第031回国会 予算委員会 第7号
昭和三十四年二月九日(月曜日)
    午前十時四十八分開議
 出席委員
   委員長 楢橋  渡君
   理事 植木庚子郎君 理事 小川 半次君
   理事 西村 直己君 理事 野田 卯一君
   理事 井手 以誠君 理事 小平  忠君
   理事 田中織之進君
      井出一太郎君    小澤佐重喜君
      大平 正芳君    川崎 秀二君
      上林山榮吉君    北澤 直吉君
      周東 英雄君    田中伊三次君
      田村  元君    綱島 正興君
      床次 徳二君    古井 喜實君
      保利  茂君    水田三喜男君
      八木 一郎君    山口六郎次君
    早稻田柳右エ門君    阿部 五郎君
      淡谷 悠藏君    石村 英雄君
      今澄  勇君    加藤 勘十君
      北山 愛郎君    黒田 寿男君
      小松  幹君    佐々木良作君
      島上善五郎君    楯 兼次郎君
      館  俊三君    成田 知巳君
      西村 榮一君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  岸  信介君
        法 務 大 臣 愛知 揆一君
        外 務 大 臣 藤山愛一郎君
        大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
        厚 生 大 臣 坂田 道太君
        農 林 大 臣 三浦 一雄君
        通商産業大臣  高碕達之助君
        運 輸 大 臣 永野  護君
        郵 政 大 臣 寺尾  豊君
        労 働 大 臣 倉石 忠雄君
        建 設 大 臣 遠藤 三郎君
        国 務 大 臣 青木  正君
        国 務 大 臣 伊能繁次郎君
        国 務 大 臣 世耕 弘一君
       国 務 大 臣 山口喜久一郎君
 出席政府委員
        内閣官房長官  赤城 宗徳君
        法制局長官   林  修三君
        防衛庁参事官
        (経理局長)  山下 武利君
        防衛庁参事官
        (装備局長)  小山 雄二君
        調達庁長官   丸山  佶君
        大蔵事務官
        (主計局長)  石原 周夫君
 委員外の出席者
        日本専売公社総
        裁       松隈 秀雄君
        日本国有鉄道総
        裁       十河 信二君
        専  門  員 岡林 清英君
    ―――――――――――――
二月九日
 委員町村金五君及び岡田春夫君辞任につき、そ
 の補欠として内田常雄君及び館俊三君が議長の
 指名で委員に選任された。
同日
 委員館俊三君辞任につき、その補欠として岡田
 春夫君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和三十四年度一般会計予算
 昭和三十四年度特別会計予算
 昭和三十四年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
○楢橋委員長 これより会議を開きます。
 昭和三十四年度一般会計予算、昭和三十四年度特別会計予算、昭和三十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 質疑を続行いたします。佐々木良作君。
○佐々木(良)委員 私は社会党の立場から岸内閣の諸政一般につきまして、総括質問のしんがりを承わりまして、質問いたしたいと存ずるわけでありますが、私の一般質問に入る前に、二月三日、本委員会におきまして、わが党の勝間田さんの質問に対する岸首相の答弁から端を発しました、いわゆる非核武装決議案問題につきまして、現在御承知のような経過をたどりまして、両党の不幸な対立を来たしておるわけでありますが、私はこの際国会の決議をどうするかこうするかということではなしに、岸総理大臣自身がこの問題に対してどういうふうな態度をとっておられますか、重ねて明確に一つ岸総理のお考えを承わりたいと思います。
 それはまず第一には、現在行われておりますところのジュネーブの核実験禁止会議の見通しとか、あるいはその他この問題に対する世界の動きのいかんにかかわらず、私は日本は原爆の洗礼を受けた唯一の国民であるという立場から、日本独自の立場に立って、一切の核武装はしないという立場を世界に向って明確にするということが、決議を行おうという趣旨だったと思いますけれども、こういう日本の独自の立場を明確に打ち出すことに、岸総理自身は反対でありますのかどうかという点が第一点であります。つまり宣言という文字に相当拘泥されておるようでありますけれども、その議会の中の運営の問題は別といたしまして、岸総理自身が今日本独自の立場から、一切の核武装はしないという立場を世界に向って明確に打ち出すことに対して、岸総理は反対であるのかどうか、これが第一点であります。
 それから第二点は内容に入りまして、今、決議案の文字の解釈の上から、防衛のため他国を脅威するがごとき兵器として核兵器を云々という言葉が使われておりまして、この表現に疑義が生じておる。私どもが感じますというと、普通の日本語で読めば、これは当然に一切の核兵器ということになるわけだ、こういうふうに解釈するわけでありますが、この、他国を脅威するがごとき兵器としてという文字に何か拘泥されておるようでありまして、そこから逆に、他国に脅威を与えぬとの判定のもとに、いわゆる自衛的な小型核兵器の保有を考えておられるのではなかろうかという疑いが現在起き、国民の心配を買うようになっておる。こういうふうに思うわけであります。
 そこで私は、この間の総理の発言の趣旨は、小型、大型を問わず、あらゆる種類の核兵器は、日本国みずからも保有もせず、また他のいずれの国からもこれの持ち込みは許さぬのだ、こういう方針だと思うのでありますけれども、この政府の態度につきまして疑義が生じておるやに承わっておるものですから、この点について明確な態度を一つ表明していただきたい。
 まずこの二点につきまして、総理の率直な御意見を承わりたいと思います。
○岸国務大臣 私は国会を通じて、日本の自衛隊を核装備しない、また日本に核兵器を持ち込み、これによって日本の防衛ということはしないという意味のことをしばしば明言いたしております。この、私がこの国会を通じて申し上げていることは、ただ国会に議席を持っているだけに申し上げているわけではなしに、国会を通じて国民はもとより広く国際的にも、私のこの責任ある言明というものは一つの効果を持っておると思います。そういう意味において私は明らかにそういうことを従来も申してきておる。
 ただ国会が国会の決議としてどういうふうに扱われるかということについては、私は国会におまかせすることがいいんだという従来からの考え方でおります。
 それから今両党の間で交渉されておる内容の字句等につきまして、両党の間に解釈が一致しない点があるやに私も報告を聞いておるのであります。言うまでもなく、学問的に、あるいは技術的に、核兵器という言葉の中には、いろいろなものが含まれておるだろうと思います。まだ発達の途上にありますから、いろいろな発達の経緯をとっておるものであると思います。しかし私は現在まで、一切の核武装をしないという私の考えを言っておるわけであります。そういうような意味において、いずれにしても両党の間において十分に理解が一致することを私は望んでおります。
○佐々木(良)委員 今の御答弁で相当明確だと思いますが、重ねてお伺いいたします。そうすると、いわゆる自衛のためでありますとか、あるいは小型のものでありますとか、そういうものに限らず、一切の核兵器の保有並びに持ち込む意思はない、あるいは持ち込むことを許さぬという立場と解釈してよろしゅうございますか。
○岸国務大臣 私の言明はそういう意味でございます。
○佐々木(良)委員 それでありますと第二に伺いたいと思います。
 そうすると、現在の岸内閣の施政の中で、あるいはまた現在のこの日本の議会の中におきまして、今そのような意味の一切の核兵器を持ち込まず一切の核武装はしないということを対外的に明確にすることが、何か現在の岸内閣の対外政策あるいはその他から好ましからぬ理由があるようなことはありませんか。特に政府あるいは自由民主党とされまして、今のような態度を鮮明にすることが、何か支障のあるようなことは、現在の岸内閣が行われておる施政の中、あるいは外交交渉の中等で、そういう事由は一切ないと解釈してよろしいわけでありますか。もしありますならば率直に承わりたいと思います。あるいはここで工合が悪ければ秘密会でもけっこうでありますから、そういう事由がありますれば一つ伺いたいのであります。
○岸国務大臣 私自身が岸内閣の首班として、そういうことを責任を持って言明いたしておるのでありますから、それに関する限りにおきましては、私の申し上げておる通りに御解釈いただいていいと思います。ただ私は、国会でまた自由民主党でこの問題がいろいろと論議をされ、また社会党との間に国会においてそういう決議もしくはなにをするということにつきましては、これはいろいろな国会としてのお考えがあり、またいろいろなことの議論をどうこうする必要上いろいろなことが行われておると思います。しかし内閣自身としての言明につきましては、私が明らかに申し上げておることでありまして、明らかに申し上げておることにおいて内閣の方針としてはきわめて私は明瞭であります。そのことは国会を通じて全国民並びに全世界に私が言うておるということで御了承をいただきたいと思います。国会がどう扱うかということは、あくまでも国会の両党の話し合いにまかすべきものである、こう思います。
○佐々木(良)委員 岸総理の今言明されました核非武装に対する岸総理のお考えは明瞭になったと思います。従いまして、この問題の明瞭になった点を今国会でなお鮮明にするかどうかという点につきまして、御存じのような対立が起きておるわけでありまして、私はまことに不幸だと思います。岸総理が総理として政府の態度を宣明され、しかも一党の総裁として――まあ端々の問題でありますならば党内でいろいろな意見のあることはやむを得ぬと思います。しかしこういう根本的な問題であり、しかも対外的な問題であるのにもかかわりませず、党内でいろいろな問題が出ておりまして、それが今なお総理兼総裁の今のような言明に対しまして、どうも一致し得ないような状態が御党の中に出ておることに対しまして、私は非常に残念に思うわけであります。しかし今総理が言われましたように、議会の中の運営、議会の決定というものは、確かに政府の関知するものではあるいはないでありましょう。従いまして私はこの問題は、今論議されつつありますところの両国会対策委員長の今後の交渉におまかせをいたしたいと思います。
 しかし私は重ねて強く要望をいたしておきたいことは、端々の個々のこまかい問題ではなくて、あくまでもこういう日本の外交方針の基調に関することであり、そうしてまた国民が最も強く刮目して見ておる問題に対しまして、自由民主党自身が議会の中におきまして鮮明な態度が、少くとも総理と同様な鮮明な態度がとり得ない状態にあるということにつきましては、何としても私どもは釈然とし得ないところでありまして、疑問が残るわけであります。従いまして私はきょう続けられる両国会対策委員長の間の交渉に対しまして、今のような立場から一切の核武装はしない、小型にかかわらず自衛のためとかいう注釈付ではなくて、あらゆる一切の核武装はしない、持ちもせず、持ち込ませもしないという、まことに明確なる態度を、岸総裁が総裁の立場から十分に党内に徹底されまして、そうして総理の意図が議会の意図としても明確に打ち出されますように、善処されることを特に希望申し上げておきたいと思います。
 続きまして第二の質問に入りたいと思いますが、これも私の質問の本論ではありませんけれども、大蔵大臣にちょっとお聞きをいたしておきたいと思います。それは、私は昨年の秋の臨時国会におきまして補正予算案の審議の際に、多分十月の末だったと思いますけれども、この委員会におきまして大蔵大臣に対して、日本の金準備の僅少さについて警告を発したのでありますけれども、せんだって以来の新聞報道によりますと、日銀はこのほど二回にわたって約五千万ドル、第一回が三千、第二回が二千という意味で、合計して五千万ドルの金の購入を報じておる。私は、当時国際経済の実情をはっきりと直視されまして、その常識的な傾向を見のがさずに対処されるようにという意味で、特にドルに対する信用問題と関連をいたしまして注意を喚起したわけであります。しかしながら、当時私が懸命に注意を喚起いたしたのでありますけれども、佐藤大蔵大臣も、それから三木長官も、何ら具体的な考えを示されなかった。それがたった三カ月もたたないうちに今回の措置となったのでありますが、私はこの間の措置を追及しようとは思いませんけれども、財政経済の最高の責任者として、あの当時から、つまり十月末の私が質問した当時から現在までの間に、どういうような変化が起きたのか、その追及は別にいたしまして、私どもがあの当時言っておったのとは違ったような意味で、何か別な動機があってこのような措置をとられましたのか、簡単にその動機を御説明願いたいと思います。
 それからまた、今とられておりますのは日銀の措置でありますけれども、御承知のように政府自身の手持ドルがあるわけであります。政府自身の手持ドルの一部を日銀と同様な意味で金にかえる御意思はないのか、そして外貨準備中に占める金準備の割合を、さらに今後増加していく御意思がおありかどうか、重ねて一つお伺いいたしたいと思います。大体普通の常識で見るならば、三〇%程度までは上げるのがまず常識かと思いますけれども、御意見を承わりたいと思います。
○佐藤国務大臣 ただいま御指摘になりましたように、昨年五千万ドル日銀が保有しておりますドルを金にかえたわけでございます。これは前回もいろいろお話がございましたが、私どももドルを持つことは、大体金にいつでもかえ得るので、ドルを保有することが一つの問題だと実は申しました。すぐ円自身の問題だと考えるわけじゃなくして、ドルを持つことが同時に円の裏づけにもなるというお話をいたしたと思います。その後の経過といたしましては、御承知のように各国とも金の保有をだんだん進めております。また最近のように通貨の交換性等も回復して参ってきておる。こういう新しい情勢にも順次対応していくことが望ましいのではないかと思います。ドルがいつでも金にかえられるというだけでは不十分だと思います。その意味では、佐々木さんの御指摘になったような意味で五千万ドル金にかえたわけでございます。これでわずかにまだ一割には達しておりません。最近のようにドルの準備高もふえて参りますと、五千万ドルかえて八・四程度かと思います。これを他の外国の例に比べてみますと、まだまだ金の保有は少い、こういう状況でございます。しかし、いろいろ時期を見てうまくやっていかないと、各方面に影響もあるものでございますから、そういう意味で各国の情勢に即応するような態度というか、そういう基本的方向は持しておりますが、今日いついつまでに幾らにするとか、今どうするとか、こういうことを申し上げる段階ではない、かように思います。
○佐々木(良)委員 そうすると、今の御答弁は、日銀の措置だけでなくて、政府自身の手持ドルも金にかえる準備がある、あるいは用意がある、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
○佐藤国務大臣 大体日銀の保有が主としてお考えをいただいていいかと思います。政府自身が直接そういう操作はしない方がいい、かように考えております。
○佐々木(良)委員 それでは、なおこの際に私は関連をいたしまして政府の再考を促しておきたいと思いますことは、日本国内の金買い上げの政策についてでありまして、御承知のように、日本の公定の金買い上げ価格は、一グラム当り四百五円であるのに対しまして、自由価格は六百円に近い状態を呈しております。四百五円という買い上げ値は、一オンス三十五ドルの米公定価格の公定の交換割合から出たものでありますけれども、これだけを見ましても、アメリカの現行の金買い上げ価格が相当な無理があるということを、日本国内で反映しておるような状態かと存じますけれども、こういうことが原因となりまして、国内の新産金中に政府の買い上げる量は、三十年の四月以降は、わずかに五%程度となっております。それ以前は多分二七%程度だったと思いますけれども、それがこういうふうに五%という僅少な状態になっておりまして、これを逆に申しますと、政府は、日本国内で生産される金の大部分を買い上げようとせずに、自由市場に流しておるという結果になっておると思います。金準備の問題に関連しまして、この金買い上げの問題に対して御配慮あるかどうか承わりたいと思います。
○佐藤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、金を保有する方向ではございますが、いわゆる金準備制度に直ちに返っていくとか、こういう形のものでないことも御了承いただきたいと思います。従いまして、今まで金の買い上げが五%、非常に少ないということでございますが、それはただいま申し上げるような通貨に対する基本的の考え方から出ておるのでございます。今後の問題といたしまして、私どもも研究はしたいと思いますが、ただいまどうこうするというところまで考えてはおりません。
○佐々木(良)委員 私は日本経済の運営に当りまして、あまり日本国内の問題が忙し過ぎるものですから、その辺に目を奪われ過ぎまして、いつでもタイムリーな国際経済に見合う措置がとられずに、後手々々となってきつつあることに対しまして、非常に心配をいたしておるわけであります。先ほどの金準備の問題でもそうでありますし、これから政府の所信をただそうと思っておりますところの西欧通貨の交換性回復に対する措置に当ってもそうであります。従いまして、おくればせでも、金の問題が起きたならば、並行的に国内の金買い上げという問題についても、十分に一つ検討されておることだ、こう思っておったのでありますけれども、必ずしもそうではなさそうであります。従いまして、私はおくればせでもタイムリーに、もう少しこの問題について十分な検討を加えられまするように要請をいたしておきたいと思います。
 そうして私の本論に入りたいと思いますが、最近西欧の通貨の交換性回復を中心といたしまして、世界経済は明らかに一つの方向に向って行動を開始しておる。こういうふうに見るのでありますけれども、総理大臣は、その情勢の見通し並びにこれに対応する経済外交、並びに国内経済の態勢強化のための基本的な態度を、一つ打ち出していただきたいと思います。私は、この問題がもう少し国際経済的な視野で検討されておりますならば、当然に施政方針の中の一番中心的な部分をもって態度が示される、こういうふうに思っておったのでありますけれども、まだほとんどそれらしいものは見当っておりません。従いまして、私はここにこの通貨の交換性回復を中心としまして、世界経済が新しく一つの方向を明確に打ち出しつつあるという動きに対しまして、日本の経済外交の基本的方針、国内経済の整備の仕方につきまして、総理大臣の根本的な態度を一つお聞かせ願いたいと思います。
○岸国務大臣 西欧諸国における通貨の交換性の回復ということは、確かに一つの大きな事態でありまして、これによって国際貿易の自由化の方向に一歩前進したことは認めざるを得ないと思います。しかし現在の状態において、直ちに貿易管理の制度が、通貨の交換性の回復と同時に各国がこれを自由にすると即断することは、まだできない状況であります。いずれにしましても、しかし自由化の方向への前進であることは考えられる。またこれに対応して国際競争が激甚になることも考えられますし、また日本の為替管理制度にも、全面的に検討を加えなければならない事態を、私たちも頭に描いております。国際貿易の自由化の方向ということは、国際競争の激甚を必然的に招来し、特に貿易に依存する度の高い日本としましては、一面においては非常にいい面もあると私は思いますし、また一面におきましては、日本の産業経済というものがそういう国際競争場裏にありまして、十分に競争に耐え得るような生産性の向上の問題や、体質の改善の問題、企業の近代化の問題、またこれに対応して国際市場におけるところの日本貿易市場の安定なり拡大というような問題、全面にわたりましてさらに検討を加えなければならぬ面が多々あることは、言うを待たないことと思います。同時に今申し上げましたように、為替管理の制度につきましても、やはり根本的に検討をすべきものである、こういうふうに思っております。
○佐々木(良)委員 先ほど金準備の問題について述べましたように、私が最大の不満を感じますことは、特に岸内閣になりましてからは、行政は非常に細をうがってやられます。しかし根本的な政治的な態度が明確でない。そこに政策の混迷があり、そしてまた岸内閣の得意のよろめきが出てくる原因があると思います。従いまして現在の世界経済の見通しをはっきりと立てられて、その根本に基いて行政を指導されることが一番必要ではないか、その行政指導の根本的な態度、あるいは構想が、総理のところにないことが、私は政策の混迷を来たしておるのではないか、こういうふうに思うわけであります。別にこだわるわけではありませんけれども、先ほどの金準備の問題にいたしましても、西欧諸国が大体貿易自由化といいますか、今その前段階になりますところの通貨の交換性の回復の問題をめぐって、それが一つの基底に動きながら、昨年一年じゅう微動、蠢動を続けておったと思います。私は昨年度ヨーロッパを回りましたけれども、そこで出てきておりますところのヨーロッパ全体の、たとえば共同市場論に対する取り組み方、つまり国際経済の動き方に対しまして、各国とも真剣な配慮を払っている。それに対する最も上のクラスでの対策が、いろいろな形で検討されつつあった。その際に私戻ってきて今の臨時国会で金準備の問題をただしましても、ほとんど何ということはなかった。当時はむしろ逆に日銀の事務当局の片すみで細々とこの問題を心配され、一、二回小さな声で文句を言っておった程度でありまして、日本の経済閣僚あるいは総理の身辺におきまして、こういう問題はほとんど取り上げられておらなかったということに対しまして、非常な心配を私はいたしたわけであります。同様な意味におきまして、暮れから通貨の交換性回復の問題が出て参りましたけれども、この通貨の交換性の回復が台頭いたしますと、一番先に上った声は何かというと、御承知のように従来の関係ある大蔵省あるいは通産省の官僚の中から、まあこれは大したことはないのだ、いずれにしてもまだ貿易の管理面にはとうてい及んでこないし、従ってまた為替管理の問題でもそう簡単なものではない、従ってそうすぐに通貨の自由化の問題というものがそっくりくるものではない。まだ当分の間大丈夫らしいからという、一番最初官僚のところから上げられた声は、従来私どもが世界経済を見ておったことに対して、あるいは通貨の自由交換性の動きに対して、注意を払っておらなかったのではなかったという責任回避の声が上げられただけであったと思います。そこでその後に起っております官僚の中の声は、御承知のように大蔵当局も通産当局も一、二、当面の措置はやられました。しかしながら共通な問題は、この問題をめぐってともかくも状況待ちという言葉で、今総理が言われましたような形で状況待ちをしながら、現実には大蔵当局と通産当局との間に従来の持っております権限を拡大しよう、少くとも縮小されまいとするところの官僚内部の権限争いだけが、今露頭しておるだけです。私はまことに不十分であり、まことに遺憾にたえないと思います。従いまして最初私が言いましたように、この問題を行政措置や、あるいは行政技術上の問題としてのみ今取り上げられておりますならば、これまたタイムリーな経済政策を打ち出すところの一番いい時期を逸し、そして時を逸するということを心配せざるを得ないわけです。岸さんが官僚制度の上にただ乗っかって適当な格好で政治を運営されようということではなしに、ほんとうに政治をリードしようという建前で政権を担当しておられますならば、当然におそらく今年の最大の日本経済の問題として、この問題にぶつかって、そして根本的な態度をきめらるべきだと思います。おそくはないわけでありますから、私は今からでもその方針を早急に検討されまして、対処せられんことを要望するわけであります。
 外国の話を言ってあるいはお耳ざわりかもしれませんけれども、現実に昨年の暮れからこういう動きが出ましたことに対しまして、今度のアイゼンハワーの教書を見ましても、教書の中には、合計いたしまして五十二億ドルの、いろいろな意味がありますけれども、結局のところ通貨流通回復についての基金という形に運用し得る予算を計上いたしまして、そして西欧自由世界の十一カ国の連合の強化と、それから流通強化への意図をアメリカとしても明確に打ち出しておると私は思います。さらにまたソ連側の方でも昨年末ミコヤンはソビエト・ルーブルはドルよりも国際的価値を高める諸準備を行なった、金準備を蓄積しておるということを明確に言明をいたしまして、そしてこれに対する態度を明確に打ち出しておると思います。これら両陣営とも国際的な流通通貨を持とうとする意欲をはっきりと打ち出しておりますし、また両陣営とも貿易の自由化と一元性を確立するための方向をはっきりと見ながら、経済政策を進めておると思います。
 こういう状態の中で現実にわが日本の円は、国際通貨としてどういう地位を今占めておるのでありましょうか。円の最も流通量の多い東南アジアにおきましても、孤立化の傾向さえ私は見えると思います。これらの問題、諸情勢に対しまして、国内経済にも重要な配慮がなされなければならない、こういうふうに私は思うわけでありますけれども、今のような行政措置、当面の行政技術上の問題ではなしに、こういう国際経済の非常に大きな一本の流れ、貿易の自由化という方向に対しまして、経済外交の持っていき方、国内経済の整備の仕方につきまして、私は重ねて総理大臣の構想をお聞かせ願いたいと存じます。
○岸国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、現在の通貨の交換性の回復が、直ちにすべて貿易の自由化をもたらすものではないということは、御理解いただけると存じますが、しかしその方向に向ってとにかく一歩踏み出していることであり、またその方向に国際的に進んでいくということを、われわれは十分に考えておかなければならない。これに対応しての日本の経済外交の問題や、あるいは特に貿易に依存することの深い日本としての立場というものを十分に考えて、国内の諸政策について対処しなければならぬことは、佐々木委員の御指摘の通りであります。こういう意味において、日本の為替管理制度につきましても根本的に検討をするということ、また従来行なっております経済外交やあるいは貿易振興政策につきましても、貿易自由化ということを前提として対応するような方向において、いろいろな施策を考えていかなければならないということは当然であると思います。現在の段階におきましては、そういう方向においてこれらの問題を検討するというのが私は日本の実情である、こう思っております。
○佐々木(良)委員 検討は何ぼされてもけっこうでありますけれども、私どもが一番案じるのは、経済というのは最も具体的に動くものであります。従いまして経済の施策の中で最も大群なものは、タイムリーに行うということだろうと思います。タイミングをはずした政策というものは、経済政策としてはゼロにひとしい。従いまして私は現に動きつつある情勢に対しましての具体的な方針を承わりたい、こう思うわけであります。
 たとえば岸総理大臣は、東南アジアとの経済提携につきましては、相当に従来からたびたび触れられておりますし、そうしてまたたびたび東南アジア諸国も訪れられておるわけであります。従いまして私は世界経済の昨今の動きの中で、当然に日本が今のような世界経済に対処しようと思うならば、少くとも東南アジアに対する結びつきに対しまして、私は具体的な問題が出てこざるを得ないと思います。従いまして私は、まず一月四日から七日にかけましてマニラでフィリピンのガルシア大統領とマラヤのラーマン首相との間に会見が行われまして、そうして貿易自由化といいますか、貿易のブロック化といいますか、こういう傾向に対しまして東南アジアを中心とするところのアジア諸国が、どういう方法で立ち向うべきかということを、足元の自分の国と隣の国との関係で経済会談が持たれたと聞いております。この一月四日から七日にかけて持たれましたところのガルシア・ラーマン会談に対しまして、日本政府はどういうような態度をとり、これをどういう評価をもって見ておられましたか、承わりたいと思います。
○藤山国務大臣 東南アジアの貿易関係が、ヨーロッパの貨幣の交換性回復によりましていろいろ問題が起ってくることは、私どもも予想いたしております。特に日本が輸入国としての立場からいいますと、従来のポンド圏とドル圏との優位性が、あるいは特異性と申しますか、そういうものが必ずしも発揮できなくなるというような形が起ってくると思います。従ってそれに伴いまして日本の輸出というものは、やはり仕向地が変ってくるような場合もあり得るのでありまして、この点については相当重要な問題だと思いまして、今後ともこれらの問題については十分検討して参らなければならぬと思います。
 ただいま御指摘のガルシア大統領とラーマン首相との会談の内容について事こまかに存じておりませんけれども、やはり今の現状から申しますと、私どもといたしましては、ヨーロッパが今申したような一体になって貨幣の交換性を回復し、また共同市場も発足いたしております今日、アジアにおきまして何らかこれらについてお互いに漸次話し合いをしながら、一つの考え方をまとめていくということは必要だと思うのであります。そういう意味において注視して検討はいたしておりますけれども、今それらの内容等につきまして詳しく存じておりませんし、特に批評等をいたすことは差し控えたいと思います。
○佐々木(良)委員 外国のことでありますから、従ってこれに対する批判がましいことは避ける、これは当然だろうと思います。しかし私が言っておりますことは、外国のことではなくて、日本の経済外交を進める方針いかん、日本の経済外交を進めるときには、当然に東南アジアを重視されておるのでありますから、この世界経済の動きに対して、当然に積極的な動きがなされなければならない、私はこう思うわけであります。このガルシア・ラーマン会談の内容は私もつまびらかにしませんけれども、この中で論議されております中心的な問題は、その決済同盟的な動きであり、あるいはさらに進んで東南アジア諸国の経済体制を相互援助的にブロック化しようという傾向があると思います。そうしてこれは今ヨーロッパに起りつつあって、そうして昨年末にその成果をある程度の段階まで持ってきましたところの共同市場の問題とタイ・アップして考えざるを得ない問題だと思います。岸総理は常にその東南アジアとの結びつきを考えられ、そうしてアジアの中に生きる日本のやり方を少くとも経済的には相当強く打ち出しておられるはずでありまして、私はこれらに対しまして、今なお検討中というがごとき態度で回避されておることに対しましては、不満を禁じ得ないものがあります。この会談の直後こういうアジア諸国の経済協力の問題につきまして、ビルマやインドもすぐに参加の意思表示らしいものを行なっておりますし、さらにまたラオス、カンボジア、セイロン等も同様な態勢を今示しつつある、こういうふうに私どもは聞いておるわけであります。それでありますのに、岸総理は昨年来招待外交を口にされまして、そうして施政方針でも述べられておりますように、昨年にはこの問題の中心であるところのガルシア大統領が日本を訪れられました。そうしておそらく私どもの聞き知っておりまする狭い範囲におきましても、ガルシアを招待されて、ガルシアが日本に乗り込んで参りました際には、ガルシアの腹の中には、今のような問題をめぐってもし岸総理が本気になってたたくならば、そのまま胸襟を開いて相談をしたいところの素地ははっきりとあったと思います。それがあったからこそ、すぐに今度は取って返して、ラーマンとの会談が始まっていると私は思います。従いまして招待外交というものはただ物見遊山であるとか、富士山と桜、あれを見せるものだけではなくて、ほんとうに今のような経済外交と一緒になったものでなければならないと思いますけれども、当時どういう間でもいいですから、あるいは酒の会合でもどういう会合でもいいですから、今のような西欧の経済自由化の動きに対処するところの東南アジアにおける、あるいは日本を含めたアジア全体における経済の持っていき方、国際経済の対処の仕方に対しまして、ガルシアと会談をされたことがあるか、あるいは具体的な、事例的なサセスト的な問題でも触れられたことがありますか、承わりたいと思います。
○岸国務大臣 ヨーロッパ共同市場が形成されるに当りまして、アジアにおいてもやはり東南アジアを含めて一つの共同市場的なブロック経済的な考え方とか構想とか、あるいはアジア・シューマン・プランというような構想のもとに、アジアがヨーロッパの共同市場に対抗したようなブロック的な考え方で進んでいくべきではないかというようなこともいろいろと論議され、検討されたことは御承知の通りであります。ただ御承知の通り、東南アジア及びアジアの経済というものは、ヨーロッパの経済と比べてみると非常な後進的な性格でありまして、ヨーロッパにおいてでき上るところの共同市場的な、またシューマン・プランの構想によるところの経済のブロック化というようなものは、アジアの現状から見ると、これに直ちに持ってくることが非常に困難である。その前にアジアとしてはアジアの諸国の経済基盤の確立、また未開発であり、工業化等も非常におくれておる、これをある程度進めてくるということがその前提として考えられなければならぬということが、私は正しいアジアの状況であると思います。もちろんアジアはアジアとしてのいろいろな経済的にもあるいは地理的にもまた民族的にも関係の深いところでありますから、この間における協力なりあるいはこの間におけるお互いの足らざるところを他をもって補うというような形において協力することが、経済の開発を促進し、またこの経済基盤を確立するゆえんであることは言うを待たないのであります。私は従来東南アジア諸国を回りまして、そしてそれらの地域における未開発の状況、あるいは産業経済において、おくれておる状況、これをいかにして早く克服して、そして経済安定の基盤を作り、また繁栄の基礎を作り上げていくかということを考えてみますと、そこに足らざるところの、あるいは技術の面あるいは資金の面、これらの点においてこのアジアの一国であるところの日本が、日本の力に応じて協力をする、それによってこれらの国々の経済の基盤を安定し基礎を作っていくということが、最も現実の問題として必要であるということを痛感して、これらのことについて従来それぞれ力を尽してきたわけであります。
 ガルシア大統領が日本を訪問するに当りまして、ガルシア大統領の意図がどこにあるか、また日本とフィリピンの間に喫緊の問題になっていることがどういうことであるか、それを訪日の機会においてできるだけ話し合って解決する、それがフィリピンの経済の開発にも資し、同時に日本とフィリピンの間の関係をよくすることについての一つのよすがになると考えまして、そういう点につきましては、この賠償協定及びこれに基くところの経済協力のことを具体的に進めることについて十分に話し合いをいたしまして、一部はそれが実行に移されつつある現状であります。
 今お話のように、ヨーロッパの共同市場また貿易自由化の方向に向って、アジアがブロック的な関係において直ちにヨーロッパの範にならうということにつきましては、私はなおその方向に向う考え方というものは、またアジアは特別な、さっきから言っているような密接な関係にある意味において協力するということは、もちろん当然考えなければなりませんが、スジアの経済、産業の実情から言うと、私はまだまだお互いが未開発であり、後進国であるという後進性を取り戻すことについて全力をあぐべきで、それに対してできるだけお互いが協力するということが望ましいと考えておりますし、またそういうことにつきましては、私がたずねたときも、また日本に招待したこれらの国々の首相あるいは首班とも十分に話をしてきているのであります。
○佐々木(良)委員 問題が根本的な、抽象的な政策論議のようでありますから、従いましてぼうっとした抽象的な答弁でありますから、答弁はしやすいだろうと思います。しかし、私はここの答弁あるいはここの問答のやりとりをそう重要視してはおりません。ただ総理自身がほんとうに現在の情勢に即応する態度で政権担当の意欲を示して、積極的にやられるかどうかという一点に私はかかっていると思います。今のようなぼうっとした、未開発の地域でありますからそのうち何とかなるだろう、だんだん協力を深めていくだろう、そういう一般論でありますならば、何も通貨の自由交換性を前提としての昨今の話として私は問題を出すのではないのであります。従いまして、私は今のような総理の答弁に対しましては非常に不満を禁じ得ません。
 同時にまた、総理の、少くとも第二次大戦以降の世界経済の動きに対する認識に対しまして、私は疑問を持たざるを得ないのであります。第一次大戦の後においては、アメリカの孤立経済の繁栄がきたことはだれも認めております。しかしながら第二次大戦後におきましては、御承知のような形で先ほど言いましたような一つの方向を明確にとりながら、経済はブロックからブロックへそうしてブロックから世界共通な問題へと、こういう発展を遂げつつある。その中で日本が円の孤立化とともに、ぼうっとした格好で今どっちつかずのような形でうろうろしているうちに、本格的な基礎を失ってしまうのではないかという、この問題を憂えているわけであります。従いまして私はもう少し具体的な配慮を総理に促したいと思うわけであります。
 これは抽象論になりますが、しかしそれならば、私は端的に今度の予算案の中で、御承知のように三十億の輸出を見込んで、そうしてこれを中心にしてその問題の処理を立てておられるように思いますけれども、今のような総理の国際経済の分析と、それから先ほど伺いましたような外務大臣の経済外交の中から、どうして三十四年度の中に確固たる方針を持って、たとえば三十億なら三十億という数字をはじき出されたのか、非常に疑問に思うわけであります。外務省の中におきましては、今なお――通貨の自由化の方向が強く世界経済を動かしつつあり、各国とも非常に結びつきの強い経済外交を推し進めようとしておりますときに、今なお外務省の事務当局では、各国との単なる個別的な通産協定を基礎とした経済外交にしがみついているような格好で、一歩も前進をしていないと私は思います。私が言うまでもなく、こういう世界の情勢の中で、たとえば欧州の各国の輸出制度は、明らかに経済共同体の諸国、ドル地域、非ドル地域とこういうふうに分けて運用されておりまして、この今度の措置から従来の経済共同体諸国間の相互の輸出入は、私は相当緩和されてくるだろうと思うのでありますが、同時にまた、ドル地域からの輸入も相当に制限が緩和されてくるという方向が出ると思いますけれども、一方非ドル地域あるいはドル地域の中の特殊な地域に対しましては、なおさら輸出が困難になってくる状態が出てくるだろうと思います。従いましてこの傾向は明らかに従来と違った形で、西欧諸国に対する日本の輸出を困難にしてくるものが明確に出てきつつあると思います。この方向に対しまして、三十億の外貨を獲得するための輸出の方針は具体的に何もないではありませんか。同時にまた先ほど申しましたように、一番円の流通量の多いところの東南アジア、特に今度の三十億の中でも、その輸出の増加分の二五%はこの東南アジアで占めているようなそろばんになっておりますけれども、ドルとポンドとの交換が自由になるのでありますから、世界中の国がこの東南アジアを共同の競争市場として、ここに日本が特異な優位な態勢をとっているのではなくて、最も強烈な競争市場として台頭してくるのは明らかであります。この中において先ほど申しましたように、東南アジアは東南アジアの中で、従来の西欧諸国の一国との植民地的なつながりのほかに、共同体的な強い動きを示しつつある。ここからも締め出される傾向が出てきつつある。西欧からも締め出される傾向が出てきつつあり、東南アジアからも締め出される傾向が出てきておる。これに対しまして、ばく然として従来のような経済外交を進めておられて、通産大臣がどういう妙手を打たれるか知りませんが、三十億の外貨を獲得することはほとんど困難に近いと思います。具体的にそれらをかみ合せて三十億ドルの検討をされたかどうか、通産大臣でもあるいは外務大臣でもよろしゅうございますから御答弁願いたいと思います。
○高碕国務大臣 御指摘のごとく、世界の経済は、為替の自由化と同時に、当然貿易自由化に向ってくると存じます。しかしながら一面におきまして、為替の自由化と同時に、貿易の自由化を来たすということに困難性がある、こういうことのために、各地方にブロックの経済を作る、欧州では欧州の共同市場を作る、あるいは共同支払同盟を作る、同様なことが中南米にも起っております。また今御指摘のごとく、アジアにおいてもそういうふうな傾向があるということは事実でありまして、それらの点をよくながめまして、日本の輸出貿易を振興しなければなりませんが、それには第一に何としても日本の円というものの価値を安定せしむるということが一番重要な点であります。今、円為替の進出というふうなことを言われておりますが、わが国としては、これを希望しておることは事実でありますが、各国がこれを受け入れるかどうかということは、一にかかって、日本の経済は強力であるか、安定しているかということが第一であります。それがためには政府の方針といたしまして、三十四年度は輸出を振興して国際収支を改善しなければならぬ、これが根本の方針であります。その方針を進める上におきまして、本年三十億ドルの輸出は、だれが何といっても実行しなければならぬ、また実行する方向に持っていかなければならぬ、こう考えておりますが、それの見込みがあるか、こういう御質問でありますが、これは国内の態勢を整えていけば、必ず実行し得るということは過去の実績から申し上げて、決して過当な数字じゃない、こう存ずるわけであります。
 しからばなぜそういうことが言えるか、こういえば、今米国におきましてもまた欧州におきましても、欧州はかりに共同市場ができましても、現在の日本の商品が今日の価値を保ち、そうして今日の品質を保っておるということからいけば、この販売の方針さえうまくいけば、私は決して昨年よりも、今年の輸出はヨーロッパ市場におきましても、豪州市場、米国市場におきましても、減るということは心配ない。少くとも日本は四%なり五%ふえる、こういうことは、これは常識をもって判断できます。また東南アジアにおきましても、御指摘のごとく、共同市場ができるというふうな空気が動いておりますが、この国々は、その空気で動くということはいいですが、さて実行に移すということになりますれば、これはヨーロッパの経済と違いまして、おのおのいずれもが原料を供給する国でありまして、生産しておる国はないのであります。生産といいますか、工業品の生産です。それは日本がその中に入っていけば、彼らの足りないところを日本が補うということになっておりますから、彼らの国々の経済を安定せしめて、そうして原料の供給を十分にせしめるということになれば、原料を安く供給し得るようになれば、そうすれば日本の商品が売れるようになりますから、さっき総理大臣がお答え申し上げました通り、この国の経済を安定せしめるためには、日本の工業力を利用して、そうして経済協力をさらに推進して、そうして東南アジアの国々の経済をもっと増進せしめるという方針で進めば、これまた決して私はそう悲観することはないと存じます。
○佐々木(良)委員 日本が東南アジアに入っていければそういうことになると思います。私は新しい動きの中から入っていきにくい状態がむしろ強くなりつつある、その入っていき方を聞いておるわけであります。
 先ほど言いましたように、傾向といたしましては、あくまでも買ってやるから買ってくれ。国際間の貿易が今のような原材料やあるいは製品の問題からもう一歩前進いたしまして、買ってやるから買ってくれというブロック化の方向にどんどん進みつつある。これに対しまして日本の貿易政策というものは、選挙でいいますならば、あっちやこっちの散票集めです。東南アジアに行き、あるいは中南米に走り、あるいはヨーロッパに走りして、あっちやこっちの散票集めを一生懸命にその日暮らしでやっておるのが私は現状だと思う。従いまして、経済の景気が回復期に向うと称せられることしくらいは、あるいは何とかかんとかやっていけるかもしれません。
 そこで私が総理大臣に一番最初強く要望いたしましたのは、第二次大戦後この通貨の自由化の傾向とともに、また十分に影響が出ておるとか出ておらぬとか、そういうことではなしに、一つの世界経済の傾向が明確に打ち出されつつあるこのときに、根本的な方針を進めていかれるのでなければ、散票集めではどうせだめになる。皆さんも選挙をやられましたから、散票よりも地盤の方がどれだけ強いかということは御承知のはずであります。地盤も看板も、それからまたカバンも、どうもちゃんとせぬ日本経済の中から、今のような形で貿易を振興していくための方策いかん、世界経済の動きに即応する態勢をどうしてとられないのか。これはただ単に通商政策やあるいは単なる外交政策の問題ではなしに、岸総理が現在の日本の政局を担当されて、国際政治の中に確固とした方針を持って出られるとするならば、私はことしの最初の施政方針の中で最も強く取り上げられなければならぬ問題ではなかったか。それを事務官僚の手にまかせて、そうして官僚の権限争いのまにまにただよっていっておるような行政措置だけにまかせておられる今の状態に対しまして、不満なきを得ないというわけなのであります。同時にまた先ほど総理大臣は、東南アジアの経済協力の問題について云々されましたけれども、東南アジアの経済開発という問題も、他人のふんどしで相撲をとるような、そういう考え方でうまくいきっこないのは、現実の動きが私は示しておると思います。昨年は、東南アジアの開発資金の構想に基きまして五十億程度の資金を計上されておりましたけれども、本年はどうやらそいつがどこへいったのかわけのわからぬような状態になっております。一体これはどういうことになっておるのか。新しい構想を打ち出されつつありますのか、何か具体的な措置がありますのか、承わりたいと思いますし、また同時に最近の新聞の報ずるところによりますと、公館長会議等の議題といたしましてもいろいろ検討をされながら、この地域における各種の技術センターの設置を初めとして、いろいろな経済技術の協力を求めておられる。これらの問題はずいぶん前からかけ声ばかりはあったのでありますけれども、具体的には全然伸びていない。
 従いまして、私は、この際最も強く聞きたいし要望いたしたいと思いますのは、最初岸総理が出発されましたところの東南アジアの開発のための基金云々、それが何だかこうぼやっとしてしまっておるし、それからまた今さらのごとくにこの技術センターの設置の問題を中心として、技術協力というものを打ち出されておりますけれども、何か具体的な裏づけをはっきり持ってやっておられるのかどうか、重ねて私は伺いたいと思います。
○高碕国務大臣 東南アジアとの貿易問題につきましては、東南アジアから物を買ってやるからそっちも買ってくれという方針でいくことは当然でありますが、遺憾ながら今日、東南アジアから日本が要求するものはまだそんなにたくさんないわけであります。あの国の自然的に持っておる資源を一日も早く開発すれば、そのときに初めて日本が要求する物が十分向うから持ってこられ、また日本の商品も向うへ売れる、こういうことは当然だと存じます。それがためには、まず東南アジアのあの天然の資源をいかにして開発するかということが、一番の大きな問題でありまして、それに日本が協力するということのために、先ほど総理からお答えを申しました通りに、日本と東南アジアとの経済協力というものが結ばれたときに先年総理が参りまして、インドに対しまして五千万ドルの円クレジットを設定するとか、その後各種のプラント輸出等につきましては、日本から長期の延べ取引をもってこれに応じるとか、相手方に外貨がないもんですから、それに適応しつつ、日本からも協力するという方法を講じておるわけであります。また今後の経済進出につきまして、協力につきましては、プラント輸出かあるいはそのほかに相手国の工業を推進するために日本の技術を持っていくということのために、技術センター等を各地方の希望に応じて、これは日本の方から個々の事業者、個々の技術者等を日本の費用において送りまして、先方の技術を開発していきたい、これが技術センターの設置でありまして、逐次これをインドなりあるいはセイロンにおいて、その後ビルマ、各方面におきまして進出しつつあるわけでありますから、それが実行できますれば、相手国の、つまり未開発の工業国が漸次工業化するだろうと存ずるわけであります。それに協力していきたいと存ずるわけであります。
○藤山国務大臣 今後のアジアとの経済関係に対して、やはり一つの政策を持っていくことは私どもも必要だと感じておりますので、佐々木委員の御指摘のように、世界の経済が逐次、完全なブロック化ではございませんけれども、ある意味ではソ連圏という一つのブロック、アメリカ南北大陸を通ずる一つのブロック的な形成、また最近のヨーロッパ共同市場の問題を通じての状況というようなものに対応いたしますと、われわれも何らかの形でもってそういうような意味の問題を、アジアとのつながりにおいても考えるということは、これは日本の政策の上で当然考えて参らなければならぬことだと思います。ただ御承知のように、アジア各国の経済状態と経済発達の状態というものは、必ずしも同様程度にいっておりませんし、かつまた植民地経済の残滓として、いわゆる第一次産業に依存をいたしておりますような関係もありますので、従ってアジアにおけるそうした傾向をまとめて参るということは、存外困難な問題でもございます。従ってやはりEPUにならいまして、アジア決済同盟というようなものも構想にはあり得たのでありますけれども、各国のこの段階におきまして、必ずしもこうした問題が進捗して参らぬような状態にもございます。私どもといたしまして、経済外交を担当しておりまして当然これらのことを念頭に入れて参らなければならぬのでありまして、私といたしましては昨年インドネシアに参りましたとき、スパンドリオ外相とか何かアジアの外務大臣の会合でもやってみて、いろいろ懇談的に話し合いしてみたらばということも申したのでありますが、必ずしも適当な時期でもなし、また時期尚早というような感じもあったわけであります。最近御承知のようにヨーロッパ共同市場がいよいよ発足して参ります状態にもなってきましたので、アジア各国の中にも、何かそうした経済的問題について話し合いをしたいという空気が徐々に盛り上ってきつつあることは御承知の通りだと思います。また御指摘のありましたようなガルシア大統領とラーマン首相との話し合いも、若干そういう点に触れているのではないかとわれわれも推察いたしております。またセイロンのバンダラナイケ首相が、やはり経済問題についてアジアで話し合ってみようという意向を持っておるやに聞いておりますし、またそれらについて若干の非公式な見解も発表いたしております。われわれとしては、逐次そういうような機運が向いて参りますれば、当然日本としても、そうしたアジアの関連において何か一つの構想というようなものを考えていく時期があり得るのではないかとは考えておりますけれども、ただいま申し上げたような経過できておりますので、今直ちに何か具体的な、結論的なものを考えるということは、若干無理があるのではないかとも思うのであります。私としては十分そういう点に留意しながら、今後の経済外交を御指摘のように考えて参りたい、こう思っております。
○佐々木(良)委員 ちょうど問題のまっ最中になってきたわけでありますけれども、五十五分という外交上の約束があるそうでありますので、一応質問を中止いたしたいと思います。
○楢橋委員長 午後一時より再開することといたしまして、暫時休憩いたします。
    午前十一時五十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二十五分開議
○楢橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。佐々木良作君。
○佐々木(良)委員 先ほど通貨の自由化傾向に対する日本の経済外交の基本的な方針につきまして、質問をいたしておったわけでありまするけれども、途中で腰を折られまして、ちょっと息がつきかねておるわけでありますが、時間の関係もありまするので結論を急ぎまして、次の問題に入りたいと思います。
 ただ、私は先ほど東南アジアとの経済交流の問題につきまして通産大臣から御答弁をいただいたわけでありまするけれども、先ほど具体的に触れましたところのアジア開発基金の構想に基きまして、昨年は五十億の資金を計上されておったのにもかかわらず、ことしはどうもそれらしいものは削除されておるように見える。さらにまた、各種の技術センターの設置を初めとしての経済技術の協力関係を進める、こういうふうに言われまするけれども、具体的な予算の裏づけも何もなさそうであります。これらの問題は、先ほどお話がありましたように、もう数年来、いつでも政府が約束をされておりながら、ちっとも具体化をされない問題であります。従いまして私は先ほどの答弁に満足するわけにはいかないのであります。同時に経済外交の基本的な考え方につきましても、ちっとも的を射た答弁をいただけないことは、まことに遺憾に思う次第であります。しかしながら先ほど言いましたように時間の制約もありまするので、これら五十億の追及並びに予算的な措置等の各論に入りましては、一般質問なりあるいは分科会なりに質問を留保いたしまして、先にいかしていただきたいと思います。
 なおこの国際経済の自由化的傾向、貿易の自由化的傾向に対しまして、一方に経済外交の基本的な方針が立てられなければならないと同じ意味で、国内経済の整備の基本的な構想がなければならないと思います。特に先ほど来話がありましたように、どういうふうにこの行政技術的な面で触れられましょうとも、遠からず国際経済の動きの圧力が日本の為替管理制度に対して大きな圧力となってくることは目に見えております。従いまして、この為替管理の制度が遠からず国際経済の圧力のもとに取りはずされなければならない。この前提に立つならば、日本の国内経済の整備の仕方というものについて、基本的な構想がなければならないと思います。総理大臣も御承知のように、かつてわが党の先輩水谷議員が、いつかの問題でも触れられておりますように、戦後の日本経済というのは、国際収支の問題と国内の経済拡大との問題は、ちょうど平重盛の心境のごとくに、忠ならんと欲すれば孝ならず、孝ならんと欲すれば忠ならず、国内の経済態勢が拡大に向えば国際収支は赤字に転ずるも、これを黒字にしようとすれば国内経済の引き締めを行わざるを得ない、この矛盾があった。この矛盾の従来の唯一の調節役を果しておったものが為替管理制度だと思います。必ずしもうまく運営されてはおらなかったけれども、この為替管理制度を通じて、基本的な日本の国内経済の矛盾を何とか調節しながらここまで持ってきたと思います。これが今の国際経済の動きの中から当然に抹消されざるを得ない状態になるのでありますから、日本経済の立て直し方に対しまして、基本的な構想がなければならないと思います。私は、この点に関しまして経済企画庁長官の世耕さんにほんとうは聞きたいと思ったのでありますけれども、何しろ質問の途中で腰を折られ、この上に世耕さんの名答弁を受けますと、どうにも話が進められなくなりますので、あえて総理大臣の国内経済整備に対する基本的構想の所信を伺いまして、問題を先に進めたいと思います。
○岸国務大臣 わが政府といたしましては、日本の経済の安定的な基礎における拡大ということを目標といたしまして、産業経済の五年計画というものを立ててやっておることは、御承知の通りであります。今御指摘になりましたように、日本経済の拡大と国際収支との関係において矛盾があるということでありますが、私は、本質的にはこれを両方が矛盾するものだとは実は考えておりません。ただわれわれが安定した基礎において計画的な経済の発展を考えていく上におきまして、どうしてもいろいろな経済の現象といたしまして、国際的の原因もありましょう。また経済の運営の本質的な問題もありましょうが、われわれが計画をし希望をしておるところの経済の上昇率というものが、ときにわれわれが予期しないような増加率をもって増大をするというようなことが起ってきますと、そこに国際収支のアンバランスを生ずるということが起ってくるわけであります。従ってこの為替管理の運営によって両者のバランスをとるという意味においては、いわゆる安定した基礎の上に経済が発展する。それが常軌を逸せないように持っていくというところに、私は為替管理の本来の使命がなければならぬと思います。こういう状態でずっと進んできておりますが、日本の経済からいえば、言うまでもなく、ふえていくところの労働人口を吸収して完全雇用を目標とした経済の安定的拡大をはかるために、われわれがあらゆる施策をそこに集中していく、ただ社会主義経済のごとく、いわゆる統制経済、強い一つの意思でもってすべての経済活動を律するということではなくして、われわれは、やはり自由経済の原則をとっておりますから、自由と責任とにおいて一つの基準を示した計画の方向に経済の発展がいくというのが、私どもの基本的な考えであり、その線に沿うて多少のでこぼこというものはありますけれども、なるべくそのでこぼこの幅を小さくしていくということが、経済の運営としては望ましいこと、またそういうふうに政策の基調をとっていくことは当然であると思います。
○佐々木(良)委員 私の質問に対する答弁には的がはずれておると思います。今こういう建前で岸内閣がやられようとしておるものが、ほんとうは体質改善と称して行われておる諸種の政策だろうと思います。しかし私は、今岸内閣で行われております日本経済の体質改善というものが、無秩序な設備拡張や、あるいは独占資本、大企業本位の勝手な合理化策でありましては、どうしてもこういう本質的な矛盾の解決の糸口を発見することは困難だと思っております。そして今岸総理の御答弁の内容にありましたところの自由主義経済を基調にして云々というその考え方自身に、私は現在の世界経済の動きに対する認識の欠除があるのではないか、こう考えます。岸さんは、よくわが党の政策なり考え方なりを批判をされまして十九世紀的云々と言われますけれども、むしろあなたの今考えられておる自由主義経済の構想こそは、かつての十九世紀的な構想であり、考え方である。そしてそのこと自身は今すでに世界経済の動きの中でむしろ見捨てられて顧みられないものである。私は、資本主義経済の建前の中から社会主義経済と資本主義経済との理論抗争を今ここでしようと思っておるのではないのです。日本はともかくも岸内閣のもとで御承知のような資本主義経済が行われておりますし、そして世界経済の動きはその中で一つの動きを示しておるわけでありますから、決して私は社会主義経済と資本主義経済の優劣、つまり場所の変った論議をしようと思っておるのではない。資本主義経済のワクの中で考えて、今アメリカやイギリスあるいはその他西欧諸国のとろうとしており、とりつつある政策と、岸さん自身が考えておられるところの自由主義経済というものとは根本的に違う。この論議は、それこそ時間の制約がありますから私はやめまして、むしろ別なチャンスを得て十分にその論議を展開いたしたいと思います。
 それから日本経済の本質的な矛盾につきまして、今岸さんは矛盾ではないと言われましたけれども、井手さんでしたかの質問に答えられた倉石さんの答弁をお聞きになりましても、雇用問題は日本経済の宿命だという観点に立っておられる。どこの経済、資本主義的であろうが社会主義的であろうが、現在非常な発展段階を保ちつつある国の経済の中で、雇用の問題が重大化しておるところがありますか。イギリスにおきましても、アメリカにおきましても、ソビエトにおきましても、むしろ経済発展のための最大のネックが労働力の不足という点にさえ置かれている、そういう状態のときに、宿命的な問題としてこれを持っておられる限り、本質的な日本経済の安定的発展に対する施策が足らないことを私は意味すると思う。この本格的な日本経済の安定的発展というものは、それがそのまま雇用の増大であり、それがそのまま完全雇用の、あなたの看板にも沿うものでありまして、その立場において経済発展を来たしながら、しかも国際収支の黒字傾向を強めるというところに施策の基本がなければならない。その基本政策がない。特に管理政策が廃止されようとしておる現在、それに対する何らの心がまえも、何らの基本的な構想もお持ちになっていない。私はこれをまことに遺憾と思います。
 しかしながら抽象論争になりそうでありまするから、私はこれは別の機会に譲りまして、具体的な問題に先に走ることを許されたいと思うのでありますが、この問題は、先ほど一番最初に問題を提起いたしましたところの通貨の自由交換性の回復という現象で頭をもたげ、そうしてその頭をもたげる前後から世界経済の動きが明確に指向しておるところの方向をはっきりと見定めて、それに対する経済外交の方針を具体的に結びつけてほしい。そこに東南アジア経済との結びつきの重要性もあり、日中貿易、日中関係の改善のための努力の基礎の問題もあり、同時にまたがってAA会議の中でバンドン会議を中心として論ぜられたところの問題の基本的なものが、わが日本経済と日本の独立とそれから日本経済の発展のための重要性があるのであります。抽象的な問題でなしに、そこにあるのだという観点をはっきりと立てられて、経済外交の方針を具体的に推し進められるよう希望いたします。同時にまた為替管理制度の廃止をめぐって当然に予想されるところの日本経済の混乱と、それから発展がとまることに対する具体的な裏づけを、むしろ資本主義の中におきましても経済に計画性をはっきり持たせて、指導していくところにあるのだという観点を、言葉の上でそう簡単にけられずに熟思されて検討を進められたいと思います。
 次に、具体的な問題の一、二をお伺いいたしたいと思いまするけれども、岸施政は、言うこととすることとが一致しておらないとか、あるいは金権政治でありますとか、あるいはまた政商との結託によって政権が維持されておりまするとか、いろいろ不名誉な批判がちまたに行われております。私は具体的に、今起っており、行われつつありまするところの、たとえば国有財産の払い下げ問題等にからみながら、問題はその一問題をとらえるのではなしに、岸政策の、岸施政の根本の問題の例示といたしまして一、二の問題に触れたいと思います。
 その具体的問題に触れまする前に、ちょっと大蔵大臣に伺いたいと思いますが、昨年三十三年の三月、三十三年度予算がこの委員会におきまして審議されましたときに、わが党の横路委員からいわゆる報償費の問題について、さらにまた内閣情報調査委託費、いわゆる内閣調査室で使っている費用、これらの問題につきまして、その項目の性格について、さらにまた支出の仕方について、会計の整理について、あるいはまた会計検査院の検査の仕方について相当根本的な突っ込み方が行われました。しかしながらそれに対しまして明確なる方針は示されないままに、最後の段階では柳田委員がなお追及いたしまして、会計検査院とのいきさつがあったことは御承知だと思います。速記録によりますると、ちょうど大蔵大臣は、当時は一萬田蔵相でありましたし、それからその委員会に出ておられましたのは、岸総理ではなしに石井副総理がおられました。しかしながら、内閣としては一体のものだと思いまするけれども、こういう報償費でありますとかあるいは内閣調査費でありますとか、これらの問題がいろんな問題を含んでおりますること、御承知の通りでありますが、あの論議のいきさつを通じまして、大蔵大臣はこれらの項目に対しましてその後検討を加えられたかどうか、簡単にお答えを願いたいと思います。
○佐藤国務大臣 当時の議論は別といたしまして、報償費やその他のただいまあげられましたような費目の予算につきましては、どこまでも私ども内容を十分精査いたしまして、厳重に査定をいたして過誤なきを期しておるような次第であります。
○佐々木(良)委員 十分精査と言われまするけれども、それならば岸総理にお伺いをいたしたいと思いますが、終戦後、いわゆるマッカーサー改革といわれる方針に基きまして、日本の財政制度の整備が行われました際に、これに類するような機密費的な項目に対しまして非常に深い関心が払われて、その結果現在の財政制度が打ち立てられたといういきさつがあると思いますが、その辺の事情を御存じで現在の報償費並びにそれに類する費用を作っておられまするか、総理の御見解を承わりたいと思います。
○岸国務大臣 戦後、いわゆる戦前にありました各省関係の機密費というものが整理されたいきさつにつきましては、私も大体のことは承知いたしております。しかし同時に国の仕事のうちにおきまして、事外国に関する問題であるとか、一般政治上の問題等につきまして、全然他の各項目をあげての予算のような立て方と違った支出を要する部面があることも、現実の問題として認めなければならぬと思います。こういうことを勘案された結果、この報償費の項目もしくはこれに類似しているところの項目ができたわけでありまして、もちろん戦前の機密費等の扱いとは全然異なっておると思います。
○佐々木(良)委員 総理の御答弁にもかかわりませず、最近、むしろ従来の機密費のような形で、この報償費が生き返りつつあるような状態を私どもは看過するわけにはいかないと思います。それならば、総理でも大蔵大臣でもけっこうでございますが、お伺いをいたしたいと思います。岸内閣になりましてから、むしろ岸内閣が予算編成に責任を持たれるようになりましてから、格別にこの報償費が増加してきておるのはどういうわけでございますか。昭和三十年度の予算には四千七、八百万、それから二十一年度には七千二、三百万、三十二年度には九千万強、それが岸内閣がこの予算編成に取りかかられた三十三年度から一挙に倍以上にふえまして一億九千二百八十万、一挙に一億をすぽっと増加された。そしてまた今年度、三十四年度の経費を見ましても同じように――ちょっと減ってはおりますが、同じような一億八千四百七十三万五千円、こういう巨額に達しております。同様な意味で、先ほど申し上げました内閣の情報調査委託費というものも、三十二年度が九千万円程度でありましたのが、三十三年度には一億をこし、そして今度三十四年度には一挙に八千万を加えられまして一億八千三百万となっております。私は、岸内閣がいろんな金とつながりの目で見られており、官僚と特別な関係で見られておりまする際に、こういうふうに岸内閣になってから急増した理由について、どうも了解をしかねるわけでありまするが、お伺いをいたしたいと思います。
○佐藤国務大臣 先ほど私がお答えをいたしましたように、この報償費の内容については私ども特に気をつけて参っておりますが、ことしはただいま御指摘になりましたように増額いたしておりません。しかし最近にこの種の費用がふえたということ、これはもう一、二の例で直ちに御了承のいくことだと思うのは、在外公館の数にいたしましても非常にふえております。また一面、この在外公館の活動ももっと活発にやれという非常に強い御要望が出ております。(「経済外交のために要るんだよ」と呼ぶ者あり)こういう意味から申しますと、あるいはもっと金額が増加しなければならないかと思います。ただいま横路さんのお話が出ておりますが、十分精査いたしまして、今年の報償費はそういう意味でも適当ではないかと思います。
 また情報関係の調査費が非常にふえたということですが、最近情報関係も非常に活発に活動をいたしておりますが、活発な活動をいたしまして手広くなれば、やはり予算もふえて参ります。しかし私ども十分責任を持ちまして、いわゆる機密費的な支出はこれは本来の支出ではございませんし、またそれにつきましては在来からもいろいろ批判をいただいておりますので、特にその点には注意をいたしまして、さような弊に陥らないようにいたしておる次第であります。
○佐々木(良)委員 経済外交を推進するためには費用が要るではないかというお話が、横からも出ておるようであります。それはけっこうだと思います。それならば、項目ではっきりと、旅費でも会議費でも交際費でもあがっておるわけでありますが、これらにつきましては、ほとんど変りない状態に置かれておきながら、ともかくもいろいろうわさされている岸内閣に至ってとたんに一億というのはどういうわけですか。(「そうじゃない、石橋内閣で作った予算だよ」と呼ぶ者あり)いやいや、三十三年度の予算は岸さんが作られたのでしょう。私は深くこの問題を掘り下げようとは思いません。しかしながらともかくも佐藤さん、お考えになってごらんなさい。あなたは総理大臣の実弟さんでしょう。従いまして総理大臣が言われてあなたが組まれる分には、どこからも水が入らぬ。そういう状態の中で、くさいものにふたをせずにそのままの形を続けられておるということは、私はやっぱりここらでいろんな批判が出ても仕方がないと思う。従いまして私はこういう問題についてもう少し明確な態度をとられることを特に希望いたしたいと思います。いずれ私は分科会なりその他で内容はまた伺いたいと思いまするけれども、この辺のにおいから、岸内閣に対する批判も、あるいは痛くない腹であるかもしれないけれども探られることを十分に承知しながら、施政を行なっていただきたいと思います。
 それでは具体的な一、二の問題に触れたいわけでありまするが、まず第一に国有財産の払い下の問題として、今現地におきまして重大な問題として発展しつつありまするところのアルコール工場の払い下げの問題について伺いたいと思います。昨年の十二月の中旬におきまして、通産大臣は、石油化学による同種製品に対処する事業の合理化を期するという理由で、八工場あるうちで宮崎県小林市の小林アルコール工場を本坊酒造というものに払い下げるためのいろんな工作を行われておる、こういうふうに聞いておるわけであります。私は石油化学に対する合理化方策としての政策上にも問題があると思いまするし、それからカンショ生産地農村への影響並びにこの工場に従事しておる従業員、さらにまたこれと直接関接に関係を持っておりまするところの各種関係の業者にも重大なる問題だと思います。それであるのにもかかわりませず、この払い下げをめぐって、払い下げの相手方となっておりまする、そういうふうにうわさされておりまするところの本坊酒造というものは、私ども正直な話、中央では聞いたことも見たこともない会社であります。従いましてこの払い下げをめぐっていろんな政治的工作がやられたと伝えられ、あるいはまた利権取引のにおいが、いろんな角度から臭気ふんぷんとして立っておるように存じます。従いまして、私はこの際通産大臣がこれらの疑惑を一掃されるために、この小林工場の払い下げ問題に対しまして明確な態度をとられんことを希望するわけでありまするが、通産大臣の御所見を承わりたいと思います。
○高碕国務大臣 御指摘のごとく、日本のアルコール工業というものは、これは戦争中燃料政策として統制されたその残滓が残っておるわけでございまして、それを引き受けた通産省は、現在まで十三工場あったもののうちで、すでに五工場を民間に払い下げたのであります。その趣旨は、御指摘のごとく、アルコールを燃料として使うということは、すでに石油工業が発達したときには、これは立ち行かない仕事であります。従いまして、現在持っております、通産省が経営しておりますこのアルコール工場は、原料を輸入の糖物とカンショに置いておるわけでありまして、これは何としても飲料とくっつけなければならぬ、こういうような趣旨で進みたいと思っておるわけであります。そこにおきまして、今回問題となっております宮崎県の小林のアルコール工場は、これは現在三分の一しか作業してないわけでありまして、しかも作っておるものは工業用のアルコールであります。これをこのまま経営するということは、従業員に対しても非常に不安である。できるだけこれを早く民間に払い下げて、工業用のアルコールでなくて、これは飲料の方に向うとか、あるいはカンショの原料を用いまして結晶ブドー糖を作るとか、いろいろの方面にこれを変えていくということが、国の財産を活用する上におきましても、また従業しておる人たちの立場からいっても、これは当然必要だと私は考えておるわけであります。つきましては、これを払い下げる相手方としてだれを選定するか、こういうことは慎重に考慮いたしたいと思いますが、第一に、あとの工場を経営するに足るだけの資力を持っている人であるかいなやということが第一でありますけれども、第二に、その経営者が通産省が考えておりますように、酒類の製造をしておる人であるかいなや、そこに転換をしなければならぬ、そういう点も考えられます。第三に、従業している人たちの立場をよく検討してもらって、その人たちの仕事が首を切られるということのないようにせなければならぬ。と申しますことは、すでに払い下げいたしました五つの工場のうちで、最初払い下げました二つは、あまりいい結果を得なかったのであります。すぐに工場を閉鎖されてしまって従業員が困った、こういう経験もあるものでありますから。あとの三カ所の工場は、幸いに今申し上げました趣旨において払い下げをしました結果、工場も隆盛になり従業員も安定しておるわけでありますから、そのあとの三カ所にやりました方針と同様に進みたいと存じておりまして、今せっかくこの相手方を選定しておるわけでありまして、今御指摘の本坊それがしも一つの相手方と存じますが、国有財産を処分する上におきましては、これは何としても公正な競争入札をもってやらなければならぬということが趣旨でありますから、ここにその適法なる業者を三、四あるいは十カ所ぐらいを選びまして、それとよく折衝いたしたいと存じておりまして、今御指摘のごとく、アルコールだがらくさいものだとおっしゃいますけれども、そういうようなことは決してありません。そういう点は御心配なく、十分に公正にやっていきたいと思いますから、さよう御承知願いたいと思います。
○佐々木(良)委員 ただいまの通産大臣の答弁によりますと、この問題はまだ具体的にいろいろと検討を加えなければならぬというふうに了解するわけであります。ただ私は、今通産大臣はほとんど断定に近い言い方をされましたけれども、政策士の問題としては、十分にまだ検討の余地があろうかと思います。その上に持ってきて、この払い下げをめぐって、いろいろな疑惑がありますることは、通産大臣の耳にも達しておることだと思います。従いまして特に後段の払い下げをめぐってのいろいろな疑惑なり、いろいろなそのにおいなりというようなものに対しましては、通産大臣も善処されることを答えられたわけでありますが、そうすると、今後こういう問題を進められる場合におきまして、たとえば従業員なりあるいは現地の意見なり、この辺と十分になお今後交渉を行い、円満なる話し合いが行われることを前提として、初めてこういう払い下げ問題の可否が検討される、こういうふうに解してよろしゅうございますか。
○高碕国務大臣 お説のごとく、十分現地の意見等も聴取いたしまして進んでいきたいと思っております。
○佐々木(良)委員 それではこの問題は、根本的にまだ払い下げの可否につきましては論争を残されたままにしておきます。そうしてまた最悪の場合におきましても、関係者との十分なる話し合いが――つまり少くとも円満なる話し合いが行われるのでなければ、今一方的に役所の中でうわさが立っておるような形の払い下げは行われ得ない、こういうふうに通産大臣の答弁を理解をいたしまして、次の問題に移りたいと思います。
 第二番目に、少しこれは内容に具体的に入って究明をいたしたいと思うのでありまするが、それは御承知の国鉄の志免鉱業所の払い下げに関する問題であります。この問題をめぐりまして、自由民主党の党幹部――大体一月でかわられた方のように思いますけれども、党幹部の暗躍とか、また関係する石炭業者の地下工作とか、こういう動きがしきりに伝えられまして、不明朗な政治工作や利権取引の醜聞がともかく世間をにぎわせつつあります。こういう動きに対しまして、総理大臣はどういう感じを持っておられますか、総理大臣の所感をお伺いいたしたいと思います。
○岸国務大臣 いかなる場合におきましても、政治についていろいろな好ましからぬうわさを生ずるような事態は、厳にわれわれが注意をしなければならぬことであることは言うを待ちません。今お話になっておりまする志免鉱業所の払い下げの問題に関しましては、すでに御承知のように、行政管理庁においてこれを分離すべきが適当であるという勧告をしておりまするし、これの扱いについては、また国鉄内におきましても、合理化委員会というものを設けて慎重に扱ってきております。また今後これをいよいよ具体的に、どこにどういうふうに払い下げるかというような問題に関しましては、これからの問題でありますが、十分に慎重に注意をいたしまして、そういうような疑惑やあるいは他からの指弾を受けるようなことは、絶対にないことを期していくつもりでおります。
○佐々木(良)委員 今の総理大臣のお話によりますと、事の起りは、行政管理庁の勧告がきっかけになっておるようであります。従いまして山口長官にお伺いいたしたいと思うのでありますが、この勧告のきっかけは、多分昭和三十年でありましたかの勧告でありまして、それからは事態もずいぶん動いておりまするし、それから状況もずいぶん変っておると思いまするが、しかしともかくも火つけ元となったのは行政管理庁であります。当時の長官ではないかと思いますけれども、山口長官は、その後この問題につきまして、行政管理庁として検討を加えられたことがおありになるかどうか。同時にまた、当時行政管理庁で出されましたところの今の分離方針が、唯一の動機になって動いておるように思いまするけれども、これに対しまして、現在動きつつある事態に対しまして、山口長官は、やはりこれは火元でありますから、責任を感ぜられなければならぬと思いますが、責任をもってこの問題に対処しておられまするかどうか、所見を伺いたいと思います。
○山口国務大臣 お答えいたします。ただいま佐々木君から昭和三十年の十一月に勧告がなされたとおっしゃいましたが、その通りであります。続いて昭和三十三年の四月に二回目の勧告もいたしております。その勧告の内容は、二回とも同鉱業所の整理について慎重に検討を要望したものでありまして、その趣旨とするところは、国鉄はその経営に直接必要な資産以外は、でき得る限りこれを切り離して経営の刷新合理化をはかり、輸送力の増強に専念すべきであるという趣旨から勧告しておる次第であります。
○佐々木(良)委員 最初経営刷新合理化の建前から問題を出発された。昭和三十三年の二回目の勧告のときにも、そのような立場で勧告が出されておると思います。しかしながら、現在動いておる状況は必ずしもそうではないのではないか、現在動いておるところの志免鉱業所をめぐる払い下げ問題は、必ずしも国鉄側のそういう動きのみではないのではないかと思いまするが、現在の動きに対する山口さんの御所感を伺いたいと思います。
○山口国務大臣 現在動いておる詳細な状況がどうであるかということは、私はすべてを知悉してはおりません。しかしながら、現在とも行政管理庁としての立場なり態度は、前二回の勧告をした当時といささかも変化はいたしておりません。
○佐々木(良)委員 行管の立場は明瞭になりましたので、それでは所管の運輸大臣に伺いたいと思います。
 先ほど来お話が出ましたように、当初は確かに国鉄の経営刷新合理化の方針でありまして、従ってその動機になりましたのは、この志免鉱業所の赤字問題だったと思まいす。この赤字問題が動機になりまして問題が提起されたのにもかかわらず、だんだんと必要が進むに従いまして、志免鉱業所の払い下げの理由が転々といたしております。たとえば同鉱業所は将来性がない。御承知のように、三十年に勧告が出たとたんに今度は黒字化して参りまして、三十一年も三十二年も御承知のような黒字経営を続けておる。そうすると、これは黒字であっても一時的な現象だろう、ともかくもこれは将来的に見て将来性がないのだというような理由に転換されたり、あるいはまたさかさま向きに、積極的な理由を見出すために粕屋炭田の総合的開発のためには、やはりこれを切り離して民間経営の方がいいんだという理由になりましたり、さらにまた一番最初にさかのぼりまして、やはり国鉄は運輸事業に専念すべきであるというような理由に立ち戻ってみたり、理由がかくのごとくに行ったり戻ったり、二転、三転いたしておりますが、ほんとうに今現在の事情に即応して、運輸大臣がこれを払い下げをしなければならないと思われる理由は何でありますか。同時にまた、この問題は、先ほど来お話がありましたように、本来三木運輸大臣の当時から発足をいたしまして、その間吉野、宮沢、中村と、歴代の運輸大臣に問題は継続しておったものであります。そして私の知る範囲によりますと、これら歴代の運輸大臣は、ともかくこの問題に対しまして、そう本気で取り組んでおられたように私ども拝聴いたしておりません。しかるに、永野運輸大臣の就任以来、この問題が現実に具体性ある問題として脚光を浴びてきたようになっておりますが、その動機はどこにあるのでありますか、お答えを願いたいと思います。
○永野国務大臣 志免炭鉱をいかに経営すべきかという問題につきましては、三十年の行政管理庁の勧告以前に二十九年の公共企業体合理化審議会でも取り上げられておったのでありまして、同様にこれは分離すべきものであるといっておるのであります。なおそのほかに国鉄経営調査会でも同様のことを決議しておるのであります。そこで三十三年の行政管理庁の調査報告がありましてから、以上の各種の勧告または報告に基きまして、国鉄総裁は三十三年に志免鉱業所調査委員会というものを作りまして、東京大学の青山博士初め石炭界におけるベテラン七名を委嘱いたしまして、この志免鉱業所のあり方についての意見を求めたのであります。ところがこれらの会合の結果はやはり同じでありまして、志免鉱業所は国鉄が経営するのは適当でない、なお非常に具体的に、三十三年中にその分離をすべきものであるという報告を出したのであります。ちょうど私が就任いたしましたごろに、その志免鉱業所の調査委員会の報告が出て参りましたので、私はその報告書に基きましていかにこれを取り扱うべきかということを研究して参ったのであります。秋になりまして、十月になりまして、国鉄総裁はその志免問題調査委員会の報告書にのっとりまして、基本方策としてこれを分離したい、これが第一点。次に分離するとすれば、それを指名競争入札か、あるいは指名競争入札の趣意を体する随意契約で渡したいというような申請が出て参ったのであります。そこで私は、この志免鉱業所のあり方につきましていろいろ検討いたしました。そうしてその理由も、ただいま佐々木委員がおっしゃるようないろいろな理由が加わって出てきておるのでありますが、どれがほんとうであるかという御質問に対しましては、どれもそのときは何がしかの影響力を持っておったことであります。しかしながら基本には、国鉄は本来の任務である輸送力増張に人も資金も集中すべきであるという線が、ずっと一貫して通っておったのでありまして、決してその基本的の方針が変ったわけではございません。もちろん損のいくときと、もうかっておるときとは多少そのニュアンスが違ってくることは争われません。目先の、大てい一、二年で炭況も変っておりますし、先ほどもお話のありましたように三十年、三十一年は――二年ごとに変っております。黒字を出したときと赤字を出したときとありまして、昨年、一昨年は御指摘の通り黒字を出しておりましたけれども、三十三年度は約三億に近い赤字になっておるのであります。右ようなことでありますから、損がいくからこれを経営すべきでない、もうかれば国鉄がやるべきであるというような議論は国鉄当事者は考えておらなかったように思います。一番基本の問題は、この志免炭鉱の特質といたしまして、断層が多うございまして、多数の鉱業権者が重なっておるのであります。そうしてこれを別々に掘りますと、取れるべき炭が取れないのであります。これは、重要な国家資源を少しでも多く日本産業に役立たしめますためには、何らかの方法でこれを総合開発して、取れる炭はみな取って、日本産業のために貢献しなければならぬということが一貫した方策だと思います。もちろん、そのやり方についてはいろいろな方法があると思います。国鉄が中心になって一貫総合開発するという方法もございましょう。また民間の石炭専門業者にそれをまとめて総合開発をやるという方法もあると思います。さらに案としては、国鉄も民間会社もみな自分の持っておる持ち分を出して何らかの形の、それが公団がいいか、国家がいいかあるいは株式会社がいいか、そこらはいろいろ検討の余地はありますけれども、そういう方法もあり得ると思います。いずれにいたしましても、この十月の申請はともかく一応切り離すということに基本方針を認めてもらいたい、そのあとどうするかということは、その問題を具体的に考えるときに慎重に考えたいというような申請でもあり、私どももそういうふうに了承いたしましたので、とりあえず分離するという方針だけは認めるという回答をいたしたのであります。その次に、国鉄の方からはできれば随意契約の方法が一番いいという希望が述べられてありましたけれども、かりにこれを処分いたしますときには、多少それが不便があっても、ぜひ競争入札にしてもらいたいということと、従業員には十分な了承を得てもらいたいという二つの希望を強く申し述べて、分離の基本方針を了承したのであります。
○佐々木(良)委員 いろいろ理由は転々したけれども、結局理由として、よりどころとして今発展されておりまするのは、いわゆる十河総裁のもち屋はもち屋論、それから今運輸大臣の言われましたところの総合開発論、この二つが、ともかくも見解の相違だということで反対論を突っぱねられ得る唯一の理由になっておるのではないか、私はこういうふうに思うわけであります。
 今お話のようでありまするけれども、それならば一つ国鉄の総裁にお伺いいたしたいのでありまするが、問題の当初の出発点は、ともかくも赤字経営で苦しんでおり、国鉄の合理化のためには、こういう荷厄介なものをしょっておるということが、じゃまになるということから出発されたのだろうと思いますけれども、今のところ、そう荷やっかいにはなっていないはずだ。にもかかわらず、どういうわけで分離ということをそう強く打ち出されておりまするのか、現在の分離論を積極的に打ち出さなければならぬ理由を伺いたいと思います。
○十河説明員 今お話のありましたように、またさっき大臣から答弁のありましたように、以前には、二、三年前には赤字でありました。その後行政管理庁の勧告を十分取り入れまして、いろいろと合理化をいたしました結果、また従業員が非常に勉強をしてくれました結果、なおその上に坑内の条件が非常に有利なところにぶつかっておりましたような、いろいろな条件が総合されまして、三十一年、三十二年は黒字になっております。しかしながら三十三年度は、三十二年度に五十一万五千トンを出炭いたしましたにかかわらず、四十八万五千トンを出炭したいという当初の計画が、これを維持することができませんでした。今日の情勢で見ますると、出炭が四十万トンを割るような状況になって参っております。合理化をするために、従業員もいろいろ苦労をしてくれたのであります。私は従業員に、安定した職場をできるだけ長く継続させてやりたい、こういうことを念願いたしておりますが、そのためには、さっき大臣からお話のありましたように、二重、三重になっておる隣接の鉱区を総合いたしまして、総合経営をすることが必要となってくるのであります。専門家の調査によりますと、このままで参りますれば、三十四年度は四十万トンを割って三十五万トンくらいになりはしないかというのであります。それからだんだん三十二万トンになり三十万トンになる。そうなりますと、従業員が余ってくるという状態が起って参ります。それが総合経営をいたしますと、四十万トン以上で、今後十年、十五年も続けることができる、こういう状態であります。なお今日掘っておりますたとえば八坑のごときは、すでに境界線、基盤線にぶつかっております。これをもし総合して経営するならば、隣の鉱区に掘り込んでいって寿命を延ばすことができるのでありますが、そうでなければ、このままいけば、この坑口は廃してしまわなければならぬというような差し迫った状態にもなっております。調査委員会の専門家の方々が長い間かかって検討をしてくれた結果も、さっき大臣からお話のあったように、早く、三十三年中に移譲をして統合をするようにという答申でありました。そういう次第で、私は急いでこれを処理したい、そう考えております。しかしながら、さっきお話のあったように、事は単なる物品、物件の売買ではありません。炭鉱に育った者は、炭鉱を国分の家庭、自分の生活と密接な関係があるので、これをほかの仕事に配置転換をするということはあまり好まないのであります。過去においても、そういうことをやりましたけれども、出る方でもあまり喜ばれないという実情がありました。炭鉱で育った人々はできるだけ炭鉱で安定した職場を長い間続けていけるようにという趣旨で早くこれを片づけたい、こう考えて処理を進めつつあるのであります。
○佐々木(良)委員 従業員に対する愛情が今の理由の前提になっているようでありますが、従業員自身がこれに反対だという意見を持っている際に、従業員に対する愛情をもって押しつけるということは理由にならぬじゃないですか。従業員は今の方がいいと言っている。おかしいじゃないですか。この問題はあとにしましょう。
 なお、一つの大きな理由に総合開発ということを言われております。その前提といたしまして、この志免鉱業所の経営状態の可否でありますとか、あるいは炭鉱の生産見込みあでりますとか、埋蔵量の見方でありますとか、さらにまた総合的な同炭鉱の経済的価値等につきましては、今のような国鉄側の見解もありましょう。特に青山委員会の報告は私も詳細に読んでおります。が、同時に私ども社会党といたしましても、これに対しまして十分なる調査を行いまして、そして私どもなりの調査報告書を作って、半永久的にこれは経営を上げることができるという前提に立って論議を展開し、そして運輸大臣にもその内容、骨子を示して、論議をすることが約束になっておったはずであります。社会党の代表に対しまして、私どもの案を検討することをあのときにあなたははっきりと了承され、同時にその交渉の際に、かりに払い下げるような事情になっても、単独で、社会党の方に相談もせずにやるようなことは決してしない、同時にまた、そういう状態にもなれば、現地にもみずから飛んでいって事情を十分調査しようということも約束されましたし、そして今運輸大臣、十河総裁が最後のよりどころとされております総合開発の問題につきましては、国鉄みずから進めたらどうかということについて、運輸大臣はそれには資金が要る、その資金を大蔵大臣から手当してもらわなければ困るから、まずそれならば大蔵大臣と国鉄自身が、総合開発に立ち向うための資金が得られるかどうか交渉してみよう。こういうこともそのときに答弁されておったわけでありまして、社会党の提案いたしました半永久的に経営可能なりという論議をめぐりまして、あなたは私どもに対して三つの約束をされております。公党に対する約束でありますから、そう簡単にじゅうりんをせられないと思いますけれども、その態度を明らかにしてもらいたいと思います。その前に、総合開発をするために約束通りに大蔵大臣と交渉されましたかどうか、お伺いいたしたいと思います。
○永野国務大臣 お答えいたします。先ほども申しましたように、総合開発をする方途につきましては、いろいろの方法が考えられますが、その中に国鉄を中心にしてやるという方法もあるということを申したに間違いございません。そうしてただいま御指摘のように、大蔵大臣の了承を得られなくては、どういう案が立ちましても実行ができませんから、あらかじめ大蔵大臣の意向を聞こうと思いまして、御指摘の通り、大蔵大臣にはたびたび折衝いたしました。ところが大蔵大臣は、予算編成上この志免炭鉱開発のためにまとまった金を出すことはできないと、はっきり断わったのであります。このことは私は、その点にもしも私の尽力が足りないというような御懸念があってはいかぬと思いますから、社会党の委員の方々も直接大蔵大臣に会ってお確かめを願いますということを申し上げておきましたから、おそらく社会党の特別委員会の方々も、大蔵大臣から直接お聞きになったろうと思います。
○佐々木(良)委員 お聞きのような御答弁でありますが、大蔵大臣は、われわれが試算するところによりますと、三億程度あれば何とかなると思いますが、この三億程度の帰趨をめぐりまして、払い下げるか払い下げないかの岐路に立っていると思います。そうすると、今度大蔵大臣自身が三億程度を出すか出さぬかによって、この問題の帰趨がきまってくる重大なる責任になってくると思います。大蔵大臣は、そういうような三億程度の捻出をするかせぬかによってこの国鉄の志免鉱業所の払い下げ問題が右するか左するかの重要岐路に立っておるという点に立ってこの問題の責任を負った答弁といたしまして、捻出不可能という考え方でありますかどうか、伺いたいと思います。
○佐藤国務大臣 ただいま運輸大臣からお答えいたしましたように、実は大蔵当局の意見も徴されたのであります。今日志免鉱業所の問題は、いわゆる国有財産の処理という問題ではなくて、国鉄の財産の処理でございますから、その点では大蔵省は関係はないのでございますが、私自身が運輸省におりました当時、まだ国有鉄道が分離しない前に、海軍から志免鉱業所を引き取った関係もありますので、実は非常に因縁の深い炭鉱でございますが、今回運輸大臣から御相談を受けました際に、私が申し上げましたのは、国有鉄道本来の仕事でありますならば十分財源等も工夫いたしまして、これは必要であれば考慮いたしますが、粕屋炭田開発のために必要な資金というものを国有鉄道につけるということは筋が違うということで、私ははっきりお断わりいたしたのでございます。
○佐々木(良)委員 それならばさらに進んでお伺いいたしたいと思います。いずれにいたしましても、運輸大臣は、もしできるならば国鉄の手で総合開発を進めるということも一つの案だというふうに考えておると思います。そしてまた十河総裁からの申請に対しましてのお答えの中で、指名競争入札あるいはそれに類するような随意契約ということを提示されておると思います。そしてまた先ほど十河総裁も、その立場から総合開発を進めたい、進めるべきであるというのが唯一の論拠のように承わっております。国家資源の有効利用のために総合開発をやるということは私は賛成でありますが、そうするというと、粕屋炭田の総合開発のためには、御承知のようなああいう地形でありまして、現実に総合開発をしようと思えば、国鉄の志免炭鉱と、それから三菱の炭鉱とが唯一の関係にあるだけでありまして、総合開発を推進するとするならば、もし三菱が横に寝るならば、これは国鉄が払い下げても総合開発はできなくなる。にもかかわらず、競争入札をあなたは指向されておる。競争入札と総合開発の可能性とにつきまして矛盾を感ぜられませんか。
○永野国務大臣 ただいま私が認めましたのは、分離するという基本原則だけであります。これを売るとも、あるいは現物出資をする総合開発計画をやるというようなことがまだ残っておるのであります。売るということをきめたのではないのであります。売るということをきめましたときには、あらためて運輸大臣に対してその申請を求めて参っておるのであります。従いまして、どこに幾らでどういうふうに売るというようなことは、まだお話しする段階に達しておりません。きまりましたときに、あらためて社会党の方々にも御相談するつもりでおったのであります。今は、どこに幾らで売るということは全然触れておらないのであります。
○佐々木(良)委員 十河総裁にお伺いいたします。多分先月の二十二日ごろだったと思いますけれども、あなたは三菱、三井、住友の三社を呼ばれ、それに竹内礼蔵氏を加えられました会談において、右の三社に指名競争入札をさせたいということの了承を求められたと聞いておりますが、そうですか。
○十河説明員 お答えいたします。その通りでございます。
○佐々木(良)委員 その通りでありますならば、あなたは先ほど総合開発をすることの必要性を最も強調されたわけであります。この炭鉱を総合開発をするためには、かりに三井が落札した、かりに住友が落札した場合に、総合開発が可能ですか。炭鉱は御承知のように、志免鉱業所と三菱鉱業所がこれが隣接しておるだけであります。それで可能ですか。
○十河説明員 相当の困難があると思います。それで調査委員会の方でも、指名競争入札が至当だと思うけれども、いろいろな困難が予想されるから、この競争の精神を取り入れた何らかの方法、たとえば見積り合せによる随意契約という方法が妥当じゃないかという答申があったのであります。しかしながら、それは絶対に不可能だとは思いません。
○佐々木(良)委員 総合開発をしようとされるのでしょう。よその持っておる鉱区を総合開発できますか。三菱が今志免鉱業所をほしいのは、三菱の鉱区と同様に、御承知のような断層の形になっておるから、総合開発なりそれに類する仕事ができないからといっておるのでしょう。また国鉄の方もそのような理由に基いて払い下げが検討されておるのでしょう。それなのにあなたは指名競争入札あるいはそれに類するものと言われますけれども、今の論拠によるならば、三菱に落す以外に落しようがないじゃありませんか。総合開発をしようとするのか、あるいはただ払い下げようとするのか、どっちですか。
○十河説明員 総合開発をしないと、さっき申し上げましたような炭鉱の出炭の規模が、だんだん大手の規模から中小の規模に転落いたします。そうなることが従業員のために好ましくないし、国鉄としても、だんだんそうなればコストが高くなる、経営が困難になってくる。それゆえに私は総合開発をすることが必要だという調査委員会の趣旨に基きまして、運輸大臣に認可の申請をしたのであります。しかしながら運輸大臣は、さっきお話のありましたように、指名競争入札をしろ、指名競争入札によるのほか云々という指令をいただきまして、不可能ではないから、私は誠心誠意この運輸大臣の指令に従って仕事を進めていきたいと思って、目下努力しておるところであります。
○佐々木(良)委員 総合開発を唯一の理由にしておきながら、三菱に払い下げる以外には総合開発はできない。認められておるでしょう。三菱に払い下げる以外に、三菱が反対の態度をとったならば、隣接鉱区の関係で総合開発はできないじゃないですか。総合開発をするという理由であるならば、競争入札という方法はすでに失われることになります。そんならほかの理由は、どういう理由で払い下げるということになりますか。
○十河説明員 それでありますから、私は、さきに志免炭鉱を払い下げを受けたいという願書を出しておった三井、三菱、住友の三社並びに竹内礼蔵君に来てもらって、こういうふうなことになった、この方針によってやりたいからどうか皆さん協力して下さいということを、私は報告と同時にお願いしたような次第であります。
○佐々木(良)委員 幾らあなたがそういうふうに努力されましても、総合開発をするためという理由にはそぐわないのじゃないですか。総合開発できないじゃないですか。そうすると、総合開発でない特定のほかの理由がなければならない。しかも、先ほどお話しをいたしましたように、この赤字経営という問題に対しましては、これは少くとも疑問がある。あなた方の青山委員会の見方もあれば、われわれの見方もある。従いまして、これは一応専門家の討議にゆだねるといたしましょう。ゆだねるとして、仕方なしにあなた方が次に作られた理由というのが総合開発です。総合開発をするという建前でいくならば、国鉄みずからがやるか、あるいは隣接鉱区の関係で三菱がやるか、どっちかよりない。それであるにもかかわらず、競争入札という公正らしい方法をとられるところに私どもの疑問の中心的な点がある。もともと管理庁長官が言われましたように、本来国鉄に荷厄介のような感じの炭鉱に見えた。ところが、その後いろいろな調査や経営の中身からして、だんだんこの炭鉱に対するところの経済価値がむしろ業者の中で高まってきて、国鉄が払い下げたいという意思がだんだんとぼけるに従って、業者側がこの優秀性に目をつけて、何とかこれを獲得して、民間側の手によって炭鉱の起死回生の妙手を生み出して炭鉱業界に益したい、早く払い下げてほしいという側に重点が移ってきた。ここに明らかに問題が新しい出発点をなしておるわけであります。そういう状態でありまするならば、国鉄側から払い下げねばならぬという理由は、先ほど山口長官が言われましたように、ほとんど軽い意味しかない。にもかかわらず、これだけ業界が騒ぎ、政党幹部が騒いでおるということについて、どういうふうに弁解されましても、私は検察当局じゃありませんからその中を追及しようとは思いませんけれども、ここに疑いの残らないという証明ができますか。総合開発できないじゃないですか。それならどうしてはっきりと三菱に対して特命でおろされないか。
○十河説明員 総合開発ができないと断定することはできないと思います。総合開発が困難であるということはいえると思います。それゆえに調査委員会でもそういうふうな答申をせられたことと私は信じております。
○佐々木(良)委員 困難であることは、今国鉄が志免鉱業所を持っておって、三菱鉱区がよその鉱区として外にあるから総合開発が国鉄にとって困難なんでしょう。逆に今度は三井あるいは住友が落札をして、同じように三菱が横に寝たら総合開発できないじゃないですか。つまり三菱に落す以外には総合開発は不可能だということになるのじゃないですか。困難だけじゃないですよ。今の状態と少しも変らないじゃないですか、所有権が別々になっておる限り。
○十河説明員 それでありますから、繰り返して申し上げますが、困難を何とかして打開して、できるようにしたい、こういって努力しておりますけれども……。
○佐々木(良)委員 困難を打開しようにもできないじゃないですか。
○十河説明員 できなければ、またできないときに運輸大臣に申請してきめたいと思います。
○佐々木(良)委員 困難を排除してと言われますけれども、他人の鉱区にどうして総合開発に協力させることができますか。他人の鉱区と自分の鉱区とが隣接しておるから、今国鉄の志免鉱業所は、総合開発なりそれに類することで成績を上げようと思っても、三菱鉱区との関係でできないんでしょう。それを逆に志免鉱業所が、かりに三井の所有に帰したといたしましても、今度は三井と三菱との関係が同じように残るじゃないですか。それをどうして民間ならできることになりますか。
○十河説明員 たびたび申し上げますように、私は絶対困難ではないと考えまして、今できるように努力しておるところであります。三菱が協力してくれればできるじゃないかと思います。
○佐々木(良)委員 運輸大臣、今のような御答弁でありますが、あなたは先ほど来、同じように総合開発の問題を提示されている。そういう状態であって総合開発ができますか。同時に、競争入札というものを前提とされます限り、どういう状態になると思いますか。
○永野国務大臣 お答えいたします。私は、先ほど総合開発のやり方には三つあると申しました。第一は、国鉄を中心にやりたい、とこう思っておりました。第二は、この関係者が持ち分を出し合って、国家的観点に立って総合開発をする。すなわち、国鉄がやるのでもなし、お互いに持ち分を出し合った一つの組織体を作ってやるのも考え得る方法だと思います。もちろんこれにもいろいろな困難は伴いますけれども、私は、これは不可能ではないと思っております。その次に、三井、住友に落札した場合に、三菱が協力しなければ不可能ではないかというお説でございますが、実は、これは社会党の特別委員会の方々が、国鉄を中心に総合開発をぜひやれというお話のときに、私の方から、今の質問もあなた方に対していたしたのであります。かりに国鉄が中心にやろうと思っても、三菱が聞かなければやれぬじゃないかということをあなた方に言いましたときに、あなた方の方の委員から、三菱は必ずそれに応じますよとおっしゃったのであります。しかも、安く売りますよというようなことを言われたので、一体かけ合いをしないで安いとか高いということはおかしいじゃないかと私は申し上げたのであります。従いまして、絶対に不可能とは思いません。国鉄が買えば売るが、三井なら売らないという事情があれば、これは別であります。しかしながら、国鉄が三菱に売ってくれと言ったら、それは応じますよということを言われまして、それを出発点にして、国鉄を中心にする総合開発をぜひやるようにということを、社会党の志免特別委員の方々は言われたのであります。従いまして、絶対に不可能とは思いません。
○佐々木(良)委員 国鉄がやるならば不可能、それが三井なり住友になれば可能、こういう論がどこから出てきますか。同時にまた、一体払い下げて民間の財産になったものを、国鉄財産と、あるいは国有財産と同じような観点に立って総合開発を指導する権限がどこにありますか。どこにもないじゃありませんか。
○永野国務大臣 国鉄が中心になってはなはだ実現がむずかしいといいますのは、三菱の問題ではなくして、その資金の根拠でありますところの大蔵省の了解を得られないからいけないと申したのであります。三菱が売らないからとは決して申しておりません。
○佐々木(良)委員 それはあくまでも総合開発をしようとするような民間側になってからの話でありまして、国鉄がこれを払い下げなければならぬという理由には一つもならないじゃないですか。国鉄がどうしても払い下げなければならないという理由には一つもならない。時間がどうしても追い詰められて困っておるのですが……。
    〔発言する者多し〕
○楢橋委員長 静粛に。
○佐々木(良)委員 その問題は、それでは一応留保しましょう。
 それでは逆に、先ほどあなたは、必ずしも方針をきめているのではない、こういうふうに言われましたが、先ほどの話に戻りまして、あなた方と相談をいたしました際に、先ほど言いました三カ条をわが党の代表に対して約束をされたわけであります。公党に対する約束でありますから、従って私どもは、まだやっぱり十分にわれわれとの相談のチャンス並びに国鉄労働組合等との相談のチャンス、さらにまた、完全なる未解決になっておりますところの鉱害問題を含む地元との話し合いのチャンス、これは十分にあって、その後に本格的な決定がされるのだ、こう思いますけれども、よろしゅうございますか。
○永野国務大臣 その通りであります。約束はいたしました。現にそのうちの一カ条である現地を見て話をしようということは、昨年実行するつもりで、実は飛行機の座席まで取ったのであります。そのときに社会党の諸君が、今行ってくれては困る、行くべき時期でないとおとめになりましたから、私は参らなかったのであります。(拍手)次に、国鉄は……。(「社会党のだれが言ったのだ」と呼ぶ者あり)志免問題調査委員会の諸君がお見えになって、(「社会党のだれだ」と呼ぶ者あり)私は、今正確に記憶しておりませんから、調べましてお答えいたします。
    〔「重要な問題だから、ちょっと」「そんなことをして時間をかせいでもだめだぞ」と呼び、その他発言する者あり〕
○佐々木(良)委員 私は、ただいまの運輸大臣の社会党側に対する切りかえしのような口上に対しましては、まことに遺憾にたえないのであります。(「質問が下手だから」と呼ぶ者あり)まあ私の質問が下手だからそういうことになったのだろうと思いますが、御承知のように、三菱との関係の生じたのは、かつてだいぶ前に、三菱の方から国鉄に対して買ってくれぬかという話があった。そのときは単価が折り合わなくて話ができなかったわけです。そうでしょう。今度は逆に三菱の方に全部払い下げてくれという問題になっておる。社会党はこの中に何も介在してはおりません。それからまた現地調査云々の話がありましたけれども、現地調査をしたかしないかということを私は重要視しておるのではない。それに触れて言いましたことは、少くともわが党代表に対しまして、あなた方は青山委員会の結論を持っておられる。われわれは社会党で調べた結論を持っておる。われわれも、学者も動員いたしましたし、それから炭鉱の業者も動員をいたしまして、内容調査をして、結論を持っておる。その結論と結論とを合して、内容につきまして十分に討議をしようではないか、こう言っておる。そうしたらあなたは、十分にその討議を重ねよう、こういうふうに約束された。しかしながら、その討議はいまだにされておらない。従いまして、私は追い打ちをするようでありますけれども、今ここで明らかにしてもらいたいのは、そういう討議を十分にするチャンスをまだあなたは持っておられるか、それから現地問題並びに労働組合等とも十分に話し合うところの時間的な余裕を持っておられると、こういうふうに了解せざるを得ない。従って一月十日のあなたの十河総裁に対する回答書は、当然に言葉の上では、円満に解決することを希望すると、こういうふうになっておりまするが、先ほどのアルコールの工場の払い下げの問題と同様に、当然にそれは従業員とも十分円満に話し合いができ、十河総裁は従業員の幸福のためにと言っておられるのですから、従業員が幸福であるかどうかは従業員が一番よく知っておる。従ってこれを十分に相談をされること、現地問題の鉱害問題等十分に解決方針を相談されること、わが党の先ほどの案につきまして十分なる検討をお互いにし合うこと、これらの条件が満たされて初めて本格的な分離の方針が決定される。こういうふうに思われるのでありますが、そういう見方でこの一月十日の回答書を見ていいか、こういうことです。
○楢橋委員長 永野運輸大臣。なるべく簡潔に。
○永野国務大臣 先ほど申しましたように、分離の基本方針は了承いたしたのであります。しかし、分離の基本方針を了承したということは、それをどこどこに、だれに、いつ、どういう値段でということには全然触れておらないのであります。分離はいたしますけれども、それは国鉄中心でもなければ三菱中心でもない方法も考え得るのであります。しこうして運輸大臣といたしましては、国鉄に対する許可権と申しますか、同意権と申しますか、これは一つも傷ついておらないのであります。これから、こういうふうなところへ、こういう値段で、こういう方法で売りたいということを、具体的の問題として申請して参りまして、それに対して了承を与えるときに、初めて問題は終点に達するのであります。それはまだだいぶん時間があります。その前に今御希望になったような問題で十分意見を交換する余地はあると思います。
○佐々木(良)委員 時間がありませんから、この問題は、ただいまの運輸大臣の答弁によりまして、一月十日の回答書というものは、あくまでもその条件を整えるための一つの回答であるというふうに考えまして、条件が整わなければ本格的な決定はされ得ない、こういうふうに了承をいたします。ただ、あくまでも、先ほど言いましたような総合開発、競争入札の問題をめぐりまして、少くとも国鉄側で払い下げなければならないという理由は了解することができない。むしろ逆に業界側から、何が何でも払い下げてほしいという方に問題が移っておりまするから、従って問題が非常に醜聞を伴うような状態で出されておるのだということを一つ十分に気をつけられまして、問題を前進させられたいと思います。
 最後に一点だけ私は同様の問題で聞きたいと思います。時間がなくなりましたから、一つだけお伺いをいたしたいと思います。同様な国有財産あるいはそれに類する問題で、塩業整理の問題があります。今度三十七億の予算を計上されまして、塩業整理の問題を提出されておりまするが、それは、塩業整理を今行うに当りまして、行わなければならないという事情に追い込んだところの専売公社の塩業政策に対する矛盾が根本的なものであったと思います。この責任を明らかにした後でなければ、本格的に整理していいか悪いかという問題には取り組めないと思います。同時にまた、そういう整理方針が塩業界に明らかになった後におきまして、いろいろな、たとえば前の専売公社の役員阿部某でありまするとか、それらの動きによって御承知の錦海塩業というものを許可されました。そうして今なおこの錦海塩業というものは操業開始をしておりません。さらにまた機械塩業につきましても、整理方針が明らかになった後に三社も四社も許可を与えておられます。生産過剰になったから、従って整理しなければならぬという方針を打ち出さなければならぬことが明らかになっておりながら、こういうものに対する許可を与え、そして今明らかに三十四年度の予算に整理方針を打ち出されて、そしてその方針の内容もつまびらかではない。聞くところによりますと、希望整理を中心としてやられるようでありますが、そうなりますと、あくまでも弱小企業だけをその専売制度という圧力のもとに整理をしていって、そうして犠牲をこういうところにだけ強要される結果になると思います。従いまして、私は塩業整理方針をとられようとするならば、その第一段階といたしまして、その前提といたしまして、あくまでも第一には、整理をしなければならないような、しかもそれまでずいぶん奨励政策をとられたわけでありまするから、整理しなければならないようになった塩業政策の盾矛を明らかにして、そうしてそういう政策をとったところの公社並びに関係者の責任を明確にされることがまず第一に必要な問題だと思いまするし、第二には、当然にそういう方針が明らかになってから、錦海塩業を初めとして数社許可されたことに対します疑惑を一掃されることが第二の条件になると思いますし、そして第三には、今後塩業整理の方針を行うにいたしましても、塩業政策の骨子を明確にされて、その技術指導の方針と整理の方針を明確にされることが前提となると思います。この三つの前提があって、初めてその後に今対象になっておるような塩業整理可否の論議が重ねらるべきだと思いますけれども、大蔵大臣並びに専売公社総裁の御見解を承わりたいと思います。
    〔「簡潔に」と呼ぶ者あり〕
○佐藤国務大臣 問題はまことに重大な問題でございます。お尋ねになる方も簡潔にお尋ねになるし、私の方も簡潔にという話がありますが、問題が重大でありますだけに、これは双方十分意見を交換しないと、実態をもし間違えるようなことがありますと、それこそ重大だ、かように考えます。そこで、お尋ねになりました三点について申し上げてみたいと思います。
 第一は、終戦直後から今日まで専売公社の製塩についての考え方の問題であります。終戦直後におきましても、塩が非常に足らない、不足である。そういう意味で、製塩事業に特別な援助といいますか、指導をいたしたことは、御記憶に存するところだと思います。終戦直後におきまして、あるいは工場誘致等の場合におきましても、塩田であるがゆえにということで、塩が大事だということで、さような転換方式を考えなかった。しかしその後だんだん技術が進んで参りまして一製塩方式として最も一段階をつけましたのが、いわゆる流下式枝条架方式の採用であります。しかしこの流下式枝条架方式の採用にいたしましても、一ヘクタールあたりの製塩能力というものを当時想定いたしました数量よりも、実際にやってみると非常な増産になって、二百トン前後のものを考えたのが、場所によりましては三百トンもできるようになっておる。非常に計算が正確を欠いたということはございます。この点はただいま言われるように、そういうことが責任ではないかという御指摘があろうかと思いますが、新しい技術を採用いたしました際に、これはなかなか正確な数量等が、データが細部には出てこない。この点では数字なりが変ったことについてはどうか御同情を願いたいと思うのであります。しかし、戦争直後におきまして三十万トンとか、四十万トンしかできなかったものが、最近になって参りますと、百二十五万トンになるというような状況になって参りました。しかし国内の食用塩の増加というものは、みそ、しゅうゆや、あるいはつけもの等を考えましても、あまり塩は消費が伸びるものではないのであります。そこでこの百二十五万トンというような塩の量でありますと、これは専売公社といたしましても非常に負担になる、こういう問題になりますので、昨年来この塩田整理の問題が、塩業者や専売公社、また関係の間でいろいろ論議されまして、民間人並びに業者、学識経験者等を入れました塩業審議会を設けまして、ようやく塩業審議会の結論が最近になって出て参ったのでございます。この最近出て参りました塩業審議会の結論では、今の許可トン数から見て、百二十五万トンというものを二十万トン整理するという案で一案を考えて、これが答申の骨子になっております。この塩業審議会の答申案をほとんど全面的に取り入れまして、今回の塩田整理の方向に向っておるのであります。一部におきましては、三十万トンの整理では少い、この際四十五万トン整理すればこれでいいのだ、いわゆる八十万トン程度ならいい、あるいは九十五万トン程度ではどうだろう、いろいろ整理の基本トン数の問題があるのでありますが、塩業審議会におきましては、三十万トン整理案をただいま出しておるのであります。
 そこでこの審議会の内容なり、また専売公社並びに大蔵省等が考えております整理の内容等につきましては、本国会に十分御審議をいただくようにただいま取り計らっておりますので、その詳細についての説明は省略さしていただきますが、お尋ねになりましたように、この整理をしたら今後一体どうなるかという問題でございますが、過去におきましても一度整理したことがございます。しかしその後の情勢でまた今日整理するようになっておりますが、今回の整理によりまして、需給の関係を十分に調整して参りますならば、今後残存業者についてのその事情の経営を確保するということは、一応可能ではないかと考える次第であります。
 そこでそういうような情勢になっておる際に、錦海塩業なりその他新しい科学的製塩方法を許可しておるではないかということで、錦海塩業がただいま問題になっておりますが、この錦海塩業を許可いたしました際は、国内製塩はわずか四十万トン程度の際のことであります。むしろ国内塩を奨励していた際でございます。これは三十年の時分ではないかと思います。この製塩事業というものも、設備関係等そう簡単ではございませんので、錦海塩業もその後設備の整備をはかっておりますが、まだ完全といいますか、フルに動いてはいない、こういう状況でございます。
 それからもう一つ、あるいは今後問題になるのではないかと思いますのは、製塩方法も、ただいま申すような流下式枝条架方式というようなものからさらに変りまして、電気透析法すなわちイオン交換膜方式というような非常に進んだ行き方が最近いわれておるようでございます。そこで在来の許可を受けておりますものが、新しい製塩方式に変る場合、在来の認可トン数の範囲であるならば、新技術の導入ということが望ましいのじゃないか、こういう意味の取扱い方はいたしておりますが、ただいま全体として整理の方向に向っておる際でございますので、全然在来の権利がないものに対して新しく許可いたしまして、製塩の能力を与えるとか、その権利を与えるとか、さような処置は全然とっておりません。この点は誤解のないように願いたいと思います。
○佐々木(良)委員 これで最後にいたしたいと思います。専売公社の総裁の答弁を聞きたかったのでありますけれども、同僚の時間制約が強いようでありますから、省略いたします。ただ大蔵大臣は、今のように言われましたけれども、おそらくきょうこの問題が出るだろうと思って、つけ焼刃で勉強されたのだろうと思います。しかしながら本論にはほんとうは触れておりません。たとえば錦海塩業の問題にいたしましても、許可されたのは三十一年の五月、そうしてその前に明らかに新規製塩設備の許可は取りやめられたいという意思表示が明確に打ち出されておった、そういう状態になってからであります。なおまた、この錦海塩業につきましては、御承知のように、まだ操業もしておらないし、政界の有力者や、それからもともと専売関係の有力者が、現に顧問としておられるとか、そういう政治的な力が強いものでありまして、従って整理をされるならば、この辺から最初されなければならぬことが私は前提にならざるを得ぬと思います。しかしながら時間の関係もありますから、これらの追及はまた別の委員会にいたしたいと思います。
 ただ、最後に私が申し上げておきたいと思いますことは、ちょうど製塩の問題にいたしましても、本来低利資金なり、あるいはその他技術指導なりを政府が率先して行われておりながら、その結果に対しまして、出過ぎたことに対する犠牲を中小なり弱小なりに負わせる、このことに対しまして私は猛反省を促したい。昨年ここで例をとりましたところの、あの繭糸の問題だって、同じことです。おそらく私は遠からず酪農の問題も似たなようことになるのではなかろうかと思います。これでは政治ではないと存じます。同時にまた、ほんとうは時間があれば触れたいと思ったのでありまするが、たとえば農林省の林野庁のいろんな不正問題をめぐるところのいかがわしい事件、あるいはまた文部省の外郭団体みたいになっております文教協会の不正の問題、これらを含めましても、官紀の弛緩が、まさに私は今最も摘出、抽出されなければならぬような状態が次々に出つつあると思う。同時にまた、こういう整理問題とか払い下げ問題とかをめぐりまして、政界、あるいはそれに類するものの暗躍は、いろんな弛緩のうわさを生んでおることも事実であります。従いまして、私は、岸総理大臣がほんとうに政治を進め、現実に効果を持つような政策を推進されるならば、政策の樹立に当って、はっきりと責任を持ったところの方針で、しかも弛緩をしておらない官僚をして、官僚制度の中で目的と意図とが違わないような形で、おそらく総理自身は意図は違ったかもしれないけれども、全然逆の結果を生み、疑惑をさらに重ねるような形で問題の推進をされないように、一、二の例をあげまして、特に強く総理に希望いたしまして、時間をとりましてまことに恐縮でありましたけれども、質問を終りたいと存じます。(拍手)
○楢橋委員長 質疑を続行いたします。淡谷悠藏君。
○淡谷委員 私は、国防会議の議長としての岸総理に対して、国の防衛に関する現状についての質疑をいたしたいと存じます。
 総理御承知の通り、今の日本の防衛の姿というものは、かつての保安隊やあるいはそれ以前の警察予備隊、これらとは全く相貌を一新いたしまして、兵員において二十三万、飛行機は千数百機、艦船また百数十艦といったような、いわばりっぱな軍備となっております。もしこのままでこの増強が行われていくならば、今にしてはっきりした統制、並びに指導の方針を立て、防衛の基本方針を立てなければ、手に負えない状態になってくるというおそれが多分にあるのであります。軍部というものは、昔から棒きれを持った子供みたいに、なかなか言うことをきかないということは、叡山の山法師以来、これは日本の伝統になっておりますが、ましてミサイルなんというものを持つようになりました現在の日本の――軍部とは言いませんでも、自衛隊の姿というものは、とてもパチンコを持った子供に対するような、そんな気持では、これはなかなか統制がつかぬ状態になってくると思うのであります。特に最近の自衛隊、防衛庁の内部を見ますると、この防衛の基本方針が非常に乱れておるばかりでなく、経理の面におきましても、運営の面におきましても、いろいろ疑わるべき点が多く出て参っております。これはとても防衛庁長官が全責任を負ってこれらのものを粛正するという段階ではございません。従って今にして国防会議が本来の姿を見定めまして、岸総理に国防会議の議長として果断なる処置をとっていただかなければ、あなたが核兵器を持たぬ、持たぬと言っておるうちに、いつの間にか核兵器が入ってしまうといったような既成事実ができ上らないとは保証できない状態であります。防衛庁並びに自衛隊の今後の方針につきまして、一体国防会議の議長としての岸さんはどういう考えを持っておるか。時間がないから十分でやめてくれというような申し出がございます。こういう大事な問題に対して十分はとうてい短かい時間でございまするが、特別に岸総理の出席を願ったのだから、どうしても十分に限れという与党理事の強硬な申し出がございます。そこで私は岸総理に全部の事項につきまして一応並べまして、ここで岸国防会議議長の御答弁をお願いしまして、この問題についての総理から納得のいくだけの御答弁を願って、あと私はあきらめます。
 まず第一に、この国防会議の性格を見ますると、国防会議に内閣総理大臣は次の条項の協議を諮らなければならないという義務を負っております。すなわち、内閣総理大臣としての岸信介氏が、この防衛庁の方針を受け取りました場合には、同じ国防会議の議長としての岸信介氏に、国防会議に諮ることをやらなければならない。いわば全責任があなた自身にしぼられておる。その条項は、第一は国防の基本方針であります。第二は、防衛計画の大綱であります。第三は、前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱であります。第四には、防衛出動の可否であります。第五には、その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項であります。しかるに現実の国防会議は、予算を千四百万円とっておりますけれども、ほとんど開かれていなかった。岸議長自体も、会議には三回しか御出席がなかったことを決算委員会では言明しております。しかも一方、この国防会議をめぐりましては、さまざまな疑惑がわき起りまして、事務局長の広岡君にいたしましても、現大蔵省主計官の吉村君にいたしましても、かつてはこの国防会議の中におった人間としていろいろな疑惑をまいておる。これを一体総理はどうつかんでおられるのか。この国防の大綱を統べる国防会議の内容が、このように国民の疑惑を受けるようなものであれば、とうていこれは信頼することはできない。特に広岡事務局長の言明に従いますると、巷間さまざまな疑惑の雲に包まれておりまする天川勇という人間が、国防会議の中で講演をやってその講演料をもらっておるということを、はっきり証言しております。この天川という人は、新三菱重工業の顧問であり、また小松製作所の顧問であった。そういたしますると、この国防を広義に考えて、防衛産業の隆盛をはかろうとする岸国防会議議長の構想が、妙なところで破綻を起すのではないかと私は思うのであります。こうした国防会議の内容の紊乱した形、また弱い形、同時にこの国防会議にさまざまな議案を持ち込み、報告を持ち込みます防衛庁自体の最近の動きはどうであるか、私は項目を並べまして、岸議長の明快なる御答弁を願いたいと思うのでありまするが、第一にはF86の返還の問題であります。まだ多くの飛行機が作られようとしているのに、せっかく借りたこの飛行機を返さなければならないというのは、一体当初の計画において誤まりがあったのか、そのあとで情勢が変化したのか、こういう点を一つ国防会議の議長として、その立場から明快にお答え願いたい。
 第二には、航空機搭載用の八センチのロケット弾をスタッキーニ会社に注文しましたのが、これはこないばかりか、予約金さえ返ってこない状態になった。これはすでに会計検査院が摘発をしておる。しかもこうした予算と供与物品に対するバランスのとれない、非常に国費の乱費を招くようなやり方は、昭和三十年にすでに会計検査院によって厳重なる警告を発せられておる。これを今まで何ら調整もせずに、あのぶざまな、使ってない飛行機を返してくれという要求を突きつけられるまで黙っておったのは、一体どこにあったか。この点もやはり岸議長に一つ御答弁を願いたい。
 さらに、ミサイル、エリコンなどの持ち込みによる基地の関係であります。飛行機は入ったが、パイロットは少い、基地は十分な計画が立たない、これでは一体防衛の基本線はどうなるのか。一体エリコンやミサイルを使うならば、どこにどういうふうな計画を立てるように岸議長は持ち込まれておるか、この点も一つ御答弁を願いたい。
 第四には、新島、百里原の基地に関する問題であります。これはもうすでに新聞紙上でも詳しく出ておりまするし、またあとで防衛庁長官には具体的な事例について徹底的に質問申し上げたいと思っております。ただ、こうした新島、百里原の問題で地元民が激しく反対しておるのを、計画が立ったばかりで、何らめどがつかないところへ持っていって大きな建物を建てまして、あるいはまた一方で信じがたいような補償の条項を持ち出して、権力と金力にものを言わせて、しゃにむにとってしまおうという形で、防衛庁が基地建設を進めるならば、私は幾ら基地ができ上っても飛行機ができても、民心の離反による非常な治安の不穏が出てくると思うのであります。こういう点に対しましても、根本的に岸総理はどうお考えになっておるか、私はお伺いしたい。
 第五には、グラマンの問題であります。これは詳しくは申し上げません。ただうわさに聞きますと、天川勇などの証人は今後絶対に政府の方針で呼ばせないということに決定したということを言っておりまして、これは先般中止になりました決算委員会でもいろいろ取り上げられました。どうかそういう点があるかないか、これをお答え願いたい。この問題は決算委員会の問題でございますから、岸さんの御答弁によって、私は決算委員会に対する対策を立てたいと思います。
 第六には、これは最後でございますが、日本の防衛はあくまでも政治優先でなければならない。かっての日本の軍部のように、軍部が優先したのでは、やがてこの防衛は完全ではないから、あくまでも政治が優先しなければならないということが言われておりますが、最近の情勢を見ますと、政治が優先するのではなくて、日本の防衛産業の必要のために、あえてこうした防衛方針を改める、あるいは機種の選定をする、いわば防衛産業優先の形が露骨に現われてきておると思いますが、これで果してよろしいかどうか、総理のはっきりした御答弁を願いたいと思います。
○岸国務大臣 国防会議は、御承知のように国防の基本方針、防衛計画の大綱、前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱、防衛出動の可否、その他内閣総理大臣が必要と認める重要事項、こういうことになっておりまして、国防の基本方針、また防衛計画の大綱等につきましては、それぞれ審議して決定して、すでに発表してあるものがございます。今おあげになりましたF86Fの返還ないし新島の基地等の関係は、これはいずれも国防会議に提出せられ、国防会議において審議される事項ではございませんで、またそういう事実もないのでありまして、これらにつきましては、防衛長官が責任を持って処理しておることでありますから、防衛長官からお答えをすることにいたします。
 第五のグラマン問題につきましては、決算委員会において従来いろいろと審議されておることは、御承知の通りであります。私どもはこの決算委員会の審議に対して、政府として何らこれを牽制するとか制約するというような考えは持っておりませんし、そういうことも従来全然しておらないということを御了承願いたいと思います。
 最後に、防衛の問題について、いわゆる政治優先、これは言うまでもなく、防衛ということは、単に狭い意味における自衛隊の活動だけが防衛ではなくして、外交もあるいは内政も、すべてこれに関係を持っておることでありまして、国として政治が優先してこの防衛の問題を議すべきことは当然であります。この意味において、政治優先であるということは、戦後の防衛に関するものとして重要な原則です。決して、今おあげになりましたように、われわれが防衛産業を――もちろん防衛産業の維持育成ということも防衛上必要なことでありますけれども、その必要のために政治が曲げられるというようなことは、全然考えたこともございませんし、また考えるべきでないことは、言うを待たぬと思います。
○淡谷委員 簡単に一問だけお願いしますが、今の御答弁では実は満足はいきませんけれども、いろいろお急ぎのようでありますし、与党の理事がうるさく申しますから……。ただ一貫した方針についての問題ですが、今後防衛庁長官の答弁というものは、岸総理がはっきり責任をとられる答弁であるというふうに解して差しつかえございませんか。
○岸国務大臣 もちろん防衛庁長官が責任を持ってお答えを申し上げますことは、私が全部責任を持つつもりでございます。
○淡谷委員 それじゃ伊能防衛庁長官にお尋ねしたいと思います。新島にミサイルの試射場を作るということが具体的に起っておりますが、これについて防衛庁の計画はどうなっておりますか、できるだけ詳しく御説明願いたいと思います。
○伊能国務大臣 お答え申し上げます。新島の試射場につきましては、御承知のように射場の地域、飛行場、係船突堤、さらに制限海面区域等を設けまして、その計画は大体次のように相なっております。
 第一に、射場地域は御承知のように面積が約十万坪でございまして、発射場のほかに隊舎、観測所、工作所、倉庫等の建物が約四十棟、坪数にいたしまして千百五十坪を設置する予定でございます。第二といたしましては、射場に至ります通路は、幅を広げたり新設をいたしたりいたしまして、約十六キロを整備いたします。第三に、飛行場は面積二万六千坪を必要といたしますので、長さ六百メートル、幅三十メートル程度の滑走路を計画をいたしております。第四に、係船突堤は離島の振興計画に掲げられております以外に、当庁として必要最小限度の使用の約五十メートルを延長しよう、かような計画になっております。その他水道、電気、通信等の付帯設備を設けますことは、御承知の通りであります。第六には、発射方向を海面にとります関係上、角度三十度と長さ約二十五キロの扇形の範囲を新島南方海面に、試射の際に漁業操業制限区域を設ける、大体かような計画が全体の計画となっております。
○淡谷委員 予算についてはどういうふうにお立てになっておりますか。
○伊能国務大臣 お答えを申し上げます。予算につきましては、本年度におきましては、不動産購入費、土木工事費等で約三千六百万円を支出する歳出予算といたしております。また土木工事費、建設工事費、附帯設備費等六千八百万円を国庫債務負担行為として計上をいたしております。
○淡谷委員 一体この試射場の設置につきまして、従来島民に対してどのような理解を求めておりますか、またどのような説得の方法をとっておりますか、これを一つお答え願いたい。
○伊能国務大臣 御承知のように、新島の試射場につきましては、従来ミサイルの基地ではないかというような誤解がございましたので、その点は誘導兵器の基地ではない、単なる試射場である、しかも目下研究中でございます国産の誘導兵器の試射場であるということで、飛行場の設置その他制限海面区域等、さいぜん御説明申し上げました内容を、広く島民の方々に御理解を願い、また、島の責任者である村長、村会の方々にも御理解を願いまして、全体としてこの地方が試射場設置によって、同時に他の面におきましても、いろいろと総合開発が離島振興等でされるということと両々相待って、島の開発にお役に立つだろうということで、目下PRに努力中でございます。
○淡谷委員 いろいろ島民の了解を求めたという話でございますが、一体この島の面積はどれくらいあって、今度防衛庁が要求されます試射場、飛行場はその面積のどれだけをとるつもりで計画をされましたか。
○伊能国務大臣 大体新島の全島の面積は約八百万坪でございます。当庁の必要地域は約十万坪でございまするし、また試射場立入制限等の関係から制限を要します地域は約百万坪、かような状況でございます。
○淡谷委員 だいぶ広い試射場の計画でございますが、これについて島民から反対運動が起っておることは御承知だろうと思う。この反対運動をしております者について、長官は何か了解運動をやったことがございますか。
    〔委員長退席、西村(直)委員長代
  理着席〕
○伊能国務大臣 本島につきましては当初きわめて円滑に進んでおりましたが、中途から御指摘のような反対運動も出まして、いろいろとわれわれの方としては実情について御理解がない点等があってはいかぬ、かように考えましてあらゆる努力を尽しました結果、最近におきましては、町会等において当庁の真意を御理解を願って、従来反対をされておった者がそれを白紙に返すというような形にまで逐次好転しておるように私は承知いたしております。
○淡谷委員 村長その他村のある有志がしばしば防衛庁へやってきて、この問題について打ち合せをした。そのときに防衛庁では、産業や交通を阻害しないために別に防波堤を五十メートル延長する、こういう約束をしたかどうか、これは一体だれにしたのか御答弁願いたい。
○伊能国務大臣 お答え申し上げます。さいぜん触れたと存じますが、この問題につきましては、港について、試射場を設置するというような際には当方として五十メートル程度の長さの船を入れる必要がある、かような関係上、新島における離島振興その他の計画による突堤の設置等に特別な支障を与えては御迷惑かと存じまして、もし新島の試射設置というようなことが、島民その他島内の正規の機関等で御了承が得られた際には、私どもとしてはなるべく本島に御迷惑をかけない範囲で、われわれでなさなければならぬ施設はいたします。従ってたとえば新島の突堤についても五十メートルを私の方で専用して使用する場合が多い、そういう意味から現在の突堤のほかに五十メートルの延伸等についても私どもとしては作るというようなことを、正式の文書等ではありませんが、いろいろなお話し合いの際にそういう話が出て、私どもの方としてさような考えであるというような状況でございます。
○淡谷委員 一体防衛庁が本年要求しております予算の中のどの項目に、この防波堤の延長予算が含まれておりますか。一体防衛庁の予算にそうした必要な土木工事の予算がたくさん入っているのですか。
○伊能国務大臣 予算科目の詳細につきましては、経理局長から御報告させます。
○山下(武)政府委員 予算科目は施設整備費の中に含まれております。
○淡谷委員 新しくできる基地にそれくらいの御親切な気持があるならば、先般内閣委員会で石橋委員から請求のありました北海道の問題自衛隊が演習をしてさんざんに橋をこわし、道路をこわしてなかなか直してくれない、幾ら要求しても直してくれないで、一方ではまだ基地が完全な了解を得ていない島に五十メートルの埠頭を約束する、こんなことがありますか。なぜ要求のあった北海道はほうっておいて、新しい予算でこっちの方だけやるんですか。
○伊能国務大臣 お答え申し上げます。北海道のどの地域であったか具体的に存じ上げませんが、さような演習後の事態等については、従来できるだけ早く、御迷惑をかけないようにいたしておりますし、また御承知でもございましょうが、民生協力の面におきまして、道路の建設、橋梁の建設等にも、民間の依頼があれば、自衛隊としては演習に支障を来たさない範囲において御援助するということで、相当の御協力をいたしておりますので、これは余談でございますが、さような御迷惑をかけたものについては、できるだけ早く復旧いたしたい、かように考えております。
○淡谷委員 これは北海道の鹿追の特科大隊にあったことでございまして、これはずっと以前からしばしば請求があったのに、まだ直していない。おそらく北海道だけではありません。全国にこういう事例はたくさんある。これをほうっておいて、まだ取れもしない予算で、いわば利益を供与して島民の承諾を得ようというような態度は、非常に誤まった態度だと思うのであります。特にこの島の人々の具体的な生活状態について、長官は考慮を払われましたか。つまりあなたのおっしゃる通りでございますと、八百万坪のうちの十万坪、これをとって一体あとの生活がどうなるのか、その点の考慮が払われておりますか。
○伊能国務大臣 私どもの計画について、さいぜん来申し上げておりますように、実情をよく島内の方々に御説明をし、最近逐次御了解を得ておりますので、これを作ります際にはそういう問題等についても十分協議をいたしたい、かように考えております。
○淡谷委員 作ります場合にといいましても、すでにあなたの方では作業を始めるような形になって、計画ができて、予算の要求がある。一体最近の自衛隊のやり方を見ますと、ただ新島だけではございません。先般町長のリコール問題で大へん騒ぎました百里原の演習場予算の問題、あれにいたしましても地元が了承を与える前にどんどん作業を始めているじゃないですか。最も大事な滑走路はまだ直っていない。まだ国費はとれていない。それを片っ端から莫大な予算をかけてあんな大きな建物を建設したというのは、一体どこにねらいがあったのか。
○伊能国務大臣 百里原の問題につきましては、御指摘の点もございますが、大部分の方々の御了承をいただきまして、その御了承をいただいた部分から――関東地区における飛行場の設置等防衛力整備の関係上、あそこに土地を選びましたので、御了承を得た所から逐次やっておりまして、なお数名の方々の御了承を得られない向きもありますので、この点については今後さらにとくとお話し合いを続けまして、何とか御了解を得たい、かように考えております。
○淡谷委員 長官はまだ就任以来新しいので、百里原の今までの経過については詳しく御承知がないようであります。一体大半の者が賛成をした賛成をしたといって、非常な圧力を加えて動きのとれないようにして、泣き泣きこれを取ってしまおうという態度が、このごろ自衛隊に現われて参っております。新島の諸君にしましても、一年間の収入というのは乏しい耕地から十万円ほどしかないのです。あそこの自衛隊がねらっておりますツバキの林からとるツバキの実で辛うじてこの生活を補っておる。しかも離島振興法では見放して、全然波止場の工作をしてくれないので、その困ったところにつけ込んで、おれの方の基地を承諾するならば、五十メートルふやしてやろうというようなことは、まるで貧乏人の娘をいい着物や金銭でだまして身を売らせるようなものじゃないですか。私はこういう説得の仕方は、明らかに防衛庁の権力をかさに着た強引なやり方と言わざるを得ないと思う。一体あの新島のツバキの植わっております向山の土地が、どういう関係で現在の島民が作っているのかお調べになりましたか。土地の耕作権の問題あるいは賃借権の問題、これを詳しくお調べになりましたか。
○伊能国務大臣 それらの問題につきましては、私就任早々でございますので、まだ詳細を聞いておりませんが、ともかく御指摘のような形でなく、あくまで話し合いで円満にまとめていこうということで、このために時間もある程度かかっておりますので、こういう形でできるだけ円満にやりたい。従って最近は逐次円満な形で多数の方方の御承認が得られつつある、こういう状況であります。
○淡谷委員 それはとんでもない御認識です。ちっとも円満な形では進んでおりません。まだ予算が承認も得ていないものを、きまってしまったかのごとく島民を欺瞞しまして、もうおれの方にまかせればすぐにでも作ってやるのだ、こんなことを言っておるから、まじめに考えて、こんなパンフレットを作って全部まいている。防衛庁に頼めば全部五十メートルの波止場は作ってくれるのだ、あとのめんどうを見てくれるのだ。まだ予算がきまっていないのです。これは一体説得にしましても、きまらない予算でこういう約束をするというのは、あなたの越権じゃありませんか。この点どうですか。
○伊能国務大臣 お答え申し上げます。三十四年度の予算につきましては、御指摘の通り目下御審議をいただいておりますので、私どもとしては、本年度並びに来年度かような飛行場でない試射場の設置の計画というものは、長期にわたるものでありますから、それらの計画の内容等については、島民等にも誤解のないようによく事情を話しておる、かようなことでございます。
○淡谷委員 あとになったんじゃおっつかないから、今から言っておくのであります。この新島のツバキの植わっております向山の土地は、大正十一年から村が島民に貸し付けたものです。二十年の期限をつけておる。しかも更新の規定を設けて、また更新に入っておるのです。これを自衛隊一流の強引なやり方で、しゃにむに取り上げようとなさったり、あるいは明日行われます村会議員の選挙で事態がどう変るかわかりませんけれども、村会がかりにこの取り上げを決定したといたしましても、個人との間の契約ではなかなか勝手にならないんだということを長官は知っておるのですか。
○伊能国務大臣 お答え申し上げます。村会としては御指摘のように全体の町を代表した意見に関する決議をされるか、どうか、この辺のところは先の問題でありますのが、御指摘のように個々の権利の問題につきましては、私ども他の場合においてもそれぞれ個々の方々と話し合いを進めて円満に解決をする。かように考えております。
○淡谷委員 長官は一体村会やあるいは町会が決議をしましたならば、これは無条件に従いますか。地元の人々の世論として町会あるいは村会の決議には無条件に従いますか。
○伊能国務大臣 一般的なお話では私もお答えができませんが、内容によっては同意いたすこともあり、また同意いたしかねることもあろうと思います。
○淡谷委員 私はその強引な態度が、今日の基地における非常に大きな混乱を招いておる第一の原因だと思うのです。第一、百里原の状態を見てごらんなさい。町長が誘致反対で立って当選して、大体それに傾いたものを防衛庁はこれまでどんな手段で切りくずしましたか。一人々々の音楽隊に警官がついて、軍艦マーチなどというなつかしいメロディをかなでながら、あそこに盛んに基地誘致運動を展開していったのはどういう理由ですか。現に今度のリコールの問題でもわずか六百票の差ですよ。それがリコールの投票が賛否きまった場合、きのうあそこに入った十人の建設業者が中に入って、あなたの方の楽隊が出張して祝賀会をやっておる。これはああいうふうな廠舎を建てたりその他の建物を建てた竣工祝いかもしれませんが、あの激しい町をまっ二つに割った中からでき上ったものを、あとの半分三千名が集まって、自衛隊の音楽隊にあおり立てられながら祝賀会をやった場合に、敗れた半数の町民が、これでもはっきりあなたのやり方に承服しておると思っておりますか。これで一体民心が離れないと思いますか。民心を離れて防衛の基本が立ちますか。はっきり伺っておきたい。
○伊能国務大臣 昨日の民間建設業者のやりました祝賀会につきましては、先般もいろいろお話がございましたので、われわれといたしましては、選挙に関連のないように、もしやるならば、そういうことに関係のない時期にやってもらわないといかぬだろうということで昨日行われたようでありますが、これにつきましては御承知のように、御指摘のような点もありますが、同時に自衛隊の実情というものについては、国会等においても絶えずPRが足らぬとかいろいろ御指摘がありますものですから、その機会に写真の展覧会あるいはその他のとりあえずの品物等を展覧に供する、また構内の開放もして、広く実情がどういうことにあるかということを、自衛隊としては一般の人に展覧に供した程度であります。
○淡谷委員 リコールの投票には選挙法の規定がないからいいようなものの、一般の選挙ではお礼さえ禁じられておる。ありがとうございますと言っても、これは違反になるという。それがきのうリコールがきまった。きょうは音楽つきで自衛隊が先頭に立って大々的に祝賀会をやるということは、これに関係がないという感覚ですか。あなたはそんなセンスですか。
○伊能国務大臣 ただいまお答え申し上げましたように、防衛庁としては、選挙の問題に関与しないような時期に、もし業者がみずから祝賀会をやるならばやってほしいという希望をいたしまして、その機会にたまたま自衛隊としては、自衛隊の実情というものを、できるだけ国民各位にお知りを願う、それによって自衛隊の実情を理解していただくという意味で、若干の展示会をいたした程度でございます。
○淡谷委員 一体選挙の済んだ次の日というものは、選挙に関係のあるときですか、ないときですか。しかも土建業者が先になってやっておる祝賀会に、わざわざ自衛隊の方から音楽隊を派遣する必要がありますか。自衛隊がやる祝賀会ならばよろしい。土建業者がやる祝賀会に、自衛隊の音楽隊を派遣するということがありますか。それで一体小川町の町民の自衛隊に対する考えは、いい方面にPRされたとお考えですか。
○伊能国務大臣 私どもは、そういう気持でできるだけ現地のものがやったと存じております。
○淡谷委員 長官がどういう気持を持ちましても、現実はそうなっていないところに、今までの防衛庁の問題があったのです。平穏にやるというのに、建築業者と地元民が血を流して、警察の問題まで起しているのがあそこの百里原の実態なんです。町がまっ二つに割れて、誘致派か誘致反対派か、もう血を降らすような争いをしておるのが現実の姿なんです。そこへ持っていってああいう行動をするのは――この前の音楽隊の派遣もありますが、重ねてこういうことをやったというのは、一体どういうことなんです。長官がかわったらしいとは言えない。この点はどうです。
○伊能国務大臣 再々お答え申し上げましたように、当方といたしましては、建築業者の主催の会でございまして、たまたまその機会に、自衛隊の実情についてよく国民の方々にお知りを願うという意味で、ああいう設備を一定の期間公開いたした、かようなことであります。
○淡谷委員 さっきあなたは、新島の五十メートルの波止場を作る予算案をいつ組むと言われましたか。いつごろ出すと言われましたか。
○伊能国務大臣 お答え申し上げます。昭和三十四年度に計画をいたしております。
○淡谷委員 決行するのは四年でしょうが、今度の予算に入っておりますか。
○伊能国務大臣 三十四年度の予算の中に入っております。
○淡谷委員 予算はまだ通っていないのですよ。予算が通っていないのにこういう確約を与えて、村民全般に自衛隊が自分の力で五十メートルの波止場を作ってやるんだ、こんなようなPRをさして、それであなたは安閑としておれますか。まだこの予算は通っていない。国会の審議によっては、あるいは通らぬかもしれない、こうはっきりあなたは答弁しました。
○伊能国務大臣 さいぜんも私答弁申し上げましたように、役所としては予算上こういう計画になっておる、従ってお話し合いのついた際にはそういう点について、村に、また島に御迷惑をかけないように、防衛庁としてはこういう計画であるということを申しておるのでございます。
○淡谷委員 それとは全く違って、防衛庁は今にも五十メートルの波止場を作るのだというふうに島では宣伝されておりますが、これは明らかに誤まりであって、今度の予算が通ればこうするのだという、仮定の事案だということをあなたは確認されますか。
○伊能国務大臣 予算は、御承知のように審議中でございますので、予算が通った暁において、私どもとしてはお話し合いがついた上でさようにいたしたい、かように考えております。
○淡谷委員 多額の予算を要求しておきながら、陰へ回ってはこういう虚構な事実を信じさせるがごとき方針で、地元民をたぶらかしてきましたのが今までのやり方なんです。特に百里原の演習場では、まだ滑走路の地面がきまらないのに、あれだけ膨大なる建物を建てていますが、あの経費は一体何年度から出しましたか。
○山下(武)政府委員 お答え申し上げます。ただいままでに完成いたしました工事は、請負金額にいたしまして二億九千六百万円でございます。予算は三十二年度からであります。
○淡谷委員 二億九千六百万円の予算をかけまして、もし滑走路の問題が解決がつかないでできなかった暁には、あの建物をどうします。
○伊能国務大臣 私どもとしては、あとわずかな人々がまだ御了承いただいておりませんので、この点について今後あらゆる努力をいたして同意を得たい、かように考えております。
○淡谷委員 わずかな人と申しましても、やはり数名が一番大事な滑走路で反対しているのです。わずかな人間ならば、防衛庁は自分の権力と金力で、しゃにむにとってしまおうという腹なんですか。このごく少数の人間の反対を、一応聞いてやるというような度量は持っていないのですか。しかもその問題がきまる前に、さっさとああいうふうな建物の建築をして、しかも地元の土建業者の使用人と地元民の反対者と相争うというような事態をかもした責任は、一体だれがとります。
○伊能国務大臣 御指摘のように、わずかな人数でありましても、これはそれぞれよくお話し合いをして説得をいたさねばならぬ、かように考えておりますので、できるだけ努力をして円満な解決を期したい、かように考えております。
○淡谷委員 工事は、円満な解決を見てからでいいと私は思うのです。円満な解決を見る前に、しゃにむにこういうものを作って飛行機を飛ばして、用もないのに留守部隊を置いて、用がないからあと大半は宮城県へ行っておるでしょう。一体あそこには何部隊が行っておるのですか。
○伊能国務大臣 御承知のように、すでに建物ができておりますので、それの管理等の若干の部隊がおるような状態であります。
○淡谷委員 長官に申し上げますが、あなたは防衛庁の予算をあなた個人のものと思うようなつもりじゃ困るのです。あそこはほんとうは滑走路が必要なんでしょう。飛行場なんでしょう。その飛行場ができもしないうちに建物を建てて、二億九千六百万円という国費をつぎ込んで、このために政治の上では、あるいは文教、社会保障の面で大きな穴があいているのです。それを使わないで、のんべんだらりと何人かの自衛隊員をやって番をさせておるというのは、百里原というところは、一体ああいう建物の番をするための演習場ですか。まさか番をするための演習場ではないでしょう。飛行機を飛ばせるための演習場でしょう。一体この国費のむだをどうするのです。あれを、滑走路の問題が解決してからゆっくり気持よく建築して、一体どこに支障があったのですも
○伊能国務大臣 御指摘の点もございますが、御承知のように飛行場の建設につきましては、いろいろと話し合いのできない面もあり、またできる面もあろうと思いますので、逐次お話し合いのついた面から解決をしていき、その上で解決のつかぬ方についてはとくと懇談をして、できる限りの努力をしたいという形で従来やって参っておりますし、またそれ以外に方法もございませんものですから、さいぜん来お答えしましたように、できるだけ話し合いの上で滑走路の急速な整備をはかりたい、かように考えております。
○淡谷委員 大蔵大臣にお聞きいたしますが、一体防衛庁の予算の使い方は万事こういう調子のが多いのです。調達庁またしかりです。これは私、調達庁の方にお伺いしますが、今まで演習場、これは米軍の場合ですが、演習場として予定しまして、だいぶ土地を買収しながら、これが取りやめになって、そのまま国有財産として使わずに残っておるような地面は、全国にどれだけありますか。例をあげて言ってほしい。
○丸山(佶)政府委員 演習場として土地を買収しながら、それをそのまま演習場に使わずにほってある。これについての全国の全般的な調べは手元にありませんが、具体的に最も記憶に新しいものは、御承知だと思いますが、群馬県の妙義山、あそこに山岳訓練場を軍人が作る、そのために土地を買収いたしました。約一万一千坪でございます。
○淡谷委員 まずその例で重ねてお聞きしますが、この一万一千坪は坪当りどれだけでお買いになりましたか。
○丸山(佶)政府委員 坪当り千二百円でございます。
○淡谷委員 大蔵大臣、私はあなたにお聞きしたい。妙義山のてっぺんの草一本、木一本はえてない荒れ地が、坪一千二百円の単価で一万一千坪国有財産の台帳に載っている事実を考えてみて下さい。この前決算委員会で追及しましたら、ずっと離れて軽井沢があるから、軽井沢並みでございますという答弁です。一体現実にあそこの妙義山のてっぺんの土地が坪一千二百円の価値があるかないか、これを大蔵大臣どう考えられます。
○佐藤国務大臣 ただいま言われるように、引き継ぎましたものが全部帳簿に記入されておるわけでございますが、ただいま言われるように非常に高い値段になっております。この買い上げの際におきましては、地方にもいろいろの事情があるようでございます。先ほど来お話しになっております百里原等におきましても、いろいろな話があるだろうと思います。そういう点を十分話し合いをして、そうして最終的な決定をいたしておると思います。ただ問題は、大事な税金を使って買うのでございますから、そういう意味で十分話し合いを続けていくという建前はとっておりますものの、ときに現地と十分話が合わないというふうな事態も起るのではないか、かように考えます。
○淡谷委員 さっき佐々木委員からも、国有財産の取扱いにつきましては非常にルーズになされておる。これはちょっとことしの歳入予算の水増しみたいに、どんどん国有財産の評価の水増しをされたのでは、これは財政の根本に狂いがくると私は思う。
    〔西村(直)委員長代理退席、委員長
  着席〕
事情もございましょうけれども、今大臣お聞きの通り、まだその基地あるいは演習地の状態が完全に整備されていないのに、片っ端から二億九千六百万円も国費をつぎ込んで、使われもしない建物を作ってしまって、抜き差しならなくなって、どうしてもこれを買い上げようというから、無理な額も出すし、また圧迫も加えるのです。これは調達庁並びに防衛庁の基地や演習地を設定するときの基本的な方針の誤まりなんです。
 重ねて聞きますが、小牧はどうです。愛知県の小牧はどうです。あれもずいぶん無理をして、あなた方が土地を買い集められた。小牧は一体米軍はどうしておりますか。
○丸山(佶)政府委員 小牧の飛行場の拡充につきましては、約二十万坪の土地を買い上げました。坪当りの単価は、宅地で三千百七十円、農地千五百十七円でございますが、買い上げましてこれを軍に提供し、軍では予定通りの滑走路を建設いたしました。しかし昨年の九月に飛行場が返還になりましたので、これのことは国有財産の管理当局に引き継ぎ、なお民間航空というものに使用させるということで運輸省の方で使用しておるわけでございます。
○淡谷委員 大蔵大臣、これはお聞きの通りです。農地が一坪千五百十七円ではどうなりますか。一反歩四十五万円です。これが二十万坪また国有財産になっておる。米軍が使うからといって無理をして、地元のあれほど激しい反対を押し切って取ったとたんに、米軍は使わぬじゃないですか。この責任は一体だれが負うのです。外務大臣、どうです。米軍が無理をして基地を作らしておいて――さあ今度は買ってやって、こんな犠牲を払って国費を乱費して作ってやれば、あとは要らぬ、これは一体何です。
○藤山国務大臣 米軍の調達その他につきましては、遺憾の点もずいぶんある場合があるわけでございまして、われわれとしては、そういう実例がありますれば、できるだけアメリカも注意を促して、そして反省してもらい、今後そういうことのないようにやって参るのが当然だと思います。
○淡谷委員 私は外務大臣に無理をして米軍に使ってもらうように願ってもらいたくないのです。むしろ地元が反対するのは、反対する理由があって反対しておるのです。あなた方はおそらく、社会党や労働組合が反対しなければ砂川の基地の反対もないだろうし、あるいは妙義も百里原も、新島の反対もこないだろう、こう思っておるかもしれない。けれども地元の土地がどういうふうな賃貸借になっているのか、耕作権がどうなっておるのか、あるいは島民の生活がどんな状態にあるのか、これも考えないで、きめもしない予算を持ち出していって、利益でつるから、結局無理が生ずるのです。この演習地の設定の仕方自体に無理がある。これを直さなかったならば、日本じゅうどこへ持っていっても基地闘争はなくなりません。しかも米軍がろくに要りもしないものを、せっせと調達庁あたりが骨を折って買い取って、地元民を泣かしてきた、とたんに使わない、あとへ自衛隊が入るでしょう、これは邪推をもってすれば、自衛隊では風当りが強いから、米軍がいる間に演習場を作らしておいて、あとへこっそり入り込もうという魂胆があるとも見える。しかも米軍ならば無理がきくが、自衛隊ではなかなかうるさいから、無理がきくまいから、なるべく作っておこうというような魂胆はなかったのですか、どうです。米軍が置いていった基地、演習地は、全部自衛隊がこれを使いますか。
○伊能国務大臣 御指摘のような疑念を受けることははなはだ恐縮に存じますが、私どもとしてはそういうような事実はございませんで、あくまで米軍から正式な要求に基きまして、調達庁においてそれらの土地の獲得に努力をいたしたことと存じます。今後におきまして、私どもとしてはもちろんさようなつもりはございませんし、また米軍の現在撤退の状況等についても、陸軍兵力の撤退を除いては、当面航空兵力等の撤退については、私ども何ら話は聞いておりませんので、さしあたり今米軍が接収しておりまする航空基地その他の練習場等については、将来われわれとしても十分検討いたしたい、かように考えております。
○淡谷委員 大蔵大臣に国費の乱費の事例をもう一つお話ししましょう。これはもうすでに内閣委員会で質問がありまして、まだはっきりした答弁が出ていませんので、あえて申し上げますが、佐世保に旧海軍の水交社、海仁会の建物があります。これは解散団体に指定されまして、終戦後に国に没収されております。米軍がこれを使っておった。それを講和が発効する前に民間に払い下げております。これはGHQの要望によるものだと言っておりますが、ところがこの内容が非常におかしいのです。このGHQの指令によって、法務省の民事局が長崎県に委託をして公売入札をしたのでありますが、佐世保の土地建物株式会社に九千万円でこの二つの建物が払い下げられております。これは正確なところは、三千六百六十万円で水交社、五千百五十万円で海仁会会館、これが払い下げになっております。ところがこの賃料として払ったのはどうか、払い下げておいて米軍がこれを撤退しない、いつまでも使っております。従って国が建物を買った人に払いました賃料は、二十七年度で二千三百三十四万二千円、二十八年度で三千三百十八万五千円、二十九年度で三千三百七十三万二千六百円、三十年度が三千三百八十八万八千円、三十一年度は三千百九十二万四千円、三十二年度が二千九百三十六万三千円で、合計して賃料だけで一億八千五百二十八万円払っております。しかも、これだけならばよろしいのです。今度は所有者から、この建物は米軍が引き揚げたあとでホテルを経営したいと思って買ったのだが、なかなか撤退しないから買い上げてくれという要求に応じまして、政府がさらに一億六千九百三十五万円で買い上げています。国のものを売ったり買ったりしている間に、これだけの金が流れているのです。これはおそらくこれだけじゃないと思う。この際こういうふうな国有財産に対して、もう少ししっかりした考えをもって臨まなければ、根本が乱れてしまいます。大臣どう思われますか。
○佐藤国務大臣 ただいまの佐世保の問題は、私事情をつまびらかにいたしません。しかし、先ほど来いろいろ御意見を伺っておりますと、私まことに重大な問題だと思います。十分今後注意をいたして参りまして、国費の乱費はどこまでも防いで参りたい、かように考えております。
○淡谷委員 調達庁にさらにお伺いしますが、妙義及び小牧のほかに、坪千五百円の農地の買い上げをやったり、坪千二百円で山のてっぺんのがらがらしたところを買い上げたり、こんなものは一体どれくらいありますか、概算でよろしい。
○丸山(佶)政府委員 演習場の妙義山のような山岳地帯のものは、ほかにないと存じます。小牧と同様な飛行場関係では、御承知の立川の飛行場において、買収をやはり一万一千坪ほど、すでにいたしております。その単価は宅地三千七百円から三千九百五十円、農地で二千円、こような価格をもって買収しております。なおつけ加えて、その単価の点につきまして申し上げますと、当時その土地の適正な価格、これをもって所有者の方が応ぜられる、話し合いの上で契約ができる、この筋をきめるわけでございまして、この価格のために、近傍類似の土地の買収実例なり、また地元の当局の御意見、あるいは不動産の売買専門の機関、専門家というものの資料、御意見等を参照いたしまして、それをもとにした価格をもって所有者と話し合いをいたしまして妥結する、こういう価格をもってきめておるのが一般方針でございます。
○淡谷委員 これは米軍の場合は大体そうでございましょうが、自衛隊の場合もあるのです。愛媛県の小野村の自衛隊の演習のために、あの辺の非常にりっぱな畑や果樹園をつぶしました。これは一体坪幾らで買っておりますか。
○山下(武)政府委員 お答え申し上げます。小野につきましては、買収の単価は、田につきまして七百五十一円、畑が三百四十一円、宅地が千五百円、山林が五十八円でございます。
○淡谷委員 青森県の浪館というところにやはり演習地を買いましたが、これは一体坪幾らで買いましたか。これは私調べておりますから、うそを言わないで下さい。
○山下(武)政府委員 浪館につきましては、坪数が三十三万坪でございまして、価格は九百九十二万一千九百円、これは地目は原野でありまして、坪当り単価三十円でございます。
○淡谷委員 そこで大蔵大臣に私一つお伺いしたいのですが、これは山だといっております。(「合っているか」と呼ぶ者あり)合いませんね。これは山だといっておりますが、個人の所有しておった畑地であります。実際は三万五千円とわれわれは聞いて、地元の百姓は一反歩で三万五千円もらっている。それが実際は三万二千円しか地元には入っておらぬようであります。もちろん買います場合は、自衛隊のサゼスチョンによって、仲立ちに預けて反対がないようにしてこれを買い上げた。それが一反歩が三万五千円、愛媛県の場合はこれが大体十万以上になっております。これはさっき大蔵大臣が話されました、地元の事情によって、地元の様子によって適当に価格がきめられているということでございますけれども、防衛庁にはちゃんとした価格算定の基準の規則があるはずです。これはあるはずでしょう。演習地を買収するについてもちゃんとした基準があるはずなんです。私は時間がもったいないから、あまりこのことは言いませんが、この基準にも何にものっとっていない、でたらめなんです。おそらくは百里原におきましても、残った七戸の百姓がどうしても聞かない場合は、あなたは説得するといいますが、説得して聞かない場合は何に訴えますか。金力か権力でしよう。私はこういうふうなあなた方の予算の使い方を見ていますと、これはF86Fみたいなことが起ってくるのは当然だと思う。一体防衛庁は新しくどの程度の演習地を要求しますか。
○伊能国務大臣 お答え申し上げます。当面の防衛整備目標につきましては、目下懸案になっておる程度で十分かと存じます。
○淡谷委員 もっと親切な答弁をして下さい。懸案とは一体どれくらいなんです。新しい予算の審議ですから、懸案などと言わずに、全部が継続予算ではありませんから、もっと詳しい説明をお願いしたい。
○山下(武)政府委員 今後取得を予定しております大きな演習場の一部を申し上げますと、まだ米軍の接収中でございますが、北海道演習場、これは千歳、恵庭、島松あたりの大きな演習場でございます。
○淡谷委員 予定反別も言って下さいませんか。
○山下(武)政府委員 約二千五百万坪見当でございます。それから静岡県の東富士演習場、これは国有地、民有地合せまして約二千四百万坪程度と思います。それから山梨県にまたがっております北富士演習場、この反別は、ちょっと今失念いたしましたが、大体その半分くらいかと思います。この三つが現在米軍の接収中でございまして、接収解除になりました暁に取得をしたいと考えておる演習場でございます。なお来年度、三十四年度の計画といたしましては、北海道に一つ演習場をこしらえたい。それから今久居におります第十混成団、これを今度法律改正でもって守山に移したいと考えております。それに使います演習場を一つあの辺にほしいというふうに考えておる次第でございます。
○淡谷委員 広さは。
○山下(武)政府委員 広さは、まだその土地等の状況によりまして判断いたしますので、はっきりしたことはわかっておりません。
○淡谷委員 これは一つ三浦農林大臣にお答え願わなければならないと思うのですが、百里原は今お聞きの通り、まだ滑走路の地点におります開拓者が猛烈に反対して動いております。地元の防衛庁の係の人が、この状態では二、三年かかるだろうと言っておるのです。これはかつて農林省が入植をしまして開拓地にした土地なんです。この開拓地を農林省はどういうわけか、自衛隊の演習場にすることを承諾をしている。これは大臣は新しく大臣になられましたので御存じないかもしれませんが、あらかじめ私質問の通告をしておきましたので、お調べ願ったと思いますから、百里原の開拓地を自衛隊の演習場に提供した事情をお話し願いたい。
○三浦国務大臣 当時の事情は私詳しくは存じませんけれども、結論的に申し上げますと、これを選定する場合に、関東地区と申しますか、あるいは東京方面の防衛上、ぜひともジェット機を設置すべきところの唯一の候補地である、こういうことでございまして、いろいろ協議の結果、これを防衛庁の基地に提供するということにいたした次第でございます。なお事務的な詳細な資料が必要でございますれば、別途に御説明申し上げます。
○淡谷委員 そこで、これは自衛隊の方にお聞きしたいのですが、自衛隊はこの百里原の用地に対して、坪当りどれくらいの金で買収しておりますか。
○山下(武)政府委員 これも地目によりましていろいろ値段が出ておりますが、宅地につきましては坪当り三百五十円から三百八十五円程度、畑につきましては二百七十五円から四百四十円程度、これは土地の面積と離作補償とを含んだものでございます。それから原野につきましては百二十円から百二十二円程度、山林につきましては百十七円から百四十一円程度、これは土地の価格に立毛補償を加えたものでございます。
○淡谷委員 これは開拓地ですから、非常に安い価格で地元に払い下げまして、地元民が営々苦心して開拓地にして、この地価を作ったことはわかる。これは個人的に申しますと、非常に得かもしれませんけれども、土地を売買するようになっては、農民はおしまいなんです。土地の生産物を売っているうちはいいけれども、地面そのものまでも売ってしまえば、農民は農民でなくなります。従って私は農林大臣に、全国で演習地を開拓地に設けようといったような企画のあるところはどれくらいあったのか、また今後あるのか、それを一つ御答弁を願いたい。
○三浦国務大臣 開拓地を演習地に転用した実績並びにその予定地等は、今手元にございませんから、資料としてお手元に差し上げたいと思います。
○淡谷委員 あとでこれは資料としてちょうだいすることにしまして、一つ農林大臣の心がまえを聞いておきたいのです。長野県の有明原で、かつて入植しました旧軍人のうちで、最も農業に不熱心な旧大佐が、率先してこれを自衛隊に誘致運動を起しました。これはもうやめています。それから現在ありますのは、岡山県の日本原にあります。岩木山麓の開拓、大臣だいぶ苦労しておられますけれども、あの岩木山麓にさえ、自衛隊を誘致しようという運動が起ってきております。一体、最近農民が農産物を売るよりも土地を売って不況を打開しようということは、私は日本の農政上非常に大きな危機にきておると思う。これは農政の貧困から、農民が苦しくていけないから、何とかこういう形にすがろうというようなあり方だと思う。これは農政上許してはおけない。それを自衛隊が、同じ日本の政治のワク内でいたずらに値段をつり上げて、それで耕地を放棄させようといったような、いわゆる納得をさせる方法をとるならば、一体これはどうなります。新島の例がありますよ。あそこは乏しい、一戸当り三反歩か二反歩の耕地です。それを戦争中に飛行場にしてしまって、戦争が終ったら飛行場を開放して、手で石ころを拾うようにしてせっかく苦労して、今小さな、ネコの額みたいな耕地になっておる。これをもう一ぺんつぶそうという。これは自衛隊もほしいでしょう。けれども日本の農政としては、こういうあり方が一体正しいのか正しくないのか。耕地が非常に少いことはわかっておる。あなたは五十万町歩ふやそうとしておる。しかも未開発の土地が非常に多い。そうした開拓地の平面ないいところ、いいところときて、一方ではあなたは苦労して耕地をふやす、一方では自衛隊さんが片っぱしからつぶす。これじゃ全くしようがないと思うのです。従って将来こういう演習地などをつぶすというような場合に、大臣はきぜんとしてこれを拒むような心がまえがあるかどうか、私は承わっておきたい。
○三浦国務大臣 演習地として高い値段をもって売るようなことを慫慂するようなことは、断じてございません。
 第二には、演習地選定の心がまえといたしまして、生産性の高い農地あるいは開拓地等は極力避けるということ、同時に同じ何でございましても、生産性の低い、従来利用しておらぬ土地を選定するという心がまえであります。ただし演習地の設定とは申せ、これはやはり全体としての広域の裁量をいたさなければならぬのでございますから、私たちは前段に申し上げたような心がまえを持ちまして、選定の際には、厳重な条件あるいは調査等をいたしまして、そうして防衛庁との折衝の過程においてこれをやったのでございまして、決してこれをなおざりにしておる考え方はございません。
 なお、農政のあり方としましては、土地をよく改善いたしまして生産性を上げるという一貫した立場でありますことは、皆さん御承知の通りでございますから、われわれといたしましては、今申し上げましたような基本的な考え方で今後対処して参りたいと存じ3ておる次第であります。
○淡谷委員 私は土地の価格が自然に上昇するのは、これはやむを得ないと思う。けれども自衛隊の初めの計画がずさんであったために、途中で基地をとるために無理が生じて、しゃにむに地価をせり上げていっておるような事態は、枚挙にいとまがない。これは今のように米軍が撤退する、あるいは自衛隊が不要になった場合に、国の財産として非常に大きな損失を招きます。私はこの全部の価格を、大臣、これはあなたの専門の立場から算定してみましたならば、相当大きな国損を招いておると思う。やはり農林大臣にも、こういう点では腹がまえをちゃんと持って――農政も日本の防衛に劣らざるくらい重大な問題です。食糧の自給なくしては防衛なんかあるものではない。国民の生活が苦しくなっては防衛も何もない。その心がまえをはっきり持ってやっていただきたいのです。特にお願いしたいのは、この具体的な問題として、百里原の問題です。あれはかつて農林省が、事態がはっきりきまるまでは農道その他は変更しないという一札が入れてある。それを今度は防衛庁の方から、選挙直前にヘリコプターなどを出して、町の有志や町の人たちを乗っけて、あの飛行場の上を回りながら、何を言ってきておるかというと、開拓財産をもらい受けたいという申請状を出している。まだ農民がおって最後まで農業の線を守ろうと思ってがんばっておるのを、一方では建物を建て、多額の国費を継ぎ込んだから、抜き差しならなくなってしまって、しゃにむにこれを取り上げようという圧迫に出ておる。これは私はこの間あなたの留守中に、政務次官に申し入れをしておきました。こういうことに対しましては、前のいきさつもありますから、これはあなたの方で強い態度を持って、事態がはっきりきまるまでは、この要求には応じてもらいたくない。これはいかがでございますか。
○三浦国務大臣 いろいろ経緯はございましょうと思いますけれども、すでにあの土地は開拓地としましてはこれを廃止しまして、そして防衛庁に移管する、いわば移す、こういうことにきまったのでございますから、重大な事情の変遷がここに出たわけであります。今は防衛庁で予定する土地の中に一戸残っておるようでございますが、これらは防衛庁では最善を尽してこの問題を解決する、こういうことになっておりますから、私は、防衛庁におかれましても極力努力せられまして、円満な解決を期待しておる次第であります。
○淡谷委員 この土地が開拓地から変りました場合に、昭和三十二年四月の農林事務次官から防衛庁の次長あてに公文書がいっておるはずでございます。その中に、関係入植者、増反者の完全な同意があること、あるいは農業経営上支障を来たすことがないようにということを列挙しまして、これができない限りは農林省として当然転用認可をしてはならないという一札が入っておるのですが、これは十分お調べ願いたいと思うのです。これは少くとも残った七戸ぐらいの人たちをしゃにむにあそこから押し出そうといったような強引な金力主義だけはやめてもらいたい。特に私が防衛庁の長官に言っておきたいのは、あの仕方は無理ですよ。だけれども、建物を建ててしまったし、国会で問題になるのだから、どうしてもあそこをとってしまおうといったような非人道きわまるやり方は、断じてやめてもらいたいのです。あなた方はまるで人身御供に目をつけたように、ここと目をつけたならば、どういう事情があろうとも、どういう地元に反対があろうとも、いかなる手段をもってしても、これをとってしまおうというのです。そのことははっきり目に見えておる。今度は新島でも出てくるでしょう。きまってない予算を使おうが、あるいは過大な土地の評価をしようが、しゃにむにとってしまおうというこの強引な態度は、今後幾多のこういう基地の問題を増すとともに、予算に対するこういう態度は、防衛庁の装備につきましても、これは数々の欠点を暴露しておるのです。私は前に島上委員が触れましたので、F86Fの問題は、分科会なりその他でもっとゆっくりやりますが、ただ一つ、あのイタリアにあなたの方で注文いたしましたロケットの問題がある。これは新聞紙上にも伝えられておりまするが、この際、そのいきさつについて、長官から御説明を願いたいのであります。
○伊能国務大臣 お答え申し上げます。先般新聞等にも出ました防衛庁としてイタリアのスタッキーニ株式会社へ注文いたしましたロケットの問題でございまするが、すでに会計検査院等からも指摘を受けておる次第でございますが、あの経過につきましては、簡単に申し上げますると、一昨年以来、御承知のように、スタッキーニ会社に対して、ロケット弾を約四千七百万円の経費をもって注文をいたしました。その間、従来国内の商社を介在いたしまして取引いたしますことは、一
〇%もしくはそれ以上の経費もかかることでありますので、なるべく直接契約をした方がよかろうということで、スタッキーニ会社と当方と直接契約をいたしまして、品物が積み込まれてから六カ月以内に全部受領を完了するということで、大体の契約をいたしまして、私の方としては従来の慣例に基いて約五〇%の前渡金を払ったわけでございます。その前渡金につきましても、当初銀行保証――万一履行されない場合におきましては、銀行保証によることを条件といたしたのでありまするが、たまたま当方の日本における代理銀行と当該スタッキーニ会社との取引銀行とが、ヴェネチア銀行とイタリア銀行との関係で食い違っておりましたので、それではアメリカ等において行われておりますように、保険会社の保証によって取引を開始しようということで、契約を締結いたしましたところ、たまたま三十二年の末から三十三年にかけましてスタッキーニ会社でストライキが起って、そのために契約履行ができないということで、その間に二カ月もしくはそれ以上の履行延期を先方から言うて参りまして、当方もそういう不可抗力においてはやむを得ないということで、履行の延期等を了承いたしておりまする間に、ストライキを契機として、そのスタッキーニ会社が債務がかさみまして、ついに昨年の秋には破産をするというような状況に相なりました。そこで、その間いろいろと外交機関等を通じまして、私どもとしては前渡金の回収措置を講じておるわけでありまするが、破産宣告を受けましたので、当該会社に対する損害賠償の請求と同時に、保険会社に対しまして、契約条項に基いて訴訟を提起をいたしまして、保証金額の回収という手続を目下とっておるのでございます。何分にも遠隔の地にあります関係上、折衝等に非常に手間取りまして、訴訟の経過に至ったことについては、まことに申しわけないと存じておる次第でございまするが、目下駐伊日本大使館の推薦による弁護士を代理人といたしまして、訴訟中でございまするので、訴訟の経緯を待って、われわれとしては善処をしたい、かように考えております。
○淡谷委員 これは以前にも一回御注意申し上げたことがある事例なんです。ただ長官が、労働大臣みたいに一切の責任をストライキに転嫁しようとしておるらしいのですが、その前に防衛庁自体にも欠点がありはしませんか。たとえば、このスタッキーニ会社に対して事前の調査を十分にやっておりますか。この前にやっておらないという答弁を得ておる。ストライキを起されるような悪い経営をしておる会社であるということを、事前に確かめておられましたか。
○伊能国務大臣 お答え申し上げます。御承知かと存じますが、スタッキーニ会社は、ヨーロッパにおける火薬会社としては一流の会社であり、これと契約をいたします際には、当方から専門の職員を出張いたさせまして、スイスのエリコンとイタリアのスタッキーニ会社とを現地調査の結果、支障なしということで契約をいたしましたので、ただいま御指摘のストライキの問題は、それが保険約款上不可抗力ということでございまして、御指摘のように責任をストライキにかけたということでは万ございませんので、その点は御了承いただきたいと思います。
○淡谷委員 ここにあなたの方に重要な一つの欠点があるのです。契約上では船積みの開始時期――スタッキーニ会社の前払い金受領日が三十二年の十月の十八日であるので、船積み開始時期は三十三年五月十七日になるのです。その早期の、三十三年三月三十一日を有効期限とする保険証券をあなたの方で一体取っているのでしょうか。前の契約によりますと、こういうことはあってはならないのです。このために非常に大きな損害を与えた原因を作ったと思いまするが、これはいかがですか、詳しいことはまたあとで追及しますけれども。
○伊能国務大臣 御指摘の点につきましては、法律上いろいろ疑念を生じました点もございまするし、またその間において先方から履行の延期を申し出てきたという点もありまして、いろいろと問題を起しておりまするが、御指摘のように、保険の保証期限と履行期どの間に若干の期限のギャップがあったということは事実でございます。それも履行せられないときには金は返す、しかも履行がせられなかったということは、当方からその履行のせられなかった時期から六カ月以内に意思表示をすれば、先方へ通告すれば、当然返還をするという保険約款の内容に基いて当方は請求いたしておりますが、その間にスタッキーニ会社としては、保険契約の延長とするということを当方へ申し入れをしてきております。従って、当方としては、当然そういうことがあったと、遠距離のことでございますので、想定をいたしておりましたところが、あとになって、その延期がなされておらなかったという事実はございます。その点が法律上の争点になりましたが、基本の保険約款におきましては、履行されない場合においては返還をするのだという条項がございますので、それによって私どもは訴訟をいたしておるわけであります。
○楢橋委員長 淡谷君、申し合せの時間がきておりますから、結論を急いで下さい。
○淡谷委員 そこで最後に大蔵大臣に私は御注意を促しておきたいのですが、防衛庁の予算は大臣お聞きの通り、こういう非常にずさんな、しかも当を得ないものがたくさんあります。特に基地の設定等につきましては、自分たちが無理をしておって、無理やり値段を上げておって、そして国費に依存するようなことが非常に多い。これが一つ。それから、三十年に検査院からすでに警告のあった供与物資と予算との関係がいまだもって直ってないということはF86Fの問題でもこれは想定されます。しかもパイロットと基地と飛行機とこの三つの関係が完全にいってないので、現在でも遊んでいる飛行機がたくさんあるでしょう。使ってない飛行機は何機くらいありますか。
○伊能国務大臣 先般F86Fを四十五機返還いたしたことにつきましては、いろいろと御質疑がございましたが、現在においては、その後は大体順調に参っておると思います。
○淡谷委員 一体飛行機の数は何機あるのですか。パイロットは何人いますか。F86Fについてだけ言って下さい。
○伊能国務大臣 F86Fにつきましては、一月末で三百三十二機でございます。それから本年度末でジェット機のパイロットの養成は百八十人、現在のところ百四十八人であります。
○淡谷委員 私、これはしろうとで、存じませんけれども、やはり百八十人のパイロットを動かすためには、倍に近い飛行機の機数を必要としますか。
○伊能国務大臣 お答え申し上げます。練習機等その他の関係もございまするが、大体四十五機を返した後においては順調になっておると思います。
○淡谷委員 F86Fについて私は聞いたのですよ。練習機じゃありませんよ、ごまかすのはやめて下さい。グラマンの問題でも防衛庁はいいかげんにごまかしております。国防会議までごまかしておる。これは時間がないから言わないけれども、言いたいことはたくさんあるのです。そんな、国民をしろうとにしてだますような答弁はやめなさい。
○伊能国務大臣 お答え申し上げます。現在の機数につきましてはただいま申し上げた通りでございまするが、三十四年度末におきましては百四十四機、所要機数が百十四機で差引三十機ほど余る形に相なります。三十五年度におきましては保有機が百五十八機で所要機が百四十三機、十五機程度の余剰を生ずることに相なりますが、これらの点につきましては、御承知のように、損耗その他犠牲等もございますので若干の余裕ができまするが、大体三十五年末においては、乗員と機数とにおいては調整がとれる、かように考えます。
○淡谷委員 あなたの答弁はたった今のうちにまた違ってしまったのです。さっきは十分それで間に合うのだと言い、今度は足らぬと言っている。数に違いありませんか。数はそれでよろしいですか。
○伊能国務大臣 数には誤まりございません。
○淡谷委員 そのうち供与のF86Fと、内地でできましたF86Fはどれくらいの比率になっておりますか。
○伊能国務大臣 供与を受けましたものは、三十年度におきまして二十機、三十一年度におきまして百十四機、三十二年度におきまして先般返還をいたしておりまする四十五機で、あとは全部今後生産いたすものでございます。
○淡谷委員 その供与を受けました中に、使用にたえなかったものが何機ぐらいあったのですか。聞くところによりますと、浜松のパイロットは搭乗を拒否したこともあった。供与のうちで不良品というのはどれくらいあったのですか。
○小山(雄)政府委員 供与は百七十九機受けまして、これは木更津に保管してありまして、今度返しました四十五機は保存するために飛べないような状況であります。それ以外のものは全部飛べる、使える状態であります。
○淡谷委員 ちょっと待って下さい。はっきりしませんが、返したものは全然使用にたえないものだと言うのですか、あとは全部使用にたえますか。
○小山(雄)政府委員 四十五機だけは保存するようにしてありまして、ニンジンをはずし、中のものをみんなはずしまして、長く保存にたえるような保存方法をとっております。従って、これを使いまする際には、全部オーバーホールといいますか、やり直しをしなければ飛べない、こういう意味で四十五機は飛べない状況、あとのものは全部飛べる状況です。
○淡谷委員 通産大臣にお聞きしますが、新三菱工業に発注しましたF86Fは、三百機のうち残っているのは何機ですか。
○高碕国務大臣 今正確にわかっておるのは、現在月産八十機作っておりますが、これが三十五、来年の三月に完成することになります。
○淡谷委員 今年の予算にもありました飛行機の予算というのは、その分に充てる高でございますか、あるいは新しい戦闘機購入の予算でございますか。
○小山(雄)政府委員 最終は三十五年度にわたりますので、三十四年度の予算と、従来とりました国庫債務でもってこのF86Fの納入に引き当てる、こういうことになっております。
○淡谷委員 これは一言だけ聞いておきますが、新機種の決定はしたのですかしないのですか。グラマン機の結論を防衛庁ではどうつけておりますか。
○伊能国務大臣 昨年の四月十二日に一応の内定をいたしましたが、その後の状況から、さらにいろいろな角度から検討中でございまして、まだ確定はいたしておりません。
○淡谷委員 この年度の予算に間に合うように確定するつもりですか。もう要らぬというのですか。
○伊能国務大臣 でき得る限り早く決定をいたしたい、かように考えて研究中でございます。
○淡谷委員 機種決定ができますと、補正予算を出すつもりですか。
○佐藤国務大臣 ただいま防衛庁長官が申しましたように、できるだけ早く機種決定をしたいという防衛庁の意向はございますが、ごらんになりましたように、三十四年度の予算には計上してございません。ただいままだきまらないものでございますし、計上してないので、決定したらすぐ補正予算を出すかというお尋ねでございますが、そのことはまだ全然頭のうちに考えがございません。
○淡谷委員 私、岸国防会議議長がおりますと一番よろしいのですが、この際大蔵大臣にお願いしておきたいと思います。
 予算のうちでも最も大きな額を占めております防衛庁の予算の使い方が、非常に乱暴なことはもう国民の常識になっております。特にグラマン機に関しましては早急に必要かのごとく言いまして、防衛庁はかなり無理をして国防会議に報告書を出し、検討の間にはさまざまな思わしからざることが出てきたようでありまするが、今度はこれが紛乱いたしますと、あっさりきめないとこう言う。防衛庁の請求する予算の緊急性というものは、これを見ても実にいいかげんなものであります。この窮屈な予算をしゃにむにさいてやろうという国防の本体が、こんなだらしのない形では、私はとうていがまんできない。従って、今後開かれます分科会等におきましても、個々にわたって精細に審議いたしますけれども、これは大蔵大臣も、今後の審議に当っては、もし不要な部分あるいは緊急を要しない部分は、大胆におのをふるって断ち切るような御決意を願いたい。これはただ予算委員会だけの問題じゃございません。
 さらに私が申し上げたいのは、さっき最後にお急ぎの国防会議議長に申しましたが、日本の国防は、政治優先ではなくて、防衛産業優先ではないかということを言ったのに対して、議長はそうじゃないと答えられましたけれども、パイロットが少くて、雨ざらしにしておくような飛行機を作ること自体が、私は防衛産業優先の心だと思う。そのあとをF86Fを製造した会社が中止になって、次期の戦闘機種を直ちに選定して、千三百億円の買物をしようという動きは、これはどう考えたところで、私は日本の防衛の基本に防衛産業というものが強くのさばり出している実態を見ざるを得ない。しかも、経団連の植村甲午郎氏が有償援助を申し出て、残った飛行機をアジア地域に売りたいというようなことを申し入れたような新聞記事がある。これじゃ日本の防衛のための防衛産業ではなくて、兵器を外国に売って、それで金をもうけようというふうにこの防衛産業の性格が変ってくると思うのですが、通産大臣どう思われますか。
○高碕国務大臣 飛行機の製作というものは、単に防衛というだけで考えるべきものではないと私は考えております。飛行機産業というものは、御承知のごとく、イギリスにおいても重要なる輸出産業になっておるわけでありまして、わが国といたしましても、この技術というものは決して外国に劣っていない。ただ戦争中と戦後の間に空白状態があったわけでありますから、これをどうして補うかということは、やはりどうしても飛行機産業というものを平和産業として立てていかなければならない、こういうふうな考えで、今回の予算におきましても、中型輸送機というものを、私どもはどうしても日本の重要なる産業として仕上げていきたいと考えておりますが、それに至りますまでの間は、やはりある時期は防衛庁の所要の飛行機もまかなっていくということが、飛行機産業の技術を向上する上において必要と認めるわけであります。
○淡谷委員 通産大臣にどうも納得のいかない点があるのですが、それは飛行機の産業を大いに奨励するのはいいでしょう。飛行機は別に兵器だけに限ったわけではないのです。特に国が予算を組んだものをそれで作っておいて、余ったからといって海外輸出向けに向けようというような魂胆はないでしょうな。現にF86Fは余っておる。パイロットはないし、基地は反対を受けるから、やむを得ずこれを向うに売ってやろうというような魂胆は毛頭ございますまいな。
○高碕国務大臣 現在、私どもは、兵器用の飛行機を輸出するとかいうふうなことは考えておりません。
○淡谷委員 最後に防衛庁長官に私は強い警告を発しておきたい。あなた方は、日本の防衛の名においてある部分は機密にしておいて、機密の網に隠れながら、勝手次第なやり方をしてきた。これは何とあなたが抗弁しようと事実があります。予算の使い方もその通りであります。しかし、いかに飛行機が最新兵器であっても、空ばかり見ている間に、足元で国民が離反しましたら、正しい意味の国防はございません。飛行機を飛ばせるために全国に非常に無理な基地を設定し、無理な予算を使って、国民があなた方にそむいたならば、どのような新鋭の兵器をとらえようとも、日本の国防は完全じゃない。このことを強く私は警告をしまして、私の質問を終ります。(拍手)
○楢橋委員長 綱島正興君。
○綱島委員 だいぶ用意をして参りましたが、時間が非常に長くなりまして御迷惑と存じますから、ごく簡単にやります。大体質問の要点は、世界経済の中における日本の農業経済が占める地位、この政策がどうなっていくかという問題、これは実は予算にも関係して参りますので、この点は大蔵大臣と農林大臣にただして参りたいと思っております。
 その前に、ごく簡単に、法務大臣に、非常に憂うべきことがあると思うから、ちょっと伺いたい。タベの夕刊に「大赦は行なわぬ」という見出しで、法務大臣がいろいろ言うたというようなことは書いてないようだが、出ております。前にもこういうような言明があったかに出ておりますが、何か法務大臣は、そういう大赦を行うとか恩赦を行うとかいうようなことについて発言されたことがありますかどうか、それを伺います。
○愛知国務大臣 ただいまのお尋ねは、皇太子の御成婚に伴う恩赦のことと存じますが、本件につきましては、数日前に当委員会におきましても島上委員からお尋ねがございまして、総理と私からお答えを申し上げました通りでございまして、ただいまのところ鋭意検討いたしておるのでございますが、法務省としての意見もまだ固まっておりませんし、いわんや閣議決定にいたしますだけの十分な用意がまだできておらぬわけでございます。従いまして、いろいろ記事などに推測的なものが出ておるようでございますが、私どもといたしましては、まだ成案を得ておらぬわけでございまして、これは非常に大切な問題でございますから、十分に検討いたしまして、前例あるいはいろいろの環境、あるいは政策的な考慮、各般の事情を総合いたしまして、成案を得ることを急ぎたいと存じております。
○綱島委員 実はこういう種類のものは法務大臣がこうきめたとか、あるいは総理大臣の意思でこうきまったとかいうようなことは、なるべく世の中に出ない方がよろしいのであります。これは大体国法を私する者は一番大逆といわれ、国法を私するのはやはりよくない。そこでこういう赦に関するものはだれがしたというようなこと、あるいはだれの意見がこうであるというようなことが世の中に流布されることは、綱紀を乱ることはなはだしい。さればこそ憲法におきましては、その七条において、これは天皇の国事事項の一つとしてあげてございます。また七十三条におきましても、内閣の一般行政事務のほかの事務としてございますが、大体一般行政のほかのことで特に国事事項となっておりますものは、法律の公布であるとか、国会の召集、解散、総選挙の告示でございますとか、あるいは外国使臣の承認でございますとか、栄典に関するもの、儀式に関するもの、それと恩赦令等でございまして、これは昔天皇の大権に属しておったのでございます。これについては、今後かようなことは絶対――質問が起っても、また、する新聞記者も、これは愚問である、さようなことはいわゆる笑殺すべきことで、法務大臣が言うことでもなければ、また考えておってもその通りなるはずのことでもなければ、地位を越えて言うべきものじゃないというおしかりを受けてしかるべきだと存ずるのでございます。
 それで、これを前例から申しますと、新聞の憶測記事であろうかと存じますけれども、選挙違反は大赦せぬというようなことが盛んに出ております。また事務当局もそうだとかいうようなことが出ておりますが、もしこういうお考えがあったならば、これはお答えを願う筋のことでないからこちらから申し上げますが、大赦というものは一体どういうことが先例かというと、皇帝がなくなって、そのあとで陛下のなきがらを殯殿に移しまして大葬を行うまでの間に、先帝の徳に欠くるところなしという形を整えて大葬を出したのであります。そのために天皇陛下の考行のことを大考と申しますが、大考の初めとしてまず政治上の反対者を大赦する。これは、どろぼうとかあるいは詐欺師とかいうものを大赦するということはございません。したものは、政治上の犯罪者でございます。特に先帝の政治の方針に反した者を大赦する、これがもとの典例の基でございます。その後だんだん変って参りまして、祝いことにもこれが用いられるようになったのでございますが、いずれの場合にいたしましても、政治犯を大赦するということに始まるのであります。ただ先例で遺憾なことは大正十三年でございます。あの実例は、当時治安維持法によって共産党の人がたくさん入っておるから、これを出したくないから、典例を誤まって、そうして政治犯を大赦せぬようにいたした。これはその典例、先例が悪いので、こういうのは先例になさることはよろしくないと思う。従って、今後赦を行うならば、政治犯、思想犯、こういうものをまずまっ先に行いなさるがあたりまえで、これを除いて、選挙がどうだろうとかこうだろうとかいうことは、それはいわゆる属僚的俗論であって、いやしくも国事をあずかるような方のなさることではない。そこで、これは私がお答えを願うことはかえって都合が悪いから、お答えを願いません。ただ、私が、この前の牧野法務大臣のときにも伺いますと、牧野英一博士が陛下に先例を御進言されたと伺っております。ただ属僚どもの俗論に災いされて、ややもすれば属僚どもの俗論や、巷間にみなぎるろくでもない、ただ単なるいたずら書きのような記事などに迷わされて、国政の基礎を誤まるようなことをされるならば、綱紀はこういう辺からくずれるのです。赦に不公平があったり、先例を破ったりなさると、綱紀は必ずそこからくずれて参ります。内閣において、政治の綱紀を保つということは最も重大である。これは、実は総理大臣に申し上げておきたかったのですけれども、一番大切だからよくお考えを願いたい。
 法務大臣はもう済みました。簡単なお方からお帰りを願うようにするために、その次は厚生大臣、文部大臣も求めておったけれども、病気だそうですから、厚生大臣に簡単にお尋ねをいたします。
 二つだけお尋ねしたい事柄があるが、一つは、実例を申し上げますと、長崎県に壱岐の国というのがございます。そこで非常に骨を折って療養所を存置するようにしてもらいました。ところが、その療養所の中に入っておる人は、皆福岡県の炭鉱夫ばかり、ほとんど九〇%。農民なんかはほとんど一人も入っていない。壱岐の国はへんぴなところだから、せっかく今まで建物がある、療養所が従来軍が作っておったのがあるのだから、これを廃止せぬようにしてもらいたいといって、やったところが、一つも土地の者が利用できない。だんだん調べてみると、農民は、御承知の通り、健康保険にかかっておりません。また健康保険にかかったって大へんな負担をせねばならぬ。とてもやりきれぬ。ところが、かりに厚生部長から結核の有菌者に入院しろという勧告があって、それを受けましても、やはり二割以上の負担がございますので、無資産でなければ入れない。ところが、労働者の人はみんな、かりに月に四万円とっておるような人でも、病気になったといえば、そのまま無資産ということでどんどん入っちゃう。百姓は牛一匹、前田一つ持っておっても入れない。こういうことについては、農民の持っておる、いわゆる生活のたつきのために必要欠くべからざる程度の資産については、無資産と見て、療養所においての加療等の点をお考えになって、あるいは今後改正をなさる御意思はないか、これが一点。
 それからもう一点は、こういうことを伺っておきたい。離島というものがございますが、離島の大きな島には医者もおります。しかし離島には必ず小さい衛星の島がございます。二十人とか三十人しかおらぬ島がございます。ここらには医者は一人もおりません。そこでどうしてもここらの人が腸捻転になったとかあるいは盲腸炎になったといえば、死ぬばかり。これでは、私は、日本の今の時代としては、この制度は非常によくないと思う。これは死なすという制度と見てもよろしいのです。世の中に医者というものがあり、厚生省というものがありまして、これを目こぼしにしておくというのはよくない。それで非常に苦労いたしまして、長崎県では一、二の病院船をこしらえてやっておりますが、結核を治療することも加えますと半分の補助がございますから、その補助だけをもらって、あとは県の負担で作っておりますけれども、なかなか容易なことではございません。そこで療養所の建設に準じて、電話さえかければいつでも出動してくれる、エキス光線も備えておる、手術台もある、しかも医者は内地の医者を連れていける、こういうようなものを作っていただかなければ、今のところではまだへんぴな、これに似たものがございますので、こういう僻地、離島のそういうものについては、特に御考慮をされる考えがあるかどうか、これを伺いたい。
○坂田国務大臣 綱島議員にお答えいたします。第一点と第二点と相関連いたしておるかと思いますが、御承知のように、昭和三十五年までに国民皆保険の制度を完成するというつもりでおるわけでございますが、綱島議員も御承知の通り、農漁村におきましては、わずかな掛金もなかなかかけられないというような実情ではございますけれども、私どもといたしましては、やはり三十五年度までに全国民に医療保険を実施していくという形において、まずこれをやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、今仰せになりましたように、非常に零細な方々であって、どうしても医療を受けられないというような方方に対しては、今後十分検討をして参りたいと考えておるような次第でございます。
 それからまた、国民皆保険制度を押し進めて参りましても、今御指摘になりましたように、それに伴うところの診療所なりあるいは病院等がないような僻地あるいは離島等におきましては、制度はできたものの、実際その医療給付を受けることができないというような実情があります。でございますので、私どもといたしましては、御案内の通り全国無医村地区、その中におきましても、離島等において四十三カ所の地区がまだ無医村地区になっておりますが、その中で十カ所だけは診療所を設置をいたして参ったのでございまして、今後ともこれをふやして参るということを考えております。
 さらに病院船のお話でございますが、これは綱島議員の方が私よりあるいはお詳しいのかとも思いますが、大体エキス線の自動車を全国に三十三年度まで二百二台、これに対しましても二分の一の国庫補助をやっておりまして、三十四年度におきましては三十七台を考えておるわけでございますが、離島につきましては、現在長崎、香川、広島等におのおの一隻ずつを実は例外的に認めておるような次第でございます。そのエキス線の船とは申しながらも、そのような医療方面についての手当ができるようなことにいたしておるわけでございまして、やはり私は、皆保険を実施していくためには、その裏づけとしてこれに伴う施策をやらなかったならば、結局有名無実になるかと思うのでございまして、綱島議員の御指摘になりましたことは今後十分研究をし、そして努力をいたしていきたいというふうに考えておるような次第でございます。
○綱島委員 まことに精密なお答えでけっこうでございますが、ただぜひとも御注意していただきたいと思いますことは、結核療養船類似のものだけではいけないので、手術をする設備をした船を作っていただきたい。そうして大体今まで療養所ができたりなんかするのは、離島でいえば、離島の本土みたような島で、私が申し上げるのは、離島の本土の衛星島のようなもので、そこの人を救うために特別な御配慮を願いたい。これは人類という立場から、もう日本はこのぐらいなことはしなければいかぬ時期に到達していると思いますから、これはぜひ来年からは実行に移られるように御配慮願いたい。
 次に企画庁長官にお尋ねをいたします。ここでお尋ねをいたしますことは、離島に関する問題でございますが、企画庁長官は、離島予算というものに非常に骨を折られますけれども、まだ離島の予算というものは本土に比べれば非常に低いのである。今後とも非常に御努力をなさる御意思があるかどうか、これをまず承わっておきたい。
○世耕国務大臣 お答えいたします。離島振興問題については、議員諸君の非常に熱心な御努力で、毎年予算も増額されておりまして、いまだ十分とは申し上げることはできませんのですが、三十四年度も二十五億六千万円ばかり認めていただいたような実情であります。この予算を、企画庁がどういうふうにあんばいして、理想的に使っていただけるかということを各省に連絡をとる必要があると思います。なお、地方自治体とも緊密な連絡をとって御期待に沿いたい、かように思うのであります。ただ企画庁として考えておりますことは、今綱島さんもおっしゃったように、離島の衛生設備というものが非常に緊要になって参る。これともう一つは、離島との海上交通が非常におくれておるのではないか。承わると、社会党の淺沼さんも、どっかの島に行かれてお帰りに非常に不自由しておられたというようなことが記事に出ておりますが、それほど取り残されておる。こういうふうに考えておりますので、この際ぜひ衛生設備と経済開発と同時に、本土との交通ということに特に力を入れたい、かように考えております。ただ各省との関係をどう調和していくかということが問題でありまして、またお知恵を拝借することもあろうかと思います。
○綱島委員 ただいまのお答えのうちに、各省とどう調和してやっていくかということが問題だというお話がございましたが、それが実は私どものお伺いしたい重点になるのでありますが、企画庁には離島の課も何もございませず、三人ばかりの人がこれに専念しております。どんなえらい人でございましても、不眠不休でやりましても、こんなたくさんの離島が北海道から九州まであるものでございますから、計画を立てることは不可能でございます。そこで、昨年二月の何日でしたか、八日か十八日でしたか、閣議了解事項として、結局離島課というものを作り、予算を一本化すということになったのでありますが、それが一向実現をしない。実現をしない事情は、大蔵省が聞かない。企画庁というものは、離島に関する限りは大蔵省の下請のような感じもする。閣議も大蔵省の下請のような考えがする。これじゃ一体内閣をこしらえておいても、大蔵省の属僚たちの言う通り政治は行われていくというようなことになって、とうていこれは忍ぶべからざることに相なるのであります。離島課設置の問題については、これがなければ大体調査ができません。調査のできないところに適正な施策というものはできません。おそらくは各省で調査しておるからいいというだろうが、各省の調査の疎漏であって、施設の信用すべからざることは、離島に関する限りこれは明らかに言える。何となれば、本土における施策以上に離島ではしなければ均等に参りませんのに、離島に対する公共事業費の総予算というものは、昭和二十八年までには四百八十億であります。これを内地と同じような地域、内地と同じような頭割りということになれば、少くともその当時指定しておった離島の数でも十八億をこえなければならぬ。はなはだしい不公平を平気でやる。平気でやるわけでございますことは、大体離島というところは離れ離れになっておって、そうして封建性が強くて、そうごきげんをとらぬでも、唯々とするところもあるものだから、やかましい本土の方に漁港も作ってやる、道も作る、いろいろなことをする。土地改良等は、離島などは農林省がきめておるような規格に合うところはほとんど一つもない。そこで、離島というものは税金は納めるが、国家からの恩恵には浴しないという地域でございます。それを非常に骨折って、私どもも骨折り人の一人で、一生懸命やって、やっと現大蔵大臣――この点は大いに大蔵大臣を徳といたしますが、二十六億に近い公共事業費をつけてもらった。けれども黙っておってはこうなるんじゃない。世の中に政治のと圧力というが、政治の圧力は、いいことに政治の圧力をかけぬくらいなら、民選議員なんて要りません。政治で圧力をかけさえすれば悪いことのように言うが、政治で圧力をかけてしなければ、役人だけにまかせておけば、人類が不幸になるという結果から、民主主義が生まれた。(笑声)政治の圧力が悪い方にかかるのは悪いが、いい方にかかるのは、政治の圧力がなければだめなんです。これは質の問題であります。役人たちが新聞記者とぐるになったことがある。政治の圧力、政治の圧力といって、何か盗人か、気狂いのように言う。いいことなら政治の圧力をかけるほどよろしい。かけなければ、また当りまえのものになりません。さればこそ地域的に全部の地域から民選されて出てきておる。そうしてその結果が、歩みがおそくても大きな間違いをせずに大体いけるということで、民主主義、議会主義というものが、大体世界で支持されておるわけであります。
 そこで了解をしてもらわねばならぬことは、非常にやかましくいって予算一本化というものをさせることにしたところが、形式ばかりだ。そうして企画庁で、この島は無理だというようなこと、この島にはもう少しつけなければ、ここはまず道路をつけるよりは漁港を先にやった方がいいといっても、一つもできない。大蔵省で、農林省の漁港課が行って話す、道路のことについては建設省が行って話す。大きな地域の開発なら大体それでいけましょうし、調査も届いておりますが、調査も届かず、小さい地域のところにそんなことをいたしたって開発はできないのであります。さればこそ予算一本化という問題が起ったのであります。これに対して企画庁長官は、担当役所として、この一本化を形式だけでなく、実質的になるために――実質的になるためには調査費を、調査員を持つこと、課を設けること、ほんとうの計画を独自の立場で立てられること、こういう整備をされる御意思があるかどうか、これを伺いたい。
○世耕国務大臣 お答えいたします。今の御趣旨はよく了承いたしました。私は、この離島問題についてきょうも調べてみたのですが、二百万以上の人がこの離島で生活しておる。それから、名前は申し上げるまでもなく、伊豆七島はもちろんのこと、壱岐、対馬から天草島に及んで、むしろ文化に恵まれてない今日の現状である。それで、綱島さんのおっしゃることは一々ごもっともだと私は存じます。どうかすれば文化と経済に置き去りにされておる。むしろ、国家的な見地から申しますれば、経済的にもこれは開発しなくちゃならぬ。それが国家のために非常に大事なことじゃないかということを、実は事務の者とも打ち合せて慎重に協議したわけであります。
 そこで、結論として申し上げますが、現在十五名の職員がこれを担当いたしておりますけれども、不十分だと思います。それで、これについて独立した課を持って御趣旨に沿うような方針を確立する。そうしてせっかくいただいた二十五億六千万円の予算が有効に使える方法を考えなくちゃならぬ。かように考えて、まだ大蔵大臣とは折衝はいたしません、各省とは連絡はいたしませんが、私の腹案をありのまま申し上げますれば、そういう意向に進んでおります。幸い有力な国会の圧力をいただいて、この目的を必ず実行いたしたい、かように考えておりますから御了承願いたいと思います。
○綱島委員 次に、実は離島法の一部を改正しなければならぬという考えを持っております。これはどういうわけであるかと申しますと、離島は大体漁港を開発してやらにゃならぬものでございますが、漁港は、御承知の通り漁港整備法がありまして、この整備法の指定漁港になっていないものは開発ができない。離島といえども依然そうでございます。それ以外のものをやろうとするときは局部改良でやらなくちゃならぬところが、この整備法を制定した二十三年から二十五年ぐらいの間ぐらいの間においては、離島の問題はまだ取り上げられてない。私が提案いたしましたのが二十八年でございます。その時代においては、離島は整備法の指定をほんのわずか受けているだけである。また、水産関係から申しますと、だんだん沿岸漁業より沖合漁業に移行する趨勢にございまして、離島の漁港の重要性は昔日と非常に変って参りました。本土の漁港と離島の漁港とが地位が転換というか、反対になるくらいに重くなってきております。船形もだんだん大きくなりまして、小さい漁港ではどうにもならなくなったのである。そこで問題は、指定がほんのわずかである、必要な漁港は一ぱいできてきた、そうして大きな漁港改良をやらなければ実際の出漁の用に立たない。こういう問題になりましたから、局部改良について特別措置を受けるよりほかには方法がないのであります。大蔵省は、大体予算と同時にそういうものをしなくちゃ、予算を作らぬうちに改正法を出しては困るというような意見のように聞いておりますけれども、憲法四十一条に「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」と規定されておるのであります。そこで予算に関係するものはなるべく大蔵省の査定を経た上で出せということになりますと、この国会議員の持っておる独自の最高の国権の行使の構成委員である資格に欠けて参るのであります。なるほど、予算は内閣が編成するのでありましょうが、内閣は誠実に法律を行わなければならぬという規定がございます。つまり法律の規定の範囲で内閣は予算を編成するものであって、予算の編成が優先すべきものではないのであります。離島のことだけやかましく言うとおぼしめす方もあるかもしれませんけれども、最初離島は外海だけを指定しまして、当時百二十万人、本土は一人頭二千円以上の公共事業費を出しておりますから、その当時でも二十四、五億もらうのに、ただいま指定しているところとを合せますと、もう百八十万人ばかり、さいぜん大臣が言われたように二百万人の地域はもはや指定しなければならなくなっている。そういたしますと四十億円以上なければ本土並みにはならない。四十億で本土と均等であります。ましていわんや、振興法の規定するところは本土よりおくれておるという、開発のために、後進性の除却のためにという規定でございますので、ことしはほんとうに思い切って大蔵省は予算をつけてもらったということは感謝しますが、本来からいえばこれでも足らないのであります。そこでこの漁港の局部改良に対して補助率の引き上げをしてもらわなければいけない。なぜ離島の漁港は補助率を高くしなければならぬかといいますと、本土の漁港というものはほとんど所在地の漁船が利用いたします。離島の漁港というものは、離島民はほんの一五%も利用する方はいい方でございます。たとえば現に一例を申し上げますと、この伊豆七島の中に八丈島に八重根港というものを作っております。おそらくこれができ上っても伊豆七島の船をここにつなぐのは何そうか、おそらく五そうとはできまい。いずれつなぐでしょうが、その余のものは東京都でございますとか、静岡県あるいは宮城県その他の方とか、長崎県の船をつなぐだけの半分もおそらく八丈島のものはつながない。そこで離島の開発、漁港及び局部改良等について、離島の負担分をもって、今のように三分の二も県と地元で負担するというような規定がございましては、民度は非常に低い、担税能力も非常に低いのであります。そこで各県に持っていけばどうなるかというと、各県はそんな地域、税金もろくにこぬところにすることはできないからというので、別の方に持っていかれる。そこでどうしてもこれは国で開発していただかなければなりません。また簡易水道もその通りでございます。この補助率を上げてもらわなければならぬ。何となれば水道のない漁港というものは、効用はほとんどないと申していい。冷蔵、製氷の設備は水道がなければできないし、これの設備のない漁港というものはほとんど意味をなしません。そこでこれも補助率を上げてもらわなければならない。その他せなければならぬことはたくさんございまして、この国会に改正法案を提出いたしたいと思っておりますが、多分内容は企画庁も大蔵大臣も御存じと思いますが、これはぜひ賛成をしていただかなければならぬ。これを賛成せぬということになっては、これはどうも僕は引っ込みがつかない。これは綱島が引っ込みがつかぬではない、二百万の離島民が引っ込みがつかないのです。こういうことをしてもらってはいかぬ。政治は乏しきを憂えず、ひとしからざるを憂えるということがある。これは四十億にはすぐならぬでも仕方がないから、法案を出して、この法案をやることで――改正法では二億くらいしか違わないのです。こういうことはぜひしてもらわなければならぬ。せにゃ仕方がないから、国会の委員会へおれが出してしまおうと思っている。これについては企画庁長官や大蔵大臣の御意見もちょっとお伺いしたい。
○世耕国務大臣 お答えいたします。国会の権威で御提出になる法案でございますれば、私は尊重してお取扱いいたしたいと思っております。
○佐藤国務大臣 先ほど来離島振興のお話を伺いまして、綱島委員は離島振興については長い間の御主張でございますし、離島振興法自身も綱島委員の大へんなお骨折りでできたと思います。私どもは今回の予算を作るに際しましても、また私自身も瀬戸内海沿岸の出身でございます。離島があらゆる面において非常に取り残されておることについては、心から同情しておる一人でございます。そういう意味で今回は予算といたしましては今までの例に見ない増額を実はいたしたつもりでございます。もちろんこれをもちまして十分という考えではございませんし、ただ予算が飛躍的には増額できかねるものでございますので、本年はこの程度で御了承いただきたいと思います。私が申し上げたいのは、金額がふえたということではなしに、今回の増加率そのものを考えてみますと、本土の公共事業費は前年度に比べまして二二%程度の増加でございますが、今回は離島に関する限り三〇%の増加を見ております。いわゆる御指摘になりましたように本土と島との関係において、できるだけこれを近接さしていくという考え方でございます。前年の例に見ないような、本土の公共事業費の増より以上のものをつけ加えて、今までのおくれを取り戻そうといたしておるわけでございます。この点をぜひ御了承いただきたいと思うのであります。
 そこでただいま御提案になっております漁港の整備のために、特に国庫の補助率を高めろ、こういうお話でございます。いろいろ私ども研究しなければならない問題だと思いますが、問題は総額をまずふやすことが第一であるように思いますし、また各都道府県等におきましても、十分都道府県並びに市町村というような関係で、この工事についての費用の負担等も考えてもらっておるかと思います。申すまでもなく国会が立法府としての最高権威であることは、これは御指摘になるまでもなく私どもよく承知しておることでございますが、問題は国会にさような権能があると同時に、私どもも政党内閣、いわゆる政党の支援のもとにただいま政治を行なっておるのでございます。そういう意味におきまして予算を提案いたしております。今日党内におきましてもただいま御提案になるような事件について、時期等の問題として十分研究をしていただけるだろう、その点を実は期待をいたしておるのであります。私は綱島委員が特に離島振興について権威であられるばかりでなく、冒頭に恩赦等についても御高見を拝聴いたしました。絶えず大所高所に立って政治の運用について御高見を示しておられますので、ましてやこの問題に対しましても、なお時間をかしていただき、十分研究さしていただけるもの、かように考えるものでございます。何とぞよろしくお願いいたします。
○綱島委員 大体今の御趣旨はやむを得ぬところもございますが、しかし三十五年度からの予算の最初から施行するような立法をいたしたいと思っておりますから、その点は御了承いただきたいと思います。
 なお次に伺わなければならぬことは、たくさん書いてきておりますが、なるべく簡単に伺います。日本の農業生産というものをややもすると軽んずる傾向が一般に出て参りました。そこでその理由とするところの一つには、東南アジアが、農産物を買ってやらなければこっちの鉱工業製品を買ってもらえないということも一つ、いま一つには、アメリカがその農政について過剰保護をしたというような世論がアメリカの中に起ってきた、こういう二つがおもな理由になっておるようであります。最初にあげた理由は実際にございますが、第二のアメリカの問題は、日本と全く違うので、かようなことを考えてもらうことはまことに当を得ない。ことに私は、国民経済が国際経済の中に占める地位において、農業をゆるがせにしたなら取り返しのつかぬことが起ってくると思う。というのは、現に米麦で大体六億ドルの輸入がございます。多いときは七億ドルに近いこともございます。少くとも大体六億ドルはございます。飼料が一億ドル、豆が一億二、三千万ドル、豆などはもとはほんのわずかな四千万ドル幾らのものだったのがこんなにふえて参りました。砂糖も同じく一億二、三千万ドル、木材一億ドル、羊毛、毛糸が三億四千万ドル、これで大体十四億ドルでございます。そのほかに綿を加えますと実に十八億ドルで、総輸入の大体六
〇%を占めるのであります。このうち綿の問題はなるほど地域の関係上解決は困難であろうが、これは大体化学繊維で代用していけば、二億ドルくらいに食いとめ得る時期は早晩くると思う。それから羊毛も毛糸も、同じ化繊に代位される部分も出てきようし、またこれは綿羊を奨励して参りますと食いとめられると思う。木材は大体加工原料を主として買ってくるのでございますが、これは一億ドル輸入しても、日本でこれに対するものをすぐ作ることはできないから、これは食いとまらない。それから砂糖は大体農林省がその半分は自給することに計画を進めていくということで、すでにことしの予算に出ております。それから豆、これが問題でございます。一体豆を雑豆と大豆でこの通り輸入をいたすくらいばかなことはない。これは大体どういうことからきておるかというと、一々質問していこうと思ったけれども、いい質問だけにしておきましょう。豆は全国至るところ、水田を除くところは線虫、ネマトーダという虫がびまんしておるのである。この土壌改良を全国的にしなければ少くとも三割ないし四割は減収をして、ことにテンサイ糖などはほとんどこれに食いつぶされる、豆がやられる。こういう問題について、私はもう少し進歩的な農政、いわゆる世界の経済の中における日本の国民経済が占めておる地位とマッチする農政というものを考えていただかなければならぬと思うが、これに対しての大蔵大臣及び農林大臣の御所見をお伺いいたしたい。
○三浦国務大臣 農産物全般にわたりまする御意見、まことに傾聴いたしたのでございます。なかんずく大豆の問題でございますが、これは申すまでもなく戦前は満洲大豆によってやっておったのでございますけれども、これはもう北海道等の寒冷地帯はもとより全国にわたりまして生産の増強を期待しなければならぬ非常に大切な穀菽類だと思うのでございます。つきましては、今御指摘になりました通り土壌方面の手当が非常におくれておるということでございます。本年はこの土壌線虫防除対策につきまして、初めてある程度の施設をすることになったのでございますが、ただいまのところ全国にわたりまして調査しました結果、調査市町村の三千四百五市町村のうち三千百八十二市町村にその被害が認められておる、そしてその被害の激甚面積は約七十万町歩、こういうふうに推定されているのでございます。これに対しまして本年度から全国的に土壌線虫の防除対策を、次のような施設をいたすことにしております。すなわち一つは、畑地の検診体制を整備して土壌線虫の発生被害の状況を検診して適正な防除の指導を行う。それから主要畑作の県を対象に二十五名の補助職員を設置することであります。第二には、被害激甚地にして、早急に防除を必要とする畑地面積約三千五百町歩に対しましては、パイロット防除を実施するための防除に要する農薬費の助成も来年度からいたすことにいたしました。第三番目には、この防除をいたすために消毒機三百八十九台を助成するということにすると同時に、これらに関しまする試験、研究をもっと取り進めるということにいたしておるのでございますが、大豆につきましては四年計画をもって防除に必要な防除器具を、大豆作主要市町村の助成によって設置いたしておるのでございますが、これをさらに拡大するということにし、一そう施設の拡大をはかりまして、そして大豆の対策の十全を期したい、かように考えております。
○佐藤国務大臣 御指摘になりますように、農林漁業と申しますか、これはまことに重大な国の経済部分を占めておるものでございます。ただいま貿易の面でいろいろのお話が出ておりました。確かに日本の国際収支を左右するものは食糧の自給度いかんである、こういうことは言えると思います。最近大へん国際収支がよくなったと申しますのも、引き続く豊作が幸いしておることは、御指摘の通りでございます。こういう際に、農村問題について、ともすれば軽視するのではないか、こういうような誤解を受けることは、政府といたしましてもまことに残念しごくに考えます。私どもは保守党といたしまして、政策の基礎に農村対策というものを考えておるわけでございます。今回もいわゆる公約実行というような表現はいたしておりません。これは長い間の主張でございますので、本年の予算編成に当りましても基本的政策を推進するようさらに予算を増額いたしておるわけでございます。その内容等については、ただいま農林大臣が説明した通りでございます。私どもは、この基本政策の推進には今後一そう力を入れて強力に推進して参る決意でございます。
○綱島委員 次に、農家漁家に対する政策、国民生活のあらかたのことについては今お答え下すったし、私が申しました。不十分なところもございますが、時間の都合もありますからやめて、大体農民というものがどういう工合になっておるかということでありますが、日本は御承知の通り農家だけで全国民の三九%、漁家を加えますと四二%ぐらいに相なります。米国は一二%でございます。英国は五%、西独は二〇%、フランスは二八%、イタリアは四一%でございます。このうちイタリアとフランスは、大体食糧を自給自足いたしております。英国は五%でございますが、これは大へんな輸入でございまして、食糧のうち穀類は八
〇%を輸入する、肉類は大体六五%を輸入に仰いでおります。西独は自給が大体六〇%で、輸入が四〇%でございます。米国はどうかというと、これは驚いたもので、大体このごろ十三億ブッシェルくらいできておりまして、これは二億六千万石であります。米国の国内で消費する穀類は大体八千万石であります。日本に千五百万石くらい、ステッチンよりトリエストから西の方に大体千五百万石くらい、大体一億一千万石くらいが使用になる価格になる。そうしてその余の一億四千万石くらいのものが、ほとんどただで費用だけ出せば、運ばせたり、いろいろ国内で捨てると同様にいたしたりいたしております。しかもできた食糧は全部、一ブッシェルというと二斗四合ですが、これを二ドル七十五セントで買って、そしてその今売った百姓に一ドルで売っているのです。これによっての米国の国庫負担というものは、日本の金に換算いたしますと、大体八千五百億円でございます。そのほか今度は豆とかあるいは乳であるとか乳製品であるとかを加えますと、大体価格補償のために二兆二、三千億を要しておる。試験研究その他を加えますと、実に二兆九千億円というものを消費いたしております。総予算はどうかと申しますと、ただいま行われておるアメリカの総予算は、日本の貨幣に換算いたしますと二十五兆億円であります。その二十五兆億円のうちの十五兆億円というものは軍事予算です。内政予算は十兆億でございます。その十兆億のうち二兆九千億円というものは――すべて邦貨の三百六十円に換算して申し上げますから二兆九千億、大体内政予算の二九%というものは農林予算です。これは価格補償予算でございます。そこでアメリカでは農業人口というものを減すよりほかには何とも方法がない。ところが農民がなかなか減らない。そうしてこれは団結しておって、大統領選挙にでもリパブリカンでもなければデモクラットでもない、自分の方によい政策を発表する方に一ぺんに票を入れるものだから、どうしたって農民にいいように言わなくては、大統領も当選しないという実情がございますので、人口を減すなんということはできないから、日本の政治家などが行くと、農民問題もあまり保護するとなかなか困った問題が起るというようなことを言っておる。日本は十八億ドルの輸入をいたしております。総輸入の六〇%を食糧で輸入をしておる日本と、二年半分ばかりできるアメリカ、これを同じように聞いてきて、あっちに行ってきた政治家から私は何人からも聞きましたが、アメリカの農業の過重保護には困っておるそうだ、こういうことを言うておるのでありますが、こういうことを誤解されることは非常に困る。国民経済からも先ほど申し上げたように困るし、国民の中の農家経済からいっても、こういう考え方から立案されることは非常に迷惑しごくなことでございます。
 そこで私は、農産物価のうちの割合に重きを占めておりますところの米麦のパリティ・システムというものについてお尋ねをいたしますが、パリティというのはほんとうなことと思っておるが、日本の米価システムのパリティはパリティではございません。御承知の通り、パリティというのは、米国はニュー・ディール政策というものをやった。米国は御承知の通り、企業自由の原則が基本でございますから、補助とかそういうものは全然出すはずのものではないのです。その企業自由の法則を基礎としておる米国が、農業だけではどうしてもいかれぬというところから、ニュー・ディール、いわゆるカルタのまき直しだということで、その後ルーズヴェルトが考え出したことは、工業労働者の労働力の価と農民の労働力の価をパリティにする、等価にする、こういうシステムでございます。そうして今申し上げたような非常な膨大なる保護をするということになったのでございます。ところが日本のパリティというものはどういうものか、これは全く農民が徳川時代に生かさず、殺さずというような、それよりひどい、コンニャクは幾らする、雨具は幾らする、さらし木綿は幾らする、そういう農民の生活の最低必要なるものの価格を積み上げてきて、それを支給するに足るものに労働力の一部を加えたものをもってパリティと称しておるのであります。これは全くパリティでも何でもない。何と一体ひとしい価か。ふびんにして学問が足らぬのか何か知らぬが、パリティというのはひとしい価ということだが、日本のパリティということは一体どういうことを意味しておるのか。強力にパリティ・システムというものを大蔵省も支持するようだし、農林省も大体支持しておられるようだが、これに対する御見解を伺いたい。
○三浦国務大臣 現行の食糧管理制度によりまして、御指摘のように、いわゆるパリティ方式なるものをとっておるわけであります。しかし、ここ数年来、この算定は非常に事情に適せぬ、特に先ほども御指摘がありましたが、農家の収入は逐年他の産業等との格差が大きくなって参りますし、その内容等もだんだん低下して参っております。そこで、今は生産費補償方式を採用するように、こういう提唱があるわけでございます。一昨日もこの点につきまして社会党の阿部さんからるるお話がございまして、今までは理論上におきましても、実際これを計算式にとりましても、非常に困難だということで、ちゅうちょいたしておったのでございますが、いつまでもこれをそのままにしておくわけには参らぬということで、せめて生産費補償方式を採用するならば、いかような具体的な処置をとれるかということで、昨年来農林省では検討を重ねて参っております。非常にめんどうな問題でございますので、いまだ具体的結論を得ておりませんけれども、何とかして今年の六月ごろに米価を算定します場合に何らかの方式を見出したい、かように考えておるわけであります。そこでその根本の考え方は、他の労銀等に比べまして均衡を得た一つの米価と言いたい、こういうことに考えておるわけでございますが、先ほど来申し上げました通り、まだ不幸にして具体的には結論を出しておりませんが、その方面に努力を重ね検討して参りたい、かように存じておる次第でありますから御了承願います。
○綱島委員 もう一つ伺っておきたいのでありますが、従来農林省がとりました――これは歴史的には悪いとは言わない、もっともだったと思いますが、土地改良について、ことに国家で遂行いたします土地改良等のことにつきましては、集団地だけに限っておりまして、一つの古ため池でも十七万町歩なければ補助の対象にしないとか、いろいろなことをやっております。そこで急傾斜地に近いところ、こういうようなところは、どうしても範疇に入らぬ。大体おもな傾斜地だけでも十七万町歩の水田と十三万町歩の畑がございます。この周囲には荒蕪地がございます。従来の土地改良の規定から申しますと、畦畔は何とかなるけれども、新たに開田をしたり、開畑をすることは別な予算になる。ところがこれは大蔵大臣が非常な奮発で、わずか三十億ではありましたけれども、この小団地の開発について国費を低利資金にして使おう、これは非常ないいことでございます。今まで一文の恩恵もなかったところに初めて恩恵が及ぶわけで、ちょうど離島振興と似たようなものです。これでございますけれども、どうも利息が高い。これは私はいろいろ計算して――きょうは時間がないから申し上げませんが、あれはほんとうに二分五厘でないと合わないのです、わきの補助を受け取っている者と。ところが三分にはせめてしてもらいたい。節約してやれば、年三分ならばやれぬことはない。三年据え置きであと十二カ年賦で払う、十五カ年の貸付、こういうことに僕はしたいと思って非常になにしたけれども、予算の制約はそれを許さず、三分五厘ということでとうとうやられてしまった。今後――ことしはがまんしますよ。今後一つこれを改正する御意思がございますかどうか、大蔵大臣にもこの点は伺います。
○三浦国務大臣 まず第一に傾斜地関係のことでございますが、これは皆様御承知の通り、長期計画では、土地改良事業費において十六億四千六百万円の施設をする。それから農地保全事業につきましては二十六億八千三百万円、開拓事業につきましては五千二百万円を長期計画として用いた、こういうことになっておりますが、現在のところその進度はまことに進みませんで、まだ三五%程度でございます。これは三十六年をちょうど末期にしているわけでございますが、なお残事業も相当大きいものでございますから、この有効な施設は特に努力して完遂に努めたいと存じております。
 次に御指摘になりました小団地の開発の事業でございますが、先ほどお話のありました通り、本年は資金量におきましては先年の二十七億程度より飛躍しまして、大体六十五億程度まで拡大し得るめどがついたわけでありますが、分子につきましてはいろいろ御指摘がございましたけれども、今後努力して参りたい。本年は三分五厘で一つごしんぼう願いたい、こういうことでございます。
○佐藤国務大臣 利子の問題につきまして農林大臣が非常に努力すると言われたのでございますが、大蔵当局といたしましては、今日の三分五厘というのは大へんな低利でございまして、これは申すまでもなく、一般の自己の私有財産に対する国家保証をいたしました結果が三分五厘という金利で農林金庫から貸すことになるわけでございます。この点は金利だから二分五厘にしろとか、あるいは三分にしろ、こういう御意見が出ることは当然だと思いますが、私どもは三分五厘の低利で融資するということは、農村に対するいわゆる保護政策の現われであり、これが一つの限度であるような考え方を実はいたしておるのでございます。申し上げるまでもなく、最近の農業対策と申しますものが、一時の生産増強対策にプラスいたしまして、農村の生活安定の方向に特に力が入って参って、いわゆる農村対策というものを推進しておると思いますが、そういう意味の一つの現われとして、ただいまのような低金利な融資を計画いたしておるのであります。従いましてこの点はいろいろ御要望はお強いことだと思いますが、ただいまわれわれは、三分五厘程度が、他の補助と比べましていわゆる小団地である場合においてこれが限度ではないか、かように考えておるのでございます。
○綱島委員 実はもう時間が長くなるから議論をしたくないのですが、それは三分五厘じゃどうにもならぬのですよ。他の小団地のなには三分三厘の補助があるのですから、その補助を受けない部分だから。
 それではこの理論は申し上げれば幾らでも申し上げられるが、あとそれならこういうことを知っていただきたい。農業というものは不可欠産業である。国民経済において農業というものは、特に日本では、やらなければ国際収支の関係でもどうにもならぬことになっておる。こういう二つは前に、ただしておいた。ところがその農業というものは不利益産業で、アメリカのような非常な条件のいいところでも非常な不利益で、価格的にはどうにもならない。というのは、機械の利用度というものが、農業では他の工業や何かのようにできないのです。機械の利用度というものはどうしても他のものとつり合わない。従って一人の者の生産する生産量の増強というものが、他の産業の生産量の増強に伴わない。日本は天正から、今まで、天正時代の長束正家の検地の記録がございますが、今の百姓は大体一人前の倍くらい作るようになった。そんなにできはしない。アメリカは二十倍くらい。これは超大な数字です。これは機械力を利用できる広大な地域だからです。日本はもうできない。これが一つ。それからいま一つは、他の産業のは製品自身の内容が毎年進歩いたします。モーターでも去年のモーターとことしのモーターは回転数が違う。それで、できたものの飽和状達に達することが全然ない。ところが農製品というものは、野菜、果樹等が飽和点に達するとただのように車代もないようになってしまう。ミカンを捨てなければならぬ、あるいはスイカを捨てに行かなくちゃならぬという問題が起ってくる。そこで非常な価格補償をせぬといかれないという問題がもう一つ。それから最も重大なることは、他の産業は近代産業の特質として企業計画に従って計画生産をやっている。農業は日が照るやら、雨が降るやら、風が吹くやら、わけがわからぬので、計画産業というものは全くの希望計画に終るだけで、これは計画産業というものはできないのです。この三つの生産上及び価格上の非常な不利益を農業は持っておりますために――これは要らぬなら別ですよ。だれもかれも今日以後一切飯を食わぬということにきめれば別だが、もし飯を食うなら、これはやはり保護していかなければいかれない。また日本のような不利益産業のところでは、十八億のうち大体十四億までは私は食いとめられると思う。そうすると、農業生産の不足金が綿をまじえて十四億程度でとどまるということになりましたなら、日本の国民経済というものは非常にりっぱなものだ、決して憂うべきものではない。下手な中共貿易とかなんとか言うて騒ごうよりは、わが山林を耕し、わが畑を耕すにしかず。
 最後に二つばかりありますが、しんぼうして下さい。聞いておきたいことは、今までの農業政策というものは、山に対する政策、治水の政策、開畑、開田の政策との関連性が非常に薄いのです。ことし水系的開発ということを農林省が言って、これは一つの進歩でございます。だけれども、治水事業はほとんど建設省が持っておる。それから治山の方は農林省。下はできて上はできない。こういうものについて、これは企画庁長官も一つ御加勢願って関連した有機的体系でやっていけば、今のように役所が別々にやるからということで別々にものをいたしましては効果が非常に薄いと思いますが、これに対する企画庁長官、農林大臣、大蔵省もこれについての注意をして予算を査定してもらわなければならぬ。皆さんの御意見を伺います。
○世耕国務大臣 お答えいたします。しごく同感です。ぜひそういう趣旨に従って善処いたしたいと思っております。
○三浦国務大臣 ただいま綱島委員より御指摘になった点につきましては、実はわが国の農政学者におきましても、山林から平地に至るまで一貫した政策を立てろ、こういう理論づけの体系をもちまして提唱している向きもございます。私はそういう意味をもちまして、日本の国土総合開発計画などは、それをねらっているものと思うのでございまして、逐次地区的には進んでおりますけれども、これはもっと拡大し、もっと根本的に処理されなければならない、かように考えております。同時に、別途に予算並びに法律等にお願いしております今後の農林漁業の基本的政策の確立を目ざして、そして法案を用意しておりますことも、これらにつきましては今や根本的に検討し、調査をし、そうしてがっちりしたものに向うべき時点だと考えておりますので、今の御提唱のような趣旨をもって今後推進して参りたい、かように考えております。
○佐藤国務大臣 治山、治水、砂防、三つがただいま言われるような目的のもとに行われるということは非常に望ましいことだと思います。ただ役所のどこにあるかということは、また別なことになりますので、御了解を願います。
○綱島委員 次にお尋ねをいたしますが、もうすぐ農政でぶつかってくる問題でありますが、果樹の問題。御承知の通り、蚕糸問題というものが――蚕は桑を食わずに札を食うというような漫画が新聞に出たりいたしましたが、実は果樹が蚕の生産の倍あるのですよ。農家収入はちょうど倍。そうしてこれには何の課もない。蔬菜と二つ加えますと、麦と繭と加えたくらいの生産がある。これについてどうしても一つの局を設けて、果樹課、蔬菜課というものを作らなければならぬ。蔬菜は非常に困ることは、御承知の通り、値が変転常なくて、中央卸売市場その他についてのいろいろな行政指導をいたさないと、もうこれは大困りをいたします。ミカンでも、ミカンの一例から申し上げますと、輸出するのが、昨年は四百万箱、実は注文があって、輸出はできません。こっちが間に合わない。これは四十万箱であったことは今から四年くらい前です。毎年々々これはうんと行きます。御承知の通り、ヨーロッパには地中海の一部にしかミカンはできない。イギリスにうんと行きますが、なにイギリスはそれをまた北欧に、全部自分の国産にして輸出をしておる。これは日本もその商権を確立して、一つうんとミカンでも金をとらなければならぬ。それだからといってミカン山ばかりやっても困るので、これは一定の優秀な地域に――ある程度家庭で食うための果実は別として、営業上の果実については、相当これは行政上指導をしたり、ある意味においてはマネージメントなどを持たなくちゃならぬ時代が来たんじゃないか。それにはどうしても専門家というものがおらなければならぬ。何の者もおらぬ。蔬菜の何とかというものが農林省のすみの方にあるようだが、呼んでみても一向わからない。こういうのじゃ困るから、これについては農林大臣は局なり部なり設けて、蔬菜の問題と果樹の問題を解決する御意思はありませんか。そうやらなければ、たった今問題が起ります。
○三浦国務大臣 蔬菜、果実等についての重さは、今御指摘の通りであります。大体総生産におきましても約二千億円というふうにも統計は出ておるわけでございますが、ただいまこれの所掌事務は、実は三つに分れております。振興局に園芸特産課というものがあります。そこに園芸調査会等を置きまして、そこで事務局的な見地をもちましていろいろ調整をしておりますが、さて同時に市場関係は改良局で扱っておる、また一部は食糧庁で扱っておるようなことでございまして、これはもっと合理的なものにしなければならぬと思います。農林省は、本年は国会方面の御要請もありましたので、とりあえず水産庁に漁港部を設置いたしたのでございますが、今後よく研究しまして、いかような仕組みをとり、いかような運営をするかということを十分に検討した上で御趣旨に沿うように努力したいと思います。
○綱島委員 そこで最後に申し上げたいことは、基本法の問題であります。これは御承知の通り、各国農業は基本法を作らなければどうしてもやっていけないというところで、しかも輸入は日本などは食糧輸入を全部するようになったら、全部の生産をあげたって足りません。全部売ったって足りない。ことに注意をしてもらわなければならぬことは、食糧は輸入しても一つも労働力の消化にならない、食ってしまう。ところが他の原料品の輸入はそれによって人がものを食う、あるいは作る。鉄を輸入すれば、製鉄所にも人が働けば、造船所、機械製作所等にも働く。こういうことになって、たった今出てくる日本の労力問題の処理についても、実は内地の農業というものを盛んにする非常な必要が緊急に迫られておるわけである。さような事態でございますから、ここに毎年々々、もう僕らいやになる。予算のときは旗頭のことしていやなことを言うて、実際何のために議員になったろうかと思うようなことばかりでございます。そう憎くもないものにひどいことを言うて、ひどいことを自分は言うたなと思うようだが、それでも予算はろくに取れない。それで基本法というものを一つ作って、そう骨折れずにほんとうに日本の農政というものがいける法を打ち出してもらわにゃならぬのでありますが、これについての農林大臣のお考え方はいかがでありますか。
○三浦国務大臣 今の問題でございますが、この前も申し上げたのでございますが、農業生産は絶対量もふえておりますし、その国民経済に及ぼす影響等ももとより非常な役目を果しておるのでございますけれども、何せ他産業の進歩発展に比べますと、どうしても較差が出て参る。一面農林漁業方面の収入は、これまた他産業との比較におきまして劣位にある。こういうような次第でございますから、どうしても根本的な対策を立ててこれに対処しなければならぬという段階であろうと思うのであります。御承知の通りいろいろ立法例等もございますが、それぞれの国の特質をみな持っております。ドイツ等の例を見ますると、先ほど御指摘のありました通り、農業者等も非常に少い。同時にまた雇用方面も鉱工業にすぐ転換していけるような有利な条件もございますし、同時にまた耕地等も日本に比較しますと相当に多い。耕地の利用率等も非常に多いのでございまして、これら困難な事情がありますけれども、日本の農林漁業の将来の振り方につきましては、これらの困難があっても、十分に検討した上に基本的な態度をもって進みたい。できるだけすみやかに方策を得まして、今、基本法の制定そのものをお約束するというわけにも参りませんけれども、そういう含みをもって進みたいと考えております。
○綱島委員 大体私の質問はこれで終ります
○楢橋委員長 明日は午前十時より開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
    午後六時十一分散会