第028回国会 内閣委員会 第16号
昭和三十三年三月十八日(火曜日)
    午前十時五十二分開議
 出席委員
   委員長 福永 健司君
   理事 相川 勝六君 理事 高橋  等君
   理事 保科善四郎君 理事 前田 正男君
   理事 山本 正一君 理事 石橋 政嗣君
   理事 受田 新吉君
      大坪 保雄君    大村 清一君
      北 れい吉君    小金 義照君
      田村  元君    辻  政信君
      中川 俊思君    眞崎 勝次君
      粟山  博君    山本 粂吉君
     茜ケ久保重光君    稻村 隆一君
      木原津與志君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 正力松太郎君
 出席政府委員
        総理府事務官
        (宮内庁長官官
        房皇室経済主
        管)      高尾 亮一君
 委員外の出席者
        宮内庁長官   宇佐美 毅君
        科学技術事務事
        官       篠原  登君
        専  門  員 安倍 三郎君
    ―――――――――――――
三月十四日
 建国記念日制定に関する請願外三十六件(大橋
 武夫君紹介)(第一八九一号)
 同外一件(古川丈吉君紹介)(第一九九〇号)
 恩給法等の一部を改正する法律案中一部修正に
 関する請願(加藤鐐五郎君紹介)(第一八九二
 号)
 同(平野三郎君紹介)(第一八九三号)
 同(淺香忠雄君紹介)(第一八九四号)
 同(濱野清吾君紹介)(第一八九五号)
 同(横井太郎君紹介)(第一八九六号)
 同(佐藤觀次郎君紹介)(第一八九七号)
 同(眞崎勝次君紹介)(第一九八七号)
 同(三田村武夫君紹介)(第一九八八号)
 同(亘四郎君紹介)(第一九八九号)
 建設省定員外職員の身分保障等に関する請願(
 高岡大輔君紹介)(第一八九九号)
 建設省新津工事事務所臨時職員の身分保障に関
 する請願(石田宥全君紹介)(第一九〇〇号)
 建設省磐城国道工事事務所臨時職員の身分保障
 に関する請願(北山愛郎君紹介)(第一九〇一
 号)
 同(池田清志君紹介)(第一九八一号)
 建設省湯沢工事事務所臨時職員の身分保障に関
 する請願(北山愛郎君紹介)(第一九〇二号)
 建設省皆瀬ダム調査事務所臨時職員の身分保障
 に関する請願(北山愛郎君紹介)(第一九〇三
 号)
 建設省鳴子ダム工事事務所臨時職員の身分保障
 に関する請願(北山愛郎君紹介)(第一九〇四
 号)
 建設省山形工事事務所臨時職員の身分保障に関
 する請願(北山愛郎君紹介)(第一九〇五号)
 建設省阿賀川工事事務所臨時職員の身分保障に
 関する請願(北山愛郎君紹介)(第一九〇六
 号)
 同(池田清志君紹介)(第一九八六号)
 農林省定員外職員の全員定員化に関する請願(
 北山愛郎君紹介)(第一九〇七号)
 同(飛鳥田一雄君紹介)(第一九〇八号)
 同(横井太郎君紹介)(第一九〇九号)
 同(池田清志君紹介)(第一九七九号)
 同(井原岸高君紹介)(第一九八〇号)
 建設省石渕ダム管理所臨時職員の身分保障に関
 する請願(池田清志君紹介)(第一九八二号)
 建設省最上川水系砂防工事事務所臨時職員の身
 分保障に関する請願(池田清志君紹介)(第一
 九八三号)
 建設省酒田工事事務所臨時職員の身分保障に関
 する請願(池田清志君紹介)(第一九八四号)
 建設省大倉ダム工事事務所臨時職員の身分保障
 に関する請願(池田清志君紹介)(第一九八五
 号)
 暫定手当の不均衡是正等に関する請願(山口喜
 久一郎君紹介)(第一九九一号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第七八号)
 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第五二号)
 科学技術会議設置法案(内閣提出第七七号)
     ――――◇―――――
○福永委員長 これより会議を開きます。
 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。茜ケ久保重光君。
○茜ケ久保委員 こういう機会でありませんと、皇室関係のことについての質問の機会がなかなかありませんので、この際宮内庁長官に二、三お尋ねしたいと思う。
 終戦後すでに十数年を経まして、国民の間には戦前と違った生活態度なり、あるいは考え方が相当落ちついて参りました。そこで皇室におかれましても、国民のそういった変化に呼応して、当然新しい皇室のあり方がだんだん落ちついてきたと思うのであります。しかし最近になりまして一部の国民の中に、ややもすると戦前の姿に逆行の形が出ているかに思えてならぬのであります。それが具体的にいろいろ出ておりますけれども、やはり私は憲法改正の底を流れる一つの思想、さらには最近急に問題としてわざわざ取り上げて参りました紀元節復活等についても、そういった観点を私はどうしても察知するのであります。そこで私は、やはりこの辺で皇室の存在に対する国民の基本的な考え方、さらに皇室自体におけるあり方についての基本的なものが解明されていい時期ではないかと思う。
 そこで宇佐美長官が皇室の一つの責任を負っていらっしゃる立場から、過去十数年にわたっての終戦後の今申しました国民の考え方の基盤、それと皇室との関係といったようなことで、皇室と国民との関係というものが、ただ単に憲法その他の法律等によって規整されるということは私は別に考えましても、どういった姿の皇室と国民の関係にあることが望ましいと思われるか、あるいはまた現在の状態でいいと思われるか、もし現在の状態が、何か長官としてさらにこういったことでありたいという抱負がございますならば、この際一つ承わっておきたい、かように存じます。
○宇佐美説明員 戦後憲法が改正せられ、新しい憲法となり、敗戦という厳粛なる事実のもとに、国民の間にもいろいろな不安な考え方があったように私は思うのであります。しかし今仰せの通りに、十数年を経まして非常に落ちついて参ってきたことはその通りに考えるのでございますが、まだ何と申しましても、その間に非常に象徴としての皇室に対して不当な考え方、あるいは象徴としてこれを仰ぐ以上はそれに対する相当の態度というものがなければならぬと思うのでありますが、それが非常にいろいろな意味でまだ十分でない点があろうかと思います。私は皇室が政治とか文化とかいうものの単純な象徴でなくて、国民の全体の象徴という立場におられるのでございまして、国民との間にそういうような意味においてほんとうの血のあるつながりというものができ上っていかなければならないと思うのであります。そういうような面で考えますときに、皇室が国家統合の象徴としておられます以上は、あまりに進み過ぎてもいけないし、またとどまっておることは退歩にもなる、常に国民とともに歩むという姿がなければならないと考えておるのでございます。日常の皇室の御行動につきまして、そういうような意味から常にわれわれも反省を加えてその声をよく聞いて参りたい、かように考えておるのでございます。しかし今御指摘のように、地方にお出かけのときを見ましても、まだそういった考えに非常に昔風のところもございまするし、われわれといたしましては、そういうところについては遠慮なく申して、ほんとうに皇室と国民が親愛の情につながるというふうに進むことに努力をするつもりでおるわけでございます。
○茜ケ久保委員 私は皇室という存在が歴史的にも厳としてあることでありますし、戦前のような姿のもし皇室が再現されますならば、これは私ども相当重大な考えを持たなくちゃならぬと思います。しかし今、長官もおっしゃったように、国民と皇室とが血でつながるといったような姿のものでありますならば、これはやはり国民が、私は戦前のように皇室を中心に、日本の民族的な団結が生まれなくてはならぬとは考えませんけれども、しかしやはり何かそこに国民がよりどころを求めるような姿がありますならば、これもまた私はいいと思うのであります。しかし、ややもすると、皇室を特殊な存在の中に押し込めながら、しかも、それと国民とを無理に結びつけて、何かわれわれとは全然縁のない姿に持ち込むような形が、だんだん一部の指導者の中に生まれつつあると私は感じるのであります。国民は、小学校、中学校、高等学校の生徒たちの中には、どう指導者が皇室と国民とを昔の形に持っていこうとしても、もう持っていき得ないものがあるわけです。すでに今の天皇に対する考え方、さらに天皇の跡を継がれるであろう皇太子に対する考え方については、もう今の二十才前後から以下の国民は全然考えが違う。いわゆる現在の天皇に対しては、もうすでに今の子供たちは非常に縁が遠くなっている。これは事実であります。しかし皇太子に対しては、やはり一つの期待を持っておる。これは私ははっきりいえると思う。そこで少国民が天皇を忘れがちであり、しかもその反面に皇太子という現実の姿に期待を持つということは何かといえば、私はやはり新しい姿というものを考える、新しい皇室というものに期待をするものだと思う。そこで現在の天皇に対してはもはや私どもがいろいろ言うことはないと思う。ただ私が今の天皇に対して申し上げたいことは、特に長官にお願いしたいことは、私は宮城にも参りませんし、ただ開会式のときにたまに天皇にお会いするのでありますが、私はあの天皇の姿を見て、決して仕合せとは思いません。これは過去の長い歴史的な天皇教育の結果でありまして、今の天皇に対してこれ以上のことを望むことは無理でありますけれども、私は端的に申し上げると、あの開会式等でお会いする天皇のお姿を見て、決して仕合せとは考えられない。むしろ私は非常に不幸な悲劇的な存在だと考える。これはテレビを見、あるいはラジオの放送を聞きながら、一般の国民も考えておる。それは形の上では、総理大臣以下全衆参両院議員が一応威儀を正してお迎えするけれども、私はあの天皇が入ってこられて、いわゆる詔書を読まれて帰っていかれる姿を見ながら、たまに目がしらが熱くなる。ということは、むしろ不幸な姿を私は感じる、悲劇的な存在を感じる。これでは私はいかぬと思う。それには、私は長官自身の責任があるとは申しませんけれども、長官が宮内庁の長官として、皇室を預っていらっしゃる方としては、私は相当考えてもらわぬと、あの姿がもし皇太子のところまで延長されますならば、日本の皇室はあなたがさっきおっしゃったように、国民と血のつながった存在ではなくて、むしろ悲劇的な存在として、国民の中から浮き上ってしまう可能性があると思う。そのことは皇室だけの不幸でなくて、国民の不幸であると思う。私がここで皇室の問題を問題にするのは、皇室だけでなくて皇室という歴史的な存在の中にある皇室が、国民との関連においてよほど考えてもらわなければ、国民自身もまた不幸になる危険性を持っておるところに問題があると思う。これは皇室だけの問題ならば私はあえて問題にしません。皇室というものは国民の中に溶け込んで、国民とともにある皇室でなければならぬという現在の憲法の規定の上に立って、しかも私はおそらく皇太子などはみずからそういった考えをお持ちじゃないかと思う。私はいつでしたか、長野県の上林温泉にスキーに参りましたときに、ちょうど私は上林の塵表閣という旅館に泊りましたが、私が泊った前々日に皇太子が同じ部屋に休まれたそうです。いわゆる熊の湯のあの志賀高原でスキーを楽しんで、帰りに塵表閣に寄って休まれたそうですが、その休んだときの姿を私はそこのおかみさんに聞いて何かしら心あたたまる気持を持っておったのでありますが、しかしその中にやはり裏と表が非常に大きいというのであります。皇太子がひとりでというか、学友などとほんとうの人間皇太子のままでおられるときと、知事とかそういったようないわゆる第三者が来ると、すぐに変る。またついている者が変らせる。こういったところに、私はあとでも触れますけれども、今言った日本の少国民諸君が大きな期待を持っておる皇太子の姿が今の天皇のような形になる危険性を感じますので、この点に対しましては、今の天皇に対してはこれ以上は申しませんけれども、皇太子の今後の生活態度あるいは、皇室におけるこのあり方というものに対しては、宮内庁長官はよほど考えていただかなくてはならぬと思う。今の皇太子の実態というものは、すでに今日では、国民からだいぶ隔離されておる。かつては国民の中に非常に親しまれた皇太子が今日ではかなり隔離しつつある。やがてまた私どものいう竹のカーテンあるいは菊のカーンの向うに押しやられる可能性を感ずるのでありますが、長官として皇太子の今後に対して、今の天皇のような形というか姿を考えておられるか、あるいは今の天皇の姿とは変った別の形をお考えであるのか、この点について私は国民の前に宮内庁長官ははっきりしたものをお示し願いたいと思う。
○宇佐美説明員 戦後急激にわが国の状況が変転をいたしまして、その影響と申しますか、激しい変転のもとに、また同時に年令層におきますいろいろの見方がございます。今お述べになりましたような各層によっていろいろな見方があるということは私も承知しているつもりでございます。また皇室の方々が国民に接せられるという場合におきましても、あるいは非常に儀式的な場合もございましょうし、あるいはそうでない、非常に打ち解けた場面もございまして、各層の方にまんべんなくすべてお会いになるということも実際問題としてできないわけで、その場その場で受け取られた印象をお持ちになる方もあろうかと思います。しかし戦前に比べて非常に変化があったということは、単にわれわればかりでなく、相当な方が見て御承知であろうと私は信じておるのでございます。しかしとにかくこういった急激な変転のときでございますから、あらゆる努力を行われておりますにかかわらず、なおやはりそこに一つの経過的な問題というものがあることは申し上げるまでもないことで、われわれといたしたまして、先ほど申し上げました通りに世の進展とともに、国民とともに進むということを申し上げたのでございますが、そういうような意味で毎日毎日において工夫をし、努力をすべき問題がまだあるということは私も考えておるのでございます。そういう意味から申しまして、今後の若い皇太子様が新しいわが国の進展と歩調を合せてほんとうに国民とのつながりの深い皇室に築き上げていただくという期待をわれわれ非常に大きく持っておるわけであります。ただ皇太子殿下も、小さいときから、あるいは学校、あるいは今すでに学校を出られまして、一人の成人としての御活動にお入りになり、それぞれ態様も違うことであります。しかしその底に流れておる気持というものが、ほんとうに国民との間にあたたかい気持でつながるように殿下にも御努力願いたいと思いますし、われわれとしてもそういうことについて十分なお手助けをいたしたいと考えておるのでございます。国民の方におかれましても、そういうお気持で受け取っていただいて、ほんとうにいい皇室と国民との関係をつなぐことに御協力をいただくようにお願いいたしたいのであります。だんだん先ほどお述べになりましたように、一部には非常に昔の極端な時代のことを考える人もございます。そういう人たちにもよく御理解願って、言葉は悪いのでありますが、お互いに努力しなければその関係は育っていかないというふうに考えておりますが、私どももそういうような意味で、不敏でありますが、できるだけの努力を今後にいたしたいと考えておるわけでございます。
○茜ケ久保委員 一つ端的な御質問をいたしますが、陛下御自身について、いわゆる今の陛下は戦前の徹底した帝王教育を受けてこられたわけであります。いろいろな戦前の責任も感じていらっしゃると思うのでありますが、今日陛下が戦前の皇室の姿と今日の皇室の姿について、何か陛下自身がいわゆるそのあり方の変化についてお述べになったことはあるのですか。あるいはまたそういうことについて、宮内庁長官として陛下の御意見をお聞きになったことがあるかどうか。陛下御自身から、自分からお述べになったとしても、長官なりそういった関係の方がそういった気持をお聞きになったことがあったとすれば、何か陛下御自身が現在の状態と過去の状態についての御意見があったと思う。こういった意見を、形式的な意見でなくても、何か生活の中からお漏らしになったということがありますならば、私はこういうことは私どもとしてはお聞きしておく必要があると思いますが、もしありましたら、それをお述べ願いたいと思います。
○宇佐美説明員 私は宮内庁に職を奉じまして七年でございますが、率直に私の感じを申し上げますと、宮内庁に入りましたときに、外部で見ていたときより内部の方が非常に自由な感じがいたしました。その後陛下にお接しいたしまして、そのお人柄、ほんとうに純粋でおられて、てらうところもなく、実に御勉強もなさいますし、ああいう御人格の方につきましては、われわれは容易に発見できない方だと拝しておるのであります。ただいま御質問のありましたようなことにつきましては、実に物事におこだわりになりませず、直すべきことにつきましては実に果敢にお直しいただきますし、今後の進み方につきましても、私によく国民との接触について、たとえば地方にお出かけになりますときにも、自分は国民と接しに行くのであって、むやみにそれをへだてるようなことはしてもらいたくないというようなこともありましたわけで、ただいまお述べになりましたように、国民とともに新しい日本を作り上げるという点について、常に筋が通れば十分お聞きいただけるという方だと私は拝しております。
○茜ケ久保委員 先ほど私ちょっと触れました天皇自身は、これは私もあなたがおっしゃるように、何の御心配もなく、これは特殊な存在として育ってこられたのですから、純粋であり、しかも野心も――野心といってはおかしいのですが、別に私心もなく、これはおそらく世間にこれほど純粋に人間として育った人はないと思う。その点はわかります。わかりますが、しかしいわゆる過去の天皇という存在であれば、それでもよろしいでしょう。しかし人間天皇として国民の中に溶け込む天皇である場合には、第三者の国民から見た場合に、やはり何かわれわれとは異なったものを感じる。それが開会式における、ほんとうに短い時間でありますけれども、私どもが感じることなんです。そこで、私は端的に申し上げて、もっと天皇という存在のいわゆる一般的な意味における自由な姿ということは何も私は勝手に銀ブラするとかどこかへ出かけるとかいうことでなくとも、もっと自由な存在と申しますか、自由な姿があってほしいと思うし、またあったらいいと思うのでありますが、その具体的なあられ方はいろいろありましょう。しかし少くとも国民一般の感じでは、現在の皇室というか、特に天皇という存在は、まことに不自由な、まことに非人間的な存在のように感じていることは事実でありましょう。これは昔とは変りましたけれども、まだ遺憾ながらそうである。そこで私は、今申しますように、普通の言葉で言うもっと自由な存在であってほしいと思うのでありますが、そこで私はあの皇居というものの存在についてもう少し考えてみる必要があるのではないかと思う。皇居という長い日本の天皇制の居城であった住居というものは、いろいろの形で一つの歴史的な存在としての意義はありましょうけれども、私はむしろ今の天皇が、天皇制によって長い間築き上げた昔の宮城という言葉でいわれた皇居というものに対する感じも非常にあると思う。そこで私は一つ思い切ってそういった天皇並びに天皇家に対してほんとうの自由をお与えする、と言っては語弊がありますが、自由な存在であるためには、むしろ思い切って皇居というものを根本的に考え直して、天皇御一家をあの宮城という日本の国民にとっては古い固定した観念で見ているところのあの存在から離して、皇居そのものをもっと自由な場所に求めることが、私はこの際日本という一つの存在の中において有意義じゃないかと思う。例をもって申し上げれば、京都の御所なり何なりにお移りになるということも考えられると思う。政治的にはほとんど天皇の御存在は何も制約がないのでありますから、一つの国民の象徴という姿においては、私は平安朝から奈良朝、こういった当時は文化的にもいろいろな意味においても、為政者が皇室を利用して非常に国民を圧迫した時代になりますけれども、奈良朝から平安朝という時代の皇室というものは、ずっと下の庶民とは非常に遊離しておったが、一般の庶民とは精神的にはやや結びついた時代ではないかと思う。そういった一つの歴史的な思い出のある奈良とか京都、こういったところに――私はああいういかめしい、国民をいかにも形式的にもシャット・アウトするようなものでなくして、もっと形式的にも自由な姿の現われるところへ皇居を移すということを――これは一つの例でありますが、私は今後の皇室と国民とのつなぎ目というものが生れる一つの基底にもなるのではないか、かようにも思うのであります。これはあるいはとっぴなようなことでありますけれども、私は決してとっぴではないと思う。私は皇室を考え、皇室と国民とのつながりを考える場合、むしろそういった思い切った施策を講ずることの方がよりいいんじゃないかと思うのでありますが、あなたは長官として現在のあの皇居にそのままあることの方がいいと考えられるか。いいと考えられるならば、そのいいだけの理由を私は伺いたいと思う。これは私の一つの提案的な意見でありますけれども、これがいけないとすれば、現在の皇居に依然としておられることの方がいい理由をお示しを願いたいと思うのであります。
○宇佐美説明員 皇室がもっと自由な形で見られるようにいう大きな考え方につきましてはわれわれとしても異存がないところでございますが、それが具体的の問題になりますと、あらゆる場合にそういった感じを持ってものを考える必要があろうと思います。
 今おあげになりました皇居の問題でありますが、すでに宮殿が戦時中に焼けてしまいまして、いずれは再建という問題があるわけでございます。宮内庁といたしましても一応のいろいろな資料を作りつつある状況でございます。皇居の問題につきましては、前からいろいろな議論がございます。あるいはあそこは空気がよくないからお住居としてはほかがいいのじゃないかとか、あるいは首都圏と申しますか、大きな問題から官庁とともに他に移してはどうかとか、世間ではいろいろな議論があるのでございます。しかし現在これを具体的にいたしますときに、経済的な問題もあり、あるいは今お述べになりましたように陛下が政府と離れてどこにでもというわけには実際問題としていかない面がたくさんございます。そういう点を考えまして、現在のところあの皇居以外に考えるということはいたしておりません。しかし今後あそこ全体につきまして宮殿の再建を考える際にはいろいろ工夫をする点があろうかと思います。イギリスの例等をよく引かれておるのでございますが、門なんかもっと開放してはどうかというような議論もございます。そういう点で、イギリスについてもよく調べたのでございますが、バッキンガム等ではとにかく用のない人は入って来ないのであります。しかし実際問題として、たとえば皇居前広場にいたしましても、自由に放任しておいたら大へんな混雑になってしまうというような現状からいたしますと、なかなか急にはそういうわけにいかないかと思います。現在の皇居に再建いたしましても、その間についていろいろ工夫をして、ただいまお述べになりましたような感じを現わすことが必要であろうということは一応考えます。なお今後において研究して参りたいと存じます。
○茜ケ久保委員 私は現在の皇居前広場のことについては別に言いたくはありません、長官が皇居前広場のことをおっしゃったので思い出すのですが、昭和六年でございましたか、私当時の帝国女子医専の生徒にあることを頼まれまして、つい日比谷公園から皇居の方に歩いて行きまして、今のいわゆるアベックがたくさんいます草地ですか、芝生にその女千学生と二人で約十分ほどかけて話をしておった。ところがそこにおまわりさんが参りまして、その二人を交番に連れて行って不敬罪だと言うんですね。三十分くらいしぼられまして、しまいには本署に連行すると言う。私も当時共産党の運動をしておったので、そのことはいいんですが、うっかり本署に引っぱられて共産党運動の方でつかまると大へんでございますから、非常にあやまって放してもらったことがある。そういう芝生にかけてすら交番に引っぱっていかれたことを思い出しますと、今はそういうことはありませんけれども、皇居の姿をどの門から見ても、二重橋から見ても、坂下門から見ても、乾町から見ても国民には非常に近寄りがたいようなものを感じさせるのです。あそこに行きますと、おまわりさんが立っていなくても入ってはいけないという感じがする、あるいは入ったら何かえらいことが起りそうな感じがする。だから何も京都にお移しにならぬでも、そういった、いわゆる昔の封建的な形式主義によるいかめしい門、あるいは中に入ったら何かお互いの生活とは全然かけ離れたものがあって、おそろしいというような感じを与えておるところに問題があろうかと思う。そうした中でお育ちになり生活しておられる陛下というもののあり方は、やはり考えざるを得ないと思う。長官はそういう点はぜひ変えていきたいということでありますから、二重橋というものは日本の一つの歴史的なものでありまして私はこれをどうこうとは思いませんが、ほかの門ぐらいはもっとフリーな状態で――むしろ天皇に対する国民の考え方はあの圧政の道具とされたときには大逆事件がありあるいはいろいろな事件が陛下に対してもありましたが、終戦後どこにいらっしゃってもおそらくそういうことはないと思う。自由であればこそ国民も安心してそんなことは何も考えやしない。そこをあなた方に考えていただかぬと、国民と隔離するからかえって国民との間に変なものが出てくる。国民の中に自由に浸透して参っておりますならば、そんなことはあり得ない。ですから、新宮殿をお作りになるときなどは思い切って考えてもらいたいということをお願いする。
 さらに、今度の予算でいよいよ東宮御所が建設されます。その場所は、私の聞くところによると、青山御所と聞いておりますが、この場所は決定しておるのでございますか。
○宇佐美説明員 大宮御所の跡というふうに考えております。
○茜ケ久保委員 私はこの点についても、東宮御所を新しく作るときこそそういった場所やいろいろな形に拘泥しないで思い切ってやってもらいたいという気持を持っておる。これはこの間次長の方にもちょっと申し上げましたが、大宮御所ということでありますが、私に言わせますと、宮官御所を新しくお作りになるときこそもっと都心を離れた静かな、しかも国民があらゆる場合にそこに心のいこいの場所を求めるというようなことを考えなければならない。これなどまだ御決定になっておらぬなら、東宮御所の新営に当ってこそそういう点を思い切ってやってもらいたいと思う。八千何百万の予算で二カ年計画、二億近い金をお使いになってお建てになる、これも国民は決して高いとは思わぬでしょう。国民の中にはいまだに戦災住宅に、トタンのバラック住宅に入っておる者もいる。非常に住宅不足である。もしそれを端的に表現すれば、そういう場合に何も皇太子の東宮御所を二億円近い金をかけて作る必要はないじゃないかという意見も出るかもしれぬけれども、先ほど言ったように、国民は今の皇太子に新しい日本の皇室のあり方を期待しておりますから、おそらく二億円近い東宮新御所をだれも作ってはいかぬと言う者もいなければ、高過ぎると言う者もないと思う。しかし、それには長官、考えてもらいたい。国民が自分たちの生活の著しい中から、自分の住居がなくて結婚もできないような人がたくさんいるという状態の中で、国費を二億近くお使いになる。お使いになるには私はやはりそれだけのことがなければならぬと思う。かつての何だかいかめしいものを作って国民が全然近寄ることもできなければ――実際に国民は入らぬでも、私は東宮御所というものが皇太子という象徴を通じて国民の心にやわらかく、あたたかく、しかも親しく存在する状態が望ましいと思う。そういった意味においては、ああいう大宮御所という、かつての天皇制の中にあったものよりも、私は東京都の中だってまだ数等いいところが敷地を探せばあると思う。そういう場所に思い切って建てて、しかも建築様式も過去の宮殿様式やあるいは赤坂の川御所とかのようなものでなくて、もっと親しみやすい建築様式にすべきだと思う。もしかつての皇室を再現するような形が生まれますならば、この東宮御所の新営については、私は残念ながら意見が出てくると思う。あなたはあなたの責任においてあれをなさるのだから、こういうことに対してどんな意見を持っておられるか。依然として旧宮廷、旧皇室の状態を再現するものを作るのか。建ててしまってからではおそい。もし場所がほかになければ、大宮御所の場所でいいとしても、せめてその建築様式について思い切った、今私が申し上げたようなことを強く取り入れて、国民にも親しまれ、国民が中に入れませんでも、あの外を通りながらも、何か東宮御所とそのところを通り過ぎる者との間に、いわゆる血の通うような状態のものがあり得ると思う。そういったものを、象徴できるような考え方をお持ちになっているかどうか。いなければこの機会にそういう点を相当加味しておやりになるだけの考え方が将来できないか、この点についてお伺いしたい。
○宇佐美説明員 今回提案されております予算案が成立いたしましたならば、大宮御所の跡に建てるという考え方で、今いろいろ研究いたしているわけでございます。敷地の問題でございますが、なかなか敷地というものが現在そうたくさんございません。またそれから求めてかかるということは、経質的にも非常に大きな問題でございます。われわれといたしましては、大宮御所の跡に建てるという考え方でございます。
 建築様式あるいはその雰囲気というものについて、るる今御意見ございましたが、私も全くそういう点につきましては同じように考えております。具体的に申し上げますと、ああいうものを建てます場合におきましては、宮内庁におります技師という人たちが当るのが普通でございますけれども、しかしとかく旧宮殿式なものになれておる人たちでございます。もちろん新しい研究もいたしておりましょうが、今お述べになりましたような趣旨から申しても、外部の適当な方に設計してもらうという考え方をいたしておるわけでございます。従って旧式な宮殿式のものを建てるという考えとは全然逆に考えて、最も殿下の生活しやすいもの、一部におきましては、やはり外交団にお会いになりますとか、公的なところもございますが、やはり全体としては今申し上げましたような趣旨で設計をしてもらいたい。
 それからまた、これは現に私が当事者に話したことでございますが、非常にどこからも見えないという感じでなくて、道を歩いても見えるという形で一つ研究してもらいたいということを申しているところでございます。いずれ具体的な予算がきまりまして、設計にも入りますれば、根本の考え方につきましては、今お述べになりましたと同じ考え方をしておりますので、できるだけ努力をいたしたいと思っております。
○茜ケ久保委員 東宮御所の新営ということはおそらく皇太子が大体人間的にも成長されまして、普通の人間でありますれば跡継ぎを考える時期だと思います。今の天皇が皇太子であって皇后と結婚されるときには、国民は皇太子の結婚ということに対しては全然考えていなかった。今度その点非常にいいと思うことは、私どもに対しても皇太子の結婚について非常な質問が出る、国民の中から……。私のところにも五、六通の投書が来ておりますが、先般川崎秀二君に対するあなたの答弁等や、私の次長に対する質問等が出まして来ておる。これは非常に関心を持っておる。これはいいことだと思う。ただ単に皇太子がどんな方と結婚されるかという好奇心もありましょうけれども、やはり新しい生活様式と新しい教育を受けた皇太子の結婚に対する、一つの具体的な象徴と申しますか、考え方が若い世代の人々にはあると思う。そういった意味で非常に期待を持っておる。先般の川崎秀二君に対する宇佐美長官の答弁は私もあれを聞いて無責任だと思った。私どもにも投書が来ておる。あんな答弁は誠意がないということである。ということはあなたは適当な人があったら今年中にも結婚させたいと思っておると言われた。あなたがその責任者である。もちろん皇太子の自由意思もございましょうけれども、何といっても、形式的にも実質的にも、営内庁長官が相当大きな役割をされることは国民は知っておる。そのあなたが適当な人があったら今年内にもということは、全然あなたは考えていらっしゃらないのか。あるいはすでに相当な調査なりいろいろな具体的なことが進んでおって、あるいは皇太子にも意中の人があるか、あるいはあなた方のところで考えておられるのか。この東宮御所の新営と皇太子の結婚とは決して関係がないとは言えないと思う。おそらく時期も相当迫っておると思う。そういった意味において宇佐美長官は参議院で皇太子の結婚は公事であるとおっしゃった。それならばわれわれは一応この委員会で問題にしなければならない。そういう意味において、宇佐美長官の少くともこの前の答弁は無責任だと思うが、あなたはそう思いませんか。国民もそう感じておる。そこであの川崎秀二君への答弁の内容について、あなたはもう少し責任のあることをおっしゃる責務があると思うのでありますが、こういう点について東宮御所の新営とともに、やはりあなたの立場上、もっと責任のある御答弁がほしいと思うのでありますが、一つこの際ぜひあらためてお願いしたい。
○宇佐美説明員 皇太子殿下の御結婚をこの間の御質問で公けのものであるとお答えしておるのでありますが、本来結婚というものは地方的なものでございましょう。やはり将来象徴となるべき大事な方の御結婚であり、またその御結婚について、皇室会議という議を経なければならない一つの制約があるという面から、公的な色彩があることを申し上げたわけであります。しかし御結婚の根本は、やはり殿下のお考えというものがもちろん中心であるべきだと私ども考えております。またこれには実際問題で御両親陛下の考えもありましょう。そういうものをもとにいたしましてわれわれとしては準備に進むわけであります。しかし選考の過程において、これを詳しく外に出すべき性質のものではないと私は信じております。いずれ準備が整いましたならば、皇室会議にかけて参るべきものでありまして、その前に軽々にいろいろ外に言うべき問題ではない。いずれそういうものが具体的に進みましたならば、手続をとって進めるという意味にすぎないのでございます。しかもこの問題は、ただこちらが一方的にどうこうときめて発表し得る問題ではございません。従っていつまでにどうするというようなことを私がこういう席で責任を持って申し上げることはできないという意味でございます。しかしお年もすでに満三十四をお越えになりました。われわれとしてもできるだけの準備を進めて、早くこの御慶事を迎えたいという考えでございます。
○茜ケ久保委員 質問はこれで終りますが、先ほど来申し上げますように、たとえばこれも問題となりましたが、三笠宮の紀元節に対する意見発表等に対しまして、巷間非常にいわれておることは特殊の右翼団体とかが非常な圧迫をするということがございます。これなどはいわゆる皇室を中心に考える右翼団体の諸君が、何か自分に都合の悪いこととなると、その皇室に対しても暴力ざたに及ぶ、これはまことにけしからぬことでありまして、私は三笠宮がああいうふうにフリーな気持でいろいろな信念を吐露されることはまことにいいと思う。それがたといいろいろな意味において有利か不利かは別として、いずれにしてもかつてないことでありまして、皇族の一員たる三笠宮が自分の研究、信念を自由に発表される姿は私は望ましいと思う。それに対して一部そういった圧力が加わっておることも事実だし、先般木村篤太郎氏でありますか、九州でこういうことをおっしゃっている。ああいうことを言うようでは皇族としてわれわれは処するわけにいかぬ――あの人は紀元節復活会の会長であります。しかも国務大臣もした方が、皇族としてはまことにけしからぬ、そういうことは皇族の地位をと去ってから言ってもらいたいというようなことを言う。私どもに言わせれば暴言であります。紀元節復活ということがこれに結びついてきておる。私はまことに残念であります。従って今後皇太子なりそういった新しい時代の皇室関係の皆さんがすなおに伸びようとするのに、どうしてもこういう一部の復古的と申しますか、反動的な力がいろいろな意味で働くと思うのです。それに対して宮内庁長官は断固としてありのままの望ましい姿での成長に対して身をもってその姿を守ってもらいたいと思う。あなたは現在は宮内庁正長官でありますけれども、かつては日本の警察畑で育ち、いわゆる今の反動的な役割を果している日本の指導者階級の一翼であった方なんです。私はよほど考えてもらわなければ困ると思う。従いまして私の申し上げるのは、日本の悲劇を再び繰り返すことのないように、皇室という存在によって国民全般が悲惨な生活に追い込まれることのないように、私は皇室のいわゆるあたたかい存在を願うとともに、国民がその犠牲になるような姿が、再現するということを非常に心配するのであります。その点はよほど考えてもらわぬといかぬと思う。そういったことを、今後も機会あるごとに長官の御意向もただすし、いろいろの点についても御意見を求めますけれども、一つそういった点を十二分にかみしめていってもらいたいと思う。
 最後に要望を申し上げておきますが、これは先般瓜生次長にも言ったのでありますけれども、徹底しないのでありますが、私先般皇室関係の国宝的な文化財、たとえば京都の桂離官とかその他のところを見まして非常に感動したのであります。ところがそれを見ながら、いろいろ説明をされる方に聞いてみますと、予算が非常に節約されて、あの重要な文化財の保存にはまことに苦労をしているのであります。当時私が桂離宮で聞いたのでは、年間二百万くらい仰げばもっと楽に、もっとりっぱな保存ができるということを聞きました。従ってああいうものは国民の誇りであるので、それに対して宮内庁長官はやはり思い切った処置をしていただく必要があると思う。そこで、苦しい予算でありましょうけれども、もし必要ならば、われわれ喜んでこういった予算の増額に応じますから、ほかの方面の差しさわりもありましょうけれども、ぜひそういった今後再び存在し得ないものに対しては思い切った処置をしてもらいたいと思う。われわれも喜んで協力いたします。ぜひこういったものに対する処置をお願いしたいのだが、これは希望でありますけれども、長官はそういう考え方をお持ちになってそれに従ってやっていただけるかどうか、これを最後の答弁としてお聞きして、私の質問を終ります。
○宇佐美説明員 宮内庁所管におきましては、正倉院、桂離宮、修学院と非常にかけがえのない国宝的な建物、品物をお預かりしているわけであります。この点につきましては、第一に災害防止という点についてはできるだけの措置をいたしておる次第でございます。また平生の維持、管理のつきましても、漸次予算をふやしていただいておりまして、現にそうひどく不足の状況にあるとは思いませんが、とにかくかけがえのない貴重な国の財産でございますので、なお一そう万全を期して参りたいと考えております。
○福永委員長 これにて質疑は終了いたしました。
 討論もないようでありますので直ちに採決いたします。本案に対して賛成の諸君の起立を求めます。
  [総員起立]
○福永委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決いたしました。
    ―――――――――――――
○福永委員長 次に科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案に対する質疑もすでに終了いたしておりますので、これより討論に入ります。
 討論の通告もございませんので直ちに採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔総員起立〕
○福永委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決いたしました。
    ―――――――――――――
○福永委員長 次に科学技術会議設置法案を議題といたします。
 本案に対する自由民主、社会両党共同提案にかかる修正案が提出されておりますので、この際修正案の趣旨説明を許します。前田正男君。
    ―――――――――――――
○前田(正)委員 科学技術会議設置法案に対する自由民主、社会両党の共同修正案に対しまして、趣旨の説明をいたしたいと思います。まず修正案の案文を朗読いたします。
  科学技術会議設置法案の一部を次のように修正する。
  第十条第二項及び第三項を次のように改める。
 2 第六条第一項第五号の議員で常勤のものは在任中、内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。
 以上であります。科学技術の振興は現在のわが国の国力を伸ばす上において最も重要な問題でありまして、各位御承知の通りであります。そうしてその点におきましては国会はもちろんのこと国民あげてこの問題に重大な関心を持っております。今回政府が国会に提案して参りました予算あるいは法案におきましても、この重要な科学技術の振興について思い切った処置を講じてきておるのであります。この科学技術会議はその一環の政策であると私は思うのであります。しかし科学技術の問題については、御承知の通りこれは国民の将来の生活等に関係することであり、また国家の国力の発展に関係するものでありまして、国民があげて、政党政派に関係なく真剣にこれに対処しなければならないものであると私は考えるのであります。またそういう意味におきまして、私はこの科学技術会議が将来偉大なる成果を上げることを期待しておるものであります。しかしながらこの科学技術会議の中に現われました常勤の議員の方が、政府の提案によりますと、「政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をすること。」を禁止する条項があるのでありますけれども、これは先ほど申し上げました政党政派を超越して国民があげて真剣に努力するという点において、私はこの際この条項は修正をする必要があると思うのでございます。同時にこの常勤議員の人々が個人としては政治活動というものは自由でなければならないと思うのでありまして、特に現在のような二大政党の時代におきまして、健全な政党政治の発達というものを望まなければならぬのでありますが、そういう意味におきましては個人としての政治活動の自由というものも尊重しなければなりませんし、また科学技術関係は政党政派を超越して国民があげて真剣に努力する、こういう点からいきまして、この第十条の今申し上げました禁止条項というものはこの際修正すべきではないか、こう思いまして提案いたしたようなわけであります。この提案は先ほど申し上げました通り自由民主党、社会党共同一致いたしまして御提案を申し上げている次第であります。
○福永委員長 修正案の趣旨説明は終りました。
 これより原案及び修正案を一括して討論に入りますが、討論の通告もないようでありますので、直ちに採決いたします。
 まず修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
  [総員起立]
○福永委員長 起立総員。よって本修正案は可決いたしました。
 次にただいま議決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。修正部分を除く原案について賛成の諸君の起立を求めます。
    〔総員起立〕
○福永委員長 起立総員。よって本案は修正議決いたしました。
 なおただいま議決いたしました各案に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福永委員長 御異議なしと認めます。よってそのように取り計らいます。
 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
    午前十一時五十四分散会
     ――――◇―――――