第028回国会 文教委員会 第10号
昭和三十三年三月十四日(金曜日)
    午前十時五十六分開議
 出席委員
   委員長 山下 榮二君
   理事 稻葉  修君 理事 高村 坂彦君
   理事 河野  正君 理事 佐藤觀次郎君
      簡牛 凡夫君    清瀬 一郎君
      杉浦 武雄君    千葉 三郎君
      渡海元三郎君    並木 芳雄君
      牧野 良三君    山口 好一君
      小牧 次生君    櫻井 奎夫君
      高津 正道君    野原  覺君
      平田 ヒデ君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 松永  東君
 出席政府委員
        防衛政務次官  小山 長規君
        防衛庁参事官  門叶 宗雄君
        (長官官房長)
        文部政務次官  臼井 莊一君
        文部事務官
        (大臣官房総務 齋藤  正君
        参事官)
        文部事務官
        (大学学術局
        長)      緒方 信一君
        文部事務官
        (社会教育局
        長)      福田  繁君
        文部事務官
        (管理局長)  小林 行雄君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局環
        境衛生部長)  尾村 偉久君
 委員外の出席者
        専  門  員 石井  勗君
    ―――――――――――――
三月十三日
 委員池田禎治君辞任につき、その補欠として辻
 原弘市君が議長の指名で委員に選任された。
同月十四日
 委員馬場元治君辞任につき、その補欠として井
 原岸高君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
三月十三日
 公立の小学校及び中学校の特殊学級における教
 育の振興に関する法律案(松永忠二君外二名提
 出、参法第一号)(予)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一九号)
 日本育英会法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第八七号)
 アジア競技大会及び教育環境に関する件
     ――――◇―――――
○山下委員長 これより会議を開きます。
 国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題となし、審査を進めます。質疑の通告がございますからこれを許します。佐藤觀次郎君。
○佐藤(觀)委員 緒方局長に質問しますが、久留米の工業短期大学の設備を視察されたことがありますか。
○緒方政府委員 ございます。
○佐藤(觀)委員 長年のいきさつがありまして、福岡の大学の付属になったような形でありますが、私たちも二度ほど小牧委員と一緒に現場を見てきたのでありますが、せっかく設備も整っておりますし、地元の要求もあって今度この法案が出たわけです。できる限りわれわれも従来のいきさつ上完全を期したいと思います。ただ短期大学という形でこれが標準になると困るという意見もあるので、将来大学にするのか、あるいは現在あの設備を捨てるのはもったいないから何とかするという御意思なのか、その点を一つ局長からお伺いしたいと思います。
○緒方政府委員 御指摘のように久留米には以前工業専門学校がございまして、その校舎なり設備なりが残っております。これは一時九州大学の分校として使用いたしましたけれども、現在は使われないで残っております。一面またあの地方におきましては工業教育の学校が高等学校としてもないような状況でございまして、最近工業技術者、特に中堅技術者の養成について要望のあるときでございますから、残存いたしておりますこの施設を活用いたしまして、二年制の工業短期大学を設置いたそうというのがこのたびの計画でございます。で、ここに国立学校設置法の中に提案をいたしておりますのは、今申しましたように二年制の短期大学でございまして、これによりまして、その限度における中級技術者を養成していきたいという計画でございます。
○佐藤(觀)委員 工業技術者の養成、科学教育の振興などにつきまして、今後いろいろ問題が起きると思いますが、もう一点短期大学の問題も今度いろいろ問題になっておりまして、世上いろんな議論があるわけですが、そういう点がまぎらわしくないように今度の短期大学について処理をされるのかどうか、その一点だけお伺いいたします。
○緒方政府委員 短期大学の問題につきまして、いろいろ議論のあることは御承知の通りでございまして、その内容の改善につきまして、今後制度的に検討いたしたい、できればその改善のための法律の改正等をはかりたいと考えておりますけれども、これはただいま制度の問題として別個に検討中でございます。この国立学校設置法に掲げてありますこの学校の設置は、あくまで現在の短期大学制度のもとにおきまする二年制の短期大学でございまして、制度は別の問題として検討いたしておる次第でございます。
○小牧委員 関連して一点お伺いいたします。御承知の通り久留米の大学の跡には生産料学研究所というのがありまして、おそらくまだあると思いますが、そこにたくさんの教授の方がおられるわけであります。こういう方々は今回の工業短期大学の場合にどういうふうになるのか、お聞かせ願いたいと思います。
○緒方政府委員 生産科学研究所は九州大学の付置研究所でございまして、一部は福岡にありますが、一部は久留米のあの施設を利用して研究に従事いたしております。この研究所の教官の問題でございますけれども、これは、研究所はそのまま存置いたしますから、研究所の教官として今後も研究に従事していただく、かようなことに相なろうかと存じます。この短期大学の設置とは別個の問題として考えております。
○佐藤(觀)委員 もう一点。あの設備をあのままにして使うのか、それとも新しい構想でやられるのか、その点だけをお聞きしたい。
○緒方政府委員 今ございます設備は十分活用いたしますけれども、なお新しい教育の内容をこれに盛っていかなければなりませんので、新しい設備等につきましても、今後十分充実をいたしていきたいと思っております。
○山下委員長 他に御質疑の方はございませんか。――なければ、本案に対する質疑はこれにて終了いたしたことといたします。
 これより討論に入ります。別に討論の通告もございませんので、直ちに採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。
 本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。
○山下委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決いたしました。
 なお、お諮りいたします。ただいまの議決に伴う委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らうことにいたします。
    ―――――――――――――
○山下委員長 次に文教行政に関し調査を進めます。質疑の通告がございますから、これを許します。野原覺者。
○野原委員 文部省とそれから厚生省にお尋ねをしたいのであります。それは昨年であったと思いますが、鳩森小学校の環境が非常に問題になりまして、たしか昨年の六月十五日であったと記憶しておりますが、旅館業法の一部改正がなされたはずであります。この旅館業法の一部改正がなされました趣旨は、学校の教育環境というものは清純でなければならないから、そういった清純でなければならない学校の近くに、連れ込み旅館とか、いかがわしいようなものの建設は認むべきではないという条文が、この旅館業法の改正によってうたわれておるわけであります。ところが遺憾なことに、この改正の条文の趣旨が、都道府県あるいは五大市当局に十分徹底しないうらみがあるように私は聞いておるのでございまするが、厚生省としては、学校の近くにこれらのいかがわしき旅館業等の建築の許可もしくは常業の許可等について、都道府県なり五大市に対してどのような御指導をされてこられましたか、まずその点をお尋ねしたいと思います。
○尾村政府委員 学校周辺の清純な教育環境を守るための旅館業の許可の運営でございますが、これにつきましては、昨年の旅館業法の改正後、八月五日付をもちまして、厚生省の公衆衛生局長、文部省の管理局長の連名通牒をそれぞれ都道府県知事、指定都市の市長、都道府県の教育委員会に出しまして、これは詳細な運用の要領を網羅して、これを徹底さしております。ただ、今のお話の中にありました建築の許可の問題でありますが、これは旅館という目的で建築をあらかじめ申請をいたします。これが営業の許可と建築物そのものの許可というのは必ずしも伴っておりませんで、もちろん建築をする場合には、ある程度どういう目的に使うということで建築の申請が起るわけでございますが、ただこの建築は最初から、建築関係当局として、どういう種類の運営をされる旅館になるかどうかというような点は、必ずしもわからぬものでございますので、とかくあらかじめ建築許可が得られてしまっては困るということで、これはしかしながら府県知事と指定都市がそれぞれ建築許可の権限を持っておりますので、衛生当局並びに学校の関係の当局から、それぞれ部内の建築関係者の方に、この趣旨を同時によく徹底するということをわれわれの方からも依頼して、なるべくそごのないようにということで今まで運営して参っております。なおこの問題は、社会との関連でいろいろと政治問題になるような事項でございますので、衛生部長会議をすでにこの以後二度開催いたしましたが、そのたびにこれがいろいろ質疑になり、あるいは疑問あるいは討論になる問題でございますので、そのつどこの問題の運営について例をあげまして、徹底は今までのところよくしてきたつもりでございます。その実例といたしましては、ちょうどあの法の改正されました六月十五日からことしの一月三十一日までの間に、約三千七百件の旅館の申請が全国的にあったわけでございます。そのうち、百メートル以内のところで、府県知事なりあるいは指定市長が許可を与えなければいかぬという場合に、教育委員会あるいは教育委員会と同格のものに規定通り意見を求めたものが二百十六件、すなわち約七%程度ございまして、おそらく今までのところでは、この運用について、これらを無視して独自で全部許可をしたというような例はないと存じております。いずれにいたしましても、この規定は十分守って、その意見に基いて許可、不許可の判断をしている、かように信じておるわけでございます。
○野原委員 厚生省も御承知のように、本年の三月末をもって売春禁止法の完全実施に伴いまして、売春業者いわゆる貸席営業者というものがなくなることになるようであります。そこで、この貸席業の経営者が、転業対策という名目で、住宅地もしくは学校の近傍にバー、ダンス・ホールをかねたようないわゆる旅館業、純粋な旅館でなくて、旅館類似の営業をやるようなところがたくさん全国に出て参っておるのであります。私は最近神戸の湊川幼稚園と下山手小学校から、これはそれぞれ違った内容のものでございますが、陳情を受けたのであります。湊川幼稚園の場合を申し上げますと、ホテル田園という名前で建築がなされておりまして、その経営者はかつて神戸の福原で貸席業を経営しておられた方であります。しかもこの建物が幼稚園から一メートル以内、〇・四メートル、ほんとうに板べい一つ隔たったところに建てられておりまして、今この建物の営業の許可をめぐって神戸市は頭を悩ましておる。それから幼稚園のPTAでは、こういうものを許可してもらったのでは困ると非常に騒いでおる事件が起っておるのであります。この種の事件は、私四、五日前でございましたが、現地に行っていろいろ視察をいたしまして、関係者から事情をお聞きしたのでございますが、その話の中で、厚生省に神戸市当局が伺いを出しておるというようなことも実は仄聞いたしたのであります。折あしく日曜日でございましたから、神戸市の責任者の方からは伺うことができませんでしたが、そういう話を他の方から聞いたのであります。この種の事件についてどのような伺いが神戸市からきておるか、その神戸市からの照会に対して、厚生省はどういう御指導をされておるのか、お尋ねしたいと思います。
○尾村政府委員 ただいまの神戸の湊川幼稚園の実例、これは一月下旬に神戸市の衛生局長から私の方に相談が参っております。それは実は営業許可については、本省の協議とかあるいは承認というものは一切不要にはなっているのでございますが、この運用につきまして本省で全国のいろいろな事例を承知しておりますので、初めて発生した県あるいは都市等から、自分らの判断の参考にするためにいろいろな指示を仰いで参るという例がしばしばございます。その一例として参った相談でございますが、それによると、今お話の通り、幼稚園に隣接してすでに昨年の旅館業法の改正前に建築許可を得た旅館がいよいよできる。これについて旅館業の営業許可を与える場合に、今の新しい法律による判断が必要になってきたわけでございます。この場合に旅館業法では、百メートル以内のこれらの旅館が教育上非常に著しい障害があるというのでこれを不許可にする場合には、教育委員会の――今度の場合は私立の学校でございますから、府県知事の同意は要らぬわけでございます。要するに諮問は要らぬわけなんです。不許可にするならば、自分が自信を持って資料を整えて、これは教育上支障ありとするならば、遠慮なくこれは不許可ができる、こういうことなんでありますが、そういうふうに市長がいたしませんで、他の教育委員会ないしは府県知事に問い合せるということは、自分が不許可にするだけの自信がなくて、すなわち著しく害するというデータに不足いたしまして、許可をしたいという場合にのみ他に問い合せる、こういうことになっておるわけでございます。従いまして今度の場合、府県知事に相談をしたかどうかということを明示しないで、実はわれわれの方に問い合せてきておるのでございます。単に県の教育課から強い反対があったということでございまして、法に基きまして許可をする場合には、市長からそれぞれの正規にきめられております諮問の相手方に問い合せて、正規にそれの意見をはっきりととりまして、それに基いて自分の判断を最終的に決定する、こうなっておるのでありますが、これはいわゆる内相談です。従って相手方への問い合せ方も内相談というようなことを重ねて協議して参ったような次第でございまして、われわれの方への問い合せも具体的な事由に欠けておる非常にばく然たるものでございます。要するに当該旅館ができることによって著しく教育環境が阻害されるという県の衛生課の意見がある。従って、これはどうしたものだろうかとい
う相談の文書をよこしておりますので、われわれの方では、それを他の事例と比べて批判して指示しようがない。もっと詳しくいかなる手続で相手方の意見を聞いたか、さらにその意見の内容が、どういうところが教育環境を著しく害するのか、そのデータができ次第こちらにあらためて相談すれば、そういう相談に対する批判はする、こういう形でわれわれの方から手紙を出しまして指導中でございます。従いまして、これだけに基いてこれは必ずやめろとか、あるいはこれは当然許可すべきだとかいうような内容に触れての指導はまだいたしておらぬのでございまして、まず事情を鮮明にするという段階にありまして、今、回答を待っておる次第でございます。
○野原委員 環境衛生部長のただいまの御答弁は、いささか私が調べたことと相違があるのであります。その相違の第一点は何かと申しますと、旅館業法の改正前に建築許可が云々というお話でございましたが、実は私が調査いたしましたところ、この建築許可がその申請に対して下りておりますのは六月二十五日付であります。そうなりますと、旅館業法の改正は、六月十五日付の官報で出されておる。その内容は、今部長も申されましたように、学校園の敷地から百メートル以内に旅館の建築をしようとする場合には、事前にその学校長または所管役所の承認を求めなければならないとあるわけであります。幼稚園の場合は県知事の所管になっておりまして、これは総務部の教育課長がその担当をしておるようであります。そこで一体どういうわけでその建築許可が下りたのかと申しますと、六月二十五日付の申請書にはアパートとして申請が出されておるのであります。共同宿泊施設という名前で申請が出されておるものでありますから、許可権を持って神戸市長は、これは問題ないというので、六月十五日にすでに改正になっておるけれども、問題なく建築を許可したようであります。ところがだんだん建物が建っていくうちに、この共同宿泊施設なるものが実は許可をとるための偽わりの申請でございまして、どういう建物が建ったかと申しますと、各部屋にバス・ルーム、電話がつく、まあこれもよいでしょうが、地下の一階には酒場ができダンスホールができる。私は現場を見て参ったのでありますが、かつて吉原や新宿にございました貸席業の建物とほとんど変らない建物が一軒ぽつりと住宅の中に建てられておる。しかもその入口は二つございまして、写真もとってきておりますが、この狭い入口には裸体の彫刻が掲げられており、そこに出されておる看板の広告には、いかなるサービスも皆さん方のお得心のいくようにいたしますと書いてある。そうしてその申請をいたしました者は実は福原の業者である。こういうようなことを総合して考えて参りますと、これは大へんなことになっておる。旅館業法第三条でございますか、それの違反であることはもう明らかであります。そこで幼稚園の園長並びにPTAは非常に憤激いたしまして、神戸市長に陳情、請願をいたしました結果、神戸の市長は兵庫県の知事に対して正式にこの意見を求めておるのであります。これを許可したならば教育上支障がないかどうか、これは昨年の十月であります。これに対して兵庫県の知事は神戸の市長に対して許可すべきではない、これは明らかに旅館業法弟三条の違反事項だ、こういう許可すべきでないという回答を出しておるのであります。ところがどういうものか、聞くところによればボスの圧力だということが学校当局者並びにPTAの心ある人々からいわれて、非常に憤慨をしておりましたが、この種不賛成の回答がなされておるにもかかわらず、その神戸市の担当の課長はどういうことをこの学校当局を呼び出して申したかと申しますと、これは昨年の十二月でありますが、旅館が学校の隣に建っておっても、これを阻止する法的根拠は六月十五日付の法令では得られない、全く法律を知らないもはなはだしい。これは名を申してもよろしゅうございますが、神戸市の担当課長がこういう申し渡しをしておる。その申し渡しはたくさんあるのでございますが、その中にこういう節がある。厚生省に私は問い合せましたが、不許可にするような回答は得られないのです、こういうことを言っておる。そこで私は実は本日この問題を文教委員会に持ち込みまして、厚生省にお越しを願ったのであります。
 お尋ねしたいことは、一体これまでの経過があなた方にそのまま入っておるかどうかというのが一つであります。
 もう一つは、旅館が隣接していても、単なる旅館ならばよろしい。しかしながらこのいかがわしき旅館、そういったようなものを阻止する法的根拠は六月十五日付の法令では得られないと言っておるが、こういう見解をお持ちであるかどうか。
 それから厚生省に神戸市から問い合せましたけれども、不許可にするような回答は得られない。これが問題になっておりますのは昨年の八月からなんです。今日半年以上経過しておる。にもかかわらず厚生省が断固たる指導をしないということは、私はどういうものがと実は考えておる。公衆衛生局長と文部省の管理局長連名でもって指導をいたしましたとは申されますけれども、しかし指導ということは一片の文書を流すことではないと思うのです。この種の具体的な事実が起ったときに、やはり断固たる指導をしなければ、旅館業法の改正というものは有名無実で骨抜きになるじゃないか、こう考えますが、これらの私がただいま申し上げましたことに対して、一つ明確な御答弁をお願いしたいのであります。
○尾村政府委員 第一点の経過の真実がわれわれの方に入っているかどうかということでございますが、先ほど私が申し上げたように、われわれの方が神戸市から電話で今の建築許可の問題を聞いたときには、旅館業法改正以前に建築許可がなされたものであるという回答を得ましたので、その点についではそれ以上われわれの方は深く確かめなかったのでございますが、その点が先ほど詳しい日付を伺いまして、これもわれわれの聞いておったところと若干相違があるということが今わかったわけでございます。なおこの問題に関して昨年の八月以来というお話でございましたが、われわれの方がこれを正式に知りましたのは、ここにごく簡単な報告がございますので、お読みするとすぐ明確になると思いますが、本年一月二十四日付で神戸市の衛生局長から公文をもちまして環境衛生部長あてにこの問題の照会が参ったのが、われわれの知った最初でございます。それまではかような問い合せ等がありませんと、これのキャッチのしようがないということで、これが初めであります。その照会の内容はほんの数行でございまして、読みますと明確になると思いますが、「本市において、下記の二件の学校周辺における旅館営業許可申請につき取り扱いを検討中でありますが、本二件については、旅館業法第三条第二項にいう「清純な教育環境が著しく害されるおそれがある」と認めるのが適当か否が、至急何分の御回答を煩わしたい。」ということで、記といたしまして、簡単なこういう複写の図面でございますが、それがついておりまして、「別紙図面(1)のとおり幼稚園に隣接するもので相当な遮蔽をするとしても、園内よりの見とおしを完全にさえぎることは不可能と考えられ、又申請地南側の道路は、幼稚園に至る主要道路の一つである。なお同図面1234の位置に既設の旅館があるか、新しく該旅館が出来ることによって、付近一帯の教育環境がいちじるしく阻害されるものとして、幼稚園ならびに兵庫県教育課より強い反対がある。」というだけのことでわれわれの方に回答を要求して参ったのであります。しかしこれだけの内容ではわれわれの方で判断が不可能でございますので、今言いましたようなもっと詳細な事情をこちらに報告するようにという通知を出したわけでございます。
 なおその際、今この御質問の第二点でございますが、これはもちろん法令の根拠があるのでございます。昨年の旅館業法の改正の大きな二点のうちの重要な一点でございまして、今のような百メートル以内で真にいろいろな条件がありまして、それぞれの手続を経て、神戸市の場合は指定都市でございますので、市長がそれらの根拠で不許可を適当とすれば、それは法律に基きまして不許可をしたことになるのでございます。法令によってそういうような場合にできないというようなことは根本的に違っているわけでございます。こちらへの問い合せも当然法律に該当するかどうかということがその内容でございまして、市当局でさようなことを担当の者が言えば、誤まっているわけであります。これはわれわれがそういう間違いを正すように十分指導しなければならぬと存じます。
 それから今言いましたように、不許可にし得る回答がなかったということでございますが、先ほどから言いますように、われわれの方が許可、不許可を批判する材料に不足であるということで、その内容の事項まで調査して相談すれば批判をする、かような詳細な通知を出したわけでございます。しかもその中でも、今の問い合せの中の施設設備がさえぎることができないというようなことでありますと、これは最初から法令違反になるわけでございます。百メートル以内の旅館は法律に基いて客室をのぞかれるとか、あるいはダンス・ホール等が学校からのぞかれるような、要するに見通されるようなことはいかぬので、必ずそれに対する設備を、しなければ許可ができぬということになっております。こういうふうなところに欠けているならば、教育委員会、あるいは府県知事に相談するまでもなく、これは法令の条件に適しておらぬということで最初から不許可になるわけであります。さような意味も含めまして実は通知かたがた指導をまぜて出したわけでございます。
○野原委員 私がこの種の問題をくどくお伺いいたしますのは、これは単に神戸の湊川幼稚園に起った問題だけにとどまらないで、実は全国内に、これに対する営業許可がどのようになされるかということが一つのケースとなって広がるおそれがあるからお伺いしておるのであります。ただいま部長の御答弁をお聞きいたしまして若干不満に思うのは、図面まで来ておる。それは一月十四日ということである。きょうからちょうど二カ月前であります。その図面は、これはごらんいただけばわかるように、板壁一つ隔てておるわけです。そして問題は、昨年の七月の十四日ごろからこの問題が起っておるということであります。正確な日にちは記録によって申し上げたいと思いますが、七月十四日を訂正いたしまして、七月五日、県、市当局に陳情を出してから問題が起っておる。ところが、神戸市の方はどうももたもたいたしまして、厚生省に問い合せたのが一月十四日である。それからあなたの方は的確な御指導ができなかったということでありますが、これはどういうわけでできなかったのか、若干了解に苦しむのですけれども、結局厚生省で的確な御指導をしないことをたてに、厚生省だって不許可にするような回答をよこさぬじゃないか、こう高飛車に市が学校当局に対して当っておる。なおまたこういうことも言っておるのであります。もしこの営業を不許可にしたならば、職業の自由という憲法違反に問われるのだ、こういうことを言っておる。これはとんでもないことであります。私はくどくは申し上げませんが、職業自由ということはなるほど憲法に書かれております。しかしながらこれは公共の安寧秩序、並びに法令が特別に規定すれば、これはいかんともしがたいことになるのじゃないか。全国にこのような問題があったとき、不許可になった例はないのだと、また高飛車に出ておる。そこでどう考えても学校もそれからPTAも承服ができませんので、実は神戸ではここ半年来騒がれて、一月十四日にはあなたの方に正式に市からもそういう陳情が来ておるのに、いささか指導に手ぬかりはないか。単に文書を流して、わからぬからといってほっておくことは、いささかいかがなものかと実は考えるのです。図面まで来ておるのだし、だからもっと積極的に、たとえば県に問い合せをして、県の総務部の教育課、県知事は一体どういう回答を出したがということを、あなたの方からとるなりして、断を下してやらないと、ますます混乱に混乱を重ねてくるのです。この点に対して私はいささか厚生省の今日までとってきたことに対して不満に思うのでありますが、この点に対する御所見を重ねてお伺いいたしたいと思うのであります。
 なお立ちましたついでに申し上げますが、御所見を伺いますとともに、この種のものについては、御調査をしなければわからぬという御答弁になろうかと思いますが、私が申し上げました事実に関する限り、営業の許可をすべきではない、こう考えますが、いかがでありますか、お尋ねします。
○尾村政府委員 確かに一月二十四日から今こまでわれわれの方にまだ回答が参りません。二月の六日、私どもの方から先ほど申し上げました問い合せを公文で出したのでございますが、この点で若干放置――来ないならば督促すべきであったと存じますが、実は今野原先生からいろいろ詳細に伺って、非常に事態が現地でも扱いに困っている、程度のひどさがわかったわけでございまして、先ほど申し上げましたように、今こまで通知の上ではああいう簡単なものでございます。それから衛生部長会議を二月の上旬にいたしましたときに、市の衛生局長も参りまして若干話を聞きましたが、あまり今のような程度の詳しいことをわれわれ聞くことができませんでしたので、各県から来ましてわれわれが指導しておるいろいろな複雑なものと比べまして、非常に簡単な程度の報告であったものでございますから、若干そこに手ぬかりがあったわけでございますが、ただ全般といたしましては、先ほど申し上げましたように、もうすでにこの七カ月間に二百十六件のこういう教育委員会との問題がございまして、不許可の例もございます。委員会に諮って、その回答も不許可であり、従ってそれを判断いたしまして、府県知事あるいは指定市長が不許可にした例も、次々と出ております。従いまして、不許可の例を作らぬような指導方針は一切いたしておりませんで、やはり一つ一つのケースが著しく教育環境を害するということになれば、これはもう当然秩序の保持のために法令ができておるわけでございますから、これに基いてどしどしと不許可は一向差しつかえない。ただあまりにいいかげんな調査で、こういうふうな制限を加えておる法令に確かに該当するかどうかもいいかげんな根処によって、ただ抽象的にこれを実行するということは、これは法の権威にも関することでございますから、十分な資料調査は行わせる、その上でこれを実行していく、こういうことでございます。従いまして今もし先生から伺いましたようなことでありますと、これは非常に重要なことは、一つはアパートとして建築許可を得ておるということのようでございますが、これには一つの詐欺行為そのものになるかどうかわかりませんが、官庁に対して最初から今のようなお話で、キャバレー類似の旅館ということを考えておりながら、許可だけはアパートで申請してとったということになりますと、まず前からの問題でさようなこと自身が非常にどうが、建築許可上の問題もこれも一つあるわけでございます。従いましてそれらのやり方も、もちろん許可、不許可の指定都市の判断にも一つの問題があるわけでございます。さよな意味でございますから、われわれといたしましては、これは法の趣旨に基きまして、当然厳正に実行するというつもりでおりますし、現在までも大体そのつもりでやってきたつもりでございますので、今わかりましたから、神戸市については特にわれわれの方から積極的に連絡いたしまして、ことに県側である程度すでに例を持っておるはずでございますから、これは他の市町村に対して県にも連絡をいたしまして、善処したい、かように存じます。
○野原委員 ぜひ一つ的確な、間違いのない御指導をお願いしたいのであります。
 そこで、今私も御答弁をお伺いして非常に意外に思っておりますが、神戸市が関係者に対して、そのこような不許可になった先例はないのだ、こう言われておるようでありますけれども、今部長の話を伺いますと、そういうことはない、不許可になった例はあるということであります。
 それから建築許可の問題でございますが、これは私が今後出てくるケースとして考えられることは、最初は純粋な旅館あるいはアパート、こういうようなもので建築許可をとっておいて、あとで用途変更というようなことでまた新たな願いを出して、建物は建ったという既成事実を利用して、この種のものが学校周辺に出てくる、こういう脱法的な行為が考えられないではないのであります。このやり方で実は来ておる。これはやはり問題でありますから、この点についても一つ十分御配慮が願いたいのであります。
 そこでもう一点お伺いしたいのは、神戸市立の下山手小学校でございますが、ここから真向い二十メートル弱のところに百三十坪の敷地でホテル花隈というのを建てるというので、実はまた大問題が起っておる。なぜこれが問題になってきたか。まだこの建築許可はおりていないようでありますが、ここの育友会が問題にしたのは、この近くの湊川幼稚園の方のホテル田園、これが問題になって、ついに既成事実を押しつけられようとしておる。そこでもうこれは建築許可のおりるときに問題にしなければ、建物が建ったらもういかんともできない。私は現地を見ましたが、下山手小学校というのは、神戸の山手、兵庫の県庁に近いところにございまして、皆さんも御承知のように住宅地であります。神戸では最も高層な官庁街になっておるのであります。旅館はここの近所には一軒もないのであります。ああいうところに旅館を建てて商売が成り立つわけがない。ところがあそこにホテル花隈を建てるというねらいは、三ノ宮の波止場から自動車に乗ればわずか五分、歩きましてもきわめて近いところでございまするから、外国船でやってきます水兵あるいは船員、そういうものを目当てにした建築を実は考えておるようであります。そこでまた建築許可がおりるんじゃないが、おりたらホテル田園の二の舞、湊川幼稚園の二の舞がくるというので、下山手小学校では、この種の建築許可をするならば、実は訴訟も辞さないというので、この育友会長は弁護士をされておる方でございましたが、非常な憤激をしておるのであります。この点についても、やはり問題が起ってから指導するというのでなしに、この建築許可を持つ許可権者に中央の官庁としては事前に十分な指導をなさなければならない、このように考えますが、これに対する御所見を承わっておきたいと思います。
○尾村政府委員 ただいまの下山手小学校の問題も、これは通知を受けましたので、さっそく連絡をいたしまして、建築許可前の問題、まだ営業許可の問題にまでなっておらぬわけでございますが、いくいく今度営業許可問題が出れば、われわれの方もそれからですと非常にむずかしい問題になるわけでございますので、事前に連絡をいたしまして、衛生当局の所管そのものではございませんが、同じ県知事なりあるいは市長の下にこの許可権があるわけでございますから、事前に、建築願に対するときからこれを善処するようにということだけをとりあえず連絡いたしております。大体それに対しては異存ないので、極力さような趣旨で指導する、連絡をするということでございましたが、一昨日までさような状況でございます。
○野原委員 私はこの種の質問についてはこれで終りたいと思いますが、私が聞きましたところによると、この二月の下旬に、一月の下旬でございますか、下山手小学校の育友会と湊川幼稚園の代表が神戸市に参りまして、三月の五、六、七日に十分一つ話し合いをしょうではないか、こういう申し入れをしたようであります。そこで私も現地に参りましたときに、幼稚園の者には注意をしておったのですが、何せ二千万円という金を使って建てた建物のことでございますから、これを撤去しろといってもこれは事実上できはしない。従って純粋な旅館、アパート、当初願を出したアパートということであるならば、文句を言うべきではないじゃないかということを私も現地で申しましたところ、そういうことであれば私どもは決して文句を言わない、そういういかがわしい建物になるということだけを心配しておるということであったのであります。そこでそういう考え方で市と十分話し合いをしなさい、そうすれば建物を建てられた方も損害がいかぬでも済むじゃないかというので、三月の五、六、七日に神戸市の衛生局とも話し合いをする、こういうことに約束をしておりましたところ、いかなる理由があるのか、その話し合いは無期延期だということを市から言ってきたものでございまするから、非常にまた憤激をしておる。私はどう考えても、この種のことがどうも神戸市においては的確な措置がとられていない。悪くとるならば、だれかそこに力のある者が背後におって、市に圧力をかけておるのではないかとまで実は疑わなければならないような事態にきておるわけであります。どうか一つこれらのことも十分お考えの上で、やはり国会が作りました法律、旅館業法の一部改善がなされたその改正の趣旨に立つちまして、この種のものに対しては断固たる英断を下されるように私は切望してやまぬのであります。重ねて御所見を承わりたいと思います。
○尾村政府委員 ただいまの点は御趣旨の通りでございまして、われわれといたしましても昨年この法の改正をいたしたわけでございますから、これに従って正確にこれを実施するようにいたしたいと思います。なお今せっかくのいろいろなごあっせんによりまして、三月の上旬にほかの旅館のように清純な形で運営するということで話し合いのできることを地元の力で期待するくらいにあっせんができたにかかわらず、市の方でさようなことまで無期延期にして問題を複雑にし不適当に――ほんとう言えばお話の通りでございます。もうできたものをそのまま焼き捨てるとかあるいはよそへ移転するとかいうことは、いろいろな困難性もやはり別の意味で出ましょうが、あくまでもそれが教育を害さないように設備を改善いたしまして、現在お話のような設備を撤去いたしまして、まじめにやれば、やはりこれは神戸市内でありますから、旅館として成り立たないことはないと思いますので、その機会を逸したことはわれわれも非常に遺憾に思います。この点を連絡いたしまして、さような線で早くまじめに解決するように指導いたしたいと思います。
○山下委員長 次に文教行政について高村坂彦君より質疑の通告がありますから、これを許します。高村君。
○高村委員 実はけさほどラジオ放送で大阪市の生田区の某中学校の卒業式に不穏の状況があった、こういうことで学校当局から警察官の出張を要請したということを聞いたのであります。まだこういったことに対して詳細な報告等は文部省の方で得ておられないかもしれませんが、私は、最近の教育界にそうしたわれわれの想像のできないようなことがいろいろ起きている。これに対して文部省はどういうふうに考えておられますか。この情勢につきましても至急に一つ実態を明らかにしてこちらの方に御報告をお願いしたいと思いますが、これらの点につきまして文部当局の御所見を伺ってみたいと思います。
○臼井政府委員 ただいま高村委員の言われた大阪市における卒業式の際の不穏な問題というようなことは、まだ私どもの方では承知いたしておりません。しかしもしそういうようなことがあれば教育上まことに重大な問題でございまするので、さっそく十分調査をいたしまして対処いたしたいと考えております。なお最近とかくいわゆる暴力教室というような言葉があるように、生徒間において教師に対して反抗的な態度をとる。中には徒党を組んで反抗するとか、さらにまた卒業の間際に、卒業した途端に、もう自分は生徒でないということで、日ごろ反感を持っている教師に対して暴力的な行為に出るというようなことをたまたま聞くのでありますが、これらにつきましてはまことに遺憾なことでございまして、文部省といたしましても、やはり教育の目的が社会人としてりっぱな平和的な生活のできるような人格を作るということが教育の大きな目標でございますので、そういうことのないようにいたしたいと考えております。目下教育課程審議会におきまして道徳教育を特設時間を設けていたしたいというのもその現われでございますが、こういうことはひとり学校ばかりでは目的を達せられませんで、社会の環境をよくして社会教育の効果が十分上るようにしなくちゃなりませんし、家庭教育についても十分意を用いていかなければならぬところがあると存じます。これらの点につきましては、PTA、婦人団体、教育団体等を通じて、できるだけそういう方向に持っていくように指導助言をいたしている次第であります。
○高村委員 まだ情報も入っておらないから、具体的な問題について対策その他の御指導等のことをお聞きすることは無理でございますから、他日に譲りますが、私はどうも最近教育の現場の秩序が乱れてきていると思う。今お話もございましたが、どういうところに根因があるかについては、文部省として十分に検討され、有効な対策を立てていただきたいと存じます。この点につきましてはまた機会を得て御質問申し上げることがあると思いますが、この大阪心の問題につきましては、なるべくすみやかに状況を御調査いただきまして、当委員会に御報告をお願いいたしたいと存じます。
    ―――――――――――――
○山下委員長 この際政府委員の出席の都合で、日本育英会法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。質疑の通告がございますからこれを許します。高村坂彦君。
○高村委員 日本育英会法の今回の一部改正の内容は、新たな進学保証制度ということでいわれております、高等学校に入る者で特に優秀な素質、能力を有し、また経済的理由によって著しく就学困難な者に対して国が助成をしようという内容のようであります。私はまことに時宜に適した内容と存じますが、これに関連いたしまして、育英会法に基くこれまでの貸付等について、若干のお尋ねをいたしたいと存じます。
 まず第一は育英会で貸付をいたしておりまする今日までの総額をお示しをいただきたい。それから、その貸付に基きまして本年度に償還せらるべき金額、そのうち大体どのくらい延滞納があるか、そういう数字がおわかりでございましたらお示しをいただきたい。時間の都合でまとめて御質問申し上げますが、第三番目は、現在の育英会法に基きまして貸付の希望を申し込んでおる額に対して一体どのくらいの程度に応じ得ているかということがおわかりでございましたらこれも明らかにいたしていただきたい。第四番目に、今回の特別のワクとして高等学校生徒に三千円ほど出すことになっております。将来この制度がだんだん実施されて参りました際に、大学に入った場合にはこれをどう扱おうとしておられるか。大学の段階においては三千円を幾らにするという構想を持っておられるが、この点も明らかにいたしていただきたい。第五番目は、さようにいたしまして高等学校並びに大学の貸付は大体七年で一応その総額がきまると思いますが、その最終の七年たったときの予算はどのくらいを要することに相なるが、これらの点につきましてお示しをいただききたいと存じます。
○臼井政府委員 三番目までの問題につきましては、計数に関することでございますので、担当の者からお答え申し上げます。
 四番目の、このたび新たに設けました奨学予約金制度――高等学校の従来の千円のほかに別ワクとして今度三千円の予約制度を設ける分でございますが、大学においては一体幾らくらい支給するか、これは予算との関係、大蔵省との関係もございますが、文部省としては現在二千円から三千円までの分の別ワクに大体八千円くらいを貸与するようにいしたい。八千円になりますと、四カ年になりまして非常に高額になりますので、その場合には、大部分は給付にしてその一部を返済させることにいたしたいと考えております。予算につきましては総額で大体二十五億くらいに考えております。従来の分が総額で約四十億くらいになっておりますが、現在の五千人分が順繰りに七年参りますると、ただいいま申し上げたように二十五億になることが予想される、かように考えておる次第であります。
○緒方政府委員 今の第一点の貸付総額でございますが、昭和十八年以来三十二年度までの貸付額を合計いたしますと三百八十七億五千万円と相なります。
 それから第二は、そのうち要返還額でございますが、これは御承知のように学校を卒業いたしまして二十年間に返還することになっておりますので、まだ返還期限のきているものがないわけです。従いまして的確にこれをつかむことはまだできない段階でございます。それからもう一つは卒業してからでございまして、貸付を受けましても学校に在学中は返還の猶予を受けております。そういう猶予を受けているものあるいは一部免除の規定がございまして、免除を受けているものもございますので、それらを差し引きまして、現在三十二年度で返還額として計算されますものが百四十八億八千九百万円、こういうことになります。
 それからもう一つ次の問題といたしまして延滞額でございますが、これは貸付を受けました者が学校を卒業しまして、年賦が半年賦等で返す契約をするわけであります。従いまして各人によりまして、最高二十年間でございますけれども返す計画は変って参ります。それで各年度ごとの返還をしなければならぬ金額を計算いたしますと、かりに三十一年度をとってみますと、当該年度で返すべき年賦金としましては五億八千七百万という計算になります。ところがこれがそのまま返還はなかなかむずかしいのでございまして、概括的に申し上げますと、返還の当該年度から五年たちますと大体八〇%までは返っておる。二〇%が五年問過ぎましたあともなお延滞金として残っておるという状況であります。三十一年度で申しますと、今申しましたように当該年度の年賦金としては五億八千七百万、延滞年賦金として四億九千七百万となります。従いまして三千一年度に返還すべき総額は十億八千四百万、こういうことになっております。そうして三十一年度に返還しまして収納しました額が三億一千二百万でございまして、今申しました意味の要返還に対しましての収納額の割合は二八・八%、そういうことになっております。
 これから最後のお尋ねの申請に対してどれくらい要望を満たしているかという問題であります。三十一年度に例をとってみますと、申請者総数に対しまして三十一年度に新規に採用しましたパーセンテージは平均三一%、人数で申しますと二十八万九千人が志願をしまして九万一千人が採用になっておる、こういう計算になっております。
○高村委員 今お話を承わって感じましたことは、三十一年度の返還年賦の総額が約十億ある、それで返還されたのは大体その二八%ばかりだというお話でございますが、そういうことになると延滞がだんだん累積していって日本育英会というものの経営といいますかそういうものが困難になるのではないかというふうにも私は考えますが、一体延滞の傾向というものは改善されつつあるのか、あるいは悪化しつつあるのか、その辺の事情をおわかりでございましたらお示しをいただきたいと存じます。
○緒方政府委員 これは返還を促進しますためには相当事務費を要します。だんだん貸付人員が多くなって参りますし、そしてだんだんそれが卒業しまして返還の義務を負って参りますから、要返還者の数もだんだんふえて参ります。これを一々追及しまして返還を促進しますことにつきましては、相当な事務的な手数が要るわけでございまして、そこで最近事務費の増額をはかりましてそれに努めておるような状況でございます。御指摘のようになかなかむずかしい状態でございまして、必ずしもいい成績でございませんけれども、しかしいろいろ工夫をこらしまして、あるいは大学に十分協力をしてもらうとか、あるいは地方の教育委員会に置いております支部に働いてもらうとかいうふうにいたしまして、少しずつは改善をしていっておるという状況でございます。なお今後返還の促進等につきましては十分検討をいたしたいと思います。
○高村委員 こういうことをなぜ私がお尋ね申し上げるかというと、今年進学保障制度というものを設けた際に、貸付の額と、給付ではございませんが将来免除する額というものがあるわけでございます。特にこうした思い切った政策をとった際に、貸付額のパーセンテージが非常に多いということであると、今後回収等が困難で免除というものがなかなか得られない。ある一定の貸付を返した際に条件が成就して免除になるような規定になっておると思いますが、そういうことがいつまでも免除できないということで、借りた者が卒業した際に非常な負担を感ずる、精神的な圧迫を感ずる、こういうことがありはしないかということを心配するわけですが、これに対してはどういうふうなお考えでございましょうか。
○緒方政府委員 ただいま御指摘になりましたように、このたびの新しい制度に基きましての貸付金は一般が千円でございますけれども、それに対して三千円を貸そう、しかし三千円そのままを返させるということになりますと非常に返還に負担を感ずることが大きくなりますので、一般の奨学生並みの金額、つまり千円を返せばあと二千円は返還を免除する、こういう制度にいたしております。これはただいま申し上げた通りであります。しかしその千円を返すにしましても、先ほど申し上げましたような実績であるので、非常に困難じゃないかという御指摘でございますが、何しろ先ほど申し上げましたように現在の実績と申しますのは、まだ貸付を受けました者の何人も期限に達しておる状況ではございません。二十年たっての現況でございませんので、的確にはその点は申しかねます。二十年たちましたら相当返還が上ってくるかもわからぬと思いますけれども、その点は今後の努力に待つほかはないと思います。ただ今度の特別貸付奨学金としての対象は、特に優秀な者を選んで貸し付けるということでございますから、卒業しました暁においては、おそらくいい社会的な地位も得られることだと思いますし、また人物としても優秀な人でございますから、二十年間の期限内にはおそらく返還をするようなことになるのじゃないか、こういうふうに期待をいたしております。しかしながら、もしその返還が滞る、二十年間になお返せないということになりますと、その人は非常に大きな債務を負うということになりますので、これは一つその返還については最初から特別の指導を加えていきたい、かように考えております。
○高村委員 あとに質問される方が、時間の関係でだいぶ急いでおられますから、途中で打ち切りますが、私はどうも日本の最高の教育を受けたというか、そういう方が学校を出て社会に出ました際に、法律できまっておる義務を行わなくてもいいんだといったような風潮が出るということは、道義的に見ても非常に残念だと思います。しかしそれに対しては、やはり国の施策としてもそういうことのできないような施策をしてやることが必要だ。そういう意味で、この返還を確保する上において、政府としてもあるいは育英会としても何らか的確な考え方というか工夫というか、そういうものをぜひやっていただきたいと思います。
 最後に一つ私がお伺いしたいのは、今回の特別保障制度を確立するに当って、特に優秀な素質、能力を有する者、また経済的な理由によって著しく修学困難だ、こういう標準に基いて選抜されるのですが、その選抜される方法というものをもし誤まれば、これは非常な物議をかもすと思うのです。それらについてどういう用意がおありであるか、この点について一言伺ってみたいと存じます。
○緒方政府委員 この選考につきましては、その実施は日本育英会をして行わしめるということに相なりますが、その基準、方法については文部大臣がこれを定める方で認定する、かように考えておるわけであります。従いまして文部省令にその詳細を規定いたしたいと思っておりますが、その一つの成績優秀という点でございますが、これについては、まず方法としましては、育英会の支部が各都道府府県にございますから、その支部に対して中学校長から推薦状を出させて推薦させる。その内容としては、学業の成績はもちろんでありますけれども、その人物あるいは健康、将来大成を期し得る人物であるかどうかという総合的な判定を加えた推薦をさせ、それを一応地方の支部で書面で選考いたした上、育英会の本部にこれを報告させまして、そうして育英会で全国的な統一した試験を行い、その試験によって成績の優秀性をためしまして、それによって成績のいい者を選んでいきたい、かように考えております。それから経済条件でございますけれども、これはなかなかむずかしい問題でございまして、形式的に何か線を一本引くということにむずかしいと思います。現在の一般の奨学生も、経済的な条件が悪い者が出願をして、悪い者から採用いたしておるわけでございますけれども、今度の制度の趣旨は、現在の育英制度でも救えないような、具体的に申しますと、千円の貸付を受けるだけでは進学を断念してしまわなければならないという者を取り上げていきたいということでございますので、今まで出願をしていた一般奨学生の例等を十分勘案いたしまして、なおそれよりも経済条件の悪いということをいろいろな具的体な事例をあげまして、特別奨学生として取り上げるにふさわしい条件の者を相対的に比較して取り上げてみたい、かような方法をとるほかないと存じます。これも今申しましたように、地方の支部、育英会本部において十分比較検討いたしましてこれを選考していく。
 それからもう一つ申し落しましたけれども、一番重要な問題としては、従来の一般の奨学生は、学校に入りましたあとで選考しましたけれども、これは進学の保障という趣旨でありますから、高等学校にいく者でありますならば、中学校の最終学年の最終の段階で選考して、そうして高等学校に入ったならばこれだけの奨学金を貸与するぞという予約をしていこう、こういうように考えております。これらのことを文部大臣の定める方法として規定をしたいと思います。
○山下委員長 本案に対する質疑は後日続行することといたします。
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○山下委員長 それでは関係政府委員の出席がございますので、先ほどに引き続きまして文教行政に関する質疑に入ります。質疑の通告がございますからこれを許します。河野正君。
○河野(正)委員 御承知のように、来たる五月二十四日からアジア二十カ国の約二千名に及びます選手が参加いたしまして、六月一日までアジア競技大会が開催せられることになっておるのでございます。もちろん本大会の趣旨は、スポーツを通じてアジア地域の国国が、お互いの友愛、親善、そういう友好関係を強化増大せしめていこうという点にあることは論を待たないのであります。しかし、また一方におきましては、日本がこの一つの機会を通じて、アジア諸国に対するあらゆる考え方こいうものを、それぞれアジア諸国に認識してもらう絶好の機会であるということも忘れてはならぬ点であるというふうに考えます。そこでこの際、日本がアジア競技大会を主催するに当ってどのような心がまえでおられるのか、こういう点についてまず一つ文部当局から承わっておきたいと思います。
○臼井政府委員 このアジア大会が行われますのも、やはり世界オリンピック大会の開催と趣旨は同様でございまして、ただいまお話のように、国際間の親睦をスポーツが奨励され、また国民体育大会が催されますのも、国内における国民相互のスポーツを通じての理解、さらにまた健全な精神と身体を作り出す、こういうところに目標があるのでございます。オリンピック大会が開かれますのも、いろいろ過去におけるところの歴史的の経過もございますが、やはりおもな目標、目的というものはそこにあるものである、かように考えておる次第であります。
○河野(正)委員 ただいま当局からの御答弁をいただきましたが、私が冒頭に御指摘申し上げましたように、やはり本大会というものは、アジア地域の国々がお互いにスポーツを通じて友愛、親善の実を深めていくということに根本的な考え方があるということは、これは否定することのできない事実であると私ども考えております。ところが、そういったお互いの友愛、親善の実を深めていくということは、言葉を返せば基本的にやはり平和のための行事であるというふうに考えなければならぬと思うのでありますが、その点についてはいががでございますか。
○臼井政府委員 ただいま河野委員のお説の通り、お互いに民族間、国民間の理解を深め、親善を進めて、そうして平和のためにも寄与しようということが大きな目的であるということをわれわれも信じております。
○河野(正)委員 ただいま御答弁をいただきましたが、やはり、本大会というものは基本的には平和的な行事であるということにつきましてはまあ異論ないようでございます。ところが承わるところによりますと、一作々日の閣議におきまして、このアジア競技会というと平和の行事に対しまして、自衛隊がトーチ、炬火と申しますが、こういったものの輸送その他で協力するという方針が確認されたというふうに承わっておるのであります。ところが、私が冒頭に御指摘も申し上げましたように、この行事というものはどこまでも平和的な行事でなければならない、しかも今日のアジア諸国というものは、ややもいたしますと、日本の自衛隊、あるいは日本の今日の再軍備政策というものが、かつての侵略政策に移行するのではないかというふうな一つの疑惑と申しますか、懐疑と申しますか、そういった眼で見守っておる、私はこういう現実はやはり見のがしては相ならぬと考えます。そういった現段階におきまして、もし自衛隊の協力というものが、ただいま申し上げましたようなアジア諸国の懐疑心と申しますか、杞憂と申しますか、そういったところにいろいろと誤解を生ぜしめるというようなそれが――こういったせっかくの協力であると思いますけれども、その協力によってそういった誤解が生ぜしめられるおそれがあるのではないか、ということを私どもきわめて大きく心配いたすのであります。そこでこの点に対しまして一つ御所信を承わっておきたいと思いますし、なおまたこの点につきましては、せっかく御協力するということでございますから、防衛庁当局の御所信もあわせてお伺いいたしておきたいと思います。
○臼井政府委員 ただいま、アジア大会の聖火リレーに自衛隊機を使用するのはどうか、こういう御質問でございましたが、この第一は、民間の旅客機には火を持ちむ込ことができないということになっておりますので、そこに民間旅客機を使うことの第一の難点がございます。
 さらにまたオリンピック大全の従来の例を見ましても、旅客機により、すなわち民間機によって火の持ち込みが同様できないために、たとえば一九四八年のロンドン・オリンピック大会では、英軍機がやはり聖火リレーの役目を果しております。また一九五二年のメルボルンにおけるオリンピック大会におきましても、濠州の空軍飛行機がやはり同様の聖火のリレーをいたしております。
 また第二番目の理由といたしましても、このアジア・オリンピック大会は、アジアの二十カ国が参加をいたしまして行う国家的な行事とも言えるのでありまして、従って国もこれに六千万の予算を支出いたしまして、できるだけ支援、協力いたしまして、円滑な運営ができるようにいたしておりますので、この意味で聖火のリレーにおきましても、国の機関である自衛隊機を使用してこれに協力をいたしたい、かように考えておるのであります。
 なお何が自衛隊機――これは防衛庁の方からお答えするのが適当かと思いますが、私どもといたしましても、自衛隊というのは、その字の示す通り自衛でございまして、自衛のための部隊、団体でありまして、平和を守るための自衛であります。従ってこれを平和のために利用するということは、むしろ非常にけっこうなことではないか、かように考えるのでございまして、むしろ平和のためにこういう国際的な行事に自衛隊が協力するということが、各国間にもしかりに多少でも誤解がありとするならば、決して妙な野望を持っている部隊ではない、こういうことの証明にもなるかと思いまし
て、私どももこの点についてはむしろ協力することが望ましい、かように考えておるのであります。
 さらに、第四には、聖火リレーの計画は、前大会の主催地でございましたマニラ市のリサール競技場から沖縄を経まして鹿児島、それから熊本、佐賀、福岡、それに山陽、東海道を経て、各県を逐次リレーして参りますので、そうして東京に入る。その点からいたしますと、自衛隊の飛行場が鹿児島にございますので、そういう点からいっても運営上非常に便利である、かように考えております。
それから第五には、この自衛隊機は、先ほども申しました通り平和のためにもできるだけ利用する、ことに災害の救援事業とか、人命救助とか、血清の輸送とか、急患輸送等を初め、各地で行われまする博覧会等の催しにつきましても、これは協力をいたしておるのであります。
 さらに聖火のリレーに使用いたそうという計画の自衛隊のP2Vという飛行機は聞くところに、よると、飛行距離、また安全性におきましても、日本の飛行機のうちでは最優秀である、こういう点からいたしましても、この機を使いまして安全に一つリレーしていただきたい。
 以上大体の理由を申し上げまして、本大会のために一役を果していただきたい、かように考えておる次第であります。
○小山(長)政府委員 自衛隊機を今度の聖火リレーに使いますここは閣議できまったのでありますが、これは文部省の要請により、また政府として、アジア大会を円滑に終らせるためというのがその主たる目的であります。自衛隊の飛行機が参って非常に物騒なようにお感じでありますが、たとえば国際親善のために軍艦を派遣するというようなこともあるのでありまして、軍艦が参りましたから物騒だということがないと同じように、飛行機が参りましても、別に武装しているわけでもありませんし、その点については、かえって、文部政務次官から申しましたように、むしろ国際親善を増進するものというふうに考えておるわけであります。
○河野(正)委員 ただいま当局側からそれぞれ御答弁がございましたが、その点に対しましては、私ども根本的に考え方を異にいたしております。ことに過去の歴史をながめてみても、かつて英軍機あるいはまた豪州機がそれぞれ炬火を運んだというふうな話もございますけれども、しかしながら日本の今日置かれております立場というものは、そういった英軍機あるいは豪州機が運んで参っております場合と、今日の日本の情勢というものは、ことにアジアにおける情勢というものは、はなはだしく国情を異にいたしておる。そういう中でそういったことを行われることがきわめて適切であるかどうかというようなことについて、私ども異論を持っておるわけでございますから、この点はまことに残念でございますが、根本的に考え方を異にいたしておるというふうに指摘をしなければならぬと思うのでございます。
 それからもう一点お尋ねしておきたいと思いますが、それは自衛隊の優秀な一千名の隊員を動員して、そしてそれぞれ警備その他の行事に参加せしめるというようなお話もございますが、その点はいかがでございますが。
○臼井政府委員 別にそういう計画は今のところ私の方で承知いたしておりませんけれども、何が他の点からの誤報が何かではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
○河野(正)委員 それでは今度自衛隊がアジア競技大会に直接協力されるのは、いわゆるマニラから炬火を日本の国内に持ち運ぶ、このこと一点でございますか、一つこの点大臣あるいは防衛庁から御答弁願いたい。
○門叶政府委員 御答弁申し上げます。ただいまお話がございました警備要員の御要請もかつてはあったわけでございます。各国の例に徹しますと、こういう大会におきましては、大体軍隊が警備要員として出るというようなお話から、そういうようなお話もございましたが、防衛庁といたしましては、防衛庁の権限の範囲におきましてでき得る限りの御援助を、文部省の御要請に基きましてやりたいということで、その範囲で御相談申し上げておる次第でございます。お尋ねのP2Vのほかには、アジア・オリンピックの憲章できまっております祝砲と申しますか、礼砲と申しますが、これを打つという話がございます。この点につきましては、若干検討いたしまして、その御要請にここたえたいと思っておる次第であります。なお、たとえば開閉会式の行進に防衛大学生がプラカードなどを持って行くというようなお話し合いもございます。また音楽隊が消防庁その他と一緒に出てくれというようなお話し合い、その他二、三ございます。これらはいずれも今申し上げました範囲内においてお引き受けいたしたいと考えておる次第であります。
○佐藤(觀)委員 ちょっと関連して質問するのですが、ほんとうは津島防衛庁長官に来てもらわなければなりませんが、来られませんが、ちょっとお尋ねします。今河野委員からいろいろ発言のある中で、どうも私たちが感ずるのは、津島防衛庁長官が防衛庁の長官であると同時に、たしかオリンピックの委員長をやっておられると思うのですが、そういう兼任でおやりになっているのかどうかという疑問があるのですが、こういう点について防衛庁はどういうようにお考えになっておるか、これは津島防衛庁長官から聞きたいのですが、きょう出席がないので、その点のことをはっきり聞かせていただきたいと思います。
○小山(長)政府委員 これはたまたま防衛庁長官がそういう地位にあるというだけのことでありまして、各国の事例、それから国の機関として協力するものとすれば、自衛隊が最も適当であるというような考え方から、文部省より話がありまして、われわれの方でも権限の範囲内においてやれることだけの御助力を、申し上げよう、こういうことになったのであります。すべて先例によるところであります。
○河野(正)委員 ただいまいろいろ御答弁があったわけでございますが、いずれにいたしましても自衛隊の飛行機がマニラに参りまして、このトーチを運ぶということにつきましては否定ができないようでございます。
 そこでお尋ねを申し上げたいと思うのでございますが、御承知のように自衛隊法によりますと、いろいろの自衛隊の任務が明白に規定されております。少くとも外国に飛行機が飛んで参るわけでございますから、やはり自衛隊法に定められました一つの任務に基いてその行動が展開されると思うのでございます。しからば一体どういう任務に基いてそういった行動が行われるのか、そういった一つの根拠をお尋ねいたしたいと思います。
○門叶政府委員 今お話のP2Vがマニラに参りますことは、P2Vは御承知の通り相当足の長い哨戒機でございます。始終日本の近海その他を訓練のために飛んでおるわけでございます。今回その訓練を兼ねましてマニラまで参る、あわせて今度の役割を果したいというふうに考えております。申し上げるまでもなく防衛庁といたしましては、その所掌事務の教育訓練に必要な行為をなすようにしていきたいと思っております。
○河野(正)委員 訓練のためというお話でございますけれども、御承知のように自衛隊法の雑則の百条の中に、訓練の目的で使用される場合のことが明白に規定されております。それは主として原則的には災害等の場合に、それぞれの要請があって行動を起すというようなことが、私は訓練の目的云々の条項ではなかろうかというふうに判断いたしておるのでございます。ところが今度の場合は、少くとも外国に飛んでいく場合でございますから、やはり原則的な一つの法的根拠に基いて行動をされるということが―国内の問題ではございません、外国でございますから、当然私は原則的な、法の示すとこころの根拠に基いて行動せられることが最も正しいというふうに思うわけでございますし、なおまたこの点につきましては、一つ文部省の方から、それぞれ自衛隊の方にも御要請があったと思いますので、その方につきましては、文部大臣からも率直なる御意見を承わっておきたいと思います。
○松永国務大臣 河野委員の御指摘になりました点につきましては、私どもの方ではそう詳しいことを承知いたしていないのです。ただしかし先ほど来いろいろな御質問があったのでございますが、要するにこの行事は、すなわちアジア・オリンピック大会を開催するための行事でございます。従って全アジアの民族が非常に友好と親善を増長せしめるに好ましいことだと思っておる。これがほんとうに私しみじみ考えることは、紀元二千六百年の記念事業として、さきに国際オリンピックを東京に招致するように、大体―大体どころじゃない、全部きまっておったのです。それを、御承知のような軍部の横やりによってとうとうめちゃめちゃになって実現することができなかった。もしあれができておれば、各国がほんとうに親善を増長して、ああした不祥な戦争なんかは、日本が参加しなくてもよかったのじゃないかという工合にすら考えておる。従って今度のアジア大会では、これはもうほんとうにアジア民族の平和を基調とする親善の向上に非常に役立つものだと思いまして、それで実は、まあ費用もあまりありませんので、そこで防衛長官に頼みまして、それでとりあえず、ちょうど鹿児島の鹿屋に、すぐ一飛びでマニラに行けるところに飛行機の基地があるので、そこから出そう、こういうことになりまして、それならばぜひそうしてもらいたいという軽い気持で、平和の親善の向上に非常に役立つことだと思ってお願いをした、そのほかは私はお願いはしておりません。ですから、大体飛行機でその聖火を持って来てくれる、こういうところまで、私は承知しておりますけれども、それから先のことはお願いもしませんし、まだよく承知いたしておりません。
○河野(正)委員 ただいま大胆の御弁を承わって参りまするというと、いろいろお考え方は私ども了解いたすこことにやぶさかではございませんけれども、しかしながら、日本の今日アジアにおきまする立場というものは、きわめて微妙な点があるのではないかというふうに私は判断をいたすわけでございます。なるほどアジア競技大会が今度日本で行われますこともきわめて私はけっこうなことだと思います。しかしながら、せっかくけっこうな行事で、しかも平和的な行事で、この際この機会を通じて、日本が平和を愛好する国民であるということをアジアの諸国民に示す最もいい機会であるというふうに私ども考えておるわけでございますけれども、そういった考え方にもかかわらず、一方におきましてはこの自衛隊の飛行機が参加をするというようなことで、いろいろ日本の考えておりまする考え方に誤解を生ぜしめるというふうになりまするならば、私はアジア競技大会を開催するということが、日本のためには、あるいはかえってマイナスになるのではなかろうかというふうな心配もいたすわけでございます。そういった意味でお尋ねをいたしたのでございますが、先ほどから、防衛庁もあるいは文部大臣も非常に軽い気持で、というようなことでございます。しかしなら事が国際的な関係を持っておりまするから、私はやはりこういった問題につきましては、明らかに法的な根拠に基いて行動されなければ、政府はしょっちゅう法の慣例というようなことを強調されておりますが、そういった岸総理等の御趣旨とも相反するのではなかろうかというふうな心配をいたすわけでございます。
 なおまた私どもが心配いたしますのは、自衛隊が行動をいたしまする場合、自衛隊法の第七十六条に明らかに明記をされておりますが、その七十六条の防衛出動が主として問題になるわけでございます。もちろんさっき私が御指摘申し上げましたように、優秀な一千名の隊員が国内の警戒その他で動員されるということになりますならば、そのほか七十八条の命令による治安出動、あるいはまた八十一条の要請による治安出動というようなことも当然問題になってくると思いますけれども、その点は先ほど御否定になっておりますので、問題は七十六条の防衛出動ということに相なって参ると思いますが、その点との関連をどのようにお考えになっておりますのか、事国際的な問題でございますので、この点も一つ明確に御答弁を願っておきたいと思います。
○小山(長)政府委員 これはそんな大げさなものではないのでありまして、自衛隊は命令によるあるいは法律の出動とか、そういうものがありますが、訓練というのがあるのであります。自衛隊を置く以上は始終訓練をいたしております。ことにP2Vは海洋訓練をやりますが、特に航法訓練というものをやる。ラジオの電波も何も通っておりませんところをコンパスを使って、あるいは無線機を使って方位を観測しながらやる訓練、これはP2Vの最も大きな訓練の目的なのです。その訓練はたとえば海を飛ぶことによって非常に有効に実施できますので、始終公海の上を訓練をいたしております。その訓練の一環としてやることは自衛隊としては一向差しつかえありませんので、フィリピン当局が国内に入ることを許してくれるならば、国際親善にも役立つことであるから、訓練をかねてこれを実施いたしたい、こういうことなのであります。
○河野(正)委員 ただいま訓練であるので差しつかえないということでございますけれども、そういったようにことごとくを訓練に便乗して行動するということになりますならば、私は何も自衛隊法でいろいろ出動の行動を明記して厳格に制約をする必要はないと思います。そういったような訓練に便乗していろいろ程度を越した行動をするおそれがあるので、私は明らかに法文には明記されておるというふうに判断をいたすので、そういった点を御指摘を申し上げておるのであります。ところがそういった点をことごとく訓練だ訓練だということになりますならば、私は岸総理のいわゆる法の慣例もへったくれもあったものではないというように思うわけでございますが、その点は文部大臣、いかがでございますか。
○松永国務大臣 これは防衛当局からお聞きを願わぬというと、私どもの方では防衛庁のこまかな法律なんかは承知いたしておりません。ただ今防衛庁の政務次官の申し述べることで私は尽きておる。私はその方面の法律まで研究いたしておりません。防衛庁の政務次官の御主張を援用するほかはないと思っております。
○河野(正)委員 実は大臣にお伺いいたしましたのは、やはりそういったことで法の悪用、便乗と申しますか、そういったことをやられますと、今日の自民党内閣の方針にも反するわけです。しょっちゅう岸総理は日を開けば法の慣例の実行ということを口すっぱく強調されております。ところがそういったことと相反しますので、実はそういった点に対しまする御所見を承わりたかったわけでございますけれども、その点はきわめて残念といわざるを得ないのでございます。
 それからこれは大臣も御承知だと思いますけれども、今度の項目の中では神奈川県でライフル銃の射撃競技が行われるごとになっております。この射撃競技が行われるわけでございますが、この点いろいろ危険その他万全を期し得られるというふうに考えておられるのか、この点も一つ、これは文部当局がら明らかにしておいていただきたいと思います。
○福田政府委員 ただいまの御質問でございますが、もちろんアジア大会の行競技種目につきしまていろいろございますが、射撃等につきましては特にそういった危険の場合も予想せられますので、そういった点については万全の措置をするように、アジア大会組織委員会等においても研究工夫をいたしております。
○河野(正)委員 そういった点もあって、実は私ども先ほど申し上げましたように、一千名の自衛隊の隊員を動員して、そういった危険防止その他に当らしめられるということじゃなかろうかというふうに考えておったわけでございますけれども、その点は具体的に御表明もなかったし、なおまた一千名の自衛隊員を動員するということにつきましては、自衛隊当局が御否認になっておりますから、それ以上追及いたしませんけれども、しかしながら時間もありませんから、最終的に申し上げたいと思いますのは、ただいまいろいろ私が御指摘申し上げましたことは、冒頭にも申し上げましたように、われわれが今回のアジア競技大会を通じて日本がアジア各国との友好親善の実をぜひとも上げていかなければならぬ、それがこのアジア競技大会に課せられました日本の一番大きな使命であるというふうに私は考えるわけでございます。ところが一方、先ほど私がいろいろ御指摘申し上げましたように、法的にも、あるいはまた今日日本のアジアにおける立場からながめて参りましても、いろいろアジア諸国が、あるいは日本の行動、態度に対して疑問を持つおそれがあるのではなかろうかという点も多々あるのでございます。これが私ども指摘しております以上は、あるということは、これは全面的に御否定はできぬと思います。そこでこの点は一つ明らかにしていただきたいと思うのでございますが、それはさっきも大臣から御答弁がございましたように、マニラから日本にトーチ、炬火を持ち込んで参る以外には、何ら具体的な話し合いらしいものはやっておらぬというふうな話もございました。そこで先ほど私が御指摘申し上げましたようないろいろなことを十分尊重をして、今後万全を期し、さらにアジア競技大会に課せられました最大の成果を上げていただくことを心から祈念をいたすものでございます。時間もございませんので、そういう点に対しまする大臣の総括的な御所信を伺っておきたいと思います。
○松永国務大臣 御指摘になりましたように、もともとアジア大会が、先ほど来申し上げる通り、アジア各国の親善を増長するということがねらいどころでありまして、その目的に反するような行動は一切慎しまなければならぬ。従って法律に準拠してすべての行動をやらなければならぬことは当然であります。仰せになりましたような点等については、私は所管じゃありませんけれども、それぞれの所管で十分研究の上、その大目的に反しないような行動をとるということはもちろんのことだと存じます。私どももまたそういう趣旨日に従って行動するつもりでございます。
○佐藤(觀)委員 関連して小山政務次官にお尋ねいたしますが、先ほど先例があるというお話があったのですが、オリンピックには防衛庁の飛行機を貸すという問題、それから練習というような問題、こういうような問題は、今まであまり問題になっていないのですけれども、そういうことはちょいちょいやっているのですか。これは初めてのケースだと思うのですが、そういう例があるのですか
○小山(長)政府委員 私が先例と申しましたのは、オリンピック大会には各国ともその国の軍用機を使っている、こういう意味の先例ということなんです。従って防衛庁における先例という意味ではございません。それは御了承願います。
○山下委員長 本日はこの程度といたしまして、これにて散会いたします。
    午後零時五十五分散会
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