第028回国会 地方行政委員会 第13号
昭和三十三年三月七日(金曜日)
    午前十一時二十二分開議
 出席委員
   委員長 矢尾喜三郎君
   理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君
   理事 徳田與吉郎君 理事 永田 亮一君
   理事 吉田 重延君 理事 川村 継義君
   理事 中井徳次郎君
      青木  正君    加藤 精三君
      川崎末五郎君    菅野和太郎君
      木崎 茂男君    楠美 省吾君
      渡海元三郎君    早川  崇君
      古井 喜實君    松澤 雄藏君
      渡邊 良夫君    今村  等君
      北山 愛郎君    小牧 次生君
      門司  亮君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 正力松太郎君
 出席政府委員
        警察庁長官   石井 榮三君
        警  視  監
        (警察庁長官官
        房長)     坂井 時忠君
        警  視  監
        (警察庁刑事部
        長)      中川 董治君
 委員外の出席者
        警  視  長
        (警察庁警備部
        警ら交通課長) 内海  倫君
        専  門  員 円地与四松君
    ―――――――――――――
三月七日
 委員大矢省三君辞任につき、その補欠として小
 牧次生君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員小牧次生君辞任につき、その補欠として大
 矢省三君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
三月七日
 地方債許可の早期決定に関する請願(山口丈太
 郎君紹介)(第一三九二号)町村議会事務局設
 置に関する請願外六件(關谷勝利君紹介)(第
 一三九三号)
 戸籍改製費交付に関する請願(山口丈太郎君紹
 介)(第一四二八号)岩倉町庁舎建設に関する
 請願(江崎真澄君紹介)(第一四四八号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 警察法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
 二七号)
     ――――◇―――――
○矢尾委員長 これより会議を開きます。
 この際参考人招致の件についてお諮りいたします。地方税法の一部を改正する法律案、地方交付税法の一部を改正する法律案及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案の三案について、来たる十二日午前十時より、それぞれこの参考人を招致して意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○矢尾委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたしました。
 なお、右三案についての参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○矢尾委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたしました。
    ―――――――――――――
○矢尾委員長 次に警察法等の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。質疑は通告順によってこれを許します。中井徳次郎君。
○中井委員 この前の法案の審議の中で、交通警察についての幹線の話がありましたが、あの地図はまだ届いておりませんが、どうなっておりますか。
○坂井政府委員 建設省で作っております地図を、ただいま配付いたしたいと思います。
○中井委員 早く一つ配って下さい。
 それから先般の質疑の御答弁の中にあったのでありますが、都道府県が違いまするごとに、標識その他交通関係で異なった標識があるという御説明でありましたが、実際私ども研究いたしてみますると、ほとんどそんなものはない、全国ほとんど一律である、実際運転の経験を持っております人たちの回答でありましたが、どういう点が違っておるのでしょうか。具体的に私は説明してもらいたい。
○坂井政府委員 ただいまの御質問でありますが、各府県にまたがりました国道のうち、特に一級国道等で問題になるのでございますが、第一に最高速度が県によって違っておる。これは具体的な事例を前の委員会でも御説明申し上げたところでございますが、相当スピードが違っておるのでございます。それからまた諸車の通行区分というのがございます。その内容は、乗用車と貨物車の区分と高速車と低速車、いわゆるスピードの早いものとスピードのおそいものとその車の運転の区分があるのでありますが、これが県によって異なっておるために、県境で非常に混乱を来たしておるといった事例もあるわけでございます。
 それからまた阪神地区と東京付近の京浜地区では指導的区画線につきましては白、禁止的な区画線については黄色を使っておりますが、阪神方面におきましては指導的な区画線について黄色を使い、禁止的なものについて白を使っておるというような違いが出ております。最近タクシーその他が、離れております京浜と阪神の間で行き来する場合が相当あるようでございまして、そういう点につきましても、実は業者の方からもわれわれ不平を聞いておる次第であります。
○中井委員 そういたしますと、標識の違っておるものは今の二つくらいのものですか。この間の説明ではもっと違っておるようなことでございましたが、そういうことについては特に現在の法令の中におきましても、調節の道は私はあろうかと思うのでありますが、どんなことでございますか。
○坂井政府委員 われわれの方では、各府県との話し合いを進めまして、できるだけそういうでこぼこがないように進めておるのでございますが、やはり一たん各府県できめますというと、これを改正するのはなかなかおっくうになりますのか、どうしてもでこぼこがなくならない場合があるわけであります。そういう場合に今度の改正法によりまして措置をして参りたい、こういうふうに考えておる次第であります。繰り返して申し上げるようでございますが、できるだけ各府県の話し合いによりましてやってもらう。しかしどうしても話し合いがつかない場合には、公安委員会が指示する、こういうことにいたしておるわけであります。それが法によって確保されますと、各府県の話し合いもまた円満にいくのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第であります。
○中井委員 私のお尋ねしたのは、現行法でも調節できないか、私はできると思うのですがどうですか。
○坂井政府委員 これは各府県の公安委員会の責任においてやっておることでありまして、警察庁がこれを調整するというのは、警察法の五条の二項によりまして、いろいろの事項のうち調整する権限という中でやっておるわけでございます。調整というのはあくまでも調整でございまして、それを聞かなかった場合にはいかんともいたしがたい、こういう法体系になっておる次第であります。
○中井委員 今のお返事では調整する
ことができるとある。こういうことになりますと、こんな通行区分だとか、区画の線の引き方を面子にこだわってがんばるなどということは、私どもの常識では考えられないと思う。調整可能なことであって、私は現在の法規でも当然できると思うのですが、どうなんでしょうか。こういうことを理由にして改めるということは、どうも合点がいかないのですが、その点どうですか。乗用車と貨物車の走るところを通行区分していく、A県とB県で違う、それじゃ工合が悪いから一本にせいということくらいは、政治問題でも何でもありません。単なる事実の問題でありまするから、今の法令でも十分にできると私どもは解釈するのですがどうですか。
○坂井政府委員 御指摘の通り話し合いでできそうなものだと常識的には考えられますが、ただ先ほども申し上げましたように、どうしてもできない事例が具体的にあるわけでございます。この点は私らの方の調整の権能というものが限られておりますので、いかんともいたしがたい。具体的な例を申し上げますとこれはいろいろあるかと思いますが、大阪府と兵庫県の間で、トラックの通る道と一般の乗用車の通る道が違っておるわけであります。これはざっくばらんに申しますと、何度か警察庁が中に入りまして話し合いを進めてみたのでありますが、どうしてもできないという実情になっておるのでございます。われわれの方としましてもはなはだ残念なことでございますが、現実の問題としてそういうことがあるのでございます。
○中井委員 その問題は今の法令でも十分にできると私どもは思うし、それさえできないということでありましたならば、これは法令を改正してもまた困難じゃないかと思います。むしろ皆さんの交通警察に対する不熱心といいますか、そういうところの認識、これは皆さんだけではなくて各都道府県の公安委員会の認識とか、そういう基本問題になっているのじゃないかと思うのであります。
 このことはこの程度にしまして、その次に今手元にちょうだいいたしました資料ですが、これは建設省の資料を写しただけです。私が要求しましたのはこのうちでどれを幹線と称してあなた方はさしむきやられるのか、これを全部やるのか。その間の色づけも何もなすっておりませんが、これはどうなんですか。
○坂井政府委員 大へん失礼いたしておりますが、その国道のうちで、とりあえずわれわれの方で政令で指定したいのは、いわゆる一級国道の中のさらにしぼった面と考えております。高速道路も御承知のように神戸―名古屋間にできるのでありますが、現在できておりませんので高速道路は省く。それから二級国道というものもとりあえずの問題としては省く。そして一級国道を一応指定いたしまして、その一級国道の中で必要な規制をやりたい、こういう政令を考えておるわけでございます。従いまして考えております政令案は「一 国家公安委員会は、一級国道のうち、二以上の都道府県にわたって自動車の交通が頻繁に行われる区域において当該都道府県公安委員会の交通の規制が著しく異なっており、特にその斉一を図る必要があると認められるときに指示することができる。二 諸車の最高速度の制限その他政令で指定する事項は、次のとおりとする。(一)道路の通行の禁止又は制限に関すること。(二)車馬の併進又は転回についての制限に関すること。(三)停車又は駐車を禁止する場所の指定に関すること。(四)追越禁止の場所の指定に関すること。」こういうことでございます。この政令案はただいまお配りいたしたいと思います。
○中井委員 これは逆に政令によって法律が左右されるような非常に重大なことだと思うのであります。今のようなことでも、まだどの線とどの線ということがはっきりされておらぬようでありますが、これはどうですか。今のところこれを拡張解釈すれば幾らでもできるというような内容になっておるので、この点は僕たちが非常に心配なんです。現在のところではどの線とどの線ということくらいは、私はきめておかれるべきだというふうな感じを持つのであります。それがきまりませんと簡単に政令にゆだねて、それでいいというわけには参らない、かように思うのですが、現在のところはどういう程度のものを考えておるのか。もっとはっきり言うと、こういう地図じゃなくて、この地図の中のどの線とどの線をさしむきやるのかという色づけでもなすったらどうですか。それがまだきまっておらぬのですか、きまっておらぬ法律をここで採決せいと言っても、なかなかこれは問題があろうと思うのでありますが、どんなものですか。
○坂井政府委員 各都道府県の自治体警察でやる建前はあくまで尊重したい。それでどうしてもいけない問題、しかも経済的な要請でこのでこぼこをなくさなければならぬという場合に、この条文が発動し得るようにしたい、こう考えておる次第でございまして、決して御指摘のような何でもかんでも中央で統制をするというような考えは持っておらないのでございます。従いましてこの一級国道のさらにどういうものについて指定をしていくかというようなことは、慎重に研究しなければならぬと思っておりますので、現在まだそこの具体的な計画をお話し申し上げる段階に至っておりませんが、できるところといいますか、非常に経済的な要請が強いところ、しかもどうしても国家的に見て、その斉一性をはかる必要があるというようなところから指定していきたいという気持は、強く持っておる次第でございます。
○中井委員 そういたしますと、最初出発のときは最小限度にとどめたい、こういう考えでありますか、これは長官にちょっと尋ねておきます。
○石井(榮)政府委員 御意見の通りでありまして、必要最小限度にしぼって参りたいと考えております。
○中井委員 そういうことでありますならば、私はできましたらやっぱりここに色でもつけて、たとえば東海道と山陽道であるとか、九州において門司から熊本までであるとか、そういうふうなことを一応きめてもらったらどうか、かように思うのであります。この政令案を拝見いたしますと、何とでも解釈ができる。「交通が頻繁に行われる区域」という「頻繁」とはどうだということになると、大体一日何千台通るかということ、「交通の規制が著しく異なっており、」というが、先ほどの坂井君のお話では著しく異なっているところはあまりないですよ。これをほんとうに解釈するとそうなる。そうなるとこれはやらぬでもいいということになる。やはり具体的にどういうことを考えておられるのか、どの線とどの線だというようなことをお示し願いたい、私はかように思います。この点は今日でもさしむきのところわかりましたら、われわれがこの法案を上げます前に、一ぺんやはりお示しいただければと思うのであります。
 次に簡単ですが、経費の面で、ちょっとお尋ねをいたしたいのであります。この間、資料をいただきましたが警察全体の経費の面につきまして、国の警察費が百二十何億でありましたか、そのうち都道府県に直接隊長の給料その他渡すもの、あるいは補助金に相当するもの、そういうものを総計すると五十数億というふうになっておりましたが、都道府県の警察費の総計、それから国との比率などについて一般的に、これは参考のために伺っておきたいと思うのであります。
○坂井政府委員 お話の通りで、国費で各府県に見る分は、そうなっておるわけでございますが、都道府県の警察の費用は、御案内の通り原則として大体全部各都道府県で組んでおるわけであります。来年度の都道府県警察の調べは、現在知事査定が大体済みまして、各府県会に提案になって審議中のとことが多いと思うわけでございますが、来年度の統計、現在私どもが承知いたしておりますものは六百一億六千二百四十万円、こういうことになっておるわけであります。もちろんこの中には、国の補助金も入っております。それから国の補助金以外で、それじゃ府県の警察に要する費用の財源はどうなっておるかと申しますと、これもすでに御承知の通りと思いますが、地方交付税の対象になり、また地方交付税の対象にならない純粋の府県の負担になっておる面も多少あるのでございます。交付金の問題は、これは地方税法の改正等で、すでに御承知のことと思いますので、詳しいことは申し上げませんが、警察官一人当りの来年度の基準的な需要額というものを、これは自治庁でやるわけでございますが、算定をいたしましてやっております。今年度におきましては、一人当りの警察官の費用は、自治庁の計算によりますと三十六万四千六百円でございますが、来年度におきましては三十九万四百円というふうに若干ふえております。ふえております内容は、一般の県庁員と同じように昇給率が引き上げられることを見込んでおる。それから新しく通勤手当が設けられたというようなこと、それから来年度特に自治庁でもお考えいただきましたことは、警察官の超過勤務手当が、三十二年度すなわち今年度までは一般の県庁員と同じ率であったわけでございます。今年度六%でございましたが、来年度におきましては、警察官の勤務の特殊性を考慮していただきまして、これを六%から九%に引き上げていただいたわけでございます。そのほか宿日直手当の単価の引き上げとか建物修繕料の単価の引き上げとか、そういうものを計算をいたしまして、ただいま申しましたような若干の増になっておるわけでございます。これがもとになりまして、地方交付税となっていくのでございます。
○中井委員 そういたしますと、六百数億の金といいますが、その中に国の補助金も入っておる、純警察費ということになりますと、どういうふうな金額になりますか。この補助金のプラス、マイナスをしました差引警察庁の百二十億と、それから地方のやつと合せまして純計はどれくらいになりますか、計算はできておりませんか。――おらなければ、あとでいいですから、これはたいてい探せばあると思うんだが……。
 そこで私お尋ねをいたしたいのは、市町村の自治体警察が廃止になりましたときに非常に問題になったのは、自治体警察の警察官が今度府県単位になった、その場合に非常に給料の高い人たちにつきましては、特別手当の形において現状を維持する、そうして昇給はそこへ行くまでは実質上ストップ、こういう形でありまして、当時非常に問題になったのでありますが、この問題はもう全部片づきましたか。といいまするのは、具体的に言いますると、昇給ストップのところまでみんな昇給して、そうしてさらにもうそういう特別手当というものはなくなったかどうか、この点を一つ伺っておきたい。
○坂井政府委員 御承知のように自治体警察から府県警察になりまして、特に給与の高いところから入ってきた人たちにつきましては、暫定的な措置がとられたわけでございますが、その後漸次一般の給与ベースが上るに従いましてなれて参りまして、大府県はまだ残っておりますが、中府県以下はもう大体片づいてきた、ありましても、二、三名とか四、五名とか、こういうことになっております。非常に御心配いただきましたが、大体解決の見通しがついてきたわけであります。従いまして、来年度におきまするこの自治庁の財源の裏打ち等におきましても、これは普通交付金から落しまして特別交付金の方に振りかえております。言いかえますと、そういうふうにきわめて部分的な問題になってきた、こういうことでございます。
○中井委員 この問題は、私はもう当りまえのことだと思うので、むしろ私は今でも警察官の待遇というものについては、一般的にいいまして、ほかの者よりやや低いのではないか。被服との他の支給がありまするから、そういう面もありまするが、何よりもかによりもやはり戦前からの慣習的なものがありまして、警察官はそれ以外の副収入的なものもないわけではない。あるいは電車に乗りましてもただである、汽車もただであるいう議論もあって、ときどき問題を起すが、そういうふうな非常に戦前の警察の悪い面の慣習的なものばかりが、たくさん残っておるように思うのでありまして、なぜそういうものを早く払拭しないかというような考え方を持つものであるが、今のお話の交付税の中の算定の基準なんですが、これを今承わりまして、私は実は驚いたのであります。自治体警察のときは、政府は警察についてはお前らで勝手にやれ、財源はないのだというふうなことで、これは単位費用は警察官一人当り二十四万円、国になったとたんに三十二万円にし、また去年は三十六万円になり、ことしは三十九万円、ほとんどその七割方の、非常な甘い見方である。こういう甘い見方でありますならば、私はもう待遇はそれだけよくなっていなければいかぬと思うのでありますが、現実はあまりよくなっていない。先ほどの、まだ大府県においては残っておるという形は、どうも理解できないのですが、この辺のところはどうなんですか。どうもおかしいです。これは自治体警察の時代には、私も過去において多少タッチもいたしておりましたが、警察官がそういうことであってはならない。いつもここで言いますが、卵をもらったり鶏をもらったり野菜をもらったり、そういうことでやみ米をかんべんしてやるというようなことではいけないというので、この自治体警察は無理をして待遇を改善した、そのときの基礎資料は二十四万円でした、はっきりと覚えております。ところが今もう三十九万円と、これは何割になりますかね、七割方も上っておる、そして警察官の待遇も七割上ったかというと、まだ昔のままだ。これはどうも理解できないのですが、その辺はどうですか。
○坂井政府委員 手元にこまかいデータを持っておりませんが、先ほども問題になりました、いわゆる自治体警察から来た者の給与が非常に高かった、従来の国警との差が相当あったわけでございますが、その差がなくなった分だけはよくなったかと思うのでございます。それにしましても自治体警察から来た者は実質的な収入は少しもふえていないということにもなろうかと思います。そういう面で確かに御指摘のように、警察官の給与はいいとは申しませんが、これも府県警察になりましてから非常に各府県まちまちでございまして、東京、大阪あたりは相当いい待遇になったと思うのでございます。しかしながら自治庁指定の例の赤字再建団体の府県というようなところは、警察官のみではございません、県庁員と歩調を合せることにもなっておるのだろうと思うのでございますが、給与が定期的にもなかなか上げられないというような気の毒な状況になっておりまして、各府県の自治体警察という面から来る当然の結果であろうと思うのでございますけれども、各府県の状態が非常にでこぼこが出てきておるということは、われわれとしまして研究しなければならぬ問題であろうというふうに考えておるのでございます。特に財政の貧弱な県等につきましては、お話の通りまことに気の毒な状況になっておることはその通りでございます。私どもも何とかこういう点につきまして努力をいたさなければならないと考えておるわけでございます。
○中井委員 石井長官も一つ真剣に考えてもらいたい。三、四年前自治体警察の時代には二十四万円、そうして財政難だ財政難だという声を上げさして、もう警察を返さなければ何ともならぬということで、自治体警察を持っておりました市でも三分の一ぐらいはいやだというふうなことを言い出した。私は裏から見ると言い出させたと思うのです。政府は金をやらない、そうして一本になったとたんに、今計算してみると六割何分上っている。二、三年の間に六割ほど上っている。ところが現実におまわりさんは六割上っていない。どこにその金が行ってしまったのかどうもよくわからない。これは慎重に検討をしてもらいたい問題だと思うのです。私どもその当時それをついたのです。それをつきましても、一般の国民がそんな裏のことまで知りませんから、何かまたしゃべっているわということで私どもの議論を聞いておられました。非常に残念でありましたが――私どもはこれを直すことには大賛成なんですよ。大賛成ですが、せっかく直ったのですからなぜやらないかという問題が起ってきている。国費と地方費との関連においても、そういう面から私は相当な考えをめぐらしてもらわなければならぬと思うのであります。
 それから関連しまして、これはいつも問題になる警察の寄付ですが、石井長官は極力やらなくするというので減っております。減っておりますが、今ちょっと拝見しますと警察用の自動車なんかにつきましては国費でやるということになっていますが、そういうものはパトロール・カーだけなんですか。あるいは地方の警察主任に乗用車一台ずつ持たすとか、そういうものについての三カ年計画とか五カ年計画というものを持っておられるが、あるいはそういうものは全部県費でやるのであるか、この際ちょっと伺っておきたいと思う。
○石井(榮)政府委員 単位費用の問題で最初いろいろと御意見がございましたが、確かに旧自治体警察の存しておりました当時に比べますと、逐年額を上げていかなければならないような実情に相なっておるのであります。それにはいろいろな理由があろうかと思うのでございまして、貨幣価値の変動と申しますか、そういった関係もありましょうし、警察官の給与の改善といったようなことで、それだけ多額の経費を要するということになる面もありましょうし、また旧自治体警察時代には、警察官の待遇という点には非常に力が入れられましたが、施設装備の面には必ずしもそれと均衡のとれただけの力の入れ方ではなかったように一般的にうかがえるのであります。首都警察の警視庁においてすら、施設装備の面では旧国警と比べて非常に見劣りするといったようなことが、見受けられたような状況であります。そうした関係から、二十九年の制度改正によりまして都道府県単位の警察になりましたとき以来、各府県ともこの施設装備のおくれている点と申しますか、そういった点を極力レベル・アップしようという努力を払っているようでありまして、もちろんその中には直接国費で支弁するものもありますが、補助金でまかなうものも相当あるわけでありますし、また純粋に府県で持たなければならぬものもあるわけでございます。そういった関係と、あれこれいろいろな要素が集積されまして、全般的に警察の施設内容の改善、警察官の待遇改善、こういったことでどうしても経費がよけい必要になってくる、こういうことに相なっているのではなかろうかと思うのでございます。結局それだけ多くの経費を投入することによって警察官の待遇の改善もできているし、施設装備の面においても年々よくなっている、こういうふうにうかがえるのであります。この点は私どもも常に深い関心を持っている点でありまして、御指摘もありましたので今後とも十分さらに研究を遂げて参りたい、かように考えております。
 なお車両について特に御指摘がございましたが、警察用車両は国費で調達しておりますが、一般庁用車両は、都道府県の負担、こういうことになっておるのでございます。
○中井委員 今の警察用車両というのはどういうものなんですか。
○石井(榮)政府委員 先ほど御例示いただきましたパトロール・カーはもちろんのこと、その他捜査用の車両というようなもの、要するに警察本来の活動のために使う車両のすべてをさすのでございまして、指揮官が乗ります指揮官用車、あるいは部隊を一度に輸送するために使う輸送車両、こういったようなものはすべて入っております。
○中井委員 今だんだんとお話がありましたけれども、自治体警察といってもピンからキリまでありまして、警視庁その他大都市のものは相当な装備を持っておった。いなかの方は持とうと思っても持つ必要もないというようなことでありましたので、自治体警察のときはそうではなかったとは断じて言えない。従って人件費並びに装備に関するものは総合的に判断しなければいかぬのだが、装備も五、六割ふえているなら、人件費もふえておらなければならぬ、大体そういうざっとした考え方でありましょうけれども、これはできると思うのであります。ところが現実はそうでないというのは、私想像いたしますに三十九万円の計算をしたから、その分だけどうこうというのではないが、交付金は一括していくのでありますから、問題は地方団体の財政難ということになってくると思うのであります。何もこの分はこれと分けて経費を使うというわけではありませんから、そういう点に原因があろうかと思うのでありますが、そういう点についての認識が皆さんの方で十分におありかどうか、この点どうもはなはだたよりないというので、先ほどからお尋ねしたわけであります。装備の面なんかについてもどうですか、通信関係なんかは前から国がほとんどやっておりましたし、宣伝を大いにされておりますけれども、実質上はそう大してふえておらぬようにも思うのでありますが、警察に対するこういう経費について、さらに総合的な判断をされるときに来ておる。特に私はいつも言いますが、これは少し経費の面と離れますが、住民の配置等につきまして、もう考える時期は来ておるのではないだろうか。この間も九州に参りましたが、北九州のあの地方におきましては、大体犯罪件数その他は六大都市よりもむしろ多い。警察官一人当りの負担というものは他の都市の倍以上にもなっておるというふうな形を二年も三年も警察庁においてほっておかれるということは、われわれとうてい理解ができないのでありまするが、北九州地区に対する警察庁の考え方はどうでございますか。あそこは炭鉱地帯あるいは重工業地帯でありまして、そういう特に刃傷ざた、殺人、暴行、脅迫、そういった刑事的な面が非常に多いのでありますが、これについて依然としてほおかむりして行かれるつもりであるかどうか。またその逆といたしまして、東京都あたりにおきましては、交通関係においては相当な人が要りましょうけれども、何か一般の集団行為に対する措置等におきましては、私ども見ましてもどうも大げさ過ぎやしないか。ときどきわれわれも陳情のまっ先に立って行きますが、どうも陳情者が五十名くらいなのに、おまわりさんが百名来ておるという工合に、どうも少し形式的に流れて、実質をよく見きわめない。集団陳情の内容等についての認識がどこかに行ってしまって、とにかく三千名来る、それ六百名出せというふうなことで、非常にどうも特に国会の周辺では、私は問題が多いように思いまして、まことに苦々しいことだと思うのです。これは終戦後のどさくさの間でありましたならば、それは必要でありましょうが、現在の認識の程度において、相当皆さんにおいてむだをやっておる。まことにどうも国政全体から見ましても、あまり感心できない。これは社会党と自民党の皆さんで、あるいは御意見は多少違うかもしれません。しかしこれもやはり多少の程度で、ああまでしなくもいいじゃないかというお気持は、自民党の皆さんでもお持ちになっておると思うのです。どうも少しマンネリズムになりまして、そういう形が出ております。一方北九州に行くと、非常に困る。特に福岡から四、五十名の特別班のようなものが出まして、この部屋の倍ぐらいのところで、猛烈に仕事に追われてやっておられるというふうな形を見まするというと、私どもはどうも納得できないのですが、この点について警察庁はどういうふうな考えを持っておられるか、最後に私はこの点を伺いたいと思います。
○石井(榮)政府委員 北九州地帯が特に犯罪の発生の状況あるいは交通事情等非常に問題のあることは、私どもかねがね承知をいたしております。福岡県関係者から絶えずそうした事情を訴えられて、でき得べくんば警察官の増員をお願いしたいというふうな要望を受けておるのでございます。私どもひとり福岡県のみならず、その他の県においても大同小異、そういった増員の要望を受けておるところもあるのでございますが、これはかねがね私当委員会においても御質問に対してお答えしたと思うのでありますが、二十九年の制度改正以来のいきさつ等もありまして、ただいまのところ増員ということは差し控えたいが、将来の問題としてはこれを研究いたしたい、こういうふうに考えておるのでございまして、とりあえず三十三年度の措置といたしましては、警察官の頭数をふやすことは差し控えましたけれども、他の方面による警察力の充実ということに考えをいたしまして、特にパトロール・カー等の整備ということによって、警察の機動力の増強と申しますか、近代化と申しますか、そういった方向においての警察力の充実ということを考えて参っておるような次第でございます。特に御指摘の福岡県につきましては、そういった機動力を増強する意味において、車両の配置等において特別に考慮をする、あるいは通信施設の整備等において、北九州において警察機能がより有効適切に迅速になされるように施設、装備を考えていく、こういうことにおきましてとりあえず、福岡県の特殊事情に対応する何らかの措置をとっていく、さらに行く行くは十分実情を考えまして増員その他の措置も考慮して参りたい、かように考えておるのでございます。全般的に通信、装備、あるいは施設といったような問題につきましては、ただ単にその場当りの思いつきの計画ではだめでありますので、一応私どもは五カ年計画といったようなものを頭に描きつつ、それを毎年着々予算を出していく、実行に移していく、こういうふうな心組みで来年度の予算の要求もいたし、現に御審議を願っておる、こういう状態であります。
○中井委員 今の長官の御答弁は非常にずるいと思う。私は何も増員なんと言っておりはしません。配置転換をどうしてやらないか、こういうことを申し上げておる。東京あたり、先ほどからるる申し上げたような状況であります。配置転換をやったらどうか。減員できるところは減員したらよろしい。全体として警察官をふやせと言っておりません。どうなんです。
○石井(榮)政府委員 警視庁は確かに警察官の数は圧倒的に多いのでございますが、これはやはり首都の特殊性に基きまして、それだけの要員が必要なのであります。聞くところによりますと、人口の面から見ましても、地方の中都市分に相当するくらいの人口が年年ふえておるということであります。警察官の定員は何も人口比率でいっておるわけじゃございませんが、これも確かに一つの要素になるわけでございまして、そうしたこと、あるいは犯罪の発生の状況といったようなこと、いろいろいわゆる定員をきめる基礎によるような諸要素を積み重ねて考えてみますときに、東京の警察官の定員必ずしも厚きに過ぎるということは言えないのではないかというふうに私は考えるのでございまして、従いまして今御指摘のように東京の警察官が多いから、それを北九州の手薄なところに配置転換したらいいではないかという御意見ではございますが、しかく簡単には参らないというふうに考えるのでございます。結局どこの県におきましても警察官がダブついておると申しますか、比較的ゆとりがあるという県はまずないのでございまして、大なり小なりどこも手不足を感じておりまして、増員の要求切なるものがあるのでございますが、先ほども申します通り、二十九年の警察制度改正当時からのいきさつにかんがみまして、今直ちに増員ということを考えるのはいかがと思いまして、将来の研究問題として研究さしていただきたい、かように考えておるのでございます。
○中井委員 そういう御答弁ならば、全国の都道府県の警察の人口比率の一覧表、ことし一月一日現在でいいから一ぺん出していただきたい。東京はなるほど人口は増加します。五年後には一ぱいになる。それならば四年遊ばしておくのですか。そういうふうな考え方はいけないと思うのです。そういう面からいいまして、これは明々白々のことでいつも申し上げるように、警察官の定員の配置を最初きめましたときには、自衛隊も何もなかったときなんです。それと状況はすっかり変っておるが、それをほおかむりして皆さんがここ数年間いらっしゃったわけですから、これはもういいかげんに整理の時期だと思う。特に装備に重点を置けば人が浮いてくるでしょう。数日前の東京のチンピラの殺人事件の騒ぎなんかを見ましても、何も数なんかでこういうものは捕えられるものでないということは、はっきりいたしておるのですから、そういう点について私はもっとまじめな研究――私は思いつきで言っているのではありません。この間から皆さんは、今の御答弁の中にも、思いつきで言っているような答弁でありますが、思いつきで言っているのではありません。一つ一覧表を出して下さい。それからまた一つ問答いたしましょう。この点は納得できません。もっと客観性のあるものを――周囲における特殊事情、それはありましょう。それは百名とか二百名とか五百名とかありましょう。ありましょうけれども、そんなものではとうてい説明のつかない数字が、現在の日本の警察官の定員の配置であるというふうな考え方をするものです。また裏から見ますと、そういうところは財政が豊かだから何も減員しなくてもいいというふうな考え方もあろうかと思いますが、しかしそれは逆でありまして、豊かであればほかの事業をやればよろしいので、今の地方行政の水準が非常に低いところにあることは皆さん御存じの通りであります。そういう意味からいって、私は、これはもう毎年言うておることかもしれませんけれども、ことしの一月一日現在の何をあらためて一つ出してもらいたいと思います。定員一ぱいになっておるか、欠員か、実員の状況もついでに一つお調べをいただきたい。これは長官、そう簡単な、私に言わせるとその場当りの答弁ではなかなかいけない。慎重に考えてもらう必要がある。実際は警察法の改正のときには、御案内の通り三年間に一万名ずつ減らすということでありましたが、それがもう二年でやまってしまいました。その理由としては交通警察が何だ、こういうことでありますが、内訳については一切ほおかぶりというのが今の実情であります。それは同時に先ほどから問題になっておりまする各警察官個人の待遇に非常に影響があると思うから、私はこの点を聞いておるのです。そういう意味において一つ資料を出していただきます。これを要求しておきます。
○矢尾委員長 北山愛郎君。
○北山委員 警察法の改正法案の中で第二十二条――つまり「警察装備に関すること。」というのが、警務部から長官官房の方に移ったわけですが、これはどういうわけでしょうか。警務部というのは今度警務局になるわけですが、これは人事や福利厚生、あるいは監察、教養、こういうことをやるのですから、装備に関することも相変らずやってもいいじゃないか、こういうふうに考えられるのですが、それを長官官房の方へ移した事由を聞きたい。
○坂井政府委員 警務部から官房の方へ装備を移しましたのは、装備というものが会計と非常に密接な関係にありますので同じ部内の方が仕事がやりやすいという考えを、過去数カ年の経験で持ったわけであります。そこで官房に移すということでございますが、もう一つは実は警務部の中にできれば厚生課というものを作っていきたい、警察官の厚生問題をもう少し積極的にやらなければならぬのじゃないかということを、われわれは痛切に感じておるわけでございますが、できたら人事課の中でやっておる厚生部門を独立の課にいたしましてやらしていただきたい。そういたしますと各部の事務の分量等も考えまして、装備はむしろ官房の方に移した方がよくはないか、こういう点も考えてみたのでございます。
○北山委員 わかりました。
 次に、最近の犯罪の状況なのですが、これは言うまでもなくどんどんふえて参る。あらゆる部面において、財産の犯罪あるいは暴力犯、あるいは売春その他もろもろの社会悪に連った犯罪がふえて参ります。これは単に警察官を増員したり、警察機構を変えたり、警察の予算をふやしても何ともならないような、手におえないような事態ではないかというようにも私どもは考えるわけなのです。従って市中に起っているいろいろな事件について、その処置について警察が不手ぎわであった、一々追及するということも必要でありますけれども、やはり全般的に現在の社会の犯罪の諸現象に対して、あらゆる角度から根本的に検討して参ることが必要ではないかというふうに思うのですが、警察庁の中においてはそういう部門の研究といいますか、どこでおやりになっておるか、刑事部においては犯罪統計等についての担当をやっておるのですが、これは相当力こぶを入れてやっていかなければ、社会の方に責任があるのにそのしりを全部警察で持たなければならぬというばかばかしい話になるので、警察としてもこういう政策的な問題ではあるにしても、政策の基礎になるいろいろな現象を科学的に把握するという必要がありはしないか、こういうふうに思うのですが、どこでどの程度に警察庁はおやりになっておるか、これを伺わせていただきたい。
○中川政府委員 ただいまの点まことに御意見の通りに私ども考えておりまして、現在の刑事部、今度の改正案におきましても、刑事局の方で取り扱いたいと思っております。ここにあります犯罪統計というものを始めまして、まず犯罪統計をはっきりいたしまして、その犯罪統計の一つの内容としていろいろ原因その他を解明する、そういうことによって現在の犯罪の実態をできるだけ客観的に明らかにしたい。明らかにするとともにいろいろな犯罪というのは社会現象でありますから、よって来たる原因が多面多角度的にあると思います。そういう点をまず部内におきましては、科学捜査研究所に捜査のための研究がありますけれども、そこと関連して社会学的な研究をする、そういう点もあわせて研究しておりまして、科学捜査研究所の研究と刑事局の犯罪統計とを基礎にして、それで各省その他との連絡を密にいたしまして、たとえばその犯罪現象中に青少年問題という重要な問題がありますが、こういう問題になりますと内閣に設置されております青少年問題対策協議会とともに、私たちの犯罪統計を基礎にして論議をし研究を進めていく、こういうふうにやって参りたいと思っておるのであります。われわれ警察部内におきましても右申しますように研究いたしますし、警察以外に大学その他の研究所を初め各種の研究とタイアップしまして、現在の犯罪現象を解明してその対策等につきましては、警察みずからやるべき事柄と警察以外の機関でやるべき事柄と両者あろうと思いますので、そういう点については大いに研究を進めて参りたいと思っております。
○北山委員 犯罪がふえて参るのは社会の方で責任があるから、警察は責任がないのだというふうに割り切られても困るのですけれども、十分その辺は責任を感じてもらいたいのだが、しかし今申したような点については重要でございまして、単に警察だけの問題ではありませんが、いろいろな現象というものは直接には警察が一番わかるのですから、その現象をただ警察の機能を高めるという見地からだけではなく、犯罪のよってくる原因を根本から直していく立場から幅広くお考えを願いたい、また研究も進めていただきたいと思うのです。
 それに多少関連するのですけれども、警察の犯罪に対する考え方、あるいは刑罰に対する考え方について、あるいはさか立ちをしておるのではないかというような疑いがあるので、そこでこの前の委員会で千葉県の旭署における拷問事件の問題をお伺いしたわけであります。あの事件は調査して報告を願うことになっておりましたが、どうなったか、これは二月の二十六日に、千葉県の法務局長から千葉県の県警本部長に対して勧告が出ておる。それは旭署における拷問事件というものについて、二度とこういうことはやらないようにという異例なる勧告が出ておるわけです。その事実についてお調べになった点をお知らせ願いたいと思います。
○石井(榮)政府委員 千葉県の旭署におきまして、窃盗被疑者の取調べに当っていわゆる拷問があったということによりまして、人権擁護局から一般勧告を受けたということは事実でございます。たしか先月の二十六日付で、人権擁護局から一般勧告を受けたというふうに聞いております。事犯の発生しましたのは昨年の三月であったかと思いますが、当時千葉県警察におきましても、そうした問題が発生しましたのに対しましては十分実情を調査いたしまして、関係の警察官はそれぞれ懲戒処分に付しておるのでございます。問題は、この前北山委員から、私当委員会に出席していないときにお尋ねがあったそうでございまして、刑事部部長から伺ったのでございますが、一人の看守巡査が被疑者に対して、警察官といえどもときに行き過ぎがあるのだから、そういうときは、君たちは遠慮なしに人権擁護の見地から、人権擁護局その他の救済を受けたらいいだろうというようなことを言った。そのゆえをもってその警察官を辞職せしめたということがあるのではないかというお尋ねであったと聞いておるのでございますが、これは若干事実がその通りではないのでありまして、その巡査がそういうことを言ったことはあるようでございます。これは看守勤務についておる際に、たまたま千葉県の他の警察署で、ある非行事犯があり、それが新聞記事になっておる。その当日の新聞を読みながら、こういうこともあるから君たちも、もし警察官によって、いわゆる人権を侵犯されたというようなことがある場合には、届け出たらいいだろうということを話したということは事実のようでありますが、この巡査を退職せしめた理由はそういうことがあったからではないのでございまして、この巡査は、かねがね勤務成績があまり芳ばしくなかったのでございます。看守勤務についておって、留置中の者に差し入れ等があった場合には、おれにも分けてくれということで、くだもの菓子等の差し入れがあるとその分け前にあずかるとか、たばこの差し入れがあれば自分も一緒にそれをもらってのむということが再三あったのでございまして、そうしたことであっては相ならぬというので、かねがね注意はいたしておったのでございますが、なかなか改まらないという状況にあったので、適当な時期に、これは警察官として不適格であるということで退職せしめようというふうに、かねがね考えておったのでございますが、恩給年限等の関係もありまして、その年限に達するまでは猶予しようということで猶予しておったのでございます。たまたまその恩給年限に達した時期に、そうした旭町署において起きた事件と合致をしたので、あの事件のあった比較的直後といいますか、近い時期に退職せしめたので、いかにもあの旭町署の問題のゆえをもって退職せしめられたやの印象を受けるのでございますが、真の理由は、先ほど申しましたような、警察官としてどうも適格性を欠くという理由で、かねがね適当な時期に退職せしめようと思っておりまして、時期を待っておったものである、こういう実情に相なっておるようでございます。いずれにしても、警察官の身分につきましては慎重でなければならぬことは申すまでもないところでございまして、不適格者を排除するということもこれも必要でございますが、その時期その他取扱いについては慎重でなければならぬのでありまして、外部から誤解を受けることのないように、時期その他についても十分慎重に考慮すべきであることは申すまでもないところでございますので、各府県の任命権者である本部長に対しまして、人事の扱いに対
しては常に慎重であるようにということは、私どもとしても注意を喚起しておきたい、かように考えております。
○北山委員 千葉県の法務局長からの県警本部長に対する勧告というのは、その事犯について二人の巡査が被疑者に自白させるために暴行をした、こういう点についてであります。それに対して県警本部においてもその事実については認めておられて、これは処分済みだというふうに言っておられるのですが、警察庁としてもこの二人の警官が取調べに当って暴行をし、けがをさせたという事実については認めておられるか、これを伺いたい。
○石井(榮)政府委員 私どもは直接第一線のことを詳細に承知をいたすことは困難なのでございます。結局当該府県の本部長の報告をそのまま信用する以外にないかと思うのであります。千葉県警本部長において、問題の旭署における当該警察官が若干の暴行を加えたという事実があるゆえをもって懲戒処分をしたのでございますから、その通りだろう、かように考えております。
○北山委員 長官はある事実については詳しく知っておられる。ある事実については不明である。その巡査の退職をした事情については、実に詳しくお調べになっておられるが、片方の暴行した巡査の方の事実についてはさっぱり調べておられない。そういうところにいろいろ問題があるのではないかというふうに考えるのですが、ともかく退職処分をしたのでございますから暴行した事実は認めたのであろう。また法務局長の勧告に対して県警本部長も、これは新聞記事でありますが、処分済みであるというふうに言っておるのでありますから、暴行事件は否定しておらぬ。だからその事実があったに違いない。しかもその結果として、診断書によると二週間の治療を要する傷害、頭部あるいは鼓膜が破れるようなけがをしておるのです。これは傷害罪じゃないですか。刑法に触れるのじゃないですか。刑法の普通の傷害の場合でなく、特別公務員による暴行なんですから犯罪じゃないですか。なぜ犯罪を犯罪としないで懲戒処分でやったのですか。この問題になった安という被疑者、朝鮮の人のようでありますが、これはある農家から玄米三俵を盗んだという疑いで調べられ、そして拷問を受けたのです。玄米を三俵盗んだのと、頭やその他にけがをするほど暴行を受けるのと、一体どっちが犯罪として重いか。私はこういうところに問題があるのじゃないかと思うのです。警察としては、調べに当ってけがをさせたこともやはり公務の一部として認めているのですか。ちょっと少し行き過ぎがあったという程度に認めているのですか。これは犯罪じゃないですか。なぜ犯罪として処理しないのですか。
○石井(榮)政府委員 けがをさせるほどの暴行をしたというふうには、千葉県警察当局の調査の結果では出ておらないのでございまして、ただ取調べに当って若干行き過ぎがあったというので、頭を少しくこづくような程度のことはあったということであります。しかしかりにも、その程度にしても、取調べに当ってそういう行為に出ることは適当でないというゆえをもって懲戒処分にした、かように聞いておるのであります。この点につきましては私正確に詳細承知いたしておりませんので、後ほどよく県から確かめましてお答えするのがあるいは適当かと思いますが、先ほどの点私が特に詳細にお答えできましたのは、この前私が不在のときに、そういう点についての御質問が北山委員からあったということを聞いたものですから、その部分に関しては私詳細に勉強して参ったのでございまして、比較的詳細にお答えできたのでございます。あとの御指摘の点につきましては、私いずれもう一度あらためて正確なところの報告を聞きましてからお答えするのが適当かと思いますので、そういうふうに御了承願いたいと思います。
○北山委員 私は刑事でも何でもないのですから、一々この委員会で事実を追究するというわけでもない。ただ私が一つの例として申し上げたいのは、この玄米三俵盗めば、これくらいの拷問をしても頭を割ったりけがをさせても戒告処分ぐらいで済む。法律にはちゃんと犯罪としてあるんです。それを犯罪として扱わないで、玄米三俵の窃盗の方はやかまかしくやる、なぐっても何しても追究する、そこに私は犯罪そのものに対する警察の感覚が誤まっておりはしないかと思う。憲法には財産権は犯してはならないとある。だから人の物を盗めばそれは犯罪である。しかし憲法には明らかに拷問その他残虐な刑罰は絶対に禁ずると書いてある。そしてそれを受けて刑法の中にいろいろな規定があるわけです。そっちの方は一向守られておらぬ、こういうふうなやり方では拷問はさせないようにいろいろ訓示をすると言っておりますけれども、警察自体が拷問しても戒告処分ぐらいで済むというふうな気風を助長するのではないでしょうか、私はそこに問題があると思う。だからこの問題は考えてもらいたいと思いますが、どうなんでしょう。これは一般的にもそうでありますけれども、暴行やけがをさせたり殺したり、あるいは人の名誉を傷つけたり、そういう犯罪と、それから単純な窃盗とは、どうやら日本では物を盗む犯罪の方が悪いものにされて、命とかからだにけがをさせたりする方は軽く見ているんじゃないか。これは明治時代の考え方ですよ。戦争までの考え方です。命は鴻毛よりも軽しと覚悟せよ、なるべく命は軽い方がいいんです。お互いに尊重しない社会の方がよかった。しかし日本は私有財産制度の国であって、有産階級を守らなければいかぬ、だから絶対に窃盗はいかぬ、どろぼうはいかぬぞという観念を植えつけた。その観念が今残っておるのであって、私は基本的人権というのは財産ではないと思う。われわれが生まれてくるときに着物を着てきたり時計をしてきたりしているんじゃない。それはあとから来たものです。まして金や土地や家屋なんというのはこれは約束ですよ。はだかでだれでも生まれてきているんです。その生まれてきたときに持ってきたものに対する侵害が、一番基本的な犯罪でなければならぬ。玄米三俵盗むなんということは、これは昔の中国でいえば返せばいいのです。窃盗を奨励するわけではないが、こういう犯罪についての考え方、これを一つ警察庁としても考え直してもらいたい。また世間一般からいっても、けがをさせ、頭を割っても示談ぐらいで済ますということは、示談で済ます人自体が人間そのものを侮辱しているはずなんです。私は暴行傷害というものは断乎として取り締まる、それから財産については、返せばいいというわけではありませんけれども、自転車一台盗んでも拷問してまで調べるというような考えは、やはりさか立ちしているのではないかと思うが、私の考え方が間違っておるかどうか一つ長官の御見解を伺います。
○石井(榮)政府委員 基本的人権を尊重すべきことは論を待たないことでございまして、私ども警察の犯罪の捜査に当る者としての基本的態度として私はたびたび申していることで、当委員会でもこの問題についての見解は再三申し上げたと思うのでございます。およそ犯罪の捜査のあり方としましては、あくまでも基本的人権の尊重という理念に立って科学的、合理的に真実発見に努めていくという捜査のあり方でなければならぬ。かつての捜査が往々にしましていわゆる勘の捜査といいますか、ある種の先入観を持って、この人間が犯人であろうというふうに見当をつけて、なるべく早くそれに到達すべく急ぐのあまり、いわゆる人権を侵害する拷問その他の手段がとられたといったような、好ましくない過去の取調べの方法のあったことは、私どももこれは否定するわけに参らないのは残念でありますが、そういう捜査のあり方であってはならないということを、私は機会あるごとに関係の者に強調いたしておるのでございます。どこまでも科学的な合理的な捜査と申しますか、理詰めの捜査と申しますか、捜査の適正化ということにつきましては、私は第一線の諸君に機会あるごとに強調し、漸次その方向に改善をされつつあると思うのでございますが、不幸にしまして、数多い警察官の中にいまだその考え方に十分徹し切れず、またそういった新しい捜査の技術を身につけておらないために、功を急ぐのあまり若干の行き過ぎをやって、とかく世間の批判の対象になるような事案が、いまだ絶無にならないことを遺憾に思うわけであります。今後ともその点については指導、教養を徹底して参りまして、民主的な捜査のあり方を各警察官が身につけ、またそれが実際に行われるようにして参りたい、かように考えておるのでございます。
○中川政府委員 ただいま長官からお答えいたしましたことで、最後の点について補足的に申し上げたいと存じます。
 お尋ねの事案は、三橋という巡査部長と石井という巡査部長とに対しまして千葉県警察本部長は、任命権者として懲戒処分をいたしております。この懲戒処分についてお尋ねの要点は、懲戒処分も一つの方法かもしれぬが、犯罪ではなかろうか、こういう御質問のように拝聴いたしたのでございます。私どもこの関係が犯罪であれば、懲戒処分のほかに犯罪の捜査をすべきものであろうと考えます。ところがこの事案の内容は、行政上の懲戒処分をもって律すべきものであって、犯罪として刑事手続によって捜査すべき性格のものでない、こういう事案の内容でございます。それは警察において捜査を遂げてそういうふうに考えましたことが一つの事実でございますが、警察以外の機関でありますところの法務省の人権擁護局という機関がございまして、かかる事案につきましては人権擁護の立場から、詳細に御検討になって、その結果につきましてそれぞれ御報告があるわけでございます。その人権擁護局の事案のうちで、処分はいろいろありまして、犯罪なりとして認定いたしましたものにつきましては、告発の処分をいたすのであります。これはお話のように特別公務員の職権乱用罪または刑法の暴行罪、こういうものに該当するものにつきましては、法務局が告発すべき性格のものでございます。今回の場合は告発すべき性格に当らないとされまして告発を受けておりません。それで今回の戒告処分は任命権者におきまして懲戒処分にしておりますので、勧告は長官のお答えいたしましたように、確かにあったのでございますが、そういう告発とか、それ以外の勧告でございますので、人権擁護局の勧告に従いまして、警察庁としては行政処分としてはすでにやってしまったことでございますが、その行政処分は処分として有効である、そのほかの点につきましては、かかる事案につきまして捜査の合理化、適正化という点について教養を初め関係警察職員の紀律保持につきまして徹底的にやっていく、こういうことで問題の処理としては、まことに適当であろうと考えるのであります。ちょっと御質問の要点を申しますと、この事案が刑法の罰条に触れる行為であるという前提の御質問でございますから、いろいろお話もあったようでございますが、事案の内容が犯罪として措置すべきものでないということは、警察の捜査もそうでありますし、警察以外の機関の人権擁護局の調査の結果におきましてもそのように認定されておりますので、それは客観的には犯罪ではないだろう、かように考えるのであります。
○北山委員 一応のお答えとしては筋が通っておるわけです。ただし人権擁護局の方から告発されないからといって、これが正当であるかどうかはわからないのですね。また警察が部内のことを事案として取り上げないからといって、これは警察がやらないくらいだから犯罪じゃないだろう、こうは思いませんよ。むしろ警察だからやらないのであって、部外の事件だったら警察がやったかもしれない、そういうふうにしか思わない。だから今の御説明は一応事務的な御説明であって、それは裁判所か法廷でしゃべることである。私は常識的なことを言っておるのであります。ひどい例ですが、この前の、例の大分県の戸高さんの事件、あれはやはり公務としてやっておるのでも、ダイナマイトを持ち運ぶというようなことは行き過ぎておるのだから、犯罪に触れる部分があるはずなんです。捜査についても、公務として認められた範囲でも、行き過ぎた範囲で犯罪になるものがあればやはり犯罪になるはずなんです。この際において事実問題として、どの程度に見たかということは別問題でありますが、しかし取調べに当って相当暴行したというようなことは警察の方も認めておられるようだが、こういうことがただ戒告処分程度で罪が消えてしまうということでは、拷問をなくそうと思ってもできないのじゃないか。この事件を私はやれというのではないのですよ。警察庁としては、やはりこういうようにあちこち拷問等の事態がそれ以外にも起るのですから、いかにしてこれを防止するかという具体的な方法を考えてもらわなければ困る。ただ精神訓話じゃ困る。外部から見れば、警察部内のことは相当行き過ぎがあっても隠されてしまうのだなというような疑いを持たれておる。また部内の人も、ある程度やってもいいんだというふうに頭の中で思っているのじゃなかろうか。これは仕事として熱心にやるのだから、多少の行き過ぎは認めてもらわなければ困るのだ、一々やかましく言われたのでは困るのだというような気持があるのじゃないか。それではやはり人権というものに対する警察のほんとうの任務というものはできない。そういう点から拷問の問題はもっと真剣に取っ組んでもらいたい。この事案をどこまでも追及していけというわけではないのですけれども、私の聞いているところでは、その被疑者というのはあるお医者さんにかかって診断書をもらっておる。一つの証拠があるわけなんです。それらの点も一つお調べになってお答えを願いたいと思うのですが、私の聞いている気持は、拷問というものをなくしたい。また拷問というものについては全国の警官がほんとうにこれを真剣な気持になって避けたい。しなければいいんですからね。私は警察官のいろいろな問題について、金をもらったとかあるいは女に失敗をした、酒で失敗をしたという事件があって処分された例を知っておるのです。そういうものはよくないにしろ、ある程度同情すべき点があると思う。ただ警察の部内における仕事としてやった場合には拷問をしなくてもいいのですよ。何もする必要はないのですよ。なすべからざることをしている。それだからこれは問題だと私は言う。やらなくて済むのです。やらなくて済むことをやらせないようにしてもらいたい、こういうことなんです。そういうふうに私ども考えるのは正しいと思うので、一つのケースとして申し上げたんで、拷問についてはもっと真剣に考えてもらいたい。これを要望して私の質問を終ります。
○矢尾委員長 門司亮君。
○門司委員 私は、今まで大体全部といっていいほど同僚から聞き尽されていると思いますので、この際あまりむずかしいことは聞かないつもりでおりますが、一、二のことについて基本的な問題を伺っておきたいと思います。
 この改正案を出されました基本の原則は、説明の中にもいろいろ書いてありますが、現在の機構で、どうして一体こういう問題を考えなければならないのかということが問題の焦点だと私は思うのです。このことのために聞いておきたいと思いますことは、御承知のように、今日の警察行政というものは府県地方警察、妙な名前をつけてこれは国家警察でもなければ自治警察でもない。実際上の運営はそうなっておる。そこで問題になってくるのは、警察は一体基本から――私はほんとうは大臣に聞きたいのだが、一体権力主義によろうとするのか、民主主義による警察制度を打ち立てようとするのか。すなわち基本の原則は一体どこに置いておられるのかを、まず最初に聞いておきたい。
○石井(榮)政府委員 現行制度がいわゆる民主警察であることは申すまでもないことでございまして、二十九年の制度改正によりまして、都道府県単位の自治体警察ができたものというふうに私どもは考えておるのでございます。この基本的な体制というものは今回の改正によって何らくずされるものではないのでございまして、ただ今回の改正は、二十九年の改正以来三年有余の経験に徴して、この民主的な警察制度を、より能率的に運営できるようにするために、若干の点において改正を試みたというにすぎないのであります。
○門司委員 そういうことを聞いておるのじゃないのだ。警察の基本的な方針がどこにあるかというのです。私の聞きたいのは、今のような長官の答弁ではない。案の内容を読んでごらんなさい。国家公安委員会が地方の公安委員を指揮命令することがきるようになっておるでしょう。著しいという文字を使ってある。交通の取締りが著しい差異のあったようなときと、字句はなるほどそう書いておりますが、法の実態は中央の指揮命令が行えるようにちゃんと書いてある。もし民主主義の警察制度をほんとうに履行しようとするならば、こういうふうな命令系統は要らぬはずだ。これはある程度の話し合いの中にもできましょうし、勧告の中にもできるし、またそれぞれの都道府県警察というものが責任を持って、その地域における治安の確保に努めておることは事実であります。もしそうでないとするならば、今日の都道府県警察というものは、住民の要望にこたえることができないはずなんです。従って今日までまかされておる地方の自治警察として――自治警察というなら都道府県の公安委員会が権限というものを侵すべきじゃないと思うのです。これは確かに侵しておるのですよ。ここに私はこの改正案の疑問があると思う。もしこういうことになるならば、犯罪捜査を中央の公安委員会が指揮命令監督をするということになるでしょう。これはだんだんこういうことをして広がっていきますよ。しまいに国家警察とは何ら変りないものになってしまう。この警察法の改正は、改正の字句だけを見ておると、大した問題はないようであるが、基本の問題は何を内蔵しておるかということなんです。だから今のような答弁でなくて――私はこれは一つ大臣においで願って聞かなければならない。これは基本的な問題なんです。これだけの問題じゃない。教育行政についてもこういうふうになっておる。教育基本法に反しておる、あるいは学校教育法に反しておる、あるいは学校教員の免許法にも反しておる。文部大臣は施行令二十五条の通達でやれるというようなばかばかしいことを考えておる。そうして地方の独立した機関である教育委員会の協議規定までも侵そうとしておる。これは政府の一貫した考えであります。この政府の一貫した権力主義による行政を行おうとするのと軌を一にしておるのだ。それは今の石井長官の答弁だけでは私は承服するわけには参りません。これはやはり基本の問題として大臣なり総理大臣からはっきりしたものを聞いておきませんと、これが拡大されていけば必ず私がさっき申し上げましたようなことになってくる。そういうことでありますから、次の機会にはぜひ総理大臣なりあるいは担当の大臣に出てもらって、基本的な問題を私はその際聞いておきたいと思います。
 その次に具体的な問題として、この法案で取り締ろうとしておる問題は交通の問題でありますが、警察庁の考え方としてここで聞いておきたいと思いますことは、道路行政と交通行政と運輸行政の三つの行政が関連をして円滑に運営されない限りは、道路上における交通事故というものは絶えないのであります。除去はできないのであります。従って警察庁は一体この三つの行政に対して、どういうふうな連絡と構想をお持ちになっておるか。ただ自分たちは与えられた交通の犯罪を取り締ればいいのだという、いわゆる権力主義に基いて取締りを行おうとされておるのか、これではどんなに法律を改正されても解消できないと思う。これはできない相談です。できない相談をあえてやろうとすれば権力以外に何ものもない。これは罰金がふえるだけです。よけいなことを言うようですが、今度の国家予算を見てごらんなさい。ばかばかしい罰金のふえ方だ。去年は四十一億だったのが、ことしは四十九億になっておる。だからこの交通取締りを厳重にするという警察法の改正と罰金は何か関連がありはしないかということが考えられる。これはうそじゃない。そういうことを考えてくると、ほんとうに権力だけを強化して交通行政の全きを期そうといったってこれはできない相談だ。だから警察庁は一体これをどうお考えになっておるのか、これはほんとうは大臣にお聞きした方がいいのですが、基本的な問題として一応聞いておきたいと思います。
○石井(榮)政府委員 交通事故が遺憾ながら逐年非常な増加をしておることは御承知の通りでございます。数学的に今かれこれ申し上げることは差し控えますが、そういう状況にかんがみまして、私どもこの交通事故防止のために警察としての立場においてやるべきことがあるのでございますが、ただいまお話しの通り、これはただ単に警察の交通取締りだげで解決できる問題でないことはお説の通りであります。従って関係各機関が相寄り相集まって、衆知を集めて、これが防止対策を総合的に進めていくのでなければならないというふうに考えまして、内閣におきましてはすでに交通事故防止対策本部というものが設けられておるのでありまして、関係各機関の関係者が随時集まりまして交通事故防止対策をいろいろ協議し、それに基いて要綱を決定し、その要綱の決定に従ってそれぞれの省庁において行うべき問題を具体的に取り上げて施策を推進して参る、こういう建前になっておるのでございます。警察は警察の立場において交通事故防止のための施策を推し進めていく、こういう態度をとっておるのでございまして、決して警察の取締りだけでこの問題が解決するとは考えておらないのでありまして、むしろ他の関係機関の施策を積極的に進めていただいて、それと並行して警察は警察の分野においてなすべきことをまた積極的にやっていく、こういうことによって初めて問題の解決が可能であると考えておるのであります。
○門司委員 その結果はいつごろ出てきますか。これは――漫然とほっておくわけにはいかぬです、人間は毎日殺されるのですから……。この間も一人のおまわりさんが殺されて警視庁は大騒ぎをやったのですが、これはピストルを撃って人を殺したから、こんな大きな問題になったので、自動車で人命を失うというのもこれと同じなんです。人の命を失うという点においては殺人、強盗と何ら変らない。ただこれが交通事故であるからといって、これから相談して考えてからなんというのでは殺される者はかなわない、考えているうちに何人かが殺される。一体いつそういうものができ上りますか、いつをめどにしてそういうものを考えておりますか、それの一応のめどくらいはつけておいてもらわないと、安心してこういうものをまかせるわけにはいかぬ。
○石井(榮)政府委員 問題がきわめて広範多岐にわたっておるのでありまして、道路の改善、補修ということも必要であります。交通安全施設の整備強化という必要もあります。また最近特にやかましく言われているいわゆる神風タクシーといったような問題については、そうした運送事業者の事業の適正化と申しますか、経営の合理化と申しますか、運転者の労務管理の適正化等の問題も含まれておるのでありまして、さらにまた一般国民の交通法規を守るという順法精神の徹底という問題にも、必然的にからんでくると思います。関係の各省庁においてそれぞれこうした問題についての改善のための施策を推進して、初めて目的が達成できるのでございまして、着々これらの問題についての具体的施策を可能なものから推し進めて参っておるのでございまして、特に最近におきましては、先ほど申しました交通事故防止対策本部の中の自動車部会で、現実に関係各省の者が集まって協議会を開いております。近く何らかの具体的な結論を得るものと思っておるのであります。そういうふうにいたしまして逐次問題を具体的に解決していって可能なものから方策をとっていく、こういうことになっております。
○門司委員 これを議論していると非常に長くなりますが、最も重要な問題の中の一つの問題としてあげられた今の運転手その他の労務管理の問題、これはいずれ労働基準局その他から聞く一つの問題でありますけれども、警察庁はこの労務管理がどうなっているか調べておりますか。そしてそのデータを持っておりますか。これは去年の委員会では労働省から来てもらわなければわからなかった。やかましいことを言って一つの目標としている限りは、あなたの方にもデータがあるはずだと思いますが、ありますか、あったら出してもらいたいと思います。
○石井(榮)政府委員 ただいまの点につきましては専門の警ら交通課長がおりますから、便宜説明いたさせますので御了承願いたいと思います。
○門司委員 私は説明は要らぬと思います。書いたものがあれば、どういう状態になっているかということはわかる。要するに勤務状態だとか、あるいは何時間勤務であるとか、私がこの機会にほんとうに出してもらいたいのは各会社にある内規といいますか――実際は運転手が違反を犯さなければ生活のできないようなシステムがあると私は思う。こういうものを取り締らぬ限りは、最初から規則というものは犯罪を犯すようにちゃんとできている。これではどうにもなりません。ただ単にそういう基準局で調べたものだけでなくして、内規までも調べたものを出してもらいたい。そうしないとものの解決がつかないのであります。
 その次に道路行政の問題として聞いておきたいと思いますことは、これはちょっと思いつきのようでありますけれども、ここに道路交通取締法二十六条四に基く政令案として、道路交通取締りの強化と交通事故の防止に関する件と書いてある。一体これは人間を制限するのか、車を制限するのか、どっちです。
○坂井政府委員 もちろんこれは車であります。
○門司委員 車の制限をするということになりますと、問題をもう少し掘り下げて聞いておきたいと思いますが、今日道路を歩いております車を見ておりますと、これは無制限に運輸省の関係で許可されている。あるいは通産省の関係で積載量等は許可されております。それから車体の大きさ等も通産省で無制限といっていいほど干渉しないでこしらえさせております。従って道路の幅あるいは特に道路の四つかどのような曲りかどというようなものについては、きわめて不適性と思われるようなものが平気で歩いております。それらの問題について、ただ禁止あるいは通行を制限するという中に、いわゆる車の幅と道路の幅とを考えて制限する御意思がございますか。
○内海説明員 お答えいたします。ただいまの道路の幅と車の幅との関係による制限というものは、警察の方としても、しばしば逆に関係省に要求しておるところでございますが、法的な問題としましては、道路法に基きまして、建設省でそれに関する政令を出すということ、その政令案はしばしば論議されておりますが、まだ実際には公布されておりませんが、所管といたしましては、建設省がこれを出すことになっております。
○門司委員 建設省が出すというのはおかしいと思うのです。これは道路のできた上にある一つの事態なのであって、できれば通産省かあるいは運輸省が、そうでなければ警察庁が、いわゆる取締りの関係から出てくる問題であって、道路をこしらえる建設省がそれを出すというのは、実際少しおかしいと思う。道路の幅というのは、建設省が道路を作った関係もありましょうが、産業だとか経済に関係するいわゆる交通関係に対する一つの事業である。その上に持ってくるものはおのおの所管が今日違っております。建設省が、車の形が大きいから、通産省の仕事である、車体はこれだけにしなさいとか、幅はこれだけにしなさいとか、警察庁の取締りの運営に属するものまで建設省が政令で出すということは、これはそういうものの考え方では片づきません。いわゆる取締りの関係からこういうものが必要があるとするならば、これは取締りの関係から私は出してもらいたい。これは道路をこわすから困るというなら、困るということが通産省に響いて、通産省からやはり無制限なものをこしらえないように指示していく、こういう秩序の立ったものでないと、こんなことを聞いたってどうにもならない。建設省にいったって権限はありません。そんな変なものをこしらえてしまったら、建設省がおこられてしまう。こんなことを聞いても始まらぬと思いますので、私は次の質問に移りたいと思います。
 これはこの前ありました銃砲刀剣等の取締りに対しまする問題のときに聞けばよかったのでありますが、この法律の中にもこれが書いてありますので、この機会に聞いておきたいと思います。銃砲火薬の取締りについてはいろいろ問題があるかと思いますが、さしあたりの問題として、日本に対するこの問題の最も大きなポイントはどこにあるかというと、駐留軍の引き揚げに伴って、彼らの所持いたしておりまするものが民間に流れ出るという危険性があります。これは連中はうちへ帰れば、いつでも買える。何も日本からわざわざ持って帰らなくてもいいのであります。日本で売れば、向で買うよりも少し高く売れるのであります。従ってこれが流れ出ることは必然だと思う。これを一体どう防止するお考えであるか、この点は非常に重要な一つの現在のポイントだと思う。それに対して何か手を打っておられますか。
○中川政府委員 銃砲刀剣類等の危険物に対する原因は、従来日本の昔の軍隊その他の持っておった銃砲と、それから駐留軍等から流れる銃砲と両者でございます。数におきましては、従来の日本人が持っておったやつが多いのでございますけれども、後者の点も、たとえ数は少くても相当重要な問題でありますから、重大な関心を持ってこれに対策を講じております。対策は、わが警察におきましても、外国人たると軍人たると、そういうことに関係なく、取締りを徹底するということが一つと、もう一つは米軍当局と米軍の警察機関との取締りを徹底してもらう、これは重要なことだと考えまして、私ども米軍警察当局と十分な連絡をとりまして、米軍の警察当局におけるところの規律の保持、その取締りの徹底をお願いしております。両者の連絡につきましては、われわれの方からも十分いろいろな連絡もいたしますが、向うからも向うの銃砲等の取扱いの状況等につきまして連絡を受けております。従いまして、米軍の警察当局とわが警察当局とが力を合せまして、そういった拳銃が外に流れて国民に、危害を及ぼさないように、こういう点についての努力を大いにやって参りたい。従来も相当努めたつもりでございます。
○門司委員 今のような答弁ではどうしようもないな。実際はそういう程度のものではないと私は思うのです。かりに私のいる横浜あたりで取引されておりますが、実弾がなければ二千円か三千円くらいで手放しておる。実弾をつければ一万円か二万円くらいで手放しておる。そうしてこれはアメリカの警察であるMPの諸君がのそのそ行ったって追っつくものではありません。彼らの取締りを受けるような問題じゃない。問題はやはり、もし考えるならば、アメリカの軍司令官と日本の政府との間に、いわゆる拳銃の日本人売り渡しというようなことをしてはならないというような厳重な処置をしてもらうということが実際必要だと思います。それで、今の答弁のように、日本の方の数が多いということは、私は統計を見ておりますから、大体わかっておる。今までの犯罪統計の中で、アメリカ軍のものを使ったのがどのくらいある、あるいは日本人のものを使ったものがどのくらいある、それは統計にはっきりしておりますので、私の問うておるのは、御承知のように去年の暮れからことしの春にかけて、大体七万前後のものが撤退するということはわかっておる。そうするとその置きみやげとして置いていくものは、こういうものを置いていく。それからくるところの影響というものは非常に大きいのであります。これは単に警察同士で話し合いしておるという筋合いのものでないと思う。出てきたものを押えるとか出てきたものをどうするということではないのであります。ですから少くとも日本の治安当局としてはアメリカの司令部に申し入れをして、日米合同委員会というようなもので、やはりこの問題を厳重に処理するという考え方がなければ私は重大な問題が起ると思う。従ってこのようななまぬるいお座なりの答弁で済まされては困ると思います。そうして警察庁の長官が厳重に大臣に――きょうは大臣がおいでになったらこれをお頼みしようと思っておったが、大臣によく話してほしい、そうして拳銃の不法に流れ出ることのないように、厳重に一つアメリカ当局にかけ合ってもらいたい。
 それからその次に聞いておきたいと思いますことは、警察行政の問題で、先ほど北山君からいろいろ聞かれたのでございますが、私の聞いておきたいと思うことは、警察行政の中の、ここに新聞がありますが、この新聞がうそかほんとうか知らないが、あるいは警察にもこの間調べてもらいたいと言ってお話しておきましたから、あなたの方でも十分わかっておると思うのだが蒲田警察で起った事件として、警察官の検挙コンクールをやっておる。この検挙コンクールの一等に当選するためには、どうしても犯罪の摘発というものをたくさんしなければならぬということで、たまたま強盗事件その他いろいろな問題で引っかかった容疑者を調べるに当りまして、これは名前をはっきりいえば園田雄三(二一)と書いてある、強盗傷人、恐喝、窃盗、こういう罪名でございます。これが起訴されて三十九件が起訴されたが、この中で窃盗の三十一件だけは有罪として懲役二年の求刑を受けたが、そのほかの八件の強盗傷人、恐喝等についてはいずれも証拠不十分で無罪になった、その無罪になった原因はどこにあるかというと蒲田警察で警察官に頼まれて警察官の誘導尋問に引っかかり強盗事件を働いたと自供したことから、余罪を追及され、この間酒を与えられたり映画見物を許された後、検挙コンクールにおれのところを一番にしてくれと頼まれた、こういうことが書いてあります。だからありもしないことを白状した、こういうことが一体警察にありますか。ほんとうに警察庁ではこういうことを指導しておりますか。
○中川政府委員 本件事件は今から三年あまり前ですが、私長いこと刑事部長をやっておりまして当時新聞に出まして調べました。その当時だいぶ前調べたことですから、若干記憶が薄れておることもあると思うのですけれども、そのときは慎重に調べましたので、そのときの状況をお答えいたします。これは確かにお示しのように前科のある方ですが、佐々木さんという方が被疑者として現行犯として逮捕されたのであります。本件事件は窃盗が多いのですけれども、窃盗事件をずいぶん調べて参ったのでありますが、だんだん警察の調べから検事の調べ及び裁判になりまして、三十七件は有罪の判決を受けております。有罪の判決を受けたのはいいとして、無罪の判決を受けたのがあるのはけしからぬ、こういう御趣旨であろうと思うのですが、その事件の中で無罪の判決を受けたものも確かにあるのですけれども、この被疑者につきましては窃盗が多うございまして、しかもそれは屋外窃盗でございます。贓物が、物にあらずして、現金なんです。私ども犯罪捜査を行うに当りまして、屋外で、現金というのは立証上非常にむずかしい。小判とか何かであれば比較的証拠がはっきりしまれすけども、現金というのは代替性があるものですから、非常に証拠がはっきりしない。こういうことで、裁判所というものは証拠によって裁判されますので、屋外事件で現金で無罪になったものがあることは事実でございます。そのうち三十七件は、第一審裁判所の認めるところになって、有罪の判決を受けております。確かに新聞記事がございまして、私も新聞記事を見まして、こういうことがあってはならないと思いまして、調査を進めたのです。ことに本件事件は警視庁の事件でありますので、警視庁に詳細調べさしたのですが、この人間を調べるときに、いろいろ新聞によれば、映画館へ連れていって見せたとか、こういうような記事が確かにあったのですけれども、その状況もしさいに調べてみますと、たまたま雨が降りまして、この被疑者を連れまして、贓物との関連において被害場所において実施捜査をしたわけです。そのときにたまたま雨が降りまして、雨よけのために映画館に参ったことは事実でございます。ところが、映画を見るために中まで案内しておりません。そういう状況は、いろいろ関係人の調査をいたしまして、はっきりいたしたのでありますが、雨が降っていないにかかわらず、雨が降ったと警察官が言ったのではなかろうかと考えまして、気象庁について調べましたところが、当日は確かに雨が降っておったのであります。(笑声)そういう状況がありまして、だんだんそういうふうに気象庁とも連絡いたしまして精密に調べたのでございますが、新聞記事の点もやはり一つの端緒でございますが、そういう状況も調べたのでございます。三十七件は有罪の判決になっておりますし、それ以外の無罪になった事件も確かにありますけれども、そういう屋外事件であり、それから被害物が現金である、こういう事情等もございます。それからどんぶり飯を食わして大へんごちそうしたということが出ておったのでございますが、取調べの途中におきまして昼食事に至りまして、食事を与えたことは事実でございます。食事を与えることは当然だと思いますので、そういったこと等も考えられるのですけれども、何といいましても三十七件は有罪になりましたけれども、そういった取扱いその他について、もっと適正にやってもらいたい、こういうふうに当時も注意いたしたのであります。こういった事件はわれわれもかねて、ただいま長官からもお話がございましたように、こういう事件について先ほど北山委員からも御注意がございましたが、十分努力しております。
 先ほどの検挙コンクールの件でございますが、検挙のコンクールということを現実に行なったことは事実であります。ところがこのコンクールというのは弊害が相当多いものですから、こういうコンクールをいたずらにやるべきでない、こういう考え方を長官もお持ちになりまして、自来いわゆる検挙コンクール的に件数であせる、こういうことにならないようにする、こういう点は相当徹底して参っておりますので、こういうコンクールのためにこの種の迷惑を他人にかけることがない、こういう実情に相なっておろうと思いますので、御了承いただきたいと思います。
○門司委員 今の記事と違うのでありまして、いわゆる無罪になった八件を含めた三十九件でありまして、ごく最近の裁判の確定ですよ。これは一週間くらい前の判決です。三十九件が送られて、そのうち八件が今言ったような事情で無罪になったということなんです。あなたの方は調べが少し違う。もう少し新しいものを調べておいてもらわぬと困る。警察が検挙コンクールでまとめ上げたのが三十九件、そのうちの八件がそういう変なことで事実と反しておった。これは共犯者が違う、こういって新聞に書いてある。あなたの方は共犯だというて出しているが、公判でこうなっている。そういうことは事実と大して関係ありませんが、今の検挙コンクールで点数かせぎというのは、あなたの方では、ないというのですけれども、事実上あり得る。ないとは言えない。そこで問題になるのは、やはり点数かせぎというものが非常に災いをしているということは事実です。こういうことについて今も、ないという話でありますから、いや、あるのだということで、ここで議論しても始まらぬと思うのですが、もしこういう問題があるとするならば、これはほんとうにゆゆしい人権じゅうりんが行われていることに間違いないのであって、一つ警察当局でもこの点については十分に考えてもらいたい。
 これに関連してもう一つ聞いておきたいと思いますことは、警察内部の人事行政のあり方であります。今度の東京の事件等についても、いろいろ問題はあるかと思いますが、今警察内部で行われている最も大きい弊害は何かと言うと、出世第一主義であります。これは官僚につきまとう大きな問題であります。従って、与えられた職務に忠実であるよりも、試験を受けて昇進することを考えた方が利口だというのが、警察の中に隠すことのできない事実だと思う。従って今日の実態から見れば、ほんとうに犯罪の捜査あるいは犯罪の検挙、その他の警察業務というものに十分に経験を持たない諸君が、署長その他のいすについている。いわゆる国家公務員の六級職以上の試験を受けた人とか、あるいは前の高文を通った諸君が一本に出世するようにできている。そういうことで、やはり出世第一主義というものが、今日の警察制度の中に一つの災いの大きな問題になっておりはしないか。今申し上げましたように、犯罪捜査などにぐるぐる回っているよりも、やはり試験勉強をして試験に合格した方が出世が早い。その結果、比較的警察の行政事務に対して、あるいはその他のことに対して経験の薄い諸君が警察署長になったり、重要なポストを占めているというようなきらいが必ずあると思う。そういうきらいはございませんか。あなの方でないということが言えますたか。
○石井(榮)政府委員 いわゆる立身出世主義というものは好ましくないということは、私、機会あるごとに話をいたしているのでございます。正しい意味の向上心というものは人間として当然あってしかるべきだ、またそれがあってこそ、ますます進歩向上していくのでありますから、そういう意味での勉強意欲というか、研究意欲、そういったものは大いに培養すべきものであり、従ってそれに基く正しい意味の競争心というものは何ら責むべきものでないと思うのでありますが、今日いわゆる立身出世主義で、仕事をいいかげんにしても、勉強して早く地位の昇進をはかるといったような気風があるのではないかという御懸念でございますが、数多い警察の中に、あるいはそういうものがあるかもしれませんが、大勢としてそうであるということは私は考えないのでございまして、われわれ人事を取り扱う場合にも、十分能力実証主義、ほんとうに適材が適所に配置されるように十分考慮を払っているつもりでありまして、かりに要領よく勉強して昇進試験を通りましても、その者の勤務成績が悪い場合には、必ずしも試験に合格したからというゆえをもって、それを直ちに登用するということにはいたしておらないのでございます。どこまでも能力実証主義と申しますか、十分に実力を備えておって、その地位にすわるにふさわしい者を配置する、こういうふうにいたしておるつもりでございます。
○門司委員 その次に問題になりますのは、警察官の給与の問題であります。今度の地方財政計画を見てみますと、従来の警察官に対する、要するに勤務外手当の六%が九%になっているように書いてございます。従って五割の増額が大体認められたというふうに、私は財政計画上では言えると思います。ところが今日の警察行政の中で、ちもろんそういう時間外勤務も必要かと思いますけれども、警察官自身の給与の問題というものは、必ずしも満足に行っておらないのではないかということと同時に、特に問題になりますのは、例の財政再建の団体等に対します今日自治庁がとっおります態度、いわゆる国家公務員を上回るようなことでは困るということで、給与水準に対しましては、きわめて厳粛な態度をとって臨んでおりますが、警察官も御承知のように今のところストライキをすることはできないのでありますが――私は警察官がストライキをしてもいいと思っておりますが、許されていない。そこで何らの団体交渉もできない、何らの対抗手段を持っておりません。従って自分の生活を守る一つの手段としての団体の行動を許されておりません警察官というものは、給与改訂のような場合にはきわめてみじめなものである、これは取り残されるのであります。しかるに自治庁は、さっき申し上げましたような給与改訂にとっては、きわめて厳重な態度で臨んでおります。そこで問題になりますのは、やはりこの給与改訂に伴う警察庁の長官としての考え方は一体どうなのか。私は一般の公務より特別に危険な場所に行かなければならない、あるいは夜が夜中でも勤務というものについては制限がないはずだ。従ってむしろ一般の国家公務員あるいは地方公務員よりも、考え方によっては優遇される地位に、一応置くべきではないかということが考えられる。しかし自衛手段を持たない警察官としては、これはどうも団体交渉にゆだねようじゃないかということをすれば、あなたの方は怒るでしょう。警察署員が集まってきてすぐ署長さんに抗議をするとか、署長が集まって警察庁の長官に文句を言ってくるというようなことになったら、警察官にあるまじき行動だというように、きっとあなた方は文句を言うでしょう。ところがだれが守ってやるかということになると、だれも守ってやらない。そうなって参りますと、警察庁の長官は責任を持って警察官諸君の給与というものについては配慮をすべき立場にあると思うが、今回の給与改訂によって、一体警察庁はどういう配慮とどういう結果が生まれてきておるのか、その点をこの機会に一つ聞かせていただきたいと思います。
○石井(榮)政府委員 各都道府県の警察官の給与は、富裕府県におきましては、かなり優遇をされおるのでありますが、特に財政再建団体である県等におきましては、かなり警察官の待遇は富裕府県に比べて見劣りがするという実情にあるのでございますが、警察官の勤務の特殊性にかんがみまして、待遇がよりよくなるということは私も常々念願するところであります。及ばずながらあらゆる機会にあらゆる方法を講じまして、警察官の待遇をよりよくすることに微力ながら最善を尽したいと考えており、また今日までも努めて参ったつもりであります。今回の国家公務員の給与改訂に伴いまして、地方公務員である都道府県の警察職員の給与改訂の問題について、ただいま御指摘があったと思うのでありますが、もともと警察官に適用する給与表は、御承知のように公安職給与表というのがございますが、これは一般行政職の給与表との比較におきまして、警察の勤務の特殊性にかんがみまして、若干の水準差がつけてあるのであります。つまり公安職の方が一般行政職よりも同列、同階級と申しますか、たとえば新制高校を卒業したてのものを一般行政職に採用する場合と、新制高校出の者を巡査見習いとして採用する場合においては、水準差がつけてあるのでございます。この水準差が少くとも守られるということだけは、私は最小限の要求として自治庁当局にも理解を願うように努めて参っておるのでございまして、具体的に申しますと、いわゆる赤字再建団体に対して自治庁がとりました指導方針は、私の聞くところによりますと、府県庁職員に対しては一般行政職の俸給表を若干手直しした俸給表を認めながら、公安職俸給表つまり警察官に適用するものについては、国家公務員の公安職の俸給表をそのまま適用するようにと、こういう指導がなされたということを聞いたのでございます。そこで私はそれに対しましては、先ほど申します通り、一般行政職と公安職との仕事の性質にかんがみて、もともとつけてある水準差というものはどこまでも堅持する、この方針は尊重していただきたい。従って赤字再建団体において一般行政職の俸給表を、国家公務員の一般行政職の俸給表そのままでなしに、若干色をつけるならば、それと均衡のとれる程度において、公安職の俸給表を国家公務員のものそのままでなしに、若干色をつけたものを地方公務員たる警察官に適用するようにしてもらいたい。しかし一般行政職は何ら手心を加えないで、国家公務員の一般行政職の俸給表そのままを適用するというのであるならば、これはもともと均衡を保ってある国家公務員の公安職の俸給表を、そのまま地方公務員たる警察官に適用されてもいたし方ない。たまたまそうした方が赤字団体に勤務をするということが不運であったと考える以外にないことになるのでございますから、その場合にはいたし方がないが、先ほど申しますように一般行政職の俸給表について若干手心を加えるならば、それと均衡をとれる限度において公安職の方にも考慮をしてもらいたい。つまり一般行政職と公安職との水準差がついているということを念頭に置いて、その水準差を堅持するということを考慮してもらいたい、こういうふうに私は自治庁当局には要望をいたしているのであります。具体的の措置につきましては、自治庁と当該府県の知事あるいは財政当局の者が折衝いたしましておきめになることでございますので、私はそれ以上に干渉がましく注文をつけることはできないのでございますが、要望としてそういうふうに申し上げているのであります。
○門司委員 私は今の石井長官の考え方には間違いがあると思う。それは国家公安職と言いますけれども、国家公安職というのは何であるか。警視正以上の諸君が国家公務員である。そのほかに国家公安職として認められるものは皇宮警察であります。この皇宮警察は一般警察と同じような仕事をしていない。警察官として一般警察官の中に入っていない。警察官であることには間違いないが、一般警察官とは違うのであります。私は自治庁の今日の態度で最も不明朗だと思うのはそこにあるのであって、下級警察官の給与を上げようとすれば、国家の諸君との比較をしてきている。ところが比較をされるものは何であるかといえば、皇宮警察である。皇宮警察と今日の一般警察とが比較されるのは、私は警察官としてきわめて気の毒だと思う。今の長官の答弁で、国家公安職との比率なんということになると問題でしょう。国家公安職の中にあるもので、普通の警察職員というものは、皇宮警察官しかないはずだ。こういうものは、場合によって警視庁の管内に入ってみたり、また警視庁から皇宮警察のお手伝いに行ったりしていることは事実であります。国家公務員としての公安職というのは、地方の警察官と対照のできるものは皇宮警察しかないと思う。その他の国家公安職、これはみな警視正以上の諸君であって、地方の警察官諸君と比較ができない立場に立っている諸君であります。だから私は警察庁の長官としては、その辺をお考えになって、国家公安職と同じようなことにしてもらいたいというような考え方では、今日の自治警察の警察官は救われないと思う。だからやかましいことをこの際言うわけじゃありませんが、そういう認識だけは改めてもらいたい。そうして地方の都道府県の警察官というものは特殊の立場にあるものである。いわゆる比較すべき国家公安職というものは私はないと考えている。比較さるべきものはないはずです。同じ警察官としての名前、同じ警察法の中にある警察官であることには間違いがないのであるが、これは非常に大きな相違を持っている。異なった一つの任務と性格を持っている。これを比較することで警察庁の長官が安んじているということになると、地方の警察官諸君はきわめて迷惑だと思う。もう少し警察庁の長官は腹をきめて、その辺をはっきりしてもらわぬと、これはさっき申し上げましたように団体交渉もストライキもできない、きわめて気の毒な諸君であります。検挙コンクールをやって賞金をもらうくらいが関の山であります。その賞金はきわめてわずかなのです。
 それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、警察の機動力に対する一つの考え方であります。警察予算というものは、これは裁判所の予算あるいは法務省の予算と同じように、どっちかというと、世間からあまり喜ばれない予算であります。そういう予算のふえるということ自体が社会相がよくないということです。しかし社会相がよくないという抽象的な議論だけで警察費というものをふやすことに反対することもどうかと思う。実際に間違いがあればやはりたださなければならぬ。そこで問題になります点は、これは石井長官も始終言われておりますが、今日の警察の装備の問題でございます。警察の装備は必ずしも万全を期していないと思う。どこの警察を見ても、署長の車が一台あって、あとはジープかなんかのボロボロ車が一台あればいい方であって、まごまごすれば、そういうものも持っておらない。こういうことでは満足な機動警察というものの機能を発揮するわけにはいかぬと思う。従ってどうしても警察行政というものは権力行政になりやすい。あるいは地方のボスから金をもらって、そういうものを装備するということになりがちになる。この点について一体警察庁はどういう態度を予算措置の上で今日までとってこられたか。しかも地方財政計画を見てみましても、国家財政計画を見てみましても、この点につきましてはほとんど増額が認められておりません。認められておるのは、罰金がたくさんとれるということが認められているだけであって、あとは認められておりません。こういう点について、警察庁の考え方をこの際はっきり伺いたい。そうして予算上の措置がこれで万全であるかどうかということについての御答弁を伺っておきたいと思います。
○石井(榮)政府委員 最初に警察官の遇待のことについての問題でございますが、確かに国家公安務員たる巡査に相当するものは皇宮護衛官たる皇宮巡査しかない。これは都道府県の巡査の勤務その他と性格的に違うということは、私も十分承知いたしております。巡査部長以上は国家公務員たる警察官が、私どもの出先機関である管区警察局等におるのでございます。従いまして、国家公務員に適用する公安職の俸給表というものは、そうしたものを対象として、先ほど私が申しました通り、一般行政職の国家公務員との勤務の特性からくる水準差というものを考慮に入れた給与表ができておるわけでございます。従って門司委員の御指摘のように、警視正以上の者だけというのではないのでございます。その点は、私も認識を改むべき点は改めますが、門司委員におかれましても、一つ御了解を願いたいと思うのでございます。しかしいずれにいたしましても、第一線の警察官の待遇をもっとよりよくすることについて、積極的な手を打つべしという御激励は、私まことにありがたく拝聴いたしたのでございまして、今後あらゆる機会にできるだけその問題についての努力を払いたい、かように考えております。
 次に、装備の問題についてのお尋ねでございますが、先ほども申し上げたかと思うのでございますが、装備の不十分な点は、私どもも十分承知をいたしております。従ってこれを漸次整備いたして参りたいと思っておるのでございますが、国家財政の都合等もありますので、一気に、飛躍的に増強ということはなかなか至難でありますので、年次計画を立てまして、逐次増強整備をいたして参りたい、かように考えておるのでございます。現在国会において御審議中の三十三年度予算におきましても、装備の充実につきましては、かなり考慮を払っておるつもりでございまして、車両等につきましても、あるいはパトロールカーの百六十台とか、指揮官用車の百一台、捜査用車は百八十台、小型輸送車も七十七台というかなりの台数のものを予算に計上いたしておるのでございまして、こうしたものはすべて国費によって調達いたしまして、各都道府県に配分をいたす、こういうことに相なっているのでございます。もとよりこれで十分とは考えておりません。先ほど申しますように年次計画を立てまして、年々整備拡充いたして参りたい、かように考えております。
○門司委員 私はもう少しはっきり聞いておきたいと思いますが、この法案によりますと、一つ局がふえるわけであります。従って人員はどのくらいふえるのか、これが都道府県警察に及ぼす影響がどうなのか、これは一つの行政上の系統的な問題であります。これは頭がふえてくると、ふえただけ下に命令が多く出てくるわけであります。しかしそれを受ける地方の都道府県警察というものが現状のままでは命令が混乱する危険性を持っております。そこで頭をふやすならば、やはりそれに即応して活動のできる下部組織についても、何らかの処置を施さなければならぬと思う。従って都道府県警察の組織に及ぼす影響はここに書いてないが、一体どういうふうにお考えですか。
○石井(榮)政府委員 今回の改正によりまして、保安局設置に伴う純増員分といたしましては、二十名が考えられておるのでございます。この二十名をプラスして現在警備部に所属している警ら交通課と、刑事部に所属している防犯課を一つに統合して新しく保安局を作ろう、こういう考え方でございます。
 しからば第一線の方はどうなっておるかと申しますと、御承知のように特に保安局設置の大きな理由の一つになっている交通問題等については、第一線、特に大都市が中心でございまして、大都市を含む大府県においては、われわれが考えております保安局に相当する保安部ないしは防犯部という組織が、すでにできておるのでございます。第一線の方がむしろわれわれに先行して、実情に即する機構を整備して、実際に即した仕事をやっておるわけでございまして、遺憾ながら中央のわれわれの方がそれに対応しての十分指導すべき態勢が整っておらなかったというくらいでございます。第一線の、少くとも大府県においてはすでにこうした機構はできておるのでございます。その他の中小府県に至りましては、これは逐次実情に即して将来考えていきたい、かように考えておるのであります。
○門司委員 今の答弁のようなことでこれを過ごすわけにはいかぬと思います。今の警察庁長官の答弁は、すでに地方ができていて、むしろこっちがおくれておるくらいだというお話でありますが、私は必ずしもそうではないと思う。官庁の行政機構というのは、そう簡単に片づくものではないと思う。上がふえれば必ず地方もふえる。一課ができれば、こまかい話ですが、当然給仕さんもふえるだろうし、いろいろ人員がふえる。今日国家の行政組織というものが、この国会を通じて一大転換をしようといたしております。これはどこにあるかといえば、今内閣委員会に提案されている議案の大部分というものは、各省設置法の改正に関する法律案、この各省設置法の改正に関する法律案の内容を見てみると、いずれも権限の拡大強化、人をふやすことであります。私は、さっき建設委員会に出て委員外発言を許していただきまして、この点について建設大臣にお伺いしたのであります。建設省の今までの地方建設局をふやそうというのであります。そうして出てきておる設置法を見ると、人員は二十名しかふえないという、こんなばかげたことがどこの世界にあるのかと言うと、それは内部の人員の配置でというふうな変なことを言っておる。少くとも中国と四国を一つの行政区にしておったものを、中国に一つ置いて、四国に一つ置くということになれば、ここだけでも一つの局がふえるということになりますると、局長と給仕さんとそれから守衛さんだけを入れても、二つふやせば二十人で足りないことはわかり切っているのだ。しかも今度の国会を通じて、さっき申し上げまするように各省の設置法案というものが全部出ておる。自治庁も出して人員をふやそうとしておる。これは明らかに中央集権の拡大強化をはかろうとする官僚の陰謀である。その一環がこの警察法にも現われておる。下部組織がすでにできておって、下部組織が十分にやっておって、追っかけられて中央でこういう機構改革をするのだというようなお話でありますが、私は実際にはそうじゃないと思う。この問題についてはこの国会を通じて私は官僚統制の拡大強化をはかろうとする一つの大きな現われであると考えておる。地方に対しては、人員を少くしなさい、人間を節約していけ、給与を引き下げなさいと言う。ことしの地方財政計画におきましても、給与あるいは消費的経費については、一般的に二%の減額を見た予算が組まれております。地方に対しましてはそういうふうに非常にやかましいことを言って、当然昇給すべきものであっても昇給が許されておらない。五年先にやっと国家公務員と同じ、肩を並べるというような給与改訂の法案を地方が条例できめてきても、五年先の問題であっても、今からこういうものはけしからぬ、認めるわけにはいかないといって――これはあなたの方の関係ではありませんが、自治庁はそういうことをいっておる。そのあおりが私はやはり警察官にもきていると思う。警察官の今度の給与改訂についても、そういう問題が現実に問題になっているでしょう。地方公務員の諸君に対するそうした考え方というものは、極度に押えようとする考え方であって、そうして機構の拡大強化をはかっていこうとする一貫した反動内閣の政策であります。従ってこの法律案を通そうとするなら、その辺を私は大臣に一つ考えてもらって、よくただしませんと、危なくてしょうがない。頭でっかちになって、頭に権力ができてきて、そうしてそれが地方に流されてきて官僚統制が行われることは間違いないのです。それは今までのこの法案をめぐるいろいろな質疑、あるいはただいま私が聞きました範囲においても、そういうことをうかがい知ることができるのでありまして、従って私はこの機会に委員長にお願いをいたしておきますが、冒頭に聞きましたように、警察行政というものが権力行政によろうとするのか、あるいは民主行政によろうとするのかというような一つの問題、それからさらに問題の焦点として先ほど申し上げました駐留軍の撤退に伴う凶器の日本国内への流出に対する問題は、やはり大臣に一つよく御了解を得ておきたい。そうしてこれは外務省との間に、あるいは日米合同委員会の問題にするか、あるいは米軍の最高司令官に日本政府として申し入れをしてもらって、これの流出を防止するというようなことをぜひ考えていただきたい。こういう問題を解決をいたしますことのために、ぜひ警察の主管大臣でありまする国家公安委員長を審議の過程において出していただきたい。このことを一応委員長にお願いいたしまして、自後の質問は一応保留しておきたいと思います。
○矢尾委員長 ほかに質問もないようでございますので、この際正力国務大臣に対する質疑は保留することとして、一応本案に対する質疑を終了することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○矢尾委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
  午後二時十分まで休憩いたします。
    午後一時四十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二十五分開議
○矢尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 警察法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては一応質疑終了となっておりますが、正力国務大臣に対する質疑が保留となっておりますので、この際正力国務大臣に対する質疑を許します。
○中井委員 議事進行……。それでけっこうなんですが、午前中に私は幹線という文句について、さしむきどの程度のものを警察はやるのかという点に対する回答を求めましたが、その点はどうでございますか。
○坂井政府委員 中井先生からお尋ねの点でございますが、午前中もお話しました通り、特に重要な幹線というふうに限定をいたすつもりでございます。それでは特に重要な路線とはどういうところかということになりますが、東海道線あるいは山陽線のうちでも特に重要なところというようなことになります。そのほか特に御承知のように大都会の交通というのは、非常に困難な事情になっておりますので、大都会に入ってくるところの大都会周辺と大都会とを結ぶ幹線というようなものをここで考えていきたい、こういうふうに考えております。
○中井委員 それではなくて具体的に言って下さい。たとえば大都会に入っているというのはどういうところが、これは拡張解釈をしては非常に問題が起るから、私はお尋ねしておるのです。
○坂井政府委員 東京都と横浜市を結ぶ一号線、それから十五号線、御承知のように東京―横浜の二つの国道でございます。それから関西に参りまして大津市、京都市、大阪市、神戸市を結ぶ一号線または二号線、それから下関と門司市を結ぶ二号線、それから福岡市から佐賀県鳥栖市を経て久留米市を結ぶ三号線、それから東京周辺に参りまして、東京都と埼玉県草加町を結ぶ第四号線、それから東京都と浦和市を結ぶ第十七号線、東京都と千葉市を結ぶ第十四号線、こういうものを具体的にきめていきたいと考えております。
○中井委員 今の話でわかりましたが、それは状況によって自由に拡張するのですか。当分それでいくのですか。今のお話を聞いて私はどうもあなた方は調査がはなはだ疎漏だと思う。たとえば下関――門司の間は関門トンネルが二十年かかってこの間ようやくできた。ところがあれができてもそれだけでは解決しない。あの間だけは交通が非常に緩和されるが、門司から福岡に行く戸畑から八幡のあの辺は大へんな混雑で、これは建設省がこの四月までに完成しようというが、自動車が延々三十分も四十分も待っているというところがあるのですよ。今の御説明ではそういうところがないのですが、どういうことになっているのですか。
○坂井政府委員 建設省の道路建設の状況また交通の実際の混み工合等も考えまして、これにさらにつけ加えていかなければならぬものも出てくるかと思うのでございますが、ただ同じ県内の問題は私どもの方じゃ考えておりません。二府県以上にまたがるものにつきましてきめていくわけであります。
○中井委員 わかりました。
○矢尾委員長 門司亮君。
○門司委員 大臣にお尋ねしたいのでございます。先ほど委員会でいろいろ質疑を行なったのでありますが、これは大臣だけのお考えというよりも、むしろ私はこの内閣がとっております政策の一環として大臣に聞いておきたいと思います。
 それは、この国会に提案されて、内閣委員会にかかっております各省設置法案を見てみますと、いずれも人員の増加の伴う中央集権的の法案であることに間違いはありません。この警察法の改正にいたしましても、これの一環であるとしか私ども見受けられない。なぜであるかといえば、道路行政さらに運輸行政というようなものと離れて、ただ取締りの強化によって交通事故を防止しようというものの考え方のようにわれわれには受け取れる。しかも警察行政に関しましては、地方におのおのその責任の所在として、地方各府県の公安委員会のあることは大臣も御承知の通りであります。そして今日の道路行政に対しまする取締りその他については、これらの地方の公安委員会の処置によって、これがなされておることも大臣の御承知の通りであります。いわゆる交通の問題、スピードの問題にいたしましても、あるいは駐車することができないというような標識はすべて地方の公安委員会の命令でこれが出されておる。従って今日の道路行政に関するそれらの問題が、地方の公安委員会の所属であり、ほとんど権限に属したものであるが、これをたとい多少制限はございましょうとも、国の一本化した行政取締りに持っていこうとするものの考え方は、この警察法を昭和二十九年に改正いたしましたときに、私どもはこういう警察法の改正をすれば必ず中央集権になって、過去の警察万能のものになる危険性を持ってくるものとして反対をして参りましたことは、大臣も御承知だと思う。ところがその後数年にして、まず交通事故が非常に多いということを口実にして――私はあえて口実と申し上げます。これは道路行政を運輸行政と、いわゆる道路取締り行政というものが三位一体でなければ解決がつかないものを、ただ内閣の中に、あるいは政府の中に、それらに関する委員会を最近こしらえたというだけであって、今まで具体的に何にも仕事をされておらない。この取締りを強化しようというものの考え方は、やはり中央集権へ移行するというものの考え方である。地方の公安委員会で一体どうして交通の取締りが円滑に行かないのか、国家公安委員会が乗り出さなければ、どうして一体日本の交通取締りの行政がうまく行かないのか、その点は明確にちっともなっておらない。ただこの地図に書いてあるように、ずっと一貫した道路については一貫した取締りが必要だと言っているのです。
 大臣にまず考えてもらわなければならぬことは、今日の日本の道路は、全部一貫した、つながった道路といいましても、必ずしも同じような装備はされておりません。東京都の道路、神奈川県の道路、愛知県の道路、静岡県の道路、こういうようなものは、おのおのそれ自体に、財政上の関係もございましょうし、あるいは交通量の関係もございましょうし、いろいろな問題で異なった行政が行われておることは大臣も御承知の通りだと思う。従ってその取締りその他についても、やはりいろいろその地方々々の公安委員会が最善の策として考えたものにゆだねるべきではないか。これを中央の命令によって一貫されることは、まず警察行政を国家で握ろうとする私は官僚の野望だと思う。この点に対して大臣が、そうではないという御答弁ができるなら、ここではっきりしておいて下さい。
○正力国務大臣 民主警察でなくてはならぬということは、私がここで申し上げるまでもないのであります。われわれはどこまでもその趣意を尊重していかなければならぬと思いますが、ただ御承知の通り、交通事故が近来特にふえてきました。この間国会でもやはり問題になった。そして一面また道路がだんだんみな一貫してくるようになってきたということから、ほんとう、に交通事故を少くするためは、ここにある一貫した調和をとらなくちゃならぬというような考えで、地方公安委員会に対しても、ごく最小限度の制限を加えただけであります。決して中央集権をするとか、あるいは地方の公安委員会の権限を広めるからというような考えに立っておりませんことを、ここに申し上げます。
○門司委員 大臣はいつでもそういう答弁をされるのであります。都合の悪いことはそういうことぱしないつもりだ、これは大体常用答えです。それだけでわれわれ承服するわけには参りません。私どもがおそれておりますのは、先ほど申し上げましたように、少くとも民主警察を標榜するならば、できる限り地方住民の実態に沿った警察行政が行われるべきである。今日交通事故が非常に多いからというのだが、そうすると今日の交通事故に対して、地方公安委員会は無能だということになる。この点は先ほどの質問の中に私は入れませんでしたが、大臣がそういう御答弁ならば申し上げておきますが、こういう法律をこしらえて、どれだけ一体交通の事故が減るかということであります。減りゃしませんよ。こんなことをしたって……。もし警察庁でこういう法律をこしらえれば事故が減るんだという事実があれば、数字をあげて説明して下さい。
○正カ国務大臣 数字をあげて説明せよとおっしゃっても具体的な数字は困りますが、少くとも今度の全国的に不調和になっているものを直せば、交通事故は減ると思っております。もちろん交通事故が減るのはただ一片の規則だけでなしに、いろいろな技術的な面もありますが、とにかくいろいろな速度の違いの面があるということが、事故を起す一つの原因になっておるということは、間違いないと信ずるのでありまして、こういうことはないのであります。
○門司委員 そういうことは東京都内だってみんな制限しております。ここは五十二で走れ、ここは三十二で走れ、東京都内だって道路の幅とか交通に応じて制限しておる。同じことです。一定したら事故がなくなるというような筋合ではない。やはり道路の状況によって、当然そういう処置がとらるべきだと思う。じゃ東京都内を一定するのに、どの速度で一体きめようとされるのか。きめようとされたってきまらない。またきめることは不自然です。たとえば夜中になれば約五キロくらいのものはよけい出してもいいということがちゃんと出ておる。これは交通がひんぱんでないから……。交通のひんぱんでない、道路の整備されたところは、おのずから速度を出したってちっとも差しつかえない。しかしそれと逆のところはやはりある程度制限しなければならないことは当然でありまして、従ってこういうものの考え方で、一定したものにすることがよろしいということでなくて、むしろこういうことこそ、地方の自治体に十分おまかせになった方が実際に即すると思う。むしろ交通事故に対しては、そういう方針の方が私はいいと思う。これを国がきめまして、そして愛知県と静岡県の間あるいは静岡県と神奈川県との境、ここから先は神奈川県は五十二キロ、静岡県は四十二キロ、愛知県に行けば三十五キロでなければならぬ、それをみんな四十五にすれば交通事故がなくなるなんと考えることは大きな間違いだと思う。実情に沿わないので、かえって交通事故は頻発すると思う。今の大臣の御答弁では私は承服できません。私が数字的なことを言ったのは少し行き過ぎかもしれない、そんなものはわかるはずはないと私は思うが、しかしその観念の上から申しましても、こういう問題はかえって行き過ぎになって事故防止には決してならないと思う。むし事故を増発するという危険性を持っておる。そして地方の公安委員会が責任を持たないことになる。今日の地方行政の中で一つの大きな問題は、責任の所在をどこに置くかということが、この交通行政の上にとって非常に大きな問題であります。それが忘れられておる。ここは国が管理しているんだから、事故が出ようとどうしようと国でやったらいいだろうということになりますと、今日の自治体警察に対する指揮命令というものが法律以上に出てきて、国の意向によって警察が動かされるような形が私は必ず出てくると思う。ところが警察は警察で、各都道府県の警察は警察庁の考え方で、いろいろの警察行政というものを行なっておる。その中に一本道路行政については、警察庁の命令でやれというようなことが入ってくることは、私はあまりいい結果にはならぬと思う。だから今の大臣の答弁では私どもこの問題を承服するわけには参りません。むしろ私は今日の交通取締りを十分にしようとすれば、それは取締り強化によって交通行政が完全になるのではなくて、やはり運転手あるいは車の数あるいは車の種類、車の大きさというようなものが十分勘案されて、そしておのおのの実態に即した指導の方が、私は今日望ましいと思う。どんなに強化をいたしましても交通事故は減りません。減る道理はないと思う。道路行政と交通行政、運輸行政がマッチしておりません今日の日本の状態において、警察だけがしゃっちょこ立ちして、今ある警察を全部動員して交通取締りを一ぺんやってごらんなさい、どのくらい交通事故の防止ができるか、私はなかなかできないと思う。そういうふうに私は考えますので、もう一度大臣にお聞きいたしたいと思いますことは、そういう意図でないと言われるなら、私はこの警察法の改正については、一応これを撤回されたらどうかと思います。そうしてむしろ次善の策としては、というよりも積極的にさっき申し上げました交通行政、運輸行政、道路行政というものを完備するところの法律案を先にお出しになった方が、私は利口だと思います。そうしてもう少し具体的に、たとえばこの道路の幅、この道路の交通量によってはこの種の車の交通しかできないんだというような、むしろいかにして交通事故をなくすかということの実態に即した法律なり政令なりを出された方が私は適切であると思う。もちろんこれらの問題は今は各都道府県の公安委員会の所管に属しているのです。私は法律がなくてもこのことは公安委員会でやれると思います。そういう指導に政府は主力を注がれた方が、むしろ私は交通の事故防止になると思いますが、この点について、もう一度大臣の所見をお伺いいたしたい。
○正力国務大臣 ただいまお話のあるいは自動車自体に対する、あるいは運転手に対する、その他いろいろな道路に対するお説はまことにごもっともです。それはもちろん必要であります。それですからその趣意は私はまことに同感でありますが、しかしそれと同時にやはりこの規則で制限することが必要ではないか、こう思うわけであります。
○門司委員 私はこれ以上この問題について大臣と押し問答はいたしません。大体大臣のお考えはわかっております。しかしわれわれの遺憾とするのは、この警察行政がだんだん中央集権になってくる。警察だけでなくて、先ほど申しましたように国家の機構全体が、今度の国会に現われておりますように、各省庁の改正法が出て、そうしてみんな人間がふえてきて、中央集権になっておる。この傾向は明らかに私は反動的の傾向であり、時代に逆行する一つの現われであって、これは岸内閣の性格の現われだと思うから、あまり公安委員長だけをいじめてもしようがないから、これ以上質問いたしません。私はこれは深く申し上げませんが、その点については大臣も十分御考慮を願って、警察法改正のときに約束されたことは守ってもらいたい。できるだけ民主警察としての態度をとってもらいたい。権力警察になることは、決して治安の確保にはなりません。国民の協力なくして治安が保てようなんということを考えたときは、天皇という絶対権のあったときである。今の社会においてそんなものが通用するはずがないのである。
 その次に、大臣に特に御配慮をわずらわしたいと思いまして、大臣にお願いするのでございますが、これは先ほど石井長官にもお話を申し上げましたが、この機会に大臣から特に明確に御答弁を願っておきたいと思います。この警察法の一部改正の中にも書いてありますし、銃砲火薬の取締りの特別法案も出て通過をいたしております。しかし問題になりますのは、銃砲火薬の問題で非常に危険なものとして、今日民間で恐れられておるものはピストルであります。この凶器であるピストルが市中にたくさん流れてくる一つの大きな問題として、今私どもの考えておりますところは、駐留軍の撤退に伴って彼らが日本に置いていくピストルであります。これは従来の日本にあったピストルの数と比べて、数においてはどっちが多いかということは比較はできないかもしれません。少くとも今日取引をされておりまする実情を見ますと、実弾を伴わないものが大体二千円から三千円ぐらいで安易にこれがのみしろのカタに置かれておるというような危険性がたくさんある。実弾が伴えば一万円から二万円ぐらいで取引されておる。御承知のように連中は国に帰ればいつでもピストルは買えるのでありまするから、何もわざわざ持ち帰る必要はないのであります。そこで今日銃砲火薬の取締りあるいは警察法を改正しようとする時期でございますので、この駐留軍の撤退に伴って彼らが、日本国内に流して参ると考えられるピストルの取締りをどうするかという問題であります。これは外国人でありますから、なかなかそう簡単に取締りはできないと思う。そこでこの問題については、一つ最高責任者でありまする大臣から、アメリカの軍司令官に対して、そういうことのないように、これの防止の策をお話し合い願えないものか、あるいは日米合同委員会の議にこれを出していただいて、これは国家公安委員会は日米合同委員会に入っていないと思いまするが、しかし外務省を通じて、これらの凶器であるピストルが日本国内に流れてくる道は、一応日本政府としては押えておくべきだと思いますが、これに関しまして大臣のお考えを、この際伺っておきたいと思います。
○正力国務大臣 ただいまの御心配はまことにごもっともでありまして、実際進駐軍の兵隊が持っておるピストルについては、その数については従来は米軍とよく話をしたのです。しかし今の御注意もありましたし、なお一そう今後注意しまして、日米合同委員会にも話してみたいと思っております。そうして一つ万全を期したいと思っております。御注意まことにありがとう存じました。
○矢尾委員長 正力国務大臣に対してほかに御質疑はございませんか。――正力国務大臣に対してほかに御質疑がなければ、本案に対して質疑を終了いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○矢尾委員長 御異議なしと認めまして、これにて本案に対する質疑を終了いたしました。
 次に本案に対する討論に入ります。
討論は通告順によってこれを許します。吉田重延君。
○吉田(重)委員 私は自由民主党を代表いたしまして、警察法等の一部を改正する法律案に対し賛成の意を表し、討論を行わんとするものであります。
 今回の改正案は、警察法の一部と道路交通取締法の一部とのそれぞれの改正を含むものでありますが、これを全体的に見ますれば、警察行政の基本的組織法である警察法に大きな変革を加えるようなものではないのであります。改正の主要目標は、何としても捨ておきがたい現下の警察行政上の最大問題であります交通警察の改善に対処せんとするものでありまして、これに続く青少年防犯の問題や、売春防止法の全面施行など各種法令の取締りを励行するために、警察庁の機構を整備して保安局を新設するとともに、道路交通取締りの面では、管轄上都道府県警察を原則としつつも、全国的幹線道路については、最近の交通事情にかんがみまして、必要によっては車の最高速度等について、国家公安委員会が都道府県公安委員会に指示を与えることができるように改正しようとするものでありますから、これらの改正はきわめて時宜に適したものであり、当然なさねばならない改正と考えるものであります。
 申すまでもなく、中央官庁の組織を拡大したり、あるいは地方警察機関に対する統制権を強化するようなことだけでは所期の目的は達し得ないし、もとより民主警察の本旨に基いて運営されなければならない警察法の精神から考えましても、地方警察に対する監察や指示権等については、その乱用は十分警戒を要するものでありますけれども、法の運用の適正を誤まらざる限り、今回の改正は必要なものであり、適当な改正であると信じて賛成いたすものであります。
 なお、北海道における警察組織の若干の変更は、むしろ組織の簡素合理化で、実情に即するものであります。また二以上の都道府県警察の管轄区域にわたる特定の道路における事案についての移動警察に関する改正も、また関門トンネルの完成を間近に控えました最近の交通事情に照らしますならば、もとより必要な改正であると思うのであります。
 これを要するに、今回の改正は、ただ反対される国家警察の権力拡大というようなことでなくして、警察法の民主的な根本原則を侵すものでなく、基本原則に立って現下の交通事情その他社会情勢にこたえんとする必要かつ適宜な改正であると思うのでございます。治安確保のためにも全面的に賛意を表するものであります。
 以上、討論を終ります。
○中井委員 ちょっと議事進行について……。本会議の討論では反対討論が先に行われるのです。委員会につきましてはそういう規定があるかどうか私も記憶いたしておりませんが、大体そういう慣習になっておると思うのです。委員長は初めてでおなれにならないのかと思いますが、これは今後一つ気をつけていただきたいと思います。委員会でも規則があるのではないかと思いますので、念のために申し入れておきます。
○矢尾委員長 委員長からお答えします。本会議における議事規則はございまして、反対討論から先にやることになっておるのでございますが、委員会におきましては、別にどちらから先にやるという規定がございませんので、それによってやったというわけではありませんけれども、やはり本会議の慣例、議事規則に従ってやるのが当然でございますけれども、委員長ふなれのために賛成から先にやりましたことはまことに申しわけないと思います。
 引き続きまして、川村継義君。
○川村(継)委員 私、社会党を代表いたしまして、ただいま議題になっております警察法等の一部改正の法律案に対して、反対の意向を表明いたしたいと思います。
 この改正のおもなる点は四つほどございます。第一は、すなわち警察庁内の部局の改組をする問題でございます。これは今日交通警察の重要度が倍加されたということ、あるいは犯罪が増加の傾向にあるということなどから、警察庁内に保安局を設置するという趣旨になっております。そのほか近畿管区警察あるいはその他について保安部を新設するというような趣旨も織り込まれておるわけであります。第二点は、北海道の札幌の方面公安委員会を廃止するというようなこと、あるいは道警察を一本にするというようなことがそのねらいになっております。第三点は、移動警察に関する問題であります。第四点は、道路交通取締法の一部を改正しようとする、こういうことでございます。
 ところが、本委員会において今日までの質疑応答を通じていろいろ追及されましたように、この警察法の改正は、表面的に見ればさして大きな改正ではないように見受けられます。このことは長官の提案趣旨の中にもそういう言葉を使ってはおられます。しかし、今日の民主警察の根本をなすものは、何といいましても公安委員会の権限を強化するということに、そのねらいの一つがなければならないと存じます。公安委員会の権限を縮小したり、あるいはこれを剥奪する方向に一歩でも踏み出してはならない、こういうことがわれわれの考えであります。警察行政は特に今日におきましても国家警察の色彩が非常に強うございまして、都道府県における公安委員会の自主的な権能というものは、ある点制約を受けておると見なければなりません。それなのに、このような改正によって、公安委員会の権限を縮小する方向に一歩でも進めるということは厳に注意していかなければ、いかに口で民主警察を唱えましても、民主警察を破壊するほかの何ものでもない、こう考えざるを得ないのであります。すなわち、たとえば北海道の五つの方面公安委員会のうち、北海道警察の所在地である札幌の方面公安委員会を廃止して、これを直轄にする、他の四つの方面公安委員会は残す、こういうようなことでありますけれども、札幌地区の公安委員会をなぜ廃止しなければならないかということを突き詰めて考えますと、先ほど申し上げましたような観点からいたしましても、どうしても納得のいかないものが残るのであります。長官の説明しておりますように、あるいは合理化するとか、あるいは経済的に警察行政が運営されるようにそういう措置をとった、こういうようなお言葉でありましたけれども、一体札幌の公安委員会を廃止したからといって、どれくらいの経費が浮くのか、こういうことを考えて参りますと、私は大したものはないと思う。かりにそこに幾らかの経費は注がれても、この民主警察の柱となっております公安委員会というものは、やはり存置するということがほんとうなのじゃないか。他の府県においては県警察というものが一本であり、北海道は五つの公安委員会が今日まで存置されてきた。これは北海道の今日までの地勢あるいは特殊な事情によってそうしなければならなかった厳たる事情があると思うのです。もしもそれを二十九年の警察法改正の当時に、この公安委員会を五つも作っておくということは、不要であったのだというような考え方に出発して、札幌の公安委員会を廃止するということになれば、それはやがては私がいつかも指摘いたしましたように、他の残った四つの公安委員会も必要ないんだ、こういうことに結びつけられてきまして、いつかは北海道というところは、そのせっかく存置されておりますところの公安委員会がなくなっていく。つまり民主警察の柱として残っておる公安委員会制度がここにくずれていく、こういう結果になるのじゃないかということを考えて参りますと、この警察法の改正は、その点から考えましても私たちが憂うるに十分なるものがある。そういう方向に行かないためには、こういう札幌の公安委員会のようなものを廃止するようなことでなくて、あくまでもこれは存置して、警察行政を民主的ならしめるということが必要ではなかろうか、こういうことを強く考えるものであります。
 交通取締法の改正にいたしましても、たびたびこの委員会でも指摘されましたように、ここに提出されておりますこの第二十六条の四の条文からいたしまして――官房長はたびたび口をきわめてこの趣旨を御説明いただきました。しかし私たちにはこの二十六条の四を今日お出しにならなければならない必要性がどうしても受け取れないのであります。「全国的な幹線道路における交通の規制の斉一を図る必要があると認められる場合においては」という言葉がありますけれども、交通の規制を一体いかなる立場において斉一化しなければならないかということになりますと、これは官房長あるいは石井長官からもるる説明されたところでありますけれども、これも都道府県の公安委員会が持っております交通取締りの権限に対してはあくまでも尊重するという建前に立てば、このように二十六条の四でお考えになっておるような問題は解決できるのじゃないか。取締法の十条の問題を考えてみても、あるいはこの施行令の条章を見てみましてもあるいは警察法の三十八条五項にあるところのこういう問題等を考え合せていきますならば、今日の現行法によりましても、今日いただきましたところの政令の内容のごときは、皆さんのお考えになるところの取締りの実績は上ってくる。私はやれると思う。それをあえて二十六条の四をここに設定されていかれるということは、ただ皆さん警察庁の方でいわゆる「政令で指定する事項に係るものの処理について指示することができる。」というこの条文は、あるいは大きな行き過ぎを来たすものではないか、こういうことも憂えられますし、先ほど申し上げましたように、あくまでも都道府県の公安委員会が持っておるところの権限を皆様方警察庁の方でこれを押えたり、あるいは縮小していこうとなさる考え方については、これは十分警戒をしなければならない、こういうことが言えるわけでありまして、私たちが納得のできないところの大きな問題点であるわけであります。
 また移動警察の問題にいたしましても、なるほどこの条文を見て参りますと、これも当局の説明になりましたように、大した問題ではなさそうに見受けられます。従来は「協議により定められた当該関係都道府県警察の管轄区域内において」というような文句を「協議して定めたところにより、」というような文句に変えて明確化するのだ、こう言われておりますけれども、その第二項に参りますと、また私たちは十分警戒をしなければならぬという問題点を見るわけであります。二項の終り方において「前項の規定の例により、当該道路の区域における事案について、当該関係都道府県警察の管轄区域内において、職権を行うことができる。」こうなりますと、隣接の都道府県の公安委員会の一つの権限が、他の公安委員会の権限によって侵される結果も十分出て参るし、第一項において「協議して定めたところにより」という考えは、これは一つの基本もありましょうけれども、警察の担当するようなあらゆる事案の発生することを考えて参りますと、今日の警察の状態からいたしまして、やはりこれは大きな不安が起きて来ざるを得ないのであります。
 要するに、以上私は二、三点具体的に申し上げましたが、真に民主警察という立場に立って警察行政を考えていくとなるならば、以上のような点から批判して参りましても、この改正法案は非常に警戒すべきものを含んでおる、こう言わざるを得ないのであります。わが党の委員からもたびたび指摘されましたように、逐次いわゆる国家警察としての権力を強北して、言葉をかえて申し上げますならば、中央集権的に持っていって、警察庁としては警察行政が非常に能率的にやりやすく、今までよりより以上に指示系統がはっきりいたしまして、行政の能率が上るかもしれませんけれども、ただそれだけで物事は律するわけに参らないのであります。たびたび申し上げますように、やはり都道府県の公安委員会が存する以上は、公安委員会の権限を十分尊重して、むしろその権限を強化するという方向に向って進むことが、民主警察の方向でなければならない、私はこういうことを強く思うものであります。そういうような観点からいたしまして、この警察法の一部改正は、表面的にはたびたび御説のありましたように、決して非民主的な方向に改正しようとしておるのじゃない、こう言っておられますけれども、これはややともすると、警察当局が警察行政をやりやすいという、そういう方向にのみ考えて、ほんとうに民主警察のあり方というものを、十分検討された結果によって生まれてきたところの改正案ではない、こういうふうに断定せざるを得ないのであります。そういう意味合いにおきまして、われわれはこの警察法の改正につきまして反対の意向を表明するものであります。
○矢尾委員長 これにて討論は終局いたしました。
 これより警察法等の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○矢尾委員長 起立多数。よって警察法等の一部を改正する法律案は原案の通り可決いたしました。
 この際本案について吉田重延君より発言を求められておりますので、これを許します。吉田重延君。
○吉田(重)委員 私は自由民主党を代表いたしまして、この際、ただいま可決されました警察法等の一部を改正する法律案に対しまして、次のごとき附帯決議を付したいと思います。
 まず案文を朗読いたします。
   警察法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 都道府県警察に要する経費中、国庫支弁金及び補助金の区分について再検討を加え、都道府県警察の自主性を尊重するとともに他面警察官の福利厚生等については政府の責任をも明確にするよう必要な方策を考究すること。
  右決議する。
 附帯決議案につきまして簡単に御説明を申し上げたいと思います。
 本決議案は警察法等の一部を改正する法律案の本委員会における審議の過程におきまして、各委員諸君の一致した意見と見られる点を取りまとめたものでございまして、特に説明を要するとは思いませんが、以下簡単に述べますと、決議案の内容の第一点は警察費の問題があります。御承知のごとく警察費は国の直接支弁する経費と、都道府県警察に対して国が支出する補助金と、都道府県が負担する経費の三本立になっておるのでありますが、このうち国の支弁する経費で都道府県警察の捜査費とか、警備費とかいうものとして支弁される部分は、都道府県の予算にも計上されていないのであります。都道府県警察が自治体警察であるという原則に立って考えますならば、この経費の支弁方法は地方団体の自主性をそこなうのではないか、また地方財政法の精神にも反するのではないかという疑問も持たれるのであります。従いましてこの際この支弁金を再検討して、そのうち補助金に振りかえ得られるものは、できる限りこれを地方財政法による補助金として交付していただきたい。その他のものにつきましてはその使途や支弁の基準を明らかにして都道府県警察の運営について都道府県の自主性を尊重するように、今後必要な方策を考慮すべきであると考えるからであります。
 第二点は、警察官の福利厚生について政府はもっと積極的に施策を講じ、これに要する経費もひとり都道府県のみの責任とせずに、政府自体もこれに対して責任を明確にすべきであると思うのであります。このたびの改正案では警察庁の都道府県警察に対する監察権を明文化しているのでありまして、その趣旨とするところは警察官の士気の高揚と、規律の粛正にあることは論を待たないのであります。他面団体交渉権のない警察官に対しては、その職務の重要性、特殊性等にかんがみまして、その福利厚生については格別な配慮をする必要があると思うのであります。今日犯罪といわず交通事故といわず、日に日に増大する事件に当面して激職に追われる警察官の健康管理のごときは、さらに一そう積極的な施策を必要としているのであります。このような施策こそ国は支弁金の方途を講ずべきではないかと思うのであります。
 以上申し述べました点について、政府はできる限りすみやかに必要な方策を考究せられまして、その実施をはかっていただきたいと思うのでございます。
 これが本決議案を提出いたしました理由でございます。各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
○矢尾委員長 ただいまの吉田重延君の動議のごとき附帯決議を付するに賛成の諸君の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
○矢尾委員長 起立多数。よって吉田重延君の動議のごとぎ附帯決議を本案に付するに決しました。
 なお本案に関する委員会報告書の作成及び提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○矢尾委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後三時十六分散会