第034回国会 本会議 第21号
昭和三十五年四月七日(木曜日)
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 議事日程 第十七号
  昭和三十五年四月七日
    午後一時開議
 第一臨時地方特別交付金に関する法律案(内閣提出)
 第二 地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 石炭鉱業安定法案(勝間田清一君外二十二名提出)
 第五 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
 議員林讓治君逝去につき院議をもって弔詞を贈呈することとし、その文案は議長に一任するの件(議長発議)
 杉山元治郎君の故議員林讓治君に対する追悼演説
 毎日新聞社襲撃事件に関する緊急質問(田中伊三次君提出)
 毎日新聞社を襲った暴力団事件に関する緊急質問(石川次夫君提出)
 毎日新聞社襲撃事件に関する緊急質問(大貫大八君提出)
 国会の審議権の確保のための秩序保持に関する法律案(第三十三回国会本院提出)(参議院送付)の趣旨説明及びこれに対する質疑
 奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)
 日程第一 臨時地方特別交付金に関する法律案(内閣提出)
 日程第二 地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 石炭鉱業安定法案(勝間田清一君外二十二名提出)
 日程第五 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第六 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 一般会計の歳出の財源に充てるための国有林野事業特別会計からする繰入金に関する法律案(内閣提出)
 漁業協同組合整備促進法案(内閣提出)
 中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    午後一時二十六分開議
○議長(清瀬一郎君) これより会議を開きます。
○議長(清瀬一郎君) 御報告いたすことがございます。
 議員林讓治君は、去る四月五日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 つきましては、同君に対し、院議をもって弔詞を贈呈いたしたいと存じます。なお、この文案は議長に一任せられたいと存じます。これに御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 つきましては、議長の手元において起草いたしました文案を朗読いたします。
 衆議院議員従二位勲一等林讓治君は多年憲政のために尽力し特に院議をもってその功労を表彰されました君は再度国務大臣の重任にあたりまた本院議長の要職につき平和の回復に力をいたされその功績はまことに偉大であります衆議院は君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげます
 この弔詞の贈呈方は議長において取り計らいいたします。……。
○議長(清瀬一郎君) この際、弔意を表するため、杉山元治郎君から発言を求められております。これを許します。杉山元治郎君。
    〔杉山元治郎君登壇〕
○杉山元治郎君 私は、諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、故衆議院議員従二位勲一等林讓治君に対し、つつしんで哀悼の言葉を申し述べたいと存じます。(拍手)
 私どもは、かねて林君が御病気と承り、御全快の一日も早からんことを心からお祈りしていたのであります。しかるに、去る五日、にわかに君の計報に接し、この上もない悲しみに打たれたのであります。
 林君は、明治二十二年三月、高知県宿毛市の名家に生まれました。父君の林有造先生は、わが国自由民権運動の先覚者の一人として知られ、第一回帝国議会以来、衆議院議員として活躍し、再度国務大臣の重責を帯びた方であります。
 君は、そのすぐれた資質を受け、長じて、高知県立第二中学校、岡山の第六高等学校を経て、大正七年京都帝国大学校学部を卒業、一時、三菱倉庫株式会社に勤務せられたのであります。
 大正十二年、郷里の宿毛町長に推され、また、昭和二年には高知県会議員に当選し、地方自治の発展に、県下産業の振興に、大いに力をいたされました。
 昭和五年、父君の志を継いで、第十七回衆議院議員総選挙に臨み、みごと当選、立憲政友会に所属されました。その後、現在まで、当選十一回、在職二十六年三カ月に及んでおられます。
 昨年一月、在職二十五年のゆえをもって院議によりはえある表彰を受けられたことは、諸君の御記憶になお新たなところと存じます。
 君は、鳩山一郎君の知遇を得・昭和六年十二月、犬養内閣に鳩山君が文部大臣として入閣されるや、その秘書官となり、少壮政治家としてますます研さんを積まれたのであります。その後、昭和十二年には、ハリで開催された列国議会同盟会議に派遣議員団員として参列し、さらに、欧米各国を視察の上帰朝されました。また、昭和十四年には、平沼内閣の桜内農相のもとで農林参与官に任ぜられ、農林行政に参画されましたが、昭和十七年の、いわゆる翼賛選挙には、非推薦で立候補して次点となり、雌伏のやむなきに至ったのであります。
 終戦直後、昭和二十年の秋、鳩山君が安藤正純君、三木武吉君等同志とともに日本自由党を結成されるや、君は、これに欣然参加し、翌二十一年四月の総選挙で本院に復帰されました。同年五月、第一次吉田内閣成立の際には、君は嘱望されて内閣書記官長となり、また昭和二十三年・二十四年の第二次及び第三次吉田内閣には、副総理として入閣して厚生大臣に就任されました。
 君は、戦後の最も重大かつ困難な時代に、新憲法並びに付属法律の制定にあたって、議会との折衝に日夜肝胆を砕くなど、よく吉田総理を助けて国政の処理に当たり、民生の安定に著しい貢献をされたのであります。
 昭和二十六年三月、幣原議長が急逝されるや、輿望にこたえ、国務大臣を辞して本院議長の重職につかれました。君は、その高邁な人格識見をもって議院の円満な運営をはかられたのでありまして、その公平無私の態度には、与野党を問わず、ひとしく敬服いたしたのであります。(拍手)第十二回国会には平和条約が提出され、承認されたのでありますが、君は、その議長として、わが国の国際社会への復帰に大いに寄与されたのであります。
 翌二十七年八月には、議長の職を辞して自由党の幹事長に就任され、その後も自由党及び自由民主党の顧問として党内の意見の調整に当たり、同僚議員の絶大な信望を一身に集めておられたのであります。(拍手)
 君は、前後三十年に及ぶ長い政治生活を通じて、きっすいの政党政治家として、終始、憲政の発展と国民の幸福増進のために精進尽力を続けられたのでありまして、その輝かしい功績は、まさに永久に伝わるべきものと信じます。(拍手)
 思うに、君は、まれに見る清廉高潔な人格者でありました、その識見は、はなはだ高く、常に大局に立って公正な判断を下されたのであります。同時に、かたい信念の士であり、議会人としての誇りを持って行動し、その信ずる道を貫き通されたのであります。昭和二十一年五月、第一次吉田内閣の組閣中、いわゆる食糧メーデーの際に、当時書記官長に内定していました君は、首相官邸でその代表者と会い、数時間にわたり取り巻かれたが、きぜんとして一歩も引かなかったと伺っております。これも、君のしんの強さを雄弁に物語るものと存じます。(拍手)
 君は、まことに穏やかな、しかも、いたずらに小事に拘泥せぬ、淡白な性格でありました。また、きわめて温情に富み、中央政界の多忙な中にあっても、常に後進の指導に労を惜しまれなかったのであります。日常の御生活は、はなはだ質素で、かつ規律正しく、また、書道に長じ、俳句をよくする趣味の人としても、人々から親しまれておられました。(拍手)されば、党内は言うに及ばず、広く各方面の人々の深い敬愛の的となっておられたのも、むしろ、当然のことと存じます。(拍手)
 顧みれば、昨年一月、永年在職の表彰を受けられた際、君はこの壇上に立って、議会政治の健全なる発達を期して、今後も全力を傾けて職責を遂行したい、と、その心情を披瀝されたのであります。今、私は、当時のお元気な林君の姿を思い浮かべて、万感胸に迫るものがあるのを覚えるものでございます。(拍手)
 その後数ヵ月ならずして病のため入院し、手術を受けられたのでありますが、昨年暮れ、退院するまでに回復されたと承り、私どもは安堵いたすとともに、今後もなお長く君が自由民主党の長老として活躍されるものと信じていたのであります。しかるに、不幸にも、病再びあらたまり、ついに御本復を見るに至らなかったのでありまして、痛恨限りない次第であります。(拍手)
 現下の内外の政治情勢はますます複雑多岐をきわめており、私ども国会議員の職責もまたその重きを加えて参りました。このときにあたり、林君の長逝にあい、この練達な政治指導者を失いましたことは、本院にとり、国家、国民にとり、この上もない大きな損失でありまして、哀惜の情まことに切なるものがあるのであります。(拍手)
 ここに、君の生前の功績をたたえ、その風格をしのび、御冥福を心からお祈りして、もって追悼の言葉といたします。(拍手)
○天野公義君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、田中伊三次君提出、毎日新聞社襲撃事件に関する緊急質問・石川次夫君提出・毎日新聞社を襲った暴力団事件に関する緊急質問、及び、大貫大八君提出、毎日新聞社襲撃事件に関する緊急質問を順次許可せられんことを望みます。
○議長(清瀬一郎君) 天野公義君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
 まず、毎日新聞社襲撃事件に関する質問を許可いたします。田中伊三次君。
    〔田中伊三次君登壇〕
○田中伊三次君 私は、自由民主党を代表いたしまして、毎日新聞社に対する暴力事件について、政府の所信を伺いたいと存じます。
 去る四月二日未明、四時十五分ごろ、毎日新聞東京本社旧館横門の入口より十数名の暴漢が乱入をいたしました。この暴漢は、発煙筒、また、ピストル式の消火弾、ハトロン紙の状袋に入れた砂袋、これを手に手に持ちまして、まず新聞印刷中の輪転機室に乱入をいたしました。おりから新聞印刷中の輪転機三台に対して、まず、持つ七おりました砂袋をぶつかけたので、これによって三台の輪転機はついに停止せざるを得ない状態に立ち至った。その直後、これらの暴漢は、さらに二階の新聞発送室に飛び上がって参りまして、ここに乱入して、手に持っておりましたピストル式の消火弾をぶっぱなし、発煙筒をぶっぱなしまして、もうもうと上がる煙の中で、発送準備をいたしておりました新聞の包みを、あらん限りあばれながら、投げ飛ばしました。係員の詰所、発送現場の部屋に充てられた周囲の窓ガラス、宿直室の窓ガラスは、ほとんど一枚の例外がないほどにこれを破壊いたしました。そして四時三十分過ぎに逃亡をするに至った事件が起こったのであります。新聞記事が自分の気にいらないというので、暴力をもって新聞社を襲ったという事件は、御承知の通り、二・二六事件以来、今回の毎日新聞社事件が初めてでございます。
 申し上げるまでもないことでありますが、新聞は事実を報道する自由があり、おのれの信念を主張する自由がなければならないのである。この自由こそは、高度の民主主義社会を建設する基盤となるべきものでありまして政府、国民はあげてこの新聞報道の自由を守らなければならないと私は確信をするのであります。(拍手)ことに、この新聞の自由を守る第一責任は、申すまでもなく、政府、特に治安当局でなければなりません。こういう建前に立っては内閣総理大臣、法務大臣、石原国務大臣の三大臣に対しまして、次の事柄をお伺いをしておきたい。
 第一に伺いたいと思うことは、この暴力団が毎日新聞社を襲撃するおそれがあるという情報は、その前夜からわかっておったはずであります。毎日新聞社自身もわかっておったはずであるし、また、警視庁当局も、前夜からこれを知っておったと承るのであります。何ゆえに、この重大な事柄を存じておりながら、予防措置を講ずることができなかったのか、予防措置は現行法上講ずることはできるけれども、何らかの事情によってこれを講じなかったものであるか、それとも、現行法上予防措置を講ずること不可能なる立場にあるかどうか、この点について、石原国務大臣の、明確なる、遠慮のない御答弁を承っておきたいのであります。
 それから、第二は、毎日新聞社当局が一一〇番に対して電話をいたしましたのは四時十五分過ぎと承ります。一一〇番が現場に到達をいたしましたのは逃走直後のことでありまして、四時三十分過ぎである。そうすると、この間、十五分間から二十分内外かかっておる。一体、東京のどまん中で、一一〇番の電話をして十分も二十分も時間がかかるようなことでは、一切の罪は構成されてしまうのであります。いかなる事情によって一一〇番が活動をしたのであるか、その間の事情を詳細に承っておきたいと存じます。
 第三は、新聞の自由を守る措置について政府をあげて、全力を傾けて、今後は暴力を根絶しなければならないものと考える。この根絶に関して、岸内閣はいかなる所見をお持ちになっておるか、暴力根絶の具体的な所見について承りたいのでありますが、暴力とは、右翼暴力に限るのではありません。ピケと称し、デモと称する左翼の暴力をも含むのであります。(拍手)左右両翼を通ずる暴力根絶のために、政府は具体的にいかなる施策を施そうとしておるか、政府の所見を伺いたいのであります。(拍手)
 なお、このたびの毎日新聞社の事件は、二・二六事件以来最初のできごとでありまして、この事件をこのままに放置するにおきましては、再び二・二六事件の背景となつたような社会情勢が復活するおそれなしとしないと信ずるのであります。従って、この際政府に申し上げておきたいと存じますことは、警察当局及び検察当局の本件に対する措置といたしましては、一罰百戒の大精神にのっとり、断々固として本件犯人に対しては厳罰の措置を講ぜられんことを主張するものであり、これに対する関係当局のお答えを願いたいのでございます。(拍手)
 なお、最後に明確にしておきたいと存じますが、かかる暴力の根絶を行なう一つの方途といたしまして、私の信ずるところでありますが、左右両翼を貫く暴力の根絶をはかるため、関係当局と十分なる連絡を行なわれて、政府部内に暴力根絶審議会を設置せられ、具体的方策を講ぜられんことを望むのであります。これに対する総理大臣の御所見をお伺いいたしたいと存じます。
 以上で私の質問を終わることにいたします。(拍手)
    〔国務大臣岸信介君登壇〕
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。
 過日の毎日新聞社に対する暴力行為の事件は、民主政治の基本ともいうべき言論の自由に対する暴力の侵害でございまして、まことに遺憾な状態と思います。こういう暴力が近時いろいろな方面にありますことは、私が常に念願しておる、真の民主政治を作り上げるためには、いかなる意味においても、暴力はこれを絶対的に追放しなければならぬと考えるのでありまして、その思想的背景が、右翼的なものであろうとも、左翼的なものであろうとも、一切この世から暴力を排除することが、真に平和な民主政治を作り上げる意味において絶対に必要だと思っております。(拍手)従来といえども、この暴力追放に関しましては、そういうおそれのある団体等の行動に対して十分警戒をいたし、また、暴力的な事犯がありますならば、これに対して徹底的に法の命ずるところによって処断して参っておりますが、私は、やはり、こういう事態をなくするためには、一方において、そういう事犯を起こしたものに対して徹底的にこれを処罰していくことも必要でありますが、また、そのために法律制度が不完備であるならば完備する必要があります。同時に、そういう暴力をつちかうような社会的な環境をなくすることが政治の要諦であると考えております。(拍手)また、真の民主政治を作り上げるためには、いかなる意味においても暴力を排除しなければならないという考えを、国民の皆さんが広く理解されるように努力することが必要であると思っております。こういう意味におきまして今後も、政府としては、暴力をなくするように、あらゆる面で努力したいと考えております。
 暴力の根絶のために審議会を設けたらどうだというお考えであります。暴力追放ということは私は念願でございますし、また、努力して参っておりますけれども、なお根絶することができない。これはいろいろな方面からの御協力を必要とする問題でございますから、そういう意味において、この暴力問題を取り上げて各方面から検討し、これに対して万全の策を立てるということは、何よりも必要であると思います。そういう意味において、今御意見にありました審議会につきましても、政府としても十分一つ検討をいたして参りたい、かように考えております。(拍手)
    〔国務大臣井野碩哉君登壇〕
○国務大臣(井野碩哉君) 暴力追放に関しましては、従来からも検察庁といたしまして徹底的な調査、捜査をいたしますとともに、きぜんたる態度をもって臨むべき方針で実施して参っておりまするが、今回の事件につきましては、特に昨日東京地検において会議を開き、徹底的な調査をいたし、捜査をいたし、きぜんたる態度で臨む方針一を確立いたしまして十分暴力追放につきましては努力をいたしたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣石原幹市郎君登壇〕
○国務大臣(石原幹市郎君) 去る二日早朝の事件につきましては、一日の深夜に情報を入手いたしておりましたので、毎日新聞社とも連絡をとり、相当警戒をしておったのでございますが、時間的ズレがございまして、一応丸の内署に帰りました直後にああいう事件が起こったのでございます。直ちに。パトカーをもちまして現場に向かいまして、現行犯として犯人を三人逮捕いたしておるのでございます。それほどの時間的ズレがあったとは考えておりません。その後、五名に逮捕令状を出しまして、目下四名を逮捕いたしまして、あと極力被疑者を追うておる次第でございます。
 暴力の取り締まりにつきましては、もうこれは相当長期にわたりまして行なっておる次第でございまして、三十四年度におきましても五万五千名の検挙を見ておりまするし、暴力団といたしましても三百九十八団体が解散をしておるという状態でございまするが、今後とも、さらに一そうこの徹底を期したいと考えまして、四月一日より警察庁に捜査二課を特に設けまして、右左を問わず、暴力の一掃に一段の力を一いたしたいと考えておる次第でございます。(拍手)……。
○議長(清瀬一郎君) 毎日新聞社を襲った暴力団事件に関する緊急質問を許可いたします。石川次夫君。
    〔石川次夫君登壇〕
○石川次夫君 私は、日本社会党を代表して、今回毎日新聞社を集団暴力をもって襲った問題に関連し、緊急質問をせんとするものであります。(拍手)
 岸内閣が発足当時、汚職、貧乏、暴力のいわゆる三悪追放を、まことに軒高たる意気をもってスローガンといたしましたことは、まだ記憶に残るところでございます。しかしながら、今や、岸内閣の実績によりまして、このことへの期待はすでに雲散霧消いたしております。
 すなわち、汚職について言えば、たとえば、グラマンからロッキードヘの機種の変更のいきさつ、及び、その製作工場決定事情への疑惑、あるいはまた、ベトナム賠償金額が根拠もなく二十数倍にもはね上がったこと等々について、多くの国民が疑惑を持っておりますことは、国民から、野党であるわれわれに対し、この追求がまだまだなまぬるいと激しく責められることの多いという事実が、明瞭に物語っていると思うのであります。(拍手)
 また、貧乏追放について申すならば、安保改定を急ぐ政府当局は、バンデンバーグ決議に基づく軍備増強の義務を果たすためには、当然、国民生活を犠牲にしなければなりません。これでは貧乏追放の実をあげ得ぬことは明瞭であります。多くの暴力団が各地に根を張っておりますのも、よって来たる原因はいろいろありましょう。しかしながら、ひっきょうするところ、最低生活を保障し得ない、すなわち、貧乏を追放し、完全雇用を実現することのできない政治の貧困の所産であることは、論を待たないところでございます。(拍手)
 暴力について言うならば、これは理論を越えたものであって、近代以前の感覚であるし、もはや、ここには理性は存在の余地がありません。基本的人権は理由なくじゅうりんされ、個々人の持つささやかな生活の幸福は脅かされるばかりでなく、さらに、今回の事件のごとく、天下の公器を襲い、言論の自由をも暴力の泥ぐつをもって踏みにじろうとするがごときは、まごとにゆゆしいことといわなければならぬのであります。しかしながら、現政府は、基本的人権以前の人間の生命の存在をすら尊重しておるでしょうか、はなはだ疑問に考えておるのであります。(拍手)すなわち、安保改定は、極東の平和を守るためと称して、日本と何らの関係のない米国と第三国の紛争に、ゆえなくして日本を介入させることによって、多くの貴重な日本人の生命を失わしめるような空前の暴挙を犯そうとしておるわけであります。そして、その実現のためには、賛成よりもはるかに多い反対の世論をことさらに無視して、これを強行しようとしておることは、そのこと自体がきわめて暴力的であり、はたしてこの政府に暴力を取り締まる基本的な点での資格があるかどうか、われわれは、はなはだ疑問とせねばならぬのであります。(拍手)
 国民は、このような疑問と絶望を抱きながらも、それにもかかわらず、三悪追放それ自体には非常な期待をかけておることは、もちろんのことであります。従って、暴力取り締まりのための刑法を改正したにかかわらず、所期の成果をおさめ得ずして、今日のような結果を生んだことに対しては、国民は非常な義憤を感じております。もちろん、暴力を根絶するためには、社会全体がこれを敵として戦う背景が必要であります。しかし、そのためには、政府及び当局が、くされ縁を根絶いたしまして、率先垂範の決意を示して、初めてその実をあげ得ると信ずるのであります。(拍手)
 しかるに、政府は、公安関係については、人員、予算に周到の配意をなすことによって、思想関係あるいは労働運動の弾圧等には万全を期しておるわけでございますけれども、庶民の熱望する暴力団取り締まりには、予算、人員ともに不足をいたしまして、肝心な情報の収集すらもきわめて不十分の状態でございます。(拍手)これは明らかに政府及び当局の怠慢と過失を示す以外の何ものでもありません。はたして、現政府は、暴力団一掃についてどのような決意を持っておられるか。持っておるとすれば、予算のやりくりとか人員の配置とか、具体的な方法を通じて、どういう方策を持っておるか。従来のように線香花火式でない、抜本的、恒久的、かつ具体的な対策を、まずもって岸総理及び国家公安委員長にお伺いをいたしたいのであります。(拍手)
 今回の事件について言えば、新聞の問題の発端になった記事自体は、すべて警視庁の発表資料に基づく正確なものでありますので、この訂正を要求する再三再四の威嚇的な申し入れに対しましても、その訂正が公共機関の自殺行為になるということで、がえんじなかったことは、けだし当然の態度であるし、また、称賛さるべきものであると思うのであります。(拍手)さらにまた、この事件を契機といたしまして、日本新聞協会が敢然と立ち上がり、暴力から言論の自由を守ることということを天下に声明いたしましたことは高く評価しなければなりません。政府はこの声明を真に生かし切るだけの責任を持つべきだと思うのであります。
 特に問題になりました葬儀の際の花輪の問題、これには衆参両院議員がずらりと名前を並べておるようでございますけれども、この具体的な名前がここでわかっておれば御発表願いたい。さらには、また、葬儀の際の案内状には、保守系の衆参両院議員を初めといたしまして、都議会議員、県議会議員が、驚くなかれ、五十名も名を連ねておるということでありますが、この具体的な氏名についても、おわかりであれば、国家公安委員長からここで発表をいただきたいと思うのであります。(拍手)このことは、本人が関知しないとはいいましても、決して国民は承服をするものではありません。また、この団体の機関誌には、歴代総理大臣が、創刊を祝って、麗々しく署名を載せておるということは、総理大臣は御存じでしょうか。また、こんなところに保守政党とのくされ縁があると取りざたをされるゆえんがあり、暴力追放の可能性を疑わせることになることも、けだし当然であります。(拍手)岸総理は、自民党総裁といたしまして、この事態を厳重に調査し、自民党総裁としての決意によって何らかの処断をしない限りは、国民は岸総理の暴力追放は従来通りの口頭禅にすぎないと見ることは明らかであります。(拍手)はたしてその決意を持っておるかどうか、これを岸総理に伺いたいのであります。そうして、また、今後この種の疑惑の一掃にいかなる対策を持っているかということも、あわせて伺いたいのであります。
 われわれは、岸内閣及び支配階級が単に暴力団とくされ縁を持つだけでなくて、少なくとも結果的には、育成助長しておる結果になっておることを指摘しないわけには参らないのであります。(拍手)今度の取り調べにあたりましても、警察は、これは右翼として扱わないで、暴力団として扱うように示唆をしておるということは、きわめて意味深長なことといわなければなりません。この団体は、政治結社であり、しかも、日比谷の安保促進大会にも参加をしているわけでありますけれども、私は、このことは、安保促進運動それ自体の本質に触れておると考えておるわけであります。それはともかくといたしましても、暴力団即右翼の形をとる事実の多いことにことさら目をおおいまして、これを助長することで、国を憂える平和運動その他に圧力を加えようとする態度は断じて許すことはできません。(拍手)戦前の国際連盟脱退のころに、官憲に抵抗して行なわれた憂国の平和運動というものが、幾たびも暴力団の迫害にあって血に色どられたことを、この際想起しないわけには参らないのであります。さらにまた、暴力団を手先に使うことで正常な労働運動を妨害する例は、三井三池を初めといたしまして、枚挙にいとまがございません。このまま推移せんか、これは明らかに戦前の典型的なファシズムの復活であります。政府は、断固として、正常な労働運動、憂国の平和運動を血なまぐさい暴力団の手から守る不動の決意と確固たる対策があるか、岸総理及び公安委員長に伺いたいのであります。そうして、このようなわかり切ったことを質問しなければならないという現在の情勢を心から悲しむものであります。
 なお、国家公安委員長に伺いたいのでありますけれども、四月二日の襲撃の情報を事前にキャッチした警察側は、三時ごろまでは警戒をしておった。ところが、警戒を解いた後、四時ごろにこの襲撃が行なわれたということは、どうも不可解だという見方があるようでございますけれども、この点はどうお考えになっておるか。そして、最後まで警戒をしなかった点、事は単に個人の家庭の問題ではないのであります。天下の公器である新聞社でありますだけに、手落ちであったといわざるを得ません。どうして最後まで警戒をして、この事件を未然に防ぎ得なかったか、また、その責任をどう感じておるかということについて伺いたいのであります。
 今度の襲撃は、二・二六事件の際の朝日新聞襲撃のごとき政治的背景、いわば一種のクーデターの一環として行なわれたのとは軌を一にしておらないようであります。そこには、いわゆる親分家の不幸にけちをつけたという素朴な感情から出発しておる点があります。とすれば、そのような単純かつ原始的な感情に基因して、巨大なマスコミに敵対し、襲撃を企てるということでありますと、もっとささいな個人的感情あるいは損得の計算で、簡単に善良な多くの市民が脅かされるということは、もはや、自明のことわりであります。(拍手)頻発する多くの事件は、このことを如実に証明いたしておるわけであります。従って、当局は、この点に思いをいたしまして、抜本的な対策を考慮すべきであると思うのであるけれども、今回の問題に対しまして、どのような捜査をし、どのような対策とっておるか、また、引き続き、いかに今後の背後関係その他についての捜査を進めようとするかということについて、公安委員長に伺いたいと思うのであります。
 最後に、法務大臣にお伺いいたします。暴力団取り締まりの刑法改正をもっていたしましても、その実が一向あがっておらないとの巷間の批判が強いことは、前に申し述べた通りでありますけれども、特に、暴力行為者に対する保釈について、また、保釈中のいわゆるお礼参りについて、非常な疑問と不安を国民は持ち続けておるわけであります。刑事訴訟法その他の改正によって具体的な対策を樹立すべきであるという世論も強いのでありますけれども、この点の御所見を伺いたいと思うのであります。
 以上で私の質問を終わるわけでございますけれども、このような暴力団を取り締まるということに籍口いたしまして、結社の自由を制限する方向をたどることは、もちろん、憲法違反であります。また、破防法によって解散命令を出すとか、取り締まり強化を口実にして警職法の改正等に向かうということについては、わが党は絶対に反対であることを、念のために申し添える次第であります。そうして、庶民のささやかな生活の幸福を脅かすことのない平和な社会を作り、言論の自由が断じて暴力という泥ぐつに踏みにじられることのないように、そして、そのことを通じて正しい民主主義を責任を持って育て上げるという強い決意と情熱を持って御答弁を願うことを期待しながら、私の質問を終わることにいたします。(拍手)
    〔国務大臣岸信介君登壇〕
○国務大臣(岸信介君) 真の民主政治を作り上げるために、あらゆる暴力をなくさなければならぬ。それは、思想的に、左右いずれの思想的バツクを持っておるものであろうとも、また、そういう思想的のバツクを持たないものであろうとも、これは一切、いかなる意味においても、この暴力をなくすことが、真の平和の民主政治を作り上げる基本でございます。しこうして、今日ありますところの各種の団体につきましては、もちろん、憲法上保障されておる団結の自由というものに基づいておるわけでありますけれども、しかし、そのやっておる実態なり、それを構成しておるところの人々から見まして、暴力を用いるおそれあるようなものにつきましては、常時、治安当局、警察当局からその行動を監視し、その実態を把握することに努めてきております。これに対する具体的な配置等につきましては、公安委員長からお答えをいたします。また、現実にそういう暴力行為が行なわれた場合におきましては、徹底的にこれを捜査し、また、これに対して厳罰をもって臨んでおりまして、その内容につきましても関係大臣よりお答えを申し上げます。
 私は、先ほど田中議員の御質問にもお答を申し上げましたように、われわれは、平和な民主政治を育て上げていくために、社会的の最も大きな悪である暴力を何としても根絶しなければならぬと思います。これに対しましては、単に、法律、制度を整備するとか、あるいは、暴力が起こった場合において、これを徹底的に処罰するというだけでは足りないのでありまして、どうしてもそういうことを未然になくする社会を作り上げることに対して努力をしなければならぬと考えております。今後といえども、そういう心組みで、あらゆる面で努力をいたしたいと考えております。
 それから、さらに、松葉会と、何か、私の主宰しておりまする自由民主党との間に関係があるようなお話でありますが、これは絶対に関係ございません。明確に申し上げておきます。(拍手)
    〔国務大臣石原幹市郎君登壇〕
○国務大臣(石原幹市郎君) 第一の、警察、ことに刑事警察の体制についてのお尋ねであったのでございまするが、先ほどもちょっとお答えいたしたのでありまするが、特に警察庁に捜査第二課を設けて、こういう取り締まりの徹底を期する。さらにまた、第一線の刑事等につきましても、特殊勤務手当を出すような予算措置等をも講じておるのでありまする三十四年度から、また、三カ年計画をもちまして、警察官一万名の増員計画もやっておるような次第でございまして、体制としては整備をはかっておる次第であります。
 それから、情報の関係でございます。これも先ほどお答えいたしましたように、三時ごろに襲うであろうというようなことを入手したのでございまするが、これも新聞社とよく連絡をいたしまして、その時刻も相当過ぎて、こういうような意味のこともときどきあるのでありまするから、四時過ぎに引き上げました直後に、ああいう事案が起こったのでありますが、直ちにかけつけまして、現行犯を三名も逮捕しておるのでございます。
 それから、本件の今後の捜査につきましては、丸の内署に捜査本部を設けまして背後関係その他の徹底的捜査を行なうようにいたしたいと思っておるのでございます。
 花輪の問題につきましては、これは社交・儀礼上等のいわゆる吉弔、家族に対する慶弔については、社交・儀礼の問題等もありますので、一がいにこれは言えないであろうと思います。しかし、いわゆる暴力団等に利用されることがありますので、これは、今後、それぞれの、各人の良識によりまして自重されるよう望んでおる次第であります。(拍手)
    〔国務大臣井野碩哉君登壇〕
○国務大臣(井野碩哉君) 保釈制度につきましては、昭和二十八年並びに昭和三十三年に、刑事訴訟法の改正によりまして、同法第八十九条の必要的保釈の範囲に制限を加えますとともに、同法第九十六条の保釈の取り消し事由を広げて参り、相当強化されており、これが運用も現在におきましては適正に行なわれておりますので、直ちに改正の必要はないと存じます。しかし、事情の推移を見まして考究をいたしてみたいと考えます。手
○議長(清瀬一郎君) 次に、毎日新聞社襲撃事件に関する緊急質問を許可いたします。大貫大八君。
    〔大貫大八君登壇〕
○大貫大八君 私は、民主社会党を代表いたしまして、去る二日未明、松葉会と称する暴力団の一味が毎日新聞社を襲撃した事件に関連しまして、政府の見解と対策をたださんとするものでございます。(拍手)
 私は、近来頻発する幾多の暴力事件につき、心から憤りを感ずるものであります。せっかく新憲法のもとに確立された民主主義体制のもとにおける国民の自由と安全が、再び暴力によってじゅうりんされようとしております。ことに、このたびの毎日新聞社を襲撃した暴力事件は、いわゆる町のチンピラ暴力事件とは比較にならぬほど重大性を持っております。(拍手)
 すなわち、新聞の持つ使命は、申すまでもなく、近代的民主国家においては、ことのほか重大であります。社会の万般の事象が正確かつ迅速に報道されること、自由なる批判と判断が保障されることは、民主主義社会の柱であり、新聞は実に社会の公器としてのこの使命を果たしておるのであります。かつては、この新聞のとうとい使命が、政府の権力やその他の暴力的圧力によってしばしば妨害されて、公正なる報道が阻止されたところの苦い経験を持つのであります。(拍手)
 しかるに、このたびの事件は、毎日新聞社が、社会正義の立場から暴力団の実態を究明したことに対し、松葉会なるものがこれに不法なる圧力を加えて、あえて筆を曲げさせようとし、これを拒絶するや、犬ぶん的に、暴力をもって新聞の印刷・発行を妨害したのであります。言論機関に対するこの種の暴力ざたは、しばしば前にも出ましたように、二・二六事件以来のことであり、ことに、日本が民主国家に再建された今日において、この種事件の発生を見ましたことは、許すべからざることであり、まさに文明に対する反逆行為であると私は断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 岸内閣は、成立当初より三悪追放を唱え、特に声を大にして暴力追放を公約したはずであります。しかし、暴力は、追放されるどころか、年とともに増加しておるのが現状であります。
 かつて、昭和の初め、総理大臣浜口雄幸氏が暴力団の凶弾に倒れたことを痛々しくながめたことがございます。当時、私は若く、社会主義者をもって任じておりましたが、いかに保守反動と当時常に政治的に攻撃し、戦ってきましたところの保守党総裁であろうとも、個人的には敬意を表しており、その人が無頼の徒に生命を奪われたことは、国家的に大きなる損失であると、当時、痛感いたしたのでございます。暴力は、たとい目的がどのように正しくとも、断じて許さるべきものではございません。(拍手)いわんや、不正・不法たる目的のために暴力をもって押し切ろうとすることは人類共通の敵であり、その傾向は絶対に阻止しなければならぬと思うのであります。
 政府は、しばしば暴力追放を公約してきましたが、一体どのような具体的な対策をもって対処してきたか、岸総理大臣にお伺いをいたしたいのでございます。
 近来、暴力事件が激増してきましたのは、むしろ、私は政府に責任があると思うのであります。(拍手)特に目立って参りましたことは、労働争議に対する暴力団の介入であります。最近では、三井三池争議について暴力団が介入し、労働組合員を殺すという不祥事件が突発しております。この種の暴力事件の発生は、私どもの長い経験からすれば、必ず警察当局の消極的態度が原因をなしておるのであります。(拍手)政府は、みずから責任を転嫁し、このような事件が起きると、すぐ、これに便乗して、警職法の不備を唱え、これが改正をもくろもうといたしております。しかし、もし暴力をほんとうに取り締まろうとするところの誠意と熱意があるならば、現行の警職法でも、りっぱに、十分に取り締まることができるのでございます。すなわち、政府は、民主主義下においても、今なお浪花節的義理人情を看板としておる暴力団に対する取り締まりが寛大であり、革新的労働運動等に対して特にきびしいという態度が、旧態依然として行なわれておるところに、今日の重大な問題があると思うのであります。(拍手)
 このたびの毎日新聞社襲撃事件も、結局、毎日新聞が、松葉会親分夫人の葬式に対し保守党政治家が多数花輪を贈ったことを糾弾したことに、端を発しておるのであります。親しい人の死亡に対し花輪を贈るなどということは、個人的儀礼として、もちろん、普通は問題にすべきではございません。しかし、松葉会親分に花輪を贈った多数の保守党の名士諸君が、いずれも、それらと親しい交際がはたしてあったのでありましょうか。少なくとも、世間はそう信じておりません。そこに割り切れぬものがあるのでございます。暴力団の親分なるがゆえに盛大に政治家の花輪が集まる、一般の善良の市民には贈られないというのであっては、どのように弁解しようとも、保守党政治家と暴力団のくされ縁を疑わすにはおられません。(拍手)この前時代的な感覚が依然として暴力団を温存せしむる最大の原因になっておると私は思うのであります。(拍手)政府が、真剣に暴力追放を期するならば、警職法の改正ではなく、この前時代的な暴力団に対する考え方を、まず政府及び保守党の諸君に根本的に改めてもらうことが、先決問題であると思うのでございます。(拍手)岸総理大臣はどのようにお考えになりますか。
 この松葉会なるものは、政治結社として届け出られておる旨でありますが、政府は正常なる政治団体として認めておるのかどうか、あるいは、政治結社を擬装する暴力団体と認定しておるのか、石原国家公安委員長の明確なる御答弁を願いたいのであります。
 そこで、近来暴力団の横行するのは、私は、警職法の不備ではなく、そのような暴力団の結社等を取り締まる法律のない盲点にあると思うのであります。つまり、国家を転覆するような高度の政治目標を持った暴力主義的破壊活動の取り締まりにつきましては、破壊活動防止法があります。しかるに、いわゆる暴力団と称せられるものは、おおむね、一定の政治的信条などは全然なく、生業を持たず、常に、ゆすり、かたり、暴行、脅迫、賭博などを常習として、善良なる市民を苦しめる、不退無頼の徒でございます。(拍手)たまたま政治的目標を掲げるものは、反共一点張りであり、何ら政治的信念などがあるものではありません。今日の取り締まり法規は、おおむね、個人を対象とするものであり、まれには、暴力行為等処罰に関する法律のごとく、団体の背景をもって暴行・脅迫をした者を取り締まることができるだけであります。しかし、今日問題になるのは、民主主義をじゅうりんするような団体そのものであります。町のチンピラ一人の暴力は、被害の程度に限度がございます。しかし、かりに、ここに百人の暴力を常習とする人間が、団体として結集されたとするならば、その暴力は、もはや、百人の力の総和ではありません。団体としてアルファがついた暴力を備えることになるのでございます。これがおそろしい害毒を流すものでございます。
 憲法は、基本的人権として団結権、結社の自由を認めております。しかし、それは、あくまで民主主義的体制のワク内で保障される権利であります。民主主義に反逆し、民主主義を否認するような暴力団体にまで認められた権利では絶対にございません。(拍手)政府は、明らかな暴力団体を解散させるような立法措置を講ずる意思はないか、この際伺っておきます。
 先ほど、自民党の田中伊三次君は、暴力根絶審議会を設ける意思はないかと御質問になりました。もしそのような審議会がかりに作られたといたしましても、暴力団に花輪を贈るような名士諸君の多い政府・与党の諸君で作られたとすれば、学識経験者として暴力団の親分をまじえるようなことをあえてなさるであろうと私は憂えるのでございます。(拍手)私は、あくまで立法措置を講ずる意思がないかどうか、岸総理大臣、石原国家公安委員長にお尋ねをする次第でございます。
 政府は、しばしば暴力は厳重に取り締まることを声明されておるはずでありますが、ほんとうに口先だけではなく、暴力の根絶を期するために、真剣に、早急に対策を樹立されんことを切に要望して、私の質問を終わりといたします。(拍手)
    〔国務大臣岸信介君登壇〕
○国務大臣(岸信介君) 真の民主主義を作り上げるために、暴力を絶対に排除しなければならぬという大貫議員のお考えは、私も全然同様に考えます。ただ、この問題は、私も、政局を担当して、常に、暴力をなくすることにつきましては、あらゆる面において努力をして参っておりますが、それにもかかわらず、なおこれが根絶できないということにつきましては、私としては、法制の不備な点につきましては、常に検討して、これが整備を考えなければならぬ。今、そういう不法な暴力団体的な団体については、これを解散せしめるような法規が必要ではないかという御議論でありますが、そういう点もあわせて検討をいたして参りたい。同時に、そういう暴力行為に対して取り締まりを厳重にすると同時に、暴力団に加入しておるところの人々の、他の生業に転業するための補導につきましても、従来十分意を用いてきておるのでございます。さらにまた、社会的にそういう事態の生ずるようないろいろな環境をなくすることにも努力をいたして参っております。しかしながら、なおそういうものが根絶されないということについては、この上とも政府としてあらゆる面から努力を続けていかなければならぬと思っております。特に、今回のいわゆる新聞の自由というものに対するこうした暴力は、まことに、民主政治の上から申しまして、私は、一面からいったら、日本の民主政治の前途からいって非常に憂慮にたえないと同時に、そういうものを将来において根絶することにあらゆる面から努力をしていかなければならぬ、かように考えております。いろいろな点におきまして、今回の事件そのものは、背後関係等につきましても、いろいろな関係等につきましても、徹底的に究明して、そして、将来こういうことを繰り返さないように万全を期する考えであります。(拍手)
    〔国務大臣石原幹市郎君登壇〕
○国務大臣(石原幹市郎君) お答えいたします。
 暴力団の取り締まりに対しましては、決して消極的ではございません。右であろうと、左であろうと、その他でありましょうとも、何ら差別せず、暴力は徹底的に取り締まって参りたいつもりでおります。
 松葉会は、昨年二月、政治資金規正法によりまして政治結社として届けておりまするが、構成員の中には傷害等の前科のある者が多いのでございまして、視察の徹底を期しておる次第であります。
 暴力団の今後の問題でございまするが、思想的破壊活動等を行ないまするものにつきましては、御案内の破壊活動防止法等がございますが、一般傷害等のものにつきましては、徹底的検挙によりましてこれの撲滅をはかっていきたいと考えておるのでございまして、今後とも、機構、体制等を整備いたしまして、徹底的にこれらの取り締まりに当たりたい考えでございます。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) 一一この際、議院運営委員会の決定によりまして、国会の審議権の確保のための秩序保持に関する法律案の趣旨の説明を求めます。提出者佐々木盛雄君。
    〔佐々木盛雄君登壇〕
○佐々木盛雄君 国会の審議権の確保のための秩序保持に関する法律案につきまして、私は、提案者を代表いたしまして、提案趣旨について説明を行なわんとするものであります。
 昨年十一月二十七日、日米安全保障条約改定交渉の打ち切りを要求する集団示威運動が行なわれた際に、集団陳情に名をかりた一万数千名のデモ隊が国会構内に乱入した、わが国憲政空前の不祥事件の発生を契機として、再びかくのごとき不祥事件の発生を繰り返さないために、加藤前衆議院議長は、さきに議院運営委員会理事会において、おおむね本案同様の試案を提示されたのであります。
 私たちといたしましては、立憲政治擁護のために、与党と野党との政争を越えた立場から、議長の諮問にこたえて、議院運営委員会全員一致の立案といたしたいと、あらゆる努力を試みたのでありますが、不幸にして野党諸君の同調を見るに至らず、ついに、議長試案に若干の補足を加えて、ここに議員提案の形式をとるのやむなきに至ったことは、まことに遺憾にたえない次第であります。
 まず、この法律の目的は、国権の最高機関である国会がその機能を完全に行なうために、国会議事堂周辺の静穏を保つことによって国会議員の登院と国会の審議権を確保せんとするものであります。従って、何人も、この目的達成のため、国会議事堂周辺の静穏の保持によって、議員の登院と国会の審議を妨害しないようにしなければならない旨を、まず規定いたしたのであります。しかしながら、このことは、憲法において保障された集会や表現の自由を否定するものでは毛頭ないのでありまして、私たちは、国会の審議権の公正なる行使を確保する立法措置を講ずることこそが、最も合憲的にして、かつ、議会政治擁護の根本要件であると信ずるのであります。従来、国会の周辺に集団示威運動等が行なわれた場合には、国会としては、なるべく不要の摩擦を避けるために、やむなく当日の国政審議を中止するなどの措置をとって参ったのでありますが、今回の不祥事件において、議事堂周辺の道路においては、議員の国会登院が著しく妨げられたのみならず、ことに、議員会館と議事堂との間の道路は全くふさがれて、議員の通行は不能となった事実にかんがみまして、この際、国会として万全の措置を講じ、もって不測の事態の発生を予防することが絶対に必要であると考えるのであります。
 さて、私たちは、この法律案を起草するにあたりまして、次の二点に特に意を用いたのであります。
 第一は、本法に規定する国会周辺と申しましても、なるべくその範囲を最小限度にとどめたことでありまして、英、米、西独等の諸外国におきましては、国会周辺一帯の広範なる地域を指定して、集団行動についての厳重なる禁止規定を設けているのでありますが、本法におきましては、その適用区域を国会周辺一帯としないで、主として国会に通ずる道路と一部国会用地のみに限って秩序を保持すべき場所といたしたのであります。
 第二は、その限られた道路や区域におきましても、集団示威運動等をあらかじめ全面的に禁止することを避けて、必要やむを得ない場合にのみ適当な措置をとり得るようにいたしたのであります。すなわち、国会周辺道路上における集団示威運動等のために国会議員の登院と国会の審議権の公正な行使が阻害されるおそれがあると認められる場合には、衆参両院議長は、連名で、東京都の公安委員会に対し、その集団示威運動等の許可の取り消しや条件の変更を要請したり、または、警視総監に対して、その集団示威運動等を制止するための必要な措置を講ずるように要請できることといたしたのであります。従って、この要請がなされたときは、公安委員会は、これに対応して必要な措置を講ずるようにすることとし、また、警察官は、その集団示威運動等の主催者、統括者その他の責任者または参加者に対して、必要な限度において警告を発したり、その行為を制止したりすることができるようにいたしたのであります。しかしながら、これらの要請を受けた公安委員会や警視総監がいかなる措置をとるかはもっぱら、その自主的決定にゆだねたのであります。
 次に、請願につきましては、憲法において定められておりまする通り、平穏に行なう限りにおきましては、言論、表現、集会の自由とともに、国民の基本的権利として認められておるところでありまするが、しかし、たとい請願、陳情の名目のもとに行なわれまする集団示威運動等でも、実際上平穏な行為と認められないものは本法の適用を受けるべきものといたしたのは、当然の措置であると信ずるのであります。(拍手)
 また、罰則につきましては、集団示威運動等に参加した者が議事堂またはその構内に侵入した場合には、本法によらずして、一般刑法の規定によるのでありまするが、特に、他人を指揮し、他人に率先して侵入した者に対しましては、本法の適用によって罪を重くいたしたのであります。すなわち、国会議事堂こそは、国民の代表者が国政を審議する神聖なる殿堂であって、これを群衆の陣頭に立って侵害することは、単なる住居侵入のみならず、実に立憲政治の存立を危うくするものであると考えるからであります。(拍手)
 また、集団示威運動等の威力を用いて議員の登院を妨害した者についても特に罰則を設けたのは、国会の構成員たる議員の登院こそは、国政審議のための不可欠の前提要件であるからであります。
 以上が本法律案の概要でありまするが、私は、ここに、同僚議員各位が、わが国議会政治擁護のために、この際、政党政派の対立を越えて、大乗的見地に立って、満場一致の御賛同あらんことを心から期待して、提案趣旨の説明を終わる次第であります。(拍手)……。
○議長(清瀬一郎君) ただいまの趣旨の説明に対しまして質疑の通告がございます。順次これを許します。阪上安太郎君。
    〔阪上安太郎君登壇〕
○阪上安太郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま説明を受けました国会の審議権の確保のための秩序保持に関する法律案について、提案者並びに岸総理及び関係各大臣に質問をいたします。
 まず、民主主義とか議会主義とかいうものは、どれは、機構だけが整っても、その運営というものはきわめてむずかしいのであります。戦後新たに独立した国で独裁国に堕落した国が少なくないのも、この一点にあると、われわれは考えております。わが国においても、最近、議会主義に対する疑惑がだんだんと深まりつつあるのでありましてその直接の動機は、ベトナム問題であるとか、あるいはロッキード問題であるとか、ことに、安保問題に対する与党の数の暴力に対し、国民は、民主主義と議会主義のワク内において、どうしてこれに抵抗すればよいか、というあせりが出てきておるのであります。(拍手)
 この法律案の提出の動機は去る十一月二十七日のデモ事件である、と提案者は先ほども説明しておりますが、世間は、全学連の行動がはね上がりであると批判する一方、これに共鳴する空気が、逐次、現在、増大しつつあるのであります。これは政府・与党の数の暴力に対する明らかな国民の怒りであると反省しなければなりません。(拍手)実際に、今の国会には、審議権をみずから傷つけるところの自己否定、自殺行為が至って数多いのであります。国会審議権の公正な行使は、何よりもまず国会みずからの責任でなければならぬと信ずるわけであります。(拍手)政府・与党の一党独裁の政治が国会の公正な審議権をゆがめた例は枚挙にいとまがありませんが、いまだかつて国会周辺のデモがこれをゆがめたという実例はないのであります。(拍手、発言する者多し)にもかかわらず、この法律案は、国会のみずからなすべきことをたな上げして、その責任を国民に転嫁し、そして、憲法に保障された人類永遠の基本的人権を規制することにより、すなわち、国民の権利を犠牲にすることによって、国会の義務をごまかそうとするところの、本末転倒の法案であるといっても差しつかえありません。(拍手)そこで、私は、まず総理に伺いたいのでありますが、国会の公正なる審議権の確保ということは、国会運営はもちろんのこと、議院内閣責任政治の今日、行政の最高責任者である内閣がその施策において公正であることによりささえられるものであると私は考えております。今日、日本の首相は、世界……。のどの国の最高責任者に比べても、まさるとも劣らないところの強い権力を与えられております。ところが、岸内閣は、この権力にあぐらをかいて、与党の多数にものを言わせて、そうして、逆に、少数の利益を擁護して、多数の利益を踏みにじるのであります。ここに公正なる国会審議権の行使がゆがめられるその原因がある、こう考えますが、岸総理はどうお考えになりますか、伺いたいのであります。
 次に伺いたいことは、国会の正常化の問題であります。去る三十回国会の変則国会のあとを受けまして、三十一回国会の両党首会談における国会正常化の申し合わせば、これは、一つは議長の党籍離脱であります。二つは、国会の法規・慣例の厳守と国会法の改正であります。三つは、議事協議会の活用、この三点で意見の一致を見たわけであります。そこで、議長の党籍離脱は、衆議院において一時実現いたしましたが、現在、またもとに戻り、その他はついに何ら実行せられなかったのであります。一体、国会正常化が行なわれずして、どこに国会の公正な審議権が行使できるか、この点、岸総理の所信を伺いたいのであります。(拍手)
 さらに伺いたいことは、議会主義についてであります。そもそも、議会主義の本質は、反対派が多数決を尊重するごと、そのかわりに、多数派、すなわち与党が反対派に言論、集会、結社の自由を認めることの二点であります。この二つの条件によって、議会主義は政治の内乱化を防止し、恐怖心の連鎖反応を抑制し得るのであります。社会主義実現の方法として暴力革命が退けられ、議会主義が主張されるのも、このためである、と、われわれは信じておるのであります。しかるに、政府・与党は、多数決のみを重視して、反対派に言論、集会、結社の自由を極力規制しようというのであるから、これは、まさに、政治の内乱化を促進するものであります。ましてや、憲法に保障された請願の自由を規制しようとするこの法律案は、おそるべき議会政治への逆行であると考えるのでありまするが、総理、あなたは、どうお考えになりますか、伺いたいのであります。(拍手)
 また、民主主義の政治が多数決と代表の原理の上に立つことは、これは言うまでもありません。しかし、この場合の多数決とは、単なる計算的全会一致ではございません。衆議院において内閣不信任案が可決されれば、当然、内閣は憲法六十九条によって措置されなければならないのであります。ところが、議長の不信任案が可決されましても、その効果は何ら憲法の規定するところではありません。議長の出処進退は、この場合、自由であります。すなわち、国権の最高機関たる国会は、必ずしも多数決原理が絶対ではないのであります。むしろ、議会政治の原理は、多数決の原理よりも世論代表の原理に重点を置いて、少数の意見もまた世論であることに留意して運営されなければならぬと考えるわけであります。(拍手)政府・与党が、この原理を無視いたしまして、単純なる算術計算によるところの多数決主義で議会を押し切るところに、この法案の目的である国会の公正なる審議権が阻害されるものと私は考えるのでありますが、総理はどうお考えになりますか。(拍手)
 次に、この法案は、前回、自民党の単独提案、単独審議、単独採決で、一回の公聴会を開くこともなく本院を通過した法案でございます。これは国会史上空前の暴挙であるといわれておるものであります。国会の審議権を守れという法案が、国会の審議権を無視して暴走したのが、前回の実情でございます。こういう前歴を持つ衆議院の議院運営委員会に、この法案が、議長の職権で、再び今回付託されたのであります。国民は、この審議のあり方に、非常な疑惑を抱いておるものと、われわれは確信いたしております。また、参議院の公聴会等における審議の経過より見ましても、本法案は、院内法規というよりは、むしろ治安立法であるとする意見が圧倒的に多かったのであります。従ってわが党は、当然これは地方行政委員会に付託がえすべきものと強く要望いたしておるのであります。ところが、与党は、がんとしてこれに応じない。これは、明らかに、前回同様、一党独裁の審議を強行するためには、議院運営委員会が最も便利であると考えておるからでございまして、これ自体、審議権の公正なる行使を阻害する行為であり、われわれの断じて納得できないところであります。自民党の総裁としての岸総理は、どうお考えになるか、また、付託がえにさらに善処する意思があるかどうか、これについて伺いたいのでございます。
 さらに、また、この法案の説明に際しまして、提案者は、盛んに、国権の最高機関であるということを先ほどから振り回しておられますが、国権の最高機関ということについては、解釈上、いろいろの見解がございます。三権分立の建前に立つならば、国会が直接に国民の意思を代表する点における意味での、単なる政治的美称であるとする見解すらあるわけであります。この場合、国権の最高機関の構成メンバーである国会議員の中には、ゆえなくして長期間欠席し、みずから審議権を放棄する向きもあるのであります、かくのごとき国会議員を含めて、その登院のために特別の扱いをする、また、国会構内の侵入罪を住居侵入罪よりも重くして、国会はいかなる法律でも制定することができるのであるとする考え方、これが国権の最高機関としての解釈であるとするならば、その権威が国民に由来することを忘却したところの思い上がりであります。憲法前文の精神を踏みにじるものであり、かつ、国会の自己否定であると考えられます。総理並びに法務大臣の見解はどうか、これを伺っておきたいと思うのであります。
 次は、法務大臣に伺いたいのであります。
 それは、最高裁判所の憲法上の地位についてであります。憲法八十一条を受けましての最高裁の意見は、これに関し、終審としての違憲審査権と述べているのであります。このことは、違憲審査権は最高裁判所だけが持つものではない、下級裁判所も持つものであるということと、訴訟当事者は、また、常に最高裁判所の判断を求める権利を有する、この二つの意味であることは、広く一般に承認されております。従って、最高裁判所の判決が出ない以前における下級裁の判決は、常に最大に尊重されなければならないことは明白であります。ところが、提案者は、東京都の公安条例についての下級裁の判決が違憲であっても、最高裁の判決が決定しないうちは合憲である、と説明する。これは司法権を無視した考え方であると思うが、法務大臣の率直な御意見を伺いたいのであります。(拍手) 次に、この種の公安条例は、全国でもって二十四府県、四十一部市に制定されております。その他の自治体にはないのであります。しかも、府県、都市、それぞれに、その内容が異なっております。一体、国民の基本的な人権に関する規制が自治体において区々に作られるということは、その内容が違憲・合憲の問題とは別にいたしまして、このこと自体、憲法十四条の違反であると考えますが、この点、法務大臣はどうお考えになりますか、伺っておきたいのであります。
 また、公安条例で今まで問題となつた点は、許可制をとるものと、届出制をとるものとの二点でございます。東京都公安条例を違憲とする判決も、思想、表現の自由の保障という見地から、この二点を理由として断定いたしておるのであります。公安委員会という一行政機関が、明白かつ現在の危険の原則を無視いたしまして、公共の安寧というばく然たる概念で、ほしいままに許否をきめることはよろしくないというのが、その趣旨であります。以上の諸点よりいたしまして、このような不統一かつ不合理な公安条例は、もはや全廃すべきであると私どもは考えるのでありますが、法務大臣の率直な意見を伺っておきたいのであります。
    (拍手)
 次に、石原大臣に伺いたい憲法が、新たに、その第八章に地方自治の章を設けたのは、旧憲法のもとにおける中央集権制に対する反省より
 いたしまして広く政治の民主化の確立と実現のための手段としての地方自治を高く評価したからであります。ところが、この法案によりますると、義務教育制度と並んで地方住民の自治意識の支柱ともなっておりますところの自治体警察に対し、両院議長は、警視庁に新たな義務を付加することになっているのでありますが、これは、明らかに、地方自治への中央干渉であり、同時に、自治体警察への不当なる支配であると考えるわけであります。さらに、現行警職法以上に警察官の権限を強化するものであって、警職法の事実上の改悪であると考えますが、前段については自治庁長官として、後段は国家公安委員長として、明確に御答弁を願いたいのであります。
 最後に、提案者には、参議院の審議の模様から見まして、たびたび御答弁が変わるのであります。従いまして、私は、委員会において一問一答いたすことにいたしまして、この際、一点だけを伺っておきたいと思うのであります。
 それは、この法案は前回と変わりませんが、前回の趣旨弁明と、ただいま御説明になったところの趣旨弁明との間には、重大なる相違があることであります。すなわち、あなたは、十一月二十七日のデモ隊に対し、前回は一万数千の暴徒と断言いたしておりましたが、今回は、ただ単に、デモ隊と、こういうふうに説明されているのであります。提案者みずからが、本法案提出の直接の動機だと断言しているあのデモ隊に対するところの認識が根底よりくつがえったところの今の理由は、一体何でありますか、この釈明を求めるものであります。(拍手)そうして、その認識の変更によりまして、もはや、この法案の提出の根拠は解消したものと私は考えるのでありますが、かかる、不体裁きわまる、かつ、違憲の疑いの濃厚なる本案は、いさぎよく撤回すべきであると考えますが、一つ、あなたの良心を伺いたいのであります。(拍手)
 以上、わが党は、国会の公正なる審議権の確保は、外部に求めるべきものではなく、国会と行政府の内部に求めるべきものであり、在来の経過よりいたしまして、その責任は岸内閣と与党にあることを強調いたしまして、この質問を終わりたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣岸信介君登壇〕
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。
 本案は、昨年の十一月二十七日に行なわれました、国会にデモ隊が乱入した事件に端を発しまして、当時の議長より議院運営委員会に原案を示して、そうして、運営委員会の審議によって、これを提案するようにということが要望されて、先ほど提案者の説明したような経過のもとに提案をされたものでございます。私は、そういう意味において、内容等につきましての御質疑に対しましては、提案者よりお答えすることが正しいと思います。ただ、二、三の点について、御質問にお答えをいたします。
 それは、国会というこの議会政治の運営において、多数決が唯一の原則ではないというお考えであります。もちろん、国会は、あらゆる面において、国政を公正に審議していくべき機関でございます。その審議はきわめて大事なものであります。しかし、最後の決定は多数決によって決定されるということは、動かすべからざる原則であろうと思います。そうして、この多数決の多数が得られたということは、言うまでもなく、選挙によって、主権者たる国民の代表に選ばれたものであります。最後の決定は主権者たる国民が決定をいたすものであることは、言うを待たないのであります。やはり、これを尊重しなければ、私は、議会政治というものは成り立たぬと思います。しかして、審議権の公正なる行使については、国会の内外を問わず、これが尊重されて、そうして、国会の運営の正常化がはかられなければなりません。いかなる意味においても、暴力やその他の威嚇によってこの公正なる審議権の行使が妨げられるというようなことは、私ども、国民から負託されておるこの大事な国政の審議を行なっていく上において、それが阻害されるということは、ゆゆしいことであります。しかして、この審議権は、私は、われわれが持っておる一つの権利であると同時に、国民に対する尊い義務であると考えます。従って、その行使につきましては、勝手にこれを放棄すべき性質のものではない、お互いにこの権利を公正に行使して、国民の負託にこたえるようにしていかなければならぬ、こういう意味において、国会の運営の正常化ということを国会みずから大いに考えられて、われわれもその一員として、その正常化をはかるようにいたさなければなりませんが、その基礎であるところの審議権の公正な行使が、たとい内部からでも、あるいは外部からでも、侵害されるという場合においては、これを防止するということは当然の義務である、かように考えております。(拍手)
    〔国務大臣井野碩哉君登壇〕
○国務大臣(井野碩哉君) 阪上議員は、下級裁の判決を尊重すべきであるという御意見でございました。判決はもちろん尊重すべきが当然でありますが、判決の批判力とは別でありまして、その判決に対して、検察官がその判示に承服できないという場合には上訴の道もあり、上訴しております間は、その下級裁の判決には拘束されないことは当然であります。公安条例が違憲であるという判決も下級裁にありますとともに、また、合憲であるという判決もあります。従って、最高裁の判決を待って、われわれ政府としては善処すべきであろうと考えております。
 また、第二の御質問に対しましては、公安条例が憲法十四条に違反しておりはせぬかというお尋ねでありますが、憲法におきましては、公共の福祉に反しない限り、人権の尊重は認められておりますけれども、公共の福祉に一反する場合には、憲法といえども、その制限を認めております。各府県の公安条例のうちで、公共の福祉のために規定いたしたものは、憲法十四条には反しないものと解釈いたします。(拍手)
    〔国務大臣石原幹市郎君登壇〕
○国務大臣(石原幹市郎君) お答えいたします。
 第四条の、両院議長の要請は、警視総監に対する要請でございまして、あくまで総監の立場を尊重して、命令ではないのでございます。この要請に基づいてどのような措置をとるかについても警視総監の判断にゆだねられておるわけでございまするから、何ら警察の自主性を害するものでもなく、また、地方自治の本旨に反するものでもないと存じております。
 五条二項の警察官の権限は、議長の要請の限度において権限を行使するにすぎないのでありまして、決して不当とも何とも思っていないのであります。
    〔佐々木盛雄君登壇〕
○佐々木盛雄君 阪上議員の御質問の要点は、本案は、最初、暴徒という考え方から出発しておるが、暴徒という表現を改めた以上、本案を成立させる必要がないから、引っ込めて撤回したらどうか、こういう御趣旨のように承りましたので、お答えを申し上げます。
 昨年十二月の前国会におきまして、参議院の本会議におきまして私から提案趣旨の説明を行ないました際に、提案趣旨の説明の中で、たまたま、昨年十一月二十七日のいわゆる国会乱入事件に言及をいたしました際に、一万数千名の集団暴徒という表現を私が用いたのに対して野党の諸君から、その集団暴徒という表現は穏当でないから取り消せという要求が強硬に行なわれました。しかしながら、私は、私の信念と社会通念に基づいて表現したことを取り消す必要はないと考えましたので、これに応じませんでした。ところが、議長は、野党の方々が、取り消さなければ審議に応じないということで、議院運営委員会の方々と相談をされて、議長職権でもって、私に対して、集団暴徒という表現の取り消しを命ぜられたわけでございます。そのときに、社会党の代表であった占部君から、質問に入る前提として、私に質問がなされました。ただいまの議長命令に服従するかどうかといろ意味の御質問でございましたから、私は、次のような答弁をいたしております。それは、この本会議は議長職権のもとに行なわれておるのであるから、その議長が取り消しを命ぜられまするならば、その議長職権に服従するにやぶさかではございません。しかしながら、私が集団暴徒という表現を用いたことは、日本は法治国でありまするので、すべて国民は法律を守らなければならない。国会へ陳情、請願をするためには、それぞれの法規や手続がございますから、すべての人々はこれに従わなければならないのにもかかわらず、所要の手続を踏まず、法規を無視し、衛視の制止も聞かずして、正門を突破し、さくを乗り越えて国会に乱入した人々を、集団暴徒と呼んだわけであります。こういう答弁をいたしたのであります。(拍手)私のこの考え方は、今もって一片のゆるぎもございませんし、また、これを社会通念に照らしても、徒党を組んで暴行を働く者を集団暴徒ということは、決して不当なことではなかろうと考えまするから、従って、私が提案当時に用いたその表現を、今日、私がその言葉を用いないからといって、私の提案の趣旨の根底には何の変化もございませんから、せっかくのお説ではございまするが、本法案を撤回する意思がないどころか、最近の事情にかんがみまして、私は、石にかじりついても、この法案はぜひとも成立さしたいとこいねがっておる次第でございます。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) 小沢貞孝君
    〔小沢貞孝君登壇〕
○小沢貞孝君 私は、民主社会党を代表しまして、先ほど御説明のありました国会の審議権の確保のための秩序保持に関する法律案について、若干の御質問をいたしたいと存じます。
 本法案は、すでに前国会において総括的な質問がなされており、若干、細部にわたって質問をいたしたいと思います。
 まず第一には、この法案のうち、東京都公安委員会と関係ある条項は、実施することが不可能なことを実施させようとしておることであります。参議院の審議の中で提案者が言明しているように、この法案は、第四条第一項及び第五条第一項については東京都公安条例を前提としておりますが、国会議事堂周辺道路において屋外集会や集団行進等が行なわれることに対して条件を付したり許可する等は、東京都公安委員会であります。従って、許可を受けて議事堂周辺道路で行なわれる集団示威運動等の内容は、両院議長は全然知る方法がないわけであります。この法案には、東京都公安委員会に対して報告を義務づけてはありません。集団示威運動等の主催者は、公安条例に基づいて、許可を得て実施するわけであります。その許可は、あくまで公安委員会で認めて許可したわけであります。それを、内容も知らなければ、何らの報告も受けない議長が、何ゆえに、公安委員会に対して、許可の取り消し、または条件の変更を要請することができるでありましょうか。その辺のところを、詳しく提案者は説明していただきたいと思います。あるいは、常に緊密な連絡をとると言うかもしれませんが、公安委員会は、警察法三十八条、地方自治法百八十条等によって、知事の所管のもとにあって、何ら国会とは関係がないわけであります。集団示威運動等の許可やその条件を、議長は法的には知る方法が全然ないわけであります。
 さて、法的には別といたしましても、万一、東京都公安委員会の好意でもって、その許可を与えたり条件を付した集団示威運動等の内容を知ることができたといたしましても、それを、議長が、本法によって、国会議員の登院と国会の審議権の公正な行使に著しい影響を与えるおそれがあると認めて、許可の取り消しや条件の変更を要請しても、都公安委員会は、それを取り消し、または条件を変更することができないであろうと私は考えるわけであります。なるほど、本法案の第五条には、要請を受けたときは、これに対して公安委員会は必要な措置を講ずるようにしなければならない、とうたってあります。参議院で提案者の説明のごとく、また、先ほど説明のありましたように、「講ずるようにしなければならない。」ということは、講じなければならないと違って、全然義務づけがないわけであります。あくまで公安委員会の自主的判断に待つということであります。従って、公安委員会にしてみれば、自分たちが、公安条例の各条項に照らして、許可相当と認めて許可したものを、今度は、みずからの手で許可を取り消し、または条件の変更を命ずるようにするということは、公安委員会みずからが条例に違反する行為をしない限り、これは不可能なことではないかと私は信ずるわけであります。(拍手)この点、一体、提案者はどのように考えておるか。公安委員会が自主性を失ったり、公安委員会みずからが条例に違反するようなことを要請する法案などは、およそ私はナンセンスだと思います。(拍手)
 提案者は、あるいは言うかもしれません。議長が要請権の発動をするのは、議員の登院と審議権の公正な行使に著しく影響を与えるおそれがあると認められたときだ、と言うでありましょう。しかし、おそれがあるということは、あくまで現在の事態ではありません。明白にしてかつ現在の危険ではないわけであります。将来起こるかもしれないという推測であります。あくまで仮定であります。仮定に立つところの、何ら科学的根拠のない、勝手な議長の判断であるわけであります。ところが、こういう判断のもとで、いかほど強い要請があろうとも、しかもまた、国権の最高機関という肩書きで要請しても、残念ながら、現在の東京都公安条例ではどうすることもできないわけであります。すなわち、東京都公安条例で、議長の要請に基づいて必要な措置を講ずるとすれば、それは公安条例第三条第三項であります。すなわち、こう書いてあります。「公共の安寧を保持するため緊急の必要があると明らかに認められるに至ったときは、その許可を取り消し又は条件を変更することができる。」ということであって、緊急の必要があると明らかに認められるに至ったときであって、明白にしてかつ現在の危険の原則に従って、規制の基準というものが、本法案よりも都条例の方が、きつくしぼってあるわけであります。従って、議長が、単におそれがあるとか、あるいはまた、心配があるとかいうようなことで要請しても、現在の公安条例では、許可の取り消し等は不可能であるわけであります。公安委員みずから条例違反をいたさない限り、不可能なことであるわけであります。この点について、提案者はどう考えているか。また、公安委員というような立場からの見解も、国家公安委員長にお尋ねいたしたいと思います。また、この点は、法的にも非常に疑義がある問題でありますので、法制局長官にもお尋ねいたしたいと思います。
 私は、いかほど立案者に好意的に本法案と東京都公安条例を解釈しても、議長の要請権が生かされる可能性はないと思うわけであります。要請を何回しても拒否されるにきまっているような本法案は、まことに法律としての態様を整えていない、ずさんなものであるといわざるを得ません。私は、第四条、第五条の一項は、単に、両院議長が、公安委員に、要請をするというのですか、注意を喚起するという程度以外には、法律的には何らの意味がないと思うわけであります。
 そこで、私はお尋ねしたいのですが、現在の都の公安委員会は、国会の両院の議長から注意をされたり要請されなければ、法できまっておるもの、または条例で定められておる任務を実施することができないようなことであるとするならば、それは、機構が悪いのか、あるいは職務怠慢であるのか、いずれかであると思うわけであります。本法案は、従って、都公安委員会に対する侮辱とも言えないことはありません。国家公安委員長の、この点に対する御答弁をわずらわしたいと思います。
 そうでなければ、本法案成立によって、都の公安条例の改正を強要して、本法に適合せしむるように改正させるべく、無言の圧力をかけることをねらっておるとしか考えられません。また、この法律が実施されれば、国権の最高機関の責任者が要請権を発動するという政治的な圧力によって、公安委員に申請されたデモの許可申請を、公安委員みずからが審査する前に、事前に両院議長の許可を得るようにせしむることをねらっておるとも考えないわけには参りません。そうなれば、東京都の自治に対する圧迫であります。法律的には全く無意味な議長の要請権が、政治的にはきわめて有意義に生かされるという、法律と政治の巧妙な使い分けで大きな力を発揮せしめようという、いまだかつてない悪法であるといわざるを得ないわけであります。(拍手)
 さて、百歩譲って、もし、東京都公安条例を基礎にした四条、五条の一項が何らかの意義があるといたしましても、御承知のように、先ほど質問のありましたように、公安条例は、すでに四回にわたって違憲であるとの判決が下っております。しかも、また、近く最高裁での判決が出されようとしておるときであります。違憲ということになったならば、この法律の成立しておる基盤が失われるわけであります。この点について提案者はどう考えるか、この点をお伺いいたしたいと思います。
 本法が成立の直後に、東京都議会が、われわれの自治を圧迫されることはごめんをこうむりたいということで、東京都議会において、東京都公安条例の許可制を届出制に修正するとか、または条例の廃止を行なったときには、違憲の判決が確定したときと同じ運命になるわけであります。いわば生命のない法律となるわけであります。われわれが国権の最高機関と自負するならば、その名誉にかけても、足のない、幽霊のような、実効のなくなる可能性のあるような法律を制定するわけには参らないわけであります。提案者並びに自治庁長官は、地方公共団体の自治と本法との関係をどのように判断されておるか、御見解を詳細に承りたいと思うわけであります。
 しかし、ここに重大な問題があります。本法成立後に、東京都はみずからの力で公安条例の改廃ができなくなるのではないかという疑問であります。さきに申し上げたごとく、条例がなくなれば、本法は土台を失ってしまうわけであります。下級規範であるべき都条例が、上級規範である法律の効力を失わしめることになるわけでございます。かかることが、はたしてできるものであるかどうか。従って、東京都では、本法成立後には、みずから公安条例の改廃はできなくなるのではないかという疑問が生ずるわけであります。地方自治法十四条では、法令に違反しない限度においてしか条例の制定ができないわけであります。法律より下級の東京都の条例の改廃が国会できめた法律の効力を失わしめることが、はたして可能であるかどうか、ということであります。この点について、立案者は一体どのように考えておるか、法的な立場からだいぶ疑義がありますので、法制局長官の見解も、また、自治庁長官の所見をも、あわせて承りたいわけであります。もし、国会で本法が通過した後に、東京都は条例改廃の権能を失うというならば、これは東京都のみを拘束する法律であって、東京都に特別な義務を負わせることとなるわけでありますから、憲法第九十五条にいう、一つの地方公共団体にのみ適用される特別法として、その住民の過半数の同意を得なければなりません。この点につきましても、立案者並びに法制局長官の所見を承りたいわけであります。
 なお、本法の効力に影響を与える東京都公安条例の最高裁の態度決定も間近だと聞いております。それを、今この条例を基礎にしたところの法律を通すことによって、この条例が合憲であるという判断を国会が与えるということになるわけであって、圧力を最高裁に加えることとなるのであります。少なくとも、国会においては、最高裁の確定判決を待つという態度こそが、私たちのいう国会における審議権を確保すると同様に大切なことであると信じて疑わないわけであります。
 さて、この法律のおそるべき点は別のところにあるわけであります。すなわち、警察官職務執行法五条の警告、制止、こういうものは、犯罪が行なわれようとするときとか、行なわれているときとか、明白かつ現在の危険に対して発動できるわけであります。また、公安条例では、条例に違反して行なわれた集団示威運動等についてできるわけであります。しかるに、本法においては、その上、さらに、五条によって、警告、制止をなし得る権能を新たに警察官に与えるわけであります。これは、警職法や公安条例によって与えられた権能以上に、警察官に、実力行動を伴う事前制止が、単におそれがあるということだけで発動できるわけであります。これは、いまだ集団示威運動等が行なわれておらない場合にも、しかも、東京都公安条例に適法であるという場合でも、違法であるという場合でも、事前抑制の警告、制止ができるわけであります。こういう大幅な権能を与えておるわけです。あれほど国民の反撃を受けた、かつての警職法の改悪と全く同じであるといわなければなりません。本法のねらいも、また、実にここにあると断ぜざるを得ないわけであります。これは明らかに憲法違反であるとわれわれは考えるわけであります。
 さて、本法によって、国会の審議権の公正な行使が阻害されるおそれがあるときに、議長の要請権が発動して、それによって、東京都の公安委員会の管理に服しておる警視総監並びに都警察官に対して、新たな事前抑制の権能が付与されるわけでありますが、これは明らかに一地方公共団体のみに適用されるところの特別立法となるわけであります。この点についても、憲法九十五条における、東京都民の過半数の賛成を得なければならないと思います。提案者、法制局長官あるいは自治庁長官の、これに対する詳細な見解を承りたいと思うわけであります。
 申し上げるまでもなく、議長は立法府の最高の責任者でありますが、行政と司法との三権は互いに侵すことができないことは、憲法のきびしく要求しているところであります。しかるに、本法によれば、議長が行政に干渉して、しかも、一つの地方公共団体の事務に属する東京都公安委員会または警視総監に対して要請権を明示するということは、立法府みずからが三権分立の精神を踏み破るものといわざるを得ません。国会法第十四章の「紀律及び警察」は、このことについて、議長の権限行使の手段・方法の限界を列挙しているのであります。提案者の言うように、あくまで国会の審議権の確保ということであるならば、当然、国会法の一部改正で事が足りるわけであります。しかるに、国会関係法規であるがごとく装うて、単独立法によったのは、名を国会の審議権にかりて、実は凶悪な治安立法を制定せんとする意図にほかならないと信ずるわけであります。
 最後に、私は岸総理大臣にお尋ねいたしたいと思います。
 このような国民の基本的権利の制約を伴う重要法案を、前国会の会期末に突如として議員によって提案して、十分に審議を尽くすことなく、しかも、提案者の属する政党のみで通過されるがごとき暴挙をあえて行なって、国会が国権の最高機関であると自負するにふさわしからぬ行動をする政党の人々が、国会の審議権を確保するという法律案を提案するということは、そのこと自体ナンセンスだと思うわけであります。(拍手)権力者が、多数にまかせてかくのごとき悪法を提案する限り、いかほどきびしい弾圧立法を制定しようと、国民の意思を国会に反映せんとする請願は絶えることなく続くものと思います。権力者は、みずからが人民に奉仕するという自負と確信があるならば、かくのごとき法律は不要なのであります。(拍手)
 民主政治の要諦は、寛容であり、忍耐であると思います。許すことのできないようなことに対しても、なおかつ、われわれは寛容であらねばならないと信ずるわけであります。平家の水鳥におびえるたぐいに、政府・自民党がおののいているとするならば、そのこと自体、政治の貧困をみずから暴露するものといわざるを得ないのであります。(拍手)この反省なくして、国民の権利を抑圧することにのみきゅうきゅうとするならば、それは、いずれの国、いずれの時代においても経験したように、独裁者の道であるといわなければなりません。人民のための人民の政治を選ぶか、本法案はそのテスト・ケースであるとも考えざるを得ないわけであります。
 提案者並びに自民党は、一時の激情にかられることなく、深く思いをここにいたし、提案者の本法案の撤回を要求するとともに、この点に関する岸総理の所信をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
    〔国務大臣岸信介君登壇〕
○国務大臣(岸信介君) 本案は、先ほど提案者が提案の理由において詳しく説明されたような経緯でもって提案をされたものであります。私は、民主政治が、お話しのように、寛容と忍耐を必要とすることは、私自身、身をもって体験して参っております。しかし、同時に、民主主義の進んだといわれる米英等におきましても、やはり、国会の静ひつを守り、審議権の公正なる行使を確保するために、この国会審議というものの重大性にかんがみて、それぞれ法規を設けておることも、御承知の通りであります。私は、国会の審議を正常化していくことを議員の一人として常に念願しておると同時に、われわれが与えられておる審議権というものの重大性、並びに、それを公正に行使することは、権利であると同時に義務であるという念に徹して、国民のためにこれを正しく行使せられるような状態を常に国会において確保しておくということは最も必要である、かように考えております。(拍手)
    〔佐々木盛雄君登壇〕
○佐々木盛雄君 小澤議員の御質問の第一点は、議長は、デモが行なわれることについての情報の収集等は十分可能なことでない場合がありはせぬか、こういうふうな御心配のようでありまするが、幸いにして本法が成立をいたしましたあかつきにおきましては、本法の趣旨に従って、両院議長と公安委員会や警視総監との間には緊密なる連絡が行なわれることと期待をいたしております。従って、本法は、国会議員の登院と国政の審議権確保のためのことにつきましては、議長が一番よくこれを知り得る立場にあるわけでありまして、従って、議長がその間において情報の収集が困難であるというような御心配はなかろうと思います。
 第二点は、公安委員会が許可したものを議長要請によって取り消すようなことは、これは公安委員会の権威を失墜するものではないか、という趣旨の御質問のように伺いました。しかしながら、本法は、決して公安委員会やあるいは警視総監に対して議長職権でもって新しい義務を課するものではないのであります。議長は単なる要請権を発動するだけでございまして、その要請を受けた公安委員会ないし警視総監がいかなる措置をとるかは、もっぱら自主的決定にゆだねたわけでありますから、従いまして、御心配のような、議長要請が公安委員会の権限の中に立ち入るというようなことは、絶対にございません。
 また、第三点の、本法によって議長要請を受けた公安委員会や警視総監が、登院や審議権が阻害されるおそれがある場合において、許可の取り消し、条件の変更、ないし、そういうデモ行為の制止を命ずるような場合においては、乱用されるおそれがありはしないか、いわゆる明白かつ現在の危険の原則に反するようなことになりはしないかという御質問のように承りましたが、しかしながら、これは、まず第一に、国会議員の登院と国会における審議権の公正な行使というものにしぼられておるわけでありますし、二つには、また、そのものに対する妨害というものがきわめて著しいという場合に限られておるわけであります。第三には、両院の議長の合意、連合ということになっております。従って、こういうふうに、かなりしぼりがかけられてくるわけでありますから、明白かつ現在の危険の原則に反するものではないと確信をいたしております。
 次に、都公安条例が違憲となり、または改廃されたような場合におきましては、本法案にどういうふうな影響があるか、こういう御質問と承りましたが、なるほど、都公安条例につきましては、違憲の判決もあれば、また、合憲の判決も出ておるわけであります。しかしながら、まだ最高裁の最終判決が確定していないという現在でございまするが、都公安条例についてのいかなる違憲判決が下されるかという、判決内容によって考えなければ、一がいに断定することはできないと思います。しかし、かりに違憲判決の結果として公安条例が廃止されるということになったり、または、何らかの理由によって改正され、許可制が変更されるということになった場合におきましては、本法の中にあります公安委員会の権限に関する事項につきましては、実際上死文と化す、働かなくなるのではなかろうかとも思います。しかしながら、その残余の部分につきましては、何らこれは影響がなくして残るわけでありますから、私は、むしろ、本法の趣旨から申しまして、国会の審議権を確保したいというわれわれの念願から申しまして、かりに、万が一にも、公安条例の無効の判決があったといたしますなれば、なおさらもって、私は、この法案というものが、そのときにこそ、ほんとうに効力を発揮する必要がある、その際は一そう必要性のあるものと痛感をいたしておる次第であります。(拍手)
 なお、次の御質問は、本法第五条の二項によって、警察官に権限を付与していることから見て、本法は憲法九十五条の特別法ではないか、また、本法案は都公安条例の改廃を拘束する疑いがあるから、その点からも特別法ではないか、こういうふうな御質問でございました。申すまでもないことでありますが、警察の機能というものは、警察法及び警察官職務執行法に規定されておりますように、単に地方公安の維持にとどまらず、広く国内全般の公共の安全と秩序の維持にあることは、御承知の通りでございます。そこで、本法案におきましては、国会議事堂周辺の静穏が保たれることによって、国会の審議権の確保をはかり、もって憲法に規定しております、国権の最高機関としての国会の機能の万全を期することを目的といたしているわけでありまして、すなわち、この目的達成のための警察作用というものは、国の公安の維持のために発動されるものである、かように考えるわけでありまして、さような点におきまして、警察官が、本来持っておりまするその公共の安全維持という機能に着目をして、それに必要な限度において警告、制止の権限を与えるものでありますから、決して地方公共団体の事務であるとは考えません。また、本法案において、直接、公安委員会に対し、許可の権限等を与えたり、または義務づけるものでないことは、先刻来申し上げている通りでありまして、本法案は、あらゆる観点から見まして、何ら条例を拘束したり、また、その改廃に制約を加えるものではないと考えまするから、憲法九十五条にいうところの特別法に該当するものとは考えません。
 最後に、本法案撤回の意思のないことは、先刻申し上げた通りでございます。(拍手)
    〔国務大臣石原幹市郎君登壇〕
○国務大臣(石原幹市郎君) ただいま提案者から大体お話があったのでありまするが、私の見解も若干つけ加えておきたいと思います。
 両院議長がとりまする措置は、都公安委員会に対する要請でありまして、判断は都の公安委員会が行なうものであります。もちろん、国会周辺の事情等につきましては重要な参考事実とすると思いますが、判断はあくまで都公安委員会が行なうのでありまして、別に義務づけたものではありませんので、自治の侵害とは考えておりません。
 本法案は、また、東京都公安委員会に対して新しい法的義務を課するものではありませんから、本法案が成立を見ることによりまして、東京都は、この公安条例を改正することができないことになるわけではないと思うのであります。
 それから、また、この法律は、国会議事堂周辺という一定の地域における一集団示威運動等について規定するものでありまして、東京都その他特定の地方公共団体の組織運営、あるいは権能について規定しているものではありませんから、一の地方公共団体にのみ適用される特別法と解することはできないと考えております。(拍手)
    〔政府委員林修三君登壇〕
○政府委員(林修三君) この法律案の解釈につきましては、ただいま提案者の佐々木議員から御説明がございました。私は提案に関係しておるものではございませんので、私からお答えすることはいかがかと存じますけれども、私を名ざしての御質問でございますから、私の考え方をお答え申し上げます。
 御質問は四点に分かれておりますが、第一点は、この法律案の四条一項あるいは五条一項の、議長の要請権と公安委員会の権限の行使について、この規定は法的に無意味の規定である、あるいは不可能なことを規定した規定ではないかという御質問でございます。これにつきましては、私、この法案を拝見いたしまして、そうは考えないのでございます。つまり、この法律の四条一項に基づきます議長の要請権、これは、先ほど提案者からも御説明がありましたように、相手方たる公安委員会を拘束するものではございません。要請権でございます。公安委員会は、公安条例に基づきます集団示威運動等の許可あるいは許可の取り消し、あるいはそれに条件をつけることは、もちろん公安条例によってやるわけでございますが、その公安条例によって権限を行使するに際して、この議長の要請というものを十分考えて、その議長の要請を尊重して行動することは、もちろん可能であるわけでございます。その意味におきまして、この法律四条一項、五条一項が無意味なものである、あるいは不可能なことを規定したものであるとは考えないわけでございます。
 それから、第二に、この公安条例、いわゆる下位の都の公安条例の改廃によって上位の法律の効力が失われる、そういう妙な結果にならないか、というお話でございますが、この法律案は、公安条例についての関係を持っておりますのは四条一項の関係だけでございます。従いまして、この公安条例が将来改正あるいは廃止されたということがございましても、もちろん、直ちにこの法律の効力に関係あるものではございませんし、また、この法律の、ただいま申しました関係しない部分につきましては、当然にその効力を持続するわけでございまして、その点、何ら、公安条例の改廃によってこの法律の効力が失われる、あるいは意義がなくなるというものではないと思います。
 それから、第三点として、この法律案が制定されることによって、地方公共団体の条例であるところの都の公安条例の改廃が制限されるのじゃないか、はたして制限されるとすれば、これは憲法第九十五条のいわゆる一の地方公共団体のみに適用される特別法ではないか、こういう御質問でございましたが、これは、もちろん、法律的に都の公安条例の改廃を何ら制限するものではないと思います。従いまして、その意味におきまして、これは特別法ではないと考えます。
 それから、もう一つは、この法律案の第五条によって、警察官の職権が、従来の警察官職務執行法あるいは公安条例に基づいて認められているものより若干付加されている、その付加されていることから考えて、これはやはり憲法九十五条の特別法に当たるものじゃないか、こういう御質問でございましたが、この点も、そう考えるべきものでないと考えます。この五条二項によって、警察官の職権は、公共の福祉という観点から、警察の機能について若干の機能を付加したものでございます。地方公共団体であります都というものの権限あるいは職務に、何ら付加したり、あるいはそれを制限するものではございません。従いまして、憲法九十五条の特別法とは考えられないと存じます。
 以上、お答えいたします。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) 以上で質疑は終了いたしました。……。
○議長(清瀬一郎君) お諮りいたします。
 参議院から、内閣提出、奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案が本院に回付されております。この際、議事日程に追加して右回付案を議題とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。
採決いたします。
本案の参議院の修正に同意するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、参議院の修正に同意するに決しました。手
 日程第一、臨時地方特別交付金に関する法律案、日程第二、地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案、日程第三、地方交付税法等の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。地方行政委員会理事纐纈彌三君。
    〔纐纈彌三君登壇〕
○纐纈彌三君 ただいま議題となりました臨時地方特別交付金に関する法律案外二件について、地方行政委員会における審査の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
    〔議長退席、副議長着席〕
 まず、臨時地方特別交付金に関する法律案について申し上げます。
 御承知のごとく、本年度より実施される住民税の減税によって生ずる地方財源の減収に対し、ある程度の財源を付与して、総体としてこれを補てんする必要が認められますので、本法案によって、国税三税の百分の〇・三相当額を臨時地方特別交付金として、当分の間、毎年度地方公共団体に交付しようとするものであります。
 本案は、二月十一日本委員会に付託せられ、翌十二日石原国務大臣より提案理由の説明を聴取し、自来、他の地方財政関係法案及び地方財政計画とも関連せしめて審査を行なうとともに、特に地方税法の一部を改正する法律案等審査小委員会を設けて、他の法案とあわせ検討を加えるなど、審査に慎重を期したのでありますが、その詳細につきましては会議録によって御承知願いたいと思います。
 四月一日、本案外二件について、委員長より、右小委員会における審査の経過及び結果について報告があり、去る五日質疑を終了しましたところ、本案に対して自由民主党より修正案が提出されました。その内容は、本案の施行期日につき、「昭和三十五年四月一日」とあるのを「公布の日」に改めるものであります。
 次いで、本案を他の二法案と一括して討論に付しましたところ、本案については、委員加賀田進君は、日本社会党を代表して、修正案、原案ともに反対、委員渡海元三郎君は、自由民主党を代表して、修正案及び修正部分を除く原案に賛成、委員門司亮君は、民主社会党を代表して修正案、原案ともに反対の意見を表されたのであります。
 採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決、よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
 次に、地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、第一に、地方財政法を改正して、地方公共団体における年度間の財源調整に関する規定を強化し、地方公共団体相互間における財政秩序の適正化をはかり、住民の税外負担の軽減措置を講ずる等のほか、固定資産税の制限税率引き下げに伴う減収補てんのための地方債の特別措置を延長することとし、第二に、地方財政再建促進特別措置法を改正して、昭和三十六年度以降、歳入欠陥団体に対する地方債の規制を行なうこととし、さらに、地方公共団体の国に対する寄付金等の制限を、公社、公団等にも及ぼすこととしているのであります。
 本案は、二月二十四日本委員会に付託され、同月二十六日石原国務大臣より提案理由の説明を聴取し、自来、慎重に審査いたしましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 四月五日質疑を終了し、討論に入りましたところ、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の委員は、ともに本案に賛成の意を表されました。
 採決の結果、本案は全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決しました。
 その際、委員渡海元三郎君より、本案に対し、自由民主党、日本社会党及び民主社会党共同提案にかかる次のごとき附帯決議を付すべしとの動議が提出され、採決の結果、全会一致をもってこれを付することに決しました。
すなわち、
   附帯決議
  本法の施行にあたり、政府はとくに左の諸点に留意すべきである。
 一、積立金に関する規制については、そのため地方公共団体の行政運営の自主性をそこない、行政水準向上への意欲を喪失せしめることのないよう運用に慎重を期すること。
 一、住民の税外負担解消のためとられた今次の措置については、個々の地方公共団体において、その実効を確保し得るよう万全の方途を講ずるとともに、税外負担の完全解消のため格段の努力を払うこと。
 右決議する。
次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、第一に、地方交付税法を改正して、国の直轄事業にかかる交付公債制度の廃止に伴う所要財源の付与、投資的経費の充実、住民の税外負担の整理、及び、道府県と市町村間における負担関係の明確化を期する等のための財源付与、その他制度の改正等に伴う所要財源の付与等をはかるため、関係基準財政需要額を増額し、さらに、地方公共団体間の財源均衡化を前進せしめるため、軽油引取税及び地方道路譲与税の収入額を新たに基準財政収入額に算入することとするなど、算定方法を合理化しようとするものであります。
 第二に、地方道路譲与税法を改正して、地方交付税上の不交付団体に対する地方道路譲与税の譲与額の一部を制限し、これを交付団体に再譲与しようとするものであります。
 本案は、三月十七日本委員会に付託せられ、翌十八日石原国務大臣より提案理由の説明を聴取し、自来、慎重に審査いたしましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 四月五日質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党及び民主社会党の委員は本案に反対、自由民主党の委員は本案に賛成の意を表せられました。
 採決の結果、本案は賛成多数をもって原案の通り可決すべきものと決しました。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(中村高一君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一及び第三の両案を一括して採決いたします。
 日程第一の委員長の報告は修正、第三の委員長の報告は可決であります。両案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(中村高一君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告の通り決しました。
 次に、日程第二につき採決いたします。
 本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(中村高一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
○副議長(中村高一君) 日程第四、石炭鉱業安定法案、日程第五、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。商工委員長中村幸八君。
    〔中村幸八君登壇〕
○中村幸八君 ただいま議題となりました石炭鉱業安定法案外一件につきまして商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、勝間田清一君外二十二名提出の石炭鉱業安定法案について申し上げます。
 本法案は、石炭鉱業が直面している危機を打開し、石炭鉱業の継続的安定を実現する目的をもって提案されたものでありまして、その内容は次の通りであります。
 第一、石炭鉱業近代化基本計画を五年ごとに、また、同実施計画を毎年定めること、第二、未開発炭田開発のため、開発計画を定めるとともに、石炭鉱業開発株式会社を設立すること、第三、採掘権及び鉱区の整理統合並びに坑口開設の制限を行なうこと、第四、石炭鉱業安定会議を設置し、同会議の意見を聞いて石炭需給計画を定めるとともに、石炭販売の一元化をはかるため、石炭販売公団を設けること、第五、炭鉱補償事業団を設立するごと等であります。
  次に、内閣提出、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案につ
 いて申し上げます。
 政府は、今日の石炭鉱業の危機を打開するため、昭和三十八年度の石炭販売価格を、昭和三十三年度に比較して千二百円程度引き下げることを目標とし、そのために必要な助成措置を行なう目的をもって本改正案を提出したのでありまして、その内容は次の通りであります。
 第一は、昭和三十八年度における合理化の目標及び石炭坑の近代化に関する事項を、新しく基本計画に定めることとしたことであります。
 第二は、石炭鉱業整備事業団を改組して石炭鉱業合理化事業団とし、従来の非能率炭鉱の買収業務に加えて、石一炭坑の近代化等に必要な設備資金を無利子で貸し付ける業務を行なわせることとしたことであります。なお、このため、今年度二十一億四千万円の政府出資を行なうことといたしております。
 第三は、納付金の納付期間を、現行の昭和三十六年八月末日より昭和四十二年度末まで延長し、非能率炭鉱の買収ワクの拡大に必要な費用と、炭鉱離職者援護会に対する交付金の交付に必要な財源に充てることとしたことであります。なお、加算納付金制度は廃止することといたしております。
 両法案は、三月四日・勝間田清一君並びに原田通商産業政務次官よりそれぞれ提案理由の説明を聴取し、自来、参考人の意見を聴取する等、七回にわたって慎重な審議を行なったのでありますが、質疑の詳細は委員会議録を御参照願います。
 四月六日、質疑を終了しましたので、討論に付しましたところ、日本社会党を代表して、八木昇君より、社会党案に対して賛成、政府案に対して反対の討論がなされ、続いて、両案を採決に付しましたところ、社会党案は起立少数をもって否決すべきものと決し、政府案は起立多数をもって原案通り可決すべきものと決しました。
 なお、採決後、各党共同提案になる附帯決議案が提出され、民主社会党武藤武雄君より趣旨の説明がなされました。
 その内容を簡単に申し上げますと、石炭鉱業合理化計画を確実に達成するため、資金、税制、労働、需給の安定等につき適時適切な措置を講ずることとし、このため、現存の石炭鉱業審議会を改組すること、非能率炭鉱の整備等に伴う炭鉱離職者について、計画的、総合的就労対策を樹立すること、非能率炭鉱整備業務を促進するため、機構の充実をはかるとともに、鉱害の処理について万全の措置をとること、臨時石炭鉱害復旧法失効後の鉱害復旧制度について、審議会等を設けて立法措置の研究を行なうこと、以上の通りであります。
 採決に付しましたところ、全会一致をもって政府案に対して提案通りの附帯決議を付することに決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(中村高一君) 討論の通告があります。これを許します。八木昇君。
    〔八木昇君登壇〕
○八木昇君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました社会党提出の石炭鉱業安定法案に賛成し、政府提出の石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案に反対の討論をなそうとするものでございます。(拍手)
 今日、石炭産業は全世界的に危機の状態にありまして、その原因は、技術革新によってエネルギーの消費構造が近年著しく変化し、石炭需要が相対的に低下したことにあると一般的にいわれておるわけであります。私は、むろん、このことを否定はいたしませんが、わが国における現在の石炭危機の直接の原因は、決してこればかりではなくて、政府のエネルギー政策の貧困と、炭鉱資本家の無責任な行為にあると信じておるのであります。(拍手)
 そもそも、この石炭鉱業合理化法は、重油ボイラ治規制法とともに、ただいまから五年前、石炭不況対策として制定をされましたが、その後の実際の政策は、法の精神に全く反する運営を行なってきたのであります。
 第一に、いわゆる神武景気のおこぼれによって、石炭業界もまた一時的な好況を迎えまするや、威勢のよいはやしに踊りかつ踊らされました政府並びに炭鉱資本家は、石炭の需給計画について根本的な見通しの誤りをやったのであります。絶体絶命の石炭不況が足元まで忍び寄ってきておることもつゆ知らず、昭和三十三年四月、本院におきまして、当時の前尾通産大臣は、本年度の国内炭の需要は五千六百万トンと強調をいたしました。ところが、実際は、御存じのように、その年度の実績はわずかに四千八百万トンという、大へんな見込み違いをやったのであります。しかも、そのときの通産大臣はいろいろと申しておりましたが、業界に対しては、昭和四十二年度の出炭目標六千九百万トンに向かって増産体制をしくようにすら業界を督励をしておったのでありまするから、全くナンセンスであります。また、合理化法実施により、当然下げらるべき炭価は逆に奔騰を続けまして、石炭資本家は、社会的な責任を忘れ、目前の利益追求にきゅうきゅうとし、政府また、標準炭価の設定を引き延ばす等、炭価引き下げの重大任務をないがしろにしたといわなくてはなりません。
 第二に、政府は、重油消費の増大による石炭市場の侵食についても対策を怠りました。すなわち、重油ボイラーの規制をやり、炭主油従政策をとるといいながら、実際には、石油の外貨割当は年々これをふやしたのでありまして、これは、政府が国際石油資本の圧力に屈したという世間の批評もまた当たっておるといわなくてはなりません。
 第三に、合理化法施行に伴う失業対策についても、救済事業に全員吸収するという当時の西田労働大臣の言明は全くのから手形でありまして、ついに、暗い谷間の炭鉱地帯という、大社会問題を現出するに至ったわけであります。
 このようにして、政府は、ようやく去年になりまして炭鉱離職者法を制定し、今ここに合理化法の一部改正案を提出するに至ったわけでありますが、しかし、われわれは、主として次の諸点からこれに賛成できないのであります。簡潔に、その理由を四点ばかり申し上げます。
 第一点は、本改正法律の実施を通じ、政府は、昭和三十八年度までに炭鉱労働者約十一万人の人員縮小をはからんとしておるという点であります。失業しても各種社会保障制度が確立されており、また、比較的たやすく他に転職し得る欧米各国と事情が異なっておりまして、わが国では、失業は直ちにあすから妻子路頭に迷うという重大な事態を意味するので、三池炭鉱争議のあの惨烈な姿を見るにつけましても、参すでに死の谷と呼ばれておる炭鉱離職者の滞留地帯に、さらにこれ以上の失業者を発生せしむるということには、われわれは賛成できないのであります。
 第二の点は、本改正法律の実施を通じ、政府は、昭和三十八年度までに炭一価トン当たり千二百円を引き下げると言っておりますが、これを保証する何らの具体的裏づけがありません。政府には、今後石炭鉱業をどうするか、年次別の、いわゆる実施計画はもちろんのこと、基本計画さえも実はまだできておらないのであります。この点のわれわれの追及に対して、政府は、秋ごろまでにはこれを策定したいと答弁をしておるのでありまして、こういうことでは納得できないのであります。
 第三の点は、本改正案は、石炭鉱業合理化に根本的な障害となっておる鉱区問題に全然手を触れておらないという点であります。御承知のように、あの炭鉱地帯におきましては、上の層はある会社の鉱区である、その下にある炭層は別の会社の鉱区である、こういうような事情から、普通であれば、ぽんと一本縦坑を掘ればいいのが掘れない、こういうようなことがそのまま放置されておって、どうして石炭鉱業の合理化ができるわけがありますか。こういう問題を出与えまするときに、鉱区の整理統合による炭鉱の適正規模への再編成、独占資本の有する休眠鉱区の解放、これによる中小炭鉱、老朽炭鉱労働者の吸収等が、この際どうしても必要であります。大体、三井、三菱あるいは北炭、こういう三社だけで日本の鉱区の約半分近くを独占しております。しかも、明治時代の、古めかしい、実際に当てはまるかどうかわからない図面をもって、高い値段で鉱区が売買をされておる。こういうことは、私は、今はもう許されないと思うのであります。ドイツやイギリス、フランス等、先進諸国の例に、どうして日本だけがならうことができないのか、私は、どうしてもこれは納得ができないのであります。
 最後の点は、本改正案が、石炭流通機構の合理化について、これまた何ら触れていないという点であります。生産において弾力性が乏しく、逆に、消費面において変動の激しい、そういう特色を持つ石炭産業におきましては、需給関係を調整して、価格の安定をはかるという目的のためには、流通機構を一元化するということがどうしても必要であります。戦前においては、御承知のように、昭和石炭会社あるいは日本石炭会社がありまして、戦後は配炭公団があったわけです。私は、この際、石炭の一手買い取り、販売のための公団のごときものを、どうしてもやはり作らなければならないと考えるわけであります。
 いろいろ申し上げたいこともたくさんありますが、すでに時間もたっておりまするので、以上、反対の理由を簡潔に申し上げまして反対の趣旨にかえるわけでありまするが、最後に、簡単に一言触れておきます。
 私ども、最終的に、政府の案を一言にして言えば、危機に立つ石炭産業にする抜本策を政府として立てておらない。わずかに、本年度予算二十一億四千万円という、細々とした資金融通による近代計画や、炭鉱買いつぶしワク二百万トンの増加という、消極策で当面を糊塗しようとしておるのが、この政府の案だ、と私どもは考えておるのであります。そこで、やはり、私どもとしましては、先ほど来私が申し述べましたような数点を盛り込んだ法案を、この際どうしても出して、皆様方の御賛同を得たいと考えたのであります。しかも、われわれの考え方の根本は、石炭の電気、ガス等への流体化、あるいはその他の積極策によって新需要を拡大する、そうして、拡大再生産をやって、初めて炭価もまた実際に下がるのだ、こういう考え方に立って、わが党の法案を出したわけであります。外国エネルギーへの安易な依存というやり方でなくて、わが国の貴重な資源である石炭産業の近代的な開発をこの際はからなければならぬというのが、私どもの真意であります。
 皆様の御賛同を願いまして、私の討論を終わる次第であります。(拍手)
○副議長(中村高一君) これにて討論は終局いたしました。
○副議長(中村高一君) これより採決に入ります。
 まず、日程第四につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は否決であります。本案を委員長報告の通り否決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(中村高一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り否決いたしました。
 次に、日程第五につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(中村高一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。……。
○副議長(中村高一君) 日程第六、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
    〔村瀬宣親君登壇〕
○村瀬宣親君 ただいま議題となりました放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、科学技術振興対策特別委員会における審査の経過並びに結果について簡単に御報告を申し上げます。
 わが国における放射性同位元素の研究と利用は、産業、医療その他の面におきまして多大の成果を上げており、将来ますますその発展が期待されている実情でありまして、その利用の増大に対処し、放射線障害の防止に万全を期するため、昭和三十二年、本法が制定されたのでありますが、現在におき
ましては、法施行後の経験にかんがみ、規制の方法を一段と合理化し、法の不備な点を是正する必要が生じて参りましたので、次の諸点について所要の改正を行なわんとするものであります。
 改正点の骨子は、第一に、規制の対象についてであります。機器に装備されている放射性同位元素は、一般の放射性同位元素とやや異なった規制を行なっておりますが、これを一本化し、放射性同位元素として同様の規制を受けさせることとした点であります。
 第二に、使用については、新たに届出制を設け、これによって設備面の規制を緩和し、あわせて手続の簡素化をはからんとする点であります。
 第三に、放射性同位元素またはそれによって汚染されたものを廃棄する業を新たに許可制とし、使用者及び販売業者とほぼ同様の規制を行なおうとした点であります。
 第四に、放射線取扱主任者の選任について、その免状を第一種、第二種に区分し、比較的安全と考えられる特定の放射性同位元素を使用する場合には、第二種免状を有する者のうちから主任者を選任できることとした点であります。
 本案は、去る二月二十六日中曽根国務大臣より提案理由の説明を聴取した後、昨六日、質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。
○副議長(中村高一君) 採決いたします。
 本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(中村高一君) 御異議なしと認めます。よって本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)……。
○天野公義君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、一般会計の歳出の財源に充てるための国有林野事業特別会計からする繰入金に関する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(中村高一君) 天野公義君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(中村高一君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
  一般会計の歳出の財源に充てるための国有林野事業特別会計からする繰入金に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長植木庚子郎君。
    〔植木庚子郎君登壇〕
○植木庚子郎君 ただいま議題となりました一般会計の歳出の財源に充てるための国有林野事業特別会計からする繰入金に関する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、一般会計の歳出の財源に充てるため、昭和三十五年度において、国有林野事業特別会計から、十一億円を限り、一般会計への繰り入れができることとし、この繰入金に相当する額は、同会計の積立金の取りくずしによって整理しようとするものであります。すなわち、国有林野事業特別会計法の規定によりますと、同会計において毎会計年度の損益計算上利益を生じ、かつ、歳入歳出の決算上剰余金があるときは、その剰余金の範囲内で、予算の定めるところにより、その剰余金を生じた年度の翌年度において一般会計への繰り入れができることになっております。この規定に基づきまして、昭和三十四年度におきましては、民有林並びに公有林について、造林、治山及び林道事業の促進のため、一般会計で予算の増額措置がとられたことに関連しまして、この会計から十億円を一般会計に繰り入れ、林政に協力することとしたのであります。ところが、昭和三十四年度におきましては、国有林に災害がありましたため、遺憾ながら、決算上若干の損失を生ずる見込みとなりました。よって、昭和三十五年度の予算におきましては、前年度に行なったと同様の、剰余金からの繰り入ればできないことになったのでありますが、この繰り入れを一カ年度限りで打ち切りましては、この会計からする林政協力の効果が期待できませんので、今回は積立金を取りくずしまして、十一億円を限り、一般会計に繰り入れようとするものであります。
 なお、本特別会計の積立金は、右の取りくずしが行なわれましても、なお相当の余裕がありますので、将来この会計の運営に支障を生ずるようなことはないものと考えられております。
 本案につきましては、審議の結果、本七日、質疑を終了し、採決を行ないましたところ、全会一致をもって原案の通り可決となりました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(中村高一君) 採決いたします。
 本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(中村高一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)……。
○天野公義君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、漁業協同組合整備促進法案、中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(中村高一君) 天野公義君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(中村高一君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 漁業協同組合整備促進法案、中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。農林水産委員長吉川久衛君。
    〔吉川久衛君登壇〕
○吉川久衛君 ただいま議題になりました、内閣提出にかかる二法案について、農林水産委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。
 まず、漁業協同組合整備促進法案について申し上げます。
 現在、漁業協同組合は、その総数四千三百余に弄し、これらのうち、特に沿海の地区出資漁協約三千組合は、沿岸漁業振興のにない手として重要な地位にあることは、御承知のところであります。しかしながら、これらの地区出資漁協のうちには、漁況の変化等、外的条件の変動あるいは内部体制の不良等の原因により、欠損金が累積し、または多額の固定債務をかかえ、経営の不振に悩む赤字組合が相当数に上っている実態を、遺憾ながら認めざるを得ない現状であるのであります。そこで、この際、これらの不振組合につきその整備をはかり、もって漁業協同組合の健全な発展に資するため、不振組合の整備の目標、手続、都道府県知事の援助あるいは弱小組合の合併奨励措置等を規定するとともに、整備組合に対する指導及び助成を行なうための組織として漁業協同組合整備基金の設置、業務等を定めようとして、本案が提出せられたのであります。
 農林水産委員会においては、三月一日提案理由の説明を聞き、四月五日質疑に入り、この間、参考人の意見を聴取する等、真剣な審査を行ない、本日、質疑を終了し、引き続き、各派共同提案により、都道府県からの利子補給等の規定を設けるための修正案が提出されましたので、直ちにこの修正案及び修正部分を除く原案を採決に付しましたところ、両案ともそれぞれ全会
 一致で可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対しては、基金の資金の拡充、整備計画樹立期間の短縮等、五項目の附帯決議が付されました。
 また、この際申し添えますが、昨年三月七日、赤路友藏君外十七名提案にかかる漁業協同組合整備特別措置法案は、提案者の申し出により、撤回を許可することといたしました。
 次に、中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 中小漁業融資保証法制定以来、現在三十九の漁業信用基金協会が設立され、中小漁業者のため、その債務保証事業を行なっており、その保証累計額は、現在三百六十億円に達し、漁業金融の円滑化に大きな役割を果たしておるのでありますが、一面においては、このように債務保証額が増加するにつれ、債務者のための代位弁済額も次第に累積して参りましたので、これが回収の円滑化をはかるため、求償権の管理及び行使方式を改め、いわゆる納付金制度を採用することとし、木制度のより健全な発展を期することといたしたのが、本案の提案理由並びにその要旨であります。
 農林水産委員会においては、漁業協同組合整備促進法案と並行して審査を進め、本日、質疑を終了し、討論を省略して採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって政府原案の通り可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告を終わります。(拍手)
○副議長(中村高一君) 両案を一括して採決いたします。
 漁業協同組合整備促進法案の委員長の報告は修正、中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案の委員長の報告は可決であります。両案は、委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(中村高一君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告の通り決しました。寺
○副議長(中村高一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十分散会