第034回国会 文教委員会 第7号
昭和三十五年三月十六日(水曜日)
    午前十時五十五分開議
 出席委員
   委員長 大平 正芳君
   理事 稻葉  修君 理事 臼井 莊一君
   理事 高見 三郎君 理事 西村 力弥君
   理事 長谷川 保君 理事 小牧 次生君
      木村 守江君    進藤 一馬君
      竹下  登君    濱野 清吾君
      松永  東君    八木 徹雄君
      金丸 徳重君    山崎 始男君
      鈴木  一君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 松田竹千代君
 出席政府委員
        文部政務次官  宮澤 喜一君
        文部事務官
        (初等中等教育
        局長)     内藤譽三郎君
        文部事務官
        (大学学術局長)小林 行雄君
        文部事務官
        (体育局長)  清水 康平君
 委員外の出席者
        文部事務官
        (大学学術局大
        学課長)    春山順之輔君
        文部事務官
        (体育局学校保
        険課長)    渋谷 敬三君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局防
        疫課長)    高部 益男君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局食
        品衛生課長)  高野 武悦君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局乳
        肉衛生課長)  阿曽村千春君
        専  門  員 石井  勗君
    ―――――――――――――
三月十五日
 委員金丸徳重君、杉山元治郎君及び堀昌雄君辞
 任につき、その補欠として成田知巳君、勝間田
 清一君及び原彪君が議長の指名で委員に選任さ
 れた。
同月十六日
 委員成田知巳君辞任につき、その補欠として金
 丸徳重君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一七号)
 高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一
 部を改正する法律案(内閣提出第七五号)
 学校教育に関する件
     ――――◇―――――
○大平委員長 これより会議を開きます。
 国立学校設置法の一部を改正する法律案及び高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案を一括議題とし、審議を進めます。
 質疑の通告があります。順次これを許します。臼井莊一君。
○臼井委員 高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案につきまして簡単に御質問したいのですが、この法律案の第五条を見ますと、この手当の適用される者は「校長及び教員」、こういうことになっておりまして、教員の内容としては「本務として定時制教育又は通信教育に従事する教諭、養護教諭、助教諭、養護助教諭、常勤の講師及び政令で定める実習助手に限る。」こういうことになっておりますが、この種の学校に勤務する職員でほかに、たとえば事務職員、こういう種類の者があるかと思うのですが、これらが含まれていないことについて、どういうわけで事務職員が含まれていないか、その理由でございます。大体事務職員だけだと思いますが、なおこのほかにも職員でそういう種類の者がありますかどうですか、その点についてもちょっと伺いたいと思います。
○内藤(譽)政府委員 このたびの法律によりまして定時制通信教育手当を受けない者は事務職員のみでございます。事務職員につきましては、夜間に勤務しておるという点においては確かに同じでございますけれども、本来この定時制通信教育という教育の形態は、全日制の学校と違いまして非常に複雑である。単に夜間ということだけでなくて、昼間の場合もそうですが、少人数で、通常の教育課程ではございませんので、生徒の生活指導からあるいは校外指導その他家庭訪問、あるいは家庭及び職場における教育との関連性の問題、その他幾多の複雑な問題があり、教育上困難である、こういう理由に基づきましたので、事務職員は、これは一般の夜間に勤務しておる職員と同じでございまして、事務職員まで含めますと、この問題は相当広範囲に及びますので、各種の公務員にも関連のあることでございますので、今回は定時制通信教育という特別の教育形態に沿いまして、これに対する手当を支給することにいたしたわけでございます。
○臼井委員 今の理由で、大体実際教育に当たっている校長及び教員というのは職務が非常に複雑であり、また困難の責任の度合いということで、夜間とか昼間とかいうことのあれでなく、そういう特殊性によって支給することになった、しかし事務職員は定時制及び通信教育についての特にそういう困難があるとかないとかいうふうな今の御説明でありますが、一般の受ける感じでいうと、何か事務職員だけがのけものにされたという感じでございます。そういう感じがするので実はお伺いしたわけですが、やはり事務職員でも教員の資格を持っている者が多いのじゃないかと思うのですが、それらの点についてちょっとお伺いしておきます。
○内藤(譽)政府委員 一般的には事務職員は資格がございません。ですから、どういう方でも事務に従事するものでございます。教員の資格を持った人も間々あるかと思いますけれども、これは本来教員になるべき方でございまして、教員の場合には一定の資格を要求されますので、おのずから違うと思うのでございます。
 いま一つ申し上げたいのは、たとえば通信教育の場合では、これはほとんど夜間は勤務いたしておりませんし、定時制の場合でも昼間定時制もございまして、昼間の事務をやっておる他の職員との均衡の問題もあるわけでございます。夜間の場合になりますと、他の公務員との関連もございますので、事務職員まで含めますことはいかがかと思いまして省いたわけでございます。
○臼井委員 次に国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして簡単にお伺いいたしたいと思います。今度この法律によりまして短期大学あるいは学部等ができたのでありますが、これで見ると、大体現在科学技術振興という線に沿って理科系統の学部あるいは学科等が多いように思うのでありますが、この学部、学科で科学技術系統でないものがありますかどうですか、その点を一つお伺いいたします。
○小林(行)政府委員 御承知のように科学技術者養成計画を数年前から立てまして、その実施をしてきておりますが、明年度でこの科学技術者養成計画に対応する数のスタートは切り得るのではないか。三十五年度にこの理科系と申しますか、科学技術者系統以外のもので増設されるものと申しますと、香川大学の商業短期大学、これは商業科でございます。これは御承知のように夜間の短期大学ということでございまして、勤労青年に勉学の機会を与えようという趣旨が強く打ち出されたものでございます。これは香川県、ことに地元高松地方の非常に強い要望によって商業学科の短期大学部を作るということにしておりまして、それだけでございます。
○臼井委員 今伺います香川短期大学が商業の方の一学部ができたというだけで、あとは理科系統で、大体科学技術振興という線に沿ってこういう増設をされておるようでありますが、三カ年八千人増募でございますか、あれはすでに一応達成されたようでありますが、今後さらに三カ年計画なり何なりで、産業発展に従って、経済企画庁の将来の産業発展度合い等の調査に基づいて、計画をお立てになる御用意があるのですかどうですか、その点を一つ。
○小林(行)政府委員 今後の科学技術者の養成計画につきましては、科学技術庁が中心になりまして、今後十年間にどれだけの科学技術者が必要になってくるだろうかという人員養成計画を立てることになっております。文部省といたしましても、文部省の関係する範囲内におきましてはいろいろな実態調査を行なって、この計画に参画することにいたしておりまして、その計画に基づいて今後の技術者養成の具体的な計画を立てて参りたいと思っております。
○臼井委員 その線に沿って将来お立てになるようでありますが、この機会にお願いしたいのは、私どもがここでくどくどしく申し上げるまでもなく、東南アジアさらにまたアフリカ等に多くの視察者が行き、その御報告によっても、民族の独立に伴って生活水準の向上とか、また教育、文化、産業あらゆる面で、一つ大いに伸びていこうという機運があるように聞いておるのであります。そこで日本として、これに対してどういうことで協力するかということは、資源も資本も乏しい日本としては、幸い非常に頭脳のすぐれている日本民族、また幸か不幸か人口も非常に多い。これらを利用して、その教育なり産業なりの指導者をそちらの方面に出すということが、日本としてもまた未開発地域の開発のために協力するあれになる、かように考えております。私昭和三十年にソ連に行って見てきたときに、モスクワ大学の二万人からいる学生、新しいりっぱな学校の中がほとんど科学技術系統の学生、また学部、学科であって、文化系統の方はおろそかにしているわけではないけれども、そういう種類のものはある程度、施設、設備というものがそう必要でないということからでありましょう、古い建物で勉強している。そこでソ連あたりでも、いかに科学技術者の養成ということに力を入れているかということを見て参りました。これはひとりソ連の国内の需要を満たすばかりではなく、やはり後進国に対する指導者を出す。これらは西ドイツあたりではずっと前からやっているようでありましたが、そういう意図があるようにも伺いました。日本としても今申し上げたような線で、優秀な技術者をしかも大量に養成して、国内の需要を満たすばかりでなく、東南アジアからさらに中近東、アフリカさらには南米、こういう方面に協力することは、日本としての将来の非常にりっぱな仕事であり、日本の地位を高めるゆえんでもある、こう考えましてそのことを申したのでありますが、当時は東南アジアがおもな注目の的でありましたけれども、今日においてはアフリカ等においても、今申し上げたようにそういう要望があるということを聞いておりますので、そこで日本としてもこれはひとり国内の産業その他の需要に応ずるという考え方ばかりでなく、当然これは外務省あたりとも十分連絡をおとりいただいて、国外のそういう要望にも応ずるような相当雄大な見地からの計画を立てる必要がある、かように私は考えるのです。
 そこで大臣にお伺いするのでありますが、先日大臣の、国立大学はおもに科学技術系統、自然科学の方に力を入れて、私学の方に文科系統の社会科学方面はまかした方がよいではないか、こういうふうなお話が新聞に発表されたのでありますが、これに対しての大臣の考えを一つお伺いしたいと思います。
○松田国務大臣 東南アジアの諸国の子弟を養成していかなければならぬというお話、また広く中南米にもこれを及ぼさなければならぬというお考え、このことにつきましては、すでに二年前に、外務省その他関係省、内閣方面で、御承知の五十億円の資金を出して東南アジアの開発の面で協力をしていこうということになっておることは、御承知の通りであります。最近それは経済企画庁のもとで、法律に基づいてこの五十億円の金を使って、その方面の仕事をやっていこうという計画になっておることは御承知だと思いますが、さらにこの問題については、あるいはコロンボ会議その他を通じて、東南アジア開発に向かっていろいろ歩を進めていこうということが久しきにわたって論議されて参りましたけれども、実際にやっていることとしては、いまだ目ぼしいものができておらぬということは言えるかと思うのでありまして、この点については一つ急いで案を立てて、この受け入れ態勢を整えて、現実に東南アジア諸国の方面の学生その他技術員の養成に努めていかなければならぬと思っております。私は郵政大臣当時、通信関係の技術員を招来いたしたこともございますが、今また技術方面の学生などもずいぶん日本に参りたいという要望があり、またすでに業を終えた者が帰っていって、なかなか有用な仕事をしておるということで、先方でもさらにその意欲を伸ばして、多数の学生を送りたいという希望のあることも承知いたしておるわけであります。ただ日本の受け入れの態勢から申しますと、どうも私の今の考えでは、あまりにも窓口が広くなっており、先方でも一体どこへ申し込んでいいのかとまどいするというようなことを言われておるやに聞いておるのであります。事実また、日本の国内の事情――民間にもいろいろの団体があり、政府もいろいろ各省にわたってそうした計画もあるというわけで、この点でも受け入れ態勢の整備、窓口を一本にしてやるということも考えてやらなければ、実際においては仕事が進みにくいのじゃないか。最近にも相当大量の学生を修練のためによこしたいという希望のあることも伺っておりますが、そういう点でまだ遅々として進まぬという状態でありますが、今度は東南アジア方面の調査のためにそこばくの調査費も予算に組んであるわけでありまして、調査員も送り出すということも考えております。さらに大学の学生の受け入れのみならず、東南アジア諸国の若き十五、六才の者から、徒弟と言っては語弊があるかもしれませんが、ほんの初等の技術員を養成する。これを国際協力、といってもアメリカの民間団体などと協力をして、そうして行く行くは日本に二千人くらいは収容し得るような大きな特殊な学校を作っていきたいということを考えまして、大蔵当局とも話し合いをいたし、その準備を進めておるわけであります。三十五年には間に合わないかもしれませんが、三十六年度には間に合うように準備を整えたい、かように思っておる次第でございます。
 なお最後にお尋ねがありましたが、国立の大学は科学技術者を、人文系統は私学にという希望は、民間にも相当強いものがあることを承知いたしております。しかしこれらの問題は影響するところが非常に大きいのでありまして、まずこういう問題を審議会にかけて、どういう方針でやることがいいか検討を進めていきたい、かように考えております。
○臼井委員 文部省でも、今後の科学技術者養成については、東南アジアの要望にも沿えるような計画をお考え中であり、一部はもうすでに実行されているようでありますが、どうぞこれを大いに進めていただきたいと思います。とともに、大学制度の問題は、これは論じ出すとなかなかむずかしい問題でありますし、いずれまたあらためて別の機会に譲りたいと思いますけれども、大学制度のうちでも科学技術者を養成するということは、今言ったように海外にも非常にこちらに留学したいという希望がある。ただ、これはひとり資金ばかりでなく、日本の学生でも理科系統に入りたくても入れない、要するにそれだけの収容の能力がない。そこにきてさらに海外からの留学生も養成し、また海外へ出ていく科学技術者をも養成しようとなると、ここで予算においても機構においても相当考えないと、短期間に数多くのそういう技術者を作るということはなかなかむずかしいのではないかと私は考えるのであります。そこで大臣は金のかかるそういう科学技術系統は、国の責任でもっとふやそうというお考えのようです。これは何も自然科学ばかりを重んじて社会科学の方を軽んずるということではもちろんないのですが、情勢がそういうふうなので、そういう御意見等が世間に出ていることが反映したかと考えます。一つの考え方であると私は思いますけれども、ただ従来の大学でも、むしろ理科系統が国立というばかりでなく、旧制の帝大というような学校あたりは、大学院大学といいますか、大学院の生徒ばかりを入学せしめて、もっぱら学問の研究ということに専念させて、そして学問の深いうんのうをきわめるという、昔何か大学のあれにありましたけれども、そういうあれにして、むしろ社会に出て実際に働くというあれは、ほかの地方の公立大学あるいは国立大学にしても、あるいは私立大学の――私立大学でももちろん大学院がある学校があるのでありますけれども、そういう方面にやらせるような一つの考え方も必要じゃないか、こう考えるのです。これは私の意見であります。
 もう一つこの機会にお伺いしたいのは、新しくできる短期大学でありますが、この前久留米で短期大学を作ったときは、いわゆる専科大学を将来作るのだという考えのもとにできたわけです。その学科の内容等を私は知らないのでありますけれども、現在の大学制度の設置基準や何かの法規を見ると、四カ年間の大学の期間をただ二年に短縮したような形で、その二年間に専門の技術を専心やるというのではなくて、何か四年間の今の大学が、半分は一般教養ということに力を尽くし、あとの半分の二年間で専門の技術を研究するというような行き方であるようでありますが、それを短期大学二年間でやはり縮小したような形でやっている。花嫁大学式の女子の教育を主とする学校ではそれでもいいと思うのですが、少なくとも科学技術方面の中堅クラスの技術者を養成するという行き方だと、二年間の短期大学でそういう行き方だとすると、実際の実力がつかぬじゃないかと思うのでありますけれども、現在こういうふうにふやすところの短期大学などは、学科の内容、編成といいますか、そういうものはやはり従来と同じようにやっていくものでありますか、あるいは特に技術方面の専門の学問の方を深くやるのでありますか、多少違いがあるのかどうか、その点をちょっとお伺いしたい。
○小林(行)政府委員 今回この法律案でお願いをいたしております北見の短期大学、それからただいま御質問に御指摘のありました久留米の工業短期大学、これらにつきましては、現在の制度では一般の短期大学と同様でございまして、先年文部省が御提案申し上げまして意図した専科大学と内容を同じくするようにはなっておりません。ただ、ただいまのお話にございましたように、二年間に一般教養科目それから外国語ももちろんやるわけでございますが、できるだけ専門科目に関連をした基礎科目を重視いたしまして、そういうものをできるだけ取り入れるようにいたしておる点が他の一般の短期大学とは違っておると思います。お話のございましたように、現在の産業界等では中堅技術者の質をもっと高めてほしいという要望がございますので、そういうことを考えて教科課程の編成をするわけでございますが、現状ではこの程度でありますが、将来そういった産業界、実社会の要望に応じて、ただいまお話のございましたような専科大学の制度等もさらに検討をいたして参りたいと思っております。
○臼井委員 もう一点お願いいたしたいのは、この第十二条の「経済的理由によって納付が困難であると認められ、かつ、学業優秀と認めるときその他やむを得ない事情があると認めるときは、政令で定めるところにより、授業料その他の費用の全部若しくは一部を免除し、又はその徴収を猶予することができる。」こうなっておりますが、これなどは私は十分活用していただきたいと思うのであります。国立大学は国で費用を相当持っております。従って月謝等も安いということから、経費が安くて済むということから、国立を非常に望んで入るという点もあるのであります。しかしながら何年間も浪人してまで国立を受けるということになると、その浪人している期間の事情が許すというくらいならば、私はこの理屈は少しおかしいのではないかと思うので、むしろ私立でも国立でも優秀な学生に対しては授業料の免除はもとより、育英制度をもっと拡充して、そうしてどんどん大学に行けるようにすべきではないかと考えるのでありますが、あとがお待ちかねのようでありますから、一つ今のことは希望として、私はこの程度で質問を終えたいと思います。
○大平委員長 西村力弥君。
○西村(力)委員 大臣にお尋ねしますが、学校の教育が十分効果を発揮するためには、その職場に働く校長、先生方、事務職員あるいは給食関係のまかない婦といいますか、それからいわゆる使丁といわれる人、そういうような人々はそれぞれ自分の分野を担当して、学校教育の目標がより効果的に発揮さるべく任務を持って働いているわけであります。そういう考え方に立って学校の教育に従事する人々の立場を盛り立てていくことが私は必要であると思うのですが、そういう考え方に対しては大臣はどうです。
○松田国務大臣 学校教育にあたっては、校長初め教諭その他職員一同が安んじてその職を大いに勤め、その能力を十分発揮させていかなければならぬではないかという説は、まさにその通りいかなければならぬと考えます。
○西村(力)委員 校長、教諭あるいは事務職員その他そういう人々が担当している仕事それ自体に軽重がある、こういう工合に考えることは不当である、私はそういう考えを持つが、どうです。
○松田国務大臣 その点は私も全く同感でございます。
○西村(力)委員 その通りであると思うのでございます。ところが現実にはなかなかそうは参っていない、こういうことをお認めになると思うのでありますが、どうしてもやはり今の考え方には、洋服を着ている人よりはもも引をはいている人は下だというようなこと、あるいは資格が大学を出た人よりもそれ以外の人は下だというような考え方、昔ながらの日本の考え方がまだまだ残っておる。そういうことはいけないと思う。大臣自体だって米国で皿洗いをして苦労したあげく今大臣になっているのだら、それが偉いというのじゃなくて、大臣になったのも偉いでしょうが、皿洗いをしたことも偉いでしょう。私はそう思うのです。それは皿洗いしたときにも、そういう生活の苦労あるいは若い情熱というものが陰陽相応じて火花を散らす、そういうことは若い者の楽しみでもあると同時に危険でもある。そういう危険をちゃんとコントロールしてやってきた。そういうところに人間の偉さがあるのだ、こういう工合に思うわけです。ところが実際にはまだまだそういう古い考えが残っていると思うのです。
 そういうことを考えてみまして、さて定時制教育の問題について、内藤局長は手当支給の理由を今申されましたが、そういう根本的な考え方に立っていく場合、やはり一応同一学校で同一目的に従事する教員は同一の取り扱いをしていくという前提に立って問題を考えていく、こういうことが必要であると思うのです。その内部において均衡のとれない取り扱いのために感情的にそこに何らかのわだかまりがあるとするならば、その目的に向って十分に効果を期待することはできない、こう思うのです。しかも定時制教育あるいは通信教育に従事するところの事務職員の業務というものは、やはり定時制教育だという特殊性に基づいた特殊業務であるということを私たちとしては認めなければならぬじゃないか、こう思うのです。それはどういうことかといいますと、これは後ほど詳しくお話ししたいと思うのでございますが、とにかく夜間の定時制高校なんかでありますと、事務職員は一時半から夜の九時半まで、勤務時間は八時間だということになります。その間対象の生徒は実務についている生徒が多いのであります。余裕を持った学習はできない。そういう点から学校の管理に対する協力あるいは教務に対する処理の仕方、そういうようなものについても、やはり時間的に余裕がないために投げやりになる状況は否定できない。そうしますと、その跡始末、管理というものは事務職員の過重な仕事となってくる。あるいは定時制の夜間ですと給食もある、給食の事務もプラスせられる。あるいはまたそういう実務につきながら学習するために、学校に納入すべき授業料その他の金にしましても思うように参らぬ。それを全部集計するにはやはり相当の時間がかかる、手間がかかる。こういうような忍耐強い事務をやらなければならない。また先生方の出勤のおそい場合は、普通の学校ですと、朝から事務職員と教員が全部一緒に出勤するが、そうでないとすると、やはり事前の、そういう先生方の出勤しない場合における学校の管理から何から事務職員がやらなければならぬ。そういうような工合にさまざまの他の事務職員と違った業務の特殊的な形態というものがある。こういうことを私たちははっきり認めていかなければならぬじゃないか、こう思うのです。この点に関しては後日またこの法案を上げるときに再度いろいろと自民党さんの方とも話し合いをしまして、政府側においては私が希望するような方向に努力せられることを期待したいわけなんでございます。
 ところで、今除外された職員に同じように定時制手当を出した場合の所要経費というものはどのくらいであるか、これをちょっとお尋ねいたします。
○内藤(譽)政府委員 事務職員の給与につきましては、私どもとしてもできるだけ考えなければなりませんけれども、今回の場合には私ども初めから予算の対象にいたしませんでしたので、今計算いたした資料がありませんが、後ほど提出させていただきます。
○西村(力)委員 それはまた後に譲ることにいたしまして、次に国立学校設置法改正の問題でございますが、北見の短期大学、これは短期大学であるが、内容的には教科内容なんかは専科大学と何ら変わらないようにしていくものだ、こう言われましたが、これは何に基づいてそういうことが許されておるのか。これは短期大学の基準に基づいて仕組まれなければならない。ところがそこにいろいろ便宜的に変更を加えて、中堅技能者の養成というところに合うように、いかにも専科大学それ自体が法制化されたことを前提としての方向をとっておるように今聞いた。こういうことは許されるかどうか。
○小林(行)政府委員 先ほどお答え申しましたように、現状では専科大学と同じような考え方で運営していくことはできないのでありまして、これは短期大学の設置基準に基づいて教科課程を組むものでありますが、短期大学の設置基準の中で、一般教養につきましてある部分については専門科目の基礎の科目を振りかえておくことができるということになっておりますので、その範囲内でできるだけ専門科目の基礎になるようなものも取り入れていくということでございます。
○西村(力)委員 北見の短大は将来専科大学にする、こういうことを文部省は関係者に対して公言しておりますか。
○小林(行)政府委員 実はこの北見の工業短期大学につきましては、北海道の特に東部の方で非常に強い要望がございまして、今回その設置の運びになったわけでございますが、地元といたしましては、将来専科大学のようなものができればそういうものにしたいという要望が非常に強いわけでございます。しかし現状におきましてはそういう制度がございませんので、短期大学として出発をするわけでございます。
○西村(力)委員 この北見の短大の学長に予定されておる――室蘭工大の教授だそうですが、佐山さんとおっしゃる方が、教授の勧誘というかそういうことに各大学を回られる場合に、これは将来間違いなく専大にするんだ、だから来てもらいたいということを言って回っておるそうでございますが、その事実についてはどうですか。
○小林(行)政府委員 私ども、これが発足しましたあとの学長候補者の方が、現在どういうふうに教員候補者にお話しなさっておるか存じません。ただ将来の問題といたしましては、専科大学のような制度ができれば、地元の要望もそうでありますので、そういう方向に持っていきたい。しかし現状では高校三カ年課程というものも一緒になったものはございませんので、平常の短期大学としてスタートし、当分の間はそのままでいくことになろうと思います。
○西村(力)委員 私が申しましたように、将来専科大学に必ずするんだ、こういうことを言われるとするならば、これはちょっと行き過ぎだという工合に思うのですが、その点は文部省としても少し苦しいかもしらぬが、けじめははっきりしてもらわなければいかぬじゃないかと思いますが、いかがですか。
○小林(行)政府委員 お説の通り現状ではとにかく工業の短期大学でございます。
○西村(力)委員 それから次にお尋ねしますが、この北見短大の募集要項というものが新聞記事にもちゃんと出ておりますが、それによりますと鉄筋二階建、約二千五百平方メートルの校舎を今建築中で、四月一ぱいに完成する予定で、開校式は五月二十日云々、こういう工合に出ておりますが、こういうことは今法案を審議しておる私たちとしましては、実に奇怪な気持がするのです。しかもこの金というのは一体どこから出たのか、大臣、こういうことは予算執行の基本に関する問題だと思うんですが、いかがですか。
○小林(行)政府委員 この北見の工業短期大学につきましては、一応この法案と並行して学校の開設に必要な準備を従来やってきたわけでございます。たとえば土地の問題、あるいは建物等につきましては地元の北見市の方で相当の金を負担いたしまして土地を整地し、建物を建てておるわけでございます。ただいま募集要項のお話がございましたが、もちろんこの法案が成立をいたしました後に入学試験を行なって開設をすることにいたしておるわけでございまして、この法案の成立前にすでにそういった募集要項を出しておるということはけしからぬというふうにも考えられますが、私どもはやはりこの法案の成立を期待いたしまして、従来も新しく大学あるいは学部等が開設される場合にいろいろ準備をいたしましたやり方に従って今回も行なっておるわけでございます。
○西村(力)委員 国会に法案を提出される限り、私たちはこれを可決する、否決する、修正する、その権限は独自に持っておる、そういうことでありますが、そういう工合に既成事実というものが一方において行政措置として進められておる場合、私たちの審議権に影響はないか、文部大臣どうです。
○松田国務大臣 むろん審議権に私は何ら影響がないと思います。
○西村(力)委員 影響がないというような工合におっしゃられますが、しかし実際校舎が建築され、どこから金が出たか知りませんが、これは去年度に予算が組まれて、その金で作っているんではないかと思うんですよ。こういうような工合にやられたんじゃ、やはり否決するわけにはいかぬという工合になってこざるを得ない。これが否決されたら大臣どうしますか。校舎はできました、募集は始めました、先生はそろいました、否決されたらどうしますか。
○松田国務大臣 否決する権限は国会にあるのでありますから、やむを得ないと引き下がるより仕方がないと思います。
○西村(力)委員 地元の希望に基づいて、また現在の日本の国の要請というか、そういうものに基づいて教育機関の新設というのが行なわれるんだから、いたずらに反対する理由もないわけだろうと思うのでございますけれども、しかしやはりこういう工合に既成事実を作って、それを基礎にして国会に審議を強要してくるということ、賛成を強要してくるということ、こういうようなことはあり得てはならないことであると私は思うのです。これは将来の問題としてよほど検討してもらわなければならない、こう思うのです。これが何の金によって作られておるか、おそらく地元あたりの立てかえというか、何かそういう形でいっておるんじゃないだろうかと思うのですが、これは何の金で建設しておるのですか。
○小林(行)政府委員 北見市の方で、この土地建物あるいは機械器具等の建設あるいは整備の費用を寄付するということになっておりますので、私ども市の財源であるというふうに承知をいたしております。その市に対する根源がどこであるかというようなことについては、私ども現在まだはっきり調査をいたしておりません。
○西村(力)委員 これは国有財産に、あるいは文部省の行政財産に寄付するということはよろしい、採用する約束を与えたのですか。
○小林(行)政府委員 この北見の工業短期大学が発足すれば当然これは国立大学でございますので、この土地建物その他につきましては、国に寄付になるものというふうに考えております。
○西村(力)委員 とにかく国会の審議権にある圧力をかけ、しかも人のふんどしで自分たちの財産をふやしていくなんということは、まことに何というか、文部省として道徳性に欠けておると言わざるを得ない。(笑声)この点については冗談じゃなく、もっとはっきりこういう問題については今後の進め方について検討あってしかるべきじゃないかと私は思うのです。こうなってくれば、やはり圧力は加わりますよ。否決はできませんというような工合になりますよ。その点は今後こういう進め方について検討を願いたいと思う。約束できますか。
○松田国務大臣 西村委員よく御承知の通り、大学が今試験要綱云々で収容力も足りないというような際でもあり、またこれを緩和するために地方に優秀な学校をこしらえて、学生がみな大都市、東京に集中するのを緩和するという考え方も、私は今日の大学入学難のために必要なことと思います。この場合に地元で強い要望があり、そして地元が自発的に金なり土地なりを拠出して、学校設立に意欲を燃やしておるような場合に、国家としてもこの意欲を受け入れ、そうしてさらに必要なる資金を出して、その実現を見るためにやるということは、私は何ら差しつかえのないことであると思います。それが審議権に圧力を加える云々というようなことは、西村さん自身が毛頭思っておらないことと私は思いますので、こういう場合に、私は国として文部省として十分調査をいたし、研究すべきは研究し、これでよろしいということでありますならば、私はめくら判を押すことにちゅうちょしないような次第でありまして、今後もなおこれが御指摘になりましたような危惧すべき点のないよう十分注意をし、検討をしてその実現を見るようにいたしたい、かように考えるわけであります。
○西村(力)委員 動機、目的が善であれば、すべての手続はこれを問うに当らないというような言い方はよろしくない。文部大臣松田竹千代と衆議院議員松田竹千代の場合は、少し考え方が違ってくる。それでありますならば、この前の、去年の国会にこの改正案を出せば文句はない。それだけの慎重さであれば文句はない。今もうできてからあわてふためいて改正案を出して、これを承認しろ、こういうことではよろしくないと思う。慎重に検討してよろしいとなったときに――それは一年くらい前にちゃんとそういう方針はきまっておると思う。そうでなければ、きょう学校を建てろ、大学を建てろなんということは、それはよろしくないことだ。まあそれはそれとしまして、御検討を願わなければならぬ、こう思うのです。
 次に、現在短期大学というのが各地にありますが、そもそも短期大学というのは暫定措置であって、これは正規の四カ年制の大学に昇格させる、こういう意味で置かれておる。短期大学の将来というのは、いつの日にか解消されて大学に昇格する。昇格というか正規のものに移行する、こういうことになっているはずでございまするが、その方向を文部省としては今でも懸命にたどっておるかどうか、どうです。
○小林(行)政府委員 御承知のように短期大学は、戦後四年制の大学の発足のあとに、その当時の必要性からできたものでございますが、お話のございましたように、制度的には当分の間ということになっておるわけでございます。ただ戦後すでに十数年たちまして、現状から申しますと、現在あります短期大学のすべてが、四年制大学に転換すべきもの、あるいは転換するものというふうには言えない実情でございます。発足当時は、二年の短期大学でありましたものが、現在までの間に相当四年制のものになっているものもございまするけれども、この短期大学が将来すべてにわたって四年制になるというふうには、現状では考えられません。それらの点につきましては、将来やはり大学制度全般の問題として検討しなければならぬというふうに思われます。
○西村(力)委員 しかし将来その方針通りに四年制の大学に移行する、こういう範囲もまだまだ残されておる。しかし全部できないのだ、こういうことですが、そういう分け方、こういうようなところはどんな工合に置いておるか。数で置くか、比率で置くか、あるいは種類で置くか、大体どんな工合に考えておるか。
○小林(行)政府委員 ただいまお答え申しましたように、一部については将来も短期大学として残るものが出ようと思います。と申しますのは、ことに女子に対する家政的な短期大学が実はかなりあるわけでございまして、私立の短期大学のうち家政に属するものが全体の六割ないし七割に及んでおりますが、こういうものは、ことに地方におきましては、全部四年制の大学にする必要はないのではなかろうか、学校の教育の目的と申しますか、教科の内容によりましてそういったものが考えられるわけでございます。
○西村(力)委員 ところが現実にはやはりこれを栄養失調で殺してしまおうという政策が、短期大学には悪質な継母のごとく、よく政府の政策としてはそういうことがある。自治警察を壊滅させようとした場合においては、自治警察の財政裏づけをやらぬ。すなわち栄養を必要限度以下にしか与えぬ。自治体においては何ともしょうがない、持ちこたえられなかった、みな栄養失調で倒れて、国家警察一本になった。もう巧みに、そういう工合に干からびてしまって倒れざるを得ないという工合にやっておる。この短期大学に対してもそういう傾向なきにしもあらず、こういう工合に思うのですが、そういう悪質な政策を意図しておるかどうか。
○小林(行)政府委員 ただいまお話のような方策は国としては全然考えてもおりませんし、また採用もいたしておりません。たとえば御承知のように、私立の大学に対しましては、設備の関係で国の方から理工系のものに対しては補助金を出しておりますが、短期大学に対しましてもそういったものには補助金を出しておる。全般的にこれを、ただいまのお言葉にございましたように、壊滅させるような方策をとっておるということは全然ございません。
    〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕
○西村(力)委員 しかし実際には大学の研究費、そういうようなものも大学一本としてやる、短大も一本にしてまとめてやるということになればいいが、短大の方に対する分配というものがやはり十分に行なわれないとか、あるいは学部と短大との人事の交流が非常に不円滑であるというような問題とか、さまざまそういう点が私たち問題として指摘されるわけなんです。この点は短大として現在存在し、そうしてこれは四年制に移行するという、こういう基本的な方向で育成されていかなければならぬとするならば、短大に対しても十分に考えていく、しかもそこには同じようにやはり勉学に志している生徒、学生がおる、そういう点でありまするから、やはり差別なく十分に考慮せられてしかるべきであろうと思うのです。
 次に、大学教授の待遇の問題でありまするが、この点に関しては、文部省も今年度の予算編成にあたってはいささか努力した、こう聞いておりまするが、その基本的な考え方、あるいは努力のやり方、それはどういうことでありましたか、お話を願いたいと思います。
○小林(行)政府委員 やはり高等教育の改善のためには大学の教官の、あるいは研究公務員の待遇を改善していくということがやはり非常に重要な施策でございますので、ここ数年できるだけ待遇改善の経費を得たいというので予算を要求はいたしましたのですが、これがとれなかったことは非常に残念に思っております。その考え方といたしましては、国立大学の教官の給与を司法関係官の検事並みにできれば引き上げたいという考えを持ちまして、それに必要な経費を要求したわけでございます。明年度はそれができませんでしたけれども、文部省としてはそういった方向で今後とも努力をして参るつもりでございます。
○西村(力)委員 検事並みの俸給水準を要求したということでありますが、その理論的基礎というか、そういうものはどういうことなのですか。
○小林(行)政府委員 御承知のように、現在判検事は他の公務員とは違って俸給表が高くなっておるわけでございます。もちろんその中で判事が一番高いわけでございますが、一挙にそこまで上げることは財政のワク等からいたしましてなかなか困難であろうと思いまして、中間にありますところの検事クラスの俸給表まで引き上げたいということで予算要求をいたしたわけでございます。
○西村(力)委員 それは合理的な基礎じゃなくて、ただ希望的な意見だけでありますが、一応検事並みにやろう、なぜこういう工合にしたかということ、そういうもう少し合理性を持った立場がないとうまくないと思います。検事並みに上げますと、平均しまして何号俸くらい上がりますか。
○小林(行)政府委員 戦前と申しますか、終戦前までは大学の教官の方が判検事よりもむしろ高かったわけでございますが、現在では先ほどお答えしましたように、司法官のうちでも判事が最高であり、その次が検事、この検事のクラスを比較いたしますと、たとえば検事総長が月額十一万というのに対して、学長クラスは九万六千というので、その間に約一万五千程度の開きがございます。それを埋めてもらおうというような考えで、以下これに準じて大体の措置を考えて要求をいたしたわけでございます。
○西村(力)委員 これは切られたわけなのですが、人事院はどういう考え方であったか、大蔵省のけった理由は何か。
○小林(行)政府委員 人事院は、御承知のように、公務員の各種類にわたって民間の給与と公務員の給与との比較ということを常に考えるわけでございますが、教育職員につきましては、民間と申しますか、私立の大学の教授は国立の大学教授より二割ないし三割低いというのが通例でありましたので、民間の教授の現行俸給というものが比較にならぬ。ただ大学教授についてしかるべくこれを上げる基礎が必ずしも十分でないということが主であったと思います。ですから、民間給与との比較については基礎資料がはっきりしないということであったようであります。
 それから大蔵省の方は、御承知のように、大学の学長の管理職手当、それから大学院を置く研究科の学部長の管理職手当等につきましては、これの引き上げを一部実施してくれたわけでございますが、大学の教官全般にわたる俸給額の改正ということは、現在では予算のワクがないということで認められなかったわけでございます。
○西村(力)委員 管理職手当だけを上げることにきゅうきゅうとしていますが、トップ・マネージメントというような考え方、こういう考え方は企業経営においては相当の効果を上げるでしょうが、学校経営においてはそういう考え方は決して正しい方向ではない、こういう立場をとっていかなければならぬと思うが、大臣はその点どう思いますか。
○松田国務大臣 企業経営の才がやはり学校経営にもある程度必要であると私は思う。それのみによって教官の給与等を定めるというようなことは考えてはならぬということも、私は御意見と同様に考えておるのであります。
○西村(力)委員 そもそも教育というのは、命令とか管理とか、そういうことが整然とし、その命令が力があればあるほど教育効果が上がるなんということは、大体人間関係においてそんなことはありはしない。ですから、企業経営の場合と教育という場合とではよほど考え方を変えていかなければならぬと思うのです。それで、人事院が対比する同種類の給与としまして私立大学の教官の給与水準というものを持ってきたということに対しては、文部省はどう思いますか。
○小林(行)政府委員 御承知のように、従来私立大学の経営は、戦前と異なりまして、戦後は非常に困難になっておりますので、従って、教員の給与の比較の場合におきましても、特に大学の教官の給与と私立大学の教授の給与との差を比較するということは実は妥当ではないというふうに考えております。現実におきましては、確かに私立大学の給与は、先ほどお答え申しましたように、二割ないし三割国家公務員よりも低いというのが現状でございます。しからば、国家公務員である国立大学の先生の給与が妥当であるかと申しますと、私どもはそうは考えないのでございます。民間の給与との比較ということは、教官の給与の問題としては必ずしも正当な考え方とは私どもはとっておりません。
○西村(力)委員 しからば、民間給与の場合に、その同種類の対比すべき好条件を備える職種というものはどう思いますか。
○小林(行)政府委員 その点は非常にむずかしいことでございまして、民間の産業関係の会社あるいは事業所等の給与とそのまま比較することができるかということについては、なお疑問もございますし、将来も検討しなければならぬと思っております。私どもといたしましては、とにかく大学教官の給与をできるだけ改善するために必要な調査もさらにし、資料も集めたいと思っております。
○西村(力)委員 民間のそういう工場や何かの研究機関の研究職、こういうものは好個な対比する職種だ、こういう工合には言えないか。私はそれが一番いいじゃないかと思うのですが、どうですか。
○小林(行)政府委員 確かに研究公務員だけを取り出しました場合には、お説のようなことが言えると思います。しかし、大学教官の中で研究公務員の地位を占めるものは必ずしも数が多くないわけでございまして、それをそのまま全般に及ぼすということは、方法論として必ずしも絶対にこれで妥当であるというふうには言い切れない点が出てこようかと思います。しかし、ただいま御指摘のありましたような考え方は、私どもも今後十分参考にいたして参りたいと思います。
○西村(力)委員 これで終わりますが、とにかくせっかく検事並みというような一つのめどを立てられてそれに対する大蔵省の態度は財源云々だけで、理論的な反対でもないとすれば、この点はどこまでも所期の希望の達せられますように努力あってしかるべきだと思う。
 以上で終わります。
○臼井委員長代理 小牧次生君。
○小牧委員 初中局長に、高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部改正案について若干お伺いします。
 この法案の中に対象として事務職員が除外されておるという点については、臼井委員からも今御質問がありました。また西村委員からも御質問がございましたが、どうも私は臼井委員の質問に対するあなたの答弁がよくわからない。一般の職員は非常に職務が複雑だということを説明されましたが、ただそれだけでは明確な理由にならないのじゃないかと私は思います。あなたに特に申し上げるわけでありますが、私は従来、この事務職員の待遇の問題については少なからざる関心を持って、幾たびかいろいろな法案提出もいたしました。第一には、教育公務員特例法による特例を受けさせるようにしたらどうか、同じ学校の職場において先生方と似通った仕事もしておるというような意味で、身分法の改正もあなたに要求したことがあるのです。それからまた学校教育法の一部改正について、事務職員は特別の事情のある場合は置かなくてもよろしいという条項をとって、できるだけ年次計画をもって各学校に配置ができるように、それによって学校教育が進展できるようにすべきではないかと言った。ところがいずれもこれはなかなか実現が困難である。この点私はまことに遺憾に考えておる一人であります。また今回の今申し上げた法案の一部改正の中に事務職員が除外されておる。こうなってくると、これはことさら区別して一段下の方に見ておられるのではないかという印象を、おそらくこれは私だけではなくて大多数の方がお持ちになるのではないかと思うのですが、臼井委員の質問に対する答弁以上に、もっと明確に根拠をお示し願いたいと思います。
○内藤(譽)政府委員 小牧委員が事務職員の待遇改善につきまして従来から大へん御熱心にいろいろと献策されておりますことは、私ども大へん感謝にたえないのでございます。ただ事務職員を一がいに教員と同じというふうには参らぬと思うのでございます。現実の場合、小中学校の場合には比較的教員と生活環境その他が非常に似ておるという点から、これを差別するのはよくないというお考えのようでございますけれども、たとえば大学のような機構になりますと、事務機構は截然と整備されておりまして、一般の事務員と何ら異ならないというのが実情でございます。ただ、小中学校の場合には数が少ないし、先生方との生活環境が比較的似ておるという点について御懸念になっておると思うのでございますが、私どもは、事務職員は事務職員なりに将来昇進の道が開かれ、待遇の向上がはかられるような方向で、行政指導をできるだけ最大限にいたしておるわけでございます。
 ただいまの定時制、通信教育手当につきましては、実は夜間手当のような形でしたら、私は小牧委員の御質問はまことにごもっともだと思うのです。しかし今回の定時制、通信教育手当というのは夜間手当ではございませんで、定時制、通信教育の特殊性に基づいて支給するものでございます。現実に定時制の先生のうちの六割が夜間の先生でございまして、四割は昼間の先生でございます。この場合に、夜間、昼間を問わず、また通信教育の先生方はほとんど昼間でございますが、こういう場合になぜこの手当を支給するかと申しますと、定時制教育というのは全日制の教育と異なりまして、どうしても職場と学校との一体性が考えられなければならぬと思うのです。ですから、学校の方で基礎的なものをやり、うちへ帰って、あるいは職場において、そこでいろいろと実習計画が進められるわけです。先生方が、学校の授業だけでなく、職場の教育計画との関連を考えていろいろと指導される、また子供たちの複雑な生活環境の中で生活指導をするという点にも、非常に困難と複雑さが伴うという趣旨でこの手当を創設いたしたい、こういう趣旨でございます。
 この場合、事務職員はそれではどうかと申しますと、先ほど申しましたように、これが夜間手当で夜間勤務する者にということなら一つの理論が成り立ち得ると思いますけれども、今申しましたように、定時制、通信教育手当という特殊な性格を持ち、その教育の困難性に基づいてやるのだ、こういう趣旨でございます。事務職員は今申しましたような趣旨の教育をしているわけじゃない。ただ夜間勤務しておるというだけです。この夜間勤務するということは、定時制、通信教育のみならず、一般の事務職員も同じように感ずるいやな勤務だと思います。ですからその面にも波及してくる問題でもあろうと思うのであります。それから現実に申しまして、事務職員でも、学校数で申しますと、通信教育と四割の昼間の定時制がございますが、この昼間の定時制の職員に手当を出すことは、今度は全日制の事務職員にも波及するという問題になってくると思います。私どもはその線をどこに引くかと申しますと、これはあくまでも定時制、通信教育の特殊性、あるいは困難性、複雑性に基づいて支給するのだ、こういう明確な線を引いておりますので、事務職員に波及することは私どもは差し控えたわけでございます。
○小牧委員 なるほど局長のおっしゃるのは一理あると思います。いろいろほかの面にも波及するからこの際ここで一線を引いておかなければいけないというあなたのこの思想、この考え方は、先ほど私が申し上げた教育公務員特例法の問題とか、あるいは学校教育法の一部改正の問題とか、これらを通じて一貫したものだと私は思う。これをまず改める必要が私はあると思う。たとえば事務職員の教育公務員特例法の適用の問題にいたしましても、今おっしゃる通り、上は大学からずっと義務制まである。こういうところに大きく波及して現在の体系を乱すから何とかこれを食いとめたい、こういうお気持であろうと私は思う。しかし教育委員会のたとえば教育長なりあるいはその他事務をとっておられる方々と、直接学校の現場で、先生方とほとんど同じように教壇に立って生徒に教育こそしないけれども、ほとんどあらゆる問題にタッチして苦労しておる事務職員というものは、そう大きな基本的な違いはないのではないか、こう私は考える。従って今あなたから昼間の事務職員云々というお話がありますが、先般、教育公務員特例法の一部改正でこれが実現しない場合に、いろいろあなた方の御協力を得て、たとえば結核休養の一カ年延長、三カ年の実施とか、あるいはまた超過勤務手当の問題とか、あるいは昇給昇格の問題とか、いろいろ御配慮願って法律も成立をいたしましたが、その後の各都道府県の実施状況を見ると、必ずしも私どもが当初計画をし、予定をし、しかもあなたがその際に、必ず実質上教育公務員特例法の適用を受けるようなところまで内容的にはいかせるようにすると言われたのにもかかわらず、なかなかそうはいっておらない。これは各府県の財源の関係もありまして、必ずしもこれがあなたの言われる通り行政指導の上において行なわれておらないことを私は非常に遺憾に思っておる。だからそのかわりと言っては語弊がありますけれども、昼間の事務職員に及んでは困るとかいうようなお話もございますが、あなたが今言われたような面が実現されていないのですから、そういうところまでも及んでもいいんじゃないですか。そうけちけちして、たくさんの予算でもないのに――先ほどどなたでしたか御質問がございましたが、どのくらい金がかかるかよく調べていないからわからない、こういう調子でほとんど調べていない。おそらくこの法案で今私が言うような意見が通るとしても、国が直接負担をする財源というものは、まあせいぜい百五十万円から二百万円程度じゃないかと私は考える。従ってあなたが懸念されるような方面に及んでみても、そう巨大な額に上るものではないと私は思う。私は今直ちに昼間の者まで及ぼしたらどうかとは申し上げません。さしあたりこういった法律の改正の際に、事務職員もこれに加えていくというお考えになられた方がいいのではないかと思うのですが、逆にこれを防ごう防ごうという考え方が一貫して流れておる以上は、学校教育の円満な発展に努力しておる事務職員の問題の解決には前進がないと私は考える。いかがですか。
○内藤(譽)政府委員 私どもは、教員と事務職員とはやはり職務の上から截然と区別さるべきものと考えております。しかし現実に事務職員の待遇が悪い点については、御指摘の通りでございますので、私どもの努力が十分でないためか、十分改善されていない点がございますれば、これは今後積極的に改善したい、こう考えておるのでございます。
○小牧委員 まだほかにもたくさん質問される方があるようでありますから、これは深くは追及いたしません。いずれ事務職員の身分の問題なり、あるいは学校教育法の改正の問題については、あらためてまた法案その他を検討して、局長にいろいろ御質問したいと思っておりますので、この問題はこれで一応打ち切ります。
 もう一つお伺いしたいのは、この法案の第五条に、「政令で定める実習助手に限る。」こうなっておりますが、これはいかなるわけですか。
○内藤(譽)政府委員 実習助手全部を含めるという考えでございませんで、大体産業教育手当のときに制限いたしました限度に考えておるのでございます。
○小牧委員 私はそれをよく覚えておりませんが、一つ御教示願いたい。
○内藤(譽)政府委員 産業教育手当のときに、実習助手も対象にいたしました。この場合に一定の期間勤務した者というように、ある程度そこに資格制限をいたしたわけでございます。その考え方は、大学卒の実習助手は勤務年限なし、短大卒の実習助手は三年、三年というのは、学歴一年を勤続年限一年半という換算でとったわけでございます。従って高等学校卒の実習助手は、六年勤務しておった者に支給する。中学卒の者は九カ年の勤務年限がたてばその実習手当を支給する、こういうことにいたしまして、大体六割あるいはそれ以上が対象になるものと考えております。
○小牧委員 一応産業教育手当のときの条件はわかりました。それと今度も同じようにされるわけですか。
○内藤(譽)政府委員 さようでございます。
○小牧委員 これはまた産業教育手当の問題で論議しなければならぬと思うのですが、今の条件を聞いておりますと、これはどうも非常に差が多過ぎるのではないかと思います。何もそんなに六年とか九年とかいうふうに限らないで、それは額その他でいろいろ配慮する余地は十分あると思うので、ある程度その学校に勤務しておられる実習助手であるならば、これはできるだけ公平にこういう手当が行き渡るように私は文部省としては配慮が望ましいと思うのですが、どうですか。
○内藤(譽)政府委員 お説ごもっともでございますけれども、そうすればかりに三年なら三年、四年なら四年という年限になると思いますが、その場合にそれは大学卒も短大卒も高校卒も中学卒もみんな同じでいいかという議論になってくると思いますので、そこはやはりある程度学歴というものも考慮に入れて、勤務年限と学歴を適当に考慮した案が今の案でございまして、今のところ私どもとしてはそう無理な案ではないと考えておるのでございます。
○小牧委員 その点は私もよく調べておりませんが、もう少し研究さしていただきたいと思います。
 それから大学学術局長にお伺いします。今回のこの法律の改正案によると、旧制の大学、特に医科大学が廃止されるという条文があるわけでありますが、ここに掲載されておる旧制医科大学のほかにまだ残ったものはどのくらいあるのですか。
○小林(行)政府委員 今回この法案によりまして廃止される旧制の医科大学は十二大学でございますが、それ以外になお旧制大学で存続年限のありますものが旧総合大学、旧帝国大学でございますが、それからその他官立大学等を含めまして十二の大学がございます。
○小牧委員 次にお伺いしますが、これは今回新たに幾つかの工業短期大学が新設される法案であります。これについては西村委員からいろいろ御質問がございましたが、ここに今提案された新しい短期大学は、もちろんそれぞれ各地方の強い要望があったと思いますし、そういう御答弁でございましたが、まだほかにも相当あるのですか、どういう状態ですか。
○小林(行)政府委員 この北見の工業短期大学につきましては、これは御承知のように昼間の短期大学でございますが、室蘭と香川は夜間の短期大学部でございます。従来国立の短期大学の昼間のものとして作って参りましたのは、先ほどお尋ねにも出ておりましたが、久留米の工業短期大学がございます。それから夜間の短期大学部としましては、従来すでにかなり作っておりまして、大体二十近くのものができております。私どもこの夜間の短期大学部につきましては、やはり地元の勤労青年に大学教育を受ける機会を与え、できるだけ社会人としてのりっぱな教養を与えるという趣旨から、地元あるいはその地方の非常に大きな御要望があれば将来もそういう面はできるだけ拡充していきたいというふうに考えております。また昼間の工業系統の短期大学につきましては、これはやはりそれらの地域の要望もさることながら、産業関係等も十分取り調べてその必要性を十分認識した上で設立すべきものは設立して参りたいと思っております。
○小牧委員 この際お伺いしたいのは、今後の文部省の方針についてであります。先ほども臼井委員のこれに関連する質問の中に、久留米工業短期大学、この問題にお触れになって、あの大学は専科大学を作るのだという含みがあったというような臼井委員の御発言もあったようでありますが、私どもは久留米工業短期大学ができる際には必ずしもそういうふうには考えていない。むしろあの当時文部省が専科大学校案を出した場合には、現在の駅弁大学といわれておるわが日本の国立大学、あるいは工業短期大学、こういった基本的なものを守って、そうしてこれをあくまでも充実さして、日本の要請しておる科学技術の発展に寄与すべきである。特に六・三・三・四制のこういった学校制度の根本体系は、あくまでも堅持すべきである。こういう立場で前の専科大学法案が提案された場合には審議をいたしました。従いまして、今答弁をお聞きいたしますと、拡充をしたいという御答弁でありましたが、具体的には拡充ということがどういうことかよくはっきりわかりませんが、今回新たにこういう数校の新設の工業短期大学の法案が提案されておりますが、この際文部省としてはあくまでも本来の学校制度の体系を守って、この充実にこそ全力をあげるべきである。特に文部大臣におかれましても、予算等の獲得においても、こういう方向にこそ大いに努力さるべきであると私は考えるわけであります。この点について局長並びに大臣の御所見を承っておきたい。
○小林(行)政府委員 北見の工業短期大学の設置に関連いたしまして専科大学関係のお尋ねでございますが、私どもすでにここ数年来、いろいろ産業界等々の要望も検討をいたしました結果、中央教育審議会の答申も得まして、この専科大学制度の法案を御審議願ったわけでございます。不幸にいたしましてこれが通っておりませんけれども、もしそういうものが将来できれば、社会の要請にも応ずることになるのではないかというふうに考えてはおりますが、現状におきましては、もちろん現在の学校教育法の指示する制度に従って短期大学を設けていくわけでありまして、北見の工業短期大学につきましても、もちろん現在短期大学基準というものがございまして、これに基づいて設置されるわけでございますが、その基準通りに実施をいたしていくつもりでございます。将来の専科大学という問題については、もちろん私どもそういう気持も持っておりますが、さらに検討をしなければならぬと思っております。
○松田国務大臣 わが国の大学をその施設、設備、教官すべての点において大いにこれを充実して参りたいと考えております。
    〔臼井委員長代理退席、稻葉委員長代理着席〕
ひとり短期大学のみならず、四年制大学の国立、私立を通じ、その制度も現在のままであってよろしいか、特に短期大学の問題につきましては、専門学校制度をこしらえるということについて御審議願った法案は、三たびにわたって流れた事情にありますが、これらの学校関係者の説によれば、今日この専科大学制度を設けるならば、短期大学方面においても少しも反対はないというふうに唱えておる人もあります。そういう事情もあり、またわが国全体の大学コースすべてを考えてみましたときに、これらの点をどう今後改正し、充実せしめていくかということについて、もっぱら今頭を悩ましておるわけでありまして、審議会を通じてこれらの問題を最も急を要すると考えられる問題から順次検討して参りたいと考えておるわけでございます。
 先般ある日本の国会議員がアデナウアーに会ったときに、日本には大学が五百もあるというのはほんとうか、ほんとうです、国立大学でも七十以上もあるというのだが、一体教授をどうしていると言われたときに、ほんとうに困ったという話を聞きました。ドイツにおいては、大学は十六よりないが、そのいずれの大学のどの教授でも、どこの世界の大学に出しても恥ずかしくないぞと言われて大いに弱ったということを聞きましたが、いろいろの面についてわが国の大学の現状をどうすればいいかということについて、ほんとうに力を入れて、その設備、施設等を考え、また制度の上においても十分にこれを検討して進めて参りたいと考えております。
○小牧委員 ただいまの大臣の御答弁を聞いて、私は一応この問題はこれで打ち切りたいとは思いますけれども、ただその中に専科大学云々については反対はない、こういうようなことを言っている人もおるというような、どうもあなたのお考えであるのか、どこのお考えであるのかわからないような御答弁がございましたけれども、今ここでこの問題を論議しようとは考えておりません。ただ先ほど申し上げましたような理由によりまして、こういう点については十分慎重なる配慮と御研究が必要である。国会の議員やその他の方々の考え方なりその他短期大学協会等、いろいろな各方面の意見も十分正確にこれを調査して、誤りのないように一つ善処されたいということを大臣に御要望申し上げます。
 最後に局長にお伺いしますが、第十二条のこの「授業料その他の費用の全部若しくは一部を免除し、又はその徴収を免除することができる。」、これの内容についてお伺いしたい、これが一点。
 もう一つは、大学院の問題、先般大学院の代表が私どものところに見えました。あるいは局長のところにもきたかもわかりませんが、一体政府は大学院をどう考えておるのか、あまり重要視していないではないか、こういうような質問なり要望を私のところに代表がきていたしました。特に育英資金等の問題にも触れて、とうていこういった額では専門の学術の研究はできない、もう少し文部省としても本腰を入れて大学院の充実に努力してもらいたい、こういう強い要望があったわけでありますが、これに対する局長の御所見を承りたい。
○小林(行)政府委員 授業料の減免に関する規定のお尋ねでございますが、御承知のように学校教育法に、国立学校では授業料を徴収できるというふうになっておりますが、その条項にあります委任規定に基づきまして、従来文部省令でその授業料の減免の定めを実はいたしておったわけであります。ところが御承知のように財政法第八条に、国の債権の全部または一部を免除する場合には法律に根拠がなければいかぬということを規定してございますし、それからその後にできました債権管理法でも同様の趣旨がうたってございます。こういうことから考えまして、省令でそういうことを規定するということよりも、やはり直接法律に規定する方が至当であろうということで、この債権管理法が成立いたしました後に、実は前国会におきまして学校教育法の一部改正の法案を御提案申し上げましたときに、そういった根拠規定を実は入れたのでございますが、この学校教育法の一部改正法案が成立いたしませんでした関係から、今度は国立学校設置法の中でその趣旨を規定いたしまして明確にしようということでございます。
 それから大挙院関係のお尋ねでございますが、御承知のように、大学院は学部の上に研究科として作られるというのが建前になっております。従来、大学院の研究科の使命から申しまして、その基礎となる学部が施設、設備の関係でも、教官の関係でも、相当程度整備されたものに大学院を作っておるということになっておるわけでございます。国立学校の大学院につきましても、現在二十五の大学に大学院が置かれておりますが、文部省としても、教官研究費あるいは設備等につきましては、従来努力をいたしたわけでございますが、もちろん完全であるというところまでは現在いっておりません。将来こういった施設、設備の点並びに教官の研究費等についてもできるだけ引き上げるように措置をいたして参りたい。実は教官研究費につきましては、今回ある程度増額をいたし予算をお願いしているわけでございますが、将来もこれを伸ばしていきたいと思っております。
 なお大学院におります大学院学生に対する奨学費でございますが、現在私ども、相当優秀な大学院の学生に対しては育英資金の奨学金を貸与しているわけでございまして、これが将来大学院を修了いたしまして研究職につく場合にはこれを免除するという特別の措置を講じております。その額について不十分であるというようなお話もございますが、それらの点については予算の許す範囲内で将来も増額の努力をいたして参りたいと思っております。
○小牧委員 その大学院の育英資金の問題ですが、規定によると、詳しくはわかりませんが、月額六千円または一万円となっておりますが、現在もその通りなんですか。――そうなると重ねてお伺いしますが、実際には平均幾ら出ておりますか。
○小林(行)政府委員 この育英資金の額につきましては平均ということではございませんので、ただいま御指摘のございましたような一万円口と六千円口と二種類になっております。
○小牧委員 この額について文部省としても検討を加えておられるわけですか、いかがですか。
○小林(行)政府委員 従来もこの金額については増額の要求をいたしております。と同時にあわせて採用率の向上ということについても予算編成の際には大蔵省に要求をいたしておるわけでございます。
○小牧委員 これでやめますが、私どものところまで来て、いろいろ窮状を訴える限りにおいては、相当いろいろ不満があるのであろうと私は考えております。よほどのことでないと、こういったごく少数の人々が代表まで送って話をするということはないんじゃないか。従来あまり大学院の諸君と私ども接触したことはないのでありまして、特にそういう関係からも今のように感ずるわけでありますから、今後とも文部省におかれましてはこの点の充実についても大いに善処していただくように御要望いたしまして、私の質問は終わります。
     ――――◇―――――
○稻葉委員長代理 次に、学校教育に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がございますので順次これを許します。長谷川保君。
○長谷川(保)委員 最近、学校の給食の問題で中毒事件が起こっておるようであります。どういう状態でございましょうか、岡山県で中毒が起こり、またその他の県におきましても不良品が使われておる。粉ミルクの問題では、先年日本の代表的なメーカーが不良品を出しまして、たくさんの子供が死にました。そのときに私どもも厚生委員といたしまして実情を調べたのでありましたが、その代表的なメーカーの作りました品物をずっと見てみますと、末端においては実にひどいのであります。不潔きわまるものである。また医学的にも非常な害毒を持っておるものが混入してきておるという事件がありまして、大へんなことになりました。今回のは輸入の粉ミルクということでありますが、実情を承りたいのであります。
○清水政府委員 昨年の四月から今日まで学校給食に必ず関係があるというものも含めまして、学校給食に関係があると思われます食中毒の件数は、十二月十四日までといたしまして六件ございます。中毒患者は二千五十七名に達しております。これらの事故は、大体食品の処理あるいは購入が必ずしも適切でなかったというようなところに原因があるようであります。けさほどの新聞を見て実はびっくりいたしまして調査いたした事件は、岡山に脱脂粉乳に基づく食中毒事件が発生したというのでございますが、脱脂粉乳から発生した事件は今日まで比較的少いのであります。と申しますのは、脱脂粉乳いわゆるスキム・ミルクは、輸入するやいなや輸入港でもって厚生省の試験官がこれを検査いたしまして、不良品あるいは不適品は除いてこれを配給いたすわけでございます。にもかかわりませず、このたび岡山にそういう事件が発生いたしまして――これはあからさまに申し上げるわけでありますが、普通ならば新聞に出る前にこっちにわかるわけでありますが、このたびは新聞を見てけささっそく調査をいたしたわけでございます。岡山の事件を簡単に申し上げますと、岡山の井原市という市に数校、小学校がございますが、一つの小学校で、新しいカナダから入れました脱脂粉乳を最初に飲んだのが三月の七日でありますけれども、そのときは何でもなかったのであります。数日後の九日にまた飲んだわけであります。ところが翌日、先生のうち二、三人が、きのうの給食の関係だろうと思うが、どうもお腹の工合が悪かったという先生がおられまして、ひょっとすると児童にもあるのじゃなかろうかというので調査いたしたわけであります。ところが十日に調査いたしましたところが、五百七十一人の給食を受けた人の中で、百五十人というものが、どうもきのうおなかが痛かったという児童生徒があったわけでございます。それで百十五人の腹痛がありまして、そのうち薬を飲んだ人が三十六人、それから下痢をした人が三人。欠席状況を調べましたところが、その小学校は出部といいますが、欠席した子供は十三人。平素どのくらい欠席しているかというと二十人内外だそうでございますから、そのために欠席した人はないのじゃないかと思いますが、とにかく百十五人の子供が腹痛あるいは下痢が起きたという事実があるわけでございます。それでどうもきのうのあれはまずかった、変なにおいがしておったというようなことがあったのでございます。さっそく教育委員会に報告をして調査いたしましたところが、ポリエチレンの袋との間にカビがあったものがございます。それを発見いたしましたので、岡山県当局といたしましてはミルクの使用を一時中止いたしまして、ただいま県衛生部でもって検査させておるわけでございます。私どもといたしましては、そういうようなカビがあるとかぬれているとかいうようなものが厚生省の検査後あるいは発生して、学校その他でもってそれを発見した場合には、それを使わないようにそのつど指示をいたしておるような次第でございます。
 なおそのほかに、新聞によりますと、静岡にも同じような事件があったというので、さっそくきょう調査をいたしたわけでございますが、静岡県では島田と静岡市と坂部という学校、計六校では、中毒した人は一人もなかったのでございますが、どうも飲んでもまずいというようなことがあり、それで県衛生部に、静岡県といたしましては、カビの出たのもあるようでございますので、検査を命じているような次第でございます。神戸と横浜に外国のスキム・ミルクを輸入いたしますと、先ほど申し上げましたように厚生省の出先の検査官が検査をいたしまして、そしてそれを配給いたすわけでございますが、途中で水に浸ったりあるいは袋が破けたというようなものは使わないようにいたしておるのでございます。静岡県ではその点慎重に慎重を重ねて今検査をいたしておりますが、静岡県では中毒事故はないようでございます。以上が実情の報告でございます。
○長谷川(保)委員 新聞の報道によりますと、このカナダから入れられました脱脂粉乳は「ポリエチレン製の袋入りで口をひもで結んだだけの粗末な包装、文部省でも包装の痛みがひどいので各県に送る際も悪いものは包装し直せと指示を出していた」とこういうことでありますが、こういう事実があったのかどうか承りたい。
○清水政府委員 これはカナダから輸入いたしましたのは全部で二千七十トンでございます。袋にいたしまして九万一千四百七十五袋でございます。これはポリエチレンの袋に入れまして、その周囲を厚い紙五枚でもって包んであるわけでございます。ポリエチレンの袋と厚い文具紙のような紙を五枚重ねたその箱に入っておるわけでございますが、その間にカビが出たということは事案でございます。それからそのポリエチレンの袋の締め方がゆるいのが若干あったことも事実であります。それで特殊法人であります日本学校給食会といたしましても、配給する場合にはその点をよく注意して使うようにというふうに通知を出しておることも事実でございます。
○長谷川(保)委員 今のお話ですと、外が破れておる、そして袋の口の結び方がゆるいのがあるというようなお話であり、なおこのポリエチレンの袋と紙袋の間にカビがはえておったというような話でございますけれども、これは何にしても学童たちが食べるものでありますから、そういうようなものをなぜもっと厳重に処置しなかったかというのが私の疑問であります。カビがはえておる、あるいは袋の入口がゆるんでおる、しかも先ほどお話のように悪臭があったり、あるいはまずい、酸化しているのでありましょうか、何でありましょうか、そういうような不良な状態になっているということについて、日本学校給食会は少なくとも責任者といたしまして十分に調査するはずです。食べるものでありますから、しかも学校給食というような非常に大事なものに使うものでありますから、もし今回のような間違いが至るところでできますれば、せっかくここまで参りました学校給食が頓挫するということにもなると思います。親たちは安心して学校給食をさせられないということになる。そういうような欠陥があるにかかわらず、なぜ一体それを学校に出したのか、この日本学校給食会の方では、どう考えてこれをやったのか、事情がわかっておりましたら……。
○清水政府委員 先ほど申しました通り、カナダ産のスキム・ミルクを二千七十トン輸入いたしまして、輸入の際に神戸の検疫駐在食糧衛生官がこれを検査いたしまして、その中で事故品として処置されましたものが、たとえばビニールが破れておるというようなものが九十五トン、それからその他不適品といたしまして二百四十五トンというものが事故品として取り除かれたわけでございまして、従いまして千七百二十五トンというものが検査として合格し、それが配給されたわけでございます。もちろん今後とも輸入する際、これをより一そう検査をしていかなければならぬと思うのでございますが、これを地方に配給する場合、途中でもって気候その他の関係で不適のようになったものもあるのではないかと思います。それから私ども調査いたしますと、カナダのこの二千七十トンの中には――カナダではスキム・ミルクを作っている会社がたくさんあるわけでございます。十社あります。十社で作ったものを合わせまして二千七十トンというものがあるわけでございますが、どの社の製品が今申しましたような不適品や事故品であったかということも調査をいたしておるわけでございまして、このようなことが出たということは非常に残念でございますので、今後学校のスキム・ミルクが絶対こういうことのないように十分措置して参りたいと思っております。
○長谷川(保)委員 これは二月十日に神戸港に到着した品物のようであります。そうしてこれを各地に配って、この岡山県の出部の小学校で使ったのが九日であります。それによって十日朝までに百六十人の下痢、腹痛患者、中毒症状を起こした者が出た、こういうことであります。ところがこれを笠岡保健所で調べているのは、新聞によると十四日ということになっておる。あまりにその間に日がたち過ぎているではないか。こういうようなものについてはもっとすみやかな処置がなされなければならぬ。幸いにして、今度のものは今までのところではそうひどいものではないようでありますけれども、もしこれがもっと悪質なものであれば、大へんなことであります。あまりに日がたち過ぎているので私は不審にたえないのでありますが、厚生省では一体どういうような報告を受け、どういうような処置をしたのであるか、厚生省の方の御意見を伺いたい。
○阿曽村説明員 厚生省がキャッチいたしましたこと並びに処置について御説明申し上げます。
 私ども厚生省がこの事件の報告を受けましたのは、昨日でございます。昨日この報告を受けまして同時に厚生省としましては、これに対しての原因究明をできるだけ早くする――これは残余のものは一切これを使用することのないようにという措置を一応いたしまして、さらに文部省の方へ聞き合わせましたところが、これらのものが全部で三十三県にわたって出ておるということを聞きましたので、本日これらの関係の県に対しましては、衛生部に対しましてこれらのものを再検するようにということを通知いたしまして、とりあえずはそういう措置でもって、今後そういうものがさらに続発するということを一応押え得るというふうに考えておるわけであります。今後この原因がわかりますとともに、さらに根本的な対策を立てまして、再びこういうことのないように善処いたしたいというふうに考えております。
○長谷川(保)委員 いずれにしても、ちょっと時間がかかり過ぎている、こういう問題はもっと早く処理しなければならぬ。それで一体こういうようなことが起こったときには、学校としましては直ちに保健所に通知をするようになっているだろうと思うのだけれども、こういうようなことが起こった場合の処置はどういうふうに普通しているのか。学校給食のような場合に、どういうように処理しておるのか。こういう事件が起こったらすぐ保健所に通知するのでしょう。どういうことになっているのですか。
○清水政府委員 給食用のミルクはもちろん、学校給食物資一般につきまして、平素から通達あるいは会議等を通じまして、結局最後は学校に参るわけでありますので、県あるいは学校でもって、給食関係の物資について疑わしいものが少しでもあると思った場合は、直ちに県衛生部なりあるいは保健所と連絡をとって検査を受けるようにというふうにいたしておるわけでありまして、そういう意味合いからも、静岡のはすぐそれをやったのではないかと思っておるわけであります。
○長谷川(保)委員 少なくとも出部の学校で百六十人からの人がこういう中毒症状を起こしているということならば、これは当然保健所に直ちに通知をして、県の衛生部に通知する、同時に学校長は教育委員会に、教育委員会は直ちに文部省にしていなければならぬ。しかもその地方の者だけでなしに、やはりこういうような給食用のものであれば、国全体に配給されるわけでありますから、当然直ちにその手が打たれなければならぬ。どうもその組織がうまくできていないのではないか、あるいは組織はできていてもやっていないのではないかと思われるわけであります。こういう点、私はもっと厳重に処置をしてもらいたい、そうしないと親たちはこういうふうなことが起こって参りますと心配であります。ですからその態勢をもっとぜひしっかりやっていただきたい。
 それから同時に、先ほどお話のように、袋が破けておったのは、これはほとんど廃棄処分にしたようでありますけれども、こういうような約五%にわたりますものが不合格になったというような場合に、厚生省の方では、ことにカビがはえているというようなことになって参りますと、何かこういうようなものについてはもっと、たとえばその品物に対しまして、これは十分注意をして使うようにというような注意を文部省なら文部省に出すというような態勢はとれないのでしょうか。
○高野説明員 輸入関係は私の方で担当していますので、私からお答えいたしたいと思います。
 実際先ほど申し上げましたように、九万一千四百七十五袋入って参りまして、そのうち違反品として四千二百九十五袋あるわけであります。これは直ちに食用以外の用途に供するように廃棄処分をいたしておるわけであります。廃棄処分といいましても、それ以外の用途に供せられるということで、流れておりません。もう一つは、まだ保留分がございます。それは内容が、水かぶりあるいは袋がこわれる等でございまして、非常に複雑な状態にありますので、現在のところ検査を進めております。それが九千百二十一袋ございます。そういう状態でございまして、私の方としてはできる検査は抽出検査でございますが、全部保証のつかない限り通過を許さない、そういう態度で臨んでおります。
 それから先ほど袋の問題がちょっとありましたが、私は、そういうふうに記録にとってあるのでありますが、こういう袋で、これが一番外装であります。それからこれは少し張りつけてございますが、これがこのくらいの厚みのもの四枚ぐらいであります。これがその下。それからポリエチレンの袋に入っておる、こういう状態のものであります。ちょっと衛生的に見ますと、水などかぶりますと、こわれやすい状態、はなはだ嘆かわしいのでありますが、こういうものがカナダから入ってきておる。なるべくならば日本で使っているような状態の外装、そこまで持っていくのが理想かと思うのでございますが、諸般の情勢でこういうものがこのごろ入ってきたということであります。
○長谷川(保)委員 今のお話ですと、水かぶりその他で保留になっているものが九千百二十一袋ということなんです。そうすると九万袋の中で約一割というものがそういうような事態になっておる。それからそのほかに廃棄を命じたものもある。こういうようなひどい事情の場合には、やはり特別な注意を要すると思うのです。私もかつて厚生委員や社会労働委員をしておったので知っておりますが、厚生省の検査官の不足というものは非常にひどいものだ。私もその当時しばしばそういう検査官の増員を当局に要請をしたのでありますけれども、なかなか手が回らぬということも考えられますが、こういうようなひどい故障がありますものを、ことにミルクのような非常に細菌のつきやすい繁殖しやすいようなものを輸入して、そして学校給食にするという場合には、特に十分な注意を要するし、その注意書をつけて十分検査した上でこれを地方に回すというならば、地方でもそのつもりでこれを扱いますからよろしゅうございますけれども、どうもそういう点がだいぶ手抜かりではないか。その間に厚生省と文部省あるいは直接の責任者である日本学校給食会、こういうものとの間の連絡がどうも不十分だと思うのです。このようなことでは今後もやはりこういうような事件が起こってき、その際にもっと悪質なものであったら大へんなことになると思うのです。ですから、その間の連絡というものは、今日の態勢では一体どうなっているのか、厚生省と文部省の双方から事情を承りたい。
○清水政府委員 学校給食関係につきまして、私どもは輸入する際、またそれを配給する際、また下部へいきましてそういう中毒の起きないように、中央におきましては文部省と厚生省、地方にいきましては教育委員会なり学校から県の衛生部あるいは保健所と密接な関係を持って従来やってきておるわけでございますが、今後ともその点についてはなお一そう密接な連絡をとっていかなければならぬと思っております。
○長谷川(保)委員 だから、この点、厚生省の方でも文部省に対する連絡をもっとしてもらうような組織を組んでおく必要がある。そうしないと、今のように厚生省で検査して、これで大体いいだろうということでそのままきまってしまった。しかし実情を調べてみると水かぶりあるいは袋が破れた、カビがはえたという不良品が非常にたくさんあるわけです。こういうようなものは特に注意していただければよほど防げるのではないか。その間にどうもお役所お役所で全然連絡がないということでございますと、こういう手落ちが起きやすい。今後そういう点について十分考えてもらいたい。
 それから、いま一つ伺っておきたいのは、この輸入は一体どういうような条件でされたのか。たとえばこういうような損害につきましてはどこが損害を負うのか、日本給食会が負うのかどこが負うのか、この点ちょっと伺っておきたい。
○清水政府委員 従来スキム・ミルクは主としてアメリカのCCCから入れているわけでございます。スキム・ミルクの在庫の関係から、昨年十一月に緊急輸入として、CCCから輸入できませんでしたので、カナダから二千七十トンを入れたわけでございます。それ以後、現在はまたアメリカのCCCから輸入をいたしておるわけでございます。アメリカから輸入のものにつきましても、それから今度のカナダのものにつきましても、若干は不適品、不良品があるわけでございますが、カナダのものは従来のアメリカのものに比べて多いようでございますけれども、これら出ました不適品につきましては、日本学校給食会が不適品を全部回収いたしまして、それに魚の骨とかいろいろ入れまして、家畜飼料といたしまして、農林省の指定している団体にこれを売っているわけでございます。従いまして、これを考えますときに、今後は、たとい緊急に入れる場合にも、こういう故障品の少ないところから入れなければならないと思っておる次第でございます。
○長谷川(保)委員 だから、それはそれでいいのだが、今回の事件におきます損害はどこが負うのか。どういう状態で輸入しておるのか。たとえばFOBで輸入したとか、いろいろな問題がありましょう。だから、どういう事情で入れておるのか。この損害は学校給食会が負うのか。こういう点を伺いたいのです。
○清水政府委員 最初入札いたすときなどに全部調べまして輸入いたすのでございますので、学校給食会としてこれの責任を負っておるわけでございます。それで、この不適品が出ますと、従来これを家畜飼料に入れるわけでございますが、金額その他から申しますと、その損害をカバーするということになっております。
○長谷川(保)委員 家畜品として売るときに相当高いものとして売ることになるのか。それとも、その損害は一般の給食の方にかぶせておるのか。そうなってくると、そこに非常に重大な問題が出てくるわけであります。外国から輸入をして、こんなにたくさんの一割の不良品が出たということになりますと、しかもそれをほかの者にかぶせるということになると、これは容易なことではないと思うのです。
○清水政府委員 児童にこれとの関係があるかということでございますが、御承知のごとく、児童には一食について脱脂粉乳を二十二グラムということで配給しておるわけでございまして、それの金額には全然関係はございません。先ほど不適品が出た場合高くなるのか安くなるのかというお話がございましたが、脱脂粉乳は従来一ポンド四セントぐらいで輸入しておるわけでございます。もちろん関税はかかっておりませんこれが不幸にしてもし不適品が出ますと、横流しは絶対できませんし、してはならぬのでございますが、横流しを防ぐ意味からも、これに魚粉その他を入れまして家畜飼料として、農林省の推薦団体に売るわけでございます。その金額は脱脂粉乳として、学校給食用のスキム・ミルクとして売る値段よりも――一ポンド四セントで入れておりますからして、それを上回るということを申し上げたわけでございます。
○長谷川(保)委員 いずれにいたしましても、このような包装の不適なものを買い入れないで、アメリカからの輸入品はカン入りのようでありますが、今後そういう間違いの起きないように、また先ほど来申し上げておりますように、こういう事件が起こりましたときにはすみやかに、短時間にこれが次々と処置がとられていくという態勢がどうもできておらぬように思われるので、今後ともこういう問題についての十分な組織、運営を作ってもらいたい。厚生省と文部省ともっと十分に連絡をつけ、また文部省と学校給食会の方も十分な連絡をつけて、二度とこういうあやまちがないようにしてもらいたいということをお願いしておきます。
○西村(力)委員 関連して。人間の食べるものとして輸入するものが、一割も不良品が出るというようなことは、これは重大問題であると僕は思うのです。大体そういうものを人間に食わせるという考え方が間違っている。これは重大な問題であると思うんです。一体そういう事故率は平均してどのくらいですか。やはり一割ですか。
○清水政府委員 従来外国から入れておりまするスキム・ミルクは、主としてアメリカのCCCから入れたわけでありますが、これの事故品は大体〇・五%くらいでございます。今度カナダから入れましたものは意外に多いので、私自身としてもびっくりいたしておるわけでございまして、今後外国輸入の際には、とくとこの辺は考慮して進めていかなければならぬと思っておる次第でございます。
○西村(力)委員 先ほど厚生省の方は、九万トンに対して九千七十袋の事故があった、こういうことでありますが、これは同種のものという話ですが、これはどういう同種ということなんですか、もう少し詳しく御説明願いたい。
○高野説明員 内容は大体二十八ノットに分かれております。不良品となったもの、すなわち保留分は一社に固まっております。そういう状態でございます。それから不良品がこういうふうにたくさん出るということは、たとばえ船が全部水をかぶってしまうと全部不良品になる。外装の関係その他がございまして、外見上すでに不良である。細菌検査に至らない前に、すでに不良であるというのも相当あるわけでございます。これは外見の問題で、私の方で不良にする場合には科学検査、異物検査、細菌検査までやって、それで不良品としての処理をする。もちろんその前の、水をかぶって、もうかびて問題にならないというのは、外見検査で落とします。不良検査の量がどのくらいの割合であるかということは、ただいま局長からお話になられた通り、全部が全部そうだというわけではございません。これは特にそういうような状態が多かった船であった、こういうことでございます。
○西村(力)委員 水をかぶったというようなことも、大体デッキの上に積む材木並みに考えておるということじゃないか。ほんとうに人間に食わして栄養改善をやり、抵抗力の弱い子供たちに食わせるのに、水をかぶらせるような取り扱いをすることがおかしい。今五重の包装になっているというが、その表には何と書いてあるか。僕は英語はわからぬけれども、フォー・メンとかフォー・チルドレンとかイーティングとかいうふうになっているか、それともフォー家畜となっているか、この包装の表書きはどうなっていますか。
○高野説明員 表書きとかそういうことじゃなくて、食糧である、スキム・ミルクであるということが記載されております。それからデッキの上にあったのが水をかぶった、あるいは船おろしの際に水をかぶる、そういうことは操作上やむを得ないことだと思います。そういう意味で常に看視を強化していこう、こういうふうに努力をしているわけであります。
○西村(力)委員 スキム・ミルクというのは品物それ自体を表示しているんです。何の用途であるかということじゃないと思うんです。僕はそう思うんですが、どうなんです。
○清水政府委員 そこには食糧という意味のことが書いてございます。ただ過ぎ去ったことを申し上げますと、学校給食を始めた昭和二十一年から二、三年ごろは、国内の一部には、このスキム・ミルクというのは外国では家畜に飲ませるもので、われわれ人間に飲ませるのは何事だというようなことがありまして、一時学校給食のPRに困ったことがあるわけでございまして、人間が食べる食糧用のスキム・ミルクと家畜が食べるそういうものとは、全然区別されておるわけでございます。先ほどアメリカから従来輸入しておりますCCCの在庫品が非常に少なくなったという理由、原因は、ヨーロッパの旱害が続きまして、それでヨーロッパ向けの普通の食糧用として輸入されたために少なくなったというところから考えましても、このスキム・ミルクというのは人間の食糧用としてのスキム・ミルクでございます。
○西村(力)委員 そういうことであるならば、水をかぶったりなんかするような積み方をするというようなことは、あり得ないことだと思うのです。そういう不良品に対してはやっぱりこちら側としては、買手としては、はっきりとした態度をとっていかなければならない。何かいささか恩恵的な立場で、そういう不良品を多量にかかえているものを半ばありがたがったような形で受け入れるというようなことは、改めなければならぬと思うのです。それで不良品を家畜の飼料なんかに払い下げるときには、とにかく学校給食会の経理の中にはマイナスが出るはずでしょう。そのマイナスはどこでどう埋めるのです。
○清水政府委員 府県へスキム・ミルクを配給し、不幸にしてそのうちから不適品が発見されたものは、それだけ除外して、除外されたものを府県へ一定のきまった価格で渡すわけでございます。不良品は全部日本学校給食会が受け持って、それを買却するわけでございますから、府県にありまする何々県財団法人学校給食会のマイナスにも、赤字にもなりません。
○西村(力)委員 それは府県の段階はそれでいいでしょうけれども、中央の段階、総元締めの段階では、不良品を払い下げる場合にはもちろん単価を下げてやらざるを得ないと思うのですが、そのマイナスはどう力バーざれるか、そこはどうなっているか。
○清水政府委員 従来外国から輸入いたしておりますスキム・ミルクは一ポンド十五、六円でございます。税金もかかっておりません。国内の食料用のスキム・ミルクは一ポンド百円以上いたしておるわけであります。それで不幸にして不適品が出ますと、これを人間が食べられないようにまぜて、家畜用にこれを回すわけでございますが、回します場合に、農林省が推薦した団体に入札で出すわけでございます。そうしますとその金額は各県に売り渡す金額よりも相当高くなるというような実情でございます。
○西村(力)委員 それは何かをまじえて、今度はほんとうの家畜飼料として(笑声)渡すときには高くなるかもしらぬけれども、そのもとになるスキム・ミルクそれ自体の原価のはじき方はやはり高いですか。そうすると、学校の子供にやらぬでみんなそっちへ売った方がもうかるな。今度混合して払い下げるときには高くなるけれども、そのもとになる、原価計算になるスキム・ミルクの値段は、やはり学校に配給するよりは下げてやらなきゃいかぬじゃないか、そのマイナスはないかということなんです。
○清水政府委員 不適品でなくて、りっぱなスキム・ミルクは、それを市価に持ってきたら膨大に高くなるわけでございます。従って、その点私どもが一番心配しているのも、これをわきに横流しすることがあってはならない、適品はあくまでも学校給食用として食べるのだ。これを横流ししたら厳罰に処せられるわけでございまして、その点私ども一番苦労しているところの一つであります。
○西村(力)委員 いや、それはわかるんだ。わかるけれども、学校に渡すときに一ポンド十四円とか言うたね。今度はその不良品だ。それを何かまじえて売る場合に何ぼということになるが、そうするとその不良品は、原価計算の場合、学校に渡す場合よりも下がった価格で計算するという工合にならないのか。それは同じ価格でやるのですか。そこのところがどうもおかしいんだな。
○清水政府委員 不適品として売却する場合には相当高く売れるわけでございますが、高くなったその金は日本学校給食会の物資経理に入りまして、翌年度の学校給食費の単価に組まれるわけであります。
○西村(力)委員 それじゃ、厚生省も思い切って不良品を出してくれたらいいと思うのです。(笑声)普通の場合ですと、計算してマイナスを与えるとなればそこに問題もありますが、その方がかえって翌年度の学校給食の単価をはじく上によけいになる。それで穴を埋めてくれるというんなら、これはやはり徹底的に検査をして、不良品をどんどん出してくれた方がよろしいと思うのです。大へんおもしろい経理を聞きましたが、先ほどの袋の上に書いておるところをちょっと見せてもらってやりたいと思いますが、とにかくこういうような事故が起きる、その取り扱いということが、この品物に対する考え方が相当問題になる、こういう工合に思うのですよ。しかもこういうように不良品が出るような場合には、買手としての断固たる立場をとるべきである。厚生省には一つ徹底的な検査を、もうけるためにもやっていただきたいということをお願いして終わります。
○長谷川(保)委員 実際は、給食にスキム・ミルクをやりましても、あまりおいしくないから喜ばれないんですね。それで私どもは前からよく言うのでありますが、それぞれの学校の所在地の農家の牛乳をもっとくれるようにしたらどうか。これはおそらく経済の問題でできないというところでありましょうけれども、実際に私どもの地元で給食しておるのを見ますと、やはり子供があまり喜ばない、飲まないんですね。それでこのスキム・ミルクを飲んだようなふりをして捨てるというようなことも相当ある。ですからそういうことは非常にもったいないのであって、実際もし学校給食に農家の牛乳を使うということになれば、今の日本の農家がさか立ちして牛を飼ったって足らない。それがそういうようにいかないものですから、一方では農家は乳業大資本に絶えずあやつられ、ぶったたかれて、安い値段で買われたり、少し上げてくれるとまた牛を飼う、牛を飼らとまたすぐ牛乳が安くなるというので、非常に困っておる。私は子供たちの非常に喜ぶ、そうして危険の少ない牛乳を使うという工夫をしてもらったらどうか、こういうように前から思うのでありますけれども、これがうまく進まない理由は何でありましょうか、経済的な理由でありましょうか、そのほかにもありましょうか。
○清水政府委員 ただいまスキム・ミルクの味の話が出ましたが、学校給食の始まったころは、どうもおいしくないという傾向があったのでありますが、昨今脱脂ミルクは非常においしくなって、私も二、三回試食をしたのでございますが、その中にたとえばバターを少し入れるとか、あるいは脱脂粉乳を料理に少し回すとか、非常に昨今おいしくなっております。私の知る限りにおいては、飲まないという人は少ないのでありまして、いつかこの点は先生方の現場の御視察と御試食をお願いしたいくらいに思っておる次第でございます。
 それから今牛乳の話が出ましたが、これはごもっともな話でありまして、しかし学校給食の立場から申しますと、脱脂粉乳が取り扱い上、輸送上、衛生上非常にいいわけでございます。しかし私どもは、脱脂粉乳を使うにあらざれば学校給食でないというふうに思っておりませんので、国内の酪農振興のこともあり、牛乳の特殊価値のこともあり、年々これを使用することを奨励いたしております。本年は大体三十三万石くらいですか、学校給食に牛乳を使うつもりでおります。しかしこれもやはり立地条件がございまして、それに適したところは牛乳を使うようにいたしておる次第でございます。
○長谷川(保)委員 だいぶおそくなりましたので、この点はいずれまた別の機会にするといたしまして、ついでにちょっと伺っておきたいのは、これまた最近の新聞の報道によりますと、先般来風しんがだいぶ方々ではやっております。それからもう一つ、かぜが非常にはやっております、ということで、風しんのごときは東京都の学校の中にも入ってきたというようなことでありますが、その後事情はどうなっておるか。この前一応文部省の方に伺ったのでありますが、文部省、厚生省ともに、どんなふうになっているかお伺いいたします。
○清水政府委員 風しんが昨今はやり出したのでありますが、特に二月の九日ごろ静岡に急に風しんが発生いたしました。一番ひどいときには、学校が三十二校に及びました。それで臨時休業いたしましたのが三校ございます。それから学級閉鎖が二十七学級、欠席者数が実に二千二百四名に達したのでございますが、それが三月一日現在になりましたところが、学級閉鎖が三学級に減ったということでございます。御承知のごとく、風しんというのはいわゆる三日はしかでありまして、症状は専門家の話によりますと、はしかと非常によく似ておる。似ておるけれども、はしかのように予防注射もない、どうしたらばいいだろうかということになるわけでございますが、私どもとしては従来こうした問題が発生したとき、とにかく早期発見、早期措置ということを唱えておるわけでございまして、静岡県に発生しました際にも学校当局が非常に良心的に処置いたされました。特にいい方法はないようでございます。これは御承知のごとく法定伝染病ではありませんが、直った場合でも五日間というものは学校に来ないように、言いかえれば風しんの一番の妙薬は隔離することだそうでございます。従いまして学級閉鎖それから学校臨時休業というようなものがあったのでございまして、静岡県においてはもうなくなったのではないかと思っております。ところが、その後東京都で発生いたしまして、昨日の調査によりますと、東京都の風しんは九校、学級閉鎖が十六学級、患者数が百八十九人と聞き及んでおります。これも現場の学校の先生方の適切な御処置によりまして、昨日はそうであったのでありますが、きょう十六日は風しんは三校、学級閉鎖は三学級ということになっております。聞くところによりますと、風しんは十年か十五年に一度ずつ大流行を来たすそうでございますけれども、県衛生部、学校それぞれの御協力によりまして、まず大流行ということではなく済みそうじゃないかと思っておる次第でございます。
    〔稻葉委員長代理退席、臼井委員長代理着席〕
 インフルエンザの方は、東京が相当多かったのでございますが、昨日六校、学級閉鎖が六学級、六十三人の患者があったわけでございます。本日の調査によりますと、六校が四校に減りまして、学級閉鎖も四学級、これも次第に鎮静におもむいていくのじゃなかろうかと思っている次第でございます。
○臼井委員長代理 小牧次生君。
○小牧委員 時間もだいぶたちましたので、簡単に端的にお伺いいたします。本日午後四時より文部大臣の部屋において日教組の幹部と大臣が会見をされる、こう承っておるわけでありますが、時間もだいぶおそくなっておりますし、またちょうど会見を間近に控えたときでございますから、そう突っ込んだ御質問はいたしません。ただ従来わが日本の教育界はいろいろ混乱を続けて参っております。特に昭和三十二年の勤評問題を契機といたしまして非常な混乱を続けて参り、いわゆるどろ沼に入っておって動きがとれない。これではわが日本の教育のためにはなはだよろしくないので、何とかそれを解決しなければならないという要望は各方面から非常に強いものがございます。従って松田文部大臣におかれては、これらの情勢を見て、すでにたしか前後三回にわたって日教組の幹部といろいろ話し合いをされた、かように私は記憶をいたしておるわけであります。それらの努力にもかかわらず、いまだにこれが解決を見ておらない、こういうときに本日、日教組の申し入れに応じて三十分、非常に時間は短いと私は考えておりますが、日教組の幹部と会合されるということを承って、非常に喜びにたえないわけであります。現在の教育界の混乱を何とか正常化しなければならない。日教組はあくまでも勤評に反対をし、また文部省はこれを強行しよう、こういう態度でずっと参りますならばこれは並行線でございまして、何ら解決の見通しがつかない。従いまして、文部省もまた日教組の方も、両方からある程度の歩み寄りがない限りは、今日の現実の打開は困難である、こう私は考えるわけでありますが、これらの点に立って、日教組の諸君と本日のこの問題について私は話し合いをいたしたことはございませんから正確には存じませんが、日教組の過般の大会において、勤評その他の問題に対する今日までの態度については、若干の修正を加えてきておるようであります。正確には存じませんが、言うなればやや姿勢を低くいたしまして今日の会談に臨むわけであります。少なくとも中央の交渉において何とか円満なる解決をはかりたいという非常に強い意欲のもとに会見を申し込んだと私は聞いておるのであります。従いまして、先ほど申し上げた通り、本日の文部大臣その他と日教組の幹部との会見は、国民の大多数が非常な関心を持って注目いたしておるであろうと私は想像をいたしております。本日の会合で直ちに解決の糸口が見出されるかどうか、これは疑問でございますけれども、日教組もまた文部省においても、誠心誠意これらの客観情勢を十分考えて、そうしてお互いに解決への歩み寄りができる態度をもって臨んでもらいたい、私はかように考えてお伺いをいたすわけでありますが、先ほども申し上げた通り、会見の前でございますから、突っ込んだ御質問はいたしませんが、文部大臣がそれに臨むについての態度、心がまえについて、でき得る限りの御所見をお伺いいたしたい、かように考えるわけであります。
○松田国務大臣 私も就任以来この問題につきましては、日夜沈思黙考、寝ても起きてもこの問題について、教育正常化のために何とか解決の見切りをはかりたいと考えて参っておるものでありまして、今回も先方の要請にこたえて、本日会見するようになっておるのでありますが、私といたしましては、ただただ現在の双方にらみ合いしているような格好でいくということが、教育上そういうことが非常に反映するのは悪いことと思いまして、何らかの道を講じたいと思っておりますが、むろんその態度につきましては教育のことでありますから、私は十分謙虚と申しますか、寛容と申しますか、そうした心がまえを持ち、またしんぼう強くこの問題に対処していきたい、かように考えているわけであります。
○小牧委員 私は本日の会合一回で、ある解決の糸口ができるとは考えておりませんが、それにいたしましても、承るところによりますと、三十分ということを内藤局長の方から回答されたように新聞には書いてありますが、日教組の方ではたしか一時間要求したにもかかわらず、三十分ということを回答されておる。おそらく日教組としてもやむなくこれを了承したのであろうと考えますけれども、第一回目でございますから、あるいはそれでいいとお考えになっておるかもわかりませんけれども、私どもといたしましては、こういう大きな問題、長い間のいろいろな問題を、第一回目であってもわずかに三十分ということでは、これはちょっと顔を会わせて、しばらくお茶を飲んでやっておる間にたってしまうのではないかと思うので、必ずしも三十分にこだわらないでやっていただきたいということを私は強く希望をするわけであります。
 ただここで懸念されるのは、これもどこまで事実であるかどうかわかりませんけれども、このような松田文部大臣が日教組の幹部と会って話をするという態度について、内容はまだ検討されていないと思うのですが、この態度について、自由民主党の一部の間においてある程度の反対があり、圧力が加えられておるというようなことが新聞に書いてある(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)今その辺から不規則発言がございましたが、あり得るはずはないと思う。もしそうであれば、私は心から敬意を表する一人であります。大臣が会おう――特に教育は中立性を堅持しなければならない。なるほど大臣は自由民主党に所属しておられますけれども、政党政治の時代でありますから、党の方針というものは聞かなければならないけれども、しかし、一たび文部大臣という重要な地位に就任されておる以上は、あくまでもわが日本の教育の発展のために専心努力してもらわなければならない。こういう建前から、あくまでも教育の中立性ということを尊重し、多少雑音があっても、この際勇気を奮ってこの解決に乗り出すという態度を堅持してもらいたい。この誠意ある態度こそ私は解決への糸口であろう、こういう考えで本日の会合には非常に大きな期待を持っているわけでありますが、先ほどの御答弁によりますと、しんぼう強くという言葉を申されましたが、もちろん一回でどうということはないと思いますので、その後引き続きしんぼう強く何回もこらいった会合を持って、そうして一歩一歩正常化への努力が積み重ねられるであろうと私は期待をいたしておりますが、大臣のお考えはいかがです。
○松田国務大臣 私も一介の政党員であり、また現在自民党の党員でありまするから、自民党の人たちからいろいろ意見も伺います。しかし圧力云々の点につきましては、そういうことは少しもございません。また、大体私あまりそんなことを感じない方のたちでございますから、それをもって御了承願います。
○小牧委員 そこで、私は一点希望を申し上げておきたいと思う。具体的に詳しくは申し上げませんので、希望を申し上げたいのでありますが、これはどうしても両方から多少は歩み寄っていかない限り、とうてい並行線のままで解決できない。前には神奈川方式とかあるいは長野方式とか、あるいはまた最近は福岡県で新しい方法がいろいろ出されて、これに対して内藤局長も意見を述べておられるようであります。これらのことを総合して考えまするに、私は何らかの形でこの問題を解決する、また検討をする審議会、こういうような構想を打ち出して、そうしてこれらの権威ある機関によって勤評その他の問題を考え、研究をして案を出して、これを両方でそれぞれ検討をして、そうしてどこかに解決への方向を打ち出していくというような方式も必要であろう。場合によっては、私どもはこういった法案も提案しようかと考えまして、今ある程度の準備も進めておりますが、新聞を見ますと、これはうそかほんとうかわかりませんけれども、多少そういうような考え方が文部省、日教組の側にもあるように書いております。どこまで真相をついておるかわかりませんが、こういう点について大臣はせっかく向こうの要望に応じて会おうというような立場をとっておられるわけでありますので、何にもなくて、白紙で臨むという場合もありますけれども、ある程度は何か考えて、本日そういう気持を出されるかどうかは別としても、臨まれるのではないか、こう思いますが、この点について大臣のお考えを承っておきたい。
○松田国務大臣 御承知のように、この問題は、何と申しましても、教育上の直接の権限というのは地方に移譲されておるわけでございまして、従って、私の方が特にイニシアチブを持ってこうこうこういう案で話し合うというようなことは、ただいまのところでは考えておらないわけであります。ただ誠意と熱情を持って、何らかの手段で現在詰まっているみぞも流れるようなことにして、正常化の実を上げたいものである。私は、言うならば、ただ熱情と誠意を持って、全く相撲取りが裸で土俵に臨むような気持で、ただふんどしだけはしめて参りたい、かように考えております。
○小牧委員 一言申し上げますが、大体大臣の朗らかなお気持を承りまして、私も非常に安らいできたのでありますが、今世界的には雪解けの状態にあり、共産圏と自由諸国との間にも何とかして冷戦を緩和しなければならない、あるいは軍縮の問題その他いろいろあります。こういう情勢でございますから、私はこういう要求を文部大臣だけに要求するのはどうかと思いますが、しかし、きょうは相手の日教組の方がおられませんので、これは言えないわけでございますけれども、両方に同じように要求しなければならないと思います。ただ、しかしながら何と申しましても、今日のわが日本の教育ということについて、最高の責任者は、やはり政府であり、文部省でなければならない、同時に文部大臣でなければならないと考えます。いや、相手が悪いんだ、言うことを聞かないからだめなんだとかなんとかいっても、やはりこれらの混乱した教育界を正常化しなければならないという最後の最高責任者は、今申し上げた文部大臣であるということを、今国民も私も考えておるわけでございまして、この際特にこの気持を強くお持ちになっていただいて、本日の会合に臨んでいただきたいということを強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○臼井委員長代理 次会は来たる十八日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時五十九分散会