第030回国会 地方行政委員会 第2号
昭和三十三年十月七日(火曜日)
    午前十時四十三分開議
 出席委員
   委員長 鈴木 善幸君
   理事 亀山 孝一君 理事 渡海元三郎君
   理事 丹羽喬四郎君 理事 吉田 重延君
   理事 川村 継義君 理事 中井徳次郎君
   理事 門司  亮君
      相川 勝六君    天野 光晴君
      飯塚 定輔君    金子 岩三君
      津島 文治君    中島 茂喜君
      太田 一夫君    加賀田 進君
      佐野 憲治君    阪上安太郎君
      下平 正一君    矢尾喜三郎君
      安井 吉典君
 出席政府委員
        警  視  監
        (警察庁警備局
        長)      江口 俊男君
        自治政務次官  黒金 泰美君
        総理府事務官
        (自治庁財政局
        長)      奧野 誠亮君
 委員外の出席者
        議     員 中井徳次郎君
        専  門  員 圓地與四松君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 委員派遣承認申請に関する件
 新市町村建設促進法の一部を改正する法律案(
 内閣提出第二三号)
 地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する
 法律案(中井徳次郎君外十名提出、第二十九回
 国会衆法第四号)
 地方自治及び地方財政に関する件
 警察に関する件
     ――――◇―――――
○鈴木委員長 これより会議を開きます。
 まず委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。今般の二十二号台風被害による地方財政に及ぼせる状況調査のため、委員を派遣いたしたいと存じます。これがため議長にその旨承認申請いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    [「異議なし」と呼ぶ者あり]
○鈴木委員長 御異議ないものと認めましてそのように決しました。なお、派遣委員の数、その選定並びに派遣地及び期間、その他議長に対する承認申請の手続等につきましては、すべて委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○鈴木委員長 次に、去る一日付託されました新市町村建設促進法の一部を改正する法律案を議題として、政府より趣旨の説明を求めます。黒金政務次官。
    ―――――――――――――
○黒金政府委員 新市町村建設促進法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容の概略を御説明申し上げます。
 昭和二十八年十月に町村合併促進法が施行されまして、全国的に町村の合併が進められて参りましてから今日までちょうど満五年を経過いたしておりますが、幸いにして一般の理解と協力によりまして、きわめて顕著な成果をあげることができたのであります。すなわち昭和二十八年九月末日当時約九千八百を数えました全国の市町村が、本年十月一日現在では約三千六百市町村と、おおむね三分の一に減少し、その間に約二千四百の新市町村が誕生を見たのであります。これは、国が当初計画いたしました合併の計画に基く減少予定の町村数に対しまして実に一〇三%に当り、また、都道府県の計画に対しましても九三%の進捗率を示しておるのでありまして、今や大勢、町村合併の促進から新市町村の建設に大きく転換をはかるべき段階に立ち至ったと思われます。従いまして、未処理の町村合併問題につきましては、すみやかに終止符を打つことが当面の急務であり、このためには今なお残存しておる約五百の未合併町村の最終的な取扱い方針を決定することが必要であると考えられます。
 これら未合併町村の実情を検討いたしますと、あるいは従来の合併計画に調整を加えて合併を行うことが必要であると思われますもの、あるいは合併勧告後における各般の事情の変更によりまして、合併を推進することが必ずしも妥当とは認めがたいものなど、さまざまの態様があるのでありまして、この際合併勧告後の実情に即して合併計画を再検討すべきものであると認められるのであります。このように全国各都道府県における知事の合併勧告の対象となっております市町村の実態に即して、合併問題を円滑かつ急速に解決いたしますために、この際、新市町村建設促進法の一部を改正いたしたいと存ずるのであります。
 以下、改正法案の内容につきましてその概要を申し上げます。
 第一は都道府県知事が昨年三月末日までに内閣総理大臣に協議して策定いたし、勧告いたしました合併計画につきまして、計画策定後の事情の変更等の理由によって、従来の合併計画を調整する必要があるものにつきましては、明昭和三十四年三月三十一日までの間に、計画の変更ができるようにしようとするものであります。
 第二には、合併計画の変更に伴って市町村の境界変更に関する争論が万一発生いたしました場合におきましては、同じく明昭和三十四年三月三十一日までの間に、従来認められている町村合併調整委員のあっせんまたは調停の制度によってこれが解決をはかることができるようにしようとするものであります。
 第三は、新市町村が他の市町村と町村合併をした場合に、当該町村合併によって設置せられ、または他の市町村の区域の全部または一部を編入した市町村についても、新市町村としての取扱いを認めることができるようにしようとするものであります。
 以上が、新市町村建設促進法の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○鈴木委員長 次に、去る九月二十九日付託になりました中井徳次郎君外十名提出にかかる地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案は前国会よりの継続議案でありますが、会期もかわりましたので、あらためて提出者より趣旨の説明を求めることにいたします。中井徳次郎君。
    ―――――――――――――
○中井徳次郎君 ただいま議題となりました地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 本案は、ただいま委員長の言葉の中にありました通り、継続審議のものになっております。地方財政再建促進特別措置法が施行せられましてから三年有余になりますが、その後の経過を見ますると、その間に、赤字の地方団体が再建について相当努力をしておられるということ、あるいはまたいわゆる神武景気と言われまする昭和三十一年度におきまして経済界の好況がございましたこと、それから第三といたしまして不十分ではありましたが、地方団体に対する財源の措置がここ一、二年とられてきましたこと。大体そういう三つの原因によりまして、その後の状況の変化が相当ございましたのと、本法の施行の経過にかんがみますると、この法律につきましては、歳入が計画を上回った場合には一体どういう措置でいくかというふうなことまでは規定をされておりません。従いまして、たとえば歳入増になった場合の措置等につきましても、政府はどうやるかというふうなことは一切行政措置にまかされておるというふうなことでございます。また実際の運営を見ておりますると、この法案の審議の過程におきまして、私どもが議論をいたしまして、また政府から答弁がありました内容以上に、実は相当峻厳に過ぎるような行為が多いのであります。
 一例を申し上げますると、赤字団体に対する職員の給与表の改訂問題等は、実は政府と赤字団体との間に一応話の片がついたようでありまして、赤字団体側がせっかく議会の議決を経たものをさらに再議決をやるというふうなことになっておりまするが、その後、政府の方におかれまして一般国家公務員の給与表の改訂が行われました結果、おそらく来年でありましょうが、通常国会等におきましてこの改正案が出るということになりますると、赤字団体の間で非常な問題になっておりまする給与表の問題等が、わずか半年くらいの間のことでありまして、解消するというふうな、非常にこまかいことにまで政府が干渉しまして、そして地方自治がその点において相当制約を受けておる、こういうことでありまするので、こういう状況の変化にかんがみまして、再建団体の自治権を守るとともに、国の責任をさらに明確にしていこうじゃないかというのでありまして、これが大体本法案を提案する大筋でございます。
 その内容について、継続審議でありまするから簡単に申し上げまするが、第一点、再建計画と予算の調整との関連でございます。現在では予算の調整は必ず厳格に再建計画に従ってやらねばならないというようになっております。もとより趣旨はそうでありますが、そうこまかいところまで重箱のすみをほじくるようなことをしなくてもいいのではないかというふうなわれわれの考え方であります。従って、そういうふうに再建計画に従ってやるように努めなければならぬというような表現に改めたいというのであります。
 第二点は、利子補給の問題であります。原案が議会に提出されました当時、当委員会におきましても、利子補給につきましては五分以内ということでありました。しかし実際は、せいぜい五分に近づけるようにしたいということでございましたが、現実の事態を見ますると、こまかく政令で五分以内というのを規制をいたしまして、現実には、五分まるまるの補給をしておるというような事態は非常に少い。これは議会における審議の精神に反すると思いまするので、私どもは、再建債の利子負担の重圧を緩和するためにも、政令で定める基準によるという項を削除する、こういうことが必要な措置ではないかと考えております。
 第三点は、財政状態の好転によりまして、再建団体としてではなく、自主的に再建ができる、こういうものも続々出ております。その場合には、これまでは再建債の償還を一ぺんにやって初めて再建団体という認定を免れる、こういう形になっておりますが、その場合におきましても、再建債の償還につきましては、直ちに繰り上げ償還をするということではなくして、これまでの既定の計画によって年次的に償還をする、こういう道を開いてやる必要がある。この点は、各地方団体からも相当強い要望があるのでございます。
 この三つの点を改めようというのが本法案のおもなる内容であります。何とぞ慎重に御審議のほどをお願いする次第でございます。
○鈴木委員長 両案の趣旨説明は終りました。質疑は次会に譲ることにいたします。
    ―――――――――――――
○鈴木委員長 次に、地方自治及び地方財政に関する件並びに警察に関する件について調査を進めます。
 この際、今般の二十二号台風による被害状況について、まず警察庁当局より報告を求め、次に自治庁よりその対策について説明を求めることにいたします。
 それでは、まず警察庁江口警備局長より報告を求めます。
○川村委員 ちょっとその前にお願いがあるのです。ただいま新市町村建設促進法の一部改正の提案理由の説明がありましたが、できたら資料をいただきたいのであります。そちらの方でいろいろ整っておる資料もあると思いますけれども、私、今ここで思いついてぜひお願いしたいことは、約五百にも上るという残存の未合併町村に関する実態調査とでもいいますか、たとえば合併計画に調整を加えてやったらできるというような見解のものもありましょうし、これはどうしても調整をやり直さなければいかぬというところもありましょうし、あるいはもうこれは全然問題にならぬから独立でやらしておかなければしょうがないというような町村もあるかと思いますが、それを自治庁としてどういうふうに把握せられますか、その残存の部分について、できるだけの資料を一ついただきたいと思うのです。
 それからいま一つは、新市町村建設促進法の制定以来、国が新市町村建設について財政的な援助をしましたその項目、金額、そういうものを一つ詳細に資料ができたらいただきたいと思います。
 そのほかこの一部改正に伴って、これはもうほとんど新市町村の建設については最終的な段階だと考えてもいいんじゃないかと思いますから、当局において必要な資料を一つぜひいただきたいと思います。
○鈴木委員長 ただいま川村委員より御要求がありました資料は、新市町村建設促進法の一部を改正する法律案の審議上きわめて必要なるものと考えますので、当局において、できるだけ資料の御提出を願います。江口政府委員。
○江口政府委員 去る九月二十六日及び二十七日にわたりまして、本土を襲いました台風第二十二号の被害につきまして、簡単に御報告を申し上げます。
 第二十二号台風による被害は、御承知のように非常に広い範囲にわたっておりまして、東京、神奈川、静岡などを初めとし、三都一道二十七県にわたって被害があったのでありますが、これをまず最初に全国的な総数を申し上げまして、さらに特色のある面につきましては、後ほどこれもまた簡単な概要を申し上げたいと思うのであります。
 まず全国の総計を申し上げますが、これはお手元にも資料を配付いたしておりますので、詳しくは後ほどごらんをいただきたいと思いまするが、非常に大きな被害をもたらしておるのであります。なお、静岡県の被害につきましては、今もって調査中の面がたくさんございまして、現在行方不明という欄に載っておりますのが、将来は続々と死者の方に加わっていくものと推測いたされまするので、死者の数が相当ふえて、従って行方不明はだんだん減っていくということになろうと思います。
 まず人的被害から申し上げますと、死者は、昨日現在におきまして、八百二十六人に上っております。負傷者が九百七十四名、行方不明が四百四十一名というのが昨日までの数字でございます。
 次に建造物の被害でございますが、全壊家屋が千二百十四戸、半壊が二千三十三戸、流失が八百二十四戸ということに相なっております。なお床上侵水が十三万二千百五十三戸、床下に至りますと、三十八万九千四百八十八戸の多きに上っておるわけでございます。
 さらに田畑の被害あるいは道路の決壊という面につきまして、警察としましては一つの型がございまして、その報告を調査した数字が御配付いたしておりまする資料の通りでございまするけれども、この点につきましては、あるいは関係各省から出て参りまする被害の調査と相当の食い違いがあるかと考えます。また警察としましては、被害のありました当初に調べました数字から、その後におきましてはこういう面につきましては必ずしもふえて参らないので、あるいは農林省等の資料を御信用といいますか、ごらんをいただいて、彼此御判断をいただきたい、こういうふうに思うのであります。
 なお、ただいま申し上げました人的被害あるいは家屋の被害等につきまして、多少詳細に主要なる都県につき概況を申し上げますと、大体次の通りになるものと思うのであります。
 まず第一に、東京都におきましては、死者三十名を出しておりますが、これは倒壊家屋の下敷きとなりました者を初めとし、次にはがけくずれ、感電というような原因で死人を出しておるのであります。次に負傷者は四十八名で、これもがけくずれや倒壊家屋の下敷きになったというのが大部分でございます。次に行方不明が十二名、全壊家屋が八十一、半壊が五十四、流失が十七、床上浸水が七万六千戸というような被害が東京都についての大要でございます。
 次に神奈川県につきましては、死者九十四名を出したのでありますが、神奈川につきましては、いつもそうであると聞いておりますが、非常にがけくずれが多いのでございまして、この九十四名も主としてがけくずれによる死亡でございます。負傷者の百三十三名は、がけくずれもありましょうけれども、倒壊家屋の下敷きになった者が多く、次に飛散物によるということに相なっております。行方不明が十二名、全壊家屋が二百七十九、半壊が二百五十、床上浸水が一万五千四百六十四戸ということに相なっております。
 次に静岡県でございますが、これは御承知のように、今回の台風による最も大きな被害を受けましたところでございまして、現在までわかっております死者が六百五十七名、これは狩野川の濁流にのまれた者を初めとし、倒壊家屋の下敷きになった者等でございます。その以外に、静岡県としましては伊東、下田に相当の死者を出したのでございます。負傷者は六百七十一名でありますが、これは倒壊家屋の下敷きになった者等でありますけれども、特にこの負傷者のうち半数以上の者が伊東市において発生いたしておるという点を注目いたしてもらいたいと思うのでございます。行方不明が三百八十一名、これはやはり狩野川の関係でございます。この分が大部分死者として六百五十七名に加わるものと考えられるのであります。全壊家屋が二百七十八、半壊家屋が六百十二、流失が七百十七、床上浸水が七千八百五十ということに相なっておるのであります。
 次に埼玉県において、死者一名を初めとする多少の被害、茨城県において死者五名を初めとする被害、福島県において死者八名を初めとする被害、青森県におきまして死者三名を初めとする被害、こういうのが今回の第二十二号台風による全国的な被害の大要でございます。
 次に、今回の被害状況から見ました特徴のある点はどうであるかという点でございますが、今回の台風二十二号は、その規模におきまして中心示度が八百八十ミリバール、また最大風速が七十五メートルにも及んだという戦後におきまする最大のものだといわれておるのでありますが、その後、本土に接近するに従いまして多少は勢力も弱まって参りましたけれども、上陸寸前におきまして、それでも中心示度九百五十ミリバール、瞬間最大風速が五十メートルというような相当な偉力を持ったものであり、かつ特色として非常に多くの雨量を伴っておったという点でございます。ちなみに、東京都内におきましては平均四百ミリも降っております。静岡県の湯ケ島におきましては、二十五日から六日にかけまして五百八十ミリも降ったということであります。神奈川県芦ノ湯で三百六十ミリ、群馬県の赤城山で二百二十五ミリ、栃木県の黒部で三百五十二ミリ、青森県の八甲田山で二百四十七ミリというふうに、局地的な豪雨を伴ったということのために、この雨による被害が各地に続発した点に特色があると思うのであります。特に注目いたされまする点は、この雨による被害が特に中小河川のはんらんという形で現われたというのが一つの特色でございます。すなわち、静岡県の狩野川のはんらんによりまする大仁町ほか一市三町五村にわたって被害を初めといたしまして、東京都下におきましても、呑川のはんらんによりまする浸水及び流出、神奈川県におきましても、鶴見川及び支流のはんらんによる被害、埼玉県におきましても、芝川のはんらんによりまする川口市全市にわたりまする浸水というような事態、茨城県の七瀬川のはんらんによりまする鉾田町の浸水、福島県の新田川のはんらんによりまする相馬市内の浸水及び家屋の流失、岩手県の久慈川のはんらんによりまする久慈町内の浸水及び流失というふうに、中小河川が急激に増水しまして、計画流量をはかるに上回りましたために、随所に堤防決壊や溢水が発生いたしたという点が、今回の台風の特色であろうかと考えております。また、雨が多かったため、ことに瞬間的に局地的に雨が多かったというようなことのために、当然がけくずれが従来の台風に比しまして非常に各地に発生しまして、そのための人的被害が多かったことは、先ほども申し上げた通りでございますが、たとえば神奈川県におきまして、横浜市やその周辺だけでも七百六十一のがけくずれを生じております。東京都内でも四百三十七というような多くの個所においてがけくずれを生じ、千葉県三百六、宮城県百四十三、福島県百六というふうに、がけくずれの多かった点も今回の台風の被害の特色であろうかと私たちの方では見ておるのであります。先ほども申しましたように、なおこのうちには、静岡県伊豆地方におきまする被害の状況がさらに日を追うに従って増していくであろうということをつけ加えまして、概要の御報告といたします。
○鈴木委員長 自治庁の奥野財政局長より、今般の災害対策についての説明を求めます。奥野財政局長。
○奧野政府委員 昨日で、土木、農業、港湾、学校、漁港等、いわゆる公共災害につきまして、府県から関係各省に報告のありました額を集計いたしますと、七百十八億円ということになっております。現実に査定されました結果幾らになるかわかりませんが、かりに、七割程度にとどまるといたしましても、五百億円という大きな金額になるわけであります。ここ数年の災害発生額から見て参りますと、三十年は二百二十一億円、三十一年は二百億円、三十二年は二百五十四億円というようなことでありましたので、ことにことしの災害は、その意味で大きな額だということになるわけであります。こういうようなことから二十二号台風の災害は、特に公共災害の額は、府県からの報告でありますと、一県の額が三十億円をこえているような府県に対しまして、地方交付税の決定額のうちでまだ交付いたしておりません額を、その程度に応じまして六十二億円繰り上げて交付いたしたわけであります。なお、災害復旧につきましては、国の方の補正予算の問題も考えられておるわけでありますが、同時に、地方債につきましても増額をしなければならない、こういうような考え方でおるわけであります。補正予算決定の際には、同時に地方債の増額の問題も決定できるように政府部内の話し合いをいたしておる最中であります。御参考に申し上げますと、現年度災害に対します地方債は、公共災害で二十億円、単独災害で十五億円、合計三十五億円を予定いたしておるわけであります。しかし、この場合の発生額は大体二百五十億円から三百億円程度の予想でこの金額を予定しているわけであります。ところが、先ほど申し上げましたように、被害額が非常に大きな金額に上って参っておりますので、それに応じまして地方債の額も増額したい、こう存じているわけであります。なお各団体の財政措置といたしましては、今後特別交付税の決定の問題もございますので、この特別交付税と地方債と合せて運用することによりまして、各団体の状況に応じた措置がとれますように善処いたしたい、かように考えております。
○鈴木委員長 ただいまの警察庁及び自治庁当局よりの台風二十二号の災害報告に対する御質疑があれば、この際許します。
○中井(徳)委員 ちょっと奥野君にお尋ねするが、今の説明は一応わかりますが、大体災害対策として補正予算を組むとして、地方債だけにたよっておるということは非常に問題があるのじゃないか。現在の府県、市町村の赤字の大きな要素として災害復旧費というものがあるわけですが、自治庁の大蔵省に対する折衝において、そういう地方債と特別交付税ということだけでは片づかないから、やはり突破口を自治庁としてはこの際見つけるべきではないかと私は思うのです。これだけの赤字で苦しんでいるのに、その場でおさめていくという考え方――これは歴史的な話をするのですけれども、災害をその年でやらないというのは、昭和十二年ですか、昭和八年ですか、神戸の災害が最初で、大蔵省が考え出したことで、三年間、そうしてこのごろは三・五・二というようなことをやっていますが、そういうことをやっているようなことは、長い目で見ると、金利の問題で負担になる。戦後と言わさぬということ、このことについては基本的な議論があるけれども、もうこの際、私は方向転換をすべき絶好の機会じゃないか、こういうふうに思うのですが、自治庁の見解はどうですか。政務次官もおられるが、補正予算を組むということになれば、これまでは建設省だとか、厚生省関係とかいうことだろうけれども、それはやはり直轄工事とかなんとかいうことに重点が置かれるのか、どういうことでしょうか。それからそれとの関連で、災害関係の起債については、金利は全部政府負担になっていましたか。その辺のことを一つこの際、おさらいの意味でもありますが、政府の現在やっておられる状況、同時にそういう意慾があるかないか、一つお尋ねしたいと思います。
○奧野政府委員 災害復興に要します経費を国と地方とでどう負担し合うかということにつきましては、多年いろいろな問題がございまして、ある場合には全部国で負担したこともございますし、ある場合には地方団体は、災害の規模いかんを問わず定率で負担した場合もございます。現在は、災害の土木災につきましては、災害の当該団体の税収入と比較いたしました規模で、三分の二を最低にして、ある一定の金額をこえますと国が全額を持つ、こういうような仕組みをとっているわけであります。農業災害等につきましても、それぞれの国の負担割合を今日では明らかにして参ってきておるわけであります。要するに災害復旧につきましては、それぞれの災害の種類によって違いますが、国と地方団体とが責任を分ち合っていくというようなことで進んでおるのでございますが、その場合に、現年災につきましては、さしあたり地方債のめんどうを百パーセント見ていく。そうすることによって財政的に当該団体が至急に必要な措置をとり得るようにしよう、こういう配慮をいたして参ってきておるわけでございます。同時に、その地方債の元利償還分につきましては、公共災害については九五%を基準財政需要額に算入するという方式によりまして、その元利償還額は、後年度におきましても補償を国においてしていくというやり方をして参っております。単独災害につきまして、今年度からその三割分だけを公共災害債の元利償還費並みの扱いをするというようなことになって参ったわけでございます。そういう意味で、国の負担に属します部分については国の補正予算で組まれるわけでありますけれども、地方団体の負担分については、個々の団体についてやはりさしあたり地方債で穴埋めをしていくという従来の行き方でよろしいんじゃないか、こういう考え方を持っておるわけであります。災害復旧につきましての資金は、御指摘の通り、従来からも全額政府資金でまかなってきておりましたし、今回もそういうような措置をしなければならないと思います。
 災害復旧の速度をできる限り早くするということは、建設関係の能率も非常に進んで参ってきておりますので、私たちも、なるべく早くすべきものだ、こういうふうに考えております。ただ、戦後の混乱時期におきましては、五年も六年もかかったというような状態がざらにあったわけでございまして、私たちはその場合に三・五・二の速度でやるべきだ、従来そうやってきていた。ところが、国の負担分の支出が非常におくれるものだから、地方団体が困って、また地方団体が持ち出してとにかく仕事を片づけなければならないというようなことで、財政的にもかなり混乱の原因をなしておる。こういうことを絶えず言って参ったわけであります。ところが、最近だんだんとよくなりまして、大体この線に沿って解決されるようになって参ってきております。ただ二十八年災害につきましては何分災害の規模が大きかったものでありますから、今日一〇%程度のものが残っておるはずであります。二十九年災害、三十年災害は一〇〇%片づいたと思っております。ただ二十八年災害は、当時の発生額で二千百八十五億円であります。この数年から見ましたら、べらぼうに大きな災害であったわけであります。またそういう状況でありましたので、二十八年の際には特別立法をたくさんいたしております。地方団体の災害に伴う減収額その他の応急措置、そういうものが莫大な額に上りまして、とても特別交付税でまかなえない。またそういう減収額等については特別交付税を増額したいけれども、そういう措置については、なお問題もあるものだから、さしあたり五十億円だけ地方債のワクを広げる、減収補てん等に伴いまして地方債を特別に認める。その五十億円につきましては、あとの三年間で三分の一ずつ国から元利全部を補てんしていく、こういう措置がとられたわけであります。従いまして、今回の災害につきましてもそういう問題が考えられるかどうかということも、私たちの手元では検討いたしておるわけでありますが、やはり二十八年の災害額が二千百八十五億円という大きな査定額になっておりまして、それから比べますと、現在までのところの全体の額は、ここ二、三年に比べますと非常に大きいわけでありますが、ちょっとその比にはならない、こういうことにもなっておるわけであります。ただ特別交付税の総額が、先般の法律改正で八%から六%に引き下げられておりますし、また法人企業の盛衰がかなり激しいのでありまして、法人事業税や法人割等につきましての再計算の問題も起って参りますので、やはり災害の善後措置を考えました場合には窮屈にならざるを得ない。そこで、先ほど地方債の措置とあわせて善処したい、かように申し上げたわけであります。
○中井(徳)委員 今の答弁でやはり問題はそのまま残っておると思うのです。第一点は、特別交付税、特別交付税と言いますが、そうすることによって、今御答弁の中にもあったが、いわゆる他の特別交付税に対するそれらのしわ寄せが現実の面として非常にくるということ。この間から、自民党の津島さんからでしたか、東北六県を中心といたしまして、ことしの府県の交付税の比率についてまことに真剣なお話がありましたし、これについては政府の方でも考えておられるというようなことを私は承わった。そういうことになればこれは別ワク、こうなりますね。今度またああいう災害が出て特別交付税でやるということになると、起債と特別交付税だけでおさめていくという考え方は、この辺で一つ思い切った手を考える必要があるのではないか。二十八年のときには、ずいぶん二十三も特別立法を出しまして、私どもも努力をいたしましたが、それの反射として、そんなふうに法律でやるとするならば、査定を厳格にするとか、あるいは出す金を三・五・二に出しておるのが、あなたの今のお話によればいまだに残っておる。しかし、災害はほうっておけないから、各地ではその年か、その翌年までに九〇%ないし一〇〇%工事をしてしまう。農協その他市中銀行から借りてやってしまう。ことに単独災になりますと、地元でもって、市町村以外に各区あたりでもやっておるということ、それをやらなければ米を作れないからやっておる。利子が非常に高い。五年もほうっておけば、一割くらいでありますから五割もふえていく。実際経費はかかっていく。ところが、金はいまだにこないというので、あの特別立法は経済的な観点から見れば、逆に実質的に空文に帰して、結局前の案と同じような実効しか上らなかったというのが各地で見られるところなんです。とにかく減税をしたい。政府は七百億もやるとかやらぬとかいっておるのですから、そういう余地もあるのですから、一般交付税に追加をするとか、財源でもって特にことしだけ臨時措置をやるとか、そういう形に積極的な転換をしないと、これはここ一、二年災害があまりなかったからのんびりやっておったが、突然起った。こういうことなんでありまして、そこまで自治庁が踏み切るかどうかということを私はお尋ねしておるのですが、いかがですか。これは、これまで地方財政の赤字の根本は、問題をあとに残して、ことしだけ何とかつじつまが合えばいいというのが今日の結果であって、地方債が六千億をこえておるということについて、私は日本の政治の中で隠された大きな盲点だと思うのです。財政という点から見まして、これは自治庁としても、当然そういう特別の措置を政府部内において要求される時期である、こう確信するのですが、黒金さんあたりどうですか。あなたのところも、今度はだいぶやられているようですが、私は、今早く防いでおかぬと、災害に例をたとえますと、堤防の決壊なんか、事前にやらないから大災害になる。この形が財政的に地方財政へうんと出してきておるというのが事実だろうと思うのですがね、どうお考えですか。またどう措置をされるか、御見解を率直に承わりたい。災害の問題は、言葉をかえて言えば、政党政派を超越してやらなくちゃならぬことでありまして、二十八年には、私どもはそういう形で努力をして、ああいう法案を出した。こういうことであります。今、国会では、特別委員会を設けてやれというふうな議論さえ盛んに出てきておりますこの際であるということも申し添えます。
○奧野政府委員 問題は災害に伴います地方負担がどの程度になるか、それに応じて異例な措置をとるかどうか、こういう結論になるんじゃないか、こう思うわけであります。さしあたって私たちの持っております数字は、先ほど申し上げましたような金額でございまして、大体査定額で二百億前後になるんじゃないだろうか、こういうふうに思っておるわけであります。数年来の傾向から見ますと大きいわけでございますが、二十八年災害の二千五百八十億に比べると、ずっと少い、こういうような問題でございますので、特別交付税その他につきましても、思い切った増額措置を講ずるか、あるいは従来のワクの中で考えていくか、ちょうどそのボーダー・ラインみたいなところにあるんじゃないか、こう私たちは思っておるわけであります。数日来、特別交付税の配分の問題につきましても、いろいろと検討をいたしておるわけでございまして、大体ただいまのところでは、地方債を増額することによって措置していきたい。しかし、今後の問題もございますし、また国の災害予算をどう編成するかという問題もございますので、大蔵省と自治庁の間で、こういう問題につきましてはなおよく相談をし合っていきたい、かように考えております。
○中井(徳)委員 どうも、もう少し認識を深めておきたいと私は思うのですが、災害の問題は、根本的には、日本全国の総体の金額が多いとか少いとかいうことは第二義的なことなんです。部分的に非常に大きな災害のときは、その自治体はもう全く困ってしまうという状態なんです。二十八年には、春先に九州全般の災害があって、夏には南近畿、秋には三重県、愛知県等でございまして、その総合が二千億。しかし、その一つ一つをとってみますと、少くとも今度の災害は、二十八年のちょうど今ごろでありますが、最後の災害あるいは八月十五日の南近畿の災害に、部分的に匹敵する大へんな負担です。静岡県、神奈川県――神奈川県、東京都は富裕府県といわれておりますが、静岡県等は、金額は国全体として大きくなくても、非常な負担になると私は思う。特に、先ほど警察庁からの説明を聞きますと、がけくずれというのがございます。山村の地帯でありましたら、防災関係でもって国が一〇〇%やる。河川局のあの防災課ですか、そこで認定をされますと、一〇〇%国費ということになります。都市のまん中のがけくずれが九百何十個所ある。こういうものを全部自己負担でやれと言われたって、現実には非常に困るし、そういう自己負担でやっておるから、次の暴風なんか来ると、また災害を受ける。こういう周囲だけ少しやっておるということになりまして、私は、都市行政の面からも国がやはり手を出すべきだ、こういうふうな基本的な考え方に立ちたいと思うのですが、そういう面から、今度の場合は、金額の絶対がどうだとかいうことより、やはり直接その府県、市町村が財政負担にならないように――金額の多寡は言いませんよ。これはやはり補助金あるいは交付金の形でやるべきものであって、地債でやるとどうしてもあとに残るというふうに考えられてなりませんが、この点どうですか。研究を進められておるのかどうか。まあ伊豆の狩野川の流域なんていうのを頭に浮べてみますと、これは大へんなことだろうと思うのです。小さな部分であります。これは県の力や町村の力では、とてもできやしない。災害にあいましたときには、全国から衣類や毛布やかやだとか、いろいろなものを送ってきますが、半年もたってしまえば、それじまいで、山河あらたまるというわけで、それをあと三年、四年――二十八年の災害なんか、去年あたりでもまだ残っておるということでありまして、政治の貧困をほんとうにまざまざと見せつけられるわけであります。金額の多寡ではありません。私は、ものの考え方で、これはもうそのままに捨ておきましたら、その町村は、五十年、百年と立ち上れない。こういうふうな、全体の量じゃなくて、単位は小さいが、質の問題が非常に深い。これを認識してもらわないと、私は政府の対策は立てにくいと思いますが、どうですかね、そういう面で、ただ依然として特別交付税と地債というようなことで片づくかどうか、これであります。
○奧野政府委員 私は先ほど、一般地方財政全体のワクの中で処理していけるかいけないか、こういう見地に立ってお答えをしておったわけであります。御指摘のように、今般の伊豆の災害が、局地的に甚大な被害を与えております。従いまして、地方財政のワクの中で処置いたします場合にも、重点的な金の使い方をしていかなければならない、かように考えておるわけであります。御指摘のように、単独災害につきましてどういうような処置をとっていくか、従来からも非常に問題のあるところでございます。ただ一般公共災害につきまして、全額国庫負担でやりました場合には、とかく無責任に陥りやすい。また維持補修などについても手抜かりが多いというようなところから、地方団体に一部を負担してもらうというような現在の制度になっておるわけであります。その場合に国で負担するということになりますと、どうしても現地について被害額を査定しなければなりません。そこで、御承知のように、土木災害につきましては、県工事であれば、一個所の復旧額が十五万以下のものであれば補助対象にしない。市町村工事であれば、一個所の工事が十万円以下であれば補助対象にしない。こういうやり方をしておるわけであります。従いまして、小災害が非常に多いような場合には、単独でやらなければならない災害の査定額も、非常に大きな額になって参るわけであります。また、こういうような単独災害が多いものだから、市町村財政を非常に圧迫しているというような問題もあったわけであります。そういうようなことから、今年度より、一部分だけを公共災害並みの扱いを交付税の上においてしていく、こういうことにしたわけでございます。単独災害復旧の地方債をつけます場合に、公共災害と同じように、建設省なり農林省なりが査定をつけたものでありましたならば、同じような扱いをしたらよろしいと思うのであります。しかしながら、そういうことは事実上できませんし、またそこまでしなくても、ある程度弾力のある運営を地元市町村に期待してもよろしいんじゃないか、こういう考え方でございまして、公共災害の発生額に比例した単独災害のつけ方をしておるわけであります。しかし、基準財政需要額に取り上げておりますのは三割分だけでございますので、従って、年々そういう単独災害の復旧費が相当大きな額に上っており、災害が連年にわたるものにつきましては、特別交付税で従来もやっておるわけでありますが、あわせて措置をしていかなければならぬじゃないか、こう思っております。それで、このままでよろしいかといいますと、一件当り十万以下は市町村の単独工事にする。十万の金額が妥当であるか妥当でないか、これは多年争われている問題であります。やはり依然として研究問題だろうと思うのであります。同時に、そういうような単独でやります分について、今までと同じような地方債のつけ方なら、あるいはそれを基準財政需要額に取り入れる場合に三割程度を取り入れていく、こういうやり方でいいのかどうか、これもやはり私たちは研究問題だと思うのであります。ただ、国と地方とが、今まで申し上げましたような格好で責任を分担し合っていくというような基本的態度はやはり必要だろう、こう思っておるわけであります。要するに、今回の災害の規模が、従来考えられておる地方財政のワクの中で措置していけるものかいけないものか、これが重点になるのじゃないかと思うのであります。それにつきましては、先ほど申し上げましたように、さしあたり地方債のワクを増額したい。そういうことによって、窮屈ではあるが何とかこなしていけるのじゃないだろうかというふうに思っておるわけでございます。しかし、これも今後災害の査定額がどうなっていくか、あるいは今後さらに災害が起るか起らないか、こういう問題にも関連いたしますので、中井さんのおっしゃいました諸点は、今後の検討に当りましても十分注意して参りたいというふうに存じておるわけでございます。
○中井(徳)委員 都市のがけくずれですが、これに対してどういう考え方――あなた方はまだ研究されておらぬかもしれないが、どういうものでございますか。実は私も、どういう対策を政府がやるのか、すべきか、私なりの結論もちょっと出ていないわけですが、都市のがけくずれに対するこれまでの例はどうでありますか。今回はだいぶ大きくて、ある工場のごときは、くずれてしまって一億円近い災害を受けておる。そういうふうな会社でつぶれてしまうというようなものについては、それはいろんな金融機関等もその復興等については積極的に応援して、個人の災害についてはそれで片づくのだろうというふうな解釈もし、質問をされて返事もしておきましたが、しかし、その基盤であるがけがくずれてしまったその復興に対しては、どういうものでありますか。あなたのいう国と地方が責任を分担する、これは当然でよくわかります。そうでなければならぬと思いますが、その場合におきましても、横浜とか、東京都に数百カ所できたというようなことについて、今まではどういうふうにしておったか、今後どうであるか、ちょっと聞かしてもらいたい。もしあなたが正確にわからなければ、後日でけっこうでございます。
○奧野政府委員 なおさらによく調査した上で間違いを是正したいと思いますが、問題は、そのがけが公共施設になっているかどうかということだろうと思うのでありまして、道路法の適用を受けるがけの問題もございますし、あるいは河川法の適用を受けるがけの問題もあろうかと思うのでありまして、そういうようなものにつきましては、それぞれ災害復旧費につきまして国が経費の一部を分担するという建前になっておりますから、当然災害復旧について公けに取り上げられるわけでございます。公共施設になっていないものでありますと、ちょっとそういうような措置は、特別な立法でもない限りむずかしいのじゃないだろうか、かように考えておるわけでございます。
○中井(徳)委員 そこのところですが、農林省系統のものは非常に親切ていねいに山の中まで、田が一町や二町つぶれても大問題だというので、その奥にあります河川について改修をやり、あるいはまた防災施設を徹底的にやるという習慣ができておるわけです。これは国土を守るということで、私はいいことだと思うのですが、都市につきましては、これまで案外やりっぱなしじゃないか。道路にも面しておらぬ、河川といったって、そういう大きなものは一応海岸が多い、どうも適用の法律がない。しかし、国として見た場合にまことにおかしいじゃないかと思うのです。これはどうですか、建設省あたりと一つ打ち合せを願いたいと私は思うのです。これまでの実績だと放置されておる。放置されてそれでいいのかというと、そうじゃない。その次にまた少し大雨でも降ると、また起る。そういう意味で、人命については非常に軽視されておるというふうな政治が出ておるのではないかと私は思うのですが、一つ研究をしてもらいたいと思います。
○鈴木委員長 阪上委員。
○阪上委員 大体中井委員から突っ込んだ御質問があったのでありますが、私も、特平の三十三年度の配分につきまして、前に御案内のように未開発後進県に対して、作為的ではなかったけれども不合理な配分が出てきておる。その結果、自治庁の方でもこれに対して対策を立てられて、どうやらその対策が激変緩和の事由によって特平の中から誘導していくという方途をとるように考えておる。さようになりますと、今回の災害と関連いたしまして、特平がそういった方向へどれだけの額が出ておるのか。残余の特平で、この災害が大きく発生して、さらに相当の手当をしなければならぬ、こうなってきておるのです。この場合、一般交付税で補足できないところの都道府県、市町村に対する特平の分はどういうふうになるのかということを、私は非常に不安に感じているのです。こういった点について、どういう状態になっておるかということを一つお答え願いたい。
 それからこれは私、不勉強でよくわからないのでありますけれども、もしそういうことによって一般交付税で補足できないで、しかも災害以外のものに対してしわ寄せしてくるということになったときに、現行交付税法においては、それ以上に何らか手を打つことはできない状態にあるのかということ、この二点を一つお答え願いたいのであります。
 もう一つは、時間の関係で集約して申し上げますけれども、これは私の希望でありますけれども、ぜひとも一つ災害関係の補正予算を組まれる場合に、自治庁としても、強く高率補助を要求していただきたい。そういうことができるのかどうか。現在の予算計上の作業の中に、各省において高率補助を考えておるかどうか、おわかりになったらその点を一つお伺いしたい。
○奧野政府委員 三十三年度の特別交付税は百三十三億円程度でございます。先般激変緩和措置をすると申しましたのは二十億円程度でございます。なお、昨年特別交付税の中で災害を考慮いたしましたのが十四億二千百万円であります。ことしもこの額が若干多くならざるを得ない、かように考えております。なお高率補助の問題は、たとえば災害土木費国庫負担法でありますとか、あるいは災害救助法でありますとか、若干の法律には、災害の規模に応じまして漸次国の負担割合を高めていくというように、すでに制度の定まっておるものがございます。また災害の規模いかんにかかわらず、国は一定率の負担しかしないというように定まっておるものもあるわけでございます。現在特別立法を要するか要しないか、先般総理が現地に参られて、なお検討しよう、こういうことをおっしゃったそうでございまして、まだ具体化はいたしておりませんが、その必要があるかどうか、各省でも研究しているところだろうというように存じております。
○阪上委員 それでその災害で把握し――あるいは災害では把握できるが、それ以外の分でございますね。一般交付税で補足できないようなこと、そういった関係面に、本年の交付税の配付について大きな影響を与えるのではないかと思うのですが、その点についてどうなんですか。
○奧野政府委員 昨年の特別交付税の配分の基礎等を検討いたして参ってきておるわけでございますが、御指摘のように、総額でぐっと少くなってきております上に、先ほど法人企業の盛衰の問題をちょっと申し上げたのでありますが、そういう状況もありますので、かなり窮屈だと思っております。かなり窮屈だと思っておりますが、だから災害地方団体に対する特別交付税の配分ができないということにも、必ずしもならないわけであります。ただ、災害復旧の地方債の問題とあわせてこの問題は善処しなければならないだろうと存じております。公共災害に伴います地方債でありますと、元利償還額も九五%を財政需要額に算入して参ることでもありますので、ある程度災害団体の財政のめんどうを見る役割を果すことにもなるだろうと思っております。
○阪上委員 現在の交付税のワクを広げるということも、もちろん重大であります。そうしますと、しわ寄せされた分に対しては、地方債の面で何とか考慮するということなんですか。
○奧野政府委員 しわ寄せされた分と言われますと、ちょっとそこまではまだ考えていないわけでございますが、とにかく地方債は思い切って増額したいと考えておるわけでございまして、いずれ災害についての国の補正予算がきまります際に、同じペースで考えたらいいと思うのであります。現在の地方債を決定いたします場合の災害の規模から考えていきますと、二倍内外にもなっているのではないか、こう考えられます。そういう意味で、思い切って地方債のワクも広げなければならないと考えておるわけであります。
○阪上委員 警察庁関係の方に伺いますが、簡単な質問なんです。今回の災害発生のときに、災害救助法が、東京の場合はわかっておるのですが、その他静岡県の場合等において、いつ発令されたか、おわかりだったら……。
○江口政府委員 手元に持っております資料では今わかりません。厚生省にでも問い合せればすぐわかると思います。
○阪上委員 東京都の場合は、非常に早く出たようでありますが、その他の地区は、災害の状況から見て、なかなか簡単には発令の状態が判断できないということはよくわかるのです。私、昭和二十八年災害において、高槻で非常に悩んだことがある。今回も同様ではなかろうかと思いますが、ことにこれだけの人命を損傷しておるのです。災害の報告はこの程度でけっこうでありますが、その措置について、ほんとうに万全の措置が施されておったかどうかということを私は真剣に心配しておるのです。そこで現在災害救助法の発令権というものは都道府県知事にある。これでは実際問題として間に合わない、役に立たないのです。そのことは何回も、どの地区においても繰り返されておる。三日か四日して、むしろ財政的見地から災害救助法の発令がやられておるという例が多いのです。今回も私はその意味でお聞きしたのです。私も、実際はよく知っていないのですが。そこでこの法の運営も、修正等についての権限がどの所管省にあるのか、私よく知りませんけれども、少くともこれから発生する災害にあらかじめ対処するために、災害救助法を改正して、むしろ市町村長に発令権を与えるという方法が私は考えられるだろうと思うのです。よく調査しておりませんのでわかりませんが、ほぼ見当がつくのです。自治庁は、都道府県知事に持たしていてもいいでありましょうが、同時に、市町村長等にその救助法の発令権を与えるというような法律改正をやっていこうという考え方があるかどうか。
○奧野政府委員 災害救助法の問題は厚生省の所管でありますが、御承知のように、二週間とかいう期限の問題もあるわけであります。延長もできるわけでありますが、たとえばたき出しをいたしましたり、そういう経費負担の問題もあるわけですから、そういう経費負担をするところで発動するのが建前じゃなかろうかと思っております。特にそれでおくれて困ったという話は、正直のところ私は知らないのです。
○阪上委員 これはどこでも困っているのです。あとになって、三日くらいおくれて発令されるのです。そして実際災害救助法の目的からいって、速急に手を打たなければならないような問題に対して、あとで財政的なことで、勝手にやったということになってこないようにというような配慮から、救助措置をとることをちゅうちょするという例があるのです。それが直ちにまたはね返って参りまして、最後の査定のときには、勝手にやったんだからというような理由によって、市町村が大きく負担をかぶせられる。これが現実なんです。そういう点についてここで論議しようとは私も思いませんが、一つ御検討願いたいと思います。
○飯塚委員 これは質問というよりもさっきちょっと聞き漏らしたのでありますが、一県において二十億をこえた災害県、それに対してだけ地方交付税を繰り上げてやる。その額は六十億ということですが、二十億未満の災害県はどういうことになっておりますか。
○奧野政府委員 災害発生額が特に甚大だと思われる団体にだけ交付したのであります。従いまして、それ以下の団体につきましては、特別な措置をいたしませんで、やはり法の定めます通り十二月に交付したい、かように考えております。
○門司委員 ここで言ってもしょうがないと思うんだが、一応自治庁の見解だけ承わっておきたい。今度の災害を見てほんとうに感ずるのは、私の地元の、例の鶴見川のはんらん、あるいは帷子川のはんらん、さらに静岡県の狩野川のはんらん、これを見てみますると、いずれも国庫河川として当初政府の計画した通りに改修されていれば、ああいう被害はなかったと思う。雨がよけい降ったことも事実ですが、国の事業を怠ったことも事実です。鶴見川は、昭和十四年に国庫河川に編入されて、二十六億円でやることになっておった。それが二十年たって五億円くらいしか使っていない。この調子でいけば、五十年か六十年たたなければできないということになる。これは狩野川も同じことだ。改修するためちゃんと国の予算をとってあるのだ。この国の施策を怠ったことが地方団体の被害に大きく反映してきておる。これは自治庁を責めるわけではない。所管は建設省だから、建設省を責めなければならないと思うが、一体政府はどう考えているかということです。これは地方としてはかなり迷惑ですよ。そういう根本的なことからくる災害だから、今度の災害なども天災といえない面の方が多いのじゃないかと思う。そういうことを考え合せると、やはりこういうものについては、災害があったときでないと、人間はすぐ忘れるので工合が悪いから、一体政府の方針がどこにあるのか、ほんとうにやる気があるのか、やらぬ気なのか、その辺を自治庁は建設省と話し合ったことがありますか。それを研究するための努力をした事実がありますか。これは今財政局長に聞いても無理な話だし、政務次官にお願いしても無理な話だと思いますけれども、その辺の考え方は一体どうですか。これは次官から御答弁を願えればいいのですが、次官会議のときの課題にして一つ話し合ってもらわなければ因ると思う。
○黒金政府委員 今御説の通りの結果で、まことに残念でございますが、ただ御承知の通りに、いろいろ各地に非常な要望があるものですから、つい総花主義になってしまって、逆に申せば、五億でも仕事ができておるところはまだいい方じゃないか、全然できてないところがある。こんな事情があるために、なかなかうまく進みませんで、まことに残念でございますが、われわれの役所の側におきましても、あらゆる機会に、できるだけ重点的にしたいということを申しておった次第でございます。このような結果はまことに恐縮に存じます。今後とも、でき得る限り重点的に仕事を進めて参るように、われわれといたしましても努力したいと思います。
○中井(徳)委員 ちょっと警察の方に、さっきの救助法の発動、これをいつまでに調べて返事してくれるのですか。これはそう簡単に考えてもらっちゃ困ると思うのですが、その点、この次の委員会までにわかりますか。
○江口政府委員 わかります。この次の委員会までに、厚生省が調べておる事柄に関する限り提出することは可能だと思います。
○門司委員 これは中井さんも聞かれたかと思いますが、警察官の職務執行法に関する改正案を出すとか出さぬとか政府は言っているのですが、この問題は、かなり大きな問題を含んでおりますので、もし政府がお出しになるなら、一つ早く内容なりあるいはその提出時期なりを知らしてもらいたいと思うのです。この法案はきわめて重大な法案でありまして、新聞だけを見ていますと、これは昔の治安警察法の焼き直しよりももっとひどいようなことになりはしないかと思われる節が多分にある。そういう人権に対してかなり大きな問題と、それから民主主義に対する一つの大きな制約を加えようとする、はっきりいえば憲法違反のはなはだしい法律になりはしないかと思われる法律案を、しかも会期の短いこの国会に突如として出されて、何か悪口を言うようですけれども、岸さんは、代議士会で、社会党の反対があっても断固としてやるんだと大みえを切られたようでありますが、もしもそういうようなものがごく短い期間に成立するということがあれば、非常な問題だと思う。従って警察当局は、出すつもりなら、全部条文にして出すわけにはいかぬかと思いますが、要綱なり、あるいは出す意思があるということを早くこの委員会に説明をしてもらって、ぜひこれをわれわれの法案審議のかてにしてもらいたいと考えておりますが、公安委員長がおいでになっておりませんから、委員長の方から公安委員長に厳重に交渉を願っておきたいと思います。
○中井(徳)委員 それは門司さんの言う通りなんです。言う通りなんだが、この前の理事会で、この国会ではその法案は出さないとはっきり警察庁の関係の政府委員が言明したのです。そこで僕は、社会党の国会対策でそれを報告して、この国会には出さないと言った。そうして二、三日して新聞に出るということは何事だというのです。予備審査のいろいろな何もあろうけれども、もし出されるというなら、私は、政府委員の責任を徹底的に追及します。神聖な国会で、正式な理事会の席上で、警察の代表が、今国会は出さないと言った。そうしてまた二、三日たったら、出すと、一体どういうことでありますか。これはやはり委員長から政府に強くこの意思を伝えておいてもらいたい。単に社会党の事情だけではありません。委員会で正式にそう言ったんです。これは川村君も出席しており、他の自民党の諸君も全部出席していた。今年は警察関係はただ一件だ、風俗営業だけだというので、二回も三回も私どもは確かめておいた。これを一つ申し添えておきます。
○鈴木委員長 ただいまの門司委員及び中井委員の御発言につきましては、政府に対して、私からよく申し伝えておきます。なお、御発言の内容は、警察官職務執行法の改正法案の問題だと思うのでありますが、この問題はただいま政府及び与党において検討中のようでございまして、まだ結論がついておりません。従いまして、この取扱いにつきましては、理事会等におきましてもとくと御相談を申し上げたいと存じます。
○中井(徳)委員 私は、本国会では出さないというふうに了解しておるのですから、とくと懇談もくそもありません。出さないというふうに確認をしてもらいたいと思います。
○鈴木委員長 次会は明後九日木曜日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時六分散会