第033回国会 科学技術振興対策特別委員会 第6号
昭和三十四年十二月四日(金曜日)
    午後一時五十三分開議
 出席委員
   委員長 村瀬 宣親君
   理事 西村 英一君 理事 平野 三郎君
   理事 前田 正男君 理事 岡  良一君
      秋田 大助君    大坪 保雄君
      木倉和一郎君    久野 忠治君
      小平 久雄君    濱野 清吾君
      堂森 芳夫君    西村 力弥君
      松前 重義君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 松田竹千代君
        建 設 大 臣 村上  勇君
        国 務 大 臣 中曽根康弘君
 出席政府委員
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   原田  久君
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局次長)  法貴 四郎君
        外務事務官
        (国際連合局
        長)      鶴岡 千仭君
        運輸政務次官  前田  郁君
        気象庁長官   和達 清夫君
        建設政務次官  大沢 雄一君
        建 設 技 官
        (河川局長)  山本 三郎君
 委員外の出席者
        総理府技官
        (科学技術庁資
        源局長)    黒澤 俊一君
        文部事務官
        (大学学術局学
        術課長)    岡野  澄君
    ―――――――――――――
十二月四日
 委員細田義安君、南好雄君、八木徹雄君及び辻
 原弘市君辞任につき、その補欠として大坪保雄
 君、久野忠治君、濱野清吾君及び西村力弥君が
 議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員大坪保雄君、久野忠治君、濱野清吾君及び
 西村力弥君辞任につき、その補欠として細田義
 安君、南好雄君、八木徹雄君及び辻原弘市君が
 議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 台風の科学的総合対策に関する件
 原子力行政に関する件
     ――――◇―――――
○村瀬委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
     ――――◇―――――
○村瀬委員長 本日は、一昨二日の本委員会において、台風の科学的総合対策確立並びにこれに伴う国際協力の推進に関する件について決議を行なったのでありますが、本件に関し、政府の所信を聴取し、質疑を行ないたいと存じます。中曽根国務大臣。
○中曽根国務大臣 台風の科学対策につきましては、昭和三十四年十月九日の閣議了解に基づき、臨時台風科学対策委員会を設け、目下検討を行なっておりますが、特に急を要するものについては、すでに三十四年度補正予算として要求し、国会の御承認を得たところであります。しかし、さらに抜本的対策につきましては、同委員会において各省庁の調査資料を総合的に検討するとともに、近日、伊勢湾台風被災地に調査団を派遣して実態調査を行なって、総合的な科学対策の検討審議を行なうことにいたしております。その報告は、来年三月末日までに正式に提出いたすことになっております。その同委員会の結論を待って、科学的対策を確立し、これを推進することにより、災害防止の実現をはかりたいと思います。
 台風の科学的研究につきましては、国内における研究の中心機関として、気象庁に台風研究部を設け、関係各省庁の協力を得て、飛行機、船舶、レーダー等による観測体制を整備して研究を推進する必要があると思われますが、なおその実現に努力いたすとともに、国際的な災害をもたらす台風のことでありますので、台風の研究については、わが国同様、台風の影響を受ける太平洋地域の諸国及びハリケーン、サイクロン等の研究に当たっておる米国、インド等の諸国と情報の交換、研究協力等、国際的な協力を行ない、研究の飛躍的発展をはかることが望ましいと思いますので、今後とも国際協力の実現について努力いたしたい所存であります。
    ―――――――――――――
○村瀬委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。平野三郎君。
○平野委員 ただいま政府のお話によりますと、臨時台風対策委員会でございますか、そういうものを部内にお作りになって、来年三月末日を目途として調査研究を進められておる、まことにけっこうでございます。その委員会の御活動によりまして三月末日までに結論が出るわけでありますが、これは早急を要しますので、その中間において、ある程度の御報告をいただきたいということをお願いいたしておきます。
 この際、今日までの御活動についてどの程度のことが得られたか。先般大臣は、本委員会におきましても、オーストラリアにおいて行なっておる人工降雨の研究等について台風の勢力を弱めるとか、あるいはその進路を変更せしめるというようなことについて相当の御確信があるようなお話を承わったのでありますが、ついては、この際、今日までの委員会の御努力の経過、何回くらいお開きになったのか、また、どの程度に進行しておるかということを、いま少し詳しく承りたいと存じます。
○中曽根国務大臣 中間報告は、私もできるだけ早く出した方がいいと思いまして、とりあえず現地視察をしてきた結果に基づきまして、大まかな問題点の指摘及び大まかな対策等を列挙した中間報告を、十二月の二十日ころに出してもらうように今進めております。それから、さらに来年になりまして、研究の進むに従って、適当なときに文書による中間報告をしてもらいまして、最終的には三月末日以降で全部締めくくるという考えで進んでおります。
 それから、委員会につきましては、回数は私失念いたしましたが、あの台風が起こりましてから、たしか四回ないし五回くらい委員会を開いておると思います。そして関係学者の意見を徴しまして、具体的にどういう対策を講じたらいいか、まず、科学的な対策として台風の生態研究、あるいは外国におけるそういう研究の進捗度合い、それから台風が上昇してくるあの南太平洋地域における観測網の整備、それから台風が接岸してくる場合の台風把握の方法、高潮の問題、あるいはそれに伴う測候所や気象庁の手配、それから民間との連絡活動、台風が吹き抜けて日本海岸へ行ったときにフェーン現象をよく起こしておりますが、その場合の対策、それから洪水が起きてくることに対する諸般の対策、それから特に東京湾、大阪湾、有明湾等における台風の危険性、高潮の危険性等々を検討し、なおまた、国際的に協力していくということが好ましいという観点から、一つには、現在米軍機によって観測しておるのを、順次日本に移譲してもらうように方途を講ずるということ、それから、必要あらばアメリカ、豪州あるいは関係各国ともこれに関する研究会議なるものを開催するというような構想について、いろいろ検討して参った次第でございます。
○平野委員 台風につきましては、対策として、まずもって、どの地点にどの程度の台風が発生したかということをキャッチすることが先決でありますが、それについて、現在の施設をもってどの程度のところがキャッチし得るかということ、それから、今大臣のお話によりますと、今後アメリカと連絡をとる、あるいは米軍機によるものを日本に移管するとか、あるいは、今回特に補正予算によってレーダー網の拡充をはかるというふうなことになっておりますが、そういうことが計画通り達成せられた場合においては、どの程度までその距離を伸ばすことができるようになるか。すなわち、台風が発生して日本に向かってくる何日くらい前からこれがわかるようになるかという点について承りたいと存じます。
○中曽根国務大臣 台風発生の研究は、実は、まだ各国とも的確にできていないようであります。アメリカにおきましても、ハリケーンの目がどういうふうにして結び始めるかということについては、的確にはつかんでおらないようであります。これは荒川さんが、おととしか去年、日本で行なわれた台風の会議に出て、またアメリカヘも参りましていろいろ会議にも出た結果によりますと、まだ的確にはつかんでいません。まず、台風がなぜ起こるかということも、理論的にまだ解明されていないのであります。これは二説あるそうでありまして、一説には、南半球の冷たい向こうの冬の空気が北半球に忍び込んできて、それから対流状態が小部分に起きてきて、それが雲を巻いて台風を起こす、そういう議論もあるようであります。また、一面においては、南洋の発生地帯における海流の温度が違う、その温度の較差の境目に台風が起きてくるというような議論もあるようでありまして、的確な発生論の研究というものはできておらないのであります。それから、台風の目が結び始めたときの航空写真というようなものも、まだないようであります。私は、一回、これがその初期であるという写真を見ましたけれども、そういうものを正確につかんだものはまだないようであります。従いまして、台風の生態研究には、発生をつかむということが非常に大事なのです。それには、マリアナ群島付近に起きるのでありますから、あの辺に国際的な研究協力機関でも置いて共同観測をするなり、あるいは軍の力も借りて、常にあの辺に飛んでいる飛行機に通報を受けるとか、船舶に通報を受けるとか、発生をつかむという国際協力がまず必要であるように思います。
 それから、日本といたしましては、今まで気象庁の気象研究所が台風の研究を多少はいたしておったのですが、ほとんどやっていないというにひとしい。これに関係している学者も、荒川さんの話ですと、五人かそこらしかいなかったようであります。それも、そればかり研究している学者という程度ではないらしい。そういう点からいたしまして、気象研究所の中に台風研究部というものを創設いたしまして、かなりの人間をこの中に入れて、それから実験施設も入れて、そうして理論的に考えられる台風の構造の解明を実験を伴ってやるということが必要であるように思いまして、来年度の予算では、その構想で研究部を作り、また、実験を行なうというところまで進んでおるのであります。室を四つばかり設けて、一室、二室を研究、三室、四室を実験的なものにするとか聞いております。それで、たとえば、飛行機の場合は、遷音速風洞みたいなものができておりますが、台風についても、そういうふうに蒸気の発生装置を作って、そこで、ちょうど後楽園にありますローターのように回りを回転させて地球の自転みたいなことをさせて、その水蒸気がどういうふうに巻いておるか、そういう研究等も始めて、台風の発生を学理的に解明してみたいということであります。
 それから、人工降雨の問題も非常に重要な問題でありますので、現在、気象庁長官の和達さんが会長である人工降雨委員会というものがありますが、あれをもう少し拡充して、この実験をもっと強くやっていく、そういうようないろいろのプロジェクトを来年度から総合的に実施したいと思っております。
 なお、レーダーにつきましては、四百キロくらいのレーダーがほしいのだそうでありますが、現在はそこまでいっていないようで、せいぜい二、三百キロくらいしかいっていないようであります。四百キロくらいのレーダーが日本列島の要所々々につくと、台風の上陸地点を的確に把握することができる。それから南大東島とか、あの南の台風銀座の通路に当たる要所々々にそれを据えるということも非常に大事であると思いますので、レーダーの性能を向上させるということも、今後の研究課題でもあると思います。
○平野委員 中曽根国務大臣にはなおいろいろたくさんお尋ねしたいことがございますが、ただいま村上建設大臣が見えましたので、こちらはお客様でありますから順序を変えまして、一つ村上さんにお尋ねをいたしたいと思います。
 すでにごらんになったと思いますが、本委員会におきまして、お手元にありますような決議をいたしたわけであります。実は、台風については、建設大臣とされては今回も非常な御活躍をされまして、われわれひとしく敬意を払っております。かつて本院の災害対策特別委員長でもあり、また、この道にかけては御本職でありますので、非常に的確、かつ、適切に対策ができまして、その御奮闘については、おそらく全国民が感謝感激をいたしておるところであります。しかしながら、台風のあとの復旧だけではもちろんだめなのでありますから、何としても台風を予防するということ、すなわち、これに対する科学的な対策ということに建設大臣とされても大いに意をお払い願わなければならぬと思うのであります。建設省としては、この点についても従来も相当考えられておるようでありますが、まだ大いに不足するところがあるのではないかと私は思いますので、この決議によりますような趣旨に対して、建設大臣としてはどうお考えになっておられるか、また、今後どういう措置をおとりになるのか、来たるべき来年度の予算編成にあたりましても、当然建設省としてはこの点について意を用いなければならぬと思うのであります。その辺につきまして、建設大臣の御所信を承っておきたいと存ずるのでございます。
○村上国務大臣 当委員会におきまして、台風の科学的総合対策確立並びにこれに伴う国際協力の推進に関する重大な御決議が満場一致をもって行なわれましたことは、全く時宜に適した御決議である、その御決議に対しまして敬意を表し、私どもも十分この御決議を尊重いたしまして、将来の科学的な総合対策を十分推進して参りたいと思っている次第であります。
 申すまでもなく、今回の伊勢湾台風による人的被害、いわゆる人的犠牲の多かったということは、これは、やはり私どもとしては、どうしても波の高さとか、あるいは風の強さというようなものが科学的に前もって予知することができておりましたならば、かような被害もあるいは半減し、あるいは皆無となったかもしれないと思うのでございます。特に、先般能登半島に、私、現地視察をいたしましたが、あの能登半島の集中豪雨等も、科学的な設備が完備しておりさえすれば、これらを時間的にも、何時に非常に強い集中豪雨がくるということが十分察知でき、これを知らすことができるというのでありますが、これらの施設がいろいろな関係上どうしても従来不足いたしておりますために、この被害の程度を軽減していくことができなかったというような点も十分察知できた次第であります。従いまして、今回の当委員会における御決議は十分私どもの共鳴するところでありまして、建設省といたしましても、今次台風の経験にかんがみまして、三十五年度予算要求に対しましても、土木研究所等の科学技術的な予算の要求も積極的にいたしておる次第でありますが、なお御趣旨に沿って、今後われわれこの方面に対して十分研究し、また、推進して参りたいと思っている次第であります。
○平野委員 建設省といたしましては、私がこれから論じようとしておるような、マリアナ群島に発生するところの台風をそこでキャッチして予防するというようなことまではできないと思いますが、少なくとも、国内におけるところの対策についても、現在はなはだ遺憾な点が多いのではないか。第一、建設省と各県との連絡というような点においても、もう電話線が切れて、電話が通じなければだめになるというようなことであり、ことに各県から、さらに各郡市の土木出張所、警察というような点につきましても有線の連絡しかないわけでございます。かつてあなたは、郵政大臣とせられてもその方の御見識もおありになるわけでございますが、特に今回の伊勢湾台風におきましては、真夜中に台風がきて、しかも、たちまち電信電話が不通になってしまった。従って、ラジオやテレビなども全然だめになってしまって、結局たよるのはトランジスター・ラジオとか、そういうふうなものしかない。ところが、トランジスター・ラジオというようなものはまだ普及しておりませんので、ことに中部地方の山間僻地等におきましては全くめくらになってしまった。実は私、岐阜県でございますが、私の郷里などは、真夜中であって、電信電話が不通、汽車ももちろん不通という関係で、全然連絡がつかぬがために、全滅したというような流言飛語が飛びまして、それで大へんな社会不安を醸成いたしたのであります。してみますれば、どうしても、少なくとも建設省と各県、あるいは各県内の土木出張所、警察くらいは無線による連絡がなければ、災害の対策も立てようがないということになるのではないか。従って、どうしても来年度予算の編成においては、少なくとも各関係の役所、警察、土木出張所、できれば県の地方事務所というようなところくらいは、マイクロウェーブでもってたちまち連絡がつけ得るというような体制をとっておかなければいけないのではないか。また、こういう非常の場合における国務大臣あるいは各県の知事、災害対策の本部の長官というような者の乗っておられる自動車には、無線による連絡ができるようにすることが必要ではないか。建設大臣が自動車に乗って視察に行く、その自動車に乗っておる間は連絡もつかぬし、指令も得られないというようなことではいけないのでありますから、どうしても建設大臣の乗用車くらいは、常に本省と無線の連絡がとり得るというようなことはあってしかるべきだと思うのでありますが、そういう点において現在の体制ははなはだ不十分、不満足である、こう思うわけでございます。これは運輸省ももちろん同一でありますから、これについて建設大臣及び運輸政務次官の御見解を承りたいのでございます。
○村上国務大臣 通信連絡というものが非常に不十分であるということは、従来の台風もそうであったでありましょうが、今回の伊勢湾台風については特にその感を深うした次第でありまして、それは平野委員も御指摘の通りであります。九月二十六日の晩、私ども建設省の首脳部は、ほとんど徹宵して各地の情報を集めようとして本省で警戒に当たったのでありますが、どこからも何のたよりもこない。翌日になっても、どうもはっきりしたことはこない。ただ、きたのは新聞情報のような、単に名古屋の中村アパート倒壊のため何十人とか死傷者があったとかいうことを私は朝つかんだくらいでありまして、ああいう台風がきて電話線が切断されてしまいますと、無電装置がなければ何もできない。これでは、目と鼻の中京地区でさえもこういう状態でありますから、九州あるいは北海道というように、少しでも離れた方面にこういう災害があった場合には、ことさら通信の不能によって対策が非常におくれてしまうのではないかというようなことを憂慮するものであります。従いまして、私どもも、無電による現地との連絡、これを緊密な連絡がとれるような措置を何とかしてこの三十五年度から講じて、一朝有事の際に万遺憾なきを期したい、かように思っておる次第であります。
○前田(郁)政府委員 ただいまの平野さんのお尋ねの通信機関の問題でございますが、気象関係の通信につきましても、従来整備改善が行なわれなければならぬということで、運輸省としても十分その方面に努力してきたのでありますが、今回の災害にかんがみまして、特にそういうときには通信系の確立をするようなふうに、ただいま努力をいたしておる最中でございます。
○平野委員 ただいまの大臣の御方針、了承をいたすものでありまするが、急ぎますので、どうしても来年度予算で早急に整備をする必要があるのじゃないか。この点については河川局長が来ておられますが、相当無線警報というのですか、今までも建設省も多少持っておられますが、この際大々的に拡充して、少なくとも、土木出張所と県庁と建設省というものがさっとマイクロウェーブで連絡するくらいのことは、この際予算要求が必要だと思います。その点についての内容をちょっと承りたいと思います。
○山本政府委員 御説の点ごもっともでございまして、建設省といたしましても、数年来無線の通信網の整備には努力して参っております。内容といたしましては、各地方の水防管理団体あるいは県で携帯無線を用意しようというものに対しましては、補助金を出しております。それから地方建設局と本省との無線連絡も必要だということで、本年度におきまして九州と四国と本省が連絡できるようにはいたしたわけでございます。そのほか、来年度におきましては、水防管理団体あるいは県の無線の設備をさらに増加をしようということで、先ほどお話がございましたように、無線なり、あるいは人命救助のできるような道具を積んだトラックを各地方公共団体に用意させようということで要求しております。さらに、また地方建設局と本省との連絡あるいは地方建設局と各県との連絡ができるように、それらの今までやっておりますものを、さらに網をこまかくしまして増強しようということで、来年度は特に力を入れまして要求をいたしております。
 それからもう一つ。これは私どもの直接できることではございませんけれども、ラジオが普通の電気でやっておりますと停電した際困りますから、これを何とかトランジスターみたいなものを各地方に備えていただくようにしております。せっかく無線ラジオでやりましても聞こえなかったというようなことで、それらの点につきましても、重要な水防管理団体、あるいは地方の町村長のところなどにはそういうものを施設していただかないと、せっかく放送をいたしましても向こうがキャッチできないという点がございますので、これらの点につきましてもあわせて整備してもらうように、これは自分でできることではございませんが、努力してもらうように考えております。
○平野委員 今申しましたように、大臣の乗用車にも無線の連絡ができる設備、これは年がら年じゅうやれとは申しません。普通の場合、そんなことをやっておっては、しょっちゅう電話がかかってきてお休みになるひまがないということでございますから、これは非常の場合だけでよろしいが、少なくとも、建設省には、非常の場合の最高司令官が連絡を常にし得るような、そういう自動車を用意するということが必要だと思いますが、その点はいかがでございますか。
○村上国務大臣 なかなか車にまで――これはその必要やむを得ない場合には、何も大したことはないのですから、それくらいのことはけっこうと思います。私は、もういざとなれば、役所に詰めて、役所を離れないで指揮するつもりですから、そう途中の車にまでも必要は感じませんが、しかし、現地等を視察している場合には、何かそういうような携帯用のものがあれば、そういうことも私は必要ではないかと思います。たとえば、山梨県に行って、山梨県の現地を視察している際に、どうも岐阜県の方に回らなければいかぬとかなんとかいう、そういう場合もありましょうし、そういうことも十分今後の課題として研究してみたいと思っております。
○村瀬委員長 西村英一君。
○西村(英)委員 建設大臣に二つ、端的にお伺いしますが、私、抜本的にといいましても、なかなかこれはむずかしいので、台風の発生から被害防止ということについてはいろいろあると思うのです。そこで、そういう観点から見まして、抜本的でなくとも、建設省のいろいろなやり方ですね、なかんずく都市計画、これあたりのやり方について相当に考えなければならぬ。これは抜本的でなくて、日常の業務として。たとえば、この間うちちょっと雨が降りましたでしょう。あの雨でも、もうあのお堀ばたの向こうでは自動車も通れないくらい水がたまっている。下はお堀ですよ。上の道路に水一ぱい。これは何も抜本的でなくてもいいのですが、どっかに欠陥がある。現在は都市がだんだん川が埋められておる。水がはけない。卑近なところからとらえて言っても、建設省の都市計画はよくないと思う。都市計画に相当の力を――これは台風被害を防止するという点から考慮すべき点が多々あると思うのです。そこで、これは大臣もおそらく同感であろうと思いますから御答弁のあれはないかと思いますが、今後、たとえば臨海工業地帯あるいはいろいろな場合に、公有になるところの敷地を相当にたくさんとらなければならぬ。また、水はけを相当よくしなければならぬ。この間うちのちょっとした雨でも、宮城の横っちょのあの大通りは下が池でありながら、水がはけないんですよ。都市計画は、おそらく建設省がやっているんでしょう。どうしてこういうことが起こるのか。これは答弁の必要はないかもしれませんが、一つ大臣、これからの都市計画に――国土総合開発の委員会ではそういう問題も出ておるかもしらぬが、その点につきまして、国土開発の点、都市計画の点から相当に私は欠陥があると思いますので、大臣の所見がありましたらお伺いしたい。
○村上国務大臣 都内に滞水するということは、これは非常に水面よりも低い個所はやむを得ぬといたしまして、水面よりも高いところにそういうような滞水があるということは、これは全く下水が完備していないということであろうと思います。その点につきましては、東京都の場合は東京都の都市計画課とも十分検討いたしまして、そういうことのないように努力して参りたいと思っております。とにかく、この海面埋め立てによる土地の造成については、もっと公有地というものを相当広くとっておくということは、これはこの前の伊勢湾台風の長島地区あるいは木曽岬地区等、ほとんどもう山という高いものは一つも――万一の場合に、鉄筋コンクリートの学校でもあれば、学校の二階にでも上がれば助かるが、それ以外のところは、ほとんど高い陸地というものはないということになっておりますから、私は、ただいま御指摘のように公有地をとるということと、その公有地を相当高くして、公園のようなものがあって、万一の場合には、そこへさえ行けばだれも避難できるというようなところも必要であろうと思います。特に埋立地先との関連等を考えまして、海面埋め立てによる土地の造成については、十分その地先の関係も、隣接地の関係等も考慮いたしまして、万事遺憾なきを期したい、かように思っております。
○西村(英)委員 私も、都市計画の点について、特に今後一つ注意をしていただきたいと思います。
 それから、もう一つお伺いしたいのでございますが、結局、こういうように施設が非常に複雑になってきますれば、相当に施設の建設について注意しなければならぬ。と申しますのは、たとえば建築物については、ある風速で設計をする、それから電気工作物につきましても、ある風速で設計をする。それが、施設が非常に複雑になってきますと、台風でやられると被害の及ぼすところが非常に甚大なんです。たとえば、河川局長が申しましたように、ラジオも聞こえぬ。それは電気がとまるからです。電気がとまるのはなぜか、鉄塔が倒れるからです。鉄塔はなぜ倒れるか、風速四十メートルで設計しているからです。前は四十メートルでよかった。あるいは建物にいたしましても、ある風速で設計してある。ところが、だんだん人間社会の施設が複雑になってきますれば、そういうようなことにつきまして、一ぺん根本的に考え直さなければならぬと私は思うのです。そういうことが、抜本的ということであろうと思うのでありますから、建物の設計の風速、あるいはその他工作物の風速というようなものにつきまして、もう一ぺん検討をこの際お願いいたしたいと思いますが、大臣、所見がありましたらお伺いしたいと思います。
○村上国務大臣 今回の伊勢湾台風の経験から、私ども今まで考えたこともないような状態になっておることを見まして、われわれの従来の考え方というものを改めなければならぬと思います。この点は御指摘の通りでありまして、中部電力のコンクリートの電柱、あるいは名四国道に沿った電柱が、ほとんど地上約一メートル五十くらいのところでみんな折れているということ、それから、かつて私ども見たこともない高圧送電線が相当多数に倒壊した。こういうことは、私は技術的な問題についてはよく存じませんけれども、実はひどい状態になっておる。こういう点から考えますと、将来の送電線あるいはその他の電柱等についても、相当今後考え方を改めていかなければならない。同時に、住居につきましても、もとより風速六十メートルというような台風を考慮に入れて、十分それに耐え得るような処置をさすように、建築基準法等によって何かの指導をしていかなければ、国民を台風の被害から救うことができないという点については、各関係当局で十分調査研究いたしておるところであります。
○平野委員 それでは中曽根長官にさらにお尋ねをいたしますが、今の台風研究部を気象庁にお作りになるという構想、その点まことにけっこうでありますが、しかし、それだけではとうてい大なる期待はできないのではないか。今台風研究部を作って相当充実するということすらも、これは普通の長官であれば、大蔵省との予算折衝において、大蔵大臣の前に涙をのんで、それすらも実現できないと思いますが、しかし、中曽根さんのことでありますから、必ずや要求を全部貫徹されると思います。しかし、それができましても、なお私は、そう大したことはないのではないかと思う。そうしますと、どうしても科学的な台風対策について、もっと大々的な構想をもってこれに臨むべきではないか。と申しますことは、とにかく今回の伊勢湾台風だけでも何兆円というような損害なんです。おそらく、毎年々々わが国全体のこうむる災害の量というものは、想像を絶するほどの莫大な金額になるわけでありますから、それに対する予防の対策として、相当の用意を持ってしかるべきである。それは単に政府だけの力ではなく、民間からも、大いにこれに努力をせしめるということもあってしかるべきであろうと思うのであります。従って、単に気象庁の中に台風研究部というものをお作りになるのみでなく、さらに飛躍をして台風に対する専門的な大研究所を作りまして、もちろん政府も出資をするわけでありますが、一般からも金を集めてやるという構想も、この際必要ではないかと感ずるわけであります。民間としても、そういう機関ができるということになり、政府が音頭をとるということになるならば、毎年々々莫大な被害をこうむっております一般の方面からも、おそらく相当これに協力をするというふうに思いますので、そういう御構想があるかどうか、お尋ねをいたしたいのでございます。
○中曽根国務大臣 本委員会が、台風の科学的処理につきまして、非常に御関心をお持ちになって下さいますことを私は非常に感謝いたすものでございます。先般の御決議の中にも、今の平野委員の御質問の趣旨は盛られておるように思います。この御決議を体しまして、いろいろ私も考えてきたのでございます。しかし、これには相当の準備がないと、大きな力強いものを発足させることはできないように実は考えまして、とりあえずは台風研究部ということで発足をして、これを順次育成せしめていく。多少時間をかける必要があるように思っておるのであります。と申しますのは、台風の科学的研究という面の学者はそう日本にはまだ多くない。従いまして、この卵を育成していくことから、ある程度やらなければならぬ。それから、実験研究をするための施設その他についても若干の時間が要ります。それから最も大事だと思うのは、国際的協力だと思うのでありますが、これにつきましても、この御決議の趣旨を体して、これから実現していこうと思うのでありまして、やはり一年くらいはそういう諸般の準備、学者の養成等にとられると思いますので、とりあえず研究部を作ってそれを充実させながら、次のステップへ前進していく方法をとりたいと思います。
○平野委員 台風がマリアナ群島付近に発生をする、まずそれをキャッチするということが必要でありますが、それが、いわゆる目というものを持つようになるのはどの付近であるか、またどの程度の時間がかかってそうなるか。この間のお話でも、まず目をキャッチして、そこへ飛行機でドライ・アイスを持って行って投下して台風を弱める、こういう構想であります。まずもって目をキャッチすることが必要であると思いますが、目というものがキャッチできる段階になるのは、日本からどのくらいの距離においてそういうことになるのか。専門的なことでありますから、気象庁の長官からでもけっこうであります。
○中曽根国務大臣 具体的には気象庁の関係の方からお答えを願いたいと思いますが、まだ目を的確に把握をするというところまで、アメリカ及び日本の研究は進んでおらない。進んでおらないというよりも、そういう意図がなかった。従って、これからそういう意図を持ってやれば必ずそれは可能だと思いますけれども、まだ着手を全然していなかった、そういう状況にあるよりであります。現在、台風が発生したということを日本でどうして知っているかと申しますと、グアム島、それかり沖繩、横田の基地にある米軍機が哨戒をして、その米軍機から、台風が出てきたという通報を聞いて気象庁はそれを知るという、間接的なことになっておるのであります。もう一面においては、気象庁の方で各地の等圧線を書いておりまして、どうもこの等圧線の移動から見るとこの辺に台風が発生したらしい、いろいろな影響を図で見ておって勘でそういうふうに感じてくるころ、米軍機からの通報で、台風がこの辺に発生した、この辺らしい、そういう程度の状況らしいのです。そこで、もう少し発生地帯における科学的設備を充実すれば、もっと的確に、東経何度、北緯何度というところまで、発生についても私はできるに違いないと思いますが、現在はそこまでいっておらないという話でございます。もし気象庁の方で何かつけ加えることがあれば……。
○和達政府委員 中曽根大臣がおっしゃいましたことは、専門家が申しましても、それと同じでございます。
○平野委員 現在のところでは、台風の発生した個所を探知するのには米軍機の通報によってやっておるということでありますが、そうしますと、アメリカと日本との関係は現在も良好でありますから、そういう点の連絡は緊密にとれるのでございますが、これは単にアメリカだけでなくて、この決議にもありますように、アジアの関係諸国とも密接なる連絡が必要でありますが、現在において、たとえば共産圏の国である中共であるとか、北鮮であるとかいうような国との連携というものは、気象的に存在するかどうか、その点を承りたいと思います。
○和達政府委員 現在、毎日出しております気象情報というものは、各国においてそれを行ない、また各国がそれを受け、利用することができるのでございます。これは、国連に加入しておる国はもちろん全部それに入ります。日本の付近といたしましては、国連に加入しておる国が作っております国際の世界気象機構、つまりWMOと申す機関に入っていない国は、中華人民共和国、北鮮、ベトナムとかいうようなところであります。中華人民共和国につきましては、三十一年の六月ごろから、完全に日本にその情報が利用できるように、好意と理解とをもって地点番号及び通報式を送っております。それでありますから、今日中華人民共和国は、あの広い地域の気象観測を相当高度の技術を持って行なって、かなり完全な気象観測網をしいております。これは日本において完全に利用することができるのであります。
 次に北ベトナムでありますが、これは全く国際式の気象の通報式を用いておりまして、わが国へもその通報式並びに地点番号等も送られておりますので、完全に国際連合に加入しておる国と同様にわが国で利用することができます。
 北鮮におきましては、やはりこれも実質的に加盟国と同様に、現在わが国で利用することができるように、国際の刊行物にその地点番号が出ております。
 この近所で、しいて申しますれば蒙古の地域であります。この地方は、多少わが国で利用が不完全かもしれません。それは地点番号その他を公表していないため、わが国が推定して用いているからであります。以上がわが国付近における気象情報の大要でございます。
○平野委員 今のお話ですと、国連に加盟しておる国はもちろん気象の連絡会議というものがある、国連に加盟してない国においても、すなわち、中共、北鮮、北ベトナムというものは、実質的には同様の取り扱いができるということで、それならば非常にけっこうであります。そうなれば、当然台風に対するところの関係諸国の気象連絡会議というようなものを常置しまして、相互にこれを通報し合うということが可能だと私は思いますが、気象の連絡会議というようなものが開かれておるかどうか、その点はいかがでございますか。
○和達政府委員 御存じの通り、国際の気象の連絡につきましては、国際連合の下部機構に、先ほど申しました世界気象機構というものがございまして、四年に一ぺんの総会、また四年に一度の地区の会合、そうして必要に応じて検討会というようなものを随時やり、また、部分的の技術の問題ではそういう委員会、それから作業委員会というようなものを随時行なっておりますので、このWMOに加盟しておる国の間においては、ほとんど完全に行なっております。先ほど申しました加盟してない国につきましては、これは気象だけからいえば残念なことでありまして、そういう気象のように国際的なものが加盟しておるのとないのとあることは残念でありますが、実際には加盟してない国もそのやり方でいろいろやっておりますので、現在日本においては、実質的には日々の業務にはほとんど差しつかえない域に達しておる。ただ、そういうような日常業務と、もう一つ研究の部面がございます。研究につきましては、たとえば中華人民共和国のごときは近年非常に進んでおりまして、日本とはその研究成果の交換等、今日では完全に行なわれておる次第であります。ただ、研究会に出席するというような点につきましては、研究会のたびごとにそれぞれの事情がございまして、中華人民共和国が気象のことで日本に参りましたのは、ただ一回でございます。昭和三十二年の二月の末ごろに、国際地球観測年の西太平洋地域の会議がございましたが、このときに中華人民共和国は七人の代表を送っております。
○平野委員 そうしますと、実際にアジアにおいて気象に関する国際連絡会議を作るという場合において、共産圏の国は参加しがたいという事情があるわけなんですね。これは本委員会の決議からしますとはなはだ遺憾なことであって、本委員会の決議としては、気象という問題に関しては、そうした政治的な関係を超越して、すべて各国との連絡協調を保持すべきであるという趣旨なんで、はなはだ遺憾でありますが、実際問題といたしまして、やはり沖繩、それから台湾というものが中心になるだろうと思います。その場合、台湾と中共との関係におきまして、気象の通報をするということが、軍事的な障害もあり得るという点がございますかどうか、その点はいかがでございましょうか。
○和達政府委員 こういう国際の問題につきましては、おそれ入りますが、外務省の方に……。
○鶴岡政府委員 この問題につきましては、会議を開きますのに、いろいろな角度から準備を進めなければならないと思います。そして、要は、それが非常に効果的でなければならないだろうと思うのでございます。そういう場合に、外務省として、準備の一つの方法として考えなければならないことは、協力を呼びかけた相手のお互いの反応ぶりもございますので、私どもは、そういう点をもっと研究してからでないと、今からお答えはできないと思います。
○平野委員 そういうへっぴり腰では、私は、とても来年の台風に処するにあたって話にならぬと思います。どうしてもこれは、政府が強硬なる決意をしなければならぬと思います。幸いにして松田文部大臣がお見えになっておりますので、この際松田さんに伺いたいのでございますが、すでにごらんになりました通り、一昨日本委員会において、台風の予防に関しては総合的な科学対策が必要であり、かつ、それがためにはどうしてもアジアの国際会議が必要である、こういう決議をいたしたわけであります。これについて、文部省といたしましては、科学技術に関する研究の本元締めであるあなたとされては、当然の責任を持たれることと思うのであります。あわせて、国際協力につきましては相手の反応を見なければわからないので、ちょっとサウンドしてみるのにも慎重を要するというようなことでは、私はだめじゃないかと思う。今、中曽根長官が答弁せられましたように、すでに台風を弱めるということは十分可能であるし、また場合によっては台風の進路を横へ向けてやる、方向を変えるということも十分できるというお話なんです。それについて政府に諮問機関ができまして、とにかく来年の三月末日までにその具体的方法について答申があるということでありまするから、もう来年の台風期にはどこかへ飛行機が飛んでいきまして、そして台風の目に向かってドライ・アイスを投下する、その他の方法によって台風の進路を変えるというようなこともできるというんですね。進路を変えるということになりますれば、当然日本は被害を免れるけれども、進路を変えられた方の朝鮮や中共が、御迷惑になるということなんでありまするから、そういうことを関係諸国にあいさつもしないで、わが国だけで勝手にやるというふうなことは、とんでもないことだと私は思うのです。すでにそういうことが目の前にきておるというときにあたりましては、わが国としては当然関係諸国に対して御迷惑のかからないように、また、あなたの方に向けてもよろしいかどうかというような点についてあいさつをする、あるいは相談をするということは、私は国際上のエチケットだと思うのです。それを、今国連局長のようなへっぴり腰では、実に外務省は怠慢のそしりを免れないと思うのでございますが、どうしてもこれは政府として、早急に関係諸国に対してそれぞれ連携をとるというような措置を講ずべきであるし、また、そうあるべきであるということを決議しておるわけでございますので、この点について、文部大臣及び中曽根長官の御決意を承りたいのでございます。
○松田国務大臣 今日のごとく、世界がスピードの時代に入ってきわめて縮小され、また、科学技術が異常な発達を示して、ほとんど可能ならざるものなしというような時代になっておるのでありまするから、こういう時代に処するには、一国の力をもってしてはなかなかできない事柄は、すべからく国際協力によってこれを推進していかなければならぬと私は考えます。特に、今回の台風によってあたかも初めて目がさめたごとき、わが国の人士の台風に対する考え方というものは、今まで例年台風があることはわかっておるわが国といたしましては、今日台風科学の研究を、国際的協力によってやらなければならぬというようなことは、むしろおそきに過ぎると言ってもいいくらいでありまするが、しかし、まあ、おそくとも目がさめた今日でありまするから、大いに今後は、科学技術の関係の台風に対する総合的な対策を樹立するために国際協力を十分に進めて参りたい、かように考えております。
○中曽根国務大臣 気象関係の国際協力の実例を見ますと、北大西洋において、例のタイタニック号の氷山との激突事件があってから、関係国が協力して北大西洋における気象の通報とか、あるいは氷山の警戒とか、そういう協定を結んで予防措置を実施しておる先例があります。南太平洋、中部太平洋における台風の問題は、性格はやや違いますが、大体似たようなものだと私は思うのです。従いまして、この被害を受ける関係国が、国際協定を結んでそのような総合対策を行なうということは好ましいと思いますし、そのような、自然改造の方向へ国家の力が結びついていくべきものだと私は思います。そういう意味から、この御決議は非常にりっぱな御決議でありまして、私どもは全面的に推進いたしたいと考えます。ただ、現実問題といたしまして、中華人民共和国と台湾が同席するかということを考えますと、ここに政治が結びついてきて、かなり複雑な反応が出るように思います。従いまして、できるだけ全部を網羅するという方向でわれわれはこのプロジェクトを進めなければならぬと思いますが、それをどういうふうに実現するかについては、やはり外務省当局とともに考えまして、ある程度忍耐強くやっていかなければならないことだと思います。
○平野委員 次会に一つ外務大臣を呼んで下さい。
○西村(英)委員 関連して。中曽根大臣にお伺いしたいと思いますが、ただいま対策委員会を作ってやっておるので、その結果が出なければそういうようなことは言えませんでしょうが、私が最も大事に考えておる二つの点は、今平野委員が申されました研究所につきましては、今とにかく、気象庁で台風研究室を作るというような規模で、政府が考えておるようであります。これは、ある程度の研究は進むかもしれませんが、おそらく中曽根長官が、台風の事前処理をしたい、人工調整をしたいというくらいなことを考えておるにしては、あまりにこの規模は小さいと思うのです。しかし、研究室だからといって必ずしも小さいことはないが、それくらいの程度でありましては、あまり効果は上げられない。従いまして、これは年々歳々、日本といたしましては台風の被害を受けて、今度は途方もない被害を受けたのでありますから、これを一つの契機といたしまして大規模な研究所を作る、しかも、それは官庁のみならず、平野委員が言いましたように民間の力も借りてやる、この構想が、私も考えたのですが、最もいい方法じゃないかと思うのであります。そうでなければ、台風の人工調整をやるということまで考えておるのに、わずか気象庁の一角でささやかな研究室くらいを作ったのでは、大した効果は上がらないと私は考えるのでありますが、これは政府といたしましても、一つ十分にお考えを願いたいと思うのです。しかも、今度やらなければ、台風というものは、またいつくるかわかりませんから、これはなかなかできるものじゃないのです。今年のこういういいチャンスにやらなければ、来年できる、再来年できるといっても、なかなかこなせるものではないので、その意味からいいましても、今回はほんとうに世論の支持を受け、われわれを幸福にするゆえんでありますから、大規模な研究所を考え、いろいろ人工処理もできるというように考えていただきたいと思います。いずれ調査を待って、大臣も考えられると思いますけれども、一、もう一ぺん所見をお伺いしたいと思います。
○中曽根国務大臣 研究室ではなくて、研究部なのであります。私も、実は台風研究所を作ろうという構想を持ちまして、気象庁の和達さんや皆さんにも相談してみたのです。ところが、気象庁の方は割合につつましやかな案を持っておって、日本の実力はまだ一つの大きな研究所を作るまでに至っていない――運輸省の考えでは研究室であったのです。私は、室はいかぬ、部まで広げろと、かなり激励いたしまして、今度は部という構想で実は出てきたのであります。私は、今、日本の持っておる台風や気象関係の学者の実力と数をまだよく知悉しておりませんが、幸い和達さんがいらっしゃいますから、和達さんからお答え願いたいと思います。現在の部といいましても、今、気象庁が作っておる構想によりますと、その中に、たしか四課でありますか、そして理論と実際と二課ずつそれを分担するという構想で、来年度を期しておるのであります。具体的には和達さんからお答え願いたいと思います。いずれにせよ、台風研究部の発足を見ましたら、これを相当充実強化させまして、できたらマリアナの辺に研究所の支所くらい設けるようなところまでアメリカとも話しをして、そして日本も直接観測したり、研究したりすることができるように持っていきたいと思っておるのであります。この点について、私、アメリカの筋と話しましたら、非常に歓迎しまして、そういう点についてはいかなる協力もいたしましょうという話でありましたので、今、研究部の発足等とにらみ合わせまして、そういう協力関係も設定していくようにいたしたいと思います。なお、単にアメリカのみならず、ほかの国との関係におきましても、同様に取り計らっていきたいと思っております。
○西村(英)委員 気象庁は非常に遠慮深い役所でございまして、私の見たところでは、実際は気象庁は人員、予算以上の仕事をしておると思うのです。民間の力も借りて、地味でありますけれども非常によくやっております。どっちかというと、気象庁は非常に地味な役所で、あまり予算や人間の要求をしない、いわゆる政治的な面が非常に少ないわけですから、そこは気象庁長官におんぶされるのではなしに、ほんとうに政治をやっている各大臣の方々が身を入れてやっていかないと、気象庁長官の考えだけにまかせたら進まないと私は思いますから、その辺は、一つ十分大臣にお考え願いたいと思います。
 もう一点は、総合的にやらなければならぬという点でございます。総合的というのはどういうことを言いますかというと、今度の台風でも、おそらく建設省の河川課は河川課として、あちらこちらにロボットの水位計を置くとか、あるいは無線の設備をする、運輸省はまた運輸省の立場でする、通産省は通産省の立場でする、こういうことになるわけであります。それは施設をばらばらにやり、研究もばらばらにやるということであるのですが、それはおのおのそれぞれの目的があってやっているわけであります。建設省は建設省の目的、農林省は農林省の目的でやっておるのでございますが、科学技術庁として、そういうものをどういうふうにとりまとめ、また、その得られたところの情報をどういうふうに総合するか、その一つの元締めがなければ、これはあまり従来と変わった結果は得られないと思うのです。その証拠は、例の洞爺丸の事件であります。気象庁から言わせますれば、気象庁としてはある程度のことはやった、また国鉄といたしますれば、国鉄としてもある程度の通報をした、しかし結果はどうであるか、そこにわずかな連絡不十分、あるいは船長の誤認もあったかしれませんが、たったあれだけのことで、あの台風で千数十人の犠牲者を出したのであります。そこに総合性がないということでありますから、今度は各省でやったところの情報、各省でやったところの研究をいかに総合するかということが、科学技術庁の最も大きい仕事であろうと私は思うのでございますが、これには機構の問題もあり、あるいはやり方の問題もありましょう、この点について大臣の所見を承りたいと思います。
○中曽根国務大臣 まさに御指摘の通りなのでございます。それで、今度の臨時台風科学対策委員会におきましても、そこを一つの重点にいたしまして、調査と対策の立案をお願いしておるのであります。これで参考になりますのは、この前のカスリン台風でありましたか、利根川に非常な洪水ができましたときに、あの経験にかんがみて洪水予報の組織を作らなければならぬということで、たしか全国十六の河川について洪水予報の組織ができました。その考え方は、建設省の系統になりますが、各地方の建設局長がその中軸になりまして、そこに運輸省とか国鉄とか、あるいは気象庁、測候所、そういうものが全部通報組織を持って、そうして建設省が中心になってその総合運営をやるという組織が、たしか十六の河川についてできたのであります。しかし、それもできたというだけで、どの程度実力を発揮できるか、まだ実際にためしたことはないわけであります。今度の高潮ということは、今まであまりそういう例もございませんでしたので、抜かっておったような感じがいたします。そこで、高潮というものを中心にいたしまして、科学的な情報の収集と、それから情報の伝達、それに対する対策の樹立というようなことを一元的にどういうふうに組織化するか、臨時台風科学対策委員会において検討いたしまして、確立したいと思っております。
○西村(英)委員 よろしゅうございます。
○村瀬委員長 岡良一君。
○岡委員 私は、先般この委員会で採択されました決議案の趣旨に基づきまして、若干お尋ねをいたしたいと思います。
 初めに、台風に対する科学的な対策という観点から、来年度の予算でどのような考慮が、特に気象庁の方において行なわれているのでございましょうか、伺いたいと思います。それは具体的には、気象用のレーダーの整備、これはどこで、どの程度の予算で、また、高潮災害防止対策としての、たとえば無線ロボット検潮儀の整備など、あるいはまた、水理気象業務の充実といたしまして、山岳地帯における降雨量観測網の強化の計画、あるいはまた、通信施設整備等について、どの程度の人員を要求予算として御提出になっておりますか、具体的にお伺いをいたしたいと思います。
○和達政府委員 まことに申しわけございませんが、今日こまかい数字を十分用意して参りませんでしたので、あるいは多少の間違いがあるかもしれませんが、大筋を申し上げます。三十五年度はレーダーの整備に対しましては二ヵ所でございまして、人員は十一人、金額は約一億円でございます。それから高潮の関係でございますが、これは全国の主要港湾の五カ所に遠隔自記検潮儀、つまり、自動的に働いて高潮の状況を知らせる機械を据えつけるのでありまして、これは費用が約三千万円でございます。それから水理気象と申しまして、水の利用並びに洪水の場合にも応用されますが、その水理気象と申すものと、もっぱら洪水に対する水害の気象というのを合わせまして、人員におきまして約三十人、金額におきまして二億五千万円くらい計上いたしております。なお、台風に関しましては、たとえば海岸の主要地点、あるいは島などで自動的に風を知らせる装置とか、その他直接、間接になお相当の項目がございます。
 今のは三十五年度の要求でありますが、追加要求がございます。つまり、こういうものは補正予算の性質でないから、本予算でやれというので、こちらの方に参りましたもので防災気象業務というのがございます。これは今回の伊勢湾台風の例にもかんがみまして、気象庁がただ天気図を作り、そういう学問的の予報をするのでなく、日ごろ災害防止と直結したところの予報方法を調べるほか、また、いかに応用されるかというような、つまり、防災的の見地で予報業務あるいは伝達業務をすべきであるという観念から考えまして、約三百人のそういう防災気象官というのを全国に配置するのが適当である、ただし、三十五年度は、第一年度として主要なる気象観測所に五十五人の防災気象官を置くように計上いたしております。
 なお、先ほどからお話の台風研究部の新設に対しましては、人員が三十七人で、約一億六千万円の予算でございます。まだその他もございますけれども、詳しくは、もしあれでございましたら、後ほど資料を提出いたします。
○岡委員 それは気象庁として、とりあえずこの程度はという、先ほども西村委員から御指摘になったように、きわめて遠慮深い数字でございますか。それを基礎にして、さらに将来はこういう規模に拡大をしていきたいという御計画があるのでございますか。
○和達政府委員 気象庁の仕事は防災が根幹でございまして、ことごとくが防災に関係していると申せますが、それらにつきましても、技術上その他から年次計画を持っているものもありまして、毎年いたしております。ですから、これをもって終わるというわけではございません。
○岡委員 先般の決議の中でも、総合的な対策を樹立する必要がある、こういうことがうたわれておるわけです。中曽根長官も御存じのごとく、科学対策といえば、当然自動的に総合的な、統一的な、しかも、計画性のある対策ということになるわけでございます。そこで、その前に解決しなければならない問題は、今度の臨時国会の災害対策特別委員会でもしばしば指摘されておったのでありますが、現在の日本のいわゆる防災対策というものは、官庁機構の縦割によって災いされておるということが指摘されておる。伊勢湾台風などにおいてその欠陥がいみじくも暴露されておるということが指摘されております。そういう点で、川を一つとってみても、その水域に降る雨は気象庁の関係、堤防は建設省の関係、灌漑用水は農林省、こうして施策に対する一貫した統一性がない。そういうことから、災害はむしろ人災であるなどというようなそしりも出ておるわけでございますが、この点、閣議において、日本の将来の災害防止対策の基本的なプリンシプルとして、統一的、総合的な対策を樹立するという方向に高められたのかどうか、当然そうあるべきだと思いますが、その点についての御所見を伺いたいと思います。
○中曽根国務大臣 それは御指摘の通りであります。われわれもその点に思いをいたしまして、過般の総理大臣の今臨時国会に対する施政演説の中にも、台風について総合的な、科学的な対策を今後とるということをわざわざ入れていただいたわけであります。今やっておりますところの台風科学対策委員会におきましてその趣旨に沿った対策案を出してもらいまして、それを実施していく方向に移して参りたいと思っております。
○岡委員 そこで、防災に対する総合的な科学対策となると、私は、やはり先ほど来の平野委員また西村委員の御主張に同調したいのです。今お聞きをいたしますと、台風災害に対しての研究室から部に昇格したところのものが四室くらいの規模のものとして気象庁に作られた。そのような姿で、しかも、現在科学技術庁に設けられておるものは当分の臨時の審議会のようなものであって、来年三月に答申が出れば、それで一応お仕事が済むようです。そういうような行き方でございますと、私どものこの委員会が決議した総合的な科学政策というものを将来進めていこうという私どもの気持から、やや遺憾に感ぜられるわけであります。人がおらない、施設がない、こういうことも申されましたが、それももっともではございまするが、しかし、かりに、たとえば私どもが頭で構想しておる台風科学研究所というようなもの――部台風の発生、進路の過程の研究、こういう物理学的な部門における研究もございましょう。あるいはまた、台風の観測に関する研究、特に台風の観測の迅速、的確化をどうしてするか、また、それに所要の観測機器というようなものの研究も必要かと思います。また、中曽根さんの持論である台風の発生防止なり、弱化なり、進路の変更の研究、人工降雨、こういう人工気象的な研究、私は、こういうものは、なるほど現在の大学の研究室に人を求めようとしてもなかなか人は求めがたいかもしれません。しかし、問題は研究と一体となって、そうして政策の上に現実に生きてくる対策というものがあるわけです。要するに、研究の結果を政策に生かしていく。高潮あるいは洪水の場合に対する防災工学的な研究というものは、現在でも、建設省は建設省で研究所を持っておるはずでございます。農林省にも小規模ながらあると聞いております。そういう研究の結果として、防災工学上統一のとれた規格をもって堤防なり河川の改修に当たろう。特に最近は干拓あるいは地盤沈下の問題が水害の大きな原因になっておりますが、そういう場合における堤防の防災工学などは、すぐ実地に移していけるだけの規格を求めるのに、そう二年、三年のひまを費やさなければならないほどのものではないのではないかと私は思います。それから予報の伝達、退避、救難の施設や機構の研究、またその実施、これも今度の苦い体験から、結論はすぐ出得るものだと思うわけです。私の率直な希望から申し上げると、これはやはり気象庁に部を設けるというのではなくて――というのは、科学技術庁を設けたときに、私どもは防災科学局を設けてもいいのじゃないかということを申し上げたことがあるわけです。日本の防災は、やはり科学的な研究から施策の上に実現すべきだということを私どもは主張したことがあるわけです。でありますから、やはり科学技術庁がもっと責任を持っていただいて、そうしてこうした総合的な研究機関というものは、今直ちに本年度予算の上に全部の施設、全部の定員をそろえることはできますまいが、二年、三年の計画で順次実施していただく。そうしてその結果として得られたものは、各省庁においてその政策実施の上に生かしていただくような機構もあわせて考えていくというような形で、来年度からすみやかに発足させるというくらいな意気込みを持っていただくことが、科学技術庁を設置されたゆえんにもかなうのではないかと私は信じておるのでございますが、この点、重ねて中曽根さんの御所見を伺いたい。
○中曽根国務大臣 災害の際の堤防や、あるいはそのほかの技術的統一を各省庁で行なうということは、非常に大事なことでございまして、政府におきましても、今回は、伊勢湾台風の経験にかんがみまして、高潮対策協議会というものをすでに作りまして、農林省、建設省、運輸省、その他関係各省庁が参加いたしまして、その技術的統一を今その協議会でやっております。
 それからもう一点は、防災基本法という考え方をもちまして、今のは技術的統一の面ですが、もう一つは人命保護の観点から、あるときには強制退去をさせなくちゃいかぬ場合も出てくる。そういう場合に、現在は強制力のないような状態でありますので、人命救助、人命保護を中心にして、今御指摘の通りの縦割りにきているものを横割り的に連係させる一つの基本法を作ったらどうか、そういう構想で今検討しておるのであります。臨時台風科学対策委員会におきましても、防災基本法というものを対象にして検討してくれということを私からもお願いしてありまして、こういう二つの面で、今日の欠陥はある程度是正するように現に動きつつあります。科学技術庁に防災科学局を設けよという御主張はありがたい主張でございますが、現在のところは、防災だけを目的にした一局を作るというところまでいけないのではないかと思います。現在資源局がございまして、国土資源という意味からも、その点についてはある程度努力しており、また、資源調査会において、高潮に対する考え方とか、そのほかしばしば勧告も出して、科学的な研究もある程度進んでおります。しかし、一番大事なことは、いかにいい報告が出ても、勧告が出ても、政治がなかなかこれを取り上げにくいということなんです。これが日本の最大の欠陥なんであります。そういういい対策や、考え方、報告が出た場合に、どうしてこれを政治が実践するかということを解決することが今日の急務であると、私は自分の立場に立って痛感をしておるのであります。この点につきまして、今明確にこれだという具体案はございませんが、党とも連携し、またこの委員会の御支援もいただきまして、打開して参りたいと思っております。
○岡委員 国土の物的損害を防止するための国土の保全も、また、人命等を守るための防災基本法も、これは不離一体なものだと私は思います。問題は、それをいかに運営するか。今御指摘のように、現に資源調査会では、防災部会の方で今度の伊勢湾台風をすでに数年前に予想するような警告を出しておる。政治がそれを取り上げておらないということも、すでに指摘されておる通りであります。従って、今日科学技術振興の時代には、科学的な研究の成果というものが行政の上に生かされるように持っていく推進力が、私は、やはり科学技術庁なり科学技術庁長官の大きなお仕事だ、こう思うわけです。そういう立場で、ぜひ一つ今後とも御努力願いたいと思います。
 それから先ほどの国際協力の点も、私、平野さんと同様な考えでございますが、何と申しましても台風禍からアジアの諸国を救うということは、これは明らかに人道的な大きな仕事でございます。同時にまた、台風の発生なりそれに対する科学的研究というものは、真理の研究でございますから、国の政治体制というものを越えた大きな問題でございます。私らは、そういう国境を越えた科学の真理に基づいて、国際的な協力機関が人道主義的な意欲のもとに結ばれるということについては、ごうも遠慮する必要はない、堂々とそれを呼びかけて協力を求めていくという先頭にむしろ日本が立つことが、日本の使命だと思います。現に、米ソの間においても、これまでは相当厄介なヴェールの中に押し込められておった核融合の問題にしても、原子力船、原子力発電なんかも、完全に公開される、情報の交換が米ソ間にされる、科学技術者の交換がされるというふうに、どんどん国境を越えた真理を目的とする科学者の交換、交流が行なわれておる。こういう時代に、わが国がこういう問題について遠慮しなければならぬ理由はごうもないと思いますので、これは外務省もお帰りになったら、外務大臣にわれわれの意向を――これは与野党共通の意向でありますから、一つ強く御伝達願って、外務省の奮起を願いたいと思います。
 それから、きょうは台風科学のことでございますが、関連して一言中曽根原子力委員長にお尋ねをいたしたいと思います。それは、昨日原子力委員会で、コールダーホール改良型の発電用原子炉の導入については、一応安全である、入れるべきであるという結論に到達をされた。私は、この炉については、日ごろ、万一まかり間違うと非常な災害がある、そういうことでございますので、この炉の設置には慎重を期すべきであるということをしょっちゅう申し上げておったわけでございますが、私もまことに意外なほど早く、昨日この炉の導入についての原子力委員会の意思が決定をいたしました。なぜこのようにお急ぎになるのであるか、私には納得しがたいのであります。どうして原子力委員会は、この重要な問題をこのようにお急ぎになるのでございますか、その理由があったら、率直にお聞かせ願いたいと思います。
○中曽根国務大臣 まだ原子力委員会としては、正式に最終決定に至ったのではございません。しかし、大体の審査は終了いたしました。われわれが検討すべきアイテムとしてあげたものは、ほとんど全部審査を終了いたしましたので、自動的に終末に近づいたということでございまして、特に急いでやっておるというわけでもございません。
○鶴岡政府委員 ただいま御指摘の件は、もちろん大臣に申し伝えるつもりでございます。ただ、さっき相手の反応と申しました点について、ちょっと一言だけつけ加えさしていただきたいと思うのでございます。今まで、こういう種類の会議でございますと、方々にあるわけでございますが、そういうところに分裂国家の両者が列席するということは、招待いたしましても、また現にその町へ来ておっても、それがわかると片っ方に出席し、片っ方は出席しないということがございましたから、そういうようなところなども研究して、なるべく効果的に会議を成功さして成果を上げようというわけで、こういうことを申したわけでございます。
○平野委員 関連して、お尋ねかたがた申し上げますが、今あなたのお話、真意はよくわかっておるわけですが、ただ、岡委員も言われましたように、気象の問題は、台風の被害ということがございまするから、これは一種の人道問題である、こういう見地から、旧来の観念を超越して人道的見地に立って呼びかける、こういう腹がまえが必要ではないか。また、私は、そういう観点から出れば、あるいは中共の周恩来首相といえども、また北鮮共和国といえども、これは反対のできない性質のことでありまするし、特に外務省は、先般の北鮮帰還問題につきましても、非常に人道的見地に立った処置をとられて、大いに敬意を表しておるわけですが、そういう意味において、この際大乗的見地と申しますか、人道的立場と申しますか、そういう観点に立って国際外交を推進する必要があるのではないかということを申し上げておるわけで、この点をよく大臣にお伝えを願いたいのであります。
 もう一つ、この際国連局にちょっとお尋ねしたいことは、先ほど中曽根長官も言われましたように、現在気象に関しまして最も密接な連絡をとっておるのはアメリカでございます。台風の発生するマリアナ群島付近における米軍機の通報ということ――おそらく沖繩も非常に重大な関係があって、沖繩にあるアメリカの施設等と日本の気象庁とが連携をとっておられると思うのでありますが、そういうことはやはり日米間において何らか気象上の協定に基づいてやっておるのであるか、あるいは安保条約に伴う行政協定の中に何らかそういう取りきめがあって、それに基づいてやっておられるのでございますか、その点はいかがでございましょうか。
○和達政府委員 気象業務でございますから、私からお答えいたします。行政協定に、気象に関して一項がございます。それによって、こちらからアメリカの方に気象情報を渡しております。しかし、大ざっぱに申しますと、その行政協定がなくても、普通の気象機関の相互協力というもので当然行なうことが行政協定に書いてあると見てよろしいかと思います。でございますから、現在におきましては、アメリカとその当然行なうべき国際協力でもって日常の気象業務をいたしております。ただ、特に双方が施設を一緒にして研究協力をいたします場合には、アメリカと今まではそういうものがございませんけれども、何らかございますれば、非常に好都合であろうと私は思います。
○平野委員 私は、気象に関しては、安保条約等によって行なうということは適当でないと思います。安保条約は、あくまでこれは軍事的な意味が中心になっておるわけでありまするから、それと気象とを混同するということは、やはりただいま申しました共産圏等についても誤解を与えるという面もありまするから、これは当然独立の協定が望ましい。これは国連において、気象に関する世界的なインターナショナルの規定があるようでありますが、そのほかに、特に今気象庁長官も何らか日米間に特別の気象の協定があることは望ましい、あれば非常に好都合である、こういう御見解でありますから、私は、この際日本とアメリカとの間における気象上の何らかの協定を取りきめすることが必要ではないか、こう考えます。特に、先ほど中曽根長官からも、マリアナ群島方面におけるところの米軍機の通報は、日本が日本の飛行機によってやるようにいたしたい、目下そういう交渉をアメリカとやっておるというお話もございましたが、そういう意味からいいましても、特に日本としても重大な問題でございまするから、台風ということから起こってきて、日米間の気象上の何らかの協定を呼びかけるという、そういう御意思が外務省としてあるかどうか、またどういうふうにお考えになっておられるか、御意見を承りたいのでございます。
○鶴岡政府委員 この問題は、実は直接の関係でないものでございますから、お話をよく伺いましたので、関係の上司にもよくお伝えいたしたいと思います。
○中曽根国務大臣 ただいまの件につきましては、私は、アメリカの大使に、台風の問題について協力しようではないかと、一般的な話し合いを――これは正式の話し合いではございませんが、やったことがございます。そうしましたら、アメリカ側といたしましては非常に乗り気でありまして、われわれの方としてもハリケーンで非常に苦しめられておる、両方で資料を出し合ったり、学者の意見を交換したりして、ともに研究体制を確立していきたい、協力についてはできるだけ応ずるという話でありました。従いまして、委員会の意見も体しまして、私は何らかの形でそういう網を順次広げていくようにいたしたいと考えております。
○岡委員 ただいまの御答弁によりますると、たとえば、本朝の各新聞が伝えております――これは朝日新聞でございますが、「一両日中に首相に「同炉の設置を許可すべきである」との答申書を提出する。」とあるが、同炉の設置を許可すべきであるという答申書を提出することに原子力委員会の意思は一致を見たのではないのでございますか。
○中曽根国務大臣 最終決定を見るまでは委員会の内部の議論はまだ表へ出さない方がいいと思いますが、ごく最近の機会に最終結果を得るようにいたしたいと思っております。
○岡委員 私は、どなたがどう言われたかということをお聞きしておるのではございません。従って、この程度のことはやはり明らかにしていただくことは、委員会としても当然の責任だと思うのでございます。具体的にお聞きをいたしますが、同炉の設置を許可すべきであるという答申書そのものは、まだ原子力委員会にあって決定はされておらないが、設置を許可すべきであるという立場に立って答申書を作成をしつつある、こういり段階と理解してようございますか。
○中曽根国務大臣 委員会の審議の内容はこの際差し控えたいと思いますか、大体の傾向といたしましては、安全であろう、そして総合的に見て経済性もある、そういう意見に固まっておるようであります。
○岡委員 重ねてお伺いしますが、それでは昨日の原子力委員会では、コールダーホール改良型の動力炉の設置を許可すべきであるという結論にはなっておらないということだけは、はっきりお漏らしを願える、そういうことであったと理解していいのでございますか。
○中曽根国務大臣 委員会の内部のことでありますから、最終的に正式に公表するまでは、内部の意見や様子は、委員の立場もありますので、私が独断でやることは差し控えたいと思います。私は委員長でありますので、委員の意見を聞かないと、独断で内容やら立場をお話しすることはいけないと思います。が、しかし、各委員の意向を私が今までの経過に見てそんたくするのに、経済的に見ても採算がとれるし、安全であるという確信を持っておられるように思います。
○岡委員 それでは、やはり同新聞で、学術会議からの申し入れが報道されております。二日の学術会議の討論会は、私もずっと傍聴さしてもらったのでありますが、きわめて傾聴すべき意見も多々出されておったようでございまして、おそらく、それらの経過を集約して、申入書が原子力委員会に出されたことと存じます。その申入書の内容は、重複いたしますので私は申し上げませんが、要は、われわれ学術会議としても、原子力委員会の諸君と一ぺんゆっくり話し合いをする機会を作ってくれないかというのが、偽らざる気持かと私は思うのでございます。でありまするから、こういう機会を作らないで、原子力委員会が一方的に結論をお出しになるということになると、日本の原子力政策の中でも将来を左右するような動力炉の導入という大きなポイントにおいて、日本の学術会議の意向というものが無視されるということになって、将来の原子力政策のためにきわめて私は遺憾千万であると思いまするが、この点、学術会議の申し入れに対しては、原子力委員会はいかなる態度をもって応ぜられることになりますか。
○中曽根国務大臣 それは学術会議ではないと私は思います。あのとき配られましたプリントも、資料として拝見いたしましたが、原子力懇談会、それから素粒子グループ云々という名前になっておって、学術会議という名前は、たしか載っていないように私記憶しております。学術会議として、会長からそういう話のあったこともありませんし、事務局長からもあったことはありません。たしか兼重さんのところへ、夕方坂田さんと福島要一君が来て、その状況について口頭で話があった、そういうことをゆうべ私は兼重さんからお聞きいたしまして、学術会議という名前で来たのではないように思いますし、大体今まで学術会議と称して来ている者を見ると、非常にステータスがあいまいでありまして、学術会議の会長を通じて正式のものとしてきたということはあまりないのです。それで、どうもその辺はあいまいですかり、今後はっきりしていただきたいと夫は思っておるのであります。
○岡委員 あの会議の席上で私どももいただきました資料には、なるほど、素粒子論グループというような名前もございました。しかし、何も素粒子論グループがあの会議をやったのではない。あれはやはり学術会議がやっておる。でありますから、私は、学術会議にそういう会議があるのかどうかを確かめ、どこにあるのかを確かめて出席をいたしておるのでございます。しかも、会議においては、やはり審査部会の部長の矢木さんが御報告になり、原電の技術の担当者も御報告になった。それに対して、学術会議の中の原子力問題に深い関心を持っておられる学界の諸君が熱心な質問をしておられるということでございます。私は、やはりそういう会合を通じて申し入れられたものについては、それが学界の正規なものであるかないかということは確かめられる必要があると思う。従来、それが学術会議の名を、いわば僣称しておる例があったからということで、なおざりにさるべきものでは私はないと思いますが、それではあの申入書は、学術会議の意向として申し入れられたものであるかどうか、このことを確かめられた上で、もしそうであったならば、やはり学術会議の意向を尊重するというお気持を原子力委員長としてお持ちでございましょうか。
○中曽根国務大臣 きのう坂田さんと福島さんがどういうステータスで来たか、私は正確には審査したわけでもないからわかりませんが、兼重さんにお会いになって口頭でお話しがあったようで、文書では私はまだ見ておりませんし、文書で持ってきたということも聞いておりません。きのう私の方の者を派遣して傍聴させましたが、今までと比べて新しい議論は何らなかったようであります。今までの議論の蒸し返しが行なわれたという程度であった、いろいろな関係者、矢木部会長やその他に対して、主として素粒子論グループの物理学者が質問した、そのような経過であったように聞いております。
○岡委員 しかし、それにしても、問題は学術会議の意向であるかどうかということを原子力委員会としてはやはり確かめられる必要がある。そういう御用意があるかどうかということです。
○中曽根国務大臣 学術会議の意向でしたら、会長が学術会議の会員に諮って、会長から文書なり口頭でくるのがあたりまえだと思うのですが、その会長である兼重さんが、原子力委員の関係もありましょうが、聞いているというのが、はなはだステータスがあいまいだと申し上げたいのです。学術会議という以上は、学術会議全体の意思によって、学術会議会長のハンコでもってくるのが学術会議というものだろうと思うのです。これは委員会という場合は、委員長というもので代表されると同じようなものだろうと思います。
○岡委員 日本学術会議といえば、もちろんこれは大へん広いもので、医学分野も含んでおりまするし、生物学も含んでおる。御存じのように、日本学術会議には、原子力に関する特別委員会というものが七つばかりございます。この七つばかりの特別委員会は、学術会議の議員以外の者も参加しております。ところが、これらの特別委員の意見というものを集約して、学術会議の意向として決定する仕事をやっておるのが原子力問題委員会でございます。その委員長が坂田教授であることは、あなたも御存じだ。従って、この委員会の委員長がたずねられて、そしてもたらされた意思というものは、当然学術会議の総会という手続を経ないまでも、事実上学術会議の大きな意思である。私は、そのような立場からこの意思を尊重すべきものであって、それを無視して、一方的に設置に踏み切ろうというような原子力委員会の行き方というものは妥当ではない、むしろ、将来に大きな禍根を残すものだと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
○中曽根国務大臣 安全性の実体に触れた傾聴すべき論議があれば、われわれは十分傾聴もいたしたいと思って期待をしておりましたが、特に新しい議論はなかったように思います。
○岡委員 それでは昨日の申し入れについては、結局、検討はしてみたが、新しい意見もないことであるから、委員会としては握りつぶす、無視する、こういう態度で今後もお運びになるおつもりでございますか。
○中曽根国務大臣 その点は、委員の皆さんとも相談をいたして態度をきめたいと思います。おいでになったことは事実でありますが、それがどういうステータスのもので、どういう性格――むずかしく申し上げますと、法的性格を持った発言と申しますか、そういうお申し入れの趣旨の筋がもう少し明確になる必要があろうと思いまして、その点も調査してみたいと思います。
○岡委員 原子力政策の推進を民主的にやろうということは、基本法にもはっきりうたわれておることでございます。それで、はるばる旅先からもその方面の専門家が集まられて、熱心な御討議の果てにできた、しかも、原子力問題の委員長が携えられ、申し入れられたということについては、これは尊重するが、私は基本法にいう民主的な行き方だと思います。もし、そういう意思が無視されて、しかも、一方的に設置が許可されるというふうなことが実現をいたしますると、原子力委員会は、学術会議を無視する、そして学界の意思を無視する、ただ原子力産業界の意思だけを偏重するという疑惑に包まれてくることを、原子力委員会のためにも惜しむのでございます。無視されないものであるならば、原子力委員会としては、その申し入れの筋についてはぜひ一つ十分御検討をわずらわしたいと思います。
○西村(力)委員 関連して長官にお尋ねしますが、原子力の問題は、それを導入してからまだ日も浅いので、未知の分野が非常に多い。日本の現状から言いましても、世界的な立場からも、そう言い得るんじゃないかと思うのですが、ことに日本のそういう未知の分野がある現状において、一体、工学的な立場というものと、理論的、物理的な立場というもののどっちが、今の日本の原子力開発の上において重視されるべき段階であるかということ、この点が非常に大事だと思う。認可される場合においては、ここをもう一度じっくりと考えていかないと、将来大きなあやまちを犯すではないかと思うのです。工学的な立場だけでいかれると、それなりの欠陥というものがやはりはね返ってくる危険性もあるし、また、むしろ理論的なほんとうの開発が、そのためにかえって回り道をするような結果になるという工合にも危ぶまれるんです。長官は、日本の現状からいって、一体どういう工合に把握して進むのが正しいと思われるか、それを一つ。
○中曽根国務大臣 私は、物理的な関係も、工学的な関係も、ともに重要であると思いまして、どちらを特に重要であるという差別はつけられないと思います。しかし、現在運転しているものにつきましては、たとえばコールダーホール・タイプのように、現に運転継続して実績のあるものについては、ある人の説明によれば、もはや理論物理的なものよりも、エンジニアリングの方が非常に重大になりつつある、それはいいタイプをどんどん作り上げていく改良という面から見ると、やはりエンジニアリングの面における改良ということが非常に重大になってきておる、そういうことを聞いております。
○岡委員 私は、技術的な問題、経済的な問題は次の機会に実は譲りたいと思います。ただ、原子力政策というものは、産業界の意向ももちろん取り入れる必要がある。しかし、それよりも、学界の意向を取り入れることが大切だという考え方から、原子力委員会がとられようとする手続の問題を中心に、お伺いをいたしておるわけでございます。
 報道によると、昨日有澤委員は御出席がなかったようでありますが、このような問題について原子力委員会として結論をお出しになるというならば、当然、全原子力委員皆さんの一致した意見に基づいて決定なさるべきものであって、いやしくも多数決というような先例を残すべきではないと思います。いわんや、一名の方が事故によって御欠席となったならば、御出席を待って、全員の方で意見一致をさす。もちろん、その委員のうちのある特定の方が、たまたましばらく日本を離れられていくというようなことであれば、事前に予知されていることでありますから、その委員のお考えを委員長においてしかと承った上で、少なくとも、全員一致の決定として御決定になるべきものと思いますが、そのような御方針でございましょうか。
○中曽根国務大臣 有澤委員は、非常に重い神経痛が起きまして、病床にありますので、きのうはお見えになりませんでした。私は、現在の委員の皆さんの意見を聞いて、皆さんの意見をまとめて、われわれの結論をきめたいと思います。
○岡委員 その意味は、やはり全員一致でこの問題を決定いたしたい、こういうことでございますか。
○中曽根国務大臣 法的には、たしかああいうものは過半数でできると思いますが、こういう問題の性質にかんがみまして、皆さんが一致した線でいきたいと思っております。
○岡委員 坂田委員が安全審査部会の委員を辞任せられましたあの辞表は、どういう工合に取り扱われましたか。
○中曽根国務大臣 原子力局長のところで保管してありますが、坂田さんは、何なら残ってもよいというお気持もあるように一部の筋から注意がありまして、できるだけ残っていただくようにお願いしてくれと、兼重さんに極力奔走していただいている最中であります。
○岡委員 坂田委員の辞表については、原子力委員会として慰留に努めておられるということでございますか。
○中曽根国務大臣 その方針でおるということであります。
○岡委員 内容にわたって安全性、経済性のことは、また次の機会にいたしたいと思いますが、ちょっとこの機会にお伺いしたい。大体経済性、安全性その他の条件について、コールダーホール改良型はその設置を許可せらるべきであるという意向に傾きつつあるというお話であります。コールダーホール改良型の将来性についても、もちろん委員会は関心をお持ちになったと思いますが、その点はどういう御見解に一致したのでございましょうか。
○中曽根国務大臣 その点につきましても検討をいたしております。今のところ、現在の時点に立って、今動いているあらゆる種類の現実の発電炉を調べてみると、コールダーホール・タイプの将来性はまだ十分ある、こういう認定であります。
○岡委員 現在動いておるとよく委員長は言われますが、しかし、今原子力発電株式会社が設置の許可を申請しておるタイプの炉というものは、一体どこまで動いておりますか。中空燃料を使った炉はどこで動いておりますか。バーン・アップ三千メガワットというような熱出力を持った中空燃料を使った炉というものは、世界のどこで動いておるのですか。よく委員長はそういうことを言われますが……。
○中曽根国務大臣 名前がコールダーホール改良型といわれますように、コールダーホール・タイプというものが一つの基本になって、それに改良を加えたという意味で、大筋はコールダーホール系統と言えるタイプであります。現に動いておるコールダーホール型のものをさらに改良したという点で、しからば改良が実際有効に行なわれているかどうかを検討したところ、有効に行なわれているという認定のようであります。従いまして、ほかの実用発電炉というものは、アメリカ型やその他のものを見ますと、原価もだいぶ高いようでありますし、また、日本の国情等から見ましても、燃料系統その他あらゆる面を考えて見ましても、日本の現実の時点に立って考えると、コールダーホール改良型を入れるということは、私は適当であると思いますし、また、現にブラッドウェルや、ハンターストン、ヒンクレーポイント、バークレーで建設している事実を見ますと、将来性は十分にあると思っております。
○岡委員 炉の最も大切な要素である燃料要素については、今の御指摘のところは、別に中空燃料を使っておらないではございませんか。みんな中実燃料を使っております。
○中曽根国務大臣 中空燃料は、新しい型の改良点の一つになっております。中実燃料よりは、燃焼効果、能率性がいいということが改良点である。それは現にまだ使ってはおりませんけれども、現実の時点に立って見ると、それは技術的に十分可能である、そういう確信のもとに行なわれておると思います。
○岡委員 問題は、アイデアとしては改良であったかもしれないが、実際やってみたらそれがどうなるか、その結果についてはわからないというアンノーンなファクターを持っているということです。まあ、しかし、こういう問題は、いずれあらためて私は原子力委員の皆さんの御出席を願って、十分私どもの意見を申し上げたいと思います。
 そこで緊急時の放射線許容量、これは先般安全審査部会の坂田教授も問題として御提出になったわけであります。それから昨日の申し入れにうたわれておる、緊急時の、万一の事故時における、公衆に障害を与えることのないような放射線量の限界というようなことで、緊急時放射線許容量などについては、原子力委員会の立場から、当然法律上放射線審議会の意見をお聞きになることになっておりますが、お聞きになりましたか。その答申というものが参っておりますか。
○中曽根国務大臣 これは、伏見康治氏が部会長になっております安全基準部会においてずっと検討を続けてきておるところでありまして、今度の新型コールダーホール・タイプのものにつきましては、世界で一番厳格な条件であるイギリスの医学界の勧告の基準、すなわち、幼児について二十五レムというものを採用しておるのでありまして、ほかの国、アメリカあたりはたしか千ないし千五百レムぐらい、スカンジナヴィアの国等では約二百とか三百とかいう数字がありまして、日本の今の伏見さんの安全基準部会におきましても、それよりずっと高い基準で大丈夫だという考え方でおったようでありますが、この炉につきましては、特に厳格な線を採用して、幼児について二十五レムという、最も厳格な基準を採用したのでありまして、その基準につきましては、私はスタンド・ポイントは間違っていないと思います。現在それをきめろというのは、ちょっと無理な話だと思います。それを外国で最近正規にきめたという国は、今のところよく存じておりません。ただ、今のところ、大体目の子算用でこの程度で安全だというようにやっておるのであります。それは遺伝の問題とか、いろいろな条件が複合しておるものですから、正式にこれで的確だというものはないと思います。そしてイギリスにおきましても、そういうかげんで、医学界の勧告というものを一応の基準にしてやっておるのだと聞いております。
○岡委員 手続の問題、許容量の問題もいずれあらためてお尋ねしたいと思いますが、放射線審議会の意見は、いろいろ理由があってお聞きにならなかった、こういうことでございますね。
○中曽根国務大臣 先ほど申し上げました伏見さんの基準部会の意見がまとまってから、放射線審議会の方へ上申して、かける手続だそうであります。
○岡委員 基準部会の意見というのはまだまとまっておらないわけですか。
○中曽根国務大臣 まとまっていないのです。
○岡委員 それから、この際資料を御提出願いたいのでありますが、従来審査された原子炉の安全条件でございますか、たとえば立教、東海、不許可のものも、許可のものもございますが、われわれが見てわかりやすいように書いた資料をぜひ御提出願いたい。これは九日の委員会までに、その当日でもけっこうでありますから、お願いしたいと思います。
○中曽根国務大臣 それはどういう内容の資料ですか。
○岡委員 これまでに原子力委員会として許可あるいは不許可になった原子炉の、特に安全の条件について、こういう点が安全でないから許可しなかったとか、東海も立教もいろいろな事情もあるでしょうから……。
○中曽根国務大臣 それでは答申をみな持って参りましょう。
○岡委員 具体的に個々の炉について、武蔵大学なり、東海大学なり、その他、立教なりについてお願いいたします。
○中曽根国務大臣 承知しました。
○岡委員 それから、この間委員長の御所見を十分承らなかった点、これも手続問題でございますが、伺っておきたいと思います。
 この間、私がお尋ねをしておった、問題として提供しました点は、すでに閣議の了承として、この炉の燃料の所有は、国または公社が所有するということに、原子力委員会は去年の四月にその方針を決定した。ところが、ことしの四月になってから原子力発電会社が英国へ行かれて、いわばプライベートということではございませんが、少なくとも、私法人の原子力発電株式会社が英国へ行かれて契約をしてきておられる。この場合、燃料公社の理事長にお聞きをしますと、国または公社の所有ときめられておるにもかかわらず、公社は事前にも事後にも、何ら文書等によっての報告も受けておらない、こういうことでございました。御存じのように、この燃料物質は、原子燃料公社法ができましたときにも、特になぜ公社を作るかということでは自民党の方も声を大にして叫ばれたことは、原子燃料というものの災害が非常に大きいという場合、やはり国の補償というようなことも考えられなければならぬので、その場合に、そのいわば流通を民間人の自由にまかすということにすると、そこに問題が起こるだろうということが一つある。もう一つは、基本法で平和利用ということがうたわれておるので、万一にも民間人の自由にまかされるということになると、基本法を逸脱する心配がある、こういうようなことが、燃料公社と、そして公共的な管理に移そうという与野党の一致した意見でございました。あの公社法が本委員会で審議になりました際に、前田さん等の御質問に対しても、当時の原子力委員長の正力さんは、独占とは書いてないが、実質的には独占的に取り扱わしめるものであるということをお答えになっておる。われわれもそういう言明を信頼して、実はあの公社法には賛意を表しておるといういきさつもあるのでございます。そこで、そういう経緯があって、さてこのコールダーホールの改良型の炉については、閣議の了承としても、国または公社が所有する。ところが、民間会社が買い入れの契約に行って、すでにその契約をまとめてきておられる。ところが、それについては、所有すべきはずの公社についても、国についても、何ら――たとえば、そこで決定しておるならば、国の方で、では、お前が行ってこいということで、辞令を与えて交渉させるという筋道をとらなければいかぬと思う。そういう手続が何らとられておらないというようなことは、やはり原子力政策というものの折り目を正しくいう立場から見ても、その監督の責任にある原子力委員会としては、手続上非常な手落ちじゃないかと考えておるわけでございます。この間の委員会でも、その点を原子力局長等にお尋ねいたしましたが、納得のいく御答弁が得られませんでした。一つこの機会に委員長からこの点についての御答弁を承りたい。
○中曽根国務大臣 私は、今のやり方が悪いとは思っておりません。むしろ、それは日本が有利な立場に置かれている問題だろうと思うのであります。むしろ、今のようなお話はイギリス側から要求されてくべきもので、実際交渉しておる原電が、お前はどういう資格があって、どうしてやっているのだというようなことを、イギリス側としては不安感があるでしょうから、むしろ、そういうことを要求する立場にあるので、政府当局の方から言わせれば、むしろ、これは非常に弾力性のある措置をとっておるのであって、融通性のある立場でもありますし、そういう観点から、日本に有利でこそあれ、必ずしも不利な態勢ではない、交渉の実績を見ると、そういうふうに私は感ずるのであります。
○岡委員 私は有利か不利かということを問題にしているのではないのです。しかし、閣議の了承ということで、所有権が国または公社に属するのだ、こう決定されておる以上、これがやはりあなた方の政府の行政的な、動かすことのできない方針でございましょう。にもかかわらず、民間の会社からプライベートな契約使節団のようなものが行って契約して、そしてそれを、所有権を持つべき国なり公社なりというものが事後において承認をされるということになれば、公社とか国というものはチャンネルにすぎない。だから、私は、だれがおやりになろうと、それは有利であるか、不利であるかを申し上げておるのではございません。しかし、少なくとも、行政決定として閣議までが、そのように所有するということをきめておる。これとは無縁に出かけて行って、勝手に交渉して取りきめてきた。予備交渉と言われますけれども、実質的には、これはほんとうの交渉も同じ実体的な内容を伴っておる。その契約に基づいて設置許可の申請書が出ておるわけです。こういう問題を、それは有利だから、民間で勝手にやらしておいていいのだというのでは、国務大臣としても私はいくまいと思うのですが、それでいいのでしょうか。そういうふうに、国が所有する、公社が所有すると閣議で決定して、ほんとうに所有するための交渉は民間団体にまかせ切りである、そういうことでいいのでしょうか。そういうことは、燃料公社法をきめた場合に、公共管理に移すというこの理由からも、これは当初からあなたもこの法律案に参画しておられるのですから、立法の精神、経過から見ても、私は妥当ではないといわざるを得ないわけです。
○中曽根国務大臣 燃料の問題は、炉の規格と不可分の関係にあるわけでありまして、従いまして、炉を設置する当事者であるものは、その炉の形状やら性能等も一体的に燃料の交渉をするということはやむを得ないところであると考えられるわけであります。われわれといたしましては、それを無条件にのむというふうなことで原電にやらしているのではないのでありまして、原電のやり方につきましても、常時報告も受けて監督もいたしております。しかし、弾力性のある態度をとっておって、交渉につきましては、日本側は常に有利になるような立場で二段、三段の縦深陣地をしく、と申しますと変かもしれませんが、そういう方が実際としては日本に有利であると私は思います。
○岡委員 有利か不利かということを言っているのじゃないのですよ。だから、これはなるほど有利だったかもしれません。しかし、問題は、国が所有する、公社が所有する、こう閣議で決定をする、行政的に閣議がその方針を採用しておられる以上、その所有権者たるべきはずの国ないし公立とは無縁に、民間の私法人が相手の国へ出かけていって、そうして契約を結ぶ。だから、結果においては公社なり国というものはチャンネルにすぎない、トンネルにすぎないでしょう。そして、その勝手に契約された私契約的なものが、もう設置許可の申請書の大きなデータとなっているというようなことになりますと、公私の区別というものはないじゃございませんか。こういうやり方を、このままこれがいいんだということで先例になっていくということになれば、原子力政策というものは文字通りめちゃめちゃになるじゃございませんか。そこに原子力委員会としての行政的な責任があるはずです。だから、こういう形は絶対に今後やるべきじゃない。今からでもちゃんと手続をとって、そして代理権を与えて交渉させるならさせるという手続をとっていくというくらいにけじめをつけておくことが、私は原子力委員会の仕事であり、責任だと思うのです。それが有利か不利かというようなことで、あれがいいんだということで、こういう先例を作られるということは、私どもは絶対に納得できません。与党の方も、私は非常な疑義を持っておられると思うのです。こういう点は押し問答になりますが、私どもとしては絶対に納得ができないということを、はっきり申し上げておきたいと思います。
○平野委員 きょうはだいぶ勉強しました。最後に一点だけお尋ねしたいと思いますことは、先ほどの岡委員の御質問に関連しまして、中曽根長官の御答弁で、防火基本法を作るというお話がございましたが、非常にけっこうなことでございます。これの所管の問題ですが、作る場合における政府内部の所管はどういうことになるわけでございますか。
○中曽根国務大臣 この点は、まだ未確定でございまして、防災基本法をどういう内容に作り上げるかというアイデアを今練っておる段階であります。特に臨時台風科学対策委員会が実際見て、そして科学的に検討した結果を聞いて、どういう内容に練り上げていこうかということをきめていきたいと思っておりますので、どこが主力の官庁になってそれをやるか、今のところ、まだ明言できる段階ではございません。いろいろお知恵を拝借させていただければありがたいと思います。
○平野委員 そうしますと、現在、科学技術庁で事務を進めておられる。農林、建設その他との連絡なしに科学技術庁だけでやっておる、こういうふうに解釈してよろしいわけですか。
○中曽根国務大臣 臨時台風科学対策委員会には各省の代表の方がおいでになっております。その委員会で検討してもらって練っていただく、そういうことでありますから、各省の関係の方も御参加になっておると思います。
○平野委員 よくわかりました。
 なお、最後に、一つ委員長にお願いしておきたいことは、先般の本委員会で、電源開発法の改正案を出すべきであるという質問に対して、次の国会において必ず提出をするというような通産省側の答弁がたしかあったと思うのでございます。なおまた、科学技術庁におかれても、通産省と連絡をとってそういう措置をとるという御言明があったと記憶いたしますが、今国会にはまだ姿を現わさないので、あるいは次の常会に出されるのであるかどうか、その点だけを一度通産大臣を呼んで聞きたい、こう思っております。委員長がよく連絡をとられて、次の通常国会に出すということであれば、わざわざ来てもらうまでもないのであります。その点を委員長におかれてしかるべく御連絡をとられ、明確に出すということがわかれば、それでよろしゅうございますし、もし、不明確であれば、次の委員会に通産大臣を呼んでいただきたいということをお願い申し上げまして、しかるべく委員長にお取り計らいをお願いしておきます。
○村瀬委員長 ただいまの平野委員の御意見に対しましては、委員長において適当に善処いたします。
○西村(力)委員 時間もおそいので簡単にします。先ほどの私の質問に対して、工学の理論の関係も同時に開発していくんだというお話でございましたが、しかし、私たちとしましては、カラー・テレビを開発するなんかとは違いまして、誤ったから、その経験に基づいてまた開発していく、研究していくというような工合に、試行錯誤的に持っていくことのできない問題であるということ、それから、今度原電から申請が出ておるから、そういう意味においては緊急性があるかもしれませんが、世界の発電の開発の現状から見ても、また、その原子力発電によった電気の原価が極端に安いというわけでなく、相当高い、そういうような点からいっても、緊急性ということはあまり考えられない。ですから、ここにおいてはもっとじっくりと、もう一度落ちついて、理論的な立場からの検討を中心とした方法でやっていただかなければならぬのじゃないかという考えを持っておるのです。
 一つ聞いておきたいと思いますことは、新聞によりますと、日米合同委員会において、爆撃訓練の場合に東海村上空を飛ばないことに合意が出た、こういうことが出ておりますが、これはその通りでございますか。
○中曽根国務大臣 その通りでございます。
○西村(力)委員 その通りだとしましても、これだけで絶対安心されるという工合にはいかない。航路変更の問題は、地元民の苦情なんかで、そちらの方は飛ばないということになっておるけれども、現実に、まだまだ向こうの方から飛行場に進入する航路を使用しておるということがありますので、将来それが絶対にないということも、なかなかむずかしいのじゃないかと考えられるわけです。
 それから、ここに従事しておる従業員の安全ということは、一人残らず確保されておるかどうかということが、私のお聞きしたい最後の点でございます。
○中曽根国務大臣 炉の設置基準、放射線管理の状況、そのほか法規が認めておる管理はなされておるのでありまして、コールダーホール型を設置した場合も同様でありまして、私は、従業員の安全は維持されておると思います。
○西村(力)委員 その点に関しましては、もちろん、これは放射能の強いものを操作するのですから、ほとんどが遠隔操作によるのでしょうが、遠隔操作で完全にできるかということになりますと、どうでしょうか。やはり一部の人々は炉に近づいて燃料の差し入れや何かをやらなければならないのじゃないかという工合に思うのですが、その点はどうでしょう。
○中曽根国務大臣 そういう点については、技術的に解決されてあるようであります。
○西村(力)委員 それでは、その点は的確な御答弁がないようでありますから、もう少し御検討、御研究願いたいと思います。全部遠くから操作するのならいいのですが、燃料の入れかえという問題になると、完全に遠隔操作できるかどうかということになると、私自身もしろうとですから、あまりよくわかりませんので、これから専門的な人に聞いてみたいと思っております。ただ、政府側においても、その点は十分に研究して、何人でもそばにおって、そうして事故が発生した場合には、六億キューリーとかいうような危険にさらされることになるわけで、一人の人命でも重要視しなければならぬことでありますので、その点は十分に研究、検討して、的確に御答弁願いたいと思います。
○中曽根国務大臣 承知いたしました。
○村瀬委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる九日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後四時二十二分散会