、これが第一でございます。それから、もう一つ引かなければなりません点は、御承知の三十一年度の地方の財政需要額と財政収入額との差のありましたその差額調整減額分が八億ばかりございますので、この八億をもとに復する必要がある。これは法律の命令でございますから、これによりましてこの八億円をこの中から使う。そうすると、今申しました十六億をアップの財源として送り、かつ八億を引きますと、残るところは七十六億となるわけでございますが、この七十六億を来三十二年度の交付税にプラスいたしまして配分するというお許しを得たい、こういうことなのであります。
 そこで、その手続上の問題といたしましては、まず交付税法の特例法を設けまして、この七十六億は本年の補正予算ですから、本年使わなければならぬ分でございますが、これは来年度の会計年度において来年分の交付税の総額にプラスをいたしまして配分させていただきたい、こういう意味の特例法を独立して、ここ一両日のうちには提出いたしたいと考えております。同時に、交付税法の附則の中に、公債費の対策を講じ得るように新しい単位費用の柱を設定いたしまして、この設定をいたしました柱によって漸次配分していきたい、こういう考え方であります。従って、言葉をかえますと、この百億円の収入の中の七十六億というものを公債費対策に交付税という形を通しましてこれをやっていきたい。
 そこで、第二段は内容的なことになりますが、内容的にはどんなものを返していくかということですが、まず公債費中の給与関係の分、本来はこれは一般財源として国が与えるべき筋であったと考えられるものを、借金の形にさせておりますものが百四十七億円ばかり現に残っておる。本年の三月三十一日の年度末が参りますと九十七億円程度に現額が残るわけでありますが、その分で三十二年度に償還すべき元利金が二十億ございます。この二十億は、国の責任を明らかにいたしまして、これをこの交付税を通じて返すのでありますから、不交付団体には入らないことになりますが、とりあえずの赤字の団体には返して参りたい、これが第一点の方法であります。
 それから、もう一つは、一般普通の道路、河川、橋梁、砂防などの公共事業、それから失業対策事業、学校建設の経費、特にこれは義務教育関係の中小学校でございますが、こういう関係の大事な三種類の経費のために起債をした、こういう借金が二千六百三十億内外も全国でございます。この分の償還分は利息だけで来年度分百五十五億に及びます。こういう重要な経費につきましては、これは百五十五億のうちのせめて半分程度は一つ補給をしていきたい。全部やりたいのですが、大体の方針としては利息の半分をやる。
 それでは少し経費が足らないのではないかということになるわけであります。八億から十億内外は足らなくなるのではないかと考えられますが、これは先ほどからも出ております第二次補正分で、八億ないし十億程度の交付税はさらに特別会計に入ってくるもの、こういう見通しを持っておりますので、第一次分及び第二次分の補正によってころげ込んで参ります特別会計の補正の収入によりまして、今私の申し上げた重要な元利金を償還することができるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
 大へん雑駁でございますが、以上をもってお答えといたします。
○古井委員 ただいまの御説明で、来年度の公債費に対して対策があるということはよくわかりました。ところで、本年度の補正予算で、つまり一般会計から特別会計に入れて本年度の補正予算がありますが、この補正予算で特別会計に入ったものが、来年度支出すべき地方団体では公債費に充てられるようになる筋道はどうなっておるのでありましょうか。ことし使ってしまうならば話は簡単であります。ことし交付税の会計に入るのでありますから、ことし交付税で配ってしまうのなら簡単でありますけれども、問題は来年度の公債費の対策でありますから、来年度使わなければならない。これはどういう筋道になっておりましょうか、御答弁を一つお願いいたしたい。
○田中国務大臣 補正で入りましたものは、お説の通り、原則として本年配付をしなければならぬこととなりますが、これを来年度に配付をするということは、いわば自治体の当然収入となるべき、自治体の持っておりますものを、便宜上臨時応急の措置として、この財源を先に借りて繰り込んでいこう、こういう結果になるわけでございますが、いずれにしても、三十二年度にこれを使うためには、先ほど申し上げましたような、単独の特例法を出しまして、皆様のお許しをいただいた上でこれを実行していきたいと考えております。
○古井委員 少し技術的な点になりましょうから、これは大蔵大臣に伺う前に局長でもけっこうでありますが、今年度において来年度支払うべきものを繰り上げて払わせる、こういう道があるならば、なるほど来年度の公債費に対する対策にもなるし、今年度の特例会計で払ってしまうのに何のふしぎもありませんが、実際そういう手当ができるのかできないのか。その辺、できるとお考えになっているのか、あるいは研究中であると言われるのか、できないとお考えになっておるのか。できなければ困ってしまいますが、結局来年でこれは使えるようにしなければならぬ。来年で使えるようにするには来年の予算に載らなければ工合が悪いということになりそうでありますが、両方の場合、ことし始末をつけてしまうという道があるのかないのか、その辺がどうなっておりましょうか。わかるように一つ説明していただきたい。
○森永政府委員 三十一年度の補正第一号におきまして、産業投資特別会計に資金を設けることといたしますために、三百億を産業投資特別会計に繰り入れたわけでございます。その場合、所得税、法人税につきまして増収を計上いたしておるのでありますが、その増収分四百億につきましては、地方交付税法の規定によりまして、当然その四分の一の百億を地方交付税特別会計に繰り入れなければならぬわけでございます。地方交付税特別会計におきましても、これを本年度中に各地方団体に交付すべき筋合いのものでございますが、百億と申しますと、相当の金額を年度内余日幾ばくもない今日単位費用を改正いたしまして配付いたすことの困難もございますし、また、来年度の地方財政対策を考慮いたします上におきまして、その一部を来年の分の交付税と合わせて交付する道を開く必要がある、そういう地方財政の立場に立ちました観点からの要請があるわけでございます。この問題につきまして私どもいろいろ検討いたしましたが、特別会計法第十五条には、当該年度の支出残額はこれを翌年度に繰り越して支出するという規定もございますし、また、地方交付税法第六条の二には、当年度内において交付をしなかった金額はこれを翌年度以降において合算して交付するという規定もあることでございますし、現行法の建前から申しましても、本年度分の一部を来年度に加算して配付いたしますことは、現行法の精神にそむかないものと考えます。しかしこういうことを単に行政措置だけで実行いたしますことにつきましては、いろいろ不穏当な点もあろうかと存じまして、ただいま自治庁長官からお話がございましたごとく、昭和三十一年度の地方交付税の特例につきましての法律を国会に提出いたしまして、これを御承認を得た上で、本年度分の一部を来年度に加算して配付することができる、そういう旨の法的措置をお願いいたしまして、地方財政全体の健全化、合理化の資に供したい、さようなことで私どもも考えて、目下具体的に法律案を審議いたしておる次第でございます。不日その提案を見ることと存じます。
○古井委員 今年使ってしまうことはなかなか困難であろう。今年は使えないということであったら、初めから使わない気であったらちょっと事は厄介になると思いますが、今年これを使うという方法がつくかつかないかをまだ検討している、うまい方法で、来年度の対策であるけれども、今年その目的に従って使えるならば使おうし、使えないようならば来年に繰り越して、そして来年度においてその目的に使う、こういうふうな二段構えのような御説明でありますが、ほんとうに今年度使えるかどうか、もうきょうの問題になれば大いに疑問でもありましょうし、少し論じてみれば議論の点があるかもしれませんが、しかし、ともかく、これは来年度の公債費に対して使うのだということだけは間違いないようでありますから、この場合はむずかしい理屈のことは一応たな上げにしておきたいと思います。
 そこで、さっき自治庁長官もおっしゃったように、あとで第二次補正で八億また足す、それで合せて八十五億というものを公債費対策に使うということになるようであります。この金額は、御説明もありましたが、少し少いのではないか、また、そこに切ってしまう根拠が乏しいのではないかとも思いますが、これは財政の都合であったのか、どうもちょっとそれだけの金額に切ってしまうということのはっきりした理屈がないような気もしますが、どういうことで八十五億というところにとどめられたか、お伺いをいたしたい。
○田中国務大臣 交付団体分、不交付団体分、これを両方ひっくるめての場合を考えてみますと先ほど私が答弁に申し上げましたように、給与費関係で償還分の元利金が二十億、それから、あとの公共事業、学校関係、失業対策関係という三種類の事業分の利息だけが百五十五分の一の二億というと七十五、六億、そういたしますと、九十五、六億要るわけで、十億ばかり足らぬ理屈が出てくるわけでありますが、これは交付税として交付税を通じて渡すことになりますので、この交付されない不交付団体、お金持ちの黒字団体にはこの金は来年度に限っては行かないことになるわけであります。この点だけは申訳ない点でありますが、財政の豊かなところには行かない。いかない分が八、九億から十億近くくらいあるのではないか。そうすると、赤字団体である交付団体だけに対しましては、ほぼお説のような金額でまかなえるのではないか、こういう計算でございます。
○古井委員 この金額、私はいろいろな根拠から不十分だと思うのであります。不十分だと思いますその根拠、理由も申し上げることもできると思いますけれども、この場合には端折りまして、来年度の問題としては財政上やむを得なかったとしても、十分な金額ではないということを申し上げておきたいと思います。
 なおまた、お話にも出ましたが、この八十五億にせよ、いわば交付税方式で全部これを配るのだ、こういうことでありますが、議論はありましょうけれども、少くとも、その中の、給与改訂の関係であのときに給与改訂の財源を公債で押しつけてしまった、言葉は悪いが押しつけてしまった分くらいは、せめてこの貧弱団体、富裕団体といわず、つまり交付税という格好でなしに、これくらいは国がめんどう見るべきではないか、責任を負うべきではないかと私は思います。給与改訂のときに、一般財源を与えないで借金でいけ、こういうふうな政策は、どう言っても私は誤まりだと思う。従来とても、そのほかにも、一般財源を与えるのを与えないで、公債でやれと言って公債でやらしてきたのが、今日こういうふうに公債費がかさんで、地方団体がにっちもさっちもいかなくなったもとであります。その責任者は、私は地方団体だけではないと思う。国も大きな責任を負わなければならぬと思います。そこで、その意味では、めんどう見なければならぬのはこれのみじゃありませんけれども、これほどはっきりした給与改訂の財源を公債でやらしてしまった分くらいは、せめてこれは富裕団体、貧弱団体、交付団体を問わず元利補給すべきだった。そして国がしりをぬぐうべきだと思う。しかるに、今回は交付税方式で片づけようということであります。この点はまことに不満であります。その点を申し上げて、次の点であります。そこで、ことしの三税の自然増収のうち、百億を先ほどの経費と来年度の公債費の財源に振り向けたというわけでありますが、ことしの三税の自然増収は、ほうっておきますれば、これは三十三年度において交付税財源になるものである。当然地方団体の財源である交付税の中に入ってしまうのであります。すると、ここで用いた財源は、再来年の自治体の自分の財源を三十二年度に使ってしまった、先食いをしてしまった、させたんだということにいわばなるのではないか。大体先食いをしてやることのいい悪いは別にして、自分の財源でもって公債費の問題が片づくくらいなら、何も自治体は公債費問題を騒ぎはしない。自分では公債費は背負っていけないからこそ、この公債費問題を騒いでおるのでありますから、自分の財源を先食いしてやったらいいじゃないか、これでおしまいだということでは、おさまりがつかないのであります。国にめんどう見てくれと言っているのである。自分の財源を勝手に使えではどうにもならぬ。
 そこで、この問題は、三十三年度の問題としては、どうしてもここで使ってしまう分は国が補てんをするという問題がやかましいことになると思う。簡単に追っ払ってしまえない問題になると私は思います。それからまた、もう一つは、三十二年度に対しては、すっきりするせぬは別にして、ともかく対策でありますけれども、三十三年度になったら一体切ってしまうのか、やめてしまうのか。そんなことができるものじゃありません。公債費に悩んでおるという問題は来年一年だけの問題じゃない。三十三年度も続くにきまっている。でありますから、三十三年度以降切り捨ててしまえるわけのものじゃないし、またかりにそういう考えを持ったところで、そんなことが政治的にできるものじゃありません。そこで、私は、ほうっておけば三十三年度に行くべきであったこの財源に対しては、三十三年度において補てんの問題があると思う。それと、三十三年度以降公債費対策は継続しなければならぬものだと思いますが、そうでなかったら、とても三十三年度はどうにもこうにもいかぬ。一ぺんこれを追っ払ってしまえくらいに考えたら、大蔵当局でもその折にお出になったら、とんでもない目にあいます。これは私はっきり申し上げておきます。そう思いますが、その辺は大蔵大臣はどうお考えになりますか、御所見を伺いたい。
○池田国務大臣 先ほど来地方債の問題につきましていろいろ御意見をお申し述べになりました。われわれもこの問題は地方財政に最も重要な問題として考慮いたしておるのであります。しこうして、今回の補正予算によりまして三税の増収を見込みました関係上、百億円というのは当然出てくる法律に基くものでございます。これは先食いになるならぬの問題は別問題でございまして、今の建前から三税の自然増収見込額は当然出てくることであるのであります。
 従いまして、三十二年度は今回の補正によって百億円が出たからいいが、三十三年度以降をどうするかという御質問であろうと思います。もともと、交付税のうちには、地方債の元利償還の分が、建前は財政需要の方に見てあるわけであります。ただ、交付の問題でそれが十分はっきりできないのでございます。いずれにいたしましても、地方財政健全化のためには、先ほどお答え申し上げましたごとく、実情に沿ったような方法で地方並びに国の財政全般から考えなければならぬ問題と思っております。従いまして、三十二年度の実績等を見まして、三十三年度にはまた依然として考慮すべき問題があると思います。その場合には両方にらみ合せて適当な措置を講じたいと思います。
○古井委員 ただいまの御答弁ではちょっとよくわからないのであります。先食いか、先食いでないかという問題はとにかく、自然増収をあげたからもう仕方なしに出てきた、こういうことであるようにも言われるが、それはそれとして、措置の仕方があるはずのものである。結果において先食いをした、先食いをさせたということにおいては間違いがないのでありまして、これは公債費に使うにせよ、まあ要らぬものだとばかにおっしゃるような気がするのであります。とにかく、ここで使わなければ三十三年度の財源になる。何の財源になる。何の財源になるかといえば自治体の財源になる。交付税というのは、御承知のように、自治体の独立の財源だということになっていて、税という名前をもっている。どこの税かといえば自治体の税で、国の税ということじゃない。それを使ってしまったということになれば、もっとやかましい議論もしなければならぬということになってくる。そのやかましい議論は別にして、この補てんの問題は御考慮に――きょうのことじゃありません。三十三年度の問題でもありますけれども、研究されなければなるまいと私は思います。
 それから、三十三年度以降の対策の問題もにらみ合わしてとかおっしゃるけれども、対策は、どういう形にせよ、打ち切るわけにはいくまいと私は思います。その辺少しあいまいすぎてちょっと困りますが、どんなものでありましょうか。何かお伺いできる点がありましょうか。なければ他の方法を考えます。
○池田国務大臣 三十二年度におきまして、三十一年度の補正予算を繰り越して合せて交付するという場合におきまして、そしてそれによって三十二年度において地方債が相当元利償還された場合において、三十三年度にその通りにやっていくということになりますると、そこに財源の不足が起り得るのでございます。しかし、これも、三十一年度の自然増収の額によりまして、交付税が今後決算においてどれだけふゑるかということも考慮に入れなければなりません。従いまして、私は三十二年度の実績を見、そしてまた、その他地方財政全体をにらみ合せ、また国の三十三年度の状況を勘案いたしまして、適当な措置を講じたいと考えております。
○古井委員 ややお考えのほども出てきたように思いますが、まあそれ以上のことをこの際ここでおっしゃるわけにもいきますまいし、ただ、お考えにならぬわけにはいきませんよということだけは一つ申し上げておきたいと思います。
 最後に一点お伺いしたいのは、この国税の減税に伴って地方財源がそれだけ減る。この欠陥を補てんするという意味でございましょうが、交付税率を一%引き上げるということになっておるようであります。一%ということは一体どういう根拠によって出たものであるか、国税の減税がなかったとすれば地方に入るべき財源、それだけの財源を地方に補ってやるということになるならば、パーセンテージでいへば三%、二百二十億というものを考えなければならぬはずであったと思うのであります。これが一%になっておるわけであります。そこで、この点にも地方団体側等にひどい不満があるのです。これに対して、地方にも自然増収はあるのだという御論は、さっきも大蔵大臣からも聞きました。けれども、財政需要がそれ以上に膨張していくのだったら、自然増収があっても何にもなりません。足りないことになってしまう。財政需要がどうかということが問題になってくる。ここをいつでも忘れてしまっておられる。一口に自然増収があるというのでは片づかぬのであります。両方のバランスをとってみて、十分だ、こう言われる根拠はありはしないと私は思っている。もしまた、この点を大蔵大臣あるいは大蔵省の方が、地方の財政収入はこんなものだと判定して、自分たちの考えがオールマイティだと考えるんだったら、とんでもない間違いで、これこそ私は自治の侵犯になると思う。自治体と対立した立場に立っている国家財政当局が、自分の考えを自治体に押しつけ得るというんだったら、これは自治の侵犯です。中正的な機関か何かが判定したものをもとにするというんならともかくとして、対立した立場にある国家財政当局が、おれの見た通りにお前たちは鳴け、これじゃ話にならない。それは私は大問題だと思う。だから、その判断は決して大蔵省とか大蔵大臣が、自分の思うところがオールマイティだなんということを考えてもらっては困るのであります。だから、財源の余裕があるとかないとかいうことを大蔵省がおっしゃったって、通りはしません。その点は理屈になりませんよ。これは論拠にならないと私は思います。
 その上に、交付税の建前は御承知の通りでありまして、一体平衡交付金制度を交付税に何のために変えたんだ。毎年心々地方の歳出歳入を見て、足りない分だけ毎年あらためて考えてきめようという平衡交付金はやり切れない。そこで、毎年それを見て、足りない分はやるというような行き方はやめちゃって、そうしてこれだけのものは地方の財源だということをはっきりこしらえて、その財源はお前のものだというので、税という名前をつけた。そうして、自然増収、自然減収があっても、それは仕方がないぞ、こういうことで、地方の独立財源ということに、この交付税制度になったときに切りかわったのである。そういうことでありますので、毎年どれだけ余っているとか足りないとか、そういう議論はもうこれでおしまいになっているのである。でありますから、交付税制度になってから、そういう議論でもってこれは片づけるわけにはいかなくなっているのであります。その上に、交付税の制度は、そうなったときの国会の記録にも明らかな通りに、地方の独立財源、この財源は地方のものである。そこで、この交付税というものは、自然の増減があっても、交付税の率は、自分のものだからいじらないけれども、しかし前提になっている税制に改革があったら、これは変えるのだということは、当時の当局者もはっきり説明をしている。それを明らかに出せと言われるなら、ここにも持っておりますから、出してもよろしい。ここにおいでになる政府委員の方などもちゃんとおっしゃっていることを書いたものがあります。つまり、前提になっている税制が変れば率は変えるのだということは、当時からの話である。また当然のことであります。自然の増減はこれは見ない。これが交付税制度の根本でありましょう。
 そこで、この交付税制の建前から言えば、この率一%というものはちょっと根拠が乏しいんじゃないかと私は思う。むしろ筋がまずいんじゃないかと思う。ただ、何にせよ、この場合いろいろな国家財政上の施策も優先的に考えなければならぬものがたくさんあったりしたかげんで、そっちの方の筋から言えばつまり交付税制度の筋から言えば議論はあろうけれども、何しろ財源が一%分しか残らなかったのだ、こういうことでありますならば、満足とは申しませんけれどもこれはやむを得ぬ一つの話だと思う。しかし、一%にとどめたことが、財源に地方の自然増収がござるとか、交付税というものの建前などはどうでもいい、平衡交付金と同じように見ていいんだとか、そういう話では、これは困るのであります。また、そうだとおっしゃるなら、これはただ一回の本年度だけの問題ではない。長い将来の地方財政、地方自治の運命にも触れてくる。この点どうお考えになるのか。まことに私どもにとっては重要でありますので、まずもって、これは自治を預かっておいでになる自治庁長官に御所見を伺い、その次に大蔵大臣に御所見を伺っておきたいと思います。
○田中国務大臣 お説の通り、最も合理的な計算をいたしますと、国税の減税に伴うはね返り分というものは二百二十億円に及ぶのであります。本来から申しますと、これは三%上げなくては理屈が合わぬ。それを二%でがまんをしたという状況でございます。それは一体何の根拠なのか、こういう御質問に対しましては、これもまたお説の通り、そうしっかりした根拠はないのであります。正直に申し上げますとしっかりした根拠はないのだが、その根拠らしいものはある。それはどういうものかと申しますと、何しろ国税を思い切って減税をいたしまして、地方住民も同時に国民でありますから、国税の関係においては税の負担が減になってくる。これは政治的にながめた一つの理屈でない理屈なんであります。それから、もう一つは、今おしかりはありましたが、問題にならぬとは仰せになりますけれども、自然増収というものも相当量ある。これは大蔵大臣が一番最初におっしゃったほどにはないのですが、大体両方の事務当局で専門家がそろばんをはじき出して、時間をかけて、十何日間かかって夜を徹して計算をいたしましたその双方の計算によりますと、私の方は少いのだという言い分で、大蔵省の方はもっとあるらしいという言い分なんです。その両方がプラス・マイナスをやった結果、私どもの方も得心をして、この程度ならば間違いないと踏んだ増収の程度というものは七百億円ちょっとであります。これも理屈になりにくい理屈でありますが、一つの政治上の理屈にはなる。それから、第三の理屈になりにくい理屈は、何しろ国の財源においてゆとりがない、ようやく一%上げる程度ならば何とかなるが、それ以上は上げる財源がない、つまり国の財政の逼迫ということであります。こういう三つの、理由にならない理由がある。こういうものを一つの参考資料として総合をいたしますと、まあ三%上げるところだが、一%程度でがまんをするより道はなかろう、やむを得ずそういうことに腹をきめたという事情でございます。
 理屈になりにくいのでありますが、その事情をありのままに申し上げたわけであります。
○池田国務大臣 大体自治庁長官のお答えになったと同じような状況でございます。もともと、古井さんは専門家で御存じの通り、交付税の前の平衡交付金でも、これは閉口いたしましたし、またその前の配付税もとにかく四角四面でいけない、両方の中間をとったといいますか、今の交付税がいいという結論になって交付税で来ておるのであります。従いまして、減税ということも交付税率を動かす一つの有力なるファクターでございます。また、地方財政におきまして、少々の自然増収なら別でございますが、相当の額に上る自然増収がありますときには、これも、自治庁長官のおっしゃったように、一つ考えなければならぬファクターじゃないかと思います。そうしてまた、第三には、古井さんのお言葉にありましたように、中央・地方の財政、財源等の問題も、これは理屈にならぬかもわかりませんが、趣旨として両方一体として進んでいこうという場合には、ある程度考えていただきたい要素じゃないかと思います。従いまして、今回いろいろの事情を考えまして、昭和三十二年度におきましては、非常に御不満ではございましょうが、一%の引き上げでがまん願いたい、こう話し合い、できまったような次第であります。
○古井委員 ただいま両大臣のお話で、十分な、はっきりした、すきっと通ってしまうほどの根拠はないようであります。とにもかくにも、それやこれやの事情でこういうことになった、裏を返せば、すっきりした根拠はないのだということになりそうでありますので、まあそういうことだということでお話を伺っておきたいと思います。ただ、さっきも申しましたのでありますけれども、自治庁長官にされても、自然増収があるからということを一言おっしゃった。七百億ばかりある、それはそうでしょう。けれども、財政需要の方がずっとオーバーしたらどうなりますか。オーバーするのだと私どもは言っておるのです。だから、あすこは、大蔵大臣はよくおっしゃるけれども、あまり言わぬ方がいいのじゃないかと私は思います。
 それから、自然増収がうんとある場合には、交付税の率をしんしゃくして、都合によったら下げてもいいのだ、つまり、減税などしない場合を考えると、国税の自然増収がうんとある場合には、交付税の率を下げてもいいのだとおっしゃるかのような口吻もありましたけれども、しかし、交付税法の第六条の三の二項とかいうのに書いてある通りに、引き続いて非常な収入があるとか、あるいはひどく収入が落ちるとかいうときは、率を変えてもいいことにはなっておりますけれども、たった一年自然増収があるとかいうので勝負をつけられては、これはやはり法律の明文から言うてもちょっと工合が悪いように思うのであります。この辺がありますので、率の点は了承すると申し上げていいまでに至りません。そういう議論の点が残っておりますが、お考えだけはわかりましたから、これで私は質問をやめたいと思います。
○山崎委員長 この際御報告申し上げます。先般委員長に御一任願いました公述人の選定につきましては、次の通り決定いたしました。朝日新聞社論説委員、土屋清君、全国販売農業協同組合連合会企画監理室長、土岐定一君、早稲田大学教授、末高信君、協同組合中央会会長、荷見安君、経済団体連合会副会長、植村甲午郎君、経済評論家、木村禧八郎君、日本労働組合総評議会事務局長、岩井章君、一橋大学学長、井藤半弥君、以上八名であります。
 明日は午前十時より開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十八分散会