第027回国会 大蔵委員会 第6号
昭和三十二年十一月八日(金曜日)
    午前十時四十六分開議
 出席委員
   委員長 山本 幸一君
   理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君
   理事 高見 三郎君 理事 藤枝 泉介君
   理事 平岡忠次郎君 理事 横錢 重吉君
      足立 篤郎君    大平 正芳君
      奧村又十郎君    加藤 高藏君
      川野 芳滿君    吉川 久衛君
      杉浦 武雄君    竹内 俊吉君
      内藤 友明君    中山 榮一君
      古川 丈吉君    前田房之助君
      山本 勝市君    井上 良二君
      石野 久男君    石村 英雄君
      春日 一幸君    神田 大作君
      久保田鶴松君    田万 廣文君
      竹谷源太郎君    横路 節雄君
      横山 利秋君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  坊  秀男君
        大蔵事務官
        (主税局長)  原  純夫君
        大蔵事務官
        (理財局長)  正示啓次郎君
        大蔵事務官
        (銀行局長)  酒井 俊彦君
        大蔵事務官
        (為替局長)  石田  正君
        通商産業事務官
        (通商局長事務
        代理)     杉村正一郎君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (日本不動産銀
        行頭取)    星野喜代治君
        参  考  人
        (日本不動産銀
        行常務取締役) 山中 信男君
        専  門  員 椎木 文也君
    ―――――――――――――
十一月八日
 委員有馬輝武君、中村高一君及び横山利秋君辞
 任につき、その補欠として西尾末廣君、横路節
 雄君及び岡良一君が議長の指名で委員に選任さ
 れた。
同日
 委員岡良一君辞任につき、その補欠として横山
 利秋君が議長の指名で委員に選任された。
十一月七日
 多賀城町の旧海軍工廠敷地返還等に関する請願
 (保科善四郎外二名紹介)(第一三八号)
 旧陸軍共済組合員中の女子組合員に年金支給に
 関する請願(淺香忠雄君紹介)(第一三九号)
 同(神近市子君紹介)(第一四〇号)
 同(河野密君紹介)(第一四一号)
 酒税引下げに関する請願(山崎巖君紹介)(第
 一四二号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出第三号)
 設備等輸出為替損失補償法の一部を改正する法
 律案(内閣提出第四号)
 金融に関する件
    ―――――――――――――
○平岡委員長代理 これより会議を開きます。
 委員長に差しつかえがありますので、私が委員長の職務を行います。
 本日は、不動産銀行の問題につきまして、日本不動産銀行頭取星野喜代治君及び同行常務取締役山中信男君の御両名が参考人として出席しておられます。
 参考人の方々には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。では金融に関する件について調査を進めることにいたします。質疑の通告があります。これを許します。竹谷源太郎君。
○竹谷委員 きょう星野、山中の両氏が参考人としてお見えになっておりますので、日本不動産銀行の設立の趣旨、経過、並びにことしの四月一日創立されたわけでありますが、その後の銀行運営の概況を、簡単でよろしゅうございますから、要領を一つ御説明をお願い申し上げたいと思います。
○星野参考人 私日本不動産銀行の星野喜代治でございます。今日は、皆様国務御多端の折柄、わざわざ私のごとき者をお呼び出し下さいまして、何か聞いてやろう、言わしてやろうという御寛容な御取り計らいをいたして下さいまして、衷心より厚く御礼申し上げます。
 ただいまの御質問のところにお答え申し上げたいと存じます。日本不動産銀行は、閉鎖機関朝鮮銀行の特殊清算結了の結果残りました財産、総計で約七十一億円残ったわけでございます、そのうちから政府へ納付金として約三十億円、国税といたしまして約二十億円、地方税、つまり国税の付加税といたしまして約三億円納付しております。それで、納付金と税金と大体五十三億円を国家に納付いたしまして、十八億円というものが残った次第でございます。この十八億円の残った財産をもって第二会社を得ることになり、きて何を作ろうかということになったのでありますが、当時、株主の代表から、清算入をいたしておらました私に対しまして、もともと特殊銀行朝鮮銀行のあとであるのだから、何か金融業をやったらどうかということが問題になりました。その金融機関をやるとしたならば、どんな金融機関をやったらよいだろうかということになったのでございますが、御承知の通り、終戦後占領政策によりまして、日本の不動産専門の銀行が、いずれも不動産専門の銀行たることをやめまして、勧業銀行、北海道拓殖銀行というような普通の銀行にかわった次第でございます。それで私どもは、今後この日本の経済が立ち直って参りますにつれまして、戦前と同様に、日本の国富の半ば以上を占めております不動産が資金化されないことは、非常に国のためにもとらないところだと存じまして、不動産銀行になろうということを考えついた次第でございます。時たまたま中小企業に対する金融ということがやかましくなりましたのと、また後に申し上げますが、市中銀行さんから低利資金を拝借いたします関係で、中小企業に対する長期の金融もあわせてやったらどうかということになりまして、この不動産銀行は、中小企業に対する長期の資金を貸し付けることと、不動産担保の金融をすることとが、おもなる営業の種目となってきたのであります。その後御承知の通り、本年の四月の一日から開業をいたすこととなった次第でございます。
 それでは、その資金の関係はどんなことになっておるかということを御説明申し上げますと、発足当時の資金は、大体総計で四十八億有しておりました。その内訳を申しますと、資本金が十七億五千万円でございます。その資本金のうちの十億円は、先ほど申し上げました朝鮮銀行の残余財産をそのまま出資して資本金とする、旧朝鮮銀行の株主が新しい日本不動産銀行の株主に相なったわけでございます。その後政府から七億五千万円の御出資をいただいておりまするので、現在のところでは資本金が十七億五千万円、こういうことになっております。そこへ朝鮮銀行の残余財産の一部分であります八億円を最初から積立金として有しておる次第でございます。そのほか市中の大銀行さん、十二行でございますが、十二行から二十二億五千万円の低利資金をただいま拝借しておりますので、それらの資金を合計いたしますと、四十八億円に相なっておる次第でございます。四十八億円の資金をもって発足しました私どもの銀行は、その後四月の一日から開店いたしたのであります。なおここでちょっと申し上げますが、ただいま私どもの銀行は、東京都内にある本店のほかに、支店として大阪に一つの店を持っております。この大阪の店は、十月の一日から開店したような次第でございます。
 さて日本不動産銀行が開店いたしますと、申し込みが非常に多うございまして四月以降十月の三十一日までの借り入れの申し込み件数は、二千九百七十二件に達しております。その申し込み金額は、百七十六億三千五百万円と相なっておるのであります。これらの申し込み件数のうちで、とうてい金融の対象にならないものも多うございますので、お断わりしたのもだいぶございます。また貸し出しのできるものは貸し出しして参りました関係で、結局十月の末における未処理の申し込み件数は幾ら持っておるかということになりますと、六百二十二件ただいま持っております。その六百二十二件に対する申し込み金額は、四十七億四千万円となっております。その申し込みの中で中小企業関係のものが幾らあるかと申しますと、件数で五百六十四件、金額で二十億四百万円となっております。
 なお今後中小企業関係の申し込みが、年末を迎えまして激増するかに予想されておる次第でございます。十一月中に申し込みが約二百件ぐらいあるだろうと予想しております。金額の点は、約八億円ぐらいが申し込まれるのではなかろうかというふうに、ただいま考えておる次第でございます。また十二月になりますと、これがさらに、件数では二百五十件ぐらいが申し込まれるのではなかろうか。金額は十億円を下らないであろうということを予想しておる次第でございます。
 なお今日までの当行の融資の実績をさらに分析して申し上げてみますと、十月末貸し出しの金額は、全額で四十億八百万円貸し出ししておる次第でございます。そのうち中小企業向けの一件当り平均金額は、四百九十七万円ということになっております。
 主力は、もちろん私どもの銀行の本来の設立の趣旨によりまして、中小企業への貸し出しに向けておるのでございますが、特に業種としてどういうものが多いかと申しますと、製造業が一番多いようでございます。その次には物品販売業、卸売、小売業というようなものでございます。その次には、個人の住宅資金、個人が土地を担保に入れて、住宅を作るために金を貸してくれ、あるいはアパート等をお作りになるために金を貸してくれというようなのが第三位になっております。その次には病院とか学校とか旅館、貸間業というようなのが第四位になっております。第五位には、不動産業、いわゆる不動産の売買を業務としておられる方の金融というようなことになっておる次第でございます。
 目下私どもにとりまして一番悩みになっております点は、この年末を控えてどうして資金繰りをつけていくかということなのでございます。先ほども申し上げましたように、現在本支店において申し込みを受けました数が六百二十二件、四十七億四千万円という申し込みを今かかえておるのでございまして、このうちの大部分が、中小企業者の申し出が多いのでございまして、何とかこれらの申し込みに対しては、その要請に従って金融をつけていきたい、こう考えておる次第であります。問題は、ただいま手持ちの資金が八億くらいでございますが、それに対して四十七億円の申し込みをかかえておるというような状態でございまして、今後の資金の獲得につきましては、特に大蔵省御当局の御支援をお願いしておるような次第でございます。
 なお今後私どもの業務の運用につきましては、初めは開店早々のことで、職員も非常にふなれでございましたが、だんだん事務に習熟して参りますとともに、私どもの銀行の本来の使命でございます中小企業の金融並びに不動童担保の金融ということには主力を注いで参りたい決意でおる次第でございます。つきましては、今後とも皆々様の御指導と御支援におすがりしたいと存じておるような次第でございます。何とぞよろしくお願いいたします。
○竹谷委員 ただいま参考人のお説を拝聴いたしますと、十月末で未処理が四十七億四千万円、そのうち中小企業が二十億四百万ある。なお十一月中あるいは十二月中には、一カ月八億ないし十億以上の申し込みがあるであろう、こういう状況だ、こういうのでございますが、その資金の手当をどうなさる御計画であるか。日本不動産銀行のよって立つ長期信用銀行法によりますと、大体預金は一般から集めない、政府の出資なり融資なり債券引き受け、あるいは一般銀行の融資に待ってこれを資金源とするということになっているようでございますが、そうしますと、政府の力なりあるいは大銀行の融資に待たなければならないと思うのですが、その資金の手当はどうなされる御計画であるか、それを承わりたい。
○星野参考人 ただいまの御質問にお答え申し上げます。今後の資金の獲得につきましては、ただいまお述べになりました通りに、まことに私ども苦慮しておる次第でございます。その具体的な方法といたしましては、この十一月に八億円の債券を発行いたしたいと考えております。その八億円の消化先はどこへお願いするかということになりますと、私どもの希望といたしましては、そのうちの半額は資金運用部でお引き受けいただければまことにけっこうだと考えております。その残りの半額四億円は、これを先ほど申し上げましに、市中の協力下さいました大銀行さんと地方銀行さんにお願いしまして大体消化いたしたい、こういうふうなことを考えております。
○竹谷委員 そういう御計画のことは、十一月三日の朝の新聞に記事が出ておりました。これは毎日新聞ですが、その記事によると、その月間八億円の金融債は年内発行はむずかしい、このように書いてある。その理由は、政府から運用部資金を四億借りたいということは、政府がなかなか出さない、また銀行の貸し出しからの金融、債券引き受けはむずかしい、こういうような記事がございましたが、これは政府の方に向って債券の引き受けをお願いしてあるのでございますか、その点、お伺いいたします。
○星野参考人 御質問の通り、政府に対して四億円のお引き受けを懇願しております。
○竹谷委員 ところが政府の方では、この新聞の記事によると、日本不動産銀行の貸し出し平均額が三百万円以上に上っているという点が、必ずしも中小企業金融専門とは言えないということが一つ、それから金融引き締めの現在、特例を日本不動産銀行に対して認めるわけには参らぬ。あなたのところが平均四百七十七万円だ、こういうことになっておる、こういうのでございますから、三百万円をこえておることは事実のようでございます。日本不動産銀行として中小企業金融というのは、一体どの規模以下のものが中小企業であり、あるいは金額としてどれくらいまでを中小企業金融というのか、そのお取扱いをお聞きしたい。
○星野参考人 お答えいたします。ただいま中小企業金融公庫等の坂扱いによりますと、中小企業は大体資本金が一千万円以下、従業員が三百人以下というような取扱いになっておるように記憶いたしております。
 ただいまお尋ねの、それならお前の方は、平均三百万円を超過しているような額じゃないかというお話でございますが、これには私ども少し弁解を聞いていただきたいと思うのでございます。私どもも当行の設立の趣旨にのっとりまして、なるべく零細な金融に向いたいとは考えておりますけれども、私ども何しろ開店いまだ半年、早々のことでもございまして、行員がまた事務に非常にふなれでございます。銀行の設立趣旨だけにのっとりまして不動産担保、中小企業というこまかいものだけをあさっておりますと、自然件数も伸びませんし、また金額も多くないわけであります。それではその余った金をどうしているか、コールにでも出して黙って見ておるかということになるかもしれませんが、私どもは、設立当初早々のことでもありますし、その点は一つ大目に見ていただいて、ただいま申し上げました企業者でも、多少大きいものと知りながら、幾分の金融をやってきたような次第でございます。それは、ただいま申し上げましたように、当行は株式会社でございますから、株主に対する関係もありまして、相当もうけを出していかぬばならないというような関係が一つありますことと、もう一つ、金額の平均が非常に高くなったという一つの原因は、市中並びに地方の普通銀行さんから、金融が逼迫してきました関係で、こういう従来の自分の取引先があるのだが、これはあまり大きくない先だ、系列会社の下請会社等であるから、一つこれをお前の方でやってくれないかというようなお頼みを受けてやったのが、主としてこの金額が平均が上ってきた原因だろうと思うのでありますが、これは、市中銀行さんからは、先ほどのように二十二億五千万円の低利資金を借りておりますし、また今後この債券を発行いたしますにつきましても、どうしても大銀行さんのサービスをしなければなかなか資金が得られないという、私どもの資金調達の上で一つの悩みと申しますか、弱点がございますので、自然そのようになったことだと存じます。しかしながら、私はこれが理想のあるべき姿とは考えておりませんので、今後行員の熟練が進みますとともに、皆様の前でりっぱに申し開きができるような格好にいたしたい、こう考えております。
○竹谷委員 銀行局長に、それに関連してお尋ねしますが、大蔵省としては、中小企業金融の対象となる中小企業の規模及びその中小企業金融の貸し出しの最高金額はどれくらいまでのものを中小企業金融と見ておるのですか、それをお伺いいたします。
○酒井政府委員 私の方でも、先ほど星野頭取からお話がありましたように、金額にいたしまして大体資本金一千万円、それから従業員が三百人以内というところくらいを考えております。それから政府関係機関の中小企業金融のワクというのは、大体一千万円ということになっております。金融の額は、相互銀行、信用金庫等におきまして、大体一千万円という標準でやっております。
○竹谷委員 そうしますと、規模において一千万円の資本金及び三百人までのもの、それから金額は一千万円まで、こういうことが大体の標準だということでございます。今星野参考人のお話を承わると、低利の金を市中銀行からお借りしているので、ある程度その方面のことも聞いてやらなければならぬという事情も私はわかるわけでございます。それにいたしましても、平均四百万台でございまして、この銀行は、大体中小企業金融をしているものと存じます。ことに不動産担保ということになりますと、大体中小企業の金融が主となることは、これは当然でございまして、そういう面から言うと、現在の中小企業の金融が非常に圧迫されている今日、不動産その他の担保に基く中小企業の金融を主とするこの銀行について、相当金融ができるように政府としても扱うことが必要ではなかろうか、こう思います。これは、銀行局長にお尋ねしたいのですが、私の調べますところでは、政府はこの間の大蔵大臣の本会議における演説の中でも、中小企業金融対策について申し上げたい、財政金融を通ずる引き締め政策の推進に当り、政府が最も意を用いておりますのは、中小企業等経済的に弱い面にしわ寄せが起らないようにすることであります。こういうことで、中小企業金融については、中小企業金融公庫、国民金融公庫、あるいは中金等にそれぞれ手当をした、予算措置をした、こういうことを言っております。しかしながら、中小企業に対する金融の現状を見ますると、非常なしわ寄せが中小企業に起っていることは、数字がこれを証明していると思う。その数字を簡単に申し上げますと、三十一年度においては、中小企業に対して五千四百五十五億だけ前年度よりも貸し出しがふえた。そのうち中小企業に対する全国銀行、大銀行の貸し出しが三千六百二十三億円、こういうふうに両方とも、全金融機関の貸し出しも、全国銀行の貸し出しもともに中小企業に対して大きく三十年、三十一年等はふえて、中小企業金融に大金融機関もこたえておったわけでございます。ところがそれがことしになりまして、ことしの四月から六月、短かい三カ月間の実績ではございますがこれがぐんと減ってしまっておる。全金融機関が中小企業に貸し出した金の増は、この三カ月間で四百九十四億円、それからそのうちの大銀行の中小企業に対する貸し出しは、ただの四十四億円でございます。これを一年に換算しましても、全国銀行の中小企業に対する貸し出しは、わずかに百七十六億円、前年度の三十一年度におきましては三千六百二十三億円全国銀行の中小企業に対する貸し出し増加があったのに、本年度はその二十分の一にも充たない百七十億円しか中小企業に貸し出されない。こういう現状でありますから、中小企業は非常な金融難に陥っておることは、この三カ月間の大銀行の中小企業に対する貸し出し状況を見ましてもはっきりわかってくる、こう思うのでございます。また貸し出し残高を見ましても、ことしの三月の貸し出し総額が五兆二千三百五十一億円、こういう数字でございます。そのうち中小企業に対する貸し出しは二兆五千百七十九億円でありまして、この五兆二千三百五十一億円のうち、全国銀行だけの分は四兆二千五百二十七億円のうち、中小企業向けが一兆五千三百五十四億円、こういう数字でございます。ところが八月になりますと、全金融機関の貸し出しは五兆五千九百六十二億円、そのうち中小企業向けの貸し出しは二兆五千九百九十一億円、その貸し出しの中で、全国銀行だけの分が四兆五千三百四億円のうち中小企業に対する貸し出しは一兆五千三百三十四億円になっている、これで見ますと、全国銀行の中小企業向けの貸し出しの残高は、全体の貸し出し総額が二千七百七十七億円だけ三月よりも八月がふえておるのに、そのうちの全国銀行の貸し出し額は、かえって貸し出し残高が二十億円減っておる、すなわちことしの三月から八月の間で見ますと、全国銀行、大銀行の中小企業に対する貸し出しは、二十億円逆に減っておる。
    〔平岡委員長 代理退席、委員長着席〕
全体としてはふえているのに、全国銀行の中小企業に対する貸出残高は逆に減っておる、こういう現状であります。でありまするから、両面から見まして、中小企業は非常な金融のしわ寄せを強く受けておる、こういう状況でございます。それで中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫で百七十億円の手当をいたしたといたしましても、焼け石に水である。こういう現状でございまするから、不動産担保を中心とする日本不動産銀行等の貸出先は、必然的に中小企業でございまして、この不動産銀行を活用することが、現在の中小企業に対する金融難の緩和に資するところ非常に大きいというふうに考えられるのでありますが、ただいま星野参考人の陳述を聞きますると、八億円ずつ十一月から債券を発行していきたい、そのうち四億円を資金運用部の資金をお借りしたという意向であるようでありますが、政府として、この日本不動産銀行の設立の趣旨並びに現在の中小企業の金融難を緩和いたすために、この日本不動産銀行の要望に応ずることがきわめて妥当じゃないか、こう思うのでありますが、銀行局長なり理財局長のこれに対するお考えをお尋ねをいたしたいと思うのであります。
○酒井政府委員 お話のうちにありました全国銀行の貸出総額に占める中小企業の金額というものが少いじゃないかということは、先生の仰せられた通り、この上期におきましては、ほとんど横ばいでふえておりません。ただ、その他の金融機関、相互銀行、信用金庫等につきましては、前期よりも相当ふえて参っております。なお銀行協会におきましては、下半期、これから新規の預金がふえます分の少くとも二〇%以上、金額にして四、五百億は出していきたいという決議をなすっておられます。それで大蔵大臣も、さっき御指摘がありましたように、このいわゆる引き締め政策と申しますか、今後の政策をとっていきます上に、やはり中小企業の金融について特段の配慮を加える必要があるということをお話になっていらっしゃいますが、一応予算的には中小公庫の百億円、それから国民公庫の七十億円、これの追加をいたしました。それからさらに商工中金につきましては、資金運用部におきまして、当初の計画で二十億の債券引き受けでありましたものを、総合対策のときに二十億さらにふやし、またさらに今後三十億ふやすということになりまして、商工中金の方としては、一応金庫側でごらんになっております需要に対して、これなら応じられるというような格好になっております。そういう現状でございますが、しからば不動産銀行に対してもう少しめんどうを見たらどうかということでございますが、不動産銀行は、設立早々のことでもありますし、きつき星野頭取が言われましたように、今後できるだけ中小企業の金融の疎通ということについて、だんだん銀行資金量の発展とともに、そういうふうに中小企業金融の疎通に十分力を入れられることだと思います。その場合に、しからば政府で何か援助した方がいいじゃないかという御意見でございます。これは、私どもも御意見を尊重いたしまして、十分研究してみたいと思います。なおこの点については、引き受けの関係においては理財局長より御答弁申し上げるのが適当かと思いますので、理財同からお答えを申し上げさせていただきたいと思います。
○正示政府委員 お答え申し上げます。先ほど来竹谷委員から日本不動産銀行の業務につきましていろいろと御質問があり、また星野頭取からお答えがありました。思い出しますと、この委員会で旧朝鮮銀行の清算につきまして大へん委員の皆さん方のお骨折りをいただき、幸いにして日本不動銀行の設立を見ましたことを、私は感慨深く思い出しておるわけであります。それが今日非常に恵まれた環境のもとに成長いたされまして、ただいまあまり肥立ちがよ過ぎて、ちょうど日本経済が少し行き過ぎがあったのと同じような感じがいたすのであります。つきましては、年末に際しまして多少資金が不足するというお話でございますが、この点につきましては、御案内のようにこの臨時国会に、政府としては各般の資金手当について慎重に検討を加えまして、補正予算案をお願いいたし、すでに衆議院を通過することになっております。われわれといたしましては、この中小企業金融の重要性ということにつきまして、その認識において人後に落ちるものではございませんが、これはおのずから順序があり、各方面のバランスの上に推進されていくべきものと心得ております。つきましては、すでに政府は各方面の需要と、またそれに対する手当を考慮いたしまして、万全の措置として中小企業に対する対策を打ち出しておるわけであります。ただいま銀行局長がお話しされましたように、われわれとしては今後なお日本不動産銀行の業務の状況、それからまた日本経済の一般の情勢、推移というようなことを見きわめまして、今後必要な措置を講ずることについて慎重に検討を加えたい、かように考えております。
 なお一言つけ加えますが、資金運用部が金融債の引き受けをいたさないことにいたしましたのは、昭和三十年の春でございまして、この点につきましては、当委員会においても非常に慎重に御検討されまして、種々御意見があったところであります。すでに三十年から今日京で、財政投融資の面において一般の金融債という形における運用は長くこれを行なっておりません点をあわせて御検討願いたい。これらの点をもあわせ考慮しつつ、今後情勢の推移を慎重に検討いたしたい、これが私どもの考えでございます。
○竹谷委員 理財局長に一点お尋ねしたいのだが、今資金運用部で引き受けている金融債の、たとえば興銀とか長期信用銀行、そういうものの金融債引き受けの残高がどれほどか、数字をお持ちでしたらお答えを願いたい。
○正示政府委員 御案内のように、またただいまお答え申し上げましたように、新規の引き受けという形においてはいたしておりませんが、御質問の趣旨は、前に引き受けたものの残ということでございますが、ちょうど今売りオペをやっております。これが十一月中に一応完了する予定でございますが、これが完了いたしますと、千数百億――正確な数字はあとで資料で申し上げますが、千数百億に相なろうかと考えております。
○竹谷委員 私の調べたところでは、おっしゃる通り千七百七十八億くらい残高があるようであります。そのうち長期信用、ことに大企業に金融をつけておる興銀債が八百九十億、それから長期信用銀行の債券が五百八十三億、このように約千五百億くらいの金を資金運用部から大企業に主として金融をつけております。興業銀行、長期信用銀行の金融債の引き受けが行われておるのでございます。ところで全金融機関の中小企業に対する貸出残高は、現在五兆六千億ばかりのうち、二兆六千億ぐらいが中小企業の貸出金額でありまして、日本の全金融機関が金を貸しておる、また日本の産業が必要とする金融の半分は、中小企業がこれを消化しておるという状況でございます。ところが、国民の零細な郵便貯金なんを集めた資金運用部のお金を大企業にはこのようにたくさん出しておるが、中小企業にはこれが伴なわない、こういう金融債の引き受け状況から見ましても、中小企業を主とする、不動産の担保を主とする日本不動産銀行等に対しては、この金融債の引き受けを十二分に考慮していいんじゃないか、これは非常に片手落ちであります。零細な国民の金を集めたものでありますから、なるべく小さい方の企業に持っていって、そういう中小企業の振興をはかるということが、資金運用部のお金の使い方からいっても、その目的、趣旨に沿うのじゃないかと思うのです。この点は、最近は金融債の引き受けは休んでおるということでありますが、この際これを大いに活用することが必要じゃないかと思う。これに対する御意見を承わりたい。
○正示政府委員 資金運用部の原資におきまして、郵便貯金等いわゆる一般庶民と申しますか、国民大衆からお預りをいたしております金が非常に重要な部面を占めておりますことは、御指摘の通りであります。従いまして、これが運用に当りましては、一般国民、ことに中小企業金融の重要性ということを最も重要な一つの運用の指針と心得ておることも、全く御指摘の通りでございます。今回補正予算といたしましてお出しをしました中小企業金融公庫、国民金融公庫、あるいは商工中金等の関係におきまして、これらの原資の運用を特に考えたことも、その趣旨にほかなりません。さらに、ただいまの御指摘は、同じような意味において、日本不動産銀行が中小企業金融機関として徹していく際において、これが債券引き受け等について考慮すべきじゃないかという御意見でございますが、私も基本的な考え方といたしましては、さような面も十分考慮いたさなければならないと考えまして、先ほども、今後慎重に検討を加えるとお答え申し上げた次第であります。ただ問題は、今日御案内のように、各方面に資金の需要は全く限りなくあるわけでございますが、日本経済の置かれました情勢は、これらの需要に対しまして、重要産業といえども、険路産業といえども、これをしばらくお忍びを願わなければならぬような状態になっておることも御承知の通りでございます。従いまして、さような両方の事態を十分見きわめまして、今後日本不動産銀行が、先ほど星野頭取みずからお述べになりましたように、十分中小企業金融機関としての使命に徹していくということの実をおあげになり、それがまた一般経済の情勢の推移とにらみ合せまして、客観的にさような情勢が一般の認識を得るという事態に相なりまする際には、私どもといたしましても、ただいま御指摘のような点についてなお慎重な考慮を必要とするのではないか、かように考えておる次第でございます。
○竹谷委員 大銀行が貸し出し競争をやり、大産業が猛烈な過剰なる設備投資をやって、そうして日本の国際収支を赤字にした、そういう責任は、大銀行や大全業家にあるかもしれませんが、今問題にいたしております中小企業者は、これでやっていかねば食えない、またこれに従事する労働者も非常に低賃金で困っておる。どうしてもこの事業を継続しなければならない。もうけるためではない、食うために必要な産業でございまして、従って、各方面から非常な要望のあることはわかります。しかし国家として、中小企業のめんどうをまず第一番に見なければならないことは、衆目の一致するところでございまして、理財局長は、十分中小企業向けの貸し出しに使うところの金融債引き受け等については考慮をしたい、こういう御意向であるようであります。しかし、理財局だけでは、これは出してはやれない。結局銀行局からの要望に基くだろうと思う。銀行局長としては、まず何よりも先がけて中小企業に対する金融の道を優先的に考慮をする、その趣旨で日本不動産銀行の貸し出し原資として金融債を引き受けてやるというお考え、これはせっぱ詰まっておると思う。もうすぐ十二月も参ります。早急に年内にこの問題を片づけて、一つ運用部の資金で引き受けてやるというお考えがあるかどうか、もう一度お尋ねをいたしてみたい。
○酒井政府委員 たびたびお話がございましたように、今度の金融引き締めにつきまして、一番に影響をこうむる中小企業について、相当の考慮を払う必要があるという基本的な態度に関しましては、私どもも全く異議がないわけでございます。従いまして、この不動産銀行が、設立早々でいろいろ問題がありますけれども、今後十分中小金融の専門機関として順当な発展をしていかれるということは、私どもも心から望んでおるところであります。そこで、できるだけ今のようなお話で研究をしたいと思いますが、理財局長の方からお答えがありましたように、いろいろな事情もございます。しかし、なるべくその方向でぜひ話し合いをつけていきたい、私どもはかように考えております。
○竹谷委員 なるべくその方向で話し合いをつけていきたいということは、引き受けるようにいたしたい、こう解釈してよろしいですか。
○酒井政府委員 銀行局の立場としては、せっかく中小企業の専門金融機関として成立になりましたのでございますから、なるべくこれがほんとうの中小金融に役立つようにしていきたい。ただその場合の資金繰り、その他資金運用部の一般の基本的な考え方というものも、大蔵省としてはございますので、銀行局としては、なるべく御趣旨に沿うようなことで話し合いをしてみたいと思っておりますが、まあこれは全体の立場から、必ずいたしますということをここで私から言明申し上げることは、ちょっとできない事情にございますので、御了承いただきたいと思います。
○山本(勝)委員 関連して頭取に伺ってみたいのですが、中小企業の金融をするときの基準ですね。これは申し上げるまでもないですけれども、中小企業に金融するのではなくて、中小企業の中の特定の企業者に金融する。中小金融ということになると、ややもすれば中小企業一般に何だか金融するように錯覚を起すのですけれども、具体的には、中小企業者の中の特定の企業者に金融する。これは不動産銀行のみならず、中小企業金融公庫も、国民金融公庫も同様だと思います。そこで、いつも問題になると思うのは、中小企業者がたくさんおって、しかも同種の企業者が血みどろの競争をしておる。その競争をしておる企業者の中のある特定の企業者に政府資金をもって有利な金融をするということが、同じ競争相手である中小企業者、しかも借りられない企業者、これに対して非常なマイナスの影響を及ぼすということは、私は確実だと思うのです。これはランニングの場合を考えてもわかるのであって、猛烈に競争して同じ需要者を取り合いしておるわけですから、競争しておる企業者のうちの一方の者に、民間がやるなら別ですけれども、国家資金をもって、歩積みもいらぬ、金利も比較的安いという有利な条件で金を与えるということは、借りられない者に対しては、何らの利害を及ぼさぬのではなくて、実は非常なマイナスの影響を及ぼす、これは確実だと思う。これも資金が非常に豊富であって、いかなる中小企業者に対しても、競争しておる全部に対して力相応に貸せるという状況ならば、これは問題ありませんが、実際には資金が限られておって、そのうちの特定の何分の一か、何十分の一かの者に貸すほかはない。そうすると、その数倍の者はその恩典に浴することはできない。しかし、それらは競争しておるのですから、需要者を有利な企業者にとられてしまう。要するに、これは国の資金でもって頭をたたかれるのです。これは中小企業金融というものと、中小企業者の特定の者に金融するのだという具体的な事実との間には違いがあるのに、ややもすれば中小企業に金を出すと、全体に潤うような金融をしたんだという錯覚を持つ。そうして大いに与党、野党とも非常にいい気持になり、また中小企業者も、新聞で見て、中小企業へ金融してもらった、だから非常にけっこうなことだと思いますけれども、しかし具体的には、今私が申しました通り、借りられた者は確かにそうですけれども、借りられない者にとってはマイナスの影響を及ぼす。そこで貸し出しのときに、いろいろ支払い能力があるかとか、あるいは税金をよく納めて支払いの意思があるかどうかという、その人間を調べることはもちろんですが、その人間と直接競争しておる者があるかないか、しかも近いところで同じような市場を目標にして競争しておる業者はあるかないか、それらも考慮して貸付をされておるかおらぬかという問題です。これは、私は前にもこの大蔵委員会で申し上げたことがあるのですが、それを考慮に入れても、なかなかこまかく調べるなんということはできません、申し込んでこないのもあるし、あきらめているのもあるのですから。しかし借りられない競争者に対しては、国の力で頭をはられたようなものです。借りられた者が非常な恩恵を受けるのに、逆に頭をはられるのですから、それらに対してどういう影響を及ぼすかということも一応考えなければならない。たちまち一方が有利になり、そうしてそれが市場拡張をして競争相手の市場を奪うというふうな場合には、私は国家としてやるべきじゃないと思う。借りた者だけを考えてやるということは、国家の立場でやるべきじゃないのであって、借りられない多くの人にいかなる影響を及ぼすか、少くともマイナスの影響は及ぼさないというような考慮が必要だと思うのですけれども、どうもこれまでそういうことが、貸出基準の中にはごうも考慮されておらぬのじゃないかと思うのですが、その点はどういうものでしょうか。
○星野参考人 ただいまの御質問は、果して私のごとき不動産銀行の一経営者がお答え申し上げるのが適当かどうか疑問に考えますけれども、お説の通り、中小企業者に対する金融と申しましても、その個々のものに対する金融でございます。その場合にも、ある一方のものに金融をすれば、他方の者が相対的に条件が悪くなるのじゃないか、苦しめることになるのじゃないか、その点をお前は金融をする場合にどういうように考えるかというような御質問であったかと思いますが、一つ山本委員の誤解しておられるのじゃないかと考えました点は、私どもの銀行は、政府の資金をそのまま運用しておる中小企業金融公庫、あるいは国民金融公庫とは違いまして、普通の銀行のように自分で債券を発行して金を集めまして、それに対しては利息も払い、期限が来れば現金を返すことになっております。一方には株主もおりまして、株主には相当の配当ということも考えなければなりませんので、ただいまの御趣旨のような、中小企業者全体が困っておるのだから、全体の者にどれでも、まあ極端に言えば、むしろ条件の一番悪い者に貸してやる必要があるのじゃないかというような御意見とも、まあ私の曲解かもしれませんが……。それで結論だけ申しますが、私どもの銀行といたしましては、ただいま申し上げたように、政府の金をそのままいただいて、それを金融している金融機関と違いますので、株式会社でございますから、お話しの通り、A、B、Cという三人の中小企業者があって、そのうちのAという企業が一番償還能力もあり、元利の支払いについて確実だということになりますれば、BとCはあるいは相対的には非常に不利な立場に立つかもしれませんが、現在の制度としては、やはりAに金融せざるを得ないというような格好になりますので、B、Cをどうするかという問題は、政府機関がお考えになる社会保障的の問題じゃないか、こういうように考えております。
○山本(勝)委員 ごもっともで、ほんとうはあなたの銀行よりも、中小企業金融公庫が一番の大きな問題だと思う。しかしあなたの銀行も政府が出資、しておるのですから、単なる民間の銀行とは違う、こういう意味で、ちょうど機会があったからちょっとお伺いしたので、ほんとうは、大部分は政府資金でないのですから、大した問題ではないが、しかしこれは私は銀行局長に、答えは求めませんけれども申し上げておきたい。中小企業金融という場合に、今後これをどうしても拡大していかなけばならぬ、それは私も賛成なんです。賛成ですけれども、中小企業に一般に金融するのだというふうな錯覚を起さぬように、あくまでも具体的には中小企業者の特定の者にやるのだ、その場合に支払い能力も考えなければ、返せぬ者に貸したのでは政府も損するし、本人も困るから、何も平等に貸せというのではありませんけれども、貸りられない者が大部であって、貸りられぬ者にとっては非常なマイナスになるのだから、それらの者にもやはり力相応に貸す、金額は少くとも、払えるだけの能力士よく見て貸すという方針で指導していくべきものであると私は思う。ほんとうは一番下の層からです。たとえばまず第一に、自家労働をやっている仕事です。これは労働者とみなしてもいいくらいだから、自家労働の者に希望者があれば力相応に貸す、それから人を少し雇っている者に貸すというように、だんだん上に積んでいかないと、中小企業者の中の特に有力なる人間でも、これまで取引しておったが、たまたま金融のしわ寄せで多少困ってきた、あるいは歩積みに困っておる、あるいは金利が高いから、それを歩積みも要らぬ、金利も安いものに乗りかえよう、ことに中小企業金融公庫の場合には、直接貸しというものはほとんど少くて、窓口を通してやるのが多いのです。そうなると実際問題として、ほんとうに大多数の小さなものは、かえってそれによってマイナスの影響を受けるわけです。この点を念頭に置いて考えてほしい。これは、理財局長なんかも一つよく頭に置いていかないと、非常にいいことをしたつもりでみな得々としておりますけれども、いずくんぞ知らぬ、非常な悪いことを中小企業に具体的にやっておる場合があるのですから、それだけ申し上げて関連質問を終ります。
○春日委員 不動産銀行に申し上げたいのでありまするが、本委員会はかねてから閉鎖機関令を初めといたしまして、在外機関の資産の処理に関する諸法律の審議の過程を通じまして、いろいろとそれらの機関の処理のあり方について深く検討をいたしました。その際特に朝鮮銀行につきましては、その残存株主勘定の活用の仕方、それから残存資産が現存いたしまする限りにおいて、かつてそれらの当事者の技術の活用の仕方、こういうような問題についてもいろいろと具体的な検討を行いまして、できることならば、今わが国の金融諸機関の構造の中で欠けておるところの中小企業を重点とする不動産担保の金融機関、こういうものを新設することが当を得た措置であろう、こういうような意見がだんだんと固まって参りまして、かくて政府に対してもその趣旨の意見を申し述べ、そういうような意見がだんだんと固まって、この日本不動産銀行の設立を見るに至ったと存ずるのであります。もとよりこれは、設立の大前提となりますものは、むろん銀行法、長期信用銀行法に基ずく営業の許可でありまして、同時にまた政府出資である、こういうような関係で、この国会と深い関係にある銀行でありますが、本日に至るまで、言うならば四月一日にこれが事業を開始して、数十億になんなんとするところの貸し出しをすでに行なっておるわけです。にもかかわらず国会から請求するまで国会に対して事業開始、その後の経過、それらの必要なる諸問題について何らの御連絡がないということは、私はそれらの当事者としてはなはだ当を得たものではないと思う。当然そういうような経過によってできた銀行でありまして、しかも株主勘定の中で七億五千万円の政府出資をいたしておる、しかも資金運用部資金法その他この法律の附則等に基いて、国会と非常に密接な関係があるこの金融機関が、本日まで国会に対して何らの資料の提出も行わない、また何らの情勢の報告も行わない、こういうようなことは、怠慢をいうよりも私は全く無知であると思う。今後こういうような銀行の性格にかんがみて、必要なることならば十分国会と連絡を密にはかられて、そして国民とともに、その公的性格の高い銀行の運営に万全を尽されることをまずもって強く警告を行なっておきます。私の警告に対する所見を述べられたい。
○星野参考人 ただいまのおしかりに対して、おわびを申し上げます。今さらながら春日先生には、閉鎖機関清算の進行中におきましても常に御指導を受けておったことを感謝いたします。なお国会に対してそのつど報告をするのを怠っているのじゃないかというおしかりでございますが、実は私は、国会というところは、呼び出しでも受けなければなかなか来れないこわいところだと思っておったものですから、報告を怠っておったわけでございますが、これからは月報とか、その他の書面によりまして時々御報告申し上げたいと存じます。さよう御了承願いたいと思います。
○春日委員 わかりました。呼び出しがなくても、商工組合中央金庫、中小企業金融公庫、国民金融公庫、その他政府が出資しておる、あるいは債券の引き受けを行なっておる金融機関は、そのつど必要なる資料を文書で本委員会に提出をいたしておりまして、国会との関係を密にはかっておりますので、今後きょう心得ていただきたい。そのことを強く申し上げておきます。
 そこで私は、まず政府にお伺いいたしたいのですが、政府は日本不動産銀行の設立要鋼に基いて許可を与えられたと思う。そのとき政府は、この不動産銀行をして中小企業に対する金融機関として認めておるのか、この金融機関の性格をいかに理解をして承認を与えたか、この点をお伺いいたします。
○酒井政府委員 日本不動産銀行は、御承知のように不動産担保の金融機関という性格を持っておりまして、これは従前の日本勧業銀行がやっておりましたような業務でございまして、当然中小金融が中心になる銀行だということで設立認可をいたしたわけであります。
○春日委員 日本不動産銀行設立要綱によれば、その業務の第一項の中には「中小企業向けの小口の設備資金又は長期運転資金の貸付を主要業務」としてここに重点を置くという工合に書いてあるわけです。そこで不動産銀行にお伺いいたしますが、あなたの方から今回国会に提出された「日本不動産銀行の概要」なるものの中身を読んでみますると、こういうことが述べられております。第四項の「今日までの営業経過」によりますと、十月末までの貸し出し金額は四十億八百万円、そのうち中小企業向けの一件当りの平均貸し出し額がこれこれと書いてありますが、その総資金量はここには書いてない。この四十億八百万円までの貸し出し総額の中で、中小企業あてに貸し出された総額は一体どれだけであるか、御答弁願いたい。
○星野参考人 お答え申し上げます。中小企業向けの金融は、件数で三百四十六件、金額で十七億二千五十二万五千円ということになっております。
○春日委員 あとの分はどこに貸しましたか。
○星野参考人 あとのものは、不動産担保の中小企業といえない大きな貸し出しがあります。それから先ほど私が弁解申し上げましたように、市中の普通銀行さんからの依頼がありまして、その保証を得て貸した金額がございます。
○春日委員 そういたしますると、この設立要綱に基いて行われた業務の実績を今検討するならば、第一項目において、重点は中小向けの小口の設備資金、それから長期運転資金等である、第二項目には、一の業務を妨げない範囲においてこれこれのことをすると言っている。ところがこのあとの銀行の現在の経営概要から判断いたしますると、十七億円しか中小企業には貸していなくて、また貸し得れなくて、そうして他の資金については、すなわち銀行のあっせんその他によって貸付が現実には行われておる。申し込みは、本日あなたの方がお手持ちになっておるだけでも六百二十二件、四十数億万円といわれておる。すなわち一の業務は、こういうような実態に徴して考えるならば、はなはだしく妨げられておるのではないか、この点をお伺いいたします。
○星野参考人 御指摘の点は、私の最も痛い点をつかれたように考えます。しかし、これは開店早々のことでございまして、行員が非常にふなれであったことと、中小企業に対するこまかい不動産担保の貸付には、担保物の評価でありますとか、あるいは抵当権の設定でありますとか、いろいろな手数が非常にかかるのでございます。でございますから、この営業の初めから理想的な形に持って参ろうといたしますと、今日までの貸付が十七億くらいになって、三十億くらいの金がただ寝て余っておるということになる次第でございますが、それでは、私たちはやはり銀行業としては本来の姿じゃないその責務を果していないものと考えますので、一時の何と申しますか、過渡期の現象としてお許しを願いたいというようなつもりでやったわけでございます。
○春日委員 それは、お互いにこの際は虚心たんかいに悪いことは悪い、いいことはいいとして今後に処して参らなければならぬと思います。ただいま竹谷委員に対する質問の中においても、あなたの銀行の債券を引き受けないその理由の一つとして、中小企業に金融をなすべかりし金融機関が、その実績に徴してみれば、なかなかそういう形になっていないという疑いもあるので、従ってちゅうちょしておるというようなことがありました。私の指摘したいことは、スタートこそ大事である。あなたの言葉はその逆であって、スタートは倉皇の間で、そこで十分にテクニックを心得ない行員等を擁しておるので、従って便宜な方法をとって、そしてむずかしい中小企業をやめて、簡易な方法に三十数億の金を転用しておるのだ、またそういう形になったのだ、それは許されないことですよ。そういうようなスタートがあればこそ、そのスタートの実績の上に立って判断した政府当局は、これは当初の計画と違う、性格が違っておる、だから債券を引き受けない。政府が引き受けなければ、市中銀行またこれに呼応して引き受けない。よってもってあなたの方の銀行は、今後の前途はどうする、私はスタートが大事だと思う。あなたはその不動産の設定手続、評価等において困難があると言っておるけれども、しかしながら銀行が保証してくれるものといえども、結局それは不動産を担保として貸付を行う。こういうことの中において不動産の評価が何であるか、あるいは担保手続が何であるか、それは同様の手続を踏まなければならぬわけである。そういうような言いのがれは許されないと思う。せっかく大きな論議の過程を経て初めてここに誕生をいたしました新しい金融機関である。国民はこれが成長して、特別の一つの性格を持つ金融機関として、国民経済に大きな貢献をすることあるべきことを念じておる。それをあなたの方の判断よろしきを得ないために、本日の成長がはばまれておる。私は、まだあなたの方がスタートを切ったばかりだから、今ここに酷なる非難を浴びせようとは思わないけれども、これは今後十分に戒飭されて、国会においてこういうようなあっせんをされて、そうして国民はかって勧業銀行が果しておったような、ああいう役割を果す金融機関がないので、これに期待をしておるということをよく注意されて、あなたの銀行が持っておるところの特殊の使命が円滑にはかり得るような運営態勢を十分とっていってもらいたい。このことを強く申し上げますが、あなたの反省は何でありますか。
○星野参考人 ただいま御指摘の数々の点、ありがとうございます。その御趣旨に従いまして将来努力いたします。どうぞあしからず……。
○春日委員 罪は断罪に値をいたしますけれども、しかしまあ御答弁を酌量して、これ以上追及しないことにいたします。
 そこで、今度は銀行局長にお伺いいたしますが、今の貸し出しの傾向を私が眼光紙背に徹する烱眼をもっていろいろ判断をしてみると、この銀行の資金量の主体をなしておる市中銀行からの低利融資二十二億五千万円に私は禍根が胚胎しておるのではないかと思う。すなわち銀行が低利資金二十二億五千万円を預託するかわりに、私が言う相手先へ貸してやってくれ、こういうようなことで、この不動産銀行の業務をかくのごとくに妨げておるのではないか。私は、少くとも星野さんが全生涯を銀行業務に捧げておられるその見識において、こういうような間違った執行をみずから進んでされたとは思わない。そういうような良心的な経験に富んだ人がこんな間違った執行をせざるを得ざらしめたその原因というものは、すなわち二十二億五千万円の融資を市中銀行が預託するかわりに、悪くいうならば、ひもつきで、うちの取引先の何のたれがしに貸してやってくれ、こういうような強要があったのではないか、私はこのことを最も深く心配をしておるわけであります。今後市中銀行からも相当の低利の融資が行われなければならぬであろうし、そういう立場で、この問題は今後にまたがってこの際十分明らかにしておかなければならぬと思う。そこで、私は銀行局長にお伺いをいたしますが、これは、独占禁止法に照らす私の判断をもってするならば、銀行が低利の融資を預託する、そのかわりここに貸してやれというようなことをしているの行為は、私は明らかに独禁法が禁止する不公正な取引だと思う。銀行法に照らして、こういうような特殊金融機関に対して低利の融資を行う場合、その銀行の運営を拘束するような影響力を与える、あるいはそういうようなことが契約の中にはむろんうたわれないであろうけれども、有形無形にそういうような拘束力を加うるようなことがもしあったとするならば、それは金融行政の全般的立場から考えて当を得たものであると思うか、思わないか。むろんそんなことは当を得たことではないと思うが、そういうような事実がもしあったとするならば、銀行、局長はこれをいかに是正するための措置を講ずる決意であるか、この際その所見を伺っておきます。
○酒井政府委員 結論から申しますと、春日先生かお述べになりましたように、これはそういう事実がありましたとすれば、はなはだおもしろくない事例でございます。実際にあったかどうか、それからこの不動産銀行の低利資金を貸すに当って、そういうひもつきをやったという事実については、私はおそらくそういうことはないであろうと考えます。もっとも眼光紙背に徹しないのかもしれませんが、大体そういうふうに思いますが、発見されましたら、これは十分警告を発して、是正させるように注意いたします。
○春日委員 私は仮定のことを申し述べておる。だから、私はあったとも、なかったとも言ってはいない。けれども、あったかなかったかということを私があえてここで質問するならば、星野さんはどういう答弁をされるかわからない。けれども、あえて私はその質問を避けておる。だから、あなたが今そういう答弁をするならば、事実を調査することなくして、どうしてそういうことがあったとは思わないということを監督の責任にあるあなたが今ここで答弁をするか、調査してもしあったらどうするか。私の申し上げることは、聞けばわかることだが、ことさらにその問題の反響を私は考えてこの質問をあえてはしていない。あなたがそういうようなことがあったとは思わないというような、それまで断定的なことをこういうところで答弁をするというようなことは、当を得たものではない。けれども、まああなたも新任早々だから、これは大目に見ておるのだが、大目に見るのも限界があるから、今後答弁はもう少し慎重にされる必要がありますよ。そこで私は申し述べるが、この預金等に係る不当契約の取締に関する法律、これは私どもが第二十六国会においてまだ審議したばかりだ。そこで、その預金に対する不当契約の禁止条項、これに私は抵触するとは思わない。ただこの法律の精神に反する脱法行為ではないかと私は思う。もしそういうことがあったとすれば、あの条項は第二条ですが、「金融機関に預金等をする者は、当該預金等に関し、特別の金銭上の利益を得る目的で、特定の第三者と通じ、当該金融機関を相手方として、当該預金等に係る債権を担保として提供することなく、当該金融機関がその者の指定する特定の第三者に対し資金の融通をし、又は当該第三者のために債務の保証をすべき旨を約してはならない。」といっている。こういうことであるから、金銭以外の信託、一般預託行為については、これはもう明らかに禁止をしておるのだが、これは金銭上の他の利益を得ることを目的としておることに限られておるから、むしろこの条文には抵触はしない、違反はしないが、ただ問題は、やはりそういうような金銭上の利益を得ることは悪いけれども、しかし自分の取引先に、たとえば不動産銀行にこれだけの預託をするからあそこへ金を貸してやって下さい、そうすれば私が直接貸す必要はない。あるいはさらに一歩進んで、私の方から貸付したやつを貸して下さい、あるいはそういうあっせんをするから、私があっせんするところの、紹介をするところの重役を取り入れて下さいとか、金銭にかわるところの代価を得ておる場合は大いにある。この法律の精神から考えれば、そういうような事柄をも含めてこれは禁止すべきものであって、そういうようなことは法律違反行為でないけれども、法律の精神に反する脱法行為だと断ぜざるを得ない。私はこういう理解を持ってこの法律案を通してきておる。そういう意味からすれば、私は本日二十二億五千万円の融資をして下さった金融機関の国家政策に対する協力、これは私は多とする。形式的なその貢献は多とするけれども、その中身にわたって、これだけの金を出しますから、それぞれ十何行の協力行が、この分についてはこことここというようなひもがついていったとするならば、これは私は今の法律の精神にも違反をするし、今後大体この日本不動産銀行が立っていかない。今立っていけないじゃありませんか。なぜかなれば、そういうようなひもつきがあって、こういうような今の設立要綱の第一項によれば、これは中小企業に重点を置いて、そうしてそれを妨げない範囲で、資金の余裕がある場合においてのみ他の業務を行なっていこうということが、これは設立要綱の中に入っておる。これに基いてあなたの方は許可したのだ。ところがそういうことがやれないから、今日なかなか困っておる。政府がその理由でもって債券を引き受けない。引き受けてくれないから市中銀行が引き受けない。資金量がないから貸し出しがやれない、こういうことでございましょう。だから、この問題についてあなたがよく検討されて、万一そういうようなことがあったならば、この法律の精神、またはこの日本不動産銀行の将来を考えて、適切な手を打つ、こういう決意があるかどうか、この点を伺っておきたい。
○酒井政府委員 お話がありましたように、そういういわゆるひもつきと申しますか、低利資金を貸すかわりにどこに貸してくれというような貸付が万一ありましたならば、それは、御指摘のようにはなはだいけないことだと思います。従って、今後日本不動産銀行が中小金融機関として立って参ります場合にも、そういうことは絶対にしないように適宜の措置をとる決意を持っております。
○春日委員 次は正示さんにお伺いをいたしますが、政府がもしみずからこの不動産銀行の株を引き受けた、あるいは引き受ける限りにおいて、――資金運用部資金法によると、その発行する債券を引き受けることができる、こういう形になっておる。中小企業に対する不動産金融として、一つこれをやらしていこうという許可を与えた。許可を与えたからには育成する義務が現実にある。今伺いますると、政府が引き受けてくれないから市中銀行が引き受けてくれない。そういうことで、結局市中金融機関の低利融資にこの資金源を依存しておる立場において、これは中小企業に重点を置くべきこの金融機関が、ほとんど本質的な変貌を来たさんとしておる。事態はますます重大である。そこで一体正示さんの決意は何だ、そこを一つお伺いしたいのです。
○正示政府委員 それでは私からお答えを申し上げますが、先ほど来春日委員が、日本不動産銀行の星野頭取並びに酒井銀行局長との間に応酬されました御論議を通じまして、私の立場はおのずから規制されてくるわけでございます。今日まで――先ほどちょっと私の表現が間違ったかも存じませんが、日本不動産銀行は非常な苦難の過程を経てめでたく誕生されたのでありますが、誕生されたときには、御承知のように、金融はだんだんと梗塞される情勢になったことも御承知の通りであります。これはきわめて恵まれた環境であったと同時に、非常に注意をしなければならない環境であったと、率直に私は申し上げたいのであります。そういう環境でありましたから、ここに限りなき資金需要というものが当然予想されまして、これに対しましては、星野頭取から銀行のスタッフ並びに第一線の業務担当者が事務にふなれであったからというふうな御説明もございましたが、私は、やはりこれは相当注意をしていただかないと、われわれが七億五千万円の政府出資をいたし、従ってまた今後資金運用部等の引き受けというような形において所要の財政資金を放出するような場合におきましては、非常に注意をしなければならない問題を数々含んでおるように存じております。つきましては、銀行局長は、これに対して適切な監督の立場において必要な措置を講ずるということをお述べになったのでございますが、私は、先ほど竹谷委員にお答えをいたしましたように、今後の経済、金融情勢の推移並びに日本不動産銀行がほんとうに所期の使命に徹するという態勢において、一般社会の認識がその事実を十分アプリシエートされまして、これは当然運用部において所要の財政資金をもって、たとえば商工中金に準じたような扱いをするのが至当であるという判断が成り立つような事態になりますれば、これは先ほど竹谷委員にお答えいたしましたように、一般の金融債の引き受けは三十年の春からいたしておりませんが、商工債券は御案内のように引き受けておるわけであります。これは、商工債券の特殊性にかんがみて引き受けておることは御承知の通りでございますから、私は、願わくばそういうような方向に事態が進んでいくことを心から念願しておる次第であります。
○春日委員 私は、正示さんの御見解は、本委員会が開かれる前までの御見解であろうと思うのです。私たちは、いいことはいい、悪いことは悪い、間違ったことは是正する、そういうことで、一応生まれた子は育てるべきだと思う。私は生まれた子が横着だから、こんなものは食事もあてがわない、ほうっておくということではいかぬと思う。やはり親心を持ってこれを育成するにあらざれば、あなたの方が許可を与えたその責任、七億五千万円の出資を行なっておることの保全といっていいか、いずれにしてもその株主たるの責任、これもあるであろう。何といったところで、今日この長期信用銀行法に基いて許可されておる銀行は、わずかに三行しかない。現実の問題として特殊の中の特殊のケースでありますから、私はその後の運営の実態があなた方の期待されておるような形態でなかったにしろ、この問題は、私はむしろその監督を怠っておられたからではないか、むしろその共同正犯として、政府自体を実際問題として糾弾したいくらいなんです。私は生まれた以上は、これを育てる義務があるとすれば、やれるようにしてやらなければならない。やれるようにしてやるということは、すなわち必要なる資金が獲得できるような措置を政府において講ずるの義務があると思う。すなわち、まず金融債を引き受けて資金を確保してやって、そしていわゆる商業ベースによって資金を確保しなくても、そういうような拘束力が介在する性格を持ったところの資金に依存することなくしても、一般金融債によって不特定多数のものを対象とする資金御承知の通りこの銀行は、一般預金の受け入れが制限されておるくらいであるから、そういうような金融債が消化できるような道を開いてやらなければ、自分で産んでおいて産みっぱなしなんということは、育てもしない、責任をとらないということは、これはむちゃじゃありませんか。
 それで、私はこの際申し述べたいのだが、いろいろ諸般の事情があって、とにかくそういうような主たる重点をそれたような運営のあったことは、これは認めざるを得ない。しかし、これは大いに反省しようではないか、反省して今後是正していく、そういうような決意の上に国会と政府と、それから当局との意思がここに合致するならば、この際従来のいきさつを一切水に流して資金を供給してやろう、こういう公的資金であって、こういう自由の資金である、これをもってその設立条項の趣旨とその目的に沿った運営をしていけ、こういうことで、今後の指導監督を政府が意図しているような方向へこれを育成していく、こういう態度こそ私は望ましいと思うが、これに対する正示局長の御意見はいかがでございますか。
○正示政府委員 お答え申し上げます。ただいま春日委員のお述べになりましたことは、私も気持においては非常に共感するところが多いのであります。先ほどお述べになりましたように、日本不動産銀行の設立には、私も春日委員とともにいろいろと非常に関係が深かった一人でございまするから、その気持は非常に深いわけであります。ただ今日、私公正な立場において問題をながめてみますと、二つの面があると思います。一つは、中小企業金融一般の問題である。これについては、政府及び国会におきまして、今日一つの総合的な対策を打ち出しておるわけであります。これが中小企業問題に対する百点満点の答えとは申せないにいたしましても、相当程度の対策として打ち出されておることは、これははっきりした事実であります。一方不動産銀行というものがここにございます。この銀行自体のおい立ちというふうなものを考えますと、先ほども申し述べましたように、発足以来非常に恵まれた環境でございまして、当初の事業もくろみと申しますか、収支もくろみ等に照らしますと、比較的、私はむしろ有利な経過をたどっておる、かように申し上げてよろしいかと思うのであります。資金がないから、もはや今後成り立たないではないかというふうなお話でございますが、この点は、一般情勢がさようなことでございまして、若干この事業が進み過ぎたような点もあろうかと存じまするので、それらの点については、ただいままでいろいろ御議論のあったように、今後の経営の方針を、一つ中小企業金融機関としての本来の使命に徹するようにやっていただく、こういうことが必要かと思うのであります。中小企業金融一般については、総合的な対策が打ち出されましたが、むろん資金の需要は限りなくあるわけでございますから、日本不動産銀行におかれましてさような自覚に徹し、これを実践に移されるようなときに至りますならば、私はおのずからにしてまた道は開かれてくるものであると考えておるのであります。日も早くさような事態の到来することをお待ちいたしておるような次第でございます。
○春日委員 私は、正示さんがその最高の責任者たる立場において述べられておる意見はよくわかる。けれども、これはまあ砕けて言うならば、卵とひよこの関係なんですよ。実際中小企業不動産担保金融機関として本来の使命、性格を純粋に執行できる、そういう態勢を確立するためには、何も色のついてない資金源というものが充足されるということが、実際面において大前提になるのではないかと私は思う。ところが銀行だから、どうしても業務を遂行していかなければならぬ、従業員もおる。けれども政府は、この発券を引き受けてくれない。政府が引き受けないから、市中銀行は現実に資金梗塞の折柄だから、なおさら引き受けない。金がない、もっぱら預金を受け入れることができない、従って低利融資に依存する。そういうことになれば、結局この金融機関のだんなは市中銀行ということになる。そうすると、そのだんなの言うことを聞かなければならぬめかけみたいな役割になってしまって、これではその自主性というか、こういうような日本に三つしかない特殊の銀行としての権威ある執行というものはできませんよ。正示さん、そういう意味で、私は本日この委員会が開かれるまでのあなたの心境はよくわかるのだが、国民の前にこういうような中身が本委員会を通じて明らかにされた以上は、銀行においても私は十分なる反省があるであろうと思うし、そうしてその中身がよくわかった以上は、この際政府が何らかの措置を講じないと、実際問題として銀行は危ない。私は恐喝をするわけではないけれども、これは、中小企業金融機関だという工合にスタートをしておるのだけれども、違うのだ。現実に四十何億の貸し出しが出ても、十七億しか中小企業に対して貸し出しができない、こういう実績も明らかになっておる。これは全くすみやかに、タイミングにこれの手を打たなければ、この性格に対する国民の疑惑、それから資金が集まってこないところからくるところの今後の運営上の大障害、こういうものを来たしてくると思う。あなたは、金融梗塞の実情にかんがみて、本年度は興銀並びに長期信用銀行の金融債を引き受けていない、こういうお説をとられておるけれども、それとこれとは全く事情が違うのです。申し上げるまでもなく、興銀債は本日までの発券額は二千三百一億、その中で政府がすでに引き受けている残高は四百六十億ないし五百億といわれている。それから長期信用銀行については、発券総額千四百億のうちで、なかんずく政府が引き受けているものが三百億、これらの金融機関の貸出先は主として大企業、大財閥への傾向が多いものと断ぜなければならぬ。そういうように大企業、大財閥に対しては、国家資金をかくのごとく導入されておるのだから、この際おくればせながら中小企業のために同様の性格を持った金融機関のスタートをして、いうならば今これは赤子ですから、成人した者に対しては、乏しいときだからそんなに栄養を与える必要はないけれども、赤子だから、自分で栄養をとることができないから、ミルクを飲ませてやるという必要はあると思う。そういう意味で、あれとこれとは全然別個の取扱いをして、ここにこういうような中身が露呈された以上は、今後の銀行の信用のためにも、そうしてまた全国の中小企業者の期待に沿わしめることのためにも、これは一つ特別の措置を緊急に講じていただきたいと思うのですが、ここでよろしいという御答弁を得ることは困難であろうと思いますので、善処をお約束願えるかどうか。善処をお約束願えないならば、さらに質問を続けなければなりません。いかがでありますか。
○正示政府委員 春日委員と私は、気持ではほとんど同じであります。問題は立場の相違であり、従ってまた私は、私の立場におきまして問題を公正に処理しなければならぬということでございます。そこで、御参考までに今私考えておりますことを申し上げまして、あるいは御了解を得られるならば非常に幸いだと思うのでございます。私は、長銀と興銀と日本不動産銀行がその職務の内容において同じであるとは考えておりません。長期信用銀行法によって作られた点においては共通でございますが、日本不動産銀行は、むしろ立場としては商工中金に近いものではないか、かような感じを持っております。またそうなっていた、たきたいという感じを持っております。そして商工中金になりますと、先ほども申し上げましたように、商工債券は現に資金運用部で引き受けているのでございますから、これはきわめてすなおに、われわれとしてもそういうことができるようになろうと思うのであります。そこで、御案内のように商工中金につきましても、今日政府は一部債券を引き受けておりますが、これは民間の引き受けが相当多いわけであります。民間の引き受けがありまして、これに対して政府も応分の引き受けをいたしておるような次第でございます。まだ産声を上げて間もない日本不動産銀行でございますから、これに対しては特別の考えをもって処すべきであるという御意見も私はよくわかりますので、どうか一つ、ここはよく銀行局当局及び銀行当事者と私の方と十分に相談をいたしまして、今後の銀行の経営のあり方等について相当の見通しをつけまして、いわば善処していくように研究をいたしたい、かように考えます。
○春日委員 私は、本質的に、われわれの要望する点と職長の考えておるところとは異なるものとは考えません。ですが私は、むずかしいことを言わないで、言うならば、あなたは管財局長当時からこの法律と取り組んできたのだから、あなたこそはこの法律の真髄に対して最も大蔵省で理解の深い人物であると期待しておる。そういう意味で、私はおろば日がさでむちゃくちゃにこれだけかわいがれとは言わぬ。しかしミルクだけはやれというのです。そんな妙ちきりんにかわいがり過ぎる必要はないけれども、やっぱり生きていけるだけの供給だけは一つやってもらおう、こういうことなのです。それで商工組合中央金庫なるものが、特殊の法律によって制定された銀行であって、そうして中小企業に当局も専念し得る態勢の金融機関だから、それとこれとは若干違いがなければならぬ。あるならば同一の金融機関を、商工中金に対立するものを設立するということについても、これは意味のないところであろうと思うが、ただ長期信用銀行法に基いて特に二つあるのだから、もう一つ作ってもよろしかろうという、こういうことは、まあせっかくあなたの御見解ではあるけれども、私も金融行政全般については、特にこの中小企業金融については若干の研究を持っております。そういう意味で、その点については、あなたの所見と若干の開きが、実際問題につきましてはある。そういう意味で、国の財政資金で金融債を引き受けるという形において、今までは大企業にのみ片寄っておったところの長信と興銀の仲間へこの不動産銀行を入れて、そうして将来大企業、大財閥と一般の中小企業との間に、国の財政投融資を通じての均衡性を持たせていこうというところに、非常に合理性と妥当性があるということで、この銀行の機能が十二分に発揮されることを期待しておるのです。それは、商工中金のような形にしていけという指導的な御見解はわかる。けれども立法論として、やはりまた金融行政の全般的な立場としては、なお御意見の中には御検討を願いたいものがある。いずれにいたしましても、私が特に銀行当局にもお願いをいたしいことは、とにかく設立の趣旨というものを逸脱すべきではないということ。それからもう一つは、当局に対しては、やれるようにやってもらわなければだめだ。ああだとかこうだとか、だめだとかけしからぬとか言って、横着なむすこをしかり飛ばすだけでは極道になってしまうだけだ。だから横着なやつをやっぱり愛情をもって直していくという、この以外には方法はありません。一つここで陳情を読んでみると、何か十一月に発券が予定されておるということであるが、今や十一月半ばだ。そういう意味で、発券計画に支障を来たさぬように、わけても十二月はまた年末なんで、政府においても中小企業のための特別の資金措置も講じられておるのだから、そういう意味で、一つ急速に与党とも十分御検討いただいて、野党の意のあるところをそんたくして、そうして早期によき結論を得られたいと思います。しかし、この問題はただ観念論理に終ってはなりませんので、これに対する当局並びに大蔵省、これの協議を今国会会期中におとりまとめを願いまして、会期の最後の日に、一つ正示さんから、本委員会を通じて政府の態度を明らかに表明されたい、それに対する御回答を願いたいと思いますが、それは可能でありますか、いかがでありますか。
○正示政府委員 大へん官僚的なことを申し上げて恐縮でございますが、実は私の方は、いろいろな需要をお受けいたしまして、全体をながめてきめる立場にございます。中小企業金融については、一応銀行局が、いろいろの方面からの御要望について、いろいろの方法を考えられまして、資金運用部資金による引き受けをいたすかどうかということは、最後に大蔵省の省議において決定をいたす手続になっております。つきましては、いろいろ御要望もございますので、さっそくに省内において研究をいたすのでございますが、果してこれについて会期末までに御要望のごとく解決するかどうかについては、ただいまのところ私は断言を差し控えますが、さっそく研究をいたしまして、あらためまして当委員会に御報告申し上げたいと思います。こういうことに御了解願いたいと思います。
○山本委員長 石村君。
○石村委員 もう時間がありませんから、ごく簡単にお伺いいたします。正示さんのただいまの御回答ですが、この不動産銀行をほんとうに中小企業の不動産銀行としてやらせる気なら、春日君の言うような方法をとらざるを得ぬと思っておる。従ってこれを春日君の言うようにするとすれば、資金運用法ですか、あの法律の三項だったか何だったかと思いますが、これを改正しなければとても手は打てないと思う。あれには例の五割とか六割とかいう制限があるのですね、資金運用部が引き受けることのできる金融債というものは。これを変えて中小企業専門の不動産銀行という表現をするかどうかは別として、そういうものに対しては、実質的には、中小企業を専門とする不動産銀行の出す金融債、こういうものの五割、六割という比率を、八割、九割、場合によっては全額でも資金運用部で引き受けられるように法律を改正しない以上は、私は不可能ではないかと思う。従って正示さんの検討される内容の中に、そのことが入るか入らないかわからないが、これをきめずに検討されたら意味をなさないと思う。この問題はどうお考えですか。
○正示政府委員 お答え申し上げます。ただいま御指摘の点は、資金運用部で債券を引き受けます場合、債券の市中消化と財政資金の消化についての割合をきめておりますこの条項についてでございますが、私は、石村委員のおっしゃるように、早急にそうしないと日本不動産銀行が設立の所期の使命を達成することができないというふうには必ずしも感じておりません。と申しますのは、先ほど来当委員会でいろいろ御議論があったように、中小企業金融というものは、政府関係機関の銀行、あるいは政府の出資、財政資金による部分も重要な一部ではございますが、実はきわめて膨大なものがいわゆる市中金融機関において行われておることは、石村委員御承知の通りであります。そこでわれわれといたしましては、いはゆる不動産担保金融機関という特殊使命を持った日本不動産銀行に若干の市中資金が回って参りまして、そしてそれがいわゆる不動産担保の形において中小企業に流されるということは非常にいいことであるという判断のもとに、こういう銀行が作られたものと心得ておる次第でございます。従いまして、さような形において市中からも若干の金が入って参って、それが不動産担保の中小企業金融に流される。また国からも相当額の財政資金をこれに見合って出して、それが不動産担保の中小企業金融に回る、これが私はやはり合理的な一つの解決方法であろうと考えるのでありまして、先ほど私が言葉が足りなかったかもしれませんが、商工中金と同じようなという意味は、必ずしもその質において同じという意味ではございません。また不動産担保金融という意味は違うのでございますが、少くともその性格において、いわゆる中小金融機関という性格においては商工中金に近い、こういう意味で申し上げたのでございますから、現に商工中金についても、先ほど春日委員にお答えいたしましたように、市中消化と財政資金による消化との両方の道が開かれておるのでございますが、これについても、むろん議論はございますけれども、そういう方法によっても私は使命を達することができる、一応かように考えておるわけであります。
○石村委員 時間がないから、正示さんとあまり議論しようとは思いませんが、これは、平常な場合ならそういうことが言えると思うのです。今の市中銀行から不動産銀行の方の金融債をどの程度応募してくれるか、これはわからないと思うのです。ほとんど応募しないでしょう。それは、一般の投資家の応募というものが全然ないとも言えないと思いますが、大きい金額はやはり銀行にまたなければならぬ。その銀行が今不動産銀行の金融債を引き受けるかというと、おそらくこれはやってみなければわかりませんが、消極的に判断せざるを得ないと思うのです。そうすると、やはり五割とか六割という制限があれば、必ず不動産銀行の金融債の発行限度というものは押えられてくるわけです。これは、元の勧銀の歴史を見てもそうだと思うのです。やはり勧銀も、何とかかんとか言っておったが、実際には大企業とかいう大きなところしか大部分の金は出ていない。小さなところにはあまり出ていなかったわけです。今日の金融制度のもとで、また特に今日の金融情勢のもとで、正示さんの言われることは非常にけっこうなことだが、実態に合わない御返事だと思うのです。だから、私は、必ずいつも金融債を資金運用部が全部引き受けろ、八割引き受けろというわけではありません。事情によっては現在の限度よりももっと高く限度を上げることによって、引き受けられるような方法を講じなければならないのではないか、こういうことを言っているわけなんです。
 これでやめますが、もう一つ正示さんのさっきの御説明の中で、大蔵大臣の御答弁と違っている点があるから申し上げておきます。正示さんはきつき、現在の金融の引き締めは、重要産業においてさえこれを引き締めておるのだ、まして中小企業においておやというようなお言葉に聞いたわけなんですが、大蔵大臣の説明は、決してそうじゃない。中小企業の金融を引き締めようなんて全然考えていない。今度の金融引き締めは大企業の引き締めだ、こう言っていらっしゃるわけです。この問題については、私適当な機会に大蔵大臣にも質問しようかと思っておるのですが、そういう意図で出した今度の金融引き締めが、なぜ中小企業にしわ寄せだというような言葉を使っていらっしゃるのか、実に疑問だと思う。ねらいは大企業だけだ。だからこそ十月十日の大蔵委員会で、今度の臨時国会でぜひとも中小企業に対する金融対策を出させようとわれわれは非常に努力した。ところが大蔵大臣はなかなかやろうと言わない、また大蔵当局の方も、年末の通常国会でも間に合うというように、非常に消極的な返事だったのですが、それを何とかかんとかわれわれは申しまして、今度の臨時国会にやらせようとしたわけです。それが功を奏して、わずか百七十億円でありますが、やられることになった。つまり大蔵省の中小企業に対する考え方は、われわれとは全く違っておるわけです。こうした問題についてさらにお聞きしたいのですが、時間がありませんから、これでやめます。
○正示政府委員 ただいま石村委員から、私の先ほどからの言葉の中に、重要産業について金融引き締めをやっておる、いわんや中小企業においておやと言ったということでありますが。(石村委員「いわんやというのは反面解釈です。」と呼ぶ)その反面の御解釈は、私の気持と非常に違っておりますから、一応御釈明させていただきたいと思います。私が申し上げたのは、私の方の資金運用部で、御承知のように財政投融資計画というものを組み立てて国会でも御説明申し上げておりますが、この財政投融資計画に載った重要産業ですらも繰り延べをいたしておる。(石村委員「だから、中小企業も繰り延べさせる……」と呼ぶ)しかるに日本不動産銀行を初めといたしまして、あるいは長期信用銀行、興業銀行の金融債を引き受けるということは、財政投融資計画にも載っておりませんということを申し上げたのであります。当初の計画について載っておった重要産業向けの投融資計画も引き締められておるような事態である、こういうことをまず申し上げたわけであります。そこで、今度はこの財政投融資計画において、日本不動産銀行の債券引き受けを認めるかどうかということについては、不動産銀行は中小企業金融として徹しておるかどうかということについて、社会一般の認識は、まだそこまでいっていないのではないかという点について、先ほど来るる御議論がかわされたのでありまして、この点について、いきなり反面解釈をされましたことは遺憾でございますから、私は釈明を申し上げておきたいと思います。
○石村委員 では私も釈明しておきますが、そういうようにおっしゃるなら、こういうようにおっしゃっていただきたい。重要産業については引き締めるが、中小企業については引き締めるというようなことは全然考えていないのだ、こう積極的におっしゃれば、私もあんなことは言わなかったのです。また大蔵大臣に対する質問も同時に出てきますが、そういう、ように説明していただきたいと思います。これで終わります。
○山本委員長 午前中はこの程度にとどめたいと思います。参考人の方々は、大へん御苦労さんでした。
 それでは暫時休憩いたします。
    午後零時四十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時四十九分開議
○山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び設備等輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案の両案を議題として質疑を続けます。井上良二君。
○井上委員 設備等輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案、この案に関連して一、二質問をいたします。去年の下期からことしの春にかけまして、非常に輸入が急激に増大をしてきた。その結果、国際収支に大きな赤字ができた。最近のいろいろな方面の推定によりますと、大体七億ドルの外貨が失われておる、こういうことがいわれております。そうしますと、その七億ドルに達する輸入超過の重要な物資が、大蔵大臣の説明によると、主としてこれは生産財、設備、こういうものの輸入であって、決して心配する必要はない、かような説明をされておるのであります。かような膨大な外貨を失う輸入を為替局は認めたのに対して、大蔵大臣が説明をされております通り重要な生産財の原料、あるいは設備等である、こういうのでありますが、その内容は、具体的にどういうものが入っておりますか、それを説明願いたい。
○石田(正)政府委員 先ほどお話がございました、国際収支が悪くなって七億ドル余の外貨が減って、その品物についてどういうふうなものが減ったか、このことにつきましては、なかなか基準といたしまして、各品目についてどのくらいが正常であって、どのくらいが減って、原因がどうかということを数字の上ではっきり申し上げることは困難でありますけれども、しかしながら、大勢といたしまして、たとえば鋼材それ自身を日本が輸入する、こういうふうなことは、今回が相当多く行われた異例のものであるということは、間違いないだろうと思うのであります。この数字をとって見ますと、二億数千万ドルのものがそういう関係であるということが言えるだろうと思います。それからまた機械の輸入、これが四億九千万ドル、五億ドル近いというようなこと、これも大体二億やそこらはふだんより多いのじゃないかということが言えると思います。従いまして、この二つの品目だけをとりましても、これは相当設備関係が多かったのである、そういうことが言えると思います。そのほかあらゆる品物については、これはいろいろ問題がある点で、どのくらいが、在庫増であるかということについては、非常に議論があることは御承知だと思いますけれども、そのほかいろいろな物資、それは綿花にいたしましても、羊毛にいたしましても、あらゆる物資について、大体消化よりも多いところの輸入が行われただろうことは間違いない、こういうふうに申し上げられると思います。
○井上委員 今お話しになりました鋼材は問題はないといたしましても、設備のうちで、特に機械類はおもにどういう機械を入れておりますか、どういう機械を入れるのに為替の許可をいたしたのですか、具体的に説明を願いたいと思います。
○石田(正)政府委員 これは通産省の所管でございまして、どういう品物をどうだということを私から申し上げることはどうかと思うのでございますけれども、しかしながら、大勢から申しまして、日本で絶対にできないもの、技術的にも不可能であるというものを従来輸入しておったにもかかわらず、今回のような事態が起りますと、とかく日本でできぬことはないけれども、やはりその納期の関係が間に合わないとか、非常に先になるとかいうようなことで、いろいろな品目につきまして、部品その他におきまして輸入がよけい行われた、こういうことだろうと思います。この品物のために特にふえたというようなことではなくて、御承知の通りに、設備投資なり、あるいは合理化とかいうものが鉄鋼とか電力、あるいは合成繊維、あらゆる部門にわたって行われたということが現実でございますから、それぞれのものにつきまして部分的にふえてきた、それがトータルすると大きなことになっておる、こういうことだと思います。
○井上委員 今お話しの約七億ドルに達する膨大な輸入物資、輸入設備というものが、早く生産の現実な舞台に登場いたしまして、これが再び海外輸出に向けられるということが全体的に必要であろうと考えますが、問題は、かような多額の膨大な物資が輸入されて、そうして国内の生産規模を拡大して輸出を増大をする、全体の経済規模の拡大へ持っていこうということで出発をしたのにかかわらず、それが輸入したまま、あるいは原材料のまま、あとに続くいわゆる金融引き締め、あるいは投融資の繰り延べ、そういうことによって、これが完全に活用されずに冬眠されておるという事態を何と一体政府は見ますか。それは、さらに生産力を拡大して、わが国の経済規模を高め、輸出を飛躍的に高めて、国の自立態勢を確立しようというところに出発をしたのである。ところが今お話しのように、思わざる輸入超過、また投資競争というようなことから、その行き過ぎは、輸入した物を十分活用する段階に至らぬ先に、金融の引き締めによって現実の事態はどうにも動かないことになってしまった、これは一体どうするつもりですか。このまま当分寝かしておくつもりですか。これはどういうことになるのですか。
○石田(正)政府委員 先ほど来お話がありましたような工合の設備にいたしましても、あるいは原材料にいたしましても、多くの輸入が行われた、これは間違いないことであります。問題は、その入った品物が生産に回るか、それが寝たっぱなしでおるかという問題。この点は、私は寝たっぱなしじゃなくて、生産に回っておると思います。問題は、生産が国内消費に向うか、あるいは輸出その他になるかというところに問題があるんだろうと思うのであります。従いまして、去年の後半以来は、輸入したものは、生産がふえ、すぐそれが輸出に回るであろう、こういうふうな期待を持っておったが、国内の景気がよくなり過ぎて、どう、もそういうふうにいかぬ。要するに国内の消費になってしまって輸出の方に回らぬではないか、そこにやはり緊急施策がとられまして、内需を押えて、同じ製作された物でも輸出の方に向くような基盤を作ろう、こういうところに政府の現在の施策があるんだろうというふうに私は解釈しております。
○井上委員 そこまでいきますと、議論がだいぶんございますから、一応その程度にいたしておきますが、次に伺いますのは、今度の改正案で私ども考えなきゃなりませんのは、この設備等輸出為替損失補償法は、海外における外国為替相場の変動があって、それで損失を受けた場合に、契約によって国が損失を補償する、こういうことになっております。そうしますと、今度二百億を四百五十億に限度額を引き上げるということになっておりますが、一体この法律が施行されてから今日まで、外国為替相場の変動によって損失を受けて、契約によって国が損失を補償したものはありますか。そしてあるとすれば、どういう案件で、どういう相手国で、どういう損害の金額になっていますか、それをお示しを願いたい。
○石田(正)政府委員 大体この法律に基きまして契約しました通貨は、ポンドでございます。ドルはもちろん、御承知の通りそういう問題はございません。それからマルクとかフランとかいうものにつきましては、われわれはいかぬというわけじゃございませんけれども、やはり自然に、そういう通貨によるところの長い取引はないのでございます。従ってポンドだけというふうに考えていいと思います。
 それから第二の問題としまして、ポンドであるからイギリスだけかというと、そうではございませんので、これもお手元に差し上げましたような資料で、パキスタンとか、タイとか、アルゼンチンという工合に方々の国にわたっているわけであります。そこで最近では百三十億ばかりのものがあるわけでございますが、それまでの経過におきまして、これは大体ポンドとお考えになっていいわけでありますが、要するにこの法律が施行されて以来、ポンドの切り下げというものもないわけでございます。従いまして大きな額の損失が起り、それを政府が補償したという事例はまだ一ぺんもございません。ただ御承知の通りに、ポンドというものが、初めはドルに対して二ドル八十セント一本であって動かさないというものを、四分の三の範囲内において動かすということを途中から始めたわけでございます。従って毎日々々の相場というものは、その小さい幅の中で動いている。そうしますと、契約しましたときからお金を受け取るときにポンドの値打ちが上って、政府に金を納めなければならぬ場合も起ります。それからまたポンドの相場が下りましたから、従って政府が補償しなければならぬという場合もある。これはどこの国とか、どの品物とか、なかなかきめがたい問題であります。ただ結論的に申しますと、補償金としましてこの九月末日までに政府が払いましたものは、全体としまして千二百八十万円でございます。従いまして、二百億という中でもって百三十億の契約を現実に結んでいる点から申しますならば、損失は今までのところ軽微のものである、かように言うことができるだろうと思います。
 なお逆に納付金の方はどうなっておるかということになりますと、これは百九十八万九千円、約二百万円くらい、かような数字になっております。従いまして、納付金と補償金の関係におきましては千万円近いところの損が立つわけでありますが、別途保証料をとっておりますので、保証料の範囲においてまかなっておりまして、いまだ政府がこの関係でトータルとして損をしたということはございません。
○井上委員 大体来年度の輸出の推定は、三十一億ドルを推定しているということで、本年度の輸出の最終見込み二十八億二千万ドルというのに比べますと、ざっと四億ドルほど来年は多く見積っておる。その通り行くためには非常な努力を必要とすることは、政府も国民も考えなければなりませんが、本年に比べて来年はその上昇する幅はわずかに四億ドルというような実情にありますのに、また現実に契約いたしましたものは百三十億ということが言われておる。そうなりますと、現在の限度額二百億をことさらに四百五十億に引き上げる根拠というものがはなはだどうもわれわれ納得いきませんが、プラント輸出が大幅に伸びて、そうして今お話しのようにポンド為替が市場として非常に不安定である、だからこの限度額も引き上げる必要があるということなら、われわれも納得いたしますけれども、設備投資がそう大幅にポンド地域にどんどん出ていくという見通しもありませんし、そうしてまた現実に貿易全体の輸出推定を考えましても、本年度から比べれば四億ドルしか上昇を見込んでいないということ、それからまたポンドの為替相場というものが、英国のいろいろな具体的な信用の関係から、そんなに大きな不安がここに起こるということは想定できない。さような情勢から考えますならば、この二百億を無理に四百五十億にごとさらに引き上げる国際的な、あるいは国内的な根拠があるか、これを明らかにしてもらいたい。
○石田(正)政府委員 先ほど百三十億ということを申し上げましたが、これは九月末の数字で申し上げたわけでございます。実際その後におきましてもぼつぼつ来ておりまして、大体もう近く百五十億になるだろうとわれわれ思っております。従いまして、この法案が御承認を得ました場合におきましては、私は新しくやれるものは二百億の中で五十億見当しか残らないというふうに思っておるわけでございます。で、この毎年の契約高というものは、これは年によって違っております。最近ポンドの不安がありましたが、ことに八月以降の数字だけで申しますと、大体われわれは率直なところを申しますると、一ぺんに百億くらいも申し込みが殺到しておるわけであります。それに対してわれわれがとりました態度というのが、こういう制度があるから、すぐそれを引き受けるということはよほど考えなければいけない、やはり相手方とよく話をして、為替のリスクというものはできるだけ買う方に負担してもらわなければならぬ、あるいは為替のリスクのないドル建で行うようにしてもらう、こういうようなことを話して、そうしていろいろ話をした結果、リスクがどうしても生ずるという場合に限って政府が引き受けるのが当然ではないか、こういうふうな考え方からいたしまして、いろいろ個別的に指導いたしました結果、今申し上げたような数字で納まっておるわけであります。従いまして、これを野放図に政府が引き受けたらどのくらいになるかわからぬものだと思うのでございます。で、われわれは今申し上げましたような指導方針というものを、これは始終続けなければいけないし、ますます厳格に運用すべきものだと思っております。しかしながら、この輸出の引き合いをする立場の者から申しますと、もうあの制度によっては引き受けてもらえないのだ、こういうことが初めからわかっておっては、危なくて商売ができない、こういう問題があるわけであります。われわれがこの制度に乗っけて補償契約をする、しないという問題と、それからこういう制度があってこのくらい受け入れられるのだというその金額にゆとりがあるのだという感じとでは、実際の商売において違うのじゃないか、こういうところに問題があるわけであります。従いまして、われわれはこの際どうしても引き上げを願わなければならぬと思っておりますが、これについては、今残っておる大体五十億のものに対して二百五十億くらい上げて、三百億くらいの形で行きますならば、これは、政府その他におきましても設備輸出の奨励をしておる今、輸出を伸ばすのに手ごろではないか。早い話が百億ならどうだ、百五十億ならどうだ、これは実際の指導面においてはあると思います。しかし、やはり同じ改正をしていただきますものなら、もう金がないからできない、設備輸出は危なくていけないという考え方を一般に持たせるよりも、やはりそこはゆとりを持ってやった方がいいのじゃないか、かような考え方で実はお願いいたしておるわけでございます。
○井上委員 いま一つ確かめておきたいのは、今局長からお話しのポンド為替の相場の問題ですが、それが二ドル何ぼであるのが四等分の幅で動いておる、こういうのでございますが、それによって受ける損失には、やはりこれを適用いたしますか。
○石田(正)政府委員 これは引き受ける建前になっております。
○井上委員 その点はもっと相当の検討をいたす必要があるということと、それからいま一つ、プラント輸出における為替相場の変動という問題は、やはり日本といたしましては、どっちかといえば、非常に生産施設がおくれておる東南アジアなり、あるいは南米なり、あるいはまた中近東というような方面に主としてプラント輸出がされるのじゃないかと思うのです。そうしますと、その国との国交の問題、これが側面的に相当調整がとれておりませんと、なかなかうまくいかぬのじゃないか、こういうようなことも考えられる。たとえばインドネシアの問題々考えてみましても、あるいは朝鮮との三角貿易を考えてみても、あるいはまたヴェトナムの問題もございましょうし、いろいろな問題がございます。そういうような国々との賠償問題も解決していない、国交も十分に回復していないというようなところへの設備輸出というようなことは、よほど問題があろうかと思いますが、そういう点については、どういうようにお考えになっておりますか。
○石田(正)政府委員 お話しの御懸念の点は、そういう設備輸出が、ことにこういう長いものをやっておって、外交関係が危ないところに出して心配はないのか、こういうお話かと思います。この点につきましては、実は御承知の通り、輸出をそういう工合にいたしましたときに、輸出保険というものがあるわけです。ですから、支払いがないとかなんとかいう場合につきましては、輸出保険の制度があるわけです。ただ輸出保険の制度というものは、為替相場の変動というものについては無関心であります。この制度というものは、為替相場の変動の点だけを見よう、こういうことでございまして、その際いろいろ危ない場合に、輸出保険をとめたり何かする場合がありますことは御承知の通りでございまして、それと相伴ってこれを運用するというように御了承願いたいと思います。
○山本委員長 それでは続いて横銭君。
○横錢委員 今のことに続いてお伺いをしておきますが、今度の法案によって、税金を軽減することによって輸出の振興をはかろう、その精神はきわめて適切なものであって、これはしかるべきものだ、こういうふうに思うのです。しかし輸出の振興に対しては、ただ単に税金を負けるということだけがその方策でもあるまい。従って、他にこれと対応して輸出振興方策を進めなければならない、こういうように思うのだが、これと並行して進めておるものは一体どういうものをやっておるか、この点を一つお聞きしておきたい。
○杉村政府委員 ただいまお話のありましたように、輸出振興のためには、単に税制上の優遇措置だけでは足りないことは申すまでもございません。そこで、ただいま輸出振興のためにそのほかいろいろな施策をとり、またさらにそれをそれぞれ拡充したいと考えておるわけであります。
 まず海外市場に対しまして、日本の輸出を伸張するために、どういう方面に、どういう品物を、どんなふうに出したらよいかということを調べて上手な輸出をしなければなりませんし、そういう意味で、海外の市場調査、それから日本の商品の宣伝もしなければなりませんので、そういう日本商品の普及宣伝、そういったような仕事を海外貿易振興会に補助金を交付してやっております。そのほか海外に対しましては、見本市とか、あるいは貿易あっせん所というような施設もやって、海外に対する日本商品の市場の開拓、確保をはかっておる次第でございます。
 それから国内におきましては、日本の輸出品のメーカー、あるいは輸出商社が過当競争をいたしまして、値段に非常にフラクチュエーションが多いというようなことになりますと、それが海外に響いて、日本からの輸出に反対運動が起ったり、また相手方の業社が安心して日本の商品を取引することができません。そこでそういうことがないように、輸出入取引法とか、あるいは貿易管理令等の制度を活用いたしまして、日本の業者が行き過ぎた値下げ競争とか、あるいは無茶な輸出をしないようなふうに、安定した輸出ができるような措置も講じておる次第でございます。そのほか、輸出が不利でないようにという意味で、輸出金融の面、あるいは生産設備その他の中小業者に対する助成であるとかいうようなことで、万事輸出に従事している者を優遇する措置を講じているわけございます。
 なお、プラント類につきましては、東南アジアその他の低開発国の経済開発に協力する形をとって手を伸ばすことが必要であると考えますので、資金面あるいは技術交流というような点で、できるだけの協力ができるようにということで技術の交流などをやっておりますが、こういう点につきましても、将来はさらにもっと大幅にやって、日本の輸出市場の基盤をつちかうというような方向で進めたいと考えております。
 そのほか、日本の輸出品を買ってくれる市場に金がないという問題がございますので、経済外交と申しますか、そこら辺の国に産しますものをできるだけ買ってやるということ、たとえばビルマ等から米を買うとか、台湾から砂糖を買うとかいうようなことで、日本の商品が伸びるように、そういう配慮も輸入面で考えておるわけでございます。
 そのほかいろいろございますが、こういうことを政府だけでやっても力が及ばないので、民間の生産業界、あるいは商社やその他産業界と政府が一体となって輸出振興の態勢を確立したいと考えまして、輸出会議というようなものを設けまして、輸出振興に官民一体で当りたいと考えている次第でございます。
○横錢委員 今のお話を聞けば、一応考えられるだけの手は打っているというように見られるのですが、しかし、従来の日本の貿易の問題をめぐって商社同士の過当な競争が行われており、これによって海外市場をやたらに縮めてみたり、あるいはまたコスト割れをしてみたり、あるいはまたその間隙を外国あるいはその相手国、そういうふうなところからねらわれて非常な損をしておるということを聞くのです。こういうふうな点についてはどういうふうに具体的に対処しておるのか、指導しておるのか、この点はいかがです。
○杉村政府委員 日本の業者がお互い同士非常な行き過ぎた競争をして、かえって輸出に害を与えていることがございますので、そういうことがないように、それには業者がお互いに協調的な生産をし、協調的な輸出をすることが必要なわけであります。業者同士がそういう協定をすることは、普通は独禁法で禁止されておるわけでございますが、事輸出に関しましては、その例外といたしまして、輸出入取引法という法律がございまして、業者が数量とか価格とかについて協定を結ぶことが認められております。また組合を作りまして、そこで組合員が輸出に関する取りきめをすることも認められております。またさらにアウトサイダーがありましてそういう協定がうまく実行されない場合には、アウトサイダーに対してもその協定に従うように命令ができる建前になっております。こういうような制度がございまして、綿織物とか、あるいは合板とか、あるいはそのほかの雑貨類、たくさんの品物がすでにこういう形で数量なり価格なりの統制をとりつつあるという形がとられているわけでございます。
○横錢委員 今の話を聞けば、適当に指導が行われておるというように印象を受けるのですが、にもかかわらず、実際の海外においてはそうなっていない。各社同士がやたらに競争をして、日本商品をやたらに値段を下げきしておる、そういうような点とか、あるいはまた先般藤山外相がイギリスに行ったときに、国の正式な招待で行ったにもかかわらず、テレビの訪問では非常な恥をかかされた。日本商品のデザイン盗用というふうな問題をめぐって不評判を受けたことが新聞等に報じられておる。これは単に偶発的に起ったのではなしに、前から日本の輸出の対策、海外市場における競争、そういうものにあるところの固有の欠陥ですね、どうしても日本の商品につきまといがちな欠陥というものが、たまたまあすこに出てきて指摘を受けたというような印象をわれわれしろうとは受けるわけです。この間の事情については、あの報じられた問題の後どういうふうに考え、あるいはまた対処せられたか。
○杉村政府委員 業者の過当競争につきましては、先ほど制度的な御説明をいたしましたが、制度はございましても、なかなか全部の業者、あるいは全部の商品について協調的な形で輸出をするというふうなことはむずかしいわけでございます。これにつきましては、常に業界に対しては、無理な形での競争をしないようにということを指導して参っておるわけでございますが、まだ完全でないのは非常に残念でございまして、なお今後も努力いたしたいと思っております。
 なお意匠につきましては、繊維、雑貨、あるいは陶磁器につきまして、意匠センターというふうなものを業界で作りまして、外国の意匠の盗用であるとか、あるいは日本人相互間での意匠の盗用であるとかいうことが、問題が起らないように、そこで調べた上で輸出をするという施設もできまして、意匠についての問題がなるべく少くなるように努力しておる次第でございます。
○横錢委員 これは、通産省だけの指導ではあるいはなかなかうまくいかない問題なのかもしれないのです。しかしあそこに現われた問題は、単に日本とイギリスとの問題ということでなしに、日本の商業道徳、日本の今後の経済発展という問題に連なるところの大きなもの、がひそんでいるわけです。従ってあの問題が起ったので、単にこうやくを張ってうみをとめればいいというだけのことでは将来の基礎ができない。またこういうふうな輸出奨励の減税政策というふうなものを出して輸出をしてみても、その輸出があだとなって、また日本の商業道徳に泥を塗るようなことになるわけです。従って、これに対しては相当しっかりとした対策を立てなければならぬはずだと思うのです。ましてや各方面において減税の声が非常に大きいにもかかわらず、減税政策にはほとんど報いるところがなくて、来年度は何の税金も下げない、この税金も下げない、国会が始まる前から税金を下げないことをあちこちに宣伝をして予防線を張っておる、そういう中において、ただ一つ輸出に関するものだけが輸出振興という名のもとに国会を通ろうとしておる。それだけまた重要な政策でなくてはならない。これだけの犠牲を払うからには、同時にまた海外における経済の拡張と信用の確保という問題は大きな点があると思う。今の御零口弁ではどうもやや形式的な感を免れないと思うのですか、今後の善処を一つお願いいたしたいと思います。
 それから、こういうふうに努力をしておる一面において、日本の商品がむちゃくちゃな安売りをするという一面がある。一つにおいては一ドル・ブラウスの問題がある、あるいはまた洋食器やナイフの問題がある、あるいはまた先般鉛が含まれているということでおもちやが問題になったが、鉛云々は、実際には輸出の値段そのもの等に関係があるのだろうと思うのです。従って、値段が非常に安いということのために海外において日本の商品が評判が悪い。そうすると、減税政策をして奨励をすることがかえってあだとなって、日本の商品が海外で行き詰まっておる。一時は伸びるけれども、その伸びたことが相手国からはね返しを受ける結果になると思うのです。そういうふうな点については、どういうふうに対策を立ててこの立案をされたのか。
○杉村政府委員 安売り競争をいたしますことは、今お話しのようにかえって日本の輸出の阻害になる。安売りを防止するためには、先ほども申しましたように、業者が過当競争の結果安売りするケースが多いわけでございますから、そうならないようにお互いに協定をして、適正な価格で輸出するということが必要なわけでございます。このためには、先ほど御説明しましたように、輸出に関する価格の協定とか、あるいは輸出組合での価格の協定というような形を通じまして、適正な価格で輸出するようにさしておるわけでございます。これには、現在までのところいろいろな商品を通じまして、約五十ほどの協定あるいは組合の取りきめができておるわけでございます。今後もできるだけ安売り競争をしないように、業者間で協調態勢がとられるように努力を続けたいと考えております。なお、今回の税制の改正がきまりました暁に、減税になる分をすぐに安売りの方へ向けますと、せっかくの趣旨が死ぬことになりますので、私どもといたしましては、これで浮いた金はできるだけ社内に保留して、そうして自己資金の充実、あるいは設備の改善などに向けるようにというような指導を強力にいたすつもりでございます。
○横錢委員 今の安売り問題に関して、通産当局の指導はあるいは当を得ていないのじゃないかと思うのです。これはアメリカやその他の外国も指摘しておるように、日本の商品の安い原因はどこにあるのか、それは単に減税政策やその他で安くなっているのではなしに、日本の労賃が安いということ、人件費が不当に安いもので製品を出しておる。従ってこれがいかぬのだということで指摘をしてきておるというふうにわれわれは聞いておる。通産当局はどういうふうに聞いておるか知らないが、われわれはそういうふうに聞いておるので、この点についてはあなた方どう考えておるのか。従ってこの問題がそうであるとするならば、この改善政策というものは、単に社内留保でもってこれを済ませるのではなくして、人件費を向上きせるということ、あるいはまた設備の改善をさせるということ、そういうような点で解決をつけていかなければ、外国の指摘している問題点は解決がつかないと思う。この点どうです。
○杉村政府委員 外国に対して安売りをするということは、日本人の業者同士が競争してそういうふうにし、しかもそのしわ寄せが結局は工場の従業員あたりの賃金に行くというような形になる場合も、非常に大きな割合を占めるだろうと思いますが、まずそういうことをしないような基礎を作る意味で、安売りをしないで済めば、そう賃金を安くしないで済むという条件の一つができるわけでありますので、先ほど申しましたような形での、業者の輸出価格を不当に下げないようなふうに持っていくということが、まず通産省としてできることだと考えて、今後もそのように努力したいと思っておる次第でございます。
○横錢委員 その点はさらに留意をして、指導対策を立ててほしいと思うのです。
 それからさらに伺いたいのは、今そういうふうにいろいろな観点から指導をなさっておられる、しからばさらにまた輸出振興に当っての障害が何かありはせぬか、その障害を除くためにどういうふうな努力をされておりますか。先般中国に池田正之輔氏を団長として、貿易協定のために出向いておる、これがたまたま不調になってお帰りになったようである。その原因としては、外国人登録法におけるところの指紋問題が一つの重要点になって、これから代表を許す許さない、五人とか十人とかいう問題で話し合いがつかないで、この貿易協定が結ばれなかったというように聞いておるわけです。国の方としては、税金を負けてまで輸出を振興させよう、そういうふうに考えておるのに、片方においては、わずかな指紋をとるかとらないかというような問題だけで貿易が結ばれない、こういうふうなばかなことはおかしいと思う。こういうふうな、片方に振興をし、片方に野放しのままの障害があるということに対しては、通産省はどういうふうに対策を立てておるか、改善策を考えておるか。
○杉村政府委員 通産省といたしましては、担当が経済的な事項に限られておりますので、私どもとしましては、その面であらゆる国に対して輸出貿易が伸びるような手当が講ぜられること、もとより望んでおるわけであります。しかし外交上のいろいろな問題もあろうかと思いますので、私としては、それについてはここで責任持ってその面までの御答弁はできかねる次第でございます。
○横錢委員 それでは為替局長にもう一点だけ……。十月一日に五千円札が発行された。大蔵委員会としては、五千円札は今発行するのは適当でないということから一応阻止をしたのだが、これは政府の方の準備でそのまま出された。それが、十月二日にはこの金が香港に現われた。そこで、一体これはどういうふうな形態から香港にこれほどまで早く渡ったかということが問題になってきた。そこで今日の日本の金が香港に動いておる実情、あるいはまたこの十月一日に発行されて、一日だか二日だか知らないが、そのころにすぐに香港に現われたというような実情、そういうような点についてどの程度把握されておるか、御意見を一つ承わりたい。
○石田(正)政府委員 これは、実は私の所管以外にわたることもございますが、私の知っている範囲のところで申し上げたいと思います。十月一日に五千円札が発行されまして、そうしてその日のうちに香港の市場に現われた、こういうニュースが日本に入ってきました。これはいろいろ調べました結果、そうではない、やはりそのあとで、当日に行っておるわけではないが、やはり御承知の通りに千円札などが香港に行っておりますあれと同じような経路で香港に行った、こういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。
 それから大体の事情を申し上げますと、それに伴いまして、どれだけの金が向うで流通しておるかという問題でございますが、これは率直に申しまして、的確にわかりません。まあ数億のものがあるのではないかというふうにいわれております。
 それから相場の問題でありますが、相場の問題につきましては、大体一万円につきまして、十月の初めくらいまでは香港ドルが百五十ドル台だと思います。それが十日ごろになりまして、百四十ドル台になりまして、百四十三ドルになっております。十七日には回復いたしまして百四十四ドル、少し十日よりは多くなっておるというとになっております。今後どういうふうに動きますか、これはちょっと想像がつきませんが、大体そういうふうになっております。
 なお千円札と五千円札につきましては、千円札につきましては、大体十四ドルくらいでございます。それから五千円札の方は七十二ドルでございまして、千円に換算いたしますと十四ドル四十ということになります。大体大額券の方が香港ドルに対して強い。これは香港におきますところの――香港は御承知の通りな市場でありますから、日本円ばかりでなく、あらゆる国の通貨がありますが、大体大額券の方が値が高くて、小額券の方が値が低い。これは主として密輸出の問題でございますから、そうなるのは当りまえだと思いますが、大体そのような態勢を日本の円も持っておる、このように言えると思います。
○山本委員長 石村英雄君。
○石村委員 こういう重大な法律を審議する大蔵委員会は、大蔵大臣はもとよりのこと、外務大臣、通産大臣の御出席を求めていろいろ検討しなければならないと思うのですが、外務大臣は御病気だし、また会期が短かい臨時国会のことでありますから、私はただ二点だけ簡単にお尋ねいたします。御答弁もごく簡単にお願いしたいと思うのです。
 まず原主税局長にお尋ねいたしますが、こういう租税特別措置法で輸出免税を特別によけいやるということは、租税公平の原則というものを著しく逸脱することになったのではないか。従来だけでも租税公平の原則から見れば逸脱しておるが、だから租税特別措置法だ、こういうことになると思うのですが、それがさらに著しく逸脱することに今度の改正の結果なるのではないかという点についての御答弁を求めます。ただ念のために申し上げておきますが、それはそうだが、実は輸出がこうだからというような御弁解は、時間の関係上言わずに、著しく逸脱しておるかいないかということだけまず御答弁願います。
○原政府委員 御質問のワクの限りにおいてお答えすれば、著しく公平の見地から見て公平を失するということでございます。
○石村委員 次にもう一点お尋ねしますが、これは為替局長にお尋ねいたします。日本では昨年の三月ですか、LUAの廃止、例の輸入保証の問題、これを三月におやめになって、実施期日は半年先の八月だか九月だかになさったと思うのですが、当時これを廃止された理由として、日本の外貨が多いということと、それから為替自由化に進むという二つの理由を言われておったわけなんですが、現在の日本の状況から見ると、外貨は多いどころか、もう底をついてどうにもならぬ状態、また自由化の方向に進むということも、現状では全くお話にならないと思うのですが、こういう時期に際しまして、再びあれを復活するというようなお考えがあるかないか、御答弁を願います。
○石田(正)政府委員 LUAの廃止は、自由化の方向へ向っていく以上、当然廃止すべきである、それから廃止する時期は、外貨が多いときの方がいいのだ、こういうことを申し上げたのであります。われわれはそれを廃止しておきましたので、今度のような外貨資金がありましたときに、われわれの外貨資金が外国銀行に義務的に押えられずに済んだので、かえってよかったと私は思っております。復活する意思はございません。
○石村委員 それで復活の意思のないことはわかりましたが、例の中国貿易の問題でありますが、政府保証にやはり問題がひっかかっておるようです。これを前のLUAの形でやれば技術的にできるものかどうか、これはただ技術的な問題としてお答えを願いたいと思います。
○石田(正)政府委員 技術的に不可能なことはないと思いますが、やればやれないことはない問題でありまして、御趣旨がよくわかりませんが、復活する意思はございません。
○山本委員長 大体この程度でお諮りをいたしたいと思いますが、ただいま議題となっております両法案につきましては、おおむね質疑が終ったように委員長は考えます。そこでこの際質疑を打ち切りまして、討論を省略して、ただちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認めます。よってきょうに決しました。
 それでは、これより租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び設備等輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。両案を原案の通り可決するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認めます。よって原案の通り可決することにいたします。
 なおこの際お諮りを申し上げます。ただいま議決いたしました両法律案に対する委員会報告書の作成並びに提出等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認めます。よってきょうに決しました。
 本日はこの程度にとどめまして、次会は来たる十二日午前十時三十分より開会することといたします。ついては政府側に希望いたしますが、当日はぜひ一日大蔵大臣の出席を求めますので、よろしくお願いいたします。
 これにて散会いたします。
    午後三時四十三分散会