第030回国会 外務委員会 第12号
昭和三十三年十一月一日(土曜日)
    午前九時五十五分開議
 出席委員
   委員長 櫻内 義雄君
   理事 岩本 信行君 理事 宇都宮徳馬君
   理事 佐々木盛雄君 理事 床次 徳二君
   理事 山村新治郎君 理事 岡田 春夫君
   理事 戸叶 里子君 理事 松本 七郎君
      臼井 莊一君    菊池 義郎君
      北澤 直吉君    小林 絹治君
      千葉 三郎君    中村 寅太君
      原 健三郎君    福家 俊一君
      福田 篤泰君    前尾繁三郎君
      松田竹千代君    岡  良一君
      高田 富之君    田中 稔男君
      帆足  計君    森島 守人君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 藤山愛一郎君
        大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
        国 務 大 臣 三木 武夫君
 出席政府委員
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局長)   佐々木義武君
        外務政務次官  竹内 俊吉君
        外務事務官
        (条約局長)  高橋 通敏君
        外務事務官
        (国際連合局長
        事務代理)   北原 秀雄君
        大藏事務官
        (主計局長)  石原 周夫君
 委員外の出席者
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局次長)  法貴 四郎君
        外務事務官
        (国際連合局科
        学課長)    横田  弘君
        参  考  人
        (東京大学理学
        部物理学助教
        授)      梅沢 博臣君
        参  考  人
        (日本原子力産
        業会議副会長) 大屋  敦君
        専  門  員 佐藤 敏人君
    ―――――――――――――
十一月一日
 委員池田正之輔君、中曽根康弘君及び森下國雄
 君辞任につき、その補欠として中村寅太君、臼
 井莊一君及び原健三郎君が議長の指名で委員に
 選任された。
同日
 委員臼井莊一君、中村寅太君及び原健三郎君辞
 任につき、その補欠として中曽根康弘君、池田
 正之輔君及び森下國雄君が議長の指名で委員に
 選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 原子力の平和的利用における協力のための日本
 国政府とグレート・ゾリテン及び北部アイルラ
 ンド連合王国政府との間の協定の締結について
 承認を求めるの件(条約第三号)
 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日
 本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の
 締結について承認を求めるの件(条約第四号)
 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日
 本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を
 改正する議定書の締結について承認を求めるの
 件(条約第五号)
     ――――◇―――――
○櫻内委員長 これより会議を開きます。
 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括議題として審査を行います。質疑の通告がありますのでこれを許します。岡良一君。
○岡委員 大蔵大臣にお尋ねをいたしたいと思います点は、御存じのように今回英国との間並びに米国との間にいわゆる動力協定の締結について協定の批准を求められているのでありますが、その際私どもが非常に大きな関心を払っている若干の問題点の中で特に大蔵大臣から責任ある御所信を承わりたい点があるのであります。
 それは御存じのようにアメリカとの協定においても英国との協定においてもいわゆる免責条項というものが含まれておる。この免責条項の内容も申し上げるまでもなく向うから引き渡された燃料要素等に基いて事故が起った場合、その損害の責めは相手国がのがれて一方的に日本国政府の責任になる。日本国政府が万一事故に基いて重大な災害が起ったときにはその損害の賠償をすべきであるという内容が協定に含まれておるわけでございます。そこでその際特に大蔵省当局としては、この災害について政府として責任をおとりになる御決意であるかどうか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
○佐藤国務大臣 お尋ねになりました点はまことに重大な点でございます。今回動力協定をいたしました場合に、また同時に今後原子燃料を使います場合に、その安全性ということが非常に大きな条件である。この意味においていろいろな疑念を生じておる。あるいは一部に不安がある。こういう状況のもとにおいて原子力の平和利用を推進していく、こういう考え方でございますので、まず原子燃料を購入いたしました場合に、これをどこの所有にするかということがまず第一に問題になると思います。そういう考え方からまず内外の諸情勢という、ただいま言われる安全性が十分確認されるとか、あるいは国民感情がどうであるとか、その他の外国における保有の形態であるとかいろいろなものを考えてまず国有または公有、こういう考え方で進んでいこう、ここに一つの責任の所在を明確にしておるものがあると思います。しかし損害が発生した場合にということを不安とし、また心配としてお尋ねになりますが、どこまでも原子燃料そのものが安全第一でなければならない、安全が確保されなければならない、こういうことでありますので、その安全性の確保というところに全力をそそいだ考え方でこの取りきめをしていく。従いましてそれについての十分の認識がないと原子燃料そのものの使用なり保有なりということが基本的にくずれてくるのだと思います。そういう意味で、特に安全性についての角度をあらゆる方向から確かめていく、こういう考え方で参りますので、まずその損害は万に一つもないという建前でなければならない、こういうように思っております。しかしそういうことを申しましても、現実に損害が起ったらどうなるのか、こういう理詰めの議論が存することは私どもも承知をするのでございまして、そういう場合に、責任の所在は、政府と申します前に、第一段の責任の所在があるわけであります。これは燃料公社そのものだろうと思います。しかしそういうものが十分の損害補償の責めを果し得ないというそういう場合に、国の責任をどうするかということになるんだと思います。そこで、ものの考え方はそれでおわかりだと思いますが、安全度というものはどこまでもこれを十分確認しない限り、これは進んでいくわけのものではないので、ただいま非常に不安なものとして、またその意味においては一般の理解をかち得ないじゃないかとか、あるいはまた原子力の損害の発生度も非常に大きいというようなことを考えてくると、その角度から見て非常に不安なものがあるんじゃないかというような議論にも発展するんじゃないかと思いますが、いわゆる本格的な使用ということになれば、まだ今後数年かかるものだ、かように考えますので、その間にさらに十分ただいま申し上げるような点についての各国のあり方その他をも研究して、当方といたしましては研究問題として今後に残しておきたい、実はこういうように考えて、ただいまの動力協定を進め、そしてこの動力協定で試験的な問題とまず取り組んでいく、こういう考え方でただいま進んでおるのでございます。
○岡委員 導入する動力炉が安全であるかないかということは、原子力委員会が動力炉の設置の許可権者である内閣総理大臣に対して意見を具申し、そこで設置するかいなかということがきめられるものだと思います。そこで原子力委員会はその安全度を検討することになっておるわけでございます。従ってその安全性については、原子力委員会の大きな責任にかかわる事項ではありまするが、しかし実は、特にこのコールダーホール改良型という大規模な、十五万キロワットの実用動力炉について申し上げますると、英国との交渉の過程において、こういう事実がある。それは、英国側から燃料要素等の事故に基いて起る災害はきわめて重大であるという申し出があって、わが方はそれを承認しておる。ということは、従ってこれに対する責任を英国が持たないということを申し出て、この免責条項が入っておる。従ってこの協定当事国としての日本国政府がこの炉の安全性というものに対しては免責条項をのんだということは、安全性についての保障がないという事実をみずから認めることになるわけであります。政府と政府との取りきめにおいて、安全性について明確な保障のないものを受け入れるという、従ってそれに基く事故についてはわが方の政府が一切の責任を負う、こう協定ではっきり書いておる以上、国と国との取りきめにおける政府の責任というものは、当然安全度を確かめる、次には保険をやる、そして運転者の責任において解決できないものは政府に持っていこう、こういう段取りでなく、原則として政府が補償する、この建前が、今申しましたような経過で、この免責条項というものがこの協定に含まれてきている以上、当然政府にその決意がなければならぬ。その決意があって初めてこの協定というものが国会において批准を求められるという手続になるのである。これについては、政府として何ら明確な決意もなければ、われわれを納得せしめる責任ある御所信というものがなくして、ただこれをのめということでは、私どもとして納得いたしかねるわけです。筋道として、当然私は、国と国との協定において、その責任は一しかも交渉の過程で重大な障害が起り得るので、英国側は責任を持たないといっておる。それを承認をして、それでは責任を持たなくてもよろしいから、わが方が責任を持とうということまで協定の本文にうたう以上は、政府としては明らかに重大な事故が生じた場合においては、当然責任を持つ、補償の責めに立つという決意を私は表明あってしかるべきであると思うが、重ねてお伺いいたします。
○佐藤国務大臣 ただいまの動力協定の基本になります免責条項の問題ですが、これはいろいろ取扱いの問題から、非常に安全性というものがない、確度がない、こういう意味で、おれの方は一切責任を持てぬぞ、こういう場合もあるだろうと思いますが、もうすでに原子力の研究はよほど進んで参っておりますし、この被害の問題も、それが事故を起した場合に非常な大事故になるということは、もう各国ともよく承知しておりますので、いわゆる平和利用をするという以上、その第一段階である安全度というものは、取り上げられたときとはよほど事情が変ってきておる。ことに管理技術もよほど向上して参っておる、こういう意味で、非常に危険なものだが一体どうなるんだかわからぬ、おれの方は全部責任を持たぬぞ、こういうような筋のものでは実はない。これは原子力、平和利用という観点から、その技術なり管理技術なりというものはよほど変ってきておる。しかしながら、そのために英国自身が日本における管理やその他のことについてまでの責任は負うわけにはいかない、それについては日本自身が責任を持て、こういう意味だと私は理解いたしておるのであります。ただいま御指摘になりましたような見方とは、角度はよほど違ってきている、こういうふうに思うのであります。なるほどその安全性そのものについては、委員会等が権威をもってこれを決定するのでございましょう。同時にまたその管理方式その他につきましても、いろいろ工夫もされており、また管理技術も非常に進歩してきている、こういう点もあわせて考えていかなければならない。もちろん政府にいたしましても、この平和利用を決意している、こういう場合に、いろいろ考えていかなければならない問題がある。採算に合うとか合わないとかいうこともありましょうし、あるいはまた国情、人口、土地の状況その他から見ましてもいろいろな問題があるだろうというものをいろいろ勘案いたして参るとは思いますが、平和利用ということに踏み切っている以上、そういう点についてただいまお尋ねになりましたような、非常に不安な状況のもと、こういうこととはよほど前提条件、基礎条件は変ってきていると私は理解いたしておるのであります。しかしながらそういうものが、さらに本格的な利用ということになった場合に、万一といいますか、これはもうほとんど考えられないようなことにいたしましても、何といっても事故は絶対にないとはいえないじゃないか、こういうような議論から、万全を期するというような意味で、ただいまのような点がどこの責任になるかということになるのだと私は理解しております。またそういう意味で、日本政府自身、あるいはまた公社にしても、また、原子力委員会にしても、技術的に十分満足のいく知識、認識がない限り、具体的にはなかなか決定しかねるものじゃないか、かように考えておる次第でございます。
○岡委員 しかしその大蔵大臣のお考えは、あなたのきわめて主観的なお考えだと思うのです。さきにも申しましたように、私はコールダーホール改良型について申し上げておるわけでございますが、コールダーホール型を導入するに当りまして、英国としてもできるだけ完全な燃料要素を与えるように努力をする、受け取るわが方においても、できるだけそれを完全なものであるように点検をするということになっておるわけです。ところがそこまでの手続を経てもなおかつ――なおかつ燃料要素の事故に基く災害が重大なものであるということを念を入れて、これをのんでおるわけなんです。しかもこれはあとで問題になろうかと思いまするが、現にこの間九月一日から十三日までジュネーヴで原子力平和利用会議がありました。その最初の日には日本の政府代表はどう申しておるだろうかというと、日本は昭和五十年までに六百万キロワットの原子力発電をやると言っている。しかも日本はこの会議にレポートを出している。このレポートは原子力発電に関する長期計画というものです。日本政府ないし日本原子力会議の方針として、このレポートには、明らかにコールダーホール改良型を入れるということがうたってあるわけです。ところが一日に政・府代表は六百万キロワット、しかも日本のレポートではコールダーホール改良型を入れるというレポートを公けに出しておきながら、十二日に政府代表はどう言っているかというと、かねてから英国のコールダーホール改良型については疑問の点があったのであるが、この会議を通じてまだ解決に至らなかった。であるから英国側の出したデータを検討した上で、あるいはコールダーホール改良型の導入をあきらめるかもしれないと言っている。公式な新聞記者会見で日本政府代表が言っているのです。してみれば日本の政府自体あるいは政府代表自体がこうした公けの国際会議において、コールダーホール改良型なるものに対する、いわば経済性と安全性は不可分の問題でありますが一に対する大きな疑問を残しておるわけであります。そういうものがこの動力協定を通じて入る可能性があるわけです。とするならば、この際免責条項の裏づけとして、この場合には政府が責任をとるはっきりした御所信がなくては、私どもはこの協定をまじめに審議できないではありませんか。大蔵大臣は安全の上にも安全を期して念を入れるからとおっしゃいますが、これもやはり公式なアメリカの原子力委員会の権威を集めてのレポートの中にこういうことがある。それにたとえばコールダーホール改良型の大規模な動力炉の事故についてという論文が出ておる。この中で、最悪の事態においてどういうことが起るかということが書いてある。半径百六十キロ以内の住民は全部緊急避難しなければなりません。四百トンのラジウムがこの動力炉の中に充填される。これが爆発したら大へんなことになる。かりに東海村において起きれば、東京都民は緊急避難しなければならないという事態が万一の場合あり得る、こういうものなんです。こういうものについて免責条項をのむなら損害は全部政府が引き受けましょう。しかし政府の方に聞いてみれば、損害については安全の上にも安全、念を入れるから万一なかろうと思うというような安易な考え方で、まず運転の当事者が責任をとり、ひいては保険制度なども考える。どうにもならなければ政府がやりましょうというような態度は私は非常に無責任ではないかと思う。もう一度御所信を伺いたい。
○佐藤国務大臣 ただいまいろいろ原子力会議等で議論があり、また米国でいろいろ意見を発表しておるというお話もよく聞いております。そういう点が冒頭に申し上げました安全性であるとか管理技術の向上であるとか、こういう点からまだまだ納得のいかないものがあると思うのでございます。原子力協定は原子力協定といたしましても、本格的なものを導入するまでにまだまだ研究の余地のあることはもう御指摘の通りなんです。ただいまどの動力炉を採用するかということ自身につきましても、目下研究に研究を重ねておる段階だと私は思います。ことに非常に技術的に進歩するこの種の科学の向上につきましては、私どもが最も気をつけなければならないことなんです。そういう意味でこの原子力会議におけるわが方の意見発表などは非常に慎重を期しておると私は考えておるのでございます。ただいま御指摘になりましたように、こういうものがよし試験的なものにしろ事故を発生することは大へんなことなんです。ましてそれが本格的採用ということになればその事故に対する対策まで考えれば非常に大きい問題であります。これはもう御指摘の通り、そういう意味から試験的なものを設置する場合においての措置として、資力信用あるものとするとか、責任保険の制度を研究していくとかいうことが行われておる。これは各国とも十分な方法を考えておる。そういうものが第一段であろうということを申すのであります。しかし国の責任を全部免れるという考え方ではもちろんございませんが、ただいま御指摘になりましたように四百トンだとか、こういう本格的なものを想定して、直ちに具体的な措置に入っておるという段階でないので、私どもはただいまそこまでの考え方は持っておりません。そういう場合も、大きなものの損害発生ということになればおそらく国自身も負担ができないという結論になるかもわかりません。そういう場合において、そういう経済性だとか安全性だとかいうような意味からそういう大きなものを作るということは可能かどうか、さらにまた検討の要のあるものじゃないか、私はかように考えておる次第であります。
○岡委員 最後に、実は日本が英国と協定を結ばなければならない必要がどこにあるかということを私は私なりに考えてみたわけです。何もありません。情報を入れるならばジュネーヴの国際会議ではりっぱな論文がたくさん出ておる。これを調べるだけでもりっぱな情報は入るわけです。それから、別にアメリカとの協定のように濃縮ウラン九〇%のものがくるというわけでもなければ、プルトニウムがくるというわけでもない。英国との協定というものは一にコルダーホール改良型というものを導入する前提なんです。しかもそれはまだ国際的な権威ある会議によって経済性も安全性も何ら保証されておらない。結論が出ておらない。そういうものを入れようというならば、私は当然この免責条項の裏づけとしての国の責任というものがなければならぬと思う。そこで、大蔵大臣の御答弁によれば試験的なものであろうというお考えであり、試験的なものでやっていこうということで御了解のようでありますから、大蔵大臣は、対英協定というものを十万キロワットの実用炉として、大型のものとして理解をしておらない、これは私もそうあってほしいし、また政府としてもそういう軽率なことで大型炉を入れて万一の事故を起すような冒険をするようなことをしてもらいたくない。ただこの際大蔵大臣にお願いしたいことは、御存じのように日本の原子力開発は非常におくれておる。これは何と申しましても国民感情として広島、長崎の経験が非常に痛くこびりついておる。だからちっぽけな教育用の原子炉を作ろうといってもその地域の住民からわんさわんさと反対が出ておる。私をして言わしめれば、小さい、このごろ大量生産ができておる実験用の教育用原子炉くらいはみな大学に一つくらい持ってもいいくらいに思う。そこまで持っていってくれなければ日本の原子力の研究開発は進まない。ところが、この本能的な脅怖感というものがなかなかぬぐい去りがたいわけです。これをどうしたらぬぐい去ることができるか。一つは、反対にもかかわらずやってみて安全であったということ、事実をもって原子炉は事故を起すものではないということを、特に研究分野においてやってもらうということ。いま一つは、政府としてもこの脅怖の感情に対しては今後十分責任ある補償措置をやるのだという腹がまえを持っていただくこと。この二つが、相互に矛盾するやり方のようでありますけれども、同時に並行的に進められなくては日本の原子力研究分野というものがなかなか発展しがたい。そういう意味で、大蔵大臣とされても、ぜひこの原子力の災害の補償については国が責任を持つ、大型のものではない教育用あるいは訓練用の小型の実験炉というものについては国の方で万一の場合には責任を持とう、これこそは、ある会社は大量生産で外国に輸出しておるようなしろものですから、こういう腹づもりを持って、大蔵当局の立場から日本の原子力の研究開発の発展にぜひ一つ御協力を願いたい。このことをあわせてお願いいたしまして私の質問を終ります。
○櫻内委員長 松本七郎君。
○松本(七)委員 今の問題でございますが、聞くところによると、国家が補償、するという点については、原則として全面的に国家が見るということはすでに閣議で決定されておる。そのためにわざわざ輸入燃料を国有、国家管理にするということまでやられたのであるというふうに一部では伝えられておるし、また高碕通産大臣の先般の国会における答弁によれば、そういう事実はないと言って否定されておる。非常に大事な点で一体政府の方針がどうなのかという点が非常に不明確なのですが、その点をまずはっきりしていただきたい。
○三木国務大臣 燃料については当分の間これは民間を許さない、国または公社というものにおいて所持するという方針はきめましたが、この原子炉の損害の場合における補償処置については閣議では決定をしていない。そこでわれわれの考えとしてはやはり原子炉を設置する場合には相当の保険能力を持った者に限る。この責任保険の制度というものを確立したい。民間の保険制度というものは、原子炉の運転が開始されるまでには確立をしたいという方針であります。しかし保険というものに対しても各国の例を見ましても、保険支払い額というものに対しては限度を設けてある国が多いが、それ以上の異常災害に対しては国家が限度をおいて責任をとったり、あるいはまたいろいろな風水害における異常災害とかとにかく異常な予期されないような災害に対して国家が処置するというような方針をきめている国もありますが、こういうことで、国の補償の限度をどういう方法でするかとかそういう問題については、実にコールダーホールを輸入するにしても四、五年先の話で、多少の時間があるものですから、人を派遣して、原子炉というものに対する保険制度というものは新しい問題でありますから、十分世界各国の事情を検討をして、国民に不安なからしめたいということで、閣議でこうしようという方針はまだきめていないが、そういう方向について検討をしようというのが政府の考え方でございます。
○松本(七)委員 今の御答弁は非常に重要な御答弁で、今まで非公式に佐々本局長の答弁されておりましたことと全然違う。そういう点はありますけれども、大蔵大臣お急ぎですから、大蔵大臣にお伺いしておきたいのは、肝心な輸入燃料を、当分の間国家管理あるいは国有にするということ自体にも問題がありますけれども、その災害補償については、実際に動力炉が入って動くのは相当先のことだから研究期間もその間にあるというような意味だろうと思うのですけれども、大蔵大臣としても先ほどの御答弁から察すると、五、六年先のことであるから、その間には安全性等についてももっともっと確実なものになる見通しがある、こういう観測が中に入っているのでしょうか。
○佐藤国務大臣 もちろん観測も入っております。また現実にこの管理技術は日に月に進んでおる、かように考えます。同時にまた安全性というか、そういう点についても一そうの研究は毎日遂げられておると思います。そこで先ほど来のお話で、私どもが非常に慎重を期しておりますゆえんのものは一体何か。この損害がただ物的の損害だけであるなら、これは比較的処置が楽であります。しかし、身体、人命を損するとかいうことは、金銭的になかなか跡始末のできるようなものじゃない。そういう意味で非常に慎重なお答えを実はいたしております。先ほど岡良一君からも、一面で不安を除いて、この原子力、平和利用の一日もすみやかなるように政府はやれ、こういうお話をしておられますが、これがただ単に物的損害だけでありますならば、損害補償の問題にいたしましても、非常に容易だと思う。しかし一たん事故が発生いたしますならば、人命を損傷するという重大な問題でございます。そういう意味で私どもがさらに安全性であるとかあるいは管理技術の向上だとかいうものに非常に期待をかけておるゆえでもあるし、御質問になります皆様方もおそらくそういう意味でただ単に補償だとかあるいは賠償だとかいうだけの問題ではないだろうと思うのでございます。その重大性は私どもも十分理解ができ、私どもも皆様方の協力を得て、そういう意味の安全を期したい。そこで初めて本格的なものが採用される。こういうように実は考えておる次第でございます。御了承を願います。
○松本(七)委員 御答弁にあるように、単なる物的なものじゃない。人命に関する非常に――これはもし損害が起れば大へんなことになる。それだからこそアメリカでは特別立法によって六千五百万ドルですか、保険の負担額、それからさらに国家補償額としては五億ドルという広いワクを作ってこれを補償しようとしておるわけですね。われわれとしては、五年間先あるいは六年間先ということは一応考えられるけれども、発注する場合は、現在の時点で発注して、設計ができたときにもう危険性というものはきまるのですから、当然現在の時点において、特に災害補償の問題は万全の備えをやっておかなければならないと思うのです。そういたしますと、免責条項を受け入れる以上は、やはり予想される危険を最大限に考えて、そうしてそれに対する対策を、保険とかあらゆる手を尽してもおそらくまだ足りないでしょうが、その足りない分は、国家が完全に見る、いかに膨大なものになっても国家が見るのだということをはっきりしなければ、これはうかつに免責条項は受け入れられないという結論になるのです。それでこの点を特に私どもは念を押してお伺いをしておるわけなんです。そうするとここで足りない分は全部国家が見るのだという保証は今は与えられない、こういう方針だと理解していいでしょうか、
○佐藤国務大臣 先ほど来申し上げましたように、もちろん国家の最終的責任というものを感じておるわけでございます。しかしながらその最終的責任をいかに果していくかというところまで今日の段階では検討が進んでおらないということを実は申し上げておるのでございます。それは原子力協定、動力協定ができましても、さらにそれを本格的なものとして採用するというのには、なお研究の時期がかかってくる。そういう際にはまたそういう場合に最終的なものを結論を出そう、こういうことでそれまでの研究を続けていきたいということを実は申し上げておるのでございます。
○松本(七)委員 そういう考え方からすると、これはおそらく閣議決定だろうと思うのですが、輸入燃料の国有、国管の問題、これも今の大蔵大臣の考え方からすれば、これはつまり便宜的にイギリスが免責条項を要求したときに日本の側の責任にするためには原子力発電会社という会社が当事者だから、少くとも輸入燃料を国管なり国有にしなければならぬということから考えているのだろうと思うのですが、そうすると今のお考えから言うと、全面的な国家の補償ということがまだ先の問題とするならば、今あわててこれも国有あるいは国家管理にしなくてもいいという意見もあり得ると思うのです。これについての大蔵大臣の御意見は当時はどういうふうだったですか。
○佐藤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、内外の諸情勢、いわゆる安全性であるとか管理技術の問題であるとかあるいは補償責任制度であるとか、こういうようなもの、あるいは各国の保有制度その他等を勘案して、ただいまのところこれを国有または公有にして責任の所在を明確にするということが必要だ、かように実は考えておるのでございます。なるほど燃料公社、燃料会社自身は相当の資力、信用のあるものとは思います。しかし現在の段階においては、これを国有または公有にして責任の所在を明確にしておくことが、最もふさわしい状況であるということで、ただいま国有または公有、こういう措置をとっておるわけでございます。
○松本(七)委員 そうすると、当分の間というのは、そういう意味ですか。将来はこれを民有に切りかえるという含みを持ってのことですか。
○三木国務大臣 当分の間というのは、原子力の平和利用という問題は非常な速度でいろいろ進歩していくものでありますから、岡さんも御指摘になったように、これが非常に普及をして、大学ではみんな原子炉を持つというような段階になれば、必ずしも燃料というものが、国有とか公有でなくてもいい時代がくるかもしれませんが、現在では、国民感情、平和利用の確保あるいはまた燃料自体の安全性、こういうものからして、現在の段階においては、民間がだれでも燃料を持つという形よりも、国有あるいは公有にした方がよろしいということでありまして、これは将来の原子力の平和利用の普及度によって、この問題は検討をしたい。当分というのは、何年と限ったものではございませんが、それは原子力の平和利用というものがどう普遍化するかということで判断をいたしたい。何年といってきめてあるわけではないのです。
○松本(七)委員 そうすると、かりに非常に安全になった、普及もしてきたということでこれを民有に切りかえて後に、その燃料に欠陥があったために大きな災害が起きたというような場合には、今度は今までの経過なり建前からするならば、そのために国家補償というものが断ち切られるという危険も論理的にはあるわけですね。その点はどうでしょう。
○佐藤国務大臣 そこで先ほど来議論になっておりますように、補償責任制度というものについての研究が必要になってくるわけでございます。おそらく非常に普及された場合に、資力、信用のある会社自身が賠償責任にたえ得るようなものであること、これが望ましいのは申すまでもないことでございます。しかし、なかなかそういうことが期待できない。こういう場合に責任保険制度というか、そういうものがいろいろ考えられるということになるのであります。まだそういうものについては、これからの研究問題として、先ほど企画庁長官も言われましたように、各国の制度等についても十分検討して参らなければならない、かように考えております。
○櫻内委員長 松本君、いかがでしょうか。だいぶ時間が過ぎましたので……。
○松本(七)委員 時間の問題じゃないのですしかし大蔵大臣非常にお急ぎのようだから、この程度で打ち切っておきますが、とにかく免責条項を受け入れるためには非常に重要な条件なんです。これは今御答弁になっているように、まだまだ研究しなければならぬ状態にあるということになると、非常に問題なんです。もう少し伺いたいのですけれども、何しろ非常にお忙しいところをわざわざ来ていただいているし、おもな点は、災害がどんなに大きくなろうが補償するというはっきりした約束がないということだけははっきりしたのです。原則上責任を感ずるけれども、さてそれではどうやって国家が補償するかという点は、これから研究するんだということははっきりしたのですから、必要があれば、今後新たな機会を作って、また御質問することにして、一応大蔵大臣への質問はこれで打ち切っておきます。
○櫻内委員長 これより三条約について、参考人より御意見を承わることにいたします。
 まず参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。本日は皆さん御多忙中のところ、特に本委員会のために御出席下さいまして、まことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。
 念のため議事の順序について申し上げますと、まず参考人よりおのおの御意見を発表していただき、その後に委員から質疑がある予定でございます。なお御意見の開陳は、お一人約十五分程度でお願いいたします。それでは梅沢参考人から御意見を承わります。
○梅沢参考人 私、東京大学の梅沢でございます。私は原子力問題のいろいろな問題のうちで、特に科学者としまして、動力協定の問題というのは、結局もとをたどれば日本の原子力科学技術開発をどうやるかという問題にまでもどるわけでありまして、そういう面からの動力協定を結んだ方がいいかどうかという問題もやはり考えてみる必要があると思います。私は問題をもう少し戻しまして、日本の原子力の科学技術開発をどうやるか、あるいはそういうことについてどういう問題があるかということをまず簡単に考えてみたいと思います。
 科学技術一般、特に原子力のように非常に大がかりなものに対しまして、一番最初に日本でどういうふうにそれを開発するかということを考えましたときに、一番最初に問題になりますのは、私の考えでは、国際的に言いまして原子力の科学技術の水準が実用段階に達したか、それともあるいは研究段階の初期のものであるか、これによって開発方式は完全に変って参ります。たとえばこれが国際的にいいまして研究段階の初期のものであると考えてみます。そういたしますと、たとえばその安全性の問題にしろ採算性の問題にしろ、これは原子炉のそれぞれの型によって全部変って参ります。どれがいいというふうなことを、そう簡単に申せません。それから実際に原子炉を運転する場合にも、原子炉の運転経験ということが問題になります。これは原子炉一般について実用段階ということは言えないわけですから、特別の原子炉についてその運転経験がどうであったか、運転経験が実際にあったというふうな点で信用できるものであれば、まだ安全運転はできるかもしれない。とにかくそういう場合には運転経験ということが非常に問題になります。それから運転経験を持ちましても、あともう一つは、さらに安全運転を行うための監視を行うことができる、これは監視組織を作るということだけでなしに、科学技術として監視をするだけの実力があるかということ、これはやはり原子力の基礎的な知識がなければ、そういうことはできない問題であります。ですから実用段階である、それからもう一つ、もっと重大な問題は、研究段階であるか実用段階であるか、そういうどちらのものを日本で開発するかということによりまして、日本の開発体制が全部変ってくるわけであります。たとえば研究段階のものを開発すれば、これは日本で運転経験をふやすだけでなしに、日本でいろいろなことを研究しなければならない。そのためにはまず科学技術の原子力問題の研究体制と、それから研究計画とを立てなければいけない。私が知っております限りでは、日本には原子力の長期計画というものはありましても、これは発電計画でありまして、基礎研究計画としての原子力計画というものは確立されていないのではないかと思っております。それから発電計画の場合にも、それが実用段階という立場で作られている。たとえば日本のエネルギー資源はどれだけあって、それに対して日本はどれだけ発電をしなければならないか。従ってこれだけの発電能力を現在持っている、これは原子力技術が実用段階にあるという考え方で初めて成立する議論であって、そうでなければ、そういうことを全部考え直さなければいかぬということになります。そこで今申しました一つの点で具体的な例を申し上げますと、たとえば運転経験が私はあとで申しますが、原子力技術が現在の段階では国際的にやや幅の広い研究段階の初期に入ったものだと思っております。決して実用段階に入ったものだと思っておりません。そういう場合には、たとえば今申しましたように幾つかの問題、研究体制の問題、原子炉の運転経験の問題それから監視組作を作るだけの科学技術の問題、安全性の監視組織を作るための科学技術的の実力を持つという問題、幾つかの問題があります。たとえば運転経験の問題について考えてみると、コールダーホールの原子炉を買うという問題を考えてみます。その場合には原子炉一般についての実用段階ということが言えないとすれば、コールダーホール型の原子炉は、実際に動力用の原子炉としての運転経験があるということがはっきりしていなければいけない。もしも運転経験がなければ、これはステップ・バイ・ステップで順次に運転経験を上げていくという操作が必要であります。今まで、昨年あるいは一昨年あたりからコールダーホールの原子炉が安全であるかどうかという問題が起りましたときに、幾つかの意見が出て参りましたが、その一つの意見としては、コールダーホール型原子炉というものは運転経験がないのじゃないかということが問題になりました。それに対して、たとえばコールダーホール型の前身にはウインズケールの原子炉がある、このウィンズケールの原子炉はコールダーホール型の運転経験になるものだしかもウィンズケールが起した事故は、コールダーホールではすでに改良型になっておるために、ウインズケールと同じ事故は起さない、そういう議論があった。その場合に問題になりましたのは、実はウィンズケールの場合には、これはプルトニウムの生産炉でありまして、プルトニウムを生産する炉と発電用の原子炉とは非常に違った条件の運転をするわけであります。ですから発電用原子炉としての運転経験があるかどうかということが特に問題になりました。それについては、問題は、はっきりした意見でそれに対して運転経験があるとかないとかいうことが言えるとにかくコールダーホール型原子炉は、運転経験があるという意見が多かったのではないかと思いますそのときに基礎物理学者の中に出て参りました意見は、発電用原子炉としてのコールダーホール型の運転経験はない、そういう意味で発電用原子炉という特別な条件においての、安全性に関する問題あるいは採算性に関する問題が出てくるのではないかということがたびたび指摘されて参りました。最近のジュネーヴ会議で、イギリスの発表その他でこれがわかりました、よく御存じの温度係数の問題、これはまさに発電用原子炉であるためにウィンズケール型を改良して、しかもそれを発電用に使っていく新しい条件のために起ってきた問題であるわけです。ですから研究段階にコールダーホール型の原子炉の運転経験がないということから、前にたびたび問題にされました幾つかのことは、すでに実施され始めておるのじゃないかと私は考えております。
 そこで私は最初から国際的にいいまして、原子力の問題の技術は研究段階のものだということを申し上げておきました。それについて簡単に申し上げます。一番いい例としまして、この秋、先日ありましたジュネーヴの国際原子力平和利用会議の例を見て参りますと、私あの会議の結果から得ました印象では、アメリカやあるいはソビエトのように非常に経済力のある国、これはいろいろな原子炉を作りまして、それを相互に比べてチェックしていく多型式方式をとっておる。アメリカでも実際発表しておりますように、原子炉の型によって安全性、経済性も非常に違って参ります。一般的な性質というものは、いまだ何もわからない。そのためにいろいろな型を作って参りまして、それを比べていくという多型式方式をとらざるを得ないということがあります。しかしこれには経済力の問題があるのです。実際に、多分私の判断、想像なんですが、イギリスでやっておる方式というのは、それと非常に違った方式をとっておりますが、一つは経済的な理由があるんだろうと思っております。イギリスのように多型式方式をとるだけの実力がない国。イギリスに限らず、もっといろいろな国が問題になると思いますが、そういう国ではどうするかという問題があります。イギリスの場合には一番最初は、プルトニウムの生産という必要に迫られて、そのためにプルトニウムの生産に適した原子炉、しかし多型式方式を作って同時に並行的にやっていくことは、経済的にいいましてもできない。そういう場合には仕方がありませんから一番最初に必要な原子炉を作った。これはプルトニウムの生産用の炉でありまして、決して発電用の炉ではない。あとは一本やりの方式を変型していかなくてはならない。一言でいいますと、イギリスの計画はプルトニウム生産炉の変型方式であると考えております。その方式を大幅に変えていくのは、イギリスの発表では一九七〇年以降であると申しております。ですからその場合にも、やはり問題は研究段階であるということは明らかであるし、その場合にイギリスでは、イギリスのプルトニウム生産という特殊な要求から出発して、ああいう道をたどったのである。ですからほかの国が必ずしもそういうイギリスのプルトニウムの変型方式という炉を引き継いでいかなくてはならない、あるいはほかの国が引き継いでいかなくてはならないというそういう根拠は何もないと私には思われます。
 今幾つかの例をあげましたが、日本のように大きな動力炉に関する多型式方式をとれない、やれない国では、どういう方式をとるか、これは日本独自の問題であります。たとえば小さな研究炉をたくさん運転して比較してチェックしていく、そういう型の多型式方式というやり方もあるかもしれません。しかしそういうことをやる一番前提になりますのは、とにかく原子炉技術が研究段階のものであるならば、原子力に関する基礎科学的な技術と運転経験に関する体制をはっきり整える。同時に研究の技術開発計画を立てる。それからもちろん発電用の長期計画も再検討しなくてはいけない問題であろうと思います。そういうものを作っていきまして、どういうやり方がいいかということを考えた上で、あらためて初めて動力協定というものが問題になるのじゃないかと私は思います。そういうものを一切やめて動力協定をやる、そういう考えは、おそらく原子力技術がすでに実用段階にあるという立場に立たなければ合理化されないのじゃないかと思います。
 それから私がここで申しました意見は、先日学術会議で出しました幾つかの議論と、何といいますか、非常に共通の面がたくさんあるということを一応申し上げておきたいと思います。時間をとりますから簡単にそれだけで終ります。
○櫻内委員長 梅沢参考人に対する質疑を許します。松本委員。
○松本(七)委員 先ほど先生から温度係数の話が出たのですが、ジュネーブ会議でもこの問題が出てから、安全性、採算性ということが特に注目の的になっておる中において、日本の代表で行かれた石川さんは、輸入について非常に熱心のあまりからかどうか知りませんけれども、えらくコールダーホール改良型の輸入をあせっているような様子が各国の代表の注目をひいて、議長などは原子力におくれておる国々が、あまり動力炉の輸入を急ぎすぎることは危険だとこれをたしなめたことも聞いておるのです。そういう事実があったのでしょうか。
 もう一つは、阪大の伏見教授の書かれておるのを見ますと、今度の協定が結ばれる交渉の過程において、自分たち学者にはその交渉の進行がどういう状態にあるか、少しも知らされておらない。従って学者としていろいろ意見はあるのだが、特に原子力の平和利用ということについて非常な関心があるが、そういう大事な問題について、外国との交渉の過程において、全くのつんぼさじきに置かれていることは遺憾だという意味のことを書かれておるのですが、先生も学者としてやはりそういうことを感じられたのか、この点をあわせて伺っておきたい。
○梅沢参考人 ただいまの私の知っておるだけのことを申し上げます。温度係数の問題には三つ問題があるのだと思っております。一つは実際に一二五メガワット・デー以上では正の温度係数になるが、五〇〇メガワット・デー以上では運転経験がない。そういうこと自身一つの問題です。実際に安全運転ができるかどうか、ジュネーヴ会議でアメリカの代表マッカロー自身は負の運転経験のものを使わなくてはならない、正のものは使ってはいけないと言われておる。
 もう一つの問題があります。それは温度係数の問題というのを実はもう少し大きな目から見れば、やはり運転経験の問題、先ほど私が申し上げましたのをもう一度繰り返すようでありますが、コールダーホール型の原子炉というものは、発電用原子炉としての連続運転というその運転経験から申しますと、これは運転経験はほとんどないものであります。そういうことに関するいろいろな問題が起ってくるんじゃないかということが前から指摘されておりましたが、温度係数というのはその一つであるわけです。ですから、温度係数それ自体は問題でありますが、もう一つはそれが運転経験があるかどうか。それがないものとして、実用段階がなければ、それにはずいぶん問題がいろいろ起ってくるかもしれない。そういうことを予想することは、普通の科学技術界の常識としては当りまえのことではないかと思うわけでございます。
 それからもう一つのことは、実は温度係数の問題ということをはっきり言いませんでも、運転経験の問題というのは、もっと前から、昨年くらいからすでに指摘されていた問題だと思うのです。ジュネーヴ会議あるいはもっと前からでありますけれども、データがイギリスから入ってきて、そうして温度係数が問題になったということが、科学技術の問題ではないかと思います。
 それから第二番目の問題は、これは協定の問題に関しましても、私はやはり同じような意見を持っております。特に私は先ほど申しましたように、やはり協定の問題と科学技術開発政策の問題とは、両方とも並行して進んでいくわけでありまして、両方の面で技術会議及び学会、科学者の意見が常にそこに反映されていくということが非常に重要なんだと思いますけれども、それが十分に出されておるという印象を持ってはおりません。ただ私たちがそういう機会を持ちますのは、政府が学術会議に諮問された場合、たとえば動力協定は作ったけれども、これについてはどう考えるかと、あとから持ってこられる場合に、学術会議で意見のある者は有権者懇談会を持ちまして、そこで意見を開陳してくれと呼ばれる。そういうふうな一番最後の段階で、学術会議ではたまにそういう問題を議論するという機会を与えられるということはあります。しかしもっと有機的に科学者の意見が反映していくというふうなことは、おそらくなかったのじゃないか、私の経験では少くともそう申し上げていいと思います。
○松本(七)委員 お急ぎのところ恐縮ですけれども、もう一つ伺っておきたいのは、今度の協定についての学術会議での扱い、何か原子力問題委員会では、これは反対という決定をされたけれども、学術会議の総会には持ち込まなかったという説と、それから、いや総会にも、総会の依頼によって、この委員会で決定して、それを総会に報告して総会でも反対がきめられたという意見と両方聞いておるのですが、いずれがほんとうですか。
○梅沢参考人 私は学術会議の会員ではございませんので、それについてちゃんとお答えできる立場にあるのではないのですが、ただ私が聞いていることだけ簡単に申し上げますと、それから私の経験で学術会議とタッチした面だけを申し上げますと、学術会議では、たとえば最近では、今月の初めだったと思います。約一月くらい前だと思いますが、有権者懇談会という問題委員会がございまして、そこで意見が開陳されたことがございます。一応そこで出ました問題は、私の感じでは三つのことがありました。一つはコールダーホール型原炉の運転経験の問題、それからもう一つは長期計画を立て直す必要があるんじゃないか、長期計画を立て直すとすれば、その前に動力協定を結ぶ必要はないのではないか、そういうふうな幾つかの意見が出されまして、そういう幾つかの意見を基礎にして、問題委員会の方ではっきりした意見を作ってくれ、そういうことになっておりました。それがどうなったか私はよく存じません。そのあとは先日の総会に出ました学術会議の基礎的な提案として、特に四つの項目というのがございます。これはもし必要であればここで申し上げますけれども、あるいは必要ないかもしれませんが、その間のつながりは、私はよく存じません。
○櫻内委員長 梅沢参考人にごあいさつ申し上げます。
 本日はまことにありがとうございました。けっこうでございます。
 次に、大屋参考人の御意見を承わります。
○大屋参考人 私は原子力産業会議の副会長をしておりますので、考え方が産業人に偏するかもしれません。また梅沢参考人のお考えと立場の違いから多少違ったことを申し上げるということもあり得ると思うのであります。
 第一には、原子力開発、特に原子力発電の開発につきましては、国によって非常に事情が違っておるのであります。アメリカもイギリスもフランスも、また日本も、みな国の事情によって熱の入れ方が非常に違っている。その大きな原因は申すまでもなく、やはりエネルギーの問題をどう深刻に考えているかということになるのであります。イギリスがああいう工合に原子力発電というものについては、ただ一つの型でまっしぐらに進んでいるということも、やはりイギリスのエネルギー事情からきているのであります。日本もイギリスとその点ではあまり違いはないのでありまして、詳しい数字は申し上げませんけれども、日本の水力の開発、あるいは石炭の将来の採掘量、あるいは海外からの油の輸入、そういうような問題を考えまして、日本がエネルギー確保のために非常にたくさんの外貨を払わなければならぬという羽目にだんだん近くなってきているということであります。これはもう皆さんすでに各方面からお聞きのことと思いますけれども、昭和五十年ごろになりますと、石炭に換算いたしまして一億数千万トンの輸入燃料を使わなくてはならぬというようなことが予想されるのであります。それで日本といたしましては、なるべくエネルギー源を多角的に考えまして、ことに将来は外貨の節約が大いに期待できます原子力発電、かりに日本国内で燃料がとれない場合でも、海外から燃料を輸入するといたしましても、非常な外貨の節約になります。そういうエネルギー源であります限りは、もう今日からその開発に相当熱意を示さなければならぬという国情に日本はあるのであります。ややイギリスと似ておると申し上げていいのであります。
 先ほど原子力発電は研究段階で実用段階ではないというお話があったのでありますけれども、それはもうすべての産業が実用段階と研究段階との区別をはっきりしておりません今日、完成されている産業にありましても、年中やはり研究段階にあるのでありまして、イギリスの原子力発電の経験なり、あるいはイギリスの今準備しております計画なりを考えましても、原子力発電というものは実用段階に入っている。入っているから研究段階を無視していいかというと、決してそうではないのでありまして、イギリスもハーウェルの研究所あたりでも非常な金を使って研究をあわせて進めておるのであります。しかしながら、原子力発電は研究の段階だから、すべての考え方を研究段階で考えろ、これは私は納得できないのであります。イギリスのコールダーホールというのは、なるほどウィンズケールから始まったのでありますけれども、現にイギリスではコールダーホールでもって原子力発電というものを一基といいますか、一方の方では九万二千キロの原子力発電というものを、もう二年以上運転を継続してやっております。それでありますから、運転経験がないというわけにはいかぬと思うのであります。それからまた、イギリスが今日考えております将来の原子力発電計画というものは実に膨大のものであります。詳しいことは申し上げませんけれども、一発電所でもって大体三十万キロくらいのものを三つと、それから五十万キロが一つと、この四つが今工事中であります。それから五十万キロ二つというものが今設計中であります。また一つは、今計画を主務省に申請中であるというようなわけで、現在工事中もしくは進行しているものが七発電所ありまして、総計三百万キロになると思うのであります。これを研究段階であるということは、私は言えないと思うのであります。イリギスは、これは公社の経営でありますけれども、イギリス人は数字のことについてはこまかいのでありまして、国営だから幾ら損をしてもいいのだ、そういうことはイギリスでは考えておらぬのでありまして、そういう点から見ましても、もう原子力発電というものは実用段階に入っておるのだ。しかしなぜイギリスがいち早くなっておるかといいますと、先ほど申しましたエネルギー事情によるのであります。アメリカはそういう事情にないものですから、何とかして技術的に見て、世界中で一番いいものを作りたいということの努力をゆるゆるやっておったために、アメリカとイギリスとは大へん事情が違ってきておるということになるのであります。
 先ほどもお話がありましたので、この機会にイギリスとアメリカとの一般協定と申しますか、動力協定と申しますか、そのことにもちょっと触れたいと思うのでありますが、御承知の通りこの協定は、昭和三十年にすでに研究協定というものはアメリカとできておるのでありますが、これにつきましては当時学界からアメリカのひもつきであるということで相当な反対があったようでありますが、別段今日までは何ら支障なしにアメリカの技術を日本に入れまして、そして東海村でもって第一号研究炉というものを支障なしに今運転しておるのであります。それで、それを第二号、第三号にだんだん伸ばしていく。また同時に相当の規模の動力炉をアメリカから輸入をしたい、こういう原子力研究所の考え方からいたしまして、従来の研究協定からこれを実用一般の協定に切りかえるということに政府が進めておることは皆さん御承知の通りであります。イギリスにつきましては、このコールダーホール型の算入ということから端を発しまして、イギリスに対しましてもアメリカに対することと大体同様のことをきめました協定というものを今年調印をしたと聞いておるのであります。その二つの協定をよく読んでみますと、私が特にここで申し上げたいことは、日本は日本独自の研究だけでは原子力の開発ということはできないのであります。日本が非常におくれておるばかりでなしに、原子力の開発には非常な金が要るのでありますから、日本が独自でやるというようなことは、これはできぬことはだれも御承知と思うのであります。そこで、できるだけ広く海外の知識を求めまして、海外と手を組んで、そうして世界の原子力開発に日本が貢献する、こういう考えで進むべきものである、その意味から考えてみますと、イギリス、アメリカ、場合によってはカナダ、フランス、どこの国とも協定を将来結ぶことによって、そしてそれは情報の交換でありますから、片務的ではないのであります。そういう方向に進むということは間違ってないと思うのであります。協定をよく読んでみますと、これは日本にこれという責任は何もないのであります。必ずコールダーホール型の炉を何年以内に買わなくちゃならぬというようなこともないし、燃料をその国から買わなくちゃならぬというような束縛も何もないのであります。一に技術、情報の交換とか、あるいは日本が必要と認めた場合には海外の原子炉に関する技術、原子力発電に関する技術を幾らでも日本に、秘密条項でない限りは、日本に知らせる、こういうようなことが書いてありますので、何も日本がこの協定を早く結んだならば非常な損をするというようなことは一つもないのであります。また両方の協定とも、今ウィーンでできております国際機関というものが活動を開始すれば、この方へ切りかえてよろしいということをうたっておるのでありますから、一部の人が主張しておられますような、国際機関と日本は結ぶべきだというような議論も、イギリスとアメリカとやったからといってその機関と連絡するということについては少しも支障はないのでありまして、時期がくればその方へ切りかえることは当然であります。そういう情勢でありますので、私は少くともこの協定に反対すべき理由は一つもない。ただ何ゆえに早く協定をする必要があるのか、こういう議論は、あるいは一部より起るかもしれませんけれども、協定はしてはならぬ――一部の人の言っているように、アメリカあるいはイギリスとひもがつくというようなことは絶対にないのであります。それを考えてみますと、次の問題は、なぜそれでは早く協定を結ぶ必要があるのか。その一つは、アメリカに対しましては、先ほど申し上げましたように、近く原子力研究所で、アメリカ型の一万五千キロの動力炉を輸入することを定めております。そういうこともありますし、またアメリカからいろいろ資材をもらう、あるいは原子燃料をもらうというようなことで、今の研究協定ではどうにもなりませんものですから、アメリカと一日も早く協定を結んで、原子力開発の必要な資材をアメリカから幾らでももらいたい、あるいはその原子炉の技術なども導入したい、こういうふうなことでアメリカとの協定を急いでおる、こういうふうに見ていいのではないかと思うのであります。
 イギリスにつきましては、先ほど申したように、コールダーホールに端を発しておるのでありますけれども、こまかいことから先に申しますと、この協定の中には、もしも協定を結べば、日本の政府が選ぶ技術者は幾らでもイギリスの施設の中に入れて研究させるという文句が入っておるのであります。これは独自の研究ということを主張している人も、日本には原子力の施設がないのでありまして、先ほど梅沢参考人が主張しておられました運転系統なりあるいはそういう技術、経験を持つ人を養成する必要があるとすれば、それはイギリスの施設を自由に使わせてもらえるということは、日本としては非常にありがたいことであるのでありますから、そういう点からいいましても日英協定というものを一日も早く締結することは、一日も早く便宜を得られるものであるということが言えると思うのであります。
 それからコールダーホール型の発電炉、またもっと将来進歩したものの発電炉にいたしましても、どうしてもまだわれわれがきわめたいことがたくさんあります。先ほど炉の安全性のことが出ておりましたが、これについてはあとでちょっと触れますけれども、炉の安全性の問題にしてもあるいは運転のときにどういう支障が起るかということにしても、あるいはさらに進んで基礎研究にはどういう点が問題であるかというようなことにつきましても、協定を結ぶことによって向うを裸にすることができるのであります。協定を結びませんと花嫁さんは裸になってくれないのでありますから、向うを裸にいたしましてくまなく日本でそれを調べることの便宜を得るのでありますから、そういう意味からいきましても一日も早く協定を結ぶ方がいいと私は考えておるのであります。
 それから炉の安全性について一言申しますならば、燃料の正の温度係数ということが近ごろむやみにやかましくなってきている。これは一部の人が学界が初めて知ったというふうなことを言っておりますけれども、われわれは昨年の秋に海外に技術者を出しましたときからそれはわかっておった問題であります。しかしながらその問題を方方でまじめに言い出したのはその後であります。全く知らぬ問題が突如としてこの二、三カ月の間に出たわけではないのであります。これは負の温度係数がいいかというと、必ずしも負の温度係数がいいとは限らぬのでありまして、負であれば負であるだけにまた都合の悪いことがあるのであります。原子力とはだいぶ違いますけれども、かりに水車を動かすという場合に、水車の運転というものは正の性質を持っております。もしも調節ができませんと、あれはたちまちスピードが上ってしまいまして、水車をこわしてしまう。しかもそれをこわさぬように正の係数を持っている水車というものを安全に運転できるのはかバナーがあるためであります。調節操置が完全であるから差しつかえないように運転できるのでありまして、問題は正の温度係数の問題でなしに、正の温度係数をどういうふうにしてそれをコントロールするかということが問題である。今イギリスから来ておりますメーカーの連中は、それについて完全な自信を持っておるということであります。従って正の温度係数に自信があれば、よくいわれております五千メガワット・デーというのがコールダーホール型の経験でありますけれども、それを三千ないし三千五百メガワット上げることについて自信を持っていると、しきりに言っております。私も多分そうだろうと思うのであります。そういうようなことを考えてみますと、まあ三、四年しましてコールダーホールのもっと改良型が運転されて、その経験を見て、そうして経験を見た上で日本人をそこへやってけいこをさせて、それででき上ったものを日本へ輸入する、まことにこれは商売人の考えそうなことであります。産業人としてはあるいはそういうことを考える人が多いかもしれませんけれども、日本のエネルギー開発という問題を考えますと、そんなゆうちょうなことを考えておるわけにいきません。また同時に、日本もとにかく世界の工業国でありますから、原子力発電につきましても今のうちに着手して、そうして世界の原子力発電というものに貢献をしたい、こういう意欲もわれわれは持っておるのであります。
 また御質問がありましたらお答えいたします。
○櫻内委員長 大屋参考人に対する質疑を許します。松本七郎君。
○松本(七)委員 原子力産業会議としては今の日本の動力事情からいって、できるだけ早く――これは今研究段階であるか実験段階であるかという判断は別として、希望的に見ても、すみやかに実用段階に持っていきたいし、早くこの動力を活用したい、こういう立場はよくわかるのです。私どもがこれを慎重にしておるのは、極端に言えば、科学者から言えば、少々の危険があっても、危険を冒さなければ科学的な新しい研究もできないし、科学的な成功もやはりある程度の危険を冒さなければできないんだから、安全性だとか経済性という問題にあまりこだわっておったんでは、科学者としても十分満足のいく研究さえできないということもあり得るし、そういう立場からいって、やはり一日も早く動力を導入したい、また活用したいという立場からくれば、どうしても多少の安全性あるいは特に経済性においては、これはある程度の経済性をそこなっても、とにかくやり始めることが先だという考え方はわれわれもわかるんです。けれどもやはり一国と一国の間の協定ですから、その国の独立性なりこの条約の持っておる本質等をよく見きわめて、そうして原子力の平和的利用が積極的に進められると同時に、日本国自体の自主性、独立性もそこなわないようにというその調整に苦労しなければならぬ段階だと思うのです。そういう意味から私どもはいろいろな説を伺いながら、この協定に対してどういう態度をとるのが一番妥当かという結論を出したいために、お説を伺っておるわけでございます。これは少しよけいなことになりますけれども、私ども一番問題にしておるのはプルトニウムの喜平和利用です。これは御存じのようにずいぶん前から問題になって、一時は協定文にはこのことが挿入されないで調印までされた。しかし日本側の強い要求と折衝によってこれをまたやりかえて、今回は協定文に入ってきたんです。その面から言えばこれは非常な前進です。けれどもそのプルトニウムの平和利用がなされておるかどうか、軍事利用がされておらないかということを査察する人間が一方的にアメリカだけに与えられておる。そういうことが、条約上から見れば非常に大きな欠陥として考えられるわけです。それから安全性も、おそらく大屋さんとしても今までのイギリスにおける言明その他からして、これはもう完全なものだとはお考えにならないと思う。実際にそれは国情の違いから、アメリカは非常に安全度というものを厳密に考えておる、イギリスよりも非常にステビィに考えているというような点は、それはイギリスは早く実用にしたい、アメリカはのんびりかまえていてもいい動力事情にあるということもその原因になっておるかもしれないけれども、とにかく現実においてはアメリカの方は非常にこれを厳密に考えておる。イギリズ以外においては、格納庫を作ってあるいはスエーデンのように地下にこれを装置するというようなことまでやらなければならぬ今日の段階から言えば、やはり私どもは万一起った場合の災害、これについては御承知のように免責条項というものが今度の協定にあるんですから、日本として免責条項を引き受ける以上は、何らかそれのうらはらになるところの保障措置というものも具体的に考えておかなければならぬと思うのです。これは動力を早く導入したいということだけからいえば、そんなことは国のやることだで済むかもしれないけれども、国会で態度をきめる場合には、やはりそういう点を十分整備された上で、そうしてこの原子力の平和利用ということをできるだけ順調に伸ばしたいということになるのは当然なことです。ところがまあ日本の大蔵省では、さっき大蔵大臣もここに来られて、あなたはお聞きになったかどうか知りませんけれども、どんな被害が起ろうが、国で完全に補償するんだという言明はまだなされてないのですね。そういう不安定な状況のときに、この動力炉を実用化したいという一念からだけでこの協定の締結を急ぐということは、やはり、原子力産業会議としても、国全体のそういった万一の場合に広範囲に及ぼすであろう被害というようなこともやはり一応は念頭に置いて態度をきめられるのが、私は当然のことじゃなかろうか。そうなりますと、先ほどからなぜこの協定が必要かということをるるお述べになりましたけれども、一方では、現状からいえば、むしろ御指摘のようにこれはいろんな国との交流をしなければならぬことですから、その面から考えても双務協定よりも、国際原子力機関というものがせっかくあるんだから、そういうものを中心に持っていくように、そういった方面の努力こそむしろ積極的に当分はなすべきじゃないかという点と、それからいろんな技術の導入だとか、それから資料の獲得だとか、そういうことは研究協定を改定することによって相当の範囲にわたってこれはできるのじゃないか。スエーデンのごときもやはりこの研究協定の改定によってウランの導入量をふやすとか、いろいろ新しい発展をしておるんだから、そういうことである程度やれるのではなかろうかということを考えますと、先ほどのお話の日本に原子動力を早く持ってきたいということだけでなしに、そういった広い視野から、産業会議としてももう少し原子力の動力問題については対処される方がいいのじゃないかという気がする、こういう点についてもう少しお考えを聞かしていただきたい。
○大屋参考人 どうもありがとうございました。われわれもきょうは何ゆえに協定を早く結んだ方がいいかということに主力を置いてお話ししたのでありまして、われわれもエネルギー事情でもってしゃにむに邁進をするというふうなことは考えておりません。ことに、経済性も大事でありますけれども、重大な問題は安全性であります。安全性につきましては、これはもう十二分の検討をしなければいかぬということは十分承知をしております。
 今アメリカとイギリスとの差を申しておいでになりましたうちに、コンテイナーのお話がありましたけれども、コンテイナーというものは実験段階にあるか、あるいはもう相当正当な運転にいっているかということの判断によって大へん違うのであります。たとえばフランスで最初に作りましたイギリスと同じ型のものは、コンテイナーをつけておりました。しかしながらいよいよこれで成功したというので、今度はやや実用向きの発電所を作ります第二回目のものは、コンテイナーをつけておりません。それからアメリカの減速材として水を使うものは相当の危険性がありますので、こういう水を使う原子炉につきましてはアメリカとしてはコンテイナーを使う。しかしながら炭酸ガスを使うものはその危険の程度が少い、こういうような考えから、アメリカはコンテイナーを使っておるけれども、イギリスは使わない。イギリスもドーンレイでもってやります増殖炉はコンテイナーをつけております。そこはイギリスはちゃんと考えておりまして、われわれが安全性を無視してイギリスの炉がいいと言っているわけでは決してないのであります。御注意もありますので、その点は十分今後も注意いたしますけれども、安全性というものは、われわれは一番大事なものと思っております。
 それで安全性にからんで、国家補償の問題でありますけれども、これはどこの国も大体国家補償の裏づけをしておるのであります。しかしながら大体普通考えられる最大の補償につきましては保険契約というものを結ばせまして、炉の設置者に補償させる。たとえばさっきお話がありましたけれども、アメリカは六千万ドルでありますか、六千五百万ドルまでの保険をつけさせるとか、あるいはイギリスは五千万ポンドの保険をつけさせるとかもう普通考えらるべき最大の災害につきましては、炉の設置者に保険の形でもって責任を引き受けさせる。それは従業員の場合に対しましても、付近の住民に対しても全部そういう責任保険をつけさせるということになっておるのであります。ただ万々が一それ以上に越えた場合には国がどうするかということが問題になるものでございますから、もう少し模様を見てからはっきりしたことをきめたいという御意見も出たのではないかと思うのでありますが、普通考えられます場合の損害保険につきましては、炉の設置者が十分責任をとるということが建前になっておることは御承知の通りであります。国家補償の問題は、私がここでもってかれこれ言うべき問題ではありませんけれども、諸外国の例ではそれ以上の場合には、場合によりましては議会の御協賛を経て、特別の災害として国が補償するとかいろいろな考えがあるようであります。しかしその問題は、私のお話しする範囲外と思っておるのでありますが、とにかく考えらるべき最大の損害に対しては炉の設置者が責任保険をかけまして、そして被害者に迷惑を与えないということの建前になっておるのであります。繰り返して申しますけれども、エネルギー事情は非常に重要でもありますけれども、この安全性を無視して原子力発電をどんどん進めていくというふうな考えは、産業人として決して持っておらないのでありますから、その点は御安心を願いたいと思います。
○松本(七)委員 今安全性のことについても次にお聞きしようと思っていたのですが、先ほどお話がございましたプラス温度係数の問題で制御装置、コントロールの装置によって、これをイギリスから来た人は十分自信を持って説明しておったということですが、問題はここだと思うのです。コントロールの仕方に問題があると思うのです。そこで第一にプラス温度係数についてのデータは、日本側はどの程度、特に産業会議としてはお持ちなのか。それからこのコントロールの仕方についてもどの程度の新しい状況なりそれからデータが整理されておるか、その点少し御説明願えたら幸いだと思います。
○大屋参考人 データの問題になりますと、現在イギリスでは平均五百メガワット・デーまで今なっておるわけでありますが、大体千三百五十メガワット・デーまでのデータは日本へも来ておるわけであります。それから先の三千まで行くやつは下からずっと行きまして、理論と実際とが合ってこれから先三千の方まで伸ばしていくわけであります。ですからこれから先のデータはないと申し上げていいんじゃないか。しかしイギリスは今、即刻そのデータをとるべくやっておるようであります。言いかえれば燃料を長く炉の中に入れて置きさえすれば、そのデータが毎日々々できていくのでありますから、その方法でやっております。おそらく来年の春までには今よりも一そうはっきりしたデータが出てくるのではないかと思っております。
 それからコントロールする施設につきましては、産業会議では直接に機械を買う立場ではないものですから、あまり詳しいことは知りませんけれども、イギリスがあれだけの大きな発電所を次から次へと五つのメーカーにやらせているのでありまして、今われわれが考えているような不安があれば――イギリスは今三十万キロから五十万キロの発電所を四つも作っておりますが、それぞれメーカーが熱心にやっておりますので、メーカーはこのコントロールする方法について十分自信がなければそういうふうに進み得ないと思います。
 しかしそのコントロールしたものが果してどういう効果があるかということは、原子力発電会社の技術当局者が十分研究いたしまして、これなら大丈夫というところで話を進めております。もしもそれが不安であれば、原子力発電会社はこの話を進めないだろうと思っております。
○松本(七)委員 この点はまだ千三百五十メガワット……。ところがイギリスの原子力公社は燃料自体の例の保障について二千五百ないし三千メガワットで、以下の場合はその保障をするという申し入れをしてきておりますね。その保障の仕方自体にも問題があるわけですが、一応そういうことを言ってきている。まだ実験が千三百程度までしか行っていない。まだまだこれから先の実績を見なければこの点もわからないわけでございますね。そうすると、これは安全性並びに経済性両方に関係する問題としてよほど慎重に研究しなければならぬと思うのですが、今御指摘のように、第一、安全性に関係するコントロールの問題でも、それは自信がなければと言われるけれども、免責条項と関連して考えてみると、それほど自信があるならば、免責条項をあれほど固執しないはずだということも一応は考えられることです。そんな自信があるならば、責任は向うで普通の商品と同じように、これほど重要なものですから、長期にわたる責任を、保障期間というものを、むしろ自分の方で引き受けてもいいぐらいのものです。それをあくまで日本に責任をおっかぶせてくるということになりますと、安全性については確信が持てないにかかわらず、売り込みのために、市場獲得のために非常にあせっているということは、われわれとしては十分警戒しなければならない点だと思います。どうかそういう点を私ども非常に心配しているということをこの機会に十分御認識下さって、この点は特に慎重にやっていただきたいと思います。これは要望でございます。
 最後に一つお聞きしておきたいのは、一九五八年の六月、スエーデンの工学アカデミーにおけるデュークの演説した今の燃焼についての経済的な保障の問題が、ことしの九月十八日のデュークの演説と何か変った保障の仕方を日本側に言ってきているように言っておるのですが、産業会議では何か御存じでしょうか。
○大屋参考人 デューク博士のそのお話はよく聞いておりません。帰りましたらよく調べます。
○櫻内委員長 帆足計君。
○帆足委員 技術出身の専門家であられる大屋さんにお尋ねするのですが、私たちは政治論争ではなくて、私どもより専門の知識を持っておられる方としてお尋ねいたしたいのです。
 社会党といたしましては、学問の進歩、技術の進歩ということには、どちらかと言えば勇猛果敢なパイオニア的精神を持っているのでございますが、今日の複雑な世界情勢の中で、慎重に考慮せねばならぬ問題がありますので、学界が作った三原則というものに対して私はこれを子供じみたことと考えずに、また学者の杞憂と考えずに、これは聡明なことであると考えております。原子力に関する技術並びに設備を入れることは早ければ早いほどいいのですが、今日のような保守政府では、この政府は原子力を指導するのに適当でない政府でございます。大体浪花節程度のもので、もちろん保守党の中にもすぐれた方がおられますし、わが外務委員会など、御議論を拝聴しておりますと、すぐれた方がおられると思います。しかしそれも非常にアンバランスでありまして、産業界の科学的な知識のある、合理的精神のある方々の産業政策でも、これが政府の施策に移りますときは、非常に封建性の強い、無学な官僚制度の割拠もありますし、政策のアンバランスのために、皆さんがお考えになっているような一つの重要なことを興しますことに付帯して必要な諸条件を合理的に整備するということにおいては、われわれは信用していないのでございます。その一番最たるものは、日本の防衛についての戦略的諸問題などにおいては、たとえば今グラマンとかロッキードとか論争がありますが、これはちょんまげの大小を論じているようなものであって、もっと総合的観点から、日本の立地条件、また政治情勢、また兵器科学の最近の技術の進歩の状況、それからそもそも人類が今流れていきつつある方向――人類の歴史というものには一定の法則がありまして、ちょうど自然科学が何億光年というかなたの星を分析しまして、その運行やその素材がわかるように、近代の社会科学は十年後の世界がどういう方向に行き、十五年後がどうなるかということは、大体私どもにおいてはたなごころをさすがごとく示すことができるのです。これは近代の経済学、カール・マルクスを中心とした資本論で解明された歴史哲学並びに経済学の進歩によりまして、大体の歴史の方向とその速度は、十年か十五年ぐらいは大体勘定できるようになっておる。今日の原子力の時代は人類平和のあけぼのである、人間が野蛮から初めて人間的、人類的存在になる過渡期である、その点は、たとえていえばちょうどルネッサンスとか明治維新とかいうものに似ておると思うのです。こういうときでありますから、私は一方先駆者的に、パイオニア的にものを考えると同時に、他方は慎重に考える。保守、革新の対立なども、なるべく時をかせいで、やたらな乱暴なことや危険なことをせずに、たとえばわれわれを巡査が来てつかまえるという紛争をふやすようなばかなことはやめるとか、または勤務評定というつまらぬこと、これは問題があればやはり学校の先生と教育学者とそれから父兄の中のすぐれた人たちが二、三カ月よく相談してきめればいいことで、学校の先生に点をつけることで大騒動をして、警官隊まで出て取っ組み合いするなどということは、子供の前に私は見苦しいと思います。六大学の学長さんが来て文部大臣に陳情したら、あなたたちの言うことも聞いて二、三カ月一緒に研究しましょうと言うべきであって、何の資格があっておれのところに来たかと言うような、こういう文部大臣は、まかり間違えば次の内閣で逓信大臣くらいになる人間なんです。教育を一生の仕事にしていないような人が、たまたま何かの振り合いで文部大臣になって、とたんに張り切って、哲学史一つろくに読んでいないような人がそういうことをやる。こういうようにアンバランスで、新興勢力としてのわれわれもまだ未熟であって、諸兄に多少の不信の念を抱かしておることも大いに反省し、勉強しなければならぬと思いますけれども、今日の保守党に至っては、精神分析をしてみると、大体において封建時代と近代社会の混血児、精神分裂症でございます。非常に危ない社会環境、危ない政治環境のもとにおいてわれわれは原子力の問題を論じている、こういうことです。先ほど松本君が指摘された点について、やはり私どももまじめに心配しておるのです。そこでお尋ねしたいことは、まず危険性ということにつきましては、この前英国でコールダーホールの原子炉に故障があって、日本でいえば関東地方一帯が被害を受けるくらいの放射能の被害があったと聞いております。これは私は後ほど、参考人がお済みになったあとに佐々木君あたりから資料もいただきたいと思いますが、地震につきましては、安川団長の報告書を拝見いたしまして、案外これについては心配が少いということで安心しましたけれども、三百万キロワットくらいの発電炉を動かしますと、原爆数千発作れるくらいの放射能物質ができるということを聞きますと、そういう動力炉に爆弾が落ちたようなとき、日本に原爆は落さないけれども、そういう原子動力炉に爆弾が落ちましたようなときにはどういうことになるか。と申しますのは、日本政府というものは国際情勢に対して不感症でありまして、今の内閣は戦前の内閣より二〇%くらいは賢くなっておりますけれども、八〇%においては実体が変っていないのです。十二月八日あの戦争の起りましたときでも、日本の鉄の自給力は大体三百万トン、当時の鉄は六百万トンくらいでしたが、自然能力は三百万トンだ。アメリカの鉄は六千八百万トンです。三百万トンの鉄で六千八百万トンの鉄に戦いをいどみ、しかも日本に加勢してくれる国といえば、潜水艦で三カ月に一ぺんの連絡がつくかつかぬかというドイツを当てにしておる。日本とアメリカとの間は五千キロ、これで図面を書けば四年後に日本の半分は焼け野原になる、五年後には日本が全滅するということはグラフに出るんです。それが八幡の製鉄所あり、それから満鉄があり、企画院もあり、参謀本部もあって、膨大な調査機関があるわけです。それをだれ一人としてこの簡単な真理を政策に反映させることができなかった。今日金門、馬祖などでああいう小ぜり合いをやっておりますが、あれは国際法的にも、また戦争の技術から考えましても、どういうものであるかということは、客観的に把握できるわけで、それが一歩間違いますと、電線を伝わって日本にも波及するおそれもありますから、こういうときはそこのところをスイッチをうまく押して波及しないようにしなければならないのですが……。
○櫻内委員長 ちょっと帆足君に申し上げます。大屋さんはお時間がありますから、要約して御質疑願います。
○帆足委員 要所々々のスイッチを切る能力のない政府を持っておりますから、杞憂にわたるようなことでも社会党は心配しておるという状況です。そこで爆撃のようなときにどういうことが予想されますか。それと、もう一つは免責条項に関連いたしまして、非常に大きい災害などがありますようなときに、これは普通の常識で考えますと、売った国の責任に属する部分と、こちらの民間会社の責任に属する部分と、政府の責任に属する部分と三つあると思います。そういうものをきちっと整理整頓しまして、交渉して、国内で処置すべきことは、この前の大蔵大臣の答弁のようなあいまいなことを言わずに、現段階で尽し得る最善の見通しを立てて、われわれを安心させるだけの手順を整える、そういうことであるならば、聡明な大屋さんのプランと政府の三原則がマッチするのです。その間にアンバランスの点があるのに、三原則などといって子供だましに聞える政策を立てるからわれわれは警告をしている、こういうことです。一、二それらについての御感想を伺いたい。すなわち、地震や爆撃などについてどうお考えになっておられるかということ、免責条項をもっと分析して、こまかく三つに分けてもう少し研究する必要がないかということ、それから最後に、ソ連の原子力発電は非常に進んでいるように聞いているのです。ですから、ソ連との関係も、これと一緒に結ぶように企画したらどうか。と申しますのは、原子力の時代に、実は防衛ということはないのです。防衛ということは、外交を助けるために、一つのバランスの上に乗るために抽象的に論じておるだけで、ほんとうに戦争すれば、結局立地条件の不利なところは蒸発してしまうわけです。ですから、その国の立地条件の宿命によって防衛という方法はないわけです。防衛というのは、最後に残るのは外交だけなんです。それを防衛し得るかのごとく思っておる、ほんとうにちゃんちゃんばらばらするかのごとく思っておる人はまことに愚かなことである。そういう点で、私は原子力についての知識を、また最近のミサイル等についての知識を全国民のものにするために白書を出していただきたいということを三木長官にこの前申し上げたくらいです。その白書を読まないやつは、政治家として国会で発言することも、投票権もしばらく遠慮してもらうくらいに考えなければ、判断を誤まることがありはしないか。そういうことでありますから、戦争なんというものは実際あってはならぬ。戦争がなければ仮想敵国というものはないのです。すなわち、二十年前は共産主義国はつぶせ、こういうことだったでしょうが、今日の時代では、共産主義国には共産主義国として客観的に存在理由がある。北方にマンモスがおり、西方にクマがおるといってみたところで、おるものは、それらを害せず、害されない方法を考えることが必要なんです。夏になって太陽は熱いからといって嘆いたところで仕方がない。太陽が熱ければ軽井沢に行くか、こうもりがさをさすか、冷房装置をつければいいのです。太陽を落そうと考えることはむだだと思うのです。保守党は太陽を落そうとときどき考えられているようですが、まことにお気の毒な努力だと思うのです。そういうことではなくて、太陽を害さずに、むしろその熱を上手に使って、人類の福祉に貢献するということを考えた方が賢明である。そういう点から見て、ソ連との国交調整、ソ連の原子力問題も勉強する、また動力協定等も結び得るならば結ぶ方向に進むということが必要だと思っておりますが、これらについて、財界の最も聡明なる代表である大屋さんの御感想でも伺いたい。こういうことを申し上げましたのは、参考人に敬意を表して、その教えを受けると同時に、日本社会党が決して非常識でないということをよく知っていただくためです。
○大屋参考人 私がお答えできる資格のある問題だけをお答えいたします。
 三百万キロの原子炉は五千発の原子爆弾をいつもかかえ込んでいるようなもので、そこへ爆弾が落ちたならば五千発の原子爆弾が一ぺんに爆発するおそれがあるではないかというように受け取ったのでありますが、これは御承知の通り、ただ放射能の数量だけの問題でありまして、爆発力とは関係がないのであります。爆弾が落ちれば持っている放射能が飛散するということは考えられるのであります。私は軍事のことはわかりませんけれども、その上へ爆弾が落ちるのはもう日本国住民の上に原子爆弾が落ちるときではなかろうかと思います。原子炉が爆弾でやられる前に東京の市民がみな原子爆弾でやられてしまうということになると思う。漏れる放射能のごときは問題にならないのじゃないかと思いますが、軍事専門家でありませんので、その見通しはつけ得ません。
 免責条項につきましては、はっきり分けております。たとえば、無過失責任保険というものをどうするとか、保険会社が引き受けてくれる以上の損害に対してはどうしてくれるというようなことを分析的に研究しております。それぞれの権威者を集め、また外国へも行ってもらって調べておりますが、大体今は、さっき申し上げましたように、アメリカでは六千万ドル、イギリスでは五千万ポンドを民間の保険によって無過失責任をカバーすることになっておりますが、考えられる損害というものはとうていそれに達しないのではないか。非常に大きな被害のように言われておりますが、公社が牛乳を補償して全部集めましたのが七万ポンドの損害であったそうであります。日本でも大体五十億程度のものは保険にかけるというふうにすすめておると承知しておりますから、普通考えられるようなものは十分原子炉の設置者が賠償できることになっております。それ以上の問題は、先ほどお話しましたように非常にむずかしい問題でありまして、民間のわれわれがまだ容喙すべき時期ではないと思いますが、諸外国の例にならって十分保険をかけるので、それ以上のことは天災といいますか、特別の大災害と見て国に関与していただきたいという希望を持っております。そういうふうにやっていただけるかどうかわかりませんけれども、とにかくアメリカでは五億ドルのところまでは引き受けてやる――引き受けるということは、そんなことは起らぬとたかをくくっているから五億ドルなどと言っているのでありまして、民間が引き受ける以上の災害というものはちょっと想像ができません。しかし、やはり付近の人に安心感を十分与えるということは大事なことでありますから、原子力開発ということが非常に大事なものであれば、そういうところで国に協力していただくことを私どもは希望しております。
 最後にソ連とのお話でありますが、ソ連の事情はわかりません。ジュネーヴ会議でもいろいろ発表があったようでありますけれども、もしもソ連が英米のように日本に何でもかでも知らせてくれ、またわれわれにも見せるというような世の中になれば、私はソ連の原子力とも手を握るべき時期がくるではないかと思いますが、今の段階ではちょっと手のつけようがありません。
    〔「見せてくれる」と呼ぶ者あり〕
○帆足委員 ソ連は、今わきから言葉がありましたように、なぞの国というふうに考えておって見に行かないのですが、私は二度見に行きまして、よく見せてくれるのです。ですから、日本の大屋さんたちのような権威ある方がいらっしゃるんでしたら、私、あっせんできると思いますし、ぜひごらんになったらいいと思います。社会党が政権をとりまして、日本に平和中立の体制ができましたならば――私は、ソ連の方が人工衛星の例を見ますと十年くらい進んでいるように思いますし、ジェット機も一番進んだ二マツハのものを見てきましたが、進んでおると思いますから、大学でもう少しロシア語を教える――今日ロシア語を学ぶことは蘭学を学ぶようなものです。ロシアからとってはならないこともあるでしょう。スターリン主義というものは、主義としてわれわれ社会党は好んでおりませんから、その点は御安心願ってけっこうですが、ソ連の科学を学ばねばいかぬと思います。ことに人工衛星についての最近の進歩は驚くべきものです。従って、モスクワ大学に日本の留学生を原子力関係から十名ばかり送ったらいいと思います。私は、自分の娘でも一人くらい送りたいと思っておるのです。かつて蘭学を学んだときに、やはり一部の心暗きものたちは、ブドウ酒を飲んでも鬼の血を飲んでおるとこわがったものです。寛政異学の楽なんと言っているが、歴史は同じです。私はだいぶ前に行ったときは恐しい国に行ったように思った。ところが今度は鳩山さんが行ってみて――鳩山さんは、今、日ソ協会の会長ですよ、ここまできたのですから、やはり時の流れをよく考えて、私は大学でロシヤ語などはもう第二外国語にすべきときだと思う。ですから、そういう機会があったら、アメリカにそう遠慮しなくていいでしょう。ですから原子力産業会議の皆さんも一度モスクワへ向うの原子力発電を見に行かれるようなお気持があるかどうか、御感想を伺って終りにしたいと思います。
○大屋参考人 われわれそういう外交の問題がからんでいるようなことについては、何ともここで意見を申し上げることができませんのを非常に遺憾とするところでございます。
○櫻内委員長 大屋参考人にごあいさつ申し上げます。本日はまことにありがとうございました。
 続いて三件について政府当局に対する質疑を行います。岡良一君。
○岡委員 ただいま梅沢参考人並びに大屋参考人御両名の方から、まことに含蓄のあるお話を承わりました。梅沢参考人の御意見は、私は主としてまじめな若い科学者の御意見を代表しておられると感じております。と申しますことは、ジュネーヴ会議に出席をされた五十名前後の日本の代表団の中でも、若い科学者の諸君と私は現地でしばしば接触をいたしましたが、ほぼ同様な見解を漏らしておられました。また大屋参考人の御意見は、日本の原子力産業界を代表する御意見と存じておるのであります。そこで日本の原子力研究開発を推進するという日本の原子力政策の立場から、私は三木長官の御所信を承わりたいのであります。たとえば、これを二頭立ての馬車にたとえますと、日本の原子力政策は、一方においては学術会議という馬を御していかなければならぬ、一方においては原子力産業会議という馬を御していかなければならぬ。日本において、日本の基礎研究を積み、それがまた産業界に応用され、工業化される。そうして日本が自主的な原子力の平和利用の目的を達するということになると、当然学術会議と産業会議という二頭の馬を調和のとれた姿で御していかなければならないと思うのであります。ところが本日承わりました梅沢参考人の御意見と大屋参考人の御意見、少くともこの両協定に対する評価と態度というものは、あたかもうらはらの関係にありまして、一方が是とするものは一方は非とする、一方が非とするものは一方が是とするというふうな場面のしばしば御所見の中からうかがわれました。このこと自体すでに、御所論の是非は別といたしまして、日本の原子力政策というものがきわめて跛行的な状態にあるということを、本日の委員会を通じてわれわれはきわめて遺憾に存じたのであります。ところがこの両協定が本国会において批准を与えられるということになれば、産業会議と学術会議という二頭立ての馬車を御していこうという原子力委員会なり原子力委員長は、この一頭の学術会議を切り離して、産業会議という馬にまたがって乗りかえてしまうという結果になる懸念を私は感じます。その点において、日本の原子力行政というもののあり方を学術会議と産業会議との調和の上に進めていくというこの私どもの希望所信からいたしまして、委員長は本日の両参考人の御意見を中心にどのようにお考えになっておるか、今後どのような方針でお進めになられるかという点をあらためて承わりたいと存じます。
○三木国務大臣 私もきょうの参考人の御意見を途中でちょっと所用があって退席をいたしましたから、全部は拝聴いたしておりませんけれども、こういう新しい産業を開発しようというときにはいろいろな意見があり得ると思うのです。やむを得ないものであります。そうみなが一致するというわけにもいかない面があり得ると思うのであります。しかし、たとえばコールダーホールを輸入いたすことにいたしましても、これは実際に実用炉ではありますけれども、この実用炉の運転を通じてやはりいろいろ研究という問題も入ってくるでありましょうし、具体的に進めていく過程においては、やはり学術会議、主として研究という面であります。産業界、主としてこれを実用化していこうという面であります。これは結びつくものであり、結びつかなければ成功しないものでありますから、今、日本がこの発電炉を輸入するかしないかというようなときには、多少の考え方の相違もありましょうけれども、これを進めていけば当然に結ばなければならぬものであるし、またそれが結ばぬということでは、日本の原子力の平和利用というものは進展しないわけでありますから、これが具体化すれば問題は自然に解決していく、こういうふうに考えておるわけであります。
○岡委員 学術会議の中にも個々人の意見とすれば、それぞれ程度の差はあるようであります。おそらく産業界においても若干の意見の差異はあるかもしれませんが、これはいわば量的な差異でありますが、少くとも本日の両参考人の御意見、両協定に対する評価とその態度というものはうらはらであります。そうなりますと、発展途上であるから若干の意見の相違があるということは、何ごともあり得ることではありますけれどもこの動力協定という日本の原子力開発の上にいわば一つの時代を画しようという重大な問題に対して、学界と産業界における意見がこのように大きく矛盾をしておるということは、私どもとしてはたえられないことでございます。その点について、単にあり得ることであるから、そのうちに何とか融和するであろうとおっしゃいますけれども、むしろこれがきっかけとなって、学術会議なり産業界というものが、原子力開発について密接な協力の関係をますます疎隔するような事態になるということになれば、これはわれわれとしても百年の悔いを残すことに相なりますので、大臣の所信を承わりたいと思います。
○三木国務大臣 きょうの梅沢民も、学術会議のメンバーでもないわけでありますから、そういうことで学術会議の内部に入っていろいろの御報告はなかったと思います。メンバーではないので、伝え聞いたというようなことであったと思います。そこで学術会議の会長の兼重君は、やはり原子力委員会のメンバーであり、重要な政策に関与いたしておるわけであります。会長自身がこの会長の資格において入っておるわけではないのでありますが、そういう意味において、会長は原子力行政の推進役を勤めておるわけですから、梅沢君の御意見もそういう御意見があることはありましょうけれども、それは学術会議のメンバーでもないのでありますから、梅沢君の御意見を直ちに学術会議の意見なりと岡さんがここに断定されることにはいささか無理があるのではないかと考えるのでございます。
○岡委員 先般の総会では、学術会議の決議としては、この問題はそうきわだった論議がされなかったことは私も承知しております。しかしその前に開かれました原子力問題特別委員会の申し合せといたしましては、動力協定は時期尚早というはっきりした線が出されておることも大臣御存じの通りであります。従って少くとも学術会議内部において原子力問題については専門の研究をしておられるところの、いわば日本の権威者の諸君の意思決定というものは、動力協定は時期尚早だ、こういう結論を出しておるわけであります。これは学術会議総会において若干の経緯があったので、きわだった取扱いをされなかったということについては、私はその経緯を聞いております。けれども、しかし少くとも学術会議の真の腹はそこにあったと私は思う。でありますから、ただうわべだけの一話ではなく、なるほど兼重さんという温厚篤実な権威者もおられますけれども、しかしまじめな希望と意欲に燃えた若い科学者は決して賛成していない。梅沢君が忠実に代表していると思う。でありますから、産業界と学界の意見は、この問題に対する評価、態度において大きく分れておる。これをもしあえてこの協定に協力をあたえることになりますと、日本の将来の原子力開発にとってはむしろ憂うべき結果を招来しはしないかということを憂えるのでありまして、この点について大臣に重ねて御所信を伺いたいと思います。
○三木国務大臣 学界でいろいろ自分の意見を述べられることはいいですけれども、原子炉を輸入すべき時期かどうかという判断は、政治がいたすべき問題であります。政府はやはりこの機会に、コールダーホールの改良型の発電炉が安全性、経済性というものに対して十分納得のいく結論が出るならば、これを輸入しようといたしているわけであります。むろんその経済性、安全性に対して確信が持たれなければ、輸入はいたしません。それは申し上げておる通りであります。現在は輸入しようという方向において、そういうことに検討を加えておるのであります。今日は原子力の平和利用というのは実用段階に入ってきた、実用段階といってもまだ初歩ではありますけれども、イギリスにおいては決定をし、今現に建設をしておる発電炉は三百万キロワットであります。アメリカにおいても次次に平和利用、主として発電でありますが、この原子炉を建設しようとしておるわけでありまして、やはり実用段階に入った。これは現在においては試験研究から実用段階の第一歩を踏み出した、こういう判断をするわけであります。そうなりますと日本も、日本自身のエネルギー対策の将来から見ても、ある程度やはり原子力発電というものに依存しなければならぬとするならば、安全性、経済性というものに確信が持てるならば、これを輸入しようという政治の判断をいたしておるわけであります。そういう判断の上に立って、輸入するためにはどうしても日英の間の原子力協定が必要であるということでありますから、学者のいろいろな御意見を無視するわけでございませんけれども、その判断というものはやはり政治がすべきものだと私は考えるのであります。
○岡委員 私はどうも遺憾ながら三木大臣のお考えとは反対なんです。この原子炉の導入に関する限り、経済性と安全性はほとんど不可分の問題でありまして、経済性と安全性については、科学者の結論ととうものを尊重して政治が決定すべきものだと思います。科学者の結論のいかんにかかわらず政治が決定すというふうに私には聞えるのでありますが、そうではなくて、導入すべきかいなかを決定するには公正な科学的なデータの検討の上に初めて決定さるべきものであって、政治家がただ自己の主観的判断によって導入すべきものであるといって決定をすることは、私はこれは全く逆な行き方だと思います。
○三木国務大臣 言葉が足りなかったのでございます。安全性、経済性、それはやはり科学的な一つの検討をしなければならぬ、現にしておるわけであります。従って安全審査部会というものはほとんど科学技術者による一つの部会であります。そこで検討を加えておるのでありますが、私が言わんとするのは、こういうものに対して多少の異論もある、だから学界の意見なども、政治判断の相当な基礎材料になる、そういうことを頭に入れて、最後の判断というものは政治がすべきものだ。その内容をなすものは科学技術の面において十分な検討を加えるということは、むろん当然のことであります。そういうことも頭に入れて最終の判断を下すものは、政治である、こう考えます。
○岡委員 それでは具体的な例をあげて重ねて御所見を伺いたいと思いますが、今力説をせられる経済性の問題でございますが、今回のジュネーヴ会議で英国の代表は、動力炉の経済性を確かめるにはあと五カ年かかると申しておる。アメリカの代表は十カ年かかると申しておる。ところがまだ何の経験もない日本の代表は、経済性においてわれわれとしても確信が持てるから、昭和五十年までには六百万キロワットの原子力の発電をやるこれは実に聞く者をして奇異の念を抱かしめたのであります。一体アメリカなりイギリスなりが五年、十年といっているときに、日本の政府代表が経済性について自信が持てたというような表現をされる。こういうところに私は政治的判断というもののしばしば取り返しのつかない誤謬の根源があると思う。こういう事実を私は非常に軽率なことだと思うのでありますが、委員長いかがでありますか。
○三木国務大臣 これは現に三つのグループから見積りが出て、検討を加えて、現在の段階は安全性の問題が中心になっておるわけであります。次に経済性の問題も検討されるのでありますが、向うが見積りをして提出したものに対し、その前にいろいろ日本と折衝をしておるとき申し出ておる一つの経済性というものは、正力前原子力委員長も四円五十銭ないし七十銭というような答弁をしておるように思いますが、この問題がいろいろ交渉に入る前のキロ当りのコストというものは、今日経済性として成り立つものだということから、そういうことを私は――どういう発言をしたか存じませんが、そういう発言をしたのだと思うのであります。実際に具体的にこの問題を検討するということは今後の問題であって、その結論を待たなければこれがこうだという断定はできない。しかし今までの事前の交渉の経過から、経済性というものも成り立つという前提に立って交渉を進めたのですから、そういう限りにおいて、その印象を語ることは行き過ぎだとは思いません。しかし最後の決定というものは、これはやはりそういう十分な見積りが出てきて、それを中心にしてやらなければ断定はできない、こう思います。
○岡委員 私が申し上げたいことは、そのようないわば科学的根拠のない発言がある。なるほど三つの産業グループからは仕様書が到着しておる。しかしこれは相手は売手であります。その仕様書についてはやはり日本独自の立場において、これらの解析数字については日本独自の立場において、それが正しいという信頼をつなぎ得るだけの検討を遂げなければならぬ。ただ売手の言葉をそのまま経済性が成り立ちますから――売ろうとする国のまじめな学者は経済性は五年後でなければわからないということになりますると、これは厳粛な科学者の会議における発言としては唐突千万であり、軽率千万であると思います。そこでそれでは経済性の問題に触れますが、英国の三つの産業グループから出してきておる一キロワット・アワーの単価はどのくらいになっておりますか。
○三木国務大臣 今申し上げたように、現在検討いたしておるのは安全性の問題で、経済性に関連します問題はまだ検討をしておらない、安全性を中心にやっておるということで、おそらくその見積書も、コストに関係するようなことはまだ開封してないと承知いたしております。
○岡委員 それでは、日本はアメリカ、英国と違いまして、水火力、コンパラティヴな形に立って発電原価の基準というものがあると思いますが、大体どの程度が原子力発電における日本側としての、いわば正当な発電原価というふうに見ておられますか。
○佐々木政府委員 電力の原価についてはいろいろ考え方がございます。たとえば新しく建設する新鋭火力、重油をたいたり、あるいは石炭をたきます新鋭火力を基準にして考えるべきか、あるいはただいまの配電しておりますその価格を基準にして考えるべきか、いろいろ考える基準があろうかと思いますが、私どもといたしましては、少くとも新鋭火力等から見ますと、若干この原子力発電の方は、現在の段階では上回りますけれども、やがてそれはすぐ下回って低くなるものだというふうな判断に立って考えております。
○岡委員 数字は何ほどですか。
○佐々木政府委員 キロワット四円五十銭から四円七十銭くらいの幅で考えておりますが、かりに先ほど申しました新鋭火力がどのくらいかと申しますと、その新説火力でも、一カロリーをどのくらいの値で買い取るかということで非常に問題が変ってくるわけでありますが、かりに千カロリーを一円二十銭という計算でやっていきますと、石炭だけの方は四円三十五銭、重油専用の方は四円というような計算になります。それから上の方と申しますか、かりに配電の問題を基準にして、従いまして古い火力と新しい火力の平均したもの、あるいは水力とかみ合した現在の総合した価格がどのくらいかと申しますと、これも地域によって違いますが、大体東電を基準にして考えますと、東電ではたしか五円十三銭くらいかというふうに考えております。
○岡委員 それでは原価の算定のときに、相手方から受け取り得るプルトニウム・クレジットはどの程度に評価しておりますか。
○法貴説明員 今のところは使用済み燃料の買い取り価格で考えております。ですから、前々からのいろいろお話にもありましたように、三千メガワットまでにした燃料の買い取り価格がトン当り五千ポンド、それでそれが出ない場合には、かりにそこまで燃やさない場合には、多少割高に買うというふうなことは、われわれがこの春調査団として向うに参りましたときに申したのであります。それからまた三千五百以上に燃えました場合には、買い取り価格がもっと安くなるというふうなことで調整するわけでございます。
○岡委員 日経に十月四日の発表で出ておりますが、いわゆる使用済み燃料の買い戻し価格、基準価格は五千ポンド、これは二千五百から三千以上出たときだ。それ以下の場合は云々ということになっております。このギャランティというものは、この算定の発表の内容はやはりはっきり向うから与えられたものでございますか。
○法貴説明員 それは非公式に向うから言って参りましたもので、こまかい正式な取りきめはこれからやるわけでございます。
○岡委員 非公式というのは、どこからどこへきたわけですか。
○法貴説明員 私の聞いておりますところでは、AEAの燃料担当者から、原子力発電会社の一松副社長あてだったと思いますが、そのあて名はちょっとはっきりしておりません。
○岡委員 このギャランティが正当であるかどうかということは、原子力委員会なり原子力局で御検討になりましたか。
○法貴説明員 その問題はまだはっきりした話ではございませんので、委員会等で正式に検討してございません。
○岡委員 これはやはり英国のAEAのエコノミツク・アドヴァイザーの御存じのデューク、これがやはりことしのことでありますが、ストックホルムのアカデミーで講演をしておる。そのときにこのギャランティの問題に触れておる。このデュークというのは専門家で、御存じの通り平和利用会議でも発表しておるのですが、そのギャランティは、今この日経に出ておるギャランティよりもはるかに上回っております。一例を申しますれば、バーン・アップが六百メガワットで、これでいけば一万一千七十五ポンドしか謝礼がない。ところがデュークによれば一万七千五百ポンドあるギャランティを背負わなければならぬ問題、こういうものをあなた方がおのみになるということなら、求めて非常な不利なことをする。資料がほしかったら差し上げますが、こういう点をあなた方は何の吟味もしないで、経済性々々々と申されましたが、私はこういう点においてよく吟味した上で――やはり対英動力協定というものは動力炉導入を前提としたものである委員長もそうおっしゃっておる。だからして、こういう点を吟味も何もしないで、そうしてあとから検討するなんというようなことでは、私は国会にこういう協定の批准を求められる態度としては非常に軽率ではないかと思うのですが、委員長いかがでしょう。
○三木国務大臣 私繰り返し申し上げておるのは、これはいろいろな経済性、安全性のものに対して十分な検討を加えなければ、このコールダーホールの輸入は簡単に許可しないということを言っておるのであります。従って、今順序として安全性という問題について検討が加えられておるのでありますから、経済性の問題については、岡君のお持ちになっておる資料などもわれわれとしては当然に持っておるものと思いますが、しかし岡君の意見等もいろいろ今後において拝聴する機会もあろうと思いますけれども、とにかくイギリスが各国で結んでおる最も有利な条件、少くともそれ以下にならぬということで、もし本契約を結ぶ場合においては結びたいということには、万全を尽したいと考えております。各国の例に比べて日本だけが不利益な契約を結ぶということは私はしない。できるだけ国際的な――それ以上ということになればむずかしいでしょうが、少くとも各国の例のあるような一つのものに従って、国の利益を守るために万全の方策を講じて参りたいと考えております。
○櫻内委員長 岡さんちょっと御了解を得たいと思うのですが、三木大臣はほかに所用がございまして、二時ごろから再び御出席を願うことにしております。それで、藤山外務大臣はもう間もなく入ると思いますが、その間事務当局の方へ御質疑願えればまことに幸いでございます。
○岡委員 それでは北原君にお尋ねいたします。ユーラトムの場合、アメリカはユーラトム六カ国にどういうギャランティを与えておりますか。
○北原政府委員 ユーラトムの協力協定の方は、まだ米国の方で承認いたしておりませんので、正式に発効して署名されておるわけではございませんが、この点に関しまして日米協定以上に細目的な取りきめが入っております。私細目についてまだ詳細を存じませんので、担当官から一つ説明することにいたします。
○横田説明員 ユーラトムと米国との協定におきましては、燃料サイクルにつきまして特別取りきめが入っております。これによりますと、米国政府は、使用燃料の加工料の最大限とそれから燃料照射率の最低限を保障することになっております。
○岡委員 それでは私の資料から申し上げますから、間違っておったらさらに御訂正願いたいと思うのですが、まず第一番の問題は、ユーラトムに対するアメリカ側のギャランティの方式は何かと言うと、まずコスト主義でいっておる。このコスト主義でいっておるということについて、八月十三日にアメリカのジョイント・コミッティが公聴会を開いております。AECのフローベルグが出て説明をし、了解を求めておる。この中ではっきりコスト主義でいこうということを彼は言い、またそのことがこの協定の大きな一つの意義である。なぜならばヨーロッパ諸国における水、火力の発電の原価と比較して、原子力発電がそう高くないものであるような価格に押えて、もし高くなるような内容だったら、アメリカ側はそれに対して補償しよう、いわゆるコスト主義でいこうという態度をとっておるわけであります。その結果大体において原子動力設備の燃料費を割りかけを四・二ミル・キロワット・アワーに押え、これに運転、保守費などの分二ミルを見込んで、総コストが一一・七ミルから一三・九ミルとする、これは大体四円五、六十銭というところです。こういうところに押えて、万一燃焼率その他の点において欠けるところがあれば、その分は九千万ドルをファンドとして別に設定して、国家がその赤字分を埋めてやろう、こういうギャランティをとっておる。今、非公式と申されましたが、英国のAEAからきておるギャランティ方式と全く違っておる。むしろAEAとしては三千メガワット・デイ・パー・トンというものが出せないということを暗に物語るような、きわめてわが方にとって不利なギャランティ方式ではないかと思われるが、この点についての御所見を伺いたい。
○北原政府委員 ただいまの内容に関しましては、原子力局長からお答え願うことにいたしまして、ただユーラトムの燃料の経済性の問題に関しましては、実はユーラトムと米国との協定が一つの米国・ユーラトム間の共同事業という根本的な立場から出ております。そのため、たとえば輸出入銀行を通じましての莫大なる融資の問題であるとか、技術面に関しましても一応超国家的な一つの国際機関としての性格を出しておりますので、日米協定との間におきましては幾分差異のあることは認めざるを得ないわけでございます。しかしそういう面からいたしまして、今後の方向といたしましては、日米間の協力の態様につきましても、なるべく漸次ユーラトム的な色彩を入れ、かつAEAの協力方式とユーラトムの協力方式の間におきましても、将来漸次調整をはかるというふうに持っていかざるを得ないのではないかというふうに考えております。
○佐々木政府委員 英国から日本に来ます炉のギャランティが今後どうなるかという問題と、ただいまお話のありましたように、米国とユーラトムのギャランティの方式をそのまま採用すべきではなかろうかというお話でございますが、先ほど大臣からお話のありましたように、価格の問題に関しましては価格を先にやりますと、どうしてもその方に先入的な観念がとらわれまして、技術的な検討がおろそかにされがちだという考慮からだろうと思いますが、全然それを開封しておりません。従ってそれを開封いたしまして、具体的に一つ一つこまかい点を経済的に検討して参るのは今後の段階になるわけでございまして、ただいまから直ちに米国と同じような補償方式をとるべきか、あるいは英国には英国らしい補償の仕方があるかもわかりませんので、そういう点から、すぐ現在の段階で米国とユーラトムの話し合いがこうだから英国も同じような補償方式をとりなさいという点は、そういたしますというわけには必ずしも参りませんので、もう少し研究してからにいたしたいと思っております。
○岡委員 そうしますと、原子力発電については、先ほどの大屋参考人の御意見にもあるように、将来輸入原料等のコストも非常に多く見積られるがゆえに燃料費の安い原子力発電へ、こう言っておられる。ところがその燃料について、免責条項で事故が起っても云云というような一方的なものをのまなければならない。その上に、燃料の燃焼率についてのギャランティというものが、先ほど申しましたように、いわばAEAのエコノミック・アドヴァイザーであるデュークが発表しておる数字が一万七千五百ポンドで、こちらがのもうとしておるものが一万一千七十五ポンド、こういうものはうかつにもらえないというのです。むしろ経済性においていうところの条件を強く主張されるならば、ユーラトムとアメリカの場合のようにやはりコスト主義で行く。燃料の燃焼率が日本の水、火力とコンパラィヴにどうであるかというような価格において設定して、そうしてそれ以上上回るような状態の場合には、それを補償するというような形においてせめて約束を取りつけなければ、原子力発電の経済性というものをわれわれ国会としても国民としてもそのままのむわけにはいかない。でありますから、将来のこととおっしゃいますが、私はユーラトム・アメリカ間のコスト主義で行くべきであると思う。今日経に報告されたような向うの産業グループなりAEAの考え方、向うの専門家の意見よりも四割以上も下回るようなそういうギャランティでこちらがおさまるべきものではないという点を強く申し上げて、一つ皆さんの今後の方針の上にぜひとも生かしていただきたい。問題は、原子炉の事故といえば燃料要素が一つ。次には炉の設計の錯誤によって事故の起ることがあり得ると思います。一体炉の設計の錯誤によって事故が起った場合には、いかなるギャランティが補償されるのであるか、相手国としてどういう意思表示があったかという点を伺いたい。
○北原政府委員 設計に基因いたします事故に関しましては、日米、日英協定書の無補償条項でこれをカバーするという建前になっております。
○岡委員 いわば設計の錯誤に基く事故は、これは全然補償がないということですか。
○北原政府委員 その場合の設計が完璧なものであるということに関しまして、米国、英国政府ともに供給者は最善の努力の注意を払うということになっておりますが、その建前のもとにおきまして、一応無補償条項によりましてその責任は供給者の方ではとらないという建前になっております。ただその場合、瑕疵のある場合におきましては、これは別に考えるということでございます。
○佐々木政府委員 ちょっと補足させていただきます。ただいま北原参事官からのお話がありましたものは、英国の政府は責任を持たないということでありまして、炉を実際に買いますのは米国、英国ともに政府からではございません。主としてメーカーそのものから買うわけであります。その際、その設計の瑕疵から生じた云々の問題はどうなるかと申しますと、これはもっぱら私契約がどうだという問題にかかって参ります。もちろん米国、英国ともその責任を持つものではなくて、その私契約によってそれがどういうようにきまるかという点にかかってきているわけであります。
○岡委員 それでは英国の産業グループ三つが仕様書を出しておるわけですが、これにはこの設計の過失に基くギャランティについては触れておりませんか。
○佐々木政府委員 私のただいままで聞き及んでいる範囲では、設計あるいは生産等の過程における瑕疵に基く云云の問題は、グループの方に対する保障問題としていろいろ折衝を重ねておるようでありますし、燃料に関しましては先ほどお話がありましたように英国政府並びに公社の責任でございますから、そちらの方と外務省においても交渉を始めておるはずでございます。その際業界同志で、言いかえますと具体的には日本の原子力発電会社でありますが、これと三グループとの間にどういうような保障を取りつけつつあるかという点に関しましては、まだ契約条項がはっきりきまっておりませんので、そういう問題はこれから一カ所の個所をきめて、さらに細部のこれからのネゴシエーション、いわゆる交渉に入る前に順次具体的になっていくというふうに考えておりますので、ただいまのところ契約前の技術的な検討の最中でありますから、そういう点は契約の際までには片づくのではないかというふうに考えております。
○岡委員 英国との動力協定を結ぶということは、私が繰り返し申しておりますように何としてもコールダーホール改良型を導入する前提であります。このことは何も私の推測ではない。現に原子力発電に関する長期計画、昨年の十二月十八日に原子力委員会が決定し公表された長期計画の中に書かれておる。しかもあの長期計画については事前にわれわれに諮ってない。コールダーホール改良型を導入することが妥当であると書いてある。原子力委員会としてはそのように原子力発電会社の旗を振るような表現は好ましくないというので、さらに修正を求められまして、公表されたものは妥当と思われるということになっておる、といういきさつもあるくらいです。従って原子力委員会とすれば当然コールダーホール改良型を導入する、この前提としてこの動力協定を御提出になったということは私の推測ではないわけです。そうしてみれば、導入にとっては非常に重要な条件だと思います。
 しかも、佐々木君にお聞きしますが、それなら万一コールダーホール改良型が事故を起した場合に、これが燃料要素による事故であったのか、設計の過失と思われる事故であったかということを判定する技術的水準が日本にありますか。国際的にそれがはっきり確立されておりますか。
○佐々木政府委員 そういう場合にどういうような方式で事故の真の原因を確かめるかという方式に関しましては、まだはっきりした見解を持っておりませんけれども、おそらくは英国でウィンズケールの事故等に際してとったような措置、すなわち緊急の委員会等を作りましてその委員会で具体的な検討を進めて結論を出すというような格好になろうかと思います。しからばその委員会は日本人のみで形成するか、あるいは英国側も加入するのかというような問題もあろうかと思いますけれども、こういう問題は今後の研究問題であると思います。何せまだ五年先に入ってくる炉でありますから、そういう点については今後の国際原子力機関の発展等も勘案してはっきりと政府としての見解を用意したいと考えております。
○岡委員 どうも三木国務大臣にしても、その部下たる原子力局長にしても、五年先に入るから、五年先に入るからと言われますが、この協定を通じて動力炉が導入になるということになれば、導入になる動力炉に関連しては技術的にも経済的にも諸条件を吟味してわれわれが納得をしなければこの動力協定には賛成を表しがたい。それが私は国会の国民に対する当然の責任だと思う。ところが補償の問題も保険にするか、国家補償にするか、あるいは資力のないものには原子炉の設置を許可しないようにしようとか、いろいろの言に託されて国家としてのき然たる補償の意思も表明されない。さて買い込む炉についてのギャランティもこれからだ。しかもそれが果して燃料要素に基くものやら、原子炉の設計の錯誤に基くものやらということは実際むずかしい問題だと国際的に言われておる。そういうわからない、まだまだ未確定な要素を残して、これから果してそれが日本において確立されるやらどうやらわからない、そういう問題を全部あとに残しておいて五年の間に何とかしょうということでは、私はこの協定の批准を求められる政府の態度というものは非常に無責任だと思う。
 外務大臣も来られましたので、先ほどるる申し述べましたことを要約いたしますと、問題は英国との動力協定については何としてもいわゆるコールダーホール改良型を導入したいための前提であると私は信じます。これは私の個人的な主観的な判断ではなくして、原子力委員会が昨年の暮れに発表された原子力発電に関する長期計画の中ですでにうたってあるのであります。してみればこの協定の成立と同時に動力炉が導入される。ところがこの動力炉の導入に関連してわれわれとしてもいろいろ納得のいくような措置がとられておらなければならない。たとえば免責条項の中で燃料要素の事故に基く災害は非常に重大である。交渉の過程においては日本側はそれを確認しておられる。そうしてその事実に基いて今度はその損害の補償はわが方が負うということを一歩大きく譲られておる。これはこの前の通常国会で、私は外務大臣との話し合いの中で判明しておる。そうしてみれば国と国との取りきめで、いわば安全であるかどうかわからない。しかも万一事故が起れば非常に重大な災害を及ぼすであろうということを日本国政府が承認をして、国が相手国との間にこの免責条項をのむというならば、たといその不安全な、安全でないかもしれない燃料要素の所有権が国にあろうと民間に移されようと、国としては当然そういう取りきめをやった道義的な責任において補償をするという、やはり原則的な決意をこの際お述べ願わなければ困る。私はこう今朝も大蔵大臣に申し上げたが、その御決意については結局御明答を避けておる。さて今度は動力炉を導入する。ところが三千メガワット出るかどうかは炉の経済性、安全性と不可分の重大問題なんです。と申しますのは、もし三千メガワット出なくて五百メガワットしか出ないということになると、一キロワットの単価が七円上るのです。そうすると安全性を守るために五百メガワットに下げたということになれば、経済性は破壊されてしまうわけです。だからそういう場合にはそれにふさわしい、見合った補償を取りつけなければならない。原子力発電会社と向うの商業グループとの私的契約であっても、コールダーホール改良型を入れようという原子力委員会の公的な決定としてこれが進められておる限り、しかもその監督権がなり責任がある原子力委員会なり外務当局としては、やはりそのギャランティについても明確なものを、われわれ納得し得るものをお示しにならなければならない。ところがそれもこれからの問題。さて燃料要素が原因となって事故が起ったか、設計の過失に基いて事故が起ったかといったその判定についても非常に厄介な問題だからこれからゆるゆる研究しよう。これではこの協定というものについて国会で批准を求められる外務当局なり科学技術庁当局の態度というものは、全く国会を軽視する態度であると私は思う。これでは国会としても十分に責任を持ってこの動力協定に賛意を表しがたいと思うのです。この点をもっとはっきり具体的に、あるいは明日でもけっこうですから、数字の問題だから数字をもってはっきりとお答えを願いたい。
○佐々木政府委員 先ほど誤解があったようでございますから、その点だけ私から申し開きさせていただきたいと存じます。
 事故が起きたときの判定はだれがやるか、おそらく日本には能力がないんじゃなかろうかというお話でございましたので、形式としては委員会等の形式で処理されるだろうと思うけれども、その構成メンバー等はそのときの事故の段階において日本に能力があろうかなかろうかということによってきまる問題でありますから、ただいまから日本人のみでもって公正な判断をするというふうには断言できないでありましょうというふうに申し上げたのでございます。その点誤解のないようにしてもらいたいと思うのであります。
 もう一点、動力炉は、岡委員も十分御存じのように、協定を結んだから必ず炉を買わなければならぬというのではないのでありまして、買うためには協定は必要であるが、協定を結んだから必ず買わなければならぬという性格のものではありません。買うか買わぬかという問題は大臣もるる申し上げましたようにただいま検討中でございまして、条件が整い安心ができると確信が持てれば買おう、安心ができなければそのときに態度を改めればいいものでありまして、協約上それを強制しているわけでも何でもありません。日本の自主的な見解で当然きめ得る問題でございますから、その点はあらかじめ御承知いただきたいと思います。
○岡委員 僕は別に日本の科学者の水準を非常に低く評価して、日本ではそういうことができなかろうと独断的に申し上げるのではないのです。ちょうどウィンズヶールの事故にいたしましても、その原因についてあなた方は公的な報告をお聞きになって信用しておられるだろうが、これについてはあそこに従業している従業員の科学者の団体が反駁声明を出している。そういうようなことでほんとうにどこに事故の原因があったかということは、私どもとしてまだ納得いたしかねておる。先進国の英国でさえもそうした原子炉の事故について何に基くかということのはっきりした責任ある判断ができておらぬじゃないか。できておらぬ証拠には、一基しか事故を起さないものを二基もとめてしまって今も閉鎖しておる。国防的な要請によってプルトニウムの生産に大わらわになっているのでしょう。三千メガワットの出力を出す三百万キロワットの発電炉を六カ所も計画しながら、今度それを全部プルトニウム兼用炉に変えておる。それくらいプルトニウム政策に転換をやりながら、ウィンズケールは一基の炉だけが故障を起したのを第二基の炉も閉鎖をしておる。いまだに閉鎖中です。おそらく永久停止でしょう。ということは、事故の原因がまだまだ十分でない。端的に申せば、放射能中性子というものの持続的な影響、照射というものが物質に与える化学的な物理的な変化というものはまだ究明されておらない。そういうなまの分野のもとに事故の原因というものがあるために、あくまで慎重に、プルトニウムはのどから手が出るほどほしいけれども、専用炉を押えておるという状態です。そういうようなことでありますから、もしこれが損害賠償の問題になって法廷の問題になった場合、一体どう片づくのか、現在の技術段階においては二年かかるか三年かかるかわからないことになりはしないかと思うのです。ところが、そういう点について、これからしよう、これからしょうとおっしゃる。それではギャランティという重要な経済性の要素についても政府側の態度は非常に無責任だ、私はこう申し上げておるわけです。
 それでは安全性の問題ですが、この正の温度係数についての問題は原子力局としてはどういうお取扱いを進めておられますか。
○法貴説明員 正の温度係数の問題につきましては、ジュネーヴ会議の報告等から一応の見解を局としてはまとめております。御説明いたしますと、コールダーホールの原子炉は、御存じのように五百メガワット・デーまで燃しておるのに過ぎませんけれども、それでもなおかつ正の温度係数を持っておるわけです。大体三百メガワット・デーで温度係数がゼロになりまして、あとはプラスになります。そういう意味におきましては、先ほどから運転経験が全然ないじゃないかというようなお話がありましたけれども、プラスの温度係数を持っている炉が確実に運転中であるということは一応言えると思います。
 なお、プラスの温度係数に対してコールダーホールを動かします前にAEAで一応検討したということであります。これもジュネーヴ会議に出席した人が聞いてきた話ですが、大体三百くらいのところでプラスになるだろうというようなことを見当をつけて動かした、そうして、初めに計算をした通りに大体の見当は合っておったという実績がございます。そういうことから考えまして、先ほどから運転経験が全然ないというようなことが強調されましたけれども、ある程度の経験はあるわけですし、目下建設中のコールダーホール改良型の動力炉につきましても、これの設計に用いられた諸定数を使いまして電気計算機にかけましてプラスの温度係数の及ぼす影響をしさいに検討しております。これに関する報告が幾つかございまして、大体コールダーホール並びにその改良型に関する安全性の問題を検討したジュネーヴ。ペーパーが十何編かございまして、そのうち特にハンターストン並びにブラッドウエルの二つの動力炉に関しましては、特に精密な勘定がなされておりまして、プラスの温度係数が大体10―15)(10―5乗という程度になるという推定のもとにいろいろな勘定をしております。たとえば連続運転中に燃料棒を一本ずつ取りかえていくわけでございますが、この燃料棒の取りかえのときに炉の反応度がわずかですが急変する。そういう場合にどういう温度変化をするか。それからブロワーが事故を起してとまった場合には、冷却空気の量が減ります。その場合にプロワーがとまって何%冷却空気が減ったら温度変化はどうなる、あるいは蒸気を作ります熱交換器に水をフィードするフィード・ウオーター・ポンプがとまった場合にどうなるか。その場合にはガスの入口温度が上りますが、それが何度上った場合には炉の温度上昇はどうなるか。そういうことを実に精細に検討しております。そうして、コールダーホールの経験から考えてその計算誤差は大体一五%以内であろうことを確信するというようなことを言っておるわけであります。なお、この際さかのぼって申し上げますけれども、プラスの温度係数が問題であるというのは、炉を同じ温度で一定条件で使っておるならば問題ないわけでありまして、たとえば今度の改良型の動力炉でありますと、出品のガス温度を大体四百度一定くらいのところで使っております。燃料棒としては四百三十度から四百五十度くらいになるわけでございます。その出口のガス温度を一定に使うということは、非常に自動制御を精密にやりまして、それを確実に一定温度に保たせるような運転方式をとるわけでございます。ですから常時は温度変化はないわけでありまして、それですとプラスの温度係数がいかにありましても全然問題にならないわけです。先ほどから申しますように、急に温度変化がありました場合にだけ問題になるわけでありまして、たとえば燃料棒を何本か急にどけるとか、入れるとか、あるいはフィード・ウォーター・ポンプが急にとまってしまうとか、何か突発的な事故があって、そのために温度が急に変化する、それが十度変化するか、二十度変化するか、そんなに大幅に変化しないと思いますけれども、その温度の変化がなければ問題にならないわけでございます。突発的な温度変化だけが問題になるわけであります。ですからふだん四百度一定で使っておるときには全然問題にならないということがはっきり言えるわけであります。そういうことで、まだ幾らでも御説明の資料はございますが、一通りの検討はいろいろやっておりますので、幾らでも御質問に応じてお答えいたします。
○岡委員 博士論文の朗読みたいなものでございます。(笑声)
 そこでお聞きしますが、あなたの方からお出しになったプラスの温度係数についての報告は、私は見ておるのです。それでは、あのジュネーヴ会議に英国側が発表したデータだけをあなた方は信頼をして、それでもってプラスの温度係数の問題は解決したものと、こう取り扱われますか。
○法貴説明員 それは現在いろいろ設計資料なども出ておりますので、原子力発電会社は、当然のことでありますけれどもあの設計書面に基いた計算を原子力研究所にも依頼しまして、十分検討していただくように考えておるようでございます。いろいろそのデータそのものをうのみにするというのではなしに、自分なりに十分検討いたしたい、かように考えております。
○岡委員 それから法貴君は、まだ運転の経験がないと私が独断的にきめたように申されますが、これは原子力産業会議が出している原子力海外事情、八月号ですが、「ゆらぐイギリスの商業的原子力発電」という見出しがありますが、問題は英国の国防省がプルトニウムを原子兵器用として多量に必要とするので、現在及び将来の四つの大型原子力発電所について設計の変更を要請した、そこでその結果どういうことになるかというと、エコノミスト誌はこういうことを指摘している。それは、この決定のもたらす重要な技術的損失として、イギリスの技術者はこの措置により燃焼率についての重要な経験を得る機会を逸しようとしておる、三千メガワット・デー・パー・トンが果して加工できるかどうかという実験が、国防省の要請によって失われようとしておる、このことはさらにイギリスのフィナンシャル・タイムズがなお詳しくうたっておりますが、その一節を申し上げますと、こういうことをいっておる。理論的には燃料を入れて四年間放置しておかなければ、要するに三千メガワット・デー・パー・トンという燃焼率が得られるかどうかわからない。ですから英国の原子力公社とすれば、あの四つの発電所については三千メガワット・デ・パー・トンが出るか出ないかということの実験をやろうと思っておる、ところが国防省の要請によってプルトニウム兼用炉とするよう設計の変更を命じられた。だから実験する機会を失ったということをフィナンシャル・タイムズはいっておる。エコノミストにしたってフィナンシャル・タイムズにしたって、あなたも御存じのように権威ある英国の新聞や雑誌です。してみれば英国自体において何ら実験の経験がなく、ただ解析数字をおそらく電子計算機ではじいてみたら大したことはないだろうというデータが出たにすぎないということでしょう。ですから私は前の論に戻れば、先ほどの参考人の梅沢君はまだ研究段階と言われた。私は研究段階も少しひどいと思うのですが、原子力発電は本格的な実験段階だろう。現にこのように英国の権威ある新聞雑誌が嘆いておるように、英国は実験の機会を逸したとしておるんですよ。それをあなた方は実用段階だ、こういうふうに解釈をして、そしてコールダーホール改良型を入れようという方針の上でどんどんその方向に進められるということ、そのことがわれわれとしては非常に問題だと思うのです。
○佐々木政府委員 私その記事は拝見しておらぬのでございますけれども、私どもの承知しておる範囲では、バークレー及びブラッドウェル、これが御承知のようにイギリスで一番早く改良型のできる建設炉でありますが、この二つに関しましては何ら改造を加えないで、従来のままで建築しておりますので、これから十分データはとれるのではなかろうかというふうに考えております。
○岡委員 それはその通りなんです。その通りなんですが、バークレーやブラッドウェルは、大体その熱出力は、期待するものは千メガ程度ですよ。ヒンクレー・ポイントや、それからハンターストン、それからケントの炉が三千メガワットでいこうというのです。バークレーやブラッドウェルでやれるものは、たかだか燃焼率というものは大体一千メガワット・デー・パー・トンくらいでしょう。私の聞いている範囲ではそう思っている。
○法貴説明員 やはりブラッドウェルもバークレーも商業発電所として作るわけですから、これは当然三千メガワット・デーを目標としておるわけでございます。それからなおハンターストン以下の発電所につきましても、これはプルトニウムの質をよくする意味で、五百メガワット程度で取り出すということをできるだけ大量かつ簡単になし得る装置を付加するということであるにすぎませんで、やはり常時はできるだけ三千メガワットまで燃料として燃して、商業ベースで発電するということを目標としておることは従来と変りがないわけです。ですからイギリスにおきましても数年たちますれば三千メガワット・デーの運転実績が十分得られるというふうにわれわれは見通しております。
○岡委員 この前段の点ですね、バークレー、ブラッドウェルの原子力発電所は、もう建設もほとんど済んでおるというような状態の中で、国防竹としても強引な設計変えということもいきかねたというような事情もあるが、私の知る限りではこの炉の燃焼率は大体一千メガワット・デー・パー・トン持っております。もちろん私の資料ないしは私の記憶が間違いかどうか私も調べてみますが、一つお調べ願いたい。
 それから今佐々木君が言われました他の四カ所の発電所については、現にエコノミストなりフィナンシャル・タイムズの記者が――おそらく専門の記者だと思いますが、三千メガワット・デー・パー・トン出せるか出せないかという実験の機会を逸しようとしておるとさえ言っておるのに、あなたはそれを否定されるのですか。
○佐々木政府委員 この前に申し上げましたように、私ども英国の大使館に正式に調査をお願いして、もらいました結論を一番信用あるものとしてただいまの段階では信じておるわけでございますが、それによりますと、この前にもお話し申し上げましたように、またただいま法貴君から御説明いたしましたように、本来は、現段階は三千メガワット・デー・パー・トンで運転をしておりまして、非常時になった場合にどうしてもプルトニウムが必要だという場合にも、今度はプルトニウム専用炉に変え得るように装置を付加しておきなさい、こういうふうに設計を変えたというふうに承知しておりますので、決してそのために、それを付加したがゆえに経済性をめぐって燃焼率を落したというふうには承知してございません。
○岡委員 英国の国防省の要請により、設計変更を要請されてそれを受諾しておるのです。ですからこれはシールドもみんな作っておるものをたたき破って、燃料棒の取りかえなんかもみな簡単にやれるようにどんどん変えておるのです。大体何といったって、英国ではベース・ロードで発電しろといっておるのです。それをさあプルトニウムが要るからといって、今度はコントロールして燃料率を下げるとか、そんなことをしたら電力も不経済だし、プルトニウムも不経済じゃありませんか。そんなことは常識から考えたってやれるはずがありません。だからフィナンシャル・タイムズなりエコノミストが指摘しているように、ヒンクレー・ポイントを初めとする四カ所の発電所は、当初の設計は三千メガワット・デー・パー・トンの燃焼率を期待したが、国防省の要請によってできなくなった。その実験さえもできなくなったことを英国の科学者は非常に嘆いていると言っているじゃありませんか。だから私はそういう点はもう一ぺんロンドンの大使館から情報を取っていただかないといけない。私どもは私どもの得たわずかな資料ですが、権威のある向うのニュース・ペーパーがいっていることを信頼すれば、私どもはそう考えざるを得ない。
○佐々木政府委員 私どもは全然そういうように理解しておりませんけれども、この問題に関しましては一番詳しいと思われるコッククロフト氏本人が近く日本に参りますので、要すればはっきりいたしてみたいと思います。
○櫻内委員長 暫時休憩いたします。
    午後一時二分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時五分開議
○櫻内委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑を続行いたします。松本七郎君。
○松本(七)委員 原子力協定については一度藤山さんにもお伺いしたのですが、その後の政府の答弁で、まだまだ外務大臣の御意見を聞かなければならぬ問題が相当広範にわたってあるのであります。審議を急がなければならぬ関係からも、本日はなるべくスピード・アップして一つお伺いしたいと思いますが、ただ、それに入る前に、外務委員会の今後の運営に関連することで一つだけお伺いしておきたいと思うので、この点、委員長一つお許し願いたいと思います。
 会期も非常に切迫して残り少くなっておりますので、安保条約の改定等についても、できるだけ委員会をひんぱんに開かなければならない。実は、昨日の委員会でも、戸叶、それから岡田両委員から、二十二日にマッカーサーと会談された際、アメリカ側から向うの草案が出されたというふうに新聞の一部に報道されていることについて質問があったのですが、総理はこれを否定されておるわけです。日本側でも草案の形では出していないという御返事があったのでありますが、その交渉の仕方が、私ども今後委員会を開いてこの問題を審議するについて非常に重要な点なので、確認しておきたいと思うのです。このマッカーサーとの会談では、そういう草案の形で双方から何ら出てないのかどうか。この点を、実際に会談された外相自身から御答弁願っておきたいと思います。
○藤山国務大臣 安保条約の問題につきまして、マッカーサー大使と私が会いましたのは二回でございます。最初のときの会合は、御承知のように、顔合せ程度ということで、二回目に今後問題となるような点をお互いに話し合いまして、そして、それらの問題について事務的な連絡をやりながらいこうということであったのでありまして、両方から何も草案というものは出ておりません。ただ問題点をしぼったことだけは事実でございます。
○松本(七)委員 そうすると、向うから問題点を口頭で出された、それはもちろん記録はとるのでありましょうね。日本側としては、向うから口頭で出されたものを記録にまとめて、そしてそれに基いて検討するという形になるのですか。
○藤山国務大臣 大体こういう問題について事務的に一応話し合っていこう、それで事務的な話し合いである程度わかってきましたときに、私とマッカーサーと会いまして、その問題について一つずつ話をしていこう、こういう順序で取り計らいたいと思っております。また現にそれを進めておるわけでございます。それで、話し合いましたのは、無論双方とも、外交上の話については大体記録をいつでもとっておりますから、それはとっております。
○松本(七)委員 そうすると、今までマッカーサーから問題点を口頭で出された、それを日本側は記録をとった、それに関する限りここで発表できるわけでしょう。
○藤山国務大臣 マッカーサーが出したそのものを申し上げるわけには私はいかぬと思います。しかし、両者がこういう問題について一つずつ話をしていこうじゃないかということできめました五、六の問題が無論あるわけでございます。そういう問題につきましては、ある程度申し上げても差しつかえないと思います。
○松本(七)委員 そうすると、その出された問題点についてのアメリカ側の意見とか、そういうものが当然こっちの記録に出ておるわけですから、向うがどう言ったこう言ったという形でなしに、アメリカ側はこういう点を問題の重要点としてあげた、それに対する意見はこうこうしかじかだという形でお出し願うことはできるわけでしょうが、今まで出たものはいつごろお出し願えるか。
○藤山国務大臣 マッカーサー大使と私とが話し合いをしまして、こういう点が問題点である、要するに事務的な検討をして参りますために一つずつ検討をしていかなければならぬわけでありますから、そういう意味で話し合いの題目をきめていったという以上に、両者がそれについて意見を交換したというところまで、それほど深く入っておりません。従って、事務的にいろいろな問題を話し合った上で、私とマッカーサーがそれらの問題について話し合いをする、またそうした段階になって、日本政府のあれをきめていかなければならぬければ、そういう話し合いを参考にしながらきめていくというふうな順序の運び方をいたしておるわけであります。従って、ノートをとっておりますと言いましても、速記録をとっているわけじゃないのでありまして、両者がおのおの話し合ったメモをとっておるわけなんでありますから、そうしたものを一々出すというわけには参りませんけれども、どういう問題点があったかというようなことの御質問があれば、私からお答えはできます。
○松本(七)委員 特にこのことは要望しておきますが、きのうも総理が言っておられたように、特に沖縄、小笠原については、十分世論を聞いてやりたいということを言われるわけですね。その世論というのはどういうふうにしてできてくるかといえば、やはり沖縄、小笠原についてアメリカがどういう態度に出てくるかという、アメリカ側の意見なり態度を加味しながら世論というものは形成されなければ、全然切り離して世論だけがここで作られようとしたって無理な話なんです。アメリカの意見というものはこれに深い関連があるわけですから、そういう意味でも、やはり出された問題点というものはなるべく広範囲にかつアメリカ側の態度を含めて説明されることが、これからの委員会の運営上必要なことだろうと私は思う。ですから、特にそういう含みで、そういう態度で委員会に臨んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。
 それで、この原子力協定の問題でございますが、私ども社会党としても、これは賛否はいずれになるにしても、討論で明らかにされる、またされなければならぬのでございますが、この原子力の平和利用ということについては、人後に落ちない、非常に積極的に推進する建前をとっているわけです。ですから、そういう意味ではなるべく早く国際機関も充実してもらいたいし、またけさほどから参考人の意見の陳述にもありましたように、日本は、動力事情というものから考えれば、なるべくすみやかにこれの実用段階に到達して、そして動力炉を入れたいという気持は、これは十分わかる。ただ大事な点は、今日の世界の情勢からいえば、やはりこの原子力の平和利用を推進する、そのために国際的な協力、それは国際原子力機関を通じて、あるいは双務の協力協定を通じてやるにしろ、とにかく世界における原子力の平和利用開発のために積極的努力をしなければならぬということは、これは異存のないところなんです。ただ、こうして原子力を人類の福祉と発展のために開発利用するためには、一方では、やはりこれと並行して核兵器の全面的廃棄というこの努力を積極的になされなければならぬと思うのです。今までの核実験から、あるいはさらに製造、使用、貯蔵禁止の問題に対する日本政府の取り組み方、それから片方では、動力事情から、すみやかに動力炉も入れたいというこの行き方とが、私は現在ではびっこだと思うのです。ちぐはぐの関係にある。だから、平和的の利用にこれほど真剣に取り組むならば、それと同時に、やはり核兵器の全面禁止という線を、もう少し国連なりあるいはその他の国際的な会議で、こういう面を強く打ち出す努力をすべきじゃないか。それは米ソ両陣営の間において、まだまだ実験の禁止そのものでさえ協定に達しないのだから、なかなかそこまではむずかしいという事情はあっても、平和利用を積極的にやる半面には、やはりこの面についてももう少し日本は世界の世論に訴える努力をすべきではないかと思うのですが、この点についての所見を伺っておきたい。
○藤山国務大臣 日本として核物質の平和利用を進めていくということは、これは当然人類の福祉のために非常に必要だと思うのであります。そういう意味では、国際原子力機構を通じまして、できるだけ努力をして参るということが必要だと思います。御説のように、この原子力というものがいい意味において使われますれば、平和利用で非常に人類の幸福になるのでありますが、悪い意味に使われますと、非常に人類の悲惨な不幸になること御説の通りでありまして、従ってわれわれとして、ことに原子爆弾の洗礼を受けております日本としては、核実験の禁止から進んで、製造、保有、使用という問題について、熱意を持ってこれが禁止に努力をして参らなければならぬこと当然だと思います。ただ、国際情勢の中におきまして困難な問題ではありますけれども、しかし困難な問題があるといって、これは投げやりにするわけに参りませんので、われわれも今後そういう意味では努力をして参りたいと考えております。それを努力しますことが、一方では平和利用を有意義に促進するゆえんだとも考えておりますから、そういう意味の努力をして参りたいと存じております。
○松本(七)委員 今までの核兵器の全面的廃棄についての日本政府としての努力は、まだまだ足りなかったという点はお認めになるでしょうか。
○藤山国務大臣 足りなかったかということになりますと、われわれとしては最善の努力を尽してきたと申し上げるよりほかないと思うのでありますが、しかしながら、むろんわれわれ自分でやっておりますことでも、必ずしもすべてが満足なことをやっておるとも自慢だけはいたしませんし、われわれとしても、できるだけ有効的に、今後ともそれらの問題が一日も早く解決するように、さらに一そうの努力をしなければならぬということは承知をいたしております。
○松本(七)委員 そこで、国際原子力機関の問題ですが、この憲章の規定からいうと、小国であろうと大国であろうと、その大小を問わずこの機関の援助を受ける以上は、いかなる国も保障措置を受諾するという建前になっておるわけですが、今日の状態からすると、事実上は核兵器を所有しておる大国が後進諸国の原子力開発を監視する機関にこれが堕してしまいはしないか、この国際機関における大国の発言を見てみても、そういうおそれが多分にあるのです。そういうことを警戒する必要を感じられないかどうか。
○藤山国務大臣 核物質を持つ、ことに核兵器を持っているというような国が核科学におきまして優先的である、非常に進んでおるということは、これは申すまでもないことだと思うのであります。がしかし、それでは国際原子力機構の中でそれらの二、三の国だけがわがままをやるかということになりますと、今の国際民主主義の時代におきまして、だんだん小国の発言力というものも十分認められてきつつあるわけでありまして、従って、核兵器を持っていないあるいは核科学の実際に踏み出しておらぬようなところの発言力というものも、相当数においても多いわけであります。われわれとしては、それらの国々と手を組んで参りますれば、そう二、三の持っておる国だけの横暴を、この際国際原子力機構の中において発揮させることのないようにできるのではないか、こう考えております。
○松本(七)委員 その趣旨からして、この国際原子力機関の査察機構というものも、軍事面の査察にまで適用するというような方向に持っていくことが一番いいんじゃないかと思うのですけれども、そういう方面に努力をされるお考えはないでしょうか。
○藤山国務大臣 国際原子力機構というのは、御承知のように、平和に利用することを目的としてできておるわけであります。従って、その平和利用に使われているかということを、十分に国際原子力機構が目的を達成すれば、おのずから今お話のような点は、逆の面からいって消えていくのではないか、こう思います。
○松本(七)委員 それは平和利用というワクの中での半面、それじゃ非平和利用、つまり軍事的な利用をされておられないかという、チェックする役しかないわけです。軍事面において積極的に査察するというところまでこの国際機関における査察機構を充実していくということとはだいぶ開きがあるので、積極的にそこまで――今問題になっている世界の原子兵器の査察問題というのは、国際機関とは別個に考えておられるのです。ああいった軍事面の査察をこの国際原子力機構の中で確立する構想はどうかというのです。
○藤山国務大臣 国際原子力機構の中で軍備に関係する問題まで査察に出るか出ないかということは、国際原子力機構の運用の上で非常に大きな問題だと思います。従いまして、そういうような今の国際原子力機構が、その一翼をになうような状況が出てき得れば仕合せでありますけれども、そうでなければ、別個の査察機構というものが打ち立てられるということも一つの方法ではないかと思いまして、これについては、今後とくと研究したいと思っています。
○松本(七)委員 そういう空気を作る努力を日本がみずから、理事国なんだし、やっていただきたいということなんです。特にこの点は要望しておきます。
 そこで、免責条項並びに補償の問題ですが、大臣に伺う前に、ちょっと条文の解釈をはっきりさせておきたい点があるのです。この英国との協定の第八条の(2)の(a)項です。この前段は大体アメリカのあれと共通しておって一応わかるのですが、この後段のただし書きです。これはどれが主語なのか意味がさっぱりとれないのです。この意味をまずはっきり説明していただきたい。
○高橋(通)政府委員 ただいまお尋ねの点でございますが、いつも御指摘いただきます翻訳の点でございまして、この点われわれとしても常に非常に苦心するわけでございます。この八条の(2)の(a)の末段でございますが、これも実は非常に苦心の末、大体このような書き方というところで結論を得たのでございます。この原文自体も非常に複雑で、むずかしい書き方であったものでございますから、勢い翻訳もこのようになった、こういうわけでございます。
 これは、一口に申しますと、たとえば日本の公社が第三者に対して損害を与えたという場合、ことに第三者が英国の裁判所に提訴いたします場合に、もし英国の裁判所が英国政府または英国の公社の責任を認めて第三者に支払うということになりました場合には、日本側の公社が支払う。ところが、支払って、それでも十分の支払いがいかなかった場合には、残りの分は日本政府が持つ。すなわち、英国の政府には責任を負わさない、こういう規定でございます。
○松本(七)委員 これは訳文なり原文の主語がどうのこうのと言って、ここでやってもしようがないから省きますけれども、今意味を言われれば意味だけはよくわかる。ただ、そういうことがこの規定からどうひねっても出てこないのです。
 ところで、そうなりますと、要するに民間会社なり公社が支払う能力がない場合は、政府が肩がわりするんだ、こういうことですね。そうなりますと、第一に問題になるのは、免責条項のあること自体です。これはコールダーホール改良型に安全性があるかどうかということにも関連してくるのですが、この点は今外務大臣に繰り返して質問しても長くなりますから……。一応今までの答弁によっても、安全性はまだ確実でないという結論が出ておるわけです。このことは御承知だろうと申います。特に一般の風水害と違って、放射性物質による汚染というものがある以上、当然予想外の広範囲にわたる被害ということが考えられる。従って、日英協定交渉のときに英国側は、その被害が非常に膨大であるということと、その炉自身の安全性の確立ということから、免責条項をどうしても挿入しなければならぬという主張をなされたわけです。その点から考えてみても、これはたしか前国会の予算委員会だったと思いますが、岡委員が明らかにされたように、米国では特別立法のプライス・アンダーソン法というものがあって、民間の原子力災害補償負担額を六千五百万ドル、それをこえた場合には国家補償を五億ドルを限度にしてやると規定しておるわけです。ところが、この放射線障害に対する基準が、最近の国際放射線防御委員会の通告によって、従来の基準よりももっと厳密にされたのです。今までより三分の一に減らしておかなければ、遺伝的な障害が起るということがここで明らかにされた。こういうふうになってくると、国民が抱いておる動力炉に対する不安というものはますます増大してくるわけです。その不安をなくす意味からも補償の問題がさらに重要性を増してくるわけです。そういう事態にあるにかかわらず、どうして免責条項をのまなければならなかったかということが、依然としてわれわれは納得できない。外務大臣からもう少しこの点の説明をしていただきたい。
○藤山国務大臣 御承知のように、各国がこうした協定を作っておりますときに、現に、免責条項を持っておるわけでありまして、日本だけこうした条約を免責条項に作るというわけにはいかぬのが現状だと思います。従って、条約上の問題としては、必ずしも他に例がなくて、日本の条約だけに入っているという問題とは考えられないのであります。ただ問題は、今お一話のように、非常に重要な問題でありますし、それから広範に損害が起る問題でありますから、私どもは条約ができたということは、即コールダーホール炉を買うとか、あるいはどれを買うというような問題ではなくて、条約を作ってそれができたら、向うからも、買うようなことについてのいろいろな通報もよけいよいよ受けられるので、十分検討した上で、国内原子力行政の上でどういうふうな措置をとるかということが考えられるわけでありまして、そうした問題の調査をされる上においても、一応こうした原子力協定を作る方が便利だという立場からいいますれば、こういう協定を作る必要があるのではないかと私どもは考えるわけであります。従って、それらの問題をどうするかということになりますと、現実には、炉を買い入れる、それはコールダーホールであるかあるいは他の炉であるか、買い入れるというときには、やはり国内原子力行政の上からいって、そうした関係のいろいろな立法が考えられてくるのではないか、こういうふうに理解しております。
○松本(七)委員 今の政府の考え方自体も問題があると思うのですが、かりにそういう考え方に立ったとしても、免責条項というものを引き受けた以上は、やはり今度は災害が起った場合の補償ということは、十分態勢を整えておかなければならないと思う。この点を午前中も問題にして、大蔵大臣にも来ていただいたのですけれども、この点は閣議ではっきり、まあ民間あるいは公社で保険制度その他あらゆる努力をしてみても十分な補償ができないという場合には、国家が補償するというはっきりした原則を立てて、その金額がいかに膨大になろうとも、必ず国家が補償するという、どういう方法でやるかは今後研究するにしても、足りない分は国家がまるまる補償するのだということぐらいは少くともはっきり閣議できめて、そして免責条項をのむというならばまだわかるけれども、先ほどから大蔵大臣に聞いてみると、国家が責任をとらなければならぬという原則についてはわかるけれども、しからば足りない分を全部国家が補償するという確約はできないというのが今日の実情らしいのですね。そういう状態であるのに協定を結んだということになると、大蔵大臣の言うように、そういう程度でもこれはやむを得ないということで、承知の上でこれを結ばれたのか、あるいは大蔵省としても、足りない分はまるまる国家が補償するということについて異存がないのだ、大蔵大臣もそこは完全に了解しているのだという認識のもとにこれをやられたのか、そこのところがどうもはっきりしないのです。
○藤山国務大臣 この点については、条約がありまして、そういうようなものが買われる場合には、条約上からも、先方も最善の努力を払うということであります。日本側におきましても、原子炉等について最善の努力を払うことは、これは当然のことだと思います。そうして、できるだけそういう災害が未然に防げるように努力をしていくわけであります。ただ、今お話のように、これは条約が締結されまして批准されなければ、実際問題として国内補償の問題等について立案をしていくという過程にないと私どもは考えておるわけであります。従って、こういう条約ができれば、おそらく関係官庁としてはそうした問題について、今度は条約の上から考えていかれるのではないか、こう外務当局としては考えておるわけであります。
○松本(七)委員 大事な点は、今かりに協定ができた、いよいよ具体的になった場合に、それじゃ協約ができて炉も入ってくるということになりますね。そういう今申し上げたような問題が完全に解決しない上に災害が起った場合には、これは補償はできないという事態が生ずるわけなんです。だから、免責条項を引き受ける以上は、やはりその点のはっきりした見通しがなければ、これは引き受けられないじゃないか、その点は了解されるのでしょう。そうだとすれば、この大事な問題は、大蔵当局その他と十分話し合われて、そしてアメリカでさえ民間保険制度、あるいは民間会社だけでは負担できないような災害が予想されておるのだから、これはもう原子力の性質から、万一起った場合の災害というのは膨大なものになるということは、どこの国でも予想しておることなのだ。だから、その予想のもとに、わざわざ五億ドルというような国家補償のワクをアメリカでも作っておるくらいだから、日本もこの免責条項を引き受ける以上は、やはり、それだけの原則というものを確立して、そうして、はっきりそれはやるのだということを国民の前に明らかにしていただかなければ、一方原子力災害による被害というものがだんだん増大するということがいろいろな方面から明らかにされてくるし、危険は増大するわ、その補償の方はさっぱり具体的にははっきりされないということになれば、動力炉を入れる問題を契機にして、いよいよ国民の不安はつのるばかりだということになるので、その点がもう少しはっきり両者の間にできておるのかどうか。外務大臣はそれができるように期待するという今お言葉だけれども、それでは具体的にどういう形で大蔵大臣はこれを保証されておるのか、その点を明らかにされたい。
○藤山国務大臣 この条約を結びます前に、免責規定を入れて結ばれたということ自体は、やはり国内原子力行政の上におきまして、これらの問題を将来解決していくという予想のもとに入れられておるものと、また承知されたものと私は考えております。従って、その点の外務当局の立場としては、その状況のもとに条約を結んでおるわけでありまして、ただ、どういうふうにその免責条項の案を作るかというような問題については、おそらく今後の問題であろうかと思います。
○松本(七)委員 原子力委員会がこの炉の輸入交渉を認めたときには、安全性が確保され、経済的にも引き合うと認められればという条件付で交渉を認めたと聞いておるのですが、その点どうでしょうか。
○佐々木政府委員 先ほども岡先生の際に申し上げました通り、これは条約を結んだから必ず炉を買わなければいかぬという強制的な条約でも何でもないのでありまして、買うか買わないかという判定は日本側の自主的な考えできまる問題でございますので、原子力委員会としては、経済性なりあるいは安全性に対して十分慎重な検討を加えて、そうして、これでよしということになって初めて設置許可あるいは輸入許可をするわけでありますから、非常に慎重な意味合いにおきまして、炉を実際に導入する際は、今お話のありましたようないろいろな条件で十分検討しなさいというふうにきめてございます。
○松本(七)委員 もちろんこの協定を結んで買わなければならぬという義務を生ずるわけじゃないけれども、しかし、コールダーホール改良型を大体買う予想のもとにこの協定というものは結んでおるのでしょう。その点はもうはっきりしておることでしょう。
○佐々木政府委員 もちろんコールダーホール改良炉を入れますのを予想いたしましてこの協定を結んだことは事実でございますが、さらばといって、炉を入れることのみが唯一の目的かと申しますと、決してそうじゃないのであります。御承知のように、英国と日本とは非常にエネルギーの事情が似ておりまして、向うでは、思い切って天然ウラン・黒鉛・ガス形態の炉が非常に、世界でもここまで進んだことのないほどの進み方で、どんどん進んでおりますので、わが国が非常に技術的な面、あるいは情報的な面、あるいは訓練の面等で益するところが多いと思いまして、必ずしも炉を買わなければこの条約が意味がないというものじゃ決してないのであります。非常に益するところが多いのじゃなかろうか、従って、炉を購入するということを一つの目的として結んだことは事実でありますが、それにのみ限ったわけじゃございません。
○松本(七)委員 炉の購入以外の点におけるこの協定の意義がどこにあるかということは別として、とにかく炉を購入するためには、この協定を作らなければならぬということは事実なんです。そうなれば、この協定ができれば炉を購入する可能性ということも増大してくるわけです。そこで、炉を購入したときは、やはり災害ということも考えておかなければならぬ。また、協定ができれば、当然免責条項がある以上は、炉の購入を現実にして、そこで災害が起れば、日本側がこの責任を持たなければならないということも明らかなんだ。従って、協定を結ぶことの意義が炉を購入する以外にかりにあるとして、炉を購入するという現実の事態を予想して、これを審議しなければならないのですから、そういう意味から、この免責条項を含んだ協定を結ぶ以上は、やはり国家補償ということをもっとはっきりさせなければ、国民の不安というものは消えないのではないか、こういう意味から、先ほどから外務大臣に質問しておる。それで、朝の大蔵大臣の答弁では、その点については、国家に何らかの責任があるということは感ずるけれども、それでは民間や公社で、あるいは保険制度その他で補償した足りない分は国家でまるまるやれるかといえば、ここではっきりやれるとは言えないというのが大蔵大臣の答弁なんです。そういう大蔵省側の態度を御承知の上でこの協定を結ばれたのか、それとも大蔵省としてはまるまるやってくれるものだ、了解ができておるという確信のもとにやられたのか、その点をもう少しはっきり外務大臣から答弁していただきたい。
○藤山国務大臣 まるまるやるか、やらないかという問題でありますけれども、これはこの協定を作りまして、免責条項が入っております以上は、何らかの形でもってそういう国内の行政措置というものを考えていかなければならぬということは、当然大蔵当局も考えておられると思います。ただ、それをどういう形でもって作っていくか、それは民間の保険機構その他の負担だけで済むものか、あるいはそれに対してどうした形でもってやっていくかということは、これからの大蔵省なり、あるいは原子力委員会なり、その他の原子力行政に関連した国内問題として取り上げられてくる問題だと思うのであります。そういうことを前提にして、われわれとしては、大蔵当局も、原子力委員会も、この条項を規定して、そうして進めてもらいたいということであったわけでありますから、そういう了承のもとに進めておったわけであります。
○松本(七)委員 これが非常に大事な切実な問題であるのにかかわらず、大蔵省が果してそれだけの心組みがあるかどうかということについて、非常な不安がある。この被害というものも単なる物的な被害じゃないのだ、心身に及ぼす被害というものは非常に広範囲にわたるのだ、これはその当人だけじゃないと思うのです。子孫にも及ぶような被害なんですから、それを考えれば、その補償をしようといえば、それは膨大な財政支出になるわけです。だから金を出す方からいえば、慎重にならざるを得ないのは当然だと思うのです。それだけになおさら、こういう重要な免責条項を含んだ協定を結ぶに当っては、その点をよほどはっきり政府の基本方針として確立してからでなければ、これは引き受けてみたが、いざ災害が起って補償するということになったら、大蔵当局としては十分な補償もできないというような事態になれば、この責任は一体どこへ持っていきますか。そういう点を考えれば、私はこの点が非常にルーズになされておると言わざるを得ないのです。これはまだ質問しなければならぬ点がたくさんあるのですが、時間がありませんから、少し先に進みます。
 次は査察の問題ですが、査察権が米国だけに握られておるという点については、せめてこれは対等に、もし査察しないならば、米国とユーラトムとの間のように、お互いに自分の内部のことは自分で査察する。相手国の査察はお互いにしないというなら、これもまた平等な立場で一つの行き方だろうと思う。ところが、日米の場合は、アメリカが自国の平和利用も査察するし、日本における査察権もアメリカが持っておるということでは、これは全く不平等条約の典型だと言わざるを得ないのです。この点について、今後そういうふうな不平等条約のもとに日本の原子力の発展がなされるとなれば、まずこの協定において、日本はアメリカに原子力産業その他が牛耳られるという従属的な関係がここに打ち立てられる結果になるのじゃないかと思いますが、外務大臣の所見を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 現状において、アメリカがこうした協定を結びます場合に、査察をいたしますことはやむを得ぬことじゃないかと思います。それは、アメリカ自身がこれだけのものを出すわけであります。しかし、将来にわたりますれば、国際原子力平和機構が動きまして、そうして、その査察の問題等はできるだけ原子力機構に肩がわりしていくことが適当であろうと思うのでありまして、そうした点については、われわれも努力して参りたいと思っております。
○松本(七)委員 それはもらっておるから当然だという言い方ですが、それじゃ米国が査察権を独占しておるということが、日本の主権の侵害にはならないとお考えですか。主権の侵害にはなるが、もらっておる以上は、ある程度侵害されても仕方がないというお考えですか、どちらですか。
○藤山国務大臣 事務当局の方からよく御説明いたさせます。
○北原政府委員 この査察の問題に関しましては、私どもといたしましては、両協定に入っております規定は、日本の原子力基本法並びに国際原子力機関憲章の十二条の査察の精神にのっとったものと考えております。ただいま御指摘のユーラトムにおいては、査察をユーラトムのその当事国の人が行い得るという点でございますが、この規定もしさいに検討いたしますと、やはりある意味での米国との関連が入っております。たとえば、査察の方法につきましては、絶えず意見を交換し、絶えず協議する。やはり間接的には米国の査察方法に関する意向を十分取り入れるという規定になっておりますので、この点一応日米協定におきましては、アメリカの手によって査察を行う、しかし、日本が立ち合いを要求する場合には、それを必ず受けなければならない。その上にこの査察の制度に関しましては、でき得る限り早く日米間に協議を開始いたしまして、国際原子力機関にこれを移譲するということになっておりますので、私どもといたしましては、すでに九月二十四日のウイーンの理事会におきまして、この原子力機関の平和利用に関します国連原子力機構の査察部を拡張いたしまして、実際的な仕事を至急開始するようにこれを申し入れております。それによりまして、現に原子力機関の方におきましても、先日も岡委員から御説明いただきましたが、少くとも一年以内には、この査察機構は動くだろうという見通しになっております。他方、この協議は、日本側からこれを申し入れました場合には、アメリカは必ず受けなければならないという規定になっておりますので、この点現実に日本においても、実際の査察を行います場合には、必ずや国際原子力機構の手によって行われるのではないかというふうに考えております。
○松本(七)委員 国際原子力機関では査察の問題が相当論議されているのだから、そういうときに、今おっしゃるように、将来は国際機関でやれるように持っていきたい、こういう趣旨なら、なおさらそういう大事な時期に日本みずからがこの査察権を捨てるような協定を結ぶということは、国際機関の方にそういうものを持っていこうとしておる張本人がみずから査察権を捨てるような結果になりはしませんか。
○北原政府委員 この点は、捨てると申しますよりも、現状におきまして、やはり査察を行うということの必要性は、国際原子力機関憲章の十二条の規定でもはっきり基本的規定として認められておるわけですが、原子力機関の方の仕事は、現状においてまだ開始いたしておりませんので、その現状においては、過渡的な措置として、この査察の技術的面におきまして、一応先進国であるアメリカが査察を行うということは、過渡的に見てやむを得ないことじゃないかと考えております。
○松本(七)委員 それじゃ当座はこれが主権侵害になるけれども、しばらくの間はやむを得ない、こういう建前でこれをのんだというふうに理解していいのですか。
○北原政府委員 この問題は、主権侵害の問題とは、性質が異なるのではないかと考えております。現に査察の対象は協定に明記されておりますし、それから査察を通じまして、査察の目的は単にこれが軍事的利用に利用され得るやいなやという点に限定されておりますし、査察の過程において日本の商業的な特許権等が漏れるような危険は絶対にないように保護措置がございますし、そういう意味で主権侵害とは申せないというふうに考えております。
○松本(七)委員 日米の協定第九条B五項ですか、それから日英の十一条二項、この規定によって、保障措置に関連して一方的廃棄権を米英両国が持っておるが、この点は不当じゃないですか。
○北原政府委員 規定上はあたかも一方的なように、受け取れるきらいがあるようでございますが、規定にも明記しておりますように、何らかの違反行為があったと認められる場合には、両国直ちに協議するということになっておりまして、その協議の結果話し合いがまとまらないで、しかも相当期間経過した場合には廃棄することもできるということになっておりますので、現実には必ずやその協議の段階においてこの問題は解決されるというふうに考えております。
○松本(七)委員 先ほどから御説明にもあったように、保障措置は国際原子力機関に移譲するという規定で、また政府もそういうふうな努力をするというその方針は私はけっこうなことだと思うのですが、ただ、この国際原子力機関は、世界の原子力資源というものと技術をこの国際機関にプールして、後進諸国における原子力研究、開発を促進するというのが本来の使命なんです。従って、保障措置というような消極面での努力よりも、そういった積極的な面についての努力が少し閑却されているのではないかというふうに考えるのですが、この点は大臣いかがですか。
○藤山国務大臣 国際原子力機構は、発足以来まだ日がたっておりませんし、いろいろな機構整備をやっておりますので、現状において必ずしもまだ満足な運営というわけには参らぬと思います。しかし、ただいまお話のありましたように、平和的に原子力を利用するということが人類の幸福のためであって、しかもそれは過去の動力資源と申しますか、熱資源と申しますか、そうしたものにわずらわされていない後進国で経済的にこういうものが成り立つならば、なるべく早くそうした国国が採用することが望ましいことなのであります。既存の動力資源その他を持っておりますところは、それらに投資されましたものの償却というような問題もありますが、新しい国ではそういうこともないのでありますから、従って経済的に引き合うような状況になって参りますれば、国際原子力機構としては、積極的にやはり後進国開発にこういうものを利用していくということは、私は非常に必要なことだと考えておりますので、日本も理事国としてそういう面については積極的に努力すべきだ、そう考えております。
○松本(七)委員 ウラン資源は、ほとんど輸入に依存しなければならぬでしょうが、当分の間はこれが続くだろうと思うのですけれども、今後の継続的な供給という面についての確実な見通しは、外務省としてはどういうふうに立てておられるか。
○佐々木政府委員 ウラン燃料は、御承知のように、二つございまして、天然ウランと濃縮ウランとございます。天然ウランに関しましては、これは将来ともだんだん供給面に世界的にも余力が出てくるのではなかろうかという感じもいたしますし、もちろん協定自体にも輸出量をギャランティしておりますので、その継続的な供給を、受けることは間違いないと思います。濃縮ウランの方は、これは御承知のように製造国が非常に限られておりまして、なかなかこの供給を受けるのはむずかしいのでありますけれども、そのためにこういう協定でもってそれを出してもよろしいということになっておりますから、私どもといたしましては、必要な濃縮ウランは末長く確保できるものと考えております。
○松本(七)委員 IAEAの物資供給者としての能力はどうなんですか。いつごろからこれがフルに活動し得るでしょうか。
○北原政府委員 国際原子力機構といたしましては、発足以来これまでの間、これに燃料供給を申し出ました国は、米、英、ソ、カナダ、ベルギー、ポルトガル、南アフリカということになっております。そのうち米国、ソ連、英国等はすでに原子力機関との間に燃料供給に関します協定を作ったわけでございますが、その提供されましたものを今度受け入れる国が、原子力機関との間に受け入れ協定を作りまして、それでやっと現実に動くわけでございます。日本が三トンの天然ウランの受け入れを申し出まして、その後小委員会ができまして、大体関係国が八カ国寄りまして、その受け入れ協定の作成に従事いたしております。現在の見通しでは、一月の理事会におきまして、この受け入れ協定の大体の必要なと申しますか、基本的な考え方がまとまりまして、それによってその後現実に物が動くという段階に進むものと考えております。
○松本(七)委員 外務大臣はアジア外交ということを最初から唱えられておったのですが、原子力の資源は、アジアには相当豊富にあると言われているのですが、アジアにおける原子力資源の開発に日本が積極的に協力するということが、やはり今後非常に重要な要素になってくるのではないかと思う。この点について外務大臣として特に御所信のようなものがありましたら、お聞きしたいと思います。
○藤山国務大臣 お話のように、アジアの後進国が原子力を持つことが必要だと思っておりますし、またアジアにおきます天然ウランその他の資源の開発ということは、これはアジアに非常に必要なことであると同時に、世界的にも平和利用であれば必要だと思うのであります。そういう問題につきましては、日本としても積極的に努力を今後して参りたい。それがまたアジアの生活を助けるゆえんでもあろうかと思います。若干、資源調査というような問題について、ただいま進めるような方法をとりつつあるところでございます。
○松本(七)委員 結局この問題は、この協定は平和利用における査察権が一方的であるということと、それから免責条項が協定の中にある、しかもその免責条項を受け入れながら、国家補償ということが何ら確実に約束されておらぬ、予定されておらぬというところが一番大きな欠陥だろうと思う。そこでその点から考えると、やはりこの予定されておるコールダーホール改良型の特に安全性と経済性ということが当然大きく問題となってくるわけです。けさほども岡委員からずいぶんこの点についていろいろ御質問があったのですが、どうも納得のいく説明もないし、また資料が非常に不足しているように思うのです。一体どの程度の安全性なりあるいは経済性についてデータを日本側が持っておるのか。先ほど私は大屋さんにもちょっと伺ったのですけれども、大屋さんは産業会議ということで、むしろああいった資料は発電会社あるいは研究所あたりで幾らか持っているんじゃないかと思うのです。早い話が、安全諮問委員会のアメリカのマッカロー委員長ですか、彼の言っておるところでも、どうしてもマイナスの温度係数を持つことが望ましいということを強調しておる。現在実験炉でもほとんどがマイナスであって、プラスのもので動いておるのはほとんどない状態である。定常運転時にプラスのものはないはずなんですが、ましてやこれが動力炉でプラスになるものということになれば、危険性は非常に増大する。それだから、さっき大屋さんも言われたように、コントロールが問題になるわけでございます。ところが、そのコントロールの仕方については、果してどの程度のデータがそれじゃ日本にもたらされておるかということについては、さっぱりわからないのです。だから、これは水車とは違うけれども、とにかくコントロールすればいいんだというようなことではいけない。問題はコントロールの内容で、それがどの程度試験された実験のデータがあるかということを、もう少し詳細に御説明していただかないと、安全の基準というものを一体どこに置くのかということがわからい。その点をもう少し明確にしていただきたい。
○法貴説明員 繰り返して申し上げますが、安全の問題に関しましては、最初コールダーホール改良型の話が出たのが三十一年の五月であったと思いますが、それ以来常に検討が重ねられておりまして、安全性ばかりではございませんが、特に安全性に重点を置いて、二回も調査団が行っておりますし、それから文献その他も相当たくさん出ております。それを一々申し上げるのは大へんですが、原子力委員会では、特に安全性の問題に重点を置きまして、三十一年の八月でございましたか、夏以来、動力炉専門部会というのを置きまして、相当の専門家にお集まりいただいて、十分検討をしております。たとえば、一例を申し上げますと、先ほどから制御装置がどの程度にわかっておるかというお話でございますけれども、制御装置に関しましては、比較的コールダーホールの炉に関しての制御装置の詳細は、やはり三十一年の十一月にイギリスで原子力の会議があったときに、設計者のAEIのガリブというチーフ・エンジニアの発表した詳しい論文がございます。そのほか改良型の新しい型のものについても、相当詳細な論文が幾つかございます。その上に、ただいま原電に取りつけておりますテンダーには、私はまだ見ておりませんが、もっと詳細な設計書が出ておるわけでございます。そしてその大体の仕組みは、たとえば温度計からどういうふうな順序で制御計にいって、どういうメカニズムで制御棒が動くかというようなことは、相当詳細にわかっております。またそれが全然特殊な装置じゃなくて、普通に行われる自動制御の技術でございますから、これは専門家が見れば大体の検討はつくわけでございます。そういう点で、安全性に関する範囲内だけでも、ジュネーヴ会議において十何編論文があるというようなことを先ほど申しましたが、そのほかたくさんの文献、資料もございまして、原子力委員会でも、安全性だけについての一冊のパンフレットができております。詳細はいつでも御説明に上りたいと思います。以上大体の状況を申し上げます。
○松本(七)委員 そのデータを、日本の場合にはどこで研究するのですか。今あなたの指摘されたような安全性についてのデータを、どこで集めてどこで研究するのか。
○法貴説明員 ただいま大臣からもお話がございましたように、原子炉安全審査専門部会というのが原子力委員会に置かれておりまして、そこには各方面のこの問題に関連した専門家を、二十二、三名集めて検討するような仕組みになっております。そこでその見積時に出てきた資料に基きまして、おそらく原電が申請書を出すことに、つまり内閣総理大臣に申請書を出すわけでございますが、その申請書の安全性に関する検討は、その専門部会にまずゆだねられる、そういう順序になるわけでございます。
○松本(七)委員 要するに、これから研究しようというわけでしょう。あなたもまだ資料を見ておらないし、これから研究しようということなんです。そういったふうに、午前中も問題になったように、そのコンティナーをとってみても、やはりフランスのもつけているし、スエーデンでは地下でやっているし、ジュネーヴ会議でも、イギリスだけがこれをやっておらないというようなことでずいぶん問題になったこともあるというような状態、それから今言うように、日本の側ではこれから研究グループでも作って、一つ研究しようかというような状態ですから、イギリスばかり対象にしないで、――午前中にも申しましたように、たとえばアメリカあたりでは、安全性ということを非常にステディに考えている。そのアメリカとイギリスの違いは、いろいろ原因はあろうけれども、とにかくアメリカは非常に安全性ということについては厳重に考えている現状なんです。ですから、こういう点ではもう少し米国の考え方なりやり方を、十分調査することも必要じゃないかと思うのです。ただ、売り込んできているコールダーホール改良型のセールスマンの方からの説明とか資料というようなことばかりじゃなしに、やはりアメリカのような、イギリスよりも、安全性について非常に厳格に考えている国の実情の調査だとか、あるいは向うから人を呼んで、そして共同して検討するとか、そういうふうな検討の仕方が必要だろうと思うのですけれども、政府としてそういう調査をされたことがあるのかどうか、また今後そういう御意図があるのかどうか、その点を伺います。
○佐々木政府委員 政府から何べんも調査団が出まして、いろいろ調査した点は、もちろん経済性の問題もありますけれども、事原子炉に関する限りは、何と申しても安全性の問題が一番中心でございますので、英国炉のみならず、米国炉に関しても、カナダ炉に関しても、集め得る限りの資料を集めて検討しつつございます。
○松本(七)委員 これもけさちょっと問題になったのですが、岡さんから問題になりましたデュークの六月のスエーデンにおける演説、燃焼が二千五百ないし三千メガワット以下の場合の保障の問題、これは経済性、つまりコストと重要な関係が出てくると思います。高く温度が上ってよく燃えれば、それだけコスト、プルトニウムのあれは安くなるのだから、燃えの悪いときの値段が高く、温度が上るにつれて下ってくるわけです。それが、最近イギリス側から言ってきたのによると、このデュークの演説と違って、下り方がこういうカーブをしないで、ずっとこう下ってきているように向うから言ってきているというのですが、この点何か情報を得られておりますか。
○法貴説明員 私まだデュークの演説との比較をやっておりませんが、先ほども申しましたように、その資料というのは、向うからの一議案が原電に送られてきておるということで、まだ正式に検討されたものではございません。そういう点に関しましては、十分向うと折衝いたしまして、そういう点を詰めていくわけでございます。ですから、五百メガワット・デーのときの買い戻し値段が幾らになるかということは、まだ確定しておらないのでございます。十分今後検討しなければならぬ問題であると考えております。
○松本(七)委員 そうすると、経済性は検討できないということですか。
○法貴説明員 三千メガワット・デーというものを基準にして検討するわけでございます。われわれとしては、三千メガワット・デーまでいき得るということまで確信しておるわけでございまして、五百メガワット・デーまでいったときの値段というものは、何も燃焼率が保障し得ないからということだけではなくて、御存じのように、五百メガワット・デーと三千メガワット・デーとでは、プルトニウムの性質が相当違います。プルトニウムの二四〇というのが燃焼率に伴ってどんどんふえて参りますから、プルトニウムの価格そのものが急に燃焼率とともに安くなるわけでございまして、極端にいいますと、三千メガワット・デーを燃やしたのでは原爆としては使えないから、それで五百メガワット・デーにして取り出すというようなところまで推察されるわけでございます。従いまして、その値段というのは、おもにプルトニウムの質が悪化するために、三千メガワット・デーまでいくと安くなる。逆に三千メガワット・デーを標準にすれば、五百メガワット・デーなら高く買い戻すということが非常に大きな要素になっておるわけでございまして、そういう一応の表はあるのでございますけれども、われわれとしては、それだからメガワット・デーが三千まで出ないというふうには考えておりません。
○松本(七)委員 しかし三千メガワット・デーまでいったデータというものはまだないわけでしょう、まだ千三百までしかいっていないんだから。そうでしょう。
○法貴説明員 それは実際の経験はございません。しかし、非常に膨大な研究を進めておりまして、おもに治金学的な問題になるわけでございますが、研究室における研究の結果と、それから千三百までコールダーで燃やした実績等で、それを二倍か三倍、――二倍半くらいまで延ばせばいいわけでございますから、その程度の推測は技術的につき得る、そういう見解でございます。
○松本(七)委員 そうすると、そのデータは、五百メガワットで優秀なプルトニウムを日本から向うに売り渡すということもあり得るという、それを予想してのデータですか、その値段をきめているというのは。
○佐々木政府委員 お言葉を返すようで非常に恐縮でございますが、燃焼率の問題は、御承知のように経済性の問題に非常にからむ問題でございますけれども、温度係数の問題は安全性の問題を主とした問題でございまして、ただいまお話にあります燃焼率を、五百とか三千とかいうのはどういう意味かと申しますと、一トンのウランでどのくらいの出力を出せるかという燃料の能力の問題にかかってくるわけでございます。従いまして、燃料そのものといたしましては、発電から見ますと、できるだけこれでもってよけい――同じ一トンでありますが、よけい発電できるように、出力が出るようにするのが一番経済的なわけでございます。そのプルトニウムの問題は、使用済み燃料を再処理いたしまして、プルトニウムというものを取り出すわけでございます。ですから、燃焼する率そのものとは関係ないわけでございますけれども、それではどういう関係を持つかと申しますと、法貴次長からお話がありましたように、燃焼をわずかした場合には非常に優秀なプルトニウムがとれまして、長く燃焼いたしますと、プルトニウムの二四〇というのが入ってきまして、いわゆる核兵器等に使う質としては非常に落ちてくる、こういうふうな意味でございます。
○松本(七)委員 そのほかに今度は、今言うように、燃料そのものの原因で燃焼の悪い場合、それから午前中問題になった設計によるあれ、いずれに原因があるかというような問題も出てくると思います。それをどこがきめるかというような問題、いろいろ出てくると思うのですが、時間もありませんから、そういう点は省いておきたいと思います。ただ、経済性というものを考える場合には、今の燃焼率の保障という問題のほかに、これは安全性と関連するわけですけれども、日本の場合は特に耐震構造ということが問題になる。この設備に一体どのくらいの資本増加額を要するかというようなことも、これは当然計算しておかなければならぬ。この点はどうなんですか。
○法貴説明員 耐震設計につきましては相当技術的に吟味が加えられまして、この程度に設計すれば、大体今まで歴史上あった程度の地震に対しては大丈夫であろうという専門学者の意見もまとまっておるわけでございますが、その程度の設計にいたしまして、見積りの点はちょっと私から申し上げにくいのですけれども、原子炉の建設費にしまして、原子炉部分だけとりましたならば、数%ぐらいの見当ではなかろうか、そう考えております。
○松本(七)委員 その耐震構造だけで……。
○法貴説明員 そうでございます。
○松本(七)委員 それから自動制御装置はどのくらいかかるのですか。
○法貴説明員 それは、プライス・リストの検討は、まだ全然プライ・リストを開いておりませんので、そこまでこまかいお話はいたしかねます。
○松本(七)委員 これは約五%ぐらいかかるのじゃないかという説もあるのですけれども、とにかく非常にそういった点不確定要素が多いわけです。そうすると、経済性を云々しようというけれども、原子力委員会では、安全性と経済性ということを確実にして交渉せいという条件付でこれは交渉に入ったのですが、その安全性も不確定、経済性に至ってはいよいよ不確定要素が多いわけです。一体どうやって経済性ということをあれするかということになると、これはまだほかにたくさんあるわけです。たとえば、第三者補償のための保険料、これなどもある程度見積りは出ておらなければならぬと思うのです。そういう点はどうでしょうか。それから使用済みの燃料、それを返戻する場合に、これはやはり相当金がかかるこれは相当な荷作り費その他がかかるし、またこれの保険料もかかる。そういうものの計算というのはどの程度できているのか。
○佐々木政府委員 午前中も申し上げましたように、最終的なディテールにわたる検討は、ただいま英国の三つのグループからテンダーをもらいまして、そのテンダーの検討の際に行われるわけであります。そのテンダーは先ほど御説明いたしましたように、初めに価格を開いて見ますと、どうしても技術的な安全面等に対する検討がおろそかになりはしないかということで、価格の面は全部密封いたしまして、金庫の中にそのまましまってあります。そうして、最後に、技術的に安全な面がこれで確実だということになりまして、今度は価格の面に入って、詳細な検討に入りたい、こういうふうな手順でただいま進めてございます。従いまして、最終的な一つの部品々々までにらみ合せましたコストは今後の検討にまたなければなりませんが、ただいままで私ども検討しておりましたのは、英国から、普通考えられている、たとえば英国の燃料公社なりあるいは各メーカー・グループのいわゆるテンダーという形式じゃなしに、一般に公表できるていのものを中心にいたしまして、そうして検討を加えておったわけでございます。ただいまお話の、その中でコントローラーがどのくらいの値段を占めるかといったような問題になりますと、これは設計によってみんな変って参りますので、そういった点は、先ほど申しましたように、深い検討に待たぬと何とも申し上げかねるというふうに法貴次長からお話ししたのであります。さればといって、決してこれをデータも何もなしに価格の問題を当てずっぽうでやったというふうに言われては困りますので、そういった点、できるだけ詳細に検討してございます。
 それから、第二段の保険料の問題でございますが、普通の火力ではほとんどゼロのような見方でございますけれども、私ども今まで試算いたしました、午前中申し上げました一キロワット四円五十銭から七十銭というような範囲のときには、大体五十億円として資本費の〇・五%程度考えております。
○松本(七)委員 全然でたらめではないにしても、経済性の点になると、不確定要素が非常に多いということだけはお認めになると思うのです。そうなると、原子力発電会社というのは、御承知のように各電力会社が出資してできておる。そうして、将来動力炉を入れてやり出してみたが、経済性において予想以上に不利な条件が出てきたとすれば、これは当然原子力発電会社というものが赤字になれば、そのしりぬぐいは出資者である電力会社が負わなければならぬことになってくる。そうなると、電力の料金そのものにも響いてくるだろうと思うのです。そういう関係が直接出てきますから、やはりこういった新しいものを実行しようとすれば、これは経済性をあんまり云々されたのではやれない。そんなことならやめてしまえという意見になるかもしれません。新しいものをやる以上は、ある程度そういった経済性、また極端にいえば、安全性さえもある程度は犠牲にしてでもやらなければ、こういう新しいものはできないと言ってしまえばそれまでです。しかし、国民生活ということから考えてくれば、安全性というものをできるだけ十分に考慮して、そうして、そういった電力会社がしりぬぐいしなければならぬといったような事態を食いとめなければならないということは、当然考えなければならぬ点です。ですから、この経済性ということを私は原子力委員会も非常に大きく取り上げているだろうと思うのです。この点で、私どもは安全性並びに経済性の御説明は非常に不十分だと思います。審議期間の短かい今日ですから、これ以上突き進んだあれはいたしませんけれども、なお今後十分これらについての資料を整備されて、私どもは、この結末はどうなるかとは関係なしに、将来の安全性、経済性を確保するために、なお続けて審議しなければなりませんので、そういう資料について十分整備をしていただきたいことを要望して、質問を終ります。
○櫻内委員長 帆足君。――帆足君にちょっとお願いしますが、予算委員会から藤山外務大臣の出席の要求があります。
○帆足委員 ごくわずかな時間です。また採決が行われますし、与党の議員の方も多数御臨席になっておりますので、御迷惑をかけては悪いと思いますから……。
 一つは、きょう午前中、原子力産業会議副議長の大屋さんにもお尋ねしたのですが、イギリス、アメリカと並んで、ソビエトの原子力研究の状況並びにソビエトにおける原子力発電の状況などを御研究なさることも必要ではないかという質問をしたところが、その方面についてはほとんど知識を持たれていないようでございました。そこで、外務大臣にお尋ねいたしますが、原子力と、ミサイルと人工衛星の時代ですから、戦争はあり得べきことでございませんし、平和共存の時代ですから、やはりソビエトの原子力のことも研究しておく必要があると思いますが、政府においては、ソビエトにおける原子力発電のことについて御研究をなさっておられるか、または今まで適当な人を派遣して御調査になったことがあるか、お尋ねしたいと思います。
○佐々木政府委員 ソ連の原子力事情に関しましては、ジュネーヴ会議等を通じました資料以外には、公式の資料は持っておりません。だれか政府の正式な派遣として参ったことがあるかというお問いでございますけれども、これは今までございません。
○帆足委員 まことにだらしのないことだと思います。今、行ってくれないという話がありましたが、これも私は行ったんであります。鉄のカーテンよりも、無知のカーテン、無学のカーテンというものほどおそろしいものはないと思います。現にわが党の志村君は、原子力発電所に行ってきたのです。これは原子力委員会の諸君の御了解も得て参ったのであります。従いまして、ソ連の原子力発電は世界最初にできましたし、この面では非常に進歩しておるということを聞いております。従いまして、やはり虚心たんかいにこれを研究しておく必要が他山の石としてもありますし、将来国交がさらに一歩前進しました場合には、技術導入についての話し合いもできる余地がありますが、そういうやはり広大なる度量をもって御研究なさる必要があろうと思います。でないと、人工衛星が出て、やがて月世界などに行かれて、あとで腰を抜かすということでは見苦しいことだと思います。アメリカの一億トンの鉄に腰を抜かして、無条件降伏したことが一回あったということは、あまり名誉なことではないと思いますけれども、また同じようにけつの穴の小さいことで、この同じ失敗をいたすことはばからしいことでありますので、私はこれに対しましては、ソ連の原子力発電の実情を調査するために適当な調査団を派遣したらどうかと思うのです。先方の方でそれはけっこうなことだという場合には、外務省当局はこれを御賛成なさる意思があるかどうか、承わっておきたいと思います。
○藤山国務大臣 ソ連が広大な気持を持って、われわれに原子力発電を教えてくれるならば、日本は当然喜んで参ると思います。
○帆足委員 そうすると、使節団を迎えるといいますようなときには、外務省はもちろん御賛成でございましょうか。
○藤山国務大臣 むろん、ソ連が原子力発電所を調査または研究してよろしいということであれば、それに行かないという理由は私はないのではないかと思います。
○帆足委員 了承いたしました。(「質問が抽象的だ。」と呼ぶ者あり)ただいまの質問の仕方が具体的でないという声もありますけれども、人類は抽象的なことを考える能力を持っておるのが特徴であります。吉田さんは、仮定のことに対しては答えないと言いましたけれども、仮定のことに対して答える能力を持っておるのが、サルと人間との違いですから、一つよくお含み願いたい。
 もう一つは、実は私ども議員団といたしまして、北村徳太郎氏を団長として、保守党では辻君とか菊池さん、久野さん、福井さん、その他相当数の方と一緒に二十名近く、国会議員として、ソ連の国会を訪問したことがあるのです。その後幾つかの使節団がいろいろな形でモスクワを訪問いたしましたが、私どもは北村団長のお供をいたしまして、保守、革新超党派的に、二十名近くの議員がモスクワを訪問いたしまして、フルシチョフに会いました。そのときは鳩山さんがちょうど講和会議を開く前でありましたから、フルシチョフ首相に対して、その辺の政府側の意向も心得て――和衷協力して、超党派的に平和のための友好使節を派遣したことがあるわけです。それに対しまして、こちら側だけがいつも向うへ呼ばれることは、いわゆる招待外交にただ花を持たすだけであって、モスクワでごちそうになるばかりでは恥かしい。ですから今度は東京に呼んで、保守党のすぐれた方々とも懇談していただいて、日本にはかくもりっぱな政治家の各位がおられるし、日本の産業の水準はアジアにおいて抜群のものであるということなども、ソビエトの国会議員に理解していただくことは、私は先日申し上げましたように、今次の天皇陛下の御詔勅にも沿うゆえんでありますから、一つ経費のことは別問題にしまして――経費は全額向うで出すというようなことでもありますれば、こっちは多少の歓迎の準備をすればいいのでありますから、両方互恵平等でないと、呼ばれるだけでは私は恥かしいことだと思います。従いまして、先方から国会議員団を招待するというようなことにつきまして、外務大臣はもちろん御同感でありましょうけれども、一つお気持だけでも聞かせておいていただきたい。
○藤山国務大臣 ソ連とは友好関係を持っておりますので、両国の交流につきましてはできるだけ円満にいくように努力して参りたいと思っております。
○帆足委員 まことに良識ある御答弁ですが、最後に、東大学長の茅さんを中心とした学術使節団がソビエトに参りまして、原子力発電所のことも視察して参ったわけでありますが、一体そういう報告などは聞いておられないかどうか、それからもう一つは、日本は特に密集地帯ですから、原子炉を置くときの考慮は、アメリカ等に比べて一そう慎重でなくてはならぬことは、同僚各位も御同感だと思います。英国の発電所で故障がありまして、新聞報道によりますと、関東地方一帯に及ぶくらいの広さの放射能の被害があったと伝えておりましたが、それにつきましては後ほど一つ資料をいただきたい。
 それから最後に、将来原子力発電所が設置されまして、三百万キロワットもできるくらいの設備になりますと、そこでできる放射能の灰だけでも、五千トンの原爆の放射能に匹敵するくらいの死の灰ができるといわれております。そこに爆弾でも投げられますと、原爆を投じなくとも、原爆を投下したと同じような災害を、すなわち原爆と同じような犠牲をこうむる災害を誘発する基地になるおそれもあります。従いまして、発電所を置くとなれば、一そう平和というものがいかに重要なものであるかということに政府は一段と心を砕いていただいて、沖繩問題に対して腰をふらふらさせたりなさらないように、日本の安全ということについて、ひとしお心を入れていただきたいということを要望いたしまして、質問を終ります。
○佐々木政府委員 一番初めの、茅東大総長たちが前にソビエトに参りました際の視察報告は、十分に聞いてございます。それから前の藤岡委員がまだ原子力委員になる前に、やはりソ連に会議がありまして、向うの発電試験炉と申しますか、これをつぶさに視察いたしました話も聞いてございます。
 それから第二番目のウィンズケールの資料でございますが、これは資料が十分ございますので、後ほどお届けいたしたいと思います。
○櫻内委員長 田中委員に申し上げますが、総理は会議のため御出席ができかねますので、他日に譲りたいと思います。
 三件について他に質疑はありませんか。――質疑がなければ、これにて三件に対する質疑は終了いたしました。
 次に討論に入ります。討論の通告がありますので、順次これを許します。
 岡良一君。
○岡委員 私は日本社会党を代表いたしまして、この三協定に対しまして、遺憾ながら反対の意思を表明いたしたいと存じます。
 私ども日本社会党が、この三協定に反対をするのは、決して原子力発電に反対するのでもなければ、原子力の研究開発を妨げようとするのでもありません。むしろこの協定に賛成をすることによって、日本の正しい原子力の発展が妨げられるという確信を持っておるからであります。従いまして、私どもの反対の理由はまず第一に、この協定を取り急いで結ぶということは、日本の原子力外交の正しい路線から逸脱をするおそれがあるということ。第二点といたしまして、このことは、国内的に、日本の原子力開発の正しい道筋をこれまたはずれる危険があるということ。同時に、この条約の協定の内容について見ますと、われわれとしては納得しがたい不平等な諸点があるということ。第四番目には、この協定を国会に提示しながら、これに伴う必要な国内措置、あるいはもろもろの技術的検討というものに、何ら責任ある検討が行われておらないということであります。これではわれわれも、国会の立場において、国民にこの協定を納得せしめるわけには参らないのであります。この四点で私どもは反対をいたすのでありますが、内容についてはそれぞれ松本委員等より詳細に申し述べましたので、私は以下簡単にこれが反対の項目について説明をいたしたいと存じます。
 まず国際的にこの協定を取り結ぶことが、日本の正しい原子力外交のあり方から見て逸脱しておる。なぜかと申しますと、すでに政府当局も認めておられるように、この協定はわずかな暫定期間の問題であって、国際原子力機関との協定に肩がわりができるということを言っておられる。事実われわれが調査いたしましても、国際原子力機関は、濃縮ウランについても天然ウランについても、あるいはウラン精鉱についても、相当量の保有をなし得る条件を持っております。あるいは査察についても、一カ年以内に査察班を編成し得るということを責任者が言明しております。そうなりますならば、特にわが国は国際原子力機関の理事国でありますから、その運営に責任を持っておるでありまして、その立場から、当然日本といたしますならば、一年や二年は待っても、国際原子力機関の機能を強力にする、その方向の中に日本の原子力外交というものを進めていくというのが最も肝心な路線でなければならないと存じます。そういう意味において、われわれは今直ちに米英両国との協定を取り結ぶということは、日本が国際原子力機関の理事国たるところのみずからの責任というものを忘れた行き方ではなかろうかと申し上げたのでございます。政府はしばしば、あるいは国連中心に、あるいは自由主義諸国との協調、またアジア、アフリカ諸国の一員であるという自覚のもとにと申されますが、現にこの原子力外交の場においては、これらの外交の三原則というものの矛盾がはっきりと露呈されておるのであります。むしろこのような原子力外交というものの推進は、東西両陣営の対立を激化する危険さえあることは、先般九月の国際原子力機関総会におけるユーラトムとアメリカとの協定が論議の種になったあの教訓的事実をもってしても明らかに指摘し得ると存ずるのであります。そのような意味合いにおいて、私どもはこの協定を取り結ぶことはあくまでも反対する。国際原子力機関の強化充実の中に日本の原子力外交の本道を求めていくという方向を、ぜひとるべきであると存ずるのであります。
 次には、この協定を取り結ぶことによって、国内における原子力の開発というものが大きな障害を受けるのではないかということであります。今日わざわざおいでをいただいた学界方面の御意見を通じても、この点は明らかであろうと存じます。政府はあたかも英国の産業グループのセールスマンのごとくに、英国側が提示するところのもろもろの資料をもって唯一のたてとして、そうしてたとえば、原子力発電は実用段階にあると申されます。しかし、これは決して国際的に公正妥当な意見としては認められておりません。現に先ほども申しましたように、英国は原子力発電の経済性は五年後に判明すると申されておる。アメリカでは十年後に経済性ははっきりするであろうと申しております。現に最近の英国の新聞は、英国において三千メガワット・デー・パー・トンの熱出力を持つ原子力発電計画、この計画は、英国の国防省の要請によってプルトニウムを生産する兼用炉に設計がえが要求されておるような始末であります。してみれば、もはや三千メガワット・デー・パー・トンという原子力発電は、今日どこにも行われてはおらない。ただ解析数字の上において安全が証明されておるのにすぎない。にもかかわらず、実用段階に入っておるから、この協定を通じてわれわれもできるだけ早く原子力発電を行いたい、これはすでに原子力委員会が昨年十二月発表された原子力発電の長期計画にも明らかであります。このような形においてわれわれが外国の研究の成果というものを、その結果だげを取り入れるということが、いかに日本の科学技術の進歩を妨げたかということをわれわれは過去に身にしみて思っておるのであります。現在でも、特許料やノー・ハウの使用のために四十億、七十億、百十億、百五十億という実に莫大な外資を払ってただいたずらに外国の進歩したところの技術に依存する。しかし、原子力の分野は、決してそうあってはなるまいと存じます。科学の多くの分野にまたがり、その一つ一つを深く掘り下げながら、基礎的な研究を大きく積み上げながら、そこに最終の成果を求めていくという実に新しい、しかも非常に総合的な科学体系でございまするので、今ここで外国の新しい――ただ実用化に名をかって動力炉を導入しようとするような愚は、日本の原子力開発のためには決してとるべき道ではないと思うのでございます。
 第三点といたしまして、条約の平等性の問題でありまするが、申し上げるまでもなく、たとえば保障条項において、大国である米英は、われわれの数回繰り返しての原水爆実験禁止の抗議にもかかわらず、彼らはどんどん実験を強行しておる。そうしてほんのわずかな原料をよこし、情報を渡し、また資材や施設を引き渡しながら、わが国に対しては厳重な査察を要求してくる。してみれば、原子力の平和利用のために双方が協力をしようという協定であるならば、わが方も相手方に引き渡すところのプルトニウムの平和利用については、協定で彼らが約束するならば、当然査察権を行使して、両国の共同責任においてプルトニウムの平和利用を確保するということは、平等なる主権国家としての当然の要求でなければなりません。ところが、この措置が何らとられておらない。しかも、なぜとらないかということについての政府側の御答弁に至っては、まことにさたの限りと申さねばなりません。こういう意味において、この条約の不平等性は、この一点に集約されて現われているということを言わなければならないのでございます。
 同時に先ほども指摘しましたように、国内措置、この協定の批准を国会に求められるならば、その裏ずけとなるところの国内措置についても、政府としては明快なる立法措置なり予算措置なりというものがなければならないと存ずるのであります。ところが、これについての担当大臣の御答弁はきわめて不明瞭であり、無責任であります。現に免責条項を通じて、核燃料要素の事故に基く災害、しかも交渉の過程においては、この燃料要素の事故に基く災害はきわめて重大な結果をもたらすかもしれないという相手方の言い分をのんで、この免責条項を承認しておられる。このような不安全な燃料要素を受け入れ、これを燃やして、その動力炉から万一事故が発生をいたしまして、これが重大な災害を及ぼしましても、ことごとくわが方の責任である。その損害の賠償は全部日本国政府が負うのであるということを国と国の約束としてはっきり明記されまする以上は、当然国内においてもこの国家補償の大原則というものを具体的にこの協定と同時に国民の前に明らかに示してもらわねばなるまいと存ずるのであります。この点が何ら明快になっておりません。
 こういうような点におきまして、私どもは、この三協定に対しては遺憾ながら反対の意を表さなければならないのでございまするが、この機会にあわせて政府当局に若干の希望を申し添えておきたいと思います。
 それは反対の理由に関連をすることではありまするが、先ほども申しましたように、日本の原子力の研究開発の推進というものは、一方においては原子力の産業を育てようとする方向に、一方においては基礎研究の分野を充実しようとする方向に、従って原子力産業会議と学術会議の二頭立ての馬車を政府は御者としてうまくあやつっていかなければ、ほんとうに正しい安定した軌道の上に日本の原子力の研究開発は進まないのでございます。ところが、学術会議の原子力問題特別委員会においては、すでにこの協定は時期尚早であるという結論を出しておる。にもかかわらず、この際これらの意見というものを押し切って協定に賛成をし、協定の成立をはかるということになりますると、二頭立ての場車は一頭立ての馬車に乗りかえられるということになるのであります。そういうことになりますれば、当然原子力の研究開発という世紀の重大な問題というものが、単なる産業界の利益のために駆使されるということになったのでは、われわれとしてはまことに忍びがたいのでございまするので、ぜひ今後原子力政策においては、学術会議のまじめな意欲に燃えた若い科学者の意見と同時に、またわが国に自主的な原子力産業を開発しようというこの二つの意図を調整しながら、調和しながら、日本の原子力の開発のレールをはっきりと敷いていただかねばならないと存ずるのであります。
 同時にまた、私は特に外務大臣に強く希望いたしたいのでありますが、本年三月の本会議の席上においても、外務大臣は、アジアにおける原子力の共同態勢、協力態勢を明言しておられます。すでに国際原子力機関の責任者は、低開発国であるアジア・アフリカ諸国が、もし具体的に協力のプログラムを作って提出するならば、好意的に優先的に善処しようという約束をしております。エジプトなりインドなり、国際原子力機関の理事国であるこれらの原子力委員会も、日本の国会の科学技術振興委員会がアジアの協力態勢確立について決議をいたしましたその決議文を、双手を上げて歓迎をしておるのであります。このような形でユーラトムができ、米ソがどんどん原子力の研究開発において進んでおるとき、このままに放置するならば、アジア・アフリカの立ちおくれはきわめて明瞭でございます。インドなりエジプトなり、こうして原子炉を今にも設置しようとし、また現に運転しておる国々の原子力委員会も、日本の世話によってアジアにおける原子力の試験なり研究なり施設なりについての協力態勢を強く願っておるのでありますが、ぜひともこの点について、今後の原子力外交の重点的な方向として、具体的に措置せられんことをお願いいたしたいのでございます。
 なお、私は反対をいたしまするが、それにかわって対案を申し上げたいのであります。現在日本が予定しておるところの原子力の研究開発の態勢というものは、研究協定の改正をすれば、十分に必要な資材と情報は入り得ると存ずるのであります。この協定は、六月の十六日に締結をされております。その前日には、スエーデンは第二回目のアメリカとの研究協定の改正をやって、濃縮ウラン六キログラムが二十キログラムになり、第二次の改定においては二百キログラムの濃縮ウランを入手することができることに改定をしておる。あるいは九〇%の高濃縮ウランにしても、プルトニウムにしても、研究協定の改定によって、スエーデンもドイツもアメリカから入手しておる。従って、われわれは研究協定の改定によって、日本の基礎研究に関する必要なる資材なり原料なり情報は十分に入り得るものと存ずるのであります。しかもまたこの基礎研究の充実と強化こそが、日本の原子力研究開発にとって、今日最も大事な当面の急務であることを感ずるにつけましても、このような協定によっていたずらにこれを急がれるということは、日本の原子力研究開発の将来のためにもとらないのでございます。
 以上申し上げまして、わが日本社会党は、この三協定に反対の意を表明いたすものでございます。(拍手)
○櫻内委員長 床次徳二君。
○床次委員 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております原子力平和利用の日英、日米協定並びに日米の議定書に承認すべきことに対して、賛成の意を表するものであります。
 原子力の平和的利用は、わが国のエネルギー問題の解決にとって不可欠の重要事であるばかりでなく、アイソトープの利用等を通じて、わが国の産業、経済の発展、国民福祉の向上にきわめて貢献するところが多いのは、申すまでもございません。
 しかるところ、わが国原子力平和利用は、今やようやく基盤研究の深化と同時に、その基礎の上に実用化への歩を進める段階に至りました。おくれて出発いたしましたわが国といたしましては、この分野における国際的協力が必要不可欠なものであることは、御承知の通りであります。従って、この立場で、今回米英に対して協定が行われたことに対して、賛成をするものであります。
 なお、英国につきましては、わが国と同国とはエネルギー資源問題の観点から言いますれば、非常に事情がよく似ておる点もあり、また同国の実用原子力発電、特に天然ウラン型炉における技術と経験は、他の追随を許さないものがあるのでありますが、この方面における英国技術の導入は、本協定の締結を待って初めて可能となるものであり、この意味からしまして、日英一般協定の締結はまことに時宜を得たものと考えるのであります。
 なお、アメリカにつきましては、従来の原子力研究協定における研究炉の段階の協力方式からさらに歩を進めて、動力炉の研究開発のための協力を必要とする段階となっておるのであります。この協定により、同国の特に力を入れている濃縮ウラン型動力炉その他の技術が導入されることになることは、わが国のこの方面における研究開発にまことに喜ぶべきことであると存じます。
 しこうして、日米議定書におきましては、これによりまして、わが国民一般のひとしく希望しておりました返還プルトニウムの平和的利用の点につきまして、米国側の協定上明文による確約を取りつけることができたのであります。これによりまして、国民の多数が抱いておりました懸念も、また社会党の諸君が反対いたしておりました理由の大部分も、すでに解消いたしたものであります。
 なお、英国に対しましては、いわゆる免責条項につきまして問題があったのでありますが、右につきましても十分な検討の結果、これを認めて差しつかえなしとの結論に達した次第であります。
 以上の諸点を考慮いたしまして、これら日英、日米間の二協定及び議定書の締結の必要性と意義を認めるものであります。
 なお、この際特に政府に対して注意、要望いたしたい点を申し上げてみたいと思います。この日英、日米協定によりまして導入されるべき動力炉、特に伝えられるところのコールダーホール改良型発電炉につきましては、その安全性その他の点につき特に慎重に検討を加えて、十分の確信を得た上で初めて実施面に移されるよう特に希望いたしますとともに、また協定上のいわゆる免責条項に関連いたします核燃料管理方式の問題につきましても、さきに政府部内において意見の一致を見たところに従い、十分善処せられんことを要望する次第であります。
 以上をもちまして、原子力に関する日英、日米原子力二協定並びに日米議定書の承認に賛成の意を表する次第であります。
○櫻内委員長 これにて討論は終局いたしました。
 次に、採決いたします。原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、及び、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、以上三件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○櫻内委員長 起立多数。よって、三件は承認すべきものと決しました。
 なお、三件に関する委員会の報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○櫻内委員長 御異議なければ、さよう取り計らいます。
 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後三時五十四分散会