第030回国会 外務委員会 第9号
昭和三十三年十月二十七日(月曜日)
    午前十時二十四分開議
 出席委員
   委員長 櫻内 義雄君
   理事 岩本 信行君 理事 宇都宮徳馬君
   理事 佐々木盛雄君 理事 床次 徳二君
   理事 松本 七郎君
      菊池 義郎君    北澤 直吉君
      小林 絹治君    中曽根康弘君
      松田竹千代君    田中 稔男君
      帆足  計君    森島 守人君
      八百板 正君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 藤山愛一郎君
        国 務 大 臣 三木 武夫君
 出席政府委員
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局長)   佐々木義武君
        外務事務官
        (アジア局長) 板垣  修君
        外務事務官
        (アメリカ局
        長)      森  治樹君
        外務事務官
        (経済局長)  牛場 信彦君
        外務事務官
        (条約局長)  高橋 通敏君
 委員外の出席者
        専  門  員 佐藤 敏人君
    ―――――――――――――
十月二十四日
 委員松山義雄君辞任につき、その補欠として平
 塚常次郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十月二十五日
 原水爆実験及び核武装禁止に関する請願外二件
 (栗原俊夫君外二名紹介)(第一〇八四号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 原子力の平和的利用における協力のための日本
 国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルラ
 ンド連合王国政府との間の協定の締結について
 承認を求めるの件(条約第三号)
 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日
 本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の
 締結について承認を求めるの件(条約第四号)
 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日
 本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を
 改正する議定書の締結について承認を求めるの
 件(条約第五号)
 国際情勢等に関する件
     ――――◇―――――
○櫻内委員長 これより会議を開きます。
 参考人招致の件についてお諮りいたします。日韓漁業問題について参考人を招致し、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○櫻内委員長 御異議なければ、さよう決しました。
 なお参考人の人選につきましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○櫻内委員長 御異議なければさよう取り計らいます。
 また日時につきましては、明後二十九日午後一時より開会する予定でございますので、御了承願います。
 午後二時三十分まで休憩いたします。
    午前十時二十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十七分開議
○櫻内委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国際情勢等に関し、調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。菊池義郎君。
○菊池委員 外務大臣にお尋ねいたしますが、沖縄、小笠原、硫黄島、大鳥島、南鳥島、こういうところを安保条約の防衛範囲に入れますと、米国と相互防衛条約を結んでおります韓国、台湾、フィリピン等と他国との紛争に巻き込まれるおそれがあるという意見で、これを入れていいか悪いか危惧されているのでございますが、それは条約のきめ方によりまして、この危険を免れることは容易にできると私は思うのでございます。すなわちこれらの韓国、台湾、フィリピン等の紛争には介入しないことにして、日本は単に日米両国の敵に対してのみ共同防衛の義務があるということに限定して条約を結びますれば、この危険を避けることができると私は思うのでございます。こういう点について大臣の御見解をお聞きします。
○藤山国務大臣 安保条約改正問題は重要な問題でありますし、ことに適用地域の問題は重要でありますので、皆さん方の各方面の意見を伺っておるわけでありますが、われわれとしてはできるだけたくさんの御意見をもとにやって参りたい、こう存じております。今ここで秋が適用地域の範囲をどうするかということを申し上げるのは交渉前でありますので申し上げかねると思います。
○菊池委員 その入れる入れないは別個の問題といたしまして、そういうことにすればこの危険をのがれることはできるじゃないかという私の意見に対して、外務当局の御見解、つまり法理上の解釈についての御見解を条約局長にお尋ねいたしたいと思います。日米両国の敵に対してのみ、日本は沖縄、小笠原等において共同防衛の義務を負うということに限定して条約を結んだならば、韓国、フィリピン、台湾等に関する紛争を避けることができる、こう思いますが、いかがでありますか。
○高橋(通)政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、日米両国の敵だけに限定してというお話でございますが、やはりちょっと具体的な条件を頭に描いてからでないと、それだけのあまり簡単な一つの原則だけではちょっと申しかねると思います。
○菊池委員 これは至って簡単な、何人も理解できることでございます。つまり日米両国の敵以外の敵とは戦わないということに限定して条約を結べば、この日米以外のフィリピン、台湾、韓国等の紛争に巻き込まれる心配はないと思うが、いかがでありますか、これをお伺いします。簡単なことです。
○藤山国務大臣 条約を締結いたします場合に、いろいろな条約上制限を設けるということは可能かと存じます。ただいま御指摘のような点で、たとえば菊池さんの言われることをさて条約上に表わして参るということになりますと、これはいろいろな関係を考慮して参らなければならぬわけでありまして、単純に敵というだけの表現でいいのかどうかもわかりませんし、そこいらの点は相当慎重に考究してみないと、お話のような簡単な字句だけではどうなりますか、即座に私としてもお答えしにくいことだと思います。
○菊池委員 条約局長はいかがですか。
○高橋(通)政府委員 もし簡単に日米両国が、これはほんとうに仮定の問題でございますけれども、直接に武力攻撃を受けたときだけに限定すれば、それはいろいろのやり方があると思いますが、それによって引き起されるところのいろいろの一つの問題を限定するということは可能かと思っております。
○菊池委員 国民感情といたしまして、沖縄島民、小笠原島民は日本の国籍に入っておる日本の国民でありまするし、またこれらの島々について日本は潜在主権も持っておるのでありまするから、これはどうしても共同の防衛地域に入れて、そしてこれらの島々の国民を激励し、鞭撻し、そしてまた一方においては、米国に対して双務条約を取りつけるためにもなければならぬ措置であると思うのでありますが、この点について御見解をお伺いしたいと思います。
○藤山国務大臣 ただいま申し上げましたように、条約上いろいろな問題について、いろいろな制限を置くということは可能と思いますが、その制限の置き方、それから置いてもなお発生すべきいろいろな事実という問題もあるわけでありまして、これらについてはいま少しく細心に研究をしてみませんと、それだけでは今御答弁いたしかねると申した以上に御返事はできないと思います。菊池さんの言われるように潜在主権もあり、あるいは日本の国民であるからという心持は、われわれも十分了承はいたしておりますけれども、さて条約上これをどう扱うかということにつきましては、非常に大きな問題でありますので、今きめて御答弁申し上げることはできません。
○菊池委員 われわれといたしましては、これを防衛範囲に入れるという考えでもって御努力を願いたいと思うのでございます。日本の国民一人として、この沖縄、小笠原の同胞を見殺しにしたくないという気持は一ぱいありますし、これは与党といたしましても、また社会党の諸君としても、沖縄の問題については非常な関心を持って尽力しておられるのでありまして、これまでのいきさつからも社会党は反対できない、ということはむしろ賛成を意味するものであると思うのであります。(「ノーノー」)条件は違いましても反対ができないと私は思うのでございます。そのおつもりで交渉を願いたいと思うのであります。それからこの条文の中には沖縄、小笠原を防衛区域として明記しなくても、日本はこの島々の潜在主権を持ち、その住民は日本の国民でありますから、当然に防衛の義務が生じてくるものと解釈しなければならぬと思うのでありますが、これについてどなたでもけっこうでありますから御答弁願いたいと思います。
○藤山国務大臣 ただいま沖縄の施政権というものはアメリカ側が行使しているわけでありまして、潜在主権は持っておりますけれども、施政権の行使権というものはアメリカが持っているわけです。その前提のもとに立って問題を考えて参らなければならぬ、こう考えております。
○菊池委員 そうしますと潜在主権があっても防衛の義務はないということでありますか。条約局長の御意見を伺いたい。
○高橋(通)政府委員 ただいまの点でございますが、御承知の通り潜在的な主権をわれわれは持っていますが、統治権は米国側が平和条約第三条によって持っておるわけであります。従って平和条約第三条から申しますれば、防衛する権利とか義務とかという問題でなくて、そこにはずされた地域である、こういうふうにわれわれは考えております。ただ自衛権の場合は問題は別でございます。
○菊池委員 沖縄、小笠原を防衛区域に入れるということは米国も希望しているといわれております。日本がこの際もしこれらの地域を防衛区域に入れて差しつかえないと考えるならば、その折衝に当って、これの代償として施政権の返還について、もっと突っ込んで米国の譲歩を要求すべきであると思うのであります。もし政府が国民の世論に従ってこれらの地域、これらの島々を防衛区域に入れると腹がきまったならば、そのときにおいてこの施政権の返還を米国に要求すべきであると思うのでありますが、いかがでしょうか。
○藤山国務大臣 施政権の返還は今日まででも日本の国民の願望でありますし、われわれ政府としましてもアメリカに対して常に要望をいたしておるところであります。現在の安保条約と施政権の問題、返還の問題等とが必ずしも一致はいたさぬ場合もあろうかと思います。しかしながら今のようなお説がありますことは、十分われわれとして拝聴いたしておきます。
○菊池委員 沖縄というのは米軍の重要な軍事基地でありまして、これを強化することは、日本の防衛のためにも絶対に必要であると思うのでございます。それで世界の軍事専門家では、沖縄にもう核兵器が入っておるということは常識になっておる。ソ連や中共といたしましても、もちろん核兵器が入っておるものと考えておるのであります。われわれもそういうように考えております。また核兵器がなければ、とうてい共産圏に対してにらみをきかせることもできない。向うは厳然と持っておる。核兵器がないような沖縄の軍隊であるならば、これは無用の長物で、全くかかしのようなものであるといわなければならぬ。それで沖縄にすでに核兵器がある――あるなしは別といたしまして、近代の装備というものは、もうグラマンでもなければロッキードでもない。核兵器が最も近代的な兵器として認められ、原水爆以外の核兵器、そうでない核兵器があるのであります。でありますからして、日本の防衛のためにも、また日本が共産圏に対してにらみをきかすためにも、核兵器というものは、もちろんこれを入れることを黙認すべきであると私は考えておる。相手方にあってこちらにないということはおかしなことで、百万や二百万くらいの自衛隊を持ってみたって、鎧袖一触でほうることができるでありましょう。核兵器があって、初めて起るべき局地戦争すらも未然に防ぐことができる。世界大戦なんというものは、原水爆がある今日において起り得るはずがない。絶対大戦はないというようにわれわれ考えておりますが、局地戦争はないとは限らないのであります。局地戦争を未然に防ぐためにも、日本に核兵器を入れるということは必要であろうと私は考えておりますが、こういう点について考えてみるときに、この条約の中に核兵器持ち込みを拒むということは、これはもう時代錯誤である、日本の防衛を危うくするものであると私は考えております。従いまして、この核兵器持ち込みに対しては、何らの条文も条項も設けない方がよろしいと私は考えておりますが、こういう点についてどうお考えになりますか。明記した方がいいと考えておられますか、明記しない方がいいと考えておられますか。
○藤山国務大臣 総理は議会で、日本は核兵器をもって武装しない、また核兵器の持ち込みを拒否する、こういうことを言っておられるのであります。私どもとしては、条約上明記する、しないにかかわりませず、その方針のもとにやっていくつもりでございます。
○菊池委員 そうすると、条約には拒むということを明記するつもりでございますか。
○藤山国務大臣 条約の上でどうするかという問題につきましては、むろん今後の交渉の点でありますから、今何とも申し上げられません。
○菊池委員 今までの世界の軍事同盟条約を見ましても、使用兵器を条約の中に明記した条約は、何一つ、絶対ないのです。これはむしろこっけいであろうと思うのでありますが、こういう点についてどうお考えになりますか。
○藤山国務大臣 日本の立場から安保条約の交渉をいたしておるわけであります。私は総理の言われます方針に従ってやるつもりであります。
○菊池委員 それでは米軍機が日本に核兵器を持ち込む――原爆のごときは、もうマッチ箱の何倍か、非常に小さなものであります。持ち込めば幾らでも持ち込むことができると思います。一たん事あるときに、これをどうして探知することができるか。これについてどなたでもけっこうでございますから、お答え願いたい。
○藤山国務大臣 日米友好関係の上から見まして、アメリカが日本の好まないことを秘密にやろうとは思いませんし、またアメリカはそういうような態度をもって日本に対しているとは、思っておりません。
○菊池委員 それから自衛隊の海外派遣の問題でありますが、日本の憲法は自衛権を否定しておりません。自衛権を肯定しております。自衛権というものは、退いて、引っ込んで守るばかりが自衛ではなくて、進んで敵の根拠地を突くということも、当然に自衛の範囲に入ると思うのでありますが、こういう点についてどうお考えですか。
○藤山国務大臣 日本が侵略されましたときに日本を守るということが自衛でありまして、むろん私は軍事専門家でございませんから、自衛というものがどの程度に行われなければならぬかという、細部にわたってはあれでありますけれども、しかし自衛そのものの本質から考えますれば、攻めてきたときに守るということが自衛の本質であろうかと考えております。
○菊池委員 そうすると日清、日露の役に日本が海外に出兵した、これは自衛のためであるか、侵略のためであるか、どうお考えになりましょうか。どなたでもけっこうでありますが……。
○藤山国務大臣 日清、日露の役のときには私は子供でありまして、果してあの戦争が自衛であるか侵略であるか、存じておりませんが、今その定義を下すことは非常にむずかしいと思うので、お許しを願いたいと思います。
○菊池委員 そうしますと、私は海外派兵を否認したような条文を作ると、国連に対しても顔向けができないと思うのです。いつであったか、日本の自衛隊をレバノンの国連監視団に加えるということすらも拒んでおる。こういうことなども日本の信義を失墜するのではないかと考えておるのでありまして、あのときは実に意外に感じたのでございます。国連の一員といたしましても、しかも理事国の一つといたしまして、この海外派兵を拒むということは、世界に対して義理が立たぬと私は思います。憲法が許さないという意見もありますけれども、この前のように、たとえば監視団に加えるというようなことは――戦争のためでなく、平和の目的のために、戦争を未然に防ぐ目的のために、自衛隊を海外に派遣するなどということは当然であると思うのでありますが、いかがですか。
○藤山国務大臣 海外派兵というものは、憲法違反だと存じております。ただ、御承知のように国連等の機関におきまして、しかも武装をいたしませんサービスをするというふうなこと等が、今後あり得る場合があると思うのでありまして、そういう問題については、いわゆる海外派兵という概念に必ずしも当らないのではないかと思うのであります。今後のそうした国連の監視隊その他の編成方針等を聞いてみませんければ、国連だから一律に出せるというわけでもないと考えております。
○菊池委員 もし将来憲法が改正されて、日本が軍備を持つことができるということにでもなれば――私は再軍備なんてちっとも興味がありません。百万、二百万の軍隊を持っても、そんなものは何の役に立つとは思いません。むしろ私は原水爆に非常な興味を持っておる。憲法が改められた場合には、日米安保条約もまたこれを改定せんければならぬということになるであろうと思うのでありますが、そうお思いになりませんか。
○藤山国務大臣 私は現在の憲法の範囲内において交渉を担当いたしておるわけであります。将来起るべきいろいろな法制上の変化を予想して交渉を担当いたしておるわけでないのであります。その意味においても、現在憲法の範囲内においてできることを交渉でやって参りたい、こう考えております。
○菊池委員 安保条約の期限はあった方がいいとお考えですか。ない方がいいとお考えになりますか。いかがでございましょうか。
○藤山国務大臣 条約に期限をつけるということは、私は適当なことではないかと思っておるわけであります。それらのつけ方等につきましては今何とも申し上げられません。
○菊池委員 軍事基地の問題でありますが、NATOの条約機構では軍隊駐留の条項はないので、英国もフランスも別個に軍隊駐留に関する協定を結んで、米国に軍事基地を提供しておるのであります。日本はやはり安保条約の中にこれを織り込むつもりでございましょうか。別個に協定を作るつもりでございましょうか。いかがでありましょうか。
○藤山国務大臣 その点については今申し上げる範囲でないと思います。
○菊池委員 日ソの貿易について北村さんが朗らかな情報を送っております。片道五千万ドルというようなことでありますが、外務省の見通しはどんなものでありましょうか。
○牛場政府委員 北村団長の御報告のうちにもございますように、ソビエトは依然として大ワクにおける貿易の均衡を重大視しているわけでございまして、そういたしますと、日本側の輸入能力によって日本の輸出が制限されるということになりまして、今までのところの状況から申しますれば、やはり五千万ドルはちょっと無理じゃないかと思っております。二千万ドル、三千万ドルというようなところが、よほど努力をしても行き得る程度ではないかと思います。
○菊池委員 日ソの文化協定の問題でございますが、どういう形で締結せられるおつもりでありますか。今まで結んでおります十一ヵ国はあの通りの国で問題はないのでありますが、ソ連という国はちょっとお客様の質が違っておるので、今までの十一ヵ国と同じような形では心配だと思います。どういう構想を持っておられるのでしょうか。
○藤山国務大臣 日ソ文化協定については今後交渉をして参るわけでございますが、ただ今まで日本が各国と結びました文化協定の型もございます。従いましてそうした型に応じてわれわれとしては考えていくということを現在の段階では申し上げたいと思います。
○菊池委員 今までの国々と違って、ソ連の結ばんとする日ソ文化協定は日本に対するねらいどころが違っておりますし、それからまた経費の点においては日本はとうてい太刀打ちができぬのでありますから、こういう点について十分御考慮を願いたい。これを要望として申し上げておきます。
 それから米ソ両陣営でもって盛んに核実験を行なっておりますが、今度国連を通じてどういう手を打たれるつもりでございますか、お考えを承わりたいと思います。
○藤山国務大臣 御承知のように、七月から始まりました核実験の探知の専門委員会におきまして一つの結論が出たわけであります。その結論に従って十月三十一日からジュネーヴにおきましてこの問題を取り上げます会議が開かれることになっております。われわれとしては、この委員会が最終的な決定を見るような段階に至りますことを希望いたしておるわけでありまして、国連等におきましても全員がジュネーヴの会議の成功を私は祈るべきだ、こう考えておるわけであります。従いましてそれらの前にいろいろな論議が尽されることがかえってその会議を困難に陥れるのではないかということも考えられるわけでありまして、そうした立場に立ちまして現在国連におきます日本の代表団としては、できるだけ満場一致でもってジュネーヴ会議の成功を期待し得るような決議ができますれば、これが一番適当なことではないかというふうに考えて努力をいたしておるわけでございます。
○菊池委員 終ります。
○櫻内委員長 帆足計君。
○帆足委員 きょうの毎日新聞を見ますと、安保条約改定の問題はよほど進行して、もう残された問題はわずかであるというふうに承わりまして大いに驚きました。今日警察官の力を加える法案が国民注視の的になっておりますが、これはわれわれのからだに触れる問題ですから、国民は非常に心配して審議を見守っておりますが、安保条約の問題は祖国の命運に関する問題でありますから、十分な審議が必要であると思うのでございます。国民はこの問題がどういう方向に進んでおるか、もっと詳細に、もっと具体的に政府の態度をただし、交渉の経過を知る権利があると思うのでございます。次の国会のときにはすでに条約が締結されて批准の段階において審議したのでは、これはもうわれわれとしては追悼の辞を述べるほどのことでありますので、どうしても本国会において政府の意向をただし、国民の要望を十分政府に伝える必要があると思いますから、私はこの際外務大臣に政府のとるべきおもな方向と考えだけでももっと率直に、もっと具体的に示していただきたいと思うのです。もしそれに応じないとするならば、われわれ議事進行上においても重大な決意をせねばならぬと寄り寄り話し合っておるような次第でありますから、一つ具体的にできるだけ率直に政府の方向だけでも示していただきたいと思いますが、外務大臣のお心持を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 帆足委員が驚かれたと同じように私もけさの毎日の記事を見まして驚いたのでありまして、ああいうようにただいま進行いたしておりません。先般第一回にマッカーサー大使と私が会いましたときには、御承知の通りこの会談を始めます代表団が構成されておりませんので、私とマッカーサー大使及び外務省のそれを担当する者が一応顔合せ的に集まったわけでありまして、儀式的であったと言って差しつかえございません。その際ワシントンにおきますダレス長官との会談の内容をレビューいたしたのでありまして、その後マッカーサー大使が御承知のようにかぜを引いて一週間ほど寝ておられました。従ってその後の会合というものはなかったわけであります。先週に私がマッカーサー大使と会いまして、そうして所要の問題点と考えられる点をあげまして、こうした問題を一つずつ片づけていこうじゃないかということを話し合ったわけであります。その後なお事務的には若干の連絡をさしておりますけれども、私どもしてまだきょう出ましたような進行方向ではないのでありまして、その点は御了承を願いたいと思います。
○帆足委員 それを伺いまして私安心いたしましたが、それでは逐次お尋ねいたしますから、できるだけ誠意を持って具体的にお答え願いたいのですが、安保条約の改定の問題は、日本の安全保障につきまして、その立地条件や兵器の進歩の速度なども考えまして、基本的にはまず日本の安全に対する軍事的、政治的、経済的、各般からの基本戦略に基いて検討さるべきものであると思いますが、今日内閣委員会また決算委員会などで論議しておりますロッキードかグラマンかなどという論争を拝見いたしますと、ちょんまげの大小を論じているような思いがありまして、そういうことよりも、基本的な国防計画について政府はどういうふうに考え、それと来たるべき条約改定の問題との関係について、まず検討されたことがあられるかどうか、それを伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 安保条約の問題について、御承知のように私はこの問題を、第二次岸内閣ができまして、外務大臣に就任して日米間の関係を調節する上の一番基本的な線でもあります、またその基本的な線をわれわれとしてはいろいろ話し合ってこなければならぬということで向うに出かけたわけであります。従って私としては、たびたび申し上げておりますように、過去一年間いろいろな論争を通じまして、私の知っております限りの安保条約のいろいろな問題点についてダレス長官と話し合ったわけであります。従いまして、そういう立場で参りまして、ダレス長官としては七年前と情勢が違ったのだから、一つこの問題については取り上げようということになったわけであります。従って国防の計画その他諸般の問題に関連していることはもちろんでありまして、そうした意味において政府が鋭意それらの問題をただいまそれぞれの立場においてお考えになりつつある段階だと私は思っております。
○帆足委員 それならば、私どもはいずれ理事会で相談いたしまして、日本の基本的国防計画についてもう少し詳細に伺ってからでないとこの条約について基本的要望や批判は困難であろうと思いますので、そのことにつきましては質問を留保しておきますが、まず常識で考えまして、今日のジェット機とミサイル、原水爆の時代、空中戦と、潜水艦が大きな意義を持っております時代に、日本の立地条件とアメリカの立地条件を考えて見ますると、アメリカが日本を軍事的に利用しようとするゆえんのものは、日本を前線基地として使い、時としては犠牲基地として使い、また部分的には補給基地として使う。戦術というものはきわめてドライなものでありますから、こういう言い方をした方が率直と思いますが、アメリカが日本を前線基地として使おうとしておるということについて、外務大臣はどのようにお考えでしょうか。
○藤山国務大臣 安保条約が、日本を他国からの侵略から防衛するために、日本が自衛隊を持っておりませんときにできましたことは御承知の通りと思います。今日日本がある程度の自衛隊を持ちまして、防衛することのできる段階に次第になりつつあるということも、これまた事実でありまして、そういう意味においてわれわれとしては現在の実情の上に立って、この安保条約というものが、七年前に自衛隊が存在しなかったときの状況とは違っておるものである。従って、その違っておる状況のもとにこれを改定する必要があるのではないかということを私どもは考えております。むろん武器の進歩その他によりまして、日本が防衛上どういう役割をするかというような問題については、軍事上の問題であり、あるいは戦術上の問題でもあろうかと思うのでありまして、私が今軽々に私の乏しい軍事知識をもって申し上げることは、誤解を招いてもいけないと思いますので、やめたいと存じます。
○帆足委員 時間が限られておりますので、要点を簡潔にお答え願えれば幸いでありますが、私は、日本が地理的に、戦略的に前線基地、犠牲基地の役割を帯びているのではないか、それならばこの問題はもう少し戦略的に再検討を要するのではないかということを申し上げたので、それについて的確な御意見が承われないことは残念です。同時に最近の戦略の極致というものは、血も涙もない。戦略の極致はニヒリズムとドライの極致であるといわれているくらいです。そういう観点から前線基地に対する今の世界の戦略家の定義は、前線基地とは海綿が水を吸収するごとく原水爆その他の攻撃を一手に吸収する場所、こういわれているわけです。これは今日世界の常識です。それゆえにあの小さなアイルランドですか、ああいう国も基地になることを心配し、スエーデンは基地を断わり、そしてインドが警告しているゆえんのものも私は同じことであろうと思いますが、一体基地というものは一歩あやまれば、それは敵の攻撃を、海綿が水を吸収するごとく吸収する場所である。この重大な観点に対して日本の立地情勢から申しましても、まさにそのような危険性を内包しているということに対して、外務大臣は、そういう危険性がないとお考えですか、あるとお考えですか。
○藤山国務大臣 今日のような科学兵器の進歩が見られて参りますと、戦術なり戦略なりがそれぞれどんどん変ってきつつあるのではないかと思うのです。私どもしろうととして軍事上のいろいろのことを予測することは困難でありますが、たとえばソ連とアメリカとがもし戦争をするというようなときには、ニューヨークとモスクワがすぐ目的になるというようなことも今の段階では考えられないとは言えないのではないかと思うのであります。私どもは実はそういう知識が非常に少いものでありますから、あまり詳しいことを申し上げますとかえって間違えるといけないと思いますから……。
○帆足委員 アメリカの新聞雑誌などを見ますると、基地に対してそういう海綿の役割をさせる。それによってアメリカ本土への爆撃の負担を小さくするということをすべての戦略雑誌は書いておりますので、われわれは外務大臣に注意を促すゆえんであります。
 今度の安保条約の改正にアメリカから防衛義務があるということを入れる意思がある、こういうふうに一般に伝えられておりますが、そういう文章を入れさすような意思がおありでありましょうか。
○藤山国務大臣 ただいま申し上げましたように、条約の問題についてはお互いに問題点を洗って、それらについてこれから専門的に検討を進めていくという段階にありますので、アメリカが今お話しのようなことを持ち出しているという段階ではまだございません。
○帆足委員 防衛義務ということをかりにうたいましても、これについては日英同盟のような場合と違って、立地条件の宿命というものを考えれば、日本がサンサルバドル島かせめてメキシコのような地位にあるならばそういうことも言えるけれども、戦略的に見ればだれが見ても前線基地、犠牲基地です。従いましてそういう文章を入れたところで何にもならぬことであって、歴史上に大国が自己の前線にある、しかも五千キロも離れている前方にある基地を軍事同盟を結んだときに最後までそれを守ったという歴史があるでしょうか。日満議定書にこの条約は非常によく似ている。特に立地条件からよく似ているといわれておりますが、私はその通りだと思う。外務大臣は、歴史にこういう立地条件の軍事同盟を結んで、最後までうしろの方にいる国が前にいる国を守ったという歴史を御存じでしょうか。
○藤山国務大臣 私は不幸にして歴史に詳しくございませんので、今の御質問に対して適当なお答えをいたしかねると思います。
○帆足委員 外務大臣の教養をもってしてもまたエンサイクロペディアを繰ってみてもそういう例はないと私は思う。従いまして防衛義務などというものを入れてもらっても空論でありまして、むしろアメリカ軍が撤退するときは、これを敵に渡さないために橋梁、港湾ことごとく破壊し去るというのが、予想されることであろうと思います。そういうことを知っておいて、保守政党としてまたいろいろお考えになるならばよいけれども、今日私は無知ということは、祖国に対する責任感の欠除であるばかりでなく、罪悪と言わなければならない。外務大臣は戦略を御存じないと言って謙遜されますけれども、戦略というものは、昔の陸軍士官学校を出たやからの考えるべきことではなくて、外務大臣のように良識ある方が、率直に良識で祖国のことを憂えるのが戦略だと思うのです。従いましてむしろそういう意味で端的に安全という意味であるならば、私は基地を置くよりも、日本にアメリカの上院議員の奥さんたち、それもばばあではいたし方がありませんから、なるべくかわいらしい奥さんを四、五十名、立川に駐在させておくということの方が安全保障になりはしないか。アメリカの上院議員の奥さん方を、きれいな方々を東京に駐在してもらう、それが保守政党の皆さん方の安全保障なら、われわれの家族は全部カリフォルニアに疎開する、そういうことをお考えになったことがあるかどうか、ちょっとお尋ねしておきます。
○藤山国務大臣 私も政治をやっております以上、いろいろな広範な意味において御指摘のような常識的な判断をいたさなければならぬわけであります。ただいまお話のありましたような計画を考えたことはございません。
○帆足委員 これは徳川幕府でも参勤交代ということを考えましてやった例もありますが、私はそういうことを多少ユーモアを交えて申しますのは、これほどまでに風刺的に言わなければわからない方がおるから、またアメリカの諸君にも良心があれば私はまじめに考えてもらいたい。われわれは満州国ではありません、われわれは韓国でも台湾でもない、三千年の伝統を持っておる独立の民族です。ただアメリカの前線基地、犠牲基地になるような戦略体制はまっぴらごめんだと日本の国会議員が言っているということを、アメリカの市民諸君にも知っていただきたいから申すわけでございます。十一月の選挙で民主党が優勢になると予想されておりますが、他国の内政のことで申したくありませんけれども、政治情勢の推移などについては多少お考えになって、この交渉はゆっくりやった方がよかろうと私は思っております。同時にまた二、三年後には中距離ミサイルが大量生産され、長距離のミサイルが大量生産されますから、そうすればさっき藤山外務大臣の言われたようにもう東京など飛ばして、やりたければモスクワとワシントンが直接におやりになるという時代が、そしてその時代のゆえんにおそらく万国平和会議にさらに急速に近づくであろうということも予想されるわけですから、そういう歴史の摂理というものを考えられて、あまりおあせりにならずに、平和の道はそう遠くないわけでありますから、私はゆっくりおやりになることがよいのではないかと思いますが、逆に今日大きな問題なのは、どうも私どもの意思に反してアメリカが無理なことをしているようですが、アメリカの意見がわれわれの意見と違って、アメリカがわれわれ日本国民の意思をじゅうりんして、すなわちアメリカが日本を侵略した場合にどういうふうにアメリカに対して防衛なさるお考えでしょうか。これをちょっとお伺いをしておきたいと思います。
○藤山国務大臣 少くも安保条約を改正するという段階におきまして、アメリカが日本を侵略するということは考えられないと思います。
○帆足委員 私は今日無責任なる軍国主義が横行しておると思いますけれども、レバノンの例を見ましても、アメリカは油断ならぬ国だと思います。歴史の進化の段階において神のごとき国というものはないでしょう。そしてかっての英鬼、米鬼と言ったアメリカがわが国を武装解除して、占領して、占領政策のあとにこういう奇形的な状況を生んで、われわれの思う通りにならぬことがうんとあるではありませんか。われわれが要求してアメリカが聞かなければ、われわれはアメリカに対しても強力なる抗議を申し込まなければならぬ。そのときにアメリカが無理なことを言うときに、一体アメリカに対してのみはガンジーの教えに従う、こういうわけですか。日本の自衛隊はそのときどうしますか。
○藤山国務大臣 私はアメリカが現在の段階において日本を侵略するとは考えておりません。従って帆足委員の言われるような問題を考える必要はないと思うのであります。その考え方のもとにおるわけでございます。
○帆足委員 アメリカと日本との間に重大なる利害と意見の相違があるということは予想し得ないのですか。日本は台湾や韓国のように棺おけの中に入って、アメリカのブドウ糖によって気息えんえんとしている国じゃございません。独立の人格として、夫婦の間にだって意見の相違はある、ましてやアメリカと日本とは人種も違い、目の色も、ものの考え方も全く違う、そしてかって戦った国です。従いまして、重大なる意見の衝突の起り得るという可能性はあると思いますけれども、それすら否定なさるのかどうか、外務大臣にお伺いします。
○藤山国務大臣 私は日米間が緊密に手をつないで参りますことが、日本の政治、経済、社会あらゆる面からいいまして、発展の一番必要なことだと存じております。むろんアメリカと日本と意見の相違が全然ないということを私は申し上げませんけれども、それらの場合には十分お互いに話し合っていくのでありまして、夫婦の間で最後の離縁話までいくという前に、いろいろな話し合いもありましょう。しかし離縁話にいくということはおそらく大きな問題だと思うのでございまして、そうしたことを現状において予想して何か対策を立てなければならぬというふうには私考えておりません。
○帆足委員 いつアメリカと結婚されたか私は記憶いたしません。結婚式に列席した覚えもありません。アメリカから暴行を受けたことは知っておりますけれども、結婚したことは不肖社会党は存じません。しかしこれは警告の意味で申し上げたことですから、いよいよ本論に入ります。今残っております問題は、防衛地域と防衛条件、それに関連して沖縄の問題をどうするかということがきわめて切実な問題になっておると報道機関は伝えております。
 そこできわめて具体的に一つ一つお尋ねしたいのですが、共同防衛発動の条件というものは、一体どういうふうにお考えになっておりますか。これまでの安保条約におきましては、この点きわめてあいまいでありまして、極東における平和と安全に寄与するためというような言葉が書かれていたと思いますけれども、そういう抽象的なことになるのか、または日本国土の安全のために、具体的に言えば日本国土に武力攻撃を受けたときに発動する、こういうことになるのでしょうか、そこを一つ明確に御教示願いたい。
○藤山国務大臣 御承知のように安保条約が非常にばく然としていて、ある意味から言えば帆足委員の言われますように無限大の解釈もできるということでありますが、われわれとしてはそれに何らかの形でワクをはめていきたいということなのでありまして、そのワクの大きさなり内容なりについては交渉最中でありますから申し上げかねると思います。
○帆足委員 むしろ原則的なことをお伺いしたいのですが、私どもにもちょっと理解しがたいので、すなわちアメリカの考えている極東政策において困難が起ったときというのではだれが考えても困ると思います。従いまして国際連合の規定しておりますように、国際連合が出動するまでの間各国は国有の自衛権を持っておる、この規定に従いまして日本の国土が侵されたとき、またはアメリカの国土またアメリカの太平洋における国土が攻撃を受けたとき、こういうことになるのでしょうか。それとも、または抽象的にアメリカの極東政策に都合が悪いとき、アメリカの極東政策から見て極東における平和と安全が保てないときというふうに理解しているのでしょうか。それとも日本及びアメリカの国土が攻撃を受けたとき、こういうふうに理解されておるのでしょうか、その考え方を伺いたい。
○藤山国務大臣 日本の条約に規定されました範囲内の国土が侵されたときは、当然自衛権を発動することだと思います。
○帆足委員 まことに具体的な御答弁でありまして、政府のお気持がよくわかるのですが、同時にアメリカの国土が侵されたときにも、今度は日本側がそれに援助態勢、共同責任をとる、こういうことになるわけでしょうか。
○藤山国務大臣 条約につきましてはこれからやって参りますので、私どもとして内容については今日申し上げかねます。
○帆足委員 日本の国土が直接攻撃を受けたときということならばそれはそれとして、賛否は別として論理はわかるのですが、アメリカの国土が同時に攻撃を受けたときとなると、これは私は深刻な問題があると思うのです。従ってこれは条約の交渉上の小さな問題ではなくて、国としての心がまえの問題ですから、それは現状ではどうなっておるのか、今後どういう考えをなさるのかということをお伺いしたいと思います。
○藤山国務大臣 私はただいま安保条約の改正問題の主管者としてこれに当っておるわけでありまして、各方面の御意見を十分聞きながらまた政府の考えをきめて、そうしてこれに進むと思うのであります。従いましてそれ円のことにつきまして一々私がここで申し上げるわけにはいかぬと思います。
○帆足委員 これについて御答弁を願えないということは、委員一同の不満とするところだと私は思います。すなわち共同防衛の発動の条件及び発動の地域、しかしお答えにならないとするならば、私どもの方もまた相談いたしまして、また大臣の方もお考え下さいまして、言って差しつかえのない範囲だけでも次会に一つお漏らし、御回答を願いたいと思います。その問題は同時に沖縄の問題に連関するわけでありますが、左藤防衛長官は、沖縄に対しては潜在主権を持っておるのであるから、自衛権もまたこれは抽象的自衛権である。そして日本がこれに対して責任を持つのはすなわち主権が返ってからのことであるというきわめて明快な答弁をしておる。わずか数日前のことです。しかるに新聞の伝えるところによりますと、岸首相並びに外務大臣は大へんよろめかれて、今菊池君からも右側から圧力が加えられつつあったようですが、これに対して応戦努めておられる態度を拝聴して多少安心しましたけれども、政府全体としてはよろめいておるというふうに聞いて、まことに憂慮にたえないと思っておるのです。沖縄の問題に連関して日本本土全体が沖縄化することをわれわれは心配している。おそらく政府の中で聡明な方々は同じことを心配されておると思います。そこでまずお尋ねしたいのですが、左藤長官は沖縄に核兵器の基地はないといいましたけれども、現在はどういうことになっておりますですか。左藤防衛長官の言われる通りですか。
○藤山国務大臣 私は防衛を担当しておられます左藤長官の言われたことを信用いたしております。
○帆足委員 新聞の伝えるところによりますと、沖縄を防衛地域に入れると施政権が拡大することになるということを書いてあります。私は不思議な論理もあるものだと思って読みました。逆に施政権が日本に戻ってしまい、基地も日本に戻ってしまったから、日本国土としてわれわれにそういう義務があるというならば一応の論理として理解し得るのでありますが、沖縄を防衛地域に入れると、それは施政権が拡大したものと解釈される。私はそういう論理学は高等学校の論理学で零点をもらうことは必至だと思うのですが、外務大臣はどういうふうにお考えですか。
○藤山国務大臣 帆足委員から零点をもらいたくありませんので、御答弁いたしかねます。
○帆足委員 国会は漫才をやるところではありませんから、一つもう少し明確にお答えを願いたいと思います。これは私は例をあげてわかりやすく説明しただけのことであって、決してあいまいなことを申しておるのではありません。から手形に対して支払い義務を生ずることは、これは不合理じゃないということを言ったわけです。ましてや基地は今租界同様になっていて立ち入ることもできない。その防衛状況をつまびらかにすることもできません。また憲法は施行されていない。憲法が施行されていないところにわれわれがそのままで、ただ情においてそこに出兵をするとか、自衛権を発動するというのならば、明らかに憲法違反になると思いますが、外務大臣ほどのようにお考えですか。
○藤山国務大臣 もしかりに沖縄に何らかの影響があるとすれば、それはおそらく施政権の問題がはっきりしてこなければならぬ。それは全体としてであるか、あるいは部分としてであるか、ただいま御質問の趣旨はそういうことだろうと思います。そういう意味において、われわれとしては研究をしなければならぬ問題ではあろうと思います。
○帆足委員 ただいまの御答弁ならば、外務大臣の言わんとするところはわかりました。絶対にわれわれ零点をつける意思はありません。完全なから手形ならば支払い義務はないけれども、ない部分に部分的になり全体的になりあるならば、それに相応して考える余地がある、こういう御答弁であるならば、賛否は別として、それは一つの論理であろうと思います。
 それからさらに自衛隊派遣のことについてお尋ねしたいのですが、われわれが心配しておりますのは、沖縄が予防戦争の対象になるおそれがある。原爆を投ぜられて蒸発したあとに自衛隊をやったところで仕方のないことです。ですから私は戦略はドライであり、苛烈であり、ニヒリズムの極地である。そのことを念頭に置いて、保守といい、革新といい、部屋に戻れば同じ茶の間で話し合う仲間ですから、政見政派の利害は第二義とすべき事態であると思います。
 そこでさらに具体的にお尋ねいたしたいのですが、事前協議という条件が入るということ、これは一応論理的でしょう。そうしますと、一般戦略について事前協議をまずしておかねばならぬと思いますが、そういうお心組みでございますか。
○藤山国務大臣 むろん自衛権を使いますというこの瞬間の場合におきましても、その瞬間が出てくる全体の政治的な問題というものは、事前に私は協議されるべきものだと考えております。
○帆足委員 その一般的事前協議のあとに、さらに米軍の配置、出動その他の条件について、事前協議をするというふうに承わっておりますが、事前協議をして議がまとまらなければ拒否権を持つ――拒否権というと言葉は大ぎょうですけれども、われわれの意見と彼の意見とがまとまらないときには、それは実行に移されない。それが協議である。いつか古い蒋介石の中国と日本との間で問題がありましたときに、協議ということは対等の人格のものがやることである。中国語ではそう解するということを蒋介石側の外交官が言ったことがありますが、私は今にして同じことを思い出しますが、協議という以上、それは話がまとまらなければ成立しない、こういうことを意味するものでなくてはならぬと思いますが、そういう拒否権、すなわち拒絶する権利を含んでおると当然解すべきであると思いますけれども、念のためお尋ねいたします。
○藤山国務大臣 協議でありますから、協議でまとまったものは実行されると思いますし、まとまらぬものは実行されないものだと思います。
○帆足委員 ただいまの御答弁はまことに満足でありますが、協議がまとまらないものは実行に移されない、核兵器の搬入を許さないということについては、岸首相も外務大臣も防衛庁長官も言われております。私は岸内閣でたった一つ、言うことの中で論理的なのは、この一言だけだと思って、その一言だけに対しては敬意を表しますが、しかしながら核兵器が日本に入るおそれがあり、また核兵器の基地らしきものがあるということになりますると、予防攻撃の危険がそこにあるわけです。予防攻撃の何らかの不安におびえて、両陣営がその予防攻撃の危険を防ぐために、すでに原爆の悲劇を満喫した日本民族としては、核兵器の搬入だけはこの国土には許さないという大臣のたび重なる言明を条約の文章の中に入れておくことが、私は予防攻撃を防ぐための重要な安全保障になると思うのです。と申しますのは、ダレス国務長官が昨年の九月のフォーリン・アフェアーズの誌上にこういうことを書いている。原水爆の恐怖を知るただ一つの国家である日本国民は、米軍にしろまたは日本自身にしろ、その国土内に原水爆を持つことに激しく反対しておる、これは理解できることである、しかしアメリカは時と事態の発展が、日本国民のこの態度に変化をもたらすことを期待する、こういうまだダレス長官は助平根性か未練を持っておられるわけです。私はこういういやしき未練をなくすために、そうして予防攻撃の危険を防ぐために、この点だけは、せっかく国会で明言されておるのですから、国会で決議するなり、条約に入れるなりして確認しておくことが、世界の諸国民の信頼をつなぐゆえんであって、原爆の悲劇を受けた民族が国会で言っていることですから、これを明文に入れろといって、明文に入れたところで、世界の信用が増加しこそすれ、減るものではなかろうと思う。予防攻撃の危険を防ぐためにも、核兵器を導入しないということを明文化する意思があるがどうかお尋ねします。
○藤山国務大臣 条約の条文をどう作りますかは、今明言いたしかねると思いますが、総理がたびたび言われております精神をもって、私としては交渉に当るつもりでおります。
○帆足委員 そうすると、それが条約に入ることを、条約全体に反対のわれわれであろうとも、保守政党がそれをなさる以上は、条約に入ることを希望し、それができないならば、何らかの覚書か、またはそのときの談話なり声明の中に入るとか、あるいは国会の決議になるとかいうようなことをして、せっかくの外務大臣の御苦労をもっと強く確認していただくことを、これは民族の命運にかけて、切に希望する次第です。
 原子兵器を載せた航空母艦や潜水艦が、日本の軍港に寄港し、また補給を受けるというようなことに対しては、外務大臣はどういうふうにお考えですか。もちろんそういうことはないと思います。そういうことを拒絶すると思いますけれども。
○藤山国務大臣 それらの問題は、すべて今後の交渉の範囲内に入ると思うのでありまして、今何とも申し上げかねます。
○帆足委員 この問題は、核兵器搬入を許さぬという範疇に入るものと思いますが、外務大臣はどうお考えですか。
○藤山国務大臣 アメリカの軍艦が、かりに何らかの形でもって核武装をしてくるということがあり得るかあり得ないか、これはわからぬわけでありますが、あり得た場合でも、日本を目的としてこないというのでありますれば、必ずしも日本が核武装をした、あるいは持ち込まれたというふうには見ないでも差しつかえないのではなかろうかとは思っております。
○帆足委員 私はこういう質問をしまして、そして外務大臣に錯覚を起さして、奇妙な答弁をしていただくとしたならば、まことに相済まぬことになりますので、重ねて申しておきますが、外務大臣は核兵器の導入をしないと言われます。その核兵器を載せたところの航空母艦や潜水艦が、日本の港に立ち寄り、補給をすることに対してはどうかということを申し上げたので、それは当然政府の立場としては、そういうことはお断わりするということでなくてはならぬと思いますが、今否定的なお答えをなさるくらいなら、この問題については、検討して次に答えると言っていただく方が、私は民族のためによいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○藤山国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、条約の内容につきましては、私ども今後の問題として考えて参るわけでありまして、今は申し上げかねます。
○帆足委員 核兵器の搬入を許さないという言明をしている以上、私の問いに対しては肯定的な答えでお答えになることが至当であって、私は今条約の文章について申し上げておるのではないわけでございます。
 引き続いて、基地とか演習地とか関税特権とか各種の補償等について行政協定、これは広範な権能を持っておるものであって、一銭一厘の税関の税率ですら国会にかかるのに、前にはこういう占領政策のどさくさまぎれに、行政協定のことは国会に何ら審議されることなく済みました。私はまことに遺憾なことであると思っております。かかる協定は、事前に国会の審議あるいは承認あるいは批准を要すると思いますが、外務大臣はどのようにお考えでしょうか。
○藤山国務大臣 本条約ができまして、それに伴って行政協定の問題は考えて参る問題だと存じております。行政協定は、むろん現行のままでいいかどうかという問題については、再検討をいたして参らなければならぬわけであります。行政事務上の問題については、必ずしも国会にかけなくとも、条約上委任されている範囲内ならば適当だと、こう考えております。
○帆足委員 この問題についての外務大臣のお答えは、私どもの満足というわけに参りません。しかし同時に、われわれも行政協定の内容について検討いたしまして、そして国会の承認を得ることにしてもらいたいと思います。また交渉の過程におきましても、事前に国会の審議を十分に尽さしていただきたいということを強く要望します。
 最後に、条約の期限について、期限をつけることには、まず常識としても賛成であるということを承わりましたが、条約の廃棄について、従来手続がありませんでしたが、米華条約においてすら一カ年の予告をもって廃棄し得るようになっておりますが、国際情勢の変転激しい今日でありますから、当然その最短期間の予告をもって廃棄し、また改正し得る道が開かれておることが当然のことである、米華条約ですらそうなっておるのですから。これにつきまして外務大臣のお心組みを承わりたい。
○藤山国務大臣 期限がつきますということは、廃棄条項がつくということではないかと存じております。
○帆足委員 今日日本の自衛ということ、安全保障ということについては、さっき菊池君も、二十万や三十万の自衛隊を作っても何にもならぬ、自分は原爆水爆に趣味を持っておるという。すべての国が原爆水爆に趣味を持っておれば、結局最高の趣味である平和という趣味、それはアウフヘーベンされざるを得ないということになるだろうと思います。従いまして、敗戦のあとを受けた日本が生きる道は、国際連合の強化、世界平和への道を諸兄とともに探し求める以外にないと思いますが、身近な問題としては、AA会議が最近強化されつつあるということは、私は注目すべき現象であると思う。レバノン問題に大きな役割を演じた藤山さんは、アジア善隣外交を唱えますが、AA会議の強化ということに対して、期待と興味をお持ちになっておられるか伺いたい。
○藤山国務大臣 御承知のように、バンドンにおきまして第一回のAA会議が開かれましたが、その後AAグループの主のいろいろな事情のために、第二回のAAグループの会議というものは開かれておりません。私どもは、こうした会議が開かれることは、中近東を大きく含めてのアジアの問題を扱いますのに必要ではないかと考えております。
○帆足委員 アジアのことはアジアで決定せよという言葉の中には、多くの真理があるだけでなくて、今日平和を守る世界の世論の中において、私は重要なサゼスチョンをわれわれに供するものであると思います。政府は三大外交原則を唱えておりまして、その中の一つにアジア善隣外交ということを言っておりますが、これはたびたびわれらの同僚がお尋ねしたことですが、アジア善隣外交と外務大臣が言われるところのものは、対米協調に従属する概念であるか、それとも対米協調と対等の比重においてお考えになっておるのであるか、これを一つお尋ねしたいと思います。
○藤山国務大臣 われわれは日本の隣邦諸国とできるだけ親しくし、仲よくしていくということが外交の本則でありまして、それが何か対米協調と従属であるか、あるいは対等であるかというようなことを論ずる必要はないのではないか、こう存じております。
○櫻内委員長 帆足君、大体時間が参りましたから、お取りまとめ願います。
○帆足委員 それならば、先日もお尋ねしたのですけれども、中国の国際連合加盟について、アジア二十九ヵ国のうち、中国の国際連合加盟に対しては二十ヵ国が賛成しているのです。わずかに九ヵ国だけが反対して、その中にはヨルダンとかレバノンとか、タイとかフィリピンとかいうような、だれが見てもアメリカの属国というような国が入っている。それと合せて、日本を除けば、反対はわずか五ヵ国、賛成は二十ヵ国、こういうことであるのに、日本政府は中国の国連加盟に反対の投票をした。あのときに私どもならば、もちろん賛成の投票をしますけれども、保守政党の立場として賛成ができないならば、棄権してほしかったというのが国民の声でなかったか。数が何よりも如実に示しておりますが、なぜ藤山外相は棄権されなかったか。棄権しないで反対の九ヵ国の中に入って、そして一体アジア・アラブ諸国と協調の実が上ったといえるでしょうか。しかもその九ヵ国が内容的に見て優等生ならともかく、これはもう大体棺おけの中に足を入れている国が多い。残った二十ヵ国の中には隆々たるアジアの新興国が多い。どうして二十ヵ国との協調――それに賛成しないまでも棄権するという程度のことができなかったか。それができないから、結局アジア善隣外交といっても、これは口で言うだけであって、アメリカ従属外交である。これはインドの新聞の世論でもそう書いております。エジプトの新聞でもそう書いてあります。周知のことです――と言われるゆえんであろうと思いますが、一つ外務大臣はこの点を再検討していただきたいと思いますが、これに対する御所見を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 同じアジアの中の問題につきましても、それぞれの歴史的ないろいろの立場もございます。従ってAAグループの中の国でも、その国間に紛争もあることなのでありまして、AAグループの中に全部の紛争がないとは言えないのであります。従いましてわれわれとしては、現在までのいろいろな歴史的環境から見まして、今日必ずしもまだ賛成をいたしかねるというので、反対の投票をいたしたわけであります。
○帆足委員 時間がありませんから、また次会に引き続いて私は質問をいたし、また社会党もこの問題に党をあげて外務大臣に質問し、要望して、国民の意あるところをくみ取っていただきたいと思いますが、今日の質問で私はまことに不満足であると思いました点は、アメリカの防衛義務と称するものが論議されておるが、その内容について私は外務大臣からつまびらかに聞くことができなかった。それから第二には、一番重要なところの共同防衛の発動の条件とその地域について明確な御答弁、すなわちこまかなことでなくても原則的なお考え方が伺われなかった。あるいはまた核兵器は搬入しないと申しながら、核兵器を乗せたところの潜水艦または航空母艦が寄港するというような問題についてどういうお考えであるかということについて、納得のいく御答弁が伺えなかった。ただ一つ私が満足いたしておりますことは、核兵器の搬入は許さないということと、それから沖縄問題に対しまして、とにかく今日は主権が行われていない。自衛権といえど、それは左藤防衛庁長官の言ったように、抽象的自衛権である。従って行政権もなければ憲法も施行されていないところに対して防衛といえば、それは抽象的な防衛ということになるという左藤長官の言明と別に矛盾されたことは言われなかったので、私は沖縄の問題について新聞報道というものはまだ憶測にすぎないということがわかりましたので、政府を督励して、そして沖縄問題に連関して日本本土が全部沖縄の状況に巻き込まれることのないように注意を促したいと思います。これに対して私は不満足だと申しましたことに対しまして、外務大臣はどのようにお考えであるか、伺いたい。
○藤山国務大臣 現在条約の交渉を目前に控えております私といたしましては、必ずしも皆さん方の全部完全に御満足のいくような答弁ができないことは、やむを得ないことと御了承お願いいたします。
○帆足委員 いろいろ私の申し上げたことについて、御答弁は不満足でありますけれども、時間の制約もありますし、また他の同僚議員と相はかりまして逐次問題を明らかにして、この問題はわれわれの気持としては、日本社会党は日本の社会党、日本の勤労者の党ですから、ある意味では党派的感情を越えて、日本の祖国の平和のために、原水爆の時代、神の摂理の前に立っているともいうべきこのけわしい時代において、日本の安全をどうして保つかという熱意を持って今後とも外務大臣に迫り、国民の要望を伝え、少しでもよい方向に問題を展開したいと思っておりますから、外務大臣も一つ今後ともわが社会党の言に対しては、今大体二大政党の時代ですから、野党の意見をやはり聞いていただきたいと思います。時間関係もありますので、これで終ります。
    ―――――――――――――
○櫻内委員長 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題に供します。質疑の通告がありますので、これを許します。松本七郎君。
○松本(七)委員 外務大臣の御答弁を先に求めたいのですけれども、やはり順序がありますから、最初に、日英間の協定で購入されることに予定されている動力用原子炉がコールダーホール型炉であると言われておるのでございますけれども、このコールダーホールについては、科学者の間ではこの炉の経済性あるいは安全性について相当の疑問を抱いている向きもあるように聞いておるのでございますが、そういう点に一体懸念は完全になくなったのかどうか。政府が特にこの炉を選定した理由がまだ十分われわれには説明されておりませんので、まずこの点の説明からお願いしたいと思います。
○三木国務大臣 現在世界においては、すでにイギリスにおいても、あるいはまたイタリアなどにおいても、コールダーホール型の発電用の原子炉というものが実用化されておる炉としては一番進んでおる。そういう点で、日本の原子力開発というものはエネルギーの現状からして必要である、そういう場合に、世界全体の原子力の開発が進んでからという考えもあるでしょうが、どうしても日本が将来原子力発電を開発していかなければならぬとするならば、この機会にやはり日本も原子炉を輸入した方がいいということで、コールダーホール型の原子炉を輸入しようということで、御承知のように見積書も出まして、三つのイギリスのグループの見積書も出て検討をしておる途中であります。もちろんこれは安全性、経済性というものに対しては十分の検討をしなければならぬ。この点についてはいろいろ説明も行われてはおりますけれども、何分にもこれは最初のことであります。そういうことで科学者あるいは一般国民の疑問にこたえなければならぬ。現在、原子力委員会の安全審査専門部会、こういうところで検討を加えておるので、この結論が出なければ、必ずしも当初の日程表によって私はこれを決定はしないつもりであります。十分に安全性、経済性というものに対しての解明ができた後において、この問題に対する最後の決定を行いたい、こう考えております。
○松本(七)委員 特にこの安全性については、本年度のジュネーヴにおける第二回の平和利用会議以来、コールダーホール発電炉についても大きな疑問が持たれてきたように私どもは聞いておりますが、この点はいかがでしょうか。
○三木国務大臣 ジュネーヴ会議以来特にというものではありません。やはり安全性の問題で、プラスの温度係数の問題は、ジュネーヴ会議以前から議論があったと思います。これに対しては、その場合に制御できるということもいわれておりますので、特にジュネーヴ会議によってこの問題の疑問が深まったとは考えていないのです。このプラスの温度係数については、日本において十分にこの疑問は解明をして、しかる後にこれはきめたい、こう考えております。
○松本(七)委員 そうすると、以前からコールダーホールの安全性というものに疑問があったとすれば、なぜ急いでこのコールダーホールを一応の目標に選定したのかという点がはっきりしなくなるのですが、いかがでしょう。
○三木国務大臣 この安全性というもの、プラスの温度係数というものについては安全性に関連を持つのだが、そういう温度の上る場合があると考えられる。その場合にはそれを制御できるのだということで、それが新しくプラスの温度係数というものがジュネーヴ会議によって問題として摘出されて、そして安全性が議論になったというのではなくして、そういう一つの事態というものはやはりコールダーホールの場合に考えられておった。しかもそれは安全に影響があるというようなものではなくして、そういうものが起った場合にはこれを制御する方法があるのだということで、コールダーホール型というものに対して検討する場合に、その問題も検討されたわけであります。それを具体的に、今後向うのいろんな設計書も出てくるわけでありますから、それについてこれを具体的に検討しようということなんで、そういうことはあり得るのだけれども、それは制御できるのだという前提に立っておったので、安全性というものが非常な疑惑に包まれておるということは言えないのであります。
○松本(七)委員 イギリスが発電炉については、世界では比較的進んでおるということはわかるのですけれども、その進んでおるイギリスには、コールダーホール型以外に何か適当な炉はないのですか。
○佐々木政府委員 技術的な御質問でありますから私からお答え申し上げます。英国ではただいま設計中あるいは建設中のものはすべてコールダーホールの改良型と申しまして、全然コールダーホールと同形のものではないのでありますけれども、天然ウランあるいは黒鉛、ガス冷却という形態を改善いたしました炉で建設を進めております。
○松本(七)委員 このイギリスのコールダーホール発電炉というのは、元来は軍事用のプルトニウムの生産に重点が置かれておったのであって、発電はその副産物のようなものであると私どもは聞いておりますが、この点はいきさつからいってどうなんでしょうか。
○三木国務大臣 そうではなくして、今大々的にイギリスも――あとで政府委員の方からお答えしてもいいですけれども、コールダーホールの改良型による発電炉の建設というものは、相当大規模なものを始めておる。軍事用とだけ言い切れない。軍事用もありますけれども、しかし大規模な、いわゆる平和的な目的といいますか、発電用の原子炉の建設が大々的に進められておる。だから断定はできないと思います。
○佐々木政府委員 若干補足さしていただきます。コールダーホールのただいま作って運転しておりますのは、これはお話のようにプルトニウムを取り出すのが主でありまして、発電は従であります。従いまして、燃料は、全部燃料の燃え切らない間に取り出す、あるいは経済性はそれほど考えていないというふうな特徴がございますが、その後改良型と申しますのは、もっぱら経済性なりあるいは安全性なりあるいは燃料を途中で取り出す際に自動的に交換するような改善を加えまして、そうしていわゆる発電の実用炉として設計したものでありまして、決してプルトニウムを取るのが主目的だというものではございません。従いまして、このようなコールダーホールの際には、プルトニウムを取るのが主でありましたけれども、今度の改良型はもっぱら発電を主目的にしたものというふうに御理解いただきたいと思います。
○松本(七)委員 そのコールダーホール型が、元来は軍事用のプルトニウム生産が主だったということになると、その改良型の経済性なり安全性がはっきり証明されてくれば、実用の段階に入ったところまでくれば、これは今佐々木さんのおっしゃるようなことで理解できると思うのです。問題はそこにあると思う。もちろんプルトニウム生産が主であれば、それは日本がわざわざイギリスから高い金を払ってプルトニウムをこっちで生産してやるというようなことになるのですから、それだけでは私どもは納得できないけれども、その言われるところの改良型が、しからば商業的に成り立つ段階まできているかどうかというところが今度は問題の焦点になってくると思うのです。ところがこの点については現在はまだ探求の時期じゃないか。ほんとうに商業的に使用することのできる原子炉というものはまだないのではないかということが、いろいろな科学者の説明から、私どもは疑いを持つわけなんです。科学者の中には、この動力発電炉というものは、まだ商業的に採算のとれる事態ではなくて、むしろ基礎理論を深めるべきときだということを言っておる科学者もいろいろおることは御承知の通りだと思います。そうだとすれば、今あわてて動力用の原子炉に踏み切らなくてもいいじゃないかという結論が出てくるわけですから、その点の説明をもう少ししていただきたい。というのは、ジュネーヴ会議に出られた東大の海沢助教授ですか、この方の言にも、いわんや原子動力利用の安全性や採算性については見通しのつかない現状にある、こういうことを指摘されているわけですね。これはジュネーヴ会議に行ってみてそれがわかったんだ、こう言っておられるわけです。ですから、先ほどジュネーヴ会議以来特にその経済性や安全性について多くの人に疑いが持たれたのではないかという御質問を大臣にしたのも、私、そういう意見が学者の間にあるからです。この助教授の言葉の中には、こういうジュネーヴ会議の様子を見ていると、結論的には原子動力利用の科学技術が、国際的に見た場合に、まだ実用の段階ではない。むしろ、研究段階にあるという日本の基礎物理学者の発言が正しかったということを述懐しておられるのです。こういう点から、ジュネーヴ会議後の世界の現段階が、日本の政府が今言うように、どうしてもすみやかに動力炉を入れたいという考え方と少しギャップがあるのじゃないかという気がするのですが、この点をもう少し詳細に御説明を願います。
○佐々木政府委員 それでは、原子力発電炉の経済性の問題に関しまして少し御説明申し上げたいと思います。
 まず英国炉の問題でございますけれども、ただいま英国の発電炉の開発状況はどうかと申しますと、十カ年で六百万キロワットの計画でありますが、このたびスコットランドの近くに作ります六十五万キロの予定を、もう建設に入っておるようでございますが、合せますと、約三百万キロは、すでに設計を終え、建設に着手してございます。もしこれが採算上等に非常に疑点があるものでありますれば、いかな英国といえどもあれほど膨大な建設というものは行わないだろうという感じが一つするのであります。
 一方、欧州ではどうかと申しますと、やはりイタリアでは英国炉を一基、日本で買いたいと思っておる炉と同じ形式のものを、先月でございますか、正式に調印を終えまして、英国から購入することにいたしております。
 一方、フランスでは前から英国と同じ炉の建設を進めておりましたのですが、これも発電炉に踏み切りまして、ただいま建設中でございます。
 そういうような状況でありまして、その後日本では、先ほど大臣からお話しありましたように、英国の三つのグループからテンダーをとりまして、ただいま検討中でございますが、その検討の段階においては、実はコストの面は最後に比べることにいたしまして、まだ検討いたしておりません。もっぱら技術的な検討に主力を注いで目下検討中でありますけれども、しかしただいままでの検討の情勢を聞きますと、少くとも今まで考えておりました建設コストを上回るとかいうような要素というものはまだ出ておらぬ、むしろ下回るような可能性が非常に出ているというふうな観測でございます。今までは大体キロワット当り四円七十銭ぐらいの見当でございまして、日本の新鋭火力等から見ますと若干高まってはおりますけれども、しかし将来これが完成されて――完成するのは五年先でございますので、その後の情勢等を考えますと、次第にこの方は安くなる可能性の方が非常に強うございますので、ただいまの段階では若干高くても将来は非常に有望なものじゃなかろうかというふうに考えておるのでございます。
○松本(七)委員 さっき三木さんのお話では、まだこれを買うことにきめたわけでなしに、もっと経済性、安全性を十分検討した結果きめるというようなお話でしたが、その点はそう理解していいでしょうか。
○三木国務大臣 それは最後の決定はまだいたしておらない。見積りをとってその安全性、経済性に対して検討を加えて、われわれが納得がいくならば最後の決定をする、そういうことであります。
○松本(七)委員 そうなると、ジュネーヴ会議のペラン議長も、やはりその点で、後進諸国が原子力開発をあまりあせり過ぎているというような点を厳に戒めている。それで世界全体の様子を見てみると、今イタリアやフランスのお話を引例されたようでしたけれども、大体理想的な炉型というものは、まだ研究模索の時代じゃないか。そうであればこそイギリスも炉型については次々に改良をやっていっているわけなんです。改良型は、それは本来のコールダーホール型よりはさらにいいものであるには違いないにしても、まだまだ改良の幅というものは相当広いんじゃないか。そういうときに、今ここで協定を結ばなければならぬその積極的な理由というものが、改良がこんなに次々に行われているときに、なぜこう急がなければならぬかということが、どうしても納得できないわけなんですが……。
○三木国務大臣 先刻も申しましたごとく、やはり日本のエネルギー資源、この将来を考えてみて、いろいろ国によっては事情が違うでありましょうが、日本の場合はどうしても原子力発電というものの依存性が、長期にエネルギー資源を考えたときには多い。そうなった場合には、それは松本君の言われるように、これを何年か待てばまた改良されることもあるでしょうけれども、しかしこのコールダーホール改良型というものが実用期に入った、もう試験でなくして大々的にやり始めたのでありますから、現在の場合においては、日本がどうしても将来そういうことであるとするならば、できるだけ早く原子力の開発ということに取りかかって、その間日本がそれを中心としていろいろ学ぶべきものもあるでしょう、そういうことが日本の国の利益から考えてみて好ましいんじゃないか、じっと待っておって、そうして一番いいものが出たというときよりかは、まあ改良はされるにしても、現在世界的に実用期に入っているこのコールダーホール改良型の原子炉を今入れることが、長い将来から考えて国の利益である、こういう判断の上に政府は立ったわけであります。
○松本(七)委員 科学者の意見では、そういう状態のときに、基礎的な研究をもっと充実すべきだということを非常に強調しておるわけです。だから、基礎的な研究がおろそかにされながら動力炉ばかりに熱を上げるということは、科学者が戒めているところだろうと思うのですが、その点は、政府の基本的な方針はどうなんですか。
○三木国務大臣 これは、御承知のように、原子力研究所を中心にして研究も進めておるわけであります。しかし今言ったように、やはりコールダーホールが初めての動力炉でありますから、これは試験研究の域からどんどん進んでいくわけでありますから、その動力炉の開発を通じて学ぶべきものもあるでしょう。しかし相当立ちおくれておる日本の場合としては、もう全部基礎的な研究が終って、実用まで入る、一応そういう段階を終えていくことも一つの考え方でしょう。そういう意味において、松本君のような考え方もあり得ると思いますが、やはりどうせ日本は開発しなければならぬとするならば、そういう動力炉の開発を通じていろいろな研究も補っていくということの方がよろしいという判断であります。
○松本(七)委員 その点はジュネーヴ会議に出席した人々が実感として述べておる点にもそれがあるのです。日本の立場は、ジュネーヴ会議に出てみて、日本で一般に考えられているよりははるかに弱かった。それはなぜかというと、原子炉の輸入のことばかりに騒いでおるのに比較して、外国では、どちらかというと、やはり原子炉自体の基礎的な研究ということに非常に力を入れておる。だからその研究を基礎にしながら動力炉をどこから入れるかということが並行して考えられている。日本の場合は、その肝心な点に努力が足りないために、基礎研究でだんだんだんだん外国との開きが広くなるのではないかということを、ジュネーヴ会議に出た人が心配しているわけです。だから動力炉を入れることに関心を持つこと、そのことは、これもまたけっこうなことだと思うけれども、しかし今御指摘のような意味で、基礎的な研究というものがそれに並行して充実させられるという点がやはり一そう大事ではないか、この点についてどれだけ積極的な施策を今後されようとしているかということを少し御説明願いたい。
○三木国務大臣 お話の通りでありまして、今後やはり基礎的な研究というものはおろそかにできない。立ちおくれておりますから、実用炉と並行してやるよりほかにないわけであります。それは原子力研究所を中心として、あるいはまた民間の大学等においても、小型の原子炉の設置の申請も出ております。こういうものを通じて基礎的な研究というものに今後は特に力を入れていきたいと思っております。また日英の協定などを通じて、情報とか共同研究また訓練という条項も入っておるのは、やはり基礎的な研究というものにも力を入れていくという必要からそういう協定も結んだような次第もあるわけで、お話のように基礎的な研究はおろそかにできない、今後特に力を入れていく、並行してやっていくという考えであります。
○松本(七)委員 外務大臣の時間の都合がありますので外務大臣に伺いたいのは、米国における動力原子炉が商業上の採算に乗るかどうかという点では、まだ全くの未知数状態にあるといわれておるわけですが、一般にいわれているのは、この部門では英国、ソ連に比べてアメリカは相当おくれているのではないか。それにもかかわらず今回米国との間に協定を結ぶことに私どもは疑いを持たざるを得ない。何か経済的な意味のほかに、政治的意味をこれに認めて協定を結ぶのか、この点外務大臣から御説明願いたいと思います。
○藤山国務大臣 今回の原子力協定については政治的意味は一つもないのでありまして、御承知のように、日本は原子力開発がおくれている、しかも水力電気もある程度限度にきている。石炭等も燃料に燃やしてしまうよりはやはり化学原料にして使う方がいい。そうして日本の乏しい石炭をそのまま原料にすることがいいのであって、エネルギーに使うことはもったいないということは各方面の意見になってきていると思います。従いましてそういう見地からアメリカにおいてもイギリスにおいても、それぞれ原子力を平和利用にするという道に進んでおります以上、いつ、どこの優秀な品物を買うかということになって参りますと、事前にやはり原子力の協定をしておく方が、イギリスから買える場合もありあるいはアメリカから買える場合もあろうというような、全くその見地からの国内原子力行政の御要請でありまして、政治的な意図は何もございません。
○松本(七)委員 現在において米国が英国並びにソ連よりも動力原子炉においてはおくれておるという点はお認めになるのですね。
○藤山国務大臣 ソ連はすでに原子力発電を――私全然しろうとでありますから間違っておるかもしれませんが、現在ソ連はすでに原子力発電に着手いたしております。イギリスはコールダーホール等のものによって、ただいまの説明にもありましたように、原子力発電をやっております。その意味から言いますと、アメリカは若干おくれているということは言えるかとも思いますが、しかしながらアメリカもああいう国でありますから、どんどん研究して参りますし、その面についても力を入れていることだと私思っております。従ってこういうような協定を締結しておきますことが、日本の国内原子力行政の上で幅があって、そうして適当なものを適当に選択する余地があるということだ、こう考えております。
○松本(七)委員 一部には米国は発電炉の海外市場を確保するために、米英の売り込み競争が非常に今日は激しくなってきている。そこで米国が市場確保のために日本に対して強く要求してきて、米国に対する義理立てからイギリスと並んでアメリカとも協定を結んだのではないか、そういう見方が行われているのですが、その点どうなんでしょうか。
○三木国務大臣 アメリカも、外務大臣のお話しになったああいう国でありまして、多少は立ちおくれても非常に速度を早めることは今までの例に徹しても明らかであります。最近イタリーにおいて、イタリーがコールダーホール改良型の建設にかかっておるということは佐々木局長からお話しした通りですが、もう一つ最近イタリーが国際入札をした。そして落ちたのはアメリカの炉である。そういうことで、アメリカも立ちおくれたようでありましたけれども、しかしそういった国際入札にアメリカが落札するくらいでありますから、やはり非常にその立ちおくれを取り戻しつつある。ことに日米の間においては日本が来年早々には契約をしたいというような予定を持っておるものに濃縮ウランの水冷却型原子炉があるわけです。これは発電の実用炉ではありませんけれども、動力試験炉としてこれを輸入したい、こういう考えでありますので、今までの協定でありますとこれは研究の段階でありますが、動力試験炉ということになってくると、今までの日米協定ではこの輸入はできないわけであります。そういう点で、日米間においても今何も必要がないのにあらかじめこういう協定を結んでおくというのでなくして、現実にその必要は起っているのである、こういう点を御了承願いたいのであります。
○松本(七)委員 せっかく国際原子力機関というものができたのですから、こういう動力原子炉の件についても国際機関をもう少し活用するというふうに持っていけないのか、そうすれば米英に限らずソ連を含めて広く日本が理想的なものを選択できるという余地が出てくるのじゃないか、この点はどうでしょうか。
○三木国務大臣 国際原子力機関もまだ実際に動いてない。国際原子力機構から原子炉の供給を受けるということには、国際原子力機構というものがまだとてもそれだけの整備された状態になってない。ようやく日本から、燃料を三トンばかり国際原子力機構から供給を受けたいという申し出があったのが、おそらく初めての具体的な国際機構に対しての申し出であったと思う。この問題で各国ともいろいろこれから相談するわけであって、今国際原子力機関から発電炉を日本が購入するというほどに機構がまだ動くような状態になっていないわけです。将来動き出せばお話のようにそういうことは考えられるのだが、まだそこまで行っていないということを申し上げます。
○松本(七)委員 動力炉あるいは資材、施設、そういうものの購入を、二国間協定よりもできれば国際原子力機関を通じてやった方が好ましいという点はお認めになるのですか。
○三木国務大臣 そういう考え方で日本が三トン申し出たわけであります。
○松本(七)委員 日本も理事国になっているのだし、そういう点でもっと積極的に今後活躍していただきたいと思います。
 それから外務大臣に伺っておきたいのは、日英協定に関しては何か協定書以外に共同コミュニケがあるように聞いておるのですが、何かありますか。
○藤山国務大臣 交渉中の了解事項についての共同コミュニケがございます。
○松本(七)委員 委員長、それを資料で提出していただきたいと思います。
○櫻内委員長 承知しました。
○松本(七)委員 それからこれは政府の原子力協定に限らず、すべて外国の交渉について言えることなんですけれども、この協定についてもたとえば阪大の伏見教授なんかは経過について非常な不満を述べられている。協定が結ばれる間自分たち学者にはどういう進行状況なのか全然知らされなかった、原子力の平和利用において、その平和利用限定の保障を国民が非常に強く求めている場合に、できるだけその国民の意思を反映する機会を作るべきじゃないか、それにもかかわらず一部の要求で協定調印が急がれたのははなはだ遺憾である、こういう意味のことを、伏見教授が述べられておるのですが、もう少しこの原子力平和利用の協定を結ぶに当って、経過の過程においていろいろな学者なりその他の広い層にわたって討議し、審議する機会を与えらるべきじゃなかったかと思うのですが、この点の扱いについて大臣の御説明を願いたいと思います。
○藤山国務大臣 外交交渉をやりますときにどうも秘密過ぎるじゃないかというただいまの御質問だと思うのであります。むろんわれわれはできるだけ外交交渉の内容等も説明いたしまして、そうして条約を作りますとき国民の意見もいれていくということは必要だと思います。しかしながら何といたしましても外交折衝の場合には相手方のあることでありまして、しかもそうした協定を作る場合には刻々にいろいろな変化もいたしておるわけでありまして、それらのものが誤まって伝えられますと非常に大きな問題になりますし、また日本が考えておることを一々カードを並べますと相手方に手の内を見すかされるような場合もあるわけであります。その辺の緩急は非常にむずかしいわけでありまして、われわれとしてはできるだけ外交折衝に当りまして十分な各方面の意見を尊重しながらやるべきは当然だと思いますが、今言ったようなことで、どちらかというと常に御非難をこうむるような立場に立っておるわけであります。今後もそういう問題につきましては十分留意して参りたいとは思っております。
○松本(七)委員 その点は条文の審議のときに私はもう少し指摘したいのですが、むしろ先ほどから言うように、米英ともにやはり世界の市場確保の競争が非常に源しくなるし、今後いよいよ激しくなろうとしておる。一方、免責条項などを日本に有利に展開させる余地は、そういう競争が激しくなればなるほど私はあると思う。そういう場合に日本の学者なりあるいはその他の各層で心配しておるようなことを十分審議して、その交渉過程をある程度明らかにしていただきながらこれを論議すれば、むしろ私は米英に対する交渉は有利に展開できたのじゃないかと思われる点さえあるのです。ですから特にこの原子力協定に関する限りは今の御説明では納得できませんけれども、これはいずれ条文の審議に入ってなお御質問したいと思います。
 もう一つここでお伺いしておきたいのは、原子力をほんとうに平和的利用にだけ限定しようというならば、まず第一に、現在原子兵器を持っておる国々がこの危険な兵器を廃棄するということが、やはり大前提でなければならぬと思うのです。ところが原子兵器を持っておる国々が、全然持っていない日本の原子力の平和利用について、平和利用に限るべきだ、しかもその査察さえもアメリカ側が行うというようなことは、どう考えてもこれは不合理だと思うのです。そういう交渉をする過程で、日本が原子力を平和利用に限るのだということは、日本みずからが査察すればいいのだという点と、それから原子兵器を持てる国がこれを撤廃するということが、世界の原子力の平和利用の大前提であるという点を、アメリカにどの程度強調されたのか、この点は非常に私どもの関心の深い点ですので、あらためて大臣の御説明を願っておきたい。
○藤山国務大臣 原子兵器を使うということが、日本国民として国民感情からも好ましくないという点につきましては、たびたびの機会に申し出ておるのでありまして、一般軍縮等を通じてもこの問題、核兵器の生産、保有、使用というものに対して全面的に将来禁止されることを、昨年の国連に対するわれわれの決議案にも述べたわけでありまして、この点はっきりわれわれとしても態度を示しております。なお査察の問題等につきましては、国際原子力機構等にもこういう条項があるのであります。従って日本にだけこういう条項を押しつけたというわけではなしに、いろいろな国に対してということでありますから、その例をもってやったわけで、特に日本に対してというわけじゃございません。
○松本(七)委員 ですからプルトニウムを今度軍事的には使用しない、平和的に使用しておるという点についての査察は、日本から要求されたかどうかということなんです。ただよその国もやっておるから日本もそうやったじゃ済まぬ。日本からあらためて、やはり日本が査察する権利は持っておくべきじゃないかという要求は当然出されてしかるべきだと思うのですが、全然出されなかったのか、あるいはそのことについての要求は出されて拒絶されたのか、その点……。
○藤山国務大臣 交渉のことでありますから、その過程においてはわれわれの側の希望も率直に述べておりますし、向う側の話も率直に聞いておるわけでありまして、そういう問題に全然ノータッチというわけではございません。
○松本(七)委員 外務大臣時間がなんですから、一応よしておきましょう。
○櫻内委員長 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時三十八分散会