第028回国会 科学技術振興対策特別委員会 第9号
昭和三十三年三月五日(水曜日)
    午後一時三十一分開議
 出席委員
   委員長 齋藤 憲三君
   理事 秋田 大助君 理事 有田 喜一君
   理事 菅野和太郎君 理事 前田 正男君
   理事 志村 茂治君
      小平 久雄君   橋本登美三郎君
      橋本 龍伍君    平野 三郎君
      保科善四郎君    南  好雄君
      岡本 隆一君    田中 武夫君
      原   茂君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 正力松太郎君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       吉田 萬次君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   原田  久君
        総理府事務官
        (科学技術庁企
        画調整局長)  鈴江 康平君
        総理府技官
        (科学技術庁調
        査普及局長)  三輪 大作君
        文部事務官
        (大学学術局
        長)      緒方 信一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理化学研究所法案(内閣提出第七三号)
 科学技術行政に関する件
     ――――◇―――――
○齋藤委員長 これより会議を開きます。
 科学技術行政に関する件につきまして、調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。原茂君。
○原(茂)委員 前回の委員会のときにも質問を中途で少し残しておいたわけですが、特に今日の日本の科学技術が非常に国家的にもレベルの低いという点が大きな問題になっているわけですが、これを早期に、ある意味では諸外国、特に進んでおる国々に比肩してあまり恥かしくないところまでそのレベルを引き上げるということが、国家的な一つの大きな課題になっているわけです。こういう点から考えまして、前に質問を申し上げて中途で終っております問題は、少くとも国民全体の科学水準というものを引き上げようという前提に立つときには、小、中、高等学校あたりの科学教育、理科教育、こういった問題を相当大きく取り上げていかなければ、やはり国民の科学水準の引き上げは不可能だ、こういう前提から、文部省あるいは国の予算として使っておりますこういった面の予算のあまりにも少いことを指摘しまして、これに対する正力国務大臣の御意見は一応伺ったのですが、文部当局からも、現在施行されようとする予算の中で、特に小、中、高等学校に分けて、一体理科教育にどの程度本年度よりは増額しようとしているのかを、概略的な数字でけっこうですから、一応の説明をお伺いしたい。
○緒方政府委員 理科教育の振興につきまして、一般的なレベルを引き上げていくために、小、中、高等学校の段階からこれを充実していかなければならぬことは、御説の通りだと、文部省といたしましても考えております。理科教育のためには、その小、中、高等学校の設備を充実いたしますために、理科教育振興法という法律もございまして、それに基きまして、文部省としましては、年々その設備の補助金を予算に計上いたしておりますが、来年度におきましては四億四千六百万の計上をいたしております。これは昨年度に比較いたしますと六千二百万の増額でございまして、私どもとしまして、必ずしもこれで十分とは存じませんけれども、年々努力をいたしまして高めていきたい、かように考えております。そのほかこれに関連いたします経費といたしましては、産業教育の関係がございます。これにつきましては、従来から高等学校におきます産業教育の施設設備の充実につきまして努力をして参っておりますが、来年度におきましてもこの補助金を計上いたしておるわけでございまして、ただ産業教育につきましては、三十二年度をもちまして高等学校の設備につきましては一応の目標を達成いたしておりますので、若干方面を変えまして考えていきたいということでございます。予算額といたしましてはいろいろございますけれども、特に力を入れていきたいと思いますことは、工業課程の新設に対しまして、工業高等学校におきます電気科とか、あるいは機械科とかいったような課程の新設に対しまして、補助金を出したいということを新しく掲げております。これが三億六千七百万でございまして、これが大体中心でございます。
○原(茂)委員 今私のお伺いしたのは、この予算の総額四億四千六百万円、これはいいのですが、小、中、高等学校に対する振り分けを大体どの程度にしてあるのかということを伺ったのです。わからなければ、それはあとで調べていただきます。わからないなら、この点はあとに留保しまして、文部省の今回のいわゆる設備の補助を目標にした四億四千六百万円、これの公立の学校と私立の学校の内訳は一体どうなっているか、これはおわかりだろうと思う。
○緒方政府委員 実は私、大学学術局の担当でございまして、高等学校以下は初中教育局で担当いたしておりますので、今の小、中、高等学校の割り振りの資料を今ここに持ち合せておりませんから、あとでお知らせ申し上げますが、公立と私立の関係につきましては、公立が四億三千四百万でございまして、私立が千二百万でございます。
○原(茂)委員 公立が四億三千四百万で、私立が千二百万、こういう配分は非常にバランスがとれていないのですが、当然こうなるということに何か根拠があるのですか。
○緒方政府委員 これは経過的に申し上げましても、私立をこの法律の対象にいたしましたのは後で、たしかこれは二年目ぐらいだと私記憶いたしておりますけれども、公立から出発いたしました経緯もございます。さような経緯からいたしまして、まず公立の充実ということに従来も力を入れて参っておりますような次第でございまして、御指摘の通り、私立に対しましてはまだ非常に不十分だと存じております。
○原(茂)委員 私立に対する比率が非常に不十分だということだけはお認めになっているようです。そこで、今の法律でというのは、二年前でなくて、もう少し前じゃなかったかと私は思うのですが、御存じかどうか、あの私学振興法というのがございますね。私学振興法による政府の出資金が、たしか四十五億くらいすでに出ていて、三十三年度ではおそらく五億出るようになっているかと思います。これは、私学振興の基金となって、これから出る六分なり七分なりの年間の利子をプールしておいて、私学振興の実際の行政に充てていくということになっていると思うのです。この私学振興をせっかく政府では力を入れておやりになり、相当額の出資をされているんですが、その使われていく内容に関しては、文部省としては収支決算あるいはこれからの計画等に関しては、御存じになっておられるのかどうか。
○緒方政府委員 これは、細部の点につきましては、御承知の通り私学振興会という特殊法人に運営をまかしておるのでございますけれども、今お話のように、来年度においては五億円を計上いたしまして、これで政府出資金といたしましては五十億に到達いたします。これも今御指摘の施設に対しまする貸付金と、それから運営に対しまする貸付金と両方で運営していくわけでございますが、その内容につきましては、文部省としましても十分関与して参るつもりであります。これも担当が監理局でありまして、私直接の担当でございませんので、十分御満足のいく答弁ができませんことをはなはだ遺憾としますが、御了承願いたいと思います。
○原(茂)委員 どうもピントはずれで……。大臣、担当局長にみんな来てもらえばいいと思って申し込んでおいたのですが、都合で来られないから、非常に物足りないというか、腰を折られちゃって、なかなかほんとうに質問したいところへ進んでいかないわけです。そうかといってむだですから、一点だけお伺いしておきますが、たとえばこういうことはおわかりになりますか、今の私学の方の先生方が海外に研究あるいは留学調査したいというときに、やはり一般外貨の割当がないと行けないわけですね。この問題はおわかりになりますか。
○緒方政府委員 私立関係につきましては、十分私お答えできませんことははなはだ遺憾でございますが、国立大学の関係につきましては、これは御承知と思いますが、文部省の予算に在外研究員の費用を計上しております。来年度は一億一千万を要求しております。昨年三十二年度といたしましては、これは一億でございまして、人数に直しますと百三十人くらい出しました。これはなるべく国立大学の若手の前途のある教授、助教授を外国に留学させまして、勉強させるというような経費でございまして、これにつきましては外貨を別ワクでもらっております。従いまして、この関係につきましては、それに該当いたしまする渡航外貨は十分あるような状態であります。そのほかの私費で参ります大学の教官でございますとかは、一応全体のワクの中でケース・バイ・ケースで渡航審査会にかかりまして、それによって割り当てられるということでございます。以上であります、
○原(茂)委員 それじゃほかのことをお伺いします。今の国立大学でいいのですが、大学の教授が海外に行くのに外貨の別ワクがあるとおっしゃいましたね。すると、例の渡航審査会か何か外国へ行くための外貨の割当を審査する審査会があるんじゃないですか。この審査会にかからないで行くというわけですか、別ワクがあるというのは……。
○鈴江政府委員 これは外務省の機関でございますけれども、その審査会におきましては、もちろん一般外貨のワク内には入るのでございますが、文部省の方から金を出します場合は、それをラリー・パスにするということでございます。
 それから、なおつけ加えて申し上げますが、私立大学につきましては、これも非常に希望が多いのでございます。私立大学でございますから、どれだけのワクということはあらかじめ考えるわけにはいかないのでございます。しかし、大体各大学に一年間何人ぐらいということを内示しております。これは外務省からやっておりますが、例をあげますと、慶応とか早稲田とか、ああいう教授の多いところで、おそらく年間五人くらいだろうと思います。それから多少小さいところは三人とか、新制大学で非常に小さい大学は一人ぐらいということになっております。これも大学から派遣するわけでございます。それ以外の道といたしましては、そういった大学教授が外国の国際会議に出席するという場合がございますが、学術会議が費用を負担する場合には、フリー・パスで渡航審査会を通りますし、それからそういう会議に、国立大学あるいは私立大学の先生で、自分の金で行きたいという方々に対しては、年間六十名程度の方々はフリー・パスで認めようということになっております。それ以外につきましては、外貨の面とにらみ合わせるということになりますので、渡航審査会で審査いたしまして、よければパスということになっております。
○原(茂)委員 年間六十名ぐらいラリー・パスで認める。これも行く場所と滞留する期間等によっては、外貨に相当幅が出てくると思いますが、そういう点どういう基礎でこの六十名ラリー・パスということができるのか知りませんが、これは一応参考に伺っておきます。
 そこで、私のきょうお伺いしたい焦点とちょっと違ってくるのですが、国立の場合、今の御説明を聞いていると、大学教授だけが対象になっているのですね。これは高等学校とか中学の先生が海外に留学したり、調査に行くというような必要はないというような建前をとっているので、小、中、高等学校の先生たちは行かないというのか。行った実績があるのかないのか。その必要がないとおっしゃるなら、その理由を一つ……。
○緒方政府委員 高等学校以下の学校の教員も行っております。実績もあります。その場合には、やはり渡航審査会に出願いたしまして、そのつど割当を得て行っていると存じております。
○原(茂)委員 この中、高等学校の先生が行っている事例を、去年でけっこうですから、二、三話して下さい。
○緒方政府委員 昨年度の例で、私の記憶していることだけを申し上げますと、ジュネーヴで毎年国際的な公教育会議というのをやっておりますが、これに各国が加入いたしまして、つまり主として高等学校以下の教育でございますけれども、パブリック・エデュケーションにつきましての会議があるわけであります。これには文部省からも毎年代表を出しておりますけれども、同時に昨年は高等学校の校長がこれに出席いたしました。さような事例は相当数あると存じております。
○原(茂)委員 その場合の高等学校の先生をやる推薦母体というか、選出する方法というのはどういうふうにしてやるのですか。
○緒方政府委員 この昨年の場合は、東京都の教育委員会と話し合ってやったように記憶いたしております。その会議には、同時に東京都の教育長も出ましたので、そういう関係もありまして、東京都の教育委員会との話し合いによりまして、高等学校の校長の協会がありまして、その会長が行きました。
○原(茂)委員 私学振興法によりせっかくできたこの積立金等がプールされて、私学振興に今相当大きく寄与しているわけですが、その寄与している中に、特に海外に出て実際に研究をしたり、見てこなければいけないという分野がたくさんにあるわけですが、その向うに出て勉強しようというのが単に大学の教授だけの層に限っておる。これに一般外貨の割当が審査会を通じて行われるために、ある意味では振興会に予算が余ってしまうのです。そうして中学校なり高等学校の先生を行かしてもらえるなら、これだけの予算を措置しておくのだが、措置をしておいても、実際の外貨の割当が、中学校、高等学校の先生にぜひ割当をと思ったときに、それが許可にならない。あるいはなりにくい。それで一応とったワクの中から、本来なら大学の教授は五名なら五名やろうと思っていたのに、金が余ったからあと四名追加して、また大学の教授をやるというようなことで、なかなか過去の実績からいうと、中、高校の先生の海外出張ということがむずかしい。そのネックには何がなっているかというと、この外貨の割当が大学教授以外はなかなか得られないというところにネックがあるように聞いておりましたので、そのネックを一つ一つきょうは審議をしてもらって、もしそれが妥当でないとするならば、やはり思い切って文部省からも、あるいは外務省においても、科学技術庁においても協議をして、こういった小、中、高等学校の先生をも海外の科学技術研究のために留学なりあるいは出張調査のできるようにさせたい。こういう趣旨で実は質問をしたかったわけであります。その前段になるものは、先ほど予算の面でお伺いをしましても、国立に対するものと私立に対するものとの非常なアンバランスがある、これに対しても基本的に文部大臣等にお伺いしなければならない問題があるのですが、この点で後日もう一度、これは委員長に特にお願いしたいのですが、もう少しその筋ではっきり御答弁のできるような人の出席を求めて、もう一度これをやらしていただく機会を一つこの委員会でお作り願いたい、こういうことを委員長にお願いしておきます。
 最後にお伺いしておきたいと思いますが、この国立学校の予算のとり方、私立学校の予算のとり方等が非常にへんぱでございますが、特に今の海外に対する留学等を考えていくときには、おそらく私学に対しては、全然文部省の予算の中に、海外に対する別ワクどころか、留学あるいは出張、調査の予算等は一銭も組んでいない。おそらくこの千二百万では、そういうものは入っていないと思うのですが、国立の学校には別ワクでもある程度の予算を組むし、私立に対してはもう一名もその考慮が行われていない。ということは、これも筋違いか知りませんが、非常に何か今の教育の実態からいってへんぱに過ぎて、正しい意味の国全体の科学水準を引き上げようという、理科学教育を考えた態度ではない、こういうふうに考えられるのです。この点も今御答弁できるなら一つ伺いたいと思います。
○緒方政府委員 先ほど理科教育の設備に対します補助金の経緯を申し上げたのでございますが、先ほど申し上げましたのは、これは全体としまして公立の関係も私立の関係もこれではまだ不十分だと私ども考えておりますが、これにつきましては今後の努力を続けていきたい、かように考える次第であります。ただ、その割り振りにつきましては、私立の関係が十分でないということは御指摘の通りだと存じますけれども、これは学校の数から申しますと、高等学校以下は公立がほとんど大部分を占めますので、私も先ほどお断わりいたしましたように、直接の担当でありませんから、これがどういうふうな割り振りかということは御説明いたしかねますけれども、学校の数から申しますと、大体そういうふうな割り振りになるのではないかと考えます。この中にはもちろん今御指摘のように教員を海外に出張させる費用はございません。先ほど私が申し上げました在外研究員と申しますのも、全然設備の費用とは別に、国立大学の分につきましては、文部本省の予算として一億一千万円を来年は計上して要求しておるわけでございます。ただ、今の私立の先生につきましてどうかということでございますけれども、これは国の予算として私立の先生の何と申しますか人件費的な費用を組むべきかどうかということにつきましては、なおこれは検討の余地があろうかと存じております。ただ、文部省としまして来年度の予算にも計上いたしておりますが、研究設備の補助あるいは教育設備の補助につきましては、来年度は三十二年度から比較いたしますと、二倍以上も経費を組みまして、大体両方合せまして四億程度の経費を要求いたしておるような次第であります。その面につきましてはなお今後とも努力を継続していきたいと思っております。直接のお答えにならないかもしれませんが、以上お答えを申しました。
○原(茂)委員 まあ、そのお答えでいいのですが、いずれまた後日に譲りますが、今の御答弁の中で、予算が直接四億四千万円の中に別に入っていないのだ、これはさっきお聞きしてわかっているのです。そういった国立の大学、特に先生方に対しては別ワクでこういった人件費を考えていく、にもかかわらず、私立に対しては設備費だけでも千二百万円という少額であるのに、別途に全然これを考慮しない、ますますギャップがはなはだしくつくのではないかということを私は申し上げたわけなんですが、この点誤まっていませんか。
○緒方政府委員 ちょっと私説明させていただきたいのでございますが、先ほど申しました四億四千六百万円は、これは高等学校以下の問題であります。それから先ほどちょっと四億と申しました金は、これは私立大学に対しまする設備の補助金でございます。これは二通りありまして、大学の研究設備の購入費に対しまする補助金と、それから理科の教育のための設備に対しまする補助金と二通りございますが、これを合せまして三億九千五百万円を来年度に要求いたしております。これは昨年度に比較いたしますと、昨年度が一億三千八百万円でありますので、二億五千七百万円の予算の増を要求しておるわけであります。それからもう一つは在外研究員と申しますのは、これもやはり大学の関係だけでありまして、国立大学の教官についてそういう措置をとっておるということであります。
○鈴江政府委員 先ほどの御説明の中の外貨の点につきましては、もう少し申させていただきたいのですが、外貨の割当は、先ほどお話がございましたように、外務省の渡航審査会で審査するわけです。その審査会のメンバーといたしまして、当庁からも参加しております。当庁といたしましては、その中で科学技術庁の渡航についてのワクの拡大とか、あるいはその審査についての意見というようなことを言っておるわけですが、大体国内の円資金につきましては、これはそれぞれの省とかあるいは私立大学は自分のところとか、また府県のところは府県でまかなうわけですが、外貨の点につきましては、大体当庁が関与しておるわけであります。先ほど申しましたような大学、国費で行きますものは、大体主計局の予算の方で押えられますものですから、大体その中で認められるものはラリー・パスでやっております。そうでないものは審査を要するわけですが、大体先ほど申しましたのは、まず国際会議でございます。これは国費で参りますほかに六十名と申しますのは、学術会議の方で国際的に日本の代表として出し得る方を認めたもの六十名、その方についてはラリー・パスということになっております。それ以外については外貨予算との割合におきまして個別審査するわけですが、しかし一般予算で計上いたしますのは、そういった長期留学、一年間以上おりますのはそういった特定の場合でございまして、普通は御承知のように一般外貨で参りますのは、大体三カ月以内の出張になっております。それで特に私立大学あるいは中学の方、高等学校の先生方で行きたいという場合は別に制度がございまして、これは国から出す金ではなくして、県とかあるいは自分で出す金で一年間行きたいという制度につきましては、別に私費留学生の制度がございます。これは外務省の委託を受けまして、当庁がその試験に当っておるわけでございますが、語学の試験あるいは行先が果して確実であるかどうか、そういう目的等も十分審査いたしまして、その上で科学技術庁の試験を通りました者はフリー・パスで行けるという制度がございます。そのほかにまた海外において駐在費を見てやる、あるいは学費を見てやる、渡航費だけを日本の政府が割り当てればよろしいというようなケースにつきましては、これを通称為替ギャランティといっておりますが、その制度がございまして、その試験もやるわけでございます。これは大体金は持つわけでございますから、そうシビヤーな試験ではございませんけれども、やはり語学の試験とか、特に向うに行きまして問題を起すケースが多いものでございますから、その人の人格と申しますか、そういった点を、学校から証明をとるとかいろいろやりまして、向うに行っても恥かしくないという人を選考して出すという制度もございます。そういう点でやっておりますが、ただいまのところ外貨が非常になくて困るという点はあまり聞いていないのでございます。ただ私どもでやっております中には、自然科学のほかに人文科学の人あるいは芸術部門もあわせて試験をやっております。本来当庁が芸術部門を扱いますのはどうかと思いますけれども、一緒にやった方が便利だということでわれわれやっております。芸術部門は比較的苦しいのでございますが、自然科学については、割合に外貨の面で苦しいという面はない、そんな状態でございます。
○原(茂)委員 そうすると、外貨のこういった意味の、たとえば研究しようと思ってあちらに旅行する、この外貨の割当の場合には、一応試験が何らかの形であるのですか。
○鈴江政府委員 普通のフリー。パスのものとかあるいは国際会議へ参りますものは、渡航審査会で大体審査の形をとりますけれども、私費留学の制度あるいは為替ギャランティの制度につきましては、試験がございます。これにつきましても、当庁が直接窓口ではございませんけれども、外務省がその願書をとりまして、大体三カ月に一回当庁において試験をする、そういう制度でございます。
○原(茂)委員 今の国立大学の教授がフリー・パスで行くのと同じ研究目的を持って、中、高等学校の先生が海外に行かれようというときには、どうでしょう。この審査会は、そういう場合も認めた経験があるんでしょうか。
○鈴江政府委員 もちろんございます。それで、私費留学の制度で行かれる方もございます。為替ギャランティで行かれる方もございます。短期の方もございます。短期の方は、国費でないものにつきましてはそのつど審査になりますけれども、そう数も多くないのでございますから、シビャーではないと考えます。
○原(茂)委員 実際には、外貨の割当を受けようとするときに、大学教授だからよろしい、中、高等学校の先生だからいけないというようなはっきりしたきめ方で、行けなかったんじゃないかと思うのです。とにかくどういう人が審査をするのか知らないけれども、中、高等学校の先生がぜひ行って勉強する必要があると考える。先ほど申し上げた私学振興会でそれを強く要望して参りましても、私学であるのと、小、中、高等学校であるという二つのことが、どう関連するか知りませんが、従来、本年度までの過去の実績から言うと、少くとも私学振興会が一応文部省の認定を受けて、予算等を作っていて、そうして在外研究のための費用を一億なり二億というものをちゃんと組んで、これは文部省も認めている。にもかかわらず、その金額のでき上るまでに、大体大学から何名、高等学校から何名、中等学校から何名というように、一応の素案というものがあるのですが、いつか知らず、大学の先生にのみ許可になっているという実績の方が、現実の問題としては多いのです。結局審査会というかその審議会のメンバーに、文部省の方がいないのかどうか知りませんが、大蔵省は入っておるのですね。
○鈴江政府委員 入っております。
○原(茂)委員 文部省は入っていないんじゃないかと思うんですが、入っていないからといって、これが通らないということもないと思うのです。メンバーによってそういうことが行われるのじゃなくて、何かもっと本質的な――私学振興会が中心になっている私学の振興、特にその中でも理科教育の振興というものを考えたときに、しかも今のわが国の客観情勢で言うなら、科学技術教育というものは非常に重要だ、国をあげて、あらゆる施策を施行しようとしているときであるというとようなことを考えましたときに、先ほど学術局長が、公立の学校よりは私立の学校は学校の数が少いんだということを一部言われましたが、これは小学校、中学校の場合のことなんです。あるいは大学、高等学校でも、その地域的にいうなら、あながち公立の方が多いところばかりはないわけです。ですから、あまり数の問題が原因になっているんじゃないと私は思うのですが、別途にどうしても私の小、中、高等学校の先生方のなかなか行きにくい何かの事情があるんじゃないか。行きにくいというよりは、外貨の割当の受けにくい事情があるんじゃないかということを、きょうは一つ最後にお聞きしたかったわけですが、こういう点、御存じの範囲で、どっちにも片寄らないで、フリーな立場で、公正に、今までの審査会等を通じて実際に行われた実績を見て、その上で一つこれに対するお答えをお願いしたいと思います。
○鈴江政府委員 中学校あるいは高等学校の先生方が行かれる場合につきましては、私費留学生として一年以上向うに行きたいという方でありますれば、私費留学の試験を受けていただかなければならぬわけでありますが、私どもの経験いたしておるところでは、それほど御希望はないという現状でございます。おそらく今のようなお話は、三カ月の短期の御視察ではないかと思うのでございます。これにつきましては、外貨の事情等もございます。外貨が非常に逼迫する。これは季節的にもいろいろあるのでございますが、また世の中の景気、不景気にも多少関係がございまして、当初組んでおりましたものが窮屈になる、あるいは少しゆるやかになるという点がございます。窮屈になりました場合には、当然審査がシビャーになるわけでありますが、その場合に、同じような研究目的で行かれるという場合には、高等学校の先生よりも大学の先生の方が、研究目的を達成するには適当じゃないだろうかというような判断が、どうしてもつきやすいわけであります。そういう事態になりますと、あるいは大学の教授の方が、高等学校あるいは中学校の先生が研究に行かれるという場合よりも、優先するという場合があるかと思います。しかし、ただいまのところ、私ども従来経験いたしましたところでは、高等学校、中学校の先生は、研究というよりはむしろ向うの教育の方法を勉強したいとか、あるいは施設を見たいということで、割合に短期でございまして、そういう場合に各府県から同じような人がたくさん出られますと、非常に外貨の点で苦しくなるわけでありますから、そういう点で、先ほど申し上げたように若干シビャーになるのじゃないかと思われるわけでございます。でございますけれども、私どもとしては、事情をお伺いいたしまして、できるだけそれを避けようという措置は講じておりますが、何分限られた外貨でありますし、科学技術以外の、たとえば実業界の方も行かれるし、あるいは銀行とか信託関係の方も行かれるというような全体の割合の中におきまして、その間いろいろそういう事情もございますので、私どもとしてはできるだけ科学技術の面は広げたいと考えておるのでございますが、あるいはそういった点で、再三申し上げたような外貨が非常に窮屈な場合には、そういう場合もあるかと思います。
○原(茂)委員 鈴江局長の話だけでも、少し焦点が、何か一部の原因がわかるような気がするのですが、あちらに行って視察するので、研究ではないだろう――視察することは研究なんですね。それから研究の目的を達成するのに、中、高等学校の先生よりも大学の先生の方がよりいいだろう。これはずいぶん乱暴な話なんで、研究目的がまた違うわけです。しかも日本の今置かれている国民の科学的水準を引き上げようという課題を考えたときには諸外国の小、中、高等学校の教育課程におけるこういう意味の教育の仕方というものを早く取り入れておかなければ、大学の頭ばかりできている――頭ばかりできているのが日本の大学だとは言いませんが、とにかく頭だけで科学というものを承知する、しかしながら実際の生活の中にあまり入っていないというのが、日本の科学技術がおくれている大きな原因なわけです。こういう点からいうならば、むしろ下級の学校といいますか――上級、下級といっていいのかわかりませんが、小、中、高等学校の教育が頭を作る教育ばかりでなくて、むしろ生活の中にこれが生徒を通じて入っていくというようなことに重点を置かなければ、ほんとうの意味の国民のレベルの引き上げというものは不可能です。そういう観点からすれば、大学の先生ばかり行って、そして大学の先生の持つ研究目的を達してきても、これは全然空間ができるだけで、国民の水準を引き上げるというわけにいかない。そういうことを基本的に考えなければならない。何か今までの惰性で、大学の先生といえば教育の目的が何でも達成できるのだというような誤まった考え方があるから、つい今日までの実績のように、中、高等学校の先生に対する外貨の割当というものは、そんな窮屈ではないはずとあなたがおっしゃっても、とにかく現実にはあまり行ってない。ほとんど行けない。大学の先生ばかり行っているのが今日の実態なんです。一人も行かないとは言いません。先ほど言ったような学術会議の面で、一人くらい行くのはあるのです。これは事実行っています。これは本来私の言っておる科学振興の意味からする、中、高等学校の先生を通じて子供のうちから科学というものを頭に入れると同時に、生活の中にその科学を実際に取り入れさして、国民全体の科学に対するレベルを引き上げようという意味とはおよそ違うわけです。そういう観点からいうと、今の外貨の割当審議会というものは、何かやはり今、鈴江局長がくしくも言われたような研究目的というものは、大学の教授ならば何でも達成できるのだというような割り切り方、考え方、そこらに少し問題があるのじゃないかと思う。現在わが国の科学水準が非常に低いといわれている。その本質の見方ですが、頭はしかし国民的に見て低くないと思うのです。しかし、実際の生活の中にこれが取り入れられていないというところに、ほんとうの科学の力というものが国として出てこない大きな原因があると思う。こういうふうに考えてくると、そういうことの基礎的な認識を誤まった惰性が今日外貨審議会のメンバーの中にあるために、知らず知らずいろいろ経歴を見、資格を見て、大学の教授、高等学校の教諭、中学校の先生、こうなるとどうしても大学の教授の方によけい行かせるというようなことが自然のうちに、悪意でもなく作為的ではないのでしょうが、行われてきていると思うのです。そこで今、鈴江局長のおっしゃるように、もしそういう建前で今私が指摘するようなことはないのだ、もっとラリーに審査しているのだ、いくべきだと考えているのなら、今後の外貨割当というものは、私学振興会が、全国の私立学校の中から、民主的な手段方法である程度中学校、高等学校の先生を選んできて、これを大学の教授何名、高等学校何名、中学校何名で、先ほど言った私費留学生の形でなくて、一つ海外に視察研究の目的で三カ月なら三カ月行きたいというようなときには、これは当然認められて、行くようになるだろうと思うのです。そういうふうに考えてよろしいかどうか。
○鈴江政府委員 ただいま私が申し上げましたことにつきまして、いろいろ言い方がまずかったものですから、はなはだ誤解を招いたかと思うのでございますが、私が研究と申しましたのは、たとえば向うの研究所に入りまして一年間研究するとか、向うの大学で研究するとか、そういう点を申し上げたのでございます。そういう点になりますと、やはり大学の教授の方が実際の研究活動をよけいやっておる、こういう一般的なことで申し上げたのでございますが、ただいまお話がございましたように、三カ月のいろいろな視察、それも一つの研究でございますけれども、そういう点につきましては、必ずしも大学の教授が優先するというふうに考えておりません。それぞれの目的に応じまして、一つのあるバランスはとりまして各方面から出られることが必要だと思うのでございます。それで、私立大学につきましては、割当があって、年間を通じて何人というようなことを申し上げておるのでございます。これは大体経営的に毎年出したいという御希望があるものですから、一応の計画が立つわけですが、中学校とか高等学校は非常に数が多くて、そういう計画が立てられませんので、どの学校に何人という割当ができないのであります。ただ、ただいまお話がございましたように、一つの団体がありまして、毎年経営的に何人出したいというところがございますれば、それを最初の予算の配分のときに一応考えることができるものと思うのでございます。従って、そういう点がはっきりいたしますれば、私どももよく伺いまして、私立大学に割当がございますように、その団体の派遣に対しては年間何人くらいということを予定してもいいのではないかと思っておりますから、研究させていただきたいと思います。
○原(茂)委員 それは非常に大きな進歩なんです。ぜひそうしていただきたいと思いますし、しかも、特殊法人の私学振興会というものがあって、そこに政府の出資が行われ、その利子をプールして実際に私学福祉のための仕事をやっているわけですから、当然これは政府の立場からいっても、単なる団体という考え方じゃなくて、ここをもとにした民主的な答申なりあるいは選任が行われた後の申請があれば、謙虚に考慮していただいて、次回からは、中、高等学校の先生に対する割当もある程度のワクをきめるというようなことにぜひお願いしたいと思うのです。この問題はまた後にして、一応今日はこれで質問を終りたいと思います。
    ―――――――――――――
○齋藤委員長 引き続き理化学研究所法案を議題とし、質疑を行います。質疑の通告がありますから、順次これを許します。
 原茂君。
○原(茂)委員 特殊法人の理化学研究所が新たにできるという建前で、一応法律案の説明を先日受けたわけでございますが、この特殊法人にする理化学研究所というものは、一体今までの株式会社科学研究所とどういうところを違えて、どんな目的でわざわざこういった理化学研究所に改組といいますか改めようとしているのか、これをまず先に大臣にお伺いしたい。
○正力国務大臣 今まで株式会社であったのを、今度特殊法人としてやります。それは今まで資金が不十分でありまして、従って、研究が十分にいかなかったのであります。今度資金も相当に充実させて、そして政府が出す、また民間からも出すということにしようと思います。来年の分は十一億くらいの資金を得たいと思っております。そのうち六億八千万円は政府出資として、四億三千万円は民間から出資さす予定でございます。
○原(茂)委員 そうすると、わざわざ理化学研究所を作ろうというその目的の大部分は、金の集め方が不自由だ、金がない、金を潤沢にするためにこういった理化学研究所というものにするということになりますか。
○正力国務大臣 むろん金のことも重要な一つでありますけれども、そればかりではありません。研究を広く深くするには、こうした方がいいと思います。
○原(茂)委員 研究を広く深くなさるのですが、現在までの科学研究所のやって参りました事業内容と、今度お作りになる理化学研究所のやつでいく仕事の内容と、広く深くどこが違ってきておるのでしょうか。
○鈴江政府委員 株式会社を特殊法人に変えます根本的な考え方は、大臣が今お話申し上げた通りでございますが、こういうふうに変えましたことについては、歴史的な沿革もあるわけでございます。御承知の通り、従来の科学研究所は、もともと財団法人の理化学研究所でございまして、従いまして、いわゆる営利目的というものから離れました基礎研究並びにその応用の研究に重点を置いた研究であったわけでございます。それが戦後司令部等の勧告等もございまして、株式会社の形態になりました。それで、それが財政的にも非常に窮乏になりましたので、御承知のように、株式会社科学研究所法という法律ができまして、政府から出資するようになったわけでございます。そういう沿革をたどっておりますので、従来株式会社というふうなことになっておりますけれども、大体研究者の大部分は、営利追求のための研究といいますか、自立採算をして、研究所を自分の経営でやっていくということについては、なかなか困難な点がございます。それで、この研究というのは、従来の伝統を生かしまして、基礎研究並びに応用研究というものにやはり重点を置き、さらにまた工業化試験まで一貫した研究もできるし、あるいはまた各方面の研究者がおりますので、総合的な研究もできるといったような特色を十分発揮させる。もちろん私どもも、この研究所が、全部政府の金によってやるというような考え方ではなくて、自分自身もできるだけ収入を得まして、従って、またその半面国立研究機関と違った自由な立場での研究もできるというような特色も失わせたくないというようなことを考えました結果、やはり株式会社でもなく、また国立研究機関でもなく、その中間に位する特殊法人が適当ではなかろうかと思ったわけであります。なお、そういう特殊法人といたしました場合には、ちょうど原子力研究所と同じように、資本金の半分以上は政府が持つということで、政府がこれに対して大いに力を入れるんだということも示したいと思いますし、また特殊法人ということになりましたために、いろいろ従来得られませんでした税制上のいろいろな恩典も受けることができます。そういったようなことで、研究所の財政ももちろんよくなるわけでございますが、国家の援助というものが非常に強くなる。従って、従来のように自立といいますか、独立採算に早くしなければならぬということで深い研究ができなかった情勢が、これによって改善される。政府がそれだけのバックをいたしますので、研究者も安心して、落ちついて深く研究ができるというような状態になり得るかと思います。
 それから、次の点といたしましては、科学研究所に今度は新技術の開発業務という仕事をやらせるわけでございますが、その仕事は、営利追求の形態である株式会社がやるよりは、もっと公平に、客観的情勢において、国全体の利益になるというような取り上げ方をした方がいいのではないだろうか。そういうようなことからいたしますと、株式会社の形態よりももっと公共的な性格である特殊法人にした方がいいのではないかというようなことから、そういう点もからみ合せまして、株式会社を特殊法人の形態に改めた次第でございます。
○原(茂)委員 今の御説明の中で重要なことを二、三おっしゃったのですが、一つは、いわゆる基礎研究を特色とするというようなことを御説明になったのです。このお出しになった研究所法の中には、基礎研究という言葉はうたってないのですけれども、あるんですか。
○鈴江政府委員 この法案には「試験研究」というふうに広く書いてございますが、この中には基礎研究も入りますし、基礎研究から発展いたします応用研究も入ります。あるいはまた工業化試験も入るわけでございますが、非常に広く解釈しておるのでございます。基礎研究につきましては、科研としても非常に特色のある、たとえて申し上げますれば、宇宙線の研究のように、基礎研究におきまして、国内において非常に成果をあげている部面もございます。こういうものは、従来の株式会社におきましては、どうしても営利を目的とする会社の研究所としては成り立ち得ない科目でございますが、そういうものも今度は安心してやれる、そういう点が一つのねらいでございます。しかし科研の大きな研究の特色としましては、むしろ基礎研究よりは応用研究に入り込み、その基礎研究と応用研究との結びつきが一番大きな問題ではないかと思います。基礎研究につきましては、御承知のように、大学におきましても大いにやっておるわけでございますし、また応用研究あるいは工業化試験というようなものは民間会社でも相当やっておるわけでございますが、何と言いましても日本で一番欠けておるのは、そういった基礎研究と応用研究あるいは工業化試験といったような産業的な研究との結びつきが非常にまずかった、そういう悪い点をこの科研が大いにやっていこうじゃないか、こういう気持でございます。
○原(茂)委員 そうしますと、この第一条にある試験研究を総合的に行うという中には、基礎研究、応用研究、工業化研究というようなものが三つ含まれているのだ、こうおっしゃるのですが、しかし単に「試験研究」ということをここに書いてありますと、基礎研究から応用、工業化というようなものも全部ひつくるめてあるのだと言っても、ちょっとその言葉だけでその三つをすぐ頭に浮かべることは不可能じゃないかと思うのです。私は、理化学研究所を今度設立されるのに、その基礎研究ということがなかったので不満に思っておったんですが、そこまではっきりされるなら、この第一条を変えて、その字句を修正して、「基礎研究並びに試験研究を総合的に行い」こうしてもいいわけですね。
○鈴江政府委員 従来基礎研究、応用研究あるいは工業化試験と通称言っておりますけれども、その線の切り方はなかなかむずかしいのでございます。「試験研究」という中に、私どもは基礎研究というものも入っておるという解釈をしております。基礎研究と書きますと、また応用研究とかあるいは工業化試験というようなことも書かなければならぬことになるわけでございます。その場合に基礎研究と応用研究とはどう違うかというような区分というものは、観念的にはございますけれども、実際問題としてはなかなか区分しにくい状態でございまして、たとえば海外の例を申し上げますと、私かってドイツの学者に会ったのでございますが、日本では基礎研究とか応用研究とかいろいろの言葉を出して話をしたところが、研究にはそういった区切って考えるという考え方はむしろしない方がいいんじゃないか、もちろん研究というものは基礎的な問題もありますし、応用的な問題もありますし、ずっとつながっておって、自然と基礎研究か応用研究あるいは産業研究になるわけでございますが、その間あまり区分しないで、それを一体的に考えた方がいいんじゃないかということをだいぶ言われたわけでございます。従って、それが直接の原因ではございませんけれども、この「試験研究」という言葉によって、いろいろな段階の研究が全部入るというふうに解釈しております。
 科研の一つの特色といたしましては、今お話がございましたように、基礎研究から始まりまして工業化試験まで縦の線、縦と申しますか、研究の段階においてずっと系統的に一貫してやれるということが一つの総合的な研究の特色でございます。それからもう一つほかの研究所と違いまして、ほかの研究所は、電気とか化学とか非常に単能化しました研究所でございます。ところが、科研におきましては電気の人もおりますし、化学の人もおりますし、金属の人もおりますものですから、一つの問題を各分野の人が協力して総合的にやる、縦と横の面におきまして総合的にやれるというのが、今度の特徴ではないかと思うわけでございます。
○原(茂)委員 訂正の意思がないようですから、大臣からはっきり、今の「試験研究」という言葉の中には、基礎、応用、工業化等が含まれているのだ、そういうふうにはっきり確認しておいてもらいたいと思います。
○正力国務大臣 その通りでございます。
○原(茂)委員 そこで、第二点にお伺いたしいのは、この科研は実際には新しく設立するのではなくて、科学研究所というものを理化学研究所に改組するということになるわけですが、この改組するときに、今も大臣が、十一億のうち政府が六億八千万、民間から四億三千万という新たな出資を行う、こういう御説明があったんですが、これは現在の株式会社科学研究所にも株主がいるわけです。そこで、この株主は、特殊法人に改組して理化学研究所になることを承認をされているのか、この点あとで問題が起きないかどうかということが一つ。それからやはり特殊法人理化学研究所ができれば、その会長なり所長が新たに選任されるわけですが、この点に対しても私どもはある種の心配をしています。そういった私どもの心配が相愛であるかどうか、おそらく大臣の方にも構想があると思うので、そういう点の見通しについて、この二つを先にお伺いしたい。
○鈴江政府委員 最初の従来の科研の株主が新しい特殊法人の出資に対して反対しないかという御質問であります。ただいまの株主の構成は、お手元にも資料を差し上げてあると思いますが、中には従来の科研化学というのもございますけれども、大体は大会社でございまして、従来の出資もこれによって配当をもらうというような考えはなくて、大体寄付のつもりで出資をしている人が多いのでございます。これは現在の科研の役員から非公式に大株主に当ってもらっているわけでございますが、今のところ反対のところは一つもございませんで、けっこうであるという意思表示がございます。その点は御心配はないだろうと思います。
 それからあとの、科研の将来の役員の問題につきまして、これは大臣の御構想によるわけでございますが、私どもは、ただいまのところ事務当局としては何らの考えもございませんし、また従来の科研の役員がそのまま引き継ぐとも考えておりません。そういったような方々も含めまして、広い範囲から最も適当な方を選んで任命することになるだろうと思うわけでございます。
○原(茂)委員 そこで大臣どうですか、役員の構想を発表して下さい。
○正力国務大臣 まだ実際に役員をきめておらぬわけでございます。内心考えておるのもございますけれども、向うに当っておりませんから……。
○原(茂)委員 これは大臣がある程度のサゼスチョンをして作っていくのですか、それとも今のお話ですと、出資者の大部分は寄付をするつもりで、配当なんか全然当てにしていないのだ、これは大した株主なんですが、そういうような株主を相手にして、そのくらい国家的に寄与しようという人たちなんだが、その人たちの互選といいますか、そういうことでおやりになるのか、あるいはある程度正力国務大臣の政治力で根を作っていこうとなさるか、これを一つ……。
○鈴江政府委員 大臣に対する質問に対して、私からお答えするのはどうかと思いますけれども、株主の意見を聞かなければならぬかという点になりますと、私どもはそれほど聞く必要はないじゃないかと思っております。と申しますのは、今の株主はこの研究所がうまく発展してくれればいいということだけを念願しておる方でありまして、先ほど申し上げたように、別にそれによって配当をもらうという考えはないのでございますから、おそらく政府の方で適当な人を選んだということになりますれば、それで納得してくれるだろうと思います。しかし、具体的にどういう方にされるか、これは大臣がお考えになるわけでありますから、ちょっと私から答弁しかねます。
○原(茂)委員 えらいところでずうずうしく逃げてしまったのだけれども、構想はどうなんですか、どんな人に主宰者になってもらいたいのですか、技術屋ですか、あるいは事務屋ですか。
○正力国務大臣 その点も実はまだいろいろ議論があるのですが、科研の今までの構想も考え、そうして学者なんかの意見も聞いて、皆さんの意見を総合してきめたいと思っております。ほんとうにだれにしなくてはならぬという人はないのでありまして、今意見を聞きつつあるところであります。
○原(茂)委員 わかりました。ではその次に移りましょう。この理化学研究所ができると、これと国立研究所、国立の機関との違いはどんなところにあるのでしょうか。
○正力国務大臣 国立の機関といいますと、申し上げるまでもなく、すべて国家できめまして、そうして俸給その他みな一般の方に従ってやらなければなりません。しかし、今度は特殊法人ですから、待遇の点においても全く自由にできますから、よくなります。
○原(茂)委員 ばかにいいところだけを言って、待遇は非常によくなるようですから、これはまたあとでお伺いいたします。私は国立の研究機関というものと、理化学研究所というものには、研究の目的あるいは事業の内容等において何か基本的な違いが明確にあるべきだと思うのです。本来ならば、先ほど大臣が十一億のうち約半分政府で、半分民間だ、こんなことを言いますけれども、こういった重要なわが国の科学技術を引き上げようという基本的な基礎研究、応用化、工業化等をはかる仕事は、私は国家でやっていいと思う。国立でやるべきだ、それをあえて特殊法人にしたというのは、何かそういうふうにしなければいけない理由、それにした何か大きな考えのもとがきっとあったんだろうと思います。なければ、国立にした方がいい。こういう事情で国立にできないから特殊法人にしたという裏でも表でもけっこうですから、何かはっきりした理由がなければおかしいと思う。この点の規定をしておきたいと思います。
○正力国務大臣 国立にしますと、すべて大蔵省の予算で縛られます。従って、待遇の改善も今の程度ではなかなかむずかしい。だから、これをよくする意味において、特殊法人にしたわけであります。
○原(茂)委員 なかなか政治的な回答ですが、単に大蔵省の監督の制肘を逃げようというために特殊法人を作るのだという悪前例は、私はいけないと思う。この際、理化学研究所が特殊法人でなければいけないのだという理由が今ないのだったら、これは大蔵大臣が聞いても不愉快でしょう。お前の監督を逃げるために特殊法人にしたのだ、これは正力さんの顔だから閣議でも通るかもしれませんが、一般に特殊法人をそういうふうに利用するというのは悪用だと思う。もっと正しい意味の理由が当然あってしかるべきだと思います。これは私が言ってはおかしいのであまり言いませんが、理化学研究所が特殊法人になるには、やむを得ない理由があったのだろうと思います。しかし、それは今答弁できないのでしたら、次の委員会のときにそういったことをはっきりおっしゃるべきだと思います。そうしないと、どうも単に大蔵省の監督の制肘の範囲を逃げるのだ、そうして職員の待遇をよくしたいのだ、これだけでは、労働組合といいますか、職員の組合の人は喜ぶでしょうが、これは理化学研究所に権威を持たせるゆえんでないというふうに考えますから、これは研究しておいてくれませんか。そしてあとで言い直してもらいます。
 第四にお伺いしたいのは、「新技術の開発」という言葉がここにうたわれているのですが、先ほど局長のお話でも、新たな特殊法人理化学研究所を作って、新技術の開発が大きな目的のような御説明がありました。それで、従来科学研究所は新技術の開発をやっていないかというと、やっていたのです。あそこでやっている全部が新技術の開発だ。今回の理化学研究所が、新たに「新技術の開発」ということを取り上げて、先ほど大きな特徴のようにお話になった。その「新技術の開発」というのは一体何なのか、こういう点の御説明を願いたい。
○正力国務大臣 実は新技術の問題を特に取り上げましたのは、日本は御承知の通りに科学技術がだいぶんおくれているので、従って、外国に対する特許料もずいぶん払うのです。これが非常に上って参りました。そして、それがために一部の非常に非難もあるくらいです。それだから、この際どうしても特にこういう新技術の研究機関を設けなければならぬということでこれは設けたわけでありまして、私はしろうとでよくわかりませんけれども、今真空鋳造とかいうようなものも何かその一つだそうですが、その詳しいことは局長から説明いたしますが、大体は要するに日本から外国に特許料を払う、これは要するに日本の技術がおくれているからで、新技術があってもすぐそれを実施する機関がない、だからここでそういうことまで考えさせようということで作ったものでありまして、詳しいことは局長から申し上げます。
○鈴江政府委員 ただいまお話がございましたように、従来の科研がやっておりますことも、確かに国産の新しい技術を生み出そうとする努力であります。その点は当然新技術の開発と申し上げてよろしいわけでありますが、今度新しく理研に任務としてやってもらいたいと思っております新技術開発業務と申しますのは、一つの新しい方式でございまして、このやり方につきましては、海外においても、イギリスあるいはカナダ、あるいはアメリカ等におきましてもやっているわけでありますが、新しい技術が企業家になかなかコンタクトしないと申しますか、せっかく日本で発明された優秀な技術が、企業界において花が咲かないというような事態が非常に多いわけであります。その点はむしろ海外の方が円滑にいっているのでございますが、日本におきましては、御承知のように、ただいま大臣からお話がございましたように、外国の技術にたよるという習慣が非常に多いわけであります。それも必要な点はあるのでございますが、しかしそれになれまして、せっかく国内において使えばいいと思われる技術が、そのまま埋もれているものが非常に多いというふうに思われるのであります。従って、そういった技術をどうやったら日本の産業界が受け入れることができるだろうかということを考えまして、こういった一つの新しい方式を考えたわけであります。その考え方といたしましては、いろいろ国内におきまする大学あるいは国立研究機関その他におきまして、これは産業界において使えばいいと思われる技術ができた場合に、実際問題としてはなかなか使われない。と申しますのは、先ほど申しましたように、そういったまだ日本で使われてない技術を新しくやるということは危険がある、それよりむしろ外国でやっている技術を買った方が早いし、また安全であるというような空気が強いために、非常に見捨てられてしまうのでございますから、そういった技術をこの機関の主管におきまして最小規模の企業化をやらせてみる、それがうまくいきました場合には、その事業を引き取ってもらって、あとはロイアルティをこれに払ってもらう。つまり外国の技術は外国において現にうまくいっているから、安心して皆買うわけですが、ちょうどそれと同じ状態をこの機関においてやらせたい、そういった新しい技術に伴う不安というものを――この機関が主管いたしまして、成功いたしますれば、その事業は継承して引き取ってもらい、かつまたロイアルティを払ってもらう、そういうわけであります。そういう仕事は、先ほど申し上げましたように、外国においてもそういう例がございますので、日本としては新しい試みでございますけれども、ぜひこういうことをやっていきたいと思うわけでございます。
○原(茂)委員 あまり文字にとらわれるのは、時間がむだですから、やめますが、今の新技術の開発に対しては、第二条の一項、二項で大体規定しているわけです。ただしその第二項の「科学技術に関する試験研究の成果を企業的規模において実施し、企業としうるようにすることをいう。」企業的規模において実施するのも理化学研究所でやるというようにこれは一応解釈できるのですが、そういう意味じゃないでしよう。
○鈴江政府委員 これは、開発する仕事自体は理研の責任においてやるわけでございますが、しかし、今の理研の中にそういった企業を行う場所を作るわけでございませんで、そういったいろいろ技術成果がありました場合に、これはどこの会社でやったら一番うまくやりこなせるだろうかということをよく勘案いたしまして、最も適当な会社にそれを委託いたしまして、その工場内においてやってもらうわけであります。それが成功いたしますれば、その事業として引き継いでもらって、金を返しもらい、かつロイアルティをもらう、そういうわけであります。
○原(茂)委員 その場合に成功したときとか、成功しないときとかいうが、今の企業化し得る段階まで他に委嘱するわけですね。民間企業か何かに委嘱する、それが所期の成果を上げなかった、企業化が不可能だというときの損害の補償等もあわせて考慮する、こういうことなんですか。
○鈴江政府委員 さようでございます。うまくいきますのと、それから失敗するのと、両方あるだろうと思います。これは新しい事業でありますから、その点で民間も二の足を踏むだろうと思います。でございますから、われわれとしては十分慎重に検討する必要がありますが、十分できると思いましても、これは新しいことでございますから、失敗する可能性もあるわけであります。そういったようなものにつきましては、失敗した場合には、この機関が負担するわけであります。ただ、海外の例を見ましても、ほかの各国の例を見ますと、十のうち二つぐらい失敗するというようなケースが、平均いたしますと、多いわけです。それで、ほかの方の成功した方がロイアルティを払いますから、それによって失敗の方をカバーしていく、一種の相互扶助みたいな関係になって、全体として新しい技術を生み出していこうという構想であります。
○原(茂)委員 その点は非常に重要なんです。今までの科学研究所でも、おそらくそういった委託研究等は行なってきたと思います。その事例はおわかりになっているかどうか知りませんが、相当大きな費用を要する研究が、企業化をはかるために委託したものが、ついにその目的を達しなかった。それが五億、千億の費用を必要とするというようなときでも、今の御答弁ですと、とにかく理化学研究所が補償して支払う、そういう建前は守るのだが、やがていつの日か成功するものもあるはずだから、それとペイするように、差引するように、それまで待たせるのかどうか知りませんが、やるのだ、こういう御答弁になるわけですか。これは大臣もそういうふうにお考えになってやっていくわけですか。
○正力国務大臣 私も大体その方がよくないかと思っております。
○原(茂)委員 そうしますと、今の試験研究の成果を企業的規模において実施しようということを委託する場合には、受託者と委託をする理研の方との間に、契約書か何か正式に取りかわされるわけですか。
○鈴江政府委員 当然そうでございます。契約を結びます。そうして、大体契約といたしましては、成功しました場合には、その事業を引き継いでもらうということ、そうしてそれに対して価額がございますから、それは支払ってもらう。それは一ぺんというわけにはいかぬと思いますから、年賦で償還してもらう。なおそれを企業化いたします場合には、当然ロイアルティを払ってもらう。これは外国の技術を買ってロイアルティを払うのと同じでありますから、成功したという実証があれば、それは当然ロイアルティを払ってもらっていい。当然そうしたいと思います。
○原(茂)委員 その契約書の中に、もしこれが不成功に終ったときには、その費用を弁済するのだという条項が入っているわけですね。
○鈴江政府委員 さようでございます。失敗をした場合には、その損害は理研が負うわけでございますが、ただそこにいろいろ施設いたしましたものは、当然これは理研のものでございますから、そういうものは回収いたしまして、使えるものはさらに転用いたしたい。あるいはスクラップになるものは売りさばくかもしれませんが、そういうものは全然理研の金でやっておりますものですから、当然その所有権は理研にあると思います。
○原(茂)委員 そうしますと、これがいつ発足するかもあとでお伺いいたしますが、新しく発足したときには、事業計画というものができるわけですね。それに付随しての収支目論見がおそらく立つと思う。その中には、そういう失敗したときのギャランティというか、歩どまりというようなものを見込んでやるわけですか。
○鈴江政府委員 当然そうでございます。そのために、この法律にありますように、開発委員会というものを置きまして、それが事業計画を十分審査いたしまして、その上で政府がそれを承認するという形をとっております。それで、失敗いたしますれば、先ほどのような負担をするわけですが、理研といたしましても、大体来年度の出資三億三千万円になっておりますけれども、八千万円を限りましてこの事業をやるという考えでございます。経理等も別経理にいたしておきたいと思います。
○原(茂)委員 その次にお伺いしたいのは、資本金の問題ですが、これは「政府の出資額は、常時、研究所の資本金の額の二分の一以上に当る額でなければならない。」というふうにおきめになった理由ですが、先ほどの大蔵大臣のあまり制肘を受けたくないのだという趣旨からいえば、こんなことを四〇%ぐらいにしておいて、なお政府の方で何か言わないようにした方が、かえっていいかもしれませんが、この点、なぜ一体二分の一以上というものをここに条項にあげたのか。
○鈴江政府委員 二分の一以上にいたしました一つの理由は、この研究所に対しまして、国が資本の半分以上を必ず見るということによりまして、研究所の人に対しても非常に安心感を与える、そういうことが一つのねらいでございます。それと同時に、政府が半分以上を持つということによりまして、国家的な色彩が非常に加重される、それによって、税金の面とかその他において国家的色彩が強いことによって、減税措置あるいは免税措置がとられるという関連がございます。この例は、先ほどもちょっと申し上げたのでございますが、原子力研究所の方でこれと同じ形をとっておられます。
○原(茂)委員 そうしますと、今言った特色以外に、普通の会社でいうと、ある程度の余剰が生まれるはずのもつのが、思い切った赤字になるということが起きたときには、政府はこの特殊法人理研に対しては、全面的にその債務の支払いというようなことに対しては保証を負うのか。半分以上という出資の率に応じて、損害に対する補償をしようとするのか。もしこの理研というものが順調に行けばいいのですが、さっきのお話では、企業化等に失敗することが逐年重なっていく、あるいはその他の思わざる事態が生じて、大きく損失を招いたようなときには、その補償はやはり政府でやってやるのか。こういうことになると、理研に働く人がなお安心がいくのですがね。そこまで考えていいですか。
○鈴江政府委員 ただいまの点、これは予算の面とからみ合うわけでございますが、私どもといたしましては、事業計画並びに予算計画というものは、当然毎年とりますと同時に、毎四半期ごとにそういう内容の調査をいたします。従いまして、突然非常に大きな赤字が出るということも、ちょっと想像されないのでございますけれども、私どもとしては、理化学研究所がこちらの承認した範囲内において十分にやりまして、なおかつ不測の損害が出たというような場合には、財政当局との問題もありますけれども、極力第三者には御迷惑をかけないような措置をとっていきたいと思っておる次第でございます。
○原(茂)委員 それから第六条の「研究所は、出資に対し出資証券を発行する。」この「出資証券」というのは、有価証券と同じでしょうか。
○鈴江政府委員 さようでございます。これは譲渡もできますし、それから将来配当ができますれば、配当も受けることができるわけであります。有価証券と同じでございます。
○原(茂)委員 記名式とした理由は。
○鈴江政府委員 この出資というのは、結局有価証券ではございますけれども、大体これに出資いたしますものは、先ほど申し上げましたように、寄付をしたというような感じが強いわけでございます。従いまして、記名式にいたしまして、その人の名誉を表彰するというわけではございませんけれども、それにかえよう、大体そういう気持でございます。特に強い意味はございませんけれども、その程度とお考え願いたいと思います。
○原(茂)委員 寄付したという気持があるというのは、今まではそうかもしれないが、これからも寄付した気持と思っていいのですね。
○鈴江政府委員 本来はそういうことを考えるべきではないと思いますけれども、御承知のように、この研究所の従来からの経過、また将来にわたりましても、利益を生むということは、近い将来には期待できない。もし利益を生むにしましても、だいぶ先になるのではないかと思います。それでもなおかつ出資をしてくれるという方々は、やはり営利という目的よりも科学技術振興という建前から出資をして下さる方々でございますので、大体寄付の気持というふうに考えられます。
○原(茂)委員 時間がないようですから簡潔に答えていただきますが、第十五条で国会議員、国家公務員あるいは政党の役員、こういうものは、欠格条項の中に入っていて、役員となることができないことになっているのですが、これは、国会議員、国家公務員、それから政党の役員、こういうふうにしぼってしまうと、理化学研究所の本来の使命である重要な技術の研究あるいは指導等に何か文庫を来たすようなおそれが多分にあるのではないかと思います。これは特別な条項を用いて、「特にこういう者は」というようなことを設ける意思は全然ないのか。ここで言うと、たとえば松前重義委員のごときは、もし必要があったときには、役員になったって私は差しつかえないのじゃないかと思いますが、国会議員であるからだめだということになるのですか。もっと有意義な人たちが逆に国会議員に出たら、これは全然入ることができない。こういうことになってしまって、少し窮屈過ぎるのではないかと思うのです。これは逆に応用してはいけないが、どうですか。
○鈴江政府委員 この十五条の規定は、大体政府の設立いたしましたような各種の特別法人である株式会社、あるいは特殊法人等でも全部載っている条項でございますが、その趣旨といたしましてはそうした政府から出資いたしました機関でございますが、いわゆる政治的に中立性を保たせるという意味であるということをわれわれ従来からも聞いているのでございます。従いまして、国会議員あるいは政党の役員というものは政治的中立性からいってはずれるわけでございます。また国家公務員は監督すべき立場でありますので、その中に入ることはおかしいということで抜けているのでございます。ただ適当な方々、たとえば政党の役員の方々でありましても、政党の役員を辞しておいでになればもちろんよろしいのでございますが、従来の慣例並びに従来の解釈に従いまして、この条文を置いたわけでございます。
○原(茂)委員 理化学研究所の場合には、あまり政党の役員というようなことで割り切ってしまうと、相当疑義を生ずるのではないかと思います。たとえば、政党の役員というものに対する法的な規制というか原則がありますか。もしないとすると――政党の役員にはこういうのもあるのですね、私どもの社会党でいうと、社会党の本部の役員もあります、また県連合会の役員もある、りっぱな役員です。それから郡の支部単位の支部の役員もある。それから村に班があり、班の役員がある。こういうところまで政党の役員というものを厳密に考えていくと、政党に所属した者といってもいいぐらい非常に広範囲になるのです。この政党の役員というものを、それこそ正当な何か解釈があり、法制化してあるならば別なんですが、そうでないと、厳密に押し広げていくと、政党の役員というものは政党員と書いた方がいいぐらいです。政党に所属してはいけないということになったら、これは大へんなことになる。これは憲法違反ですから、そういうこともおかしいのじゃないかと思いますし、ここはもう少し幅を持たせる必要があるのじゃないかと思いますが、どうですか。
○正力国務大臣 政党の役員というのは、実はわれわれどもはごく狭い意味で解釈して書いたのです。いわゆる政党の幹部ですね。そういう意味で解釈しておるわけであります。
○原(茂)委員 たとえば正力さんみたいな人でしょうけれど、それなら周知の幹部ですがね。社会党のように執行委員に出る意思がない、あるいは立候補したけれどもおっこった、だがどう見ても幹部だというのもあるのですよ。これは本部の役員でも何でもないけれども、れっきとした幹部ですよ。しかも地方へ行けばどこかの班長か何かの役員をやっている。ですから、単に政党の役員をもし大臣がおっしゃるように狭義に解釈なされようとするならば、本部役員とかなんとかということにしておかないと、突っ込んでいくと、みんな将来は役員になりますよ。
○正力国務大臣 むろん本部の役員のつもりで私どもは解釈しております。
○原(茂)委員 それじゃどうですか、政党の役員というのは、政党の本部役員と直しますか。
○鈴江政府委員 実ははなはだ恐縮でございますけれども、私ども不勉強でございまして、この解釈につきましては、法制局からはっきりした回答をいただきまして、それで申し上げたいと思います。
○原(茂)委員 そうして下さい。
 二十一条「役員若しくは職員又はこれらの職務にあった者は、その職務に関して知得した秘密を漏らし、又は盗用してはならない。」ここにこういう条項があり、二十二条には、役職員は公務員に準ずることを規定しているのです。特に第二十一条を設けて、「秘密を漏らし、又は盗用してはならない。」というのをあげてくるのは、どういう意味か。国家公務員に準じてやろうという二十二条がある上に――一般公務員はこれで規制しているわけです、当然のことですから。それになお二十一条を設けたのは、何か根拠があると思うのです。他に例はないのですが、その根拠を一つざっくばらんに言ってみて下さい。
○鈴江政府委員 ここに特に書きましたのは、この理化学研究所自体が新技術開発の業務を行うわけでございますが、これにつきましては、工業所有権になりました技術につきましては盗用してもいいのでございますが、まだ特許権をとらないような技術を知る機会も非常に多いわけでございます。従いまして、そういうものを勝手に公開いたしますと、その新技術を作りました発明者に対して不測の損害を与えることになりますので、ここに書いてはございますけれども、これはむしろ技術的な問題をねらいまして書いたわけでございます。
○原(茂)委員 そういう立場をとろうとするなら、特許庁の職員たって同じなんです。まだ手続が済まないうち、申請のあった最初とか相談を受けたときに技術なんかは幾らでも見られるわけです。科学技術庁の職員だって、ある意味では新しい技術を事前に知ることができます。いやしくも国家公務員に準じて規制を受けることにしてあれば、こういうことはよろしくないことになっているし、いつでも処罰できるわけですね。にもかかわらず、技術の問題だからこうするんだということは、理化学研究所の職員だけが不当な――そんなことはないでしょうけれども、因縁をつけてやろうと思えばつけられるわけです。こういう条項は、思想的にも一番気をつけなければいけない条項なんです。こういう問題は幾らでも類例があるのですから、ほかにもっとあるならともかく、そうでなければ、今のような御答弁では適用ができない。端的に言いますと、二十一条のごときは、二十二条があるのだし、新たに発足した後に就業規則等を作ればこれで十分足りるわけですから、こういうかってを思い出させるような条項は、むしろなくすべきだと思うのです。
○鈴江政府委員 二十二条に書いてございます「刑法その他の罰則の適用」というのは、涜職罪の適用の問題でございます。二十一条の方は秘密を漏らしてはいけないという秘密保持義務でございますが、これにつきましては、先ほど例としてお話がございました特許庁の審査官につきましても、特許法において別にそれを規定してございます。ですから、同じような意味におきまして、一般的な法律でなく、特別な技術の秘密を知る職務についてそういう規定をする必要があるのではないかと思う次第でございます。
○原(茂)委員 特許庁の審査官に対して、二十一条と同じように秘密を漏らし、または盗用してはならないという条項があるのですか。
○鈴江政府委員 実は私条文を宙で覚えてないのでございますが、当庁の官房長が前に審判長でございましたから、原田官房長から申し上げた方が話がはっきりするかと存じます。
○原田政府委員 一般公務員には公務員法がありまして、職務上知り得た秘密を漏らすことは禁止せられておりますが、特に特許法におきまして、特許庁の職員は、やはり職務に関しまして知り得たことを他に漏らすことを禁止せられております。つまり特許庁の方は、公務員法と特許法にダブってそういう条項がつけてあります。
○原(茂)委員 第二十二条の規定は、涜職罪に関するものだけを取り上げているんだというのですが、公務員として準ずるということをはっきりうたっていけば、こういう業務上の秘密を漏らしたり盗用してはいけないということがあるのですから、他に類例があったにしても、これはあえて入れなくてもいいのじゃないかと思うのです。さっき正力大臣も言ったように、職員の待遇改善等をやりやすい、その意味で特殊法人にもしたらしいし、あえて国家機関のあまりきつい制肘を受けないで済むようにすることも、特殊法人理化学研究所を作る目的であるとするならば、その精神からいっても、あえてこれを載せなくても、もっと職員自体をお互いに信頼し得る立場で、少くともここにいる人はみな技術者でしょうが、技術者にしても事務員にしても、こういったところにおける就業規則の内容をはっきりと定めて、同時に国家公務員法に準じて監視をするということになっていけば、あえてこういう条項はない方が私はいいのじゃないかと思う。これがあると、いかにも何か来る人がどろぼうをしそうだ、あるいはそういうことをするといけないからこうするのだというように、お互いに信頼感を持たないという前提でやっていくように見える。国家機関よりは民間に近い特殊法人という立場からいうと、私はこういうものはなくした方がいいのじゃないかと思う。ほかに方法がなければ別ですが、これなら気持よく職員お互いが信頼し合って働き得るということにするためにも、こういったきつい何かを思わせるような条項をなくして、二十二条の中に、ただ涜職等の刑罰規定を設けるだけでなくて、むしろ国家公務員に準ずるのだということを大きく取り上げていくのと、他に、就業規則等の中に、もう少しやわらかく常識上のことをお互いに取りかわすということでやっていく方が、おだやかでいいと思うし、先ほどの大臣の説明の趣旨にもある程度沿っていけるのじゃないかと思うので、二十一条のごときはこの際すっぱりとなくしていいのじゃないかと思うのですが、どうですか。
○鈴江政府委員 その秘密を漏らし、盗用するということは、いかにも職員とか役員に対して不信の感があって、それを規制するような感じが強いと見えるわけでございますが、しかし、私どもの考えといたしましては、理研というものは、従来もそうであったのですが、外部からの委託研究を相当受けております。従いまして、外部の委託を受けて、費用をもらって、研究した成果はその人に返してやるといいますか、その研究成果を向うに渡すわけでございます。あるいはまた新技術の開発業務は、先ほど申しましたように、科研以外の研究機関等の研究成果も、これによって新技術の方に結びつけて開発しようというわけでございますので、内部の人というよりは、外部の人に対してこういう厳正なことをやっておるということで安心感を与え、信頼してもらう、そういう意味におきまする規定でございます。ですから、第三者に対しては、こういうふうに厳格にやっておるということを法律で示した方がいいのじゃないかと思っております。
○原(茂)委員 世の中というものは、本来家にも倉庫にもかぎのないのが理想なんです。そんなことを言ったって、どろぼうが入ってしまいますから、みなかぎをつけるわけですが、しかし私は、特殊法人理化学研究所に外部の人が研究を委嘱しておいて、そしてその依頼する人がどうしても不安でしょうがない、そんな人からは依頼を受けない方がいい、単なる民間企業じゃないのだというところから、もっと権威を持って、そんな心配をする人は入門お断わり、そのくらいの権威を持っていいのじゃないかと思う。そんなことをおそれて、安心してさあいらっしゃいとお客さんを呼ぶようなことをしなくても、この理化学研究所の内容はそんなに不安なものじゃない、そのくらいの誇りを持ってもらいたい。その意味で、私は進んでこの条項はなくすべきだと思う。そんな程度の理由であるならば、もっと職員をがっちり信用するという建前をとって、公務員に準ずる規定である程度の整理を行いながら、就業規則等で補うということで十分だと思う。特に技術を中心にやろうとする人々、職員に対しては、うんと信頼をしているという態度で、お互いの気持がしっくり溶け合っていける建前をとるためにも、二十一条というのは、どうも非常に目ざわりじゃないか。労働組合、一般の企業等でいいますと、近ごろ諸官庁でもそういう系統に属するといなとにかかわらずですが、こういう条項があると、うまく利用するといつでも首切れるのです。それは因縁のつけようによって、この二十一条があれば、あのやろうと思えば、いつでも馘首することが可能になってきます。こういうことをお考えになっているのじゃないと思うが、これがほんとうに使われるときは、おそらく何かの理由で整理をされるときです。もしあいつは首にしたいと考えてこれを利用しようとすれば、盗用だって何だって、因縁をつけようとすれば幾らでもつく。とにかく何か持って行った、計算したメモの一枚、データ一枚、はな紙にもならないようなものを持って行った。そんなものは持って行くことはあります。そうして、お前は過去において一枚か二枚持って行った、証人があると言われれば、盗用なんです。これはこの条項に照らせれば馘首できますよ。ですから、もしそういうときの準備にこれをやっておられれば、そうだとしおっしゃればいい。そうでないなら、これは就業規則やなんか、ほかのもっとやわらかい方法があるのです。互いに信頼し合ってやれる方法がある。公務員規則に準ずるということと就業規則でやればできるので、もし私が杞憂しているような、実は最後はそれを考えているのだ、こういうのなら何をかいわんやです。立場が違うので、反対するだけです。もしそうでないとすれば、第二十一条はなくしていただいた方がいいのじゃないかと思うのですが、もう一度お答え願いたい。
○鈴江政府委員 ただいまお話しの点は、私どもも非常に貴重な御意見であるということを考えるわけでございますが、ただ、こういったような技術を財産視と申しますか、非常に技術を中心にいたして運営いたしまするこういった機関におきましては、やはり技術というものを非常に大切に扱うという考え方、それを表わしたというふうにお考え下すってもけっこうじゃないかと思うのでございます。先年度私どもの科学技術庁から出しました技術士法におきましても、これと同様な規定がございます、もちろんこれは役員、職員ではございませんが、技術士はその職務に関して知悉した秘密を漏らしまたは盗用してはならないということが書いてあります。これもやはり第三者から安心して仕事を頼めるという状態を法律的にも固めていきたいということで書いたわけでございます。私ども同じような考えで、こういった頼まれた技術あるいは個々が扱う技術というものは、非常に秘密を保持いたしまして、十分第三者の信頼にこたえるということでやっていきたいというわけでございまして、それで、これによって職員を罰するとかなんとかという考えは実は私ども想像もいたしてなかったわけでございます。当然理研の役員または職員は、こういった秘密を保持することができる人々であることは、もちろん信頼しておるわけでございます。しかし、先ほどたびたび申し上げましたように、外部の人に対して、そういう上にも念を入れまして、こういうことによって、安心をしていただくということをぜひともしておきたいという感じを持つわけでございます。
○原(茂)委員 この点は、そういうほかの意図はないが、どうしても置きたいとおっしゃるようなことでしたら、私どもはこういう条項に対しては、どこまでも反対する立場をこれからもとるつもりですから、そういう態度だけを明らかにしておきます。
 なお、その次にお伺いしたいのは、第二十九条の、一、「科学技術に関する試験研究を行うこと。」ここにもまた試験研究という言葉が出てくるのですが、先ほどの第一条にあるような試験研究と同じように、この場合も科学技術に関する基礎研究、応用研究あるいは工業化の研究ということを行うことだ、こう解釈してよろしいわけですね。
○鈴江政府委員 御説の通りでございます。
○原(茂)委員 先ほどはこまかく書くことがどうもある意味では不可能のようなお話がありましたが、こういうところへきて業務の範囲というものを新たに規定をする二十九条を設ける以上は、第一条の意思とは違って、もう少しこまかく、科学技術に関する基礎研究、応用化研究あるいは工業化研究その他の研究でけっこうですから、それらを行うことと、ここにはもう少し細分化して規定することの方が、私はこの条章を生かす意味で正しいと思うのですが、どうでしょうか。
○鈴江政府委員 先ほど御答弁申し上げました通りでございますが、基礎研究から始まりまして、応用化研究、工業化、試験化といいましても、また中には分類する人によりまして、基礎研究とかいろいろ分け方をなしておる人もございます。ですから、そういうようにこまかく規定をして、それを全部書くならば、むしろ大きく広げて一本にしておいた方がはっきりしていいんじゃないか、そういう感じを持つわけでございます。
○原(茂)委員 基本的な問題に入っていくわけですが、特殊法人理化学研究所というものが、試験研究という言葉で基礎もある、応用化も工業化も考えておるんだ、こういう説明があればあるほど、何か今の理化学研究所というものの実態、それに資本力等から考えましても、逆の立場から、もっと基礎研究にウェートを置くのか、あるいは新技術の開発にウェートを置くのか、応用面における企業化にウェートを置くのか、先ほども、国立の研究機関等との違いはという質問を申し上げたのですが、本来の特殊法人理化学研究所が、ここに新たに発足しようということを考えますと、同じ試験研究でも、その中の何にウェートを置くのかというくらいのことは出てこないと、非常にばくとしちゃって、何を一体おもなものにするのかわからない。これから一緒にお伺いしてもいいのですが、とにかく研究をするといっても、研究の目標は一体どこに置くのか、非常に広範囲です。研究という言葉についても、範囲がたくさんあります。これから理化学研究所が研究しようという一つの目標というものは、何に置こうとするのか。あるいは医療用にあるのか、あるいはまた電気科学用なのか。単に応用物理的なものか、拾いあげていけばたくさんあります。何に研究目標のウェートを置くのか。いや全部なんだ、こう答えるような議論すら出てくる危険もあるのです。事実そういう感じがする。そういう建前からするならば、その前段として考えなければいけないのは、単に試験研究という言葉でばくとして内容を言わない方が、かえっていいんだというようなことなら、なおさら広くなってしまって、ばく然として、何をやるんだろうかというような考え方が出てくる。同じ試験研究といっても、その試験を、基礎研究というものと新技術開発のための研究、応用化なり工業化なりというものを、何らかの形である程度は分けて、理化学研究所というもののやる重点は、第一に基礎研究にある。これを応用化、工業化する、いわゆる新技術の開発というものに第二のウェートがあるんだ、何かウェートの置きどころがないといけない。ただばく然と全部やるのだ、研究の目的にしても内容にしても、何もやるんだということになってくると大へんなことになるので、あとからふやすことは差し支えない、できるだけ広範囲に目標なり内容をしぼっておくことは、これも必要だと思います。だが、少しくらいの筋だけは通しておかないと、何でもやるのだ、何でも屋という考え方でいくんだということは、どうも私おかしいと思う。もしこの第二十九条で、こういったはっきりした範囲を言おうとするならば、その範囲というものに何かもう少し明確な線を引きたい、こういうふうに感ずるのですが、この点もう一度御説明願いたい。
○鈴江政府委員 この試験研究の範囲は、どうかということになりますと、範囲といたしましては、先ほど申し上げましたように、基礎研究も入りますし、それが発展いたしました応用研究、あるいは工業化試験というものも一通り全部やるつもりでおります。しかし、どれにまず重点を置くかということになると、今後の運用の問題にもなるわけでございますが、従来の研究者の経験と申しますか、あるいは研究分野と申しますか、そういう点から考えまして、一番最初にウェートを置くべきものは基礎研究と応用研究との橋渡しと申しますか、俗に目的基礎研究ということを言っているのですが、これはまだ熟した言葉ではございません。基礎的ではあるけれども、必ず工業的に新しい国産技術を生むための目的を持った基礎的な研究と申しますか、そういうものが現在の日本において最も欠けておるのではなかろうか。つまり、大学における研究は基礎研究でありますが、これは目的を特に意識した研究ではありません。それから、産業界のはすぐ営利的になるというような研究が主だと思いますが、その間の途中を結びつけるのが、この研究所として一番ウェートを置くべきものではないかと思います。それがさらに発展して応用化試験、工業化試験をやった方がいいということになりますならば、同じ過程の中に、縦の線において一貫した研究をやるということも考えていきたいと思うのであります。でありますから、どの範囲でやるかということになりますと、基礎研究から始まるすべての研究をやりたいんですが、ただいま考えておるのは大体目的基礎研究ということが重点ではないかと思います。
 新技術開発等の問題でございますが、これにつきましては、予算的にもお考え下さればわかりますように、新技術開発という仕事といたしましては、初年度八千万円でございますが、これによってこなし得る件数は必ずしもそう多くはない。これはスタートでございますので、そう大きな予算ではございませんが、しかしそれに携わる人数ということになりますと、特に研究所の方が圧倒的に人も多うございますし、理研の本命と申しますか、大部分の仕事はやはり試験研究の方にかかるのではないだろうか、しかし、新技術開発というものもこれは芽でございますが、これが発展いたしますれば、また国家的な使命が非常に認められるようになりますならば、これも非常に発展するのではないだろうか、私としては将来両方とも大きくしたいという考えを持っております。
○原(茂)委員 くどく言うようですが、基礎化学の研究とか目的基礎研究とか、応用化学の研究だとか、実用化試験だとか、いろいろ研究にはあるでしょう。あるけれども、今おっしゃったように、目的基礎研究が主たるものになるんじゃないか、こういう御意向なんですが、そういうのであれば、少くとも目的基礎研究ですとか、あるいは基礎化学研究、そういうようなことだけでも、同じ基礎という中にも二つくらい取り上げても差しつかえないと思いますから、基礎研究にとにかく重点があるのだというようなことは、どこかのところで僕は理化学研究所というものは表わしておかないと、試験研究というものを解釈するのに、基礎研究が終った後の応用化、工業化に対して試験研究という言葉を使うのだという説もあるのです。局長の言うことが試験研究の内容なんだ、全部だ、こう定義しても、ほかの説をとる人は、基礎研究が終ってから、その後の応用化、工業化等が試験研究なんだ、こういう説をとる人もあるのですから、とにかく疑義のあることに対しては疑義のないように、単にここらの質疑応答で、基礎研究をやるのだ、基礎化学の研究ですとか、あるいは目的基礎研究をやるのだということが記録に残るというのじゃなくして、こういう条章にはっきりと私はそういうことが書かれ得るものだと思うし、書いてしかるべきものじゃないかと思うのですが、この点は単に試験研究で一条も二十九条もずっと押し通すということになりますか。
○鈴江政府委員 ただいまのお話の、基礎研究にウェートを置くということでございますが、基礎研究といいましても、いわゆる大学の基礎研究ではないのでありまして、大学の基礎研究から発展して、一つの産業的な技術目的を持った研究、しかしそれが従来の会社でやっておりますような、いわゆるすぐ役に立つような研究といいますか、それだけではなく、それよりもっと基礎研究に結びついた方面の研究でございますから、産業的な研究でございましても、かなり基礎的な部分もやっていくということでございます。その点を目的基礎研究といっておりますが、それが先ほど申し上げたように、まだ熟した言葉でないわけでございます。しかしながら、それだけでこの研究所がいいのかというと、そうではございませんで、さらに応用化、工業化試験もやるわけでございますので、どれにウェートを置くかといいますと、人数の点からいきますれば、あるいはその目的基礎研究のところが多いかと思いますけれども、金の方面から考えますれば、工業化試験というものは、御承知の通り相当金がかかるのでございますから、必ずしも工業化試験に資金的にはウェートを置かないということではございません。従いまして、どれにウェートを置くかということはなかなか書き表わしにくいし、その言葉が目的基礎研究とか、工業化試験といたしまして、中間工業化試験、実用化試験とかいろいろ言葉がありまして、あまり熟した言葉でないのでございますから、特にどれにウェートを置くとか何をやるとかいうことを細分して書かない方がむしろいいのではないか、かえって誤解を生じないのではないかと思いまして、こういうふうにしたわけでございます。
○原(茂)委員 この点は、基礎研究が入っているんだ、これにはウェートを置いているんだということを先ほど大臣も言明されましたから、あえて二十九条で表わさないんだという御意思ならそれでもその点はいいかと思います。しかし、一応私はこれでは不満だということを申し上げておきます。
 なお第三十九条に「研究所は、業務上の余裕金については、銀行への預金又は郵便貯金にするほか、これを他に運用してはならない。」こう書いてある。少くとも理化学研究所は研究を目的とするんですが、こういう余裕金が生じたときには、まず第一に研究費の増額に充てることができるということの方が本来の目的に沿うんです。第二には、先ほど大臣も、職員の待遇を非常に心配されておるようですが、現在のレベルからいっても、当然その職員の待遇改善に向けることもできるというような規定の仕方の方が、当りまえなんです。これは何でももうかったら貯金しておけ、貯金以外にはいけない、そういうことはちょっとほかにはないと思う。理化学研究所であればあるほど、こういう窮屈な規定を設けてしまうと、これは今までの公社等の職員に対する給与でもいつも問題になる点なんです。こういう点はやわらかくは書いてありますが、非常に他に意図するところが多いと見ますので、そうでなく、この条章をなくしてしまうか、あるいはこんなことを書かなくとも、常識上、会長なり社長になる人が、よほど気でも狂うていない限りは、その金を捨てるわけがないし、個人で使うわけがないでしょう。もっと自由にこういったところに幅を持たせなければ、特殊法人にした意味がないと私は思う。先ほども、特殊法人になるのは、大蔵省の制肘を逃げるんだと言っている。逃げても、第三十九条があったのでは、自縄自縛ですよ。当然ある程度の余裕金が、今までの実績からいっても予想される。その余裕金に関して、これを銀行あるいは郵便局へ預けなければいけない、そのほかに運用してはいけないということになると、これは大へん窮屈なものになるし、それは本来の趣旨からいってもこれだけは改めなければいけないのではないか、こう思いますが、この点は大臣どうですか。大臣は正直にずばずば言う方ですから、相談しないで答えて下さい。
○正力国務大臣 これは、大ていこういう規定はみな入っておるんだそうです。それでその慣例上これを持ってきたというだけなんであります。
○原(茂)委員 みなほかにあるそうだから、慣例上持ってきただけというなら、私の言っている趣旨からいっても、理化学研究所は本来研究機関であるという点からいっても、技術開発その他に流用することができるようにならなければ、どうもこれは少しおかしいのじゃないでしょうか。ほかにあるからただ持ってきたんだ、そんな軽い意味だったら、なおさらこの際思い切って新機軸を開いていただきたい。
○鈴江政府委員 この規定は、大臣からお話がございましたように、国で建てましたいろいろな特殊法人とかそういったものには、全部入っておるわけでございます。それは前例もあることでございますが、ここに書きました意味は、特に待遇改善とか設備改善をやめてまで余裕金を作って、それを銀行に預けろというのではございませんで、いろいろ事業をやりまして、たまたま一時非常に金が余った場合、その金は勝手なところへ投資してはいけない、こういった確実なところへ預けておくんだというだけの規定であります。
○原(茂)委員 たとえば一億の余裕金ができた。その余裕金のうち五千万円を研究、技術開発に使って、残りの四千万円は職員の待遇改善に使った。まだ一千万円残った。こういうものは銀行に預けろ、こういうことですね。
○鈴江政府委員 さようでございます。
○原(茂)委員 大臣、どうですか。――正式に答えて下さい。
○正力国務大臣 私もそう信じております。
○原(茂)委員 どうもありがとうございました。それならこの点は非常に安心なんです。ほんとうはそう書くべきなんだけれども、逃げているからいけないんです。
 そこで、あとで条章に対してはまだ小平委員からも質問があるそうですから、これは譲るとしまして、総括的にちょっとお伺いしたいのは、まず職員の待遇の問題です。現在の科学研究所は、一般のレベルからいって、たとえば原子力研究所等と比較した場合に低いというように聞いておりますが、この点どの程度低いのか、その低い率をちょっと伺いたい。
○鈴江政府委員 ただいまのところ、科研の職員といたしましては、大体公務員並みでございます。原子力研究所はこれよりよろしいのでございまして、大体二割五分程度いいのではないかと思います。大体研究所といたしましては、特にいい方ではありませんけれども、しかし官庁並みであるということを申し上げさせていただきたいのであります。ただそのほかに、公務員よりもいいと申しますか、報奨制度の点におきましては、一般の官庁の研究所よりもよろしいのでございまして、この研究成果が実用化されました場合には、科研の入ります収入の一部をこの職員がもらえる、その金額が全部で年間五、六百万円ございます。官庁の研究者はやはりこの報奨の制度がございますけれども、率が非常に少くて、年度を通じておそらく年間二百万円程度しかもらっていないのではないだろうか。そうしますと、ここの人数は他の官庁より少いわけでありますから、その方々が年間五百万円もらっておるということについては、報奨制度においてはかなりいいのではないかと考えております。
○原(茂)委員 今の日本全体からいって、科学技術者に対する待遇が低いということは、国家的にも問題になっておるわけです。できるならば引き上げたいという考え方はあるわけです。こういう中で、せっかくいい前例があるわけです、原子力研究所といういい前例がある。仕事の内容といったって、この間も私行ってみましたが、ずいぶんおっかない仕事をやっております。私にはわからないような相当高度な技術を研究されておる、こういう点も見て参りました。こういう点からいって、公務員並みなんだ、何かあるとはかの低い、都合のいい例だけとるのですが、これは大臣の趣旨に反すると思うのです。せっかく特殊法人にされた趣旨はそこにあったのですから、やはり特殊法人に改組された暁には、少くとも原子力研究所並みにはしてやろうという御意思があるというふうに私は思うのですが、どうでしょうか。
○正力国務大臣 その通りもちろん考えております。
○原(茂)委員 それから、この間行ってみましたが、あそこの土地、建物ですが、建物は行って見て、あまりきたないので私は驚いてしまった。ずいぶん失礼な質問をしたのですが、それはさっき説明したじゃないかと言って村山さんに怒られたのですが、とにかくあまりきたな過ぎる。あれはこれから特殊法人になってからも、一億ばかりかけて改修する計画がある、そういう説明を聞きました。もしあの借りた家ですか、ここに一億なり二億なりの改修費をかけた場合には、一体家賃の前払いになるのでしょうか、それとも全然かけっぱなしで、家主と何の関係も生じない、こういうことになるのでしょうか。
○鈴江政府委員 元の科学研究所は御承知のように、科研化学と現在の科研に分れたわけでありますが、そのときの賃貸借契約におきましては、研究所の建物の補修については科研が負担する。つまり家主でなく、借りておる方のただいまの科研がそれを補修するという契約になっております。
○原(茂)委員 普通の家ですと、補修というようなことで済むのですが、一億、二億の金をかけて、実は相当大幅に、ある程度既存の建物の何部分かを近代化しようとするのです。これは単なる補修という契約があるからといって、その補修の中に入れて、何億かけても、それは家主と全然関係がないのだということは、非常に乱暴だと思うのです。いわゆる補修という言葉は非常に広範に解釈できますから、何千億かけたって補修の場合もありますよ。あるいは何百万円でも補修の場合がある、ペンキを塗るくらいのにとは。しかし、現在では暖房も入れなければならない、あはるい通風もよくしなければならないでしょう。しかもあそこに行って見て、よくこれで研究所だといえるなと思うほど、ほこりだらけです。あんなところでは、掃除する気にもならないでしょう。とてもひどいものです。あれを少くとも掃除をするような気持になるほどに変えることは補修という言葉に入るには入るのですが、金の面からいうと、私どものちょっとした改修費とは違ったほど多額の金額を要する。どんなに金がかかっても、補修という契約があるから、これは家主とは何にも関係がないということになるわけでしょうか。
○正力国務大臣 実は私もこの間見に行きまして驚きました。もう少しりっぱなものかと思いましたが、あまりにひどいのに驚きましたけれども、これは一億かけて補修といいますが、結局買い取るつもりでおります。
○原(茂)委員 この特殊法人の実際に発足する時期がいつだか明記してありませんが、その時期と、それから発足するなら、私は発足する前後に買い取り契約をすべきだと思う。思い切ってその意思表示か何かをして、施設の改善に今後、今年も来年も努力するということの方がいいと思う。せっかく大臣がそのお気持があるならば、一つ早期にその手続を進めていただく。これが予算的な措置を講じなければいけないようになるとむずかしいと思うのですが、この間の話では、どうも何か別の方法があるそうですから、そういう点も早く研究していただいて、この発足の前後には、売買の契約あるいは契約のための交渉、下話しといいますか、そういうものをある程度進めていって、相当近い期間にとにかく買うんだということに一つ実際の行動を起していただきたい、こう私は思うのですが、どうですか。
○鈴江政府委員 科研の建物につきましては、今大臣からお話がございましたように、できるだけ科研のものにしたい、今の状態を脱却したいと私は考えておりますが、買うといたしましても、要するに相当の国家資金を要するわけでございます。従いまして、ただいまのところは、科研としてまず一番早急に望まれております補修とかあるいは待遇改善といったようなものにまず振り向けていきたい。ただ従来科研が科研化学から借りておりますが、これは普通一般の賃貸借とは違いまして、もともとは一つの会社でございまして、それが二つに分れたものでございますから、ただいま多少向うの経営者も変ったようでございますが、しかしかなりの密接な関係がございます。普通の賃貸借の間柄よりももっと密接な関係がございまして、向うでもかなりの便宜っをはからってくれるという点もございます。たとえば、向うに出します家賃は、ちょうど科研が当然科研化学の方から受けますロイアルティでキャンセルされます。あるいは電気ガス料金は科研化学の方が払っているというようないろいろな点がございます。でございますから、まあ早急に買い取ることがもちろん望ましいわけでございますけれども、それよりもまず急ぐ方から順次手をつけていきたいと存ずるわけでございます。
 それから、国家資金のほかにも何か方法があるというお話でございますが、私どもの方も、できますれば、国有財産を払い下げてもらいまして、それを科研にやって、科研がその土地と今の場所を交換したらどうかということも実は研究して参っておるわけでございます。ところがただいまの国有財産法の規定から言いますと、そういった交換を目的にしてやるということは、今の特殊法人に対してはちょっと無理であるという法的な解釈もございます。この点私どもも、ただいまいろいろ解釈について話し合いをしておるわけでございますが、交換を目的としてはちょっと困難ではないだろうか、しかしながら、そのほかに、たとえば科研が十条の方に大きな土地を国から借りております。これは宇宙線なんかの研究のために千坪以上の土地を借りているわけでありますが、これは交換目的でなく、直接科研が使うならば、国がそれを少し出資してもいいというふうな話を今つけておるわけであります。従いまして、そういうこともできるようにいたしまして、今度の理化学研究所法の中には、国がこういった土地とか、そういったようなものを出資できるような規定を置いておるわけでございます。できますれば、そういうような手を打っていきたいと思いますが、何分にもあれを一挙に買うということになりますと、相当な国家資金を要することになりますから、従来の科研化学との密接な間柄ということを考えまして、漸を追うてそれを解決していきたいというふうに考えております。
○原(茂)委員 せっかく大臣には買収するという御意思があるのですから、今の局長の説明のような特殊法人には、国有財産を払い下げて交換ということはむずかしいというようなお話がありましたが、その場合だったら、特殊法人理化学研究所に国が貸与すればいいのです。今度は貸せばいいのです。せっかくそういう道がそういう方面で開かれましたならば、その面で示そうの努力をして、その実現に向っていくというようなことを一つお考え願えませんか。
○正力国務大臣 今のお話の通りにやりたいと思っております。
○原(茂)委員 最後に、今度改組される特殊法人理化学研究所が、従来通りやはりある程度の研究の成果が得られます、研究の成果が、委託された場合と、委託を受けていないのだけれども、独自の力で何かの研究が成果としてでき上ることがあります。委託を受けたものに対して、まず先に一つお伺いしたいのですが、委託を受けたもののその研究の成果が、やはりある程度相当貴重な価値を持ってくる、その価値判断です。これをどこでおやりになるのか。
 それから、独自の立場で研究をされて成果が得られた、これをいわゆる企業化するために、外部にその企業化あるいは販売の権利等を移譲するというか、売るというのか知りませんが、とにかく貸すという、そういうことが何かの形で行われる。何種類かあると思いますが、その場合のその価値の評価は一体どこがやるのか。そうして、外部のどこにこれらのものの販売その他の権利を移譲しようとするという選択をだれがやるのか。
 それから逆に、三つ目には、そういったものに対して、成果に対して、自由に外部の販売業者その他あるいは製造業者が、入札――オープン・リミットでいいのですが、あるいはその他の方法で、公正な立場でそれを一つ自分で作らしてもらいたい、売らしてもらいたいというときに、その機会を均等に与えてやる特別な、ある特定な役員あるいは先生方の知っている人というような、つてだけを通じてやるのじゃなくて、もっと理化学研究所の財政的な問題も考慮した上で、入札でやってもいいでしょうし、その他の方法でもいいのですが、こういった技術の製造販売権等を獲得できるその公けの機会を与えるというようなことを、今まで実行されているかどうか知りませんが、今後おやりになる御意思があるか、この三つを分けてお願いしたい。
○鈴江政府委員 最初に委託研究のお話でございましたが、委託研究の成果につきましては、研完を頼みました、委託した人に、その技術成果は帰すべきものだと思います。と申しますのは、研究を引き受けるときには、研究費はもちろんのこと、あるいはその理研自体としての管理費等も全部それにひっくるめまして、損をしないことにして引き受けるわけでございますから、一切の費用は向うから出る。従って、成果は向うに出すということになると思います。従いまして、成功いたしました場合は、委託した人は得するわけでございますが、失敗すればそれだけ損をするということはやむを得ないかと思います。
 それから、理研自体がやりました研究成果につきましては、実はできるだけ広い範囲内において使ってもらいたいということで考えております。従いまして、契約をすることについては、理研の理事者が契約の当事者になるわけでございます。それにつきましては、できるだけ広い範囲に使わせるようにしたいというのがわれわれの希望でございます。従来も科研の成果と申しますのは、やはり定期的に講演会等をいたしまして、できるだけ多くの方々に案内状を出しましてそれを知らせまして、そうして希望があれば契約を結ぶわけでございます。これは私も一がいに全部公開かどうかということをはっきり申し上げかねるのでございますが、気持としては、できるだけ広い範囲内において利用してもらいたい。ただ、条件を変えるというようなことはさせたくないということはもちろんであります。中にはしかし、あまり競争者が多くて、共倒れになるというようなことがあってはまずいと思いますが、その辺は適宜契約をしぼるというようなことはやむを得ないのじゃないかという感じがいたしますが、これはどうも企業採算の問題があるわけですから、そのときに応じまして、十分な判断をしていかなければならぬと思います。しかし、とにかく国がこれだけの資金を出してやる研究所でありますから、その成果はできるだけ広く使わせたいというのがわれわれの希望でございます。
○原(茂)委員 三つ質問したのですが、二つ目の点でひっかかっております。できるだけ広く知らせて講演会等を行う、できるだけ広くといったって、その手段方法によっては、ちっとも広くならないわけです。個人的に知っているという範囲内でやっては、何にもなりません。私は、ある意味では、国家機関に準ずるこの理化学研究所というものは、もっと公開の原則に立って、公平な、しかも権威のある方法によって、ほんとうに機会が均等に与えられるようにすべきだ、こう思いますが、この点はこれにうたってない。この委員にうたってないのですが、条章の中にもばくとしたものでなくて、はっきりと機会を均等に、広くこれを公開していく、どういう制度でやるかはわかりませんが、一般に自由にこれが取得できる機会を与えるということに、私はもっとがっちりした制度をきめていいのじゃないかと思うのです。こういう点、大臣、どうですか。
○正力国務大臣 その点は、お説の通りに考えております。それはちょうど二十九条の三号に「普及」という字があるのですが、その普及にその意味が入っております。
○原(茂)委員 この「普及」にはあるのですが、普及だけでは今までと同じことになってしまいますから、私が言ったことを大臣がおやりになる、こう言ったのですから、その通りやっていただきたい。
 それからこれは最後に大臣にだめ押ししておくのですが、先ほどの二十一条ですか、秘密を守れというやつ、これは私がさっき言った解釈、そういうことは考えてない、使わないと先ほど局長はおっしゃったのですが、大臣も、一切そういう面には使わないということを一つ言明しておいて下さい。
○正力国務大臣 そういうことに使わないことをここで言明いたしておきます。
○原(茂)委員 以上です。
○齋藤委員長 小平久雄君。
○小平(久)委員 私は、時間もだいぶたっておるようですから、簡単に数点お伺いいたします。実は株式会社科学研究所ができました際には、私は提案者代表になってやったこともありますし、また創立委員でもあったのでありまして、いろいろ思い出すことがあるのです。が、きょうも若干触れておりますから、それらを思い出しながら伺ってみたい。
 一体今度の理化学研究所というものは、従来の科学研究所とどういうふうに変ってくるのか、この点は先ほど原先生からも御質問があったようでございますが、第一に性格の点です。今度特殊法人理化学研究所になる、こういうことで、これだけの文字から受ける印象をもってすれば、非常に何か公共的な性格に生まれ変るのだという感じがいたすのであります。しかし、この法案の内部を先ほどざっと見ますと、必ずしも公共的ばかりではない。というのは、具体的に、たとえば利益の配分というような条項も入っておる。そこで、現在の科研を作る際に一番問題になりました根本的な点は、この提案理由のうちにも書いてありますが、一体研究ということと、株式会社式でやるというようなこと、これが矛盾せぬかという御論議だったと思うのですが、しかしそれはそれとして、当時の考え方としては、とにかくわが国にはこの株式組織で、終局的には営利を目的とした研究機関というものも将来は育てていくのだ、ただ当分どうもわが国には産業界に力がないから、国家の援助がほしいのだ、多分五カ年計画で、当時民間出資が約四億円あったのですが、さらに民間から約二億くらい五カ年間に出してもらいたい。その間に政府が六億くらい出して、結局十二億くらいの出資になるならば、それまでにはいわゆる独立採算というか、それでやっていける見込みなんだ。大体そういう立場からこの株式会社科研というものができたと思う。従って、いろいろ矛盾はありますが、いずれにしても、独立採算でやっていくのだということを目標にして、現在の科研というものができたと私は思う。そこでお伺いするのですが、この提案理由にも、株式会社組織ではまずいという点について、大きく二つに分けて書いてあります。一体政府として、わが国においては株式会社組織の研究機関というものは成立し得ないのだ、少くとも近き将来にはそういう見切りをつけたのかどうか、この点を一つ伺いたい。同時にもう一つ伺いたい点は、先ほど申します通り、いかにも特殊法人の理科学研究所ということで公けの性格が強くなったように見えますが、しかしこれは名称自体から受ける印象であって、今後の運営方針のいかんによっては、これは従来の科研と何ら異ならないような、結局これは独立採算的な、そろばんが合わなければ、この研究というものは拡充されていかないのだ、事業が拡充されないのだという運営方式をとる以上は、実質的には従来の株式会社と一向違わないことに大体においてなってしまうと思う。そこで、今後の経営方針というものは一体どこに置いてやられるのか、まずこの二点を先に伺っておきたいと思います。
○正力国務大臣 小平委員お話しの株式会社に見切りをつけたかということにつきましては、実は見切りをつけたわけではありませんで、ただ今までのままでは、とても株式会社はやっていけない。今度資本も大きくして、研究も大きくやる。それこそ深く広く研究してやれば、そのうちに採算はとれるようになるかもしれぬ。ならぬでも、しかし国家としてやらなければならぬという考えでありまして、見切りをつけたわけじゃないが、なかなか採算をとっていくのはむずかしいことは存じております。しかし見切りをつけたわけではありません。それからまた国家でやるというのは、今言った通りで、採算が初めのうちはどうしてもとれませんから、株式会社じゃいかぬから、これをどうしても国家が主として負担をするということにしたわけであります。
○小平(久)委員 今、大臣の御答弁におっしゃられる気持は、私もわかるような気もするのですが、きわめて巧妙な答弁であって、そういうふうなことになると、株式会社科学研究所を作ったときと、根本的にはどうもあまり変らないのです。見切りをつけたわけじゃないのだ、将来は採算はとれるかもしれない、しかし国家が力を入れるというのは、科学研究所を作るときも、まさにその通りの考え方だったわけです。そこで、先ほど申す通りに、どうもそうした割り切れないあいまいな態度で今後運営するということになると、どうしても私は運営というものは消極的になると思う。やはりいつの日にか――いつの日にかということは、なるべく早くということにおそらくなるでしょうが、その独立採算がとれるという気持が大臣のどこにかやはりひそんでいるから、今のような御答弁だったのだと思う。そうなると、実質的には、これらの名前は変ったけれども、大した変りはない。なるほど新技術開発といったような新たな事項は入っておりますが、少くとも研究ということに関する限りは、まあ大した根本的な性格の差はないのだ、こういうことに私はなるのじゃないかと思う。だから特に監督の立場に立たれる大臣としては、もう少し割り切った気持で、少くも研究に関する限りはもう採算ということは度外視していいのだ、こうむしろ割り切ってやってもらわぬことには、この改組の意義というものは、根本的には生まれてこないと思うのですが、いかがでしょう。
○正力国務大臣 採算を全然無視する必要もないと私は思っております。私が一番考えておりますのは、今まで小資本で小規模にやったればこそ採算もとれなかったし、それからまた深く研究もできなかったのだ。今度は、資本を大きくしてやればおのずから研究も深くなります。また、ことに新技術開発部門を設けたのですから、ほんとうの研究がうまくいけば採算がとれることがそこから生まれてくると思います。いずれにしても、国家は採算をとるというのが主たる目的じゃない、新技術を開発して科学技術の振興をはかるというのがこの目的であります。その目的に向って進めております。
○小平(久)委員 大臣の最後の言葉を私は信用してこの程度にしますが、それと関連して研究の方針ですが、多分現在の科研を作る際にも、先にもちょっと触れましたが、営利性というか、この会社が独立できるためということと、それから研究のあり方というものがずいぶん論議されたように記憶いたしておるわけです。その際、同時に、研究員の方からは、非常に研究の自主性ということが強調された。あるいはこの委員会の附帯決議でありましたか、創立委員会の決議でありましたかちょっと忘れましたが、いずれにしても私は、研究員の研究にはできるだけ自主性を持たせるといったようなことをうたってあったような気がする。私は今資料を持たないので、はっきりした文句はどうだったか知らぬが、そういう気持のことがうたってあったと思う。そのときには、研究の自主性ということも、やはり株式会社の性格と根本的には非常に矛盾するということが盛んに論ぜられたのでありますが、今度の改組によると、研究所が公的な性格が非常に増してきたということは事実でしょう。しかして、この提案理由の説明を見ると、改組の一つの理由にも「研究所に対する政府の今後の援助強化の面から見ましても、また政府の方針を研究所に反映させるためにも、」こういったようなことがすでにうたってあるわけです。ところが、研究所、特に研究員というものはとにかく自主的にやりたい、こういう気持が非常に強いことは言うまでもありません。ところで、現在の科研を作る際にも、それが非常に問題になったわけです。政府が、ああしろこうしろということはやむを得ない、こういう面で、私はむしろ株式会社の方が自由な取扱いができたと思う。今度は早くもこの提案理由の中にも、政府の方針を研究所に反映するためには、やはり改組した方がいいのだということを堂々とうたっておる。こういう点で、研究員の自主性ということと、関連において政府の方針を反映させるということと、どういうように今後調整し運営していくおつもりなのか、それを伺っておきたい。
○鈴江政府委員 研究と申しますのは、御承知のように国が統制しましても、それはその通りいくものではなくて、やはり研究者が喜んでその仕事をやらなければ、その成果があがらないということは当然のことでございます。私どもが考えておりますのは、そういった研究のやり方等について統制するというわけではなくて、国として今どういう問題がネックになっているかということを十分に理解してもらって、国の期待しまする研究方面に重点を置いて研究をやってもらいたいということでございます。従って、たとえて申し上げますと、従来の科研におきましては、現在日本において非常に欠乏しております合成化学の研究の問題、そういった点について従来科研としてはあまり研究していなかったのでございますが、できますれば、そういう問題について大いに科研としても取り組んでもらいたいということを政府の意思として伝えたいと思うわけでございます。しかしながら、研究者にどういうテーマを与えるかということまで政府がやらせるわけではなくて、それは研究者の意向、あるいは技術者の意向等をいれまして、十分仕事がなし得るようなテーマを選び、かつまたその方法によって研究を行なってもらいたいというふうに考える次第でございます。
○小平(久)委員 局長の御説明で一応明らかになりましたが、これはやはりとにかく研究員の自主性というものは、事の性質上、十分尊重していくのだと、一言でいいからやはり大臣からも言っておいてもらった方がいいのではないかと思うのです。そうじゃないと、いたずらに研究員に不安を与えるのではないか。堂々と政府の意思をやるのに都合がいいということを、提案理由にうたっていることはいかがですか。
○正力国務大臣 先ほど局長も申し上げました通り、研究員の自主性を害しては真の研究はできません。従って、それをどこまでも尊重してやっていきたいと思います。
○小平(久)委員 この点はお願いいたしまして、次に研究の範囲のことですが、これも先ほど原先生が詳しく御質問なすっておられました。今度の大改正に当って、名称からして理化学研究所、こういうふうに直されるということ、この名称から受ける印象というものは、技術面というよりも、むしろ基礎的な理学あるいは化学というのか、これは見ようによると、むしろ基礎的な研究ばかりする研究所のようにさえ、ちょっとそういう印象を受けるわけです。少くとも現在の科研というものを基礎にして今度の研究所を持つ以上は、私は、率直にいえば、この実態に沿った名称ではないと思う。しかしながら、今後こういう方向に持っていくのだというのなら、これはまた別問題です。それはそれとして、現在のこの科研を作る際にも、基礎研究というものと技術の研究というものを一体どういう関連に置くべきかということも、これまた発起人、創立委員ですか、そういう人たちによってずいぶん論議された。特に学者側を代表された創立委員の人たちは、とにかく基礎的な研究というものに重点を置かなければいけないのだと盛んに強調されました。しかし、無条件に基礎的の研究にばかり力を入れるというわけにもいかない。それは株式会社であるという性格からもそうでありましょうし、科研の当面ねらう建前からしても、むしろ重点はこの技術面にある。しからばといって、技術だけではもちろんいけないのだし、技術に――何という表現を使いましたか、忘れましたが、要するに技術を生むに足るというか、そういった基礎研究も充実するのだというような趣旨のことをうたったような気がするのです。今手元に資料をちょっと持ちませんのでわかりませんが、いずれにしてもそういったことで、基礎研究ということについてはある程度のワクをはめたというか、制限したというか、そういう考え方であったと私は思うわけなんです。今度の理化学研究所、これも先ほどの説明を伺っておりますと、基礎研究にも重点を置いていくのだ、こういうことのようでありましたが、一体研究の範囲というものを、われわれはどういうふうに理解したらよろしいのですか。一般的に、ここに名称の示すごとく理学、化学、それらすべてに関する基礎理論の研究から、技術の研究から、さらには新技術の開発、一切がっさいそういうものを全部入れる、しかもいずれにも重点を置くというのだが、どうもそこらが私にはよく理解できない。どうなんでしょうか。
○鈴江政府委員 これは先ほど申し上げた点でございますが、やります研究の範囲としては、基礎研究から工業化試験まで全部入るわけであります。しかしながら、そのすべてについては同じように重点を置いてやるかというと、そうではございません。それで純然たる基礎研究については、大体大学が担当すべきものだろうと思います。それからまたごく企業的な研究になりますと、これは普通の民間会社でやる場合が多いわけでございますが、その間のギャップを埋めるというのが、今度の理研の一つの大きな使命であろうと思います。すなわち、基礎研究を産業研究に結びつけるその中間の研究をやる。これを御説明しますと、目的基礎研究といっておりますが、目的基礎研究は、純然たる大学の目的なしのいわゆる自由な研究とは違いまして、ある一定の産業的な目的を持った研究でございます。しかしながら、会社のいわゆる工業化試験とかそういったことに重点を置くわけではございませんで、基礎との一つのつながりの部分を十分やるという点に特色があるのではなかろうか。しかしながら、この研究所がこれを発展させまして、さらに工業化試験をやっていいと思うものは引き続いて工業化試験をやるということになるわけでございまして、範囲としては広いわけでございます。資金あるいは現在の研究者の内容等から見まして、目的基礎研究にまずウェートが置かれるのではないだろうか。しかしながら、それが発展いたしまして、今申し上げました応用化研究、あるいは工業化試験とさらに発展していくことは、当然考えられるわけでございます。
○小平(久)委員 大臣が急がれるようですから、大臣に一点だけ伺いたいと思います。この新技術の開発に関しては、ここに前田委員もいらっしゃいますが、われわれ党内においては例の経済基盤の強化資金ですか、こういうものの活用ということを非常に熱望しておったわけですが、これについては、閣議その他で大臣として何かあらかじめ総理なり大蔵大臣なりとお話し合いがすでにあったことと思いますが、大体どういういきさつになっておるか、この際正式に一回伺っておきたいと思います。
○正力国務大臣 開発基金につきましては、詳しい打ち合せはしておりませんけれども、今度科学技術会議もできて、そこで総合調整ができれば、それによってこの開発基金も使うということで、まだ具体的な話はきまっておりませんが、いずれにしても科学技術会議ができまして、そこできめたいと思っております。
○小平(久)委員 先ほど鈴江局長の御説明によって、基礎研究の関係が――やはり何か目的基礎研究ですか、そういうお言葉を使われましたが、そうすると何かテーマをきめて――テーマというのは、むしろ技術面からとらえるテーマ、そのやはりテーマに必要な限りの基礎研究、そういうことをやるのだ、こういうことですか。
○鈴江政府委員 さようでございます。しかしながら、現在の科学研究所においては、そういった目的のない基礎研究、いわゆる大学と同じような基礎研究をやっておるわけでございます。たとえて申し上げれば、先ほど申し上げましたが、宇宙線の研究等におきましては、特に産業的な目的を持たないわけでございますが、過去において長い伝統もありますし、非常な成果をあげておりますので、こういうものはもちろん基礎研究の範疇に入りませんけれども、そういった輝かしい成績をあげております研究は、維持していきたいと考えております。もっとも現在そういった宇宙線の研究などにつきましては、大学においてやった方がいいのじゃないかという議論もあるわけでございますが、そういった受け入れ態勢、それに研究者の意向も考えまして、そういう方に行った方がいいということでございますれば、あるいはそういうことをする場合もあると思いますけれども、しかしながら、全般的にやはり技術的な目的のある研究と申しますか、そういう方に重点を置いていきたいと思います。
○小平(久)委員 次に伺いますが、この提案理由のうちに「国の研究機関その他の研究機関において上げられた主として公共的な研究成果のうち、」云々と書いてありますが、「公共的な研究成果」というのは、どんなものを予想しているのですか。
○鈴江政府委員 主として考えておりますのは、大学におきまする研究成果あるいは国立研究機関、財団法人の研究機関、そういったパブリックな機関におきまして創造されました技術というふうに考えております。ただ「主として」と書いてございますのは、それ以外に民間の研究でございましても、その成果をこの理研に帰属いたしまして、無償譲渡いたしまして、その技術を公共の目的に使っていいということになりますれば、やはりそれも受け入れまして、同じように扱いたいと思っております。
○小平(久)委員 そうすると、この公共的な研究成果というものは、研究成果が公共的な利用に資しておるという意味でなくて、公共の研究機関から生まれた研究成果という意味なのですか。私は何か生まれた研究成果が公共的なものを選んでやるのだ、こういうふうに私はこの文をとったのだが、それは違いますか。
○鈴江政府委員 この公共的といいますのは、両方の意味があると思うのでございますが、要するに公共的な研究成果と申しますのは、いろいろな研究成果であって、それが国のものに帰属すると申しますか、これは国ではございません、特殊法人でございますけれども、一つの営利会社に帰属する研究成果ではなくて、公共的に使い得る研究というふうに考えていただけばけっこうだと思うのです。しかしながら、この研究成果を新技術の開発によりまして企業化できるような状態になりました場合にも、これも特定の会社に帰属するというよりは、できるだけ広く使わせるという意味で公共的という言葉は出るわけでございますけれども、両方の意味に解釈していいのじゃないかと思います。
○小平(久)委員 そうするとよく問題になる、いわゆる町の発明家が発明した、そしてなかなか資力もなくて、それが工業化できないというような場合にはどういうことになるのですか。やはりこういう新技術開発の対象になり得るのですか。
○鈴江政府委員 その場合にもなり得るわけでございます。ただあくまでもその工業所有権をその発明者が手離しませんときには、対象にいたしませんが、これをこの機関のものにいたしまして、そしてそれが開発されてもかまわない――しかしながら、あとで分け前をもらうことはできます。従いまして、当初は別に対価を要求しませんで、国の研究成果と同じように扱ってもらいたいということで提供してもらえば同じように扱いますが、同時にまた、それがうまく実を結びました場合には、ロイアルティが発明者の方へ行く仕組みであります。
 そういう意味で、町の発明者でも対象にするのでありまして、そういう条件を相手がのんでくれれば、取り扱うことができます。
○小平(久)委員 そうであるとすれば、この町の発明というものは、なかなか生きないということも一つの欠陥になっておるのですし、せっかくこういった事業をやろうというのですから、私は今後大いに取り上げてやっていただきたいということを希望しておきたいと思います。
 それから、新技術開発のやり方ですが、これをやろうとする場合には、実施計画を作って認可を得るんだ、こういうことですが、これも結局は今度できる研究所の性格の問題だろうと思うが、どういうことになるのですか。実施計画というものはこれこれで、工業化の資金をやれば一〇〇のうち一〇〇とはいわぬが、一〇〇のうち九九%は成功の見込みなんだ、そういう場合に限って当局は認可する。つまり失敗するということは、研究所の失費になる、こういうことであるから認められぬということになるのか。先ほども申した通り、ある程度損を覚悟でやるというならば、少くとも六、七〇%成功の見込みがあれば開発をやる、こういうことになると思うが、どうも失敗しては困るんだという建前をとれば、九八、九%成功見込がなければ、認可しないことになってしまって、せっかく事業を行おうとしても、大部分は対象になり得ない、認可せらないということであっては、どうも何のためにこういった事業をせっかくやろうとするのかわからなくなってしまう。そこらの方針を、これは大臣かもしれないが、あなたが実際やるんでしょうから、あなたから御答弁願いたいと思います。
○鈴江政府委員 確かにお話のように、危険なものを多く採用いたしますと、なかなかこの事業自体がまくいかないという点もございますが、それかといって非常にかたいものばかりを選んでおりますれば、新技術開発の意味がない。その間の適当な調整を要するわけでありますが、私どもといたしましては、最初は何といいましても、資金も少いわけでございますので、確実にできるであろうと思われるものからやっていきたい。しかしながら、確実といいましても、それでもなおかつ企業体では受け入れないというものもあるわけでありますから、そういうものからまず取り上げていったらどうであろうか。すなわち民間会社が自由に自分でやろうと思うものは、ここで取り上げる必要はないのでありますから、そういう点からいいますと、残された技術は不安があるということはいえると思います。しかし、その中でもなるべく安全度の高いものからやっていきまして、そうして資金的に余裕ができますれば漸次その範囲を拡大いたしまして、不安度の高いものにも手をつけていきたい。その方が運営としては健全ではないかという感じがするわけであります。外国の例なんか見ましても、大体十のうち二つあるいは三つ程度は失敗というのが大体の例であります。大体その程度で運営されておるのが多いようでございます。この機関も大体そういう程度になるのではないかと予想しております。
○小平(久)委員 それと関連して、今度の新技術開発ということが、見ようによると、企業者のリスクの負担を肩がわりするような関係になってしまって、これは新技術の規模の大小にもよりましょうが、いずれにしても、どちらかといえば大企業に委託してやらせる場合が多いということになるのではないかと思うが、今までは大企業が自己の責任においてやったものを、今度はこの研究所がその危険を負担してやる、こういうことになって、もちろん一がいには申せませんが、何か運用の仕方いかんによっては、いたずらに大企業に利益を与えるというか、そういった方向に行かないとも限らないと思うのです。大企業は、どうも自分でやっちゃ危ないから、そっちでやってくれと言って、半官の研究所に肩がわりしてもらう、うまくいったら自分があとやっていく、こういうことであっては、中小企業等にもそういったやり方というものがあまねく行われればけっこうだが、どうもいたずらに大企業ばかり保護するというか、育成するというか、そういう方向に行くことは私は問題があるのではないかと思うのだが、その点はどうですか。
○鈴江政府委員 この機関で取り上げます技術というのは、先ほど申し上げましたように、会社自身が自発的にやるというものは取り上げないわけであります。またそれに対しまする国の援助の方法としましては、開発銀行の融資の問題とかいろいろありますから、その方面にゆだねまして、この機関で扱いますのは、会社自体が自発的に取り上ないというものでありまして、なおかつ国としてはこれはやった方がいいと思われるものをやるわけであります。従いまして、会社自身としてはやりたくないものをやらせるわけでございますので、その責任はこの機関が負うという建前でございます。ただ、この機関が責任を負いまして委託をしてやるわけでございますから、その成果というものも、やはり会社に帰属するのではなくして、この開発機関自体に帰属すべきものだと思います。従いまして、その会社、企業体だけが実施するのじゃなくして、それ以外の第三者の会社がやりたいということであれば、平等の条件で使わせるべきものだと思っております。
○小平(久)委員 提案理由のうちにも書いてありますが、「その開発の成果をできるだけ広く民間企業に活用させる」とうたっていますが、今局長の話の通り、ある会社に新技術開発の委託をして、目的を達したという場合にも、受託会社以外の企業未にも平等の条件でやらせるのですか。
○鈴江政府委員 同じような条件でやらせたいと思っております。ただ、考えますることは、あまり同じ業種が乱立しては困るというような場合もございますので、その点におきましては、ある程度の規制はやむを得ないじゃないかと思っておりますけれども、特に受託会社だけにやらせるという考えはございません。そういう考えでありますが、たまたまこれは経済界の事情で、私もよくわかりませんけれども、最初の段階において、新しい事業をやってみて非常に不安定な状態なのに、同業者がたくさんでさて困るというような場合には、最低限度二、三年間は独占的にやらさざるを得ないのじゃないかということも考えられます。
 外国の例を見ますと、やはり一般に広く使わせるというのが原則でございますけれども、イギリス等におきましても、三年ないし五年は独占的な実施権を付与する場合もあるというふうになっております。これはやはり経済界の需給の面等から考えて、その点の判断をせざるを得ないのじゃないかと思っております。
○小平(久)委員 それとまた関連して、この新技術開発の委託先ですね。一口に新技術と言っても、大小さまざまであろうと思うのだが、従って、その対象についても、これはよほど公平にやってもらわぬと、今御説明のように、成果というものは広く活用されるのだ、しかも原則としては平等に活用するのだと言っても、実際問題としては、おそらく受託会社がそこで成功すればその会社が指導権を握ってやるということになると思うのです。そういう点から考えると、よほどこれは公平に、ひとり大企業といわず中小――まあ小はどうかしらぬが、それぞれの専門等に応じて公平にやってもらいたい、こういうことを申し上げておきたいと思うわけであります。
 最後に、施設の点について先ほど質疑応答がありましたが、私はあそこへ行ってみて、将来この研究所というものが目的にうたうような事業を完全に行える、しかも半官ではありますが、わが国における唯一のと言ってもいいくらいの総合的研究所だと言っており、将来もそれで行こうという以上は、私は、あの土地が必ずしも適当な敷地とは言えないのではないか、こういう気もする。現在借りているものを買収するのも、当座はいいかもしれませんが、将来においては、好適の地を求めて移転をして、ほんとうに名にふさわしいような研究所を作るという方がむしろ適当なのではないかという気がいたしておるのですが、そういう点で、新しい敷地を求めて移転するというようなことについては、現在研究なりあるいは構想なりをお持ちではありませんか。それだけ伺って、私の質問を終ります。
○鈴江政府委員 ただいまほかの土地に移すという積極的な考えはないのでございますが、おっしゃいましたように、私の方で、土地、建物も向うに所有権がございませんし、あれを買い取るということを考えるのがいいか、あるいはどこか米軍が使用している他の施設で適当なものがあれば、それを返してもらうのも一つの方法ではないかということは、私どももお説の通り考えておるのでございます。まだ具体的な候補地もございませんから、なおその点、御意見はわれわれも十分尊重いたしまして、研究していきたいと思っております。
○齋藤委員長 本日の議事は、この程度にとどめます。
 次会は明後七日、午前十時三十分より開会し、本案の質疑を続行いたします。
 これにて散会いたします。
    午後四時二十七分散会