第035回国会 社会労働委員会 第3号
昭和三十五年九月九日(金曜日)
    午前十一時十三分開議
 出席委員
   委員長 大石 武一君
   理事 齋藤 邦吉君 理事 八田 貞義君
   理事 柳谷清三郎君 理事 滝井 義高君
   理事 八木 一男君
      遠藤 三郎君    岡崎 英城君
      亀山 孝一君    木倉和一郎君
      河野 孝子君    田中 正巳君
      永山 忠則君    山下 春江君
      亘  四郎君    伊藤よし子君
      大原  亨君    小林  進君
      五島 虎雄君    山口シヅエ君
      本島百合子君
 委員外の出席者
        厚生政務次官  田中 正巳君
        厚生事務官
        (大臣官房長) 高田 浩運君
        厚生事務官
        (大臣官房審議
        官)      山本 正淑君
        厚生事務官
        (大臣官房国立
        公園部長)   木村 又雄君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局
        長)      尾村 偉久君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局環
        境衛生部長)  聖成  稔君
        厚 生 技 官
        (医務局長)  川上 六馬君
        厚生事務官
        (医務局次長) 黒木 利克君
        厚生事務官
        (薬務局長)  牛丸 義留君
        厚生事務官
        (社会局長)  太宰 博邦君
        厚生事務官
        (児童局長)  大山  正君
        厚生事務官
        (保険局次長) 山本浅太郎君
        厚 生 技 官
        (保険局医療課
        長)      館林 宣夫君
        厚生事務官
        (年金局長)  小山進次郎君
        労働基準監督官
        (労働基準局
        長)      大島  靖君
        労働基準監督官
        (労働基準局監
        督課長)    上原誠之輔君
        労働事務官
        (職業安定局
        長)      堀  秀夫君
        専  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
八月十七日
 委員小澤佐重喜君辞任につき、その補欠として
 辻寛一君が議長の指名で委員に選任された。
同月十八日
 委員辻寛一君が退職された。
同月三十一日
 委員古川丈吉君辞任につき、その補欠として世
 耕弘一君が議長の指名で委員に選任された。
九月一日
 委員世耕弘一君辞任につき、その補欠として古
 川丈吉君が議長の指名で委員に選任された。
同月八日
 委員多賀谷真稔君辞任につき、その補欠として
 横山利秋君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員横山利秋君辞任につき、その補欠として多
 賀谷真稔君が議長の指名で委員に選任された。
同月九日
 委員加藤鐐五郎君、小林絹治君、中村三之丞君
 及び早川崇君辞任につき、その補欠として岡崎
 英城君、田中正巳君、遠藤三郎君及び木倉和一
 郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員遠藤三郎君、岡崎英城君、木倉和一郎君及
 び田中正巳君辞任につき、その補欠として中村
 三之丞君、加藤鐐五郎君、早川崇君及び小林絹
 治君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 厚生関係の基本施策に関する件
 労働関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
○大石委員長 これより会議を開きます。
 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。山下春江君。
○山下(春)委員 この三十四国会の何となく重苦しい国会を経過いたしまして、新しく池田内閣が誕生いたし、その掲げられた非常な大きな柱として、社会保障の非常な大きな推進と減税、これは国民がほんとうに待望していたスローガンでございまして、非常に世の中が明るくなったような気がいたすのであります。そこで私は、厚生行政の中で国民の最も今大きな関心を持っておる問題点につきまして、新聞等で散見はいたしておりますが、政府の御所信を承っておきたいと思うものでございます。
 まず国民健康保険でございますが、ちょうど三十六年度は、国民健康保険皆保険達成の年でございまして、これは人口約一億を有する国といたしましては、世界にも類のないであろう、非常なすばらしいことだと思うのですが、しかしこの国民健康保険は、政府の強力な政策の裏づけがございませんと、非常な経営困難な面がだんだんと深く出て参ると思うのであります。新聞等で仄聞いたしますと、今度改正されようとする国民健康保険も、あるいは私どもが期待いたしたものよりは後退しているのではないかと考えられますので、後退しているのでないという御説明をぜひ一つ願いたいと思うのであります。新聞などで見ますると、この国保の中で、結核や精神病を扱っていく、そしてその給付内容を七割に引き上げるということでございますが、今日の国保財政は、まだ結核や精神病を国保の中に持ち込んでいただいては、ちょっと経理が困難だ。今小さな市町村におきましてさえ、大体一般会計から二、三百万、小さいところでも国保財政に出しておるようでございます。これは市町村財政に非常な圧力になっておるようでございますので、私どもはこの機会にぜひ国保の給付内容を七割に引き上げていただいて、そしてそれに対する国の大幅な補助を期待しておったのでありますが、その点は新聞等で見るだけでありまして正確なことがわかりませんので、政府のもう大体御決定になっておるであろう国保に対する内容と心がまえを承らしていただきたいと思います。厚生大臣御出席でないようでございますから、まず政務次官の田中先生からお願いいたします。
○田中説明員 国保の財政について非常に楽でないということは、厚生省もいろいろ承っております。また反面、国民の保健衛生という面から見ましても、これらの国民保険の内容、行為というものを充実させなければならない要請も実はあるわけであります。こうした両面の要請の間に立ちまして、先生もおっしゃる通り、今年度で皆保険態勢が一応完成することになっておりますので、明年からはこの国保についていろいろと抜本的な改革を試みたいと現在厚生省は考えておるわけでございます。
 そこで厚生省は明年の新しい政策といたしまして、ただいま仰せのありました結核と精神につきましては七割給付をいたしたい、かように考えて実は予算要求を取りまとめ出しておるわけでございます。反面いわゆる行政措置によるところの入院、入所の者につきましては、これを保険から除外をいたしまして、全額公費で見ていただくという政策も立てておる。これは消極的な面ではございますが、国保の財政に何がしかの好影響を与えるものであろうと考えておりますし、またこれらの患者並びに患者をかかえている家庭の、また国の方針にも役立つところの政策であろうと考えております。また反面、厚生省は、今日までの皆保険の網をかぶせることについて、いろいろと努力をして参りましたが、明年からは一つできる限り国保の内容を充実させるということから、先ほど申したような結核と精神という特殊な疾病に対するもののみならず、全疾病についてこれを七割給付にレベル・アップさせるべく、実は計画を立てておるわけでございまして、大体五カ年計画で七割給付を完成したい、かように考えて、これもまたその措置を進め、実は予算要求をいたしておるわけであります。ところがただいま先生からもお話がございましたが、今度自由民主党の方でお立てになりました新政策の大綱によりますと、このうちの一部のものについてはおやりにならぬとははっきり明言はいたしておりませんが、重点をそのうちの一部のものに実はしぼっておるように拝見をいたしております。しかしながらこれらのものについては現在厚生省といたしましては、いずれも大切なことでございますので、できる限り厚生省の措置に邁進するように、一つ党にもお願いをいたし、国会の御支援を得て、われわれの予算要求の内容を実現したい、かように考えている次第でございます。
○山下(春)委員 田中政務次官の今後の国保に対するお心がまえの一端を伺ったようでございまして、大へん心強くは考えておりますが、何と申しましても党と政府が一体にならなければいけないのであります。お言葉によりますれば、何か党の方で、多少厚生省が考えておられるよりも弱い線が出ておるのではないかというふうに私は聞き取ったのでありますが、これは大へんなことでございまして、党がそういうふうに弱ければ、われわれは全力を傾けて、そういう弱いことを言っては困る、今政務次官は、実は全部の疾病に対して七割給付をしたいと考えているが、党が少し弱いようだから、五カ年計画くらいでないとできないのではないかということでございました。私は社会保障の何もかもやりたいのでありますけれども、しかしながら皆保険達成というほんとうにめざましい厚生行政の中の最も大きな柱であるこの問題については、党も政府もやはり全力を傾けて、これのよくなるように前進をすべきであります。党が弱そうだから五カ年計画を立てるというようなことでなく、これを所管しておられます厚生省におきましては、もう最後のぎりぎりまでやってみて、いけないというなら仕方がありませんが、そんな弱腰を出さないで、やはり厚生省としては、あくまでこの国民健康保険に対する責任の所管省としては、この際七割給付をすべく諸般の情勢を整えなければ、国民健康保険としての価格がないのだということの決意を曲げないように、五カ年計画で達成すると言われますけれども、今日所得倍増論等が非常に巷間伝えられているような情勢で、何となく国民の心の中に浮き浮きするものが感じられるにもかかわらず、将来五カ年目には給付内容が七割になる、それまで一般財政から少し繰り入れて、しんぼうしておれと言われましても、やはりこれは、今回の減税等とも見合いまして、地方財政が必ずしも豊かなものになるかどうかということは、まだ今から検討してみなければわからないときでありますから、なるべく貧弱な地方財政に大きな負担をかけないような施策が、こういうことを打ち出されたこのときにやらないと、私はなかなかできないのじゃないかと思います。国庫負担も、きょうまでの二割五分に五分の調整費などというささやかなものでは、やはりまかなっていけないので、厚生省が打って一丸になって、これをどうしても達成したいという情熱が党に反映すれば、党だって弱腰になっていないじゃないかと思います。あるいは党が強腰だから厚生省が引きずられていくという方がほんとうかもしれませんが、厚生省はこの問題を所管する責任の所管省でありますから、党から押えられたからやむなくこうなったということならいいが、初めからあなたの方が弱腰で、どうも党の鼻息をうかがってみたけれども大したことなさそうだから、五カ年計画くらいにするか、こういうことでは私はものが前進しないと思いますので、ぜひこういう問題についての党内屈指のベテランである政務次官におかれましては、この問題につきましては国民の期待する国庫補助は少なくとも四割に引き上げる、給付内容は七割を断行する、そうして結核、精神病というものの措置、入院をしたものに対しては全額国庫がめんどうを見ていく、結核は減ったから結核病床が五万一千もあいているなどということは、これはとんでもないことであります。結核は減っておらないのであります。けれども、金が足らないからやむなく入院をすることもできない、させることもできないという実情をよく御承知のはずでございますから、やはりこの際結核に対しては政府が強力な追い打ちをかけませんことには、結核撲滅などというものはうたい文句に終わることになりますので、どうしてもこれは強力に推し進めていただきたいと思います。まだ予算が最終的に決定したものではございませんから、重ねて恐れ入りますが、政府の断固たる御所信を承り、われわれもそれに呼応して働きたいと思いますので、いま一度御決心のほどを伺わしていただきます。
○田中説明員 ただいま山下先生の大へん御熱心な御激励をいただきまして、厚生省としては非常に感謝をいたしているわけでございます。そこで実はただいま私の申したことに言葉が足らないで、あるいはちょっと誤解があったかと思いますが、党が弱腰なので五カ年計画を立てたのでは実はないのでありまして、私どもの方の役所でいろいろ財政とのにらみ合わせもありますし、今日まで皆保険態勢を実施するためにも、年次計画を立ててやった次第もあり、そういうわけで実は政府の方で七割給付の計画というものを五カ年計画で立てているわけでございます。ところが実はこの全疾病に対しての七割給付、そしてこれに伴いまして、もちろんただで七割給付はできませんので、同保財政に対するてこ入れということもまた反面考えている。この政策につきまして、党の政策大綱では実はお触れになっておらないわけでございます。そこで私どもといたしましても、実はいろいろと党の方にお願いたしておった次第でございますが、ぜひこの七割給付、そして反面国保の補助につきましてこれをアップすることについて、いろいろと同時にやっていくというこの政策を、厚生省としてはぜひ実現をいたしたいと考えているわけでありまして、これは厚生省の大臣以下事務当局に至るまで非常に熱心に希望いたしておりますし、また先生御承知の通り、国保と健保の本人の受診率なども非常に違っておりますので、やはり国民の保健衛生という立場から考えてもこのことはやらなければなりませんし、また今日逼迫している国保財政を救う重要なモメントになると思いますので、この政策はぜひ実行していきたいと考えております。どうぞ先生の所属するところの与党において、これを一つ盛り上げていただきたいということを厚生省の立場からぜひぜひお願いを申し上げる次第でございます。
○山下(春)委員 厚生省のお立場はよくわかりました。今後はかかって党の責任になったようでありますから、私ども党は全員一致結束してこの問題の邁進に当りたいと思っております。国保の問題は国民全体に非常に影響のある重要問題でございますので、大綱を承りまして、厚生省の決意のほどもわかりましたから、私どもは今後は政府と与党が力を合わせてこれから進む以外に方法がないということになりましたので、そういたしたいと思っております。
 そこでもう一つ、国民の非常に大きな関心になっております国民年金の問題について、二、三お伺いをいたしたいと思います。国民年金はおかげをもちまして今年の三月三日無拠出が発足をいたしました。この無拠出は前年度は非常に予算が少なかったために、むしろ予算に合わせてそのワクを逆算したような形になりましたので、当然盛られるであろうと期待しておったものにいかなかったというような点もたくさんありましたが、しかしながらこの無拠出の年金が渡されまして国民の間にささやかれている言葉は非常に明るい、非常に感謝の気持が満ち満ちておることを私どもは見て知っておるのであります。そこで今度は拠出制の問題になってくるのでありますが、この拠出制に対しては賛否両論あるようでございます。街頭を歩いてみますと、社会党さんの方では、かけ捨てになる、そしてしかもその積み上げた金の使途に非常な疑問のある年金はやめましょうというビラがたくさん張ってありまして、まあ社会党さんは反対かいなと思うようなふぜいが街頭に見られるのでありますが、それはさておきまして、われわれとしても非常な重要関心事であることは、長い年月ございますから、これがかけ捨てになるというような心配を国民が持ちますことに対しましては、責任を持ってわれわれこたえなければいけないと思いますので、まず今国民がどうだろうかと考えております一番大きなかけ捨てというような問題について、どういうふうになっておるかを、まず政務次管から概要を御説明願って、それから事務的に年金局長から詳しく承りたいと思います。
○田中説明員 国民年金、特に拠出制年金については、そのような御批判やあるいは御反対の御意見がずいぶん出ていることも、厚生省としては承っているわけでございます。そこでこれらについて実は役所の方でいろいろ分析をいたしました。また国民に対してそれについてのPR等もいたさなければならない、かように思っております。その個々の詳細については年金局長から答弁をしていただくことにいたします。ただいまお触れになりましたかけ捨ての問題でございますが、元来これは国民年金法を当委員会でいろいろ御審議下さいました節にも、いろいろ問題になったわけでございます。当時社会党の八木先生などは、この点について非常にお詳しい御造詣を御発表になっておったわけでありますが、しかしあの節に申し上げました通り、国民年金の拠出年金については、かけ捨てというものが実は計算上の相当の財源になっていたことも事実でございます。しかし考えて参りますと、やはりかけ捨てというものは、それ自体が被保険者の感じから申しましておもしろい傾向ではございませんので、何とかこのようなことをなくしていきたい、かように考えております。先ほど申します通り、やはり計算上の財源になっている限りにおいては、かけ捨てをなくするという措置をとるためにはさらに国庫から金を出さなければいけないという半面もございますので、手ぶら八貫でこれができるという仕組みのものではございません。そこで財務当局ともいろいろ御相談いたしまして、今後かけ捨て防止の新しい措置を考えることを厚生省では検討をいたしておりまして、おそらく非常に近い機会に当委員会等にも皆さんに御相談に相なる場面が出てくるだろう、かように考えております。今日かけ捨て防止をめぐるところの方法はいろいろございますが、それらについては、年金局長からお聞きを願いたいと思います。
○小山説明員 ただいま政務次官から申し上げましたような趣旨に従って検討いたしているわけでありますが、今日まで大体到達いたしております一応の結論はこういうことでございます。ただいまも申し上げましたように、このかけ捨てといわれていることが相当程度ほかの人々の年金支給の財源になっているわけでありますので、この問題を解決いたしますためには、当然のことながら、財源を何とか捻出しなければならないのであります。そういうような意味合いもありまして、実は何とか財源を作りたい。一番有力なものといたしましては、予定運用利回りを何とか相当引き上げることによって、保険料の引き上げを伴うことなくしてこの問題の解決をいたしたい、こういうことでずっと財務当局と折衝して参っておったのであります。まだ最終的な結論ではありませんが、また積立金の運用の最終の姿がどうなるかという問題は、今関係省の間でいろいろと争っておりますけれども、少なくとも積立金の運用利回りは相当引き上げることが事実上可能だろうという見通しがついて参りましたので、これを財源といたしまして、相当大幅な、ほとんど完全に近い形のかけ捨て防止の措置をとりたい、かように考えておるわけであります。形としては、おそらく死亡一時金制度を創設するという形で実施するという考えになると思います。あまりに短い方々のかけ捨てを防止するというわけにも参りませんので、大体の考え方といたしましては、三年以上程度保険料を納めた方々について、所要の経費だけを除いた残りは、年金をもらえない場合にほとんど完全な形で手元に返ってくるような内容のものにしたい。ただ、これを単純に納めたものがそのまま返っていくという形をとるか、あるいはそれぞれの段階に応じて死亡一時金の額をきめてそれを支給するか、ただし全体の規模としては完全に返った形のものにするかということについては、なおいろいろな意見がありまして、今調整をしているわけでありますが、姿としては、そういうふうなことを実施いたすことによりまして、先ほど来お話のありましたかけ捨てをきらうという現代の国民の気持に合った大きな手直しをして参りたい、かように計画を進めている次第でございます。
 なお、もう一つかけ捨てという問題として一般の人々が意識しております問題は、せっかくこうやって保険料を納めていっても、遠い将来のうちには物価が上がったり、あるいは経済的な変動があったりして、四十年も先にわずか三千五百円程度もらうというようなことになっても、これは何にもならぬ、その意味においては、これは実質的なかけ捨てになってしまうのではないか、こういう意味のかけ捨てという感情もだいぶあるようでございまするが、この点、国民年金法制定の際にいろいろ御審議をいただきましたように、現在の国民年金法の仕組みは、国民の経済成長に伴って年金額は引き上げていくという建前でできておりますので、おそらく現実の問題として、四十年先に支給されるときはこれが相当の額になって、決してそういう感じの起こらないものになっていく、言いかえますならば、今三千五百円もらうのと同じ感覚のものになっていく、こういうことを申し上げた。法律の四条一項にその趣旨が規定してあるわけでありますが、これを具体的な姿で現わしますために、この間の国会でもお尋ねがあってお答えいたしましたように、いろいろ作業を進めて参りました結果、一通り見当のつきました中間の結論としては、現在の所得倍増計画が計画の通り実現いたしますと、十年先にはただいま三千五百円と申し上、げている年金額は、五千円に引き上げることができる。十年拠出で受けられる月千二百円という老齢年金は、二千円に引き上げることができる。ただしこの場合は保険料が若干上がりますけれども、そういうふうなものに引き上げられて参って、いわばかけ捨てというような感じのない、ほんとうに役に立つ年金になるようになっていく、こういうような作業も進めているわけであります。いずれこれらが固まりましたならば、正式に御報告を申し上げたい、こういう段取りでございます。
○山下(春)委員 純粋な理論的な立場で検討をしてみれば、あるいは今の私の質問及び年金局長のお答えのようなものが出ないであろう、正しい筋から考えれば、あるいは年金の理論としては幾らか邪道かもしれないというようなところをよく克服して、ほんとうに実情に即した、民心に密着したいろいろな点をお考え下さいまして、まことにけっこうだと思います。
 今度はその問題のこまごましたところを一、二点伺っておきたいと思いますが、この拠出制の年金というものについては、私先ほどちょっと触れましたが、総評あたりでは非常な反対運動を起こし、あるいは一部には年金の調査票を拒否しておるところもあるかに聞いております。しかし国民の中のほんとうにまじめな声を聞きますと、自分の家の隣に無拠出の年金をもらっているおじいちゃんがいて、その人たちのうれしそうな顔を見て、少しずつのお金をかけておいても、年をとってから年金がもらえるということはなんて明るい、ほほえましい、楽しいことだろう、こういうふうに感じられるから、必ずしも安いかどうかわからない、それから自分たちの長い年月の間に、かけられるとかかけられないとかという事態があるいは来るかもしれないが、やはりかけておこう、こういう気持になっております。こういうことをしみじみと言った青年があるのであります。そこで総評が今反対しておる反対の議論の中の一番おしまいの方に、政府はこの拠出制年金を強制適用するということは、その集められた膨大な拠出年金というものが再軍備に使われるための政府の底意だというようなことがうしろにくっついておるので、大した魅力はないようでありますが、しかしこの反対運動というものは農村、津々浦々まで熾烈に行き渡って、今運動が相当展開されておるようでありますが、それらのことについて、政府当局はそういうことが耳に入っておるかどうか、あるいはそれに対してほんとうに正しいまじめな国民に対してどういうふうな手を打とうとしておるか、打っておるかというようなことも聞きたいと思います。それが第一点。
 それから今度はこまごました問題に入りますが、拠出制と無拠出と話がごちゃごちゃになりますが、無拠出の方で、ことしの三月三日までの間に年金の取得権を持った人で、すでに死亡された方が相当あるやに聞いておりますが、そういうものがどのくらいあって、その者に対してはどのような措置をお考えであるかということについて、ちょっと具体的なことですが、お答えを願いたいと思います。
○田中説明員 拠出制年金の積立金の運用についてのいろいろの御批判あるいは御反対等、十分承って存じております。これにつきましては実はかねがね当委員会でもいろいろと問題になり、政府においても、またそれぞれの党においても御検討下さっておりまするが、この種のものが法律によってきめられ、拠出をすることになったということになりました場合に、その運用の方式が望ましい方向に向かうということは望ましいことではございまするが、さればと申しまして、その運用の方式がどうのこうのということから拠出をしないというようなお考えはいかがかと存ずるわけでございます。たとえば租税等につきまして、国会で予算あるいは税法等によってきまったその税がいかなる方面に使われるか、自分たちの意に沿わない方向に使われるから税金を納めることをやめようというようなお考えであったのでは、これはいろいろ批判の余地も出てくるかと思いますが、いずれにいたしましても拠出者の感情といたしまして、自分たちの望む方向にこれが運用されることはきわめて望ましいことであるということは、よくわかるわけでございまして、私どもとしてもできる限り拠出者の御要望に沿うような運用の方式をとっていきたいというふうに実は考えているわけでございます。それにつきまして、政府においてもこの種の積立金をいかに運用すべきかということについて、今日いろいろな機関を通じまして諮問をいたしておるわけでございますが、先生方も御承知の通り、あるものについてはすでに立案のできておるものもございます。私どもとしましては、こういったような各種の諮問が出るでありましょうが、その中には私どもとしてはにわかに全面的に受け入れがたいものも出ているようでございますが、各種の意見等をいろいろ参考にいたしまして、できる限り拠出者の福祉の増進のために役立つような方向に持っていきたい、かように考え、せっかく腐心をいたしておるわけでございますけれども、結論の出るのは、いましばらくになります。私どもとしても、特に厚生省といたしましては、そのような方向にぜひぜひ持っていきたい、かように考えておる次第でございます。
 それから後段の御質問の、福祉年金について受給資格が発生をしたが、現実に受給をする時期までに死亡をしたために受けられなかったという人についての数字等につきましては、年金局長から御説明申し上げますが、これにつきましては、どうもやはり制度の不備と申しますか、血の通っていないような制度というふうに見られる向きもございますので、それは改正を次の国会にお願いいたしまして、さような人には気の毒なことのないようにいたしたい、かように考えており、これについてはそれぞれ予算要求等をいたしておるわけでございますが、近い将来にこの御心配はなくなるものと思っております。この数字等については、局長から御説明いたさせます。
○小山説明員 ただいま仰せの数字は、今日までのものを正確に計上したものはちょっと手元には持ってきておりませんけれども、大体十カ月ぐらいたった状態でのおよその概数といたしまして、十七万ないし十八万程度の人がただいま仰せのような数に該当しております。
○山下(春)委員 それらの今年金局長からお答えになった十七万もしくは十八万の方々に対しては、政務次官がお答えになったように、お気の毒なことがないようにあたたかい措置をするということでございましたので、その点は、ぜひさようにお計らいを願いたいと思います。
 それからこの積立金の運用の問題でありますが、今せっかく方々から意見を御聴書取になって、相当な意見も集まっておるというようなことでざいましたが、私は、この拠出制年金の運用がスムーズに行なわれるか行なわれないかという、ほとんどきめ手ともなろうものが、先ほどお尋ね申し上げましたかけ捨てというような感じを国民が持たない措置をおとりいただくことと、この積立金の運用いかんというものできめられると極言してもいいとさえ考えられるような状況のようでございます。たとえて申しますれば、この積立金が第一年度でどれだけ集まるか、私数字はわかりませんが、このうちの上積み何ぼかを直ちにお使い下さいまして、全国に一カ所、もしくは大県に対しては二カ所ぐらいの老人ホームを建設するとかなんとかというような、国民の福祉にすぐもうその年からはね返ってくるような措置をお講じ願うというような、要するに積立金運用というものが、ほんとうに国民年金という国民に非常なあたたかい明るい希望と夢を持たせておる、この政策がすぐに目の前に――自分たちの寄せ集めた金が身の回りに福祉施設として返ってくるというような御使用方法が、これは一例でございますが、きめられれば、この拠出制年金というものは非常な困難と非常なむずかしさとをいろいろ包蔵しておったようでございますけれども、しかしながら存外国民の皆さんのお心の底に深く食い込んでいる、ぜひやりたい、ぜひ達成したい、そうありたいという希望、夢に今つながりつつあるようでございますので、今申し上げたかけ捨てにならない、その積み立てた金はこのように運用されるということのそのきめ方が、この年金を成功させるかさせないかのきめ手のかぎになるような気がいたしますので、ぜひとも早急に御検討を願って、国民のほんとうに納得のいくような結論をお出し願いますことを心からお願いを申し上げておくものでございます。
 それからもう一つ、こまごましたことでございますが、かねがねいわれておりました母子福祉年金の方で、生別の母子というものに対しての扱いをどうするかということについては、いろいろ議論があるようであります。諸外国でも、これはあまりやっておらないようであります。ということは、西ドイツのような国でさえ、その実例があるといわれておりますが、年金が向こうでは相当高額でありますから、夜は一緒になって夫婦の生活をしていても、戸籍上は離婚して、そして年金をもらうというような実例があるやに聞いております。そういうことから、この生別の母子に対しては、日本でも離婚いたしますときには、家庭裁判所で妻の慰謝料と子供の養育費とは、前に夫であった人が払うべきことになっておりますので、それを受け取ったであろうというような点から、なかなかうまい解釈がつかないようでございますが、しかしながらそうでなく、実はその家庭裁判所というものも、法律が古くなりましたので、必ずしも今の時代にぴたっと適合した結論が出ていないために、この離婚された、あるいは離婚したという婦人もありましょうが、農村等においては大体はおん出されたという言葉が当てはまるのでありますが、おん出した女房にはなかなか慰謝料や子供の養育費などを払わないのです。家庭裁判所の結論も、頭金だけは強制的でありますが、分割払いができる。第二回目からは民事的な貸借になるものですから、なかなか払わないということのために、実家に帰ってもすでに親はなく、兄弟に他人の奥さんがいるというような家庭の事情から、牛馬にひとしいような、子供を連れた母親の生活をわれわれ目に見るのでありますが、そこでこの生別母子というものに対しても、何とかお考えを願いたい。新聞で散見いたしますと、最初のころ、生別の未亡人にはやることがなかなか理論上困難だが、その子供には児童手当としてやろうではないか、あるいはやることにしたというふうなものを何べんか見たのでございますが、また一面そうでないような議論も聞くのであります。一体これはどうなったのか。それからこれは新聞のミス・プリントじゃないかと思うのですが、この間未婚母子というものが出ておりました。私は、これはどういうものをいうのか、実態はわかりますけれども、それをここで取り上げていただく、そんなことを取り上げるお金があったら、もっといろいろなことをやってもらいたいと思うのでありますが、とにかくそういう問題についての具体的なものを、ちょっときまった程度のことをお教え願います。
○田中説明員 いろいろ御意見がございましたが、年金の問題については、福祉事業等も実は実施をいたしたい、そして拠出制年金によるフェーバーというものが身近に感じられるように持っていきたい、かように考えて実施計画を立てておるわけであります。積立金の運用については、いろいろと皆さんの希望に沿うような線でせっかく努力を払っていくつもりであります。
 それから生別母子の問題についてのいろいろお話がございましたが、実は新聞にいろいろな記事が散見をいたしたようでございますが、これは無理からぬことでございまして、実は厚生省といたしましては、いわゆる生別母子というものについて何とかこの際国家の助成の手を差し伸べたいということから、いろいろな理論的な検討を長い間いたしたわけであります。この理論的検討の過程のものがちらほら新聞に漏れまして、そのつど実は出たようでございますが、それらについては、いわゆる厚生省の苦心の跡が漏れ聞かれたというふうに御理解願いたいと思うのであります。ただいまのところ実はまだ成案は得ておりませんが、大体意見が固まって参りました。この種のものについては国家の助成の手を差し伸べるということに実は決意をいたしているわけでございます。そこでこれについては、いろいろな現象をいろいろな方法で把握するといったようなことについて、実は方法論がいろいろめんどうなんでございますが、現在のところ母子世帯等に対する児童扶養手当というような形で支給をいたしたい。しかしこれはあくまでも母子世帯を中心として、母子世帯という単位でつかまえる、現実に児童を扶養しておる母子世帯に対してこれを支給していきたいという考え方でございます。そこでそのやり方等については、いろいろ固まっておらない点もありますが、何といいましても、そういうことになりますと生別母子というものが実は主眼になって参るわけであります。その他いわゆる福祉年金で拾えないような父のない子というようなものについても、この制度で拾っていきたいと考えておりますし、孤児等の取り扱いについても、できればこの制度の中でもって取り扱っていければということで、こまかい点についてはなお検討中でありますが、大本としては、かような私の申し上げたようなところを救っていきたいと思います。そこで、先生仰せの通り、いわゆる生別母子につきましては、これは保険事故として取り扱うことの理論上のいろいろな困難さがありますので、これは児童局系統において別途の措置としてやる方が理論的に考えやすいのではないかというように考えて、そのような方法で進めております。また生別母子が発生をした原因について、いろいろさかのぼって検討をいたすというようなことも、これは理論上は考えられないことではございませんが、厚生省としては、いかなる原因であろうとも、いわゆる一家の働き手である夫から離れておるという現実に困っておる状態というものを把握して、これを救うべきであろう、従って離婚のときの原因について倫理的な判断を加えることは必ずしも妥当でないと思っておりますので、現状を把握して、現状において子供をかかえて困っておるという状態に対しやっていきたい、かように考えておるわけでございますが、詳細については目下検討中でありますので、若干時日をおかし願いたいと思います。
○山下(春)委員 年金の内容につきましては、まだこの福祉三年金所得制限とかいろいろな問題で聞きたいと思いますが、政務次官の仰せの通りまだ検討中であろうと思います。要は国民が、しかも草深い農村、貧しい農民の身体障害者や年寄りたちがほんとうに目を細めて喜んでくれるような結論を出していただいて、大幅に所得制限等も広げていただいて、ぜひこの年金はほんとうによかったというものを作ってやっていただきたいことをお願いいたします。この拠出制年金がスムーズに成功発展するように私は祈りまして、その他のこまごましたことは御検討中と思いますから御答弁を求めないことにいたしまして、次に移らせていただきます。
 近時、小児麻痺が非常にはやっておりまして、子供を持っておる親たちは、今日の小児麻痺に対してははかり知れない不安の中に置かれておるようであります。この小児麻痺対策につきましてどうなさっておるかということをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○田中説明員 具体的のこまかい点については公衆衛生局長からお話し申し上げますが、小児麻痺については、実はいろいろと集団発生を見まして、かかったお子さんには非常にかわいそうな思いをさせておりますし、小さいお子さんをかかえておる母親には非常な不安動揺を与えておることも事実であります。これにつきましては、実は厚生省といたしましても、従来の発生率等を見まして、だんだんとこのポリオ対策をやっていかなければならないというふうに考えて、実は今年度の予算においてもこのポリオ対策についてお願いをいたし、実は一部実現を見たわけであります。厚生省としても手を回しておったわけでありますが、今年度のようにこのような爆発的な発生を見るということについては、いささか、学界でもそうだと存じまするが、厚生省としても予測が違ったというようなことで、これについては大へん申しわけないと実は思っているわけでございます。しかしながら本年度の予算措置に伴ってやったものについても、今日これが実施できるものもだんだん出て参りましたし、まあ少ないながらもいろいろワクチン等も実は供給をいたしておりますし、またかかったお子さんについては、いわゆる鉄の肺というようなものについてもせっかく苦心をしていますが、何といっても焼け石に水といったような状態も、これは否定ができないことでございます。そこで明年度について、また大へんおくればせではございまするが、いろいろな措置を考えておるわけでございまして、明年度のやり方についてもいろいろ申し上げることもございますが、これらについては公衆衛生局長からお聞き取り願いたいと思います。
○山下(春)委員 今政務次官のお話でございますが、公衆衛生局長からお答え願うにあたりましては、発生源というものは何か学界でもまだはっきりしていないということを私は新聞で散見いたしましたが、そういうことで親たちに多少の役に立つような注意事項でもあれば、そういうものを御発表願いたいし、それからことしのような爆発的な発生が起こると、厚生省もこんなことは予想しなかったということでございましょう。これはうそではないと思いますが、それでは国民が大へん困りますので、万一どういうわけだからこういうふうな爆発的な発生を起こしたということが多少でもわかればそれを明らかにし、なおふだんのときでも、いつ何どきそういう発生状態が起こってくるかわからないということであるならば、随時そういうことが行なえるような態勢にしなければならないので、そういう点を含めて公衆衛生局長から御答弁を賜わりたいと思います。
○尾村説明員 お答え申し上げます。昨年の六月にこの小児麻痺、ポリオを伝染病予防法の指定伝染病にいたしました。従いまして諸外国の例から見ても、昨年あたりから日本にも増加の傾向がくるということは予測していたわけでございます。ただその増加がことし爆発的に急激にきたことが、当時の伝染病予防調査会にかけまして指定をきめたときも予測ができなかったわけでございます。この点がまことに遺憾でございます。従いまして今年かような爆発を来たした原因というものを十分究明いたしておきませんと、また将来これに倍増す大爆発がどこかで起こらぬとも限らないということで、これは非常に重大なことでございます。北海道にもそれぞれ専門家並びに専門の技術官も派遣いたしまして調査したのでございますが、的確なことは現在のところはつかまえておりませんが、今まで大体諸説を総合いたしましてわかりましたことは、全国的な大増加ということではなくて、特に北海道が一番広範囲に何倍という非常な増加を来たしておる。従ってこれは日本全体の特有現象でなくて、北海道に相当しぼられた特有原因があるであろう、こういうようなことでございます。それで考えられますのが、従来北海道でいつも――今から数年前に一回、それから十年ほど前にある程度の大きな流行がございましたが、そのとき等との増加と比べまして特有な点は、ことしは約一カ月早くこの大きな流行が三地区ほどに爆発したということが特有でございます。そういたしますと、この時期のズレということは、一つはことしの気象にも関係がある。この点は、確かにことし北海道の暖冬から続きまして、早く温度が上がったということが気象的にもいわれておりまして、これも一つの原因で、北海道のそういうような特殊温度、気象環境と、ちょうどこの消化器系を通じましての経口伝染病でございますので、これの因子があったであろうということが一つ考えられる。いま一つは、過去三年間北海道は全国の平均の約半数くらいの発生でございまして、従って全国的な平均よりも幼若な子供の自然感染による免疫のでき方は非常に少なかったということが推定される。これは現に一定の人口の免疫抗体を検査いたしますと、確かに低い。そこに何らかの形である程度有毒の菌が入って、そのために免疫力がないところへ急速今の気象条件等も伴いまして爆発したのじゃないか、こういうような現況でございます。さらに今度爆発が起こりました地区である夕張地区等は、すでに環境衛生のモデル地区といたしまして、環境衛生をかなり一生懸命やったのでございます。従ってむしろ自然に感染して発病に至らないで、免疫のできた子供は他の地区より一そう少なかったわけであります。そこに入った、こういうことで非常に濃厚に発生し、それが周辺に濃厚に伝播しておる、大体そういうような現況でございます。従いまして将来他の地区でかような条件に当たりそうなところは、ある程度予測いたさなければならないのでありますが、この点、来年以降どういう地区に来るかということは、やはり全国的にある程度免疫抗体の検査をいたしまして、重点的な予測もする、なお全国的に同じような状況が来年来ないとも限りませんから、全国をおおう最低限度の措置はする、こういうことで、それに基づきまして現在予防対策を進めておるわけであります。もちろん消化器系の伝染病でございますから、環境衛生を十分整えるということは非常に必要でございます。これはやらねばいけませんが、ただアメリカその他の諸外国の例を見ますと、日本よりはるかに早く下水道、上水道等を完備したところでも、逐次上昇を続けておったのでございまして、六年ほど前には、アメリカの小児麻痺の発生率は、人口比率から見まして日本の十倍でございまして、従って環境衛生が最低限度ないと、濃厚感染が起こって犠牲は出ますが、これで全部の防御はできない。場合によりますと、早く軽く感染して九〇%までのものが一応発病しないで済むべかりしものが、十数歳まで残って、高等学校あたりに行って万一濃厚なものが入ると、一挙にその年令までかかってしまう、こういう逆なことも起こりますので、従来この点で世界じゅうが非常に心配しておったのであります。幸いにしてこれに対する予防ワクチンは成功いたしましたので、これを赤ん坊のうちにやってしまえば、これはもう安全なんだということであります。従って環境衛生等の対策のほかに、今のような予防接種の対策が第一になる。先ほど政務次官から申し上げましたように、一昨年から日本でもこれに取りかかったのでございます。ただスピードが合わないということと、本年の概算予算につきましても、検定能力も三倍にする、国家買い上げもある程度するという措置はもう当初から講じておったのでございます。これがスケールに合わないということで、今般予備費の支出が決定いたしまして、来年を待たずして、一月から約二百万回分、すなわち一カ月置きの最初の二回といたしますと、約百万人弱の幼若の子供に一月から一挙に予防接種をいたしまして、来年の春からまた流行が起こる予測に対しまして、全国的に全部予防対策を講ずる、こういうことを決定いたしましたので、これに対するワクチンの供給、大部分国産でございますが、それから検定能力、これはいずれも一月からできるように今急いでやっておるわけであります。これによりまして来年の流行に対する予防対策は十分講じられる。それから万一起こった患者が死ぬ場合には、ほとんど呼吸麻痺を起こして死ぬわけであります。北海道もすでに六十六名死亡が出ましたが、これも大部分が呼吸麻痺であります。従って呼吸麻痺が起こった当初に鉄の肺に入れまして、人工的に呼吸を続けますと、相当数が、急性期を持ちこたえますと、あと麻痺は残りましても命は助かる、治癒の可能性が出てくる、こういうことでありますので、鉄の肺も国内に二十台ほどあったから、回わせるものは回わし、足らぬものはアメリカの協力を得まして使っておりまして、相当救命いたしております。来年再びこういうことがないように、伝染病予防費によりまして、国内の、ある程度応急措置ができるような地域に重点配置するように措置しておる、こういうことでございます。国産もできますが、必要なものは輸入もいたしまして至急配置する、こういう計画にいたしております。
○山下(春)委員 小児麻痺対策につきましては、今承った様子では万全を期しておられますようで、子供を持つお母さんたちが非常に安心してくれていることであろうと思います。
 そこで今局長からお話が出ました環境衛生の問題でありますが、私今度聞きましたら環境衛生部で今回いろいろな――そんなことがあるなしにかかわらずやらなければなりませんが、諸外国の環境衛生と違いまして、日本の場合はいまだほとんど手をつけずというようなことであったのでありますが、たまたま蚊とハエをなくする運動という民間運動が、非常な努力によって何千万という人が結集されて、今自発的に政府やあるいは政党の援護なしに、ほんとうに自立運動でこの運動に挺身しておりまして、われわれも全く頭が下がるのであります。ところがそれはやはり幾ら民間でやりましても限界がありますので、この運動もかれこれ十年を数えるのでありましょうが、ここまできましては民間の人たちでできることというのはもう限界がきておりますので、政府がやはりこれに対して強力な手を差し伸べて、ともどもにこの運動を推進していくということでなければ、下水道あるいは上水道等が完備された上に作られた日本の都市ではありません、都市は家が先にできて、あとからほじくり返してそういうものをやる日本におきましては、容易ならさる苦労が要るわけでありますが、そういうことに対する来年度の考え方です。体これに対して厚生省の行なわんとする施策が十分行なえるようになっておりましょうかどうでしょうか、環境衛生部長から御答弁をお願いいたします。
○聖成説明員 お答え申し上げます。ただいま御指摘の環境衛生の問題でございますが、特に汚物処理と申しますと屎尿、ごみでありますが、こうしたものの処理の問題が非常におくれておる。これがまた全般的に環境衛生、特に蚊、ハエあるいは最近問題になります油虫等が発生いたします大きな原因にもなっておるわけでございます。従いまして清掃法の運用を中心といたしまして清掃施設、さらに厚生省の所管であります下水道の終末処理の整備、これを明年度からさらに新しい十カ年計画を樹立いたしまして、ぜひとも完成いたしたい、かように考えております。このためには補助金の増額あるいはまた地方の負担になります起債の融資のワクを拡大してやるというようなことも先般の省議で決定していただきまして、大蔵省と折衝を開始いたしておるような次第でございます。
 なおまた、かような施設が整備され、あるいはまた上水道、下水道が整備されて参りましても、特に環境の衛生状態の悪い地区、たとえば排水が非常に悪いというようなところでございますと、先生御指摘のように、いかに民衆の方々が御努力されましても、なかなかそういうところまでは手が回らないという問題も起こって参りますので、ぜひこうした民衆の盛り上がってくる意欲に水をささないように、そのために必要な助成策というようなことも新たに明年度から実施いたしたいというようなことで、所要の措置をとっておるような次第でございます。
○山下(春)委員 環境衛生部長が、来年度は大体われわれの期待するような希望するようなことができそうだということでございましたが、できそうだといっても厚生省は最後になると、なかなか予算をとらないで、いつも、やろうと思ったが、予算がとれなかったということになりますので、そういうことのないように、ないようにというても、われわれもそういう予算がとれるように党といたしましても全力を傾けて応援をいたすつもりでありますが、政府の方でもこういう問題に対しては非常にいい時期だと思うのです。ことしあたりこういう問題をぐんぐん進めていくのには諸般の情勢が非常にいい時期だと思いますので、ぜひ強力に進めていただきたいと思います。
 そのほか、社会局長からちょっと一点だけ承りたいのでありますが、全国的に生活保護の基準アップなんていう問題も出ております。その点についても御検討願っておると思いますが、私の意見のようなことで、局長はどう考えておられるかということを聞きたいのであります。生活保護の基準が都会においても今のままでいいとは申しませんが、ただ都会といなかとを比べますと、ちょっと格差が多過ぎます。地域差を撤廃して下さいということは少し刺激が強過ぎますから、そう申し上げないで、地域差のあの格差をもう少し縮めないと無理ではなかろうかと思いますが、局長はどうお考えでいらっしゃいましょうか、ちょっと御意見を承らしていただきたいと思います。
○太宰説明員 お尋ねのように、現在の保護法の運営につきましても、都会と農村といろいろ地域差が設けてございます。その地域差自体は、今日の段階におきますると、いろいろ御意見のように、必ずしも実情に合っていないのではないかと思われる面もございます。これは地域によりましては、お尋ねのようにあまり格差が激しい、あるいは地域によると、逆にもう少しあってもよいのではないかというので、いろいろ地域々々でむずかしい問題があると思います。できるだけ実情に合わせるようにして参るべき筋合いであると考えておりますので、検討を進めて参りたい。それから、全部撤廃するということにつきましては、申し上げるまでもなく、今日公務員の給与にいたしましても、その他の点についても、いろいろ地域差が出ておりますが、そういうものも一ぺんに取り払うまでには至らないのでございまして、漸進的にそういう面も検討して参るべきではなかろうかと考えて、目下せっかく検討いたしておるところであります。
○山下(春)委員 もう一つ社会局長に具体的なことで伺っておきますが、昨年非常にささやかな精薄者福祉法というものをお作り願って、それでも精薄者三百万の人たちはほんとうに暗やみに急に太陽が上がったような喜びを感じておるようであります。しかしながら法律というものはできたらいいではなくて、ことしあたりから十分にその内容を充実してやらなければいけないと思うのでありますが、この精薄問題につきまして、来年度以降どのような推進政策を考えられ、実行しようとしておいでになるか、ちょっとその概況を承らしていただきます。
○太宰説明員 本年の四月から、おとなの精神薄弱者の方々の福祉をはかる精神薄弱者福祉法を制定していただきまして、全国の関係の方々は非常に大きな喜びと今後の期待とを持っておるように私どもも感じます。従来児童福祉の面において相当出ておりましたが、おとなの方々に対するこういう福祉対策の面について、やはりいささか足りなかった面があったであろうというふうに私どもも存じております。そういう面で、今後早急にこの精神薄弱――これはおとなも子供も変わりなく、この人たちの福祉をはかるために邁進して参りたいと思う場のでありますが、ただ現状を見ますると、全国に、援護をいたしまする施設の数が非常に不足しております。今年度あたりまで府県で持っております施設は六カ所くらい、そのほか若干の民間の施設はございますけれども、児童の場合に比べますと非常に福祉の施設として足りないという面もございます。私どもはまず手初めに精神薄弱者の援護施設というものを少なくとも全国の各府県に一カ所は持って、これを橋頭堡といたしましてその後の第二、第三の施策を立てて参るということで、特に重点を精神薄弱者の援護施設を各府県に早急に設置するということに置いて、ここ数年の間に、残りました四十の県にこれをぜひ設置していただきたい。まずこれが拠点となりまして、その後いろいろな施策が展開して参ることと思い、第一の拠点をここに置いて進んで参りたい。そのほか、精神薄弱者の方々の実態につきましても、なお十分把握いたしておらない面もございますし、またこの方々といえどもできるだけ社会に貢献し得るように、自立自活できるような職業――職業と申しましても百。パーセントのあれは期待できませんけれども、幾分でも自立できるという面、人間としての誇りを持っていただくというような面につきましても対策を進めて参りたい、かように考えておるわけであります。まず第一番の重点は府県に施設を早急に設置するということに置きたいと考えておる次第でございます。
○山下(春)委員 ぜひそう願いたいと思います。精薄者を持ちます家族は、ほんとうに一家心中をしようかというほどの悲劇を繰り返し、しかもその親たちは、死んでいったときにこのせがれは一体どうして生きていくだろうかという、ほんとうに親が命が終わるときには子供も一緒に連れていきたいような、全く精薄者の家庭でないとほかから想像のつかないような苦しみをしております。少なくとも局長の言われるように、各県に一カ所成人の精薄者の収容施設があって、その中で職業訓練等も熱心に行ないますれば、局長仰せの通り精薄者でも必ず社会人として相当な貢献をするところまでこれが訓練されていくということの実績も上がっておりますので、ぜひ強力にそれをお進め願いたいということを強くお願いをいたしておく次第であります。
 社会局長にもう一つお伺いいたします。これはまだ社会局長の方でも具体案がないと思いますが、同じ身体障害者の中で耳の聞こえない人があるのです。このろうあ者に対しても、これは身体障害者福祉法のワクの中にございますが、これまた大ていの人が目が見えますだけに、目が見えて何か言いたい、その意思表示が全然できない、耳も聞こえない、口でも言えないという人間の苦しみというものも、この中に飛び込まないとわからない容易ならざるものがあるのであります。私どもこの文明の世の中に電話という非常に便利なものがありますが、この電話を発明した人が実はろうあ者であることは局長御承知の通りであります。アメリカのベルという博士が作ったのが電話でありますが、この方は奥さんがろうあ者であった。そうして自分もろうあ者に近い、強いどもりの人だったそうでありますが、奥さんのろうあの生活に何か光を与えたいという非常な苦心の結果、電話というものが生まれたということになっております。このろうあ者に対して、前に政府で作ってもらいましたろうあ者のセンターみたいなものは、実は耳の聞こえない人たちだけの福祉の機関にと思ったのですが、だんだん運営していったら、そうでなく、普通の身体障害者の職業訓練所みたいなことになりまして、実は全国のろうあ――どのくらいでございましょうか、ほんとうに耳の聞こえない、もの言えない純粋なのは十三万余りでございましょうか、非常にどもりがきつくて耳もあまり聞こえないというように、ワクを広げれば二十五万以上おると思いますが、それらの人に対して――ベル博士が非常な苦心をして生まれてきたその電話というものは、耳の聞こえる人たちがその文明の恩典に浴しておるわけでありますが、そういうようなところから説き起こしまして、社会局というのは救世軍とは違うとおっしゃるかもしれませんが、やはりそういうところに深い根をおろさないと、厚生行政もほんとうに血の通った、国民がほんとうにあたたかい厚生省だという厚生省になかなかならないと思うのでありますが、その問題について、来年あたり、ぜひろうあ者のための、ほんとうに耳の聞こえない人たちの、手まねでいろいろやっておりますが、何てまあもどかしい人間の生活だろうと思いますが、それらに何かしてやろう――何かというのではいけないから私の方で題を出しますが、それらの人人にほんとうに中央のセンターで、ろうあ者だけの、将来はそれがろうあ者の老人ホーム等にも波及する構想として、中央センターを建設してやって、これらの人々にあたたかい生活をさせたらどうか、こういうふうに思います。前安田局長の時代にこれは相当具体化そうとしておったのが、局長おかわりになって、太宰局長になってからはわれわれ陳情にいきませんのでまだ具体的にお考えになっていないかと思いますが、政務次官どうでしょうか、一つそういうものを作っていただくことに、われわれ大いに協力しますから、厚生省一つ音頭をとっていただくわけにいかないでしょうか、政務次官のお考えを聞かせて下さい。
○太宰説明員 ろうあ者の問題も、あえて私からこと新しくお答えするまでもなく、ハンディ、しかも相当重いハンディを負って社会に生活されておる方の福祉を私どもできるだけ考えなければならぬことは当然でございます。お話しの通り、先年ろうあ者センターを設けまして、そこにおいてこの方々の福祉のやり方をさらに強化する方法を考えておるわけでございまして、今日なお十分であると申し上げられる段階でないことは私ども遺憾に思うのであります。お尋ねの、何か収容の施設というようなお話でございますが、この点につきましても、ただそういうところに収容するだけでなしに、その生活訓練をし、世間に奉仕する、がんばる力も与えるというような自立活動という面において一つやろうかと考えておりますが、その具体的な方法につきましてはなおしばらく検討をさせていただきたいと思うのです。先生の御高説も拝聴したいと考えております。
○山下(春)委員 私はまだ児童局やいろいろの方々に諸般のことで伺いたいことがたくさんありますが、私だけが時間を頂戴いたしましては社会党さんに申しわけありませんからこの辺で終わりたいと思いますが、要は、ことしは社会保障が非常に強力に大幅に推進される年のような感じが私たちはいたします。池田内閣もそのことのために全力を傾けているやに私どもも承知をいたしておるときでございますから、厚生省全体が一つふるい立って、強力にお進めを願って、むしろわれわれ党の方のおしりをたたいてもらって、そうしてまだいけない、まだいけないとわれわれを督励していただくような心がまえで、今年こそ、やろうと思っていた、きょうまでうっせきしていたものを一ぺんに爆発させて政策を推進するというかたい御決意を持って邁進されんことをお願いいたしまして私の質問を終わります。
○大石委員長 滝井義高君。
○滝井委員 今与党の山下先生からいろいろ御質問がございましたが、横で聞いておりますと、どうも池田内閣は政党内閣でないような感じがいたすのです。私たちは、池田内閣というものは自由民主党に基盤を置いておる政党内閣であって、自由民主党の政務調査会で決定したものを忠実に池田内閣は実行していくものというふうに心得ておったのです。ところがどうも一問一答を聞いてみると、お互いに謙譲の美徳を発揮して、譲ったり譲られたり、お願いしたりお願いされたりで、どうもちょっとわかりかねたのですが、しかし政党内閣ですから、堂々と政党が政策を決定して、国民に公約したものをその首班である総裁の内閣総理大臣が実行していく建前だ、こう心得えておりますから、そのつもりで友党である野党の社会党は、今度は批判的な立場に立ちながら、できるだけ共通の広場を持ち、話し合いの広場を持てる立場で質問をしてみたいと思うのです。
 まず、きょうはどうも池田内閣の象徴だと言われる女性大臣が出ておらないことは、非常に残念でなりません。今ごろは大阪の演説会場で熱弁をふるわれていると思いますが、実は国会の方が大事だと思うのです。国会を通じて政党内閣が議会政治と民主政治をお守りになろうとするならば、演説会場でなくて、国会の議場を通じて、委員会を通じて国民にその所信を明らかにすることが、議会政治であり民主政治であろうと思うのです。池田内閣が安保問題以来の議会政治と民主政治をお守りになろうとするならば、国会の立場に立って政策を推進していく、国民に明らかにすることがほんとうのいき方だと思うのです。こういう点については十分田中政務次官から、民主政治のあり方、議会政治のあり方というものを、池田内閣の象徴である女性大臣に教えておいていただきたいと思うのです。池田内閣は三つの象徴がある。一つはライスカレー、一つは低姿勢、一つは女性大臣、これは三つの象徴です。そういう象徴をお持ちになっておる池田内閣の政策を見てみますと、当初は社会保障が第一で、第二番目が減税で、第三番目が公共投資になっておったわけです。ところがだんだん日がたつにつれて、どうも少し情勢が違ってきたようなニュアンスがあるわけです。それで一体中山厚生行政としては、池田内閣の象徴と言われる女性大臣が就任しておられるのですが、きょうは中山さんの御意見では、全部自分の権限は田中政務次官にまかしておくから、田中さんの言は即私の言と同じでございますと言って大阪に立たれております。そこできょうは、あなたの御意見としてでなくて、池田内閣における厚生行政を担当する中山厚生大臣そのものとして田中さんの御答弁をいただきたいと思うのです。いろいろ今山下先生から御質問がございましたが、一体重点的に何を中山さんはおやりになろうとするのか。池田さんが総理に就任をしたときに、いろいろ政策はたくさんある、しかし日本の道路を見てくれ、あの日本のでこぼこの道路というのは道路と言えないのだ、道路の予定地なのだ、私はいろいろたくさんあるけれども、私が総理大臣になったら、やることは何か一つの重点をやりたい、あれは池田が残したというものをやりたい、それは道路なのだ、こうおっしゃったでしょう。私はこの意見に賛成なのです。そんなに大ぶろしきを広げたってできるものではない。選挙が終わったら命がなくなるかもしれないのですから。だからそういう点ではあなた方は、省議あるいは閣議、政調の意見等も十分御参酌になったと思う。それで七月十九日に首班指名を受けて以来だいぶ日もたちましたから、基本方針は、こうして自由民主党の政策も発表されましたし、腹はきまっておると思う。そこでまず重点的に今度おやりになるものは何と何だということを一つはっきり御言明を願いたいと思う。
○田中説明員 中山厚生行政といたしましては、厚生省所管の政策については、それぞれどなたもこれも国民生活に欠くことのできないものでございますので、それぞれについてこれを取り進めていきたいというふうに考えております。しかしながら、あえてこの中の重点を申せということに相なりますると、これはいろいろな考え方がございましょう。やはり重点についてもただ一つというわけには参らぬかと思いますが、第一に私どもが考えているのは、何と言っても低所得階層に対するところの施策を充実して参りたい。そういうことを主眼といたしまして、医療保障の充実あるいは環境衛生の整備といったようなものをこの両翼といたしまして、そのような方法で進めていきたいと考えておりますが、その他の施策についても、政府の不備な点についてはこれをさらに助長していくような方法でいきたいと思っております。
○滝井委員 低所得階層の所得を引き上げる、低所得階層にあたたかい手を差し伸べる政策が重点になっておる、その中でも特に医療保障と環境衛生だ、こういうことでございます。この前私は、中山さんなり石田さんが労働大臣、厚生大臣にそれぞれ就任をせられたときにも御質問申し上げたのですが、今回池田内閣が所得倍増の長期計画をお立てになった。十カ年間で国民所得を二倍以上にされる、こういうことなんです。まあ二・五倍くらいが目標だそうでございますが……。そうしますと当然社会保障の長期計画というものも所得倍増計画につれてお作りにならなければならぬわけです。実は今年の八月には長期計画をお出しになるという約束を前の大臣にはしていただきました。ところがこの前それを質問いたしましたが、どうも言を左右にしてはっきりしなかった。まあしばらく待ってくれというのできょうまでお待ちしたわけでございますが、御存じのように、昭和四十年になると日本の防衛費は昭和三十五年の千五百四十五億円が大体三千億円くらいになるということを、はっきり予算委員会その他で言明されている。そうすると千八百十六億円のことしの社会保障費は、先ほど田中さんは五カ年でいろいろなものをやるということをちょっとお漏らしになっておったようでございますが、たとえば医療保障であるならば、国民健康保険の四カ年計画、皆保険の四カ年計画が一応終わるわけです。来年から新しい年度になるわけですが、その後に一体五カ年でどの程度の予算というものをこれにおつぎ込みになって、低所得階層のいわゆる消費水準なり生活安定の政策を具体的に進めていかれようとするのか。環境衛生についても、上水道、下水道の五カ年計画とか六カ年計画というものが緒にはついておりますけれども、一向にそれらのものは進んでいないわけです。今度は四年のうちにオリンピックがいよいよ具体化するから、当然そういう問題が出てくるかと思いますが、こういう点、もう少しはっきりと社会保障の長期計画というものをお立てになる必要があると思う。お立てになる約束もしておりますが、これははっきりしていただく必要がある。所得が倍になったときに、われわれの社会保障の千八百十六億というものは減るのですか、それとも社会保障の経費というものは倍になっていくのですか、こういう点を当然具体的に厚生省というものは出していただかなければ、年金だって何だって見通しがつかないのです。この点、この前質問をおあずけして留保しておるわけですから、社会保障の長期計画、あるいは五カ年計画でもけっこうですが、そういう内容が具体的にあれば、こういう方針で所得が倍になるときに――一人当たり十二万円の国民所得が五年か何年かすれば十五万円とか十七万円になりますと、こういうことを池田総理は盛んにおっしゃっておるわけです。そういう場合に、十二万円の国民一人当たりの所得が十五万とか十七万になるときには、一体社会保障の経費は千八百十六億というのが減るのか、ふえるのか、ふえるとすればどの程度にふえていくのか、こういう点を一つ具体的にお示し願いたい。
○田中説明員 社会保障の長期計画については、先月の委員会においてもいろいろ質疑のやりとりがございました。目下厚生省におきましては、先生おっしゃる通り、社会保障の長期計画を実は立てたい、かように思っておりまして、いろいろ前大臣の御言明もあったようでございますが、今日真剣に厚生省がこれについて作業をいたしております。いろいろとやっておりまするが、しかしなかなか他のものと違いましてこれについてはいろいろな因子を考えなければならないわけでございまして、なかなか実は問題が複雑でございます。ただいま所得倍増論の問題をいろいろお話しになりましたが、社会保障については、国民所得が倍になった場合における、一体社会保障のあり方はどのような姿になっていくかということについても、モディフィケーションが実は非常に複雑な因子を含んでいくわけでございます。一般に国民の所得が高くなっていくから、その面において政府としていわゆる国家の手を差しのべることが少なくてもよろしいというような一面があるかと思いますれば、また反面、やはり社会構造上低所得階層によどむ階層が残ることも事実でございます。これが所得がふえていく場合に、どのような形でよどんでいくのかということについてのいろいろなむずかしい問題が実はございます。また一方、所得が上がっていった場合に、低所得階層によどむものをどの程度まで引き上げていくかということについても、いろいろ実はむずかしい問題がございまして、目下厚生省では企画室を中心にいたしまして、これについていろいろ作業をいたしておりますが、今日いまだ皆さんのお手元にお見せをいたしまして、いろいろ御批判を仰ぐ段階まできておらないのははなはだ残念でございます。非常におそいではないかというようなおしかりがございますかと思いまするが、精一ぱいやっているのでございまして、今少しくお待ちを願いたい、かように思います。
○滝井委員 待った、待ったで、川崎君が厚生大臣のときから待ってきたのです。当時川崎君が厚生大臣のときに、経済企画庁と作業をある程度やったわけです。これは予算委員会で私質問もして、経済企画庁がそれをここで発表したことがある。その後それはうやむやになってしまった。全部その推計が間違っておった。日本の統計で合っておったのは、ただ人口の増加だけだということは、鳩山内閣の経済五カ年計画その他が具体的に私たちに示してくれたのです。それはある程度間違ってはおったかもしれないけれども、とにかく作ったという事実はあった。その熱意はあったのです。従って、これはやはりすみやかに作っていただかないと、所得は倍にします、そういった場合に、一体倍になるのはどういうところが倍になるのか、倍にならないところがあるのかないのか、ならないならば、その倍にならないところに社会保障というものが重点的に持っていかれなければならぬことになる。まるっきりそれでは五里霧中で政策が立てられることになる。その日その日暮らしの政策では困る。たとえば昭和二十六年には、都市勤労者の消費支出の大体二分の一程度を、生活保護者というものが消費の支出をしているわけです。ところが昭和三十三年になり四年になると、それが三分の一になってきているのです。生活保護階層の消費支出というものは逆に減ってきているわけです。すなわち総体的に国民所得は上がったけれども、日本の低所得階層の支出というものがふえていないという事実、すなわち貧富の格差は財産税その他封鎖等で、ずっと格差がなくなっておったものが、ますます拡大をしてきておるというのが現在の状態です。そういう情勢の中で池田内閣が所得倍増計画というものを実施をしていけば、一体その格差というものが、今の情勢で縮まる情勢にあるかというと、統計は縮まっていないのですよ。突如として池田内閣が出てきて、今までの保守党がとっていた政策と全く違った政策をとっていくというのならば別です。しかし外交方針だって、あまりはっきりしないのだけれども、国連中心の外交である、自由陣営の丘の上にとどまる外交であるということははっきりしてきておる。小坂さんもそういう演説を昨日日比谷ですか、やった。そうしますと外交方針が変わらずに、政治の方針が変わらずに、経済だけぐらっと変わるということはあり得ない。従ってここらあたりであなた方に長期の計画を出してもらわぬことには困る。ただ生別母子世帯にわずかの金を出す、精神病と結核だけを七割にします、そういうこま切れ的な政策で、この貧乏人の多い日本の社会保障が前進するなんて、針の穴から天井をのぞくようなもので、そんな政策ではものにならないと思うのです。もっと根本的なところをついた政策を出してもらわなければならぬ。少なくとも総理大臣が所得倍増計画をお出しになったならば、打てば響くがごとく、厚生省ではやはり社会保障の長期計画というものが、倍増計画とどうマッチしていくかということを出さなければならぬ。すでに日米の安保のための協議の委員会は、防衛計画その他について世界の情勢まで話し合って、どんどん進もうとしているでしょう。そうすると昭和四十年には今の千五百四十五億の防衛費が三千億程度に、倍になることは確実です。そうなった場合に社会保障はどうするんだということは、まじめにお互いが考えなければならぬ問題だと思う。これは共通の広場だと思う。われわれを友党とお考えになるならば、皆さん方も腹の中を打ち明けてもらわなければならぬ。そうしないと友党にならないでしょう。お互いに友人なんですから、友人には腹を割って話すことがなければならぬ。待ってくれ、待ってくれでは私はいけないと思うのです。すみやかに一つ長期計画をお立てになっていただかなければならぬ、こう思う。
 今度の池田内閣の三本の柱の政策を見て参りますと、初めの社会保障というものがいつの間にか第一位から第三位に逆転したわけです。特に私が注意を喚起したいのは、この第三位になったということは、あなた方が低所得階一層の消費水準なり、生活安定というものに重点的に力を入れるということがほんとうだろうかという感じがしてくる。と申しますのは、池田さんが第一位に持ってきた公共投資、すなわち設備投資がだんだんふえていく。設備投資がふえると生産が拡大する。生産が拡大をすれば所得が増加をする。所得が増加をすればうんと税金を取られるから減税する。減税をすると今度はそこに貯蓄ができる。貯蓄ができれば資本の蓄積がうんとできる。資本の蓄積ができれば次にまた設備の拡大ができる。なかなかうまいことを言っている、うまい循環を言っております。池田さんは昨日の演説では、そういうように社会保障というものを三番目に持ってきて、公共投資を第一位に持ってきた。港湾、道路、用水、用地あるいは環境衛生も入るでしょう。こういうものが入りますが、設備投資で一番大きな利益を受けるのはだれなんだというと、低所得層じゃない。受けても間接の利益です。一番大きく利益を受けるのは何といっても大企業です。こういうことから設備投資をぐっと大きく持ってきたということで、麦飯は忘れたころに食わされるという社会党の選挙スローガンが出てくるわけです。その次は減税です。日本の税制体系で負担が一番多くかかっているのは月収三万円から六万円の階層です。いわゆる中間層です。これが減税の恩典を受けるのは私は必要だと思う。第三の、社会保障の恩典を受けるのは所得三万円以下、日本では所得が、標準世帯で五人おりますと、三十二万円以下までは無税なんです。だから減税の恩典に浴さないというのは三十二万円以下、しかも同時に公共投資の恩典も間接的な影響しか受けない。九千万国民の中でおそらく五割程度は三万円以下です。月収三万円以下の階層です。おそらく所得税を納めておる人の五割七分程度は三十万円以下じゃないかと思う。そうしますと、ここらあたりの社会保障というものをどうも自由民主党さんの政策、それから池田さんの演説等を聞いてみると、昔の明治以来、日本の社一会保障、社会政策として社会保障が発展してきた、その社会保障という概念一がまだ薄いときの、上から与える的な慈恵政策的なニュアンスが非常に強い。尾閭骨が、尻のところに何かしっぽがついているような感じがするんです。これはもう一ぺん池田さんに厚生白書を読んでもらわなければいかぬと思う。これは明らかに分配政策であり、しかもこれが生産政策につながっているという大きな点がどうも見落とされているのです。公共投資だけが生産につながっておって、生産の拡大をやって所得の増大を来たすとお考えになっておるようです。もう一ぺん昭和三十四年の厚生白書を池田さんのところに厚生大臣と田中さんの名前で送って、これを読んでくれということで読んでもらう必要があります。どうも池田さんのニュアンスはそういう慈恵政策的な社会保障政策であって、これがほんとうの日本の経済の発展の非常に大事な基礎的なものであるということを忘れておるのです。そういう点で、どうもそういうニュアンスが非常に出てきておる。社会保障は後退したという感じはもはや国民の中にびまんし始めました。よほどこれは野党の友党としては政権を担当していらっしゃる池田内閣に、特に厚生行政を担当しておる田中さんに私は御忠告を申し上げておかなければいかぬと思うのです。ぜひ一つ厚生白書を、池田さん最近非常に御勉強なさっておるようですから、厚生白書をお送りいただきたい。これはお願いです。
 次は今、年金の問題をいろいろお話しになりました。年金を延長すべきである、社会党もそういう党議を決定しております。民社党さんも決定しております。われわれと一緒に選挙区で国会報告としていろいろ演説をやっております自由民主党さんの代議士の中にも、あれは反対だという人が相当出てきております。これは事実です。そういう演説を私は自由民主党さんの現役の代議士さんがおやりになっておるのを聞きました。この委員会の所属の議員さんです。一体田中さんとしては、この年金をしゃにむに推し進めてやるお考えなのか、それともここらあたりで十分友党である野党の言うことに耳を傾けながら思い切って延長するか、それとも野党の主張に耳を傾けながら次の通常国会で大幅に修正でもやるというおつもりなのか、根本的な態度はどうですか、あくまでも推し進めていくという所存なんですか。
○田中説明員 拠出制年金については、先ほどお答えいたしましたが、しゃにむに原案のままで推し進めるというようなことは実は考えておりません。友党である社会党の御意見等も尊重いたしまして、不的確な点、あるいは不十分な点についてはできる限りこれを手直ししまして、中止することなく明年度から実行していきたい、かような基本的な態度を持っておるわけであります。
○滝井委員 そうすると、次の通常国会あたりで相当大幅な修正をおやりになる、こういうお考えを持っておられるわけですね。そういうことがはっきりすると、だいぶ問題は違ってくると思いますが、さいぜん、ことしの重点政策としては、何としても低所得階層に重点が置かれる、特にその中の医療保障と環境衛生、こういうお話がございました。実はその年金の延期を私たちが主張する根本的な理由は、二つあるのです。一つは、池田内閣がとられる政策であるいわゆる貿易為替の自由化の政策によって日本の農村と中小企業が非常に大きな影響を受けるということです。しかも貿易為替の自由化で中小企業では、大企業とその系列化の中に入る企業は生き延びます。しかし系列外に落ちる企業というものは、相当失業が出ると考えなければなりません。それから農村についても、昭和三十七年までには農産物の自由化が進行します。これは第一年度で大豆、来年度は酪農製品あるいはテンサイ糖ですか、それから第三年度、三十七年度が米と麦、こうなりますと、これはいわば貿易の自由化のあらしの中に、経済基盤の弱い農村がたたき込まれることになる。池田総理が言明されたように、少なくとも十カ年間では、現在の農業の労働人口を三分の一にするのだといたしますと――最近は四割を修正しておりますが、大体三分の一にしますと、現在千五、六百万の農家から九百万が出ていくということになる、六百万そこそこしか残らない。これは農業構造が根本的に変わってくるのです。農業構造が根本的に変わるということは、同時に中小企業がそれによって影響を受けることはもう確実です。中小企業自身も貿易の自由化で影響を受けます。そうすると、三千万の拠出制の年金の対象になる階層は実は中小企業と農民なんです。その基盤というものがここ二、三年の間にがらっと変わっていくわけです。少なくとも十年のうちには農村から九百万の人口が出ていかなければならぬということを意味するわけです。そうしますと、今までの拠出年金では十カ年未満の掛金では年金はもらえない。こういう根本的な経済変革を新しく政策として昨年の十月ガットの総会以来、あるいは、日米安保条約を一月十九日調印して以来おやりになるわけですから、これは今までの平和なときに考えた年金制度というものをそのままこの激動期の経済変動と経済構造の変革の中でやるということは不可能である。これで年金制度の基盤はくずれたのです。政策の転換です。関税を高くして保護政策をとろうとしておった日本の経済に対して、今度は温室を取っ払って寒風に吹きさらさせるのでありますから、全く情勢が変わってきた、背景が変わってきた。その中で、背景の変わらない前の年金制度そのままを推し進めるということはできない。だから私たちは、日本経済が貿易為替の自由化である程度その風になれるまでは年金制度を延期すべきであるということがわれわれの主張です。これに対してあなた方はどう反論をしてわれわれに申し開きができるかということが一つ。もう一つは、根本的な改正をやらなければ、今の年金というものは社会党の主張しておったものよりはるかに遠いのでありますから、われわれは反対しておった。従ってこの根本的な法の改正と経済基盤の大きな変化という二つの理由から、拠出年金は基本的に反対をする態度はとらぬけれども、延ばさなければならぬというのがわれわれの主張である。だからこれに対してどうあなた方は対処してくれるかということです。あなたは根本的に改革をすると言ったが、根本的改革をするにしても、なお経済問題というものを解決していない。
○田中説明員 先生のお説でございますが、為替貿易の自由化によって日本の経済構造が大きく変わるであろう、こういうお話ですが、確かにそういう一面もあろうかと思います。しかし為替貿易の自由化というものは日本経済を拡大繁栄させるための一つの手段でありまして、総理も申しておる通り、それ自体が実は目的ではないわけでございます。従いまして為替貿易の自由化によって日本経済が縮小するないしは大きく打撃を受けるというようなことは、政府としては考えておらないわけでございます。そこで為替貿易の自由化によって日本経済が繁栄をする、向上をするというところにめどがある限りにおいて、私どもは中小企業あるいは農業というものがこれだけでさように大きな打撃を受けるものとは考えておらないわけでございます。また事実農業等につきましては、為替貿易の自由化の問題はできるだけ風当たりが少なくなるような諸般の周到な配慮をしつつ政府はこれを実行するということで考えております。また農業人口を約四割に減らすというふうに考えておりますが、これもまた農業人口を減らすということ自体が目的ではないのでありまして、実は農業生産所得というものを、この際所得倍増と見合わせていくというような目的においてそのようなことを考えておるわけであります。さようにいたしますと、かりに四割に減るといたしますれば、それだけ農村経済は潤うことに実は反面相なるわけでございます。従って農村の経済についてもそう悲観すべき材料ではない、かように観念するのが正しいのではないかというふうに思うわけでございます。もちろん離農するものについての受け入れ態勢、そういうものについていろいろ実は摩擦的な混乱もございましょうが、それらについては、総合的な政策からいろいろとさような混乱を少なくしていくといったような施策もとられるでございましょうから、決して為替貿易の自由化あるいは農業人口の減少ということが、すなわちとりもなおさず農業あるいは中小企業についての経済的打撃を意味するものではない、かように考えまするので、この点からだけで拠出制年金の実施を再検討するということは、根本的な命題としては当たらないのではないか、いろいろその間において考えなければならない問題はありますけれども、根本的な命題として把握するのには、いささか論理が遠いのではないか、かように考えるわけであります。
○滝井委員 少し田中さん勘違いをしておると思うのです。今日この日、農民が拠出制の国民年金の被保険者になります。そうすると、この農民が三年の後には離村をしなければならぬ、都市の勤労者に転化しなければならぬということになったときには、これはかけ捨てになってしまう。殷鑑遠からず、駐留軍の労働者が厚生年金に莫大な金をかけたのです。そして彼らは今どういう処置をとられておりますか。現在すでに炭鉱労働者がそれぞれ厚生年金をかけましたところが、これがその年金の年限に達しなくて、みんな首を切られて出ていく。これから三十八年までには、さらに十一万の炭鉱労働者が首を切られていく。これらの諸君のかけた年金の金というものは、一体どうなっておりますか。みなそれぞれかけ捨てと同じ状態になっておる。こういう状態が、今目の前で農村に起ころうとしておる。だから、すでにわれわれは、駐留軍の労務者で苦しい経験を持っている、あるいは炭鉱でそういう状態が出てきておるわけです。だから、やはりあなた方は、この怒濤のような貿易自由化の経済構造の変革の中で、ほんとうに出てきたものを、これだけのものを全部救って、掛金だけは返します、政府の政策でやるのだから返しますという言明ができればいい。しかし駐留軍なんかでもしてない。そのままだ。だから駐留軍離職者は、このかけた金をわれわれになんとか返す要求をして下さいという要望が今あるのです。まずその駐留軍労務者に対しては、厚生年金をかけて退職した人には一体どうするつもりか。これはもちろん次の労働者になっていけば別です。しかしそれが見通しがない。現在日本では四十歳以上の雇用というものは、ほとんど不可能になりつつある状態である。だから、炭鉱の離職者というものは、炭鉱地帯に停滞をする。行ったって職がない。あったって土工か日雇いで、生活が安定しないものです。これはいずれ労働の方でやりますが、こういう点について、もう少しはっきりと見通しを立ててもらわないと、今のように、出ていったら農業は安定する――それは残った人は安定します。農林漁業基本問題調査会の意見によれば、日本農業というものが外国農業と太刀打ちするためには、二人ないし三人以下の労働力、しかも耕作反別一町五反、でき得べくんば二町五反が望ましいという政策です。そうなりますと、三分の二は切り落とされる。六百万農家の中から四百万農家が切り落とされていくのです。二百万残る。ここ四、五年の間に、一体日本から九百万の農村労働力が出た場合に、雇用態勢が、日本の第二次、第三次産業が受け入れ態勢がありますか。日本の資本主義が食えるだけの賃金を払える雇用の吸収限界というものは、八十万から百万が限界です。生産年令人口は年々百六、七十万ふえていく。しかも農村からは、ここ四カ年に九百万も出ていく、中小企業からも出ていく、大企業からもオートメーション化で出ますよ。こういう状態を考えたときに、貿易為替の自由化で日本の経済が一挙によくなると思うと、三十二年の石橋内閣における池田大蔵大臣がとった状態と同じ状態が日本経済に出てくると思うのです。そういう点では、これは池田さんとわれわれと議論が分かれるところです。分かれるところですけれども、社会保障については慎重にやってもらわないと、そう簡単にいかない。だからわれわれは延期しよう、情勢を見ようというので年金反対の運動をやるわけです。今のようなあなたの答弁では納得がいかない。
○田中説明員 滝井先生が為替貿易の自由化の問題についていろいろお話しになったので、その点について私どもの意見を申し述べたのですが、今度は話が少し変わって参りまして、離職の問題に入ってきたわけですが、離職についていろいろこれを再雇用する点については、主管省が労働省でありますので、午後労働省からお聞き取りを願いたいと思います。
 ただ、いわゆる農業から離れまして他の産業に入っていく、そういったような場合については、なるほどかけ捨ての問題が実は起こるわけでありまして、従来からこういったような年金と他の年金との調整問題につきましては、厚生省においてもこの年金の発足当時からいろいろと必要を認めて実は検討をいたしておりまして、だんだんと案がまとまりつつあるようでございます。この内容については年金局長からお聞き取りを願いたいと思いますが、そういったような要件というものは、確かに先生のおっしゃる通り、今日こういったような為替貿易の自由化あるいは農業人口の政策的減少という問題を控えまして、さらにその要請が強まったということは考えられますが、根本的にはいわゆる社会保障ないしは国民年金の範疇でものを考える場合においては、この通算調整という問題について、これを鋭意やっていくことによってある程度のことは可能であるというふうに考えているわけであります。
○小山説明員 年金に関する問題だけについて申し上げたいと思います。滝井先生がおっしゃったように、国民年金の対象というのは将来減っていく趨勢にある、これはおそらく仰せの通りであろうと思います。私どももそういうことでいろいろと検討をしているわけであります。ただし、このことから直ちに、それだから国民年金の実施をしばらく延期しなくちゃならぬというような結論を導き出されることには、どうも賛成いたしかねるのであります。むしろ、その議論の際に登場いたしますのは、結局年金財政方式を賦課式にすることができるかどうかという問題なんであります。こういう問題を、私ども二年前から意識しておりましたからこそ、賦課式という考え方が、考え方としては非常にいいものを含んでいるということを承知しながらも、とにかく今すぐ賦課式ということは危険だ、こういうような立場をとったわけであります。現在の国民年金法におきますように、積立方式をとります限りにおきましては、この問題は全然心配は要らないわけなのでありまして、対象が減じましてもこの点は全然支障がない、こういうようなことになりますので、この点から年金の実施を延期するというような結論は出て参らないと考えます。
 それから第二の問題の、一番短いものでも十年間以上拠出しないと老齢年金が受けられない、三、四年で他に転業するというものが相当多い時代のもとにおいてこれを考えていくことは、結果としてかけ捨てになることを強要するのではないか、こういうお話でありますが、この点はただいま政務次官から申し上げましたように、通算の問題として現在準備措置が進んでおるのであります。どの程度に進んでいるかという状況は、すでに内閣の社会保障制度審議会において報告をいたしまして、この政府が計画しております内容てついては、大へん点の辛い先生方も、この問題はそういうふうに進んでいくならば大体いいであろう、従って早くそれを実施するようにしろ、こういうような御意見でございまして、これはまだ若干政府部内に調整をする余地が残っておりますけれども、なるべく早い機会にこれを法制化する準備を進めて、来年の四月一日からは確実に実施する、こういうふうに進めているわけであります。これが行なわれますと、先生仰せのように、国民年金の対象からよそへ移っていく人の場合でありましても、あるいは厚生年金から逆に国民年金に移って参ります場合でありましても、あるいはいろいろの被用者年金の制度の間を移って参る人の間にありましても、いわばかけ捨てというものがなくなって拠出した期間が生きる、こういうことになるわけでありますので、いずれにしても、これらの問題については、なお十分準備措置を促進していくということに努めますならば十分解決ができる、こういうふうに考えていいと思います。
○八木(一男)委員 今の小山君の御答弁にちょっと関連質問したいと思います。前段の方にも非常に異論がありますが、これは午後からの私の質問で申し上げますけれども、後段の方の通算の問題であります。通算の問題については、じゅずつなぎ方式とか凍結方式ということで検討しておられるのはわかりますが、その方式の問題より以上に大事なのは、途中でやめた人が本人の保険料だけではなしに、たとえば労働者年金から国民年金に移るときには使用主分の保険料、あるいは労働者の場合も農家の人々の場合も国庫負担の期待分、その分を全部凍結されるなり、また持ち分として移管されるなり、そういうことが根本的に大事な問題であります。方式として凍結方式をとるというのは、現在の事務処理をなまけておいて、将来において財布の中で通算されるようになるという完全な移管方式であって、事務処理を完全にして、被用者の方がややこしい思いをしないですぱっともらえるという方式が必要であります。結果としては金が入るから、それは今の方式でも了とするにやぶさかでありませんが、問題としては途中で転職をするような不幸な人が、脱退手当金というような不利な状態で計算をされないで、国庫負担の期待分も、あるいは使用主の方の保険料分も完全に計算をされるということが大事であります。社会保障制度審議会の答申を昨年の九月にされたときには、これは完全に入っておったわけでございますが、厚生省が中心になって各省で調整しておられる案は幾分の配慮はあっても、完全なる形において配慮がないように存じます。それが問題であって、それを完全にされない限りにおいては、今滝井さんの御質問の問題、農業従事峠から労働者に転換したときに損が起こるじゃないかという問題は、大部分の問題が解決をしないわけでございます。その点について、通算して途中転職者が完全に不利にならないようにしておかなければ問題が解決しておらないわけでございます。その点について再度御答弁を願いたい。
○小山説明員 国民年金におきましては、ただいまお話しのような問題については、中途脱退者でありましても、あるいは国民年金で老齢年金の受給資格期間を満たしました者につきましても、全く同一に取り扱っております。国民年金を除くその他の制度の問題については、私は八木先生のおっしゃるようなところにいくのが一番望ましい姿だと思います。途中で職を変えなくちゃならぬという人は、どちらかといえば今の日本ではやや気の毒な人でありまして、一生同じ企業で過ごせるという人の方が恵まれた人であるということは仰せの通りだと思います。ただこの問題についてはもう八木先生よく御存じのように、やはりそうしますについては関係の被保険者その他の心からの同意と納得がないとできないことでもありまして、今すぐそこまでいくのはなかなかむずかしかろう。従って退職一時金というものを見合いにする限度において道を作ろう、こういうようなことが現在進められておる作業でありまして、私の了解するところでは、滝井先生のように非常に理想的な御意見をお持ちの方もおられますけれども、社会保障制度審議会で前回御意見を承りましたときには、まあまあ今の段階ではこれで仕方がなかろう、こういうようなことで、実質的に内容については御了解を得たように考えております。
○八木(一男)委員 もう一回御質問しますが、これは小山さんの聞き違いであります。あそこの社会保障制度審議会の審議の場では、小山局長はそのとき年金準備室長としておられたと思います。そこで日経連の代表の斉藤君からは、脱退手当金程度のものでよろしい、今井一男君からは、それにちょっと色をつけたものでよろしい、私の場合にはさっき言ったように完全な形の持ち分移管方式を主張した。そのほか末高君の言われているうちばき二重加入方式というものは三重転換のときにだめだということで、結論としてははずされて、持ち分移管方式が問題になりましたときに、宮尾君の方から凍結方式、じゅずつなぎ方式という提案がなされたわけです。最終的に賛成をするときに、宮尾君の方式でも仕方がないけれども、その途中の、今言ったような転職者の利益を完全に確保する方式によって凍結方式をとるのかという質問をしたところ、宮尾君はその意思であるということで、最終的に私なり塩谷君なりも賛成してまとまったわけです。その経過は小山さんは御存じのはずであります。しかしながらそれが非常にあぶないので再三申し上げているのですから、持ち分移管方式であろうと、凍結あるいはじゅずつなぎ方式であろうと、方式の問題はややこしいだけの問題であって、金が入ればいいのでありますから、その問題はとやかく追及いたしませんけれども、途中脱退者のほんとうの利益が完全に守られるということに透徹した案を進めていただきませんと、あの答申とは背反した厚生省の案ということになるわけであります。その点についてもう一回、間違った理解でなしに、あの経過をはっきりと確認されて問題を進めていただきたいと思います。
○小山説明員 あの答申をなさいますときに、八木先生がただいま仰せのような御意見を持っておられたことは仰せの通りでございます。自来一貫して非常に強くそれを御主張になっておりますことも、これまた事実でございます。私が申し上げておるのはそういうことではなくて、その後答申に基づきまして関係各省が事務的な準備を進めまして、一応まとめた中間の案がございます。ことしの四月と七月に二回にわたって社会保障制度審議会のお求めによって報告したわけであります。案は具体的な内容を報告を申し上げたわけであります。七月の会合はたしか二十八日になっておりますが、この会合のときにただいま申し上げたような実質的な御了解をその場で得たわけであります。そうしてこういうようなことで案がまとめられてくれば、社会保障制度審議会としては事前にそれぞれ審査をしたのだからまあいいという気持で、のんでもいいであろう、こういうようなお話であったわけでありまして、私も根本の考え方として八木先生のおっしゃるようなものに通算のやり方をしていくということが、これはもう望ましいだけでなくて、なるべく早い時期にそうしなければいくまい。この点はもう心からそう思っております。ただ来年の四月実施を目途とする通算の内容としてはそこまでは参らぬというふうに考えざるを得ないというのも、大体八木先生を除くもう少し物事を現実的に考える人間の共通の考え方じゃないか、そういうことでございます。
○滝井委員 実は年金の通算調整の問題の手のうちが国民にはまだわからない。わからない中で、言うように激しい激動が起こりつつあるわけです。すでに駐留軍の離職者でその例を見る、炭鉱でその例を見るわけです。駐留軍離職者に対する厚生年金の掛金のあとの処理は一体どうするか。これは国の政策で出てきたものです。駐留した軍隊が帰るという、大きな国策のために出てきたその労務者に対して、何も加えられていないと同じですよ。いわゆる貿易為替の自由化という大きな池田内閣の政策が池田勇人氏の推進によって出てきた。この政策のために農村における今までの国民年金の対象者が、今度は国民年金からほっぽり出されなければならぬという事態の前に、選挙に臨む前にもっと具体的に国民に示されなければいかぬわけです。それが示されないから、農村で年金の話をしてごらんなさい。みな目を輝かして聞きますよ。与党の中で今度初めて立候補する人は、これは大へんだ、やめてもらわなくては困ると与党の中からみな言っています。小山さん、野党、友党にもう少し耳を傾けなければいけませんよ。そういう状態です。であったら、あなた方はもう少し早く政治的にこういう政策をお出しになるときにはそういうことをお書きにならなければならぬが、抽象的にしか書いてない。もっと具体的にお書きにならぬと、拠出制の年金のことについては、この自民党さんの政策には具体的にお書きになっていないでしょう。通算調整というものは四月一日からどういう方式でやるんだ、当然行なうのだから一番大きな問題です。安保の問題と年金の問題というものは今度の選挙における一番大きな問題だ。何もお出しにならぬ、手のうちを示さぬからわれわれは疑うのです。その点では、来年の四月からおやりになるということは、われわれにはよくわかりました。おやりになる具体的な内容はどういうことだ、そしてそれによって国民は損をしないと、はっきりしていただかないと、国の負担がどの程度、そのために保険料の半分のお金を出しているのを同額に出すとかいうように、もっとはっきりした政策をお出しになってもらわないと、わからないところがあるんです。
 もう一つわれわれが納得いかない点は、これからの政策が低所得階層に重点を置かれる、しかも医療保障だ。医療保障は短期の保険です。年金は長期になる。そうすると、現在日本では短期の国民健康保険制度自体が固まっていない。しかし貿易為替の自由化がこの現実に実施している国民健康保険に大打撃を与えるのです。これはもう農村からどんどん出ていくわけですから、だからこれはもう大きく経済状態が変わってくる。対象が少なくなってくる。対象が少なくなるということは、同時に経済がうまくいかないことを意味する。お金持ちだけが何人かおる保険というものは保険として成り立たぬでしょう。成り立ち過ぎて成り立たぬ。過ぎたるは及ばざるがごとしでしょう。こういう点で非常に大きな影響か及んでくる。しかも短期保険について、国民健康保険については何かちゃちな、精神と結核については世帯主については五割から七割に引き上げる、こういうけちくさい政策をお出しになって、あたかもこれが選挙の大スローガンであるがごときことを言わっしゃっておる。こんなものは問題にならぬです。国民健康保険の患者が結核療養所や精神病院に何人入っておりますか見て下さい。単に世帯主だけじゃない。精神病なり結核になるのは家族もなる。そういうものには目をつぶっておる。しかも来年度の自然増収は二千五百億、慶応大学の高木先生によれば三千五百億くらいあるといっておられる。そういう中でこういう政策をおやりにならない。私は厚生省は何しておると言いたい。厚生省のお役人が全部一緒になって辞表を出すくらいの勢いがなければこれはとても、公共投資公共投資といわれても、社会保障なんてものはあとになってしまう。一体短期の保険についてあなた方はほんとにおやりになる政策というものはどういう点ですか。今の精神と結核だけ国民健康保険については五割を七割に、世帯主だけについて引き上げる、こういうけちな政策ですか。これが自由民主党の社会保障を拡充強化するという政策なんですか。短期の保険、重点を置くのは医療保障であるとおっしゃるなら、医療保障の重点というものは、精神と結核で世帯主を七割にするということなんですか。
○田中説明員 さきの山下委員にお答えいたしました通り、厚生省といたしましてはそれだけに限らず、先ほど申したようなことを実は考えて、これを実は大蔵当局に対し予算要求をいたしているわけでありまして、自由民主党の方では先ほどお読みになったような政策を掲げておりますが、私どもといたしましてはそれのみならず、従来から厚生省の考えているこれらの諸般の政策を取り進めていきたい、かように考えてせっかく努力をいたしているわけでございます。
○滝井委員 もう少しはっきり言ってくれませんかね、具体的に……。大きな社会保障の柱として、さいぜんもいろいろ山下先生におっしゃったというけれども、大して具体的なものはなかったんですがね。小児麻痺とか福祉年金における生別母子の問題とかいうことはありました。現に医療保障で大きな柱として打ち出していくというものは一体何でございますか。もう少し具体的に言って下さい。
○田中説明員 国民健康保険につきましては二通りのものを立てておるということについてけさほど実は申し上げましたが、結核と精神については七割給付、党の方では世帯主というふうに書いておりますけれども、厚生省の原案といたしましては、世帯主のみならず全被保険者について七割給付をいたしたい。それから措置入院等をしておるものについては、これは保険からはずしまして全額公費で見ていきたい。それから全疾病について五カ年計画で七割給付をいたしていきたい。七割給付をする保険料については大体四割程度の国庫補助をしていきたい、かようなことを国民健康保険については現在考えて、これを財務当局に要求をいたしておるわけでございます。その他医療保障問題についていろいろございますが、国民健康保険について申し上げればそういうことが主眼であります。
○滝井委員 そうしますと、大ざっぱに言って大政策というのは、五カ年計画で国保の給付を七割にするのだ、患者負担が三割だ、結論的にはこういうことですね。しかしそれは五カ年になるのですが、今より二割だけ給付が増加をするわけです。そうすると四%ずつ引き上げていくことになるわけですか。どういう順序で――第一年度は幾ら、第二年度は幾らと、こうなるのですが、二割を平均割したことになるのですか、同時に国庫負担の増加割合も……。
○山本(浅)説明員 お答え申し上げます。国民健康保険の財政状況が非常に現在におきましても困難であることは先生御承知の通りだろうと思います。だからといって、国民健康保険の給付率が、現行のおおむね全国とっております五割の現状がよろしいということも言えないこともまた先生の御指摘の通り、われわれも同感に存じております。従いましてその間の調節を考慮しつつ国保の漸進的な発展を期するということのために考えておりますのは、国民健康保険の保険者のうち、いろいろ財政事情に比較的余裕のあるところもございますし、また逆に非常に困難なところもございますので、はっきりした年次計画ではございませんが、おおむね五カ年で五分の一ずつ、保険者の財政のそういう給付率を引き上げることにたえやすい町村から実施していただくことを期待するというような意味で、五分の一の保険者が逐次七割給付になっていくという考えでございます。しかしその場合におきましても、仰せのように国保財政は全般といたしまして非常に窮屈でございますので、現行の国庫負担二割、調整交付金五分というもののほかに、保険料の増徴もある程度やむを得ないと存じますが、この給付率の引き上げによって保険財政が苦しくなる部分につきましては、国庫の大幅な負担増ということを考えざるを得ない、大体そういう考え方でおる次第でございます。
○滝井委員 どうもきわめて消極的な状態だと思うのです。日本の経済が十カ年間に二倍以上になる、しかも一番貿易為替自由化のしわ寄せを受ける中小企業と農業、現在日本の自営業者は、大ざっぱに言って千百万です。この千百万の日本の自営業者の中で七割四分というものは二万円以下の所得階層です。いわば二万円以下の所得階層、二十四万円の所得しかない。これはいわばボーダー・ライン、すれすれのところにある階層ですよ。低所得すれすれのところにある階層です。こういう人たちの政策、今から五カ年間に一番医療の重点政策であるものを五分の一ずつなしくずしにやっていくのであるということでは、社会保障の拡充強化にならぬと思うのです。羊頭を掲げて狗肉を売る、今牛カンだといって馬肉やクジラの肉を売る、これを一体厚生省はどう処置されておるか知りませんが、最近そういう質問をしてくれという要望が至るところから来ておる。それと同じですよ。厚生省自身がまるきり羊頭を掲げて狗肉を売っているようなものですよ。これはどうですか。七割にした場合に、四割国が負担するのに一体幾らの財政負担が必要なのですか。現在の農村の人口構造が一応変わらぬとして、今のままで推計をした場合に、七割給付して四割の国庫負担を実現していくというときには、どの程度の財政負担なんですか。
○山本(浅)説明員 そのような措置をとりました場合、国庫負担がどういうふうに上がるかということでございますが、三十六年度三百六十億、三十七年度四百九十三億、三十八年度五百九十八億、三十九年度七百十七億、四十年度八百四十四億、これは今の姿を前提としたものでございます。もちろん先ほど来いろいろお話のございますような対象の大きな推移というようなものもいろいろあろうと思いますが、現在の姿を前提といたしましたきわめて大ざっぱな推測でございます。
○滝井委員 そうしますと、これはいわゆる精神、結核等の措置入院というものは全額国民健康保険から除外をして、そうしてその結核と精神を除いた一般の疾病について五カ年計画で七割給付をする、そうして最終的な年度の五年目、昭和四十年に四割の国庫負担になった、こういう累進的な、段階的な計算になっておるわけですか。
○山本(浅)説明員 大体そういうふうに考えております。ただしこの数字を作りましたときには、結核、精神につきましてのこまかい数字が正確に入っておりませんので、ごく正確な先生のおっし中ったような数字ということには、もう少し数字を詰める必要があろうと思いますが、大体の見当としてはそういうことでございます。
○滝井委員 八百億の金が要る。私は日本の医療保障というのは、健康保険と国民健康保険制度が二大支柱だと思うのです。そうしますと、政府管掌の健康保険には今十億しか出していないのですから、組合は事務費、これらのものに二百億程度出しても、医療保障に千億は要る。四、五年拠出制の国民年金を延長する、経済が安定してからやる、これなら私は一挙にできるのじゃないかと思うのです。私はまず短期保険の足固めをすべきだと思うのです。そうして短期保険が五年くらいで足固めできる。そうしてきちっとコンクリートになったときに、その上に長期の保険をスレートする。そうすると短期保険に対する支出が家計の中からある程度減ってきます。そうすると年金に対する掛金は順当に行くのです。これを一緒に、この経済の混乱の中で行こうとするところに問題があるということを私は指摘したい。だから八百億の金は大きいようでございますが、これは年金の掛金のとにかく二分の一は出すのですから、年金をやめれば二百億やそこらはすぐ出てくるわけです。そういう点で、社会党なら社会保障、特に医療保障に千億くらい出せます。あなた方はこれくらい要求してもいいと思うのです。この自然増の多い中で、のめのめと自衛力その他に金を食われておって、しかもべールカ、ストレールカという二匹の犬が宇宙船に乗って地球上に帰ってきたときに、役に立たないロッキードを作ることはばかくさい。こんなことは小学生でも知っている。そういうことを閣議であなた方がからだを張って主張しなければだめですよ。そういう点では、もう少しこういう点を前進さしていく必要があると思う。
 時間が来ましたからだんだん次の問題に進みますが医療保障はこういう点で五カ年でおやりになるそうですから、やらぬよりかいいでしょう。そうすると保護基準を与党さんの方では二割六分引き上げになる。これがまた医療保障なり、失業対策に重要な影響を及ぼしてくるわけですが、一体保護基準を二割六分引き上げたならば幾らの財政支出増になるか、そして対象人員はどの程度に拡大をすることになりますか。現在生活保護の対象百六十万人、世帯にして六十二万世帯、これを二割六分引き上げた場合には――社会党は最低五割だ。率直に申し上げますが、実態調査の結果、大人一人当たり二千円で食っている人はわれわれの調査ではたった一人しかいなかった。しかもそれは七十才の一人世帯の御老人です。その七十才の御老人は栄養失調で浮腫があります。顔や手がはれております。足がはれております。こういう状態です。一人二千円で食っている者がおりましたたった一人がこういう状態です。最低五割引き上げなければいけないというのがわれわれの意見です。五割でも栄養失調がとれるかどうかわかりません。厚生白書には九千万の国民のうちの四分の一は栄養失調だと書いてある。厚生白書なり栄養審議会がそういうふうに指摘をしております。こういう実態から見ると、二割六分程度では足りませんが、とにかく今まで三%か四%しか引き上げなかった与党さんの方で、二割六分引き上げるという案をお出しになっている。これは大歓迎です。二割六分引き上げたときに、一体どの程度生活保護対象者が増加するか、そうして財政支出は一体どの程度になりますか。
○太宰説明員 ちょっと手元に資料を持ち合わせてございませんので、その点御容赦願いたいと思うのでありますが、保護基準を引き上げますと、当然それが、たとえば児童福祉の措置費等にも響くわけでございますが、私自身は全部のことを所管いたしておりませんので、私どもの方の関係で申しますと、保護基準の引き上げということだけでございますと、約五十億ぐらいで片がつくと存じます。その計算の中で、先ほどお尋ねのどのくらい人がふえるかということでございますが、これは私どもといたしましては、そう世間で想像されるほどにはふえないだろうという考えを持っております。当然保護基準の引き上げということを政府が考えます場合におきまてしは、いわゆる低所得階層の方々の賃金というようなものにつきましてもやはり何らかの手当というものが同じように並行してあってしかるべきだというふうにも考えるわけでございまして、その点からいたしましても、いわゆるボーダー・ラインの層の人たちがずるずると入ってくるというふうにも考えないわけでございます。事実、今まで過去何回か基準を引き上げて参りましたけれども、その中には相当大幅に引き上げた時代もございましたが、そのときの情勢からいたしますると、やはりふえておりません。むしろそういうことによって左右されるよりも、景気の変動によって左右される。保護人員がふえたり減ったりするということの方が大きい要素でございまして、今回の引き上げがもし私どもの希望している通り実現するといたしますと、相当大幅な引き上げでございますから、過去においてふえていなかったからといって、今度もふえないとは申し上げることはできませんが、しかしその数はそんなに大きな数ではなかろう、かように私どもは考えておるわけでございます。
○滝井委員 お金が五十億ふえたら、現在六十二万世帯あるわけですが、六十二万世帯にしておよそどの程度の腰だめ的な数字が出て参りますか。これは非常に重要なところです。世帯にしたらどの程度の世帯が生活保護階層のボーダー・ライン層に入るか。昭和三十三年の厚生白書では千百十三万人、二百六十四万世帯が生活保護すれすれに接着をしておる。この二百六十四万世帯の中から幾らが二割六分引き上げることによって、五十億予算措置が増加することによって生活保護の階層の対象になるかということですが、これはぜひ一つ教えていただきたいと思います。
○太宰説明員 その点につきましては、なおさらに集めなければならぬ点もございますが、ただいま私どもに出ておりますものでは、現在百六十六万人でありますが、大体せいぜい九万世帯か十万世帯くらいであろう、かように私どもは考えております。
○滝井委員 二割六分引き上げて五十億の金で九万世帯、まあ百六十六万人、六十二万世帯が七十万世帯だ。これで二割六分引き上げのわれわれの大体の確信が持てました。これは大いに与党に御協力申し上げて、ぜひやってもらわなければならぬ。きょうはこれは非常に大収獲だった。はっきり言ってけっこうだった。
 次は、医療保障をだんだん五カ年計画でこうして強化をされていくわけですが、この場合における診療報酬の問題というものは一体どうお考えになっておるのかということです。七割給付をおそらくおやりになる場合に、今の単価十円と今のままの点数ではないと思うのです。当然これは物価が上がっていくわけです。昭和二十七年から昭和三十三年までに八・五%のワクの拡大があった。実際は八・五%でなくて、計算してみると六%そこそこです。昭和二十七年からずっと昭和三十五年まで足かけ十年くらいになるのですが、この十年の間に六%くらいしか上がらなかったという物価は、見てみると医療費のほかにはない。こういう状態ですが、この場合の診療報酬というものはどういう推移を示していくことになるのか。当面日本医師会その他は十月一日から三円の引き上げをしてくれ、こうおっしゃっておる。われわれも滝井試案なんというのを出したときには、二円四、五十銭くらいはというところだったんだが、それが一円そこそこになったのです。当時あれは国会で討議をしないうちにうやむやのうちにごたごたっとああいうことになっちゃった。あの具体的な診療報酬の計算の基礎の内容については、国会で質疑応答がないままで実施をされておる。いわばやみからやみに実施をされたものなんです。当時の責任者としての小山さんがおりますが、われわれはあれを納得していない。力ずくで実施された。そうしますと八百四十四億、昭和四十年に国民健康保険の四割の国庫負担が実現をしていくという場合に、診療報酬の推移というものは一体どういう形で推移をすることになるのか。
○山本(浅)説明員 現在の診療報酬、つまりその内容であります単価及び点数が三十三年に今日の姿になりました際に、各方面からいろいろと御意見が出たことは、私就任して日が浅いのでありますが、いろいろの方から承っております。従いまして今日におきまして、そういう当時のいろいろ原因とされたことが、今日なおいろいろ同時にまた問題があるということも十分わかる次第でございます。また現行の点数は一応政府としては適正なものとして設定したものでございますが、今日すでに二年を経過したことでもございますので、大臣、政務次官にもいろいろ御心配をいただきまして、今日のあるべき姿についてはどういう点を考えるべきかというような点を目下検討しておる次第でございます。
 次に、各社会保険の医療費の将来の伸びでございますが、将来の見通しを立てる場合におきましては、一応現在の単価、点数というものに医療費の伸びというものを過去の経験率を用いましてそれぞれ出しておる。現在のところはそれだけでございます。
○滝井委員 私がお尋ねしたい点は、国民健康保険を七割給付にして四割の国庫負担を実現をしていくと、昭和四十年には八百四十四億の国庫負担になる。一体こういう計算をする場合には、診療報酬というものの推移をどういう工合に考えて八百四十四億になったか。これはある程度診療報酬の引き上げを加えてこういうことになったのか、全然加えずに今の十円単価でこういうことになるのかということなんです。
○山本(浅)説明員 ただいま申し上げました数字の基礎になっておるものは、もちろん現行の単価、点数でございます。もちろん先ほども申し上げましたように、医療費は年々伸びておりますから、そういう逐年の伸びというものは過去の推移をそのまま一定のカーブをとりまして上げる、こういうしかけになっております。また最近いろいろと相当高価な薬も社会保険に取り入れておることは御承知でございますが、そういう新しい傾向も十分この中には取り入れてあるという次第でございます。
○滝井委員 診療報酬の点数、単価は目下検討中だというが、どこで検討中ですか。検討の場所……。
○山本(浅)説明員 もちろん厚生省の内部でございます。
○滝井委員 その方向としては、どういう方向で検討中ですか。引き上げるという方向ですか、引き下げるという方向ですか。所得が倍になる、従って所得倍増に見合う医療費の引き上げという点もやるということで御検討中なんですか。この問題は、当然二十七年以来毎年いつも問題になっておるわけですから、検討しておらなければならぬ問題です。館林さんがいらっしゃつておりますが、いつかの御答弁でも、おりに触れて絶えず検討されておるということでございましたが、これはどういう方向で、一体どの程度を目途にして御検討になっておるのですか。これは十分おわかりだと思うのです。保険局は膨大な機構を持っておるし、絶えず局長以下勉強家がおられてやられておるし、いつも国会で問題になる問題ですから、これは当然御検討になっておるはずだと思うのです。その点、どの程度の引き上げをおやりになるつもりでおやりになっておるのか。
○山本(浅)説明員 国会におきましてもいろいろ早急に検討すべきであるということは承っておるのでございますが、社会保険診療報酬の改訂ということが国民一般に及ぼす影響というものは非常に大きいものがございます。そのことは、当然申すまでもない次第でございます。また現行の単価及び点数が定められたときにおきましても、診療担当の方々の意見に対しまして、保険者の意見あるいは被保険者側の意見というものは非常に対立的な深刻なものがあったということも申すまでもございません。従いまして、今日これをどのような方向で、またどういう幅で考えておるかということを、この席から申し上げるほど具体的な案がまとまっておるということはないのが事実でございます。大臣、政務次官におかれましてもいろいろ御心配されておりますが、われわれとしてもこの診療報酬をどう考えるかということにつきましては、あくまでも合理的な、国民全般が納得するところの根拠に基づいて物事を考えていかなければならぬ、こういうふうに考えておりますので、そういう点につきましてきわめて慎重にならざるを得ない次第でございます。また診療報酬の改訂をする場合に、単価の点で考えるというのも一つの方向かとも思いますが、御承知のように現在の点数表にもいろいろ問題がございます。こういう点数表の一部に言われておりまする不合理であるというような声も、この際十分考え合わしてみまして、これらの問題を総合的に考えて、できるだけ合理的な線とするものが出るならば考えていきたい、こういう次第でございます。
○滝井委員 診療報酬を検討するのは、今厚生省がおやりになっておるそうでございますが、厚生省だけではこれはいかんともすることができない問題だと思うのです。これはもちろん政治的には大蔵省当局とも話し合わなければならない。もっとその前に、それぞれ保険者なり被保険者も納得をする、いわゆる国民が納得をするという合理的な線が出なければならぬ。そうしますと、それを討議する場所である中央社会保険医療協議会というものは、その後どういう工合になったのでしょうか。この委員も、すぐ任命するから待ってくれ待ってくれと言って、おととし以来の問題でございますね。どうも厚生省は待った待ったが多いんですが、あまり待ったせずに――みんな弱い者や老人や病める者ですから、あまり待たせぬように、一つ早目に何とかしなければならぬと思う。医病協議会の委員は一体どうなったか。八月からカナマイシンは実施するという言明を医療課長等は日患の人等にはしているようであります。そういうことを書いたものを見たことがある。このカナマイシンなんというのは、一体いつから実施するのか、そういう二点について御説明願いたい。
○山本(浅)説明員 お答え申し上げます。現在中央社会保険医療協議会は、定員総数二十四名のうち在任中の方は十名でございまして、結局十四名の欠員となっております。従いまして、昨年半数の任期の切れました際に、各推薦団体に委員の推薦方をお願いしたのでございますが、当時日医等は話し合いが着きませんで、日医での推薦は行なわれなかったと承知いたしております。ごく最近日医に対しましても私の方の局長が参りまして、こういう次第でございますから至急に委員をお出しいただきたいというふうにお願いいたした次第でございます。また他の保険者代表、被保険者代表、事業主代表等につきましては、すでに委員の御推薦を得ておりまするので、事務当局といたしましてはできる限り早く、仰せのように大事な――この中央社会保険医療協議会が再開されまして、各種の懸案につきまして、この協議会の本案の使命でありまする各代表の忌憚のない意見の交換によりまして、早急によりよい結論が出ることを期待しておるわけでございます。
 次に、カナマイシンの問題でありますが、これはさきに日本医学会から答申をいただきました。また結核予防審議会におきましても早急に取り入れるべきであるという答申を得た次第でございます。もちろん厚生省といたしましては、できるならば一日も早くこれを取り入れたい。患者の御希望とわれわれの気持は全く一致しておるところでございます。私も患者の方々と数回お目にかかりました。私の方の医療課長も会ったと思いますが、私どもはこの問題が問題であるだけに、そうおくれることはないというふうに当時申し上げた次第でございます。しかしながら、また日本医師会の全面的な協力を得まして、委員の推薦に応じていただきまして、中央社会保険医療協議会が当初に予定しておるような円満な話し合いができる機会を早くから作るということも非常大事な要請でございます。せっかく大臣におかれましてもそのような努力を今いたされておる次第でございますので、いましばらくそのことが実現することを祈っておるような状況でございます。
○滝井委員 昨年の六月にもこういう事態になったのです。ズルファミン剤、それから結核治療指針の改訂の問題で同じようなことになったのです。このときも、いましばらく待て、いましばらく待てといって待ったのだが、待ったとたんに、結局医療担当者の委員を除外してやっちゃったのですな。これはまたことしも同じようなことになるのじゃないですか。カナマイシンという薬は、日本医学会も結核審議会も了承をしたならば、どうして薬価基準に登載できないのですか。この法律上の根拠ですね。今までほかの薬はみなかけていないでどんどんやっているのに、これだけどうして医療協議会にかけなければならぬということになるのですか。
○山本(浅)説明員 申すまでもないと存じますが、カナマイシンの採用は単に薬価基準だけで、その登載だけで済むものではございません。独特の薬効を持っているものでございますので、現在ございまする結核治療指針の改正を要するものでございます。そうしてこの結核治療指針の改正という形式におきまして、どのような場合にどれだけ使うかということは、パスの場合の――先生の今おっしゃいました昨年六月の三者併用治療の場合と同じものでございまして、当然結核の治療指針を改正するということになりますために、法律上の規定からも、また今までの中央医療協議会の取扱いの慣例からいたしましても、すべて中央医療協議会にこの結核治療指針を諮りまして、その御答申を得て正式に治療指針が定まるということでございます。同時に薬価基準への登載があることは言うまでもございません。
○滝井委員 根本的にそこに制度的な問題があるのです。実はこの治療指針なんてものは、がちっときめて、そうしてこの型以外にはだめだということについては――たとえば今のパス、マイシン、ヒドラジットの三剤の方式というものは、東北大学の熊谷先生なんかは、最近のいわゆるアメリカ方式なんかはいかぬとおっしゃっている。それは学界にもいろいろ意見がある。それぞれ人間は十人十色です。あまりがちっと治療指針をきめているから、自分で自分の首をくくらなければならぬということになる。今の段階で法律が大事か、人間の命が大事かということです。三井、三池のと同じである。三井、三池のホッパーを守るためにおまわりさんを集めた、労働者を集めた。財産を守ることが大事か、労働者とおまわりさんの血を流すことが大事かというときには、人間の命が大事であります。結局あなた方は前の段階では、たとえば医療協議会をやらなければならぬ――法律は六カ月に一回開きなさいと言っておる。ところが円満にやらなければならぬというので、その法律は平気で無視してきているくせに、カナマイシンの段階になると、治療指針がいかぬから使えませんと、人間の命を大事にしていない。勇断をもって使ったらいい。これは法律違反じゃないですよ。人間の命があぶないときには、法律に違反してでも人間の命を救うことが民主政治だと思う。しかも一方では平気で法律を破って、法律に違反して委員の欠員をだらだらと長くしてきておる。その本人が一方においては、どうも治療指針がだめです、それだからカナマイシンは使えませんというようにうまいことを言っている。自己矛盾を二つの面でやっておるというのが今の厚生省の姿です。だからそんなものは、学界とそれから結核審議会がお認めになっておるという既成事実があるのですから、こういう既成事実があったら、例外として人間の命を守るためにはカナマイシンやりましょう、これを非難する人がありますか。だれもない。そういうことが一つと、根本的には治療指針で縛り上げておるというところに問題がある。何もマイシンを一週間に二本注射しなくても、一本でいい場合もあるし、三本しなければならなぬ場合もある。それを二本しなければならぬと縛っておるから、厚生省の医療行政というものは軍陣医学と同じだということを武見さんから言われるのです。だからそんなことを言われないように、もうちょっと弾力を持たしたらいい。しかも館林さんの方で審査したら、普通の薬はどんどん平気で勝手におやりになっておる。一体カナマイシンと普通の薬とどこが違いますか。大して違やしない。もう抗生物質というものは、そんなにがんじがらめに縛ってやる必要はない。パス・マイシンなんか一グラム一円以下じゃないですか。普通の薬より安くなっておる。こんなものはどんどん解放してやることが大切です。そういうことを知りながら、アメリカ方式だなんだといって、一週間に二本しなければいけませんといってきめる必要はない。そんなものは医者がみな知っている。医学的常識に従ってやればいい。プリンシプルだけ書いておけばいい。こういう点については、どうも保険局の行政というものはあまりにかたくなになり過ぎている。これは専門家がやるのです。また患者というのはみな体質が違います。だからマイシンを三本しなければならぬときめる必要はちっともない。二本することが望ましい、これを一応の原則にしておいて下さい。場合によっては三本もよろしい、こういうふうに弾力を持たしたらよろしい。そうして今後新しく出る抗生物質というのは、できるだけ採用して、登録していったらいい。それを使うか使わないかは医者の自由です。それを経済だから、保険だからといわれるが、今保険は二百億も黒字が出ておる。そう締めなくてもよろしい。少なくとも製薬企業に使うことを許したからには、厚生省がこれはりっぱな薬であると証明した証拠です。使えないような薬なら許さない方がいい。ところがそれをお許しになっておる。販売は自由にしておいて、保険で使うことを許さない。皆保険になったらどんな薬でも使っていいはずだ。それを差別待遇するのは問題だ。そういう薬なら売らせなければいい。皆保険になったらそれは自由経済の中にはまり込むのですから、自由経済と皆保険はイコールでなければおかしい。土俵が同じでなければならぬ。そういうように、保険経済に弾力を持たせないところに今の厚生行政というものがほんとうの医学の知識を取り入れられない問題があると思う。だからそういう点ではカナマイシンというものは、人間の命が大事ですから踏み切ったらいい。踏み切って反対する人はないですよ。反対したときは大臣が先頭に立って、私は命が大事だと思う、こうおっしゃったらいい。石田労働大臣を見てごらんなさい。三池の仮処分を取り消しなさいとおっしゃった、これと同じです。池田内閣の象徴である女性大臣の中山さんは、これくらいのことは言えると思う。人間の命が大事です。厚生行政は人間の命を守るところの行政ですから、いろいろ問題がありますが、学界と結核審議会が認めたのですから、私使いましょう、これでいいと思う。なぜならば、他の薬は全部かけなくてもやっている。特別に抗生物質だけをかける必要はない。抗生物質というのは、岸さんが原子兵器というものは一般の兵器だというのと同じです。これは一般の薬と同じです。ちっとも分け隔てをする必要はない。そういう点で踏み切れぬというのはおかしい。踏み切れないなら医療協議会を早く再開しなければいけない。待った待ったといって、幾ら待てばいいのですか。医療協議会は田中さん、あなたの目途としてはいつごろ開けるか。そうでなければカナマイシンを先に使うかどっちかを決定しなければならぬ段階に来ていると思う。
○田中説明員 お説の通りでございます。そこで医療協議会を一日も早く発足をさせたいと思っておりますが、これは相手のあることでございますから、私が今ここでいつ開くつもりだ、こう申すこともなんだと思いますが、せっかく努力を払っていきたいと思っております。また率直に申しまして、客観情勢から申しましても、そう遠くない日に開けるであろうというような雰囲気も出て参りましたので、十分努力して一日も早く医療協議会を開くというふうにしたいと思います。またその見込みもだいぶ出てきたようであります。またカナマイシンの使用の問題については、当面非常に急ぐという御要請もあります。また法律の建前上いろいろ御議論もあるようでございますが、中央協議会の議を経なければならぬという前提もございますので、それらのいろいろな要素を勘案いたしまして、今日この薬の投用を非常に要望している患者のためにできるだけのことをやりたい。しかも早い機会にできるだけこれを実施できるようにしたいというふうに考えております。それらのことについて目下いろいろ考えておりますが、近日中にこれは結論が出せる、こういうように思っております。
○滝井委員 近日中に結論を出すというのは、医療協議会にかけなくてもやるという意味ですか。
○田中説明員 医療協議会をなるべくすみやかに開いてやっていきたい、かように思っております。
○滝井委員 どうもいつも質問のたびごとに、遠くないときにやる、早くやる、こういう答弁ばかりで、ちっとも具体的になってこないのです。これは昨年六月以来その答弁をここで繰り返しているわけです。一つ早くやってもらいたい。
 そうしますと、もう一つ甲乙二表の一本化の問題、これはあなたも先頭に立って御協力いただいて、去年の十一月に決議をしたわけです。それから十カ月の歳月が流れました。やがて一年になんなんとしております。これは一体いつ一本化されるのですか。今度あなたが推進力から責任者になったのですから、両刀使いです。推進をした本人が、後藤新平じゃないけれども、自分で作った法律に自分で引っかかったことになるわけです。推進されたあなたが今や当面の責任者になっておる、こういうことです。だから責任者の立場で、一体いつ一本化されますか。
○田中説明員 私ども委員会におりましたときに一緒に決議をした事項でございますので、私厚生省に参りましてさっそくこの問題について、これを取り進めるということについて、それぞれ大臣あるいは担当部局とも相談いたしまして、そのように踏み切ることに実はいたしたのでございます。決議のあと私が就任までの間、どのようなことをやっておるか私はよく存じませんが、とにかく今日でははっきり踏み切ってこれを実行に移すべく鋭意努力をさせているわけでございます。そこで今日これがいつ実行を見るであろうか、こういうことになるのでございますが、先月の委員会にもいろいろお話がございました通り、厚生省といたしましては、少なくともある程度の調査をいたしまして、その調査資料に基づいてやっていきたいと思いますので、きょうのあすのというわけには参らないと思いますが、できるだけ一つ早くやっていきたい。それと、申すまでもないことでございますが、これを実行するためには、やはり中央協議会の議を経なければならぬということもございますが、そういったような点を別にいたしまして、厚生省内部の作業は一日もすみやかにやっていきたいと思っておりますが、やはりこれについては若干の期日が必要であろうというふうに思われます。
○滝井委員 これも早くやりたいということでございますが、私も幾分専門的に研究しておりますが、事務当局としては三千万円要求したが千三百万円に削られておる。それで十月には調査をするというのが当初予算の説明のときの話だった。私は十月調査は反対だ、そんなにおそくはだめだと言っておりましたが、十月も目睫に迫ってきた。これは一体事務的にどういうことを調査されて、それが集計されて製表されて、どの程度したら一本化の具体的な成果が出ますか。事務的でけっこうです。事務的な段階というのはどういうことになるのか。
○山本(正)説明員 ただいまの御質問は医業経営実態調査の問題でございますが、御承知のように、本年度予算におきまして約一千三百万円の医業経営実態調査費が入っております。予算が通過いたしましてからこの経営実態調査をやりますために、関係方面の協力を得なければならぬ、特に日本医師会の協力を得なければ期待するような実態調査ができないということで、予算成立後話し合いを進めて参っておったのでございますが、今日の段階でまだ積極的に御協力を願えるという話し合いになっておりませんので、残念ながら十月に実態調査ができるというふうな段取りになっておりません。
○滝井委員 そうすると、田中さんは早くやりたい早くやりたいというけれども、幽霊しかいないのです。足がついていない。足がついていない政策などというものはナンセンスで、よく社会党のことを、社会党の政策は絵にかいたもちで、理想論だ理想論だというけれども、現実に政策を担当して、予算をとられた方でも、十月におやりになるというものをやっていないのですね。私はこの前指摘したが、調査をやって製表をやって、具体的にこれが点数表に具現していくために最低一年かかる、そしてしかもそれが今度は医療審議会の舞台に上って折衝をして、今度は厚生省と大蔵省の予算折衝の段階になると、これで優に半年近くかかる、そうするとこれが具現するのには二年かかるということを私は再々にわたって主張してきた。どうも私の主張が合いそうな感じがするのです。そうすると一本化というのは、田中さんが政務次官をやめて社会労働委員長ぐらいになったときに初めて実現することになりかねないのですが、どうですか。これは保険局当局としてそういう無責任なことでいいのですか。田中さんも推進勢力として無責任ではあり得ないと思うのですが、この前の答弁でいろいろ調査のやり方がある、調査のやり方で何か早くなるようなニュアンスの答弁をざれたのですが、しかしそういう方法もあるかと思うが、そういう方法でやったにしてもやはり国保なり健保の頻度調査というものは、相当正確に行なわれなければならぬから、簡単にはいかないのですよ。しかも甲表と乙表の全般にわたって六百から七百にわたる技術料というものを変更していくわけですから、そう簡単にいくものではない、こういうことです。だから私は調査をせずに一応政治的な和解――恩給と同じ、公務扶助料と同じで、ある程度政治的な和解でこれを解決する以外にないのじゃないかというのが私の四年来主張してきた点なんです。ものごとを科学的にやるといえば、これは政治はいつの日に民生安定に役立つことになるかわからないということです。もちろん科学的にやらなければなりません。しかしこういう大きなトラブルを起して、一切の厚生行政がそのためにストップし、麻痺するという状態であれば、幾分なりとも打開しなければならぬと思うのです。氷に閉ざされた日韓関係を小坂外務大臣が行って幾分その糸口をつけたと同じように、やはりここは糸口ですよ。だからこの点については千三百万円が計上されたが、まだ医師会の協力が得られないとなると、全部医師会の責任になってしまうような感じもするのです。しかし医師会は政治の場においては第三者であって、あくまでもやはりこれは与党とその友党である野党と、しかもその与党の責任内閣である自由民主党さんの責任でこれはやらなければならぬ問題だと思うのです。そうすると田中さんの今の早くやるという答弁と事務当局の答弁とは、全く遊離しているのですね。
○田中説明員 お説の通りでございます。今事務当局の申すような手だてをいたしますると、実は滝井さんのおっしゃるようなことに相なるわけであります。しかしながらまた非常にこの問題を急いで処理しなければならぬという半面の要請もあるわけでございまして、いろいろ今日厚生省ではこれを早く処理する具体的な方法について考慮いたしております。具体的に申しますれば、今滝井さんのおっしゃったように、すべて勘でやるといったようなことも一つの方法かとも思いまするが、これだけ重大な問題でございまするので、やはりある程度の根拠を持ちたいということから、頻度調査だけは一つこれをすみやかにやっていきたい。それから医業経営実態調査の方は、現在の状態ではなかなか医師会側の協力も得られませんので、そういったようなことは一つまたわれわれも医師会側の協力を得られるように努力する反面今申す甲乙一本化については、場合によっては医業経営実態調査がなくとも、一つ頻度調査だけで何とか事をはかれないものかということを考え、大体そのような方向で参れるのではなかろうかというふうに実はだんだんと結着を見ておりますので、その方向でやるならば、今滝井さんのおっしゃるように、二年もかかるといったようなことなしに、もっと早くできるのじゃないかというふうに思い、せっかくこの点について今努力をいたしているわけでございます。
○滝井委員 健康保険の頻度調査というのは相当おやりになっておると思うのです。これはおやりになっておるのですね。そうすると問題は国民健康保険です。そうすると私は――これは私の勘ですが、私は技術的に見たら、健康保険の家族の頻度調査ができておれば、国民健康保険はそれにある程度の補正をすればできるという感じを持っておるのですが、事務当局はそれは国民健康保険をやらなければできないのですか。
○山本(浅)説明員 お答え申し上げます。現行の点数単価ができましたときに、所定の二十七年当時の医業実態調査がもとになっておることは先生も御承知である。それで先ほど山本審議官からお話しがありましたが、究極的にあるべき診療報酬というものを作成する場合におきましては、このような調査が基礎にならなければ国民全体が納得するものにならないということは基本的に言えると思いますが、ただいま政務次官からお述べになりましたように、その間におきまして診療報酬についてやはり検討する必要があるということでございますので、そうしますと三十三年当時のデータを一応一つの基礎にするというようなことが次に考えられるわけでございます。その場合に問題は、ただいま先生からもおっしゃいましたように、当時は国民健康保険が非常に弱い力しか持っていなかった、大体政府管掌の健康保険の頻度表をもって全体の社会保険診療のある姿というものは想定できた次第でございます。今日におきましては、国民健康保険が当時と比べて非常な発達を示しておることは申すまでもございません。現在国民健康保険と政府管掌の健康保険の家族の頻度が同じであるかどうか、私も専門家でありませんから、詳細は答えられませんが、しかし地理的な事情、あるいは職業的な事情、それからもう一つ根本的に大きいと思いますのは、政府管掌の健康保険の場合におきましては家族は五割でございますが、その裏には本人が十割であるというようなことで、その家族として見た場合の罹病の姿と、国保の場合には大体全国、世帯主も家族も五割である、自己負担が非常に多いというようなことで、具体的な疾病は相当違うはずでございます。従いまして現在の政府管掌の頻度表、これは御指摘のようにごく最近のものができておりますが、これを用いることはやはり国保がこのように大きく伸びて、社会保険医療の総額の上に圧倒的な比重を持って参りますときにおきましては、少しの誤差から非常に大きな医療費の見込み違いというものが出て参りますので、私どもとしては国民健康保険につきましては、絶対新しい頻度表が要るというふうに考えるわけでございます。従いまして、先般新しい国保についての頻度表の調査案をやっとまとめまして、都道府県に調査方を依頼した次第でございます。詳細はなお……。
○滝井委員 集計はいつできますか。
○山本(浅)説明員 この見込みでございますが、調査の対象が非常に広範でありますこと、すなわち全国の保険者にわたりまして調査をするということにいたしておりますので、作業の正確を期するためには、相当の時間をいただかなければならないというふうに考えておる次第でございます。今のところ、はっきりいつ集計できるということは、ちょっとこの席では申し上げかねるかと思います。年内にこの集計を終わるということは、いささか無理ではないかと思いますが、先ほどの御指摘でもございますので、われわれの努力の限り、精一ぱいがんばりまして、また都道府県にも市町村にもそのようにお願いをいたしまして、できるだけ早く集計ができるように今後も努力していきたいと考えております。
○滝井委員 よくわかりました。そうしますと、国民健康保険の頻度調査というものを全国の都道府県にお願いをしておる。そうすると、これが集計は年内に終わることが無理だという御意見でございます。従ってこれは三十六年度の予算編成には間に合わぬことになるのです。そうすると、甲乙二表の一本化というものは、これは三十六年にはできない、こういう形になる。予算に間に合わないものは、これは実施はむずかしいのでございます。補正予算でも組むなら別です。大体これであなた方の手の内は私わかりました。
 次に、これは機会を改めてもう一ぺん掘り下げますが、きょうは時間がございませんから、これは医務局にお尋ねするわけです。一ぺんで申しますから、再質問しないように詳細に答えてもらいたいと思います。それは公務員の給与のべース・アップ一二・四%の引き上げが人事院によって勧告をせられた。人事院勧告では、医療職と教育職や研究職については、特に力を入れる、こうなっております。大体医療職二割四分ぐらいの引き上げになると思うのです。この場合に、国立病院あるいは公的医療機関、これらのものは現在でも赤字でなかなかやっていけない状態です。これを平均して二・四%のベースアップを五月にさかのぼって実施をしろということである。内閣は九月はおそらくやらないかもしれません。しかしやらぬにしても年内にはやることになるでしょう。おそらく十月前後にはやることになる。そうしますと、すぐ病院の経営に甚大な影響を及ぼしてくる。人事院勧告が出たので医務局では当然検討しておると思いますが、一体国立病院なり公的医療機関では、べース・アップをやった場合には、どの程度の診療報酬でなければ病院の経営は成り立たないのかということを承っておきたいということが一つ。
 それからさいぜんちょっと触れました、これは公衆衛生局になりますか、いわゆる環境衛生――牛カンと表示しておって、馬肉や鯨肉を売るというのが詐欺だという訴えが出てきておるわけです。これに対して、一体厚生省の環境衛生局ではどういう指導なりをやってきておるか、どういう処置をとろうとしておるか、この二点を一つ御説明を願いたいと思います。これで私の質問は終わります。
○川上説明員 国立病院の特別会計は、御承知のように病院の経常費は収支大体とんとんでいっております。従って施設整備などは一般財源からもらって実は経営をいたしておるような状態でございますが、このたびの国家公務員のべース・アップが実施されますと、つまり一二・四%のべース・アップをし、これに自然昇給を合わせて計算をいたしてみますと六億七千万円ほどの支出増になるわけでありまして、これは歳出の約八%の増に当たるわけでございます。しかしこれは経常費からの計算でございまして、施設設備費等は入っておりませんから、これでもって医療費は幾らでなければならないということはむろん出て参りません。なお公的医療機関につきましては十分資料がございませんので、詳しいことは申し上げられませんが、大体同じような事情にあると思います。
○山本(浅)説明員 保険局に関係いたします厚生年金病院、それから全社連の社会保険病院等につきまして、ごく荒っぽい試算でございますが、今のようなお尋ねの点をやりましたところ、これはきわめて荒い数字でございますが、結論としては五・四%ぐらいになる。もちろん御承知のように、人事院の勧告は、民間に比べての国家公務員の給与の改訂でございます。御承知のように、現在厚生年金病院、社会保険病院等の医師の給与は、国家公務員よりは二号程度高い。厚生年金病院は概して二号近く高いのでございますが、社会保険病院は、御存じのように、いろいろでこぼこがまだ残っております。それでも国家公務員よりは概していいというか、あるいはとんとんというか、そういうような前提の差はございますが、機械的に人事院勧告の内容通りをかりに当てはめるとすると、五・四、五尾という数字が一応出ております。
○尾村説明員 牛カンの表示で中味が鯨肉、馬肉等であったという問題がただいま起っておりまして、私の方でもさっそく調べまして、関係各省と相談をしておるわけでございます。実際のところ、罐詰協会を呼びまして、昨日もよく聞きましたところ、やはり商習慣として相当ああいうことが行なわれておるということがわかったわけでございます。そこでこれをどういう形で取り締まるかということでございますが、現在のところ、もちろん一般的に詐欺行為として警察的な対象になるということはあり得るかもわかりません。これは、解釈は警察方面なり、あるいは刑法上の捜査ということになろうかと思います。われわれの方にちょっと解釈がわかりませんが、現在のところ、畜産物のカン詰に関しては、食品衛生法につきましても、また通産農林の法律についても、中身とレッテル表示ということを規制するようになっておりません。それが盲点であって、こういうことが起こっておるわけでございます。至急これはやはり規制をしないと、一般常識から見ましても、カンを自分のものにしてあけない限り中身はわからぬのでございますから、やはりどう考えても詐欺的な行為であるということで、これの規制はぜひ必要だ、こういうふうに存じております。ただこれを食品衛生法の改正でするか、あるいは農産物のカン詰めだけについて現在行なわれておる、あるいは輸出のカン詰めについて規制されております農林関係の法規ないしは通産関係の法規でやるかということを、本日も、私は出ておりませんが、現在ほかで交渉中でございます。早く相談をきめまして、どれかで規制することにいたしたいと思います。なお食品衛生法で表示が現にやられておりますのは、衛生上という意味で、保存物その他の防腐剤等の添加物については、それは厳重な規制がありまして、これを表示させるように、しかも規格に合わなければいかぬということになっておりますが、マグロのカン詰の中身がカツオであったとか、あるいは牛肉であるべきはずのがクジラであったというようなことは、今までの解釈では、衛生上直接どちらもからだに危害が及ばぬという建前で、実は食品衛生法を改正してやるというような方針をずっととっておらなかったのであります。今後はやはり食品衛生法の方が実際に監視するという便宜からというといい点もございます。今度逆にそうなりますと、食品衛生法で、危害の及ぶものについては相当厳重に詳細にやっておるのに、今度いわゆるそういうような品質の管理までこの法律でやるとなりますと、場合によっては監視員の素質から成り立ちまで全部また変えないと、これはまた役に立たぬということも起こりますので、この点は一がいにだれが一番的確かということはわれわれ自身でも結論が出ておりませんが、極力関係の省と相談して、国民の側から見て一番利益が守られるというための法律規制ということもぜひ考えなければいかぬ、こういう状況でございます。
○大石委員長 これより一時間休憩いたします。
    午後二時三十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時十三分開議
○大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。八木一男君。
○八木(一男)委員 午後の開会がおくれましたことについては非常に不満でございますので、委員長、これからそういうことのないようにお願いいたしたいと思います。特に与党の理事の方に出ていただけば非常に議事がスムーズに行くので、一つ出ていただくようにお願いいたします。午後から野党の日本社会党と民主社会党の委員だけになっておりますけれども、やはり野党が一生懸命質問したことが与党の委員の方々に相当参考になると思いますし、またダブって質問をするのを省略して、委員会の審議の時間にも有効に役に立つと思いますので、野党があとに残ったときには、与党の方も出ていただくように、ぜひ委員長から御配慮願いたいと思います。そういう状態が続きますならば、とにかく与党の方のいられる午前中は野党の質問のみに限っていただいて、与党の方が出られるように、与党の質問はこれから午後に回していただくようにお願いいたしたいと思います。その次に、委員長にばかり文句を申し上げてあれですけれども、中山さんかおられない。石田さんがおられない。また田中正巳政務次官がおられたら、中山さんが全権委任をせられたわけですから、それでおとなしく質問をするわけでありましたが、田中政務次官も放送という関係で、と急いで帰ってこられるということでございますけれどもおられない。そうしますと、説明については各局長がおられますから、十分に現在の方針を説明されると思いますけれども、野党側の質問で、これはいい、それについてそういうふうにやりたいとか、そういう意思を発表されるには、やはり少なくとも政務次官がおられませんと、局長の方ではなかなかそういうことができにくいと思いますので、閉会中の審査であろうとも、大臣が必ず出てこられるように、ぜひ御配慮をお願いいたしたいと思います。もしこれから大臣、政務次官が出てこられない場合には、かわりを内閣総理大臣にお願いするようにいたしたいと思いますので、中山さん、石田さんが都合が悪いときには、池田内閣総理大臣を御準備願いたいと思います。
 それから官房長官をお呼びしたのはどうですか。
○大石委員長 今連絡中ですから、もう少しお待ち願いたいと思います。
○八木(一男)委員 それでは委員長にそういう点について強力に御配慮いただくことを御承諾いただいたこととして、国民年金の問題で、後ほど田中政務次官が帰ってこられたらまた伺いたいと思いますが、今は説明員の小山さんに御質問申し上げたいと思います。
 この前の閉会中の審査で、厚生大臣に対しまして社会保障全般についての厚生省の態度が非常に弱い、また国民年金についての態度が弱いということを申し上げましたところ、中山さんの方では、その当時新聞に出ていた案は決定案ではなしに、厚生省はさらに積極的な前向きの態勢で案を推進するのだというようなことを言っておられましたけれども、その後の経過をずっと新聞紙上で伺っておりますと、厚生省の態度もあるいは内閣の態度もだんだんに後退している傾向にございます。それについて、全般的なことはまた田中君に伺いますけれども、国民年金についての厚生省の前進しようという案がストップないし後退している点について、小山さんの方から御説明願いたいと思います。
○小山説明員 国民年金の改善に関する厚生省の案は、八月下旬に行なわれました厚生省議で決定したわけでございますが、その概要を申し上げますと、福祉年金の改善につきましてやろうとしておりますことは、実施した結果、きわめて見込み違いの多かった福祉年金の改善をまず第一に取り上げる。こういうことからいたしまして、母子福祉年金の所得制限をゆるめるという考え方を中心にしております。
 まず第一には、二十五才以上の子供と同居しております場合には、所得の多寡にかかわらず支給停止をしておりますのが現在のやり方でありますけれども、これを撤廃して、ほかの年金と同様の取り扱いをする、これが一つでございます。
 それから第二には、従来おばあさんが孫を養っているとか、あるいは姉が弟や妹を養っているという、いわゆる準母子世帯に対しては母子年金を支給しないで参ったわけでありますが、これも実施した結果、やはり実情から見ますとそこまで含めた方がよろしい、かような結論に達しましたので、これも母子福祉年金の支給対象の中に含める。これは内閣の社会保障審議会の答申の中にもある事項でありますので、そういう意味においても取り上げることにいたしたい、こういうことが第二でございます。
 それから第三の問題は、午前中政務次官からお答えした問題に入っているわけでありますが、これも実施の結果から見まして、生別の母子世帯の中にその実情において死別の母子世帯と少しも変わらないような気の毒なものが相当多い。これに対しては何か解決の手を差し伸べなくちゃならぬ。かようなことになりまして、いろいろ論議いたしました結果、これは母子福祉年金の問題としてではなく、別の形でほぼ同様の効果の上がるような解決をする。大体この三つが母子福祉年金を中心にいたしました解決として第一に考えよう、こういうことになったわけであります。
 次の問題としましては、母子福祉年金のみならず、ほかの年金にも通ずる問題ではありますけれども、特に母子福祉年金に現われて参っている一つの困った点として、どうも本人の所得が十三万円をこえたときには支給しないというあの線の引き方が、働いて子供を養うということが普通の姿である母子世帯にとっては、ややきつ過ぎるというようなことが、これも実施した結果現われて参ったのであります。そういうような事情からいたしまして、それを相当程度引き上げ、できるだけ無理のないようにということで一応所得税を納付するという線まで引き上げる、かようなことにいたしたいというわけであります。これをいたしますと、同様の関係からいたしまして障害年金や老齢年金につきましてもほぼ同じような扱い方をする、こういったような所得制限の緩和とでも申しますか、そういうことを内容にしたものを実施する。以上のような改善措置を福祉年金には加える。
 それから拠出年金につきましては、午前中政務次官からも申し上げましたように、いろいろな点について検討いたしておりますけれども、そのうちでかけ捨てを防止するという措置を完全に実施しようということになりますと、相当程度の財源を調達しなければならぬわけであります。その財源の大半のものは予定運用利回りよりも実際の運用の利率を高くすることによって解決ができますけれども、それでもなお解決がつかないものが若干残ります。それを後の時代の負担に残さない方法を考えたい。それにはさまった国庫負担のほかにさらにある程度国から補助を入れることによって、できるだけ完全な形のかけ捨ての防止をいたしたいということで、とりあえず明年度分としましてきめられた国庫負担のほかに二十億程度のものの補助を要求する、大体こういうようなことが厚生省の態度としてきめました改善の内容でございます。現在のところまだこれをもとにして大蔵省に説明をしているというような段階でございまして、まだ内容が進んだとかあるいは後退したとかいうようなことを御報告申し上げられるところまでは進んでおりません。こういったような要求を何とか実現いたしたい、かように考えて進んでいます。
○八木(一男)委員 大体厚生省の今のお考えを伺ったわけですが、この前中山さんにあれほど言っておきましたのに、これじゃほとんど前進がないと言える案だと思う。まず福祉年金と拠出年金に分けて申し上げますけれども、福祉年金についてはおもに母子福祉年金について考えておるわけです。これは母子福祉年金の計算が、予想にはずれて割に対象者が少なかったということで、前の年金案でも相当予算的な余裕があった。そういうところだけをいじくった前進の、案だろうと思います。それではほんとうの前進は一つもないのであって、池田内閣が社会保障をやる、社会保障にはいろいろありますけれども、その中の部門としての年金制度をやるということを言っておられたわけだ。それであったらこんなことは岸内閣のときでも母子福祉年金について対象者が推定より少なくて余っているのですから当然取り上げてしかるべきものです。しかもこの中の準母子年金という問題は前から年金法ができたときから問題になっておって、これはすぐ直しますということを言っておられた。おまけにこの三月に渡邊厚生大臣のときに私が申し上げて、はっきりとこれについては実施いたしますということを委員会で責任を持って御答弁になった。だからすでに決定済みのことなんです。岸内閣当時渡邊厚生大臣のときに決定済みのことを池田内閣あるいは中山厚生行政において新しく取り上げたようなことになっておる。そんなことは実にずるい話で、話になりません。前のあれだけ反動的な岸内閣でも取り上げた問題なんですから、これは既定事実としてその上にもっと大きく上積みしなければ前進とは全然言えないわけです。そういうことになると思います。福祉年金ではこの前中山君がおられたときに十分に申し上げたので、きょうは省略いたします。小山氏もその内容は十分御承知の通りでございますから省略はいたしますけれども、重要なポイントを申し上げると、福祉年金で一番大事なことは何か。それは全体の福祉年金に出す金を飛躍的に大きくしなければならない。三百億円のうち、ちょっと五億か十億追加するようなものでは何にもならない。もっと大きくしなければならないという問題が一つ。それからもう一つは、大きくされたこの金額を所得保障が必要な度の多い人に厚みをかけて分けてやるということであります。それが一兆円も出るのだったらぱっと全部まいてもよろしい。ところがそんなことはけちくさい池田内閣では望めない。ですからちびっとしか出てこない。できるだけたくさん出すとして、出したものはやはり一番気の毒な人に厚みをかけなければ選挙年金になってしまう。選挙年金ではいけないので、ほんとうの国民のための社会保障の年金でなければならない。ところがいつまでたっても選挙年金のにおいがますます濃厚になるだけで消えておらない。年金の本命は老齢でありますけれども、現在の福祉年金の上げなければならない要件は障害者に一番きついわけです。障害者で手がない、足がない。それも結婚して子供ができてから障害を受けたのであれば、本人と奥さんと子供さんの数名がその人の収入によって食わなければならない、その人が一級で千五百円、そんなもので食えるはずはありません。二級、三級に一文も出ない。そんなことじゃ全く置き去りになる。内科障害に一文も出ない。これはほんとうに筋違いの話で、何回も口をすっぱくして申し上げたはずです。その一番上げなければならない障害者については、一般的な福祉年金の拠出制限を少し緩和するところに入っておりますけれども、それ以外には障害年金についての前進が一つもない。これは大蔵省のわからずやに削られたということならばまだ話がわかります。年金に熱心なるべき年金担当の厚生省の原案で一つも入っていない。そんなものは社会保障をやる気がないからです。全く選挙以外は考えておりません。母子年金は未亡人の組織や婦人の組織がありますから、これはアッピールしやすいのです。特に中山厚生大臣が女性であるので、女性が女性の問題を取り上げた、そういう問題で取り上げられておるにおいが非常に強い。もちろん母子年金は取り上げていい問題で、取り上げなければならないけれども、順序をそのような選挙用のことで狂わしてはならない。まず第一に障害者の問題をまつ先に取り上げ、次に母子の問題を取り上げる。今の無拠出年金の場合だったらそうであります。それから老齢であります。拠出年金のときは根幹は老齢でありますから、老齢中心に考えたらいいけれども、無拠出の他のものを上げるときには、一番そのお金が有効に働く階層に上げなければなりません。組織のない、発言力の少ない人を置き去りにして、発言力の多い人に、それも乏しいものをふわっと分けて選挙に利用しようとするようなやり方を、厚生省の聰明な小山さん、原局がそういうことにおもねってはいけない。聰明な公務員としての良心から、いかに自民党がそうであっても、池田君や中山君がそうであっても、これは順序が違うということを言わなければならないと思う。まず障害者の年金をよくする、それから母子の年金をよくする、老齢の年金をよくする、老齢の年金をよくするという場合に、これはつぶれてしまった案らしいんですが、五十万円の所得の世帯の老人に支給するというのを、七十万円の世帯に広げようとした、広げること自体は賛成であります。いいことです。しかしながら、七十万円の所得の世帯の老人に差し上げるのならば、それまでになぜ障害や母子をもっと厚みをかけないか。あるいは老齢自体の問題であれば六十九才で死んでしまう老人のことをなぜ考えないか。今までにほんとうに苦労をして、生きてきた、貧しい生活をして苦労をしてきた人は早く老衰されまして、残念ながら早くなくなられる方が多い。その方方が年金をこがれて六十九才で死んだときには一文もない。それが年に十四、五万の暮らししかしておらない人がずいぶんいるわけだ。年に六、七十万の暮らしをしている七十才の老人にももちろん差し上げたらいいけれども、その前に、十数万の生活で苦吟していて、政治が悪いために苦労をして早く老衰して死を控えている人、そういう人たちになぜ六十九才だからといってやれないのか。老齢の問題だったら、ほんとうは六十才代から支給するというのが一番大事な問題であります。次には、その限られた人たちに千円というようなけちなお金ではなしに、少なくとももっと生活が潤うように、もう少し金額をふやすことが第二の問題。第三として、その対象層を広げて、所得制限を緩和する、これは第三の問題であります。世の中には、年金に無理解だから、全部ほしいという声はありましょう。その声にこたえるならば、年金については少なくとも無拠出年金だけで一千億以上踏み切ってやられるなら、これは話はわかります。そうじゃない金額を出されるならば、やはり厚みをかけて、ほんとうに気の毒な人に厚みをかける配分にしなければならない。年金に無理解な声を逆に悪用して、選挙年金に使うような配分をされるのは、国の政治としては間違いであります。自民党内閣であろうとも、自民党は国民のために政治をとらなければならない。自民党のための政治をとってはならない。ところがそういうような傾向が年金にある。少なくとも年金に取っ組んでおられる最もよく知っておられる小山さんがそういうような原案を出されるのは間違いであります。それについての御意見を伺いたいと思います。
○小山説明員 ただいま仰せの御意見は、先生のかねてからの御主張でございまして、確かに一つのりっぱなお考えだと思います。ただ、現在当面しております問題は、受給資格要件を一応老人は七十ときめ、母子年金は十五才未満の子供を養っている母子世帯ときめ、障害年金は第一級の障害、こういうふうにきめているわけであります。こういうきめ方をしておきながら、この人々の間でまだもらえない人が相当あるわけであります。御説のように、こういう人々の間でももらえない人が、当然遠慮していただいていいということが確信の持てるような状態でありますならば、あるいは支給範囲を広めるなり、年金の額を引き上げるということを当然考えていかなくちゃならぬということになるであろうと思います。ただ残念ながら、実施した状況から申しますと、現在の各種の制限は所得制限のみならず、それ以外の制限におきましてもやや無理をしているものがあるということを感じておりますので、まずそういう無理を取り除く。こういうものが現在まだ相当ございますので、それを取り除いて、しかる後先生御説のようないわば積極的な改善措置にとりかかる、こういうような考え方で現在予算要求をしている、こういう事情になっているわけでございます。
○八木(一男)委員 小山さんの方も苦しい御答弁ですけれども、現在の法律がそうだからといって、その法律を変えよう、つぶれてしまった案だけれども五十万円を七十万円にすることは賛成です。反対ではない。しかし順序は、それと同時にほかのものもやらなければならぬということを言っているのです。それをやるときには法律を変えなければならぬ。法律を変えるならば、七十才を六十五才にするなり六十才にすることも法律を変えることだ。現在の法律がそうなっているからそつちの方向しか進めないという問題じゃないのです。どっちみちやるには法律改正をやらなければならぬ。そうしたならば、当然指向すべき方向に重点を置いて法律改正をされるべきだ。小山さんは苦しいでしょうけれども、それじゃいかぬ。
 それから御答弁に障害者の問題が一つも出ない、どんなに御説明になっても一級の障害者が月千五百円で三人、四人の家族で暮らすということ、しかもそれは老齢までに何十年暮らさなければならぬ。そういう人たちを千五百円でほっておく、二級の障害者はなしでほっておく、内科障害者をなしでほっておく、そんなものは拠出年金でも許されませんけれども、特に無拠出年金である以上は許されない。しかもそれは最もよく完全に配分されるべき国民の税金でまかなっているわけです。気の毒だけれども、こっちは保険料を払っている、こっちは払っていないからというようなことも許されないけれども、そういう答弁も許されない。ただのものを差し上げている以上は、一番必要な人に厚みをかけるということが国政の当然のやり方であって、それをやらないところに――ここに大石さんがおられるところで非常に失礼ですけれども、大石さんはそうでないにしても、そこに自民党の選挙年金の方向があるわけです。年金の原局としての小山さんは自民党員ではないはずです。少なくともそれが自民党の政策審議会でつぶされようと何されようと、原局としては当然の配分の方向に従って原案を出されるべきである。それが自民党の与党の利己心でつぶれたならば、それについてわれわれは追及するでしょう。しかし政府としては、そういうことじゃなしに、最初の原案は社会保障の行く道に従って作られなければならない、これについての御答弁を願いたい。
○小山説明員 先生仰せの通りに、いずれにしてもこれは法律を改正する問題でございますので、現在の法律がそうきまっているからというので申し上げたつもりではないのであります。無拠出の年金を実施する場合の基本的な態度として、七十才以上の老人とか、あるいはその他現在やっておりますようなことをきめて実施したわけであります。従って、そういう前提のもとにおいてなおかつ未解決の問題があるとするならば、まずこれを解決する。これは特に、社会保障制度審議会から答申をされましたものをそのまま実施したはずでありますけれども、実は無拠出の年金については、所得の制限なりあるいは各種の制限措置については、社会保障制度審議会の答申は原則としてこれはやるのだという態度で答申をしておられるわけであります。そうだとすれば、まず最初に手直しをする問題は、なるべく答申の趣旨に沿うような手直しをする、次いで、答申のいわば線を越えた、より積極的なものを考えていく、こういうような考え方をとったわけであります。これは決して与党の考え方をそのまま受け入れてということじゃなくて、むしろこの答申に当たられた社会保障制度審議会なりあるいは国民年金審議会の大方の御意見をお聞きしながら進めておったわけであります。もちろんその中には先生のような非常にはっきりした御意見をお持ちの方もありますけれども、大体の方は今申し上げたような、いわば微温的な手直しから始めていくことが順序であろう、こういうふうに考えておられまするし、私どももまず順序としてはそうであろう、こう考えて運んでいるわけでございまして、これが済みましたならば、次の段階として先生仰せのような積極的なものが登場することができるのではあるまいか、こういうつもりでいろいろ研究しているわけであります。
○八木(一男)委員 年金審議会というのは、前の年金の方ですね、有沢さんの方じゃないですね
○小山説明員 有沢さんの方です。
○八木(一男)委員 社会保障制度審議会の経過を何回か申し上げましたけれども、社会保障制度審議会の答申の中で最悪のものはこの年金の答申だ。この前までの答申なり勧告はよかった。よかった医療補償や何かの勧告はほとんど実施しておらない。よかった方は実施しない。社会保障制度審議会は、これは大先輩がいるけれども、私ははっきり言ってあの勧告は最悪の勧告だと思う。最悪の勧告のときだけ社会保障制度審議会の答申をたてにとって、最もよかったときにはそれを全然実施しないというふうなやり方がされているわけです。政府としてはやはり一貫しなければいかぬかけです。この前の医療補償の勧告は一つも実施していない。それならば政府には政府の独自の考え方があるはずだ。特に社会保障制度審議会の年金の勧告は不十分であることは小山さんはよく知っている。そうしたら、ほんとうにいいものは完全に保障制度審議会の線に従ってやる、悪いものは幾ら社会保障制度審議会であっても、それについて政府側としての意見を戦わしていい方に持ってくる努力をされなければならない。悪いときだけそれに便乗しては困る。あんな悪い勧告はないでしょう。社会保障制度審議会いまだかつてないほどの悪い勧告を出した。悪いときだけ利用して、いいときには一つもその通りやっていない。大体あの審議会の勧告は今まではよかった。一つだけ悪くなったとき、そのときだけその通り実施しようとする、そういうことじゃ困る。私も社会保障制度審議会の委員をやっていますからわかりますが、政府側で出してこられたときに、社会保障制度審議会に少し異論があっても、政府側が原案を持ってきて、頭を下げてこの通り御了承願いたいといって押し切られることが多いわけです。そのときだけ政府側、役所側の委員を動員してやられるわけです。いいことであれば社会保障制度審議会と線が違ったって当然通りますよ。出されてあります審議会の七十才はいけないから六十才にします、六十五才にしますといえば、当然審議会はスムーズに通ります。あそこでなぜあんな案ができたか。現在の池田内閣は知りませんけれども、岸内閣なりそういうような腰抜け内閣では、社会保障をそれまでしてくれまいという幾分のあきらめがあるためにそういうような案が出てくるわけです。政府がほんとうに元気を出せばもっとりっぱなものがどんどんできます。政府の原案についてすぐスムーズに通ります。だから社会保障御度審議会ということはあまり論拠に持たれないでいただきたい。特にあれはけしからぬ勧告です。これは天下に公表してもいいと思う。そういうことです。特に、何回も申し上げますけれども、社会保障制度審議会やほかの審議会の意見を持ってきて防戦せられても、明らかにその年金の配分が間違っている。年金の金額全体が少ないから全体に配分できない。その全部に配分できないときには、必要な方に配分の厚みをかけなければならない。その方向と違った方向をとっているわけです。これは間違いであると思います。中山君にこの間さんざん申し上げておきましたけれども、中山君だけではわからないでしょうから、一番の権威者の小山さんの耳にタコができるほど同じようなことを申し上げておりますけれども、やはり何回も申し上げておりますことを理解の中に入れて厚生省の原案をぜひやっていただかなければ、いつまでもこの問題は片づかない。その点について強力に推進をお願いいたしたいと思います。
    〔委員長退席、滝井委員長代理着席〕
 ほかの委員の方もお待ちですから、総括的に申し上げますけれども、いろいろと年金についての運動が起こっております。運動についての一つは福祉年金、無拠出年金を改善しろという要求であります。一つは現行拠出年金が不合理であり不十分であるからこれをやめてくれということ、しかしながらその団体の大半は非常によい拠出年金に変えるならばということがついております。そういう点でよくすることにやはり思い切ってやられなければ、年金制度についての国民の理解なり協調を得られないと思う。その面で無拠出年金についてまず重点に考えらるべきものは、障害年金について置き去りにしておる点を十分にする。二級、三級にも支給し、それから内科障害にも支給するということ、それから母子年金については、純母子年金の問題は即時やってもらわなければなりませんけれども、生別母子世帯に年金を支給する道を開いてもらわなければなりません。そのほかにワクを広げるということを言われますけれども、それと同時に金額をふやさなければ、子供をかかえた母子世帯で月千円くらいでは涙金であって話になりません。その金額を、基本金額も加算の金額もふやさなければ問題にならない。障害については母子を考えなければなりません。
 次に老齢の問題については、まず第一に六十才代から支給するという問題それから支給する人について、千円では話にならない。特におじいさん、おばあさん二人のときには七百五十円しかくれなというあんなけちな問題、それから配偶者所得制限というような、いかなる観点から考えても説明できないような所得制限をつけている問題、そういう不合理を一切撤去して、そうして金額をふやすという問題であります。それと同時は、できれば所得制限を大幅に少なくして――たくさんの人にそれがいくように、これはもちろん賛成であります。しかし順序はそういう順序であるということをぜひ強力に理解をしておいていただきたいと思います。
 その次にはまた生活保護との併給の問題があります。もちろん老齢加算と母子加算と障害加算を新設したり増額したから、大体今日問題としては幾分格好がついております。しかしながら福祉年金の金額を上げるということになりましたならば、また当然ここにその問題の処置が必要になります。そういう意味で、ほんとうの処置としては、完全に併給をするという立場をとられた方がスムーズではないかと思います。それが政府側の見解として法制上いけないとなれば、金額が変わるたびに、同時に生活保護法の加算の問題を出してくるという態度をきめられなければ問題が解決しません。もう一つは税金の問題であります。このような福祉年金については、もちろん免税にするのが、当然であろうと思う。そういう問題がございます。
 次に拠出年金に移りたいと思います。拠出年金の問題でございますが、かけ捨てについてのいろいろの御配慮、これは相当一生懸命御検討しておられるので、十分ではありませんが前進の方向としてもっとそれを十分にしていただくことでいいと思いまするけれども、もっともっと問題点があるわけです。拠出年金反対運動の中には、幾分か、百のうちの一つや二つは現行制度に対する理解が少ないためのものもあるでしょうけれども、百のうち九十七、八くらいの点は、当然反対の論議が巻き上がるべき要件を今の現行拠出年金は持っているから巻き上がっている。それをやはり根本的に逐次改善していかなければ、年金制度についても国民の御協力はスムーズには参らない、半身不随の状態になると思う。
 その中の中心点を申し上げますと、まず第一に一番いけないのは、この年金の保険料を十分に納められない人には年金が減るとか年金がないという問題であります。これが中心課題であります。中心課題をはずさないで、問題をこれから推進していただきたいと思う。年金制度というものはいいものである、今の反対運動は、不合理なものを作られたから反対の運動が起こったのであって、国民はほんとうによい年金制度を望んでおります。現行の拠出年金制度が悪いのは、とにかく払えない、払いにくい人は年金が減る、またはもらえないという点が一番悪いと私は思います。この原因は何かというと、まず第一に保険料が定額である。松下幸之助も非常に貧しい人も同額であるという点に基本的な点がございます。それに坂をつけなければ――年金の保険料を国庫負担で十分埋めて安くすることももちろん考えなければなりませんけれども、それ以外の点で安くする要件は出て参りません。そういう点で大衆の保険料を安くする点を、国庫負担の増額とともにそういう点も加味して考えてもらわなければならないと思う。
 次に減額制度がないという問題、免除制度はあると言われるけれども、免除かしからずんば百パーセント納入かという制度に今なっております。そんなことは実際に合わない。百円、百五十円取られたら苦しいという人はあるわけです。ちょっとの境目で片方は免除を受ける、片方は全額徴収、取られなければならないというようなことであっては、ほんとうに大衆の生活を理解した上での政策ではありません。もちろんその間にスムーズな減額制度が、手続的に事務的にめんどうくさくても、ほんとうに国民生活に合うように、十段階ぐらいに区切って減額という制度が設けられて当然しかるべきであります。
 その次に免除の問題であります。免除の問題は、社会党案の免除の言葉だけを御活用になりまして政府案にも免除があると言ったけれども、しかしこの免除は完全に幽霊免除であります。ほんとうに生きてこない、これは十年間――前後してもいいのですけれども、合計十年間保険料を納めなければ年金にならないという点にあるわけです。小山さんはこうおっしゃりたいだろうと思います。前後で十年間保険料を納めておるなれば、そして十五年間免除の適用を受ければ、その人は二十五年間保険料を納めたと同資格になって、十年間の六十五才、月千円ではなしに、月二千円の年金が行くのです、だから免除制度は生きておりますというふうにおっしゃりたいと思います。ところが逆の点から申しますと、保険料を九年間しか納めておらない、十六年間免除が受けられた、十年間は金がなくて払わなかったという場合、これはどうなる。間違っておるという御答弁があれば幸いでありますが、私の理解ではそれは年金にならない。十年の要件を満たしておりません。保険料納入と免除とが合計二十五年、同様になりながらこれは一文の年金にもならない。無拠出年金の適用がありますと言われると思いますけれども、無拠出年金は残念ながら七十才開始、六十五才からの年金はもらえません。だから免除があっても幽霊免除である、お化け免除である、ほんとうの免除ではないという点であります。そういうことがありますので、貧困な階層の人は保険料が十分に納められないから年金が減る。また減額がないから保険料が納められないことがある。免除があってもそういうことで役に立ちません。大体免除を受けるような人はちょっと調子のいいときでも生活が苦しい。免除を受けるか受けないかを往復しているような人が九年間――年四回払いですから九年と四分の三払ってもだめなわけですから、三十九回の保険料を払うことはできるが、四十回の保険料を払うことはできるかできないくらいだ。非常にむずかしい。四十回払うところを三十九回ぐらいまででとまる、こういうことがある、二十回でとまることがある、十五回でとまることがある、それが大部分であります。免除の適用を受けるような人には免除が役に立たないで年金にならない。それでは免除という制度はないと同じです。これは九割九分までないと同じだと思います。免除という言葉を、払えない人はどうするのだということのヴェールに、それを隠すために使っておるような制度にしかすぎない。こういうことであっては貧しい人は保険料を納められないから年金がもらえない。年金というものは貧しい人に最も必要です。貧しい人が老齢になったときに最も年金の必要度が多い。貧しい人が死んでその遺族が困ったときに最も年金の必要度が多い。貧しい人がけがをして障害者になったときに最も必要度が多い。その人に年金がこない。そんなものであれば社会保障でありません。もちろん社会保険として組み立てたと言われるかと思います。しかしこれは社会保障の推進のためにやったということをあらゆる場で言っておられるわけです。組み立ての基本が社会保険的であっても、社会保険が組み立ての一つの基礎になっておっても、十分にそういうことを配慮した、社会保障に徹底した案にならなければ、社会保障としては、おこがましくてそういう言葉としては言えないはずであります。ところが池田君にしても中山君にしても、社会保障をやるんだということを言うだろうと思います。前の岸君はさんざん言いました。渡邊君も坂田君も言いました。そんなことでは困る。そういう欺瞞に対して国民が理解し始めたから猛然と反対運動、延期運動が起こっているわけです。この根本的な点を変えることを考えられませんでしたら、今のかけ捨て、これも大事な問題でありますけれども、ほんとうの根本を変えられなければ問題は解決をしない。だから掛金をかけられなくてもその人にとって年金になる、そういう制度でなければ社会保障ではない、所得保障ではない、ほんとうの年金ではないということになります。そういう点について取っ組みをしてもらわなければならない。その取っ組みがないように思われるのです。そういう点であります。
 その次には年令の問題であります。これは無拠出のときも申し上げましたように、六十五才に対して六十才で支給せよ、五十五才で支給せよという要求が出て参っております。もちろんその人たちの要求は当然中の当然である。非常に苦労をした人が早く死ぬ。残念ながら早く死ぬ。従ってその人たちは死なないうちにもらうために、また年金の支給を受けて、それで生活を楽しむためにもらうには、どうしても早くからもらわなければならないわけです。この問題が非常に根本的な問題になると思います。もちろん六十五才を六十才、五十五才にするためには、国庫負担を非常につぎ込まなければ、保険料の値上げが必要なことはわかっております。保険料を値上げしないで国庫負担で、できれば保険料の値下げをして国庫負担でこれをカバーする重大な決心をされなければならないと思う。この問題について先ほど積み立て金方式と賦課方式の問題で、滝井委員の御質問に対して小山氏が言われました、あのような理解をされるのではなしに、賦課方式の問題は今の積み立て金方式という考え方を揚棄して、それを乗り越えて、将来の年金金額を非常に大きくするために考えられるべきであります。その考え方に踏み切ったならば、六十五才を六十才五十五才に引き下げることも、あるいは三千五百円を七千円、八千円、一万円に上げることもできるわけです。私どもは日本の経済成長率を四%と最低に推定をして、この際大事に大事に見て推定をして、減税が大幅に行われると推定をして、しかも七千円までの案を作ることができました。これは経理計算を完全にいたしております。ところが池田勇人君は九%の成長率とみずから主張している。四と九が複利計算になったら猛烈に多い。池田勇人君の考え方でいえば、年金を賦課方式に踏み切ってやるならば、年金の金額を月に五万円くらいにできるわけです。五十五才から二万円くらいにでもできるはずです。九%の経済成長率を考えるならば、そういう状態であるのに、そうして社会保障を大幅に取り上げるということを言っておるのに、あのような貧弱なことではならないと思う、そういう問題がございます。
 それからもっとこまかい問題について、さきの御答弁で三年未満についてはどうにもいたし方ないかとも思いますという御説明がつきました。これは最も許されない点であります。三年未満しか払えない人というのは、これは最も気の毒な人であります。年金をもらいたいので十一回一生懸命払った、あと息が続かなくて払えない。そこでまた免除をとおっしゃるかもしれません。免除があればそれは三年に加算するということになるかもしれませんから、六回でもいいです。それは前もって言っておきますが、そういうふうになっておる。そういう人たちがあと息が続かなかったときに、その保険料が没収されるわけです。これは生命保険ではない。さっき審議会と言われましたけれども、年金を作るときに厚生省の中で年金特別委員会という妙な審議会を作って案を練られた。そこに保険会社の人がおられた。保険会社的な考え方でこの案が練られた形跡があります。保険会社は民間の企業であります。彼らとしては生命保険に入ってもらって一回や二回かけてやめられたならば費用倒れになる。もちろん生命保険は二、三回でやめたならば解約返戻金は一文もこない。そういうような考え方と年金とは違う。大体そういう人の考えを聞いて問題を練るということが間違いです。国家の保険である。事務費は別に出しているはずです。六回払ってあとやめたからといってその人に罰則を課す必要がどこにあるのです。その人は貧しいから年金をもらいたいと思って六回一生懸命払った、あと息が続かないで払わない、最も気の毒な人です。それを強制的に入れておいて――承知で入ったんじゃないんですよ。生命保険なら解約返戻金を損したって承知だからしようがない、強制適用で入れてその人が必死の努力をして四、五回払った、あと息が続かない、その保険料が返ってこない、そんなものは国家の法律による収奪ですよ。そんな内容がこの年金法にあるわけです。だから当然反対運動が猛然と沸き上る、そういう問題について、もちろん即時改正する意思を表明せられなければ年金についての国民の協力は得られない。こまかいのをあげればたくさんありますけれども、障害年金の方で三年間保険料を払うか、あるいは免除適用で合計で三年にならなければ障害年金をくれないということになっておる。政府は、障害には拠出も無拠出も一番過酷なんです。ただ障害者の団体が小さいために問題が出てきておらない。それではいけないと思う。二年目に足を自動車事故ではねられた。その人は一体どうして暮らすか。政府には老齢と障害と遺族の年金があるということで、それがあれば安心だと思って保険料をかけている。ところが二年目に足が二つともなくなった、奥さんも子供さんもいる、その人はどうして暮らすのですか。そういう人が一家心中をしなくてもいいように防貧政策としての年金があるはずです。それがやはり手数料的に三年間かけていなければ障害年金がこない。そんなものは社会保障になっておりません。かけ捨てに対する要求、かけ捨てはいけない、途中で死んだ場合には保険料を返せという要求があるのは当然である。遺族に対する給付が非常に不十分だ。寡婦年金は名前があるだけで、もらえる人はほとんどいない。遺児年金よりは当然もっと気の毒なのに母子年金より減っている。母子年金も子供が十八才をこすとくれない。そんなもので遺族年金はほとんどもらえない。これでは生きていればまだましだが、死んだときはつまらぬではないかという意見は当然出てくる。遺族年金が完全であれば、かけ捨てに対する批判は減るでありましょう。それをできるだけ完全にし、不完全な部分はかけ捨てを返すということを考えていかなければならないと思います。かけ捨てについて考えをしないよりはましですけれども、そういう問題について遺族年金を完全にすることも配慮に入れなければなりません。それまでの間もちろんかけ捨てをやめて返すという処置をとらなければなりませんけれども、しかし返すだけではいかぬと思う。もちろんこういう人たちにも国庫負担の希望があるわけです。本人の保険料だけ返せばいいということで片づく問題ではありません。政府の方の年金は、保険料に対して五割の国庫負担をする、政府側の説明によれば非常に不十分でありますけれども、いい制度であります。百円の保険料を出していただけば、政府が五十円の国庫負担を出します、あなたの分を百五十円にして、それを五分五厘で有利に回して、そして合理的にお分けをするのであります、だから御協力下さいとおっしゃるだろうと思います。一応は筋が通っていると思います。ところがほんとうには筋が通っていない。その五十円の国庫負担は年金をもらえる人にいくわけです。年金が少ない、あるいはもらえない人にはいかないわけです。そうすると松下幸之助君に対しては完全にその五十円がいくわけだ。非常に苦しんでいる人にはいかないわけだ。しかもその財源は何か。たばこ税、砂糖税あるいは酒税など庶民が負担をしている税金も入っております。その意味においては所得再配分ではなしに、その逆になる。大衆の税金によって松下幸之助君――全部とは言いません、部分的にはそういう部分がある。さっきの三年未満の没収にしても、部分的には収奪の部分がある。せっかく政府や小山さんが年金を一生懸命考えたときに、一部分にしろそこに収奪があり、所得再配分の逆な方向があるということであっては、国民の協力は得られるはずはない。一般的に年金問題はむずかしいですから、こういう問題をあげて追及される団体が少ないかもしれません。一般的な追及は、スライドはどうしているとか、あるいは運用はどうしているという追及が多いと思います。それは小山さんは耳にタコができるほど各団体から聞いておられると思いますから、あまり聞かれない部分を申し上げたわけでありますが、根本的に言えば、国庫負担は金持ちへいって、そういう人たちへこない、そこに現行拠出年金の一番悪い点があるわけです。大衆の声がその焦点にまだ気がつかないから、少なくとも小山さんとしてはこれは一番悪い点であることを十分に理解されて、そういう点を直すようにしてもらいたい。
    〔滝井委員長代理退席、委員長着
  席〕
 次に、さっき申し上げましたスライドの問題であります。さっき小山さんは、滝井君の御質問に対して、経済拡大の方向に従って年金額を変えると言われた。それは経済拡大だけの問題じゃない。経済は貨幣価値が安定しておる場合でも拡大が起こります。インフレが起こったときも問題が起こる。貨幣価値の変動と経済拡大とはぴったり密着していない。経済拡大だけで考えられたら困る。貨幣価値の変動に従って、その割合に従って、年金額を完全に改定してもらわなければ、国民としては安定できない。もちろん経済拡大に従って、年金額を積極的にふやすことは賛成であります。しかしこの年金は初めから二%の経済成長ということで考えておるのです。池田君が九%にしたがっているなら、当然三千五百円を一万円なり一万五千円に変えるのが当然だ。経済拡大の推定がついているのですから……。その問題と別に貨幣価値の変動が起こったときを心配しておる。貨幣価値の変動に従って、その割合に従って、義務的に、即座に年金額を改定するという条文が法文の中にはっきり入らなければ国民は納得いたしません。その点は二年前のときから十分に御注意を申し上げておいた。ところがそれをはっきりさせないので、国民の反対運動が高まっておる。これからでもおそくないから、即時入るようにしていただきたい。
 運用の問題については、滝井委員もさっきお触れになりましたが、山下君も言われましたけれども、母子寮なり身体障害者の寮なり、そういうものにつぎ込むのは当然である。それと同時に、たとえば都会の人たちなら住宅の建設資金に、あるいはいなかの人であれば、無医村の医療施設を作るためにあらゆる被保険者の、国民の役に立つように、その積立金の運用をしなければならないと思う。そういう問題について、ずいぶん申し上げましたけれども、政府側の今の対処の仕方は、このかけ捨てを幾分配慮されるだけでは、非常に不十分である。根本的に考え、そしてりっぱな改正案を次の臨時国会にでも出されて、国民の協力を得て、りっぱな年金ができるようにしていただかなければならないと思う。それをやるには、国庫負担のつぎ込みが必要だと思う。これは池田君がいみじくも社会保障が大事であると言った。今相当に免税点が高くなった以上は、社会保障が第一であるということを七月に言われた。ところが今は後退しておるけれども、そういうことはわかっておるはずである。言った以上は、厚生省から総理大臣や大蔵省を突き上げたらいい。今申し上げたことは国庫負担をつぎ込まなければできないことが多い。それを強力に推進されなければ問題は発展をいたしません。原局がこんな百分の一くらいの原案では問題は絶対に進まないわけです。どんなにしかられようとも原局は、百のことをするとしたら、百五十くらいの原案を出して、中山君が幾らいくじがなくてもしりをたたいて大蔵大臣と大げんかをさせる。今世の中で、最初の婦人大臣として中山君は非常に象徴みたいになっている。その中山君が意見が通らないときは辞表をたたきつければ、世の中が動くわけです。また池田君も聞かなければならない羽目に陥るわけです。絶好のチャンスです。池田君はやると言っている、ほんとうはやらないけれども。それをやらせるためには、原局はそのくらいの元気を出さなければならない。田中君や中山君がいなくて非常に残念ですが、田中君が来たらもう一回申しますけれども、小山君からもっと積極的な意見を聞きたいと思う。
○小山説明員 年金問題については大へん御造詣の深い八木先生の御意見でございまして、いずれもかねてからの御持論を明瞭な形でお話しいただいたわけであります。これは根本的にはやはり先生のおっしゃるように、その問題を解決しようということになれば、非常に大きい国庫負担を道人することが必要だと思います。この点については私がここで申し上げることでは御満足がいただけないと思いますけれども、どうも現在の状態ではこの拠出の年金制度に、今先生がおっしゃったような問題をすべて解決するために非常に大きな国庫負担を取り入れていくということはむずかしいと思っております。それで勢い、現在考えていこうとしております改正の規模も、先生がおっしゃるほど大きいものではあり得ないと考えております。しかしながら、方向としては、先生が幾つか御指摘になったうちで、できるものはぜひ取り上げていきたい、こういうような気持でいるわけでございますが、そのうちで特に今御指摘になったこの制度の中で、免除を受けなければならぬような人々が、結果において老齢年金の受給資格を満たすことができなかった場合、それまでに納めた保険料を、利子もある程度つけてお返しすることにしておりますが、この返し方が非常に不十分である。三年に達しないものには返さないという建前をとっておることはすこぶるけしからぬ、こういうような問題につきましては、現在の国民年金法でとっておりますような考え方がありますと同時に、確かに先先おっしゃるような考えもあり得ると思うのであります。そういうような意味合いにおきまして、この問題は手直しをする際には、もう一回根本的にいろいろの筋の整理を考え直して、そうして、もしできる見込みが立ちますならば、かねての御主張のような方向で問題を解決して参りたい、こういう考えでおります。
 それから老齢年金の支給年令を繰り下げろという御主張も、特に将来の雇用趨勢を頭に置かれての御意見で、これは終始一貫先生の非常に強い御主張であります。そういった非常に根本的な御主張に対応するものとして受けとめるだけの大改正というものを、この年金制度で考えるということはなかなかむずかしいと思います。しかし御指摘のように、確かに現実の問題として、六十五まで待っておれないといったような人があり得るということは、これは私どもも十分考えられるというような気持でいるわけであります。従ってこの問題は、もしかけ捨て防止についての措置ということが相当徹底してとれるというようなことになるといたしますならば、かねて考えておったような障害もおそらく除かれ得ると思いますので、むしろかねてから要望のありました繰り上げの減額年金というものを取り上げることを積極的に考えていきたい。そうすれば六十五を境いたしまして、当人の希望によりまして、自分は受け取る時期をおそくしても年金額を多くしたいという人は、繰り下げ増額年金の道をとる。それから自分は受給の時期を早くしたいという方には、繰り上げの減額年金の道をとるということにいたしますれば、現状においてかなり実態に近づけるということになりますので、この問題を真剣に取り上げる方向で検討を進めたい、かように考えているわけなのです。
 それから障害年金とかあるいは母子年金の支給のための支給条件であります期間を短縮するという問題については、私も方向としては先生と同じ方向で考えるべきものだと思っております。国民年金において、あまりに老齢年金だけを中心に考えることは、建前の問題としてはよくわかることでありますけれども、やはり現実の問題としては障害年金なり、あるいは母子年金の問題は、相当重視して考えなくちゃいくまい、こういうような気持をもちまして、社会保障制度審議会の答申に比べますと、障害年金と母子年金の割合をかなり重くしたわけでありますが、まだそれでも十分でないというのが先生の御意見でございます。私も実施をしてみまして、もし三年間という受給要件を少しでも短くすることができるという見通しがつきましたならば、これは進んで短くする方向で考えるべきものだと思っております。ただ現状としては、さしあたりこのくらいで出発したい。これは、御承知の通りILOの最低基準の条約の場合でも、
 一応三年間というのが一つの目途になっておりますので、ここのところはこの程度でいきたい。しかしながら、これもなお検討の問題として、かりにこれを二年間に縮めた場合に、それから生ずる保険財政上の影響がどうなって、それが解決できるかどうかとか、あるいはさらに思い切って一年に縮めた場合にはどうなるかというような問題も含めて、なるべく国民年金というものが一日でも早く現実に役立つ制度になっていくという問題の一つとしてこれも研究をしていきたい、かように考えておるわけであります。
 なお、その根本の御主張である、この制度に所得比例の保険料徴収の原則を取り入れるべきであるという御主張は、これはかねてから申し上げているように、私どもも方向としては賛成しているわけであります。むしろある意味においては、答申をされた社会保障制度審議会がフラット制を答申なさったよりも、もっと強い度合いにおいて、原則は所得比例の方に移していきたいというふうに考えているわけであります。ただ現実の、できるかできないかという条件についての見方が、先生がお考えのほど、われわれはできるとは考えていない。ここに大きい違いがあるわけであります。これもあの当時から申し上げておりますように、現実の問題としては、やはり地方税については、市町村民税オブション・ツーの本文かあるいはただし書きの方向で統一しようという声は、最近別の事情からだいぶ強くなって参ったようでありますが、もしそういうことになれば、先生御主張のような仕組みを取り入れる時期が非常に早く来る。ただし、その場合でも、これは先生方の御主張と非常に大きく違う点でありますが、それだからといって、保険料徴収を所得累進制にして、年金は完全にフラットというのは、やはりこれは無理だ。やはりそういう拠出制をとられるのであれば、先生方の労働者年金の仕組み、あるいは現在の厚生年金の仕組み程度に、やはり所得比例部分と、それからフラット部分を、二つ半々ぐらいに組み合わせた程度のものに落ちつけざるを得ないのではないか。おそらくこれは現実の問題として、先生方のお考えは、そこまで考えていただける余地があるものだと思いますけれども、そういうふうなことでありますならば、この問題については、現実の条件の熟す時期が来れば取り入れていきたいという点は、全く同じに考えているわけであります。
 なお、先ほど私賦課式について申し上げましたのは、私も、これも前から申し上げているわけでありますが、賦課式というものを一がいに危険だというふうに考える従来の考え方はやや偏狭に過ぎると思うのであります。むしろ国民全部が被保険者になるというような仕組みの年金制度であるならば、相当賦課式の要素は取り入れていく可能性はあり得る。ただ何分にも日本にはそういった前提で組み立てられた年金制度が今までないわけであります。また世界の制度でも思い切ってそこまでいっているものがそうない。そうすると、どういうやり方で、どの程度取り入れていくか、しょせん完全に純粋な賦課式というのはとれないと思います。積み立て方式と賦課式とを加味したようなもの、それは先生方の案もそういうお考えが入っているわけでありますが、このからみ合わせ方については、もう少しやはり学問的にも、実際的にも研究をしていく必要がある。これはことしから一部の学者にお願いをして研究を始めてもらったわけでありますが、そういう意味において、将来の年金制度に伸びのある要素を与えるために、これは取り入れていきたいし、取り入れたいける可能性がある。ただ、現在はどうもまだそこまで議が熟していない。この点は先生方とほぼ同じ考え方であります。ただ、先ほど申し上げましたのは、国民年金の対象というのが、先ほどの滝井先生のお話のように、これは現実の問題として程度の違いがあっても、ぐんぐん減っていくわけであります。対象が減っていくということになると、その範囲内で賦課式を取り入れるということは事実上できない。対象がふえていくという条件があります場合には、賦課式というものは比較的安全に取り入れられやすいわけであります。ところが国民年金のように対象が減り、かつおそらく現実の動きとしてはやや若い対象が国民年金の対象からはずれて、被用者年金の対象に移る、国民年金の対象にはやや年をとったような人々が多く集まる傾向がどうしても出てこざるを得ない。そういうふうなことを考えますと、現実の問題としては賦課方式を取り入れるのには相当事前の研究をさせていただいて、これなら大丈夫だということが言えるところまで固めていかなくちゃいかぬ。そういう事情でありますから、先ほど申し上げたことは積み立て方式をとっている限り、たとい対象が減るというようなことがあっても、そのことのゆえに年金の実施を延期をするという必要はない、こういうことを申し上げたつもりでありまして、先生のお考えである賦課方式そのものについて、考え方の上で疑義を申し上げたつもりではないのであります。
○八木(一男)委員 賦課方式の問題は、たとえば国民年金の対象が減るからと言われますけれども、これは国民年金を農家の人や商売人だけに限っているからそういうことが起こるわけです。結局全労働者も含めて、もちろん労働者年金は違う体系をとらなければなりませんし、金額も高めておかなければなりませんけれども、労働者年金の国庫負担の方も賦課方式をやるのです。今の狭義の国民年金の方も、たとえば社会党の案のように全体的に考えれば賦課方式をやれる。階層の職業は違っても問題は変わらないと思う。社会党の案は十分御研究になったと思いますが、国庫負担ではどちらも賦課方式でそれほど変わらないはずなんです。国民年金の農家負担だけで考えられるから対象が変わってくると言われるのです。社会党の案は小山さんまだ十分御理解になっていないのかもしれませんけれども、狭義の国民年金に対する賦課方式の金額と労働者年金に対する賦課方式の金額と大体見合いができているようならば、どっちの方にいってもこの問題については大した誤差は出てこないようにできているのですよ。その点について、非常に御研究はしておいでになると思いますが、まだ御研究が十分じゃないと思いますので、社会党の案も一つ御研究になって、対象者が全国民であれば、そこに職業転換が起こっても国庫負担の賦課方式についてはそれを進めるための隘路にはならないと思いますので、その点についてもっと御研究を願いたい。
 もう一つ、賦課方式の問題はむずかしいですけれども、ある程度問題の推定がつきましたならば、少し冒険であればそれを内輪に見ても賦課方式をとるということを考えられれば、六十五才、三千五百円というような目標を、開始年令にしても金額にしてももっと高い目標にすぐ変えることができるわけです。大事をとられるならば――社会党の案もずいぶん大事をとっています。経済成長も八くらいでいくと思いながら四ぐらいに計算しておりますから、少し内輪に見積られてもいいのですけれども、賦課方式を取り入れた考え方で将来の推定をせられるならば、開始年令をもっと若くする、あるいは金額をふやすという目標が立つ。その目標を計理士的に、あまりシビアにやられるために、国民の方々の年金に対する失望感が高まってしまって、御協力が得られないことになってしまうのではないか。そこはもう少し勇敢にやられるべきであると思う。幾分大事はとってもいいけれども、それを入れてやるならば、目標をもっと高くすることができると思う。その点についてもう少し考えていただく必要があると思うのです。
 政務次官おいでになりましたが、残念ながらさっき小山さんにわんわん言った直後においでになったので、もう一回繰り返すのは同僚の御迷惑になりますから、次に中山さんと田中さんがおられるときに申しますけれども、とにかく小山さんはわれわれ友党が熱心に申し上げたことについて原則的には十分理解を持っておられるわけです。これは小山さんの立場を悪くする意味じゃない。原則的には賛成をしておられるわけです。これは田中さんだって原則的には賛成をしておられると思う。中山さんも、わからなければどうか知らぬが、わかれば賛成をするし、池田さんだってわかれば賛成をするわけです。われわれ社会党案を二時間くらい池田君に聞いてもらえばわかるはずだと思う。開いてくれないものだから、それがわからない。ごく程度の低い厚生省原案しか出せないところには、やはり大きな政治力が必要なわけです。国庫負担の問題とも関係してくるわけです。そこで中山君がきょう逃げられたことについては非常に遺憾千万であるし、田中さんが放送に出られておられなかったことについても相当遺憾でありますが、小山さんにこれ以上申し上げても気の毒だと思う。十分わかっていられながら、政府や与党の政策でワクがはまっておる。それを突き破るのはやはり田中さんなり中山さんにしていただかなければならない。中山さんは自民党の最初の婦人大臣ということで象徴みたいになっておるので、中山さんがほんとうにおこっちゃって、池田さんにこれをやってくれなかったと辞表をたたきつけたら池田さんとしては非常に困ると思う。そのくらい中山さんに、腕を振り上げるくらいの元気のつくようなりっぱな案を厚生省で作っていただけば問題は進むと思う。池田さんにしても、社会保障はやると言った以上、そうそう百やらなければならないものを一つぐらいでごまかさないで、どうしたって十や二十はやらなければ格好がつかない。そういう意味で厚生省の原案は、今のは乏し過ぎますから、今小山さんに十分申し上げましたから、それを参考にしていただいて、大体今の五十倍から八十倍くらいの金額を要する案に、百倍でももちろんけっこうですけれども、そういうような原案に直していただいて、政府部内で主張していただく、田中さんは猛烈に推進をしていただく、そうしていただけばけっこうだと思うのです。それについての田中さんのお考えを……。
○田中説明員 いろいろ国民年金については、八木先生の御意見を委員時代からずっと聞いております。私自身も、国民年金発足の当時は、ああいう客観情勢の中にああいう形で発足せざるを得なかったのですが、これはどうしてもやはり今後これを大きく推進をしていかなければならぬということは先生と同意見だろうと思います。ただ政府並びに与党としての立場は財政とのにらみ合いもなかなか実はストリクトでありまして、思うにまかせないのですが、気持としては、できるだけ大きくこれを発展させていきたい、かように考えておるわけでございまして、もっともっと大きな気持でこれを広げていきたい、かように考えておりますので、社会党さんの御意見のうち取り入れられるものはできる限り取り入れて御趣旨に沿うようにしていきたい、ほんとうに心から私はそう思っているわけでございます。
○八木(一男)委員 もっと申し上げたいのですけれども、きょうはまだ質問者もあり、時間を見ておられますので、残念ながら年金はきょうはこれで打ち切ります。
 保険局にちょっと簡単に。日雇労働者保険について非常に内容が乏しいという状態に対しまして、それをよくしていただかなければならないけれども、それについて保険料の値上げなどをしてよくするのではいかぬ。そういうようなことを考えておられるようですけれども、そういうことは非常に厳重に考え方を変えて、国庫負担を増額してやってもらわなければ困ると思う。その理屈は何かというと、政府の方は労働者については実に巧妙な欺瞞政策をとっているわけです。国民健康保険をよくするのはもちろん大賛成で、もっとよくしてもらわなければならないし、一部七割などというのではいけないし、十割にしてもらわなければならぬけれども、少なくとも結核、精神病は十割にして、ほかのものは七割にして、二、三年で十割にするというくらいにしてもらわなければ困ると思う。そのために国庫負担を十分にたくさん上げてもらわなければ困るのですけれども、それだけでは問題は片づかないのでありまして、やはり労働者についても配慮してもらわなければいかぬと思う。労働者の健康保険部分についてはほとんど国庫負担がない、共済年金についてもない、組合管掌についても全然ない、政府管掌についてはああいうようなひどいことをしたことで一部負担をつけるとか、ひどいことをした代償で三十億出すとか言いながら、勝手に十億に減らしている。こんなのは全体からいえば一%か二%にすぎない。国庫負担ということに入らないのです。日雇労働者健康保険には、私ども知っていますが、ことしから三割ということになった。三割だからいいというふうに考えられたら、とんでもない間違いです。労働者を全部一つの労働者の健康保険制度にまとめて、もし国民健康保険並みの国庫負担をなさるならば、ああいう給付がぐっと上がるわけです。日雇労働者健康保険の医療給付が一年でとまっているとか、傷病手当金がわずか二週間であるとかいう内容になるはずがない。すべての労働者がつぎ込んだならば、そこの中の勘定で、少ししか納められないような労働者には国庫負担の分が回ってくる、あるいは一部高額の保険料を納める労働者の保険料も、使用主の保険料も回ってきて、そうして十分なものが全国にできるようになる。国民健康保険では非常に不十分であるけれどもそういう操作ができている。それを労働者の健康保険制度だけは分断しているわけだ。その一番底辺になるところだけわずかに三割をして、それでもずいぶんしておるような顔をしておられる。そういうふうに分断をするなら、日雇労働者健康保険なんか少なくとも八割くらいの国庫負担をしてもいいわけです。五人未満の事業所の分だけ出して――これは六割くらいの国庫負担をしておるわけです。それでもまだ足りない。ところが、給付内容を直すのは当然だけれども、直すときにかまけて保険料を値上げをする、そういうことは間違いです。御説明はあまり必要がございませんけれども、そういうけちなことを考えないで、国庫負担をふやす、そして給付を健康保険並みにすぐする、このように御努力を願いたいと思います。変な理屈を言われたらまた追及をしますけれども、そういう御努力をやっていただけばけっこうだと思う。
○山本(浅)説明員 お答えいたします。日雇健康保険につきましては、仰せのように昨年度分から三割の国庫負担ということで、従前の国庫負担率よりも高くしていただいたわけでございますけれども、なお本年の予算でごらんのように、五億七千万円以上の借入金という、おそらくこれは国の予算において異例だと思いますが、そういう一時しのぎの財源繰り入れということで、辛うじて収支のバランスをとって本年の予算ができておるような状況でございます。ところで、給付改善を全然いたしませんでも、本年度につきましてはそのような五億七千万円以上の借入金をしておるのでありまして、本年度の収支の見込みはまだ確実に立ちませんが、おそらくはそれでも赤字が出るだろうというふうに考えられるような財政状況になっております。また日雇健康保険の医療費は大体年間十億ずつ伸びておるような次第でございまして、明年度の予算を考えるにあたっても、この医療費の自然増の十億というものは当然考えなければならないというような状況に立ち至っておる次第でございます。従いまして、これをどういうふうに保険というシステムをくずさない限度において考えていくかということは、並みたいていの知恵ではできがたいのでございます。しかも仰せのように、健康保険に比べますといろいろ給付の内容が悪いということも事実でございまして、われわれ何とかできるだけ給付内容を引き上げるということについても、十分意を払わなければならないと考えておる次第でございます。そういう非常に困難な左右のといいますか、相両立しがたい要請の中に立たされておりますこの日雇健康保険の明年度の姿はどういうふうに考えるべきか。もちろん先生のおっしゃいますように、組合健康保険も、政管健保も、あるいは日雇いも一緒にするというようなことが究極の理想かとは存じますが、これにつきましては今後の大きな課題でございますし、今にわかにそういうことができがたいこともまた御推察いただけると存じます。従いまして、現在の日雇健康保険という形のままでこのような困難な状況をどういうふうに調整するかということにつきまして現在腐心している最中でございます。従いまして厚生省におきましても、他の部局の予算は現在大蔵に出ておるわけでございますが、日雇健康保険につきましては、この間の考え方を最終的にきめるということが非常に困難でございますので、まだ財政当局のお許しも得て予算を大蔵に出していないというような状況でございます。一方このような困難は事態の処理に備えまして、先生もお聞き及びと思いますが、社会保険審議会の健康保険部会を、これは委員さん方に大へん御迷惑でございますが、十回くらいも開いて、この暑い最中に数カ月にわたりまして問題の収拾につきましていろいろの意見を求めている最中でございます。私どもの方といたしましても、こういう審議会にはほとんど前例がないと思われるほど詳細な資料を出しまして、遠慮なく意見を十二分に尽くしていただきたいということで現在御審議をいただいておりますので、こういう方々のお知恵を十分拝借いたしまして今後最終的な案を考えていきたい、こういうように考えております。
○八木(一男)委員 同僚がおられますのでこれで終わりますが、政務次官にも国庫負担をふやして内容がよくなるように最大の御配慮を願いたいと思います。
○大石委員 五島虎雄君。
○五島委員 本島さんから質問があるそうですから、私は八木さんの質問の中に申されましたことの一点について十分わからないものですからただしていきたいと思います。
 保険料に関する事項という次官通牒の文章を読んでみますと、「三十五才未満百円、三十五才以上百五十円の保険料の額については、国民の大部分が十分負担できるものと考えてこれを定めたものであること。」となっております。「十分負担できる」というようなことは、全部が負担できるというような確信のもとにこういう次官通牒を出されたと思うのですけれども、そのあとの文章を見てみますと、「なお、どの程度の低所得者の者につき保険料の納付を要しないものとして取り扱うかの保険料免除基準については、さらに調査検討を加えた上指示することとなるが、これが適正な運用に努められたいこと。」という文章があります。そこで百厚生省といたしましても、国民の全部が全部この百円あるいは百五十円の掛金の納付ができるというような構想のもとにこれを――その確信はないというように思いますが、そこで午前中から各委員の質問の中に、経済状態が今後貿易自由化などに伴ってずいぶん変動してくるというような場合、免除規定をその後調査してどの程度調整されたのか。たとえば十三万円を十六万円にワクを拡大する、それから知事が特に承認したものに限っては年収十八万円まではこれを免除するというようなことも聞くわけですけれども、はたしてそうであるかいなか。そうすると十八万円以下の低所得者というのは国民年金の対象人員の中にどのくらいの人員がおるか、こういうことを知らして下さい。
 それからただいま八木さんが質問されたことについて、二十五年間かけておらなければできないものを、非常に低所得者であってかけられない場合、十年間かけておればこれの支給をやるんだというようなことの説明が次官通牒の中にもあります。ところがこれは十年間かけ得たものでなければこの支給をしないということになります。そうすると百円あるいは百五十円の掛金が、十八万円以下あるいは十六万円以下である、現在そういうような低所得者である者は、免除されてしまって一ぺんもかけ得ないということです。そうすると何年間たってもかけ得ないような生活状態であるならば、これは全然国民年金のらち外になるということになるのじゃないかというようなことになります。そうすると田中政務次官が三本の柱ということで、滝井委員の質問に答えて、低所得者に対するところの対策、医療保障の充実、それから環境衛生の完備、これが厚生省の中山行政の三つの柱であると言われました。ところが十八万円あるいは十六万円以下の所得層が国民年金の掛金ができない場合は免除されるけれども、免除はいいけれども国民年金の支給対象にならない、こういうようなことになるのじゃないかと思います。そうすると八木委員が言われましたように、低所得者に対するところの給付そのものが最も国民年金の重要なところである、こういうように言われまして、われわれもその通りだというような気持でやってきたわけですけれども、そうすると国民所得の谷間に置かれて、対象とならない。そうしてしかも低所得者とみなされるところのこれらの人々は、国民年金が支給にならないから、七十才まで待たなければ――老齢福祉年金は七十才にならなければもらえない、こういうようなことになって、国民年金のらち外に置かされる。しからば低所得者階層に対する対策は一体どこに飛んだかというような疑念が生ずるわけです。一つの点について、数字と考え方をこの際はっきりしておいてもらいたいと思います。八木さんの質問に対して関連質問します。
○大石委員長 五島さん、今局長がちょっと出ておりますので、あとで御返事させますから、恐縮ですがちょっとお待ち下さい。
○田中説明員 次官通牒につきまして、これは私もちょっと見たことがございますが、百円、百五十円は払えるであろうというのですが、全部が完全に払われない、その証拠に、免除規定というものが実はあるわけでございまして、従って全部が全部払えるものとは実は考えていないので、それについての言葉のあやだろう、必ずしも高いものと思えぬ、そういうことの言葉の表現だろうと思います。
 それから免除についての運用のこまかい点については、局長が参りましてから一つお聞き取り願いたいと思います。現在いろいろ問題がございますので、免除の規定を弾力性を持たせるということについては、抽象的に役所の方でもいろいろ考えておりますが、これらについては、局長からお聞き取りを願いたい、かように思います。
 それからこれは私どもとしても、いまだ成案を得ておらないのでございますが、私ども免除規定というものが、拠出制年金の中においていろいろ働くと申しますか、効力を生ずる面が多々ある、ところが現実に拠出したものとの間の差と言うか、ギャップというのが非常にあるわけでございまして、従って、この間の問題がいろいろ深刻な問題を投げかけるわけでございます。従って、現実に免除をされたものと現実に納めたもの、この間の幅をもう少し縮めることができないものであろうかということが、今後の私どもの重要な課題にあるであろう、かように思っております。むろん現実にお金を納めたものと納めないで免除を受けたものとの間が全く同じというのもいかがかと思いますが、できるだけ役所としてはこの間の幅を狭めていきたい、かように思って、せっかく腐心をし、具体案を作りたいというふうに考えておりますが、具体的な内容については後ほど年金局長が来ましたら一つお聞き取りを願いたいと思います。
○大石委員長 しばらくお待ち下さい。それでは本島百合子君。
○本島委員 きょうはかなり長い間厚生関係の御質問でございますので、重複する点は省きますが、まず第一番に承っておきたいことは、先月の委員会で初めての婦人大臣が出られたので、社会保障に対しては重点的な施策をやる、こう新総理は言われたわけでございます。ところが一カ月もたたない今日では、減税かまたは社会保障か、こういうことで論議の的になっておるようです。そこで社会保障は今回はある程度削減されるだろう、私どもが希望しただけのことはしないだろうということが、日を追うに従って明確になってきたわけなんです。そのときにも、ちょうど大臣がおられなかったので、あなたに対しまして、世の中も相当変わってきている、この機会にこそ社会保障の充実をしなければいけないのじゃないか、政務次官としても相当御努力願いたい、こう申し上げたわけでありますが、わずか一カ月の間にこのように社会保障というものの火がだんだん、消えていっている。この陰にはどういうことがあるのか、大蔵省との折衝並びに閣議で話し合いがあったはずですが、その経過はどういうことになっておるのか聞かしていただきたいと思います。
○田中説明員 社会保障について内閣成立当初と今日とでだいぶニュアンスの違いがあるというお話ですが、確かに御指摘のようなことが私ども実は全然ないとは申し上げないのでありますが、この点については今後とも厚生省は大臣を先頭にいたしまして、できる限り一つ社会保障の推進、発展に努力をしなければならぬ、かように思っておりまして、実は大臣もしばしば総理等にお目にかかりまして、社会保障についての推進、発展方を強く要請をいたしているわけでありまして、ずいぶんと御苦労なすっておることと私聞いております。
 ところで、新聞等に社会保障の線が先細りではないかということがあるというお話でございますが、これについては先ごろ私の申し上げました通り、そういう感じが私自身もしないわけではございませんが、また反面、何といいますか、最初のマスコミの取り上げ方自身にも若干違いがあったのではないかと思うのでありまして、社会保障の発展的拡充という面について、実は党内の有志の代議士の方々が集まりまして、いろいろと声を上げたことがございます。その節には相当具体的な数字をあげまして、いろいろ世間に訴えたものでございますから、それが非常にわが党ないしはわが政府の考えであるかのごとくに報道された一面もございます。これも実は私の出身政党でございますから若干聞いておりますが、議員懇談会といいますが、同志議員の集まりからあのような声が上がったのでありまして、政府並びに与党といたしましては、あれほどまでの大きな実は宣伝はいたさなかったし、またいたすつもりもありません。しかし客観情勢としてはあのようなことも実は与党の議員のかけ声でありますので、そういったようなことが政府や与党全体の動きとごっちゃになりまして、非常に大きな期待を持たれたような気もいたしますが、現実にはそれほどのこともなかったというふうに思うのです。そういったような大きなあれこれまざった交響楽的な響きが、今日現実のものになってきたときに、どうも音が小さくなった、そういうふうに思える一面も確かにおありだろうと思います。それらについては、厚生省としてはあくまでも社会保障を推進発展させたいと思いますが、できる限りやっていきたいと思っておるわけでありまして、どうぞ国会の与野党さん両党を通じて、一つバック・アップをしていただきたい、心からお願いを申し上げます。
○本島委員 交響楽的響きが細くなったと言われたのですが、あれだけの声というものは、結論的には国民の希望であったということになると思うのです。マスコミが間違っているのではなくて、国民が心から願っておる、それとマッチしたから歓迎されたわけだと思います。従って今日厚生省の御答弁を聞いておりましても、非常に腰が弱いので、先の委員会でも、私は厚生省は腰が弱いということを言ったら、午前中質問された山下さんが、そんなことはない、予算もふえているということを言われたが、物価高に対する予算増というものは、決して国民のいわゆる低額所得層を助けていくものにはならないし、あるいは年金、保険等の矛盾というものの解決にはならないのだということでだいぶやり合ったわけなんですが、そういう点を考えて参りますと、この機会にやはり日本の国の社会保障が完璧に近いものが踏み出されてきたのだという、この実績をとらなければいけないと思うのです。
 そこで、午前中言われたことで私は非常にかんにさわったことは、総評が、私は総評の代表ではありませんけれども、総評は社会党を通じてすべてを反対して、今度掛金は軍事費に投じようという戦術をとっているなんていうような、婦人代議士でありながら、ああいう発言はないと少しむかむかしておったのでやじったのですよ。とにかく国民がそれほどに社会保障ということを希望しておる。しかも今の段階でこそできるのだ、これだけ自然増収がある、この機会をはずして社会保障というものが根をおろせるかということになれば、過去の歴史から見て、私どもでもできないということはわかるわけなんです。従ってこの機会に先細りにならないように、ふん張りをもって――私は女大臣だから言うのではなくて、これは国民すべてが願っているということで、先ほどからいろいろの角度から申された内容について、できるだけ理想に近い方向に持っていく、そして裏づけになる予算をとるというだけの一つ実力を発揮してもらいたいのです。選挙目当てだけのかけ声では困るので、今まではそればかりでやられてきたのですが、自民党が大多数を占めながら、今日に至って矛盾だらけで、しかも低額所得層はどんどんふえているというような格好になっておる。今度もまた選挙作戦として、低額所得層については所得の引き上げをやってやる、こう言いながら、午前中の役所側の答弁によりましても、要保護世帯が約六十万世帯ある、そして今度の二六%引き上げによっては大体九万から十万世帯くらいは入るのだ、こう言って答弁をされたわけなんです。ところが新聞によりますと、また私どもが計算いたしましても、それが入ってくるはずはないのです。新聞に報道されたことは、この単価引き上げによって、いわゆる今日保護を受けておる世帯数は減っていくのだということが明確に書かれておるわけなのです。五十億円程度の予算でもって理想的な案を立てていこうとすれば、先ほど言われた七万から十万世帯がボーダー・ラインから横すべりに入ってくる、生活保護の対象になるということは考えられないのです。ただ滝井委員がそこを突っ込まれなかったので、私はくやしくてじりじりしていたからこの際申しておきますが、単価を引き上げてやる、生活保護費を引き上げてやるという陰に、現在のボーダー・ラインが、生活保護を受けておる人より苦しい生活をしている。この数がふえるという勘定なのです。せっかく生活保護を受けていた人たちが出ていかなければならないという格好が出てくるということは、新聞の論説等なんかにも書かれておる。こういうことを考えていきましたときに、自民党さんが今言われておる低所得層の所得引き上げなどという、おこがましくもよく言えたものだ、こう思っているのですが、この点、先ほどから首をひねっていらっしゃるようですが、どうなんですか。
○田中説明員 これは保護基準を上げますと、先生御承知の通り現在生活保護に入っていない世帯が数字の上では入ってくるわけです。たとえば標準世帯で八千円なら八千円、九千円なら九千円というものが保護世帯の最上限だといたしますと、これをさらに何パーセントか上げていきますと、その上におる層というものが生活保護世帯として認定されることになりますから、計算上はどうしてもふえていかなければならない理屈になるわけです。新聞等で書いておることは、おそらくそういうことだろうと思います。はたしてそれでは図でかいたようにふえるものであるかどうかということについては、さようには相なるまいというふうなことを実は新聞等も書いておるのだろうし、また社会局長も先ごろお話したのは、そう自然の算術計算的にはふえていかないのだ、だいぶ上がっても生活保護に認定されないで済む階層があるから、従って九万から十万くらいであろう、こういうふうな考え方であろうと思います。しかしどうしても保護基準を上げますと、生活保護世帯というのがふえるのは当然であります。そういうことが先ごろ来御答弁を申し上げておる点でありますので、一つ御検討願いたいと思います。
 それからわが党の政策大綱におきましていろいろ申しておることでありますが、私の出身政党でありますから弁解するわけではございませんが、選挙目当てというようなお話もございましたが、もしほんとうに選挙目当てでやるならば、あのような空気の中ですから、政策大綱をもっと大ぶろしきを広げればよろしいのですが、その点与党の方でもずいぶん良心的になったものでありましょう。とにかくあえて相当正直なことを書いたものですから、相当皆さんの方から御批判をこうむっておりますが、それを考えてみても、決して選挙目当てだけでいい加減なことをしていないということを御了承願えれば幸いだと思います。
○本島委員 今の問題は現実の問題ですが、なぜ減るのかということになれば、調査が非常に厳重になって、今日でもちょっとした落ち度があると保護はかけられないのです。私ども世間体に見て当然かけらるべき階層がかかっていないという現実が世間にころがっておるから、なおさら基準を引き上げて、その線があまり多く入ってこないということが言われるわけです。そういう点で、もちろん生活保護費の単価を引き上げてやるならば、その内容についてももう少し幅広いものを考えていただかないと、現実のいわゆる零落しておる生活困窮者というものを上に浮かび上がらせることは困難である、こういうことになるわけです。ですから絵にかいたぼたもちで、それに近づけていこうと努力しながらはずれる人が出てくるということは、こういうところにあると思うのです。ですからそういう点なんかは、特に婦人大臣であるだけに、こまかいところに目を配って、今九万から十万世帯のボーダー・ライン層を広げていくのだということを言われるのですから、これをもっと上回っていくのではないかと普通考えられる。それが逆に減るだろうと言われることは、基準が上がることによって厳密な調査を――調査の仕方が問題になってくるわけです。そういう点でいま少し工夫をしていただいて、みじめな人々をこの機会に生活を、憲法の最低生活の保障というような点まで、かゆいところまで手が届くようにやつてほしいというのが私の希望でございます。
 さて多少重複して参りますけれども、やはり午前中申されたことでございますが、社会保険の診療報酬の問題並びにその協議会の問題ですが、たびたび繰り返されて言われておるようですが、新聞論調等で見ますと、甲表と乙表との関連において委員を出す、だから甲表に近い線でもって大体きめられるだろう、こういうようなことが言われておる。これはどういうところから流れたのか存じませんけれども、いずれにいたしましても甲表、乙表の問題にいたしましても、この一本化並びに診療費の単価引き上げ、こういうことは国家の財政とも関係があるでしょうが、保険者、被保険者ともどもこれは関連があることですから――実は年内一ぱい実態調査がかかってなかなかできないだろうというような答弁の仕方なんです。私は代議士になってから、この問題ではもう再三再四聞いておるのですが、近く審議会も発足いたし、そして皆保険下における保険行政は十分にやれますということを何べんも聞いておるのです。そのあげくの果てが、本年一ぱいで実態調査もむずかしかろうというような答弁の仕方なんです。そうすると、皆保険下における医療の問題については、びっこの形でいつまでたってもいかなければならない。ですからその点については答弁の過程から私判断いたしますけれども、保険者、被保険者ともども国家財政にも影響あるこの報酬の引き上げ、あるいは甲表乙表の一本化というようなことは、これはよほど慎重に考えていただかなければならない。同時に、考えるばかりじゃいけないので、早くこの解決をしなければいけないだろうと思います。一カ月前のときにも、この問題について質問があったときに、近く解決しますという答弁でしたが、いま一度この点聞きたいのです。すべて被保険者等にも負担の問題にからまってくるだけに、一つしっかりとした考え方、そして甲表によらせる、その甲表の一本化をするからそれを了承して委員を送り出すというような形の取引というものは、何か国民の側からするともやもやっとする感じがするのですが、こういう点、多少でも明確に答弁ができる点があったらば、この機会にしておいていただきたいと思います。
○田中説明員 ただいまのお話でございますが、けさほど滝井委員にもお答え申し上げた通りでございます。決して私どもとしては甲表にしわ寄せする、ないしは甲表そのままで一本化するなどということは、言うたこともありませんし、また考えたこともございません。のみならず、今日の具体的な事情を申し上げますると、日本医師会等はむしろ甲表には御反対でございますので、甲表に一本化するから委員を出せなどということを申すわけがございませんので、それは何かの間違いであろうと思っております。できる限り私どもとしましては、甲乙一本化は当委員会等の決議もございますので、すみやかにやり上げていきたい、かように思っております。もちろんこれについては、医療協議会の円滑なる発足ということも必要でありまするから、これについても鋭意努力をいたしております。
 それからけさほど保険局の次長が、事務的に考えますると、今年度中には頻度表の調査が困難であるというふうなお話もいたしましたが、これらについては、事務面ではさように考えておるようでございますが、大臣、私どもといたしましては、できる限りこの頻度表の調査を急がせまして、実は年度内にも完成できれば、かように思っておりますし、またその間にいろいろ政治的な配慮も加えまして、やっていきたいと考えております。従いまして、年度内に絶対にできない、あるいは予算要求に絶対に間に合わないとかいったようなことも、まだ断言する段階ではない、かように思っておりますので、その点お含みおき願えれば幸いだと思います。
○本島委員 国民の側からいたしますと、この甲表、乙表の問題にいたしましても、報酬の引き上げにつきましても、納得できればいいのです。だから納得できるようなやり方を厚生省もとっていただかないと、何かこの問題についてはもやもやと、各圧力団体とのあつれきがあって、どうにもならないんだというような、やり切れない気がするわけなんです。皆保険下ですから、もっとスムーズにこういう問題の解決を急いでいただきたい、これは希望でございます。
 次に、カン詰問題でやはり御質問があったようでございますが、私ども代議士になる前から、婦人団体の人々とともに、食品については、生命にかかわる問題でございますから、その品質、あるいは色を使っておるような食品に対しても、毒素を含むものは困るというようなこと、あるいはその内容というものをカン詰等については明確にしてもらい、そして買う方が、この品物はこれこれで作られてこうなんだということがわかるようにしてもらいたいというこの運動は、実に長い運動なんです。ところが、たまたま今回のにせカン詰の問題が出まして、しかもその後の調査によると、大体大和煮といって牛肉を使うべきものが、八〇%か九〇%が馬肉であったり、それから鯨であったなんということで、これは消費者にとってはほんとうに驚きいったことであったわけなんです。いつでも消費者はばかを見ておる。とにかくそういうインチキ業者から何も知らされない状態の中で、本物だと思って買って今まで食べてきたということになる。そうすると、これは日本のあらゆる業態で言えることかもしれませんが、こういう食品に対しては、特に厳格なる監督が必要だと思うのです。一部に言われている、このカン詰問題については不当競争がある、その結果からこういうことが行なわれておる、それからもう一つは、大和煮のような場合においては、大体商慣習上今まで馬肉を使っていたのだからそれでいいのだ、従って、値段も二百円前後のものであるが、百二十円前後で売られているのだから、安いものにいいものがあるはずがないのだから、消費者がだまされているというのがおかしいのだというようなカン詰会社の言い分なんというものは、心外だと思うのです。こういう点で、私どもも保健所その他を聞いてみますと、現在の保健所の人員ではなかなかこういう点まで十二分に手が回っていかない、そうして中身とレッテルの違ったものが売られる、こういうわけですから、こういう点については厚生省の先ほどの答弁ではどうも納得できないのです。法の盲点をくぐってやられた事件ですから、厚生省としてはこういう問題についてどういう措置をとり、とるためにどういう準備をしておるのかということを、この際聞かしてもらいたいと思います。
○田中説明員 この問題については、先生御承知の通り、私ども子供の時分から、実は牛カンというのはあれは怪しいというようなことはうわさになっていたわけでありまして、およそ国民の半分常識みたいな格好になっていたことも、実は率直に言ってあったかと思います。しかし、今日こういう情勢になって、まじめに考えて参りますると、やはり牛カンと称して他のものを詰めて売るということは、商業道徳上からも、またいろいろな立場から、また食品衛生上の立場から考えても、いろいろ問題があろうかと考えます。直接食品衛生法には関係がございませんが、たとえば牛肉と称して、もしほかの動物についての病気があった場合のいろいろ注意などというものも国民の間に起こらないで、牛肉だと思って食べたところがほかの肉で、ほかの肉ではちょっと危険な状態にただいまああということになると、これまたいろいろ問題があろうかと思います。そういうわけでございまするので、実はいろいろ問題が出て参りましたので、厚生省でも非常に心配をいたしまして、目下検討をいたしております。しかしながら、何分にも内々お互いに国民一般の間で品質も実はネグレクトしてきたような問題でございますだけに、実は抜本最終的にこの際これをじかに取り締まる法律がないそうでございまして、従いまして、これをやるのには、厚生省が直接食品衛生法をめぐってこれを取り締まる方法としては、現在の食品衛生法の規定の範囲内では、私も拝見しましたが、どうも困難なようであります。また農林省あるいは通産省それぞれこの種の取り締まり法規を持っておりますが、それもどの法律を見ましても、実はその近くまではいきますが、そのものずばりという法律がないのでありまして、そこで業者の不届きなものが、そういったような法律の裏をかいて、このようなことを今日までやってきたのだろうと思います。これはしょせん商業道徳上もあるいはいろいろな立場から見ましても、どうしてもやめていただかなければならぬことでございますので、けさほども尾村局長から申しました通り、この関係省の間で急速対策を立てまして、この種のものを一つ取り締まり、同時に業者にも自主的な規制をしていただく、同時に、それだけでは、実は問題が問題でありますから、法的な取り締まりも講じていくべきであるということで、今せっかく苦心をしておりますが、どの法律でどの省が主管省としてやるかということについては、ただいま断言ができないところでございますので、暫時お待ちを願いたいと思います。これだけの社会問題になりましたから、私はおそらく近い将来これについての法的規制ができるものというふうに考えております。
○本島委員 そうしますと、輸出用のカン詰については、輸出検査法ということで非常に厳格になされているわけなんですが、国内の消費の面で日本国民が食べる場合については、今言ったように、法の盲点で商慣例上従前こうこうでこのまま通ってきたのだということが許されてきている。外国向けと国内向けとこれだけ違いがあるということはどういうわけでしょう。
○尾村説明員 確かに今おっしゃいました通り、輸出品につきましては、カーン詰について、レッテルとそれから品質と、両面につきまして詳しい規制がなされております。それから午前中もお答え申し上げました通り、農産物につきましてはある程度の規制がかかっていて、従来畜産物だけがなかった、こういうことで、特にこれは理由があったわけではなくて、当然やるべきものがまず従来も必要なものから行なわれたというような差だけでございます。当然これは実施されるべきだ、こう思います。ただ輸出品の問題だけは、外国に売り出すものでございますから、そういうような条件を付しませんと実際に買手がつかなかったというような要請があって、なお優先的にこれが行なわれてきた、こう思いますが、国内につきましても、やはり中に入っているものはそれが明らかにされるような表示をする、これは当然なことでございます。従って牛肉が牛のレッテルで売られればそれ相当な原価の価格がつき、馬のレッテルがつけば馬並みの価格になる、これは当然でございます。そこが確かに商業的にいろいろな営業上のことからこういう間違いが今まで起きた。ただ厚生省といたしましても、今政務次官がお答え申された通り、関心は持っておったのでございますが、厚生省が今まで衛生上の問題ということに範囲をしぼりまして規制しておりまして、輸出品や農産物につきましても、食品衛生法以外のそれぞれの法律で規制しておりましたので、従って今度のに限ってこの際厚生省で衛生の立場と同時にこういうような商業上のことまで全部やった方がうまくいくかどうかという点に、まだ割り切れぬ点がございます。要するに今のように中身とレッテルがあって、国民側が安心して買えるようにするために一番徹底して取り締まる、あるいは指導的やり方を今各省で一緒になりまして大急ぎで検討しておりますので、それによりましてすみやかな対策を立てる、もちろん法規制が必要ということに相なりますれば近いうちに法規の改正もする、こういうことになろうかと思います。
○本島委員 この点について、二十社そこそこのメーカーのようでありますが、そういうメーカーに対しまして、自分のところの品物はこれこれであるということを各商店に明記させるとかいうように、レッテルをすぐ取りかえることはできないでしょうけれども、売りさばきの小売の方ではこれこれであったということはできるはずなんです。マス・コミに乗っておるといっても、新聞やラジオに縁の遠い人もあるわけなんです。そういう人たちは知らないわけであります。これほど問題になっておっても、やはり一般の人々は全然知らないでごまかされて買っている、こういうわけですが、こういう点で、商慣習とは言いながらも、あまりにもあくどいやり方だと、これは今回の事件を通してこれを知った人たちは全部が憤慨して、今まで食ったものを吐き出したいくらいに腹が立つわけなんです。だが輸出品にはそういう厳格なものがあって、輸出品の方はやらない。日本人が日本人をばかにしておるじゃないか、こういうことになるわけです。たまたまそのことによって悪病のもとにならなかっただけはもうけものであって、今後どういうことが起こるかわからない。しかも最近カン詰を利用することが国民として多くなっている。そういう点から見れば、なおさら今回こういう事件を引き起こして――大阪で一軒、東京で一軒だけが正確に守っておったけれども、あとは全部インチキ品であった、にせものであった、こういうことになっておるのですが、こういう点で現在の品物に対してどう措置をされておるのですか。
○尾村説明員 さしあたりの措置といたしましては、カン詰協会が全国を組織しておりまして、これを昨日呼びまして、これが自発的に組合加入のカン詰業者に、違っておるものはできるだけ回収する、そうして正しいレッテルを張る、こういう強い行政指導をいたしました。すでに必ずそういうふうにしようということで手を打っておりますので、さようなことで進むかと思います。なおそのほかに、今回のは普通のものが入っておって、レッテルの使い方が違ったというのはまだいい方でございまして、実はもぐりの業者が――食品衛生法で規定されております製造所の名前、製造年月日等は、これは当然入れなければいかぬのでございますが、こういうようなインチキをやるためにそれさえやっておらぬ、これは食品衛生法の違反でございますから、これは法に基づきまして処理をいたすことにしております。これが案外ありままして、いわゆるやみカン詰というもの、これは協会にもむろん入っておりません。どこのだれかわからぬようなものが小規模に作って領布しておる。こういうことがわかりましたので、これは今後厳重に調査いたしまして、これはもう今の法規でも処理ができます、いたすわけでございます。
○本島委員 もう一点伺いますが、現在の保健所等はこういう問題についてある程度の監督の目を光らしているわけだと思います。今のもぐり会社というようなものの発見がなかなかできないというのは、どういう欠陥があるとお思いになりましょうか。
○尾村説明員 これは飲食店を食品衛生監視と言いまして、たとえばさびてるカン、いわゆる衛生上危害のありそうなカン詰というねらいでこれは監視をしているわけでございますが、そのときに今申し上げましたようなレッテルが食品衛生法できめられておる記載ができておらないというものにつきましては、これは監視をいたしておるわけであります。今まででもしばしばこういうのを発見いたしまして捜査をすることになりますと、名前さえインチキなものが店頭にあるものでありますから、小売業者それ自身がいろいろなブローカーのようなものを通じて入手する、それをたぐっていきまして、結局製造所を突きとめて処理する。これはむろん無許可営業でございますから、直ちに廃業させる、こういうことをやっておるわけでございます。しかしこれはできるだけ進めておりますけれども、これは非常に困難な仕事で、もぐってなんとか売ろうということですから、陰へ回り回りやっておることでございますので、なかなか今人手が不足で、非常に徹底しないうらみがございます。このためにはどうしても人も充実し、この保健所の監視職員を充実しなければいかぬということで、この充実を逐次はかっていこう、こういうふうに存じております。
○本島委員 そこで今の監視職員が足りないためにうまくいかない、こういうようなことを言われたわけですが、保健所の問題は別といたしましても、こういう口から入っていくものだけに、もう少し徹底してやってもらえぬかという希望は各家庭ともあるわけです。もう一つは、そういうものが発見された場合に、罰則規定はどういうことになっておりますか。
○尾村説明員 先ほどからの、今問題になっております牛肉が中身が馬肉であったという場合には、先ほどから言いますように、法規上の処罰の方法はございません。ただ食品衛生法に規定されております腐敗したものとか、そういうふうなものを売るというような場合には、これは対象になります。それから規定されておる表示をしておらない中身の違いでなくて、製造月日とか、製造場所とか、そういうような規定の表示をしておらなかった場合には、食品衛生法に没収し、それからさらにそれが危害を及ぼすような大きな障害を起こした場合には、これはそれぞれ罰金なり過料なりの条項が食品衛生法にありまして、これを適用することになっております。
○本島委員 そういう場合、もっと厳罰に処するような規定があったならば、こんなもぐりがやれないのじゃないですか、こわくて……。もしもこのことによって生命に関係したときには、病気なり、あるいは命を落とすというようなことがあった場合、この人はどこからも損害補償はとれないわけなんです。やった本人の方は大した罰則規定はない、こういう状態ですから、もぐりの業態があとを絶たないというのが今日の状態じゃないでしょうか。そうすれば、今度食品衛生法の改正を急ぐつもりであるということでありますが、法の盲点を突いてやられてきたことも一つあるわけですから、こういう点についてはできるだけすみやかにこういう罰則規定を設けるんだという、厳罰の考え方はありますか。
○尾村説明員 ただいまのお話の食品衛生上危害を及ましたというのは、今度のいわゆる牛頭馬肉という問題とはちょっと違いまして、明らかに危害を及ぼしたという場合には、もちろん営業停止とか、そういうほかに、従来も御承知のようにミルク事件その他、障害が起こったものにつきましては、むろん業務上の傷害なりあるいは致死なり、これは刑事事件にもなります。むろん民事の損害賠償の問題もございます。ただそういうような危険なものがあって、まだ起こしておらぬ場合に、起こしたと同じような体刑なり重大な科金なりということには直ちにいかぬかと思います。それは現在も営業停止、いわゆる行政処分の規定がございまして、これによりまして営業を差しとめる、廃業させる、そういうのは十分これは食品衛生法に整えてございます。
○本島委員 たまたま今回カン詰事件で、こういうふうに騒がれて参ったからみんながわかったようなものですが、カン詰ばかりでなくて、あらゆる食品について相当のインチキがあるんですね。たとえば使ってはいけないという色素を使っておる、それも規定されているものより以上に使っておるとか、あるいは量目が違っている、内容も違っているというようなことがあらゆる食品について言えると思うのです。こういう点について、厚生省としては厳格な監督の措置を今日どのような形でとっておられるか。
○尾村説明員 ただいまの御質問の中で、量目の点は別といたしまして、規定以外の添加物、たとえばオゾンあるいは防腐剤あるいは色素、こういうようなものは食品衛生法で、衛生上危害に非常に関係があるものでございますから、入れる許容の量、種類まで規定しておりまして、それに載っておらぬもの、あるいは載っておる以上に入れたものはこれは違反でございまして、現在の食品衛生法で処罰規定が整えてあります。
○本島委員 食品については、特に厳重な措置というものが必要であろうと思うのです。そして問題が起こればそれを何とかしますというのが大体役所の態度のようですが、問題が起こらないように指導していくのが行政監督のあり方だと思うのです。そういう点について、カン詰ばかりでなく、その他の食品関係については特に十分な監督をやってもらいたい、これは家庭の主婦の心からの願いであるわけですが、どうか今回のような事件は二度と起こしてもらいたくないと同時に、もぐりのメーカー、こういうものについては徹底的な調査と、同時に営業停止なり、二度とやらないというような監督の措置をとってもらいたい、こういうことを希望いたしまして、カン詰問題につきましては終わりたいと思います。
 次に、自然公園法についてちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、この自然公園法の法律が出たのがたしか三十二年の六月だと思っておりますが、この自然公園の取り扱い方についてはどのような態度で望まれておるか、特に自然公園に指定されたところが、いたくその風景その他を変貌されたとか、あるいはまた人々の観光のためにあるいは教化のために、あるいは保健のために、この自然公園法ができましたときの目的に規定されておる、その内容といたく違った場合、そういうときに所管官庁としてはどういう指導監督管理をされておるかということを承りたいと思います。
○木村説明員 御承知のように自然公園法の制定目的は、景観を保護するとともに国民の利用の適正、促進をはかっていくということが目的でございますから、国立公園なり国定公園に指定されました場合におきましては、それにつきましてたとえば特別保護地域であるとか、あるいは特別保護区であるとかいうふうな地域を指定いたしましてそれによって計画的に景観の保護をはかって参るとともに、施設の整備につきましても公園計画というものを立てまして、それに従いまして設置されるように実施をいたしておるわけでございます。もしその公園計画と実際の運用と著しく相違した場合にどうするかという問題でございますけれども、そういう施設を設備いたします場合には、許可または認可によりまして、こちらの公園計画にのっとったような施設をやってもらうというふうにやっております。それが運用につきましては、御承知のようにレンジャーという公園管理員というものが各国立公園に駐在配置されておりまして、それが常に管内を回って、適正な管理が行なわれているかどうかということを指導しておるわけでございます。
○本島委員 たとえばこういう例があるわけです。一つの指定された自然公園の中でバスが通っている。その定期バスを使う場合に、ある集団が、観光に行った。そうすると、ある地点だけはそのバスで通過することができないというような目にあって乗り継ぎをする。乗り継ぎをする場合に、観光シーズンの場合ですと、なかなか他社の、いわゆる道路運送法といいますか、それによってきめられておる会社のバスでは運び得ない。そして目的を果たすことができなくて帰らざるを得ないというような事態が現実に起こっておるわけですが、そういう場合においては公園法の十二条にある、今あなたの御説明によって、計画あるいは事業、こういうことについては厚生大臣が自然公園審議会において決定する、こういうことに規定されておる。そうすると今申し上げたような事件に遭遇した場合に、これは公園法としてはどういうふうに措置をすることができるでしょうか。
○木村説明員 厚生省としましては、従来自然の保護ということに重点を置くと同時に、また最近大衆の国立公園の利用が非常に増大して参りましたので、大衆の適正な利用の促進ということで努力をして参っておるわけでございますが、ただいまお話のございましたようなケースにつきましては、実はそれは運輸施設でございまして、私どもは一応自然公園法の建前から運輸施設の取り扱いにつきましては、もつぱら景観上支障があるかどうかという観点から取り上げておりまして、そういう点から景観上支障のないというふうな場合におきましては許認可を与えておるわけでございます。もとより今お話のようなケースの場合には、広く国民一般大衆の適正な利用ということが望ましいのでございますから、私どももそういう立場からそのことを非常に希望するわけでございますけれども、ただいまのケースは御指摘のように道路運送法の規定によって取り扱われておりましてこれは主管は建設省であり、また運輸省でございまして、両省におきましてこういう場合には十分検討して、公共的な立場から円満に かつ適正に解決されていくのじゃないかというふうに思っております。
○本島委員 今円満適正に解決されていくのではなかろうかと言われたわけでございますが、これは御承知の通り箱根山合戦と俗にいわれておりますけれども、西武と東急の争いだとか、厳密に言えば小田急と西武との争いだということで新聞その他の報道機関はおもしろおかしく取り上げているようでありますけれども、ところが現実にあそこに行ってみますと、ものすごい合戦ぶりであって、せっかく自然公園の法律が出まして、その目的は「この法律は、すぐれた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図り、もって国民の保健、休養及び教化に資することを目的とする。」こうなっておるのですが、この目的とはえらく違ってくるわけなんです。こういう世間に問題になっているような事件があるし、この結論はやがていろいろと指定されておる自然公園、こういうところをめぐって影響してくるわけなんです。従って道路運送法が優先するのか、この自然公園法が優先するのか。優先するという意味は、自然公園として指定して、しかもこれはほんとうに目的の線に沿って進ましてやりたいと考えて指定されたのだと思うのです。そうした場合に道路運送法が優先して、そのために合戦をやっているという姿で、せっかく観光に来た客もおもしろくない、それから道路等も、これはおれの私有地だ、こういうわけなんですね。そこで自然公園に指定されたところに個人の私有地あるいは会社の所有地というものがあるのかどうかということを承りたい。
○木村説明員 日本の自然公園制度はアメリカ等と違いまして地域制をとっておりますので、その地域の中には国有地もあれば公有地もございますし、そのほかに民有地もございますれば民間の施設もございます。
○本島委員 民間の土地もあるということになるのですが、たとえば山のような場合、今の箱根のような問題のところは、ほかの道路を開拓するということは困難なのです。ですから従前の道路を使うわけですね。そうすると、この目的に従っていけば、たとえば使用権とか所有権とかいうことになってくれば、この法律ができたのですから、この法律にのっとって、そうしてこの目的に沿っていく。そうすれば観光客が不便を受けるというようなことはあり得るはずがない。これは常識的にそう考えられるわけです。ですからこういう問題が起こったときに、それは運輸省です、建設省です、ですから許可された上に立っての今日の争いです、これでは済まされないと思うのです。この三十二年に制定された自然公園法にのっとって三省が合同会議をやり、そうしてこの目的に沿うべくこの話し合いをつけさせていく、和解の方途を作っていくということができるものかできないものか。あまり厚生省の腰が弱過ぎて、私のところで自然公園に指定したが、それは道路運送法による、あるいは民間の土地であるからちゃちゃくちゃにやられてもしょうがないのですという理屈にはならない法律だと思うのです。そういう意味ではどういうふうにされておるのか。この箱根合戦の係争中の問題は御承知の通り全国的に影響してくるということで、あらゆる人々が注目している問題なんです。そういうような観点に立って、どちらに力があるのかないのか、もう一度御答弁願いたい。
○木村説明員 自然公園法の目的は、ただいま先生が御指摘になりましたように、景観の保護とともに、広く国民の適正な利用を促進することでございますので、そういう方向で対処していくべき問題であると思いまして、御指摘の問題につきましては、自然公園法の制定以前の問題でありまして、公園法でもそういう既成の事実の問題につきましては一応対象からはずしておるというような経過もございますけれども、しかし自然公園法の精神はそれにもかかわらず先生の御指摘の通りでございますので、私どもの方もそういう立場から努力して参りたいと考えております。
○本島委員 努力して参りたい、だけでは、この段階になってはなかなかむずかしいのじゃないでしょうか。たとえば江ノ島なんかに行ってみましても、御承知の通り一大歓楽郷といわれて、もとの江ノ島のきれいな風景やその他が見られない。私ども参りましてもびっくりしてしまうほど変貌しているのですね。そういう場合に、役所としては何とも方法がなかった、手をごまねいてながめておった、こういう結果ではなかろうか。こういうようなケースでどこもかしこもやられていったら、一体どうなるだろうかという不安を持つのです。この美しい祖国、美しい国土、これを何とかやはりそのままの風格、そのままの品位で残していきたい、こういう希望なのです。ですから政務次官に聞きますけれども、これは政治的の解決の方が重点だと言われておりますが、私は自然公園を守る意味から質問しているのです。ですから、そういう一民間会社の争いのまとになるなり、その地域がちゃちゃくちゃにされるということは許されない事実だ。そうすれば厚生省はもっと腰強くこういう問題の解決に当たるべきであって、その法律を作る以前の問題であるからやむを得ないのだというようなことで、道路には枯れ木が突っ立っているし、これは私有地だからほかの者は通さないのだというような、そういう勝手ほうだいな行動みたいなやり方はないと思うのです。そういう点についてほんとうは大臣の見解を聞きたかったのですが、政務次官の御見解を聞かしていただきたい。
○田中説明員 この問題についてはそれぞれの側から実は事情を私どもの方に申し述べてきております。それでわれわれとしても重大な関心を持ったわけでございますが、先ほど国立公園部長が申しました通り、厚生省といたしましては自然公園法の範疇の中でもっていろいろ情勢を見なければならないわけでございます。従ってただいまお述べの問題に関しては、なるほど厚生省所管の自然公園法の適切なる運用というような面とひっかかりのあるものもあるようでございますが、何といいましてもこの主たる問題はやはり道路運送法あるいはその他運輸省、建設省等が実は主になってやるべきものであるというふうに考えられるわけでございます。しかしながらただいま申しますように、自然公園法の制定の趣旨というものが曲げられるに至っては、厚生省としてもまた黙っておられないわけでございまして、そういう観点から自然公園法の趣旨が没却せられている面においては、われわれの方としても十分にものを申そうと思っておりますが、現実の問題としては木島先生、これはどうも自然公園法にかかってくるウエートよりも、そちらの方の法律にかかってくるウエートの方が大きいようでございます。しかしながら自然公園法に関する問題については厚生省としても十分この法律の適切な適用ができますように、一つ今後努力していきたい、かように考えているわけでございます。
○本島委員 これで最後にいたしますが、道路運送法の方が優先するように御答弁になったのですが、私はこれはやはり自然公園法を優先させるべきだと思います。そうでないとこの問題は解決されない。この問題がほったらかしになると、あらゆる自然公園の観光地問題というのはみんな既得権だといってやられちゃう。そうすると、一般の観光客で金のない人はバスを利用するのですが、限定免許なんというものの申請があって許可されたら一体どういうことになるか。私たち国民が、金のある階層の人たちを大事にするのが政治ではない、だから一番気軽に金のかからないように行けるというふうにして、そういう人たちを守ってやるためには、やはりこの法律の目的に従って個人のガリガリというものをここで排除し、そうして和解の道を見つけてこの自然公園を守る。こういう形が出てこなければいつまでたってもこの問題は解決しないと思う。これは全国的に波及するという動向があるわけなんです。こういう点についてはもっと厚生省はしっかりした信念と腹をもってこの問題の解決をはかってもらいたい。これが私の希望であります。
○田中説明員 ただいま道路運送法が優先するというお話ですが、これは別に優先するわけではございません。それぞれ法律の規定するところに従って、国家目的に従ってそれぞぞれ並列してやるものでございます。おのおのの法律の指向するところ、目的とするところがそれぞれ別でございます。ただもしこの問題について規制をするとするならば、向こうの方に相当のウエートがかかっているであろうということを申し上げましたが、決してこっちが優先するとかしないという関係ではございません。そういうわけで自然公園法の趣旨が没却されるような段に至りましては、これは厚生省といたしましても心外でございますので、その面からはいろいろと監督、指導をいたしていきたいと、かように思っております。
○大石委員長 それではさきの五島君の御質問に対して年金局長から答弁を願います。
○小山説明員 先ほどお尋ねのありました免除の問題は先生仰せのように、ことしの六月に決定をいたしまして、それぞれ関係の地方に通達をいたしております。それでこの内容を大まかに申し上げますと、免除の線を現在の市町村民税の均等割を納めている線と所得割を納めている線の中間くらいに引くということを目途としてきめたのでございます。先生御承知の通り、現在各市町村でやっておりまする実情から見ますと、均等割をかけるかかげないかということについては大体各市町村、もちろんその実情によって若干違いがありますけれども、まあ制度的に見てほぼ同じ線をねらっている、かように考えていい実情でございます。ところが所得割の方になりますと、これは市町村の実情によって非常に違いがあるわけであります。そういうような事情からいたしまして、一年間ばかりいろいろ実態調査をいたしました結果、線をきめたわけであります。
 まず内容といたしましては、現在市町村民税を免除されているような人々は文句なく保険料の徴収を免除する。ただし無業の家庭の主婦なるがゆえに免除されている人は別でございます。こういう場合は御主人がどんなにお金持でも免除されておりますので、これは別でございますが、御本人が免除されている場合は無条件に免除する。それから所得税を納めているような人の場合は、今度は無条件にというか、問題なく免除しない上限と下限をきめておきまして、具体的な線としましてはそれぞれの人々の課税総所得額をまずつかみ、その中から世帯主が寡婦であるとか、あるいは身体障害者である場合には一定の額を減ずる。それから長期の病気の療養者があります場合には、その費用のうちから五千円分だけを足切りいたしまして、残りを課税総所得金額から控除をする。こういうふうにいたしまして、家族の人員に応じてそれぞれ段階をきめまして、その線の範囲内でありますならば免除をする、こういう扱いにしているわけであります。
 それでごく大まかに申しますと、勤労所得等を得ております人の場合は、課税総所得額が実際の手取りからさらに二割引かれたものになりますから、こういったようなことで逆算して参りますと、五人世帯で特別に控除すべき事由がない場合には、およそ十六万円から二十万円くらいの実際の所得がある人が免除の線に入って、実情によって免除を受けたり受けなかったりする、こういった扱いになっております。気持といたしましては、十六万から二十万の線のうちで十六万の線に近い人が免除を申請してきたならば、なるべく免除するようにする。それから上の人が申請してきた場合には、都市居住者のときにはなるべくこれは免除をするようにする。農村の場合には特別な事情がない限りは納めてもらうようにきめていく、こういう考えであります。それから世帯の実情によりましては、三人なり五人くらい保険料を納めなければならぬ人がおりまして、全部を納めることができない、さりとて全部免除を受けるほどでもない、こういう世帯が割合いにあるわけであります。こういう世帯におきましては、それぞれの世帯から順位を明らかにして申請をしてもらいまして、希望の順序に従って免除をしていく、こういう扱いにすることにいたしております。
 それからなお免除は原則として一カ年間を単位としていたしますけれども、人によっては一カ年間全部は免除を受ける必要はない、半年分くらいなら納められるけれども、一カ年間というときついのだ、こういうような人があるわけであります。そういうような人々については、希望に応じて一カ年間のうち半年間免除する、こういうような扱いにすることにいたしているわけであります。現在これをもし実際にやったならばどの程度の人が免除を受けるかということをいろいろの統計資料をもとにして推算をしておりますけれども、被保険者二千三百万と予定されておりまするうちで、およそ六百万から六百五十万程度の人が免除を受け得ることになるであろう。これはもちろん免除該当者が全部申請してきたならばという前提でございますが、その程度に見込んでおるわけであります。従ってもちろん常にいわれておりますように、日本の貧困階層一千万といわれているような人々は問題なく無条件に免除を受ける、それよりかなり高い線においてそれぞれの人々の実情に応じて取り扱いをしていく、こういうふうなことになっているわけでございます。
○五島委員 わかりました。小山さん、そこであなたがおられないのに、私はあなたに質問しようと思って何かぐじゃぐじゃ回りくどいことを言ってしまったのですが、八木さんが質問されたのに、二十五年かけなければならぬけれども、免除をされる人たちには、十年間かければまあ二十五年かけたものとみなして支給をしようというような次官通牒が出されておる。ところが十年間かけたらというような人たちはかけ得られる人で、完全にはかけ得られない部類に属する人たちだ。ところが最初から免除されてしまって十年間一ぺんもかけ得られない貧困層があるだろう、そういう人たちは国民年金という社会保障の柱の中に該当しない人人になるのだ、従ってその人たちはもう谷間に置かれて国民年金、社会保障の完全充実だとか完全実施だとか幾ら池田首相が言われても、それが池田内閣の三本の柱になっておっても、純粋の低所得者層にはそれらは回っていかないのじゃないかということを私言ったのです。その点について八木さんは、一部十年以上あるいは九年までかけた人はだめじゃないかと言われたのだけれども、一カ月もかけ得られない人人は一体どうなるのだろう、こういうようなことを言ったのです。それで政務次官はうまい答弁をされて、非常に調節困難なところだ、こういうようなことを言われたのですけれども、そういうところは小山さん、どういうように構想されておるのですか。
○小山説明員 現在法律できめてありますのは、先生仰せの通りに十年間納めた人は残り十五年間免除を受けても老齢年金が受けられる。これは通達でなくて法律できまっているわけでございます。先生仰せの、実際上十年納められる者はまだいいのだ、中には納められない者がいるはずじゃないか、そういう者は一体どうなるのか、こういうようなことでございますが、この点については、こういうふうに考えて組み立てができているわけであります。一応この制度は四十年の間に保険料を納めるという組み立てになっておりますから、一生を通じて全然納められないということはよほどの例でなくちゃならないはずだ。そういう意味で四十年の間にはおそらく十年間くらいは納められる期間があるであろう、そういう想定でできているわけであります。これと免除の制度との結びつきは先ほど申し上げましたように、いわば免除という制度によりまして、保険料が納めにくい人々を一種の安全地帯に置きたいという考え方であります。保険料を納めなくちゃならぬのだというふうなことで圧迫をされることなく扱っていきたい。免除を受けた人が、それじゃ保険料を納めてはならないかというと、これは差しつかえない制度になっているわけであります。追納ができる。十年間以内であるならば、さかのぼっていつでも自分の好むときに追納することができる、こういう仕組みをとっているわけでございます。それで、できるだけ一生の間で納められるような時期に納めて十年間拠出という、いわば最低限の条件を満たすようにしていただく。ただ不幸にして一生かかっても十年間拠出をすることができなかった人はどうするのかという点は、お説のように拠出年金でこの問題を解決するだけのまだ仕組みになっていないわけであります。それでこういう人々に対しましては、将来とも補完的なものとして無拠出の年金を置きまして、無拠出の年金を受けてもらうようにする、そういうふうなことになっているわけでございます。
○大石委員長 これで厚生関係の調査を終わります。
     ――――◇―――――
○大石委員長 次に、労働関係の質疑に入ります。五島虎雄君。
○五島委員 ずいぶんおそくまで待たしてどうも済みません。滝井さんや八木さんからずいぶん真剣に長いこと厚生関係で質問がありましたから、私は簡単に数項目について職安局長及び基準局長に聞いておきたいと思います。
 これは大臣がおられないから、大臣に聞くべきことと局長さんたちに聞くべきこととはそれぞれ分類して聞いた方がいいと思います。しかし、従来政府は雇用の問題を解決するにあたって完全雇用を実施するんだということを言っておられるわけです。その完全雇用の内容の分析については、私たちと少々違うようなニュアンスがあります。しかし、せんだって九月の七日でしたか、自民党の選挙対策用というかどうか、党の政策が発表されて、閣僚で大体その方針を認められて、現在は全国に遊説をされておる。そうして少しずつ修正して、変更して、大臣その他から発表されている向きもあります。ところが今日の社労の委員会で、厚生関係で滝井、八木の同僚委員から質問がありましたけれども、将来雇用は増大しなければならないけれども、池田内閣としては農業人口を、これは印刷の間違いだとあとで言われているようですけれども、三分の一にする、それが四割、四〇%減ずるんだ、こういうようなことに池田総理は言っておられるわけです。そうすると六百万程度ですね、六百万程度は将来減ずる。しかし一説によると六割ですか、六割減ずるというようなことになると、九百万減少して、千五百万人から九百万人減じたあとの六百万人ですか、六百万人で現在の食糧生産をまかなっていくんだ、それ以上に生産を上げていくというような基本方針らしいんです。しかしわれわれもこの方針については、だぶついた農村人口は極力健全な産業にこれを吸収していかなければならないということは、社会党の完全雇用の方針の一端である。ところが自民党から発表されたところには、完全雇用をするというような覇気も気力もないように私たちは見る。それは広域職業紹介とかなんとか二、三点出してあるだけです。これでは、完全雇用に取っ組むところの覇気もないと思っている。しかし、自民党がこれを出したからといってこれを局長に聞こうとは私は思わない。ところが責任内閣ですから、池田内閣が四割あるいは六割の農村人口を減ずるといえば、滝井さん指摘によれば毎年々々の学校卒業者が百六十万人程度ある。それから何年間かかかって農村人口を減らしていく、そうして健全な雇用にこれを吸収するということになりますと、それらの人たちを完全に吸収しなければ失業者がふえるということに理屈ではなります。
 ところが池田内閣は何と言っているかというと、経済が極度に発展していくから、従って雇用は増大していくのだ、そうしてまた日本の将来が立ち直るためには貿易自由化を実現しなければならないという。この貿易自由化と失業の問題をこの前委員会で私が聞いたら、なるほどそれは一時的な現象としてはできるだろうけれども、長期においてこれを解消していくつもりである、こういうふうに石田労働大臣は言われましたけれども、しかし国民の気持としては、経済が発展すれば失業者は減っていくのだ、そうして失業者が減るとともに所得は倍額になっていくのだ、こういうような期待を持ってもしかるべきだと思うのです。内閣がそう言うのですから。ところがわれわれは、この池田内閣を通じ、あるいは自民党の政権下において、こういうようなことが一体できるだろうかというように、根本的な疑念を持っております。この施策、方針を打ち出される限りにおいては、労働省の職安局としては、これを消化しなければならない義務が生じてくるんじゃないかと思うのです。従って、それらの問題で将来完全雇用の面を達成するには自信があるのかどうかということを聞いておる。そうして現在の五十万の失業者がふえないだろうか、どうだろうか。従って、これは経済の施策の中から、国際的な問題でも、貿易自由化の問題からは必ず摩擦が起きて失業者がふえるとわれわれは思っておる。しかも経済企画庁から発表されたことによっても、一時は百七十数万人の失業者になるだろうというように新聞でもちょっと報道されたということを記憶するわけです。そこで、こういう政府の施策の中から、雇用の担当省として自信があるのかないのか。自信があるかといったら語弊があるけれども、それをどういうふうに解消していかれるのですか。この点が一点の質問です。
○堀説明員 最近のいわゆる完全失業者の数は、昨年の上期とことしの上期と比べてみますと、相当減少はしております。昨年上期におきましては大体六十数万程度でありましたものが、ことしの上期には五十数万というふうに減っております。この完全失業者の労働力人口の中に占める比率をもって、それで失業を測定するということになりますと、これは現在の労働力人口約四千五百万のうち、完全失業者は五十数万でございますから、一・何%であります。従ってこれだけを見ますと、いわゆる完全雇用は形式的には達成されておるように思われるのでありますが、しかし問題は、この完全失業者のほかに、不完全就業者が第一次産業あるいは第二次、第三次の零細な経営面において相当存在する、そこに問題が今後出てくるのではないか、このように考えておるわけでございます。
 そこでわが国の雇用構造をとってみますると、これは御承知と思いまするが、たとえば外国と比べてみますると、英国では第二次産業の全体の就業者中に占める就業者の割合が四七・五%、第三次産業におきましては四七・二%、第一次産業は四・九%にすぎないわけであります。またアメリカにおきましては、同じく第二次産業の就業の率は三四・七%、第三次産業が四八八%、第一次産業は一二・二%であります。これに対しましてわが国におきましては、第二次産業の就業者の率が二六%、第三次産業は三七・五%、第一次産業は三六・五%というように、総就業者のうち第一次産業の就業者率の方が非常に多いという点に一つの大きな問題点があるわけであります。総理がこの前発言されましたところの第一次産業の就業者の率というものを思い切って減らす方向に持っていくということにつきましては、われわれは労働省の立場としてこれは望ましいところである、この結果農業の経営が合理化、近代化され、第一次産業に相当存在しておると見られまするところの不完全就業者の数が減少していくということになるのでありますから、方向としては望ましいところである、このように考えておるわけでございます。しかしこれを具体的に何十何%減らす、それからそれを減らすためにどのような方策をとっていくかということは、これは経済各省と労働省と密接に連絡いたしまして長期的な計画を立ててこれに対処していかなければならない問題であると考えております。その可能性はあるかというお尋ねでございますが、これは先ほども御指摘になりましたように、現在三十一年から三十三年平均の第一次産業の就業者の数というものは約千六百万人でございます。これをこの十年間に六割くらい減らすということになりますと、約九百万人くらいの減少を行なわなければならないということになるわけでございますが、これにつきまして経済の成長率、国民所得の増加率というものを九%程度に押えて参りますならば、この十年間におきまして第二次、第三次産業におけるところの収容能力というものは相当出て参ると考えられます。それに現在の第二次産業、第三次産業におけるところのリタイヤの率、これを入れますれば第一次産業からの収容能力というものは相当増大して参ります。それから第一次産業自身のリタイヤの率というものを考えてみますと、これは計画よろしきを得れば、このような方向に向かって施策を進める可能性はある、このように考えております。
 しかしこれを具体的にいかに進めていくかということについては、よほど慎重な計画を立てまして、経済各省と密接な連絡をとって進めていかなければならないところであります。特に農村の近代化、合理化のための助成施策、それから農村から第二次産業、第三次産業に転入するものにつきましての職業訓練、それから移転の問題に対するところの助成、要するに労働力の流動を増大させるところの施策というものを積極的にとっていくということでなければ、なかなかこの目標は達成することがむずかしいと思うわけでございます。またそれと並びまして、いわゆる所得の格差が地域ごとにございますけれども、その住民の所得の割合が非常に低いというような地域については、重点的に産業立地政策によって工場等を建設していくというような政策もこれとあわせてとられることが必要であろうと思われます。そういうような点につきまして、私どもといたしましては、目下企画庁中心に経済審議会等に小委員会等を設けまして、いろいろ作業を進めておるところでございます。総理の御意向も発表されたところでございますから、われわれはそれを前提といたしまして、それにいかに近づけていったらいいかということについて密接な連絡をとりまして作業を始めたい、このように思っておるわけであります。
○五島委員 それでは次に行きます。
 三井三池のあの争議の問題は、ずいぶん長くて、そうして問題自身が深刻であったのですけれども、中労委の再三のあっせんによって、不満ではあるけれどもということで組合もこれを了承した。ところがこれがすべて円満裏に解決という方向にはないのじゃないか。常にテレビあるいはラジオで首切られるであろうと思われる人たちの考え方などを聞いておると、それは非常に人生の縮図であるように思われる。ところが、その解決の善悪は別としましても、石田労働大臣がかわり早々一つの手を打って、そうして解決の方向のために努力されたということはわかります。それでその解決をすれば、それから生ずるところの失業者に対しては労働省が責任を持つ、こういうような意思を大臣が発表されました。大臣が失業者に対して責任を持たれたということは、従来の大臣で初めてであるように記憶します。従って石田労働大臣はやはり若手でしっかりしているわい、こう思いますけれども、さあその次にはどういうように責任を持たれるのだろうかというような疑問が生じて参ります。ところがその責任を持つという責任の方向は一体何だろうということになると、大臣がそういうように断言されたのですからこれを受けるのはやはり堀局長だろうと思うのです。そうすると責任を持つという内容をどういうような方向に受け取っておられるのか。そうしてまた生産阻害者というような人たちもやめてしかれるような場合になるだろうと思うのですが、そういう人たちを含めて千二百名の失業者が出た場合、その責任を持つという具体的な解決の方法、就職と生活の保障と思いますが、その点についてはどういうように受け取られ、どういうように処理をされる気持ですか。
○堀説明員 三池の離職者の方々に対するところの措置につきましては、これは今回の三池争議の解決について、お話しのようないろいろな関係者について意見もございましたでしょうが、とにかく政府がその解決にあたって流血の惨を防ぐという意味において、中労委にも積極的にお願いいたしまして、この解決を促進したという状況にかんがみまして、やはりこの離職者の転職対策あるいは転業対策につきましては、石田労働大臣が言っておりますように万全の努力をいたすべきものであると考えております。その意味におきまして先般内閣に炭鉱離職者対策推進本部というものを作りまして、この問題につきましてはひとり労働省のみならず、他の各省においても積極的に協力してもらわなければならないという考え方から、他の関係省にも全部御参加を願いまして、総理府総務長官が本部長になり、すでにこれを発足させまして、具体的に離職者に対していかにお世話をしていくかという問題を協議しておるところでございます。
 そこでこの問題につきましてわれわれの方として考えておりますことは、まず第一番に、御承知のように先般の国会におきまして失業保険法の一部改正が行なわれました。その中におきまして特別に失業情勢の悪いような地域につきましては、労働大臣が指定することによりまして失業保険の受給期間を延長するということができるようになっております。これを受けまして、最近労働大臣の告示で築豊、大牟田、荒尾地区というようなところを特別地域に指定しまして、その結果この三池の離職者の皆さんに対するところの失業保険の給付というものは、一般の場合よりも二カ月さらに延長されるということになるわけでございます。具体的に申しますならば、五年未満の勤続の方については、一般は六カ月でありますがそれを八カ月、それから五年以上十年未満の勤続者につきましては、
 一般は七カ月でありますものを九カ月、それから十年以上の勤続者につきましては、一般が九カ月でありますのを十一カ月に延長する、こういう措置を講じたのでございます。なお失業保険の受給資格につきましては、これは争議中は賃金は払われないのだから、被保険者でないような疑いがある、従って受給資格がないのではないかというやかましい解釈をする人もありますが、われわれはこれは疾病、負傷による休業に準じて取り扱う、従いまして受給資格はもちろんある、こういう措置をとったわけでございます。
 それから第二番目に、離職者の方の希望者につきましては、職業訓練を受けていただくということで、荒尾にこのための専門の総合職業訓練所を作りました。これは着工を急ぎまして工事を進めました結果、明日開所式を行う段取りにこぎつけました。ここで年間を通じて六百人を収容するという予定にしておりますが、このほかに小倉と八幡に、北九州の総合訓練所の炭鉱離職者のための専門の分所を作りまして、それと同時に山口の小野田、それから大阪の総合職業訓練所、これにも炭鉱離職者のための専門の教室を作りましたので、この方面にも三池の方々を受け入れることができるように、用意を整えております。従いまして職業訓練を受けたいという希望の方につきましては、われわれとしては職業訓練所の門戸を開放して置く、こういう措置をとったわけでございます。具体的にはこれからだんだんと出て参られると思いますが、御希望をよく伺った上で入所手続をとりたいと思っております。なお訓練所に入所してから卒業するまでの期間につきましては、先ほど申し上げました失業保険の給付期間中にお入りになれば、その期間が切れましても、これも同じく失業保険法の先般の改正で、卒業までは失業保険を支給するということにいたしましたので、そのような措置をとって生活の保障をいたしたいと考えております。
 それから第三番目に職業訓練を受けないで、そのままどこかへ就職したいという方、それから職業訓練所を出た上で職を身につけて就職したいという方についての配置転換、就職あっせんの問題が出てくるわけでございますが、これは炭鉱離職者臨時措置法をフルに活用いたしまして、労働省の職安行政の機関、それから援護会とタイ・アップいたしまして、広域職業紹介あるいは県内の紹介あるいはこれに対する移住資金の支給というような措置を講じて、積極的に転換をはかって参りたいと思っております。ただこの三池の離職者の方につきましては、率直に申しまして、いろいろ新聞にもはなやかに報道されておる関係もありまして、民間でこれを受け入れてもらうということについては相当な努力が要ると思います。そこで私といたしましては先般来、先ほど申しました内閣の推進本部とは別に、日経連、商工会議所、石炭経協、その他関係の民間の首脳部とわれわれとが集まりまして、石炭離職者中央対策協議会、これに三池の専門の委員会を作りまして、ここで受け入れ態勢を整備し、PRにも努めて参ります。このような考えで参っております。なおそれと並びまして政府の関係の機関におきましても、できるだけ雇用を造出して離職者の方をとってもらうという努力が必要であると考えます。これは推進本部で目下具体的に練っております。ただいままで出ました話によりましても、たとえば建設省関係の道路公団等の、あの付近の循環道路等の工事にこの離職者を相当吸収することができる用意があることを建設省でも言っております。こういうようなものを動員いたしまして、官公庁関係、あるいはその公的な機関の関係の受け入れ余力を積極的に増大させていくことにいたしたい。またそれと並びまして、これはもう言うまでもないことでございますが、三池の会社自体におきましても、同系列の関連の事業場にこの離職者の人をなるべく多数とってもらう努力をしてもらいたいということで要請もいたしておりますので、この面でも相当あるのではないか。以上のような措置を行ないまして、この三池の離職者の方に対するところのいろいろな今後のお世話につきましては、われわれ万全の努力を払うつもりでおります。ただこの際言うまでもないことでございますが、これは私どもまず民間の関係の業者の方々につきましても、この三池の関係者たちが来ると問題を起こしはせぬかというような先入観をお捨て願いましてやはり炭鉱の離職者の方は本来素朴な方であります、こういうような人を積極的に受け入れていただくという態勢をとっていただくと同時に、また離職者の方々等におかれましても、この際積極的に職を見つけて転換をする、そういう意欲を持っていただきたい。それに応じましてわれわれといたしまして万全の努力をいたす所存でございます。
○五島委員 非常に詳細に説明されてよくわかりましたが、万全の措置というのは一人残らずという意味に解していいですね。たとえば民間にも協力願いたいとかあるいは法律でこうきまっているから法律をこう運用するのだとかいうことは、法律できまっているのだから行政上はそうやらなければならない、しかし労働大臣が特にこの問題については責任を持つと言われているのだから、そうすると最後の一人まで生活が立っていくように、最後の一人まで責任を持ってもらわなければならぬ、これが今局長の言われた万全を尽くすという言葉で私は理解しておきたいと思います。
 次に失業対策の問題ですが、完全雇用というような面の中から、失業対策という言葉自体がもう古くさいのではないかとかねて思っておる。仕事がないから失業対策事業といってしばらくの間やらなければならぬ、ところがそれが定着して停滞している。これはもうずっとわれわれが言ってきたことなのです。ですからこの問題は何とか壁を破らなければいけないのじゃないか、こういうように思っておるわけです。従って失業対策事業というのはなければならないのですけれども、それが半年なりあるいはまあ長くて一年くらい失業対策事業で仕事をしておれば、政府の責任において――雇用は近代国家では全部仕事につけさせるということが近代国家の成り立ちじゃないか、こういうように思えば失業対策に働く労働者は短期間、仕方がないから一時失対に吸収するんだ、そして今言うところの健全な第二次、第三次の産業につけさしていくように努力しなければならない。しかし現実の問題としてはなかなかそうじゃなくて、五年、十年あるいは十年以上停滞して定着しているという面があります。従って定着しておればいろいろの要求も出てくるし、要望も出てくることを知っております。従ってこれらの人々が作っている自由労組の諸君は、生活ができないからということで、いつも賃上げを要求される。われわれは無理ないことだと思う。ところがきょうの午前の厚生関係の質疑の中に、生活保護費の二六%引き上げを厚生省は決定して、大蔵省に要求しているということです。ところが従来失業対策の資金というのは、ある点労働の量に応ずるよりも、政府が失業対策事業法の歴史性にかんがみて何か恩恵的な仕事というような観念でやってきましたから、従って国家公務員が上がってもそのパーセントに応じて賃金が上がっていない、こういうような歴史から見ましても恩恵的な賃金だ、こういうように見ることは皮相の見方であるとも思いますけれども、しかし生活保護法の二六%アップということが厚生省で出たら、それを受けてというのじゃなくて、各省連絡会議はあるでしょうが、労働省は一体失業対策事業労働者の賃金をどういうように処理されていくのかということがまず浮かびます。それからもう一つは、国家公務員の賃金が上がっても、今までそれと同額に上がっていないのです。その中の一部を、幾%かを上げてきたというようなことで、現在三百三十四円になっているわけですけれども、人事院の勧告は一二・四%、政府はそれを五月一日から実施されるのか、あるいは一二・四%を一〇〇パーセント公務員の給与として実現されるのか、それはいまだわからない。政府の方針の中にもそれがうたってない。そうすると一二・四%国家公務員の給与ベースを上げたとしても、この人事院勧告と失業対策労務者の賃金はどういう関係を持つのか、あるいは今言いましたように生活保護費の二六%アップが大蔵省でできたとき、失対の賃金はどういうような関連を持つのかというようなことについて労働者諸君から局長がいろいろ質問をされたとき、それは実現するように努力しますと言われたということを聞きました。この点についてわれわれがわかるように、もう一度関連性を説明しておいてもらいたい。
○堀説明員 失対事業の性質につきましては、今先生が御指摘になりましたように失業者諸君に対しまして臨時的に失対事業をやってもらう、そうして他の企業に転換してもらうという考え方で始められたものでございます。ただ最近の実情を見てみますと、やはり失対労務者のたとえば年令構成等を見ましても、四十才以上の方が非常に多いというような状況で、失業事業に停滞するという傾向が出ていることは御指摘の通りでございます。私どもは今後の方向といたしまして、年令の高い方につきましては問題があろうと思いますが、年令のまだ低い、しかも職をもう少し身につければ円滑に他産業に転進できるというような方々につきましては、もう少し職業を身につけてもらうための職業訓練的な仕事もいたしまして、停滞しておる傾向をもう少しはかせて参るということを考えて参りたい、これは失対労務者の諸君にとっても非常によいことである、このように考えておるわけでございます。ただそれを並行いたしまして現実問題として停滞しておる結果といたしましていろいろな問題点が出ておるわけでございます。
 失対労務者の賃金につきましては、緊急失業対策法及びそれに基づく規則に基づきまして、同種労働者の賃金よりも低目に定めるということになっております。その結果といたしまして、労働省におきまして、屋外労務者の賃金調査というものを毎年八月にやっております。その結果に基づきましてPWをいかにするかということの検討を行なう。それに基づいて失対労務者の賃金の改定の作業を行なうということになるわけでございます。ただいま厚生省の方からの予算のお話がございましたが、ただいまのような関係がございますので、われわれといたしましてはこの調査を見まして、昨年に比べて同種労働者の賃金がどの程度上がっておるかというような調査の作業もいたしまして、その上で結論を出したいと考えておるわけでございます。基本的な気分といたしまして、ただいま申し上げました同種労働者の賃金というものを参考にいたしますほかに、これはやはり低所得者階層の所得を増加させるという方向で内閣としても進むと考えますので、そういうような考え方からいたしますれば、これとあわせまして、たとえば厚生省の関係の生活保護とのバランスというようなものはただいま御指摘のようにわれわれとしても考えて参りたいと思っております。従いまして、そういう点をにらみ合わせまして、今後大蔵省に具体的に予算の要求をして折衝を始めたいと考えておるところであります。国家公務員との関係につきましては、失対の労務者の賃金につきましては――実は本年度は公務員についてはべース・アップは人事院の勧告以前はなかったわけであります。失対労務者についてはすでに二十八円という大体九・何%かになりますが、相当大幅な引き上げをいたしました。そんな関係もありまして、われわれといたしましては、国家公務員よりも失対労務者がおくれておるというようなことは必ずしも当たらないと思います。要するに、今までの方式は同種労働者の賃金を参考にいたしまして、PW等の上昇と相待ちまして失対労務者の賃金を考えていきたいということで進んで参りました。今後においてもその原則と合わせまして生活保護とのバランスを考えながら作業を進めて参りたいと考えております。
○五島委員 PWの問題については、われわれはかねてPW廃止の法案を出しております。ですからこのことについてはいろいろ議論の余地があるだろうと思いますが、この際は時間がありませんのでよしましょう。それでその生活保護との関連性は十分考えるということだけを堀局長が言ったということを了解しておきましょう。
 大臣、政務次官がきょう来られるということで通知が来ておったのですが、政務次官も来られない。従って大臣や政務次官が来られておったらその他のことについて聞こうと思っておりましたが、これはやめましょう。
 次に、基準局長大島さんにちょっと一点聞いておきたいと思いますのは、八月二十九日の十六号台風、これは被害が非常に少ないのではないか、台風の目が岡山県と兵庫県の境を北上して日本海に抜けた、こういうようなニュースだったのです。今度の台風はあまり被害をもたらさずして日本海の方に抜けていったなと思ったやさきに、数時間たったあとに猛烈な風が吹いて雨が降ってきた。そうして海岸ではその台風の目の東側に属する兵庫県やあるいは大阪、それから京都府の一帯は高潮になって、そうして山岳地帯になると、今度は明治二十四年以来の集中豪雨だというようなことになった。従って、海岸では海水が浸水する、全壊家屋、床上浸水とか、非常に大きな被害をもたらしたが、ことに山岳部では、さいぜん言ったように、非常に大きな集中豪雨で五十年ぶりの雨量だ、こういうふうにいわれたのです。それは最も大きい部面として四百六十ミリとか四百八十ミリ集中した。そこで山岳部は、土砂くずれとか山くずれとか、そして鉄道の破壊とか、ある点非常に大きな惨禍をもたらしておるわけです。そこで兵庫県の調べによりましても、四十五億円ぐらい損害が出た。それから京都府においては四十億円の被害が出た。こういうようにして広範囲にわたって災害が出たわけです。災害の融資をどうするかというようなことは、また災害対策の面でこれはいろいろ救済策を講じなければならぬと思います。ところが、この集中豪雨の惨禍に一つの問題が出るわけですね。私は、この国会が終わってから、院の了承によって愛知県、岐阜県を調査した。ところが、両県の労働基準局長は、労働基準行政は非常に熱心にやっておられるということをわれわれは認識して帰った。ところが、そのとき知らされたことについては、いろいろやっておるけれども、監督行政というものは、監督官の数が足りない。大島さんは基準局長になられてまだ日も浅いわけですけれども、労働省におられますから、そして名局長としてこれから活動されるわけですから、十分これは御承知だと思うのですけれども、監督者が非常に少なくて、そうして適用事業場を監督するのが非常にむずかしい。しかし、むずかしい中にもいろいろ工夫をして、山岳部あたりには、もうほんとうに苦労をしながら、極力災害のないように監督をしている。ですから、ほんとうに御苦労ですねというようなことで別れてきたわけです。監督官が少ないということは一体何を物語るかというと、災害の発生も、監督をし注意をしておれば災害が発生しないであっただろう、というような場合がたくさんあると思うのです。ところが、現実に話を聞けば、これは岐阜や愛知ばかりでなくて、北海道の夕張炭鉱の爆発のときも、北海道の基準局長は言っておった。九州の福岡に行ったら、福岡の基準日長も言っておられたのですけれども、非常に監督者が少ない。まじめに監督をするのだったら、適用団体を一カ所をずっと回っていたら、三年間も四年間もかかるんじゃないですか。だからその中で重点的に監督をせざるを得ない、こういうことです。そこに一つの隘路がある。これは大臣がおられないから、ここであなたに言うべきじゃないと思うのです。ところが、この監督官をどういうように充足し、そうして災害その他十分指導していくかということを考慮していかなければ、今後の労働基準行政の完全を期することはなかなか困難じゃなかろうか。その監督官をどれだけふやせば完全かということはわからないけれども、しかし現在は非常に少ないということを各自訴えられておる。ですから、現場で少ないといっておられるのだったら、作業量というか何というか非常に過重であるといわなければならぬ。しかも予算で省費を節約しなければならぬということで、出張旅費はないというような隘路があるだろうと思う。もう一つは、監督官になるのには試験がある。ところが、学卒者が試験をわざわざ受けて監督官になるような人は今のところはないだろう、こういうようなこと。なぜかならば、景気だ景気だということで、民間会社に大学卒が非常に多く入っていって、監督官になるような試験を受けてまで安い給料で来る人はない、こういうようなこと。そこで一二・四の問題も出るし、三千円値上げの要求の問題も出るだろうと思うのです。そうすると、官吏はみな優秀だと私は思いますけれども、しかし学卒が労働基準局の監督官の試験を受けてまで、安い給料で監督官になろうとしないというのだったら、人材を補充することが非常に困難じゃないかというように思われます。そうすると三年かかったって四年かかったって指導もできないという実情がある。しかも岐阜の基準局長は、電源開発という問題が岐阜では非常に多い。そうするとその中で飯場というものがたくさんある。そうすると飯場を監督し指導するというのは非常に困難だということを訴えられました。しかし、その困難の中にも極力創意工夫して、いろいろ懇談会、座談会をやったりして、そうして監督をやっているということを私聞いてきて、なかなかやっちょるわい、こういうように思って帰ったわけです。ところが、それから帰ってしばらくしたら八月二十九日の風水害、ところがこれは神戸じゃない。これは西宮市に属する。御承知だろうと思うのですが、芦屋から有馬温泉の方に六甲山系を抜いて有料自動車道路を建設しようという芦有建設株式会社がある。ところがそこで第二期工事にかかっていた土建会社の飯場が、その道路開発の百メートル下から六十メートル下かの川っぷちに飯場を作っておった。ところが、不可抗力ともいわれますけれども、あの四百六十数ミリの集中豪雨によって、その道路の土砂くずれがあって、そうして飯場自体が土砂の中、泥棒の中に一瞬にして葬られて、二十数名の命が一瞬にして吹っ飛んだ、こういうことです。これは水害の大きな犠牲であって、われわれは哀悼の意を禁じ得ませんけれども、この件については、新聞を見ると、そしてまた兵庫県労働基準局長とよく電話などで連絡しましたら、兵庫県の労働基準局長は、この問題について非常に親心を持って対処されているということを私認識したわけです。しかしながら、あの飯場は大体第二種寄宿舎規程の中に規定してある第三章第三十八条の二号ですか、二号を見ると、崩壊の危険のあるところとかなんとかいうところには飯場を設定しない、こういうように規定があるにもかかわらず、あの傾斜の急な下側に飯場を作っておる。そうしてそれは突貫工事をやっているものですから、そこに労務者が休養をしたり、寝食をやっておる。ところが不可抗力の雨が降って、自分たちは死のうと思わないにもかかわらず、一瞬のうちに死んでしまったということは、ほんとうに問題だと思うのです。しかし、雨が集中的に四百六十ミリも降ったのだから、不可抗力だと言ってしまえばそれまでですけれども、しからばもっと高台に置けば、四百六十ミリ降ったからといって、どこの家もつぶれたりなんかはしていないのですから、従って場所の設定がよければあの飯場はつぶれずして、犠牲者も一カ所においてあのように多くは出なかっただろうと思うのです。ところが、労働基準局の方では、見ておって指導したこともあると聞いておる。指導しておれば幸いです。しかし、あとでこの第二種寄宿舎規程に適合しておったかどうかということを調べようとしたって、つぶれてしまったあとですから証拠がない。しかも、新聞記事によりますと、砂防法の違反を建設会社が犯している。砂防法では非常に危険のあるところでは工事してはならないというようなことだそうですが、兵庫県の砂防課では、ここは第二期工事として非常に危険だから書類を作りかえてこいといって、書類が突き返されておったのだけれども、現実にその工事は作業進行して、県の書類上の指示を聞かずして工事が始まった。労働者は労働しなければ生活ができないから、そこに設定された飯場に寝食をしておる。ところが雨によって死んでしまった。こういうようなことは労働者に対しては非常に気の毒だと思うのです。そこで、これは警察の問題にもなるだろうし、あるいは砂防法の違反にもなるだろうというように新聞にはうたわれておったわけです。そういうような経営者のいろいろな手抜かりもあったであろうと思うけれども、それでは労働者はたまらぬ。あるいは遺族としてはほんとうにあきらめることができないと思うのです。そこでこういうような労働者に対しては親心を持って臨んでもらいたい、こういうように私は切望してやまない。ところが庫兵県の労働基準局長に聞けば、労働省に法的解釈を伺っておるのだと言う。なるほど法的解釈を伺わなければ、作業中事業場で傷害を受けたり死亡したりしたことではないというように解釈されがちですけれども、こういうような、労働者の責任にあらずして、会社の強力な命令によってそこに寝食をしているというようなことに対しては、いろいろむずかしい点もあるだろうけれども、労働者に対する親心を局はやるのかやらぬのか、この問題を聞くとともに、今後飯場の問題については、四百数十ミリというような雨を想定せずして場所を設定し、まあ百ミリくらいの程度だったら大丈夫というような指導をして飯場なんかを作らせる気持があるのかどうか。毎年々々災害はくる。災害はどこにくるかわからぬ。九州へくるか北海道にくるかわからない。従って各県の基準局もその災害に対応するための考慮がなければならぬのじゃないか。われわれが局部局部でこういう場合にはどうするのだということを一々聞かぬでもいいように、こういうことは恒久立法をしなければならぬと思っておる。しかしこれは労働基準局長に聞く問題でもないと思う。飯場というとなかなかへんぴなところに作ります。従って監督指導というのはなかなか困難な状況を伴うということは私たちも十分知っておるわけですけれども、しかしそれをできるだけ困難を排除して指導監督をしなければならぬじゃないか。そのためには、冒頭に言いましたように、監督官をふやすなり、あるいはジープとかなんとかでなければ、出張旅費も欠乏しておる中になかなか監督もできない。そして監督ができないのに、あとでどうやこうや言っておったら国民の犠牲者が出ておる。こういうような面からするならば、今後局長は十分大臣とも話し、そうして大蔵省にもどんどん要求をして充足する必要がありはせぬか、こういうように思うわけです。その二点について、考え方と措置のことについて質問をして終わります。
○大島説明員 ただいま五島先生から、去る八月二十九日の兵庫県の六甲山の道路改修現場における災害のお話がございました。お話の通り、二十九日の非常に集中的な豪雨の結果、土砂の崩壊によりまして飯場寄宿舎二棟が倒壊いたしまして、その結果多数の死傷者を出す結果になり、私ども災害防止安全対策の衝に当たっております者といたしましては、非常に衝撃を受け、かつ心痛いたしておるわけであります。
 御承知の通り、産業災害の中で建設業の災害の占めるパーセンテージというのは非常に大きいのであります。私どもも、産業災害防止安全対策の推進の点からいたしまして、土木建設業は特別の業種として努力をいたしております。昨年三十四年におきましても約三万の事業所を指導監督いたしまして、安全規則の違反状況を調査いたしました。これは全監督事業所の約一七・五%に当たっております。さらに安全規則の違反につきましては是正いたさせまして、是正率も九十数%に上っております。ただ先生も今お話しの通り非常に多い産業災害でございますから、今後ことに土木の災害防止、安全対策の推進につきましては、監督の質量両面にわたりましてさらに一そうの努力を続けて参りたいと思います。
 第二の問題、すなわち労災補償適用の問題につきましては、先生も御承知の通り、異常な予測し得ざる災害の場合における労災補償の適用の問題は、理論的にも実際的にも非常に困難な問題が多いわけであります。現在兵庫の基準局に命じまして具体的な状況を詳細調査させております。ただ、ただいまの先生の非常に御熱意のあるお言葉、災害の犠牲者に対する非常に御同情のあるお言葉は、私ども感銘を持って拝聴いたしました。十分善処いたしたい、かように考えておりますので、御了承願いたいと思います。
○大石委員長 これで質疑を終わります。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後七時四十九分散会