第033回国会 科学技術振興対策特別委員会 第10号
昭和三十四年十二月二十二日(火曜日)
    午前十時三十八分開議
 出席委員
   委員長 村瀬 宣親君
   理事 西村 英一君 理事 平野 三郎君
   理事 保科善四郎君 理事 前田 正男君
   理事 岡  良一君 理事 岡本 隆一君
      木倉和一郎君    橋本 正之君
      細田 義安君    石川 次夫君
      石野 久男君    神近 市子君
      田中 武夫君    辻原 弘市君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 中曽根康弘君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       横山 フク君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   原田  久君
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局長)   佐々木義武君
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局次長)  法貴 四郎君
        大蔵政務次官  奧村又十郎君
        通商産業政務次
        官       原田  憲君
 委員外の出席者
        原子力委員会委
        員       有澤 廣巳君
        原子力委員会委
        員       石川 一郎君
        原子力委員会委
        員       兼重寛九郎君
        科学技術事務次
        官       篠原  登君
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局原子炉規
        制課長)    藤波 恒雄君
        通商産業事務官
        (公益事業局
        長)      小室 恒夫君
        参  考  人
        (立教大学理学
        部教授、日本学
        術会議放射線影
        響調査特号委員
        会幹事同原子力
        特別委員会委
        員)      田島 英三君
        参  考  人
        (東京大学教授
        (原子核研究
        所)日本学術会
        議会員、原子核
        特別委員会委
        員)      藤本 陽一君
        参  考  人
        (京都大学工学
        部教授、日本学
        術会議会員、原
        子力問題委員会
        委員)     堀尾 正雄君
    ―――――――――――――
十二月二十二日
 委員堂森芳夫君及び松前重義君辞任につき、そ
 の補欠として神近市子君及び石川次夫君が議長
 の指名で委員に選任された。
同日
 委員石川次夫君及び神近市子君辞任につき、そ
 の補欠として松前重義君及び堂森芳夫君が議長
 の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 閉会中審査に関する件
 科学技術振興対策に関する件(コールダーホー
 ル改良型原子炉の安全性及び経済性に関する問
 題)
     ――――◇―――――
○村瀬委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 ただいまよりコールダーホール改良型原子炉の安全性及び経済性に関する問題について参考人より意見を聴取することといたします。
 御出席の参考人は立教大学理学部教授、日本学術会議放射線影響調査特別委員会幹事、同原子力特別委員会委員田島英三君、東京大学教授(原子核研究所)、日本学術会議会員、原子核特別委員会委員藤本陽一君、京都大学工学部教授、日本学術会議会員、原子力問題委員会委員堀尾正雄君、以上三君の方々であります。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ、本委員会の調査のためわざわざ御出席を賜わりまして、ありがたく御礼申し上げます。
 ただいまよりコールダーホール改良型原子炉の安全性及び経済性に関する問題について御意見を伺うことといたしたいと存じます。なお、御意見は藤本陽一君、田島英三君、堀尾正雄君の順序で伺うこととし、時間は約十五分程度としていただきまして、そのあと、委員諸君の質疑があれば、これにお答えを願いたいと存じます。
 それでは藤本参考人よりお願いいたします。
○藤本参考人 私が御紹介いただきました藤本と申します。
 本日は、この席にお呼び出しを受けまして、私がコールダーホール改良型原子炉に関して、ことにその安全性に関しまして、考えていることを申し上げたいと思います。それにからみまして、私は、学術会議の原子核特別委員会の委員をしております。それで、学術会議関係のいろいろな委員会あるいはシンポジウムなどでありました結論を、まぜてお話したいと思います。
 これは私個人の意見でございますが、コールダーホール改良型原子炉が、このたび原子力委員会と政府によって、その設置の正式な許可が出たわけでございますが、私は結論を申しますと、そのことを非常に遺憾であると思います。コールダーホール型原子炉を買って日本に置くについては、もっと検討すべきであったと私は思います。大体コールダーホール型原子炉だけでなしに、原子力発電自身について、もう一ぺん考え直してみなければならない時期であるということを、まず申し上げたいと思います。
 今まで、日本の原子力委員会が長期原子力発電の計画を持っておりまして、それを発表したわけでございます。その発表は、ジュネーブで開かれました平和利用国際会議でも、石川代表から正式な演説があったあとでありますけれども、私たちが原子力委員会がこの発電計画を作った当時から続けて今まで申しておりますことは、決して原子力発電というものは実用段階に入っているのではないということであります。現在でも、その結論は変わってない。もちろん、原子力発電は非常に重要であります。それからまた、非常に魅力のある将来を持ったものでございますけれども、それがすぐに実用になるものではないというところが問題だろうと思います。コールダーホール改良型発電炉も、その原型のコールダーホール炉は、むしろ、発電炉というよりはプルトニウム製造炉、つまり、軍用の炉と発電炉と両方を兼ねたものであることは、皆さん御存じだろうと思います。それが発電炉として、はたしてどういうものであるかということになると、非常に問題点がたくさんある。ですから、日本で原子力発電をほんとうにやる気ならば、今コールダーホール型のような原子炉を買わないで、むしろ、別のコースをとるべきである。たとえば、日本の原子力研究所でありますとか、あるいはその他の原子力研究機関で、もっと精力的に、そうして統一的に原子力発電の研究をやる、それが私は第一歩だろうと思います。従って、外国から買う炉の場合でも、コールダーホール型のような実用炉ではなしに、むしろ動力試験炉とか、そういう、われわれが原子力発電の技術を上げるための炉を買うべきだろうと思います。
 次に、私は、コールダーホール炉の、ことに安全性について若干お話したいと思います。安全性については、もちろんコールダーホール炉は、かりに原子力発電としてはあまり有効でないとしても、そのコールダーホール炉を買い入れるお金とか、あるいは労力というものに比べて、期待したような成果が上がらなかった場合でも、決して成果がゼロではないわけですが、ここで一つ注意しておかなければならないのは、もしもコールダーホール炉が事故を起こして、たくさんの皆さんに迷惑をかけるようなことが起こったならば非常にマイナスである。その意味で、安全性の問題は、コールダーホール炉を考える場合の非常に重要な問題だと思います。
 それで、安全性に関しては二つ問題があるだろうと思います。第一の問題は、コールダーホール炉自身が安全かどうかという問題を議論しなければならない。と同時に、原子炉の安全性の審査ということが、はたして万全を期されているかそういう二つの問題があるだろうと思います。何よりもまず一番大切なのは、はたしてこの炉が安全かという中身の問題になるわけでありますが、それは、はっきり申し上げますならば、科学技術的に、この安全性ということだけに限って議論したならば、結論は非常に明瞭だろうと思います。その明瞭な結論は、ここにございます原子力委員会の合同審査会の報告にも出ております。あるいは学術会議のシンポジウムなどでも、あらゆる学者がほとんど意見が致したと思われる点がございます。それはどういうのかと申しますと、わからない点が非常に多いという点でございます。どういう点がわからないかと申しますと、たとえば、この原子炉を動かし出しました初期の段階の原子炉の動作というものは割合正確にわかるわけでございますが、その原子炉の燃やし方を進めた場合にどういうことになるか、それは非常にわからない要素が多いわけでございます。それから、たとえば、万一の事故の場合に最も大切であります緊急冷却装置が、どれくらいの能力を持っているかという点もわからない。ですから、そういうことから結論を導き出す場合に、人の考え方によっていろいろな結論が導き出されるわけであります。たとえば、危険であるとは断定できない、わからないところを、ちゃんとやれば安全だと考えていいだろうというふうにも言うことができますし、あるいは原子力、あるいは放射能の問題の場合には、わからないときには、むしろ危険側に考えてやった方がいいという考えもございます。それぞれにニュアンスの違いが、学者の間にたくさんの意見があるような印象を私は与えているのじゃないかと思っている次第でありますが、そういうときに、安全問題についてどういう結論を下すかという基準の問題、あるいは考え方の問題、そういうことも、同時に議論しなければならないと思います。それで、合同審査会の方と学術会議関係の委員とが懇談しましたおりに、合同審査会の方から、公開のシンポジウムの席上などでは警告したようないろいろなお話を伺ったわけでございますが、そういう審査会の方々の御意見では、私たちは、東海村にコールダーホール原子炉を置いたならばどうなるか、そういうような質問に対してだけ答えただけであるですから、場所から考えたら、東海村よりももっといい場所、もっと安全な場所というのは幾らでも日本にある、しかし、そういうことは私たちはちっとも考えない、そういうことをおっしゃっております。それでは、体、考える場所はどこであったかということがわれわれは心配になるわけであります。それから、たとえば、合同審査会がお出しになった文書の中には、非常にたくさんの要望事項、あるいは保留条件というものがつけてあります。私は、もしも東海村にこの炉を置いたならば、こういうふうな保留条件をたくさんつけなければならないだろう、だから、むしろ置くということを前提として考えたならば、こういう保留条件をつけなければならないという事実を、やはり率直に認めるべきであろう、そう言ったのでありますが、そういうことに関しては、審査会の委員の方々も同じ意見でございました。
 それから、さらに審査の場合に、基準が問題になります。たとえば、万一事故を起こしまして放射能が外に漏れたときに、どれくらいの放射能が漏れたときに人を退避させるか、あるいは警告を発するか、あるいは補償をするかという問題がございます。その問題については、きょうは田島先生からいろいろお話があるだろうと思いますが、一口に言いますならば、そういう放射能の害を評価するということについての基準が何もないわけでございます。原子力委員会の中には、矢木栄教授の委員長をしております審査部会以外に、基準を議論する部会があったわけでありますが、その基準をきめる部会というのが大へん怠慢であったということには、ほとんどの方の意見が一致したといっていいんじゃないかと僕は思います。
 そのほか、いろいろお話ししたいことはあるのですが、要するに、私が考えていることは、原子力発電そのものが前ほど楽観的な見解をとる人が世界の中でも少なくなっている。それから、原子力発電をやればやるほど問題点が出てくる、同時に、原子力発電の重要性ということはちっとも減っておらないわけであります。ですから、日本の原子力発電のやり方を一体どうするかということを根本的に考え直して、早急に――ただ何年にはどれくらいの電力量を原子力発電でまかなうというような数字だけでなしに、内容の伴った長期の計画――発電計画でなしに、むしろ原子力発電の技術をどういうふうにして伸ばしていくかという、技術開発の計画を一日も早く作らなければならない、それが何よりの問題であると、私自身思っております。
○村瀬委員長 次に、田島参考人にお願いいたします。
○田島参考人 私は、ただいま御紹介いただきました田島でございます。
 ただいま藤本先生から総括的な御意見がありましたが、私は、そのうち、特に基準の問題に関心を寄せるものであります。私自身は、日本の原子力の健全な発達というものを、ほんとうに心から願っているものでありますが、それだからこそ、かえって慎重にしないといけないという立場に立っております。それで、この放射線の問題については、非常にわからないことがたくさんあるのが現状でありまして、その基準は、どこの国でもなかなかきまらない状態であります。なぜ、そういう状態があるかということを先に御紹介いたしますと、それは、純科学的の論文の結果からこうだからこうだ、この程度までは許せるという結論が出てくるような問題ではないのでありまして、ほかのいろいろな経済的な要素や、国の状態や、そういうものも含まれて、あるところに線を引くのが基準の考え方であります。従って、各国とも非常に権威ある委員会を作りまして、そこで基準をきめるときに非常に多くの議論をされて、学者の方々の広い議論にさらした上で、一応の基準をきめているというのが現状であります。
 御承知のように、有名な国際放射線防護委員会というのがありますが、これが最近一九五八年に勧告されておりまして、ようやく日本でも近いうちにその線に沿ってある程度の基準が入ると思います。これは放射線従事者、職業人に対する基準でありますが、事故に対する基準はほとんどきまっていないというのが現状であります。本年の九月にようやくある程度の線を出した。それは、英国のメディカル・カウンシルで出した線が、国際放射線防護委員会で、大体そういう考え方でいいだろうというようなステートメントを国際的に出した程度でありまして、その程度のものに、現在事故時の放射線の限界線というものに対して国際放射線防護委員会がある程度近づいて考えていくというのが現状であります。そういう状態でありますのに、この審査部会の報告書を拝見いたしますと、何によってこの審査が安全であるという基準をお持ちになったか、はなはだ不明瞭な点が多いのでありまして、その点を強く心配する次第であります。たとえば、放射線の許容量に関しまして、この報告書の一項を読みますと、「放射線の許容量は『原子炉の設置、運転等に関する規則等の規定に基づき許容週線量、許容濃度及び許容表面濃度を定める件』(科学技術庁告示昭和三十二年第九号)のほか、一九五八年ICRP勧告および原子力委員会原子炉安全基準専門部会答申『放射線の許容線量及び放射性物資の許容濃度について』をも考慮する。」という表現になっておりますが、これは考慮するのでありまして、これを基準にとっているようには考えられないのであります。というのは、なぜ考慮するという表現をお使いになったかと申しますと、たとえば、アルゴン四一の問題につきまして、原子炉安全基準専門部会の答申では、平均線量を十三週間にとって、「上の濃度は引き続く十三週間の平均をとることができる。」と書いてありますが、この審査部会は、その点には触れないで、おそらく一年間の平均をとっている――これは、とっているのではないかとうかがわれるのであります。もし、安全基準専門部会の基準をとるならば、十三週間をとるのが至当なのではないかと思います。そういう点について、この報告書では何も触れておりませんが、おそらく、一年間の平均をおとりになっているのではないか、そういう点が幾つかあるのであります。たとえば、ただいま申しましたブリティッシュ・メディカル・カウンシルの分析がいいとしてこれをICRPがある程度サポートいたしまして、その基準を大体とっているように見受けられるのであります。すなわち、甲状腺二十五ラッド――ラッドというのは、ある一つの単位と御了解いただいてけっこうですが、この二十五ラッドをとっております。これはある程度了承できるのですが、これを日本の状況に持って参りますときに、日本の食生活及び生活様式によって非常に違ってくるのではないかと思います。たとえば、ストロンチウム九〇の問題につきましても、このメディカルカウンシルは、二ミリマイクロキューリー・パー・デーとってもよろしいというふうに書いてあります。これは英国の食生活についてならば、それでよろしいと思いますが、日本の食生活について言うならば、これが二分の一ないし四分の一くらいに下がるのではないか、これは私個人の意見ですが、そういう感じがいたします。その理由は、外国でありますと、カルシウムの摂取量は一グラムというのが平均値になっておりますが、日本では、普通〇・五グラム、非常に少なくなっておりますから、それだけストロンチウム九〇が骨に入る割合が多くなりまして、これで二倍になる。また、食物の生活状況が違いますので、たとえば、外国ですと、一人当たり六十センチメートル・スケアの田畑にたよっておるのが、日本では、菜食が多いので、おそらくそれよりも多くなるであろう、それからまた、日本の食物の性質上、ストロンチウムの入り方が多いというようなことを考慮いたしますと、どうしても二分の一ないし四分の一くらいの大きさになるのではないかというような私見を持っております。
 それから、もう一つ、英国のブリティッシュ・メディカル・カウンシルの事故時における分析におきまして国民の五十分の一くらいまでは、このくらい受けていいだろうというような数字が出ております。この数字の出どころは、われわれはっきりしないのであります。国民が受ける線量を遺伝的な立場から分類して割当を行なっておるのがICRPの国際勧告の精神でありますけれども、そのうちに、保留の分として幾ばくかの線量を持っております。その幾ばくかの線量をどのくらい事故時に使っていいかということから、おそらく、五十分の一が出てきているように思うのであります。詳しく数字をあげますと、国民の遺伝線量は三十年間に平均当たり五レムという値をとっておりますが、その内訳は、職業人による国民の負担が一レム、それから特殊グループによるものが〇・五レム、一般人が二レムというふうに当たって、一・五レムを保留すべきである、どういうことで必要になるかわからないから、そのために保留すべきであるということが勧告の趣旨に載っておりますが、その一・五レムのうち、事故に対してどのくらい割り当てるかということから、おそらく五十分の一の人口の分数が出て参ったのではないかと思うのであります。そういうようなことは、おそらく、一審査部会という立場でなくて、もっと大きな、日本の原子力の発達をどうやって健全にするかという大きな立場から議論されて、その結論は、多くの学者及びその他の方々の議論にさらされた上できまるべき問題であって、それがきまらない限りは、この審査の基準となるべきものが那辺にあったかということを、はなはだ疑わざるを得ないのであります。
 以上が大体の私の見解であります。
○村瀬委員長 次に、堀尾参考人にお願いいたします。堀尾参考人。
○堀尾参考人 私は、ただいま御紹介を受けました京都大学工学部の繊維化学教室に勤めております堀尾でございます。過日、コールダーホール改良型発電用原子炉の安全性に関しまして、参考人として当委員会に出席するようにといわれたのでございますけれども、私は原子炉の専門家ではありませんし、また、原子炉のことにつきまして多くを語る資格がございませんので、実は、私は参考人を御辞退したのでありましたが、その後、再び御招集を受けましたので、本日は、顧みずにこの席に参ったのであります。
 私がこの席に招集を受けました理由は、よく存じないのでありますけれども、おそらく、私が日本学術会議の原子力問題委員の一人であるためかと存ずるのであります。しかし、私は、まことに申しわけありませんが、熱心な委員でもなく、また、有為有能な委員でもありませんし、専門的知識もありませんので、参考人としての資格に欠けていることを思いまして、非常に恐縮に思いますが、若干意見を述べることをお許し願いたいと思います。
 日本学術会議の原子力問題委員会では、御存じのように、名古屋大学の坂田教授が委員長をしておられるのであります。三年前に学術会議の第四期が始まりましたとき以来、私もこの委員会に関係することとなりまして、自来、コールダーホール改良型発電原子炉は、この委員会におきましては再三話題になって参りました。しかし、この日本学術会議の原子力問題委員会と申しますのは、これは、坂田教授のような方もおいでになりますけれども、その他の大部分の方は、原子力の技術的専門家でないのでございまして従いましてこの原子力問題委員会におきましては、技術的な問題を専門的に論議するというふうなことは一ぺんも行なわれないのでありまして、むしろ、大局的な立場に立って政府が発電用原子炉の問題に対して慎重を期して、間違いのないように処置されたいということを勧告申しましたり、また、技術者から構成されておりますところのあまたの特別委員会と連絡いたしまして、専門的な討論の機会をあっせんするというようなことをこの原子力問題委員会で行なってきたわけであります。コールダーホール改良型原子炉に関しましても、こういうことをやってきたわけであります。
 最近の事柄といたしましては、この十二月の三日に原子力問題委員会が開催されたのでありますが、その席で、原子力委員会に対しまして、原子炉安全審査専門部会の報告書が出されておりますけれども、認可決定に至るまでには、なお学界の意見を十分に聴取して万全を期せられたいということと、また、今後、実施の段階におきますところの措置が安全性を支配する要素を含んでおるということから、この報告書をもって事終われりとすることなく、今後十分責任の所在を明らかにして、ルーズに処理されないように留意願いたいということなどを勧告することをきめまして、委員長及び幹事から原子力委員会に伝達されたと承知しているのでございます。
 今述べました点は、私も原理として賛成いたすものであります。ただ、私は、その際に、委員長に対しまして、この勧告は、現在審議されておりますところのコールダーホール改良型原子炉の原案を破棄するとか、あるいはそれを白紙に戻すということを前提としていないということを確認いたしまして、賛成したのであります。
 原子炉安全審査専門部会は、各界の有力な専門家の集まりではありますけれども、なお念を入れて、広く意見を聴取した上で決定に運ばれたいという旨を申した次第でありますが、十二月五日に――もちろん、それまでにもいろいろ意見を聞かれてはおるのでありますが、十二月五日には、原子力委員会では認可決定いたしたのであります。しかし、私は、今後に引き続きましても、できるだけ有為な専門家の意見を聞いて、念の上にも念を入れていただくことを希望いたしたいと思います。特に原子炉の安全性は、今後実施の段階における措置に支配されるところが多々ありましてそのことは、専門部会の報告書にもあまた記載されているのであります。これは非常に大事なことであると思いますので、今後もできるだけ――学術会議が申しておりますように、いろいろな有為なる専門家の意見を聴取されて万全を期せられたいと希望するのであります。これは、学術会議の原子力問題委員会の委員の一人としての私の立場からの意見であります。
 次に、私は、別の立場から、自分の二、三の見解を述べたいと思います。
 私は、すでに述べましたように、原子力の専門家ではないのでありますけれども、今までに工業に関係のある研究に携わって参りました。それから、まことにささやかではございますけれども、自分の研究したことを工業化して、これを工業的生産に移した経験も持っております。そしてまた、ささやかではありますけれども、工場建設に対しましても関係した経験がありますので、非常に貧しい恥ずかしい経験ではございますけれども、そういう経験に立脚いたしまして、いま一つ別の立場から、若干私の感想を述べることをお許し願いたいと思います。
 実験室の研究で得られました理念を工業の生産に移すということは、これは並み大ていのことではないのであります。ちょっと筆紙に尽くせないいろいろな問題があります。実験室では、自分のところで行なっておりますので、自由な、勝手なことがききますけれども、工場の生産になりますと、機械というものは、ものを考える能力はありません。しかしながら、機械的に大量な、いわゆるマス・プロダクションをやるのであります。従いまして、実験室的な理念を、こういう機械生産の理念に現実にもたらすということは非常に苦心を払うところでありまして、さらに、そこへ持ってきて、それが安全に、また採算に合うように運行されねばならないという、幾つかの大きな問題が付随してくるのであります。それゆえに、自分の考えたことが、はたしてうまく工業的にできるものかどうか、その間、われわれは何日も何日も専門家が集まりまして、非常に不安な気持になりながら、いろいろな論議をいたしまして、一つの線が出て参ります。そういう線が出て参りましてからでも、なお、あちらを直し、こちらを直し、疑えば疑うほど心配が増してくるのでありまして、ときには、堂々めぐりをして初めの問題に戻ってきたりするのでありますけれども、そういう段階におきまして幾ら議論を尽くしましても、いまだかつて、これで完璧だというようなものには、論議というものはなかなかいかないようであります。ものにもよりますか、私たちの関係して参りましたような事業におきましては、これはここまでいけば完璧だというように、計画だけで決心のつくことは少ないのであります。おそらく、このままで議論を続けていきますならば、いつ踏み切っていいかという時期の判定は非常にむずかしいことになると思います。そうしますと、結局、ものはやってみなければわからないというつの段階に到達するのであります。こういうことを申し上げますと、えらい心細い、たよりないことでものを行なうなと申されますけれども、こういう工場を建設するというようなことには、やってみなければわからないというものが幾つか必ず出てくるのであります。そういう場合には、いきなり大きくやるか、ときには。パイロット・プラントを作りまして、つまり、大工業の中間のようなものを一ぺんやってみましてテストするということ、つまり、一ぺんやってみて、計画の正確さを確かめるというような段階を踏むこともあるのであります。こう申しますと、大へんたよりないことでものを進めると思われる向きもあるかとも思いますけれども、そもそも、エンジニアリングといいますものは、こういうような要素をある程度持っているものであります。私は、全部の者の意見が完全に一致する、そして、その一致した意見が完璧であるということを一つの理想と思います。また、そういうようにできるものも多々あるかと思います。しかしながら、私は、そういうような理想というものにはなかなか到達しにくい部面もたくさんあることと思うのでありまして、実行要素を持ったエンジニアリング、つまり、エンジニアリングは一ぺんやってみる、あるいはある段階においてやってみる、しかし、それはその前提となる周到な計画に基づいておる、そして、それの運営は、まさに実施段階における非常な苦心によってなし遂げられるというのが大体エンジニアリングの立場であろうと思うのであります。
 私は、原子炉安全審査専門部会の報告書を、怠慢ではありましたが、最近それを通読いたしました。現在の原子力の学術並びに工業におきますところの知識経験をもっていたしますならば、これが実施にあたって措置すべく保留された個所がたくさんあるということは、現在の段階においては当然であると思います。保留個所の全くない報告書というものは、おそらく作れないのではないかと私は考えます。従いまして、大事なことは、重要なポイントを遺漏なくつかんであるということ、それから、原理的に実行可能な方法が見出されている、そういう原理が明らかにされておるならば、先ほど述べましたエンジニアリングの立場からいたしますと、実施の段階において万全を尽くして、そして、りっぱなものに作り上げるというように、結局工業はなってくるのじゃないかと思います。その意味におきまして、私は、この報告書が実施段階における措置に安全性を付託している部門が多いがゆえに許可決定資料としては不適格であるという意見には、賛成しないのであります。一般エンジニアリングにおきましては、結局は、その理念の施行の上手下手にかかるところが非常に多いのであります。特に原子力の場合には、先ほど田島教授がおっしゃいましたように、放射線による被害という、他の工業とは別な、非常に重要な要素を含んでおる点におきまして、その意義はまた工業と非常に違うものがあります。それゆえに、学術会議が申しておりますように、これらの実施を通常の工業の通念によって処置するというようなことなく、政府は、最高の機関においてその責任を持ち続け、また、この報告書によって許可決定がなされたといたしましても、さらにすぐれた実施方法が発見された暁には、その発表をはばかることなくいたし、また、それに対して多くの専門家の意見をいれまして、それを尊重して事を進めていただきたいと思います。
 次に、専門部会の報告書をめぐってずいぶん討論がなされているのでありますが、その討論につきまして一、二私の所見を述べたいと思います。
 一般に、工業の施行において、これが安全であるという認可をする場合に、どういう基準によっておるか。これは原子力ではございませんで一般の場合でありますが、既存の工業におきまして、そういう工場を建ててもよろしい、そういうことを実行してもよろしいというところの認可は、どういう基準によって行なわれているかと申しますと、それはエンジニアリングの立場からいいますと、緊急事態が起こらないようにやっている。普通の工業常識では、緊急な事態が起こらないようにできているということが認可の重要な要素になっております。従いまして、製作する側は、できるだけ事態が起こらないように、そこへ重点を置いて技術的に努力する、それから審査する側は、普通の工業的常識からいうならば、これでは事故は起こらないであろうという観点に従いまして認可がなされるのであります。従いまして作る側としては、事故が起こるということはもってのほかでありまして、事故が起こるということは、すなわち、それは製作側の責任であります。切腹問題であります。従いまして、製作側の立場は、事故が起こらないようにすることに全力を入れておりますし、また、認可も、普通の常識では事故が起こらないというところにおいて判定かなされているのであります。ところが、これを逆に、それにもかかわらず起こるというところに重点を置いて考えますと、これは事柄が非常に変わってくるのであります。どんなことでも可能性を数学的ゼロにすることはむずかしいのであります。事故の起こるのは数学的にゼロである、そういうようにエンジニアリングをせよといいましたならば、いろんなことかほとんどできなくなると思います。事故が数学的にゼロであるようなエンジニアリングをやれといいましたならば、これはなかなかできない。どういうような設計においても、必ずそこにはゼロでないところの危険性があるわけであります。そこで、大事なのは、焦点の合わせ方がどこにあるかということで、議論が非常に違ってくるということです。つまり、製作側は、事故が起こらないようにというところに重点を置いてものを考える。ところが、別の立場からは、にもかかわらずゼロじゃないじゃないかというところに焦点を置いてものを考える。この考え方の重点の置かれ方ということは、これは非常にむずかしい論議になって参るのであります。
 こんな例はたくさんあるのであります。非常に下手な例かもしれませんが、わかりやすい一例をあけてみたいと思います。たとえば、エレベーターがありまして、エレベーターには許容重量というのがあります。許容重量の十倍の綱でつってあるということになりますと、これは一応は安全性のめどができます。ところが、許容重量の十倍であっても、まだ切れることがある。破損することもある。破損した場合には、自動クラッチでフレームをはさんでエレべーターは停止する、そうすると綱は切れてもエレべーターは下へ落ちない、しかし、それでもまだ懸念があるというので、定期的検査をする、これだけのことをやれば、安全性は百ではない、危険はゼロではないけれども、工業常識からいえば、もうそれで認可していいのではないかというところで、エレベーターの認可がなされるのであります。そういう場合に、われわれはエンジニアリングの立場としては、そういう規格はありましても、いかにして事故を起こさないようにするかというところに万全の努力を払うのでありますが、危険性はゼロではありませんから、もし焦点の合わせ方を変えて、にもかかわらず、綱が切れた、クラッチははさまない、エレべーターはどさっと下へ落ちる、今度は落ちるときを対象にしてエンジニアリングを考えたならば、これは非常に事柄は問題になります。つまり、非常に大きなエナージーを持って急速に落下してくるものを、人間に危害を与えないようなマイナスの加速度でそのエナージーを全部吸い込むようなクッションを考えなければならない。そうしますと、今までのエンジニアリングと全く別のエンジニアリングの考えを持ってこなければならないということになります。従いまして、現在の既設の工業におきましては、われわれが考えて、工業的に起こらないようなめどをもって基準としているのであります。私は、こういう基準の立て方に対しましては、自分の意見もあるのであります。いろいろ意見もあるのでありまして、また日本としまして、こういう基準の研究は非常に重大だと考えておるのであります。しかしながら、原子力におきましてはそうではないのでありまして、先ほどのエレベーターで言うならば、それが落ちる場合も考えることになっております。つまり、普通のエンジニアリングとは違いまして、原子炉の設計におきましては、そのほとんどゼロに近いようなそういう事態が起こって、ゼロに近くはなっておっても、もし、それが起こったときにはどうなるかというような点にまでいろいろと論議がされているのでありまして、その点は、ものの考え方として、原子炉の場合には放射線障害という非常に深刻なものがありますがゆえに、普通の工業の基準とは違いまして、ほとんどゼロに近いようなことが起こっても、なおかつ安全であるということを目標にして設計されていると思うのであります。しかしながら、重点の置き方によりまして、エンジニアリングに重点を置くか、あるいは起こり得ないようなことでも起こったときにどうかというところに重点を置くかということで、議論が非常に分かれてくるということは事実であります。これをエンジニアリングの側からいえば、非常に意地の悪いところをつくということになってくるわけでありますけれども、しかし、原子力の問題におきましては両面を考える必要があり、少なくとも、この報告書によりましては、私は両面が考えられていると思います。ただ、その考えられていることが、はたして技術的に、学問的にどうかということにつきましては、私は十分な専門家ではございませんけれども、普通のエレベーターのような考え方ではなくして、普通のエンジニアリングの立場以上の考察が払われている、私はそういう工合に考えるのであります。私は専門ではありませんけれども、たとえば、地震につきましては、通常の建物がみなつぶれるような条件、たとえば、普通の設計震度の三倍以上の値をとってあり、ダクトにつきましても、ダクトの破損ということは非常に大きな問題でありますけれども、設計震度を二gにとってある、その上にフレキシブルにしてある。エンジニアリングの立場で、このくらいにしておきますと、普通の工業常識では、少々地震が起こっても、普通のわれわれが信頼している家、あるいはビルディングがつぶれましても、おそらくつぶれないということを主眼にして設計されたものであります。しかしながら、それでも不測の事故でダクトが割れるということがある。ダクトが割れたらどうするか。それにはいろいろ技術的な見解がありましょうけれども、その炉をすぐにシャット・ダウンするシャット・ダウンしたあとは、発熱しないように適当な冷却を行なう、しかも、それも停電の場合どうだとか、いろいろ考慮されて、いろいろな措置がされておるのであります。これは先ほどのことで言いますと、普通の毒ガスを送るような場合でもこんな措置はしないのでありまして、絶対にとは言いませんけれども、工業常識でパイプが破れないということになりますと、一応認可するのであります。この場合は、一応パイプは破れないということを前提にしておりますけれども、もし破れたならばどうかというところまでやる、普通原子炉の設計は当然こうなければならぬと私も信ずるのでありますが、一応そういうように重要な問題点は把握されているのではないかと思います。そういたしますと、エンジニアリングのわれわれの立場から見ますと、いかにしてこれを間違いなく実行するか、そういうような設計理念がほんとうに間違いなく、危害を起こさないように、どういうようにうまくこれを工業に移すかということがこれからの問題であろうと思います。そういう意味におきまして、私は、先ほど述べましたように、問題はむしろ今日が出発点であると思うのでありまして、こういう理念に基づきまして、できるだけ多くの学者または専門家の意見を聴取されまして、間違いのないように、危害のないように、また、わが国の技術として誇りになるようなりっぱなものを作っていただきましたならば非常にしあわせだと思う次第であります。
 一応見解を申し上げました。
○村瀬委員長 以上をもって参考人の方々の御意見の発表を一応終わりました。
    ―――――――――――――
○村瀬委員長 質疑の通告がありますので、この際、これを許します。西村英一君。
○西村(英)委員 藤本さんにお伺いいたしますが、大体藤本さんの御意見は、原子力発電というようなものは実用段階ではない、研究段階であろうということ、もう一つは、政府が長期計画を立てるにあたっては、原子力発電何年に何万キロというような数字にとらわれないで、もう少し研究をしてもらいたいということ、最後に、原子力発電を根本的に考え直す必要がある、こういうような御意見のように承ったのです。いずれも私たち同感の点も多々ありますが、そこで、原子力発電を根本的に考え直す必要があるという、その根本的に考え直すというのは、今回のコールダーホールのような十六万キロもの発電所を認可するにはまだ早過ぎるから、小さなプラントを作って、それによってもう少し研究を進めた方がいい、わからない点が多々あるから、研究を進めた方がいいということと、まだ日本のレベルといたしましては、そういうような技術者の養成の点もある、従って、もう少し根本的に考え直す必要がある、そういうような意見に承ったのでありますが、根本的に考え直す必要があるということはどういうことですか。
○藤本参考人 私の申しましたことを少し補足いたします。私が言ったことは、コールダーホール原子炉に関しますならば、たとえば、合同審査会の報告書の最後の方をちょっと引用してみようかと思うのでありますが、原子力発電所の耐用年数については、海外においてもまだ十分長期にわたる運転経験がなく、推定によるほかない、そういうことが書いてある。僕も確かにそうだと思うわけであります。そうして云々と書いてあって、一番最後に、炉本体の耐用年数を二十年とするのは不合理であるとは言えない、とある。確かに不合理であるとは言えないわけですが、それが合理的であるかどうかということが問題になるわけです。私自身の意見を申しますならば、原子力発電は、コールダーホール型の原子炉云々以前に、まず、原子力発電会社という営利会社というか、一つの会社がやっていい段階か、あるいは研究所がやる段階か、たとえば、東海村の研究所のやること、それから原子力発電会社のやることとが一体どうバランスするかという問題、それが一番大きな問題であろうと思います。私に言わせていただきますならば、まだ会社を作る段階ではない、東海村の研究所がもっと動力試験炉を――もちろん東海村に入れますけれども、東海村の研究所は国産炉を作り、動力試験炉にいき、それから原子力発電にいっているわけで、それはそれなりに一つのコースになっているわけですね。そのコースをもっと強力に進めた方がよろしい、そう思っているわけです。
○西村(英)委員 まあ、議論をしてもいたし方がありませんが、私たちの考え方は、安全性ということが確保されれば、今回コールダーホールの改良型を現地で作りまして、それによって相当な研究もできてくる。これは堀尾さんも言われたように、結局、工業の段階ですから、だんだん進歩してくるのでありまして、その間に非常に研究もできると思うのです。ただ、あなたの考え方で、やはり、どうも安全審査部会がいつも問題になるようでありますけれども、それをあまり信用しないのだ、安全の点について信用しないのだということになると、話は別なことになるのですが、安全審査部会の報告についてあまり信用をしないようなお考えでございますか、その点を……。
○藤本参考人 その点について私の意見を補足いたします。私の言いたいことは、安全審査部会というのは一体どういうことをまかされてやったかということが非常にはっきりしていない。これは、私がシンポジウムのあとの懇談会で、安全審査部会の当事者の矢木教授から聞いた話でありますので、矢木教授からこの席で皆さんにお話ししたのと多少食い違うかもしれませんが、その非公開の席上で矢木教授がおっしゃったことは、私たちは、東海村にコールダーホール型炉を置くという前提で、そういう前提の上に立って、一番安全にするにはどうすればいいかという宿題を与えられた。ところが、実際は、たとえば、東海村よりもっと安全なところがたくさんある。それはだれでも認めるところです。それから、この人たちも言っておられますように、また、私もそうですが、危険であるとはっきり断言することはできないと思います。それから、もちろん絶対安全であると断言している人もいないわけであろうと思います。要は、そういうときに――これは堀尾さんの御意見もあったわけですが、私は、やはり一歩々々やっていくことが一番大切なことであろうと思います。たとえば、どういうことが今までに出てきたかと申しますと、コールダーホール型炉を買うということが話題になりましてから、いろいろ新しい問題が、たとえば、正の温度係数の問題、あるいは黒鉛が縮むという問題が出てきたわけです。それで、そのたびに、たとえば、黒鉛が縮むという問題を例にとりますならば、炉心の設計が数回変更されたわけです。変更されたということは、これからも、まだそういうものがたくさん出る余地があるということを私は申し上げているわけです。そういうときに一番大切なのは、そういう問題を解決していくこと、解決していけば解決していくだけ、われわれも原子力の技術が上がっていくわけです。そういうプラントを作りながら、そういうふうに、出てきた一つ一つの問題を解決していくという、そういうことを、もっとスモール・スケールで、研究所でやるべき問題か、あるいは会社がやるべき問題かという点が多少あるだろうと思います。
○西村(英)委員 安全審査部会の矢木部会長が怠慢であったというようなお話も出たのですが、何か学術会議の方々との連絡が非常に悪かったというふうに、この前の坂田さんのお話にも、それ自身の安全性よりは機構の問題に触れて、何といいますか、審査機構の点が非常に気に入らない、ある学者のグループをオミットしておるんだ、広く学者の意見を集めないんだというふうなことをたびたび聞かされるわけです。そういうふうな点について、あなたは、今、矢木先生が怠慢であったということを言ったが、特にどういう点について――これは今後の参考にもなりますから、一つ忌憚のないところを申し述べてもらいたいのです。これは藤本さん個人でもいいし、あるいは学術会議の委員として、どういう点が怠慢であったのか、その辺が第三者のわれわれにはどうものみ込めないところがあります。
○藤本参考人 私は、矢木教授が怠慢であったと申しているのではございませんで、そのシンポジウムのあとの懇談会のときに出た話を申し上げますと、一つは、安全審査部会、つまり原子炉一つ一つについて安全性を審査する部会、それが矢木教授の部会、それからもう一つは、安全基準部会というのがございまして、それは伏見教授がやっておられる委員会であります。私たちも、それから矢木教授も意見が一致したところは、安全基準部会の活動が怠慢であったという点でございます。
 それからもう一つ、私たちも、実は矢木教授たちの合同審査会の実際の話を聞いて、あるいはこういうこともあったんではないかという危惧が実際にあって、むしろ、矢木教授が皆さんにおっしゃるのが至当だと思われますが、それを伝えますならば、審査にあたって、矢木教授たちの安全審査部会の審査の費用というものが一文なしである。それでは、実際自分で試算することや、あるいは原子力発電会社と独立にいろいろなことを検討するというようなことも、ほとんど、つまり自分で夜計算尺を少し動かすという程度でありまして、かなり大きなスケールの仕事というものはとてもできない。「それでは困るのじゃないか」とわれわれが言ったら、「私も実はそれで困った」ということをおっしゃっております。ちなみに、外国の例をあげますならば、原子炉の安全担当の、つまり、安全という仕事に対して俸給を支払われている職員というものを持っている。その辺が日本と外国の非常に大きな違いじゃないかと思います。私自身も、炉の非常にこまかいことになりますと、原子力発電会社以外に、そういうことを計算する場所、検討する場所、あるいは実験する場所というものが幾つもあっていいのではないかと思います。そのことは、矢木教授も私と同じ意見じゃないかと思います。
○西村(英)委員 どうもありがとうございました。原子力による発電計画を長期的にやる場合に一つ考えなければならぬことは、経済性の問題については今お話が出ませんでしたが、私も、ある程度そういうような気がいたしておるところがあります。しかし、それは別問題といたしまして、堀尾さんにちょっとお聞きしたいんですが、いわゆる実用段階であるか、研究段階であるかということは、原子力のみならず、従来の工業の発展を見ましても、機械を使うときにもずっと幾つかの段階を踏み切ってやらなければならぬ。それによってだんだん発達してくる、こういうことなんです。そこで、今度はコールダーホール改良型炉が認可されて踏み切ったわけであります。その場合に、あなたがおっしゃったように、実際の設計施工をどうやるかということがもっと重要な段階になるというお話を承りましたが、私も同感であります。今回の発電所の完成が三十九年になっておりまするから、実に今から五カ年もかかるわけです。普通の発電所、これを火力と考えた場合に、火力は二年半ないし三年でできる。しかし、この場合は、審査の期間を入れれば六カ年以上もかかる、それはある程度慎重にやらなければならぬ、こういう考慮が払われているものだと私は解釈いたしておるんですが、その辺は先生お考えになって、この設計施工、実際の面をうまくやることがほんとうの安全性につながるんだという議論もさることながら――実際はそこだと言うんですが、五年もかけてやるということは、私どもとしては非常に慎重にやる態度だなと考えているんです。その点、先生はどういうふうにお感じになっておりますか。
○堀尾参考人 これは五カ年になりますと、事業を計画していくうちにはだんだん技術も進歩していくであろうと思うのであります。従いまして、私は、現在におきまして、五カ年先を考えられてはおられましょうが、まず、着手すべき点から次第に計画を進めておいでになるのだろうと思います。まず、さしあたり今五年計画の中で着々実行していかねばならない手近な点から、実際の現実的な設計を進めていかれているんだろうと思います。しかし、五年も長い期間にわたりますと、いろいろの技術の進歩もあることでありますので、私先ほど述べましたように、その期間におきましてまた進歩した点がありますならば、これをよく取り入れられて、またそれらに対する意見もよく吸収されて、間違いのないように、さらにその技術の進歩と並行して、でき上がったものも非常に進歩したものになるように措置していただきたいという希望を持っております。
○西村(英)委員 私のお尋ねしたいのは、五カ年という期間は、普通の火力発電所ですと、常識的に十六万キロや二十万キロを作る場合には、三カ年くらい、あるいは二カ年半くらいでできる。ところが、これは五年かかるという。こういう発電所を作る場合は、その期間というのは早過ぎるのか、あるいはもっと慎重にやるべきなのか、そういう点についてどう思いますか。もっと早くできるものか、いや、そんなにやっては工事が粗漏になるから、これは相当に期限をかけてやっておるという感じがしますか、どっちにお考えになりますか。
○堀尾参考人 どうもそのお尋ねは、私この原子炉の建設の専門家でもありませんので、ちょっと的確な御返答ができかねるのでございます。火力発電の例をお出しになりましたけれども、私、さっき工業化したという二、三の例をあげましたが、一つは、パルプ工場を、新しいわれわれの考えましたプロセスでこしらえたのであります。根本的に変わった点が二、三あるのでございますけれども、そういうパルプを作るという工場におきましても、建設に一年かかります。図面を引いたり、それから機械の中でもいろいろ改良すべき点を設計したりするのに一年三カ月くらいかかったのではないかと思います。でありますから、これは非常に大きな設備でもありますし、また、今後いろいろ検討してきめねばならない要素もあるいは含まれているの
 ではないかと思います。それらの点を考慮いたしますならば、これは、私専門でございませんのに、想像して御返事しては、当たっていない点もあるかもしれませんけれども、数年を要するということは、可能性があるんじゃないか、また、十分慎重な計画になれば、そういうことになるんじゃないか、私個人は、勘としてそう感じます。
○西村(英)委員 わかりました。私はこういう感じがいたします。この原子力を使って発電をするということは、これは安全性が保たれれば、将来非常に発達しまして、コストも非常に下がるだろう。しかし、発電のみとして考えれば、火力発電と比べたときに、年限は、火力発電ですと、こういうプラントは三年ないし二年半でできる。コールダーホールですと、五年ないし六年かかる、しかも、金の面からいいますと、今度は十六万六千キロワットを作るのに三百四十億、キロワットに直すと、二十万円かかる。火力発電は、新鋭をもってしても、キロワットについては六万円ないし七万円、しかも、それが三年かからずに同じ発電所ができる。結局、金の面からいえば三百四十億、これは日本の発電拡充をやるのだという観念からのみ考えますと、三倍の能力の発電所が直ちにできる。一方は二年半ないし三年で、コールダーホールは五年ないし六年もかかる。しかし、私が今言わんとしておることは、今回は五年ないし六年もかかるが、慎重の上にも慎重を期してやるのだ、それで安全性を保つのだ、こういうふうな考慮に出ておるんじゃないか、従って、将来はこの原子力発電がもっと短い期間で、もっと安い金でできる、そうなれば、日本の発電計画においても、長期的にはこれを取り入れなければならぬのじゃないか、こういうことじゃなかろうかと私は考えたのですが、先生はその方の専門でないし、公述もありませんでしたが、施工について慎重にやらなければならぬと申されましたから、その点をお尋ねしただけでございます。
 私の質問はこれで終わります。
○村瀬委員長 石野久男君。
○石野委員 私は途中から参りまして、藤本先生、田島先生のお話をお伺いできなかったものですから、堀尾先生のお述べになられましたことについて、ちょっとお伺いしたいと思います。
 先生は、今度炉を認可、許可するにあたっての原子力委員会の答申や何かについて、それにはいろいろな問題があるけれども、安全性の問題についてまだいろいろな問題があるからといって、許可基準が不適格だとは言えない、こういうお話でございました。許可するにあたってはいろいろと基準のとり方はあるのだがということをお話になって、それから先ほど西村委員からもお話になったように、施工について十分注意してほしい、こういうお話があったのでございますが、その場合、政府としては、さらに新しい実施方法が発見された場合には、ちゅうちょせずにそれを発表するように、こういうことをおっしゃったのであります。その政府がちゅうちょしないで発表せよということの意味は、今度の許可をしたことと全然違ったようなものが出てきた場合に、先ほど西村委員から言われたごとく、まだ五年もかからなければ炉が実際にはできないというような事情になっておる、その間に新しい方法ができた場合に、まるきりそれと変わったというような非常識なこともなかろうと思いますけれども、経済性の問題だとか何かの点で、これを一発電会社が実施するということになりますと、それが不可能な場合も出てくるかもしれない、そういうようなことを予想しました場合に、この許可したことがまだ早かったのではなかろうかということの意見が出てくるかもしれないと私は思うのです。そういう問題を、先生はどういうふうにお考えになっておられるか、一つお聞かせを願いたいと思います。
○堀尾参考人 私の述べましたのは、そういう根本的なことは起こらないだろうということであります。むしろ、実際の施工に関しまして、こまかしく、いろいろな点でこういうようにやるといわれておるのを、いろいろ変更せねばならぬようなことが起こる、そういうような場合には、やはり広くそのことを発表して意見を聞かれた方がよろしいのじゃないか、そういうつもりでございまして、その計画が根本的にどうなるというようなことは、おそらく私は起こらないであろう、そういう感じでおります。
○石野委員 これはまたあとで、原子力委員長もお見えになりますから、中曽根委員長にもお尋ねしなくちゃならないのですが、先生は、製作側の方からすれば、一つの仕事をしようとする場合に、なるべく事故が起こらないようにという観点からするのであるし、それから、ことにそれと反対の立場から論ずるものは、特にその設計が数学的に危険がゼロになるような立場をエンジニアリング的に要求するようなことがあるとすると、それはまた食い違うだろうというお話でありました。私も、それはその通りだろうと思うのであります。その場合に、この事故が起こらないようにということと、それから数学的に事故をゼロにするようにということとのどこに基準点を置くかという問題は、先生もおっしゃったように、非常に重要な問題だと思いますけれども、この炉の問題については、先ほども毒ガスの設備の場合にはこうだ、パイプはこうだったとか、ああだったとかいうお話がありましたけれども、毒ガスの場合と放射能の場合とでは、また一般大衆に与える被害や何かも非常に違ってくると思います。その場合も、やはり考え方の線として、先生の言われるように、非常にイージーな考え方でいけるのかどうかという問題で私たちはずいぶんと心配するわけであります。今度の炉の設置につきまして、この放射能障害という問題については、われわれは原爆の被害を受けている関係もありますから、非常にシビヤーな考え方をするわけでございます。従って、従来の工場設置についての認可、許可の問題とはだいぶ違った観点で見なければならぬのじゃなかろうか、むしろ、技術者の立場から、ゼロに近い形で認可、許可の基準が設置されなければならぬのじゃなかろうかと私は思うのですが、そういう点については先生はどういうふうにお考えになっておりますか。
○堀尾参考人 私は、実は、今おっしゃったことと同じことを申したつもりでおるのであります。決して私はイージーだということを申していないのでありまして、普通工業では、工業的に危害が起こらない、そういうのは工業常識で起こらないだろうというようなことが確認されたら、一応そこで認可はなされてはおりますけれども、原子力の場合には、さらに、それでもなお不測の事故が起こった場合にどうするかということも考慮されねばならぬ、それが放射線障害等の重要な危害を含むからであるというふうに私は申し上げておるのです。ただ、これが少し誤解のもとになったかとは存ずるのでございますけれども、製作側の方としては、もう事故というものの起こる可能性が非常に小さい、工業常識では、起こらないようにしたい、もしも起こったら、その設計者は切腹だというように、それに重点を置いて仕事をしてくるわけです。それらが、今までの工業の通念で、そういう工合にやってくるわけです。ところが、事故が起こったときにはどうかということも考えてはおりますが、にもかかわらず事故が起こったときはどうかということの慎重な対策が、原子炉の場合にはなされねばならぬし、なしてはおりますけれども、その重点の置き方を変えると、かなり議論の食い違いもあるのではなかろうか、そういうところに多少感情的な行きがかりもあるいは出てくることがあり得るのじゃなかろうか、しかし、原子炉の場合には、相ともに重要な問題でありますから、これは普通工業の認可と同じ通念で取り扱われることなく、政府においては最高の機関をもってそれに対する責任を持ち続けていただきたい、こういう工合に私は申したのでございます。
○石野委員 もう一つお尋ねいたしますけれども、先生は、今度の許可をしたことについては、別に許可基準に不適格でないというようなことが報告書にいわれておるのでございますけれども、その場合に、先生は、先ほどから言われておるように、工場設置や、あるいは設備の新しい設置のために努力なさったという、経営者的な経験も若干は持っておられるというふうに私は見ますので、その場合に、経済性の問題が、いわゆる純学術者だとか、あるいは技術者とかいう立場と違って、相当頭の中におありになると思うのであります。従って、こういう炉の設置にあたって、いろいろな規格が設計的に出て参りましても、もう経済的にそれが成り立たない場合には、場合によっては設備そのものが作れなくなるような事態も出てくるでしょうし、場合によりますると、経済性のゆえに、いいアイデアもオミットして、既定の方針通りに施工を進めていくような場合もあり得ると思われます。私たちにとって一番大事なのは、非常に重要だと思うような新しい考え方が出てきました場合でも、発電会社が、その経済性のゆえに、それにノータッチ、ノーコメントの立場で既定の方針を進めていかれることがあった場合に、非常にこれが危険だというようなことを思います。先生は、今度の許可をしたことにあたって、そういう経済性の観点から、これから後起こり得るであろう設計上の変更、あるいは何か付加施設というものをしなければならないというようなことを十二分に考慮して、この炉の今後の建設過程というものは進んでいくというお考えでおられるのでございましょうかということが一つ。それからもう一つは、そういうような新しい観点から、もし何かの付加施設をしなくちゃいけない、設計上何かの付加をしなければならぬような場合になったときに、その経済的負担が非常に過大になるような場合があった際、この認可というものはどういうような状態になるだろうか、発電会社はそれをどういうように処置していくだろうかという問題も、一つ出てくると思うのでございます。そういうときに、許可したという事実は、どういうふうに今度は具体化されるだろうか。それはもう発電会社の手に負えないのだから、国が背負わねばならぬとか、あるいは、そのときはもうやめたらいいのじゃないかというような、そういう考え方か、どちらか、先生のそういう点についての見通しの問題を一つお教え願いたい。
○堀尾参考人 これは、どうも私の返答の能力の外に出るものがだいぶあるように存じます。ただ、経済性の問題に関してだけちょっと意見を述べたいと思います。工業的原子炉の設置ということになりますと、やはり、今おっしゃいますように、経済性ということは私は非常に重要であろうと思います。それで、実は学術会議の委員会におきましても、工業的に炉を作るということになるならば、それが採算がとれるということが重要な要素であるということは話し合いいたしました。そのことは原子力委員会の方にもいろいろと話が出ておることだと思うのでありますが、それにもかかわらず、いろいろと調査されました上でこの炉を設置計画することは、一応採算の線に乗るというような御判定のもとにこれが進められていると私は思うのであります。それを信頼するよりほかに、私といたしましては、十分専門的にこの炉の経済性を調査したというようなこともございませんので、私個人の意見としては申されませんが、工業であるためには、十分工業的採算がとられたものだと私は考えております。また、そうなければならぬと思うのであります。しかし、もう一つ、これは私個人の考えでございますが、これが普通の工業とまたやや違いますところは、それがえらいもうかるというところにいかずに、とんとんであるにしても、それを実行したということが、わが国の将来の産業並びに学術に非常に大きな力がもたらされているということは、こういう工業炉の設置には、無形というてよろしいかどうか知りませんが、そういう利点も伴っているんじゃなかろうか、そういう点を相勘案すれば、実施段階に踏み出されたということも、そういうことが考慮されているのじゃなかろうかと私も思います。私自身も、そのこと自身が無形に非常に強い国の力になるという可能性も信じておる一人であります。
○石野委員 問題は、いろいろ先生のお話を承る以上のものがあるように思いますので、私は堀尾先生には質問を一応終わりますが、藤本先生に一つお伺いしたいのでございます。
 この炉は、すでに原子力委員長の許可も出ましたし、政府も、もうすでにそういうなにを出しておるわけでございますけれども、しかし、今後の設計とか、新しい技術的な発見とか何かというような問題を通じて、炉にはいろいろと配慮をめぐらさねばならぬ問題がたくさんある事態の中で、今、炉が入りますと、これは、おそらくそういう面からくる炉の建設に際しての経済的負担の過重性というものが非常に強く出てくるのじゃなかろうかというように私は思うのであります。そういうようなことを考えましてあと五年先にできる炉でございますけれども、これからの世界の情勢や何かから見て燃料ウランというものをそのまま使うということよりは、もう少し低濃縮のウランにした方がいいというようなこともいわれるし、イギリスあたりでもだんだんそういう方向へ動いていくという情勢もわれわれは聞いている。そういうことを考えましたときに、これに相当な危険性といっては悪いかもしれませんが、われわれのまだ非常に不勉強な立場からしましても、いろいろな面で、そういう安全性確保のための付加施設というものをたくさん必要としているような事情の中で、この炉をこのまま建設していきましたときに、五年先に炉ができたときのいわゆる経済性の問題などは、どういうふうになると先生はごらんになっておられるか、ちょっとその点お伺いしたい。
○藤本参考人 私は、結論をかいつまんで申すならば、今認可ということになっておりますけれども、それを、できたら白紙に戻していただきたいということを、私のお話の一番最初に非常にはっきり申し上げたわけであります。
 それからもう一つ、この前の御質問にからみまして、矢木委員会――安全審査の委員会は決して怠慢でなかったと私は申し上げましたけれども、それは、ある限られた立場の上に立っての作業で怠慢でなかったということであって、たとえば、東海村にコールダーホール炉を置くとして、今考えられるだけの知恵を出すとすればこういうところである、こういう条件をつけなければならぬということでありますけれども、本質的に、それで安全かということになりますと、はたの者がそれではかなわぬということになるのじゃないかと私は思います。私個人の意見をはっきり申すならば、とにかく、こういう状態の炉が東海村に置かれるならば、僕は東海村にはちょっと住みたくないというわけであります。
 安全性について五年後にどうなるかという今のお話でありますが、五年後じゃなしに、一年前から今までにどういう変化があったかをお考えになっていただきたい。一年間に炉心の構造が変わったことをお考えになれば、今後五年間にどれだけ変わり得るかは容易に御想像がつくと思います。今後五年間にどう変わるだろうという点は、私は幾つか指摘できます。たとえば、矢木教授の合同審査会で要望事項をつけられた点は、ほとんど今後五年間に変わる、それがコールダーホール炉の致命的な問題にならなければいいがと、私は心配しております。
○石野委員 先生にもう一つお尋ねしたいのですが、炉はすでに認可されましたし、しかも、ほとんど決定的に東海村に置かれるようになるのだろうと思うのでございます。先生は、もし、そうなれば、私は東海村に住みたくないというような私見を言われたけれども、私も、実は東海村のすぐそばに住んでおります。実際問題といたしまして、原子力研究所というものは、やはり日本の原子力開発のために非常に重要な役割をしていると私たちは思っております。従って、この原子力研究所を日本の原子力技術あるいは産業の開発のために十二分に使い、発展させることが、やはり今の日本にとって一番大事なんだろうと思うのです。もし、この原子力発電会社の持ち込んだ炉のために、この原子力研究所に何かそういう目的を長期にわたって達成することができなくなるような事故ができてきたとすれば、これはもう日本の原子力開発の上でも非常に大きな損を来たすだろうと思いますので、私は、炉が認可されたならば、むしろ、この際はそれを別な場所でやる方が、日本の原子力開発のためにいいんじゃないかという考え方を持っておるわけです。もっと安全性もあり、しかも、かりに被害のあった場合でも、その被害が地域的に拡大しないようにという意味で炉の設置というものは、むしろ場所的にその敷地の問題が重要なんじゃないかと思っております。白紙に返せという問題は、中曽根委員長がおられますから、私はあとでお聞きしたいのでございますけれども、白紙に返せなくて認可のままで進まれるとしたら、敷地問題はこのままでいいかどうかということについて、この際藤本先生に、簡単でよろしゅうございますから、所見をお聞かせ願いたい。
○藤本参考人 原子炉の事故は大小いろいろございまして、ある種の事故は、毒ガスのパイプがこわれるというくらいの事故もありましょうけれども、もっと大きな事故もある。では、一体どこまで広がり得るかということを、やっぱり一ぺんは考えてみなければならないと思います。それからあとで、その事故を何が防いでいるかを考えてみなければならない。事故の場合に一番たよりにならないのは人間でして、機械の方がむしろ信用が置けるという点ですね。
 私の結論を簡単に申し上げますならば、炉の暴走が起こると、燃料ウランが溶けたり燃えたりするわけでありますけれども、そういうものは、緊急停止装置とか、緊急何とか装置というようなものではなく、炉の固有の安全性で防いでいくということを、もっと精力的にやらなければならぬと思います。私自身の考えではっきり言うならば、そういう炉の安全性の解決ができるまでは、原子力発電というものは前途洋々ですから、そうあわてて、そういう大きなプラントを作る必要は毛頭ないと思います。
 それから、一番実現性があっておそれられておるたぐいの事故というのは、ダクトがこわれまして、燃料をおおっておるさやの合金が溶ける事故であります。それは、緊急冷却装置というもので冷やすことによって、さやの溶けるのを防ぐということがいわれておりますけれども、はたしてその緊急冷却が一様に冷やしてくれるか、部分的な溶融が絶対ないとはもちろん言えないわけであります。それは炉の暴走になったらカタストロフでありまして、日本の国では、残念ながら、どこに置いても致命的な事故をわれわれ同胞が受けるのではないかと思います。ところが、炉をとめることはできたが冷やすことができなかったという事故、それはどのくらいの規模かというと、たとえば、東海村に置いたならば、風向きによっては土浦くらいまで影響がある。そういうたぐいの事故というのは、割合現実性を帯びた問題だと思います。それはやはり土地問題で解くべきものだと思っております。もう一つ申すならば、アメリカ、イギリスが持っておる土地基準といわれておるものがあります。日本は人口密度が非常に高い、あるいは日本の原子力の実力というものは、そういう先進国に及ばないということを考えたら、非常に常識的な考え方をする人であれば、たとえば、アメリカ、イギリスで炉から一キロメートル前後の無人地帯を置くとしたら、それの数倍の距離を置いてくれ、それが普通の人間の声であろうと思います。私は、そういう要求を専門家が説得することはできないと思います。私自身も、土地条件としてはアメリカ、イギリスの少なくとも三倍か五倍の無人地帯を置くだけの配慮がほしい、そう思っております。
○石野委員 参考人の各位がおられますが、ちょうど中曽根原子力委員長がおられますので、ちょっとお許しを得まして、委員長に一つお尋ねいたしたいと思います。すでに認可したわけですが、この科学技術特別委員会は、学術会議の方にもいろいろ意見があるから、認可する前にぜひ参考人の意見を聞くようにということをしばしば申し上げております。先般学術会議の方々がおいでになったときに、今おいでになられる方々はお見えにならなかったので、今度この期日にやるということも委員長は知っておったはずであります。今度の認可を与えるについては、一部にいろいろと意見があることを政府は案外に重要視しないままに十四日すでに認可を出したような気がいたします。委員長は、この炉を入れるについては、各般の情勢をよく聞いてということも言われておりますし、この委員会でも、たびたび学術会議の諸君の意見などもよく聞いてということを言われておりましたが、事実は、やはり全然聞かれない。ただ、形式的にはそういう形をとったけれども、実質的には何も意見を聞かないのだというような結果になっちゃったと思うのですが、なぜそういうような急いだ認可をされたのか。これはまたあとで、参考人のいないときにもっとこまかく聞きたいのでございますけれども、この際、一つお聞かせ願いたいと思います。
○中曽根国務大臣 私は、各方面の意見をよく聞きまして、そして合理的判断をもってこの問題を処理しようと思っておりまして、そういう用意はいたしてきたつもりであります。学術会議側の御意見にいたしましても、今月の二日でございましたか、原子力問題委員会等の連合委員会がおありになりまして、その意見も十分聞こうと思いまして、われわれの方の係員も派遣いたしましたし、また、その際配付されました素粒子グループと称する方々のプリントもわれわれは検討もいたしました。しかし、そこへ出てきたものは、今までの議論であって、それが必ずしも全部合理的な意見であるとはわれわれは判定いたしませんでした。それで、今の公述人のお話の中には、自分は東海村に住みたくないというお話がありましたが、また一面、ヒントン卿は、最近会った日本人に、自分は喜んでその近所に住むということも言っておる。これは「いはらぎ新聞」にもそういう記事が出ておったのを私は拝見しておりまして、やっぱり議論は分かれておる。また、日本の学者の議論が正しいか、イギリスの学者の議論が正しいか、これは歴史の判決に待たなければならぬと思いますが、われわれが今までの資料を検討した範囲内においては、そういう住みたくないという御議論は必ずしも科学的な、合理的な根拠による御議論であるとは私らは思いませんでした。それは事故解析その他をしさいに検討してみて、そのように思ったのであります。事故解析に関するそういう一部の御議論もずいぶんわれわれは分析してみましたが、合理的な根拠ありとは考えませんでした。そういういろいろな科学的判定をやりまして、それから法律の命ずる諸手続を順調に踏んで参りまして、そして、もうこの程度手を尽くせばいいと思いましたので、決定をしたのであります。
○石野委員 今委員長の言われたことについては、いろいろと私は意見がありますが、参考人もおられることですし、時間の関係もありますから、他日御質問することにしたいと思います。もう一つ聞いておきたいのですけれども、政府は、今度認可をするにあたって、この炉が持つ使命といいますか、任務といいますか、たとえば、この炉によって発電をしよう――発電会社だから発電をすることなんだと思いますが、発電を経済的にやろうということに重点を置いて発電会社はこれを入れたものと思いますけれども、その点からすると、経済性の問題や何か出てくるわけでございます。私は、政府の今度の炉の認可をするにあたっての基本的な考え方は、電力を経済的に起こすというところに重点を置いて認可したのか、それとも、やはりこの炉の操作とか、あるいはそれによるところの技術的なものを学び取ろうというところに重点を置いたのか、その点をこの際委員長からはっきり聞いておきたいのでございます。特にこの経済性の問題については、おそらく、委員長はこう言われるだろうと思う。それは、電気を開発するのだと言うに違いない。言うに違いないけれども、実はキロワット当たりのコストにしましても、現状ではもうほとんど火力にも及ばないし、ここ数年のあとにそれが及び得る可能性もないわけでございます。おそらくは技術的なものを修得し、それを学び取るためにということなんだろうと思います。そうなって参りますと、私は、やはり安全性の問題とか何かの問題をもっと真剣に考えなくてはならぬのじゃないかと思いますので、この際、政府がこの炉の認可をするにあたっての原子力政策の基本的な問題点がどこにあったのかということを一つ伺いたいと思います。
○中曽根国務大臣 それは、発電と技術的進歩と両方であります。
○石野委員 一応私はそういうように聞いておきます。今発電という問題が出ましたが、実は営利会社が経済的に考える場合に、それは、もちろん一時は損をしても、将来ということもあると思います。しかし、炉自身については、すでにもう違った炉の方向に経済性が出てきているという事情から見ると、それは一時のごまかしのような気がするのです。むしろ、この際私は、やはり藤本参考人が先ほど言われたように、炉が東海村に置かれるならば、ヒントン卿はあそこに住みたいと言ったかしらないけれども、日本人の藤本さんは住みたくないと、こう言われた。それから中曽根委員長は、おそらく、先般来朝したファーマー氏のいわゆるステートメントなどというものが、立地基準について非常に重要だとしていることはよく知っておられると思いまするし、そして、その中で、炉から八キロ以内に一万人以上の人が住んでおって困るというようなことがあったと思う。小学校や何かの問題がなければそれは別なんですけれども、市街地を移転させることはできない。久慈町が大体一万人以上もおるということで問題になったけれども、これは大したことはないだろう、こういうことでございます。しかし、おそらく炉は、今日の事態において一万人が久慈町におるかどうかという問題ではなかろうと思う。ファーマー氏の言うのは、炉が稼働するようになったとき以後における人員のことを言っておるのだろうと思う。おそらく、炉が設置されて五年後に稼働する時期になりますと、東海村が一万人以上になってくるという推算ができておるはずです。そうなってくると、八キロどころじゃない。その地域自体が一万人以上ということになって参りまして、これもファーマー氏の言うところの立地条件が、ここではもう徹底的にだめなんです。そういうことを政府は考えておるのかどうか、こういう問題を、地域住民の安全性の問題との関連から、政府は親心のある立場で今東海村というものを考えておるのかどうか、こういう点、私は非常に政府としては考えがあさはかなんじゃないかと思う。むしろ私は、やはり発電会社が言う言葉を多少信じて、地域住民がこの炉についていろいろと憂いを持っておるという点については一顧だにしないというふうに見えるのでございます。そういう問題を、私はほかにもいろいろあるけれども、ただ立地条件について藤本参考人が言われたことは、同時に、それは東海村に住んでおる者も非常に大きな危惧を持っておることです。ただ発電会社がいろいろなプリントを出して、あれやこれやと自分たちのなにを徹底させるための宣伝をしております。そういうことのために、その宣伝が非常に行き届いておりまして、それを安全だと言う。現在一万人の久慈町というものは、五年の後には一万五千人になるかもしれない。そのときには東海村は一万人をこえる。そういう事態もなお配慮して、しかも、学術会議の諸君が言っておることを、そんなことは考慮する必要がないというような考えなんでございましょうかどうか、その点一つ委員長に御意見を伺いたい。
○中曽根国務大臣 原子力施設の周辺の住民の安全、保健については、われわれは重大な関心を払いまして、今後とも万全を期したいと思っております。ファアーマー報告につきましては、ここで前に申し上げましたように、第一の点、すなわち、六百メートル以内でありましたか、住居はないというようなこと、それから第二の点、三十度の扇形云々ということ、これは非常に重要な要件だろうとわれわれは思っております。しかし、第三の点については、これはモニタリングやその他の関係で、行政的必要等もあって、そういう措置を考えておったようでありまして、これは必ずしも絶対必須の条件とは考えられない。そういう点からいたしまして、差しつかえないとわれわれは判定したのであります。それで、今後の人口増加等につきましては、原子力施設周辺整備法というような法的措置もいろいろ考えておりまして、地元のいろいろな御意見も拝聴して善処したいと思っております。
○石野委員 一言、委員長に。私は、地域住民の一人としても申し上げておきたいのですが、委員長は、今三十度の線は非常に重要だと言われた。三十度の線の中の人口の増加というものは、今日の状態で停止するということを前提として認可されておるのですか、東海村はそういうことを考えていない。炉を入れることによってそこの人口が増加し、町が繁栄するということを考えますから、あの炉を入れておる。従って、東海村は、その三十度の線の中に何万もの膨大な人口の増加を予定しておる。ところが、今政府の認可した基準とかなんとかいうものは、停止した状態で考えておる。原子力都市計画とか整備法というようなものは、今日の人口状態を停止する形において東海村を考えておるのかどうか、その点をはっきりしておいていただきたい。その点がはっきりしてくると、東海村の諸君の考え方が非常に変わってくる。今の状態のままで、あの土地は人が入らない、入らないということならよろしい。しかし、炉を入れたということは、割って言えば、あそこの土地は高くなってくるだろう、高く売れるだろう、こういうようなことで、町は繁栄するのだからということで炉を入れることになったのである。そうすると、三十度以内の土地はどこもここもファーマー氏の言うようにどんどんと人口もふえて繁栄する。そういうようなことを考えないで、東海村は今日の人口のままでとどめておくということなのかどうか、その点をはっきりしておいてもらいたい。
○中曽根国務大臣 必ずしも人ロストップなどということは考えておりません。しかし、住民全体の保健衛生という問題は大事な問題でありますから、地元とも協議いたしまして、将来善処していきたいと思っております。
○石野委員 私に対するただ場当たりの答弁であってもらっては困るのです。許可をするにあたって、政府がそれを慎重に考慮しておるとするならば、その地域におけるところの人口増加の問題をファーマー氏のいう基準に従って五年後の状態を考えたのかどうか。今日の事態では、ファーマー氏の基準を考え、五年後は炉はできるけれども、人口はとまっているというような状態であるとするならば、これは土地の人の考え方は全然違うのです。そういう点を、もう少しあなたは政府の立場に立って、五年後もなおファーマー氏のいうところの基準が的確に当てはまるという考え方で許可したのかどうか、もう一ぺんその辺をはっきりさしていただきたい。
○中曽根国務大臣 住民の保健衛生、安全の管理という点、それから一面においては地元の御要望もいろいろあるでしょうから、そういう点をよく調和させるように、今後とも努力していきたいと思っておるのであります。人口増加の点は、もちろん保健管理と地元の御要望と、両方をよく調和させるように努力するということであります。
○石野委員 その保健管理や、安全性の問題をよく考慮するというのだけれども、その場合に、ファーマー氏の論文は、どういうふうに人口増加とかみ合うようになってきますか。
○中曽根国務大臣 ファーマー氏の論文は、私たちは傾聴すべき一つの資料であると思っております。
○石野委員 この問題は、私は、また参考人のいないときに委員長とよく論議しなければいけないと思っておりますが、ただ言えることは、委員長やあるいは政府の考え方は、ファーマー氏の論文によって、今日の時点において立地的ないろいろな基準を置いておられるけれども、五年後、三年後の東海村は全然様相が違って参ります。その事態は全然考慮されていないということだけはここではっきりしておりますので、その点を私は確認しておきたいと思っております。なお、私は、もう一つお聞きしたい。委員長は、今度の炉の設置について認可をしましたが、炉については参考人の各位も言われ、また、安全審査部会や、あるいは原子力委員会なども、答申するにあたって、いろいろなクエスチョン・マークを将来につけております。そういう問題を、炉の建設過程においてどういうふうに管理するか、従って、炉が設置される場合にあたって、そういう問題点の管理、監督という問題について、何か構想を持っておられるのかどうか、常時的にそういうものを作るつもりであるのかどうかという点を一つお聞きしたいし、また、そういう管理的なものができた場合の権能といいますか、原子力発電会社に対して及び得る力の範囲というか、どういう形の管理機構を作ろうとお考えになっておるか、その点を一つお聞きしたい。
○中曽根国務大臣 関係各省と協力いたしまして、工事の設計、施行等の段階においては厳重な監督を行なおうと思っております。通産省側は、発電所の点につきましていろいろ監督をする権限を持っておりますし、また、科学技術庁も原子力委員会も、原子炉の設置等については監督の権限を持っております。従いまして、関係各省が協力いたしまして、監督する一つの機構も作りたいと思いますし、また、それを誠実に実行していきたいと思っております。
○村瀬委員長 石野委員に申し上げますが、本日は三人の参考人に来ていただいておりますから、以後、参考人に対し御質問があればお願いいたします。
○石野委員 中曽根委員長に対しては、またあとで質問をいたすことにして、三人の方々にお聞きいたしますが、私は、やはりこの炉が設置されました場合に、それが実用段階であるか、研究段階であるかということは別として、すでに炉は大きなものが入りますから、その炉を設置する場所の問題は、藤本さんから先ほど御意見を承ったのでございますけれども、他の参考人の方々にもぜひお聞きしたい。あの場所において設置することがいいのかどうか。むしろ違った場所にそれを作った方がいいのじゃないかというような考え方をわれわれは持っておるのでございますけれども、そういう点について、あとのお二人の方々の御意見を聞かしていただきたいと思います。
○田島参考人 私は、そういう問題が非常に重大な問題になるだろうということを考えまして、そういう基準の問題――基準の問題というのは、放射線管理という立場から、この場所の設置の基準というものについても、ただいまファーマーの論文が何回か出ましたけれども、これを重要な参考といたしまして、日本独特の基準、フィロソフィーというものを別に国家として立てるべきである、その上に東海村が適当かどうかということから始まらないと、ほんとうに安全であるとだれもが納得できるような場所は出てこないのではないかというふうに考えております。従って、その手続問題に近い問題ですが、要するに、基準をはっきり――国家として放射線の許容量といいますか、限界線量、あるいは土地に対する一般的なフィロソフィーというものをある程度固めた上で、こういう設置の場所その他の安全性を審査しなければ、だれもが納得するような審査の仕方ができないのではないかということを前に申し上げたわけであります。
 その点で、今の東海村の問題ですが、どういう事故が起きるかということ、おそらく事故解析の場合に、こういう事故が起きるということになれば、それを施工する側においては、全部そういう安全措置をとって起きないようにするというのが事故解析の立場であって、そういう処置をしても、なお事故が起きるかもしれないということを考えなければいけないのは、この大きな出力のある原子炉の性質ではないかと思うのであります。というのは、その事故の規模の大きさが、従来考えられるような装置の事故とは格段の規模の違いの事故が起り得るので、そういう点は非常に慎重にしなければいけないのではないかと思います。そういう点で、これも矢木先生と公の席上で話したのではないのでありますから、矢木先生がどうおっしゃるか存じませんが、要するに、あの場所を東海村に置くとして審査したという立場をとっておられますので、先ほど藤本先生が言われましたように、あの審査の範囲ではいいかもしれない、しかし、そうでないとすると、ほかにもいいところがあるかもしれないというふうに矢木先生もおっしゃっております。その点は、私もあるいはそういう場所があるだろうと思われる点があります。というのは、たとえば、あの審査の中に航空路の下に入っていないから安全であるというような意味の表現がございますが、しかし、それと飛行場近接の危険性というものをどういうように表現されているかという問題が、私、内容を聞いておりませんので、その辺をどう判断しているか問題であります。この原電のニュースにありましたものが、はたして信用ある資料か何か知りませんが、最近まで十何台の飛行機が落ちておるというような事情がありますので、たとえば、これは滑走路の方向が変わってみても、はたして定期航空路の下におけるよりも安全であるかどうかというのは、もう少し資料をいただかなければ私は判定はできないのであります。この問題につきまして、矢木さんに、飛行機がかりに落ちた場合の事故解析をおやりになりましたかとお尋ねしましたら、委員会としてはおやりにならなかったとお答えがあったように思うのでありますが、もし、それがほんとうだとすれば、私は私の立場から申しますと、やはり飛行機が落ちたときの事故解析というものがなければいけないのではないかというふうに考えております。
○田中(武)委員 議事進行について委員長に申し上げたいと思います。もちろん、本日は参考人の諸先生に来ていただいて、参考意見を伺って、参考人の方々に質問することが中心だと思います。だがしかし、参考人の御意見に関連して、当局の所信を聞く、これは必要だと思うのです。従って、石野委員から中曽根委員長に質問しておりました。私もまた、石野委員の中曽根委員長に対する質問が終わったあとで関連質問をしたい。このことを申し上げておったわけなのですが、それを委員長に取り計らっていただけなかったことは、遺憾だと思っています。今後、こういうことについては十分考えていただきたいし、今の議事の取り扱いについて、委員長の所信を伺いたいと思います。
○村瀬委員長 本日は、三人の参考人に御出頭を願っておるのでありまして、これに対しましては、神近市子君、岡良一君等の質疑の通告がすでに出ておったのであります。従って、石野委員から中曽根国務大臣に御質問があったのでございますが、すでに十二時半にもなっておりますし、三人の参考人の方々に対しまして、神近君、岡君等の御質疑を先に済ましていただきまして、参考人に礼を尽くしてお帰りを願ったあとで、休憩をしないで、引き続き政府当局に田中委員の御質疑があれば、これを続行するつもりで委員長はおったのであります。
○田中(武)委員 それなら、私も関連質問を通告しておるのです。それに対して、その扱いについて一言も了解なしにやられたことは遺憾です。中曽根委員長に対する関連質問はどうするのだ。
○村瀬委員長 関連質問は、今すぐでないといけませんか。
○田中(武)委員 関連は関連ですよ。
○村瀬委員長 それでは、田中武夫君に関連質問を、簡潔に許します。
○石野委員 私の質問に対する堀尾先生の意見を聞いていないから、それだけ聞いたあとでお願いいたします。
○堀尾参考人 簡単ですから、お答え申し上げます。実は、私は、この原子炉の安全審査専門部会の報告書を中心にして考えて参りましたので、まことに申しわけないのですが、東海村以外の場所についてどうということは、私は考えて参りませんでした。こういうことについては、私は、ほかの場所と比較してどうかということをお返事できるような思想を持っておりません。
○田中(武)委員 委員長から簡潔に発言を許されましたので、簡潔に伺いたいと思います。
 先ほど来、石野委員から、東海村の地域的な問題及び安全性の問題等について、原子力委員長に対して質問がありました。また、先ほど藤本参考人からは、できるならば、一たん許した認可ではあるが、白紙に戻してもらえないかというような意見もございました。私も全く同意見でございまして、一点だけお伺いいたしたい点は、本家のイギリスにおきましても、すでにこのコールダーホール改良型原子炉は経済性の問題からだんだんと使わないという方向へ行っておる。いわば中古品になりつつあるという事情を聞いておるわけなのです。岸政府は、いつからくず屋になったのか知りませんが、戦闘機に対しましても、アメリカの中古品を買うことにきめた。今度この発電原子炉につきましても、実際はイギリスの中古品であるコールダーホール型の原子炉を入れる、中古品のものを買われる、こういうことについては、どうもわれわれは納得がいかないのですが、すでにイギリスにおいて、経済性の点からいきましても、この型の原子炉がもう使われないような事情になっておる、中古品になりつつあるということを御存じだったのかどうか、その点が一点。
 もう一点は、日本の国務大臣として、日本の学術会議の学者の意見を尊重せずして、たとえば、先ほどの委員長の言にいたしましても、藤本参考人の日本の学者としての意見に対して、イギリスのヒントン卿の言をもって迎えられるというようなことに対しましては、はなはだ了解に苦しみます。あなたは、日本の学者の意見を尊重しないという立場に立たれるのかどうか、お伺いいたします。
○中曽根国務大臣 まず、コールダーホール・タイプの炉は中古品ではないかということの関連の御質問でございますが、われわれは、中古品だとは思っておりません。御指摘の点は、多分AGRのことに関連して御質問になったと思いますが、最近のロンドンのわれわれのアタッシェの方からの正式リポートによりましても、イギリスは、コールダーホール改良型を推進しておることを少しも変えておりません。ただ、既定計画を、財政その他の理由から、一九六五年の計画を六六年に延ばしたという事実はあります。しかし、今までの炉の建設計画というものは、コールダーホール改良型で依然として進行しておるのでありまして、この点は変わっていないとわれわれは確認しております。従いまして、このコールダーホール改良型のものが中古品であるとは思いません。
 第二に、学者の意見を尊重せよということでありますが、われわれは学者の意見は十分に尊重いたしたいと思っております。それで、学術会議と申しましても、学術会議全体の御意見ではなくて、原子力問題委員会とか、委員会の御集会の御意見を学術会議の意見として実は言ってきておられるので、俗的には学術会議ということでありますが、実際は学術会議全体の意見ということとは法的には違うのであります。しかし、そういう専門家の集まった会議の御意見というものは、十分にわれわれはフォロウする必要があると思いまして、会議のたびごとにわれわれの方からも人間を出しまして、十分御意見は傾聴しております。しかし、やはり少数説、多数説とありまして、原子力問題委員会の御意見が全部正当であるとは、われわれは考えておりません。日本の学界全体を見渡しまして、また世界の趨勢、学術の理論、エンジニアリングの実際等を見まして、これが大体多数説で間違いのないというところを基準にして、われわれはわれわれの政策を進めて参りたいと思っておるのであります七
○田中(武)委員 簡潔に許されておるので、これ以上の質問はいたしませんが、委員長が、国務大臣としてこの席におられて、参考人としてお迎えした日本の学者の参考意見のすぐあとで、イギリスの人がこうであるというようなことを言われるということについては、若干の疑問があると思います。そういう点について、または第一点の中古品であるかどうかという点についても、疑問の点を持っておりますが、委員長の言に従いまして、あらためた場所においてやることにいたします。
○石野委員 先ほどの質問に、まだ答えてくれていないと思います。先ほど、もうすでに委員長は炉の認可をしたわけですが、しかし、今後この炉を建設し、稼働していくにあたっていろいろな問題があるから、その問題について、政府は管理、監督のための何か機関を設けてそれをやるのかどうかということについて私はお聞きしたのですけれども、それについて、何も委員長からはお返事がなかったのであります。
○中曽根国務大臣 お答え申し上げます前に、私の考えを、誤解のないように、念のために申し上げたいと思いますが、学者の御意見は十分尊重して検討いたしたいと私は思っております。これはあくまで新しい学問でありますから、あらゆる御意見を精細に検討しまして、われわれの判断をきめなければならないと思っております。ただいま参考人の御意見に関連して私に対して御質問がありましたので、私もその参考人の意見に関連して答弁をしたのであります。それで、私の申しましたことが多少誤解を与えた点があるといたしますれば、私の不徳のいたすところでありますから、今後改めるようにいたします。しかし、やはり一般国民に対する影響ということを考えますと、一般国民の知識の水準というのは、この委員会における知識よりも非常に低いレベルにあるとわれわれは考えるのであります。そういう点を考えますと、われわれといたしましても、非常に発言を慎重にしなければならぬと思っておりまして、国民に誤解を与えないように、われわれは政策当局でありますから、国民を直接の対象にしておりますので、無用な誤解を与えないように、われわれは配慮をしていきたいと思っております。
 それから、ただいまの監督の機関でございますが、科学技術庁と通産省の間に連絡の委員会を作りまして、そうして工事を施行する上についていろいろ監督すべきポイントをきめ、また、進行状況に応じてこちらに報告すべき諸般の義務その他もかなり詳細にきめまして、両方で連絡しながら厳重な監督をしていきたいと思っております。
○村瀬委員長 神近市子君。
○神近委員 堀尾先生にちょっとお伺いいたします。この前、坂田先生がおいでになったときに、既存の学問の上では疑問はない、大体の見通しは立てられる、けれども、原子力に関する限りは、学者といえども全部しろうと同様だ――それは、われわれのようなしろうとと先生方とは差はあると思うのですけれども、学者といえども、原子力に関する限りはしろうとと同じ態度でなければならないというふうな御意見でした。その点はどういうふうにお考えになりますか。
○堀尾参考人 その点は、先ほど申し上げましたように、それでございますから、決定しがたいような場面がたくさん出て参ります。既成の工業あるいは学問でございますと、もうきまってはおりますけれども、まだこれからいろいろ進歩していく、変遷していくような点が非常に多くございますので、坂田教授がおっしゃったように、未解決の問題がたくさんございますし、こういう原子炉の設置につきましては、今後慎重に協議して、そして万全を期するような方針で進まねばならないのじゃないか、施工の考え方も、そういう点に十分注意を払うべきじゃないだろうか、こういうように申されましたが、私もそういうように思っております。
○神近委員 やはり坂田先生の御発言は、学者としての良心的な立場で、私は、なるほどそういうことであるべきだと考えていたのです。ところが、先ほどから、あなたは、卑俗な例で、エレベーターだとか、あるいはパイプとかのお話がありました。それを取り上げることはちょっと何だと思うんですけれども、エレベーターやパイプなどにもし事故ということがあっても、これは範囲が非常に限られたもので、被害が起こりましても、非常に小範囲で、あるいは工場内で、あるいはエレベーターの中で解決がつくことだと思うのです。でも、この原子炉の問題は、非常に広範な被害を生ずるということで、ある大きな事故が起こった場合は、手のつかないほどのことが想像されるのです。それを、あなたが御自分の御関係の――ささやかな工場とおっしゃったのですけれども、そういうふうなものと同日にこの事業の進展をやるべきだ、そうしてこれでよいとかいうふうな意味に私にはとれたのですけれども、私ども非常に危険な要素をあなたが御発言になったと考えるわけなんです。それで、その点について、その比較があまりにも並べられないほどの大きさのものだ、手直しをしながらやっていく、工場を作りながら、あそこはこれではいけなかったというので、二年間でも気の休むところのない監督をしなければならないということは、ごもっともだと思うのです。しかし、それと今度の原子炉との比較をしてみますと、手直しというが、パイプ等の手直しのようなことが一体できるのか、できないのか。手直し、手直しということを始終言われるのですけれども、大きなコンテナーをつけないような御計画のようですし、セメントも三メートルの厚さをつける、こういうものがちょっくら手直しができるものか、そういうことを心配いたしますから、慎重に――私どもは、厚子力の開発に反対しているのじゃないのです。ただ、その手直しということが非常にむずかしいのではないかということで、研究がある段階にきたときに行なわれた方がよいということが私どもの今の考え方なんですけれども、その点で、あなたがあまり簡単に自分のお手がけになったものと比較なさったので、私の憂えておることが当然なのか、あなたのように、やりかけてあそこを直し、ここを直すというようなことでよいのか、それを伺いたい。その比較が妥当であったか、なかったかということを伺いたいと思います。
○堀尾参考人 その点、私の説明なり、それから例の引用の仕方なりにつきまして非常な誤解をお招きしたことは、まことに申しわけなかったと思うのでございます。私は、従来のエンジニアリング、工学というものは、事故が起こらないようにするということに重点を置いて進んできたものであるとい引用といたしまして、エレベーターを持ってきました。私申しましたことは議事録にも十分そのことが盛られておると思うのであります。ところが、そういう考え方だけでは原子力はいけないということを私は申し上げておるのでありまして、今までの問題でありましたら、パイプが割れないなら割れないようにする、そこに全重心を置いてものを考えて認可されたのでありますけれども、原子力に関しては、放射線影響という大きな障害を持っておりますがゆえに、そういう単純なものではなくて、それがもっとあとに残す被害などについても考慮しなければならぬから、万が一のことが起こっても、こうあるべきだということに対する研究がやはり重要である。従って、施工に対しましても、十分一般の意見を聞き、また、改良すべき点があったならばそれを公にして、意見を求めるべきであるというように私は申したつもりでありますが、ただ、その引用の仕方がよくございませんでして、従来のパイプだとかエレベーターと同じように原子炉の工事をやれというように、もしおとりいただいたのであれば、それは私の申し上げた気持とはだいぶ違うと存じます。私は、そういうつもりで申し上げたのではありませんので、もしそうでございましたら、私の発言が非常にうまくなかったことと思います。その点をお許しいただきたいと思います。特に原子力の問題は、普通の工学では考えないその先までも考えている。そしてこの報告書を見ましても、ダクトが割れないように設計するということは、普通の工学の限度でございますけれども、それ以外に、さらに万が一割れたらどうかということについても考慮されている。原子炉の安全性の保障ということは、やはりそうあるべきであるというふうに私は申し上げたつもりでおるのでございます。
○神近委員 それから、この間岩瀬先生がおいでになったときに、アメリカの原子力委員会と日本の原子力委員会との比較のお話をちょっと伺ったのです。その手直しの段にいきまして、あなたのパイプなどの御指導であったら簡単に訂正ができる、あそこはちょっと工合が悪いから、この機械を入れ直せということが用いられるだろうと思うのですけれども、そのパイプの場合と比べて、原発の場合には、そこがいけないということだから、これを手直ししろ、こういうような指揮関係――日本の原子力委員会というものは、まだ法的にそれほどの強制力を持たない機構でございますから、これが可能だとお考えになるかどうか。小さな会社をお作りになる場合のあなたと工場との関係、それから今度の原子炉あるいは原発と委員会との関係、この指揮命令が十分行なわれ得るというふうにお考えになりますかそれを伺わせていただきたい。
○堀尾参考人 私、そういう機構のことにつきましてよく存じないのでございますが、私の希望といたしまして政府におきましては、最高の機関において現在の報告がなされたということで事終われりとせずに、政府の最高機関においてこの問題に対する責任を持ち続け、十分管理していただきたいというように申し上げておるのでございますが、私の気持といたしましては、そういうようにいってほしいと思います。
○神近委員 それは希望でございまして、現実としてそれができるかできないかということは、あなたにも、お考えの上でこれは保障できないということなんですね。
○堀尾参考人 私は、できる可能性はあると存じております。また、そうあるべきだと思いますし、学術会議からもそういう申し入ればいたしておるのでございます。
○神近委員 あるべきだということと、あらしめなくてはならぬということとは違う。学術会議で申し入れておるというようなことは、今までの学術会議の申し入れが原子力委員会にどんなふうに扱われたかということをお考えになれば、それはもうほとんど紙くずのようなものではないか。原子力委員長か先ほど弁解されましたけれども、冗談にもしろ、ヒントンが日本に来て東海村に住みたい、そういうことは、私は皆さんをはずかしめることだと考えるのです。そして、これは、日本の学術会議を信用するか、イギリスの学術会を信用するかという問題だ。これはふざけておっしゃったと思うのですけれども、その点は、私がもし学術会議会員であるなら、腹を立てますよ。皆さんは非常に温厚でいらっしゃるから、あまり腹なんかお立てにならないかもしれないけれども、これはこういうような席で原子力委員長としておっしゃるべきことじゃない、しかも、学術会議の方々を前にしておっしゃるべきことじゃない。私はあやまらなくちゃならないと考えているくらいでございます。学術会議の権威というものが、こんなにここで侮辱されて、そして今まで、申し入れば取り次いだり、取り次がなかったり、まるで紙くずのように扱われていて、これからもあなたが学術会議としての申し入れをするとおっしゃることが通るものか、通らないものか、その点、私はおかしいと思うのですけれども、御感想はいかがでございましょうか。
○堀尾参考人 通すべきだと思っております。
○神近委員 田島先生にお伺いいたしますが、基準の問題でございます。国際会議で、そこに従事する人たちに対する基準はきまっている、これは公表されている。その炉に対する、その地域に対する基準というものはまだきまっていないようにおっしゃったように私には伺われましたけれども、その点はいかがでございましょうか。
○田島参考人 炉の事故の場合における基準は、いろいろ意見は出ておりますけれども、それを国際会議とかいうものでオーソライズしたものは、現在のところありません。ところが、ウィンズケールの事故その他のことを参考にされまして、英国のメディカル・カウンシルで、事故の場合のどういう基準をとるべきかということについて、自分の国のためにある程度の基準を作ったものがございます。それについて、ことしの七月のメディカル・コングレスで、大体その線、そういうふうなやり方でいくのがいいだろうということで、国際放射線防護委員会が声明書を出したものがあります。それが、現在のところでは、事故に対する基準の一番国際的に権威のあるものではないかと考えております。なお、つけ加えますと、要するに、それは線量で出したものでありまして、日本の場合に、それから立ちのき基準その他のものを出すには、日本の生活様式その他のものを考慮しないと出てこないのではないかと私考えておる次第であります。
○神近委員 オーソライズされていないでも、今、さしあだってはそれが一つの基準と世界的に考えられているという意味でございますね。
○田島参考人 そのほかに、今までに出ましたので、アメリカの原子力委員会で出されたものもございますが、それは、国際放射線防護委員会では取り上げてないところを見ますと、あるいは――その辺の事情はよくわかりませんが、一国々々で出されたものは多少ありましても、国際委員会というような格好でそれに触れたというものは、それがただ一つであります。
○神近委員 アメリカの基準とイギリスの基準とは、よほど違うということなんでしょうか。
○田島参考人 私はアメリカの基準と申しましたが、これははたして基準かどうかわかりません。ですが、かなり権威のあるものとして日本でも受け取られているものです。その点、訂正させていただきます。アメリカの基準となっているかどうかははっきり申し上げられません。
 それで、今度の国際放射線防護委員会のステートメントで触れたものでは、たとえば甲状腺の線量にしますと、二千に対して英国の方が二十五というのをとっております。この審査部会も、その点は二十五をとっているように承っております。
○神近委員 日本の場合は、食糧その他の関係でもっときびしくなければならないというのが学界の御意見のように聞いておりますが、いかがですか。
○田島参考人 学界の意見と申していいかどうかはわかりませんという点が一つ。もう一つは、どれもこれもきびしくなるということにはならないだろう、あるものはきびしくなり、あるものはきびしくならないのではないか。先ほど申し上げました例はストロンチウム九〇についてですが、これについてはきびしくなるだろうと私は考えております。ただ、事故の場合に、ストロンチウム九〇がリミッティング・ファクターになるかどうかは、別の事故解析の点で考慮しなければならないと考えております。
○神近委員 私は、もう一点お考えを聞きたいのです。これは基準の話からちょっとそれますけれども、原子力委員長は、いつでも学術会議全体の御意見ではございませんというふうによくおっしゃるのです。ところが、原子力に関することは、今の堀尾先生でも、部が違う工科の方でいらっしゃる。ですから、学術会議の中の方々が、だれもかれも、原子力に関する、あるいはこれは原子力発電炉にするとか、基準がどうだとか、安全のめどをどこに置くかとかいうことを心得ていらっしゃるはずがないと思うのです。私は、学術会議の原子力学に関する御意見は、特別委員会とか、原子核研究とかいう二、三の部門に限られているはずだと思うのです。それが学術会議のほかの部門の人たちの意見でないというふうにとられることについては、皆さんの立場においてどういうふうにお感じになりますか。それをちょっと参考に伺っておきたいと思います。
○田島参考人 私にその御質問に対してお答えする適当な資格があるかどうか存じませんが、私見を述べますと、学術会議で申し入れと申しますか、意見を述べるしかるべき――学術会議では放射線影響調査特別委員会、原子力特別委員会、原子核特別委員会及び原子力問題委員会がこの方面に関連した委員会と私は了解しております。そこで述べられたものは、学術会議のしかるべき手続をとって出されたものは学術会議の意見として受け取っていただきたいと思っております。
○神近委員 その点がいつも食い違いがあって、私どもから考えれば、学術会議だって常時出てくる人は少数であると思うのですよ。その専門の方人のお立てになった意見というのは、たといその他大ぜいが別に介入しないでも学術会議の意見として扱われるべきだと思う。それを学術会議全体の意見でないからといって国会なんかでこれを拒否されるということは、皆さんの権威のためにふんまんにたえないと思うんです。その点、学術会議の中で、原子力に関する限りはやはりわれわれの発言を主体にして、賛成、反対というものはこれに関係ない、これを理解できない者はこれに介入する、あるいは投票する資格がないというふうにしておおきにならなければならないと私は考えるのです。これはちょっとほかのことに問題がそれましたが、私藤本先生に伺いたいのです。
 きょう、この間の公聴会の記録を読み直してきたいと思っておったのですけれども、時間がなかったものですから、私はこまかく伺うことができないのですけれども、私の覚えておりますのは、そのとき、原発においでになり吉岡常務にお会いになって資料をもらいたいということをお申し入れになったところが、もらえなかった、それで原子力委員会かどこかにおいでになって、何かおもらいになった。いや、そのときお話し合いで、何かコンスタントを同じものにして算定をするということを御提案になって、その材料だけはおもらいになったというお話があって、許容量の問題であったと思うのですけれども、それは原発が出した算定と先生がお出しになった算定の食い違いということをお述べになったと私は考えておるのですが、そのいきさつをちょっと伺わせていただきたいと思います。
○藤本参考人 今の御質問にお答えいたします。あのときの話は、原子力に三つの原則がございまして、その中の一つは公開の原則であります。そういうわけですから、私がコールダーホール改良型の原子炉についての公聴会に出るときに、いろいろ資料をもらえるだろうと思いまして参りましたところ、原子力局の方からは断わられましたし、また原子力発電会社の方からも資料を出せない。ただし――そのとき私が一番関心を持った問題は、炉の構造よりも、原子力発電会社がどのような安全対策を持っているか、それから炉の事故の場合の解析をどういうふうにしておるかという問題でございます。ところが、御承知のように原子炉には商業秘密があるという話がずいぶんされたわけですけれども、原子炉の構造に立ち入った分は、それは商業秘密ということがいわれてもある程度仕方がない面があるかもしれぬ、しかしながら、公衆の安全に関係するような炉の事故の解析の部分というのは何も商業秘密を含まないものでございます。そういうわけで、どういうようなことをやっておるか教えてくれ、それは商業秘密を含まないではないかと申しましたところが、吉岡部長が、私の一存ではデータは差し上げられないけれども、私たちはこういう仮定に立って計算したのだから、あなたが御自分で勘定なさったら私たちのところと同じものを得るだろう、そういうお話で、私に若干の常数の値を知らせて下すった。そうやってみますと、吉岡さんの答えでは、東海村では被害が出ませんよというお話であったのですが、私が計算してみたら、とんでもない話になっておるわけです。これはどういうことかと思ってあとで調べてみたら、今、田島先生がおっしゃったように、原子力発電会社の方は甲状腺の許容量を大体二千ラッドにとっておって、私は二十五ラッドにとって一応当たっていたということを発見したわけです。それで私が公聴会で申し上げたのは、とにかく、その資料を出さないのは非常に困るという点と、もう一つは、原子炉の事故のこわさを百倍間違ったということは非常に重大な問題であるということを申し上げました。
○神近委員 百倍間違ったというようなことは、これは私どもいろいろこの問題を扱ってみると、おっしゃる通り、三原則というものがまるで無視されているということが、時々出てきたわけなんです。
 これは別の問題になりますけれども、今日世界的な武器の構造で、専門の人たちにはほとんど秘密はないということを私は聞かされたことがあるのです。これは飛行機の問題に関してでしたけれども、今日のジェット機の学問の進展においては秘密はない。機密ということをいろいろ言い立てられるのは、これは政治的なものですよということを私に教えてくれた人がある。それを考えますと、やはり商業的秘密というようなことは、今日このコールダーホール型原子炉に関してあり得ない。対立を予想されるところの武器においてさえ、ほとんど終局的な秘密はあり得ないというような時代になれば、私は、原子力発電のようなものが非常に細密な、秘密ではあり得ないというように考えるけれども、これはいかがでございますか。そうすれば、この秘密は、濃縮ウランによる構造、あるいは天然ウランによる構造というものは、あまり細密な秘密であり得ないといえば、日本で秘密だ、秘密だ、商業的な秘密だというふうにして皆さんに資料を出さないというのは、やはりこれは原発の秘密であって、私はインターナショナルなものではないんじゃないかということの疑いを持つのですけれども、この点ではどうお考えになりますか、藤本先生でもけっこうでございます。
○藤本参考人 その話に関連したことを若干述べさせていただきますと、コールダーホール原子炉についての資料の公開ということは、学術会議の三委員会でしたか、いろいろな委員会で申し入れまして、それが非常におそくなったことはまことに遺憾ではありますが、原子力委員会が申請書を公開されたことには、私は敬意を払いたい。ただし、その公開ということが非常に時期がおそかったということと、それから、こまかいことを言えば、積極的に人に見せるというような親切心が欠けていたことは問題になりますが、少なくとも、原子力委員会が公開の原則というものに関して、コールダーホールの最後の段階でそれの若干の誠意を見せていただいたことに対して敬意を払いますと同時に、今後もこの公開の原則というのは、原子力三原則の中では一番問題の多い、しかし、一番大切な事項だと思っておりますので、ぜひやっていただきたい。
 それから、秘密がないというお話でございますが、特許をとるということ、特許というのは公開ということでございます。できたらば、特許をとることによって商業秘密というものは幾らでもなくしていける、特許という精神は公開の精神につながっていると私自身は考えております。
○神近委員 大体今許可がおりまして、きょうはイギリスの会社と本契約ができているという段階でございますから、もう秘密はあまりなくなると思います。何でもかんでも、今度はこの通り公開いたしましたというようになるだろうと思うのです。今まで私どもが秘密を非常に問題にしましたのは、自分たちが許可を得るのに都合の悪いところは伏せておいて、そして都合よくこれをこね返して作りかえたという点を私どもは非難したのでございまして、もう今日以後は秘密はないと思うのです。ただ、これを白紙に戻せというようなことが不可能な段階――今日、日本の政治には経済界の要望が非常に強力に作用するのであって、国民の安全とか、あるいは地方民の利害というものは、まだその力によって無視されがちな状態でございまして、もうこれはあとには返りますまい。ただ、この間岩瀬さんがおいでになったときに、学術会議の能力――若い人たちの新しい進んだ考え方をこの炉の建設に利用すべきであって、ぜひこの力を用いることが大事だ、これは個人の意見でございますという発言だったと思うのです。今後、もし起こるところの災害は、おそらくこれを許可申請した中曽根委員長、あるいはこれを許可された岸総理、こういうところに、この歴史的な判断はいくのだと私どもは考えます。その点は、後日の問題だと考えますけれども、問題は、これから建設された炉になるべく安全の装置をつけて、そして若い方々の意見を取り入れて作り、また、悪口を言う人は、どうせ発電まではいかないようですよというようなことをおっしゃるのですけれども、それはまあ別として、ほんとうの筋を考えれば、学術会議がいろいろはずかしめられたようなこともありますが、若い方々の進歩的な考え方を利用するというところにいかなくてはならないと思うのです。これを一体どういうように用いることができるか、学術会議の声明とか、勧告とか、あるいは良心というものが今日のように扱われていて――こういうような案があるけれども、ということが一体用いられるものか用いられないものか、若い方々のお考えをどういうようにはめ込むようにしたらいいか、機構の問題であろうか、あるいは技術の振興の上での問題か、この点、私はどなたに御意見を伺っていいかわかりませんが、堀尾さん……。
○堀尾参考人 学術会議の会長になりましたような御質問を受けましたが、これは実際に今悪い例が出ましたのでございますけれども、私、もう一つ別に研究費委員会の委員をしております。この研究費委員会におきましては、学術会議で取り上げましたことが即刻政府に届きまして、それが講座研究費だとか、あるいは教官の待遇の改善の問題だとか、あるいはまた、科学の振興の費用などは、学術会議の言い分の通りではございませんけれども、この学術会議の提案は大へんうまく取り上げられておるのでございます。先ほどの原子力の問題につきまして、私も原子力問題委員の一人でございますが、その中にも取り上げられたものもあることはあるのではないかと思います。これは委員会によりまして、かなり性格といいますか、その結果にも相違があるようにも思いますので、みながみな学術会議の提案が消えてしまうということにはなっていないと思います。
○神近委員 わかりました。大体あなたの所属なさる会は、伊勢湾台風のことであるとか、あるいは地盤沈下の問題であるとか、そういう問題について勧告すればすぐに用いられるとおっしゃったのですね。
○堀尾参考人 そうではございません。研究費でございます。大学におきますところの研究費、大学の教官その他学生の研究費の委員会がございます。そういう研究費の委員会に私も関係しておりますけれども、私の貧しい経験ですが、申し出ましたことは非常によく取り上げられているように思います。私は、学術会議に今度初めてでございますので、学術会議のことはあまり深くはわかりません。
○神近委員 わかりました。私どもにはよくわかります。純粋に、どこにも利害がからまないと、こういうようにうまくいくのですよ。ところが、何か利害がからんでくると、この通り、今、私が問題にしている学術会議と日本の行政府との関係のようにこんがらかってくる。あるいは対立してくる。これで私にはよくわかりました。これはやはり、私どもがどうも何か取引が陰にあるのじゃないかという疑惑を持ったことが立証されたということを私どもは感じます。この線で何しますけれども、若い勢力、若いエネルギーを、今日以後の原爆の仕事にこれを注入するということについてどうしたらいいかということを、田島先生でも藤本先生でも、お二人でもけっこうでございますから、簡単に御意見を聞かしていただきたいと思います。
○藤本参考人 簡単に申し上げます。私が一番心配しているのは、実は、学術会議がつぶれるかつぶれぬかとか、あるいは原子力発電会社がつぶれるかつぶれぬかというような機構の問題ではなしに、われわれの同胞が原子炉の事故にあって非常に大きな災害を受けるということがあるとすれば非常に大へんであるということと、それから、もしもそういうようなことがあったら、日本の原子力全体にとって非常に大きな災害である、学術会議自身の意見を聞く聞かぬということはどうにでもなることだろうと思います。しかし、もしも原子炉がインチキなものでありますならば、そういう実際のものは、いずれはインチキが通らないわけでありますから、とんでもないことを起こす可能性があります。私が自信を持って言えますことは、たといコールダーホール炉を買って始めるとしても、これから五年間に多分いろいろな問題が出てくる。それから動き出しても、決して耐用年数二十年間何もなしで動くものではなしに、次々と新たなる問題が出てくるに違いない。そういう問題が出てきたときに、私自身は、原子力発電会社とは何の関係もない一人の学者ですが、学者の社会的な責任ということから考えて、そういう災害を未然に防ぐということが学界全体に与えられた大きな問題であろうと思います。そういう点では、私たちもできるだけのことをする社会的な責任があると思っております。それは立場を越えた問題だろうと思います。
○田島参考人 そういう御質問に対して政策的なお答えをすることは、私の能力以外のことになるのですが、日本の原子力の推進の過程を考えてみますと、どうも原子力のエネルギーを使う方にやや重点があったような感じがいたします。放射線の障害の防止という面では、極端な言い方をすれば、ほとんど未知というような部面がたくさんありますので、このコールダーホール炉が完成して、これが既成事実になって動き出すまでに、たとえば五年あるといたしますと、その間に放射線障害の分野を開拓する研究をもっと盛んにしていただきたい。それは、その障害も含め、あるいは廃棄物処理も含めて、原子力エネルギーを使う方の立場でいいますと、あるいはいつでもそちらの方の駆使の仕方がおそいのだという苦情もあるかもしれませんですが、障害の方を防護するという立場からいいますと、ややそちらの方が日本の原子力の開発の方におくれておるんじゃないかという私見を持っております。この点は、おそらく車の両輪のように両方が進められないと、健全な日本の原子力開発が行き詰まるんじゃないかということも考えますので、五年――それだけじゃないですが、そこのところで大いにそちらの方に馬力をかけていただきたいということをお願いいたしたい次第であります。
○神近委員 私どももいろいろと御意見を伺うことにおいて、他意はなかったのです。別に日本の原子炉を、コールダーホール型をどうというふうなことは絶対に考えていなかった。ただ、今、田島先生がおっしゃったような線でいくのが当然でなかろうかということ、それから日本の出発が誤りであった、ヒントンにだまされて、そうして〇・六ペンスというようなことを痛切に受け取った人たちが先行してしまったというところに日本のこの問題のこんがらかった何があると思うのです。それで、先に行かされて押し出された方々は、どうしてもこれを肯定的立場をとらなければならないので、一部の学者方を抱き込んだとまでは言わなくても、まあ、そういうふうにあやつって、そうして私どもから見ても非常に心配になる審査委員会の結論を出して、それをしんにして推進していかれた。大体私どもは、問題の全貌がわかったような気がします。今日堀尾先生の立場は、この問題にはあまり関係なさらなかったので、一つの公共人としての立場での意見であるというふうなことがわかったように考えます。
 時間が非常に不足していますから、この辺で私の質問を終わることにいたします。ありがとうございました。
○村瀬委員長 岡良一君。
○岡委員 時間もまことに過ぎましたので、ごく簡潔に、要点だけお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、これは少し筋違いでございますが、この機会に、学術会議の議長の職にもおられる兼重先生にお尋ねをいたしたいのでございます。と申しますのは、この委員会が設立をされましてから、私どもは、努めて学術会議から推薦される方の御意見を、必要に応じて常に聞くことを運営の伝統的な方針といたしておったのでございます。もちろん、学術会議と申しましても、ある特定な問題については、たとえばこの問題については、農学方面、医学方面、生物学方面の方は十分に御存じもないと思います。それはさておきまして、一応そのために学術会議の事務総長に御推薦を依頼いたし、事務総長に推薦をしていただいてここに御出頭願いまして、その御意見を承る、私どもが承る御意見は、少なくとも事務総長の御推薦にかかる参考人の御意見でございます限りにおいて、私どもはこれに十分に耳を傾け、これを尊重すべきものである。ここに来ていただく学術会議の推薦をなさる参考人の方々の資格、権威について疑義を持たれる方もしばしばございますが、それでは、私ども、学術会議から推薦をされた方の御意見を聞いて、これを日本の科学技術振興の大きな参考にしたいという委員会の運営がくずれてしまいます。私は、その点につきまして、先般小椋先生に経済性の問題について、本日は、また工学的な見地から堀尾先生、事故解析については藤本先生、また許容量の問題、限界線量の問題については田島先生の御意見を聞いておるのでございますが、これらの方々の御意見というものは、やはり学術会議の主流となるべき御意見として、われわれは十分に尊重すべきものである、このように考えておるのでございますが、この際、会長という重職におられる先生の率直なる御意見をこの機会に承っておきたいと存ずるのでございます。
○兼重説明員 ただいま原子力委員ということでお呼びいただきましたけれども、今のお尋ねは学術会議の会長としてです。実は、そういう両方の立場で、私の答弁はやや困難なところがございますけれども、今度の参考人をお呼びいただくことにつきまして、国会側と学術会議の事務総長の側との間に多少連絡のそごがあったようでございます。公聴会のときにも藤本教授を学術会議側で推薦いたしましたし、それから、この委員会にも前に一度推薦したことがあるかと思います。今度また推薦をいたしましたようなことがありますために、藤本教授の意見が学術会議の意見をその通り代表しておるというふうにおとりになりましても、ある程度やむを得ないかと思うところがあるのでございますが、その点、藤本教授を推薦するについて坂田委員長に尋ねてみましたところ、これは安全性のこと、あるいは事故解析については藤本教授が最もよく勉強しており、また、一番熱心にこの問題を考えている人であるから、その人の意見をここで聞いていただくことは皆さんに非常に参考になるというつもりで、いつも藤本教授を御推薦しておるのだそうでございまして、学術会議の委員会全体を代表する人として藤本教授を御推薦したのではないというふうに聞いております。おそらく藤本教授も、きょう、あるいはこの前ここにおいでになりましたときの御意見は、自分の意見でないけれども、委員会がこうだからというふうにお話しになったのではなくて、先ほどから私ども伺っておりましても、自分が信念として考えておられることをお述べになっておる。そういう人が学術会議のこの関係の委員会の中におられ、また、そういう人が一番この問題に真剣に取り組んでいる、それは確かなことでございます。従って、それと違った意見の人もあるわけでありますが、そういう点は適当にここで御判断下さいまして、藤本教授は学術会議を代表するのではないから尊重しないでいいということは毛頭ございません。そういう考え方があることは十分尊重していただきたいと思うわけであります。ほかの方も同様でありまして、それぞれ専門の学者として研究しておられ、特にこの問題について考えておられることをおっしゃるわけであります。従ってこれが学術会議の意見であるから、あるいはないからということとは離れて、それぞれの専門の学者の意見として尊重していただきたいと思うのでございます。
○岡委員 もちろん、先生のお立場からすれば、これは大へん無理なお尋ねではございますが、問題は、学術会議がある一つの特定な問題についてなかなか一つのきまった意見に帰一しない場合も多かろうと思います。しかし、その問題について、少なくとも学術会議が推薦をされた方である以上は、それが学術会議全般の意見を代表しないまでも、やはり推薦をされたという裏づけによって、私どもは権威ある意見として尊重すべきものである、こういうふうにいたしたいということをお尋ねいたしました。しかし、この点は、先生のお立場もありますから、私どもは、そういう気持で学術会議の皆さんに今後もしばしばおいでを願って、いろいろ意見を聞かしていただきたいと思いますが、どうか学術会議としては、その点は手続上抜かりのない形をとって、権威ある御意見をお聞かせ願いたい、このように私は希望いたします。と申しますことは、この原子力発電にいたしましても、この問題が契機となって湯川博士を失い、また坂田博士が辞意を表明されるということは、まことに私どもとしても責任を感じておるわけでございます。そういう意味からいたしましても、ぜひ一つ率直に学術会議との協力関係というものを今後もこの委員会が持っていけるように、私どもは委員長にもお願いいたしたいと思います。
 そこで、先ほど中曽根委員長のお答えの中にも、また、藤本参考人の御指摘にもありましたが、安全の答申についてはいろいろな希望があり、あるいはまた、解決を将来に残された問題がある、それをさらに、あるいは実施段階、検査段階、許可段階においてだめ押しをする、そうして安全性を確かめるのはだれがやるのかということでございます。この点について、もう一度御所見を承っておきたい。
○中曽根国務大臣 現実的には、発電所の建設をしておる関係会社を直接監督しておる責任があるのは通産省で、これは発電所の建設という面からです。しかし、炉自体に関係するところは原子力局、科学技術庁ということになります。従いまして、両方が協力してこれを行なうということになります。
○岡委員 それでは、原子力委員会としてはその方はノー・タッチということでございますか。
○中曽根国務大臣 執行部局と申しますか、それは原子力局になっております。原子力委員会は政策を審議決定、する。従いまして、行政事務になりますと、原子力局が当たることになります。しかし、もちろん原子力委員会は基本政策をきめ、原子力政策全般について目を配っておかなければなりませんから、原子力局の監督が規定通りいっておるかどうか、これを注意して見るということは当然やるべきであると思っております。
○岡委員 原子力委員会設置法にはこういうふうにうたわれておるわけであります。すなわち、委員会のなすべき事項といたしまして「核燃料物質及び原子炉に関する規制に関すること。原子力利用に伴う障害防止の基本に関すること。」これは当然原子炉の安全性をうたったものとしていいと思います。しかも、これらについて原子力委員会が決定をし、内閣総理大臣はその決定を委員会から報告されたときは、これを尊重しなければならない、こう規定されております。同時にまた、「委員会は、その所掌事務」――すなわち、原子力利用に伴う障害防止の基本に関することなど「所掌事務を行うため必要があると認めるときは、関係行政機関の長」――通産大臣でもよろしいでしょう、「に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。」、でありますから、原子力委員会設置法の精神から申しますと、原子炉の安全性というものについては、それができるまでも、できてからも、最終的な責任は常に原子力委員会が負うべきものである、このように考えておるのでありますが、いかがでございましょう。
○中曽根国務大臣 工事の施行及び設計が具体的に行なわれる場合に、いいか悪いかというのは、やはり行政の部局でありまして、これは通産大臣あるいは科学技術庁長官だろうと思います。原子力委員会は基本政策を審議、決定する。それから一般的な監督権、と申しますとちょっと強過ぎると思いますが、原子力行政がうまくいっておるかどうかというところを常に注意して見ておって、そうして、その点に関して関係行政庁を呼んで意見を聞いてみる、報告を徴するということは可能だろうと思います。しかし、厳格な意味における行政執行上の処理権というものは、科学技術庁長官あるいは通産大臣、そういうところにあることと私は思います。
○岡委員 いずれにいたしましても、たとえば、設計が安全上いかがであるか、熱交換機がどうであるか、発電機がどうであるか、そういう細部の技術的な問題についての施工の検査なり、設計の検討というものはそれぞれの部局がございましょう。しかし、委員会設置法にうたわれておる限り、原子炉の安全性については、できるまでも、できてからも原子力委員会が最終的な責任を持つべきものだ、これが当然原子力委員会設置法の精神だ、そのことをこれにうたってある、私はそう解釈いたすのでございますが、重ねて伺いたい。
○中曽根国務大臣 原子炉の設置を許可するということを総理大臣に上申する、こういう決定を行なったことについては、一般的な責任と申しますか、あるいは政策的な責任と申しますか、そういう責任はございます。しかし、個々具体的な設計とか工事施行とかという部面になりますと、これは行政執行法上の問題に下がって参りまして、この点については、行政法上における責任者が現実的な責任者になるだろうと私は思います。
○岡委員 端的に聞きますが、原子炉の安全性に関する最終的な責任は原子力委員会が負うべきものである。そうではないのでしょうか。
○中曽根国務大臣 今まで申し上げた通りでございます。
○岡委員 責任を負わない場合もあり得るということでございますか。
○中曽根国務大臣 そういう炉の設置の認可をしかるべしと決定して上申したという政策的な――つまり、基本方針ないしはそういう政策を是として決定したという責任は、私はあると思うのです。しかし、現実的な行政法上の工事施行とか設計という具体的な問題に関する責任は、それぞれの行政法上の責任者がある、こういうわけであります。
○岡委員 原子力委員会は、原子炉の安全性については、政治的な責任は最終まで負うべきものであるということでございますね。そこで、たとえば、先般の参考人の御意見といたしまして矢木部会長からあの幾つかの条件が出ております。これらの条件が、その後の検討によって、はたして安全であるかどうかということを見きわめるまでは、これは当然私は原子力委員会の責任でなければならないと思うのでございますが、この点を――何か通産省との協力委員会というようなものを設けようというようなお話が先ほどございましたが、具体的にどうお取り扱いになるつもりか、伺いたい。
○中曽根国務大臣 炉や、あるいは発電施設等に関する部面の安全性が具体的に設計通り工事の施行が行なわれているかどうか、あるいは設計が妥当に行なわれているかどうか、こういうことは行政事務に入りまして、これは通産大臣あるいは科学技術庁長官の責任になるとわれわれは思っておるのです。従いまして、原子力局と公益事業局と、関係のある局、局との間に連絡委員会のようなものを作りまして、そしてこれをインスペクションと申しますか、監督をする手はずをきめまして、そのスケジュールに従って監督を実施していきたいと思います。原子力委員会は、その監督がどういうふうに行なわれているかということを、さらに上の地位に立って監督すると申しますか、注意しておるという立場になるだろうと思います。
○岡委員 それでは具体的に、たとえば燃料の問題については、答申書においては、中空燃料は安全上、経済上、アイデアとしてはよろしかろう、しかし、これはインパイル・テストなどを行なった上で確かめるものである、従って、原子力発電株式会社の計画は妥当なものである、こう申しておるわけでございます。そうすると、そのアイデアとしての妥当性を実験の上において、あるいはインパイル・テストにおいて確認する機構はどこでございますか。私は、当然原子力委員会がすべきものと思うのでございまするが、いかがでございますか。
○中曽根国務大臣 これはやっぱり通産大臣と科学技術庁長官ではないかと思います。直接的、行政法的の意味における責任者は通産大臣または科学技術庁長官だろうと思います。
○岡委員 燃料の事故が災害の最も大きな原因となり、かつまた、その災害が予想せられない広範囲なものになり得るであろうということは、日英協定の際にも向こうの出したイニシアルにあることです。こういう重要な燃料問題について、一応アイデアを承認した以上、あとは原子力委員会としては責任をとらない、他にまかす、そういうことで一体責任を果たせるのでしょうか。
○中曽根国務大臣 日本の行政機関の配置及びその責任権限というものの構成から見ますと、処分権を持って具体的な責任を負うというものは各省大臣であります。あるいは、それから委任を受けた者であります。そういう点からいたしますと、通産大臣、科学技術庁長官がやはりそういう行政上の監督責任を負うべきものだと私は存じます。
○岡委員 内閣総理大臣がこのたびのコールダーホール改良型動力炉の設置を許可されるときにも、「内閣総理大臣は、前条の決定について委員会から報告を受けたときは、これを尊重しなければならない。」という条章に基づいて許可されたものと存じます。しかも、委員会あるいは安全審査部会はもちろんでありますが、委員会の答申の内容というものを拝見すれば、事、安全に関しては、実に多くのスぺースが費やされておることは私が申すまでもございません。その一つの大きなかなめのポイントが、やはりこの燃料の問題であろうかと思います。この燃料の問題については、先ほど申しましたような経由で、今後の実験に待ってその安全かどうかということが確認されることになっている。してみれば、確認しないがままに安全であると言った以上、これが安全であるということについての責任は、当然原子力委員会の責任においてその安全を確認する責任がそこに伴ってきているはずだと思いますが、こういうものを通産省に持っていって、インパイル・テストの結果が妥当かどうか、安全であったかどうかということをだれが一体やるでしょうか。当然、私は原子力委員会が直接その任に当たるべきものと思いますが、いかがでございますか。
○中曽根国務大臣 法的意味における責任と政治的意味における責任というものは別個の問題で――別個というと言葉が悪いのでありますが、別の体系の問題で、普通責任といわれるときには、法的意味における責任をいうのだろうと思います。そうしますと、日本の憲法構造に従いまして、これは内閣総理大臣――この場合の内閣総理大臣というのは各省大臣的意味における内閣総理大臣、すなわち、総理府の首長としての内閣総理大臣または各省大臣というものが負う。内閣総理大臣から委任を受けた場合に科学技術庁長官がその責任を負う。こういう形になっておりまして、原子力委員会は法的意味においては行政委員会になっておりません。公取委員会なんかは行政委員会としてそういう処分権を持っております。しかし、原子力委員会にはないわけです。政策を審議決定するという、審議決定ということであります。従いまして、法的意味における責任というのは、通産大臣あるいは科学技術庁長官ということになると思いますが、しかし、そういう政策を決定して内閣総理大臣に上申したという意味における政治的責任はあるだろうと私は思います。
○岡委員 それから、奥村大蔵政務次官もお急ぎのようでございますので、この際、原子力委員会が御答申になった万一の災害に対する補償については、私、実はこの資料を持ってきておりませんが、適格者である原子力発電株式会社は、万一の災害については補償にたえ得るという具体的な条件はどういう点でございましたか。この点、有澤先生は特に御熱心に御研究のことと思いますので、お聞かせを願いたい。
○有澤説明員 現在の規制法から申しますと、災害に対する補償の措置ができておるかどうかという点を明らかにしなければならぬわけですが、それにつきましては、現在の保険プールに――保険に入ってもらわなければならない、そういう制度に今はなっております。これは、この間の規制法の改正が来年の一月早々に発効することになりますから、それに入る意思が原子力発電会社の方にもあるし、また、その用意もあるということになっております。
○岡委員 最近の新聞を見ますと、前々からこの席上でもお聞きをいたしておりますと、大体国内で十五億、国際的に三十五億、合わせて五十億が損害の賠償のための資金として考えられている、こういうことでございます。最近の新聞を見ると、その十五億のうち、七億五千万円が第三者賠償に振り向けられるという保険約款になろうということも出ておりますが、これはどうでもようございます。どうでもようございますが、従って、この原子力発電、コールダーホール改良型の運転をして、もうぎりぎり五十億しか災害の補償はできない、こういうことになるのでございます。先ほど来、田島先生や藤本先生の御所見を拝聴しておりますと、なかなか五十億では追っつかないというので、そういう点の用意が必要だろうというような示唆があったと思うのでございますが、この点、藤本先生や田島先生は五十億でこのコールダーホール改良型の事故についての第三者補償ができると思っていらっしゃいますか、これまでの各国の事例等にかんがみまして。
○藤本参考人 私は、そういうことは、実は金にはあまり縁のない方でございますので、どういうことになるか全然わからないわけですが、一つはっきり言えることは、災害というのは金で換算できない面があるということの方が僕にはぴんとくるのです。それで、つまり、私がきょう土地の条件のときにはっきり申しましたように、ある程度以上の事故というのは、炉の個有の性質で防ぐという方針の方が、その五十億という金額よりもより大切な問題である。たとえば、私自身の身のことを考えると、立ちのきをさせられることよりも、金で解決されるよりも、もう少し前に考えなければならない問題が実は原子力委員会にたくさんあるんじゃないかと正直のところ考えております。ですから、五十億という話になると、ちょっと私の能力の外にある。大体どのくらいの大きな金かちょっと見当つきませんから、何人ぐらいの方に補償金を払うというのでそれをお考えになっているかということを、私自身が伺いたいくらいでございます。
○岡委員 どうも失礼しました。ただ、御存じのように、アメリカのプライス・アンダースン法では九千万ドルの事故保険のほかに、五億ドルほどは国が補償する。聞くところによると、西ドイツも四百何十億かの国家補償をされるということで国会が審議をしておる。英国でもそのつど、ケース・バイ・ケースで国が予算を支出して災害の補償をやっておる。先般、やはりこれも新聞等に伝えられるところによりますと、日本といたしましても、無過失賠償責任を原則とする、まず保険でいこう、足りない分は国がやろう、こういう方針であったということでございますが、そういうふうに了承していいのでございますか。
○有澤説明員 先ほど申しましたのは現行においての補償措置でございますが、むろん、それで十分だということは私ども考えておりません。それで、もう二年ぐらいになりましょうか、一年半くらい前から、専門部会としての原子力災害補償部会というのを設けまして、その答申がこの十二月の早々に出まして、その答申によりますれば、今申しました五十億の保険に加入してもらうが、しかし、もしそれ以上の、保険でカバーされない分野における損害につきましては国家がこれを補償すべきである、まあ、いろいろなこまかい規定はまだありますけれども、原則的には国家が補償すべきである、こういう答申が出ております。それにつきまして、今、私たち委員会でそれを検討中でございます。
○岡委員 この機会に奥村政務次官にお聞きをしておきますが、この問題となっておるコールダーホール改良型動力炉の安全装置のことについてはいろいろ批判が多いわけでございます。そこで、批判の多いものを無理に設置をしてみた、さて、いよいよ悪いことには事故が起こったというような場合には、私は、国民の税金でこれを補償するなどということは筋が通らないと思う。いずれにいたしましても、今ああして補償等について専門部会の答申が国家補償をうたっておるわけでございますが、大蔵省は、原子炉の災害の補償について国庫補助をするという御決意でございますか。今の段階においてはどういうふうな態度をとっておられますか。
○奥村政府委員 お答えいたします。先ほどの参考人の方の御答弁にもありますように、まずもって安全性の確保が根本であって、第一、事故が起こってどんな災害があるかという、その災害そのものが予想もつかぬということでありますし、また、災害というものがお金で解決のつくものじゃありません。取り返しのつかぬことでありますから、安全性の確保ということが、もういわばすべての問題だと思うので、その点、原子力委員会においても十分御検討になっておられ、また、科学技術庁長官、または通産大臣等が十分御研究いただいておることと思うのであります。万が一の事故に際してどうするかということでありますが、これにつきましても、ただいま有澤説明員からお話がありましたように、原子力委員会の中の災害補償専門部会において一応今月の初めにその答申を原子力委員長にしておられます。まだ原子力委員会としての正式の答申にはなっておりません。しかし、大蔵省としては内々に検討はしております。しかし、まだ原子力委員会としての正式な答申も出ておるわけではありませんで、ただいま大蔵省内で検討しておる段階でありますから、国としてどのような補償をするかということについて、まだ最後的態度を決しておりません。その点、御了承願いたいと思います。
○岡委員 とにかく、こうして安全性について専門の権威の諸君からもかなり突っ込んだ疑義が出ておる問題でございますので、私どもは、原子力開発が進められるためには、やはり常に万一の場合を予想した事故について国家が補償するということは、各国にならって原則として当然とは思いまするが、しかし、何しろ国民の血税をもって支払う問題でございまするから、安全性についてはこのように大きな疑義が出ておるということについて大蔵省も十分頭にとめていただきたいと思うのでございます。
 そこで、この前の委員会で、そうしてまた、きょうの委員会で学術会議の皆さんからいろいろ御意見を承りました。小椋さんの御意見は、経済性の観点についてみても、まだ原子力発電というものは実験段階から実用段階に移行する中途の経過過程である、いわば実用のための実験段階である、従って、経済性が確かであるか、採算上確かに経済性が成り立つかどうかということについては、まだそれを言い切れる段階にはないのである、国際的にそうであるということをはっきり言っておられました。それから、きょうの藤本先生の御意見を聞きましても、やはり原子炉の研究、開発は、むしろ実験段階である、従って、安全性については何人も保証し得ないというような御所見でもございました。また、それに、そういう立場から許容度の問題あるいは限界線量の問題についても、田島先生から専門の御所見を承ったわけでございます。堀尾先生の御意見にいたしましても、まだ原子力の中性子の持続的な照射による物理的、化学的な変化は予知できないものがたくさんあるので、特に一般工業化の場合に比べて念には念を入れるべきであるというふうな御所見と私は承ったのでございます。
 そこで、私、中曽根委員長に承りたいのは、一体、原子力発電というものは純然たる実験段階にあるのか、あるいは実用のための実験段階にあるのか。私は、原子力委員会が発電計画をお立てになる場合に、国際的にいずれの段階にあるかという認識は、やはり日本の発電計画の基礎にならなければならないと思うのでございます。この点についての御所信はいかがでございますか。実用段階にありとしてあの御答申をなさったのでございますか。
○中曽根国務大臣 実験と実用が混在している段階だろうと思います。
○岡委員 それでは、あの炉を運転される目的には、やはり実験的な意味がある、こういうことでございますか。
○中曽根国務大臣 実用の意味もあります。それはすでに十五万キロの発電を現に実施するということでありまして、実験と実用が混在しているというのは、そういう意味であります。
○岡委員 国際的に見て、はたして各国の事情はいかがでございましょうか。
○中曽根国務大臣 少なくとも、イギリスにおいては実用の段階に入ったと思います。
○岡委員 最近新聞で伝えられている情報を総合いたしますと、英本国で、コールダーホール動力炉は一九六五年ないし六年までに五百万キロワットないし六百万キロワットの原子力発電をするという計画そのものが、一九六六年までに五百万キロワットというふうに大きく後退をしたことは御存じの通りであります。しかも、この八月の下旬でございましたか、原子力公社の予算を取り扱うために英国の下院に設けられた予算特別委員会のコメントを見ますると、このコメントでは、一九六五年までにはAGR低濃縮ウランの発電炉が運転をするであろう、最後には、おそらくそれ以前に実現するであろう――なぜかというと、経済的に見ても、一キロワットの建設費がAGRでは八十五ポンドです。ところがコールダーホール改良型では百ポンド以上につく。日本では百八十ポンドになるわけでございますが、そういう経済性を考えてもAGRにしよう。ところが最近になってから、さっきお話に出たヒントン卿自身も――これは間接の情報ですからわかりませんが、この方針を切りかえて、そして一九六二年くらいにはAGRをプロット・タイプで、デモンストレーション・プラントを越えて実用化しようという意向であるとも伝えられております。そうなってくると、実験を兼ねた実用だとおっしゃいますが、さて、これが一九六四年ごろに運転をするころには、まことに古色蒼然たる記念碑としての意義しかないということになって、実験以前のものになってしまう可能性もあるのじゃないかということを私は心配をするわけです。こういう事情を考えますると、このコールダーホール改良型を採用されることは非常に大きな冒険であり、三百五十億からの巨大な資金をつぎ込むことは、日本の原子力開発計画の上から見て決してプラスするものではない。これは私がいつも申し上げておることでございますが、重ねて御所見を承りたい。
○中曽根国務大臣 イギリス側の事情につきましては、われわれと認識を異にいたしております。AGRという問題については、ある程度お金をかけ、現在は採算が合わなくとも、将来のためにこれは開発した方がよさそうだというので取り組んでおるのであって、現在の段階でAGRが採算ベースに乗るということはイギリス側も考えておらぬようであります。イギリス側の考えは一貫してコールダーホール改良型を推進するというのでありまして、先ほど申し上げましたように、一九六五年の計画を一年ずらして六年に持っていったという程度で、それまでにバークレーとかブラッドウェルとか、その他既定計画通り進めるという計画はイギリスは依然として放棄しておりません。修正もしておりません。ただ年限が一年延びただけであります。そういう点からいたしましても、イギリス側の事情について、コールダーホールが古いタイプで中古品だとか、あるいは博物館に入るという考え方には、われわれは賛成いたしません。
○岡委員 私は何も知ったかぶりをしようというのではございませんが、私が今申し上げましたことは、お役所の方から出ておる資料の中に書いてある。佐々木君、あなた海外資料というのを持っているでしょう。英国下院の予算小委員会の報告が出ておるでしょう。
○佐々木政府委員 海外事情は外務省から出ておりますので、おそらく、新聞等の翻訳等を載せたのじゃないかと思いますが、確実なことはわかりません。ただ、そういう話も前々から岡委員等からございましたので、権威あるルートを通じて真相を確かめたいというので、私どもの方のアタッシェ――ロンドンのアタッシェを通じまして十分調査いたしましたところ、先ほど大臣のおっしゃったような報告でございました。
○岡委員 それではこの問題はあとに譲りたいと思います。私の手元にありますのは役所から配付されたものでございますが、英国の予算特別小委員会は、コールダーホール改良型の経済性については、建設費が一キロワット百ポンド、AGRでは八十五ポンド、従って、コールダーホール型は英国における原子力発電に非常に大きな貢献はしたけれども、実用的には、今後はAGRにすべきものだという勧告をして、そうして、このAGRの事実上の発電は一九六五年を目途とするが、おそらくそれ以前に開始されるであろう、こうはっきり書いてあります。これは英本国の動向としては非常に重要な参考になろうと思いますので、私の資料が誤りであるかどうかということを的確にしていただくことを、ぜひお願いいたしたいと思います。
 そこで、安全性の問題は、これまでもたびたび問題にして参りましたが、きょう藤本参考人からの御意見もございました。要は、コールダーホール改良型動力炉の安全性というものは、現在の技術段階における安全性である。というのは、ここ一年、一年半越し、固有の安全性である負の温度係数がプラスになるというので大騒ぎをして緊急冷却装置、緊急停止装置というので二十億、三十億の金を費した。さてタマネギ型ができた。ところが、今度は黒鉛が縮むというのでタマネギ型をハチの巣型にかえるということで、いわば事故を予想される難点が次々と発見されてきておる。そういう状態でありますが、今後こういう難点は発見されないであろう、もうこれでコールダーホール改良型は絶対に安全な動力炉として認可した、こういう御所信でございますか。私は、コールダーホールの改良型は次に事故の原因が発見されるまでの一時的な安全性であって、将来にわたっての安全性を保証したものではない、そう考えておるのでございますが、この点についての御所信を承りたい。
○中曽根国務大臣 その点につきましては、前から申し上げておりますように、私と認識を異にしております。
○村瀬委員長 参考人各位からの意見聴取はこの程度にとどめます。
 この際、参考人各位に申し上げます。
 本日は長時間にわたり、しかも貴重な御意見を承り、まことにありがとうございました。本委員会を代表して、私から厚く御礼申し上げます。
    ―――――――――――――
○岡委員 私も簡単に切り上げたいと思います。
 それでは、万一また新たなる事実が発見をされる、そうして今原子力委員会として安全なりと答申をされたこのコールダーホール改良型について新たなる不安全の事実が発見された場合、あなたは一体どうされるおつもりでございますか。
○中曽根国務大臣 技術は日進月歩でありますから、われわれは、その発展に対しては常に深甚の注意を怠らないようにして、そういう新しい改良等が出てきた場合には、合理的な限りこれを受け入れるようにいたしたいと思います。
○岡委員 新しき改良を摂取することは、私はちっともやぶさかであってはならないと思います。ただ問題は、一年の間に災害を予想される事実が二度も出てきておる。いつまたこれが出てくるかもしれない。こういうようなときには、今しばらくこれは控えるべきではないかということを、私どもは常に申し上げておったのでございます。ところが原子力委員会はそれを押し切って、安全であるという決定をされ、内閣総理大臣は設置の許可をされました。その後に、私どもが指摘をしておったように、新たなる災害の原因となり得るような事実が発見されたときにはどうするかということでございます。単によりよき技術が発見されたのではなくて、当然災害の原因となるべき事実が発見されるというふうなことが起こってくる。さて、これをまたカバーする技術がどうにか行なわれたとしても、またさらに起こってくるというようなことが繰り返されるかもしれない。私は、そういう予想を持って原子力委員会の自重を要求し続けて参ったわけでありますが、とうとうこうして押し切られてしまいました。そういう改良された技術が起こるという意味ではなくて、われわれの予想が的中したような事実が起こってきたときには、原子力委員会は軽率であったといわなければならないと私は思います。委員会としては当然責任を明らかにしていただかなければならない事態であると思いますが、その点についての御所信はいかがでございますか。
○中曽根国務大臣 そういう事態が起こらないであろうとわれわれは考えておりますけれども、もし、万一そういう事態が起きる場合には、事態の改善については、やはり周到な手配をしてしなければならないと思います。
○岡委員 これは原子力委員会の政策決定ということでございますが、コールダーホール改良型の動力炉を入れるというのは、日本の原子力政策における一転機を画する重大な政策決定でございます。これが軽率に行なわれたということについての政治的責任というものは、私は免れないと思う。わが党としては、あくまでも、今後そういう事態についての原子力委員会の責任というものは当然追及しなければならないと存じておりますので、そのように御承知を願いたいと思います。
 そこで、具体的に申しまして、あの答申を見ると、やはり安全審査部会の答申の通りに中空燃料はよろしいということになっておる。ところが、引き続きそのあとで、中空燃料はなるほど理論的にはいいようであるが、実際設計に当たってみると、信頼のできる設計のものが得られない、有利というよりも、難点が多くて採用しないことに決定をした、こういう論文が先月の英国の権威ある雑誌に出ております。ああいう英本国においてすら、日本の原子力委員会で決定され、採用された中空燃料は採用しないという否定的な態度に出ておるという事実がございます。その事実を、原子力委員長としては一体どうお考えでございますか。
○中曽根国務大臣 中空燃料に関する部分は、照射試験、炉内試験等をして確かめてやれというふうに、これは特に注意書も出ておるのでありまして、今のところ大丈夫だとは思うけれども、しかし、実際試験をしてみて安全を確保し、燃焼率等を確かめた上でやれということになっておるのであります。従いまして、いろいろ実験をして、もし、万一思うような方向にいかない場合には、中実燃料に変えるという余裕は十分とってあるのでありまして、私は、そういうような十分念を入れたやり方が、やはり合理的なやり方だと思っております。
○岡委員 私はそういうことを申し上げておるのじゃないのです。今、私が引用いたしましたこの論文でございますが、この論文でも、読んでみる限りにおいては、何も実験はしておりません。結局、設計上中空燃料は理論的には一見改良されたと思えるが、実際設計に当たってみると信頼できる設計のものが得られない、有利などころか、難点が多く、採用しないことに決定した、しかも、この論文を発表した人は、いわば日本の契約の相手方であるGECと今度一つになったAPCCという会社のP・W・アッシュレイ、この人は技師長で技術の専門家です。日本ではインパイル・テストをやってみて、経済性か安全性かということをやろうという。ところが向こうの方ではインパイル・テストをするまでもなく、利益どころか、難点が多いという断定を下し、採用しない。あの現実主義的な英国でさえも、これを採用しないという決定をしておる。ところが、これを採用するのだ、そしてインパイル・テストをやってみよう、これでは、日本の原子力委員会の決定というものは、この一点についてでも全く権威がないものといわなければなりません。
○中曽根国務大臣 それはたしか「ニュークリア・パワー」とかいう名前の雑誌の記事であったと思いますが、その点についても、われわれは十分調査をいたしておりますので、担当課長から御説明さしていただきます。
○藤波説明員 岡先生の御質問は、たしか「ニュークリア・パワー」のことしの十一月号の記事を引用しての御質問だろうと思いますので、その点をちょっと説明さしていただきますと、それはトローズフィニドの原子力発電所の計画について、それを担当いたしますAPCC会社の技師長が発表をしている計画説明記事に書いてあることでございますが、その記事は、おっしゃる通り、中空燃料と中実型燃料とを両方検討した結果、中空燃料には理論的に非常に優秀な点が考えられるけれども、一方、まだ実績がないということから、その意味においてリアライザビリティに欠けるところがある。従って、短期間にそのリアライザビリティのある計画を準備することができなかったので、双方勘案した結果、中実型をこの際とることになった、こういう記事でございます。なお、その同じ雑誌に、GECとAPCCがリンクしたという表現をとって、提携をいたしましたということが記事に載っておるわけでございますが、その二つを読み合わせますと、GECが提携をしたAPCCが、新しい発電所の計画に対して中空燃料の採用を捨てたという工合にも一見とれるのでございますけれども、その関係は調べてみますと、実はAPCCとGECの提携はこの九月でございまして、その条件は、それ以後の原子力発電所の入札につきまして共同で入札をする、こういう条件でございまして、それ以前の契約についてはさかのぼらないという旨を条件にしておるのであります。トローズフィニド発電所のAPCCとの契約は、これをさかのぼること数カ月前でございます。従いまして、その関係から判断をいたしますと、GECとAPCCとはリンクをした後にそういう決定をしたのでございませんで、提携してから以降、新しい発電所についてどういう形式の燃料を使うかということは、むしろ、これからの問題ではないかという工合に判断いたします。
○岡委員 それでは、もし、これから中空燃料というものをやっぱり使わないということになったらどうするのですか。問題は、英本国においてさえも二つに大きく意見が分かれておるのに、ただ一方を採用して……。
○中曽根国務大臣 一月から炉内試験等の実際の実験が行なわれるようでございますから、そういう実験の結果を待ってわれわれは判断をしなければならぬと思っております。単に雑誌の記事で、ある会社がどうしたこうしたということよりも、やはりイギリスの直接の責任者の意見も聞き、また、実際の実験等も確かめた上でわれわれは確実な判断をしなければならぬと思っております。
○岡委員 私は、それを申し上げておるわけなんでございます。こういうふうに、少なくとも、GECときわめて懇意なAPCCの技師長が、設計上から考えてどうもこれは採用できない、難点が多いということを指摘しておる。これは新聞のニュースではございません。技師長という立場からちゃんと署名をして書いた「ニュークリア・パワー」の論文です。だから、意見がまだいずれとも一致しておらないというような事実が十一月にすでに公になっておる。それを、その一方の方にいわば采配を振って、解決をあとに残すというような態度自体の中に、私は、非常に原子力委員会としての軽率さ、早計さ、ひいては無責任さがある、こう私は申し上げたいのでございます。
 まあ、時間もございませんから、経済性の問題について伺います。この間、予算委員会では、まことに簡単に、十分原子力発電は経済性にマッチするのだということをおっしゃっておられましたが、公益事業局長おられますが、どういう根拠でそういう判断が出て参ったのでございますか。
○小室説明員 原子力発電所と最近の新鋭火力発電所との建設費、運転に要する経費その他を推算いたしまして、大体発電原価において甲乙のないものという計算が出ました。もちろん、経済性につきましては、今後経済情勢の変化、あるいは燃料費の動向その他によって、五年先に幾らになるかということを断言はできませんが、大勢的、長期的な判断として、ほぼ同じような程度のものであるという計算が出ました。先ほど中曽根長官のおっしゃったように、原子力産業技術の開発について貢献する面とあわせ考えまして、総合的判断として経済性があるというふうに結論を出したわけでございます。
○岡委員 中曽根委員長お急ぎのようですけれども、一点だけ申し上げておきたいと思います。先ほど来藤本参考人からも御指摘があり、先般はまた坂田さんからもお話があったのですが、たとえば、公聴会の公述人に対して資料が十分に交付されていない。坂田さんの場合は、九月の下旬から十月の下旬にわたる小委員会の議事録が交付されておらない。まあ、いわば資料というものがきわめて不十分な段階で責任ある意見が述べられないということを言われた。ところが、中曽根委員長のお話によると、それは商業上の秘密だ。そこで向こうのGECに公開の限度を照会してみたところが、おおむねよろしいということだった。これは原電会社の安川さんが雑誌に書いておる。してみると、あなた方が商業上の秘密とか、いろんな名に隠れて公開しなかった資料というものが、向こうにしてみればそうでもなかった。だから、私は、作為をもって資料を秘密主議で公開せられなかったとは申さないが、資料を公開しようというお熱意だけは非常に不十分だったと思う。こういうやり方で国民が大きく関心を寄せておる安全性の問題について結論を出さしめようということそのことが、原子力基本法のいわゆる資料の公開という原則からおよそかけ離れたやり方だ、今度の安全審査部会の審査の経過、また、これを安全だと判定を下すに至るまでの公聴会なり安全審査部会なりの経過を見て、私はそう断定せざるを得ません。私は、こういうやり方で今後もこの原子力の安全性というふうなものが取り扱われるということは、原子力基本法の立場からとうてい許せないと思います。この点について委員長の御所見はいかがでございますか。
○中曽根国務大臣 できるだけ公開しようという考え方でわれわれも進んで参ったのでありますが、特に科学技術特別委員会の岡さんや神近さんの非常に強い御要望がありますので、われわれといたしましても非常に強く原電をしてGECに当たらしめたのであります。そういう国会側の力強い御支援がありましたので、GEC側も大幅に解きまして公開してきたのだとわれわれは思います。われわれといたしましては、三原則の線に沿いまして今後ともできるだけ努力をして参る決心であります。
○岡委員 私が申し上げるのは、三原則の中の公開という原則、これが私は尊重されなかったと思う。であるからこそ、坂田委員は安全審査部会の答申に責任は持てないと言い切っておられる。公述人である藤本君が、この委員会の満場一致の決議で公聴会を開けといって政府に迫って、公聴会をお開きになったが、公述人は資料が十分にないから、安全性に関して十分責任あることが言えないという前提で発言をしなければならなかった。しかも、この一両日前に審査部会の中間報告がやっと発表された。それすらを検討するのだって、やはりこういう困難な問題でございますから、相当な時日の余裕が必要でしょう。それを無視して二日目か三日目にやった。先般も、こういう問題について慎重な検討を必要とするということについて、委員長の御所信を私はこの席上で伺ったが、十分そういたしますと言われた。ところが、こり五日の日には原子力委員会は臨時会というものを開いて、そうして決定した。あれでは公開、民主という基本法の原則は、私は、このコールダーホール改良型動力炉という日本の原子力政策の将来に大きな影響を及ぼす重大な政策決定においては守られておらなかったと思います。私は、その点についてはあなた方と見解を全く異にするのでございます。しかし、こういうようなことであったのでは、基本法の公開、民主の原則が破られるだけじゃない、一番大事な生命とも言うべき平和目的という原則さえも破られるのではないかという懸念を持つのは、ひとり私だけではないと思う。私は、そういう意味において、原子力委員会の皆さんが常に基本法をあくまでも厳守するという建前で今後どうしてもいっていただかなければならぬと存じます。この点は守っておったのだ、こう原子力委員長が思われる限り、今さらあなた方の御所信を聞こうとは思いませんが、私どもとすれば、あくまでも公開、民主、平和という三つの原則の上に立って日本の原子力の研究、開発を進めたいという立場から、この際強く警告をいたしまして、一応私の所信を述べ、質問を終わりたいと思います。
     ――――◇―――――
○村瀬委員長 この際、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会といたしましては、閉会中もなお科学技術振興対策に関する件について調査いたしたい旨議長に申し出たいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○村瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
    午後二時二十九分散会