第028回国会 大蔵委員会 第19号
昭和三十三年三月十九日(水曜日)
    午前十一時十三分開議
 出席委員
   委員長 足鹿  覺君
   理事 大平 正芳君 理事 黒金 泰美君
   理理 高見 三郎君 理事 藤枝 泉介君
   理事 平岡忠次郎君 理事 横山 利秋君
      井出一太郎君    奧村又十郎君
      川野 芳滿君    吉川 久衛君
      杉浦 武雄君    高瀬  傳君
      内藤 友明君    夏堀源三郎君
      古川 丈吉君    山手 滿男君
      山本 勝市君    有馬 輝武君
      井上 良二君    石野 久男君
      石村 英雄君    春日 一幸君
      神田 大作君    久保田鶴松君
      田万 廣文君    竹谷源太郎君
      横錢 重吉君    横路 節雄君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  坊  秀男君
        大蔵事務官
        (主計局法規課
        長)      小熊 孝次君
        大蔵事務官
        (主税局長)  原  純夫君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (国税庁間税部
        長)      泉 美之松君
        参  考  人
        (税制特別調査
        会会長)    井藤 半弥君
        専  門  員 椎木 文也君
    ―――――――――――――
三月十九日
 委員戸塚九一郎君及び神田大作君辞任につき、
 その補欠として山手滿男君及び阿部五郎君が議
 長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
三月十八日
 福岡村地区内旧陸軍造兵廠川越製造所施設を中
 央火薬火工会社に拡張使用反対に関する陳情書
 (埼玉県入間郡福岡村長富田英章)(第六二一
 号)
 煙火類に対する物品税引下げに関する陳情書(
 静岡市大工町五の一〇山本直三)(第六三一
 号)
 小額所得事業者に勤労所得控除制度設定等に関
 する陳情書(東京都中央区日本橋茅場町二の四
 社団法人中小企業団体連盟会長豊田雅孝)(第六六
 二号)
 農業所得課税適正化に関する陳情書(北海道空
 知郡上富良野町江幌二谷本嘉平外七百二十一
 名)(第七三七号)
 下関税関支署萩出張所の支署昇格に関する陳情
 書(萩商工会議所会頭河上屋千代槌)(第七四
 九号)
を本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
 第八号)
 法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 九号)
 酒税法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
 〇号)
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第五八号)
 相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 九六号)
     ――――◇―――――
○足鹿委員長 これより会議を開きます。
 参考人招致に関する件についてお諮りいたします。金融に関する件について、日本銀行総裁を参考人として本委員会に出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○足鹿委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。
 なお参考人の出席の日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。
    ―――――――――――――
○足鹿委員長 次に、所得税法等の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、酒税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案の五法律案を議題として質疑を続行いたします。横山利秋君。
○横山委員 あとの方もありますから、簡単に質問いたしたいと思います。きのうわが党より提案をいたしました、いわゆる酒団法の一部改正につきまして、政府の所信をただしておきたいと思うわけであります。
 御存じのように、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律案は、たしか二十八年の二月の二十八日ごろに、いわゆる石数議決権というものが修正をされて可決されまして、今日に至っておるのであります。当時これに対する議決の事情は、その必要があったと思うのでありますが、時間を経るに従いまして、その副作用が出て参りまして、政府の御存じのように、この石数議決権をめぐりまして、業界内部におきましても相当の波乱を呼んでおるわけであります。いろいろとこれによって生じております副作用を除去する方法は、いろいろ考えておりますが、根本的に解決をいたしますためには、どうしてもこの法律を改正いたしまして、ノーマルな状況に置く、つまり三分の二の多数議決権を行使をすること、いろんなことはありましても、ノーマルな形に戻して、その中で業界として話し合せるということが適当ではないかと考えられて提案をいたしたものであります。しかし、聞くところによりますと、政府内部におきましても、いろいろと検討をされておる模様でありますので、その諸般の事情をお伺いをいたしたいと思うのです。
○原(純)政府委員 お話の点は、前回、二十八年に政府提案に対して、国会で御修正になりましたものでありますが、ただいまお話しのような組合内部における大企業と中小企業との間の利害の対立というものが、だんだん酒類業界の実勢がいわば競争の多い状態になりましたことから、かなり先鋭な問題として感ぜられるようになった、そこで、いろいろな議論が出てきておるわけであります。中小の方は、重要な事項についての特別決議について要求されております議決権の三分の二、ただしその三分の二の票数の人たちの石数が三分の一以上なければならないという三十八条一項の規定に対して、これはいわば大業者の圧力といいますか、大業者の横暴を結果することになるということを申しておられる。大業者は大業者の方でやはり経済的な協定と申しますか、規制と申しますか、こういうものを組合一体としてやっていく場合に、通常ならば、経済の原則は自由競争でいけるはずであるのに、それを強制的に規制していくということについては相当な条件が要る、特に数だけで、三分の二で議決できるというようなことでは、それは経済秩序の根本をなしておる自由競争の思想といいますか、そういうものとも背馳するし、経済的な利害とも背馳するというようなことを言うておられます。私どもといたしましては、こういう考えを持っております。法律のあの三十八条の規定自体をどうするという問題でいきますれば、いろいろ議論があり得ると思うけれども、実際には、ただいま申しましたように、競争が相当激しくなってきつつある実情をバックにして、いわばいろいろな問題のもつれがここに出てきておるというふうに私どもは見ております。そこで、私どもとしては、何が一番大事かと考えますと、業界が何としても一体としてまとまってやっていくようにしてもらいたい。これは、単に平穏を望むという問題だけでありませんので、業界がひしめき合って血なまぐさい競争をやっていくというのではなくて、まとまってやっていくことが業界自体の安定、またいわば秩序のある発展のためにも必要だ。同時に、税の側からいいましても、業界内部で非常に激しい乱売その他による競争が起るということは、必然的にそれによる倒産、倒産の際は、酒税の滞納、欠損というようなことが出て参るので、どちらの面からも好ましくないというふうに考えております。ただいま実はこの法律改正を形だけでどうという処理をすることよりも、業界内都におけるそういう潜在的な競争の激化というものをどういうふうにやって参るかということの方が重大だと私は考えております。従いまして、むしろこの際、主としてはしょうちゅう業界でありますが、大業者は、中小業者の立場をよく考える、同時に中小業者も、大業者との関係をあまりに先鋭的な気分で考えないというようなことで、何とかお互いが協同して発展していくという方向に向いてもらうのでないと、非常に困ったことになると考えております。従いまして、私どもは一にそれを重点として、今回のいろいろな御議論についての解決をはかりたい。それがどういうふうな方向へ行ったならばよろしいかということにつきましては、いろいろ役所側としても思いをひそめておりますけれども、御案内の通りに、本件につきましては、十七日月曜日に理事会があり、火曜日に中小の方の理事会がある、本日はまた懇談会が行われるというような状態でありますので、物事が連日非常に動いておるときであります。私どもとしては、いろいろ考えは持っておりますが、そういう動きの中にと申しますか、私ども一緒になってこの事態の収拾に努力せねばならぬというところでありますので、今これが役所の考えであるということをすぽんと申し上げにくい情勢でございます。
 要するに、率直に申して、かなり対立がどぎつくなっておりますし、いわば若干感情的な感じまでも出ておりますから、何とかそれをなくして、そしてお互いに協調して全体がよく伸びていく、そういう方向に行くということをモットーとして、何とかこれをまとめていきたいと考えておる次第でございます。
○横山委員 要するに局長の御返事は、ここでは言えぬ、仲ようやっていくようにしたいということに尽きると思います。そのこと自体については、あとの方のこと自体については、そう議論のあるところではありませんが、今かりに傷口にメンソレータムを塗るようなことでは、将来やはり同じようなことが起ると思うのです。理論的な問題と実際的な問題と二つに分けて考えますと、ともあれ三分の二多数決の一般的原則のほかに、石数議決権というものがあって、三分の二の多数議決権を自由に行使させないようにして――自由どころか、絶対に行使できないようにしておるということが、結果として七十数社のしょうちゅう業者がつぶれていった根本の原因であるわけです。今かりにあなたの意図にうかがわれるようなこそくの手段をしたところで、土俵を作りかえて、そうして双方の主張をある程度認め合えるような土俵場においてやらなければ、これは同じことだ、私はそう思うのです。
 聞くところによりますと、大蔵省としては、この案を作るのは大へんなことであって、一朝一夕にはできないというわけで、また与党の要請にもかかわらず、あなたの方は、一週間以内に案を作るということがとうとうできなかったのか、やらなかったのか知りませんけれども、全然手がないというようなお話であります。そうなりますと、あなたの案というか、居中調停をしたいから、今意見が言えないということも、結局大蔵省としては今お手上げで、あとは一つ大企業と中小企業が何とか話し合ってくれぬだろうかというふうに受け取れるわけです。話し合うことにしたところが、今の土俵場では、これは私はものにならないと思っている。そういう点を原さんはどういうふうになさろうとしておるのか、もう少しお伺いしなければ――聞くところによりますと、いろいろな御意見が出ておって、そうして大企業が、何かもし法律を改正するならば、わしの方は脱退するかもしれぬというストライキをかけておられるそうであります。こういう言い方というのは、私は穏当な言い方ではないと思う。そういうことによってまた方法が違ってくるようなことでありますならば、また中小企業でも、そういう言い方をするでありましょう。もしも三分の二の多数が横暴をして、小さい数の大企業が甚大な被害をこうむるというのであるならば、これはまた別な方法があろうかと私は思うわけです。とにかく話し合いをさせるには、双方のベースを正常な形に戻す、よって立つ法律的基盤を正常な形に戻す、こういうことが必要ではないかと思われるのです。
 いろいろ申しましたが、結論的に聞きますが、一体いつごろまでにあなたの方としては案をきめられるのか。私どもとしては、私どもがきのう提案をしたことが、根本的解決であると確信をしておるのであります。もう少し具体的に言って下さい。今のあなたの意見としては、何か理事会がある、懇談会があるから、ここで言うのはいかがかと思われるというのだけれども、ここできめたことが根本の原因になっているのですから、私は、ここであなたが考え方を明らかにされる方が、きょうなり、あしたなり、いろいろ相談される過程においての解決の一つの目安になっていく、こういうふうに思うのです。
○原(純)政府委員 大へんふん切りの悪いようなことを申し上げて恐縮でありますが、まず、問題のふん切りをつけるのに時間がかかるという問題の一つは、実態的に大企業と中小企業との間をどういうふうに調整していくか。まあ実際には、規制石数を小の方にどういうふうに将来めんどうを見るかということ、その他中小の人たちがいろいろ経営条件が不満足だとか、大も大で不平を持っているわけでありますが、それらを実態的にどんな線で解決していくかという問題、これは率直に申して、酒類業界が何年にもわたって悩んでいる問題であり、また私どもも非常に考えさせられている問題であります。
 こういう問題は、いわば答案的なものを作るのは非常に簡単でありますけれども、それを業界に大体において納得してもらって、それでやっていくということについては、これはもう一週間や二週間でそういうものを作り、どんどんそれでやっていくというふうにすべきものではないというふうに私は考えております。そういう意味で、これはとても短時日ではできない。やはり何カ月を要し、大きくいえばやっぱり半年くらいは、一応の案を作るにもかかるというものであると思います。これは、どなたもそう思っていただけることと思います。
 第二段の問題は、それでは、昨日提案理由を御説明になりました酒類の法律改正というようなことは、やれば簡単にできるじゃないかという問題がございます。これは、そういう意味ではその通りでありますが、その底に、やはり経済行為を規制する場合の方法論として、いわば団体法的に、これが一体しかるべきものか、あるいは非常にけしからぬものかということについては、かなりなお疑問の余地があると思います。しかし、それはそれとして、その面の改正については、私が先ほど来申しておりますように、かなり問題が、特にしょうちゅうの業界においては大と中小との、何といいますか、かなり気分がとがった対立になっている。それでそれを、やり方を変える、事柄はそう長く時間をとらぬことだから、さっさとやろうというようなことでいきましても、実際問題としては、それで組合が割れてしまって、そうして弱肉強食の世界が現われるということになっては、これは私どもも絶対にいかぬというふうに思う。これは、決して大業者に気がねをしているというわけではありません。しかしながら、やはりしょうちゅうの業界は、こういう席で申すのは非常に恐縮なわけでありますけれども、その中で中小が一つの団体を持っている、大は大で別の団体を持っているというような状況自体が思わしくないペースに立っておる、そういうところからも直していかなければならぬと思いますが、いずれにしても法律を改正するなりあるいは定款の改正をするなり、そういう面においては、先鋭な、割れんとする機運を割らずに、しかもその解決をはかるということにおいて、先ほど申しました理事会、それから中小の総会、懇談会というような会合が、たまたま本日を含めて連日行われている間にあって、私どもはやはり全体が納得する線を見ながらやらなければならぬという意味で、理屈はいろいろ出てくるけれども、そういう感情のからまった、経緯のからまった問題として、その成り行きの間に私どもが答えが出せる条件ができるまでお待ちいただきたい。これは、事態の進展のしようによって、あと一週間なり十日なりで、それじゃみんな一緒にまとまってやっていくとか、改正はこうしようという日が出るかもしれませんが、あるいはもっともめるかもしれません。この辺は、私は神様でありませんからどちらともわからない。この問題を処理しますについても、法律の改正によるか、あるいは定款の改正によるか、あるいはその他の方法によるか、いろいろやり方があると思うのです。それらについて、いろいろ私どもとして内部での検討はしておりますけれども、何分そういう経緯と非常にからまる問題でありますから、それらを含めて、しばらくわれわれのそういう気持での努力を見守っていただきたいと思っております。
○横山委員 簡単に、結論的にお伺いをいたしますが、そういたしますと、原さんの気持としては、法律改正あるいは運用措置等を含めて、現状については改善する必要がある、こういう判断にお立ちですかということをお答え願いたいことが第一点。
 それから第二点としては、これは要望になるかもしれませんが、双方が理事会なりあるいは総会を開いてやっているんだから、それを見守るということでは、いろいろな組織の問題としては、双方ともぎりぎり一ぱい、にっちもさっちもいかぬような決定をしてしまいそうな気がするのです。それではならぬのではないか。従って、それと並行して、あなたの方としては、迅速にあなたの言うところのあっせんというか、そういうものを進めていく必要があるがどうか、つまりできる限り早い機会に、円満解決をはかるべきであると思うがどうかという二点に、簡単率直にお答え下さい。
○原(純)政府委員 第一点については、何らかの措置をする必要はあると思っております。ただしお断わりしておきますが、それは普通石数議決の制限自体、あの規定自体を真正面から変えるということになるかどうか、それはいろいろな行き方があると思うけれども、法律なり定款なり、あるいはその他の方法なりで何らかの措置をする。私は、大体において、この際は法律の改正という形でなくて、定款なりあるいは運用上の措置なりでやる方が望ましいという感じがいたしますけれども、とにかく何か手を打つ必要があるということは考えております。
 それから第二点の、なるべく早く円満解決ということは全然同感で、私ども鋭意それに向って努力しているということでございます。
○横山委員 本件につきましては、与党とも後刻相談をいたすことになっておりますから、私の質問はこれで終ることにいたします。
○足鹿委員長 井上良二君。
○井上委員 きょうは、主として酒の原価計算について質問をいたしたいのですが、その前に、酒税関係の税率が他の税率関係と比べて非常に割高であるということからいたしまして、最近国民生活が非常に向上いたしまして、消費形態が非常に変りつつある、こういうときに、間接税全般の現在の徴収のやり方が、国民生活の実態に適応しているかどうかということであります。すなわち非常に大衆課税的な性格を多分に持っている間接税の徴収というものは、最近租税体系のうちでは、非常に比重が重くなってきているように考えますから、この根本問題について、もう少し検討を必要とする段階にきたのではないか、こう私どもは考えますが、政府当局でも、さような見地で御検討されておりますか、根本問題を一応お伺いしておきたい。
○原(純)政府委員 おっしゃる通りだと考えております。そして、そういう御意向が国会筋でも強くおありになるということを、昨年の通常国会以来はっきり承わりまして、私どもとしては、間接税体系の根本的な再検討を、調査会も設けて行なっているわけでございます。その際、酒がやはり大きな題目になるというのは当然でございます。
○井上委員 政府は、さきに清酒、二級酒、それから合成清酒、しょうちゅう等の課税を引き下げまして、四月一日から小売価格の改訂をやろうと準備を進めているようでありますが、政府が実施せんとする税額の引き下げに伴って、四月一日以降に行おうとする価格改訂の内容を明確にされたい。
○原(純)政府委員 その点につきましては、結論としては、本日ここでこういう価格にいたしたいという数字は御遠慮させていただきたいと思います。ただ御審議になる場合に必要な程度の抽象的な言葉で申し上げたい、そういう意味で申し上げますれば、結論としてしょうちゅう、合成酒につきましては、イモを中心とする原価の値上りというものが相当急なものがあります。従いまして、やはり税率引き下げの幅をそのまま消費者価格に反映させるということはできないと思っております。税率引き下げの幅のうちある程度は、そういう意味の原価の値上りに食われるということは、やむを得ないと思っております。清酒についても、原料米の値上りが一つはございます。それからもう一つは、添加アルコールの売り渡し価格も上っております。というようなわけで、清酒についても、製造者価格値上りの事由がございます。それを消費者価格に影響させるかどうかというあたりが、今私ども作業の最終の段階において、いろいろなお慎重に研究いたしておるというところでございます。大体そういうようなことに御承知いただきたいというふうに思っております。
○井上委員 はなはだ要領を得ませんけれども、お聞きいたしますと、この前大蔵大臣や主税局長の御答弁によると、大衆的というよりも下級的というか、酒類の中の下級酒を、税額が相当高いから、これをある程度引き下げる、こういうことであった。ところがその引き下げたものが、そのまま大衆のふところに入らずに、一部が製造メーカーのふところへ入っていくということに問題があって、そこで製造メーカーの製造の原価、内容というものについて詳細な資料を要求しました。そこでその資料によりますと、非常に各項目にわたって資料が出されておりますが、これは全く私から言わすならば、何かこちらが要求したやつと歩調を合わして、ことさら机上で作ったような印象が非常に強いのであります。そこで、今あなたが、税は下げるが、この一部は、製造原価が上っているから原価の値上りの穴埋めに使う、こう言うのでありますが、われわれとしては、絶対賛成はできないのであります。
 そこで、その具体的な内容についてこれから質問をいたしたいと思いますが、この生産原価の累年比較及び酒類製造業者の利益金等の調べ、これらは、いずれも前年度の期日においてこれを計算しておりますが、毎年根本的に原価計算を行なっておるのでありますか。どちらを一体お取りになっているのですか。すなわち生産原価の算定は、前年度単位が、それとも原価計算も毎年根本的に行なっておるのか、どちらであるのかということをお伺いいたします。
○原(純)政府委員 御質問の意味が、毎年やっておるか、あるいは必要なときにだけやるかという意味か、あるいは前年度の実績ペースの原価を計算するか、あるいは見込み原価を計算するか、あとの方でございますか。
○井上委員 そうです。
○原(純)政府委員 あとの方でありますれば、これにつきましては、事情によるということになる――大へん文句がおもしろくないのですが、こういうことでございます。清酒のような場合は、冬の間に仕込みをいたします。その酒が新しい年度になって売れて参ります。その年度の初めに新しい価格をきめる。そうすると、仕込んだ米の値段、あるいはそれに加えましたアルコールの値段、そういうものの実績が出ると、それに基いて新しい酒の値段をきめる。これはぴたりそのものに対応したものが出るということになります。これは、今お尋ねの趣旨でいえば、見込み原価、将来にわたる原価の基礎をつかんで、それでやるということになります。ところがイモで作る酒の場合、この方は、おっしゃるようなことはやろうにもできがたいのであります。四月に、ことしのイモは一体よくできるかどうか、幾らくらいになるだろうということは、これは難事中の難事で、とてもわかりません。従いまして、四月に価格をきめるというときには、実際問題として、前年実績を取らざるを得ない。あるいは通常の年であれば平年作、あるいは通常の値段というようなことでやるわけになりますが、それが九月、十月となり、いよいよ作がわかる、ことしはとても豊年作で安くいったという場合に、すぐそのときに修正するということは、実際問題としてなかなができないので、やはり翌年の三月、四月ということになります。そうしますと、そのときにイモが安くなったんだから、それを考えて、そのあとの値段を下げろということを考えるわけです。現実にそういう検討をして、実際に下げたこともございます。それから逆に、四月に一応こういう値段ときめておいて、秋になってイモの作が非常に悪い、昨年のようにえらい上ったという場合に、すぐに値を上げるということももちろん問題になりますが、いろいろな関係で、すぐには上げにくいというようなことが起ります。現に今回起ったわけですが、そういう場合に、やはり四月にきめます場合に、その実績原価というようなものを考えて措置をするのでなければ、これはまた事業をやる方は、たまらぬわけです。ですから、イモの場合は、大体実績原価をもとにしてはじくということになっている、概して言うてそういうことに御承知を願います。
○井上委員 そうすると、大体毎年根本的に原価主義をとって、原価計算でやっているというように考えて差しつかえないかどうか。それからその原価計算の内容について、たとえば清酒の場合、酒のかすから上る収益は、一体どういう工合に考慮されておりますか。これは、原価から差し引かれておりますか、差し引かれてないのですか。あるいは精白米にいたします場合のぬか、それから小米、そういうものは一体どうなっておりますか。
○原(純)政府委員 最初の原価主義かどうかというのは、もちろん原価主義でやっているということでございます。
 それから酒かす、ぬか等につきましては、雑収入としてそれが入ってくるということで、原価のいわばマイナス要素として計算しております。お手元に差し上げました資料でも、雑収入として三角がかけてある分はそれであります。
○井上委員 次に、清酒の生産者が、約三〇%ほどというものは直売をやっている。この直売数量というものは、原価にどう反映しておりますか。現在年間清酒の出荷量は、三百三十万石程度でないかと見ている。このうち約三二%が直売石数ということになると、百二十万石が直売石数になる。そうすると、この直売利益というものは、約三十億円が収得されるといわれているが、この清酒生産者の約三十数%に上る直売数量は、原価にどう反映し、一体どうこれを計算しているか、これを明らかにされたい。
○原(純)政府委員 直売がこの程度あるということで直売いたしますれば、その間のコストが減るわけです。少いわけです。ですから、これだけのパーセンテージを占める直売分については、それだけ経費が少くて済むということで、この原価を計算いたしております。
○井上委員 その計算は、たとえば清酒一級、二級、特級とありますが、このうちのどこへ入れておりますか。原料費のどこに入れておりますか。
○原(純)政府委員 この表では、一般管理費というところに入っておるわけであります。その上のところまでは、工場原価ということでありますから、これは、直売にしましても何でも工場でかかるだけの金がかかる。それが、いろいろ販売経費、運賃というようなも一のが入って消費者にいくわけであります。これがすなわち製造原価の中の一般管理費でありますが、その一般管理費の中の経費の少い分は、少いように見てある、そういうことであります。
○井上委員 ただいま申します通り、清酒生産者の三〇%、百五十万石に及ぶものが直売に回されておると資料では認定しておる。そうしますと、この百五十万石、約三分の一強に上る膨大な量が直売されておる。一体この直売されておる清酒は、清酒の特級ですか、一級ですか、二級ですか。どれが一番直売されておりますか。全部平均されておりますか。
○原(純)政府委員 ただいまこの級別の詳しい実績はとっておりません。やはりいなかの酒屋さんの方は、直売することが多いというようなことは趨勢でありましょうから、おそらく二級が一番割合が多いというふうに私は思いますけれども、級別には私どもはわかっておりません。
○井上委員 私もただいま局長が御答弁されるように、直売の一番多いのは二級酒ではないかと考えるのです。ところが、今局長の御答弁によりますと、その百五十万石の直売、百五万石から百五十万石に近い直売によって非常に諸経費が省けて利益が出ます。この経費が一般管理費の中に見られておるわけでありますが、この一般管理費で一番よけいかかっておりますのは特級であります。それから一級が三十三円七十六銭、それから二級になりますと二十八円四銭と下がっておる。一番この方でふえてこなければならないが、これが一番少い。こういうことで、この資料の信憑性ということが明確にされるのではないかと思いますが、これ以上この問題については追及しません。
 次に、直売で値段が差し引かれておるということになりますと、値引きの原価は一体どこから計算されてきましょうか。値引きの原価計算というのはどこへ現われてきますか。あなたの方でお出し下さっておる製造原価のうちで、たとえば一番関係の多い清酒二級酒で参りますが、これによりますと、製造原価は二百一円五十銭となっておる。この二百一円五十銭のうちで、いわゆる直売によって差し引かれますところの値引きの原価は、このうちのどこへ具体的に現われてきますか。
○原(純)政府委員 まず最初の一級、二級、それから特級の問でのなには、こういうふうにいたしております。級別の原価を一々はじいたのではなくて、二級のを出して、それの何割増ということで特級、一級をはじいております。それから三ページの表で製造原価というのは、二百一円五十銭、これは二十九年のものですが、これは、どこでもたとえの数字ですからよろしいとして、直売します場合の値引きの問題といいますのは、実はこの表は、製造原価のところをさらにその下の酒税に入って、製造者販売価格、これは製造者の売り値でありますから、直売になりますと、卸、小売のマージンを全部取って売るかどうかという問題が入る。その直売の場合には、おそらくかなりの場合に卸、小売のマージンを全部取らないで値を引いて売っておるということもあろうかと思います。そちらの方でおそらくゆとりといいますか、操作の余地が出るということではなかろうかと思います。
○井上委員 次に、合成清酒、それからしょうちゅう、この原料費のうちで、たとえばしょうちゅうの原料費は、三十一年が六十六円七十九銭、三十二年が六十二円六十六銭となっておる。そうしますと、さきの局長の御答弁では、しょうちゅう原料たるイモ、アルコール等の値上りがあるので、減税の一部を製造者の方に振り向けるということが起っておるという話でございますが、ここで一升当り四円も三十一年に比べて原料費が下っておる。それが本年度は、この数字がどうなっておりますか。しょうちゅうと合成二級、合成一級、いずれもその原料費の項目の数字の違うところは、三十二年までしかしてありませんから、三十三年の分も御説明願いたい。
○原(純)政府委員 三十一年の数字は、三十年のイモの値段でやっております。なまイモ、なま甘藷で申しまして、三十年の分は三十三円というふうに実績がなっております。それをもとにして計算しております。三十二年の分は、三十一年イモの値段、これは大変安くて、二十七円ということになっております。今回は三十二年、昨年のイモの値段を基礎にするということになりますが、これは大体三十五円程度というふうに承知をいたしております。
○井上委員 そうしますと、この前の年の昭和三十年、その前の年の昭和二十九年、いずれも原料費は七十円を突破しております。ここで七十五円から七十六円に近い原料費がかかっておって、それから一ぺんに今度は六十六円に下り、それが六十二円までに下ってきた。そうなりますと、ここで一升当りにつき、原料費は十何円の値下りを示しておる。十何円の値下りを示しておるというときには、しょうちゅうはどのくらいの値下りを、一升当りしましたか、それを明らかにしてもらいたい。
○原(純)政府委員 その表でごらんいただきますと、その表の一番下のところに、小売業者販売価格というのが出ております。二十九年は三百六十円でありましたのが、三十年は同じで、三十一年に三百五十円、十円下っております。そして現在に至っておるということでございます。
○井上委員 三百五十円に現在至っておる、こういう御説明ですが、具体的に申し上げますが、三十二年六十二円六十六銭の原料費、三十一年が六十六円七十九銭の原料費がかかっております。そうすると、ここでは、今も申します通り、約四円近い値下りを示しておる。しかるに販売価格は依然として三百五十円、どういうことですか。
○原(純)政府委員 原料費のほかの項目で値上りがあるというわけでございます。ごらんいただきますと、工場経費で七十銭ばかり上っております。それから一般管理費のところで、三円二十八銭上っております。両者合せて四円幾ら上っておるわけでありますが、これは原料費のほかにも、たとえば、このときで一番の問題は、昨年のあれは初めでありましたか、鉄道運賃の値上げということがございました。運賃が一三%上るということは、これはどうしても見なければいかぬ。その他労務費にしましても、井上委員御案内の通り、ずっと昨年来上ってきておる。それから燃料費、こういうようなものも、実際の統計で見ていきますと上ってきております。こういうことをはっきり見て、こういうふうになったわけであります。
○井上委員 今御説明のようなことですと、ここにどっか具体的に、三十一年よりも三十二年の方の数字が変ってこなければならぬ。たとえば三百五十円のものが三百六十円になるとか、三百五十五円になるとか、ここで数字が変らなければならぬけれども、これは変っておらぬ。これはどういうわけで変っておらぬかということで、われわれとしては非常に疑問を持っておる。そこへ、さきに申し上げました、しょうちゅうにしても、合成清酒にしても、いずれも値引き競争をやっておる。値引きが行われておるのにコストを上げるとは、一体どういうことです。矛盾するじゃありませんか。採算が合わぬから値段を上げてくれ。それにかかわらず、一方でメーカーの方が値引きをして、特に中小メーカーがどんどん値引きして売っておる。これはどういうことです。消費者にとっては、はなはだつじつまが合わぬじゃないですか。
○原(純)政府委員 値引きの問題は、まことにおっしゃる通り値引きしているのに、マル公を上げてくれというのはどういうことかというような気分を、私どもでも一応は持つのでございますけれども、公定価格というものは、これ以上に売ってはいけないという価格でありますから、その下において、企業努力その他によって、あるいは競争のために、場合によっては利益をはき出してもやるというようなこともあるかもしれませんが、競争が行われれば、それ自体は、これはいかぬとは言えないことであります。実際に値引きというものは、あらゆるしょうちゅうが、もう一齊に、どれもこれも同じに値引きをしておるというのでなくて、やはり先ほど申し上げましたように、だんだん競争的な条件がふえて参りましたので、企業の経営のやり方によって、ある酒屋さんはコストがよけいかかる、ある酒屋さんはコストを切り詰めてやっておるというようなことから、どうしても一律でない競争的な値引きというものが起って参ります。実際に地域的にも、また地域の中でも、銘柄により、会社によって値引きが必ずしも一様でないわけであります。公定価格としましては、最高限、これ以上いっちゃいかぬという線を考えておるわけですから、イモの値段が上るというようなことになると、そのほかの原価要素をも考えてもどうしても上るということになれば、最高限の線は上げてやらなければいかぬということになると思います。それから減税の減を引いて、そうしてネットとしては、現在よりも相当下って参るということに相なります。
○井上委員 そもそも政府が公定価格をきめて、はっきり生産原価を計算をし、販売マージンを計算をして、小売価格を決定しておりますね。この清酒から合成酒、しょうちゅうに至るまで最高価格をきめておきながら、メーカーの利益を全然保障してないというのは、これはどういうことですか。
    〔委員長退席、平岡委員長代理着席〕
○原(純)政府委員 それは、こういうことでございます。井上委員もよく御存じの、米の価格をきめる場合と並べてお考えいただくと、おわかりいただけるんじゃないかと思うのですが、清酒にしましても、しょうちゅうにしましても、合成酒にしましても、相当多数のメーカーが作っておる。それらのメーカーの生産条件は、千差万別でありまして、非常にこの条件のいい、合理化した、安いコストでできる会社と、コストが相当高いという会社と、ずっと並んでおるわけです。そういう場合に、一体どういう公定価格にきめようとするかといいますれば、いわゆるバルク・ライン方式と申しますか、一番条件の悪いコストの高い酒屋さんでも売れる、さらにまた、それにもうけをつけて売れるというような値段をきめますと、消費者はかなわないわけです。もっとコストの安い酒屋さんがあるんだから、そっちは安く売れ、こういうことになるわけですね。なかなかコストの高いところは高く、安いところは安くというわけにいきませんから、一本価格にする。そうすれば、一番高いところに一本価格にしたんじゃ、消費者はたまらない。やっぱり平均にするか、どこかその途中のところにやらなければいかぬ。途中のところにやって――ほんとうの平均くらいですと、平均より上の半分です。酒については、コストを割っちゃうということになりますから、なかなか平均五〇%というところにはいかない。たしか米の場合には、あれは八五%か何か、そのくらいのところまでのなにを見てやる。つまり、一番安い米から並べて八割五分の米についてはコストが合うというところで、大体線を引いておられるように思います。酒の場合は七割、一番安いコストの酒からずっと並べていって、全体の酒の七割に当るところで線を引いて、そこのコスト、ですからそれよりも生産条件がいい、より合理化している酒屋さんはもうかるわけですね。それより悪いところはもうからない、また赤字が出る。その辺のところは、やはり消費者の利益もあるから、その辺の酒屋さんは、一生懸命やって、コストをもう一段がんばって下げて努力するということでなければ利益が出ぬ、それは仕方がないじゃないかというのが、マル公をやります場合の通常の公式になっておる。それで、七割がいいか八割がいいかというような点は問題がありますが、他の物資あたりとも考えて、酒については七割くらいのところがいいだろうと思ってやっているわけでございます。
○井上委員 そうすると、それは全然原価計算なんかは考えぬ、強制的にバルク・ラインを引いて、七〇%なら七〇%のところで線を引いて、それに合理化してもうけたやつはもうける、もうけぬやつは、お前たちの努力が足らぬのだ、赤字になって会社が税金が納められなかろうが、大メーカーに非常な圧迫を受けようが、そんなことは政府の知ったことじゃないのだ、御随意に、七〇%以上の利益を上げるようにバルク・ラインまでやってこい、そうですか、それでいいのですか。
○原(純)政府委員 言葉は、御随意にというような気持ではないのですが、消費者の利益も考えれば、そういうことで仕方がないだろう。なお申し落しましたけれども、そういうコストの高い酒屋さんというのは、やはり小さい、いなかの酒屋さんの方がそういうことになりがちです。そういうところでは、先ほどおっしゃった直売のできるというような場合が多いというようなことから、そういう人たちは、実際には直売して、そうしますと、小売値で売れれば、卸、小売のマージンを自分が取れるわけですから、そこで相当ゆとりが出る、実際には、若干それを値引きして売っても、余裕が出るというような問題が出て参る。それと企業努力一切をからめて、そういうところの酒屋さんは一生懸命やっておるというふうに、御承知願いたいと思います。
○井上委員 そうすると、政府は七〇%以下の企業の採算の合わぬ赤字経営の中小メーカ1の場合、もし採算が合わぬ、やっていけぬというようなものは、直売とかなんとかで勝手に売れ、値引きして売れ、こういうのですか。値引きして売れというのですか、値引きを政府みずからが扇動し教唆しているのですか、そうなる。中小メーカ1が値引きを一番よくやることになっている、またやらざるを得ない、こういうことになる。こうなりますと、これは、消費者側から、実に重大な発言をいたさなければなりませんぞ、そうなれば、今の原価の立て方というものに対して、重大な発言をいたしますぞ、そういう根拠のない説明をいたしますならば。
○原(純)政府委員 やはりこの原価が安い優良な企業と、それから原価の高い企業がたくさん集まっておるという場合に、一体一番条件の悪い、一番高くかかるところを基準にして公定価格をきめるというのは、これはやはりとるべき道ではなかろうと思います。そこで、ある程度のところに線を引いてこの価格をきめるということになる、それで、それよりも条件の悪いところは、これはやはり努力してやってもらうより仕方がないというのがお答えだろうと思います。それについて、実際はこういうこともありますというのは、決して政府がそれを奨励するというなにではなく、まあお話のように、あらたまって政府がそういう意図を持っているかと言われると、大へん困るわけで、事実上そういうこともありましょうということを申し上げたわけでありますから、そういうふうに御承知おきを願いたいと思います。
○井上委員 そういう価格形成でいきますと、結局は大メーカー、あなた方が御指定になっておるバルク・ラインの線以上に施設を完備し、能率を上げる会社は、堂々とマル公という価格で売っていいのですから、堂々の利潤を上げることができる、それ以下のものは、結局成り立たないということを事実上明らかにしておるわけですね。そうなりますと、政府がマル公をきめて、酒を公定で強制的に売らしておる以上は、われわれとしては、この価格形成の中にいろいろな疑問を持っておる。この問題は、きょうは時間がないからあとへ残しまして、後ほど私もう二度この問題について徹底的に質問をいたします。
 ただこの際、さらに二、三これに関係して伺っておきますが、政府は、この原料米一石当りの生産量、これを幾らに見ておるか、そして、これは原価にどう織り込んでおるのか、この点を明らかに願いたい。
○泉説明員 井上委員の御質問にお答えいたします。清酒につきましては、年々原料米の石数が違って参ります。そして年々生産方針というのをきめておりまして、米幾らで幾らの酒を作るということを中央会と相談してきめていくわけでありますが、その生産方針によりますと、年々米一石当りでできる酒の量というのも違っております。これは御承知のように、戦後間もなくは、酒造用米の配給が少かったので、できるだけアルコールで伸ばして、酒をできるだけたくさん作るという方針でいきましたが、最近は酒造用米がだいぶたくさんいただけるようになりましたので、アルコールの混入量を少くするという方針で参っております。従って、年によって違いますので、一がいには申しかねますが、たとえばお手元にございます、三十二年でございますと、米一石当りから清酒は二石五斗ほどできるという計算になっております。
○井上委員 それを原価にどう織り込んでおるかということを聞きたい。
 それからついでにお答え願いたいのですが、その蔵出しいたします場合のアルコールの度数がみんな違うのですね。今特級、一級、二級とできる、その蔵出し石数は全部アルコールの度数が違う。十六度とか、十五度九分とか、みな違う。濃度が違う、比重が違う。それは、一体原価には全然関係ないのですか。もし原価に関係ないとなると、清酒に水を割る場合、これはどういうことになりますか。そこらで原価がだいぶ変ってきますので、この関係は、どういうふうにあなた方は押えられておるか、ここのところを簡単に御説明願いたい。非常に時間が迫っておりますから、答弁は要点だけで簡単にしてもらいたい。
○泉説明員 まず最初のことでございますが、昨年の四月の原価計算では、清酒一石を作るために要する米の量を、四斗九勺ということで計算いたしております。
 それからアルコール度数は、御承知のように、酒税法に規定がございまして、特級、一級は十六度以上、二級は十五度以上、十六度までということになっております。従って、移出する場合は、税務署で割水立ち会いということをいたしておりまして、その際は、二級につきましては十五度五分、一級につきましては十六度四分、それから特級につきましては十六度五分程度を標準といたしております。従って、アルコール度数が違うことは、もちろん原価計算の中に入ってくるわけであります。
○井上委員 次に、清酒の委託醸造をやっておるところがありますね。この委託醸造の内容を調べてみると、石当り七、八千円で契約が行われておる。この契約値が、一升当りの清酒原価に換算しました場合、これは一体幾らになるとお考えになりますか。私が計算したところによると、大体一升当りの原価は四十四、五円から五十円となる。こうなりますと、この清酒一升の原料費ということをかりに推定をいたします場合、政府の出しておりますこの原料費という各酒類の各項目は、いずれも四、五十円高く見積られておるということが推定されますね。この委託醸造制度による醸造契約値を、石当り七、八千円の契約であると私は調べてきたのだが、政府の方は、これを何ぼと考えておるか。清酒原価に換算した場合は、私は四、五十円につくと見ておるが、政府はそう見てないのか、この点をお答え願いたい。
○泉説明員 お話しのように、委託醸造を行います場合の実際の取引値段は、基準石数にいたしまして七千円、あるいは七千五百円ということを聞いております。それが原料米に及ぼす影響は、井上委員のお話しの通り、一升当り四十円程度になることは事実であります。従って、私どもの見方からいたしますと、原料費のところでは、それだけ高くなるわけでございます。ただそのあとにあります燃料費とか労務費なんかは、その委託醸造の石数がふえたからといって、これは、結局蔵人を一週間とか十五日ほど長く置きさえすればいいことであります。それだけ、ふえただけコストが高くかかるわけではございません。従って、原価にすべて四十円なりが響くものではありません。しかしながら、それにしましても、この原料米のところでそれだけ高くなるということは、決して受託をする方で、それほど利益にならないことでございます。それにもかかわらず、なぜそういう委託が行われるかと申しますと、将来現在のような生産統制がなくなりはしないかというようなことを心配して、今のうちに販売網を広げておきたいという意図のもとに行われているのであります。いささか七千円あるいは七千五百円というのは、経済採算を無視したきらいがあるように考えております。
○井上委員 最後に、どうも政府の今度の酒税法の改正の裏をわれわれがのぞきますと、清酒あるいはまた合成酒、しょうちゅう等の製造メーカーの生産費に対しましては、きわめて熱心に、きわめて微に入り細をうがって検討されておる、まことに御親切この上なし。しかし、一方卸、小売のマージンの面については、次のしわがかえってこの方面に寄ってくる危険が非常に強いといわれてきておる。最近小売マージンは、一割に満たないといわれておりまして、営業の実態は、非常に得意回りが激しくなり、配達販売と申しますが、あるいは掛売り、あるいはビンその他の損耗というものが非常にふえてきておる。そういうことで、ほとんどが一割未満のマージンでは、小売マージンとしては成り立たない、そのことがここに働きますところの店員の待遇に、いろいろな大きなしわを寄せてきている。一方、政府は、社会労働委員会に最低賃金法なるものを出して、できるだけ給与ベースを引き上げ、安定さそうという方向を打ち出しておる。そういう点から考えてみましても、この際、卸、小売マージンに対して、もう少し具体的に説明のできる資料をお出し願いたい。これは、この間も清酒二級の場合、卸マージンが三十一円七十銭、小売マージンは五十一円十銭、ところがこの同じ清酒で、特級を扱いますと、これが一ぺんに四十二円九十銭、片一方は九十八円十銭、こういう工合にべらぼうに変っている。これは、全く原価に対する何割、この計算ではじき出されているというにおいがきわめて強い。掛売りは一体どうなるか、ビンやあるいは中身の損耗は一体どうなるだろうか、そういう点は、全然計算をされていない。そういう点をもう少し具体的に計算をした卸、小売のマージンの算定表を出していただかぬと、われわれとしては納得できません。それらの点について、一つ御用意を願えますかどうですか。
○原(純)政府委員 卸、小売マージンにつきましても、十分検討はいたしております。ただここで非常にむずかしいのは、卸もそうでありますが、特に小売になりますと、お酒ばかり売っている小売屋さんはございませんで、いろいろなものを売っているわけです。それをどういうふうにお酒だけの小売原価、小売マージンを計算するかというのは、非常にむずかしい。やはり客観的に、率で、他の品物との比較を見たり、あるいは昔との比較を見たりというよなうことをいろいろすることになります。そういう客観的な検討はいたしております。なおお話の卸、小売のマージンが少いという点は、特に統制中相当低く押えられたということは事実であります。従って、だんだん統制的な条件から自由な競争条件になってきているということを考えまして、そういう気持で、マージン率はだんだん上げてきているというような実情にあります。なお現在でも関係の卸、小売の筋からは、いろいろ意見が出ておりますし、慎重にそういう点は検討しなくてはならぬと思いますが、その段になりますと、先ほど来言っておられます消費者の利益、あるいは製造者の利益、こういふうなものと全部をかみ合わして、妥当な結論に落ちつくようにということになりますので、最後は客観でいかざるを得ないと思いますけれども、お話しのような点は十分含んで、慎重に考えて参りたいと思っております。
○井上委員 最後に申し上げておきますが、今まで質問をいたしましたところによりまして、私どもとしましては、今度の酒税の引き下げによる小売価格の改訂が、すなおにそのまま消費者の負担軽減にならずに、製造メーカーに一部充当するといいますか、そういうことを政府が考慮するような必要は、今のところどうも見当りません。そこで、政府がどうしても、いやそうじゃないのだ、やはり、けさの朝日新聞にも出ておりますように、たとえば清酒二級の場合は、そのまま小売価格は改訂をする、ところが合成酒になると十八円下げて、三円だけメーカーへやって十五円下げる、それからしょうちゅうの場合は十五円下げて、五円だけもとへやって十円下げる、こういうことが新聞に出ております。そうすると、三百値上げ、五円メーカーの負担を税の引き下げによってしてやらなければならぬという点について、もう少しわれわれに納得のいく説明をしてもらいませんと、われわれとしては賛成するわけには参りません。従って私ども、この四月一日から減税を実現してあげたいし、何としても政府の提案をすみやかに本院を通過さしてやりたいと考えておりますが、そのメーカー側の要求しております原料費、諸掛りの値上りによる価格改訂の問題は、本税制改正とは切り離して慎重に検討してやるべきであろう、私はこう考えますから、この点、政府ももう一応御再考願いたいことを強く要望しておきまして、一応酒類に関する質問はこの点だけ保留しておきまして、この程度で本日は終っておきます。
○平岡委員長代理 石村君。
○石村委員 租税特別措置法の貯蓄控除の問題でお尋ねいたします。実は、この点は、むしろ大蔵大臣に御出席を求めてお尋ねすべきだとは考まえすが、なかなか大蔵大臣の御出席がないし、また一萬田さんは御出席がないけれども、有能な政務次官が御出席になっておるのでありますから、政務次官にお尋ねいたします。このように減税までして貯蓄を増強しようという目的ですね、それはどこにあるか。もちろん第一義的な目的は、貯蓄の増強だということだろうと思うのですが、減税までして貯蓄を増強して、そうしてどうしようとするのか。貯蓄するという立場からいえば、あるいは将来の不時の出費に備えると、いろいろなことで貯蓄をするであろうと思いますが、国全体の立場から考えますと、貯蓄せられたものが、同時に、半面にはこれが使用されるということが、普通の場合なら考えられるわけでございます。それが今度減税、免税までして貯蓄を増強する、その目的はどこにあるのか。単に個人的な理由で貯蓄の増強という意味ではないと思うのですが、その大きなねらいをお示し願いたいということと、いま一つは、三十三年度でこれによってどれだけの貯蓄ができるとお考えになっていらっしゃるのか、この二つを御答弁願いたいと思います。
○坊政府委員 お答え申します。現在の日本の経済状況からいたしまして、貯蓄に力を入れなければならないという基本的な理由につきましては、もう石村委員十分御了解のことと存じますが、今の日本の経済の情勢から見まして、経済の運営は、将来国民生活の安定的の成長の基盤を増強するために、消費、投資及び財政を通じて極力内需を抑制して、あらゆる努力を輸出の伸張に集中することをその基本方向とすべきでありまして、このため、政府は昨年以来緊急総合施策をとってきたことは御存じの通りでございますが、今回の貯蓄控除制度も、その政策の一環として考えておる次第でございます。緊急に輸出を伸ばす必要があるので、その措置といたしまして、貯蓄控除制度を採用して、国民貯蓄増強運動の呼び水のような格好といたしまして、国民の貯蓄心を向上させて、消費の節減によって内需の抑制をはかり、あわせて自発的貯蓄の範囲における投資の確保と、長期の安定した資金の供給にも役立てるというようなねらいでもってやりました次第でございます。
 あとの貯蓄減税制度によって大体どれくらいの貯蓄ができるかというようなことにつきましては、主税局長からお答え申し上げます。
○原(純)政府委員 こういうふうに見ております。平年度でこれによってできます蓄積が二千二百三十億程度、初年度はそれの八割でありますから、約千八百億前後というふうに見積っております。
○石村委員 政務次官の御答弁は、私のねらっていることと少し違っているかと思う。一般的にはそういうことがいわれると思うし、だれもそんなことを言うわけなんですが、私のお尋ねしておるのは、初年度で千八百億貯蓄させる、その千八百億を輸出の増強であろうが何であろうが使うということになれば、個人消費ではないかしらぬが、日本の国全体においては、投資にしろ何にしろ、それは使用されるわけですね。それをねらっているのか、それとも現在の日本は、昨年以来大へん日本銀行の追加信用で、約六千億かの貸し出しをしておる。この日本銀行の追加信用を取り戻すために、消すために使うのか、それとも、それはそのままにしておいて、ただいまおっしゃったような輸出の増強等に大いに設備投資でもやらせるという考えであるか、全般の立場ではどう御判断になっていらっしゃるかということを聞いたわけなんです。その点、御答弁願いたいと思います。
○坊政府委員 御質問の点でございますが、貯蓄控除制度まで創設しまして何ゆえに貯蓄をするか、そのことでありますが、まず第一は、先ほど申し上げました通り、消費というものを押えまして、国内の物価の高騰を押えるというようなことも一つの目的でございますし、それからまた、消費階級から貯蓄をお願いしまして、この貯蓄でもって資金を豊富にするということも、むろん一つの目的でございますが、そういうようなもので、必ずしもそれが設備の拡張を刺激するというようなことではございませんが、要するに日本の国の経済というものを、先ほども申しました通り、安定的な成長、その基盤を作るための一環の政策といたしまして、今度の貯蓄控除制度というものが創設されたわけでございます。
○石村委員 どうも私の質問に対する十分なお答えでないと思うのですが、端的にそれではお尋ねいたしますが、かりに内需を抑制するということになりますと、つまり貯蓄したものを、あまり銀行において投資させるとかなんとかいうことをやらせないということになりますと、一つの方法としては、さっき申しました、六千億というような日本銀行の追加信用を縮小させるということになれば、少くとも政府としては、たとえば日本銀行の銀行券の発行保証充当額というものを、昨年の十二月十六日には貸付金を担保にする日本銀行券の発行高を四千六百億というようにして、三十二年の五月二十八日に比べますと、千三百億もふやしております。また三十一年の十二月に比べますと、約三千八百億ですか、それだけの貸付金担保による銀行券の発行を認めておるわけですが、こうしたことを政府とすれば縮小する。一ぺんに三十一年の十二月の八百億に戻すというわけにはいかないと思いますが、さしあたり十二月十六日にふやしたやつをもとの三千三百億にし、約半年でもおいてこれを千億台にでもするというような方針をお取りにならぬと、貯蓄の増強ということの根本的な目的に反するんじゃないか。貯蓄さして、一方、じゃどんどん使わせるんじゃ意味をなさぬのじゃないか、こう考えるわけなんです。そういうつまり日本銀行券の発行の限度ですね、これを近いうちに縮小されるお考えがありますかどうか。特に貸付金を担保にしての発行の証券ですね。
○坊政府委員 貯蓄控除制度によって、それだけでもって日本銀行の信用創設というものを大きく抑制しようということは、これはなかなかむずかしいことだと思いますどけれも、御指摘の通り、私はこの貯蓄控除制度によって貯蓄をお願いするというところのねらいの中には、日本銀行の信用創設ということ、これを抑制していこう、押えていこうというねらいのあるということもまた当然であろうと思います。
○石村委員 この点、押し問答しても時間がありませんから、この問題は保留いたしまして、次に具体的な四十一条の二の問題に入りますが、この四十一条の二の初めに、貯蓄控除の対象になる契約のところで、預金、郵便貯金、定期積金等というのがあるわけですが、これは何でしょうか。個人が銀行に預金をする、そしてそれがここに書いてある条件に合致すれば、税金を出さなくて済む、こういうことになるわけですか。その個人が、銀行預金はするが、一方では貸し出しを受けるということがあっても差しつかえないわけなんですか。貯金だけはする、一方貸付を受ける。銀行は、貸付してくれと言うと、必ず預金しろと言うわけです。そういう場合はどうなんですか。預金の分だけがここに書いてある条件に合致しておれば、減税される。本人が一方で幾ら金を銀行から借りても、減税の方だけは十分なさるお考えであるか。そういうことは、またどのようにか規正でもされるものかどうか、この点、御答弁願いたいと思います。
○原(純)政府委員 この制度の値打がきまるについて非常に大事な点で、私どももその点は非常に心配をいたしております。あらゆる場合におっしゃるようなことがないようにということは、率直に申して不可能だと考えております。ただ同時に、すべての場合にその締りがつかないかということについては、こういう点まではできる、つまり今お話しのような、銀行から金を借りて片っ方で預金をする、いわば預金が借り入れをする見合いになっているというような場合については、実際問題として、預金が借り入れの担保になるというようなことになるのが通常であります。
    〔平岡委員長代理退席、委員長着席〕
 そういう場合には、この法案におきましても、四十一条の二の一項四号に、担保に供しない旨の意思表示が要るということになっておりますので、そういうあまりひどいじゃないかというような、目の前で借りて、それを預けて、これで貯蓄だということは押えることにしております。しかし別なところで借り入れをして、全然担保の関係なしに貯蓄ができるというようなことになりますと、それはどうにもいたし方がないということになりますが、利息の関係その他からいって、あまりそういうことで弊害が多く生ずるということも、そういう場合にはないじゃないか。主としては、今申した両建の場合に利用されるということになりはせぬか、それは、こういうことで押えてある、こういうつもりであります。
○石村委員 時間がありませんのでごく簡単にお尋ねしますが、そういたしますと、預金の場合に、それを担保にしたら、今まで減税された分は取り戻して払わせるという規定になっているわけなんですね。
○原(純)政府委員 その通りでございます。
○石村委員 そういたしますと、相互銀行なんかでやる例の掛金というのですか、あれはこの中には入ってないのですか、入るのですか。今の預金がそういうふうに使われて、担保になったときは、それは税金を取り戻す、こういう趣旨が入っておれば問題ないですが、かりに預金のうちに相互銀行なんかの掛金というやつは入らないとすると、おかしなものじゃないか、こう考えるわけです。もちろん契約の途中で貸付を受けるというようなことがあるわけですね。それは、そのときに税金の処理をすればいいわけで、ずっと長い間かけていくという性質のものも、この掛金の中にあるわけです。必ずしも年度途中で全部この要件を満たすというようなものではないと思うのですが、要件を満たすものについては、相互銀行の掛金も、この預金のうちに含まれると解釈していいかどうか、お尋ねいたします。
○原(純)政府委員 相互銀行の無尽に当る相互掛金、これははずしてございます。この対象にしない。なるほどおっしゃるように、まれにはそういう場合もあるかもしれませんが、とにかく平均預入期間が二年ということを要求しておりますし、大体無尽は、途中で落すという気持でやっておりますものですから、それははずした方が、実務上も、また納税者の実際からいってもよろしいのではなかろうか。もしどうしても預入しておくのだ、そしてこの利益を得たいというのでありますれば、定期積金あるいは積立定期その他の方法が認められておりますので、どうも相互掛金はこれの対象にするのは、その本来の契約についての当事者の意図からいうて、穏当でないのではないかと思ってはずしてございます。
○石村委員 相互掛金を途中で落すと言いうのですが、最後になるものは最後まで取れないわけです。全部が途中でもらうわけではないのです。必ず最後の分まで回ってくる人が出てくるということは、契約の性質上当然起ってくると思うのです。それを、途中にそんなものが出てくるからはずす。そして、それはめんどうだ。これは、相互銀行がめんどうだからやらないというならわかりますが、それをやらせない、認めないという方針は、どうもおかしなものだ。大蔵省がめんどうだといえば、また問題かもしれませんが、めんどうなのは相互銀行自体であって、あなたの方がめんどうなわけではないと思うのです。時間がありませんから、この問題はこの次に譲りまして、もっと十分な御答弁をお願いしたい。またあわせて、できればそういう点も考慮して、無尽も大いに利用して無尽によって貯蓄するということも考えられるわけですから、もう一度御再考願いたいと思います。時間の関係上、答弁はこの次にお願いいたします。
○足鹿委員長 午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
    午後零時五十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十九分開議    
○足鹿委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 所得税法等の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、酒税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案の五法律案を一括して議題とし、審査を進めます。
 なお、本日は参考人として税制特別調査会会長井藤半弥氏が出席しておられます。
 参考人には、御多忙中のところ御出席いただき、まことにありがとうございます。
 では質疑に入ります。奧村又十郎君。
○奧村委員 きょうは、参考人の方にわざわざお越しをいただいて、まことに恐縮でありますが、私ども委員会で審議中の租税特別措置法、所得税法、酒税その他の改正案につきまして、政府が税制特別調査会の答申に基いてこの処置をいたしておりますについては、税制特別調査会会長の井藤先生にぜひ承わりたいことがある、かようなことで御質問申し上げたいと思う次第でございます。
 一点は、昭和三十一年にできた原会長さんの当時の臨時税制調査会と今回の税制特別調査会と、この二つの関係について、井藤先生は、両方とも委員でおられましたので承わりたいと思います。というのは、どうも両方の答申に少し食い違いがあるのではないかということも考えられますし、そのほかに、一、二、税制特別調査会の今回の答申についてお尋ねいたしたい、かように存じておる次第であります。
 臨時税制調査会の答申は、申すまでもなく、税制全般について、最近の諸情勢に即応すべく税制の改正をやるための調査をなさったわけであります。そして一応臨時税制調査会の答申が出された。そこで、政府がこの臨時税制調査会の答申を尊重するならば、一通りこの答申に基いての税制改正をなさるべきであると私は考えておりましたが、直接税に関しては、答申とはかなり食い違いがありますが、一応いわゆる千億減税を実施いたしましたけれども、この臨時税制調査会会のもう一つの大きな部門である間接税の答申については、政府は何ら取り上げなかった。これは、当時原会長らも非常に不満を持たれたのでありますが、いろんな情勢の関係から、間接税は次の年度に考慮するというので、昭和三十二年は、所得税だけに重点を置かれたわけです。そこで、われわれは、当然次いで間接税において、臨時税制調査会の答申に基いての改正をなすべきであると思うが、これは全然手をつけずにおる。つまり臨時税制調査会の答申は、一部食いさしにして、おいてきぼりにして、今度また新たに税制特別調査会を作ったということは、政府がほんとうに調査会の答申を尊重なさるならば、少し首尾一貫しないじゃないか、こういうふうに私は考えるのであります。申すまでもなく、税制というものは、そうやたらと朝令暮改をなすべきでない。いわんや一貫した、しっかりしたものを作るのには、せっかくそのための臨時税制調査会があったにかかわらず、またその答申が一貫したものを作ったにかかわらず、直接税だけであって、それとうらはらである間接税については何ら取り上げない。そしてまた、別に新たな特別調査会という暫定的なものを作ったということについては、これは、政府のとるべき態度でなかったと思う。調査会の委員の方も、それでは本意ではなかろう、かように思うのであります。従って、特別調査というのは、一体どういう性格のものが。一たん臨時税制調査会で答申を出しながら、それが全部一通り取り上げられずに、暫定的な特別調査会を作ったというふうに見られるについては、一体臨時税制調査会と税制特別調査会とどんな関係にあるのか、同じ委員であられる先生にこの問題をお聞きしたい、かように存ずる次第であります。二つの調査会の目的とか、あるいは動機とか、そういうものが根本的に違うのであるか、こういうことについても考えてみよう、これは調査会の会長であり、また前の委員であられる先生によくお聞したい、かように存ずるのでありますが、一つお聞かせ願いたいと思います。
○井藤参考人 結局、臨時税制調査会と現在あります税制特別調査会との関係でございますね。簡単に申しますと、税制調査会に限らず、調査会は、みな委員が独自の立場で調査をいたしますので、前の類似の調査会にとらわれる義務もなければ、また責任もないと思いますが、事実問題といたしまして、一年ほど前に臨時税制調査会がああいう大きな答申を出しております。これは、大きな事実でございますので、税制特別調査会において審議するにつきまして、それを与えられた事実として大いに参考にしたということは言えると思います。しかしながら、委員は、一応独自の立場で審議したのであります。
○奧村委員 それでは、私の御質問がもう一つ意味が徹底しないと思いますので、重ねて申し上げますが、臨時税制調査会は、御承知の通り、内閣総理大臣がお願い申し上げたのであります。これは、税制全般にわたっての答申をいたします。また調査会の会長初め委員の方としては、税制全般にわたって、一通り政府がこれを取り上げなければならなぬにもかかわらず、直接税だけを一応取り上げまして、間接税は取り上げなかった。これだけでも私は少しおかしいと思う。税というものは、直接税、間接税全般において、一つの均衡を保つべきであるが、直接税だけを取り上げたということについては、これは、かえって一時的には不均衡になる、特にこの点は、原会長初め不満であった。この点については、前の臨時税制調査会の委員としての先生は、どういうふうにお考えでありますか。政府が直接税だけを取り上げて、間接税の分はいまだに取り上げないということについて、調査会の答申をなされた委員として、どうお考えになりまか。
○井藤参考人 臨時税制調査会で直接税、間接税、地方税について答申いたしました。政府は、主として直接税だけを取り上げて――地方税についても多少取り上げられておりますが、間接税についてあまり取り上げられておらないのを、そのときの委員としてお前はどう考えるか、こういう御質問であります。私は、率直に申しますと、委員といたしましては、答申はできるだけ御尊重願いたい、これは、言うまでもないことであります。ただちょっと申し上げたいのは、おととしの暮れに出ました答申は、臨時税制調査会は、なるほど直接税、間接税並びに地方税について答申いたしましたが、重点を置いておりますのは直接税でございます。俗に千億減税なんと申しまして、直接税に重点を置いております。それで、間接税につきましても、臨時税制調査会でも審議いたしまして、たとえば織物消費税についてかけるようにとかなんとか申しました、直接税に比べますと、間接税の審議は、率直に申しまして、私は不十分だったと考えております。一番大きな問題は何かと申しますと、たとえば取引高税を一体増設するのがいいか悪いか、これは、現在の間接税における大きな問題でありますが、あれについては、ただ傾向が出ておるだけでありまして、委員としての最終的な結論は、臨時税制調査会の答申じゃ出ておりません。そういう意味におきまして、間接税につきましては、織物消費税といいましたか、繊維消費税といいましたか、ちょっと名前は忘れましたが、織物に関する新しい課税その他については答申しておりますけれども、しかしながら、直接税ほどには間接税に力を入れなかった、より正確に申しますと、力を入れる時間的余裕がなかったということは言えるのであります。しかしながら、間接税につきましても、繊維消費税その他について答申しておるのに政府はとらなかったという点は、委員といたしましてもちろん不満であります。しかしながら、臨時税制調査会では、直接税と間接税とが同格に取り上げられておらなくて、やはり重点は直接税にあった、これは言えるのではないかと思っております。
○奧村委員 臨時税制調査会の答申は、間接税の増徴としてしるされてあります。これには、物品税あるいは原糸課税、その他いろいろな面における不均衡をかなり強く強調してあるように思いますが、先生の感じとしては、そういうふうにお考えになるならば、これはまあそのように承わっておきます。
 それでは、今度の税制特別調査会は、これは大蔵大臣のお願いしたものでありますが、しかし税制というものは、全体からながめて、そのうちの一部を改正するということでなくて、あくまでも全体との均衡をいつも考えなければ税制の審議にはならぬ、かように思います。つきまして、率直に申し上げますと、実は臨時税制調査会の答申の精神と今度の特別調査会の答申の精神とはかなり食い違いがある。これは別々だといえばそれっきりでありますが、しかし先生としては、同じ委員でおられましたから、先生のお気持をお聞きしたいのであります。
 臨時税制調査会で特に強く書かれたのは、租税特別措置、いわゆる臨時措置はなるべく早く廃止したり減らしたりして、正常な税制を早く確立したい。その中でも、利子所得の免税などということは、なるべく早くやめたい。というのは、利子所得の免税は、非常に不公平であるばかりでなく、すでにこれは期限のあるものだ、期限のあるものなら、期限がきたらやめるというのが一番やりやすいことでもあるし、なすべきことだ、こういう臨時税制調査会の答申が出ておる。ところが、今度の先生が会長になられた特別調査会の答申を見ますと、貯蓄減税であります。この貯蓄減税について御審議になった答申を読んでみましても、実は利子所得の免税すら非常に悪いことなんで、早くこれは改めにゃならぬというて書いてあるにもかかわらず、なおその上にまた貯蓄減税という全く新たな、かつて例のないような制度をとろうとすることについて、調査会は答申で賛成しておられる。これでは、全く、臨時税制調査会の答申と精神を異にする。また先生御自身とせられましても、税制をなるべく常態に復帰して、臨時処置はやめるべきだ、こういうお考えをもし持っておられるとするならば、今度の税制特別調査会というものは、いかにも暫定的で、その場の場当りのような感じを持たせるのでありますが、それについて、先生はどうお考えになりますか。
○井藤参考人 この前の臨時税制調査会と今度の税制特別調査会と少し予盾するのではないか、その一例として、いわゆる貯蓄控除ですか、銀行預金した場合に減税する、これなんかは、前の臨時税制調査会では、むしろ、利子が優遇されておるような制度は、できるだけ早くやめなくちゃならぬと言っておった。ところが今度の税制特別調査会では、それにしんにゅうをかけるような制度を答申しておるのは矛盾ではないか、こういう御趣旨だと思いますが、そうでございますね。
 それで、これは、論理的に私は問題になることだと考えております。私、租税特別措置というものは税制を乱すものであるということは、実は一番早く私が言い出したのではないかと思います。何年前か、七、八年前か、五、六年前か知りませんが、この部屋だったかもしれませんが、何か大蔵委員会で呼ばれて、租税特別措置がこうふえてくるのは、負担の合理化という点からいって思わしくない、これは、私が一番早く言い出したのではないかと思っています。その井藤が、お前がこの会長とかなんとかいうことをやっておって、そうしてこんなことをやるのは変じゃないかという御質問じゃないかと思います。さらに強い言葉で言いますと。これは、実は率直に申しますと、私自身としては、痛いところもあるのです。ですが、税制調査会の会長という立場から申しますと、私は、こういうふうに考えておるのであります。
 これは、私以外の大多数の委員諸君も同様のお考えであったために、こういう結論になったのでありますが、これは、釈迦に説法のようなことを申して恐縮でありますが、経済社会というものは絶えず動いておるものでございます。それで、税制も経済社会の動きに――経済社会だけではありませんが、社会、経済、政治、全体の動きに応じて変えなくてはならない。従って、古今東西の洋に施してもとらぬ税制なんというものは、これはあり得ないのじゃないか。そこで、おととし答申したときには、利子所得の特別措置はいけないと言いながら、去年の暮れに答申いたしましたときには、それにしんにゅうをかけるような新たな特別措置を設けた。これはちょっと考えますと、おっしゃいます通り、大へん矛盾しているように考えますけれども、しかしながら、去年一年の間に日本の経済社会にかなり大きな変化があったということは、申すまでもないことでありまして、去年の五月の中旬ですか、金融引き締めとかなんとかいわれまして、そして日本の一般に消費過剰の傾向がある、そのために、輸入超過で外貨がだんだんと減ってきた。それで去年のもう今ごろからその傾向が現われておったのでありますが、五月に政府もそれに対して態度をとる、こういうような情勢の変化がございました。別の言葉で申しますと、貯蓄の奨励ということ、これは、国際収支の改善、その他日本の経済の過剰投資や過剰消費を抑制するためには、貯蓄の奨励ということが、おととしに比べますと非常に強い力をもって要請されて参りました。それで租税特別措置というものは、これは、私も言っておりますことですし、今おっしゃいました通りに、税制としてはおもしろくないことでございますけれども、こういう特別措置は、絶対に一つもやってはいけないかと申しますと、私は、そういうことまで考えることはございませんので、時と場合によっては、ある程度の特別措置ということは必要じゃないか。
 そこで、われわれの判断といたしましては、現在の日本の情勢は、おととしの臨時税制調査会のときとは違っておりますので、そういう貯蓄奨励の措置を講ずるということが、国際収支の改善その他日本経済の健全な発展のために、非常に必要だと考えましたために、そういたしたのであります。
 それで、貯蓄控除とか貯蓄利子に対する税制はいかにあるべきかという一般論といたしましては、実はこの私も、書物にも書いておることでございまして、ああいう制度は、できるだけ早くやめなくちゃならぬ。それは、私は現在でも同様であります。現在政府がやろうとするのは、たしか二年というのですが、私は二年なんということはいわないで、これはもっと早く効果を上げて、一年でもやめる方がいいのじゃないかと考えているくらいでありますが、しかしながら、現在の情勢から申しますと、やはりこれは必要じゃないか、そういうふうに考えておるのであります。
○奧村委員 そういたしますと、ただいまの先生のお話によりますと、原則的にはいかぬと思う、けれども、これはそのときの情勢によって、政策的には減税もあり得る、こういうことであります。そこで問題は、税制特別調査会というものの性格は何であるか。私は学識経験者、あるいは税制をかなり御勉強になられて、税制の立場から公平なものを作っていこうということで専門的に御研究になり、大蔵大臣に御相談に乗られる方である。少くとも貯蓄減税という制度は、これは明らかに政策的なもので、純粋な税制の立場からは、こういうことは考え出せぬ。従って、失礼な言い分ですが、政治家が政治的な配慮から減税を持ち込むならわかりますけれども、純粋に税制の立場で御研究になる税制調査会がこれを持ち込まれるということは、おかしいと思う。それじゃ、これは一体税制特別調査会がお考えついて政府にお出しになったのか、大蔵大臣から、こういうことをやりたいがどうか、こう相談を受けられたのか、どちらですか。
○井藤参考人 今おっしゃいました通りに、私、結局同じことを繰り返すのでありますが、税制特別調査会というものは、結局税制の合理化をはかるということが目的だ、これはおっしゃる通りで、私もそう考えております。しかしながら、学校の研究室というと、みずから学校を変なことを言うことになるのですが、学校で一般論をやる場合と違いまして、税制特別調査会というのは、やはり税制の合理化をはかるということは言うまでもないのでありますが、あまりに現実とかけ離れたような答申をいたしましても、実現性はありませんので、それで、やはりそのときの政治社会の動きだとか、いろいろなものをある程度考慮しなければ私はいけないと思います。しかしながら、あまりに政治ばかりにとらわれては、これは調査会の調査会たるゆえんでございませんので、あくまでも合理的にやらなければなりませんが、その場合に、この税制だけを考えて、それ以外のことを全然考えないということは、またいけないのじゃないか。少し視野を広くいたしまして、そして税制以外の、税制の純粋な合理化という点から申しますと変なことでも、日本経済全体の円滑な発展のために必要な場合は、時と場合によりましては、税制の合理化という点も、できるだけ短かい期間に直さなければいけませんが、犠牲にするのもやむを得ないのではないかと考えております。
 それで、一番最後の点でありますが、これは率直に申し上げますと、貯蓄減税の話は、税制特別調査会で問題にする以前に、大蔵大臣の談として新聞にいろいろ出たこともございます。しかし私は、新聞記事についてどうのこうのと言うわけではございませんが、それで、そういう話が、税制特別調査会で審議しておりますときに出たことはございますが、しかしながら、税制特別調査会といたしましては、これは、あくまでも独自の立場で、取り上げるだけの価値がある問題だと考えましたために取り上げたのでございます。それですから、時間的に申しますと、大蔵大臣の新聞に発表された談が早いか、こちらの方が早いのか、私は実は記憶がございませんけれども、しかしながら、われわれといたしましては、あくまでも独自の立場でこれを取り上げたのでございまして、大大臣が言われたから、言葉が少し強いのですが、それに盲従してこれを取り上げたのではございませんということだけは、はっきり申し上げておきます。
○奧村委員 私は、税制特別調査会の性格を明確にしていただきたいので、少し執拗ですが、お尋ねするのですが、今の利子所得の免税や分離課税や、こういう臨時措置の特別なやり方は、なるべく早くやめたい。しかも、これは昭和三十四年限りでやめることになっておるわけですが、ところがその上に、また貯蓄減税というようなことを昭和三十四年までやって、しかもこれが二年継続しますから、そうすると、利子所得に対する特別な制度が、少くとも三十六年までまた継続することになる。従って、税制を平常に取り戻そうということが、貯蓄減税の制度によって、またこれが先に延ばされていくということであります。そこで私は、少くとも税制を正常化し、公平な税制を作ろうという意味の相談を受けた調査会なら、調査会は反対すべきだと思う。これを賛成なさるということは、私はどうしてもわからぬ。というのは、世間の判断では、税制特別調査会や臨時税制調査会というのは、学識経験者など、つまりあまり政策的な変な考慮を持たずに、純粋な税制の立場だけでものをお考えになってこの答申を出さるべきものだ、こう世間は見ておると私は思う。それが、こういう貯蓄減税という、少し専門的に考えれば理解のつかぬことを答申なさるということは、調査会の性格を明らかに踏み乱すものだ。今のお話のように、現実に即応して、政治的な考慮も要るというが、それは、まあ失礼ですが、政治家のなすべきことであって、学識経験者の調査会のなすことじゃないじゃないか、こう私は考えるのでありますが、そこで一番大事なことは、一体調査会は、どういうことを相談を受けたのですか。貯蓄減税をしたいがどうかと大蔵大臣から相談を受けられたのですか、そうじゃなしに、自然に貯蓄減税をやったらよかろう、こういって調査会の委員の中から意見が出て、これがまとまったのですか。これが、私は調査会の性格の問題に一番かかわることですから、これだけは一つ明確にお聞かせ願いたい。
○井藤参考人 特別措置が好ましいものでないということは、だいぶ今度の税制特別調査会の答申の中にも出てきておりますし、ことに最後の結論の部分に、非常に強くその点を強調しております。それからもう一つ、税制特別調査会、臨時税制調査会でもできるだけ客観的な立場で――税制の専門家なんて、私自身言えるか言えないかは別といたしまして、まあ一般論といたしまして、できるだけ専門家の立場で、税やそれから一般のいろいろな小さな政治の動きなんかにとらわれないで、それはできるだけ客観的にやるべきものであるというお説は、ごもっともでございますし、われわれ委員におきましても、臨時税制調査会の場合も同様でございますが、税制特別調査会におきましても、そうなるように大いに努力したということは、私は責任をもって言えると思うのであります。
 そこで、一番最後に御質問になったことでありますが、一体税制特別調査会では、大蔵大臣からどういう諮問を受けたかという点でありますけれども、これにつきましては、きわめて簡単であります。それは、一番初め去年の六月でしたか、この税制特別調査会ができましたときに、臨時税制調査会では、時間の関係から、相続税制度については検討を見送りましたために、そこで、現在の日本の相続税制度は、いろいろ不合理な点があり、問題があるから、相続税制度を合理化するにはどうすべきか、そういう言葉だったかどうか知りませんが、それに類する言葉でおりますけれども、それが初めの諮問でございまして、公けの諮問といたしましては、第一は、相続税制度の整備ですか、あるいは合理化、それで発足したのであります。ところが、たしか八月の末でありますか、九月の初めになりまして、委員がまた拡大されると同時に、次の諮問事項が加わったのであります。それは、間接税の整備であります。それから、その他税制一般に関すること、これだけが大蔵大臣からの諮問でございまして、それ以外のことは、いろいろ全会議の間に雑談的に出ておりますけれども、公けの諮問といたしましては、私が今申しましたことだけであります。
○奧村委員 そういたしますと、この貯蓄減税という考え方ややり方は、ここの答申に書いてあるやり方は、調査会の委員の中からお話が出たのですか、政府から出たんじゃないですか。調査会の委員の中から出るとすれば、実は、これから委員会は審議しますけれども、委員会の中でも、こういうばかげた考えは実はあまり出なかった。調査会の純粋な、税の公平、あるいは学問的に、学識経験者のお集まりの中から、こういうむしろ税制を乱すような考えをお出しになった人があったのですか。これは、私は少ししつこい質問ですが、それを明確に言ってもらいたい。そういたしませんと、どうも調査会や審議会というものは、政府の隠れみのに利用されておるという非難がずいぶんあるのです。私も今度に関しては、どうもこの調査会も、政府の何かちょうちん持ちをしておるような感じがしてならぬ。そうじゃない、委員の中から出たのだし、会長さんも、これはもう一番いい税制改正のための案だ、日本の学者がそういうことをお考えになるのかどうか、一つお聞きしておきたいと思う。
○井藤参考人 これは、やはり、委員が考えたのです。これは、はっきり申します。
 それからこの案につきましては、なかなかこれは、いろいろテクニック的にめんどうな点もあるでしょう。それから今おっしゃいましたように、委員の中には、おれは、この点は不賛成だったというようなことを非公式におっしゃった方もあると思います。これは私は、調査会の答申というものはすべてそういうものでありまして、だれでも、これならこれを全面的に賛成という人は、一人もないと思います。結局は、多数の意向のあるところをまとめるのが、こういう調査会の答申の常でございますので、私は今、奥村さんに、だれか委員の方がそういうことをおっしゃったのだろうと思いますが、私は、その委員の方はうそを言っておられるのじゃないと思います。しかしながら、調査会としてまとめますときには、満場一致ばかりではものをきめることができませんので、多少異論がある方でも、さあこの辺で、大乗的見地という変な言葉は使いたくありませんけれども、とにかく小異を捨てて大同につくですか、こういうことも行われております。そうですから、私は率直に申しまして、この調査会で審議いたしましたときに、この貯蓄減税につきましては、すらすらときまったのではございません。その証拠には、この税制特別調査会の中で、この貯蓄減税を書いておるときに、相当懐疑的な批判が出たということは、ここに明示されておるところであります。たとえば利子を優遇するとか、貯蓄し得る人はまだ金持ちなんで、それもできないような人がおるとか、あるいはその他いろいろ、いわゆる租税特別措置法というものは、やめるべきものはやめるのだとか、いろいろなことが、この公けの税制特別調査会の答申に出ておるということは、やはり反対論を唱える方もあったということが有力に物語られておると思いますが、しかしながら、全体の多数の空気といたしましては、やはりこれがいいということになって落ちついたのであります。
 それからもう一つ、どうも政府の隠れみのであるとかなんとかおしかりをこうむりましたが、これは、私のまずいところでございまして、私らといたしましては、慎重審議いたしまして、できるだけ誠実に、良心的な案を出すように努力したつもりであります。それに対して、いろいろ御批評があるということはやむを得ませんけれども、私どもといたしましては、これはきわめて良心的な案であったと考えております。
○奧村委員 参考人の方にまことに、どうも失礼な言葉を使いましたが、これは、熱心のあまりに言葉が過ぎたので、お許しをいただきまして、それじゃ私は、最後に一点だけ答申の内容についてお尋ねいたしますが、どうもこの臨時税制調査会の答申でも、また税制特別調査会の答申の中にも、日本の税は重い、現在の税は重いのだということが前提になって、そういう文句が使われております。また大蔵大臣も、国会でそういうことを言うておられます。しかし私は、果して日本の税が、現在諸般の情勢から考えて重いのか軽いのか、これを明確にせにゃならぬ今立場であると思うのであります。と申しますのは、社会保障を確立して推進しなければならぬ、また賠償もむしろこれから解決していかなければならぬ、いろいろ考えると、歳出は減るどころか、むしろこれはふえる。当然これは税で負担せにゃならぬ。一方において、税は重いものだということを観念的に持ってしまいますと、これは、その面から日本の予算のワクというものは縛られてくる。そこで、税が重いのか軽いのか、あるいはこの程度でいいのかということは、ある程度明確にしておかにゃいかぬと思うので、そこで、この調査会でお述べなすった日本の税は重いというのは、一体何を根拠にして言われるのか、少くとも学識経験者が言われるのでありますから、その根拠を一つ明らかにしていただきたいと思います。
 それで、私の調べた範囲では、税が重いか軽いかは、一応国税、地方税、いわゆる税全般の総額と国民総所得の額との比率、これを比較してみるのが一番穏当でないか、こういうように考えて、いろいろ比較検討してみますと、大体日本は、地方税、国税含めて、国民所得の一九%そこそこでありますか、これを、戦前と比べれば幾分重いように見えますが、戦前においては、特に戦争中は、赤字公債をずいぶん出しましたから、これはあまり比較にはならない。戦後において赤字公債を出さなくなってからは、だんだん負担割合が低くなっております。また一方、世界的に各国の比率を見ると、御承知のイギリスでは、この比率が三〇%、西ドイツは二八%ですか、アメリカにおいても二七%ですか、日本の負担割合というものは、これに近いものはイタリアくらいのもので、先進国において、特に社会保障の進んだ国においても、日本よりははるかに税負担の割合が多い。また私に言わすならば、日本の税制度というものは、あるいは重いところには重いかもしれぬが、先進国と比べて、めっぽうもない乱脈なところもある。ただいまのように、利子所得とか、あるいは株式の配当所得とか、いわゆる資産所得に対しての課税は、日本は非常に軽い。また物品税などにおいても、一部重いが、外国の取引高税その他と比較して、やはり間接税は軽い。一方において、酒税なんかは重いですけれども、全体からして数字にちゃんと現われておるというふうに思うので、一がいに税は重いのだということを言うべきものではない。これを言うということは、今後の施策に非常に私は響くと思う。ですから、それをしもなお税が重いというのならば、どういう根拠によって税が重いと言われるか、お尋ねしてみたいと思う。
○井藤参考人 税金が一体重いか軽いかというはかり方でございますが、これはまた失礼なことを申しまして、釈迦に説法的なことを申しますが、まあ体温計のようなものがありまして、三十七度までは常態で、三十七度をこえると常態でないということは一応言えましょう。実はこれにつきまして、私自身も大げさに言うと、二十年ほど前から絶えず論文を書いたり、いろいろ調査をやったりしております。それで今、奧村さんのおっしゃったように、租税を――もちろん国税、地方税を入れてでありますが、租税を国民所得で割って、そうして日本は一九%ですか、四捨五入して二〇%、英国はどうかと比較することは、これは、一つの大きな目安になる指標だと思います。こういう席でたとえを言うことは、失礼でありますけれども、井藤がきょう健康であるかどうかということは、井藤の顔色とか脈搏ではかられるということは、一応は言えますね。井藤が青い顔をしてひょろひょろになっておると不健康だけれども、あいつ頭は白く、ロマンス・グレーになったかしらぬけれども、とにかくまだ大きな声が出るのだから、まだ健康だ、そういう意味のことは目安になると思うのであります。しかしながら、果して井藤が完全な意味の健康かどうかといった場合に、腹を断ち割ってみたら、胃ガンができかけておるかもしれません。心電図ではかってみれば、心臓が悪いのかもわかりませんが、しかし、そんなことをやってはあとから組み立てることも大へんでありますので、そういうことはやっておりません。ここで私が申し上げたいことは、租税を国民所得で割って、外国と比較したり、日本の過去と比較をしたりすることは、私は重要な一つの目標だと思いますけれども、しかし、それ以外に考慮すべきいろいろの事情があることは、これは申すまでもなく御存じの通りだと思います。そこで、実は日々ばかの一つ覚えのように、税金の負担はどうしてはかるかなんということをよく方々で講演するのです。しかし、それを全部言うことは、皆さんに対して失礼でありますので、私、項目だけ申します。租税を国民所得で割るということは、いわば国民所得が経済力を表わすもの、それから租税というものは税金の負担、そこでそれをはかるということは、一つの指標になりますけれども、まず第一に外国と比較したり、過去と比較したりする場合に、租税とは何ぞやという場合に、租税の概念が必ずしも一致しておりません。たとえば社会保険の保険料なんかは、アメリカやその他の国では、ソーシャル・セキュリティーズ・タックスとかペイロール・タックスとして、税金の形でとっておりますが、御案内の通り、日本では、国民健康保険税を市町村税としてとっておるところがあるくらいでありまして、社会保険料、たとえば私が文部省の共済組合に入っておりますが、この共済組合の掛金は、毎月の月給から源泉徴収をやられておりますけれども、これは、税金として計算されておりません。そこで、大蔵省の主税局の発表する数字を見ますと、そういう点は考慮されまして、アメリカの税金の負担の中には、ソーシャル・セキュリティーズ・タックスは控除してあります。これは入れてはおりません。ところが、それ以外に税金に準ずるものが非常にたくさんあるのであります。たとえば、これは申すまでもないことでありますが、専売益金は税金に準ずるものとして入っております。ところが、それ以外に二、三申しますと、たとえば日本銀行の納付金、これは、日本銀行が政府に払う税金と同じことでありまして、日本銀行の寄付金ではありません。これは、多いときには百億、ことしもたしか六十億でございましたか、計数をちょっと忘れましたが、数十億といえば問違いないのであります。それもございますし、それからまた専売益金が、やはり強制収入であるという点から申しますと、税金と同じことでございますけれども、それでは、それ以外に鉄道の運賃の純益はどうか。まさか、それの運賃を負けてくれというわけにいきませんので、窓口で払います。そういうふうにいろいろ広げていきますと、それからまた供出があります。今は供出は少くなりましたが、農民の供出。戦争中工業家もマル公で物を売りましたが、市場値段とマル公の値段との差額は、業者が払う強制負担でありまして、これも税金と同じような意味を持っております。そこで、税金とは何ぞやという概念が、時を異にし、同じ国でも時代によって違いますし、それから国際間で非常に違うのであります。それが分子の場合。
 それから分母の国民所得でありますが、国民所得の計算方法にも、種々雑多なものがあるということは御存じの通りだと思います。そこで、大蔵省なんかの統計を見ますと、この点は、何とかして統一したいと努力しておられるようでありますが、これを統一するのはなかなかむずかしいのであります。そこで、私一つ実例を申しますと、昭和十九年でございましたが、租税ということもいろいろな意味に解釈できます。租税ということを一番狭く解釈した場合は、税金という名前のついておるものだけであって、専売益金は税金でないともいえます。それからもっと広い意味に解釈すると、専売益金はもちろんのこと、日本銀行納付金も入れる。それから鉄道の利益も入れる、そういうふうに強制収入はすべて税金ともとれます。昭和十九年の日本の予算につきまして、私は税金という解釈を広狭種々さまざまの解釈で計算いたしました。それからまた分母につきましても、国民所得の場合に、振替所得を入れるか入れないかとか、その他いろいろの計算方法がありますので、分母についてもいろいろの国民所得の計数が、昭和十九年についても出たのであります。そこで割算いたしますと、どういう結果になるかというと、いろいろの計数が出まして、租税を国民所得で割った一番少いパーセンテージはどうすればいいかというと、申すまでもなく、国民所得の一番大きな数字を持ってきて、税金の一番小さい数字を持ってくればよろしゅうございます。これは幾らだったかというと、私の当時の計算では一八%です。それで、今度はまた一番重い場合はどうするかというと、申すまでもなく、税金という概念を広くして、国民所得に一番小さい数字を持ってくればよろしい。それは幾らだったかというと、たしか三二%でございます。一八%に対する三二%、それだけの開きが出るのです。それで、一%や二%の開きが出るのだったら何でございますが、一八%から三二%という開きが出て、その中間の数字はお好みに応じてどんな数字でもというと言い過ぎでありますが、いろいろの数字が出てくるのでございまして、この比較をするには、私、これは実は昭和十九年九月の大蔵省財務協会発行するところの財政という雑誌に出しました。それから私の書物の財政学研究、これは昭和二十四年に出ましたが、それの租税負担の国際比較とか、租税負担の測定法というところにも同じものを転載いたしましたが、その通りに違うということが一つであります。そこで、今この外国との比較、また過去との比較におきまして、こういう点は必ずしも考慮されておらない。またそれを考慮するということは、非常にむずかしいのであります。たとえば一例を申しますと、インフレーションによる国民負担はどうするかというようなことをいいます。それからまた、ドイツの社会民主党などがよく言ったことでありますが、保護関税をかけることによって、米の値段なら米の値段が高くなるという場合に、保護関税の収入だけが国民負担かというと、そうじゃなくて、内地で使うもので外国から輸入したものは、全部そのものに関する税金負担は輸入関税の税金の金高だけをいいますけれども、しかし輸入関税をかけるために、内地で作られたものもまた上ります。これも税金じゃないかというようなことを、ドイツの社会民主党が言ったりしておりまして、税金とは何ぞやということは、やすいようで非常にむずかしい。国民所得の計算についてもいろいろ問題があるということは、皆さん御案内の通りであります。これが一番であります。
 二番に考慮すべきことは、租税の国民所得に対する割合という場合に、これはいわば平均をとったものでございまして、税制の内容については、問題にしないのであります。たとえば日本国民が大衆課税をやっている場合の二〇%と、それから金持ちに重く、貧乏は免税にした場合の二〇%と、この場合やはり言うまでもなく、国民に対する負担の影響は違うということは言い得るのであります。これが二番目でございます。
 それから三番目は、国の経済力を表わすものといたしまして、国民所得だけをとっております。これは大体いいのでありますが、国の経済力が――個人の経済力も同様でありますが、所得のほかに、過去から蓄積された財産がございます。申すまでもなくこの財産につきましては、御案内の通り日本におきましては昭和五年末、昭和十年末、昭和三十年十二月末の精密な計算があるだけでありまして、これは割合に考慮されておらない。従って国民所得が少くも、過去の蓄積の多い場合は、経済力が大きい。それから逆の場合は逆だということが言えるのじゃないかと思います。これが三番であります。
 四番に、今度国家の金の使い方、税金が重くとも、さっきおっしゃいましたように、社会保障とか、その他の形で国民の民生安定や経済の発展のために使う金が多いか少いか、これも、やはり税金は重くとも返ってくるのが多ければけっこうでございますので、その点も、私は問題になろうと思います。
 それからその次に、これは数字でいえることでありますが、アメリカが二八%、去年の日本は二一%と申しましても、金持ちの二八%と、日本のような貧乏な人の多い場合の二一%とどちらが重いかといえば、言うまでもなく、日本の二一%がアメリカの二八%よりも重い。それで、一人当りの国民所得を円に換算して申しますと、ことしは日本は九万二千円であります。それから去年は九万一千円であります。これに対して去年のアメリカは幾らかというと、七十五万円でありまして、八倍、九倍であります。八倍、九倍の金持ちが二八%で、それの八分の一か七分の一の連中の日本が二一%、これはどちらが重いかといった場合に、精密に幾らという計算はできませんけれども、日本の方が重いということは、私は異論がないのじゃないかと考えるのであります。それが五番であります。
 それから今度は、国民所得といいましても、所得の内容が問題なのであります。たとえば同じ百万円なら百万円の所得といっても、労働所得と財産所得でございますと、おっしゃいました通りに、財産所得の方が負担能力が多いのであります。ところが昭和十年ごろと現在の日本と、所得の内容の構成を見ますと、御案内の通り、勤労所得並びにそれに準ずる要素の多い個人事業所得のパーセンテージが非常に大きくて、法人所得はあまり変りません。一両年前までは法人所得が多かったのでありますが、法人所得は、昭和十年ごろと変らなくなりました。そのかわりに財産所得――個人の地代等でありますが、財産所得のパーセンテージが非常にこのごろは少くなって、勤労所得のパーセンテージがふえておるのであります。この点は、やはり過去の日本と比較した場合に、同じ金額であっても、平均の金額が同じでありましても、日本の現在の方が負担能力が少いのじゃないかと思います。
 それから、今のは所得の内容でありますが、今度は所得の使い方です。支出の方で見ましても、エンゲル係数というものは当てになってならぬものでありますが、ある程度当てになるのであります。昭和十年ごろの日本のエンゲル係数は三四%、最近のエンゲル係数は、皆さん御存じの通り、四四%余りであります。従って、私よくこの公聴会などで、ばかの一つ覚えのように――ばかの一つ覚えなるがゆえに、絶えず言っておりますことは、国民所得がらエンゲル係数を基礎として食費を引きます。食費というものをもってかりに最小生活費を表わすものと仮定いたしまして、食費を引いた残り、これが負担能力の最大限を示すもの――これを分母に置いて、それから分子にこの税金を置く、この方が、租税を国民所得で割るよりも真相に近い数字じゃないかというので、その計算を私絶えずやっております。それをやりますと、昭和十一年は幾らだったかというと一九%です。租税の国民所得に対する割合で申しますと、昭和九年から十一年までの平均は一三%に対して、現在は二〇%でありますが、今私が言ったようなより正確な計算をいたしますと、昭和十一年は一九%であり、最近は大体三五%になっておるのであります。従って、その私の簡単な計数で申しましても、現在は重いのじゃないかということが言えるのじゃないかと考えております。その他いろいろございまして、これらいろいろな計数を総合して、何か一つの数字に出す、これが一番望ましいことでありますが、これは遺憾ながら、われわれ学校の教員の勉強も足らないのでございますけれども、おっしゃいましたように租税を国民所得で割るとか、私が申しましたように、国民所得ということをもう少し改造いたしまして、国民所得から最小生活費を引いたものをもって負担能力の最大限として割るとか、せいぜいその程度しか進んでおりません。ただドイツのハイヘンという人が、一九二一年に、この前の第一次世界大戦の直後に、ベルリーナ・ターゲブラットというドイツの新聞に、こういう計算を出したのです。それはどういう計算かと申しますと、一人当りの国民所得がふえれば、負担能力が大きい。先ほど申しましたように、金持ちの一〇%は貧乏な人の五%よりも負担が軽い。そこで、ドイツと英国とフランスとイタリアと、四カ国の国民所得の負担の割合の比較計算をやる場合に、今申しました一人当りの国民所得が、たとえばこれはいいがげんな数字をいうのでございますが、ドイツが一に対して英国が二とすると、このハイヘンの計算は、ドイツの一〇%と英国の二〇%とが負担がひとしい、こういうことをいうのです。おわかりでございますか。こういう計算ですね。これは、ちょっと考えるともっともらしいのでありまして、それから日本でも、元大蔵省におられた方で、現在国会議員になっておられる某氏がそういう計算をされたこともあるのでありますが、これはちょっとよくないのです。どこがよくないかというと、かりに現在日本が二〇%ですね。それからアメリカは八倍だといたしますと、日本の三〇%にひとしいアメリカの負担は幾らかというと、一六○%になるのであります。これは、あの世へ行ってえんま様に六〇%取ってもらわなければならないような重い税金でございまして、やはりどこかに無理があるということになります。これは、どういうことかと申しますと、所得の一人当り高に比例して負担能力が高まるという前提自体が間違いでありまして、高まることは高まるけれども、もう少しのろい程度で高まるのじゃないか、そのくらいの程度でありまして、私も当然だと思いますが、重いか軽いかということは、今言ったようなことを総合してきめなくてはいけない。せいぜい今私が言ったような程度しか計数で現われておらぬということを申し上げたいのであります。大体その通りであります。少し講義を申しまして、失礼でございました。
○横山委員 まことに高遠な理想の御見解をいただきまして、ありがとうございました。私は、われわれ政治家が庶民に接して通俗的に単純に考える、またそのことが、案外庶民として正鵠をうがっておるのではないかと思うのです。今の高い安いという問題ですが、真実は高い人もあり安い人もあるということ、つまり不公平な点があって、比較的安いと思っておる人と、それから高いという感じを持っておる人とあるというふうに思われる。全部が安い、全部が高いという議論にはやはり問題があるのではなかろうかと思うのであります。私の第一の質問は、今までの答申の中にも、あとで御質問をいたしますけれども、この答申を通じて、また先生が今日までやってこられたことを通じて、今後どちらを向いたらいいのかということを少し御見解を承わりたいと思うわけであります。第一は、重い重くないという議論に関連をいたしますけれども、今現実的な議論として、私は社会党として重いという気持を持つのですけれども、現実的な議論としては、やはり不公平をもっとただせば、高いように見えても納得がいくのではないか、そこが今やはり中心ではなかろうか、これが私の考え方の第一でございまして、それを先生に、今後の問題点の第一としてお伺いしたい。
○井藤参考人 私税制だけを――税制と申しましても、先申し上げましたように、国の金の使い方、経費との関連がありまして、抽象して問題にする場合は少し無理がございますが、かりに税制だけを抽象して問題といたしました場合に、二つの点が問題になる、あるいは二つの角度から問題にすべきだ、一つは、税金の総額が国の経済力やその他の立場から見て当を得たものであるかどうかこれが一つの問題。それからもう一つの問題は、総額が外国に比べて軽いとか、過去に比べて重くないとかということがかりにきまったといたしましても、それが国民間への配分が、割当が、別の言葉でいうならば、租税制度の内容が当を得たものであるかどうか。前の方が数量の問題といたしますならば、あとの点は質の問題でありますが、私は、両方をあわせて検討すべき問題でないかと考ております。それで、先ほど申しました先ほどの奥村さんの御質問に対する私の答えは、総額が国の経済力その他から見て当を得たものかどうか、これについて申し上げたのでございますが、そのとき、たしか第二点か三点の中に、こういうことを私申し上げたと思います。それは総額が、たとえば国民所得二〇%なら二〇%でかりに重くないとか重いとかいたしましても、その割り当て方がどうか。さっき大衆課税が重いとか、あるいは金持ちが多く負担しておるかというような内容によって、総額が同じであっても、内容によって国民に及ばす影響や経済に及ぼす影響は違う。私は、両方相待ってこの研究をすべきものじゃないかと考えております。それから、もちろん両方相待ってというと、それは税金だけでありますが、税金だけではいけないので、先ほど申しましたように、税金というものは予算の一面でございますので、経費の内容との比較研究、これによってやる必要があるのじゃないかと考えております。それで、どうも今の御質問に対する答えとしては、まだちょっと足らないのじゃないかと思いますが、まず一般論といたしまして、総額が問題となる、あるいは国民一人当り平均でも同じことでございますね。総額の一人当りの平均数量が問題になると同時に、内容が問題になる。それで、私は、両方によって検討しなければならぬじゃないかと思います。それでございますので、総額をかりに問題としたあとで、たとえば都会と農村の負担とか、あるいは大所得者と中所得者と小所得者の間の負担の均衡とか、法人と個人の負担の均衡とか、その他いろいろ負担の均衡ということが問題になってくる。これは、当然検討すべきことではないかと思っております。むしろ税制という点から申しますと、租税の内容の負担の均衡という点に問題があるのじゃないかと思います。ということは、数量は、国の政治活動全体を現わすところの予算全体に関連いたしますので、税金だけの問題となりますと、大体金額が、たとえば一兆円なら一兆円というものを与えられたものとして認めて、これを人民に割当てる場合に、どう人民が分担すれば最も合理的であって、最も社会的に見て犠牲が少いか、これをやるところに、狭い意味の税金でございますが、その中心問題があるのではなかろうかと思います。
○横山委員 おっしゃるように、実は国民の中には、総額として重いという感じと、それから他に比べて非常に重いという感じと、両方働いておる。それから全体的に言っては、重い階層と軽い階層とある。私はそちらの方をより重視するわけです。今国の財政というものが非常に問題があって、そう一ぺんに減税ができないとするならば、納得と合理的な税制というものが必要である。従って、今中心を置くべき問題は、先生は先ほども、おれもその見解だけれども、当面やむを得ないのだ、こうおっしゃったのですが、根本的なものの考え方、今日の税制に対するものの考え方というものは、より不公平を公平の方向へ徹底をするということが第一の課題ではないか、これが私がお伺いした第一の点です。
 今度はその具体的な問題でございます。原さん、お帰りですか。
○原(純)政府委員 恐縮ですけれども、参議院に参らなければなりませんので……。
○横山委員 原さんに帰られては困る。ちょっと待って下さい。入場税の問題でございますね。この入場税の問題を、先生の意見を聞きますと――参議院は継続審議に付するに当り、政府に対して次の二点の意見を求めた、第一は云々、第二は云々と書いてある。私はこの間もこの席上で原さんに、衆議院が議決したことを政府が勝手にいい悪いということを調査会に意見を求めたのはけしからぬと言ったのですが、原さんは参議院に頼まれたのですよ、こういうお話でした。私も知らなかったものですから、参議院の意見を聞いてみたら、委員の質問の中で、たった一人の人がどうだという話をしたそうです。それを原さんは、参議院の院議として了解をして、そうして、どうも先生の方に持っていったらしいように私は聞きました。これは、きわめて行き違いや食い違いが一ぱいありまして、私ども衆議院としては、私どもの判断をもちまして、これが当面正しいものであるとして、院議をもって満場一致きめたことなんです。それが、あちらこちら回って、先生のところに御厄介になって、しかも中には増税をする、私は、そういう点については、政府のやり方もけしからぬと思う。いかにも参議院のあれだというふうに言うのはけしからぬし、それから先生の方も、頼まれたことはしょうがないにしても、これは、少し衆議院の院議というものがきまったということを――常識豊なる諸先生方のことでありますから、発案者である衆議院の意見もお聞きになってしかるべきではなかったろうか。私はそういう仁義というものは、国会の権威というものを――私ども何もいばるわけではないが、いろいろ与党、野党相談してきめたところの発案の意見というものが、まことに客観的に議論をせられるということは、これは、国会としてもいささか遺憾の点があるということを申し上げておきたいと思います。その点について、原さん、何か言い残しがありましたら……。
○原(純)政府委員 単純な質疑応答の間で、ちょっとそういう話が出たというようなものではないのでございます。昨年の五月十八日だったと記憶しますが、国会がいよいよしまいになり、いろいろな法案の処置をめぐって深夜まで審議が続けられた。その五月十八日の晩の十時か十一時、あるいははもっと過ぎておったかと思いますが、私はほかのなにで奔走いたしておりました後、ただいまお話の入場税の法案が継続審議になるところで、政府委員に出てこいというお話で、おっとり刀でかけつけたわけでございます。それがちょうど継続審議になるまぎわのことで、そのときの議事というのは、これは非常に大事な議事だと思います。私が実は間に合いまして、ほんの一分かそこらで継続審議がきまったのですが、その間に、私が入ったときに、私に提起された質問がこれだったわけです。この法案については、趣旨はみんな非常に同感なんだけれども、技術的に、あるいは他の演劇との関係においても問題があるということから、これらについて政府は十分検討して、政府としてどうしたならばいいかというような考えを申し出る気はあるかということをお尋ねがあった。これは、あの段階で皆さんがずっとそろっておって、しかも継続審議にするという段階に、そういうことを聞かれたのでありますから、私としては、まわりの方は、そのあとすぐそれではこれで継続審議に付しましょうという決定になったのですから、継続審議されるについて、非常に大事な措置を政府に託されたというふうに思いました。実は、それは少し思い過ぎがあって、政府提案でもしろというまでのプレッシャーというか、インパクトで私は聞いたのです。それは間違いだということで、政府の意見だけ申し上げるということににいたしておりますが、決して軽い通常の間の質疑のあれではなかったので、そういう意味でありますから、もし国会がそういうことを聞く意思はないと言われれば別ですけれども、私は誠心誠意な気持で、当時の議事を私なりに消化してやっておることでございますから、その辺は十分御了承を願いたいと思います。
○横山委員 しかし、それは、たとえば一院が全然関係のない問題でそういう事態が起ったならば、そうは言いませんよ。しかし、衆議院が満場一致きめたそのものが、いいか悪いかという結果になるわけですから、その点は、もう少し原さんも慎重でなければならないと私は思います。しかも、あなたの言うところの緊迫した条件にあったとしても、それは議決されて言われておるわけではない。一人がそういう緊迫した中で意見を述べたにしても、その意見によって政府が行動をし、調査会がそれによって責任を負うというふうなことにはなりません。従って、もし原さんがそういう事態にあったならば、それはあなたの意見ですか、参議院としての意見と承わってよろしいかというふうに、当然私は念を押すべき問題だと思います。今後ともこのようなことはあり得る問題でありまして、これは、もう明らかに政府として行き過ぎの点である。腹に思っておるから、そういう行動に現われるのである。そういう考え方を胸に秘めて議院の決議を取り扱ってはならぬ。これは、かたくしかりおきます。
 それで、先生にお伺いをいたしますが、この入場税に関連をいたしますけれども、ここの答申にございますように、純音楽が今まで軽減税率を用いられておったけれども、これがどうもはっきりせぬ。そこにまた今度純演劇について配意を用いるのはいかがかと思うというようにおっしゃっていますけれども、実際問題として純音楽についてトラブルが起っておる、大なる支障が起っておるということは私は聞いておらぬのです。衆議院における院議におきましても、純演劇という扱い方について、格別な重大なる支障はないと私どもは判断したわけです。この答申によりますと、とにかく演劇関係、音楽関係十ぱ一からげという感じがしてならぬのです。純粋な芸術的なものも、全く大衆的な、あるいは少したちの悪いようなものも、金額によって十ぱ一からげになさることは、インテリの皆さんがお集まりになっていていささかどうかと思うのでありますが、この点、いかがですか。
○井藤参考人 入場税の問題ですが、私は衆議院、参議院の方を委員会に呼びつけて参考意見を聞いたりすることは、むしろ失礼だと思ってやめておるのでありまして、必要なときは、こういうふうにお呼びになると、私はいつも参っておるのでありますから、むしろ衆議院や参議院に敬意を表したために、ああいう委員会にお招きしなかったのだということを申し上げておきます。
 それからもう一つ、今度は中身の問題に入りますが、こういうことじゃないかと思います。今度のことは参議院の諮問であったかどうか、今問題になりましたが、われわれは参議院の諮問があったものとしてお答えした中に、多分二つの点を問題にされているのではないかと思うのであります。それは、音楽といっても、いろいろ内容は違うのじゃないか、それを十ぱ一からげに同じ扱いをするのはよくない。それから演劇についても同様じゃないかということが一つ、それからもう一つ、これもはっきりしたことはおっしゃいませんでしたが、あるいはこれも御質問の中に含んでおるのじゃないかと思いますが、われわれの答申の中に、音楽と演劇を同一扱いいたしまして、たしか入場料三百円ですか、三百円をこえる部分に対して、従来よりも税率が高くなりましたですね。その点がよくない、こうおっしゃるのじゃないかと思います。この二点じゃないかと思いますが、そこで前の点でございますが、一体演劇といっても、ほんとうの芸術的価値の高いものもあれば、いいかげんなものもあるということは、皆さん御承知の通りでございまして、この純演劇とは何ぞや、純音楽とは何ぞやということにつきましては、委員会におきましても非常に苦労いたしまして、それにつきまして、この税制特別調査会の答申の付録かどこかに出ておりますが、公聴会を開きまして、映画の専門家、芸術の専門家二、三の方を委員会にお招きいたしまして、純演劇とは何ぞやということについて、いろいろ御意見も聞き、それから委員諸君とそういう芸術家との間で、意見の交換をやったのでありますが、極端な場合はわかるのです。ストリップ・ショーと何とかというのは、これはもう一方がいいかげんなものであって、一方は芸術だ、こういうことは一応言えるのでありますが、どこに線を引くかということが、事実問題といたしまして非常にむずかしかったのであります。そこで、この答申におきましては、純演劇、純音楽も同様でありますが、その場合に、だれが見てもどうかと思われるような芸術性の少いものについては、こういう取扱いをしないが、そうでないものについては、やはり同じ扱いをせざるを得ない、これは、いわば租税テクニック上の立場から申しまして不便だろうというので、一般の演劇、それから一般の音楽としてよほどひどいものというか、はっきりしたもの、芸術性の少いものはそれから省くという立場をとったのであります。それで、音楽とは何ぞや、演劇とは何ぞや、それからその芸術性の高いもの低いもの、この問題を検討いたしましたが、どうもうまい結論が出ないために、そういうふうになったのであります。
 それから次の問題は、今度純演劇についてたしか三段の税率――たしか三段だったと思いますが、三段の一種の累進税のようなものがかかりまして、それを演劇だけにとどめておくのだったらまだましだが、従来からあるところの音楽までもそれに均霑――均霑かどうか知りませんが、音楽だけを税率を上げるのはよくないじゃないか、こういう御趣旨だろうと思いますが、これは、私はこうだと考えております。音楽と演劇とは、税金を取り扱う上においては同一扱いする――極端な場合は別でございますが、同一扱いするのが妥当じゃないかと考えております。そういう場合に、演劇について、たとえば三百円をこえる部分について三割の税率をきめるというならば、それと同じ性質を持っております音楽についても増税になるのは、やむを得ないのじゃないかと考えておるのであります。ということは、三百円をこえる場合は、演劇であろうと音楽であろうと、三百円なら大したものじゃありませんけれども、とにかく下よりは相当負担能力があるとわれわれは考えまして、そこでこの点は増税になったのであります。先ほど申しましたように、現在日本の税金が、全体として平均いたしまして重いということは認めるのでございますけれども、それを整理する場合に、ある部分が増税になるのも、相当根拠があればやむを得ないじゃないかと考えております。そういう意味で、入場税につきまして、音楽と演劇とを同じ扱いにしたということは、私は妥当な措置だったのじゃないかと考えております。
○横山委員 先生のお話は、少し音楽なり演劇の実体論に触れていらっしゃらない。こちらを下げると、均衡上向うを上げるのはやむを得ないのじゃないかという御意見のようですが、上げられる人々、階層、経営等の実体論に触れておられないうらみが多分にあると思うのであります。この点につきましては、もうすでに衆議院、参議院の方にもいろいろな陳情なり話がございますが、少くとも先ほどからいろいろおっしゃっておられる負担能力という点から考えますときには、単なる減税への均衡論で議論をせられたのは、私は遺憾なことだというふうに考えております。時間がありませんから、私の先ほどの本論に返って、最後の結論的な質問に移りたいと思います。私の質問は、今までの答申に出たことは、先ほど奥村委員からも質問が出ましたから、これからの問題として、会長として十分な意見が述べられなければ、長年税制をやっておられた井藤さん個人として、これからの税制はいかにあるべきかということを、少し具体的にお伺いしたいと思うのであります。
 第一の質問は、先ほど議論が済みました公平の徹底ということであるという意見かと拝聴いたしました。それから第二番目の点として、重点は今後何にいくべきかという点であります。たとえば直接税、間接税と考えて、何に重点が置かれていくか。それから第三番目は、この答申の中にも議論をされて、機会さえあれば所得税をやるとおっしゃっておられるのだけれども、この所得税は、しからばどういう方向に重心が置かるべきかという点が私の質問です。それからその次には、間接税であります。間接税については、あなたの答申の中では、入場税は別として、あとは全部これから研究しましょうということでした。その中で、特に政府はお酒の税金だけ取り上げたわけです。この点は、答申から少しおかしなことになっていますけれども、答申の立場として、間接税のなにをどういうふうにしたいという考え方があり、先生としてもどういうふうになさろうとしておるかという諸税の問題について、具体的に御意見を一つお伺いしたいと思います。時間が実はあまりございませんので、できましたらば、簡明にお伺いをいたしたいと思います。
○井藤参考人 実はこれは大問題でございまして、時間がないとおっしゃっておられますが、何時までおやりになるのでございますか。それによって――実はこれは大問題で、大へんなことなんですが。
○足鹿委員長 三時半ごろまでに切り上げたいと思います。
○井藤参考人 今の御質問は、税制全体に関する問題でございますが、実は日本の税制というものは、どうもやりにくい。理屈でうまくやりにくいような社会経済情勢がございまして、計数を申しますと、これは皆さんも御存じのことでございまして、少し恐縮でございますが、私どもが次に言わんとするところの根拠になっているものの一つの資料でございますので、早い言葉で申しますと、戦争前、日華事変前の昭和九年ないし昭和十一ごろと現在と比べますと、第一次世界大戦当時は、日本の資本主義が起りつつあったために、戦争前と戦争後と比べますと、富の分配関係が非常に不平等になりまして、金持ちはたくさんでき、それから貧乏な人がたくさんふえた。ところが今度の世界大戦の結果はどうかと申しますと、これも皆さん御案内のことでございます。富の分配関係が平等に近くなった。みんな金持ちの方に平等になったのならよろしゅうございますけれども、私がいつも言うのですが、国民皆貧です。みな貧乏で、戦争中は国民皆兵、国民皆兵といったのが、戦後は国民皆貧だ、私はこう言っておるのでありますが、そういうふうに、貧乏な方に平等になりましたということ――これは最近だいぶまた富の分配関係は不平等になっておりますが、まだ国民皆貧といいますか、平等に近い状態ということは直っておりません。それが直るのがいいのか悪いのかは問題がございますが、とにかくそこでこういう計数を――実は私、こういうことは絶えず計算しておるのでありますが、現在の日本の所得税のかかる所得を階層別にいたしまして、たとえば五十万円から三十万円のものが幾らだとか、五十万円から百万円は幾ら、百万円から二百万円は幾ら、二百万円から三百万円は幾ら、それについて計算いたしますと、現在日本では、所得税の対象となる所得のうち、百万円以下の所得は全体の何割を占めておるかというと、八九%であります。それで残りの一一%が百万円をこえておる部分であります。私は、百万円というのは大した金目と思っておりません。井藤といえども百万円を突破しておりますので、井藤はえらい方の一一%に入っております。えらい方かえらくないか知りませんが、とにかく金持ちの方に入っております。それはどうでもいいといたしまして、とにかく百万円以下の階層が所得の金額で八九%であります。ところが昭和九年ないし十一年の平均はどうかと申しますと、昭和九年ないし十一年の所得を現在の貨幣価値に換算いたしますとどうなりますかというと、百万円以下は全体の三七%です。それだからして、百万円をこえた部分が全体の六三%、現在ではどうかというと、全体の一割くらいしか百万円はこえておらぬというような変な状態である。それはどういうことかと申しますと、国民皆貧といいますか、下の方へみんな平等に近くなったということ。それから給与所得者、それから申告納税者につきまして、これは、百万円でなくて五十万円について計算したのでありますが、五十万円以下のものはどうかと申しますと、給与所得者について申しますと、五十万円以下の給与所得者は全体の八四%であります。それから給与所得金額、課税の対象となる給与所得金額の六七%が五十万円以下であります。それから申告納税者について申しますと、五十万円以下の者が、人数からいいますと全体の七八%であり、それから課税の対象となる所得金額からいうと、全体の五五%であります。こういうふうな計数でおわかりだと思いますが、五十万円に至っては、これはもうだれが見ても大衆でありまして、大した金持ちとはもちろんいえませんが、要するに簡単に申しますと、現在の日本の所得税というようなものは、どうしても五十万円以下の人が負担している。そこでよく言われる議論は――私は、その議論は一般論として正しいと思うのでありますが、累進税の税率の上の方をうんと重くして、下の方を軽くしたらどうかという説がよくいわれているのでありまして、私は、これは一般論としてもちろん大賛成でございますが、今申しましたような簡単な計数で判断いたしましても、現在日本では、それを言うべくして行うことが非常に困難なような状態になっているのではないかと考えております。それで、所得税というものは累進税がかかっておって、金持ちが負担するんだと申しますけれども、現在の日本におきましては、所得税におきましても、大衆課税の色彩がきわめて濃厚だと考えております。そこで、今言ったことが唯一の根拠でございませんが、それなどを一つの資料としてその他のことを考えて判断いたしますと、将来の日本の税制改革の方向は、大きな柱として、私は何といっても所得、ことに低額所得の所得税はまだまだ減税すべきものだと考えております。
 それから間接税でありますが、これは私個人の意見でございまして、どうかそのつもりでお聞きを願いたいのでありますが、間接税を増徴せよという意見はかなり強い。間接税というのも――現在日本のように所得税が大衆課税が多い場合に、この大衆課税をなくするには、二つのやり方しかありません。一つは国家の経費を減らすか、あるいは経費が同じとすれば、それをどこかよそへ持っていかなくちゃならぬ。よそへ持っていくということになれば、間接税になるのでありますが、私は一番いい案は――これも言うべくして行うことの困難な問題でありますが、現在の日本におきまして、やはり一般論といたしまして、国の――地方団体も同様でありますが、経費を節減して、その節減した経費を財源として、自然増収ももちろん入ってきますが、自然増収も財源として直接税、ことに低額所得者の所得税について減税するということが第一にやるべきことじゃないかと考えております。
 それから間接税の増徴の問題でございますが、一がいに私は間接税はよくない、直接税はいいとも言い切れないのでございまして、間接税でも、奢侈性の大なるものに対する間接税は増徴して差しつかえないことは、増徴すべきであるということは、これまた皆さん御承認下さることだと思っております。そこで私は、間接税を増徴する場合に――これは私一個の意見でございますが、どういうふうな建前をとればいいかと申しますと、私ども考えておりますことは、やはり奢侈性の大なる間接税はできるだけ増徴していいと考えております。そこで、今日本で間接税の問題で一番大きな問題になるのは、取引高税の問題であります。取引高税は、皆さんも御案内のごとく、何といっても取りよいのであります。そこで、私個人としては、取引高税については反対しております。それは、この取引高税を、昭和二十三年から四年にかけて日本でかかったようなかけ方をいたしますと、たとえば取引高に対して一%の取引高税がかかったことは、皆さん御承知の通りでありますが、あれと同じようなかけ方をいたしますと、今から一年ほど前に、二千億の税収が上るといわれておりました。現在はもっと上るんじゃないかと思いますが、二千数百億の税収が上る。それで、取引高税は新たな税源で、世界で申しますと、おもな文明国は大体みな取引高税、それに準ずるものをやっておりますが、わが日本ではかかっておりませんが、私はかける必要はない。と申しますのは、取引高税というものは、あらゆるものに対して無差別にかかるのでありまして、これこそ大衆課税の色彩が強いということ、それから現在日本において、二千億の新たな財源が出てくるとなれば、私は、政府をして乱費を助長せしめる。これは、失言だったら取り消しますけれども、(笑声)政府をして乱費を助長せしめる危険もだいぶ多いのじゃないかと考えておりますし、それから二千数百億の増徴をやるなどということは、これは物価の全面的騰貴になりますので、私は、そういう意味でここ数年来取引高税については――これは井藤個人であります、税制特別調査会なんかではいろいろな意見がありますけれども、私は、取引高税については反対しておるのであります。私は、やはり奢侈性の大きな間接税は、増徴する必要があるのじゃないか。まあこの辺で、あんまり簡単過ぎたらさらに御質問願うとして、一般方針としてはそういうふうに考えております。
○横山委員 いろいろまだお伺いしたいのですけれども、あとの都合がありますから、この際政務次官に一つお伺いしておきたいと思います。それといいますのは、先ほど奥村委員からも、税制特別調査会に対する政府のあり方についてなかなか意見がありました。また私がこれを拝見いたしましても、この答申に際して、一番最初には相続税、その次に国会でやかましく言ったために、今度は間接税の諮問、その次に、年末になって減税をやるかやらぬかという話になった、その他当面税制についてどのような改正を行うべきかという、追っかけた去年の諮問でありました。そのために、率直に申し上げるならば、奥村委員も私も言うのですけれども、今度の答申というものは、大所高所から少しはずれておるような気がしてならぬのであります。ことに減税貯蓄なんかの答申を見ますると、そう言っては悪いのでありますけれども、何か言いわけが一ぱい書いてあるという気がしてなりません。これは、ほんとうは好ましくないのだけれども、こういう点とこういう点があるのだけれども、それは一応やった方がいい、そうして最後には、「この際重ねて強調したいことは、このような制度が意味をもつのは、それがあくまでも国民大衆の間における貯蓄運動を発展させるための一つの応急手段としてであるということである。このような意味で、この制度がいわば呼び水となって早急に組織的、かつ、安定性のある貯蓄体制が樹立されることが期待される」ということを言っておるのであります。つまり答申それ自体も、これがストレートなやり方ではないということを認めている。だから、井藤参考人は、非常にはっきりとおっしゃったのだけれども、私どもとして、政府がとにかく無理にこうやらせたという気がしてならぬ。それで、今後の調査会に対する政府の態度というものを、ここではっきりしてもらいたい。一つは、井藤参考人の今後に対する御意見を承わったのですが、政府はこれから税制についてどういうふうな考え方を持っておるのか。大蔵大臣は、この前根本的に改正をしたい、こうおっしゃった。それで、今後調査会に対してどのような内容及びどのような機構を持とうとするのかということであります。機構の点については、繰り返し私ども言っておるのです。大臣も、この間検討しようと言ったままになっておりますけれども、これだけ国民の重大な問題である根本的な税制を、二、三年も何ら法制化していない委員会で、こういうような諮問の仕方では、決して完璧な、内容、形態とも国民の納得を得るということはなかなかむずかしいのではないか。この際、各委員に御協力を願っておるのでありますけれども、あらためて想を新たにして法制化する必要はないものか。
 第二番目には、その内容を根本的に全部を一ぺん見直して御審議を願う必要がありはしないか、この二点について、政府の見解をただしたい。
○坊政府委員 お答えをいたします。政務次官がお答えするには非常に大きな問題でございまして、これも、政務次官としてのお答えよりも、あるいは私個人の考え方ということになるかもしれません。さような重大な問題につきましては、まだ大蔵省の意見として――私が参画した審議を実はやっておりません。そこで、先ほどから井藤先生からもお話がありました通り、私は日本の国の所得税、特に中以下というところが非常にまだ重いということにつきましては、これは、もう委員の皆さん方と全く同意見でございますが、しからばその中堅以下のところの所得税というものをどういうふうに軽減していくか、また年々の財政需要というもの、これと税制による歳入というようなものをどう調整していくかというようなことは、非常に大きな問題でございまして、さらにまた間接税全般につきましても、いろいろ、たとえば酒税なら酒税のうちで、酒税相互の間におきましても、また間接税のうちで、甲の税、乙の税というようなものの間でも、いろいろバランスをとっていかなければならぬ点もあるであろうと存じますし、さらに大きくは、直接税と間接税の均衡と申しますか、バランスと申しますか、そういうような点についても大いに研究していかなければならぬというような問題がございます。いずれにいたしましても、税制改正によりまして国民の負担というものをできるだけ軽減していくという目途のもとに、これは大蔵大臣が常に申しております通り、税制の根本的な検討をやっていかなけばならない。従いまして、大蔵委員の皆さん方にはもちろんのこと、今設けられておりまする税制特別調査会の先生方にも、いろいろと御苦労をかけなければならないと思っておりますが、しからばこの税制特別調査会の機構というものをどういうふうに持っていこうかということにつきましては、これは、どうも今日ただいま政務次官からお答えするには、少し大きい問題のようでございますから、よく大臣以下相談をいたしまして、お答えいたしたいと思います。
○横山委員 それでは、今政務次官がおっしゃったように、私の質問いたしました点は、政府部内でよく御相談してお答えなさるようでありますから、それまで保留いたしておきます。
○足鹿委員長 この際、委員長より参考人に対し、一言ごあいさつ申し上げます。
 参考人には、御多用中のところ、長時間にわたりまして御出席をいただき、有益な御意見によりまして本委員会の審査に多大の便宜を与えられましたことにつきまして、厚く御礼を申し上げます。
 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十日午前十時三十分より開会することといたし、これにて散会いたします。
    午後三時二十九分散会