第030回国会 外務委員会 第8号
昭和三十三年十月二十四日(金曜日)
    午前十時十二分開議
 出席委員
   委員長 櫻内 義雄君
   理事 岩本 信行君 理事 宇都宮徳馬君
   理事 佐々木盛雄君 理事 床次 徳二君
   理事 戸叶 里子君 理事 松本 七郎君
      菊池 義郎君    小林 絹治君
      前尾繁三郎君    松田竹千代君
      大西 正道君    田中 稔男君
      帆足  計君    森島 守人君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 藤山愛一郎君
 出席政府委員
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局長)   佐々木義武君
        外務政務次官  竹内 俊吉君
        外務事務官
        (アジア局長) 板垣  修君
        外務事務官
        (条約局長)  高橋 通敏君
 委員外の出席者
        専  門  員 佐藤 敏人君
    ―――――――――――――
十月二十二日
 委員高田富之君辞任につき、その補欠として足
 鹿覺君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十月十七日
 米軍のレバノン撤兵に関する陳情書(富山県下
 新川郡入善町議会議長松田栄松)(第一二〇号)
 漁船の不法だ捕防止等に関する陳情書(東京都
 千代田区平河町二ノ六全国市長会長金刺不二太
 郎)(第一三五号)
 日韓会談に関する陳情書外二件(浦和市岸町六
 の九林在容外二名)(第二一七号)
 核兵器使用、製造及び実験禁止に関する陳情書
 (京都市北区白梅町二六梶本日颯)(第二一八号)
 日中関係危機打開に関する陳情書外三件(水俣
 市議会議長尾田学外三名)(第二一九号)
 核兵器持込み禁止等に関する陳情書外二件(室蘭市
 議会議長高野次郎)(第二二〇号)
 原水爆実験禁止等に関する陳情書外十一件(熊
 本県議会議長二神勇雄外十一名)(第二二一
 号)
を本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 連合審査会開会に関する件
 原子力の平和利用における協力のための日本国
 政府とグレート・ブリテン及び北部アイルラン
 ド連合王国政府との間の協定の締結について承
 認を求めるの件(条約第三号)
 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日
 本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の
 締結について承認を求めるの件(条約第四号)
 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日
 本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を
 改正する議定書の締結について承認を求めるの
 件(条約第五号)
 日本国とラオスとの間の経済及び技術協力協定
 の締結について承認を求めるの件(条約第六
 号)
     ――――◇―――――
○櫻内委員長 これより会議を開きます。
 まず、日本国とラオスとの間の経済及び技術協力協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。質疑の通告がありますので、これを許します。松本七郎君。
○松本(七)委員 ラオスは日本に対する賠償請求権を放棄したわけですが、今度の技術協力協定というのは、このラオスの日本に対する賠償請求権放棄の代償として結ばれたというふうに考えていいのでしょうか。
○藤山国務大臣 放棄の代償としてというよりは、放棄したという事実、それに対する日本の感謝の気持から出ておるわけでありますが、できるだけラオスに対して好意を持って経済援助をしたい、こういう建前であります。
○松本(七)委員 そうすると、この協定を最初に言い出したのは日本側なんでしょうか、どちらからこれは発案されたのですか。
○板垣政府委員 ただいまの御質問の点に関連いたしまするが、放棄の代償としてやったわけでございませんですが、昨年の三月にラオス政府が賠償請求権を正式に放棄する際に、口頭でもって、これはラオス側の請求権の代償として要求するわけではないが、できればラオスの経済開発のために何らかの援助をしてくれないかという申し出がありました。その際は河川用舟艇その他七項目でございましたが、その後ラオス側からほかの項目で、ただいま問題になっております上下水道、鉄橋の架設、そういうようなものに援助ができないかという申し出がありました。その後日本側が技術調査団を派遣いたしまして、上水道の建設が一番ラオスの要求にも合致するということで日本側の意思決定が行われました。これに基いて協定を締結するということになりましたので、まず何か援助をしてもらえないかという申し出はラオス側であり、その後協定を結ぼうということになりましたら日本側でありまして、どちらが先に申し出たということははっきりいたしません。両方の合意でもって経済援助をするということが合意に達しましたので、協定を締結しました次第であります。
○松本(七)委員 かりに賠償請求権を向うが放棄しないで賠償という形になるとすれば、とても十億円じゃ済まなかったであろうと思うのですが、賠償という形であった場合には、どのくらいになる予想だったのでしょうか。
○板垣政府委員 賠償という形になりますれば、もちろん交渉が行われるわけでありますから、どのくらいの金額になったかは予測はできませんが、ラオス側の一応の損害見積りによりますると、二百億円に達するということを言っておりました。従って、十億円じゃ済まなかったかもしれぬということはあるいは言い得るかとも思います。
○松本(七)委員 そういういきさつだとすれば、先方の好意に十分報いるように、この協定を誠実に履行するということが特に必要になってくるだろうと思うのですが、こういった南方諸国に対する日本の態度、それと関連していつも問題になるのは、やはり南ベトナムの問題だと思います。そのベトナムの場合は、特に将来の統一ということを日本がよほど考慮して対処しないと、カンボジアにしてもラオスにしても、やはり今後の外交政策の中心は、中立主義的な行き方というものが強くなる傾向がだんだん私は増大するだろうと思いますが、そういう情勢の中にあるときに、特にベトナムの場合に、急いで南ベトナムを対象に賠償を支払うということになると、せっかくカンボジアやラオスに対しては望ましい関係が打ち立てられようとしておるのに、この南ベトナム賠償のこと一つによって事態を悪化させるという危険があるんじゃないか。どうしてもわれわれは、この南ベトナムに対する賠償を急ぐ理由というものがはっきりしないのですが、外務大臣からこの点についてもう少し詳細に御説明願いたいと思います。
○藤山国務大臣 御承知のように、南ベトナムはサンフランシスコ条約に調印をしておりまして、賠償の請求権を持っております。その後たびたび向うからその賠償について申し出ております。われわれも将来むろん統一されることを望んでおるわけでありますが、その過程におきましても、これらの問題を解決して参りますることが必要だと考えるわけでありまして、向うからの申し出その他を慎重に考慮しながら研究を続けあるいは話し合いをいたしておるわけでございます。
○松本(七)委員 私ともから考えれば、南ベトナム側からそういうことを言ってきた、それだからこれを慎重に検討いたした結果、支払う方針をきめたということでは納得ができないのであって、それは南ベトナム側からそういうことを言ってきても、ジュネーヴの協定もあるし、全般の国際情勢の変化に応じてこれに対処していかなければならない、そういう観点からすると、なぜ南ベトナムに対する賠償をこのように急ぐかということがますます疑問になってくるわけなんであります。最近、ブラウン記者に総理の語った言葉にもありますし、それからこの前から外務大臣の答弁にもあるように、国際共産主義の脅威ということを特に強調されるわけですが、もしこの脅威があるとすれば、岸さんがはっきりそういう言葉を使われたかどうかということは別として、台湾なりあるいは南朝鮮の共産化をあらゆる努力をもって防ぐということは、これはもしも国際共産主義の脅威ということが現実にあるとするならば、当然なことだと思います。そういう政策が出てくる。特に自民党の現在立っておる立場からするならば、それをはっきり打ち出すことの方がむしろ自然だと思う。そういう建前を貫いていけば、これはベトナムにしても南、北というものは政体も違えば考え方も違う。政治制度、社会制度が違うのですから、その北の影響を何とかして食いとめよう、そのためには反共という意味からいっても、南の方の国力をできるだけ増大しようという政策に出るのは、私はこれは筋が通っていると思う。そういう点、政府は反共のためにどういう努力をするかということを、国民の前に考え方も明らかにするし、そういう建前からこういう政策をとるんだということになれば、その善悪は別として、一応筋の通った政策としてここに明らかになってくるだろうと思う。それに対する反対はあると思う。特に私どもはそれに対しては別な考え方、別な立場から、もちろん反対の態度を打ち出すわけです。そういうはっきりした考え方なり政策が出されて、それに対抗する政策というものがまた論議の対象になって、初めて国民は今の政府のやっておること、あるいは自民党なり社会党の政策をはっきり判断する材料が提供されると思う。それを肝心な点をはっきりしないでおいて、ただ南ベトナムから申し入れがあってそれを慎重検討した結果これをやるのだということでは、その検討した内容というものは、全然明らかにされないわけです。ただ経過の報告にすぎない。こういうことではこの重大な時期に際会して、特に共産主義の脅威ということを政府が言われる以上は、また昔のように反共同盟というようなものがだんだん出てくるのじゃないか、こういう危惧を国民は非常に持っているわけなんです。どうしてもそれが必要だということになれば、政府はその点を国民に納得させて、そういう政策に乗り出すことが、私は国民に対するほんとうに親切な民主的な態度だと思う。そういう関係がないとは私は言えないと思うのですが、この点いかがでしょうか。やはり共産主義を防ぐ反共政策の意味でも、南ベトナムに対する賠償支払いは、そういう建前からも必要だということを政府は考えておられるのかどうか、その点は全然考慮外なものかどうか、伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 ベトナム賠償につきましては、ただいま申し上げましたように、サンフランシスコ条約にも調印いたしておりますし、また請求権も持って交渉してきております。長い間の初めからの交渉の過程から見ましても、賠償としてこれを支払うことが、そうしてこの問題を解決していくことが適当だという考え方であります。従いましてわれわれとしては、反共だからこれをやるんだということは考えておりませんけれども、しかしながらベトナム賠償を払いましたことが、ベトナム全人民の幸福になるというような立場でありますれば、それはおのずから今御指摘のような点に道が通じていくということも言えるかと思います。がしかし、賠償そのものはやはり賠償として支払うのだという建前はとっておるわけであります。
○松本(七)委員 ベトナムに関する問題はまた別の機会に質問することにしておきたいと思います。
 ラオスは、岸内閣の言う東南アジア開発基金構想というものに対してはどのように評価しているでしょうか。
○藤山国務大臣 東南アジアの各国が、それぞれ経済建設をやっていくために資金が非常に不足しているということは一般的に言えると思います。従ってラオスも、むろん経済建設をやろうという場合に、資金的に非常に不十分である、また各国の援助も求めたいということを考えておることは当然だと思うのです。ただ岸内閣が打ち出しました開発基金の構想等につきましては、それはそれぞれの国でいろいろ考え方も違っておりますし、また自分たちの中でそういうマルティラテラルな話し合いができる、もしそういうことが可能とすれば、ラオスも非常に喜ぶと思いますが、バイラテラルの場合にある程度の心配があるということも考えておるわけであります。しかしながら、必ずしも的確な意思表示をラオスがしているとはまだ考えられません。
○松本(七)委員 この開発基金構想については、ラオスとしては意思表示は全然してない、こう了解していいでしょうか。
○藤山国務大臣 公けの意味において別段の意思表示はいたしておりません。
○松本(七)委員 そうすると何かプライベートには、外務大臣なり総理大臣に意思が伝えられておるのでしょうか。
○藤山国務大臣 総理が訪問されたとき、その他の事情から見まして、そうしたことができることが好ましいことは、ラオス側も考えているようであります。
○松本(七)委員 あの構想に対する東南アジア諸国の反応は、その後どういうふうになっていますか。特にあなたが今度アメリカに行かれて、ダレスともこれについては話をされたように聞いておるのですが、その会談をめぐっての東南アジア諸国の反応はどうでしょうか。
○藤山国務大臣 私がダレス長官と会見してこの問題を話し合いをいたしました後に、まだ九月の末に私が帰ったばかりでありますから、それらの問題について特別に各国の外務大臣などと接触はいたしておりません。従ってその後の状況としてどういう反応が出ておるかということは申し上げかねると思います。ただわれわれの見ておりますところでは、御承知のように、東南アジア各国は経済的に最近非常に急角度に悪くなりつつあると思うのであります。そうした意味から考えますと、何らかの形でもって経済的な建設を、バラテラルであろうとマルティラテラルであろうと、方法がつけばこういう問題を取り上げていくということの意欲は前よりも若干ふえてくるのじゃないかというふうに考えます。しかしながら、これは構想の内容その他さらに再検討してみまして、それらの上に立ってそれぞれの国と話し合いをしてみないとわからないことでありまして、前の段階でも、必ずしもマルティラテラルに反対でないところと、いやバイラテラルの方がよいという考え方と、二つございましたから、今後の問題として、やはり地域的なみんなの協力によって何らかの資金が得られることになるということについては、私は現在の東南アジアの事情から言っても、相当考えが変り得るのではないかというふうに考えております。
○松本(七)委員 東南アジア諸国の中でもアメリカとの関係が非常に深い国は、この岸さんの構想に対して、むしろ日本が競争相手になるという意味から、これを警戒しておるし、それからアメリカとの関係の薄い、むしろ中国などとだんだん接近を深めておるような諸国は、この構想は日本の独自の帝国主義勢力が復活するのではないかというような意味で、また非常に警戒しておるというような動向が見えるのじゃないかと思うのでありますが、この東南アジア諸国を具体的に分けて、大体の岸さんの構想に対する動向というようなものを少し御説明願いたい。
○藤山国務大臣 昨年、岸総理があれを打ち出されましたときの大きな動向とすれば、従来二国間の援助計画が進められておるものは、やはり二国間の問題として、また東南アジアに向けられる世界的な資金の量も相当限られておるのじゃないか。むろん世界経済のワクの中で東南アジアに向けられる資金というものは、各国それぞれいろいろ考えられると思います。そういうものがマルティラテラルな機関につぎ込まれると、バイラテラルの資金が減ってくるのじゃないかというような立場から、やはりあまりそういうふうになるとすれば、自分たちの方のいろいろなバイラテラルの計画もあるのだから、というような立場から経済的にそうした問題について必ずしも賛成できないというような立場の国もあるわけであります。同時にまた今お話のように、感情からいって、何か日本が主導権をとって、そして若干いわゆる東亜の指導的意識でもって、日本が戦後もう一ぺん戦前のようなことを考えるのじゃないかという心配を持った国もあると思います。あるいはそれらの両方の心配を若干ずつ持った国もあるんじゃないかと思います。それは否定できないことでございます。しかしそれらに対する問題については、やはりただいま申しましたように純経済的な問題については、むろん二国間でやった場合にも、たとえばアメリカとどこと二国間でやった場合にも、ひもつきじゃないかというようなことから、ひもつきの資金が出てくることは好ましくないというような政治的な考え方を持った国もあろうと思います。そういう意味から、われわれとしてもこういう問題を取り扱います場合には、日本の態度として、当然戦前のような大東亜意識を持ってわれわれはやるんでなくて、やる以上は、みんなと一緒に、平等の立場に立って、そうして理事会その他も平等の立場で構成していくんだ、もしできるならそういうふうな形のものを作っていきたいという日本の真意というものは、私はだんだんにわかってきておるのではないかと思います。ただ今のような、世界的に東南アジアにつぎ込まれる資金量というものは、各国それぞれそのときの条件によって違うだろうけれども、しかし大きく見れば一つのかたまりの資金であって、それがバイラテラルに出てくる、あるいはそれがマルティラテラルに吸い込まれてしまう、自分の方に必ずしも出てこないというような問題は、これはなかなか解消しがたい問題だと思うのでありまして、前者の方の問題は、日本の誠意さえ表われて来、またそうした問題に対する一つの組織その他を通じての日本の考え方を示せば、私は解消し得るんではないかというふうに考えておるのであります。
○松本(七)委員 今の大臣の御説明が政府の真意だとすれば、これは非常にけっこうなことでありますが、東南アジアに十分理解してもらう努力をしなければならぬと思うのです。そういう意味からいっても、この前の岸さんのあのブラウンとの会見は、一々の言葉は別として、全体の調子としては、いわゆる東亜の盟主論というようなものが非常に強く出ている。これじゃ幾ら今の真意なるものを東南アジアに説明して理解を深めようとしても、一国の総理がああいった調子のもので国際的に呼びかけた形になれば、これは影響は悪いと思う。だから外務大臣としても、これはただ総理が一記者に語った言葉であるというふうには過ごせないと思う。どうしてもすみやかに善後措置を何らか講じなければ、東南アジアに対する影響は悪いと思います。こつの点何か具体的な措置を外務大臣として考えておられるか。
○藤山国務大臣 セシル・ブラウン記者に対する総理の会談の真意というものが、あの放送とは違っておることは、総理が議会で説明された通りだと思います。従って私どもはそれを信じております。ただそうであっても、とにかく若干の誤解が流れたということは、これはあり得たと思います。でありますから、それらの誤解というものも十分解いて参ることはむろん当然なんでありまして、新聞紙上に表われた記事等を通じての誤解というものは、われわれが今後東南アジアに対処して参ります場合のわれわれの態度によって、おのずからやはりそれは誤解であったという理解をしてもらわなければならぬ、こう思っております。
○松本(七)委員 それは特に外務大臣として誤解を解く具体的な努力をするという意味でなしに、今後長い期間にわたってだんだん解けるだろう――特別な措置を講ずるわけじゃないんですか。
○藤山国務大臣 すでに総理がはっきり議会でその真意を説明しておられますし、またわれわれはその通りだと思うのであります。従って特に何か持ち回ってそういう問題を取り上げて誤解を解くというよりも、やはりもしかりに誤解が若干でも起ったとしますれば、それらはわれわれの態度でおのずから私は氷解していくもの、こう考えております。
○松本(七)委員 総理は国会でああいう答弁をして、自分じゃあれでいいつもりでいるかもしれないけれども、あれを受けたところの日本国民、あるいは相手であるブラウン自身としては、なかなかこのまま放置しておくわけにはいかないと思う。御承知のように、社会党としても、ブラウンにはっきり確かめる必要があるという態度をきめておるし、できれば国会において証言も求めよう、そのくらいのことをやるべきであるという態度をきめておるのですから、そうなりますならば、それをどう自民党が扱うかということは別として、そういうふうに今後この問題ははっきりさせていかなければ、東南アジア諸国に対する悪影響を食いとめることはできないという考えで私どもは今後対処しようとしておるときに、外務大臣として、総理が国会で釈明したのだから、あとは時期を待てばよかろうというくらいのことじゃ私は済まないだろうと思う。やはり外務大臣としては、総理以外に特別の努力をされなければならないのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
○藤山国務大臣 むろん誤解がかりに起っているとすれば、それを解くようなことはわれわれもやって参らなければならぬと思いますけれども、総理が議会ではっきり釈明をし、その真意を言われておるわけでありますから、それはおのずから各国の首脳部にも反映していくものと私は思いますし、われわれとしましても、もしそういう誤解があれば、総理の言われた真意を伝えることにやぶさかではむろんないわけであります。それと、やはりおのずから理解をしていくということであって、それ以外に誤解を解く特段の方法があろうとも私は考えておらぬのであります。
○松本(七)委員 東南アジア開発基金構想について、アメリカ自体の動向はどうなんでしょうか。最近のアメリカの議会の様子を聞くと、非常に消極的だというふうに報道されておるのです。この点は以前よりも前進しているのかどうか、またその見込みがあるのかどうか。
○藤山国務大臣 この点は、アメリカ側はバイラテラルな援助計画というものを承認して、できるだけこれはやりたい、こういうことではありますけれども、しかし中近東なりあるいはラテン・アメリカにやりましたように、それぞれの地域が自主的にそういうものを結成してくれば、そうしたものに対する援助をする方針には変ってきているように私は思います。また変ってきておるということをある程度ディロン次官は私に言っておりました。しかしアメリカが指導者になってそういうものを作らせようということではなくて、やはりそれぞれの地域の人々が相集まって、おのずから盛り上ってそういう機関を作ってくれば、それに対して資金的にはやろうというふうに変ってきておるということであります。
○松本(七)委員 そういう情勢のときに、この前の国連だったと思いますが、ソ連が各国の軍備を縮小する、そこで浮いた金を、いわゆる後進国の開発にプールして出そうという案を出しましたね。ああいったものがむしろ私はこれから東南アジア諸国に受けるのではないかと思う。これは、実は社会党が以前から和栄政策という名でそういうものを出していたのです。これはもう大会でも決定したことなのです。平和の和と栄える、和栄主義、名前がちょっと奇妙な名だから理解しにくい点があったのですけれども、これはやはり軍備を持っておる大国が軍備を縮小して、そこで浮いた金をプールして東南アジア諸国その他のいわゆる後進国の開発のために提供しようという構想だったのです。これは国と国の協定でそういうふうに軍縮して浮いた金を特定の目的に使うというようなことが、果して条約技術上できるかどうかというような議論もあったのですけれども、検討の結果、これはやはり新しい構想として非常にいいあれだというので、和栄政策という名で社会党は大会でもきめるし、そういう運動を展開していたわけです。ところが、たまたまこの間の国連のときに、ソ連から出された案が、社会党で以前からいっていた軍縮と結びついた後進国開発、こういった大国がやはりある程度の犠牲を進んで受けながら、これを無条件にひとしい好条件でもって回す、こういうことなら、それは各国が平等な条件で、もちろんひももつかないでやれるということになりますから、私は岸さんのアメリカの資本と日本の技術と東南アジアの資源というようなことよりもはるかにどこの国にも受け入れられるのじゃないかと恵うのですが、こういった新しい構想に対して、外務大臣としてあるいは日本政府としてどういうふうな態度で臨まれるか、この機会に伺っておきたいと思います。
○藤山国務大臣 一方では軍備を縮小し、その余剰の金をもちまして未開発国、後進国の開発をやりますこと自体は、われわれとして非常に望ましいことであり、日本が軍備縮小を叫んでおりますのも、あるいは後進国開発計画を叫んでおりますのも、その意味において同じ考えだろうと思います。ソ連があの案を出しましたときに、国連のあそこにおりましたすべての国の感じましたことは、ソ連には世界に提出できるはっきりした軍事予算というものがあるのかということをみんな言っておったわけで、軍事予算の性質そのものがそれだから、一割天引といってもあるいは一割五分天引といっても、そうしたものがほんとうに示されるのだろうかということを言っておりましたが、そういうことが現実に行われてくるならばそれは望ましいことだと原則として私どもは考えます。
○櫻内委員長 森島守人君。
○森島委員 その問題に関連して一問だけお聞きしたいのですが、ポルトガル領のチモール島を日本軍が不法に占領しまして、これに関して賠償問題が起きておったはずでありますが、その後の状況はどうなっておりますか。事務当局でけっこうでございますから御回答願いたい。
○板垣政府委員 私事情をつまびらかにいたしておりませんので、調査いたしまして御返答いたします。
○森島委員 この問題に関連しましてポルトガル領のマカオにおいて暴動が起きまして、日本の福井という領事が射殺されておる。この領事の問題につきましては私も当時ポルトガルにおりまして賠償を要求しろということでございましたが、私は賠償は要求すべき筋合いじゃないということで、自発的にポルトガルから慰謝料を出すということで話し合いがついております。ただしチモール島に対する賠償の問題と相殺しようということでございました。当時福井君の未亡人の居どころもわからず、外務省としてもとるべき措置がなかったようでありますが、最近の霞ヶ関の調べによりますと居どころもわかっておるから、福井未亡人に対する慰謝金を外務省が立てかえて払ったらどうかということを私一年ほど前に申し上げている。これに対して当時の木村官房長は善処しますというお約束をしておられるのでございますが、この問題をどういうふうに措置せられておりますか、明らかにしていただきたい。
○板垣政府委員 私全然承知いたしておりませんので、至急調査いたしましてお返事を申し上げたいと思います。
○森島委員 私は外務省の事務当局はきわめて怠慢だと思う。もう一年以上になっておる。すみやかに調査をして、非常に困っておられる福井未亡人の状況に対して外務省として何らかの御措置をとられんことを希望いたします。なおこの結果は次の委員会にお知らせを願いたいと存じます。
○櫻内委員長 本件について他に質疑はありませんか。――質疑がなければこれにて本件についての質疑は終了いたしたいと存じますが御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○櫻内委員長 御異議なければこれにて本件に対する質疑は終了いたしました。
 本件については別に討論の申し出もございませんので直ちに採決いたします。
 日本国とラオスとの間の経済及び技術協力協定の締結について承認を求めるの件を承認すべきものと議決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○櫻内委員長 御異議なしと認めます。よって本件は承認することに決しました。
 なお、本件に関する委員会の報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○櫻内委員長 御異議なければ、さよう取り計らいます。
    ―――――――――――――
○櫻内委員長 次に、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。
 三件については、前回外務省当局より提案説明を聴取いたしましたが、本日はさらに科学技術庁当局よりその補足説明を求めることといたします。佐々木原子力局長。
○佐々木政府委員 それでは私からただいま委員長からお示しがございましたいわゆる日英米間の原子力の一般利用に関する協定に関しまして、技術的な面と申しますか必要性といった面の趣旨を御説明申し上げたいと思います。わが国のエネルギー事情の将来を考えますと、原子力発電の必要性は、エネルギー供給の安定あるいは外貨負担の軽減という面からしましても非常に大きなものがあるのでございまして、この点は皆様御承知の通りでございます。原子力開発の実態は、単に原子力発電という面のみならず、同じく動力源として利用できる原子力船あるいは医学、農学、工学等各部門におけるアイソトープの利用等がございますが、これら原子力平和利用の成否は、わが国の繁栄のかぎを将来にぎるものと申しても過言でないと存じます。これに加えまして、原子力利用という新技術の開発はわが国全体の技術水準を向上せしめ、また原子力産業の出現を通じましてわが国経済規模の拡大にも貢献するところが多いと考えられます。
 顧みますと、わが国の原子力開発は、昭和二十九年以来強力に推進されて参りましたが、今や研究基盤もほぼ固まりつつございます、今後はこの基礎研究を一そう深めるとともに他面におきまして、従来つちかってきました基盤をもとにして、これを応用し実用化する方面にも力を注がなければならぬ段階に到達したものと見られるのであります。
 さて、わが国の原子力開発は、緊密な国際協力のもとに進めらるべきことは言を待たないところでありまして、この点に関しましては原子力基本法にも原子力開発の基本方針として明らかにされているところでございます。ここに締結の御承認を求めておりますこれらの協定及び議定書は、新たな発展期を迎えましたわが国原子力開発の促進には不可欠のものであると信ずる次第であります。
 これらの協定及び議定書が発効いたしますと、原子炉燃料その他の原子力の資材の導入が可能となるばかりでなく、原子力のあらゆる分野における情報を入手することができ、また原子力技術の研修も円滑に行われることになりまして、わが国の原子力の開発が一段と推進されるものと考えるのであります。
 まず両協定のうち英国との協定に関連いたしまして申し上げますと、わが国の原子力委員会におきましても、さきに決定いたしました発電用原子炉開発のための長期計画におきましてコールダーホール改良型原子炉は、現在実用発電炉としてわが国が導入するには最も適した原子炉の一つであるということを述べておりまして、わが国における原子力発電の開発を進めるには、同炉の安全性及び経済性を十分調査の上、支障がなければ可及的すみやかにその導入をはかることが望ましいと考えられるのであります。
 昨年実用規模発電用原子炉の早期導入を目的といたしまして日本原子力発電株式会社が設立されました。同社は本年初頭英国に調査団を派遣しまして、現存は英国から提出された見積書を検討中でございます。原子力委員会におきましても、原子炉安全審査専門部会というものを設置いたしまして、すでにコールダーホール改良型原子炉の安全性につきまして予備審査を行なっております。同炉を導入いたすということになりますと、この英国との間の原子力一般協定を締結することが前提条件になっておるのであります。動力炉導入の問題は別といたしましても、御承知のように英国はわが国と同じようなエネルギー事情にございまして、原子力発電の推進には非常に力を注いできてございます。そして天然ウラン系という、濃縮ウラン系でない系統の動力炉の開発に関しましては、世界で他の追随を許さぬほど非常に豊富な知識と経験を持っているのでありまして、この国との協定を締結することは、わが国の原子力開発に非常に資するところが大きいと考えられるのでございます。
 次に米国に関してでございますが、わが国ではかねてから米国との間には原子力研究協定を締結いたしておりまして、この協定によって研究用資材、情報の提供を受けてきたわけでございます。しかしながらこの研究協定による日米間の協力の範囲は研究段階に制限されておりまして、動力用原子炉開発には及ばないのであります。
 さて濃縮ウラン系動力炉――これは米国が主体になって推進している原子炉でございますが、この濃縮ウラン系動力炉も、今後のわが国の原子力開発において相当大きな比重を占めることが予想されるのであります。この型の動力炉開発のために、政府といたしましては、日本原子力研究所に動力試験炉を設置する方針のもとに目下着々準備を進めておりますが、この炉の入手にはどうしても新しい協定が必要なのであります。
 またこの機会に、従来の研究協定では制限一ぱいになっておりました研究用燃料提供のワクを広げるとか、研究用プルトニウムなどを入手するとか、新しい条項が加わりまして、わが国における原子力研究も円滑に行い得るということになるのであります。
 以上申し上げました通り、これらの協定及び議定書はわが国原子力開発の発展のために必須な条件でありまして、かつこれらの発効によりましてわが国の原子力平和利用はさらに新しい一歩を踏み出すことになると固く信ずるのでございます。以上で補足的な御説明を終りたいと思います。
○櫻内委員長 この際お諮りいたします。ただいまの三件について科学技術振興対策特別委員会より連合審査会開会の申し入れがあります。三件について連合審査会を開会するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
○櫻内委員長 御異議なしと認め、科学技術振興対策特別委員会と連合審査会を開会することに決しました。
 なお連合審査会開会は来たる二十八日午前十時より開会する予定にいたしておりますので、御了承下さい。
 本日はこれにて散会いたします。
    午前十時五十五分散会
     ――――◇―――――