第033回国会 予算委員会 第7号
昭和三十四年十一月十二日(木曜日)
    午後二時四十三分開議
 出席委員
   委員長 小川 半次君
   理事 上林山榮吉君 理事 北澤 直吉君
   理事 西村 直己君 理事 野田 卯一君
   理事 八木 一郎君 理事 井手 以誠君
   理事 今澄  勇君 理事 田中織之進君
   理事 佐々木良作君
      青木  正君    池田正之輔君
      稻葉  修君    内海 安吉君
      江崎 真澄君    岡本  茂君
      加藤 高藏君    川崎 秀二君
      北村徳太郎君    久野 忠治君
      倉石 忠雄君    小坂善太郎君
      田中伊三次君    保利  茂君
      松浦周太郎君    山口六郎次君
      山崎  巖君    山本 猛夫君
      淡谷 悠藏君    石村 英雄君
      岡  良一君    加藤 勘十君
      北山 愛郎君    佐藤觀次郎君
      島上善五郎君    楯 兼次郎君
      鈴木  一君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
        文 部 大 臣 松田竹千代君
        厚 生 大 臣 渡邊 良夫君
        農 林 大 臣 福田 赳夫君
        通商産業大臣  池田 勇人君
        建 設 大 臣 村上  勇君
        国 務 大 臣 石原幹市郎君
        国 務 大 臣 益谷 秀次君
 出席政府委員
        大蔵事務官
        (主計局長)  石原 周夫君
 委員外の出席者
        専  門  員 岡林 清英君
    ―――――――――――――
十一月十二日
 委員三浦一雄君辞任につき、その補欠として加
 藤高藏君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)
 昭和三十四年度特別会計予算補正(特第1号)
 昭和三十四年度政府関係機関予算補正(機第1
 号)
     ――――◇―――――
○小川委員長 これより会議を開きます。
 この際、激甚地指定基準の件について、大蔵大臣の説明を求めることにいたします。佐藤大蔵大臣。
○佐藤国務大臣 大へん激甚地指定の基準を決定することにつきまして時間をとりまして、当委員会の御審議にも支障を来たしましたことをまことに遺憾に思います。幸いにいたしまして、皆様方の御協力を得て、時間を与えていただきましたことを厚くお礼申し上げます。
 なお、いずれお手元に基準については配付いたさなければならないと思いますが、ただいまようやく与党の自民党の総務会で決定いたしたばかりでありまして、資料配付がおくれておりますが、その点はあとに譲らしていただきまして、一応この際経過並びに考え方を御説明いたしますから、お聞き取りいただきたいと思います。
 公共土木施設及び農林水産施設の災害特例法は、すでに災害対策特別委員会において御審議を願っているところでありますが、これらの特例法の適用地域の指定基準については、予算編成当時から各省において慎重に検討して参りました結果、次のような基本方針に基づいて決定することとし、大略の成案を得ましたので御報告いたします。
 すなわち、基本方針としては、今次災害の実情を見るに、公共土木施設、農林水産施設、公立文教施設その他各施設ごとに、被害の態様及び地域に相当の相違があることにかんがみ、地域指定の基準となる被害程度測定の尺度として、まず公共土木施設につきましては地方公共団体の税収入と被害額とを比較してその倍率を、また農地、農業用施設については被害農家一戸当たりの被害金額を、また林道につきましては被災林道の延長当たりの災害復旧工事費をそれぞれ考えるなど、各施設について実情に即した合理的な尺度をとることにいたしました。また激甚な被害を受けた地域が特例法の対象からはずれるというようなことがないよう特に配慮を加え、たとえば公共土木施設の府県工事につきまして、単純に県単位の適用を行なうことなく、県内の市町村の地域にまで考えを及ぼして、その地域での被害の程度を測定して府県工事の適用範囲を決定するとか、長期湛水地域について特別の配慮を加えるなどの措置をとっております。半面、事業主体である地方公共団体等ごとに見まして、全体として被害の程度の低いものは対象外とするなど、基準適用が乱に流れないよう配意いたしたのでございます。これらの基本方針に基づきまして決定をいたしました公共土木施設及び農林水産施設災害特例法の指定基準について申し上げます。
 まず第一は公共土木施設であります。この公共土木施設のうち府県工事について申し上げます。
 当該県の災害復旧事業費、かように申しますのは、府県工事及びその府県内の直轄工事、これを合計いたしましたものを災害復旧県の復旧事業費といたしておりますが、この事業費が当該県の標準税収入の〇・五倍をこえる府県につきまして、混合方式により算定した災害復旧事業費、これはその県内の当該市町村の区域における直轄工事費、府県工事費と市町村工事費の合算額でありますが、この混合方式により算定した災害復旧事業費が標準税収入、詳しく申しますと、当該市町村の標準税収入と県の標準税収入のうち、当該市町村に按分された額との合算額の一倍をこえる市町村の地域並びに長期湛水地域、以上の府県工事について特例法を適用することといたしたのであります。もう少し詳細に申し上げますならば、当該県の標準税収入の〇・五倍――これは今日の基本法であります国庫負担法、これでは〇・五以下の場合は普通の補助率を適用することになっておりますので、この基準を取り入れまして、〇・五倍となる府県、しかもその府県においては、ただいま申すように各市町村ごとの災害復旧費、これは混合方式による災害復旧費でありますが、それと標準税収入とを比べてみまして、これが一対一になった場合、この市町村内における県工事というものを取り上げるのであります。また同時に長期湛水地域というもの、これをこの市町村区域における県工事、これを取り上げまして、これには特例法を適用するということでございます。そこで〇・五倍以上の県と申しますのは愛知、岐阜、三重いわゆる伊勢湾台風の惨害を受けました県を初めといたしまして、長野、山梨その他で大体十六府県になるということでございます。
 次に市町村工事について申し上げます。当該市町村の災害復旧事業費、これは市町村工事でございますが、これが当該市町村の標準税収入の一倍をこえる市町村の地域、またこの地域に該当しない市町村でありまして、一対一には該当しないが、というのでありますが、つまり市町村がありまして、当該市町村の災害復旧事業費が、当該市町村の標準税収入の〇・五倍以上となるもので、混合方式により算定した災害復旧事業費が、標準税収入の一倍をこえる市町村の地域、この点では県工事を採用したと同じような考え方がここに出ております。従いまして市町村の場合は、まず第一は、市町村工事とその市町村の標準税収入を比べてみまして、それが一対一の場合はもちろんであります。これが一対一にならなくても、この比率が〇・五以上であった場合には、これに混合方式を採用してみて、この混合方式で一対一以上ならば、この市町村工事も特例法を適用するということでございます。それと県工事について申しましたように、長期湛水地域、これまたこの特例法を適用するということでございます。
 その次に、農林水産施設について申し上げます。農地、農業用施設、これは市町村の地域について、当該市町村の地域内における農地及び農業用施設の災害復旧事業費の総額を、被災農家戸数で除した額、被災一農家当たり災害復旧事業費ということになりますが、全体の復旧事業費を被災農家戸数で割りました額が、五万円をこえる市町村の地域における農地、農業用施設ということであります。長期湛水地域は、これは今回の災害から見ましてももちろんこの場合も考える。これは災害の金額にかかわらず、長期湛水地域について考えるということでございます。
 その次は、林道でございます。林道につきましては、市町村の地域について、当該市町村の地域内における林道の災害復旧事業費の総額を、被災林道の総延長で除した額が四百円をこえる市町村の地域の工事について特例法を適用するということでございますから、この総延長で除した額が単位当たり四百円をこえる――今までは五百円ということでございましたが、これが四百円に直っておるわけでございます。同時に公共土木施設、農林水産施設のいずれにつきましても、市町村の地域をとる場合に、旧市町村の地域による方が有利となる場合には、これによることができるものといたしてございます。新旧市町村いずれの単位をとられてもいいということでございます。
 次に、公共土木施設、農地農業用施設以外の災害激甚地の指定基準につきましては、目下鋭意取りまとめつつあるところでありますが、この際その考え方について申し上げます。先ほど申し上げましたように、公共土木施設、農地農業用施設についての地域指定基準は、その復旧事業の性質により差異があるわけでありますが、これを同様、その地の災害の復旧事業についての地域の指定基準もおのおのその性質によりまして差異が生ずることと相なるわけであります。
 以上をもちまして簡単ではございますが説明を終らせていただきます。(拍手)
     ――――◇―――――
○小川委員長 それでは昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)同特別会計予算補正(特第1号)同政府関係機関予算補正(機第1号)以上の三案を一括して議題といたします。
 質疑を続行いたします。佐藤觀次郎君。
○佐藤(觀)委員 私は日本社会党を代表して大蔵大臣及び関係大臣に質疑を続行したいと思います。
 今度の予算の基礎である激甚地の指定が今日までおくれたというのは、これは政府の怠慢であって、これははなはだ遺憾と存じます。一体今度の激甚地の指定の問題について今日まで遅延したというのは一体どういう理由であるか、その経過を大蔵大臣に質問したいと思います。
○佐藤国務大臣 御承知のように被害激甚地の指定、これこそは今回の特例法施行にあたりまして、最も重点を置かなければならない点であります。政府といたしましては毎回お答えいたしておりますように、適正にして公平な基準を作りたい、こういう意味で関係方面ともいろいろ相談もし、また実情等についても調査を進めて参ったわけであります。そのために相当の時間をとりましたことは御承知の通りでございます。私どもはこの点まことに残念に思いますが、今回の処置にして十分遺漏なきを期するというための調査を遂げ得たことは、大へん私はしあわせであると、かように考えております。御了承願いたいと思います。
○佐藤(觀)委員 今度の激甚地の指定のことでただいま発表になりましたものと、予算を編成されたときの予算額では、どれくらいの開きがあるかお答えいただきたい。
○佐藤国務大臣 予算編成当時にはしばしば申し上げましたように、大体全工事の六割程度について特例を実施したい、こういうことを実は申したのでございます。ところでただいま申し上げますような基準を適用いたしますと、もちろん六割程度の最初の目標を相当オーバーするものだ、かように考えます。しかしただいま幾ら幾らオーバーするということは、この基準につきまして十分の精査を遂げないと十分ではございません。しかし今回の予算等におきましては予備費その他等相当未定の部分もございますので、それらを十分運用いたしましてまかない得るものと、かように考えております。
○佐藤(觀)委員 激甚地の指定地域の十六府県というのはどことどこの県か、具体的に御発表願います。
○佐藤国務大臣 先ほど御披露いたしましたように、愛知、岐阜、三重、山梨、長野、奈良、滋賀、鳥取、福井、石川、京都、和歌山、島根、徳島、新潟、長崎等となっております。(「おれの方は」と呼ぶ者あり)ただいまおれの方はということを言っておられますが、先ほど私が御披露いたしましたように愛知、岐阜、三重三県を初め、ほぼ十六県ということを申しましたが、ただいま名前をあげましたのが十六府県になります。なおそれぞれの県等におきましても、さらに私どもも十分数字を調べなければならないものがございます。従いましてこれをもって確定的なものと申し上げるわけにはいかない、この点御了承を願いたいと思います。
○佐藤(觀)委員 その県の中で、高率補助をやるところと、それを適用しないところがあるかどうか、みんな一律に適用するのかどうかを大蔵大臣に伺っておきたいと思います。
○佐藤国務大臣 先ほど申しましたように、ただいま県の名前をあげましたが、この県内の県工事は全部特例法を適用するというものではございません。先ほど来申し上げますように、これらの府県を構成しております各市町村について、その激甚地に該当するやいなやを、先ほど説明しました基準によって決定をいたしまして、その市町村内の県工事を取り上げるということでございます。
○佐藤(觀)委員 それでは各県の市町村はどのくらいの率になるのか、大体どの県はどのくらいの率になるのかということはわかっておりますか。
○佐藤国務大臣 ただいまは全部はわかっていないと思います。私どもがただいま御披露いたしたいのは、これを適用することについてもう少し時間をかしていただかないと十分の精査はできませんが、いわゆる一つの県をまとめて県工事を全部特例法の援助対象にするということなしに、むしろ各府県を構成している市町村の地域についての激甚の度合いを共通の標準によりまして、全部同じ尺度でこれを割り出して、そうしてこの県工事について特例法を適用するかどうか、これをきめることが非常に望ましいのではないか、かように考えております。と申しますのは、今回の災害が、全県下まんべんなく起きておるというような災害は比較的少ないのでありまして、非常に集中豪雨とか、あるいは一定の地区に対する非常な惨害でございます。従いまして県そのもののいわゆる標準税収入と災害額と比べるということだけでは、この災害の実情を把握するのに不適当だ。それよりももっと掘り下げまして、各市町村単位についての災害の度合いが十分反映していくような対策を講ずることが望ましい、かように考えまして、この点ではただいま御披露いたしましたように、愛知、岐阜、三重等を初めとしまして、本年内に災害をこうむりました各県とも、一定の基準で各市町村についての査定方法、同一のものを適用する、かような考え方でございます。特に目新しいものといたしまして取り上げたのが、先ほど申しました長期湛水地区という、これは今回の災害におきまして特に目新しいものでありまして、この長期湛水地区というものが標準税収入にかかわりなく災害の特に激甚な様相である、かように考えましてこの点を取り上げて追加したというわけであります。
○佐藤(觀)委員 長期湛水というのは幾日が長期湛水であるか、その基準を伺いたいと思います。
○石原政府委員 日数にいたしまして七日以上、面積にいたしまして三十町歩以上ということになっております。
○佐藤(觀)委員 今度の大蔵大臣の発表によると、結局において大蔵省が市町村を現在指定しないとなれば適当にやるのではないか、政令で自分たちが勝手にやるのではないかという疑いがあるわけであります。こういう点について各府県が安心してまかせられるような基準があるのかどうか、これを大蔵大臣にただしたいと思います。
○佐藤国務大臣 ただいま申し上げましたように基準算定方式ははっきりいたしております。この分母も分子も明確にいたしております。本日は口頭で申し上げまして非常に申しわけないのでありますが、いずれお手元に資料を配付いたしますから、そういう点で私ども十分責任を感じておりますし、この点では十分信頼をしていただいて間違いのないことでございます。
○佐藤(觀)委員 今度は建設大臣にお伺いしたいと思いますが、建設大臣は予算編成の当時には、災害復旧費の七割を大蔵省に要求したと言われておりますが、なぜ大蔵省の言う六割に屈せられたのか、この点について自信のある答弁を一つお願いしたいと思います。
○村上国務大臣 お答えいたします。災害総額の何十%というようなことは、建設省としては別にこれを要求したものではありません。結局立法措置ができて、いわゆる高率国庫補助によってやる地域の政令については大蔵省で研究いたしておりましたので、建設省で何十%というようなことを考えてやったのではありませんが、建設省としては少なくともこの程度の地域はこれを高率補助にすべきものであるということはあらかじめ予定いたしておったのでございますが、それが七〇%とかあるいは何十%というようなはっきりしたものは出ておりません。
○佐藤(觀)委員 村上さんにお伺いしたいと思うのですが、自信のある予算を出しながら大蔵省で削られる。そういうことが積もり積もって今度の大きな被害になった、私たちはそういうふうに考えております。こういう点について、これは十三号台風のときもそうでありますが、その間に特に建設大臣が四度も五度もかわっておるということから、どこに責任があるかわかりませんが、少なくともこういうような人命に影響のあるような海岸堤防のような問題が、あるいは大河川の問題が、せっかく主張しながら大蔵省の査定で切られて、大蔵省の予算がなかったから仕方がなかった、こういうようなこじつけが絶えずあるわけであります。こういう点について私たちは今度の予算では満足できません。こんな予算で、はたして復旧ができるかどうかということは、愛知県、三重県、岐阜県などの現状を見ればはっきりするわけでございます。そういうような場合にやはり大蔵省の言うままになって、自信のある予算を出さないで、大蔵省の主計局の査定でつい黙ってしまうということで今日までだらだらきたということが、今度の災害の大きな原因ではないかと考えております。これは愛知県の「昭和二十八年十三号台風 海岸復興誌」の中に詳しくこの現状を書いてある。これをお読みになったのかどうか。私たちはこれを見ればこんな高潮の問題でも片がついたと思いますが、こういう点について村上建設大臣はこういう重要な参考文献を読まれたかどうか。これは一昨年出されたものでありまして、愛知県から出ております。こういうものを読んでおれば、私はこういう被害はなかったと考えておりますが、そういう点はどういうようにお考えになっておるのか、お尋ねします。
○村上国務大臣 地域指定の基準につきましては、ただいま大蔵大臣から発表になりましたのでありますが、この大蔵省の発表は、当時大蔵省として考えられた六〇%というものをはるかに上回っております。それは結局建設省で考えておったものに非常に接近いたしておりまして、ほとんど大同小異だというようなところであります。
 それから伊勢湾等の高潮対策、いわゆる海岸堤防等につきましては、これは十分特別な立法措置をいたしておりまして、私はこれについての懸念は何らないと思っております。
○佐藤(觀)委員 これは私が最近読んだのでありますが、例をあげますと、伊勢湾の近くは、最近におきまして、昭和十九年かの地震の関係上、大体〇・八〇メートルから〇・六〇メートルくらいの地盤が沈下しておるということがはっきりしておるわけでございます。そこで材料がここにちゃんとありますが、これをもしちゃんと読んで、そして復旧をされたら――特に三河の方が多いのであります。こういう問題を十分に検討していただければ、今度の高潮でも防げたのじゃないかということが言われております。私は、村上さんは最近建設大臣になられたばかりでございますから、これはあなたばかりの責任とは申しませんけれども、少なくとも予算をとる場合において、やはり最後になると天引きでちぎられて、そうして唯々諾々としてやっておるのじゃないか。これはあとで農林大臣にも質問するつもりでありますけれども、こういうことが大きな災害になったのじゃないかということを私は考えておるわけです。この現在の伊勢湾台風の大きな惨害を、再び日本は繰り返してはならない。おそらくあの風が、現状のままなれば、もし東京に来た場合、あるいは大阪に来た場合には、私は今度の損害の十倍、少なくとも五万人か六万人は死ぬんじゃないかということが考えられるわけです。そういう点から考えて、一つ今までのしきたりのようなやり方ではなくて、抜本的にやらなければならぬ。私はちょうど昭和二十八年の十三号台風のときには、アムステルダムにおりました。その前にオランダに大水害がありましたのですが、そのときに日本の現状を考えて、あるいは特に私どもの愛知県の場合はデルタ地帯であり、海岸よりも三メートル、四メートル低い土地でありますから、もしこの暴風が来ておったならばどうなるだろうということを心配しておりました。そのときは、幸いにして十三号台風は一時間近くで風の方向が違いまして、三河の方がひどい惨害を受けたのでありますが、当時小笠原三九郎という大蔵大臣がおられまして、十三号台風のおかげで、今度三河の方の関係は、堤防の方は非常にうまくいっておりますから、切れておらぬわけであります。ところが現在私どもの郷里は、激甚中の激甚地、現在御承知のようにまだ津島市も、きのうようやく水が二寸ばかり引いたといっております。今まだ十万人の人が水につかっております。きょう四十七日目であります。世界の中で潮水に四十七日もつかっておるというような例は、おそらくないんじゃないかと思うのです。こういうようなことを考えたときに、もう少し科学的な検討をして、そうしてこれに符合するような建設工事をやらなければ、私はこの今度の災害の犠牲は決して将来生きないと思うのでありますが、こういう点についてどういうお考えを持っておられるのか、これをお尋ねしたいと思います。
○村上国務大臣 伊勢湾の高潮対策、あるいはあの被災個所の海岸堤防、あるいはまた河川の堤防等につきましては、先般もお話し申しましたように、これには関係各省が審議会を設け、その上になお学識経験者等も参加してもらって、そして十分なあらゆる科学的見地から総括的にこれを検討した上で、全く将来かような憂いのないような抜本的な施工をやる、私どもはそういう決意を持って臨む次第であります。従いまして、本年度のこの当初の予算の中には、わずかに原形に復旧する程度の高さまでの予算しか盛られておりませんので、いよいよ明年度予算からは十分恒久施設として再びかようなことのないような施設をいたしますので、この点については一つ御安心願いたいと思います。
○佐藤(觀)委員 再びこういうことのないようにということでございますが、実はこの本の中にも、これは昭和三十二年にできたのでありますが、桑原知事がこういうことを書いておるのです。「台風十三号災害救助対策本部を設置し、罹災者の救護と災害の復旧に万全を期したのであります。特に、海岸については、海水に洗われている家屋、田畑を押し寄せる波浪から阻止する潮どめの工事を急ぐ一方、再びこのような災害を繰り返すことのないよう堤防の復興計画を立て、これに基づき、全力を尽くして作業を進めたのでありますが、広範囲にわたる大工事を次の台風期までに完成して災害を未然に防止することは、きわめて難事であり、本県の独力のみでは、困難な状態であったのであります。幸いにして中央関係当局の御理解により」、中部建設当局の努力により、といったようなことが書いてあります。そういう警告を与えていながら、わずか二年たったこの同じ九月二十六日に、もう再び起きてはなならぬ、再び起こしてはならぬ、こういうのにかかわらず、愛知県知事は、われわれ災害地特別委員会において、十一月六日にあの悲痛な叫びをわれわれの参考意見として述べられておるのであります。私は、大臣、特に建設大臣なんかはたびたび変わるわけで、戦後建設大臣は二十人くらいかわったのじゃないかと思いますが、こういうことをやっておって、責任がどこにあるかということになれば、結局うやむやになってしまう、こういうことがあるわけです。こういう点について、私たちはこの際、こういうときにこそ、もう再びこういうことにならぬ、絶対大丈夫だというような確信のあることが言っていただけるかどうか。これはあとでまた質問いたしますけれども、一体建設大臣はどういうふうにお考えになっておられますか、このことをもう
 一度お尋ねいたしたいと存じます。
○村上国務大臣 あの海岸堤防の今度の修築にあたりましては、本年度は一応委託いたしまして施工することといたしておりますが、来年度からは直轄でこれを施工する。従って、御承知のように中部地建の中に海岸部を設け、そうして建設省としてはすぐれた技術者を派遣して、どこまでも微動もしないものを作るということであります。少なくともこれは政府全体の責任でありましょうが、不肖でありますけれども、私建設行政の責任を持っておる限り、断じて再びかようなことを繰り返す愚は絶対いたしませんから、御安心願いたいと思います。
○佐藤(觀)委員 実は私らの方の水につかっておる人々の中で、こういうことが言われております。農民は農民で、もうここでこの次に百姓をやってもいいだろうかどうか。実は私どもの方の現地は、大体三百年ぐらい農民がずっと開拓いたしまして開けた土地であります。これは御承知のように、揖斐川長良川、木曽川のデルタ地帯でありまして、長年の間先祖がこうやってこの土地を耕して、どうにかこうにか今日まで食って参りました。しかし私どもの海部郡だけでも、御承知のようにここは米作地帯でありますが、大体和歌山県一県ぐらいの供出を今日までしてきました。こういうような大きな郡でありながら、実は、再びこういうようなことになれば、せっかく肥料を与え、耕しても、一瞬にしてこれはもくずになるんじゃないか、こういうことと、もう一つは、工場を持っておる人が、現に津島市は水に入っております。こういう工場を持っておって、今度復興して、また水が入ったらもとのもくあみになるのだが、一体どういう方法で私たちが安心をしてやっていけるかどうか、このことを聞かなければ、われわれは復興するような気持はないというような悲痛な叫びを現在上げておるわけでございます。私たちは今まで、大体風となればおそらく九州へ行くだろう、こういうことが考えられておった。ところがだんだん東へ参りまして、今度は私ども三重県、愛知県の西、それから岐阜県というようなそういう方面に来まして、非常にびっくりしたわけでございますけれども、しかしその中においても私たち考えてもらいたいのは、特に建設大臣、大蔵大臣にお願いしたいのは、一体安心してこういうようなデルタ地帯でも生きていけるかどうか。水が引いた後にもう一度われわれ再建をやるわけでございますけれども、はたして政府のおやりになることに安心して、ここで自分たちが生活が営めるかどうかということについての自信が私たちは持てませんので、そういう点で、実際ここであなた方がはっきりと、どういうことをやるから大丈夫だという確信のある答弁をしていただかなければ、私たちは国に帰ってはっきりともう一ぺん残れ、大丈夫だ、この次は死ぬようなことはないから大丈夫だということが言えないわけでございます。こういう点について大蔵大臣、建設大臣ともに、私たちの愛知県の人やあるいは愛知、三重、岐阜の三県の犠牲者の方々、これは名古屋もありますけれども、そういう人たちがもう一ぺんやっても大丈夫だという確信を持てる程度の答弁をはっきりとここでしていただきたいと思います。
○村上国務大臣 少なくとも民主主義の原則というものは、人権を尊重するということであろうと思います。しかるに一ぺんの台風によって数千名の人命をむなしゅうするというようなことは、これは私は何と弁解しても、私ども自身も納得できないのであります。しかし全く異常な、ほとんど日本の歴史にないような大台風によっての被害でありまして、ほんとうに私どもは心からあの被災地に対しましては同情申し上げている次第であります。従いまして今後再びかような愚を繰り返すようなことがありましたならば、これは政府が何と弁護弁解しようとも、同じ地点が再び三たびやられるというようなことは、これは断じてわれわれはやってはならないのでありまして、このためにはいかなる犠牲を払ってでも必ず抜本的な対策を講じまして、この地域に移住する人たちの生活安定が十分できていくように、私の今後の災害復旧を十分ごらんいただきたいと思っております。
○佐藤国務大臣 災害対策もちろん私どもゆるがせにできないことであります。従いまして、来年度予算編成にあたりましても、これが編成の大柱の一つである、これはしばしば申し上げたところであります。そこでいろいろ災害対策についての基本的計画をいかに実施するかということでありますが、科学的にも十分検討いたしまして、そうして総合的見地に立っての対策を講ずる。そうして十分その不安のない、十分信頼のできるような状態をここに作りたい、実はかように考えておる次第でございます。そこでいろいろの考え方がおありだと思いますし、また技術的に見ましてもございますが、同時に私ども考えますのは、一面かような気持で立案いたしましても、やはり財政的な裏づけがなければ、これは実現するものではございません。そういう点で、総合的見地と申しますのは、財政的にも十分検討いたしまして、そうしてできるだけの処置を講じていくという考え方でございます。
○佐藤(觀)委員 この寒空になりまして、まだ水没地帯があるわけでございます。昨日電話をいただきますと、愛知県の北部の方はようやく締め切りが終わったそうでありますが、まだ水は二寸ぐらい減ったところもあります。それからその南部の飛島、鍋田という地区が、これは大体両方で人口が一万ばかりでありますが、大きな地区がそんなに残っているわけであります。これは建設大臣御存じだと思いますが、おらくその他の愛知県にも三重県にもまだ水没地帯があると思いますが、そういうところが全部水が引くのは一体いつごろであるか。これはあるいは年内かかるのではないかという不安を持っておりますが、御承知のように、第一期の作戦が四十五日で最後に全部とまるということを中部対策本部では発表になりました。すでに四十七日になっておりますが、どうにか潮どめが北の方ができましたけれども、海部郡の南部はまだそんなに水がつかっております。これについてはっきりとした、建設大臣は、これだけの間にはやってみせる、こういうようなことを一つぜひここで明言をしていただきたいと同時に、愛知県、三重県あるいは岐阜県、そういうような方面でそのほかに水没地帯がどことどことあるかということもあわせて御報告願いたいと思います。
○村上国務大臣 名古屋西部は、御承知のように、十三日ごろ全部排水が完了いたします。それから海部北部でありますが、これは十日に締め切りが完了いたしましたので、大体津島市方面は本日から排水にかかっております。引き続いて排水をいたしますので二十五日までには排水が完了の予定でございます。それから海部南部でありますが、これは私が先般も申しましたように、十一月末日までに締め切りを完了するという一番最悪な地点でありますが、この地点につきましては末日よりも少なくとも四、五日くらい早くなる見込みであります。目下各地にあったすべての機動力をあげてこの地域の破堤個所を修復しておりますので、これは私が申し上げた予定よりも四、五日くらい早くなるのではないか、かように思っておりますが、締め切り完了後引き続いて急速にこれの排水にかかりたいと思っております。日にちにつきましては、ちょっと今、きょうの段階で何日ということははっきり申し上げられませんのでありますが、急速に、これは直ちに各所から排水できますので、相当早く排水できると思っております。それから木曽岬でありますが、木曽岬につきましては九日に締め切りを完了いたしましたので、十八日には排水完了の予定であります。それから長島北部は八日に全部排水が終わりまして、長島の南部は十六日に、これも十一月末日ということを申し上げたのでありますが、これは非常に仕事が進みまして、南部は十六日には締め切りが完了する予定でありまして、従って二十五日までには排水を完了せしめる。それから三重県の桑名地区等につきましては、目下排水を積極的にやっておりますので、これは数日ならずして全部排水が終了をするもの、かように思っておる次第であります。
○佐藤(觀)委員 建設大臣にもう一度お尋ねしたいと思うのですが、多年懸案になっておりました日光川の水門問題、それから名古屋から四日市の国道の問題でありますが、これは公団でやると思いますが、これはこの次の三十五年度の予算に入ってやっていかれるのかどうか。それは、御承知のように、来年の九月、またこの水が来ればもとのもくあみになるわけでありますが、その点について具体的にどういうようなお考えを持っておられるのか。これも関連して一つお尋ねしたいと思います。
○村上国務大臣 日光川の水門等につきましては、今検討いたしております。それから、ただいまの御指摘の国道につきましては、道路公団等と打ち合わせいたしまして、積極的にやりたいと思っております。この際、来年はもう今回のようなことのないように、いわゆる台風期までに原形復旧をいたしますので、積極的にやって参りたい、かように思っております。
○佐藤(觀)委員 もう一つ海部郡南部の地区に鍋田干拓地があります。これは十年かかりまして、約二十二億の予算でやっと完成いたしまして、今年の収穫におきまして反五、六俵の米がとれた。ところがわずか一時間くらいの間にほとんど堤防がずたずたに切れまして、百六十戸ばかりあった家が全部流されて、百八十六人、生存者百二十八人というまことに悲惨な状態を現出したわけであります。この点について、一般には、建設省の堤防ならまだまだ大丈夫だけれども、農林省の堤防は全部だめじゃないか、農林省というのは一体何をやっているのだという非難があります。これは、「伊勢湾台風と官僚の防波堤」ということで、今度の中央公論に鍋田のことが出ております。将来干拓の問題について――愛知県でも衣浦の干拓の問題、あるいは先年の佐賀県の干拓の問題等がありますが、干拓の問題になると、風が吹けば必ず干拓地は全滅するというしきたりができるほど顕著な事例として現われております。これに対して農林省はどういうふうな対策を講じられるのか。これは、私たちの方の現状を見て参りますと、百八十六人のうちの百三十人くらいは昨年結婚をして、みんな一緒にうちを持ったのでございますから、子供を持って死んでいった人が非常に多い。これは長野県の人が非常に多いのでありますが、地元の人には、農林省はわざわざよそから人を連れてきて子供をはらませて殺してしまったのだ、こういう非難があります。こういうことについて、農林省は今度の干拓のことでどういう反省をされたか、また今後どのようにやっていかれるかということを、人命に関係ありますのでこの際お尋ねいたしたいと思います。
○福田国務大臣 鍋田につきましては、お話の通り、非常に惨たんたる被害を受けまして、まことに遺憾に存じております。これが復旧につきましては、復旧までの応急の措置、また応急の措置がつきましてからの復興、復旧の措置という両面の施策が必要なわけでございます。生き残られた方々の御意向を観察いたしますると、どうしてもまたもとのところに行きたいのだ、かような考えを持っておるようでございます。いろいろ議論がありますが、私は生き残られた地元民の意向を尊重いたしまして、鍋田旧地帯に復帰するための措置をとるという決意をいたしておる次第でございます。
 そこで、何といたしましても、まず水が早く引かなければならぬ、さようなことで、今、全力をあげまして排水をやっております。排水は、非常に困難な事情がありますので、どうしても年内には間に合いません。一月末かあるいは二月上旬くらいになるかもしれません。先般災害特別委員会におきまして御決議の次第もありますので、毎日のように工事の進行状況を督促をいたしております。しかし、排水が済みますと、今度は営農にとりかからなければならないということになるわけであります。それまでのつなぎという問題があるわけでありますが、それに対しましては、生き残った皆さん方のために集団住宅をただいま建設中でありまして、これが十一月一ぱいででき上がる予定でありますので、そこにお移り願いまして、やがて起こりますところの復旧、復興事業にこの人々のお力を拝借いたしていきたい、かように考えておるわけでございます。
    〔委員長退席、上林山委員長代理着席〕
 それから、堤防がいよいよ復旧するということになるわけでございますが、今御指摘のように、いろいろな御批判があるわけであります。さような
 ことにもかんがみまして、全国の権威者に御参集を願いまして現地も見ていただき、またそれぞれの研究もしていただきまして、今までの施設の反省と
 いうか、さようなこともいたしております。中間的な御意見も出ておりますが、まだこういう技術によるところの、またこういう形によるところの復旧がよかろうという結論はいただいておりません。しかし、今まで直立型の堤防を作っておったわけでありますが、これをオランダ式のなだらかな勾配の堤防にかえた方がいいのではないかという傾向があるわけでありまして、ただいまだんだんとそういう意見を固めつつあるわけであります。いずれにいたしましても、来年の台風期までには原形程度のものを復旧いたします。それを活用いたしまして、その後引き続いて本復旧をやる、かような段取りになっておりまして、今後は安心して営農ができるというようなことを根本の方針といたして復旧計画を進めておる次第であります。
○佐藤(觀)委員 これは建設省と違いまして、農林省は営農の関係がありますから、堤防の方には費用が回らないという点は了解はできますが、しかし人命に影響のあることでありますから、特に注意をしていただきたいと思います。
 それから、それと関連いたしまして、これは例は少ないわけでありますが、低湿地帯、茨城県とか岡山県とかにそういう例があるそうですが、低湿地帯ではどうしても排水機を使わなければやはり米ができないわけであります。これもやはり排水機の費用がだんだんかさんでくるわけでありますので、この点も、この機会に少なくとも国が半分くらいを持つというくらいの配慮がいただけないかという質問が一つの点。
 それからもう一つは、よそにもあると思いますが、農業協同組合の事務所が相当長期にわたって水につかっております関係上、たくさんだめになっております。こういうものは今度の災害復旧のときに政府の資金をやってもらえるかどうか、あるいは農業協風組合の使用しておるトラック、愛知県では二十数台水につかったといっておりますが、こういうものが補助してもらえるかどうか、あるいは資金が貸してもらえるかどうかということについて、三重県も岐阜県もやはり同様だと思いますが、こういう点についてどういうお考えを持っておられるか、この際農林大臣に重ねてお伺いしておきたいと思います。
○福田国務大臣 排水機につきましては、土地改良事業としてこれを備えつけるということが、湿地地帯におきましては、つきまとうわけでありますが、これに対しては、補助をいたしておることは御承知の通りでございます。なお、排水機の取りつけの程度いかんという問題になりますと、今後の干拓政策、さようなものと関連いたしますので、御意見のこともありますので、十分検討をいたして参ります。また農業協同組合の施設につきましては、協同組合の事業を行なうところの施設についてはただいま政府の予算案並びに法律案として提案をいたしておりますところの高率の補助をいたしておるわけでございまして、これは二十八年災害のときもそういうような高率の補助をやっておりませんが、今回被害激甚なるにかんがみて、さようなことをやっていきたいと思っております。また組合の事務所は組合自体の基本的なよりどころであるという関係のものでございまして、これは系統組合内の金融措置でやっていってもらいたいという考えを持っております。その間のあっせん等につきましては十分努力いたす、かような考えであります。
○佐藤(觀)委員 次に松田文部大臣にお尋ねいたしますが、今度の水害で一番大きな影響を受けましたのは、学校であります。特に水没地帯の学校というのは、四十日もつかっておりますと、ほとんど使用が不可能であります。幸いにして私が文教委員長をやっておる当時に、学校等の関係で三つばかりの鉄筋の学校を作ったわけでございます。これが非常に役に立ちまして、そのために千人ぐらいの人命が助かりました。現に今水没しておりますが、この三つだけは厳然として今立っておるわけでございます。山間僻地までとは言いませんけれども、今の日本の現状として、少なくともこれら危険のあるところにはどこでも、小学校や役場ぐらいには鉄筋の建物を建てるべきではないかという意見が出て参りました。この点について文部大臣はどのように考えておられるのか。私たちは日本全国一ぺんにとは言いませんけれども、少なくとも全国的に五割くらいの学校はまず鉄筋の学校にすべきではないかということを考えておるわけでございます。この点について今度の予算を見ますと、非常に要求額が少ないわけでございますが、一体今度の水没地帯、愛知、三重、岐阜だけでもはたしてその要求に応じ得るかどうかということについて私心配しておりますが、文部大臣はどういうお考えを持っておられますか、お尋ねしたいと思います。
○松田国務大臣 今回のきわめて激甚な台風に際して、お話のように鉄筋コンクリートの建物は、特に公立学校の場合に、ただに台風に十分対処し得たというばかりでなく、災災を免がれたというばかりでなく、人命救助という重大なことに、また罹災民の収容場として、その他いろいろの救助の任務をりっぱに果たし得たというようなことにかんがみまして、これからの学校建築は、事情の許す限りどうしても堅牢な鉄筋コンクリートのものにしていきたい。またすべきである。わずかな金を惜しんで木造にしたばかりに、大きな災害を受けて、大きな損失を来たしておる。一文惜しみの百知らずの愚をあえて繰り返したくはない。これからは鉄筋コンクリートをできるだけ多くしたい、こういうような考えを持ちまして、今回は全壊のものに対しては六割、また半壊のものに対しては三割、従来は全壊のものに対しても三割程度でありましたけれども、今度は六割までは鉄筋コンクリートにする。また従来には半壊のものは鉄筋コンクリートあるいは改良建築にしたという場合はなかったのでありますけれども、今回は三割まではこれを認めていこうということにまでなったわけでありまして、これをもってしても、それでははたして全部できるかといえば、それはそうは参りませんけれども、絶対にここは改良建築復旧にしなければならぬと思われるようなところは、おおむねそういう鉄筋のものにしていけるのではないか、かように考える次第でございます。
○佐藤(觀)委員 水没地帯を初め相当な学校がいたんでおると思います。そこで全壊、半壊ということでありますけれども、おそらく私は水没地帯のところは全壊にひとしいと思うのです。それからおそらく山間僻地でも相当今度の風がひどかった関係上、学校がいたんでおります。しかし御承知のように今度は市町村の財政は、ほとんど災害地は税金が取れませんので、おそらくそういう方面に非常に困ると思うのでございますが、この機会に文部大臣は乗り出して、抜本的にこの災害地の学校復旧のために全力を尽くす意思があるかどうか。松田さんが文部大臣になられたのでありますから、この際徹底的に鉄筋の学校をふやして、なるほど十五号台風、伊勢湾台風のおかげで全部の学校がよくなった。まず水害地からあるいは水没地帯から、あるいは災害地帯からこれをやってくれるだけの御意思があるかどうかをお尋ねしたいと思います。
○松田国務大臣 お話のように水没中の建築物に対しましては、何分にも現在としては被害の状況を精査するによしなしという状態であります。これらの学校に対しては、水が引き次第に、今その用意をいたしておりまするが、調査官を派遣いたしまして十分なる調査をいたします。そしてできるだけその被害に応じた、そして今後できる限り災害を排除し得るような堅牢なものを作っていきたい、かように考えております。
    〔上林山委員長代理退席、委員長着席〕
○佐藤(觀)委員 実は災害地がだんだん落ちついて参りますと、重大問題が一つ起きております。それは現在水没地帯から各地に、名古屋市その他災害にあわざるところに疎開をしております。これは愛知県の例でありますけれども、多くの小学生あるいは中学生が家族とともに疎開して、そこの講堂で現在学業に携わっておるわけでございます。しかしそういつまでも借りているわけにいかない。同時にこれらのおくれた学校の教育をどのようにして文部省は補充するつもりであるか。おそらくこの三カ月か四カ月の間に、学業がおくれ、またいろいろ違った経験を得たことによって、いろいろ世間のことについて学んだ点もありますけれども、現在小学校の児童などはそういうことよりも非常に悲惨な状態に追い込まれているわけでありますが、文部省はこれについてどういうふうな教育指導をするのか。現に名古屋市でも、その他私の郡、おそらく三重県の方でも、岐阜県の方でもこういうようなことに困っているのではないかと思いますが、そういう点についてどのような思いやりがあるのか、一言お尋ねしておきたいと思います。
○松田国務大臣 お話のように罹災児童が相当遠隔の地に疎開して、その先で教育を、しかもそれは設備のないようないろいろのところで、特別教室なりなんなりをこしらえてやっていかなければならぬという実情、特に家族から離れているという実情、それらの点から考えてみまして、これらの児童をまことに長期にわたってこういう状態にしておくということは許されない。できる限り早く学校の建築を急ぎ、とりあえず、学校をいまだ使用しているようなところもあるのでありますから、そういう人々に対しては、できる限り早くバラック建築なりなんなりを急いでもらいまして、そしてまた一面学校を使っている人々に、早く退所してもらうようなことをお願いいたし、できる限り早く正常な姿において教育を進めていかなければならぬと考えておりますが、その間相当長期にわたるのでありますから、学齢児童の学力の低下というようなことも考えられます。かたがた児童が家族と離れた状態でおるということは、ほんとうに長いこと捨ておくわけに参らないのでありますから、できる限りあらゆる工夫をいたしまして、やるべきことを進めていって、正常に復させたい、かように考えております。
○佐藤(觀)委員 もう一つ見のがしてはならぬ問題は、名古屋を中心として三重県、岐阜県に私学があるわけです。御承知のように私立大学を初め、名古屋を中心にして相当いろいろな学校がありますが、これが非常にひどい災害を受けまして、公立学校はまだ国の費用で四分の三なりの補助がもらえますけれども、私学は御承知のように月謝でまかなっておるわけでございまして、中には学校へ行けないような人もたくさんあるわけでございます。そういうような状態の中において文部省はどうやって私学を救うのか。少くとも公立学校と同じような実績を上げておるこれらの私学に対しまして、どのような方法でこれを救済する御意思があるのか、一言お尋ねしたいと思います。
○松田国務大臣 お話のように私学も重大な被害を受けまして、その額も六億円に達しておるというような状態であります。私学はわが国における教育界の大きな部門を担当しておるという現実にかんがみ、何としてもその復旧をはからなければ、政府が力をかさなければ、とうてい立ち上り得ないというようなところもあると私は心配いたしますので、今回は公立学校並みではございませんが、二分の一の補助をする、また私学振興会の方から二分の一の融資をあっせんすることによって、とりあえず立ち上りの基礎を作るように、かような考えを持っていたしておるわけでありますが、公立学校並みにいけないことはまことに残念でございます。
 また幼稚園の場合、学校法人になっているものはこの法律の対象にもなりますけれども、今度の場合は個人経営の幼稚園も相当多数あります。従来はこれを救うの道はなかったのでありますが、特にこうした個人経営の幼稚園に対してもこの恩典に浴することのできるようになったのでありますから、せめてものことであると私は考えておるような次第でありまして、これをもって御了承願いたいと思います。
○佐藤(觀)委員 私学振興会の調査によりますと、被害額が大体九億ということになっておりますが、文部省の予算ではわずか一億七百万円、しかもそれは二カ年に五千三百五十万円くらいずつ補助するようになったそうでありますが、あまりにも差額が大きいのじゃないか。これでは九牛の一毛ということがありますけれども、あまりに悲惨ではないかといわれておりますが、この点について何らかの方法で予備金あたりから出してやる方法はないのか、文部大臣にもう一度お尋ねしておきます。
○松田国務大臣 私立の諸学校に対してどこまで政府として予備金支出などをできるかということに対しては、まだ私は自信を持ってお答えするところにきておりません。しかし目的は、やはりこうした必要なる幼稚園、私学というようなものの復旧でありますから、いよいよ難儀な県に対しては、何とかそれに対しても幾分の救援の道を考えたいものである、今のところはさように考えておるような次第でありまして、十分なことはむろんできないことはまことに遺憾に思っておる次第であります。
○佐藤(觀)委員 松田さんはアメリカに行かれて私学を出て非常に苦労された方でありますから、ぜひ一つこの際大蔵省へも働きかけて、もう少し何とかしてやっていただきたいということをお願いしておきます。
 次に厚生大臣にお尋ねしますが、今度の災害は公共事業よりも民間の災害が非常にひどかったということは御承知の通りであります。この際政府は一般の人々に対して少くとも十万円くらいの貸与金をやって、そうして民間の人々を救う必要があるのではないか、こういうように考えておりますが、そういう考えがおありになるのかどうか、少なくとも今度の災害によって非常に被害を受けた一般人に対して、何らかの方法でこれを救う道があるのかどうか、社会党はこれの法案を出しておりますが、その点についてどういうお考えを持っておりますか、厚生大臣にお尋ねします。
○渡邊国務大臣 現在のところ見舞金というようなことは、まだ考えておりません。世帯更生資金のワクの拡大あるいはまた償還期限の延長あるいは母子福祉資金等におきまして、いずれもこのワクの拡大や、あるいは償還期限の延長等を講じまして、特に世帯更生資金の中におきまして、生活資金は今まで一カ月三千円でありましたが、一万五千円といたしまして、三カ月間これを見ることにいたしたわけでございます。
○佐藤(觀)委員 今度の災害におきまして国の手落ちがあったのではないかというような意見もあり、社会党の諸君の中には国家賠償法を適用しろ、あるいは訴訟を起こすのではないかということが言われております。少なくとも今度の場合においては数千人の人が死んだのでありますが、これらの人に対して政府は弔慰金を送るなり、あるいはそれらに対して何らかの方法で慰問をするような手段ができないものか、私はそれと同時に傷病者あるいは今度の風水害によって病気になったり、あるいはそれがために将来働けないような人に対しては、もっと手厚い方法で国家が補償をすべきではないかと考えますが、そういうお考えを厚生大臣は持っておられないのかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
○渡邊国務大臣 火災やいろいろの天災等とも考え合わせまして、現在のところそういう段階はまだ考えていないわけでございます。将来生活に困っている人に対しましては、生活保護法でこれを見ていきたい、かように考えております。
○佐藤(觀)委員 益谷さんにちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、中部対策本部の本部長として名古屋に来られまして、いろいろ努力をされたことにつきましては感謝をしております。しかしおそらく現在は本部の人が、あなたも石原さんも中央に来ておられますから、愛知県におられないと思いますが、あとの方はどうなっておるのか、またいつまで中部対策本部というものが置かれておるものであるかということを、この際益谷さんにお尋ねいたしたいと思います。
○益谷国務大臣 中部日本災害対策本部は、御承知の通り災害の復旧事業を迅速に強力に機動的にやるのを目的としてできたものであります。それで特に浸水地区の締め切り、排水に力を入れました。同時にまた応急の救助、復旧等に努めて、いろいろの施策を実行いたして参ったのであります。この本部のやることは各省代表の責任者全部が名古屋に参りまして、一々中央に相談をしないで臨機の処置を講じたのが特色であります。現在なお締め切りと排水、また住宅建設等に努力いたしております。いつやめるかというお話でありますが、まだ現在締め切り、排水の完了しないところもあります。従って排水とか締め切りをいろいろ勘案いたしまして、当分は存置する考えでございます。
○佐藤(觀)委員 今度の災害で非常に感じられましたことは、各省のなわ張り争いということがあるわけです。おそらく極端な例と考えておりますが、官僚の機構が非常に複雑であって、そして建設省、農林省、その他運輸省のような管轄の違ったところの継ぎ目、継ぎ目から切れるというようなうわさがあるわけです。こういう点について、今度は本部長として名古屋におられたのでありますが、一体各省のなわ張り争いというものをやめる何らかの方法はないか。これは総理に聞きたいと思いますが、総理がおられませんから益谷さんにお伺いしますが、何らかの意味において各省のなわ張り争いをなくするような方法を考える必要はないかということと同時に、少くとも日本では毎年二千二百億円からの災害の費用がずっと戦後出ております。戦前よりも三倍くらいの費用が実は出ておるわけでありますが、こういうような意味においても、あるいは国土防衛省とか、あるいは国土をほんとうに守るためのそういうような省を作って、そうして総合してこういうような大災害に当たるのが適当ではないかということをわれわれは考えております。今度の災害はなるほど天災とはいわれておりますけれども、われわれ人間はやはり自然と戦うのが本務でありまして、風に負けるようなことでは月ロケットの時代に情けないと考えておりますが、そういう点について益谷副総理はどういうお考えを持っておられるのか。あるいは現在の役所々々のなわ張り争いが、こういうような、最後には国民の大きな犠牲になって、犠牲者が出るというような結果になりはしないかということがおそれられております。そういう点についてどういうような御見解を持っておられるか、益谷さんから一つ答弁を願いたいと思います。
○益谷国務大臣 対策本部では各行政機関と自治庁の県あるいは地方の自治団体と申しますか、その連絡調整をはかるのが主とした任務であります。従ってなわ張り争いのために締め切りがおくれたとか、排水事業が滞ったというようなことは、私はないと思っております。各省とも十分に連絡をいたしまして、できる限りの努力をいたして参ったと思っております。国土省とかというものを作る考えはないかということでありますが、私は現在さような考えを持っておりません。
○佐藤(觀)委員 総理がおられませんからそれ以上追及しませんが、石原自治庁長官に二、三お尋ねしたいと思います。
 御承知のように今度の災害によって市町村の財源がほとんどなくなってしまいました。このことについて、どういうような方法で地方自治の財源を守られるか、どういう方針があるのか、お尋ねしておきたいと思います。
○石原国務大臣 お答えいたします。今回の災害にあたりましてはでき得る限りの特例法をまず設けてもらいまして、復旧事業に対しては高率補助でやってもらうということが一つ。それから今回の予算補正によりまして相当特別交付税が増額されましたので、この交付税をもちましていろいろの穴埋めにできるだけ被災地を重点に配っていきたい。なお税の減免であるとか、そういうことによって歳入欠陥を起したところ、あるいは災害救助、罹災救助であるとかその他の災害対策の諸費、いろいろかかりましたところで足りないところには歳入欠陥債というものを認めていくようにする。それから各種の起債につきましても、将来の償還についてあるものには元利補給付のものを考えるとか、あるいは償還にあたって、交付税の配分基準の基準財政需要額に相当織り込んでいく、そういういろいろの措置をとりまして、災害によって大きな債務が将来に残らないようにでき得る限りの配慮を講じて参りたい、かように考えております。
○佐藤(觀)委員 石原長官は御承知のように災害対策本部の本部長代理として愛知県におられました。そういう点についていろいろ具体的な問題で御存じだと思いますが、この地方財政と中央財政との問題、それから交付金の問題についても私たちは非常に心配をしておるわけでありますが、はたして今度のような被害のひどかったところの市町村がこれで立ち直るかどうかということに対して、私たちは非常に心配しております。特に今なお水没しておるような地帯はこの冬を迎え、正月を迎えてはたして市町村として成り立っていくかどうかということに対して非常に心配しておるわけでありますが、そういう点についてなるほどこういうような方法でやればやっていけるというような確信のある答えが出るかどうか、この点についても一つだけお尋ねしたいと思います。
○石原国務大臣 今回の災害にあたりましては、さっそく普通交付税などをできるだけ繰り上げ早く配付するような措置をとったことは御承知の通りであります。それからまたつなぎ融資のあっせん等につきましても、大体手違いなくつなぎ融資もできたと思います。それから今回特別交付税の配付にあたりましては、公共事業費の災害査定額の一%が県に参ります。それから市町村ごとにもその二%が参るというようなこと、それから起債につきましても今回の予算補正によりまして、従来現年災害の三十五億を計上されておるのでありますが、それがさらに今回百六十億増額されまして、百九十五億という災害に対する起債のワクもあるのであります。私ただいまのところではそれらのいろいろの措置によって、災害を受けた市町村が大体まかなっていけるのではないか、こう申し上げて間違いないと私は思っております。
○佐藤(觀)委員 通産大臣にお尋ねしますが、実は今度の災害でいろいろな地点において相当な打撃、特に中小企業者に対して相当な打撃を与えたことは、大臣よく御存じだと思うのであります。一つの例として、これは珍しい例だと思いますが、わが愛知県の津島市の場合でございますが、これは御承知のように機場でございまして、津島市、佐織町、佐屋町の付近の機業地帯で大体四千八百から五千台の織機が全部水につかったわけであります。そこでこれは潮についております関係上、十日ばかり――一週間たてば水より上がるということでありますが、一体こういうような場合にどのような方法で復興を助けてもらえるか。政府はこういうような方面で――私は名古屋の通産局にも行きましたが、どういうような方法でこういうようなものを救っていただけるか。あるいはこれは初めての例でありますが、こういうようなときに、全部織機をかえるような場合に、何らかの方法で融資がしてもらえるかどうかということが非常に心配されております。特に八月一ぱいまでは御承知のように操短がありまして、二割の操短をやっておりました。ところがちょうど九月になって、ようやく操短がはずれまして、これからというところで実は大きな水害にあったわけであります。御承知のように津島市、佐織町、佐屋町というようなところは大体海岸の地帯から二十キロ、四里くらいのところにありまして、よもや水がこないだろう、こういうように予想もしなかったところが二十七日の正午から水が入りまして、そしてあっという間に水につかりまして非常に大きな損害を受けておるわけでございます。こういう点について、通産大臣も向こうにおいでになったそうでありますが、一体どういう方法でこういうような将来有望な、せっかく海外に大きな市場を持っておる繊維工場を助けてもらえるかということについての御所見を一つ伺っておきたいと思います。
○池田国務大臣 津島における毛織物工場で、大体災害を受けた工場が三百工場、織機がわれわれの調べたところでは三千五百機というふうに見ております。そのうち廃棄しなければならぬものが、大体千ないし千五百機ではないかという見積もりでございます。従いましてこの復旧につきましては、織機メーカーに、津島市の業者に対しては優先的に取りかえの分を考えるようにという指導をいたしておるのであります。しこうして大体の損害が十二、三億円とわれわれは見積もっております。しかし復旧いたしますのには、やはり七億円程度設備の復旧について要るのではないか。それから運転資金としてやはり十数億円を要するだろう。これが対策といたしましては、大きい工場は市中銀行の方とかけ合っておるようでございます。また中どころにつきましては、中小企業金融公庫が主としてやる。小さい方の面では、商工中金が主として受け持つということになっておるということでいっておりますが、何分にも商工中金の方は、すでに取引している組合に加入しておる人もありますし、また全然そういうことに関係していない被害者もございます。商工中金と取引のない人に、組合をおこしらえになって、そうして融資を受けるよう今指導いたしておる次第でございます。
○佐藤(觀)委員 どうも通産大臣の見込みは少し小さそうでございますが、実際の状況は、そう通産大臣がお考えになるように簡単にはいかないと思うのです。おそらくこのままだと、年内は仕事ができないわけでございまして、従業員もたくさん抱えておりましたし、それは全部郷里に帰しておるわけでありますが、仕事を始めるのには、おそらく年内には間に合わないのじゃないかといわれております。こういう損害を考えますと、私は少なくとも七、八十億くらいの損害があるのじゃないかというように考えております。こういうような大きな損害に対しまして、もう少しあたたかい気持で救ってもらえる方法がないか。これは現にいろいろ取りかえの問題もありますし、この際古い機械を取りかえるような時期にきておりますので、いろいろと問題があると存じますが、こういう問題については格別な御配慮を賜わりたいと考えております。
 それから中小企業金融公庫と商工中金の問題でありますが、これは私どもの地区のみならず、愛知県、名古屋市を中心にし、また四日市あるいは桑名方面にも相当中小企業者の被害が大きい。これらの更生に対しましては、やはりもっと高い見地に立って、中部経済地建設の立場上何らかの方法で救う方法はないか。将来の経済再建をやるためには、もう少しこれらの点についてあたたかい思いやりがあってしかるべきだと考えております。通産大臣は、それだけのことをやれば大丈夫だというように簡単にお片づけになるわけでありますけれども、私たちは、もっともっと被害は大きいし、同時に現状では復興ができないように考えて非常に心配しておるわけでございます。どうか心配のないように、中小企業者が今度の災害から再び立ち上がれるような方法を、中小企業金融公庫あるいは商工中金などの融資、あるいはそれらの機械の更生などについての御配慮がいただけるものであるかどうかということを、もう一ぺんお尋ねしておきたいと思います。
○池田国務大臣 私は災害地に二回参りまして、津島は上空から見たわけでございますが、知多半島あるいは四日市、桑名、名古屋市内等をつぶさに見ました。非常に復興の意気に燃えておられます。われわれといたしましてもこれにこたえるために、できるだけの措置をしていこうと努力いたしておるのでございます。津島市の被害につきましては、われわれの調査ではそういうようになっております。従って、これを目途としてやっておるのでございます。しかしそれよりも大きい被害になれば、もちろんわれわれとして十分の措置を講ずる所存でございます。
○佐藤(觀)委員 できるだけ現状をよく把握して、そうして更生のできるような処置を通産大臣にお願いしておきます。
 最後に大蔵大臣にお尋ねします。今度の激甚地の指定基準によりまして、最初にお考えになりました適用基準による高率補助の金額提出当時に編んだ予算と、今度の高率補助の金額の差がどれくらいになるか。その間の差額をどういうふうにしていかれるかどうかということをお尋ねしておきたいと思います。あるいは第二次補正をやられるかどうか。この点は大蔵大臣から伺っておきたいと思います。
○佐藤国務大臣 先ほど同様のお尋ねがございましたのでお答えいたしましたが、大体今回の予算を計上いたしました際は、六割見当高率補助ということで、農林につきましては六万円ということで大体発足いたしたのであります。その後実情等を十分調査いたしますと、当初の考え方では不十分だ、かように考えまして、調査の結果、先ほど発表いたしましたように、農地、農業施設については六万円を五万円に下げた。さらにまた公共施設等につきましても、基準を変更することによりまして範囲を拡大いたしまして、それらによりまして当初の六割見当のものが相当率が変わってきた、かように考えます。大体どの程度になっておりますか、もう少し時間をかけさしていただかないと無理かと思います。しかしながら、もしもただいま私どもが予備費あるいは国庫負担行為等で考えております資金等をうまく使って参りますならば、大体最初の基準に対しまして、さらに一割程度これがふえましても、私は十分まかない得る、かような確信を持っております。従って今日御審議を願っております予算について、さらにこれに追加した補正を必要とするというような段階ではない、かように考えております。
○佐藤(觀)委員 大蔵大臣が今わからなければ、あしたまでに資料として出していただきたいと思います。
 それからもう一つ、私たちが非常に心配しておりますのは、市町村の名前をすぐ発表しろといっても無理でありますけれども、そういうことになって結局大蔵省の査定官の査定によるということになると、これは何といっても一方的になるのではないか。大蔵省は予算に当てはめてこういうことをやるのじゃないかということが心配されております。一応基準がありますから、この基準に合わせるといいましても、四捨五入するというような場合は、いつも大蔵省の都合のいいような査定をするということがいわれております。それから町村指定の問題になりますと、同じ一本の川に沿っておりまして、隣の町は指定を受けておるが、隣は受けないということが出てくる。それから長い川や長い道のような問題も実に理不尽なことが出てくるので、そういうようなこまかい点の配慮がなされているかどうか。少なくともこういう点においてはおそらく物議をかもすのじゃないか。それは府県に帰りまして、おそらく県の当局でも血の涙を流さなければならぬじゃないかということが心配されておるわけであります。こういう点について大蔵大臣あるいは主計局長はどういうような考えを持っておられるか。私たちはそれが非常に心配でありまして、おそらく市町村の指定の問題についてはいろいろな議論が出るのじゃないかということが言われております。どうかそういう点について、これはこれだけのことをやっているから大丈夫だということを一つここで御言明願いたいと思います。
○佐藤国務大臣 査定にあたりまして、査定官が非常に冷たいとか、あるいは非常に厳正過ぎる、こういうような御批判が一部にあるやにも伺っております。もちろん、特に大蔵省だから予算の執行を厳格にして、少しでも減らすというような考え方で査定には絶対に当たっておりません。これはどこまでもその工事の目的を十分達するやいなや、そういう観点に立って、過去におきましても、その査定については十分意を用いて参ったと思います。しかし私どもも、ただいま御指摘になりますような点につきましては、今後ともさらに十分注意をいたしまして、いやしくもただいま申されたような批判を受けるようなことのないように、これは私どもの関係の職員でございますから、よく御趣旨を伝えたいつもりでおります。
 しこうして、今回の激甚地指定についての基準、これを決定いたしまするにつきましては、私どもも慎重審議いたしたのであります。ことに先ほど来申し上げますように、これは実情に即した案として、また全国いずれに適用いたしましても通用する基準だ、こういうことで、私は非常に公正な基準だと思っております。従いまして、これを十分貫いて参るつもりでおります。ただいま御指摘になりましたように、甲の村は激甚地だ、その隣は激甚地でない、そういう場合に県工事を施行する。そうすると、それは甲乙丙市町村にまたがるじゃないか、こういう場合、扱いが非常にまちまちになるじゃないかという御批判があるようでございますが、これはとんでもない話でありまして、この両市町村にまたがる場合でも、県工事の規格はきまっております。従いまして、県工事はその規格によって遂行される。ただ費用分担の場合において、激甚地の地域内においては、国は特別な補助をする。しかしながら、そうでない地区については、これは特別な補助をしないということでございますので、県工事施工上において、激甚地としからざるものとを通じて工事が行われる場合に支障があるという議論は当たらないのであります。これはどこまでも工事そのものは一つの規格によって、道路なら道路ができる、あるいは河川改修なら河川改修が行われるのであります。さように考えますと、その県は総額幾ら、そのうち補助を受ける部分が幾らで補助を受けない部分が幾ら、だから県の出費が幾らになる、かような計算をしていただけばいいことでありまして、これには何ら支障がないことであります。しかし、この点がどうもやや誤解を受けておるようでありまして、私非常に遺憾に思います。さような点は御心配をいただかなくていいことだ、かように確信をいたしております。また甲の村は激甚地だ、その隣は激甚地でない。激甚地としての指定を受けた町村は高率補助を受けるが、その隣の方は受けない、全くその通りでございます。しかし、ことに今回の災害の特殊性は集中豪雨、そういうような事態が各県各所に実は起きておるのであります。そういう場合をまんべんなく同一に扱うわけにはいかない。それでいわゆる基準が行われておるのであります。今回の基準につきましては、私は相当実情に合うように基準を作ったと考えておりまして、この基準に合わないような地区でありましたならば、その被害はいわゆる激甚地でないものだ、かような確信を私自信は持っております。従いまして、今回のこの基準が適正であるかないか、これを十分御審議賜わりますと、ただいま言われるような、なるほど隣は激甚地としての特例を受ける、しかし自分の方はその特例を受けない。特例を受けないところはいわゆる災害は小さいところでありまして、この点はむしろ災害を受けないことを喜んでいただく、こういうことが望ましいのではないかと思います。これで私どもは初めて公正な基準を作り得た、実はかように考えております。
○佐藤(觀)委員 大蔵省のことは、私も長く大蔵委員をやっておりましたから、大蔵省の役人の立場ということもわかりますが、どうもその点が一般に冷たいということが言われております。これはよく考えて、将来そういうことのないようにしていただきたいと思います。ただ一つ、佐藤大蔵大臣にお尋ねしておきたいのは、実は岸さんが名古屋に来られたときには、この伊勢湾台風は前古未曽有の災害だ。それだから、どんな予算を使っても、今の経費にとらわれることなくやってかまわないということを、一般の人の前ではっきりと御言明されました。ところが弟さんの佐藤榮作さんは、御承知のように、今度の災害は二十八年の十三号に次ぐ災害だというような表現をしておられます。この点はまことに遺憾であります。ちょうど佐藤大蔵大臣はアメリカに行っておられて、そうして二時間ばかりしか名古屋へ来ておられなかったので、実際の事情を知られないのではないかというようなことが心配されておるわけであります。こういう点について、兄貴は未曽有だと言うし、弟は大したことはないと言うのじゃ、どうも工合が悪い。少なくとも大蔵大臣は、やはり岸さんのもとに大蔵大臣をやっておられるのでありますから、一つその点のことは是正してもらわぬと工合が悪いのですが、一体佐藤大蔵大臣はどういう見解を持っておられるのか。これは災害地の問題としてどうしても一言触れておかなければなりませんので、お尋ねしたいと思います。
○佐藤国務大臣 この災害の見方はいろいろございます。今回の伊勢湾台風を特に前古未曽有の災害だ、かように申した場合に、特に大きく取り上げられますものは人命の損傷だろうと思います。この点では、今回は五千名を越す死傷者を出しております。これこそは前古未曽有の災害でございます。私どもが、いわゆる公共事業なりあるいは農地、農業施設等の災害の金額等を比べてみますと、実は二十八年当時の方が今回の三十四年度の総損害額に比べてみますと、金額は大きいのであります。この点は、あるいはよく御了承をいただいておる方もあるし、またそういうものかと言われる方もございますが、金額自身は二十八年災当時、私どもが各省の要求で取り上げました金額は二千七百億になっております。今回の三十四年の災害、最近だんだん金額はふえて参りましたが、それでもまだ二千億には達しておらないのであります。それでその金額だけを比べてみますと、これは金額の面においては二十八年に次ぐ、こういうことに実はなるのでございます。今回の災害、ことに三十四年の全国の災害でなくて、伊勢湾台風それだけをつかまえてみますと、一ぺんの台風で五千名以上の人命を失った、あるいは罹災戸数、罹災人口数、これらのものは、もう明らかに前古未曽有の災害だ、この言葉はそのままあてはまるのでございます。この点では、私の表現がやや誤解を受けておるようでございますが、ただいま申し上げるような実情から、私は私の立場でお話しをしておるのでございまして、絶対に誤解など、また認識を欠いておるというようなことはありませんから、御了承願います。
○佐藤(觀)委員 表向きの数字だけで被害の大小があるということについては、いろいろ議論があります。しかし私たちは災害地におる関係上、そういう表現があるかもしれませんけれども、しかし現在の悲惨な状態を考えますと、やはり私は、兄貴の岸さんの方がよく認識しておるのじゃないかというような工合に考えておるわけです。
 そこで、時間もありませんから最後に申しておきますが、いろいろ政府の災害に対する費用が毎年増加しております。しかし、災害の費用が増加しておるにもかかわらず、毎年々々これがふえるような傾向があるということは、われわれとして非常に考えなければならぬ問題であると思いますが、少なくとも、災害があって四十七日も後になっても、まだ海水が現在入っている。現にまだ十万近くの人が四十八日目になっても水に浸っているという悲惨な状態が現在繰り返されておるわけでございます。こういうことは、ノアの洪水ならいざ知らず、少なくとも現在の時代において、かかる不祥事がこの日本の中部の名古屋近くに現存するという事実は否定できない事実だと思います。こういう観点からも、やはり一文惜しみの銭失いではなくて、この際、今までの考え方を根本的に変えて、そうしてもっと科学的にこういうような状態を考え、少なくとも一瞬にして五千人の人間が一時間なり二時間の間になくなる、こういう悲惨事を再び繰り返していただいてはならぬと考えます。特にこれは愛知県、岐阜県、三重県という方面ばかりでなく、今なおこれと同じような事態にある東京都初め大阪その他の各地においてもまたこれと同じような危険な状態が必ずしもないとは申し上げられないのであります。こういうような伊勢湾台風の悲劇を考えると同時に、再びこういうことを起こさないように、どうか今度の予算にも、なおこれから社会党は政府に対していろいろ今後要求するものがあると存じますが、どうかそういう点について、今までのようなありきたりの考えでなくて、この際、この悲劇を契機として、もっと進んだ科学的な海岸堤防を作るなり、あるいは河川堤防を作るなり、あるいはその他の問題についても一段と目を開いていただきまして、文明国にあらざるような現状、こういうような水に浸ってモグラと同じような生活を二カ月も続けるような悲惨事を再び繰り返さないように、政府の皆さんに特にお願いしまして、私の質問を終ります。(拍手)
○小川委員長 明日は午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十二分散会