第028回国会 社会労働委員会 第24号
昭和三十三年三月十九日(水曜日)
    午前十時五十七分開議
 出席委員
   委員長 森山 欽司君
   理事 植村 武一君 理事 大坪 保雄君
   理事 田中 正巳君 理事 野澤 清人君
   理事 八田 貞義君 理事 滝井 義高君
   理事 八木 一男君
      加藤鐐五郎君    小島 徹三君
      小林  郁君    中山 マサ君
      松浦周太郎君    亘  四郎君
      井堀 繁雄君    岡本 隆一君
      栗原 俊夫君    五島 虎雄君
      堂森 芳夫君    中原 健次君
      長谷川 保君    山花 秀雄君
      吉川 兼光君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 石田 博英君
 出席政府委員
        労働政務次官  三階堂 進君
        労働事務官
        (労政局長)  亀井  光君
 委員外の出席者
        専  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
 三月十八日
 労働基準法等の一部を改正する法律案(藤田藤
 太郎君外六名提出、参法第二号)(予)
 けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護
 法の一部を改正する法律案(大矢正君外六名提
 出、参法第三号)(予)
の審査を本委員会に付託された。
三月十八日
 同和問題解決に関する陳情書外二件(三重県議
 会議長服部一郎外二名)(第六二五号)
 同(兵庫県議会議長田路正之)(第六九七号)
 未帰還者留守家族等援護法による療養給付期間
 延長に関する陳情書外一件(高知県議会議長畠
 中芳雄外一名)(第六三七号)
 国民年金制度制定に関する陳情書外二件(大分
 市荷揚町一大分県母子福祉会長稲田香苗外二
 名)(第六三八号)
 医師等の免許及び試験の特例に関する法律の一
 部改正に関する陳情書(愛媛県知事久松定武外
 二名)(第六三九号)
 国民健康保険事業に対する国庫補助増額等に関
 する陳情書(福岡県議会議長小林喜利)(第六
 四〇号)
 老令者、有子未亡人及び身体障害者等に対する
 年金制度制定に関する陳情書(山梨県議会議長
 米山泉)(第六四二号)
 戦没者遺族の処遇改善等に関する陳情書外一件
 (富山市議会議長浅地央外一名)(第六四四
 号)
 流感予防ワクチンの増産等に関する陳情書(札
 幌市議会議長斎藤忠雄)(第六四五号)
 国立公園の施設整備費増額に関する陳情書(山
 梨県知事天野久)(第六四六号)
 足摺国立公園等施設整備に関する陳情書(高知
 県知事溝渕増巳)(第六四七号)
 国立公園等の施設整備費増額に関する陳情書外
 一件(大分県知事木下郁外一名)(第六四八
 号)
 韓国抑留船員帰還後の生活援護措置に関する陳
 情書(串木野市長平瀬実武外一名)(第六四九
 号)
 保育事業の援護率引上げ等に関する陳情書外三
 十二件(高知県安芸郡吉良川町長松本信雄外四
 十七名)(第六五〇号)
 同外一件(高知県高岡郡東津野村長村田恒喜外
 四名)(第七二四号)
 薬事法の一部改正に関する陳情書(札幌市北三
 条西二ノ七北海道薬剤師協会長森信)(第六五
 一号)
 下水道事業促進に関する陳情書(大分市荷揚町
 下水道事業促進大分県大会長木下郁)(第六八
 一号)
 国民健康保険の義務制等に関する陳情書(水戸
 市南三の丸一〇七茨城県町村会長川村衛)(第
 七一六号)
 環境衛生関係各種施設の整備拡充等に関する陳
 情書(埼玉県町村会長高橋庄次郎外二名)(第
 七一七号)
 最低賃金法制定に関する陳情書(東京都議会議
 長上条貢)(第七一八号)
 国民健康保険事業に対する国庫補助増額に関す
 る陳情書外一件(布施市議会議長村上平一郎外
 一名)(第七一九号)
 萩港に検疫所設置に関する陳情書(萩商工会議
 所会頭河上屋千代槌)(第七二〇号)
 戦没者遺族の改善に関する陳情書外二件(富山
 県中新川郡水橋町議会議長藤木益三外十七名)
 (第七二一号)
 函館検疫所設置に関する陳情書(函館市議会議
 長片桐由男)(第七二二号)
 社会福祉事業の予算確保等に関する陳情書(埼
 玉県知事栗原浩)(第七二三号)
 診療報酬単価引上げ反対に関する陳情書(福島
 県石川地方町村議会議長会長大竹謙蔵)(第七
 二五号)
 戦傷病者戦没者遺族等援護に関する陳情書(福
 島県石川地方町村議会議長会長大竹謙蔵)(第
 七二六号)
 原爆被害者対策確立等に関する陳情書(広島県
 高田郡向原町玉井覚郎)(第七二七号)
を本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本労働協会法案(内閣提出第三九号)
     ――――◇―――――
○森山委員長 これより会議を開きます。
 日本労働協会法案を議題とし、審査を進めます。質疑を辞します。中原健次君。
○中原委員 きょうは例の問題の日本労働協会法についてお尋ねしたいと思います。
 その労働協会法に入る前に、一つ先日の持ち腐れがあるわけです。というのは、雇用、というよりも最近加速度的に増強してきた失業状態、新聞記事等でそういうことが報道されておる。ひとりこれは一般の新聞だけではなくて、日経連もそう言っております。日経連タイムスも失業者は増加するであろうという見通しをかなりこまめに書いているようです。だからこれはあなたもそうではないという反論を持たれるはずはない。そこでそういう失業の増強の現下の状況の中で、さらにもう一つ問題点は賃金給与という問題です。賃金給与の問題に関して最近の政府の傾向というのが、いわばストップ、格下げ、こういういろいろな施策が見えるわけです。そこでそれらの問題との関連の中に、今盛り上っておるいわゆる春闘でありますが、春闘というものが不可避的に盛り上らざるを得ない、こういうことになっておるわけです。そこでまず最初にその失業の増強のはなはだしい加速度的な現象に対して、新たなる政府の対策、こういうものはどうお考えになっておりますか。
○石田国務大臣 昨年の中ごろから、経済政策の転換と駐留軍の引き揚げに伴いまして、三十二年度後半から三十三年度前半にかけて、相当な失業の発生を見ることを政府は当初より予測しまして、それに必要な措置を三十三年度予算に講じておるわけであります。すなわち、昭和三十二年八月において、完全失業者の数は大体四十八万人前後でありましたが、三十二年度末においてはこれを五十五万と推定をいたしました。三十三年度は月平均六十五万人になると推定をいたしておりまして、そのために失業保険の支払い準備を約七万人増加をいたしまして、三十七万人計上いたしておるわけであります。それから失業対策事業は二万五千人対象人員を増加して二十五万人を対象といたしておるわけであります。今発生をいたしておりまする失業の状況は、政府が予算編成の当初に考えました発生の速度及び状況に対して変化はございません。大体予想されたものの状態にあるわけでございます。従ってこれに対して法律的に所要の措置をもって遺憾なきを期し得られると考えておるわけであります。
 それから第二の御質問の賃金問題でありますが、政府が何か賃金を停止させる、あるいは賃金を低下させる政策をとっているかのごとき御発言でございましたが、具体的事例がございますならお示しを願いたいと思います。それから、私どもの賃金に対する考え方は、二つ問題があると思っております。その一つは、大企業、公企業と中小企業との賃金格差がだんだん開きつつあるという現象、第二には、戦後長い問いわゆる生活給、画一給的な給与体系をとって参りました結果、労働の量、質、職種、職能に応じた賃金の合理的あり方というものについての検討を加えておられず、かつそういう賃金体系への研究が行われていないという事態であります。前者に対しましては最低賃金制法案を提出し、これによって下からのささえをいたしますとともに、中小企業の経営の近代化、合理化、あるいはその体質の改造というものを考えていくことによってこの問題の解決に資して参りたいと思っておるわけであります。第二は、このたび政府は統計調査部に新たに賃金の基本調査のための調査費二千五百万円余を計上いたしまして、これについての調査を急いでおるわけでございます。
 春季闘争については、公労協に対してはたびたび繰り返しております通り、仲裁裁定の完全実施をしばしば公約をいたしまして、その基本方針については今日といえども変っておりません。ただし、公労法の違反行為に対しても仮借なき態度をもって臨むという基本方針も変っていないのであります。民間労組に対しましては、双方とも自主的解決の能力があるものと信じますから、政府は善良公平なるアンパイアとして、自主的解決の促進を期待いたして、その間における中労委等の活躍を期待いたしておるわけでございまして、何ら干渉がましき行為を行なっておるものではございません。ただその争議あるいは紛争解決の手段が、国民多数に迷惑をかけることなく、法律のワク内で行われることを期待するだけであります。
○中原委員 まず最初に、完全失業の問題に対しては六十五万の予想を立てているというふうに御説明になりましたが、完全失業のもう一つ外に新しく就業を希望する員数があるわけです。この問題と、この六十五万の完全失業という問題と、両方混淆するわけに参らぬ、おのずから両者がプラスされていくわけです。これに対してどういう御見解をお持ちか、もう一度聞いておきたいと思います。
○石田国務大臣 三十三年度完全失業者六十五万というのは、諸政策の進行に伴って経過的に出てくる失業者と、それから新規労働力人口と申しますよりも、新規学校卒業者、これは実質的に新しい労働力人口、いわゆる就業希望人口になるわけでありますが、その新規就業希望人口の中で新規就業者を差し引きまして、残ります者が三十三年度において六十五万と推定いたしているわけであります。これは前会こまかい数字をあげて事務当局からもう何度も御説明申し上げて、十分おわかりいただいていると思っておりまして、きょうまた御質問をちょうだいして、はなはだ恐縮に存じている次第であります。
○中原委員 完全失業の問題と新規就業希望人口の問題につきましては、必ずしも今大臣が説明されたように、事務当局から納得のいく説明がされておったわけではない。従ってこの完全失業というものが、むしろ失業対策の中で除外されているという実態が出ていることは、当日私も数々の説明を申し上げ、かつ追及いたしたわけでありますが、本日その問題に関してさらに掘り下げていこうという考えは持つわけでこはありせん。しかし話の過程としてこれらの点が問題として残っている。従ってその問題点の処理がほんとうに諸政策の中で結論づけられてこないことには、非常に問題解決の難点が過重すると考えますから、このことに触れたわけです。
 そこでただいまのお話の中で耳に残りますことは、あくまで労働組合の自主的な線、あるいは経営の自主的な線というものにまかせるという本来の建前をやはり堅持していくというふうに言われたことであります。そうなって参りますと、労働組合のあり方というか、本質というか、一体労働組合というものはどういう性質のものなのか、労働組合に対して政府はどういう態度を持つべきなのかという問題です。これは先日も職業訓練法の場合であったかと記憶いたしますが、中立性と申しますか、政府が局外にあるかのような説明を前提として、これは政治問題ではない、純然たる経済問題である、こういうふうに説明の方向を持っていかれたと思うのでありますが、やはりこの労働協会法についてもそれと同様なことが言えるわけです。それはどういうことかと申しますれば、政治性があるとかないとか言ってみたところで、やはりそこに政治性があるわけです。なぜなら労働大臣がその一部分に関与しているのです。中枢神経を握っておるわけなんです。そういうところに労働大臣の立場というものが超人的におろうはずもない。超階級的におろうはずもない。そうなってみれば、そこに属する階級的感覚といいますか、政治的感覚といいますか、というものがここに作用してくる。従って労働組合に対する場合は、すでにその作用からいろいろな事々が発生しておる、こういうふうに言えるわけなんです。首をかしげておいでになるようですけれども、やはりこの立場というものはそう単純なものじゃないわけです。その歴史的なといいますか、時間的なといいますか、そういう一つの経過が作用して、その結果をもたらしておるわけなんです。そうなって参りますると、幾ら中立性あるいは民間性だから、われわれとしては関与しておらないといってみたところで、現実の実際の姿がそうは許しておらない。これはこの協会法を見てもすぐ出てくるわけです。たとえば協会法の運営の機関といいますか、審議会といいますか、そういうもののくだりを見ても、そう単純にわれわれの関与しておる限りではないというわけには参らぬ。やはり法のねらっておるものが現在のいわゆる支配的立場あるいは政権を掌握するものの立場、そういうものの立場がそこに反映しておる。この点に関してまず、今直接説明を求めたいと思いますことは、だから今度の春闘なら春闘に対しましても、法律の命ずるところに従って厳固としてやる、あるいは民間に関する場合は、その力があると思うから自主性にまかす、こういうふうな御説明になっておられたと思いまするが、さてそのことがほんとうに純粋な意味だろうか、純粋な意味ではないのではないか、私はそう思うのです。ただ純粋という議論そのことがすでに問題になる。純粋なら純粋のような構想を持って構造を作って、その中で純粋性を保つように努力するというならわかるのです。わかりますか。
○石田国務大臣 ええわかります。まず第一に、私が御説明申し上げたことをそのままおとりにならないで、それはうそだろう、そのほかに別のことも考えているんだろうというような前提に立ってのお話なら、これは初めからお聞きにならない方がいいんじゃないかと思います。私は誠心誠意私の所信をそのまま申し上げておる。それが何申し上げてもそれを純粋でないとおっしゃるなら、初めからお聞きにならない方が、時間の経済だろうと思うんです。私は誠心誠意そのまま御説明を申し上げておるわけであります。それからもう一つ、その人間の考え方というものは、その人間の属しておる階級、立場あるいは生活の基礎というものによって影響される、これはこの前も中原さんおっしゃいました。私はそのこと自体は全面的に否定はいたしません。しかしそれがすべての場合に共通であるということも、私は間違いじゃないかと思う。一番いい例は、勤労階級の立場、労働者の止揚に立たれる社会党の中にも、相当大きな企業を経営されておって、そしてときどきストライキなどに出会っておられる人もおるわけなんです。だから必ずしもその人の置かれておる社会的な条件だけをもって、その人の行動、思想全部を律しられないことはその一例でおわかりだろうと思います。それから労働省の立場、労働大臣の立場は、決して階級的な――私は階級的対立というものは基本的にあくまでぬぐい去ることができないとは思いませんが、そういうことは別といたしまして、どちらかの側にへんぱに立つべきではないと私は考えておるわけであります。従って労働大臣の立場におきましては、先ほどから繰り返して申しておりまする通り、常に労使の間における労働問題の解決に当りましては、公平なそうして厳正な立場を順守するということに一貫して参るつもりでございます。
○中原委員 そこで、たとえば今度の協会法案を拝見しますと、ここでもまた理事なり、というより、むしろ会長及び監事は労働大臣がこれを任命する、それから理事は、会長が大臣の認可を受けてこれを任命する、こういうふうに一々大臣の関与する条件が出ておるわけです。そこで大臣が、いや私は妥当適正にやる、まじめな気持を持っておる。このさきの日にも、何でも私も給料を取って働いた者である、そうであってみれば、むしろ従業員の立場におったわけであるというような、妙な抽象論をお出しになられたが、しかしそのことがどちらであろうとも、やはり一番基本線は、自分のこの世にあるあり方の中で、その背景をどこに求めておるかというところにあるわけなんです。従って、その背景が時々の現象じゃなく、その基本的な背景というものがやはり問題になるわけなんです。ですから、そういう一つ一つの現象をとらえてだけ話してみても、その基本線がやはり忘れられておったのでは問題の解決にならぬ、私はそう思うのです。そこで、たとえばこの第十三条を見てもわかりまするように、その判断というものは、やはり大臣に属しておるわけなんです。そうすると、大臣は超然として、いわゆる労働者的な立場でこの労働協会法を見るというわけにはいかぬわけですね。それはいかないわけです。いかないと同時に、今日あなたが大臣として位置を占めておいでになるその経済的基本です。それはどこにあるのですか。そんなことは、ほんとうはわかり切ったことなので議論せぬ方がいいけれども、ばかにおれはどこへもつかぬ、超然としておるというような言い方をなさるから言わざるを得ない。そんなことは論議の余地はないじゃないですか。現にあなたはすでにそのくらいのことは御検討済みなんです。それはそれとして、自分はこうやろう、やるためにはこの構成はこのようにしておるじゃないかということなら、それはわかるのです。それでもなおかつ否定しようというのじゃない。このこと自体が、十三条なら十三条を見ても一方的になっちゃう。一方的になってしまうような構想の中にできた条文であるがためには、やはりその条文に対して信頼性を持つことができなくなってくる。いかがですか。
○石田国務大臣 前回、私は決して人を使う立場できた者ではない、俸給生活者だけしか私は経験がないということを申し上げたのは、前段にあなたの御質問が、人間の思想とか傾向というものは、その人の育った遠境、現在立っておる立場、生活してきた経過というようなものによって影響されるとおっしゃったから、そうとするならば、私は全然人を使う立場できたのではございません、もっばら人に使われる立場だけできたということを申し上げたのであります。それから、同時にそういうわけにいかないことは、さっきから繰り返しており、社会党の中にも相当大きな企業の社長さんがいらっしゃるじゃありませんか、それが勤労者の立場にお立ちになっていらっしゃるじゃないかということを申し上げる例として言ったのであって、他意はございません。
 それから、私の立っておる経済的基盤、政治的背景は、国民的な立場であり、国民的な背景であります。この意味においては、特別に御議論をなさるのなら別でありますが、私の方からこれ以上申し上げることはありません。それから、私は労働者的立場でもなければ、経営者的立場でもございません。しかし労働省というものは、国民的背景の中にあって、日本の各セクションの中で勤労者の生活を守っていく、その向上をはかっていくという責任を持っておる役所であると私は理解をいたしております。そういう意味で労働大臣を勤めているわけでありくます。またそうい建前に立って労働行政もやりますし、労働協会法も実行に移して参りたいと考えておるわけであります。そこで、労働大臣が役員の人事その他についての関与をする規定が十三条にございます。しかし、この協会を政府の出資をもって作ります以上、つまり国民の税金で作ります以上は、その代表機関である政府がその協会の運営について、あるいは協会の経理内容について最終的な責任と、その協会を作り上げる世話役をしなければならない。つまり全長の任命及び役員の構成というものについてお世話をしなければならない。そうしなければだれがお世話をすることになるか。結局労働省がお世話をするよりしようがない。しかしこの協会の仕事の性質から考えまして、その人事の任命、あるいは人事について許可を求めてこられた場合におきましては、やはり労働者の生活を守るという労働省本来の建前に立って、良心にかけて公正な人事をするということをかねがね申し上げておるようなわけであります。また同時に通常の業務については、あくまで中立性を保たせるような所要の立法措置も講じてあります。ただし経理の面については、私はやはり所管省である労働省が監督をする必要があると考えておるわけであります。経理の面で不正な使用がされないように監督をするということは、業務の申立性とは関係がない、業務の申立性を侵すものではない、こう信じておるわけであります。
○中原委員 そうであるならば、極力公正にやろうとする熱意を持っておいでになる以上は、いやしくも労働者なり経営者の意思というものが直接この役員の選考の中に取り入れられていかなければならぬ。取り入れられる手段、取り入れられる法的な条件というものはどこにあるのですか。
○石田国務大臣 私はこの労働協会というものの仕事、その中立性の維持、それから公正妥当な国民からの信頼を確保する道は、やはり第三者の人たちによってこれが運営せられることが適当であろうと考えております。従って、その役員の選考について、法律上労働者側、使用者側――これは聞くとすれば両方に聞かなければなりませんが、そういうことで行うよりは、やはり第三者によって構成せられる、第三者によって指導せられることが必要であり、そういう協会の性格というものを作っていくことが必要であろう、こう考えておるわけであります。それからこの役員の任命、任期その他の機構は、大体特殊法人の場合におきまする今までの法律の内容に準拠いたしたものでありまして、それに、この協会の特殊性にかんがみ、中立性の維持の条項を付加したものでございます。
○中原委員 任期とか人数とか、そんなことはいいです。そういうことより、私の言っているのはその役員会を構成する員数、その員数の内容になる人的な条件なんです。それをあなたは公正に判断する中立性を維持する第三者的なものから選ぶ、こういうふうに言われるわけなんですが、さてそんなら第三者と、純粋に割り切り得る第三者があるでしょうか。
○石田国務大臣 それは算術の計算のように、はっきりとここから向うは第一人者、ここは第三人者、まん中が第三者、そういうような割り切り方は困難でしょう。しかしその間におのずから社会的な常識において第三者と思われるものが出てくると思う。それから実際上の任命に当りましては、私はそれぞれの立場の人の意見は十分尊重して必ず公平に、必ず世間の人の納得のいく人事をなし得る自信を持っております。
○中原委員 まことにごりっぱな御誓言なんです。その通り受け取れれば文句は一つもないのです。それなら私がもっと率直に申しますが、あなたの任命はだれがしたのですか。
○石田国務大臣 これは国会によって指名せられた総理大臣が私を指名をいたしました。従って、直接的には総理大臣でありますが、その総理大臣は国会が任命し、その国会は国民が選んだのであります。国民から選ばれたという気持を持っております。
○中原委員 その岸総理大臣というものはこれは多数決によってきまったので、満場一致できまったのじゃないと思います。そこに問題がありますよ。私はそのことをいい悪いと言っておるのじゃない、そこに問題があると言っておる。満場一致できまったのとは違いますよ。それでは第三者とはどこから出てくるのかということです。この岸信介という人を選任した政治勢力は何ですか、自由民主党でしょう。そこでその自由民主党というものが、国民という言葉でぼやかせばぼやかし得るのですよ。しかしそのことには少々顧みて思うことはありませんか、実際問題として……。
○石田国務大臣 岸総理大臣を選んだ人々は、政党の立場から言えば自由民主党であります。しかしその自由民主党を議会の多数を占めさせた背景というものは国民の多数意思であります。従ってその間に顧みて何とも思いません。
○中原委員 そこで多数意思と言われた、それは私は否定していない、一応形式的にそうなります。しかし内容分析はまた別問題ですよ、そのことを言おうとは思いません。それは否定しません。多数意思です、多数が選んだことになるから。多数の議員を持っておられる。その議員を結集したものから選ばれた大臣だからそういう表現は使いますけれども、今問題になっておるのは第三者を選ぶ中立性なんですよ。そのものから選ばれた人が第三者を選ぶ中立性を持つことができますか。
○石田国務大臣 それは選挙のときは、いずれどの人々もいずれかの立場に立って投票されておるのでしょう。従って厳格な意味における第三者とはと言えないかもしれません。しかしその人がいずれの側に投票されておるか、あるいは常に一定の立場で投票されておるか、そのときどきのお考えに従って投票を変えておられるか、それはわかりません。そこで第三者というのは、そういうことの立場を鮮明にせられていない人を総括して第三者と言えるのじゃないか。私はなるほどあなたの指摘せられたような選出の方法で選ばれた。言えかえれば、国民の二つに分れておる考え方の中で、一方の、より多数の方からだけ選ばれたことであるから、より少数の方の立場を考慮できないじゃないか、こうおっしゃるかもしれない。そこで第三者を選ぶことは厳格に言ってできないとおっしゃるかもしれません。しかしそれにもかかわらず、私のやっておる仕事はいわゆる労働者の保護の仕事であります。そうしていろいろ御批判もございましょうけれども、政治的には私と反対の立場にある人々のお世話を一年やって参りました。具体的かつ積極的にお世話をしてきたつもりであります。一々事例をあげろとおっしゃれば、十ほどあげてもよろしい。しかしあまりきざですから、あげませんけれども、それくらいのことをやってきたつもりです。それからまた公正な立場に立ち得る、政府をあずかった以上は常に公正な立場に立つ心がまえでなければならないし、私はその気持に自分では徹しておるつもりであります。またこの労働協会の設立に当って、役員の実際上の任命に当っては、何度も繰り返しておる通り、私は必ず公正にやり得る自信を持っているということであります。これはもうあなたの党派の御質問の中にも、そういう原理的な意味における御信頼はある程度持ってお話をいただいた人も中にはございました。私は必ず公平な第三者を選び得る確信を持ってこの法律を提出いたしておるわけでございます。
○中原委員 公正に選ぶというその言葉を否定しているのではないのです。自由民主党を否定するわけにはいかない。これは厳然たる国民の多数によって選ばれたものです。これは間違いないのです。そのことを私は否定しているのじゃない。そうではなくて、そうであったとしてもその内容を分析してみるといろいろ問題があるということなんです。そのことをここで話す場でないから話しはしませんけれども、それはあるのです。みんな顧みて思えばわかるのです。たとえば経済問題を一つ考える場合におかれても、いわゆる労働者が一番多数結集しておる組合に向って経済問題の懇談をされ、あるいはその諮問をされるということはまずないですよ。やっぱりそうじゃなくて日経連の方に御相談になる場合が多い。これはちゃんと新聞の記事に出ているし、日経連も書いている。今はわが党の意識で、わが党の陣営の考え方でおのずからそういうふうにきまってくるのです。その点はいい悪いの議論をしようとするのではなしに、そうなんだから、そういうような諸関係の中で選任された労働大臣が幾ら公正に判断をすると言われてみたところで、公正に判断したと思った自分の無意識のうちに決定したことが、実は反労働者的であったり、ときには反国民的であったりする場合がある。後者の場合はちょっと預けましょう。これは言い過ぎかもしれません。しかしながら反労働者的なことがあり得るのです。だからこういう危険をはらんでおる立場なんだから、そこでこの役員の任命に関してはそうは言わせないという中身をなぜお作りにならぬかということです。これじゃどうしたってそう言わせるのですよ。大臣の独断専行がなし得るのです。それをそうじゃないとおっしゃってもなし得るのです。なし得るようにできておるのだからなし得るのです。そのことを私は申し上げておる。
○石田国務大臣 経済問題について労働組合と御相談申し上げないというのは、これは私は当りまえだと思うのです。たとえば労働条件の問題、労働賃金の問題、そういうことについては私どもは、労働問題懇談会その他各種役所の機関の中に労働団体の代表の御参加を願って御意見を伺っております。経済政策の場合は、日経連に相談することなんかございません。これは経済団体連合会なりその他というところの御意見を伺うことがありまするけれども、日経連という主として労働問題を、つまり経営者的立場に立ってものを処理する団体に経済問題を御相談申し上げることはない。商工会議所とか経済団体連合会、そういうものに対して御相談を申し上げることはございます。それから私もしばしば日経連へ行っていろいろな話をいたしますけれども、私は日経連でお話をする場合は、すべて労働問題に対する経営者の反省を促すこと以外にはいたしません。労働行政をやっていく場合におきまして、国民的立場と中立性、その中にある労働者の生活の向上というものを念願をいたしておるわけであります。
 それからこの人選が、将来にわたって人事の構成その他が公平、公正でいく保障は何か、それはこの協会の持っておる性格、その性格に対する世論である。今日においてはそういうこの協会の持っておる性格を、一個人あるいは一内閣がゆがめようなどということはもうできる時代じゃございません。だからそういうものを背景として、あくまでも公平かつ公正にその成果をこの法律案の規定をもって行い得るもの、特に一番大切なのは一番最初の人事構成でありますが、その最初の人事構成は私は必ず公平にやって、中原さんの御満足のいけるような人事をやり得るという確信を持っておる次第であります。
○中原委員 ところが満足いきません。なぜなら、それだけの熱意を持つなら、この十三条の条項の中に、かくもあればなし得るであろうという、かくもあり得る状態をなぜお作りにならなかったか。これはあくまで独断専行なんです。これは独断専行でないとおっしゃっても独断専行なんです。ただあなたの主観として、私は公正にやることがつなし得る、こういうあなたの主観なんです。主観で事は片づきません。これはどうなんですか。
○石田国務大臣 この十三条の規定が、いかにも労働大臣の独断専行が行い得るようになっておるように盛んにおっしゃいますが、他の各個の同種団体の規定をごらんになるとおわかりの通り、他の同種の団体においても全役員が所管大臣の任命になっているところが多いのです。この団体に関する限りは、実際の通常をする理事というものを会長に推薦せしめておるわけであります。この場合、それでは労働大臣がいやだといったら許可しないで済むじゃないか、こうおっしゃるかもしれませんが、それは形式的な議論であって、実際問題として会長が、任期がすでに四年ときまっておる人が、自分の構成をされた者を提出された場合に、労働大臣がこの法律で方々で中立性をうたいながらそれを左右するというようなことは、実際問題としてできないのです。もっともこの程度の労働大臣の――これは要するに幹事役の世話みたいなものです。それをさえも認めないということになれば、ものは出発しない、動かない。それから私が自分の主観で公正にやろうということを御信頼がいただけないとするならば、その公正さを一体何によって確保するか。何が公正かということは結局客観的な判断以外にないのです。私は繰り返して申します通り、この協会法の成立とその任務について自信と期待とを持って提出をいたしております以上は、決してその主体性と公正、中立性を阻害するような任命はいたしません。これを繰り返すよりほかしようがございません。
○中原委員 公正と中立性を略持する、好もしいことです。もちろん期待します。しかしながらそれがなし得るようなそういう条件をなぜ作らぬかということを私は繰り返しておるのです。それにはお触れにならぬ。それをなし得るような条件ですよ。これは会長が任命する部分があるからいいじゃないかと言われるけれども、その会長はだれが握っているのです。会長の任命はだれがするのです。やはり任命者の意に反することはできません。これこそ天下の常道です。任命者の意に反したことをしゃあしゃあできると思ったら、これは大へんなことです。それを罷免するとかせぬとかいうことよりも――しかも罷免権が大臣にあるでしょう。
○石田国務大臣 ありません。
○中原委員 ありますよ。
○石田国務大臣 法律的な行為とか犯罪を犯した場合だ……。
○中原委員 罷免権があるのですよ。罷免権がないことはありません。ありますよ。
○石田国務大臣 罷免権というのは、気違いになったときとか、そういうときはやむを得ない。
○中原委員 それはあなたの常識に沿わざる者は気違いにでも判定できるのです。気違いということは問題がありますよ。
○石田国務大臣 そんなことはない、それは医者の診断が要るよ。
○中原委員 そのことは、結局問題はここですよ。
○森山委員長 発言の際は委員長の許可を求められるように望みます。
○中原委員 問題の中心点は、あなたが任命権者だというところにある。また罷免権者だということがいえる。だからそれをもって、労働者は文句を言うなという立場では、この法律は成り立ちませんよ。この法律案自身が、いわゆる納得でなくてはいかぬ。納得のない主観で教育、指導するということができますか、できません。それは教育にも指導にもなりません。やはり労働協会それ自身が、なるほどそこまでの努力が払われておれば、その労働協会の出した方針、あるいは出した指導、これは考えていいということになる。このことをないがしろに扱ったのでは、その機関の権威はありません。だからお答えを聞く必要もないかもしれない。そうであるなら、そうすればなおさら問題はもっと明確になってしまう。われわれはできることならばこれに賛成したいから、そのためには内容を追及しなければ賛成できないですよ。賛否を決定するためには非常に重大な点なんです。それがどうしても了解できなければ賛成できないのです。
○石田国務大臣 労働大臣が罷免するときは、第十六条の第二項第一号の「心身の故障のため」、これは勝手に、気違いということでもできるじゃないかとおっしゃる議論もあるかもしれませんが、それは中世暗黒の時代ならいざ知らず、今日は医師の診断を必要とすることは論を待たない。それからその医師の診断さえも政治的に行うという御心配をなさるならば、それは近ごろはやりのノイローゼといわなければならない。それから第二号の「職務上の義務違反」、これはやはり客観的に明確なものでなければならぬのです。だから政治的に、あるいは業務上公正に、少くとも会計上、経理上公正に運営せられていることについては、その方向がどちらを向こうとも、労働大臣はこの法規上罷免できません。従って四年間は、それこそ会長は思う通りおやりいただけばよいのですが、初代会長は、この法律ができ上れば多分私の任命になるでございましょうから、私は責任をもって、この協会の性格が将来までその人によって形づくられ、広く国民の信頼を得られるような人を誓って選びますということを申し上げている次第であります。
○中原委員 その問題について、何回か繰り返していることですが、大臣が任命するということのために、あるいは大臣が解任権を持っておるということのために起る一つの障害というものは、やはり大臣の意思に沿わざる者はその役員の構成の中に加えられない、これははっきり言えるのです。大臣の意思に反した者がその中に入りますか、入れません。入るべくもないではないですか。入れぬようにできておる。これはこの労働協会の成立並びに資金的な関係等といろいろなものをにらみ合して考えるときに、やはり大臣の責任においてこれをなすということにつながってくるわけです。それをそうではないと説明ができれば、一つ承わってみたい。
○石田国務大臣 これは議会民主制下におきまして、民主的手続によって責任がある地位に就任いたしました以上はその就任期間中は、国民から仕事をすることを委託され、委任されておる。従って私の責任において労働行政をやることは当然であります。それから、たとえば労働大臣の意思に反した者は任命されない。会長任命についての私の意思というのは何か。これは労働協会運営の中立性を維持するという意思だけです。従ってその他の協会の仕事は、基本的な方向というものはありますけれども、これはむしろ即物的な処理の方が多いのでありまして、個々いろいろの場合において変ってくる。その経過過程におきまして、私の考えと労働協会の会長の考えとが違っておったといたしましても、またやり方が違っておったといたしましても、心身が故障を起しているとか、あるいは経理上の不正があるとか、そういうこと以外には処分ができないのです。先般どなたかから、もし法規の解釈において、もし労働運動の実態についての認識において、協会の態度と労働省の態度が違っておったらどうするかという質問がありましたが、私はそれはやむを得ないものだというお答えを明確にいたしております。そういう心がまえをもってこの問題の処理に当っていく決意でございます。
○中原委員 心がまえはまことにけっこうです。ただ問題はその心がまえにかかわらず、その心がまえをささえる条件がないということを繰り返しておるわけです。だからむしろこれは条文を改正なさったらどうです。それほど心がまえがあるならば、もう少し多数の意思が反映できるように条文の内容を修正したらどうです。修正する意思はありませんか。
○石田国務大臣 労働大臣といたしまして、この法律の施行について責任を負わなければならぬ、これはあなたしばしば繰り返しておられる。責任を負います以上は、その責任を負うだけの体制というものが必要であります。そういう体制から監督官省と特殊法人の関係の法規が、今まで全部できているわけです。その中でなおこの法規については、他の特殊法人の法規よりももっと中立性維持のための考慮が支払われている。修正いたす意思はございません。
○中原委員 こういう場合は、いわゆる第三者の広い範囲の国民の意思が反映できるように内容づけていくということが私は必要だと思う。それをなおざりにして、おれは公正なんだ、妥当なんだ、またそれをやる熱意があるんだといってみたところで、それはやはり独断になるのです。主観になるのです。なるほどそうだと思わせるためには、やはり客観的にそうだと思わせるような線を盛り込む必要がある。これはくどいようだけれども、重大なことだから申し上げます。この点が中心なんです。
○石田国務大臣 これは中原さんは人事のむずかしさというものをよく御理解になっていないのじゃないかと思うのです。労働協会の会長というものは相当な人になってもらわなければならぬ。その人について大衆討議にかけるようなことがあれば、どなただって私はおなりになるはずはないと思う。これは人事問題のむずかしさ、特殊性です。その任命権者が責任をもってやる以外にはないのです。もしこれだけのことを申し上げておいて、協会会長の任命を不公正に行うというようなことがございましたら、それは私が葬り去られるでしょう。世間の多くから不公正の非難を受けるようなことがあったら、私は人に葬られるまでもなく、みずからでみずからを葬ってもよろしい。それくらいの熱意をもって臨まなければ、人事というものはいい人を得られないのです。相当な人物を依嘱するに当って、これを大衆討議にかけて、その人の人物月旦を両方の立場でやり合って、そうしてりっぱな人物というものは得られると思いません。りっぱな人物を得るためにも、私はこの法案を修正する意思はありません。
○中原委員 あなたは修正なさる意思はないと言われるが、しかし国会としては必ずしもこれに追随するわけにはいかないことになるでしょう。そこで会長のことをしきりに言われたが、評議員のこともおのずから出てくるわけです。そういう人々を選考する場合に、やはりこれもまた大臣が任命する、こういうことであってみれば、ただ言葉に託して答弁をなさるけれども、なるほどごもっともなりという結論は出ない。まじめに考えれば考えるほどできませんよ。無責任に考えれば簡単です。石田労働大臣にまかしておけ、これなら簡単ですが、そういうわけにいかない。そうはいかぬですよ。先ほど申しますように、私どもは指名することにはかかわっておらぬわけです。そういう要素から言えばやはり問題があるわけです。しかもこの労働協会法案そのものが、広く一般に労働問題の理解を浸透させようということなんです。労働問題の理解ということは、あわせて労働組合の理解にもなるでしょう。これを理解させようということのためにできた法律案であってみれば、会長のみならず各役員諸君を選考するに当って、やはり国民の意思がそれに反映できるように、ある特定のものじゃなく、あらゆる階層の意思が反映できるように、この法案を組み立てるということがなぜ不可能でしょう。それを言うわけです。
○石田国務大臣 私はこの協会の仕事の上から考えまして、いわゆる三者構成による運営ということではなくて、この運営を公正な第三者の学識経験者にお願いしたい、こういう建前であります。そこで評議員の任命に入るわけですが、評議員を労働大臣が必要な学識経験者のうちから選ぶということでは、やはり勝手に、一方的に選ぶのじゃないかとおっしゃいますが、今こういう形式でお願いしておるものに労働問題懇談会がございます。この懇談会の実質的な構成というものが一方的に片寄っておるとおっしゃることができるであろうか、やはり公正に行われているものだと思う。この構成についてそういう種類の御批判を今まで受けなかった。これは三者構成によって運営せられるというものではなくして、第三者によって運営せられるというところに、私はこの協会法の一つの糖神、背骨を作っておるつもりでございます。その建前からこういう構成にいたしました。しかし実際上の選任に当っては、もちろんそれぞれの団体の、あるいは関係の御意見を十分聴取してやるつもりであります。
○中原委員 従来幾たびも公正という名で持ち出されたものが一方に偏して、ために弱小な方が圧迫されてくる、弱小な方の立場の意思が採用されない、こういう事例はもうすでにあったわけです。そのことを今言おうと思わぬです。長い間の歴史が証明しておる。何も今さら私の日を通ずる必要はないわけです。そうであってみればなおさらのこと、この協会の構成に当っては神経をそこへ使わなければいけない、それが使われておらぬということを申し上げたい。なるほどここまで手が込んでおれば、言いたくても言いようがないじゃないか、これが大事なんです。それを言わしめなければならぬ、言いたくても言いようがないじゃなくて、言いたくなくても言わなければならぬ、そういうところに問題がある。それであなたが公正妥当にやるとしきりに繰り返されますけれども、――しかもここでなかなか文字としてはいい言葉が使われてあるのですよ、「深い学識経験を有する者のうちから任命する。」この深い学識経験の選考に当っても問題がある。深い学識経験とは何ぞやということになる。だから私はおそれる。あなたの納得のいくような深い学識経験もあろうし、私が納得のいく深い学識経験もあるだろう。あるいはその他の方の納得のいく学識経験もあるだろう。そうであれば、かりにどのようにきまろうとも、それを決定する方法としては、もう少し民主性のある組み立て方が考慮されなければならなかった、そう思うのです。その点はほんとうに真剣に、まじめに私は申し上げておる。決して必要でないと言っているのではない。必要なことです。これは一体どうしたらいいんだという判断がなぜもう少し払われなかったか。労働委員の選考が変った推移を御存じでしょう。あの変った結果によって、より一そう労働委員というものがやりにくくなった。これは経験済みなんです。これは一つの例にすぎませんけれども、こういうことはみんなの意思が反映するような選考の方式をとることが絶対大事なことなのです。
○石田国務大臣 この法律は、先ほどから申しますように、三者構成によって運営しようというものでなく、第三者によってこの協会を運営していただきたいということで出発しております。従って三者構成で万事できているような人事構成のやり方というものは、この協会を作る場合の私どもの基本的構想の背骨に反するわけであります。今までいろいろのことをおっしゃられましたが、私は公正にやり得るもの、またやらなければならぬ、こう考えている次第であります。
○中原委員 やらなければならぬのですけれども、ところがやり得ないのです。そこに問題点があるのですが、議論の果しがつきませんからよろしいが、やれませんよ。はっきり申し上げておきます。だからやり得るような選考の方式を考えなければだめだということをはっきり結論しておきます。
○石田国務大臣 私はやり得ると確信をいたします。
○中原委員 時間がもう二、三分しかありませんから、もう一点だけ。
 そこで問題は、そういうような議論のやりとりでおのずから浮かび出てくる点ですが、そうすると、もちろん法律を尊重しなければならぬことは言うまでもありませんが、その法律の解釈なんです。これも非常に議論が出てくる。たとえば、先ほど公労協の話がちょっと出ておりましたが、官公労の話は出なかった。いずれにしても、そういう場合に仲裁裁定なり、人事院の勧告なりというものが、ほんとうに妥当適正に守られたかということについては、これはやはり議論がある。いや、守っていますと政府は涼しい顔をする、あるいは仲裁裁定は実施しましたと言われるけれども、これは問題がある。その問題についても今さら論議する必要はない。わかっているのです。ただ問題かあるということだけを申し上げておきます。そうなると、やはり妥当適正いうものはむずかしいものだということが出てくる。ただ役員の選考に対しては、そのむずかしさを排除することのできるような組み立て方、選考の方式というものが絶対に必須の条件なんです。それなしではこの法律は誤まらざるを得なくなってくるわけです。この法律が誤まってくれば、どうするかといえば、あなたを中心とした、あるいはあなたらしさを背景とした労働教育、労働知識の普及になってくるのです。そのために国民の金を使ってもらいたくない。賛成できません。しかもその金の性格からいっても、経済基盤強化のための資金なんです。その資金を主として独占し得る人々がうんと言うでしょうか、うんと言うためには、そういう任務を果すことを予定するからだ、ここらで一つ引き締めておけ、こういうことになるからなんです。これは大臣は別として、局長以下の役人の立場から言えば、君は妙なことを言うじゃないか、おれらはほんとうに妥当適正にやる。妥当適正でしょう。しかしながらそれを守られておる、あるいはそれを握られておる政治的勢力、これは問題になるのです。それを遊離して考えられぬのです。だから私は申し上げておる。どこまでもこの法律が納得のいくような中身に整理されてこそ、われわれもまたそれに協力できるということになる。だからわれわれは協力できるような法律にしようじゃないかということを申し上げておる。どうですか。
○石田国務大臣 これは結局同じことになるわけでありまして、今までの答弁に尽きておると思うわけでございますが、評議員を任命する、その評議員もみんな労働大臣の思うまま、勝手のままになる人間ばかり選ぶということは、実際問題としてそうはいきません。大勢の人が見守っている中で仕事をするわけであります。
 それからもう一つ、経済基盤強化のための基金というところから出ている。勤労者の生活の向上も基本的には経済基盤を強化しなければあり得ない。経済基盤の強化のないところに、労働者の生活だけが別個に遊離して存在するとは考えられない。だから、それはどこの費目から出ていようと、労働者の生活向上のために役立つ資金として使われておれば、矛盾をするものではないと私は考えておるわけでにございます。
 それから、何か背後に一種異様な勢力があって、それがすべてのものを支配し、コントロールするというような一種の幻想に基く御議論については、私はこれ以上お答えしても同じことじゃないか、私の答弁は、今まで申し上げたところで十分余っておるつもりでございます。
○中原委員 しかし今の話では結論は出ておりませんから、人によれば、ばかくさいことを言っておるように聞えるかしれないが、これはばかくさいことじゃない、はなはだ重要なことなのです。しかも大臣のああいう言葉で一蹴するということになると、結局力の問題になる、数の問題になる、どう言ったって数で勝つということを内容として言っておることなのです。そんなことをそうでございますかといって引つき下るわけにはいかないわけです。ですから、この質問はすぐでなくてもよろしいから続けます。とにかくよろしくお願いします。
○森山委員長 本会議散会後まで休憩いたします。
    午後零時四分休憩
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