第030回国会 逓信委員会 第8号
昭和三十三年十月三十日(木曜日)
    午前十時四十二分開議
 出席委員
   委員長 淺香 忠雄君
   理事 秋田 大助君 理事 上林山榮吉君
  理事 粟山  博君 理事 橋本登美三郎君
   理事 片島  港君 理事 小松信太郎君
   理事 森本  靖君
      藏内 修治君    進藤 一馬君
      根本龍太郎君  早稻田柳右エ門君
      渡邊 本治君    小沢 貞孝君
      大野 幸一君    金丸 徳重君
      栗原 俊夫君    佐々木更三君
      松前 重義君
 出席国務大臣
        郵 政 大 臣 寺尾  豊君
 出席政府委員
        郵政政務次官  廣瀬 正雄君
        郵政事務官
        (電波監理局
        長)      濱田 成徳君
 委員外の出席者
        郵政事務官
        (電波監理局法
        規課長)    石川 義憲君
        参  考  人
        (日本放送協会
        副会長)    溝上 けい君
        参  考  人
        (日本放送協会
        理事)     前田 義徳君
        専  門  員 吉田 弘苗君
    ―――――――――――――
十月二十九日
 十軒家部落の公衆電話架設に関する請願(早稻
 田柳右エ門君紹介)(第一二一六号)
 奄美大島にテレビ放送所設置に関する請願(保
 岡武久君紹介)(第一三六三号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 放送法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
 八号)
     ――――◇―――――
○淺香委員長 これより会議を開きます。
 放送法の一部を改正する法律案を議題とし審査を進めます。
 この際お諮りいたします。本案について、日本放送協会副会長溝上_君及び理事前田義徳君を参考人として意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○淺香委員長 御異議なしと認め、さよう決します。
 これより質疑を行います。質疑の通告があります。順次これを許します。
 片島港君。
○片島委員 去る二十二日の放送の中で、国家公安委員の金正君が出演をいたしました。その問題が私の党といたしましては非常に問題になったのでありますが、金正君が自分の所信を率直に述べたことについては、これは個人の意見でありますから、やむを得ないといたしまして、その録音及びその速記録を、自民党の某君がNHKに参りましてもらって帰り、それを出版したり、またそれを材料としたわけです。NHKはもともと不偏不党、非常に中正公平な立場になければならぬのでありますが、そういう出演した者の了解も得ないで、これには何か権利があるのかどうか知りませんが、そういうものをNHKが勝手に録音をほかに聞かせ、またその速記をとって、申し出た者に対してこれを手渡す、こういうようなことは認められるものでありますか、認められぬものでありますか。これが認められたからやったわけでありましょうが、そうするとだれが行っても、たとえば社会党からほかの放送について私が行っても、録音も聞かしてもらえる、また速記録をくれといえば速記録もやらなければならぬ。そういうことになれば、共産党のだれかが行っても、それはその通りやらなければならぬ。警察庁が行ってもそれを拒むわけにいくまい。総評が行っても拒むわけにいかないと思う。しかし、それじゃ毎日行列を作って何百人もNHKに押し寄せて、あれをくれ、これをくれというと、あなたの方では事務的には処理できないと思う。そこにある程度の限界がなければいかぬと思うのです。だれが行ってもできるだけのことはやる、事務的な点において差しつかえがあれば別として、一日三人や五人ならやる、こういう何か取りきめがなければ、ある者が行った場合にはそういうものをどんどん渡すが、ある者が行った場合に渡さないというわけにいくまいと思うのですが、協会側の見解をはっきりさせていただきたい。
○前田参考人 お答え申し上げます。放送協会といたしましては一応の基準を作っております。その基準は、まず資料は、この前御説明申し上げましたように、全部の番組にわたって資料があるのではございません。必要なもの――必要なものと申しますのは、現状の財政措置で可能な範囲でございまして、それは大体いろいろな意味で問題になる可能性のあるもの、それからニュース等につきましては大体原稿あるいは録音を大部分残しておく方針にいたしております。それからまた非常に人気のあったもの、これは将来聴取者の大部分の方々から、さらに聞かせよというような場合には再放送をする準備として残しておきます。それじゃ、そういうものに対してどういう考え方で処理しているかという点になりますと、私どもといたしましては、たとえばニュースあるいはそれと関連する社会番組につきまして、たとえば刑事事件あるいは民事事件等の特定の当事者の利害関係が非常に激しく対立している場合、その場合には原則として差し上げないことにいたしております。しかしすでにいろいろな意味で私どもが正しいと考えて編成して実施した番組の内容について、それが放送法の精神、あるいは私どもが放送法に基いて作っております放送準則の精神に基いて、これをさらに差し上げた方がよろしい、あるいは差し上げることを拒否する理由がないというものに対しては、お求めに応じて差し上げるという基準を一応作っております。
○片島委員 ニュースとかあるいは社会番組、こういったようなものがやはり問題になると思うのです。娯楽番組などについてはおそらくそういうことはないと思うのです。そしてそれをあとで録音を聞きたいとか、あるいはさらに速記までいただきたいというようなことになれば、これに利害関係のない、何も関係のない人はそういうものを要求しないと思うのです。やはり多少でもそれが自分の方に有利になるか、あるいは非常に不利になるかといったようなことにおいておそらくそういうものの要求が出ると思う。それをただNHKの独自の判断で、これはやってやらぬでいいということをきめること自体も非常に困難だろう。ニュースなりそういう社会番組について、たとえば与党の方から代表的な立場にあるような人が行った場合には非常に簡単にやる。しかしこれが与党でなくて、たとえば共産党であるとか、あるいは総評とか、あるいは今度は官庁関係で警察が行った、そういうようなことでちょっと首をかしげるというようなことになれば不公平になると思う。やはり、たとえば自民党であろうと共産党であろうと、行って要求をした場合には、ニュースなり社会番組を渡せるのかどうか。しかし私はその内容というよりも、要求する立場にある人、これが、むしろNHKの場合としては非常にむずかしい立場になりはしないか。それを野放図にそういうことをやるということになれば、これはまるでNHKがいろいろな紛争の中に巻き込まれるようなことすらなきにしもあらず。むしろ、たとえば間違ったことをやったとか、取り消せとか訂正せよとか、これは第四条でありましたかにきまっておりますから、そういうことをやってよろしいが、そういう資料をあとで録音を聞かせ、速記をやるということを野放図にやることになれば、あなたの方は煩にたえないのではないか。もしそれが、自民党にもやる、社会党の私が行ってもやるということになれば、総評が行ってもやらざるを得ない、共産党が行ってもやらざるを得ない、警察でも同じ、右翼の赤尾敏氏が行ってもやらなければならぬ、こういうことになるとあなたの方は非常な混乱を来たすのではないか。非常に自主的と言われており、自主的にやらなければならぬNHKが、あの場合私たちはややもすると政府なり与党というものに、多少かぶとを脱いだような形で、そういうことを平気でやるということになって、かえってこれはだれにでもやれるんだということになれば、あなたの方は簡単に考えてやったことが、今後非常な禍根を残すことになりはしないか、こう考えるわけであります。その点であなたたちは、今後やはりほかの方からそういうことで行っても似たり寄ったりのことでありましょう。今後要求されるということになれば、そういう似たり寄ったりのことに対しては、どういう方面から来ても、それを速記までわざわざとって渡すのかどうか。この点を明確にしておいていただけば、ある場合においては非常にたくさんの人間が押し寄せて、あなたのところにお願いに来るかもしれない、あるいは来ないかもしれないが、そこをはっきりとけじめをつけておいてもらわなければ今後非常に問題を残すと思いますから、この点だけ、はっきりしておいていただきたい。だれが行ってもやれるものかどうか……。
○前田参考人 いろいろなケースがあると思いますが、すべてのケースについてすべて要求に応ずるかどうかということは、私どもがいろいろな立場から判断いたしまして、すべての方々にすべてのものを差し上げるという考え方は実は持っていないわけです。大体聞いていただくということが原則でありまして、従ってその聞いた結果を印刷頒布するということを聞いていただくということとは、私どもは厳重に区別しております。従って利害関係でそれを悪用する、あるいはそれを逆用されるというおそれのある内容、またそういうおそれのあるものについては、私どもは慎重に審議する方針をきめております。それからまた、そういうものを材料としてそれを印刷頒布する目的を持っておられる方に対しては、あらためてその旨をはっきり書いていただいて申し込んでもらっております。その場合には、この前も御説明申し上げたかと思いますが、著作権の問題ともからんで参りますので、その点についてはやはり今度著作権の立場からも慎重に審議いたしまして、最小限の範囲内でこれを処置するという方針をとっております。
○片島委員 そうするとこの前の二十二日の問題のごときは、それが印刷に付されるとかあるいは逆用――逆用といいますが、あなたの立場あるいはわれわれの立場から見た場合には逆用と見えても、もらった人は逆用じゃなくて利用している、非常によく使っておるわけであります。見方によっては逆用であり、ある場合には利用である、そういうことになるわけですが、それの判断が非常にむずかしいのじゃないかと思うのです。たとえば、そういうことはやりません、逆用はいたしません、こういうことになればあなたの方では、やるかやらぬかわからぬことであるから渡さなければならぬ。それのけじめが非常にはっきりしない。ある場合には自民党から行ったから、社会党も野党であるから社会党から行りた場合でも、まあ対抗上やらなければなるまい。しかしそうかといって、それじゃ共産党までやるか、総評までやるか、あるいは一般の市民にまでやるかということになってくると、だんだんとあなたの方の扱いが、要するに政治的に扱われる可能性がなきにしもあらず。まあ自民党と社会党まではやっておるが、ややこしいから、そういうことになるとNHKは非常に政治的に動かなければならぬことになる。NHKはやはりそれではいかぬ。あるいは自民党であろうと、社会党であろうと、共産党であろうと、一般市民であろうと、その取扱いは公平でなければならぬ。それを相手によってとか、その使い道がどうであるかというようなことを予測して、前もってあなたたちが判断をしてやられるということになれば、非常な行き違い、トラブルが今後できてきやしないかと思うのです。だからこういう問題については、もしあの場合あなたたちが軽率にやられたというならば、今後慎重にしてもらわなければならぬ。そうでないならばこれは私たちとしても今後要求もするし、あるいはこれを公けにして――この委員会も公けの委員会ですが、公けにして、みながもらいに行くということになれば、あなたたちはもらいに行った人を断わる、どうしておれたちにだけくれぬかということで、そこに相当な摩擦が起きるというような事態も今後考慮しなければならぬと思うのですが、その点はどうですか。これは一つ副会長の方から、協会を代表した形において見解を伺いたい。
○溝上参考人 大へんむずかしい問題とは思いますが、うちで放送をしましたのを、事後においてどういう場合も全部お断わりするということも少し行き過ぎかと思いまして、今、前田理事からも御説明いたしましたように、十分に慎重な態度で、その場合その場合につきましてわれわれの良識を十分働かして、悪い影響がないように一つ一つについて十分慎重に検討した上で、差し上げるべきものは差し上げるというふうにしたいと思います。
○片島委員 いやしくも今度放送法を改正するについても、方々で自主的自主的ということが言われておるわけです。民放についてもNHKについても自主性を尊重しなければならぬというが、政府当局あるいは郵政当局、あるいは時の与党であるといったようなものが行った場合には、それに対して慎重さが欠ける。しかしそうでない何らかの権力的でない者が行った場合には、非常に慎重にやる。こういうようなことがあっては私はNHKの自主性が今後非常にそこなわれる、こう思うのです。あったことについても、私たちはなおこの問題について党内では重視しておりますけれども、今後ともいわゆる政府側とか政府与党とかいったものに対して手心を加えられるというようなことがかりそめにもあるということになれば、今後の問題として非常に重要な問題を残すと思いますから、くれぐれも今後は一つ自重して慎重な取扱いをしていただきたいということだけを一言つけ加えまして、私の質問を終ります。
○淺香委員長 松前重義君。
○松前委員 放送法の内容について二、三御質問申し上げます。
 まず第一点は、現在の放送法の第五条であります。「国際放送は、国際親善を害するものであってはならない。外国において放送をする目的で編集した放送番組を外国に送信する場合も、同様とする。」まことにりっぱな文句で第五条が書かれておりますが、今度の提案ではこれを削除するということになっております。どういうわけで削除されるのであるか。国際放送は国際親善を害するものであってもよろしいという意味で削除されるのかどうか。これは非常に重要な問題だと思いますから、お伺いしたいと思います。
○寺尾国務大臣 第五条の国際放送の条項を一応削除しましたことは、今回の改正案におきまして国内放送と国際放送の区別をはっきりさせた、こういうことにおきまして、第四十四条の五にこのことを持って参ったわけでございます。従ってこの内容は「協会は、国際放送の放送番組の編集及び放送又は外国の放送局に提供する放送番組の編集に当っては、わが国の文化、産業その他の事情を紹介してわが国に対する正しい認識をつちかい、及び普及すること等によって国際親善の増進及び外国との経済交流の発展に資するとともに、海外同胞に適切な慰安を与えるようにしなければならない。」かような、むしろ国際放送に対して力を入れるべきだ、これを国内放送と区別して新しく規制を強化しよう、こういう点から削除をいたしました。
○松前委員 一応了承いたしました。
 それから第十六条、「委員は、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。この場合において、その選任については、教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」これは今度の提案された内容も全然同じでございますけれども、この問題について、今までの経営委員の大体の分布状況を見てますと、地方における財界の大御所のような人でほとんど占められておって、このような教育、文化、科学、産業、こういう広い分野にわたるエキスパートを経営委員として選んでないようです。この点について、現在のままでこれを置かれるならば、やはりああいうような非常に偏在した形で経営委員を委嘱される、こういうことになるのでありますが、この点について大臣の見解を伺いたいと思います。
○寺尾国務大臣 御指摘の第十六条の委員の選任に対しまする基準と申しますか、条件に対しましては、私はこれでよくはないか、こういう考え方からこれを現行法のままに置いたわけであります。実際に選ばれた委員がこのきめられた規定に合っていないではないかということにつきましては、もしそういうことがあるとすれば、選任の方法に欠けたところがあったのではないか、かように考えるよりほかないのであります。こういう規定に基きまして各界に、しかも「その他の各分野」、こういうこともございますから、各般にわたる、いわゆる公共の福祉に対しても公正な判断もでき、なお広い経験と知識を持っておるという観点から、できるだけこの条件に沿った、適切な有能な委員を選ぶべきだ、かように考えております。
○松前委員 少くとも今日のところ、私の見るところでは教育、科学――文化は委員長の阿部真之助さんが代表されるとして、ほとんど全部が産業であります。教育、科学の代表者は大体いないのじゃないかと見ております。この点について論議はいたしませんけれども、今後における運営の問題にも関連いたしますから、現在の経営委員の方々の大よその履歴と、教育、文化、科学、産業というような、またその他でもいいのでありますが、これらのいずれの代表者として経営委員を委嘱されたのであるかどうか、これらの代表としてお考えになった名目、それを一つ論議の資料として提供していただきたいと思います。
 あとは逐条的にいろいろ私は疑問もありますけれども、基本的な問題として一つお尋ねしたいことは、NHKの問題ではなくて民間放送の問題でございます。この放送法は民間を縛る面が非常に多いのでありますが、根本は民間を縛る前に、政府がいかなる性格のものに免許を与えるかという基本的な問題が一番大事だ、それが出発点であります。従ってその出発点において適当な考慮が払われなければならない。それを行政措置だけでやるというのでは私どもはやはり危険ではないかと思うし、また行政のやり方もいろいろな政治的圧力等によってひん曲げられるおそれがあると思いますから、行政の基本的な方向をここに示すことが私は放送法には大事ではないか、こういうふうに考えます。たとえば一例を申し上げますと、ある地方に一つの新聞がある。大体小さな新聞は幾らでもありますけれども、大新聞としては一つぐらいしかないところがたくさんあります。あるいは一つ以上の新聞があってもかまいませんが、その新聞が一つのラジオを従来経営しておった。それにまた一つの、この間行われたテレビの免許を出す、こういうことがもし行われたとしますと、これは言論の独裁になりまして、新聞の内容もラジオの内容もテレビの内容も同じになってしまって、それ以外の言論は全然出て参らない。こういうことになると私は非常に大きな問題であると思います。言論の暴力的態勢がここにでき上り、独裁的態勢ができ上る、こういうふうに考えるのでありまして、それを今度の放送法の中に何ゆえに規定されなかったのか。すなわちこういう弊害を防ぐためには、アメリカ等でもやっているように、ラジオ、テレビなどに対しては新聞は関与してはならないという法律を作っておる。そうして言論の公平を期しておるのであります。私はこういう弊害のあり得る場合においては、これは中央紙のようにたくさん並立してある場合においてはどこかではけ口がありますからいいのでありますが、ことに地方などにおいてこの問題は非常に重要な問題でありまして、そのために先般も郵政省が免許を出されたときにはだいぶわれわれの説も取り上げられて、一〇%以上の株を新聞紙は持ってはいけないというような、規定ではないが行政措置でこれをやられた。それで満足はいたしませんけれども、一応その気持だけはあの行政措置において現われておったと思います。結果として不成功のところもありましょうし、成功したところもありましょう。いずれにいたしましても、何らかここに規定を設けて、そういう言論の独裁を防がなければならない。その基本的な行政措置の方向を明示する必要が私はあると思う。民間だけを縛るのが能ではなくて、やはり行政の方向を明確にするところにこの放送法の大きな意義があると思うのでありますが、それが抜けておると思う。その点についてはどういうふうな御見解を持っておられるか、お伺いしたいのであります。
○寺尾国務大臣 御質問の点はきわめて重要であり、かつ重大であると存じております。いわゆるマス・コミュニケーションが独占をされることを排除するということは、おそらく前大臣がテレビ局を大量に予備免許をした、昨年十月に三十四局等の大量免許をしたという際におけるこの問題についての大きな考え方として配慮せられたことだと思いますし、また御指摘のありましたように、たとえば新聞社の主要役員が新しいテレビ会社のいわゆるプレジデントになれないとか、あるいはまたその資本構成においても一〇%を出るわけにいかない、こういうことを始終予備免許を与える際の許可の基準といたしまして、いろいろ心配をされ、そういう規制を、いわゆる条件を付されたということもあったのであります。そのことが実際に今後開局をされる数十局に余るテレビ会社その他にマス・コミュニケーションの独占ということの排除ができないという結果がもし生じたとするならば、御指摘のようにこれは非常に憂うべき事態だ、私はかように考えるのであります。しかし会社をいかなる会社に設立するかということにつきましては、御承知のようにいわゆるこの電波法第七条でありますかに関連する省令によってこれが一応きめられて参ったのでありますが、この根本的基準というものに従って許可をいたしたわけであります。しかしこのことを何らかの形で今回の放送法の改正案に載せなかったか、また載せるべきでないかという御議論に対しては、私はこれは非常に考慮すべき問題であるとは考えております。ただ今回この問題につきましてはこの予備免許を与えます際の条件というものは、当然開局後における各会社がこれを履行し、それに従って健全なる発展をし、しかも高き放送法の責任を果していかなければならぬということは当然でありますし、またその結果等においては、再免許というふうな場合にもこれがその実績のいわゆる基準というものになって、次のいわゆる免許に対してもこれが取り上げられる大きな成績にもなるわけでありますから、こういう問題についてはできるだけ会社が自主的に責任を果すべきだ、さように考えております。しかしこの問題はそれで足れりとは考えておりません。今後の経過推移によりましては、これに何らかの対策処置を講じなければならないのではないか、かように考えております。
○松前委員 大体の御意見を承わりまして、われわれの趣旨についてはある程度御了解なすっておられるように承わったのでありますが、ただ先ほど来申し上げましたように、こういう法律においては――あらゆる法律は、役所で作ると役所を縛るような法律は作らぬのであります。けれども、ほんとうの公平な立場に立って法律が作られるならば、やはり永久に、行政の衝にある人がどんなに変ってこようとも、大体軌道だけは同じ軌道を通すような行政方式を一応ここに立てておく必要があるのじゃないか、こういうふうに考えます。またこの間行政措置としてやられたようなこまごました、一〇%とか、会社の社長は兼務しちゃいかぬとか、そういうことはある程度行政措置でもいいかもしれません。しかしこまごましたことは別として、大体言論の独裁を防ぐために、ラジオとテレビを一緒にした放送と新聞との関連性等において、言論の独裁にならないような民主的な方式をとるべきであるというような条文、私の言うのは下手な言葉ですけれども、何らかそういう意味を含んだ基本的な内容を盛ったものをここにうたっておく、それに従って行政措置としてしかるべくやっていくというようなことがどうしても必要だと私は思うのでありまして、端的にお尋ねいたしますが、こういう条文をこれに挿入して、そういうふうな行政の大体の軌道をここに示しておくということについてはどういうふうな御意思であるか、お伺い申し上げたいと思います。
○寺尾国務大臣 お答えを申し上げます。このことは私は、免許をいたしましたその結果、最近における若干の事例を見ましても、これは事実をまだ認めてはおりませんけれども、何かいわゆる言論独占ともいう形が浮き彫りになりつつあるのではないかという感じのする点も事実私は感じております。従いまして、この問題はきわめて重大な問題として考えておるのでありまして、今何か法的にこれを規制する考えはないかという御質問でありますが、今直ちに私がここでこの法案を修正してどうこうとか、出直してどうこうするということは考えておりませんけれども、十分検討いたしました結果立法措置を必要とするということになれば、御指摘のように何らかの形において適切な規制をいたしたい、かように考えております。
○松前委員 立法措置を必要とするなればという前提がありますが、立法措置を必要とするとお考えですか、いかがでしょうか、こういうことであります。
○寺尾国務大臣 これは私が今憂えていることを、さらにその経過なり推移を見る必要もあります。しかし種々そういった面から検討して、その現実があるなしにかかわらず規制すべきだという結論が検討の結果出るかもしれませんが、私のただいまの考え方といたしましては、十分検討した結果立法措置が必要であればこの処置をする、こういう考えでございます。
○松前委員 この点は委員会としても十分考えなくちゃならない基本的な問題であると思います。大体大臣の意思は承知いたしましたので、これ以上お尋ねをいたしませんが、委員会においてこれは特に留意しなければならない問題であると考えておるわけであります。
 そこで最後に一つお尋ね申し上げたいことは、先ほどに返りますけれども、経営委員の選任に当りまして、教育、文化、財界等を代表する、こういうことの名目については先ほど資料の御提供をお願い申し上げたのであります。また今後もう少しこの点については、今後の運営等に対しましても大臣の御見解を、その資料に基いて伺わなければならぬと思うのでありますが、この選任は政府の大体の選定によって国会にこれを諮ってやるということになっております。また大体政府でおきめになれば国会は多数決で通りますから、反対しても通る。この前、阿部真之助さんの場合は、実は社会党は反対したのだが、それを多数で押し切られた。いまだかつてそういうことはなかったのです。今までは経営委員の選定は全会一致だったのです。それが阿部さんの場合は社会党の反対を押し切ってやられた。こういう事態は非常に好ましくない。そうすればやはり一党独裁のような格好になって、先ほど来NHKの問題で片島委員が盛んに質問しておりましたああいう疑いを持たれるようなことになるのであります。従ってこの点については、経営委員の選定に対して私は考慮しなければならない問題だと思うのです。これらの経営委員の選定が政府によってまず選定されますときに、そして国会の同意を得られるときに、いたずらに反対するということはいたしませので、大体全会一致で推薦するような人物を一応選定していただくというならば、私はこの選定というものは一応公平にやられるのじゃないかと思うのです。そうでないならば、もう少し選定方法を私は変えなければいかぬと思う。これは聴取者の代表でありますから、場合によったら、非常にめんどうな話ですけれども、聴取者自身の選挙によるとか、あるいは聴取者代表の選挙によるとか、何らかの方法によらなければこれが公平にいかぬのじゃないか、こう思うのでありますが、その間の問題について、この二つのケースについて大臣の御見解を承われたい。選定のときに、やり全会一致でなくちゃ私はいかぬと思うのです。いたずらに反対するばかりが能ではありませんからそういうことはいたしませんので、そういう点についてどういう考え方をお持ちであるか。あるいはまた聴取者の代表として、聴取者の中から選ばれてくる方式がいいのか。それならばもう何をか言わんやで、国会の同意を得る必要はない、こういうふうに私は思うのであります。その点の御見解を承わりたいと思います。
○寺尾国務大臣 政府がこれを両院に諮って選任する、こういう方法の過去の結果といたしまして、松前委員も御指摘のように、ほとんど全会一致で来た。私も参議院におきましてこの同意に対して長く参画をいたした経験がございますが、私の記憶にも、若干の意見はありましても最後はほとんど与野党ともに一致して同意をして参っております。そのことが、たまたま阿部委員の際に不一致であったということ、今まで一致して認めたものがそういったような結果になったということは、私も遺憾な感じもいたしますが、過去のそうした長きにわたるその事実にかんがみましても、政府が選び方を――公正に、しかも広い視野を持ち、識見、学識経験を持つりっぱな人を選ぶことにおいて、与野党ともにこれを承認をしてきたという形がほとんどなし遂げられてきた。たまたま一件そういったようなものがあった。これは一件か何件かは、はっきりしたことは覚えておりませんが、ほとんど与野党一致してその承認をして参ったということにかんがみまして、私は今後さらに政府がこの選任を一応国会に諮りまするその候補者を選びますについての公正な態度、これはいわゆる放送法の第一条に示しております不偏不党あるいは公共の福祉に合致する、こういう高い使命に準拠しまして選ぶ、こういうことであれば、過去において示された以上の両院の与野党一致の承認が求められるのじゃないか、さように考えますので、この案をぜひ一つお認めが願いたいという考え方であります。選挙その他によりますことはかなり煩瑣な面も出て参りますので、ぜひこの第十六条の案の通り一つお認めが願いたい、そういう次第であります。
○松前委員 ああいう全会一致でなくて大事な経営の衝に当る人が選ばれてくるというようなこと、それがひいてはやはり何か政党の支配にあるがごとき印象というか、最も公平で中立でなければならない放送の経営体がそういうふうに見られる、こういうふうになるのでありますから、これは非常に注意しなければならない問題だと思うのです。
 そこで、これもまた端的にお尋ねいたしますが、このような全会一致でないようなやり方を、この経営委員の選定において今後も新大臣においてはおやりになりますか、なりませんか。そこのところを放送法を審議するに当りまして一応伺っておきたいと思うのです。
○寺尾国務大臣 私の方針といたしましては両院一致、いわゆる与野党一致で御承認を賜わるようなりっぱな候補者を選んで、そうして御承認をしていただく、かような決意でございます。
○松前委員 法律によりますと、「教育、文化、科学、産業」とありますが、かつて原委員が指摘しましたように、大部分の労働者は放送を聞いておる、しかしこれに労働階級は入っていない。もっとも「その他」の中に入れるというのなら別でありますが、そういう多方面からの代表としてここに全国民的な組織の上に立って経営が行われる、こういうのが理想的だと私は思うのでありますが、労働階級に対する――階級と申しますか、労働者側からの代表というものをお考えになっていらっしゃるかどうか、伺いたいと思います。
○寺尾国務大臣 労働者出身であって非常に適任者であるという場合においては、私はもちろん推薦し得る要素を備えておると考えておりますが、ただ利益代表といったような形で選ぶということはどうか、そう考えております。けれども労働者出身でりっぱな、いわゆる学識経験を有し、この第十六条の趣旨に適合するようなりっぱな候補者があれば当然これは選ぶべきである、かように考えております。
○松前委員 それは人物は無限にたくさんおりますので、幾らでも御推薦を申し上げますけれども、ただ問題は、やはり各階層と申しますか、こういう分野にわたって一応代表と申しますか、その任についた人をここに入れる、そして経営の衝に当ってもらうということになります。でありますから、労働問題やその他に対しましても最も経験と識見を持ち、人格も高いような人を当然選ぶのでありますが、とにかくそのような労働関係から委員の方を選ぶということに対してどういうお考えをお持ちであるか。いい人がおれば選ぶとおっしゃるけれども、いい人はたくさんおりますので、大体選ぶことにしておいて、そうしてだれかを求めるということになさるのか。それとも、おれば選ぶが、大体おらぬから選ばない、こういうおつもりなのか。そこのところをもう一ぺん伺いたいと思います。
○寺尾国務大臣 このことは労働者の代表を選ぶ、私はこういう考え方ではなく、労働者として労働問題、あるいは労働者としての過去の経験を有され、労働者出身の識見もあり、経験もあり、第十六条にかない得る人であれば、農民出身であろうと労働者出身であろうと当然選ぶ資格を持っておるということにおいてはちゅうちょするものではないとゆうことでありまして、今労働者の代表をここに選ぶべきかどうかということについては、はっきり労働者の代表を選ぶということの考え方はただいま持っておりません。従って労働問題に非常な体験を持ち、なお第十六条に十分かなったりっぱな候補者であればこれを選ぶにちゅちょしない、こういうことであります。
○松前委員 農民もやはり同じだと思うのです。今のお話ではそういう人がおれば選ぶということでありますが、たくさんおりますので、そこのところはそういう代表というか、そういう経験を持った人をこれに入れることが私はやはり必要だと思うのです。大部分の聴取者がそうなんですから、その辺のところをもう一ぺんお伺いいたします。
○寺尾国務大臣 これは一つ具体的にこういう人物ということによって、その人によってまた考えた方がいいのではないかと考えておるのです。これはまた非常に経営委員にふさわしい、経営委員としても堂々他の委員に比較してよりりっぱな候補者があるというようなことであれば、私といたしましても拝聴いたしまして、そういった際には一つ十分に検討いたすことをちゅうちょいたしません。
○松前委員 そこで私一言申し上げたいことは、今の問題でありますが、原子力基本法を作るときに、原子力研究は民主的に行われなければならない、こういうことで与野党一致して作ったのでありますが、そのときに原子力委員を選ぶということに対しまして自由民主党と社会党との間に話し合いをいたしまして、これを民主的に運営するためには、原子力委員を五人選ぶならば、一人は国務大臣で委員長におなりになったらいいだろう、あとの三人は一つ政府側で一応選定して社会党にも相談してもらいたい、それから一人は社会党側で選定して自民党にも相談しょうということで、実は有沢原子力委員は社会党の推薦を政府がのんでこれをやった。それで実は超党派で、原子力に関する非常にやかましい、共産党あたりが血眼になって反対しておりますことが、社会党、自民党が一致して仲よく推進してきたのです。私はやはり放送問題もその中立性を保つためにはそうなくてはならないと思うのです。そうしてあまりこういうところでがちゃがちゃ争うような種をまくことはやめてもらいたい。その根本問題は経営委員の選定であると思うのであります。でありますから、これに対する大臣の御態度ですが、ただいままでのところではだいぶ緩和された御態度のようでありますけれども、言いかえると野党の推薦というようなことも――推薦ではないが、一応提示したものに対して相談を持ちかければそれを受け入れ得るものは受け入れる、そのかわりほかの経営委員も全会一致で通るような人をやる、こういったことでこの経営委員を選定なさるおつもりかどうか、この点をお伺いいたします。
○寺尾国務大臣 先ほど来お答えを申し上げておりますように、この問題に対しましては十分熱意を持って一つ善処いたしたいと思います。
○淺香委員長 関連質問の申し出があります。粟山博君。
○粟山委員 ただいま阿部眞之幼君に関しての質問がありましたが、国会の権威の重要性にかんがみまして、かくのごとき委員会において人の名前が特に名ざされるということはきわめて重要な事柄だと私は思う。つきましては、阿部眞之助君が経営委員長となられましてから今日までその職責に当って欠くるところがあったか、あるいは経営上に期待にそぐわざるものがあったか、人格識見において及ばざるところがあったかという事柄につきまして、本員は大臣の所見を伺っておきたいと思います。
○寺尾国務大臣 お答えを申し上げますと。御質問の阿部経営委員長の問題についていろいろ御質問がありましたが、私は、阿部委員が委員に就任以来NHKの経営に対して非常な努力をされて、現在委員長としての職責をりっぱに果していられるということを信じ、また今後の御期待を申し上げております。ただ先ほど申し上げましたことは、その選任にこの両院の同意を求めるに当って一致の形がなされなかった。今までほとんど一致で来たのが、その原因がどこにあったかは存じませんけれども、ああいう阿部さんのようなりっぱな人を一致の形に御承認を賜わり得なかった、多数決で決した。多数決で決したことは、院の権威の上から、またこの承認の上に何ら問題はございませんけれども、ただ一致の形がなされなかったということについて申し上げたのでありまして、阿部委員が委員就任以来りっぱに職責を果していらっしゃるということは、私も十分認めておるところでございます。
○粟山委員 時間もないから簡単にお聞きしますが、満場一致ということは、いかなるルールにいたしましても、私どもはもう心から希望するところであります。しかしながら、一たん法規の許す範囲内におきまして選定せられました以上は、満場一致を必要とせざる場合においては、過半数において決定されることには私は何ら欠くるところはないと思う。これに対しての大臣のお考えはいかがですか。
○寺尾国務大臣 その通りでございます。
○粟山委員 私は不敏でございますけれども、長い議会生活の体験から申しまして、今日は好むと好まざるにかかわらず、御承知のように社会党と自民党というものが保守革新において対立をしておる。しこうしてこのあり方については、その良識とその最善の常識の判断によって、こうもあろう、ああもあろうと思いましたところで、イデオロギーの相違によりましては、日ごろはいかに親しくつき合っておっても、このルールにのっとって決をとらんとする場合においては満場一致なんということは容易に望み得ない。これは理論によらずして、現実がきわめてきびしく示しておる世相なんでございまして、国連においてもしかり、わが日本の国内における最もわれわれの重要なる運命を託しておる国政におきましても、あるいは県会においても、市会においても、町村会においても、そういうような状況が深刻に浸透しつつあるのであります。それで私は、大臣が今おっしゃるように、満場一致を期待する、満場一致を要果するそのお気持はわかりますけれども、そのお気持に沿うて、大臣がおられる間に、あるいは大臣がかわりましても、大臣の満場一致を希望されるような事態は私は容易にあり得ないと思う。要は、その場合において、世論の背景とその時における情勢にかんがみて最善の方法をもって、学識、経験、人格、徳望、その人の多年の経歴、こういうものを勘案して、人選をいたすことにおいてルールの示すところにまかすよりほかに決をとる方法はないと考えておるのである。大臣、いかがお考えでございますか。大臣の理想は、理想であっても不可能であるから、ルールに従って、満場一致でなくても、過半数において決定したものを尊重する、これ以外にはとるべき方法がないと私は思う。これをもって私の質問を終ります。
○寺尾国務大臣 御質問並びに御所見に対しては、さような通りだと存じます。ただ、私が申し上げましたのは、放送法、特にNHKというものの性格からいたしまして、いわゆる不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保しなければならぬ、しかもそれは公共の福祉に適合するようにいたさなければならぬ、こういうNHKの使命が、不偏不党ということが特に重点的に示されておりますから、理想といたしましては私は国会が一致して選ぶという形が好ましい、こういう考え方を申したのでありまして、粟山先生の御所見としてはさような通りだ、かように存じます。
○松前委員 粟山先生の御意見は承わりましたが、個人の名前を出すことはおもしろくないというお話がありましたけれども、私は、阿部真之助さんが手腕力量がない、悪い人だから委員長に適当でないと言ったのではないんですよ。それは私どもも認めておるのです。けれども、こういうことが放送法に書いてある。「放送事業者若しくは新聞社、通信社その他ニュース若しくは情報の頒布を業とする事業者又はこれらの事業者が法人であるときはその役員若しくは職員若しくはその法人の議決権の十分の一以上を有する者」これは経営委員になっちゃいかぬのです。ですから、これに該当しはしないか。われわれとしては、該当するものであるからこれはおやめになったらいいだろうという説だった。ですから、阿部さんが非常に悪い人だから云云というのじゃないのでありまして、われわれは、あの人はりっぱな人であり、今日りっぱに遂行しておられることも認めております。ただ、こういう法律がある以上は、この際一つ遠慮した方がいいんじゃないかというのがわれわれの立場であった。ですから、その辺のところは法律の解釈で右か左かきまったことでありまして、本質的にはあの人が悪いからいかぬというようなことで反対したわけではないのでありますから、その点は阿部さんのためにも少しわれわれとして弁明しておく必要があるかと思いまして、当時の事情を説明したのであります。これで終ります。
○粟山委員 それならばなおさら私はお伺いしなくてはならぬけれども、阿部さんの選定の場合においては、その法令なり規約なりに反する姿において無理に推薦されたものでありますか、お伺いしておきたいと思います。
○寺尾国務大臣 政府の考え方としては、さようなことは全然ございません。
○粟山委員 わかりました。
○淺香委員長 小澤委員。
○小沢(貞)委員 私は今回の改正は非常に大切な点でありますから、それについてはいろいろの考え方と事務的なことをお尋ねしたあとで、またいろいろ承わりたいと思うわけです。
 そこで、いろいろこまかい点を聞きたいのでありますが、今ちょうど経営委員の任命についての質疑等がありましたので、それに関連して、それからお尋ねいたしたいと思います。今度の改正では、地区代表八名のほかに全国代表を四名ふやすというような格好になっているのです。ところで今、松前さんの御質問のときに、経歴等を資料として出していただきたいというようなお話もあったようですが、NHKの概況というものを拝見すると、ここに野村会長を含め九人の人が出ておりますが、今もこの通りですか、最初にお尋ねしたいと思います。阿部さん、遠藤さん、これは委員長代理、それから三輪さん、その次は阿部さん、俵田さん、佐々木、村上、伊藤、この八名でございますか。
○濱田政府委員 その中で遠藤さんと俵田さんが退任しております。俵田さんは死去されました。
○小沢(貞)委員 そうすると、遠藤さんのかわりはだれで、俵田さんのかわりはだれで、どういう経歴の方ですか。
○濱田政府委員 遠藤さんのかわりには岩本正樹さんという方がなられました。これは東北地方でございまして、仙台に住まわれる岩本外科病院長でお医者さんであります。しかしこの方はお医者さんであるといっても、社会事業に非常に興味を持っておられまして、仙台地方のユネスコ委員会の支部の委員長だとか、あるいはその他の社会事業に非常に熱心に奔走しておられるようであります。次に俵田さんのかわりには八木宗十郎さんという方がなられました。この方は中国代表でありますが、これはデパートメント・ストアーの社長をやっておられます。実業界、産業界の代表というそういうことを勘案したわけでございます。
○淺香委員長 小澤さんにちょっと御相談いたしますが、大臣が御都合がございますので……。
 午後は一時より再開することとし、この際暫時休憩いたします。
    午前十一時五十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時十六分開議
○淺香委員長 これより再開いたします。
 休憩前に引き続き質疑を続行いたします。小沢貞孝君。
○小沢(貞)委員 午前中に経営委員のメンバーのかわった二人についてお聞きして、私はその経歴を拝見したわけです。阿部さんは評論家ということで、私は知らないのですがこの前社会党が任命のとき反対したというが、この人は別としましても、三輪さんは興和紡績会長、それから今度任命された八木さんはデパートの社長なんだそうです。それから四国代表の佐々木さんは伊予鉄道の取締役、村上さんは井筒屋デパートの会長、伊藤さんは伊藤組会長、こういうことで、取締役だ会長だ社長だという人が大部分で、そうでない人は阿部さんと今度任命された岩本さんの二人だけという格好になると私は思う。たった八人ばかりのうちの五人も六人もが社長だ取締役だ会長だ、こういうことは私は今の社会情勢を考えてみるとはなはだ公平を欠くように考えるわけです。そういう点からも、先ほど松前さんが言われたように、労働者の利益代表という言葉はおかしいと思いますが、労働階級からも適当に選任しなければならない、こういうように感ずるわけなんです。放送法の第一条ですか、不偏不党でなければならないということがうたわれておりますけれども、今度の放送法の改正で一番大きなことは、四十四条の「公安及び善良な風俗」、この善良な風俗ということを入れたがために以下たくさんのむずかしいことが列挙されて新しい改正案が提案されたと思うのです。善良な風俗という言葉が非常に問題だと思うのです。おそらく今の五名だか六名の社長、会長、取締役、重役というような人は、デモが行われたり何かするようなことは善良な風俗とは見ないような立場の人が多いだろうと思うのです。私たちの立場から考えればこれは善良なる風俗だと思うのですが、そういう社長、会長、取締役というような人はそう見たがらない、こういうことだと思う。今の社会はどう分析しようとも階級対立の社会です。資本家階級対労働者階級というのですか、支配者階級対被支配者階級というのですか、治者対被治者というのですか、政治的にいえば階級政党としての自由民主党と階級政党としての社会党、こういう対立の社会なんです。従って、片方のものだけの立場を代表する人だけを任命することが果して妥当であるかどうかということは、理論的にも明らかなことだと思う。そこで地区代表八名、これは地域的な関係もあってよかろうと思うのですが、先ほど松前さんが言われたように、十六条の「教育、文化、科学、産業」この四つのほかに地域代表ということしかうたわれていないわけです。私は階級的な考え方も入れなければ、公平妥当、不偏不党の放送をやる協会を運営するということにはいかないと思う。これは理論的に考えても明らかだと思う。ですからこの際四名の全国区ですか、新しく任命する人はそういう立場から全部任命してもまだ数が足りない、こういうふうに考えるのですが、その点はどうですか。
 それからいま一つの事務的なことですが、この改正によって、今までの経営委員は総改選になるのですかどうですか。そういう点をお尋ねしたいのです。
○寺尾国務大臣 御指摘の今の皆さんをいろいろあれこれということはどうかと思いますけれども、やはり教育、文化、科学、産業、こういう面から公正に選ぶべきだということは、私は論を待たないところだと思います。もし新しく任命する方が事実片寄っておるとするならば、これは公正な方に持っていくべきことは当然のことだと思います。それから新しく任命いたしまする四名、これは全国を通じて選任をいたしまして、有為の人材を広く選ぶことができる。また地域にかかわらない広い視野に立って任務を果す、こういうことにおいて四名を増員する、こういうことになっておるわけでありますから、この第二項の趣旨にかんがみまして、できるだけ公正に選ぶべきだということはもう当然のことだ、さように私は思っております。なお総改選をするかどうかという点は、この改正案が通りましても現在の委員は総改選をしない、こういうことになると思います。
○小沢(貞)委員 大臣の答弁は非常に抽象的なことばかりなんです。私は、この人は今まで任命されて、満場一致議決された人が大部分ですから、おそらく専門的な広い視野を持った人だろうというように考えていますし、そう信じているわけです。しかし私たちが第三者という立場から見た場合に、先ほど私が一々申し上げたように、興和紡績の会長だ、何とかデパートの社長だ、何とか鉄道の取締役だ、井筒屋デパートの会長だ、伊藤組の会長だ――今一番世の中でやかましいのは、たとえば警職法の問題にしても階級的な対立といいますか、そういうことが一番やかましいことだと思うのです。不偏不党というのは、やはり階級的な立場から見て公平でなければならない。私はこの人を悪い人だと言うのではない。こう直観したときに、あまり社長や会長や取締役ばかりが出てい過ぎはしないか、こう考えるわけです。労働階級の総評の代表を入れろとか、何とかを入れろとか、こういう意味のことじゃない。六名も七名もそういう人ばかりで占めているのですから、こういう立場の人も入れるのがやはり当然なんです。今度は全国区という広い視野ですから、あまり地域的なことにとらわれないで済むのです。ですからそういう約束ができるかどうかということなんです。私たちがどうしてもこれでなければいけないといって予定している人もあるわけではないし、そちらで適当に選任していただいてけっこうですが、そういう人を入れることが約束できるかどうか。そうでなかったならば、この放送法の第一条にうたわれて言いる不偏不党という言葉とはなはだ遠いわけです。この法律にうたった通りにやれるかどうかということを私は聞いているのです。
○寺尾国務大臣 経営委員の任命につきましては、御承知のようにこの放送法の規定するところに従って任命しなければならぬということは明々白々であります。これは小澤さんの御所見も私も寸分違うわけではないわけであります。ただ現実の問題としてもう一つ欠格条項等にも左右せられる点もあり、また人を推薦するというようなときには、おおむねその人に対する考え方とか評価というものも違ってくるので、そこにいろいろ問題点もあろうかと思いますけれども、私は労働者出身の方で相当りっぱな人があるならば、その人を選ぶことに何らちゅうちょいたしません。
○小沢(貞)委員 そういうつもりはあるんですね。
○寺尾国務大臣 ございます。
○小沢(貞)委員 それではこれ以上あれしていても、必ず出しますとまでは言わないでしょうから、その点はそういう階級の人も出す意思があるということで了解しておきたいと思いますが、十六条の四項六号の「放送事業者若しくは新聞社、通信社」云々の最後に持っていってカッコして「(任命の日以前一年間においてこれらに該当した者を含む。)」これも今度の改正では削除しているわけです。これはこういう条項があった方がいいのに、わざわざ削除しなければならなかった理由はどこにあるのですか。全国区四名を選任する中にあらかじめこれに該当するような人がいるわけなんですか。そういう人を予定しておって、これに当てはまらないからわざわざこの条項をとったとしか、どうも悪く解釈すれば――私はそんなに悪く解釈したくないけれども、そういうように解釈する以外に方法はない。これはそのまま入れておいた方がいいと、だれが考えても思う。全国区の四名の予定者の中にこういう該当者でもいるんですか。そうでなければ、これは残しておいた方がいいのではないですか。
○寺尾国務大臣 これは確かに二十八国会に提案をいたしておりましたものは、放送関係の通信機の製造業者並びに新聞通信業者の団体の役員については、これは一年を経過しなくても、委員任命当時に該当しなければそれでよいということになっておりましたけれども、それにさらに加えまして、今申し上げるような放送事業者並びに新聞通信社またはその役員についても、一年経過をしなくても、任命の当時に該当しなければよろしいという若干の緩和をいたしたわけであります。このことは、放送事業に大きく貢献をしていただくという人を実際に見渡しました場合に、やはり放送に関係のある、今放送関係の仕事をせられておるとか、あるいは新聞通信関係の人たちというものは、やはり放送の事業に大きな経験と抱負を持っていらっしゃる。そういう方だものですから、そういう人をやめて、なお一年間もこれを任命ができないということにしておくことは、非常な人材を埋もれさせる、十分放送の発展のために使えないではないか、だから委員任命のときにやめておればいいじゃないか、やめてさらに一年ということは、あまりにもこれは強過ぎはしないか、酷でないか、こういうような考え方からこれらに携わる人材というものは、今後の放送事業に大きく貢献のできる抱負と経験を持っておる、非常にほしい人材であるというところからしてこの緩和をいたした、こういうわけでございます。
○小沢(貞)委員 それは理屈としてはそうだと思う。ところが、先ほどの松前さんの質問に大臣が答弁されて、やはり新聞その他が放送事業にもみな関連してくる、そういうものになるべく支配させない方がよろしい、こういう御答弁があったが、私はそういうこととも関連して、この前のときにはわざわざ、こういう一年間はだめだという項目を入れたと思う。日本には九千万の人口がいるんですから、たった四人選ぶのに、こんな項目があるとないとで、そんなに選ぶことが困難ですか。たった四人選ぶだけですよ。そうしてこういう階級ではちっとも選んでいないじゃないかといって、私は盛んに推薦しておるのですが、それだから今度やりましょうという場合になれば、こういう項目でもあった方がいいんじゃないですか。私は、大臣が予定しておる人の中にそれに該当している人が確かにいるに違いないと、こううがって考えるわけです。そうでなかったならば、こんなものを入れておくことにそう何もこだわらなくてもいいじゃないですか。
○寺尾国務大臣 小澤さんは四人と九千万との御比較で、これはその御所見だと非常に困難はないように思われますけれども、地区制というものについてのその地方の適任者ということになりますと、私の最近の経験からいたしましても非常に困難を来たした事実があるわけなんです。それでありますから、その地方でいわゆる日本放送協会の経営委員を選ぶということであれば、やはり相当の学識経験あるいはその他のりっぱな人物でなければならぬということによっていきますと、最近ことにいろいろの放送関係の会社等もできたりして参っておりますから、この条項のどこかに関係をしておるというようなことで、私自身の体験といたしましてもこれは非常に難渋をしたということは事実であるわけなんですよ。それで新聞人がそういうものに関係をしたりとか、あるいは報道関係の者がそういうことに関係したりとか言いますけれども、その任命のときに事実その社から辞任をしておるという形においては、これを一応欠格条項からはずすというようなことをするのが、広く人材を求めるというようなことからいっても妥当ではなかろうか。いろいろ審議をいたしました結果この緩和の処置をとった、こういうわけでございます。
○小沢(貞)委員 これ以上いろいろ押し問答していても、そういう立場と私どもの方の考え方とそれだけ違っているんだから、押しっくらしているだけのことだと思います。ただ私は、大臣がどうもこだわっている点があると思う。新聞等に関係した者あるいは特別のそういう関係の技術者、経験者、こういう人の方が経営委員にふさわしいというようなお考えだと思う。私はこういうものは全然しろうとの方がいいと思うのです。教育委員の選挙をやるときに、校長先生の上った者でない者とか、全然広い視野の者がいいというようなことが多分にいわれました。あるいは公安委員だってそうだと思う。それと同じように、不偏不党という立場でもって経営をしていかなければならないNHKの経営というものについては、何も専門屋じゃない方がいい、広い視野から常識さえ持っていれば私はいいと思う。だから、そういう立場からやっていただければ、あまりこういうことにこだわらなくて済むんじゃないか、こういうように考えます。
 そういうことはさておきまして、質問を新たに変えていきたいと思います。この一部改正によって、これを担当するところの電波監理局ですか、その人員は増加する必要があるかどうかということです。端的に一つ、大臣としてはどう思いますか。人をふやす必要があるかどうか。
○寺尾国務大臣 特にこれがために人員をふやすということの、さしあたっての必要性はないと考えます。
○小沢(貞)委員 私は、これはうわさでよくわかりませんが、この改正に伴って放送調査官というようなものを設けるとかいうようなことを聞いておるのですが、そういうことを考えておるわけですか。
○寺尾国務大臣 この点一つ局長から答えさせていただきたいと思います。
○濱田政府委員 放送法の改正のために人員の増加は考えておりませんけれども、放送事業が急激に発展いたしまして、免許事務あるいは番組についてのいろいろな業務、免許の前提になるようないろいろな調査、あるいは作られました放送会社のその後の運営等につきましていろいろな調査等をする必要がたくさんできましたために、今後の放送政策の確立とかいろいろな面からいたしまして、放送事業につきまして免許というような実際の業務以外に、調査をする必要を非常に感じております。そういう意味におきまして、私どもは電波監理局の放送関係の事務を促進するために、できますならば若干の人員の増加をいたしたい、こういう考えをかねがね持っております。
○小沢(貞)委員 先ほど大臣は、特に人をふやさないと言われたでしょう。局長は――私は免許その他の問題については、今まで通りでちっとも変りはないと思う。この放送法の改正に伴っての人員の増加を、大臣は先ほどやらないと言われた。局長は、今度は番組についての業務の調査――ここが私は非常に大切なところだと思う。そういうことについての人の増加をする、こう言うのです。どちらが正しいのですか、局長の言っていることと大臣と……。
○濱田政府委員 先ほど申し上げました通り、放送法の改正に関連しましては特に人員の増加は必要と考えておりません。しかし、私が申し上げましたのは、免許というような実際の業務のためにただいま電波監理局は非常に忙殺されておるわけであります。日常の業務に忙殺されておるわけでありますが、免許を行うために必要ないろいろな調査事項がたくさんあるのであります。免許方針をきめますために必要ないろいろな調査、番組がどういうふうに編集されたらよろしいかというような基本的な問題等につきましては、電波監理局においてできるだけの調査等をいたす必要があると思うのであります。そういう意味におきまして、日常の業務でないところの調査等をするために、私どもはかねがね若干の人員の増加を必要と考えておる次第であります。そういう意味で、放送法の今回の改正に関係のある人員の増加ではございません。
○小沢(貞)委員 それではもっと具体的に言います。第四十九条の二「逓信大臣は、この法律の施行に必要な限度において、政令の定めるところにより、協会に対しその業務に関し報告をさせることができる。」こういうことは新しく挿入されたことです。これは新しい仕事です。こういう法律を作って業務に対して報告させるのです。政令のことはあとで聞きますけれども、新しい仕事がふえてそれを担当する人は要らないのですか、要るのですか。この放送法の改正については人は特別要らないというような工合に大臣も局長も今言われたけれども、人をふやす必要があると言うところを見ると増加しなければいけないし、先ほどの局長の答弁からいうと番組についての業務の調査もしなければいけない、こう言われているのですから、新しい条文が入って、いろいろな報告をとらせようということですから、これを担当する人が必要だと思うのですが、要るのですか、要らないのですか、その辺はどうなんですか。
○濱田政府委員 ここに四十九条の二に示してあります報告徴収ということはこの放送法を施行するに当りまして、郵政省といたしまして必要なこと、そのことに限るのであります。このことは改正しない現行法においてもたくさんあるのであります。先ほど私は番組という言葉を使いましたが、この番組というのは、番組の内容では毛頭ありませんで、番組審議会を作る、あるいは番組審議会にいかなる委員を任命するかというふうな問題等をさすのが主であります。それ以外にいろいろ問題があるのであります。そういう放送法を施行するについて必要な事項に関しまして、追って政令等で定めたいと思っておりますところの若干の事項につきまして協会から報告をとるということは、これは必ずしも新しい人員を増加しないでも可能であろう。先ほど申しましたところのかねがね考えております調査、放送に関する事務が非常にたくさんになったために、増加を必要とするその人員によってこれは可能だろうと考えております。特にこの条項のために人間を増加する必要はあるまい、そう考えております。
○小沢(貞)委員 事務的なことを聞いて大へん失礼ですが、業務はどういうことをやっていて、仕事がたくさんふえてきたのにもかかわらず今の人員は幾人しかない、こういうことをちょっと数字的に教えて下さい。――今じゃわかりませんか。大体わかるでしょう。自分の局の免許の仕事がふえたとか、何とかの仕事がふえて、それにもかかわらず人がふえていかないということを言われているのです。そこをわれわれのわかるように説明願いたい。
○濱田政府委員 放送局の免許等につきましては、電波監理局の放送業務課と放送技術課という二つの課においてこれを扱っております。この放送業務課にも放送技術課にも、それぞれNHKを担当する係と一般放送事業者を相当する係がございまして、私ただいま正確な数字を申し上げかねますけれども、どちらにも係長外二名くらいの人員が配置されておりまして、この二、在名の人員でばとうてい日常のいわゆるルーティン・ワークしか遂行できないということを私どもかねがね感じておるのでありまして、できまするならば日常のルーティン・ワーク以外に放送の免許につきましての基本方針をきめたい、根本基準について検討を加えたい、あるいは先ほど申しましたようりに、いろいろな財務の調査とか、あるいは放送事業体の経営の調査とか、そういうものもできるだけいたしまして、今後の免許の方針等の基礎資料にいたしたい、そうして先ほど申しました日常の免許を誤りなく果したい、そういう希望を持ちまして、前から放送業務課、同時に同じような技術方面を担当する放送技術課の人員の増加を希望しておったのであります。
○小沢(貞)委員 先ほど申したように、放送調査官と特に銘打ったものができるのです。もう一つは番組についての業務調査をやるということは、具体的にはどういうことをやるのですか。次に、ここで「政令の定めるところにより、」という、この政令はどういうこととどういうことをうたおうとしておりますか。この三点について伺いたい。
○濱田政府委員 今申し上げました放送関係の業務を担当する担当官の名称を何としたらいいか、まだ確定いたしませんけれども、たとえば放送専門調査官というような名前も一案だろうと考えております。この調査官なるものは先ほど申しましたように、いろいろな基本的な調査、今後の具体的免許について必要な基礎資料等の収集や調査研究等をしてもらいたい、これは必須であるというふうに考えておるわけであります。
 次に御質問の、どういうことを報告させるかということでございますが、これは目下検討中でございまして、政令等によってこれをきめたいと考えておるのでありますが、一例を申し上げますならば、日本放送協会の場合におきましては、先ほどの御質問にありました経営委員会や役員等の任免、どういう人が経営委員会に、あるいは役員に任命されたかというふうなことの事実、あるいは受信契約の状況、今年の末には何万人増加したかというふうな状況、あるいは国際放送の実施状況であるとか、ないし研究成果、NHKは今度の改正案によりますれば、みずからの力において、みずからの任務として、放送の送信及び受信に関する研究及び調査をいたさなければならないことがきめてございますが、そういうことにつきましての研究の成果等について報告してもらいたい、そのほかいろいろございますが、例をあげればかようなものでございます。
 これが日本放送協会につきましての報告事項でありますが、民間放送の場合には番組審議会を作るように法定しておりまするので、番組基準及び放送番組編成の基本計画はどういうふうになりますかというふうなことについて報告を求める必要は当然あろうと思うのであります。あるいは、これも現行の放送法にもございますが、訂正放送の実施に関する事項、どういうことがあったかということの報告を求めること、これも必要な事項だろうと思うのであります。大体以上のようなことが、一例でございますが報告を求めてしかるべきものと考えております。
○小沢(貞)委員 放送法を改正されたほんとうのところが、報告をさせる義務づけを法律にうたわれたところで出てきたと思う。人をふやすかと言ったときにはあいまいだったけれども、放送専門調査官と銘打つか、放送調査官と銘打つか、とにかくそういうものを置かなければならないということは今明らかになったわけです。そうして何をさせるかというと、民間からの訂正放送の実施に関すること、こういうことがうたわれておるわけです。従ってずっと前の方に戻るのですけれども、テープとかフィルムを一カ月保存しておかなければならぬという規定がどこかにあったと思うが、そういうことになってくると思う。そうしてこれだけの法律だけでは、報告義務を次から次と課すことができるわけです。これは「政令の定めるところにより、」とありますから、あれも報告しろ、これも報告しろと、報告することを義務づけることがどんどんできるようになっておるわけです。だから、こういうことをどんどん政令できめていったならば、これは大臣にお尋ねしたいけれども、放送専門調査官による不当な支配、干渉というか、そういうことになる憂いがあるわけです。大臣はそういうことを御心配になりませんか。私はそういう心配が非常に多いと思うのです。
○寺尾国務大臣 このいわゆる報告を徴することができるという規定においては、いわゆる放送番組の内容であるとかあるいはその他放送関係の、たとえば政府がこれにいわゆる言論統制を行おうとかいうような意図のものは全然ないのですから、今申し上げたようにきわめて事務的と申しますか、こういった当然やらなければならぬことに対しての必要最小限度の報告を求める、こういうのでありますから、これが言論統制とか、これによってだんだん政府が圧力を加えていくとかいう意図は全然ございません。
○小沢(貞)委員 ただ報告をさせっぱなしのことならば、何の意味があって番組の内容等について報告させるのですか。意味のないことは、事務的に煩雑になるばかりだから報告させる必要はないと思うのです。番組の内容等についてどうして報告させるのですか、報告させる条文をどうして作ったのですか。何もしようとする意思がなければ報告させたって意味がないでしょう。民間放送事業者だってNHKだってやかましくてしょうがない、こんなうるさいことをされたら大へんです、これも報告させられることになるのか、あれも報告させられることになるのかという心配だけでも大へんなものです。一応特別なものを政令できめるというが、放送番組の内容についてまで報告させ、その結果に基いて何もする意思がないというなら、そんなものを報告させたってしょうがないじゃないですか、どうしてわざわざ法律を変えて報告させる義務を入れるのですか。
○寺尾国務大臣 これは、報告させてどうするかということは、報告を見て健全な放送が行われておるとか、経営が順調に進んでおるとかいうことをそれによって確認できるわけでありますから、それをとったからどう処置しようとかいうことではないのです。こういう場合は家庭においても私はいろいろあると思います。隣りに自分の子供が勉強をしておるか、あるいは安らかに眠っておるか、それだけを認めれば親というものは安心をする、こういうことを一つの比喩として申し上げることができると思うのですが、ただ私がただいまもお答え申し上げましたように、放送に対する一つの――第一条に規定されておる不偏不党、いわゆる真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保する、こういう放送法の自由に、自主的にこれを行わせなければならぬという一つの絶対の原則というものには一指も触れてはならぬ、こういう形においてわれわれは今度の改正案を作ったのでありますから、その趣旨に基いて――もうこの報告を求むるにいたしましても、内容を御検討下さればわかるように必要最小限度の報告をとって、それによって順調な経営がなされておる、責任が果されておるということを確認しょう、こういうものでございます。
○小沢(貞)委員 大臣のその答弁で私は初めてわかったのですが、放送の内容が健全であるかどうかということも、報告した中で検討するわけですね。健全であるかいなか検討する、こう言っているのですから、放送する内容が健全であるかどうかということをこの報告によって検討するわけですか。これは非常に大切な点ですから、大臣、明確にもう一回答えていただきたい。
○寺尾国務大臣 これは私の答弁が表現が悪かったかもしれませんが、放送した事項についてと、こういうわけです。この報告を求める事項についてこれが順調に行われておる、こういう確認をするということであって、放送全般がそれによってどうこうということではないのでありますから、この点訂正いたします。
○小沢(貞)委員 放送をした事項について、それが健全であるかいなかということを検討するわけですね。そうしてそれは先ほど局長の言う放送専門調査官がやるのですか。従ってそういうことの必要のために第四十四条の七で政令の定めるところにより何とか一カ月以内に限ってずっととっておけ、こういう確認をすることができるように必要な措置を講じなければならぬ、だからそういうことが必要なのでフィルムもテープも一カ月間とっておけということになるのですか。その二項目について一つ明確にして下さい。ここのところが放送法の一番問題になるところだと思うのです。
○寺尾国務大臣 これは私が質問にお答えする点に言葉の使い方がまずかった点がありますが、私が、先ほどいわゆる報告を求めるということによって、その報告したことによって何か処置をするか、こういうお話ですから、それはそういうように報告を求めて、それによってこれを確認していく、こういうことであって、放送ということではなくて、いわゆる報告の内容を確認をする、こういうことであります。確認というよりも、報告されたことによって――報告を求めることはその報告書をそれによって認める、こういうことでありますから、確認という言葉は少し強いかもしれませんけれども、その報告によってそれが順調に進められておるということを一応知る、こういうことになろうかと思います。
○小沢(貞)委員 そういうことの必要のための四十四条の七ですか。それをまだ答弁していない。
○廣瀬政府委員 ただいまの最後のお尋ねは事後措置の問題でございますね。――これにつきましては第四条に訂正放送の規定があるのです。それで、この訂正放送の請求を二週間以内にできることになっております。かりに二週間ぎりぎりでそういう要求があるということになりますと、その要求に基きまして調査をしなければならない、そういうことで相当日数がかかりますから、最小限度一カ月ぐらいは必要であろうということで、そういう資料を保存していただきたいというわけでございます。
○小沢(貞)委員 その政令のところがはっきりしないのです。四十九条の二です。先ほど局長の言われた内容を私の方で知り得た範囲に確認しますが、それでいいかどうか、よく聞いていていただきたいのです。まず放送協会に対しては役員の任免、これを報告させるのですね。第二は受信契約の状況ですね。それから三は研究成果、そういうものについても報告させる。それから放送の内容ということをあとで大臣が言われたけれども、この辺がはっきりいたしませんから、これはあとで聞きます。
 それから民間に対しては番組基準とか基本計画、それから訂正放送の実施に関すること、それから番組の内容、こういうようなことだけですか。これ以外に報告させることを今考えてはおりませんか。
○濱田政府委員 御指摘の番組の内容ということを申し上げたことはありません。内容ではありませんで、番組編集も基本計画とかその基準等でございます。それ以外にも若干ありますけれども、目下検討中であります。
○森本委員 第四十九条の二は非常に重要な問題であって、この放送法の今度の問題における非常に重要な条項の一つです。その重要な条項の一つの中における、しかもその政令の内容が現在検討中であって、ここで回答できないというふうな答弁をもしするならば、われわれしとしてはこの改正案について審議ができないと思うのです。一応こういう条項を出す以上は、われわれとしては政令の内容についてはこういう用意があるということを明確にしていなければならない。今回の放送法の改正に当って、一番、民間放送についてもNHK等についても、あるいはその他の放送に関する関心を集めておる点は、この四十九条の二、これに相当のウエートがかかっておるわけであります。そのウエートのかかっておるところの政令が、ただいま検討中でありますというような答弁をするならば、これは非常に審議の対象になりにくいと思う。その点は、局長の方で内容等について十分にお答えができるようになってから一つ答弁を願いたい。そうでなければわれわれとしてはこの審議を促進できかねる、こう思っておるわけであります。
○大野(幸)委員 関適して。寺尾大臣はたしか第一国会から議会に席を占められておるわけで、よくわかると思うのでありますが、大体、国会は国権の最高の機関だといわれた当時から、今までの旧憲法時代は政令とか省令とかに譲っておったのを全部国会でやれというので政令というものは禁じられておってほとんどなかった。そんなことは当時の国会議員はみんな知っている。行政官には立法権を与えていなかったのです。全部国会でやれということで、政令というものは許されていなかったのです。これはいつから実施するという施行令を政令に譲るということまでも当時は禁止しておったのです。ところが、だんだんと官僚が権力を得ようとし、官僚が自由にしようとして、政令に政令にというようにしたきらいがあるのです。だから、今言われました発言とともに、政令ということは恥ずべきことで、政令を容認するということは国会の権限を譲ることなんです。まじめに国政に当る国会議員なら政令の範囲を縮めていこうというのは当りまえでありますから、せめてあなた方も、これとこれとこれと成案がある――成案がなくて出すということはよくないのです。だからその点を研究して、そして列挙主義をとりなさい。
○濱田政府委員 政令につきまして、検討中とははなはだけしからぬというおしかりでございまして、まことに恐縮でございますが、これにつきましては慎重審議をいたしまして、最もこの法律の事項に適切なものにいたそうという最大の努力を払って参ったわけでありますが、まだ最後の結論と申しますか、若干、これを入れるがいいか、入れないがいいかということにつきまして疑問の点があると考えましたので、そのような御答弁を申し上げたのでありますが、今日まで私どもが考えております政令の案を申し上げますならば、先ほどの条項以外に若干ございます。
 日本放送協会関係におきましは、先ほどの研究の成果以外に、国際放送の実施状況、番組基準及び放送番組編集に関する基本計画並びに世論調査に関する事項、放送番組審議会の構成及び議事、放送番組審議会の答申または意見に対し、会長の行った措置、以上が今日まで私どもが考れております事項であります。
 次に、一般放送事業者につきましては先ほどの放送番組基準及び訂正放送の実施に関する事項以外、放送番組審議機関の構成及び議事、放送番組審議機関の答申または意見に対し、一般放送事業者の行なった措置、先ほどのNHKの場合と類似しております。
 それから最後にこういうことも考えております。郵政大臣は、特に必要があると認めるときは報告を徴することができる。その第一、日本放送協会の場合には、協会が行うことができる業務の実施に関する事項、これは第九条の第二項に掲げてある業務でありますが、その中に協会の行うことができる業務というのがあります、その実施に関する事項。一般放送事業者につきましては、放送番組の供給に関する協定に関する事項、この件につきましては一般に公表したりまたは公衆の閲覧に供することはしないというようなことを今日まで検討してございます。
 なおつけ加えますが、いかなる場合でも、郵政大臣は、個々の放送番組の内容に関して報告は徴しないということをかたく付記するようにしようと考えております。
○小沢(貞)委員 とてもたくさんで、今書き始めたが書き切れないから、至急今言われたことをもっと整理されて、資料として出していただきたい。これからちょうど本会議のため休憩に入るそうでありますから、至急印刷して、きょう間に合えばきょう、間に合わなければ次会に出していただきたいと思います。この政令の内容についてはまだ質問が後にありますから、そういうふうに要求しておきます。
○濱田政府委員 承知しました。
○大野(幸)委員 国際放送番組のことについて質問いたしたいので、過去一年間におけるNHKの国際放送の状況をNHKから提出するようにしてもらいたい、こう思います。
○淺香委員長 本会議終了後直ちに再開することとし、それまで暫時休憩いたします。
    午後二時十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時四十一分開議
○淺香委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
 寺尾郵政大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。寺尾郵政大臣。
○寺尾国務大臣 先刻小澤委員の御質疑に対して私が発言をいたしました中で、私の言葉の使い方その他きわめて鮮明を欠いた点がございます。従ってその点を訂正答弁をさせていただきます。
 そのことは、いわゆる報告を徴収することができるという項目についての答弁に際しまして、放送内容といったような言葉を私が使ったかのような、小澤委員からのお言葉でありましたが、私の真意は、政令できめた報告事項についてこれを報告せしめて、いわゆる報告事項を確認する、これを私が、報告内容といったような言葉を使って間違っているのではないかと思いますから、この点は報告を求めた事項についてこれを知る必要がある、こういうことでありますと同時に、報告を求めるというこの内容につきましては、いわゆる放送番組その他放送に関する報告を求めることは、政府としてはこれをいたしません。従って業務に関する問題について政令に定めてこれを報告させるというのでありまして、営業全般についての報告はいたさない、こういう方針であることもつけ加えて申し上げたいと思います。
○淺香委員長 小沢貞孝君。
○小沢(貞)委員 私はこの報告を義務づけたことは非常に大切なことだと思うのです。そこで今大臣はわざわざ一相談されて、放送そのものについては報告いたさせない、業務だけさせる、こういう御答弁のようだったわけです。私は繰り返しここで言っておるのですが、この四十四条以下ずっと改正になっている問題点は、「公安及び善良な風俗を害しないこと。」という工合に直したことから始まって、それをもとにしてずっと変っていると思うのです。政令で定めて報告させるという具体的なことについては、あとで印刷物が出されるそうですから、それについてはまたお尋ねいたしますけれども、こういう抽象的なことについては一体検討するのかしないのか、こういうことなんです。たとえば教育番組のことをだいぶうたってあります。これは四十四条第五項ですか、教育番組はこれこれこういうものでなければならない、内容は学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠するものでなければならないというようなことがうたわれています。それからそのすぐ前の第四項ですか、放送番組の相互の間の調和が保たれなければならない――調和という言葉は非常にうまい言葉でふんわりしているのですけれども、その調和ということは私もよくわからない。そういうことも検討するのか、チェックするのか、その辺どういうことになるのでしょうか。あるいはまたさっきも言いましたように、改正したおもなものの、善良な風俗を害する、害さないという問題、それから四十四条の三の四項の「中央審議会及び地方審議会は、国内放送の放送番組の適正を図るため必要があると認めるときは、会長に対して意見を述べることができる。」この意見を述べることができるというその意見、答申に対して、会長が実施したかどうかということを報告させる、チェックする、さっきそういう局長かだれかの答弁があったはずです。この適正をはかるためとか、調和を保つためとか、教育番組とか、善良な風俗とかずっとうたってあるわけですが、こういうことをうたったがためにこの報告義務を課したわけですね。だからそういうもろもろの報告をさせる中で、果してそういうものがそういうことに該当するかどうかというチェックを、放送専門の調査官か何か知りませんが、そういうことをやるのですか。
○寺尾国務大臣 そういうことをやるのでは全然ございません。これに対してこれが報告に関連をしておるということ……。過日もちょっと御説明を申し上げましたように、番組の準則ということにおいて、四十四条の第一項、それから御指摘になりました四十四条の第三項の第一号、第四項、第五項、こういうものはいわゆる番組の準則を一応ここで示しまして、そうしてこの番組準則に基いていわゆる番組基準を作ってもらう。その基準を作るために第四十四条のニの第一項、第二項、それに四十四条の三の番組審議機関を設けることによって、番組の基準というものをここに作ってもらうということでありまして、これは報告とは何ら関係がないわけであります。それで、この番組準則によって番組基準を作ってもらって、そうして自主的にやってもらおう、こういうのでありますから、これに対してこれらの問題について報告を求めるというような意思は全然ございませんし、たとえば調和の問題にいたしましても、調和というておるからというけれども、この考え方は、番組審議会等で、単なる申しわけでなく、各番組のバランスあるいはその自主的な調和のやり方というものは放送事業者並びに放送番組審議会等でこれらによって基準を定めるということは準則に作ってあるわけであって、これは報告と何らのつながりというものはございません。この点は御了承を願いたいのであります。
○小沢(貞)委員 そうすると調和が逸脱している――改府でもいい、だれでもいい、逸脱している、答申に対してどうも会長がやっていそうもないというときはそれを報告させるのでしょう。答申に対して会長が実施したかどうか報告させると言いましたでしょう。適正をはかるため会長に対して意見を述べる、答申をする、それを報告させる、会長がやっているか、やっていないかを見る、こういうことになりますね。それで会長がやっていない、適正化をはかっていない、番組が著しく調和を欠いている、あるいは――教育番組と銘打って今度は法律できめるのですよ。銘打ったけれども、教育的に逸脱している、その逆な現象が起ったときに、政府はそれに対して一切の指示も発言も注意もできないわけですね。チェックすることもできないわけですね。そこをよく念を押しておきたい。こういう法律をきめて報告をさせる。しかしそれについてはくちばしをいれることは全然できないし、注意もできないし、何もやれないということですね。
○寺尾国務大臣 これはすべて自主的にやらせる、こういうことであります。あくまでも協会なり一般放送事業者が番組審議会あるいは放送番組の基準を設けて、そしてそれを公表して、その番組基準というものに基いて放送を自主的にやらせる、こういうことでありますから、その放送内容等について今の報告を徴収するということは一切いたしません。これはきわめてはっきりいたしております。
○小沢(貞)委員 そうすると法律でここに善良な風俗、放送番組の適正化とかうたったのだけれども、これはだれが考えるか知らぬが、だれかその点で多少逸脱しているというようなことがあっても、自主的に何とかなるのを待つ以外には政府として何もできないのですね。いいですね。そういうことについての報告を何か求めるらしいけれども、それはできない。それでは確認しておきたい。
○寺尾国務大臣 報告は求めませんけれども、放送内容なり放送番組というものが低俗化したとか、あるいはその放送内容というものが第一条の目的に極端にはずれていった、軌道を逸脱していったというような、小澤さんの言うような場合には、その問題については放送内容についての報告は求めませんが、そういうことがありますとすれば、これは注意をするということはあり得ると思います。一切何をやったって注意もしない、あるいは再免許等のときもありますから、そういったようなときにおいての考え方等もありますが、小澤さんが言うようなことは私ども考えておりません。自主的に番組基準を作ってやっていく以上は極端な逸脱というものはあり得ない。あくまでもそれは自主的にやらせるのだ。しかしその結果非常な逸脱をした、非常な誤謬あるいは行き過ぎをしたというようなことがありとすれば、これは注意をするとかいうことは別の問題としてあり得る。こういうことは何をやったって、どうなったって一切がっさい注意をしないという意味ではないのであって、この改正案についての扱い方といたしましては、あくまでも自主的にやらせる、こういうことであります。
○小沢(貞)委員 その注意あるいは警告か何か知りませんが、法律的な根拠がないわけですね。この放送法に関する法律的な根拠がない、これはあとで答弁していただきます。
 しからばお尋ねいたします。第四十九条、これは改正にはなっていません。「電波監理審議会は、前条に掲げる事項」すなわち四十八条第一項の各号があるからこれはきわめて明確なんです。前条に各号をずっと書いたので明確です。「その他放送の規律に関し、郵政大臣に対して必要な勧告をすることができる。」こういうようになっております。第二項はこのまま生きておるようです。「郵政大臣は前項の勧告を受けたときは、その内容を公表するとともに、これを尊重して必要な措置をしなければならない。」、が書いてある。そこで私は心配するのは、さっき大臣は法律的には注意、勧告等はできない、この法律上はできないと明確にうたっていますから私は心配は絶対いたしませんが、どうも悪や解釈すると――非常にうがって解釈して何ですが、悪く解釈すると、放送の規律ということがよくわからない。これは事務当局でいいから説明してもらって、それからこの問題について質問したいと思いますが、「放送の規律」ということは一体どういうことです。
○濱田政府委員 「放送の規律」と申しますのは、放送を行うに当りまして守るべきいろいろな条項を放送法、電波法等について約束をするわけであります。その約束が果して守られておるかどうかにつきまして、それを守るように推し進めることが放送を規律するということであろうと思うのであります。
○小沢(貞)委員 さらに事務的にお尋ねしたいのですが、電波監理審議会というメンバーは私はわかったわけですが、電波に関する規律というものがあるのです。電波管理審議会が設けられたのは電波法に基いて九十九条の二によって設けられて、何か五人の委員をもって組織する、その他いろいろなことがうたってありますが、「電波の規律に関し、」とこうある。ここに「放送の規律」ということで出てきたわけです。昔からあるわけです。ですから放送法に定められたことを逸脱すると、これは放送の規律に反するのですか。改正法が通った場合に、その放送法にはずれておるようなことがあると放送の規律に反するのですか。電波の規律はまた別ですよ。電波法にあるのですから。ここで「その他放送の規律」とあるけれども、放送法がずっと改正された各車条に照らし合せて、それから脱線するようなことがあると放送の規律に反するのですか。私はさっきの説明では規律という意味はわからない。
○濱田政府委員 その通りであると思います。
○小沢(貞)委員 そうするとさっき私が心配していることが法的にできるようになってくるわけです。大臣はさっきはそういうことは絶対に法律的にはない、単なる注意をする程度だと言ったけれども、法律的にはちゃんとここに道が開かれておるのです。善良な風俗というようなもの、あるいは適正化、番組の調和というようなものが放送の規律、こういう言葉で当てはめるということであれば、ここで大臣が法的に勧告することができる道が開かれているわけです。今局長は放送法全体についての問題が逸脱するようなことがあれば規律に反する、こういうわけでしょう。だから今度の放送法は抽象的なことをたくさんうたってあるわけです。番組の適正化だとか、番組の調和だとか、善良な風俗だとか法律できめてあるために私は心配するわけです。今まで通り民間が自主的にやるならそういうことは全然心配しない。こういう項目があってもいいのです。ところが、この規定に逸脱したものは放送の規律に反するということになると、法律的に大臣が一般放送事業者あるいはNHKに対して何かすることができる道が開かれているのじゃないか。そうすると大臣のさっきの答弁と違うと思うのです。
○寺尾国務大臣 私は、逸脱しておるから違反だとかどうこうするのだとかいうようなことであれば、これは非常に大きな問題じゃないかと思いますが、そうでなくて電波監理審議会の答申によって私に勧告をするということの規定はここにはっきり出ておりますけれども、しかし郵政大臣が、この放送法に逸脱をしたからというてそれを違反としてどうこうするということは私は全然考えておりません。逸脱ということはどういうことでありますか、若干の行き過ぎとかどうとかいうことは、これは考え方によればあり得ることですから、番組の準則とか基準とか、あるいはいわゆる放送番組審議会とかいうようなあらゆる機関によって逸脱しないように、自主的にりっぱな放送をさせるというのがこの法律案ですから、それが逸脱したからというて大臣がどうこうしょうとかいう方法は全然考えておりません。
○小沢(貞)委員 それでは、最初からのことをずっと確認をして確かめてみたいと思います。調和だとか、善良な風俗だとか、教育番組だとか、番組の適正化だとか、こういうような非常に抽象的な問題について、逸脱していても法的にはどうすることもできない、こういうことを確かに大臣はさっき答弁されたと思う。ところが私どもあとで局長に聞いたら――昔はそんな心配はなかったんですよ。善良な風俗もないし、調和もないし、番組の適正化もないのです。新しい法律になってここに入っているので局長に聞いたら、そういう調和とか適正化というものに逸脱することがあると考えられるならば、それは放送の規律に反する、こういうふうに明確に局長は答弁されているわけです。この規律に反すれば、郵政大臣に対してその規律に関し必要な勧告ができ、大臣はそれに対して処置ができる、こういうことになれば、電波監理審議会と大臣が一緒にさえなれば注意もできれば勧告もできる、法律的にもその道が開かれている、こういうことを言っているわけです。だから四十九条の二と、今までは何でもなかった四十九条の前段というか規律の問題、これが新しい放送法になってから重要な問題になる、私はこういうように考えるわけです。法律的にその道が開かれるようにちゃんと入ってきたのじゃないですか。大臣がさっき言っているように、あんまりひどいことをやるなよという注意程度のことではないんですよ。これは電波監理審議会と大臣がちょっと話し合って、こういう答申をしろ、よしそういう答申をする、そういうことにすればどんどんどんちばしを入れることができるのじゃないですか。教育の問題について中央教育審議会とか何とかいうものがあって文部大臣に答申をして次から次とやってきたのと同じなんだ。そういう道がここに開かれているのだ。私は警察法と教育法と放送法は非常に大切な三つの問題だと思うので――大臣はそういうつもりじゃないでしょうけれども、法律にはそういう道が開かれているから私は言っているだ。
○廣瀬政府委員 それでは私からお答え申し上げます。大臣が先に答弁いたしましたのは報告に基きましての問題なのでございまして、これにつきましては法文上は何ら法規に違反して放送をやっているからというような事実がありましても措置はできないことになっておるわけでございます。さっき大臣が注意すると答弁をいたしましたのは、好意ある注意ができるというわけなのでございます。お前のところは放送法を守ってよくやってないじゃないかというような好意的な、道義的と申しますか、さような注意ははっきりできるということを申し上げたわけでございます。その注意に従わないからといって何ら法的な処罰をするなんということはございません。ただ考えられますことは、その次の再免許のときに措置ができるということは考えられると思いますけれども、それ以外のことは考えられないと思っております。ただ好意的に注意ができる。ところがその次に御指摘の第四十九条は、これは電波監理審議会が放送の規律に関しまして郵政大臣に対して必要な勧告をすることができまして、その勧告に基きまして、その内容を公表するとともに、これを尊重して必要な措置をしなければならないということをうたってある条文なのでございますが、さっき大臣と電波監理審議会がぐるになって干渉しようと思えばできるじゃないかというような御指摘がございましたけれども、電波監理審議会というのは、大臣が何か不当な要求をされまして、それにすぐ承服してこれに従ってとやかくされるというような権威のない機関ではないと私は思っておるわけでございます。四十四条の条文がいろいろ変りましたけれども、その心配が特にふえたということはないと私は思っております。
○小沢(貞)委員 政務次官はまことに善意な解釈ですが、それはそうだと思う。私も何もわざわざそういうことを言おうとしないけれども、もしも寺尾郵政大臣がかわったり、あるいは内閣がかわって――この法律は極端にやろうとすればどういうことでもできる道が開かれているということを私は言っているわけです。そうでしょう、この放送法の改正の前文について何か逸脱したことがあるとか何とかいうことはみんな放送の規律――電波監理審議会は大臣の方からちょっと声をかければ答申をするでしょう。そういうことになると、必要な措置を大臣にまかしてあるわけです。そうすると大臣は、今度はあれはあまりひどいじゃないか、何とか少し直せるぐらいなことじゃない、法的にそういう措置をやらせるような道が開かれている。極端に悪い大臣がなったときにはどうするんです。善意に解釈してもだめなんです。法律はできてしまうのですから、だれが運用しても間違いのないようにしなければいけない。政務次官の答弁は善意に解釈した答弁で、私はそれでは満足しません。それじゃ何も四十九条の「郵政大臣に対して必要な勧告をすることができる。」、その第二項には、大臣は「措置をしなければならない。」、これが別に用がないなら放送法の改正のときに削除してもらえばいい。これがある限りは、私の心配していることが出てくるのですが、どうですか、そこをもう少し明確にして下さい。
○橋本(登)委員 関連。今の小澤君の質問は重要な質問ですが、ただ当局の方で質問の趣旨をよく理解していないように思うのです。第四十九条の「放送の規律」ということは、いわゆる放送中のラジオ・コードその他番組問題等に関するものをこの「放送の規律」の中に含んでおるのかどうか。もしそうであれば非常に重大問題でないか、こういういろいろな問題が出てきたから監督をする権限が必要になるのではないか、こういうこと、だろうと思うのです。しかし私はこの放送法を当初から審議して参って、ここでいう放送の規律とは、すなわち電波監理審議会の性格は、番組の内容については電波監理審議会が審議する内容外である。電波監理審議会が扱うべき内容というのは、根本基準の免許を開設する場合の条件、それから電波の混信等における諸問題、そういう問題が電波監理審議会の扱うべき事項であって、番組等については電波監理審議会はあずかっていない、権限外である。であるからしてここでいう四十九条の「電波監理審議会は、前条に掲げる事項」、これは明らかに列挙されておる。第四十八条の一項の一号、二号、「その他放送の規律」というのは、すなわち、放送局を許可する場合における諸条件の規律及び相互におけるところの電波の混信その他電波の割当等に関する規律に関して郵政大臣に対して必要な勧告をすることができる、こういうことであって、ここでいう「放送の規律」というのは放送番組の編集、あるいは放送番組の内容、あるいはラジオ・コード、こういう問題には全然関係がないと、自分は最初からこの立法にあずかって、そういう工合に解釈しておるのであるが、この際この点を明らかに答弁せられてその誤解がないようにしてもらいたい。その点を関連質問いたします。
○濱田政府委員 電波監理審議会の任務につきまして橋本委員のお話がございましたが、放送番組の内容等につきましては同審議会は審議をいたしておりませんことは事実であります。しかしながら番組の性格とか種類等につきまして、たとえば教育放送をやるとか、この放送局は教育放送の目的のための放送局であるとかあるいはそうではないとかいうことにつきましての審議はいたすのでありまして、そういう意味におきましては番組にも関係はいたすわけであります。しかしながら御指摘のごとくそれ以外のことが大部分であろうと考えております。
○橋本(登)委員 そこが少し明らかでないようですね。電波監理審議会は許可に当っての諸条件の審議には当る。たとえば教育番組を何十%というような条件で許可しておるから、従ってその条件を逸脱したかどうかということは将来において審議の対象になるかもしれぬが、番組それ自体については僕は審議の対象にならぬと思う。電波監理審議会の性格上から見て、放送番組の内容なりあるいは編集等については、電波監理審議会にかける性格のものではないと思うのですが、その点今の電波監理局長の答弁でも少し不明瞭です。何かその後においてもそういうことがかけられるように考えておりますが、そうでなくて、これを許可する場合、あるいはこれを廃止する場合、そういう場合にのみ許可条件等について電波監理審議会にかけられるが、それ以外のことについてはかけられない性格を持っている、自分はそういうふうに解釈しているのですが、その点もう少し明確にしてもらいたい。
○石川説明員 お答え申し上げます。電波監理審議会の事項といたしまして、ただいまお説の通り、放送番組の内容につきましては審議事項でないと解釈いたしております。その二項につきまして先ほどの小澤委員の御質問にありましたように問題があったようでございますが、「郵政大臣は、前項の勧告を受けたときは、その内容を公表するとともに、これを尊重して必要な措置をしなければならない。」この措置の仕方でございますが、当然放送法上認められた措置しかできないのでございまして、御懸念はないかと存じます。
○小沢(貞)委員 まず一点は、局長が教育放送等のことにも関係する、番組にも関係があると、わざわざ二回もそちらの質問に対して答えた。今石川説明員の御答弁では番組の内容については関係ない、こう言うから、そこを一つ明らかにしてもらいたい。
○片島委員 ちょっと関連して。四十八条には電波監理審議会の所管事項――どういうことをやるかということが四十八条に書いてあるわけですが、四十九条では、前条で電波監理審議会がやることそのほか、だから電波監理審議会の所管事項以外のことについてということなのです。四十八条には電波監理審議会はなるほどこれだけのことをやると書いてあるから、その中には番組のことは入っておらぬとしても、四十九項には、前条による電波監理審議会がやる仕事、そのほか放送の規律と、こうまたつけ加えてあるわけなのです。だから、電波監理審議会が四十八条でやる以外のことについても、電波監理審議会は郵政大臣に必要な勧告をすることができるという、ここに幅が広げてあるわけですから、電波監理審議会の審議事項でなくても、電波監理審議会は、放送の規律に関すると思う場合には勧告ができる、こういうように幅がとってあるわけなのだ。そこが問題だと思う。これもあわせてお答えを願いたい。
○濱田政府委員 ただいま片島委員の御指摘のように、「郵政大臣は、左に掲げる場合には、電波監理審議会に諮問し、その議決を尊重して措置をしなければならない。」というのがあります。そしてその四十九条には、「その他放送の規律に関し、」云々とございます。その通りでございます。電波監理審議会の任務は、電波法第九十九条の十一に詳しく書いてあります。放送に関しては四十八条に、「議決を尊重して措置をしなければならない。」と書いてあります。確かに先ほど橋本委員が仰せになりましたように、電波監理審議会の任務の大半、無線局の免許に関することが大部分であります。その免許の方針であるとか、あるいは免許基準であめるとか、技術基準であるとかにつきまして論議をいたし、郵政大臣に答申をするのであります。そういう意味におきまして、申請された放送局が教育放送を目的とする場合におきましては、電波監理審議会は、教育放送とは何ぞや、あるいは番組の編集――番組の内容そのものではなくてどういう程度に番組が編成せられるかということにつきましても論議はあると思うのであります。そういう程度でありまして、この仕事の大半は橋本委員が仰せられましたように免許の方針、基準その他であろうと思うのであります。そういうわけでありまして、決して番組の内容等には入らないということだろうと私は思っております。私の先ほどの申し上げ方が多少あいまいでありましたために誤解をお招きしたかもしれませんが、私は電波監理審議会は、番組そのものには入ってこないだろう、しかしながらこの放送法の今度の改正の精神が、先般小澤委員も仰せられましたように、善良な風俗に留意しなければならぬということが主眼であるのみならず、もっともっと強く、この四十四条の第一項に従来は一項しかなかったものを三号にまでふやして作ったくらいに、今回の改正案なるものは番組の向上適正化ということを、具体的な方法としまして、放送法第一条あるいは電波法第一条の精神を強調して、日本国民がみんなでこれを実施してもらうようにしたい、そういうお約束の法律でありますから、そういう意味におきまして、電波監理審議会といえどもこの番組その他の内容についても留意せられて、そうして必要があれば、法律的の拘束力はありませんけれども、先ほどからしばしば大臣が仰せられますように、郵政大臣に対して現在どこそこの放送局はこういう番組であるそうではないかというようなことにつきまして、任意あるいは好意的な勧告を大臣にされたり、それによって大臣は、法律的の効力はないにしても放送事業の責任者に対してある種の勧告等をして、向上適正化の実をあげるようにできるだろう、そうすることが最も望ましいのではあるまいかというふうに考えております。
○片島委員 法的にないとおっしゃいますが、電波法第九十九条の二以下によって電波監理審議会の任務がきまっておるわけなんです。これについてはもちろん審議をしてその諮問機関の機能を果すわけなんです。放送については四十八条に基いていろいろな措置をやるわけなんです。それで電波法の九十九条と放送法の四十八条によって電波監理審議会の所管すべき事項はきまっておるわけなんです。それはそれでいいのです。そのほかに「放送の規律に関し、」という放送の規律とは何ぞやということを小澤君が聞いたならば、放送の規律というのは、要するに放送法にきまっておるいろいろなきまり、そのきまりというのは、公共の安全とか、いろいろここにたくさんのことが書いてあるわけです。それを全部包括するということであれば、電波監理審議会は九十九条と四十八条に記載をした事項以外について、「放送の規律」というこの四十九条の規定によって郵政大臣に非常に幅広く勧告を行うことができるようになるが、これは今濱田局長が言ったように任意とか好意的にではなくて、四十九条の規定に基いて郵政大臣に勧告をし、郵政大臣はまたそれをいいかげんにすることはできないで、その内容を公表し、これを尊重して必要な措置をしなければならないというのだから、これはどうしたっていいかげんにやるべきでなくて、必要な措置をしなければならぬ。これは任意とか好意ではなくて、法律によってやる権限が審議会にはあるし、大臣はその勧告に基いてやらなければならぬという義務規定になっておるわけでありますから、この解釈のしよう次第によっては番組の内容くらいのものではありません。放送の規律といったら、番組の内容よりもっと広範なものですから、放送全般についての問題をこの四十九条によって権限を審議会に与え、郵政大臣には義務規定を設ける、こういうことになるが、いかがなものであろうか。どうにでもできるようになるのじゃないかというのがわれわれの疑問なんです。
○濱田政府委員 先ほど私が電波監理審議会は任意的または好意的にと申しましたのは誤まりでありましたから、’取り消さしていただきます。ここに明瞭にございます通り、放送の規律に関して電波監理審議会は郵政大臣に対して勧告することができる、そうしてかような勧告を受けた場合には郵政大臣はこれを尊重し、必要な措置をしなければならぬということがあるという、その通りだろうと思います。先ほど申し上げましたように、放送に関する規律と申しますのは、この放送法全般に盛られておりますところのいろいろな取りきめ、約束、法律の内容だろうと思っておりまして、これに関してもし意見があったらば電波監理審議会は、先ほど申しますように、無線局、放送局の免許について郵政大臣の諮問に答申するということになっておりますから、これに関していろいろな問題が起きた場合に、疑問を持った場合あるいは問題を発見した場合適切なる勧告を郵政大臣にする義務を持っておる、そういうことであろうと思うのであります。しかしながら放送された番組の内容、また放送されんとする番組の内容等について郵政大臣にとやこう言う必要はない。そういう意味ではなくて、全体的に考えまして番組が放送法の準則に合わないではないかという疑問があった場合に郵政大臣に対して勧告をするというふうな意味であろうと私は考えております。
○小沢(貞)委員 今の局長の答弁が正しいとすれば、さっきの大臣の答弁は、また済みませんが取り消していただかなければなりません。きょうは二回だか、三回になる。法的にはそういう道が開かれていないと言うけれども、そういう道はちゃんと開かれている。必要な措置を大臣はすることができる免許の取り消しということが必要なら、そういうこともあるいはできるかもしれませんし、法的に道が開かれている。法的にはあると私が念を押したにもかかわらず、大臣は法的にはないとおっしゃる。今の局長の答弁等を総合すれば、これは法的に道は開かれている。番組の調和、教育放送、善良な風俗、番組の適正化、こういうものをうまくやらない場合には、大臣は必要な措置をすることができるようになっている。法的に開かれているのですよ。ひどいのは免許取り消しをすることができるかどうか知りませんが、そういうことまでできることになっているのです。大臣が一つ取り消してもらわなければ困るのです。それからでなければ話が進んでいかない。大臣、二回目の取り消しを一つやって下さい。
○廣瀬政府委員 これは大臣が注意することができるということを申しましたのは、報告に基いてのことなんでありまして、電波監理審議会が勧告して云々じゃなかったわけでございますから、大臣のおっしゃったことは決して矛盾はしていない、私は取り消す必要はないと考えております。報告に基いてのお話だったわけでありますから、勧告ではないわけですから、この点は私は取り消す必要はないと思います。
○橋本(登)委員 僕はちょっと何か誤解があるように思うのですが、第四十八条の項目は、これは法文を見ても第二章の日本放送協会に関する法律ですよ。第二章の中の第四十八条ですよ。従って第四十八条の一項の一、二というのはNHKに関することだけを書いてあります。第四十八条の一項の一、二の項目は日本放送協会のことだけに関して書いてある。これを審議会でやらなくちゃならぬ。従ってどうしても別な項目として必要なら、民放その他が放送局として認められた諸条件に違反した場合、あるいは何かの機械の設備が悪くて混信を与えるような場合、たとえばこれは事実上、ラジオ山陽が東北方面の放送に影響を与えた事実がある。こういう場合は、審議会がこれを取り上げて、そうしてこれに対して修正なり、何らかの措置をとるべきではないか、わからないじゃないか、混線しておって聞けないじゃないか、こういうことで電波監理審議会はそういうものを取り上げて、これに対して、郵政大臣に対して必要な勧告をすることができる、こういうことであって、この「放送の規律」を広く番組の問題にまで触れることができるというような考え方は、この放送法からは出てこない。明らかに第三条では、一般法則として、「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」というふうに、大前提がついておる。それから第四十八条一項の一号、二号というものは、日本放送協会に関する規定なんです。それから第四十九条の「前条に掲げる事項その他」というのは、民放その他NHKにももちろん関係があります。許可条件のそろわない場合においては、その放送の規律に反しておるのだから、それを勧告することができるというので、放送番組の問題もしくは放送番組の内容については関係がない。その点については当局の説明が非常に明確を欠いておるために誤解を受けると思うのです。その点を一つ明確に答弁せられたい。
○小沢(貞)委員 今の関連して。四十九条の後段の「その他放送の規律」というのは、これは、NHKだけの規定ですか、一般も入るのですか。
○濱田政府委員 NHKのみならず、一般も包含されるものと考えます。
○小沢(貞)委員 それではお尋ねします。さっきは報告ということについて、大臣は法的な措置を講ずることができないというように言われたから、この方とは関係がなさそうだという御答弁ですが、一応よく読んでからまたそれについては質問いたしたいと思いますが、とにかく、ほかにもたくさんあるのですけれども、四十九条の二です。これはいろいろ報告をさせる。それでまあそれをチェックするなり何なりするけれども、させっぱなしでは、こんなことはやったってやらなくったって意味がない。だから、これはきっと何かやるでしょう。著しく調和がとれていないとか、番組の適正が答申通りなされていないとか、善良な風俗とか、そういうような問題について何か検討をしなければ、こんな報告をしたって意味がないと思うのです。まあそれの報告によっては、あるいは直ちに大臣は措置しないかもしれませんけれども、放送調査官というものを設けるというのだから、その放送調査官なりが電波監理審議会と大臣と連絡をとりさえすれば、電波監理審議会を開いてなれ合いの答申を出しさえすれば、いかなる措置をもとることができる、こういう道が開かれているのです。だから、放送法が干渉はしない、自主的だなんといったって、全然だめなんです。法律的にも干渉ができる道が開かれている。おそらく大臣はそんなつもりじゃないかもしれぬし、立案者はそういうつもりじゃないかもしれませんけれども、この法律はとにかくそうなっているということです。そういうことはお認めになりますか。大臣がやる意思があるとかないとかいうことは別です。これは法律的解釈として、そういう道が開かれているのではないかということを私は言っている。
○寺尾国務大臣 しかし、ただいま橋本委員からも御指摘のございましたように、「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」これは絶対の一つの大前提というものがここにはっきりいたしておりますから、それで私は、先ほどのような態度をとるのが郵政大臣としての当然の任務だ、かようなことを申し上げておるわけでありまして、今ここに電波監理審議会が私に勧告した場合の問題とは別であって、これは法律に規定されておることによって私が何らかの措置をしなければならぬということとは別であって、私といたしましてこの改正案から考えますならば、これは逸脱するとか、多少低俗なものを作ったとか、そういうことを一々私がとやかく申す、あるいはまたそれに対して規制を加えるということは、放送番組の今申し上げる絶対性というものからしても、しようにもできないというふうに私は考えております。
○小沢(貞)委員 私は大臣の態度を聞いているのじゃない。だから事務当局でけっこうです。大臣はいつかわるかわかりませんし、私としてはやりたくないといっても、これはそういうことではない。法律というものは、私がいつも言うように、だれが大臣になっても、できるかできないかということを、法的のことを言っておるのです。だから局長は、あちらの質問に答えて、今度の放送法の改正というものは、善良な風俗とか、番組適正化だとか、調和だとか、こういうことに非常な重点を置いているので、それにつてても、電波監理審議会が検討して答申する道が開かれている、こういうことを言っている。それだから法的に、うまく調和がとれていない、教育番組が悪い、適正化がうまく行われていない、こういうようなことになったならば、大臣はその措置を命ずることができるのじゃないか、法律的な道が開かれておると言うのです。これによって民間もNHKも放送が支配されるということを私は言っておるのです。放送が支配されるのです。今まで大臣が、おれはやりたくない、自主性を持たせるのだということを繰り返し強調した意味はわかります。われわれは大臣の心情はよくわかっておる。しかしこの法律を通してしまえば、だれか大臣になったときに放送協会や一般放送事業者を支配することができるのです。私は法的なことを言っておるのです。大臣が私はやりたくないということと違います。法律はそういうようにうたってこの国会で通してくれといって出てきておるのです。そのことを一つ……。
○寺尾国務大臣 私も法的に申し上げておる。このことは、あるいはこれらの規制というものは番組の基準あるいは準則というものを定めて、その放送番組の基準を作るために規制をするものである、それはあくまでも放送事業者が自主的にやるような一つの規律である、そうしてこれを私が干渉できないということは今申し上げたように、「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。ということが出ておるのですから、これに基いてできない、私ははっきり法的にあなたにお答え申し上げておる、こういうわけであります。
○小沢(貞)委員 そうすると、何人も干渉することができないというこの第三条ですか、「何人からも干渉され、又は規律されることがない。」これは第三条に明確にうたってあります。ところがずっとあとへきて今の四十九条の後段へ入ってくると、先ほど局長の答弁等から明確になっておるのは、善良な風俗やさっき言った四項と五項、こういうものについても道が開かれている。電波監理審議会が答申し勧告することの道が開かれておるということになれば、前の方とうしろの方と矛盾する法律ではありませんか。(「第三条は法律で定める権限というのだから、法律に定めてあればできるということだ」と呼ぶ者あり)第三条は「法律に定める権限に基く場合でなければ、」とありますが、法律に定める権限をこの第四十九条は与えておるのではありませんか。
○石川説明員 補足させていただきます。ただいまの四十九条の二項でございますが郵政大臣は、勧告を受けたときは、これを尊重して必要な措置をしなければならない。」と書いてございます。従って、尊重して必要な措置をしなければならないのでありますけれども法律上できないことはこれは当然できないのでありまして、できることだけしかできないということで、大臣の答弁をそういうことで補足を申し上げておきたいと思います。
○小沢(貞)委員 それは確かにその通りです。できないことはできないし、できることだけしかできない、これは間違いないのだけれども、私の心配していることはちっとも解消しないのです。放送法を改正したでしょう。番組の調和や善良な風俗という目的をもって、これだけの大改正をやったのでしょう。これは非常に大きなウエートがあるから、当然電波監理審議会においてもそれを検討し、答申し、大臣に勧告する、大臣は業者に勧告する、こういう道が開かれているのですから。――それは開かれているわけでしょう。この大改正の目的はそこにあるのですから、法的にも道が開かれているのだから、大臣が措置をするということは法的に道が開かれているのじゃないですか。
○片島委員 関連して。結局第三条において、法律に定める権限に基く場合でなければ、干渉はされないというので「法律に定める権限というそういう権限」を電波監理審議会と郵政大臣に、四十九条において与えたのではないか、こういうことなんです。
○寺尾国務大臣 この四十九条は大臣に与えたということでなくて、これは電波監理審議会の活動の一つの規制であって、しかもその勧告を受けた場合にも、今法規課長が申し上げましたように、これは必ずしもその通りやらなければならぬとかいう義務というものもない。従って大臣とすれば、第三条というものをあくまで尊重していく。それからまたこの場合に、その勧告を受けた場合の問題についてこれはまた考えられる問題でありましょうけれども、しかしこれは何も郵政大臣が主管になったり、郵政大臣の意見、方針によってできることではなくて、私はあくまでも第三条を尊重し、そうしていろいろの規制はこれは放送事業者がすべて自主的にやるべきものだという形において今回の改正案を作った、こういうことであります。どうも小澤委員は何かこう前提を、統制をするのだ、内閣の大臣が押えつけるのだとかいうような先入感で意見を言われておるんじゃないか。第三条において明らかであり、第四十九条というものは、これはいわゆる電波監理審議会の一つの規制であって、それによって勧告を受けたからというて、私が必ずこれをこうしなければならぬということではないのですから、これによって私がやる、郵政大臣がそういう言論抑圧あるいは統制のようなものをやるというようなお考え方は私は当らないのではないか、さように考えます。
○片島委員 そうじゃないのです。第三条では、なるほど「何人からも干渉され、又は規律されることがない。」としてあるが、その前に「法律に定める権限に基く場合でなければ、」こうなっておるので、その法律に基く権限でなければできないが、第四十九条において、これは法律ですから、電波監理審議会がこれによって「必要な勧告をすることができる。」という権限を与え、第二項では、郵政大臣はこの勧告を受けたときは「これを尊重して必要な措置をしなければならない。」とある。あなたは勧告をされたからといって何もその通りやらぬでもいいのだと言うけれども、そうじゃないのです。「これを尊重して必要な措置をしなければならない。」これは義務です。あなたは勧告を受けたらどうでもこうでもやらなければならぬのです。第三条によって、第四十九条という法律によって権限を与えられた電波監理審議会は、勧告する権限が法律上きまっておる。だから第三条の例外なんです。そしてまた第四十九条の二項では今度は郵政大臣の義務規定が設けられております。これはどうか。これは決してあなたの善意を疑うのじゃなくて、法律上そうなっておる、こういうことだけを言っておるのです。
○寺尾国務大臣 法律上の解釈は片島委員のおっしゃっる通りだと思います。
○小沢(貞)委員 それだから私はこの四十九条の二、これしかお尋ねしないわけなんですが、大臣は自主的なものを尊重するということを繰り返し繰り返し言っておるわけです。言っているけれども、善良な風俗以下これだけの改正をした結果これが非常に大きな改正の結果なんです。その結果法的には大臣が番組の内容にまで干渉する道が開かれている、こういうように私には解釈できるわけです。法的に大臣が番組の内容にまで干渉する道が開かれている、こういうような明確な法律改正の意図がわかった、こういうことが確認できるわけです。いいですね。大臣はやろうと思えばできるわけです。第二項の勧告に基いて大臣はやろうと思えば必要な措置をやれるわけです。だからいかに先ほど来自主性自主性ということを言っても、自主性ならこの法律を直さなければよい。直しておいてなおかつ四十九条がそのまま入っておるから、これは法的に、やろうと思えば番組の内容にまで干渉していろいろの措置をすることができる道が開かれておる。こういうことが今までの質問を通じてわかったわけです。それが法的に間違っておったら、理論的に説明して下さい。あなたがやりたくないというようなことではないのですよ。それは大臣はそういうことを繰り返し言っておるからもういいのです。理論的に法律上説明して下さい。
○寺尾国務大臣 これは小澤委員の非常な解釈のこじつけではないかと思うのです。この法律を見ましても、郵政大臣が番組その他放送内容に干渉ができるとかいうことがどこに書いてあるか。これは違う。放送番組に対する第三条もあり、片島君が言うような規定にしても、これは全然小澤委員の言われるようなできるということは、私はできないということをお答え申し上げます。
○森本委員 答弁の仕方が非常にまずいと思うのです。こういう質疑応答をやっておったのでは、審議するのに一年以上かかるのですよ。だから四十九条は先ほど橋本委員も言っておったように、郵政大臣が直接そういうことをやろうと思ってもできないのだ。ただし電波監理審議会からそういうものをやりなさいという勧告があれば、それは郵政大臣がその勧告に従ってやり得るということであって、そこに郵政大臣が直接タッチをするということはある程度――この電波監理審議会についての性格は別ですけれども、一つのカムフラージュされておるわけです。だから郵政大臣がこの四十九条において直接どうするということは少くとも――ただしかしその場合も、小澤委員が言っておるのは電波監理審議会が果して妥当なものであるかどうか、公正中立的なものであるかどうかは疑問がある。そういう場合に電波監理審議会の答申があれば、それによって郵政大臣が措置することができる、こういうことを言っておるわけです。そこで問題になるのは、この「電波監理審議会は、前条第一項各号の事項、」これははっきりしておるわけです。「その他放送の規律に関し、」という「その他放送の規律」に関するということは、たとえば、番組に干渉する問題ではないのだ、このいわゆる「放送の規律に関し、」というこの字句についてはこれこれ、これこれでございます、だから番組については実際には干渉はできません、こういう回答をしなければ少くともそれはだめなんですよ。これはよく質問の意思を聞いて、答弁もそういうふうに明確に答弁をしていけば済むわけですよ。
○片島委員 議事進行について。これは今森本君からもお話がありましたが、いろいろ聞いておっても、同じところを行ったり来たりしておって、非常に時間を食うわけです。そこで本日はこの程度において会議を閉じていただきまして、なおまた後日の会議において一つこの質疑を続行していただきますようお願いしたいと思います。
○淺香委員長 次会は公報をもってお知らせをいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
    午後三時五十一分散会