第028回国会 内閣委員会 第24号
昭和三十三年四月一日(火曜日)
    午前十時三十七分開議
 出席委員
   委員長 福永 健司君
   理事 高橋  等君 理事 保科善四郎君
   理事 前田 正男君 理事 石橋 政嗣君
   理事 受田 新吉君
      大橋 忠一君    大坪 保雄君
      大村 清一君    北 れい吉君
      小金 義照君    纐纈 彌三君
      薄田 美朝君    辻  政信君
      中川 俊思君    林  唯義君
      船田  中君    眞崎 勝次君
      粟山  博君    山本 粂吉君
      淡谷 悠藏君    稻村 隆一君
 出席政府委員
        検     事
        (法制局第二部
        長)      野木 新一君
        総理府総務長官 今松 治郎君
        総理府事務官
        (恩給局長)  八巻淳之輔君
        大蔵事務官
        (主計局給与課
        長)      岸本  晋君
 委員外の出席者
        専  門  員 安倍 三郎君
    ―――――――――――――
四月一日
 委員大坪保雄君、田村元君及び木原津與志君辞
 任につき、その補欠として大橋忠一君、纐纈彌
 三君及び武藤運十郎君が議長の指名で委員に選
 任された。
同日
 委員大橋忠一君辞任につき、その補欠として大
 坪保雄君が議長の指名で委員に選任された。
三月三十一日
    ―――――――――――――
 恩給法等の一部を改正する法律案中一部修正に
 関する請願(灘尾弘吉君紹介)(第二五三二
 号)
 同(早稻田柳右エ門君紹介)(第二五三三号)
 農林省定員外職員の全員定員化に関する請願(
 長井源君紹介)(第二五三四号)
 旧軍人関係恩給の加算制復元に関する請願(池
 田清志君紹介)(第二五九四号)
 同(原捨思君紹介)(第二五九五号)
 建国記念日制定に関する請願(小坂善太郎君紹
 介)(第二五九六号)
 同(首藤新八君紹介)(第二六四四号)
 建国記念日制定反対に関する請願外九件(井谷
 正吉君紹介)(第二六四五号)
 同(河野正君紹介)(第二六九一号)
 元満鉄社員に恩給法等適用に関する請願(田原
 春次君紹介)(第二六四六号)
 同(西村力弥君紹介)(第二六九二号)
 靖国神社の国家管掌等に関する請願(眞崎勝次
 君紹介)(第二六〇四号)
 暫定手当の不均衡是正等に関する請願(柳田秀
 一君紹介)(第二六四七号)
 建設省島根砂防工事事務所臨時職員の身分保障
 に関する請願(足鹿覺君紹介)(第二六八九
 号)
 建設省定員外職員の身分保障等に関する請願外
 一件(足鹿覺君紹介)(第二六九〇号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
 九四号)
     ――――◇―――――
○福永委員長 これより会議を開きます。
 恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。受田新吉君。
○受田委員 きょう出席政府委員の方方のうちで、総理府関係以外の方々、すなわち大蔵省それから国民年金への移行の問題に関して、社会保障制度審議会の関係の政府委員を後刻御出席を願いたい。
○福永委員長 ただいま受田君御要求の政府委員は、出席方を即刻手配いたします。
○受田委員 今松長官にお尋ね申し上げたいのでございますが、先回の委員会で、今回の改正法案の骨子ともいうべき公務扶助料の倍率についてお尋ねを申し上げました。私はなお今日もこの倍率問題についてはもっと実態を明らかにして国民に納得せしめなければならぬと思うのであります。従ってこの問題について重ねて新しい御質疑を申し上げたいと思います。
 公務死の範囲の拡大が昭和二十八年の法律第一五五号の改正以来累次行われてきたのでありまして、特に軍人の場合にそれが行われて参ったのでありまして、旧文官との公務死の範囲の上に非常に大きな開きが出た。これはこの間論議を通じて政府側もお認めになったところです。ところが文官の公務死には戦前において特別公務と普通公務との二つがあったわけです。この特別公務と普通公務とを二十八年の法律改正のときに一本にして公務という形のものがまとまったのでございますが、旧軍人の場合は、その特別公務と普通公務に分れていた終戦当時の規定を是が非でも適用してもらいたいという気持から、倍率四十割というものが要求されてきたわけです。そこで私はこの倍率四十割が、旧文官の、しかも一番強い特別公務に特にさや寄せしなければならなかった根拠というものを、もう一度確認しなければならぬと思うのです。いかがでございましょうか。この倍率論争で問題になった特別公務、旧文官の特別公務に特にこれをさや寄せしなければならなかった根拠。これは公務死の範囲が相当拡大されて、今日の旧武官の御遺族の場合においては、旧文官の特別公務と比較すると著しく寛大になっているこのときに、非常に寛大な旧武官の遺族と、非常にきびしい旧文官の遺族との間に全く差等をつけないで、特別公務の四十割にまとめようとしたそのお考えは、もう一度御説明をしていただかないと納得できないところがあるわけです。一つもう一度明確な御答弁を願いたいと思います。
○今松政府委員 恩給局長から詳しく御説明をいたさせます。
○八巻政府委員 御承知の通り旧恩給法におきましては、戦闘公務、普通公務という区別があったのでございますが、昭和二十八年法律百五十五号が制定せられます場合に、この旧軍人の公務扶助料についての倍率を考えます場合におきまして、果して戦闘公務であるか普通公務であるかということを一々区別を立てることが現実の問題としてむずかしいというふうな見地から、これを一本の倍率に改めたわけでございます。ところでこの旧文官につきましては、終戦前に軍人について行われておりましたところの戦闘公務、普通公務というものが、軍人についてはこれは制度としてなくなりましたけれども、文官の恩給制度につきましてやはりその制度がすっと引き続いて行われておりまして、これが戦闘という言葉が当らないために、特殊公務及び普通公務という言葉に変って参ったわけでございます。ところで、御指摘のように旧軍人についての公務死の範囲というものが漸次拡大されたではないか、すなわち戦地におきまするところの死亡というものをすべて公務死として扱うというふうな拡大の措置が講ぜられるとかあるいは内地における在営中の発病、それによるところの死亡というものを公務死に準じて扱うというふうな意味で、公務死亡の範囲が漸次拡大していったではないかということを御指摘になりました。確かにそういうふうな拡大が行われたことは事実でございます。このことは、とりもなおさず戦争中における、特に戦地における公務死亡の原因が、果していかなる状態において行われたかということが不明であるという意味におきまして、これをすべて公務死亡というふうに見なす、推定するという立法を講じたわけでございます。そもそもこの軍人につきまして、兵における二十六。五割という倍率をきめます場合に、考え方といたしてとりましたのは、やはり特別公務というものが昭和八年あるいは十二年、そうした平常の状態においてどうであったかというものを考えながら、その一つの倍率というものをきめたわけでございます。こういうような意味で、旧軍人についての公務扶助料の倍率を考えます場合には、そうした特殊公務というものを念頭に置きながら倍率をきめておったということは事実でございます。そういうような意味からいたしまして、今回文官の四十割というものが適用されておる方々とのバランスからいって、どうしても割り切れないものがそこに発生した、この不均衡感を何らかの形において解消するということが望ましい、こういう臨時恩給調査会の答申の次第もございましたので、これを解決するためには、どうしても一万五千ベースに引き上げると同時に、ここの倍率を三十五・五に引き上げるということによりまして、一万二千円ベースにおける四十割の旧文官の公務扶助料と大体見合ってくる、こういうふうな考え方でここの倍率を三十五・五に引き上げたということになるのでございます。以上のような次第でありまして、公務扶助料の倍率を三十五・五にきめたということは、その重点をやはりそうした不均衡感の解消、それによって根本的にこの懸案であったところの、旧軍人の公務扶助料に関する問題か解消される、こういう見地に立って行われたものでございます。
○受田委員 これはこの前の議論の蒸し返しにならぬようにと思って、私は遠慮しておったのでございますが、結局そういうことになってしまったようでございます。私は議論の重複を避けまして、一つここで新しい問題を提供したいと思います。この倍率問題に触れられておるからなかなか解決が困難なのであって、階級差をある程度圧縮するような方法はとれなかったか、たとえば先回の法律改正の際に、二等兵、一等兵、上等兵という兵の階級を整理して、兵長にまとめてしまった。だから兵の級というのは結局兵長の階級にまとまったわけですが、一、二等兵、上等兵というようものを整理して、兵長に持っていったという先例もあることでありますから、今度は兵の階級を整理して、下士官の一番下まで持っていくとかいうような、ある程度の階級差を圧縮する案をお立てになるべき筋合いのものではかったかと思います。いかがでございましょう。
○八巻政府委員 前回の二等兵から兵長までのグループを兵長まで格上げした、こういういきさつにつきましては、いろいろな経緯がございましてそうなったと思います。下士官以上につきましては、これは旧来からそれ相当の階級差がございまして、下士官と兵を一本にするということにつきましては、やはりそうした階級序列というものを全然無視してしまうということになりまして、恩給法の体系というものが全体にくずれてくる、こういうふうな見地からやはりその兵と下士官というもののランクというものについては、これは一本にするということについてはどこだろうりか、こういう考え方で、そのニュアンスというものをある程度公務扶助料にも組み込んだ、こういうことが今回の立案措置でございます。
○受田委員 兵の階級を整理することは可能であるが、兵と下士官との階級をなくすることは恩給法の建前からいって困難であるというこの根拠がどうも私納得できないのです。兵は兵なりにやはり二等兵、一等、上等兵とあったわけです。これを兵長にまとめるということ、そのこともやはり今の局長さんの論法をもってすれば、恩給法の建前の上からは問題じゃございませんか。
○八巻政府委員 兵の階級におきましてこれを一本にした、これはあくまで、やはり一つの仮定俸給というものをできるだけ下の者を上げるという一種の旧軍人恩給における最低保障と申しましょうか、そうした意味のものをそこに織り込んで考えた。いろいろな公務扶助料を上げる場合の手法がございますけれども、これは仮定俸給を上げるという方法あるいは倍率を上げるという方法、いろいろございます。ございますけれども、これを二木の仮定俸給に引き上げるということによりまして、そして公務扶助料の額を引き上げるという手法をとったわけでございます。この場合に二等兵も、兵長もやはり同じような処遇を講じたい、こういうふうな気持から仮定俸給を引き上げた、こういうことになったわけなんでございます。また一方におきまして、二等兵から兵長までというところは大体応召兵という考え方できておりますので、やはりその一つのグループとして考えていんじゃないか、こういう気持ちからこれは仮定俸給一本化にした、こういうことが正当つけられるんじゃないかと私は存じてます。
○受田委員 二等兵から兵長までは大体応召兵である、だからこのグループは一本にしばってもよかろうという御説もあった、ようですが、そういう応召兵である一本ににまとめるというようなことを考えたり、あるいは最低保障をどこにしたりするからということを考えるというそのことは、もう恩給法の建前からいったら変則であるのじゃないですか。
○八巻政府委員 御指摘の通りに、それは二等兵、一等兵、上等兵、兵長というふうな階級がございまして、戦前におきましてはそれぞれの階級に応じた仮定俸給がきめられておった、また公務扶助料もそれぞれ別でありました。しかしながら戦後の諸条件のもとで、公務扶助料、遺族の処遇を考えます場合に、そうした一連の、兵の階級において差別をすることは好ましくないというふうな考え方からこれを一本にした、こういうふうに考えます。
○受田委員 好ましくないということは、恩給法の従来守ってきた階級的な、すなわちやめたときの職務に応じた恩給受給権、これは建前からいったら、これはもうすでに第一歩をくずした問題だと思うのです。従ってもうその一角がくすれているのです。すなわち退職当時の俸給を基礎にした恩給金額という建前がくずれておるのです。これがくずれている以上は、今せっかく局長さんのおっしゃった最低保障とか、あるいは応召兵が一般に多い関係だというようなお気持ちがあるならば、もう一歩前進して、せめて伍長辺まで階級を整理する、あるいは少尉あたりまで整理するというように――そういう階級差の圧縮というものは現在すでに一角がくずれている。これをとりでにしてそういうところへ進めていくという考え方は、私は、今まで法律の改正でとられた前例からいっても、またあなた方が今言われたような最低保障あるいは応召兵というような心づかい、社会保障の性格を取り入れる意味からいっても許されるのじゃないかと思うのですがね。だから兵を整理したことも、これを伍長に持っていくことも、軍曹に持っていくことも、とにかく階級を整理するということが、恩給法上の退職当時の俸給をと基礎にした恩給金額という建前からいって、どうしてもこれは一歩も前進できないというようなきびしいものじゃないじゃございませんか。どうでしょうやろうと思えばできるんじゃないですか。
○八巻政府委員 それは考え方の違いと申しましょうか、少くとも恩給法という一つの法律の上に乗っかっていろいろな処遇を考えていくという立場からいたしますと、どうしても階級的な序列、こういうことに対してスティックしていくという立場があるわけでございます。しかしながら一方において、兵のところは一本にしたのだから、伍長、軍曹、曹長くらいまでのところは一本にしたっていいじゃないか、これは一つの考え方として成り立つと思います。しかしながら今回といたしましてはそこまでは考えておらない。やはり少くとも現在までの恩給法の考え方というもののレールに乗っかって、できるだけ現実的な要求に近寄らせるということに努力して参りたい、こういうふうに考えております。
○受田委員 今私たちが問題にしたいことは、その兵の場合に五万三千二百円、少尉が五万三千五百円、百円きざみでこういっている。この間一、二等兵が整理されたことを申し上げなかったのですが、たった百円の差をつけて、退職当時の俸給にある程度権威を持たしめようとしておられる。このことははなはださびしいお気持だと思うのです。百円から二百円かのことをあれこれ言われないで、あっさり一番下の少尉くらいのところへ持っていかれる――すでに傷病恩給関係では、増加恩給部分については階級差を、将官、左官、尉官、下士官、兵というように整理されておるのです。だんだん整理されておるのですよ。今回の改正部分についてはそういう階級差をなくしている。そういう取扱いがされている。もともと、厳重にいえば、恩給法の建前からいえば、大佐の傷と中将の傷は違わないはずです。この傷の部分に対するお手当の階級差は、今回の改正措置で全廃されておる。その点では非常に前進されている。だから扶助料においても、むしろこの際、下級の者をだんだん整理していくという、過去の一、二等兵、上等兵を整理した論法をもって、さらに前進させるという配属がなされるべきじゃなかったのでしょうかね。これに固執されているのがどうも私、納得ができないのですが、どうですか、今松長官、私のこの考え方にはあなたは原則として御共鳴されませんかね。
○今松政府委員 受田委員の御説の点につきましては、実は法律を作ります過程におきましていろいろ論議をいたして参ったのであります。そして今のようなお説の方に進むことにつきましてもいろいろ論議をいたしましたが、今回は、今回提案いたしましたようなところでいくということにきまったのでありまして、お説につきましてはわれわれも相当同感する点があったのでありますけれども、今回はこういうような次第になったわけでありますから、この点御了承願います。
○受田委員 私はもうこの問題は一応そっとしておきますが、これは非常に大きな問題があるのです。
 その次に、これにも関連するわけですが、増加恩給受給者の平病死による扶助料というのがあるわけですね。この増加恩給をもらっていた人の場合の扶助料の年額の算定を見ますと、これは二十八年の法律改正のときに、この年額の考え方としては、扶助料の年額と大体同じ方法をとって計算をすることにもなっております。ところがこの倍率において差ができているわけです。公務扶助料の場合の倍率と、そうして増加恩給受給者の平病死による扶助料の倍率と、差がついておる。それから三十一年の法律改正のときに、内地死没者に対するいわば大体六割に計算したあの倍率、この間においてもまた差があるわけです。それを見ると、増加恩給受給者の平病死の場合における扶助料は将官で一二・八割、兵の場合で一九・九割で、これは内地死没者と同じ扶助料になっております。上の方へ行くと、差が出ておる。これはどういうところに原因があったのでございましょうか。
○八巻政府委員 増加恩給を受けている人が平病でなくなったという場合におきまして、われわれそれを増加非公死と申しておりますが、その増加非公死扶助料の倍率と、今御指摘のありました特例扶助料の倍率、これは内地で主として在営中発病して死亡した軍人の遺族に対する扶助料との倍率の問題でございますが、これが将官のクラスで違っているのはどういうわけか、こういう御質問でございます。これは増加非公死扶助料の全体の考え方は、昭和二十八年百五十五号のときには、公務扶助料の倍率というものに対して、大体七割五分というものを増加非公死扶助料の倍率にいたしました。ところで特例扶助料の方につきましては、考え方といたしましては、これは対象者がほとんど大部分の者が在営中の者でございまして、下士官、兵の方を対象にするものでございます。従いましてそのクラスに対しては、同じように公務扶助料に対して七割五分というもので倍率を作ったわけでございますが、佐官、将官のクラスにおきましては、ほとんど実態的には対象者がない、適用者がない。しかしながら倍率は一本で上まで作らなければならない。また一方考えます場合に、特例扶助料に関する法律は議員提案でなすったわけでございますが、その議員提案の特例扶助料に関する法律の考え方というものが、この倍率を作ります場合も、上薄下厚という精神を取り入れまして、上の方は六割、下の方は七割五分というような傾斜を作って、その倍率を作ったわけでございます。そういうふうな関係で、特例扶助料の将官クラスの倍率は、増加非公死扶助料の倍率よりも、上の方におきましては若干下っておる。こういう関係になっております。
 それから、おそらくこういう点を御質問になったと思いますから、お答え申し上げておきますが、特例扶助料なり増加非公死扶助料の倍率というものが、今回公務扶助料の倍率の改正に伴って改まっておるけれども、その改め方についての御質問があったと思いますので、その点を御説明申し上げますと、今回兵の階級におきまして三五・五割と公務扶助料はその倍率を作ったわけでございます。それに対しまして増加非公死扶助料なり、特例扶助料の倍率というものを作ります場合に、やはり同じように一万二千円べース四〇割というものが、一万五千円ベースにおける三五・五割であるというところから考えまして、一万二千円ベース四〇割当時の増加非公死扶助料の倍率というものは、二四割でありますので、二四割の倍率というものが、一万五千円ベースにおける二一・三割になるというふうな考え方から、三五・五割に見合うところの増加非公死扶助料、あるいは特例扶助料の倍率というものは、二一・三割でよろしいというふうに考えたわけでございます。兵の階級におけるそうした倍率を引き伸ばして、そうして上の方は尉官以上につきましては倍率は動いておりませんから、公務扶助料の倍率に対する現在の比率というものをとって、そうして新しい倍率を作った、こういう関係でございます。
○受田委員 今増加非公死の場合の上の力はそのままにして、下の方だけ引き上げるという措置を同時にとられることになったわけでございますか。
○八巻政府委員 今回の改正におきましては、尉官以上につきましては、公務扶助料におきましても倍率は変りません。従いしまて増加非公死扶助料につきましても倍率は変らないわけでございます。
○受田委員 そうしますと、特例による内地死没者の上の方と、それから増加非公死の土の方との調整は、どういう方法をもって整理しようとされておるわけですか。
○八巻政府委員 今申し上げましたように、公務扶助料の倍率というものは、少尉以上は変っておりません。今回の改正法におきましても倍率はいじっておりません。従いましてそれに見合うところの特例扶助料なり、増加非公死扶助料なりにおける倍率というものは、やはり修正を必要としない、こういうことになっておるわけでございまして、御指摘の増加非公死――もともと議員提案の法案をお出しになった、あの作案されたときの特例扶助料の倍率というものを、将官において特に増加非公死扶助料よりも低くとったということについての御指摘であるとすれば、それは先ほど申し上げましたように、実際的にはあの法律自身が、下士官、兵の在隊中のものを対象とすべきものであるという限りにおいては、ほとんど適用がないということと、また上薄下厚の精神を取り入れまして、そうして同じ公務扶助料に対する七割五分という傾斜でもって、五分という倍率の違いでもって将官から下まで作らなかったという関係上、増加非公死扶助料の倍率と特例扶助料の倍率とは、上の方は違っておる、こういうことになっております。
○受田委員 私はさらに次の問題として、今回の法改正の拠点となった臨時恩給等調査会で答申された答申の内容に、ベース・アップが加えられておる。このベース・アップと公務扶助料との問題か重点的に取り扱われてきたのでありますが、ベース・アップに関する考え方を一つお尋ねしてみたいと思うのです。恩給法上のベース・アップ、すなわち、恩給金額の改訂ということになるわけです。この恩給金額の改訂は、新しい現職の公務員の給与ベースが上っていくに準じて、従来は一応これを改訂をしてきておるのであります。それは同時あるいはずれて、あるいは金額においても多少のハンディはありましても、大体において並行的に追っかけてきておるわけです。これを今回このベース・アップについて非常にきびしい処置がとられておるわけでございますが、この根拠はどういうところにあったのか、すなわち、現職の公務員に対して古い公務員は、現職の公務員の給与改訂に伴って、別に恩給金額の改訂をする必要なしという根拠が、一応政府部内に考えられておるのか、あるいは政治的にはなるべくそれを歩調を合せるようにすべきであるというような考えを持っておられるのか、そのいずれであるか、今回の改正案の御説明を願いたい。
○八巻政府委員 恩給というものが、老後の生活を支えていくための一つの保障であるという考え方からいきまして、退職後、生活水準なり物価水準が上ったということに伴いまして、現在受けておる年金の購買力というものが相対的に下ってくる、こういうことになりますと恩給制度の本旨目にもとる。従いましてこれは恩給受給者の側から恩給法上当然の権利として要求されるものではありませんけれども、恩給本来の趣旨からいって物価水準なりそうした生活水準に見合うところの給与に是正すべきであるというような考え方は、これは政府として考えておるわけでありますし、また恩給調査会におきましてもその点は指摘されてきたわけであります。しかしながらそれはあくまでも財政の許す範囲内における政策的な考慮として行われるということでありまして、今回におきましても、昭和二十九年十月一日以降退職した人につきましては、これは一万五千円ベースで恩給がついておる。そうしたバランスからいいましても、また二万五千円ベースになったという、こういう物価水準の上昇というものに伴いまして、一万二千円ベース時代に退職した方々の恩給というものを見直していくという努力はしなければならぬわけであります。しかしながらこのことを考えます場合に、今回特に与えられたと申しましょうか、一定の財源の中できるだけ下の階級の人は厚くするというふうな考え方が強く打ち出されております。またそうした要請にこたえることが最も現実にマッチした政策であると考えましたので、上の階級につきましてはできるだけ圧縮すると申しますか、ベース・アップを制限いたしまして、そのかわりに下の方は完全に二万五千円ベースにベース・アップするというふうな措置をとったわけでございます。
○受田委員 そうしますと、上を薄く下を厚くするという考え方の理論的根拠をお尋ねしたいのでございますが、退職当時の俸給に見合う恩給金額という建前から言うならば、これはやはりこの点においてもいわば社会保障的な性格がベース・アップの上にも考えられた、かように了承してよろしゅうございますか。
○八巻政府委員 御指摘の通りそうした下の者になるだけ財源を回すというような意味、また一方におきまして社会政策的考慮というものをそこに払った、こういうことがいえると思います。
○受田委員 さしあたりこのベース・アップについては、本年十月から三十五年の六月まで六十五才までの人にはその半分を上げていくという措置がとれておるようです。この特別措置の六十五才という年令は最近社会保障制度審議会の答申中の一つの構想の中にも、試案の中にも、六十五才から国民年金四万二千というのを考えたいという年令の基準が一つあるようでございまするが、この社会保障制度審議会あるいはこの内部にある国民年金の特別委員会の考え方などを参考にして六十五才という年令が生まれたのでございましょうか、あるいは政府独自の名案でここに六十五才というのが生まれたのか、御答弁を願いたいのです。
○八巻政府委員 伺ったところ、六十五才というものに対するめどというものは現在生きておる法律の中ではないわけでございます。しかしながらこのベース・アップ、すなわち普通恩給、普通扶助料の増額、こういう問題は、公務扶助料なり傷病恩給よりも一足おくれてという原則を昭和三十五年の七月から一応打ち建てたのでございまするけれども、その中でも特に高齢者についてはこれを一歩先んじて増額措置をすべきであるというふうな考え方からいたしまして、高齢者というものに対する特例を開いたのがこの措置でございます。高齢者という場合に何才をとるかというふうなことにつきましては、今いろいろと社会保障制度とか国民年金とかいろいろな構想があるようでございますけれども、大体の常識と申しましょうか、六十五才くらいが高齢者というグループに入るというのが常識化しておるようでございますので、そういうようなことを念頭に置きつつ六十五才というところを二つのめどにとって増額措置を初年度からやるというふうにいたしたわけでございます。
○受田委員 六十五才がさしあたり高齢者であり、また六十才は、これは三十五年の七月からやる普通の高齢者であるということになる。この六十五才というのは特別措置の高齢者、それから六十才が普通の高齢者、かように了解してよろしゅうございますか。
○八巻政府委員 御趣旨の点がよくのみ込めませんけれども、大体そういう趣旨だと思っております。
○受田委員 恩給法の上に六十才とか六十五才とかいう数字が最近現われたわけなのです。今まではそういう数字、年令制限というものはなかったわけです。六十五才未満の父母であっても遺族として恩給受給、扶助料受給権があったわけです。それが最近六十才というのが生まれ、さらに今回六十五才というのが生まれてきた。恩給法上の一つの革命がここに行われたわけです。こういう革命的な規定が生まれたということについては、政府の恩給をあずかる局長さんとして、また総理府の最高責任者としてのお考えは、これは大いに歓迎すべき傾向であると思われるか、好ましくない傾向であると思われるか、政府側の御所見を伺いたいと思います。
○八巻政府委員 恩給法につきましては、戦後における、特に軍人恩給との関係におきまして、いろいろと、現実に合致したと申しましょうか、現実を直視したいろいろな制度というものが旧来の恩給法の上に乗っかかって、そうして多少の手直しが行われているということは事実でございます。また基本的な考え方としてはあくまで恩給の理念から出発し、また恩給の体系というものをくずさないことが私は望ましいと思いまするけれども、しかしその上に立つででの多少のいろいろな色合いというものにつきましては、これは現実にマッチした姿というものが取り入れられていって差しつかえないんじゃなかろうか、そういうような気持から今回の措置も行われたわけでございます。
○受田委員 恩給法は従来この内閣委員会での改正のみでなく、たとえば地方公務員の恩給受給権のごときは、地方行政委員会の地方自治法の改正あるいは文部省における教職員関係の改正等で適宜改正が行われているわけです。従ってこのいわゆる恩給受給権というものの中に、それぞれのセクト的な考え方で一歩ずつ前進をする、つまり社会保障の政策的な方向へ前進しておるという傾向があることはいなめない現実なのであります。そこでこうした年令制限等がだんだん出てくるということは、政府がこれに対して旧套を墨守して新しい傾向を抑えようという動きが今はやまって、現実を十分尊重するという方向へ変ってきたという点において私は大いに敬意を表したいと思うのですけれども、しかしこの問題は一応ベース・アップの原則だけははっきりした線を考えておられないと――今回は政策的にこういう形がとられた、しかしながら原則的に言うならばベース・アップというものは調査会の答申にあったごとくに十分尊重しなければならぬという形のものでなければならぬと思うのです。これはいかがお考えでしょうか。
○今松政府委員 恩給審議会の答申のありましたベース・アップの問題は、受田委員のお説の通り尊重すべきものと考えております。ただ今回の場合におきましては上級者に対してはベース・アップについて非常な制限をいたしました。これは特例なのでありまして、この特例は将来ともに守っていかなくちゃならぬ特例ではないと私は考えております。
○受田委員 恩給改訂につきあるいは恩給費の増額についていろいろ批判があることは、結局軍人恩給に対して、いわゆる戦争に協力したような印象を与えている当時の現役軍人の恩給について、非常に厳しい世論の批判が加わっているということで、大へんお気の毒ではありますけれども、そこに軍人恩給による亡国論というものも生まれてきておるわけなんです。そこで政策的な考え方から言うならば、なるべく国民の税金を公平に国民全体の福祉のために分配するという建前からは、ある特定の人々だけに税の行方に重みが置かれることには問題があると思いますけれども、現在の公務員と過去の公務員の間に、物価指数とか、先ほど申された生活水準とかの変遷によって移動があることはある程度考えなければならぬ。それはなぜかというと、物価がどんどん安くなった結果生活が非常に楽になり、公務員の給与を下げなければならぬという事例があるわけですね。これはすでに昭和五、六年ごろ官吏の減俸の勅令が出たこともあるわけであります。そういう場合もあり得る。そういう場合には、過去に退職した公務員の恩給金額が高いという印象を与える場合があるから、その過去の公務員の退職年金は非常に高いところに置かれて現在のは低いということが起るわけです。そういう場合を考えていくと、現在の物価水準、生活水準を尊重して適当なスライド制がとられるということは、原則的に申し上げて大事な問題だと思うのです。ここで一つお尋ねしておきたいのですが、将来非常に物価が下り生活が豊かになるというときに、現在もらっている過去の公務員の恩給金額が現在の公務員に準じて引き下げられることは当然と考えられるか、これは既得権の侵害になるか、これも一つあわせて法理論的な御説明を願いたいと思います。
○八巻政府委員 過去におきまして俸給の引き下げという事実はございましたけれども、このときには俸給引き下げ後に退職した公務員に対しましては、その退職当時の俸給を引き下げられなかった時代の俸給に還元して恩給を計算するという措置が講ぜられたのでありまして、今まで歴史的に見て参りまして、俸給が下ってそれが上台になって恩給が給せられ、従って前の俸給の高かった時代にやめた人の恩給がよくなるからそれを引き下げなくちゃならなかったというような経験は全然ないのでございます。将来におきまして、そういうような事態が来るということを想定いたしまして、そういうことが果して可能であるかどうかということにつきましては、すでに発生した財産権に対する引き下げということになりますので、それに対する正当な理由がそこに果してあるかどうかというようなことを掘り下げて考えませんと、にわかに結論が出ないと思います。
○受田委員 物価は常に上昇していく、生活水準は常に高まっていく、従って公務員の給与は常に引き上げられていくものである、過去のいろいろな経緯から見てもさような方向をたどっておる、今後とも公務員の給与が下げられるということは今のところでは考えられないというようなお考えなんでしょうか。将来のことを想定できないという意味は、私の今指摘したような場合が、今のところでは考えられないという意味ですか。それとも、そういう場合をまだ想定して次の問題を考えるべきではないというのですか。これは既得権侵害論という法理論の上からいっても、一応確かめておきたい問題ですから、そういう場合に恩給金額が引き下げられる場合は既得権侵害になるかならぬかという問題とあわせて、繰り返してお尋ねするようですが、もう一度はっきりした答弁が願いたい。
○八巻政府委員 私は、そういう事態が起きるであろうとかあるいは来るはずがないとかいう意味で申し上げたのじゃございませんで、ただそういう前例はございませんので、それが既得権侵害になるかどうかということについての、確たるお答えができなかっただけでございます。その点につきましては、今直ちに私ここで法制的な見解を申し上げる自信はございませんので、いずれ法制局と相談しまして研究させていただきたいと思います。
○受田委員 この法律的解釈で法制局のどなたかにちょっと御足労願っておきたい。つまり既得権論で今からお尋ねしなければならぬことがありますから。
 ベース・アップ問題については、現在の公務員のベースが上ればなるべくこれにつり合っていこうという一応の政策的な原則はお持ちであるようです。従って、今回四年間そのままに放置されてあった過去の退職公務員の恩給金額の改訂を試みられるということは、政策的にはうなずけることである。ただ財政上の理由で、現在の国家財政を見たときにはなかなかむずかしいので遠慮すべきだという意見もあるし、またそれを一部切り詰めてやるべきであるという意見もあってきているわけです。私たちも原則的にはベース・アップを否定しているわけじゃないのです。これは国の財政の問題とかね合せて見るということに結論がつくと思うのです。
 ここでもう一つお尋ねしておきたいのですが、特にこの前ちょっと指摘したのですけれども、給与制度とかあるいは公務員の任免制度とかいうものが、何回か変遷をしてきて、この変遷に伴う犠牲が今日の新旧退職公務員の間における恩給金額のアンバランスを生み出しておるわけです。これは恩給法上の問題としては、解決がはなはだ困難であるといって答申にも一言触れてはございますけれども、しかしながら、過去において三、四回という改訂措置が特にとられておることを見ると、そこに不均衡があることはもうはっきりしておる。現在のところでは原則的にはそうした制度の変遷による犠牲者はもはや救済する必要はないという形で、総理府恩給局としてもはっきりした信念を持っておられますか。いやそうでなくて、そういうものの不均衡は何かの方法で変えなければならぬというお気持がございましょうか。
○八巻政府委員 ただいま御質問の点は、過去の任命給与制度というものと現在の任命給与制度との違いから、そこにいろいろな恩給処遇上の違いというものが現われてきている、これを救済する何らかの方法はないだろうか、こういう点でございます。いわゆる昭和二十三年六月三十日以前に退職した方とそれ以後に退職した方との不均衡の問題ということの中身には、単なるベースの違いというもののほかに、そうした任命給与制度の違いに基く違いがあるということは御指摘の通りでございます。たとえば端的に申し上げまして、小学校、中学校の教職員の給与制度というものが、旧官吏俸給令あるいは任用令時代のそれと現在のそれとが非常に急激な変化を遂げておるわけであります。そうした縦の系列だけを取り上げて考えますと、非常にアンバランスがあるというふうに考えられますけれども、やはりあくまでも恩給は過去の秩序というものを尊重しなければならない、そしてまた同時代に同じ俸給で同じ年限でやめた人は同じ恩給でなければならないという考え方が一方にあるわけでございます。すなわち過去における教職員の方で府県庁の学務課長と同じ年限を勤め、そして同じ俸給でやめた、こういう場合には、そうした学務課長の恩給とその教職員の恩給はイコールであってよろしいという考え方が一つあるわけであります。教職員について前後を比較しました場合に、そうした給与制度なり任命制度が違ってきた、こういうような事柄の違いを全部恩給で片づけるということになると、縦横の綱の目がくずれて非常に大きな問題になってくるであろう、そういうような意味合いから、恩給等調査会におきましても、これは恩給法のワクの中でなかなか取り扱えない問題であるというふうに一応結論が出ておるわけでございます。この問題につきましては、そうした方々に対するお気持の上で、戦後の同じ職につかれておる方々の処遇と引き比べて、待遇の悪いということに対する感じというものに対しては、まことに同感するのでございますけれども、これを直ちに恩給だけでもって解決するということになりますと、恩給体系の上に非常に混乱が起きるということになりますので、恩給の上における不均衡是正は、昭和二十七年の法律二百四十四号と昭和三十一年の百四十九号と二回行われまして大体これでもって一応終っておるのじゃなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。
○受田委員 これは一つ別の問題を生み出していることを、この前の時間に質問して申し上げたわけですが、非常に低いのが出ておる。今度考えられる国民年金にも当らぬのが出ておるということをこの前指摘したわけです。だから将来国民年金制をしこうという国策が一つあるのですから、なるべくその国策に従って上を抑え下を国民年金の水準に引き上げる。国民年金制がしかれて、その基準にも達しないような公務員を作るということになってははなはだ気の毒だし、特に恩給をもらっているがゆえに生活保護の適用を受けることもできない、こういう人々の救済ということを考えていくことが一つの現実の問題であるということをこの間指摘したのですが、それに対する御回答が十分なかったわけです。これは政府としても恩給という古い建前をいつまでもとり守るというのでなくして、国民年金に移行した場合において、その国民年金とのバランスをどう考えていくか。バランスを全面的に考えるという問題は困難であるとしても、ある基準にまで達しないようなものの水準を高めるという努力は、社会政策の上からも考えていかなければならぬ。一万円とか、今私の調査では九千幾らという扶助料をもらっておる人がおります。これは数字の上で出ております。これは地方公務員です。また恩給金額においては一万五千円という公務員がおるわけなんです。そういう人々は恩給や扶助料をもらっているから生活保護法の適用を受けることができない。むしろ扶助料を遠慮して生活保護法の適用を受けたらいいようなおじいさんやおばあさんがおる。これが今回の改正措置で忘れられておる。高額所得制限とあわせて、そういう下を救うという問題を考慮する必要がなかったかと思うのですが、この問題はもう一度明解な答弁を願えませんか。
○八巻政府委員 普通恩給なり普通扶助料を受けている方で、古くやめられた方で、非常に低い恩給を受けている方がある、こういう問題でございますが、確かに私どもの恩給局の裁定におきましても、一万二千円ベースの時代の計算でございますけれども、三万円未満の普通恩給を受けている方が約五千人ぐらいでございます。しかしながら今回の一が五千円ベースのベース・アップによりまして、その方々の八、九割は三万円以上の普通恩給を受けるものになるわけでございます。これよりもまたさらに下回っておる、こういう人たちの実態を考えてみますと、たとえば外地の植民地におきまして加算がついて恩給年限に達しておるというような方々は、これは警察官であれば完全に十二年勤めておらない、あるいは文官であれば十七年完全に勤めておらぬというようなところで、もしも十二年なり十七年なり勤めておれば当然俸給も漸次上昇して参りまして、相当な額になっておるわけでございますけれども、在職年が短かいために俸給があるところまで達しなかったというような方々があるわけでございます。従いましてこれを一律に十二年勤めた方と同じように考える、あるいは十七年勤めた方と同じように考える――また昭和八年以前におきましては、警察官におきましても、最短年限は十二年でなく十年でございます。また文官におきましても十七年ではなく十五年でございます。そういうような関係で俸給の上り方もそうした長い在職を持った方よりも低いということもあり得るわけでございます。そういうようないろいろな実態をよくながめてみませんと、全部一本に合せることがいいかどうかということの結論は出て参らないのでございます。もちろん私が先ほど申し上げました数字は恩給局の裁定だけでございまして、府県知事の裁定の分は私ども統計上持っておりませんので、その分をしさいに調べまして、そうしてその実態についてある程度心証を得ませんと同じ短い年限でも長い年限勤めたと同じように一律に支給することがいいかどうかということの判断がつかないわけでございます。実態を十分つかんだ上でいろいろと考えて参りたい。また一方におきまして、国民年金等の社会保障制度審議会におけるいろいろな勧告も将来出て参るわけでございますので、そういうものとにらみ合せて将来検討を加える性質のものではなかろうかと考えております。
○受田委員 私はここでもう一つ高額所得制限の問題に触れてみたい。
 恩給をもらっている人が他に収入がある場合、五十万円以上の場合はその恩給金額の九万五千円を差し引いた残りにつき一割五分の所得制限をやっているわけです。こういう法律が一応できておる。百二十万円をこえて初めて三割という制限を受けておる。大体百二十万円も恩給以外の所得のある者に、なお恩給がたとえば三十万円あるとするならば、その基礎の九万五千円を除いた残りで三割しか引かぬというようなことは、これはあまりにも虫のいい話で、従って百二十万円も年所得のあるような人は恩給は全部遠慮した方が私はいいと思うのです。こういうところに、つまり国家財政の全般の見地から考慮して、ベース・アップなどについては一応原則としてこれを認め、同時にそういう高額所得者に対して大幅の所得制限をする、こういう格好をとっていって初めて国民は納得すると私は思う。だから私が今申し上げたように、七十、八十のおじいちゃん、おばあちゃんが一万か二万かの恩給や扶助料をもらって、それをもらっているがゆえに生活保護法の対象にもしてもらえないというこのきびしい現実を考えた場合、百万も二百万も年所得のある人が、なお依然として高額の恩給を別にもらって、その大半をいただいておるような格好のこの規定というものは、これは私は政策的にいって十分検討を加えなければならぬ問題だと思うのですが、この問題はいかがお考えでございましょうか。
○今松政府委員 高額所得者の恩給の制限の問題でございますが、受田委員のお説ももっともであります。私どもといたしましても、今回の改正につきましては、従来最高三割であったのを増加分については五割まで制限することにいたしたのでありますが、百二十万円以上の所得のある者に対して恩給を停止すべきでないか、こういう御議論に対しましては、将来の問題としてよく検討いたしてみたいと考えております。
○受田委員 一例を申し上げます。大蔵省の高給のお役人などがよく公団や公庫の総裁とか理事長とかいう立場においでになられる。また各省にも、これは大蔵省ほど派手ではありませんが、相次いでそういうところに行かれる人がある。ところが公団や公庫の総裁というものは二十万円から少くても十五万円です。多いのは二十二万円、そういう莫大な俸給をもらっておるのです。同時にこの方々は五十五才に達せざる場合は、一部の若年停止規定はありますが、大蔵省の次官や局長である方々ということになれば、大体恩給金額が三十万から三十五、六万というところに行くわけです。だから年間二百五、六十万円とって、さらに三十万円、四十万円の恩給をもらって豊かな生活をされる人々が平然と恩給をいただいておられるというようなところに、恩給亡国論の批判の対象が寄せられておると思う。これは少し考えていかなければならぬことなんで、内閣総理大臣の俸給が十一万円だ。今回改正措置をしようとされておるけれども、しかしその施行期日については法律で定めるというようなことで、よほど遠慮しておられるが、その総理大臣よりも総裁や理事長が倍も俸給をとるような、国民が税金で納めた国家の資金を投資した公団や公庫や銀行があるのです。そこにある親方は十五万円も二十万円もとって、おまけに恩給を二十万も三十万もとっておる。これはどう思いますか。
○今松政府委員 お説は一応ごもっともでありますが、今直ちにこれを制限するということもできませんので、将来一つ検討してみたいと思っております。
○受田委員 この問題は国民に非常に悪い印象を与えておるのです。私は、恩給をもらっておるというだけで批判を受けておられる気の毒な低額所得者のおることをしばしば指摘したわけでございますが、国民年金制を来年からしこうという政府の、その基準になる社会保障制度審議会の答申の六十正五才をもってする金額が、四万二千円となっておるのです。この四万二千円というのは、月に三千五百円です。そういう一つの基準が今生まれようとしておるときに、一方で非常に苦労しておる人がある、ところが一方において非常に派手にやっておられる者があるということを漸次調整していってこそ、国民の恩給亡国論批判に対して政府自身も自粛自戒し、またその対象になっておる人々にも反省の機会を与えるわけであります。この問題は一つ法律改正で何らかの方法をとるべきだと思います。ただここでまた既得権論に入るわけでありますが、そういう高額所得者について現在もらっておる恩給金額を、たとえば第一番目の五十万円をこえておる所得のある人が恩給をもらっておる場合に、九万五千円をこえた部分に対して一割五分というような、この所得制限基準をたとえば五割にして、それから一番上の方を八割にするとかいう、そういう規定を現在の立場からとることが既得権侵害になるかならぬか、一つ法制局の御見解を伺いたい。
○福永委員長 法制局は今呼んでおりますから、後刻参ります。
○受田委員 それではこの問題は法制局にあらためてお尋ねしますが、法理論的な解釈ではなくて、一つ現実の問題としてさらにお尋ねをしたいと思います。
 この恩給受給権の一時停止の中には、最終職の問題もあるのです。また若年停止の問題もあるし、所得制限の問題もいろいろあるわけです。そうした問題で考えなければならないことは、公務員の身分を持っておるということで現在勤務しておる人が、恩給を一時停止されることは当然でございますけれども、この公務員であるというその人の地位が公務員の地位と同じような、それに準じた立場で過去において勤務した者、準公務員というような形で勤務した者を、それをずっと含んで勤務とみなすというようないわゆる通算措置というようなものを今から一つお尋ねをしてみたいと思うのです。この通算規定の中に、今までの法律改正で相当修正されておるのでございますが、今回大蔵省が考えた例の共済組合方式による試案をながめてみますと、その中に雇用人であった期間を一般の任官雇員による期間と通算した措置をとろうしておるわけであります。恩給局としてはそうした公務員であった期間というものを非常にきびしく解釈されるので、正式の任官雇員でなかった雇用人期間は在職年限の中に入れておらぬ。従って、たとえば郵政省の職員などで逓送手あるいは通信手という時代が入っておらぬので、せめて二分の一でも見てくれということに対しても、政府は過去において非常に遠慮されたわけであります。遠慮されたために郵政省の職員の場合に共済組合を作って、これらの人々を救いたいという格好になっているのに、政府は郵政省の職員に対する共済組合の法案をお出しになることになったようです。こういうところは恩給法の考えがきわめて厳重であって、共済組合の方で救われようとする人々に対しても、大幅にこれを受け入れようという心得をお持ちにならなかった結果、いたずらに国家管掌による恩給法と、それから組合管掌による共済組合法とが対立して今日に至っておると私は思うのです。そういう問題を考えるときに、今松長官もずいぶん国家公務員の退職年金の新しい制度を作るについて御苦労していただいておるようでございますが、通算制度について一歩前進するという態度をとられたならば、こういう問題の解決はもっと明るく円満に手が打てたと私は思うのですが、この通算に関する考え方について政府の見解をお示し願いたい。
○今松政府委員 ただいまお尋ねの通算の問題でございますが、御承知のように戦前の官吏というものは、雇用人の分もたしか二分の一でございましたかに勘定いたしまして通算をいたしました。戦後の公務員法によりましては、この通算ができておりませんので、この問題は、私どもが今考えておりまする普通公務員の退職年金の問題のときには、たとえばお話のありました郵政省の現業職員、そういうものと、一般の公務員との通算が、今回共済組合によってできますような方法をとりまして、通算をいたしたい、こういう意図のもとに今案を検討しております。ただいまお話のありました郵政現業職員の通算問題は、何も共済組合にしなくても、交渉規定の法規を作りますれば、通算ができるのでありますけれども、この郵政現業職員、すなわち公労法の適用を受けておりまする公務員につきましては、いろいろな観点からこれを三公社と同じような扱いにすることが適当ではないか、こういうような考え方で一足先に共済組合法を提出する、そんな運びなった次第であります。私どもが考えておりまするような普通公務員の退職年金法が出ます場合には、今お話のあったような点は十分組み入れられるものだと考えております。
○受田委員 恩給法から恩給という特権的な意識をだんだんと取り去って、民主的な観点から作られる退職年金制度への切りかえ、さらにそれが一般の雇用人期間等も含んだ共済組合方式への組合法の成立とか、こういう発展段階をたどって今日に来ておるわけでございます。結局政府が今非常に因っておられるのは、国家管掌、政府管掌によるところの退職年金制度か、共済組合方式による退職年金制度かということにもなるわけです。それで今私が指摘しましたのは、通算をもとにしてそういうことをお尋ねしたのですけれども、いずれこの問題はあとの問題としてお尋ねをしますが、そういうところにちょっと踏み切れば簡単に片づく問題が、えらいこじれをしておるということは、恩給法であまりきびしくものを解釈された結果だと思うのです。だから逓送士、通信士というような期間を二分の一でも通算してやるというような考え方が、ちょっと前進してとれるならば、あるいは学校看護婦の期間を加えて、二分の一に考えて養護教諭の期間に足していくというような形の考えをお持ちになれば、この共済組合方式の要望に対する一つの調整弁がそこに生まれてくると思うのです。こういうところはどうですか。現行恩給法でそういうころも全然やる必要はないのだ、これは新しい退職年金制度でやるべきだというので、この間人事院総裁もはっきりした態度をお示しになっておられましたが、現行の制度で恩給法上のそうした民主化をはかる時期はもう一切過ぎたという考え方、すなわち、現在の恩給法の制度の中へ、そういう次の制度が生まれる過程として、社会保障の性格を持つものを取り入れていくというこの考え方は、もうとる時期ではない、かように政府もお考えでございますか。
○今松政府委員 ただいま私どもの考えておりまする国家公務員の退職年金制度が、長い先に施行される場合には、今お話のような点も経過として考えなければならぬと思いますが、私どもの考えといたしましては、近い将来そういうような制度をとりたい、こういうような考えでおりますので、もうここ半年か一年のことであると考えられますので、その間に今のような制度をとりますかとりませんかという問題については、まだ私どもの考えがきまっておりませんが、近い将来、今のお話のような意味を含めた退職年金制度を政府の力で作りまして、議会の御協賛を得たい、こういうように考えております。
○受田委員 今通算制度をもとにしてお尋ねしたのでございますが、もう一つ加算問題がある。この加算の方も、これは過去のもので、今は加算制度というものはないわけなんですが、過去の加算が今日まだ禍根を残しておるわけです。この加算によって問題にされているのは、文官と武官で非常に開きがある。軍人の場合は、もと戦地で一年勤務すれば三年の加算がついて合計四年勤務したと同じことになって、三年戦地で勤務すると、十二年の恩給が下士官以下ならもらえるというような時代があったわけです。それがために、今日すでに終戦直後のあの勅令六十八号が二十一年に出るまで裁定を受けておった人が、二十八年の法律改正のときに、既得権というような印象のもとに、恩給局においてはその人をみんな裁定してしまったわけです。そのときに未裁定であった人が二十八年まで許されていないので、そこで長く勤務した者が損をして、早く戻っておる者が得をしたというので、大きな紛争が起っている。こういういにしえの制度がいつまでも尾を引くような形のこの問題は、どういうふうにして解決されようとするのか、まだ加算制度で新しい裁定を受けていない人々は、若い人々が多いわけでございますけれども、若いから今は何も文句を言っていない。若いから今は何とか生活力があるというのでありましょうが、それをやがて何とかしてくれという要望があるわけです。しかしこれはたった一年間で三年か四年勤務した恩給をもらおうというこの考え方には、私は問題があると思うのでございますが、これをどういうようにして解決するかということになりますと、はっきりした政府の処理方針をおきめになっておかないと、いつまでも禍根は残ります。既裁定者と未裁定者、この数字とそれに伴う国家予算の算額、こういうものをお示しの上、一つこの問題の処理をどう考えておられるか、御答弁をこいねがいたいと思います。
○八巻政府委員 加算の問題は御指摘の通り、すでに裁定を受けたものにつきましては、法律百五十五号におきましても、その権利を付与し、しからざるものにつきましてはこれを打ち切った、こういうことになったわけでございます。従いましてその間の不均衡、恩給というワクの中での問題といたしましては、大きな不均衡を生じておるわけでございます。しかしながらもしも戦前と同じような加算制度を復活する、こういうことになりますと、その数も、大体それによって普通恩給扶助料を受けるという該当者は七十五万人に上ります。そのうち、六十五万人というものは四十五才未満の方々である。また五十二万というものが七年未満の実在職年の方々である、こういうふうな関係がございます。また一方これに要する費用も、今申し上げましたように、四十五才未満の方が多数ございますので、当面は予算がそれほど要りませんけれども、後年度におきましては、ピーク時においては百十数億に上るわけでございます。こうした財政上の理由、あるいはその加算を実施した場合のそうした受給対象者の実態というふうなものから考えまして、傷病者の問題であるとか、あるいは遺族の問題であるとかいうふうに、急を要する問題とは考えられないことからいたしまして、臨時恩給等調査会におきましても、今後の国民感情、財政事情を勘案した上で決定さるべきものである、今回は見送りとするという結論を出されておるわけでございます。政府におきましても、この問題につきましては確かに恩給のワク内における一つの不均衡という問題として解決しなければならないけれども、なかなかすぐに解決できない問題として残ると思いますが、今回直ちに取り上げてこれについて解決方策を立てるというところまでは参っておりません。いろいろな今後の国民感情と財政事情を勘案した上で決定してしかるべきものであろうということで、今後の課題として検討して参る、こういうつもりでございます。
○受田委員 法制局も見えておられるのですが、これにあわせてお尋ねしたいのです。通算制度とか、加算制度、特に加算制度、戦地加算というようなものを認めて、今新しく恩給をもらいたいというこの気持は、既得権を復活したという意味でない。すなわちすでに廃止された法律を、その往年の法律のある程度の精神を汲んで新しく立法措置をしたという昭和二十八年の法律第百五十五号の考え方からいうならば、これは既得権を云々する問題ではない、かように法理論的には考えられはしませんか。
○野木政府委員 御質問の御趣旨を的確に把握しかねましたので、あるいは多少見当違いの答弁になるかもしれませんが、そのときはまたあらためて御答弁いたしたいと思います。
 加算制度が占領中に廃止された。その廃止された今、新たに加算制度をとるか、とらぬか、とらぬかということを論ずるのは、法律上から言いますと別に既得権という問題ではなくて、新たに加算制度をとるかという立法政策の問題に尽きるのではないかと思います。
○受田委員 新しい立法政策という問題でございますが、ここでちょっと法制局の御見解を尋ねたい。昭和二十一年の勅令六十八号で一応廃止された恩給法、特にその恩給法の中に含まれておった旧軍人、旧準軍人がそうなんですが、その軍人関係が二十一年の勅令六十八号で恩給受給権をとどめられたという考え方か、あるいはそれで廃止されたんだ、権利が喪失したんだという考え方かというのにも、いろいろ異論がある。これははっきりと廃止されたのだと解釈してよろしゅうございますか。
○野木政府委員 この問題は過去の国会の委員会においても、しばしば議論になったところでありまして、その点は速記録等を通じて、私ども拝見をいたしたわけでありますが、政府の見解といたしましては、当時の速記録を拝見いたしましても、占領中のあの措置によって廃止された、そういうような解釈をとってきておるものと存じておる次第であります。
○受田委員 それに対してある程度の潜在的な権利が考えられて、それを尊重して二十八年に復活したという見方をする人もあるわけです。だからこの考え方ははっきりしておかなければならないのですが、潜在的な権利がそのまま残っておったという、たとえば沖縄の潜在主権のごときものが残っておったという考え方、この考え方の論拠というものの中には、二十八年の法律ができたときに、ちょうど前のような格好でこれが承継されたように印象を受けているのでそうなったと思うですが、こういう考え方を持っている人々に対する法制局としての論駁の根拠を伺いたいと思います。
○野木政府委員 潜在的権利と申しますか、一つの用語の問題といいますか、比喩的の言い方といいますか、そういう言葉を使っていたことも、速記録等に散見されておりますが、要するに俗にいう軍人恩給復活と申しますか、旧軍人に新たに恩給を給することにしようという措置をとられましたときにも、新たな措置といっても全然縁もゆかりもないところに措置をとるというのではなく、やはり過去に一定の事実関係があった。それはすでに廃止されたから権利ではありませんが、一つの事実関係としては現にあった。そういう事実関係に着眼しつつ新たな措置をとっていく、そういう関係に出たものと思います。そうしてそういう事実関係に着眼したという点をとらえて、あるいは比喩的と申しましょうか、俗にわかりやすく潜在的権利というような、ああいう用語も出てきたのではないかと存ずる次第であります。
○受田委員 ここで問題になるのは軍人関係の恩給受給権者だけでございまして、文官の方はそのまま続いてきたわけです。そこで文官はずっと続いてきた、軍人だけそこでストップされたというので、その後問題が非常に紛糾してきているわけです。従ってここで既得権の問題についてもう一つ明らかにしてお話を進めておきたいのですが、軍人の恩給というものは、これは新しい権利がここへ法律上認められたことになるので、それは昔の制度を尊重しなくて、新しい観点からこれを考えてもいいということになるならば、恩給法を文官と武官に分離して、文官は現在の公務員の系列に入る、たとえば今度政府が考えている国家公務員退職年金制度というようなものへ流し込むというような、そういう考え方を立てることができますかどうか。そうして旧軍人関係のものは別にして、さらに公務扶助料の関係のものは別にする、こういうふうな取扱いで、ここで恩給法を分断するということが、現実の問題としては非常に大事な問題になってきたのではないかと思いますが、文武官を分離するというこの考え方は、すでに恩給法が一ぺん軍人の恩給を廃止しておるのだという意味からいったならば、系列を文官は文官同士、軍人は軍人として、これを一部にしまっておくという考え方は考え方として成立するかどうか、法制局の御見解を伺いたい。
○野木政府委員 憲法に抵触しない限り、その範囲でいろいろの立法政策を取り得るものであると存じます。従いまして、いわゆる俗に言う軍人恩給制度復活と申しますか、普通の旧軍人の恩給について新たな措置をとりました際におきましても、私当時具体的にはあまり関係しませんでしたが、今から考えますれば、立法の方針といたしましては、恩給法の改正とか、あるいは附則でああいう措置をとらないで、別に旧軍人恩給法というものを作って、既得権といいますか、たとえば軍人についても増加恩給というものは一時残っていたわけですから、そういう意味で旧軍人の増加恩給というようなものは、やっぱり既得権になっておりますから、そういうものを害しないで、しかもそれ以外の恩給を新しく支給するという方途を、旧軍人の増加恩給の部分と合せて別個の法律にするということも、法律的可能性から言えば可能な考え方ではなかったかと存じます。ただそれは立法政策として当、不当、それから立法技術的にどっちが有利だというようないろいろな問題はありますが、可能性の議論から言えば、当時としてそれは不可能ではなかったと思いますから、現在におきましても、これを旧軍人の恩給と文官関係の恩給とを分けてやるということは、法律的に見て全然不可能、全然成り立つ余地はないということは必ずしも言えないのではないかと存ずる次第であります。要するに立法政策の問題あるいは立法技術の問題、そういう点にからまってくるのではないかと存ずる次第であります。
○受田委員 憲法第二十九条に財産権の規定があるわけですが、その第一項には財産権不可侵の原則があり、また第二項には「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、」云々、第三項には「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」こうあるわけです。この規定からいって、すでに恩給法上権利を得た者に対して、公共の福祉に適合するようにこれを法律で定めることができる場合、及び正当の補償をもってこれを公共の福祉に用いる場合、この考え方についてお尋ねしたいのです。たとえば公共の福祉というようなものに用いられる必要のために、恩給を現在もらっている人々のうちで、特に加算制度の問題があるとするならば、過去において三年の加算を認めて、ようやくにして恩給受給権の発生したような人はやめてもらって、新しい人とのバランスをとるというようなことをどういう形でとったらいいか、これは一つの問題の解決の方法に、つまり加算年を別にして、実在職年をもって新しい時代は恩給法を考えているのですから、古い部分のものはこの際その分を別に考えたいという考え方をもってすれば、私の今言うたような議論が成り立つのですが、この場合にこの三十九条の第二項をどう解釈していったらいいかお尋ねしたいのです。
○野木政府委員 憲法二十九条はいろいろむずかしい規定になっておるわけでありまするが、御指摘の加算年を適用して恩給権を取得しておる者、そういう者の権利を奪って他の者にその金を回そうというような意味で、加算年によって取得した恩給権者の既存恩給を剥脱することが、果してその公共の福祉上の要請ということでできるかどうかという点につきましては、私ども、憲法二十九条の規定はいわゆる金銭債権については適用になる場合が非常にむずかしいのではないだろうか、非常に少いのではないだろうかと存ずる次第であります。普通の動産とか、不動産とかいうものについては、ある程度適用が考えられますが、金銭債権といいますと、公共の福祉に従ってそれを制限しても、逆に一方に補償という問題が生じてきまするから、それをまた金銭で補償するということになると、あまり意味がないじゃないかということになりまして、御指摘のようなものも今の憲法のもとにおいては非常に困難、むしろ通常の場合について言えば、不可能ではないか、そういうように存ずる次第であります。
○受田委員 金銭債権に対する補償をまた金銭でするということになると、これは非常にむずかしいことになると思うのですが、しからばなし得る場合はどういう場合ですか。公共の福祉に合致したように金銭債権を考え得る場合というのはどういう場合があるのですか。
○野木政府委員 金銭債権につきまして、公共の福祉に従ってその内容を変えるというような場合、たとえばその支払い態様を変えるとかいうような場合が、公共の福祉上の要請があるというような場合には多少あり得ると思います。しかしながらそれも結局補償の問題が起ると思いますから、果してどの程度実績が上るということになるか、これは実際問題を考えると、金銭債権については、二十九条二項というものについて考えていく余地は少いのではないかと思います。
○受田委員 今のなし得る場合というのは、たとえば今申し上げたような各般の制度を次の問題と合致させるために、新しい権利のために古い権利をさいて――その人が四十五になって弱年停止が解けたピーク時においては百五十億の予算が要る関係で、加算を認めて恩給を出すということになると大へんだというので、それは公共の福祉のために、現在加算をつけてもらっている人に遠慮してもらおうというような措置がとりたいという場合、これは非常にむずかしいわけですが、できないということですか。何かの方法、たとえばそういう人に対して一時的な打ち切り補償の公債を出すとかいうようなことをやって、これを処理するというような考え方ですね。こういう場合に、たとえば全体の問題でなくて、そういう部分的な問題について、恩給制度の上のごく一部のバランス、均衡を保つための特別措置としてやろうというような場合、可能性がないかどうか。
○野木政府委員 恩給の内部におきまして、恩給に予定している金が、たとえばこれだけしかないというような場合に、一方の既存の権利を削って他方に回すということは、今の憲法上ではむずかしいのではないかと存ずる次第であります。
○受田委員 午前中の質問を終りたいと思うのですけれども、第三項にある私有財産のこういう規定ですね。この正当な補償の規定ですが、恩給受給権というもの、この既存権として持っている権利というものは私有財産と認めることができますか。
○野木政府委員 受給権の発生した後の恩給権は、もちろん私有財産に属すると思います。
○受田委員 そうしますと、今動産とか不動産の場合は簡単に解決する、しかし金銭債権であるから非常にむずかしいのだというお言葉でありますが、それを分離して考えるということが憲法の解釈として正しいかどうか。金銭債権の場合は、正当な補償でやろうとすれば、たとえば公債でこれにかえよう、現金を公債にかえるというようなことは、支払いの態様が違うわけですが、この第三項の規定に合致する場合があり得るのではありませんか。そういう考え方を成立させることができるのではありませんか。
○野木政府委員 もちろん財産権の中には不動産、動産、債権、ことに金銭債権が含まれることはもちろんであります。しかしそれぞれ経理の特質とかによって憲法二十九条の適用の仕方が、おのずから差異と申しましょうか、内在的な制限と申しましょうか、そういうようなものを受ける。またそういうようなことを受けるのは当然だと思います。従いまして二十九条三項によりまして、金銭債権を収用する、そのために補償する、補償として公債をあげるということも理論としては、観念的にはあるいは考えられるかもしれませんが、しかし保障というのは結局通常の場合には、最後には金銭で補償するというのが近代法の原則になるわけでありますから、しかも補償は正当な補償でなければなりませんので、金銭債権についていいますと、どうしても等価値ということになりまするから、公債を発行してやるといっても、その公債の内容が金銭債権と全く等価値というような公債を考えなければなりません。そうなりますと、果して実際上意味があるかどうか、実益があるかどうかということを考えますと、一体どういう実益があるだろうかという点に疑問が持てるわけであります。
○受田委員 時間がないのでこれで質問を終りますが、先ほどちょっとお尋ねしてあなたのおいでを待ったのですが、恩給をもらっている人が高額の所得のある場合、それに対して所得制限があるわけです。その規定があるわけなんです。たとえば百二十万円以上の年所得のある人が別に恩給をもらった場合には、九万五千円をこえた部分に対して三割税金を取られているのですから、そのような取り方ではなまぬるいから、月に十万円も取るような収入のある人は、恩給などは問題にならぬわけですから、全部でももぎ取るような規定を作ってもいいと思うのですけれども、それを割合を多くすることになると、これはやはり既得権侵害ということになるかどうか。
○野木政府委員 御指摘の点につきましては、将来給与需要の発生するものにつきまして、そういう措置をとることは可能なことだと存じますが、すでに給与需要が発生して、具体的に恩給権を取得しておる者について、現在行われています高額所得の制限の率を高める。従ってたとえば恩給権者が恩給権のほかに毎年同じ利子所得があるというような人を考えた場合に、制限を高めますると利子所得は毎年同じでも、恩給の方の手取額が減るというような関係になる場合がありますので、それはやはり憲法上問題になると存じます。
○受田委員 これは大へん大事なところなんです。今俸給と別に莫大な収入があって暮している人が、恩給を別に取っているわけです。恩給だけをたよりにして、それだけを唯一のかてにして生きている人と、別に収入がある人と同じような形に事実上取り扱われているのですから、これをこの際収入の高い方には恩給の部分は御遠慮していただくという措置をわれわれはとるべきじゃないか。その際に憲法上の、いわゆる既得権として認められたこの財産権を、傷つけないようにしてやるということはなかなか容易でないのですが、二項、三項の規定を用いてこれが取り扱われるならば、この場合非常に簡単に、自民党の諸君も共鳴しておられるので処理できるという段階にまできているのです。切実に自民党の内部に意見が盛り上っているのです。憲法上の解釈によってこれが押えられておるということをわれわれは悲しんでいるのですが、一つ憲法の番人としてのあなた方の法的解釈論で、われわれの方に有利な御研究をしていただけませんか。私は午後までに御研究を願うことにして、午前中はこれで終ります。
○福永委員長 中川君に特に関連質疑を許します。簡潔に願います。
○中川委員 法制局が来ておられますからちょっとお尋ねしておきたいのだが、今度の恩給法の改正で、倍率の問題が是正されたことは御承知の通り。たとえば文官の四十割取っておった人が三十五・五割に引き下げられたわけですね。しかし引き下げられたといえども、給与ベースが一万二千円から一万五千円ベースに改訂されたから、取得するところの恩給額には別に支障はない、同じことになるわけですね。従って憲法二十九条の違反にはならないだろうと思うのです。金額が変っていないから……。しかし四十割から三十五・五割に下げられたという倍率の問題だけを考えた場合に、これは不利益になると思うのだが、どうです。べースの問題は別として考えた場合に、法制局はこれに対するどういうお考えを持っておられますか。
○野木政府委員 恩給を論ずる場合には、結局金銭債権としての額を考えていくのが中心になると存じます。その点から考えてみますと、先生も御存じのように別にさほど不利益にはなっていないと思います。しかしながら利益、不利益を論ずるには、何を基準にして論ずるかという点が問題でありまして、ただ率だけを抽象的に取り上げていくと、四〇%が三五・五%になるということは、だれが見てもそこだけを取り上げてみれば、おそらく不利益という言葉も使い得るとは存じますが、しかしそこだけ抽象して議論しても、あまり実益がないのではないかと存ずる次第であります。
○中川委員 そういう解釈も成り立つだろうと思うのです。しかし実際問題として、ベースはアップされたけれども倍率を下げられた、従って恩給金額というものは一銭も上っていない。ベース・アップしたといってもベース・アップされた恩典には一つも浴していないじゃないか、こういうことが言えるわけですね。そういうふうな点から考えたならば、四十割を三十五・五割に下げられたということは、非常な不利益だというふうに解釈できませんか。
○野木政府委員 利益、不利益を論ずるには、先ほど申しましたように、何を基準として考えるかという点でありますが、基準の取り方によっては、いろいろ考え方もあると存じますが、今ここで論ずる上において、一番実益のある問題点といたしましては、実際に得る額だということになると存じます。そういう点から論じますと、必ずしも不利益になるものではない、そう言わざるを得ないと存じます。そして御指摘のような結果になっておりますが、これはやはり一つの立法政策の問題でありまして、そういうような立法政策からそういうことになったわけでありまして、これは必ずしも今言ったように憲法上の問題になるということはありません。ただそういう立法政策が、果してとるべからざるかと言いう点は、まさに先生初め国会の方で論議していただく、そういうことになるのではないかと存ずる次第であります。
○中川委員 何を基準にしてとるかということになると、やはり取得する恩給の金額ということが中心になるだろうと思います。しかし私はそればかりをとるべきではないと思う。倍率というものが厳存しておるのですから、やはり倍率も加味して考えらるべきものだろうと思う。せっかく一万五千円ベースにアップされましても、倍率が従来の四十割でありますならば、五万三千二百円にとどまらないで六万円になるわけなんですから、すべてを包含して考えた場合に、ただ。パーセンテージの点において不利益であるかあるいは不利益でないかということは、今の倍率だけでは、たとえば一〇〇のうち、二〇%だけは不利益だとか、あるいは八〇%は不利益でないとかいうことは論じられると思うが、倍率を下げられたことが一つも不利益でないという議論は成り立たないと思うのです。この点どうですか。多少は不利益であるということを感じないですか。
○野木政府委員 今申し上げたように、何を基準にして利益、不利益を考えるかという点から申しますると、別に今までに比べて、恩給権者が今度の措置によって特に不利益になったということは言えないのではないかと存じます。ただ、倍率を従前通り維持すべきだ、倍率の変更は許されない、従ってべースが上れば当然上るべきだ、そういうふうにお考えになっている人から見ると、おれは当然上るべきだったのに上らなかった、倍率さえ変更なければ上っていたんだ、そういう観点から見るとおれは何だか不利益になったというような感じを抱く人もあるいはあるかもしれませんが、それは法律論から言いますと問題にならないのではないかと存ずる次第であります。
○中川委員 法律論から言って問題になりませんか。私は、実は法律論から言ったら問題になるというふうに解釈しておる。それはむろん今の、何を基準にして利益、不利益を考えるかということが問題だと思います。内容の点においてどちらにウエートを置くかといえば、それはむろん今あなたの言われるように、取得する金額が変らなければということであるから、私はその方面にウエートを置くべきだと思うしかし倍率の面については全然勘案する必要がないということについては私は異議がある。その証拠には、倍率が下げられなかったらおれは六万円もらえるんだ、それが、倍率を下げられたために五万三千二百円になったんだというので、現に不平を述べておられる人もある。これは自分らの不利益からそういう議論を述べる者が生じてくるのだろうと思う。だから法律論から考えたならば、法は不利益に遡及せずという原則にもとるものではないかと思うのです。これ以上立ち入ってなにすることは差し控えますけれども、もう一度伺いたい。
○野木政府委員 先生がしばしばおっしゃるように、純粋冷やかに法律的に考えますと、倍率は金額を算定するプロセスにおける一つの手段である、やはり一番大事なのは最後に出てくる金額であるということになるのでありまするが、感情的には、御指摘のように、自分は倍率が下ったために不利益になったというように感ずる人もあるということは、事実の問題としてはあるいは否定できないとは存じます。しかしながら、あくまでも倍率というのはそれ自体に果して憲法で保障するといったような絶対的の価値があるかどうかと申しますと、私どもの考えているところにおきましては、法律的に冷やかに見ますと、先ほども申しましたように、恩給金額を計算していく上の一つの手段でありますので、利益、不利益を法律的に論ずる上におきましては必ずしもそこに重点を置くべきものではないと存ずる次第であります。
○福永委員長 先般の中川君の発言と関連いたしまして、今松総務長官より発言を求められておりますので、これを許します。今松総務長官。
○今松政府委員 前回の委員会で中川委員から御質問のありました、国会議員は普通恩給受給者についての御質問に対してお答えいたします。
 ただいま申し上げますことは、議員の略歴によって恩給に関係があろうと思われまする方々を調べたものであって、若干調査漏れがあるかもしれませんので、その点は御了承願いたいと存じます。
 普通恩給の裁定を受けておる方は、衆議院議員に六十七名、参議院議員に七十五名ございます。このほか履歴から見ますと恩給を受けておられると思われますが、知事の裁定であるために確認できない方が、衆議院に十三名、参議院に十二名あるかと考えられます。
 この恩給受給者の方々の大体の出身別を御参考に申し上げますと、旧内務省関係が四十九名、農林、商工関係が二十四名、大蔵関係が十七名、外務省関係が十二名、その他各省の関係の方が三十三名、旧軍人の方が七名と存ぜられます。
 それからこの普通恩給の年額を退職時の官職の区分によって見ますと、国務大臣であった方が年額約三十五万九千円ないし四十万円程度でございます。政務次官、参与官、内閣書記官長等の方が約十七万円から三十三万円、事務次官の方が年額約二十万円から二十二万円程度でございます。また各省の外局の長官、こういう方の恩給は十八万円から二十三万円程度でございます。それから局長の恩給は、だいぶ下りまして、大体十四万円程度であります。知事、警視総監の方は大体十五万円から三十万円程度でございまして、私もその一人でありますが、私の恩給は二十万七百四円でございます。それから副知事その他の都道府県の職員の方は、大体十三万円から十八万円程度、大公使が約二十三万円前後でございます。それから各省の参事官、事務官、技官、教官等の方は十二万円から多い方は二十万円程度、旧軍人の方は、よくわかりませんが、大体わかっておるのは十二万円から十八万円程度でございます。それから国鉄その他の公社に勤めておられた方が約三十万円から三十五万円程度、こういう額が恩給本来の年額でございます。総理大臣をしておられます岸総理の恩給は三十七万円程度と思われます。
 若年停止、高額所得者に対する停止、また現に国務大臣、政務次官、内閣及び総理府の長官及び副長官、こういうようなものに就職しております者については、恩給は停止になっておりますが、議員の方は、先ほどからお話のありました高額所得者につきましては大体三割の停止になっております。なお、今回の改正法におきましては、恩給の停止額を最高三割でありましたものを五割にしておるわけでございます。
 大体右で御了承願います。
○福永委員長 ただいまの発言に関連いたしまして、高橋君が質疑をいたしたいということでございますから、特にこれを許します。高橋等君。
○高橋(等)委員 ただいまの今松長官の御発言に関連しまして、一言政府の御見解を承わっておきたいと思います。国会議員の在職者で、恩給の受給をされておる人が相当あるということでございますが、当委員会におきましても、どうもそれは不当なんじゃないか、国会議員が国民の税金を二重取りしておるのじゃないかというのに類した御意見もちらほら承わったのでございます。そこで、もしそうであるとすれば、これは一日もゆるがせにしておくべき問題じゃないので、もちろん恩給というものを停止するのが当然だと思う。しかしながら、もしそうでないとすれば、これは国民に誤解を与え、また国会議員自体の名誉に関する問題であると思うのであります。そこで、政府はその点についてどういう御見解を持っておられるか、この際明らかにしていただきたいと思います。
○今松政府委員 国会議員で、恩給を持っておられて国会に出ていられる方が、先ほど申し上げましたように、相当数がございます。しかしこの恩給権は、多年官吏もしくは公務員であった方々が、その退職に当って国家から与えられたる権利でありますので、これを受けられることは当然であって、国会議員に就任されましても、当然これが停止さるべきものでないことはもちろんでございます。また先ほど申しましたように、高額の所得者がその恩給額のある程度が停止になっておるのは、これは恩給法による結果でありまして、これもまた当然であると考えるのであります。従いまして、間々世間で申されております国会議員が恩給をもらっておる場合には、国会議員になったならば、これを停止すべきではないか、こういう御議論もございますが、これは今の法制上からいえば、私は間違った議論であると思います。ただ将来の問題といたしまして、もしも国会議員が、これは一種の国家公務員でございますから、これと普通の公務員との関係が通算をされるような法律でも出ましたような場合には、国会議員になられた間は恩給を停止して、おやめになったときにこれを通算する、こういうようなことも考えられるのでございますが、現在の法制上といたしましては、今のような国会議員になったがゆえに当然恩給が停止されるということはあり得ない、こういうふうに考えております。
○福永委員長 本会議散会後再開することといたしまして、暫時休憩いたします。
    午後零時四十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時十四分開議
○福永委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。受田新吉君。
○受田委員 法制局がおいでの間にいま一つ財産権の問題をお尋ねしておきたいと思います。
 一たび既得権益を獲得すると、その権利を剥奪することが容易でないということは、憲法の規定でもはっきりしておるわけでございます。従って権利を取得する前に十分検討をして、なるべくあとに厄介なことが残らないようにという配慮が、今回の法律改正にもなされております。しかし一方で一応筋の通った権利の設定ということを抜きにいたしますと、恩給法のようななかなかがんこな法律になりますと、それの民主化ということがはかられないというおそれもあるわけです。従って既得権として将来厄介にならないような形で民主的な規定をどんどん設けていき、これに伴う金銭給付がされるように配慮していくということを、私は是が非でもこの法律の進歩の上から考えていかなければならないと思います。そこでたとえばベース・アップというような金額の改訂をする大事な問題について、法律の上に、次の公務員の給与が改訂された場合には――これは文官の場合に申し上げているわけですが、当然退職した公務員にもこれが及ぶというような規定を掲げることは、これはその法律によって既得権が発生するという意味になるか、あるいはそうした仮定のもとに立つ立法措置というものが法律技術士よろしくないというふうに考えられるか、これをお答え願いたいと思います。
○野木政府委員 問題は、そういう考えを立法の上に実現していく際に、特にどういう規定の仕方をとるかということに一つはかかっておると存じます。一般の公務員の給与のベースが上ればそれに伴って、その規定によって、すでに既得権になっている恩給の方も、額の計算の手続はあるいは必要になるかもしれないと思いますが、上っていくというような立て方の法律にしてしまえば、それは一つの既得権になるのではないかと存ぜられますが、そうではなくて、給与べースが上った場合には一々措置をして、その措置によって初めて権利がふえるというような立て方ならば、既得権的のものにはならないのではなかろうかと存ずる次第であります。
○受田委員 非常にわかりにくい御説明ですが、法律の上に、公務員の給与が改訂されるにスライドして恩給金額も改訂されるというような書き方になると、既得権ということになるということでございますか。
○野木政府委員 それによって当然、何の措置も要することなく、ただ確認行為的なものは必要かもしれませんが、当然上ってしまうということになると、既得権的のものになるのではないかと一応考えられます。
○受田委員 そういうことを法律に規定すること、すなわち、まだ将来上るか上らぬかわからぬわけですが、給与が改訂される場合には当然これに伴って恩給金額も改訂されるということを書くこと自身が、法律技術上において問題になることはありませんか。
○野木政府委員 恩給権をすでに得ておる人は、長年の間に権利が徐々に発生してきていますから、非常に千差万別でありまして、果して抽象的なそういう規定によってうまく技術的にずっと計算できるかどうか、そういう点は、実際担当している恩給局の方に意見を聞いていただいた方が正確になると存じますが、どうも技術的に非常に困難な点があるのではないか、そういう点はまずまっ先に考えられる次第であります。
○八巻政府委員 そういうような方式が技術的に可能かどうかというお尋ねですが、一がいにべース・アップといいましても、一万円のものが一万二千円になる、一万五千円になるというふうに、一つの俸給が必ず一対一の態様で切りかわっていくということが明白な場合はよろしゅうございますが、俸給の体系が非常に入り組んで変ってきた場合も総称してべース・アップというようなこともございましょう。従って給与体系の変り方において、ベース・アップというものはいろいろな態様をとるものでございまして、その場合には必ずしも技術的にうまくいくとは限らない。非常に単純化された場合には、あるいは技術的にそういうことが可能であるとも考えられますけれども、あらゆる場合に当てはめて考えて、技術的にそう簡単にいくかどうかということは、ちょっとただいまのところ疑問に思っております。
○受田委員 もう一つ既得権の問題でお尋ねしたいのですが、恩給納金の制度があるわけですね。この恩給納金の制度で、現在の公務員の中では防衛庁の職員のうちの自衛官は恩給納金をしなくても済むことになっておる。この恩給納金をしなくても済む自衛官に対して、新しく恩給納金を作るという場合には、今まで納金をしなくても済んだ者から納金を取っていくということになると、恩給金額を改めるかどうかしないと既得権の侵害になるかどうか。
○野木政府委員 自衛官につきましてはまだ恩給権の給与事由が発生しないので、一つの権利というように、むしろ将来一定の条件ができたならばそういう権利は生ずるかもしれない、一つの地位と申しましょうか、そういうようなものでありますから、現在の自衛官について恩給納金制度がないのを新しく作るということは、直ちに財産権侵害とかなんとかいう問題に抵触するかどうか、それはむしろ立法政策の問題になる、そういうふうに存ずる次第であります。
○受田委員 立法政策ということになりますとどういうことになりますか。今あなたが御指摘になったように、自衛官の中にまだ恩給をもらっておる人がいる、いないということでなくて、現に自衛官をやめれば前にやっておった期間を通算して恩給をもらう人もできてきておるわけですから、そういう意味から言ったならば、将来の問題でなくて、現実に恩給を受ける対象になる人々であります。それに新しく納金を納める制度を作ることが財産権侵害になるかならぬかということなんです。
○野木政府委員 あるいは質問を正確に受け取らないで答弁したかと存じますが、御質問の要旨は、自衛官ですでに退職して給与事由が発生して現に恩給をもらっている、しかしながら在任中は別に恩給納金をしていなかった、そういう自衛官から今後さかのぼって恩給納金を取る、そういう御趣旨でありますとすれば、これは非常に問題だと存ずる次第であります。
○受田委員 これは今すぐやめたら恩給受給権が発生する人ですね。そういう人が前にさかのぼってでなくて、これからの勤務期間中における恩給納金を新たに法律できめられる場合を一つお尋ねしてみたいと思います。
○野木政府委員 現に在職中で今すぐやめれば恩給をもらえる、しかしまだやめないでおる、そういう者について将来恩給納金をさせるのはどうかという点につきましては、まだやめていませんから恩給権というものは具体的に発生しておりません。従いまして立法の当不当という点には相当問題があると思いますが、憲法論的には私のただいまの考えではおそらく可能ではなかろうかと存ずる次第であります。
○受田委員 いま一つ、若年停止で恩給を今一部停止されているという人が、さらに若年停止の引き上げをされて、恩給を受けるに至る期間が延長されたという場合、現在の形でいくならば当然四十五才で恩給になる者が今度法律改正でたとえば五十才までに延長されたという場合に、その四十五才までにはなれば全額もらえるという一つの期待というべきものだと思うのですが、それが侵害することができますか。
○野木政府委員 若年停止によって停止せられている恩給は単なる期待権とは違いまして、すでに具体的に権利が発生しておって、何才までそれが停止されているというだけのことであって権利としてはすでに発生しておるのでありますから、その四十五才までというのを五十才に延ばすという点はやはり憲法上問題があるのではないかと存ずる次第でございます。
○受田委員 四十五才まででまだ期間もある、現在は受けていない、しかし四十五才になったらもらえるというのは、もうすでに権利が取得せられているのだという見方ですね。期待権でなくて、取得した権利だ……。
○野木政府委員 さようでございます。
○受田委員 そうしますと、若年停止をだんだん引き上げて五十五才から六十才あるいは六十五才と延長することによってすでにそれよりも低いところで若年停止を約束されている人々は、その法律改正では既得した権利というようにみなされるものは絶対に侵害されない、かように了解してよろしゅうございますね。
○野木政府委員 現在の恩給法のもとにおいて既得権になって、しかも若年停止で何才までは停止されているという者につきましては、今後の恩給法の改正によって四十五才を五十才にする、五十才を何才に引き上げていくということはやはり工合が悪いと思います。ただ今後恩給権を発生する者についてそういう措置をとることはもちろん可能だと存じます。
○受田委員 そうしますと、たとえば四十五才で若年停止の一部を解除された、現行法によると四十五才で半額になる、五十才から三割引です、こういうことになっているが、それが五十才から半額、五十五才から三割引というような形に法律を改正する場合、すなわちその若年停止によって停止される率が変更される場合も既得権侵害ということになりますか。
○野木政府委員 今の恩給法の建前で申しますと、若年停止というものは権利はすでに発生しておって、何才までは幾ら何才以上は幾ら、そういうような権利がすでに発生しておりますから、その権利を不利益に変更するということはやはり問題になるのではなかろうかと思います。
○受田委員 今度改正された六十五才という暫定措置のこの年令は、大体二年間この年令が制限されるわけでございますが、大体六十才というものが、養老年金の世界各国の共通の平均点に当っておると思います。それを六十五才という年令をつけたことは、これはもともと六十才として法律案を提出すべきところを、財政上の理由で六十五才というような形にしたという場合に、その六十五才を二年後に六十才に引き下げるというときに、その二年分の六十五才で規定された恩給受給権というものは、これを二年前にさかのぼって六十才でこれを支給するように改めようとする場合に、法律的にこれが過去にさかのぼって年令制限を撤廃するということが可能であるかどうか、これをちょっとお伺いいたします。
○八巻政府委員 今回の増額措置は六十五才といたしたわけでありまして、六十五才以上の老齢者には初年度からやる、それから六十才以上六十五才未満の方には、これをしばらく二年ばかり遠慮していただいて、三十五年の七月から増額する、こういうことにしてあるわけですが、今のお尋ねはおそらく、二年たって財政事情が許せば、その増額措置というものは、当然六十才にして、現在ことし六十才である分についてはさかのぼって増額部分を支給したらどうかあるいは支給することができるかという問題だと思うのですが、これは権利を与えることでございまして、剥奪するということではございませんから、そのときにおける財政なり諸般の事情が、よろしい、そういうことがいいのだということになれば、これは許せると思うのであります。
○受田委員 そうなれば、財政上の理由で権利の設定が自由に調節される、こういうことになっておると思うのです。従って現在は三百億の予算の配分をどうするかというところに、政府は非常に苦労されたと思う。恩給亡国論に対する批判にも、適当にこれをそらしていかなければならないし、それかといって、公務扶助料の倍率を願わくば遺族の要望される四〇割に近いものにしたいというような御配慮もあったと思います。従ってこの恩給法の考えておるところの退職時の俸給、それから在職年、こういうようなものを財政上の理由によって自由に調整するという融通性が、今度の法律案の中にはっきり拝見できるのです。そういうことになりますと、一ぺん権利を設けておくとあとから融通がつかなくなるので、なるべくそこをあとから言いのがれができるようにというので、非常に幅広く措置をされるということが、今回の改正の一つの目途であったと了解してよろしゅうございますか。
○八巻政府委員 今回の措置が、つまり既得権を設定しないということを頭に入れながら、できるだけレベルを詰めておけば、将来上、現在上げておくと、これはもう将来の権利というものを永久に約束してしまうことになりますし、またそれを落すことができない、従ってそれをセーブしておいたのじゃないかという御質問だと思うのです。逆に見ますと、セーブしておけば、これはだんだんはね返ってふくらむ可能性を持つものだろう、こういう御質問だろうと思うのです。この点は先ほど総務長官からもお答え申し上げましたように、べース・アップの問題にいたしましても、恩給の本質的な問題といたしましては、退職時の俸給主義でいっておりまして、それが物価水準に見合わないというような場合に、それをある程度手直ししていくということが、恩給の本質にかなうものであるという意味からいたしまして、諸般の事情が許せば、できるだけそうしたところは全般的に考慮していくのが当然でございますけれども、先ほど来申し上げましたように財政事情その他社会政策的な考慮を加えまして、現在こうなっておるので受田先生の御指摘のように、将来ふくらませるという意図のもとに現在抑えたのだというふうには、端的には考えておらないのであります。
○受田委員 調査会の答申をもとにしてこの案を作られたか、あるいは社会保障制度審議会の意見というものを参考にしてこの案を作られたか、根本にさかのぼる問題でございますが、政府の御所見を伺いたいと思います。
○八巻政府委員 基本的な考え方は、これは臨時恩給等調査会の考え方に変りないと思います。ただ現実の適用の仕方、それを実現していく措置といたしましては、各般の状況をにらみ合せて、そうして今までのような全面的なベース・アップというようなことはとらなかった、こういうことでございます。
○受田委員 答申の骨子は、べース・アップの方についてはこれは一応肯定しておるわけです。ただ若年停止年令の引き上げというようなことが考慮さるべきであるということであったのでございますが、六十五才というところまで引き上げようというような意味にはなっていなかったと思うのです。いかがでございますか。
○八巻政府委員 若年停止という問題と、今御指摘の六十五才、これはおそらく受田先生ですから混同されておらないと思いますが、今回の措置において、プラス・アルファと申しましょうか、増額される分について、六十五才以上の方について初年度からこれを増額する、その増額分だけについての措置でございまして、年令制限措置は、全体の恩給年額そのものに対しての若年停止の強化ではございませんから、その点はもちろん混同されておらないと思いますけれども、そういう意味で厳密な制度としての意味における若年停止ではございません。すなわち、増額分に対する措置として、六十五才以上の方については初年度から、六十才以上六十五才未満の方については昭和三十五年七月から、こういうふうに規定したわけでございます。
○受田委員 それもこの増額分に対して年令制限を加えるということは、これは恩給金額の本質的若年停止と相匹敵する部分があるわけです。それは新たに設定される権利の分を年令制限をするのですから……。従ってその新たに設定される部分が、若年停止が一部解除される人々にとっては、六十五才まではもう全部その期間中においては増額分については停止されるのですが、これは明らかに年令的な制限規定である。若年停止の性格と相通うもの「があるわけです。従ってこれは若年停止年令の引き上げとか、その他の増額部分に対する分についても、参考にした答申の内容だと思うのでございますが、それを六十五才という年令に考えられたということは、これは破格の御考慮であった、こう思うのです。答申の精神からいっても、六十五才というような年令は、たとい増加部分にせよ出てこなかったと私は思うのです。少くとも六十才という年令がぎりぎりであったと思うのですが、いかがでしょう。
○八巻政府委員 御指摘の通り、ベース・アップによりますところの増額措置は、昭和三十五年七月から原則として未亡人、遺児、傷病者その他につきましては六十才以上の方について増額する、こういう措置をきめたわけです。それに対する特例的な措置として、一歩前進して初年度から増額分をさしあたり支給するのは、そのうちでも六十五才以上の高齢者に対して二年だけ早くそれを実施する、こういうことだけでございます。
○受田委員 この際文官と武官を分離してベース・アップを考慮するという道はなかったでしょうか。
○八巻政府委員 現在の恩給法の上での扱いといたしましては、文武官とも国家の使用人として、長年勤務したその永年勤続に対する退職後の給与という考え方で、変っておりません。そういうような意味におきまして特に今回の増額におきましても、普通恩給、普通扶助料というものにつきまして、軍人と文官というものを格別に差別をつける、こういうことをやらなかったわけでございます。
○受田委員 軍人の場合は二十一年に一度権利が消滅しているのです。だから昔からあるということでございましたが、これはすでに七年間というものは権利がなくなっているのです。だから文武官を同じに見るというのは、その点からも問題があるのじゃないか。
○八巻政府委員 その点は現在の軍人に関する恩給制度というものが昭和二十八年の法律百五十五号で分轄いたしました場合に、この恩給制度のレールの上に乗せて問題を解決することが、これら旧軍人に対する処遇上最も必要であるという考え方から、法律百五十五号が再出発したわけでございますが、そういたしますと軍人と文官というものの扱いを特に区別して考えると三いうことはなかなかむずかしい問題だろう、こう思っております。
○受田委員 新しく総理府が考えておられる国家公務員退職年金法案の中には、旧文官を新しいこの年金法の中へ吸収する道があるとお考えでありましょうか。
○八巻政府委員 新しい退職年金制度、すなわち現在在職しておる公務員が退職した場合の退職給与制度というもののレールの上に、文官の恩給制度を乗せるか乗せないかという問題でございますが、もうすでに退職して、恩給法上給与事由の発生したものについては、その権利は旧恩給法で守られているわけです。従いまして旧恩給法上一ぺん退職いたしまして、またさらに新退職年金制度の上における公務員に再就職しているような場合においては、いろいろな問題はあると思います。そういうような意味で、溶け込むと申しますれば溶け込むのでございましょうし、またすでに発生した権利につきましては、恩給法がなお従前の例によるというような形で生きている、こうも申せましょうただその形は一つの法律的な技術の問題にもかかわってくると思っております。
○受田委員 法律の技術によって恩給の適用を受ける、すでに退職した公務員を新しい年金制度の法律の上に乗せることが可能でありますかどうかをお尋ねしておるわけです。可能でないことはないのです。
○八巻政府委員 新退職年金制度の上に乗せると申します場合に、どういう意味なのかいろいろ分析して考えないとわからないのですが……。
○受田委員 おわかりにならぬというのではどうも御答弁できないからちょっと説明します。ただいま経過措置として進行中の恩給受給権を期待している人々の問題は、経過措置でできる。それからすでに恩給法上で文官の恩給を受けている人を、既得権者として、その金額をそのままにして、新しい国家公務員退職年金法のワク内にこれを入れるわけです。そういうことができる可能性があるかどうか。
○野木政府委員 憲法上の問題といたしまして、既得権を害しないという原則が守られれば、その憲法上の要請は一応満たされます。あとは立法政策の問題でありまして、技術的にいってどういうような手当をしたらそうなるか、これは非常に具体的にいろいろの場合を考えてみなければならないのであります。またそれが可能にしても、果してそれが妥当であるかどうかという問題かいろいろありまして、実は私まだ当面そっちの責任者でありませんので、具体的にまだその問題を突っ込んで考えたことはありませんから、きょうは的確な答弁をちょっといたしかねますが、技術的に全然不可能かどうかというと、あるいは今言った既得権を害しないという点が保障されれば、可能であるという結論が出ますが、ただ果してそこまでする必要があるかどうか、妥当かどうかというようなそういうような立法政策上の問題はいろいろありましょう。また技術的の問題もなおいろいろ検討してみなければならぬと思います。
○受田委員 従来でありましても、文官と武官の恩給法は別々の二本建できておったのを一本にした問題もあるわけです。そういうふうに、歴史的に見ても、その性格を異にするものを一木にまとめる配慮がされている。今度の場合、この恩給システムと保険システムで、相違点はありましても、しかし既得権利をそのままの形で新しい制度に吸収するないうことは、これは公務員の体系を一本にする上において大事なことじゃないかと思う。古い公務員は恩給法で、ちょうど古色蒼然たる牙城に閉じこもり、新しい人は新鮮な感覚で新しい制度の中に入れられる。しかし古い籠城しておった人も、また新しい制度の中にちょっとでも足を踏み込めば新しい制度でいかされる、こういうことになるよりは、もうはっきりと、古い新しいの区別なく、公務員というものは、いわゆる文官としての筋の通った人々に対しては、一本の法律の中へまとめて、御隠居さんではあっても、新しい制度でこれを守ってやろうという形のものに持っていけば、退職年金体制としてはこれは筋が通っていくと私は思うのです。それが法律上の技術的な問題として非常に困難であるというなら別です。ただ世論その他を考えたときに、旧文官が依然として恩給の制約の中で呻吟するというよりも、新鮮な家屋の中に入って、新しい公務員と、先輩後輩の別はあろうとも、溶け込むという形のものが好ましいのではないですかね。
○今松政府委員 今恩給権の発生している文官の方々を、将来考えられるべき退職年金法との間に溶け込ますべきではないかという御意見は、非常に傾聴すべき御意見と思いますが、まだそこまでわれわれの方の検討が進んでおりませんので、十分一つ検討してみていきたいと思います。
○受田委員 そこでお話を進めて、それに関連して大蔵省の御意見を伺いたいことがあるのですが、大蔵省が考えておられる共済組合方式というものはどういう利点を持っておると思われるか。総理府が考えておられる国家公務員退職年金制度と大蔵省の考える共済組合方式とおのおの長所、短所がある。その利害得失を一つこれから検討してみたいと思う。大蔵省側の見解である共済組合方式の長所として指摘せられるものはどこであるかをお示し願いたいと思います。
○岸本政府委員 今回国会に御提案申し上げております共済組合法案でございますが、これは経営主体が国でなくて特殊法人である共済組合であるという点で、恩給と相相違するわけでございます。どちらがすぐれておるかどうかという問題でございますが、便利、不利というようなことを離れまして、理論的に、共済組合がいいのか、国がいいのか、こういうものの考え方があろうと思います。これは結局年金の性格によるのだろうと私どもまず第一に考えるわけであります。たとえば現在の恩給のように、国の給与という色彩の強い年金の場合には、給与主体が国になる、これは当然考えられることであります。ところが共済組合の年金になりますと、これは国の給与という考えではないわけでありまして、使用者である国と被使用者である公務員とがお互いに費用を折半負担する、そしてその金を積み立てて年金を支給する。いわば費用折半負担保険方式でありますから、国から給与するという意味の年金ではない。そういう年金の根本的性格から言いまして、それは国が運営の主体になる必要があるかというと、必ずしも私はそうは考えません。むしろ沿革的に見まして、こうした折半負担の年金方式は、わが国は共済組合が主体となってやってきております。その意味で共済組合をそのまま存続させていった方がむしろすなおである、かように考えておるわけであります。これは根本的な考えでございますが、あと長くなりましてよろしゅうございましたら……。
 もう一つは、国の年金制度とするという場合、つまり国がするという場合の退職年金は、おそらく折半負担でなく国の給与負担であるという御前提があろうかと思っておりますが、そうでなく折半負担であるというふうにいたしました場合、これは公務員制度の一環にはならぬじゃないか、国の人事制度に役立たぬじゃないか、こういう御疑念もあるわけでありますが、しかし私ども必ずしもそうも考えておりませんで、国が従来のように給与する年金でなければ公務員が喜んでもらってくれない、従って働かないとまでは極言できないと思うわけでございます。共済組合の年金制度にいたしましても、やはり公務員によく働いてもらう、公務の能率的運営に資する、こういう目的に向って発達して参っております。国が雇用主として適正な保護監督を加え、内容も絶えず改善をはかることをやって参りますれば、これはやはり人事制度の有力機関である点は間違いないわけでございます。共済組合にほうり出しておって、公務員は勝手にやれ、国は知らぬのだ、こういうものではもちろんないと思うのであります。そういう意味から申しましても、私どもも必ずしも、国の折半負担の年金である場合には、共済組合の年金を国の年金制度にまでする必要はない、かように考えております。
 さらに第三点といたしまして、折半負担の年金はそれはそれでよろしい、しかしそれでも国営にしたらいいじゃないか、こういう御議論も中にはあるのであります。その場合に、どうして国営にしなければいかぬかということを申しますと、いろいろ論点が考えられますが、一つには年金制度を保護監督を十分にやっていこう、国が自分の手で運営していく年金制度ならそう運営も乱れないで全うにいくじゃないか、こういう考え方もあります。もう一つは、年金の積立金を特別会計で保管いたしまして、その資金を確実に運営しようという点が第二番の考え方であると思います。第三点は、非常に政策的な問題になりますが、保険年金になって非常に巨額に達して参ります積立金、これを国の政策目的に運用していくことができる。ちょうど厚生年金特別会計の資金が、すべての資金運用部の預託に運用されておると同じ意味合いにおいて、公務員のものも政策目的に使うことができる、こういう考えもありまして、こうした三点がおそらく折半負担の年金であってもなおかつ国営にしなさいという議論だと思います。
 しかしその場合にも、最初に申しました年金制度の保護監督を十分に行う、あるいは年金積立金特別会計で確実に運営する。この二点は国が握っていったからといって、必ずしもそうなるかということも言えないわけであります。この点は共済組合の方式、特殊法人にいたさせましても、国が法律で厳重なワクを定めまして適正な監督を加えていけば目的は達せられるわけであります。むしろ問題は積立金を政策目的に使ったらどうかという問題の方にいくかと思いますが、これもやはり積立金の規制方法を政令か何かで用途を規制すればいいわけであります。現在の共済組合の積立金はすべて大蔵省令でありますが、それで使途は規制いたしております。そういう意味で保護監督とか、確実に資金を運用するとか、そういう問題につきましては、ひっきょう程度の差と申しますか、要するにやり方の問題であります。国に持っていったらそうなるかといえば必ずしもそうはいかない。それは過去のいろいろな特別会計の実情なんかを御承知だと思いますが、そういう問題があるわけであります。
 さらに第四番目に、それでは積極的にそうした折半負担の年金制度にした場合に、これを特別会計にしたらむしろもっと困る問題が起ることがあるわけであります。と申しますのは、積立金の運用問題でありますが、積立金を特別会計に入れますと、国庫金という一つの色がつくわけであります。国のお金ということになるわけであります。そうなりますと国庫金の福祉事業に還元という問題が非常にむずかしくなってくる。病院建設というような一般公衆にも役立つようなものへの福祉還元でありましたら、世間的にも成り立つことであります。しかし国庫金をさらに組合員の個々の生活需要に応ずる貸付金に使うとか、あるいは生活必需品の売買資金に回すとか、こういうことになりますと、おそらく国庫金の性格を相当はみ出てきます。そんならほかの国庫金もいろいろ使わせてくれという議論に発展して参ります。そういう意味で積立金を国庫金にするという問題は、特別会計で福祉事業をとめる――現在福祉事業をとめることは、公務員の生活にとってこれはなかなか大へんな問題であります。そういう意味におきまして、年金というものを折半負担の退職年金にいたしました場合には、国よりはむしろ共済組合という方が理屈も通り便宜でもある。私どもはかように考えるわけであります。もちろん将来公務員の退職年金はなお御検討に相なるわけでありますが、それがかりに給与部門の多い――名前は恩給とは言いません。退職年金といたしましても、給与部門の多い年金制度ということになりますと、国がやはり持っていく、これは当然のことであろうと思います。この辺は新しくできる退職年金の性格を一体どこに置くかという点によって、根本的に考え方が違ってくるものだと思います。
○受田委員 一応共済組合方式の性格を御説明いただいたのでありますけれども、ここで一つ問題になるのは、今国の管理のもとに置く場合と組合の管理のもとに置く場合といずれかという場合に、国の運営の場合においては、特にその積立金が何らかの形で国庫金という形のものでなければならぬが、そうなると使い方が非常に窮屈になる。組合管掌方式でやるならば組合員の生活そのものにこれを持ち込んでも問題にならぬという、つまり積立金の運営の面で非常に融通がつくというお話があったわけであります。そうですね。――これで一つお尋ねしてみたいのですけれども、今積立金の運営は常に大蔵省が省令をもってこれを管理しておる、監督しておる。従ってそれから逸脱する心配はないというお言葉があったわけであります。しかし大蔵省令ということになると、大蔵省が独自な見解をもって規則を定めることになりまして、国全体の問題としての論議の対象外に置かれるおそれがあると思います。もちろん組合員が参加して運営をするわけでございますので、組合員の自主性、民主性というようなものを尊重する点においては、非常に融通がついていいかと思うのでありますけれども、先回の委員会でお尋ねしたように、国全体の問題として考えるときに、とかく牙城に立てこもる、狭い社会にこれがとらわれるおそれはないか。またその経理面などにおいても、いわゆる年金保険というものの性格からいって、あまり規模が小さいところでは、そこで非常に行き詰まりを来たしやすいという採算上の問題なども起ってくると思うのですが、そういう場合に、大きな組織といえば連合会ですが、今各省の間にまたがっているこの連合会のようなものを、もっと規模を固めて運営させるとかいうような方法をとらぬと、そうした運営面における赤字を作り出す心配がないかというふうな問題があると思うのです。そういうふうなものの解決のめどがついておりましょうか。
○岸本政府委員 今回の共済組合法案によります積立金の管理形式が的確にいくかどうかのお尋ねだと思いますが、一つには、今度のは五現業と一般非現業の雇用人、これだけで共済組合システムを行うわけでありますが、その分の積立金は本来の法律の上からはすべて原則として連合会に持っていくという組織になっております。ただ造幣、印刷、アルコール、郵政というような、過去において積立金の独立運用を行なっておりましたところは、さし当り現状を尊重して参らざるを得ない、かように考えております。法の建前としては、将来連合会に一括加入して危険分散をはかる、こういう考え方をしております。
 第二段に、それではこの単独共済組合の連合会に集まった資金の運用はどういうようなことを考えておるかということでございますが、この組合の積立金余裕金の運用は、まず政令で基本的な原則をきめるというのが、今度の共済組合法案にもはっきり明記してございます。ただいままでのような大蔵省令で単独にきめませず、政令で定めるということにいたしております。またその政令を定めます場合には、新設の国家公務員共済組合審査会という三者構成の機関も考えておりますが、そういう方面からの種々の御意見も拝聴した上で政令をきめていくということに相なろうかと思います。さらにその組合資金の運用割合、その下の実行段階の問題につきまして、たとえばそこの会計事務を扱う者の責任をどうするかとか、あるいは出納事務をどうするかとか、こうしたこまかい問題になりますと、その政令より下の大蔵省令できめて参りたい、かように考えております。
 なお、非常に積立金の運用が乱に流れるのではないかという御心配もございましたが、今度の法案では従前と異なりまして、組合あるいは連合会の事務を扱っております職員、これの監督を強化いたしまして、大体公務員に近いような性質を持つ職員である、またその規律違反、職務上の義務違反につきましては、罰則規定を作るとかいうふうにいたしまして、その資金運用の面で乱に流れないような措置は十分考慮いたしております。
○受田委員 積立金の運営というものが一番妙味のあるところなので、これは組合員にしても、自分が出した金の行方をはっきりつかみたい、それがまた自分らの方へ返ってくることを希望するわけです。政府もまたそれに対して積み立ててあげているわけなのでして、この組合員と政府の両方から積み立てたものが福利厚生の方へ返ってくるというところに一応妙味があると思いますけれども、これらの積立金の運用その他について、実際に大蔵省として、今まで共済組合がやってきた経理の内容というようなものについて、それぞれの利原別の中身をわれわれ伺いたいと思うわけですが、そうした利原別の中身を拝見する方法がありますか。
○岸本政府委員 積立金の運用状況につきましては、先般受田委員からも御注文がございまして、一度資料をお手元にお届けいたしましたあれにございますが、共済組合年報というものが毎年出ております。毎月出ております事業月報をまた年報がまとめて一回出しておりますが、その中にこまかく出してございます。
○受田委員 あの中で利原則のものを拝見しようとするとなかなかむずかしいと思ったのでますが、それをちょっと説明願いたいのです。
○岸本政府委員 恐縮ですが、利原別と申しますと……。
○受田委員 それぞれの利益の原因別です。
○岸本政府委員 つまり積立金がありますと、そのうち貸付金がどうとか、有価証券がどうとか、そういう問題でございますか。
○受田委員 そうです。
○岸本政府委員 現在連合会を組織いたしております非現業の共済組合については、三十二年十月末の総資産が九十二億でございます。そのうち福祉事業に運用されておりますのは、五〇%の四十七億であります。その四十七億の内訳を申し上げますと、病院、診療所に対する投下資本が十八億、保養所、宿泊所等、アフター・ケアの施設がございますが、これに対して約七億でございます。それから組合員の緊急の生活の必要に応ずるための貸付をいろいろやっておりますが、それが二十億であります。あとこまかいところでは住宅建設に四千万出ております。合せまして約四十七億程度が福祉事業に還元されております。なお単独の組合が最大のものは郵政省でございますが、郵政省の組合の資産総額は百三十五億でございます。そのうち福祉事業に参っておりますのは三十六億でございます。三十六億のうち組合員貸付が二十八億であります。あと生活必需物資の売買事業を八億ほどやっております。こまかくなりますが、郵政省ででは病院、診療所、保養所、宿泊所に対する福祉還元はいたしておりません。これは国の費用でもって病院、診療所等、アフター・ケアの施設を全部建てておりまして、共済組合としてはほとんどこの方面に対して金は使っていないのであります。
○受田委員 そうするとこの金の使い方の中身ですが、これは何か資料としていただけますか。
○岸本政府委員 さっそく調整いたしまして御配付いたしますが、ただいま程度の分け方でよろしゅうございますか。
○受田委員 私たちの方でこの理解がいきやすいように、各共済組合別のものをお願いしておきます。なお私はもう一つ、ここで岸本さんが今言われた中に、国庫金となるとこれを福祉還元することが非常にむずかしいというお言葉があったのですが、これは福祉還元の方途を別途に講ずることが、財政上の措置としてどういうところで困難だということになるのですか、具体的に御説明願いたいのです。
○岸本政府委員 国庫金となると、やはり国庫の金の使い方というものは、全般の公共福祉あるいは国の全般の政策のために使うというのが本来の性格でございます。それを国が使用している公務員の特別な福祉に充てるということは、性格上むずかしいだろうという考えでございます。もちろん基本的な給与でございますとかいう面、これはやむを得ない別途の問題でございますが、そのうちから積み立てられた金をさらに本人に割り戻す、貸し戻すというシステムは、ちょっとむずかしいと考えております。
○受田委員 ただいま恩給納金制度があるわけですが、それで納められた恩給納金額というものが、本年度も七十数億あるわけです。こういう金を、今度これを納めた公務員に還元する方法を財政上の措置としてとる道がないとは私は言えないと思うのですが、それを何かの目的に使わせるような財政上の措置を、法律的かあるいは行政的にか取り得る論点というものを、政府側ではよう発見し得ないと思いますか。
○岸本政府委員 国庫納金を何か積み立てて福祉還元に使ってはというお話でありますが、これは私ども申し上げるまでもなく、もともと恩給制度は、一つの国の給与制度だということから出発しております。国庫納金は保険料という意味でなく、単に恩給をいただくから、それに見返りしてある程度一般会計の歳入に貢献してほしい、この程度で、今徴収されておるわけでございます。従いまして、それを積み立てるということが、恩給の性格からいたしまして、いかがか。恩給の性格が根本的に変りませんと、そこまで理論的にはなかなか踏み切れぬ問題だ、かように考えております。
○受田委員 理論的に、積立金のあり方についての解釈は困難かと思います。しかし、これから新しい制度を作ろうという場合に、国の責任において納付金をなさしめ、またその納付金を福利厚生施設にも用いるという考え方、この考え方を新しい角度から検討してみる必要がないか。これは総理府の方に今度伺いたいのでございますが、今松長官としまして、そうした積立金の運営という問題、これを単に、組合員自身の積み立てたものを組合のところへ戻すという、つまり国庫金の形をとらないで、そういう形に持っていくのがいいか、あるいは国家がこれを管掌していく形をとったらいいかということについて、あなたの方では国家管掌の形式を主張してこられたのでありますが、その積立金の運営面における国の立場というものを、どういう姿にしたらいいとお考えでございましょうか。
○今松政府委員 常連公務員の退職年金の問題を、私どもが検討しておりますような、国家責任において特別会計を作ってやっていくか、また大蔵省が五現業に今度適用されようとする共済方式でいくか、こういう問題は、双方で今せっかく検討を続けておる最中であります。従いまして、まだ的確なる成案をここで申し上げる時期に達しておりませんが、特別会計において、国家責任において退職金制度をやる、こういう場合に、その特別会計の法律を作る方法によりましては、今までの考え方からいたしますと、今大蔵省側の答弁にあったようなことも考えられますが、私は特別会計の法律が、立て方によっては、これを福祉方面に還元するような仕組みにすることも可能じゃないか、こういうように考えておる次第であります。
○受田委員 総理府として考えておられる、今度の特別会計による運営の方式でございますが、これは三・三%を積み立てさせる形をとっておる。それから大蔵省の案によりますと、これは四・五%を用意しておられる。組合員そのもの、公務員そのものの金額にそれだけの差があるわけでございますが、この負担部分に対して、大蔵省といたしまして、総理府が考えている三・三%というものでやる場合には、組合員の福祉厚生方面に回す面が、自己負担が少くて国の負担部分が多いという点では、かえって有利じゃないかという考え方も成立すると思うのですが、組合員自身の負担の比率の高い大蔵省案と、その負担の低い総理府案と、この比較論で御答弁を願いたいと思います。これはちょっと外形的に見た見方ですが、さらにそれを、中身を割った比較をしていただきたいと思います。
○岸本政府委員 恩給局案、総理府案という、具体的にどれをおさしになっておるか存じませんが、先般新聞に発表されました案でございますか――あの案は正式の恩給局の意見かどうか、私どもまだ承知いたしておりませんが、かりにあの案を拝見いたしますと、国庫負担がわれわれの案よりか高い、つまり給与的な年金であるという性格上の差違がありますが、恩給が退職年金と名前が変ったというだけのものでございます。国庫負担は現行制度とほとんど変りがない――若干ふえておりますが、その場合に、それが福祉還元にどう響くかと申しますと、掛金からできている債立金が非常に少いわけでございますから、それだけ――こういう結論めいたことを申し上げるのは何でございますが、おそらく国が給与として余分に出して、いる分を福祉還元に持っていくことができるかどうか、これが非常にむずかしい。同時に、特別会計自体におきましても、先ほど申し上げましたような点がございます。それらを加えて、給与的な年金ということになりますと、国庫金をそうした方面に――組合の個人貸付とか生活必需物資の売買に向けるというようなことが、給与的な国庫負担金でできるのかどうか、これはやはり理屈としては一そうむずかしい感じがいたさぬでもないのであります。
○受田委員 この貯金の貸付とかその他の厚生施設というような問題は、これは人事院勧告による退職年金法案では、共済組合方式によるものよりは非常に制約を受ける形になると思うのですけれども、こういう人事院勧告のものを政府がのむ場合に、今大蔵省の岸本さんの言われたような福利厚生施設を考えていくという形においては、何か別ワクのものを考えていかなければならないんじゃないですかね。人事院勧告を採用する場合の福利厚生施設のあり方を、一つ総理府の方でお示し願いたいと思います。
○八巻政府委員 先ほど御指摘になりました恩給局案とか、いろいろそういう中間案がございましたが、今せっかく公務員制度調査室の方で、総理府自体の案といたしましては練っておるわけであります。その中間におきまして、われわれもいろいろと意見を出してございます。また公務員制度調査室におきましては、人事院からも意見を聞いております。この人事院勧告で出されておりますところによりますと、大体給付に要する費用の二五%は、公務員の側の掛金でまかなう、あとの七五%は国庫負担金をもってまかなうというのが、人事院勧告の趣旨でありまして、その公務員の掛金分につきましては、別途特別会計を設けて、それに積み立てをする。そうしてそれを運用する場合においては、公務員の福祉に還元するという考え方をとっておるようでございます。総理府が立案いたそうとするものも、大体人事院勧告の線を中心にしてものを考えておりますから、この二五%、七五%というふうな割合とか、掛金の額とか――掛金と申しましょうか、われわれ醵出金と申しておりますが、醵出金の額がどのくらいになるかということは、多少異同があるかもしれませんけれども、福祉還元の部分につきましては、やはりこれは公務員の負担分というものが積み立てられて、それが福祉還元にいくというふうな点につきましては、人事院勧告と同じような形をとると思うのであります。それでは、その程度の福祉還元の財源では十分じゃないじゃないか、大蔵省の考えておられる共済組合方式の場合の方が福祉還元に使い得る財源というものが相当たくさん余裕があるじゃないか、従ってそれが考えておる程度に至らないようなものについては、別途国の財政支出として福祉施設を考えるべきじゃないか、こういうようなお尋ねであろうと思うのであります。もちろん国家公務員法自体におきましても、公務員の福祉厚生、能率を向上させるということ自体が人事行政の運営上必要である、そう考えておるわけでございまして、国の材質支出としてそういうものを考えるということも当然並行して行われていいんじゃないか、こう思うのであります。ただしかし国の財政と諸般の事情が許しませんので、現在そういうことが行われておりませんけれども、それは国家公務員の福祉施設等につきまして、決して国が財政支出として費用を出すべきでなくて、自分の積立金の運用だけでやれというのではなかろうと思うのです。これはやはりアメリカあたりでは、むしろそうした財源を運用して自前でやれというのじゃなくて、福祉施設につきましては国の財政支出として正確に予算に盛ってやっていくというのを建前にしているくらいなんで、そういう面において人事院勧告の線でやった場合にそういう点が困る、こういうことは決してないと私は思うのであります。
○受田委員 恩給高と大蔵省の双方の御意見を伺って参ったのでございますが、結局大蔵省の側で考えておられる今度の改正案を拝見してもそうなんですが、この組合管掌による万代の中には、積立金の運営が非常におもしろくいく、組合員自体が伸び伸びとやれる、また組合員自身が積み立てた金だけでなくて、政府が積み立てた金の一部もそれに流れていく、そうした福利厚生面において一歩の長がある。しかしまた一方の考え方をもってするならば、国の関与する面が少いということは、その財政上の軍営において不明朗なものを生ずるというおそれがありはしまいか、こういうところの議論がされているわけです。これは政府としてもすみやかな解決を待とうということでありますし、今度の国家公務員の共済組合法の改正案を拝見しましても、附則の十三条には非現業雇用人の当分の間の措置なども特に掲げられてあるようでございますから、相当の配慮をしておられることはわかるのでございますが、この際政府間の意見が調整せられて、この積立金の運営をめぐる方式において意見を一致して、すみやかな退職年金制度を確立する必要があると思うのです。今、今松長官から、半年か一年かの間に必ずこれが成立するんだというお言葉があったと思うのでございますが、今国会に本格的な退職年金制度の提出がおくれた事情も、政府部内の意見の不一致というところにあるという立場から、半年ないし一年後の国会にこれが成案を得るという見通しははっきりしておるのでございますか。
○今松政府委員 政府部内の意見の不一致と言われますが、実はこの公務員の退職年金制度を今国会に出す考えは、政府としてはなかったのであります。従ってその検討がおくれておったのでありますが、ただ大蔵省だけでやれると考えられた共済方式による案が出ましたために、われわれの方でも、次の通常国会を目途としてこの案を出そうとしておったのが、一部、公労法適用の現業員に対してだけは、他の三公社との関係もあり、まあ今回提出を考えるような運びになったのであります。われわれの考えといたしましては、次の通常国会には、ぜひ普通の公務員の退職年金の制度を決定をしまして提案したい、こういう考えでおります。
○受田委員 今度の恩給法の改正案に伴う公務員の退職年金制度というものは、これは非常な急速な措置を必要とすると思うのです。何となれば、さきの委員会で今松さんは、恩給法の問題で一番ややこしい公務扶助料の倍率の問題はこれをもって終末を告げたい、こういうことでありました。人事院総裁は、恩給法の個々の改正は次の退職年金制度が生まれて後に取り扱うべきであって、今ここでこそく手段をとるべきでないという答弁があったわけです。そういう意味から考えまして、政府としてはもはや恩給法の改正措置というものは今後考えておらぬ、次の退職年金、近くもう一年待たないで生まれるだろう、それで解決するのである、かように了解してよろしゅうございますか。
○八巻政府委員 今松総務長官の、新しい退職年金法の制定につきましての、目下努力しておることにつきまして、近く成案を得たいという御答弁と、私が今申し上げることは矛盾しないと思うのです。と申しますのは、それはもちろんやらなければならないわけでありまして、それを行なったからといって、軍人恩給の制度なり、また旧文官についての恩給の制度なりというものが、将来永劫にわたって全然考えなくてよろしいのだということはあり得ないのでございまして、これは新退職年金制度というものは、現在のわれわれ在職しておる者が将来退職した場合に、その退職後の給付につきましての諸規定を設けたものでありまして、すでに恩給法の上で給与事由の発生した者につきましては、なお恩給法というものがその人たちについては生きておるわけであります。従いまして、これらのものについてどうしても手直しをしなければならぬ、退職後の処遇の手直しをしなければならぬという事態が生じますならば、なお従前の例において措置された恩給法というものがやはり問題の対象になる、こういうふうに考えておる次第であります。しかしながら、従来懸案でございました恩給法上の諸問題というものが、臨時恩給等調査会の答申を待ちまして、総合的に、一応ここでもって解決をされた、従って当分の間この問題についてのまた新しい改正ということは起り得ない、こういうことは言えると思いますけれども、未来永劫にわたって旧退職者については問題がないのだ、こういうことはない、こういうふうに御承知おき願いたいと思います。
○受田委員 人事院では、新しい退職年金制度の中には旧公務員の分を吸収するという考えがあるのじゃありませんか。別個の二本建という意味でなくて、一本建じゃないのですか。
○八巻政府委員 人事院勧告の経過措置を見ますると、すでに給与事由の生じた恩給のうち、旧軍人に関するものを除きましては、一応人事院に引き継ぐ、しかしながらその額及び支給方法は従前のままとする、すなわち、旧恩給法によってきめられたものはそのまま生きていく、こういうふうな立て方になっております。またその人事院に引き継がれた普通恩給の受給者が死亡したときは、恩給法の扶助料にかえてその普通恩給相当額を基準額として計算した新年金制度の遺族年金を支給する、こういう意味におきましては、旧退職者であっても、また新しく支給事由が生じた、こういうようなものは新年金制度の上で処理する、新年金制度にこういう面におきましては吸収していく、こういう建て方をとっているようでございます。でありますから、この問題は建て方の問題で、新年金制度の遺族年金、すなわち普通扶助料を遺族年金と読みかえて、そうした形に吸収していくようにするか、恩給法は恩給法として依然として生かしておいて、そうしてそれを適用していくような形にするか。すなわち恩給法をそこで廃止してしまって、そうして新退職年金制度の中へ取り込んでしまうというふうな形をとるか、両建てにするかということは、一つの立法技術の問題であると思います。しかしこの立法技術以前の問題としまして、この年金制度の生命と申しましょうか、軍営主体が同じく国であるという場合には、そういうふうな引き継ぎの仕方が吸収しやすいわけでありますし、また当然吸収するという形をとり得るわけであります。すなわち、恩給法は昭和八年に大改正を行いました。その際、いろいろな給与条件が相当変って参りましたけれども、昭和八年以前の恩給法上の処遇というものは、昭和八年後の恩給法の中に取り込んでありますし、またさかのぼって、大正十二年に各種のいろいろな多元的な恩給法が集大成されて、恩給法が一本になりましたが、そのときもそうしたたくさんの流れというものを、恩給法の中へ全部取り込んで、そうして新しい恩給法における給与とみなすというふうな形になっております。と申しますのは、これはあくまでも国が給与主体であるという一元的な流れがあるから、従ってそういうことができるわけです。従って人事院の考えておりまするこの制度におきましても、そうした制度における一つの生命が続いておるという意味におきまして、こうした経過措置がとり得ると思うのでございます。しかしながら事実の問題としては、これは新しい制度は、現在在職しておる行が、退職後の給与だけに関するすでに給与事由の発生したものは、現恩給法によるのだというふうな、二本建の線を走らせるということは、これは可能でございます。しかしながら、今までのあれから言いますと、どちらかといえば、同じ国の給与主体の中で、そうした恩給法というものが看板を塗り変えて、多少中見をいろいろ入れ変えたというふうな形になって参りますと、どうしてもその流れの中へ取り込んでくるということが、自然の成り行きになるであろう。従って、この人事院の経過措置というものも、自然そういうふうな形になってくるのではないか、こう思います。
○受田委員 人事院勧告の、今お読みいただいた経過措置の中の第一の「恩給法の措置」で、第二項の中に「新年金制度実施前にすでに給与事由の生じている恩給のうち、退職又は死亡当時国庫から俸給を受けていた者(旧軍人及び準軍人を除く。)に係る恩給は、人事院に引きつぐものとし、その額及び支給法方は従前のままとする。」ということになっておるのですが、これは恩給局が今まで担当しておった分を人事院の方へ引き継ぐという形のものではないのでしょうか。
○八巻政府委員 これはすでに新しい退職年金制度ができますと、それ以前に恩給法でもって給与事由が発生して、それによって恩給を受けておるその恩給は人事院に引き継ぐ、これは法律の条文に書いた場合にどういう表現になるかちょっとわかりませんが、その恩給は新しい退職年金法における退職年金とみなすというふうに法律の方でもうすでに擬制してしまうか、あるいはただ単に恩給法で生じた恩給というものは、あくまで恩給として残しておくけれども、その支給事務と申しましょうか、それの管理は行政事務上の所管として人事院に引き継ぐということになるのか、その辺はこの表現の中ではっきり読み取れませんけれども、「引きつぐ」という意味を、単に行政事務的に見るならば、これは恩給法のまま残しておくのだという意味にもとれます。しかし「その額及び支給方法は従前のままとする。」という点に重点を置きますと、恩給法上の恩給というものは、新退職年金法における退職年金と読みかえて、そうして読みかえた場合、その額及び支給方法は、なお従前の例による、というふうに従前の規定を生かしておく、すなわち新退職年金制度における額なり支給方法なりに新しくそれを適用するのじゃなくて、この恩給法の額なり支給方法というものをそのまま条文を生かしておく、こういうふうにも読みとれるわけです。この辺は法律技術の問題になると思います。
○受田委員 はなはだあいまいなとり方をしておられるようですが、これは。結局人事院に引き継ぐという精神がはっきり出ているのでございますので、むしろ恩給法を廃止して、恩給法の中には軍人の分だけを残すということは考えられますけれども、文官の場合は、恩給法の適用外において新しい制度の中に織り込む、こういう形のものを本質的に考えておると思うのです。それは第一項に、「恩給法は、これの準用を受けている者もきわめて多いので、当分、廃しない。」「当分」が書いてあるのです。またその第二項に、「人事院に引きつぐ」それから第三項に、普通恩給を、受けた者の死亡した家族には、遺族年金という新しい制度を適用する、というところを見ると、漸次吸収したい、こういう考えがあると見られるのでございますが、この間、人事院総裁に恩給法上の新しい改正案を幾つか私尋ねて見ましたところ、そういう個々の具体的改正は、次の退職年金制度でお考え願うべきであって、今ここで恩給法をいじくるのは妥当でない、という答弁があったわけです。恩給法は過去のものとして、新しい制度へ早く乗りかえてくれろというような御注文のように聞いたのです。いずれにしても、恩給局が従来御苦労していただいたこの問題が、別に人事院に移って、人事院の中の、たとえば恩給局になろうと、あるいは内閣の方で新しい年金局ができようと、大蔵省に行こうと、いずれにしても、もう各省のなわ張り争いをやめて、根本的な問題の解決に歩を進めていただきたいと思うのです。国民年金制度は来年から実施さるべきであるという社会保障制度審議会の動きもすでにあるわけなんで、岸総理もこれに協力しておられるようでありますが、一つ政府部内において高い立場で、公務員がほんとうの幸福を得られるような制度を早く実現をしてもらいたい、かように私は考えておる。従ってその制度を早く作らないと、いつまでも恩給亡国論の批判を断ち切ることができません。私は最初の質問のときに申し上げたように、恩給亡国論の批判は職業軍人に対するきびしい考え方が、なくなられた英霊のお子さんや、御家族、あるいは一般の文官の非常に低取人で困っておる方々にまで及んでおるということを悲しむものですが、この際これを解決する方法の一つとして、この前の委員会で申し上げた公務扶助料の別の法律を作ること、文官を現在の公務員に吸収しておくこと、恩給法の中には、生存軍人、職業軍人の方々の規定だけが残るということ、こういうふうに大体三つにこれを分けることが適切妥当ではないか。しかもその事務をとられるまでは現在の恩給局が現在の形のままでとられてもけっこうでございますけれども、その考え方がそうした三つの方向に分れることが適切妥当であると思うのです。私の見解について御意見もあろうかと思うのでございますが、私の見解を十分頭に入れていただいて、御検討願いたい。きょうは委員長の五時からというお話もありますので、もう一つお尋ねしておいて、質問を終りますが、現在の恩給法と、また将来も問題になることですけれども、公務員の通算、今度の改正措置の文武官の通算を規定しておられますが、この公務員の勤務在職年の通算という問題、これはいろいろな問題を投げかけているわけです。この間の調査会のときにも、公務員に準じたような形であった期間を通算してもらいたいという希望もたくさん出ておりました。これは今後の問題にもなるのであって、これからは私立学校に勤務する人々の期間も、これを公務員という職務に従事した期間というふうにみなしていきたい、あるいは雇用人の期間も通算したいとかいう、非常に幅の広い考え方がおありのようでございますから、一つ申し上げておきますが、この文武官の通算、あるいは文官相互間の通算というような問題で、今まで恩給法上なかなかきびしくて手をつけなかったような問題、今度の退職年金制度をお生みになる前に、こういう問題を通算すべき性質のものであるというお考えを持っておられるかどうか、一つここだけははっきり伺っておきたいわけです。今後の公務員の問題でもあり、また過去の問題でもあるのですが、少くとも公務の性格をもって勤務した期間は、恩給法上の在職年としてきびしく批判をされておる問題よりも、もっと幅を広めて考えるということが適切じゃないかと思うのです。いかがでしょうか。
○八巻政府委員 従来、恩給法と言いうものにおきます通算を非常に厳密に考えておったわけでございます。すなわち、恩給法の対象としては、一定の恒久的な職を奉ずる者としてその身分というところに着眼いたしまいして、官吏、雇用人というふうな区別を立てて、そうして官吏だけを恩給法の対象にしてくる。こういうように厳格に考えてきておるわけであります。従ってそのワクを無限に広げていくということになると、だんだんとけじめがつかなくなるということであったわけでございますが、最近における傾向というものは、やはり勤労者一般を対象とするところの厚生年金保険というようなものが、普遍的になって参りますということが一つ、それから各種の退職年金制度がそれぞれでき上ってくるということが一つ、そういうふうなことから考えまして、これらの相互の交渉というものを考えていかないと結局長い勤労というものの対価として、老後の保障ということに重点を置いて考えていく場合においては、ある程度体系ごとのばらばらなお互いに通算ができなしということでは困るという事情が出てくるわけでございます。その意味で体系ごとの整備ができますれば、お互いの体系同士の交渉が行われてくるわけです。すなわち国家公務員と地方公務員との交渉の問題が起り、また共済組合体系と恩給公務員体系との交渉が起るというふうに、どうしてもその間の交渉を持たなければならないというようなことになるわけです。しかしながら一方において、給付内容なり給付条件というものが違うという場合に、最小限度にどういうふうな条件で交渉するかというようないろいろな技術的な問題がございます。しかし大きな観点からいいますと、老後の保障という点に重点を置きますと、やはりそれの職場がたまたま公務員としてあったか、あるいは雇用人としての在職が一部分あったかというふうなことだけで、老後の保障が断たれるということは、これはおもしろくないじゃないか、そういうような観点から、だんだんと他の体系との交渉が行われると同時に、そうした通算関係というものも、だんだんと幅広く考えていっていいじゃないか。しかしそれにはそれ自体の体系としての性格がございますから、限度がございますけれども、考え方としてはそういう方向に向っていいのじゃないか、こういうふうに考えております。
○受田委員 今回の改正措置の文武官通算の特徴はどこにあるのでしょうか。
○八巻政府委員 今回の通算問題は、勅令六十八号で、御承知の通り七年未満の軍人実在職年というものが算入されなかった。それが漸次改善されまして、一年以上七年未満の軍人の実在職年というものは、軍人恩給を計算する場合におきましては、これは算入することとせられたというふうな、一歩前進が見られたわけでありますが、なおその間十三年以上については、その恩給年額の計算上全然算入されなかったというふうなうらみもあったわけでございます。そこにまた旧退職者とのアンバランスがあり、それからまた文官におきましては、軍人の一年以上七年未満の実在職年というものは全然算入されなかったということで、文官恩給と軍人恩給との間における不均衡、こういうような問題もあったわけでございます。そういうような意味で、恩給法の内部におけるいろいろな軍人恩給と文官恩給とのアンバランスというようなものを見て参ります場合に、それを調整していくという観点に立って問題を解決しようという場合におきまして、この在職年の完全通算ということは、これは勅令六十八号で一時廃止されましたけれども、これをまた認めるということが正当であるという認識に立って、恩給調査会の答申を十分尊重してやった措置でございます。
○受田委員 在職年の通算の問題が非常に幅を広げて考えられるようとしておるという局長の御答弁であるし、今回も改正措置の中にそうした一部の現われを見たということにおいて、この点においては共鳴を惜しむものではないのです。ただ、私が心配していることは、自民党の皆さんの中に、単に遺族会の皆さんに対するお気がねから倍率問題に固執しておられる方がある。先ほども御意見の中に、四十割という倍率を今でもまだ持ち出されておるのでございますが、これは文官がもう四十割でなくなった。べース・アップしないで三五・五割になっておる。従って四十割という倍率はもうなくなっておる。それがまだ持ち出されておる。これは旧軍人の方がむしろ高いところに今後いくことを推進されるような格好になるのでございますが、こういう考え方は、私はこの遺族会で考えられた四十割の倍率にあまり固執しておられるということを思うわけです。そうしてもう一つはもっと高い立場で、われわれはこの恩給給制度の将来を考えていかなければならないので、別に遺族会の要望に特におこたえするというような形のものでなくて、もっと国民全体の立場からこれを考えなければならぬと思っておるのですけれども、先般この委員会で社会党の意見としては、遺族会の要求を全面的に引き受けるという意見があったが、今はまるで保障打ち切りというような形ではないかというような御意見があったようです。私それを直接聞かなかったのですが、こういう意見が速記録には出ている。こういうところを見ると、何だか単にゼスチュアとしてこの恩給法の改正を考えるという形になる心配がある。私たちはいまだかつて遺族会の御要望をそのまま全面的に引き受けたということはないのです。これは倍率問題においてもはっきりしておるし、階級差の問題においてもはっきりしておるし、そういう点においては、むしろ自民党の方々におかれても、遺族会の思い過ぎ、考え違いというところは十分直してあげる、むしろ遺族の中で、幹部級でない一般遺族の中で不幸にあえぐ人々の立場というようなものを考えていくという立場をとるべきで、遺族会の役目についた人々の立場で物事を考えるという考え方は、私は十分改めてもらわなければならぬと思う。そういう意味で今回自民党の方々も非常に気がねをされたような形で、この法案が上薄下厚の精神が一応盛られている点においては、自民党の今までの考え方からするならば、一応の敬意を表したい。その中に忘れてはならぬことは、やはり恩給法の将来について、国民の中に恩給亡国論の叫びがなお続くということです。これは単に予算上の三百億という額が多くなったから、恩給亡国というような議論が出るということもあるわけでございまするが、一方においてその階級の高い方々、旧軍人の高級の方方が、軍人の組織を固めていったり、また遺族会を指導される方々の中に、階級の高い豊かな生活をされる遺族会の幹部の方々が遺族会のお世話をされたりするというところで、大衆の中に非常に苦労している一般遺族、階級の低い、生活苦にあえぐ遺族の人々の考える方向とは、相当程度変った方向に考え方が向いている場合があるのです。そういうことについては政府も十分指導を加え、また自民党の各位も十分考えてもらって、この遺家族処遇の問題は、単に高級軍人の遺家族の指導によるべきでなく、遺族の大衆の中に燃え上る気持というものを考えていくべきだ。これが臨時恩給等調査会でも、学識経験者の人々まで全員そろって、あの倍率問題については十項に余る答申をもって、結論を不均衡感の除去というところに持っていったわけです。そこを一つ含んでいただいて、与党の御支持のもとに構成しておられる政府の首脳部の皆さんは、今回の改正措置を最終的なものとせられる御意見ではまだないということでございましたが、こうした問題については、単にそうした一部の人の考え方をそのまま受け入れるような形でなくして、全般の空気を十分知ってお仕事をされるか、かようにお考え願いたいと思います。
 きょうは私、そのほか残された問題は、特に国民年金に移行する恩給制度及び退職年金制度の問題をお尋ねする時間がないわけでございますが、これは社会保障制度審議会の動きなどと関連して、この次には厚生省、労働省の方を含めて、恩給局関係のお役人の方や総理府の総務長官にも御苦労をいただき、もう一つ人事院総裁と大蔵省の御意見も伺って、他の委員諸君とともに与えられた時間を最高度に勉強して、この重要法案の審議に当りたいと思います。長時間毎日々々御苦労いただく政府の方々、委員長及び委員各位、自民党の各位に深甚なる敬意を払いますが、一つどうぞごしんぼういただいて御出席あらんこともにお願いいたしておきます。
○福永委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時五十五分散会