第034回国会 日米安全保障条約等特別委員会 第20号
昭和三十五年四月十九日(火曜日)
    午前十時三十三分開議
 出席委員
   委員長 小澤佐重喜君
   理事 井出一太郎君 理事 岩本 信行君
   理事 大久保武雄君 理事 櫻内 義雄君
   理事 椎熊 三郎君 理事 西村 力弥君
   理事 松本 七郎君 理事 竹谷源太郎君
      安倍晋太郎君    愛知 揆一君
      秋田 大助君    天野 光晴君
      池田正之輔君    石坂  繁君
      鍛冶 良作君    加藤 精三君
      鴨田 宗一君    賀屋 興宣君
      小林かなえ君    田中 榮一君
      田中 正巳君    床次 徳二君
      服部 安司君    福家 俊一君
      古井 喜實君    保科善四郎君
      毛利 松平君    山下 春江君
      飛鳥田一雄君    石橋 政嗣君
      井手 以誠君    岡田 春夫君
      黒田 寿男君    滝井 義高君
      戸叶 里子君    中井徳次郎君
      穗積 七郎君    森島 守人君
      横路 節雄君    受田 新吉君
      大貫 大八君    堤 ツルヨ君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  岸  信介君
        外 務 大 臣 藤山愛一郎君
        国 務 大 臣 赤城 宗徳君
 出席政府委員
        内閣官房副長官 松本 俊一君
        法制局長官   林  修三君
        防衛政務次官  小幡 治和君
        防衛庁参事官
        (防衛局長)  加藤 陽三君
        防衛庁参事官
        (経理局長)  山下 武利君
        調達庁長官   丸山  佶君
        外務政務次官  小林 絹治君
        外務事務官
        (大臣官房審議
        官)      下田 武三君
        外務事務官
        (アメリカ局
        長)      森  治樹君
        外務事務官
        (条約局長)  高橋 通敏君
 委員外の出席者
        専  門  員 佐藤 敏人君
    ―――――――――――――
四月十九日
 委員田中稔男君及び成田知巳君辞任につき、そ
 の補欠として滝井義高君及び井手以誠君が議長
 の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び
 安全保障条約の締結について承認を求めるの件
 (条約第一号)
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び
 安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び
 に日本国における合衆国軍隊の地位に関する協
 定の締結について承認を求めるの件(条約第二
 号)
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び
 安全保障条約等の締結に伴う関係法令の整理に
 関する法律案(内閣提出第六五号)
     ――――◇―――――
○小澤委員長 これより会議を開きます。
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の締結について承認を求めるの件、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の締結について承認を求めるの件、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約等の締結に伴う関係法令の整理に関する法律案、右各件を一括して議題といたし、前会に引き続き質疑を続行いたしますが、発言通告者がまだ見えておりませんから、この際、暫時休憩いたしまして、十二時より開会いたします。
    午前十時三十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時二十四分開議
○小澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。飛鳥田一雄君。
○飛鳥田委員 先般、私は、事前協議の秘密性、さらには、時代錯誤と申しますか、そういったものについて質疑をいたして参りました。続いて、核装備に関する事前協議について伺いかけたところで終わりました。最後に藤山外相は、事前協議の対象となるべき核装備は、核弾頭、長中距離のミサイル、そしてミサイル基地の建設、こういうふうに御説明になりましたし、さらに加藤局長は、これに付加をいたしまして、核兵器を専用に運ぶ道具もございましょう、こうお答えになりました。そこで、この核兵器を専用に運ぶ道具、すなわち、専用という言葉について、もう少し詳しくお話をいただきたいと思います。
○加藤(陽)政府委員 核兵器のことでございますが、一番典型的なものは爆弾であろうと思います。核爆弾ということになりますると、これは飛行機で運ぶ、飛行機は、核爆弾のみならず、普通爆弾も運べるわけでございます。ミサイルの方になりますと、誘導体、誘導飛翔体でございますか、誘導飛翔体の方になりますと、これはいろいろな弾頭がつけられるわけでございます。ただしかし、先般外務大臣がおっしゃいましたように、ICBMとかIRBMというふうなものになりますと、その経済性を考え、また、その精度を考えますと、私どもは、核弾頭をつけないで、普通の弾頭をICBMや一RBM、こういうものにつけるということは考えられない、まあ、アトラスとかタイタンとかTの2とかTの3とか、いろいろございますが、こういうふうなものは、運搬道具と一体となって、弾頭には核をつけるものだ、核兵器、核弾頭を運搬すること以外には常識上考えられないものだ、こういうものは弾頭と運搬するものと一諸にいたしまして、核兵器というふうに見ることが適当であろう、こういう趣旨を申し上げたわけでございます。
○飛鳥田委員 今のように、事前協議において核兵器を持ち込ませないと総理が言われる場合のいわゆる核運搬用具、こういうものについて、専用であるか専用でないかというそのもの自体から論ずるやり方は、核兵器を持ち込ませないという前提に矛盾をするのではないだろうか、むしろ、かりに核弾頭もつけられるし、一般爆弾もつけられるという併用のものであったとしても、それを使う使用者の意図、こういう点から考えていかなければ、事前協議の目的を達することは不可能ではないだろうか、こう私は思われるわけです。藤山さんは、長中距離とおっしゃったのですが、現に、沖縄に配置をせられておりますナイキ・ハーキュリーズは中距離ではございません。短距離です。しかし、これにも明らかに核弾頭がつけられ、このつけられたものを現に装備しておる、こういう実情であります。これは沖縄の話でありますが、使用する使用者の意図というものを考えずに、問題を形式的にきめていきますと、ナイキ・ハーキュリーズが日本に入ってくるということをも否定できないじゃないですか。そうして、それは当然核弾頭がつく、こういうことになるのであります。専用という形式的な問題で規定をせずに、持ち込む人の意図、そしてその可能性という問題、この可能性に重点を置いて事前協議の対象を定めていかないと、大へんなことになるのではないだろうか、こう私は思うのですが、総理大臣、いかがでしょうか。
○藤山国務大臣 核弾頭は、いかなる場合でも、たといどんな短い期間の場合でありましても、むろん、事前協議の対象になるわけであります。長中距離のミサイル、これも短い期間でも事前協議の対象になります。われわれはそれで十分だと思っております。
○飛鳥田委員 先日藤山さんは、核弾頭の持ち込み、運搬用具としての中長距離ミサイルの持ち込み、ミサイル基地の建設、こういうふうに非常に整理してお答えになったと思うのですが、今度は短距離のものも入るとおつけ加えになるのですか。
○藤山国務大臣 先ほど申し上げましたように、先般も申し上げたのと同じでございまして、核弾頭はいかなる種類のものでも、これはむろん事前協議の対象になります。それから、運搬用具としての中長距離ミサイル、これも、いかなる短期間であろうと、事前協議の対象になるわけでございます。そのほかに、ミサイル基地の構築と申しますか、それが事前協議の対象になるわけでございます。先般申し上げたと全く同じでございます。
○飛鳥田委員 なお、念を押しますが、そうすると、核運搬能力を持っている飛行機というものは、全然その対象にならぬのですか。
○藤山国務大臣 飛行機は対象になりません。
○飛鳥田委員 そういたしますと、アメリカが今持っている核戦略の主要なる部分というものは、完全に対象外になってしまうのじゃないだろうか。現に、昨年の四月二十三日から二カ月間行なわれた米上院外交委員会、これの秘密公聴会の中で、六月二十日であったと思いますが、フェルト太平洋統合司令官は証に台に立たれまして、一、在日第五空軍とフィリピン駐在の第三空軍は、それぞれ核兵器運搬能力を持っている、こういうふうに証言をなさったのであります。さらに、二、全面戦争が起こった場合、太平洋軍は重要な役割を果たすことができる、すなわち、全面戦争が起こった場合には、この第五空軍と第三空軍は重要な役割を果たすことができる、すなわち、核運搬能力を最大限度に発揮する力を持つ、こういう証言をなすっておるわけです。そうして、現に、この日本には第五空軍が駐在している、こういうことになります。すると、核兵器を持ち込ませないとおっしゃって、空軍を事前協議の対象から除外してしまいますと、現実にはじわじわ能力ができ、そして、もうあとはたまをひょっと運んでくればいいだけの状態ができ上がってしまう、そこまであなた方は黙っていらっしゃるのですか。私は、核兵器攻撃を行なう手段として第五空軍が日本に存在している以上、これについても当然あなた方は事前協議の対象となさるべき責任があるのじゃないだろうか、もし、そうでないとおっしゃるのならば、核装備に関する事前協議というものは、ほとんど無内容な、ナンセンスなものになってしまうおそれがある、こう考えないわけにいかないわけです。フェルト太平洋、統合司令官が、第五空軍は核運搬能力を備えている、こういうことをはっきり証言せられておりましても、なおかつ、今のような御答弁をなさるわけですか。
○藤山国務大臣 運搬能力がありましても、核装備をしないということでありますれば、ミサイルとして普通の――普通のと申しますとあれですが、普通のミサイル、核弾頭をつけないミサイル、従いまして、そういうものは事前協議の対象にする必要はないと思います。核弾頭を持ち込みますときには、当然事前協議の対象になるわけでございます。
○飛鳥田委員 事実をよくお調べの上で一つお答えをいただくことが望ましい、こう私は思います。私は、何もミサイルの話を今はいたしておりませんでした。第五空軍の核運搬能力ということを申し上げておったつもりです。今外相のお答えのようなことでありますと、全然アメリカのSAC、すなわち、戦略空軍の活動というものは事前協議の対象にならないことにならざるを得ない。なるほど運搬能力はある、しかし、たまがこの日本内地にないじゃないか、内地へ持ち込むときには相談をする、こうおっしゃるのですが、そういうことは、現代の戦争の実態を御存じないから言えるのではないか、アジアで核弾頭の貯蔵してあるところはどことどこか御存じでしょうか。
○藤山国務大臣 存じておりません。
○飛鳥田委員 よく一つ日本の新聞をお読みいただたきたいと思います。今から約三年半、四年くらい前かと思いますが、アメリカの国防省の正式発表が新聞に載っておりました。それによりますと、グアム島には原爆の貯蔵庫が完成をした、こう書いてあります。グアム島はアメリカ領です。しかし、このグアム島から日本に向かって輸送をいたします場合に、わずか一時間二十分くらいで到着をするのです。一時間二十分で到着をするところに核弾頭は置いてあり、そうして、現にこの日本に駐屯をしている米空軍は核運搬能力を持っている、こういうことでありますならば、あなたのおっしゃる移動、補給、こういうものに当然なってしまうでしょうし、また、前にたしか参議院でお答えになったと思いますが、核兵器を積んで日本にちょっと寄航をするだけならば、これは事前協議の対象にならぬとおっしゃった。グアム島から一時間二十分、これはおそい飛行機です。マッハ2クラスの飛行機で飛べばもっと早いでしょう。一時間二十分にしてちょっと来、積みかえて飛び上がる、こういう形にすれば、ほとんど核装備の事前協議は不可能になってしまう。こういう事実の上に立ってお考えをいただきたい、こう考えるわけです。現にこの日本では、アメリカ空軍自身がその練習をしているじゃありませんか。こういう点についてどうお考えでしょうか。
○藤山国務大臣 近いとか遠いとかいうことが問題でなくて、核弾頭を持ち込むということが問題なのであります。従いまして、持ち込む場合には必ず事前協議をいたすわけでございます。先ほども申し上げましたように、核弾頭を持って参ります場合には、どんな短い期間でも事前協議の対象になるわけでございます。
○飛鳥田委員 水戸の那珂湊の訓練場にぜひ行ってごらんになることをお勧めいたします。ここでアメリカ空軍がやっております練習は、いわゆるトス・ボミングというやり方であります。トス・ボミングという訓練は原爆投下にだけ使う訓練であります。やり方であります。原爆以外の爆弾を落とす場合にはトス・ボミングの必要はございません。日本内地において空軍は核運搬能力を現に持ち、そうして、それを投下する練習を現実に行なっている。こういう事実をそのままにして置いて、ただ持ってくるときには相談をしてくれるだろう、こういうことでは、どうにもならないのではないだろうか。この東京の空においても、そういう飛行雲が現われていることがしばしばあります。このトス・ボミングの本質についてお調べになったことがおありでしょうか。
○赤城国務大臣 空対地の攻撃の演習をしているということは承知しております。
○飛鳥田委員 空対地というのは、原爆投下の練習なのです。これは赤城さんもどうぞ都下の方にお聞き願います。そこで、私たちとしては、核運搬能力を現に持っておるとうフェルト将軍が言い、そうして、この日本の地上でも現実に核爆弾を投下する練習をしている、こういう事実の上に立っての、しかも、原爆の貯蔵庫であるグアム島からは、わずか一時間ないし一時間二十分にして日本に運搬し得る可能性があるというこの事実に立って、事前協議というものをもっとその前に置かなければいけないのじゃないか。たまが持ち込まれてくるというその瞬間ではなしに、そういう準備段階において、そんな準備をなすっても、私の方では、いざというときには承知できませんぞという、その前に重心を移さない限り、核装備に関する事前協議というものは、ほとんどナンセンスに近くなってしまう、こう考えるのであります。一体、事前協議の段階を、たまが、もうすっかり準備万端整って、ひょっと持ち込まれてくる、その寸前にお置きになるつもりですか、それとも、日本全体の米軍が核戦略を遂行する能力をどしどし進め、そして現実にその兆候が現われている今の段階にお置きになるつもりか、この点については、今後もまだ話し合いの場はたくさんあるはずです。今までは安保委員会というもので話し合ってこられたはずです。今後は条約第四条に「随時協議」という場があります。こういう場でこの問題を持ち出してお話しになるお心持ちがあるかどうか、これは総理大臣に伺いたいと思います。
○岸国務大臣 事前協議としては、先ほど来外務大臣がお答えをしておりますように、明確に日本に核兵器を持ってくる、そのなには、核弾頭やミサイル等を含んでおることは先ほど来申し上げておる通りであります。それを持ち込むことが、事前協議の対象になるわけであります。一般の戦略の問題、一般の装備の問題等について、現在においていろいろと協議をする、その協議の対象になることは当然でございますが、事前協議としては、先ほど来お答え申しておるような事態に対して事前に協議する、こういう意味でございます。
○飛鳥田委員 そういう狭い態度でおやりになりますと、いざというときには、もう全部準備ができておりますから、従って、拒絶するもへったくれもありません。
 そこで、私が続いてお伺いをしたいと思いますのは、そういう危険な状況、準備万端整いつつある状況の中で、米軍がこの日本国内に核兵器を持ってきているかいなかについての日本政府の調査権というものはどうなるのでしょう。もちろん、信頼と協力の関係に立っているとお答えになるのでしょうが、しかし、信頼と協力の関係に立つは立っても、少なくとも、制度的に、そういう事実は、そういう権利は明確にしておかなければならぬはずです。制度をきちっとしておいて、その上で信頼と協力の関係にお立ちになるというのならば、まだわかりますが、この日本国内に米軍が核兵器を持ってきているかいなかについての日本政府の調査権、こういうものはどういう形になるのでしょうか。
○藤山国務大臣 事前協議として明確になっておりますその根底の上にむろんあることは当然でございまして、しかも、両国信頼の上で、条約に違反しないように正当に運営していくことでございますから、当然われわれは目的を達することができる、こう考えております。
○飛鳥田委員 こうした現実にある私たちの疑問、こういう疑問に対して、依然として原則的なことを繰り返してお答えになります。
 そこで私は、三十三年の四月十八日、アーウイン米国務次官補代理が述べられた言葉をそのまま政府に差し上げたいと思います。軍事基地と核兵器に対して日本人が神経質過ぎるのは軍事上の大関心事だ、日本に対して核兵器基地の設置に対する態度を変更させるよう圧力をかけるべきだ、と述べておられるのであります。現に国務次官補代理が――これは責任のある地位でしょう、この方が、こういうことを公然と述べておられる。この事実を一つよく頭に銘記していただきたいと思います。いかがでしょうか。
○藤山国務大臣 アメリカの某々々という人が、いろいろな説を吐くことは、これはあり得ることと思います。しかしわれわれは、条約ではっきり事前協議の規定をいたしておりますので、必要はないと思います。
○小澤委員長 この際、石橋政嗣君から関連質疑の申し出がありますから、これを許します。石橋政嗣君。
○石橋(政)委員 非常に大切な問題でございますので、ちょっと関連さしていただきたいと思います。
 核兵器の持ち込みは断固拒否するのだということを岸内閣は一貫して言っておるのでございますが、はたしてこれが守られるものかどうか。協議というからには、拒否の場合もあるが、受け入れの場合もあるわけです。肯定する場合もあるわけです。全然受け入れることがないならば、協議する必要はないわけです。ここに非常に問題があるわけです。拒否する拒否するというのは、今、飛鳥田委員もちょっと指摘しておりましたけれども、現時点においては拒否する、しかし、ある時期においては受け入れに切り変わることもあり得るということではないのか、こういう心配を非常にみんな持っているわけです。そこで、私は、ちょっとお尋ねしたいのでございますが、実際に日本が核攻撃を受けた場合に、日本の政府は、この安保条約の趣旨に基づいて、アメリカによる核報復を願うのだ、こういうことをおっしゃっておられます。この点、外務大臣確認なさいますね、日本政府の態度として。核攻撃を日本が受けるならば、アメリカによる核報復をお願いする、こういうことですか。
○藤山国務大臣 岸内閣として、総理は、はっきり核装備をしない、また核持ち込みを許さないということを言っておられるのでありまして、当然われわれはその線に沿って対処していくわけでございます。核兵器によりまして日本が攻撃されたというようなことを御想定になりますが、おそらく、そうした場合は世界戦争というような大きな問題だろうと思いますが、不意に、平和な防衛的な日本の立場に対して、核兵器をもって撃ち込んでくるというような国があろうとは、われわれ考えておりません。
○石橋(政)委員 そういう国があろうとは思いませんとおっしゃるが、あなたたちが一番頼みにしておるアメリカにおいて、現に限定原子戦争というものも考えておるじゃありませんか。核兵器というものを使う場合は、必ずしも全面戦争の場合だけではない、局地的にも、あるいは戦術核兵器を使うという面においても、制限された核兵器というものは十分にある。これはアメリカにおける重要な国防論争の一つです。それぐらいのことを外務大臣が知らないはずはない。また、問題をそらさないでお答え願いたいのです。かりに日本が核攻撃を受けた場合には……。
    〔発言する者多し〕
○小澤委員長 静粛に願います。
○石橋(政)委員 日本も核兵器による報復をやるのだ、しかし、それはアメリカにお願いするのだ、こう言っておる。この岸内閣の言明を、外務大臣まず御確認になりますかと私は聞いている。
○藤山国務大臣 今申し上げたようないわゆる一つの想定、日本が核兵器によりまして攻撃を受けるというようなことは、われわれとして現在の時点において考えられません。しかし、今石橋委員が言われますように、何かそういうものが起こってくるというようなことは、われわれとしては、やはり世界的な大きな戦乱がなければ、かりにどこの国でも、そういうものによって日本を攻撃しようとは、われわれ考えておりません。そういう国があろうとも考えておらぬのであります。そういう場合にアメリカに頼むとか頼まないとかいうことは、今日まだ言うべきときでもなし、考えてもおらぬのでございます。
○石橋(政)委員 なぜ、言うべきときでもないし、考えてもおらないと逃げられるのですか。かりに、核攻撃が加えられた場合にどういたしますかと、私は聞いている。今までは、その場合にはアメリカにお願いして、アメリカによって核報復をやります、こう答えておるのが、なぜ、あなたは確認できないのですか、否定されるのですか。
○藤山国務大臣 今お話しのような限定的な核攻撃というものがどういう種類のものであるか、それらによって――ほんとうに小銃か何かにひっつけてわずかの人が入ってくる、それをやるのか、そういうような想定は、今することはできないことは当然であります。従って、そういうことに対して、そのときにどう対処するかというようなことを、今想像で申し上げることは、私は適当ではないと思います。
○石橋(政)委員 非常に重要なことをおっしゃっておられる。あなたはそういうことを想定してとやかく言うのは不謹慎だ、こういうお話でございますが、しからば、赤城防衛庁長官は非常に不謹慎な答弁をしたことになる。昭和三十五年四月五日、この特別委員会で赤城さんは何と答えていますか。あなたがお忘れになっているなら、私が読んであげますよ。「核攻撃というようなことがある場合には――私どもは、ないことを期しておるし、また、世界も、そういうことをしてはいけないということで、アメリカ及びソ連などでいろいろ協議をしておるようでありますけれども、しかし、私たちも、ないことを期待しますが、もしそういうことがあるならば、この安全保障条約の趣旨に従って、核の攻撃に対しては、アメリカの核の報復力、こういうものが発動することになると思います。」こう明確に答えておるじゃありませんか。しかも、この安保条約の趣旨によって、と答弁をしておられるのですよ。何も私は仮定の想像をしてあなたに質問しておるわけではない。赤城さんの答えておられることを、あなたにもう一度確認してもらおうとしただけの話です。それを確認できない、そういう想定をすることが不謹慎であるということは、赤城さんが不謹慎な答弁をしたということになります。そういうことになりませんか。
○藤山国務大臣 そういう場合、いろいろございましょう。むろん、従ってアメリカに頼む場合もありましょうし、アメリカの報復力に期待することもありましょう。しかしながら、今そういうことをいろいろ論議すること自体、私は、核兵器をもって日本に攻撃してくるというような事態は、今ここでどこの国からそういうことが起こるか知りませんけれども、あり得るとはわれわれ想定する必要はないのでありまして、そういう意味におきまして私どもは申し上げておるわけでございます。
    〔発言する者多し〕
○小澤委員長 静粛に願います。
○石橋(政)委員 静かになるまでものを言いませんからね、私は……。
    〔「言いたくなければ立っておれ」
  と呼び、その他発言する者多し〕
○小澤委員長 静粛に願います。――静粛に願います。
○石橋(政)委員 いろいろと盛んにヤジっておりますが、大体防衛問題を論ずる場合に、今、戦争をやっておるわけじゃないんだから、想定が出てくるのはあたりまえな話です。どういうふうな事態が発生したらどうするかというのが国防じゃないですか。その程度のこともわからないで安保条約を論議するというのは、どうかしていますよ。今申し上げましたように、専門家の赤城防衛庁長官が、核攻撃が加えられた場合には、安保条約の趣旨に基づいてアメリカの核報復に期待すると、こうおっしゃっておる。この点を藤山外務大臣がどうしてもお認めにならぬというのですか。赤城さんの答弁をあなたはお認めにならぬとおっしゃるのですか、いかがですか。
○藤山国務大臣 別に認めないとか、認めているとかいうことを申し上げておるわけではございません。その場合によっていろいろな方法があると思います。しかしながら、われわれとしては、今申し上げましたように、そうした仮定の質問でいろいろお話がございましても、一々そういう場合にお答えすることは適当でないということを申し上げておるわけでございます。
○石橋(政)委員 閣内不統一になりますよ。閣内の不統一ですよ。それじゃ、赤城長官がおっしゃったところだけ、一番肝心なところをもう一回読みますから、あなたがそれを確認するかしないか、これだけをお答え願います。前提は、核攻撃というようなことがないようにしたい、こういうことなんです。これはわかりますよ。これはだれだって人類ひとしく願っていることなんです。しかし、かりに核攻撃が加えられた場合には、「安全保障条約の趣旨に従って、核の攻撃に対しては、アメリカの核の報復力、こういうものが発動することになると思います。」と、赤城長官がおっしゃっておる。この面をあなたはお認めになりますか。
○藤山国務大臣 私が先ほど申し上げましたように、そういうことは世界大戦になるというような状況下になければ起こらないと思います。世界大戦になるような状況においては、当然赤城長官の言われたようなことも考えられるわけでございます。
○石橋(政)委員 さっさとそうお答えになれば、何も紛糾することはないわけです。赤城防衛庁長官も述べておられる。何もこれは一回だけ述べているのじゃないですよ。その前にも――参考までに申し上げておきますが、赤城防衛庁長官はその前に……。
    〔発言する者多し〕
○小澤委員長 静粛に願います。
○石橋(政)委員 こういう答弁をしておられるのです。「不幸にして核の攻撃を受けるというようなことがありまするならば、この安全保障条約によって、アメリカの報復力というものによってこれを排除するというのが、この安全保障条約の内容だと思います。」何度もおっしゃっているのです。今、その点を藤山外務大臣がお認めになりました。
    〔「ばかなやつだ」と呼び、その他
  発言する者多し〕
○石橋(政)委員 ばかだとは何だ。失敬なことを言うな。
    〔「取り消せ」「ばかとは何だ」「理事
  会を開け」と呼び、その他発言す
  る者、離席する者多し〕
○小澤委員長 ただいまの不規則発盲のうち、不穏当な個所がありましたならば、速記録を調べまして適当な措置を講じます。
    〔「取り消せ」と呼び、その他発言
  する者多し〕
○小澤委員長 委員諸君に御注意申し上げます。かりに不規則の発言でも、不穏当な言辞は今後弄しないように御注意願います。
    〔「退場を命じろ」「理事懇談会を開
  け」と呼び、その他発言する者、
  離席する者多し〕
○小澤委員長 ただいま一般委員に対する御注意を申し上げたと同趣旨の問題を協議しましたが、委員長と同じ趣旨でございますから、今後不規則発言に対しましても十分御注意を願います。
○石橋(政)委員 ただいま、藤山外務大臣もようやく赤城長官の答弁をお認めになりました。こういうことはいやなことだし、極力避けなくちゃならぬということは同じ気持です。しかし、かりに核攻撃を日本が受けるというような場合には、この安保条約の趣旨、そういうものからいって、当然にアメリカの核報復に期待する、こういうことなんです。そうしますと、もしアメリカが、どうしても日本防衛のために核兵器が必要だ……。
    〔発言する者多し〕
○小澤委員長 静粛に願います。
○石橋(政)委員 日本政府自身が核兵器の攻撃を受けた場合に、核による報復をわれわれアメリカ軍に期待している以上、当然われわれとしては、そういった場合に備えて、持ち込んでこなくちゃ間に合わないのだ、こういう理論でこの協議に臨んできたときに、一体どうして藤山外務大臣はお断わりになるつもりですか。
○藤山国務大臣 われわれは、総理がかねて言われております通りでありまして、われわれ今核兵器でもって攻撃されるというようなことを、私は国際情勢を担当しておる外務大臣として、想定することは適当だと思っておりません。防衛庁長官が、防衛の上からいろいろ考えられますことは別でありますけれども、私としてはそういうふうに考えております。
    〔発言する者あり〕
○小澤委員長 傍聴席の諸君も、委員と同じように、先ほどの御注意を願います。
○石橋(政)委員 そういうことがないことを望んでおるのは、もう外務大臣だけじゃないわけです。岸内閣だけじゃないわけです。われわれを含めて、世界の全人類が、そういうことがないことを望んでおることは間違いない。しかし、残念ながら今の情勢は、その願望と別個に、われわれは、やはりそういう実態を想定して論議せざるを得ない。だから、その願望ばかりあまりおっしゃらないで、最悪の事態が起きたという場合をも想定して、一つ議論していただきたいと思う。現実にあなた方は、最悪の場合、核攻撃を日本が受けたら、アメリカによろしくお願いします、あなたの核報復力にわれわれは期待するのです、こう言う以上、アメリカがそれを受けて、あなた方にそう期待される以上、いざというときに期待にこたえなくちゃいかぬ、そのためには、さしあたってやはりこの程度のものは持ち込んでおかなければ間に合わないんだ、こういうふうに訴えられてきたときに、あなたはどうこれを受けて立って、断わるなら断わるおつもりですか、もう少し国民がわかるように、親切に答弁していただきたい。
○藤山国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、そういうような事態は世界大戦になる道でございます。そういうようなことが、簡単に起ころうともわれわれ考えませんし、また、起こるようなことを想定いたしますことも、日本の立場として、平和に外交を推定していく上においては、適当ではないと私は考えております。
○石橋(政)委員 私は、委員長にも注意していただきたいと思う。顧みて他を言うというが、全く私の質問に答えておらないじゃありませんか。アメリカからこういうふうに言われたら、どう答えるかと私は聞いている。あなた方は、アメリカの核報復力に期待すると、この国会で国民に向かってはっきりと答えているのですよ。アメリカはさっそくそれを受けて、もし事前協議というものが行なわれた場合に、引用してくるおそれは万々あるじゃありませんか。君たちは断わるというけれども、実際に核攻撃を受けた場合には、アメリカの核報復力に期待すると国民に言っているじゃないか、われわれは期待される以上、そういう最悪の場合を想定して万般の準備をしなくちゃならぬのだ、準備をするためには、攻撃をされてから持ち込んできたのでは間に合わない、この程度のものは一つ置かしてくれ、こういうふうにじゅんじゅんと説かれたら、あなたはどうお答えになって、どう受けて立ってお断わりになるのですか、こう聞いているわけです。
○藤山国務大臣 今お話しのような例、たとえば、そういうことは期待される――今現実に起こった問題でないのでありますが、期待される、核兵器の攻撃を受けるような事態が起こりそうだというときに、向こうからというお話でありますが、そういうときには、私どもといたしましては、当然そういうことでお互いに核装備をし合うというようなことは、世界の平和に適当でないということをはっきり申します。
○石橋(政)委員 あなたは、核兵器が使われたら世界戦争になるんだ、そういうことはないんだと独断的なことをおっしゃっていますが、何度も言っているように、アメリカ自身が限定原子戦争というものを言っているのです。局地的にも使うことはあるのだ、使えるんだというようなことを盛んに言っている、そういう国なんです。だから、私が質問していることが、全然架空のものだというような考え方は独断ですよ。それでは、日本政府が期待する以上、それに対応してその期待にこたえるために、今から置いておかないかぬとアメリカが言っても、なおかつ断わる、こうおっしゃるわけですね。
○藤山国務大臣 期待するということは、何も日本の中に持ち込むということだけではございません。でありますから、日本の中にそういうものを持ち込むことは、かりにどこかの国でそういう持ち込むような情勢があったとしても、日本の中に持ち込んで危険な状態に陥ることは、われわれ適当だとは思いません。従って、断わる理由ははっきりございます。
○石橋(政)委員 どうやらわかってきました。問題は、日本に置いておくことが困る、いざというときに使われることはかまわぬのだ、こういうことなのですね、結論的に。置いておいてもらっちゃ困るが、いざというときにアメリカが使う――できればよその国から出ていってもらいたい、沖縄あたりから出ていってもらいたい、日本の国内から核報復をやることはお断わりしたい、こういうことなのですか。
○藤山国務大臣 今回の条約の締結は、御承知のように、われわれとしては、国連憲章によりまして、防衛的な立場ということで条約を結んでおるわけでございます。その防衛的な立場に立って条約を結んでおる国に対しまして、何か侵略的な、しかも、過激な核爆発物をもって攻撃してくるというような状況を、われわれ、今日想像できないのであります。かりにそういうことが何かありました場合は、防衛庁長官の言うように、世界大戦になる。先ほどから私も申した通りでありまして、そういうようなときに、お互いに何か日本の国以外でもって――日本国が巻き込まれないようにしておけば、その以外でどこがどういうようにそれを使いますかは、それは別個であります。(「もういいだろう」と呼ぶ者あり)
○石橋(政)委員 関連ですから、なるべく縮めたいのですが、本人の了承も得ておりますので、もう少しお許し願いたいと思います。
 今までの答弁ではどうも納得いきません。納得いかないというのは、私だけが納得いかないのじゃない。これは全国民が、私は納得いかないと思う。そういう事態があることは困る。できるだけ避けなくちゃいかぬ。しかし、かりにどこかから核攻撃を受けた場合に、日本としてはアメリカの核報復力に期待するのだ、そう言っておりながら、なおかつ、アメリカが、そういうような期待をされる以上、われわれとしても準備をしたいと言っても、断わると言ったって、そこのところが一貫しないことくらい、だれにもわかります。一体何のために、そういうつじつまの合わぬことを言って、一時のがれのごまかしをやられるのか。現に、憲法上の問題として論議いたしましても、核兵器を持つこと必ずしも憲法違反じゃないと、岸総理は答弁しておられる。防御的な核兵器というものはあり得るとおっしゃっておる。持てないのは攻撃的な核兵器だ。こういうものは持てない。これは核兵器だけに限らないわけでありますが、攻撃的なものは持てない、こう言っておる。しかし、この問題についても、私はごまかしがあると思う。どういう点でごまかしがあるかというと、これも私と総理との質疑の中で明らかになった問題でございますが、攻撃的な兵器は憲法上持てない、しかし、敵から攻撃を受けて、その基地をたたく以外に完全に防衛ができないという場合には、敵基地をたたくことも可能だ、こういうことを言っておる。攻撃的な兵器を持たなければできないような、そういう手段を肯定しながら、攻撃的な兵器を持つことは許されぬという、そこのところのつじつまが合わないじゃないかと私が言いましたら、これについていろいろ答えておりましたけれども、ここに幸いながら文章になったものがある。これは林法制局長官の書いたものですが、「時の法令」第三百二十号に、「第三一回国会での防衛論議を顧みる」、こういう題目で、私と総理とやりとりしたその内容を、いろいろの角度から書いておられますが、私はこれを読んで、非常に疑問を持ちました。どういう疑問を持ったかというと、敵の基地をやっつけることはできる、しかし、やっつける手段を持つことは憲法違反だということが、矛盾するじゃないか、こういう質問だが、矛盾しないと林長官は言う。なぜ矛盾しないかと言えば、個人の正当防衛権というものからこれを説明しておられる。参考のためにちょっと朗読いたしますが、「正当防衛としてやったことであれば、たとえ形式的にはその行為が殺人罪や傷害罪にあたっても罰せられないということだね。そして、この正当防衛の場合、その手段として、ピストルを使おうが、刀を使おうが、それは一応問題にならない。また、そのピストルや刀が、相手方のもっていたものであろうと、その場に居合わせた他人のものを借りたものであろうと、自分がかねがねもっていたものであろうと、それも、別に問題にはならない。かように、正当防衛の手段としては、ピストルや刀を使うことも認められるが、それでは、いざという場合に正当防衛の手段として必要だから、平生からピストルや刀を所持、携帯していることが許されるかというと、そうはゆかない。」こういう論理の組み立て方で合理化しておられます。この議論を、今やっている攻撃的な兵器、特に核兵器というものと結びつけて考えてみると、どういうことになるか。日ごろから自衛隊が、核兵器を持っておくことはできない。攻撃的な兵器を持っておくことはできないけれども、いざというときに、アメリカのものをぽっと借りてやることは、憲法違反でない、こういう解釈になると思いますが、いかがですか。
○林(修)政府委員 今お読み上げになりました点は、まさに私の書いたところでございます。しかし、今おっしゃいました点でございますが、自衛権の本質という問題、あるいは正当防衛権の本質という問題と、そういうものを平生から持つことの憲法上の可否、これは別問題であります。そういう趣旨をそこに書いたつもりであります。
○石橋(政)委員 それもはっきりとお答えにならない。私は、具体的に例をあげて、防衛論議に引き直して聞いておるわけですから、端的にお答え願いたい。自衛隊が攻撃的な兵器――あなた方は、攻撃的な兵器として、藤山外務大臣も先ほどの飛鳥田委員の質問に答えておるし、今までもいろいろ答えておる。ICBMとかIRBMとか、あるいは爆撃機とか、こういうものは攻撃的な兵器だから、憲法上持つことは禁止されておる、こう言っておられる。ところが、いざという場合には、よそのものを借りてきて使う分にはかまわぬ、こういう解釈になるわけだ、この点お認めになりますね。アメリカのものを借りてきて、そして、自衛隊自身が使うということすら合憲というような解釈に、この議論でいけばなると思います。この点、いかがですか。
○林(修)政府委員 たしか三十一年の国会であったと思いますが、鳩山内閣総理大臣が、いわゆる自衛権の本質、それからその場合に、日本が憲法上持ち得る戦力というか、実力の範囲についてお答えしておるはずであります。その場合に、いわゆる自衛権の本質として、核弾頭による攻撃を受けて、はたして座して自滅を待つ以外に方法はない、そういう場合には、その核弾頭の基地をたたくことも自衛権の行使として認められる、ただし、それだからといって、平生から敵を攻撃用の武器を持つことは憲法上禁止される、そういうことを、たしか鳩山内閣総理大臣はお答えになっておられます。それと全く同じ趣旨を実はそこに書いたわけでありまして、その自衛権の本質として、相手方をたたく、その場合に、座して死滅を待つ以外に方法がないからたたくということは、自衛権の本質上許される。その場合には、もちろん、日本として持っているものによってやるか、あるいは米軍の力を待つか、あるいはいろいろ、そこの場合において考えなければならぬものだと思います。しかし、平生からそれを持つことは許されない、こういう意味でこれは書いたものでございますし、従来、政府の答えたところもその通りのことだと思います。
○石橋(政)委員 単刀直入に答えて下さい。あなたが今おっしゃった通り、それを私は具体的に、例をあげて聞いているわけです。自衛隊が、そういう攻撃的な武器を持つことは、憲法の容認するところではない。しかし、座して自滅を待つというのが憲法の精神ではないと思うから、敵基地をたたく以外に防衛の方法がないという場合には、これはやってもいいんだ。しかし、武器は持たぬ。やってもいい。どうしてやるのか。そのときには、一つの方法として、アメリカから攻撃的な兵器を借りてやるという手段がある。ほかにもあるのかどうか知りませんが、私の考え得る手段としてはそれ一つ。こういうやり方は、憲法に違反しないですかと聞いているわけです。
○林(修)政府委員 自衛権の本質は、先ほど申しました通り、他からたたかれた場合に、自分がそれで死を待つということではないので、その場合に、あえて自分の死を免れるための手段を講じよう、こういうことが自衛権の本質だ。やり方については、国内においては憲法に違反しない限り、あるいは国際的にも国際法に違反しない限りにおいて、それは自衛権の本質だということでございます。その場合にいかなる手段を使うか、それはそのときの場になってみなければわからないことであります。日本自身が、死を免れる方法として、何があるかということを考えてやるべきことだと思います。(発言する者あり)
○石橋(政)委員 一つも答えようとしないのです、私が聞いていることを。この「第三一回国会での防衛論議を顧みる」というのは、三号にわたって上中下と述べてある。いろいろと今私とやりとりしていること、また、前に私が総理とやりとりをしたことを、あなたは、自分たちの見解が正しいのだという角度から説明しておられる。ところが、これは要約した形が、この個人的な正当防衛権、これに集中しているのですよ、あなたの議論は。これで言えばわかるだろう、こういう書き方をしておられる。具体的な例として、あなたは、個人の正当防衛権というものを引用して、ここから防衛論議を引き直して説得しておられる、この調子が……。だから私は例を引いたわけです。それで私は、それを受けて、またお尋ねしているわけですよ。だから、端的にお答えを願いたいのです。日本の自衛隊が、いわゆる核兵器といわれるものを主力とする攻撃的な兵器を持つことは、憲法の許すところではない、これは意見が一致しております。争うところはありません。いいですね。それからもう一つは、敵から攻撃を受けた日本は、当然に自衛権を発動して防衛の任に当たる。しかし、その敵が、敵の基地をやっつけないことには守れないという場合がたくさんある。たとえば、ミサイルの攻撃、こういう場合は、途中でとめる方法はないのです。鳩山さんは、途中でとめる方法がないでございましょうかねと私に言いましたが、ないのです。どうしても敵の基地をやっつける以外にない。そこで、敵の基地をやっつける以外に防衛の方法がない場合には、やっつけてもよろしい、これも憲法の認めるところだ、こうおっしゃる。しかし、敵の基地をやっつけてもいいが、やっつけるための兵器を持つことは憲法に違反する、こう言う。おかしいじゃないですかと言ったら、あなたは、この正当防衛権を持ち出したわけです。そういう場合に間に合わぬからといって、ピストルを持って歩くことは法律上許されぬ、こういうのですよ。しかし、いざというときには、そこにあったからぱっと使うか、相手のものを取って使うか、あるいは自分がたまたま持っていたものを使うか、とにかくピストルでも何でも使って身を守ることは、正当防衛権として認められているのだ、こう言う。だから私は、アメリカからそういう攻撃的な兵器を借りて、そして日本を守るということは、憲法違反にならぬというお考えでございますか、こう聞いているわけです。
○林(修)政府委員 ちょっと私の申し上げ方が足りなかったかと思うわけでございますが、問題は、一つは、昨年の場合において、石橋委員とあるいは政府側との応答におきまして、いわゆる自衛権の本質として、場合によっては、自己の死滅を待つ以外に方法がない場合に、相手の基地をたたくことは許される。それならば、直ちにそういう武器が持てるじゃないかということは、飛躍であるという一つのたとえ話として書いたつもりでございます。同時に、今おっしゃった点についてでございますが、たとえば、国内法関係におきましても、あるいは平生持っているピストルを使ったということは、自衛権の本質としては許されるかもわかりません。しかし、ピストルを持ったことは、それで正当化されるわけじゃございません。また、ピストルを持つことがいいということにはなりません。そういう意味で、これはやはり日本の憲法と自衛隊の問題についても当てはまる、かように考えます。
○石橋(政)委員 林長官は、幾ら私が重ねて尋ねても、答えようとしない。そこで私は、総理は――大体これは私と総理がやった問題でございますし、総理にお尋ねをしたいと思う。今言ったことは、もう私がここで繰り返さなくても、頭脳明晰な総理は、十分おわかりになっておると思います。攻撃的な兵器を持つことは許されぬ。憲法違反だ。しかし、敵の基地をたたく以外に日本を守る道がないという場合には、たたいても憲法違反にはならぬ、こうおっしゃる。しかし、敵の基地をたたく武器は持てない。持てば憲法違反だ。どうするんだ。いろいろ考えてみたが、方法はない。たまたま林さんのこれを読んでいるうちに、私はわかったのです。なるほど、アメリカからそのときに借りるという手があるんだな。そこで、アメリカから借りて敵の基地をたたくということは、憲法に違反するのか、憲法の容認するところか、ここのところだけ、一つ総理にお答えを願いたい。
○林(修)政府委員 ……
    〔「総理々々」と呼び、その他発言
  する者あり〕
○石橋(政)委員 あなた、答弁できないじゃないか。
○林(修)政府委員 私の書いたことを今誤解していらっしゃるから、この点をまず私はお答えしたいと思います。
 私が書いておりますのは、そういういわゆる自衛権の本質上、相手の基地をたたくことが許されるなら、平生からそういう武器を持ってもいいんだなという御質問に対して、それは許されないんだということを書いたつもりであります。そういうことだけを書いたわけでございます。その際に、自衛権の行使として、そういうときに、自分で平生から許されない武器を使うことは、あるいは自衛権の本質、正当防衛としては許されるかもしれませんが、それを持つことが憲法に違反するとすれば、いかなる方法、いかなる場合においても、持つことはやはり憲法上の問題になるわけでございます。自衛権の本質は、持つことの問題と別問題でございます。そこまで私は書いたつもりはございません。
○石橋(政)委員 もう十分に質疑応答の内容は、総理、のみ込んでおられると思います。結論だけを私申し上げますから、総理、お答え願えませんか。そうしましたら、私はきょうは一応引き下がります。攻撃的な兵器を持つことは、憲法は許してない。自衛隊が攻撃的な兵器を持つことは、憲法は許してない。しかし、敵の基地をたたく以外に防衛の道がない場合には、たたいてもよろしい。これは憲法違反じゃない。しかし、たたくための武器を持つことは憲法違反。それじゃ、どうしてたたくのか。アメリカから借りてたたく、こういう方法が考えられる。私はほかにはわからない。そこで、そういう場合に、アメリカから攻撃的な武器を借りて、敵の基地をたたいて日本の防衛をはかるというこの行為は、憲法の容認するところでございますか、どうですか。
○林(修)政府委員 先ほどからお答えしております通り、(「総理々々」と呼び、その他発言する者あり)石橋委員の御質問のようなことを、私は肯定して書いたつもりは全然ございません。その「時の法令」の記事をよくお読み下されば、今石橋委員の仰せられたようなことを肯定したところは、どこにもないわけでございます。つまり、そういう場合に、自衛権の本質上許されるから、常日ごろ持つことが許されるのではないかという御質問に対して、それは常日ごろ持つことは許されないのだということを書いただけで、それ以上のことは何も書いておりません。従いまして、その自衛権の行使の場合に、いかに必要だからといって、それを持つことが不法であるとすれば、やはり不法でございます。それは正当防衛としてあるいは正当化されるかもわかりませんが、その所持自身は、やはり不法だという問題が残るわけであります。それを私は、合法になるとはどこにも書いておりません。
○石橋(政)委員 林長官は、自分が書いたものを、自信がなくなってごまかそうとしておられる。正当防衛権というものは、そのピストルや刀が、相手方の持っていたものであろうと、その場に居合わせた他人のものを借りたものであろうと、自分がかねがね持っていたものであろうと、それは別に問題にならぬとおっしゃっておる。私はここからヒントを得たのです。あなたは、国会の防衛論議を顧みるという論議の中で、私の議論に反駁するために、いろいろと積み重ねて言っておるけれども、なかなかわかってくれない、そこで、個人の正当防衛権というものを引用すれば一番わかるだろうと言って、あなたはやっておるのですよ。だから、この中で、その場に居合わせた他人のものを借りたものであろうとかまわぬと、あなたは言っておるのですよ。だから、これを防衛論議という立場に引き直してみれば、たまたま駐留軍というものがおる。この駐留米軍がたまたま持っておるものを借りて間に合わせるということは、憲法の容認するところか、いわゆる自衛権のワクの中に入るのか入らぬのか、私は総理にお答えを願いたい。
○林(修)政府委員 私の……。(「総理大臣じゃないとだめだ」と呼ぶ者あり)私の書いたことを石橋委員によく御理解願っておりませんので、一応私の書いた趣旨をよく御説明いたします。(「それは書いたこと以上のことを聞いておるのですよ」と呼び、その他発言する者あり)私の書いたものについての意味を、今石橋委員にはお答えしたつもりでございます。つまり、自衛権の本質ということと正当防衛の本質ということ、それから、その場合に、かりに他人から借りたもの、あるいはその場に居合わせた人のもの、あるいはかねて持っているものを使っても、正当防衛という見地からだけ見れば、あるいは正当防衛かもしれない。しかし、それだからといって、平生からそれを持っていることが、あるいはその場合に持ったことが正当化されるわけではないわけでございます。それは別問題だ。そこは何も私は、それまでが正当化されるということを書いたつもりはございません。その点が、多少石橋委員の御理解が違う点だと思います。
○岸国務大臣 私は、この論議は、いわゆる自衛権の本質というものは、日本の侵略を排除すべきものであって、原則として日本の領土、領空、領海に限るものであるが、それに付属しておるところの、公海や公空に行く場合もあるということは申しております。ところが、敵の攻撃するところの外国の領土、これに行って攻撃をするということは、自衛権の範囲に属しない。しかしながら、他から攻撃されて、その基地を攻撃するにあらざれば、いわゆる座して滅亡を待つかどうかという場合において、その外国の領土内の基地を攻撃することも、またそれは――そういう非常に限定された緊急の事態に対処するために、外国の基地を攻撃するということも、また自衛権の範囲に属すと考えなければならない。さもなければ、座して滅亡を待たなければならないというようなことは、自衛権の本質に反する、こういう意味で、従来答弁をしておるのであります。しかしながら、それならば、その基地を攻撃するための武器を、日本が持つということが憲法上許されるかというと、それは許されない。従って、そういうことが自衛権の範囲としてできると言っても、それに応ずるための準備を平素からするわけにはいかない、こういうことを従来申しておるのであります。ところが、その緊急の場合に、それではアメリカから借りるかという問題になりますと、私は、その場合においても、そういう攻撃的な武器を持つことは、やはり違法だと思います。憲法に許さないところである。しかし、事実上われわれがどういうことをするかということは、これはまた、そのときの別の話でありますけれども、法律論として考えるならば、これを合法化する理由にはならぬと思います。実際やる必要はないと思うのですよ。日本がそんなものを借りてやらなくても、日米が共同で日本の安全を守るということから言えば、アメリカ軍の武器を使って、アメリカがそれでもって基地を攻撃できるというものであれば、アメリカの軍隊で、アメリカのなにでやるということになるだろうと思うのです。従って、理論的に言えば、その場合においても、なおその武器を持って、日本の自衛隊が使用するということは、憲法から言うと違法である、こう思います。
○石橋(政)委員 さすがに総理のお答えは明快だと思います。きょうは関連ですから、あとは私の持ち時間のときにやらせていただくことにいたします。
○飛鳥田委員 石橋君の質疑から、もとのところに戻らせていただきます。
 核装備の持ち込みは日本に許さない、自衛隊も核装備はしない、こういうことを再々総理は述べておられるわけです。その述べられる理由としては、日本から核攻撃を行なうことは憲法違反であるし、また同時に、外部から見て、日本が核保有国あるいは核装備、核戦略の実施国と見られることをおそれる、もし日本が核戦略を実施する国と見られる場合には、核攻撃を一番先に食うかもしれない、こういう二つの意味で、いたしません、こう述べられているように私たちは受け取ってきましたが、いかがでしょうか。
○岸国務大臣 そういうふうに考えております。
○飛鳥田委員 そういたしますと、先ほど国内的な問題として出てきた幾つかの事実と矛盾をするのではないだろうか。なるほど、日本にある第五空軍は、完全な核運搬能力を持っている、同時にまた、日本土空においてトス・ボミングのような核攻撃の練習をしている、そしてわずか一時間二十分しか離れていないグアム島には核弾頭の貯蔵がなされている。こういう状況で、しかも、米軍が核兵器を持ってきているかいないかということについての調査権を、日本は持っていない。これは信頼と協力の関係に基づくから、要らないのだとおっしゃいました。これでは世界の国々が日本をどう観測するか、すなわち、日本はすでに核攻撃の準備を着々整えつつあると観測せられても、これを否定すべき理由はなくなってしまうのではないだろうか。そうすると、先ほど、事前協議において拒絶をするとおっしゃった二つの理由の後段と、矛盾をするのではないだろうか。当然総理は、日本に駐留する米軍の能力、演習の状況、そして日本を取り巻く戦略的な配置、こういうものをごらんになって、いやしくも日本内地から核攻撃、核戦略が実施せられないという事態を、当然諸外国に向かっても明らかにわかるように、事実をもって示さるべき必要があるんじゃないだろうか、こう私は思うのですが、いかがでしょうか。
○岸国務大臣 日本は核装備をしない、また、核兵器の持ち込みを認めないということは、日本の責任ある政府が、国会を通じて内外に明らかにしておることでございますし、今回それを確保するために、従来の安保条約になかった事前協議の交換公文を作りまして、その他の事項とともに、日本の意思によってこういうものを自主的にわれわれは作り上げるということを、さらに国会におきましてわれわれは明確に申しておるのでありまして、従って、私は、日本の意思というものはきわめて明瞭に出ておると思います。また、アメリカ軍がそれに対してどういうなにであるかという問題に関しましては、従来アメリカ軍が、それはなるほど空軍がそういう運搬能力は持っておるかもしれません。しかしながら、それによって核装備をしている事実は絶対にございませんし、従って、将来については、事前協議の事項でありますから、われわれが認めないということを一貫して申しておることにおいて、もしもそれを疑おうとするなら、疑う方が間違いである。あくまでも従来われわれが明らかにしておる方針を貫く考えでございます。
○飛鳥田委員 疑う方がどうかしているというお話ですが、あなたを襲撃する練習をしている、だがしかし、現実にはまだ短刀もピストルも持っていないが、ときどきあなたの家の回りを回って練習をしている、こういうのなら、当然疑うのがあたりまえじゃないでしょうか。私は、今のような核装備に関する事前協議のやり方では、外堀を埋められてしまうまで気がつかない、こういうことになると思います。現に先ほどのフェルト氏は、太平洋軍は重要な役割を果たすことができる、こうちゃんと証言をせられておるわけです。そしてまた、アーウィン氏は、くどいようでありますが、日本に対して核兵器基地の設置に対する態度を変更させるような圧力をかけるべきである、こう言っておられるわけです。こういう状況の中で、その程度で問題が片づいていくことについて、日本国民も納得できない。また、諸外国も日本の立場というものを理解できないに違いない。はなはだ失礼でありますが今のあなた方の御説明では、政府の自己満足に終わってはいないだろうか、こういう疑問をはさまざるを得ない状況です。核装備についての事前協議について、私はずいぶん事実をあげて申し上げました。そこで、少し横道にそれますが、一つだけ聞かしていただきたいと思います。
 日本に核兵器を持ち込むときには拒絶をする、しかし、沖縄に持ち込むことについては、ともかく、向こうが支配権を持っているところだから、これは拒否できない、仕方がない、こうおっしゃったのですが、私は、これはできるんじゃないか、こう考えるのです。と申しますのは、総理も再々述べておられますように、沖縄に対して日本は潜在主権を持っている、こうおっしゃるのです。日本が潜在主権を持った段階において、一応この潜在主権を侵さざる範囲内における事実上の支配をアメリカがしておる、こういうことだろうと思います。もし、しかりとするならば、核装備そのものを全島に施すことは、一たん全面戦争になりました場合、沖縄はその形骸をとどめなくなってしまうんじゃないだろうか。こちらから攻める場合だけを考えていれば、それはけっこうですが、向こうからも報復爆撃を受けることが可能でしょう、あり得ることでしょう。これだけ全島核装備された島をやっつけるのに、そう手軽な攻撃があるとは考えられません。もし、そうだとすれば、どんなに島民の福祉に対してできるだけの措置はとるとおっしゃっても、沖縄島民は全滅するでしょうし、また、沖縄の山河はその姿をあらためてしまうに違いない。いや、島自身がなくなってしまうかもしれません。潜在主権というものは、アメリカが平和条約の趣旨に対して違法な処分をしたときには、これに対して抗議を申し込むことのできる権利だろうと思います。もしそうだとすれば、沖縄全島民が死滅してしまうかもしれないようなこの全島核装備化、あるいは沖縄全島がこっぱみじんに飛んで地図の上から姿を消してしまうかもしれないような、そういう結果をもたらす危険のある沖縄全島核装備化、これは当然潜在主権を侵すものではないでしょうか。そういう意味で潜在主権を脅かされる、侵されるものとして、あなた方はアメリカに対して、沖縄に対する核装備持ち込みについては抗議を申し込むべき法律上の権利がある、こう私は思うわけです。それをただ、どうも相手が支配をしているから仕方がない、こういうお考えをなすっておったのでは、ちょっと困るのじゃないか。いや、むしろ、この際は、ほんの少しでも根拠があれば、明確にアメリカにこのことを申し込んで、あなたのおっしゃる、沖縄が日本に復帰するチャンスをつかむ端緒としていただく必要があるはずです。そういう努力の端緒にはなれるはずです。そういう意味で、私は、なぜ沖縄に対して核装備を持ち込むことについて、仕方がないとあきらめてしまっておられるのか、これは事前協議とはいささか離れますけれども、ついでのことでありますから、伺っておきたいと思います。まず、潜在主権に抵触をしないか、そうして沖縄全島八十万の人民のために、核装備に対しては断固として反対する意思を表示する御意思があるかどうか、そうしてそれを端緒として、日本に施政権の戻ってくるような交渉をなさる意思があるかどうか、こういうことを伺いたいと思います。これが実は、今まで再々石橋君と私が聞いて参りました事前協議に対する政府の態度の根底を流れているものと一致するのではないだろうか、こう考えるわけです。いかがでしょう。
○岸国務大臣 潜在主権を持っておるということは、たとえば沖縄を法律的に他に処分するというようなことに対しては、そういったような権限は持たないということを意味しているものだと思います。事実上沖縄においてどういう施政をするかということは、アメリカが政策的にきめることでありまして、これは法律的に言っては、沖縄はアメリカの自由であると思います。アメリカが思うままにできると思います。ただ、政策として、こういう政策がいいか悪いか、あるいは望ましいか望ましくないかという問題はあろうかと思います。今の沖縄にいわゆる核兵器の基地を作るということが望ましいことであるか、望ましくないことであるか、いいことであるか悪いことであるかということは、これはわれわれが考えることでありますが、しかし、法律的にこれをとどめる力は、実は日本としては私はないと思います。しかし、アメリカがあそこでもってそういうような大きな核兵器の基地を作る、原水爆の基地を作るというようなことに対しましては、事情がわかるならば、そういうことをわれわれは望んでいないこと、日本の意思というものをアメリカ側に十分話して、その反省を求めるというようなことは、日米間の交渉において考えられることである、またすべきことであろうと思います。
 沖縄の施政権の返還の問題に関しましては、たびたび申しておるように、私は機会あるごとにこれが実現をはかるように努力をするし、また、それが全面的にできないとしても、実質上日本の政府の力がこれに加わってくることをだんだん積み重ねていくような施策をとっていくということは、かねて申し上げておる通りでございまして、これはわれわれとしてあらゆる機会に努力して参らなければならぬ、かように思っております。
○飛鳥田委員 非常に簡単に、総理はできない、こうおっしゃるのですが、林さんに一つ伺ってみたいと思いますが、少なくとも処分権を保留しているという以上、そのものをゼロにしてしまうような危険のある行為をとめられないというはずは、私はないと思うわけです。たとえば一般の住宅として家を貸した、だがしかし、住宅としてその家を使わないで、花火工場として使ったというような場合には、当然家主は、それは使用の方法が違うじゃないか、従って、この家はもし花火工場がはねればふっ飛んでしまうから、契約を解除します、こういうことが言えるはずです。一般の国内法的に見てもそうであり、国際法的に見ても、少なくとも処分権を留保している以上は当然――そのもの自体をゼロにしてしまうような使用の方法について抗議をはさめないということならば、潜在主権などというお言葉をお使いにならぬ方がいいのではないか、こう私は思うのですが、潜在主権というのは、一体何が残ります。名前だけ残るのですか。これは林さんに伺いたいと思います。
○林(修)政府委員 平和条約第三条における沖縄の地位あるいは小笠原の地位を、簡単な言葉で潜在主権という言葉で表現しておるわけでございます。その潜在主権の内容は、結局平和条約第三条の規定に帰することだと思うわけでございます。平和条約第三条には何が書いてあるかと申しますれば、日本が領土権を放棄したということはどこにも書いてないわけであります。従って、領土権はある。しかし、他面、信託統治にするまでは一切の立法、行政、司法上の権利、権原を領域及び住民に対して及ぼし得る、こういうことが書いてある。この両方をかみ合わせてみれば、現実的の施政は、アメリカが実は全責任を持っているわけでございます。ただ、いわゆる日本の領土権を無にする、日本の領土権を日本の承諾なしに他に譲ってしまう、そういうことはできない、こういうことが潜在主権だと思います。今飛鳥田先生がおっしゃいます、たとえば住宅に貸したものを花火工場に使う、これは確かに目的外使用で、あるいは賃貸借解除の理由になるかもしれません。しかし、この沖縄の問題につきましては、一切の施政権を持つということが条約に書いてある。従いまして、それにおいていかなる政治を行なうか、これは実はアメリカの自由でございます。日本としてそれに対して、法律上これをどうこうしてくれということを申し込む権利は、実はないわけであります。事実上の問題として、友好関係に基づいていろいろの希望を述べる、これは別問題でございます。先ほどおっしゃいました、たとえば沖縄を地上から消してしまうというようなことは許されないのじゃないか、全くそういうことが確実にわかることであれば、あるいは問題になるかもしれません。しかし、おっしゃいましたようなことが、直ちにそこにそういう因果関係を持つかということになりますと、これは別問題でございます。おっしゃいましたような仮定に基づきまして、それが領土権を無にするというこちらの根拠には直ちにはならないのじゃないか、かように考えるわけであります。
○飛鳥田委員 今の林さんのお答えで、かなりよくわかってきました。領土権は保留している、そして一般の行政的な支配権はアメリカにある、従って、特別な領有権、領土権そのものを無に帰してしまうような行政支配の方法は許されないし、文句を言うことができる、こうおっしゃったわけです。一体、全島核装備をしてしまうというのは、一たん戦争が始まれば、それはもうアジアにおける焦点になることは、火を見るより明らかです。それは戦争にならないかもしれない。しかし、装備をするということは、戦争を前提にして装備をしていくのです。あるいは岸総理のおっしゃるように、抑制力として装備をしていくのです。しかし、抑制力もたまには火を吹くことは事実でしょう。もしそうだとするならば、これがアジアにおける最大の拠点として攻防の中心になる以上、沖縄全島は無に帰してしまうかもしれない。これは相当濃い論理の輪だろうと私は思います。因果関係の続くところだろうと思います。現に太平洋の中で、アメリカの水爆のためにこなごなに飛んで、今は島影もない、ただ水だけがあるというところがあるじゃないですか。それに、あなたは島だけのことをおっしゃる。土地だけのことをおっしゃる。しかし、ここに住んでいる八十万の人民は日本人です。この人たちが、逃げるに逃げられず、すべて水爆の放射能の中で溶けて、跡形もなくなってしまうようなことは、当然領土権の侵害じゃないでしょうか。私は、これは領土権の侵害として、潜在主権の侵害として、法律上の根拠となるのに、なぜあなた方がアメリカ政府に強硬に申し入れないのか、不思議でたまらないのです。現に平和条約三条を読みますと、暫定的にアメリカの武力占領を許し、アメリカはこれを国際的な信託統治にしなければならない、こう書いてあるはずです。ところが、もう暫定的どころか、十年にもなんなんとして、なおかつ、アメリカは国際的な信託統治に付そうともしない。また、付すという意向も示さない。かえってアメリカのいろいろな高官の言動を見ますと、沖縄は永久にわれわれが占領するのだというようなことを言っている。暫定的に占領して、当然結論は信託統治にしなければならぬのです。もししなければ、返してもらいたいという要求権が、われわれ日本人に出てくるはずです。信託統治にしないということは、十年間の経過に見て明らかじゃないですか。ところが、たった一ぺんでも、公式に、だから返して下さいと申し入れたということを私は知りません。今私はそのことを論じているのではないのですよ。よくそういうことにひっかかって、それに御答弁をなさいますから、ただ一例としてあげただけですが、そういう無気力な態度が、やはり結局は、潜在主権によって沖縄全島核装備化を断固として拒否するという強い態度につながらないのではないか。今現に、沖縄では、ナイキ、ハーキュリーズが発射されて、トーキビ畑が焼けたとか、破片が落っこちて何人かの人民がけがをしたとかいう報道が、私たちのところにどんどん入ってきます。そうして、極東の司令官諸公が沖縄に集まって、ナイキ、ハキュリーズの発射実験を見学して、アメリカの空母に送られてフィリピンに帰ったり、日本に帰ったりしているじゃないですか。日本の自衛隊の偉い人も行って見学したはずです。なぜもっと、沖縄八十万の人のためにどうしたらいいか、その法律的根拠はここにあるということを考えていただけないものか。これは内閣の法律的な顧問だと自称しておられる林さんを、私は責めざるを得ないのです。無理だとおっしゃらずに、そういう論理をちゃんと組み立てられる、こういうことを考えていただきたいと思います。いかがでしよう。
 もう一度、くどいようですが、総理に伺います。私は、潜在主権に基いて、当然アメリカに対して沖縄全島の核装備化を拒否する交渉をしていただけるものだ、そういう法律的根拠があると思いますが、もしあなたの今の御意見で、ないとお考えになるならば、一応大学の教授諸公、あるいは日本の国際法の大家諸公、こういう人々に、飛鳥田がこう言っておった、これは一笑に付すべき議論だろうか、何か使えやしないだろうか、こういって御相談になって、研究をしてみる余地はないとお考えになりますか、どうでしょう。
○岸国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、沖縄を核装備することが、沖縄を直ちに無にすることと必然の因果関係があるというふうには、私は論断できないと思います。従って、政策として、これに対して、私は、われわれが一貫して持っている、日本の領土を核装備しないということから申しますと、沖縄がそういうふうに核装備されることは、望ましい状態ではないと思います。そういう意味において、政策の意味としては、われわれが日米関係において日本の意見を述べるということ、反省を求めるということは、私はすべきものであると思いますし、また、していこうと考えておりますが、しかし、いわゆる潜在主権というものをこれを法律的に――これに基づいて、法律上の権利としてこれをアメリカに主張するという性質のものではなかろう、かように考えます。
○飛鳥田委員 この議論は、私の御質問の傍系でありまして、一つだけ伺わせていただきますといって伺ったのが、ついつい長くなって恐縮でしたが、少なくともこういう気魄できちっとおやりにならないと、だんだん押し込められてしまうだけですよ。そういう点を御注意をいただきたい、こう私は思います。そして現に、潜在主権という言葉は、ダレス長官の発明をされたものであって、国際法的にも、いまだ未成熟の、未熟の観念です。従って、この潜在主権というものをどう解釈していくかということは、おそらく日本がそのイニシアを握ってやっていけるものです。これは国際法的にきちっともうきまってしまっている概念、領空とか領土とか、こういう概念とは違うのです。最近できた概念です。従って、これをどう解釈するかということは、まだまだいろいろの論議があってしかるべきである。しかも、それは、現にそういう言葉を適用されているのは日本だけなんです。従って、これを日本に有利に法律的に構成していく、そういうイニシアを握れるのは、日本なんです。それをはなっからあきらめてしまって、無理です、無理です――まあ、岸総理も大学で国際法をおやりになったのでしょうが、その後、国際法というのは、非常に変わっております。いろいろな点で発達しております。そういう点について十分御考慮をせられんことを、私は沖縄人民八十万人のために望みます。
 そこで、私はもとへ戻りますが、私は今まで、事前協議が国民に秘密に行なわれるものだ、従って、世論はこれに関与できないという点、さらには、今政府が考えていらっしゃる事前協議というものの段階は、戦略的に一時代ずれた観念の上に立っていらっしゃる、アナクロニズムだということを申し上げてきました。そして、続いて核装備に関して、国民の心配しております点を伺いました。今度は、事前協議を現実に当てはめて、一つ伺ってみようと思います。
 現実に当てはめて事前協議の内容を伺って参りますと、私はまたまた失望をせざるを得ないという状況であります。まず、先日申し上げましたが、単純な配置の変更あるいは補給、移動、こういうものと、戦闘作戦行動を前提とした移動、変更、補給、こういうものの区別は、一体どこでおつけになるのでしょう。たとえば、金門、馬祖に第七艦隊が出かけていくのか、いわゆる戦闘作戦行動をやるつもりで出かけていくのか、ただ単にフィリピンのスビグ港に移動していくのか、そういう区別を一体どこでおつけになりますか。ただ単に補給、移動、配置がえ、こういうものは対象にならぬ、こう簡単におっしゃったのですが、そういうものを一々確かめ――確かめてみたところで、これは軍機ですよ。これは今度は向こうの軍機です。軍の秘密です。日本に関係があれば、日本地域において戦闘をするという点であるならば、自衛隊にもある程度その作戦の一部を漏らすでしょう。しかし、極東の平和と安全を守るというために日本には今現に戦闘行為が行なわれていないという段階であれば、アメリカはみずからの戦略、戦術というものを、そうあけっぴろげに全部自衛隊にお話しになるとは私は考えられない。すなわち、アメリカの軍の秘密です。軍機です。こういう軍機を押し分けて、ほんとうの戦闘作戦行動のための移動か、普通の定期移動か、どうやってお見分けになるのか、私はその秘術を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 これは交換公文ではっきりなっておりますように、日本の施設・区域を戦闘作戦行動に使います場合に、事前協議の対象になるわけであります。それ以外のものは、事前協議の対象にいたしておらないのでございます。
○飛鳥田委員 まあ一つ、あまりとぼけないで、ちゃんとして私の疑問にお答えをいただきたいと思うのです。私、そんなに無鉄砲な、ばかばかしい場合を考えて伺っていないつもりです。横須賀の港あるいは立川の飛行場、横田の飛行場、こういうものを使って行動をする場合を私は聞いているのですよ。しかし、そういうものを使って行動をする場合でも、移動もあれば、戦闘作戦行動のために出ていく場合もある。黙って出ていかれた場合に、あなた方の方では、どうやってそれを区別されるのです。戦闘作戦行動に使うときだけしか事前協議にならぬとあなた方はおっしゃる。そうでしょう。それならば、戦闘作戦行動のためにこの基地を使うという断定を、一体どちらの側でやるのですか。日本の側でやるのですか、アメリカの側でやるのですか。私は、その区別などというものを、失礼でありますが、外務大臣と防衛庁長官とお二方でおつけになれるとは、ちょっと想像がつかないのです。今の答弁の様子から見て、特にそう思います。いかがでしょうか。
○赤城国務大臣 戦闘作戦行動のために日本の施設・区域等を使用する場合には、事前協議の対象になっていますから、向こうから、戦闘作戦行動に出る場合には、事前協議として申し出があるはずであります。
○飛鳥田委員 わかりました。今の防衛庁長官のお話でよくわかりました。結局、事前協議は、アメリカの側から、私の方でいよいよ戦闘作戦行動をお宅の基地を使っていたしますよという申し出があったときのみ、すなわち、一方的な場合だけしか、事前協議というものはない。こちらの側から、どうもあなたの方じゃ移動している、おかしいじゃないか、こういうことを申し出ることは、不可能であるということがよくわかりました。戦闘作戦――こうして移動とか補給とかいうものをみんな除いてしまって、一体事前協議の中身に何が残るでしょうか。私は、アメリカが一方的に内容を決定する事前協議などというものに、もう国民は満足できないだろう、こう思います。日本とアメリカとは対等であって、自主的である、そして相互に何ら強制せられることなく、事前協議が行なわれ、日本はいやだと思えば、ノーと言えるのだ、こういうお話でした。だが、その言葉の下で、事前協議はすべてアメリカの申し出があった場合にのみ行なわれる、こういうことであれば、私たちはいずれをとっていいのか、わかりゃせぬ、こう言わなければならぬわけです。移動、補給、この問題を除外することがどんなに大きなものであるか、よくわかりました。
 そこで、今度は行動から主体、対象に移ってみたいと思います。防衛庁長官に伺いますが、日本に根拠地を持っておると申しますか、日本の基地を使用している海軍というものは、一体どれとどれでしょうか。一つ教えていただきたいと思います。
○加藤(陽)政府委員 日本におります在日米海軍というのは、横須賀に司令部がございまして、そのもとに、横須賀及び佐世保に、主として補給の任に当たる部隊、それから岩国と厚木に航空関係の部隊が来ております。これらは、しかし、作戦部隊ではございません。太平洋ほとんど全域における――と申しますのは、ハワイの米太平洋海軍のもとには、第一艦隊と第七艦隊がおるわけでございますが、第一艦隊の方は、主として補給を担当しておるようでございます。作戦実施部隊は第七艦隊でございます。第七艦隊が、ほとんど太平洋全域にわたる防衛任務を担当しておるわけであります。これらが横須賀、佐世保にときどき入港するというのが実情でございます。
○飛鳥田委員 そういたしますと、先般、第七艦隊は在日米軍ではないから、事前協議の対象にならぬ、こういう御説明がありましたが、外務大臣、それでよろしゅうございましょうか。
○藤山国務大臣 第七艦隊でも、日本の区域・施設を使用して戦闘作戦行動をいたしますときには、事前協議の対象になります。
○飛鳥田委員 しかし、先ほど、第七艦隊が日本の区域及び施設を使って戦闘作戦行動に出かけていくかいかないかは、アメリカの申し出による、こういうふうに防衛庁長官はお答えになりました。そういたしますと、第七艦隊というものは、アメリカの意思一つによって、事前協議の対象となり、あるいはならない、こういう結果になるのではないでしょうか。外務大臣、いかがでしょう。
○藤山国務大臣 施設・区域を使って戦闘作戦行動の基地とするという事実がございますれば、その事実の上に立って事前協議をいたすわけでございます。
○飛鳥田委員 事実があるというお話ですが、事実というのは、現実に施設及び区域を使って戦闘行動に入った場合に、事実が現われるのであって、それでは事前協議じゃなくて、事後協議じゃないですか。事後通告じゃないでしょうか。どうも私ふに落ちません。
○藤山国務大臣 そういう事実を前提として日本の施設・区域を使用するというときには、事前に協議をいたすわけでございます。
○飛鳥田委員 ちっともわかりません。もう一度こまかく教えて下さい。僕は頭が悪いのでしょう。
○藤山国務大臣 日本の施設・区域を基地として戦闘作戦行動をするということを、かりにアメリカがしたいというときには、当然事前協議をしなければなりません。
○飛鳥田委員 先ほど、それは防衛庁長官がお答えになったじゃないでしょうか。日本の施設及び区域を基地として戦闘作戦行動を行なおうとするときには、事前協議の対象にする、しかし、その場合に、日本の基地を使って戦闘作戦行動に入るか入らないかという事実認定は、アメリカの申し出によるのだ、こうさっき防衛庁長官がおっしゃったじゃないでしょうか。だから、アメリカがそういうふうに申し出てくることによって、初めて政府は事前協議ができる。だから、アメリカの自由意思によって、事前協議が時に行なわれ、時に行なわれないということになってしまうじゃないですかと私は伺っているのですよ。そういたしますと、あなたは事実に基づいてとおっしゃる。事実というのは、すでに事が起こったことであります。そうなれば事後報告です。どうでしょうか。
○藤山国務大臣 私が申し上げた事実というのは、戦闘作戦行動に対して日本の施設・区域を使用するという事実、そういうことをアメリカが考えました場合には、当然事前協議をいたすわけでございます。
○飛鳥田委員 くどいお話は私きらいな方なんですが、アメリカが考えました場合にはですね。そういたしますと、アメリカの主観によって左右されちゃうじゃないですか。アメリカがあなた方にお話をしなければ、事前協議なしで、公然と行なわれてしまうという結果にならざるを得ないわけです。
 それでは次の問題を伺いますが、第七艦隊は、今加藤局長のお話がありましたように、太平洋全域にわたって防衛任務を担当いたします。そしてこの第七艦隊は、日本に駐留いたしまする在日米司令官の指揮下にはありません。もしそうだとすれば、この第七艦隊を指揮しているハワイの太平洋地区司令官ですか、この方々とお話をしなければ作戦変更はできないわけです。ところが、現実には、駐留に関する行政的な権利を代表している駐日米大使と、日本にいる第五空軍司令官と、赤城さんと、藤山さんとがお話しになる。一体どうやって第七艦隊の行動を規制できるのですか。私はそのやり方を一つぜひ伺わしていただきたい。アジアにおける最大の戦力でありますだけに、事前協議の対象としてこれは大きなものでしょうから、どうやって第七艦隊の行動を制約いたしますか、そしてまた、戦闘というものは非常に緊急を要するものですから、この緊急を要するものの中で、非常に短い期間にずばりそういう話し合いができるものかどうか、これを一つ伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 御承知の通り、今回の協議機関においては、在日米大使が出席いたしますと同時に、ハワイにおります司令官が顧問として就任をいたしております。むろん、この事前協議の話は、政府と政府の話でありますから、当然政府の代表者である駐日米国大使が、政府を代表していたすのでありまして、アメリカの太平洋艦隊司令長官といえども政府の中の一つの機関であること、申すまでもございません。従いまして、その政府の代表者と一話をいたしますことは、当然のことでございます。それのみならず、事前協議ということがすでに条約にうたわれておりますから、瞬間的に協議ができないということではなく、あらかじめやはりこういう場合には協議をするという条約を作っておるのでございますから、従って、そういうことをやります前には、アメリカ政府を代表して日本に協議があることは当然でございます。
○飛鳥田委員 形式的なそういう御議論で、いざ現実に処してみて、一体やれるかどうか、私は非常に疑問を感ぜざるを得ません。従って、私は、先般内閣委員会においても、軍事委員会のようなものを作るのか、あるいは統合司令部のようなものを作るのかということを伺いましたところ、それもいたしません、こういうことでありました。結局、今までの御答弁を拝聴いたしておりますと、第七艦隊が対象になるかならぬかは、アメリカの一方的な意思による、こう結論をせざるを得ないわけです。
 それでは続いて、岩国の海兵隊はどうでしょうか。これは沖縄海兵隊の一部です。司令部は沖縄にあります。従って、これはすぐあなた方の事前協議の対象にはしない移動として――本隊に戻っていくのですから、当然事前協議の対象ではなく、移動してしまうでしょう。そういたしますと、岩国の海兵隊もほとんど事前協議の対象にならないのじゃないか、こう考えるのです。
 さらに、厚木の航空基地はどうか。ここでは、対潜哨戒機と第七艦隊に補給をする空母用の飛行機、いわゆる海上戦闘機、こういうものがあるだけだろうと私は考えております。これもぶんと飛んで、第七艦隊へ帰ってしまえばそれっきり、こういうことになって、一体、海軍で現実に事前協議の対象となりそうなものは何が残るでしょう。これは加藤局長でも防衛庁長官でもけっこうです。
○赤城国務大臣 岩国の海兵隊でも、あるいは厚木の海軍の飛行隊でも、日本の基地を作戦用として使用する場合には、事前協議の対象に当然なるわけでございます。
○小澤委員長 この際、横路節雄君から関連質疑の申し出があります。これを許します。横路節雄君。
○横路委員 赤城長官にお尋ねしますが、第七艦隊が横須賀、佐世保に入港したときでも、これは在日米軍の指揮下には入らないのですね。
○赤城国務大臣 在日米軍の指揮下には入っておりません。
○横路委員 長官にお尋ねしますが、この第七艦隊が横須賀、佐世保に入った場合には、法律的には別に、防衛庁長官は、これに対して入港したということについての報告を受ける義務はないですね。
○赤城国務大臣 法律的に報告を受ける権利は持っていませんが、連絡は受けています。
○横路委員 今長官からお話がございましたように、第七艦隊が佐世保、横須賀に入った場合には、別に防衛庁の長官には報告されることはないわけです。これは三月二十三日の参議院の予算委員会で、るる質疑応答の中に出てきているわけです。ですから、先ほどから問題になっていることは、外務大臣が、この点について、第七艦隊が横須賀、佐世保に入って、それが戦闘作戦基地として、そこから行動する場合には事前協議の対象になると言うが、大体横須賀、佐世保に入ってくるときには、防衛庁の長官には何ら報告する義務はない。報告する義務がないものに対して、何でこれは事前協議の対象になりますか。長官は、全然これは報告を受ける義務はないのだ。ないものに対して、何でこれは事前協議の対象になりますか。
○赤城国務大臣 今度の条約が通過すれば、その条約によって事前協議の対象になります。
○横路委員 いわゆる合衆国の軍隊の地位に関する協定、ここの第五条は、これは前の行政協定の第五条を受けたわけですね。この行政協定の第五条を受けて、そこには何と書いてあるかというと、第一項については、「合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるもの」これは「入港料又は着陸料を課されないで日本国の港又は飛行場に出入することができる。」こういう権利を与えられる。そして、ただその第三項に「1に掲げる船舶が日本国の港に入る場合には、通常の状態においては、日本国の当局に適当な通告をしなければならない。」適当な通告とは、これは水先案内人に入るぞという通告をするだけ、長官、そうですね。これは通常の場合というのは平常の場合だ。これが一たん戦闘状態に入ったら通常の場合ではない。戦闘状態に入ったら通常の場合でないから、そうすると、今度の合衆国の軍隊の地位に関する協定の第五条第三項で、横須賀、佐世保に入ってくるところの第七艦隊は、全然日本の水先案内人に対しても、海上自衛隊の地方総監部に対しても、何ら通知する義務がない。入港に対して通知する義務がないものが、いつ入ってきて、いつ出ていったかわからぬものが、何で一体事前協議の対象になりますか。なるわけありませんじゃないですか。ありますか。
○赤城国務大臣 入港した場合には、港湾管理者または港長に通知をすることになっています。これは今度のいわゆる行政協定でも変更ありません。
○横路委員 長官、あなたは、三月二十二日の予算委員会で、岩間正男君との質疑応答の中で、加藤防衛局長が言っておるじゃありませんか。横須賀、佐世保に入っていると、地方の総監部には連絡する、そこから海上幕僚監部には連絡がある。防衛庁長官は通知を受けなくても何も法的にはかまわないのだ。横須賀、佐世保の地方総監部には入るぞという連絡がある。通常の場合ですよ。通常の場合でも、そこから海上幕僚監部にまで通知があって、あなたのところにはないのですよ。わざわざここに通常の場合と書いたのは、戦闘状態のようなときには、これは入港の通知すら、私が今申し上げた地方の海上総監部から海上幕僚監部にも通知がない。平常においても、防衛庁の長官には通知がない。それをまして戦闘状態に入ったときには、全然通知がないように――私がいいかげんなことを聞いているのじゃないですよ。長官、これは前の行政協定に基づいて、そしてあなたが、三月二十三日の参議院の予算委員会における岩間正男委員との質疑の中で、はっきり言っている。しかも、その岩間君の質問の中には、この通常の状態においてというところを指摘してない。通常の状態のときだけ、地方の海上総監部から海上幕僚監部に通知があって、通常の場合でも、防衛庁の長官は全然報告する義務を受けてない。まして戦闘状態になった場合には、全然通知を受けないのですよ。いつ入って、いつ出て行ったものか、戦闘状態においては全然通知を受けないものが、何で事前協議の対象になりますか。ならないではありませんか。
○藤山国務大臣 条約第六条の交換公文において、はっきりと、日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用を事前の協議の主題とするということで、条約上書いてあるのでありまして、通知のあるなしにかかわらず、戦闘作戦行動をいたしますときは、事前協議をいたさなければなりません。
○横路委員 それは外務大臣、外務大臣がわきから出て御答弁されたことはけっこうですよ。しかしそれは、第六条の交換公文で、日本の施設及び区域が作戦基地として戦闘作戦行動に使われるときは、なるほど事前協議の対象になりましょう。しかし、合衆国の軍隊の地位に関する協定の第五条で、平常の状態においても、横須賀、佐世保は、地方の総監部から幕僚監部に上がって、防衛庁の長官には報告はない。ところが、戦時、戦闘状態のときにおいては、いつ入って、いつ出たか、これは入港に対しての通知も何らないのです。これが合衆国軍隊の地位に関する協定の第五条に書いてある。(発言する者あり)勉強しない人がそういうことを言って、よくないですな。――そこで長官、私は長官にお尋ねしている。あなたは当面の責任者なんだから、ほかのことならいいですが、合衆国軍隊の地位に関する協定の中で明らかに書いてあるじゃありませんか。あなたはおわかりでしょう。今私が読んだこの第五条です。そうすれば、戦闘状態に入ったときは、横須賀、佐世保に入港して出ていくことについても全然通知がないのに、何で一体事前協議の対象になりますか。何もならないじゃありませんか。私は長官に聞いているのですよ。これでも、長官、なりますか。ならないでしょう。
○赤城国務大臣 第五条の第三項によって、通知を港湾管理者また港長が受けます。また、自衛隊として、防衛庁長官は直接受けてはおりませんが、横須賀の司令部から常時連絡を受けておりまするから、入港した場合あるいはここを去る場合に、連絡は受けております。
 それとは別といたしまして、先ほどから申し上げておりますように、今度の条約において、日本を作戦基地として日本から出る場合には、事前協議の対象になるということが、交換公文に書いております。でありますので、第七艦隊が作戦基地として日本の港湾を使うという場合号には、当然これは日本に、われわれのところに話し合いがなければなりません。これは交換公文の趣旨からいいましても、信義上からいいましても、そういう義務があるわけであります。でありますから、われわれはそれを受けて、適当であるか、適当でないかということを判定することに相成るわけであります。
○横路委員 長官、第七艦隊が横須賀、佐世保に入っただけで、それは重要な配置の変更になりますか。ならないでしょう。第七艦隊が横須賀、佐世保に入っただけでは、この第六条の交換公文によるところの、いわゆる配置の変更にはならないじゃありませんか。そこに配置されてないものが、配置の変更にならないということは――第七艦隊が横須賀、佐世保に入っただけでは、いわゆる重要な配置にならない。配置にならないものが、何で一体、これから戦闘作戦行動に出ますという事前協議の対象になりますか。配置されたものがこれから戦闘に出る場合に、なるほど、あなたのおっしゃるように、事前協議の対象になりましょうが、寄港しただけでは、これは配置にならないじゃありませんか。ただ寄港しただけでは、私が言っているように、入ったか出たかも全然通知すら行なわれない。
○赤城国務大臣 事前協議になる場合には、日本への配置の場合も事前協議になります。配置でなくて日本の基地を戦闘作戦行動に使用する場合も事前協議の対象になります。今の場合は後者であります。
○横路委員 それでは、長官にお尋ねしますが、この第五条――私が今言う第五条というのは、合衆国軍隊の地位に関する協定の第五条ですが、その第三項に、わざわざこう書いてございましょう。「1に掲げる船舶が日本国の港に入る場合には、通常の状態においては、日本国の当局に適当な通告をしなければならない。」なぜ、通常の状態というのをわざわざ書いたのですか。それじゃ、通常の状態というのは何ですか。
○赤城国務大臣 通常の通告というのは、合意議事録の三項に「「適当な通告」をする義務を免除されるのは、合衆国軍隊の安全のため又は類似の理由のため必要とされる例外的な場合に限られる。」こういう解釈になっております。
○横路委員 合衆国の軍隊の安全のためでしょう。そういうときには例外の規定としてそれは免除される。そうすると、戦闘作戦行動というのは、軍の機密なことです。甲の機密なことであれば、当然それはこの「通常の状態」でないから、それは通知についての義務からはずされることになる。
 次に私お尋ねしたいのは、第七艦隊の装備については、どういう装備が行なわれようと、装備についての重要な変更がどうあろうと、これは事前協議の対象ではないですね。その点はどうなんです。
○赤城国務大臣 装備の変更ということは、核準備をさしておることでありますから、核装備の場合には、事前協議の対象になります。
○横路委員 長官、私が聞いているのは、アメリカの第七艦隊ですよ。そのまま受け取ってよろしゅうございますか。第七艦隊の核装備等については事前協議の対象になる、これでよろしゅうございますか。
○赤城国務大臣 日本の港に入っておる場合に、そういう装備をする場合には、第七艦隊といえども、これは事前協議の対象になります。
○横路委員 そうすると、長官にお尋ねしますが、第七艦隊の艦上攻撃機については、それぞれ核弾頭をつけた核装備がされていることは明らかだ。これはアメリカの太平洋軍司令官その他がたびたび言明している。そうすると、今あなたのおっしゃるのは、横須賀に入港してくるのは、積んできているんだから、そのときは直ちにアメリカ軍とアメリカ大使とあなたと、それから外務大臣と、四人が集まって、そうして横須賀に第七艦隊が入港してきたときに、核装備をしている、そうすると、それについては一々あなたの方では事前協議の対象にして、そこで、はずせ、こう言うわけですか。それとも、横須賀に入る前には、御前崎のところでいわゆる水先案内その他に合図をするでしょう、それから入ってくる。その入ってくるときに、領海の前できちっととめて、その核装備についてははずせと言うのですか。そういうことが事実上行なわれていますか。長官、やはり一時のがれでなしに、事前協議の対象にならないなら、ならないとおっしゃっていただいた方が、ここの議論としては、国民に正しく伝えることになる。それを、第七艦隊が核装備をしておることは明らかなのに、一々、横須賀、佐世保に入港してくるときに、全部それが事前協議の対象になるなどということは、私はないと思う。その点ははっきり私はここでなさるべきだと思う。どうなんですか。
○赤城国務大臣 核装備をして入ってくる前に、事前協議されるわけであります。
○横路委員 それでは、長官にお尋ねしますが、第七艦隊が横須賀なら横須賀の港に入る前に、すでにその前に事前協議をして、そうして日本としてはノーと言うわけですね。そうすると、第七艦隊が横須賀に入ってくる前に、常に事前協議をして、核装備をしておるかどうかについて相談をして、日本は常にノーと言って、そうしてなるほど、向こうもその上で入ってくるということになるのですか。
 長官、二つお聞きしたいのです。今は、できないですね。今は、第七艦隊が横須賀にどう入ってきても、それは核装備をしておるかどうかは全然相談はできない。私はこのことを一つ聞きたい。それから第二番目にお尋ねをしたいのは、この条約が批准されたあとにおいては、今あなたがおっしゃるように、第七艦隊については核装備をしておるが、それは横須賀に入港する前に必ず事前協議をして、そうしてそれについてノーならノーと言って、そうして入ってくる、こういうわけですか。私は二つお聞きします。
○赤城国務大臣 核装備をしているという前提のもとですが、そういう前提は抜きにいたしまして、日本に入ってくるときに、核武装をして入ってくるという場合には、先ほどから申し上げましたように、事前協議の対象になります。今は事前協議の対象になっておりません。
 そこで、そのときに、イエスと言うか、ノーと言うかということは、そのときの協議のあれでありますが、核装備に対しましてはノーと言った場合には、これを拒否することができないという話し合いになっていることは、御承知の通りであります。
○横路委員 今の長官のお答えで――二つです。一つは、現在の条約、協定では、第七艦隊が横須賀に入る場合に、それが核装備をしておるかどうかということについて、事前協議の対象には全然なっていない。事前協議そのものがないのですから、何らそれについて協議することはない。
 その次、この条約の批准されたあとにおいては、第七艦隊が核装備をしているかどうかについては、常に事前協議をして、そうしてもしも核装備をしておるならば、入港はお断わりだ、今の長官のお話ですと、こういうように言うわけですね。長官、今そうおっしゃった。さきの方は了解しましたが、あとの方、この条約が批准されたあとに、第七艦隊が核装備しておるかどうかは、常に事前協議をして、核装備についてはノーと言うのだから、ノーと言ったら、横須賀、佐世保には入港しない、こういうわけですね。
○赤城国務大臣 日本では核装備をして入ってきては困るという日本の情勢というものはよく知っておるわけであります。でありますから、第七艦隊が核装備をして横須賀なりその他は入港してくるときには、事前協議の対象となるわけでございます。
○横路委員 今長官のお答えになったように、核装備をして入ってくる場合は事前協議の対象になる、こういうのですから、それで私がお尋ねしておるのは、核装備をして入ってくるときには事前協議の対象になるのだから、そのときには、核装備は困ります、ノーと言うというのですから――何べんも総理大臣や外務大臣は、ノー、ノーと言うというのですから、ノーと言ったときには、第七艦隊は横須賀や佐世保には入港しないのですね、こう聞いておる。そう聞いておるのですよ。
○赤城国務大臣 核装備をしてくるときと、してこない場合とあると思います。核装備をしておる場合には、ノーと言うのですから、入ってきませんし、核装備をしていないときは、第七艦隊は入ります。
○横路委員 それでは、長官にお尋ねしますが、核装備をしているときには、ノーと言うから、入ってこない、核装備していないときには、イエスと言うから、入ってくる、その第七艦隊が核装備をしておるかどうかということは、どこでそれを査察するのですか。今度来る第七艦隊は核装備をしていない、だから、イエスだ、今度来た第七艦隊は核装備をしているから、ノーだということは、日本政府は何によって査察するのですか。どこに権限がありますか。
○赤城国務大臣 査察とかなんとかという問題じゃありません。条約を締結いたしますから、条約の趣旨に従って、信義誠実の原則に従って、(笑声)自分たちが日本の考え方を侵して入ろうということはしない……。
    〔発言する者多し〕
○横路委員 私は、長官が二つに分けて、核装備をしていないときは入港してもらう、核装備をしているときには、事前協議でノーと言って、入港をお断わりするのだ、こう言ったから……(発言する者多し)長官が言ったから、私は聞いている。そうすると、その核装備をしているとか、していないとかいうことは、第七艦隊から防衛庁長官の方に、今度おれの方は核装備をしているが、どうなのか、今度おれの方は核装備をしていないが、どうなのかということの通知があるわけなんですか。
○赤城国務大臣 核装備をしなければ、あえて通知は必要ないでしょうが、核装備をして入ってくるときには、核装備をして入りたいけれども、事前協議をしたいが、どうか、こういうことになると思います。
○横路委員 いや、赤城長官、私はそれはずいぶんつらい答弁だと思います。それでは、第七艦隊が横須賀、佐世保に入るときに、核装備をしているが、入ってもいいかどうかということは、第七艦隊の司令官からくるのですか、それとも、ハワイにいる太平洋軍の司令官からくるのですか、それとも、アメリカ大使からくるのですか。それから、第七艦隊は在日米車の指揮下にないのですから、日本の政府、外務省、外務大臣並びに防衛庁長官に対して、今度の第七艦隊は核装備をしているが、入ってもいいかどうか、核装備をしていないが、どうかということは、どこから通知があるのですか。
○赤城国務大臣 先ほどから外務大臣が御答弁申し上げていますように、事前協議は政府と政府との協議であります。でありますから、政府と政府ということになれば、正式には外交ルートを通じて話があると思います。
○横路委員 これは、条約並びに合衆国軍隊の地位に関する協定の第五条、これからいって、私は防衛庁長官の御答弁は非常に苦しい答弁だと思う。
 なお、この問題について防衛庁の長官から、第七艦隊については、核装備をするときには通知がある、また、核装備をしていないときには通知はない、こういうことですが、このことは、第七艦隊については核装備をしている場合もあるということを政府みずからお認めになったわけですね。(「そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)この問題は、今の条約並びに行政協定では、第七艦隊について核装備されているかどうかについては、相談も何もない。第七艦隊については、去年の六月ないし八月に全部核装備が終わっていることは、公の機関でこれを発表しているのです。(発言する者あり)きょうは関連質問ですから、これで終わりますが、長官、これはやはりわれわれも議論をしているのですから、条約並びに合衆国軍隊の地位に関する協定で、そういう点は正しくここでお答えをいただいて、第七艦隊が、日本政府に対して、今度は核装備をしていないから、入るぞ、今度は核装備をしているから、事前協議の対象にするが、どうか、こういうことが事実上行なわれるものですか。しかも、この合衆国軍隊の地位に関する協定第五条の第三項で「通常の状態」――通常の状態とは、合衆国軍隊の利益に相反するようなことのない場合です。ところが、戦闘状態に入って、入港する、あるいは港から出るということが、軍事上の作戦の機密に触れる場合においては、全然通知の義務がない。しかも、長官は、参議院の三月二十三日の予算委員会で言っているじゃありませんか。地方総監部に対して入港の通知があって、海上幕僚監部には入港の通知があるけれども、法的には、防衛庁の長官には何ら入港の通知をする義務はない。それが今度の新しい協定でもそうなっているものを、それをそういうように――私は率直に言って、これは長官の強弁だと思う。これは苦しい答弁だ、しいて理屈をつけた御答弁だと私は思う。しかし、私は関連ですから、この程度でやめておきます。
○飛鳥田委員 私と委員の横路さんの質疑を通じて、海軍に関する限り、アメリカの意思によって、事前協議が始まり、アメリカの意思によってきまっていくということが明らかになってきたような感じがいたします。
 そこで、今度は空軍の問題について伺いたいと思いますが、今までこの委員会でも他の委員会でも出ていない点だけを拾って伺います。と申しますのは、日本には第五空軍が駐留をしている。この第五空軍の司令部は府中にあります。これも御存じだろうと思います。さらに、この府中にある司令部のもとに、日本国内では、三沢に三十九師団、板付に四十一師団、この二つが存在をいたしますことにあやまちはないだろうと思いますが、この点はどうでしょうか。
○赤城国務大臣 府中に司令部がありまして、三沢に、連隊といいますか、飛行隊があります。板付には四十一師団の司令部はありません。
○飛鳥田委員 そのほかに、第五空軍の一部、第五空軍の指揮下にある部隊が、南鮮の大邸に駐屯をしておる。これはたしか三百十四師団といわれていると思いますが、いかがでしょうか。
○赤城国務大臣 第何という番号はよく承知しておりませんが、朝鮮に飛行隊がおります。
○飛鳥田委員 さらに、第五空軍の一部が沖縄にも駐屯をしておる。三百十三師団と呼ばれておるように思いますが、これはどうでしょうか。
○赤城国務大臣 沖縄にもおります。
○飛鳥田委員 そこで、私非常に疑問が出てくるのですが、韓国の大邸に駐屯をしている部隊は、第五空軍の命令下に動いているわけです。沖縄に駐屯している部隊も、府中の司令部のもとに行動をしているわけです。そういたしますと、願うことではありませんが、もし南鮮で問題が起こって、第五空軍の一部である大邸の部隊が、府中の指揮命令に基づいて行動を開始する、こういうことはあり得るだろう、戦闘作戦行動をやる、こういうことになると思います。そうした場合に、その司令部は東京の府中にあるのですから、向こうは、当然、日本が第三国性を失ったものとして、この府中の司令部を爆撃してくるということも許されるのではないだろうか、あり得るのではないだろうか、こう私は考えます。もしそうだとするならば、朝鮮の大邸に駐屯している第五空軍の一部すなわち、府中から指揮命令を受けている一部、これが戦闘作戦行動をやる場合も事前協議の対象といたしませんと、結局戦火が日本に及んでくるということにならざるを得ないのではないだろうか。この大邸における第五空軍の一部は、事前協議の対象となりますか。
○赤城国務大臣 事前協議の対象になりません。
○飛鳥田委員 もし事前協議の対象とならないとすれば、事前協議という制度を設けた基本的な趣旨に反するのではないだろうか。日本が不必要に戦火の中に巻き込まれたくない、そして日本人の判断によって事を処したい、こういうことが、事前協議ということをこの条約の中に大きく浮かび上がらせた基本的なものだろう、こう私たちは理解しておりました。そしてそういうあなた方の御趣旨がはたして生かされるものかどうかと思っていろいろ考えてみますと、こういう問題にぶつかります。これでは大邸の第五空軍の一部は自由自在に戦闘をし、それがちゃんと日本に戦火を巻き込んでくる原因になるじゃないですか。なぜ事前協議の対象にできないのか。日本に駐屯しているかいないかは大して重要ではありません。先般申し上げたように、府中にある司令部が命令を発して戦闘作戦行動をやるのですから、当然、府中の施設及び基地を使って戦闘作戦行動に入っているものだと考えるより仕方がないじゃないですか。なぜこれが事前協議の対象にならないのですか。こんなに事前協議の対象を狭く狭く狭く解釈して、アメリカ軍の自由をみんな許してしまうというやり方に対して、私たちは疑問を持たざるを得ません。
 もう一度伺います。沖縄だとか大邸にある第五空軍の一部が、府中の第五空軍の指揮命令に基づいて戦闘作戦行動に入るということは、事前協議の対象とならないのですか、なりますか。
○赤城国務大臣 日本に駐留しておる在日米軍は、日本防衛のためだと思います。それと違う意味で駐屯しているものに対して日本の司令部から命令をいたしたといたしましても、それは日本の防衛と関係ない場合が多いと思います。大体関係のないことだと思います。でありますので、これを、日本の基地を使う行動としての事前協議の対象に入れるのは、筋が通っておらないと思います。
○飛鳥田委員 日本の基地、すなわち、施設及び区域を米軍が利用するのは日本の防衛のためのような御説明ですが、もう一ぺん条文を読んでいただけないでしょうか。ここには、極東の平和と安全を守るためにというふうになっているのであって、日本を防衛するためにと、それだけで、こういうふうには書いてないのです。いかにあれでも、私たちだってそのくらいは知っています。当然、そういうことを理由として日本に戦火が引き入れられていくのです。その点における長官の御答弁の錯誤が一つ、もう一つは、かりに極東の平和と安全並びに日本の平和、こういうふうな二つのテーマを設定したとしても、朝鮮における戦闘というものは、日本の平和に無関係ですか。
○赤城国務大臣 日本の平和と安全は、極東の平和と安全に関係があることは当然です。ただ、大邸及び沖縄は、日本の基地を使用しての場合でありませんから、事前協議の対象になるというわけではない、こう申し上げた次第であります。
 それから、朝鮮における問題が日本の平和と安全に関係がないかということでありますが、これは非常に関係があります。
○飛鳥田委員 一つの軍というものは、前線の部隊と司令部とを分断して、これはこれ、これはこれというような説明のできるものでしょうか。私はそうは思えないのです。私は、専門家の赤城さんがそういうことをおっしゃるのにはちょっと驚きました。防衛庁の長官は、北海道に駐屯している部隊と無関係です、こんなばかげた話は、一体どこの国で通用するのか、ちょっと私は伺いたいと思います。これは余興です。
○赤城国務大臣 日本における私の場合と北海道の部隊と非常に密接な関係があることは、当然でございます。在日米軍としての第五空軍と、大邸におるアメリカの空軍、これは、日本から見れば、国が違うところにおるのでありますが、向こうの空軍から見れば、これは指揮系統は一つになっております。これは当然そう考えます。
○飛鳥田委員 一番アジアにおいて問題があるのは、私は、やはり朝鮮半島である、こう考えているわけです。そしてこれは自民党の方といえども、どの方といえども、そう御否定にはならないだろうと思います。一番危険な地帯に、日本の府中の指揮下にある一部隊が駐屯しておって、日本の府中の第五空軍の指揮命令によって戦闘作戦行動を行なうわけですよ。それを日本の側から見れば、日本の土地の中にいないから在日米軍ではない、こんな形式的な区別で問題を解決してほんとうにいいだろうか、こう私は考えないわけにいかないのです。それはきっと私だけではないに違いない。日本国民全体と言うと、自民党の方々にしかられますけれども、相当な部分の人たちが私と同じような危惧を持っているだろうと思います。その場合に一体どうなります。当然、南鮮の大邸にいる空軍が被害を与えた相手国、その国は、十ぱ一からげにして府中もやっつけよう、沖縄もやっつけよう、朝鮮もやっつけようという考え方をせざるを得ないでしょう。現に先ほど石橋君の質問に対して、もし日本に対して攻撃があった場合には、座して死するわけにいかないから、その基地をたたくと言ったじゃないですか。反対の側からも同じことが言えるでしょう。大邸におる第五空軍の一部をたたいて事が済むのならば、戦争なんて簡単ですよ。これはその司令部をたたくというのが当然のことじゃないですか。従って、この問題を少なくともあなた方が事前協議の対象になさらないとするならば、その事前協議はしり抜けですよ。しかも、アジアにおいて一番危険な地帯にいるのです。これでは、事前協議、事前協議と、岸総理が何べんおっしゃってみたところで、国民は、何だ、また言ってやがらあという程度にしか聞きませんよ。どうでしょう、岸総理、私が今申し上げたことは、そんなにむずかしい戦術上の問題ではありません。明敏なあなたですから、お聞きいただいてもう十分事態は御理解になられたと思いますが、総理、この問題についてはいかがでしょう。
○赤城国務大臣 ……
○飛鳥田委員 私は総理に伺っておるのであります。赤城さんがお答えになるのはけっこうですが、総理がお答えになりましたあとで、政府委員として御自由に御発言して下さい。
○赤城国務大臣 大邸におる空軍が行動を起こして紛争に巻き込まれ、それによって、司令部である日本における第五空軍が爆撃を受けるだろう、こういう御心配のようであります。しかし、前提において非常に簡単に考え過ぎておると思います。朝鮮の飛行隊がそういう行動を起こすには、軽々しく行動を起こしません。また、そういう行動を指示するのに、日本の空軍は、日本の基地を攻撃されるような状況のもとにおいて命令をするというようなことは考えられません。そういう紛争が起きるというような事態に処しては、もっと大所高所というか、大きい立場から行動を命令すると思います。でありまするから、それを簡単に日本が攻撃されること――これは朝鮮と日本の第五空軍の指揮系統からばかり考えて、日本が直ちに攻撃を受けるような事態を起こさせるような仮定といいますか、そういう想定をされることは、少し早計だと思います。
    〔「総理答弁」と呼び、その他発言
  する者あり〕
○岸国務大臣 ただいまの飛鳥田君の御質問に対しましては、防衛庁長官が先ほどからお答え申し上げております通り、この事前協議の対象となる問題は、要するに、日本の施設及び区域を作戦行動のために使用するという場合に、これを事前協議にするということであるわけであります。今お話の、第五空軍の大邸における飛行隊が行動するという場合において、ただ府中にあるところの空軍司令官の指揮のもとにあるというだけでもって、直ちに日本の施設・区域を使用しての作戦行動と見るということは適当でなかろう、私はこう考えております。これが先ほどから防衛庁長官がお答えをしておることでありまして、なお、その事態がいろいろ非常に慎重な考慮を要するとかいうようなことは当然なことでありまして、これは言うを待たない。本質的に考えると、われわれはそう解釈いたしておるのであります。
○飛鳥田委員 二の問題があります。前半は、防衛庁長官でなくてけっこうです。もっと専門の方に伺いたいと思います。もう一つは、防衛庁長官あるいは総理に伺いたいと思います。まず第一に、ここには戦闘作戦行動と書いてあります。ミリタリー・コンバット・オペレーションズと、たしか「ズ」と、複数になっているはずです。戦闘作戦行動、この中には指揮という行為を含まないのですか。僕は初めて伺った珍説なんです。当然、戦闘作戦行動という言葉の中には指揮、命令を含み、作戦を含む。そういうものを含むからこそ、ミリタリー・コンバット・オペレーションズと、Sになっているはずです。何か長官や岸総理の戦術観念というものは、もう最前線に立って小銃か何かをどんどんぱちぱち撃ち合っているところだけを戦闘作戦行動とお考えになっているようです。少し古くないじゃないでしょうか。今は、いかに戦略を立て、いかに指揮をするかというところにむしろ重点があってそれに即応した最前線における戦いというものが、また並行するのです。こういう点から考えれば指揮行為、それも、単にお前はあっちへ転任だというような程度の指揮と違って、現実の戦闘作戦行動に対する指揮、これは当然第六条に関する交換公文のミリタリー・コンバット・オペレーションズの中に入るものだと私は思います。もし入らぬというお説ならば、それをはっきり一つ防衛庁の専門家から伺いたいと思います。私は防衛大学の教科書などもひっくり返して見ました。ちゃんと入ってますよ。この点が一つです。
 それから、第二の問題は、それは、もちろん慎重な行動がとらるべきはあたりまえで、そう軽率に事を処せられては世界の人民がたまりません。もちろん慎重な準備の上にやる、これはわかります。ですが、上手の手から水が漏れるという言葉もありますように、やはり自分の思惑通りにいくなんということだけを考えることは不可能でしょう。あなた方の観念は、いつでもアメリカが勝つ、こういう観念の上に立っているようにしか聞こえません。幾つかある可能性の中で、今申し上げたように、大町の空軍部隊が戦闘を開始して、指揮命令所であるところの府中にまで戦火が及んでくる場合も相当可能性として強いのではないか。これオンリーだなんて私は言っていません。そういう可能性をも予測しなければならない。国の安危にかかわることですから、少なくとも、あなた方政府の当局者、また私たちは、できる限りの場合を考えて、そのすべてを包括するような態度をとっておくことが重要ではないだろうか、こう思うから私は申し上げているのです。よく仮定の論議とかなんとかいうお話が出ましたが、あり得る仮定は当然予測し、これに対して防御の措置をとっておくことが政治家の任務です。当然、私の申し上げたような場合が、相当濃い可能性としてあり得る、私はこう申し上げたのであって、あなたはその可能性を決定的に否定せられる根拠をお持ちならば、一つその根拠を伺わしていただきたい。ばく然として、みんな慎重にやるから大丈夫でしょう、こういうことでは国民がたまりません。こういうことまで慎重にこまかく考えていただくこと、それ自身も国の防衛という言葉の中に含まれるはずです。二つの問題について、前とあとに分けて伺わしていただきたいと思います。
○赤城国務大臣 戦闘作戦行動に指揮が入るかどうかと言われますが、これは、行動と一体となった場合はもちろん入りますが、指揮だけでは入らないと思います。たとえば第五空軍が朝鮮の大邸の空軍を指揮したということだけで、戦闘作戦行動で日本の基地を使ったということにもなりませんし、それは入らないと思います。それから第二の、慎重にやれということは、こういうことです。私は、慎重にやらなければならぬ。この条約によりましても、戦争や紛乱を起こすための条約ではありません。でありますから、大町の飛行隊を動かすということについて、府中の第五空軍が命令するにいたしましても、その命令の結果が日本の基地を爆撃されるようなことであろうという場合には、これは第五空軍だけの命令ではなく、もっと極東の大勢を見きわめた、上の方からそういうことに対しましては命令が出るだろう、でありまするから、簡単に、府中から命令を出して日本の基地が攻撃されるような、そういうことは慎重を欠くので、私はやらないという見通しを持っています。また、当然だと思います。条約そのものが、極東を、朝鮮を中心とした紛乱に巻き込もうというのじゃありませんから……。巻き込もうというのであれば、そういう軽率なことをやるかもしれませんが、そうでない場合には、もっと大所高所、上部の方から命令が出たり、慎重な命令によって行動されることになる、こういうふうに私は見ておるわけであります。
○飛鳥田委員 慎重に大所高所から命令がくるとおっしゃる。それなら、当然あなた方もまたこの問題について事前協議の対象とせられる必要があるのじゃないですか。事前協議の対象から軽々にこういう問題をはずしてしまうことも少し軽率じゃないだろうか、こう私は考えざるを得ません。同時にまた、指揮ということが、現場で行なわれている戦闘を指揮するだけで、地域的に離れていれば、もうそれはミリタリー・コンバット・オペレーションズの中には入らないというお考えは、そうはっきりお述べになったのですから、きっとお取り消しにならないでしょう。しかし、日本じゅうの人がこの速記録を読んで笑いますよ。今は、もう無電によって地域的な距離というものは克服されているのです。従って、地理的に百里離れているか五里離れているかなどということは問題の重心にはならないということを一つよく考えていただきとうございます。私たちは、こういうものも当然事前協議の対象たるべきものとあなた方がおっしゃると考えておりました。ところが、それをはずしてしまったのでは、日本に戦禍が及ぶ火種を公然とお認めになった結果としか思えません。
 同様な事例ですが、こういう点はどうでしょうか。立川の飛行場は、太平洋地域航空資材廠付属の飛行場ということになっております。私も何べんか中を見せていただきましたが、この中には膨大な修理工場ができております。こうして極東地域の飛行機は、破損をいたしますとここに飛んで戻ってきます。修理をしてまた戻ります。また、いろいろな補給をやりに立川にやって参ります。すなわち、一々アメリカ本土まで持って帰って修理をしたのでは追っつかないのです。なぜかといえば、戦闘行為を行なっているさ中には一刻の時間もほしいから、そこで日本の立川の飛行場の中に太平洋地域航空資材廠というものを設け、ここの修理工場を使っている。アジアの極東地域における飛行機のセンターといって差しつかえがない。ここにはグローブ・マスターなどというような大きな飛行機に積まれて、アメリカ本国からあとからあとから大きな資材が運ばれているのを御存じだろうと思います。私たちは砂川闘争でこれをよく見ました。もしそうだとすれば、そういう補給所あるいは修理工場、こういうところは、当然戦う戦力の一部だと考えないわけにいかないのではないか。従って、沖縄なり朝鮮なりで戦闘が起こった、その場合にその修理工場、補給所をたたくということはあり得ることではないでしょうか。こうなって参りますと、当然立川の飛行場に付属してある太平洋地域航空資材廠というものの活動それ自身についても、あなた方は事前協議の対象として十分御相談になっておかなければならない部分だろう、こう私は思いますが、いかがでしょうか。
○赤城国務大臣 先ほどお話がありましたように、軍隊の指揮が無電やその他遠くの方からやることは承知でございます。ただ、問題になっている戦闘作戦行動の基地として日本の基地を使用する場合を私は申し上げておるので、そういうものの典型的なものは、戦術任務を与えられた航空部隊とか、空挺部隊とか、上陸作戦部隊等の発進基地としての施設・区域を使用する場合、これが事前協議の対象で、その場合の戦闘作戦行動を申しておるのでありまして、一般的な御説明と飛鳥田さんが説明されているものと、その点は私は違って申し上げたのであります。
 それから、立川等におきまして、修理あるいは補給の機能を持った部隊がおる、これに対しまして攻撃をされるおそれもあるじゃないか、こういう御心配でございます。全然攻撃されないという保証もないと思います。しかし、あえてこういう修理工場等を攻撃するということに対しましては、やはり日本を敵とするといいますか、日本を攻撃するという意思が相手方になければ、そういうことはあり得ないと思います。そういうことまで冒してやるということにつきましては、これは相当冒険でもあり、極東の紛乱も拡大した場合であると思います。そうでない場合に修理工場等を攻撃するというようなことはあり得ない、私はこういうふうに考えます。
○飛鳥田委員 現実に一例を、わかりいいように、大邱で戦闘が始まった、そういう場合にとってみましょう。向こう側にしてみれば、たたいてもたたいてもすぐ立川に戻って、修理して戻ってきてしまう、そうして戦力はますます増大していくということになれば、その補給基地をたたけというの、もう戦術上の当然の常識じゃないでしょうか。私は補給もまた戦闘作戦行動の一部なりと考えておるわけです。あなたの防衛大学の教科書にもそう載っておりました。この国会における御答弁では、無関係だとおっしゃる。そういうふうに、現実に接着した、目の前でどんどんぱちぱちやっておるところだけに限定をしていこうという考え方自体が古くはございませんかと私は伺っているわけです。今申し上げたように、修理工場、補給基地というものも、またそれが戦闘作戦力を増強するものである限りは、戦闘作戦行動の一部と考えていくのが当然だろうと私は思いますが、これについても、あえてそうでないとおっしゃるのですか。もし、そうおっしゃるのならば、はっきりおっしゃっておいていただきとうございます。そういう速記録を防衛大学の学生諸君にお送りして読んでいただきましょう。
○赤城国務大臣 どうもあなたは一般的の場合と事前協議に極限された場合とを一緒にして御議論されておるようですから、その点は、私と非常に違うところが多いのであります。そうしてまた、戦争をやるという前提のもとに、戦争が起こるという前提のもとに、日本が直ちに攻撃されるという前提のもとにお話しのようでございますが、私は、今度の条約におきましても、あるいは事前協議におきましても、紛乱に巻き込まれない、戦争を起こしたくない、そういう前提のもとで、慎重に配慮されたものがこの事前協議であると思います。でありますので、一般的に古い観念からいえば、補給基地でも修理工場でも攻撃します。しかし、新しい観念からいえば、相手方を攻繁しないということが建前であります。なるべく戦争を避けるという考え方で、これは、日本に修理工場があっても、直ちにそれを攻撃して戦乱に日本を巻き込もう、日本を敵として戦おうというような古い考え方は持っていないのじゃないか、こう考えます。
○飛鳥田委員 結局、今の長官のお説は、相手方の善意を信じますということに尽きるだろうと思います。多分、日本を戦乱に巻き込まないためにやらないでしょう、こういうことに尽きていると思います。私は、そういう単なる希望的な観測だけで問題を処理していくことについては反対です。しかし、もうこれ以上私はこの点についてあなたに質疑しようとは思いません。すべては、こうした速記録を読んで下さる国民が知ってくれるでしょう。
 そこで、今まで私は事前協議だけに集中して問題を伺ってきましたが、事前協議に関する問題を一応ここでとどめて、次に伺いたいと思いますことは、自衛隊の性格と行動の問題であります。これは新安保条約の事実的な基礎となっているだろう、こう考えますので、この点について、新安保を論ずる以上論及をしないわけに参りません。まず、私、冒頭に藤山さんに伺っておきましたが、日本の自衛隊というものは、米軍のあごの先で使われるものではない、自主的なものであって、作戦の打ち合わせ、まあ、連絡とおっしゃいましたが、連絡、あるいは第四条における協議、五条における共通の危険に対処して行動をする、そういう場合においても自主的なものであって、決して向こうのあごの先で使われるものではない、こういう御説明があったように思いますが、そう信じていらっしゃいますか。
○藤山国務大臣 その通り信じております。
○飛鳥田委員 多分、そうお信じになっていらっしゃるだろうと思いまして、はなはだ失礼でありますが、二、三の事実をあげて、外相にお考え直しをいただきたい、こう私は考えます。その第一の事実として、長官に伺いますが、日本の自衛隊はガソリンをどのくらい補給していらっしゃいますか、あるいは弾薬をどのくらい補給していらっしゃいますか。
○赤城国務大臣 補給という言葉がわかりませんが、事務当局から答弁させます。
○飛鳥田委員 持っているという意味です。貯蔵という意味です。
○加藤(陽)政府委員 ガソリンにつきましては、ただいま手元にこまかい数字を持っておりませんので、後刻報告したいと思います。弾薬は現在約十万トン持っております。
○飛鳥田委員 何カ月分ですか。
○加藤(陽)政府委員 これは弾種によっていろいろ異なるのでございまして、ある弾種につきましては数カ月分、ある弾種は数日分というふうなものもございます。
○飛鳥田委員 ガソリンは何カ月分ですか。
○加藤(陽)政府委員 ガソリンはただいま資料を持っておりませんので……。
○飛鳥田委員 大体どうですか。
○加藤(陽)政府委員 ただいま持っております資料でお答え申し上げますと、陸上自衛隊、航空自衛隊の在庫は、ほとんどランニング・ストック程度のものでございます。海上自衛隊といたしましては十一力八千キロリットルぐらいの備蓄を持っております。
○飛鳥田委員 これ一つを、ぜひ一つ藤山さんに見ていただきたいと思います。たとえばガソリン、ガソリンは、軍隊の活動のためには欠くべからざるものです。戦闘作戦行動などというりっぱな言葉をさっきから私たちは使っております。ところが、陸上自衛隊、航空自衛隊はランニング・ストックを持っている程度だ。何日走れますか。かりに防衛の現実の段階に入ったら、せいぜい三日と持たないのじゃないでしょうか。そこで、さすがに経団連の防衛生産委員会ですか、その人たちも心配して、もっとガソリンを貯蔵しろ、こういうようなことを進言したはずです。しかし、現実には、もう三日か四日しか走れない軍隊、走れない飛行機、走れないトラック、走れない装甲車、こういうのが今の現実です。それから、弾薬については、あるものは数日、こうおっしゃる。今一番自衛隊で欠けている弾薬は、少なくとも小口径の弾丸です。大口径のものは何日分か持っていらっしゃるでしょう。しかし、これも一月分以上持っていらっしゃるとは私は思えません。最前線の兵隊さんこそいい迷惑ですよ。現実に戦闘行為を行なっている最中に、三日たったら、もうたまは切れちゃう、こういうことになるでしょう。これは一体何を物語るかということであります。私は、これを名づけて貧血の自衛隊と言わないわけにはいかない。ところが、この問題を、私は今まで何べんか伺ってきたのです。と申しますのは、木村防衛庁長官のときに、私は、自衛隊のガソリンはどのくらいお持ちですかと聞きましたら、平時の一カ月分でございます、こうお答えになりました。それから四年、伊能防衛庁長官のときに、また再び伺いました。すると、また一カ月分とお答えになりました。今はもっと少なくなってランニング・ストックしか持っていない、こういうことであります。これは何を物語るか。その間にあなた方はロッキードをお買いになり、その間にサイドワインダーをお買いになり、その間に三十五トン・タンクをお買いになり、何とかという警備艦をたくさんお求めになりました。しかし、買ったこれらのものはちっとも動けないのです。すなわち、五年も前でも一カ月、四年たっても一カ月、今では一カ月もない。これは何か。最後の首根っこをアメリカに押えられているということじゃないでしょうか。アメリカが備蓄を許さないのです。こうなれば、一体自主独立、対等作戦などとおしゃったって、三日目にはアメリカさんにガソリン下さい、たま下さい、こう言わなければ動けない軍隊なんでしょう。こういう現実を見ながら、なおかつ、あなたは対等だ、こうおっしゃるのか。私は、はなはだ疑問に思うのです。言葉だけはきれいに何べんでも言えます。しかし、現実を見よ。こういうことになって参りますならば、私は、この現実の上に立ってのみ事実を言うべきではないか、こう思います。一体、こういう形で日本の自衛隊が米軍の従属的な立場に立たされているという事実を、藤山さんはどうお考えになるでしょうか。
○藤山国務大臣 日米間の対等の関係というのは、単にガソリンの保有量だけではございません。やはり両国は緊密な連絡の上に立っておるわけでございまして、むろん、ガソリンも、足りない場合に協力していくということは当然でございますけれども、それで卑屈になる必要はないと思います。私は、卑屈になってそういう交渉をする必要はないのだ、対等の立場でいく、こういうことを考えておるわけでございます。ことに、今回の条約は国連に準拠しておることは申すまでもないのでございまして、従いまして、他国から侵略を受けて、そうして発動した場合には、国連の安保理事会にも直ちに通報いたしまして、その処置を待つわけでございます。そして、正当づけられれば、それによってさらに日米協力の関係の上にも大きな力になって、あるいはそれを処置していく場合もございましょう。そういうことでございますから、必ずしもガソリンの保有量だけで日本が卑屈になるということはないと考えております。
○飛鳥田委員 言葉だけはどうにでもおっしゃれます。しかし、現実においてこの問題を一つ見ても、米軍に従属せざるを得ないのではないか。これは力関係です。
 そこで、第二の事実を申し上げましょう。一体、自衛隊は年間どのくらいの不動産関係の予算を組んでいらっしゃるか。すなわち、施設、兵舎、こういう問題について、どのくらいのものを組んでいらっしゃるのか。
○赤城国務大臣 事務当局に答えさせます。
○山下政府委員 本年度予算におきまして、施設整備費は五十四億二千一百万円でございます。
○飛鳥田委員 そのうちで、現実に不動産関係と申しますか、基地に使うものは二十億程度じゃないかと私は思いますが、どうでしょうか。
○山下政府委員 基地と申されます意味がよく理解いたしかねますが、広い意味におきましては、大体自衛隊の基地に関係するものがこの施設整備費に包含されておるわけでございます。
○飛鳥田委員 その数字そのものについて、私はそうこだわるわけではありませんからけっこうですが、結局、千何百億もの予算のうち、ほんのわずかな施設實、こういうものしかお持ちにならぬということは、一体何を物語るのだろうか。すなわち、それは自衛隊が実は米軍の施設にほとんど同居をし、おんぶをしている、間借りをしているということに基づいているからです。世界じゅうのどこの軍隊を調べてみましても、こんなにもわずかな施設費しか計上していない軍隊は少ないのではないか。自衛隊が米軍の施設を共同使用している部分というのは一体何カ所ありますか。
○山下政府委員 個所数にいたしまして四十八カ所でございます。
○飛鳥田委員 四十八カ所と申しますと、自衛隊の大都分といって言い過ぎではなかろうと思います。すなわち、自衛隊は現実にアメリカの基地に間借りをしておる。間借りの自衛隊、こういうふうに私はよく言いますが、こういう間憤りの自衛隊という条件の中で、一体どれだけ対米従属的な性格を脱却できるのか、こういう疑問を私は持たざるを得ません。ガソリンだけではない、こうおっしゃいましたから、もう一つの実例をあげてみたわけです。まだまだこういう例をあげればたくさんあります。外務大臣いかがでしょう。
○藤山国務大臣 先ほども申し上げましたように、単に、日本の自衛隊の装備あるいは補給量、そういうものだけでもって日米が対等に話し言いをすることを妨げるものではなく、また、それだけで日本が卑屈になって、そうして、何か非常に従属的な気持になってアメリカに応対する必要は、私は毛頭ないと考えるのでありまして、両国のそれぞれの健全なる民族意識の上に立ちまして話し合いをするということは、対等の立場だと考えております。
○飛鳥田委員 時間もありませんようですから、そう私の方も同じような実例をたくさんあげるのを差し控えますが、これは藤山外相に一番関係がありますから、一つだけ同様な実例を申し上げておこうかと思います。たとえば、軍の行動をする権利、こういう点を一つ見ましても、自衛隊法第百三条、第百四条によって、自衛隊は特に他の官庁に優先して、あるいは一般国民に優先して鉄道を使ったり、電信電話を使ったりすることができるという規定があります。これは防衛出動のときだけです。平時にはその権利がありません。ところが、行政協定の七条を見ますと、米軍は戦時中、平時を問わず、場合に処して、優先して一切の公共の施設及び役務を利用することができるということになっています。すなわち、日本の自衛隊よりもさらに優先して米軍の方が行動ができるのです。かりに、緊急に行動する必要が両方に出てきた。そういたしますと、鉄道を使いたい、自衛隊も優先して使いたい、それよりもさらに米軍の方が優先して使えるということになるのです。この日本の国内において対等であるべき、卑屈にならないでやりたいと思っているこの二つの軍隊が、明らかに米軍優先という規定をお設けになっているということは、一体どういう意味でしよう。
○藤山国務大臣 今の飛鳥田氏の地位協定の解釈は若干違うようでございますので、条約局長から御説明をいたさせます。
○高橋(通)政府委員 ただいまの地位協定第七条でございますが、これは、前の行政協定と同文でございます。「合衆国軍隊は、日本国政府の各省その他の機関に当該時に適用されている条件よりも不利でない条件で、」とございますので、そのつど、その時々に適用されている条件よりも不利でない条件で利用することができる。
○飛鳥田委員 その次の優先……。
○高橋(通)政府委員 その利用における優先権を持つということは、利用及び優先権を持っている場合は、また特別な恩恵がある場合にはそれによるということでございまして、その各省その他の機関よりも、よりよい条件でしなければならない、こういう規定ではないというふうに考えております。
○飛鳥田委員 これはおかしなことで、当然優先してと書いてある以上、その文字通りに解釈するのがあたりまえで、一般官庁が国民よりも優先して使える、その優先権と同じ優先権なんという、そういう説明はおかしいじゃないでしょうか。現に、それならボン協定あるいは米比協定、米英協定をごらんなさい。ここには優先なんという言葉は一字も出てこないのです。日本のこの行政協定、そして今度新しくできる協定、この協定にだけ優先という言葉が出てくるのであって、日本の官公庁である自衛隊よりもさらに優先して米軍がこれを利用できるということは、当然じゃないでしょうか。
○高橋(通)政府委員 この点は、先ほど申し上げましたように、各省及び機関に適用されている条件よりも不利でない条件、いわゆる最恵国待遇と申しますか、そういうことで、各省各機関並みに行なえばそれで十分であるという解釈になっておりまして、優先権におきましても、各省各機関が特別な優先権を持っておりますれば、その優先権並みには扱わなければならない、しかし、全部各省各機関に右へならえをして、それ以上の不利でない条件でありさえすれば十分であるというふうに解釈をいたしておりますので、この解釈で双方とも行なっておるわけであります。
○飛鳥田委員 それなら、当然米英協定、米比協定のようにこの条文をお改めになる必要があったんじゃないか。米比協定、米英協定には、そういう言葉は一つも出てきません。お比べになってごらんなさい。米英協定、米比協定には出てこないものがここに出てくる以上、当然私のような解釈をする以外に解釈の仕方がないじゃないですか。しかし、もうこれは議論になりますし、時間もありませんから、あなた方の曲がった解釈に対して、私は、あらためて御忠告を申し上げる程度にとどめます。しかし、いずれにもせよ、現実の事態が起こったときに、自衛隊と米軍とどっちが優先して使えるのですか。
○高橋(通)政府委員 この条文に従いますれば、自衛隊と全く同一の条件での利用を享有することができるわけであります。
○飛鳥田委員 ともかく、そういう形で私たちは考えます。しかし、もう時間がありませんから次に移りますが、以上のような諸点を幾つか見ていただいても、日本とアメリカの両軍の間には主従の関係があり、現実には、向こうのガソリン、弾薬、こういうものによってチェックされている、こういうふうに考えざるを得ないわけです。
 次の問題に移ります。こうした自衛隊の性格をもって行動をする場合、この行動は、当然アメリカに従属をせざるを得ないだろう、こう私は考えます。現に、その一つの事実として、私は、また防衛庁から一つの文書を出していただきたいと思います。それは、防衛庁で昭和三十一年十一月お作りになり、当時の陸幕長筒井竹雄陸将の名で出されたCBR作戦関係教範というものを一つ御提出をいただきたい、こう思うのですが、御承諾をいただけますか。
○赤城国務大臣 今のははっきりわかりませんが、参考のために訳したものはありますが、何か教範ということですが、今御指摘のような教範というのは、今、私記憶ありません。
○飛鳥田委員 CBR教範というものが現実に存在している。Cはケミカルで、毒ガスです。Bはバクテリアで、細菌です。Rはラジェーションで、放射能を意味します。この三つの作戦教範というものが、現に発行されている。全文二百五十六ページ、こういうものをあなた方は部隊にお配りになっている。ところが、それを読んでいきますと、びっくりすることが出てきます。そういう点で、ぜひこれはお出しをいただきとうございます。これを出していただくことによって、今までの、岸さんやあるいは長官がお答えになってこられた御答弁は、すべてくつがえってしまうんじゃないか、こう私は考えます。そして、自衛隊が何をもくろみ、何をたくらんでいるかが明らかになってくるはずだと思いますが、そういう意味でお出しをいただきたいと思います。
○赤城国務大臣 今御指摘のようなものは、持っておるかどうか調査いたしてみます。こういうものはあるんです。核兵器に関する外国文献ですが、アメリカの陸軍式幕僚大学の参考書があります。これがありまして、それを翻訳いたしまして、核兵器の効果とか、放射能の測定、これに解説したもので、一部高級幹部に研究用に配付したものはあります。これと、今御指摘のは一緒なんですか。これならあります。
○飛鳥田委員 参考用としてではなしに、現実にお配りになっているものを私はいただきたいと思います。(「今のもついでに出させろ」と呼ぶ者あり)今のも、ついでに出していただいてけっこうです。この中で、単に翻訳というふうにおっしゃっておりますが、翻訳でない言葉がたくさん出てきますから、出していただければ、翻訳か翻訳でないかは明らかになると思います。たとえば、その中の一つを見ますと、こう書いてあります。「陸軍、海軍及び空軍は、CBR戦遂行のためには独立または統合的に編成される。統合幕僚会議議長は、――これは日本のでしょう。「統合幕僚会議議長は、毒性物質を使用する戦争を遂行するための方針を決定して、陸海空各部隊に命令を発する。各部隊は、CBR戦の任務の遂行が全般の軍事的達成のため必要とされる場合は、時と所とを問わず、いかなる場合もこれを使用しなければならない。」こう書いてあります。すなわち、毒ガス、細菌、原子兵器、これらの「任務の遂行が全般の軍事的達成のため必要とされる場合は、時と所とを問わず、いかなる場合もこれを使用しなければならない。」こういうふうに書いてあるわけです。今までのお説と全然違うわけです。そういう意味で、私たちは一驚せざるを得ない。しかも、この問題について、さらに目次を見ますと、今まで核兵器を使わないと言っていらっしゃったにもかかわらず、第十章、「攻撃におけるCBR戦術」、こういうのがあります。「攻撃におけるCBR戦術」、これによりますと、敵陣突破作戦における原子兵器の使用には、敵陣との間に、百メートルごとに発煙筒を立てろなどということが書いてある。こういういろいろな問題について、非常に私たちとしてはふに落ちないものが入っております。こういうものを現実に自衛隊はお使いになり、そして配って、国会へ出てくると口をぬぐって、原子兵器は入れません、海外派兵はいたしません、自衛のためだけでございますなどとおっしゃっても、これはひどいでしょう。やはり私たちは、そういうあなた方のやっていらっしゃった事実を国民に見ていただいて、その上で判断をしてもらわなければならないのです。そういう点で、この点について皆さん方がこれを出していただけるかどうか、こういう点をお答えいただきたいと思います。
○赤城国務大臣 大へん御独断のようであります。自衛隊といたしましては、核兵器をもって攻撃するような教範は持っておりません。ただいまお話を承っておりますと、多分これは外国文献を翻訳したものだと思います。先ほど申し上げましたのも外国文献の翻訳でありまするから、統合幕僚監部なんというのはアメリカにもありますから、そういう翻訳だと私は思います。自衛隊本来のものではないと思います。なお、せっかくでございまするから、お持ちでありまするならば、どういうものであるかちょっとお見せ願えれば、なお私ども、非常に都合がよろしゅうございます。
○飛鳥田委員 私は、出していただきたいということをお願いしておるのであって、私の方からお見せをするなどということを申し上げてはおりません。当然自民党の側で、この問題は、おっしゃるように出していただいて――政府の側で出していただいて、そうして、その上で現実に私は議論を進めたい、こう考えるのであります。私たちはこの問題を見てきたのです。現物は持っておりません。(「どこで見てきたか教えてやれ」と呼ぶ者あり)防衛庁の図書館で見て……。今おっしゃったように、そういう準備はしておりません、こういうことでありますが、一体自衛隊の教範というのは、はからずも赤城さんは自白をなすったような感じがいたしますが、大都分の教範がアメリカ軍の翻訳なのです。だから、このCBR作戦教範も、あるいは相当部分、翻訳的な部分のありますことは私も認めます。しかし、現実にこれは自衛隊の教範として作成をされ、配られている以上、この意図というものを、私たちは正しく判定しないわけにいかないのです。ともかくお出しをいただきとうございます。
○赤城国務大臣 先ほどから申し上げておりまするように、防衛庁の教範は、当初は向こうのものを大部分参考にしましたが、今は自前で作っております。御指摘のような核兵器に関するものは、これは外国文献を翻訳いたしまして、参考に一部高級幹部に研究用に配付しておるものがあります。これは、私今持っているのはあるのですが、今飛鳥田さんの言っているのはその前らしいのです。ですから、それはよく調査の上、出せるものなら出します。
○飛鳥田委員 それでは、一つお出しをいただいた上で私の話は進めさせていただく、こういうことに御了解をいただきたいと思います。一応私の質問は、こういう幾つかの諸点を留保して、ここでとどめます。(拍手)
○小澤委員長 次会は、明二十月午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十九分散会