第034回国会 内閣委員会 第30号
昭和三十五年四月十五日(金曜日)
    午前十時四十四分開議
 出席委員
   委員長 福田  一君
   理事 淺香 忠雄君 理事 岡崎 英城君
   理事 高橋 禎一君 理事 高橋  等君
   理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君
   理事 田万 廣文君
      内海 安吉君    小金 義照君
      始関 伊平君    高田 富與君
      谷川 和穗君    津島 文治君
      富田 健治君    橋本 正之君
      保科善四郎君    三田村武夫君
      山口 好一君    柏  正男君
      久保田 豊君    杉山元治郎君
      中原 健次君    柳田 秀一君
      受田 新吉君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 石原幹市郎君
 出席政府委員
        自治政務次官  丹羽喬四郎君
        総理府事務官
        (自治庁長官官
        房長)     柴田  護君
        建設政務次官  大沢 雄一君
        建設事務官
        (大臣官房長) 鬼丸 勝之君
 委員外の出席者
        専  門  員 安倍 三郎君
    ―――――――――――――
四月十五日
 委員辻寛一君、中川俊思君及び八田貞義君辞任
 につき、その補欠として高田富與君、津島文治
 君及び三田村武夫君が議長の指名で委員に選任
 された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 自治庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第九九号)
 建設省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第九二号)
     ――――◇―――――
○福田委員長 これより会議を開きます。
 自治庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を許します。保科善四郎君。
○保科委員 私は自治省の設置につきまして、この法案につきまして、長官にいろいろ問題になっている点をお尋ねいたしたいと思います。私は根本的に考えまして、自治庁の自治省への昇格は非常におそ過ぎたと考えておるものであって、すみやかにこれを実現しなくちゃならぬという見解に立っているのであります。しかしこの昇格に関して、いろいろな議論があることは長官御承知の通りであります。あるいは旧内務省の復活ではないかというような議論もございますし、また内務省の復活だと言われることにおびえて、あまりに消極的な案ではないかというような議論もあるわけであります。従って私はこれらのことにつきまして、以下各項にわたって長官の御意見並びに考えておられるところを明快に御答弁をお願いいたしたいと思います。
 第一に、自治省の設置はかつての内務省機構の復活を企図しているのではないかということに対することでございますが、私はかようには考えないのでありますけれども、どうもそういうような疑いを持っていろいろな議論が行なわれておるのでありますから、はっきりこの点について、長官のそういうことを考えていないということを具体的に一つ御説明を願いたいと思います。
○石原国務大臣 保科委員から今お話しになりました内務省の復活というようなことを考えておるのではないかという世論が一部にあるが、そういうことは全然考えていないということをはっきり言え、こういうことでございます。内務省というのは昔、都道府県、ことに知事につきましては直接任命権を持って指導しており、警察権も持っておった。それから現在の厚生省、労働省あるいは建設省というようなものを包括しておった省でございまして、今日の新憲法下におきましては、そういうことは考えようにも考えられないということでございまして、自治というものは憲法にもちゃんと、条章がきめられまして、地方団体は自治の本旨に沿うて運営されなければならぬ。知事も公選制度になり、これを昔のような形にするなどということは、考えても実現できないことであります。ことに警察につきましては国家公安委員会という制度が設けられまして、これが警察を管理して、中正な立場から警察を運営しておるということでございまして、まあわれわれが考えておりまする自治省案は、こういうこととは全然関係もございませんし、そういうことは新憲法、現在の制度のもとにおきましては、考えようとしても考えられないことではないか、かように思っております。
○保科委員 次に、この改正案が自治庁と国家消防本部とを単に統合をしただけであって、すこぶる不徹底である、こういう見方があるわけであります。具体的に申しますと。昨年一月の行政審議会の答申とも違っておるし、またかつて第二十四国会に提案されま
 した内政省案とも違って、非常に退却したものである。すなわち行政審議会では自治庁に国家消防本部、企画庁の総合開発局、建設省の国土計画、地方計画、都市計画部門、それから北海道開発庁、総理府の特別地域連絡局、首都圏整備委員会というようなものを総合するというようになっております。それからかって二十四国会に提案されました内政省案では自治庁、建設省、それから首都圏整備委員会、南方連絡事務局というようなものを総合しておる案であります。こういう二つの具体的な研究ができておるのでありますが、要するにこれらの二つは地方行政の総括省に自治省をしようという基礎であって、私は考え方としては非常にすっきりしておるように思うのでありますが、こういう案をとらずに、非常に退却した案をとられた理由を一つはっきり示していただきたいと思います。
○石原国務大臣 ただいま保科委員から御指摘になりましたように、かつて建設省と自治庁と、それから経済企画庁その他にありまする地方開発、国土総合開発というようなものを一本にしました内政省案が出たのでございまするが、これにつきましても非常にいろいろ議論がございまして、ついにその後の国会においてこの案を撤回した。その後も、昨年の行政審議会の答申におきましても、建設省までという案ではございませんが、国土開発であるとか、離島振興であるとか、南方連絡事務局であるとか、首都圏整備であるとか、いろいろなものを統合したものを作れという答申が出ておる。自由民主党の調査会等におきましても、そういう意見がなかなか強いのでございますが、さて実際の案を作るということになりますると、理論としてはそういうことが非常に主張されるのでありまするが、実際問題としては、やはり官庁機構の問題に直接触れまするので、なかなか結論がまとまらないで、じんぜん数年も経過してきたということになっておりますので、今回は自治庁に、自治体消防となって地方と非常に関連の深い消防を一緒にいたしまして、まず自治省を作る。自治庁をこのままにしていくことはできないとわれわれは考えておるのでありまして、まず自治省を作って、それから事態の推移に応じまして地方総合開発なり国土開発、こういう自治省に統合すべき筋合いのものを今後加えていくように努力したい。とにかく受け入れ体制を作って、早く自治省というものをこしらえていく必要があるのではないか。こういう意味で今回の自治省案を提案したような次第でございます。
○保科委員 今長官の言われたことはよくわかります。結局各省にまたがっているようなものを入れるというと、なかなか調整がとれず時間がかかる。それよりもとりあえず自治庁の不便を感ずる点をすみやかに芟除するために、こういう形態のものをまず早く実現するということでやっていくということは、よくわかりますが、いずれにしても今長官が言われました通り、将来においてすっきりした体制をとるように御検討を願って、すみやかにそういうような方向に向けられることを期待をいたしたいと思います。
 次に自治庁の強化よりも、むしろ自治委員会を設けて、民主的に地方行政の運営をはかった方がいいという議論もあるのでありますが、これについてどういうようにお考えになっておられますか。
○石原国務大臣 自治委員会という構想は、やはり一つの行政委員会的の構想ではないかと思うのであります。御承知のように戦後行政委員会の制度が幾つか設けられたのでございますが、やはり閣内におきまして責任大臣をもっていろいろの施策を推進していくということが、その後の経緯等から見ましても最も必要ではないかということになり、行政委員会は準司法的な事務であるとか、そういうものには格好の形態と考えられるのでありますが、ほんとうに大きく政策を企画立案して、政策的に大きく伸ばすには、やはり責任大臣をもって仕事を推進していくことがいいのでありまして、そういう意味で、この自治委員会の構想はとっていないのでございます。しかし幸い自治庁にはいわゆる参与の制度がございまして、地方六団体といいまするか、各地方団体を代表する立場の人人が参与になって、参与会議等でいろいろ諮問をいたしております。また財政面の問題につきましては、これもやはり地方の各団体から推薦される委員によって構成されておりまする地方財政審議会等もあるのでありまして、そういうものと両々相待っての運営をはかっていくのが、真に自治行政を伸ばしていくのにはいいという意味で、今回提案したようなことになっておるのであります。
○保科委員 自治省はその所管する事務、範囲等を見ましても、仕事の内容は相当広範にわたっており、各省の中でも一番大きい予算を使っておるように思うのでありますが、この仕事の内容に比較して定員が非常に少ないように思うのであります。定員わずか三百八十八名、こういうことでうまくいくかどうかということを私は若干疑問に思うのでありますが、その点に関する所見を承りたいと思います。
○石原国務大臣 自治庁が今やっております仕事は、地方財政計画の編成であるとか、いろいろな政策の企画立案ということが中心でございまして、現業的な事務は全部都道府県以下自治団体がみなやっておるわけであります。そういう意味で非常に人員が少ないわけでございます。しかし仕事の性質から考えまして、ただいまの自治庁と消防本部を統合した程度の自治省でございましたならば、大体この定員で、さしあたっては支障なく事務の運営がはかられるのではないかと考えております。
○保科委員 次に伺いたいのは、自治省の案では現在の自治庁に比べて、実質上どれだけの責任体制が確立されるかという点につきまして、具体的に一つ御説明を願いたい。
○石原国務大臣 今の自治庁は総理府の外局というような形になっておるのでございまして、閣議論議権でありますとか、政令の制定権であるとか、そういうものは内閣総理大臣が一切持っておる、こういうことになっておるのであります。そこで自治庁のごとく各省と非常に関連も深いし、実質的には非常に大きな地方財政の指導をやっておりますし、交付税の配分とか、いろいろ大きな問題等も持っておるのでございまして、そういう意味から責任行政大臣を置きまして、一切総理大臣を経由してということでなしに仕事をやっていく立場にすべきではないか、こういうことが省と庁のままであるということの一番大きな相違点ではないかと考えております。
○保科委員 こういうことを聞いておるのですが、こういうことがありますかどうか。総理大臣経由の会計事務が年間平均六十件から七十件くらいある。それが自治庁、総理府から大蔵省へいくのに百日から百六十日かかって、総理府から自治庁へくるのに十三日ないし三十日かかる。結局百十三日ないし百九十日かかる。大へんな時間的なロスでありますが、現実にこういう工合に事務が行なわれておるわけでありますか、それを伺いたい。
○柴田政府委員 今お話の点は平均で申されたと思いますが、現実には大体その程度、あるいはそれ以上のことが事実あるのでありまして、それがために事務処理上非常に不便を感じております。
○保科委員 これは不便どころでない、大へんなロスであると思うのですが、こういうことが今度自治省になると非常に改善されるのですか。どの程度に改善されるのですか。その点を承りたい。
○柴田政府委員 自治庁が省になりますと、省令の制定権ももちろんございますし、また会計法上の予算執行上の権限も与えられるわけでございますので、ただいまお話の自治庁と総理府との間の往復回数というものは全然なくなってしまう。従って今御指摘になりましたロスというものは解消するということになります。
○保科委員 全部解消しますか。
○柴田政府委員 そうでございます。
○保科委員 それは大へんけっこうでございます。
 次に国家消防本部を自治省に統合するということが、非常事態における治安の確保の点から見ますと、警察との連絡がおそくなって、かえって害があるという見方が一方にあるようでありますが、この点に関する見解を承りたい。
○石原国務大臣 国家消防本部は現在のところ国家公安委員会におきまして連絡をとっておるわけでございますが、しかし現在におきましても、中央は国家公安委員会で消防本部のめんどうを見ておりますが、地方にいきますと、地方の都道府県の公安委員会とは全然関係がないので、都道府県の総務部であるとかあるいは厚生部に消防の事務が所属をしておる。それからただいま消防は御存じのように自治体消防ということになりまして、市町村が中心に消防を運営しておるということになっておる。火災その他の災害等の場合に、警察などと緊密な連絡をとっていろいろやっておる場合もございますけれども、機構の上においては現在も全くそういうことになっておるのでございまして、今回消防本部が自治省の消防庁になりましても、今より特別に連絡が悪くなるとか、何か縁が切れるとか、そういうことは私は全然ないのではないかと思うのであります。今後の運営面におきまして、警察庁なりその他と問題によっては緊密な連絡をとっていく、こういうことで支障はないものと考えております。
○保科委員 結局連絡上の実態では変化がないと了解してよろしゅうございますか。
○石原国務大臣 それでよろしゅうございます。
○保科委員 次に、消防庁の組織、機構については、この際すべて自治省の設置法に取り入れた方がいいのではないかという意見がございますが、この点に関する所見を伺いたい。
○柴田政府委員 御指摘の点でございますが、消防庁の組織、機構につきまして、外局でございますので、これを設置法の中に規定するか、今のままにしておくかという問題は確かにあるのでございます。全部設置法の中に規定してしまえという御意見もごもっともでございます。ただ外局の組織、権限、機構等につきまして、実際の立法例では設置法の中に全部入れておる形もございますし、設置法の中には外局の設置だけを規定いたしまして、その組織、権限等は他の単独法で書いてあるといったようなところもあるのでございます。その取り扱いは一定いたしておりません。消防庁の場合におきまして一緒に入れたらどうかという御意見は、私どもといたしましてはそのようにした方がいいのではないかと実は考えております。ただ今回の設置法の一部改正でそのことをいたしませんでしたのは、現在消防本部の組織、機構につきましては消防組織法の中に規定されておりますが、これを設置法の中に入れて参りますと、消防組織法のみならず、消防法まで所要の訂正をしなければならぬ。つまり消防組織法で消防を通ずる大きな改正をしなければならぬということになりますので、今回はとりあえず設置法中には外局を設置するということだけを書きまして、ほかの組織、権限等につきましてはあげて現在の組織法の中にゆだねる、かような措置をとったわけであります。なお消防法の根本的な改正とあわせまして御趣旨の点は改善して参りたい、かように考えておる次第でございます。
○保科委員 根本的な全面的な改正になるから一応こういう程度にした、しかし将来消防組織法とか消防法というようなものについては検討を行なっていくというように了解してよろしゅうございますか。
○柴田政府委員 お言葉の通りでございます。
○保科委員 次は、地方自治法その他自治関係の法律の中で総理大臣の権限とされておる事項の中で、自治省の設置によって自治大臣の権限とするものと総理大臣の権限として残すものがあると思いますが、その振り分けの基準はどういう基準によってやられておるか、その点を承りたいと思います。
○石原国務大臣 ごく大筋を申し上げますと、いわゆる行政大臣といいますか、としての仕事の部分は、全部自治大臣に移ってくると思います。ただ内閣総理大臣が都道府県知事を罷免するような権限があるとか、あるいは地方公共団体における行政に法令違反等があった場合に是正改善を求めるとか、こういうような権限を持っておる内閣総理大臣と書いてあります部分は、やはり内閣総理大臣に権限を残していく、その他一般の行政事務に関する部分の内閣総理大臣は全部自治大臣になる、こういう筋と考えていただいていいと思います。
○保科委員 国家行政組織法上の地方自治に関する総理大臣の権限の行使については、自治省はどういう関係を持っていかれるか、その点を承りたい。
○柴田政府委員 お尋ねの問題は国家行政組織法の十五条、十六条ではないかと考えるのでありますが、この十五条は都道府県知事の罷免権、または地方公共団体またはその長に対する措置要求の権限、それから十六条は各省庁の命令等が地方自治の本旨に反すると認められる場合に、関係大臣に対して必要な指示をする権限であります。これは従来は自治庁は総理府の中にございますので、自治庁長官は総理大臣の権限の行使について補佐していく、こういう形であったのです。ところが今回は自治省が独立いたすわけでございますので、これは補佐ということはできない。しかし現実問題といたしましては、自治省の持ちます国と地方団体との調整と申しますか、調整機能というものから見まして、またその仕事の内容が非常に事務的にわたるものも相当ございます。そこでやはり内閣総理大臣がこの権限を行使されます場合においては、自治大臣がこれを援助していく、こういう形で運営していくことが一番望ましい、かように考えまして、この改正法案では内閣総理大臣の所属ではございませんので、助言その他の援助によって援助することができる、かように書き分けるわけであります。なお先ほど大臣からお話がございましたが、内閣総理大臣の権限を自治大臣の権限に移します場合に、振り分けて参ります基準といたしましたのは、先ほど大臣の申されました通りでありますが、この内閣総理大臣の権限をできるだけ自治大臣におろしていって、そうして内閣総理大臣の荷を軽くすると申しますか、ということがまた自治省設置の実益でございます。従いましてその振り分けをいたします場合に、国家行政の最高責任者としての立場の総理大臣の権限に関するもの、たとえば地方自治法の二百四十六条の措置要求の権限、こういうものにつきまして、事柄の性質上これは内閣総理大臣の権限に残していく、あとはあげて自治大臣に委譲する、こういう方式をとった次第でございます。
○保科委員 大体疑問あるいは問題となっている点に対する長官の考えておられる点を承りましてよくわかりました。私は先ほども申し上げました通り、この行政機構の最も重要な点は、権限と責任を明らかにする点であると思います。従って何も遠慮される必要はないのですから、今度は早く実現をするということのために、こういう簡素な姿をとられたのでありますけれども、一つ筋の通る検討をされて、そして地方自治が円満に、しかもりっぱに行なわれるような検討をさらに加えられることを特に要望いたしておきたいと思います。ことにこの自治省は、先ほど来長官の御説明によってわかりましたが、そういうような疑問を持っている向きもあるのですから、運用上は特に注意をされて、りっぱな自治省ができたということで各地方自治体から敬愛をされ、尊敬されるような自治省の慣行をお作りになることを特に要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○福田委員長 次に石山權作君。
○石山委員 質問の初めに、委員長にこの法案の取り扱い方について御意見を承っておいた方がいいのではないかと思うのです。それはわれわれは毎国会ごと内閣委員会としては、各種設置法というのをたくさん取り扱います。しかし今まで取り扱ったうちで大きなのは、局を設けるあるいは官房を設けるくらいのところでございました。ですから一省のあるいは一官庁の中における組織の一部変更あるいは定員増ぐらいのところが、おおむねの設置法でございました。その次には普通いわれている学識経験者その他の民間の御意見を拝聴いたしましょうというので、各種調査あるいは審議委員会等を設ける、これは設置法のわれわれの経験でございましたが、今度の設置法というのは、一つの省を作りたい、こういう提案でございますから、今までとは大へんに内容から形、大きさというものが違うようでございます。これはもちろん自治庁としての意欲的な提案もあるだろうと思うけれども、内閣全般の責任においての解明の仕方がこの場合必要なのではないか。この場合、内閣の最高の責任者であれば総理大臣もそうでしょうけれども、たとえば官房長官が随時出られる、官房長官が出られなければ総務長官が随時出られるとか、あるいは最終的な仕上げには岸総理御自身が来て解明する、こういうふうな態勢が必要じゃないかと思うのですが、それに関しての委員長の取り扱い方を一つお聞きしておきたい。
○福田委員長 お説はごもっともだと思いますが、しかし総理を出すとかだれを出すとかいうことになると、これは今御承知のように非常に安保問題等で忙しいときでもありますし、官房長官を出せというお話は、これはもちろん取り扱い得るものと思いますが、いずれにいたしましても、今のお話は理事会で一つ御相談をさしていただき、その上できめさせていただきたいかように思います。
○石山委員 理事会でもいいでしょうけれども、一つの基本としては、そういう態度を貫いていただきたいというのが私の意見でございますから、取り扱い方はそういうふうなところに目を向けて善処していただきたいというのでございます。これは希望意見ですから質問に入りますが、長官にお伺いします。
 私、今委員長に対して希望意見を述べたごとく、われわれが今まで取り扱った設置法から見ますと、事あまりにも重大だというふうな感じでございます。提案の形が非常に大きいだけで、何も私は人数だけを言うのではございませんが、内容的に見ますと、何だか空疎な感じがしてなりません。これはもちろん皆さんの方から御意見をお聞きするわけで、たとえば財政の問題とかいろいろあるだろうと思うのですけれども、私どもから言わせれば、消防庁を吸収したくらいで一省をお作りになるという考え方は、少しく誇張した御意見ではないのか、こういうふうに思われてなりませんが、提案の趣旨説明を私ゆうべとくと拝見いたしましたが、これはおおむね抽象的な美辞麗句に飾られていて、必然性ということになりますと、案外通り一ぺんなのではないか。一省に昇格するにしては、提案の内容が大へんに簡素であって、抽象的であるようでございます。力説される点、三つか四つあるようでございますが、それに対して詳しく解明をしていただきたい、こう思います。
○石原国務大臣 石山委員から今お話がございましたが、確かに省としての形から見れば人員その他は少ないと思います。しかしこれは先ほども申し上げましたように、自治庁のやっております仕事というものは、主として政策の企画立案とか、あるいは法令の制定であるとか、あるいは予算の要求、地方財政計画の策定とか、こういう企画的事務が非常に多いのでございまして、そういう関係から省直接には現業事務を持っておりません。しいて言えば現業に関連する部分は、都道府県あるいは市町村ということになるわけでございますが、そういうことで人数は非常に少ないのでございます。しかし自治庁の関係しております予算の額の面から見ましても、交付税等の額から言えば、各省を通じましてほとんど最高位に属するものではないか。毎年の予算編成にあたりましても、一番最後まで難問題をかかえておるのも自治庁であるという形でございます。それから各種の法令の制定の様子を見ましても、毎国会あるいは省庁を通じまして、非常に上位の部に属しているのではないか。しかもいろいろ選挙法等に関連することまで、非常に問題の多い法案をかかえている、こういうようなことでございまして、形は非常に簡素でございますけれども、そのやっておりますことは、やはり行政なり民主政治の基盤になっております地方自治を育成、援助、指導するということでございまして、最も基本的な行政の実態に触れるのでございますから、その責任体制をはっきりせしめたい、こういうことでございます。先ほど保科委員との間にやりとりをいたしましたように、地方開発であるとか地方自治に関連するものが、まだ相当各省に残っておると思うのであります。私はやはり行く行くはそういうものを統合いたしまして、地方自治なり地方開発の総括責任省という形に持っていきたい、かように考えております。
○石山委員 私は長官のお話を聞いて一つ気になった点がございます。それはここにこういうことをあなたが言っておるのです。地方自治は民主政治の基盤である、民主政治の方法論の一つとして地方自治、分権をあなたたちは考えているだろうと思うのです。しかし今の御答弁の中で指導という言葉を使っているわけですね。その指導ということと民主政治のあり方の地方分権ということ、私はそこに問題があると思うのです。地方分権ということに対するいわゆる中央官庁としての指導というものは、一体何をさしているのか。あなたたちは地方分権することによって地方自治が発達するのだ、それが民主政治の基本だ、こうおっしゃっていながら、すぐその次には指導する。さっき保科委員は責任体制というような言葉を使っていたようですが、責任体制を明確にして指導する、そうすると僕らとしては理解しにくいわけなんです。いわゆる財政規模というような問題もあるいは指導の中に入るかもしれません。しかし指導という限界は地方自治、いわゆる地方分権というものを制約しない範囲だと私は思う。制約しない範囲内における現状の自治庁のあり方から見ますと、そんなに不足はないじゃないか、何もわざわざ省を作る必要はないじゃないかという疑問もまだ私たちは持っているわけなんで、その指導の限界ということは一体何をさして指導なさろうとしておられるか、それを一つ御説明していただきたい。
○石原国務大臣 指導といいますか、自治の行政の援助というようなことが中心でございますが、今石山委員の言われましたように、やはり現在の地方自治の現状から申しましたならば、地方財政とかいうことは中央との関連も非常に深い点が多いのでございまして、御承知のように地方交付税等で各地方団体間の財源調整をやったり、いろいろなことをやっているわけでございまして、そういう意味で地方財政との関連等については、やはりいろいろ中央と関連する面も深いと思います。あるいは公共事業をやるにいたしましても、国の助成の問題であるとか、地方負担の問題であるとか、中央と地方ということとの関連はきわめて深いものがあると思うのであります。しかし私ども地方自治の堅実なる発展のためにできている自治庁でございますので、もちろん自治の限界というものについては十分関心を持ちまして、いろいろ当たっていく、こういうことは私から申し上げるまでもない点と思うのであります。私が使いました指導というようなことの意味はそういう限度、そういう範囲、そういう気持において使っておるのだということを申し上げておきたいと思います。
○石山委員 私は自治庁の指導という中には、たとえば地方自治団体の仕事の分量というふうな指導もあると思う。あるいは財政規模に対する指導方針というようなものもあると思うのです。けれども、これ以上指導力を強化するというふうになると、私は皆さんの権限の強化のあこがれなのではないかという気持を持つ。いわゆる昔言われていた内務官僚の指導権の強化、この言葉に結びつく懸念があるのではないか。というのは、われわれ地方団体と中央官庁の結びつきを見てみますと、たとえば厚生省関係あるいは労働省関係、あらゆるものはそれぞれの省で指示をされるような格好になっておるわけですね。その間の調整を自治庁はおとりになっておるようですが、その総合調整をば自分たちの指導という名前のもとで包んでしまう、これが省に昇格される一つの理由になっておるのじゃないですか。私はそういうふうに解釈するのですが、いかがなものですか。
○石原国務大臣 今回の設置法の改正はただ機構の問題をまとめた案でありまして、今言われておりまする権限の問題は、地方自治法にいろいろ規定されておる問題でございます。庁が省になるから権限がどうとかいうことは、地方自治に関する限りにおいてはございません。これは地方自治法の問題であろうと思います。庁を省にいたしますることは、先ほどから申し上げますように、責任行政大臣を置きまして責任体制を確立する。法令においても予算においてもこれだけ膨大なものをかかえておる自治庁としては、やはり行政責任大臣を置いて責任体制を確立するのが当然ではないか。昔の内務官僚の権限のあこがれではないかということは毛頭ございませんし、また先ほど申し上げましたように制度が、新憲法あるいは新行政組織によって根本的に変わってしまっております。こういうことは私は考えようとしても考えられないことだと思います。
 それから最後に触れられました各省と地方との関連の調整というような意味であったと思いますが、厚生省であるとかその他各省が都道府県にいろいろの施設といいますか、あるいは制度を考えたいというような場合には、地方団体あるいは地方自治を守る立場にある自治庁といたしましては、その建前からいろいろ関係各省に意見を言ったり、その間の調整をはかるというような仕事もやっておるわけでございまして、石山委員が今まで言われましたような気持ちと全く同じ気持ちで、われわれは仕事をやっておるものだということを一応申し上げまして、御了承を願っておきたいと思います。
○石山委員 長官は、庁から省の昇格は、何も地方分権その他の権限を侵すものではないというようなことを言われておりますが、われわれが心配するところはやはりあるわけです。庁が省に昇格することによって、いわゆる大阪城の外堀は埋められるのだ、こういうことが盛んに言われておるわけなんです。それはなぜかといいますと、昔の内務省を考えてみてもいいと思います。私もまた庁が省に昇格するくらいであれば、むしろ国土開発などがこの中に含まっておればなかなか見どころもあるし、提案の仕方もおもしろいと思うのだが、そういうことは抜きにされて、しいて言えば消防は治安の一部でやるのだが、どうせ長官は国家公安委員長を兼ねておるから、警察関係も一部入れて悪くないのじゃないか、こういう関係が当然生まれてくるし、これは構想の中にあって否定しない方がいい。構想の中にあった方が、庁が省として昇格するにはある意味では正しいやり方だ。ただそれが昔のいわゆる天皇陛下にお仕えした官僚制度というような運行の仕方をするならば、これはいかぬことでございますけれども、一つの国家の機構上の視点から見た場合は、そういう提案は否定さるべきじゃないし、むしろそういう考え方を内蔵した方が私は正しい行き方だと思っておるのですが、皆さんの方でそれは否定されておるわけです。外堀を埋めるということを世間は心配するのだが、私は国家機構から見たら埋められた方が正しいと思っているのです。
 もう一つ私は特にお伺いしますが、世間で大へん心配しておることは、自治庁と警察の関係、長官と公安委員長の関係が、このことによってどういうふうな影響を受けるだろうか、それと同時に、私はまだ構想の点に関して自治庁と話し合ったことはございませんが、私が言っている、たとえば国土総合開発などの問題を入れた方がよろしいとか、警察を一部入れてもいいのじゃないかというふうな意見はございませんでしたか。
○石原国務大臣 第一の国土開発、地方開発の問題は、先ほども私ここで答弁申し上げたのでありますが、このごろの東北総合開発であるとか、あるいは九州開発であるとかいう仕事は、当然将来の自治省でやっていくべき仕事ではないか。考えようによっては、あるいは北海道開発、離島振興、特別地域連絡局、こういうことはもちろん考えておるのでございますが、しかしこの構想はここ数年来いろいろ論議せられましたけれども、ついに実を結んでいないのであります。こういう論議のために、自治庁がいつまでもこの形であるということはどうもいかぬのではないか、むしろこの際自治省というものを先に作っておいて、それから今申し上げましたような問題をずっと検討、統合していく、べきではないか、こういう構想で進んでおるわけでございます。
 それから消防は昔の観念と非常に異なりまして、戦後の消防というのはいわゆる自治体消防、市町村消防でございまして、行政制度上国家消防本部の組織というものがどうもはっきりわからない。国家公安委員会で管理しておるわけでもございませんが、国家公安委員会で連絡をとっておる、この形自体がむしろおかしいのではないか。自治体消防といたしまして自治庁の仕事とやや違う面もございますけれども、むしろそういう意味で自治省の方へ統合した方がいいのではないか。警察については国家公安委員会という行政委員会が中正の立場で管理をしておるのでございまして、この問題をどうこうというような議論は今日まで一度も出たことはございませんし、私も現在の事態から考えましてそういうことは適当でない、かように考えております。
○石山委員 一国の政治というふうなものを軌道に乗せることを考えてみますと、あなた方御承知のように、地方財政と治安とを握ることによってこれは一本化されたものでございます。しかしそれでは非常に権力が強化されていくというような心配があるだろうと思うけれども、そのかわりセーブする法務省というものがある。国会というものがある。地方の県会というものがある。これは私はセーブできると思う。あなたの方では何か警察ということを非常に毛ぎらいしておるようですが、実際の意味の政治というものを考えた場合、この両面がなければ一貫していかぬわけなんです。警察に関することは全然今まで検討されたことはございませんか。
○石原国務大臣 全然ございません。
○石山委員 それは長官、いけませんよ。問題を提出されるからには、いいところと悪いところ、いろいろあると思います。しかしそれはやはりあらゆる面から検討していただいて、警察の問題云々は私の方で切り捨てましたという御意見ならば、私は賛成できる。初めからもう爼上に上せるのをおそれているようなやり方では、それはあなた不勉強だと言われてもやむを得ないと思うのです。私は治安というものを大切にしておる男です。経済というものを大切にしておる。これが政治の基本だと考えておるものですが、地方財政、地方自治、地方の繁栄を考えている自治庁として、治安の問題を抜きにしたお考え方でいるということはいけません。何もおそれることはないから、今まで検討したことをおっしゃって下さい。
○石原国務大臣 自治省というか、こういう問題と関連いたしまして、警察というものをどうしたらいいか、統合したらとかどうとかいうことは、そういう意味で検討したことはないと私は申し上げたのでございまして、警察は今公安委員会を中心に運営され、私もその委員長をしておるわけでございますが、この現在の組織から申しまして、ことに今の警察は御承知のように司法警察を中心として行なわれており、行政警察の面というものはほとんど警察にはないのであります。そういう意味から考えまして、警察庁なり国家公安委員会と自治省を結びつけるとか統合すべきだとかいう意味で検討したことは全然ございません。そういう意味で申し上げたわけでございます。
○石山委員 私は国家公安委員会のことも考えた場合、国家公安委員の場合は選挙なんというような手数が非常に繁雑ですが、やはり自治庁が自治省になった場合も、治安を握らない自治省というものはあり得ないという考え方を捨てるわけにいきません。その便法として、こういうことを考えてみませんでしたか。つまり世間の非難を緩和する意味で、県の公安委員をば公選にするということを検討してみたことはございませんでしたか。
○石原国務大臣 私は不勉強かもしれませんが、そういうことを検討してみたことはございません。
○石山委員 どうもあなたは国家公安委員長の役目に少し忠実でないときがあるのではないかという心配が起きます。たとえば福岡で三池争議にからんで問題が起きたというのは、私これは民選であればもっと手ぎわよく処理しているだろうと思うのです。そういう比較論をこの場合あなたは考えてごらんになりませんでしたか。ただあなたの場合は、国会であなたの答弁を聞いていると、実に思いやりのないやり方で、やっつけてしまえと鼓舞叱咤したような御意見を出しておる。あなたが御意見を発表したら、私現地に行って見ているのですが、福岡の警察官はとたんに強気になって、隊列を組んでそこら辺を堂々とパトロールして歩くというような現象が起きているのです。そういう比較をあなたはなさったことはございませんか。特にああいう労働組合の運動の中に殺傷事件が起きたというふうな場合も、早期に問題を解決するということは、官選と民選ではだいぶ違うのじゃないかと思うのですが、そういう比較論は――まあ唐突のことだからあるいは比較しておらぬかもしれぬが、だれかあなたの手下の人ではそういうことを考えた人もいるのではないか。官房長どうですか、そういうことを考えませんでしたか。
○石原国務大臣 私は現在のいわゆる司法警察を中心としてやっております警察のあり方から考えましたならば、公安委員の任命方式等も現在の形がまずよいのではないか、かように考えておりますし、またそういういろいろの問題についての意見等を、私狭い範囲かもしれませんがまだ全然聞いておりません。
○石山委員 あなただいぶ警察のことを、昇格運動に対しては障害になるのだ、こう思っておられるようですが、そんな気がまえでは庁を省に昇格させる必要がないという見解を私としては持っているわけです。それはそれとして、あなた警察は避けているから私もちょっと間を置きましょう。消防と治安の関係、これはよくあることで、消防のホースで治安を鎮撫したなんということは外国の例もあるわけなんですが、消防と治安、これはどういうふうに活用されようとなさっているか、その点を一つお知らせ願いたい。
○石原国務大臣 現行法の上におきましても消防組織法第二十四条第二項によりまして、消防と警察庁、都道府県警察等が相互間におきまして、非常事態の場合における災害防御の措置に関しあらかじめ協定することができることになっておるのでございます。それでたびたび申しましたように、消防は全く自治体消防、自治体の事務になっておるわけでございます。今申し上げましたように非常事態等の災害防御、こういう面につきましては警察などと緊密なる連絡提携のもとに災害防御等に――伊勢湾台風のときなどにおきましても警察、消防あるいは自衛隊等が緊密なる連絡をとって当たったのでありますが、こういう面においては消防組織法第二十四条第二項で現行法におきましても、それから今度自治庁が省になりましても、それらの法律によっって運営されていく、こういうことになっております。
○石山委員 自治庁が自治省に昇格する、地方財政を云々というふうに大へん言っているわけですね。私はそういうふうな数量だけの問題ではないと思うのです。私は民間の企業から出てきているものですが、特に近代産業における場合の鉄鋼とかああいう科学部門、重産業の場合には、数量はうんとふえましたよ。数量はうんとふえたけれども、たとえば人数の使い方が不足だとか、必ずしも財政規模が大きくなったから人数をふやさなければならないという、そういう機構の中に自治庁がある意味では今あるのじゃないと思うのです。だから私がたまたま言うことは、国土全般の総合計画が自治庁の中になければならぬというのが一つの提案の仕方。それから治安というものの関係で、警察をおそれることなく吸収するという考え方も必要なのではないかという提案を私しているわけですが、その中で財政の方であなたは力説されているようですが、この財政のうちの、特に地方民主政治、地方の経済の発展、民度の向上というようなことは常に自治庁ではお考えになっているだろうと思います。
    〔委員長退席、田万委員長代理着席〕
これで特に私今お聞きしておきたい経済的な問題では、つまり交付金等の問題でも自治庁の誠意、善意というものはわかるわけなんですが、おくれている、たとえば東北、北海道、こういうふうな日本でいえば後進県といいますか、後進地帯といいますか、今度は九州、四国というふうにおしなべてどんどん、おれのところも後進地帯と言っておりますが、こういうことはたとえば自治庁が自治省に昇格をした、そういう場合の行政の能率あるいは後進県、後進地に付与される政治的配慮――これは東海道いわゆる関東、近畿、こういうものはほうっておいてもずんずん経済的には発展していくわけですね、これがうまくいくかということ。これは通産省であれ大蔵省であれ、そろばん高いお役所でございます。ですから投資をしたからには、そこから一定の利潤が上がって、投資した額に見合うような経済の発展がない限りは、投資をしたくないという人間が私はかなりあるのじゃないかと思うのです。それが幸いにして自治庁が自治省に昇格した場合、こういうふうな経済の不均衡に対する政治的なあたたかい配慮というものが、このことによって行なわれ得る可能性があるかどうかということですね。それがあればまずまずというところでしょうが、一つ御意見を聞かせていただきたい。
○石原国務大臣 従来からも自治庁といたしまして、後進地域の開発といいますか、国土を平均して開発していかなければならぬという立場をとりまして力を入れてきておりますことは、大体御理解願えておると思うのであります。地方交付税の配分にあたりましても、毎年々々交付税法を改正いたしまして、いわゆる傾斜度といいますか、後進地域にたくさん金がいくように、でき得る限りの改正を続けてきております。ことに今回問題になっております東北開発に引き続いて、九州開発、四国開発あるいは北陸開発ときておりますので、むしろ後進地域、財政力に比較いたしまして事業量の多いようなところには国庫負担をふやすべきではないか、東北に限らず九州に限らず、貧弱県にはふやすべきではないかという案を今推し進めようとしておるわけであります。自治庁の今一番大きな仕事といいますか目標は、そういうところへ置いておるのであります。そういうことを推進していくにつけましても、自治庁長官は国務大臣でありますから、そういう意味では閣議その他においてはいろいろやれるわけでございますけれども、法令の制定についても予算の要求にしても、いろいろな問題をやはり総理府の外局として総理府を通じてやらなければならぬ。対等ではありまするけれども、何となくやはり外局の役所だ。一番大切な地方自治、国の財政にも匹敵するような地方財政を持っておる、それを主管する役所が単なる一外局である、責任の行政大臣もないのだということでは、自治の進展をはかる上において支障がある、こういう意味で、今回あなたが言われますように国土開発とかいろいろな問題を入れたいのでありますけれども、その議論をやっておるとまだ何年かかるかわからないという状態でありますので、簡素なものでありますけれどもとりあえずこれを提案して、これから皆さんの御期待に沿うように、そういう範囲の間口を広げていきたい、こういう構想でございます。
○石山委員 責任体制という言葉を再再聞くのですが、責任体制というのは一体何か。今のままでは責任体制がとれないということになりそうなんですが、事例としてはどういうことが責任体制がとれないのですか。
○石原国務大臣 制度上におきましては、地方自治に関する最終責任者というものは、やはり内閣総理大臣になっておるわけでございます。でありまするから、法律、政令その他についての閣議請議権というものも自治庁長官にはないのです。それから省令の制定権もない、予算の要求、執行上の問題等につきましてもやはり内閣総理大臣、こういうことになっておるのでございまして、あの広範な仕事をしております内閣総理大臣が、一々そういう自治の関係のことについてまでやるということもどうかと思いまするし、これだけの厚生行政あるいは建設行政、通産行政に比しても重要性において劣らない、むしろより以上であるこの自治の問題について責任大臣を置いておいた方がいいのではないか、こういうことであろうと思います。
○石山委員 今の岸内閣は政党内閣でしょう。官僚内閣だというならば、あなたの御意見はやはり私は必要だと思う。あなたは内閣総理大臣からすべてのことを委託されるくらいの立場にあると思うのです。つまり政党内閣の政党の綱領、政党の政治的な理念、あるいは運動方針等によって決定された政策を行なうのでございますから、総理大臣は皆さんを手足のごとく使えるわけなんです。それに異議を申し立てるならば、普通からいえば離党しなければいけないわけでしょう。ですから、あなたの御意見は、いわゆる昔われわれが経験したところの官僚中心の政治であるならば私は正しいと思う。しかし今の場合岸信介さんが総理大臣であって、石原長官がその意見を体し得ないという建前ではないと思う。一貫しているはずなんです。それをあなたの言うことを聞いていますと、大へんちぐはぐなことだと私は思うのです。どこかで岸総理大臣の意思というものが、あなたに伝達される前にカットされるというふうなことが、いわゆる保守党の派閥の関係であって行政事務が停滞するということを表現したいために、あなたはそういうことをおっしゃっているのですか。
○石原国務大臣 各行政省が今あなたの言われているような立場になっているなら、これはまた別だと思うのです。極論すれば、総理大臣一人おればいいということになるわけですが、各省いろいろある際に、地方自治を担当する部局がこういう形でいつまでもおるのはどうであろうかという問題と、これから地方自治を伸ばし、地方財政を拡大し、あるいは税財源の国と地方との適正なる配分をやろうというような大きな問題を今控えておりますし、後進地域の国土開発という問題をいろいろ持っております際に、でき得ることならば、各省並みに地方自治を担当しておる部局を置く方が、何かにつけてやはり便利でいいのではないか、こういうふうにお考えを願いたいと思うのです。
○石山委員 私は保守党内閣、いわゆる自由主義経済の考え方の一つのよさは、各個人の持っている創意工夫をうまく活用するというところにあると思うのです。そうした場合に、自治庁を自治省に昇格をさして、いわゆる責任体制という名前、あるいは指導力の強化という名前で、地方の行政を指導する。まあ悪い意味ではこうしなさいということで、指導ではないのだが、そうなりますと、一つのワクの中に入れようとなさることになりはしないか。私は今のままで指導の強化とか、責任体制がとれないというふうなことは、どうしても理解できないわけなんです。さきに私が何回も申し上げておるように、事業量がふえる、いわゆる一つの国家の機構上からしての構造の集約化、機構の単純化、こういうようなものを考えておやりになるとするならば、皆さんの御意見も傾聴に値すると思うのですが、そうじゃない。ただここにある二つのものを一つにくっつけた、そしてそれを一つ格上げしようというが、これは名前だけの格上げで済むものではございません。今までわれわれ設置法をたくさんやってみておるのですが、年ごとに課をふやしたい、部をふやしたい、局をふやしたい、定員をふやしたいということをやられるわけです。自治庁を自治省に昇格をしてそれで済むとは、与党の諸君も考えないと思うのです。皆さんの見解であれば、なるべく官僚機構を小さくして、地方の繁栄を願うということが建前でしょう。社会主義のわれわれならば、官僚機構を強化して、それを一つのシステムに乗せてやるという行き方をとっていく。皆さんの方は反対のはずです。それが出されたところを見ると、社会党のまねをしているじゃないですか。これは社会党のまねですよ。しかし社会党のまねをしても、ほんとうの真髄をつかまないで形式だけをまねするから、実質的にならないで、いたずらに官僚機構を大きくして、定員をふやして、国民の税金をむだ使いじゃないけれども、あまり役に立たない方向に向けていくのではないか。こういう考え方から見ると、長官の提案の仕方は私はやはりちょっと物足りない。あなたは政党人として、あなたの部下等が言うところのなわ張りの拡充に対して、どういうふうな御見解を持ってこれを提案しておられるのですか。ほんとうのところを聞きたいような気がしますよ。
○石原国務大臣 私は現在やっております自治庁を省に格上げするということは、先ほど来申し上げておりますような考え方で、地方自治の現状等から見まして、地方自治を主管担当しておるというこれだけでもやらなければならぬと思うのです。ただ地方総合開発、国土開発等のような、自治を担当する省で統合した方がよろしいと思うような仕事がまだたくさんありますので、それらはでき得る限り早く意見の調整をはかって統合していかなければなりませんけれども、自治だけでも私は先ほど来申し述べておりますようなことから、昇格しなければならぬと思っております。それからまた逆に都道府県、市町村、自治体、地方側の意見を行政の中に強く反映させていく、閣内等においても強くこれを反映させしめていくという上からも、やはり自治省というものが必要ではないかと考えるのでございます。ただしいて言えば人数が割合に少ないのではないか。これは仕事の性質から当然そういうことになるのでございますが、官僚のなわ張り争いでいろいろやろうとするならば、われわれはこれに並行してさらに相当の人間を要求するなり何なりしておけばいいのでございますけれども、しかし私どもはそういうことは考えないで、でき得る限り簡素に自治庁と消防の合体ということでスタートをしよう、こういう気持でやっておるのでございまするから、官僚の権限拡大であるとか、あるいはなわ張りを広げるとか、そういう意図、意欲から出ておるものでは決してございませんということを、ここでさらにあらためて強く申し上げておきたいと思います。
○石山委員 長官の御意見を聞いていると、どうも必然性というふうな点にぴっとくるものを受け取るわけにいかぬのです。それはなぜかというと、結局のところやはり材料が少ないということですね。消防庁だけくっつけて省に昇格するという、材料の小さいところにわれわれの納得できない一つの問題がある。たとえば、私が言ったように、何もおそれることなく治安の問題も考えたらよかろう、治山治水、港湾の問題も考えたらよかろう。それがたとえば昔の内務官僚の形態というような疑念があれば、それは時代的にまだ昔のなごりが残っているのだから、時期ではないでしょう。しかしその集約体制を拒まないような時期になれば、私はやはり自治庁が自治省に昇格する一つの時期がきていると思う。だから今は時期が少し早いということになりはしませんでしょうか。あなたの方でそういうことを集約できないというところに、私はまだ時期が早いと思う。その点はいかがでございますか。
○石原国務大臣 先ほどから何回も述べたのでありますが、ことに地方団体、都道府県、市町村、地方六団体等からもこれはもう非常な要望でございまして、一刻も早く省にしてほしいという熱烈なる要望があるわけでございます。問題は、先ほどからも出ておりまするように、地方開発、離島振興、いろいろなことを考えていく際には、やはり各省の権限に触れてくる問題がありまするので、そういう点で、なかなか意見調整が数年かかってもできていない。このまま数年またじんぜん日を送るというようなことでは、やはり地方の自治の真の拡大発展をはかる立場にある者といたしましては、もう待ち切れないということでございまして、そういう意味で、今回これを提案して、あとで肉づけしていこう、御意見のようなことを十分ここで拝聴いたしまして今後の肉づけに当たろう、こういう気持でございます。
○石山委員 地方の要望というのはこうだと思うのです。自治庁長官がうんと発言力を強化して、大蔵省と渡り合って財源的に地方を潤してもらえばよろしい、こういう考え方なんです。逆に、今度は知事が官選させられましょう、そうして行政がもうのっけから、型が、スタイルが示されてしまって、ワクが示されてしまって、身動きができないということになるということは予想していないと思う。けれどもそういう懸念があるわけなんです。あなたが公安委員長になってから、各県の公安委員を官選にするということと民選ということを比較していないところを見ても、私はやはりそういう傾向がだんだん強くなっていくのではないかと思う。何といいますか、わずかの交付金、わずかの起債、そのために地方の権限が抑圧されていくということを地方団体が知らないから、そういうふうなことを端的に言うことになるのではないか。これは地方民のいわゆる欲望、地方の連中が自治庁をば自治省に昇格すれば云々というふうなことを言ったことと、この陳情書というものは同じだと思う。長官のところにも行っていると思うのだが、これは東北、北海道から出た陳情書ですけれども、これと同じだと思うのです。たとえばここに私が持っておる一般財源の付与、または国庫補助率の引き上げ、こういうふうなことがそれでは簡単にできるかというとできない、こういうことと同じなんですよ。ですから地方民から大へん強い要望があったということは、あなたの提案の一つの趣旨になると思う。しかし提案の趣旨には、今の皆さんの内閣ではなかなかやり得ないことをちゃんと書いてありますよ。たとえば経済的に、償還に関する六分五厘の利子は高いからうんと引き下げてくれ、こういう提案の仕方、これも地方の強い要望です。間違いのない陳情です。はなはだしいのになりますと、交付公債の利子はすみやかに全廃してくれと言ってきておる。これも強い要望です。強い要望というのはたくさんある。だから自治庁が自治省に昇格してくれるというのは、これはたくさんの人間の要望の中の一つにすぎないのであって、全般ではない。特に皆さんのお耳に達しておるのは、地方の知事あるいは市町村長、そういうような地方でいえば指導階級のような人なのではないか。ですからその人たちの言い分と、皆さんのお手元にしょっちゅう差し出されておる地方交付税の問題、あるいは償還利子の問題等は、同じケースだと思う。こっちの方はなかなかやってあげられないけれども、いわゆる官の機構だけはやってあげるのだということでは、これはちょっとおかしいのではないかと思うのです。たくさんの要望の中で、なぜあなたの方では官の機構の拡大だけを今回おはかりになっておるか。
○石原国務大臣 今の石山委員のお話ですけれども、それはちょっとおかしい、残念に思います。地方団体側からの要望は、やはり地方財源の確保というようなことが一番大きな要望です。これも御承知のように昨年は交付税率を一%上げております。今年は地方特別交付金というような形で〇・三上げておる。地方債のワクでも千百億が千五百億になる、あるいは交付公債制度の廃止を要望しておりましたが、大体廃止の方向が打ち出された。利息の問題もごくわずかでありますけれども、少し手直しされておる。この元利の償還につきましては、地方財政計画でこの償還を財政需要額の方に乗せていくとか、地方側の要望を全部満足というところまではいきませんけれども、ほとんどこたえておる。最後に後進地域に対する公共事業費の国庫負担の引き上げ、これは御承知のように九州開発はおそらく出るでありましょう。私はさらに進んでこれを全国的に適用したいというふうに考えておるのであります。こういうふうにこたえておるのでありまして、自治省設置も数年来の要望で、これがこたえるのに一番おくれておった。それを今回提案をしておるということでございまして、ただ機構だけをわれわれがいじって、ほかのことはちっともこたえてないではないかと言われると、これはちょっとおかしい。自治庁を担当しておる者として残念に思う。もちろん私は機構いじりだけではございません。私も三十数年地方自治で飯を食ってきた一人であります。地方自治発展のためには今後とも粉骨砕身、努力をするつもりでおります。
○石山委員 私は構想の一端としては最初から否定はしておりません。構想は否定していないのだが、その構想の仕方が、非常にスケールが小さいということなんです。これは冒頭に申し上げたように、一部課の増設じゃない。一局の新設じゃない。ですからこれは自治庁長官が頭を痛くして答弁するよりも、自治庁から自治省に昇格さすということは、岸内閣全般のいわゆる考え方だと思うのです。
    [田万委員長代理退席、委員長着席〕
ですからこれは内閣の責任です。もちろん一つの部課であってもそうだと思うのですが、しかし特にこの場合はそうだと思うのです。それにしては何とまあおとなしく低姿勢でおずおずと提案しているのだろうというところに、私は疑問があるのです。なぜ大手を振って、国家の政治から見た場合の地方のあり方、地方自治を指導し地方経済を繁栄させるためにはこれこれがぜひ必要だ、特に国家財政と均衡を同じうするような財政を持っている自治庁であれば、私はおずおずでなく大上段に振りかぶって、総合したものをここに出すべきだと思うのです。それを何ですか、小刻みに――これは与党の中でもおそらく賛成しないから、こういう提案の仕方をしているのではないかと私は思うのです。あたりを見過ぎている。まわりを見過ぎている。そういう時期、そういう態勢の中で消防庁をくっつけて自治省にしても、何も妙味が生まれないのではないか。長官は妙味があるというふうにおっしゃっているのだが、どうも妙味がないのですね。機構をいじるからには、やはりちゃんとしたうまみがなければいかぬと思うのです。あなたがお話しなさってもさっぱりそのうまみがない。大体おさらに盛った料理の量が少ないのだ。自治庁というさらは大きい。盛られた中身は何だと思ったら自治庁と消防庁だ。さあ食べてみようとはしをつけたのだが、どうも大臣の御意見を聞いていると、その中には栄養価のあるようなものもちょっとあるけれども、うまみの点、いわゆる機構の調整、機構の集約大成、こういうようなものからすると何らうまみが出てこない。栄養は少しくらいはあるかもしれないが、食物としての大切な食味に欠けておる。きょうはだんだん時間がなくなってきたから、個々のうまみについての条文のところまでは入りませんけれども、うまみをもう少し出してもらわなければ、何ぼ食え食えといったってそんなに食えやしません。やはりもう少しうまみのある回答を用意していただかなければ、時期尚早なのではないか、こういう判定を下さざるを得ないのではないかと思うのです。
 それから条文の中身は手続上の問題が多いようです。総理大臣からこういうふうに事務が自治省に移管される。それで私が言ったうまみの点についてですが、この条文でうまみがあるというのは一体どこですか。ほとんど手続に尽きているようですが、そういう点もお聞きしたいのです。
○石原国務大臣 先ほどからいろいろお話があったのでありまするが、ちょうどさらを例にとって言われたのでありますが、私どももとにかくさらをこしらえておかないと、料理が盛れないわけなんです。今回盛ってある料理がうまみがないないとおっしゃいますけれども、地方自治という仕事は、これはがさは少ないのですけれども、栄養というか中身は非常なもので、食ってみてもらわなければわからないと思います。そういう意味で、石山委員のはむしろ自治省をもっとりっぱないいものにせよという意味で、鞭撻の御意見と聞いて非常にありがたく思っておるのでありますが、先ほど来申し上げましたように、何年たっても官庁の機構というものはなかなかそう一ぺんにいかないので、やはりさらだけはここでこしらえておかなければ受け入れられない。ちょうどいい例でありましたのでそれで申しますと、さらをこしらえておくということであります。
 それから条文の中は手続が多いのではないかということでございますが、これは設置法でありますからやはり自然そういう条文になるのでありますが、うまみは、内閣総理大臣の権限であったものが自治省に移って、そうしていわゆる地方自治を担当する責任行政大臣がここでできるのだ、こういうところに一番おいしいところ、うまみがある、かように考えます。
○石山委員 そうするとうまみの一つとして、総理大臣が持っていた権限を直接的に自治長官に付与される。これは確かに物事を敏速にやるためにはいい方法の一つかもしれません。しかしさらをお作りになると言われるが、そのさらが今のあれから見ると土器ですね。磁器までいかぬ。だから安保問題でゆれているような与党の中を見ると、さらはいつこわれるかわからぬ。しかもその盛る内容がはっきりしないということになれば、さら自体の大きささえもわれわれの頭の中では考えられないわけです。先ほどの長官の話では治山治水くらいというようなことをほのめかしておりますけれども、これがはたして省議で納得されてあなたが御答弁されておるのか、はなはだ疑問なんです。特に逃げを打っておられるいわゆる治安の問題等に関しては、私は不可解千万だと思う。地方自治行政をお握りになろうとする方が、経済と治安を切り離す、行政と治安を切り離す。経済、行政、治安というものは三位一体なんです。広く言ったら行政の中に治安が入るということを言っておる方もあるかもしれません。こういうことをしり込みなさる場合には、うまみも中身もわれわれとしては理解しにくい。さらだけまず一つ作るというのでは、これはもったいないということになると思うのです。これは手前みそを申し上げてはなはだ恐縮ですが、社会党みたいに社会主義でいわゆる計画経済でやるというならば、さらは今年度、来年度はこういう中身、三年たてば治安もここに入れるというふうなことをやり得ると私は思うのだが、やれ自由主義とかなんとかいうことで、その日の風の吹き次第という皆さんにかかっては、さらの中のほこりだけが一ぱいになって、どうにもしようがないというようなことになりかねないと思うのです。ですから長官の言われているさらだけという、そのさらだけでもどうも私はもったいような気がする。特に土で作られる土器では、はにわじゃあるまいし、近代経済、政治を論じているわれわれが、その盛るさらだけ作って満足するわけにもいかぬわけなんで、そういうところにも提案の内容としては私は少しく欠けているものがあるのじゃないか。
 それから、これは私は最初にもお尋ねしたのですが、いわゆる自治法によって云々というふうなことを長官が先ほど答弁されておったのですが、皆さんのお考えになっている点は、昔の内務省のような格好で、司法、行政の権限、自主性というふうなものは決して金縛りをしないのだ、指導といっても一定のワクにはめるというふうなことはしないのだ、もう一つ県警の公安委員も官選でなく民選に切りかえるような方向に指導していくのだ、こういうふうな点をお考えになっているわけですか。
○石原国務大臣 やはり最初質疑応答を重ねた問題でございますけれども、指導という意味は自治の尊重の範囲内においていろいろやっていくのであるということは申すまでもないと思います。それから治安々々とおっしゃいますけれども、現在の警察はいわゆる司法警察でございまして、これは地方自治を担当するものとはちょっと一緒には考えられない問題で、全然別の方向のものではないかと思います。公安委員の任命方式をどうするというようなことは、私現在のところ全然考えておりません。現在の組織では今のものが一番いい方法ではないか、かように考えます。
○石山委員 あなたは司法警察と言っておられるけれども、地方自治を論ずる場合に大へん大事なことだから、自治庁長官というよりも公安委員長という身分のもとで、いっか一日時間をさいていだだいて、一つお聞かせ願いたい点が多々あるのであります。きょうはそれはやめておきますけれども、たとえば自治庁が自治省になった場合の個々の実際の権限の問題について変化が起きるかどうか。今年は中学生がうんとふえているのですが、そういうふうな場合に、いわゆる地方の自治の実際に即した考え方で、たとえば文部省との見解の相違等が起きる。それが自治庁が自治省になったことによって、自治省の見解が優先するというふうなことがあり得るかどうか。そういう調整の問題も一つこの場合お聞かせを願いたい。
○石原国務大臣 文部省と自治省で、自治省が優先するとか、そういうことは庁が省になったからといって別にどうということはないと思うのですが、先ほども申し上げましたように、ひとり文部省に限らず、厚生省、建設省、いろいろ地方に関連して制度等を考えまする際に、調整をはからねばならぬ問題がございます。そういう場合にはやはり庁よりは省の方が調整力がある程度強くなるのではないか、調整がしやすくなるのではないかということは考えられると思います。それから今例にあげられました中学生がふえてきてどうだという場合に、こういうことで自治庁と文部省との意見が衝突することはほとんどない。協力してやらなければならぬと思いますけれども、大蔵省と当たって、いかに国の予算を取り、地方の財政計画とマッチせしめるようにするかということが、自治庁の大きな仕事である、かように考えます。
○福田委員長 この際暫時休憩いたします。
    午後零時二十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時四十二分開議
○福田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 建設省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては昨日質疑を終了いたしております。
    ―――――――――――――
○福田委員長 本案に対し、高橋禎一君外二十七名より修正案が提出されておりますので、この際本修正案について提出者よりその趣旨の説明を求めます。高橋禎一君。
    ―――――――――――――
   建設省設置法の一部を改正する
   法律案に対する修正案
  建設省設置法の一部を改正する法
 律案の一部を次のように修正する。
  附則第一項中「昭和三十五年四月
 一日」を「公布の日」に改める。
    ―――――――――――――
○高橋(禎)委員 自民党、社会党、民社党三党共同提案になる建設省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨の説明を申し上げたいと思います。
 修正案の案文はお手元に印刷して配付してある通りでございます。すなわち建設省設置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正しようとするのであります。附則第一項中「昭和三十五年四月一日」を「公布の日」に改めるのであります。原案は四月一日から施行することになっておりますが、すでにその日も過ぎましたので、これを公布の日から施行することに改めることを適当と認め、修正案を提出した次第であります。何とぞ御賛同をお願いいたします。
○福田委員長 本修正案について御質疑はありませんか。
    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
    ―――――――――――――
○福田委員長 御質疑もないようでありますので、これより本案及び修正案を一括して討論に入ります。
 別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず高橋禎一君外二十七名提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○福田委員長 起立総員。よって高橋禎一君外二十七名提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○福田委員長 起立総員。よって修正部分を除く原案は可決されました。これにて建設省設置法の一部を改正する法律案は修正議決いたしました。
    ―――――――――――――
○福田委員長 本案に関し高橋禎一君外二十七名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、本動議についてその趣旨の説明を求めます。高橋禎一君。
○高橋(禎)委員 自民党、社会党、民社党三党の共同提案にかかる建設省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議の趣旨を説明いたします。
 まず附帯決議の案文を読み上げます。
 政府及び公共用地取得制度調査会が、土地収用法の検討にあたってはいやしくも、収用地その他の補償額決定以前に、起業者に対し、被収用者の意思に反して、その使用権を認めるがごとき公権力の強化に依り私有財産権を侵害することのないよう特に考慮せられんことを強く要望する。
 右決議する。
というのであります。
 その趣旨は、この案文を見ればおのずから明らかになるところでございますが、ごく簡単に補足いたしますと、憲法は、私有財産は正当の補償のもとにこれを公共のために用いることができると規定いたしておりまして、公共利益増進のためには、土地その他について使用、収益を許す、こういう立場をとっておりますけれども、一面財産権はこれを侵してはならないという大原則を明らかにしておるのであります。建設省設置法の一部を改正する本案につきまして、その内容の中に公共用地取得制度調査会を新しく設けられる内容を含んでおるのでありますが、この調査会は建設大臣の諮問に応じて公共用地取得制度に関する重要事項を調査、審議し、または当該事項について関係行政機関に建議すること等の職分を持つことに相なっておるのでありまして、当然土地収用法の検討等がなされるわけでございます。従いまして政府及び公共用地取得制度調査会が土地収用法の検討をなすような場合におきましては、この憲法の精神であります個人の財産権を侵してはならないという面と、しかし私有財産は正当の補償のもとにこれを公共のために用いることができるというこの面と、その間の適正なる両者の調整をはかることが肝要であると思うのであります。ところが収用地その他の補償価格を決定する前に、起業者がその被収用者の意思に反して、その目的物の使用権を認める、先に使用していてしかる後に補償額を決定するというような事態を認めますと、収用地その他、すなわち目的物のもとの権利者というものの保護、その人の持つ権利というものが不当に侵害されがちな点を非常に懸念されるのでありまして、この両者の調整ということに強く意を用いなければならない。特にこの案文にありますような、収用地その他の補償額決定以前に、起業者に対して被収用者の意思に反して、その使用権を認めるというようなことについて、公権力の強化によって私有財産権が侵害されるようなことがあってはならない。むしろ原則よりも例外という点に重点を置いていくようなことはあってはならぬということを考えますので、特にこれらの点について政府及び公共用地取得制度調査会等に要望をするわけでございます。
 これがこの附帯決議を出します趣旨のおもなる点でございます。以上でございますから、御賛成を願います。
○福田委員長 本動議について採決いたします。本動議を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福田委員長 御異議なしと認めます。よって、本動議は可決されました。
 なお、本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次会は来たる十九日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十一分散会