第033回国会 商工委員会 第7号
昭和三十四年十二月一日(火曜日)
    午前十時四十八分開議
 出席委員
   委員長 中村 幸八君
   理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
   理事 長谷川四郎君 理事 南  好雄君
   理事 小林 正美君 理事 田中 武夫君
   理事 松平 忠久君 理事 武藤 武雄君
      鹿野 彦吉君    關谷 勝利君
      田中 榮一君    田中 龍夫君
      中井 一夫君    西村 直己君
      野田 武夫君    板川 正吾君
      櫻井 奎夫君    堂森 芳夫君
      八木  昇君    加藤 鐐造君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  池田 勇人君
        国 務 大 臣 菅野和太郎君
 出席政府委員
        通商産業事務官
        (重工業局長) 小出 榮一君
 委員外の出席者
        通商産業事務官
        (鉱山局長)  福井 政男君
        通商産業鉱務監
        督官      
        (鉱山保安局長)小岩井康朔君
        通商産業事務官
        (公益事業局
        長)      小室 恒夫君
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
十二月一日
 委員中嶋英夫君辞任につき、その補欠として櫻
 井奎夫君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員櫻井奎夫君辞任につき、その補欠として中
 嶋英夫君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 理事武藤武雄君十一月二十四日委員辞任につき、
 その補欠として武藤武雄君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
十一月二十四日
 日朝直接貿易の実施促進に関する請願(岡田春
 夫君紹介)(第七二六号)
 同(坊秀男君紹介)(第七二七号)
 同(横山利秋君紹介)(第七七〇号)
同月二十六日
 日朝直接貿易の実施促進に関する請願外二件(
 岩本信行君紹介)(第九二六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
十一月二十八日
 防犯灯維持費減免に関する陳情書(和歌山県議
 会議長坂久五郎)(第四三五号)
 防犯灯の設置等に関する陳情書(鹿児島市議会
 議長石井真一)(第四三六号)
 電灯及び電力料金に対する特別措置存続に関す
 る陳情書(長野県知事西沢権一郎外二名)(第
 四三七号)
 ガス料金値上げ反対に関する陳情書(京都府議
 会議長細川馨)(第六〇四号)
 学校の電気使用料金軽減に関する陳情書(東京
 都議会議長内田道治)(第六一六号)
 離島振興法の一部改正に関する陳情書(東京都
 議会議長内田道治)(第六四八号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の互選
 参考人出頭要求に関する件
 通商産業の基本施策に関する件
 経済総合計画に関する件
 派遣委員より報告聴取
     ――――◇―――――
○中村委員長 これより会議を開きます。
 まず理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
 本委員会の理事でありました武藤武雄君が、去る十一月二十四日委員を辞任せられました。従いまして、本委員会の理事が一名欠員となっておりますので、これの補欠選任を行なわねばなりませんが、その手続に関しましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認め、再び本委員となられました武藤武雄君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
○中村委員長 参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。
 自転車競技に関する問題調査のため、兵庫県知事阪本勝君、姫路市長石見元秀君、四日市市中部婦人会会長小林けい子君、京都府知事蜷川虎三君、平塚市長戸川貞雄君、川崎市長金刺不二太郎君の六名に、来たる九日、参考人として御出席を願い、御意見をお聞きしたいと存じまするが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 なお出頭要求の手続等は、委員長に御一任願います。
     ――――◇―――――
○中村委員長 次に、去る十一月二十四日、東洋化工株式会社の横浜工場爆発に関する実情調査のため、委員を派遣いたしましたが、この際派遣委員より、報告を聴取いたしたいと存じます。小川平二君。
○小川(平)委員 東洋化工株式会社横浜工場の爆発事故に関して、商工委員会から派遣され、去る十一月二十四日現地調査を行ないましたので、以下簡単に調査の結果を御報告申し上げます。
 本工場は、昭和二十七年五月、横浜市金沢区釜利谷町の旧第一海軍技術廠火工部跡の一部使用許可を受けて設立され、同年九月、火薬類取締法に基づく火薬類製造営業の許可を受け、小松製作所、住友金属工業株式会社等の下請会社として事業を開始したものでありまして、おもな事業内容は、当初在日米軍へ納入する特需砲弾等を製造し、その後特需の減少により昭和三十一年四月三日より産業用爆破薬の製造許可を得て、トリニトロトルエン、いわゆるTNTを主とする鉱工業用爆破薬の製造を行なっているのであります。
 爆発事故の状況及びその原因について簡単に申し上げますと、本事故は、去る十一月二十日午前十時半ごろ、工場内より出火、数分後に火薬に引火して大爆発を起こし、半径約二キロにわたって被害を及ぼしたものでありまして、事故の経過は第二熔填工室内のTNT脱色精製試験装置の操作上の過失により発火し、それが約四十キログラムの精製済み爆薬に引火し、さらに溶融釜内の約四百五十キログラムのTNTに引火して、ここで第一回目の小爆発を起こし、飛散した燃焼木片によって工室外の約一・五トンの精製前TNTに引火し、大爆発を起こしたものと推定されるのであります。
 この原因として、工場側に保安上の相当の法令違反があったことが明らかであります。すなわち、最初に発火を起こした試験装置を工室内に持ち込んでいたことがその第一であり、第二には火薬の停滞量がこの場合一トン以内と定められていたにもかかわらず、この一・五倍をしかも工室内に停滞させていたこと、第三には工室内の定員六名を超過する十名が在室していたこと等がおもな違反事項であります。
 次に、爆発事故による被害状況は、工場外においては金沢区災害対策委員会の調査によれば、死者なし、重傷九名、軽傷三百二十七名、物的損害としては住宅全壊五十二戸、半壊二百九十三戸のほか東洋合成、東急車輛日本製鋼、木川製作所等の各工場及び横浜市大、金沢高校、金沢中学校、六浦中学校、六浦小学校等の各学校に対しても相当の損害を与えております。工場内においては、死者三名、重傷十一名、軽傷三十七名であり、物的損害としては工場全壊八棟、半壊七棟で、これらの物的損害金額は約二千万円と推定されております。
 次に、事故後とりあえず通産省当局のとった措置としましては、まず東洋化工横浜工場に対し火薬類製造禁止命令を出して、付近住民の不安の除去をはかり、また社長、技術責任者を召集し、順法精神、保安教育の徹底、消火施設、警報施設の完備等について、大臣より厳重な注意を与えたと聞いております。また会社よりとりあえず百五十万円の見舞金が支出され、横浜市並びに日赤より百十五万円の見舞金が支出されたと聞いております。
 最後に、火薬類の爆発事故は、社会的にきわめて大きな被害を与える実情にかんがみて、今後この類の事故の絶滅をはかる必要がありますので、われわれ調査団一行は、今回の事故を契機として、今後すみやかに特に火薬類取締法及び関連法規の根本的改正を行なう必要を認め、次の事項に留意すべきである旨の申し合わせをいたした次第であります。
 第一に、監督関係行政機構を整備強化するため、火薬類取締法に基づく監督官庁である通産省と都道府県との間及びこれらと警察庁、消防庁等他の行政機関との間の権限関係を明確にするとともに、これが緊密化をはかること。さらに、要すれば、通産省に火薬類取締監督官制度を新設し、火薬類工場等の監督並びに都道府県の取り締まり行政の監督指導に当たらせること。第二、災害予防施設、保安距離等の技術基準に関する法令を改正するとともに、関連法規、たとえば建築基準法等との調整を行ない、もって保安の完璧を期すこと。第三に、火薬類製造工場の職員、工員、特に幹部職員に対する保安教育の徹底をはかること。
 以上御報告を終わります。
     ――――◇―――――
○中村委員長 次に、通商産業の基本施策及び経済総合計画に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。櫻井奎英君。
○櫻井委員 それでは保安局長にお尋ねいたしたいのでありますが、新潟地区のガスの採取について通産省で規制をされ、最後の規制が十一月に行なわれたわけでありますが、この十一月中の収縮量のデータは出ておりますか。十一月一日から後の報告が参っておりますか。
○小岩井説明員 私の方の関係の規制は、九月一日から市街地を一応原則としては全面的な停止をいたしておるのでありますが、現地の実情によりまして、十月末まで一部規制を延ばしておるわけであります。それが十月一ぱいに中止になりまして、現在では県に関係のある約一万立方メートルぐらいの以外は、全部市街地の規制区域の中はストップいたしております。その後のいろいろのデータにつきましては、十一月の一部はございますけれども、まだ十一月のデータは全部そろっておりません。従って九月、十月規制後の二カ月間のデータは持っておりますが、十一月はまだ全部集まっておらない次第でございます。
○櫻井委員 私は新潟地区の地盤沈下の問題につきまして、六月二十四日に科学技術庁の調査会による発表がありまして、その発表に基づいて通産省が新潟市の市街地区の一部におけるガスの規制をなさった。その規制の事実に基づいて大臣に質問をいたしたいと思います。
 通産省のガスの規制は、ただいま保安局長からお話がありましたように、昨年の十一月中にはコスモス計画というものをやられた。その後、ことしの二月、三月において、約七万立方メートルのガスの規制をした。その後またさらに第二段として、九月一日から約九万立方メートルの規制をやっておる。それから十月の三十日ですか、最後に残りのところをやって、総計約二十万立方にわたるところの規制をやっておるわけであります。そこで、この規制の結果出て参りましたデータというものは、やはりガスを規制したことが地盤の沈下に対してどのような影響力を持つかということが、私ははっきりと数字に出たものであろうと思うのであります。その数字によりますと、観測井戸の深さは、千二百メートルのものがあり、六百十メートルのものがあり、いろいろな深さのを観測しておられるわけでありますが、一番古くからある六百十メートルの観測井戸の結果は、昨年の六月は一日の収縮量が〇・五九九という形でありました。それが一番沈下のひどいことしの昭和三十四年一月にはこれが〇・八八七にまで沈下が速度が加わってきた。〇・五九九のが〇・八八七、これはまだコスモス計画をやっておられるときの沈下の量であります。それが二月、三月の第一次の規制に基づきまして、〇・八八七がことしの八月には〇・五七八というふうに収縮量が縮まっておりまして、なおまたさらに九月においては〇・四二三と縮まり、最近の十一月五日の収縮量は、驚くなかれ〇・二八七、これは四〇%の収縮量、沈下の速度が縮まっておる。これは私は六百十メートル、いわゆる一番沈下の激しいといわれるG五層の観測井戸についてのデータを申し上げたわけでありますが、千二百メートルにおいても同じように沈下の速度が鈍っておる。百八十メートル、二百六十メートル、いずれの観測井戸においても、このように沈下の速度が規制の結果、急激に鈍ってきておる、こういうことは、やはり科学技術庁が発表いたしました、新潟地区の地盤沈下の主要なる原因が、地層の深いところにおける地下水の急激かつ大量なるくみ上げにある、こういうことをやはりはっきりと事実において示したものである、こういうふうに断ぜざるを得ない、私はこういうふうに考えるわけでありますし、また先般現地を視察されました自民党の地盤沈下特別対策委員会の方々も、そのような観測の結果を発表をいたしておられるわけでありますが、通産大臣は、この観測井戸の観測の結果について御承知であるかどうか、それについてどのような考えを持っておられるか、お聞かせを願いたい。
○池田国務大臣 新潟の地盤沈下の問題につきましては、今お話しの通り、就任以来いろいろ考究をし、また技術面からの研究の結果を参考といたしまして、一応とりあえず三回にわたってくみ上げ規制措置をいたしたわけであります。われわれといたしましては、そういう措置をいたしますと同時に、観測井戸によりましてその結果を今詳細に検討調査しつつあるわけであります。まだ日も短いことでありまするから、今後もこの調査を進めて参りまして、結論を得たいと考えております。自民党の地盤沈下調査委員会の話も聞いておりますし、先般閣僚が新潟に行って、調査し、あるいは聞いてきたことも、閣議で私は承っておるのでございます。いましばらく観測井戸について調査を進めていきたいと考えております。
○櫻井委員 調査の結果は、今私が申し述べました数字によって明瞭に出ておるわけであります。観測の期間が云々ということを言っておられますけれども、この観測の期間中に、すでに、先ほど申しました〇・八八七というものが、今日においては〇・二八七というふうに、おそるべき速度をもって沈下の速度は鈍っておる。こういう事実が出ておるにもかかわらず、まだこれをさらに究明していかないと原因が出ない、こういうふうに考えておられるのかどうか、その点を私はお伺いしておきます。
○池田国務大臣 今お答え申し上げました通り、もうしばらくこの調査を続けていって、そうして結論を出したいと思っております。
○櫻井委員 そこで、自民党の地盤沈下特別委員会の方で発表になりました――これはまだ自民党内にも異論があるということを聞いておりますが、この調査に行かれまして発表された特別委員会の御所見、こういうのを見ましても、やはり沈下の主原因が、地下水の急激な大量揚水にあるという説を重視すべきであるという科学技術庁のこれが間違いでない、こういうことを言っておるのであります。これの一部を読みますと、「斯くの如くにして推移せんか、ここ数年を出でずして、その波及するところは、更に内陸部、都心部に拡がること必至であろう。今にして、速やかにこれが基本的防除対策を講ずるにあらざれば、全域にわたって、多々益々、沈下現象を激成し、民心の不安動揺、地場産業の萎靡停滞を来すはもとより、年々歳々、台風豪雨の瀕襲に思いをいたすとき、一度、今次伊勢湾台風の如き不測の天災がこの地に襲来せんか、その被害は、蓋し名古屋地方の比にあらざるべく、その惨状を想像するだに、自ら漂然たらざるを得ないものがある。」こういうことを述べておりまして、「通産省当局としても、産業育成の立場において、規制措置が勢い微漫的ならざるを得ないものの如くである。」こういう結論を下しております。この結論は、「問題の本末を転倒し、徒らに急場凌ぎの弥縫策のみに追はれて、貴重な国帑を浪費することは、所詮盗人に追銭と称すべきか、泥沼に捨銭するの愚を繰返す結果となり、問題の本質的解決を期する所以ではない。今にしてなお、斯くの如き因循姑息な思惑に捉はれ、抜本塞源の方途を怠るにおいては、却って悔を千載に残す結果を招来するであろう。事態の急迫は、最早や荏苒たる遷廷を許さないものがあり、区々たる議論の段階にあらずして、如何にして疾患を根治するかという現実的政策実施の段階に立ち到っている。」こういうことをはっきり述べておるのであります。
 私は、新潟のこのおそるべき地盤沈下の主要原因は、科学技術庁が発表するごとく、地下水の大量くみ上げにある、こういうことがもうこの数字においてはっきり出てきた段階ではないか、従ってここではこの主要な原因をなしておるガスの規制というものについて通産当局がどのような決意をするか、そのような段階にきておるのではないか、このように考えるのでありますが、まだこれは調査の段階であって、今の事態をしばらく見守っておるほかに方法がない、こういうふうに考えておられるのか、あらためてもう一度お伺いしたい。
○池田国務大臣 企画庁におきまして主として調査いたしておるのであります。常に企画庁と連絡いたしまして、いつまでも調査々々に待つというわけではございません。もちろん新しい井戸の開さくは認めます。また、できるだけ他の地区での水を伴わない、あるいはごく少量の水で採取できる方法を講じてやっておるのであります。新潟地区内のタウン・ガスその他について全部とめてしまうというような挙に出るのは、いましばらく調査しなければ結論は出ないと思います。
○櫻井委員 私は大臣のお立場はよくわかります。私は何もここで直ちに全部、タウン・ガスから何から一切のものを禁止しろ、こういうことを言っておるのではないのであります。先般本会議場において私がこの新潟地区の地盤沈下の質問をいたしましたときも、岸総理みずからが、適正なる規制をやらなければならない、こういうことを言明をいたしておられるのであります。従ってこの適正なるガス採取の規制とは一体何か。たとえば今の〇・九ぐらいに下がっておったものが〇・二ぐらいにとまる、これはまずこのくらいが適正であるというふうに考えておられるのかどうか、さらにこの沈下をとめるという立場からこの規制を強化していく、規制の域を広げていく、そういう考えでおられるのか、現状をもって適正と考えておられるのか、その点を承りたい。
○池田国務大臣 現状をもって適正とは考えておりません。従って調査を進めておるのであります。あるいはこれが、沈下が非常に少なくなる、もうほとんど沈下しないというようになった場合においては、現状が適正かもわかりません。そこで現状が適正であるかないか、適正でないとすれば調査の結果どうしたらいいか、どういう速度の規制をやるかという点等々、いわゆる観測井戸の調査によりまして結論を出したいと考えておるのであります。
○櫻井委員 今日のこの速度が適正であるかどうかということはまだ判断の事態じゃない、いろいろほかの事態も考えてみなければならないというような御趣旨であると思うのでありますが、しかしこの制限をされました区域における沈下の速度がこのくらい鈍っておるのでありまして、この制限された区域は実に一部分なんです。この域のすぐ周辺においては盛んに乱掘が行なわれておる。乱掘というと語弊があるかもしれませんが、やはりG五層あるいは千二百メートルの井戸の掘さくが盛んに行なわれておる。従ってこの西側、内野地の沈下というのは少しもとまっていないのです。これは前よりもっとひどい速度で沈下しておる。一日一・四ミリぐらいの速度で下がっておる。北の方の松浜地区、ここも規制外です。ここにおいても沈下の速度は強まっておるのです。従って新潟地区全体として見るならば、やはり沈下というのは今日前と大差なく続いておる。ただこの規制された市街の中心部において速度が弱まっておるというだけだ。そういう事態の上に立つと、今日のこの規制が適正であるということは、私どもは絶対に言い得ないと思う。そこでこれをどういうふうにしていくかという具体的な方法は、私もあとでさらに質問として申し上げたいと思いますが、その前に、地域的に規制をなさった、これは通産大臣のあなたの責任において勧告をして規制されたわけです。そういう規制の中においてやはりいろんな問題点が起きているわけです。それはこの規制された区域が、いろんな都市ガスや何かの配慮があったと思いますが、非常な一種のゲリマンダーと申しますか、何人も納得するような線ではないわけです。特にこの地図をお目にかけますが、ここは非常にたくさん井戸を掘っております。ここを、規制ラインをこういうふうにまっすぐもっていくべきであるのを、ここをこういうふうによけて通っておる。このよけたところにはたくさんの井戸があって、これを掘っておる。もちろんこれは都市ガスの北陸瓦斯の地点です。こういうふうな地域的に規制をされた結果として、この中における小さな企業体、たとえば日本鑿泉というような会社は全面的に企業が成り立たない。全面的なストップにあって、そこで当然労働者の失業あるいは企業の崩壊という問題が起きておるわけでありますが、大臣はあなたの責任において規制して、その中におけるこのような企業の崩壊あるいは失業、こういう点についてはどのように考えておられるか。これはやはり企業者自身の責任で、大臣は一向あずかり知らないところだ、こういうふうに考えておられるのか、その点をお伺いしたい。
○小岩井説明員 ただいま規制の少しこまかい問題の御質問がございましたので、私からお答えさしていただきます。規制をいたしました根本の考え方は、新潟の地盤沈下が資源調査会の結論にありますように大量急速の地下水のくみ上げにある、こういう結論に従いまして、通産省としては規制をいたすという考えになったわけでありまして、どこを規制するかという一番根本の問題は、これは鉱害の観念によらざるを得ないのでありまして、沈下を来たして一番困る対象を考えざるを得ないわけであります。従いまして私どもの考えでは、ぼつぼつ離れておる家屋を一々区域をきめるわけに参りませんので、密集しました市街地を大体対象にいたしまして線を引いたわけであります。しかしその周辺の線の引き方につきましては非常に大きい問題がございますので、県、市、現地と十分に打ち合せをいたしましてあの境界線をきめたわけでありまして、中に一、二件なかなか理解に苦しむというような点がおありと思います。今御指摘の地区は、今掘っておりますところは海岸でありまして、砂浜であります。従って密集市街地という概念からは当然はずれるわけであります。しかし市街地のすぐ近くでありますので、そこで盛んにくみ上げておるという事実に対しては非常に異様にお考えになるかもわかりませんけれども、一応私どもの対象といたしました密集市街地という観念からは、はずれるという認定のもとにはずしてあるわけでございます。
○櫻井委員 今の保安局長の答弁は地域の線の引き方についての答弁であります。この地域の中において小さな、具体的な名前を申しますと日本鑿泉という井戸を掘っておる会社がある。これはほとんどこの地域の中に包含されておりましたから、全面規制を受けたためにこの会社はつぶれた。そしてすでに二十数名の労働者というものが首切りになっておる。そういう失業問題あるいはそこの中の企業が崩壊する、こういうことについては、大臣は一切の責任はないと、こういうふうに考えておられるのか。あなたの責任においてこれはとめた。
○池田国務大臣 そういうことがありますから、規制につきましてはよほど私は注意をいたしました。規制によって受ける損害の大小、あるいは仕事がとまるというふうな場合におきましては、県の方と打ち合わせまして、これが善後策を講じ、できるだけ失業者その他の起こらないようにということを、県の方に督励いたしておるわけでございます。これは公益のために必要であると考えましてやったのでございまして、個々の会社につきましては、できるだけの更生策をとるように県の方に指示いたしておるわけでございます。
○櫻井委員 そうすると、大臣の勧告というものは、県と十分連絡をとってやったのであるから、そこに起きた事態というのは県の責任だ、こういうふうにお考えなんですか。しかしこれはあなたの権限においてとめられたわけでしょう。そうしてそこにそういう事態が起きたときに、それは相談をしておった、県がいいといったからとめたんだ、そこに起きた事態というのは、それは自分のあずかり知らないところである、こういうふうに解釈してよろしいのですか。
○池田国務大臣 県の方の責任とか通産省の責任とは申しません。どこにあるとは申しません。しかしわれわれといたしましては、これが公益上必要であるという考えのもとにいたしたことでございます。従って、お困りの方がおありならば、他の方法でこれを補給するよう、採掘権を与えるとかいろいろな方法でやっていこうといたしておるのであります。
○櫻井委員 そういう非常な打撃を受けた会社、そういうものについては、十分ほかの方法によってこれを救済していくにやぶさかでないという大臣の御答弁だと思いますが、それでよろしゅうございますか。
 そこで、次に私は、このような規制をする場合は、必ずそういう事態は予測しなければならないと思う。従って、これを地区的にこのようにとめられずに、総量において、たとえばここは七十万トンくんでおりますから、七十万トンの二割なり三割、地下水のくみ上げを全体的に規制する、あるいは三割、四割というふうに規制する、そういう方法を、もしおとりになったとするならば、局部的な、そういう重要な地点にあったために、一滴もガスをくむことができないために崩壊する、そういう事態は避け得られたのではないか。そうしてまたここを掘っておる人たちは、全体的にやはり規制に協力するという立場からも、総量における制限ということが望ましかったと思いますが、そのような措置はどうしてとられなかったのか。ここは七十万トン掘っておる、そのうちの二十万トンを全体から――この井戸は一日かりに一万トン掘るなら、それを八千トンにするとかして、個々にこれを制限していく、そのような措置がとれたと思うのでありますが、どうしてそういう措置がとられなかったのか。これは保安局、技術者の立場から一つ御説明を願いたい。
○小岩井説明員 層別に規制いたしませんで、地域別に規制いたしましたのは、鉱害の観念と申しますのは、石油のくみ上げ、天然ガスのくみ上げにあるという結論をある程度認めますと、水をくみ上げますと沈下を来たす、そうすると、沈下を来たしては困るものが対象になるわけであります。これは非常に説明がむずかしいのでありますが、逆にこれを申しますと、沈下してもあまり支障のないところと、沈下しては非常に困るところとあります。それをずっと分けて考えておるのが鉱害の観念であります。従いまして私どもは、沈下をしては非常に困るもの、それは人間の住んでおる家屋なのでありますが、それは先ほど申し上げましたように、一つ一つの家屋を対象にして考えるわけに参りませんので、一番大きい区域として、家屋の密集しておる市街地を、大体の対象にして線を引いたわけでございます。
○櫻井委員 そうすると、今後規制を強化するというような結論が出るといたしましても、通産省の方式によると、やはり地域的規制の形でやっていかれる、こういうことでありますか。
○小岩井説明員 まだそこまではっきりは考えておりませんけれども、もしも規制をするような事態が今後ございますれば、やはり区域あるいはその区域の中の層別というような考え方になると思います。全般的に層別だけで考えるということは、おそらく私自身の考え方としてはあり得ないのではないか。層別を考える場合でも、地域別ということの観念が必ず入るのではないかというふうに考えております。
○櫻井委員 そこで、この地盤沈下の問題は、これは自民党の方でも特別委員会を作って非常に推進しておられますし、先般の閣議でもこの問題が出たということを承っておる。これは政府としても非常な問題点として考えておられることであろうと思うのでありますが、しかし今日やはりこの重点は何と申しましてもガスなんです。これはもう明瞭なんです。まあ通産大臣としてはなかなかそういうことはお認めにはならないと思いますけれども、もうこれは今日一般の常識となっておる。すでにこういうふうに観測井戸の結果も明瞭に数字となって現われてきておるのであって、この地区の地盤沈下をどうするかということは、このガスをどうするかという問題に連なっておる。このガスの採掘というものをほうっておいて、地盤沈下のために何十億の防波堤を作ってみたりあるいはかさ上げをしてみたり、こういうことはこうやくばりにすぎないのです。抜本的な対策では絶対にない。そこで私が申し上げたいことは、しからばこの地区の水熔性ガスというものは、実に日本の豊富な宝庫でありまして、この地域にはすでに一千二百億立方メートルの優秀なガスが埋蔵されておる、こういうこともあるわけであります。従って、沈下をするためにこれを掘らないでおく、こういうことも国の富をみすみすほうっておくということでございますから、これを何とかしてやはり活用していかなければならない。そういうためには一つの方法としては、今日深く掘っていくという方法があるわけであります。たとえば今日掘っております一番沈下を起こしておる六百メートルから八百メートルのいわゆるG五層、これはガス一に対して水一なんです。ガス一とるためには水は一出てくる。一対一、半々に入っておるわけであります。ところが、これを千二百メートルあるいはそれ以上掘っていきますと、ガス一に対して水は十分の一なんです。そうすると、かりに七十万トンのガスを必要としても、水はその十分の一、七万トンの水をくみ上げるだけでそのガスは供給できる、こういうことも一つの打開の方法でないかと思う。しかも今日G五層一本掘るのにおよそ一千万円の金がかかる。しかも一日のくみ上げ量はこのG五層において三千立方メートル。ところが、これをさらに深く千二百メートルから二千メートルの井戸にいたしますと、費用はなるほど三千万円以上、三倍以上にかさんで参ります。しかし一日のガスの量は実に一万立方メートルから一万三千立方メートルあると言われておる。資金を少し多く投入することによって、水の少ないガスを採取することができる。そうすると、やはりこれもここの沈下の量を減らしていく一つの方法であろうかと思う。そういう方策について通産省は、もっとこの業者を、ガス開発育成という高
 い立場から、指導される必要があるのではないか。やはり業者は、投資が少なくて利潤をたくさんとりたいというのは、これはまあそういう仕組みになっているわけです。それを、こういう深い井戸を掘るには、なるほどたくさんの資金が要るけれども、政府の方でそれの融資の方法をはかるとか、何か適切な指導をすることによって、水を少なく、沈下を抑制してガスを多量にとるという方法もそこにある、こういうふうに私どもは考える。従って今日のこのG五層の掘り方を深掘りに転換さしていくのも一つの方法である。なおまた、こちらの西側の松浜地区でありますが、ここで構造性ガスを今日盛んに探鉱をいたしております。構造性ガスは水溶性ガスと違って、どこを掘っても出るというわけではありません。一定の、徳利のようになっているので、そこに当たらないとガスは出てこない。従ってこれは投資の危険を伴うために、なかなか掘らないのです。しかしこれは石油又び可燃性天然ガス資源開発法という法律があって、探鉱に対しては国の補助を出すということになっておるはずです。この補助をいわゆる予算的につけていくことになってこの地区の構造性ガスの探鉱というものを進めていくこともできるわけです。こういうことをやはり通産省が指導することによって、この沈下の最大原因であるといわれておる地下水のくみ上げというものを規制することができると思うのであります。これは第二の点であります。
 なおまたこの新潟の周辺には御承知の通り頸城ガス田といって、最近非常なガス及び石油の埋蔵量があるということを、帝石が先般これは確認をいたして、ここに大きな頸城油田地帯を設ける、こういうことをやっているのでありますが、ここは日産五十万立方メートルの天然ガスが出るといわれている。ここから新潟までは百五十キロなんです。そうすると、そこに出るところのガスをパイプ・ラインか何かを敷設することによって新潟に持ってくることが可能であります。ガスの開発源をほかの地域に探していく。そのためのパイプ・ラインの設置であるとか、そういうものを積極的に通産省が指導する立場にあるのではないか、そういうことに踏み切ってこそ初めてこの急激、多量なる地下水のくみ上げということを、ここで制限することが可能になるのではないか、業者に打撃を与えずにガスを開発することができるのではないか、こういうことを私どもは考えておるし、そのためには通産省がやはり観測を続けて、その結果を見てガスをどうするというような消極的な立場からではなくて、もっと転換していく、そういう積極的な政策転換の時期にあると思うのでありますが、通産大臣のこれに対するお考えをお聞かせ願いたい。
○池田国務大臣 御質問、三点でございますが、第一点の深いところから掘るということが沈下を来たさず、少ないという問題につきましては、先ほど申し上げたように、各深さの観測井戸によりまして、そういうはっきりした結論が出ましたならば、そういうふうにしていくことが適当だと思います。それから構造性のガスの奨励につきましては、すでにやっております。これはそういう方針でいこう。それから他地区からパイプ・ラインを持ってくることにつきましては、先般規制をいたしましたときに関係業者を呼びまして、そういうことについて一つおやりになるよう、また通産省としてもできるだけの援助をする、こういうことで話をつけておるのでございます。お話しの点、第三点も私は非常にもっともなお考えだと考え、それを一部は実行に移しております。
○櫻井委員 そこで、私どもの考えておることを実際に実行に移しておられる、こういうことで喜びにたえないわけでありますが、最後の、他地区からのガスを持ってくるということ、これはやはりガスを原料として今日は硫安、肥料、こういうものを作って、この肥料が国際市場において相当外国の肥料と競争しておる、こういう状況でございますので、原料のコストが高くなるということは業者にとっては耐えられないことだと思うのです。従って、ガスを他地区から持ってくるその輸送、こういうものに業者が負担をするということになると、企業として成り立つかどうか、はなはだ疑問の点が多い。従って、こういうパイプ・ラインというようなものについては、国が大きく助成、援助をしていくという立場をとらない限り、口で資源開発の場所を変えて他地区に持っていく、こういうふうに言いましても、実際に政府がどれだけの熱意を持ってやるかという、はっきりした具体的案が出ない限り、幾ら業者を呼んで懇談をなさっても、これは一歩も進まないと思うのでありますが、そういう点について政府が融資し、あるいは石油資源開発会社のようなああいう構想というようなものでもお持ちになっておるかどうか。これは民間にまかしておったところで、コストが高くなるということであれば、私は実現はしないと思う。そういう点は積極的に政府の方で投資なり融資なりして、そういう公団のようなものでも作って、パイプ・ラインによって輸送する。イタリアあたりはそれをすでにやっておるのでしょう。実に数千キロのパイプ・ラインをもってイタリアはこの天然ガスを輸送しておる。日本では天然ガスは、そこにある一番安いところを掘って、使っておる。従ってこういう事態が招来するわけでありますから、こういう資源を使う場合には、これを総合的、計画的に開発をされるということが、近代国家としては当然の姿であろうと思う。その点についてはそういう積極的な考え方を持っておられるかどうかお聞かせを願いたい。
○池田国務大臣 お話しの点は採算の点だと思いますが、これは各会社でやはりパイプ・ラインを使って既設の工場にするか、あるいはパイプ・ラインの長さによって工場誘致をするのが得策か、いろいろな点を私は考えなければならぬと思います。従いまして、もうすでに帝国石油につきましては開発銀行から融資をいたしておるのであります。早い話が非常に赤字の会社だった東北肥料等も、ガスを使うようになりまして、よほど原価が下って、よくなってきておる。こういう事例は私は十分知っております。ただいま申し上げましたような状況で、会社に対して地盤沈下なしにガス工事の隆盛を来たすような方法を考えようと話し合っておるのであります。
○櫻井委員 私の質問は以上をもって終りますが、いずれにいたしましても、この沈下の主要原因である水溶性ガスのくみ上げというものについて、通産省はすみやかにはっきりした方向を打ち出されて、そうして国費がむだに、防潮堤であるとか、防波堤であるとか、そういうところに莫大な費用が投資せられていって、どろぼうに追い銭であるというようなそしりを免れるように、一貫した政府の施策というものを、私は強く希望いたしまして、私の質問を終了いたします。
     ――――◇―――――
○中村委員長 次は田中武夫君。
○田中(武)委員 私は大臣に、航空機工業に関連いたしまして、今問題になっております防衛庁の次期主力戦闘機の決定につきましての、去る十一月十五日の本会議におけるわが党淡谷議員の質問に対する大臣の御答弁に若干の疑義を持っておりますのでその点をお伺いいたしたいと思います。
 もちろんわれわれは戦闘機問題につきましては否定の立場をとっておりますが、それらの問題につきましては内閣委員会等でおやりになると思いますので、私はこの問題について通産省関係だけを通産大臣にお伺いいたしたいと思います。
 去る十四日の本会議における淡谷議員の質問は、議事録によりますと「さらに、質問の第六点は、生産会社の決定はいかにして行なわれたかという問題であります。」こういう質問に対しまして、大臣は「航空機の製造許可は、航空機製造事業法によりまして、通産大臣の専管事項でございます。しこうして、それが防衛庁の使用する飛行機でありますときは、防衛庁長官と協議することに相なっております。」このようにお答えになっておるのでありますが、航空機製造事業法のおそらく六条によって通産大臣の専管事項、こういうようにお答えになったんだと思うのでありますけれども、航空機製造事業法の第一条の目的、第二条のいわゆる航空機の定義、この中に軍用機を含むかどうかということにつきましては、昭和二十七年成立当時、当局は軍用機を含まない、このような御見解をはっきり述べておられます。同じくこれに関連いたしまして、三十三年二月に成立いたしました航空機工業振興法につきまして、その第一条目的、第二条の定義、この第二条の第一号に「航空機製造事業法」、すなわち先ほど申しましたこの法律の「第二条第一項に規定する航空機」こういうことになっております。この航空機の定義につきまして、これは私が当時大臣及び重工業局長に質問をいたしまして、はっきりといたしているのですが、これは軍用機を含まない、このようにお答えになっております。この航空機製造事業法、これが軍用機を含まないとするならば、大臣の本会議における御答弁は根本的に違ってくる、こういうように思うのですがいかがでございましょうか。
○池田国務大臣 私は法律の解釈で、航空機製造事業法によりまして航空機を製造する場合、こう考えまして、前のあなたと通産大臣の質問応答によることを存じませんで、航空機製造事業法によって、先ほどお答え申し上げましたようなお答えをいたしたのであります。
○田中(武)委員 それでは大臣は、この航空機製造事業法及び航空機工業振興法のいわゆる航空機の中に、軍用機を含むと御解釈をしておられるのですか。そういたしますならば、成立当時の通産省の御答弁は誤りである、そのように言わなければならないと思いますが、いかがでしょう。
○池田国務大臣 私は航空機製造事業法の航空機とは、軍用機を含まないという解釈はできないと思います。
○田中(武)委員 当時大臣は通産大臣でなくて、この法律についての答弁をしておられないから、これは私に関係のないことだ、こういわれるのかもしれませんが、この法律の制定のときに、大臣及び時の重工業局長が、われわれの数回にわたる、これは軍用機を含むかどうかという質問に対して含まない、こういう御答弁をしておられるのと、今の御答弁は食い違いますが、それはどういうことになります。
○小出政府委員 法律の解釈の問題等でございますので、私から補足的にお答え申し上げますが、航空機製造事業法、それから航空機の振興法、いずれも航空機の定義に関しましては、御承知の通り航空機製造事業法の第二条の定義によりましては「この法律において「航空機」とは、人が乗って航空の用に供することができる飛行機」、ということでございました。特にそれがいわゆる民間航空機であるか、あるいは軍用であるかということは区別していないのであります。ただこの第二条の五の2、許可の基準等というところにおきまして「通産大臣は、武器を装備し、又はとう載する構造を有する航空機の製造」については「あらかじめ、防衛庁長官の意見をきかなければならない。」という規定がありますところから解釈いたしましても、当然武器を装備し、あるいは武器を搭載する構造を有する航空機の製造の場合があり得るということを、この法律は予定しているわけでございます。また先般の民間の国産の航空機の特殊会社を作ります際におきましても、その航空機が防衛庁用の輸送機になり得る場合もあるということは、先般の法律の御審議の際にもお答え申し上げた通りでございます。従いまして、特にこれが防衛庁の使う航空機を除外しておるということはないのでありまして、すでに御承知の通り、この法律に基づいて許可されておりまする各種の事業許可の前例に徴しましても、あるいはP2V、F86Fというような飛行機についても、飛行機の製造許可をいたしておる次第であります。
○田中(武)委員 確かに、航空機工業振興法のときには、もし自衛隊の乗る飛行機を作る場合はどうか、こういう質問を私がいたしております。それに対してそれは軍用機でないという答弁があったと記憶いたしております。従ってこれはこの二つの法律の成立当時の議事録を、もう一ぺん調べてはっきりいたしたいと思います。もしその当時はっきりと軍用機を含まない、こういう答弁が当局からなされておったときは、どういうことになります。途中で解釈が変わった、こういうことですか。
○小出政府委員 航空機工業振興法を改正いたしまして、先般の国会におきまして、日本航空機製造株式会社という特殊会社を作るという規定を設けます際に、お話の通り、田中委員からそういう趣旨の御質問がございました。それに対しましては私がお答えいたしましたので、私の記憶をたどって申し上げますれば、防衛庁がこの輸送機を使う場合があり得る、その場合には、それはいわゆる防衛庁の輸送機になる、こういうふうにお答えを申し上げておるわけであります。それを軍用機と呼ぶかどうかということは、これは解釈の問題になるかと思いますが、私は防衛庁が使う場合が当然あり得るということをお答えしたつもりであります。
○田中(武)委員 これは古いやつのやりとりになるのですが、ともかく防衛庁用だ、こういうお答えはあったが、それはそれじゃ軍用機かということで、だいぶやりとりしておると思うのです。それからあなたのときには一部改正ですが、その前の岩武さんのときに、はっきり私はやっておると思うのです。通産省自体が作っておられた問答集ですが、こういう質問があるだろうから、こういう答えをしろというなにを作っておられますが、それを見てごらんなさい。私はそれを一部手に入れてやっておりますが、軍用機を含まないとはっきりいたしておるから、この点につきましてはもう一度議事録を見てはっきりさせたいと思います。
 それから今何か防衛庁長官と協議するという基礎を言われましたが、もう一ぺん言って下さい。
○小出政府委員 航空機製造事業法の第二条の五の第二項でございます。許可の基準等という項があります。そこの、つまり通産大臣は一定の基準に基づいて許可をするわけでございまするが、その基準が書いてあります項が第一項でありまして、第二項の方に、武器を装備し、又はとう載する構造を有する航空機の製造又は修理の事業について第二条の二の許可をするときは、あらかじめ、防衛庁長官の意見をきかなければならない。」、こういう規定があるわけであります。
○田中(武)委員 この防衛庁長官と協議するという条文はわかりました。しかしこの航空機製造事業法は昭和二十七年の成立ですが、そのときは私当委員会におりませんから知りませんが、この航空機工業振興法のときには、私が担当したのですから、これははっきり覚えておるのです。そうすると、だいぶ話が食い違いますから、その点はそれじゃもう一度、その当時の議事録を見てやるということで、保留いたします。
 次に、同じく十四日の本会議において、淡谷議員が、「ロッキードに変更しても、依然として主契約者は新三菱であり、従契約者は川崎航空機となったのは、どういう経緯をたどったのか。F86Fジェット戦闘機の製造を終わらんとする新三菱重工が、次の戦闘機の製造を当てにして待っていたことと関連し、しかも、報告書提出と同時に決定を見たことは、事前にすでにこれら会社と防衛庁、通産省、国防会議との間に何らかの取引のあったことを思わせますが、その間の事情を御説明願いたい。」こういうように質問いたしたのに対しまして、大臣は、「しからば、なぜ通産大臣は新三菱重工業を主たる契約者とし、川崎航空機を従たるものとしたかと申しますると、私は、両会社の設備能力、技術者数、あるいは技術の能力、経験、試験設備、その他経営状況を調べまして、これによってきめたのでございます。」このようにお答えになっておるのですが、大臣は、新三菱重工業、それから川崎航空機の両方ともごらんになって、そういうことを比べられたのですか、いかがでしよう。
○池田国務大臣 どちらも見たことはございません。そしてまた会社から直接話を聞いたこともございません。私は、重要な問題でございますので、本会議でお答えしたように、今ジェット機を製造し得る冨士重工、新三菱重工、あるいは川崎航空機、この三つの会社につきまして、事務当局等より詳細にその工員数あるいは設備、試験施設、あるいは仕事の分量、その単位等々を比べまして、検討の結果――検討を前からしておりましたが、検討の結果、そういう結論を出したのでございます。しこうして、法律によりまするいわゆる防衛庁長官との協議もいたしまして、決定をいたしたのでございます。
○田中(武)委員 大臣は、本会議において、これらを比較して新三菱重工がまさっておるからそれにきめたのだ、こうおっしゃっておるわけなんですが、今お伺いすると、実際見たのじゃない。書類の上等でごらんになった程度だと思うのです。この問題につきましては、この決定に至るまでの経緯等につきまして、大きな疑惑が巷間持たれておることは、御承知の通りであります。大体常識的にいうならば、ロッキードにきまれば川崎航空機だろう、グラマンであるならば新三菱だろう、こういうのが、常識的に考えられておった線ではなかろうかと思います。というのは、それぞれの会社との間に技術提携等がなされておったためだと思います。従って、ロッキードかグラマンかという争いは、川崎航空機か新三菱重工かの争いであるともいわれたわけでございます。ところが、ロッキードにきまって新三菱重工が主たる契約者ときまる、こういうことについては、いろいろと疑惑が持たれているわけなんです。そこで申し上げているわけなんですが、それでは、航空機工業を比較する場合に、たとえば今おっしゃいましたような設備能力――設備能力はどういうことを比較せられましたか。あるいは技術者数はどういうように比較せられましたか。川崎航空機は何名で、新三菱重工は何名であったか、それらの人たちの経験はどうであったか、あるいは生産技術能力等について、どういった基準によって比べられたのか、お伺いいたします。
○池田国務大臣 数字その他にわたっては事務当局から答弁いたさせますが、私の当時の記憶では、工員数は大体川崎の倍ほどおると思います。そして、設備その他につきましても、事務当局から聞くのみならず、一般に新三菱の方が膨大である――技術がどっちがいいか悪いかということは次の問題です。試験設備等につきましても、まさっておると考えます。
 それから大体四十年あるいは四十一年を目標として参りました場合において、新三菱の方の仕事は三十六、七年で相当進んで参ります。ジェット機の生産が終わってくる。それから川崎航空機は御承知の通り、P2Vの製造が三十九年くらいまで、三十八、九年まであると思います。そういう点から考えまして、工員を有効に使う等々から結論を出したのでございます。で、前私はロッキードがどう、グラマンがどうということは聞かぬことはございませんでしたが、前のいきさつにとらわれず、自分自身としてこれが是なりと信ずる方をやったわけでございます。こまかい数字の点につきましては、事務当局から答弁いたさせます。
○小出政府委員 新三菱重工業を主たる契約者ということにいたしました川崎航空機との比較の問題につきましては、今基本的な問題については大臣からお答えの通りでございまして、私どもは川崎航空機がP2Vの生産に関しまして、ロッキードと提携をしておるという過去の事実はもちろん承知いたしております。ただ御承知のように技術提携というのは一機ごとにやるわけでございます。従いまして今回のF104の場合においても、新たな技術提携をしなければならぬ、こういうことになるわけであります。それから新三菱はグラマンと技術提携をしたことはございません、ノース・アメリカンと技術提携をしておったわけであります。そこで両社を比較いたしまする場合には、結局まず基本的には設備の問題、それから技術の問題、それから作業員なり作業量の問題、あるいは経験の問題というような、全般的な能力を総合的に判断してきめたわけでございます。
 そこで設備の問題でございますが、御承知の通り新三菱重工業は、名古屋の航空機製作所におきまして三つの工場を持っているわけでございます。その三つの工場は土地にいたしまして十六万坪、建物約五万坪であります。川崎航空機は、岐阜製作所、神戸製作所の二つございまして、合計いたしまして土地が十二万坪、建物三万坪というような状況でございまして、そこにありまする主要な機械設備といたしましては、新三菱重工業におきましてはスキンミラーあるいは大型のけたフライス盤、ストレッチャーというようなものを持っておりまして、川崎航空機工業においてはストレッチャーは持っておりますが、スキンミラーはない。それからけたフライス盤においては、新三菱重工よりも小型であるというような状況であります。
 それから研究設備につきましても新三菱重工業におきましては風洞がございまするし、またカントメーターその他の研究設備が川崎航空機工業よりも完備いたしております。そういうような点におきまして、設備面につきましても新三菱重工の方がやはりまさっておる点が多い、こういうふうに判断いたしたわけでございます。
 それから作業員でございますが、航空機工業の製造に必要ないわゆる直接作業員、直接工の数でございますが、これは新三菱重工が大体二千百人、川崎航空機は千人、先ほど大臣のお話の通りのような状況でございます。
 なお、かつての実績でございますが、これは仕事の量によりまして、もちろん工員の数は増減はございますが、新三菱重工業のピークの作業時は昭和三十三年でございまして、このときは二千五百人を有しておりました。それから川崎航空機は昭和三十二年がピークの作業時でありますが、そのときは千四百人の直接工を持っておりました。間接工は大体直接工と、両社とも同数を持つようになっております。
 それから作業の量でございますが、新三菱重工におきましては、現在月間大体三十八万工数の作業量で作業いたしております。川崎航空機は現在月間十六万工数という作業量でございまして、今後の見通しに関連するわけでございますが、今後の見通しとしましては、新三菱の仕事は三十六年末には十六万工数、現在の三十八万工数が今のままでいきますれば十六万工数に減少する。従って三十八年以降におきましては、先般御決定いただきました日本航空機製造株式会社の仕事が新三菱にいくといたしましても、それを計算しまして、やはり二十五万工数前後でございまして、新三菱の能力から申しますれば相当の余力が残る。それから川崎航空の方は昭和三十六年末に至りましても、大体現在と同じ程度の作業量がございます。従いまして三十八年以降におきましても、それほど減少しないという見通しでございます。従いまして、いわゆる生産余力という点から申しますると、今回の戦闘機の生産が大体本格的になりますのは、予定通りいきますれば昭和三十六年以降でございまして、三十六年以降の生産余力というものを見ますと、新三菱重工は、かつてのピーク時には五十万工数を有する能力を持っておりましたので、なお二十五万工数程度の余力が残る。それから川崎航空はピーク時におきましては二十六万工数ございました。これに対しては約十万工数ぐらいの余力がある、こういうふうに推定されております。従って生産余力の点におきましても、やはり新三菱の方が大きいということが言えるわけであります。
 それから経験でございまするが、これは両社とももちろん経験を持っておりまして、新三菱の方はF―86Fの方のジェット戦闘機を二百三十機作りました。それからヘリコプターを八機という生産実績を持っております。それから一方川崎航空の方におきましては、御承知の通りT―33Aジェット練習機を二百十機、それからヘリコプター八十三機という生産実績を持っております。それから現在は、御承知のようにP2V―7対潜哨戒機を四十二機の予定で、現在すでに一機の生産を終了しておるというような状況でございますが、いわゆる超音速のジェット戦闘機に関しましては、新三菱はマッハ一・四の超音速のF―1OODというものを十七機修理経験を持っております。経験の点におきましては、両者相当の経験を持っている。なお技術提携の点に関しましては、先ほど申しましたように、新三菱はF―86Fの生産につきましてノース・アメリカンと提携し、川崎はT―33A、P2V―7についてはロッキード社と提携しておる、こういう状況でございます。
 それからなお会社の経営状況でございますが、新三菱は資本金百十七億六千万円でございまして、年間の売り上げは大体七百億円ということでございます。川崎航空の方は資本金十七億五千二百万円、年間の売り上げが約九十億円というような状況であります。それからなお今回の戦闘機を新たに生産するにつきましての設備投資、どれだけ新しく設備投資が要るかというような点につきましては、両社ともそれほど新しい追加投資は要らないという計算になっております。
 大体以上のような諸点を総合いたしまして、私どもはこの源田報告が出る時期が大体わかっておりました関係上、その前からずっと長い間両社の比較検討につきまして、担当の方におきまして防衛庁とも相談をしながら検討を重ねておった次第でございます。
○田中(武)委員 そうすると、かりにそれがロッキードにきまろうが、あるいはグラマンにきまろうが、いずれにきまっても、通産省としては新三菱重工を推薦する、そういう考えだったのですか。
○小出政府委員 御承知の通り源田調査団が行きまして、向こうで調査をいたします対象になっております機種は、あらかじめ五つの種類に分かれておったわけであります。従いまして、そのいずれにきまりましても、新三菱重工が主、川崎が従である、こういうふうなことが大体事務当局においてはさまっておりましたから、従いまして、これは実は前回、三十三年でございましたか、グラマンの問題の際におきましても、やはり同様な趣旨におきまして、生産体制を国防会議においてきめられまして、三日後において申し渡しをいたしたのでありまするが、その当時におきましてもやはり機種のいかんにかかわらず、生産体制はこうするということで進んでおったように記憶いたしております。
○田中(武)委員 どうも今の御答弁では、やはりわれわれの疑惑は全部ぬぐい去ることができないと思います。たとえばロッキードにいたしましても、最初伝えられるところでは七十五万ドルですか、であったのが新三菱が主たる契約者となって百万ドルないし百三十万ドルと、一ぺんに一億も上がっておるということも、何か契約者の間に疑問を残すものだと思いますが、そういう価格の点はいかがですか。
○小出政府委員 御承知の通り機種を何にするかということが、国防会議において決定され、通産省におきましては、航空機製造事業法に基づきまして、機種ごとに事業許可をいたしますので、その事業許可をいたします対象はこれであるということを内定いたしました。そういたしまして、実際に契約をいたしまして発注をいたしまする、いわゆる買手の側は防衛庁になるわけであります。従いまして、具体的な売買の値段の問題につきましては、これは現在すでに決定いたしました線に基づきまして、ロッキード社とそれから御承知の通り川崎航空も従たる契約者といたしまして、相当の部分を担当するわけでありますので、ロッキード、新三菱、川崎、三社集まりまして、防衛庁とただいま価格の点を相談いたしているわけであります。従いまして、新三菱にきまったから急激に額が上がったわけではなくて、伝えられておりますような価格はロッキード社の提供いたしました値段でございます。それに対しまして、新三菱なりあるいは川崎なり、日本側の生産者、買手であります防衛庁が中へ入りまして、その値段の折衝をしているという段階でございます。
○田中(武)委員 工場の敷地が広いとか、従業員が多いとか、それだけで私は比べられるとは思わない、経験の点では私の記憶では川崎の方が航空機製造工業では古かったと考えておるのですが、その点どうですか。
○小出政府委員 御承知の通り、日本の航空機工業は戦前においては世界有数のものでございましたけれども、戦後におきましては航空機の製造が一切禁止されておったのでございます。それが昭和二十七年にその禁止が解除せられまして、航空機製造事業法によって許可されるようになったのでありますが、その意味におきましては、新三菱も川崎もいずれも同様の歴史を持っております。しかしながら戦前におきましては、御承知の通りむしろ新三菱がいわゆるゼロ戦その他において非常に大きな経験を持っておったということは事実であります。
○田中(武)委員 主たる契約者と従たる契約者との関係はどういうことになるのですか。たとえば割合において何パーセントかを主たる契約者の方がやる、あと残る何パーセントかを従たるものがやる、こういうのが、あるいは一つの飛行機のうち、どういう部門を主たるものがやって、どういうものを従たるものがやるということになるのですか。
○小出政府委員 航空機の事業許可の面につきましては、通産省が、御承知のように先ほど新三菱重工に対しまして、航空機製造工業の事業許可をいたします。これに対しまして、防衛庁が勅三菱重工と契約をするわけであります。従いまして、川崎航空は新三菱重工の下請という関係になります。従いまして川崎航空は防衛庁とは直接の契約はしない、こういう関係であります。その関係は川崎航空が現在行なっておりまするが、P2V―7、これについては川崎航空のみが契約者であって、新明和工業の方はそれに対して下請である、こういう関係になります。そういたしまして、P2Vの場合におきましては、川崎航空機と新明和との仕事の量の関係は、大体七対三ではなかったかと思います。しかしながら今回の戦闘機の場合におきましては、その割合につきましては、ただいま三社の間において折衝中でありまして、これは結局一つの機体の中のどの部分とどの部分を新三菱がやる、どの部分とどの部分を川崎航空機がやる、こういうふうな分け方になっております。その分け方のいかんによりまして、工数なりあるいは金額というものがおのずからきまってくる、これは三社間の契約によって大体円滑に契約ができつつある、かように承知いたしております。
○田中(武)委員 通産省で主と従ということを指示というか、示されるにあたっては、大体どういうことかということの含みはあったと思います。今のお話では、三社によって話し合いが進められているということですが、主と従ということならば、一応の含みを指示しているのではないかと思います。指示しておるならその内容を明らかにしてもらいたい。
 それからもう一つは、われわれはこういうものは要らないという立場に立っているのですが、こう言うと何だか認めたようなことになって、誤解を受けてはいけないので言っておきますが、どうも一つにすればいいのに主と従という二つにする。一つでできないわけはない。それを主と従ということにして両方の顔を立てる、こういうお考えなんですか。
○小出政府委員 まず第一点の主と従の割合の点でございまするが、これは通産省としては、あらかじめ全然指示いたしておりませんし、また、これは実際に話し合ってみなければ、お互いがどの部分を担当するかということはわからないわけでありますので、ただいま防衛庁を中心にして折衝中であります。ただ、主であり従であるといいまする以上は、主の方が担当の部分が多くなるということだけは明らかでございまするので、それが六・四になるのか、あるいは八・二になるのか、その辺の点につきましては、具体的の折衝の結果を見なければわからない、こういうことでございます。
 それからもう一つは、二つの会社に顔を立てるために、一社で済むものをわざわざ二社に分けたということではございませんで、先ほど申し上げました生産余力、それから今回の次期戦闘機の生産計画から申しますれば、大体月産七機ないし八機のぺースでもって生産をしなければならぬということになりますと、それらの工数から申しますれば、いずれの一社も単独生産することは不可能でございます。そういう意味におきまして、先ほど大臣もお話しになりましたように、富士重工を含めて三社ありますけれども、富士重工は全然余力がございませんので、この二社の共同生産という形をとらざるを得なかった、こういうことでございます。
○田中(武)委員 今おっしゃるように、主と従との間のふり合いといいますか、そういうことを含みとせずに言うんだったら、何も主や従ということは通産省がきめる必要もなかったのじゃないかと思う。それを主と従とに分けて、内容は何も示さずに、これを主として、これを従とされたところに、何だかおかしい感じを受ける。
 それからもう一つ、ロッキード社が一応川崎と技術提携をやっておる、そのときにロッキード社が前からの関係があるので川崎とやるのだ、こう答えた場合はどうなるか。
 それからもう一点は、先ほど申しましたように、ちょうどあなたのときだったと思いますが、私、当時の質問のメモを持っておるのですが、重工業局の中に航空機武器課というのがある。これはどうも軍用機の何でなければおかしいじゃないか、こう言ったときに、あなたは、名前は適当ではないと思うが、何も武器を考えておらぬのだ、そういうような答弁があって、確かに、この航空機工業振興法の場合は、軍用機を含まない、こういう答弁があったように記憶しておるのです、この三点についてお伺いいたします。
○小出政府委員 なぜ主と従というふうにきめなければならぬかという点でございまするが、御承知のように航空機製造事業法の事業許可というものは事業の区分ごとに許可することになっておりまして、その事業の区分というのは、さらに政令等において定められておりまする定義において、やはり一つ一つ、機種ごとにきめるということになっております。従いまして、一つの飛行機を二つに分けて事業許可をするということは、法律的に不可能でございまするので従って、やはり事業許可の主体というものは主たる契約者のみに限定せざるを得ない。また防衛庁の方におきましても、契約者は一本にしぼらざるを得ないということでございます。と申しまするのは、最終的にアッセンブルをして納入いたしまする最終責任者が主たる契約者ということでございます。もし納入いたしました後におきまして、何らかの事故によって故障が起こりました場合において責任の所在というようなものにつきましても、二社平等に契約するということになりますと、責任の所在が全然わからないというようなこともございまして、契約面におきましてもやはり一本にしぼらざるを得ない、こういう関係上、最終的に組み立てをして納入をする最終責任者を、やはりいずれかにきめなければならない、こういう立場にあったわけでございます。
    〔委員長退席、小川(平)委員長代理着席〕
 それから航空機工業振興法の御審議の際も、ただいまお話しの通り、軍用機を含むか含まないかという議論、これは航空機工業振興法を制定いたしまする当時の速記録を私拝見いたしました。当時の重工業局長の答弁も見たのでありますが、先般の改正の際におきまする田中委員の御質問に対しまして、私は軍用機は含まないということはお答えをしたことはないと記憶いたしております。ただ防衛庁が、つまり将来この飛行機はどういう需要の見通しであるかということの御説明といたしまして、国内線の日本航空その他がこれを使う、それから東南アジア等に輸出する、それから防衛庁もこれを発注する場合があり得るわけであります。その場合においてはそれは防衛庁用の輸送機である、こういう表現で私はお答えをしたと思います。それを軍用機と呼ぶか呼ばないかは別でありますけれども、軍用機は含まないというお答えをした記憶はないのであります。
 それから技術提携の問題に関しましては、実はロッキード社自身も、私の方から、生産態勢が国防会議直後においてきまりましたが、主たる生産者と従たる生産者の内容につきまして両社を呼び出しましてこれを通告いたしました。その後におきましてロッキード社――これはロッキードの販売会社の方でございますが、責任者の方が見えられまして、お話の通り、ロッキード社においては従来川崎航空を手がけたというなじみがあるという意味におきまして、川崎の方が便利ではないかという趣旨のお話があったことは事実でございます。しかしながら、これに対しまして、私どもの方針その他を申し上げましたところ、十分これを了承せられまして、現在その線に従って三社の間において話し合いが円満に進んでおる状況でございます。
○八木(昇)委員 関連。今の田中委員の質問に関連をいたしましてこの機会に一、二局長に確かめておきたいと思います。
 今の技術提携についてですが、これから実際にロッキード・ジェット戦闘機の生産を始めるわけですけれども、実際はどうなんでしょうか。いよいよ生産を始めるといいましても、ほとんどの製品が先方のロッキード会社から送ってきて、そして事実上はこれの組み立て作業というか、こういったことを当面はやるにすぎないのではないか、どういうふうになっていきますか。
○小出政府委員 技術提携の問題に関連いたしまして次の生産の順序の問題でございますが、申すまでもなく今回のF104に関する新たな技術提携、当然これはロッキード社と新三菱との間において提携しなければならぬ。これに対して政府はライセンスを与えることになるのであります。そういたしまして生産の順序でございますが、これは御承知の通り今回の決定は、いわゆる練習用の複座機が二十機、そして単座の本格的な戦闘機が百八十機、合計二百機でございますが、これに関連いたしましてそれに見合う新しい治具、工具をまず作らなければならぬ。それから最初のやり方といたしましては、従来の各種の飛行機について――全部そういうやり方をしておりますけれども、おもな治具、工具、いわゆるマスターの工具というようなものにつきましてある程度向こうから入れることもございますし、こちらで製作するものもございます。そして最初はやはりノック・ダウン方式と申しますか、向こうから本体のものを入れまして、こちらで一応ばらして組み立てをするというやり方から、だんだん習熟をいたしまして、漸次国産化の比率を高めていく、こういうことでございます。お話の通り全部国産化する、あるいは最初から相当の部分を国産化するということは不可能でございますので、向こうから入れましたものにつきまして材料なり治具、工具なり、あるいは全体の構造、部品その他を入れまして、それを見習いながら漸次国産化の比率を高めていく、こういう順序になるわけでございますが、具体的に最初の何機をどういうふうにし、次の何機をどういうふうにするかということにつきましては、ただいま防衛庁において検討されておる段階だということを聞いております。
○八木(昇)委員 そこで私どもは、どうしても疑問が出てくるのですがね。結局通産省の技術提携の基本方針としては、これはやはり先方から設計書をもらい、ある程度の技術指導を受けながらも、すべて品物は日本の国内の工場で作っていく、こういうやり方が、通産省としては基本的に望ましい方針であり、そういう方向に、すべての技術提携については、兵器産業のみならず、一切を大体指導しておられるのではないかと思うのですが、そうだとするならば、結局今度のロッキードの生産に関しては、当初は向こうの品物を全部入れてきて、それをばらして組み立て作業をする過程において、いろんなことを習熟し、できるだけ早い機会に国内生産ができるようにしていきたい、こういうことであるとするならば、従来からロッキード飛行機会社と非常に緊密な技術提携を進めて、そうして、すでに技術者も相当の習熟をしており、従って、みずからの生産能力がすでに技術的に相当進んでおる川崎航空を、どうしてこの場合、ロッキードを生産するにかかわらずはずしたのか、名目的に従たる製造業者ということにはしたのであるけれども、そういう点について、そこに通産省の基本的な方針との矛盾を感ずるわけですが、これはどういう考えなんですか。
○小出政府委員 技術提携につきましては、今お話の通り、いわゆる技術のみを習熟して、あとは全部国産化するというのが、これは理想かと思います。しかしながら、何分にも航空機工業は、まだ現状におきましては、十分高度の精密工業であり、かつ総合工業でございまして、日本の戦後の空白によって非常に立ちおくれております現段階においては、なかなかそこまでは行き得ないというのが実情であります。ことに超音速の戦闘機というような、さらに一段精密度の高いものにつきましては、どうしても先ほど申し上げましたような方式でやらざるを得ないと思うのであります。しかしながら、これはできるだけ早く国産化の比率を高め、国産化の方向に持っていくように、当然指導はしなければならぬと思うのであります。
 それからその技術提携の問題に関連して、川崎航空はロッキードになれているから、その方が早いではないかということは当然一応考えられるところでございますけれども、先ほども申し上げましたように、これは同じロッキード社と申しましても、全然機種が違うのでありまして、ロッキードが川崎が従来習熟しておりまするT―33AあるいはP2V―7というものは、この超音速の戦闘機とは機種が全く違うのであります。従って、その技術の内容につきましても、非常に違いがある。従って、これは全く新しい技術の修得というふうにも考えられるわけであります。のみならず川崎航空を全然使わないわけではないのでありまして、先ほど申し上げました通り、相当のシェアにおいて、川崎航空も共同生産の体制に入るのでありますので、その点は全然不都合はない、かように考えます。
○八木(昇)委員 関連質問ですから、あまり長くいろいろ質問いたしませんけれども、今のように、全く新しい技術の修得だというふうには、しろうとのわれわれが判断しても、そう考えられないのです。従来もジェットをやっていたのですから、そこでやはり世間のみならず、いろんな会社方面からいろいろわれわれが耳にするところでは、結局はやはり新三菱会社の救済といいますか、これがいろんな今後の会社の経営については、やはり相当の注文をとらぬと工合が悪い、それで、あらかじめグラマンということに大体なるとすれば新三菱に行く予定であったのが、急転直下変更になったために、技術的な立場からいくならば、また通産省としての技術提携の基本方針の線からいくならば、これは川崎に持っていくべきものが、ほかの要素からやむなく新三菱の方へ持っていかれた、こういう世間の非難に対して、もっと納得のいく御答弁がありますか。
○池田国務大臣 先ほど来事務当局から詳しくお答え申し上げた通り、私は、虚心たんかいに、自分の責任におきまして、これが最も正しい、こう考えてきめたのでございます。私は世間のどうこうということは聞きませんが、事務当局その他から聞きますると、あれが最もいい処置だったと私は聞いておるのであります。私は、誤りなかったと、心ひそかに喜んでおる次第であります。
○八木(昇)委員 それでは、これは局長にもう一つ具体的に聞いておきますが、そうなりますると、完全に日本の新三菱で、自力で生産ができるようになるのは大体いつごろか。そして、それは、今の二百機の予定のうち、何機ぐらいが何年くらいから実際に自力で生産をし、そして組み立ても全部終る、こういうことになるのか、その辺の見通しをちょっと聞かしておいていただきたい。
○小出政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、今回の機種は全然新しい機種でございまするので、まず治工具からして全然従来のものと違うわけでありまして、それらをまずある程度輸入しなければならぬと思いますが、入れまして、それにあわせまして、国内においても生産をするというようなことをいたしましても、漸次国産化の比率を高めるわけでありまするが、一〇〇%国産ということは非常に困難だと思います。やはり相当部分輸入に待たなければならぬものがあるかと思います。そこで実際に新三菱が生産に入りますのは、おそらく三十六年度からでありまするが、本格的な生産に入るのは、おそらく三十六年の終りごろになるのではないかと考えられます。そういたしまして、この国産化の比率が、何機が何年度どの程度からということにつきましては、これはきょう現在のところにおきましては、まだ三者の話し合いが終っておりませんので、私の方はまだ全然承知いたしておりません。いずれ予算その他がきまりまする場合におきましては、詳細に申し上げることができる、かように考えております。
○八木(昇)委員 それは先方の会社との取引の関係とか何とかいう面から来ているのか、技術上の面から日本に技術上の能力が不足しておる、それに習熟するについて相当の年月を要する、そういう面からか、どういった要素ですか。
○小出政府委員 具体的にはただいま防衛庁におきまして来年度予算の中に、この戦闘機の発注に関する予算の一部を要求したい、こういうことが防衛庁の方針でありますので、それに間に合うように今三者の間において価格の面なり、あるいは仕事の割り振りなり、段取りなりについて詳細に検討中でございまして、それができ上がりました上で、さらに今度は米国側との負担割合の問題というようなことについて、アメリカの政府と折衝をしなければならぬという段階が残っておるわけであります。そういう面からいたしましてまだきまっておらぬ、こういう状況であります。
○八木(昇)委員 なおそれらは事態の進展を待って今後逐次質問をしたいと思いますので、あと一点だけ質問して終りたいと思います。
 こういう防衛産業でない一般の産業に関しての技術提携と、これとの若干の矛盾を私どもは感ずるのですが、それはイギリスであるとか、アメリカであるとか、西ドイツであるとか、いろいろな国々と技術提携は特に重工業方面では相当あるわけです。そういう一般の産業の技術提携に関しては、たとえば相手の会社の設計を日本が買う、それから技術的な指導を受ける、そういうような形の技術提携をしたいということを日本側の会社が希望していても、向こうの会社としては自分の会社の従業員を遊ばせてはいけないし、またいろいろな理由その他もあって技術提携をし、しかも品物の一部分は先方の会社で作ったものそのものをある程度引き受けてくれ、こういうことを要望してくる、こういうような場合が幾つかあるようです。そういうような場合には、通産省は端的にいえばそういうやり方はお断わり、そういうようなやり方でもって、今日来ているのではないですか、技術上の必要性からも習熟をし、また日本の国内の会社あたりでは、ある程度は過渡的な段階においては、向こうの製品の一部を購入するというのもやむを得ない、こう会社が思っておる場合でも、通産省は相当峻厳にやっておるようなんですが、その辺の考え方はどうなんですか。
○小出政府委員 私どもは日本の航空機工業に関しましては先ほども申し上げましたように、過去においては日本の代表的な精密工業といたしまして世界有数のものにまで成長しておったにもかかわらず、戦争の結果非常な空白ができて、非常に立ちおくれておる、従いまして日本の航空機工業全体を早く世界的な水準まで引き上げたいという念願を持っております。そういう意味におきまして、先般の国産の輸送機会社の設立もその趣旨に沿っておりまするし、また航空機工業全体の空白ができないように常に新しい技術を修得して、世界の進歩におくれないようにしたいということが、やはり今回の次期戦闘機の決定にも一つのつながった要素になっておると思うのであります。ただ航空機工業がそういった非常に高度の精密なものであり、日本の技術が非常に立ちおくれております関係上、他の一般の技術提携に比べますと、多少その間にニュアンスの違う取り扱いをしなければならぬやむを得ない場合が相当まだ残っておる、こういう段階であろうと思います。従ってやはり航空機に関する――航空機自体もそうでありますし、航空機に搭載しておりますたとえばFCSというような他の装置等につきましても、これはやはりそれぞれの会社と技術提携をして相当向うに依存しなければならぬ場合がかなり高いということは事実でございます。
○田中(武)委員 この問題につきましては先ほど来申し上げておりますように、過去の議事録をもう一度見まして、この点を明らかにいたしたいと思っております。なおいろいろと疑問が残っておりますが、きょうはこの問題につきましてはこの程度にいたします。
 引き続いてガス料金の値上げに関連する一連の物価政策等につきまして質問いたしたいのですが、通産省と同じように、主たる質問者を板川君に譲りまして、私は従たる質問者としていたします。
     ――――◇―――――
○小川(平)委員長代理 板川正吾君。
○板川委員 最近ガス料金、電気料金、こういった公益事業の料金値上げがしばしば報道されております。御承知のようにガス料金、電気料金、これは独占物価であります。もしこれが値上げをされると消費者はこれを他から買うというわけに参りません。経済の好況の恩典を受けておる高所得者は、電気料金、ガス料金が上がってもさして生活上の心配はないと思うのでありますが、しかし低所得者、低賃金労働者、こういう者はこのガス料金あるいは電気料金等が大幅な値上げをされますると非常に生活上影響を持つのであります。
 そこでまず私は、菅野経済企画庁長官にお伺いをしたいのでありますが、それは最近の物価の上昇ぎみに対して経済企画庁としてどういうような認識を持たれておるかという点をお伺いしたいのであります。日銀の発表によりますると、卸売物価指数が八月から十一月までに三%近く上昇しております。卸売物価指数は商売人の取引上の物価でありまするが、これは先物を買っておるのであります。従ってこれが他の物価の先物としてこういう上がってくる傾向を持つのじゃないか、こういうことで、大いに注目をする必要があろうと、こう思うのです。また同じく日銀の調査によって生活必需品の値上がり状況を見ますと、昨年十月と本年の十一月上旬とを比較した場合に、繊維が一二%上昇しております。食料品が二%近く、燃料が四%近く、これまた値上がりをしておると伝えられておるのでありますが、こういうように、物価のじり高といいましょうか、諸物価が年の瀬を控えて非常に高くなりつつあるのであります。この傾向に対して経済企画庁長官はどういうふうな認識をされておるかということをお伺いしたいのであります。御承知のように私鉄運賃が今年になって上がり、バス料金も上がり、新聞料金も上がり、放送料金も上がり、さらに電気代の三割頭打ち制度が廃止をされ、またガス料金あるいは電気料金が大幅に値上げをされようとすることが伝えられておるのでありまして、こういった一連の値上げ政策と、政府の従来とっておられました低物価政策といいましょうか、この考え方についても一つ所信を承りたいと存じます。
○菅野国務大臣 ただいまお話しの通り、最近物価は上昇のきわみであります。が、しかし、私たちの方では最近の物価変動は大体一時的の現象ではないかと見ておりまして、御承知の通り大体年末になりますと需要期になりますので、一般物価は多少上昇する傾向を持っております。その上伊勢湾台風がありまして、従いまして、食料品あるいは建築材料などはにわかに上昇いたしたのであります。その上最近なまゴムあるいは銅地金等が海外の需要で非常な騰貴をいたしたのでありまして、そういうような状況から最近物価が上がってきたのでありますが、しかし私たちの見通しでは、その銅地金あるいはゴムの値上がりは、最近におきましは反落の徴候にあります。そして食料品の値上がりも大体おちついてきたと思っておるのであります。建築材料はまだ多少上がっておりますが。そこで一般的な経済情勢から申しますと、供給余力が今の日本の生産事情のもとにおいては相当あると思いまするし、また外国品が大体横ばい状況でありますし、また御承知の通り輸出超過でありますから、従って外国品を購入する能力も相当ありますので、大体といたしましては今後物価は横ばいでいくのではないかというように見通しをいたしておるのであります。
 そこで最近運賃の値上げだとか新聞購読料の値上げだとかあるいは電気料金の問題で物価が上がったではないかというお話がありましたが、これらは今までの物価にほとんど影響してないと思います。電気料金のお話がありましたが、これは三割頭打ちの問題であるかと思いますが、これは来年の四月から実施することになっておりますので、今は直接に物価には影響することはないのであります。従いまして今までの私鉄運賃の値上げとか、あるいは新聞の購読料の値上げだとか、そういうようなことは物価にほとんど影響してない、こう考えておるのであります。ガス料金のお話がありましたが、これはまだ今申請をして通産省の方でいろいろ査定中でありまして、なお私の方も事務当局で査定中であります。私はその査定の結果についてまだ報告を聞いておりませんが、もしもガス会社が今の料金で経営が不利である、経営ができないということがあれば、多少考慮すべきであるかと思いますが、私たちの立場から申しますと、やはり一般物価に対する影響ということがありますので、その点においては事務当局の報告を聞いた上で、私といたしましては最後の結論をつけたい、こう考えておるのでありまして、この点については通産大臣の方の所管でありますので、通産大臣の御意見もまた聞いていただきたいと思います。
○板川委員 私は新聞代、放送料金あるいは私鉄運賃、バス料金、こういうのが値上げをしまして、そうして値上げ的な心理的な影響をもって物価がまた上がっていくんじゃないかということを心配しておるのでありますが、言われるように、今後の物価については、楽観説と悲観説があるようでありまするから、その点はやがてもう少し時日をたってみれば、事実が証明すると思います。
 そこで経済企画庁長官に、もう一つお伺いしたいのでありますが、御承知のように、池田通産大臣が給料二倍論を発表され、月給をもらっておる千七百万かの人々が非常に喜んだのです。そうして給料二倍論の内容を聞きますると、いや給料二倍論は、国民所得の二倍論にも通ずるのだ、国民全体の所得を二倍にするのであって、月給取りだけ二倍にするという考えではない、これまたごもっともであります。そこで、国民所得全体を二倍にするのだ、こういう主張でございましたから、その具体的な内容を、資料等をもってできるだけ詳しく報告してもらいたい、こういう質問をしたのであります。ところが池田さんは、いやそれは資料はない、政治をうまくやって、対策のよろしきを得れば、国民所得が二倍にも三倍にもなる、これが私の政治的な目標である、こういうことを言われておるのであります。ところで、この国民所得二倍論について、経済企画庁でもその具体的な実施の方策というものを研究されておると思う。所得を名目的に二倍、三倍にしても、物価が上がったのでは実質的にそういう割合を示さないことは、これは専門家でありまするから当然だと思うのであります。そこで、一体この所得倍増論と物価との関係、こういうものについて経済企画庁としてはどういうような考え方をとっておられるかという点を、一つお聞きしたいと思うのであります。
○菅野国務大臣 この国民所得を倍増するということは、その前提といたしまして、物価上げないということが前提だと思います。物価が同じように上がれば、決して国民所得は実質においては倍増にならないのであります。そういう意味で、私の方では国民所得倍増の長期経済計画を、今具体的にこれから策定することになっておりますが、物価を上げないという前提のもとにおいて、いろいろとこれから策定したい、こう考えておる次第であります。
○板川委員 ただいま国民所得の倍増について具体的な考え方をまとめ中である、前提としては物価を上げない、こういう前提である。一日も早くその具体案を一つ出していただきたいということを要望いたします。
 次に、通産大臣に、ガス料金の値上げ問題について質問をしたいと存じます。
 大臣はさきの参議院の予算委員会でも、ガス料金は二十七年以来上がっていないから、この際値上げもやむを得ぬじゃないか、まあいつということはきめてないが、年末に結論を出して、一月ごろから実施をしたい、こういうような趣旨を述べておると思います。私どもは、消費者、低所得者、こういう人たちの気持から、こうした公益事業料金の値上げについては、反対の立場をとっております。ガス事業の値上げにあたって、まず値上げをする前に、ガス料金の値上げを防止するために物価を上げないという低物価政策をとる建前からいって、政府自身がガス事業に対する打つべき手があったんじゃないか、そういうものを打たずに、料金を値上げすればいいんだ、こういう趣旨ではわれわれ反対なんであります。まずガス料金の値上げをいつからやるか、その後検討した結果結論がどういうふうに出たかをお伺いしたいと思います。また値上げ率は、ガス会社の申請は二割近く値上げということになっておりますが、この申請に対してどういうような結論を出されたか、その二点についてお伺いしたい。
○池田国務大臣 われわれも、物価が低い、上がらないことは、あなたと同じように常に考えておるのであります。しかし、ガス会社の問題につきまして、全国で六、七十ございまするが、東京、大阪、名古屋を除きましては、随時上げておるのであります。これは上げなければ経営が成り立たない。しかし東京、大阪、名古屋は、御承知の通り、昭和二十七年以来上げておりません。今回上げなきゃならぬというおもなる理由は、この三都市を通じまして、ガス需要者は百五十万戸であったのが、今では二百七十五万戸にふえております。しこうして、ガス需要者がふえました関係上、会社の投資が昭和二十七年には二百七十三億円だったのが、その後八百億円の設備投資をせざるを得ない。八百億円の額を七年間に投資をいたしました。この資本費が多額に上っておるのであります。昭和二十七年は四十三億円でよかったのが、百八十五億円も資本費が要ることに相なったのであります。この資本費は何か、固定資産でございます、金利でございます、償却でございます。これをやっていきますと、冬料金の需要の多いときには何とかやっていきますけれども、夏になりますとこれは赤字でございます。赤字を続けていくことが、公益事業としていいかという問題になりますと、これは将来を考えるとそういうことがあってはならない。だから、会社が極力合理化をいたしまして、資材につきましても原料にいたしましても、あるいは経理にいたしましても、極力合理化をさして、どうしてもやむを得ない場合におきましてはこれは上げざるを得ない。上げる場合にもできるだけ少なくしようというので、今こまかに検討いたしておるのでございます。私は早く結論を出して、そうして発表いたしたいと思いまするが、何分にもまだ結論が出ておりません。近日中に出したいと考えております。上げなければならぬ理由はそういうところなのでございます。
 たとえば固定資産税につきましても、実を申しますると、電気につきましては、御承知の通り、設備したときに、五年でしたか三分の一、それからその後は三分の二となっておりますが、同じ公益事業でも、ガスの設備に対してはそういう恩典が与えてない。ガスも電気も同じでございます。われわれは今度はどうしてもそういうふうにしていきたいと考えております。また料金を上げる場合におきましても、低い方の、いわゆるあまり使わない低所得者のものにつきましては、できるだけ創意工夫をして、そして上げる上がり方を少なくする。また私が考えておりますのは、名古屋は一応見合わしておりますが、東京、大阪にいたしましても、料金を上げますとガス税が、またそれに加わってきます。今回の上げた分につきましては、自治庁と話をいたしまして、料金が上がって、すぐ税金がそのまま上がってくるということもいかがなものかということで、今上げた場合につきましてのガス税について、折衝をいたしておるような状況でございまして、極力上げ方を少なくしていくよう努力を重ねておるのであります。
○板川委員 ガス料金値上げをせざるを得ないのは、非常に需要がふえて、設備投資が膨大に行なわれて、資本費が増大したためにコストが高くなってきておる、こういう説明でございますが、資本費がなぜそう高くなったかということが問題だろうと思うのであります。大臣も御承知と思うのでありますが、昭和三十二年十一月十二日の当商工委員会において、木材利用合理化に関する決議がされております。その中で「政府は、当面最も緊急を要する合理化施策につき、次の点を考慮して、有効適切な措置を講ずべきである。」一を省略、二として、「今次決定の丁都市ガス普及第二次五ヶ年計画」の実施にあたっては、ガス料金の値上げ抑制と、計画の完全な達成を計るため、イ、長期低利の政府資金の円滑な供給。ロ、家庭炊事用ガスに対する電気ガス税の減免、他の公益事業の例にならい固定資産税及び道路占用料等における優遇措置を講ずること。」こういう決議がされておることは御承知と思うのであります。この決議の内容がもう少し政府に真剣に取り上げられて実施をされておれば、このような資本費の高騰は来たさなかったのじゃないか、こう私は考えるのであります。ガスを公益事業として指定しておきながら、実は電気事業と比較すると非常な待遇の不平等さがあると思う。そういう点で、ガス料金値上げ反対の人々の意見を司きまするとこう言っておるのですが、これに対して大臣はどういうふうにお考えになるかお伺いしたい。それは、ガス事業は電気事業とともに公益事業として政府の監督指導を受けておる、電気とガスはともに同じような法律のもとに規制され制約を受けておる。たとえば電気ガス税が料金の
 一〇%を課税される、これは御承知の通りです。しかし保護の面にいきますと、政府のこの恩典といいますか保護政策というのは、ただいま大臣もちょっと言われましたように、電気は非常に優遇されていますが、ガスにはあまりその恩典がない。その例とすれば、電気には電気ガス税の非課税の範囲が、非常に広範囲にあることは御承知と思うのであります。石炭、鉄鋼、鉄道、農漁業、学術研究その他たくさんな範囲にわたってこの電気ガス税を免除されております。これは地方税法四百八十九条によって免除されておることも御承知と思う。それから、開銀より融資の金額、条件等もこれまたガ
 スと電気では非常に差があると思います。資料によりますと、開銀の資金の融資が、昭和二十九年に電気は三百三十五億、ガスは一億、三十年は電気二百二十三億、ガスは一億五千万、三十
 一年は電気百七十七億、ガスは三億一千万、三十二年は電気二百九十七億、ガスがゼロ、三十三年は電気二百五十億、ガスが二億二千万。もちろん電気は全国的な規模に事業を行なっております。ガスは都市に集中されておるだけでありますから、この金額の多少で
 一がいに言えないかもしれませんが、しかしやはりガスの方が大いに割を食っておることは事実じゃないかと思う。また開銀の利子にいたしましても、貸付条件にいたしましても、電気の場合は三十年で金利は六分五厘、ガスの場合は五年から七年で九分、こういうふうになっておりますと、どうもガスの方が、同じ公益事業として税金は一〇%電気ガス税としてとられておりながら、金融面においては非常に差別されておるのじゃないか、固定資産税においても特例が電気にありますが、ガスにはない。あるいは法人税の減免措置等も電気にはあるがガスにはない。さらにガスの中でプロパン・ガスの場合は課税の対象にならぬが、都市ガスは課税の対象になっておる。こういうように料金の中の相当の部分が、電気と比較して、あるいは同種のプロパン等から比較して不利な条件にあるのじゃないか。そういう点、もう少し政府がさきの商工委員会の決定を尊重されて、低利資金の円滑な供給であるとか、あるいは固定資産税及び道路占用料に対する優遇措置等が講ぜられておれば、このような料金値上げが起こらなかったのじゃないか。また商工委員会では電気ガス税の廃止も決議しておるのでありまして、そういうようなことが行なわれておれば、料金値上げをしなくても済むのじゃないか、こういう考え方を持っておるのであります。これに対して大臣はどういうお考えであるか、お伺いしたいと思う。
○池田国務大臣 同じ公益事業で電気とガスとがよほど違っておるという点不公平だというお話でございますが、私はある程度はそれを認めます。しかし免税の範囲等について差があるのは、それは用途がよほど違っておりますから、ガスと電気との用途の違いからくることが主たる原因でございます。
 次に金融の面につきまして、これも実は投資を行なうのは昭和二十七年から三都市で八百億円くらいでございます。しかし電気に至っては一年に二千五、六百億、しかし開銀の融資はその一部でございまして、外資なんかを入れております。これも五分五厘から六分程度で、これはよほどスケールが違う。しかしお考えの点は私は全く同感でございます。通産大臣に就任いたしましてから、何も外資導入は電気に限ることはないじゃないかと大蔵省に話をいたしまして、東京、大阪等のガス会社に昔もやっておったのだ、外資を入れるように一つ考えろというので、お話のような点にだんだん進めていっておるのであります。
 それから固定資産税にいたしましても、前に申し上げましたように設備に対して五年間三分の一、これで一年に二億六千万円違う。そして五年目ぐらいに四億円ぐらい違う。しかしこれをやったからといって上げずには済まない。電気は従来上げて参りました。ガスは七年間一つも上げないというふうに、電気とガスの本質は似ておりますが、経営その他につきまして、電気同様にはいかないことを御了承願いたいと思います。しかし一般国民の利害に非常に影響があることでございますので、今後は電気同様、ガスにつきましても同じような取り扱いをだんだんにとっていきたいと念願いたしておるのであります。
○板川委員 ガス関係の労働者、労働組合がガス料金値上げを反対しておるのでありますが、そこで主張されている意見は、電気ガス税は同じように一〇%をとられておるじゃないか、しかもその他の措置になりますと、電気とガスではあまりにも隔たりがあるじゃないか、だから決議もあることだし、この電気ガス税をガスに限って廃止してもらいたい。そうすれば料金値上げをしなくても済む。都市ガスを、ただ私は料金をどんどん値上げすれば、採算に合えばいいと言いますけれども、そうですと、新しい需要者を開拓するのに、やはり困難を生じてくると思う。ですから、そのガス事業に対する電気ガス税を一つ廃止をして、料金を上げないでやってもらいたい、こういう要望が強く出されておるのでありますが、この点について大臣どうお考えでしょうか。
○池田国務大臣 私は電気ガス税を起こしたときに政府におりました関係上、そういうことを言うのはいかがかと思うのでございますが、炊飯に税金をとるということは、普通の状態ではあまりいい税とは思いません。しかし何分にも今までやってきておるので、これを廃止いたしますと、財源その他が問題となってくると思います。自分の意見としては、これは全廃か軽減が適当ではないかという私見は持っておりまするが、国務大臣としてどうこう言うことは、まだ言えない状況でございます。お話の通りに、もうプロパン・ガスは非常に普及いたしまして、もう地方のガス会社はプロパン・ガスに押されて閉口しておるのが実情でございます。最近各地に石油精製工場ができまして、非常な勢いでいっておることは、地方ばかりじゃございません、大都市の付近でもそういう状況に相なっておるのであります。こうやってきますと、ますます都市ガスに対しての課税が無理じゃないかという議論が起こってくるのは、私は当然のことであると思う。先ほど申し上げましたように、今回ガス料金を上げたために、またそれに税がかかってくるという分だけは、これはやめてもらうように話をしておりまするが、方向といたしましては、私はあなたと同じ意見でございます。
○板川委員 財源の点から言って、電気ガス税を廃止することは困難だ、こう言われておるのでありますが、財源を見てみますると、昭和三十四年度では全国で、電気事業における電気ガス税が二百六十億、ガスが六十億と承知しております。三十五年度は電気の方が二百八十六億、ガスの方は七十四億程度、約十四億増加するだろう、こう承知しておるのでありますが、七十四億であるならば、私は財源の全体から言って二百六十億、二百八十億も減らすのは大へんな金額になろうと思うのでありますが、七十四億は、都市に集中しておりますから、一都市当たりについては大きいかもしれませんけれども、全体としては少ないんじゃないか。だから、何か廃止する気持になれば、ガス事業におけるこの電気ガス消費税は廃止できる可能性もあるんじゃないか、こう思うのでありますが、いかがでしょうか。
○池田国務大臣 自治庁の所管でございますので、私がとやこう言うことはいかがなものかと思いますが、私は通産大臣としましては、今お話しのようにことしの収入が六十億円、来年は七十億円になれば、ふえる十億円の幾分でもガス税を軽減すべきだ、こういう考えを日ごろから持っております。今度の料金が上がったために、またそれに一割加わってどうこうということは、やめてもらうように話をしておるのであります。私は自分の個人の考えとしては、炊飯に税金をとる――ガス・ストーブならともかく、炊飯に税をとるということは、なるべく早い機会にやめてもらいたいという気持を、個人としては持っております。
○松平委員 関連。さっき板川君の質問に対して、大臣が答えられなかったのではなかろうかと思うのでありますが、開発銀行の資金を同じ公益事業に貸しておって、片一方は六分五厘、片一方は九分だ。額も非常に少ない。ほかの違った銀行なら、これは利息の高低はあるだろうと思うのですが、同じ公益事業という名前に対して、片一方は六分五厘、片一方は九分というのは、これはおかしいと思うのです。しかも所管は通産省の所管で、ある程度これは左右できるのではなかろうか、こういうふうに思いますが、一体どういうわけでそういうことになっているのか、またそれは今後どういうふうにお考えになっておりますか。
○池田国務大臣 お話の通りでございまして、私は資金の需要量が片一方は非常に多い。片一方は何と申しますか、配当の方も電気会社の配当よりもガス会社の配当が多い。割合に経理が、楽というわけではございません、電気ほどにはなかった。そうして重要性がそこまで気がつかなかったと思うのでございまするが、三十四年度は二、三億じゃなしに、十億九千万円にふえておるそうであります。私が就任いたしましてから、これはもうそれに貸すべきじゃないか、あるいはまた外資も入れるべきじゃないかということを大蔵省に言っておるような状況でございます。だんだんよくしていくようにいたしたいと思います。
○松平委員 それからもう一点お伺いしたいのは、三十二年度にそういった委員会の決議があって、すでに二カ年を経過しておるわけでありまするが、この間において一体、固定資産税の問題とかあるいは電気ガス税とか、あるいは今言った利息の問題、そういったようなことについて、何か政府部内で積極的に、この委員会の決議に基づいて相談をされたというふうな形跡があるのですか。私はどうもそういう形跡がないのじゃないか。そういったことがあったとしても、おざなりだということで、二カ年間過ごしてしまったのではなかろうか。そうしてその結果は、相当な赤字が出ているわけです。これはどうにかしなければならぬというふうな状態になっているわけで、これは私はやはり政府の怠慢ということがある程度の原因をなしておる、こういうふうに思うのです。これは池田さんはそのころ通産大臣でなかったから、その責任はあるいは直接の責任ではないかもしれませんが、しかし一貫した通産行政としてはちょっとどうもふに落ちないと思う。
○池田国務大臣 私はその後通産大臣じゃございませんでしたが、しかし昨年の暮れでございましたか、ガス会社の固定資産税を軽減しないということはそれは無理だというので、閣僚ということよりも一つの個人として、強く話をいたしました。党でもそれを取り上げて、自治庁と非常な折衝をしていて、遊興飲食税関係その他で、まあ今年は一つ待って、来年からやろうという申し合わせができたやに聞いております。等閑に付しておったわけではないのであります。いろいろ財源の問題その他でおくれていると思いますが、今年は一つ去年のあれを実現しようと今努力をいたしておるわけであります。
○松平委員 ということは、私も自民党でそういうような決定があったということを聞いております。御承知のように、地方公共団体で経営しているガス会社というか、ガスの供給事業もあるわけであります。その方は固定資産税は一文もとられない。片一方の私企業はとられるということからいっても、これはどうもちょっとおかしいし、それから今言った電気が特例があるということもおかしいわけであって、どうしてもこれはつじつまが合わぬと思いますが、聞くところによりますと、ことしは災害でもって非常に財源がないのであるから、この方の予定されておるところの固定資産税の減免ということも、来年度は取りやめになるといようなことが、閣議等においても何かそういうような意見も出たということを聞いておるのですが、来年は大丈夫なんですか。
○池田国務大臣 閣議で固定資産税についてどうこうという議論はございません。ただ、一般的に減税はまあやらないということは、党で話をされつつあるということを聞き及んでおります。しかしこの問題は一般的の問題でございませんで、是正の問題でございますので、私はぜひ実現するよう努力をしていきたいと考えておるのであります。
○板川委員 もう一つ大臣にお伺いしたいのですが、ガス事業法十七条第二項第一号によりますと、通産大臣がガス料金の認可をする場合には、適正な原価に適正な利潤を加えたものを料金の原価とすべきである、こういうふうに規定されておりますが、私がお伺いしたいのは、適正な利潤とはどの程度をお考えになっておるかということであります。私の意見を率直に申しますならば、ガスとか電気とか私鉄とか、こういう公益性を持つ安定した事業は配当は一割程度、これが私は適正な利潤であろうというふうに考えておるわけです。こういうものを織り込んだ料金原価、運賃原価というものを見込むべきだと思うのでありますが、このガス事業に対して配当が一割三分のところもあります、五分のところもあります、またないところもありますが、一体今値上げを申請しておる大阪、東京のガス会社がどのくらいが適正な利潤だとお思いになっておるのかお伺いしたいと思います。
○池田国務大臣 一会社だけをとりまして適正の利潤をいうか、あるい経済界全般を見て適正な利潤をいうか、これによって分かれると思います。従って適正な利潤ということは、私は両方を見ながらきめていかなければなぬ問題だと思う。やはり増資をする場合において株主が増資に応ずる程度の配当を見なければなりません。そしてまた一般株式市場におきましての株価の状況ということも、私は適正な利潤ということに影響してくると思うのであります。どれがいいというわけには参りません。非常に小資本でそして非常な固定資産を持っておるところと、固定資産よりも自己資本が非常に多いところ、借入金等の状況を見て考えなければならぬ問題だと思います。従いまして東京瓦斯にいたしましても、従来は一割五分やっておったと思いますが、今は一割二分ぐらいに相なっております。こういうようなことは通産大臣がこれで適正だと判断をいたします場合におきましては、今申し上げましたようないろいろな事情をくんでいかなければならぬと思います。
○板川委員 私が聞きたいのは、大臣が近くガス料金について一つの結論を出したい、こうおっしゃっておるわけです。その料金を変更する、新しく認可したり変更する場合には、適正な原価の上に適正な利潤を加えたもので考えるということが、法律上明らかにされておりますから、大阪と東京、この二つの値上げ会社に対して、今資料をもって検討しておるときに、私としては一割程度を適正な利潤にすべきだ、そうしてそれ以上は料金等に算入すべきでない、こういうふうな気持でおるのでありますが、現実にこの大阪瓦斯、東京瓦斯の二社に対して料金値上げをきめるときの前の心がまえとして、どう持っておられるかという点を聞きたいのです。
○池田国務大臣 これは一割がいいとか一割二分がいいとか、あるいは八分であるべきだという結論は、今のところ出ておりません。やはり会社の償却の状況を見ていかなければなりませんし、また職員の平均給料も見なければなりません。いろいろな点を考えまして、そしてまた会社の株主、ことに経営陣に希望を持たすことも考えなければなりませんので、これは私は今慎重にそういう面につきまして検討を加えておるのでございます。
○板川委員 このガス会社は全国で八十あるそうであります。それでその八十という各社の最近の配当というのを調べてみましたならば、配当ゼロ、これが二十七あります。四分が一、六分が二社、七分が二社、八分が七社、九分が一社、一割が十二社、一割一分が一社、一割二分が東京、大阪瓦斯を含めて十六、一割三分が七つ、一割五分が四社あるのであります。この八十の会社のちょうどまん中――こういう計算もどうかと思いますが、一つのしろうとの判断としてまん中四十社目を見ますと、ちょうど九分目までが四十社であります。四十一社が一割であります、下から行きまして。そうすると、やはりいろいろな経済界の事情とか、あるいは電気事業界全体の事情と情勢等を勘案する場合に、その一割程度と、こういった一つの資料からも、見当として私は妥当ではないかという感じを持っておるのであります。しかし大臣には、まだこれは結論を出しておらないようでありますから、そういう考え方を申し上げて先に進みたいと思います。
 今大臣がそのほか適正な労務費、こういうものも考慮しなくてはいけない、労務費の適正ということも考えなくちゃいけない、こう言っております。この料金が能率的経営のもとにおける適正な原価にということで、能率的な経営努力をやって、そして適正な原価の上に利潤を加えるといっておりますが、この適正な原価の中に、今言った労務費の算定といいますか労務費があるのでありますが、このガス事業の労務費の割合、これは一体どの程度が適正であろうとお思いになりましょうか、この点は公益事業局長でけっこうでありますが、一体ガス事業の場合は収入に対して何%ぐらい人件費を持つことが適正な労務費、こういうふうにお考えであるか、お伺いしたいのであります。
○池田国務大臣 ガス関係会社は全国で百二十あるそうです。これは小さいのが入るのですが、しかし百二十ありますが、東京、大阪、名古屋で全体の八〇%近くを占めておる、こういう特殊な事情がございますので、足して二で割るというところをとることはいかがかと思います。そうして料金の算定につきましては、いろいろな事情、ことにコークスの値段等につきましても、その見通しもつけなければいけませんし、いろいろございまするが、今のように三ガス会社で八〇%を占めておるのでありまして、他のガス会社との比較というものはなかなか困難だと思います。しかもまた設備費というものが相当かかっております。原料費、設備費が主であって、労務費というものは割合少ないのである。ただ私の言いますのは、他の会社の、同業でない、ほかの電気会社あるいは製造会社等と比べて、職員の給与その他につきましても、やはり一つの材料としなければならぬということを申し上げた、もちろんコークスとか石炭とか等は最も重要な問題でございます。その点は考慮しなければならぬと思います。
○小室説明員 ただいまの大臣のお話の通りで、何割が適当ということは一がいに言えないと思うのでありますが、現在の現行料金で申しますと、東京瓦斯の例ではほぼ二割ぐらいが適当というような感じを持ちます。
○板川委員 現行料金で東京瓦斯の場合は二割を見込んでおります。今度の値上げの資料を見ますると一七・五%ですから、それよりも一割以上減っておるようであります。この東京瓦斯の会社側の説明資料によりますと、昭和二十八年から三十三年の六年間に、ガスの販売量が二・一倍になる、売上高は二倍になる、それから従業員は一割八分しかふえない、従業員一人当たりの販売量が一・八倍になっておる。従業員一人当たりの販売高は一・七倍になっておる、こういうように会社側の説明の資料でも明らかにされておるのですが、これはわれわれの方で、ちょっと言いにくいのでありますが、東京瓦斯の労働者が非常に生産性をあげておるということになるんです。しかし、あげておりながら、原価の中でみると総体的な労務費が引き下げられるということになって、どうも会社の方ではだんだんと適正な労務費という率を引き下げてくるために、また通産省の考え方がそういう点でがっちりしているために、生産性をあげるがなかなか賃金は上がらない、こういうのであります。そこで今言ったように、労務費の適正な基準というものは、料金をきめるときに、通産省としてはどの程度お考えになっておるかということが聞きたいのでありますが、この会社側の資料による一割七分五厘というのが適正とお思いでしょうか。
○池田国務大臣 これは各企業によってよほど違うのでございます。ある自動車製造会社は生産が四倍、五倍になっても、利潤はほとんどふえていないというところもございます。これは業態によりまして、今の設備費、原料費の非常に多いところの一人当たりの賃金というものについては、なかなかむずかしいと思います。だからそういう、あなたの御計算のようなこともやっていかなければなりませんが、また他の会社、他の製造工業とか、あるいは電気事業とかいうふうなところとも見合わせて、そして昇給の率がどうだとか、こういうこともやはり一つの研究資料としては持たなければならぬ、しかしあくまで生産性の向上ということが主でございます。われわれとしても十分その点は考えていきたいと思います。
○板川委員 私は一般論ということでなく質問したのでありますが、それは通産大臣が、ガス事業法十七条の二項によって料金をきめるときに、適正な原価の中においては、労務費はどの程度が適正と思っておるかということを、今出されておる値上げ資料に基づいた考え方というものをお伺いしたかったのでありますが、時間がございませんから、次にまた機会を得て質問したいと思います。
 もう一つ、このガスの値上げが、先ほど大臣も言われましたように非常に下が高くて、たくさん使用するごく少ない範囲の、企業といいますか、使用する人、こういうのが低いので、大量に使用する大口の人には安く料金値上げの表ができておるようであります。十立米までが三割値上げになり、また一番多いという五十立米、六十立米がざっと二割一分値上げというふうになります。この金額はこのままでいくならば最近における値上げ率の非常に高いものだと思うのであります。しかし十万立米を使う大口消費者になりますと、一割三分しか上がらないという計算になっております。さっき大臣は下をもっと何とか心配したいと言っておるのでありますが、この会社の値上げの資料が、どうも金持ちの方に安いものを売って貧乏人の方に高いものを売るというようなガス料金値上げということになりますが、これについてもう少しどうするかという考え方をお伺いしたいのであります。
 もう一つは、ガス料金に関する公聴会の結果を見ますると、原価計算の内容を検討すれば、値上げ率を三分の一程度に抑制することが可能であるという注目すべき意見が出されております。この原価計算の内容を検討して、こういうことになるとなおけっこうであるが、そのほか政府のガス事業に対する公益事業としての保護政策が一つ追加されるならば、私は料金値上げに至らないと、こう思うのですが、この点について御見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
○池田国務大臣 申請がそういうふうになっておることは私も聞き及んでおります。ただこれは経済的に一応出したので、政治的なあれが入っていないんだと思います。ガス会社が営利の目的でやっておる場合におきましては、原価計算したら大口の方が非常に安くつく、しかしそれでは政治的に非難を受ける点がございますので、私はみんなが負担に応じていけるように一つ考えていきたいと思っておるのであります。
 それから公聴会に私は出ませんでしたが、二割上がるところが三分の一、七分ぐらいでいいという、どういう論拠になっておるかそれがわかりませんので、ここでお答え申し上げかねますが、これにいたしましても、私はいろいろな償却の問題なんかを言っておられるのではないかと思います。
 それから固定資産税等につきましても、これは先ほど申し上げましたように、全国で二億四千万円程度でございまするから、ガス料金にそう影響があることとは思いません。しかし考え方としてはやるべきでございまするから、これは私が先ほど来申し上げておるようにやっていきたいと思っておるのであります。
○板川委員 なお私、このガス会社が出しておる値上げの申請書を一つ資料としていただきまして、検討してさらに質問をいたしたいと思います。本日はこれで終わります。
○小川(平)委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
    午後一時二十九分散会