第033回国会 逓信委員会 第6号
昭和三十四年十二月四日(金曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 佐藤洋之助君
   理事 秋田 大助君 理事 淺香 忠雄君
  理事 進藤 一馬君 理事 橋本登美三郎君
 理事 早稻田柳右エ門君 理事 森本  靖君
      上林山榮吉君    木村 武雄君
      寺島隆太郎君    平野 三郎君
      渡邊 本治君    小沢 貞孝君
      金丸 徳重君    堤 ツルヨ君
 出席国務大臣
        郵 政 大 臣 植竹 春彦君
 出席政府委員
        郵政政務次官  佐藤虎次郎君
 委員外の出席者
        公正取引委員会
        委員長     佐藤  基君
        郵政事務官
        (電波監理局
        長)      甘利 省吾君
        会計検査院事務
        官
        (第五局長)  平松 誠一君
        参  考  人
        (日本放送協会
        会長)     野村 秀雄君
        参  考  人
        (日本放送協会
        副会長)    溝上 けい君
        参  考  人
        (日本放送協会
        専務理事)   前田 義徳君
        参  考  人
        (日本放送協会
        専務理事)   小野 吉郎君
        参  考  人
        (日本放送協会
        総務局長)   赤城 正武君
        参  考  人
        (日本放送協会
        経理局長)   春日 由三君
        参  考  人
        (日本放送協会
        編成局長)   島浦 精二君
        参  考  人
        (映画産業団体
        連合会理事長) 永田 雅一君
        参  考  人
        (日本民間放送
        連盟事務局長) 酒井 三郎君
        専  門  員 吉田 弘苗君
    ―――――――――――――
十二月二日
 委員森島守人君辞任につき、その補欠として久
 保田豊君が議長の指名で委員に選任された。
同月四日
 委員池田禎治君辞任につき、その補欠として堤
 ツルヨ君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十二月一日
 簡易生命保険の保険金最高制限額引上げに関す
 る請願(永井勝次郎君紹介)(第一〇〇三号)
 同(芳賀貢君紹介)(第一〇〇四号)
 簡易生命保険、郵便年金積立金の融資範囲拡大
 等に関する請願(永井勝次郎君紹介)(第一〇
 〇五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本放送協会昭和三十二年度財産目録、貸借対
 照表及び損益計算書放送に関する件
     ――――◇―――――
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
 放送に関する件について調査を進めます。
 本日は参考人より意見を聴取することとなっております。本日御出席の参考人の方は、映団連理事長永田雅一君、民放連事務局長酒井三郎君、NHK専務理事前田義徳君、NHK編成局長島浦精二君、以上四名であります。参考人の方々には御多忙にもかかわらず、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。
 本日参考人として御出席を願ったのは、放送に関する件でありますが、その内容は、テレビに対し日本劇映画の上映を映画協会としては拒否せられておりますが、その事情及びその措置が、独占禁止法に触れるものではないかとの意見もありまするので、関係各位にそれらに対する御意見をお聞きいたしたいのであります。まず参考人より一人十分程度の御意見の開陳をお願いいたし、それから委員よりの御質疑に入ります。
 それでは永田参考人よりお願いをいたします。
○永田参考人 私は永田雅一であります。
 ただいま委員長からの御説明がございました通り、私ども劇映画をいたしておりまする団体の私は理事長をいたしておりまする関係から、当委員会に御出席したわけであります。私どもの劇映画をテレビに供給しないという理由について説明さしていただきたいと思うのですが、実はなぜ私どもの劇映画をテレビに提供しないかと申し上げますることは、一口に申し上げまして、テレビの進出によりまして私ども映画産業が崩壊の道を今やたどりつつあるわけであります。
 その具体的例としまして申しますならば、昨年の一年の観客動員数はおおむね十一億あったのであります。本年の去る十月までを比較いたしてみますと、昨年の観客動員に対して、本年の一月から十月までの間、十カ月を抜粋してみますとおおむね八%のダウン、すなわち減少を来たしておるのであります。その結果が映画産業に及ぼしておる影響というものは、かなりの影響を来たしておるのであります。おそらくこの状態で参りますならば、ここ二、三年のうちに少なくとも二〇%強までダウンするのじゃなかろうか、すなわち減少するのじゃなかろうかと思うのであります。それは諸外国の例を見ましてもわかることなのであります。たとえば昨年のクリスマスの場合に、日本のテレビの台数は、私どもの調査によりますと百五十六万六千八百一台ついておったのであります。それがわずか一年たつかたたざる今日、十月末日で三百十二万台ついておるのであります。わずか小一年の間に倍の台数がつく。この勢いで参りますならば、おそらく日本は今日世帯数が二千万軒あるとかりにいたしますならば、四軒に一軒ついたといたしますならば、おそらく昭和三十六年一ぱいに五百万台のテレビ台数がつくのじゃなかろうかと思うのであります。五百万台のテレビがかりにつくといたしますと、先ほど申しましたる二〇%の観客動員の減少を来たす、こういう実情に、私どもの調査から参りますと、あるのであります。そういう際に私どもの劇映画を、これは新しいものと古いものとを問わず、もしテレビに提供しておりますならば、崩壊に拍車をかけるのです。自分で自殺行為を行なう、かような観点から、私ども映画に携わる者はそれぞれそういう認識に立ちまして劇映画はテレビに提供しない、特にこの問題はわが国だけではございませんので、去る九月十日に――全世界の映画製作者の国際連盟というものがございまして、去る九月の十日に総会を開きまして、全世界の映画製作者が手を握りまして、このテレビ攻勢に対していかに対策を練るべきか、いかに映画産業を守るべきか、諸般の対策を研究しつつありまして、国際的に横の連絡を持ちましてこのテレビの進出に対して映画産業を守る。その守るあらゆる手段の中の一つとして、映画を提供しないことがまず大きなる、要するに映画産業を守ることである。かような見地に立っております関係上から、それぞれの会社が、自分の産業、映画産業を守りたいために劇映画を提供していないのじゃなかろうか、かように思うのであります。
 さらにこの機会につけ加えさせていただくならば、私どもは――少なくとも私の考えは、なるほどテレビと映画というものは行為においては似ておりますけれども、本質において劇映画というものとテレビというものは違うと思っておるのであります。でありますから、今や白黒からカラーになり、カラーからワイド・スクリーンになっておって、相当大きなスクリーンに映しておるものを、今日一番普及されている十四インチのテレビの映像機にかけた瞬間に、劇映画の要素を全然なくしてしまうのであります。でありますから、テレビにはテレビ映画すなわちテレビ・フィルムというものはおのずから道がございますので、私どものそれぞれの会社、特に私どもはテレビ室というものを設けまして、初めからテレビに提供すべきテレビ用の映画を作っておるのであります。その場合テレビ会社がかりに懇望されてきたときにはいつでもテレビ用の映画を作る用意があり、またそれを現在供給しているということをこの機会に御報告申し上げまして、結論としては、映画がテレビに提供することは映画産業の崩壊である、かような考えから提供しないということを御説明さしていただいたわけでございます。
○佐藤委員長 次に酒井参考人よりお願いいたします。
○酒井参考人 民間放送連盟の酒井でございます。
 連盟は会員が五十二社ございまして、そういう結合体でございますので、みな集まりまして連盟としての意見を申し上げるというようないとまがございませんので、個人的な意見にわたる点が多いと思います。その点は御了承願いたいと思います。
 結論から申しますと、映画がテレビの方に開放されるということは私どもとしては望ましいと思います。テレビの局も増加しておりますし、東京その他でも製作するキー・ステーションが多いのでございますから、番組が多彩になるということは望ましい。それから映画館などのないような地域で映画がテレビによって見られるということも望ましいと思います。なお今まで映画をやっておりましたときに映画が聴視者に喜ばれていた、聴視率も割合に高かったということはございました。ただし、今永田先生もおっしゃいましたが、映画館でやる映画とそれから家庭で見るテレビというものが違いがございますので、これは映画館で特定の人に見せる場合と家庭で見る場合との映画にはおのずから違いがあって、選択があって、映画館で見られるものは何でもわれわれの方で出していいということにはならないと思います。それからNHKさんと違いまして民放の方は広告費の問題がございまして、スポンサーの広告費に見合うその限りで、できるだけ良質のものを見せるということが必要だと思います。なお結論から言いますと、映画とテレビとはやはり共存共栄でいくべきだ。そういう点ではテレビが出て参りまして、映画の方はこれと対立的な傾向が強く、これは海外でもそうでございますが、結局これは手を握るべきである、結婚をすべきであるというところにだんだんきている。日本においても、結婚まではむずかしいとしましても、両者が婚約していいのじゃないかというふうに考えております。永田さんが先ほど言われましたテレビ映画を映画界が作るということを心がけておられるし、それには努力を払われていくということを聞きまして私どもは非常に心強いのでありまして、日本の映画界が他の国に比較して非常にすぐれた点がある、また非常に横溢した企業精神があるわけでございますから、劇映画が海外に進出しているように、テレビ映画も非常に優秀なものができまして、われわれにそういう映画を提供して下さるばかりでなく、海外にも大いにそういう作品が出るということは非常に望ましいと思います。
 実情を申しますと、日本テレビが開設しまして翌年の四月でございますか、大体映画五社が各社持ち回りで週一本出しておりました。これは封切り後三カ年を経たものという条件でございます。その後民放ではラジオ東京テレビが出まして、これは一九五五年の四月から各社輪番で一カ月一本出している。それが五六年の三月に折り合いがつきませんで中止したという事情がございます。日活さんだけが出していたということもございますが、五七年八月でその方も中止になりまして、現状では昨年の九月から、日本映画だけでなく外国映画もテレビから姿を消したということになっております。結局そういうことで、外国映画の方は、欧州映画などは独立プロのものがございますので、独立プロであってこれはテレビならテレビに出してもいいという態度をとっているところのものが出ているわけでございますが、それ以外のものは、邦画も洋画も劇映画の提供は中止される、そういうような状況でございます。結局私どもはテレビと映画は結婚すべきだ、共存共栄で行くべきだ、またそういうことはテレビ映画に重点を置きまして、そして海外へも進出をはかっていただく、日本の映画界の優秀な機構あるいはスタッフ、技術をもってすれば、それは不可能ではない、そういうふうに考える次第でございます。
○佐藤委員長 次に前田参考人にお願いいたします。
○前田参考人 前田でございます。
 私どもの立場から申しますと、ただいま酒井さんからお話がありましたように、映画会社の製作による劇映画も、テレビジョン放送に開放されることが根本的には望ましいと考えております。技術的な面で、テレビ映画と劇映画が全く別のものである、特に演出の面あるいはそのスクリーンの幅というような点ではその通りでございますが、それだからといって、現在の大衆のための文化生活の非常に貴重な材料がテレビに開放されないという事実に対しては、私どもの立場からは、はなはだ遺憾にたえないことだと考えております。ただいま酒井参考人からも、民放のテレビと劇映画との関係を御説明されておりますが、NHKでも、昭和三十年から三十一年の九月までは、各社と契約させていただきまして、非常に順調に劇映画をテレビの番組に乗せて参りました。その後劈頭の永田参考人の御意見のようなことが原因となって、それ以来、いわゆる日本の劇映画界に最初に五社協定、続いて日活がこれに入りまして六社協定ができまして、すべてこれらの協定社は、劇映画をテレビ放送局には提供しないということになったわけでございます。これは今申し上げましたように、すべての庶民的な文化財を、地域的にもあるいは社会生活の格差にもかかわらず、全国的に普及し、かつこれを均霑させることを、放送法上からいいましても責任と義務を義務づけられているNHKといたしましては、まことにその面からも遺憾にたえない、こう考えております。
 諸外国の実例も大体六社協定の方向にあることは事実でございますが、たとえばアメリカなどの場合は、一昨年以来、三年前の製作にかかるものはこれをテレビに開放するということが実行されておりましてそれが最近になってやはり日本と同じ傾向で、テレビには提供しないようにしたいという方向に向かっていることも事実でございます。
 先ほど永田参考人がおあげになったテレビの普及の大体の数字は、私どもの持っております資料とも大体合致しておりますし、それからまたこれからの発展についても、私たちも一応永田参考人の指摘された予想数字にそれほど異論を持たないのでありますが、しかし技術的に劇映画とテレビ映画が全く別のものであるという理由だけに、よって、私どもといたしましては、現在おとりになっている日本映画製作各会社の態度には、必ずしも賛意を表し得るわけには参らないと考えます。と申しますのは、おそらく日本の現状から申しまして、山間僻地に至るまで、これら各会社の直接にあるいは間接に関連されている映画館が、クモの巣のごとく張りめぐらされているとは考えられないからでございます。もちろんテレビ放送局といたしましては、劇映画が番組の全部ではございませんが、しかし番組に各種のバラエティを持ち、そしてそれが調和ある編成となり、それが国民大衆の生活のかてとなるという点から考えますと、劇映画のテレビ放送も非常に重要な意義と立場を持っている、こう考えられるからでございます。NHKといたしましては、こういう現状に即しまして、少なくともNHKが自主的に、聴視者の要望するものを、一種の劇映画の形においても作っていかなければいけないという努力を始めておりますが、しかしこれはまた逆に、先ほど永田参考人が、テレビ放送局に提供するために、劇映画の一般映画製作会社がテレビ用の映画製作に着手しておられるということを申されましたが、その御努力は多といたしますけれども、われわれ特にNHKからの立場から申しますと、このようなものだけを提供するには参らないという一つの見方も出てくるかと存じます。
 こういう意味で、私どもは第一に根本的には劇映画も開放さるべきであるという考え方を持っておりますし、それから各映画製作会社の財政的あるいは営業的目標と、映画製作会社の製作されたもののほんの一部がテレビに開放されることによってわれわれの仕事が映画製作会社の事業を圧迫するということについては、必ずしも同感を感じ得ないことを率直に申し上げたいと存じます。テレビの新しい時代においては、あるいは現実に都市を中心として散在する全国の映画館に、多少の不入りという実情が現われるかもしれませんが、しかしこの点は、時間とともに解決され、それからまたテレビによって放送される劇映画とそうでないものとの間に、演出上あるいは技術上の根本的相違がありとするならば、必ずしも全般的に映画事業を圧迫することにならないのではないか、こう考えておるわけでございます。すべての映画製作会社のすべての映画をテレビが上映したいという意味ではございません。その点を混淆されないことを、私ども放送事業者としては強く要望申し上げたいと考えております。これが私どもから率直に申し述べさせていただきます、映画とテレビとは必ずしも全面的な競争の立場にあるのではないという第二の理由でございます。
 以上、はなはだ簡単でありますが、NHKといたしましては、今まで申し上げたような見解を持っていることを明らかにいたしたいと思います。
    ―――――――――――――
○佐藤委員長 これより質疑に入ります。進藤一馬君。
○進藤委員 テレビは今日国民の生活に非常な関係を持っておるのでありますが、そのテレビに映画が上映できないということは、国民の面から見ますと残念なことだと思うのであります。ただいまお話を聞きますと、アメリカでは三年以前のものは提供しておるということであります。実際に映画は、映画館で見るのが真にその映画の価値を生かす、テレビで見ると、何だか十分その長所が発揮できないような感じがするのでありますが、一般国民の希望としては、やはりテレビでも、そうした映画が真の感じが出なくとも見たいということは一般の希望であろうと思いますが、年数のたった古いものの上映を許されるか、あるいはまたその取り扱いの回数を制限して許すというようなお考えがあるかないか、永田さんにお尋ねいたします。
○永田参考人 御質問にお答えいたしますが、基本的な問題といたしまして、少なくとも現段階におきましては劇映画をテレビに提供するということはおそらくあり得ないと私は思います。この機会にちょっと一言申し上げたいのですが、先ほどNHKが御報告になりましたうちに、アメリカは三年前のフィルムをテレビに提供しておる――そこがいささかちょっと間違いがあるんじゃなかろうかと思うのです。何となれば、今日、アメリカは御存じの通り世帯数が五千五百万戸近くのものがございまして、人口一億六千万人、にもかかわらず、驚くなかれテレビの台数は五千五百万台、世帯数だけあるわけであります。従って一九四七年にテレビがアメリカに生まれまして、今日十一年余りに、普及によって、アメリカの映画事業の観客動員が四〇%ダウンしたのであります。一万八千館の映画館が八千館閉鎖したのであります。おそらく世界じゅうで一番深刻な打撃を受けたのはアメリカであります。その場合に、十年前にとった映画を、それぞれアメリカのメジャー、大きな映画会社が、やれ一千万ドルとか二千万ドルとか三千万ドルといって、一流のアメリカの諸会社がテレビ会社に売ったのであります。そうして今までテレビの伸展によって圧迫を受けた、打撃を受けたのを、そのまとめた金で売って、そうして企業の立て直しをしようということの手段として、そうしてそれを売ったんです。売ったものが、全アメリカのテレビ、同時に、世界各国に売ったもの、NBCとかABCという放送会社がこれをヨーロッパに、アジアに売り始めた。でありますから、一時、金をとって非常によかったと思っておったのでありますが、かつてのおのれの作った映画が何百本という種類を売ったものでありますから、アメリカ国内は拍車をかけて、さらに今後は新しい映画に影響力を受けて、また興行的にも影響力を受けて、またヨーロッパにおいてもしかり、またアジアにおいても日本においてもその現象が最近現われてきたというわけでございますので、あらゆる観点から参りましても、今日のただいまの段階におきましては、私どもの作った劇映画をテレビに提供することは断じてできない。これは映画産業を守るために、テレビであろうがわれわれ映画であろうがマスコミの一端であることは間違いない。どちらも文化性を持っているし、どちらも社会的に重要性を持っているのであります。でありますから、映画産業を犠牲にして一方のマスコミ、ライバルであるところのテレビ事業を助成しようというほどのわれわれは社会事業家でもなければ慈善家でもないということをこの機会に強く申し上げたいと思います。
○森本委員 大へん参考人には御苦労さんでございましたが、映画会社の御意見と、それからやはりテレビを放送しておる放送会社の方との意見が全く相対立をしておるというふうにとらざるを得ないわけであります。そこで永田参考人にちょっとお聞きしたいと思いますのは、この劇映画をテレビ会社に対して放出しないという六社協定か何かがあるようでありますが、その六社協定の内容を一つ御説明を願いたいと思います。
 それから映画俳優のテレビジョンに対するところの出演についても、六社協定か何かあるようでしたら、その内容を御説明願いたい、こう思うのです。
○永田参考人 お答えいたします。先ほどの中に、私どもの六社協定というものが、テレビのことに対してのことがあるというのは、断じてございません。われわれの六社協定というものは、お互い製作会社同士が不必要なる競争や、そういうような例を残さずに、健全な自由競争の上に立ってやろうじゃないかという申し合わせを六社の製作会社がやっておることは事実でございますが、このテレビに関係したことにつきましては、六社協定というものはございません。たまたま私どもの映画団体連合会というものがございます。これは製作会社も興行会社も配給会社も機材会社も、この映画に関係しておる事業団体が団体単位で入っております映画団体連合会というものがございまして、その団体連合会で、対テレビ対策懇談会の席上で活発なる意見がお互いに開陳されて、対テレビ対策の中に劇映画をテレビに提供しないようにしようじゃないかという話し合いは確かにございましたが、六社の協定にテレビの協定だとかいうものはいたしておりません。
 それからいま一つお尋ねでございましたが、俳優に対してテレビの出演また放送の出演ということに対しての御質問がございましたが、これは御存じの通り俳優というものは、また俳優その他に付随した芸術家は、年々の契約になっておりまして、たとえば一本幾ら、何日間、一年に何本出る、そのかわりに経営者の方は金を保証する。しかしてさらにテレビ並びに放送の出演の場合には、会社の承認を得て、しかる後でないと自由行動は認めぬという個々の契約単位になっておりますので、私どもの方の会社では、その放送、テレビは会社の方でイニシアチブを握っておりますので、もし、かりにその契約した当事者が出たいといってきた場合において、これが本人なりまた映画界のプラスになるといった場合においては承認いたしますが、マイナスになるといった場合においては契約に基づいてこれを拒否する、こういうようにしておるのでございます。
○森本委員 六社協定というのは、テレビに対する協定がないというお話でございますが、われわれがいろいろの資料から得たところによりますと、確かに六社協定そのものによってテレビに劇映画を放出するということについては、これは協定をしておりません。しかし今参考人が言われましたように、そのあとで、テレビに対する、いわゆる対策、そういうものの懇談会をこの映画会社のそれぞれの責任者が行なったその際に、その懇談会としての申し合わせ事項として、今後映画産業の防衛措置としてテレビジョン会社に対して日本の劇映画を放出しない、そういう申し合わせをせられた、こういうことでありまするが、その申し合わせをせられたことは間違いないわけですか。
○永田参考人 それは六社協定なり、また六社協定のあとではございませんでして、ただいま申し上げましたように、われわれ映画産業団体連合会の中でテレビ対策懇談会という会合を持ちまして、その会合の際にテレビ対策の一つとしては、まず劇映画をテレビに提供しない。一つ、テレビにまさるべき優秀映画を作ること、また、一つ、映画事業は環境衛生を十二分に設備して、サービスをよくしてやる。しかしてテレビに巻き返しをするようにして映画産業を守ろうという懇談会でありました。その懇談会の諸般の対策の中の一つに入っておることは事実でございます。
○森本委員 そうすると、要するにそのテレビ会社あるいはNHK等に対して日本の劇映画については古いものであろうが新しいものであろうが全部提供しないという申し合わせをせられたということについては、これは事実ですか。
○永田参考人 ただいま御質問の申し合わせ、申し合わせという事項が、私はその申し合わせということについて、ちょっとはっきり疑義を持つのですが、テレビ対策懇談会の席上で――そうしてわれわれは、ざっくばらんに言えば、劇映画というものをテレビに提供しておったならば、現段階においては少なくとも映画産業は崩壊する、そういうことはできないじゃないかという幾つかの対策の項目の中の一つとして取り上げたことは事実であって、それだけを抜粋して、絶対やめようじゃないかということは、おそらくこれは民放であろうがNHKであろうが、一本の配給収入よりはるかなるところの上の値段をもって、かりに、仮定として、一本二千万円出す、三千万円出すというような時期がきたら、これは商業ですから、その場合にはおそらくわかりませんが、この段階においては、やはりテレビに映画を提供するというようなことは、経済的にも、また根本的に映画産業を守る上においても、できない、やめようじゃないかということを、お互いに懇談会で話し合ったということなんです。
○森本委員 そうすると、要するに現在の段階においては、映画会社は、民放であろうが、NHKであろうが、劇映画については放出をしない、そういうことを映画会社の団体が申し合わせをせられた、こういうことについてはその通りだ、こういうことですか。
○永田参考人 そうですね、確かに話はあったのですが、あれを申し合わせるというか、見解をとるということがその議論の過程の中に入っておったということは、私自身も明確にできませんが、それが議論の中心であった対策の三つのうちの一つであったということは間違いないのです。
○森本委員 それで、参考人の今の御意見になりますと、初めに説明をせられた事項とちょっと違うことがありますのは、最初に申されましたのは、私も聞いておりましたが、現在の映画会社が、テレビ会社に対する映画産業の防衛という措置から云々ということを言われたのであります。その中には若干傾聴すべき意見もあるやに考えられますけれども、今ちょっとお話しのところによりますと、しかしこの映画をテレビに放出をする場合に、その金額がたとえば一千万円とか二千万円という金額になって、映画会社も、放出をしたら、放出しただけで、もうけるということになれば別である、こういう御意見であったと思っておりますが、それはどうせ商売でございますから、もうけることは全部やるということは、それは間違いないわけでありますが、ただ私のお聞きをしたいのは、テレビに劇映画を放出しないという映画会社の方のお考えというものは、その値段が放送局あるいはまた放送会社と折り合わないからこれを放出しないのか、あるいはまた、そうでなくして、最初に参考人が言われましたように、映画産業をテレビから防衛するのだという、この基本的な態度によって、この劇映画を放出しない、こういう態度をとっておるのか、その辺が最初の御意見とあとの御意見と、ちょっと違うように聞こえますので、その辺の根本的な問題をもう一度お聞きしたいと思います。
○永田参考人 お答えします。あくまでも劇映画はテレビから映画産業を守るために提供しないという思想が第一位であります。
 それから、後段で申し上げて誤解を生みましたとするなら恐縮でございますが、一つの仮定を申し上げたのでありまして、私はこの機会に申し上げさせていただきたいのは、あえて私たちが劇映画を作ったものをお買いにならなくても、テレビ会社が真剣に、要するに映画というものが営業をする上に必要だと思えば、なぜ自分自身がお作りにならぬのか。お作りになればいい。アメリカなりヨーロッパは、現にNBCとかBBCとかいう有名な放送会社は、下請をさせて、自己のテレビ用のために、映画製作をやっておるのです。ですから、私は皮肉のつもりで言ったのでありますが、かえって恐縮でありましたが、一千万円、二千万円出したら、現段階においても劇映画はできます。そんなに映画会社につきまとって、売れ売れと言わなくても、お作りになったらいかがかと、かように訂正いたします。
○森本委員 よく考参人の御意見はわかりましたが、ただ私はお断わり申し上げておきたいことは、私は映画会社あるいはテレビ会社どちらの味方をするわけでもございません。国民の立場から私はこの質問をしておるわけでありまして、しかも国民がやはり古い映画でも名画なら名画といわれる――あなたの会社はよく名画といわれる映画をお作りになるわけでありますから、古い映画でも国民が非常に感心をした映画、そういう古い映画でもやはりテレビに乗せた場合には、山間僻地においてもそれをいながらにして見れる、もう一回あの映画を見たいという考え方を持っておってもなかなか見れない。そういう場合に、私は二束三文のどうこうということを言っておるわけではございません。やはり有名な映画とかあるいはまた名画といわれるような古い映画についても、できるならテレビに乗せて、そうして全国のテレビの聴視者が集まって見る。たとえばテレビというものは何万世帯あるいはまた何万台というようなことをよくいわれますけれども、その影響力はその四倍ないし五倍に達するということがいえると思うのであります。要するにいなかにおきましても、一台のテレビがありましたら隣近所が集まりまして、五、六人以上あるいは十人以上も固まって見るということはあると思います。そういう場合に、映画会社もあまり影響がない、あるいはまたテレビ会社もそれを乗せればかなり国民に喜んでもらえるというようなことであるならば、今日テレビ会社が外国映画の古い映画を上映しておる、おそらくこの外国映画をテレビ会社が上映をするということについても、ある程度の外貨が要るだろうと私は思う。そういう観点からいっても、日本の劇映画を、われわれの考え方としては、それは今封切っておるものを直ちにテレビに乗せる、そういうむちゃなことを私は考えておるわけではない。古い、そういう名画といわれたようなものを、もう一度繰り返しテレビを通じて放送するということをやっても、あながちこの映画会社にそれほどの甚大な打撃を与えるということはなかろう。それに応じてまた国民もひとしくそれを喜ぶのではないか。同時にまた映画会社も、これは一つの映画の宣伝にもなるのではないかというようなことを、私は個人的には考えておるわけでありまするが、いずれにいたしましても現在の映画会社が、古い新しいを問わず一切放出をしない、こういう考え方ですか。
○永田参考人 実は先ほどから承っておると、何か映画会社がテレビに対して必要以上の圧迫を加えておるような印象を受けるのですが、それはとんでもない話でありまして、やはり事業からいえばテレビと私どもはライバルです。そうして向こうはただですものね。私の方は入場料を取っておる。向こうは寝ころんでいたって酒飲んでいたって見られる。それで娯楽でも奢侈でもない。映画の場合は映画館に行って、行ってもはたしてすわれるかすわれないかというような実情なんです。そして映画館では入場税というものを取られる。ことほどにこっちはあらゆる悪条件の制約を受けておる。テレビは一つの台数があれば、今日近所隣の人も見ようと思えば見られますし、寝ころんでいても酒飲んでいても見られる。ただで見られれば金を出して見に行くことはないじゃないか、そういう感じが起きてきまして、皆さん方の思っておられる以上に、テレビの進出によって映画が打撃を受けることは間違いがありません。
 さらにもう一つ申し上げさせていただきたいことは、映画娯楽というものの特徴には三つの要素がございまして、まず商業性というものと芸術性というものと技術性というものとが三位渾然一体となって、映画娯楽の価値があるのであります。そういう素材のものをテレビに流した場合に、瞬間に映画でなくなってしまう。ただ映像しておるだけで、商業性だけが残ってしまって、芸術性も技術性もない。そういうことは、結論において明日の映画産業、特に映画政策というものに対しては大へんな影響力がある、そういうわけでありまして、決してわれわれはテレビを必要以上に圧迫するのではなくて、テレビと競争しておるという立場にあるということを御理解願いたいと思います。
○森本委員 私は映画会社がテレビを圧迫しておるということを言うておるわけじゃない。国民という立場から見た場合に、せっかくあなたがそう言われるけれども、いなかの方では映画を見にいこうにも見にいけない。東北地方においては、あるいは北海道地方においては、これから雪でほとんど外へ出る娯楽というものはない。うちらの方へ引っ込んでテレビを見るのが唯一の娯楽である。そういう国民がかなり多数おる。映画を見たいと言っておるようなそういう国民に対して、映画会社がそう損をしないというところの古い名画というようなものは放出してもいいのじゃないかと私は思う。これは数年前まではある程度そういうことを映画会社はやっておったと思うわけでありまするが、どうしてもあなたの方ではやらないということでありますから、そこでちょっとお聞きしたいと思いますが、現在の新しい映画をテレビに乗せるということについては、それの観客動員が減るということになりますが、そういう古い映画をやって具体的に映画の観客動員が減るというふうなことについての具体的な資料といいますか、そういうものがございますか。
○永田参考人 古い、新しいという話が出ておるのですけれども、私どもの考えは、映画というのは、技術的変革のない限りは永遠不滅だ、かように思っておるのであります。今の世の中にサイレントで弁士をつけなければならぬというのは映画の体をなしておらぬのでありますから、いわゆる技術的変革がなければ永遠不滅のものである、こういうような素材のものでございますから、古い、新しいということは、常に映画の封切りという問題の定義を考えておるのです。私は、その映画を初めて見る人は封切りだ、かような解釈を私自身は持っておるわけであります。たとえば、十年前アメリカでとったものを日本で初めて上映する場合には、日本人においてはその封切りされた場所が封切りだと思っておりまするので、これは古い、新しいじゃなくて、結論において、初めて見る人はその映画は封切りであるという御了解を持っていただきたいと思います。
○森本委員 そういたしますと、古い映画でも封切りだというあなたの解釈ですが、映画興行収入というものには最終的には場末のいなか館において上映する場合のものも入るでしょうけれども、しかし、初めて封切ってからどれくらいというものがこれの興行収入というように一般の人は見ておると思うわけであります。そこで、昔――昔と申しましても、そう大して古い年月ではございませんが、日本映画をやっておった当時もあるわけであります。そういう場合に、日本映画の古いものをやっておって、それが映画館のいわゆる入場人員に相当影響したというふうな具体的な資料があるかどうかということをお聞きしておるわけです。あなたの考え方とか感情とかいうことでなしに、具体的にそういうことをやって、これだけの観客が減って、映画会社がこれだけ損をするというふうな資料がおありですかということを聞いておるわけです。
○永田参考人 こまかいことについては、はなはだ遺憾ながら私は知りませんが、現実に観客動員がテレビの台数の普及とともに減少しておるということが、私、資料ということになりますと、資料じゃなかろうかと思うのです。
 それから、この機会に重ねてもう一ぺん御了解を得たいために申し上げたいのですが、よほどの山間僻地といったところで、映画館、常設館はございませんけれども、移動映写で相当回っておるわけです。ところが、私がはなはだ残念に思うことは、これは私ども自体の反省なのでありますが、ヨーロッパにおきましても、アメリカにおきましても、テレビ対策に対しましては優秀なるところの作品をもって対策をいたしておりまするが、日本の場合においては、逆行いたしまして、量で戦っておるというのがただいまの現状なのであります。でありますから、要するに、このままいけば、テレビの進出とともにますます量がふえて参りまして、おそらく五年を出ずして――それは一つや二つの会社は残るかもわかりませんけれども、全体的な映画産業からいうならば、やはりテレビというものの進出によってあらゆる対策を練っておりまするが、今日においては、かなり量で戦っておるような状態になっておりまするので、まさに拍車をかけて映画産業というものは崩壊をたどりつつある、かように思っておる。そこで、私どもは先ほど民放連の酒井さんが申されたと思うのでありまするが、テレビは十六ミリでとればいいのですから、十六ミリで映写しておるわけです。でありますから、テレビ用の――私たちは映画と言わないで、テレビ用フィルムと言っておるのですが、それを作って、たとえば一つの例を申し上げますならば、「少年ジェット」というようなテレビ番組がある。これなんか、私どもの方で作って提供して、聴視率が一番多いのであります。でありまするから、われわれも、テレビ会社が直接製作なさらないならば、要するに、依頼されたならば、いつでも作り得る態勢で現在作って供給しているのですから、その点重ねて御了解願いたいと思います。
○森本委員 私が聞いておるのは、要するに、国民というものは、料金を払わずに、やはりテレビを見て、そうして昔のいい映画でもテレビを通じて見るということになれば喜ぶわけでありますから、私はそういう観点からこの問題についての質問をしているわけであります。だから私は、その点について、そういうことをやった場合には具体的にどれだけ映画会社が損をするのかということをお聞きしたがったわけでありますが、それについての回答はない。ただ、お話によりますと、映画がテレビに押されるということは事実である。これはまたその通り事実であります。しかし、それは古い映画を乗せる乗せないということによっての競争ではない。これはやはりテレビと映画との本質的な争いであろうと私は思うのであります。そういう点における映画がテレビに対抗していくという面についてはもっと別途の考え方に立ってテレビに対抗することを考えていかなければならぬ。そういう場合には、やはり特殊の、今の大型のスクリーンとか、あるいはその他テレビではできないところのこまかい技術的な問題等、そういうことを通じて考えていくべきであって、国民の皆さんは、古い映画でも、また名画というようなものでも、テレビに乗せればかなり喜ぶ。たとえばNHKで古い外国の映画、名画をやっておりますが、これなんかは、私が聞くところによりますと、かなりの聴視率を示しておるようであります。まして日本映画の古い映画でも、いい映画なんかをやりますと、かなり聴視率が高いではないか。それが映画会社の収入もしくは興行価値にそれほどの影響がないとするならば、やはり国民の立場に立って、若干は犠牲を払ってでも公開をした方が――映画も、それは商業性、芸術性と言われるけれども、やはり私はある程度の公共性というものを考えてもしかるべきじゃないか、ただ商業性、芸術性だけでこの問題を論ずるんじゃなくて、できるだけそういういい映画については国民全般に見せるということについても思いをはせていいじゃないかと思う。しかし、それが莫大な損失をしてまでやれということをわれわれは言っているんじゃないのです。そのことをやることによって莫大な損失を受けるということになれば、その莫大な損失を受けるという一つの的確な資料というものをお願いをしたいというのです。参考人が言われることは、私に言わせますならば、テレビと映画というものについては、これがやはり競争相手になるということは当然であります。しかし、テレビというものは、大体これはニュースの速報性と申しまするか、現実に今あるものを具体的にそのまま見るということが一つのニュースの速報性というものであって、それがテレビの特異性になってくると思います。そういう面と、芸術性を深く考えたところの映画と、また映画館に行って映画を見るというのとは本質的に違うと思います。違いますから、そういう考え方に立ってテレビと映画会社が競争していくということは大いにけっこうだと思います。またそういう考え方に立って競争は大いにすべきだと思うのであります。しかし、その競争にそんなに影響がないということであるならば、私はやはり国民の皆さんがテレビを通じても見たいというふうな映画はある程度放出してもよかろうじゃないかというふうに個人的に考えておる次第であります。
 時間が長くなりますので、永田参考人に対する質問は私はこの程度で終わりますが、最後に、やはり国民全体がある程度見たいということを考えている場合には、そうしてそう損ではないというふうに考えるならば、テレビと映画との根本的な競争ということは別個にして、それはそれとしてやはり映画会社は考えていかなければならぬと思う。それは当然映画会社が今後発展をしていく面については考えていかなければならぬが、そういう面については、そう具体的に影響がないということになるならば、私はやはりそういう放出もある程度考えていってもいいのじゃないか、こう思うのですが、最後に一つ永田さんの該博なる知識をもってお答えを願いたい、こう思うわけであります。
○永田参考人 まことに頑迷で恐縮なんでありますが、何としても映画がテレビの犠牲になるということはできませんです。それだけの余裕がございません。また国民大衆の娯楽は、テレビも娯楽ならばスポーツも娯楽、映画も娯楽、人それぞれによって違いましょうが、映画がテレビのために犠牲になるということは、いかに頑迷として軽蔑されましても、断じてできないということだけを申し上げたいと思います。
○堤(ツ)委員 ちょっと関連して……。永田さん、先ほどから森本委員がおっしゃっておることは、できるだけ数多くの大衆の希望にこたえてほしいというのが御趣旨だったと思うんです。おのおの職業によって自己陶酔ということがあると思うんです。ですからあなたは純粋な映画製作者として、ある程度公平な目から見ると、自己陶酔の傾きがある。やはり農村人口というものは、日本の国民の半分以上を占めておるんです。この人たちが映画の上に健全な知識と娯楽を求めるということは、非常に大きな使命があると思う。そういう見地に立ったときに、芸術性がなくなるからテレビに乗せてもらっては二束三文になってしまう、従って映画製作者の立場からいえば困るのだ、こういうような御意図も私たち非常によくわかるわけなんです。しかし大衆に背を向けるところの映画というものはあり得ないんです。やはり国民の人口の半数を占めるところのこの農村の希望にこたえるには、あなた方が犠牲的な映画館を都市並みに農村に持っていかれない以上、やはり都市でない山間僻地の民衆にこたえるところの映画製作者の良心というものも私は当然なければならぬと思う。そうした見地から、ライバルのテレビであるかもしれないけれども、しかしテレビと手をつないで大衆の公共の福祉のためにこたえる道があるとするならば、具体的に、やはり頑迷固陋にテレビをライバルとしてお答えになるのではなしに、別途の方法を考えるというぐらいな御答弁があってこそ、天下の永田さんだと思うんですよ。そういう新たな考え方はないわけですか。
○永田参考人 御質問のお気持はよくわかるのですが、やはり私ども事業家でありますから、株主も控えておりますし、また大衆の中でありまするけれども、私どもの従業員もおる。一定の賃金の保障もしなければならない、また貴重なる投資をしておるのに対して、やはりある一定の配当を払わなければならない。ある最低限度のものを確保しながらこの事業を遂行していこうということについては、ライバルとしては、テレビというものは大へんな大ライバルです。ですから、今は対テレビの問題を議論しているのであって、それだからといって大衆に要するに福利施設的なものをやるとかやらぬとかいうことはおのずから私は別の問題だと思う。私はきょうは映画製作者の立場で参りまして、映画興行者的な立場で参っておらぬのでありまして、たとえばむしろ国会の権威のある方々が無方針に映画常設館の許可をされて、部会ばかりに偏在して、山間僻地には優秀な映画館を置いてないということは国土計画において私は間違いがある、かように思うのであります。そういう責任は映画製作者が持つべきでない、かように思っております。
○堤(ツ)委員 御趣旨はよくわかります。私たちとしても国会の中で国民全般のために考えなければならぬ問題が残されておることもわかる。しかも金もうけをなされなければならないあなた方に一方的に犠牲をしょわせるということはあり得ないということも御議論としてよくわかります。しかし、私は永田さんにこの際お願いをしておきたいのですが、御存じの通りテレビというものが、非常に心ある人から言わせると九千万白痴化運動といわれるような放送番組が非常に多い。放送関係の人には気の毒ですが、公平に私たちが見ておりまして、子供と一緒にすわって見ておれないような放送がたびたびある。そうすると、このテレビが非常に害を与えておるという面を考えるとき、今森本委員のおっしゃいました古くても国民全般に見せたい非常にいい映画というものがあれば、こうした時間をある程度充実してもらいたいということは、聴視者の立場から望むところでございますので、やはりこれはあらゆる意味から、あなた方に大きな犠牲を一方的に払えとは言いませんけれども、協力的な態度をお持ちにならないと私は知性を疑われるのじゃないかと思うのですが、そういう角度からいかがですか。
○永田参考人 もう御質問はよくわかるのでありますが、私どもだけが頑迷とは思わぬのですよ。何とならば、今日イギリスはなかなか一日の長があるし、アメリカだって先進国です。ドイツだって私はそう思っておる。それが結局それぞれの国において映画産業が防衛協会というものを設けて、またテレビ放送に対するところの対策連盟というものを設けて、あらゆる面から映画産業を守ろうとしておる。そして今あなたのおっしゃったように、テレビが国民大衆に与える影響の甚大であることはよくわかります。けれども、テレビはテレビの社会であり、私どもは映画製作、映画事業というものの立場でございまして、それであるからいつでもテレビ用の映画を作るといって、現在初めからテレビ用を作っておるのです。そうして優秀なるテレビ用の映画を作っておるのです。ですから民放の方でもNHKの方でも要するにテレビ用のものに御委託されて、どんどん出していったらいい。そうしてテレビの特徴、テレビは何といったって映像というものは御案内の通り十四インチのところにみんな入ってしまう。これが一番普及率が多いのですから、それに当てはまって、子供もおとなもみんなそういうように娯楽として、同時に娯楽を通じて教養的なものを作ろう。作って現に提供しておるのです。ですからその方をどんどんしていく、劇映画は劇映画としての立場がある、こういうことなんです。ですからテレビ室というものを設けて、そのテレビ映画を作っておるということだけは知っておいていただきたい。
○佐藤委員長 上林山榮吉君。
○上林山委員 私は前田参考人と永田参考人に少しばかりお伺いをしてみたいのでありますが、NHKは、これは言うまでもなく公共放送でございます。だから公共放送を国民としてもわれわれとしても力を入れてもらいたい、これは議論の余地がないと思います。そこで問題は、永田さんから非常に示唆に富んだ御意見があったと私は思いますが、映画会社がせっかく努力をして、そして作り上げたものを安上がりで自分たちが手に入れて、いわゆる森本君あたりの御主張になる大衆にこれを見せよう、こういうような意図があるように先ほどのあなたの御意見を拝聴して考えたわけであります。(森本委員「それは関係がないじゃないか」と呼ぶ)関係があるのだ。――そういうふうに私は考えております。(森本委員「人の名前を出すな」と呼ぶ)出したって……。委員長、注意したまえ。
○佐藤委員長 静粛に願います。
○上林山委員 そういうふうに考えるのでありますが、先ほど言われたように、NHKとしてもあるいは民放としても自分たちが創意工夫をして、公共放送としての立場をNHKは失わず、民放は民放としての立場をまた失わないで、諸外国の例にあるように、大衆の受けるいわゆるテレビ用の製作というものにどの程度今御計画を立てておられるのか、あるいは全然そういう計画はないのか、まずお伺いをしたいのです。
 それから永田参考人にお伺いしたいことは、これは仮定の問題であるからお答えが非常にむずかしいと思いますが、十年後の日本あるいは世界の映画界とテレビの進出との比例と申しましょうか、どちらが十年後になった場合は大きな打撃を受けるだろうか、この見解、これは前田さんもできるならばこれに対して――これは仮定の問題でなかなかむずかしい、むずかしいけれども責任のある立場にあられる方々は、五年後あるいは十年後という一つの見通しというものをお持ちになっておるはずだ。われわれはしろうとであるのでよくわからぬので、五年後あるいは十年後にテレビの方が映画に対して大きな打撃を与えるか、映画の方がテレビの進出をはばんでしまうのか、この辺のところは非常にむずかしい問題だと思いますが、この辺を一つ伺っておきたい。
○前田参考人 お答え申し上げます。私が劈頭に意見を述べさしていただいたときの表現が、あるいは非常に明瞭を欠いたかと思いますが、私どもの立場では、あらゆる番組は御承知のように自主的に編成し、自主的に公共の立場を明らかにしていくという態度をとっているわけでございます。従って私どもが放送する番組の内容は、劇映画だけの問題ではないのでありまして、劇映画も調和のとれた番組の一つとして、また国民の皆さんが要望するものであれば、これをテレビ番組に組み入れる責任と義務があるという建前で申し上げたわけでございます。従って私どもといたしましては、すでにわれわれ自身も製作をいたしております。今日までNHKが作っておる、いわゆるテレビのフィルムはおよそ三種類ございまして、文化的なものを今日まで約百本以上作っております。それからまた後世に伝え、あるいは海外にも理解してもらいたい日本の特殊の文化資産についても、おおよそ今日まで六十本以上のものを作っております。また劇映画につきましても、今年度下半期に大よそ三本作っております。従って、ただいまの御質問に端的にお答え申し上げますと、NHK自体は、すでにその問題についてはわれわれの責任と義務を自覚しながら、自主製作ということを建前にしていることは間違いございません。ただ一般的に申しまして、映画業者のお作りになったものも、まことに国民大衆のためにこれをテレビに乗せることが望ましいと考えるものについては、全力を尽くしてそれを乗せたい、また乗せる義務があるという確信を持っている次第でございます。従って私どもといたしましては、決して古い映画をちょうだいすれば安上がりで何とかごまかせるという考え方は全然持っておりません。もし各社のお作りになったもので、非常にいいものがあり、そしてそれが国民大衆の心から欲するものであれば、NHKといたしましても財政の許す限り、最大の犠牲を払ってもこれをテレビ番組に組み入れるべき義務を持っている、このように考えております。
 それからもう一つ、将来十年後にテレビと映画はどのような立場になるかということにつきましては、私ども確信を持って予想を申し上げるわけには参りません。それは私ども自体が、一体テレビというものは将来どのくらい伸びるであろうか――もっとも商業放送とNHKの立場は違いまして、NHKの場合は受像機の台数によって将来を判定するわけには参りません。私どもは世帯数を土台として、将来の判定をいたすものでありまして、従ってテレビの台数、セット数が、かりに二千万をこえた場合でも、日本の実情の世帯数からいって、われわれはどのような方向をたどらなければならないかということを根本政策として考える立場に置かれております。その意味では、私どもが考えるテレビと映画の将来につきましては、私どもはある意味でそれぞれの限界を守りながら、相互いに協力していくならば、併存できるという希望を持っておるわけであります。もっとも私ども自身も映画事業には非常に知識が乏しく、従って私どもだけのひとりよがりの考え方で、そのような考え方を持っても、はたして皆さんの御共感を得られるかどうかは別問題であります。たとえばこれは非常にジャンルが違いますが、相撲の実情などを考えますときに、そこに一つの協力方針さえ出てくるならば、必ずしもテレビというメディアの本来持つ性格が、映画製作、あるいは映画というメディア独特の本質を、圧倒的に押しつぶすということはあり得ないのではないかというのが、私どもの想像でございます。
○永田参考人 仮定の質問ですから、仮定に対してはこちらも仮定的なお答えをするのですが、将来五年先、十年先の映画とテレビというものについては、なかなか予断しにくいでありましょうが、基本的に私どもの考えておりますことは、映画の持っておる本質というものと、テレビの持っておる本質というものは、おのずから異なっておる。でありますからもちろん今後テレビというものはますます普及いたしましょう。その普及の過程により映画界、映画事業に相当なる影響力は持ちましょう。相当持ちますが、五年先、十年先、はたまた二十年、三十年先、永遠不滅として、映画産業は、そのときの力の弱いか強いかは別として、大なり小なり残っていく、かような想定で私は考えておるのであります。ただ先ほどからの御質問に対して私の意見をお答えいたしており、また参考人の方々がそれぞれの見解を述べておられるのですが、自分もせっかく貴重な時間を提供して来ておるので、私率直にこの機会に言わしてもらいたい。ということはまず第一番に日本の場合NHKの放送しておるテレビ放送と、民放のやっておる放送とどこに違いがございましょうか。にもかかわらずNHKというものは要するに法律をもってできておる。こういう存在価値が間違っておると私はかように思っておる。NHKが映画のことであるとか娯楽の程度というようなことを議論される必要はない。あの法律で設けられたるNHKの性格からいうならば、当然要するに広報だけを提供されたらよい。ニュース、報道、これのみに専念されるべきである。娯楽的なものだとかそういうものは、要するにNHKの線を通して国民に見せる必要はない。民放で堂々と生存競争を激しくやらせたらよい。私はこの機会に自分の意見の一端を申し述べて御参考にしていただきたいと思う。
○淺香委員 永田さんのお話も、お気持の点はよくわかりますが、そこで六社協定というものがあって、さらにその中にテレビ対策特別委員会というものがあって、いろいろ今日まで対策を立ててこられたようであります。私は民間放送連盟の方にお聞きしたいのですが、今日までどういう程度で、この映画産業団体の方へ折衝してこられたか、その折衝過程を一ぺん伺いたいと思うのです。と申しますのは六社協定とか、あるいは六社間にそういう特別委員会なるものが設けられて、今日まで古い映画といえども上映を拒否してこられたということは、あらためて公取関係の方を本委員会の方へ招致をいたしまして、はたして法律上そういうことができるかどうかということを一つ研究いたしたいと思うのですが、それに先だって、いわゆる民間放送なりあるいはNHKあたりがきょうまでどんな折衝の過程をしてこられたのか、その内容は、行き詰まっている問題は先ほどからのお話を聞きますと主として経済問題に帰結するかのように伺うのですが、どういう点にあったものか、あるいは根本問題に触れて、これは話がまとまらなかったのか、一つ酒井参考人からお伺いいたしたいと思います。
○酒井参考人 お答えいたします。民放では各社テレビが開局されまして、日本テレビなら日本テレビとして相当折衝し、ラジオ東京テレビはラジオ東京テレビとして折衝しております。その間いろいろ折衝の仕方も各社それぞれ担当の者が見えませんとはっきりしたことは申し上げられないと思います。簡単に申しますとそういうことですから、実情一つずつについて詳しいことが必要であれば各社の担当者を呼んでいただきたいと思うのです。日本テレビでは、先ほど申しましたように開局しましてたしか七カ月後に松力さんが映画五社の方をお招きして、劇映画というものはテレビ放送に欠くべからざるものであって、そして多くの聴視者が望んでおるものであるから、ぜひ協力していただきたいということでお願いしたわけです。それに対しまして五社の方々からいろいろ御意見がありましたようですが、二カ月くらいの暫定契約、ということは映画会社の間でまだほんとうの意見がまとまっていないということがあった、それから二カ月たちまして、さらにその期限が切れるころになりましてそれを延長する、また延長するというような形で続いてきた。その間にまたラジオ東京テレビができまして、ラジオ東京でも五社に対してお願いするということになりまして、その五社になるときに日活さんの方でまだ映連の方に入っておられなかったというようなことがありまして、社によっては日活だけと契約する、あるいは五社と協定をするというようなことがございました、というような過程を通じまして、結局日活さんがあとで映連にお入りになる、お入りになった場合もぜひ六社全社に一つお願いしたいということでございましたが、結局先ほどの永田さんのお考えが映画界のお考えだと思いますが、テレビに開放されないということになった。ただ前の契約がありまして、日活さんだけがさらにそういうことになりましてもしばらくの間は続く、それもまた中止になる、同時に外国映画につきましても日本映画だけでなくてこれは提供すべきでないというので外国映画の輸出業者の方で、これも申し合わせですか中止になった。こういう事情でありまして、その間のいろいろの折衝は各放送会社の担当者からまた申し上げれば一そう詳しく申し上げられると思います。
○佐藤委員長 金丸徳重君。
○金丸(徳)委員 私はこの問題が大へん深刻になっていることにむしろ驚きを感ずるのであります。そこで一つお伺いをいたしたいのであります。といいますのは、前田参考人と酒井参考人にまずお伺いをいたしたいのでありますが、こういうような娯楽なりあるいは報道なりあるいはスポーツなどのだんだんの進出拡大によりまして、いろいろなところに影響を来たしておると思います。そのために今映画界の方から大へんな大ライバルであって、何か不倶戴天のかたきのような表現が――これは少し強過ぎるかもしれませんが、永田参考人のお言葉をそのまま受け取りますとそのようにも受け取れるような表現をもってお述べになられたのでありますが、そういうようなことはひとり映画界ばかりではありませんで、寄席なり、あるいはまたスポーツで言いますと野球なり相撲なりその他の場面において、過去においていろいろ出てきたようにも思われます。また今後教育放送などの伸展によりましてその方面にもまた同じような問題を起こしそうにも考えられるのでありますが、しかしながら、そうした面においていろいろとときには壁にぶつかり、ときには問題を起こしつつ、やはり共存共栄の姿になって今日参っておるように思われるのであります。そしてそのことが、前田参考人が強く表現されましたような公共放送としての義務と責任を遂行する上に根本の問題であるとも思われるのでありますが、過去においてそうしたライバルと思われるような人たちとの間に共存共栄の姿においてうまく提携しつつやられたような実績というものがありますれば、一つここで両参考人から御経験に基づきまた今後そうしたものについての抱負なり方針なりを承りたいと思います。
○前田参考人 お答え申し上げますが、その前提として私どもの立場は――ただいま永田先生の、NHKは娯楽もやらぬでよろしいというような御意見をお聞きいたしましたが、私どもの立場は、いかなる業者あるいはいかなる人たちとも排他的に競争するという建前にはないのでありまして、その意味では、放送法を永田先生もお読みになったかもしれませんが、放送法にちゃんとNHKに課せられた責任として、調和のある各種の番組を組むことを強く要請されているわけでございます。またそれは単に放送法の条文の上だけでなしに、NHKの放送に携わる者は、当然国民のお金によってできているという建前からも調和あるあらゆる種類の番組を放送することが当然の義務だと考えているわけでございます。私どもはNHKの番組によってもうけようという考え方は毛頭ないのでありまして、国民に奉仕することをもって責任である、義務である、こう考えている次第でございます。従って私どもはできるだけ同じような性格の事業者、あるいは番組内容を通じて相競争するようなおそれのある――客観的にもあるいはまた実情からいっても、そういうおそれのあるものについてはできるだけ協調、協同して参りたいという考え方で従来からも大いに努力して参っております。従来スポーツの面では、たとえば相撲などもそういう考え方で、あるいは商業放送局の一部の方は同時放送は困るというお話もあれば、それじゃ少し時間を繰り下げてやろうというようなことも考えております。それからまた野球の場合も一、二支障がございますが、できるだけこれを公平にかつ国民の欲するゲームは、できるだけこれを放送すべきであるという考え方で、特にこの点では、アマ・スポーツについては全力をあげており、またプロ・スポーツについても、国民的な立場でこれを放送すべきものであると考えられるものについては、全力をあげながら、しかも各放送局との間に話し合いのつく局があればこれと同調し、協力しながらやってきているというのが実情でございます。また明年のローマのオリンピック大会につきましても、NHKが何か特殊の考え方でいろいろなことをやっているのでないかという端摩憶測があることは事実でございますが、今まで申し上げた所信の上に立って、何とか国際的にも醜態をさらしたくない、国内的にも無用な競争は避けたいという建前で、この点についてはかなり今日ではスムーズに軌道に乗りまして、民放連の方々とも話し合いながら、共同でオリンピックのゲームをフォローするという方向に向かっております。
○佐藤委員長 金丸委員に申し上げます。永田参考人はお急ぎのようですが、御質問ございますか。――酒井参考人、簡単にお願いいたします。
○酒井参考人 前田さんのお答えで大体尽きておると思いますが、プロ・スポーツの方でいいますれば、プロ・レスというものは、テレビによって初めて世の中に出て広まった。同時にこれがテレビ会社にとっても非常に大きないい番組になったというようなことで、野球につきましても、テレビに乗せることによって、今まで野球がわからなかった、あるいは見る機会がなかった者がこれを見ることができる、そしてそれがまた普及した、こういう事例は非常にあるのであります。それで、テレビが出ましてから映画も相当打撃を受けたと思いますが、テレビが出てから今日までの観客動員がどれだけふえているか、減っているか、先ほど森本先生も言われましたけれども、テレビが出まして興行収入がどれだけになっているかというようなこと、そういう具体的なデータが私は必要だと思います。日本の映画界というものは非常にたくましいし、すぐれた点がございまして、アメリカの映画界が受けたようなあれだけの影響というものを、アメリカの大型化とかカラーだとか、そういうようなことを非常に早く学びとって、最小限度に食いとめて、だんだん安定しているところにいきつつあるのではないか。アメリカではテレビと映画が対立の過程を通り過ぎて、大体バランスがとれた安定したところにきているのではないかというふうに私は思うのです。それで日本においても必ずそういうときがくる、そしてその形でやはり手を結んでいくべきときがくる、また現在そうなるべきじゃないかというふうに考えております。
○金丸(徳)委員 時間がありませんので端的にお伺いするのでありますが、それでは現段階におきましては、放送事業者と他の事業者との間に、対映画との問題以外にはそういう問題が起きておらぬ、こういうことに承ってよろしゅうございますか。
○前田参考人 お答え申し上げます。映画の問題もございますが、そのほかにも多少の、ことにプロ・スポーツについては多少の問題がございます。
○金丸(徳)委員 今のようなことで、若干スポーツ界などに同じような問題があるようであります。しかしそれとても、ただいま永田参考人が表現なさったような深刻な問題にはなっておらないのではないか。これは私ども外から想像いたすのであります。そこで永田参考人にお伺いいたしたいのでありますが、非常に賢明にして、少しきょうの表現ではがんこ過ぎるのではないかと思われるような表現をなさったのでありますが、しかし賢明なる永田参考人、私はいなかに住んでおりまして特に申し上げるのでありますが、先ほどから各御質問の中に出て参りましたように、いなかの方で見ていますと、娯楽機関としての両者は、共存し共栄し得るのではないか。ことに山間僻地などにおきましては、テレビによってヒントを得、テレビによって呼び水をされて、そうして言葉は悪いのでありますが、かえって誘惑されて遠くの映画館をたずねるというような人が多いのではないかと思われるのであります。従って、東京でお考えになるよりも、いなかの人々の気持を察しますと、私はこれは両者全く共存し得るの立場といいますか、場面を十分持っておるように思われる。それらについて参考人はどうお考えになっておりますか。
○永田参考人 お答え申し上げますが、その前に、先ほどどなたか御質問のときに、六社協定があって、六社協定において申し合わせなり協定があったというお話がございましたが、それは速記録で見ていただいたらおわかりだと思います。それは私の知る範囲におきましては、六社協定においてそういうことを協定したことはございませんということを重ねて申し上げたいと思います。この問題になりましたのは、映画産業に従事しておりますところのものが打って一丸となりまして、映画の団体の連合会が設けてある。その映画の団体連合会の構成メンバーは、私どもの直接関係ある日本映画製作者連盟、次に日本全国じゅうに、たとえば地域々々をきめましたところの興行者の環境衛生同業組合というのがあります。その環境衛生同業組合が一員として入っておりますことが一つ、それから日本映画海外普及協会、教育映画製作者連盟、日本映画機械工業会、写真感光材料工業会、外国映画輸入配給協会、この七つの団体が打って一丸となりまして、映画団体連合会というものを構成いたしております。これらの七つの部門の団体が、テレビ攻勢に対する対策の懇談会を設けた席上で、自今興行用すなわち劇映画として映画常設館用に作った映画は、テレビに提供しないということの話し合いをしたことは事実であるということを、あらためて重ねてこの機会に説明をさせていただきたいと思います。
 それから今の委員さんの御質問にありました、山間僻地においてはさのみ影響がないのではないか――何かこう、そういうような感じがいたします。いたしまするが、全国至るところに興行者の環境衛生同業組合というのがございまして、これらの興行者がその団体連合会に参りまして、こんなことをされては、われわれはつぶれるのだ、われわれは料金を取っている、テレビは取っていない、それが同じように、大きいか小さいかという違いであって、ただで見せられたら、われわれは金を取って、どうして見にきてくれるかというように、むしろわれわれの映画製作者よりも、全国の環境衛生同業組合の方がわれわれを助けてくれというような意味において、この団体が強く意見を吐かれておるわけであります。一々データはございませんけれども、常設館用に、興行用に作りました劇映画をテレビに流すことは、やはり影響力がございます。以上でございます。
○平野委員 関連して。永田参考人にお尋ねいたします。お急ぎのようでございますから、ごく端的にお伺いいたしますが、先ほどあなたは公共放送のあり方についてNHKというものはニュースまたはニュース解説に限るべきものだ、こういうお説で、これは放送法の精神からそうなるのだ、こういうことでございましたが、きわめて重大な御見解と思いますが、従って放送法の精神からすればそうなるのだという御解釈につきまして、いま少しく明確に願いたい。
○永田参考人 私は法律家でもございませんし、放送法という、いわゆるその法律の条文も知りません。私は日本の国民の一人として、こういうNHKの存在といたしましては、国民の一人として公共性の報道をする機関として私は申し上げた、かように国民の一人として解釈いたしております。しからば、そういう解釈ででき上がったものならば民放連中と競争する必要はない。独自な見解で、国家的見地に立って重要なるニュース報道というものに専心努力されることがNHKの性格じゃなかろうかと、かように私個人の解釈でございます。条文であるとか法律のことは知りません。国民の一人として、NHKのできましたこの法律が通ったのは、そういう性格、そういう思想からできたんじゃなかろうか、かように思いますので、私どもがじっと日々、やはり競争相手でございますから各社のテレビの映像を調査しておりますとちっとも変わらぬのです、民放の要するに映像で見るものとNHKのものと。ただNHKには広告が出てこないだけです。これがわずらわしくないというだけの話です。だからおそらく私は、これは私の想像で、おしかりを受けるかもしれませんけれども、今日のこういう委員会で参考人に呼ばれたことも、NHKが一枚入っておるからややこしいことになってきたんだと思う。民放と対映画製作者だったらこういう偉大な国会においてこういうことは議論されてこなかったんじゃないかと私は想像しておる。こういうでき上がった性格を逸脱して民放の連中と争っておられるからこういうことにこんがらかってきたんじゃなかろうかと、私の一方的な考え方ですけれども、こういうように考えておるわけです。
○平野委員 ただいまの御見解、一面においてまことにごもっともな点もあると思います。実際において民放とNHKとの差は広告が入るか入らぬか、こういうふうに見られる点もあると思いますが、これは実に私は日本の放送のあり方について重大な点だと思います。ついては、これに対して政府は一体どう考えておるのかということを伺わなければなりませんが、郵政大臣からこの点についての御見解を明確に承りたいと存じます。
○植竹国務大臣 郵政省といたしましては日本放送協会も民放の方も放送法に基づいてその事業を遂行して参りますれば何らこれに対して言うところはないわけで、それでけっこうなのでございます。番組の内容につきましては、あるいは文部省あるいは国家公安委員会が関係、関与して、監督行政で関与をして参ることもございましょうが、それならばどういう番組をやっていくか、劇映画をやっていこうか、ニュースをやっていこうかということにつきましては、この放送法の――そしてまた劇映画をやっていくかニュースをやっていくか、そしてしかもその劇映画が映画会社が製作した劇映画をやっていくべきであろうとか、あるいはまた自主的に放送事業者が製作した劇映画をやっていくべきであろうかどうか、こういうことにつきましては、郵政省としてはこれに関与しない、関与すべきものではない。ということは放送法の第三条に照らして明確であるわけでございます。つまり第三条は「法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」というのが放送番組についての番組編集の自由の規定である、さように承知いたしております。その「法律に定める権限」と申しますのは、たとえば薬事法に基づきます広告についての規律とか、公職選挙法に基づきます選挙の報道であるとかいうふうに、特に法律に定めておりません場合は、あとは放送事業者の自由の意思でもって、公共の福祉を旨として事業をやっていかれればよろしいと思います。放送法の一番の眼目は、これは企業性と申しますより、この放送を公共の福祉に適合するように規律するということが放送法の一番の大原則であろうと存じます。これは民放にも日本放送協会にも共通した放送の大原則であると思います。また第三条には、いわゆる何人からも干渉されない、この何人ということはむろん政府も入っておりますし、広告主も、作品の依頼者、その他何人からも干渉されない。こういう放送法の大原則に従って監督行政をいたしておりますけれども、なお番組の編集の審議会その他の監督行政につきましては、詳細は電波監理局長から、もし御質問によりましてはお答えするようにいたしたいと思います。
○平野委員 私はそんな電波監理局長から放送法の内容についてどうとかいうことを伺っておるわけではない。今私は永田さんの御意見で非常に感服しますことは、私は放送法の内容はよく知らない、しかし国民の一人として、現在の放送のあり方は間違っておるのではないか、こういう点について私は非常な御見識だと思う。いわんやわれわれはお互い、あなたも国会議員として、郵政大臣という立場を離れて、日本の放送のあり方はどうあるべきかということを考えなければならないのであって、本日ただいまこの委員会で放送の問題が取り上げられておるということも、あるいは将来放送法をさらに直さなければならぬということももちろんありまするから、そういう点においてこれをやっておるわけであって、現在の日本の放送のあり方というものは、少なくともNHKと民放というものは相当の差異がなければならない。一方は広告をとって商業的にやっておるのであるし、一方は国民からほとんど税金と同じような形でもってやっておる、こういうことでありますから、NHKと民放というものはそこに相当の差がなければならぬということは当然でありますが、その差は広告が入るか入らないかということだけだということでは、これは差にならぬと思いますから、どうしても私はNHKのあり方についてこの際、特にわれわれはお互い国会議員として考えなければならぬ。そういう点を伺っておるわけなので、率直に一つその立場からあなたの御見解を伺いたいのでございます。
○植竹国務大臣 それでは御答弁申し上げるにつきまして、立法論と現行法に基づいた監督行政と二つに分けてお答え申し上げたいと思います。
 現行法をもとにした監督者の立場といたしましては、これは放送協会も民放の方も現行法の規定に従って、その現行法の趣旨は、さきに申し上げました第一条の公共の福祉と第三条の放送番組編集の自由、こういう原則をお守り下さって事業を経営なさればそれでけっこうだ、現行法を適用しての監督行政者の立場としては、さように明確に考えております。
 立法論といたしましては、これはいろいろございますでしょうし、郵政大臣としては省の意向とかまた政府の意向をまだ取りまとめておりませんので、郵政大臣としてのお答えは差し控えたいと思います。また個人的には日本の電波放送、日本の放送政策については、私も自分ではっきりした一つの考えを持っております。持っておりますけれども、私が現に現行法に基づいて監督行政をいたしておる立場から、今日の段階において、これを公開の席上で発表いたしますことは、これは影響が大きいと存じますので、その点は一つどうぞお許しを願いたいと思います。
○森本委員 きょうのこの参考人を呼びまして聞いておるのは、大体劇映画をやらすとかやらさぬとかいうことよりも、そういう劇映画というものを場合によってはぼつぼつやらしてもいいのじゃないか、全然今放送してないからやらしてもいいじゃないかということを聞くために、あるいはまたその劇映画がなぜ全然放送されないかということを聞くために呼んだのであって、今の永田参考人の、いわゆる個人的な意見としてNHKが報道と広報だけでよろしいということが、これは永田参考人個人の考え方であって、これはいわゆる放送法に基づいてNHKは公共放送並びに娯楽放送をやっておるわけであって、その問題についての論争というものはこれはまた別個に時を改めて論争をしなければこれまた問題が大きいわけであって、何も現在その参考人の私見をとってここで郵政大臣がどうこうということでなしに、郵政大臣としては現行の放送法に基づいてのいわゆるNHKあるいは民間放送に対する監督行政をやっておるだけのことであって、その問題となにとはまたおのずから別個である、ただ永田参考人の御意見は個人的御意見として速記録に載っておるわけでありますから、われわれもこれを拝聴すればいいわけであって、それに対して今直ちに郵政大臣がどうこうということは私はおかしいと思いますし、また郵政大臣が現在意見を述べるならば、現在のNHK並びに民間放送というものは放送法に基づいて、その放送が法的根拠に基づいて現在運営が行なわれておる、何らおかしいことはない、こういうことになろうと私は思うわけであります。だからその点についての質疑応答というものはここでは一応控えておいてもらって、別にやるならば、この委員会はいつでもやっておるわけでありますから、放送の根本的な問題、放送法の今後のあり方その他の問題については、これまた参考人を別途に呼ぶなりあるいはまた証人を呼ぶなり、それぞれ審議をしてもらいたい、こう思うわけであります。そういう点についての議事の進行については、委員長の方で一つお諮りを願いたい、こう思うわけです。
○佐藤委員長 これにて参考人よりの意見聴取を終わります。
 参考人各位には貴重なる御意見をお述べいただきましてありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
    ―――――――――――――
○佐藤委員長 次に森本委員より政府当局に対し質疑を求められております。これを許します。森本靖君。
○森本委員 参考人と一緒にやればよかったわけでありますが、参考人が非常に急いでおるようでありますからお帰りを願って、政府当局に質問をするわけでありまするが、特に公正取引委員会の委員長が見えられておるようでありますから、先ほど来の参考人とわれわれとの間における応答を聞いておってよくおわかりだと思いまするが、公取にお聞きしたいことは、まずこの映画産業がテレビ放送に対して劇映画その他また俳優等については提供しないというふうな申し合わせをしておるということについて、いわゆる公正取引委員会の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の観点からいたしまして、これについての調査をせられたことがあるかどうか、まずお聞きしたいと思います。
○佐藤説明員 ただいままで参考人各位からいろいろお話を伺い、映画館で上映する劇映画をテレビに出すかどうかという点につきましていろいろ競争があるようでありますが、われわれ独占禁止法の立場といたしましては、公正な取引、自由な取引というものがわが国の産業の根本である、これに反することはどしどし押える、これによって消費者の利益を増進するということを考えておるのであります。ただいまのこの映画の問題につきましては、刑事事件で申します告訴、告発に該当するような申告というものがわれわれの委員会には参っておりませんし、また現段階におきましては多少激烈な競争があるという話を聞いておる程度でありまして、それについて独禁法上云々ということは実は聞いておりません。従って現段階におきましては、われわれの方といたしましては特別な調査はいたしておらぬ、こういう状態であります。
○森本委員 全然事務当局でも調査をしたことはないのですか。このいわゆる六社協定でなしに、六社の申し合わせ事項と申しますか、そういうことについて事務的にも調査をしたことはございませんか。
○佐藤説明員 事務当局においては若干調査しておるように聞いておりますけれども、私の方の機構は事務当局がいろいろ調べまして、その結果を五人で構成される委員会に報告して、委員会でどういうふうにしろ、場合によっては意思決定をすることになりますが、この委員会との関係においては、まだ十分な説明を聞いておりません。
○森本委員 これは協定ではない、申し合わせ事項であるというふうにいわれておりまするが、ただ劇映画というものが映画館での上映を目的として製作されるものであって、テレビ放送に提供すべきものとは考えられぬということは、それは当然そういう解釈になると思いますが、しかし今全面的に値段の問題でなしに、映画そのものは一切提供しないということを映画会社が申し合わせ事項とするということについては、ある程度私はこの独禁法の第二条の六項ないし七項あるいはまた公取の告示の第十一号に若干でも抵触するようなことがありはしないかという疑義を感ずるわけでありますが、それについて若干でも疑義を感ずるということをお考えになったことはございませんか。
○佐藤説明員 今お話がありました点につきましては、事務局におきましても若干の研究はしておりますが、全然公取法上問題にならぬということでもないようであります。むしろ研究中と申しますか、事態を見ておる、こういう状態であります。
○森本委員 この私的独占禁止法のいわゆる第二条の六項あるいはまた七項あるいは公取の告示の第十一号にはある程度ひっかかるというふうな点もなきにしもあらずという感じを私は抱くわけでありますが、そういうことについて今ここでこの項目ごとにいろいろ質疑応答をやっておりますとかなり時間がかかりますので、また日を改めてこの委員会においでおいでを願うなり、あるいはまた商工委員会あたりで今東映ニュースの問題がコマーシャルをつけてやっておることが問題になっておりますので、その際に一緒にこの問題を質問をしたい、こう思うわけでありまするから、一つ公取の方でもこの映画の問題について、一応この条項をにらみ合わせた研究と申しますか、あるいは調査と申しますか、そういうものを一つやっておいてもらいたい、こう思うわけでありますが、どうですか。
○佐藤説明員 承知いたしました。
     ――――◇―――――
○佐藤委員長 日本放送協会昭和三十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書を議題といたします。
 質疑の通告があります。これを許します。金丸徳重君。
○金丸(徳)委員 ただいま議題と相なりました財産目録、放送協会の三十二年度の業績につきましての提出文書によりますと、いろいろな点についてお伺いしたいことがありますが、こまかい数字などあげておりますと時間もかかりますし、要点だけをお伺いいたしておきたいと思います。
 何と申しましても、先月の初めの委員会においてお伺いいたしましたときに、会長から御回答をちょうだいいたしましたその中で、私どもが強く印象づけられましたのは、テレビにおきましては三十二年度以来予想以上の好調をもって今日に及んでおるようでありますが、残念ながらラジオの業績というものは必ずしも芳しくない、他の面はとにかくといたしましても、今やその収入面が決して楽観を許さないというようなことでございます。この文書を拝見いたしますと、こういうふうに書いてあるのであります。三十二年度におきましては、「受信料収入が昭和三十一年度に比較し五億千八百九十一万円の増となっておりますが、これは受信者低普及地域の開発や、受信者の早期契約締結運動を積極的に推進いたしたためであります。当年度内における有料受信者数の増加は五十四万でありましたが、これは前年度の増加数に比し十三万の減であり、ラジオにおいては普及率の上昇とともに新規受信者の獲得が次第に困難になっていることを示しておるものと考えられます。」ということが、報告文書の中にうたわれておるのであります。こういうことは、これはたびたび当委員会においても議題となり、特に今春の料金改定の際におきまして、特にこの点を繰り返し繰り返し質問も行なわれ、検討が進められたのであります。そこで、前会私がお伺いいたしましたときには、三十四年度の状況は、春に予想したものよりもさらに下回るのではないかというようなことが、御答弁の中からうかがわれたのであります。それも、まあ、まだ三十四年度を終わったわけじゃありません、半ばでありますが、七、八、九、十というような四カ月につきまして、どんな足取りをもって実際面に現われておりますか、お伺いをいたしたい。
○小野参考人 お答え申し上げます。ラジオの受信者の増加の状況、これは過般の受信料値上げの際に際しましても、いろいろと問題のあったところでございます。協会といたしましては、当時大体契約の現在数が一千四百万にもなっておりましたので、これは日本の世帯数その他の関係から見まして、これでもう全然余地がないとは言いきれませんが、相当に普及度が高いので、これ以上の増加は、そう多くは期待できない、しかし何がしかは増加するであろうというような見通しを立てておったわけでございます。現在の状況についてのお尋ねでございますが、本年度に入りまして、当初そのように予定いたしておりました通りの歩みをいたしておらないことは、非常に遺憾でございます。三十四年度予算におきましては、千四百万の三十三年度末における契約者の数は、十万ふえて千四百十万になるであろう、このように目算は立てておったわけでありますが、事実は、そのように参っておりません。と申しますことは、ラジオの受信者の数が、現実に事実の問題として減っておるのではなく、この面はふえておると思いますが、テレビの普及につれまして、テレビをつけたからもうラジオは聞かない、あるいは機械が故障していて役立たないから契約はやめたい――たまたまその契約の解除の方法等につきましては、いろいろと人員獲得難その他の要員関係のいろいろネックもありまして、漸次そういった契約の仕方並びにこれをやめたい場合の扱いを簡素化いたしておりまして、はがき一本はもちろん、電話一本でも廃止の申し込みはすぐ受け付けるような取り扱いはいたしておったようなわけであります。そういうようなことも関連いたしまして、漸次減って参りましてただいま七、八、九、十と申されましたが、四月以後大体各月六万ないし七万ぐらいずつ実際には減っておるというような状況になっておりまして、この状況でずっと推移をいたしますと、かれこれ七、八十万、少なくともそのくらいは契約者の数としては、減るのではないかということが見通されるわけであります。しかしこれは過日の委員会におきまして、会長から、根本にはこれはモラルの問題があるので、この辺の問題だというようなお答えをいたしたわけでありますが、現実に調べてみますと、そのように廃止をいたしておりましても、全然これがラジオを聞いておらないというようなことではなくて、実態の調査からいたしましても、廃止者の八割は、やはり現実にはラジオを聞いておるというようなことがわかっておるわけでありますので、何にいたしましても、現在の法律の建前では、そういったラジオを備えつけますと、契約をしなければならない、こうなっておりますが、少なくともそういった関係が契約の関係になっておりますので、この関係について、どうしてもそれをやめるのだと、こう言われれば、これをあえてわれわれの方といたしましては認めないというわけには参りません。またその実際の調査から申しましても、今日のようないろいろ携帯に便利なトランジスターの小型のもの等が普及して参りますと、これが実際にラジオを持っておるかどうか、聞いておるかどうか、こういったことはなかなか調査が困難なわけでありまして、極力そういう面につきましては、機械が故障ならお直しをいたしましょう、またラジオの面についてはテレビとは違った特殊な使命もありますから、できるだけやはりそのような番組編成をいたしておりますので、何とか継続して聞いてもらいたいということで、いろいろな努力をいたしつつあるような状況でございます。
○金丸(徳)委員 念のためにお伺いいたしますが、今のお話ですと、七、八十万も減るというのは、三十四年度末において千四百十何万になるのが千三百何万に減るということですか。大よその見込みはどのくらいになるのですか。
○小野参考人 お尋ねの通りな数字でありまして、今までの実績から申しますと、四月以後、毎月六万ないし七万ずつ減っております。これを今度十二、一、二、三とこの歩みで推定をいたしますと、大体一カ月平均七万といたしまして八十万余りの減少を来たす、そうなってきますと、五カ年計画の三十四年度の見込みといたしまして、三十三年度末千四百万に十万はふえるであろう、こう目算をいたしておりましたそれは、その限度におきましてはその十万がふいになるばかりでなく、千四百万のうちさらに今のような数字が引っ込んでくるというような結果になるわけであります。
○金丸(徳)委員 私はこれはゆゆしい事態だと思うのであります。三十三年度まではテレビなどの非常な進出にもかかわらず、とにかく絶対数がふえてきておる。毎月ふえつつあるにもかかわらず、三十四年度になりましてからは毎月減る。減る数もまた容易ならぬ数のように思われるのですが、これは当然に協会の営業の実態に触れてくるような、土台をゆすぶるような事態とも相なるわけであります。そこでそういうことについて何か根本的な原因をお探しになり、対策を練られる必要があるのではないか。ただ単にこれはモラルの問題だということを言われますが、それも私は根本に横たわっておると思いますけれども、それならそれで、何とかそれについての対策を積極的に練っておかれる必要があるのではないかと思います。これは単にテレビが進出したということだけではなしに、何かもっと深刻に考えらるべき原因というものがひそんでおるのではないか、こう思われる。ことに私は、先ほども小野専務のお答えの中にありましたように、機械自体は非常にふえておる。聴取者はふえておると想像せられるにかかわらず、加入契約者が減るという事態は、これは大へんなことだと思うのでありますが、これについて根本の原因をお探りになり、根本の対策をどういうふうにお立てになるおつもりでありましょうか承りたい。
○小野参考人 御質問の御趣旨ごもっともだと思います。私どもといたしましてもこのまま推移をいたしますと、協会といたしまして当然果たして参らなければならない良質の放送を、全国津々浦々あまねくこれを放送して参らなければならないわけでございますが、そういう面におけるいわゆる財源調達の面に非常な支障を来たすわけでありますし、目下真剣にこれが原因と、これに対する対策を考究しつつありますし、現にその一部のものにつきましてはいろいろと努力をいたしておるわけでございます。
 廃止の原因につきましては、テレビの普及につれて、テレビを備えつけたからラジオは要らないというような理由で解消をされるのが最も多いようで、それに次ぎまして、機械の故障であるとか、現在聞けないから、従って金は払わないというような理由になっておりますが、そういう点につきまして、根本にさかのぼって、現在の放送法の契約の仕方等につきましても、まだ十分に了解をされておらないような面もありますので、こういう面も、ラジオ放送、テレビ放送、その他印刷物等を通じまして、放送法に規定してありますような、いわゆる契約義務の状況をPRをいたしておるようなわけでありますし、また一面には、トランジスターのラジオには契約をせぬでもいいのだ、料金を払わなくてもいいのだという気持も、ばく然とながら行き渡っておるようでございます。こういった面につきましても、そうではないので、ラジオの受信契約は一個々々ではなくて、世帯単位ではありますが、その世帯に、そういったトランジスターでないラジオを備えつけてあれば、これは一個の契約でいいわけでありますけれども、そういうものなしで、トランジスターのあの小型のものだけしか持っておらない場合には、これについても契約をしていただかなければならないのだということで、いろいろお願いをいたしておるようなわけであります。さらにまた、自動車に取りつけたラジオにつきましても、これはすぐ契約をしなければならないというような気持も十分行き渡っておりませんようで、この点につきましても、いろいろPRに努めております。と同時に、解約の仕方につきましても、電話一本というような、これはいろいろな要員等の関係でそこまで簡素化いたして参ったわけでありますが、この点につきましても、ある一定の様式を備えて申し出をしてもらうという契約の廃止方法の改正を試みますとか、あるいは本年度成立予算を差し繰りまして、この方面に相当な金額をつぎ込みまして、できるだけそういった減少を防ぐような方向に、あるいは臨時の人の面で、あるいはラジオ商その他のいろんな組織を通じまして努力をいたしておるようなわけでございまして、廃止の申し出がありましても、はい、そうでございますかで、すぐそれを廃止の欄に記載しないで、現実にお宅を訪問して懇願をいたしておるようなわけでございます。その成果は、現在のところでは大体当たりました件数の二割は継続が可能だ――全体の二割でございますから、成果としては十分でありません。現状をもって決して満足いたしておるわけではございませんが、着々とそのような手を打ちつつありますし、さらにもう一そう有効な措置について、いろいろほんとうの原因と、それに対する適切な方法を真剣に検討を続けて参らなければならないと思っております。かような努力を現在いたしつつあるわけでございます。
○金丸(徳)委員 いろいろ御苦心されておる様子はわかりましたが、これは一つ具体的にお伺いいたすのでありますが、この提出されました書類の中に、「三十二年度監査実施状況」というのがございます。これを拝見いたしますると、いろいろの内面監査をされておるのでありまして、「とくに経営の刷新、合理化、事務の簡素化と総合能率の増進による収入の増加及び経費の節減を計るいわゆる経営能率監査に重点を指向する。」というようなことで三十二年度もおやりになっておられます。おそらくこの方針は三十三年度においても踏襲されておると思いまするし、ことに三十四年度、こういうNHKの経営の土台がゆすぶられるような事態が生じた今日におきましては、こういう方針はより一そう強化されてきておるのではないかというように思うのでありますが、これについてはどういうことになりましょうか。いずれ三十四年度の実態は二、三年たって明らかになるでありましょうが、今日伺っておきませんと間に合いませんのでお伺いするのです。
○小野参考人 三十二年度におきましても、お手元にお配りいたしてある資料に記載してありますような努力をいたしておりますが、もちろんその後におきましてもこれを強化いたしまして、今の廃止の防止について、ことにその方面を直接担当しておる部門だけでなしに、協会をあげての問題でございますので、協会の総力をあげましてこの方面に非常な関心を呼び、しかもこの方面の実態を十二分に把握いたしますとともに、これが有効な防止策等についていろいろ検討いたしておるわけであります、もちろん将来におきましてもそのような措置は十分に強化して参らなければならないと考えております。
○金丸(徳)委員 時間がありませんからあまり繰り返すことはよしますけれども、そういうような方針をとられておって四月以降見られたところの大へんな事態というものは十月ないし十一月後半期において改善される傾向が見えてきておりましょうか。
○小野参考人 直接この方面に当たっております集金人その他加入事務あるいは受信機の修理の面を扱っておりまする方面におきましては、いろいろ本部の監査上の注意あるいは指導の面と相待ちまして全く日夜真剣に取り組んでおります。その成績は、大体減少傾向はすでに昨年の秋ごろから見えておったのでありますが、本年度に入りまして特にそのような減少が顕著になっております。そのようなことで本年度は特にこの方面に、予算の実行計画策定の上におきましても特段の配意をいたしまして、経費をつぎ込んでやっておるわけでありますが、現在までまだこれで十分だという成績はあげませんが、当初非常に困難であった点が漸次そういった効果も、いわゆる防止率も高まって参りまして、廃止の申し出がありましても全体の二割見当は今の努力で食いとめ得るようなことになっております。それでもまだ八割は消えていくわけでありますので、これの防止についていろいろと抜本的な方法を考えなければならないと思いますが、そういう面は目下非常に研究を急ぎ、これの有効な措置を早くとっていくようにいたしたいと思っているわけでございまして、今年度いろいろな施策をとって参りましたが、月を追ってそういうような方面も順次職員もなれて参っておりますし、PRの面についてもいろいろ考え直さなければならぬ点があり、そういうような工夫を取り上げました結果、少しずつ防止の率は増加をいたしつつあるような現状でございます。
○金丸(徳)委員 いずれこの問題につきましては、時日の経過とともに実績などを数字によってお示しを願ってまたお伺いをいたしたいと思います。きょうは本年度の業態の問題ではありませんのでこの程度にいたしますが、もう一点、三十二年度の業務報告書及び郵政大臣の意見書という書類によりますと、いろいろ問題があるのでありますが、きょうはこの点一つにしぼってお伺いいたしますが、放送番組の考査という項がございます。その中に各中央放送局においてもその制度の拡充をはかり云々ということで三十二年度の業務の状況に基づく方針が今春の放送法の改正に盛り込まれていきまして、中央の放送番組審議会以外に各中央放送局における地方放送番組審議会というものが設置せられておるのであります。その活動状況につきましては前会もお伺いいたしたのでありますが、さらに中央放送局の下の各放送局におけるローカル放送の番組内容の充実向上というようなことについてどういうふうな方策がとられつつあるか。といいますのは、私はこのラジオの聴取者の減少状況には、もちろんモラルの問題もありましようけれども、もしかするとNHKの放送について興味を失って、むしろ民間放送の方に気が向いてしまうのだ、従って、道徳的に考えても聴取料を納める必要がないのだというふうな考えを持っておる者がだんだん出てくるのではないか、こう思います。そこで、もしそういう傾向が少しでもあるとするならば、そういうものについては、番組の内容充実というようなことによってこれを食いとめなければいけない。その食いとめる一つの方法としては、やはりローカル放送というものをかなり強く見ておかれる必要があるのではないか、こう思います。民放が地方のローカル色をかなり出しておるのに対して、NHKの番組が必ずしもそうでないということがもし原因の一つと考えられるとするならば、これも相当に対処策を講じなければならぬという意味におきまして、せっかく今春作りました放送法の改正の中の大きな眼目、番組審議会の充実及びこれが活動の活発化ということに関連いたしまして、各現場機関、放送局におけるローカル番組の内容の充実というようなことについてどういう方針をとっておられるか、お伺いしたい。
○野村参考人 ラジオの受信者が減少することについては、いろいろの原因があると思います。先日お答え申し上げたような事情があると思いますが、私は、積極的に難聴地域を解消しつつ、また老朽施設を改善して、どこでもNHKのラジオを聞き得るような状態に置かねばならぬというので、この施設面においても大いなる改善をはかりたい。そうして未開発地域と申しますか、低開発地域と申しますか、そういう地域を十分開拓していきたい。そうして受信者の増加をはかっていく考えでおります。私はNHKに参りましてまっ先に私が申したことは、このローカル放送を充実していくことが緊要であるということでありまして、電波事情が許し、NHKの財政事情が許せば、できるだけローカル放送を充実して、この地域社会の皆さんの御期待に沿うように努めていくことにいたしておるのであります。NHKのラジオは一分でも一時間でもどうしても聞かねばならぬというような気持を、いろいろの分野において、いろいろの階層において、いろいろの地域において皆さんに持っていただくようないい放送をしていきたい、私はかように考えて、番組の面においてもこれから改善を加えていきますが、ことにローカル放送については力を入れていって、ただに受信者の減少を防ぎ、増加に努むるというだけでなしに、これは日本の文化のために必要なことだ、かように考えております。
○金丸(徳)委員 会長の御趣旨、よくわかりました。私は、これにつきましては、また後日機会を見まして、各局長さんからしさいにわたってお伺いをいたしたいと思いますが、これをもってきょうの問題につきましての私のお尋ねを終わることにいたします。
○森本委員 ちょっと聞いておきたいのですが、この「昭和三十二年度監査実施状況」という内部監査の問題について、私の要求によって日本放送協会から資料が出ておりますが、この内部監査を実施する機構はどうなっておりますか。
○小野参考人 監査機構といたしましては、現在監査室一室を設けておりまして、そこに室長以下所要の要員を置きまして、一定の監査の年度基本方針を立てますとともに、全国を計画的に監査をしていく、このようになっております。
○森本委員 それは監査室長以下何名ですか。
○小野参考人 正確には今ちょっとあれでございますが、大体二十人見当と思っております。
○森本委員 その監査室と監事との関係はどうなるのですか。
○小野参考人 監事は、いわゆる経営委員会にも非常に密接な関係を持っております監査機関でございまして、これと監査室とは全然別個のものであります。監査室は、大体におきまして自治監査というようなことをやっておるわけであります。その意味におきましては、会計の面から、業務の面から、その他いろいろ全般にわたりまして自治的な監査をいたしておるわけでございます。
○森本委員 それじゃ一体監事は協会では何をやっているのですか。これはたれに聞いたらいいかわからぬが、わかっている人からお答え願いたいのですが、監事の協会における任務です。
○野村参考人 監事は、御承知の通り経営委員会において任命することになっておりまして、放送法の改正によりまして三人の監事がおります。そのうち一人は常任監事として毎日出勤しておりまして、経営委員の指示するところによって業務を監査しております。そうして経営委員が指示したこと以外に直接自分の気づいたところをわれわれ理事者について聞いて、これを経営委員に報告しておるような状態であります。
○森本委員 この監事は、放送法の二十六条によって「監事は、会長、副会長及び理事の行う業務を監査し、」そうして「その監査の結果を経営委員会に報告する。」と、こうなっておるわけです。その監事は、常任監事が一名で、非常勤が二名と言われますが、常任監事のもとに何名の要員が配置されているわけですか。
○野村参考人 経営委員会の事務局と申しますか、経営委員会の手足になってNHKの業務を行なっているのはわれわれ執行部であります。
○森本委員 私が聞いているのは、常任監事の手足となって動けるスタッフは何名いるかということです。端的に言えばそういうことです。簡単です。
○野村参考人 それはおりません。
○森本委員 これが私は非常におかしいと思うんですよ。大体NHKは内部監査をやっても、本来ならば内部監査をやるところのこの監査室というものを監事にひっつけて、そうして監事が特殊な立場における監査を行なって、経営委員会に報告をするという形をとるのが私は妥当じゃないかと思うわけです。しかし、これはこの前も電電公社の監事を新設をする場合に論議せられた事項であります。そこで、たまたま現在の電電公社は、その監査機構と監事は別個になっております。監事というものは、大きな経営の合理化あるいは経営の内容、いわゆる事業の運営を大局的にやるところだ、こういう答弁があったわけです。大局的にやるところで、それでは一体監事の手足になって動くものはどうなるか、こういうことになって、あの法律を作るときに、結局その問題が論議をせられて、現在の電電公社は、監事というものは大局的な運営を監査するということになって、そうしてその手足になるものは、大体十人かそこらおるわけです。そういうことでないと、NHKの監事というのは給料を支払うだけだということになって、ただおるだけだというような監事では、おそらく監事というものの意味をなさぬと私は思う。大体各会社の監査役とかその他の任務を果たすべきものがこのNHKの監事じゃないか、ただ単にはみ出たから監事にした、給料は理事とそう大してかわらぬということでは、これは監事のあり方が非常におかしいのじゃないか、こう思うわけであって、一つこれは、次の機会には、十分に、NHKは――これは経営委員会の任務でありますが、経営委員会あたりで、十分にこの監事の仕事の内容、扱い方というものについては論議せられることを希望いたしますが、それと同時に、NHKの会長、副会長、理事諸君においても、この問題については、やはりもう一ぺん検討してみる必要があるのじゃないか。今早急にどうこうという結論を出すというわけではございません。ございませんが、将来の問題として、この内部監査のあり方と関連をして、常任監事のあり方については一つ十分に検討する必要があるのではないか、こう思うわけでありまするが、これは会長の御意見を聞く前に、一つ郵政省のこれに対する御意見を先に聞いておきたいと思います。大臣一つ……。
○植竹国務大臣 これはまことにごもっともなお話でありまして、民間で申しますと、取締役と監査役とは、片っ方の取り締まられる役が取締役で、取り締まる、監査する役の方が監査役であるべきはずなのでありますが、とかく民間の場合などは、同じような種類の人が、一方は取締役になり一方は監査役になっておる、そういう実情でございますので、この監事の選任をどういう立場の人が監事になって公正なる監査をしていくかということは、すべての事業経営上大切なことだと思います。お説ごもっともでございます。今後法律等の改正の場合には、さらにこの点は検討すべき課題だと思いますが、現行法におきまして監督行政をやって参ります上からには、厳正なる、公正なる監査が今後行なわれまするように、郵政省として監督して参りたいと存じます。
○森本委員 大臣、そういうおざなりの答弁をしてはいかぬのですよ。この法律を改正するとき云々ということは、それはいつのことかわからぬし、またわれわれは、あなた方が考える改正に必ずしも賛成するとは限らぬわけであって、そうでなしに、現行の、改正された放送法に基づいても、第二十六条に「監事は、会長、副会長及び理事の行う業務を監査し、」とあるわけです。いいですか。「監事は、会長、副会長及び理事の行う業務を監査し、その監査の結果を経営委員会に報告する。」こうあるわけです。その監事の手足になるスタッフのものが一人もおらぬような監事が、一体この第二十六条の四項に該当するような仕事ができるかどうか。だから現行法律においても、監事に実際に仕事をさせようとするならば、その中へ、監事室なら監事室というものに、たとえば電電公社でやっておるようなスタッフを、十名なら十名、五名なら五名つけて、それに一つの、いわゆるこの第二十六条の四項によるところの仕事を与えてはどうか。任務をみごと法律において与えておいて、一人だけちょこんと常任の監事を置いておいたところで、手足がないから、何をしようにもできぬ。お茶をくむにも、経営委員会の任務の女の子を呼んできてお茶をくんでもらわなければならぬというようなことでは、監事の任務が果たせぬのではないか。そのことを一つ郵政省としても――これはそういうことを郵政省が強制してはいけませんが、研究してみる必要がないか、こういうことを聞いておるわけです。
○植竹国務大臣 私は現行法に基づいての答弁も含めて申し上げたつもりでございましたが、さらに詳細申し上げますれば、今の御指摘のことごもっともだと申しましたところはその点にあるのであります。もっとも監事の仕事というものは、相当膨大な業務の監査でありましても、人数は割合に少なくてもできると考えます。監事一人でもやりようによりましては監査ができる。(森本委員「そんなことが……」と呼ぶ)それは監査のやり方一つだと思います。監事の職務のやり方だろうと思います。その手足となりますものは他の部に所属していて、監事が必要な場合に他の部に属しますものを呼んで、たとえば伝票を持ってこさしてそれについての内部監査制度をきちんとしておきまして、それで監査をやって参りますと、監査のやり方によってはできるわけでありますけれども、しかし御指摘の通り大ぜいおりますればなおそれは多々ますます弁ずるわけでありますが、手のすいたものを補助に持ってきましても監査の役目必ずしもできないとは私は考えないのでございます。私自身、監査などもやった体験から申しましてさようにお答えするわけでございます。
○森本委員 そういうやり方はインチキな監事で、大体、監事というのは会長、副会長及び理事の行なう業務を監査するのが監事ですよ。その会長、副会長及び理事のスタッフのものを監事が呼んできて聞いたって、会長、副会長、理事の都合の悪いことを監事に報告するはずはない。あなたは首をかしげるけれどもそうなんです。そういう意見が通って電電公社は今日監事のもとにスタッフを置いておる。現実にこの間の法律改正のときに、その監事のもとに全然スタッフがなしに、一人だけちょこんとすわっておって、必要なとき聞いてもそれはほんとうのこの法律に基づいた監査にはならぬ。私はここでどうこう結論をつけようとは思わぬが、確かに若干これは不合理な点があるように見受けられるので、郵政省としても、あなたがそういうああでもない、こうでもないというここでの答弁をせずに、これについては十分に御趣旨に基づいて検討してみますというあっさりした答弁をしたらどうですか。
○植竹国務大臣 さようにいたします。
○森本委員 NHK当局の方にもちょっとこれについての見解を聞いておきたいと思います。
○野村参考人 この問題については、今春の放送法の改正のときにもわれわれ十分検討して、そうして改正の暁にはどうしようかということについてこれまでの経験並びに現在の状態から考えましたが、結論を得なかったのです。というのは、両頭のヘビのような格好になっても業務の運営上おもしろくない。それで監事とわれわれとの間をよく連絡をとって、お互いにその内容、実態を知ってもらうようにしておいた方がよかろうというので、その監事とわれわれとの間は従来よりも連絡の上において密接にやっておりまして、業務の実態は、今の監事においては前の監事よりもよく知っておって、そうしてそれを経営委員の方に報告し、また経営委員の指示するところによって業務の内容を知るようにしておりまして、この監事のあり方についてはいろいろ研究もいたしましたが、今後もさらに研究し、その実をあげていくようにしていきたいと思っております。
○佐藤委員長 別に御質疑の通告もありませんので、本件に対する質疑はこれにて終了いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認め、本件に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○佐藤委員長 これより討論、採決に入るわけでありますが、別に討論の通告もありませんので、これより直ちに採決を行ないます。
 本件について異議なきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○佐藤委員長 起立総員。よって、本件は異議なきものと決しました。
 なお、本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願います。
    ―――――――――――――
○佐藤委員長 この際参考人日本放送協会会長野村秀雄君より発言を求められております。これを許します。
○野村参考人 三十二年度の決算を御承認していただきまして、ありがたく御礼を申し上げます。われわれは三十二年度の決算の御承認を得たことにただ満足しておるわけではありません。今後ともこのNHKの経営の合理化をはかり、そしてNHKに課せられた大きな使命の達成に最善の努力を尽くしていきたいと考えております。
 幸いに本年の春放送法の改正また受信料の改定を御承認をいただいて、いろいろな御注意や御教示をいただいておりますから、その線に沿うてNHKは万遺憾なきを期していく考えであります。今後ともよろしく御協力をお願い申し上げます。
○佐藤委員長 次会は来たる八日火曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後一時十二分散会
     ――――◇―――――