第029回国会 地方行政委員会 第5号
昭和三十三年七月一日(火曜日)
    午前十時四十六分開議
 出席委員
   委員長 鈴木 善幸君
   理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君
   理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君
   理事 吉田 重延君 理事 川村 継義君
   理事 中井徳次郎君 理事 門司  亮君
      天野 光晴君    金子 岩三君
      小金 義照君    津島 文治君
      太田 一夫君    加賀田 進君
      北山 愛郎君    佐野 憲治君
      阪上安太郎君    下平 正一君
      北條 秀一君    安井 吉典君
 出席政府委員
        警  視  監
        (警察庁保安局
        長)      原 文兵衞君
        自治政務次官  黒金 泰美君
        総理府事務官
        (自治庁財政局
        長)      奧野 誠亮君
 委員外の出席者
        議     員 川村 継義君
        議     員 中井徳次郎君
        警  視  長
        (警察庁保安局
        交通課長)   内海  倫君
        総理府事務官
        (自治庁行政局
        長)      藤井 貞夫君
        運輸事務官
        (自動車局業務
        部長)     国友 弘康君
        専  門  員 円地与四松君
    ―――――――――――――
七月一日
 委員矢尾喜三郎君辞任につき、その補欠として
 北山愛郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
六月二十七日
 地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する
 法律案(中井徳次郎君外十名提出、衆法第四
 号)
 地方公務員法の一部を改正する法律案(川村継
 義君外十名提出、衆法第六号)
同月二十八日
 財政再建団体の行政水準引上げに関する請願(
 飯塚定輔君紹介)(第一〇四号)
 新市町村建設促進に関する請願(飯塚定輔君紹
 介)(第一〇五号)
 中小企業の事業税撤廃に関する請願(塚田十一
 郎君紹介)(第一六三号)
同月三十日
 地方公共団体における違法支出等の監査請求及
 び納税者訴訟制度の改廃に関する請願(伊藤よ
 し子君紹介)(第二三二号)
 市庁舎新増築費起債に関する請願(伊藤よし子
 君紹介)(第二三三号)
 自転車荷車税廃止に伴う代替財源に関する請願
 (伊藤よし子君紹介)(第二三四号)
 市町村立高等学校教職員の退職年金通算に関す
 る請願(伊藤よし子君紹介)(第二三五号)
 地方公共団体の部落問題対策費等に関する請願
 (田中織之進君紹介)(第二六八号)
 大都市の学校用地買収事業費起債許可に関する
 請願(菅野和太郎君紹介)(第二九五号)
 亜炭鉱業に対する電気ガス税撤廃に関する請願
 (平野三郎君紹介)(第二九六号)
の審査を本委員会に付託された。
六月三十日
 新市町村育成国庫補助金増額に関する陳情書(
 東京都議会議長上条貢外八名)(第三号)
 地方交付税率引上げ等に関する陳情書(東京都
 議会議長上条貢外八名)(第五号)
 消防制度改正促進に関する陳情書外一件(金沢
 市広坂通二石川県消防協会長三浦孫二外一名)
 (第六号)
を本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する
 法律案(中井徳次郎君外十名提出。衆法第四
 号)
 地方公務員法の一部を改正する法律案(川村継
 義君外十名提出、衆法第六号)
 地方自治及び地方財政に関する件警察に関する
 件
     ――――◇―――――
○鈴木委員長 これより会議を開きます。
 去る六月二十七日本委員会に付託になりました中井徳次郎君外十名提出にかかる地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題として、提出者より趣旨の説明を求めます。中井徳次郎君。
○中井(徳)委員 ただいま議題となりました地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨を説明いたします。
 地方財政再建促進特別措置法が施行せられましてより約三年になりますが、その間に赤字地方団体が再建について極力努力をせられたこと。昭和三十一年度において一時的な経済界の好転があったこと。従来よりも不十分ながら地方団体に対する財源措置が上向いてきたこと等の原因によりまして、だいぶその後の状況が変化して参りましたのと、本法施行の経過にかんがみますと、本法律につきましては、歳入が計画を上回った場合の規定が整備されておりません。従いまして、たとえば歳入増になった場合の措置等につきましても、政府は、その何割は赤字の償還に、何割は事業に等々非常にこまかいところまで内面指導をいたしておるやに伺うのであります。また政府がそのような法の施行に際しまして、審議において議論になりました以上に赤字団体に対してのみまことに峻厳に過ぎるような行為が多いのでありまして、そのような欠陥を有しておりますから、赤字の承認を受けました再建団体は、依然として準禁治産的な扱いを受けておるのであります。そこで今回これが一部改正をはかりまして、再建団体の自治権を守るとともに、国の責任を明確にしようというのでありまして、これが本法案を提案する理由でございます。
 次にその内容について御説明申し上げます。
 第一点は、再建計画と予算の調整との関連であります。現在では予算の調整は必ず再建計画に従ってやらねばならないというようになっておりますが、そういうように努めなければならないと表現を改めまして、緩和措置をとろうというのであります。すなわち再建団体の予算編成に当っては一々こまかい点について、政府としては自治体の運営に介入するものではないと本法審議に当って言明していたのでありますが、実際の運営についてはそうではなくて、給与改訂の際、給与表適用の一例にも見られたように、再建計画を通じ、財政運営の相当こまかい内容にまで介入を受けておるというのが実情であります。この点は、自治行政の本質に顧みましてあまりに厳格な束縛規定と考えられるのであります。
 第二点は、利子補給の問題であります。法の第十五条によりまして政令の定める基準によって、利子補給をするということになっておりますが、法律の中で三分五厘をこえる分については、五分以内で利子補給をするということは、大体五分の利子補給はできるものとの見解をとっていたのでありますが、実際は政令で二分五厘とか三分というように利子補給を制限しておるのであります。従いまして本法律案審議の期待にこたえるためにも、再建債の利子負担の重圧を緩和するためにも政令で定める基準によるという項を削除することは必要な措置であります。
 第三点は、財政状態の好転によって、もはや再建団体としてでなく、自主的に再建できる可能性も一部では生れているのでありまして、昭和三十三年度、すなわち本年度以降において、自主的な再建ができるというような団体については、法の中に所要の規定を置いて、再建団体が自主的に再建する道を開いてやるという措置をとろうとするものであります。この場合、もちろんそれ以後は利子補給はなくなるわけでありますが、再建債の償還については、直ちに繰り上げ償還をするということではなくして、原則として、既定の計画によって年次的に償還をするという道を開いてやろうというのであります。
 以上が本法案のおもなる内容でございますが、何とぞ慎重に御審議の程お願いをいたします。
○鈴木委員長 これにて本案の趣旨説明は終りました。
    ―――――――――――――
○鈴木委員長 次に六月二十七日本委員会に付託になりました川村継義君外十名提出にかかる地方公務員法の一部を改正する法律案を議題として、提出者より趣旨の説明を求めます。川村継義君。
○川村委員 初めにお断わり申し上げますが、プリントが大へんずさんでございまして、誤字も相当入っておりますが、こかんべん願いたいと思います。なお初めの見出しの「地方公務員法の一部を改正する法律案」というのを、「改正する法律案の趣旨説明」と御訂正置きをお願い申し上げたいのでございます。用意いたしましたプリントに従って御説明を申し上げて参ります。
 地方公務員法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表いたしまして、その趣旨を説明いたします。
 国家公務員法が昭和二十二年に制定され、それまで権力の上にあぐらをかいてきた「天皇の官吏」から、民主的な国民に奉仕するための諸制度が規定された「国民の公僕」としての公務員制度が確立され、国民も大きな期待と信頼を寄せたのでありますが、その翌年昭和二十三年、マッカーサー書簡に基く国家公務員法の全面的な改正は、国民の公僕から、政府や高級官僚の特定のものにつながる、すなわち、全体の奉仕者から、一部の権力者の下僕的な制度へ逆行させ、国民と、公務員を離間させる悪法となったことは衆知の事実でございます。
 勤務評定についても、公務員法の中に初めから規定されていましたが、これはある意味では、日本の官僚機構の中では、学閥とか、あるいは門閥とかの特定の機構につながる者のみが昇進し、それにつながりを持たない者は、いかに有能な者でも下級官吏として甘んじなければならないという前近代的な悪弊が存続していたのでありまして、このような機構を打破し、能力ある者はだれでも昇進できるために、勤務評定を役に立てることができるのではないかという考えがあったのでございます。しかし、公務員制度が改正され、非民主的な制度に逆行してからは、この勤務評定は公務員を圧迫する大きな手段に変りまして、特に昭和二十六年、勤務評定制度に関する人事院規則が制定されるに至りまして、明らかにその本性を暴露したのであります。このことは各都道府県における県庁職員や、教職員に対する行政整理や、昇給昇格の停止にこの勤務評定が政治的に利用されてきていることを見ても明らかでございます。公務員についての勤務成績の評定は、近代公務員制度に取り入れられた科学的人事管理の重要な要素であるという言葉の上での大義名分は、実は公務員に対する首切りや、賃金ストップを合理化する言いわけであり、その本質は、政治的権力によって、国民のための政治を一部権力者によってほしいままにする専制政治のための手段であり、また、官僚統制による政治の中央集権化をねらう一つの方法にほかならないと思われるのであります。では、この勤務評定が科学的人事管理のため必要であるということを少し解明してみると、もちろん官庁における人事の問題は、行政上においては重要な部門であり、この人事行政が民主的でかつ適正でなければならないということは、政治の基本的命題である。そのため政府は普遍的、妥当性をもった特に科学的な根拠に立った基準を設定して、人事管理を行うというのでありますが、その科学的というのは一体どういうことであろうか。その科学的ということを明らかにする必要がある。科学的ということは、これが本当の科学的なものであればこれは万人が納得し得るものでなければならなと存じます。勤務評定にしてもほんとうにこれが科学的なものであるとすれば万人が納得するはずでありますが、現に日本の全部の教職員はこれに反対しているし、各都道府県の県庁職員にしても、国家公務員にしても、これに反対を唱えているのであります。しかしこれは科学性の改善や、検討を加えればそれでよいというものではなく、科学性の本質の違いが重大な問題であるのであります。すなわち、この科学性が一部の特権的支配階級のための科学か、国民のための科学かということが勤務評定の重大なポイントになるわけで、国民の手から離れた一部の支配階級にのみ奉仕する勤務評定の制度はあり得ないということであります。この科学的人事管理方式は、アメリカで発達したものであり、これを基礎にしたわが国の公務員法制度もアメリカの直輸入であるといわれております。このアメリカで発達した科学的人事管理方式は、アメリカの労働者を低い貸金で押えていくために資本家を擁護するため考え出したのがこの方式であるということは衆知の事実でありまして、これを直輸入した日本の勤務評定が一部の特権階級擁護のための勤務評定であるということは明らかであります。
 実際に勤務評定を実施しているところで勤務実績が上り、職場が明るく民主的になったということは聞かれません。ただ聞くのは、首切りや昇給昇格のストップにこれが使用されたということだけでございます。勤務評定の結果は秘密として本人にさえ知らされません。このため職場は疑心暗鬼を生じ、特に上役にこびへつらい、下には傲慢不遜な官僚気風がみなぎり、しかも競争心をあおりたてて働かせるという非人間的行為が平然と行われるようになっているのであります。これは全く近代的公務員制度ではなく、前近代的公務員制度だといわざるを得ません。
 特に教職員に対する勤務評定は現在大きな問題を投げ与えております。国民のための教育が国家権力によって支配され、教育の地方分権は今や大きな危機に直面していることは世論のひとしく認めているところでございます。民主的な公選制の教育委員会制度を強引に改正し、国家権力によって教育委員を任命して、文部省の監督と指導の下に置き、教育を特定の一部の者がほしいままにしようとしているのであります。たとえば勤務評定について全国教育長協議会が教員の勤務評定試案を発表して、教育委員会が自主的に実施しているというような見せかけを行なっておりますけれども、昨年の衆参における文教委員会における政府、文部省の答弁によっても明らかでありますように、文部省は最初、全国的に一斉にこれを強行実施しようと計画をいたしておったのであります。しかし、国民の大きな反対に会い、その肩がわりとしてこれを全国教育長協議会に発表させました。これは、文部省の係官が何日もこの教育長協議会に出て、直接指導を行なっており、特に各県教育委員会の勤務評定規則制定に当っては、各県の教育の実態や県民の世論を無視して、督戦隊的な役割を果して来ておるのであります。
 ここで教職員の勤務評定に二三の例をとって、その内容を解明してみたいと思いますが、本来教育は教育基本法、学校教育法によって行われているのでありまけれども、これらの法律は、基本的人権を基調とした自主的精神、自発的精神を強調いたしております。ところが、勤務評定の中で教育愛、誠実、寛容、品位などの評定要素が例挙されておりますが、この徳目主義的な項目は、権力を背景とした圧力によって教職員を一つの型にはめ込もうとするものであり、その言葉そのものの持つ意味によって幻惑させて、個性の尊厳を重んずる教職員の自主的精神を奪い、中央の支配下に屈服させようとするたくらみが包蔵されていることを見のがしてはならないのでございます。教育愛にしても、誠実にしても、外力の圧力によって生ずるものは真の教育愛ではありませんし、誠実でもございません。これらはすべて教職員自身の自発的精神より生じ、教職員相互の協力と敬愛の中から出てくるものであるのであります。また「公正な評定結果に応じた教職員の人事管理によって志気が高まり、教育効果の向上が図られる」と言っておりますけれども、その評定結果の報告書を作成する場合、「相対評価であるが上や中に集中するのを防ぐため比率を定める」として、職場の中でその同僚を五つの段階あるいは三段階に分類しようといたしております。つまり、人間の弱点を利用して、優のグループ、中のグループ、劣のグループ等と別けることによって、競争意識をあおりたて、教職員相互の協力意識を捨てさせて、形式的な見せかけ教育に追い込もうといたしておるのであります。現在貧困な教育条件の中で、教職員の相互協力と助け合いがなければその職務の遂行は不可能であることは明らかであります。また「指導内容は正確、適切であるか」「生徒の進路指導を適切に行っているか」といっておりますが、何が正確、適切であるのか、客観的にこれをきめる水準が何であるか明かでありません。ただ評定者の主観によらなければならない。音楽の教師を国語の教師が評定することになるであろうが、正確、適切という基準を国語の教師はどこに求めて音楽の教師を評定しようとするのであろうか。全く乱暴な話しでありまして、職能的に分科されている教育実践の体系が破壊される危険性があることを見のがしてはならないのでございます。
 このように機械的、形式的な詰め込み主義が行われ、教職員の自主的、自発的精神が奪われて果して「普遍的にして、しかも個性豊かな文化の創造を目ざす教育」が行われるでありましょうか、積極的な自主的な子供の人間像を描くことができるでありましょうか。教育の画一化や基準化は全く教育勅語のもとに教育された、昔の教育への逆行と断ぜざるを得ないと思います。
 ここで勤務評定という科学的人事管理方式がアメリカから輸入されたことは前に述べた通りでありますが、このアメリカにおいて教職員の勤務評定がどのような傾向にあるか、簡単に申し述べると、アメリカはこれについては、すでに五十年間の経験研究を積み重ねて来ております。一九一〇年ごろは、教職員に対する生徒や父母の意見から、好ましいあるいは好しくない教職員の諸性格を引き出し、これを標準化して評価の基準にしようとしたのであります。しかし、これは能率の評価、成績の基準としては一般的には妥当なものではありませんでした。そして一九二〇年代になり、これを科学的にしようとする努力がなされ、教師の知能と視学の評定との相関度を調べたり、子供の成績指数と視学の評定との相関度を調べたり、同僚の評価、視学の評価、生徒の評価の三者を集めて教職員の能率を測定する基準として見たりいたしましたが、実際に行政事務として使うための教授能率の測定基準や評定票にはすることができなかったのであります。さらに三十年以降になりますと、能率測定の基準を確定し得ないし、決定的な評価の方法がないことがわかり、教授能率を向上させるためには、職場の人的、物的条件を整える方が重要であり、視学が教職員に上から一定の判定を下すより、研修の機会を保障し、権力を持たない指導主事が相談し、助言することによって資質の向上をはかり職場の職能的諸関係を安定させることが重要であるという方針がとられ、それ以後これについての研究が進められているのでありますが、今日に至るまで、教師の成績評定のための基本的条件である教師の能率とは何かということについては、多くの研究の成果が全く不一致であることを示しております。すべての研究者が教師の能率の測定基準を確定することは不可能であるとしている状態であるという結論を出しております。従って三十年以降、一般的な傾向として行政的実務としての勤務評定を行うことは激減している状態でございます。この事実を見ても、勤務評定を考え出したアメリカですから、実施が年々減少していることはいかにその科学性が非科学性であることの証明であり、勤務評定が不合理な、実施不可能なものであることがわかるのでございます。
 このような万人納得のいかない最も非科学的な勤務評定をなぜに実施しなければならないのか。官僚による中央統制、保守政権による教育の権力支配の一手段として使われることは、国民ひとしく憂慮にたえないものがあるのでございます。この際この勤務評定の及ぼす悪影響をはっきり認識いたしまして、今日これを取り除くことは民主政治の上から最も必要なことで、これこそ国民のための政治を行う立法府の大きな責任と思われる次第でございます。
 以上のような考え方に基きまして、今回わが党は、地方公務員法の一部改正案を提案し、賛同を得たいと心から念願いたすものでございます。法案の内容はごく簡単でございまして、お手元の法案を御一べついただきたいと思いますが、その第一は、地方公務員法にいうところの第四十条を削除するということが中心でございます。それから第二点のおもなるものは、これらに関係のありますところの関係法律を整備するということが第二点となっておるのでございます。
 どうぞ今日の勤務評定をめぐる諸問題、あるいはわれわれが申し述べましたところの趣旨をよくごそんたくいただきまして、慎重御審議の上御可決あらんことをお願いいたしまして提案の趣旨説明を終りたいと存じます。
○鈴木委員長 これにて本案の趣旨御説明は終りました。
    ―――――――――――――
○鈴木委員長 次に、警察に関する件について調査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。渡海元三郎君。
○渡海委員 第二十八国会におきまして、近時における交通事故の激増に伴う措置が盛んに論議されたのでありまして、当地方行政委員会におきましても、一応決議を作りまして、おおむね十二項目にわたります要望を政府に提出いたしたのでありますが、これらの要望事項についてその後政府においてとられました処置の概要にっき、一応御説明を承わりたいと存じます。
○原(文)政府委員 お答え申し上げます。去る四月二十二日の地方行政委員会におきまして御決議がありました、交通事故防止に関する決議に基くいろいろな施策の実施状況について、概要を申し上げます。他官省にわたる点もございますが、われわれの聞き及んでいる範囲におきましてそれにも触れていきたいと思います。
 項目が非常に多いのでございますが、第一の道路の整備につきましては、建設省におきましてその対策を検討しております。またその二項にありまする道路の占用工事の無統制な施行について適当な調整方策を講ずるということにつきましては、過般次官会議におきまして、地下埋設工事等による道路の掘り返しの規制に関する対策要項というものを決定いたしまして、中央並びに地方に連絡協議会を設け、関係の官署、中央で言いますならば建設省、警察庁、運輸省、通商産業省、厚生省、それに郵政省、電電公社というような関係官庁、公社等におきまして連絡協議会を設け、堀り返し工事等をすることにつきましてあらかじめ検討をし、一つの道路について一たび掘り返したならば、同時にいろいろな工事がその間に短時間のうちに行われるということに持っていくための諸種の方策をこの要項において決定しております。関係官省からそれぞれ下部機構にも通達されまして、だんだんと実施に運んで参ると思うのであります。
 次に、交通環境の整備についてでございます。路上放置物件の取締りについては、警察におきまして指導と取締りの強化を続けております。ことに、過般の全国交通安全運動におきましても、重点項目として取り上げて実施を続けております。路上に放置されておる自動車の排除につきましては、目下準備中であります道路交通取締法施行令の改正にある程度盛り込めると思って準備しております。なお、広告物類の必要な規制ということにつきましては、それぞれ地方におきまして、都道府県の広告物取締条例ですか、そういうようなものがありまして、それの検討を各地方ごとにするようにやっております。自動車の警音器の音量の再検討と、その使用に関する必要な制限でございますが、これもすでに大阪、東京を初め各地方においては現実には実施しつつございます。六大都市はもう全部実施となっておりますが、そのほかに大阪府におきまする堺、布施、守口あるいは兵庫県の尼崎、西宮、芦屋あるいは仙台、岐阜、水戸、広島というようなところがすでに現実に実施に移されてございます。これもまた政令改正を要する面が多いので、ただいま準備を各省あるいは法制局等と打ち合せ中であります政令改正に盛り込んでございます。
 次に自動車運送事業の適正化についてでございますが、これは新聞等にも大きく報道されましたように、運輸省におきまして運輸規則も改正して、非常に強力に推進しておるのでございます。警察におきましても、もちろんそれに協力しておるところでございます。
 第四項の自動車の安全運転につきましては、これまた適正検査、安全教育等につきまして、政令改正にある程度見込むべく準備してございます。
 第五項の歩行者の保護の徹底でございますが、これも政令におきまして、たとえば停車中の電車の横を通行する自動車についての制限とか、登下校時における学童あるいは効稚園の児童の保護の特別な法条を政令に盛り込みたいと準備しております。
 次に、六項目の交通法令の普及と交通道徳の確立でございます。これは過般の交通安全運動のときにも、国民運動としてやるべく非常な努力を払いつつありますが、絶えずたゆまざる努力を続けて参りたいというふうに考えております。
 八の、交通安全施設の充実でございます。踏切における遮断機、警報機の充実あるいは道路の立体交差、信号機、道路標識等の設置の増加というようなことにつきましては、それぞれ各省におきましてだんだんと準備されていくことと存じますが、警察に関して、信号機あるいは道路標識等につきましては、予算の関係もございますけれども、逐次増強していきたいというふうに努力しつつあります。
 九の、交通警察の運営でございますが、交通警察に関する人員、研究施設、取締り用装備等の充実という点でございます。もちろん、私どもといたしまして最も痛切に感じているところでございます。特に交通量の増加、自動車を最先端としての交通量の増加というものは、十年前の十倍以上に上っているのでこざますが、これに当りまする交通警察官の数というのは、十年前からふえていないという現状でもございます。私どもも、実は自分のこととして極力努力したいと思うのでございますが、何分にも予算の関係もございますので、明年度を目ざしてこれをぜひ実現したいというふうに実は努力しておるわけでございます。取締り用の装備、研究施設等につきましても、現在の交通の状態から見ますと、まことに何といいますか、幼稚ともいえる状態でございます。この点につきましても、同様に努力を続けて参らなければならないと考えております。全国的幹線道路における交通取締りの整一につきましても、交通のいろいろな規制につきましても、公安委員会の指示等につきましては、政令の整備等に伴いまして逐次行われることと存じます。実際の取締りの整一につきましても、その具体的な方途につきまして目下検討中でございます。
 十の、運転免許と少年法上の取扱いの関係でございますが、これもまた法務省におきましても、私どもの警察としましても、連絡をとりながら慎重に検討しているという段階でございます。
 交通事件の即決処理の促進、これまた法務省の方にもお願いしておるわけでございます。
 最後の道路交通取締法の改正でございますが、現在、過般の道路交通取締法のごく一部の改正によりまして、国家公安委員会が、幹線道路について地方都道府県の公安委員会の交通の制限規制等について指示することができるという改正がありまして、それに伴って道路交通取締法の施行令を改正する段階にございますので、先ほど来申し上げましたように、それだけでなく、現在目前において、たとえば警音器による騒音の防止というような矛盾する事項、あるいは学童の横断の保護とか、あるいは路上に放置されている故障自動車みたいもの、こういうような直ちに政令だけで改正できるものにつきましては、目下政令改正で検討しておりますが、法律改正につきましては、いろいろと関係することも多いのでございまして、目下改正すべく慎重に検討しつつあるという状況でございます。
 以上きわめて概要でございますが、交通事故防止に関する決議につきましての、その後の私どものやっております進行状況について御説明申し上げました。
○渡海委員 大体ただいまの御説明で、実施の現段階における状況を御説明願ったのでありますが、実際世論も相当上って、各関係当局におかれましても、強力にこれが推進をはかっておられるようでございますが、その後の事故の状態からながめまして、それらの施策によりまして、幾分かでも事故の発生が減少しつつあるかどうか、具体的統計についてその概況を…。
○原(文)政府委員 ただいま、数はあとから申し上げますが、事故としましてはっきり申し上げることは、少くとも増加という傾向ではない、これはとまっております。一部の車両につきましては、たとえばタクシーの事故というようなものにつきましては減少しつつあります。同時にまた、先ほど申し上げました騒音防止、警笛による騒音防止を実施しているところにおきましては、これは非常に成功しておりまして、お感じになっておられると存じますが、大阪などは非常によくいっておりますが、東京におきましても、五月の十日から始めまして、現在、この騒音防止施策を実施前の、場所によりますが、クラクションの音は少くとも十分の一以下に減っている。同時に車の方も人の方も注意をするという関係で、事故もむしろ減少しつつあるという状況にあります。
○渡海委員 根本的な改正の処置の中には、もとより法改正によらなければならない部面もあるということは、今言われた通りでございますが、法改正はおいおい研究中でございますが、法令の方につきましても、近くこれが改正して出されると思うのでございますが、大体いつごろになりますか、概略の見込みがございましたら、お聞かせ願いたいと思います。
○原(文)政府委員 実はただいま、私どもの方としまして、関係省と一応ある程度の打合せの結果の政令の案を作りまして、法制局と案文につきましては検討中でございます。これがかなりかかると思いますが、私どもの方としましては、今月も、まあ十日前後という目標を一応立てておったのでございます。この案文の検討、それが終りましてから、また法務省とも、罰則がございますから、その検討もございますので、おそくも今月一ぱいには公布できるのじゃなかろうかと考えております。
○渡海委員 自動車運送事業の適正化の問題につきましては、これは所管は運輸省が主となりまして、いろいろ具体的な処置をとられておるということを新聞紙上等において承知しておるのでございますが、しかしこの問題につきましては、単に運輸行政のみでなく、警察行政あるいは労働省関係の協力というものが非常に必要な問題でないかと思いますが、運輸省が行われるこの事業の適正化に関する処置について、これらが三者一体となってよく連絡しておるかどうか。この点非常に心配するのでありますが、特にノルマの設定等に当りましては、国によって運転手諸君の給与を現実に落すというようなことがございましたならば、おそらくこれが実施は、作られても守られない。またまたそれが事故の原因になるというふうなことも起ってくるのではないか。この点、労働省等の協力というものも非常に必要になってくるのではないかと思うのでございますが、これらの三者が一体になってこの問題に当ってこそ、初めて実が上げられると思うのでございますが、この協力態勢に対して警察当局が考えられているそれでいいかどうか。運輸省ももちろん当っておられるのでございますが、よく協調がとられておりますかどうか。この点について一つお伺いいたします。
○原(文)政府委員 原則的には協力態勢がとられております。運輸規則の改正も、新聞等に出ました通り、御承知の通りでございますが、たとえば最高の走行距離の、これは業者に届け出させるということになっておりますが、それに基いて運輸省の方で検討を加えて適正なところをきめる。それにつきまして警察の方も十分協力をして、私どもの方もまた積極的な協力をする。地方におきましては都道府県警察が地方陸運局と協力をして積極的にやっております。なお、具体的な運輸省、労働省、警察との協力関係につきましては、実際に当っております交通課長がここにおりますので、若干交通課長から説明させたいと思います。
○内海説明員 今度の神風タクシーの問題に関しました事業の適正化につきましては、地方行政並びに運輸委員会でも決議がございまして、また政府としましては交通事故防止対策本部で決議をいたしましたので、これに基きまして運輸省で運輸規則の改正に着手いたしまして、実のところこの改正につきましては、私どもとしましては、かなりきびしい態度と、少くとも盛り上っておるいろいろな諸問題を運輸規則の中に取り込んでもらいたいという強い要望をいたしたのでありますが、運輸規則の法律上の性格上、そこまでは入れ得ないという法制局の見解等も表明されましたが、実のところ、今回の運輸規則の改正そのものが、われわれの考えておるほど完全なものではない。従って、その点につきましては、運輸省としましても、今後は根本的には法律改正まで進まれるのが至当であろうと私どもは考えております。それにしましても、運輸規則の改正におきまして、在来なかったところのいわゆる水揚げ強要を禁ずる、あるいは労働を強制するというふうなことも押える、さらに一日の走行キロにつきましても、各事業主体から届出をさせまして、もしその届け出た最高キロ数が、陸運局の考えておるものよりもオーバーするような状態であれば、この届出を受理しないという態勢で、一応走行キロも押えようと考慮しております。なお、陸運局がその届出を受理するに際して、判定する自分の持っておるものについては、各都道府県警察本部と関係陸運局とが実地について検討を加えたものを基準とするというふうに、話し合いを明確にいたしておりますので、東京におきましては、昨六月三十日に陸運局と警視庁と会議をいたしておりますし、大阪におきましても、ここ数日の間にそういう会議をいたしますので、実際に適正走行キロを試験した上でそれを基準とする、こういうふうな処置をとっております。なお、今後運転事故等を起した場合、あるいは重要な違反等を起した場合につきまして、これがいわゆる在来いわれておるようなノルマの強要、あるいは過重な労働時間によるもの、あるいはその他運転手をかつてそういうものに追い込んでおるような状態がある場合には、そういうものをよく調べて、関係陸運局あるいは労働基準局に警察側から申し入れを行なって、適切な措置を講じてもらうというふうな話し合いもいたしておりますので、おそらく運輸規則の改正に伴いまして、陸運局、労働基準局及び警察三者の緊密な協力のもとに、御決議いただきましたような趣旨が実現していけるというふうに考えております。
○渡海委員 ただいま局長の政令改正の説明の中に、小さい点でございますが、路上放置自動車のことについて政令の中で適切な規制をいたすということを言っておられましたが、規制を加えられるか、この点御方針を承わりたいと思います。
○原(文)政府委員 この路上放置自動車ということにつきまして、いろいろな角度から検討いたしまして、現在の交通状況からして、どの程度が法理上も適切であるし、実際上も当てはまるかという点がなかなかむずかしい問題でございますが、現在一応考えておりますのは、故障をしている自動車、これがやたらに路上に放置されておるというようなことと、あるいはまた路上を商品陳列場的に、運行するための一時的な―一時がたとえば一日、二日になりましても、駐車をしているのではなくて、全然新しい、あるいは中古の自動車を路上に陳列して、売買するために路上に置いてあるというようなものは、これは故障自動車と同様に政令の中に入れてそれを禁止していこう、大体この二つのものを取り入れるべく案を作っております。
○渡海委員 歩行者の保護徹底の中で、われわれは右側交通ということは、国民習慣性からいって非常にむずかしい問題である。現に実行されておらぬ、混乱しておるじゃないかということで、前の本決議を行いました小委員会においても、果して右側通行でいいのかどうかということについて盛んに論議されました結果、今までの統計その他によって、右側交通必ずしも悪くないという結論のもとに、それならば右側交通を徹底的に実施することが交通事故防止の上において急務であるのじゃないかということを要望し、決議の中にも入れた。このことについては、ただいま注意を喚起しておるということを言われたのでございますが、われわれは、特に国民にこの点の注意を喚起しておられるような措置を見受けたことがございませんので、どのような措置をその後とられておりますか、この点について承わりたいと思います。
○原(文)政府委員 右側通行の問題は、いろいろ議論のあるところで、その議論につきましては、今までこの委員会においてもし尽されておりますので、その後の世論調査―これは警察がやった世論調査でございませんけれども、警察に関するいろいろな世論調査を総合してみますと、やはり右側通行の方がよろしいというのは約六〇%という数字が出ております。もちろん、従来通り左側がいいという方もおるのでございますが、現実には、小中学校の生徒あるいはまた特定の工場とか、そういうところに通学あるいは通勤する多数の人たちが、右側通行を非常によく守っておるという状況でございます。なおまた右側通行、いわゆる対面交通と左側通行と比べまして、事故の点におきましても、対面交通の方が少いということも出ております。私どもとしましては、この対面交通、人は右、車は左というのは、あくまでも徹底していくべきものというふうに考えておりますが、その方策につきましては、たとえばこの間の六月一日から六月十日まで行われました全国交通安全運動等におきましても、一つの啓蒙方法として、右側通行についてなお疑問を持っておられる方が非常に多いものでございますから、あるいは婦人会あるいはまたそれぞれの警察署管内のいろいろな団体等につきまして、右側通行、対面交通の励行というのを大きな重点目標にして、結局現在の段階としましては啓蒙運動でございますが、これをいろいろな講演会、座談会あるいはまた映画等による宣伝ということによって非常にやっておるのでございます。なお、これは今ここで直ちに申し上げていいかどうか、ちょっと疑問―疑問といいますか、そこまでふん切りがつかないのでございますが、私どもの内部的なことで考えておりますのは、右側通行の習慣性というものを―左側通行の習慣性ということは前からいわれておるので、やはり必ずしも車道と歩道の区別のない道路で車に対面しろということでなく、車の通らないところでも、右側通行のできるところは右側通行をさせるべきではないか、これは習慣を養うという上におきまして、今実はいろいろ検討はしております。実質的にはそういう面においてもやると同時に、右側通行を確保するための方策としましては、現在の段階におきまして、模範道路等におきまして、警察官が実際に出て指導すると同時に、特に学校あるいは多数の者が通勤する工場等に対する啓蒙宣伝等、一般的には地域団体である婦人会その他におきます啓蒙宣伝というものを主として実を上げたいと思っているわけであります。
○渡海委員 大体わかりましたが、とにかく対面交通というものは、占領下において何かわれわれが押しつけられたというような感じを国民は持っておりまして、その後独立いたしましてから、国民の中には、一部やっぱり今まで通りのがいいのだというふうな安易な考えがまだびまんしておるのじゃないか、だから、確固たる信念のもとに、対面交通の方がよいのだという統計も上っておるということは、前の小委員会でもよく研究されたのですから、国民運動の一環として、もう少しアッピールするような宣伝に御尽力賜わりたいと思います。
 なお交通警察に関する人員、研究施設あるいは取締りの強化ということは、これはもう焦眉の急だと思いますが、この問六月一日から実施されました安全旬間ですか、あの期間における交通事故の発生状況は、おそらく他のときよりも少かったというのが実情ではないかと思います。注意をすればそれだけの効果は上るということを如実に示しておるのではなかろうかと思います。もちろん予算等の関係、これらの点は十年前と少しも変っていないということでございますが、われわれもこの点の苦心はよくわかるのでございますが、ぜひとも来年度の予算等におきましては、これらの事故防止のためには、現在の車の激増等から考えてぜひ必要なことであると思いますので、十分な対策を御研究賜わりたい、かように存ずる次第でございます。
 なお、道路交通取締法の改正を待って、このわれわれの要望も真に有終の美を結ぶのではないかと思いますが、これにつきましては、来たる通常国会等において出される目途をもって現在進んでおられるかどうか、この点一点お伺いいたしまして、私の質問を終りたいと思います。
○原(文)政府委員 六月一日から十日までの全国交通安全運動の十日間の期間における交通事故の発生状況は、実は申しわけないのですが、ただいま数字を持っておりませんけれども、はっきりと減少しております。六月一日になりまするまでの本年のいかなる十日間の時期よりも減っております。直前の十日間の時期よりも減っているということでございます。従いまして、原則としてみんながその気持になってやればとにかく事故は減る。警察でいうならば、交通安全運動期間中は、交通の方に従事させる警察官を、他の方をさいてもよけい出します。従って、やはりそれだけの効果があるということははっきりしております。そこでお話にありました交通警察に従事させる警察官の増強、あるいはまた装備等の増強という点につきまして、私どももほんとうに心から切望しておるのでございますが、来年度の予算等の関係もございますので、できるだけがんばりたいと思っておりますが、一つよろしく御援助いただきたいと思います。
 なお道路交通取締法の改正につきましては、来たるべき通常国会を目途として現在着手をしておるのでございます。ただ非常に関係するところも多いのでございまして、やはり法律でございますので、詳細なデータを基礎として科学的に検討していかなければならない点も非常に多うございますが、間に合せたいと思って極力努力はしておりますが、ここでそれを目途として努力しているという以上にはちょっと申し上げかねるのでございます。
○北條委員 関連して、最初に問題を四つ出します。第一は、路上放置の車の取締りの問題、第二は交通警察の運営であります。第三点は、安全運動のための問題であります。そうして第四番目に、現行の法律制度では交通取締りは不十分な結果を将来とも見るのではないかという四点であります。
 第一の路上放置の車の取締りでありますが、これは昼間と夜間とでは相当に質的に違いがあると思うのであります。昼間の路上放置はまだ運転手なり人が起きておりますから、これはじゃまになるときは撤去しろといえば撤去することもできるのでありますが、人が就寝したあと路上に放置されているのは、これは非常に困ると思う。たとえば火災の場合においても、あるいは救急車を動かす場合においても、全然運転手がいない、隣近所に人がいないという場合に、車が放置されておっては、これは社会秩序上非常に困る問題であります。従って、路上に放置されておる車は絶対に許すわけにはいかない。も上こういうことについて警察に取締ろうとする熱意があるならば、昼間であろうと、夜であろうと、発見次第その車の許可ナンバーを取り上げるというような方法があるのではないか。たとえば一人を罰することによって百人を戒める、いわゆる一罰百戒ということわざの通りに、都市内における路上放置の車の取締りも相当にいくのではないか、私はこういうふうに考えるのでありますが、その点について先ほど御説明がありましたが、どうもなまぬるいような気がしますので、私の意見を申し上げて当局の御意見を承わりたいと思います。
 第二点は、先ほど交通警察の運営について、車は十倍、人はもとくというふうなお話がございました。まさにその通りだろうと思う。来年度には警察官をふやして取締りを厳重にするというお話でありましたが、この点については、俗な言葉でいえば、車をどんどん生み出すのは運輸省であって、そうしてその跡始末をするのが警察である。こういうふうな非常な不合理を感じておられるのではないか。勝手に生みっぱなしで、跡始末をお前の方でやれといっても、そうはいかぬ。もっともとを正せという御意見があるのではないかと思いますが、御意見を伺いたい。
 第三番目の交通安全の問題でありますが、聞くところによると、春秋二回にわたって交通安全運動をおやりになっておるのでありますが、一警察官内においてこの運動を行うのにどうしても予算が足りない。そこで一般の業者から、平均して警察単位で大体春に三十万円、秋に三十万円の寄付を徴収されておるようであります。東京都の台東区においてはそれが最も顕著でありまして、春に四百万円とか、六百万円というような寄付を求められておるようでありますが、こういうことが交通警察の紊乱のもとになるのではないかというふうに考えるのでありますが、そういう事実があるかどうか。あるとすれば、私は、こういうような寄付を募集すべきものではなしに、当然国家の予算に出して、国家としてなすべきものは国家の手においてやるということが正しいことだと思うが、これについての保安局長の御意見を承わりたい。
 それから第四点、これは先ほど内海交通課長のお話にもありましたが、運輸省に交通取締りについての規則を改正するために種々意見を申し出ても、運輸省はなかなかこれを取り上げてくれなかったということでありますが、私は、さもありなんと思うのであります。従って、結局現行法の道路運送法はもちろんでありますが、警察の取締りに関する法律上、こういった根本になる法律を合理的に改正していかなければならぬというふうに私は考えておるのであります。結局現在は、法律は法律、そうして行政官庁は行政官庁、すなわち運輸省と警察がそれぞれの立場に立って、その間に業務をうまく調整していくというけれども、実際には法律を改正しなければ調整ができないという面が非常に多いのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、この点についての見解を承わっておきたい、こう考えるのであります。
 以上、四点についての御意見をお聞かせ願いたいと思います。
○原(文)政府委員 四点についてお答え申し上げます。
 第一点の路上放置の自動車について、先ほど私が申し上げましたのでは手ぬるいではないかという御質問でありますが、先ほど申し上げましたのは、いわゆる駐車場以外の放置自動車、故障して動かないで自動車をほうっておくとか、あるいは売りものの自動車を路上にほうっておくということは、絶対的にいついかなる場合でもいけない。時間的にではなしに、四六時中いかぬというような考え方であります。ただお話の点は、私どもとしましてもよく了解できるのでございまして、非常に交通量がふえてきておるのに、路上に何時間も置きっぱなし、これは駐車の中に入るわけでございますが、置きっぱなしというのはいけないのではないかという点であろうと思いますが、これにつきましては、たとえば東京の都心部につきましては、例の駐車場法に伴いまして、近く駐車場区域の指定も行われるだろうと思います。そのほかの地域につきましては、個々の道路につきましてその交通状態等を検討しまして、最近駐車制限区域がふえております。お説のように、昼間と夜間では交通量も違いますので、多くの駐車場制限区域が、将来におきまして、時間的に、たとえば午前八時から午後八時まで駐車禁止というような、時間的な駐車制限区域が今後ふえていくというふうな方行にもちろんあるわけでございます。最近自動車の増加、交通量の増加に伴いまして、駐車違反の取締りも厳重になりまして、それによりまする事件送致の数も相当にふえてきております。私どもの方としましては、違反駐車につきましてもっともっと厳格な取締りをするとともに、駐車制限のいわゆる交通規制というものについては、さらにその規制する場所がふえていくという方向で考えております。
 次の、交通警察の運営について、先ほど私が申し上げました、自動車が十倍になっているが、取締り警察官、交通警察に従事する警察官の数は十年前と同じだということは、その通りでございます。運輸省あるいは通産省の関係で自動車がふえるのをほうりっぱなしにしてあって、われわれに腹案はないかというような御質問かと存じますが、自動車の増加ということは、もちろん産業の発展等に関連することでございまして、取締りの便宜上からのみこれを云々すべき問題ではないというふうに考えております。ただしかし、私どもとしましても、将来について希望しておりまする点は、自動車の種類、御承知のように現在の日本では八十人乗りぐらいの大型バスから三輪車、二輪車の小さいものまで、まことに何十種類あるのですか、種々雑多な、しかも性能が違う車がみんな自動車として生み出され、運行の用に供されている。これが交通秩序を乱し、交通事故を増加する大きな原因となっているのでございます。従いまして、車の種類あるいは性能等につきましてのある程度の統一といいますか、規制というようなものにつきましては、われわれも希望を持っておるのでございまして、これらにつきまして、私どもの方としましても、ただ漠然とではいけないので、これこれの理由によるという科学的な理由づけを今検討しているわけでございます。
 三番目の安全運動の寄付の問題でございますが、この点につきましては、警察は、警察自体の仕事をする上におきまして、民間から寄付をとるということは、非常にやかましく禁止しておりまして、各都道府県の警察ともおそらくそういうようなことは現在私はないものと存じます。ただ御承知のように、安全運動につきましては、警察と同時に、交通安全協会というものが大きな中心の力となって安全運動を展開するのでございまして、交通安全協会の会員というのは運輸関係の事業者が大部分といいますか、非常に多いのでございます。ただ安全協会におきましても、都道府県の連合会なり、あるいは各警察署単位にあります単位の交通安全協会におきましても、そのつど寄付を取るということはないと私は思います。そうでなくて、年間の春秋二回の安全運動というものは、ここ数年来実施されておりますので、毎年、年間予算として―安全協会は会費による運営になっておりますが、年間予算として春季交通安全運動の分幾ら、秋季交通安全運動の分幾らというふうに組まれておると存じます。それ以外に、そのつどいわゆる寄付の形で取るということは、私はちょっと今考えられないのでございます。手元にその材料もございませんが、私としては今考えられません。
 それから最後に、現行法につきまして、たとえば先ほど内海課長が言いましたハイ・タク事業等の規制等につきましては、運輸規則の改正において、警察の希望するまでいってなかったということにつきまして、もっと根本的なものを考えないかというお話でございますが、運輸省等が協力してないということではございませんで、現在の法制上、この間運輸規則を改正した以上に出ることは、法制局等の意見もありましてむずかしいということで、やはりそのためには、お説の通り根本法の道路運送法その他の改正も行わなければならないのではないかということになります。私どもといたしましても、先ほど申し上げました道路交通取締法の改正につきましては、これはやはり運輸省その他の省とも関係しますし、道路運送法等にもある程度歩調を合わしてもらわなければならない点もありますので、そういう点につきまして今のままでいいという気持は毛頭なく、将来におきまして関係省と十分連絡協力しながらお互いによりよくするために検討していきたいと考えております。
○鈴木委員長 亀山孝一君。
○亀山委員 交通事故防止につきましては、前国会で、この委員会が先べんをつけまして小委員会を作り、幸いに各当局の協力によって大体順調にいい成績を見ておりますことは、まことに喜びにたえません。ところでこの際、私は若干警察当局及び幸いにお見えになったようですから運輸省の自動車局当局に御質疑を申し上げたい。
 先ほど来、同僚委員からいろいろと路上放置の物件及び路上放置の自動車について御質問がありましたけれども、路上放置の自動車についていえば、その原因の大半は車庫のない自動車を許すことにある。車庫がありましても、これを巧みにくぐる者もありますけれども、おおむねわれわれの聞くところによると、車庫なき自動車を許すことにあると思います。聞くところによりますと、自動車の許可願は、かつては車庫の所在地の明記が必要であったのに、最近はそれを削られた。昨年から警視庁の若干の警察署で都内における道路上に放置されている自動車を取締り、これが成績をわれわれに配付されたのでありますが、その後われわれが東京都内を歩いてみましても、依然としてこの車庫なき自動車と思われるものが多々ありますが、一体これに対して当局はどういうようにお考えであるのか。最近、いわゆるドライブ・クラブを作って盛んに自動車を手に入れ、これはあとで申し上げますけれども、ハンカチ・タクシーとか、あるいはその他若い人たちが乗り回わしておりますが、その大部分は車庫がないのであります。この点が路上放置の自動車の多い原因であり、またこれがいろいろの問題を起すと思いますので、その点についてお伺いしたい。
 それから今原保安局長は、この放置自動車について、売りものの展示みたいなものと言われましたが、これよりもひどいのは、虎ノ門付近をお歩きになるとよくわかるが、修理工場の前をごらんになりますと、あの自動車の置き方というものは、まるで道路を工場の延長と見ている。あれをごらんになって、あそこの道が通れますか。ああいう状態を何ゆえに放置されるか。これは車庫の問題ではなくして、私は警察取締りがルーズであるからだと思う。あれをぜひ写真にとってわれわれに見せてもらいたい。ひどいものです。
 もう一つは、都心部の問屋街の道路です。問屋街あたりにおいでになると、ほとんど今申し上げたような路上放置と思われる自動車、ことに駐車制限を徹底されぬために、問屋街に普通の自転車も通れぬくらいに自動車を置く。こういう問題に対してどういうふうにお考えになるか、一つお伺いをしたいのであります。
 幸いに路上物件の方につきましては、この間の交通取締旬間で成績がややよくなったと思うのでありますが、結局は今いろいろと交通専従の警官の不足の問題もありますけれども、この前の委員会でも私が御質問申し上げたように、これは単に交通専従の警察官のみならず、一般警察官がいま少し交通事故防止あるいは道路の隘路と言うと言葉は言い過ぎかもしれませんが、道路が交通安全、消防その他のために必要だという点から、いま少し注意をしてこれを指導されれば、私はより以上に効果をあげ得ると思う。この前の本委員会におけるいろいろな論議のあとは、かなり一般の警察官、つまり交通専従以外の警察官も、相当にこの方面に注意を向けられたようでありますけれども、どうも線香花火の傾向が多分にある。交通旬間が済んだ今ごろは少し冷淡でないかと思われる点もありますので、そういう点についての御意見を一つお伺いしたい。
 いま一つ、これは自動車局の方にお伺いしたいのですが、われわれが交通事故が起ると思う大きな原因の一つはトラックです。トラックの容量というものをべらぼうに大きなものを許しておる。それも東京とか大阪とか横浜というように、相当な大都会の中だけで運行されるトラックであればそれはけっこうでしょう。けれども、私の郷里の岡山のように国道さえ非常に悪い、いわゆる胃腸返し道路と言われるくらいに悪い狭い道路に、べらぼうに容積の大きい自動車が広島―大阪あるいは名古屋間の定期輸送をやっている。この大きなものが通りますと、まず自転車が通れぬというような交通上の問題だけでなくて、その沿道の家屋は被害甚大です。大体一月にガラスの三枚くらい平均に割れるといわれるくらいひどい。これは何も大きな容積のものに限りませんけれども、そういうように容積のべらぼうに大きいものを許しておる。私どもはあれを見まして、あれを許す当局の考えがわからぬ。どういうような御方針か、その点をまず最初にお伺いしたい。
○原(文)政府委員 第一点の路上放置自動車につきまして、特に修理工場の前等の自動車についてほうっておく手はないということでございます。まことにその通りでございます。実は現在の法規でございますと、路上放置物件の取締りにつきましては、施行令でもってはっきりしているのでございますが、故障している自動車につきまして、これを物件として扱うかどうかという点について若干の疑問があるわけでございます。それで今度特に政令改正によりまして、はっきりと故障自動車を置いてはならぬというふうに入れたいということでございます。この点、私の説明がさっき足りなかったかと存じますが、故障自動車と申し上げましたのは、実は修理工場等の前における自動車が大部分でございまして、これを取り入れるために特に故障修理という表現を使っているのでございます。
 第二点の問屋街等における自動車の駐車あるいは置きっぱなしというようなもので、そのほかの車がほとんど通れないような状況ではないかということでございますが、事実そのような状況が非常に多いように見受けます。これにつきまして、実は私どもの方としましても、ざっくばらんに申し上げまして頭を悩ましているのでございますが、現実問題として、荷物の積みおろし場なりあるいは駐車場というものが全然ない。従って一時に全部あれをとめてしまったならば、荷物の運搬、出入りの仕事もできなくなるということで、非常に矛盾に満ちながらその取締りについて頭を悩ませておるわけでございます。従って、これらにつきましても、それぞれの所轄の警察署におきまして、その地域の人々と話し合って、道路を最高度に最も有効に、最もと言うと語弊があるかと思いますが、できるだけ有効に使うとともに、仕事の方につきましても、今の荷物の積みおろし等の時間を規制するとか、だんだんとやっておりますが、思うようにいっておりません。なお、今後ともこの指導と取締りについてさらに検討もし、推進していきたいと思っております。
 次に、警察官の交通取締りといいますか、交通指導等につきまして、交通警察専従員だけでなく、一般の警ら、交番のおまわりさんを使うべきじゃないかということ、まことにごもっともでございます。普通の外勤巡査が気がついておる、それをどしどし指導しあるいは注意を与えるということが最も望ましいので、実はその方向に教養もしつつあるのでございますけれども、この点まだおっしゃる通り十分でありません。それはもうはっきり私どもとしても感じておるところでございます。一般外勤警察官に、交通に対してもっと関心を持たせるということについては、さらに教養等を徹底しまして、あるいは勤務規則等につきましても考えましてやっていきたいと思います。ただ同時に、だからといって専従者の不足の部分はそれだけではやはり補えませんので、それについてはなお努力していきたいと考えております。
 なお、車庫がないのに許可を与えておるという点につきましては、直接運輸省の所管になっておりますので、運輸省からお答えいたします。
○国友説明員 自家用自動車につきましては、道路運送法で規定しておるのでございますが、道路運送法は、主として道路運送事業を規制の対象とした法律でございまして、自家用自動車の使用につきましては、届出制でもって規制をしておるわけであります。自家用自動車を使用いたします場合には届出をいたします。その届出に、自動車の車庫または常置場所、これらにつきましては施行規則で届出の中に入れるようにいたしておるのでございます。ただこれをたとえば使用をどうしても強制するというような形になりますと、この法律を改正していかなければいけないのじゃないかと考えております。現在行政指導といたしましては、できるだけ届け出ておる自動車の車庫または常置場所に置くようにということを、運輸省としてもいたしておる一方、おそらく陸運局といたしましては、届出を受理して、その届出に書いてないような場合には、それを添付いたしましてさらに届出をとるというようなことをいたしておりますが、その車庫を使わずに、あるいは近所の商店なり住宅なりの近くに自動車を置くという事態が現在発生しておるのはわれわれも見るところでございます。
 それから、バス、トラック等の自動車が非常に大型化いたしまして、道路を通る場合に、自転車あるいは歩行者が通行に苦労するような事態があるという点につきまして、運輸省といたしましては、自動車の規格につきまして、小型は二トン、大型は八トンであったかと思いますが、八トン車までは使用し得るという規格を定めております。これは最大限の規格を定めておるわけでございまして、それが最近輸送の要請から、ぎりぎり一ぱいのトラックなりバスなりを作る態勢ができてきておるわけでございますが、現在日本の輸出等のことも考えますと、あまり小さく自動車を制限するわけにもいきませんので、最大限の点では、現在きめておりますような程度が妥当ではないかと考えておるのでございます。自動車が道路を通行いたします場合の車両の通行制限等につきましては、警察の方と、警察庁の方とよく打ち合せまして、政令の改正等につきましても十分連絡をとって考えて参りたい、われわれとしてはその方針でおるわけでございます。
 それからこれは七月九日からであったかと思いますが、一ヵ月間、道路を守る月間というのを建設省、警察庁、運輸省、自治庁等で主催いたしまして、路上の放置物件あるいは路上の使用につきまして、歩道を占拠しておる、そういうようなものについては、使用について適正を期するように指導するという運動を実施いたすことにいたしておりますので、これを契機といたしまして、十分にその方面の指導も強化していきたいと考えておる次第でございます。
○亀山委員 大体御説明は伺いましたが、特に私は運輸当局にお願いしたいのは、今の車庫の問題と常置場所の問題ですが、いろいろ事情はありましょう。けれども、これが結局路上放置自動車の原因の大部分である。同時にこれがいろいろの問を起すのでありますから、その点は特に一つ、届出制度というようなことでやむを得ぬかもしれませんけれども、常時これに対しては開心をお持ちになっていただきたい。この際警察庁にお願いしたいのですか、昨年文京区その他の方面に行われ悪した放置自動車の一斉調査というものを、今のお話の七月におやりになるというのであれば、この際それをぜひ調査せられましてわれわれにお示し願いたい。今運輸当局が言われましたけれども、明瞭に車庫がわりと思われるような路上に放置された自動車をわれわれはしょっちゅう見ております。そういうのを警察当局でもわかれば、何も処罰するというのじゃなしに、これを指導し、善処されるというような方途が望ましい。これはくどくど申しません。それから次に申し上げたいと思うのは、これは現在は東京に限られているようでありまして、皆さんの耳にも入っていると思いますが、例のハンカチ自動車の問題、これは自家用車がもぐりタクシーをやるのですが、最近は、だんだん運転手等が自分で自動車を買いまして、そうして車庫もないからどこへでも置く。この問題は、聞くところによると、池袋あるいは浅草、銀座裏等のいかがわしいところと非常に関係を持ちまして、これが相当に妙な客引き行為をしておると思わしき行動が多いようであります。これは今のうちにある程度取締りをせぬと、私どもはいろいろな意味で心配になるので、この現状を次の機会に、どうなっているか、もし調査したものがありましたらお示し願いたい。これは警察庁にお願いしたいと思います。
 それから自動車の交通事故として最後に、渡海君からもお話がありましたけれども、運転手の免許を十八才以上にしてありますのと、刑事責任が二十才以上というこの食い違いの問題、これは新聞でも最近少年犯罪についての問題がありますが、これは少年法の方の問題としても、あるいは交通運輸の方の関係からも、いやしくも十八才で免許を与える以上は、その営業責任においては、ちょうど商法、民法にありますように、刑事責任を負わすというような特別立法も考えられてはいかがかと思いますので、その点の御所見を一つお伺いいたしたいと思います。
 それからついでに、保安局長がお見えになっておりますので、御所管と思いますから二点ばかり資料を要求したい。一つは、最近の新聞でやかましくいわれ、東京都議会で決議されたようでありますが、例の深夜喫茶の問題、あるいはこれは厚生省所管かと思いますが、これは非常にゆゆしき問題であって、その点の実情を一つ調査したものがありますればお願いしたいし、なければすぐに調査をしていただきたい。いま一つは、麻薬及びヒロポン中毒についての密売あるいは輸入の問題、これは数年前からヒロポン中毒の問題で相当に厳重な取締りをせられて、表面的には減ったようでありますけれども、最近の新聞でも散見いたしますが、まだこれは根強いものがある。できるだけこれは徹底的にやらなければ取締りはできないし、またわれわれ日本国民としても、非常に心配な問題が多いのでありますから、最近の取締りの実情を次の機会までにお示し願いたい。
 以上、御質疑と私どもの希望並びに資料の要求を申し上げまして私の質疑は終りますが、なお御答弁によっては、あるいはまたお伺いいたしたいと思います。
○原(文)政府委員 お答え申し上げます。放置自動車の一斉調査は近く実施して参ります。それからハンカチ自動車の状況、特に売春にからんでの状況でございますが、ぽつぽつ散見しておりますけれども、なお詳しい状況をはっきりさせて、この次の機会に申し上げたいと思います。
 それから交通事犯の年令の問題について少年法の一般原則と違ったきめ方をした方がいいのではないかという御質問でありますが、これも非常に関係するところが多いので、この次の機会に申し上げたいと思います。深夜喫茶の状況並びに麻薬、ヒロポンの密輸入あるいは密売の最近の取締りの状況でありますが、これはある程度私、存じておりますけれども、なお詳しい数字をあげまして、この次の機会に申し上げたいと思います。
○纐纈委員 関連して。簡単でございますが、いわゆる神風タクシーの取締りにつきましては、だいぶよくなってきておりますが、もう一つトラックの積載量の問題なんですが、この前警視庁の御案内で交通取締りの状況を見ておりましたときに感じたわけでありますが、最近ラジオ等で聞きましても、トラックの積載量、ことに砂利運搬が、五トンのものを十トンと倍ぐらい積んでいるというような問題が起っているようでございますが、そのよって来たるゆえんは、先ほどの神風タクシーと同じように、会社の俸給が非常に少いとかということで量でかせがなければならぬというような問題があるようであります。この砂利積みトラックは非常にたくさんのものを積んでいるのですから、ときどきとまったりすると、新しく発車するのに非常に馬力が要るということであり、ことに大へん速力を出しておりますので、そのために事故は大きなものが起るということも聞いているわけでありますが、運転手さんなんかに聞いてみましても、砂利運転はトラックが非常に悪くなるということを始終聞いておるわけでありまして、このトラックの積載量の取締りの問題ということにつきまして、どんな程度にやっておられまするか、その点について一応伺ってみたいと思います。
○原(文)政府委員 お答え申し上げます。いわゆる神風トラックといいますか、その中でも特に砂利、砂の運送トラックが非常に交通事故のもとになるという御質問でございますが、これはその通りでございます。そこでその事故といいますか、砂利トラックが制限以上の積載量の砂利を積み、かつ猛スピードで飛ばすという原因がどこにあるかということでございますが、大体砂利の採取業者の組合というものがほとんど確立しておりません。組合はあるのでございますが、非常に統制がとれておりません。あるいはまた組合外の業者も多くて、何といいますか、砂利の販売価格が非常に安い。ダンピングをしているということになる。従いまして、その価格でもって利潤を得るためには、一台の自動車に、五トン積みであれば十トン積んで運搬させなければ採算が合わないというようなことで、一つは業者が大きな原因になっていると思うのです。運転手の方は月給制、固定給制と歩合給と両方ありますが、歩合給の場合には、やはり神風タクシーと同じような理由でもって、よけい積み、よけい走らせる。固定給の場合には、むしろ業者の方でよけい積ませ、よけい走らせて、もし違反で罰金でもとられれば、業者の方で負担するというような非常に悪い環境にあります。そういうようなことが原因で、現実にはスピード超過、重量超過ということが大きな問題になり、交通事故の大きな原因になります。これにつきましては、スピード超過の面は、今までも取締りを続けてやってきておるのでありますが、重量は、重量測定器がなければできませんので、この問題が特にやかましくなってその実害も大きくなりましたので、本年に入りましてから、警視庁は、自分のところでもって移動測定器がありますので、それでやり、神奈川県におきましては、砂利を運搬する地域が、相模川から厚木街道を通るものでございますから、そこにまた固定計量器がないので、警察庁から一時移動計量器を借りて、そこで取締りをやって非常な成果をあげております。ところが業者の方で、取締りをやるならば、やはり利根川あるいは荒川の方から来るのもやってもらわなければ困る。まことにその通りでありまして、ただいま実は計量器の数が少いので一ぺんにできないのでございますが、たまたま陸運局の方にも計量器を持っているというので、近く東京に集まる砂利トラックの重量制限の取締りを、その周辺の千葉、埼玉、東京警視庁、神奈川というのが、関東管区警察局で統制をとりまして、計画的に実施し、それを将来も一斉に適切に続けていきたいという考え方を持って、その取締りに最近非常に重点を置いてきておるわけであります。
○纐纈委員 どうもトラック業者、運転者がなかなかずうずうしいと申しますか、たとえば砂利はもちろんでありますが、砂を上手にやっておりますが、風でも吹きますと、ときどきあれして、なかなか速力もある大きな車だものですから、追い越しの機会にもそれを追い越さぬというような状態、風が吹くとほこりをたてられるというので非常に困るわけでありますが、そういうような問題がある、これは積載量の問題、またトラックの運転者の取締りも必要と思いますが、そういった相当ずうずうしくやっておる問題についても、今後運転者の教養というような問題について一つ大いに努力していただきたいと考えます。
 さらにこの機会にちょっと聞いておきますが、最近は主要道路がどんどん舗装されて参っておりますが、いなかの方に参りますと、まだ舗装されておりません。ことに雨降りなんかには非常に道路が悪くなって、しかも非常に道が狭いところへ大きなバスやトラックが参りまして、沿道の人家はひどく困るのであります。昔は泥よけをやっておったわけですが―だんだん道がよくなれば必要はないのでありますが、まだまだいなかの方で相当交通量の多いところでは、これは必要じゃないかという声を私どもは聞いておるわけでありますが、それにつきまして何かお考えは持っておられまするか。
○原(文)政府委員 神風トラックの問題については、その根本の原因等は、神風タクシーにやったように、やはりその原因を検討していかなければならぬので、私どもの方でも、表面的な取締りだけでなく、その根源にさかのぼって検討していきたいと考えます。
 なお、泥よけの問題は、確かにそういう実情もあるのでございますが、現在これを全部義務制にするというところまではいっていないんじゃないかと思います。しかしながら、このままでいいとも考えておりませんので、実は先ほどから申し上げておりまする道路交通取締法施行令の改正に伴って考慮して参りたいというふうに考えております。
○北條委員 運輸当局に一点だけ聞いておきますが、先ほどの路上放置の車の問題でありますが、車の検査証の中に、その車の常に置かれる車庫または常に置かれる場所を明記してあるかどうか、その点を伺いたい。
○国友説明員 自家用自動車につきましては、陸運事務所の方へ届け出をさせまして、陸運事務所の方で整理をいたしておりまして、自動車の検査証には多分ないと思います。
○北條委員 自動車の検査証にそれを書いておけば、放置された自動車を取り締ることができる。ところが、それを書いてなければ、常置場所と自動車とが有機的に結ばれていないわけであります。ですから取締りをしようとしても取り締れないわけでありますから、こういうことは、規則上常置個所は検査証に書かなくてもいいことになっておるのかと思うのでありますが、これはぜひ改善していくべきだと考えておりますので、その点について十分考慮していただきたい、こういうことを申し上げておきます。
○門司委員 これは運輸省に聞くだけですが、交通の問題が非常にやかましい問題になっておるのは、今までのお話し通りですが、政府はこれに対して何か適切な機関を設けておるのですか。これをどう処置するかということ。私がそういうことを聞きますのは、幾らやかましいことを言っても、今日の日本の道の構造はきわめて危険にできているのです。道路が非常にかまぼこ型になっておるところがある。こういうところは、緩急車をどう一体配置するかといっても、自転車その他の徐行車はどうしてもまん中に寄ってくる。これは道は割合に広くても、道路の構造がかまぼこ型になっておる関係からそうなってくる。舗装も、車の通るところだけ舗装して、あとは舗装しておらない。自動車の通るところ以外はでこぼこで、単車は通れない。だから自転車などがまん中を通るのは人情です。単に車がどうのこうのといっても、道路構造の問題から議論していかないと、問題の解決はつかぬのです。
 それからもう一つ、これは警視庁あるいは警察の関係だが、道の幅によって車をどう処置するかということは全然考えられていない。狭い道に、日本には不必要と考えられる外車の幅の広い長いのが平気で入ってきておる。こういう全体の問題についての何かの規制をするような考え方の政府機関を設けられるかどうかということです。問題が起ったからといって、警察ばかり責めてみたところで、警察は取締りだけしか知らない。それから先は労働基準局に行って聞いてくれというようなことになってへ神風タクシーの問題が出れば、しまいには労働行政は労働基準局でなければわからぬということになる。運輸省に聞いてみても、運輸省は、さっきのお話のようなことで、ただ車の許可認可だけを受け持つのであって、道路関係はちょっとも知らない。取締り関係は毛頭考えておらない。こうなってくると、幾らここで議論しても落ちつく話じゃないのです。だから政府は、この問題を、運輸省、通産省あるいは建設省というような関係各省が一つの機関を持って、ほんとうに親切に真剣に検討される御意思があるのかないのか。今おいでになっている当局者だけでは、はっきりしたお答えはできないかと思いますが、こういう問題について、あなた方の気持がどの辺にあるのかだけでも、この際一応聞いておきたいと思います。
○国友説明員 道路の構造につきましては、確かに仰せのように、中央だけ舗装いたしまして、両側の部分は砂利道であったりして、自転車が中央の部分を通って自動車の運行を阻害するというようなこともございます。これにつきましては、予算等の関係もございますが、運輸省といたしましても、各省と連絡をとっております。現在、内閣に交通事故防止対策本部というのができておりまして、神風タクシーの問題につきましても、ここで論議したわけでございますが、結論を得まして、運輸省といたしましても、自動車、運送事業等運輸規則という省令も改正いたしたのでございますが、今後交通事故の防止に関連した事項については、この機関を十分活用して審議を進めていきたいと考えております。
○門司委員 なお詳細に聞いておきますが、そのメンバーはどういうメンバーなんですか。
○国友説明員 委員長は、総理府の総務長官でありまして、委員といたしましては、関係各省の局長クラスが入っております。幹事に各省の課長クラスが入っておりまして、警察庁、運輸、建設、労働、文部、法務、自治庁、その各省から参加いたしております。
○門司委員 委員長にお願いしておきますが、今、何か機関があるらしいことがややわかったのですが、ここで幾ら議論をしましても、ばらばらな議論をしたのでは話がまとまらないので、一つできますれば、この問題について総務長官その他を呼んでいただいて、各方面からの真剣な討議をする必要がある段階にきておると思うのです。このまま放置するわけにはいかないと思いますから、そういうお取り計らいを願いたいと思います。
○鈴木委員長 承知いたしました。さよう取り計らいます。
    ―――――――――――――
○鈴木委員長 次に地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。北山愛郎君。
○北山委員 時間もおそくなっておりますので、簡単に当面の地方財政再建の重要問題をお尋ねして、あとでまた自治庁長官に対してもこの点について伺いたいと思うのであります。
 問題は、昨年来の再建団体に対する給与表の条例の改訂問題であります。これは自治庁が昨年から九つの県に対しまして、給与表が国家公務員のベースを上回っておるというような理由から、せっかくでき上った条例の改訂を迫っておるわけであります。たしか今月の二十五日には、関係府県を呼び寄せて、そしてこれに圧力を加えたというように聞いておるのでありますが、問題は、地方団体の条例というものが、このようにお粗末に取り扱われていいものかどうかという地方自治に関する非常に重大な問題だと思うのです。私は、やはり憲法の九十二条なりあるいは九十四条によって、地方自治の本旨が尊重され、また地方団体が法令の範囲内において、法令に違反しない限りは条例を作り得るという自主立法の権利が認められておる以上は、これをできるだけ尊重するというのが今の政治のあり方でなければならぬ、かように考えるものであります。ところが今回の給与表の条例は、どうも十分の根拠なくしてこの改訂が追られておる。一体どういう関係で今の九つの県の条例が法律のどこに違反しておるか藤井行政局長からお伺いしたい。
○藤井説明員 今御指摘の点につきましては、一般的に申す場合は、お話にもございましたように、地方団体の条例というのは、地方団体が、自主的に法令に基きあるいは憲法の規定に基いて制定をいたしまする法規制定権に基くものでございまして、その自主性について最大限の、またできる限りの尊重が払われなければならぬということは当然でございます。ただ、それは一般的な問題でございまして、財政再建という立場に立ちます場合におきまして、そこに何らかの制約が行われますることは、これまた大きな健全財政の確立という立場から申しまして、そこに国が相当の援助措置その他を講じておるというような事態がございまするので、そのためには、ある程度の制約をこうむることもやむを得ないという立場に立っておるものでございます。今具体的に問題になっておりまする財政再建団体の給与改訂の問題に関しましては、地方財政再建促進特別措置法の第二十一条に基いて措置されたものであると承知いたしておるのであります。
○北山委員 ところが、その条例ができ上った当時は、自治庁から注意されないで、昨年の給与改訂の際に六月の初めに次官通牒が出ておるわけですが、その次官通牒に沿うて必要な調整ができるということになっておりましたから、そこで地方団体は、その次官通牒に従って、しかも給与改訂の基本原則に従って条例を作ったのです。だから適法に行われたのです。もしもそれが再建法に違反するというのであれば、なぜ自治庁はその通達のときにそう言わないか。これは去年の十二月の委員会で私は問題にしたのですが、この給与改訂の際に、どうして地方公務員の給与改訂をするかということについて、五月の末にも、また六月の初めにも、人事課長会議や総務部長会議を開いて、自治庁はこれに対して必要な指示を与えておる。しかも、六月の一日には次官通牒を出しておる。それには一定の基準を示しておる。地方の行政職一等級の処遇は国の行政職三等級の処遇を用い、以下各等級ごとの処遇及び号給の幅については、これに対応する国の俸給表の各等級の処遇及び号給の幅を基準とするという原則を定めて、さらにその団体における任用及び号給の分布の実態により、必要な調整を加えること、こういうことを認めておるのですよ。その認められた範囲において地方が適法に条例を作った。あとになって、これは再建上工合が悪いとかなんとかいうことを自治庁が言い出した。だから、条例そのものは自治庁の指示に基いて適法に作ったもの、作らしておいて、あとになって再建法に適合しないとかするとかいって文句を言っている。私は、自治庁が責任があるのではないか、こう思うのですが、一体いかがでございましょうか。次官お伺いしたい。
○黒金政府委員 私、参りましたばかりで、過去の経過を十分に聞いておりませんけれども、いろいろな経過もあったようにも思いまするし、今お話のありましたように、内容につきましては、やはり不適当な点もあるように存じまして、将来これを改めていただきたい、かような考えでおるわけでございます。
○北山委員 一体条例というものは、先ほど申し上げたように、地方団体の自主立法権で、その権限は憲法に、原則として法令に違反しない限りは立法権はあるのですから、またそれを尊重すべきことが憲法に明記されておる。それほど大事なものなのです。それを適当でない部分があるとかないとかいって、それで改訂を命ずることができますか。そんな簡単に条例を扱っていいのですか。こんなことは戦前はたくさんあったろうと思うのだが、終戦後はおそらく初めてのケースじゃないかと思う。十分な根拠がなくて、自治庁の一方的な解釈で、適当であるとかないとかいうものさしに基いて地方条例を、せっかく地方団体の長が検討とて原案を出して、議会がこれを決定したそのものをひっくり返していいのですか。そんなことで地方自治の本旨が守られますか。これは重大な問題だと私は思う。
 そこで次にお伺いしたいのだが、一体地財再建法の二十一条のどの項目にひっかかるのです。二十一条だと言いましたが…。
○奧野政府委員 第二十一条の規定に基きまして、財政再建団体に対しまして、計画の変更を、第一項に基きまして、運営について必要な措置を講ずるように求めたわけでございます。その返事を実は待っているわけでございまして、幸いにして関係九県におきましても、必要な措置を九月県会ごろまでには講じたい、こういうようなことになって参ってきているのでございます。
○北山委員 第二十一条の第一項ですか、第二項ですか、ひっかかるのは。
○奧野政府委員 第一項でございます。
○北山委員 そうしますと、第一項には「自治庁長官は、財政再建団体の財政の運営がその財政再建計画に適合しないと認める場合においては、」こう書いてありますね。そういう場合においては、その予算執行の停止なり、あるいは財政の運営について必要な措置を講ずることを求めることができるとなっている。そこでこの趣旨は、一応自治庁が認めたでき上った再建計画があって地方自治体がその再建計画に従わないで財政の運用をやった場合の規定なんです。ところが、今度のケースはそうじゃないでしょう。だから厳密にいうと―法律は厳密に解釈すべきなんです。今度のような場合は第一項には合致しない。私は、そういうふうに解釈しなければ、法律の正しい解釈であるといえないと思う。どうなんですか。
○奧野政府委員 「自治庁長官は、財政再建団体の、財政の運営がその財政再建計画に適合しないと認める場合においては、」「必要な措置を講ずることを求めることができる。」と、こう書いてあるわけでございまして、給与条例が実施された結果、将来におきまして財政負担が特に著しく増加している。そういう場合には、再建計画の達成が困難になるというように考えられるので、そのような措置がとられたわけでございます。
○北山委員 この場合は、その一応でき上った再建計画に対する運営というよりも、計画変更の問題なんですよ。変更とからみ合せて自治庁の長官が指示しておると私は思う。だから厳密にいうと、これは第一項は適用できないのじゃないか。しかも財政運営ということが、条例を作るという立法、そういうものまで含めるのかどうかということなんです。この規定の解釈からいえば、一応でき上った財政計画、それを無視して予算を組んでみたり、そういうことを私はいうのじゃないかと思う。そうじゃなくて、条例を作るという場合においては、やはり法令に違反したというような、もっと大きなものさしによって考えなければおかしいじゃないか。そういうふうに私は考えるのだが、いずれにしろこの規定というものは、地方自治の本旨に従って、本旨を尊重して解釈をされなければならぬという以上は、一体その給与表の改訂そのものが再建計画に合致するかしないか、これを一方的に自治庁長官が認定するということでは、地方自治を尊重するものとはいえない。かりに条例を一応作った、しかもそれは適法に作った、自治庁の通達に基いて作った。そうしておいて、あとの再建計画が云々というけれども、もしもその再建団体が、僕の方はもう再建団体でなくなりたいということで、あとでやる場合だってあり得るのですがね。だから私は、その一応適法に作った条例を改訂させるということに第二十一条なんかを使うということは適当でない。地方自治の本旨をじゅうりんするものだ、侵害するものだ、かように考えざるを得ないわけです。これは長官が来ておりませんから、あとでまたお伺いしたいと思うのだが、先ほども申し上げた六月一日の自治庁の次官通牒、これに従って、いろいろ地方自治体はそれぞれ給与表を作って公務員課の方へ見せた、内示を終えたはずだ。これは行政局長もよく知っておると思うのだが、もう今ではその当時の課長はおりません。おりませんが、そういうふうに地方団体が一応できた案を内示して、そうしてそれでよろしいということでやったわけです。それが今の通達にも、必要な調整を加え得るということになっておるのですから、再建団体だけはできないとは書いてないのですよ。これは当然できるものとしてあった。そうしてあとになって自治庁の考え方が変って、今度は、それは違反する。こういうことですから、私は、責任の一半はこれは自治庁にあるのではないかと思う。前の小林財政局長もそのことを認めておるのです。問題の通牒の解釈については、われわれの考えと現地とで食い違いがあったことは事実だろうと思います。こういうことを認めておる。去年のこの委員会における答弁です。そしてそのことが今の問題を起した原因であるということだけは、私も率直に認めざるを得ないというふうに、当時の財政局長が認めておる。食い違いが出るという原因が通達のあいまいさにあったということを認めておる。それを一方的に、その通牒の解釈はわれわれの解釈の方が正しかったのだということをたてにとって、そうしてせっかくできた条例までひっくり返そうというのですから、これはめちゃくちゃじゃないですか。新財政局長、どう思いますか。
○奧野政府委員 当時のいきさつにつきましては、あるいは自治庁としても、もっと万全な指導をすべきであったのではないだろうかというような議論もあり得ると思うのであります。ただ給与問題につきましては、多年、地方公務員の給与が国家公務員の水準に比較して高いのだというような議論がずいぶん行われて参りましたし、また御承知のように、地方歳出の半ばに近いものが給与費でありまして、給与費の支出がどうなるかということが、地方財政を混乱させるかさせないかというような、大きな分れ目にもなる問題でございますので、特にこの問題につきましては、地方団体においても慎重な態度で臨んでもらいたい。こういう希望を多年持っておるわけでございます。同時にまた一つの地方団体におきまする給与費のあり方というものは、他の地方団体におきましても非常に注目しておる問題ございまして、一つの地方団体のやり方というものは直ちに他の地方団体に及んでいくわけでありまして、とかくやはり高い方が望ましいわけでございますので、高きを期待していると思うのでございます。地方財政が完全に健全な状態になっております場合には、最大限度に地方団体の自主性も尊重できるわけでございましょうけれども、地方財政が現在のような状態であり、しかもまた再建団体におきましては、いろんな面において国が非常な援助を払って再建の達成に努力しておる際でございますので、ある程度給与問題につきましては、他の団体以上に慎重であってもらっていいのじゃなかろうか、こういう気持も持つわけでございます。特に地方財政法におきましては、国は地方財政の自主的な運営を尊重するようにしなければならないと、こういうような国への義務づけをいたしますと同時に、地方団体に対しましても、地方団体は、その財政の健全な運営に努めまして、他の地方公共団体の財政に累を及ぼすような施策を行なってはならないというような規定も設けておるわけでございますから、私たちは、給与問題につきまして、財政再建団体は原則として国家公務員の給与にのっとった給与改訂をやっていただくように、今日なお強く期待をいたしておるわけでございます。
○北山委員 期待するのは期待してもいいですが、地方自治を尊重するということは、やはり一定のものさしを示して、大体一つの幅でもって上もあり下もある。そこに多少はみ出すところもあれば、下回るところも現にあるのです。そういうところも多少ある。それがだんだんだんだん一つの基準をまん中にして進んでいくというところが、やはり地方自治の運営じゃないかと思う。また自治庁としてもその線でいくべきだ。それを今回のように、せっかく適法に作らしておいて―次官通牒にそうはっきり書いてありませんから、調整の余地を認めておるのだから、それに従ってやったわけだ。また赤字団体としても、従来公務員に対しては、給与の昇給の延伸だとかいろんなことをやっておりましたから、そういう点もあって、必要な調整をやったわけだと思うのです。そういうことをやらしておいて、あとで条例をひっくり返すなんというのは、これはよくよくのことですよ。だから、そういう期待をして、そういうふうに指導することはいいが、利子補給をしないとかいろんなことでおどかして、とうとうとっちめてしまうというようなやり方は、やはり一つの官僚行政ですよ。自由民主党という自由と民主主義を守る政党の内閣のやるべき仕事じゃない。条例をひっくり返すというようなことは重大問題なんです。適当でないものも多少はある。それを徐々に指導して直していくというのが、地方団体に対する指導じゃないですか。だから現に赤字団体でも、給与が国家公務員よりも下回っておる団体もあるわけなんです。大きな団体であるでしょう。それから赤字団体でなければまた当然ありますよ。また逆に非常に低い団体もある。その低い団体に対して、お前のところは低過ぎるから上げろということは強制的にやれないでしょう。長い間の指導によって、給与制度というものを公務員は同じような水準へ持っていこうというのが正しい民主的な運営であって、それを今のように、でき上った条例をしゃにむに、おどかしたり、すかしたり、利子補給を停止する、あるいは地方団体は交付税を減らされるかもしれないというような心配もある。そういういろんな恐怖感を与えて、せっかくでき上って、地方議会が議決したそういう条例を、そんな簡単にひっくり返すべきじゃない、どうでしょう。
○奧野政府委員 御指摘になりましたように、財政再建団体の財政運営といえども、できる限り自主的な運営を尊重するように政府としては持っていかなればけならないと考えております。たまたま給与制度につきましては、特にデリケートな問題があることでございますので、あえて先般のような措置がとられたわけでありますが、今後なお一そう自主的な運営を尊重するように、私たちとしては心がけて参りたい、かように考えております。
○北山委員 とにかく自治庁は、先ほど私が読んだように、昨年の委員会で、その通牒があいまいであって、そこに問題の原因があるということは率直に認めておる。そうするならば、今度地方団体が条例の改訂をさせられるというようなことは、いわば自治権の一つの大きな侵害ですよ。そういう事態に対して、自治庁はやはり責任があると思うのですが、次官どうですか。
○黒金政府委員 ただいまいろいろ経過のお話もございましたが、いろいろとその間に食い違いがあったりしたことは、非常に思わしくないことで、こういう事態が起りませんように今後ともに深く戒めて参りたいと考えております。
○北山委員 自治庁は、今後悔い改めるで済むかもしれませんが、地方団体はそうは参らぬですよ。とにかく知事は身をもって提案した。これで大丈夫だと、自治庁の意向も聞いて確信を持って提案した。議会は、やはり一つの条例を作る以上は、確信をもってやったんです。それをひっくり返されるでしょう。今後とも注意するじゃ済まないと思う。だから自治庁は、この食い違いはここにあったんだ、この通達があいまいであり、必要な調整を加え得るという余地を残しておる、そこにあったんだということを天下に表明しなさい。そうでなければ地方団体はおさまらぬですよ。そうじゃないですか。
○黒金政府委員 今お話しのように、いろいろ解釈に相違があったりするような原因があったかもしれませんが、やはりその条例の自主権を非常に尊重しなければなりますまいけれども、そこにもやはり相当に限界もあることでございましょうし、こういった結果が生まれましたことは、双方にとって非常に不幸なことであります。今後ぜひこういうことがないようにして参りたいと思います。
○北山委員 それは、こういう結果が生まれたといっても、こういう結果を作ったのです。もしもそういうことを認めないなら、なぜこんな必要な調敷を加えるなんというただし書きをつけたか。つけた責任を負わなければならぬでしょう。つけなければよかったのだ。国家公務員並みに全部ならなければならぬというなら、あるいは再建団体については絶対に国家公務員を上回ってはならないというならば、特別にそういうことをつけ加えなければならなかったはずだ。そこに自治庁が原因を作ったのじゃないですか。また内交渉して案を作ってきたときに、これがだめだというなら、なぜそこでだめだと言わないか。そういう指導上の責任があるんですよ。これはあとで長官が来てから、政治問題だからお伺いしたいと思うのだが、私は、この問題に関する限りは非常に重大な問題だと思う。ただ地財再建法だけの問題ではないのです。地方自治をどう考えておるか、地方の条例というものをそんなお粗末に考えていいかどうか、そういう根本的な問題なのです。もしも初めからはっきりと違法な条例とわかり切って地方団体が作ったなら、それはもう文句なくやめさせるべきです。変えさせるべきです。ところが、ちゃんと適法に通達に従って作ったものを、あとになってだめだといって、今後注意しますでは、これは政治的な責任はおさまらない。これははっきりしています。長官が来てから、私はまた別にあらためてお尋ねをします。
○鈴木委員長 次会は明二日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後一時散会