第032回国会 農林水産委員会 第4号
昭和三十四年七月八日(水曜日)
    午前十時四分開議
 出席委員
   委員長 吉川 久衛君
   理事 田口長治郎君 理事 永田 亮一君
   理事 丹羽 兵助君 理事 野原 正勝君
   理事 赤路 友藏君 理事 石田 宥全君
   理事 日野 吉夫君
      安倍晋太郎君    今井  耕君
      金子 岩三君    金丸  信君
      高石幸三郎君    綱島 正興君
      保岡 武久君    足鹿  覺君
      角屋堅次郎君    神田 大作君
      高田 富之君    中澤 茂一君
      芳賀  貢君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 福田 赳夫君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (主計局長)  石原 周夫君
        農林政務次官  大野 市郎君
        食糧庁長官   渡部 伍良君
        農林事務官
        (食糧庁総務部
        企画課長)   大和田啓気君
        専  門  員 岩隈  博君
    ―――――――――――――
七月八日
 委員久保田豊君辞任につき、その補欠として高
 田富之君が議長の指名で委員に選任された。
同 日
 委員高田富之君辞任につき、その補欠として久
 保田豊君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農林水産物に関する件(生産者米価問題)
     ――――◇―――――
○吉川委員長 これより会議を開きます。
 農林水産物に関する件につきまして調査を進めます。生産者米一価に関する問題について質疑の通告がありますので、順次これを許します。石田宥全君。
○石田(宥)委員 昭和三十四年度産米価格決定に当りまして、自由民主党の政策マンと言われる新農相に対して、基本的な問題について、まず第一に米の統制の問題についてお伺いをしておきたいと思うのであります。
 米の統制は、ひとり生産者農民に対する保護政策であるばかりでなしに、消費者に対しても、やはり、米価を安定させるという意味において、予想されるところの出来秋には暴落をするが端境期においては暴騰するというような不安定から消費者の生活を擁護するという意味において、当然これは存続すべきであると考えるのでありますが、一面、需給の状況を見ますると、ここ数年ならずして需給のバランスがとれるような状況も予想されるのであります。また、一面、財界方面におきましては、いろいろな事情で統制撤廃論がすでに起っておるのでありますが、農林大臣は、この統制の問題につりいて、存続すべきであるというお考えであるか、あるいは需給のバランスがとれるようになったならば統制を撤廃しようというお考えであるのか、まずこの点を承わりたいと思います。
○福田国務大臣 米の集荷、配給の制度は、国民生活の安定の基本的な地位にあります問題で、私は、需給状況のいかんにかかわらず、現在の制度を続けていくべきものである、かように考えております。
○石田(宥)委員 そこで、米価に対する考え方でありますが、御承知のように、従来の自由価格の時代は、これは需給の関係からきまっておるわけでありますが、その後、戦争中からきわめて強力な統制が行われて、いわゆる極端な抑制米価のもとに強権供出をしいられて参ったのであります。それが最近においては若干緩和されておるわけでありまするけれども、需給の関係が緩和して参りますると、特に重要なことは、一面においては、食管法の指摘しておりまするように、再生産を確保するということが一番大きな一つの問題点になる。それから、もう一つは、政府が特に強調しておりまするところの、考え方の中にある所得均衡論。農業の所得は、最近他産業と比して著しく劣っておりまして、御承知のように、終戦直後においては他産業の二分の一程度の所得であったものが、最近におきましては三分の一という状況になった。政府は所得倍増論の具体案に着手したということが伝えられておるわけでありますが、私は、国民所得倍増論を考える前に、他産業と比較して三分の一に低下しておる農民の所得三倍論をまず具体的に考え、しかる後に国民所得倍増論もよろしいと思うのでありますが、少くとも、今の場合に、この再生産を確保するという一本の柱、もう一本は所得均衡論、この二本の柱が農政の中心でなければならないと思う。ところが、そういうふうな観点に立って米価が考えられておるかどうかということになると、遺憾ながら、ほとんどそういう重要な点が無視されておるのではないか。今後、農林大臣は、日本の農政を考えられる場合において、今申しましたような再生産の確保と所得の均衡、その上に立った日本農業の安定的成長という考え方のもとに、一体米価というものをどのようにお考えになるのか。これは農政一般の中における米価の考え方としてきわめて重要な点であろうと思うので、この点をお尋ねしたい。
○福田国務大臣 最近農業が曲りかどに来ているというふうにも言われておるのでありますが、それはいろいろな意味があろうと思います。しかし、非常に大きな要素といたしまして、ただいま御指摘のように、農村の所得傾向というものがなかなか一般の傾向に及ばないというところもあるというふうに考えます。しかし、私、考えまするに、農業生産を幾ら上げましても、日本の伸びゆく経済の発展のテンポにはなかなか歩調をとっていけまいと思う。農村に働く人の一人当りの所得を増加するという方途は、これは日本全体の経済がよくならなければだめなんだ、そういうふうに私は思うわけであります。すなわち、農業総生産を農業従事人口で割ったものが農村所得なんでございますから、その割る数というところにまた大きな問題があるというふうに私は考えておるのでございまして、この解答を与えるものは、日本経済全体が伸びるということでありまして、今長期計画を考えるというような問題も、一つは日本の農業問題の解決というところに大きく重点を置いて考えていかなければならぬというふうに考えます。
 関連いたしまして、米価の問題でございまするが、米価は、やはり、米の生産を将来も確保し、また農家の安定もはかるというような意味において、お話のような筋合いの考え方をとらなければならぬと同時に、これはやはり、そういう統制制度が客観的な妥当性を持つためには、需給の状況というものも十分にらみ合せて決定しなければならぬ、両々相待って決定すべきである、かように考えております。
○石田(宥)委員 もちろん、所得の均衡も再生産の確保も、ただ米価の決定一つで片づくものではございませんし、また農政だけで片づくものではないのであって、日本の国の政治全体の中から生まれてこなければならないことは言うまでもないのでありますが、世間では、ややもすると、農業団体や農民団体、特にわれわれ生産農民的な立場に立つ者の主張に対しては、米の値段を高くしさえすればいいのだというような誤解を生んでおるようでありますが、私ども必ずしも米の値段が高くなりさえすればいいとは考えておらないのであって、米価が高くなることによって労働賃金が高くなったりあるいは諸物価にそれがはね返る、いわゆる返り血を浴びるような結果になるのでありますから、むしろ米は安いほどよろしいのであります。しかしながら、現在の経済情勢の中においては、肥料、農薬、農機具等の負担あるいは生活諸物資の面におけるいわゆる独占資本の収奪と申しますか、そういうものをほしいままに放任しておいては農家の経済というものは成り立たないので、現に四年続きの大豊作のもとにおいて農家の負債が年々かさんでいく、こういう状況から脱却するには、どうしてもやはり、農民の立場から見れば、それらの物財投下というか、投下資本に見合ってプラスになるような米価でなければならないというところでこれを強く主張しておるわけでありますが、農林大臣は、いわゆる農政の一環として、少くとも肥料や農薬や農機具を中心とする物財費の低下の面について、これを一体どう処理すべきであると考えられるか。日本社会党では、この点については、肥料のような化学産業で複雑な経営内容を持つものについては、国家管理に移して、ことに最近のようなガス資源利用の窒素肥料などは非常に安くできておるという状況の中においては、肥料は、国家管理にして、そうして安く農民に供給するような体制を作らなければならぬということを主張しておるわけでありますが、これは一例でありますけれども、そういうふうに、それらの面からも解決をはかっていかなければ、米価だけでは片づかない問題ではないか、こう考えるのでありますが、大臣の所見はいかがですか。
○福田国務大臣 農村の生活を向上するためには、どうしても生産費を安くするということに重点を置いて考えなければならぬと考えます。生産費を安くするためには、生産性向上という問題を中心にして私は考えたいと思います。なお、生産に必要なコストにつきましても、なるべくこれは低くなる方が望ましいという考えを持っておるわけです。御指摘の肥料など具体的の問題につきましては、あるときの客観的な条件がいろいろ違いまして、その処置は違い得ると思いますが、基本的にはそう考えます。肥料については、農家あっての肥料であり、肥料業あっての農業であるというふうにも考えますので、両々相立つように、しかもコストはなるべく下っていくように、そういう考えを持っております。
○石田(宥)委員 まあこの具体的な問題はまた別の機会に譲るといたしまして、さて、昭和三十四年度の米価諮問案についてでありますが、農林大臣は、あるところで、米価というものは力の関係ではない、これは理論的な問題である、こういうことを言っておられる。まさにその通りであろうと思う。ところが、昨日米価審議会に諮問された米価諮問案なるものを見ますと、明らかにこれは力関係に左右されて、理論的なものはほとんど認めることができない。まことに遺憾にたえないのであります。私どもは、多年にわたって、従来のようないわゆるつかみ勘定、政治米価でそのときそのときの政治情勢に左右されるような米価というものがいかに生産農民にとって不安であるか、これはどうしてもやはり一定の算定方式のもとに整然たる理論米価でなければならない、それがためには、かつての抑制米価の算定方式であったパリティ米価を廃し、生産費を補償し、またその所得を補償するという新しい方式を主張して参りました。しかるに、本年度は、昨年の米価審議会における前農林大臣の言明もあり、ことしは大幅に生産費及び所得補償方式を取り入れるのであるという言明に基いて作業を進められたようでありますが、結果から見ますと、この理論的な米価というものはじゅうりんされてしまった観があるのでありますが、これはちょうど重要な段階に大臣の更迭等もあったことではありますけれども、この機会に、私は、なぜこのようにいいかげんな、生産者農民も消費者も国民も納得ができないような政治的な米価に落ちつかざるを得なかったか、率直に一つ事情の御発表を願いたいと思うのです。
○福田国務大臣 今度米価を決定するに当りまして、お話のように生産費並びに所得補償方式というものも取り入れるという考え方で農林省が作りました案によりますると、一応基本米価九千七百円ということが出てきたのです。その九千七百円と出てきたものは、私ども当初こういう基本方針なのです。一つは、私どもが新しい生産費並びに所得補償方式として採用する方式によって計算した価格が九千七百円、それから、従来の所得パリティ計算によって計偉いたしたものが九千六百九十二円、こういうふうな二つの数字が出てきたわけです。それで、初めから私どもは両々相見合って決定いたしたいという考えでございましたが、その間の差が八円というようなわずかな違いでありますので、この際政治的な角度から、高い方の、八円増しの九千七百円をとろうということで、それを原案にいたしました。資料といたしましては、九千七百円という計算もあり、また九千六百九十二円という計算もあるが、九千七百円をとるのが妥当ではないか、こういうことで、政府各部内並びに与党に対しまして、これで行きたいという話をしたわけです。
 それから、同時に、三十四年度の予算におきまして、予定いたしました予約減税の廃止ということを織り込みまして、しかし、廃止するかわりに、予算にきめてありまする通り、廃止によって生ずる増収は売り渡し農家に均分に配分するというので、申し込み加算は従来百円でありましたが、これを七十五円増額いたしまして百七十五円といたす、こういう仕組みをとったわけでございます。
 これを政府並びに与党に示し、また各方面の意見を求めましたところ、第一の算定につきましては、あるいは利子の考え方において農林省の原案においてどうであろうかというような議論もあったわけであります。また、私どもが算定方式に用いる場合の昭和三十四年における賃金の動向というものにつきまして、当初、私どもは、新しい資料がないというようなこともありまして、三十三年の一月から十二月の賃金を用いておったわけであります。しかし、その後調査がだんだん進みまして、最近におきましては四月まで賃金が見られるというふうに相なりましたので、最近の賃金をとる方が適当ではあるまいかというような議論が一つあったわけであります。それから、さらに、各年度の生産費を計算いたします場合におきまする賃金でございますが、この賃金は、私どもは当初各年におきまする一月ないし十二月というものをとっておったのでありますが、これは米の生産の条件等から考えまして、米の生産耕作が始まります四月から翌年の三月に至る期間をとるのが適切ではあるまいかというような議論もありまして、さような賃金のとり方について修正をいたしたわけでございまして、決して理論的に考え方を曲げたというような次第はないのであります。
 それから、税金につきましては、これは、私どもが提案をいたしました措置によりましても、なお三十三年に比べますと負担が増加する者が二%余あるという状況であります。国全体の大勢が減税だ減税だという際に二%といえども負担の増加をする人が出てくるというのは、政治的感度としていかがであろうかというので、これを本年は実行しない、すなわち、今までのものを据え置きにするというふうにいたした次第でございまして、私ども提案いたしましたものに比べますると、税の方につきしては非常に大きな修正をいたしたわけでございますが、算定の方面におきましては、これは係数のとり方をより合理的にいたしたような次第でありまして、基本的な修正をいたしておらないということを申し上げます。
○石田(宥)委員 最終段階におけるその修正の事情はよくわかったわけでありますが、実は、これは本会議において足鹿委員からも指摘されましたように、生産費及び所得補償方式を大幅に取り入れると言われておるのでありまするけれども、この新しい算定方式というものは、昭和二十四年当時の米価審議会からの論争でございまして、すでにもう常識化しておるんです。それは、やはり生産費については八〇%程度のバルク・ラインによってこれを押える、これは常識ですよ。ところが、それを平均値でとっていく、こういうことになりますると、少くとも五〇%程度の農家の生産費が補償されないという結果になる。もちろんそれは自家労賃の修正によってスライドされてこれはふくらんではおりませんけれども、もう一つ私が見のがしてならないと思うことは、この諮問案にも書いておりますように、諮問案の五ページの二のしまいの方ですが、「需給事情を考慮して定める調整係数を乗じて算定する。」ということを言っておるわけです。これは私は非常に重要だと思うのです。なぜ私がさっきからいわゆる抽象的な米価論などをやったかと申しますと、需給関係というものを考慮してやるということであるならば、終戦以来のあの飢餓状態の際に農民に対して強権供出を発動して抑制米価をやって、権力をもってこれを抑制しておきながら、今度若干需給のバランスがとれて参ったから需給事情を考慮して価格を決定するということの含む意図というものは、私はきわめて重大だと思う。これは私は別に悪い意味で解釈しようとは考えませんけれども、こういうふうな考え方の根底にあるものは、需給が緩和してくれば、やはり米価は自由米価の原則に基いてこれを引き下げる、あるいはまた統制を撤廃するというこの考え方が根底にひそんでいることをこれは物語っておると思うのであります。こういう点について、私はこの需給事情を考慮して調整係数で調整するという考え方というものは、基本的な考え方につながる重大な問題だと思うのであります。先ほど大臣は、需給事情のいかんにかかわらず統制は存続すべきものであるという答弁をされたのでありまするけれども、かりに統制は存続するとしても、価格については、需給事情によっては今度はどんどん下げていくんだという心がまえがこの中に含まれておると判断せざるを得ないのでありますが、どうですか。
○福田国務大臣 需給事情を価格決定の要素にしなければならぬということは、先ほども申し上げたわけでございまするが、需給事情が米の生産から見まして非常にいいという場合に、この係数に若干の変化があることは、これはこの算出から当然出てくることです。しかし、米の値段をことさらに下げなければならぬというような角度でやっておるのじゃないので、そういうようなことが急にあるべきものではないというような考え方から、過去三カ年の石当りの実収手取り額というようなものを見るという慎重な配慮をいたしておるわけなんです。決して米の値段を下げるというような意図もあるわけではありませんし、また、この中に、私が先ほどはっきり申し上げましたように、米の統制はこれを継続するのだということでございまするが、これを裏で別なことを考えているのだという意図がないというようなことは、これはもうはっきり申し上げておきます。
○石田(宥)委員 そこで、この算定方式の中の中身の問題ですが、単年度でなくて複数年度を基準にし、その平均生産費ということで、それを調整係数で修正するという。これを単年度にしないで複数年度にするということは、これはやはり、当時の経済事情から、私はよろしいと思うのです。しかし、先ほどもちょっと指摘したように、生産費の平均値を基礎にして、これを修正するということは、どうしてもこれは納得がいかない。これは、大臣、初めて私は伺うわけでありますが、実は、米価の決定というものは、どうも予算米価の拘束が大きいのではないか。従って、食糧庁は、当初から予算米価というものが常に頭にこびりついておって、その一つのワクからどうしても飛び出せない。そこで、本来ならば、先ほども指摘いたしましたように、昭和二十四年ごろから生産費及び所得補償方式について論争が行われ、昭和三十年のごときは、米価審議会の中に特に学識経験者を網羅したところの専門委員会が持たれて、専門委員会の中でもずいぶんこの問題が論議をされておるわけです。そうして、やはりバルク・ライン方式によるべきものというのが圧倒的に多数の意見で、これは常識化しておるわけです。ところが、それに対して、食糧庁は、本年の春以来、バルク・ライン方式をとるということになると、どうも予算米価からはみ出すのではないかということをおそれて、これを否定するような資料を収集されたようにわれわれはどうしても考えざるを得ないのです。これは食糧庁長官に対して私はしばしば進言をいたしておったのでありますが、日本農業のような地域性、地帯性のはげしいところで、販売農家三百十万戸の中でわずかに二千六百戸程度の経済調査をやって、そこから妥当な一つの統計的な資料を引き出すということは、そもそもこれは困難であるということは、統計調査部長もはっきり言っておるのです。やや正確に信憑性のあるものを把握するには少くとも五千戸以上の農家を調査しなければならぬということを言っておるのです。これは二千五百戸しか調査しておらない。これは、聞くところによると予算の関係もあるということでありますが、さて、そういうふうに資料そのものが貧弱なんですが、その基礎の上に立って、そうしてさっき申し上げたような地域性、地帯性というものの非常に振幅の大きい問題を、全国の中で一つのバルク・ラインで一定の線を見出すということは、これは初めから困難にきまっているのです。しかし、それをやって、やったところが、一定の安定性がない、それから法則性が見出しがたい、こういうことを言って、バルク・ライン方式はとりがたいというところの膨大な資料になってここへ出ておるのですが、こういうふうな膨大な資料を作っておるのです。そうして、そのバルク・ライン方式を粉砕する資料にしておるとしかわれわれには考えられないのです。そういうところにわれわれは釈然たらざるものがあるのであって、私は、当初この米価問題を取り上げた当時に、ことしこそは算定方式だけはすっきりしたい、理論米価にしたい、それがためにかりに米価が多少下ることがあっても、あるいは据え置きのような状況になるにしても、従来のようなつかみ勘定の政治米価はもうごめんだ、毎年々々同じようなことを繰り返して、農業団体や農民団体が一カ月にもわたって陳情合戦をする、すわり込みをやらなければならないというようなことはもうやめたい、それがためには、やはりすっきり理論的に割り切った米価で、少くとも基本米価だけは算術計算で結論が出るようにする、あるいは奨励部分やその他の特別な政策的な面は別としましても、基本米価だけは、やはり、今日の麦価決定、これはパリティ麦価でありますから、私は、米価の場合このパリティ米価をとることには賛成いたしませんけれども、たとえばああいうふうに基本米価だけは第術計算で結論が出る、その他の問題についてはこれは政策的に考慮もよろしいけれども、そういうことにやりたいということを強く主張しておったにもかかわらず、ついにそのバルク・ライン方式はとりがたいという資料に基いてこれを拒否し、そうして、ついに平均生産費、そういうものを中心として、これを調整係数で修正をして、当初は昨年と一銭一厘違わないところの九千七百円という裸三等の基本米価が算出された。私はこれは必ずしも偶然の一致とは考えられないのです。これは、一定の答えを出しておいて、その答えに合うようにいろいろ試算をやって、そうしてその調整係数なるものを見出して、その調整係数を使うことによって、前三カ年の平均生産費を基礎にして修正することによって、前年度同額になるということを一つの目的意識のもとに作業を進めて、それをやったとしか考えられない。これはおそらく国民全体がそういうふうに考えるでしょう。こういうことをやるからことしのような混乱が起っておる。おそらく、絶対多数をもって任ずる自由民主党としても、私は醜態の限りだと思うのです。少くとも筋の通った農林省原案というものが出たならば、やはりそれに基いてもっと筋の通った修正ならわかる。理論的にちゃんと筋の通った米価を出すというならわかるけれども、ますます晦冥ならしめるような修正を加えるということは、これはもう再びその道を歩いてはならないことであると考えるのであります。従って、少くとも米価算定というものについては、これはなかなかむずかしい問題でありますから、私は、基本米価だけにいたしても、簡単に割り切れるとは考えられません。バルク・ラインのとり方などについては、これは学者の中にもいろいろ意見があります。また私も実は長官に対してはその意見を述べておるのであります。ということは、さっき申し上げたような日本農業の実態でありますから、これを地域別、地帯別、階層別に一つのバルク・ラインというものを出せば、これはすっきりした安定性も出てくるし、法則性も出てくるのです。だから、全国的にそれを積み重ねて、そこで平均値を出すというような手段をなぜとらないか。ところが、全然それを顧みずして、試算すらもしておらない。それをやれば、ここではっきりしたものが出ますよ。しかし、それにはやはりいろいろの一定の約束ごとがありますから、それはそれでやらなければならないし、あるいは、論争の種になっておりますところの自家労賃のきめ方などは、これもいろいろ議論をすればあります。しかし、そういうものは労働省の一つの月報なり何なりで資料があるのだからして、それをそのまま用いるのに、全規模でとるかあるいは五名以上でとるかというようなことは、これは政策的にきまる問題。また、資本構成とその利子率というような問題については、これはなかなかむずかしいでしょうむずかしいでしょうけれども、一定の一つのワクをきめて政策的にきめればいいんです。また、この地代論争というものもやかましい問題でありまして、これは昔から世界的な議論のあるところでありますが、これについても、今日便宜上、農業団体も政府も、統制小作料をとるか、あるいは実納小作料をとるというようなところでやっておりますけれども、実はやはりこれはりっぱな一つの地代論争というものがあるんだから、その地代論争に基いて一定の結論を出して、その結論に基いて、こういうものは一つ政策的に一定の範疇をきめていく。そうすれば、今私が申し上げたような基本米価の算術計算というものは必ずしも不可能ではない、こう私は考える。おそらく、大臣も、新任早々米価問題にぶつかられて、ずいぶん、米価というもののむずかしさというか、これを経験されたことであろうと思うのでありますが、少くとも、私は、今日この段階において今それを根本的にやり直せとは申しません。しかしながら、やはり、少しでも理論米価に近づくように努力はしなければいけないと思う。ただ、問題は、明年度以降における米価の算定については、私どもが長い間主張をして参りましたそうした理論的に割り切ることのできる基本米価、算術計算でできるところの米価、これをやはり大臣は相当な決意を持ってそれに対処し、その準備に取りかかるべきであると考えるのでありますが、大臣の所見を伺いたい。
○福田国務大臣 ただいま米価審議会へ付議しております政府原案につきましては、ただいまの私どもの持っておる資料並びに理論といたしまして、他にかわるものがなかなかあり得ることはむずかしいのじゃないかというふうな最善の案であると考えております。しかし、この最善の案がどこへ持っていっても争いがない公式であるかというと、私は、議論はいろいろあり得ると思う。今回の米価の決定の経緯を見ましても、こういうようなことが再びあるということは日本の政治のために望ましくない、こういうふうに考えます。石田委員のお話のように、この問題の論争は今回限りにして、今後は一定のきちっとした方式によって自然に出てくるのだという方式を、これから引き続いて検討していきたい、こういうふうに考えております。そういうようなことで、米価がきまったあと続いて検討を始めますが、秋ごろまでには大体一つ成案を得て、また皆さんにも御意見を承わる機会を得たい、かように考えております。
○石田(宥)委員 ちょっと主計局長に伺いますが、どうも大蔵省の考え方というものは農林関係の予算には非常に辛い。全く日本農業に対しては冷淡であるということを私は常に考えておるわけでありますが、今私が申しましたように、米価の算定に当りましても、一つの米価算定の基礎資料を整備するための予算、――これはわずかな予算ですよ。そういうものすらこれをいれないで削減するというような態度は、われわれは全く了解に苦しむのですよ。少くとも全人口の四〇%にも及ぶところの農家経済全体に関する基礎資料を作ろうという場合に、統計の資料あるいはまた特別の調査資料などが常に農林省の要望が退けられておるのでありますが、主計局長も数年来米価問題では相当苦慮しておられるところであろうと思うのでありますが、今も大臣から答弁がありましたように、仰せのような論争はことし限りにして、もっとすっきりした米価でやれるように、そう毎年々々大騒ぎしなくともいいような算定方式を作るためには、もっと完全な調査が行われなければならないと思うのでありますが、農林統計なりその他特別の農林省の所管の調査に対する予算についてはどのようにお考えになっておるのか、これを一つ承わりたい。
○石原説明員 ただいまお尋ねの、農家の収支の調査の生産費調査でありますが、これも、石田委員も御存じでありますように、二千六百戸という戸数を単位にしております。これは、たしか予約制度の始まりましたときであります。三十年度でありますか、そのころから始めておると思うのでありますが、これはサンプル調査をいたしますときの戸数の選び方に御承知のように誤差率があるわけであります。誤差率が一%でありますが、そういうような誤差率というものを前提といたしましてこの分布の状態に基きます選び方がございまして、当時といたしまして、一応これをもちましてある程度まで信頼をし得る数字であるということに農林省も考え、私どもも考えましてとって参ったのであります。最近におきまして、いろいろもう少し精密な資料が出ないだろうかというようなお話がございまして、戸数をふやしていくということを農林省の方から聞いておるわけであります。これはどの程度にふやしました場合にどの程度の精度が上るかということによります一つの能率上の計算もあるのでありますが、そこらにつきまして、農林省があるいは来年度にそういうようにして参りますれば、それに基いて私どもは審査をいたしたいと思うのでありますが、今のところは、先ほど申しましたような次第で、一応の計数によりまして作られました資料でございます。この限りにおきまして信頼のできるものだろうと考えておるのであります。今の農林省のお話につきましては、私どもはまた資料を拝見いたしたいと考えておるわけであります。
○石田(宥)委員 同僚委員の質問の関係もございますので、あとまだ若干残っておりますけれども、これは時間の関係で省略いたしまして、次に、もう一点だけ伺いたいのでありますが、予約減税は存続に踏み切られまして、私は大臣の勇断に敬意を表するものでありますが、これは、一体、本年度だけ存続をするということであるのか、現在のような状況のもとにおいては当分これは存続すべきであるという御意見なのか、この点を伺っておきたいと思います。
○福田国務大臣 この減税の制度は、所得税体系から言いますると臨時特例という形になっておりまして、法律といたしましても、毎年々々そういう特例を設けるという法律を制定するというふうにいたしておるわけであります。私どもの決定といたしましては、ことしはこの特例を行うという法律を次の通常国会に御審議願うというつもりでおるわけです。これがことしだけのものであるかどうかというお話でございまするが、また来年の通常国会にこれを出すかどうかは、皆さんの御意見をとくと拝聴いたしましてきめていきたい、こういうふうに考えております。
○石田(宥)委員 今大臣は、予約減税は租税特別措置的なものであるという御意見でございましたが、この点は、大臣は詳しいことは御存じないのではないかと思いますが、実は、昭和三十年予約制度を開始いたしまする際に、当時私は米価審議会の小委員で、これの決定の際に当時の農林大臣である河野さんと折衝に当った一人でありまして、その経過を誤解のないように簡単に申し上げておきますが、昭和二十九年までの各種奨励金部分というものが八百円ありました。それに、予約制度を開始するからということで、予約制度開始に当ってどうしても基本米価がこれじゃ安過ぎるということで、米価審議会は、二百五十円をプラス・アルフアすべきだ、こういうことで、低米価に対するプラス・アルフアとして二百五十円の要求がいれられれば一つ政府の諮問案に同意をする、こういうことであったわけです。そこで、農林大臣は、当時大蔵省とのいろいろないきさつなどがございましたために、それじゃもう百円は米価で上げてやるが、それ以上米価で上げるということはどうも困難だ、そこで、八百円の奨励金部分に百円は予約加算としてプラスをする、あと百五十円の分は、どうしてもそういう形ではいけないかち、百円は、税金の部分を百円だけ滅してやる、そうすると、百円に対する減税部分は五百円になるからということで、千四百円というものが非課税ということになったのであって、そもそもこれは大企業に対する租税特別措置法とは趣きを異にするものであって、低米価に対するプラス・アルフアである、こういうふうに経過が明らかになっておるのでありまするから、その点は一つ誤解のないように願いたい。
 それから、今大臣の答弁によって明らかになったわけでありますが、今後なお調査を進めて、その調査の結果によって考えたい、こういうことでありますが、今回の予約減税に対する当初の数字というものは、所得税十五億、住民税八億、合せて二十三億という数字というものは、全くのでたらめな当て推量、これはもうはっきりそう言えるのです。そこで、その欠陥を指摘されまして、あわてふためいて政府は特別な調査を始めました。十七市町村にわたって千九百三十九戸の農家の調査をやったわけでありますが、これまた独善的、作為的にやったとしか思われない節が多分にある。たとえば、全調査農家のうちの三一・六%が、住民税の対象にもならない農家をとっているのです。住民税の対象にもならないような小農、貧農層を三一%も対象にして調査をしておるということ、従って、調査農家の平均所得が十五万円にも満たないということです。いかに今日の農家といえども、一戸一世帯で十五万円以下の所得でどんな生活ができるでしょうか。全体の平均が一戸平均十五万円にも満たないというような、そういう低い階層だけをねらって調査をすれば、よく大臣が言われるように、二二%は不利になるけれども七八%は利益になるのだ、石当り七十五円をプラスすれば利益になるのだと言われるけれども、大臣の言われる資料というものはこういう資料なんです。こういう資料に基いて、しかも、新聞や何かも、みんなその数字をたてにとって、あたかも予約減税を廃止することによって一般の農民が利益を得るがごとき言論が行われておる。私はまことに不可解千万であると思うのです。これはやはりその調査に作為的なものがそこになかったとどうして言えるか。こういうふうな点を率直に認めて、今後この問題に対処すべきだと私は思うのでありますが、少くとも水田で三反歩や四十反歩しか作っていないような貧農や小農を日本農業の業政の対象としてこれを考えるべきものであるかどうかというところに大きな問題があろうと思う。たとえば、兼業をやって、一人は工場に通っておるとか、あるいは市町村役場に出ておるとか、そういう兼業農家の場合、二反や三反歩のたんぼを作っておるから、これは一つ農政の対象にして税金をやめて石当り七十五円をプラスしてやった方が得なんだ、そういう考え方が妥当であるかどうか私は疑いなきを得ない。私は、そういうふうないわゆる三反百姓というような、農業だけによって生活を維持し得ざるところの農家に対しては、別の面から、社会政策的にあるいはその他の政策でカバ一すべきものであって、少くとも農業政策の対象に取り入れるべきではないと考えておるのでありますが、これらの点についての大臣の御所見を伺いたいと思います。
○福田国務大臣 いろいろ資料の取り方等につきましては、ただいま御指摘のような各種の問題があるいはあるのかもしらぬというふうに考えます。しかし、大数的な観察といたしまして、予約減税農家というものは少くなってきたんだから、それのかわりに全売り渡し農家に同額のものを還元するという方式を考える時代になってきたのではないかという当初の考え方につきましては、私どもはまたそういうふうに考えております。
 それから、さらに、所得税なんかにつきますと、今後私どもはさらに軽減へという努力をしていきたいと思うのです。そういう傾向を考えますときに、農家の納める所得税、これが二、三年前は百億円以上はあった、今日は十五億円だ、さらにもう数年たつと様相が一変してくるのではないかというふうにも考えるわけでありまして、そういう際のことを考えますと、私どもが当、初考えました考え方というものは、農家の立場から見ましても必ずしも不利であるというふうには考えておりません。
 しかし、ただいま御指摘の資料の調査等についていろいろ御意見もあります。さらにこれによって負担のふえる農家ができるということも争えない事実なのでありまして、いろいろ政治的な角度から考えまして、これはことしはとにかく廃止すべきではない、こういう結論になったわけであります。なおこれは検討を要する問題であると思います。
○石田(宥)委員 同僚議員の御質問がございますから、この程度にいたしますが、少くとも、税の問題では、やはり、他の産業従事者、それから他の事業家との関係においては、農家の課税というものは必ずしも低いとは言えないのであります。把握率等の点についてもそういうことははっきり言えるのでありまして、いろいろとこれにも資料はございますが、これは別の機会に譲るといたしまして、少くとも、予約減税の問題を考慮される場合には――所得税というものは見込額と実際のとれる額というものは年々非常に違っておるんですね。昭和三十二年度などには三十四億を見込んでおったのが五十七億もとれておる。これがどこにどうなるかということは別といたしまして、そういうものなんですね。それから、農家に及ぼす所得税、住民税その他の影響というものは、所得税、住民税だけではございませんので、これには国民健康保険税の所得割というものも当然考えられますし、ことに都会には見ることのできない部落協議費割というような所得割というものがやはり相当大幅に見込まれるわけでありまして、それらの影響等はやはりもっと精密によく調査されまして、少くとも従来の低米価に対するプラス・アルフアとしての既得権を侵害するようなことのないように、慎重に考慮されたい。私は三浦前農林大臣の際にも申し上げておったのでありますが、これは、やはり、今申し上げたような一つの農民の既得権なのであるから、それの温存のためにはもっと別な形でこれを残すべきではないかということも言っておったわけでありまして、どうか一つこの問題は特に慎重に取り扱われたい。調査等に当ってもいろいろ問題点もございます。政府は何か統計調査部に調査をさせる方針だというようなことも伝わっておりますが、それはきょうここで論議はいたしませんけれども、どうかそういうことで慎重な取扱いを願いたい。
 以上で私の質問を終ります。
○吉川委員長 神田大作君。
○神田委員 私は、今度の米価の諮問案を見まして、長い問いろいろと議論がされて、自民党の内部におきましても論議をされた結果あのような諮問案が出たと思うのでありますが、一番ことしの米価についての問題点は、米価審議会におきましても、あるいは当委員会等におきましても、歴代の農林大臣が農民の強く要望する生産費及び所得補償方式によるところの米価を大幅に取り上げて決定すると言いながら、これを踏みにじった点にあると私は思う。これは農民の期待を大きく裏切った問題でありまして、これをわれわれは軽く見過ごすわけにはいかないのであります。どうしてこのように、歴代の農林大臣がしばしば言明しておきながら、このような生産費及び所得補償方式を放擲して、そうして、理論も何もないいわゆる政治米価に決定したか。この点について私は大臣の責任ある答弁をお聞かせ願いたい、こう思うのであります。
○福田国務大臣 私がしばしば申し上げておりまするように、昨年米価の決定以来、政府におきましては、生産費並びに所得補償方式を取り入れた考え方にいたしたいという方針で、一年間調査立案をいたした次第でございます。そこで、私どもが考えました生産費並びに所得補償方式による結論というものが出て参りました。それと、従来の所得パリティ方式、これもなかなかいろいろの利点もあるというふうに考えますので、それを彼此勘案いたしまして今回の決定をいたした次第でございますが、その考えにつきましては、当初から、農林省原案が政府各部内に回されるときから変えておらぬ考え方でございます。ただ、神田さんなんかのお考え方と違うのは、私どもが生産費及び所得補償方式というものを言う際に、平均生産費をもとにしておるということにあるのではあるまいかというふうに考える次第でございますが、まあ、これに対立する考え方といたしまして、八〇%バルク・ラインという考え方がある。この八〇%バルク・ラインという考え方は、私どもいろいろ考えておりますが、理論的にどうも採用いたしがたい、こういうふうな結論に到達いたした次第でございまして、まあ、平均生産費を基礎とし、これに都市の平均賃金というものを置きかえるというふうにいたしましたものに、一つの需給関係等を見た調整係数を乗じて、すなわち現実的には二割五分増しをいたしてきめる、この算式がまず最も妥当なものである、こういうふうに考えた次第でございます。
○神田委員 この生産費及び所得補償方式を取り上げておると言っておりますが、なるほど、大臣の言うように、そういうような形はとっておるように思われるけれども、しかしながら、それは似て非なるものであって、この数次にわたるところの米価審議会におきましては、生産費及び所得補償方式の根幹をなすものは、いわゆる八〇%バルク・ラインの採用が根幹である。この八〇%バルク・ラインを放擲したところの生産費及び所得補償方式は、今までの米価審議会における議論あるいはまた当委員会等においての議論から遠く離れて、本年度の予算米価にくぎづけするために、いわゆる平均生産費を取り上げて、いかにすれば予算米価に合致するような数字が出るかというので、そのために苦心惨たんをしたところの数字であって、農民は、心から、当局の今回発表いたしました米価というものは生産費及び所得補償方式の理論をりっぱに取り上げて作り上げたものであるとは理解しておらない。そこが私は大きな問題点であると思う。そういうように、言葉の上でもって生産費及び所得補償方式を取り上げておると言っておりながら、実質的には、現在の米価にくぎづけするための裏づけを苦心惨たんをして作り上げて、それに押っつけておるというところに、いわゆる政治米価とも言われ、あるいはまた理論のない米価とも言われておるのでありまして、私は、この点については、もっと農民の立場に立って、米の再生産を補償するために、あるいは農民の生活を守るために、そういう立場に立って農林省は考えてもらわなければならぬ。そういう意味合いにおきまして、われわれは、今度の米価の決定は農民の納得のいかないものである、こう言わざるを得ない。八〇%バルク・ラインのみならず、いわゆる都市と農村との賃金の均衡をとるための資料にいたしましても、農林省はあらゆる労働者の賃金を含めてのそれを資料にしておる。これは、賃金というような形態をなしておらない、いわゆる住み込みの労働者あるいは現物支給を受けておるような労働者、家内工業的な労働者、こういうような多くの低賃金にあえぐ労働者の賃金、これを資料にして、そうして農民の労賃を組み立てるというような、こういうやり方に対しましては、これは納得のいかない問題であります。あるいはまた、資本構成にいたしましても、九〇%までが自己資本であるというようなことでありますけれども、実際問題として、九〇%自己資本で農業が経営されるならば、これはだれでも農民は苦労はしない。このように一〇%が借り入れ資本であるというような。こういう欺瞞したいわゆる生産費・所得補償方式が、あなたたちの考えておるところの、農民の生活を守るため、あるいは再生産を達成するための生産費・所得補償方式であるとするならば、これはまことに農民に対して申しわけないことではなかろうか、私はこう考えるのでありまして、農林大臣のこれらの考え方につきまして、御所見を伺いたいと思います。
○福田国務大臣 バルク・ライン八〇%というのをとるかどうかということが主たる違いになってくるわけですが、私どもは、そのバルク・ラインをとる場合の生産費の調査等におきましても、基本的に神田さんとおそらく見解が違っておるんではあるまいかというふうに思うのです。私どもの調査いたしたところによりますると、私どもはバルク・ライン生産費という方式はとりませんで、ただいま申し上げましたような方式で計算いたしまするが、結果から見ますると、私どもが計算いたしましたバルク・ラインというものでございますと、大体八〇%近くのものをカバーし得るというふうに考えておるわけです。ただ、バルク・ライン方式を私どもは理論的に採用しがたいということを申し上げておるのでございますが、これは生産費の低い方からだんだんとっていって、高い方に向って八〇%のものをカバーするという考えでございまするが、しかし、この八〇%というラインそのものに私は理論的な根拠というものを見出し得ないのであります。反収がだんだんと少くなるということでなければならぬというふうに思いまするが、しかし、その反収が、八〇%をこえたものが七五%のものよりも少くなるかというと、私どものいろいろ公平に調査したところでは、必ずしもそういう結論も出ていない。いろいろな農業経営の基礎条件につきまして、必ずしもあるラインにある一定の農家の経営を表現する特性というものが出ていないのです。そういうものをとるということは、私どもは適当ではないのじゃないか、それよりは、これは平均生産費をとるべきであるというので出発いたしておりますので、ただいま私どもが考え得るところにおきましては、私どもの算式によるほかはない、こういうふうに考えておる次第です。
 ただ、この算式につきましては、先ほど石田委員からの御質問もありましたが、これはもう、この論争は今回限りにいたしたい、今後さらに検討しなければならぬ、さように考えております。
○神田委員 この八〇%バルク・ラインの問題が根拠がないというようなことでありますが、これは根拠を作るだけの努力をしておらないと思います。この八〇%バルク・ラインは、長い間米価審議会で四年も五年も審議して、これはもう正式な米価審議会におけるところの諮問に対する答申が、八〇%バルク・ラインが適当であるという、そういう答申を受けておるわけです。にもかかわらず、これに対して当局が、そのような答申を基礎としてその裏づけを怠っておって、八〇%バルク・ラインはこれは不安定なものである、そういうような考えのもとに、八〇%バルク・ラインの不安定性を強調する資料だけをまとめて、そうしてことしはこれを放擲したきらいがあるわけです。しからば、平均生産費というものがこの生産費・所得補償方式の筋を通す基本的なものであるかどうか、これが動かざる確固たるものであるかどうかということは、これこそ私は問題点のたくさんあるものであると思うのでありまして、農林大臣はまだ就任早々でありますので、謙虚に今度また基本的に考えをまとめていきたいというようなことでございますから、この点は今度の米価決定に当っての一番の問題点でありますので、八〇%バルク・ライン方式というものが農民の再生産を守り農民の生活を守る上に大事な問題であるからして、この点をわれわれは主張すると同時に、これらに対しまして、農林当局が、根拠のないという資料だけを提出して、予算米価にだけ合致させようというそういう努力しかしておらなかったことに対して、大きな反省をしなちくやならぬと私は考えるのであります。農林大臣は、伝えられるところによりますと、秋ごろに米価審議会を開いて米価に対する基本的な再検討をしたいというようなことでございますが、今度農林大臣がそういうような秋に米価審議会を開いて米価に対する基本的な問題を取り上げたいという言明は、どういう考えを持っておられるか、この点をお聞かせ願いたい。
○福田国務大臣 米価算定の方式といたしましては、現在私どもが米価審議会に付議している案が現在といたしましては最善のものである、かように確信いたしておるのです。ただ、その資料のとり方、また算定方法等につきましては、いろいろ米価審議会におきましても御議論があることが予想されると同時に、当委員会その他でも御意見があるような次第でございまして、私といたしましては、この論争というものは今後こういうふうな形で繰り返さるべきではない、これは日本の政治のために非常に惜しいことである、遺憾なことである、かように考えますので、米価をきめた以後におきましても、鋭意検討いたしまして、最善で争いのない方式を編み出していきたい、こういう考え方から、ただいま神田委員からお話のようなことで考えている次第です。
○神田委員 今の政府の考え方が正しいというようなことでございますけれども、これは、先ほど石田委員から言われたように、政治米価が正しいというような結論になることでありますから、私たちは、今のような二つを足して二で割ったようなこういう案が正しいというような農林大臣の言明は納得するわけにはいかないのでありまして、今度の秋の米価審議会におきましてこれらの基本的な問題を徹底的に検討して、筋の通った米価というものを作り上げる、毎年々々政党間あるいは農民間等において摩擦を起す米価でなしに、きちんと理論づけられる米価というものを作り上ぐべきであると私は考えるのであります。
 大蔵省から主計局長が参っておりますが、聞くところによると、大蔵省は、今度の基本米価決定に当りまして、農林省案を十五円引き下げるためにだいぶ努力したというようなことを言われておりますけれども、一体、大蔵省は、生産費及び所得補償方式によるところのわれわれの主張する八〇%バルク・ライン方式というもの、また農民の主張する一万一千二百二十五円の米価というものに対してどう思っておられるか、また、今度の米価決定に対しまして、筋のある理論的米価であると思われるかどうか、この点を局長にお尋ねいたします。
○石原説明員 今回米価審議会に諮問をしております案につきましての御説明は、農林大臣あるいは食糧庁長官から申し上げていると思いますので私がつけ加えることはございません。私どもいろいろ農林省と相談をいたしまして、今回の米価といたしましては、生産費及び所得補償方式を大幅に加味して、パリティによります計算もしんしゃくいたしまして今回の結論を出しまして、それにつきましていろいろ相談をいたしまして結論に到達いたしましたものが現在諮問案として提出されておるわけでございます。
○神田委員 今度の米価の決定に当りまして、この前われわれのところに提出されました資料は、基本米価九千七百円であります。ところが、きのうわれわれのところに提出されました資料によりますと、九千七百十五円である。二、三日の間と言ってもいいほど短かい期間にどうしてこのような基本的な資料に基いて作成された米価が変らざるを得ないか。ここに、農民や国民から、今度の米価は理論がない、いわゆる政治の力関係によってできた米価であると言われる原因があると思う。その数日間に基本米価が変らざるを得なかったというようなこの理由、それに対して国民を納得させるだけの根拠がなくてはならぬと思うのでありますが、この点について農林大臣はどのような考えを持っておられるかお尋ねします。
○福田国務大臣 当初農林省が政府各部内、また与党に対しまして原案として出しました案の算定方式は、全然これを変えておりません。当初原案では基本米価九千七百円となっておりますことはお話の通りでございます。これは私どもが申し上げまする生産費並びに所得補償方式によって出てくる結論が九千七百円でございます。それから、さらに所得パリティ方式によって出てくるものが九千六百九十二円でございます。私どもの当初からの一貫した考え方は、この両者を勘案して考えなければならぬということでございまして、その平均をとりますれば九千六百九十六円にいたすべきでございます。しかるに、昨年の基本米価は九千七百円でございますので、麦と同様昨年より下回ることは政治的にいかがであろうかと考えまして、九千七百円という結論を出しておる次第でございます。それが今度十五円ふえたわけでございますが、その後皆様からのいろいろな御意見等も伺いまして検討いたしますと、私どもが一貫してとってきた算式に適用すべき賃金におきまして、最近の賃金までも統計をとった方がよかろうというふうに考えましたので、その他二、三の修正を加えて十五円増しということにいたした次第でございます。
○神田委員 どうも苦しい答弁のようであります。一つの米価を幾らにすべきかというのに、先に答えを出して、その答えに合うように理屈をつけていくという、なかなかむずかしい苦しい芸当をやっておるようでありますが、今の農林大臣の説明では国民が納得できないのでありまして、この問題は同僚委員からも質問があると思いますが、そういうように十五円増した――三十円増して、大蔵省から異論が出て十五円引っ込めたというような決定の仕方をしていると、国民からも農民からもこの米価に対する信頼はなくなってくるわけでありますから、私は、そういう意味において、大蔵省からもあるいは政党からもとやかく言われない、理論づけた米価を早く作るべきであると主張するのであります。この点につきましては、時間がありませんし、同僚からも後ほど質問があろうと思いますので、どうかそういう理論米価を早く作り上げるように。今回の米価はいわゆる政治米価であって、一つの答えを出して、それに対してあとで裏づけをしたものでありまして、決してわれわれの主張する生産費及び所得補償方式の筋の通ったものではないと言わざるを得ないのであります。この点について、農林大臣の今後のこの米価に対する基本的な考え方を、もっとはっきりとした態度をもってこの米価に対して臨んでもらいたいと思うのでありますが、この点についていま一度農林大臣の決意をお聞かせ願いたいと思います。
○福田国務大臣 今回の米価につきましては、今日の段階といたしましては、私は、これが最善の案である、かように確信をいたしております。しかしながら、なお米価につきまして御議論がありますることはよく承知しておりますので、今後は、議論がないようにということを念願して、米価論争は本年度限りというふうにいたしたいと思います。そのためには、引き続いて米価の基礎資料並びに算定方式につきまして検討いたしまして、この秋ごろまでには成案を得て、皆様方の御意見を承わりたい、かように考えております。
○神田委員 それから、もち米の加算金を今度は五十円減らすということでありますけれども、畑作振興の上から非常に困った問題であると私は思うのでありますが、農林大臣はこの畑作振興に対してどのような基本的な考えを持っておられますか、それからお尋ねいたします。
○福田国務大臣 畑作振興は、今後の農政を進める上におきましてきわめて重大な地位を持つべきものであるというふうに考えております。お話しの、もち米につきましては、当初農林省の原案は、一俵三百七十円という数字を提案しておったのであります。しかし、それは昨年の四百五十円に比べますと八十円の一挙減額ということに相なりますので、これはいかがなものであろうかというふうに考えておったわけでございます。もち米につきましては、需給の関係が非常にゆるみまして、理論的に言うと半分くらいにしようかなんというようなことを言う人もあるのです。しかし、私は、そういうふうに考うべきではない、これは激減すべきものでないというふうな考えを持ちましたので、農林省の最初の原案を修正いたしまして、四百円ということで今御審議を願っておるわけであります。
○神田委員 これは大事な問題です。というのは、もち米の加算金が減らされるというのは、全国的にももちろん影響がありますけれども、畑作振興のために努力をしておる畑作地帯の少数の農民に深刻な影響を与えると思うそういう意味合いにおきまして、私は、これらの農民を犠牲にして、いろいろの物価が上っておるにもかかわらず、また米価も去年よりも多少上っておるにもかかわらず、もち米だけこういう長い間の既得権であるところの加算金を引き下げるというようなことは、畑作農民に及ぼす影響が非常に甚大であると思うのであります。今農林大臣の言うように、八十円下げようと思ったのだが五十円下げたというような、バナナのたたき売りみたいなことでは納得できないのであります。一体どうして八十円下げなければならぬのか、どうして五十円にしたのか、また、どうして今まで加算金をつけざるを得なかったのか、こういう問題点について、もっと理論的にちゃんと説明していただかなければならぬ、こう思うのであります。
○渡部説明員 もち米加算の問題につきましては、前々から当委員会で御審議をいただいておりますが、私の方では、畑作振興の点から考えまして、これにつきましては、もち米は水稲、陸稲もございますが、特に慎重に検討を加えてきたのでございます。御承知のように、もち米につきましては、終戦後の食生活の非常に貧弱なことを、せめてもちで潤おいをつけよう、こういうふうな関係から、相当の奨励策を講じてきておるのであります。また、もち米は、御承知のように、水稲では約一割くらいの収量の差がございます。その後品種の改良、栽培方法の改善でその差は相当狭まってきております。それからまた、需要の面からいたしますと、三十四年は正月の配給を六日分というふうにいたしましたけれども、その半分くらいしか受配率がない、こういうようなこともあります。もち米につきましては、これにかわる普通の米の作もあるのでございますから、順次その方向に切りかえていった方がよい、こういうふうに考えまして、今回もち米加算一俵四百五十円を三百七十円にしよう、こういうふうな考をもって、原案を作って出したのであります。これは、もち米の生産の状況を見ますと、昭和二十六年には八万石であったものが、三十三年には六十三万石、これは陸稲でございます。水稲では、四十一万石であったものが、三十三年度には百十一万石、こういうふうに非常にふえてきておるのでございます。これは、終戦後のもち米を必要とした時代というものと時代が変ってきておりますから、この較差を順次狭めていきまして普通の米を作っていただく、こういうふうに向けていった方がいいのではないか、こういうことで引き下げを考えたのでございます。
○神田委員 さっぱり答弁がわからぬのです。理論的でもないし、どういう説明をしたところで、畑作農民に、今度五十円下っても仕方がないというような、そういうわけにはいかないのです。私はお尋ねしますが、もちの生産量がふえたと言っておりますが、これはもちばかりじゃない。うるちも生産数量というものはふえておるわけです。割合は多少多いでしょう。しかし、数量から言ったならば、これはわずかなものであります。金額にいたしましても、今度五十円下げることにいたしましても、全国で三億円程度の金額しかないと思うのでありますが、こういうようにわずかな数量、わずかな金額、しかも現在余っておる余っておると言っておりますけれども、一体幾ら余っておるのか。しかも、余っておると言いながら、タイからも去年までは一万九千トンのもち米を輸入しておる。ことしもまた輸入しようとしておる。こういうふうに、せっかくもち米の加算金がついて、畑作農民がもちを作ることによって畑作農業というものが振興されてきておるにもかかわらず、また、全体的にいわゆる食糧の自給というものが不足しておる今日、畑作を振興して食糧の自給を果さなければならぬ大きな国策の上に立ってこれはかえって奨励しなくちゃならぬと思うのに、この際ただ一時の現象だけにとらわれて、今日わずかばかりの金額の、予算において三億円程度しかないそういうわずかな金額を削って畑作振興を阻害するというような、そういうやり方は納得いかないと思うのでありまして、この点につきましては、もっと下げなくちゃならぬ根拠というものを明確に示してからやるべきである。また、特にことしは、陸稲の栽培はもうしてしまって、五十円下ったからそれでは陸稲を抜いてほかの作物を作ろうという工合にはいかないのであります。もち米には加算金千百二十五円があるというような、そういう前提のもとに農民は陸稲もちの植え付けをしたのでありますから、そういう農民を裏切ることになると思うのであります。そういう意味合いにおきましても、私は、このもち米加算金の減額につきましては、これはどうしても納得いかない。農林当局において再考をしていただかなくちゃならぬ問題であると思うのでありますが、この点について大臣の御答弁を願います。
○福田国務大臣 ただいま長官からも申し上げましたように、需給の関係等を考慮いたしまして若干下げておる次第でございまするが、もち米が戦後の嗜好といたしましてどうも喜ばれないというような傾向にあることは御承知と思うのであります。さような需給の大勢から大幅引き下げ論もあるのでございまするが、この際は四百円程度、こういうふうにいたしたことを御了承願いたいと思います。
○神田委員 大臣は生産費及び所得補償方式というものを理論的に取り上げなくちゃならぬと言っておりながら、生産費及び所得補償方式の観点から言っても、もち米の場合は、うるちに比較いたしまして収量も少いし、また生産費も特に陸もちの場合はかかっておる。ここに三十二年度の栃木県における生産費のかかり工合の表がありますが、水稲においては六千二百六十五円で済むものが、陸もちの場合は七千四百八十六円の生産費がかかっておる。これは各県とも同様であろうと思うこういうように、陸もちを作るためには生産費もかかっておる。収量も少い。そういう意味合いにおいてこの加算金というものはやはり考慮されておったわけであります。ところが、今度そういうものも何ら考慮されずに、ただ余るから値段を下げるというような、その一点だけで値段の引き下げをやるということに対しましては、これはどうにもわれわれは納得いかない。それならば、なぜ外国からもちを入れるのです。これは、外国のもちの輸入のために内地の畑作振興や内地の陸稲もちの生産者を圧迫するというようなそういう農政は、通産省や大蔵省ならそういう主張はあるかもしれませんけれども、少くとも農家の立場を守る農林省がこういうことを取り上げるということに対しましては、私は納得できません。まずそれならば輸入を押えたらいい。輸入を押えて、畑作を振興し、農家を守る、そういう体制を取り上げて、大きくは日本の食糧の自給体制を確立すべきであると思うのであります。ところが、そういうことを努力せずして、安易な価格引き下げというようなことによって需給のバランスをとろうというような、そういう考え方は農林省の立場としてはとるべきことではないと思うのでありますが、農林大臣としての答弁をお聞かせ願います。
○福田国務大臣 もち米の輸入をいたしておりますことは事実でございます。これは通商政策上の見地もありますが、しかし、輸入いたしましてこれを食用に使うかというと、そうはいたしておりません。全部工業用に使っておるということを御了承願いたいと思います。
 もち米の値段を引き下げるという議論につきましては、あなたの御意見のほどは私もよくわかります。わかりますが、ただいま、私どもは、この程度の引き下げを行うことが適当であるという考えをもちまして、米価審議会にも付議いたしておる次第でございまして、皆さんの御意見をよく承わっておきます。
○神田委員 これは大事な問題です。輸入もちが工業用に使われようが食用に使われようが、やはりもちの需給ということに対しましては同じである。需要供給の面においては同じ理屈なんです。それでは内地のもちが工業用に使えないのか、そういうことはないと私は思う。そういう意味合いにおいて、畑作振興の観点から、農民の生産意欲を増進する意味合いにおきましても、せっかく伸びてきた陸稲作を抑制するというような方法を農林省がとることは、これは非常に間違った考え方であると私は思うのであります。
 いま一つ私の強調したいことは、すでに作付の終えたものに対しまして、これは作付前であるならばいざ知らず、もう作付をしちゃった、こういう農民に対して、どういうような言訳が立つか。私は、米価の決定がおくれている点に大きな原因があると思うのでありますけれども、そういう意味合いからいたしましても、本年度の値下げということに対しましては納得がいかない。
 いま一つは、やはり的確な資料をわれわれに提示してもらいたい。ただ余っておるということじゃなしに、やはり、これらを引き下げなくちゃならぬというなら、生産費・所得補償方式の精神にのっとった資料を提出して、そうしてこういうわけだから下げなくちゃならぬというような、そういう根拠を示してもらわなければならぬと思う。そういう生産費・所得補償方式の根拠からいたしましても、もち米を引き下げる理由は出てこない。そういう意味合いにおいて、強く再考を促したいと思います。
○渡部説明員 ちょっと、今の大臣の、外米は全部工業用に使っておるのだ、こういう点を補足申し上げます。
 御承知のように、主としてのりでございまして、日本のもち米では必ずしもよろしくないという部面がありますが、しかし、これも御趣旨によって順次内地米あるいはメリケン粉に切りかえて使ったらよかろう、――あるいは、せんべい、そういうものでございます。従って、大筋としては、外もちももうやめたらいいだろう、こういうふうに考えております。しかし、これまた、一つは、今輸入しているのはタイ国ばかりでございまして、日・タイ貿易の関係等もございますが、今年は予定した通りに入らぬ工合でございまして、順次減していくことに努めます。
 それから、もう一点、植付前にその方針を出せ、こういう話でありますが、これは、この前も委員会で申し上げましたように、私の方は、去年の暮れから、もち米については加算額を減したいということを表明しておるのでございます。ただ、額につきましては、もっと強い、半分というような案が出ておったので、相当反発を受けておりました。そういう点も考慮いたしまして、当初の原案を三百七十円ということにいたしております。それをさらに減しまして四百円ということにいたしたのでございます。先ほどもお話がありますように、もち米あるいは陸稲、畑作改善、こういう点から、順次もっとよく売れるものに切りかえていきたい、それまではやはり一定の幅を持った畑作農家に急激に甚大な影響のないように考えなければいけない、こういうふうに考えております。
○神田委員 長官の話はますます話がわからない。一体、下げるというようなことを言っておるというが、これは何も公式なあれで言明されておるのではないのであります。農民はそういうことは承知していない。もち米の加算金が引き下げられるというようなことは、絶対農民は納得しておりません。それはあなたのひとりよがりです。
 それから、余っておる余っておると言いますけれども、供給に対して工夫をしていない。これは、畑作振興の上からも、需要供給の面において、あなたたちは消費面の工夫をしておらぬ。そういう面において、ただ常識で、余ってくるからといって、安易に価格を引き下げて、畑作の作付を減らすというようなことは、農家経済にとっては大きな問題であるのでありますから、せっかく伸びてきたものを、どうしたならば供給していけるかという工夫をせずして、その生産を抑圧するような方向に持っていくことは、農業政策としては非常にマイナスな、あとずさりな政策である、いわゆる福田後退農政ということになるわけです。こういう話はわれわれは聞いておれない。
 それから、需要供給の面において、今年は一体幾らもち米が余っておるのですか。数字的にはっきりとお示しを願いたい。
○渡部説明員 今年の計画では、約五万五千トンを食い残す予定になっております。と申しますのは、政府の買い入れが二十三万八千トン、一般に約十二万トン配給いたしまして、特用として七万五千トン配給いたしまして、昨年からの持ち越し等を考慮いたしますと、五万五千トンが残る、こういう予定をいたしておつります。
○神田委員 五万トン見当でありますから、国家財政の面から言って、それほどもてあます数量じゃない。総体の需要供給からいたしましても、価格を引き下げてまでも考慮しなくちゃならぬというような問題ではないと私は思うのであります。これを処置する方法はある。せっかく振興しつつあるところの畑作を維持するために、この価格引き下げによってこれを抑制するというような方策は間違っておる、日本の国が食糧を完全に自給されておらない現実におきましては、これは間違った方向である、こう思うのであります。そういう意味合いにおきまして、時間の関係もありますので、あと同僚の質問があるのでありますから、私はこれ以上追及は本日はできませんけれども、しかしながら、この点については福田農林大臣も非常に苦慮しておられると私は考えるのでありまして、このようなもち米の価格引き下げの問題等につきましては大臣に一つ御考慮を願いたい。また、そういうようなおつもりであると私は考えるのでありますが、大臣の善処をよろしくお願いいたします。大臣の御答弁を願います。
○福田国務大臣 ただいま私どもが考えております四百円は、私たちはこれが最善であるというふうに考えまして付議いたしておる次第でございます。しかし、神田委員の御意見は、とくときょうは承わらしていただきます。
○吉川委員長 芳賀貢君。
○芳賀委員 農林大臣にお尋ねしますが、昨日政府が発表された米価は、私どもの立場から見て、これは全く生産費・所得補償方式ではないと断定できるわけです。もし政府がこれが新しい意味の生産費・所得補償方式であるとすれば、それは全く似て非なるものであるということをここで断定しておく必要があると思うのです。どうですか、大臣、これはやはりにせものだということを一応言明されて、そして、この秋まで周到な用意をされて、この秋の機会に完全な生産費・所得補償方式の算定による米価をきめる基礎を作りたい、そういうお考えで米価論争はこれでやめたい、そういうことじゃないですか。
○福田国務大臣 ただいま私どもが出しておりまする諮問案は、これは生産費並びに所得補償方式を大幅に取り入れた案であります。生産費並びに所得補償方式そのものではないのであります。これは繰り返して申し上げておる通りでございます。問題は、私どもの生産費・所得補償方式というのと、芳賀さんなんかの言われる補償方式と、内容が違うんじゃないかというふうに考えるわけでございまするが、私どもがただいま、所得パリティ方式と、それから生産費並びに所得補償方式、この両者を勘案しておるというその補償方式そのものにつきましては、バルク・ラインをとるという考え方をとらないで、平均生産費を中心にして、それに調整係数をかけるという方式をとっておるのであります。今日の段階では、これが所得並びに生産費補償方式としては私は最善なものであるというふうに考えております。
○芳賀委員 そうなると、今回の新しい算定は、そのねらいは、所得均衡がやはり基礎理論になっておると思います。そういう理論から発展した場合、一体今回の米価というものはどの程度農業と他産業との所得不均衡是正の役割を果しておるか、この点を具体的に明らかにすることが必要だと思います。それで、お尋ねしたいのは、今度の米価によって配分国民所得の中における農業の分配所得がどの程度不均衡が是正されておるか、成長がどうなるか、そういう想定の上に立った数字というものは明確にできると思うのです。それによって、果して意図したところの新しい算定方式としての効果が出たかどうかということがわかると思う。まずその点を大臣から説明願いたい。
○福田国務大臣 私どもの平均生産費の中の要素といたしまして重要な地位を占めておりまする賃金につきましては、これを都市平均賃金に換算しておるのです。その点で所得の均衡という問題が取り入れられておるわけでございます。ただ、結論といたしまして出てくる数字が、私どもの計算では九千七百円というふうに当初出てきたわけでございまするが、その点が、去年の米価がたまたま九千七百円だったものですから、これは逆算したのではないかというふうにお考えになられる節があるのでございますが、私どもは決して逆算をいたしたのではないのです。ただいま申し上げているような理論的な算式に基きまして計算いたしましたところ、たまたまそういうふうになったということでございまして、たまたまそういうふうになった過程におきましては、農村の賃金と都市賃金とを置きかえたという点におきまして、均衡というものが大いに進められておる、かように考えております。
○芳賀委員 具体的に、他産業と農業の不均衡が、新米価によって、従来の米価に比べた場合に、果して何%くらい不均衡の是正が行われるか、そのことを明らっかにされたい。
○福田国務大臣 従来の算定方式によりますと、基本でいきますると九千六百九十二円になるのです。それが今回は九千七百十五円となるのでありまして、二十三円の増加であります。それだけが増加いたしておる、こういうふうにお考えいただいてよろしいと思います。
○芳賀委員 ですから、古い算定方式から見ると一石二十三円米価が上ったという場合、その程度のささたるもので果して不均衡是正の役割を果したのかどうかということなんです。果さないとすれば、何も宣伝がましく、不均衡是正をやるとか、農業所得の成長をこれによって促進するなんという、そういう大がかりなことを言う必要はないのです。その点はどうですか。
○福田国務大臣 まあ従来の方式から言いますれば、二十三円の増加、また昨年の米価に比べれば十五円の増加である。しかし、これにさらに俵代等を加えますると、前年度の額に比べまして、所得パリティにおいては下っておるにかかわらず、六十七円増加なんです。これは非常な増加に相なるわけであります。しかし、私どもがいろいろ従来の米価を検討して、それからさらにそれを都市賃金に置きかえるという結果出てくる数字、それにさらに需給状況等を込めまして二割五分増しにしておるのです。そういうようなことでございまして、この内容につきましては、私どもの計算につきましては、そう政治的にきめたいということはないわけです。
○芳賀委員 それならば、米作の販売農家の大体何十%くらいの農家が今回の米価によって生産費と所得を補償されておるか、その点はわかりますか。
○福田国務大臣 大体生産費の低い方から数えまして八〇%近いものがこの米価によってカバ一される、かように考えております。
○芳賀委員 これは八〇%バルク・ラインの水準までいっておるということになるのですか。そんなばかな話はないでしょう。これは何かの錯覚ですよ。
○渡部説明員 きのう資料を配付申し上げております、各バルク・ライン生産費というのがここの図に出ております。私の方でバルク・ラインをとることにつきましては、毎年の事情が非常に変りますから、それをま正面から取り上げることはできないけれども、今度の米価をいわゆるバルク・ラインで知った価格に比べるとどういう関係になるかという参考のためにお配りしたものでございます。今大臣が申し上げたのは、この表に基いて申し上げておるわけです。
○芳賀委員 大臣の答弁された点は、私の質問の要旨とはずれているのです。二千六百戸の今度調査された平均生産費が基準になって米価が作られたんでしょう。ですから、その基礎を対象にした場合、結果的には平均生産費というものは大体何十パーセントのバルク・ラインの階層に対するカバーが行われたかということを聞いておるのです。
○福田国務大臣 それは、ただいま申し上げましたように、八〇%近いところまでの農家をカバーしておる、こういうふうにお考え願います。
○芳賀委員 おかしいじゃないですか。それなら、八〇%のバルク・ラインであれば八〇%の階層までカバーを行われる。八〇%は理論的な根拠がないから平均生産費でやったということを強調しておって、結果的に八〇%のカバーができたというのはおかしいですよ。どういうわけですか。
○渡部説明員 これは、計算方式の問題と、結果がどの程度までの農家の生産費をヵバーするか、こういう二つの問題に分れると思うのです。計算方式といたしましては、ま正面からバルク・ラインをとることはできない。私の方で平均生産費を評価がえして、それに調整係数をかけて出したのが出ておるわけであります。それを各年度のいわゆるバルク・ライン各段階の農家の生産費に比べるとその程度まで到達するであろう、こういうことでございます。方式と結果がどうなるか、こういう二つの問題であります。
○芳賀委員 それでは、八〇%バルク・ライン方式をとっても結果は八〇%までの階層のカバ一を行うということになるのですよ。あなたの方のやった平均生産費がそれだけの成果をあげるということになれば、結局むしろ理論的な八〇%バルク・ラインでまっこうから取り組んでやった方がよかったじゃないですか。いろいろひねくり回して、しかもその結果はあつかましくも八〇%のカバーができますというのは、一体どこからそういう根拠が出てくるのか。
○渡部説明員 この表の「価格決定年ベース」で見ていただきますと、三十一年の場合には、七五%のところは九千九百五十一円と出ておる。八〇%のところは一万五百十八円。これはその間に落ちる。従いまして、大臣がおっしゃったように、八〇%近いところ、そういうことになるのであります。次の三十二年度で見ますと、九千四百四十五円が七五%、九千七百七十五円が八〇%ですから、これもその間に落ちる。三十三年産米につきましても、七五%は九千五百九十四円、八〇%は一万五十五円ということになりますから、その間に落ちる。こういうことを申し上げておるのであります。私の方で正面からバルク・ライン方式をとることができないというのは、たまたま、各年の生産費を評価がえして出すと、八十番目の農家と七十五番目の農家はこういう価格であるということで、それをもとにして計算をすることについては今にわかには採用はできない、こういうことを申し上げておるのでありますから、問題は別なんです。
    〔委員長退席、丹羽(兵)委員長代
  理着席〕
○芳賀委員 どうも別のことを言っている。説明するならば源生産費の方でやらなければだめなんです。あなたの方で特別の意図を持って作ったような、そういう資料を持ち出して、これを見ればそうなっているなんということでは信用はできないのです。そういう全く良心を失ったような、しかも理論的な米価論争というものは、あなた方に期待する何ものもないわけです。
 そこで、具体的な点を農林大臣に若干お尋ねしますが、今回の平均生産費の基礎とされた三十一年の反当収量と、それから三十一年、三十二年、三十三年の全国の平均反収との対比はどういうようにしてやられたのですか。これは非常に大事な点だろうと思う。農林大臣にお尋ねいたします。
○福田国務大臣 食糧庁長官から答弁させます。
○渡部説明員 三十一年―三十三年のこの調査の実績反収は、三十一年が二石六斗八升、三十二年が三石七斗、三十三年が二石七斗九升でございます。全国平均の統計調査のそれに見合うものは、三十一年が二石二斗一升、三十二年が三石二斗四升、三十三年が二石三斗一升、こういうふうに平年反収を想定しておるのであります。
○芳賀委員 ですから、こういうところに問題があると思う。算定の基礎をことさら現実に即さないような高い水準にとっておる。結局、全国平均から見ると、反当について三斗ないし四斗の収量差がある。そういうことになると、同じ生産費がかかっても、結局単位数量が高ければ石当りの生産費は非常に低くなる。反収が少なければ石当りの生産費が上る。これは一年生でもわかることです。ですから、全国の米作販売農家に適用する米価の算定をやる場合には、特に収量の上位な農家だけの反収というものを三カ年間ずっととって、それによってことさらに低い石当り反当りの生産費を出してやるということは、これは非常に大きな誤りがあると思います。こういうことを全国の生産農民が知った場合は、納得しないと思う。どうしてこういう作為的な、ことさら生産費を低下させようというような意図でこの反収をとられるのか、これは政治責任があるから農林大臣にお尋ねいたします。
○福田国務大臣 どういう規模の農家、どういう反別の農家というものをとらえて基礎数字を出すかということは、非常に問題だろうと思います。そこで、私どもは、いろいろ議論もありましょうが、これは全国平均の生産費をとるよりほかにない。しかし、私どもは全国平均で出た生産費というものをそのままこれを算定方式に採用するのではないです。芳賀さんの建前から言いますれば、バルク・ライン生産費で出たものをずばりと生産費の基礎にしよう、こういうのでございますが、私どもは、そういう平均的なもので見るかわりに、これにさらに米の一般の需給の大勢を考慮いたしまして二割五分増しをしよう、こういう算式をとるわけでございまして、基礎的に考え方が違っておるのです。私どもは、安定性のある算式というものの基礎といたしましては平均生産費をとるほかはない、かように考えております。
○芳賀委員 ですから、平均生産費をとる場合には、こういう不当なやり方がいけないのですよ。八〇%バルク・ラインであれば、また反収の基準が下る。平均であれば、これは概念的に見てもやはり全国平均の反収というものを適用しなければ大きな誤謬が生じてくるわけです。わずか二千六百戸の抽出調査農家だけの反収なんていう間違ったやり方は非常に危険ですよ。しかも、今農林大臣が言われた通り、二割五分増しと言われるが、この行当りの生産費の出し方は、反当の総生産費が出て、それを反当収量で割ったものが一石幾らということになっておるわけです。だから、結局、反当収量の果す役割というのは、石当り生産費をきめる場合に、米価をきめる場合に、これは重要な役割を果しておる。反当三斗ないし四斗違えば、一石に対してどういうような差が出てくるかということは、大よそわかるだろうと思います。おそらく、反当四斗ということになってくれば、四千円違うのじゃないですか。三石平均にしても行当り千三百円、これだけで石当りの米価が違うということになる。こういう点は、やはりもう一度、これは米価審議会でも指摘があると思いますが、こういう、どこから見ても間違いである、誤謬であるという点は、やはり率直に是正される必要があると思いますが、いかがですか。
○福田国務大臣 私どもは、平均生産費を基本にして出発点にするという考え方は、ただいまの段階では正しい考え方だ、こういうふうに思っておるのです。しかし、今米価審議会にもお諮りしておりますし、皆さんの御意見も承わりましたし、まあすなおな気持で、今後どういう方針がいいのかということにつきましては、先ほども申し上げたところでございますが、鋭意検討してみたい、こういうふうに考えております。
○芳賀委員 それでは、農林省がとられた三十一年二石六斗八升、三十二年三石七斗、三十三年二石七斗九升という反収基準は、十分再検討して是正する必要があるとわれわれは認めておるわけですから、この点については、今農林大臣が答弁されたように、この場限りでなくて、最終的な米価決定までには十分検討を要するということを重ねて指摘しておくわけであります。
 それから、次に問題になる点は、都市と農村の労賃の均衡をとられておるわけでありますが、これは全規模の製造業の男女込みの平均賃金に都市と農村の物価差を乗じて修正されたことは言うを待たないわけであります。そこで、お尋ねしたい点は、男女込みになっておりますが、一体その男女込みの中における男子と女子の一時間当りの単価労賃はどういうことにしておるか。資料によると、おおよそ男子の場合には一時間八十七円六十三銭ということはわかるわけでありますが、この点も農林大臣にお尋ねしておきます。
○福田国務大臣 企画課長からお答えいたさせます。
○大和田説明員 お答えをいたします。
 農村における男女の賃金差よりも都会における男女の賃金差が多少多う目でございますが、それを人数でそれぞれウェートいたしました結果、ここに出ておりますように、男女込みで物価差を考慮いたしまして、一時間七十一円十五銭、男子で八十八円三銭、それだけの格差になっております。
○芳賀委員 ですから、男子がわかっているから女子の単価もわかって、それで男女込みというものが出てくるわけです。その女子の一時間あたりの単価はどういうふうにしておりますか。
○大和田説明員 これは毎勤の資料を使っております。現在手元に資料を持っておりませんから、あとから資料として出します。
○芳賀委員 これはわかるでしょう算術平均でやればすぐ出る。まさか加重平均でそういう平均がとれるわけではないのですからね。ですから、これは、男女込みの一時間の単価を二倍にしたものから、結局男子の一時間あたりの単価労賃を引いた残りが女子ということになるのじゃないですか。いかがですか。
○大和田説明員 今正確な数字を取り寄せますから、ちょっとお待ちを願いたいと思います。
○芳賀委員 私の資料は日本経済指標の五月の資料からとっているのですが、これによると、大体男女込みが七十円八十四銭で、うち男子が八十七円六十三銭ですから、そうなると、女子の一時間は五十四円五銭、大体こういうふうになるわけですね。そうなると、一時間当りの農村における男子労働と女子労働というものは非常に大きな差異が出てくるということが指摘できるわけです。
 そこで、私が農林大臣にお尋ねしたい点は、一体農村における男子と女子の農作業を通じての熟練度と強度との間にこのような大きな懸隔が果してあるべきものかどうかということをお尋ねしたいわけです。農林大臣も農村の事情は知っておられると思うので、まずお尋ねしたいと思う。これは別に理論的でなくてもいいのです。常識的に、農村における男子、女子の水稲栽培上の作業を通じての熟練度と強度の中に大きな差異があるかないかということです。
○大和田説明員 私から申し上げます。
 農村におきます男子と女子の賃金の格差は、大体男一に対して女が〇・八前後でございます。それで、都会におきましてはそれよりも男女の格差の開きが多いわけであります。従いまして、男女込みで七十一円十五銭というふうに都市の均衡労賃を男女込みの労賃に当てはめます場合と、男は男、女は女で当てはめます場合とを比べますと、男女込みで都市均衡労賃を農村に当てはめます場合の方が賃金水準としては高くなるわけであります。それを、男を一、女を一という工合にして、男に対して都市の男の賃金、女に対して都会の女の賃金を当てはめますれば、都市均衡労賃というものはおそらく現在の私たちのやっております方法よりは賃金が低目に出るというふうに考えております。
○芳賀委員 それは間違いでしょう男子の賃金に対して男女込みが大体八一%になっておる。それから、女子の賃金は、私が言ったようなことであるとすれば、男子に対しては六二%ということになる。この男子に対して男女込みが八〇%程度ということは大和田さんもわかると思うのです。ですから、男子に対して女子が八〇%というようなそういう算定も行われていないし、それによって女子の労働評価というものが非常に不利になる。こういう点も、農村における実態を十分把握して、特に自家労働というものに対する均衡を重視して今度の米価算定をやっておるという場合においては、このように全く女子の労働を男子に対して六〇%程度に抑圧するようなやり方は、少くとも今の近代社会においてはとるべき方法ではないと思うが、どうですか。
○大和田説明員 議論になりますけれども、芳賀先生のおっしゃることと実態は逆であります。これは、農村におきますところの男女労働の比較をいたしますと、男子に対する女子労働の割合は、都会における男女労働に対する女子労働の割合よりも農村においては多いわけであります。男女の労働の比率が、まず農村において女子の方が多いということ。もう一つは、男女の賃金の格差が農村の方が都会より小さいということです。従いまして、農村の家族労働を男女込みでやりまして、そうして都会の男女込みの均衡労賃をあてはめます方が、賃金水準としては――言いかえますれば、都市均衡労賃を農村にあてはめます場合の操作といたしましては、農村の家族労働をより高く評価することになります。
○芳賀委員 できるだけ農林大臣に答弁を願いたいのです。
 そこで、それでは、実例をあげて伺いますが、水稲栽培の作業の中には、田植えとか、除草とか、稲刈り作業が相当のウエートを持っておるわけです。それで、今までは農村における労働賃金は農村における雇用労賃を基礎にしておったのですが、まず田植えだとか稲刈り時期は相当労働力を雇わなければならぬ。しからば、こういう現実の問題を取り上げた場合、この季節的なたとえば苗植えの労働が男子と女子でどういうことになっておるか、また稲刈り時期の労賃がどうなっておるか。こういう点は実例をあげて論じなければだめなんです。全く架空の根拠のない学説や理論だけを振り回しても意味がないのですよ。田植えのときなんか、植付け能率はむしろ女子の方が男子よりも能率が上る。稲刈りの場合におきましても、それほど格段の差はない。ただ、畜力を使用するとか、機械使用の場合においては、女子よりも男子の方が非常に高能率であるということはわかるが、これらは年間を通じての特殊の作業ですから、通年的な作業の面においては、私は、男子並びに女子の準位労働における能率差というものはそうないと思う。そういうことであれば、やはり、同一労働・同一賃金の原則の上に立って、趣きを新たにして、そうして男女の農村における労働の評価というものを試みるぐらいの勇気がなければいけないと思うのです。どうですか、農林大臣。これは農政上の問題です。
○福田国務大臣 まあ統計ですから、出てくる数字は抽象的なものになりますが、その基礎には、今お話しのような具体的な事例が伏在しておるというふうに考えるわけなのであります。その出てきた統計が実際のわれわれの目に触れるところとときに違ったようなことも、これは地域別にところどころの状況に応じまして出てくるかとも思いますが、そういうことはやむを得ないんじゃないか。ただ、統計のとり方につきましては、できる限りこれが普遍的であり公正であるということを期さなければならぬ。これにつきましては努力いたします。
○芳賀委員 なお、これに関連いたしまして、労働時間のとり方にやはり相当問題がある。これは農村の場合の反当の労働時間をどういう方式で計算されたのですか。
○大和田説明員 これは、ことえば耕耘の時間、耕す時間について申しますと、農家が準備をしてうちを出て圃場へ行って、圃場で働きまして戻る往復の時間が入れてございます。農作業の準備をしてから、入って終るまでをとっております。
○芳賀委員 この点も、製造業の労働時間と、それから農村の労働時間のとり方に違いがあると思います。これは、資料によると、製造業の場合には月別の労働時間ですね。まあ製造業の場合においては大体最近二百一時間前後ということになっておる。これはその月における労働日数の中における時間の延べが二百一時間なら二百一時間ということになっておって、労働日数の中においては、たとえば八時間労働であっても、それは、昼の休憩の一時間とか、午前・午後の十五分とか、そういう休憩も含めての八時間労働で、たとえば月二十五日実動として二百一時間なら二百一時間ということになっておるわけですね。ところが、農村の場合においては作業ごとの時間の集積ということになると、そういう都市における毎日の労働の中における当然認められた休憩とか休息時間というものが加味されたいわゆる八時間労働と比較した場合においては、農村の中では全く労働に消耗した時間だけの通算ということになると、これは相当大きな問題があると思う。ですから、都市の労働時間と農村の労働時間を同じ状態に修正するということにしなければ、やはりここにも低賃金の要因というものは残されておると思います。これはやはり再検討の必要があると思いますが、いかがですか。
○大和田説明員 農村の稲作の家族労働に都市均衡労賃を当てはめるということは、もともとが擬制でありますが、また生産費調査そのものも相当な条件と制約とを持った一種の擬制でありますから、自家労賃という金を払わないものの調査でありますから、都会と農村の労働時間その他の調査につきまして完全に符合するということはなかなかむずかしいだろうと思います。かりに、たとえて申しますと、現在のように、肥料を買いに行って持って帰る時間までも生産費を構成する時間の中に入れてございますから、なおこまかい点については今後吟味いたすといたしましても、大筋においては、現在の生産費調査の構成をおそらく変えることは困難ではないかと思います。
○芳賀委員 これは困難であっても直さなければいけません。均衡労賃ですからね。都市の全規模製造業の平均賃金というものはどこから出たかというと、これは、製造業における月別の労働の延べ時間というものは二百一時間なら二百一時間ということになって、月別の労働賃金を労働時間で割ったものが一時間当りの全規模の都市の製造業の労賃ということで、ここに基本が出るわけです。ですから、今大和田さんが言った通り、農村の方は擬制であるということであれば、なおさら、これと同じ条件に直して、そうしてその均衡をはかるということが大事なんです。特に私の言うのは、とにかく、製造業の場合には、その月における毎日の労働時間の通算というものが一月二百一時間なら二百一時間ということになっておって、しかも、その一日の労働時間というものの中には、当然昼食の休憩時間が一時間なら一時間、これは労働時間の中に確保された休息なんですからね。それから、たとえば、午前・午後の休息の時間、こういうものを全部包括されて、これは賃金が保障されておるのです。ところが、農村の場合においては、八時間なら八時間労働の中における当然主張すべき休息の時間というものは、これは八時間労働から除いて、除かれたものが農村のたとえば百六十時間なら百六十時間の反当の労働時間数なんです。ですから、それをやはり休息時間を含めたいわゆる労働時間に修正しなければ、非常に短い労働だけに、直接消耗された延べ時間だけ都市と農村の労賃均衡をはかるというところに根本的な誤まりがあると思う。ですから、やはり擬制であるとすれば、なおさらこれは、そういう均衡を完全にとる場合においては、これは幾らでも正しい意味の修正ができると思うのです。やはり、こういうことを温情味をもって取り上げてくれなければ、いかに表面を均衡労賃とかなんとか言っても、実質的に検討すれば、これはすぐわかることなんです。ですから、これが政策米価であるとすれば、今の自民党内閣の政策米価というものは、やはり擬制された、これは低米価を堅持するためにこういういろいろなインチキや矛盾が包蔵されておるということは、これはわかるのですよ。少くとも農林事務当局の科学的な理論的な根拠の上に立った米価の算定であるとすれば、そういうことじゃこれは絶対通らないと思う。ですから、この点は、けじめをつけて、自民党内閣のいわゆる政治米価としてこういうことをやったとすれば、一応これも筋は通るし、また、良心的な科学的な生産費の計算を目途としてやった場合には、これは誤まりがあるということを指摘できるわけですね。この点について検討されるかどうか、いかがですか。
○福田国務大臣 生産費の調査につきましては、自由民主党の御意見によって修正したところは全然ありません。生産費の構成要素は全く事務的に公正に科学的に検討したものであります。ただいまこれが最善の案と考えておりまするが、さらに検討することにつきましては、先ほど申し上げておる通りであります。
○芳賀委員 一つその点は検討を願いまして、次に、具体的な問題ですが、公租公課、租税公課ですね、これを生産費に入れる場合の問題ですが、農林省の示された資料によると、土地の固定資産税は、これは生産費の計算に除外してある。これは当然地代との関係かとも思いまするが、この水田耕作の、いわゆる土地に対する固定資産税、租税公課の中の固定資産税が生産費の支出面から除かれているという点は了解できないわけです。
○大和田説明員 土地に対する公租公課は地代の中から支出さるべきものでございますから、生産費の構成要目として地代を見ておりますから、地代を見た上で公租公課に地租を入れますと、二重の計算になる。これは当然土地に対する公租公課というものは生産費から除かるべき性格のものだと思います。
○芳賀委員 そうじゃないのです。これはこの前も論議したのですが、地代と固定資産税は、生産費の上から言うと直接の関係はないのですよ。生産手段としての固定資産の土地に対しては資本利子をどう見るかという問題は、前回もいろいろな論議があって、それぞれの立脚点が相違しておるので別に統一の結論は出なかったが、地代の場合には当然土地に対する資本利子と見なすことも可能だと思うのです。とにかく、最近の農林省の資料によると、最近の土地の売買価格は毎年のように高騰して、水田の場合は、上田が大体二十万円以上ということになっておるのです。これは売買価格だから生産費の基礎にならぬとしても、一応そういう資本性が固定しておるということは事実なんですね。ですから、そういう土地の売買価格を基礎にした資本利子をとるなんということはわれわれも考えていませんが、しかし、地代は地代として、それに見合う意味において、地代というものが、たとえば公定小作料とか実納小作料、これは今度は統計調査部の調査を基礎にしてとられたわけですが、そういうことで土地の資本利子と見なしてっ、これは片づけていいと思います。それから、固定資産税の場合は、当然土地に対する租税公課ですから、これは当然見なければならぬということになれば、これは二重だということじゃない。地代に対して固定資産税がかかっているということじゃないですからね。所有の農地が地方税法に基いて評価されて、その評価額に対して固定資産税が賦課されておるので、収納した地代に対して固定資産税がかかっておるということは全く違うのです。利子に対するいわゆる利子税ですか、そういうものと固定資産税と地代の関係は性格が全く違うと思うのです。ですから、これはやはり、地代も生産費として計上されるし、また租税公課の中では固定資産税も計上されて当然であるとわれわれは考える。
○大和田説明員 もう一度申し上げますと、地代をどういうふうに理論的に構成するかということは別問題で、土地に対する公租公課がどこから支払われるかという源泉の問題としては、まさに地代であります。従いまして、地代を生産費の構成要目の中に入れて、しかもその上に地租を入れる、地租といいますか、土地に対する固定資産税を入れるということは、生産費計算の上から言えばまさに二重計算になる。
○芳賀委員 そうじゃないのですよ。固定資産税は、土地の評価を行う。これはやはり収益還元の方式で評価が行われるのです。土地に対する収益というものを一応想定して、それに対して資産税をかけるということになるのです。有機的な性格を持っている地代というものは、土地に対するいわゆる固定資本利子的な性格で、これは当然生産費に計上してしかるべきものだと思うのです。ですから、両方を計上しても何も矛盾はないのです。こういう点は十分検討されて――地代に対して固定費産税が賦課されておるとすれば、これは別ですよ。そういう性格でないのですからね。
○大和田説明員 どうも私の申し上げることがよく御了解いただけないで残念でございますが、地代をどういうふうな理論構成で乗せるかということとは別問題で、私の申し上げておるのは源泉です。それは、小作地については、小作料の中から土地に対する固定資産税が払われるわけでございますし、自作地につきましても、類地の小作料を地代として生産費にあげておりますから、その中から土地に対する固定資産税が払われる。従って、地代を生産費計算の中に入れて、またその上に土地に対する固定資産税を乗せるということは、生産費の計算から言えば二重になる。これはまさにその通りだと思います。
○芳賀委員 これは議論がわかれておるから、この点は保留して今後の検討に移したいと思います。
 次に申し上げたい点は、資本構成です。これも非常に問題があったわけです。特に当委員会に農業団体あるいは学者諸君を参考人としてお呼びしたときも、これは全国農業協同組合中央会の森川武門参事から述べられたことなのですが、農林省が自己資本九〇%、他人資本一〇%というような判断をすることが正しくないとしても、農協組織である全国中央会がこういう農林省の考えに同調したという点にわれわれは疑問を持ったわけです。それで後刻森川参考人からこの内容に対する説明の資料を出してもらったわけですが、これによると、非常に大きな問題が発見されたわけです。それでこの際お尋ねしたいのです。たとえば、米作農家の場合は一反当りの農家の借入資本に類するものはどのくらいになっておるかという点なのです。これは数字で示してもらいたい。
○大和田説明員 米の生産費調査につきましては、借入資本額がどの程度であり、自己資本がどの程度であるかという資料はございません。米の生産費調査については、そういう調査はやっておりません。従って、私たちが利用し得る限りの調査は、前にも申し上げましたように、農家経済調査と、これから導き出される資金動態調査で、この三十二年度の資金動態調査によりますと、農家への現金の流入額の総額は年間を通じまして六十二万七千円であります。それに対しまして、農家が金を借りて現金が入ってくる総額は四万五百円ほどでございます。トータルとして、農家に流入して参る現金に対する借入金の割合は六・五%でございます。
○芳賀委員 ちょっと私の質問と違うのです。これは全国中央会から出された資料ですが、参考にちょっと申し上げますと、水稲経営費における借入金の割合は、収益割合で分割するという方式をとっております。これは、第一に、農業経営費を十万六千五百四十五円と押えて、そのうち水稲の負担経費を五〇%と見ております。ですから、その五〇%というのは五万三千二百七十三円ということになる。第二に、農家の借入金平均残高を四万二千七百七十七円として、そのうち五〇%の負担率で二万一千三百八十八円を借入金として算出し、さらにこの金額から土地借入金として六七・二%を控除した残りの三二八%を乗じて、七千十五円をもって販売農家の稲作負担借入金と算定しているのであります。これが大体借入金の一〇%に相当するわけですが、一体、常識的に考えて、全国の稲作農家が水稲耕作上の借入金が七千円くらいで足りるとすれば、これは非常にけっこうなことなんです。実際問題と対比した場合において、ずいぶんこれは問題があると思うのです。七千円ずつしか借金してないのです。あとは全部自己資本でやっておるのです。七千円というと、これは硫安にして八かますか九かますしか買えないのです。肥料なんかほとんど農協から秋払いで借りてきている。きょうは全中の代表が来ているわけではないから、指摘する考えはないのですが、これは、明らかに、農林省の説得に反抗するだけの有力な資料がなくて、うのみにいわゆる大和田さんの構想をのみ込んでしまって、いかにも全国中央会もその通りでありますというように認めた一つの敗北の資料なんですが、こういう点は、先般の農林省と政府与党との間における話し合いの中にも、この資本構成は問題があるというような論のあったことも新聞に出ておりましたが、こういう点は、やはり、出た答えが現実に即応するかどうかということを一応照らしてみて、やはり現実に即したようにこれも修正する必要があると思いますが、農林大臣、いかがですか。
○福田国務大臣 主として利息の点にあるわけです。その資本構成の方ではないのです。しかし、資本構成という点なんかで、あまりこれは客観的に見てどうかというような事実でもありますれば、私ども検討してみますが、しかし、大体において農家には自己資本を使える農家が多いわけでございまして、これは大数的に見ますと大体そんな辺になってくるのじゃあるまいかという感じも持っておりますが、引き続いて一つ検討いたします。
○芳賀委員 それでは、もう一点申し上げますが、今度の米価算定の場合でも、調整係数というものがいきなりできた。しかし、生産費・所得補償方式を大幅に取り入れる場合、これは無縁のものだと思うのです。調整係数というのは、ここにインチキがあると思うのです。これは渡部式調整係数かもしれませんけれども、どうしてこういう作為的な新しい調整係数のごときものを作らなければならなかったか、その点はいかがですか。
○渡部説明員 これは、先ほど大臣からお答えいたしましたように、現在の生産費の調査からいたしますと、バルク・ライン方式をとることはできない。やはり平均生産費を足がかりとして米価を算定した方がいい、こういうふうな結論に到達いたしました。しかし、平均生産費ではバルク・ライン生産費方式をとれという御主張、すなわち、大多数の農家が生産費をまかなえるように、こういうことでございました。その趣旨は、現在の需給の状況から見ますれば、まだ供給が需要を満たすに足らない国内生産事情でありますから、十分考えなければならない。その関係から考えますと、いろいろ努力いたしまして、一方で反収が上りますれば、これは価格が下ってもよろしい、すなわち生産費が下る要因をなしております。それからまた、賃金が上れば、これは需要が増大するということでございますから、米の価格は上げてもいい、こういうことにもなります。それからまた、一方都市賃金を評価いたしますと、賃金が上れば生産費は増す要因になる、こういうことになるわけであります。そういう米の生産費、米の価格、米の需給、こういうものをどういうふうに調整をいたしますれば、一番生産者も消費者もその相互の関係が適当に調整される数字が出てくるか、こういうことを検討いたしたのであります。そこで、いわゆるラムダ方式というものを考えまして出したのでございます。これは、反収と賃金というものを足がかりにいたしまして一つの理論方程式を考えまして、それによって数字をはじき出した、こういうことでございます。要するに、反収と労賃というものを見て、そうして理論値を考えまして、実際には最近三カ年の評価がえの生産費とその年の農家の手取り米価、こういうものの比率を出してみますと、それが今の反収・労賃を考慮いたしましたラムダ算式の理論値に非常に近似してきておりますから、それを最近三カ年でとる、こういうことでございます。
○芳賀委員 そうじゃないんです。調整係数によってこの理論性をこわしている。そうじゃないですか。これは三十一、三十二、三十三の三年の当年べースの平均生産費と、それからこの三カ年の各年の手取り平均価格というものを対比さして、そこから調整係数値が出てきておるわけなのです。ですから、この平均生産費と手取り平均米価というものは理論的にどういう関係なんですか。
○渡部説明員 これは、先ほどお配りいたしました諮問の二十三ページ以下をごらん願いますと、ラムダ理論値の算出基礎、こういうものがございまして、理論式としてここにログC分のP、こういうのが出ております。それを実際の、二十四ページの二十七年から三十三年までの価格なり生産費なり反収なり賃金なり、こういうものを考えまして当てはめてみますと二十四ページの理論値が得られるわけでございます。それと、評価がえ生産費と手取り米価とを比較した実際値とを比べていただきますと、非常に近似しておりますから、最近三カ年の実際の数字をそのまま平均してとっても理論的に間違いない、こういうふうに考えておるのでございます。
○芳賀委員 ちょっとおかしい。手取り平均価格というのはこれは三十一年から三十三年までパリテイ方式によって算定された手取り米価でしよう。ですから、根拠が違うんですよ。こちらの平均生産費というのは、今度新しい算式によってできた生産費ですからね。ですから、全く基礎となる立脚点が違うものを無理やりここへつるまして、そうして調整係数というものを作って、それを今度は基準平均生産費にかけて、そしてその平均が、たとえば九千九百九十六円である、こういうようなものは理論的なものではないんですよ。こういうものが理論的なものだということになると、これは世界で初めて発見された方式だと思うのですがね。これはおかしいですよ。一方では生産費及び所得補償方式による価格として九千七百三十六円をとり、第二はパリテイ方式による価格として九千六百九十二円をとり、この勘案されたものが一石九千七百十五円ということになっておるのだから、何も調整係数を生産費方式の方へ用いて不純な価格を作る必要は全くなかったと思うのです。これだけでやるのならいいですよ。一方においてパリティ方式をもう一つやって、それを足して二で割るという方法をとっておるというところに問題があるのです。生産費及び所得補償方式の純粋理論の上に立った米価というものを求め、もう一方においては従来の所得補償方式による米価を求め、それを勘案したというのであれば、これは農林大臣の御説明の通り一応了承はできる。ここに生産費・所得補償方式の算定に従来の手取り平均米価というものを入れた調整係数をかけて不純なものにしているということは、全くわれわれとしては了解することはできないのですよ。農林大臣はこれをどうお考えになりますか。
○渡部説明員 ちょっと……。
○芳賀委員 説明は聞かぬでもいい。あなた方がこういうものを作ったんだから。
○福田国務大臣 足して二で割ったというお話でございますが、これは最初からそういう考えを持っておるのです。すなわち、私ども、農林省原案を作成いたしまして、これを御討議願うという際におきまして出た数字が、新方式では九千七百円、旧方式すなわち所得パリテイ方式では九千六百九十二円、これは、私どもといたしましては理論的に彼此勘案いたしまして、中をとりまして、九千六百九十六円といたしたかったのです。しかし、そうなりますと、昨年の基本米価の九千七百円を引っ込むことになります。すでに決定いたしております麦の値段の決定方式なども勘案いたしまして、昨年より引っ込むということはいかがなものであろうかというふうに考えまして、九千七百円をとるという結論を下した次第でございます。しかし、その後各方面からの御意見がありましたので、賃金のとり方等につきまして時期的な最新の資料を用うるということにいたした結果、今度は、先ほど申し上げました九千七百円というのが九千七百三十六円となるのです。また、従来の所得パリティ方式から出ておる数字は九千六百九十二円でございますから、彼此勘案いたしまして十五円といたしたというのでございまして、決して別々に出てきた数字を足して二で割るという政治的考慮からやったものでないことを申し上げておきます。
○芳賀委員 私が言っているのは、生産費・所得補償方式による米価と従来の所得パリティ式による米価と二つを並べてそれを勘案して九千七百十五円が出てきたことは、大臣の言われた通りわかるわけです。ですから、問題は、第一の生産費及び所得補償方式の算定に問題があるのです。基準平均生産費に対していわゆる調整係数なるものをこれに乗じて、そして結局生産費米価を求めたというところに問題がある。この調整係数なるものは、当年べースの平均生産費と三十一、三十二、三十三のいわゆる手取り平均米価というものを足して、そして調整係数というものを求めたのです。ですから、何にも関係がないのですよ。この平均手取り米価というものは所得パリティ方式の方に帰属する係数であって、新しい生産費・所得補償方式の方に関連を持つべき筋合でないわけです。ですから、これは全く作為的な、理論的な根拠のない調整係数でないかということを、われわれは当初から疑問を持って指摘しておるわけです。この点は、農林大臣としても、十分その内容を分析されて、出発当時からこういう誤まりを犯すということは、これは将来にも大きな禍根を残すことになるのです。これは純粋な理論的な問題ですから、申し上げておきます。
○福田国務大臣 お説の通り、平均生産費と調整係数と理論的な関連はないわけなのです。私どもの方は、平均生産費をとりまして、それにこの調整係数を乗じておるわけでございまするが、この調整係数は、理論的に出てきました平均生産費、これに対しまして、需給の関係、すなわち経済全体の中における生産費に対する米価の決定をどうするかという考慮から来ておるわけなのであります。その考慮をする場合におきまして、過去の三カ年における平均手取り額と、また毎年におけるところの生産費との問には、需給を表わすための一定の関係あり、こういう判断に立ってやっておるわけでございます。決してこれは作為的にこういうものをしておるというような次第ではないのです。
○芳賀委員 そうすると、以上でそれぞれ具体的な問題だけを指摘して、今回の政府の決定された米価の原案なるものはいろいろな矛盾や誤謬があるということを指摘して、幸い――幸いと言いますか、昨日から米価審通会が再開されて、十日にはどのような結論が出るかもしれませんが、ここで申し上げたい点は、米価審議会というものは農林大臣の諮問機関だと思います。内閣の諮問機関ではないと思います。ですから、農林大臣が政府に原案を出す前に、当然これは米価審議会に諮問して、米審の機能を発揮してもらって、貴重な意見を求めて、それをできる限り尊重して最終的な政府案を作る、大臣としての案を作られるという順序のものだと思いますが、今回のやり方を見ると、全くこれはわれわれとしても不愉快きわまることに終始しておられる。それで、米審でも意見が出ると思いますが、一体、きょうから討議に入るわけですが、米価審議会が答申を出した場合において、それを尊重するという御意思があって今回の諮問案を出しておるのか。米価審議会があるから形式的に諮問案だけ出せばいいじゃないか、いかなる答申が出ても、もう政府原案に狂いはないというのか。最善最高のものであるということを大臣はしばしば言明されておるので、確固不動のものであるとすれば、別に形式的にこの暑いさなかに連日米審に御苦労を願う必要もないと思うのですが、その間の配慮はどういうことになるのですか。
○福田国務大臣 私どもは、私どもが諮問をいたしておりまする案につきましては、これは最善のものだという考えを持っております。しかし、これは私どもがそう思うだけでありまして、これはまた、各界の皆さんから承わりまする議論によりまして、これは違うのだというような結論もあり、それが私どもが考えてなるほどそうだというようなことがありますれば、私どもはこの結論を尊重せざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。米価審議会の結論につきましては十分尊重していくつもつりでございます。
○丹羽(兵)委員長代理 足鹿覺君。
○足鹿委員 同僚議員から大体質問が出たようでありますので、重複を避けまして、私は農林大臣並びに大蔵省当局に二、三お尋ねをしておきたいと思います。
 私の質問は、今までの同僚議員の質問と角度を変えまして、まず最初に農林大臣に伺いたいのでありますが、今度の米価決定をめぐる非常な混乱といいますか、複雑な経過をたどっておることから、急に食管制度それ自体に対するいろいろな議論も派生しておりますし、また、将来やかましくなることが当然想像されるわけであります。先ほどの石田委員の質問に対して、現在の食管制度はこのまま堅持するという御答弁がありましたので、今さらこれをさらに追究しようと思いませんが、しかし、現行食管制度を厳密に考えてみますと、御存じのように、昭和十七年、戦争中できた法律でありまして、何々すべしという、今どきの法律には似つかわしくない、きわめて強い強権供出をやった、非常な権力主義的なにおいが強い。従ってまた、第一条には、食糧の確保、需給の調整、配給の統制、こういう三つの点をその目的として取り上げておりまして、その食糧確保の一つの方法として、価格の決定について、三条、四条等において米麦の問題をきめておる。麦の場合は、政府がいかにこれを下げようとしたり、あるいは統制撤廃をやめようとしても、四条の二項が生きておる限り、これはどうにもならぬ。麦の場合は比較的きちんとしておりますから、昭和二十五年、六年を基準年次として、生産費を補償し、経済事情をしんしゃくしてきめる、ちゃんとこうきまっておりますから、問題が比較的少いのでありますが、米の場合にはそれが明記されておらない。そこから来るいろいろな混乱だと思うのです。従来の食管制度の果した役割は、やはり抑制米価であって、農民の生産物に対する支持的な性格は従たる立場に立ち、やはり、食糧の確保と、需給の調整と、配給の統制にその法律の主たる目的が置かれておった。ところが、食糧の需給情勢が大きく変ってき、麦価決定についても四条の二項が新しく決定されるというようなことから、従来われわれはしばしばこの食管法の第三条二項の算定方式なり決定方式について明文化すべきであるということを力説主張してきたわけでありますが、今日までその目的を達成しておらぬわけなんであります。そこで、先ほど大臣から、秋までに米価審議会に諮って確固たる算定方式をきめるんだ、こういうことでありましたが、私は、この算定方式はもちろん確立しなければなりませんが、現在起きておる混乱は、算定方式と、いま一つの決定方式をめぐってだと思うのです。現在の算定方式は、水かけ論でありますが、今芳賀委員との質疑応答を聞いておりますと、なかなか意見が一致しない。平行線であります。がしかし、これは今後時間をかけ一つの筋を立てることによってある一つのものが得られると思いますが、得られた場合においても、その決定方式のちゃんとしたものを作るとか、あるいは必要な措置を作っておかないと、またまた大きな混乱が起ることは大体推定ができます。現在、ことしの米価は政党米価という陰口をきくものもありますし、大蔵省の巻き返しによって、加えて二で割るインチキ米価だと酷評する者も出てくるという始末でありまして、一応政府が曲りなりにも筋を通そうとしたことが、米価審議会をそっちのけにして、他の機関において持って回っておる間にのっぴきならぬところに落ち着いてきた、ここにこの現状の非常にむずかしさが出てきておると私は思うわけであります。
    〔丹羽(兵)委員長代理退席、委員
  長着席〕
 そこで、問題は、生産費・所得補償方式を採用してこれを貫く、かりにこういう方針が秋までに米審を通じて確立されたとした場合に、決定の方式につき大臣はいかような構想を持っておられるか。これは関連して切り離すことができないと思うのです。そこで、その点について所信を一つ承わっておきたいと思います。
○福田国務大臣 価格決定の方式と申されますが、私も改まった別の構想というものを持っておりません。ただ、今お話の中にありました、どうも麦と比べまして米の方の価格のきめ方は法律で根拠を持っていないじゃないかという点につきましては、私もそういう気持がいたしておるのです。そういう点につきましては、これから検討いたしまして、できるならば法律にちゃんと価格決定の方式というものが明記されて、数字の取り方でありますとかこまかい点については議論がありましょうが、大筋についてはもうすらすら麦のようにいくのだというようなことに持っていくのも一つの考え方ではあるまいかというふうに思っております。今後鋭意検討してみたいと思います。
○足鹿委員 一つの問題点を指摘したにとどまるのですが、そういった場合は、現行食管法自体を検討されることになると思うのです。検討の結果は、食管法の改正という形で適当の機会に国会に提案をされる、こういうふうに理解してよろしいのですか。
○福田国務大臣 検討の結果、算定の骨子を法律に書くということになりますれば、おそらく食管法にこれを織り込むということになるじゃあるまいかと思うのです。そういう際にはもちろん国会にもお諮りすることになると思います。
○足鹿委員 食管法の性格は、先ほど私が申し上げました通りであります。この際、その算定方式にしろ、決定方式にしろ、それを新しく明記し、法律で明らかにするということになりますと、食管法の性格の再検討ということが大きく出てくると思うのです。なぜならば、算定方式は生産費・所得補償方式をあなた方は大幅に取り入れると言われるし、われわれなり一般農民団体は生産費・所得補償方式が現在においては最高の方式だというので、平行線をたどっておるのでありますが、いずれにしましても、戦争中にできたこの法律は、性格が大きく変ってこなければ、今大臣がおっしゃるような法律への明文化もなかなかできにくい非常に大きな問題が伴ってくると思うのです。そこで、現在今年の米価論争を通じて一番言われることは、食管制度は、従来、米価抑制を建前として、国民経済に及ぼす影響を考えて、やみ価格の高騰に備えて、低廉にして、しかもできる限り豊富に基準面紀量を国民に配給する、そういう立場に立って国民経済に寄与していくのだ、こういうことになっておりますし、今食管法の性格が問題になっておるのは、他の農産物は軒並み崩落傾向をたどっておるが、ただ米だけは、国内で不足している、これは幾ら作っても現在は余るという立場ではない、そういう点できわめて安定性を持っておる。そこで、これに一つの支持価格的な、農政的な性格といいますか、従来の食管法の持つ性格とは別に、そういう一つの性格を持たせる立場に立って検討がなされないと、私は目的を達成することができないのではないかと思うのです。
 これは近き将来の問題でありますが、いずれにせよ、そうした点をよく考えられていく必要があると思うのですが、この際、この決定方式をめぐって、各国におけるいろいろな制度を瞥見してみますと、イギリスの穀物価格の決定機関について見ましても、大いに参考になるところがあると思うのです。イギリスの場合、農作物の価格決定は、年次価格会議というものを持って、これを一九四七年の農業法によって根拠つけられており、現在まで続いておる。この場合、会議には、政府と生産者の組織である全国農場経営者連盟というものが参加をして決定をしておる、こういう形態をとっておる。その価格は、農業における経営者及び労働者に対する正当な報酬及び生活条件並びに本産業における投下資本に対する十分なる収益を合致せしめる価格ということをきめておるわけでありまして、現在のように、米価審議会が日本の場合はただ車なる諮問にすぎない、しかも農林大臣の諮問にすぎないというような性格とはよほど違って、算定なり決定の方式については、イギリスのような農業国でない場合でも、食糧問題を重視して非常に慎重な構えでやっておるということは、われわれ相当考えさせられる点があると思うのです。そのいざこざがあるかないかはよく私存じませんが、少くともそういう一つの基本が定められておる。この間の質問の際に私も申しましたように、生産者団体が調査をする方式と、政府が調査をする方式が、全くおのおののべースでやっておるというような状態は、正常な状態でない。調査の出発点からして、わが国においてはもう間違いを犯しておる。こういう点等から考えてみても、相当私どもは考えさせられる点がある。
 また、スエーデンの穀物の価格決定方式を調べてみますと、国家農産物販売理事会というものがありまして、そして、これを諮問会議の審議にかける、その結果を理事会と農民代表の会議に付する、そして関係大臣にそのできたものを提出して、政府はこれを議会の承認を得て実施するという形態をとっておる。これは明らかに国会の決定方式をとっている。イギリスの方式とはまた異なった味を出しておる点があろうと思うのです。
 西独の場合におきましても、穀物の生産者価格は特別法によった毎年議会が決定しなければならない、こういうふうに直接価格決定を国会にゆだねておる。
 こういう方式を直ちにわが国に持ってこれるとか、持ってこいと言うわけではありませんが、少くとも、先ほどから指摘しておりますように、算定方式を確立し、さらにその最終決定をする制度というものは、いかような形式をわが国においてはとるかということは別問題といたしまして、私は欠くべからざる問題だと思うのです。そういう点について、大臣においても、従来の経緯等から見て十分御検討になって、決定方式と算定方式は表裏一体をなすものだという観点から、新たなる構想のもとに、今秋予想される新しい算定方式の確立をめぐっての検討までに十分研究してもらいたいと思いますが、確信のほどを一つ承わっておきたいと思います。
○福田国務大臣 まことにごもっともな御意見でございまして、今後検討する上におきましては、価格決定方式というものを含めてよく調査してみたい、かように存じます。
○足鹿委員 大蔵省に伺いますが、今の点について、あなた方も、ことしの米価なり今までの米価については大蔵省自体に非常に大きな責任があると私は思うのです。一応農林省なりその他において案がきまったものが、大蔵当局との折衝の過程において非常に問題が起きてくる。そこで私は今大臣に申しましたが、きょう大蔵大臣がおいでになっておれば、この決定方式をめぐっての御所信をあわせて伺っておきたいと思ったのですが、少くともこれは米価に限定された問題ではありません。あなた方が財政当局として国家の財政を責任を持って担当されるというその良識と熱情というものに対しては、われわれは別にとやかく言うわけではありませんが、その度合いなり行き方、運営について、とにかく一つの方式がきまって、その方式についてできた結論を、けさの新聞、昨日の夕刊あたりが伝えておるように、大蔵大臣の巻き返しによって、加えて二で割るようなことが出ておるのです。これは私は重大な問題だと思うのです。新しい米価の算定方式がきまり、決定方式が打ち出されようとしておる場合に、一つの算式によりきまったもの、決定したものが、財務当局の意見によって内輪でいろいろと変ったり紛糾を起すというような現在のやり方に対して、あなた方は、農林省のやり方が悪いならば、当初から参画して、その共同作業の上に立ってまとまった権威のあるものを出すべきなのだ。できたものに対してこれをまたひっくり返す、これにまた政党政治でありますから党が関与してくる、こういうことになって三つどもえ四つどもえの格好になって混乱を続けるということは、非常に私は遺憾な事態だと思うのですが、大蔵省当局として、算定方式なり、決定方式の今後の構想等についての御所見があれば、大蔵大臣がおいでにならないそうでありますから、石原さん、あなたから一つ大蔵省を代表して御所信のほどを承わっておきたいと思います。
○石原説明員 米価の問題に限りませず、大蔵省、財政当局といたしましては、いろいろな決定に御相談を受けまして、この御相談を続けて結論に至るわけであります。今回の米価につきましては、先ほど農林大臣、農林当局の方から申し上げておりますので、私から申し上げることはございませんが、ただ、今お尋ねのございました、これからの米価の決定方式なり算定方式なりにつきましては、今後できるだけ簡潔と申しますか、客観的にきっぱりきまるような方式を考えたいということにつきましては、私ども同感でございまして、何分むずかしい問題でございますから、私ども十分研究しなければならないと思っておりますが、方向といたしましては、農林省が考えておられるように、米価審議会が済みまして、これから秋にかけまして私ども十分勉強いたしまして御相談に乗って参りたいと考えております。
○足鹿委員 次に、この食管会計が昨年の国会におきまして六つの勘定に分れてきました。昨日赤路委員の資料要求によってわれわれいただいたわけでありますが、この説明がないので、全くつかみどころがない。仄聞するところによりますと、今度の米価が米審の答申いかんにかかわらずそのままかりに行われた場合といえども、相当の赤字が出る、こういうことが言われておりますが、この六つの勘定の予算と今後の予定を見ましたが、これによっては、現在時点の六勘定別の数字が明確でありません。特に調整勘定には昨年百五十億を一般会計から繰り入れたわけですね。その後の状態というものが全くわかりません。もう少し、この食管特別会計の各勘定別の大体の現況、また麦の価格による赤字、あるいは米の場合の想定される赤字、そういうようなものはどういうことになっておりますか、食糧庁なり大蔵省から具体的に一つ御説明願いたい。
○渡部説明員 昨日は、三十三年度の食糧管理諸経費の勘定別項目別予算、実行見込み対比表、これの話だったのですが、ここにございますように、国内米勘定、国内麦勘定、輸入食糧勘定、業務勘定、調整勘定に、もう一つ農産物勘定、こういうのがございますが、これを予算と見込みに分けましていたしております。ただ、三十三年の実行は、三十四年の予算を組みましたときに一応の見込みを作りましたが、九月までに決算をいたさなけばならないのでございまして、目下その決算を急いでおります。従いまして、ここに現在のところ申し上げますのは、三十四年度の予算当時の見込みを申し上げる以外にちょっと的確な数字を――いろいろな試算をやっておりますけれども、試算の段階でございますから、もうちょっと待っていただかないと、三十三年度の決算は出ないと思うのです。従いまして、こういう表しか今は出せないのでございます。その点を御了承願いたいと思います。
 ただ、大局的に申し上げますと、輸入食糧関係におきまして、御承知のような国際的な食糧過剰と、それから運送賃の低下によりまして、相当当初よりも黒字がふえる。従いまして、三十三年の赤字見込みが、実際において相当減ってくるのじゃないか、こういうふうに考えております。その引続きで、三十四年度の輸入食糧も、第一・四半期までは、三十三年の続きで、運賃、それから食糧価格が続いておりますから、われわれが三十四年度予算を見込んだときよりも多少の余裕が出てきております。三十四年度につきましてはまだ第一・四半期が済んだだけでありますから、全体をとやかく言うことはできませんが、しかし、三十四年度につきましても、輸入食糧については原案よりも黒字がふえてくる、こういうふうになると思います。ただ、国内米につきましては、当初予算三千二百万石の集荷目標と五百億の予備費でスタートしておりますが、現在の予備予約あるいはこの間六日から予約の受付をいたしましたその状況を見ますと、ことしの予約は予算の三千二百万石よりも相当ふえるんじゃないが、三千四百とかあるいは三千五百とか、こういう声が出ておりますが、これももうちょっとたってみないとわかりませんが、二十日ごろになれば大体予約の概況はつかめると思います。もしかりに、三千二百万石と見ておりますので三千四百なり五百に伸びますれば、国内米の二十四年度の赤字の見込みは、予算米価一万二百五十円、今度の一万三百三十三円との関係で、その開きだけ赤字要因がふえるということになりますから、そのものが赤字要因。それから、国内麦につきましては、企業整備の費用を出しますので、この点は十億内外当初より赤字がふえる、こういうことに見込んでおります。
○足鹿委員 石原主計局長に聞きますが、赤字は、とにかく現在でも麦で十億を想定されておる。米の赤字が三億八千くらいだと伝えられておりますが、今の長官のお話で、予約がもっとふえればもっとふえる、それはどこからこういう説が出てくるか。国会にも報告もない、資料の提出のないものが、食管の赤字推定がいろいろな言論報道機関を通じて流れてくる。ですから、こういう事態を明らかにして、もし補正予算が必要な場合は、秋を想定される臨時国会に出して、調整勘定への繰り入れをふやされる、こういう措置をとられなければならぬと思います。実質上買い入れを抑制したり、いろいろ手取り米価に操作を加えるとか、従来あまり芳ばしくないようなことも間々あったように思うが、そういうことがあってはならぬと思う。いずれに米価がきまろうとも、そういう点で農林大臣並びに大蔵省にお尋ねしますが、赤字の額によっては、出さなくても、――三十一年度におきまして外麦では百四十一億も黒が出ておるように私の資料ではなっておりますが、三十二年度はどのくらい出ておるか知りませんが、三十三年、三十四年と外麦で相当もうけて埋めていく、こういうことになっておるようですが、それでもなお処理しきれぬ場合もあり得ると思うのです。農産物勘定は別建でありますから、これは別個にしまして、大体操作をしてどの程度のものであれば補正予算に組むとか、ある程度のものであれば食管会計内部の操作によって操作するのか、その点の御見解はどうでしょうか。わかりませんか。
○福田国務大臣 ただいまのところでは、まず不確定要素といたしまして、三十三年度の決算見通しがわからない状態であります。それから買い上げの量が、予算の方の三千二百万石というものが一体どのくらいになるか、これも見当つかない。そういうようなことで、的確なことは申し上げられませんが、しかし、大体大数観察をいたしまして、補正予算を必要とする程度の赤字状態にはなるまい、こういうふうに見ておるわけでございます。この見込みが狂うという場合には、またおのずから別個の考えをしなければならぬ、こういうように考えております。
○足鹿委員 そうしますと、大体、その場合によっては、内部の操作ができる場合は操作する、必要があれば補正予算その他によって調整勘定への繰り入れも考えなければならぬ、こういう趣旨になろうと思います。これは申し上げるまでもないのですが、そういうことになろうと思いますが二十日ごろになれば一応の見通しがつくということでありますので、その見通しがつきましたら、正確な資料を御配付を願っておきたいと思います。
 次に、消費者米価との関係をちょっとお尋ねしておきたいと思いますが、農林大臣は、いつであったか忘れましたが、所得が倍増し、あるいはどんどんふえていくという場合には、米価の引き上げもあり得るんだ、こういう意味のことを談話で言われたことがあるように私見受けるのですが、少くとも今までの所信を聞いておりますと、今年産米については消費者米価は上げない、こういう態度を堅持しておられるように見受けるのであります。将来のことは別として、所得が上っていけば消費者米価は上げていくということは、生産者米価を上げて消費者米価を据え置きにすれば、勢いそこに大きな国家負担がふえるから、勢い消費者米価も上げなければならぬという一般論ではないかとも私思うのですが、その点について、現在の食管制度そのものは、先ほど述べましたような抑制価格主義を一面従来もとっておる。そこに私は問題があると思うのです。生産者米価を上げれば直ちにこれが消費者米価へはね返していくということは、われわれはとらぬところでありますし、従来も政府は極力これを慎しんできたところだと思うのです。その点について、麦が逆ざやになって、一俵において二百円も逆ざやになる。米の場合も、ことしの価格でいきますと百三十三円、やみがもう百二十六円に迫っておりますから、下手をすると逆ざやになる場合もないとも限らぬ。いろいろ複雑なものが出てくると思うのです。そうした場合に、大臣としては消費者米価の問題に対してはどういうふうに考えられるか。国の負担においてこれを完全に処理していくという方針を堅持されるか。たとえば、外麦で相当黒字がある、年々歳々ある、そして内地麦をカバーしておるということは、勢い外麦を高いものを消費者に売っておるということにも裏面から言えばなるわけです。必ず米価審議会あたりでも議論になるところだろうと思うのです。そういう点で、この生産者米価と消費者米価の点について、この際はっきり、本年の見通し、将来は別として、新しい情勢が出てきてもこの方針はあくまでも堅持されるかどうかという点を伺っておきたい。
○福田国務大臣 本年の米麦価につきましては、生産者価格について、米はただいま御審議願っておるようなことを考えております。それから、消費者米価につきましては、これは据置だというふうに考えております。今後の米麦価の問題につきましては、まず生産者価格については、米について今度新しい算定方式というものを打ち出しておるわけで、この方向でやっていきたいと思います。その結果、あるいは多少米の値段が上ってくるという傾向を持つのではあるまいかというふうに考えておる次第でございまするが、それに対して消費者米価をどうするかという問題が当然起ってくる。これに対しまして、私は、今日、米にいたしましてもあるいはパンにいたしましても、われわれの生活の中に、米の値段はこうだ、麦の値段はこうだ、パンの値段はどうであるかという一つの秩序ができており、この秩序をできる限り尊重していかなければならぬというふうに考えておる次第でございます。ただ、一面におきまして、経済上、財政上の変化もいろいろあるわけでありまするから、そういうような観点も考慮いたしますると、これは永久にくぎづけだというわけにもいかぬだろう、一般論といたしましては、そういういろいろな他の角度から考えまして、変更もあり得るのだというふうに考えてるお次第であります。
○足鹿委員 最後に、米審の性格の問題について伺っておきたいのですが、いよいよ、本日の当委員会が終りますと、米審が本格的に審議が開始されるわけでありますが、私ども米審に参画した従来の経験から見ますと、どうも米審は陰の方へ入ってしまって、そして、政党の各種機関の動向とかあるいは大蔵省の意向とか、そういったものがもう決定的な米価に対するものになってしまって、できたものを米審が一応受けて立って、法律があるんだから一応諮らなければならぬということになっている。そして、現在の米審の構成を見ますと、生産者、消費者、これは組織につながるものもありますが、また学識経験者として言論報道機関やいろいろな角度で入っておる。他国の場合は、先ほど私が申しましたが、農場経営者とか、そこで働いている農民だとか、農民団体だとかというものと、正式な制度の上で相談をしてきめる組織になっておる。そしてその構成員も非常にすっきりしております。わが国の米価審議会の構成は、生産者代表あたりの発言権というものは、人数の上からいきますと、きわめて微々たるものである。従って、ことしの米審は、あなた方が御期待になっておるように、答申については相当難航するであろうと私は想像しておりますが、少くとも、米審を開かれるまでに、米審の代表者とかあるいは米審を構成している特別委員とか、そういう者が少くとも正式に政府機関の作業に参画をするということであるならば、これは米審も少しは働きがいがあると思うのです。今の形でいきますと、全く政府、与党、大蔵省その他においてじゃんぎめになってしまったものを出しているという格好でありますから、勢い、あなた方がおきらいになっても、政治論争というものに発展せざるを得ないと思うのです。専門的に掘り下げようと思っても、米審にはその機能はあるが、そういうものが天下ってくる場合においては、当然激しい政治闘争の場面になるということは必至です。ところが、世論は、米審そのものは専門的な検討を怠って政治闘争の場面になったというふうな誤まった認識を持ちますが、私も米審の経験を持つ者の一人といたしまして、そこは、ほんとうの米審の機能を発揮するようにあなた方が活用されないから、米審としては勢いそのきまったものに対する抵抗という形で戦わざるを得ない政治場面になってくると思のです。そこに、秋の算定方式を考えられる場合におきましても、昭和二十四年以来すでに十年の経験を経た米審の制度というものは尊重されなければならぬ。しかし、これにはいろいろ批判の声が上っておりますが、少くとも長い伝統と経験を持った米審が本来の機能を発揮していくような、そういう性格なり構成なり、それに基く任務というものを果していくようにすべきだと私は思うのでありますが、農林大臣はそういう方向をとられようとするか、それとも、この米価の意定方式あるいは決定方式等をめぐっての何か別個な中立機関のようなものを作って、それで専門的に掘り下げていこうとされるのか、一体構想はどう持っておられますか。これは非常に重大な問題だと思うのです。
○福田国務大臣 ただいまのお話は、お話の通りきわめて重大な問題であると考えます。私は、できればこの秋くらいまでに今後米価決定について論争はなくなるという新しい線を出したいというふうに考えておりますが、ただいま私は固まった意見を持っておりませんけれども、こういうものも含めて考えてみたい、かように考えております。
○足鹿委員 大蔵省に伺いますが、大蔵省は、できたものなり、できるものの過程において、財政的な立場からいろいろ心配されておるようでありますが、少くとも今まで各委員から指摘され、また私も指摘したような点について、大蔵省自体としては何か一つの従来まとまった案を持っているんですか。ただ、こういう混乱があると財務当局として黙っておれぬから出ていくという態度を今後もとられますか、もっと新機軸を出して、大蔵省としては何か構想に対する一つの意見を持っておるのか、あったらこの際一つ承わっておきたいと思うのです。
○石原説明員 先ほども申し上げましたように、大蔵省といたしましては財政の立場から御相談を受けるということに相なっておりますので、今後におきましてもそういうやり方に相なると思います。ただ、先ほど来お話しになりましたように、できるだけすっきりした方式にいたしまして、論議の紛糾を少くいたすという点につきましては、先ほど申し上げましたように、私どもも同感でありまして、できるだけそういう方式を作ることに御協力いたしたい、また、私どももできるだけ勉強いたしたいというふうに考えます。
○足鹿委員 最後に一点だけお尋ねをして私の質問を終りますが、六日現在の予約申し込みは二十八万トン、昨年の同期に比べますと約五分の一だといわれておるのであります。今渡部長官の話を聞くと、なかなか数量はふえるという大した構想を持っておられますが、この間も、ラジオの録音放送等で、農協の地方の責任者が、予約拒否、もっと政府が考え直さなければ予約を拒否したいというくらいの強い決意を言っておったのです。これはわれわれの立場と違う立場の人がそういうことを言っておった。それを裏書きするかのごとく、六日現在においては二十八万トン。農民はこの米価を見て失望して、これではとてもだという気持も手伝っておるのじゃないかと思うのですが、とにかく昨年同期に比べて五分の一という現実の姿に対して、先ほど長官は、三千二百万石は三千四百万にも五百万にも伸びそうだ、そのときの赤字とかいろんな問題を心配しておるんだという御意見でありましたが、現在少い理由は何ですか。ほんとうにあなた方はこの米価をもって必要とする三千二百万石以上のものを政府が買い付ける確信があるのかどうか。なければ、政府の方は米は要らぬと考えておるのかもしれませんが、その辺を一つ伺っておきたいと思うのです。
○渡部説明員 六日の状況は御指摘のようなことで非常に少なかったのでございますが、七日には一千百二十万石くらい出まして平常に復しました。きょうもうんと出るだろうと思うのです。食糧事務所の情報だとそういう情報が来ております。一日だけおくれた、農家がそれだけ控えていた、そういうことだと思います。
○吉川委員長 足鹿君の質疑に関連をいたしまして、角屋堅次郎君の発言を認めます。角屋君。
○角屋委員 簡単に御質問申し上げたいと思います。
 米価問題につきましては、本年度に入りましてからも本委員会において幾たびとなく取り上げられて参りました問題でありまして、同時に、本日は、政府諮問案に基いて具体的な各項目にわたる質問が同僚委員からなされたわけでございますが、私は、同僚委員が指摘しましたように、本年度政府が諮問をいたしております米価は、いわゆる政治米価であって、理論的な根拠においてはずいぶん多くの問題を持っていることは明らかだと思うのでございます。理論的な米価の根本的な欠陥の一つとして、米価を決定するための基本的な調査という面においてやはり理論的に欠けたものを持っておる、こういうことが私ははっきり言えるだろうと思うのです。先ほども石田委員から指摘され、また先般参考人の意見を聴取したときも出た問題でありますけれども、いわゆる生産費調査において、全国の販売農家三百十万戸という母集団の中から標本抽出いたしました農家といたしましてわずか二千六百戸をとって、その調査結果に基いて生産費の基礎数字を得てこようというところに、私は大きな問題があろうと思う。たといこれを平均生産値でとろうと、あるいはバルク・ライン方式でとろうと、理論的に言って、三百十万戸という母集団から標本農家として二千六百戸で勝負をしようというところに理論的に問題がある。そういうことになりますと、標本理論から申しまして、標準偏差の問題、変異係数の問題、その他いろいろの面から見て、非常に誤差の多い標本の抽出に基いての結果を出してくる、こういうことになろうと思う本年度は今さらこう言ってもしょうがないのですが、私は、こういうことあるを予想して、すでに三浦農林大臣当時において、実際に生産費及び所得補償方式に本格的に政府が乗り出すということであるならば、標本理論に基いて理論的にたえ得る標本農家をはっきり準備をして調査の整備をすべきじゃないか、こういうことを指摘しましたときに、統計調査部長から、その問題に対処するためには少くとも五千戸以上の農家の標本調査をとらなければならぬことに相なりますということを答えておったわけでございます。私は、今後の米価をあくまでも理論米価として算定をしようという政府の意図あるいは農林省の意図が強いのであれば、まず、理論米価を出すための基礎資料というものについて、標本理論に基いての理論的にたえ得る標本農家を選定するということが先決条件だと思う。
 そこで、今度の米価算定方式の問題についても、そういう前提で考えて参りますと、ことに政府のとっておる平均生産費その他の問題については、バルク・ライン方式との対照の中でずいぶん指摘しなければならぬ問題を含んでおります。しかし、もう時間的にも、すでに大臣は午後の米価審議会に出なければならぬという状況でありますし、この問題については、大臣自身も、米価の算定方式についてははっきりしたものを本年度中に作る、こういう前提に立って、米価審議会等も十分活用していきたい、こういう方針でもありますので、そういうふうな段階の中でさらに検討を深めていくことにいたしたいと思います。
 そこで、この際、こういう統計調査部等でやっておる調査の問題と関連をして、私は農林大臣にさらに見解を伺っておきたいと思うのですが、御承知のように、近来の農政というものは、物量中心的なものから農家経済を中心にしたものへの移行という、いわゆる農家所得というものを中心にして農政を考えていこうという立場が最近出て参っておるだろうと思うのです。今の米の生産費調査なら生産費調査の問題を出す場合にも、単に米価を決定するための統計調査ということと同時に、総合統計的な性格から見て、さらに米作農家の諸問題を分析するということを並行して考えながら調査をするにはどうするか、こういうことを検討して考えていくならば、米価を算定するために相当大量の標本農家を抽出する、そのために相当の調査費がかかる、だから、どうせ政治米価できまるのだからこの程度で不完全であるけれども済ましていこうということには、私はならないだろうと思う。やはり、統計調査の今後の方向ということについて、特に政務調査会長をやっておられた立場から、統計の重要性ということについては認識が深いだろうと思うのですが、そういう理論米価に出発する調査統計の整備ということにしぼっていけば、もちろん主目的はそこにあるのでございましょうが、その場合に、やはり米作農家の動態というものを明らかにする。たとえば、生産費というものを出してくる場合に、肥料の部面でこういうように価格形成を変更したならば、それが米の生産費にどういうように影響するか、あるいは労働力を近代化なり機械化によってこういうように軽減した場合にはそれが生産費にどういうように影響するか、いわゆる農業の今後の近代化なり、合理化なり、そういうものとの関連の中で十分分析にたえ得るようなことも考えながら、米の生産費調査をやる場合にもそういう調査体制のプランにする、こういうこと等についても私は十分検討する必要があるだろうと思う。従来、ややもすれば、最終的には米は政治米価できまるのだ、今は二千六百戸の標本農家を抽出するだけでも相当経費がかかる、理論的には五千戸以上の調査農家が必要かもしれぬけれども、それには相当の経費がかかるから、これはやめておこうということになっていはせぬか。そういう考え方を是正するために、私は、やはり、日本の農業の全体の中で非常に大きな比重を占めておるこの米の問題について、農家経済の今後の方向の中から綿密に検討するということも加えながら、理論的な米価設定のための標本農家の増大、こういうことを検討すべきだろうと思うのですが、いかがでありますか。
○福田国務大臣 角屋君の御見解、ごもっともなことだと思います。私どもも、二千六百戸というような少い農家を基本にしてこういう問題を検討するのは決して満足すべき状態じゃないというふうに考えまして、さらにこの調査の基礎を拡大いたしまして、精密な調査をしてみたい、こういうふうに考えております。
○角屋委員 統計の問題については、やはり行政面と統計それ自身との相互関連という問題で先ほど米の生産費に関連して若干のことを申し上げたのですけれども、これはやはり、農林省でやっておる統計面というのは、相当な陣容と相当な経費をかけてやっておる。これがやはり行政面に生かして使われなければならぬ。単に国政の舞台だけでなくて、地方自治体等も含み、農民団体等も含み、これがほんとうに生きた統計として活用されなければならぬ。そういう立場から、従来やっておった統計調査のやり方等についても、基本的に従来の生産統計から統合的な統計に変革しつつありますけれども、なお各部局等のセクトを離れてそれぞれ総合的に検討する場合には、もっと生きた統計の姿というものが出て参らなければならぬと思うし、出るべきだと思っております。米の生産費調査の問題については、どこまでを農林省でやって、あるいは場合によっては補完的に地方自治体なりあるいは農業団体なりプラスして考えるか、こういう問題等も出て参ろうと思うのでありますけれども、これらの問題については、米の生産費の、今後の理論米価の算定の基礎として基本的に考える場合に十分考えていただきたいし、これと直接関連はないわけですけれども、今後の農林省あ錢いは農政を推進するための統計の今後の方向というものはどういうふうにあるべきかということについても十分検討してもらいたい、かように要望申し上げまして、私の質問を終ります。
○吉川委員長 本日の議事はこの程度とし、次会は明九日午前十時三十分より開会して、愛知用水公団の事業問題につき参考人より意見を聴取することとして、これにて散会いたします。
    午後一時五十二分散会