第034回国会 本会議 第11号
昭和三十五年三月四日(金曜日)
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 議事日程 第九号
  昭和三十五年三月四日
    午後一時開議
 第一 養鶏振興法案(第三十一回国会、内閣提出)
 第二 南大東島における高層気象観測に必要な物品の譲与に関する法律案(内閣提出)
 第三 国内旅客船公団法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 海岸法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 建設業法の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
 横浜体育館における集団惨事に関する緊急質問(安井吉典君提出)
 商工会の組織等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及びこれに対する質疑
 日程第一 養鶏振興法案(第三十一回国会、内閣提出)
 日程第二 南大東島における高層気象観測に必要な物品の譲与に関する法律案(内閣提出)
 日程第三 国内旅客船公団法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 海岸法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 建設業法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    午後一時五十分開議
○議長(清瀬一郎君) これより会議を開きます。
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 横浜体育館における集団惨事に関する緊急質問(安井吉典君提出)
○天野公義君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、安井吉典君提出、横浜体育館における集団惨事に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
○議長(清瀬一郎君) 天野君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 横浜体育館における集団惨事に関する緊急質問を許可いたします。安井吉典君。
    〔安井吉典君登壇〕
○安井吉典君 私は、日本社会党を代表し、一昨日の横浜市立体育館の歌謡曲ショーにおける惨事につきまして、政府に対し緊急質問を行なわんとするものであります。(拍手)
 去る三月二日午後五時四十五分ごろのできごとでありますが、横浜市中区横浜公園市立体育館で開かれました、ラジオ関東主催、歌謡曲ゴールデン・ヒット・ショー公開録音の入場に際し、北側入口から、昼ごろより表で待ちかねていた群衆がなだれ込み、婦人や子供たちは次々に将棋倒しに折り重なって倒れました。新聞等の描写によれば、倒れた人の上にまた倒れ、その上を踏み越えるというありさまで、一瞬、泣き叫ぶ者、うめく者、助けを求める者、血を見る騒ぎとなりました。そうして、入口付近には、すでに息絶えた者、どろまみれの者など、数十人が小山のように積み重なり、世にもむごたらしい光景を描き出しました。死者十二人、すべて女の人と子供であり、重軽傷十四人も同様であります。ひな祭りの前夜の痛ましいできごとでありました。私は、このできごとに深い悲しみと憤りを覚えつつ、これら死傷者や御家族の方々に心からな弔慰と御同情の意を表しますとともに、われわれは、かかる惨事を引き起こすこととなった原因や、その背景にある諸事情を徹底的に追及し、二度と再びこれを繰り返さざるよう、この際あらゆる努力を払わなければならないと思うのであります。(拍手)
 まず、私のお尋ねしたい第一点は、ショーの主催者側の責任について政府はどう見ておられるかということであります。このショーの主催者であるラジオ関東は、定員二千五百とされておりますこの会場に対し、六千枚をこえる無料招待券を配付いたしております。このうちの十二枚が、まさに死への招待券となったのでありました。このような無計画な招待券の乱発が事故の最初の原因を作ったものと思いますが、この点はいかがでありましょうか。
 また、主催者側の入場整理の状況は、警察側との協力も悪く、アルバイト学生を主とする整理人員は手薄で、かつ、整理についての設備も不十分であり、そのやり方はきわめて不手ぎわであったと伝えられております。大ぜいの人々を集め、集会を主催する者は、当然のこととして、それに参加する人たちが快的に時が過ごせるよう、まして、事故などが起きることがないよう、完全に整理し得る能力を持つべきであり、そして、いかなるときもその責任を免れることはできないと考えるのでありますが、石原公安委員長より、現在までの調査の結果について伺いたいのであります。
 ある新聞の寸評欄は、この事故を、マスコミのお祭り製造業に対する頂門の一針と、手ひどく評しております。確かに、近ごろは、内外芸能人を呼んでの派手な人集め行事がいささか過剰であるような気がするのであります。もとより、中には、きわめて意義の深い催しも多いし、かつまた、生活に追われる庶民のささやかな慰めとしての芸能行事も大切であります。しかしながら、単なる金もうけや行き過ぎた宣伝だけの行事は慎しまなければならないと思うのであります。(拍手)私は、この事故の原因となった行事がそのような性格のものであるとは申しませんが、広く放送事業全般に対し、この問題についての郵政大臣の御所見を聞きたいと思います。
 質問の第二点は、警察側の処置と態度についてであります。警察側は、十数人の制服・私服の警察官をその催しに派遣していたそうでありますが、事前の、あるいは会場での、主催者側との連絡について欠けるところがなかったでありましょうか。会場入口の中途での変更、入口における整理のための設備あるいは入場者の誘導方法などにつき、主催者と打ち合わせを行ない、指導を行なうことが不十分であったのではないでしょうか。群衆は、時に常識を越えた行動に出ることがあります。この場合は、人気歌手に対し熱狂したファンの異常な心理が、昼ごろから戸外に幾時間も立って待っていたということにより、もうじれ切っており、そのとき、とびらが開かれたのでありまして、警察側も、このような際の群衆心理を当然計算に入れて、みずから警備に任じ、または主催者を指導すべきであったと思います。また、定員の倍に及ぶ入場者がありますことは、届出はどうあろうとも、人々の出足やその後の増加ぶりから見て、くろうととしての警察側は早目に推測がつくはずであり、それによって警察官の応援出動の態勢をすみやかに整えるべきであったと思います。これらのことが何らなされていない点、警察側の責任は重大であると思うのであります。(拍手)
 警察法第二条によれば、警察官の責務は、「個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ること」であります。労働団体のストライキや民主団体のデモに対しましては、どこからともなく、青い鉄帽をかぶった機動隊が、驚くほどの大量動員をもって警備に当たり、専門的に訓練された警棒をふるっての鎮圧の実力行使で体当たりする同じ警察が、過日のようなおそるべき結果を生ずる民衆の混乱については全く手をこまぬいている態度に対しては、われわれはまことに疑問なきを得ないのであります。(拍手)もし、各道府県警察に人員が足りないといたしますならば、現在、警視庁が膨大な数をかかえ、平生は仕事のない機動隊を解散いたしまして、地方の民衆の間でこつこつ勤務しております警察官の補助員として分散配置するお気持を政府はお持ちにならないものか。
 以上、これら警察の問題について、国家公安委員長より明確なる御答弁を伺いたいと思います。(拍手)
 なお、今回の事故において、われわれは、日本人の公衆道徳というか、共同社会生活の訓練の不足といいますか、そのことを思わざるを得ないのでありますが、ことに、約三十人ほどの若い青少年のグループが、意識的に、並んだ行列を無視して割り込み、これが大混乱の直接の原因となったとの報道がありますが、明らかに軽犯罪法違反である。このことについてどう措置されるかも、あわせて伺いたいと思います。
 第三点は、この事故を起こした会場の問題であります。この横浜公園体育館は、元米軍体育館であった大型かまぼこ兵舎約三千平方メートルで、三十三年接収解除、現在、国有財産のまま、横浜市が手を加え、委託管理しているものであり・平生は、その名の通り、室内スポーツに用いられ、催しものに使うには粗末な施設であると聞くのでありますが、これは三十三年から興行場法の適用を受けており、許可定員二千五百名を二倍以上も上回る入場を許しておる点、明らかに同法違反であります。また、今回の事故の大きな原因の一つは、この入口のとびらの前に小排水溝があり、十二センチの段がついており、これに入場者がつまずいて倒れ、これにあとの人々が折り重なったというところにあるともいわれておるようであります。これは多くの人々の集会する施設として大きな欠陥であります。このような施設の状態をそのままにしてきた施設管理責任者の手落ちについて、政府は十分な調査を行なうべきであります。しかして、この際、全国的に多人数集会施設について、事故防止のための設備点検と、完全な設備たらしめるための対策を、政府はすみやかに講ずべきであると考えるが、国家公安委員長並びに建設大臣の御所見を伺いたいと思います。
 第四点は、政府は、この事故に際し、被害者に対する補償の問題について、どう対処されるかということであります。主催者側のラジオ関東はとりあえず若干の見舞金を贈った由報道いたされておりますが、無料で人気歌手の歌を聞こうとして集まった人たちであるだけに、被害者の中には生活の苦しい人たちが多いと思うのであります。一夜の慰安の招待が、むざんな死の招待となった、これらの人々の遺族に、あるいは負傷者に、十分に償い得る補償が行なわれるよう、政府は適切なる処置をとるべきと思います。
 さて、最後に、この質問の結びといたしまして、私は、岸総理にお尋ねいたしたいのでありますが、残念ながら、本日総理の御出席を得ることができませんので、要望として申し上げたいと思います。
 近来、このような尊い人命を粗末にする事故が続発いたしております。記憶にごく新しいところでは、北海道の夕張炭鉱における坑内爆発事故があり、それより前には、同じ横浜において火薬工場の爆発と、その後、日ならずして、火薬積載トラックが砂利トラックと激突して大爆発を起こし、その一週間あとには、愛知県豊川市において火薬トラックの急行電車衝突事件あり、いずれも多くの死傷者を出し、建物その他に多大の損害を与えているのであります。多数集会による事故といたしましては、二十九年の二重橋新年参賀の事故や、三十一年の新潟弥彦神社の事故を初め、同じ三十一年の大阪劇場切符売場殺到事件、三十二年、和歌山市民会館、三十三年、八幡製鉄労働会館、三十二年、秋田山王体育館のそれぞれの事故があります。交通事故にあっては、まことに数えるにたえないのであります。しかも、今日、新しい事故を生ずるおそれのある危険な種子が至るところにまき散らされているのであります。たとえば、興行場等の定員に関する規定はあってなきがごとく、大事故にならないのがむしろ不思議なくらいであり、火薬取り締まりについては、暫定的な予防措置を講じようとしているだけで、根本的な火薬類取締法の改正はいまだに見送られております。また、交通事故防止については、罰則の強化ぐらいしか能がない道路交通法改正よりも、道路法ができてからすでに数年を経ておりますのに、各省間のなわ張り争いから、道路を運行する車両を制限する政令をいまだに制定することができないありさまであります。また、一たん舗装されました道路を掘り返しては埋め、埋めては掘り返し、東京じゅう、すっきりと車の自由に走れる道路の区間よりも工事中の区間の方が多いのではないかと錯覚されるような道路工事の無統制な状態は、相変わらず放置いたされております。(拍手)これでは、交通事故は起きほうだいであります。炭鉱や工場の保安に関する規則は無理解な会社によって守られず、朝夕の国電のラッシュは、定員どころか、まさに殺人的であり、これに何かの障害が加わったらどうなるかと思うと、はだにアワを生ずる思いがいたすのであります。(拍手)
 私は、今回の歌謡ショー事故や火薬爆発等の人命損傷の事件がことごとく岸内閣の責任であるとは申しません。しかしながら、岸内閣は、大企業向けの経済政策にはむやみに力を入れられますけれども、大衆の人命尊重のための諸政策は全く投げやりになっているのであります。(拍手)国民大衆に何らのあたたかい思いやりのない岸総理の官僚性を、ここにも、われわれは、まざまざと見ることができるのであります。(拍手)その結果といたしまして、このよう事故が続発するのであり、かつまた、このようでありましては、今後いかなる新たな事件が起こるやもはかり知れないということを、私は総理に警告いたしたいのであります。しかして、今後とも、政府において、この警告を無視し、人命尊重のための法令の改善や完全実施を怠りますならば、そのときこそ、これから新たに生ずべき事故に対する岸内閣の責任は完全に免れないことを、総理はどうぞ御銘記願いたいのであります。すなわち、私は、岸総理に対しまして、今回の惨事を契機といたしまして、今こそ、人間の生命を危険から守るためのあらゆる法令を再検討し、その確実な実行をはかるべきであると考え、人間を大切にすることを現実の政治に真剣に現わしていきますことを強く要望いたしまして、この質問を終わる次第であります。(拍手)
    〔国務大臣石原幹市郎君登壇〕
○国務大臣(石原幹市郎君) 安井議員の御質問にお答えいたします。
 一昨夕、横浜体育館におきまして集団惨事が起こりまして、多数の死傷者を出しましたことは、まことに遺憾に存じておる次第でございます。
 今回の催しにつきましては、主催者側のラジオ関東から、二月二十六日に、加賀町署にいろいろ事前の打ち合わせがございまして、その節、八千名ばかりの招待券を出しておるということが話されたのであります。ただし、満員の際には断わる、あるいは子供の同伴は断わるというようなこともつけてありまして、満員の際には断わるのだ、同時に、こういう催しの例といたしまして、実際の来場者は大ていその半分くらいの三、四千名が今までの通例であったのであります。それで、体育館は、ただいま、座席が二千五百、それからさらに千で三千五百、五百の立ち見で四千人収容し得る施設になっておるのでございます。しかし、警察当局といたしましては、なお主催者側に自衛警備を極力要請いたし、警察といたしましても、従来より三倍の警備員を派遣いたしまして、制服十二名、私服七名の警備員、三倍の警備員を出して警備に当たったのでありまするが、結果におきまして、ああいう惨事が起こりましたことは、まことに残念であります。この点は、目下警察と検察庁とでその原因を捜査中でございまするが、ただいまのところでは、大体、途中横から割り込みました三十数名の若者の一団によってこの事故が起きたと推測されておるのであります。今後とも、これらの点は、十分捜査の進行によりまして責任者を発見していきたいと思うのであります。
 それから、いろいろ、人員の配置等についても、警察官の配置等についても、お話があったのでございまするが、これは、人口であるとか、あるいは犯罪の状況であるとか、都市と町村の分布、面積、こういうことで警察官の配備をしておるのでございまして、近いところからは応援態勢等も得られるのであります。現状の配備計画でまずよいのではないかと私は思っておる次第であります。
 施設管理者の責任問題につきましては、建築基準法の問題、消防法等に関連いたしまして、条例の整備等、今後とも整備しなければならぬ問題が多々あると思うのでありますが、この国会におきましても、消防法等の一部改正、あるいは道路交通法の改正案等をいろいろ御審議を願いまして、こういう集団の取り締まり等につきましても一そう万全を期していきたいと思っておる次第でございます。
 なお、今後は、こういう多衆の運動に対しましては、今まで警備実施要則というものを定めまして、こういう多衆雑踏の取り締まり等について十分訓練をしておる次第でありますが、さらに一そうの訓練を課しまして、今後こういう事態のないように極力努めて参りたいと思っておる次第であります。
 以上、お答えいたします。
    〔国務大臣植竹春彦君登壇〕
○国務大臣(植竹春彦君) お答え申し上げます。
 質問の第一点は、郵政省の本問題に対しまする所見を御質問でございますが、この放送事業の監督・指導に当たっております郵政省といたしましては、今回の事件に対しまして深く哀悼の意を表する次第でございます。郵政省といたしましては、主催者においても万全の準備をせられ、また、参加者におきましても秩序ある集団行動をとられまするように、今後も行政指導をやって参りまして、再びこういうことの繰り返されないように指導して参る所存でございます。
 第二点の、放送番組の内容の派手であるという御質問につきましては、ただいま放送事業につきましては番組審議会がございますので、その番組審議会の御決定の範囲内におきましては、その番組に対しましては自由を認めておるのでございますが、今回は、その点、逸脱したものとは認めておらないのでございます。また、放送事業は、発表されましたプログラムはこれを実施していくというのがむろん建前で、そうなくてはならないのでございます。今回の事件にかんがみまして、ラジオ関東におきましては夜の放送を中止せられましたが、これは、電波法の第十六条第二項の範囲内において、放送を一時休止せられて哀悼の意を表し、謹慎をされたということは、その処置は、監督官庁といたしましてまことに了としておる次第でございます。重ねて、私は、こういうことの再びないように十分に行政指導をなしていく所存でございます。
    〔国務大臣村上勇君登壇〕
○国務大臣(村上勇君) 横浜のこのたびの事故に対しましては、まことに御同情にたえない次第であります。建設省におきましては、直ちに住宅局の係官をして厳重に講堂等について調査いたさせましたが、建物に対する何らの破損等はありませんでした。この点については何らの瑕疵はなかったという報告を受けておる次第でございます。
○議長(清瀬一郎君) これにて緊急質問は終わりました。
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 商工会の組織等に関する法律案
  (内閣提出)の趣旨説明
○議長(清瀬一郎君) この際、議院運営委員会の決定により、内閣提出、商工会の組織等に関する法律案の趣旨の説明を求めます。通商産業大臣池田勇人君。
    〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) 商工会の組織等に関する法律案について、その趣旨を説明申し上げます。
 中小企業問題につきましては、その重要性にかんがみ、政府といたしましても、かねてから諸般の施策を講じてその解決に努力いたして参ったのでありますが、中小企業の中でも、中規模事業者と小規模事業者との経営格差は非常にはなはだしいものがあります。しかるに、従来の中小企業対策においては、この小規模事業者に対する施策は必ずしも十分とは言えず、特に、地方の町村における小規模事業者の対策の強化は緊要とされているところであります。この対策強化のためには、もちろん、金融措置、税制措置等についても考慮する必要があり、政府としてもこれに意を注いでおりますが、小規模事業者の特質を考えますときは、これらの事業者のためには、その実情に即した資料の収集、提供、経営及び技術に関する相談、指導、事業資金の借入のあっせん、各種事務の代行等の業務を不断に行なう組織を確立することが最も肝要と考えられます。
 このような業務を行なう組織としては、市部においては、すでに商工業の総合的改善発達をはかるための組織として商工会議所の制度があり、小規模事業者に対する事業をある程度行なっておりますのに対し、町村等の郡部においては、このような制度がありませんので、主として町村における商工業の総合的改善発達をはかるための組織を確立する必要があるのであります。
 このような必要性に基づきまして、すでに現在までに、主として町村において二千六百以上に及ぶ商工会が自然発生的に誕生しておりますので、これを法制化することが適当と考えられますとともに、いかに組織を定めましても、小規模事業者の資力の状況からしては、国及び地方公共団体が積極的な助成を行なうのでなければ十分な事業活動を期待することができないので、その助成措置についても決定する必要があると考えられるのであります。
 このような見地から、今回本法律案を提出いたした次第でありますが、次に、本法律案の概要について御説明申し上げます。
 この法律案の骨子は、商工会の組織について定めるとともに、商工会及び商工会議所の行なう小規模事業者のための事業について国の助成措置を規定するものであります。
 第一に、商工会につきましては、これを本法に基づく特殊法人とするとともに、その営利活動を禁止し、また、その地区につきましては、市町村の廃置分合等若干の場合の例外を除いて、一つの町村に一つの商工会を設けることを原則とし、商工会議所とも地区を重複して設立することのないように定められております。
 商工会の事業については、商工業に関する相談、指導、情報、資料の収集、提供、講習会、展示会の開催等、その地区内の商工業の改善発達のために必要な事業を行なうこととされておりますが、その加入脱退は自由でありまして、地区内に半年以上事業所を有する商工業者であればすべて会員となることができるのであります。商工会は、その地区内の商工業者の半数以上が加入するものであれば、通商産業大臣の認可を受けて設立することができるのであり、その管理は、総会、総代会及び役員を通じて行なわれるものであります。また、商工会の公共的性格から、通商産業大臣の所要の監督規定も設けられております。
 第二に、商工会及び商工会議所の行なう小規模事業者のための事業を促進するための措置として、国がその経費の一部を補助することができるように定められておりますが、この国の助成を行なうための予算措置といたしましては、ただいま御審議中の昭和三十五年度一般会計予算案におきまして、小規模事業指導費補助金として総額三億九千二百万円を計上いたし、小規模事業者のための対策の強化拡充を期している次第であります。
 以上が商工会の組織等に関する法律案の趣旨でございます。(拍手)
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 商工会の組織等に関する法律案
  (内閣提出)の趣旨説明に対する
  質疑
○議長(清瀬一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。小林正美君。
    〔小林正美君登壇〕
○小林正美君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました商工会の組織等に関する法律案に対し、真に二百万小規模事業者の苦しい立場に立って、池田通産大臣に対して質疑を行なわんとするものであります。(拍手)
 政府が、政治の面で当然考えなければならない小規模事業の対策については、これまで、遺憾ながら、ほとんど何もなされておらなかったといっても過言ではございません。今回、とにもかくにも、この問題を法律案の中に取り上げられたことに対しては、これを歓迎するにやぶさかではございません。しかし、この法案の持つ内容と、さらには、政府の中小企業問題全般に対する根本的な心がまえについては遺憾ながら、多くの疑問と不信感を抱かざるを得ないので、率直にお尋ねをいたしたいと存じます。
 言うまでもなく、中小企業、零細企業対策は、日本産業界の特殊性ともいうべき、その二重構造の対策でなければならないと考えます。小規模事業自体の相互間における、近時ますますとどまるところを知らない過当競争の激化と、それにもましておそるべきは、異質なものからの圧迫、すなわち、これまで小規模事業者の仕事であるとみなされておった産業分野への大資本のあくなき侵入を、われわれは見のがすわけにはいかぬのでございます。このようなことから、中小企業者を経営の困難な状態へ追いやっておるような現状でございますが、この場合、当然国がしなければならない政策がはなはだしく欠除しておるという、この問題を私たちは追及しなければなりません。すなわち、税制、金融あるいは設備近代化の促進、海外市場の開拓、産業分野の確保、独占支配の抑制等について、何ら見るべき措置がいまだ今日までとられておらなかったのでございます。かくのごとく、小規模事業者に対する全般的政策との関連性におきまして、今回提出せられた商工会法案を見るときに、その内容はきわめて貧弱でありまして、提案者の説明がどのように巧妙に行なわれようとも、一言にしていえば、この法案こそは、官僚支配を強化せんとするための組織であり、あるいは自民党の選挙対策として、業界の民主化成長をはばむ、おそるべき道具と化するであろうことは、疑う余地がないのでございます。(拍手)
 この際、私は、若干、具体的に、法案の内容に触れて、池田通産大臣にお伺いをいたしたいと思います。
 まず、第七条に、「商工会の地区は、一の町村の区域とする。」と規定いたしまして、その第二項に、「他の商工会の地区又は商工会議所の地区と重複するものであってはならない。」とありますが、ここで二つの問題が生じて参ります。その第一は、小規模事業の数が圧倒的に多い都市部において最も必要であると思われる商工会の設立が、この法律では遺憾ながら認められないということであり、第二は、町村にある大工場、すなわち、従来は隣接の都市部にある商工会議所の主要メンバーであったものも、法の正しい解釈からすれば、当然その町村にできる商工会にだけ加入するということに相なるのであります。しかし、これらのことは、きわめて実情に即さない、いかにもお役所的な感覚であり、机上の空論に近いものであるといわなければなりません。第一の点については、現在の都市にある商工会議所というものは、その都市が大きければ大きいほど、大企業者のための商工会議所となって、決して小規模零細企業の真の利益代表機関としての役割を果たしておらなかった例が、しばしば存在するのでございます。(拍手)一例として、百貨店が地方都市に対して進出せんとする場合を考えてみましても、地元の商店団体などが、自分たちの死活問題として、その百貨店進出反対運動に必死の努力をいたしておりますとき、商工会議所側が、逆に、百貨店誘致賛成の態度を決定した例は、しばしばこれを見かけるのでございます。また、商店街を明るくするというきわめて公共性の高い街路灯などの電灯料金の値下げ問題につきましても、商店街の強い要望があるにかかわらず、商工会議所は、その有力会員たる電力会社に気がねをいたしまして、このような問題はほとんど黙殺しておるという事実を私は知っております。いわんや、金融問題等については、小規模事業者より、金融機関に対してなかなか金が借りられない、また、借りたとしても金利が高い、歩積み預金をやめてほしいなどと、長年にわたりまして血の出るような叫びをあげておりますが、この声を商工会議所がすなおに取り上げて、金融機関にただの一度でも強い抗議の申し入れをしたという事実を私は聞かないのでございます。(拍手)
 都市における商工会議所の役割は商工会議所法第六条に、「その地区内における商工業の総合的な改善発達を図り、兼ねて社会一般の福祉の増進に資することを目的とする。」、このように定められておりますが、この「商工業の総合的な改善発達」の字句が、逆に、実は一部有力業者のための改善発達というふうにすりかえられておることは、断じて否定することのできない事実でございます。かくのごとく考えて参りますときに、小規模事業対策を重要なる任務として法制化されました商工会こそは、最も小規模事業者の多い都市部において、その設立がきわめて重要であり、渇望されておるといわなければなりません。しかるに、政府案は、都市部にこれを認めないと定め、都市部の小規模事業対策は、これを商工会議所に一任しようといたしております。大企業とは、その経営規模において大きな開きがあり、時としては全く利害相反することさえしばしばある小規模事業者対策を、大企業者の手によって実質上運営せられておりまする商工会議所にゆだねんとするがごときは、まさに木によって魚を求めんとするよりもさらに至難のわざといわねばなりません。(拍手)かかる観点より、私どもといたしましては、真に小規模零細業者の経営や技術の改善発展のためには、町村に認めると同様に、ぜひ都市部においてもこれを認め、商工会議所と商工会が両々相待って産業全般の発展に資するお考えはないか、池田通産大臣にお伺いいたしたいと存じます。
 さらに、第二点といたしまして、現在まで町村にありながら商工会議所の有力なる会員となっておる大工場などの問題を考えてみたいと思います。もし、この工場を都市部の商工会議所から除くときには、年間数十万円という大口の負担金を出しておる会員であるがために、このような工場が二つ三つ抜けますと、小さな商工会議所などは直ちにその経営が困難となり、会議所の存立さえ危ぶまれるような場合が必ず出て参るのでございます。この点については、昨今、商工会議所側の反撃がきびしくて、ついに、政府も、従来隣接都市の商工会議所会員たりし町、村にある会社、大工場などは、本人がこれを希望すれば、商工会議所の正会員として引き続き認めるという方針に変わりつつあるやに伺っております。しかし、かりにも、もしこのようなことが許されるとするならば、これは商工会法第七条第二項の、地区重複禁止の規定に抵触することは明白でございます。大企業であるがゆえに、商工会員にもなれれば、また、地区外の商工会議所会員にもなれるというがごとき選択権を与えることは、法の前には何人も平等でなければならない大原則に反しており、断じてわれわれとして許しがたいところでございます。地区で分けるのか、経営規模で考えるのか、属地主義か、属人主義か、この際、はっきりと通産大臣の御答弁を願いたい。政府が、地域で分けることにはっきりと法案をきめておる以上は、われわれは、大企業者であるがゆえに治外法権にもひとしい属人主義をとることを認めるわけには、どうしても相ならぬのであります。要するに、もともと、地区別に商工会議所と商工会とを区別して認めようとした、このことに大きな無理があったといわなければなりません。通産大臣は、この際、小規模事業対策を真剣にお考えになるならば、もっと謙虚な態度で、この辺でこの法案を白紙還元して再検討なさるお気持はございませんか。
 わが社会党は、以上述べたような不合理、矛盾を救うためには、やはり、どうしても商工会と商工会議所との区別は、地区別でなくて、規模別、階層別でなければならないと考えるものでございます。近年来、日本産業界の特色がその二重構造性にあるとするならば、当然、その対策も、規模別、階層別に考える必要がいよいよ出て参りましたことは、まさに必然でございます。都市と町村とを問わず、一定区域内の大中企業者をもって商工会議所を組織せしめ、都市と町村とを問わず、小規模事業者をもって商工会を作らすことこそ、最も実情に適した考え方と存じますが、通産大臣は、政府原案の、この矛盾多き、欠陥だらけの法律案を、根本的にやり直すお考えがあるかどうか、お尋ねをいたしたいと存じます。
 次に、この商工会が法制化されましたときに、いかにその自主性がゆがめられ、官僚統制のにおいが強くなるか、条文の二、三をながめるときに、直ちにこれを看取することができるのでございます。たとえば、商工会と類似しております産業団体、すなわち、商工会議所法と比較して考えてみたいと存じます。
 商工会議所法の第三十五条には役員の規定がございますが、この場合には、会員以外の役員は、専務理事ただ一名だけであって、その他の役員は全部商工業者たる会員でなければならない、と明確に規定をいたしております。しかるに、商工会法第三十条第二項には、役員の定員の三分の二は会員たる商工業者でなければならないと定めておりますが、これを裏返しにして言うならば、役員席の三分の一は、これを商工業者以外のだれかのために、その重要なポストをあけておくということになって、ここにもおそるべきわながしかけられておるということを、私は指摘しないわけには参りません。(拍手)私どもは、一体政府が何を意図しておられるのか、この点、商工会法案に異常な熱意を示しておられる池田通産大臣にお伺いをいたしたいと存じます。
 民主主義は、言うまでもなく、人民の、人民による、人民のための政治といいますが、商工会もまた、真に民主的に運営されるためには、小規模事業者の、小規模事業者による、小規模事業者のための商工会でなければなりません。(拍手)しかるに、商工会の設立にあたっては、その定款、事業計画、予算並びに役員の件までも通産大臣に申請して認可を受けなければならないと、商工会法第二十三条には特に規定を設け、また、この法律の適正かつ円滑な実施を確保するために必要ありと認めるときは、商工会に対して、事務所に立ち入り検査さえできると第五十条に明記するがごとき、商工会役員の任免や会の運営について、国や地方自治体が、補助金の交付にからんで重大なる発言権を持とうとする意図は、きわめて明白であり、会の自主性を踏みにじり、民主主義の冒涜もまたはなはだしいといわざるを得ないのでございます。この商工会法が成立したときには、商工業に直接携わったことのない役人の古手や、町村のボスの手で、あるいは政治的に利用され、あるいは官僚統制の傾向が明らかに出て参りますが、この点は、商工会法第六条にうたってある「商工会は、これを特定の政党のために利用してはならない。」という条項と抵触はいたしませんか。巷間伝うるに、池田さんが将来天下を取るためにこそ、今度全国の津々浦々にまで大きな網を打ったのが、この商工会法案であるとさえいわれておりますが、池田通産大臣の御所見のほどを、しかと承っておきたいと存じます。
 次に、私たちが決して見のがすことのできないものに、この法案中には現われておりませんが、通産省が商工会法案の要綱案の中で掲げておりました、いわゆる各商工会ごとに運営協議会を設けるという政府の考え方でございます。運営協議会とは、関係行政庁、金融機関等の職員、その他学識経験者のうちから、会長が委嘱して組織することに相なっております。そして、商工会の事業実施の基本方針や業務運営上の重要事項について諮問するということに相なっております。商工会にはりっぱな役員会があるにかかわらず、さらに運営協議会を持つという、一体これは何ですか。商工業者自身の商工会でなければならないのに、やれ法律だ、やれ、ひもつき補助金だ、やれ運営協議会と、二重、三重、四重、五重の荒なわで、全国津々浦々の三千の商工団体をがんじがらめに縛り上げて、これを自分たちの都合のよい方に引っぱっていこうとする魂胆であるのではないか、と私どもは言わないわけにはいかないのでございます。(拍手)このような有害無益の運営協議会は決して設置すべきものではないと考えますが、通産大臣のお考えをさらにただしておきたいと存じます。
 最後に、私は、この機会に岸総理大臣に対して、念のため、ぜひお伺いをいたしておきたいと存じましたが、ただいま欠席をいたしておりますので、池田通産大臣にかわってお尋ねをいたします。
 私は、中小企業者の一人として、今こそ、まざまざと、今を去る十九年前、すなわち、昭和十六年十月十八日を思い出さずにはおれないのでございます。岸さんは、この日、四十四才という若さで、さっそうと商工大臣のいすにお着きになった。まさに、岸首相にとっては、この時は、一生でも最も記念すべき日であったでございましょう。しかし、同時に、全国の中小企業者にとっては、また、一生忘れようとしても忘れることのできない悲しい思い出の日でもありました。東条英機を首班とした新内閣は、この日から、急カーブを描いて、日本をおそるべき太平洋戦争へと引きずり込んでいったのでございます。真珠湾攻撃のあった直後、岸商工大臣は次のような声明をいたしました。「中小商工業者の整理統合運動は相当進捗しておる。それは産業を合理化し、生産と資材配給を改善するためにぜひとも必要である。国家にとってなくても済むような業者の数をできるだけ減らして、その労力を他の必要な仕事に振り向けなければならない」、こう叫んで、昭和十七年五月に、岸商工大臣は、国家総動員法に基づく企業整備合同施行規則を公布し、聖戦なり、国策なりという美名のもとに、情け容赦もなく企業整備の大なたをふるい、中小企業者をいけにえといたしました。そのため、業者は、泣く泣く先祖伝来の家業を閉鎖して、あるいは徴用工として軍需工場へ、あるいは開拓団員として北満の荒野へ、あるいは一兵卒として戦野にかり出されていったのでございます。かくのごとく、犠牲に供せられました小規模経営者の強制的な統合と、加うるに、国からの補助金、貸付金、交付金政策のたまもので、ひとり大企業のみは太りに太ったことを、私たちは今思い出さないわけには参りません。今政府がおとりになろうとしておられる方針、すなわち、貿易・為替の自由化と再軍備政策の結果は、あの戦時中、中小企業者がこうむったおそるべき運命を再び招かないと、だれが断言することができましょうか。(拍手)
 今や、アメリカの押しつけによる貿易自由化の問題は国民経済全般に直結するものであり、その影響は、はなはだ甚大でありまして、すでに、自民党内部にさえも、日一日と貿易自由化の問題に対する批判が高まっておることを、私は承知をいたしております。政府が自由化を唱える前に、まず、その前提として、小規模事業への力強い施策が、大幅に、抜本的に行なわれなければならないことは、まさに焦眉の急とも称すべきでございます。今日まで、わが国ほど中小企業対策について数多くの法律が作られておる国は世界でも珍しいとされておりますが、いずれも、その内容はきわめて空虚でございます。本日、またここに商工会法案が提出せられ、小規模事業者対策が論ぜられようとするときに、ロッキード一機にも及ばないような三億円、四億円そこそこの予算措置と、矛盾とごまかしに満ちたこの法律案の中には、遺憾ながら、われわれは真に小規模事業者を救うべき何ものをも見出すことができないのでありまして、今や、中小企業政治連盟がつまずいたこのチャンスを利用せんとする自民党の巧妙なる選挙対策なりとの悪評が盛んに立っておりますが、これを払拭するためにも、池田通産大臣は、真に中小企業、零細企業者をしておのおのそのところを得させるためには、将来どのような方針をお持ちになっておられるか、この際、口先だけではなく、ほんとうのお気持をぜひお聞かせいただきたいと存じます。
 以上をもちまして、私の政府提案に対する質問といたします。(拍手)
    〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 御質問の第一点は、町村に商工会を設けて、大都市、いわゆる市制施行地に商工会を設けないのはどうかというお話でございますが、先ほど申し上げましたごとく、都市にはすでに商工会議所がございます。しこうして、今後におきましては――商工会議所の大部分は小規模事業者でございます。従いまして、私は、大都市におきましては、小規模事業者が、あるいは協同組合とか、あるいは商店会等で団体加入して、今までの商工会議所の運営が、こまかいところまで手の届かなかったのを届かすようにすることが、結果としていい、こういう結論で、都市には設けないことにいたしたのでございます。
 なお、階層別に設けろとおっしゃいましたが、私は、町村において階層別に設けるほどのことはないと思います。お話のような大企業所のものは、地区的に属地主義でやる原則を貫いていきたいと思います。階層別にすることは、私はとりません。
 次に、非常に官僚統制ではないかということですが、これは、他のこういう類似の法律と同じようにしております。御指摘の、会議所には専務理事一人、こういっておりますが、市制施行地の商工会議所と、いなかの商工会とは違います。いなかの商工会では、経営者が労働をやっておるのであります。特に月給取りなんかになれないのであります。従いまして、いろいろな技術の指導その他につきまして、他から役員を入れ、数を多く見ておいた方が運営上いいと思いまして、かくいたしたのでございます。
 なお、監督規定あるいは運営規定にいろいろな点がございますが、私は、商工会の健全なる発達のための最小限度の規制をいたしておるのであります。一にも二にも、私は、零細企業者の業務の発展をはかって、そうして国全体の発展のいしずえにするという考え方でいっておるのであります。
 なお、いろいろな点で、今度中小企業が困るというふうなお話でございまするが、もちろん、中小企業団体法とか、あるいは協同組合法の既存の法律の運営をよくしていくと同時に、今回の商工会法、また、今後御審議いただきます中小企業業種別振興臨時措置法、これによりまして、あらゆる方面、あらゆる角度から零細企業の育成発達に努めていきたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(清瀬一郎君) 北條秀一君。
    〔北條秀一君登壇〕
○北條秀一君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま政府から説明のありました商工会の組織等に関する法律案について質問をいたすものであります。私ども民主社会党はこの商工会法案に対してどういう基本的態度を持つかということを、まず前提として申し上げます。
 わが党が中小企業振興対策を党の十大政策の一つとしておることは、すでに皆さんによく御承知願っておるところであります。従って、その態度から、今回政府の提出しました商工会法が文字通り中小企業振興対策でありますならば、この法案の成立に対して、建設的かつ具体的に法案の改善充実をはかることに協力するにやぶさかでないのであります。しかるに、本法律案は、中小企業の自主的活動並びにその意見の発表の助長というような面を軽んじて、わずかばかりの補助金を与えることによって全国の商工会を官製団体化せんとする意図を含んでおるものでありまして、断じて許容することはできないのであります。(拍手)わが党は、政府案の審議過程におきまして、修正案を提出して、ほんとうに中小企業の振興に役立つ商工会の設立を促進いたしたいと考えておるのであります。
 以上の基本的観点からいたしまして、この際、私は、政府及び保守党の諸君に一つ反省を求めたいのであります。中小企業の振興は、中小企業の体質を改善することが必要だと、歴代の内閣及び保守党の諸君は唱え続けてきたのでありますが、これは一片のお題目でございまして、現政府の提出しました三十五年度の予算を見ましても、中小企業の振興予算というものは実に微弱でございまして、この点については、昨日この本会議において種々論議されましたので再説を避けますが、池田通産大臣御自身が指摘されますように、現在なお日本の中小企業はその経営の不安定に悩んでおるというのであります。従いまして、私は、中小企業のほんとうの振興をはかる前に、いな、中小企業の体質を改善する前に、保守党そのものの体質の改善が必要であるということを、諸君に申し上げたいのであります。
 そこで、私は本論に入りますが、主として町村の中小企業振興を重点としておる今回の法律案でありますが、そういわれると、まことにもっとものようでございますけれども、この法律案をつぶさに検討してみますと、ものを批評することわざに、羊頭を掲げて狗肉を売るということわざがございますが、この商工会法案を一言で評しまするならば、まさに、このことわざがそのものずばりである。私は、羊の肉ならば買ってもいいと考えるのでありますが、いかんせん、この法律案には、羊の肉はちょっぴりあって、犬の肉がかなりあるわけであります。清潔な人間ならば羊の肉を買いますが、不潔な人間ならば犬の肉を買われるかしれません。しかし、私は、少なくとも、この法律案の中からそういった犬の肉を全部撤回して、真に羊頭を掲げて羊の肉を売るという商工会法案にすべきであると考えるのであります。
 そこで、質問いたします点は以下三点でありますが、先ほど小林正美君が述べられましたので、かなり重複する点がありますから、きわめて簡潔に申します。よく御清聴願いたいのであります。
 第一は、商工会の組織についてであります。その一つは、商工会の都市における組織の問題でございます。先ほど、これについても小林君が触れられたのでございますが、町村におきます商工会は、御承知のように、かなり古くからこれは設立されておりまして、それぞれ相当な活動をいたしておるのであります。すなわち、従来の政府が中小企業者に対して対策を怠っておりましたために、商工業者諸君が自衛組織として商工会を作っておったのであります。もとより、大都市においてもそうでございます。
 そこで、ここで考えなければならぬことは、昭和二十五年に商工会議所法案ができ、現在の現行法は昭和二十八年に改正されたのでございますが、戦後の商工会議所法によって設立された商工会議所のある地域と、戦前の商工会議所のある地域と、二つを区別して考えなければならぬと思うのであります。そこで、町村にありますところの商工会というのは、これは、今申しましたような、いい活動をいたしておるのであります。これに対して、今回の法律によりまして法制化し、それに人格を与え、それに補助金を与えて、今後さらに一そうの活動をさせるということは、きわめてけっこうなことでございますが、その反面、都市における商工会というのは、この法律によっては否定されるという結果になるのであります。すなわち、特に大都市におきましては、たくさんの商工会がございます。全国の中小企業者の三割は大都市にあるのでありますが、これらの自衛組織であります商工会というものは、この法律によって否定され、破壊されるという結果になるのではないか、この点を私どもは特に考えなければなりません。池田通産大臣は、先ほど申されましたように、商工会議所においてそれを指導するのだ、それを育成するのだということを言われましたが、商工会議所というものは、特に大都市にある商工会議所というものは、その古い歴史からいいまして、その体質からいたしまして、決して中小企業者のめんどうを見るような体質ではございません。そういった、できない相談をやろうというところに、本法律のごまかしがあるのであります。従いまして、小林君の意見通りに、大都市にも商工会議所と並行して商工会を存置せしめ、これの育成をはかっていくことが必要であると考えるが、通産大臣は何と考えられるか。
 その二は、商工会議所には、全国の商工会議所、すなわち、日商というものがあるのであります。今日、商工会は、各都道府県におきましては都道府県の連合会を持っております。同時に、また、それは全国的な連合会を持っておるのでありますが、この法律によりますと、府県連合会あるいは全国連合会は、ことごとくこれを否定しているのであります。なぜ現存するところのそういった連合会を否定しなければならぬか。
 その三でありますが、それは、商工会は特定の政党に利用されてはならない、こういう点でございます。これは、先ほども話がありましたが、この点につきましては、私は、日本の今日の政治のあり方――なるほど、常に公明選挙ということが叫ばれておりますけれども、選挙は決して公明に行なわれておりません。従いまして、そういう中にあって、今回の商工会法案が実施されますと、二つの大きな欠陥が生じて参ります。それは、先ほどお話のありました通りに、一つの商工会の役員の三分の一は会員でなくていいのだ、一方、商工会議所では、先ほど池田通産大臣のお話の通りに、会員でなければ役員になることはできないということになっておりますが、商工会の方はそうでありません。もう一つは、Aの商工会の役員とBの商工会の役員は、会員外の役員はこれを兼務することができるわけであります。そういたしますと、この二つの要件は、国会議員であろうと、あるいは都道府県会議員でありましょうと、その他政党の役員でありましょうとも、次の選挙に当選しなければならぬ、あるいは現在自分の当選の地位を守らなければならぬ、あるいは自分の党の勢力を拡大しなければならぬということになりますと、一人のそういった人が、三つ、四つ、五つ、十の商工会の役員を兼ねることができるという法律案になっておるのであります。こういうことは、私は、今日の日本の混濁した政治の状態からいって、断じてこれを許すわけには参りません。この点につきましては、すでに岸総理大臣に通告いたしまして、本会議において、ぜひ、政治論として、大局に立って、総理みずから御回答願いたいと私は申し出てあったのでありますが、御欠席のようであります。また、副総理も出ておられませんので、あるいは池田通産大臣が総理大臣の代理としてお答えになるつもりであろうかと思うのでありますが、この点につきましては、ぜひ、次の機会において、よく考えておいてもらって、岸総理から、直接、どうするのだ、どうしたらいいのだという意見を、この席上で開陳していただきたいとお願いをする次第であります。
 第二に、商工会の事業について池田通産大臣に御質問いたします。その一つは、先ほどもお話がありましたが、商工会の事業は、相談とか指導とか、あるいは講演会、講習会をやるのだ、そうしてまた、そこには経営改良員を置いて、そして、直に身近な指導をやっていくのだというふうなお話がありました。ところが、法律案の説明の際に、金融の問題についてもやるのだというふうなお話が確かにあったと私は聞いたのであります。ところが、法律の中には、一体、金融の問題が書いてあるか。今日、中小企業者の最も必要とするのは金融の問題でございますが、これは事業という節には全然触れられていないのであります。従って、商工会は、わずかに相談、指導、講演会、講習会をやるということが商工会の事業になって参りまして、これでは、結局、政府の、すなわち、通産大臣の指揮命令を下に伝えるだけ、いわゆる上意下達の機関に堕し終わるのではないか、私はそう考えるのであります。
 その二つ、商工会の指導・相談とは、金融であるとか、税金であるとか、あるいは労務管理でありますとか、社会保障あるいは補助金、助成金等の受け入れ態勢をどうするか、こういうふうなことについて、中小企業者と密接するような仕事をさせるべきであると考えておるのでありますが、この点について池田通産大臣は何と考えられるか。
 第三の質問点を申し上げます。それは、本法律によりますと、通産大臣の権限は非常に広大であります。にもかかわりませず、商工会には何らの発言権がないという点であります。現在の商工会議所法によりますと、会議所は、その事業といたしまして、いろいろと書いてございますが、その冒頭に、商工会議所は、みずから自分の意見を公表し、意見を国会、政府に対し具申し、かつまた、建議をすることができる、さらにまた、その次には、行政庁の諮問に応じて答申をする、こう二つ書いてございますが、商工会法案には全然これはないのであります。ところが、商工会に対して通産大臣はいかなる権能を持つかといいますと、商工会設立の認可をする、その次は立ち入り検査をする。一昨年の悪法名高い警職法にありましたような立ち入り検査を、今度は通産大臣がその職員をして商工会の事務所に対して行なうのであります。さらにまた、その立ち入り検査の結果等々で不十分なときには、商工会の認可を取り消すというのであります。すなわち、通産大臣は、商工会に対して生殺与奪の権を持っておるのであります。こういうことは、一方は非常に大きな権限を持ちながら、その相手方の商工会は全く権能がないというようなことでは、断じて私はこれを承服するわけには参らないのであります。すなわち、今申し上げましたように、こうして、商工会というものは、完全に通産大臣がその死命を握っていく。おそらく、今日全国に商工会は二千六百以上あると思うのでありますが、それが、本法律案が成立いたしますと、三千以上の商工会ができることになると存ずるのであります。その際に、通商産業大臣は、これらの三千の商工会に対して、全国三百五十万ないし四百万人の中小企業者に対して、いながらにしてこれを自由自在に動かすことができるというふうなことになったならば、およそ日本は無法な状態になることは、火を見るより明らかであります。従いまして、この点につきまして、何がゆえに商工会に商工会議所に与えられたと同じような権能を与えないのか、この点を、私は、池田通産大臣に、とくと腹をきめて御回答を願いたいのであります。
 最後に、冒頭に申し上げましたように、私どもは、本法律案を批評しまするならば、確かに羊頭狗肉の策であると言えるのでありますが、しかし、確かに羊の頭を掲げており、羊の肉をひさいでおるのであります。ただ、大部分、しかも、重大なところに犬の肉がごまかしについておるということでありまして、この犬の肉が工合が悪いのだ、だから、私どもは今後の審議を通じて、その犬の肉をきれいに掃除していこうと考えるのでありますが、私どもは、そういうことをやる前に、池田通産大臣が私どもの意見を聞いて、せっかく提出をしたけれども、なるほど、御説ごもっともだ、ここであらためて一つやり直そうというお考えはないか。以上のことを申し上げまして、質問を終わることにいたします。(拍手)
    〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 第一の点は、都市におきまして、従来の商工会議所を使って商工会を設けない、この理由いかんということでありますが、先ほど申し上げましたごとく、地区別の団体としていくことがいい、そして、大きい地域におきましては、先ほど申し上げましたような各業者が、団体管理その他の方法をとりまして、下部に手の回らなかった今までの会議所を、いわゆる体質改善していくべきだという考えで進んでおるのであります。
 なお、商工会の連合会につきましては今後研究いたしたいと思います。
 また、会員外の役員でございますが、この点につきましては、先ほど申し上げましたごとく、中小、ことに小規模業者の団体でございますので、みな自分自身が労務に服している、業務に服しているという状態でございますし、また、いろんな点が多岐にわたっておりますので、やはり、会員外の専門家を入れ、世話役を入れておいた方がいいと思いますが、これは商工会自体のきめる問題で、商工会議所のように一人に限らなかったのであります。それが実情に沿うと考えております。
 なお、商工会の行ないますのは相談・指導でございまして、先ほど提案の趣旨に申し上げましたごとく、金融面につきましても十分いたします。税制面でもやります。また、今だんだん大きい業務になってきております社会保険事業の手伝い、いろんな点を商工会でやらす考えでおるのであります。
 なお、通産大臣の権限が非常に強いというお話でございますが、他のこういう関係の法規とあまり変わっていないと思います。立ち入り検査等も、商工会の健全な発展のために、最小限度の程度にとどめておるのであります。いろいろ御意見あるいは御心配もあるようでございますが、今後十分審議して、この法案を一つ御可決あらんことをお願いいたす次第であります。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第一 養鶏振興法案(第三十一回国会、内閣提出)
○議長(清瀬一郎君) 本日の日程に入ります。日程第一、養鶏振興法案を議題といたします。
    ―――――――――――――
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。農林水産委員会理事丹羽兵助君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔丹羽兵助君登壇〕
○丹羽兵助君 ただいま議題となりました、内閣提出、養鶏振興法案は、去る第三十一回国会において提案され、今国会まで継続審議して慎重に審査をいたし、ようやく審査を終了いたしましたので、ここに農林水産委員会における審査の経過及び結果の概要をかいつまんで御報告申し上げます。
 わが国の養鶏農家数は、全農家の約七割、四百二十万戸を占め、その飼育羽数は約五千万羽を数え、年間総生産額は実に一千億円にも達し、養鶏の振興が、農家の所得確保と国民栄養の供給の上に有する意義はきわめて重要であります。しかしながら、養鶏業の実態には今なお改善を要する多くの問題点を有しておりますことはもちろんでありまするが、鶏自体の産卵能力にも、なお大いに向上の余地が残されているという現状でありますので、この際、まず優良な資質を持つ鶏の普及をはかる制度を定めることによって、今後ますます養鶏の振興をはかることとしたいというのが、本案提出の理由と相なっているのであります。従いまして、本案の骨子とするところは、第一に、単冠白色レグホン種等、産卵率の高い優良品種について、外形上の特徴をもって定める標準鶏の制度を設けること、第二に、標準鶏から生まれた種卵またはそれから孵化したひなについて、その生産者は一定の表示ができることとし、なお、標準鶏でないものから生まれた種卵やひなに、このような表示を行なうことを禁止すること、第三に、種卵の生産者は、その飼養する鶏について、標準鶏であるかどうかの認定を都道府県知事に申請することができ、認定を受けた場合には一定の標識をつけるものとすること、第四に、国及び都道府県は、その生産する標準鶏のひな及び種卵を、各種の資格要件を勘案して適当と認める種鶏業者に重点的に配付するように努めるものとすること等、標準鶏制度を設け、その制度の運用方法を定めることをもってその内容としているのであります。
 本案に対しましては、かねてより各委員から、孵化業者の登録制の採用、種鶏の増産確保、卵肉の出荷販売態勢の確立、養鶏振興審議会の設置等、数点にわたり修正を施すべきであるという意見が表明されており、三十三回国会において、数回にわたり委員会において質疑を行ないました後、数点にわたる修正を施すことに決し、修正案及び修正部分を除く政府原案は、全会一致をもちましていずれもこれを修正議決すべきものと決したのでありましたが、会期末の議事の都合により、本会議において本委員会の閉会中審査案件として付託されたのであります。
 今国会におきましては、去る三月一日、本案の審査を行ないましたが、本案の取り扱いに関する今日までの経緯にかんがみ、質疑の通告もありませんでしたので、直ちに採決に入ることにいたしました。しこうして、これより先、日本社会党石田委員から、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、三十三回国会同様の修正案が提出されたのであります。
 その骨子は次の通りであります。すなわち、第一点は、この法律の目的そのものを、優良な鶏の普及のための制度及び養鶏経営の改善のための措置等を定めて、養鶏の振興をはかり、もって農家経営の安定と国民食生活の改善に資するものとするように改めること、第二点は、孵化業者でそのすべての孵化場が一定の要件に適合しているものは、その住所地を管轄する都道府県知事の登録を受けて、登録孵化業者となることができ、孵化場及びそこで孵化されるひなに表示することができるように改め、また、登録孵化業者に対し所定の義務を課するように改めること、第三点は、農林省に委員二十名以内で構成する養鶏振興審議会を設置するように改めること、第四点は、国及び都道府県は、優良な鶏の供給を十分に確保するために必要な施設の整備、優良種鶏の確保等の措置を講ずるものとし、また、養鶏経営の改善、養鶏生産物の出荷、販売、処理、加工及び流通の改善並びに養鶏生産物の消費増進のために必要な経費の補助または資金の融通のあっせん、その他養鶏振興のために必要な助成をすることができるように改めること等であります。
 次いで、討論を省略し、右の修正案及び修正部分を除く政府原案を採決に付しましたところ、全会一致をもって本案はこれを修正議決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(清瀬一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
 日程第二 南大東島における高層気象観測に必要な物品の譲与に関する法律案(内閣提出)
 日程第三 国内旅客船公団法の一
  部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(清瀬一郎君) 日程第二、南大東島における高層気象観測に必要な物品の譲与に関する法律案、日程第三、国内旅客船公団法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。運輸委員会理事天野公義君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔天野公義君登壇〕
○天野公義君 ただいま議題となりました南大東島における高層気象観測に必要な物品の譲与に関する法律案外一法案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、南大東島における高層気象観測に必要な物品の譲与に関する法律案について申し上げます。
 本法案は、わが国南方海域における高層気象観測網の整備をはかるため、政府が、南大東島において、気象庁と琉球政府工務交通局との協力業務として、高層気象観測を実施し、その観測資料を入手し得るため、財政法第九条の規定の特別立法措置として、南大東島における高層気象観測を行なう気象機関に対して、その観測に必要な物品を譲与することができることといたそうとするものであります。
 本法案は、去る二月一日本委員会に付託され、同月三日政府より提案理由の説明を聴取し、次いで、同月十七日質疑を行ないましたが、その内容は会議録により御承知願います。
 かくて、三月二日、討論を省略して採決の結果、本法案は、全会一致、政府原案の通り可決いたしました。
 次に、国内旅客船公団法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本公団は、資金調達困難な海上旅客運送事業者等に協力して、民生の安定に必要な航路における老齢内航客船の代船建造または改造を行なうため、昨年、資本金二億円、全額政府出資の特殊法人として設立され、本年度は、三十四隻、三千二百総トンの国内旅客船を建・改造することとなっていますが、来年度は、さらに約五十隻、四千六百総トン程度の老齢内航客船を建・改造するため、現在の資本金二億円を四億円に増額しようとするものであります。
 本法案は、去る二月一日本委員会に付託され、同月三日政府より提案理由の説明を聴取し、三月二日質疑を行ないましたが、内容は会議録により御承知願います。
 かくて、同二日、討論を省略し、採決の結果、本法案は全会一致をもって政府原案の通り可決いたしました。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(清瀬一郎君) 両案を一括して採決いたします。
 両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 海岸法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 建設業法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(清瀬一郎君) 日程第四、海岸法の一部を改正する法律案、日程第五、建設業法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。建設委員長羽田武嗣郎君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔羽田武嗣郎君登壇〕
○羽田武嗣郎君 ただいま議題になりました海岸法の一部を改正する法律案、建設業法の一部を改正する法律案の両法案につきまして、建設委員会における審議の経過並びに結果について御報告を申し上げます。
 まず、海岸法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 現行の海岸法では、海岸保全区域の工事は、原則として海岸管理者たる都道府県知事が行なうのでありますが、特に重要なものについては、主務大臣が工事を施行することを認めております。しかるに、災害復旧に関する工事につきましては、都道府県知事のみで直轄工事はできないことになっておりますので、これを改正し、国土の保全上きわめて重要なもの、すなわち、規模が著しく大なる災害復旧工事、高度の技術を必要とする災害復旧工事、高度の機械力を使用して実施する必要がある災害復旧工事及び都道府県の境界にかかる災害復旧工事を、主務大臣みずから海岸管理者にかわって施行することができるようにしようとするものであります。
 次に、建設業法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 現行建設業法は、昭和二十四年制定以来、建設工事の適正な施行と、建設業の健全な発達に寄与してきたのでありますが、最近における建設事業の発達の状況にかんがみまして、建設工事の一そう適正な施行を期する必要がありますので、同法の一部を次のように改めることにしたのであります。
 すなわち、第一は、建設業登録申請者の資格のうち、建設工事に関する免許等の中で、登録の要件として適切なものを建設大臣が指定することとし、第二に、建設大臣は、建設工事に関する施工技術の向上をはかるため、建設工事に従事し、またはしようとする者について技術検定を行なうことができることとし、これに合格した者は、政令で定める称号を称することができるようにしようとするものであります。
 右両案は、去る二月十二日、それぞれ本委員会に付託され、慎重に審査を進めて参ったのでありまするが、その詳細は会議録に譲ることといたします。
 かくて、三月二日、質疑を終了し、討論を省略、直ちに採決の結果、両法案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
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○議長(清瀬一郎君) 両案を一括して採決いたします。
 両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告の通り可決いたしました。
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○議長(清瀬一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十四分散会
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 出席国務大臣
        法 務 大 臣 井野 碩哉君
        農 林 大 臣 福田 赳夫君
        通商産業大臣  池田 勇人君
        郵 政 大 臣 植竹 春彦君
        建 設 大 臣 村上  勇君
        国 務 大 臣 石原幹市郎君
 出席政府委員
        内閣官房長官  椎名悦三郎君
        警察庁保安局長 木村 行藏君
        運輸政務次官  前田  郁君
        気象庁長官   和達 清夫君
        建設政務次官  大沢 雄一君