第031回国会 大蔵委員会 第3号
昭和三十三年十二月十八日(木曜日)
    午前十時五十七分開議
 出席委員
   委員長 早川  崇君
   理事 足立 篤郎君 理事 小山 長規君
   理事 綱島 正興君 理事 福田  一君
   理事 石野 久男君 理事 佐藤觀次郎君
   理事 平岡忠次郎君
      荒木萬壽夫君    内田 常雄君
      奧村又十郎君    押谷 富三君
      鴨田 宗一君    田中 角榮君
      西村 英一君    濱田 幸雄君
      古川 丈吉君    細田 義安君
      毛利 松平君    山下 春江君
      石村 英雄君    久保田鶴松君
      小松  幹君    田万 廣文君
      竹谷源太郎君    廣瀬 勝邦君
      松尾トシ子君    山下 榮二君
      横山 利秋君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  山中 貞則君
 委員外の出席者
        日本専売公社塩
        脳部長     小林  章君
        参  考  人
        (山口県塩業組
        合連合会会長) 時政鉄之助君
        参  考  人
        (生島塩業株式
        会社専務理事) 南原 正種君
        参  考  人
        (日本塩業労働
        組合連合会会
        長)      小山 武次君
        専  門  員 抜井 光三君
    ―――――――――――――
十二月十八日
 委員久保田鶴松君、山花秀雄君及び横路節雄君
 辞任につき、その補欠として石村英雄君、小松
 幹君及び大西正道君が議長の指名で委員に選任
 された。
同日
 委員石村英雄君、大西正道君及び小松幹君辞任
 につき、その補欠として久保田鶴松君、横路節
 雄君及び山花秀雄君が議長の指名で委員に選任
 された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 専売事業に関する件
     ――――◇―――――
○早川委員長 これより会議を開きます。
 専売事業に関する件について調査を進めます。
 本件につきましては、山口県塩業組合連合会会長の時政鉄之助君、生島塩業株式会社専務理事の南原正極君及び日本虚業労働組合連合会会長の小山武次君、以上三省に参考人として出席していただきました。参考人には、御多忙中のところ、まことにありがとうございました。
 これより参考人から御意見をお聞きするのでありますが、最初に、参考人各位より、塩田の整理に関する問題について、それぞれのお立場より忌憚のない御意見を述べていただき、そのあと委員各位の質疑に入ることといたします。
 それでは、まず山口県塩業組合連合会会長時政参考人にお願いいたしたいと存じます。
○時政参考人 それでは、食料塩が過剰になりました今日までの経緯と、現状におきます私どもの考え方を申し上げさしていただきたいと思います。
 昭和二十五年の閣議におきまして、日本の食料塩は全量国内塩をもって自給するというような決定がなされまして、さらには昭和二十七年に塩田施設法ができまして食料塩の増産ということがはかられ、塩業者は、この二つの決定事項に対して感謝いたしますと同時に、増産にいそしむことになったわけでございます。塩田施設法の制定に伴いまして塩増産の五カ年計画が樹立されまして、自来、公社におかれましては、もっぱら塩の増産の指導をいたされたのであります。その結果、増産の方法といたしましてまず取り上げられましたのが、流下式に枝条架を併設いたしました製塩方法でありまして、これが、今日に至りまして、約五カ年余りに及びまして、ようやく全国の塩田の大部分が流下式塩田に転換をして参ったわけでございます。しかしながら、専売公社の指導、こういうふうに申しますが、業者にとりましては、この公社の指導は全く命令にひとしい、こういったような感じを受けまして、どこまでも公社のこの御指導かつ御命令に従順に従いまして、今日まで増産をしてきたわけでございます。この流下式塩田に改造することにつきましては、業者は、将来の希望を持ち、また将来これによって食うていける、こういう期待を持って、ししとして今日まで増産をいたしましたところが、今日に至りまして、塩が過剰になるというような工合になりました。過剰になったということは、まことにうれしい反面におきまして、なお、まずこの過剰塩を処理するためには、塩田整理ということが考えられるようになりましたことは、過去の経緯からいたしまして、まことに残念でたまらないのであります。今ここで塩田整理を受けますことは、業者として特に多額の負債を持ってこの流下式に転換いたしまして、大体一ヘクタール当り三百万円あるいは三百五十万円といったような多額の負債をこうむって、そして流下式に転換をして参った者にとりましては、一そうこれが将来に希望を持っておりましただけに、まことに残念で、たれしも塩田整理を心から欲しておる者はないのであります。山口県とかあるいは大分県あるいは広島県の一部といったようなところは、弱小塩業者と名がつけられておりますけれども、これらの塩田が多く整理の対象になるやに承わっております。この弱小塩業者という名前をこうむるに至りました原因は、もともと山口県のごときはたび重なる災害――戦後におきましても六、七回にわたりますところの大災害をこうむっておりまして、この災害復旧に非常な多額の費用を要したこと、あるいはまた、気象関係におきまして、蒸発量の非常に低いといったような不可抗力の関係も影響しておりましょうし、あるいはまた、施設が不均衡であったということも影響しておることでございます。いずれも自然的現象あるいは人為的な現象――人為的な現象と申しましても、業者の怠慢によるものでなくして、いわゆる施設の不均衡でありまして、公社の事業をあずかっております塩業者は、すべて公社の許可性によりまして、あるいは改良工事にいたしましても、あるいは堤防復旧にいたしましても、すべて許可制によることでありまして、現在施設の不均衡ということは、業者としても大きく取り上げておるわけでございます。幾ら増産をしようと思いましても、許可がなければ増産ができない。こういうふうな施設の不均衡があるということは、どこまでも公社の責任である、こういうふうに思っておるわけでございます。特に流下式塩田の生産というものは、枝条架のパーセンテージに非常に大きい原因があるのでありまして、枝条架のパーセンテージをふやすことによりまして、いかようにも増産ができるというのが流下式の特異性であるのでありまして、今日弱小塩田と名のつくものは、多くは枝条架のパーセンテージが少ないのであります。この枝条架のパーセンテージの少ないことは、もちろん災害あるいはまた気象等の不可抗力的な立場におきまして、十分に資金の蓄積がなかったということも原因しておりますが、一方には、専売公社の地方局単位ごとに指導がばらばらでありまして、ある地方局は枝条架の。パーセンテージを大幅に許し、ある地方局においては枝条架のパーセンテージを抑制して、いかに懇願してもこれが許されなかった。こういったような、いわゆる人為的と申しますか、公社の責任におきまして、今日のいわゆる弱小塩業者の名前がついているというふうなことを思いますときに、今日塩田整理を受けようとする弱小塩業者といたしましては、どこまでも公社の責任を声を大きくして叫ばなければならない、こういうふうに思っているわけでございます。
 もともと専売公社は公益専売といわれておりまして、また、塩価におきましても、これは、専売という建前から、当然賠償制ということが専売の意義があるところである、こういうふうに存じておるのであります。これによって、業者も、専売という統制のワクの中において、専売公社の指導通り忠実にその命令を受けて、国策としての塩業に誇りさえも持って事業にいそしんでおりましただけに、このたびの、いわゆる多額の費用をもかけて改良した、この流下式塩田をつぶされるということは、まことに遺憾に存ずる次第であります。戦前においては、塩の値段も賠償価格と申しまして、いわゆる賠償制によって塩の価格が決定をされ、しかも地域的な差――気象の関係、施設の関係等におけるところの、いわゆる地域の差も塩の値段に設けら、れまして、従って塩の値段が複数制になっておったわけであります。専売としてはこれが当然のことであり、それでこそ、いわゆる専売というワクの中で、統制の中において生き得られた産業であると思うのであります。
 ところが、戦後、マッカーサーの指令によりまして、塩の価格は一本制でなければいけない、こういうきついお達しのもとに、全国塩の値段が一律に統制されました。こういうことが、すなわち弱小塩業者が立っていかなくなったという一つの原因でもあるのであります。しかしながら、すでに独立した今日、当然本来の専売の姿に戻るのが建前である、こういうふうに存じまして、たびたび塩の複数価格制、地域制を認めてもらいたい、こういうことも懇願し、なおまた施設の均衡化ということも、たびたび懇願したのでありますが、いろいろな事情でこれが許されなくて今日に至ったことが、ますます弱小塩業者を弱小塩業者にならしめたところの原因であると思うのであります。しかしながら、一応流下式に転換をいたしました今日、この施設の均衡等においても、漸次一つのレベルまで施設を増強しようという計画の最中であり、かつまた実行中でありまして、その理想の姿に近づけようとしておりますときに、直ちに現状の姿において整理されるということも、これはまたあきらめ切れないものである。こういうふうに存じておるものであります。
 しかしながら、事ここに至って塩が余って仕方がない、こういうような現状におきまして、いかにすればよいかという大きい日本の虚業という立場、あるいは将来の塩業という姿を考えましたときに、ただ過去の専売行政の失策のみをここに言うても、塩業者全部がともに滅びることになりますので、いわゆる将来の国内塩業のあるべき姿につきまして、大きい観点から熟慮、達観をして、現在におけるところの事業内容を各自々々の塩業者が診断を下しまして、近き将来に、専売公社の言っておられるところの塩価トン当り一万円に引き下げるということに、果して対処できるかどうかという企業診断をいたしまして、いわゆる不採算企業、こういうふうに思われるときには、これはやむなく整理の勧告にも応じなければ、再び取り返しのつかない混乱状態に陥るのではないか、こういうふうに存じます。なおまた、一方、そういうふうな整理によって残った塩業者も、初めて思い切って生産もでき、あるいはまた安定した企業を成立させることもできる。こういうようなことを思いますときに、過去のいきさつからいたしまして、整理ということはどこまでも専売公社の責任であると思いますけれども、いろいろな観点を総合いたしましたときに、整理もやむを得ない、こういうふうに思うのであります。しかしながら、これはどこまでも私どもが甘んじて受けるわけではないのでありまして、当然、この整理に対しては、過去のいきさつからいたしまして、十分なる補償の裏づけがなければ整理に応ずることができない、こういうふうに思っておるのであります。従いまして、将来残存企業の安定する姿になるところの犠牲であり、専売公社の失政の犠牲になる、こういう意味におきまして、正当にしてかつ完全な補償を行うべきであると存ずるのでありまして、この目的達成のためには、いわゆる昭和四年、五年の第二次の塩田整理の実績に照らしまして――この昭和四年、五年の補償の実績と申しますのは、その当時塩業者の手取りが約一万円になっておりました。今日の物価指数に直せば、これが三百七、八十万円になると存ずるのであります。この第二次の塩田整理の実績に照らしまして、塩業者は、ヘクタール当り三百六十万円の手取額を目途に、補償の要求をしておるのであります。
 何とぞ、過去のこの矛盾した経緯と、しかも現状に残されておる矛盾のこの姿に深い御理解をいただきまして、よろしく御審議のほどをお願い申し上げる次第でございます。
○早川委員長 次に、生島塩業株式会社専務理事南原参考人にお願いいたします。
○南原参考人 本日は、御多忙の中、大蔵委員会で塩業整備についていろいろ御審議をいただくことを、まず厚く御礼申し上げたいと思います。私、実はけさ飛行機で着いたばかりで、まとまった考えも持っておらないのでございますが、平素考えておりますことを申し上げて、御参考に供したいと思います。なお、なるべく時政先輩からのお話と重複しないようにと考えて、申し上げたいと思います。
 今日、塩業整備をしなくちゃならないようになった原因でございまするが、昭和二十五年に食料塩は自給自足という閣議決定が行われまして、専売公社の方でも、食料塩の増産に一路邁進するように、いろいろ施策が講ぜられたわけなんでございます。その間機械製塩あるいは錦海虚業組合というふうなものを許可することになりましたのは――大体全国の塩田の総面積は四千五百町歩から六百町歩ございます。それの生産量を一ヘクタール当り大体百八十トンというふう押えまにして、塩田製塩では、百八十トンかける四千六百ヘクタール、大体八十万トンは塩田で作る。それから二万五千トンの機械製塩を八つほど許可しまして、それで二十万トン、錦海で十万トン、合せて百千万トンでもって内地の食料塩は自給自足するんだというふうな計画のもとに、専売公社の方では、機械製塩を八工場許し、錦海を許可したというふうな結果になっておると思うのでございます。もともとこの流下式転換でございますが、大体一ヘクタール三百五十万程度の資金を注ぎまして流下式転換をやりまして、公社の方で大体百八十トンというふうに押えたことがそもそもの誤まりでございまして、現在、多くは二百五十トンないし三百トンの生産を上げておるのでございます。従いまして、最初百八十トンというふうに押えたことは、これは公社の技術陣の大きなミステークじゃなかろうか、こういうふうに考えます。その前提のもとに機械製塩を八つ許可し、なおかつ、昭和三十一年には、もう塩はほぼ過剰になるというふうな段階において錦海を許可したというふうなことに、今日の塩田整理を大幅にやらなくちゃならぬという根本があるんじゃないかと、私は考えるのでございます。
 それで、機械製塩の八つでございまするが、これは、皆さんも御承知のように、三井、三菱、住友、それから東北塩業、これはたしを郷古潔さんとか大和証券の遠山さんが中心で、東北開発の一環として塩をやられておるように聞いております。北陸塩業、これもたしか、私の聞いたところでは、現外務大臣の藤山さんが、バツクにあるようにも聞いております。それから江迎は綱島先生が表面に立たれております。それから佐世保はまだ着手していないというふうに伺っております。とにかく八カ所、そういうふうに財閥並びに財閥に準ずるようなところが、やはり機械製塩をやっておるのでございます。しかも、その機械製塩を最初に公社の方へ申請したときには、大体一万円程度でできるというふうなことで申請したやに伺っておりまするが、現在の生産費と申しまするか、コストは、たしか一万二、三千円、それ以上に相なっておるように聞いております。そういうふうなわけで、やはりペーパー・プランによる申請と、実際やってみましたその実績とは、そこに相当の開きがあるように聞いております。なお、錦海湾につきましても、私たちが聞いておる範囲内では、大体一トン八千円程度でできるというふうなことで許可を受けたそうでございます。実は、私生島塩業といたしましても、製塩施設法によりまして昭和二十八年に十町歩ばかりの塩田を新しく築造いたしたのでございますが、もちろん小単位でございますから、必ずしも錦海に当てはまるというわけではございませんけれども、大体ヘクタールに一千万かかっております。既設の塩田で流下式転換に要する経費が大体三百五十万、錦海が大体四百四十町歩でありまするから、一千万かかるとすれば四十四億、現在は何か三十五億というふうなことに伺っておりまするが、いずれにいたしましても莫大な資金を入れまして、われわれ既設の塩田と同じ方式の塩田を築造するというふうなことは、私たち納得できないのでございます。将来イオン交換樹脂膜とか、あるいは科学技術の進歩発達は実におそるべきものがございますので、遠からずそういうふうな技術革新が誕生すると思います。そういう将来を考えてみますると、塩田製塩の将来もはなはだ不安焦燥にかられるのでありまするが、しかし、私たちは、既設塩田の方は、おやじ、先祖から受け継いでおりますので、大体償却は全部済んでおります。ただ済んでいないのは、流下式転換に要した三百五十万、それから、ところによりましては、戦後新しく設備をいたしたところというふうなことで、塩田の地盤そのものはすでに償却済みでございます。これは、合理化を進めて参りますれば、十分対抗でき得るというふうな考えも持っております。ただ、現状におきましては、多額の借入金と、それから償却がございますので、どうしても、設備の合理化と経営面の合理化には、そこに若干の時間的ギャップがございますので、両三年の御猶予をいただきますれば、既設の塩田製塩としても大丈夫太刀打ちでき得る自信と、また合理化によって立ちおくれをしないように太刀打ちできる意欲を持って、精進いたしておるようなわけでございます。
 それで、今回の塩田の整理は大体塩田にして相当の面積をやる、それから機械製塩については五工場というふうなことがもっぱらいわれておりまするが、私たち塩田製塩と申しますのはその構成メンバーというのは非常に零細なものでごごいまして、香川県の例を申し上げますと、大体〇・三ヘクタールから〇・九ヘクタール、一町未満の業者が大部分を占めておりまして、中小企業もしくは零細企業と申し上げてもいいのではないかと思うのでございます。そういうふうなものでございますので、この塩田整理というふうなことがございますれば、社会的にも相当な問題になりまするし、また失業問題というふうなものも自然に問題化して参りますので、そういうふうな国家資金の点あるいは社会問題、失業問題というふうな点を考えますると、現在稼働していないものをまず整理をいたしまして、しかる後に現在生産に精進いたしておりまする塩田製塩を整理するというふうなことが、常識的にいいのじゃないだろうかというふうに考えております。実は、先般も各県で決議をいたしまして、未稼働の塩田、未稼働の虚業をまず整備の爼上に上せまして、その後でなければ現在稼働しておる虚業の整備はまっぴらごめんだというふうな決議を各県々々でやっております。ただ、錦海がございます岡山は地元でございますので、いろいろ内部的な御事情もおありだろうと思いますので、その決議には参加いたしませんでしたが、岡山県を除いては、全国の塩業者は、まずその未稼働の塩田を爼上に上げていただきたいというふうに決議をいたしまして、専売公社並びに塩業審議会の皆さん方、あるいはまた諸先生方のお手元の方へも、各県々々からお耳に入っておることと存ずるのでございますが、なるべくならばいろいろな国家資金の問題あるいは社会問題等も考慮されまして、摩擦の起らないような格好で塩田、塩業整備というものが行われることを期待いたすわけでございます。
 なお、私たちが非常に心配いたしておりますのは、機械製塩とかあるいはそういう錦海というふうなものは、財閥並びに財閥に準ずるものでございまして、従って、財政的にも強力であり、また政治的にも非常に強力だというふうなことで、もし機械製塩諸工場なりそういう未稼働のものが整理されない場合には、全国の弱小な中小企業もしくは零細企業ともいうべきものにしわ寄せされるのではないだろうか、というふうな危惧と不安を持っておるようなわけでございますので、この点は、諸先生方の社会正義に訴えまして、そういうことがないように、くれぐれもお願い申し上げる次第でございます。
 いろいろ前後いたしまして論旨も徹底いたしませんが、御質問によってお答え申し上げたいと思いますので、これで終りたいと思います。
○早川委員長 次に、日本塩業労働組合連合会会長の小山参考人にお願いいたします。
○小山参考人 私は、昨年の十月に、この委員会におきまして、やはりこの塩業の当面する問題につきまして御意見を申し上げたのでありますが、それから約一年有余を経過いたしました現在、まだこの問題が一向に片がつかず、混迷の渦中にあるということは非常に残念でありますが、どうして現在もこういうふうなことになっておるだろうかというふうなことを考えますと、非常に重要な点について、専売公社の塩業行政といいますか、そういう指導の方針といいますか、またこの問題に対処する基本的な考え方というふうなものに欠けておるところがあるのではないか、というふうに私は考えざるを得ないのであります。
 その問題点となりますのは、結局、公社が、このようなことに立ち至った事態を収拾し、そうして正常な虚業行政を確立するために、一体だれのためを思ってそれをやっておるかということが、一番問題ではなかろうかと思うのであります。要するに、公社は、自分のところがなるべくけがが少いようにして、そうしてうまいことこの事態を何とかまるくおさめるようにというふうな考え方を根本において持っておいでになるのではないか。従って、そういうふうなことでは、やはり関係者を納得させ、また世論を納得さして、そうしてそこに筋の通った塩業行政を確立するということは、これはなかなかむずかしいはずなんであります。たとえば、このことにつきましては、本年の七月以来設置をされました専売公社総裁の諮問機関であります塩業審議会を見てみますと、この虚業審議会の委員の方々は、日本の現在の経済界または経済専門の学界におきましては、いわゆる一流のトップ・メンバ一というふうなお方々で、非常にりっぱな方方ということについては、私たち疑いをいれないのであります。しかし、事塩業に関しましては、やはりしろうとなんであります。そこで、七月以来すでに二十回ぐらい会議をたしか開いておるように聞いております。しかし、この審議会の二十回の開会にかかわらず、まだまとまった結論が出ていないということについては、もちろん問題が重要でありますから、慎重に審議をするということは必要だと思いますが、しかし、その経過を伺ってみますと、その大半が、いわゆるしろうとの方に対して、現在の塩業事情はかくかくでございますという予備知識の御説明、御進講に全部費やしておる。そうしてその上で御判断を願うという段階がようやく最近に来たというふうな状況でありまして、この点、専売公社におきましても、また塩業界にありましても、この道の事情に最も詳しい、精通した方々はたくさんおるはずなんです。これらの方にそういうふうな相談をせずに、しろうとの方に予備知識を御進講申し上げて その上で御判断を願う。どうしてそういう回りくどいことをするのかというふうに、私は考えざるを得ないのであります。
 かく考えてきますと、やはりこれは、今度の事態をどう収拾するかということにつきまして、公社が、自分の責任を、何とかその場をうまく切り抜けよう、そのためには、いわゆる日本の経済界、学界等の一流のメンバーの方に委員を委嘱しまして、そのいわゆるネーム・バリューといいますか、そういうふうなものを隠れみのにして、そうしてかくかくの御先生方の御意見はこういう結論でございますから、これは現在望み得る日本最高の結論ですというふうなことにすりかえようというふうに考えておるのじゃないか。私はこの点は非常に遺憾にたえません。そこで、このような考え方の根本が、従来までの塩業行政を混迷に陥れ、そうして現在の事態を引き起した最も大きなガンではないか。従ってこのこと自体を正していただかなければならぬ。ほんとうに責任を持って一貫した方針に従い行政をやる、間違ったら腹を切るという、そういう武士道的な精神がやはりすたれておったのではだめだ。これは今ここをちょっとごまかしてみても、結局あとに残った塩業政策は確立するめどがないように私は考えざるを得ないのであります。この点は前提として非常に重要な問題というふうに考えております。
 次に、今般いろいろ事情はありましたが、国家といたしましては、ある程度の整理とか、または何らかの対策を講じなければならないというふうな現状に至ったことは、これは事実でございます。しかし、これはやはり専売行政下にあるもの全般にわたって検討すべきであって、単に生産部門の対策をどうするというふうなことによってだけ処理を求めるというのは、ちょっとおかしいのではないか。たとえば、塩専売会計が本年度約二十六億というふうな赤字を見込まれる、従ってこれでは拾てておけないということが、今般の整理問題の重要な発端になったわけであります。しかし、生産者だけがその二十六億の赤字を生んだかのごとき印象を一般に持たれますが、私は決してそうではないと思います。これはやはり塩を取り扱う海送の経費とか、あるいは塩専売に従事されておるところの公社の職員の人件費とか、すべてがこの塩会計の中でまかなわれておる。そしてその総合結果として二十六億の赤字が予定されるということなのであります。従って、これは、今般のいわゆる塩田整理とか塩業整備とかいうことよりも、専売行政の合理化を総合的に考えるその中の一環として、塩田整理ということが浮び上ってくるのではなかろうか。また、これでなければ、われわれ関係者としては、ただ生産者だけにそのしわ寄せをしていこうという考え方では、納得がいかないのであります。たとえば、千数百町歩ぐらいの塩田を整理しようというふうな現在の公社のお考えのようでございますが、そういたしますと、具体的に見ましても、塩専売関係に従事されておるところの公社の職員、またはそれらに関連いたします公社の直営工場というふうなものも、相当不要な部門が出てくるはずなんです。これらのことについては、まさか私はほおかぶりをして、民間にだけは血を出させ、しかし公社の内部については、剰員の整理等もまるがかえでいこうというふうなお考えではなかろうと思いますが、もしそういうことがあるとすれば、これは一大事なのであります。だから、こういうことは、ただ生産部門に限らず、塩専売全般の問題として十分検討して、不公平のないように、今後の対策を樹立する基本的な方針をそこに置いていただかなければならないというふうに考えます。
 次に、整理の基準についてでありますが、これについては、現在入浜、いわゆる塩田製塩と申されますものと、それから機械製塩、それにまだ建設途中にあります約十万トン程度を予定しております錦海湾という三つのものがあるわけでありますが、基本的な考え方といたしましては、やはり整理をするのには、何か一つのものさしがなければ整理ができないと思うのです。その場合には、一つものさしを対象企業によってすり違えないように、同じものさしではかって、そしてそのものさしの目盛りに従って公平にこれを整理していくというふうにならなければ、私は納得がいかないと思います。伝えられるところによりますと、専売公社の考えております現在の内容といたしましては、たとえば錦海塩業というふうなものは、これは一たん締め切ったのでありますが、その後堤防が沈下いたしまして、現実にはまだ改修工事も途中でありまして、将来塩田になるという予定地は今いわゆる海面であります。その錦海塩業を今度の整理に当っては他に優先して残すというような方針か何かあるようでありますが、これは私は非常に大きな問題だと思うのであります。現在すでに多くの投資をし、そして盛んに塩を作っておる。そこには従業員も全部おるわけであります。そういうふうなものを整理をしなければならないという段階において、まだ締め切りも終っていないもの、しかもそれは、今回整理をしようという塩田と生産様式を異にする非常に新しいものであれば、また別なんでありますが、これは全然同じものなんです。ただ規模が少し大きいとか小さいとかいうことは多少ありましょうけれども、いずれにしても、現在ある流下式塩田そのものをまた再現しようというわけであります。そこで、こういうふうなものを残しておいて、そしてすでに稼働中のものを整理するということは、まことに納得がいきません。
 これをさらに具体的に検討してみますと、公社が最近出しました錦海製塩の事業目論見の数字を見ますと、トン当り八千七百幾らくらいで塩ができるというふうな目論見を出しております。これはヘクタール当り約二百二十トンくらいの生産を見込んでおるわけでありますが、しかし、終戦後二十六、七年以降新たに塩田を開発いたしました香川県の二、三の例を見ますと、古くからある塩田と最近埋め立て等をいたしまして塩田にしたところの生産量は、同一気象条件のもとにおいても画然たる差があるのでありまして、この二百二十トンというふうな数字は、これはもちろん推定でありまして、ここで議論しても結論が出ないのでありますが、しかし、そういうふうな例に徴しますときに、二百二十トンというものは相当に甘いものじゃないか、従って、そういうふうなものを前提としてコストがこれだけだというふうなことは、これはわれわれ関係者をば真から納得させる説得力を持たないものでありまして、われわれとしては、これは何かためにせんがためにそういう架空の数字を操作いたしておるのではないか、かように考えざるを得ないのであります。
 なお、機械製塩につきましては、これが成立過程におきましてはいろいろの問題があったようであります。これをここで詳しく申し上げている時間がございませんので、一応省略いたしますが、ただ、現状といたしまして、機械製塩が塩田製塩と比較してコストが非常に格安だという結論は、これは業界関係者の一致した意見といたしまして、そういう特に格安だという意見は出ておりません。従って、機械製塩のみを、今般整理をいたしますにつきまして、これを優先存置しなければならないという積極的な理由というものは見当らないはずなのであります。そこで、われわれといたしましては、機械製塩等につきましては、やはりこれは一般塩田製塩と同じものさしを当てて、そのものさしの命ずるところに従って、平等な取扱いをいたすべきであるというふうに考えた次第であります。もし、このようなはっきりした現状のもとにおいて、なおかつ結果的にいって錦海湾とかまたはその機械製塩が優先存置をされる、そうして現在稼働中の塩田に整理のしわ寄せがくるというふうなことになりますれば、残念ながら、われわれといたしましては、やはり専売行政そのものが力の関係において弱いものにしわ寄せされる方向に動かされておる、このように考えざるを得ないのでありまして、そういうことが起らないように希望するものであります。
 次に、整理に伴いましてはやはり補賞が問題になるわけでありますが、この補償につきましては、現在までに塩業審議会または専売公社の中間試案というふうなものが、正式ではありませんが、大体発表されておりますが、ただ、この補償の基準になる考え方につきまして、いわゆる収益補償という観点に立つか、またはそうでない観点に立つかということにつきましては、いろいろと問題があるのでありまして、たとえば今度の整理対象になるような企業はほとんど収益性がないのじゃないか、従ってこれが整理をされることは、これはほうっておけば自然につぶれるのだ、つぶれるものを、それではいかぬから、ここで何とか計画的に整理をして、何らか社会保障的な考え方から補償金を出そう、というふうな根拠をとっておられるようでありますが、これはやはり、塩専売の歴史といいますか、経緯といいますか、そういうふうなものに対してのはっきりした認識を欠いているのじゃないか。御承知のように、塩業が収益性を持つか持たないかということは、その中心であります収納価格をいかに決定するかというふうなことが一番大きな関連を持つのでありまして、終戦後、先ほどもお話がありましたが、一本価格制というものを強行して、そうして結局、その考え方の基本といたしましては、価格を逐次引き下げることによっていわゆる自然淘汰をねらう。そうすれば、弱小企業は、国家の補償とかいうふうなことを考えなくとも、自然つぶれてくるじゃないか。それによって整理をしたらよろしいというのが、つい先年専売公社が大蔵省に出した文書の中にはっきりそのことを明示しておったわけでありまして、そのことは、専売公社として、われわれに追及されまして、あとで弁明をいたしておりますが、しかし、考え方の基本がそこにある以上、やはり収益性というふうなものを一方的に否定しようとすれば、否定はできるわけであります。そこで、結果だけを見て、現在整理の対象になる。あれは収益性がないのだから、収益補償という観点に立つことはどうかというふうに考えられる。いわゆる収益補償ということになれば、これは一応ははっきりした権利、その補償を受ける権利というものが存在するように考えるわけでありますが、しかし、一方その考え方の基礎を、収益補償ではないのだ、社会補償としてやろうということになれば、これはあくまで恩恵でありまして、これはわれわれとしてお願いしておくというふうなことになるわけであります。この点、われわれ労働者といたしましても、どのお考えをとっていただくかということについては、われわれは、その職場が、今般の整理に当って、整理されなければ、やはり定年に達するまでは一応そこに職場を求め得るわけでありますから、その期待所得というふうなものがわれわれとしては考えられるわけであります。しかし、今のような収益性はないのだというような考え方でありますれば、収益性のない事業の永続は望めませんから、従ってその職場の崩壊は明らかであります。従って、そこには、われわれの将来に対する期待勤労所得というものは認めないという立場が起ってくるわけであります。この点、私は、考え方の基本を、表面に出ているものだけではなしに、よって来たった経過をつぶさに検討していただかなければならないというふうに考えます。特に、補償の内容につきまして、われわれ塩業労働者といたしましては、年齢層または従来までの職業経験等からいたしまして、他にいわゆる手に職を持っておりません。また、塩田の所在地は大部分が僻陬な地にありまして、近代工業等が隣接地にありませんので、いわゆる労働市場の関係もさしてよくないというのが実情であります。そこで、一たん職を失いますれば、ほとんど半永久的な失業状態に置かれるというのが現状であります。このことは、先年入浜塩田が流下式に転換いたしまして、このときに約五分の四の大量の労働者が生産施設の合理化によりまして職を失ったのでありますが、それらの失業者が現在ほとんど安定した職についておらないという現状からも、間違いなくこのようになるだろうというふうに私は考えるわけであります。そこで、特にこの補償につきましては、これらの点も考慮いたされまして、そういう社会の落伍者としてわれわれが突き落されてしまうというふうなことではないように、十分御考慮を願えればと考える次第であります。
 以上で私の意見を終ります。
○早川委員長 これにて参考人の意見の陳述は終りました。
 続いて参考人に対する質疑に入ります。田万君。
○田万委員 いろいろと長時間お話を承わりまして、塩業界の実態が大体私どもにもわかる気がするのであります。今度の整備問題におきまして、今お話を聞いておりますと、一番印象に残るのは、公社の塩業対策に不動のものがなかった、確立しておらなかったところに、今日の混乱が起きておるというふうに思えるのであります。
 そこで、業者の方々にお聞きしたいのでありますが、この公社の指導というものを絶対的な命令的な感覚をもって受け取ってやって参ったと、先ほど時政さんのお話がございましたが、そういうような実態であったのでありますか、それを重ねてお尋ねしたいと思います。
○時政参考人 お説の通りに、業者としては、ほとんど命令にひとしいものだという感覚をもって、すべて公社に当って参ったわけでございます。すべてはいわゆる許可制でございまして、全く生殺与奪の権を持っておいでになる公社であるわけでございます。なればこそ、あるいは数年前のことがございます。
 実例をあげれば、もう塩業に見切りをつけて、むしろこの際工場誘致をしようといったようなところもあったわけでございます。しかしながら、ちょうどこの閣議の決定の線もありますし、いわゆる食料塩の製造自給というようなことから、塩田をつぶすことはならぬ、またそういうような感覚であったならばというような、暗にそこにおどしもあるわけであります。相当いい工場誘致条件があったにもかかわらず、業者もともにこれに反対せよといったようなことで、もしこの命令に違反するならば、やはり生殺与奪の権があり、またその指導とは申しながらも、いろいろ許可制であることでありますから、あとで事業に災難が来ることをおそれまして、全く指導というものを命令といったような感覚に受け取りまして、一意専売公社のおっしゃる通りに従って、そういうようなところも、工場誘致のいい条件にあったにもかかわらず、工場誘致もできなかったために、大へん政治的な問題を起したところもあるわけでございます。
 その他、また錦海湾にいたしましても、あるいは錦海湾は当初公社ではこれは許さないという御方針やに承わっております。それが、いつの間にやら錦海湾というものは許可すべし、許可するについてはこれこれの理由であるといって、最初反対をしておられた公社が、まっしぐらにむしろお先棒をかつがれまして、全国の各業者に各地方局から出資を勧誘して歩かれた。業者は、これはもちろん欲しないところではあるけれども、二度も三度も勧誘されれば、やはりあとのたたりがおそろしいというようなことで、不本意ながら出資をせざるを得なかった。表に出れば、なるぼど全国の塩業者が非常に賛成をしてこれを擁護しているように見えますけれども、実態は、そうでなくして、そういう裏面があるということは、ことごとくいわゆる生殺与奪の権を持っておられる公社のにらみがおそろしいからということであります。また、改良工事にいたしましても、こうしなければ許可せぬとか、もちろん理由のあることもありますが、あるいは、流下式塩田はヘクタール三百万も四百万もかかる、これだけ投資をするのだから、まず堤防を補強せよ、百年の大計を立てるのだからというようなことでありまして、堤防補強に何億円という金をまずかけなければ流下式は許可しないとか、いろいろ御命令通りしなければすべての許可は得られない、こういうことで、全国の塩業者ことごとくが御指導即命令といったような感じを受けていたのが、実態であると思います。
○竹谷委員 関連して。
 私は、東北の出身で、塩業のことに関しては何の知識も経験もございません。しかし、はるばる中国、四国から皆様方がわざわざおいで下さいまして、いろいろお話をお聞かせいただきまして、得るところが多いのでありますが、私、直観的に感じますことは、今時政さん初め皆さんのお話を承わって、製塩業者及び労働者を含めたそれらの人々と専売公社との関係は、昔の地主と小作どころではない。権力を背景にして、独占的な権限を持っている。権力独占地主、これは専売公社であってそれに対する農奴みたような関係に置かれているのが塩業者、全く時代錯誤の感じがする。今お話を承わって、事実そのようなものであるかどうか、それを時政さんからお伺いいたしたい。また、それに対する専売公社の見解を承わりたい。
 それから、もう一つは、東北開発というものが盛んに行われておる。そこで、岩手県あたりに、四年くらい前から、東北開発の一端というような意味もありましょう。大きな特別な圧力か何かわかりません。そういう新しい科学的な方法を用いて、大量の製塩事業が行われておる、岩手県には。ことしあたり操業も開始したかもしれませんが、私二、三年前に行ったときは建築中でございました。これは大体資本家の出資で行われているのだろうと思うんですが、今関西方面で零細塩業者が廃業しなければならぬというような状態にあるとするならば、それらの零細ではあるが、数が多いのですから、資本を集めて、そして政府の専売公社のあっせん等によって借り入れでもして、そして機械製塩の方へ、それらの従来の業者の団結で、その事業をやらせるように持っていったらよかったんではないか。私は東北ですから、東北がいろんな工業ができて開発されることは大いに望むところではありますが、同じ日本人の他の地方における業者をつぶしてまでやることには賛成ができない。またその他の仕事もあり得るわけなんです。こういう点はどういうことか、その点と二つだけ、参考人と専売公社の御意見を承わりたい。
○時政参考人 先ほど私申しましたように、もちろん専売と業者は全く親子といった関係におきまして、非常によいところもあり、また、それによって保護いたされまして、いわゆる生かさず殺さずと申しますか、そういったような政策の中に、ぼろいもうけもできないが、死にもしなかった。そこにやはり業者としましては公社にすがっていこうという潜在的な気持があるし、また、すがられる公社としましては、やはり意のままに従わなければいけない。こういった指導ということの中には、よいところもまた反面はありますけれども、今のような、実は指導ということは、そうしなければならぬような立場に追い込まれる、自分の意思を無視してでもしなければならぬといったような関係がついてきておるということは、いろいろな実例をもって先ほど申し上げた通りであります。
 それから、東北の方につきましては、詳しく事情を知りませんので……。
○小林説明員 私、公社の塩脳部長です。実は、ただいま各参考人から公社の専売事業の運営につきましてるる御陳述があったのでありますが、それを聞いてまことにびっくりいたしたような次第であります。従来、私たち、外部の方々から、いつも、公社は専売事業の中で塩業者の味方をする、あるいは、塩業者をかわいがり過ぎるということをよく言われておりまして、それに対して、いやそうじゃないというような説明をするのに大わらわであったのであります。ただいまいろいろお話を承わって、そういう事実があるのであれば、よく調べてみたいと思います。その中で、一つ私の記憶に残っておりますのは、ただいまお話がありました工場誘致のために塩田をやめる云々のお話でありますが、これも、私の記憶では、公社が命令したとかなんとかいうことではなしに、塩業者の気持、公社の気持一体となって、むしろ塩業者の方から、こういうことでは困る、現在非常に国内塩を大事にしなければならぬときに、片っ端から塩田をつぶされるということは、今後の製塩意欲の上にも影響するというようなことで、両者の意向がぴったり合って、まず国内塩田の整理をしようじゃないかというようなことから、ああいうことにもなったかと記憶いたしております。命令云々のことは私の記憶としてはないのであります。この点、私としての釈明を申し上げるわけであります。
 なお、東北製塩云々のお話でございましたが、これは先ほど時政参考人からお話がありましたけれども、三十一年の五月に、大体これで今後のわが国の製塩のり規模はいいというようなことを総裁談話で発表いたしておりますが、そのときの計画の中に載っておるわけでありまして、そのときは、そういうものを許可することによって、十分国内塩で食料塩の全量は確保することができるという計画でありまして、そのときの見通しとしては今日のことを予想せず、今から申しますと、そういう見通しが誤まりであったという点が、われわれといたしましては今日の状態を来たしたという事情だけを申し上げておきます。
○田万委員 私の方の質問もなるべく簡単にしますから、お答えもできるだけ要領よく願いたいと思います。
○早川委員長 参考人の方も、御答弁を簡潔に、大体午前中終ることになっております、本会議がありますから。
○田万委員 公社から流下式切りかえの要請がありまして、これをもととして、全国の塩業者が塩増産のために多額の犠牲を払うてその線に沿ってやったということは、われわれも香川県でよく知っておるのでありますが、現在多額の金を借りて、そうして公社の要請に従ってやった。塩はどんどん増産できた。ところが、公社のいわゆる塩業対策というものが確立しておらないために、収納価格は切り下げられ、生産は制限される。しかもかてて加えて今度のような問題が出てくると、業者というものはほんとうに踏んだりけったりという立場に置かれておると私は思うのです。また、先ほどからお話を聞いておると、そういうように思うのですが、相当な負債に対して現在どういうような状態になっておるか、これを御両所の方からお伺いしたいと思います。
○南原参考人 大体香川県の例を申しますと、流下式転換に要した借入金、それから工場設備に要った借入金が一ヘクタール当り三百七十四万というような数字が香川県では出ております。全国的には、大体三百万から四百万の間だと思うのでございます。
○田万委員 そうすると、現在どの程度にこれが償却されておるか。
○時政参考人 現在はほとんどその程度――実は収納価格は当時は一万三千六百円でございましたのが、急速に、ことに本年なんかは、一月の一日と八月一日と二回も値下げがございまして、合計千円というふうな――これは一ヵ年に二回収納価格を引き下げるということは、専売始まっていまだかつてないことだろうと私は思うのでございますが、そういうことで、現在一万三千円ということで、ほとんど借入金を返済する余力が乏しいわけであります。
    〔委員長退席、足立委員長代理着席〕
○田万委員 次に、そういうような状態で今日整理をされるということは、とうていたえられないところと私どもも考える。この書類によりますと、昭和三十一年の五月の二十三日に、全国の塩業者の諸君が長崎に集まって、大会を持たれまして、そのときの決議文がここにあるのですが、そのときすでに将来塩が増産される見込みを業者の諸君が立てて、今後収納価格についても考えてもらわなければいけないが、根本的に塩増産がだんだんできると、さらにこれに新製塩を許可するということになれば、これは混乱状態に陥るという見通しを業者が立てて、ここに持っておりますこういう決議文ができておるのですが、その際にも、すでに公社の塩業対策というものが、過去において大きな間違いを起しておる、将来こういう間違いを起すのではないかということが危惧されておる証拠だと思うのですが、この決議があったときの状態を、簡単に、時政さんからでも、あるいは南原君でもいいが、話をしていただきたいと思います。この決議においてちゃんと見通しをしておるのです。
○南原参考人 私はその会には行かなかったのでございますが、塩が過剰生産になるということは、われわれは大体見通しをつけておった。流下式そのものが、公社の方では百八十トンだというふうに押えておったのです。ところが、現に香川県などでやってみると、いいところは三百トンくらいできる。そういうふうな情勢がわれわれにはもうつかめておった。公社の中でもその現実の事実は私は認めておったと思う。ことに出先の地方局あたりは……。ところが、最高方針として百八十トンというふうなことがございますので、それに押されて、機械製塩三つぐらいのところを、政治的圧力があったか、何があったか知りませんが、とにかく八つも許可する。しかも三十一年には塩があり余るということがわかっておって、さらに大きな、錦海と同じような塩田の方式をとるというようなことが、今日の塩田整理の根源なんです。
○田万委員 私どものちょっと調べたところによりますと、ただいま申し上げました三十一年の五月二十三日に、全国の塩業者が大会を持たれて、そういう決議をなされておる。その後において、詳しく申しますと三十一年の五月に江迎、三十一年六月に北陸、三十一年七月に東北、同じく八月に佐世保、こういうような四つの大きな機械製塩が許可になっておるわけです。これに対して業者は何か公社に対して抵抗したのですか。何もしなかったのですか。あるいは、したけれども、公社は聞かなかったのですか。その間の実情を一ぺん聞いておきたいと思います。どちらからでもけっこうです。
○南原参考人 私たちは反対を絶えず叫んでおったわけでございます。これは内部のことを申し上げてはなはだ恐縮なんでございますが、やはりわれわれの末端の声が中央へ反映しないのです。われわれの中央会の組織というものは、各連合会単位の集合体になっております。私たちは、各単位組合の集合体でもって全国組織をすべきだ、というふうなことを従来唱えておるのですが、現状では各県々の連合組合というものがあり、それが七つか八つ寄って中央会というものを組織しております関係上、そういう末端の声がくつを隔ててかくような感じがいたしますので、専売公社の方へあるいは十分通じなかった点があるかもわからぬと危惧いたすわけでございますが、大体末端の方では生産過剰ということで、もう機械製塩を許してはいかぬ、在来塩田四千六百町歩で、大体二百トンと仮定いたしましても九十万トン、二百五十トンできれば百五十万トンもできるのであります。ですから、機械製塩と錦海を許可しただけがオーバー・プロダクションになっておるような状況なんで、われわれは絶えずこれはオーバー・プロダクションになるということを唱えておったわけでございますが、先刻申し上げましたような、われわれの方の組織の欠陥もございまして、あるいは公社当局の方へ十分達しなかったおそれがあるかもわからぬと思うのでございます。
○田万委員 塩脳部長に同じことを聞きたいのですが、今のようなしろうと考えでも、三十一年の五月当時に、業者が、ちゃんと将来を見通して、これ以上新規塩田を許可することは、業者の既得権の侵害になる。しかも、その人たちは、公社の命令というか、指導というか、そういうものによって多額の資金を借りて、そうして入浜式を流下式に切りかえられた。これ以上やられては困るという要請を、三十一年の五月にあなた方は受けている。ところが、今言ったように、機械製塩について四社、それから錦海もこれに続いている。どういうような塩業対策を公社は持っておったか。それを私どもの納得のいくような説明をしていただきたい。
○小林説明員 私の知っている限りでお答えいたします。
 ただいま御質問の決議文につきましては、恐縮でございますが、私個人としては見たことがないのであります。それで、先ほど申し上げました流下式塩田の切りかえにつきましては、何分新しい製塩方法でありますので、その能力が一体幾らくらいあるかということは、これは、公社のみならず、塩業界全体で議論の的になっておったわけであります。当時は、入浜式の二倍だとか、あるいは百五十トンとか、いろいろ議論されておったようでありますが、大体百八十トンくらいであろう。その当時の三十年度の平均実績が百七十五トンになっておりますので、大体ヘクタール当り百八十トンくらいに見ておけば間違いないだろうというようなことで計画を立てられて、その後御指摘のように機械製塩の工場が許可になったのであります。その百八十トンという見通しが誤まっておったことは、結果から見ますと御指摘の通りでございますが、その当時といたしましては、百八十トンという見込みでも多過ぎるというような感じを持っておったのではなかろうかと思うのでございます。そういう計画のもとに許可をされた、このように御理解を願いたいと思います。
○田万委員 塩脳部長にもう一ぺん尋ねますが、結果的に公社が大きな誤まりを犯しておったということを現存感じませんか。
○小林説明員 その点は、一昨日も私の方の総裁も御説明なさったのでありますが、結果的には百八十トンの見込みが少な過ぎた。これは関係者全体として間違っておったことは、その通りでございます。
○田万委員 そうすると、公社としても重大な責任を感じて、整理に対して誠意を持って当らなければならぬと思いますが、業者の方でも、遠慮なく、この大蔵委員会において、整理に対する心からの希望なり構想なりを、中小企業、零細業者である皆さんから私どもは承わりたい。簡単でけっこうでありますが、ぜひその点を申し述べていただきたいと思います。時政君にお願いいたします。
○時政参考人 全国の塩業者団体であります虚業組合中央会におきまして、事ここに至りまして、いかようにこれを考え処理するかということについて、いろいろと連日協議をいたしたのであります。過去の失政は失政として、しかしながら、このままでいけば、全国の塩業者すべてがこんとんとして成立できないといったようなことも考えられる。ということは、結局ヘクタール当りの生産を制限しなければ、多くなった塩をどうすることもできない。こういうことからいたしますれば、われわれが現段階において考えられることは、何とかしてこれを処理するためには、ある程度の整理はやむを得ぬだろう。しかしながら、どこまでも公社の責任でありますから、誠意を持って今までの経緯を十分に考えていただくことによって、整理されるものに対してもまず正当な補償をいただく。またそのことによって整理が初めてできるのでありますし、残存企業者も今度は思い切って自分の実力を発揮して生産ができる、こういうことになるわけでございます。この整理がうまくいかなければ、全部が混乱をしてくる。こういうことからいたしまして、まことに残念なことであるけれども、整理ということは一応認めなければなるまいが、しかし、その裏づけには、当然補償というものが考えられなければならぬということで、こういう決議文を中央会ではいたしたわけであります。ちょっと朗読いたしますと、「将来の国内塩業のあるべき姿について熟慮達観し、この際不採算企業と思料されるものは思い切って整理に応ずべきである。」思い切ってというのは、いわゆる自己判断を思い切ってやる、こういう意味であります。「右の観点から整理に応ずる業者については、正当にして完全な補償を行うべきであって、万一補償が不十分ならば整理には応じられない事は勿論であり、この目的達成のため第二次塩田整理の補償の実績にも照し、中央会案の陌当り三百六十万円の手取額を目途に古川理論を肯定する。」こういう決議をなしておるわけでございます。
○田万委員 それから、具体的に一つ聞きたいのでありますが、既設の業者を保護してもらいたい――従来公社の指導あるいは命令によって忠実に塩増産のために尽してきた既設の業者の諸君の希望として、この整理に当っては、錦海湾を絶対に――今は工事途上であり、聞くところによると、三十六億の予算であって、十九億くらいまで使った、しかしこの間風水害か何かのために堤防がこわれてまた金がかかる、この十九億くらいの金を弁償してやって、今時政さんからお話があったが、全体の既設業者に対する補償を換算すると約二百億くらいになる、その二百億対二十億の問題から考えて、二十億しか使っておらない、まだもちろん稼働もしておらない、工事半ばである錦海を廃すべしという御意見があるのですか、どうですか。その点を率直にお二人から承わりたいと思う。
○南原参考人 率直に申し上げます。全く田万先生のおっしゃる通りでございまして、私たちは錦海をまず――錦海というよりも、未稼働のすべてのものを整理してもらいたい。それでなければわれわれは整理に応じられない。そうすることが国家的見地から見ましてもよろしゅうございますし、またわれわれ既設塩業者といたしましても、社会問題も起さなくて、失業問題も起さなくて、その方がいい、いずれの観点から見ましても最もいいんじゃないかというふうに考えております。
○田万委員 いろいろ塩業審議会というものに対して、業者の方からこの整備問題について資料を要求されておったように承わっておったのでございますが、そういうことはありますか。
○時政参考人 お説の通り、正式には受けませんけれども、虚業組合中央会の会長が審議会の委員でありますので、それを通じまして、われわれが承わって差しつかえない程度の資料は入手して研究を続けて参りました。
○田万委員 その入手した資料によって、今度の虚業整備に対する補償についてはどういうふうなことがわかっておりますか。
○時政参考人 補償につきましては、塩業審議会の中の専門委員というものが設けられまして、これによっていろいろと審議をされております内容を、古川先生から一応示されました。それによりますと、やはりどこまでも考え方が不採算企業をカツトするのだ、そして一万円に塩価を下げた場合にとうてい立っていけないところのものを不採算企業と認めて、従いまして補償も社会保障的な考え方においてやるべきだという御構想であったのであります。しかしながら、私どもは、どこまでも専売という統制、許可を得て、その指導に基いて今日までやったということからいいますと、当然これは、許可を得てやるものは全部生き得られる立場において初めて許可もあり、指導も受けておることであるから、本来ならばそういうような整理の塩田が出る場合においては、企業補償あるいは期待利益を盛ったところの企業補償的なものが当りまえと思いますけれども、しかしながら、これには複雑な事情がございまして、古川先生の意見と今まっこうから対立するということも困難でありますが、そういう観点におきまして古川理論は肯定するが、しかしながら、問題は、いわゆる塩業者の補償金の手取額、これが獲得されるという意味において、ここにも書いてありますように、「陌当り三百六十万円の手取額を目途に古川理論を肯定する。」こういうことを申しておるわけであります。
○田万委員 組合の小山さんにお尋ねしたいのですが、組合の方の、今度の今お話があった補償の問題ですが、これに対する御意見を伺っておきたいと思います。
○小山参考人 私の方といたしましては、補償につきましては、整理に基きまして失業したその後におけるわれわれの生活対策ということが考え方の中心であります。そこで、先ほども申し上げましたように、われわれとしては、一応塩業労働者は、ほとんど世襲的なような、親も塩業労働者であり、また子供も虚業労働者であるというような人もだいぶ多いわけであります。そこで、ほかに技術を持っていない場合が大部分でありますので、やはり、現在の状態におきましては、何か特殊な技術を身につけるということでなければ、将来の生活安定は望めないというような観点、または年齢の関係もありますので、何か自己で営業を始める、商売を始めるというようなことによって生活の安定を期したいというふうな考え方で、それらに要する技術を修得する期間、その他技術修得後の実際に就職に至るまでの待機期間、これを含めました期間、あるいは自己営業を開始いたしますに必要な最小限度の資金というようなものを目途といたしまして、大体総合収入の約二カ年分、三十カ月分をぜひ最小限度補償していただきたいというふうに要求しております。
    〔平岡委員「具体的に幾らですか。」と呼ぶ〕
○小山参考人 私の方は、賃金三十ヵ月分と申しましても、各企業によりまして賃金の差がありますので、これを国の補償として認めていただくというふうな場合には、やはり個々ばらばらでは工合が悪かろうというふうに考えまして、全国の平均賃金を出しまして、平均賃金額にほぼ近いものを標準賃金と決定して、それが一万六千円であります。その一万六千円の三十ヵ月分を補償していただくというふうに要求しております。
○田万委員 最後に公社の塩脳部長に一言お尋ねしたいと思います。
 業者の腹の底からにじみ出るような悲痛な切実な声をわれわれは聞いたんですが、ほんとうに私どもも気の毒だと思います。しかも、それが業者の失政でなくして、公社の指導の大きな誤まりが今日のこの混乱を起しておると、われわれは考えざるを得ない。これは、われわれだけでなくて、おそらく聞いておる自民党の諸君もそうお考えだと思う。従って、重大な責任を持ってこの整備に関しては万遺漏なき対策を講じていただきたいと思うのですが、これに対する熱意を公社がどこまで持っておるか。今の切実な業者の声をあなたたちはもっとよく聞いて、独善的なものの考え方で一切のものを処理するという旧来の封建的な考え方を一掃して、そうして心から謙虚な気持で、この塩業対策、塩業整備というものに対して臨んでいかなければならぬと思うのですが、あなたの気持はどうですか。総裁がおったら総裁から責任ある答弁を求めるところですが、塩脳部長はへっびり腰でよくわからぬのですけれども、あなたはせめて塩脳部長として忠実な方と御推定申し上げて、お答えを願いたいと思います。
○小林説明員 私の気持をお答え申し上げます。
 ただいまお話のありました通りまことに重大な問題でありまして、私個人といたしましても、また公社といたしましても、ただいまお話がありましたように、公社の一方的な考えで事を運ぶことはかえって将来に禍根を残していかぬということで、現在御承知のように塩業審議会に諮りまして、外部の学識経験者等の意見も参酌して、公社なり政府の御案を立てていただきたい、かように考えております。
 なお、業者等の御意見を十分お聞きするということにつきましては、その間、塩業審議会におかせられましても、虚業審議会にわざわざ経営者の方とか労務者の代表の方に来ていただきまして、また審議会の委員の方々にも、お忙しいときにもかかわらず、わざわざ現地を見ていただき、また現地で親しく現地の業者の方々に直接会っていただいて、御意見等も聞いていただくというようなこともやって参りました。私どもといたしましては、できるだけ真心込めて、今後間違いのないような政策を、チンピラながらやらさしていただきたい思います。
○田万委員 ただここで塩脳部長に一つお話し申し上げて、総裁に言っていただきたい。先ほどのお話によると、希望的にやめたいというものを考えのうちに入れておるということですが、今の参考人の話を聞くと、希望というのは表面的な一つのものの言い方で、実際は公社の圧力がかかって、結論的に希望という形で表現されておるのじゃなかろうかという懸念もするのです。従って、整備に関するいろいろな試案を持っておいでになると思いますが、その試案に対しては、もう一度再検討して、今日この委員会で参考意見を聞いたのを機会にしてやるというふうに願いたいと思うのです。
 それから、なお塩業審議会の構成でございますが、これは、理論的に言って、現在学識経験者、それから塩業者の諸君で構成されております。しかし、それにいわゆるコスト、収納価格に非常な影響を持っておるところの塩業労働者の意見がほとんど落されておるという実情を、われわれは知っておるのであります。この塩業審議会が設けられるときに、労働組合というか、労働者の人をやはり入れるべきであるということもわれわれは叫んだのであるが、これを入れなかった今日、またそこに大きな問題を起しておるのである。将来、塩業審議会に、働く人の意見を徴するために、こういう人を委員に選定するということをわれわれは考えておるが、これに対して、塩脳部長に聞いてもむだであろうが、そういう意見があるということを、あなたの耳に達しておきたいと思います。
○平岡委員 ちょっと関連して。
 この論議を聞いてみますと、整理の仕方が大体文字通り塩業者を整理していくということに力点があるように思うのです。それで、補償の問題が、企業補償であるとか、最低限度の社会保障的なものとか、そのことも御意見が分れておるようです。むろん業者の方は企業補償、それから従業者の方は期待所得をカバーし得る補償を要望されております。
 そこで、財源の点なんですが、私はこの際塩脳部長にちょっと示唆しておきたいと思うのです。これは山本幸一さんがおれば一番よくわかるのですけれども、かつて、精麦の業界が、非常にオーバー・プロダクションになっておるために、整理をされました。そのやり方が、十七万馬力でしたか、それを五万馬力くらいに整理するという大なたをふるったわけですが、企業である限りこれは個々の責任だと言うのですけれども、やはり主食であった関係から、政府としてもめんどうを見ないわけにはいかぬということで、折衷案的な処理の仕方をやりました。どういうことかと言いますと、一馬力に対して三万円でしたか、五万円でしたか、ちょっと忘れましたけれども、そういう額を捻出するための方法としまして、しからざりせば政府が精麦業者に売り渡すべき原麦の値段を下げ得られるのに、それを下げずに、ある一定程度それを蓄積さしておくわけです。形はもとの高い価格を据え置きまして、下げ得られるべき差額というものを積み立てておいて、結局それを廃業していった人たちに分け与えたことによって、非常にうまく収拾しています。このことはできると思うのです。今二百億とか三百億の金額が要るというあなた方の要望を公社側が納得しているかどうか私は知りませんけれども、たとえば、今一年間の生産が百十万トンとすれば、今言うた価格差を積み立てる。要するに今じゃんじゃん低くしておりますけれども、それをしばらくやめておくことによりまして、そうした処理の仕方もできると思います。これは公社の方で当然責任があることなんですから、これは知ったことじゃない、単に社会保障的に最小限度のことをやるのだということでなしに、企業を整備するという観点に立って、やり得る財源的な手当は見つかるわけですから、そのことを一つ審議会等を通じまして取り上げるように配慮していただきたい、かように考えます。
○足立委員長代理 御意見ですね。
 石村君に申し上げますが、予定の時間をだいぶ経過いたしましたので、お願いですが、重複を避けて、簡潔にお願いいたしたいと思います。
 石村英雄君。
○石村委員 せっかくの委員長のお話もありましたし、大体もう田万君から詳細にお尋ねがありまして、業者の方方の御意見もよくわかりましたから、私はあらためて伺うことはやめたいと思います。ただ、委員長に申し上げておきたいのですが、この虚業の問題は非常に重要なる段階に立ち至っておる。そしてこの際軽率なやり方をしては、また大へんなことが起る。これは公社はいろいろな考えがあるようですが、しかし、公社の根本方針というものは、今までの委員会でもわれわれにははっきり示されておりません。また大蔵省、政府自体の考え方もはっきりいたしておらないわけでございます。私としては、この際あまり軽率な処置をしない方がいいじゃないか、もっと日にちをかけて十分検討した上で、遠い将来までも考えた対策を立てるべきである、こういう個人的な意見を持っておるのであります。
 そこで、業者の方にちょっとお尋ねしますが、錦海湾の問題を皆さんが非常に問題にしていらっしゃる。この委員会でも、従来から、これは単に今度の委員会だけでなしに、以前から錦海湾をなぜやめないかということは、われわれは問題にしてきたことでございます。ところが、昨日あるいりは一昨日、いろいろ総裁からお話があったのですが、公社の説明は、既得権だからどうしてもやらせざるを得ないという考えに尽きるわけです。われわれとすれば、今公社が整理しようという段階に立ち至っているならば、未着手のもの、工事途中のもの、しかもまだ海だというようなものをストップするくらいのことはできるはずじゃないか、こう言って聞いているのですが、総裁はしきりに既得権だ、既得権だと言って、われわれの納得できない答弁を繰り返しているわけです。その総裁の説明の中に、昨年の暮れだったか、秋だったか、時間的にははっきりいたしませんが、私は聞き漏らしましたが、業者の方と相談の上で、すでに許可を受けたものについてはこれはやらせるという話し合いが業者との間でついた、こういう説明があったわけであります。これはそう二年前というようなことではありません。古くても一年前の話だと思いますが、そういう話し合いがついて、それでやっておるのだというのが、総裁が錦海湾を引き続きやらせられる理由になっているのですが、そういう事実があったか。また、既得権といってもいろいろあると思いますが、許可を与えたといっても、錦海湾のようにまだ海というものと、鏡のようにでき上っておるものと、その点の差もあると思います。それを頭から一まとめにして、もう許可を与えたものはずっと引き続きやらせるという話し合いをあなた方が了解せられ、公社との間でそういう協定というか、協定という形のものじゃないかもしれませんが、了解をして話し合いをつけられたという事実がほんとうにあるのかないのか。あるとすれば、私は実に奇怪なことだと思うのです。これはあるいはいろいろな事情もあったかと思うのですが、少くともそのときに、錦海湾のような、まだ海だというようなものは、これは別個だとかなんとかいうこともはっきりさせるべきだと思うのですが、一体そういう事実があるかないか。総裁は、そのようにおっしゃっておるが、一つ御説明を願いたい。
○時政参考人 これは、昨年十二月十八日に塩業政策の大綱がきまりましたときに、私もその席に列席しておりましたから、そのときの空気はよく知っておるわけであります。現在の小林塩脳部長さんではない、三井塩脳部長さんの当時でございます。それには、既許可のものはやらす、ということは、いわゆる錦海湾とかその他のものについてはどこまでも当時からもうすでに反対をしておるので、これをつぶすべきだという意見がすべてをおおうておるわけでございます。従いまして、その既許可のものをつぶすというのは、在来すでに虚業をやっておりまして、枝条架の増設を願っておったり、あるいはまた煎熬工場の増設をこいねがって許可を得たり、あるいは着工中であるものを指したのでありまして、錦海湾等は全然別個に取り扱っての上での話し合いである、こういうように私は記憶しております。その当時すでに錦海湾というものは、もう一番先に整理をするのが当りまえじゃないかというのが、全国塩業者の切なる願いであり、あるいはまたそういう雰囲気であるから、当然錦海湾を入れての話でなかったということは、それをもっても裏づけできると思います。
○石村委員 もうやめますが、これは非常に軽率だったと思うのです。錦海湾については、去年の暮れではなしに、この委員会では去年の夏でも問題にしておるのです。そうして、許可になった当時のいきさつは、私よりも皆さんがよく御存じだと思うのですが、公社の内部には、あれには大反対があった。それを最高方針というか何かで錦海湾が許可された。これは、去年の夏も、私は、なぜやめないのか、すぐやめたらいいじゃないか、こう非公式に話をしたら、もう許可をして、やっておるのだ、しかもこれは転換の方法がない、農地にしようにも、あそこには水がなくて農地にならない、これをやめさせれば相当な補償金が必要だという話だったのですが、しかし、今度の整理にしたって、もちろんやめさせるには補償金を出さなければならない。陸地にもたんぼにも何にもならないものに大金をかけてやって、そしてそれをやめさせるには莫大な補償金が必要なんです。先ほども話があったように、今海のうちに今までの費用を補償してやめさせる方がはるかに簡単だと思いますが、それを、総裁は、そういうことを理由にして、業者との話し合いもそうだといって、錦海湾を依然としてやらしていらっしゃるわけであります。これはわかり切ったことだから、もう言わなくても、こういうようなことでおやりになった、そういう申し合せを了承されたということが、こんな難問題を引き起した今日の原因なんですけれども、業者側にも責任はあると思うのです。また、出資をしろといって、まあいやいやながらかもしれないが、出資をする、それだけ反対ならなぜ出資をするのですか。そうした態度がこうしたことを招いたとも言えると思います。しかし、これは従来の公社と業者との関係から考えれば無理もないとも言えるわけです。やはりそういう態度というものがこうしたことにもなったということを十分お考えになって、今後は、もっと毅然たる態度で、公社がこう言ったからというので、すぐにだれが考えてもばかげたものに出資までしてやる。公社の事務当局その他が全部反対していることを最高方針と称するえたいの知れない政治的な圧力でやられることに対して、あなた方は今後それに協力なされないようにということを、一つお願いしておきたいと思います。
○南原参考人 御忠告まことにありがとうございます。われわれも大いに反省しなければならない。もうおっしゃる通りでございますが、しかし、総裁の言葉は、これは奇怪千万で間違いでございます。当時の総裁は人間野総裁当時で、今の総裁は御承知ないので、そういうことを言ったのではないかと思いますが、これは奇怪千万だと私は思います。もし総裁がそういうことを言ったとするならば、それは大きな誤まりでございますから、どうぞ御了承願いたいと思います。
○石野委員 時間の関係がありますから、関連して一問だけ参考人の方にお聞きいたします。
 公社の方は過剰生産がくるから整理をしようという考え方、その中で特にコストを一万円にまで下げようという一つのねらいがあるわけですが、そういう問題について特にきのうは総裁もそういう点を非常に力説されておりました。参考人の方々にお尋ねいたしますが、そのコストを下げるという問題について、皆さんの現在の設備の点からすると、公社の望んでおるような設備、そういうところでのコスト低下、トン当りコストを低下する可能性の問題はもうないのかどうか。整理をされなければもう仕方がないという企業ばかりなのかどうか。そういう点一つ皆さん方からお考え方を聞かせていただきたいと思います。
 この点については、私は二問質問ができませんから、ちょっと念を入れてお聞きしておきますが、やはり先ほどからお話がありますように、既存の許可しているものについてはそれをやらすのだという考え方がある。その許可をしているものの中には、まだ設備が全然できていないし、現在敷地が海であるというところもある。それにもかかわらず、そういうものは建設させるけれども、一方では既設のもので稼働しているものをとめさせるという動きがある。それはコストの点を唯一の理由にしておる。こういうふうにわれわれは実をいうと見るわけです。公社側の言い分では、そういう点をはっきり言っているわけですから、そういう点に対する皆さんの、そうじゃない、われわれはやはり企業を守るだけの理由はこれこれこういう点にあるのだ、ということの御意見を一つお聞かせいただきたい。
○時政参考人 将来塩一トン当り一万円にするということは、もちろん私どもとしては昨年十二月十八日の大綱を決定するときに反対したわけでございます。しかしながら、将来の理想がなければならない。理想ということは抽象的ではいけないのであるから、いわゆるトン当り一万円を目途として下げるという、この「一万円」を入れなければいけないのじゃないかという公社の強い御意見がありました。しかしながら、その裏には、当然生産費というものを見て値段が決定できるわけでございますから、いついつということは制限していないのでございまして、この生産費とにらみ合せて、いわゆる将来が二年先になるか五年先になるか、とにかく将来は下げ得ることは事実でございますので、一応「一万円」ということを公社がぜひ入れろと言われることに対しては、生産費を無視した下げ方はしないということを前提にして、将来は一万円に下げるということで、決して年数は制限してないわけでございます。そういう意味で一万円というものがきまっておるわけでございます。
 続いて、しからばいつ一万円になるかということにつきましては、これは整理のいわゆる面積と申しますか、優良企業だけを残すということ、いわゆる整理を大幅にされればされるほど優良企業が残ることになりますので、優良企業が残れば、早くその一万円に下げ得られるという生産費が出てくるわけでございます。従いまして、ここに非常に矛盾したことでございますが、いわゆるこのたびの整理がちぐはぐな整理であれば、理論的には一万円になかなかなり得ないということ、なり得ないということは、公社の赤字が解消しない。同時にまた、残った塩業者も、それでは結局ヘクタール当りの生産制限とかなんとか、いわゆる企業意欲を失うような成績を甘んじて受けなければならないような立場に残存企業者もなる。こういうふうなことを思いましたときに、残存企業者も、思い切って、そうして希望の持てる生業を営むためには、やはりある程度の整理をしなければ、そういう状態になり得ない。しかしながら、そのために残存企業者の立場がりっぱに成り立つようにするために、その犠牲になる、あるいはまた塩業政策の失敗の犠牲になるという大幅な整理にいたしましても、当然それを受ける方では、どこまでも専売というワクに閉じこもった事業であり、賠償性を持ったところの専売事業である以上は、どこまでもその犠牲者となる塩業者は適切な補償金をもらわなければならない。私ども整理を受ける方の立場からいえば、この補償金が適切でなければ、とうてい整理には応じられないという気持でございます。
○南原参考人 大体同じでございます。どうぞ御了承願いたいと思います。
○小山参考人 将来一万円になるかどうかというふうなことにつきましては、私たち直接経営をしているわけではないのですけれども、やはりわれわれの立場から、常にコストということについては関心を持って検討しているわけです。それで、一万円の可能性は十分あると思います。これは、たとえば非常に旧式な製塩法、流下式以外のもの、あるいは非常に規模の小さいものは別でございますが、それ以外は大体一万円の可能性は――現在簡単に申し上げまして、トン当りの金利償却ですか、これらが大体三千円くらいありますから、現在一万二千円なんです。それで三千円が金利償却ですから、それが済むと九千円ということに単純にはなる。ですから可能性があるということははっきり申し上げられると思います。ただ、今度の公社の構想によりますと、八十万トンに押えようということになりますと、ただ単に一万円で将来ペイするから、それで残りは売るのだということではなくて、その上にもう一つワクがある。そのワクを結局八十万トンに公社は考える、それから大蔵省は百万トンと消極的に考えているというのは、やはり今度の整理に当って出す補償金の跡始末をどうするか。公社としては、一応国から独立採算という建前で行政をあずかっているので、そのしりぬぐいを国にさせては相済まぬという建前から、将来これを塩の特別会計の中から補てんしていこうという考え方らしい。そうするためには、原料を国内塩でまかなったのではその財源が出てきませんから、とにかく百万トンのうち八十万トンを国内で作りまして、あとの二十万トンは安い外国塩を入れまして、その価格差益をこれに充てていこうという考え方であります。ですから、ただ単に一万円という線でしたら、そうすばらしい大整理をする必要は私はないのじゃないかと思います。
○佐藤(觀)委員 委員長に一言お願いしたいと思いますが、この三日間の委員会において虚業問題が非常に重大な問題になって参りました。また本日は参考人の方々からいろいろ苦しい立場を御説明願いまして、事重大なことでございますので、次の機会において、理事会において何らか委員会としてのまとまった意見が出るように、お取り計らいを願うことを提案いたしまして、私の質問を終りたいと思います。
○足立委員長代理 了承いたしました。
 この際、参考人の方々に対しまして一言ごあいさつを申し上げます。参考人には御多用中のところ長時間にわたり御出席をいただきまして、有益かつ忌憚のない御意見によりまして、当委員会の審査に便宜を与えていたただきましたことに対し、深甚の謝意を表したいと思います。委員会を代表いたしまして、委員長より厚く御礼を申し上げます。
 次会は来たる二十三日午前十時三十分より委員会を開会することにいたしまして、本日はこれをもって散会いたします。
    午後零時四十四分散会