第032回国会 農林水産委員会 第17号
昭和三十四年十月二十二日(木曜日)委員長の指
名で次の通り小委員を追加選任した。
 農林漁業災害に関する調査小委員
      丹羽 兵助君    芳賀  貢君
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昭和三十四年十月二十二日(木曜日)
    午前十時五十九分開議
 出席委員
   委員長 吉川 久衛君
   理事 丹羽 兵助君 理事 本名  武君
   理事 赤路 友藏君 理事 石田 宥全君
   理事 芳賀  貢君
      今井  耕君    倉成  正君
      坂田 道太君    笹山茂太郎君
      高石幸三郎君    中馬 辰猪君
      綱島 正興君    福永 一臣君
      松岡嘉兵衛君    松田 鐵藏君
      保岡 武久君    足鹿  覺君
      角屋堅次郎君    川村 継義君
      神田 大作君    久保田 豊君
      多賀谷真稔君    中澤 茂一君
      西村 関一君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 福田 赳夫君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (経済企画庁調
        整局水質保全課
        長)      古沢 長衞君
        外務事務官
        (アジア局長) 伊関佑二郎君
        厚生事務官   實川  渉君
        農林政務次官  大野 市郎君
        農林事務官
        (大臣官房長) 齋藤  誠君
        農林事務官
        (農林経済局
        長)      坂村 吉正君
        農 林 技 官
        (農地局建設部
        長)      清野  保君
        農林事務官
        (振興局長)  増田  盛君
        農林事務官
        (食糧庁総務部
        長)      岡崎 三郎君
        林野庁長官   山崎  齊君
        水産庁次長   高橋 泰彦君
        通商産業技官
        (企業局工業用
        水課長)    藤岡 大信君
        通商産業技官
        (軽工業局化学
        肥料部化学肥料
        第二課長)   高田 一太君
        運輸事務官
        (自動車局長) 國友 弘康君
        運輸事務官
        (自動車局業務
        部長)     梶本 保邦君
        運輸事務官
        (自動車局業務
        部通運課長)  水野節比古君
        海上保安庁次長 和田  勇君
        日本国有鉄道参
        与
        (営業局長)  磯崎  叡君
        参  考  人
        (全国農業協同
        組合中央会)  森川 武門君
        参  考  人
        (社団法人全国
        木材組合連合
        会)      石井  勇君
        参  考  人
        (六大都市水産
        物卸売人協会会
        長)      寺田 省一君
        参  考  人
        (日本通運株式
        会社常務取締
        役)      前谷 重夫君
        専  門  員 岩隈  博君
    ―――――――――――――
十月二十二日
 委員天野光晴君、福永一臣君、八木徹雄君、栗
 林三郎君及び松浦定義君辞任につき、その補欠
 として坂田道太君、三和精一君、三田村武夫君、
 川村継義君及び多賀谷真稔君が議長の指名で委
 員に選任された。
同日
 委員坂田道太君、川村継義君及び多賀谷真稔君
 辞任につき、その補欠として天野光晴君、栗林
 三郎君及び松浦定義君が議長の指名で委員に選
 任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 小委員追加選任に関する件
 派遣委員より報告聴取
 農林水産業の振興に関する件(農林水産物の輸
 送及び運賃問題並びに水俣湾及び沖縄周辺海域
 の漁業問題)
 農林漁業災害に関する件(台風第十四号及び第
 十五号による農林漁業災害問題)
     ――――◇―――――
○吉川委員長 これより会議を開きます。農林水産業の振興に関する件につきまして調査を進めます。農林水産物の輸送並びに運賃問題について参考人より意見を聴取することといたします。御出席の参考人は、全国農業協同組合中央会森川武門君、全国木材組合連合会石井勇君、六大都市水産物卸売人協会寺田省一君、日本通運株式会社常務取締役前谷重夫君、以上の四名の各位であります。
 参考人各位には本委員会の調査のためわざわざ御出席をいただきまして、まことにありがとう存じます。厚く御礼を申し上げます。本日は、農林水産物資に対する通運料金の改訂並びに国鉄貨物取扱い駅の集約の問題につきまして、それぞれのお立場より忌憚のない御意見を承わりたいと思います。なお、御意見はお一人約十分程度にとどめ、取りまとめて願います。あとは質疑によりお答え願いたいと思いますので、さよう御了承を願っておきます。
 それでは、森川参考人。
○森川参考人 全国農業協同組合中央会の森川と申します。通運料金の値上げの問題につきまして、日常農産物並びに農業関係生産、生活に関する資材を取り扱っておりますところの農業協同組合を代表いたしまして意見を申し上げたいと思うのであります。
    〔委員長退席、石田(宥)委員長代理着席〕
 今般通運業者約五百社から通運料金の値上げの申請がなされております。この理由とするところは、昭和二十八年以来まだこれは上っておりませんで、その間、物価等の値上り、賃金の値上り等もあったので、現在のところ通運業者は非常に経営上困っておるからということと、なお、輸送の近代化、設備の更新というような点で相当な資金をつぎ込んでいかなければならぬというような点から、ぜひ一つ値上げが望ましいのだということで申請をされておるようであります。
 その値上げの内容とするところは、通運事業法できめられておりますところの、駅を中心とする貨物の集配料金、それから、駅の構内における荷物の積卸手数料、通運の取扱手数料、こういうような三つの内容に分れまして、それぞれ値上げの申請がなされておりまして、業者側の申される点から言いますと、その率は九・八八%だ、こういうふうに言っておられるのであります。しかし、それは平均をしての話でございまして、今申し上げました三つの内容についての値上げ率はそれぞれ違っておるのでありまして、特にわれわれが注目したいことは、駅を中心とする貨物の集配の料金よりも、むしろ構内における積卸、それから通運の取扱手数料の方にウエートを置いて値上げがされておるということであります。それから、この機会に、今まで駅の料金は一号、二号、三号、四号というふうにあったのでありますが、この際四号をなくするというようなことから、全般についての相当な値上げになるという実態になっております。もう一つは澱粉あるいはまた穀類その他の資材等につきまして最近は紙袋が相当使われてきておるのでありますが、これについては取扱い上非常に手数がかかるという理由から割増料金を徴収する、こういうようなこと等が内容になっておりまして、九・八八というふうにおっしゃっておりますけれども、そういう点を調べてみますと、最低一〇%から最高に至りましては五六%というような値上げに相なるのでありまして、その金額も五十億幾らというふうに言っておられますけれども、もっと相当な金額になるというふうに推定をされるのでございます。
 このことは、とりもなおさず農林漁業者にとりましては非常に大きな打撃となるのでございまして、私どもといたしましては、どうしても通運料金の値上げということができなければやっていけないかどうかということにつきまして、業者側からも説明を聞き、また資料も提出していただきまして検討をいたしておりますけれども、何らそこに値上げをしなければならぬというような理由は見出し得ない。はなはだ業者側のおっしゃることについては納得がいきかねるというような現状でございます。その内容によりますと、二百八十社のうち大体半分程度が配当をなされております。これはその会社としては経営状態がいいということになっておりまして、あとの半分が無配であるとかあるいは赤字だというようなことになっておりますけれども、こういう点につきましても十分に納得ができないという点があります。
 それから、この通運業者の値上げの点につきまして私どもが特に申し上げたいのは、御承知のように、この事業は駅々につきまして業者を複数にするということになっておりますけれども、実際は独占形態が非常に強いのであります。御承知のように、この事業をやるためには通運事業法によりまして厳重な審査がありまして、実際のところなかなかこれは許可されな。これは、とりもなおさず、既存の業者を保護いたしまして、それが経営上成り立っていくように十分なるきつい保護がなされております。従って、結果的に独占的な事業になっておるのでありまして、そういうような点から申し上げますと、私どもとしましては、まずその経営の内容、企業の合理化ということにつきまして十分なる調査等がなされ、そうして、現在の料金におきまして立ち行かないのかどうか、どうしたら立ち行けるようになるかということにつきまして、業者の方々はもちろんのこと、監督官庁におかれましても十分なる調査をなされ、その結果につきましては荷主側に十分納得させるということがなければ、これはなかなかむずかしい、困る問題ではないか、こういうふうに考えるのであります。ことに、われわれ農業は、御承知のように非常に零細であり、かつその経営基盤が非常に弱小なんでありまして、そのために従来から政府等におかれましても農業の保護につきましては特別な施策を願っておる。運賃の問題につきましても、公共割引だとか、あるいは遠距離割引だとかいうような特別な施策によりまして、運賃の面からも保護をされてきておるのでございます。従って、この点につきましては、われわれとしましては重大な関心を持っておるのでございまして、これがそのまま認められるということに相なりますと、そのしわは全部弱い農業というものに寄らざるを得ない。これをはね返してどこかへしわを寄せていくということは、これはなかなか至難である。農業関係におきましては全部農業にしわが寄ってくるというようなことに相なりますので、現在、農産物の価格の問題、あるいはまた購入する資材の価格の点、その使用量の問題というような点からいきまして、この点は非常に農業にとって大きな影響がありますので、この点につきまして特段の御配慮をいただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
 これはせんだって運輸省におきまして運輸審議会の公聴会がありました。そのときにおきましても私は同じような意見を申し上げたのであります。しかし、これはただ単に私だけの意見ではなくて、その当時出席いたしました数多くの荷主側の意見も、この点についてはこぞって反対を申し上げておられました。その根拠とするところは、今私が申し上げましたように、それぞれ取り扱うところの物資の価格に影響するということと、ひいてはそれは国民経済全体にも非常に大きな影響があるというような点から、各関係の方面におきまして十分御調査、御検討を願って、この問題については慎重な御配慮をお願いしたいということでありました。
 本委員会におきましてこの問題を取り上げていただいたことにつきまして、私どもは非常に感謝をいたしますが、どうか一つ慎重に御検討をいただきまして御配慮をいただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。
○石田(宥)委員長代理 石井男君。
○石井参考人 私は全国木材組合連合会の専務をしております石井でございます。林業業界を代表いたしまして、通運事業料金改訂について意見を申し述べさせていただきたいと思います。
 今回の通運事業料金改訂に当って、申請者の理由は、昭和二十八年以来七年間も据え置かれていたということ、また、賃金や物価の値上りによりまして原価を償い得ない状態になったこと、各種の公共事業や関連事業の運賃あるいは料金等に比べて低いこと、こういうことをあげておられるのでございます。その値上げの内容は総額で五十億七千万円、全事業収入の九・八八%がこれに当り、しかもこれは最小のものである、こういうふうに言われておるのでございます。
 われわれが資料に基きまして検討いたしましたところ、値上り率は九・八八%にとどまらない。また、物資によっては大きな差があるものと考えられるのでございます。今回の改訂案は、基本料金の値上げのほかに、適用駅の格上げ並びに圧縮、それから割増率の増額等が加わっておるのでございまして、山間僻地から出荷する林産物資につきましては非常な重い負担をこうむるということになるのでございます。たとえば、発駅が四号駅から三号駅に上り、着駅が二号駅から一号駅に上った場合、また割増率を加算いたしますと、最高五八%の値上りになる場合さえ出てくるのでございます。また、林産物資について三十二年と三十三年の平均輸送トン数から推定をいたしますと、約十億円の負担増加になる見込みでございます。運賃の価格に対する比率が高い、また生産材の大半を鉄道輸送によらざるを得ない林産物資に関しましては、かような大幅な値上りは重大な影響を受けるのでございまして、とうていその負担にたえない、こういう状況でございます。
 通運事業の業務内容から見て、なぜかような値上げをしなければならぬのか、われわれ了解に苦しむのでございます。通運業界の説明によりますと、約三分の一の業者の方が赤字経営であるということでございますが、通運料金経理の内容がわれわれにはっきりと理解できない以上、この値上げは納得できないのであります。と申しますのは、通運事業総収入が五百十三億円ということでございますが、今回の値上り額五十億余円を加えますと五百六十三億円になりますが、これに説明にありますような五%の利益が含まれているといたしますと、全通運業者の利潤は二十八億円余になるわけでございます。五十億余円の増収によって二十八億円の利潤が確保されるものといたしますと、従来二十二億余円の赤字があったということになりますが、総取扱い量の六二%を占めておられる日通は大した赤字もありませんし、また、約三分の一の通運業者の方は黒字経営といわれております。その残りの三分の一程度の業者の方が毎年二十億円の赤字であったということはとうてい想像できないのでございます。なお、通運事業成績の推移表によりますと、期末の未処分利益剰余金から退職給与引当金不足額、それから固定資産の処分額を除いた未処分の利益、期末剰余金は、二十八年度を一〇〇といたしました場合、三十二年度は二五〇でございまして、著しく増大しておりまして、経営の困難は考えられないのでございます。次に、全国通運事業連盟の発行による「通運事業運賃料金の改訂について」というパンフレットによりますと、企業努力による支出の節減として、二十八年に比べまして三十三年は、一人当り、営業能率では三〇%、積卸作業能率では五七%、集配作業能率では一一%向上して、支出の節減に役立ったということになっております。これから見ますと、通運事業運賃料金は二十八年度から値上げする必要はないように考えられるのでございます。また、配付資料による三十三年度の通運取扱い量は二十八年度に対比いたしましても、また三十二年に対比いたしましても、それぞれ一一%を減少いたしておりますが、通運事業収入も三十二年度に比して一割減となっております。かような通運事業の最悪の年であるにもかかわらず、一方、通運事業における事業者別の損益状況を見ますと、三十三年度における欠損事業者は二六%でありまして、利益事業者が七四%になっております。しかも最高二割六分の配当を行なっておられる等、値上げの必要性がまことに少いというふうに考えられるのでございます。
 次に、林産物につきまして問題となる点について申し上げてみますと、その一つは、割増率表の適用についてでございます。現行料金でも、作業上困難なものに対し割増率を適用しております。木材類について、側板の全開しない貨車に対する機械荷役によらない貨車積卸及び標準数量以上に積載した場合に限り三割増しを適用するのでございますが、今回の改訂で、銘木、普通木材、パルプ用材及び坑木に対しては、すべてどんな貨車に積んだ場合も三割増しを適用するということになっております。現行の料金は、側板の開かない貨車は荷役が機械化されない場合非常に作業が困難であるということから認められたものでございまするし、実際にはその場合はわずかでございます。標準積載量超過の問題は、戦後荷役不足の時代に軽積みの傾向をなくするために最低積載量を定めたことがもとでございまして、従って、鉄道輸送が満載を建前としている限り、標準量以上に積むことがあるのは当然でございます。従いまして、この改訂の機会に木材類の割増しを廃止されたいことをわれわれは希望しております。
 また、数ものの一トン当りの個数の引き下げを行うことになっておりますが、林産物の中で、たとえばまきのように価格が低い生活必需物資にこの適用を受けること、公共的事業の建前からいたしまして考慮されたいのでございます。
 それから、適用法中城トン扱いについて申し上げたいと思いますが、普通木材、パルプ用材、坑木、まき、木炭については、貨物等級表上の減トンを通運事業運賃については適用しないことになっております。これは前回国鉄の等級改正の際に木材業界の知らない間にきめられて現在に及んでいるものでございますが、国鉄の減トン制度が実重量主義となっておる現在、現実に軽量のものを通運料金に関してのみ徴収するということは不合理でございまして、この際ぜひこれは是正していただきたい、かように考えるわけでございます。
 以上申し述べましたようなことから、私たちは次のようなことを要望いたしておる次第でございます。
 一つは、四号駅適用は存置すること、それから、駅号の格上げを行わないこと、それから、基本料金は平均一六%の値上りというふうな説明を受けましたが、この原価の問題につきまして十分に再検討をしていただきたいということでございます。
 それから、次に、木材の特殊貨物割増率の適用を廃止されたいこと、それから、数もの割増しの新設は行わないこと、滅トン制は実施すること等を要望したいのでございます。
 どうか本委員会におかれましても一つ十分に御審議いただきまして御配慮いただきますようにお願い申し上げる次第でございます。
○石田(宥)委員長代理 寺田省一君。
○寺田参考人 お忙しい中からわれわれの意見をお聞きいただきまして、まことにありがとうございます。
 今度の通運事業料金値上げにつきましては、ただいま森川さん、石川さんからもお話がございましたように、水産関係業者といたしましても、これは非常な打撃を受けるものとして賛成いたしかねるのでございます。特に、水産物につきましては、通運事業に依存する度合いが、通運事業関係から出されました表で見ましても九九・九%、ほとんど一〇〇%に近いものが通運事業者の手によって運ばれておる。それだけ水産関係者としては通運事業に頼らなければならないということをまず御承知おきいただきたいのでございます。
 通運事業関係者のお話によりますと、これは公共事業の性質を持っておるというお話がございますが、しかし、いまだかつて通運事業者に依存しておる者の意見をお聞きいただいたことがないようなふうに考えております。また、相手方の負担力があるかどうか、そういうことについても格別の御考慮はいただいておらぬように私どもは考えております。ある場合には、これは公式の席上ではないかもしれませんが、負担力があるかないかは関係がないのだ、こういうような話も出たと聞いております。さらに、包装の改善あるいは作業の機械化によって負担の軽減もできるではないか、こういうお話もあったように伺いますが、水産物については包装も作業も機械の改善も現在としてまだ方法が立っておりません。そういたしますと、全面的に水産関係では値上げの影響を受けなければならない、こういうふうに相なるのでございます。
 さらに、値上げの内容を伺いますと、一般に九・九%の値上げ、約一割弱の値上げであるというふうに言われておりますが、これが実質は非常な違いでございます。
 通運事業の根幹をなします取扱料、積卸料、こういうものにつきましては通運事業者の説明からいたしましても二一%ないし一八%、集配料だけが九%、こういうような御説明を承わっております。ということは、集配料、もしそれが高ければ自分らで積むことができる、ところが、取扱料、積卸料は、自分らでなかなかそこまでやり切れない、こういう点を見越しての値上げであるのじゃないか。これはあるいは私どものひがみかもしれませんが、そういうふうにも考えられます。値上げの方法がまことに負担ののがれようのない上げ方をしておられる。
 さらに、割増しにつきましても、先ほど来お話がございましたが、急送品割増し、これは新設されるのでございます。これが発送、積卸につきまして三〇%、集配料について二〇%、こういうのが新設される。急送料のごときは国鉄の運賃の場合でもこれはやめようじゃないかというお話さえ出ておりますし、またそのようにお取り運びもいただいておるものと私ども信じておりますが、それが今度逆に新設される。それから、バラ積みも、これは現在でもあるのでありますが、その割増料率が、これは五割にもなっております。しかも、積卸が五割、集配料が五割、それから、衣類その他を汚損しやすいもの、これは従来は腐敗しやすいものとして割増しが積卸三〇%であったのが、今度は五〇%に値上げされている。それから集配料三〇%はそのまま。それから、荷物の分割でありますが、荷主が数人あるいは荷受人が数人の場合に、荷物を分ける分割割増しが三〇%となっております。それから、夜間作業はこれもまた三〇%加算がついておる。これは現行もついておりますが、こういう割増しがございます。そういたしますと、水産物のおもなるものは急送品に違いございません。また急送しなければ運ぶ意味がございません。それから、衣類を汚損しやすい、なるほどそうかもしれませんが、これは水産物の特色でありますし、包装の仕方についても、これは通運当局でもまだどうしたらいいか工夫のつかない品物でございます。それから、夜間作業、これは市場に着く、あるいは市場に発送する、夜でなければ作業のできない品物でございます。そうすると、どこものがれっこのないような割増しが現在でもついておる。それをさらに新設されたり加重されたりする。こういうことになりますと、この割合は、それぞれ加算して割増しがつくのでありますから、それを算術的に寄せてみましただけでも三〇〇%になるのでございます。値上げの三倍が割増しとしてふえる、こういうことでございます。値上げがかりに通運業者の言われるように一割でございましても、それにさらに三倍の割増しがつくということを念頭に置いていただきたいのでございます。
 従いまして、そういうわけで、実質負担は非常に多くなるのでありますが、われわれの計算だけによりましても、この取扱料、積卸料の値上げ、それから、先ほど来お話の出ました号級の整理、この号級の整理がまたなかなか苛烈なものでございます。
    [石田(宥)委員長代理退席、委員長着席〕
四号駅を全廃する。農林水産関係の物資は大体へんぴなところでございますから、四号駅を使う場合、あるいは等級の下の駅を利用する場合が多いのでございますが、それらが全面的にはね返ってくる。四号駅が廃止になって、そうして今度は三号駅になるだけで五十何%も割増しがつくのでございます。それだけの負担が増加するわけでございます。さらに、今度は一号、二号、三号の号級を整理するというお話で、三号駅から一号駅になるものができてくるようでございます。そうしますと、この号級の整理による影響というものが非常に大きくなるのでございます。われわれの計算で申し上げますと、取扱料、積卸料、それから今の号級の整理、これだけを入れてみましても、九・九%というのが二八%ぐらいの影響になるのであります。これにさらに割増しがつく、こういうふうになるのでございますから、われわれの方の負担増加はとうてい忍び得ないというものでございます。さらに、先ほどお話のございました国鉄の貨物取扱い駅の整理、これは今後の問題でございましょうが、これによりましてもまたさらにわれわれの影響は大きいのでございます。のみならず、またその場合に通運事業料金がさらにふえる、こういう場合も起ってくると思うのでございます。何としてものがれられない水産その他農林物資がこれだけの値上げを受けるというふうになりますと、われわれとしてはとうてい忍び得ない。
 つきましては、四号駅の廃止は何とかお控え願いたい。それから、号級駅の整理も、これも何とかお見合せを願いたい。それから、取扱料、積卸料だけに重点を向けること、これは私ども忍び得ない。特に集配料の値上げ、あるいはさらに新設の徴収は、これは困る。つきましては、これらのものについては、万やむを得ない場合でございましても、農林水産物資については特別のお考えが願えないものだろうか、こういう点をわれわれとしては考えておる次第でございます。さらに、割増しにつきましても、急送品割増し、こういうものは国鉄の運賃とあわせてぜひやめていただきたい。それから、衣服を汚損しやすいもの、これはやはりもっと低率にするなり、あるいはこういうものについては適用を除外していただくなり、それらの措置をお考え願いたい。できますことならば、水産物についてはこういう値上げは一応除外する、あるいは農林物資についても除外するというようなことが考えていただけないものだろうかということを私ども考えておる次第でございます。
 最後に二つだけ申し上げておきたいことは、現在の通運事業料金は定額でございまして、運輸省の認可があればその定額はとってよろしい、こういうことになっております。われわれ関係業者としましても、そこに交渉の余地もございません。これはぜひ何らかの機会に、最高金額をきめていただく、その金額の範囲内できめるというふうに、最高の限度をきめていただくというようなふうに法律自体も御改正を御研究願いたい、これが一つでございます。それから、さらに、水産物につきましては、他の農林物資も同様でございますが、何かそういう特別の専門輸送機関あるいは通運事業機関というようなものが考えられないものだろうか。水産業者の間では、もうそういうものを研究する必要があるということで、昨日も集まりましてその下相談をしたのでございますが、こういう農林物資あるいは水産物資についてのそういう特別の輸送機関、こういうものもぜひ御検討をいただきたい、こういうようにわれわれも考えております。また、われわれの方としてもそういうように研究を進めて参りたいと思いますので、御指導、御援助をいただきたいと思うわけでございます。
 以上、簡単でございますが、要点だけ申し上げておいた次第でございますが、申し上げましたように、水産業者に対する影響は非常に大きいものがございますので、一つ、当委員会におかれましても、慎重に御審議の上、われわれの意のあるところをお聞き取りいただきたいと思うものでございます。
 ありがとうございました。
○吉川委員長 次に、前谷参考人。
○前谷参考人 御多端の折柄、われわれの実情を御聴取いただきまして、意見を述べさしていただくこと非常にありがたい仕合せと考えている次第であります。
 ただいま参考人の方からもお話がございましたが、現在の通運料金は昭和二十八年以来据え置きでございまして、戦前に比べても、一般物価は三百倍以上になっておりますが、通運料金は百五十四倍ということになって、非常に低位になっているわけでございます。この間に処しまして、業者といたしましては、できる限り企業努力によってこれを克服いたしたい、かように考えましてその努力をいたして参ったわけであります。現に、日本通運におきましても、積卸その他一般的な作業につきまして四割以上の能率向上をいたしておるわけであります。ただ、その能率向上にもいろいろの面がございまして、たとえば御指摘のございました集配関係におきましては一割二分程度しか能率向上ができませんが、この点は、一例をあげますと、東京の蒲田から新橋に行きます場合に、従来でございますとほぼ三往復できたわけでございますが、現在は交通量の関係その他の関係で一往復やっとというふうな実情でございまして、その客観的な事情におきまして努力が十分達成できないという点がございます。極力努力いたして参ったわけでございますが、現実に通運事業におきましては申請にもありましたように赤字になっているわけでございますので、私どもといたしましては、現在までにすでに三百十二億程度の資金を投入いたしまして企業努力をいたして参ったわけでございますが、その支払い金利も六十億程度にもなるわけでございまして、他から、一般市中から金融を受けなければならない、そうして、そのもとに企業努力をいたしまして機械化をし近代化をいたしまして隘路を克服して参るということにも非常な困難性を生じて参ったわけであります。特に、通運事業は鉄道の両端でございます。この労働関係は、他の荷主さん、また一般国民経済にも非常に影響を及ぼす場合がございますので、中央労働委員会におきまして賃上げの裁定をいたす、かように相なっておるわけであります。現在までに、その裁定によりまして、日本通運といたしましても大体百六十億程度の事業費が支出されるということになったわけでございます。この点は企業努力によって克服をいたすようにしておるわけでございます。現在の賃金のベース・アップは大体名目で三〇%、実質で二五%程度になっておりますが、これを上回る企業努力をいたしておるわけでございます。そのほかに、今までに三回ほどのガソリン税の値上げがございまして、これは私ども一社をとりましても年間六億程度の支出増ということになっておるわけでございます。従いまして、現実の問題といたしまして、二十八年当時十二万人の従業員をかかえておりましたが、現在におきましては約七万を割るという状態になっておるわけでございます。その退職金の支出も非常な額に上っているわけでございまして、従来の退職金の積み立てを全部食いつぶし、そうして、昨年度におきましては、その年まかない得ないで翌期に繰り越す、こういうふうな形に相なっておるわけでございます。そういうふうに、いろいろな面におきまして企業努力はいたして参ったわけでございますが、その努力をもってしても克服できない。しかも、将来の輸送力の増強確保に対しまして、通運事業といたしましては、さらに設備を近代化し機械化いたしまして能率を上げることが必要になって参りますので、その資金も今後自力でもって調達しなければならない、こういう状態に相なっておるわけでございます。過去におきましても、機械化その他による作業時間の短縮等によりまして、貨車の滞留時間も節約し、計算いたしますと千両程度の活用がなし得るところまで努力いたして参ったわけでございますが、この努力は今後とも続けて参らなければならないというふうに考えておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、ガソリン税の値上げ、ベース・アップ等の事情、しかもそれを克服するための近代化による多額の金利もございまして、とうてい現行の料金におきましてはその使命を達成し得ない、こういう実情にございますので、非常に私どもとしても残念でございますが、料金改訂の申請をせざるを得ないという立場に相なって参ったのでございます。
 私どもといたしましては、現実に二十八年度から配当も下げて参ってきておるわけでございます。また、現実のやり方としましては、土地の帳簿価格というか処分益というふうなものを利用することによって辛うじて帳じりを合わすという苦しいこともいたしてしのいで参ったわけでございます。そういう実情でございますので、荷主さん方、そういういろいろな面におきまする困難性はあろうかと思いますが、われわれの実情も十分おくみ取りいただきまして、よろしく御審議をいただげれば、非常に幸いだと存ずる次第であります。
○吉川委員長 これより参考人並びに政府、国鉄当局に対する質疑に入りたいのでありますが、時間の関係もございますので、参考人各位に対する質問だけにいたしますから、そのおつもりで御発言をお願いします。
 松田鐵藏君。
○松田(鐵)委員 日通側に質問をいたしますが、あなたの方の労働賃金が上るというのは、どの程度に上るのですか。
○前谷参考人 従来通運業界におきましては労働賃金は低位でございましたが、現在基準内賃金で二万円程度でございます。全産業平均賃金とほほ同様になっております。従来は非常に低位にあったわけであります。
○松田(鐵)委員 パーセントによって……。
○前谷参考人 日通でございますと、名目で三〇%、実質で二五%、二十八年より上っております。
○松田(鐵)委員 日通の昨年までの株主に対する利益配当はどの程度になっておりますか。
○前谷参考人 二十八年当時は二割でございまして、それからだんだん下げて参りまして、今年の春も二分下げまして、現在は一割四分の配当をいたしております。
○松田(鐵)委員 先ほどのお話の中にガソリン税というお話がありましたが、この扱い料を高くしていただきたいという運輸省に出したものには、貨物自動車はどのように関係あるのですか。
○前谷参考人 通運事業は、鉄道にかかるものを荷主さんのところから駅まで持って参ったり、また駅に着いたものを配達するというような集配の関係に自動車を使っております。
○松田(鐵)委員 集配の料金の値上げは一つの項目にすぎない。それならばよその取扱いとは異なる。そこへ持ってきて、あなたの方では今黄色い色のついた自動車が全国津々浦々にあるようでありますが、あの自動車の取扱いはどのようになっておるのですか。やはり一般の会社のやっておるように窓口から窓口へ持っていく料金だけをとっているのですか、それともまた、取扱料を加えた、つまり二重取りをやっておるのですか。そういう点はどういうことになっておりますか。
○前谷参考人 自動車の扱い方につきましては、集配の場合と、地場と称しておりますが、駅とは関係なくトラックだけで運送している場合と、両方ございます。その両方の面におきまして運用をしておるわけでございます。もちろん、トラックで駅にかからないでやります場合は、これは通運の関係ではございませんので別個に相なっておるのであります。
○松田(鐵)委員 ところが、駅に関係するものに対しては、すべての取扱料とかいうことでなくて、ここへ掲げておる運賃だけでもってやっておるわけですね。
○前谷参考人 先ほどもございましたように、通運料金は認可料金で、いろいろな種類に分れておりまして、そういう確定した料金につきましては確定したものをいただいております。
○松田(鐵)委員 私の聞いておる範囲内においては、国鉄に対する会社の輸送料、つまり、一口に言って納金ですね。国鉄には、特別に扱われておって、そてして現金でもってその日その日納金しなくてもいいような制度になっておると聞いておるが、この事実はどうか、それからまた、どれだけの時間の猶予があるか、この点を一つ。
○前谷参考人 その点は後払い制度になっておりますが、詳しいことは、私が申し上げるよりも、国鉄当局もいらっしゃることと思いますので、一つそちらから……。後払いになっております。
○松田(鐵)委員 期間は。
○前谷参考人 期間につきましては一ヵ月と覚えております。
○松田(鐵)委員 この調査資料からいきますと、全国でこの業を営んでおる業者は五百四社ということになっておる。そのうち日通を除くと五百三社でございます。であるから、五百三社の営業状態というものが、日通から見たならばそれは微弱なものだと見なければならない。非常に各町村や都市にあるのであって、全国的な日通の輸送網というものは強大なものである。おそらく全国の八割以上というものが日通の勢力だと思う。一社が八割以上の力でもって、五百三社というものがその二割くらいのものだと私は思う。あなた方の目から見た五百三社という運送業者はどのような業態になっておるか、知っておる範囲内でけっこうでございますが、お知らせを願いたいと思います。
○前谷参考人 お話のように五百四社ございまして、日通がその一社でございます。大体日通の取扱量というものは六二、三%程度と思います。
 一般の業界の状態はどうか、こういうことでございますが、これが一番端的に現われますのはわれわれの取引で、代金の立てかえの関係を交互計算として各業者協定をいたしておるわけでございます。これが財政上非常に困難になりますと、立てかえ関係というものを各業者が停止する、こういう形で現われてくるのが一つの大きな現われでないかと存じますが、そういうものが毎月相当出て参っておるということからいたしまして、窮状にあるのではないかというふうに私は思います。
○松田(鐵)委員 ただいまの寺田参考人のお話から言って、この扱い料に対する非常に大きな値上りでもって、たえかねないで、全国の水産業者が新たに一社を作り上げてあなた方の横暴に対して太刀打ちをしなければならないというように私は聞いたわけです。あなたの方ではもっと上げなければならないと言うし、業界の者がやっていけば今までよりも安くやっていける、国民経済の上から言って非常に大きな利益があるように私は聞いたのですが、こういうものに対しては日通として御賛成なさるお気持があるのですか。この点を伺いたい。
○前谷参考人 私どもといたしましては、荷主さんの方面に対して不便をかけ、また御不満を持たれることのないように、一生懸命やっておるつもりでございます。まだ末端におきまして至らない点があろうかと思いますが、そういう意味において、今後荷主さんの方々の御不満、御不便はできるだけ解消いたしまして、私どもに従来のように御用命願いたい、かように考えております。
○松田(鐵)委員 あなた方の資料からいきますと、こうした関係から約九・八八%の増収となる、こういうようにこの書類には書いてありますが、私もタべ初めてその計算をしてみたのですが、そうしますと、約三〇〇%程度ほど高くなるのです。鮮魚に対して三倍になるのです。これは、私も、ただいまあなた方のお話のあったように、賃金も高くなり、それからいろいろなものが高くなるから、値上げというものは――これは今度政府から聞かなければならぬが、業界とすれば、その要求は率は別として当然すべきだろうと思うが、ところが、これは約一割上らんとしておるのですね。ところが、水産関係の水産物を計算すると、約三倍になるのです。これは上手なカムフラージュで、平清盛と同じようなことになっているわけです。これはたまたまきのうお話を聞いたのだが、東京市場において、これにかえんじない場合は荷物をおろさぬという態度に出た実例もあるということを聞いて、これはソ連と同じようになったのではないかなという考え方を持ったのです。それが感情問題、経済問題に行っておる。こういう点で、あなたは前水産庁長官もされた方だから、そういうことはあるまいと思いますけれども、末端がそこまで行っておる。そこで、参考人として大学教授だとかいろいろな人が意見を述べておりますね。あなた方の業界の意見は正しいのだという賛成者もあるが、一つ一つの業界が固まったときにおいては、三倍にもなるようなことであっては、これは自分の利益ばかりではない。この農林省の統計から見ていっても、魚の値段は二十八年だったかあなたが長官の当時より今日において上っていないのだ。そうして、きょうのあの陳情にあるように、至るところで災害があり、漁業経済というものが非常に困っておる。そこへもってきて扱い料というものがこれだけの三倍にもなりましたら、塩釜からかりに来るとしたら――長崎や北海道は遠いから鉄道の納金の方は高いかもしれないけれども、その率から言ったならば、今までの率で北海道から東京へ来る率と、これだけ高くなった場合とにおいては、気仙沼からここまで来る率ということになったら三倍のものが六倍にも七倍にも高くなるという計算になるのです。こういう場面における水産物の価格は、東京は御承知の通りいつでも魚は小売業者は高いのですが、卸売の方は、市場は安いのです。それで、これをいいことにして、また運賃の扱い料が上ったからといって、ねじりはち巻をして魚屋さんがまた高く売る口実にもなる。漁業経済はどうなりますか。木材でもその通り。十二尺ものであれば今まで通りでいいが、十五尺以上の長いものは三割も扱い料を上げよう、こういうことになったら、一体どうなりますか。最も近代式な荷袋というものは紙袋であろう。あなたの方ではいろいろな機械をもって能率化されておる。先ほどの話だと三〇%も五〇%も能率化されたとあなたはおっしゃっている。能率化されるということは、結局それだけ安いものになったということなんです。――経済の原則から言ったならば。それにまた二割も上げるということになったら、これは坊主まるもうけじゃございませんか。日通というものは商人の代表だから、自民党として大いに協力してやらなければならぬが、社会党の諸君なんかはこういう御意見を聞いたらまっかになって怒らなければならぬ。
 そこで、こういう点から言って、業界の人々がこういう仕事をやろうという場合において、あなたの方が快く御協力願えるか、この点が一番のポイントだと思う。あなたの方ではこれだけ上げなければやっていけないんだという御説明ですが、一方、業者の方は、こういうことでは困るんだから、今までの五百三社の人々は納金も納めることができないような苦しい状態になっておるなら、たとえば水産団体、農業団体の人々が、そのくらいのことならば自分らの方で何とかやって、自分を守るために一つ団体を作ってこの業界に進出しようじゃないか、こういうきれいな考え方、これは日本経済を調和していこうという考え方から言ったなら私はりっぱな考え方だと思うのですが、やはり、大きな力を持った、六割を占めておる日通という立場から言って、お前らやれるものならやってみろというのはいいが、言葉だけでもいいから御協力してあげましょうということになれば、幾ら上げようと上げまいと、われわれはわれわれでもって日通と太刀打ちして安い料金で国民経済を安定させようという考え方からやるのだということは、私はりっぱな考え方だと思うのだが、これには御協力願えましょうか。この点を私ははっきり聞きたいと思うのです。ポイントはこれだと思っているのです。(発言する者あり)運転手は君らに協力していない。会社の社員は全部松田一辺倒だから。こういう点に対する正しい御見解を聞かしていただくことが非常なりっぱな方法になると思う。われわれもここでまだまだ国政忙しいところがたくさんあるのですが、むだな時間を費す必要がなく、業界もみな喜んでいけるんだ。もっとも、あなたの四社、三社というものは、これも水産業者金なしであるからみんな一緒になれと言ったら、五十や、百は一ぺんにまとまってしまう。農業団体が、君ら、みんな背景を持っている、さあまとまれと言ったならば、一ぺんにまとまってしまう。そうしたならば、国鉄としても日通と同じように納金の後払い制度というものをやっていかなければならないことになる。こういう組織を完全にするということが、農林水産委員会としても大いに協力してやらなければならないことであろうと私は思うのです。こういう点に対して前谷前長官としてどうお考えあそばすか。
○前谷参考人 ただいま松田先生からお話がございました、まず倍率の問題でございますが、三百倍ということはわれわれにはとうてい考えられないわけでございまして、先ほども他の参考人の方からお話がございましたように、木材が等級改正と割増しを合せてやってみてもそれほどにはならないようなお話でございました。しかも、これは、個々のケースといたしまして、ある四号地から四号地へ行ってどうという実態のケースがどの程度にあるということは非常にむずかしいのです。計算上そういうことが想像される場合もございますが、それにいたしましても、そういう倍数にはならないんじゃないかと私は考えております。
 それから、後払いの点でございますが、後払いの点は通運業者全体でございまして、日通だけがこれの恩典に浴しておるというわけではございません。業者全体でございます。制度としてあるのであります。
 それから、もう一つの点につきましては、これは非常にむずかしい問題でございまして、私からこうだというふうなことは申し上げられません。ただ、われわれ通運業者の気持といたしましては、通運業なりそういう運送業は、長年の経験を持ち、そしていろいろな点において技術的な複雑な問題でございますので、他の方から、お前たちがだめだから、従って別の機関を作るんだということは、実は通運業者としては非常に不名誉なことでございまして、われわれとしましては、そういう点については非常に残念に考えるわけでございまして、そういうことのないように努力いたしますし、またそういう点で努力の足らない点は今後とも努力していくということで私のお答えにさしていただきたいと思います。
○松田(鐵)委員 大事な点はあなたでもってできるわけではないのだから、一つ重役会議を開いて、こういう意見があったという――みな賛成だと言っていますから、国会の農林水産委員はそういう気持でおるということを伝えていただいて、会議を開いて後に知らせていただければいいのです。やはり前長官のよしみだから、僕はこの程度にしておきます。というのは、三百倍というものは、あとからしっかりした計算をしたなら――あなたの方は九・八八%となっている。それで上げるのだ、こうなっておる。ところが、計算されるとすぐわかる。最低にしても、水産の魚というものは一四〇%というものは扱い料と割増しだけでかかるのです。これはあなたの方で書いているのですから、計算されるとすぐわかりますから、これをまた計算していただきたい。
 この程度で終ります。
○吉川委員長 石田宥全君。
○石田(宥)委員 本問題は農林水産業に対する影響がきわめて甚大でございまして、本日は経済企画庁長官も運輸大臣も出席されておりません。当然これは経済企画庁長官並びに運輸大臣の出席を求めてこれを審議しなければならぬ問題であると思うのでありまして、議事の進行上、本日は参考人に対する質疑にとどめるということに対しては協力いたしますが、きわめて近い機会にこれらの両大臣の出席を求めた上で根本的にこの問題を審議されるように委員長から善処されることを求めまして、私は質疑を取りやめます。
○吉川委員長 石田理事の御発言、ごもっともでございますので、さよう取り計らいます。
 参考人に対する質疑はこの程度にとどめます。
 参考人には長時間にわたりありがとうございました。厚く御札を申し上げます。
○吉川委員長 水俣湾周辺における漁業問題につきまして質疑の通告があります。この際これを許します。
 福永一臣君。
    〔委員長退席、丹羽(兵)委員長代理着席〕
○福永(一)委員 先刻熊本県の議会の代表並びに熊本県の漁業組合の組合長から陳情がありました、いわゆる水俣奇病について私は質問をいたしたいと思うのであります。
 今から六年前、すなわち昭和二十八年、熊本県水俣市に発生いたしましたこの病気は、まことに悲惨きわまる病気でございます。ちょうど中風にかかった者あるいは小児麻輝にかかった者がさらに気違いになったような病状を呈すのであって、死亡率は四〇%に近いのでございます。しかも、死なないまでも、これは不治の病であります。向うの表にあります通り、昭和二十八年に発生いたしまして、それからずうっと三十一年まで六十五名、その後一時発生がとまったようでございますが、昨年は三名、さらに本年度に入って八名発生いたしまして、合計七十六名、死亡が二十九名でございます。しかも、この発病する区域が、初めは水俣湾の沿岸でございましたけれども、最近に至りまして、隣村の津奈木村にすでに発生いたしました。この六年間にわたるところの水俣奇病のおそるべきことは、すでにもう熊本県全県下にわたりましてその風評が広がっておりまして、沿岸漁民、すなわち不知火海の沿岸漁民は戦々きまうきょうたるものがありまして、魚をとりましても売り先がない。背後の農村地帯におきましては、その辺でとれた魚は、おそろしいから食べないのであります。市場も、その辺でとれた魚とおぼしきものはシャット・アウトいたしまして、取引をしてくれません。そこで、現在戸数約一千三百戸、家族合せますと七千人ばかりの人たちは、全くその生活の道を断たれて、極度に窮迫をいたしておる現状でございます。私もちょうど十日ばかり前この現場に行きまして、千人余りの漁民の集まりに参りましたが、その悲痛な叫びを聞いて帰ってきたばかりでございます。そうして、この沿岸には、死んだ魚、病気になった魚がたくさん見られます。のみならず、水俣湾からはるか沖合いに出ました海のまん中に、病気にかかったタチウオとかその他の大きな魚が半死半生の姿でのたうち回っておるような状況でございます。これが、今千三百戸と申しましたが、全域にわたりますとおそらくその数十倍の人たちが漁業に従事しておりますから、その生活というものは将来暗たんたるものがあるのであります。
 さて、その原因は一体どこにあるかということでございますが、水俣には御承知の通り水俣湾に臨んで新日本窒素肥料会社の工場がございまして、その工場から出てくるところの工場排水が原因であるというのが実は一般の常識になっておるのであります。そこで、工場側におきましても非常に心痛いたしましていろいろ対策は講じておると思いますが、さらに、熊本県におきましても、これを取り上げて、そうして厚生省にいろいろ話をいたしましたところ、厚生省は、その対策といたしまして、熊本大学を中心にするところの食品衛生調査会水俣食中毒部会なるものを作りまして、そこでその原因究明をいたしておるのでございまするけれども、遺憾ながらまだそれを完全に究明されておらないのであります。
 そこで、この原因の究明ができなければ諸般のこれに対する対策が講ぜられないか、こういう問題が実は非常な現実の問題でありまして、この水俣病の対策といたしましては、一つにはどうしても原因の究明が必要ではございますが、さらに、今申しましたように、漁民の窮迫というものは非常に深刻でありまして、一日もこれをゆるがせにすることはできません。ですから、その応急対策を立てる必要があるのであります。すなわち、これは一種の災害――台風などによる災害のような一つの現象を呈しておりまして、現にもうすでにこじきに転落しそうな漁民がたくさん出ておるのであります。それから、一つには工場の監督を強化してもらって、そうして、この原因の究明ができないから工場の監督をゆるがせにするとかほったらかすということでなくて、監督官庁はこれに対しまして一つ強い監督をしてもらう。この三つを一つ重点において並行させて対策を立てなければならないと私は思います。
 そこで、私はまずもって原因究明の衝に当るところの厚生省当局にただしてみたいと思います。今日までずいぶん長い年月がたちましたが、この原因究明に対しまして厚生省はいかなる対策をもって臨んでおるか。いろいろやられたでしょうが、その経過の説明を一つお願いしたいのでございます。
○實川説明員 原因究明につきましては、昭和三十一年以来、――この発生は二十八年になっておりますけれども、集団発生いたしましたのは御案内のように昭和三十一年からでございます。従いまして、これが原因究明を始めましたのは昭和三十一年以来とお考えいただきたいわけでございます。当初は、日本脳炎のような症状だというので、その方面の研究を行なったのでございますが、いろいろ調べてみますると、どうも日本脳炎のようなヴィールス病ではない、何か中毒のようなものらしいというので、直ちに厚生科学研究班を組織いたしまして、これは中心は公衆衛生院の松田疫学部長でございますが、主として医学、疫学的に原因究明を始めたわけでございます。その結果、本病は水俣港湾産の魚介類を多量摂食することによって発病する一種の中毒症状であることがわかったわけでございます。しからばこの原因物質は何かということでございますけれども、御案内のように、自然物の毒化現象というのはなかなか学問的にもむずかしいと見えまして、その後鋭意研究を続け、しかも、もとは魚介類あるいは潮流の関係いろいろのことが考えられますので、総合的に研究体制を整えましたのが昨年の十二月でございます。これは、先ほど福永先生のおっしゃられましたように、前熊本大学の学長をされておられました鰐淵博士を中心にいたしまして、医学、薬学、化学、水産学、潮流学その他総合的な研究体制を整えたわけでございます。これは、先ほども福永先生おっしゃられましたように、厚生大臣の諮問機関たる食品衛生調査会に水俣病特別部会という一つの特別な部会を設けまして、そこで研究をやってもらう、その部会長として鰐淵博士をお願いした、こういうことになるわけでございます。以後鋭意その部会において総合的かつ多角的な研究が続けられました結果、先ごろに至りまして、どうも有機水銀が最も疑わしいのではないかという研究報告が出されたわけでございます。しかしながら、有機水銀がどこから出たか、あるいはそれが魚介内に入ってどういうことになったのか、また、その魚介類がどういうような経路で毒化したか、それを食べたがために水俣病になったのか、いわゆるその一環の経路というものがまだ究明されておらない状況でございますが、現事態でも鋭意その特別部会において研究を続行中でございます。
○綱島委員 関連して……。
 ヴィールス病とはどういうことかね。
○實川説明員 日本脳炎の病源体は顕微鏡でもとらえることのできない非常に微細な生物でございます。その微細な生物のことをヴィールスと申しております。濾過性病原体のことでございます。
○福永(一)委員 そこで、研究しておられるというのはわかりますが、一体いつごろになったらその結果がわかりますか。その見通しを一つ聞かしてもらいたい。
 それから、その陣容ですね。熊本大学を中心にしておられるが、そのほかにいろいろ中央における学者あるいは厚生省の機関の職員たちを使ってやっているのか、一体どういう陣容でやっておられるのか、また、その結果がいつごろ出るのか、その見通しを聞かしてもらいたい。
○實川説明員 見通しということでございますが、これは先ほど福永先生もおっしゃられましたように、原因究明という点は焦眉の急を要しておりまするので、でき得る限り早くということで学者連を督促いたしております。また、その陣容という点でございまするけれども、資料の関係もございまして、近い場所の総合的な機関が必要だというので、現在は熊本大学を中心とした先ほど申しましたような総合体制を整えておるわけでございますが、その研究成果は逐一中央の食品衛生調査会常任委員会に報告されます。この常任委員会と申しますのは、厚生省の付属機関でございます予防衛生研究所あるいは国立衛生試験所あるいは伝染病研究所、そういったいわゆる食品衛生関係のいわば最高レベルの所長をもって構成されておるわけでございまして、その常任委員会でもって、疑義の点があれば、こういう点をただせというようなことを指示いたしまして、研究を続けております。こういうことになっておるわけであります。
○福永(一)委員 それで、今まで研究費というのは国費で幾ら使いましたか。
○實川説明員 厚生省として支出いたしましたのは、昭和三十一年度、三十二年度、三十三年度と、厚生科学研究費を支出いたしまして、総額は九十七万円でございます。また、これが原因究明費を昨年の予備金で支出いたしまして、また、本年度は行政調査委託費として計上いたしまして、それが二百万円でございます。従いまして、これが原因究明に現在までに要しました、しかも厚生省が主管で支出いたしましたものは二百九十七万円ということでございます。
○福永(一)委員 どうです、二百九十七万円と言いますが、研究費が足らないのじゃないですか。少いと思いませんか。十分ですか。少いために研究ができない、おくれるということはありませんか。
○實川説明員 おっしゃる通り、これでもって十分なる金額とは私どもも思っておりません。しかしながら、予備金をとりますことは非常にむずかしかったのでございまして、厚生省といたしましては最大の努力を払ったつもりでございます。また、こういう点が足らないという場合には、学者の方から要求を出させることになっております。なお、他省関係で申しわけございませんけれども、つけ加えて申し上げますと、文部省関係あるいは県関係からも研究費が支出されております。
○福永(一)委員 その見通しですね、大体いつごろになったらこの見通しがつくか、大体のことは言えませんか。一体どういうスケジュールでやっておられるか。
○實川説明員 少しこまかくなりまして申しわけございませんけれども、本病の原因を明らかにいたしますために現在やっておりますことを御紹介申し上げますと、特定の水槽を設けまして、その中に、現在はオコゼを使っておりますけれども、それを飼育いたします。これは水俣港湾の比較的毒物の量が少いと思われる泥土をもって飼育いたしまするが、このほか、想定毒物でございます水銀を入れまして、その魚が果して有毒化するかどうか、これを動物実験によって確かめております。これが解明されるのは、動物実験――何しろ発症いたしますのに二ヵ月程度観察しなければなりませんので、はっきりした見通しができませんですけれども、こういった現在進められている実験研究が明らかになれば、原因も究明されるものと思われます。
○福永(一)委員 非常に困難とは思うけれども、可能性がありますかありませんか。原因究明の見通しはどうですか。
○實川説明員 本病は、御承知のように及ぼすところが非常に大きうございます。こういう病気が日本のあちこちで起るようになりますれば、公衆衛生上まことに憂慮にたえませんので、厚生省といたしましては、全知全能を傾けてでも早期究明をいたしたい、こう思っております。
○福永(一)委員 そこで、厚生省としては、原因究明のほかに、食品衛生法等の適用によって、その辺で魚介物はとってはいけない、採取禁止でもしたらどうか、こういう考えはございませんか。
○實川説明員 ただいまの御質問でございますけれども、たとえ話で申しわけございませんが、リンゴのようなものをお考えになっていただきたいと思うのでございます。リンゴに虫がつかないように農薬を散布した、その散布したリンゴをとってはいけないということは、食品衛生法では言えないのでございます。ただし、それが市販されて人間が食べる段階において有毒量以上でございますれば、それは当然販売することはできない、こういう法律構成になっておりますので、水俣湾産の魚介類すべてについて採取を禁止するということは、食品衛生法では現在考えられません。
○福永(一)委員 これは厚生省の管轄ではないかもしれませんが、水俣湾の海底にあるいろいろな汚物といいますか、堆積物といいますか、そういう原因になりそうな土壌物質を根本的に取り除くとか、あるいは毒のないようにするとかいう対策については、厚生省の領分でしょうかどうでしょうか。
○實川説明員 厚生省の領分ではないように思います。
○福永(一)委員 これはまたいずれそれぞれの関係官庁にただすことにいたしまして、要するに、この原因究明がおくれることによって、あらゆる対策がそれにつれておくれることになってはいけないけれども、すでにそうなりがちでございますから、その衝に当られるところの厚生省は責任を持って一つこの解決が一日も早からんことに努力されんことを強く要望いたしまして、一応厚生省に対する質問は終ることにいたします。
 次に水産庁に対しまして質疑をいたしたいと思います。漁民の現状は先ほど申しました通りでございます。すでに現地においては食う米がないので、農村から一握りの米、一合の米を持ち寄って配布して、飢えをしのいでおる。中には三味線をかかえて物ごいに出るという人もあるのであります。まさにこれは一つの災害的な性質を帯びているのであります。ところが、漁民ばかりではありません。それに関連するところの産業あるいは業者、魚をかついで歩いた小売業者、これももちろん魚がないから仕事がありません。それから、かまぼこ業者、ちくわ業者というものも、作っても売れないから差し控えなければならない。いわゆる関連産業が同様に参ってしまいます。今度は、漁民ばかりかというと、一般のその辺の住民、広く言うなら熊本県下一般の市町村の農民に限らず、この辺の魚を食べておった者は非常な恐怖心を覚えまして、それが風評に風評を呼んで、まずこの魚はどこでとれたかということを吟味いたしまして、怪しいとなるともう食べません。ですから、この辺の近くの人たちはもう魚を食えないのです。それで、食生活に非常に影響いたしまして、乳幼児、発育盛りの子供、こういうものが著しくこのごろは成長がにぶりまして、体位が低下をいたしておるということは、専門家からも聞いております。そういう家庭的な実態もございます。そういたしますと、これはもうまさに非常な社会問題になってきておるのでありまして、今お聞きの通り、厚生省において原因の究明ができない、もう一歩だけれどもまだ結論に達しない。結論に達した上で一つ水産庁もこれに対する対策を立てようというような今までの態度ではなかったか。地元からたび重なる陳情が厚生省なりそれぞれの関係官庁にあったはずでございますが、その陳情者の話を聞きますと、やはり原因がわからないからどうにもしようがないというような話で、真剣にこの問題に取り組んでもらえないような気配がある、こういう訴えがわれわれにもございました。ところが、今やそんなゆうちょうなことは言っておられない状態でございますが、水産庁としては、この原因究明ができまうとできまいと、応急策として一つ対策をお考え願いたいと思いますが、当面の対策として何か考えておられるかどうか、承わりたいのであります。
○大野説明員 水俣湾の問題につきましては、しばしば陳情を受けておりまして、ただいまお話しの通りに、原因の究明を急いでもらうように、厚生省ともそういう考え方で進んでおったわけであります。それで、今回十二月の暮れに熊本大学からも中間発表がありまして、有機水銀の影響でないかという一つの中間報告がありましたので、そうなりますと、漁民の保護のために水産庁といたしまして施策をするにいたしましても、ただいまの形で、毒物があるかもしれないというので魚あるいは貝類が非常に売れにくいという状況でございますので、別な場所にとにかく魚礁あるいは築磯をしまして、そういう無毒のところへ漁民の方に漁場の拡張をしてしのいでいただこうというので、両三年前より予算をそちらに流して参っておるのでございます。根本的なその原因がつかめませんと、危険であろうという風評、憶測が流れましても、現在の水産庁関係の法律では資源保護法と漁業調整法しかないので、そういう場合にほかの方法では対策がございません。やはり最近きまりました水質保全関係で抜本的には解決をせねばならぬのではないか、そういうふうに実は水産庁では考えておるのでありまして、法律の建前からいたして、そのためにも原因の究明が大きなポイントになるのでありますが、そういうわけで、現状におきましては、原因究明を急いでいただいて、水質保全法の問題を解決していただくべきではないかというので、水産庁としましてはその方法で経済審議庁の方に申し入れをいたしておる状況であります。
○福永(一)委員 政務次官は事務官僚の言ったことを代弁したと思いますが、これは従来の陳情から一歩も前進しておらない。これではとうてい納得できません。
 そこで私は具体的に問題を提起したいのですが、水俣病に対する特別立法をいたしまして、主としてこれは漁業関係でございますが、まず危険海域の調査並びに指定をしてもらう。そうして、危険海域の調査を行いまして、その結果に基いて、危険海域の完全浄化について適切な措置をとってもらいたい。第二は、操業禁止区域の設定並びにその補償で、一が危険海域における漁業を禁止すること、二が操業禁止措置に基く漁民の損失については全額を補償すること、なお、この補償については事態発生当時まで遡及すること、三が操業禁止海域の漁業取締りに必要な措置を講ずること。第三は、漁民の救済援護でございますが、一が危険海域外への出漁を促進するために必要な資金の全額を国庫で補助すること、二が沖合い出漁に対する設備資金については漁業協同組合に対し高率補助を行うこと、三が許可漁業の許可ワクを特に割愛すること、四が漁船建造の許可ワクを緩和すること等々であります。これは熊本県議会において立案したものでございますから、必ずしもこれが完全とは申しませんが、いろいろ御研究願いまして特別に立法でも立ててもらわない限りは、今あなたが言われましたように、現行法ではこの救済策はない、むずかしいということは私も了解できまずから、どうぞこういう方向でこれに対する農林省の対策も考えていただきたいことを特に強く要望いたす次第でございます。
 次に通産省に対して一つ伺いたい。この問題はすでに六年間を経過しておるのですが、新日本窒素肥料株式会社の監督の衝に当られる通産省としてそういう事実を知っておられるかどうかを伺いたい。
○藤岡説明員 お答えいたします。
 通産省としては、生産原局である軽工業局がこの生産についての監督をいたしておるのでございますが、ただいま御質問のありました、知っておるかどうかということについては、これは新聞雑誌等にもありますように相当広範囲に流布されており、現地から報告等も参っておりまして、厚生省とも御連絡をいたして、その原因究明についてはわが省としても十分努力をいたしておるつもりでございます。
○福永(一)委員 その努力は具体的にどういうことですか。
○藤岡説明員 厚生省の御研究になっておりますことについて御協力をするという努力をしておるのでございます。
○福永(一)委員 具体的にはどんな協力をしておりますか。
○藤岡説明員 これは、先ほども各省から御答弁のありましたように、調査と、その規制というのが工業用水課の任務でございますので、その調査というところでは協力をいたしておりますが、この具体的な監督の内容については、生産原局である軽工業局の方で工場の生産についての監督をいたしておりますので、軽工業局の方からお答えした方が適当ではないかと思いますので、そちらの方でお答えをしていただきたいと思います。
○高田説明員 それでは私からお答えいたします。
 この問題については、ただいま工業用水課長からお話しいたしましたように、当初この問題が起きましたときに、厚生省からいろいろ様子を聞きまして、それから、私どもの方としては、原因ははっきりわからないにしても、一応工業用水も危険であるというふうに考えまして、用水の沈澱池を作らすということで第一回は参ったわけであります。その後またいろいろな大きな問題が出ているようでございますので、さらに工場に対しては水質検査をやらす、それから、最近になりまして、本年の終りか来年の初めまでには凝集剤による沈澱方法をとらせまして、できるだけこの水からは考えられる害物が出ないようにしたいという指導をしております。
○松田(鐵)委員 関連して……。
 あの水質の汚毒を是正するという法律に対してはわれわれも非常に苦心したものです。ところが、今通産省のお話を聞いておると、通産省は協力したとそちらの課長さんは言う。協力したのであったならば、もうあなたの方はそれを検査していなければならないのだ。その検査を、どうも話を聞くとまだやっていない。ただため池を作るとか作らないとかいうことを指示しておると言っておるが、それは有毒なのか有毒でないのかということが一番大きな問題だと僕は思うのですよ。これに協力しているのだということであったならば、一日も早くそれを分析してみなければならないだろうと思う。とにかくこれだけの漁民が困っているのに、水産庁は水産庁で何のことやらわけのわからないことを言っておりますが、協力するのならなぜもっと真剣にそれを調査しないかということです。水の問題なんか調査するのに二ヵ月もかかったらできるものだと私は思うのですが、どのくらいかかるものですか。全国にこれだけの問題が起きているのですが、水に毒があるかないかということが、一体役所では何ヵ月くらいかかれば調査ができるものですか。その点をお聞かせ願いたい。これからも各地においてこういう問題が起きるのです。そういうときにおいて、国政に参画している代議士が、それは五年もかかるだろうと言った日には、必ず選挙には落選してしまいますよ。ここのところをしっかり聞いておかなければどうにもならぬ。一つこの点はっきりしておいてもらいたい。
○藤岡説明員 ただいま御質問のあったことは、水質調査全般のことについてであったと思いますが、これについては、企画庁の方で水質調査をいたしまして、調査地域を設定して渇水のときに調べるという格好で調べております。大体二月ごろの渇水と夏の八月の渇水と、少くともこの二回調べないと状況がわからないということでございますので、現状では大体一年かかって調べている実情でございます。これはある一つのところの水質調査が一年かかるということではございませんで、ある場所でのそのときの水質調査ということになりますと、大体一週間もあれば調査ができるのであります。これは内容的には培養したり何か科学的なことがございますので、大体一週間くらいかかる。それは一つの資料についてそういうことになりますので、年間を通じてどういうふうになっているかということにつきましては、渇水時のものを調べれば十分でございますので、大体現在では夏の渇水時と冬の渇水時の二回調べて、その地域の調査を完了するということでございます。
○松田(鐵)委員 今具体的にこういう問題が起きている。それに対して通産省は協力しているというのだから、それなら、流れている水でなく、工場から出た水を調べたって、どういう害毒があるかないかということはおわかりになるはずです。僕は科学者ではないからわからぬが、そこから出ている水はどれだけの害毒があるか、その海の中の泥を揚げてきて、それと同じものがあるかないかということを調べたら、立ちどころにわかるのじゃないですか。しろうとだからほんとうのことはわかりませんが、私はもう立ちどころにわかると思うのです。そういうことをやってくれるのが協力をしておるんだと私は思うのです。言葉だけの御協力では絵にかいたぼたもちであって、何ら進んでいかないであろうと思う。それが役所の仕事だということであったならば、これはいつまでたったらどうなるか、見当がつかぬのですよ、ほんとうのことを言ったら。われわれは、日本の工業というものは大事だから、一生懸命になって工業の水準を上げていかなければならない。あなた方はそれを保護していかなければならない。しかし、こういう問題が出ておるとき、言葉では御協力を申し上げておりますと言ったところで――わずかより予算のない厚生省が真剣になってあれだけの研究をされておる。先ほどの話を聞くというと、厚生省が非常に真剣になってこれを分析して努力しておる。あなたの方は御協力を申し上げておると言ったって、何をやっておるのだかさっぱり具体的に現われていないじゃありませんか。それでは将来漁民なり農民なりというものとこの鉱工業が非常な大きな対立を来たす。言葉の協力じゃいけません。あと一週間たったら、水を持ってきてやってみたらすぐわかるでしょう。ほんとうにそうして究明したらわかるでしょう。泥を揚げてきてそれを分析したらわかるでしょう。それをなぜやらないのか。六年もほっておいてこれをやらないで、御協力を申し上げておりますと言ったところで、とてもそんなことでもって国会が通ると思ったら大きな間違いでございます。商工委員会は通るかもしれませんが、農林水産委員会は通ると思ったら大きな間違いでございます。この点を一つよく考えてもらわなければならぬと思います。何もあなた方に文句を言うのではございません。ただ、ほんとうに漁民のため農民のために御協力をしていただかなければならないのです。やろうと思えばこんなものはすぐできるのです。そこから出る毒がどれだけのものがあるか、それがその海に長い間堆積しておるか、そして下の方にどういう影響があるか、このぐらいのことはできないことはないですよ。こういうことをやらぬで、そして何が何だかわからぬようなことで、漁民がほんとうに困っておる姿をそのままにしておくということは、僕はあり得ないと思う。
 また、水産庁も水産庁だ。何のざまだ。あなたの方では研究部というものもあるはずです。その研究部というものをなぜ活用しないのだ。そうして、事漁民に関する限り、全国の漁民は水産庁をたよる以外にない。研究部というりっぱな部があって、なぜもっとこれに対して研究をしていかないか。水産庁ができなかったら、われわれに言ったらいいじゃありませんか。御協力を申し上げておりますという答弁しかできない御協力なんというものはかえってない方がいいのだ。それを叱咤していくのがあなた方水産庁の役目じゃありませんか。
 今、事を解決するためには、もう早急に一つ通産省も水産庁も御協力願って、ほんとうに文字通りの御協力を願ってやっていただかなかったならば、この究明ができない。見なさい、この沿岸の漁民の連中を。あんな熊本からわざわざ出てきそいるじゃありませんか。もう少し親身になってやってもらわなかったならば、岸内閣というものはふっ飛んでしまう。
○福永(一)委員 六年もたっておって、そして、現在もすでに、あなた新聞見ておるが、熊本のこういう暴動が起っている。漁民はもう持って行き場がないから工場になぐり込みをかけて、千五百人ばかりそこへなぐり込んだ。これは、試験管で水をとってどうのこうのということに対する、その官庁のやり方に対するところの信頼感を漁民が失っておるのですよ。そういう暴動が起っておるのに、水産庁が、指をくわえて知らぬ顔をして、原因がどうの究明がおくれたのと言って逃げ口上は張れないと思う。そこで、現地の声は、もう工場をとめたが一番早道だというのです。しかしながら、これは、法治国家でありますから、やはりいろいろな取締り法や何かに基いてやるべきことであって、必ずしも私は暴力というものを承認はできませんが、こういう社会問題になっておるのに、通産省が安閑としておるというのが大体おかしい。そこで、こういうものに対する取締り法規というものは、どんなものがあるのですか、伺いたいのです。工場に対する取締り法規はないのですか。
○藤岡説明員 ただいまお尋ねの工場の排水に対する取締り法規といいますと、先ほどから御説明のありました水質保全法及び工場排水法と称しております法律、この二つでございます。この二つの法律の関係は、先ほどからおしかりもありましたように、相当時間もかかりまして、まあ最小限一年ぐらい調査をしないと結論が出ないという結果になりますので、事態はおっしゃる通り相当重大な事態になっておるということをわが省といたしましても痛感をいたしております。緊急な対策をすぐとる必要があるだろうというふうに、われわれ官房長のところへ参わましていろいろ相談をいたしております。対策といたしましては、まだ案の域でございまして、こうするということではございませんが、たとえば、厚生省と共同をいたしまして一緒に調査団を派遣する。これまで厚生省は医学的な調査を主に生理学という関係でお調べになってございますから、今後は、化学者等も入れた調査、先ほどからも仰せになりましたように、化学的な水質あるいは毒物等の所在の有無等につきましても、さらに徹底的に早急に調査をする必要があるのじゃないか、これがなくしては、工場が原因であるかどうかということも自身まだわかっていないということでは相済まぬ、原因であるかどうかということの究明だけでも早急にやるべきであろうということで、寄り寄り協議をいたしまして、早急にこの問題に対処していきたいと思っておる次第であります。
○福永(一)委員 通産省としてもやっと気がついて腰を上げたというところでございますが、しかし、やらぬよりはいいのですから、一刻も猶予もならぬのですから、一つ真剣にこの問題に取り組んでもらいたいのであります。
 それから、経済企画庁の方が来ていますか。
○丹羽(兵)委員長代理 来ています。
○福永(一)委員 あなたの方の所管になっておる工業用水水質の保全の問題、これについてどういうふうな考えを持っておりますか。また、これに対する対策はどういうふうに考えておりますか、ちょっとお伺いをいたします。
○古沢説明員 ただいまの御質問でありますが、経済企画庁といたしましては、この水質問題を正式にやることになりましたのは、御承知のように、水質保全法が昨年暮れに成立して以来、はっきり申し上げますと、経済企画庁としては、ことしの四月に正式に発足しております。それで、水質保全法の立場から申し上げますと、この汚濁防止という仕事に関しましては、およそ三つほどのおもな仕事ができるようになっております。それは、第一には調査基本計画を立てるということでありますが、それと、その計画に基いて調査をいたしまして、その結果取り上げるべきものは取り上げるということで、公共用水の中で一定の水域を指定しまして、指定水域というものを設けて、そしてそこで水質基準を設定をするというような、大体大まかに申し上げますと二つの仕事があるわけであります。そのほか、御承知のように、地方の都道府県知事を中心にした和解の仲介制度がございます。
 それで、先ほど来、なぜ早く調査をしないかというふうな御質問が出たように聞いておりますが、この調査をする段階になりますと、今申し上げました調査基本計画を立てる、あるいは水域を指定する、あるいは基準を設定するということは、いずれも企画庁に設けてありまする水質審議会を通してやることになっております。それで、本件につきましては最近になりまして非常に急を要するというふうなお話を伺っておりますが、この三十四年度調査をいたしまする水域が一応審議会を通してきまっておりますが、遺憾ながら水俣水域についてはきまっておりません。それで、この具体的な年度の調査計画というものは、いずれもいろいろな――どこを最初やるかということにつきましては各省から意見をそれぞれ出してもらっております。そして、その他のもろもろの選定基準というものを設けまして、そして調査計画というものが審議会を通してきまるような仕組みになっておりますが、三十四年度は、御承知のように、北から申し上げますと、石狩川、南へ下りまして江戸川、渡良瀬川、木曽川、淀川、遠賀川というように六水域を調査することになっておりますが、水俣水域については上っておりません。
○福永(一)委員 それでは、来年度は水俣の問題も一つ取り上げて、各関係官庁と連絡をしてやってもらいたいことを要望いたします。
○古沢説明員 来年度の一応の調査計画といたしましては、これも関係省からそれぞれ計画を出していただいておりますから……。(松田(鐵)委員「現実そういう問題が起きておるところも取り上げないのですか」と呼ぶ)どこを調査するかということは、先ほど申し上げましたように、一応審議会を通じてきまることになっておりますので……。
○松田(鐵)委員 関連して……。
 厚生省であろうと通産省であろうと、あなたの方のそれに乗らなければ手をつけられないということになるのですか。
○福永(一)委員 審議会の議に上らなければだめなんだな。
○古沢説明員 そうです。それですから、個々の具体的な調査については、それぞれ所管庁でも当然、たとえば農地の場合であれば農林省でその調査はできることになっております。水産の場合もできることになっておりますが、今私が申し上げました保全法に基く調査は一応審議会を通してやるということになっております。
○松田(鐵)委員 そうしますと、こういう問題が起きておるところでも、審議会の議を経なければ、関係官庁から申請がなければ、それは企画庁としてどんなことがあろうとかまわぬということですね。
○古沢説明員 一応、三十四年度の調査につきましては、その取り上げるべき選定基準というものを審議会を通して了承してもらっております。その基準に基いて一応取り上げるということになっております。
○松田(鐵)委員 これは六年前からの話だというんですよ。それから、名古屋の災害、伊勢湾の災害、これはああいうものができたときにおいては取るものもとりあえずこうしてやっておるのですよ。いかにゆうちょうな日本政府といえども、これだけの問題ができておるとき、あなたの方が役所から来なければ取り上げないというのは、これはまたとんでもないことだと思うが、通産省はどうなっておりますか。水産庁はどうなっておりますか。それで要求しておるのですか。要求する意思があるのですか。この点両方から聞いておきます。
○高橋説明員 お答えいたします。
 この水俣の奇病の原因は、従来、先ほど厚生省の方から御説明がありましたように、何か医学的な原因ではないかということで、そう言ってははなはだ申しわけないのですが、もっぱら厚生省の方の医学関係の調査にかなり重点を置いたことは事実でございます。この点は、今になってみますと、私どものやり方があるいは間違っておったかもわかりませんが、当時はそういうつもりで調査を厚生省の方の主体の調査の方にお願いしたわけでございます。しかしながら、最近の熊本医大の発表を見ますと、そういったような病原菌その他の原因ではなくて、どうも有機水銀ではないかということがやっとこのごろはっきりとして参りましたので、これではいけませんので、従来のそういったような考え方を多少やめまして、それぞれ関係省にかなり強くお願いしたい、このように考えた次第でございます。
○藤岡説明員 ただいまの御質問につきましては、企画庁としては今のように水質保全法等に従って調査をやるということは、これは今企画庁から御答弁のあった通りでございます。われわれといたしましては、そういう法律以前の問題といたしまして、この生産自体がどうであろうかということにつきまして、先ほど申し上げましたように、化学的な調査、あるいは厚生省と御協力して医学的の調査等もひっくるめた何か原因究明の調査を今の法律以外にやらせていただきたいというふうに現在省内で寄り寄り協議をいたしております。まだ決定にはなっておりませんが、われわれの力の及ぶ限りそういうことでやりたい、こういうふうに今考えております。
○松田(鐵)委員 実際問題として、漁民においてはわらをもつかみたいような気持を持っているのです。それだからああいう暴動の起きるようなことにもなっておるのです。企画庁ではあんなのんきなことを言ったところでどうにもならぬから、あなたの方も、両方から、明年度の調査をするようにあらゆるものを動員してやってくれるだけの熱意とまた親切味を一つお願いしておきたいと思います。
○福永(一)委員 いろいろ今まで質疑応答をして参りましたが、要するに、この問題はもう一日の遷延も許さない焦眉の急であります。各官庁に対して私はいろいろ質問をしたりあるいはまた責任を追及いたしましたが、みなこれから一つ真剣にやりましょうということでございます。それはけっこうなことでございますが、日本の役所というところは、大体がなわ張り争いで、そのなわ張りに立てこもって、しかもその責任の転嫁をするところです。ですから、はっきり物事がわかっておっても、自分の方の領分でないと逃げるのです。また、むずかしい問題があると、今度はほかの方へこれを転嫁するという通有性があるのです。これは何人といえども否定できない。そこで、今度は厚生省も農林省も通産省も一緒になってやろうというが、世にいわゆる船頭多くして船山に上るという結果になってはこれは逆効果です。
    〔丹羽(兵)委員長代理退席、委員長着席〕
ですからその点は、今まで厚生省が医学的にはかり重点を置いたというような今の水産庁の次長の話でしたが、そういうことは何かそこに疑問があって、水産庁としても――普通の腹痛とか頭が痛いという病気ではなくて、水俣病というのは世にもまれなる病気です。しかも原因が、魚を食ってやられるということは天下の常識です。そういうことも知らぬふりをして、厚生省の医学的な究明だけにまかせて知らぬ顔をしているということはけしからぬです。ですから、今度は厚生省はもちろんなお以上しっかりしてもらわなければならぬが、関係官庁は、これに協力するか主導権を握るか、どっちでもいいが、お互いに一つ完全なスクラムを組んで、この問題の解決のために取り組んでもらいたいということを強く要望いたしまして、私の各官庁に対する質問は終ります。
 そこで、最後に私は一言委員長に要望いたしてお願いをいたしておきたいのでございますが、この問題はすでにもう社会問題となっておりまして、私は今まで官庁に対していろいろ注文を申し上げましたが、これは法律以前の政治問題でもあるわけでございます。そこで、これは関係官庁が仕事をやりやすいように特別立法等の道も一つ講じてもらいたいことを委員長にお願いいたします。その前提といたしまして、農林水産委員会並びに関係の各常任委員会とも御連絡の上で、まずもって現地の調査のために議員の派遣方をお願いいたしまして、私の本日の質疑を終りたいと思います。
○吉川委員長 川村君。
○川村委員 大へん時間がたって恐縮です。しかし、事非常に重大な問題でございますので、しばらく御了承願いたいと思います。
 私は、今福永委員からいろいろ御質問がありましたので、なるたけ重複しないつもりでお尋ねいたしておきたいと思いますけれども、あるいは少し重なるところもあるかもしれませんが、一つ的確にお答えおきいただきたいと思うのです。
 もうすでに本日陳情の皆さんからいろいろと説明があったり、あるいはあらためて福永委員からも話がありましたように、このおそるべき水俣病の発生の経過、あるいは病気にかかっておる病人の症状、あるいはどれくらいの患者の数であるかというようなことについては、私くどくど申し上げません。ただ、皆さん方にぜひ頭に入れておいていただきたいことは、この問題は、ただ単なる一種の病気でなくて、その影響するところが非常に甚大であるということであります。水俣市民はもちろんのこと、その近隣の住民の現在における心境というのは、まことに不安の極に陥っております。また、特に漁業に従事する諸君は、一切の仕事をやめてしまわねばならないし、生活はまことに気の毒な状態に追い込まれておる。先ほどもお言葉にありましたように、もうその度合いを越して今日では漁民の怒りというものが爆発してきておる現状であります。あるいはまた、水俣地区だけでなくて、北方の津奈木村あるいは鹿児島にわたります出水あるいは不知火沿岸全般の漁業の不振というものは、水産業の立場から見ましてもまことに憂慮にたえない問題であります。そればかりでなくて、この水産物に依存をして魚類の販売に従事しておりましたところの人たちが、これまた仕事ができなくて、まことに苦しい生活状態に陥ってしまっておる。また、工場といたしましても、やはり原因がはっきりわからない関係上、いろいろと今日苦慮せなければならぬ立場に追い込まれておる。こういうようないろいろの影響が現われておることは申し上げるまでもないのであります。この問題を、今、水俣市であるとか、あるいは熊本県であるとか、あるいは工場、こういうものにまかせておいては、これは解決できない問題でありまして、いわば一つの大きな社会問題あるいは人道上の問題として、あるいは政治的にこれを解決してやるという勇断がなければならないのじゃないか、このように思っているわけであります。先ほど福永委員の質問に対していろいろお答えいただきましたが、お答えを聞きながら私が感じたことは、やはり政府として関係省の皆さん方としては大きな手落ちがあるのじゃないか、それだけの責任を痛感しておられなかったのじゃないかということをひしひし感じておるわけであります。先ほどからお話がありましたように、この問題の解決は、もちろん原因を究明することが先決であるということは常識的にわかります。ところが、今日まで厚生省がやってこられました経過――もちろん厚生省の今日までの努力に対してわれわれは非常に多といたしておりますけれども、一年、二年、三年、四年と、もう発表しよう発表しようというような形で今日原因の結論が出ていないということが、先ほど申し上げますような実に大きな不安を住民に与え、あらゆる大きな影響を及ぼしておる、こういう格好になっておるのであります。
 そこで、私は、非常に時間が迫っておりますので、前置き等の言葉を抜きにいたしまして、直接まず第一に厚生省にお尋ねいたしますが、厚生省の諮問機関であるところの食品衛生調査会水俣食中毒部会が、熊本大学の方で出しました、有機水銀にこの原因があるということを、九九%の自信を持って結論づけておるということをわれわれ聞いておる。厚生省に対してもそのような報告がなされたはずでありますが、厚生省は、熊本大学で出し、中毒部会で出したその結論について、その通りだという発表をするだけの自信が現在ではないのですかどうですか。ないとなると、どういうような理由でその結論が出せないのか、その辺のところをまず第一にお聞かせおき願いたいと思います。
○實川説明員 先ほど御説明申し上げましたように、食中毒部会より常任委員会あてに報告いたされました。常任委員会というのは中央の各界のトップ・レベルの方をもって構成されておるのでございますが、その常任委員会に、先般十月の六日でございましたか、御報告がございまして、その席上で検討がなされたのでございますが、多少疑義があるようでございます。その疑義を現在国立の衛生試験所で追及しておりますので、まだ公表の段階ではございません。
○川村委員 その疑義という点を、ここでお話しいただけますか。
○實川説明員 こまかい点になりまして申しわけございませんけれども、一応申し上げますると、水銀が原因であるということを解明いたしますためには、もしもかりに工場排水中の水銀が原因であるとするならば、次の点が明らかにされなければならないわけでございます。その第一点は工場排水中に、第二点は港湾泥土中に、第三点は魚介類の体内中に、第四点は患者ないしは病気にかかりましたネコから直接にその水銀なるものが証明されなければならないわけであります。工場排水についての調査は、いまだ例数が十分ではございません。また、水銀と申しましても、出所は必ずしも工場排水とは限らない。つまり、水銀鉱脈のあるところでございますとか、あるいは農薬の関係、そういう関係でもって、水銀の出所はほかにも出所が考えられるわけでございます。従いまして、例数をより多く検討しなければならないのではないかという疑点が第一点でございます。第二点は、それだけの調査のみならず、その工場排水中に含まれる水銀と思われるものについて、先ほど申し上げましたけれども、港湾泥土に魚を飼っておりますが、その中に水銀を入れて魚を飼育いたしまして、その魚を動物に与えて中毒が再現できるという段階になりますれば、おそらく解決がつくだろうと思いますが、その解明が現在なされておりません。
○川村委員 今お話しの研究態度は、もちろん賛意を表します。ただ、事態は、先ほどからだんだんお話があったように、一刻の猶予も許されないというような事態になっているわけでありまして、この点をとくと一つ考慮に入れておいていただきたいと思うのです。
 そこで、われわれが考えてみるのに、もう数年もかかって原因が究明もできないということは、一体研究陣が不足しているのかどうか、あるいは研究機構に欠陥があるのではないか、あるいは研究陣の能力はどうなのか、こういうようないろいろの疑点を実は持っておったわけであります。先ほど通産省の方のお話を聞くと、今まで厚生省関係では熊本大学で医学部を中心にやってきたから、われわれは今度は化学の陣営を投入して協力しなければならぬ、こういうような発言がありましたようですが、そういう点から見ると、あなたの方の研究班というものは必ずしも十分じゃないんじゃないか。われわれは、今までは一応熊本大学の理学部、医学部、こういうような各部の権威をあげてやっておられるから、これは完全に早期に究明ができると実は考えておったのですが、今日になってみると、あるいは通産省あたりから指摘するような研究陣の不足があるのじゃなかろうかと思うわけであります。
 なお、研究費の問題はどうなのか。これは、先ほどお話しのように、昨年は百万、ことしも百万というふうに出してもらっている。ところが、これで一体病原を突き詰めるのに十分なのかどうかというと、大いに疑問がある。熊大側でも、研究費が不足する研究費が不足すると常にかこっておる。そうなると、こういう点はあなた方の耳に十分入っているはずですから、これは一つ十分努力してもらわなければならぬという問題が起ってくると思うのです。
 なお、最も大事な問題で、今お答えいただいたところの、まだ究明しなければならぬ各種の要素があるということについて、従ってこういう形で研究を進めていきたいというお話について、私は決して反対するものではありません。ところが、一つ考えてみると、初めはいわゆる神経系統の単なる病気だと言っておった。ところが、数年前は工場排水によるところの、あるいはマンガンであるとか、あるいはセレンであるとか、こういうようなものが原因しておる、こういうふうに言われておったようであります。これが実は確定的のようでありまして、おととしは厚生省はこの問題をもって発表しようとしたのです。ところが、途中でまた大きな疑点が出て延び延びになっておりましたが、今日熊大が有機水銀説を出してきておる。そうなると、この有機水銀説にもいろいろとまたおっしゃるように疑点が残っております。やらなければならぬことがあるのです。そうなると、これはわれわれしろうとが言っては失礼ですが、水銀説がくつがえされる場合もあり得るかもしれない。そういうようにしてじんぜん日を過すということになりましたら、一体、これに遭遇しておる住民、漁民、こういう人たちの立場はどうなりますか。われわれはこれが一番大きな問題だと考えているわけです。たとえば、熊大は、先日、水銀説に間違いないということで、いわゆる工場排水の無機水銀が魚類の体内に入って有機水銀となって、そしてその魚を食べたところの人たちが病気になってしまうのだと確信を持って発表した。ところが、工場側は工場側でこれに対して相当の反論を加えているでしょう。あなたのさっきのお話によります。と、やはり一応工場側の反論も認められて、あなたの持っておられる部会というものは結論はしばらく保留するという態度になっておるとわれわれは解釈せざるを得ないのであります。私が申し上げるまでもありませんけれども、工場側では、熊大がやったところの動物実験というものは、水やアルコールに溶けやすいところのエチル水銀あるいはエチル燐酸水銀、こういうものを使ってやったのであるから、しかもこういうような水銀でなくて水に溶けない水銀が病気を起しておるということなんだから、こういう一方的な水銀実験ではわれわれは納得できない、こういうことなのであります。また、第二点といたしましても、熊大側の病理所見というものはそれぞれ学者の中にも対立があって客観性が少いというようなことやら、あるいは、無機水銀が魚の体内に入って有機水銀に変化する過程は一体何だ、その過程がはっきりわかっていないところにおいて簡単に有機水銀だと言われておっては困る、そのほかいろいろの反論をいたしております。実は通産省にもお尋ねしたいのですが、工場側の反論として、戦前からもずっと工場は水銀溶剤を使ってる、溶媒として使ってきておる、ところが、そういう病気が起らなくて、急に今日出てきたのだということはおかしい、全国的に見てこういうような水銀剤を使って製造過程をやっておるところの工場はたくさんあるのだから、そういうところには起らないでおれのところにばかり起るということはおかしい、こういうような反論を加えております。これには工場側に対してわれわれも言い分がありますけれども、そういうことを考えると、一体全国的にこういうような水銀等を使って製造工程をやっておるところの工場が幾つあるのか、こういうことも実はわれわれは知りたいのであります。そこで、厚生省の方がさっきからお話があったような考え方にお立ちになっておるということは大へんいいのでありますけれども、もしもその水銀説が十分でなくて、これが研究に日を重ねるということになりますと、先ほどからだんだんお話も出ておりますように、一体今当面しておる悲惨な状態はどうして救ったらいいか、こういう問題が残ってくると思うのです。そこで、厚生省の方としましては、この原因究明についての御態度、お考えなりをもう少し的確にお話しいただけませんか。
○實川説明員 原因究明につきましては、先般来いろいろ御説明申し上げました通りに、厚生省といたしましては、水俣もさることながら、他の地区でこのような悲惨な病気が発生することは社会上の大問題でございますので、真剣にこの問題を取り上げて、部会を初めといたしまして常任委員会にも研究を続けさせております。
○川村委員 通産省で、全国的なこういう工場数は大体わかっておりますか。
○藤岡説明員 これは用水課長よりは原局の方が事情について詳しいと思いますので、その方からお答えいたします。
○高田説明員 ただいまのお尋ねの水銀の関係でございますが、水銀を使うのは、御承知のように、アセトアルデヒドを生産する段階と、それから塩化ビニールモノマーを作るときの段階であります。それで、最初のアセトアルデヒドでありますが、これは同種の工場は全国で七工場ございます。それから、塩化ビニール関係でございますが、これは現在のところ十四工場ございます。
○川村委員 それでは、今の点について厚生省に再度お尋ねいたしますが、研究陣の陣容はこれで十分であるかどうか、十分でないとすれば、強化する考えがあるかどうか、それが一つ。研究費については、これで不足であるとするならば、これを思い切って増額して、このおそるべき病気の正体を究明するために全力をあげてさらに努力をするお考えがあるかどうか。こういう点を一つお聞かせおき願いたい。
○實川説明員 本病の原因究明につきましては、厚生大臣の諮問機関である食品衛生調査会に諮りまして常任委員会の席上決定した、資料その他の関係でおそらく最高と思われるメンバーであろうと思われます。それから、研究費につきましては、先ほども御説明申し上げましたけれども、もちろんこれをもって十分な額というわけにはいきません。本省といたしましては、常々この増額等についても考えておるのでありますが、具体的にどういう使途に使うのだというようなことは、現地にも問い合せてやっております。
○川村委員 今の原因究明のための最大の努力を一つ願っておきたいと思うのです。
 時間をとり過ぎて恐縮ですが、第二点に、私は、さっきもちょっと出ましたけれども、食品衛生法の関係を聞いておきたい。それは、あなたはさっき福永委員の質問に、リンゴに農薬を使う話をしましたが、これは市販されるときにそれがないならばいい、あったらこれをとめるということで、なるほど一つのよい例だと思います。しかし、リンゴは、農薬を散布しても、もぎとってからこれは洗えばきれいになるのです。ところが、水俣の湾におります魚は、そういう手数をするわけにいかぬ。同じような考えで律するわけに私は参らぬのじゃないかと思うのです。私が申し上げるまでもないことでありますけれども、食品衛生法のいわゆる目的、精神からするならば、これは当然食品衛生法の適用を考えてもよろしい事件じゃないかと私は思うのです。第四条には、御承知の通りに、「左に掲げる食品又は添加物は、これを販売し、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若くは陳列してはならない。」と書いてある。「採取し」と書いてありますから、これが完全におそろしい毒物を持っておるということであれば、取ってはならぬ、食べてはならぬという措置はできませんか。私はできると思うのですが、その点をもう少しはっきりお聞かせ願いたい。
○實川説明員 法律的の解釈につきましては、省環境衛生部でいろいろ討議したのでございまするが、四条二項を適用するということはむずかしいということでございます。
○川村委員 おそらく見解の相違かと思いますけれども、あなたたちがそうおっしゃると、私は、この法の一つの精神、目的からしても何か不備な点があるのじゃないか、こういうふうに理解せざるを得ないわけであります。この問題についてはまたいずれ皆さん方に十分御相談したいと思っております。
 そこで、その次に、先ほど企画庁や通産関係の方で、いろいろ松田委員あたりのお話にお答えいただいておりましたが、私としては、お聞きしておって非常に残念に思ったことは、このような事態はきのう起った問題じゃなくて、数年前から起っておることです。厚生省がこれに乗り出して非常に力を尽して下さろうと、出発されてからもう三年か四年になるわけです。このおそるべき状態の中に、いわゆる工場排水関係の検査も、あるいは企画庁としてはいわゆる法律に載っておるところの指定地域のそれにも全然頭にもなかったということについて、私、非常に残念に思う。役所というところは一体こういうところだろうかと今思っておる。もちろん、企画庁の方がおっしゃったように、法律の手続上は、あるいは調査基本計画であるとか、水域指定であるとか、水質基準をきめるとか、各省から持ち寄ったものを審議会にかけてやるのだ、こういうお話でありますけれども、企画庁として、こういう事態が起っておるということを考えられるならば、あなたの方から、ぼんやりしておるところの水産庁あるいは厚生省あたりに、そういうような当然の要求を出すべきだ、そういうこともあってもいいのじゃないか。また、水産庁や通産省にしましても、こういう問題を地域指定に忘れて出さないというようなことについては、どうも私納得いきません。先ほどお話しのように、石狩川であるとか、三十四年度は六つの地域を指定した。こういう大問題の起っている地域を三十四年度のいの一番に取り上げて、通産省関係、企画庁関係、水産庁関係が全力をあげてあの法律に従って対策を立てることは当然あってしかるべきだと思うのです。水産庁の方にお尋ねしますが、どうしてこれをことしの地域指定になるように企画庁の言われるような指定地域の申請をしなかったのですか。
○高橋説明員 その点は御指摘の通り多少抜かった点があることを申し上げざるを得ないと思いますが、ただ、従来、この病気については、主として魚が有毒であるということに重点が置かれたために、水質の問題として取り上げることがやや水産庁としておくれたということについては、そう申し上げるよりしようがないと思います。この点は大へんどうも申しわけないと思います。
○川村委員 実際そうですよ。先ほどあなたも言っておりますけれども、医学の立場からこの問題を持ち出してきて、たとえばまだ水銀説が出てこない前のマンガン説があったときも、水産庁にはたびたびこの問題を陳情しているはずです。だから、今あなたが医学の立場で厚生省がやっておったからということでは、ちょっと納得いかないし、あまりにも手抜かりじゃなかったかと言わざるを得ない。
 そこで、通産省にお尋ねいたしますが、これはあなたの方に聞いてもほかに聞いてもいいと思うのでありますが、いわゆる工場排水等の規制に関する法律第四条に特定施設の届出という条項がございます。この中には、「工場排水等を指定水域に排出する者は、」云々と書いてありますが、水俣の場合、指定水域になっていない。なっていないということになると、一体特定施設の設置等の届出は必要ないということになるのですか。必要ないということになりますと、水俣の工場が自分の思う通りに排水しておっても、今のところではどうにもならぬということなんですか。その辺のところをちょっと聞かせて下さい。
○藤岡説明員 仰せの通り、指定地域になりませんと、その法律の発動はございません。われわれといたしましては、先ほどからもお答えいたしました通り、法律以前の問題といたしまして、一般の工場、事業場の監督官庁といたしましての責任という範囲で事を処したいと思います。結局、先ほどからお答えいたしましたように、この法律で調査をいたしまして、指定をし監督をするということになりますと、一年以上もかかるという実態でございまして、これは原因と結果がややはっきりしておる場合に限られております。この場合については原因と結果がそれほど分明でないという意味から、これまでそういう扱いを受けておったものと思います。われわれといたしましても、その原因が工場側にありということを即断しておるわけではございません。どういうところにあるのか、あるいは工場側にないならない、あるならあるというようなところまでも早急に調査をして、その工場側以外であれば一体何かというところまで進んで調査をしないとこの状態は救われないのではないかということから、今調査ということを考えておるのでございまして、おっしゃる通り、多少役所の現在の機構等につきまして問題はございますが、いろいろ御協力を願いまして、御負託にこたえたいと思います。
○川村委員 実にこれは大へんなことだと思うのですよ。そうなりますと、こういうりっぱな法律ができておって、それがそういう形で生きていない。しかも、こういう問題は今起ったのじゃないですからね。もう二、三年前から大問題になっていることでありまして、皆さん方も十分お聞きになっているわけです。そういうものが指定地域にもならないとか、あるいは今から検査、調査をやろうということでは、先ほどからもくどくど申し上げますように、一体漁民などの立場はどうなりますか。そういうことを考えて皆さん方のお話をずっと聞いていると、政府としては、皆さん方の方としては、何か政治的に責任を回避されているように思われてなりません。今ここでそういう点をとやかく言ったって始まらないかもしれませんが、その点を一つ十分お考え願って、関係各省緊密な連絡をとって、一日も早くこの対策ができますように一つ考えてもらわなければならぬと思うのです。
 そこで、最後に企画庁に聞いておきますが、さっき福永委員からも要望があったのでありますが、厚生省に聞いても、食品衛生法の立場から言っても取っちゃならぬとは言えないと言う。私もそれについては先ほど申し上げましたように疑問があるのですが、そういうことになると、原因が究明されるまでにはもうそのままにしておけ、魚は取るな、取ったら危ないぞと言うくらいで、このままほうり出しておかなければならぬ状態なんでしょう。これではもう全く救われないですね。そうなると、そういう法律の不備があるならば、この際その法律の不備を直して対策を打つか、あるいは特別の法律を作ってもらって、それによってこれの救済あるいは援護の措置を講ずるということにならなければならぬとわれわれは思うのですが、企画庁とされましては、われわれの今日のこの気持や、あるいは地元の人たちのこの燃えるような輿望を考えられて、あるいは関係各省の話を聞かれて何か特別に法律でも作ってやらなければならぬというようなお考えが出ておるかどうか、そういうお考えがあるかどうか、それをちょっと聞かせておいてくれませんか。
○古沢説明員 今の御質問はなかなか重要な問題になりますので、私、一説明員として簡単にここで法律を作るかどうかということはちょっと申し上げかねるのであります。
○川村委員 わかりました。おそらくそう御答弁なさるだろうと思ったのですが、要するに、問題は簡単でありません。
 そこで、水産庁に一つお尋ねしたり、また私の希望を申し上げておきますが、今だんだん申し上げている通りに、どうしてもこのまま放置できませんね。そこで、今困っているところのこの漁民の人たちをどうするかということが先決の問題になってきているわけです。先ほど次官より、漁場転換とか操業の転換とかいうお話がありましたが、それはもちろんけつこうであります。この困っている漁民に対してどういう形でこれを救済していけばいいか、何か具体案がありましたら一つ聞かしておいてくれませんか。次官でもあなたの方でもけっこうです。
○高橋説明員 この原因がどうあろうと、漁民が相当長い間困っておられることは事実でございます。従いまして、これにつきましては、私どもといたしまして、できる限りのことを講ずるつもりでございます。従いまして、三十二年におきましても、三十三年と二ヵ年間、それぞれの漁業の先ほど次官から御説明申し上げましたような対策を講じて参ったのでありますが、なお、本年度につきましても、予算も計上してございますので、現在の漁民の困っているのを何か漁業の面で救える手はないかと、具体的に立案していただきたいということを現在熊本県の担当の部と折衝中でございます。
○川村委員 われわれが要望したい諸点につきましては、先ほど福永委員からずっと申し上げておりますから、もう私は重ねて申し上げません。今のお考え、大へん私賛成であります。しかし、この前皆さん方に作っていただいた魚礁等の魚を集めるような場所は、もう今では危ないというおそるべき海面の中に含まれてしまっているわけですね。大へん残念なことですけれども、そういう実情になっている。そこで、これから先は皆さん方の方で調査をしていただく場合もあろうと思うのでありますが、今の当面の困っている漁民をどうするかということには一つ全力をあげてやってもらいたい。これだけ一つ希望をいたしたいと思います。
 実はまだまだお聞きしたいことがあったのでありますけれども、大へん時間が長くなっておそくなりましたので、またいずれかの機会をいただいて皆さん方にいろいろお尋ねすることもあろうと思いますから、私の質問はこれで終りたいと思います。
○赤路委員 資料要求。
 資料要求以外にちょっと言っておきますが、きょうこの席上へ部長も局長も来ていない。御承知の通り、企画庁の大堀君だとか花園君、あるいは通産省の松尾君あたりが来ればよくわかるのだが、今の水質汚濁防止に関する法律を審議したときにすでに私は指摘しているが、法律が成立してから旬日を出ずしてその欠陥が暴露されている。いずれにしましても、臨時国会で当然これは問題にされなければならぬと思いますから、部局長に対しては十分そのことを伝えておいていただきたい。これをお願いしておきます。
 それから、今までの各委員からの質疑応答を聞いておりますと、遺憾ながら本問題に対する所管庁の取扱いはばらばらであります。こういうことでは解決がつかない。そこで、責任官庁を話し合ってきめて、その責任官庁を中心にして本問題の解決をはかっていってもらいたい。これを要望いたしておきます。
 それから、工業用水課長の方からるる説明がありましたが、法律の見解からいけば企画庁の方から話をされた通りだ。しかしながら、これは法律以前の問題として、速急に話し合って、一日でも早くこの調査研究をやっていただきたい。よしんば何ほ速急にやったとしても、かなりこれは日数のかかる問題である。現実の問題としては相当な時日を要する。今高橋君が言ったように、原因はわからない。原因はわからないが、漁民が生活権を奪われておるということは事実なんだから、この事実の上に立って、これらの諸君に対する対策を速急に立てなければいけない。これを要求いたします。
 それから、資料ですが、熊本医大の中間報告を一つ本委員会の方へ御提出願いたい。それから、同時に、会社側がこれに対して反駁書を出しておるというが、それの内容もあわせて資料として御提出を願いたい。以上です。
○吉川委員長 私どもは昨日水俣病の問題についてスライドを見せてもらった。罹災者やその家族あるいはまた漁民の立場を考えますと、一刻もゆるがせにできない重大な問題だと考えさせられております。しかるに、本日の質疑を通じてみまするに、政府の各機関は有機的な連携がよくとれておりません。しかも、この問題に対して、法の盲点かもしれませんが、法はそれを運営する人によって真価が発揮できるので、もう少し仕事に愛情を持っていただくならば、もっと積極的に施策が進められたはすであるとわれわれは考えるのです。従って、はなはだ急を要する問題でもございますので、福永委員川村委員、赤路委員等の御要望、御指摘もございましたので、本委員会といたしましては、できるだけ早い機会に現地の調査をするような取り計らいを委員長においていたしたいと思っております。さよう各委員御了承をお願い申し上げます。
 午前中の質疑はこの程度にいたします。
 暫時休憩いたします。
   午後二時三分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時二十一分開議
○吉川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 台風第十四号並びに第十五号による農林漁業被害の実情を調査するためさきに派遣いたしました派遣委員より報告を聴取することといたします。足鹿覺君。
○足鹿委員 第三班の報告を派遣委員にかわりまして私から申し上げます。
 台風第十五号による災害の実情調査のために、建設、農林、文教、運輸、社会労働の各委員、大平正芳君外五名は、議長の承認を得て、去る十月十日から十三日まで四日間にわたって、鳥取県の東部及び中部地方、特に鳥取市、気高町、鹿野町、青谷町、東郷町、倉吉市、関金町、三朝町等、並びに兵庫県の北部地方特に但馬地域、丹波地域の八鹿町、農岡市、城崎町、出石町、和田山町、柏原町、篠山町等を視察し、当該地区当局及び関係団体からの陳情をつぶさに聴取しました。鳥取県下の視察に際して、私も同行の上現地を御案内申し上げ、かつ実情を調査した次第であります。
 まず最初に鳥取県下の農林関係災害状況について申し上げますと、鳥取県は伊勢湾台風の中心からそれたが、県下のほとんど全地域が台風圏に入ったために、瞬間最大風速三十五メートル、最大降雨量八百二十八ミリを記録し、平地でも二百ミリをこえるものがあったといわれるのであります。このように今回の台風が短時日の豪雨であったことと、近時比較的大災害を受けなかったために、堆積土砂の流出量が多く、勢い、耕地の埋没、流失はもちろんのこと、農業用施設の破壊個所もすこぶる多く、その被害は甚大であった。一般に山間部の被害が大きく、また農地、公共施設などの施設被害が大きいのが特色であります。県下一円に被災しているが、地域別に見て、耕地被害、山林被害、農作物被害等の特に多い地域は、東部地方においては、千代川水系の鳥取市、国府町等を中心に広範囲の町村、蒲生川水系の岩美町、福部村、勝部川、河内川水系、青谷町、鹿野町、気高町等でありまして、中部地方においては、天神川水系の倉吉市、三朝町、関金町等、加勢蛇川水系では東伯町であります。その他の地域でも相当の被害があったといわれ、また局部的に被害の激甚地が随所に見られておるのであります。県全体の被害は六十億をこえ、視察当時の農林水産関係の被害状況にしましても、十月十日現在において、農作物、主として水稲、七億五千八百八万三千円、農地及び農業用施設十四億六千六百四万二千円、農業共同施設三百六十三万六千円、開拓地施設千七百八十八万円、山林六億二千九百十五万二千円、牧野等百六十三万八千円、桑園九千六百九十万円、漁港等一億九百三十二万九千円、合計三十億八千二百六十六万円であります。以上のように、農作物関係被害を含めて実に三十億八千万円を突破し、農林漁業の比重が特に大きい県の経済に与える影響はすこぶる甚大でありまして、農林漁家の今後の経営並びに生活に及ぼす影響もまたはなはだ憂慮すべき状態でありました。
 次に兵庫県下の農林関係の災害状況について申し上げます。伊勢湾台風は全国各地に大災害をもたらしたが、兵庫県においても同様でありまして、三百ミリをこえる豪雨は県の北部地方、但馬一市十八町、丹波八町四村の両地域に甚大な被害を与え、但馬地域では、円山川を初めとして岸田川、矢田川、八木川等の諸河川が、丹波地域では、篠山川、佐治川、竹田川の諸河川及びここれらの支流が相ついではんらんし、田畑の流失、埋没、冠水による農地、農業用施設の壊廃、農作物の滅失、林地の崩壊、漁港その他水産施設の災害等、その被害はまことに甚大でありました。特にこの但馬、丹波の両地域は山間僻地であり、その経済水準は県内他地域に比べてきわめて低い後進地域であるだけに、今回の豪雨によって所有の全耕地を一朝にして失い、粒々辛苦の収穫がわずかに数把の稲にすぎなかった惨状は、全く言語に絶するものがありました。視察当時の被害状況は、十月十日現在におきまして、農作物、主として稲ですが、十四億四千八百五十四万七千円、農地及び農業用施設十三億六千八百八十六万六千円、畜産関係七千二百九十九万七千円、養蚕関係三千二十四万八千円、開拓施設一千九十五万四千円、農業協同組合関係三千二百四十七万二千円、新農山特別助成施設五百六十八万八千円、林業関係八億四千百三十七万七千円、水産関係一億三千九百四十六万三千円、合計三十九億五千六十一万二千円であります。以上のように、農林水産関係被害は三十九億をこえ、その被害状況は日を追って増大しつつあり、まことに憂慮にたえなかった次第であります。
 災害復旧につきましては、鳥取県においては、年度内三割実施の目途のもとに、すでに二割相当分五億円余を予算化し、島根県から技術吏員五名の応援を得、さらに自衛隊百五十名余の派遣を得て応急対策を施行中でありますが、年間標準税収入六億七千万円という非常に少い財政の県であるだけに、これが復旧は容易ならないものと考えられる次第であります。また、兵庫県においても、いち早く救助対策を立て、鳥取県と同様に災害救助法を適用するとともに、被災農作物、罹災家畜に対する応急処置の指導の徹底をはかるなど、万全を期して努力しておりますが、両県とも県独自の財政力をもってしてはとうていこれが恒久的復旧のための総合的施策の樹立、実施は困難であると考えられるのであります。
 災害復旧について両県当局等から次のような要望がありました。
 一、災害復旧を早期に完成する措置を講ぜられたい。
 今次災害の特徴として、迂回路のない山間部、上流部に災害が集中し、交通路は所で寸断されているため、学童の通学、農作物収納、供出米の運搬等にも著しい支障を来たしており、これが復旧だけでも巨額に上る見込みである。現行法によれば、災害復旧は緊急工事について初年度三割となっているが、今次災害の実態に照らし、特に初年度の事業費を高率に配当されたい。
 二、再度災害の発生を防止するために必要な措置を講ぜられたい。
 三、小災害復旧等についての特例債及びその元利補給の制度を設けられたい。
 四、応急工事について国庫負担の道を大幅に認められたい。
 五、農林水産業施設災害復旧事業に対する国庫補助を大幅に引き上げられたい。
  1、 牧野、牧道を補助対象とされたい。
  2、 一件三万円以上を補助対象とされたい。
  3、 補助率を九割以上とされたい。
  4、 農地災害事業費補助の反当最高額の制限を緩和されたい。
 六、農林水産業施設災害復旧事業に対する地方負担分について全額起債を認められたい。
 七、被災農家の等外米、規格外米の買い上げについて特別の措置を講ぜられたい。
 八、自作農維持創設資金のワクを拡大されたい。
 九、農業災害補償法に基く農業共済金の仮払いの範囲を拡大されたい。
 十、農業課税について減免の措置を講ぜられたい。
 十一、三十四年度米の予約概算金の返納条件を緩和されたい。
 十二、被災農家に対する配給米の価格切り下げ措置を講ぜられたい。
 十三、流失、埋没田の復旧後の作付並びに園芸作物の再生産資材の購入費に対し補助の道を講ぜられたい。
 以上であります。
    ―――――――――――――
○吉川委員長 農林漁業災害に関する件につきまして調査を進めます。
 前回に引き続き、台風第十四号並びに第十五号による農林漁業災害に関する質疑に入ります。
 足鹿覺君。
○足鹿委員 昨日、農林大臣から災害対策についてその御構想の一端を聞いたのでありますが、それに関連をしまして、私は少し角度を変えて伺ってみたいと思うのであります。すなわち、今度の災害は、愛知を中心とする市街地を含む異常な災害と、今度は全く条件を一変した山地、奥地に全国的に災害が集中した、この大きな二つのケースに分れておると思うのであります。前者の場合におきましては、報道機関その他の筆をそろえての報道によりまして、また、その災害地が経済、産業の中心であり、また被害があまりにもひどいために注目を引いておるのでありますが、私どもが回りました地域におきましては、ふだんから世間と隔絶をされ、全く孤立状態にあるような奥地、農山村が致命的な打撃を受けまして、その状態は見るにしのびない状態にあることをこの際申し上げておきたいと思うのであります。そういう見地から、昨日の同僚角屋委員の御質問に対する農相の御答弁のみでは、私どもとしては満足し切れない点があるように思いますので、以下二、三お尋ねを申し上げてみたいと思うのであります。
 昨日、農林大臣は、今度の災害の異常であったその特殊性について、二つないし三つの方針を明らかにされたようでありますし、齋藤官房長は九項目にわたって一応具体的な構想を示されたようでありますが、原形復旧よりも改良復旧へということ、それから、来年の作付にそれを間に合せるという御構想であったようであります。私は、非常にけっこうなことであり、それがほんとうに間に合えば、何も多くを申し上げることはないと思うのでありますが、今私が指摘いたしましたように、今度、国の直轄支弁河川の本堤防は本工事があったところはほとんど守られておりますが、その上流、またその支流、その末流の地域に至りますと、ほとんど全滅の状態であります。堤防即道路になっております。その小さな谷合いにたんぼを設け、無理に住宅を建てて住まっておるという山間地におきましては、現在においても、われわれが現地へ行くにも行けない、目の前に災害地を控えながら全く行くことができない、こういう実情であります。そして、その川は、ほとんどふだんと様相を一変いたしまして、河心は著しく変ってしまった。また、その河床が三メーターも下ってしまいまして、そこを取り入れ口にしておった頭首工とか、あるいは井堰とか、用水の小さな取り入れ口というようなものは全面的にだめであります。従って、原形復旧などではとても間に合いませんし、大臣が御指摘になりますように、大小の区別を問わず改良復旧として相当手厚い措置を講じていただかない限りは、私は来年の作付に間に合わない状態が来ると思う。現在川上にそういう事態が起きておりますから、川上の罹災農民は、今日、食うことができずに、目の前の災害対策に追われております。従って、川下のその用水の恩恵を受けておる諸君は比較的関心が薄いのでありますが、いよいよ来年ともなり植付が目睫の間に迫ってきても工事が間に合わぬという事態が必ず起きてくると私どもは心配せざるを得ない実情にあるのであります。これらの点についてどのように対処されますか。特に、この農業用の小災害を含めた、来年の植付に間に合うための大臣の抱負なり一つの方針をもう少し織り込んだ御所見をこの際承わっておきたいと思うのであります。
○福田国務大臣 今度の災害におきまして、復旧工事の一番金もかかり困難なのは海岸堤防のわけなのです。と同時に、ややもすれば私ともの目の前から遠ざかりがちの山間僻地にこの問題が存在する。私は、初め、災害地は名古屋を中心にした愛知、岐阜、三重と激甚地を回ったのですが、名古屋近辺にこれくらいの災害があるならば山は大へんだろう、そういう感覚を持ちまして、終始この対策に当っておるわけです。
 一番問題になります海岸堤防につきましては、昨日もちょっと申し上げましたが、私は、ここにおる建設部長と現地に参りまして、現地の人の意見等も聞き、それを基礎にいたしまして、対策本部といたしましては、これを前の地域に耕作ができるように復旧するという方針をきめまして、そして、その方針に基きまして、テンポといたしましては来年の植付に間に合うようにということで、干拓地の困難なる復興作業を進めるということにいたしたわけです。それには、とにかく、四の五の言ったって、なかなかそういうことはできない。建設部長は私と一緒に行って一緒に帰る予定でありましたが、しかし、もう君は帰ることはできないのだ、この工事の概略の設計をして、そして契約を了するまでは一つ帰ってくれるなということで、残ってもらったわけでありますが、それによりまして契約も大方成り立ちましたので、ただいま東京の方に帰ってきておる次第です。
 それから、奥地の問題につきましても、同様に、来年の植付、たんぼで言いますれば植村に間に合うという方針をもちまして、あらゆる指示をいたしておるわけであります。これは、何か特別の事情があるというきわめてレアなことがありますかどうか、これは私はないことを期待しますが、非常に特別な場合を除きましては、来年の春から必ず耕作に従事し得るような立地条件に直す、こういうことであらゆる施策を進めている次第であります。
○足鹿委員 そう言われますと、それ以上何とも申し上げにくいのですが、これは大臣に御答弁を願わなくても事務当局でもいいのですが、できたら一つ大臣から方針を承わりたいのです。われわれが現地を見て感じますことは、小災害の場合、現行法では十万円以上ということになっておりますが、これを、七号台風の際にわが委員会の小委員会が出しましたように、もっと三万円以上というふうにし、また、五十メートルの間隔内でないものは同一工事地区と認めないというものを百メートルにしようということがこの間の七号台風対策の決議の中にありますが、その問題がはっきりしないために、現在の査定はやはり現行の基準に従って査定を進められておる。先ほども鳥取県の場合と兵庫県の場合を申し上げましたのは、十月十日現在、現行法をもとにした一応の、岡山の農地事務局とかあるいは県の耕地課その他が協力をして大体見たものの集計でありますが、これがまた、十万円がさらにまた五万となり三万となり、五十メートルが百メートルに延びるということになりますと、これまたその規模が変ってくると思うのです。これは、法的措置を必要とするならば直ちにその措置をとることを言明していただかなければ、査定がだんだんまたおくれてきます。山間地帯は、御存じのように、私どもの方はすぐ積雪ということになり、雨季に入ってきます。このことは、査定方針を少くとも省の出先機関なり県当局に対してはすみやかにお与えにならなければならないのではないかと思う。そうしないと、国会でこれが意見によってまた是正ということになりますと、またもう一ぺん手間をかけて現地へ行き、そしてまた積み上げていかなければならぬ、そういうことを感じたわけです。現地の諸君は、なるべくこれは一つ現地を見られたあなた方が帰られたら、すぐにこれについては正式なことでなくても大体の模様を聞きたい、下へ流してもらいたいということを一様に言っているのです。ほとんどその県の人たちあるいは岡山の農地事務局も即刻現地を回られて非常にこの査定に対しては迅速に進んでおるといって、現地側も感謝しておりました。しかし、やはりそういう問題があるのです。これらに対しては、なるべく早く、正式なものは正式なものとして、考え方を内示されるとか、あるいは一応通報程度でもって問題を処理するようにあらかじめ準備されるとか、そういう措置が必要でないかと思うのですが、どういうものですか。
    〔委員長退席、丹羽(兵)委員長代理着席〕
○福田国務大臣 お話の点、まことにごもっともな問題だろうというふうに思うのです。それで、私ども心配しておりますのは、――七号台風までは、当委員会におきましてもいろいろと御審議を願い、御意見も拝聴いたしまして、私どもといたしまして一応の方向というものをきめて、それを流しておるわけなんです。ところが、それがやっとこさっとこでき上ったというときに今度は新しい台風だということで、二度ダブって災害を受けておるところが非常に多いわけであります。そういうところは、今度の二度目の台風に対する措置が変ってくるのじゃないかと思いますので、今までやろうと思っておったことがそこで足踏みをしておるという状態のものが各所で非常に出きておるのではあるまいか、それに伴って手おくれになっておるという事情も想像されるわけでございますが、まあ、いずれにいたしましても、臨時国会は二十六日から開かれますから、そこで最終的にきめていただく、こういうことになります。しかし、ただいま御指摘のような小農地の問題なんかにつきましては、私どもは、もうすでに、昨年の伊豆災害の例によりまして、これは地方公共団体の起債の方式でいくのだ、こういうことを流しておりますから、大体そういうことは今日の段階では浸透してきておるのではあるまいか。ただ、私が心配いたしますのは、二度被害を受けましたところにおきまして、多少、新しい災害に対する措置に関連いたしまして、過去の災害がどうなるだろうかということで、手おくれになっておる面もあるのではあるまいか、このことであります。しかし、これはもう早急に御審議を願って、安心のいくようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○足鹿委員 小災害の場合は、繁雑な補助の場合には査定とかいろいろな問題があるので融資でいくのだ、こういうことであり、その点に関する限りはあまり問題がないのだという御解釈のようですが、私の言っておるのは、やはり、出先では、融資であろうと補助であろうと、それは同じことなんです。たとえば、土砂の流入が六センチという一つの基準で現地を回って調べておる。ところが、その六センチのところもあれば、十センチも十五センチも、もっともっと何十センチのところもあるということもあります。そういうようなのを、非常に小めんどうくさくやはりまじめに現地においても調査しておられるのです。よく言えばまじめですが、こまかく言えばあまりにこまか過ぎるような査定も一部にはあるようです。しかし、いずれにいたしましても、やはり、たとえば町村が今後特別被害地として認められる条件として、町村税の年間収入の額をこえた場合には指定にするとか、あるいはその何分の一の被害をこえたときには特定地域に指定するとかいういろいろな標準事項にもこれは関連が出てくるのです。それで、その点は徹底はしておるでしょうが、従来災害をあまりこうむっておらなかったような地帯を歩きますと、必ずしもそれが徹底しておらぬのです。それは補助であろうと融資であろうと何であろうとかまいませんが、少くとも、七号台風の場合と十五号台風の重なった地帯も、あるいは十四号台風、十五号台風、それ自体の単一の被害の地帯にも、同じようにやはり方針を示されなければならぬのじゃないかと思うのですが、その点差しつかえないですか。どうも徹底を欠いておるように思うのです。
○福田国務大臣 そのお話の点は、まだこれが正式に法律案もきまっておりませんものですから、そういう趣旨のかちっとした指示はいたしておりません。が、それはこういうふうにする方針であるということは流しておりますので、出先においては、こういうふうになるだろうということにつきましては、十分私どもが考えておりますることについて了解をいたし、また、そういうふうなさらにその下部への浸透ということも、その方向でいたしております。
○足鹿委員 どうも、これは大臣もわかっておられるようで実はこの問題は十分にわかっておられないようですが、この問題だけにとらわれておるといけませんが、少くとも、官房長もおられるんですが、私の言わんとする趣旨をよく一つお考えになって、距離の場合とその金額の場合が移動する、また移動させなければならぬ、変えなければならぬという判断に立って、少くとも第七号台風の際にわれわれが決議をした趣旨を尊重されて、今度の場合はよりひどいのだから、七、八、九の三カ月の台風被害にはすべてこれを適用するんだという考え方を中心に進めていかれるならば、私の今言ったようなことはもう解決しておらなければならぬと思うのですが、昨日来の調査班の報告、また陳情等を聞いておりますと、やはり今私が指摘した点がどの陳情隊もどの調査班にも共通して出ておるのです。それはすなわち徹底しておらぬということでありますので、その点はもっと掘り下げて至急にやっていただきたいと思います。
 それから、これは多目的ダムというほどの大げさのものではありませんが、少くとも今回の山村あるいは奥地等における集中豪雨の被害というものにつきましては、砂防工事、あるいはそれに関連をするちょっと大きい防災ダムというようなものが一つもないのです、僕らの歩いて見たところで。そういうところほどひどいのです。これは笑い話にこう言った人がある。砂防なんかやっとったって一つも票にならぬのだということをよく言う者があるということを言っておったんですが、あるいは一面の真理を物語っておるかもしれぬ。砂防をやってみたところで、直接だれにつながっておるということもない。従って、だんだんこれが忘れられておる。林野庁の長官もおられるようでありますが、国有林野やその他の見地からいろいろその治山治水の面から砂防に関心を持たれ、年々相当額が計上されておりますけれども、今度のような奥地災害の特質上、今後とるべき対策としては、防災ダムあるいは砂防堰堤というようなものに対する積極的な真摯な態度がとられない限り――愛知のような災害は、おそらく今後二の舞を演ずるようなことは、これを教訓としてないでしょう。また、あってはならぬと思いますが、奥地に関する限りは、私が今指摘したような措置がとられない限り、何十ぺんでも繰り返すのではないかという心配を私は持つのであります。その点について農林大臣の御所見はいかがでありますか。また、直接これに関連の深い林野庁の長官もおられるようでありますが、方針を一つ示してもらいたい。
○福田国務大臣 奥地の砂防につきましては、今回の特に七号台風以来非常に痛感をしております。御説の通りなのです。前からそういう問題はありまして、建設省においては、特別会計を設けて治山治水の根本対策をやりたいのだというようなことで、昨年の予算編成の際に言い出しております。それが実現しておりませんが、今回は、総理大臣もしばしば言明しておりますように、水を治めることは結局山を治めることなのだ、この治山治水という問題は一連の問題として内閣の重要政策としてやっていくのだということを言明しておるくらいであります。当然、私どもといたしましては、この山を治める、根源を治めるという問題に、今後努力の方向を見つけていかなければならぬ、こういうふうな考えなのです。
○足鹿委員 そういう御方針のことは承わっておるのですが、今度の全国三十都道府県に及ぶ奥地災害の特異性に基く対策の一つとして、私はこれは特に大きく取り上げ解決されなければならぬ問題だと思います。特にその点については対策を来たるべき臨時国会にお示し願いたいと思っておりますが、これ以上申し上げません。
 それから、時間がありませんので、次に、ちょっと方角を変えまして、海岸堤防の問題は、昨日魚屋君の方からもお話がございましたが、これは三十一災のときに九州の有明の佐賀県地先の大福がらみの問題が当委員会で非常なやかましい問題になった。農林省、建設省の所管の問題とか、いろいろな点、第一線堤防がまだできてない、十分完工してないのに入植したというような、いろいろなことだ輻湊しておったように思いますが、その地帯がまた今度十四号でやられておる。十五号では今度は免れておりましたが、私先日現地を見てきました。三十一年にやられ、またことしもやられた。開拓入植者は、ちょうど名古屋地帯と同じ状態を現地で局部的でありますが繰り返しておるのであります。一地区が百二、三十町歩もありますか、見渡限り泥海で、十四号台風から三週間たったわれわれが行ったときにも、いまだに潮どめがつかないで、潮の満干があり、開拓者は第二線堤防その他に逃げ込んで、野宿したり親戚に泊っておるというような状態を見てきました。あれだけ当委員会でも議論になり、当局も関心を持たれたはずのものが、また現地でその轍を繰り返しておる。一体これはどういうことか。私どもは、今度の中部地帯のこの深刻な海岸堤防の決壊から来る人命の犠牲その他筆舌に尽せないような惨害を来たした点について、あわせ考えてみて、どうも納得がいかない。いろいろ技術者の意見なり聞いてみますと、要するに、オランダ式の緩勾配の三段ないし四段式の堤防であれば、これはもう大体決壊などということはない。ほとんど直立堤防で、一部波返しがついておる。ついてないのもありますが、大体直立堤防がやられておる。これは技術者の意見によれば全く解決がついておる。八郎潟の場合においても、九州の有明の場合におきましても、理論上、工法の上では解決しておるが、実際それを適用する上で解決はされてない。すなわち、予算上の問題からそこに制約がくる。そこから同じような災害を繰り返しておるのではないかと私は感じました。いろいろ議論がございましょうが、土木工学上あるいは農業技術上完全に堤防問題については結論が出て不安のない工法があるにもかかわらず、それが事実なされない。そこに、人災だとか、あるいは政治家の責任が追及されたり、いろいろな問題が出てくると思うのです。その点について農林大臣はどのように考えておられますか。今後、予算の問題とかそういう問題は超克されて、かえがたい人命や、巨額の費用を投じて作った耕地が瞬時にしてつぶれるというようなことに対しては全面的な最善を尽した工法を実施するに足る予算をつけて今後やられるかどうか。そうでない限り、農民は干拓地に対する執着を持っており、危険を冒して入っては来ましょうが、またその惨害を起さないとも限らない。この佐賀県地先の大福がらみの悲惨な現状を見、また中部地帯の現状と照らし合せてみて、少し反省が足りないのではないか。それはどこにあるかと言えば、技術者の良心よりも何よりも、問題は予算をくっつけないからだ。要するに、直立堤防よりも三倍の経費を食うと技術者が言うのです。その三倍の経費が出せない。そういうところからくる矛盾を毎年繰り返しておる。局地的に、場所は異なりますが、繰り返しておる。佐賀県のように、場所は同じところで同じような災害を、わずかばかりのうちに一望百数十町歩もやられておるのです。将来の干拓の問題が、八郎潟を初め、中国地方におきましては私どもの関心を持っている中海干拓もあります。長崎県を中心とする有明干拓、熊本県を中心とする不知火干拓とか、いろいろな問題が現実に起きております。いささかの工費を惜しんで百年の悔いを残すようなことを繰り返したのでは、私は意味をなさぬと思いますし、干拓政策それ自体が大きな危機に直面しておるのではないかと思うのです。その点について大臣の深い御決心がございますならば、この際とらんとする措置を明瞭にしてもらいたいと思うが、いかがですか。
○福田国務大臣 ただいまの点はお話の通りに考えております。二度もこういうことが反復するということにつきましては、今度の台風が、当時この干拓地の堤防を作る際に技術的に予測もできなかった大きな威力のあるものであるということも原因であるというふうに考える次第であります。私も現地を視察してみますと、たとえば三重県の城南干拓地のごときは、お話のようなのりの非常になだらかな、底の広い堤防を作っております。開拓地の方はこれはもう難攻不落だというふうに安心し切っておって、非常に悲惨な結果を生んだのだということにもなっておるわけでございますが、私どもは、さようなことがもう二度、三度とあってはならぬ、このためには、今日の学術の許す限りの研究を遂げまして、その結論に従って復旧の実施計画を立てる、かように今考えております。御説の通りです。
○足鹿委員 最後に、当面のきわめて重要な点を一点だけ伺って、あまり時間がないようですから、次の機会に譲りたいと思います。
 昨日官房長は、中澤君の質問に答えられまして、目下大蔵省と折衝中の九項目の対策を御説明になりました。その中に、農災団体が行う建物共済の支払金がない、これを資金措置をしたいのだという意味のことを言われたわけでありますが、これは、この前の七号台風の際にも、果樹共済を必要とするという声が起きてきまして、果樹に対しては何らの救済の措置もない、果樹共済をどうするかという問題が提起されておりました。そのときに、私は、中澤君でありましたかの御質問に関連をして、山梨がすでに支払いに困っておる、一時借り入れで支払いはしたものの、その金利すらも出どころがない、こういう点で困っておるという切実な陳情があったことに関連をして大臣に御所見をただしたと思うのです。そのときも、大臣は、抜本改正の問題等については十分検討するということを言っておられます。六月の臨時国会の際、私の本会議質問にもその点答えておられますが、この問題に対しては、調査会を作るとも言われ、あるいは審議会を作るとも言われ、あるいは協議会をもってかえるとも言われておりますけれども、いまだ一向にその動きがない。内部的には検討されておるようでありますが、農業基本問題調査会との関連等、いろいろ遅疑逡巡をして、臨時国会を前にしていまだその全貌すらも明らかになっておらぬ。そういう段階にたまたま今回のような十五号台風等の大被害を受けた。そして、住宅その他建物を任意共済しておりますところの農業共済組合及びその連合会が、大きな支払い上の支障にぶつかって、農業共済基金の金を逆さやで使わしてもらいたいとか、あるいは他に適当な資金措置をしてもらいたいとか、あるいは借りたものに対しては利子の補給をしてほしいとかいう要望が出てきておるのであります。これは長い間の懸案の問題でありまして、こういう問題が続々と出ておる今日、政府は、一体、この農業災害補償制度の抜本改正に対して、これだけの問題を突きつけられておって、いかように現在考え、また作業を進めておられるのか。検討する検討するでもって時日が遷延しておるうちに、次々とこういう事態が出てきておるのであります。その責任は私は重大だと思うのですが、その点いかがでしょう。
○福田国務大臣 これは、先般の国会におきましても足鹿委員から質問があり、お答えいたしましたが、私就任直後にこの問題についての協議会を設置いたしまして、そしてこの制度の根本的あり方というものにつきまして検討いたしております。しかし、これはそう急に結論が出るというほど簡単な性質のものじゃないようでございます。私どももこの問題の解決には全力を尽してみたいというふうには考えておるのでございますが、大体この臨時国会におきましてそういう構想をお答えするというふうには、当時も見通してはいなかったのです。通常国会段階くらいで何らかの方向につきまして御報告なり御相談ができょうかというくらいに考えておったわけでございますが、お話の果樹の問題につきましても、全国的な果樹農民というものがそういう制度を希望するかどうかという問題につきましても当ってみなければならぬ問題であります。さらに各地からこの制度の改正点に関する各種の要望も出ておる次第でございます。さような点も、ただいま協議会を中心といたしまして検討いたしまして、そして、こういうふうな結論になるというような段階におきまして、当委員会にも私も経過並びに所見を申し上げ、また皆さんからも御意見を承わって、そしてこれを固めていこうというふうに考えております。非常にむずかしいものですから、手っとり早く処置ができないことははなはだ遺憾であります。さよう一つ御了承願います。
○足鹿委員 今の私の質問は二つあるのです。
 一つは、現在の農業災害補償制度が生産費を補償していくという建前になっておる。これをでき得る限り所得を補償していくという建前に直していったらどうか。そのためには、政府が災害のたびごとにとったりとろうとしておる米の安売りだとか、あるいは植付不能のときの苗や種もみの補助だとか、あるいは天災融資法に基く低利長期の資金の貸与だとか、いろいろなこま切れの法律をたくさん作るよりも、むしろこの所得を補償していくという一点に問題をしぼって、そして少しは農家の所得を補償したと言うに足るような金を農家にまとめてやるようにしたらどうかということが私どもの持論でありまして、理屈の上から言っても、また実際の面から言っても、私はそう理想論ではないと思うのです。一つの考え方でないかと思って、多年検討をしてきておるわけであります。私どもの結論であります。そういった面から今度の災害の深度を見ますと、全く食う米もない、予約前渡金は借りたが、それを戻すめどはもちろんない、今後の営農の方途もつかぬ、全くもう農家は足も腰も立たぬというどたんばに追い詰められておる。そういう収穫皆無の農民が、なんぼもらうと大臣お考えになりますか。たとえば、今度の制度改正によって、一番最低が石当り二千円です。それから一番上が七千円ということに一応切区ってあるのです。そして、従来この制度が役に立たなかったために、農民が逆選択の傾向が出てきた。去年のあの制度改正の実施のときに、当委員会のわれわれ小委員会が四千円階段もつけなさいということを言ったけれども、政府はやらなかった。ところが、やってみたところが、だんだん逆選択が出て、二千円ないし三千円の階級をのみ百姓がとる、これでは困るということで、四千円も一つ認めてもらいたいという話でありまして、それはわれわれが指摘しておった通りでもあったし、今からでもおそくはありませんというので、四千円段階をつけて、四千円階級が新しく生まれたことは、あるいは報告を聞いておられるかもしれませんが、愛知にしろ、三重にしろ、米では全国有数の反収の多い県だと思いますが、実際の基準反収というものは、私は二石の上が幾らも出ておらぬと思うのです。かりに二石として、石三千円の階級を選んだ農家が、一反から全額で六千円ではありませんか。その六割の三千六百円しか収穫皆無で入らないのですよ。そうしまと、一町作っておって幾らになりますか。そんなもので、ふだんこれだけ農民から非難を受けながら、いざというときにはやはりこの制度に救ってもらわなければならぬのだからといって今日まで説得してきた私どもとして、こういう事態で満足できるとお考えになりますか。農民は、この制度で、今はまだもらっておりませんが、おそらく相当な金が――収穫は皆無になったし、たんぼは流れたし、とにかくきょうにも困るのだから、相当なことはしてもらえるものだと思っておるでしょう。ところが、なんぼの分を契約しておったか。大体三千円ですね。多くて五千円ですね。七千円階級はほとんどありません。
 そういう状態にあって、農業災害補償制度として、年間通常時において百十三億ないし百十数億の国費の投じ、農民もそれと同額の負担をしておるこの制度が、果して何の役に立っておりますか。また立つでしょうか。この問題に対しては、小さな重箱のすみをつつくような役人論議をやめられて、農林大臣は、一つの政治家という高い観点から、少々の無理があっても、少々の困難があっても、この際こういう異常の災害の際に処して今後こうするのだという方針を示され、暫定的にでも今度の災害を通じてこういうふうに応急措置をしてやるから、希望を失わずに、やはり不時に備えてこの制度を健全にしなければならぬのだという所信の一端くらいは表明されてしかるべきものだと私は思う。でない限り、この制度は農民から非常な反撃を受けて致命的な打撃を受けるに相違ないと思うのです。そういう点が一点です。真に異常の災害の際に、所得補償に値するような、せめてそれに近い内容を持たしめるようにするということを言明され、また、本年度の分についても、収穫期に入っておりまして――農民の気持は、出すときにはなるべく出したくない、もらえるときにはなるべくもらいたいというのが、これは農民に限らず人情でしょう。今までほとんどかけ捨てかけ捨てでこの制度の恩恵を受けておらなかった地帯の農民が、災害を受けたときには、今までかけたものはみなよこせという気持になるのは当然ではないでしょうか。そういう点から考えてみて、この際勇断をふるわれなければならぬ段階ではないか。一反当り三千円や四千円の金でもって、これがよしんば生産費の補償だといっても言えますか。私は言えないと思います。それをこの際どうされるか。今までのものに遡及して、では七千円の分に契約をし直すというようなこともちょっとできますまい。できはしませんが、しかし、何とかそういう悲惨な農家のほんとうの所得のでき得る限りの補償に近からしめる応急の措置、あるいは今後の方針というものを示して、農民を安心せしめられる責任があるのではないか、このことを一点聞いておる。
 それから、いま一つは、農業協同組合と共済組合がせり合ってやった建物共済の問題。そして、これは、長い間の歴史から、農林次官通牒によってある程度の協定ができて、県知事のあっせんによってそれぞれその分を守って今日まで来ておりますが、私どもは、従来から、再保険措置もない、また制度としても未熟なものが、風水害等の自然災害を補償の対象にしていくことは非常な危険が伴う、万一の場合どうするかという点から、たびたび問題の所在を指摘して、でき得る限り農民の組織力と経済力を一つにするという立場もあわせ考えて、直ちにとは言わぬが、ある時期にはこれを一元化する、農業経済団体等に一元化して、共済は共済としての本来の任務につくという見地から、市町村以上の問題も一応取り上げられて現在進行しておりますことは御案内の通りであります。ところが、今言いましたように、たまたまこういう問題が起きておるのです。これを基金から逆ざやで九億円くらい金が必要だという話でありますが、官房長、どれくらいの計算になっておりますか。それも一つ承わりたい。
 それから、概算払いは農作物被害補償に対して何ぼやりましたか。また、全部で損害保険金をどれくらい程度払うようになり、一戸当り、一反平均、収穫皆無から以下数段に分けてどういうふうな農家の手取りになるのか。そういう計算がもうできておると私は思うのです。当面何が一番大事かといっても、制度があって現実に農民が御の字で金がもらえるのはこの制度だけではありませんか。ほかに何がありますか。もらった者でも金を借りる以外には方法はないじゃありませんか。そうすると、この制度の運用をこの際徹底的に洗い上げて、ほんとうに被災農民に対してあたたかい手を伸べていくのが、私はほんとうの政治じゃないかと思うのです。この問題を解決せずして、いいかげんにして他の小手先の施策を論じ合ってみても、いつの間に合いますか。現実の農民が生きていくために、あすからの営農に役立たしめるための国家の制度として、農民も犠牲を払い、百十数億の掛金をかけ、賦課金を払い、政府も国費を投入してこれだけの屋台骨をかまえておる制度が、ほかに何がありますか。農業団体に聞くと、おかげでまたこの問題でも少し息をします、こういう認識で果してこの農民の期待に沿い得ることができるでしょうか。私は、くどいようでありますけれども、この問題以外に、ではどうこれにかわる措置があるかということを伺ってみたいと思いますが、そういうものはないのです。だとするならば、この問題を、将来は将来として、容易にできないとおっしゃるならば通常国会でけっこうですし、われわれもそれまでに検討いたしましょうが、とりあえず現状はどうか。そういう具体的な見地に立って、一つ大臣の政治家としての、いわゆる事務官僚のおぜん立てに乗って答弁されるのではなくして、思い切ったあなたの独自の構想でそれを事務当局にやらしめる、こういう観点から、ぜひ実のある御答弁を承わりたいと思います。
○福田国務大臣 ただいま足鹿委員のお話、私は非常に傾聴いたしておったのです。災害対策の主軸をなすものは、これは、私、考えまして、この保険法の運営の問題である、かように考えておるわけであります。しかしながら、この制度自体の持って行き方というものにつきましては、これはなかなか全国的な広範な配慮が必要なのでありまして、先ほど申し上げました通り、検討を目下続けておるというところでございまするが、ともかく、今回の災害等のことを考えますと、お話の通り、これは災害対策の一つの軸をなしておる、こういうような考え方のもとに検討を進めていくということを申し上げておきたいのであります。それで、ほかにもいろいろ事情もございまするが、ともかく考え方といたしましてはそういうことでいきたい。ただ、今あなたがこの国会においてというようなお話がありまするが、これはなかなかこの国会でこの制度を改正いたしましてその一部を直さしめるというわけには私はいかないというふうに存じまするが、将来の問題といたしまして、さような心がまえで検討してみたい、かように考えております。
 それから、二つの農業組織が並立いたしまして、この保険の問題を中心にいたしていろいろ複雑な関係をかもし出しておるということにつきましては、私も常々苦慮いたしております。しかし、この両組織とも非常に緊密な間柄にあります団体でございまして、もとは同根なのです。これがさような今日の関係になっておるということは、私も心配はいたしておりまするが、まず両者の間でよく話し合いを遂げてもらうというほか、おさまり方のいい、あと味のいい解決というものはなかろう、こういうふうに考えておるのであります。私、先般来も両団体に申し上げておるのでございますが、さような話し合いをしてもらい、さらに必要がありますれば私も参加いたしまして何とかこの問題をもう少し合理的に運営したらどうでしょうか、こういうことで今努力をいたしておりますが、これは農業関係の皆さんにも御協力を得ないとなかなか実行できない問題でありますから、一つよろしく願いたいと思います。
○足鹿委員 くどいようですからこれ以上申し上げませんが、大臣がお考えになっておるということだけはわかりますけれども、もう少し前進があっていいのではないかと私は思うのです。六月の臨時国会以来大体半年近くたっておるし、これだけの災害を受けておりますし、この問題は、口で述べられるだけではなしに、もっと突っ込んで抜本的に切り込まれて対策を立ててほしいと思います。そうでないと、この問題は非常な事態が来ると私は案ずるのであります。これ以上申し上げませんが、先ほど官房長にお尋ねしましたが、この農業災害補償制度に基く任意共済による建物の被害、これに対する共済金、その関係都道府県の資料、それから、被害農家に対して概算払いをしたと思うのですが、それに対する各都道府県別、作物別の内容、それから、七、五、四、三、二の選択別に集計しました各府県の被害者、――水稲でけっこうです。ほかのものもあれば目ぼしいものを出していただきたいと思うのですが、果樹は対象品目でありませんから、水稲でけっこうです。それと、牛馬、蚕繭、それらの資料を出してもらいたい。特に、水稲の場合の、最高七を取った者が各府県に何ぼあるか、五を取った者が何ぼあるかという詳細なそれを出し、それが基準反収に基いて計算をして一反当り何ぼになるか、それはできてなければならぬはずでありますから、至急に御提出を願いたい。資料があれば今お聞きしてもけっこうですが、なければ至急に御提出を願いたい。
 まだありますが、きょうは以上で打ち切っておきます。
○丹羽(兵)委員長代理 倉成君。
○倉成委員 私はただいまの質問に関連してお尋ね申し上げたいと思います。
 今次の災害に際して、農林大臣が異常な熱意を持ってこの災害に当られておること、並びに林野庁初め各農林省の当局がいろいろな困難を克服して一生懸命に対策に当られておることに対しては心から敬意を表したいと思います。同時に、私がただいまお尋ね申し上げたいのは、恒久的な干拓政策その他というのはあとに譲りまして、大臣も言われましたように、農民にまず安心感を与えるということが一つ。それから、同時に、当面の施策をどうするかということが一番大事でございます。そういった意味から申しまして、大臣の異常な熱意と適切な構想が果して現実に行われているかどうかということを、一つ具体的にお尋ねしてみたいと思います。
 そこで、先ほど大臣は、建設部長に、来年の春までには必ず復旧し作付をさせる、その契約が終るまでは帰るなということを言って、その契約が終ったから帰ってきた、こういうお話でございます。私はその水ぎわ立った手腕に敬意を表するものでございますが、建設部長は一体どういう契約を現地でしてお帰りになったのか。もちろん、この災害復旧は、単に国の事業だけではなくして、国、県、団体、いろいろこういった種類の海岸堤防その他がございます。そうして、御承知のように、現行の補助率では、今日ほど多くの災害を受けた現地ではとうてい負担にたえないと私は考えるわけです。そういった現実の裏づけがなくしてどういう契約をしてこられたか、大臣の意図がどういうふうに反映しておるかということをまず承わってみたいと思います。
○清野説明員 お答えいたします。
 私が今回の伊勢湾台風に際会いたしまして現地で処分いたしました事項につきましては、おおむね直轄干拓事業及び代行干拓事業、それと、海岸法によりまして県が所管しておりますところの海岸堤防の災害復旧事業につきましては、一応の工事の段取りを完了して帰ったのでございます。その工事の段取りと申し上げますのは、まず第一に、災害復旧に最も必要でありますところのポンプ船の配置、並びにポンプ船を運転するに必要な送電線の容量の中部電力との協定、ポンプ船を必要としない海岸堤防の復旧につきましては、それらの海岸堤防に必要な材料、すなわち砂利あるいは砂、土俵等について、事実上施工し得る段階までという意味におきましての請負業者との仮契約の締結等を終りまして帰ったのでございます。従いまして、それらの事業がそれぞれ国の事業、つまり国営事業でございますので、補助率は十割、海岸災害の堤防復旧につきましては、公共土木負担法によりまして、従来は三分の二、残りは市町村または府県営負担、こういうようなものでございますので、府県並びに府県の首脳部あるいは私の所管し得る範囲におきまして、それぞれの事項をまとめて帰ったのでございます。
○丹羽(兵)委員長代理 倉成君に申し上げますが、農林大臣は四時半までということになっておりますから、大臣に尋ねられることがあったら早く聞いて下さい。
○倉成委員 ただいま大臣もお聞きの通り、ただいまの建設部長のお答えは、応急対策を終えて帰ってこられた。そして工事の段取りを終えた。これを大臣は契約という表現をされたと思います。あえてこのことについてさらに追及いたしたいとは申しませんけれども、国営の事業だけではなくして、今次の災害につきましては、県営もありますれば、団体営もありますし、それらの事業というのは今日の地元負担ではとうていたえ得ない、どうしても高率の補助を与えなければこの災害復旧はできない、こういうことはもうすでに明らかであります。そういったことを根本に定めなければ、こういった災害復旧の基本的な方針は立たないということを特に注意を喚起したい、こういう意味で申し上げたのでありますから、この点も特に御注意をいただきたいと思います。
 第二の問題は、自作農維持資金の問題でありますけれでも、これにつきましては昨日もいろいろ御質疑がございましたが、これも大臣にお答えいただくのは非常に無理かとも思いますが、自作農維持資金が、農林省でワクを決定してから現実に農民の手に渡るまで大体どのくらいかかるか、大臣も御存じでありましたら、一つお答えいただきたいと思います。
○福田国務大臣 官房長からお答えいたします。
○齋藤説明員 今回の災害の際におきまして、当面必要とする自作農維持資金につきましては、できるだけ早く農家に交付するようにということで、実は、七号台風の場合におきましても、山梨、長野については内渡しという方法をとりました。また、愛知県、三重県、岐阜県等に対しましては、十五号の伊勢湾台風被害に対する緊急の措置として、内渡しという方法をとることにいたしました。これも、従来と違いまして、ともかくも災害の被害額の確定を待たずに内渡しするという方法をとったのであります。御質問はそういう段階も含めての御質問だと思いますが、内部における処理としてはそういう方法をとる。
 さらにまた、御質問の点は、その後における融資手続の期間についてどのくらいかかるかというふうな御質問だと思いますが、われわれといたしましては、その問いろいろな手続関係でおくれることがないようにということで、災害については特に迅速に進めるような方法をとるようにということで、部内においてもそういう指示を与えているわけであります。具体的に日数がどのくらいかかるかということにつきましては、県別の事情、その地方の事情々々でいろいろの事情がありますので、大体どうだということも御質問にお答えいたしかねるのでありますが、今回は、内渡しあるいは手続の末端における簡素化ということで、処理をできるだけ早くするという措置をとっております。
○倉成委員 自作農維持資金については、御承知のように、先ほど足鹿委員からお話がありました農業共済制度と並んで、被害農民の生活資金として唯一のものでございます。これにつきましては、私どもも諌早の水害の際に非常に経験したことでございますけれども、今日の自作農維持資金の融資条件、手続をもっていたしますと――先ほど官房長は各県別でいろいろの事情があるから一言にお答えできないというお話でございましたが、おそらく具体的に御存じないのだろうと私は思います。農林省で幾ら決裁をされましても、今日の条件、今日の手続によりますと、これは数カ月を要するのです。従いまして、伊勢湾台風の内渡しがかりに五億あったといたしましても、これを二十万といたしますと二千五百世帯、従って、被災農民からいたしますと微々たるものでございます。どうしても今日の自作農資金のワクでは足りないということははっきりしておる。しかも、かりにワクが拡大されましても、今日の条件、手続ということからいたしますと、比較的富裕な農家に片寄って融資がされて、しかも相当な時間がかかる。従って、ほんとうに因っておる農民には年内に渡らないという結果になることは火を見るよりも明らかであります。そういった点を大臣が英断をもって理処されることが必要じゃないか。そういった点についてどういうお考えをお持ちか。これは基本的な問題でございますから、特に大臣からお答えいただきたいと思います。
○福田国務大臣 今回は金融につきましてはいろいろと特別に考えておるのですが、何と申しましても、農家とすれば早く金が手に入るということが必要である。そういうようなことで、手続は思い切って簡素化して参りたい。ことに、自作農創設資金の問題につきましては、災害のみならず、私どもが伺いましたところでは非常に手続が煩瑣である。私も、就任以来、そういうことを聞いておりますから、手続簡素化の措置をとるべきことを申しておるわけでございます。ちょうどその措置が今度の災害には間に合うということになってきておるのです。自作農創設資金ばかりではありません。融資につきましては、今までのような煩瑣な手続によらない、相当迅速ということを旨としましてやっておるわけでございますが、実際の状況につきましては私は報告を受けておりませんが、なお取り調べまして、迅速にいっていないならば、私の趣旨に沿うように努力をいたしたいと思います。
○倉成委員 ただいま大臣からお答えがございましたので、これ以上は申し上げませんけれども、現実はまだ末端にその手続が一つも徹底していない。そして、これが渡りますためには、今日の状況でありますならば相当な期間を要するということでありますから、大臣は、単に自作農資金のワクを愛知県幾ら三重県幾らときめられただけではなくして、これが末端の農家にいつどう貸し付けられたかということを確認されて、初めて自作農創設維持資金の今次の災害に対する役割を果すわけであります。この点は特に今後留意をいただきたいと思います。
 第三点に申し上げたいのは、水産の問題でありますけれども、農業に関しましては天災資金あるいは自作農維持資金というのであるわけでありますけれども、零細漁民の船をなくしあるいはその他の災害を受けた者に対しましては、ほとんど生活資金の道がないわけであります。これについてどういう施策を特別にお考えになっているか。また、あわせて、開拓地が非常に因っておることも御承知の通りでございますが、これも自作農維持資金の道は開かれておりますが、現実にはむずかしい。そうなりますと、水産業者あるいはこの開拓地に対しては特別の施策を講じなければ、生活の資に因るわけです。これについてどういう考え方を持っておられるか、お答えいただきたい。
○福田国務大臣 今度の災害の一つの大きな被害者といたしまして、北海道も含めまして非常な罹災者が出ているわけであります。それに対しましては特別な考えをとらなければならぬというので、昨日も申し上げましたが、船の建造につきまして特別の立法をお願いしたい、こういうような考えを持っておる次第でございます。また、開拓者につきましては、私がしばしば申し上げました通り、災害関係は別といたしましても、非常な御苦労を願っておるという立場にある。何とか開拓者の立場の改善、安定ということに努力をいたさなければならぬというふうに考えております。そういうやさきに今度の災害でございまするから、これまた、昨日申し上げましたように、特別の措置を金融面においてまた補助金の面においてとる、こういうことでございます。私どもといたしましてはこの二つの点につきましてさように特に重点を置いているというふうに御了承願います。
○倉成委員 時間がないようでありますからこれ以上お尋ね申し上げませんが、水産につきまして、漁船を作りましても、現実に漁民が実際働きますまでには相当な期間を要するし、いろいろむずかしい。それから、開拓地につきましても、今日の住宅の建設その他の政府の補助金の条件から、あるいはかりに最大限の融資を受けたにしましても、とうていこの資金では住宅の建設はできないわけであります。従って、どうしてもその補充の金が要るわけでありますから、これについて大臣にいろいろお考えがあるようでありますから、あらためて御質問申し上げたいと思いますが、これは中途半端の施策ではとうていできないわけです。抜本的にこれをお考えにならない限りできない。そうして、これが当面の災害対策として一番大事なことであるということを一言申し添えまして、一応私の質問を終りたいと思います。
    ―――――――――――――
○丹羽(兵)委員長代理 この際お諮りいたします。すなわち、さきに設置いたしました農林漁業災害に関する調査小委員会において今回の台風十四号並びに十五号の被害対策を行うため、小委員の員数を二名増員し、十三名をもって小委員会を構成いたしたいと存じます。これに御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○丹羽(兵)委員長代理 御異議なしと認めて、さように決定いたします。
 ただいま増員いたしました小委員には、丹羽兵助君、芳賀貢君を指名いたします。
 なお、小委員会は明二十三日午前十時より開会するとのことでありますので、さよう御了承を願います。――――――――――――
○丹羽(兵)委員長代理 この際角屋君より発言を求められておりますので、これを許します。角屋堅次郎君。
○角屋委員 台風十五号を中心にいたしました災害対策の問題につきましては、きのうも基本的な問題についていろいろ触れたのでございますけれども、政府部内においてはいよいよ大蔵査定も今夕というふうに承わっております。きのうも、農林省の要求している補正予算、あるいはまた融資の関係、あるいはまた新しい特別立法の問題、こういうことについてもいろいろお尋ねをいたしましたが、特別立法の問題についてはきのう齋藤官房長の方から概略お話がございましたけれども、遺憾ながら補正予算の内容あるいは融資措置の内容等についてはつまびらかにできなかったわけであります。しかし、そのことはさておきまして、いよいよ本日農林省の要求に基く大蔵査定というものが出て参りましたあとの農林省としての問題、農林大臣としての腹がまえ、こういうものについて私はこの機会に承わっておきたいと思います。
 言うまでもなく、今度の台風十五号を中心といたしました被害というものは、歴年の被害の中ではかつて比類のない大災害でありまして、私ども災害県の一県といたしましても連日会議を持っていろいろ相談をしておりますけれども、結局政府の責任においてやらるべきものがきわめて多い。また期待する面がきわめて多い。岐阜、愛知、三重の所属国会議員をもって超党派的に三県の連絡協議会を持って全面的に問題解決に当ろうという趣旨はそこにあったわけでございます。そこで、農林大臣にお尋ねしたいのでございますけれども、現在最低の要求として出しておる補正予算、あるいは融資の問題、あるいは新しい立法の問題については、あくまでもこの実現のために農林大臣としては最善の努力を払う、もちろんそうであろうと思いますが、あくまでも最善の努力を払うという腹がまえで当られるつもりであるか、その辺のところの査定を前にした農林大臣の決意について承わりたいと思います。
○福田国務大臣 これは、承わるまでもありません。最善を尽す覚悟でございます。
○角屋委員 岐阜、愛知、三重の災害復興の問題に関連をいたしまして、私は特に農林大臣あるいは農林省関係に留意を願いたい点を申し上げたいと思いますが、大臣も現地視察をして御承知のように、私も愛知県を見、岐阜県を見、しかも出身県である三重県の被害状況についても空から陸からずっと見て参りましたけれども、御承知のように、三重県の場合においては、いまだに鉄道も名古屋との死命を制するところが復旧してない、電車も復旧してない、こういう悪条件のもとにおいて異常の災害に対する復興をやらなければならぬという状態にある。愛知県は非常に甚大な被害を受け、あるいは岐阜県も同様でありまするけれども、鉄道幹線についてはすでに復旧しておる。従って、復興のスピードという点においては三重県は非常な悪条件に置かれておる。そういう点で、三重県の罹災地に行きますると、もっとそういう面の動脈となるべきものについてのすみやかな復旧、あるいは悪条件をカバーする中央におけるところのいろんな措置、こういう面についても特別な配慮が願いたい、こういうことをよく言われるわけです。たとえば、浸水地域は愛知、岐阜、三重にわたっておりまするけれども、サンド・ポンプの配船一つにいたしましても、あるいは応援隊の配置にいたしましても、愛知県中心であって、三重県の方が配船その他もおくれるのじゃないかという声も出ております。私どもはこういうところで各県のセクショナリズムということについてはいささかも考えておりません。しかし、そういう声が出るというところに問題があろうと思う。農林省の所管の問題につきましても、今日交通その他の条件で悪条件下に置かれておる三重県のそういう問題について、また三重県からいろんな問題を要請する場合においても不備な点があるだろうと思いまするけれども、積極的に指導されて、三重が同一歩調でもって復興のスピードの実をあげるように、こういう配慮が特に必要ではないかということを、三県を回って、出身県にこだわるわけではありませんけれども、痛感をしておるわけですが、そういう点について大臣からお考えを承わりたいと思います。
○福田国務大臣 お話のように、私もそういう感じを持っているのです。東海道の筋を少しそれておるものですから、何となく三重県の方がそう被害がなかったのじゃないかという印象を持ちがちなところがあるではあるまいか、そういうことがあってはならぬ、こういうふうに存じまして、農林省におきましては、三重県の特に奥の方、交通の事情なんかよくわからない、そういうような段階におきましても、ひどいのに違いないからこれは万全を尽せ、こういう指導をいたしておるわけであります。ことに、御出身の三重は、県の財政状態、こういうような点もなかなか容易でないような状態でありまして、私どもも、さような点につきましては、御心配のことが起らないように、私どもの所管の行政はもとより、各般の施策につきましても全力を尽したい、かように考えております。
○角屋委員 これは大臣も御承知のように、愛知用水事業の問題については別の観点から本委員会で取り上げたのでございますけれども、その審議の過程でも、いわゆる追加予算の問題、こういうこと等が出て参りまして、これらの問題についてはいずれあらためて論議する機会もあると思いますけれども、新聞紙上で報道されておるところでは、今次愛知県の愛知用水関係の被害は比較的軽微でございましたけれども、しかし、追加予算その他の問題と関連をして、既定計画内において愛知用水事業というものが完了するのかどうか、こういう問題についていろいろ論議がされておることは大臣も御承知の通りだろうと思うのです。そこで、この機会に、いわゆる従来から検討されておりますところの愛知用水事業に関するところの補正予算問題、今次災害問題、こういうことと関連させながらも、既定方針通り三十六年の三月までに完了するという前提に立って、あるいは最悪の場合においても三十六年の植付期までに完了するという前提に立って問題を進めておるのであるかどうか、この辺のところをお伺いしたいと思います。
○福田国務大臣 愛知用水につきましては、その後調査をしてみますと、先年の災害や、あるいは工事をやってみてからの状況から、設計を変えた方がよかろうというような部面もありまして、当初の計画を変更しまして予算の増額をしなければならない、かようなことに相なっておるのでございます。私といたしましては、さような状態であるにもかかわらずこれが所定の三十六年完了というところを実現していきたいということで、今努力をいたしておるところであります。
○角屋委員 大臣の時間の都合も考慮いたしまして、最後に申し上げたいのでありますが、台風十五号を中心にいたしました災害対策の問題については、私どもはずいぶんたくさんな難問題をひっさげて参っておるわけでございまして、これが解決ということについてはいろいろ苦慮しておるのが実際の実情でございます。もちろん、この問題は、土木関係にしろ、あるいは農林関係にしろ、いろいろな問題を含めておりますけれども、非常に重要な予算の最終段階で、冒頭に申し上げましたように、農林大臣に対しては、私どもも党派としての立場は違いますけれども大いなる期待を持っておるわけでございます。こういう異常な災害において、福田農林大臣がどういう手腕を示すか、こういう点を大いに注目しておるところでございますけれども、これは単に今度の災害問題に限らず、これが一つの教訓となって、同じような条件のものが大阪湾に来た場合、あるいは東京湾に来た場合にどうか、こういう問題についても最近の新聞報道等もやられておりますが、こういう将来の問題等もありますけれども、当面やはり伊勢湾台風の災害の教訓というものを生かした災害復興みごとになし遂げる、こういうことに一つ最大限の努力をやってもらいたい。私ども承わっておりますところでは、建設省にいたしましても、農林省にいたしましても、この問題であまり大きな予算をとると、昭和三十五年度の予算の問題に支障がきやせぬか、あるいは本年度計画しておるところの既定経費等についても響いてきやせぬか、こういうことから、今日農林省から要求しておるところの予算あるいは諸立法等の問題についても腰くだけになる危険性があるかどうか、こういうことについて私は率直に心配しておるわけです。そういうことなく、やはり、当面の伊勢湾台風の問題については、言うまでもなく日本における第三の工業の地帯として将来発展をする大きな希望のある地帯として描かれておりますし、農林水産関係の舞台においても大きな重要性を持っておることは御承知の通りでございますから、そういう点で最後まで最大の努力をしてもらいたいと思いますが、最後にその点についてお伺いしたいと思います。
    〔丹羽(兵)委員長代理退席、本名委員長代理着席〕
○福田国務大臣 もちろん最大の努力をいたします。結果においてこの復興が災いを転じて幸いとなすということを目標といたしまして万事処置したい、かように考えております。
○本名委員長代理 丹羽君。
○丹羽(兵)委員 大臣お急ぎのようでありますので、私は今度の災害のことについてたくさんお尋ねしたいのでありますけれども、明日から小委員会がありますから、こまかいことは小委員会でそれぞれの事務当局にお尋ねすることにして、特に二点だけ大臣にお尋ねしたいのです。
 現地のことは、御視察いただいて処理もしていただいておりますから、よく御存じだと思いますが、ことに昨晩のテレビをごらんになったかどうか、お忙しいのでどうかと思いますが、昨晩のテレビを大臣がごらんになったならば、どういうお気持になられただろうかと思います。そのテレビの中に現われて参りましたのは、直径一メートルも一メートル以上もある大きな材木が被災地にごてごてと山をなしてある。行方不明の方々はなおこの下に埋もれておる、そうしてこの処理に現在困り果てております。特に名古屋で二千名のとうとい犠牲者を出したのですが、そのうちの半分以上は、白水地区と申すところでの材木によっての犠牲者なんです。これはどうして材木による犠牲者ということが言い得られるかと申しますと、名古屋港の中の貯木場にあるのと、また、一般の海域に、検査を済まさずして、植物検査の関係でこれを貯木場に入れることもできずにあったもの、また入れたものも幾らかありますが、これが今度の台風によって堤防を決壊した。そして、今申し上げたように南方から入った外国の木材あるいはソ連材等、直径一メートルか一メートル以上の二十尺、三十尺もあるもので家の中にある者は家もろともに打ち殺され、また、逃げ出した者はこの材木によってとうとい命を奪われてしまったのです。そうしてなお今日までその材木が、これはもう一年たっても片づかないというくらいにあるのですが、私はこれの責任がどこにあるかということが今後問題になってくるであろうと思うのです。今日の名古屋市と愛知県と名港管理組合において、木材によるところの犠牲者や被害が多かったのは、これは天災ではあろうが、しかし何とか方法はつかなかったものか、今日ああいうような材木がそのままにして管理されておるそのことに間違いがなかったかというようなことで、大へんこれは社会問題になって現われておる。それがゆうべのNHKのテレビに堂々と出て、そして国民に大きな何か教えるものを訴えておるのですが、私は、そういう点についても、今申し上げたように、この木材がそのままにしてあって、多くの犠牲者を出した、あるいはその木材が堤防を決壊して、家もろとも数千に近いとうとい犠牲者を出した云々というようなことは別といたしまして、今後外国から入って参りますところの木材の検査、いわゆる植物検査にも今度の被害は大きな関係があると思うのですが、これについて、今後大臣は、外国から入ってくるところの木材、植物検査の方法を考えておられるか、改正というか、新しい方針でもお持ちかどうか。また、旧来通りあの名古屋港の狭い中にまだあるかもしれません材木を山にしてほっておいていいとお思いになるのか、その点を一つ承わらしていただきたいと思います。
○山崎説明員 先生のお話の通り、名古屋の八号貯木場に貯材されておりましたラワン材が流出いたしまして、白水地区の住民の方々に非常に大きい被害を与え、また、現にそれがあの場所に堆積されておりまして復旧に大きい支障を来たしておるという現状にあることはお説の通りでありまして、業界といたしましても、まずこれの取り除きという点につきまして全力をあげなければならないという考え方で、北海道あるいは九州というような全国的に、いわゆるこれらを取り扱う仲仕といいますか、そういう労務者を集めまして、約二百人くらいと思っておりますが、集めるだけのものを集めて、これの収去に当るというようなこともやっておるのでありますが、御存じの通り、非常に重く、しかも大きいというような関係で、人力だけではとうていできない。それで、十トンとか十五トンとかいう大きなクレーンを持って参りまして、トラックを利用してやるというふうにいたしまして、作業も非常に困難だというような面もあるのであります。県から自衛隊にもこれを依頼いたしまして、業界と自衛隊と共同して収去に当るという方針のもとに現在やっておる段階にあるのでありまして、われわれといたしましても、これの収去には努力いたしまして、できるだけ早い時期にこれを収去したいという考え方で進んでおるのであります。
 もう一点、問題といたしましては、いわゆる植物防疫というものが非常に大きくこれに関係を持ったのじゃないかという御質問に対しましては、御存じの通り、外材を船からおろしまして、一時いかだに係留し、それに薬剤をまく、あるいは薬剤をまかなければ一ヵ月とか一ヵ月半港に置きまして虫を殺すというふうな措置を講じておるのでありますが、今度の災害にも、もちろんこの検疫の過程にありますものが被害を与えたわけであります。主体といたしましては、八号貯木場に植物検査を終りまして貯材してあったものが一番大きい影響をいたしたというふうに考えておる次第でありまして、われわれといたしましては、大都市におきますこういういわゆるラワンのような大材の貯木ということにつきまして、その場所あるいは施設というような面にさらに早急に根本的な検討を加えて参らなければならぬというふうに考えておる次第であります。
○丹羽(兵)委員 ただいま承わりましたが、林野庁長官としてはさようなお答えよりできぬだろうと思う。しかしながら、水がひきまして――政府がひかせたのですが、水をひかせて、自衛隊を動員し、あらゆるものを動員してもこれが片づかないのです。それほどまで多量な材木が名古屋の町の中に流入したのです。それによってあの人はみな死んだのです。家はみなこわされたのです。あれは全部材木によって死傷なんです。しかも、今お話がありましたように、あれは検査の済んだラワン材あるいはソ連材が八号地から流れ出したというお説なんですが、私どもにしてみれば、そうは言わせない。あそこにあったまだ未検査のいかだを組んだものが八号地の貯木場を破壊し、ともに八号地にあった数え切れない大きな数のものが堤防を押し切って名古屋の町に流れ込んだ。これはことし一年たっても片づきません。こんな、水がひいて、クレーンを持ち出しても自衛隊を動員しても片づかないような大きな多数のものを今後あの狭い港の中に保管しておくという行き方、あるいはまた、多数入って参りましても、一ヵ月なり一ヵ月半なりかかってわずか十人や十五人の人で植物の防疫検査をするという手抜かりのあるように思われる方法が今後許されていいかどうかということなんです。そうして、こういうことが私はきわめておそろしいことにまた考えられるのです。今まで、植物防疫検査について、私はたびたび政府に対しても、名古屋港に入れてあるあの木材は、こんなおそろしいことになり、こんな取り返しのつかぬようなことになるとは夢にも考えなかったけれども、平素においてすらあの検査が非常におくれておる、そのために港をふさいでおる、港の機能を失っておる、だから何とかあそこの防疫検査を早くして陸揚げしなくちゃならぬということ、そうして完全な貯木場に入れなければならぬということを常に政府に訴えてきた。政府はそれを全然お聞きにならなかった。今日この惨状を見たわけであります。だから、今日名古屋で国民運動として、材木によって殺されたんだ、こういう材木の保管の仕方を政府がながめて黙認しておったということは道義的な責任もあるという大会をやっておる。それが昨晩のテレビに現われておる。それだから、今後も、こういうような、ずさんとは申しませんが、こういうような行き方で材木の管理、維持なんかをやっていかれるかどうかということを私は大臣等に聞いておるわけです。もう一ぺん大臣から聞かして下さい。ほんとうに名古屋の材木は、今後もああいうような輸入木材、特にラワン材、ソ連材というものをああいうおそいスローモーな検査の仕方でいいとお思いになるのか、今度を機会にうんと新しい方法をやっていくか、一つお聞かせ願いたいと思
○福田国務大臣 よく検討いたしまして善処いたします。
○中澤委員 関連して一つだけ。
 今の問題にしても、具体的に鍋田の問題というものを一体どういうふうに農林省はお考えになっておるか。鍋田干拓地では入植者が約百人死んでおるのです。この問題と今の問題は関連があるのです。それはどういうことかというと、私はいま一度近いうちに現地に行っていろいろ原地の皆さんの意見を聞いてみようと思っているのですが、今まで現地から来た人の話を聞けば、鍋田の場合は、明らかに堤防はもう下が――サンド・ポンプで砂を積んで上にやったものだから、砂がみんな波に洗われてくずれていたんですね。今度のこんな大きい台風じゃなくても、明らかにこれは危険だという状況にあったんです。完全に土手に欠陥があったんです。そういう場合に、どうも台風が来るということで、これは命令はだれがしたか、これから調査をしてみようと思っているのですが、とにかくこの下がえぐられるのを防衛しようと思って行った産業建設隊の十五人の人が一瞬にして死んでおるのです。そうすると、この鍋田の場合は、農林省の方でも調査してある程度知っているかもしれないけれども、私も現地に行ってこようと思っておるのですが、こういう話、今丹羽さんの言われた名古屋の木材保管の問題、こういうものは明らかに国にある程度の責任がある。丹羽さんは道義的ということをおっしゃったが、私は、道義的ばかりじゃない、法律的に責任があると思うのです。そういう責任を規定したのが国家賠償法だと私は思うのです。だから、これは国家賠償法の問題とからめて、実際そういう公けの営造物に瑕疵があったか、あるいは管理上の欠陥があったかなかったかという問題は、一つ大いに臨時国会までに検討してみなければいかぬ問題だと思うのです。そういうことが明らかに管理上の瑕疵があったということならば、これはやはり国家賠償法の発動というものを政府は考えなければいかぬと思うのです。この問題は、きょうは時間がありませんから、いずれ特別委員会で、私もよく現地を調査をするけれども、徹底的に検討してもらいたい。さもないと、国家賠償法という法律は一体何のためにあるのか、意味をなさないと思うのです。大臣、これは研究事項に属するが、一つあなたの所管ですから、丹羽さんのおっしゃったことも私は国に責任があると思う。全部国に責任があるかどうかは、実際問題を検討してみなければわからぬが、これはやはり国家賠償法というものをこの際考える必要があるんじゃないか、こういうことだけを研究課題として提出しておきます。十分大臣も研究して、もしそういう瑕疵が明らかにあったという場合は、やはり国家賠償法の第二条に該当するものだ。一応、大臣、どうお考えになるか、簡単でいいから答弁だけして下さい。
○福田国務大臣 検討いたしてみます。
○丹羽(兵)委員 もう一点は、すでに中澤さんからちょっとお尋ねになったことに触れるのですが、今度の災害でも、海岸の干拓地というのが全部やられたんですね。そこで、大臣は、この干拓地を再び復旧なさるお考えか。これらは、自分の家は飛び、耕地はなくなり、自分の愛する家族を失いましても、水のひくのを待っておるのです。そして、土地に愛着を覚えて、ときどき一里も舟をこぎ出して干拓地へ出て参ります。なるほど、開拓者にしてみれば、その気持は、私どもほんとうに同情して余りあるし、わかるのですが、相当金もかかることでしょう。ああいう開拓地は、全面的に、せっかく大きな金をかけて、こんなことになろうなどとは思わずに作られた土地なんですから、これは作っていただけるものか、一応また検討を加えられるものか、この壊滅したところの開拓地を根本的にどうなさるお考えか、大臣のお考えを承わらしていただきます。
○福田国務大臣 率直に申し上げまして、これをどうするかということはいろいろ意見があります。ありますが、いろいろな角度から総合いたしまして、地元の罹災民の要望の線に沿って、もとの場所に耕地ができるようにこれを復元する、かような方針でございます。
○丹羽(兵)委員 それでは、こう受け取りましてよろしゅうございますか。今後は、いろいろな関係もあり、御検討の上はっきりした態度はきまるでしょうが、今大臣のお考えでは、従来通りの開拓地を困難を排して作り上げていこう、こういうふうに解釈してよろしゅうございますね。
○福田国務大臣 全くさように心得ております。
○丹羽(兵)委員 私はそうしていただけることを望んでおる。そうしていただくことが開拓者にも喜ばれることであると思う。家を失い家族を失った人方に報いる道だと思う。かりに大臣がこの方針を変えられて、もう水が入るからやめるのだというようなことになるならば、先ほど中澤さんが言われたように、命をかけて守った開拓者諸君も、またそのために命を捨てた人も浮ばれぬであろうと思う。また、そうなりますれば、そういう二度と再び作れないと考えられる危険なところに計画を立てて多くの人命を奪ったところの責任は、当然政府にとっていただかなければならぬことになってくると思う。ですから、作っていただけるならけっこうだが、しかし、作っていただくならば、どうか一つ今度はしっかりしたものを作っていただきたい。あの人方はしろうとで、政府がやってくれたこと、作ってくれたその土地に愛着を感じ、信頼をして入った。こんな大きな水が来るとは政府でも考えなかったのでしょうが、とにかく信用し信頼して入ったがために死んでいってしまったのですから、今度はそういうことのないように、切れぬようなしっかりしたものを作ってもらいたい。それこそ、先ほどどなたか言われましたように、建設省の作ったところはこわれないけれども、農林省の作ったところは跡形もなくこわれる。なるほど、土地を作るに莫大な金がかかるという経済効果を考えておやりになることでしょうが、そうただただ経済効果のみを考えて作っていただきますると、取り返しのつかない命も奪うことになる。百姓の命はそう安いものではないということなんです。建設省の方は大ぜいだから完全なものを作らなければならぬが、開拓者の方は、たくさんの金をかけては困るから、どうでもいい、入れればいいから作って、水が来たときは死んでいけというような、こういう危険なところにやるということは、あまりにも政府自身が人命を尊重しない行き方だと思う。だから、今大臣のおっしゃいましたように、政府はいいと思ってそこにこしらえたのだ、今度は水に流されたけれども、いいと思う信念は貫こう、そうして再びりっぱな開拓地を作って入れてやろうという御親切があるならば、ほんとうに一人の命も大事に考えていただいて、ほんとうに政府を信頼して安心して入っていける完全なりっぱなものを作っていただくことを強くお願いをいたしまして、私の質問を打ち切らせていただきます。
○角屋委員 ただいまの干拓地の問題に関連して、簡単に私も希望かたがた申し上げたいと思いますが、鍋田問題を初め、三重県の城南あるいは平坂あるいは碧南、こういう伊勢湾に面する干拓地帯がほとんど壊滅状態になったことは、大臣も御視察になっておそらく御承知だろうと思う。先ほど丹羽さんが話をされたことに尽きるわけですけれども、私は一つは、海岸堤防の強さの問題について十分やはり万全の措置をとることが必要だと思う。同時に、いかに万全の措置をとるといいましても、万里の長城みたような高い堤防というわけにはいかぬだろう、おのずからやはり一つの前提条件に基いた堤防設計ということになるだろうと思う。そこで、この前の委員会のときも私は申し上げたのですが、特に留意願いたいのは、これは単に伊勢湾のみならず、今後開拓政策を進めるところの前提条件として、干拓地の設計の問題、あるいは今度の三大河川で起った輪中地帯の村の作り方の問題において、緊急の非常事態において避難をする場所というものをやはりあらかじめはっきりしておく必要がある。つまり、これはきのう述べた報告書の中では明らかにしておるところでございますけれども、学校であるとか、病院であるとか、あるいはその他の施設でもけっこうでございますが、公共的な施設において、非常事態の場合においてはまず婦女子から、最悪の場合においては男も含めてそこに避難をしても絶対びくともしないという、そういう前提条件のものをやはり用意するようにする必要がある。これは、干拓地の場合においても、輪中地帯の場合においても、そういうことを考えて村作りをする、干拓地の形成をやる、こういうことでないと、いかに堤防の堅固なものを作ったつもりでも、どういう異常災害が起るかもわからないという最悪の場合を想定して、そういう点を十分配慮して、今後の干拓地の問題、あるいは従来の問題についても、そういう点から、非常に危険な状態を想定されるところについては、そういう問題も再検討して改正していく必要があるだろうと思う。この点について大臣の所見を承わっておきたいと思います。
○福田国務大臣 御趣旨の線については、さような方向で考うべきものであると思います。
    ―――――――――――――
○本名委員長代理 次に、沖縄周辺海域における漁業問題につきまして質疑の通告があります。この際これを許します。赤路友藏君。
○赤路委員 きょうは外務大臣の出席を求めておったのですが、外務大臣が何か非常にお忙しいようでございますので、次官の出席を求めましたが、何か外遊中であって出られない、こういうようなことであります。そこで、伊関さんにお願いしたいことは、一つ大臣の代理として御答弁を願いたい、こういうふうに思います。
 それは、前回当委員会において私の方から質問いたしましたが、沖縄海域における米軍演習場設定の問題でありますが、その後鹿児島県からの連絡によりますと、外務省は八月十七日の那覇無線放送と、三十三年十二月二十七日の航路告示第五十二号との比較表を作成して、米国大使館に対してそのいずれが正しいかを確認したところ、米国大使館はさっそく沖縄駐留の米軍に照会した、米軍からの電報によれば、八月十七日の那覇無線放送は、軍、沖縄政府、警察、那覇無電局の経路で情報が下達される間において翻訳に誤訳があったものと思われる、こういうような通知があったということですが、そういたしますと、航路告示五十二号が正しいものである、こういうことになりましようか。
○伊関説明員 われわれがアメリカ大使館と交渉をいたしました範囲におきましては、今のところ、昨年の十二月の告示が正しいものである。八月のものが間違っておる。その後もまた間違っておるものが出ておりますので、それもよく調べるようにいたしまして、今後は、告示が出ましたら、ここにおります米海軍司令官のものをもらいまして、向うから送ってきたものをすぐこちらがもらうように今話をしております。
○赤路委員 ただいまの御答弁によると、その後も間違ったものが出ておるということでございましたが、十月三日の海上保安庁の告示の三十九号、これと五十二号とのやはり食い違いがある。この点は今米大使館を通じて何かお話し合いをなされておるかどうか。
○伊関説明員 十月三日というのは、この十月三日でございましょうか。
○赤路委員 そうです。
○伊関説明員 私はそれは存じませんが、ともかく、昨年の十二月のが、これが正しいということだけ知っております。
○赤路委員 昭和三十四年十月の三日、海上保安庁告示第三十九号、これにはやはり永久危険区域に指定されているというので区域を出しております。そうすると、これは三十三年の十二月二十七日の告示五十二号と食い違いがあるわけです。それらの点をどういうふうに取り扱われておるか、聞きたい。
○伊関説明員 その十月三日の分も間違いである、前のが正しいということで、大使館はそう言っております。訂正するようにいたしております。
○赤路委員 そうしますと、一つ御見解を承わっておきたいのですが、告示五十二号の、沖縄島の西方、北緯二十六度四十五分・東経百二十七度二十一分、北緯二十六度四十三分・東経百二十七度五分、北緯二十七度二十分・東経百二十六度十五分、北緯二十七度四十六分・東経百二十七度二十一分、この地域と、それから、沖縄の南方、北緯二十五度三十五分・東経百二十七度四十五分、北緯二十五度三十五分・東経百二十七度五十三分、北緯二十四度五十分・東経百二十八度三十分、北緯二十四度五十分・東経百二十七度二十五分、この二つの今申し上げましたそれぞれの緯度を結んだ海域は、これは完全なる公海で、十二月二十七日の告示五十二号によりますと、これは毎日昼夜間とも訓練が実施され、いかなる船舶も同区域内に立ち入ることは許されていない、こういうふうに五十二号告示にあるわけです。時間は毎日七時から十七時まで。これはどういうふうに解釈いたしますか。
○伊関説明員 ただいま二十四時間というお話でごさいましたが、一つは七時から十七時というふうになっておりますが、そういうのは、七時から十七時の間に、演習をやればその時間内にやる、それから、演習をやるときには、船がおらぬのを見届けてやる、もし船がおってどうしてもやらなければならぬ場合には、誘導して船を出してからやる、こういうふうに申しております。
○赤路委員 これはどちらにいたしましても毎日七時から十七時までですね。しかもこれは期間がない。これがたとえば領海の中においてかような行為が行われるということであるなれば、われわれが他国に対して何ら容喙する権利はないと思いますし、またそういったことはできないと思います。しかし、これは明らかに公海なんです。完全な公海。そこで、たといその時間内であるといえども、毎日これをやる、しかも期限はないのだ、こういうことになりますと、私は非常に大きな問題だと思う。この点どういうふうにお考えになっておりますか。
○伊関説明員 公海でありますから、こちらは自由に漁業をやる権利があるわけであります。また、公海において演習をやるということも国際慣習上認められております。そこで、これがぶつからぬように調整をするという問題が出てくるわけでありますが、今のところ、米軍側は、船がおらぬのを見届けて演習をする、もしどうしてもやらなければならぬ場合に、中におりました場合には、これを誘導して船を出してやるというふうなことを言っておりまして、従来のところ、それほど漁業に支障があったということは聞いておりませんので、まず両立しておるのじゃないか、こう考えております。
○赤路委員 今の伊関さんのおっしゃることは、般が中におれば、これは演習をしない、あるいはおれば誘導して外へ出すというのですが、こういうことは私が今言いました地点に関する限りにおいてはこの五十二号の告示の中にはないのです。そういうことは文書上全然現われていない。その他の地点ではそれはある。
    [本名委員長代理退席、丹羽(兵)委員長代理着席〕
そうすると、今おっしゃったことと、この両方を持っていってどちらが正しいかというアメリカの意見を聞いたというのとは違いが出てくる。だから、それならば、三十三年十二月二十七日の告示は内容がみな変らなければならぬ。少くとも、今言いますように、その一定の区域の中に船がおったときは演習はしない、あるいは船がおったときはこれを誘導して、船のないのを見てあとで演習するというのと、今告示に現われている面とでは非常に大きな相違がある。この点が問題になると思う。そういった中心的な問題についてアメリカ大使館の方と何かお話し合いになったことはございますか。
○伊関説明員 その点は、非常に大事な点でございますので、アメリカ大使館側と話し合いをいたしまして、大使館としてははっきりそう申しておる。ですから、告示が非常に強く響いておりますが、現実にはそうでないという結果になっております。
○赤路委員 伊関さんの言うことはわかるんだよ。告示はそうなっておるが、現実においてそうじゃないのだといっても、告示が生きておれば、これはそれをたてにとられてやられては困る。だから、もしそうであるとすると、この告示内容が変ってこなければいけない。だから、新しくここでアメリカの大使館を通じて軍と話し合われて、告示とは違うんだ、現実にはこういうことなんだということを、やはり告示としてはっきりする必要があると思う。ただ口頭で言っただけではこれは意味がないと思う。そこが私は非常に重要なところだと思う。その点はどうでしょう。
○伊関説明員 時間を区切っておりますのは、午前七時から午後五時というのは、演習をするとすれば午前七時から午後五時の間にやるという意味にすぎない、そして、船がおらぬときにやる、こういうふうに申しておるわけでありますが、確かに告示から受ける印象とは違っておるわけでありますので、あるいは告示を変える必要があるかどうか等につきましては、今後また話し合ってみたいと思います。
○赤路委員 今局長の言われた通りであれば、これは業者としても従来のものと違った安心感が出てくると思う。区域はきめたが、その中に船がおるときは演習はしない、あるいは、誘導して出して、船がおらぬときに演習するんだ、それも毎日ということでなくして、やるときに限ってそういうことをするんだ、こういうようなことであるなれば、これはやはりそのように業者に対して周知徹底をせしめる必要があると私は思う。これは十分米大使館の方と一つ話し合いをして、業者が安心して操業のできるようにしていただきたいと私は思う。ただ現在の文書の中だけからいきますと、これから受ける印象が非常に強い。今の局長の言われるようなそういうやわらかい印象は絶対に受けない。これは、文書面からいきますと、毎日なんです。しかも期間はない。その間船舶は同区域内に立ち入ることは許されていない。国際法上、軍事演習を公海でやってならぬということでなくして、あちらでもこちらでもやっている。しかし、おのずから限度というものがある。無制限に公海で長期にわたって毎日々々やるということは、国際法上、いかに慣例であるといえども、これは私は認めていないと思う。ある一定期間を区切って、しかもそれが他国に対して大きく迷惑を及ぼさない、そういうような他国の利害得失というものを十分考慮の中に入れて、しかも他国に対してそれを正式に通知してやるというのが国際法上の――たとい軍事演習というものが認められておるとしても、私はそれがほんとうのやり方だと思う。そういうことが一つもなされていない。これがこのままで慣行化されてしまう、恒久化されてしまうということになれば、非掌に問題だと思う。今までの局長の答弁から参りますと、非常によくわかるわけです。それなれば、それで正式に告示としてそういうことをはっきりさせていただきたい。こういうような非常に不安を持たすようなあやふやな状態で置いておかない、こういう処置を速急にお取り願いたい、こういうふうに私は思います。先ほど来そういうふうにアメリカの方ともよく話し合いをするということですから、十分一つ御交渉を願っておきたいと思います。
 ところが、最近に至りまして、アメリカの方から、ミサイル発射演習をやるということが発表されております。十月の八日、米大使飢より外務省にこのことが通知されてきた、こういうふうに聞いておりますが、その通りですか。
○伊関説明員 その通りでございます。
○赤路委員 そういうような通知をお受けになって、このミサイル演習の問題について、どう外務省は対処し、措置をいたされたか、その点を伺っておきたいと思います。
○伊関説明員 私の知っております範囲では、水産庁に対しまして、これに関してどういう影響があるか、水産庁の意見を照会しておるということであります。
○赤路委員 水産庁へどういう影響があるか照会中であるというお返事なのですが、これによりますと、十月三十一日から始めて毎週三日間これをやる。しかも、残波岬からあの緯度をはかってみますと百マイルもある。これは単に漁船だけの問題ではない。一般船舶の航行にも非常な大きな影響を及ぼす。しかもそれが十月三十一日といえば、もう目の前に来ておるのです。ただいま水産庁へ照会中だと言うが、もう時期が来てしまいますよ。
 水産庁の高橋さんにお尋ねしますが、時期はもう目の前に来ているのですよ。外務省から尋ねられて、どういうふうに水産庁は返事をしましたか。
○高橋説明員 このミサイルの問題につきましては、ただいま伊関局長からお話がありましたように、外務省から通知を受けたわけでございます。しかし、まだこの地帯におきますミサイルがどういう武器でどういう程度の影響があるのかわかりませんが、通知されました漁場は相当カツオ・マグロ漁業の大事な漁場に当ることはわかっておりますので、杞憂かもわかりませんが、相当これは影響があるのではないかと思われるというとりあえずの意見だけを外務省に言いまして、そういう漁場でありますので、どうしてもこの区域では漁船が操業せざるを得ない、従って、もし危険が起ってもその責任はアメリカ側にあるのだということを明らかにしていただきたいという申し入れをとりあえずいたしておりますが、外務省のお尋ねの詳細な影響等についてはまだお答えしておりませんが、私どもで一番困りますのは、どういうものであってどういう影響があるものなのか見当がつかないということであります。しかし、それだけでは事が済みませんので、わかっている範囲での調査をした上で、外務省にもう一度連絡して善処方をお願いしたい、このように考えております。
○赤路委員 どういう影響がそれによって起るかということは握れないというお話なのですが、これは、ものは言い方で、どういう影響が起るかということは、はっきりやってみなければわからないと言えばそれまでです。しかし、少くともこれは百マイルの区域を公海上に設定してどんどん三日間連続してやるのですから、なるほどどの程度のものかわかりませんが、しかし、少くともミサイル発射ということであって、しかも、それも聞くところによると、ミサイル発射の基礎工事をするのに相当な長期の時間をかけてがんじょうなものを作っておるということを聞いておる。だから、相当大きなものをやるということは想定して間違いはないと思う。その及ぶ影響というものは非常に大きい。魚群が散ってしまうことはもう確実です。それだけではなくして、絶対にその時間内は、あるいはその日は航行はできません。航行は不可能なのです。そういうことが一方的な宣言によって国際法上やれるのかどうか。これは外務省の範疇になるだろうと思いますが、局長、その点はどうでしょう。
○伊関説明員 その点につきましては、先ほどから申し上げておりますように、そういう演習をやる国際法上の慣習はありますが、やはり、こちらの漁業に影響する、あるいは公海の自由に影響することはこちらとしては困るのであります。そこで、米軍の方もわれわれの方へ通報いたしまして、その通報の文書の中には、一年中で最も漁船の出入り、船の通行数の少いときを選んで自分の方はこのニヵ月にやる、六十二日間に二十三回か二十四回――三日に一度ちょっと強でありますが、やりまして、あるいはこの間日本側で特別な事情でもあるならば相談に応じようというような意味でこちらに言ってきたのでありますが、水産庁の方に御照会をしておりまして、一般的な御返事はいただいたわけでありますが、ちょっともう少し詳しいあれでありませんと、こちらとしても米軍と折衝するほど材料がないというところであります。水産庁の方ではこういうミサイルなんというものはよくわからぬとおっしゃる。われわれもしろうとでよくわかりませんけれども、私はちょっと防衛庁その他について調べてみましたが、一発二万ドルというふうなものでありまして、それほどよけい撃てるものじゃない。撃ってみても一日にせいぜい一発か二発くらいのものじゃないか。これは、米軍に聞いてみましても、軍の機密でありまして、一日に何発ということは申しませんけれども、常識的に申しまして、二万ドルもするものでございますから、そうどんどん撃つわけはなかろうというふうに私は感じております。それから、音の影響ということを水産庁では言っておられるのであります。これはこれではありませんが、オネスト・ジョンあたりの発射を見た昔の軍人などに聞いてみましても、むしろ昔の大きな重砲あたりを撃つよりは最初の音響は少い。ロケットでありますから、大体ジェット機が飛んだというふうに見ればいい。これは三、四万メートルの上を飛んでくる爆撃機を迎えて撃つのでありますから、非常に高く撃つ。ですから、飛行機が飛び上るそのときの音と同じように思えばいい、こう思っております。まあ回数はごくわずかだろうと私は考えております。
○赤路委員 局長はだいぶ簡単に言われるのですが、これは議論になりますから私は言いませんが、撃ったときの発射音が水面に反射して、これが水中へ入っていくという伝播の状況といいますか、要するに、撃った発射音の伝播の状況と、撃ったたまが海の中に落ちた場合における落下音と水中での伝播の状況と魚に及ぼす影響とは、相当大きな開きがある。それを専門に調べております学者というものは全国でも三人くらいしかございませんが、とにかく、発射音よりも水中へ落下したときの落下音が大きな影響を及ぼします。そういうような意味から見ても、これは相当大きな影響を及ぼすということは考えなければならぬと私は思います。もちろん、十月八日に来ました通達によりますと、今局長から言われたように、選定に当ってはあらゆる角度から周到な分析が行われた、特に経済活動の破壊を最小にするよう考慮を払った、従って、当該射撃区域内で重要漁撈の実施されない時期に発射を計画したということで、一応考慮を払ったということは言っておるわけです。ところが、これはやはり、米軍側の方のものの見方というものと、こちらの方の漁業者の立場に立った面から見るものの見方というものとは違うだろうと思う。アメリカの方では、こういうふうに重要な漁携の実施されない時期ということを言っていますが、一体どこを角度にしてどの時点を握ってそういうようなことを言っておるのか、これは相当問題があると思う。だから、認識の相違がここへ現われてきておる、こう解釈せざるを得ないわけであります。こういうような認識の相違があるにもかかわらず、その上に乗って一方的にこういう演習をやられるということは、非常に問題がある。かかる問題については、当然、双方で協議して、十分検討をなされた上に、了解と納得がいくなれば初めてそういう措置をとっていいのじゃないか。だから、そういうように事前に協議をしてお互いに了解と納得が取りつけられないままで一方的にやっていくということになると、これはどう考えても、私は、国際法したとい公海における演習というものがあるといたしましても、これは暴挙であると言わなければならぬと考えるわけであります。
 そこで、外務省としては、この問題は目の前に開始する日時が来ておる。十月三十一日ですから、もう余日はない。何とかそういうような事前協議をするという申し入れなり交渉なりをやる意思はありますか。
○伊関説明員 おっしゃる通りでありまして、できれば事前協議をやるにこしたことはないと思いますが、今回のケースについては、八日に言って参りまして、それに対してこちら側としてまだ具体的な返事ができないような状況にあります。つまり、資料としても、これを今すぐ延ばせとかいうふうな材料を持ち合せておりません。将来の問題としては、なるべく事前協議というふうなことをいたしたい。ただ、事前協議をした場合に、こちらがイエスと言うまでは向うは絶対できぬというふうな強い形の事前協議ということになると、また向うにも問題がございましょうし、こうした問題は、お互いに、向うにもそうした権利があり、こちらにも当然権利があって、両方の権利が競合するのでありますから、片一方だけというふうには参りません。これはどこかで円満に妥協していく問題ではないかと原則的には考えております。
○赤路委員 ここの点へ来ますと、私はやはり大臣に出席を求めてお聞きしたがったのです。ここが一番重要なポイントだと思うのです。おそらく、漁業者の諸君の立場からいくと、そういうことではない。漁業者の諸君の立場は、これは絶対やめてもらわなければ困る、自分たちの生活の根源がこのことによってくずされるのだ、生活権の問題なんだ、人道上の問題なんだ、絶対にやってもらっては困るんだ、こういう強い決意を示している。私は今ここで漁業者の意思とはかなり違ったやわらかい点で局長に御質問申し上げているが、私は、少くとも事前協議を、して、お互いに納得のいく線が出るまでは、まず十月三十一日やるべきものをやめさせてでもそれをやらなければならぬ、こう考える。きょうも藤山さんにこちらの方への御出席を求めたのですが、何か安保の問題で交渉がおありのようです。いろいろ問題があるわけですが、もしそうしたことすらもできないということになりますと、何ぼ事前協議だとかなんとか言うてみたところで意味がないことです。今外務省が中心になって進められておるそうしたいろいろな問題をも、お互いに信頼の上に立ってやるんだということであるならば、少くとも当面した問題の解決をつけるという誠意は向うさんにもなければならぬ、私はこう思う。私は今直ちにそうした問題を何もかも廃止してしまえとはここでは申し上げないが、少くとも当面しているこのミサイルの演習を、事前協議をして信頼と納得の上に立ってやるという段階までは持っていけないはずはないと私は思うのだが、どうでしょうか。
○伊関説明員 ある意味で事前協議のようなつもりで、日程はきめておりますが、十月八日にこちらに通報して参ったわけで、こちらとしていまだこれに対してはっきりした、こういう被害があるとか、こういうふうな点でこうしてほしいという資料がない状況でございます。もう少し何か詳しいものがあればまた交渉もできるのでありますが、ただ一般的に漁業に相当に影響がありそうだというだけですと、ちょっと交渉がしにくいというふうに私は感じております。
○赤路委員 影響があるという資料が不備だというお話に尽きると思いますが、その面で水産庁はどういうふうにお考えになりますか。
○高橋説明員 その点、ただいまの伊関局長と若干意見が違う点もございます。具体的な、非常に詳細な資料がなければ交渉ができないということについては、水産庁としてはいささか因るような気がいたします。というのは、詳細な資料を求められても、何せ初めての経験で、なかなかできないという事情については若干私たちも御説明いたしましたし、この漁場が大事な場所であって困るということも申し上げたわけであります。従いまして、詳細な具体的な資料がなくても、そのことがわかるだけでも、何か交渉していただいて、この漁場がミサイルの演習ということでなしに従来通り漁業をしていただく方が少くとも漁業者のためには望ましいというような気がいたしております。望ましいことは、そう詳細な資料がなくてもやっていただいていいのじゃないかという希望を水産庁は持っておるのでございます。
○赤路委員 今水産庁の高橋次長からああいうような答弁があったわけなんですが、局長、これに対してどういうふうにお考えになりますか。
○伊関説明員 これは政府部内であれでございますが、まあ時期的に言いまして、向うは十一、十二が一番影響が少い時期だというようなことを言っております。それに対しまして、漁船の出動数その他から見まして、はっきりと統計か何かでもってこの時期が少くはないのだ、ほかの月の方がいいというふうな資料が出てきますれば、十一、十二というのを今度は別のときにやってもらうというような交渉もできます。それから、その他何かもう少しありますと言いやすいのではないか。ただ影響がある、――これは影響があるので向うもこういうふうに言って知らせてきておるわけであります。全然影響がなければ向うだって黙ってやるのだが、影響があるから、知らせてきて、よろしく頼むと言ってきておるわけでありまして、向うの軍事上の必要ということも私の方はわかります。日本側の漁業の上の必要ということもわかります。どこかでお互いががまんできる線でいきたいというのがいつも考える考え方でありますが、ちょっとどうもこの段階では――初めてのことでありますから、一回やってみればあるいはあとがよくわかるのかもしれない。水産庁の方にお願いするのも無理かもしれませんが、ただ一般的に影響があるというだけでは、ちょっとどうにも交渉がしにくいという感じでございます。
○赤路委員 重ねて局長にお尋ねいたしますが、今水産庁の方では高橋次長からの答弁の通りなんですが、そうすると、今の程度では結局交渉はできない、もっと資料をまとめてこないと外務省としては交渉できない、こういうふうに理解していいわけでしょうか。
○伊関説明員 私はそういうふうに今のところは感じております。
○赤路委員 そうすると、もう少し資料が出ないとこの演習をやられることはやむを得ないんだ、こういうふうに解釈せざるを得ないわけなんです。もちろんそうであっては困るわけなんですが、少くとも、私は、やはり外務省としての考え方は、なるほど、米大使館るいは米軍の方と交渉する場合に、資料が完備しておるということが一番好ましいことだと思うが、と同時に、このことは、下手をすると、補償という問題ですか、見舞金という問題と振りかえられるおそれがある。今漁業者の考えておることは、そんなことは毛頭考えていない。ここで漁業をどうでもやらしてもらわなければ困るんだ、こういう前提の上に一つは立っている。そう考えてもらうと、この際水産庁がどの程度のものを出しておるか私にはわからない、わからないが、一応その線でアメリカ大使館の方と交渉をしてみる、折衝をする、あるいは、先ほどか申しますように、本来やる前にまず一応話をしようということで交渉するぐらいのことは進められはせぬかと思いますが、どうでしょうか。
○伊関説明員 先ほどから申し上げておりますように、こういうケースもございますし、先ほどの問題でございますが、この一般的な永久危険区域というああいう問題から初めて沖縄周辺の漁業の問題というものが私どもの耳に入ったわけでありますが、あれで交渉をいたしまして、それからこの問題がすぐ続いて出たわけでございます。今いろいろと今後のことについては話をしておりますが、今後こういう問題が起きます際にはもっとずっと連絡をよくするようにいたしたいと思っておりますが、さしあたってのこの問題について、これを延ばさせたらどうかという問題につきましては、先はども申し上げましたように、ちょっと私どもは資料が足らないのじゃないかと思う。六十日間に二十三、四回やるわけでございますが、三日に一度ぐらいになる。それがそれほど大きく響くものであるかどうか。それから、もう一つは、今のたまが落ちる影響というお話でありますが、それがどの程度に大きな影響を持つのか、普通の大砲のたまが落ちた場合と違うのか。回数も非常に少いと思っております。私自身が絶対これをやめろとか延ばせとかい強い主張ができるとは――もちろん影響があることはわかりますが、向うとしては非常に大事な演習でありますので、これを薙げせとかやめろとかいうほどの強い主張ができるかどうか、私自身そこに自信がないような感じがいたすのであります。
○赤路委員 これ以上質問をしてみましても、これは行ったり来たりするだけのことになりそうですから、もう質問はしないでおきましょう。ただ、前に問題になりました沖縄の演習場、昭和二十三年十二月二十七日航路告示五十二号に出た線は、先ほど来の御答弁によってよくわかったわけなんです。その点は御考慮を願う、こういうことにして、ミサイルの問題につきましては、もう一段、一つ無理な注文かもしれないが、考え方を変えて御交渉願いたいと思う。実は私いろいろこの問題を調べておりましたのですが、その中でこういう一文がありました。サンフランシスコの平和条約会議のとき、インド政府がこれに参加する、そのときの合衆国とインド政府との交換公文がある。その交換公文の中にこういう文章がある。「日本が自国民と歴史的親近性を有する住民が居住し他のいかなる国からも侵略によって獲得したものではない領域に完全な主権を回復しようと欲するものと予期することは極めて当然であります。琉球諸島と小笠原群島とは、この条件を完全に満たすものであります。それにもかかわらず、条約は、合衆国政府がこれらの諸島の上に信託統治権を求め獲得するまで、依然として合衆国の立法上及び行政上の支配の下に置かれるべきであると提案しているのであります。このような取極が日本国民の大部分にとって不満の根源とならざるを得ず、極東における将来の論争と紛争の種子を残すことになることは、インド政府にとって明らかであります。」、私は、この一文を見ましたときに、国民の一人として非常に赤面を感じた。八年前にインド政府は、この沖縄、小笠原の問題についてそのものずばりと言っていいほどこれを指摘し、その本質をついていると私は思う。今度のこの題については、政府の方としてはいろいろないきさつもあろう、また、政府の立場の従来の対アメリカ政府との関係から言ってのつらさと申しますか、こういったことも私はわからぬではない。しかしながら、私は、この際外務省に言いたいことは、日本とその国民を忘れないという立場で一つこの問題に対して対処していただきたいと思う。私どもは、単に政府を攻撃し、あるいは外務省を攻撃して困らすんだということではないのでありまして、現実の問題として起っておる、しかも現地で漁業が全然できないというような状態に陥る、このことの及ぶ影響というものを非常におそれるからであります。ぜひ一つそういう点を考慮願いましてこの問題について速急に何らかの手を打っていただきたい。と同時に、もし、今の程度の水産庁の報告では交渉できない、こういうお考えがどうしてもぬぐい去れないとするなれば、一つ水産庁ともっと緊密に連絡をとって、そうしてあなたの方で納得のいくような形ですみやかにアメリカ大使館と交渉を開始していただきたい。私のお願いしたいことは、何といっても、少くとも国際法上の関係からも、あらゆる観点から考えてみまして、最小限、まず十月三十一日から第一次をやるというのをやめてもらう、そうして事前協議に入ってもらう、これすらもできないというようなことは私はあり得ないと思う。アメリカがほんとうに人道主義の国であり民主主義の国であるとみずから称するなれば、私はその程度の譲歩は当然やってくれるものと思います。どうかそういう意味で一つ、ここ旬日の間のことでありますから、外務省の最善の努力をお願いしたい。と同時に、水産庁の方でも、外務省と十分連絡をされて、この点に対する善処をお願いいたします。別段答弁を要求いたしません。私の最後の希望要件だけを述べて質問を終ることにいたします。
○保岡委員 関連して……。
 沖縄の周辺の演習地帯に対しましてのわれわれの気持は、赤路委員から十分に尽されておるのでございますが、実は、業界におきましても、季ラインその他の制約を受けて、カツオ、マグロ等の漁場はたった一つ沖縄のあの周辺しかない、しかもそれが演習地帯と同一であるということでありますので、そういう意味におきまして、先ほどからるるお話のありますように、全く漁民の生活権ということに関連してくるわけであります。しかも、その地域の大部分が公海である。公海においてはおのおのの各国の主張を調整して、そこに合理性を見出していくということは当然のことでございますが、そういう意味におきまして私の非常に残念に思いますことは、わが漁民の生活権を守るべき水産庁が、少くとも、ミサイルのみならず、それ以前における爆撃演習そのものによって相当な打撃を受けるのだというその認識あるいはその信念のもとに、なぜ外務省を通してその件を申し出て、演習地帯を変更するというところまで行ってもらえないか。私は、その意味におきまして、今いろいろ質疑応答を聞いておって、水産庁のきわめて不親切と申しますか、あるいは研究が足りぬと申しますか、業界はこうだと思っておるのに、それを裏づけする研究的な成果を持っておられないような気持もいたすので、非常に残念に思う。その点についての御所見を伺いたい。
○高橋説明員 あるいは言葉が足りなかったと思いますが、爆撃の被害も相当あることを知っておりまして、なお今後とも資料の収集に努めまして外務省と連絡して善処いたしたいと思います。
○保岡委員 外務省におかれましても、水産庁はそういうふうにまだこれからいろいろ資料を出すそうでございますから、ぜひ一つ、少くとも地域の変更を願うことが日本国民のほんとうの念願であるという申し入れをやっていただきたいと思います。御返事はいかがでありましょう。
○伊関説明員 仰せの次第はよくわかりますので、私どももできるだけのことはいたしたいと思っております。また、過去におきましてもやって参りましたけれども、もっとやりたいと思っております。
○丹羽(兵)委員長代理 本日はこれにて散会いたします。
    午後六時十六分散会