第031回国会 外務委員会 第10号
昭和三十四年三月六日(金曜日)
    午前十時二十六分開議
 出席委員
   委員長 櫻内 義雄君
   理事 岩本 信行君 理事 宇都宮徳馬君
   理事 佐々木盛雄君 理事 松本 七郎君
   理事 森島 守人君
      平塚常次郎君    野田 武夫君
      福田 篤泰君    前尾繁三郎君
      森下 國雄君    山村新治郎君
      大西 正道君    高田 富之君
      和田 博雄君
 出席政府委員
        外務政務次官  竹内 俊吉君
        外務事務官
        (経済局長)  牛場 信彦君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (主税局税制第
        一課長)    塩崎  潤君
        専  門  員 佐藤 敏人君
    ―――――――――――――
三月四日
 委員高田富之君辞任につき、その補欠として松
 浦定義君が議長の指名で委員に選任された。
同 日
 委員松浦定義君辞任につき、その補欠として高
 田富之君が議長の指名で委員に選任された。
同月五日
 福家俊一君辞任につき、その補欠として野田武
 夫君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
 脱税の防止のための日本国とパキスタンとの間
 の条約の締結について承認を求めるの件(条約
 第三号)(予)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
 脱税の防止のための日本国とノールウェーとの
 間の条約の締結について承認を求めるの件(条
 約第四号)(予)
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
○櫻内委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関し調査を進めます。
 質疑の通告がありますのでこれを許します。大西正道君。
○大西委員 大臣がおられぬようですから政務次官にお伺いいたしますが、日赤の井上外事部長が、赤十字の国際委員会において、いろいろと努力をしておられるようでありまして、その話し合いの経過が、新聞を通じて断片的に報告がされておりまするが、井上氏が向うに行かれましてから今日まで話はどのように進んでおるか、この際少しまとめて御報告を願いたいと思います。
○竹内(俊)政府委員 お答えいたします。いずれ詳しいことはアジア局長が来てから申し上げることにいたしまして、大体私の承知するところを申し上げておきたいと思います。井上外事部長が、政府から、日赤を通して赤十字の国際委員会に、御承知の通りの在日鮮人の北鮮帰還に関しての帰還意思の確認と、その結果による実施方法の仲介あっせんを依頼するという意を受けまして、ジュネーブに参ったことは御承知の通りであります。その後のことは、井上外事部長から島津社長に対する報告を、外務省を経由してやっておりますので、その報告に現われたところをまとめて申し上げてみたいと思います。
 最初に、国際委員会の委員長及び理事及び幹部総員と会合をいたしまして、井上外事部長から詳細にわたって説明を申し上げ、わが方の意思を、相当資料をそろえて説明した模様であります。しかしながら一方韓国側から、国際委員会に対する要望その他も参っておりますので、赤十字国際委員会としては慎重な態度で臨んでおって、その場において態度を決定するようなことには至らなかったわけであります。そのまま赤十字国際委員会の態度が、今日まで確定していないと申し上げた方がよろしいと思いますが、その間における経過的なことを少しく申し上げてみますと、井上外事部長はその後、公式ではありませんが、非公式に、委員長及び理事に数回会見しておりまして、当方の意思をさらに徹底して申し述べております。要するに問題は二つあるようであります。一つは、韓国側がこの問題は政治問題だということで、非常に強く政治問題的な条件を提起しておりますので、赤十字国際委員会としても、もともと事柄は人道問題ではあるが、相手がかような態度に出る以上は、政治問題的な要素も考えざるを得ないという点に一つの問題が生じておること。もう一つは、御承知の通り、北鮮側がこの問題について、わが方に対して、わが方とは日赤でありますが、井上外事部長が出発する二日くらい前だと思いますが、この問題については両国の赤十字間で、つまり二国間で話を進めたいという申し入れがあったわけであります。そのことも井上外事部長からつけ加えて赤十字国際委員会に報告いたしておるわけであります。そこで、北鮮側のその後の意思をどういうふうに確かめるかという点が、一つの問題点になったようであります。それで、井上外事部長から北鮮側の意思を確かめるか、あるいは赤十字国際委員会から確かめるかという点でしばらく協議をしたようでありますが、これもまだ確定はしていないようであります。赤十字国際委員会としては、態度決定前に一つの態度を決定して北鮮側にそういう申し入れをすることは果していいかどうかという点で、だいぶん議論をいたしたようであります。その後にソ連の赤十字社長と理事が、名前はちょっと忘れましたが、これは世界児童救済基金の問題でジュネーブに来たというのが表向きのことでありますが、北鮮帰還の問題に相当深い関心を持っておるようであります。これも公式とは申されませんが、ソ連がこの問題に対して関心を持っており、要すれば協力をしてもよろしいという意味の発言があったようであります。これを赤十字国際委員会が受けるかどうか、そういう点もまだ決定はしておりませんが、そういうことで目下話し合いを進めておるというのが今までのいきさつであって、赤十字国際委員会としても確たる態度をまだ決定していないのがきのうまでの情報であります。しかしながら、総合してみますと、この問題は、わが方としては今までの主張をそのままに貫徹し得る可能性が強いという観測が成り立つような情勢であります。もっと詳しいことになりますと、書類その他についてアジア局長から御説明申し上げたいと思います。私の承知している点はかような点であります。
○大西委員 これは急にお伺いしてもその程度のお答えしかできないだろうと思いますから、また機会を改めて、もう少し詳しく聞いてみたいと思うし、また日赤の方の責任者にも一応聞いてみたいと思っております。
 今もお話のあったように、こちらは人道問題だと言っているけれども、向うは政治問題だと言うので、直接日韓交渉において政治的な解決をしたい、こういうことを言っているようでありますが、一体外務省のとっている人道問題というのは、その概念の内容はどういうものなんですか。それを政治問題との関連において一つお答え願いたいと思うのです。わが方は人道問題だというふうに見ているが、向うが政治問題だと言っているようなことは、これはそういう立場の説明であるからよろしいのであります。一体人道問題というのは、本質が人道問題として政治的に利用され得べきものでないというような立場をとって人道問題だというのか、この点明確じゃないのです。初め私どもが、この北鮮帰還の問題を、人道問題だから日韓交渉の見通しいかんにかかわらずさっそくやるべきだ、実行に移すべきだと主張したとき、それは人道問題であるけれども、同時にまた政治問題であるというのが総理、外相の見解であった、私どもはそういう言い方をすればわけがわからぬのであります。今向うは人道問題ということを否定されておりますが、政治問題だと言っても、今度はこっちが人道問題だ、政治問題ではないという言い方をしている。一体こういう概念の規定はどういうことになるのか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
○竹内(俊)政府委員 人道問題と政治問題の概念の規定ということになりますと、これはきわめて学問的な話になって、私からお答えするのは適当ではないと思います。ただ、外務省が事を運んできた考え方について申し上げますと、御承知の通り、これは事柄自体人道問題だということはもうわかり切ったことだと思います。しかしながら、これに政治問題がからんでいるということは、日韓会談でしばしばこの問題が取り上げられ、また、当方においても、そのことを考慮した二、三の事例に現われている点でも政治問題に関連があったということは明瞭であります。しかしながら、これはもともと事柄自体は人道問題なんでありますから、そういう政治問題とからめておっては時期的にも、また処理の内容についてもかえってめんどうになるというふうな考え方から、日韓会談がどう運ばれようといつかは手をつけなければならぬ問題であるから、諸般の事情を考えて、そういう政治問題と関連はあったが、その関連を一応断ち切ると申しますか、一応処理としては断ち切った形においてこれを踏み切るべきときだ、こういう決意をした。その決意は政治的決意じゃないかと言われると、そうでもあることは明瞭でありますが、そういう意味で人道問題として、いわゆる居住の自由という国際通念に基いてこれを処理しよう、そういうことに踏み切った。踏み切ったこと自体政治的じゃないかと言われると、その通りとお答えせざるを得ないのであります。そういう考え方でこの問題を取り運んだということであります。
○岩本委員 ちょっと関連して。政務次官が答えられた、二国間で話し合いたいということを言ってきたというのは、北鮮赤十字なのか韓国なのか。もし韓国だとすれば、それは文書で言ってきたのか口頭で伝えてきたのか、その点をちょっとお答え願いたい。
○竹内(俊)政府委員 二国間でこの問題をやるべぎだというのは、韓国側からはしばしば日韓会談等を通じて最初からそういう意思の表明があったわけであります。先ほどお答えいたしましたのは、北鮮側からこの問題について日赤と北鮮赤十字との間で交渉をすべき問題だ、こういうことを言ってきたのであります。その言ってきた理由は、われわれとしてはまだはっきりした理解を持つに苦しむ程度のものでありますが、要するに、在日鮮人のうちで北鮮に帰るものだけを調査するということ、これだけをスクリューするということは、われわれ納得しがたい、こういう意味が相当強いようであります。これは二国間の赤十字で事柄を決する問題ではないか、こういう意味のことを書簡で言ってきたわけであります、
○岩本委員 書簡で来たというと金日成というような名義で来たのですか。北鮮の赤十字という名義で来たのですか。そして文書で来たとすれば、なおわかっておりますから、後刻その通牒というのだか、照会状というのだか、それを御提示願いたい。
○竹内(俊)政府委員 これは私、アジア局長から説明を聞いただけで文書そのものは見ておりませんが、北鮮十字から日本赤十字へ書簡の形式でその意味を表明してきた、こう聞いております。
○岩本委員 それだったら後刻その資料をお願いしたい。
○竹内(俊)政府委員 了承いたしました。
○森島委員 いずれ大臣に質問する前提として政務次官にお聞きしたいのですが、新聞報道によりますと、井上外事部長は釜山に抑留中の日本人の送還問題を優先的に取り扱いたいという趣旨の言明を新聞記者の会見談でやっておりますが、これは事実でありますか。
○竹内(俊)政府委員 外務省に入っております向うからの報告によりますると、在日鮮人の北鮮帰還と釜山に抑留されている日本漁夫とのいずれな先にするとか優先するとかいうことは、一度もそういうことの発言をしたという報告はございません。おそらく新聞諸事に現われたところは、それ以外の談話か何かのことだろうと思いますが、いずれを主とし、いずれを従とするということはないようであります。
○森島委員 それなら話し合いを進められる上において私は非常にけっこうだと思います。昨日ですか、一昨日ですか。藤山外務大臣も帆足君の質問に対して、北鮮へ朝鮮人を帰すという問題に随伴して韓国抑留者を日本へ帰すという問題を井上君に託したという御説明があったので、これらの問題の取扱いというものは、実際問題として非常に機微な関係がありますので、その点もお含みの上善処せられんことを希望して質問を終ります。
○大西委員 人道問題か政治問題か、まことにどうもこんがらがっておるので、そこのところもう少しやはり明確にしなければいろいろな誤解が起きると思うのです。しかしあまりこういう観念論みたいなことを話してみても次官もお答えに困られると思うから、それはやめておきます。一つここで聞いておきたいのは、きのうの新聞報道によりますと、韓国の赤十字の代表が向うに参りまして、新聞記者団にいろいろなことを話しております。AFP電報によりますと、その中で催という、日本にいました参事官ですか、この人が代表になって行っておるのでありますが、この人がこういうことを言ったといっておるのであります。日本政府の承知のもとに、北鮮から日本へ対して在日朝鮮人の大部分を北鮮へ帰還させるための政治的計画の資金が送られたという証拠をわれわれは持っておる。われわたはまた共産主義の手先による贈賄の証拠をもつかんでおり、これを赤十字国際委員会へ提出するつもりだ、こういうことを言っておるのでありますが、これについて日本政府としては、外務省はもとより関係各省、法務省その他において、こういう言明に対してどういうつうな態度をとられるのか。こういう事実があるのかないのか、これをお伺いしたいと思います。
○竹内(俊)政府委員 その新聞記事は私も見ましたが、そういう事実があるかないかということの調査は、外務省でも関心はもちろんありますが、それは担当官庁において調査をすることになろうと思います。外務省としては、そういう責任官庁からの報告その他によってそれを承知をする以外に調査の方法はないのでありますが、そういう記事の真偽に関しては関心を持っております。
○大西委員 こういうことを言うということは、非常に大きな影響があると思うのです。いつぞや愛知法務大臣は、別な観点から、共産主義の諸国から国内のある団体に対していろいろな資金が流れておるというようなことを言ったのですが、私はこういうことがこういうふうな言明の何かの裏づけになっているのではないかと思うのであります。相手を攻撃する場合にも、国際的な影響というものをよほどよく判断しなければ、政府みずから重大な外交の失態を招くのではないかということを私は憂えるのでありますが、あなたも事の重大は考えておられるようであるから、さっそくあなたの方から関係各省に対してその調査を依頼されてはいかがでしょうか。今の話によりますと、外務省としては、こういうことについてはまだ何ら承知していないようでありますけれども、外務省としてもこういう問題についての調査をする機関はあると思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○竹内(俊)政府委員 韓国側がどういう証拠に基いてそういうことをいっているのか、われわれは見当もつきませんが、事柄が当面の問題に相当影響が大きいと思いますので、しかるべく担当官庁において調査をやっていることと思います。また外務省からもそういうことを希望いたしますことは、今、大西委員の御発言にありました通り、われわれもいたしたい。外務省自体にはそういうことの内容を究明していくという機能はないのであります。
○大西委員 あなたはどこへこれの調査を依頼しますか。ただばく然と頼むとかいうのではなしに、私はあとからそのことを聞きたいと思うから、どこに調査を依頼されますか。
○竹内(俊)政府委員 外務省としては、そういう問題につきましては、内閣審議室を通して、審議室からしかるべきところに手配してもらうということをするのが今までの例になっております。
○大西委員 それではごく近いうちに私はこの調査の結論をお伺いいたしますから、確実にその報告を願いたいと思うのです。これに関したようなことを再三あるいは柳公使とか、あるいはその他韓国の責任者から言明されるので、この前この北鮮帰還の問題が表面化したときに、たしか柳公使であったと思うが、そういうことをやるのは、むしろ日本が人道的な立場といいながら、非人道的な立場をとっているのであって、両国間の約束、協定というようなものを無視した、まことに一方的な背信行為であるというような意味のことをいっておりました。そのときに秘密協定をこの際公表してみせる、暴露する、こういうこともいっておったのでありますが、日韓間にこの帰還の問題をめぐって、さらにそれ以前の日韓間のもろもろの問題の交渉の過程において、いろいろな取りきめがなされましたが、その際先方のいうような秘密の取りきめ、協定というようなものが彼らのいうがごとくあるのであるかどうか。その点はやがて最悪の事態に立ち至れば韓国としては発表するといっているのだから、あれば発表するかもしれない。そういうときに、今まで、ない、ないといっておきながらそういうものが出ていくというような醜態を演じないように、あるならばあると一つ言ってもらいたいと思う。
○竹内(俊)政府委員 日韓会談は、御承知の通り多年にわたって回を重ねること百回以上かと思いますが、その会談の途中、問題によっては、この問題のこの点は公表しないでおいた方が、双方が会談を進めていく上に便利ではないか、こういう程度の意味において公表しないということを約束をした事柄は若干あると思います。しかしながらそれは秘密協定というようなものではないということは、はっきり申し上げられると思います。
○大西委員 秘密協定というようなものはない、しかしお互いに会談を進めていくために公表しない方がよかろうというようなものが若干あるやに聞いておると言われるのでありますが、それは何々でありますか。どういうものについての公表を控えておこうということになっておりますか。内容は二の次として、どういう問題についてお互いに公表を避けておるのか。問題点だけを一つおっしゃっていただきたい。
○竹内(俊)政府委員 この問題点の具体的なことは私もよく承知しておりませんが、たとえば文化財の引き渡しとかそういう問題について、実際あるきまったことを、それは取り運びが終るまでは公表をしないでおいた方がいいとか、そういう程度のことは若干あったと思いますが、今お尋ねの点についてはさらに調査をして、次の機会に項目だけでもお答えいたしたいと思います。
○大西委員 外務次官の答弁にはちょっと不満でありまして、もう少し、たとえば文化財のようなものについてとおっしゃるが、その程度のことなら、ほかにも問題点だけでも一つ、今御記憶にありませんか。
○竹内(俊)政府委員 私の記憶だけで申し上げても、相違しておりますとまた御迷惑をかけますので、後ほど調査して項目だけはお答えいたしたいと思います。
○大西委員 それは政務次官の約束でありますから、一つ明らかにしていただきます。これは一つ全部明らかにしていただきたいと思います。その内容につきましても、でき得べくんばこの際公表されてしかるべきものもあるのじゃないかと思うのであります。
○竹内(俊)政府委員 日韓会談が形式的と申しますか、まだ継続しておるとわれわれは考えておりますので、内容を公表するということは外交交渉の約束上いかがかと思いますが、項目の程度ならばできようかと思います。
○大西委員 それは大臣の言葉の受け売りみたいなことで、それ以上言われなければけっこうでありますが、それではその点だけはしかと約束していただいて、次の機会にその点の御説明を求めます。日本があまり一方的に約束を守ってそして公表を避けておっても、向うは都合のいいときになったら幾らでもばらすぞ、公表するぞ、こういっておるのです。たとえばアメリカのメモランダムのごときは、その後の取りきめ、財産請求権の放棄などに重大な根拠になっておるものです。その根拠のメモランダムを公表しないというのは、これは韓国の都合によって公表しないというのであって、日本政府としては、日本国民に対して、財産請求権を放棄するという理由として、当然メモランダムを公表すべきが政治的な良心だと考える。しかしそれも相手を刺激しないためだ、日韓交渉を円満に進めるためだという理由のもとに、いまだに公表されてないということは、まことにもって私どもは遺憾にたえない。こういう問題は、今日のような日韓関係においては、すべからく、この委員会において公表を求めれば、私は公表することは何ら差しつかえないことだと考える。こういうこともいたずらに、交渉の過程であるからというので、発表されないということは、むしろおくれをとることであろうと思いますから、こういう点もよくお考えになり、この際問題点のみならず内容も、われわれが従来から要求しておる点について、一つ英断をもって発表されてはいかがかと思います。これは御忠告までに申し上げておきます。それからもう一つ、日韓間の関係でありますが、政務次官は日韓間の関係を戦勝国と戦敗国の関係と見られるのであるか、そういうことはよもあるまいと思うのでありますが、その点はいかがですか。
○竹内(俊)政府委員 お尋ねの趣旨はどういうことであるか、私の理解とあるいは違うかもしれませんが、韓国と日本との関係は平和条約にうたわれた点において、日本が韓国を、何と申しますか、国家として意識するということが一番正しい形ではないかと思います。従って、今二つに割れておりますが、あれは自由選挙によって統一さるべき国であるという点に立って、外交なりなんなりを展開していくのが、正しい理解の仕方だと考えております。
○大西委員 そういうことではないのであって、それじゃもっと具体的に申しますと、李承晩は、国内の選挙演説におきましても、たえず、われわれは賠償を日本から取り立てるんだ、あるいは八十億ドルといい、あるいは九十億ドルといい、天文学的な数字を掲げて民心の収攪に大わらわになっておる。また今回の北鮮送還の問題につきましても、その責任者が語っておるところでは、新聞によりますと、やはり似たようなことを言っておるのであります。韓国側は、第二次大戦中韓国が日本によってこうむった災害や財産の損失に対して適切な補償を受けるならば云々、こういうことを言っております。この考え方は、やはり韓国が戦勝国として日本に対するのだ、こういう考え方が根底にあるわけなんです。私どもは、あなたがおっしゃるように、平和条約によって韓国は新たな独立を認められたのであって、日本と韓国とは、戦勝国、戦敗国の関係にはない、これが当然のことであって、そこから賠償とかその他のごときものは生まれてこないし、そういうことに対してわれわれは受け答えする責任もない、こういうことを思うのであります。しかし問題が紛糾すると、いろいろな問題を持ち出してきて、そうしてあれやこれやと条件をつけておるのでありますが、その一番大きな問題は、今申しました賠償の要求の問題なのであります。この際私はこの委員会を通じて、次官に今申し上げたような、韓国に対しては戦勝国、戦敗国というような関係ではないということ、従って賠償その他の問題は、道義的には、われわれといえども過去長い間にわたって韓国を支配したところの責任は感ずるけれども、国際法的にそういうふうな関係にはないものである、こういうことを明確にすべきである、明確にされておるならば、いま一応これを確認して、日本の立場をはっきりさせるべきだと私は思うのでありますが、いかがでありましょうか。
○竹内(俊)政府委員 韓国が日本に対して賠償請求権があろうとも、われわれは考えておりません。戦勝国、戦敗国の関係は全くなく、平和条約によって新たな国として出発をしたのでありますから――ただ双方に在日財産及び在韓財産に関する請求権の問題は、大西委員も御承知の通りこれは法的にもむずかしい問題ではありますが、あるいは交渉を必要とする点もあろうかと思いますが、賠償問題については大西委員の考えと全く同一であります。
○大西委員 これは日赤の責任者にもたださなければならぬのでありますが、同じくジュネーブにおいて井上外事部長が新聞記者との会見において話しておる内容が、新聞の記事に間違いないとすれば、こういうふうに言っておる。彼らは――彼らというのは、韓国であります。戦勝国で、一切の権利を持っているとみなされているのだから、帰ろうと思えば帰れるわけだ、――このあとのことはいいのですよ。彼らは戦勝国で、一切の権利を持っているとみなされているのだから、とこういうふうな表現を用いておるのであります。これはまことに片々たる一文句ではあるけれども、こういう形でもって国際的の場において日赤の代表が発言をいたしたということであれば、事はまことに重大である、こういうふうに考えるのであります。日赤の代表であるから、これについてあなたの責任は追及いたしませんけれども、おそらくこれは間違いであろうと私は思うのです。間違いというのは、井上外事部長の真意にあらざることがこういう表現をとったのであろうと、私は思うのでありますけれども、この点はいかがお考えですか。
○竹内(俊)政府委員 井上外事部長のその発言はどこでなされたのか、私よく承知しておりませんが、外務省へ入っておりますレポートは相当詳しいものでありますが、そういう発言をしたというレポートはございません。
○大西委員 これは正式の国際委員会、会談において発言したというのではなしに、その会談を終ってから、今申しました、一方は韓国の代表が、日本政府が承知のもとに、このような資金が日本に流れておるということその他を発表したのでありますが、それに対して、AFPの記者が井上外事部長にその見解を求めたところ、これこれのことを言った、こういうふうに言っておるのでありまして、これも正式の会議の発言ではないのでありますけれども、しかし新聞記者に対する日本の代表の発言としては、これをどのように利用されても非常に重大な意味があると思うから、私は申し上げたのでありますが、この記事はお読みになりませんでしょうか。
○竹内(俊)政府委員 私はその記事を読んだ記憶はありませんが、戦勝国だから、あらゆる権利を韓国が日本に対して持っておるということだとすると、それは事実にあまり適当しない発言であろうと思います。
○大西委員 これは外務省から日赤にも、この点について誤解があると思うから、訂正されるべく適当な処置をおとりになる方がよかろうではないかと思うのであります。それからもう一つだけ聞いておきますが、この前あなたにお伺いしましたときに、日本の水産会社が、釜山に抑留されている漁夫の弁護に、日本人の弁護士を向うに派遣したいという希望を持っておるということを申し上げたのでありますが、それに対して、外務省としては適当なあっせんの労をとられたのですか、いかがでしょうか。
○竹内(俊)政府委員 この問題は、先般の委員会でアジア局長からお答えいたしました通り、日本の弁護士を送るなり、あるいは第三国人の弁護士を頼んで弁護に当らせることが当然でありますので、今までにも、日韓会談等においても申し上げたことがありますし、代表部を通してその実現方について努力して参りました。今回もまたそれを早く実現すべく努力して、ある程度進んだのでありますが、最近において韓国側がビザの発給に関してまだ了解に達していないことを非常に遺憾として、その後の努力をまたいたすつもりであります。
○大西委員 そうすると、はっきりと外務省に対して拒否をしてきたわけですか。
○竹内(俊)政府委員 外務省に対して拒否をしてきたかどうか、私はっきりしませんが、向う側がそういう発言をしばしばいたしております。
○大西委員 それは、こういうことを希望しておる人にとっては急ぐことでありますから、新聞ではビザは出さぬとか言っておりますが、それは当然外務省を通じてはっきりと、その点の確認を求めなければならぬと思うのであります。これを怠ってはならぬと思うのです。もう一つだけちょっと、これも新聞の記事で知ったのでありまして、私の地元にも関係のあることでありますが、むすこが終戦後帰還しないで、ジャカルタにずうっといるわけです。家族の方は、これがもう死んだのか生きておるのかわからぬというので、何でもお母さんが百万円かしら懸賞金をかけて、いろいろと調査をしたところが、やっと向うで現地のお嬢さんを細君にもらっておるということがわかった。それでさっそく向うに飛行機で飛んでいったらしいのです。そこで、この新聞によりますと、こういうことが書いてあるのです。元日本軍人で、インドネシアに帰化している人が約一万人にも達する。この人たちが内地へ連絡しないのは、敗戦兵として村八分にあうと信じているからだということです。日本政府からインドネシア政府に交渉して、これら帰化した日本軍人の名簿をもらえるようにしてもらうといい。しかし日本の在外機関が非協力で、通訳や自動車のめんどうを見てくれないので困ります。これは苦しくなったらだれかにしりは持っていかなければならぬので、非協力だとかなんとかいっているのかもしれませんけれども、しかし私はそれよりも、ここに一万人もこういう敗残兵が帰化しておるということを聞いて、実は驚いたのであります。ここにおる一万人は、半分の五千人といたしましても大へんな数でありまするが、これは戦争によって戦地で死んでしまったんだというふうに見ておられるものでありましょうか、あるいはこういうふうな終戦で敗残兵となって今度は帰化した、そうして向うに生存しておるというふうに日本政府は見ておるのか。これは当面外務省だけの管轄ではないと思いまするが、私はよくわからないから、この点だけ御説明を願いたいと思います。
○竹内(俊)政府委員 インドネシアに、日本兵で残っている者が相当数あるだろうということは承知しておりますが、正式に帰化しているということはまだないのではないかと考えます。まあこっちにも連絡しない、向うでその土地の女の方と結婚しておって生活しておる形は、もう完全な帰化同様だ、こういうような意味だろうと考えますが、正確な数、それからその帰化の状態その他は私ではよく説明いたしかねますが、調査した上でわかるだけのことは御説明申し上げます。なおそれに関して未帰還者の扱いになっているか、あるいは死亡者になっているか等の扱いは外務省ではよくわかりませんので、それも厚生省その他と連絡の上でできるだけのことを次の機会にお答えいたしたいと思います。
○大西委員 未帰還者としてこれをどう処置するかという問題は、かねがね問題になっておるところなんでありますが、帰化という場合には、日本人である場合は、日本国籍の問題と関連して、日本政府の了解を求めてくるのではなかろうか、そうしなければ帰化ということは法律的にできないのではないかと思うのですが、常識的に、向うに住みついて細君を向うでもらえば帰化したというようなことを言っておっても、国籍がこういう国でどの程度整備しておるかもわかりませんけれども、帰化という以上、日本国籍を持っておった日本人の帰化ならば、日本政府の何らかの許可がなければ帰化という事実は成り立たないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○竹内(俊)政府委員 帰化いたします場合には、その母国の国籍に関係してきますから、母国と何らの関係なしに正式にそういう手続はあり得ないと思います。
○大西委員 それでは今申されたような意味で、関係各省にこの点について一つ調査を願って、次の機会にこれも御報告を願いたいと思う。
    ―――――――――――――
○櫻内委員長 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とパキスタンとの間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とノールウェーとの間の条約の締結について承認を求めるの件について審査を行います。
 質疑の通告がありますのでこれを許します。松本七郎君。
○松本(七)委員 この二重課税防止の条約でございますが、この前アメリカと結び、それからスエーデンと結び、さらに二月にはパキスタン、それから今度またノルウエーということになったのですが、この条約を締結する場合、相手国の選定というか、どの国を選ぶかについて、今まで、それから今回の基準というか、どういう事情からこれと結ぶようになったのですか。
○塩崎説明員 ただいま御質問の問題につきましては、昭和三十二年のスエーデン条約の際に松本委員からるる御質問がございまして、私どもの考え方を若干申し述べたところでございますが、重複を避けましてこの際申し上げたいと思います。御承知の通り、租税条約の締結の必要性は、経済交流の密接なところと結ぶべきだ、かように私どもは考えております。そういう意味におきましてまずアメリカと結び、それからまた私どもといたしまして東南アジアの諸国とも努力したわけでございますけれども、東南アジア諸国との関係におきましては、一昨年も申し上げました通り、相手国の財政事情等もございますし、なかなか締結ができなかったわけでございます。なお経済交流の密接なという一つの条件はございますけれども、できるならば将来のことを考えまして、向うが希望するならば、できるならば租税二重課税の防止ということは条約上やっていった方がいいのではないかというような考え方のもとに、三十二年度にスエーデンとの間に協定を締結したわけでございます。その際にスエーデンとの条約というよりも、むしろ経済交流の密接な東南アジア諸国との間にもう少し努力すべきではないかという御批判があったわけでございます。私どもは、その際にも努力はしておると申し上げましたが、その努力が結実いたしまして、今回パキスタンとの間に協定ができ上ったわけでございます。私どもはアメリカと条約を結びました後、種々奮闘努力をいたしておりますが、特に東南アジア諸国との問に努力を重ねておるつもりでございます。現在のところパキスタンとの間にこの協定ができ上ったわけでございますが、今後またインド、セイロンとの間に租税協定を結ぶべく現在のところ下準備中でございます。なお、船舶あるいは商社の活動におきまして若干問題のありますニュージーランドその他の国とも現在のところ下交渉をいたしておりますし、先般こユージーランドの総理大臣が参りました際に、租税協定を早急に締結するというようなことを公式声明いたしたような次第でございます。なお、ノルウエーと今回協定を締結いたしました理由は御存じの通り、スエーデンとの間に二十二年の条約が発効いたしました関係上、このデンマークとノールウェーはスエーデンときわめて密接な関係があることは御存じの通りでございます。その一環といたしまして、今回ほぼスエーデン条約と同様な内容を持ちますところの租税条約を締結し、御提案申し上げておるわけでございます。なおデンマークにつきましては、まだ調印が正式に済んでおりませんが、近い機会にコベンハーゲンにおきまして調印いたしまして、できるだけ早い時期に本委員会に御提案申し上げることになるように伺っております。
○松本(七)委員 一昨年から今日までの間にアメリカ、スエーデン、ノールウェー、パキスタン、それから近く調印される見込みのデンマークとかあるいは交渉予定のインド、セイロン、そういうもの以外に経済的に関係の深い国がもっとたくさんあるわけですが、その中で締結しようとして努力されてしかもできなかった、今日締結の域まで達しない国が、一昨年以来ありましたでしょうか。
○塩崎説明員 御存じの通り昭和三十一年におきましてスエーデンとの間に租税協定の下準備をいたしたわけでございます。その際にイギリスとの間におきまして租税協定の交渉をいたしました。内容におきまして若干意見が一致を見ないままに今日に至っておりますが、この問題につきましても日英間の経済交流の密接な状況にかんがみまして、近い機会にまた再び交渉を開始しようと考えております。なおただいま申し上げましたインド、セイロン、ニュージーランドのほかに私どもの方に租税条約を締結したいという国は相当ございます。たとえば西独、フランス、オランダ、スイス、カナダこんなような国は租税条約を日本と結ぶことができないだろうかというような問い合せが参っておりますが、私どもは種々事務的な都合もございますし、なお経済交流の密接な東南アジア諸国との間に重点をおきたい、こういう気持でただいまのところは今申し上げました国との間にはまだ交渉の段階に至らないであろう、こういうふうに見ております。できるだけそういうふうなことも努力するつもりでございますけれども、今のところでは、そういう国にはまだ手が回らないのではないかと見ております。なお東南アジア諸国におきまして、申し込んでどうであったかという御質問でございますが、私どもは広く外務省を通じまして現地当局から相手国に租税協定の締結の意思があるかどうかにつきまして意向を打診しているわけでございますが、たとえばタイ、フィリピン等におきましてはまだその機が熟さず、現在のところ努力はいたしておりますが、向うではその意思がはっきりと見受けられるに至っておらない次第でございます。
○松本(七)委員 イギリスとの交渉で意見の不一致な点の一番大きな点はどこにあるでしょうか。
○塩崎説明員 意見の違いと申しますか、私どもが三十一年にやりました段階の交渉は、きわめて予備的な段階でありまして、徹底的に詰めました議論のもとにやったわけではございませんので、これは完全な意見の一致を見なかったかどうかは疑問でございますし、問題点として残してなお検討すべきというところに当っているという意味でお聞きを願いたいと思いますが、数点ございまして、まず第一に大きな点は現在のこのパキスタン条約にもございますが、産業上の利得についての課税関係であります。私どもが締結いたしておりますところの租税条約の型は、日米の条約を初めといたしまして産業上の利得につきましては、恒久的施設がある場合におきまして、その産業上の利得につきまして恒久的施設のある国において課税する、こういう態度をとっておりますが、ここまでは世界各国の租税条約で共通する面でございます。それからが若干各国によりまして型が違って参るわけでございますが、私どもの結んでおりますところでは、恒久的施設がある場合には、その国におきまして恒久的施設のあるところにおきまして発生した所得についてすべて課税する、全所得について課税するというのが私どもの方の態度でございます。ところがイギリスにおきましては、イギリスが過去において結びました条約から見受けられますところの型は、恒久的施設がある場合に課税することは原則通りでございますけれども、恒久的施設があっても全所得に課税するのではないのだ、恒久的施設に帰属せられるべき所得について課税する、こういうところがイギリス側の態度でございます。このあたりが最も大きな違いでございまして、この内容につきましてなお種々議論いたしまして、その意見の開きが実際的に税務行政の面におきましてどういう違いがあるかという点は、今後詰められるべき問題だと私どもは考えておりますが、そこが第一点でございます。小さな技術的な問題はおきまして、なおその際に問題になりましたのは、通商航海条約との関係でございます。先生御専門でございますので、私から申し上げるのはどうかと思いますけれども、通商航海条約が締結になってないその場合に、租税条約を締結いたしまして、税に関する内国民待遇を確立するとか、あるいはまた条約の適用地域を定めることが、通商航海条約の締結にどういうふうな影響を来たすであろうかという、こういう点が大きく残される問題でございます。その他こまかく年金とかあるいは配当とか、種々問題がございますが、それは省略さしていただきまして、もしも御質問があったらお答え申し上げた方がいいと思います。
○松本(七)委員 日本で経済活動をやっておる国はアメリカが一番多いでしょうが、順位というか、大体五つぐらいの順位は、どういうふうになっておるでしょう。
○塩崎説明員 まず経済活動をどういうふうに測定するかという問題がございまして、非常にむずかしいわけでございます。ノルウエー、デンマークも私どもの方と関係が、アメリカに比べて非常に少いようでございますけれども、たとえば飛行機なんかの関係におきましてはSASはあれほど活躍する、こんなような状況でありまして、どういうふうに測定したらいいかどうか、問題でございますが、まず輸出入状況あるいは外資の受入状況、それからまた人事の交流状況、これらも総合的に見なければなりませんが、その一例といたしまして外資の導入状況を見て判断し、御説明申し上げたら、租税条終は外資を導入いたしまして、それから生みます果実について条約上種々の特例を設けるというようなこともございますので、外資の導入状況をもちまして一応経済活動の密接性を現わす意味で申し上げますと、外資導入の件数で一番大きいのは御存じの通りアメリカが第一でございます。第二といたしまして外資導入のうちのロイアルティの状況でございます。アメリカが四百六十三件、スイスが五十五件、ドイツが四十三件、フランスが二十六件、イギリスが二十二件、上から五位までは今言ったところでございます。スエーデンが八番目でございまして十八件、ノルウエーが最近だいぶふえまして十番目になりまして四件、デンマークが十一番目となりまして三件、こういう状況でございます。なおただいま外資導入しました株式とかあるいは社債、貸付金、これらが受け入れの外資でございますが、これらにつきましては現在のところ資料を持ち合せておりません。なお詳細にまた御提出申し上げたいと思います。
○松本(七)委員 それからこの前もずいぶんこれは詳細に伺ったのですが、脱税防止についてこの条約ができてからの以後の今日までの実績ですね、あのときはアメリカ関係をだいぶ聞いたのではなかったかと思いますが、その後スエーデンとこの条約ができてからの脱税防止状況を一つ……。
○塩崎説明員 三十二年にも松本先生から種々御批判がございまして、輸入課税の防止のみならず、脱税についてこの条約の効果はどうかという御質問がございました。私どもその際に外国人の課税関係の資料を差し上げまして、種々御批判を承わったわけでございます。その際に申し上げましたことは、私どもの税務行政の分野におきまして、外国人に対しますところの課税というものは、どういうふうになすべきかという点が、非常にまだ未解決の問題が多いということを申し上げたように記憶いたしております。たとえば先ほど申し上げましたように、恒久的施設がある場合に課税するというようなことになっておりますが、たとえばその恒久的施設の範囲についてどういうように考えていったらいいのか、このあたり世界各国とも種々の議論をしてみましても、なかなか明快な一義的な解釈もつかないように見受けられますので、私どもといたしましてどのように取扱っていいか、現在のところまで種々検討いたしまして一応の取扱いをいたしておりますが、なお未解決の問題が多いわけでございます。脱税の問題になりますと、若干その点は非合法の問題でございますので、趣旨は違って参りますけれども、相手国の性格と申しますか、相手国の人間でこちらに参っております人間の性格等にもよるかと思いますが、現在までのところ、そう大きな脱税があって手をやいているというような問題は私ども聞いておりません。ただ私どもが非常に困ります問題は、外国人というものはちょっと参りましてすぐ飛び立つその間の所得がどういうふうに発生したか、なかなかつかみにくいという点はあるわけでございます。この点につきまして現地の第一線の連中が努力いたしておりますけれども、そんなようなところが問題かと今のところは考えております
○松本(七)委員 特にこれはアメリカの場合ですが、こっちで経済活動をやっている者と、それから軍との関係、そういう経済活動に軍人が名義を貸しているとか、そういう事例が相当あるように聞いておるのですが、そういう点はどういうふうにつかんでおりますか。
○塩崎説明員 おととしもこの問題について種々議論がございまして、私どもその際御説明申し上げたつもりでございます。現在のところ日本国とアメリカ合衆国との間には、安全保障条約第三条に基く行政協定がございまして、税の特例がございます。軍人、軍属あるいはコントラクターについて特例がございます。これらについて最も問題になるのは、例の自動車の問題でございましたが、この問題について種々困る点がございますので、別途関税法の特例について法的な措置を講じまして、現在のところは一応の手を打っております。なお私どもは努力いたしたいと思っておりますが、自動車の譲り渡しの点で物品税、関税の問題が非常に支障があるということがございましたが、昨年でございましたか――これは私の所管でありませんので、正確な内容を申し伝えることはできないと思いますけれども、昨年立法的に解決をお願いいたしまして、そういう点は解決したつもりでございます。なお所得税、法人税等につきましては、現在のところそう弊害は見受けられない、かように私どもは考えております。
○櫻内委員長 本日はこれにて散会いたします。午前十一時三十三分散会