第029回国会 逓信委員会 第10号
昭和三十三年九月十一日(木曜日)
    午前十時三十八分開議
 出席委員
   委員長 淺香 忠雄君
  理事 上林山榮吉君 理事 橋本登美三郎君
   理事 粟山  博君 理事 片島  港君
   理事 小松信太郎君 理事 森本  靖君
      池田 清志君    木村 武雄君
      佐々木盛雄君    塚田十一郎君
      寺島隆太郎君  早稻田柳右エ門君
      大野 幸一君    風見  章君
      金丸 徳重君    佐々木更三君
      原   茂君    小沢 貞孝君
 出席国務大臣
        郵 政 大 臣 寺尾  豊君
 委員外の出席者
        郵政事務官
        (大蔵官房電気
        通信監理官)  松田 英一君
        郵政事務官
        (郵務局長)  板野  學君
        郵政事務官
        (電波監理局
        長)      濱田 成徳君
        日本電信電話公
        社総裁     梶井  剛君
        日本電信電話公
        社副総裁    靱   勉君
        専  門  員 吉田 弘苗君
    ―――――――――――――
八月十六日
 委員大倉三郎君辞任につき、その補欠として中
 村寅太君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十六日
 委員松野頼三君辞任につき、その補欠として今
 井耕君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十七日
 委員今井耕君辞任につき、その補欠として松野
 頼三君が議長の指名で委員に選任された。
九月四日
 委員小平久雄君辞任につき、その補欠として木
 村武雄君が議長の指名で委員に選任された。
同月六日
 委員正力松太郎君辞任につき、その補欠として
 寺島隆太郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月九日
 委員河本敏夫君及び中村寅太君辞任につき、そ
 の補欠として佐々木盛雄君及び椎名悦三郎君が
 議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員椎名悦三郎君辞任につき、その補欠として
 中村寅太君が議長の指名で委員に選任された。
同月十一日
 委員佐々木盛雄君辞任につき、その補欠として
 河本敏夫君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 郵政事業に関する件
 郵政監察に関する件
 電気通信に関する件
 電波監理及び放送に関する件
     ――――◇―――――
○淺香委員長 これより会議を開きます。
 郵政事業に関する件、郵政監察に関する件、電気通信に関する件、電波監理及び放送に関する件について調査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。
 森本靖君。
○森本委員 この間の委員会でちょっと質問をしようと思いましたが、ちょうど総裁が用事があって来られなかったので残念でしたが、きょうは来られておりますので、ちょっとお聞きしておきたいと思います。
 まずその前に、何か今度台湾とフィリピンの通信関係について、公社が請け負ってやるというようなことが若干新聞あたりに載っておりまするが、これの詳細な説明をお願いしたいと思います。
○梶井説明員 この問題は昨年の夏台湾とヴェトナムで、マイクロウエーブの施設をやりたいからといって、それについての調査を公社に依頼されたのであります。それで公社から両国におのおの別々のチームを出しまして、そして調査いたしましたその結果は、先方に報告書として出しておきました。もちろんこれに要する経費はアメリカから支払われたわけであります。しかしその後すでに約一年を経過しております。調査をいたしました結果は別にどうするということがまだはっきりいたしておりません。
 ところが最近新聞紙上で見たのでありまするが、タイ、ヴェトナム、カンボジア等でアメリカの援助資金で通信施設を全面的によくするということが出ておりました。しかしICAフアンドでやるのでありますから、前の場合よりはもっと範囲が広くなっておりますので、マイクロばかりじゃなく、有線の部分や、あるいは市外交換の部分までみな含まれております。ただいまのところはこれの調査を入札によってきめるんだというところまでわれわれはわかっております。それ以上に詳しいことはわかりません。いずれ調査をして、しかる後に資材を供給し、さらにそれを建設し、そうして後にこれを運営するという四つの段階に計画がなっておるようであります。ですけれども、さしずめのところは今の調査をするということだけが入札になるということを聞いておりますし、前回の例もありますので、公社としてもできればその入札に参加したいという考えを持っておる次第でございます。
○森本委員 台湾とヴェトナムについては一応今の説明でわかりましたが、フィリピン関係にもそういう通信関係で何か公社の方が関係をするというふうなことが報道されておりますが、どうですか。
○梶井説明員 実はフィリピンはアメリカのロング・ディスタンス・カンパニーというのが電信電話をやっております。そうして政府に所属しておる電話局の小さいのがございます。ところがマニラの電話のサービスが割合によくないのであります。そういう関係でフィリピン政府の意向としましては、そのサービスの悪いのを救う意味におきまして、政府みずからが電信電話事業をもっと拡大していきたいという考えを持っておるようであります。昨年秋ごろにフィリピンの政府から公社の方へ依頼がありまして、向うでそれに対する五カ年計画を立てたい、それについては公社の人々がすでに五カ年計画を実行しておる経験もあるのであるから、公社の人を派遣してくれて、そうして五カ年計画を立てることについて援助をしてくれという御依頼がありました。でありますから、公社から計画局長外二名がマニラに参りまして、フィリピン政府の要請によって五カ年計画を一応立てました。そこまでしかきておりません。
○森本委員 そのフィリピンの五カ年計画というのは、フィリピンの電話だけですか、それとも電信電話、そういうところの通信のすべての計画ですか、どうですか。
○梶井説明員 電信も電話も入っておるそうです。しかし大部分は電話であります。
○森本委員 そうするとフィリピンの五カ年計画というのは、フィリピン全土にわたる通信の五カ年計画ですか、それともごく一部分のマニラならマニラに限られた計画ですか。
○梶井説明員 フィリピン全土にわたる計画であります。
○森本委員 それでわかりました。
 それからもう一ぺん返りますが、台湾の場合はマイクロウエーブだけですか。
○梶井説明員 この前調査を依頼されましたの、台湾の場合もヴェトナムの場合もマイクロウエーブだけでございます。
○森本委員 それでこのフィリピンの通信の五カ年計画を援助してくれというのは、これは賠償としてのものですか、それとも通常の、向うがこれに対してはやってもらいたいということですか。そのいわゆる経済的な裏づけの問題はどうなっておるのですか。
○梶井説明員 この問題につきましてはまだ何とも決定しておりません。しかしこの問題は、もし賠償とするならば日本の政府とフィリピン政府の間で協議しなければできないわけであります。またフィリピン政府の資金でやるということであるならば、これは全く賠償に関係なくフィリピン政府がその資金を調達してやるということでありまするが、まだこの問題についてはいずれとも決定したとは聞いておりません。
○森本委員 この台湾のマイクロウエーブについては、これはどこからどこまでの計画の分ですか。
○梶井説明員 これは台湾の北から南まで縦貫して作るものであります。
○森本委員 それからヴェトナムの場合は。
○梶井説明員 ヴェトナムも北ヴェトナムの国境の近くからサイゴンまで。
○森本委員 その総経費は、台湾の場合は幾らで、ヴェトナムの場合は幾らで、フィリピンの場合は幾らという、大体の予想を立てていると思うのですが、どうですか。
○梶井説明員 正確に私覚えておりません。調査費だけは覚えておりますけれども、金額そのものにつきましては向うへ報告を渡してしまったものですから、資料を持っておりませんですが、もし何でしたら後ほど調査いたしましてお答えいたします。
○森本委員 大ざっぱなつかみ方でも覚えてないのですか。なければいいのですが。
○梶井説明員 年寄りではなはだ記憶が悪いものですから、ちっとも覚えておりません。
○森本委員 それでは後日その問題についてはお聞きいたすことにして、公社が今回海外の駐在所を設けるというようなことを聞いておりますが、これについてはどういう状況になっておりますか。
○梶井説明員 これは今まで申し上げましたように、東南アジアの方面と日本の通信との関係が最近非常に緊密になって参りました。また東南アジアの国々はコロンボ・プランその他で日本へいわゆるトレーニングのために人をずいぶんよこします。従って東南アジアの諸国との連絡を緊密にするためには、どうしてもあちらの方に人がおりませんと話し合いがすみやかに運びません。それでありまするから、バンコックに公社の人を一名在住せしめる予算を本年度は許されました。そして近く本人が出発することになっております。
○森本委員 これはバンコックだけですか。それ以外に公社が今度海外の駐在制度をこしらえるという意向はないのですか。
○梶井説明員 ただいまのところはバンコックだけでございます。ことにバンコックはエカフェの中心地でありまして、あそこに東南アジアの各国の人々が集まって通信の問題も論議するものですから、タイ国のバンコックが一番適当な位置になっております。
○森本委員 それでは将来はバンコック以外に置くつもりですか。
○梶井説明員 将来のことはちょっと何ともお答えできかねるのでございますが、必要が起りましたならば予算に計上して、そうしてその上でお許しを得て、置くことにいたしたいと思います。
○森本委員 電気通信監理官にお聞きしたいのですが、これは法的な問題として一つ明らかにしておきたいと思うのです。今総裁の方から説明がありましたように、フィリピンあるいは台湾、ヴェトナム、こういうところの通信を公社関係がやろうとしております。それから海外駐在をやろうとする。このよしあしの問題を私は今論じておるわけでなしに――いつか論じようと思いますが、そのよしあしの問題は別として、果してこういうことが日本電信電話公社法に基いたところの業務の内容であるかどうか。この公社法の第一条には「公衆電気通信設備の整備及び拡充を促進し、並びに電気通信による国民の利便を確保することによって、」云々、という電信電話公社の設立の趣旨がこの立法によって明らかになっておるわけであります。この立法の趣旨というのは、日本の国民に対してのいわゆる通信サービスを提供するというのがこの立法の趣旨であります。元来、今公社が言ったようなことを取り扱うのは、これは外務省なりあるいはまた通産省が当ってしかるべきだ。特にこの内容については、いずれひまがあればあとで詳細に触れたいと思いますが、きょうは時間がございませんのでその内容には触れませんけれども、私が調査をした範囲について、かりにヴェトナムにしてもフィリピンにしても、あるいはまたこういうところの台湾にいたしましても、これはいわば通信メーカーの代弁者みたいな仕事になると言っては語弊がありますけれども、そういうことになりかねない面もあるわけです。それと同時に、日本の通信産業の発達という観点から見ると、それは望ましい点もありまするが、日本の通信というものがアジアにおいて将来指導的な立場に立っていかなければならぬということも考えてみる場合には、そういう点の一長一短があります。ありますが、その問題を論ずるよりも、まず公社法の趣旨からいってそういうことがどんどん将来やられるということについては適法であるかどうか、その点は公社を一応指導監督するという建前になっておりまする郵政省の監理官の御意向を聞いておきたいと思います。
○松田説明員 お答え申し上げます。ただいま御質問がございましたように、現在の公社法の建前から申しますと、確かに今言われましたように、その問題については私どもある意味では非常に頭を悩ます問題ではあったのでございます。この現在の公社法を読んでみますと、これはもちろん第一条で、ただいまお説のように国内の国民の利便を講ずるということを主にしてできておりますけれども、第三条におきましては、その業務の円滑な運営に妨げのない限りはある程度よそからの仕事を受けることもできるという建前になっておりますので、全体として日本の電気通信事業の発達のために非常にいい結果をもたらし、またそれがひいては国民へのサービスにも、長い目で見ればよくなるということも考えられると思います。しかしそうかと申しましてもあまり公社の活動がそういう面で行き過ぎるということは、これは確かに好ましいこととも考えられませんので、そういう点をいろいろ考えました結果、大体今総裁から話をされましたように、たとえば台湾あるいはヴェトナムというふうなところで設計をするというふうな程度の調査をやる。これは確かにおっしゃいましたようにメーカーとの関係ということは出ては参るおそれもありますけれども、しかしメーカーはどちらかと申しますと、ある一つの機械を作る、あるいはそれを据えつけるということが主でございまして、これが通信系列となって初めから終りまで、それでは一体どういったシステムでもってこのマイクロ組織を作ればいいかというふうな問題になりますと、ちょっとメーカーではこなし切れない問題がそこにあるわけでございます。そこでそういった面では電電公社が一番日本としての専門家でございますし、ある意味でいえば電気通信事業が日本で独占されております関係上、電電公社以外にこういったことの経験を十分に持っているところがないというふうな点もございますし、また電電公社がそういう意味では世界的にも非常に信用があるというふうな点も考えますれば、その程度のことはやることもやむを得ないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
 それからバンコックに駐在をいたしますことにつきましても、これもほんとうに外務省関係等の仕事に当ってくるようなことを主目的とするわけではございませんので、公社として公社の運営上いろいろと外国の事情を調査しなければならぬ、あるいは外国の方に自分の方の仕事の実情も紹介しなければならないというふうなところを主にして考えておりまして、直接外務省の方がエカフェ等と連絡をすることにつきましては、御協力は申し上げるという建前になっておりますので、直接その仕事を主として出ていくという格好になっておらないわけであります。その点御了承いただきたいと思います。
○森本委員 これはなお臨時国会あたりでも議論になると私は思いますが、あなたが今言われた第三条の業務の委託というような点については、そういう面を考えての立法の趣旨じゃないと思う。この立法されたときの速記録をいろいろ読んでみても、これはやはり国際電電の委託とか郵便局の委託とかいうふうな意味の業務委託であって、そういう海外の問題ではないと私は思う。私がこの問題を取り上げたのは、これは有線放送の場合にも最初に私たちがあなたに対して申したときに、ああでもないこうでもないと言っているうちに、結局既成事実として有線放送電話に関する法律というものを認めてやらざるを得なかった。立法が現実よりあとから行ってしまった。今度の場合にもそういう法的な解釈というものを明確にしてやってもらいたい。というのは、私が非常に疑問に考えるのは、こういう点はよくお考えを願いたいと思うのですが、電信電話公社は国民に通信サービスをするという意味から、独立採算制を強要せられて、採算が合うように一生懸命にいわゆる事業の合理化をやっておる。実際に海外に、たとえば台湾、ヴェトナムあるいはフィリピンに公社が出ていってそういうお世話をして、一体独立採算でどれだけ利益になるかということになれば、これはちっとも利益にならぬ。公社自体としての損益、そういうことは国家予算の中から出して当然行うべき仕事です。もし日本の通信政策上としてやらなければならぬ仕事を公社がやっておるということにするならば、これは特別会計以外の、公社の予算以外の国の予算をもってそういうことをやるべきが当然であります。それを国がやらないから公社が出しゃばってやる。出しゃばってやることはいいけれども、結局そのものが一体どこにかかってくるかということになると、従業員の負担にかかってくるということは当然なんだ。それから財政的に見ていくならば、日本の国民に対する通信サービスというものが落ちるということになる。そういう点を一体公社の方は総裁どうお考えですか。この予算を編成する場合には、あるいは今日の日本の電信電話公社が国内においては電信電話事業の合理化というものを非常に強要しておる、そうして非常に利益を追求しょう、それと同時に国民にサービスを広く展開しようということで努力をしていることはわかりますが、かりに今言った海外の、台湾とかヴェトナムとかフィリピンというものをやらなければならぬとするならば、これは今の公社の内部予算においてやるなどということは間違いじゃないか、こう私は思うのですが、どうですか。
○梶井説明員 ただいまのマイクロウエーブの仕事につきましては、これは公社の費用を全然出しておりません。ただ、今のタイに駐在しておる人でございますが、これは公社の経費になっております。しかし御承知の通り、東南アジアと日本との間はきわめて緊密に今後協力していかなくてはならないという内閣の御方針で、技術センターを置こうという案さえあるのであります。しかし何分最近コロンボ・プランなどで人をどんどんよこされますし、またこちらからいろいろな資料を送ってあげなければならないというようなことがありまして、向うに全然人がおらぬでやりますといろいろな重複したことやらあるいはむだな手数がありますので、むしろ向うに一人おって、その人が十分説明すればお互いにそういう煩瑣なこともよほど省かれるのではないだろうか。もちろん今御意見のように、公社そのものは国内のサービスをやるのでありますから、それは直接の目的ではないのでありますけれども、しかし人が一人出ておるためにお互いの通信事業における理解が深まるということは、国交の上にも幾分かは貢献するわけでありますから、私どもとしましては、この問題につきましては十分に郵政省あるいは外務省その他に御相談申し上げまして、そうして御了承を得てやったわけであります。
○森本委員 私が聞いておりまするのは、そういう趣旨でやられておるということは一応了解がつくが、ただ行政機構としてはその筋道をはっきりと立てなければならぬと言っておるわけです。いわゆる電電公社の予算編成についてもおそらく今大蔵省と折衝されておると思うが、そういう面の予算について一般財政から公社に何か出すというようなことでも話があれば別です。そういうものは全然もらっておらぬ。そういうことで公社が内閣の方針に従ってやるということなら、内閣の方針によってやるだけの財政的な裏づけというものもあり、またそういう予算の組み方もあってしかるべきだ。それを公社の独立採算の内部においてやらなければならぬというところに非常に疑問がある。だからあなたたちがやろうとしておるところの趣旨というものはわかるけれども、そういう場合にはもっと行政的にも法律的にも財政的にも筋道を立てたことをやってもらいたい。そうしないと、ただ通信事業の発展のためにまあまあとかいうことだけでは私はこの問題はだめだと思う。そういう点については、本日は問題を提起しただけにとどめて何も結論めいたことは言いませんけれども、先ほどの監理官の答弁ではやはり前の有線放送電話のようなことになりかねない。だからこういう問題についても、郵政省にしても、電電公社にしても、さらに通産省、外務省ともいろいろ協議して統一ある答弁がはっきりとできるようにしておいてからこういう問題に手をつけてもらいたい。そうしないと、そうでなくてさえ公社はいろいろ批評もせられておる。また、たとい三流新聞であっても、いろいろ新聞において書かれておる問題もある。またそれぞれの業界紙等においても、公社の問題についてはいろいろうわさされておる。われわれがこの通信事業というものを愛する面から見ると遺憾にたえない面が多い。かりにうわさにすぎない面でありましても、また三流新聞であったにいたしましても、火のないところに煙は立たないということがあるので、あるいは百書いてあるなら、そのうちの一つか二つくらいはひょっとしたらほんとうだということになりかねない。こういうことは、私は日本の将来の電信電話事業の発展ということからしても問題があると思う。こういう問題についてもよく慎重に研究してやってもらいたい。それから副総裁がおりませんので、残念でありますが、私はきょうは総裁、副総裁、それから電電公社の各部局長にずらっと並んでもらって聞いてもらいたかったのですが、そういう内容等については触れませんけれども、いろいろ今日公社当局においても問題が論議されておる。それからまたいろいろなうわさが流れておる。そういうことでは、私は将来の公社の運営等について非常に心配だ。将来そういうことで事故が起るというようなことはないと思うけれども、あるいはまた国会で問題になるというようなことはおそらくないと思うけれども、しかし老婆心ながら私は今日総裁、副総裁あるいは部局長がもっともっときりっと引き締めて、公社一体となって通信事業を運営していくという気がまえが必要じゃないか。そういうことが言われるし、またこの間あたりの委員会のように、あなたたちが総裁がどこへ行っておるかわからぬということにもなりかねない。そういう点を見ても、若干綱紀がゆるんでおるということも言われるわけです。そういうふうに非常に電電公社がとやかくのうわさになっておるわけでありますので、この際一つ当委員会で公社総裁としてあなたの所見を明確に述べておいてもらいたい、こう考えておるわけです。
○梶井説明員 ただいまのお話の通りに、新聞、雑誌に書かれておるということは事実でございます。私も全部を見たわけじゃございませんが、一部分を見たことがあります。それにつきまして、私はまことに自分の不徳のいたすところと恐縮しておるわけです。従ってこういううわさの立たないように今後とも努力していきたい、こういう考えであります。
○森本委員 これは私だけでなしに当逓信委員会の人は、おそらく与野党とも全員だと思うのですが、やっぱりそういう点について非常に心配いたしておりますので、将来こういう問題が国会において論じられて、けんけんがくがくにならぬように、あなたの方ではそういうことについては今後十分慎重に、そして総裁を中心として部局長が一丸となって、もっと引き締めた格好で一つ公社の運営に当られるよう、この際強く私は進言をしておきたいと思う。
 大臣もこれは知らぬ顔をしておるわけではないと思うけれども、そういうようにいろいろなことを言われておるが、おそらくそういうことは真相ではないと思うし、またそういううわさを取り上げてとやかくの質問をしようとは思いません。しかしやっぱり火のないところには煙は立たないということわざもある通り、いろいろと憶測もせられまするので、監督の立場にある大臣としても、今の総裁の発言を十分に聞かれて、今後の監督指導には万遺憾のないように、大臣としてもやってもらいたいと思うが、それについて大臣としての所見をちょっと聞いておきたいと思います。
○寺尾国務大臣 電電公社の運営について、総裁を中心とし、一糸乱れざる和をもってその使命に挺身をしなければならぬという森本委員からの御注意また御意見、まことに私ども同感であり、さような御注意をいただきますことは、電電公社はもとより、監督の立場にあります私といたしましても、その御注意を十分身につけまして、御意見に従い、御意見を尊重いたしまして、今後万全を期していきたい、かように考えています。
○森本委員 まだあと質問者があるようでありまするので、私は来年度の公社の予算その他についても聞いておきたかったのですが、それは次会に譲って、最後に一つだけ聞いておきたい点があるのです。それは、これも新聞で見たことでありまするが、農林事業放送団というものが今回河野一郎氏を会長として設立をされております。これは当委員会には直接関係がないかもしれませんけれども、その内容を読んでみますると、短波放送のスポンサーになって、そうしてその放送を全国の有線放送電話につなぐというふうな構想になっておるわけであります。そこでこれをちょっと考えてみますると、農林事業放送団というものができて、現在の短波放送にスポンサーとなってやってみて、そこで成績がよければ、場合によっては短波の放送をもう一波申請をして、これが全国の有線放送電話につなぐというふうな意図を持っておるのではないかというようなことが新聞紙上だけを見ましても考えられるわけであります。これならどなたがやるにいたしましても、そういう機構はある程度は必要ではないかということが考えられる。考えられまするが、今日の有線放送電話に関する法律、それから放送法、電波法、この三つの法律の観点からいって、今回の農林事業放送団の設立、それがやろうとしておる仕事については、どうお考えですか。これは事務当局の方からお答えを願いたいと思います。
○松田説明員 お答え申し上げます。私も有線放送事業団のことにつきまして、そう詳しいことは知らないのでございますけれども、ただいまお話のように、有線放送が扱う放送内容というものは、有線放送業務の運用の規正に関する法律で放送法を一部準用されておりますので、その趣旨に従って行われなければならないというだけのことでございまして、郵政省としてはその内容面についてはほとんど関係しておらないという状況であります。それで私が承知しております範囲におきましては、結局有線放送の運営をやっている事業者は、農協その他ございますけれども、これは有線放送に関する限り番組は自分が自由に組んでいく、ただいま申し上げました法律の制約ということは考えながら、自由に中身を組んでいくということで、その番組の材料になるものをだれから得るかということは、法律上は自由なわけであります。その自由な面に対して農林省関係が、農事指導のために、材料を提供してやる、その材料の提供の仕方として有線放送事業団というものを考えたというふうな工合に承知しておりますので、やはり平たく申せば、いわば現在ラジオ等におきまして放送番組のあっせん業のようなことでございますけれども、それについてはおそらく電波監理局は全然手を触れておられないと思いますが、それと同じような立場とも申せるような――ただ扱います内容が農事指導という意味では違いますけれども、立場としてはそれと同じような考えになってくるのではないかというふうにも考えておる次第でございます。
○森本委員 現在の段階においてはあなたが今説明をした通りであろうと思うが、これが先ほど言ったように必ず自分で放送を持って、そうして全国をつなぎたくなるということ、私はもう火を見るよりも明らかだと思う。これは今の短波放送をスポンサーにしてやっておっても、結局はやはり自分で放送を持って、そうして全国の有線放送につなごう、こういうことになるのじゃないかという気がするわけです。そうなれば、これは非常に強力なマスコミになるわけであって、場合によっては重大視しなければならぬ問題だと思う。だから、いつでもそうですが、監理官室の方は何か問題が起ると消極的に消極的にと問題をとらえて、あとに引っ込み思案、引っ込み思案でいこうというような気があるわけですが、今度のような問題にしても、今当面直ちに関係がないにしても、これは将来必ず関係してくると私は思う。だから、少くとも放送事業団と名前がついて放送事業の内容等について立ち至るということになれば、これは電気通信監理官室だけではなしに電波監理局も、両方が今から研究してしかるべきではないか。必ずこれは将来電波監理局の問題になってくるのではないかと私は考えているわけです。この辺一つ、電波監理局長はそこで黙って聞いておりますが、この点についてはどうですか。これはやはり電波監理局長としては、今から研究をしてやっておく必要があるのではないですか。
○濱田説明員 有線放送事業団のお話はお聞きしましたが、これにつきましては、放送法、電波法等につきどういうふうな関連を生じてくるかという点につきまして、私どもは深甚な関心を持っておりまして、その運用につきまして万遺憾なきを期するように私どももいろいろ考えて対処していきたい、そういう考えでおります。
○森本委員 これでやめますが、この問題についても次回の委員会あたりでは私はさらに詳細に聞いてみたいと思いますので、電波監理局、電気通信監理官室の方では、今私が申し上げましたところの電波法、放送法、有線放送電話に関する法律、そこからこの農林事業放送団というものが現在の構想において果して満足しておるかどうか、将来は私が今言ったような構想を持っておるのではないか、そういう点もかみ合せて、一つ両方で十分検討しておいてもらいたいと思うのですが、いいですか。――これで終ります。
○淺香委員長 寺島隆太郎君。
○寺島委員 私はカラー・テレビの実用化試験放送の問題に対しまして、以下お尋ねをいたしたいのでございますが、まずわが国のカラー・テレビの実験放送に対しましては、昨年の十二月の二十六日に日本放送協会並びに日本テレビ放送網株式会社の両社にそれぞれ試験放送の免許が与えられまして、その間すでに十カ月の日子をけみしておるのであります。もはやこの段階においてはすみやかに実用化試験放送を許すべき段階なりと思量せらるるのでありまするが、これに対する寺尾大臣の御所見はいかがであるか。この点につきまして、私は今日世上に問題となっておりまする五つほどの点につきまして解明いたし、もって寺尾大臣の雄大なる措置を求めるための御答弁の御資料としていただきたいと考うるのであります。
 第一に、標準方式がまだ未確定である、国際的にカラー標準方式はいまだ決定に至っておらない、これが決定を待ってわが国のカラー標準方式を始めてもよろしい、こういう御所見が今日の電波監理局長その他において行われておるやに聞いておりますが、とんでもないことである。大体昨年のモスクワ会議に出発する際に日本側の団長でありました丹羽保次郎博士は、この会議に行ってもむだである、おそらく結論は得られない、こういうことを道破しておるのであります。丹羽博士帰ってきまするや、さっそくこの言葉を裏書きするがごとくにモスクワ会議はむだであった。何となれば、根本的に相違っておるアメリカのシステムであるNTSC方式、このコンパティブルの可能であるところの、すなわち白黒の受像機でも、さらにまた天然色の受像機でもひとしく映ることのできるこの方式によらずして、ソ連のCBS方式で妥協させるということは、今日のソ連の考え方と資本主義諸国の考え方とを合致さすよりもむずかしい話なんだ、こういうことを申されておるのであります。さらに来年の国際会議に参りましても、来年の四月に行われますロスアンゼルス会議によりましてもこの結論は同じなんであります。アメリカは連邦通信委員会の議決をとって明らかにNTSC方式に踏み切っておる。百歩を譲ってソ連がこの方式にCBS方式を改めて、この方式に譲らざる限りにおいて断じて妥協はあり得ないのだ、こういうことを考えますと、世界のカラー・テレビの流れは明々白々なんであります。この明白なる事理の上に立って、決してこれは来年の四月を待って許可すべきというものではない。すみやかに御許可に相なってしかるべき問題であると私は考えるのであります。さらにまたテレビはぜいたく品だ、テレビは一部富裕階級のものだ、いわんやカラー・テレビにおいておやというお考えがひそんでおると思うのでありますが、これもとんでもない話であります。断じてテレビは一部の富裕階級の独占物ではないのだ。このテレビを過去において考えてみまするならば、あのテレビ開始当時における論争を振り返って見るまでもなく、このことは言い尽されたことなんである。なぜテレビが今日マスコミの花となり、マスコミの寵児になったか。この第一歩を考えてみまするときに、都内二百カ所ほどに設けられました街頭テレビによって一部の富裕階級の床の間から大衆の目の前にこれを持ってきた、そういうことでまずテレビは大衆のものに相なったのであります。同じ方法をカラー・テレビにおいて採用すればこれはぜいたく品ではないのだ、しかもこの受像機は白黒でも映るのだ、現在の白黒テレビはカラー・テレビを許したとて決してむだになるものではないのだ、こういうことを考えまするときに、カラー・テレビは断じてぜいたく品ではないのだ、こういう点について御了承をいただきたいと思う。さらにまたカラー・テレビを使うならば無用の外貨を使う、巨大な外貨を使う、わが国の経済上から見てかようなことは許されない、こういうことを申されるのでありますが、なるほどカラー・テレビは現在アメリカにおいて四百ドルいたしておる。大体昨年あたりは六百ドル内外であったものが、各社が量産に入っておりますために五百ドルに下り、四百ドルに下っておる。もちろんこれをそのまま各家庭に持ってこようとするならば外貨を使うという所論もまた成り立つでございましょうけれども、そうではないのだ。これはよく考えてみますると、今日ではブラウン管さえ輸入すれば、残余の部分はほとんど国産ができるのだ。すなわちブラウン管一本を計算いたしてみますと、わずかに三万円程度なんだ。アメリカで八十四ドル程度である。これを考えまするときに、かりに二百個の街頭カラー・テレビを備えつけたといたしましても、その金額は外貨に直して六百万円、数うるに足りないものである。かって白黒テレビが日本に普及せられんとするや、一部の者たちはこういうことを言っておる。すなわち、アメリカの中古機械を押しつけられて、日本は外貨上とんでもない損になるのだ、テレビは売国である、こういう議論さえ生まれたのでありますが、断じてそういうものではないのだ。外貨の上からもこれは絶対に心配のないものであるということを、まず寺尾大臣に申し上げておきたい。
 次に、カラー・テレビが電子工学飛躍のもとであり、電子工学を背景とするわが国産業基盤の母であることは申すまでもない。このカラー・テレビをすみやかに日本に許すことによって、少くもこの問題を実用化試験まで踏み切ることによって、カラーは大衆のものとなり、もって大衆は二十世紀最高の爛熟せる文化を一文の金も要らずに直ちに享受できるのみにならず、このことは、もってわが国のきわめて必要といたしておるエレクトロニクスの飛躍的発展をもたらすのだ。あの白黒テレビを入れた結果においてさえも、昭和二十九年度におけるわが国の家庭電気器具の生産高一つをとってみましても、実に昭和二十九年の二百八十二億円から昭和三十二年度においては一千億を突破いたしておるのだ。しかもわが国に勇敢に白黒テレビを与えたからこそ、今日における飛躍的な弱電工業の進歩をもたらしておるのだ。すでに外国から、スエーデンからわが国の送信機について注文が来ておる。今日ドル不足に悩んでおる後進国からどんどん注文が来ようとしておる。このことを考えますときに、わが国原子産業の、原子力平和利用の母体ともいうべきエレクトロニクスの技術向上に、莫大な利益をもたらすことは申すまでもない。一方においては民衆を楽しませるのだ。一方においては大衆にこの娯楽を開放するのだ。このことによってこういう効果があるのだ。このことをまず大臣に牢記願いたいのであります。
 特にこの際私が不愉快に思いますことは、世上並びに郵政省御当局に慎重論に名をかりたサボタージュがあるということを指摘申し上げたい。このことはカラー・テレビに始まった問題ではない、白黒テレビにおいても同様であります。かってNHKの古垣会長はわが国で白黒テレビを開始せんとするや、アメリカからわざわざ書を寄せて、わが国のテレビはアメリカにおけるカラー・テレビの完成を待って行うべきだ、こういう笑うべき議論さえ申しておるのであります。もし古垣君の説をそのままやっておったならば、今日の白黒全盛時代は見られないのだ。この一事をもってしても明白な事実であります。
 さらに郵政御当局は特に白黒テレビについて昨年大量免許を行なったのだ、大量免許を行なったから、これが普遍化を待ってから、もってカラー・テレビに踏み切ろう、こういうお考えを持っておるとも聞いておりますが、とんでもない。現在カラー・テレビを持ってきても、決して白黒の受像機はむだにならないのだ。NTSC方式をもってすれば、コンパティブルなものであって、両方に併用できるのだ。家庭にある者は白黒で見ればよろしい。家庭にあらざる者はこれを街頭で見ればよろしい。一文の金も要らない。しかも言うところのテレビ界に混乱などは起りようはずがないのであります。私はこれを思いますときに、政治の要諦は、明日の必要に備えて今日勇敢に踏み切ることだろうと思う。わが日本が戦後十三年、今日の発展をなし遂げたのも、さらにまた今日のテレビがいんしんをきわめたのも、郵政官僚の諸君がこれを育てたからもって今日あるのではない。パイオニア・スピリットを持ってあの焼け野原に街頭テレビを据えつけたのが、今日をあらしめた。しかも実用化放送を許すならば、スポンサーから料金をとって、一文も要らずに、これを大衆のものたらしめようとするものだ。まさに民主主義の要諦なんだ。これをストップしてそっぽを向くならば、民主主義の敵といわなければならない。ことに岸内閣においては人材雲のごとくであるけれども、なかんずく物足りないのは、官僚出身大臣の多いことである。事なかれ主義、そつはないけれども、夢に乏しい。寺尾さんは衆議院にわれわれと一緒に席を持つたこともあり、参議院議員でもある。政界の表裏に通じた在野的の人である。この辺に対して十二分に踏み切って明確なる御答弁をお願いしたい。
○寺尾国務大臣 寺島委員から、カラー・テレビジョンの問題について、非常に高い御意見を拝聴いたしました。指摘をせられました数々の問題点については、御意見として尊重申し上げたいと思います。ただ結論的に申し上げまして、いわゆるとんでもないというような御指摘がありましたが、このカラー・テレビジョンについて、本年行われたモスクワにおける国際無線通信諮問委員会、いわゆるCCIR、あるいはその上部組織でありまする国際電気通信連合、こういうところで、世界の標準方式をいかに決定するかという、非常に慎重な論議検討を行われましたけれども、結論を得るに至らなかった。これは寺島委員がおっしゃった通りであります。従いまして再び来年はアメリカにおいてこの会議が行われる、こういったような段階でありますし、今の政府の考え方といたしましては、十分慎重に検討をし、でき得ればいわゆる世界の標準方式というものを決定し、それを見定めてやりたいということに、一応そういう方針を持っておるわけであります。
 御質問の内容が非常に専門的な点にわたって詳細御質問がありました。私はきわめてこれについてはしろうとでありまして、十分なことを存じませんので、いさいの点につきましては、電波監理局長から一つ御答弁をさせていただくことをお許し願いたいと思います。
○濱田説明員 それでは私から大臣のお話を敷衍して申し上げます。
 カラー・テレビを日本でいつ、いかにしてどういう方法で実施するかということにつきましては、私ども常に念頭からこの考えが離れないものであります。私どもはこのカラー・テレビが放送の進歩した、あるいは大衆形態のものでありますために、なるべく早く日本でも一人でも多くの人にこのカラー・テレビの恩恵に浴させてあげたい、そういう強い希望を持っておるのでございますけれども、ただいま大臣が言われましたように、これを実施するに当りましては、いろいろな困難な問題がここに介在しております。それでただいまのところでは、NHKと日本放送網株式会社、その両者に実験放送を免許しております。実験放送等によりまして、その必要な技術的なデータをなるべくたくさん集めて、世界の情勢等も勘案しまして、日本として最もいい技術基準なるものを、私どもは確信を得たときに定めまして、それから免許方針等を多くの方々と御相談いたしまして、どういう方式でいつこれを実施するかにつきまして最後の決定をしたいという所存でございます。大臣が言われましたように、ただいま日本が加盟しております国際電気通信連合におきましては、その下部機構でありますところのCCIR、国際無線通信諮問委員会というもので技術基準、標準方式等の検討をやっております。この問題は、先ほどお話のように、先般のモスクワ会議で決定まで参りませんでしたけれども、なお各国が世界の文化の向上のために、あるいはおそらく世界の平和の精神のためにでありましょうが、なるべくならば一致した最もいい技術基準を採用するようにしたい、そういう強い念願を各国とも持っておるのでありまして、そのために容易にこれは決定に至らないだろうと私は推定いたしております。しかしながら将来のCCIRの総会時分には、その考え方の方向等もほぼきまるだろうということを想像いたしますので、その標準方式がCCIRによりまして何かの形式で――推薦という形式がとられておりますが、そういう方式をCCIRは国際電気通信連合に対して推薦したい、すすめたいという結論に達しましてから、私どもはそれを参照しまして日本としての考えをきめたい、そういう考えでございます。
 なお、ただいまカラー・テレビはぜいたく品ではない、あるいは外貨の獲得上損ではない、あるいは科学技術の振興上非常に大事なものであるというようないろいろなお話がありましたが、これにつきましては私もおおむね同感でございます。このカラー・テレビというものは、確かに進歩した、魅力のある技術だと思います。少しく詳細に入りますが、白黒テレビの三倍くらいの込み入った技術を要します。従いましてこの難点は、価格、製造原価が上るということでありまして、ただいま寺島委員もおっしゃいましたように、アメリカのような大量生産技術の進歩した国におきましても、ただいまの工場原価と申しますか、卸値が八十五ドル、三万円以上になっております。それのみならず、かような技術は日本の電子工学が進歩したとはいえ、製造技術、大量生産技術においてはまだまだ問題がたくさんあるのであります。この天然色テレビジョンの大量生産技術がまだまだ日本では国産として安い、大衆に買えるようなそういう受像機あるいは送像機等の生産をするに適したように整備しているとは判定できないのであります。
 次に天然色テレビジョンの中心でありますところのブラウン管、このいわゆるカラー・テレビの三色ブラウン管、これはなかなかめんどうな技術が要るのでありまして、これを日本で実施しますためには、アメリカから特許を買わなければならぬ、そういうことなんでありますが、私どもは、できますことならば、エレクトロニクス、電子工学に関しましては卓越した頭脳を持っているといわれるところの日本人の考えがさらによいものを生み出す可能性を信ぜざるを得ないのであります。そういうものが生み出されるのを待つ必要がある。そういうのがブラウン管でありますが、一方アメリカの例を、購買力と結びつけまして、アメリカの三色管のただいまの白黒テレビとどのくらい違うかということにつきまして申し上げたいと思います。白黒テレビは今から十年くらい前に実用化したのでありますが、その際の白黒テレビのアメリカにおける受像機の普及の仕方を見てみますと、最初の第一年は五万、第二年は二十五万。これは大ざっぱな数字であります。第三年はその五倍、最初は大体五倍くらい増した。五万、二十五万、百二十五万、その次は三倍になりまして三百五十万ぐらい、それから二倍くらいになりまして七百万、すなわち最初の五年間に白黒テレビの方は一千万台くらいになった。そうして現在では約五千万。ところがカラー・テレビの方は、アメリカでは現在では一応実用に入っておるわけでありますが、五年たってようやく三十二万。三十万をようやくこしたそうであります。その最初の一年間に十七万の加入者があった。十七万人がカラーを買ったそうであります。すなわち、それらは私どもの考えでは富裕階級だろうと思う。直ちに買い得るのが十七万あって、それからあとの四年間に十五万くらい増した。アメリカにおいても非常に進み方がおそい。このいわゆるNTSC式を考えましたRCA会社が、このカラー・テレビの普及に非常に腐心しましていろいろな方策を練っておる。しかし、なかなかこれが急にいかない。去年のクリスマス時分には百万をこすだろうという予測がはずれまして三十万にしかならない。それでいろいろなことをして苦心しておりまするけれども、どうもアメリカにおいてこれが百万をこすに至るのは今後数年を要するだろうというふうな観測が一般であろうと思うのであります。そういうわけで、白黒テレビの場合とカラー・テレビの場合と、ブラウン管で比べますと非常に差がある。どうしてもカラー。テレビの受像管並びに受像機は、白黒に比べまして、少くとも二倍ないし三倍。そういうわけでありますので、これが安く作られるようにその実現を考えなければいけない。そのことを頭に置いてわれわれは実用化試験というものについても考えなければいかぬというふうに考えておるわけであります。
 そのほかいろいろございまするが、私のカラー・テレビにつきましての考えは大体以上です。
○淺香委員長 関連質問を許します。上林山榮吉君。
○上林山委員 ただいまの寺島君の発言に対しまして、関連して一、二お尋ねをいたしたいのでありますが、第一点は、私どももちろんカラー・テレビが早く実現でき、国民がひとしくこれを見られるようにすることについてはやぶさかでないのでございますが、その前提に立って、寺島君の発言の中に、郵政当局は慎重に名をかりて一種のサボタージュをやっておるのだ、そのためにせっかくできる段階にありながらこれができないことになっているのではないか、こういう質問があったのでありますが、ただいまの説明で具体的な話はありましたけれども、このことに関して明確な発言がないのでそれぞれ疑いを持たれるのではないか、こう思いますので、この一点はまず明確にしておかれたい。
 第二点は、来年度を限度としてではありますまいが、大体来年度を目安としてCCIRより方式の推薦があるかもしれません、それに従ってカラー・テレビが、方式が決定したことによって推進できる段階であろう、その方向に向っておる、こういうお話でありましたが、それがもしその通りいかなかった場合、どの程度を限度として世界は、特に日本は踏み切っていくのであるか。これはなかなかむずかしい問題でありますけれども、もしこの機会に発言できるならばお聞きしておきたい。この二点を私はお伺いしておきたいのであります。
○濱田説明員 先ほどのお話の中に、慎重という言葉によってサボタージュをしているということがございましたが、そういうことは絶対にありません。私どもは慎重という言葉をいいかげんに使うという気は毛頭ないのであります。やるべきことを順序を踏んで事を進めたいという考えでございます。ただいまの実用化試験に至りまする前には技術基準というものをきめる、これは非常に厄介な、混み入った問題でありまして、時間を要します。ただいま実験放送をしておるのはそのためでございます。しかる後に日本の工業力、それから国民の購売買、ないし白黒テレビの建設状況、あるいはその普及状況、一般国民の希望等、諸般の情勢を勘案しまして、そして最後にきめようというわけでございまして、慎重の上にも慎重を期さなければならぬということであります、ただし。決して私どもがカラー・テレビに不熱心というわけではございませんで、きわめて熱心に、一日も早く、こういうものはもし安くできるならば早く普及させる、こういう念願でありますことを申し上げておきたいと思います。
 もう一つ、CCIRの標準方式がかりにきまりましたならば、それに対して郵政当局は態度をきめるかというような御質問でありましたが、標準方式がきまったならば直ちにそれに従うということには必ずしもきまらぬのでありまして、日本は日本として独自の考えを持ってやります。ただいまでも世界の動向を見守り、そこでCCIRの意見を尊重して、われわれの考えをきめよう、できますならばNTSC方式の日本版でいきたい。NTSC方式の日本版と言うと語弊がありますが、NTSC方式というものは非常に魅力のあるいい方式でありますので、そういうことになるかもしれないと思っております。できますことならば完全なる日本版でいきたいというわけでございますけれども、先ほど来のお話のように、NTSC方式というものは非常に研究し尽されたよいものでありますので、そういうことになるような可能性も考えておるわけでございます。
○上林山委員 私の質問の中に、もしそういう推薦の方式がとられて、せめて来年度にその方式がとられるならば、どの方式を採用するかしないかは別として、いつごろを限度としてわが郵政当局は踏み切るのか。ちょっとむずかしいのだけれども、その目安というものが言えるならば、言ってもらえばそれぞれの関係者はそれにピントを合わしてそれぞれ努力をするであろう、こう思いますので、これはなかなかむずかしい話でありますけれども、この結論を得たいために質問したわけであります。その限度を承わっておきたい。
○濱田説明員 非常にむずかしいお答えになるのでございますが、日本の工業力がカラー・テレビ受像機を安く――安くというのはまた非常にむずかしいことでございましょうが、安く適当なる価格で多くの人へこれを普及しても差しつかえなかろう、そういう程度になる時分を見定めてきめる以外に手はないだろうと考えます。
○寺島委員 寺尾大臣に重ねてお尋ねを申し上げたいのでありますが、私がただいま質問しております要旨は、決して本免許を与えてもらいたいと申しているのじゃないのです。実験放送から、本免許へ移る一つの過程といたしまして実用化試験放送を免許されたらどうなんだ、こういうことを私は申し上げておるのであります。もちろん実用化試験放送の期限は一年を限って認可せられるものでありまして、私は先ほど、国際的趨勢はもうほとんどきまっているのだ、こういうことを申し上げたのでありますが、それがかりに奇跡的事実が起ってそれ以外の方式に移行するといたしましても、これは期限一カ年を切って許可するものであるから、何ら実害はないのじゃないか、それまで大衆の便益とそしてわが国の工業の飛躍的向上とははかり知れないものがある、このゆえにおやりなさい、こういうことを私は申し上げておるのでありまして、大臣、さようなことでは絶対に因るのです。名を国際会議にかりて遷延するということは、政治家のきわめてずるいやり方であるといわなければならない。第一に国際会議云々とあなたはおっしゃいますけれども、国際会議においてきめられるであろう問題は、わが国における六メガか七メガかという論争のときにすでに尽きているのだ。日本といたしましてはアメリカ的システムを取り入れていくということが正しいのだ、こういうふうにその当時は結論づけられているのだ。このことを考えてみましても、国際会議の決定を待つまではおれは慎重にやるのだ、かようなことはまことに当を得ない考え方であろうと私は思う。すみやかに実用化試験放送だけをお許しになるということを重ねて私は要望し、お尋ねを申し上げたいと思うのであります。
○寺尾国務大臣 現在の試験放送からいわゆる実験化放送、おそらくスポンサーをも考えた放送のことだと思います。このことは標準方式を待って、そしてその間実験放送によって実際のいろいろな研究資料等も積み重ねていき、そして標準方式決定のときにそれらの経験に基いてよりよきカラー・テレビの放送に資する、こういう考え方が政府の考え方であるのであります。しかし寺島委員のお話は、それはそれとして、世界の標準方式がどう決定しようが、現在の段階において実用化試験放送というものをやってほしい、これを許可する考え方はないか、こういうお尋ねであります。このことにつきましては、今直ちに実用化試験放送を許可するという意思はございません。しかしそういったような御要望も寺島委員から初めて出たわけでございますから、このことはさらに十分検討いたしまして、実用化試験を標準方式決定前に行うことの可否というようなことも十分調査研究をいたしまして、後日その政府の考え方というものをお答えいたしたい、さように御了承願いたいと思います。
○佐々木(盛)委員 関連して。私は電波の問題、あるいはカラー・テレビの問題につきましては決して専門的な知識は持っていないのでありますが、私たちの担当しております外交委員会等におきましても、すでに日本のカラー・テレビの海外、特に東南アジアヘの進出の問題が具体的な交渉に入って参りました。従いまして、私は本委員会の席を拝借いたしまして、主管大臣や当局からの意見を承わりたい、こういう考え方から出席をいたしたわけであります。
 ただいま電波監理局長のお話を聞いておりますと、役人というのはこうも独断的なものかと、私は実はもうあぜんといたした次第であります。あなたのおやりになることは、おそらくは電波法に準拠されておやりになっておるのでありましょうが、この法律をごらんになってもわかるように、これは「電波の公平且つ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的とする。」のだと、第一条に目的が規定されております。あなたの先ほど来のお話を承わっておりますと、まるで経審長官か通産大臣のようなお話をなさっていられます。少しあなたとしては行き過ぎじゃありませんか。そこまであなたが立ち入って、日本経済の為替の問題がどうのこうのなどと言うことは、電波監理局長の権限外の問題じゃないかと私は考えるのですが、これはむしろ大臣の決定される事項であって、大臣から答えるべきことなので、あなたとしては私は少し行き過ぎだと思う。しかもあなたの言う、今の段階においては認可をしないということの論拠がきわめて薄弱です。私はしろうとでありますが、しろうとをして納得させることができません。従って私は、以下少し具体的な点について、あなたにもう一度承わっておきたいと思います。
 まず第一に、まだ時期は尚早だというお考えです。今は白黒の段階であって、カラー・テレビの段階ではないのだというお考えですが、これは先ほど寺島君からも言っておりましたが、六年前のどちらにするかというような紛争があって、あのときにNHKの会長古垣さんが、カラー・テレビができるようになってから日本の白黒テレビを始めたらいいじゃないかということをおっしゃったことを引用しておられましたが、もし古垣さんの説に従っておったならば、今日まだ日本においては白黒のテレビもできていなかったはずだ。従って、これは別に国家が損害をこうむるという問題でもなく、一つの民間の会社がコマーシャル・ベースに立ってやることなのでありますが、そこまでの御心配は、あなたにしては少し要らない御心配じゃないかと私は思うのであります。そういうように慎重論慎重論とやっておりますと、科学の進歩というものはありません。六年前には大体関係の団体や何かでも、大なり小なり古垣さんの論を支持しておったようなわけでありますけれども、今のお説を聞くと、まるで時計の針を逆に回しているか、少くとも時計の針をストップさせようというようなお考えではなかろうかと思うわけであります。先ほど来お話しになっておりました貧乏人には向かないのだというようなことでありますが、今のテレビが初めて出ましたときに、白黒が出ましたときにおきましても、私たちは実はそう思っておった。どうせ私たちのような庶民にとっては、これは非常に高級なものなのだと自分自身思っておりました。しかし今日の段階におきましては、あの白黒テレビがそう貧民向きのものでもありませんけれども、これが大したぜいたくなものだというお考えにお立ちになるならば、少し時代錯誤ではなかろうかと思うのであります。しかもこれが会社側のサービスによって街頭に出て、街頭に出れば見られるのだというものの考え方ならば、これはまずあなたのおっしゃる貧乏人向きじゃないというお考えの根底が変ってきやせぬかと私は思うのでありますが、そういう点まであなたがお考えになって電波の監理をなさる必要があるのかどうか。そういう点について私はあなたの少し権限外の問題じゃないかと思うのですが、まず御所見を承わりたい。
○濱田説明員 お答えいたします。電波の割当は公平かつ能率的であらねばならないという電波法の問題でありますが、私どもはその根本原理に基きまして、私どもが研究し得る、勘案し得るいろいろな方面の情勢、たとえば日本の工業力、カラー・テレビの機器を供給確保し得る工業力が今日整備されるように考えることが絶対必要であろうと考えます。次に国民の経済負担力というようなことも、やはり一応われわれは当事者として考慮のうちにとって考えるのが当然ではないかと思います。そういう意味におきまして国民の購買力、工業力の水準、あるいは今日の白黒テレビの普及状態、あるいは放送という方面に使われますところの国民の負担等につきまして、一応の考慮を払っていく必要がある。多くの人の意見をお聞きすると同時に、そういう調査をするのも、これはただいまのような電波法の精神を守るために実施するために必要なことであろうと考えて生ほどのようなことを申し上げた次第であります。決して権限以上のことをやろうなどという気は毛頭ございませんことを申し上げておきます。
○佐々木(盛)委員 工業力がない、まだ整備されてないというお話ですが、そうすると、六年か七年前に初めて日本に白黒テレビができたときに同じ意見があったのではなかろうかと思うのであります。しかしながら今日におきましては、日本の国産で、きわめて安いものが、神田のガード下へ行けば幾らでも買えるような段階になっている。先刻来のお話を伺うと、今の段階においてできないものはブラウン管だけで、その他のものは非常に急速な進歩をいたしておるのであります。しかもそういうシステムを取り入れることによって、日本の他の関連したところの、あるいは原子力の受け入れ態勢に役立ち、関連産業もこれによって進歩発達するわけでありますから、私は工業力がないなどというあなたのような論拠にはならないと思います。重ねてそれに対する御意見を承わりたいことと、もう一点、あなたは国民負担があるとおっしゃいましたが、だれが負担しますか、このカラー・テレビを認可することによって、現在以上に国民に税金がかかって参りますか。どういうことでありますか。御意見を伺いたい。
○濱田説明員 放送はなるべく多くの日本人が享受するに至ることを望むことが当然であります。従いまして、先ほどの街頭テレビというお話もございますけれども、やはり国民が各家庭にこれを買えるようにするのが最終の目的だろうと思うのであります。そのことが実現するように配慮することが、私は政府としては必要なことじゃないかと考えます。そういう意味におきまして、国民が受像機を楽に――楽にという言葉にいろいろ意味がありましょうが、比較的容易に買えるようなことにするのがやはりねらいだろうと思うのであります。先ほど申し上げましたが、白黒テレビの場合におきましては、最初十四インチ十五万円くらいした時分があります。その時分にはこれを買う者は非常に少かった。非常に少数の者きり買えなかった。それを六万円とか七万円にしましたために、これが大衆性を帯びてきつつあるというわけでありまして、かような状態に今日のカラー・テレビがなるかどうか。これは白黒テレビのブラウン管とは構造内容が相当違いますから、そう簡単には言えないだろうと私は思うのであります。
○佐々木(盛)委員 先ほどの工業力の点をお答えなかったようでありますが、あとからその点についてもお答えを願いたい。あなたの御議論を聞いておりますと、日本の国民生活の水準が一体何年になったらカラー・テレビを許されることになるか。あなたの論拠から言うと、すべての国民がカラー・テレビを家庭に備えつけておくことができるような段階にならなければ認可しないということだったら、いつの日にそれができるのですか。そういう施設ができて放送が現実に始まってこそ、スポンサーもつけば、またこれを見た人々はさらに買いたいという意欲も生まれ、関連した産業というものが向上発達してくるのだと私は思うのであります。今日まだ数十万円の費用を払わなければならぬということだ、だから国民のものじゃないというあなたの考えは、少し取り越し苦労に過ぎやせぬかと思う。また独善的です。またあなた方の郵政省役人の中にもゴルフなんかやっておる人がたくさんおります。私もよく知っております。何ぼほどのメンバー・シップを獲得するためにどれだけの金を払っておるか。数十万円の金を何の苦労もなく払っておるじゃありませんか。今日国民生活が向上しているということを考えていただきたい。また白黒から自然の色に対する人間の愛着、これはあなた方の想像以上のものなんです。今日普通一般のアマチュアのカメラを見ましても、八ミリのカメラを見ましても、非常にカラーの傾向が圧倒的なんです。このときにこれを阻止しようというあなた方の考え方は非常に独善的な考え方です。同時に文化の向上、産業技術の発達にも役立たない。それをチェックしているのはあなた方自身じゃないですか。あなた方の言われる国民負担の軽減云々というのは、ちっともわれわれを納得させるものではありません。これはどの会社がやろうと――NHKがやろうと、日本テレビ放送網がやろうと、その会社の負担においてやることである。ところが今まで見ますと、日本に初めて白黒テレビができた当時においては、おそらく赤字を出すだろうといわれた。今日聞いてみますと、どこの会社でもわずか数年で非常に黒字を出しておる。非常な勢いである。でありますから、スポンサーとそれをやる会社が自分たちのそろばんにおいてやることだ。だから国民の負担になるという論拠はどこにあるのですか。電波がないところに持ってきてまた電波が要るというが、同じ電波の上に乗っかって色が出るか出ないかということです。国民負担になるという論拠と、日本の工業水準がそこまでいっていないということを、数年前に白黒テレビを認可されたときの状況と考え合せてどれだけの開きがありますか。
○濱田説明員 私の御説明が悪かったかもしれませんが、国民の負担と申します意味は、放送事業者というものが放送施設を作ったのであります。いろいろな負担をすることは当然でありますが、同時に少しでも多くの人がこれを見たり聞いたりしなければ意味がないのであります。従いまして受像機を買うということは当然のことで、申すまでもありません。そういうことで、カラー・テレビというような非常に魅力の多いものは借金しても、あるいは外国から輸入しても買いたいというような欲望を起すのは当然だと思うのであります。そういう意味で国民がほしいがために、見たいがためにそういう無理をするようなことが往々あるだろう。そういう今までの白黒テレビの場合においてわれわれが見聞きしましたいろいろな事情から判断しまして、国民の負担が増すのは当然だろう、かように負担を増さすことはいかがなものであろうかと考えるのであります。これが国民の負担につきましての大ざっぱな考えであります。アメリカの白黒の場合とそれからカラーの場合とでは、よほど私は事情が違うように思っております。カラー・テレビのブラウン管というものは、今世界じゅうのどこでも、アメリカですらもまだこれが最終形態であるかどうか疑いを持っておるのであります。そういう意味で、これはもっと安くなるだろうという懸念といいますか、希望を持っておるのでありますが、かような意味で私はまだ最終の格好がきまらないものが実施せられて、そして無用の負担を増すというようなことは絶対に避けたいというような考え方を持っております。
 次に工業力の問題でありますが、それもただいま申しましたように、日本のメーカーではどの会社も、ただいまアメリカのRCAで作っておりますところの三色ブラウン管の大量生産をやる整備をいたしておりません。そういう能力がないわけであります。そういう状態であります。のみならず、RCA会社と特許契約をして――それは御自由でありますけれども、勝手々々に特許契約をして、アメリカではたった一社しかない、RCAしかないところの三色ブラウン管の大量生産を日本においては四社ないし六社も七社もやるに至るだろうということは、あまり望ましいことではないのであります。そういうわけで、私はまだまだ日本の工業界に三色ブラウン管を作る能力は持っていないということを知っております。われわれは実はカラー・テレビ調査会というようなものを作りまして、関係の人がみな集まりまして、いかにしたならば受像管あるいは受像機の大量生産が可能になるか、安くできるかということにつきましていろいろ論議しておるわけであります。そういうようなところの結論もやはりそうであります。私は決して独断で日本の工業力がまだ三色ブラウン管を作るに十分でないと言っているのじゃないのであります。
○寺島委員 濱田局長にお伺いしたいのでありますが、局長はただいま佐々木委員の御質問に答えて、日本のメーカーではブラウン管を作ることさえ不可能だ、それだからおれは許さないのだ、こういうような御所論に私は聞いたのでありますが、そのブラウン管の背後に張りめぐらされておりますところのシャドー・マスク、すなわち三つの真空管からそれぞれ流れてくる色を約三十数万個の穴をあけてこれに濾過させる装置ができないのだ、こういうふうに私は濱田さんのただいまの説明を聞いておったのでございますが、これはわが国の優秀なる写真光学、特に写真製版技術をもってすればすみやかにできるんだ、こういうことを私は確信を持って聞いておりました。あなたはこの道の専門家であるかもしれないが、わが国の無線工業界もしくはテレビ界ではできないのだというのは誤まりであって、おそらくこれを輸入すれば一年以内においてその技術はマスターするのだ、かように私は考える。あなたは知らざるの理由をもってさようなことを佐々木委員に御答弁なさった。それは容赦できない考えである。技術官僚のかたくなな頭のために、わが国のカラー・テレビが一年でも一時間でもおくれるということは、断じて文化の名において私は許すことができない問題だと思う。これがあなたに聞きたい第一点。
 もう一つあなたに承わっておきたいのは、金持階級でなければ買えない状態であるということを重ねて力説しておられるが、そうではないのだ、これは街頭テレビによって実用化試験を行いたいのだ、こういう考えで、これによってだれも犠牲を払う必要はない、このことを私はまず強調をいたしたいのであります。まずあなたの考え方は、現在バスが何台も走っておる、このバスに乗っても不自由はない。バスが走っておるのに走るバスをとめて、国民大衆ことごとくの自家用車ができ上るまでこれはポピュラーにしてはならないという考え方と相似ておるのであります。私は、実用化試験によってかって日本の白黒テレビを発展させた今日の原因を作った街頭テレビによって、大衆には何の負担もかけずにその楽しみと背後の工業力を培養したいという純粋な考え方に立脚してその所論は展開されておると思う。これについてあなたの考え方はきわめて独断だ。これに対する第二点としての明瞭なる御答弁を私は承わりたいと思う。
 濱田さんは大体トランジスターの特許を持っておられる方である。あのトランジスター・ラジオは濱田さんの特許であるということをよく聞くのでありますが、あの特許でさえもが今日はもうほとんど大衆のものになっておる。わが国の工業力がまだそこまで至らないというのは独断もはなはだしいことであって、過去において一年間にしてほとんどテレビの完成形態を見、さらに量産に至ったわが国のねばり強さを考えるときに、そういうことは杞憂である。またこれが世界的にまだ技術構造がきまっておらない。これも第三点に聞いてみたいのだが、あなたはしからばテレビの三つの流れでありますところのNTSC方式がよろしいのか、あるいは併信不可能――コンパティブル不可能であるところのCBS方式をよろしいとするのか、あるいは原子力学者であるローレンスの考えておるローレンス方式がよろしいのか、これがまだきまらないからやれぬのだ、こういうふうに私は承わるのでありますが、技術の究極するところはしょせん併信可能であるところのNTSC方式によらざるを得ないと思う。それならばきわめて早急の機会にこれを実用化試験に移して、この培養に備えるということが科学日本の進路じゃないか。国民大衆の営々たるパイオニア・スピリットによって今日までの復興がなされておる。しかるにあなたは、わが国の工業力はまだ未熟なんだ、工業者の端くれのくせにさようなことを申し上げるということは、日本国民に対する侮辱なんだ、日本工業に対する侮辱なんだ、私は憤りをさえ感ぜざるを得ないのであります。すみやかにさような蒙を開いて、この実用化試験に踏み切る勇断をまず示してもらいたい。そのくらいのことが民間出身の局長で決断がつかないようならば、これは笑うべきであろうと思う。私は重ねて佐々木先生の質問に対する関連として承わりたい。
○淺香委員長 政府委員の方にちょっと注意をしますが、質問者に対する答弁は一つその要点を間違えないように、あまり飛躍の答弁にならないように御注意を願います。
○濱田説明員 今日の三色ブラウン管のシャドー・マスクが日本でできないから、実用化試験の免許をしないというふうにお考えのようでありますけれども、そうは考えていないのであります。シャドー・マスクを作る技術は日本でもやろうと思ったらできます。しかし、このシャドー・マスクを使うか使わないかというようなことについての研究がまだ済んでおらない。それがひいては標準方式に関係がありまして、標準方式を決定するまでに慎重なる――慎重なると言うとまたいけないかもしれませんが、非常に注意を要すると思います。そういう意味で私はシャドー・マスク云々で日本の工業力を判定しません。しかし過去のテレビジョン技術でも、技術等につきまして日本が外国よりかおくれをとっている、そうして多額の特許料を外国に払わされておるというような点から考えまして、日本は大量生産を実施する段階になるところの技術については、これはまだカラー・テレビを実施するに足る水準までには行っていないように思う。そういうわけで今日ではこの工業力が早くつくようにいろいろな努力を払っていくことはパイオニア・スピリットを持ってやっておるわけでありまして、その点は御了承願います。
 次に、金持ち階級でなければカラー・テレビは見られないというふうに考えておるとおっしゃいましたけれども、そうは考えていないのであります。かような科学技術の粋は一人でも多く一般の大衆に見せるようにすべきであることはもう当然でありまして、その方向に向ってわれわれはありとあらゆる努力を傾けていると考えておることを申し上げておきます。このことはさっきから申しますように、アメリカにおいてもこれがなかなか普及しない。テレビジョンを最も早くからやっているところの先進国であるイギリスにおいてもまだ実験放送をやっているにすぎない。フランス、ドイツ、イタリア、みなしかり。そういうわけで世界の各国は、やはりそれぞれの国の国民の福祉を考えるためでありましょうが、非常に慎重を期して研究をやっておる段階である。われわれはただいまの実験放送の推移を見て、データを集めて、そうして標準方式を固めたいというふうに思っている次第でありまして、決してちゅうちょ逡巡しているというわけじゃないのでございます。そういうわけでございまして、私は一日も早く科学技術の粋の成果が国民に利用せられ、そうして日本が科学の国として経済の地盤を固めるようにいたしたい、そういう強い念願で事を処理しているつもりでありまして、その点はどうぞ御了承願いたいと思います。
○淺香委員長 郵政大臣から発言を求められています。これを許します。寺尾郵政大臣。
○寺尾国務大臣 局長の答弁等につきまして、両委員からいろいろ御意見も出ておるようでありますが、これは私は局長が専門家としていろいろの点を非常に心配をいたしまして、できるだけ安い受像機を大衆にまでも考えてみたいとか、あるいは日本の工業技術がまだカラー・テレビに対する点において、受像機の生産に対してやや劣っておるとか、そういう点を心配し、これらをできるだけアメリカの技術その他先進国の技術に近寄らさなければならぬというような見解から申し上げておることだと思っております。しかし政府といたしましては、カラー・テレビジョンを一日も早く国民の前に受像させ、そうしてこのカラー・テレビの持つ非常に高い国民の期待にできるだけ早く浴せしめたい、こういう方針は絶対のものでありまして、局長がそれに対して苦労をしておる点をいろいろ指摘申し上げたということだと思います。
 先ほど御指摘もありましたように、白黒テレビを日本で放送いたしますにつきましても、私どもは一九五一年に衆参両院の委員長等とともにアメリカに参りまして、三カ月ほどつぶさに視察をいたしたのであります。その当時視察したときには今の日本の段階において、このテレビジョンがいつ日本で放送できるかということは、当時の総理の吉田さんなども、まあ少くも五、六年先のことであろう、こういうふうな見解を持っておったものが、いざその後になると、白黒テレビがNHKあるいはNTV等によってきわめて急速に放送され、今日すでに八十二局、放送をしており、また予備免許を与えて建設に進んでおるというような異常な発展をしたということにかんがみましても、このカラー・テレビジョンの日本のメーカー等に対する期待は、私どもはしろうととして大きく、決してそれが遠く及ばないとか、非常に劣るというものではなく、特にこれが始まれば相当期待ができる、こういうことを考えております。従いまして、このカラー・テレビジョンについて一番慎重を期さなければならぬファクターは、やはり世界の標準方式を一応見守らないと、列国のカラー・テレビジョンの中継等も標準方式を同じうすることにおいて、より効果が得られることは申し上げるまでもないのであります。そういう点を大きなファクターとして考えておるのであります。
 なお、今の実用化試験等につきましては、本日初めて寺島委員からのそういう御質問があったのでありまして、これを私どもさらに検討いたしまして、その可否等についても各界の意見も聞いて一つ慎重に善処をいたしたい、こういうことでありますから、その点御了承願いたいと思います。
○佐々木(盛)委員 私は最後に二点だけ監理局長と大臣に簡単に質問をいたしまして、私の考え方はもうこれ以上申し上げないことにいたします。先刻来濱田監理局長のお話を聞いておりますと、何一つとして私を納得させるものがないことを私はまことに残念に思います。一体カラー・テレビジョンの認可を故意におくらされておるということのどこにネックがあるのかという点を考えますと、あなたは世界標準方式の点にネックがあるとおっしゃっておるのか、日本は貧乏で、そこまで経済力が及ばぬということをおっしゃっておるのか、あるいは工業技術がそこまで進んでないということをおっしゃっておるのか、その点が何ら決定的な要素はございません。大臣自身がお認めになっておりまするように、わずか五、六年前にはあれほどみんな心配して、白黒のテレビでも日本では大衆が買うだろうか、うまくいくだろうかという心配を持ったのが、今日におきましては急速な勢いをもって庶民のものとなりました。濱田監理局長は、おそらくこのきわめて短かい二、三年の後に、本日の会議録をお読みになってじくじたるものをお感じになるだろうと思うおそらくは冷汗が出てくるような世の中になってくると思います。でありますから、あなたはこの技術の進歩に対して貢献されるように、むしろこういうものはある程度は一種のスペキュレーションであっても進歩発達のために、たとえて言うなれば人工衛星を打ち上げてみたところが、そんなものは月の世界まで行けますかというようなものの考え方を持っておったのでは、いつまでたっても世の中の進歩というものはないのでありますから、むしろ積極的に進んで、少しぐらいは危なくてもやらせるという考え方に立ってもらいたいと思うのであります。
 そこで伺いたいのは、国際会議の決定によってこの標準方式をきめると言うが、私はこの帰趨というものはきわめて明白だと思う。それではあなたに承わりますが、この国際会議が何らかの方式を決定するというお考えをお持ちになっておりますか。私の所信を申し上げますならば、おそらくアメリカとソ連との今日のあらゆる対立、反目というものが、テレビの世界だけにおいて二つが完全に意見が一致するとは私は夢にも考えておりません。もしも結論が出るとすればどういうことかというと、おそらくはアメリカ方式の方に統一されはせぬかという可能性もあります。もしそれができないという場合におきましては、いわゆるソ連方式とアメリカ方式、二つの方式を世界の各国が採用するということによってあるいは結論が出るかもわかりません。あなたにまず承わりたいのは、その見通しについて、これが来年のロスアンゼルスの会議においては結論が出てきまるとお考えになっているのか、きまるというなら大体どちらの方向にきまるとお考えになっているのか。国際会議、国際会議ということをあなたは金科玉条のようにおっしゃるのですが、それほど重大な国際会議というものがどのようにきまるというお考えをお持ちになっているか、この点をあなたから明確に承わっておきたいと思います。
 それから大臣に一つ承わりたいのですが、先刻来のお話を聞いてもらっておりましても、大臣はもうすでに郵政大臣になられましてから、いろいろ電波監理の問題も御研究なさったでありましょう。非常に俗論ではありまするけれども、今日私たちの言っておりますことが、これがとりもなおさず大衆の言葉なんです。社会の声なんです。でありますし、しかもこれが本格的な営業をするわけでもなくて、一年間の試験期間を置いてこれの実用化をやりたいというならば、これを認可することによって生ずる弊害があると大臣はお考えになっておるのか。もしこれによる弊害がなくて、いな進んでこれが早く国民大衆のものとなっていくんだ、また日本の工業水準に貢献するんだとお考えになるならば大臣は認可する方向に踏み切るべきだと思うのでありますが、あなたは今から一年の期限付認可というものが、世の中にそれほど大きな害毒を流すとか、国家としての大損失を招くということをお考えになっておるかどうか。一年の期限付実用化方式に対する御意見なり御所信を重ねて承わりたい。
○濱田説明員 CCIRの結論がどうなるか、今のところ予想はつかない状況であります。ついでに申し上げますが、ソ連はやはりNTSC方式を目下のところ実験しているようであります。
○佐々木(盛)委員 それでは答弁にならない。それではあなたのおっしゃることは、それがきまらなければいつまでも認可しないでほったらかしておくというのですか。あなたの方針はどうなんですか。あなたはこの国際会議によるところの標準方式の決定ということが、私が承わっていると、あなたの立場から一番言い得ることなんです。それでは見通しはどうかということを聞きますと、見通しは一向ない。見通しがなければ、あなたの理論の根拠から言うならば、いつまでたっても放任しておくという以外に手はないじゃないか。また国民生活がもっと向上して何十万という金を払ってみんながカラー・テレビを備えつけるようにならなければ認可しないというあなたの意見というものは、矛盾撞着はなはだしいことを平気で大衆の前でおやりになっているのですが、どういう考え方ですか。
○濱田説明員 私が申し上げたいことは、日本の標準方式がきまらなければ実用化試験の免許をするという段階にはならないということであります。CCIRでたといこれがきまりましても、極端に申せば日本の考え方は別なんであります。そのCCIRの決定を尊重して考えたいというわけでありまして、もしかりにきまらない場合に、日本は永久にきまらないのかというとそうではない。ともかく再々申し上げましたようないろいろな考慮の背景を考えて、一番公共の福祉に合致するようにわれわれは事をはかっていきたい、そういう考えでありますから御了承願いたいと思います。
○佐々木(盛)委員 あなたはソ連方式に決定する可能性があるという世界会議に対する見通しでありますか、それが第一点。それからもう一回重ねて聞きますが、あなたもこの立場に立って国際会議の問題を非常におっしゃるからには、それに対する見通しもあなたの責任の問題ですよ。見通しもわからないで、あいまいな無責任なことを言っておったんじゃいけない。これは一体どちらの方の方式になるかというようなことはもとよりだれもきめられぬことでありまするが、あなたの立場から、アメリカ方式をやめてソ連方式が採用されるというような見通しがありますかどうかということを重ねて一点伺っておきたい。それから日本は日本独自の立場からやるのだったら、日本は独自に日本の方式をきめたらいいじゃないか。今の段階においてはきめられないということの根拠はどこにあるのですか。日本は世界方式がどのようになろうと、国際会議においてどのような決定になろうと、日本は独自の方式を採用するということをあなたは言明なさっておる。それじゃ今日ただいまでも決定できることじゃないか。あなたの論拠は全然なっていないじゃないですか。
○濱田説明員 ソ連方式と言われましたけれども、ソ連方式というものは今確然たるものがあるんじゃないだろうとわれわれは見ておるのでありまして、今申し上げましたように、ソ連はNTSC方式と称するアメリカで考えられたものをもとにして研究を進めておる段階であろうと推測いたしております。日本としては標準方式をきめるに当り、いろいろな実験データその他を今集めておるのであります。そういうわけでありまして、それが十分に集まって、確信を得なければこの標準方式というものはわれわれは決定することができない、こういうことであります。
○佐々木(盛)委員 今、白黒テレビを採用しております方式、この上に立ってこれをカラー・テレビに転換されるわけでありまするが、そうするとこれが国際会議の結果、アメリカ方式はもう採用されないで、この地球上から消えてしまうのだというような見通しでありますか。そうなると大問題でありまするが、そういうお考えに立っておるのか。それから私あなたにもう一回申し上げまするが、日本は独自の立場でやるというならば、今、日本はアメリカのシステムを採用してやっておる。その方向にもいかないで、場合によっては逆の方向にいくかもしれないとお考えになっておるのか。重大な問題でありまするから、はっきりしておいて下さい。
○濱田説明員 私の判断では、アメリカでやっておりますところのNTSCという方式は、非常に優秀な方式であります。これが打ち消されるということは多分あるまいという見解を持っております。多分ないだろう。ただしかし、先ほど申しましたように、これにもいろいろ欠点があります。ですからいろいろ工夫改良をこらして、そうして日本には日本に適するような方式を考えることが必要であるということを考えておる次第であります。
○佐々木(盛)委員 それでは専門的に承わりますが、日本には日本の独自の方式があって、ブラウン管もできないという。だから日本の工業力がそこまでいっていないと御指摘になっているあなたが、日本において独自の方式ができるというお考えなのですか。いつの日にそれができるのですか。
○濱田説明員 これは非常にむずかしい問題でありますけれども、全然日本はそういう能力がないと断定してそっくりそのまま輸入するということは私は得策ではなかろうと思うのでございます。NHKであれ、あるいは大学であれ、各方面においてやっておる研究者がいろいろなカラー・テレビの技術の問題につきましてさまざまな研究を進めていることは事実でありますから、私は日本の科学者、技術者がうまく動員されるならば、工業化までいかなくても、アイデアだけでも独特のものが生まれればいいということを考えております。しかし世界の大勢というものから見まして、世界の大勢というものはNTSC方式というものが非常に長年月、多額の費用を投じて行われたためでありましょう、ともかく優秀なものであることは私自身が強く認めているのであります。しかしながら、そのNTSC方式の中にブラウン管の改良だとかいろいろな問題がありまして、RCAが今やっているものそのままについてはアメリカ自身においても批判が多い。他のメーカー、GEとかあるいはモトローラーであるとか、いろいろな諸会社が非常に批判をしておる。アメリカですらもこれは適当でないかもしれないという批判があるくらいでありますから、日本においてはこれは日本人みずからもやはり考えて、どうしてもここにいい知恵がなければいたし方ありませんけれども、そういう努力はやる必要がある、そういうふうに考えておる次第であります。
○佐々木(盛)委員 それではもうこれ以上あなたには質問いたしません。しかしあなたのおっしゃったことを、帰ってからよく速記録を読んでごらんなさい。あなたは理論的には全く相反したことを平気でおっしゃっておる。私は、あなたは技術屋で、科学者としてはきわめて優秀な人であると聞いておったが、あなたのお説を聞いておると何かほかの理由から、ほかの考慮から、時計の針の進んでいくのをストップする役割を演じられておる。あなたはやはり科学者として象牙の塔に立てこもっておるときはなかなかいいのでしょうけれども、やはり役人になると役人の独占根性が出てきて、何でもかんでもテレビを認可してやるのだ。あなたがくしくもこの委員会の御答弁の冒頭に立たれたときに、国民に恩恵を与えてやるんだというようなことをおっしゃっておられた。その表現の中にも、ははあ、やはり官僚くさいところがあるなということを私は聞いておったのでありますが、果せるかな、あなたの答弁を聞いておると、非常に官僚臭がふんぷんとある。最後に私はあなたにお願いしておきますが、あなたはそういう立場からいろんな点もあるでしょうが、やはり世の中は進歩発達をするためにはある程度は踏み切って、そうしてそれが社会の福祉向上に役立つというならば、何もこの問題によって国民の税金がふえるわけでもなく、だれかが損害をこうむるわけでもない。政府の面子にかかわる問題でもありませんから、一つもう一回よくお考えになって、私は過去のことにとらわれませんから、あなたも過去のことにとらわれないで、虚心坦懐に大臣とよく御相談になって、すみやかに一年間の認可ができるような方向に踏み切っていただきたいと思います。
 それから先ほど大臣にお聞きいたしました点御答弁を願いたいと思いますが、一年間の期限付ならやらしていいのではないかということについてどうお考えになっておるかということが一点と、冒頭に私が申し上げましたが、今東南アジア方面においては、日本のカラー・テレビができるならば、一つ日本が来て建設してほしいというようなことを言っておる向きもあるのであります。もしかりにあの未開の南方に行って日本が白黒を飛び越えたカラー・テレビをあそこの中でやったら、これはほんとうに大きな国民外交の見地からいっても、これは岸さんが訪問したり、あるいは役人が行って何かすることよりもはるかに大きな国民外交であって、日本に対する信頼は一度に増してくると思う。そういう意味において私は、大いにそういうプロジェクトがあるならば、それに対しては大いに政府もそれを支持するなり応援したいのだというふうな立場を、おそらく寺尾さんであるからお持ちになっておると思うのですが、その点についても一つ御答弁を願いたいと思います。
○寺尾国務大臣 寺島、佐々木両委員から、先刻来よりきわめて御熱意を持って、現に実験放送の段階にあるカラー・テレビジョンを一年間の期限付で実用化試験を許可する意思はないか、またそうしてほしいという御要望に対しましては、先ほどもお答えいたしましたように、このことはいろいろ考えとしては持っていなかったのではないのでありますが、特に委員会の両委員からそういう御要望が出たということは本日初めてであります。従いまして、こういう具体的問題を許可するかしないかということについては、相当に慎重に検討を要する、これこそ慎重ということを一つお認めをいただかなければならないと思いますので――といっていつまでも私が慎重に考え込んでおるのではございませんから速急にこの点を各方面の意見も聞き、私自身といたしましても十分検討いたしまして、次回の委員会の席上でお答えすることをお約束いたしたいと思います。
 それから東南アジア等にカラー・テレビジョンを行うことによって国際的に大きく寄与できるのではないか、こういう問題についてはどうかというお話でありますが、このことは、私は過日正力松太郎氏からも、その構想の概略について、詳細ではありませんが、相当詳しく拝聴いたしました。私といたしましては、この問題もそういったような国際親善の上に、あるいは国際外交の上に大きく寄与できて、しかもこれがいろいろ法規その他に照らして可能であるというようなことであれば、大いにこれは研究の価値のある問題ではないか、かように考えておる次第であります。
○森本委員 ちょっと関連して。先ほど来の質疑応答を聞いておりましたが、大臣は次の委員会あたりでは明らかにしたいということですが、その明らかにしたいというのは、そういう経過を明らかにしたいということであって、その問題についてどうだこうだということについては、おそらくまだ私は次の委員会ではどうだ、こうだという結論が出て返事ができるということではないと思う。これは御承知の通りカラー・テレビについても相当の申請が出ておると思う。すでに白黒のチャンネル・プランをこしらえるときに、UHFの教育テレビを全国的にどう置くか、さらにNHKとの関連をどう持っていくかということについてもまだきまっていない、さらにそういう点、総合的に今度はネット・ワークの問題についてもまだ今許可をしただけであって、白黒テレビが順次普及させておるということであって、先ほど来のこの問題が決定しておらないのは単に方式の問題だけではないと思う。そういう日本の今後の放送界のあり方、電波の免許のあり方という問題全般から見て、やはりカラー・テレビ問題については検討する、特にこの委員会においてもあのチャンネル・プランが非常に問題になった当時は、とにかく今の段階において白黒テレビ、教育テレビ、さらにカラー・テレビ、さらにその上にFM放送というように、電波行政というものは順番を追っていかなければ非常に混乱するのではないかというような意見もあったわけです。だから、そういう全般的な問題でこれが今慎重に検討せられておるということであって、一つの特定の事項についてどうだということによっての審議をされておるというわけでないと考えておるのですが、その点はどうですか。
○寺尾国務大臣 そういう点については森本委員と同感であります。ただこの問題が具体的に要望され、御質問がありましたから、この点については十分慎重に各般の資料、あるいは検討をいたして、これをどう調整するかということについて、次会の委員会でお答えを申し上げたい、こういうことであります。
○淺香委員長 本日はこれにて散会いたします。
    午後零時四十分散会