第034回国会 社会労働委員会 第19号
昭和三十五年三月十八日(金曜日)
    午前十時二十八分開議
 出席委員
   委員長 永山 忠則君
   理事 大坪 保雄君 理事 田中 正巳君
   理事 八田 貞義君 理事 藤本 捨助君
   理事 滝井 義高君 理事 八木 一男君
   理事 堤 ツルヨ君
      池田 清志君    大橋 武夫君
      亀山 孝一君    齋藤 邦吉君
      古川 丈吉君    柳谷清三郎君
      山下 春江君    亘  四郎君
      伊藤よし子君    大原  亨君
      木下  哲君    本島百合子君
 出席政府委員
        厚生事務官
        (薬務局長)  高田 浩運君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (日本薬剤師協
        会会長代理)  沖  勘六君
        参  考  人
        (日本製薬団体
        連合会常任顧
        問)      木村忠二郎君
        参  考  人
        (日本医薬品卸
        業連合会会長) 松田金之助君
        専  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
三月十八日
 委員小林進君辞任につき、その補欠として河上
 丈太郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 医薬品の配給秩序確立に関する件について、参
 考人より意見聴取
     ――――◇―――――
○永山委員長 これより会議を開きます。
 医薬品の配給秩序確立に関する問題について調査を進めます。本日、当委員会に御出席になりました参考人は、日本薬剤師協会会長代理沖勘六君、日本製薬団体連合会常任顧問木村忠二郎君、日本薬品卸業連合会会長松田金之助君、以上三名の方であります。
 参考人の方々には、御多忙中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。本日は本問題について関係業界の方々から忌憚のない御意見を承り、本委員会の調査の参考に資したいと存じます。
 なお、議事の整理上、御意見を一人二十分程度に要約してお述べをいただき、その後委員の質問にもお答えを願いたいと存じます。
 それでは順次御意見の御開陳をお願いたします。まず日本薬剤師協会会長代理沖勘六君にお願いいたします。
○沖参考人 私は、日本薬剤師協会の常務理事でありまして、愛知県の薬業協同組合の理事長をしております沖勘六であります。実は日本薬剤師協会会長代理としてありまするが、きのう承りまして、日薬の理事としていろいろ討議には参画しておりまするけれども、きのう親しく高野会長から御意見を承っておりませんでしたので、必ずしも会長の意見と一致しないところがあるかもわかりませんが、あらかじめお断わりをいたしておきます。
 私は薬局を開いておりまする薬剤師であります。現在の薬剤師というものは、御承知の通り大学四年の過程を経て国家試験を受けまして、医師の処方せんによりまする調剤を天職と心得ておるわけであります。きょうおいで願いまする先生方の御厚情によりまして、先年医薬分業法は通過いたしましたが、なかなかこの処方せんが出回って参りませず、現在ふえまして一カ月に約五万件ほど参るようになりましたが、地域的に偏在いたしまして、薬剤師全体といたしましては、まだこの天職によって生活を云々するところに至っていないのを非常に残念に思っております。そこで、やむを得ませず、大蔵、税務当局の言い分でありませんが、物品販売業といたしまして、医薬品の販売業を業として生活のかてを得ておるのが現状なのでございます。そこでこの医薬品販売業には、御承知の通り薬剤師の営みまする薬局、それから薬剤師を雇って全品目を扱いますいわゆる一号業者、これはおもに卸業者が入っておりまするが、今日いろいろの情勢から、医薬品のずぶのしろうとの人が薬剤師を雇って一号業者に入っておりますが、この中に、私どもといたしましてはいわゆる好ましからぬ乱売者が一部あることを非常に残念に思っておるわけであります。その他は指定薬品を除く全医薬品を扱いまするいわゆる二号業者という方々でありまして、これらの方々によりまして医薬品の販売を国民のために営んでおるわけであります。そこで全体では開局薬剤師というものが二万二千ほど、いわゆる二号業者というのが一万五千ほどありまして、約四万人の手によって国民への医薬品の配給を営んでおるわけであります。そこでこの現況を一言述べさしていただきますると、まことに遺憾でありまするけれども、数年前よりの設備の拡充あるいはオートメーション化等によりまして需要とのバランスが失なわれ、生産過剰の現状を呈しておるというのが私どもの見方なのであります。その結果といたしまして、生産業者としては特売をしてこれをさばく、あるいは押し売りのような程度になってくる、あるいは報奨券というものをつける。中には、卸業者だけの手を経ておりましては生産過剰の競争に打ち勝つことができぬというお考えかとも思いまするけれども、生産業者みずからが事業者のところに回られまして、いわゆるアフター・サービスといっておりますけれども、私どもの品物を幾ら幾ら買ってくれるならば何割の現品を添付せよというような状態が行なわれて参りまして、非常に流通機構の乱れを生じてきたわけであります。そこで、今まで行なわれて参りましたいわゆる医薬品の二割程度の小売のマージンという常識をはずれて参りまして、いろいろな方法、または現金を一時に支払うというような方法等によりまして、そこに非常な差が出て参りました。この非常な差というものが、今日われわれが非常に困難を感じておりまするいわゆる乱売屋を生じて参りました。あるいは、購買会あるいは事業所の生活協同消費組合が現金をもちましてメーカー直接にこれと取引いたしまして、非常な安いものを入手する。それが回り回って、反転三転しましてまた小売業者の手あるいは乱売屋の手に渡りまして、今日の状態は、まことに筆紙に尽くしがたいような紊乱した流通機構の状態になっておるのを非常に遺憾に思うわけであります。そこで、そうなりますと、いわゆる四万の中の九割五分に当たります正しい小売営業者は非常に生活の困難を感じて参ります。三月十四日発行の北海直新聞等に載っておりましたけれども、帯広の薬剤師でありまする薬局を開いておるある人は、非常な経営の困難を感じまして、親子四人が青酸カリの注射をして一家心中をしたというような記事も大きく載っておったわけであります。近畿を初め岐阜、名古屋あるいは東京等におきましては、潜在的に廃業の一歩前の人々あるいは倒産の一歩前の人々が非常にたくさんあるということを私どもは考えさせられておるわけであります。こうなりますると、まことに好ましからぬことでありますけれども、生活に追われて正しからぬ医薬品を売るという傾向がぼつぼつ現われてきたのじゃないかという非常な憂慮すべき状態を呈しつつあるようであります。御承知の通り衣料品等は、一目見ますると、コットンだとかスフだとかあるいはオール・ウールのものだとか、化繊だとか、いろいろのことがしろうとでも一応わかりますけれども、医薬品に関する限りは、専門家でも相当の鑑定をいたさぬとなかなか容易に判別つかぬものでありまして、とうていしろうとが判別しかねるものであります。あるいは内容が半分入っておりましても、三分の一の内容の成分でありましても、一応しろうとにすぐわからぬ。そういうようないろいろな欠陥をつきましてそこに好ましからぬ粗悪品あるいは不良品も出るというおそれが出てきたわけであります。これらを考えますると、国民保健のためには非常に憂慮すべき状態にならんとしつつあるのが今日の現状でございます。なお私ども四万の当事者、家族を加えますと二十万にもならんと考えられるわけでありまするが、これらの人々が生活にいよいよ困難を感じまして、社会的の問題にもならんという憂慮すべき状態だと考えるわけでございます。
 これらの問題か外国ではどうかと申しますると、聞くところによりますると、外国も一応こういう過程を大なり小なり経たようでありまするけれども、今日では、イギリス等におきましては専売品の制度というものが持たれまして、数千種の医薬品が秩序正しく国民に配給され、業者も一定の安定した生活を営んでおるように聞いております。イタリアにおきましても公定価格をきめておるとか、その他の国におきましては政府が価格の認可をしておるというようなことでありまして、医薬品の信用あるいは極秀作ということを非常に確保しておるようであります。そこでこれらに対しまして私どもといたしましては、対策として考えておりますことは、法律による力によっての対策、これには商業組合というものが先般中小企業団体組織法によりまして認められて、この商業組合によります調整事項の規制によって流通機構を正しく持って参りたい、あるいは小売商業調整特別措置法によりまして、いつも流通機構とみなされますところの購買会、あるいは消費組合等を規制してもらうとか、あるいは知事のあっせんによりまして、卸業者あるいは製造業者直接の小売販売の確立、そういようなことにあっせん行為をとっていただきまして、われわれの念願しております流通秩序の確立をはかりたいというような考えを持っておるわけでございます。
 なお、今日われわれが悩んでおりますのは、前述いたしましたように、いろいろな方法によりましていわゆる価格が非常に乱れておるわけであります。そこで流通機構を安定するということにおきましては、いわゆる価格の乱れを直しまして二重価格を是正したいという考えを持っております。これには公正取引委員会等の力によりまして二重価格廃止、すなわち今まで行なわれました業種は、みそ、しょうゆ業種とか、あるいは新聞協会とかいうところが特殊指定を受けたようでありますが、私どもの医薬品におきましても、特殊推定を受けることができるならば大きな力になるのじゃないかということを私どもは考えているわけであります。もちろん特殊指定を受けますと利幅も狭まりまして、生活ということにつきましてはいろいろ考えさせる点がありますけれども、今日の国民保健衛生の上から見ます場合に、私どもが利益を最少にとめましても、二重価格が廃止されまして正しい流通機構に乗りますれば、これほど国民のためになることはないという考えに踏み切っているわけでございます。
 なお、われわれが年来考えておりますところの薬事法の改正も、いろいろ厚生省あるいは国会の皆様方の今までの御厚情によりまして、先般薬事審議会の特別部会におきまして答申案が決定されました。それに基づいて薬事法の改正が国会に提出されるやに聞いております。これらについて私ども考えておりますことは、大学を卒業して国家試験を受けた、その薬剤師というものの身分を法律によって確定してほしいという一つの念願と、医薬品の流通をいかに正しくし国民に信用を与えまして、あるいは配給機関が適正に山間僻地までも配されまして国民に不便を与えないという点、あるいは信用を増す点、あるいは管理等を厳重に規制いたしまして、優秀な医薬品を国民の手に円満に渡るように薬事法の改正をしてほしいという考え方なのであります。これはぜひとも今国会に提案されまして、皆様方の御尽力によりまして通過いたしまして、国民保健衛生のために大進歩をわれわれは期待しておるわけでございます。
 これらが法によるいろいろな考え方でございますけれども、自主的に考えます場合は、私どもはいわゆる経済安定機構というものを研究しておりまして、これによりまして、いわゆるイギリスの専売品制度と似たものでありますけれども、製造業者、卸業者、小売業者、三位が一体になりまして、優秀な医薬品を正しい流通過程に通しまして、いわゆる適正な利潤をちょうだいいたしまして、言いかえますと、生活の最低な安定を確保いたしまして国民に奉仕して参りたいというのが、経済安定機構の根幹であるわけであります。
 なおもう一つ申し添えておきたいことは、今日問題が起こっておりますところのマスコミによりますところの医薬品、いわゆる総合ビタミン剤とか強肝剤というものがおもなものでありますが、これらのものが、現在のいわゆる定価ということを言っておりますが、この定価ではたして国民に納得せしめ得るかどうか。われわれもそれでいいという認識のもとに国民に推奨ができるかということになりますと、残念でありますけれども、安く購買会あるいは乱売屋等に渡っている現状を見ますと、これははなはだ不合理だと私どもは言わざるを得ないわけでありまして、この定価というものを一つ製造業者の方で再検討していただきまして今日の実情に即した価格に引き下げてもらうことが適当でないかという考えを持って、これらの点を含めまして、何とか一つ自主的に話し合いをもちまして、いい線に持って参りたい。そこで考えられて参りますことは、厚生省の指導によりまして、昨年来製造業者と卸、小売の三者協議会というものができておりまして十回に及びますところの協議を重ねましたが、まことに残念でありますけれども、製造業者の独占主義といいまするか、あまり身を傾けていただけなかったと私どもは考えまするが、これらによりましてなかなかいい結果が出ていなかったわけであります。ところが昨年末以来事情はだんだんと変わって参りまして、今初めに申しましたような割増しとか、あるいはアフター・サービスというようないろいろな情勢、あるいはそういうことによって起こりますところの支払金が、半年とか一年も長期にわたっての貸し込みになってきたという現状がありまして、製造業者みずからも反省される点が多分に出て参りました。昨年からいろいろ考え方が変わって参ったと思うわけであります。そこでこの際、三者協議会におきましては、厚生省の強い指導を得まして、三者がみずから自主的に一つの流通機構の確立、あるいは国民に対する保健衛生の奉仕ということに画期的な踏み切り方をいたしたい、かように考えておるわけであります。これらが自主的な対策ということになっております。
 そこで最後に一言お願いしておきたいことは、今まで厚生省へたびたび数年来のこの困難事を陳情に参りましたときに、厚生省のお言葉では、弊害があれば法律を直すということに努力をすべきではないかというお考えであったのであります。そこで極端な言い方でありますけれども、医薬品の弊害ということは薬を飲んだ人が死ぬということが一番の弊害だろうと思うわけであります。もしもその弊害ということが、極端な言い現わし方の死んだら考えようということでありますれば、これはゆゆしき問題だと考えるわけであります。そこでそういうような状態になってきた、おそれがあるというこの段階におきまして、一つの画期的な考え方の変え方を厚生省にお望みをいたしたい。各業界におきましても保護育成ということがいわれております。この保護育成ということと、それから生活が政治であるといたしますならば、この生活に経済観念を離れた政治というものはないと考えられるわけでありますので、政治行政の面におきましても、経済の面を十分考慮されまして、行政指導を厚生省は強力にしていただきたいということを特にお願いをしておきたい。これに加えまして、いわゆるわれわれの考えておりますところの薬事法の改正案を、ぜがひでも今国会に御提出あらんことを特にお願いしておきたいと思うわけであります。それから重ねて国会の先生方にお願いしておきたいことは、今申しますように小売業界でも二十万人の業者がおります。製造業者といえども数十万のそれぞれの家族を持っておられます。卸業者もまたしかりであります。加えますると百万人にも及ぶという家族を擁しました一つの医薬品の企業体が、もしも三者話し合いが円滑に参りませずに、小売業者が混乱をしたあるいは製造業者といえども混乱したということになりますと、これは大きな社会問題になって参ると考えます。われわれも詳しく知りませんが、憲法によればわれわれは生活の保障を与えられておるということでありますので、この点もお考え下さいまして、われわれがいよいよどん底にならんとするこの生活とそれから配給機構の問題を、一つ国会におかれましては真剣にお考えをいただきまして、国民保健衛生のために、あるいは百万のこの社会問題を起こそうというこの問題のために、適切なる施策を行なわれまして、今後とも一つよりよき御指導と御支援を賜わらんことをお願いいたしまして、私のお話は終わりたいと思います。大へんありがとうございました。(拍手)
○永山委員長 次に、日本製薬団体連合会常任顧問木村忠二郎君にお願いをいたします。
○木村参考人 私、日本製薬団体連合会の常任顧問をいたしております木村でございます。私は常任顧問でございまして、業界の業者ではございません。従いまして実際の製造業そのものを営んでおります苦労というものは存じておらないのであります。でございますから、本日当委員会におかれまして御要望になっておられますことについてお答えができますかどうかということは、はなはだ心もとない次第でございますが、日本製薬団体連合会つまり全国におきます医薬品の製造業者の連合体でございますところの連合会におきましては、ちょうど本日大阪におきましてその総会をいたしております。従いまして全体のことがわかります者は全部大阪に参りましてその会を開いておりますので、こちらに参ることができません。たまたま私こちらにおりますので、かわりまして参ったような次第でございます。流通機構の問題、配給秩序の問題というものは、主として卸並びに小売の関係におきまして、当然その秩序が立つようなことになるべきものであろうと思われますが、これに対します生産業者のやり方というものがその配給の秩序を乱すというようなことになりますことは、非常に大きな影響力を持つものでございまして、この配給秩序の乱れというものは、すでに数年前からこれが出て参っております。これに対しましては、製造業者といたしましても、配給の秩序が乱れますこと、これが医薬品全般の、国家におきまして活用されます面におきまして大きな支障になるということを感じておったのであります。日本製薬団体連合会におきましては、この点におきます製造業者としての措置というものを、すでに昭和三十三年以来研究をいたして参っておるのであります。ただ製造業者の中におきましても、非常に力の強い製造業者と力の弱い製造業者とがございます。しかもこの相互の関係は、お互いに自由に競争して、いい薬を作り、いい薬を国民に提供するということになっております。その基礎に立って自由競争の立場をとっておるわけでございます。従いまして、この間におきます競争が生じますことはやむを得ないのでありますが、そのために流通秩序が撹乱されるということはよろしくないというところで、業者相互でもって話し合いをいたしまして、これを適正化いたしますために販売対策委員会というものを設けまして、主要なる製造業者がこれに対します措置を研究して参ったのであります。一方、実際の小売の面あるいは卸売の面におきまして乱売ということが地方に出て参りましたのは、御承知の通り三十二年ごろからそういう傾向が出、三十二、三十三、三十四年とだんだんと激しくなって参っておるのでありまして、小売業者並びに卸売業者からは、これに対しまして製造業者においてとるべき措置についての要望が出て参っておるのであります。これにこたえまして、販売対策委員会におきまして、どうしたらいいかということについての検討をいたして参りました。ただこれは業者相互の間の、みな自由にやっておることでございますので、話し合いをいたしますについても、実態はどうなっておるか、製造業者が特売なりあるいは今お話がございましたような押し売りのようなことがあったというようなこと、そういう秩序の乱れる原因になりますようなこと、これが実際にはどういうふうに行なわれておるかということが、製造業者相互の間でもなかなか腹を割って話をするということにはいきかねるのであります。よほど困ってきませんとそうなってこないのであります。従いまして、一応の基本方針については話し合いはつくのでありますけれども、これを実際に適用するということになりますとなかなか困難があるのであります。これが統制のいたされまするようなときならできるのでありますけれども、自由経済のもとにおきましてはなかなか困難でございます。ただだんだんと、製造業者の内輪の方を考えてみましても、品物はできて、そうして店で売られておるはずになっておりますけれども、実際にはそれに対しまする資金の回収はできていない、こういうことになって参りますと、製造業者自体にも火がついたということが明らかになって参りますので、この点につきましては非常に真剣になって参りまして、最近におきまして、製薬業者の中で特に中心になりますような大きな二千社の営業部長なり担当者なりあるいは社長なりがそれぞれ集まりまして、それに対しまする、お互いの過当な競争をやめるようにしようじゃないかということになって参りまして、先般大体の方針をきめたのでございます。製造業者におきましてそういうような話し合いをきめたのでございまするが、まだ現在若干の問題は話し合いがつかないで残っております。しかしながら、大きな方針といたしましては、従来のような過当な競争はやめようというようなことにいたしまして、特売でありますとかあるいは品物を送りつけて小売なり卸の方から押し売りと見られるようなことはやめる、また乱売のもとになるようなことはやめると申しますか、非常に制限するということに話し合いがきまったのであります。ただそれにつきまして、非常に力の強い業者と力の弱い業者との間の違いがございます。従いまして、その間の取り扱いにつきましては、個々の品目につきまして十分話し合いを行なっていこうということに大体きまりましたようなわけでございまして、そういうようなことになったわけです。一方におきまして、御承知の通りに厚生省におきましてはさきに薬事協議会を設けられまして、これに関係団体の代表の者をお呼びになりまして、そしていろいろな重要問題を審議いたしておるのでございますけれども、その際にこの流通機構の問題がそこで取り上げられました。そしてこの流通機構の問題は、卸売業者、小売業者並びに製造業者、三者の代表が集まって話し合いをする三者協議会というようなものを作りまして、そこでもって話し合って事を取りまとめて参ろうということに、その薬事協議会の方で話し合いになりました。その話し合いに基づきまして現在三者協議会ができまして、卸売業者、小売業者並びに製薬業者の代表の者が集まりまして、ひんぱんに相談いたしまして、すでに十数回も会合を開きまして、どうすべきかということにつきましての話し合いをいたしておるのでありまして、先般も製薬団体連合会が中心になりまして流通機構の確立のための措置というものをきめました。一応きまりましたものにつきまして、これを提案いたしまして、御了承を得たように私は承っております。
 なお製造業者といたしまして問題になりますることは、現在のこの流通機構の秩序を維持いたしまするために製造業者としての措置をとるということは、今後の業態につきましては相当大きな打撃があることを認めておるようでございます。と申しまするのは、これによりまして、特売等によって従来相当売れておったような形になっておりましたものが、今後はそう売れなくなる。従って生産にある程度抑制をする必要を生じてくるのであります。従いまして、ここ数年の生産業者の業態というものは非常に苦しいものになる。つまり従来の業績を維持することができないということになるのではなかろうかということが憂えられております。しかしながら、将来の日本におきます医薬品製造業というものを確立いたしまするためには、この苦しい状態を切り抜けていかなければならぬという覚悟はできておるようでございまして、その点につきましては深い認識を持っておるようでございます。また、生産につきましてもある程度の制限をいたさなければならぬ。つまり売れないものを作るというわけにはいきませんから、これをある程度抑制するということになりますれば、自然医薬品の製造単価は上がらざるを得ない。つまり大量に作ることによりまして生産原価が下がっておりましたものが、生産をある程度抑止することによって生産原価というものは上がってくるという傾向があることもやむを得ないのじゃないか。これに対して、これをどう措置するかということにつきましても十分検討しなければならぬということで、業界ではこの点を非常に慎重に考えておるようなわけでございます。
 しかしながら今のこの状態を切り抜けませんと、先ほど薬剤師協会の沖さんが申されましたように非常に長い済期でもって取引をいたしております。従いまして今度の決定によるような方法でいきますれば、資金の回収が相当困難になってくる。従って当分の間は企業の経営といたしましては非常に苦しい状態にならざるを得ないのであります。そこにもってきまして、御承知のような貿易の自由化というような問題も出ております。従いまして、生産業界といたしましては相当しっかりした経営方針を立ててやっていかなければならぬのじゃないかということで、ここにおきましては相当苦慮いたしておるように、私はそばにおりまして見ておるようなわけであります。しかしながら今申しましたような方針をさらに掘り下げまして、先ほど沖さんからお話がありましたような事業者に対する販売の問題等につきましても、なお早急に方針をきめなければならぬということで、この問題につきましては引き続きその問題を検討いたします委員会におきまして検討を進めるように相なっておる次第でございます。
 以上まことに粗雑でございますけれども、また専門家でございませんので、非常におわかりにくかったことかと存じますけれども、御了承をお願いいたしたいと思います。
○永山委員長 次に日本医薬品卸業連合会会長松田金之助君にお願いをいたしまする。
○松田参考人 私は日本医薬品卸業連合会の会長をいたしておりますところの松田金之助でございまして、港区芝愛宕町二ノ二番地、それとともに東京都の医薬品卸売の理事長も兼ねておりまして、昨年十二月十八日池袋に乱売店を開始以来、三協薬品といたしまして、東京都の三者協議会におきまして、卸、メーカー、小売この三者の対抗乱売店を設立いたしまして、政府の皆様に大へん御迷惑をかけ御憂慮をいただき、また現地にまで御見学いただくというような始末を起こしましたことを厚くおわび申し上げるわけでございます。事のよしあしは問わず、かような状態にタッチせざるを得ないようなことになりましたので、あのような状態をいたさざるを得ないようなことになったのでございます。これは皆様この成り行き、このあり方につきましては十分御承知のことと思いますので、私は今日は日本の卸業といたしましての角度から御説明を申し上げたいと思うものでございます。
 私ども日本医薬品卸業連合会の傘下におりますのは、その業者の数が千六百人、従業員約三万、家族を入れますと十有余万の人が、毎日営々として医薬品の配給を担当いたしておるのでありまして、その取り扱い高は年間一千五百億円、その大体過半数がいわゆる町の末端消費者につながりますところの薬剤師の御経営なさる薬局、薬業一号業者、薬業二号業者、薬業三号業者の一部に私どもは供給いたし、その過半数は大病院、診療所等の大口消費者にも供給いたしておるわけであります。今日流通機構の非常に乱れたその原因は、メーカーさんの過剰生産の問題もありましょうし、あるいは第三国人による日本の経済撹乱というような点にもあるのではなかろうかと私ども考えるのであります。とりもなおさず卸売業というものが千六百軒あるのでございまして、今日の約定におかれましては、医薬品販売業というその販売業一つで薬局も販売業ができ、いわゆる薬剤師のいない無資格者でも薬剤師を雇用すればすぐその薬品販売業が許可される。またその許可のあり方につきましても、消費者に販売する人もあるいは同業者に販売する人も、みな同じ販売許可によって運営されているというところに、この流通機構の大きく乱れたもとがある、かように私は考えるのでございますが、今後薬事法改正のときには、こういう面をはっきり消費者に販売する医薬品販売業者と、いわゆる同業者に販売する医薬品販売業者というふうに、同じ販売業でも二つに分けなければいけない、こういうふうに私は考えているのでございます。現在千六百名のわれわれ同業者のうちには、卸と小売とを兼業をしている者もございますが、これは卸と小売と兼業してはいけない、あるいは卸企業をやっている人は小売をやってはいけない、小売をやっている人は卸をやってはいけないということが規制されておらないのでございまして、従っていろいろなところにそうした問題が起きてくるということが考えられるのでございます。こういう面で今後ぜひ、消費者に販売する医薬品販売業と、いわゆる同業者、仲間に販売する医薬品販売業というふうにはっきりした線を引くべきである。たとえば同業者に販売する医薬品販売業というものは、先ほど申し上げましたように年間千五百億円の大量の商いをしているのでございますから、倉庫の設備、あるいは搬送機関、あるいは従業員、あるいはかくかくのメーカーと直接取引があるものでなければいかぬというようなふうに筋を立てていきますと、はっきりとした流通経路というものが保たれていくのではなかろうか、かように考えておりますので、先般日本医薬品卸の理事会におきましても、そうしたはっきりした線を卸につけてほしいというようなことの決議を決定しているわけでございますが、さような考え方のもとに、私どもの卸がほんとうにはっきりした線が引かれることによりまして、医薬品の完全配給と完全運営ができていく、私はかように考えているのでございますが、こうした流通機構の乱れということによりまして、私が常に考えますことは、少なくとも池袋にああした問題が起きたときにも、あれと最初から取り組んで、第三国人の経営する三共薬局、これらの言を聞いてみるならば、結局無資格者であって医薬品に関する何の知識もない、医薬品をただ商品と同じように扱っているという人が、あるいは大阪におき、名古屋におき、東京において、かような状態で普通の商品と同じ感覚で消費者に呼びかけて、そうして安売りをするということは、医薬品といたしましてはまことに黙過できないところの不幸な事態を起こすもとを作るというようなことから考えまして、私どもはいかにこの人たちにやめてくれということを言いましても、なかなかやめられないということは、ただ金さえもうかればいいのだ、利益さえあればいいのだというような感覚を持ってあの方々が運営しているということでございまして、先ほどメーカーさんの木村先生からのお話のように、メーカーさんもようやく今日この状態をそのままにするわけにはいかないというような考え方から、この自由経済の折に、二十社のメーカーさんが新しい方針を立てられまして、そしてそれを一つ軌道に乗せようという御意欲のもとに現在スタートされているのでございまして、先ほど御説明のように、今日は大阪におきましてそうした会が持たれているというのでございますが、何を考えますのも、やはりメーカーさんと、私ども卸、それから小売団体の皆様がほんとうに真剣に取り組まなければ、この問題の解決はいたさない。薬九層倍が、薬九割引というようなことを世間に流布されたのでございますが、実際薬というものはそんな安いものではございません。ございませんが、いたし方なくそういう状態にまで持ち込まれるような事態が起きたということを一つよく御認識いただきたいと、かように考えるのでございます。われわれ卸がはっきりした営業をし、はっきりした線が通ったならば、医薬品の完全な配給とそして完全な流通機構も確立できるということの確信を持っておりますと同時に、あるいは不正表示医薬品とか不良医薬品とか、そうしたものも絶対出ない、出さないということがいえるのではなかろうか、かように私どもは考えておりまして、メーカーさんがお売りになったのを、仲人役として、小売の皆様、あるいは病院に供給しているという私どもの責任が一番重いと同時に、今日われわれ卸が一番窮地に陥っておるということでございます。と申し上げることは、やはり小売の方々とメーカーさんの間にはさまれて、円満な運営をすることのできないような状態に追い込まれてしまっておるというのでございますが、こうした問題もやはり二十社メーカーの方々の自重とわれわれの真剣な努力と、また小売の皆様の協力さえあれば完全に打開し、また完全な運営に進んでいけるということについて、私は十分自信を持っておる一人でございます。どうぞ来たるべき薬事法改正のときには、やはり卸というような状態を同じ医薬品販売業でも、一つ線を一本入れておくということをお考えおきいただきまして、先生方の御協力をお願い申し上げたい、かように考えておる者でございます。
 卸の代表として申し上げたいことは以上の通りでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○永山委員長 以上で意見の開陳は終わりました。
 次に参考人に対する質疑を許します。滝井義高君。
○滝井委員 今医薬品の配給秩序確立に関する件について、日本薬剤師協会の沖さんと、製薬団体連合会顧問の木村さんと、日本医薬品卸業連合会会長の松田さんとから貴重な御意見の開陳がございました。今後われわれが医薬品問題を研究する上に非常に貴重な資料を得たものと深く感謝を申し上げます。今の御三人の方の御公述の中から、私の気づいております、あるいは疑問に思っております三、四の点についてお尋ねをしてみたいと思います。
 それは、われわれしろうとが薬の小売から卸から製造業に至るまでの問題に特に注目をし出したのは、何も池袋における乱売が問題になったからということではございませんけれども、大衆の中に薬に対する信用というものが急激に低下をし、薬に対する批判が社会的にも巻き起こったのは、何としてもやはり池袋の乱売の問題が大きく作用したことは見のがすことができないと思うのです。今松田さんの御公述の中にもありました通り、薬九層倍が薬九割引になったということは、日本の大衆にとっては、やはりそうであったかという一つの奇異の感と申しますか何と申しますか、製薬企業もひっくるめて、薬に対しての非常な疑問を提供することになったと思うのです。
 そこで、私はまず木村先生にお尋ねしたいのです。さいぜん堤議員からもちょっと異議が出ておりましたが、実は私たちとしては、メーカーの方御自身がきょうはおいで下さるものと思っておりました。木村先生はもともと厚生省における大先輩で、行政を通じて製薬企業のあり方については深い見識をお持ちの方だと思いますけれども、現実に薬を作る苦労ということについてはあまり権威ではないのじゃないかという感じがするのです。従ってそういう観点から見ると、きょうの御参考人としては幾分適格性を欠くと思いますが、さいぜんの御説明にもありました通り、何かきょう大阪の方でメーカーの団体の会合があるということでございますから、これはやむを得なかったかと思います。従って木村先生の知っておられる限りを御説明いただけば幸いだと思うのです。
 乱売の問題は、木村先生のお話にもありました通り、これは昨年の暮れから突如として起こったものではなくして、三十二年以来乱売が始まって、だんだんそれが激しくなって三十五年の今日に至っておる、こういうことでございます。すでに三十二年以来乱売の問題が起こってから、大阪や名古屋では、皮肉にも薬屋さんが薬石効なく乱売のために倒れていったということをある人は言っておるのです。薬屋さんが薬のために倒産をするということは世にも不思議なことになったわい、こういうことになるのですが、そういうふうに薬屋さんが倒れなければならない乱売は一体なぜ起こるのかということです。メーカーと卸と小売と三者があるのですが、その原因の一番の根源は世の中ではメーカーだと言っておるわけですが、木村さんは一体この乱売の原因をメーカーとお考えになっているかどうか。
○木村参考人 私は乱売の原因はメーカーだけだとは思っておりません。少なくとも乱売そのものがなされるということは、小売にも責任がありますし、卸にも責任があるし、むろんメーカーにも責任がある。これは三者に責任があるものだと思っております。三者がその原因を中に内蔵しておると思います。
○滝井委員 乱売の原因は、卸のみならず小売もメーカーもそれぞれ三者がその原因を内包しておるという御答弁でありました。そうしますと、おそらく乱売の原因はメーカー、卸、小売、三者均等に負うものではないかと思いますが、乱売の原因の主動力となるものは一体三者のうちのどこにあるのか。
○木村参考人 これはどうも、どこが主動力になっておるということを申すことは困難なのじゃないかと思います。と申しますのは、乱売ということが一挙に起こったものではないのでございまして、逐次そういうふうな風潮が出てきた。先ほど三十二年からと申しましたのは、顕著に現われたのが三十二年でございます。薬の乱売に当たるようなことは、もっと前から、私が厚生省におりました時分から、確かに行なわれておりました。薬業の新聞等を見ますと、しょっちゅう乱売が書かれておる。それがだんだん激しくなって、三十二、三年ごろ大阪で起こりましたことがそうじゃないかと思います。それが累積いたしまして東京に現われたものでございますから、これが非常に大きく世間を驚かしたということじゃないかと思います。
○滝井委員 木村さんの御答弁は、そうすると責任はやはり三者均等に負わなければならぬことになりますが、沖さんのお考えはどうですか。
○沖参考人 私は率直に申しまして、メーカーと薬事法の不備にあると考えます。いわゆる三十二年前の乱売というものは潜在性でありまして、今日ほど社会的な問題にはならなかったのであります。三十二年ごろに大阪の平野町に現金問屋ができました。この現金問屋ができたのは、いわゆるメーカーの生産過剰というものが一番の原因をなしておると私は考えております。薬事法はいわゆる戦後のアメリカ立法でありまして、非常に不備な点がございますので、これを法的に規制することが非常にむずかしかったということが大きな原因だと私は考えております。
○滝井委員 くどいようでございますが、松田さんの御意見を一つ。
○松田参考人 私はこの責任ということは、今小売代表のおっしゃいましたように、段を一、二、三とつけるとすれば、やはりメーカーが第一であり、卸が第二であって、小売が第三であると申し上げたいと思います。と申し上げることは、結局そう言わざるを得ないような問題がここに起こっている現実があるから私はそう申し上げるのでありまして、決してここでお得意さんだから小売屋さんは何ともないのだと言えないのであります。それからもう一つは法の不備ということでございます。この法の不備を完全に直していただくということは社会労働委員の先生方のお仕事だと思いますから、この点を十分やっていただきたいと思います。
○滝井委員 松田さんの方はメーカー第一位、卸第二位、小売第三位という順位がつきました。これで二対一ということで裁決を下すわけには参りませんが、傾向としてはきわめて具体的に、メーカーの生産過剰、一つは薬事法の不備だこういう点が出て参りました。薬事法の不備の問題については、さいぜん以来、金があればすぐに売れるのだという具体的な欠陥の指摘がございました。薬事法の問題は、いずれ政府の方も四月の中旬前後には薬事法の改正案を国会に出すやに承っておりますから、これはそのときに譲ることにして、きょうは医薬品の配給の秩序の確立に関することでございますが、その秩序確立のために最も重要な点は、沖さんの御指摘になりましたメーカーの生産過剰の問題でございます。一体現在日本の製薬企業に生産過剰があるかないか。これがまずわれわれが流通秩序を確立する場合に一番大きな問題だと思うのです。常識的に考えて、今一つの経済機構の中で、ある商品が非常に大きな過剰の状態であるということになれば、これは背からそこにダンピングが行なわれることは一つの常識なのですね。そこで木村先生、現在日本の製薬企業の中において生産過剰というものがどういう状態で存在しておるかということを御説明願いたい。
○木村参考人 御承知の通り医薬品というものは非常に種類が多いものでございます。しかもその中に医薬向きもございますし、大衆向きもございます。またその中には病気をなおすために使うものと保健剤というものがございます。その種類がいろいろございまして、その需要の時期というものがいろいろになっております。従ってメーカーが作ります場合には、自分が売るつもりで作っておるのでございますから、そうむやみな過剰があるものではございませんけれども、どちらかと言えば、生産能力がありますれば過剰になりがちである。しかもお互いに話し合いをもって統制をするということをいたさない建前になっておりますから、従いましてそういうような品目につきましては、競争いたします限りある程度品物によっては残る。従ってそれを売り込み競争をするということになりまして、これが先ほどから御指摘のありますような乱売のたねを作っていることは間違いございません。それがだんだん累積いたしておりますので最近におけるようなものが出てきたのではないか。そこでメーカーの側といたしましては、先ほど申し上げましたような、そういうことをしないという対策を講ずることにいたしますと、結局今後はある程度生産を縮小するということにならざるを得ないのじゃないかと思っております。
○滝井委員 少し具体的になりますが、日本の医薬品の製造総高が千四、五百億くらいあるだろう。そうすると、その中で大ざっぱにいって、額でいいまして、どの程度の生産過剰があるとお考えになりますか。
○木村参考人 これは、正確なる数字はおそらくわからないのじゃないかと思います。私は知っておりません。
○滝井委員 沖さんの方で、額でなくても、何か具体的にこういう状態で生産過剰の現象が現われているという、しろうとわかりのするような御説明ができれば、卸の方の松田さんでもけっこうですが、お願いしたい。生産過剰の状態があるが、これがやはり一つの原因であるということ。これは木村さんも、メーカーが作ったものはある程度競争をずんずんしていくとそこに過剰が出てくるというように御説明になっておるようでありますが、それを何か現象的に、こういう状態で過剰が現われている。――乱売も過剰の一つのはしりかもしれないと思いますけれども、何かそういうことで、われわれしろうとにわかりやすいものがあれば、お教えいただきたいと思います。
○沖参考人 生産過剰ということは、概念的にははっきりしておると思いますけれども、具体的な説明は非常にむずかしいと思います。ただ医薬品に関して言えますことは、医薬品というものは大企業より零細企業までが製造業者になり得るということであります。そこで、一つの優秀な医薬品が製造されますると、これに類似するものを各メーカーが作るということであります。そこで各メーカーが作りますために、押し売り、アフター・サービス、いろいろな点が出て参るということはいなめない事実だと思います。そこで、まことに申しかねますけれども、生産過剰が概念的にあると思いますけれども、いわゆるメーカーの数が多いためのこういう現象もまたこれに加わってきておる、私はこう考えておるのでありますので、御了承願いたいと思います。
○滝井委員 過剰生産傾向というものは、概念的にははっきりするけれども、具体的にはわかりかねるということでございますので、一つもう少し具体的に聞かしてもらいたいと思うのですが、さいぜんの木村さんの御説明で、薬というものは医師向けと大衆向けという薬ができる、こうおっしゃったわけです。そうしますと、最近における日本の製薬企業の生産傾向としては、医師向けのいわゆる治療用のものがぐんと伸つつあるのか、大衆向けの薬がぐんと伸びつつあるのか、これは一体生産傾向としてはどうなんですか。
○木村参考人 大衆向けの薬は、大体家庭薬の方が中心でございますから、一般の医薬品製造業といたしましては、やはり医師向けの薬が伸びておるというふうに言っていいのじゃないかと思います。ただしこれは大体需要量というものが一応想定されまして、この方にはあまり大して問題がないので、過剰の問題、乱売の問題が出て参りますのは、どちらかと申しますればやはり大衆向けの方に問題が起こっております。
○滝井委員 そうしますと、医師向けの方が生産がぐんぐん伸びておる。これはむしろ逆じゃないでしょうか。今の傾向としては、むしろ医師向けの方はここ一、二年停滞か、ストップはしていないでしょうか、あるいはむしろ減少傾向にあるのじゃないですか。大衆向けの、たとえばビタミン、強肝剤というような御説明がありましたが、そういうものがぐっと伸びているのじゃないですか。
○木村参考人 その点につきましては、私正確な数学を存じておりませんから、ここでお答えいたしかねます。
○滝井委員 実は過剰生産傾向にあるかないか、乱売の起こる原因は一体どこにあるかというと、私はやはりここらが一番問題があると思う。医師向けの方は、木村さんのおっしゃったように大して問題がない。ところが大衆向けの方は、強肝剤、ビタミン剤がぐっと伸びておる。ビタミンの製造だけでも二百億こえておると思うのです。そうしますと、千四百億くらい生産するものの中で一割四、五分、二割近くのものがビタミン剤だという状態になって参りますと、明らかに二百億のビタミンというものは日本国民に必要がないと思うのです。私はこういう点が一つの大きな問題で、いわゆる乱売をする商品の過剰傾向、医薬品の過剰傾向を端的に表わしておる。ここいらあたりに問題が出てくるのじゃないかと思うのです。そこいらをはっきりしてみるとわかるのですが、卸の方の品物の動きからでもおわかりになるのじゃないですか。
○松田参考人 今の生産の状況でございますが、私はいろいろの方面、いろいろの感じから、現在の乱売業者に扱われておる月の消費量というものは約五億円あるということを常に考え、またそういうようなことを考えざるを得ないような状態になったのであります。そういうことから考えますと、これは過剰生産であるのかないのかというより、むしろ月産百十億できる医薬品の七十億円ぐらいは、われわれ卸と小売の手によってさばかれている。四十億円ぐらいはまださばかれない商品がある。そのうちの一割、四億円ぐらいがいわゆる現金屋に流れておる。これは私が言うのではなく、乱売最中にNHKの小田善三という人がそういう説明をなさっていたのでありますが、それを私聞きまして、なるほどそうかということを考えました。五億円のいわゆる現金の流れがある。よく卸は横流ししては困るじゃないかということをいわれるのですけれども、われわれ卸の手によっては五億円の商品は流れない。われわれはそのときに、一億円くらいはわれわれの卸の横流しあるいは小売の手による横流しはあるのではないか、そう考えたのでございますが、そういう面からいきますと、現在のマスコミ商品であるところの総合ビタミン剤あるいは強肝剤というものが、相当そういう渦中に巻き込まれておるおそれがある、こういうように卸の立場からは考えられます。
○滝井委員 これはきわめて注目すべき御意見だと思うのです。月産百十億の薬の中で、卸、小売の機構を通るのは七十億、あと四十億の薬は行方不明だという話です。実は私は数年前の医薬分業のときにも流通機構を調べたことがあるのです。やはり三、四百億の薬がどこにいっておるかわからないのです。全部いろいろの方法で洗ってみたり逆算をしてみたり、その小売薬局の販売する薬の捕捉もやってみたのです。税務関係から割り出してもみましたが、三、四百億の薬がどうしてもわからないのです。どこにいっておるかわからない。ところが今の御説明で、やはり私の疑問が期せずして卸の皆さん方から出てくることになるわけです。そうすると乱売の原因、過剰の原因というものはこの四十億というものが具体的な形として現われてきたわけです。そうすると、その四十億の薬というものは、日本においては生産過剰の状態にあって、経営を維持していこうとするならば、これは何かの形でお金にかえられなければならぬ、こういう結論が出てくるわけです。そのビタミン一つを見ても二百億前後を作っておりますが、現在日本の国民の中には、九人に一人の割合で貧乏人がおって、九千万の国民の中で四人に一人の割合、二割五分は栄養失調だ、こういわれる。ところが、おそらく毎朝国民から出る尿を調べてみると、その中には過剰なビタミンがうんと捨てられて排泄されておると思うのです。というのは、いわゆる強肝剤、総合ビタミン剤というものが宣伝広告をされて、国民はこれを、何も役に立たないといっては語弊があるかもしれないけれども、過剰なビタミンを飲んでおるということです。これは国民経済の上からみても、家計の問題からみても大問題だと思うのです。こういう点に厚生省、特に薬務局なり医務局あたりがもう少し注目をする必要があるのじゃないかと私は思う、国民の衛生指導をやる場合に……。そんなにビタミンを大量に飲む必要はないのだ。むしろ私は、日本には四人に一人の割合で栄養失調の患者がおるが、四人に一人の割合でビタミン過剰の人間がおるのじゃないかという感じがするのです。こういう点はいずれ厚生省に尋ねることになるのですが、この四十億の過剰生産の中にむしろそういう大衆的な強肝剤、ビタミン剤というものが入っておる。われわれ代議士の中でもずいぶん、みんな何とかビタミンというのを飲んでいますよ。みんなはそれは薬になると思って飲んでいるが、おそらくそれは過剰なものを飲んでおる。金を捨てておるようなものです。あとでまた広告のことも出て参りますが、そういう点で、木村さんは停止行政にも御関係になり、今度は製薬企業にも御関係になっておるのですが、厚生行政の立場から、国民の家計を豊かにして、ほんとうの健康を守るという方向にメーカーを御指導になる必要があると思う。と同時に厚生省にも、昔の立場からやはり御忠告を申し上げる必要があると思う。今四十億の行方不明のものがあるということが出てきた。これを即過剰生産とは私は断定はいたしませんけれども、過剰生産の疑いのある一つの数字としては注目していいと思うのですが、こういう点どうお考えになりますか。
○木村参考人 私の本日参っております立場以外のような御質問も若干あったようでございます。私個人として考えますれば、今滝井先生がおっしゃった通りに、日本におきまする薬の使用量が非常に多いのではないかという気はいたしております。はたしてそれがいいか悪いかということになりますと、私といたしましては何ともこれは申せないのじゃないか。と申しますることは、飲んでおります人はきくと思って飲んでおられるのだろうと思いますし、またからだにいいと思って飲んでおるのだろうと思います。そういうような点もございますから、はたしてどの部分が不要でどの部分が必要かということにつきましては、衛生教育等の面につきまして十分厚生省において御措置になりまして、そうしてイギリスのようにあまりそういう錠剤や丸薬はお飲みにならぬという国柄ができれば、医薬品の業界はまた変わってくるかと思います。ただ現在の医薬品の業界といたしましては、おそらくそれが国民に要求されておる。あるいは不必要に疲労を回復するためにビタミンを飲んでおるということはあるのかもしれません。しかしほんとうに不必要に使われているということが言えるかどうかはわかりません。やはり需要がありますれば、その需要を満たしていくということが必要ではなかろうか。過剰であるかどうかにつきましては、過剰なものはやはり今後は作らないようにしていかなければ、製薬業界そのものも立っていかなくなる。最近ではその点につきましては非常に痛感されておるようでありまして、この点は是正されるのではないかと思っております。
○滝井委員 時間がありませんから先に進みます。現在七十億程度は卸、小売を通じて売れておるが、四十億ははっきりしない、行方不明であるということになりますと、一体現在の医薬品の価格が世にいう適正な利潤が含まれておる適正な価格であるかどうかという問題、薬九層倍が九割引きに転落した、こういうことで、結局われわれしろうとから見れば薬が高過ぎるという印象のみ植えつけられたわけです。それで薬が高過ぎるかどうかということの申し開きは、やはりはっきり理論的にしていただかなければならぬと思う。そうでないと、われわれとしても製薬企業のあり方そのものについてもう少しメスを入れなければならぬことが出てくると思うのです。現在の薬の価格は高過ぎるという印象を受けたのですが、薬の現在の価格について特に木村さんに承りたいと思うのです。さいぜんの木村さんの御公述の中にも、二十社の申し合わせが今度は三社でだんだん協議をされていく、こういうことになって、特売等で売れておったものが今後は売れなくなるということになれば、生産の抑制をやる、生産の抑制をやればその限度において生産原価は上がってくる、貿易の自由化の問題もあるし、小売あるいは卸からの資金の回収もなかなか困難だから、必然的に生産の原価は上がらざるを得ないというような意味のお話があった。そうしますと、今の価格は高いのだという印象をわれわれは受けておったのに、今後二十社の申し合わせみたいなものができて薬が上がるということになると、何かキツネにつままれたような感じになる。この点、現在の価格についての見解を承りたいと思います。
○木村参考人 これも私ただいま数字を持って申し上げるわけではございませんので、こういうことは数字を持って申し上げませんと正しいかどうかということは保証できないと思います。これはいずれ数字等を作りまして検討しなければならぬ問題ではないかと思います。ただ私が今まで受けております感じといたしましては、メーカーが現在あれだけの商品を売りまして利益を上げているといっているものの中には、資金の回収がついていないものが――自分の倉庫を出まして卸なり小売のところに入って、そちらにいったものをもって一応売れたということで計算をしているところが相当多数あるわけであります。従いまして実際は利益が上がっていないにもかかわらず、利益が上がったような形で計算をしているといったような段階にあるもののように私は見ております。そうしますと現在薬が非常にもうかっているように見えますけれども、あまりもうかってもいない。実際の配当なんかを見ましても、ほかの企業と比べて大きいことはありませんから、薬はそうもうかっているわけではございませんけれども、その状態ですら非常に危険な計算の上に立っておるのではないかというふうな感じを私は持っている。従いまして先ほど申しましたようなことを言わざるを得ない。これはおそらくメーカーはそういうことは言われぬと思いますが、私としてはそういう感じを持っております。
○滝井委員 これは非常に大事なところでございますので、今の木村さんの御発言では、具体的な数字を持って言わなければいかぬ、現在売れたと思っておっても資金の回収がつかない、しかしそれは品物を出したのだから売れたものとして利益を計上しているというお話があったわけです。この問題は今後われわれが検討するのに非常に大事な点ですが、その資料を出していただけますか。たとえば未回収、売ったと思って出しておるがここ数年来の回収のできない、いわゆる売掛になって貸し倒れ的な状態のものが、千四百億というような生産高の中で一体どの程度のものを占めるか。たとえば今言ったような四十億のわからないという薬が、あるいはそういうものを補っているというようなことにもなりかねないので、そういうものを出していただけますか。
○木村参考人 おそらく各業界からそういう数字をとることは絶対に不可能ではないかと思います。そういうことを出してくれる業界というものはございません。私が見ておる感じを申しただけで、従いまして数字はなかなか出せないのではないか。しかも出しましたところで、その数字はなかなか本物かどうかはわかりません。
○滝井委員 実はあとでまた私だんだん貿易自由化の問題に触れますが、やはりここらあたりをフェア・プレーでいかなければならぬと思うのです。なぜならば、現在社会保険に使われる薬は原価主義だというのが厚生省の基本方針になっております。そして薬剤師の使う薬も歯科医師の使う薬も医師の使う薬も原価主義だ。それに技術料をつけ加えるのだという形になっておるわけです。従って日本の社会保険政策を推進していく上において、薬が原価主義になるということになりますと、製薬企業における薬というものにそう膨大な利潤をつけるというわけにいかぬというのが論理の必然として日本の今後の医療政策に出てくるわけです。木村さんは厚生省におられましたからおわかりになると思います。そうすると、すでに百十億薬が作られておって、七十億は流通機構の中ではっきりするが、四十億はどこにいっておるかわからぬということは許されなくなる。そういう意味で、今言ったように、それはもうかっておることにはなっておるが、売掛代金ということになって回収されないものを利益に計上しておるということになれば、計上しておる利益は一体売掛の中からどの程度計上しておるかということがはっきりしないと、薬は原価主義だということの、薬価基準に登載されておる価格について疑問が出てくるわけです。きょうは薬価基準の問題ではありませんから申し上げませんが、そこまで問題は必然的に発展してくるのです。きょうは流通機構の問題ですから、そこのこまかい価格の問題は触れません。
 これは卸、小売の方にお尋ねするのですが、一体メーカーから市販される価格のどの程度の割引で卸に行き、卸から小売に行くのかどうかということですね。これを一つ御説明願いたいと思う。メーカーが、十円のものは卸にはたとえば五円、小売には七円、一つこういう例で御説明願いたいと思います。
○松田参考人 なかなか医薬品の数が非常にたくさんございますので、今の御質問に答えるように、この商品はこうとっているということは申し上げられませんが、総合いたしますと、普通の商品で問屋が入っているものを小売にお渡しするのが七掛と申しますか、百円のものが七十円であるということが大体商品のそれでございまして、それにいろいろなサービスがついておりまして、そのほんとうの原価はそれでありましても、サービスによって多少その原価が下回っているというのでございますが、今日まで卸としましては小売の方々が乱売をしておって価格が通らないというので、ほとんど卸ははだしになっております。ほんとうにメーカーさんから来る価格で供給しているというような、先ほど私は卸が一番苦境に立っているということを申し上げましたが、卸のマージンというのは七%くらいが経営として必要なのにもかかわらず、その七%を割っているというような現状でございます。
○沖参考人 小売の方から申し上げますと、小売の方は先ほど公述いたしましたように、戦前は二割の小売のマージンであったのでありますが、最近は市価といたしますと三割のマージンであります。これに今いろいろお話が出ましたように、特売とか割り増しとか報奨金とかアフターサービスということができまして、いろいろ混乱を来たしたのでございます。そこで税務当局は小売の荒利益を昨年までは三割前後と見ておったようであります。ところが大阪の方では最近いろいろな、今申しましたような乱売の事情で、二割を切った荒利益になって参りまして、三十四年度は出ませんが、おそらく一割五分になっておるんじゃないかと思われるわけであります。それで先般小売団体協議会でいろいろ資料を集めた結果によりますと、小売の経営費というものは売り上げの一五%要る、家計費というものが二〇%要る、三五%どうしても売り上げの荒利益がほしいというのが一般の考え方であります。ところがいろいろのこういう情勢になりまして、荒利益が二割前後ということになっておりまして、小売の人は非常に苦境に立っているというのが現実の姿でございます。
○滝井委員 そうしますと、だんだんせんじ詰めていくと、問題は木村さんのところにあるわけです。百円の品物が卸段階、小売段階がありますから、五十円程度ということになるわけですね。そうすると、その五十円のどの程度の利潤を見込んでおるかということです。
○木村参考人 これはどうも私、業界ではございませんので、私は利潤をどういうふうに見ているかということは存じません。しかしこれは薬の種類によってずいぶん違うのじゃないかと思います。ものによっては非常にたくさんかけておるところもありますし、ものによっては非常にわずかしかかけないというのもあると思います。企業全体としてどのくらいの利益を上げるように経営するということが、個々の業界でやっておることではないかと思います。しかもこれは個々の業種によって違うのではないかと思いますので、むしろ業界の方々をお呼びになってお聞きになった方がいいと思います。
 それから先ほど申し上げました百十億、四十億というお話でございますが、これが全部利益になっているとは申しておらない。そのうち医薬品の原料――医薬品は原料として動くものでございますから、できました医薬品生産高全部がそのまま医薬品として出ているのではないと思います。実は私数字を知らないで申しわけないのでありますが、医薬品の総生産の中には重複しているものがある程度あるのではないかと思います。その点一つ……。
○滝井委員 一番大事なメーカーさんの方がわからないのでは、どうも問題の究明にならぬのですが、これは一番問題の核心で、どうも木村先生うまく御答弁いただけないようでありますから、また薬事法でも審議するときに本式のメーカーを呼んでいただきたいと思うのです。これは委員長にお願いしておきます。
 実はここで私広告の問題を少しお尋ねしておきたいと思うのですが、昨日私の手元に電通報を送ってきたのですが、三十五年三月十六日のであります。三十四年における総広告費が千四百五十六億円です。前年に比べて三割六分七厘増です。広告の問題を強引に取り上げていきますと、新聞社、民放、テレビも含めてなかなか大へんなことになるので、こういうことはなかなか新聞にも書かぬようになるのだと思うのです。しかしこれはやはり今後われわれが薬の値段を究明していく場合に、非常に大事な点なのです。三割六分七厘というような増加でございますが、その中で特に注目しなければならない点は、薬の広告が今までは王座を占めておったのが、三十四年度には三位に下がっているのですね。しかしそれは薬よりか電気機械器具、特に機械器具の類、それから食料嗜好品です。これが非常に伸びてきた。これらの伸びに比べて製薬企業の伸びは幾分少ないという程度であって、総体的な額自身はやはり増加をしてきているわけです。千四百五十六億の中で、機械器具が二百二億円、三十三年度が百二十八億円ですから、これは非常に増加をしているわけです。次いで食料嗜好品が百四十四億円、三十三年が九十五億円ですから、これも増加をしております。医薬品、医療品の類が百四十二億円、三十三年が百二十九億円ですから依然としてやはり増加をしている。これに同じ薬事法の対象になる化粧品が四位の百億円です。七十九億円が百億円に伸びているわけですから、医薬品化粧品を入れますと、二百四十二億円です。このあとたくさんありますが、四番目までぐらいを述べますとこうなるわけです。そうすると百億をこえるものが広告に使われているわけです。わが党においては過剰広告というものが一体どの程度あるのかという大ざっぱな検討をやってみたところ、過剰広告で三百億ぐらいある。これは薬だけでなくて全部の過剰広告に一つ税金をかけてみたら――これは明らかにビタミン過剰その他の問題で、国民に害は与えても益はないのだという見解をわれわれは最近とりつつあるのです。年間千四百億前後の産業を広告の中から見てみますと、化学繊維、合成繊維の出庫高は千三百億、国鉄の貨物収入が千四百億、全国菓子総販売高が千四百億、それから薬品の総販売高が千四百億です。日本の防衛費が千五百三十六億がことし九億増加して千五百四十五億円になったですね。防衛費に匹敵します。経済界における広告の占める位置というものが一国の防衛費と同じ形になってきたということです。これは非常に注目すべき点だと思うのです。しかもその中に薬事法に関係のあるものが二百四、五十億も占めてきたということは、われわれは薬の原価が、こういうような単にちらちらするような広告だけでわれわれのふところからとうといお金が出ていくということは防止しなければいかぬと思うのです。その分だけ経費が節減できると思うのです。そこで一割の広告のむだを省いても、化粧品と薬品だけでも二十五億くらいは出てくるということになる。これは二十五億の今の金というものは、われわれ社会保障関係にとっては重大な金ですよ。こういう点を考えてみますと、価格の問題というものは、こういう点を無視しては論議ができないのじゃないかと思うのです。製薬団体連合会の広告審議会ですか、そういうところで何か自粛をするようなお話もあるようでございますが、この広告の問題について価格との関連を製薬団体連合会としてはどうお考えになっておるのかということですね。
○木村参考人 医薬品の販売について広告の占めまする地位というものは、相当重要に医薬の製造業者は考えておるようでございます。その広告の中身につきまして、不当なものは抑えるという方針をもちまして話し合いをいたし、なお不当のものにつきましては、厚生省とも連絡をとりまして抑えるようにいたしております。それが多過ぎるか少な過ぎるかということにつきましては、連合会の方でこれをどうこうするということはいたしておりません。これは業者におきまするところのそれぞれの企業の経営との関係があることでございまして、日本制薬団体連合会そのものとしましては、ある業者の広告が多いか少ないか、それは業者の業態によっても違うのであります。非常に新しい業者というものと、古くからありまする業者というものと、それから古い業者におきましても、作っておりまする薬の種類によりまして相当違っておるようでございます。従いましてこれにつきましてどうことするという規制はいたしておりません。規制をいたしておりますのは、その広告の中身が非常に不当であるというものにつきましては、自粛自制するようにということを申しております。それから最近のいろいろな関係もございまするからして、薬の広告をあまり大きくしないように、薬の広告の大きさ等につきましては、自粛の申し合わせをいたさせております。
○滝井委員 さいぜん二十社の申し合わせというようなものを大ざっぱに御説明をいただいたのですが、これは卸並びに小売の方にお尋ねをいたしたいのです。さいぜん二十社の申し合わせによっていろいろと特売その他の自粛をやる、従って今後価格はむしろ上がってくるだろうというお話があったのですが、その二十社の申し合わせが小売並びに卸に及ぼす影響をどうお考えになっておるか。
○沖参考人 先般三者協議会で二十社の流通の問題が提案されまして、いろいろ討議いたしました。そこで私委員として出ておりまして、二、三点いろいろな問題について質問いたしました。製造業者が今まで独善的な考えを持っておったと私は考えておりまするが、その製造業者が時勢とはいいながらここまで二十社が話し合いを持ってきたということは一応了承すべきものではないかという考えを持ったのであります。ただ一番遺憾な点は、小売業者といたしましては、原価が上がるのでありまするけれども、小売業者の原価の上がるということは大衆には響かぬのでありまして、小売業者の原価は上がりますけれども、今乱売の原因をなしておりまするところのいわゆる乱売屋あるいは事業所の問題、それらに入りまする値段が小売業者と同一値段でいくなれば、私はしんぼうすべきだと考えたのであります。ところが大衆に対しましては定価が以前のままなのでございます。これははなはだ不都合な処置だということになっております。そこで乱売屋や事業所へいきまする値段が非常に安いのであります。しからば大衆におわけするいわゆる値段もその値段にするのが当然ではないか。事業所や乱売店にそういう値段でメーカーが売れるならば、小売店にもその値段で供給して、大衆にその値段でわけ与えるということが製造業者の正しい考えではないかということになりましたので、強い抗議を製造業者に申してあるわけであります。この点につきましては最近三者協議会でいろいろ討議せられるということを聞いておりまするが、いずれその節明らかになると思います。
○松田参考人 卸といたしましては、メーカー二十社の新方針に全面的に賛意を表しまして、それに協力していこうということの意思表示をはっきりしておるのでございまするが、ともかくも今小売の沖先生のお話のように、非常に長い間の懸案でございます。乱れ切ったこの流通機構をすぐさま切開手術して解剖するということは非常に困難でございまして、メーカーさんにおかれましても総合ビタミン部会とかあるいは何々部会とか、部会々々によりまして、今度出されましたデータは第一段階のものでございまして、今後第二段階、第三段階とほんとうの実情に即したあり方にお進みになるものとわれわれは解釈いたしまして、こうした構造によりまして現在の流通機構の安定が見出される、かように考えまして、卸といたしましては全面的に賛意を表しております。
○滝井委員 二十社協定ができた場合の小売商のマージンというものは影響ありませんか。
○沖参考人 先ほどお話し申しましたように、小売のマージンは減ります。ただ問題点は、メーカーがこの流通機構を固く守っていただけるということなれば、一番悩んでおりまする乱売店、事業所の問題が解決に一歩近づくという見解で私は賛成を申しました。小売の利益は残念ながら二、三分減ります。減りますることはしんぼうするといたしましても、大衆にさばく定価というものが据え置きということはけしからぬ。小売としては全幅的に不賛成であります。さような抗議を申し入れてあります。
○滝井委員 ちょっとそこらあたりが私はわかりにくいところですが、乱売屋や事業所へ安く売るということはやめて、小売と同一にしてくれということなんですね。そうすると前の四十億の問題に帰ってくることになるわけです。百十億作っておった薬を七十億に減産をするということ、これは今の生産機構のもとではそう簡単にはできないと思うのです。これはここまできますと、結局製薬企業自体の経営の内部分析に入らざるを得ないのです。大ざっぱに製薬企業の内部分析をしてみますと、最近は金融資本が非常に株をつかんでおります。ほとんど三割ぐらいは――日本の大メーカー、名前を言うと工合が悪いから言いませんが、大メーカーはほとんど金融資本が株をつかんでいます。そういう中で、ある程度利潤を保ち、従業員の給料も現実の状態である程度ベース・アップしながらやっていくということになりますと、そして株も二割程度配当する――大体他の普通の株に比べて製薬の株の配当はいい方です。そうしますと、やはり金融資本に対するある程度のサービスをしていかなければならぬ、従業員の待遇もそう落とすわけにはいかぬ、薬の値段も皆保険政策でそう上げるわけにはいかぬということになれば、日本の製薬企業というものの運命が私はわかるような気がするのです。あとで少し貿易の自由化の問題に触れますが、自由化の問題がこれに加わってくるということになりますと、これは四十億の行方不明の薬の問題をここではっきりしない限りにおいては、価格問題は論議できないことになる。一体どのぐらいの価格にしたらほんとうに製薬企業が安定をし、卸、小売の生活の安定ができるかという問題に入っていけないことになるのです。ここがこのポイントである。企業の経営の実態、卸、小売のマージンが減らなければならぬというこの二十社の申し合わせの実態から考えた場合に、木村さんとしては製薬連合全体の常任顧問として、やはりそこにオリエンティルンクを与えなければならぬと思うのですが、この状態の中で製薬企業のあり方というものをどういうように推し進めていかれるのですか。
○木村参考人 滝井先生は百十億に四十億の行方不明がある、これが全部どこかへ消えて隠れておるというふうな前提でお話しになっておられますが、私はそれほどのことはないと思っております。過剰生産と申しましても、それほど極端な過剰生産があるものとは思っておりません。もちろん、先ほど滝井先生のお話しいなりましたように、ビタミン剤の乱用でありますとかあるいは強肝剤の乱用でありますとか、そういうような点が将来逐次是正されていって、そういうような薬を日本の国民が飲まなくなる、これはいいことか悪いことか私は存じませんけれども、もしそういうことになりましても急激にがたっと落ちるものではないと思いますが、やはりある程度生産を押えなければならぬという段階、あるいは伸ばすことを当分とめなければならぬということにはなるのじゃないかと思っております。その上に、最近まできておりまする若干の無理が重なっておるものがございますから、製薬企業そのものはここ一、二年相当苦しくなるのじゃないかということは、二十社の申し合わせをいたしまする際にみな相当考えておるようでございます。従いまして、この上にさらに、先ほどお話がありましたように、貿易自由化がどういうふうに影響してくるかということは目下検討いたしておるようでございます。これは製薬団体連合会の方ではなしに、ほかの方で検討いたしておるようでございます。それで、今申しましたようなことでございまするから、とにかく、自由経済のもとにありまする医薬品製造事業というものは、やはりある程度の利潤がございませんと企業が成り立たないということは、これはもう御指摘の通りであります。これを国家の統制下に置きまして、医薬の新しい研究から一切のものをあげてこれを国家でもってやるということならば別でありまするけれども、少なくとも研究は医薬品製造業者にまかされており、あるいは研究機関に対しては医薬品製造業者からの費用でまかなわれておるというのが現在の段階でございますと、あまり極端なことになりますれば企業そのものは成り立たなくなってくるのじゃないか、かように存ずるわけでございます。従いまして、企業自体といたしましては、今申し上げたように、現在の態勢に対して逐次自粛しながら、これに態勢を合わせていくという方向に覚悟をきめておるようでございますので、私どもとしてはその方向を強く指導して参りたいと思います。
○滝井委員 製薬企業自体の内部的な分析については、木村先生にあまりお尋ねしてもお気の毒ですから、機会をあらためて少し突っ込んで御意見を聞かせてもらいたいと思いますので、薬事法審議のときに譲りたいと思います。
 それから、この薬を公取の特殊指定にする問題についてでありますが、これに対して今、沖さんの方からは、そうする方がいいだろうという御意見があったと思うのです。製薬連合会なり卸の方としてはこれについての御意見はどうでしょうか。
○松田参考人 医薬品の特殊指定でございますが、実はこの池袋の乱売問題につきまして、公取の方にも数重ねて伺って、いろいろな御意見を聞いておるのでおりますが、やはりメーカー、卸、小売り、三者三様に、ほんとうに手をつないで今後いくということが、なかなかできそうでできない場合が多いのでございまして、従いましてやはり何か法律的な一つの裏づけのあるものがなければ守っていけないのじゃないか。かような考え方のもとに、卸も、やはり公取に行きまして、特殊指定にしてほしいということで何回も伺っておりますけれども、まだ正式に卸の連合会にそういう問題を提案いたしまして、そういう可決、決定をして持ち込んでいるわけではございませんが、希望条件としては今日まで数回そういう希望を述べております。
○木村参考人 この点につきましては、まだ製薬団体連合会といたしましては意思を決定いたしておりません。
○滝井委員 メーカーと卸と小売り、三者が一体となって、共通の広場で十分話し合いをしないと、流通機構の問題は確立しないというのが大体の皆さんの御意見だったと思うのです。ところが、こういう重大な問題についてはやはり三者の間にどうも意見の食い違いと申しますか、決定に時期的なズレが出てきておる。こういう医薬品業界の一つの危機に直面をして出てきておる。こういう問題についても、私ども御三方の意見を聞いてもどうも少しずつズレがあるように思うのです。これは重要な点でございますから、これらの問題については速急に意思統一のできるものはやる、できないものはこういう理由でできないということをはっきりさせることが必要だと思うのです。まだ検討していないということだけでなくて、こういう問題はやはり一番大事な問題として、すでに公取自身でさえもが根本的な調査を始めている段階ですから、やはり大もとのメーカー自身もすみやかに検討していただきたいと思うのです。
 次に、貿易自由化の問題との関連でございますが、御存じの通り、われわれが企業を合理化しようという場合には、流通機構の流れを的確に把握することなくして合理化はできないわけです。現在、結局日本の医薬業界というものが混乱をしておるというのは流通機構がはっきりしていないからだと思う。三、四年前医薬分業のときに、私は非常に苦労をして薬の流れを調べてみたけれども、どうしてもわからない。先ほど申し上げたように三、四十億の薬がどこに行っているかわからない。こういうことだった。これはどこかに行っておるはずだがわからない。そんなものが小売の薬局のたなに全部積まれておるとは考えられない。そんなものを積んでおったら、その小売り薬局は全部倒産しなければならぬことになる。ですから、どこかに何らかの形で流れておるはずです。当時輸出は三十億台だったと思うのですが、今は五十億台くらいになっておると思うのです。そういうことで、流通構機を急激に整備をするということは、これはもう皆さん御一致しておるようであります。貿易の自由化をやる場合には当然必要ですが、もう一つ最近の日本の傾向として外資との関係、いわゆる製薬企業と外資との関係というものは一体どういう傾向になりつつあるかという点、これを一つ簡単に御説明願いたいと思います。
○木村参考人 私はこれはこまかい数字を存じませんし、実はほんとうに研究いたしておりませんから、はっきりしたことは申し上げられません。ただ外国の事業との提携は相当いたしておるようでございまするから、その点である程度は入っておると思いますけれども、しかしこれは全体といたしましてはそれほど大きなことではないのじゃないかと思っております。
○滝井委員 私の調べた限りにおいては、最近この外国資本というものが日本の製薬企業に非常に魅力を感じて、株式市場を通じて日本の製薬企業の株の取得を相当顕著に行なっている傾向が見えるのです。これもあるいは会社の秘密みたいなものになるので工合が悪いかと思いますが、できれば、これは厚生省の薬務局長がお見えになっておりますから、薬事法の審議までに、外国資本と提携をしておる日本の製薬企業の状態を一つ一覧表にして出してもらいたいと思うのですが、合弁会社の設立の傾向というものは非常に顕著になっております。今まで日本の製品というものは、さいぜんも御説明がありました通り、同じ商品を大企業から零細な企業まで作っておるということです。これは独創性がなくて全部イミテーション的な商品が多いからそういうことになるのです。それを今度は外国との提携によってやるということになれば、特許権の問題等も生じて参りまして、中小の製薬企業に及ぼす影響というものが非常に重大な問題になってくるわけです。そういう影響が、もし自由化によって中小が倒れて製薬の独占化が行なわれるということになると、傾向としてはさいぜん木村さんのおっしゃっておったように、価格のつり上げというものは必然的に、これはある程度の品物を抑制していくということになれば当然出てくるという、こういう重大な問題に関連してくるのです。ぜひ一つ厚生省はそういう資料を出してもらいたいと思う。
 もう一つお聞きしたいのは、この研究機関の問題です。貿易の自由化をやれば、当然研究機関を拡充強化しなければならぬと思うのです。その一つの傾向として、たとえば武田が世界にも有数な研究機関をお作りになった。こういうものについては、われわれは当然日本の製薬企業の発展のために税の問題あるいはそういう研究機関の保護助長の問題というものをやらなければならぬと思うのです。製薬企業自身には相当の秘密がありますから、大学の研究室その他に依頼をしておったらその秘密が漏れていかぬというようなこともあるかもしれません。もちろんこれは技術公開というようなことも大事でしょうけれども、なかなかそこまでは踏み切れぬところがあると思うのです。そこで外国の技術に追いつき、追い越し、国際的な競争に今後勝ち抜いていこうということになると、基礎的な研究と臨床的な応用の部面というものが、やはり一つの製薬企業の中で一貫して行なわれなければならぬという態勢が出てくると思うのです。こういう問題について今後の薬の価格を決定し、流通機構を決定する一番の、ピラミッドの底辺になるところだと思うのですが、こういうものについては、製薬連合会としては何か対策をお立てになっておるのだと思いますが、どういう対策をお立てになっておりますか。
○木村参考人 日本製薬団体連合会というのは、そこまで強力に働いている団体ではないのでございまして、そういう研究等の必要でありますことは申し上げるまでもないことでございますけれども、それに対して製薬団体連合会として何か手を打っておるかというお話につきましては、こういう手は全然打っておらない。ただその際に起こります、たとえば大学の委託研究とか税等の問題については、関係当局との折衝はいたしております。しかしながら研究所そのものを拡充強化するということにつきまして、連合会が何かいたすということはいたしておりません。
○滝井委員 やはり貿易の自由化をやって、流通機構から外資の提携の問題から研究機構の問題と、一貫して問題を見ていくとすれば、やはり一つの個別的な企業にこれを恣意的にまかしておったのでは、価格の引き下げにはならぬと思う。やはり流通機構の問題なんというものは、連合会が大所高所から見て、やはりこういう方向に行くべきだという方向の差し示しをするくらいの連合会に力がないと、小売、卸との話し合いというものもなかなかうまくいかないのではないか。それは技術者なら技術者がわが道を行っておったのでは処置がないと思うのです。やはり乱売の道が開けてくると思うのです。そういう点で、もう少し木村先生の方でそういう問題を一つ御研究いただき、資料を集めていただいて、製薬企業はテレビや何かに百五十億、化粧品を入れたら二百五十億も金を出すのですから、化粧品とそれから薬品の方から、その一割と言わなくても、一分の金をもらってきても二億あるのですから、これだけあれば日本の流通機構の研究、それから外国の資本提携というものをどういう工合にやったら日本の国内の製薬企業がうまくいくか、それをどういう工合に断ち切ったらいいのか、あるいは研究機構をどういうように整備したらいいのかということを薬屋さんが少し奮発したら、何も二億出さなくても、一億出せば相当大きな推進力になり、研究と成果が上がってくると思うのです。そういう点もう少し努力をしていただきたいと思うのです。
○木村参考人 非常にけっこうな御意見でございますけれども、現在の日本の製薬団体連合会というものは、そこまでしっかりした団体になっておりません。御承知の通りにどちらかと申しますと、起こりました問題を解決するために、共通の問題を取り上げて処理するという程度にいたしております。従いまして、ただいまの御意見は御意見として承りまして、よく相談いたすようにいたしたいと思います。
○滝井委員 貿易自由化で温室に育った日本の製薬企業が寒い風に当たる時代ですから、単に製薬業者が個別的に勝手なことをやっておったのでは、もはやこういう皆保険政策下における製薬企業としての資格を喪失するだろうと私は思う。その資格を喪失しないためにも、やはり大同団結して、何も企業合同をやれというのではなく、精神的な団結をして、日本の製薬企業の前進のために努力をしていただきたいことを御希望申し上げて、一応私の質問をこれで終わらしていただきます。
○永山委員長 本島百合子委員。
○本島委員 ただいまかなり詳しく質疑応答がございましたので、私は乱売に関連いたしまして、先ほどから承っておりますと、どうしてもメーカー側に配給秩序の混乱を起こさした原因があるように感じられるわけなんです。そういたしますと、メーカー側として今後どのような措置をとっていかれるのか、一点聞かしてもらいたい。
 もう一つは、この問題はすでに四、五年来続いておるといわれておりますが、この間におきまして、薬剤師協会の方並びに卸業の連合会の方としては、法的な措置としては何かおとりになったことがあるかどうか。たとえば価格の調整のためには公正取引委員会というものもあるし、また中小企業団体組織法の中では、御承知の通り商工組合を設立いたしまして、これは不況の場合と、こうなっておりますけれども、今日乱売のもとをなしたのは不況でなったわけではないと思うのですが、しかしこういう商工組合の設立というようなことも、一つの調整の役には立ってくると思うのです。そういうことをお考えになっておやりになったことがあるかどうか。
 それからもう一点は、メーカーの場合におきまして、先ほどからも言われておりますが、小資本でもできる、薬剤師の方を雇っておけば、何でも調剤できる、こういうような感じ方を非常に受けたわけなんですが、そういう点については、何らか規制しなければいけないのではないだろうかというふうな感じを受けたのですけれども、こういう点についてそれぞれの方々から御答弁をいただきたいと思います。
○木村参考人 お答えいたします。メーカーとして何をやっているかということは、先ほど申し上げましたように、その所属しております二十社の、担当しておる者が集まりまして、大体手の内をさらけ出して話し合いをいたしました。これは普通の業界ではなかなかできないことであります。これは重要なメーカーはほとんど入っておりますので、力はあると思うのです。それが集まりまして、手の内を出して話し合った結果、これとこれとはこういうふうにしようじゃないか、たとえば特売はどういうふうにする、どう自粛するかという自粛の仕方をはっきりきめまして、これはこういうふうにきめたということを、卸なり小売の人には手の内を見せております。ですから、もしそれに違反した場合には、どこからでも注意がくるわけでございまして、なかなか簡単には違反できない。つまり、別に拘束力のあるものではございませんけれども、簡単に違反できないようなことになって、しかもこれが営業部長なり社長なりがみずから集まりましてやった会でございますので、単なる規定によって縛るという以上の拘束力を持っているのではないかと思います。従いまして、これをやりますことは、メーカーとしては非常な決意を要するのではないかと思います。お互いの手の内を見せ合うということは、なかなか大へんなことであります。お互いにある程度競争をしないことにするのでございますから、どちらかと申しますと、生産の方をある程度押えなければならないという、非常に困難なことがございますが、この抑える押え方が一番むずかしいのであります。ともかく幾ら作るという、ことは、それは言えませんから、なかなか困難でございます。従いまして、結局自分の方の売れる程度がどのくらいであるかという見込みをつけて作らなければならぬから、なかなかむずかしいことであります。そうしてやりますから、従来よりは非常に利潤も減りますし、あるいは場合によりましては、ここ一、二年というものは、会社といたしましては非常に苦しい状態が続くということは考えなければならぬ。それを覚悟いたしまして、メーカーとしてはあの方針をきめたわけであります。なおこの問題につきましては、さらに詳細な個別的な品目についても、相談をしてやっていこうということでありますからして、メーカーの方は結束いたしまして、相当かたくやるつもりでおるようでございます。
○本島委員 ちょっとほかの方の答弁の前に、今の答弁に関連して伺います。法的な措置は、現実にはとれないということになっておるのですが、三者協議会でもって価格の調整をはかるとか、あるいはまた価格の基準といいますか、そういうもの、あるいは先ほどから特殊指定というような動きがあるということをお話しになったのですが、国民健康保持のための医薬品ですから、いわゆる今日本にある法律の中で、何らかそういう点の措置をとられたか、とられないか、またとることができないのかどうか、こういうことを承ったわけです。
○木村参考人 この問題は、日本製薬団体連合会といたしましては、別に法的の根拠で何するということよりも、日本製薬団体というのは任意団体、申し合せ団体で、法人格を持っておりません。従って、ここで拘束力を発揮することは全然できないわけであります。しかしながら、法律的な拘束力のあるものにいたしますよりも、社長以下関係の者全部がその気になってやる方がもっとはっきりする。しかも、それが内輪だけでなしに、外の団体でありますところの卸の団体なり、あるいは小売の団体に、こういうことをしますぞということを一応表明いたしておりますから、それを守らないということは、道徳的に大会社といたしましては大きな責任を負わされるということになるのではないかと思いますので、その点は、日薬連として考えますれば、一番強いやり方をやっているのじゃないかと思います。法的にどうこうするということは、これはむしろ厚生省がお考えになるべきことではないかと思います。
○本島委員 それに関連してもう一つ。きょうの公述を聞いておりますと、メーカー側に乱売の原因が非常に強いというふうに受け取れるわけです。先ほども言われたように、薬九層倍じゃなくて、九割引きで売れるのです。一つの品物だけ見れば、それは非常に原価を割っているかもしれないが、全体的に見て、乱売しておってもその店は立ち行くのだということになれば、どこかに欠陥があるからこれができるのです。それが、先ほど言われたように価格の問題にもひっかかってくる。そうすると、業者間だけで話し合いをされてと、あなたは今強く主張されたのですが、先ほどからの三者の御意見を聞いていると、業者間の話し合いではとうていできない、こういうふうに感じられるわけです。ですから、価格の調整というものがどこかでなされなければなるまいということが一点。それから品物に対しまして、先ほどから聞いておりますと、一つのメーカーが作って、その他のメーカーもそれに類似したものを作る、そしてマスコミの力によってその売れ行きをよりよくしていく、こういうふうな形になって今日まで乱売というものが続けられて、大きな社会問題まで引き起こしてくるようになってきたのだと思います。こういう点について、あなたはただいま、任意団体であるから、そういう法的な措置は必要でないと答弁されたのですが、しかしどこかで調整しなければ、業者がもうかるためにするということになれば、調整はつかないはずです。三者協議会を十数回やっても話がつかないということは、そこに原因があると思います。ですからメーカー側としては、現在の法律ではどうにもならないということであるならば、何らかの手を打つことが必要じゃないか。その必要さというものを、メーカー側としてはどのように感じられるか、こういうことを承っておるわけであります。
○木村参考人 乱売についてのメーカー側の責任ということを、非常に強調されておられるのでございますが、その責任はどこにあるかと申しますれば、広告にあるのでもございません。また広告したから乱売されるものではございません。それからメーカーが乱売するように、原価を安く卸しておるからなるのではございません。ただ外に出ておりますものは、おそらく特売のためにつけました景品といいますか、つまり、別に付加して出した商品が出るか、あるいはどこかほかの道からそういうものが出ているか、その出ている道がどこにあるかということは、いろいろな方法でもってたぐっておのであります。わかっておるところもありますけれども、そういうたぐり方についての御協力が、今までのところ必ずしも卸なり小売の方々の方にあったとは思えないのです。一部におきましては、どういうルートからそういうところにいったかということについての、ルートをたぐる方法について、いろいろ抽象的に話があるのですけれども、実際にどうして乱売のものが出てくるかということは、ほんとうのことはわかっていないのであります。これがわかりませんと、一体どこから出たかということは言えないわけであります。これにつきましては、これほど問題が大きくなって以来そういう措置をとって参ったのでありますが、大阪の方々は非常に御協力を願ったが、東京ではまだあまり御協力を得ておりません。従いまして、そのルートが、大阪の方面におきましてはある程度のことがわかってきております。しかしこれは、わかりましたからといって、これに制裁を加えるという方法はございません。今度やりますことは、特売とかいうような、そういう余剰の医薬品が流れていくことを防ぐ方に主力を注ごうということでございまして、従来特売を相当大きな範囲でやっておりますものを自粛して、特売はそんなにやらない、それから報奨券つきの販売ということもずっと縮小するというふうに、余分の医薬品が市場に流れますことを防ぐ方法を、今度講ずることにしたのであります。これは、特売なりそういうことをやりますと、卸なり小売の方ではわかるわけであります。一般的にやりますれば、どこのメーカーがやったということは一応わかってきますから、こういうふうに中外に明らかにすることにしてやりますならば、そうむちゃなことはできなかろうと思っております。なお現に、これがきまりましてから、若干違反に近いのじゃないかと思われるようなことがございましたが、これはやりましたことが申し合わせの前後――どちらになるかということが若干問題になりますが、これは直ちに注意して措置いたしております。そういうふうに原因になりますものはだんだん除くようにいたしております。ただ原因は大体そういうことじゃないかと思うのでございますけれども、そのほかに何か変なものが流れておるということになりますれば別でございますが、特売とかそういうもので出ました品物は、結局ただのものでございますから、一割で売っても引き合うというものが出るのかもしれません。そういうことになりますことは、原価が安いからではなくて、余分の品物が出てくるのではないかというところから、今言ったような措置を講じておるわけであります。従いまして、現在のところはそういうことをやって一応できるのじゃないかと思っておりますが、二十社以外の業者がございます。製薬業者はたくさんございますから、二十社だけではございません。だからそのほかのメーカーに対しても今後働きかける必要はあろうと思っております。それから、二十社につきましても品目別にいろいろ調整いたしておりますから、そういう調整も続けていかなければならぬと思っておりますし、それから先ほど沖さんからお話のありました事業所の問題、なんかも非常に大きな問題でございますから、これも至急に調整をつけなければならぬ。その方の検討は引き続きやりまして、できるだけ早く結論を出しまして提示しようと思っております。
○沖参考人 今いろいろ出ました九割引の問題でありますが、これは池袋の韓国人の三共薬品が広告した問題だと思います。これにつきまして、いろいろ誤解があるようでありますので、詳しくお話ししたいと思います。これは結核の治療薬を九割引で売るということだそうであります。結核の治療薬は御承知の通り医師の指示書によってお分けすることになっておるわけであります。それを大衆の人が買いに来ますと、医者の指示書はありますか、ありませんと言うと、これは売れませんというので、いわゆるおとり戦術ということをやっておったようでありまして、まことに残念なことでありますが、そういう撹乱政策であったと考えられるわけであります。
 それから今の乱売の問題につきましては、七、八年前に協同組合で価格協定が可能であるという線が出て参りましたが、その当時、小売では二割から三割の利潤があったのであります。これが初め申しましたように、税務署も三割前後の利潤を見て小売屋にかけておりますので、ちょうどマッチしておるわけであります。それを確保するために協同組合が主体になりまして、価格協定の線を出しておりました。それが四、五年続いてきたわけであります。その後、いわゆる問屋業が非常に手広く各薬局を注間取りに回られるという現象、そこを出ましたブローカーと第三流の問屋がふえたという現象、もう一つの現象は、私の言いますのは木村先生と違いますが、メーカーの生産過剰という原因から、われわれが買う値段よりも、品物の割増しやらアフター・サービスによって安い値段が出るというような現象、これらが加わりまして、いわゆる五十人、百人の従業員を持っております事業所までも、そういうブローカーや第三流の問屋さんが回ることになりました。これが一番小売屋に影響を与えました。これはその当時の薬事法でいいましても、店頭で医薬品を分けることになっておりますのに、いわゆる訪問販売のような形式でありますとか、あるいはあっせん行為であります。このあっせん行為ということにつきましていろいろ疑義が出ました。厚生省へ陳情に参りまして、三年ばかり前には、多数の百人、二百人の人にあっせん行為をする場合には百回のあっせん行為だという見解のもとに、多数にあっせんすることはまかりならぬ、それから数回これを反復することもまかりならぬというような通牒が出まして、事業所の問題が解決したごとくに見えましたが、いろいろ法の裏がありまして、なかなかこのきめ手がつかずに漸次蔓延しまして、今日では、何千人という従業員を置いておりますところは、薬剤師を雇って登録を受けた販売店を持っておりまするが、その以下の登録を受けていない、いわゆる販売店を持たない事業所、あるいはこのごろは、十人、二十人のデスクといいまして、事務所までもそういうブローカー連中が回ることになりまして、これが非常に価格の乱しを来たしました。ひいては流通機構の大きな障害になってきたのが現状であります。これにつきまして、三年ばかり前に厚生省に陳情しましたときは一応の回答が出ましたが、最近ではもう打つ手がないような考え方になっておられるようでございます。これは非常に残念であります。それにつきまして、一昨年から薬剤師協会といたしましては、中小企業団体組織法によりますいわゆる商業組合の結成に踏み切りました。一昨年は通産省の方でも不況状況というものに非常に重点がありました。大阪等がいち早く商業組合の結成に努力いたしましたが、なかなか認可がおりなかったというのが現状でありまするが、昨年国会の方からいろいろ好意ある御要望をいただきまして、通産省の方でも、一応商業組合は作るのだ、それから調整事項において十分検討するというお考えになられたとか聞いておりまするが、それによりまして今日ようやく薬業界の小売の商業組合の結成は十府県ばかりになりました。今申請手続中のものを加えますと二十府県ばかりになって参りました。それで至急調整事項によりまして正しい流通機構、あるいは最低の利潤の確保と、いろいろな点に関連をいたして、これを各府県の通商観光課あるいは府県の係の事務官のおともをいたしまして、東京の公正取引委員会にも出まして、いろいろ陳情いたしておるわけであります。ようやく厚生省と公正取引委員会との話し合いがつきまして、福岡と大阪の調整事項が大体認可になるような情勢だと聞いております。そうなれば、それを基準にいたしまして、日本薬剤師協会から各府県に流しまして、これによって流通機構の確立、あるいは国民の保健衛生への寄与、あるいは業者の生活の確保という面に強力な布石を打っていただきたいという順序になっておるわけであります。その後いろいろ情勢がまた変わりまして、それだけでも不完全だから、公正取引委員会に陳情いたしまして、医薬品が特殊指定を受ける段階に至らなければ完全なものでないという考えで指定の運動にとりかかっているという現状でございます。残念ながら、法的にはっきりした支持を受けることがまだできませんのを遺憾に思っておりますが、今許されております各法を十分活用して善処したいというのが今日の考え方でございます。
○本島委員 結局は、法律があっても、その法律による認可、認定、こういうことが役所側の考え方でおくらされてきて、そのために今回のような混乱が起こってきたというふうに感じられるわけですが、現行法の中であなた方のこの問題は解決もできる、処理もできるという形であるにかかわらず、役所側の怠慢によって今日のような事態ができたのだ、このようにお考えになりますか。
○沖参考人 ちょっと議論になって恐縮でありまするが、役所側の怠慢だとは考えておりません。現在法律がどうも不備だというお考えをいつも役所から承りますので、法律、しかも薬事法の改正だとかいうようなことをやりたいというのが今日の考えであります。そこで今の商業組合の調整事項におきましても、公取の方では原価ということもいろいろ問題があるようであります。それで原価の解釈によりますと、仕入れ価格というようなことを仰せになるようであります。私どもでは、仕入れ価格に必要経費を加えたものという希望を持っております。ただ、その仕入れ価格というものが、九割五分の正しい小売業者が、いわゆる正しい卸問屋から仕入れまする価格、今日B価といっておりますが、B価よりも幾分卸業者が勉強してくれますC価とB価の間の線でありますが、この線を仕入れ価格とお考えになっていただきたいのでありまするけれども、実際の仕入れ価格ということに、現在では公取も疑義を持っていらっしゃるそうでありますので、実際の仕入れ価格と申しますると、今までいろいろ議論されましたような、組合側から出まする特別の割増し、アフター・サービス、あるいは金融面によりまして現金に金利を加算した額だとか、いろいろな悪い条件を、加味しまして安く仕入れる値段、これも仕入れ値段というようなお考えもあるやに聞いております。そういたしますと、公正取引委員会というものが、不公正な仕入れをしたもの、正しい仕入れをしたものとの差をおつけにならぬということは、かえって不公正の取引じゃないかと私どもは考えまするけれども、現在目薬の担当の滝川理事が、しょっちゅう公取ともいろいろお話をしておるようでありますので、近き将来に解決するとは思いますけれども、現存ではなかなか満足する線に来ていない。販売方法の正札の問題あるいは今後の販売方法等も、なかなかこちらの意見と公取の法律的の意見とがはっきりまだ一致せぬ点があるやとも思っております。これらの点につきまして、役所が悪いなんということは考えておりませんが、現在の法律の考え方等にいろいろ疑義があることと考えております。
○本島委員 松田参考人は、何かお宅の卸売の方の関係として法的な手を踏んでいらっしゃるかどうか。
○松田参考人 卸売部門におきましては、やはり今沖先生のおっしゃるように、小売部門の乱売の非常に旺盛であった地区は、逐次商組に切りかえておりますので、卸といたしましても――現在の私の団体も日本医薬品卸業連合会と申しまして、まだ法的団体になっておらないのであります。地区々々におきましては、大体において小売商業協同組合ができておりますが、まだ総合的に全部できておらない関係上、法的根拠を持たない団体になっておりますが、各小売が商組に切りかえられると同時に、卸も商組に切りかえていきたい、かように考えております。それには先ほど申し上げたような、医薬品販売業という一本で小売も卸も何でもできるという法律の面に災いされておりますので、今度の薬事法改正には、やはり同業者に販売する医薬品販売というような一つの線を引いていただかないと、たとえばアウトサイダーの規制というようなことができないのでございまして、そういう点に一つ配慮を持っていただきたいのであります。そういう点を是正していただけるように、御陳情申し上げたいと考えておる次第であります。
○本島委員 ただいまお聞きいたしましたのは、現行法の中では相当不備な点がある、これを是正することによってこの乱売の原因になるようなものがある程度是正される、こういうお考えですね。
○松田参考人 そうです。
○本島委員 そういたしますと、薬剤師協会の方も卸業連合会の方も同じような意見であります。ただ先ほど聞きましたときに、メーカー側の方ではどうしてもその線がはっきり出てこないわけですね。結局は、現行法の中ではメーカー側はどうにもならない。そうしますと特殊指定をしてもらう、そういう点くらいですか。それとも価格の調整がうまくつくか、あるいはまた、これは私の考え方ですが、外国の例に見習って、薬というものについては認可制にしてもらい、そうして一年間あるいは二年間くらいは類似品を他の会社が作らない、こういう規定でも設けていけばうまくいくかどうか、もちろんこれは自由競争時代の商業形態の中では非常にむずかしい考え方ですが、そういうような、この薬というものを特殊に考えていけばできないこともないだろう、そういう点を考えてみるという御意見はメーカー側にはないわけでしょうか。
○木村参考人 私は現在の経済界はやはり自由主義の経済界でございまするから、自由経済でやっていくのが普通じゃないか、一般的に自由経済であるにもかかわらず、製薬業界だけが自由経済からはずれて統制的なことをするというのははたしていいのかどうかという点につきましては、相当問題があると思います。と申しますのは、製薬企業というものは末端の最終製品であります。基本製品がそのままになっておりまして末端製品だけを統制的なものにすることは、非常に困難ではないかと思います。それで今申しましたように、メーカー側では、こういうことでいけばそういう乱売のもとになるものは一応なくなるだろうということでもって話し合いをいたしまして、それで今ちょうどこれをきめましてこれから実施に移そうとしております。これが効果があるかないか、どうしても効果がないとしますれば、またこれをどうしなければならぬということは厚生省当局も考えるでしょうし、またメーカー側としても考えなければならぬ。ただメーカー側は、これを苦しくてもみんなでやっていこうという決意をはっきりさしたわけであります。従ってこの方法でいくのが今の段階としてはいいのじゃないか。法をもって統制するのがいいか、みんなの自粛でいくのがいいかと申しますれば、私は現在の日本の経済社会の中では、そういうような業者の自粛でやっていくのがいいのじゃないか、かように考えます。おそらくメーカー側の業界ではそういう考えでおるわけであります。従いまして、法の統制を今ここでやる、つまり統制的なことをここでやるということは全然考えておらないわけであります。
○本島委員 もう一度メーカー側にお尋ねしますが、今日いろいろ問題になっておりますことは品質の低下ということです。これは薬事監視員の方々がときどき検査をしておられる。ところがその網をくぐって非常な不良品を出される。それからいま一点は、薬の場合にどれだけの効果があるかということはわからないのだ、だから、売れるから作って売っているのだ、こういうような印象を受けるような御発言があったわけであります。そうすると、私どもの健康に一番関係のある医薬品を、その二十社では今自粛しながら、そういう乱売のもとになるようなものを防いでいきながらやってみよう、こういうことでございますけれども、実際はその二十社に加盟していない小さいところでは必ずそれを破って出ていくわけなんです。どうしても自分のところで品物を売りたければどこかで不良なものが購入されていなければ、現在定価をつけられたものを割って売ることはできないはずなんです。それを割って売っておるということになれば、どこかに手を抜いてある悪質なものがあるということになるわけです。それに対する規制というものは、お宅の方の二十社の自粛申し合わせの中からは出てこないわけですね。こういう点は、将来どうお考えになりますか。
○木村参考人 配給秩序の維持の問題でございますが、配給秩序の維持の問題といたしましては、その配給というか、販売されております問題の品物の非常に大きな部分を占めております二十社というものが、そういう申し合わせをすることは、これは非常に効果があるのじゃないかと思っております。その他の群小のものがこれに参加するかどうかということにつきましては、二十社間としてはできるだけ参加するように勧誘いたしたいと思いますけれども、これは強い会社と弱い会社とありまして、その競争の仕方を強い会社と同じように弱い会社を締めますれば、弱い会社はつぶれるにきまっております。そこまですることがいいかということは問題であります。それから不良品の問題につきましては、当然不良品を出さないようにするということは言うまでもないことでございますけれども、日本製薬団体連合会といたしましては、そういうような取り締まりをするということをいたしておりません。ただそういうことをしないようにしようということはお互いに話し合うことはいたしますけれども、取り締まりますのはやはり官庁で取り締まりをしていただくのが適当ではないか。それで、安く売られて問題になりまするものは、むしろ優秀なメーカーの製品がそういうことになるから問題になるということでございまして、不良品を出すようなところにおきましては、やはり安く売りましても買う方で問題だ、こういう形がありますので、先ほど効果があってもなくても要求があれば売ればいいんだと申したようにおとりになられたようでございますが、そういうことを申したつもりはございません。先ほど滝井先生がおっしゃいましたのは、総合ビタミンとか強肝剤というようなものは、滝井先生の御意見として、そうむやみやたらに飲むものじゃない。だからこれは盛んに宣伝して売ってはならぬというお話でございます。ただそれは国民の保健上からいってどちらがいいかということにつきましての滝井先生の御意見でございまして、これにつきましても私個人の意見はございますけれども、個人の意見は別といたしまして、メーカーといたしましては、需要者が需要いたしますものは、これは作って売るべきだと思います。それが効果が全然なくて害になるものでございますれば、これは厚生省がお認めになるはずがないのであります。
○本島委員 時間がございませんので、最後に。とにかく皆保険下における国民の健康保持という面に携わっておられる方々ばかりでございますので、今法的な点で質問をしたのは、今後どこかでそういうことを防ぎとめることができるかどうかということからお尋ねしたわけです。現行法の中ではそれがなかなかむずかしい、こういうことを異口同音に仰せられたと思うわけです。また来たるべき薬事法の改正の際においての心がまえもある程度承ったわけです。しかし今私の頭の中では、メーカー側の言われることがどうしても納得できない点が多いわけなんです。やはり薬の問題でございますから、自粛々々といっても、その自粛は業者同士ではなかなかできない。だからどこかに指示をされるあっせん機関を設ける必要があるかどうか。それは全然ないんだ、自分たちだけでりっぱにできるんだという御答弁のようですが、もう一ぺんそれを聞きたいわけなんです。どこかに機関があればこういうことは起こらないんだというものがありはしないかと思うわけです。
○木村参考人 これはメーカー側としての意見でございますが、日本製薬団体連合会の意見といたしましては、そういう統制をしない方がいいという考えでございます。従いましてメーカーの自粛申し合わせでもってものごとをなるべくやっていこう、効果をあげようという気持でおるわけでございます。それがいいか悪いかということは国会なり政府がお考えになりまして、これに対する措置をおとりになるのがいいんじゃないか。しかしメーカーといたしましては、おそらく現在ではそういういろいろな統制を行ない、統制的に企業をするということにつきましては希望していないのじゃないかと思っております。
○本島委員 統制でなくて、認定とか認可とかいう線で薬品をきめられ、そうしてそれは類似品がぽんぽん出てきて、競争して、莫大な広告料を払って、それが薬の代価に入ってくるというような形を先ほど答弁されたように思うわけです。ですからそういう面で、あなたの方では何らかの方法を考える意思があるかどうか、こういうことで聞いたわけなんです。今のところ全然ないと言われますので、私の方といたしましては、今後のあり方として十分考えてみたいと思いますが、でき得るならば――この東京にただいままだやっておるところはかなりあると思うのです。こういう配給ルートの混乱を来たさないように、一つ三者ともども御研究になって、国民に不安を与えることのないように一つ要望して、私の質問を終わりたいと思います。
○永山委員長 堤委員。
○堤(ツ)委員 中座をいたしましたので、恐縮でございますけれども、ごく大まかな点だけ御意向を伺っておきたいと思います。これは卸の方は別といたしまして、薬剤師協会あるいは製薬業者の――木村さんは私はメーカーじゃないとおっしゃっているし、顔なじみの厚生省にいらした方ですから、業者でないことは私たちもわかっておりますけれども、お答えいただきたいと思います。
 先ほど本島さんの御質疑に対しまして、やはり自由競争の中にあってよいのだ、当然だ、今の現状においてはそうなのだ、こういうような御答弁がございましたが、しかし国民皆保険を目ざして、医療行政は御存じの通り社会化の一途をたどっております。これは、医療を担当いたしまするお医者さんも、被保険者を守るところの保険、それから保険行政の中にある人々も、あらゆるものが国家の金をできるだけ国民のなまの体を守るために投じて、保守党の内閣といえど社会化の方向に向かっておる。その医療行政の中に欠くことのできないものが薬であるという問題になって参りますと、他の部門は社会化の方向に、ある程度公共福祉優先にやられて、御存じの通り好むと好まざるとにかかわらず制約がある。ひとり薬のみが資本主義体制の中に弱肉強食をやっておるということに対して少しおかしく思うのでありますが、これに対して、製造業者としての良心、薬剤師としてその良識というものがあると思うのですが、これをどういうふうに製造業者の間においてはお考えになっておるか、薬剤師協会はどうお考えになっておるか、両者の御意見をちょっと承っておきたいと思います。
○木村参考人 私の個人の意見はここで述べるわけにはいかないのであります。きょうは日本製薬団体連合会を代表して参っておりますので、その考え方で申し上げます。
 やはり現在の企業をいたしておりまするものは、自由経済の立場で企業をいたしております。それでもってできるだけいい製品をできるだけ安く大衆に供給しようという考えでもって企業をいたしております。それからさらに考えなければなりませんことは、医薬品というものは、日進月歩でございます。今非常にきくとされた薬でございましても、それよりもいい新しい薬ができましたら、前の薬は、値打はゼロになるのでございます。そうしますと、前の薬にかけました研究費というものは、これもゼロになってしまいます。従いまして医薬品企業全体をどういうふうにしたならばおっしゃるように社会化できるかということがはっきりいたしませんと、なかなか社会化に踏み切ることは困難なのであります。現在の製薬企業というものは、全部が一応資本主義の経済機構の中で、現在の日本の社会の経済機構の中で動いております。従いまして、日本の現在の社会機構全部をどうするかということを考えないで、製薬企業だけをどっちに持っていくか、つまり使いまする医療の方が国民皆保険になったら、医者以外の使う薬は全然なくなる、こういうことになってきますれば、当然それは考えなければならぬと思います。しかしながら、薬というものがお医者さんの手を通して使うもの以外に相当たくさんあるという現状が、まだ将来続くか続かぬかという点は将来の問題でございまして、私もわかりません。わかりませんが、そういう段階にあります際に、全部が皆保険で保険の医療だけに使われるものになったということを前提として処置するということもなかなか困難ではなかろうか、少なくとも現在の医薬品の製造業者自身の考えといたしましては、やはり資本主義経済のもとにおきまして、その経済の中で、できるだけいい薬を安く大衆に提供し、しかもある程度の利潤を上げようという考えで動いておると思います。
○沖参考人 今堤先生からお尋ねがありましたが、薬剤師協会といたしましては、初めに申し上げましたように、イギリスで専売制度をやっておる、イタリアでは公定価格がある、その他の国でもほとんどが価格というものは許可制にしてあるということであります。それを参考といたしたいという考えであります。それからアメリカでは、今の森本官房長さんが薬務局長の時分に行っておられますが、帰られましての話では、アメリカでは医薬品、ことに保険の医薬品等はもちろんでありまするが、その他の医薬品でも、大半の医薬品というものは広告というものはしていないということであります。これらも価格の問題に大きい影響があるものと考えられておるわけであります。
 そこで現在薬剤師協会で考えておりますることは、経済安定機構というものを考えまして、これにメーカー、卸、小売の専門の者と、学識経験者を入れまして、今後新しい薬ができました場合に価格をどうしてきめるか、どういう方法で国民保健制度のために寄与できるかをきめまして、そして今弊害がありまする長期の支払いだとかいろいろな問題を解決しつつ、いわゆる流通機構の完璧並びに国民の保健に寄与していきたいというのが、今の中心をなしておる考え方であります。
○堤(ツ)委員 意見は違いましてもここは討論するところではございませんから、ありがとうございました。
 そこでもう一つ木村さんにお尋ねいたしたいのですが、ラジオを聞きテレビを見、新聞を見、雑誌を見ますと、その大半の広告が薬である。よくこれだけ広告をして薬屋は持っていくなあと思うくらい、これは化粧品と薬と言われておりますが、広告費が非常にたくさんかかっておる。この広告費は、いわゆる放送、ラジオ、新聞、テレビなどマスコミの大切な資源だと思いますから、マスコミも薬屋さんを大切になさるだろうと思うのですが、一体製造業者は、自分たちの企業を運営していき、いろいろな生産を上げていく途上において、いわゆる元手の何%を広告にかけていらっしゃるのだろうかということをときどきしろうととして考えさせられることがある。これの統計が製薬業者にございましたら、ただいまちょっとお教えいただきたいということと、もう一つは定価の問題が出ておりましたけれども、一般国民の常識からいいますと、三百円の定価がつけてあるのに二百円前後で売ってもいいのだから、一体薬の元は幾らでできたのだろうかということをときどき考えさせられる場合が非常に多いわけなんです。市場へ出てみましたらオール・デイ二割ないし二割五分引というのは至るところでやられておる。オール・デイ二割ないし二割五分引というのをやって、あれだけの広告をして投げ売りをしておってもまだ薬というのは薬九層倍だからもうかっておるのだ、こういう常識で見ておるのだ。薬というのは決して害がありません。なまのからだに大いに利益があって役立っておるのです。私はその果たしておる役目を無視するものではありません。それから製造業者、製造業者といったって、その村長はふところがあたたかいかもしれませんけれども、製造企業体に働くところの一般従業員というものは、やはり勤労者であるわけですから、いわゆる小売、製造業者、卸、含めて百万世帯、五人一家族といたしましても五百万人の人間がこの中でかてを得ておられるわけですから、私はどれが立ち行かなくてどれがつぶれていいなどということを考えてはおりません。できるならば公共福祉のために国民のなまのからだのために、医療行政の上に大いに貢献しながら相ともに栄えてもらいたい、こういう気持でおるので、誤解をしていただかないようにと思いますけれども、しかし私は薬の乱売の一番大きな原因は小売にあらず、製造業者にあると思っておるのです。卸段階においては少し法務委員会等で検討しなければならぬ問題があるのじゃないか、こう思っておりますが、これは他日に譲るといたしまして、やはり製造業者に問題があると私は思う。生産過剰の押しつけ、それからいいかげんな適正でないところの定価で何割引で売っても、半値に売ってもまだもうかっておる、こういうような不見識な製薬会社の実態では、最後は薬の値打ちというものがなくなってしまって、民衆が薬を軽べつして、今は製造業者が栄えておるのがあるかもしれないが、将来は不信を買うのじゃないか、こういう心配をしろうとながらも持ちまするが、そういうところに対する統計だとか反省だとかお考えというものがございましたら、この際承っておきたいと思います。
○木村参考人 医薬品の広告の経費がどのくらいになっているか、これは最近少しふえましたから九%ないし一〇%が広告費に使われているのじゃないかと私は思っております。その統計の数字はたしか厚生省がお持ちでございますし、目薬連の方にもございます。それから広告につきましては、医薬品製造業者も広告したくて広告しているわけではないのでございまして、やはりその広告をすることによって医薬品の使用が普及する、あるいは適正なる使用がされることによって医薬品が大いに活用されるという趣旨で、広告をしておるのだそうでございます。そういうことでございまして、もし幾ら広告をしても、それでは値が高くなって売れなくなるということでございますれば、広告は自然しなくなるわけであります。特に最近いわゆる自粛の案が出まして以後、私が見ますところでも、医薬品の広告は新聞紙等におきましては非常に少なくなっております。これはおそらく現在医薬品の業界におきまして自然にそういう反応が現われてきているのじゃないか。これがきまりましたのはたしか二月の末か三月の初めだったと思いますが、それ以後になりまして新聞等を見ますと、やはり広告が非常に小さくなっております。それからラジオなんかの広告にしましても、広告しておりますのは、何といいますか新興メーカーのようなところで若干やっておりますけれども、それから主として広告宣伝をやっておるような業界もございます、それも大いに盛んにやっておりますが、一般の主要メーカーというのはどちらかと申しますと、今広告については自粛の方向に動いておる。と申しますのは経済のベースに合わないことは彼らはやらないのであります。私はメーカーでありませんから知りませんけれども、どうもそういうことのようでございます。従いましてその点は現在の採算のベースに合わせて仕事をいたしておりますから、それをむやみやたらにふやして大へんなことになるとは、われわれとしましてもメーカーの中に入っておりますから、そういうことは考えられません。
 それから定価の問題でございまするが、定価をきめるということはなかなか困難じゃないかと思います。現在きまっておりまするものは、一応自分の倉おろしの価格をきめて、それに卸のマージンを幾らつけて、それにABCの三つのあれをつけておるようであります。しかしそれも必ずしもきまっておるわけではないのでありまして、先ほど御指摘のありましたように、また現存問題になっております特売がありましたり、あるいは景品をつけましたり、あるいはそのほかに報奨制度、それからアフター・サービスとかいろいろなことをやりまして、実質的な値引きをメーカーはやっておったわけであります。しかしやりましたことが、結局現在ではメーカー自身としては非常に苦しい状態になってきておるようであります。従って今度メーカーがこういうふうに申し合わせをせざるを得なくなりましたのは、そういう問題が起きて、卸、小売の方から非常な圧迫があったというか、非常に強い申し入れがあったということも原因でございますけれども、それにもましてメーカー自身立ち行かぬのじゃないかということを自覚してきたから、こういう申し合わせができたんじゃないか。ただそういう申し入れがありましても、メーカー自身が立って行くというのでは、なかなかこれは簡単にやられるものではないと思います。メーカーの申し合わせがここまできた、しかも相当手のうちまで――私はその協議の様子を聞いておりましたけれども、従来やっております、お互いに知らなかったやり方までさらけ出して、これはやめる、これはやめるという話をしている。ですから相当真剣にやっているようであります。こうなりましたのも、結局メーカー自身がこうしなければやり切れないというところへ来ているというふうに、私は見ているのでございます。これは見方が違っているかもしれません、甘い見方かもしれませんけれども、一応そういうふうに見ております。結局メーカーもそういうことで、自分の業界がつぶれるようなことまではやるつもりはなかろうと思っております。特に大メーカーにおきましては、他の小さいメーカーも、このことを非常に心配しながらやっておるようであります。現在そういうことでもって逐次適正になっていくのじゃなかろうか。まだ申し合わせをいたしましたばかりでございまして、実施の効果が現われておりません。もし実施の効果を見ました上でさらに不適正なところがありましたならば、考えなければならぬのじゃなかろうかと思っております。
○堤(ツ)委員 ありがとうございました。
○永山委員長 これにて参考人の方々に対する質疑は終了いたしました。
 本日は長時間にわたり種々貴重なる御意見をお述べ下さいましてありがとうございました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後一時二十分散会