第037回国会 本会議 第8号
昭和三十五年十二月十七日(土曜日)
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 議事日程 第七号
  昭和三十五年十二月十七日
    午後一時開議
 第一 国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律案(内閣提出)
 第二 日本開発銀行法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 昭和三十五年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案(内閣提出)
 第四 昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地域における津波対策事業に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 海外経済協力基金法案(内閣提出)
 第六 中国地方開発促進法案(遠藤三郎君外四十二名提出)
 第七 北陸地方開発促進法案(田中角榮君外二十二名提出)
 第八 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第九 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
 日本銀行政策委員会委員任命につき同意を求めるの件
 公共企業体等労働委員会委員任命につき同意を求めるの件
 社会保険審査会委員任命につき事後の承認を求めるの件
 昭和三十五年度一般会計予算補正(第1号)
 昭和三十五年度特別会計予算補正(特第1号)
 日程第一 国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律案(内閣提出)
 日程第二 日本開発銀行法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 昭和三十五年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案(内閣提出)
 日程第四 昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地域における津波対策事業に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 海外経済協力基金法案(内閣提出)
 日程第六 中国地方開発促進法案(遠藤三郎君外四十二名提出)
 日程第七 北陸地方開発促進法案(田中角榮君外二十三名提出)
 日程第八 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第九 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 行政機関職員定員法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 昭和三十五年度分の地方交付税の特例に関する法律案(内閣提出)
    午後四時十八分開議
○議長(清瀬一郎君) これより会議を開きます。
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 日本銀行政策委員会委員任命につ
  き同意を求めるの件
○議長(清瀬一郎君) お諮りいたします。
 内閣から、日本銀行政策委員会委員に千金良宗三郎君を任命したいので、日本銀行法第十三条ノ四第三項の規定によって本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出の通り同意を与えるに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。
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 公共企業体等労働委員会委員任命
  につき同意を求めるの件
○議長(清瀬一郎君) 次に、公共企業体等労働委員会委員に兼子一君、峯村光郎君、阪田泰二君、石川吉右衙門君、飼手眞吾君を任命したいので、公共企業体等労働関係法第二十条第二項の規定によって本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出の通り同意を与えるに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。
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 社会保険審査会委員任命につき事後の承認を求めるの件
○議長(清瀬一郎君) 次に、社会保険審査会委員に隈部英雄君、細田徳壽君、石井通則君を任命したので、社会保険審査官及び社会保険審査会法第二十二条第三項の規定によってその事後の承認を得たいとの申し出がございます。右申し出の通り承認を与えるに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって承認を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
 昭和三十五年度一般会計予算補正(第1号)
 昭和三十五年度特別会計予算補正(特第1号)
○天野公義君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、昭和三十五年度一般会計予算補正(第1号)、昭和三十五年度特別会計予算補正(特第1号)、右両件を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(清瀬一郎君) 天野公義君の動議に御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
  昭和三十五年度一般会計予算補正(第1号)、昭和三十五年度特別会計予算補正(特第1号)、右両件を一括して議題といたします。
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。予算委員長船田中君。
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    〔報告書は会議録追録に掲載〕
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    〔船田中君登壇〕
○船田中君 ただいま議題となりました昭和三十五年度一般会計予算補正(第1号)及び同特別会計予算補正(特第1号)の二案につきまして、予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本予算補正二案は、去る十二月九日予算委員会に付託され、十三日政府より提案理由の説明を聴取し、事後連日にわたる審査の後、本日討論、採決せられたものであります。
 今回の予算補正は、昭和三十五年度本予算成立後に生じました事由により当面必要とされる経費、すなわち、人事院勧告に伴う公務員の給与改善及び法令の規定に基づく義務的経費等のほか、特に政府の新規施策との関連において緊急に必要な経費を追加するための予算措置を講じたものであります。
 一般会計予算補正の規模は、歳入歳出とも千五百十四億円でありまして、当初成立予算額と合わせまして、昭和三十五年度一般会計予算総額は、歳入歳出とも一兆七千二百十一億円となります。
 歳出につきましては、まず第一に、公務員の給与改善費二百十四億円が計上されております。これは、さきに行なわれました人事院勧告を尊重いたしまして、国家公務員等の給与を改善することとし、これを本年の十月一日から実施するために必要な経費であります。次に、災害復旧の進捗を期することとし、災害関係費として総額二百九十億円が計上されております。以上のほか、社会保障及び文教関係費の不足補てんに要する経費合計百三十八億円、食糧管理特別会計への繰り入れ二百九億円、公立中学校校舎整備費四十億円、産業投資特別会計への繰り入れ百二十億円、賠償等特殊債務処理費六十八億円、地方交付税交付金及び臨時地方特別交付金合計三百六十一億円、その他五十三億円が追加計上されております。なお、今後の財政需要に対処するため、予備費二十億円が計上されております。
 以上の歳出をまかなう財源といたしましては、租税及び印紙収入の増加千五百十四億円を見込んでおります。
 特別会計の予算補正は、主として一般会計予算の補正及び公務員の給与改善に関連いたしまして、三十九の特別会計のうち二十一について所要の補正措置を講じておるのであります。
 また、財政投融資につきましては、日本輸出入銀行及び商工組合中央金庫への出資合計百四十五億円、災害復旧事業関係及び公立中学校校舎整備の関係等で合計百十四億円の地方債の追加、さらに、中小企業の年末金融対策として二百億円の投融資の追加措置がなされております。
 以上が予算補正二案の内容であります。
 次に、委員会における質疑応答の概要について申し上げます。質疑は、国民所得倍増計画、アメリカのドル防衛措置の日本経済に及ぼす影響、公務員給与改善、農業政策、社会保障等の諸般にわたって行なわれたのであります。
 今、その二、三について申し上げます。
 質疑の第一は、「政府は過般の総選挙において、国民所得倍増を目途として、向こう三カ年の経済成長率を年率約九%と見込み、かつ、農業と非農業、大企業と中小企業、各地域間の所得の格差を漸次解消してバランスのとれた成長をはかる旨の公約をしているが、去る十一月一日、経済審議会より政府に対し答申があった国民所得倍増計画によれば、経済成長率を七・二%とし、公約をはるかに下回っているのみならず、所得格差の是正についての施策にも欠けている等、消極的に過ぎると思われるが、政府は、この答申に対し、いかなる所見を有するか。また、今後、所得格差の解消についていかなる施策を進めるつもりか。また、所得倍増計画は経済成長政策を基本としているが、経済成長政策は中小企業、労働者を犠牲とし、大企業の高利潤追求の政策であって、このことは生産性の向上率に比べ、賃金の上昇率の低いこと、また、税制、財政投融資等の政府の諸施策にも明らかにその事実を認められると思われるが、政府の見解いかん」というのであります。
 これに対する政府の答弁の要旨は、「経済審議会の答申は、今後十年間に国民所得を倍増するという観点から、その成長率を年率七・二%と見込んで作成したものである。政府としては、本答申を今後の諸施策を進める上の一つの指針とする所存である。公約にいう九%の成長率は、過去の実績を基礎として見込んだものであり、かつ、十年以内に国民所得の倍以上の達成をはかりたい意欲をも含んでおる。農業の所得格差については、経済成長の過程において、あらゆる面にわたってきめのこまかい、しかも、強力な施策を講じ、これが解消をはかる所存である。経済成長政策は大企業本位ということは当たっていない。政府は、税制の面についても、租税特別措置を三十六年度から徐々に合理化していく方針であり、また、財政投融資等については、本年度約六千億円中、その大部分は地方債、農林、中小企業振興費、電力その他公益事業に配分しておるし、公益事業はその半ばが中小企業に関連を有しておるものである。経済成長政策の根本は、農民、労働者等、国民大衆の所得を増大することであって、輸出の振興をうしろだてとしてその達成が期せられるものである」というのであります。
 次に、アメリカのドル防衛措置のわが国経済に及ぼす影響について政府の見解がただされたのでありますが、「ドル問題は、ひとりアメリカだけの問題ではなく、日本を含めた自由世界全体の問題であるから、アメリカのドル防衛措置に対しては、日本は理解ある態度で臨み、協力すべきであるし、また、その経済力もあると考える。今後の問題としては、輸出増進等に格段の意を用い、この試練を乗り越えていきたい。域外調達停止に伴う特需の減少は、三十六年後半ごろからその影響が現われ、三十七年度にかけて一億ないし一億二千万ビル程度の減少が見込まれ、駐留軍その他を考慮しても約二億ドル程度かと思われる。また、アメリカからの資本導入については、いまだその影響は現われていない。貿易の自由化、低開発国援助等については、ドル防衛措置のいかんにかかわらず、でき得る限りの措置を講じたい」との見解が披瀝せられたのであります。
 次に、給与改善について、増額の格差、実施時期等が問題となりました。質疑の趣旨は、「政府の給与改善案によれば、平均一二・四%の引き上げ、一人平均二千六百八十円となっているが、最高二万三千八百円、最低八百円で、上に厚く下に薄い措置であり、全公務員の七割に達する者の増加額は、平均増加額の二千六百八十円に達していない。下級公務員については増額する必要ありと認められるが、政府にその意思ありや。また、実施時期については、人事院勧告によれば、本年五月一日にさかのぼって実施することを希望しているのにかかわらず、その実施を十月一日とした理由いかん。また、地方公務員の給与改善については、国家公務員に準じて実施するよう措置を講じているか。さらに、給与改善と関連して、行政整理、定年制の実施を行なうのではないか」等の質疑が行なわれたのであります。これに対して、政府は、「給与の改善は人事院勧告を尊重する建前で検討した結果、これを適当なものとして採用したものである。厚い薄いは比較の問題であり、人事院勧告の内容は一つの体系をなすものであり、これを手直しすることは困難である。また、実施時期を十月一日としたのは、主として財政上の理由に基づくものである。地方公務員の給与改善については、国家公務員のそれに準じて実施するよう、財政その他所要の措置を講じている。給与改善と関連して、行政整理、定年制等の実施については、現在考慮していない」旨の答弁でありました。
 以上のほか、中立外交、中共貿易、社会保障、防衛問題等、国政の諸般にわたり質疑が行なわれましたが、詳細は速記録に譲ることを御了承願います。
 本予算補正につきましては、本日、日本社会党並びに民主社会党より編成替えを求めるの動議が提出されました。両党の組み替え案の内容は、公務員の給与改善について、下級公務員の給与の引き上げの幅を拡大し、その実施を本年五月一日とすること、その他、社会保障費の増額等を計上しているのであります。
 質疑終了後、直ちに討論に入り、採決の結果、日本社会党並びに民主社会党の編成替えを求めるの動議は否決され、予算補正二案は政府原案の通り可決されたのであります。
 以上、簡単ながら、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(清瀬一郎君) 昭和三十五年度一般会計予算補正(第1号)外一件に対しては、井手以誠君外十五名及び受田新吉君外一名から両件の編成替えを求めるの動議が提出されております。
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○議長(清瀬一郎君) この際、順次その趣旨弁明を許します。野原覺君。
    〔野原覺君登壇〕
○野原覺君 私は、日本社会党を代表いたしまして、昭和三十五年度一般会計予算補正(第1号)、特別会計予算補正(特第1号)の政府原案に対して、その撤回を求め、わが社会党の編成替えを求めるの動議につき、提案理由の説明をいたさんとするものであります。(拍手)
 今回政府から提出せられました補正予算は、申すまでもなく、総選挙直後の池田新内閣のもとにおける最初の施策ともいうべきでありますから、政府の予算編成における態度としては、何をおいてもその公約を可能な限り実現することに中心を置くべきであることは言うを待たないのであります。(拍手)特に、その中でも重要なことは、経済の成長下にありながら、所得格差の拡大と、恵まれない低所得階層の生活困難をいかにして打開するかということであります。そのためには、政府は、まず、所得の不均衡の緩和をはかり、勤労者に対する減税、低所得層に対する社会保障推進のために、でき得る限りの努力を払う必要があると思うのであります。しかるに、政府の補正予算は、自然増収の財源を単に事務的に配分したにとどまり、国民生活を高めるための何らの努力の跡も見えないのは、きわめて遺憾にたえないのであります。(拍手)
 そこで、私は、以上の考えに立って、わが社会党の補正予算に対する組み替え動議の内容につき若干の説明を加えたいと思うのであります。
 まず第一は歳入についてでありますが、政府案によれば、本年度の当初予算に対して約一千六百三十億円の租税自然増収が出るものと予測し、そのうち一千五百十四億円を歳入補正に充当しておるのであります。しかし、私どもは、さらにこれ以上に六百億円をこえる租税自然増収が出るものと測定いたすものであります。また、特に法人税等におきましては、大口脱税が各種の方法によって行なわれていることは周知のところでありまして、こうした点に税務行政の力点を注ぐならば、さらに大幅な税収増加を見ることができるのであります。このようにして、合計九百五十億円の財源は可能になるのではないかと思うのであります。よって、政府は、本年度当初予算編成に際しての税収見込みが大幅に食い違ったことの責任を明らかにいたしますとともに、この際、今次補正予算においては、予測される妥当な限度において最大限の歳入補正を計上すべきであります。また、年度内減税の一環として、勤労者の年末手当に対して減税を行なうことは、かねての懸案事項となっていたのでありますが、この際、一万円までの範囲を限って非課税とすべきではないかと思うのであります。
 第二に、歳出についてでございますが、まず、不急不要の支出につきましては当然節減すべきでありまして、ことに、防衛力維持増強の政策は、今日の国際情勢の推移から見るならば全く時代錯誤であることが明らかでございまするから、大幅に削減せられなければならぬと思うのであります。わが党の組み替え案は防衛庁費二百億円の削減をいたしましたが、これは、ただいま申し上げましたような理由によるのであります。これに反しまして、国民生活向上の見地から歳出を増額すべきであると思うのは、以下、次に述べるようなものでございます。
 まず、公務員給与の改善についてでありますが、われわれは、人事院勧告の通り五月一日から実施すべきであると思うのであります。また、所得倍増の建前から申しましても、当然下級公務員の給与引き上げの幅を大きくすべきであるにかかわらず、政府案の給与改定は著しく上に厚く下に薄いのでございまして、この偏向は根本的に改めるべきであると思うのであります。(拍手)なお、年末手当も、民間に準ずる建前から申し上げまするならば、あと〇・五カ月分を増額することが必要であります。これら公務員の給与改善、ただいま申し上げました年末手当の増額分といたしまして、わが党の組み替え案では三百三十億を必要とするのではないかと思うのであります。また、公務員ではありませんけれども、社会福祉施設職員は、社会のためにきわめて重要な仕事に従事しながら、その待遇は恵まれておりませんので、この際公務員に準じて年末手当を増額することが必要ではないかと思うのであります。
 以上述べましたような趣旨に基づいて、国家公務員と同様に、地方公務員にも給与の改定を行なうべきでありますが、地方交付税交付金の増額があるとは申しましても、なおそのほかに一般会計からの財源供与として二百億円を必要とするのではないかと思うのであります。
 雇用問題といたしましては、石炭産業の合理化に伴う炭鉱離職者の問題、アメリカのドル防衛策に伴う駐留軍離職者等のための就労対策、職業転換対策を緊急に講ずる必要があると思うのであります。
 また、一般失対労務者に対しましては、政府も五百円のもち代を支給されるようでありますが、なお不十分でございまするから、これにプラス千円程と思うのであります。
 生活保護基準の現在の水準があまりに低く、憲法違反であるということは、各位も御承知の通りでございまして、この問題は、すでに本年の十月、国立病院岡山療養所の患者であった朝日茂君の行政訴訟の判決によって明らかになってきたのであります。この際、年度の途中ではありますけれども、生活保護基準の五割引き上げを断行すべきではないかと思うのであります。これに要する経費は百五十億円を必要といたしておるのであります。(拍手)また、生活保護世帯の生活条件の整備のため、寝具調達や家屋の修繕等を内容とする一時扶助の制度を新設し、同時に、これらの生活保護世帯への年末もち代としての政府案五百円では、これまた不十分でございまするから、少なくとも五人世帯に三千円程度の水準くらいまで増額すべきであろうと思うのであります。
 災害復旧につきましては、小規模災害を補助対象に含めまするとともに、再度災害を防止する見地から、改良復旧を大幅に織り込むべきであります。また、高い率の補助の適用を拡大いたしまして、災害で打撃を受けておる地方自治体の復旧を促進すべきであります。これに要する経費として四十億を見ておるのであります。
 中小企業年末金融対策では、政府は商工中金へ産業投資特別会計を通じて二十億の出資増加を行なうことになっていますが、中小企業だけの金利引き下げを促進するにはこれでは不十分でありますので、このほか、なお産投会計への繰り入れを増額いたしまして、これを商工中金、中小企業金融公庫、国民金融公庫への出資に充てるべきであります。このための経費分として百億円を見ておるのであります。
 最後に、歳入補正額を増額いたしまするならば、そのうちの三税の税収増加に伴いまして、地方交付税交付金は二百八億の増を見ることは言うまでもないのであります。
 以上、私は、わが社会党の組み替え態度を明らかにいたしましたが、動議の中に支出増の項目について具体的数字を入れませんでしたのは、補正予算の組み替えでもございまするし、同時にまた、あまり細部にわたって政府を拘束することは必ずしも好ましいことではないとの配慮からであります。(拍手)政府並びに議員各位は、私ども社会党の意のあるところを了とせられまして、わが党の補正予算の編成替えに賛成されんことを要望いたすものであります。
 以上で本動議の提案理由の説明を終わります。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) 井堀繁雄君
    〔井堀繁雄君登壇〕
○井堀繁雄君 私は、民主社会党を代表いたしまして、政府提出の本年度予算補正二案に対しまして、その撤回を要求し、組み替え動議を提出いたすものであります。
 組み替えを要求いたします第一の理由は、政府の予算編成方針が一貫性を欠き、財政政策の鉄則ともいうべき国民への平等なる還元の方針が全く無視されておるからであります。政府案は歳入補正一千五百七十二億二千百万円の租税の自然増収を計上しておりまするが、この金額は、当初予算のほぼ一割に相当する巨額なものであります。わが党は、当初予算の審議にあたりまして、政府に、再三にわたり、租税収入に過小見積もりがあるのではないかと警告をいたしたのであります。また、予算委員会の公聴会におきましても、租税収入の伸びはもっと積極的に期待できる、減税は本年度内にも可能である、との公述人の意見がありました。わが党は、本年度の租税の自然増収は二千億円を下らないものと分析をいたしておるのであります。このような財源の過小評価は、政府が故意に社会保障費など国民生活の安定のために必要とする予算を回避いたしまして、財政投融資資金や防衛関係費の財源としてこれを温存しようとするところの、きわめてずるい、保守的な財政方針であると喝破しなければならぬのであります。(拍手)今日このような財政収入の増加を見るに至りました経済の拡大は、言うまでもなく、勤労者のしし営々たる努力の結晶でありまして、租税の自然増によりまするかかる財源というものは、率直に、勤労者のために、その生活の安定向上に、ことに低額所得者の生活の安定のために、かかる予算を増額補正いたすべきであるといわなければなりません。
 政府は、本年度の租税の自然増収を一千六百三十億円程度に評価し、このうち、一千五百七十二億円を補正財源に充当しておりまするが、この点は非常に疑わしいものであります。さきにも述べましたように、わが党は、本年度の租税自然増は二千億円を下回らないと見込みましたが、経済企画庁の発表いたしておりまする本年度の経済成長率は、一月には六・六%と推定し、十一月に至りますると一〇・六%に修正をいたしております。また、大蔵省は、租税の自然増収について、選挙以前には一千三百億と推定し、選挙後になりますると、これを一千六百億に修正をいたしております。しかも、事務当局の部内にありましては、さらにその上に三百億程度の増収が見込めるとの意見が出ておるのであります。このように、われわれが推定をいたしまする前に、なぜ、政府は、今日、十一月分の租税収入の実績調査報告をわれわれに示さないかということであります。これは、きわめてずるい、狡猾なやり方だと思うのでありまして、この予算審議の終わるのを待っておるのではないかと思われます。わが党は、歳入補正財源といたしまして、租税の自然増収二千億と見積もりましたのは、かかる事情に立つのでありますから、政府は、この際、補正財源を正直に出しして、次の方法によって歳出を希望いたすのであります。
 第二の理由は、政府の歳出補正は、食管特別会計へ繰り入れておりまする二百九億円、さらに、公立中学校の校舎整備費に四十億円など、これは明らかに歳出補正のワクをはみ出した新規項目に該当するものと思われます。これら本予算案の歳入財源としては、当初予算において計上さるべき財源と見合って考えられるのでありまするから、これら予算額が提案されましたのは当然であるかもしれません。しかしながら、政府案の歳出補正項目を検討いたしてみますと、災害関係費、社会保障及び文教関係費不足補てん、賠償等特殊債務処理費及びその他の経費として計上されております退官退職手当などの点は明らかに補正措置であるのでありますが、財源があるから追加支出する中等学校校舎整備費等があります。補正の財源の余裕が政府に十分あのにかかわらず追加支出をふやさないということは、政府の施策がいかに陰険であるかを暴露する以外の何ものでもないと思うのであります。私どもは、政府の公務員の給与改善の充実、あるいは追加項目としては、社会保障を公約いたしました政府として、当然低額所得者のための新規予算項目が計上さるべきものと信じておりました。これを、この際、あらためて要求いたすものであります。
 組み替えを要求いたします第三の理由でありますが、それは、国民の血税を浪費するような不要不急の費用を削減せよということであります。しかるに、政府は、この点についてきわめて怠慢であるといわなければなりません。その一例は、特に防衛庁の経費についてでありますが、大蔵省の調査資料を見ましても、防衛庁費は、昭和三十四年度の末には百九十一億円、昭和三十三年度の末には二百二十三億円、さらに、さかのぼって毎年度のものを見てみますと、大体二百億円内外の使い残りがあるのであります。従って、本年度の防衛庁の経費から二百億を削減することが十分できるのである。わが党は、防衛政策の問題を論ずる以前の問題として、不要不急の防衛庁の経費、すなわち、二百億を歳出減として補正をいたすべきことを要求いたすのであります。
 次に、以上の観点から、わが党の予算補正の組み替え要求の内容の概要について簡単に説明をいたします。
 その第一は、本年度の租税自然増収のうちで、今回の歳入補正に繰り入れておりまする金額を二千億円といたすのでありますが、政府案より四百二十七億円の増額となっております。この増額分のうち、約三百五十億円は、所得税、法人税、酒税、俗にいう三税の増収分と見込み、地方交付税交付金として歳出増にはね返ってくる金額は九十九億円と推定いたされるのであります。
 さらに、第二には、政府案は、源泉所得税についてのみ年度内の減税措置をいたすことになっておりますが、課税の公平の原則に従いまして、申告所得についても同一の水準で減税をはかるべきであると思うのであります。この金額は約三十億円の減税となります。
 第三は、公務員の給与改善についてでありますが、政府案は、その実施の時期を十月一日としておりますが、これは明らかに人事院勧告の無視でありまして、当然五月一日にさかのぼって給与改定を実施すべきであると思います。また、自民党も社会党も認めておいでになりますが、人事院の勧告は上に厚く下に薄い、はなはだ極端な格差を生ずる勧告案でありまして、これを抜本的に改める必要があると思うのであります。すなわち、初任給の八千円を一万円に引き上げて、下級、中級を順次是正していくというやり方が、この際ぜひ必要であると思います。また、期末手当の人事院勧告は、民間給与に見合うように引き上げるというのでありますから、これは当然であると思いますが、さらに〇・一九カ月分くらいこれに加えるべきであると思うのであります。
 第四は、災害関係費についてでありまして、歳出項目が、いずれも、緊急な、被害甚大な地域に限る事業費でありますから、これを惜しんではならないと思うのであります。事業完成のために、かつ、地方財政負担の軽減を兼ねて、国庫の負担をこの際平均四分の三に引き上げるように要求をいたすものであります。この増額は約八十億程度であります。
 第五は、社会保障関係費でありますが、公務員の給与改善に準じまして、同じく国庫が責任を持って当たらなければならない日雇い労務者の給与であります。さらに、生活保護費の充実などでありますが、わが党の主張は、日雇い労働者に対しましては、給与一日平均五十円を引き上げ、年末手当三日分を増額いたしまして、計五日分にいたします。生活保護費につきましては、年末に際し、一時扶助金を新たに支給するとともに、対象人員を緊急に増員できるような、弾力性のある必要額を計上いたすべきことを要求するものであります。わが党は、このような新規補正項目を設けまして、低所得者対策費を新規計上することを要求いたすのでありますが、これは百億程度の原資で間に合うのであります。第六は、公立中学校校舎の整備費についてでありますが、中学校だけではなく、高等学校についても増設費を計上する必要に迫られているのであります。この費用は約三十億を要求いたすのであります。
 わが党の一般会計予算補正組み替え額は、歳入面で、政府案より増額するもの四百五十九億円、減額するもの三十億円、差引政府案よりも四百二十九億円の増額となるのでありまするが、歳出面では、政府案より歳出増額となりますもの六百二十九億円、防衛庁費の二百億円の減額によって、差引四百二十九億円の増額となるのであります。この結果、わが党の補正規模は、政府案より歳入、歳出とも四百二十九億円の増額となり、約一千九百四十三億円で均衡することとなるのであります。
 なお、わが党は、財政投融資計画については、政府案は、一般会計予算歳出補正として産業投資特別会計への繰り入れ百二十億円を計上して、これを輸出入銀行の原資追加に充当しようとしておりまするが、輸出入銀行の資金補てんは民間資金によっても可能なはずでありますから、一般会計予算より繰り入れる出資分はまず中小企業金融に充当すべきことを、われわれは強く要求いたすものであります。また、政府案は、産業投資特別会計の前年度余裕金二十五億円の追加を商工中金に向けているのでありますが、わが党は、商工中金の二十五億円はそのまま、中小企業金融公庫と国民金融公庫におのおの六十億を追加出資して、中小企業の金融を円滑ならしめようとする要求であります。
 以上、わが党の組み替え要求動議提出の説明を申し述べたのでありますが、最後に、繰り返し自民、社会両党に申し上げたいと思いますことは、今回の補正予算案は、本来、当初予算の財源をもって当初予算の歳出に計上する予算編成であるべきものなのであります。この見地からいたしまして、勤労者の生活安定向上、社会保障費の増額など、低所得者のための施策、あるいは中小企業対策に十分その予算を盛り込んでおりまするわが党の組み替え案に御賛成下さいまするよう皆さんにお願いいたしまして、私の提案理由の説明を終わりたいと思います。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) これより補正予算二件に対する討論、二件の編成替えを求むる動議に対する討論、これを一括して行ないます。順次これを許します。野田卯一君。
    〔野田卯一君登壇〕
○野田卯一君 ただいま議題となりました昭和三十五年度一般会計予算補正(第1号)及び同特別会計予算補正(特第1号)に対し、私は、自由民主党を代表いたしまして、政府原案に賛成の意を表し、社会党並びに民社党の組み替え案に反対するものであります。(拍手)
 去る総選挙にあたりまして、われわれは、わが党の内政外交の問題、なかんずく、経済成長政策を中心として国民に理解と協力を強く訴えて参りましたが、その結果は、広く国民各層の圧倒的な支持と信任を受けるに至りました。まことに喜びにたえないところでございます。(拍手)
 わが党並びに政府の経済成長政策につきましては、すでに御承知の通り、経済審議会が答申いたしました国民所得倍増計画を一応の参考といたしまして、実施計画においては、昭和三十六年度から三カ年、年九%の成長率をもって、おそくとも十年以内に国民所得の倍増を実現せんとするものでありまして、まことに意欲的な政策であり、国民に対して明るく豊かな前途を約束するものでございます。
 これについて、野党の諸君は、このようなわが党の政策を批判して、経済の高度成長は各種各層間の所得格差をますます拡大するものであり、中小農民の切り捨てを企図するものであり、また、アメリカにおけるドル防衛政策の実施は、わが国経済の不振と国際収支の悪化を招くものであると宣伝しているのでありますが、これは、根拠のきわめて乏しい、多分に逆宣伝的な批判でありまして、真に内外経済の実態を把握しないものの批判といわざるを得ないのでございます。(拍手)
 われわれは、所得倍増計画を具体的に推進するため、過去の実績の上に立ってますます生産性の向上をはかり、物価の安定と公共投資の拡大、減税及び社会保障制度の拡充を行なうことにより、今日存在するところの各種各層間にわたる所得格差を縮小しつつ、漸次解消していく、特に農業政策については、農業地帯に工場を誘致するため、政治的に、財政的に、あるいは金融面、税制面等においてあらゆる画期的な施策を行ない、農業人口をできるだけ他産業に吸収し、もって今後のわが国農業を企業として十分成り立つような近代的農業経営の方向に誘導せんとするものであります。(拍手)野党の諸君が宣伝している貧農切り捨てなどは、全くの誤解に基づく言いがかり以外の何ものでもないといわなければならないのであります。(拍手)これらの政策を具体的に推進するため、目下、農業基本法の制定を鋭意立案中でございます。
 また、アメリカにおけるドル防衛政策がわが国に及ぼす影響につきましても、昭和三十六年度下期ごろから三十七年度にかけて、おおむね一億ドルあるいは二億ドル程度の特需等の減少が見込まれるのでございますが、この程度の減少は、年間四十億ドルから四十二、三億ドルに及ぶわが国の貿易収支の実態から見て、また、本年十二月現在において十七億六千万ドルに及ぶ外貨保有高等から見ましても、十分試練に耐え得るものであり、きほど大きな影響を受けるものではないと思うのであります。(拍手)今後の推移を細心の注意をもって見守り、適切なる施策を講じていけば、わが国の実力から申しましても、国際収支の健全性がそこなわれることにはならないと思うのであります。
 所得倍増計画を実施する上で、今後において財政と金融の果たす役割はきわめて重要であります。金融については、経済成長の進展に見合う弾力的な運営と金利の引き下げ等、タイミングな施策が必要であり、財政については、勢い拡大均衡の方向をたどることになるのでありますが、政府としては、その健全性を維持しつつ、最大限に経済成長政策を推進するよう、財政運営上特段の配慮を要望するものであります。
 さて、本補正予算は、以上のような基本的構想のもとに、経済成長政策を実施するため、目下編成中の明年度予算と関連する一部のものについて、でき得るだけ早く実施をするという意味をも持って提案されたのでございます。
 まず、公務員の給与改善については、総額二百十四億円をもって、民間給与との格差を是正してその均衡をはかり、財政上最大限の予算措置を講じたものでありまして、おおむね人事院勧告は尊重せられたものであり、所得格差の是正に一歩を進めたものと考えるのであります。なお、この際、私は、行政の簡素化と能率の向上につきまして、一段の努力を政府に要望いたしておきたいと存じます。
 公務員の給与改善費と並んで大きな費目は災害復旧費であります。今回の補正は、本年災の分八十億円、伊勢湾高潮対策を含めた過年災の分二百七億円、その他チリ地震津波の被害地に対する事業費等を合わせて総額二百九十億円の追加でありまして、これにより災害復旧事業は万全の措置がとられたものと思われるのでございます。
 さらに、その他の経費の中で特に注目すべきものは、社会保障及び文教関係の経費がはなはだ多いことでありまして、施策の重点がこれらの面に向けられていることを端的に示すものとして、大いに賛意を表する次第でございます。すなわち、公立中学校の校舎整備費として四十億円が追加計上されております。これは三十六年度進学の生徒数の増加約百四十万人に対処するための措置でありまして、従来のごとく、当該年度の分は当該年度の予算で整備するというやり方を改めた、大きな進歩であると言い得るのであります。また、社会保障関係費では、生活保護費及び児童保護費のうちに年末の一時金を計上いたしましたことは、年の瀬を控えて経済的に恵まれない方々への福音であり、ここに政府のこまかい心づかいをうかがうことができるのであります。
 さらに、予算と関連して、財政投融資の面におきまして、中小企業への年末金融対策として、国民金融公庫、中小企業金融公庫及び商工中金等に対し総額百八十億円の融資を行なうほか、商工中金の貸し出し金利を引き下げるために、産業投資特別会計から商工中金に二十億円の出資を行なうなど、池田内閣の中小企業対策はきわめて適切であると申すことができるのでございます。
 補正予算の財源については、経済の拡大に伴う法人税等租税及び印紙収入の自然増収をもってまかなわれております。なお、この自然増収のうち、明年一月から実施予定の所得税の年度内減税五十八億円を実現いたすことになりましたことは、公約実現のはしりとして見のがすことのできない点で、ここに敬意を表する次第でございます。
 最後に、社会党及び民社党の組み替え案について一言触れてみたいと存じます。
 社会党の組み替え案は、一見いたしまして、ただ抽象的な文句の羅列にすぎません。若干の口頭説明がございましたが、一体、補正の規模はどの程度になるか、数学的にははっきりいたさない点があるのでございます。租税収入は二千億円の自然増収があるはずだといい、歳出の面におきましても、防衛庁費のどの費目を幾ら削減するのであるか、公務員給与の改善についても、総額において政府案をどれだけ上回るのか、また、失対労務者の期末手当を幾ら増額せよというのかなどにつきまして、いずれも具体的な金額は示されていないのでありまして、これは、予算の組み替え案と申すよりも、むしろ、要望の申し入れであるというべきであります。社会党の河野密君は、過日、予算委員会におきまして、池田総理大臣に対し、政府の政策を批判して、政策の柱だけを並べ立てて予算の数字を示さないのは何の意味もない蚊柱である、ときめつけたのでありますが、この社会党の組み替え案これ全く柱だけの蚊柱でありまして、この際、この言葉は社会党に返上いたしたいと思うのでございます。(拍手)民社党の組み替え案もおおむね大同小異でありますので、われわれは、とうてい賛成いたしかねるのでございます。
 以上の理由によりまして、私は、政府提案の補正予算に賛成し、社会党並びに民社党提案の両組み替え案に反対いたしまして、討論を終わりたいと存じます。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) 小松幹君。
    〔小松幹君登壇〕
○小松幹君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となっております昭和三十五年度一般会計予算補正(第1号)及び特別会計予算補正(特第1号)に対して、政府原案並びに民社党案に反対し、わが党提出にかかる組み替え動議に賛成の討論を行ないたいと思います。(拍手)
 討論に先だって、まず、池田内閣の経済政策を、勤労国民の立場から少し批判してみたいと思います。
 池田内閣は、所得倍増、経済成長を一枚看板としておりますが、その強力な推進をはかっているにもかかわらず、その政策は、むしろ、国民所得の格差を増大し、貧富の差をますます拡大しております。そういう経済政策をやっているわけであります。結果としてどういうことになるかといえば、働く者の貧乏、百姓の貧乏、いなか貧乏の度をますます深めているというのが、この経済政策の結果であります。(拍手)企業の下請化あるいは二軍構造の拡大はまずさておくといたしましても、最近の臨時工の異常な増大、低賃金労働者群の拡大は非常なものでございますし、あるいは農村においても、池田首相みずから認めておるように、離農者がどんどん出ておるわけでありますが、こういうことは、はなやかなる経済成長の陰にうごめいておる裏目の実態ではないかと思うわけであります(拍手)しかし、これがまた、この池田内閣の言ういわゆる経済成長をささえるところの重要なるファクターであり、そして、これが当然視されているところに、むしろ問題があるわけであります。まことに主客を転倒した成長の実体であり、悲しむべき政治の現象であると私は言わなければなりません。(拍手)
 さらにまた、減税を怠った徴税がますます盛んにやられております。大衆課税等の寄付金、あるいは次ぎ次ぎに攻勢をかけられてくる各種の料金の引き上げ、あるいは消費物価の値上がりは、すでに昨年から四%増を示しております。所得倍増とは反対に、善良なる勤労国民を苦しめておるのが、所得切り下げの実体であります。迷惑千万な話だと私は思うわけであります。これは、池田内閣の経済成長論の前に、まず出費倍増がきておることで、われわれは何とも残念で仕方がないのであります。(拍手)国民としては、池田内閣の所得倍増計画を喜ぶというよりも、その出費倍増政策に大きな不安を感じておるのが、偽らない実情であろうと思うわけであります。(拍手)あるいは続いてくるところの国鉄運賃の値上げ、あるいは九州方面ではすでに電力料金の引き上げが問題になっております。来年は大学の授業料も引き上げられる。そのほか、消費物価はますます上がらんとしております。所得倍増も何も、こういうことで、あったものではない。池田さんの内閣になって値下がりしたのは、池田さん自身が言っておるように、白菜だけであります。(拍手)こういうことに至っては、池田さんの思惑とは別でありますが、将来の家庭経済を心配しておる国民の不安はますますつのるのみであろうと思います。民間産業の設備投資拡大をただ一つのたよりとして、過度な資本投下を進め、経済の成長をはかっていく池田内閣の経済政策は、労働の実質的価値を低下させております。そうして、所得の地域差をつけ、あるいは貧富の差をますます拡大しておる。さらには、いたずらに消費面の高騰を引き起こして国民生活を圧迫しておるというのが問題点であります。数量的経済成長を無理に作らんとしても、それは必ずしも国民は喜ぶものではありません。国民の生活の充実にも、所得倍増にもならないということを、われわれは知っておるのであります。(拍手)
 この期にあたって特別国会が開かれたのでございますが、政府はまず何をなすべきか、また、何をなさねばならぬかという問題が、まず第一にこなければなりませんが、私は、もちろん、予算補正もまた当然よかろう、しかし、まず第一に取り上げねばならぬのは、大幅なる年内減税を断行することであります。ことしの年度当初より当然行なわれなければならなかった減税であります。それを、政府が、あるいは自然増収を見誤ったのか、あるいは故意に見誤ったのか知りませんが、いわゆる自然増収の低いことと、伊勢湾台風があるからという泣き言によって、ついに本年度の減税は見送られてしまったのでありますが、これを、今、私は、今度の特別国会ですでに自然増収がわかったのだから、はっきり打ち出すべき段階にきておると思うのであります。(拍手)年内減税を来年度に持ち越すというようなことは、私はやるべきではないと思うのであります。ことに、自然増収が当初二千百五十億円を見込み、さらに、今次補正予算においては千五百十四億を見積もっております。われわれの計算によりましても、さらに六百億以上の見通しがあるという段階にきておるのであります。すなわち、当初予算から考えてみたときには、自然増収四千億以上の税金を取り過ぎておることがはっきりしたわけであります。この四千億以上の税金の取り過ぎがはっきりした以上は、何をおいても大幅なる年内減税を行なって、国民に借りを返すことが当然である。(拍手)池田さんは、社会党に借りがあると言うが、社会党に借りがある前に、まず国民に借りがある。その借りを戻すべきである。(拍手)これこそ、私は、国民経済に不安を感じている国民に当然示すべき政治の要諦であると思う。この政治の勘をはずしたところのこの補正予算などは、まことに、私は、池田さんのほんとうの腹を読むような気がするわけであります。
 そこで、今次予算補正を見ますと、わずか減税が五十八億、しかも、給与所得者の来年の一月から三月までの三カ月間の控除額をやるところの、いわゆる年内減税ではなくして、年度内減税として措置しておるにすぎないのであります。四千億の税金の取り過ぎをして、たった五十八億しか年度内に減税をしてやらないというような、お茶を濁したこの減税は、国民を愚弄したものといわなければならぬ。(拍手)累進課税の税率を二年間も据え置き、三千六百億円以上の自然増収を見込みながら、これを財政資金として放漫な予算を編成し、保守党内閣の安定のてこにしておるに至っては、まことに民主政治を冒涜した悪政の限りと私は言いたいのであります。(拍手)あるいは、自然増収は経済成長によって起こったことで、政府の責任ではない、と言うかもしれません。しかし、自然増収の見積もりを千五百億円以上も見誤り、さらに、来年三月までの見積もりを今度の補正予算においても過小評価しておるに至っては、まことに不可解千万といわざるを得ないのであります。今春当初予算が予算委員会にかかったときに、私は、予算委員会の席上において、政府、特に佐藤大蔵大臣に対しては、租税の自然増収を過小評価しておる、二千百五十億円では計算の間違いではないか、ということを指摘したのであります。自然増収のさらにあることを指摘して、限界租税函数二五%以上だから、自然増収は二千百五十億円より以上回るのだ、こういう克明な説明を繰り返し、また、源泉所得税の場合も、三十三年度を基点として一四%増では経済成長率に見合わない、少なくとも二〇%以上アップをしなければならないことも、その当時、私は佐藤大蔵大臣に述べております。過小評価の分を私は本年度の減税に充つべきであると強調したのにもかかわらず、政府は、自然増収を低く見積もり、伊勢湾台風などの出費が重なったからということに事寄せて、当然やらねばならないところの減税を見送ってしまったのであります。大体、大蔵省の租税見積もり方式は旧式である。今度のいわゆる補正予算でも、その見積もりはまことに誤りが多い。しかし、この大蔵省のいわゆる租税の見積もり算定方式に誤りがあるとしても、政府が減税を意図的にサボったことは、まことに国民に申しわけないことであり、その政治責任は重大であると私は考えるのであります。(拍手)
 次に、千五百十四億という自然増収をもって補正予算を組むにあたって、年内大幅減税もなし得ない。それならば、人事院から勧告されている給与改善案だけくらいは満足にのむのかというと、それも満足にのみ得ない。五月一日にさかのぼって給与改善を実施すべきであるという人事院の勧告が出ておるのにもかかわらず、これをやらない。公務員のベース・アップは、長い間実施を押えられて、低賃金に据え置かれたことから考えたならば、少なくとも今度だけは最小限人事院の勧告をのんでしかるべきだということを私たちは考えておるのにもかかわらず、やはり、期日の点で、五月一日より実施するという勧告を無視したやり方をしております。しかも、上に厚く下に薄いという給与内容のみはそのまま受け入れておるということは、まことに了解に苦しむ点であります。低賃金層の給与引き上げにあえて反対し、上下の所得格差をいよいよ拡大し、低賃金層の存在を多くしている点は、池田内閣の経済成長の実体であるとは十分われわれも知ってはおりますものの、公務員給与の引き上げにこれほど問題がある点を一向に見向きもせず、改善に取り組もうとしない政府のやり方は、少し反省をしたらいいのじゃないかと私は思うわけであります。(拍手)
 また、生活保護対策費の予算補正にあたりまして、先ほどから、たびたび、もち代五百円の計上と言われておりますが、わずかにさほどの少額しか補正に繰り込み得ないということは、一体どうしたことでありましょうか。現在の生活保護基準がすでに憲法違反の額であるということは、裁判の判決に出ておるわけであります。これらを幾分でも考慮するならば、この補正予算を組むにあたって、幾分かこの生活保護費の満足なるアップをすべきであるのにもかかわらず、ほんの口よごし程度にやっているということは、私は、これは職務怠慢であると同時に、憲法違反であると考えざるを得ないのであります。(拍手)
 池田内閣が、いかに口ではうまいことを、社会保障をするんだとかなんとか言っておっても、それは国民の目をごまかす手段でしかないと私は断定するのであります。失業対策費も、あるいは災害地における救農土木事業費の積み上げも、炭鉱離職者あるいは駐留軍労務者の離職者対策の費用等も、この補正予算に組み入れない程度の実体であるならば、自民党が選挙のときに国民に公約した三本柱の一つであるところの、社会保障制度の確立をしますというような、ああいう大言壮語は、まことにから手形にすぎない。期待はずれで、私たちは何とも言えないのであります。しかし、これが池田内閣の真の実体であるとするならば、社会保障など言わない方がいいのであります。
 以上、私は数点にわたって述べましたように、膨大な自然増収を見込みながら、減税もやり得ない、賃金引き上げも満足にやらない、さらには、社会保障費も口よごし程度にしか盛り込み得ない、名目だけの補正予算を組んで、これが池田内閣の経済成長予算でございなど、今の野田さんのようなことを言うても、国民はこれをほんとうにしない。しかも、ほとんどが産業投資特別会計に出資して、経済成長が別個なところにその予算を振り向けて、財政の膨張をさせていくというような、こういう補正予算の組み方については、遺憾ながら、私は反対せざるを得ないのであります。(拍手)
 社会党の提案は、満足ではないかもしれません。しかし、ささやかながら、この組み替えによって、予算を一部の独占資本の予算から大衆の予算にしようと考えている心組み、その心組みに対して私は賛成し、その動議に賛成するものでございます。
 民社党の案もまた、口ほどもない案として、私は賛成しかねるわけでございます。
 以上申し上げまして、私の政府案反対、わが党案賛成の討論を終わるものでございます。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) 受田新吉君。
    〔受田新吉君登壇〕
○受田新吉君 私は、民主社会党を代表いたしまして、政府提出の本年度予算補正二案並びに社会党提出の組み替え案に反対をいたしまして、同時に、わが党提出の政府案組み替え要求に賛成をするものであります。(拍手)
 わが党の井堀議員が先ほど提案理由の説明のうちで明らかにいたしました通り、政府案は、補正予算というよりも、むしろ、本来は当初予算として編成されるべき財源や歳出項目が多分に含まれておるのであります。また、本案に編成されております食糧管理特別会計への繰入金、中学校校舎整備費、公務員給与改善費等は、いずれも明年度予算において継続して計上される項目でありまして、この意味におきましては、本案は明年度予算の前提となり、接続する十五カ月予算の一環と見て差しつかえないのであります。従って、政府は、補正予算案提出にあたりまして、補正という名目に隠れて当初予算との関係をあいまいにし、かつ、明年度予算との接続について何らの展望も本国会において明らかになし得なかった点は、大蔵官僚出身の池田総理を持つ現内閣としては、あまりにも不手ぎわであり、かつ、国民に対しまして怠慢、不誠実であると断ぜざるを得ないのであります。
 さて、私が政府案に反対をし、わが党提出の組み替え要求動議に賛成する最も大きな理由は、本案における財源の問題についてであります。
 政府は、本案におきまして、一千五百億円をこえる租税の自然増収額を歳入補正として計上しております。そうして、本年度の自然増収は大体一千六百三十億円程度にとどまるであろうと推計をしておるのであります。わが党は、このような政府の推計を、失礼でありますけれども、信用することができません。なぜであるかと申し上げますならば、最近の神武景気とか岩戸景気とかいわれておる景気上昇期並びに高原景気の時期における租税収入の算定について、政府当局がいつも後手に回っておることであります。毎年度にわたって、いわゆる租税の自然増収が当初予算規模の一割にも達しているありきまでありまして、この事実こそは、予算編成をして不当にゆがめしめておるのであります。すなわち、歳入予算の編成におきまして、租税収入は常に過小な見積もりをされております。加うるに過小見積もりが原因となって、租税収入の自然増という形が不当に膨張し、繰り返され、前年度剰余金収入が毎年度の歳入予算において大きな割合を占めるという不健全なる現象を示しておるのであります。
 第二は、この不健全なる現象に基づく歳出の不健全性であります。その実例を一つだけここにあげますならば、政府は、本年度当初予算におきまして、生活保護費で扶助すべき対象人員を百四十六万七千人と算定いたしました。わが党は、高原景気が謳歌されながら、一方において生活困窮者が都市に農村にあふれている、この現実を指摘いたしまして、生活扶助対象を少なくとも二百万人台に増加するよう要求をいたしたのでありますが、ついに政府案が原案のまま成立いたしましたことは、まことに遺憾でありました。しかしながら、最近厚生省が発表いたしました厚生白書にも明らかな通り、貧富の差はますます拡大をいたしまして、生活困窮者、生活保護を受けねば生活のできない、ボーダー・ラインにさまよう気の毒な方々の数は少しも減少していないという実態が明らかにされておるのであります。厚生省みずからが、当初予算における生活扶助人員百四十六万七千人という算定は少な過ぎたと告白しておるではありませんか。ところが、今回の補正予算案におきましては、千四百億円をこす租税収入が計上され、そのうち百二十億円は産業投資特別会計へ繰り入れられ、この金額そっくりが輸出入銀行への出資に向けられておるのであります。生活保護費は、赤字補てんと、医療扶助と、年末一時涙金の支給で、わずかに三十七億円が計上されているのにすぎません。このうち、医療扶助の人員増加に要した費用と生活扶助者に対する一時扶助金を合計して、わずかに二十七億円であります。これを、かりに百四十六万人の生活扶助受給者に平均して配分をいたしますと、一人当たり千八百円程度にすぎません。きのう、厚生大臣の古井さんが、生活保護基準を二六%引き上げたいと言われておりましたが、千八百円は、十二カ月に月割りをしますと一カ月分百五十円、すなわち、まさにスズメの涙にすぎないのであります。今国会へ政府から提案されております特別職給与法案によって総理大臣の給与が月十五万円から一躍二十五万円に引き上げられるというこの比較におきまして、まことに感なきを得ないのでございます。
 さて、一方において、今回の歳出補正では輸出入銀行向けの百二十億円が確保されているという、この現実でございます。生活扶助受給者に対する生活保障は、国家が全責任を持つ以外には救済の道はありません。しかしながら、輸出入銀行に対する出資は、政府の金融政策がよろしきを得まするならば、民間資金に肩がわりすることは可能なのであります。しかも、最近のように、経済好況がいよいよ曲がりかどに当面せんとしておる段階においては、経済拡大の最前線に立つ鉄鋼業においてさえ、設備投資の繰り延べが表面化しつつあるのであります。このときにあたって、輸出入金融について、あくまで国家資金をここに重点的に支出せんとする池田内閣の方針に対して、わが党は大きな疑惑を持たざるを得ないのであります。今回の補正予算の編成においてこそ、池田内閣の大企業偏重が露骨に暴露されたものと断定しても、あえて過言ではありますまい。ここに私が政府案の歳出補正の基本方針並びに編成の具体的内容において強く反対をする理由があるのであります。わが党の政府案組み替え要求動議こそは、これらの政府案の欠陥をそれぞれ是正した、現段階において最も公正なる補正予算構想であることを確信するものでございます。
 なお、社会党提出の組み替え動議につきましては、御趣旨の大半には賛成をいたし得るのでありますが、予算審議に必要である計数を全く明らかにしておりませんので、遺憾ながら賛成のしようがないのであります。
 以上申し上げました趣旨にのっとりまして、自民、社会両党の諸君が何とぞわが党の動議に賛成されるよう心より希望いたしまして、私の討論を終わりたいと思います。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) 以上で討論は終局いたしました。よって、とれより採決に入ります。
 まず、井手以誠君外十五名提出の昭和三十五年度一般会計予算補正(第1号)外一件の編成替えを求めるの動議について採決いたします。
 井手以誠君外十五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(清瀬一郎君) 起立少数。よって、井手以誠君外十五名提出の動議は否決されました。
 次に、受田新吉君外一名提出、昭和三十五年度一般会計予算補正(第1号)外一件の編成替えを求めるの動議につき採決いたします。
 受田新吉君外一名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(清瀬一郎君) 起立少数。よって、受田新吉君外一名提出の動議は否決されました。次に、昭和三十五年度一般会計予算補正(第1号)外一件を一括して採決いたします。
 両件の委員長の報告はいずれも可決であります。両件を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、両件とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事山中貞則君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔山中貞則君登壇〕
○山中貞則君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律案について申し上げます。
 この法律案は、さきに成立した国際開発協会協定に基づき、わが国が国際開発協会に加盟するに伴い必要な措置を規定いたしております。協定によれば、わが国の出資額は三千三百五十九万合衆国ドル、すなわち、百二十億九千二百四十万円となっておりますが、政府はこの金額を限度として同協会に対して出資し得ることを規定し、この出資は、金または自由交換可能通貨で行なうこととなっております。なお、自由交換可能通貨として本邦通貨を出資することが認められております。次に、協定によれば、出資額の一部については、それが本邦通貨である円で払い込まれる場合には、本邦通貨の払い込みを国債の交付によってかえることが認められておりますので、この出資のために、協会に交付する国債の発行等に関して必要な事項を規定いたしております。また、協会が保有する本邦通貨その他の資産の寄託所として、日本銀行を指定することといたしております。
 次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、外国より民間資金を導入するための一つの方法として、日本開発銀行に対貨債券発行の道を開こうとするものでありまして、第一に、日本開発銀行は大蔵大臣の認可を受けて外貨債券を発行することができるものとし、第二に、外貨債券の発行額の限度は、借入金と合わせ現行の借入金限度額、すなわち、いわゆる自己資本額の二倍までの範囲とし、第三に、政府は、予算の定めるところにより、外貨債券にかかる債務について保証契約をすることができるものとし、第四に、外貨債券の利子の非課税及び発行事務の委託等に関する規定を設けるほか、所要の規定の整備を行なっております。
 以上が二法律案の内容の概要でありますが、両法律案は去る九日本委員会に付託され、慎重審議の後、十五日、質疑を終了し、討論に入りました。広瀬委員は、社会党を代表し、両案に対して反対の討論を行ない、次いで採決の結果、両案とも起立多数をもって原案の通り可決いたしました
 次に、昭和三十五年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案について申し上げます。
 本案は、昭和三十五年産の米穀について、従来と同様に、事前売り渡しの申込み制度に基づき政府に米穀を売り渡した者に対し、昭和三十五年分の所得税を軽減しようとするものであります。その軽減の内容もまた従来と同様でありまして、売り渡し時期の区分に応じ、玄米石当たり平均千四百円を非課税とする措置を講じようとするものであります。
 本案は、審議の結果、去る十五日、質疑を終了、採決の結果、全会一致をもって原案の通り可決されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(清瀬一郎君) 採決に入ります。
 まず、日程第一及び第二の両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告の通り可決いたしました。
 次に、日程第三につき採決いたします
 本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 昭和三十五年五月のチ
  リ地震津波による災害を受けた
  地域における津波対策事業に関
  する特別措置法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)
○議長(清瀬一郎君) 日程第四、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地域における津波対策事業に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。建設委員長加藤高藏君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔加藤高藏君登壇〕
○加藤高藏君 ただいま議題となりました昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地域における津波対策事業に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 過ぐる第三十四回国会におきまして、本年五月のチリ地震津波により災害を受けた地域の津波対策事業を計画的に実施するため、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地域における津波対策事業に関する特別措置法が制定されたのでありますが、この法律に基づく津波対策事業を円滑に実施するため、特に被害の激甚なる地域については津波対策事業に対する国の負担率を引き上げようとするのが、本案の提案ざれた理由であります。
 次に本案の内容について申し上げますと、政令で定める地域において地方公共団体またはその機関が津波対策事業を施行する場合には、国はその経費の三分の二を負担し、また、国が直轄で施行する津波対策事業に対する地方公共団体の費用負担についても、その負担を三分の一に軽減しようとするものであります。
 本案は、去る十二月十五日本委員会に付託され、慎重審議を進めて参りましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 かくて、十二月十六日、質疑を終了、討論を省略して直ちに採決の結果、全会一致本案は原案通りこれを可決すべきものと決しました。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(久保田鶴松君) 採決いたします。
 本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(久保田鶴松君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました
     ――――◇―――――
 日程第五 海外経済協力基金法案
  (内閣提出)
○副議長(久保田鶴松君) 日程第五、海外経済協力基金法案を議題といたします。
    ―――――――――――――
○副議長(久保田鶴松君) 委員長の報告を求めます。商工委員長中川俊思君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔中川俊思君登壇〕
○中川俊思君 ただいま議題となりました海外経済協力基金法案につきまして、商工委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます
 本案は、東南アジア地域等の開発事業資金の円滑な供給をはかるため、新たに独立の法人格を有する海外経済協力基金を設立し、もって海外経済協力の積極的推進をはかることを目的として提出されたのであります。
 次に、本案の内容を申し上げます。
 海外経済協力基金の資本金は、全額政府出資の五十億円余とし、将来必要ある場合は追加出資ができるようになっており、基金の業務といたしましては、東南アジア等の開発事業、その準備調査及び試験的実施等のための投資または融資及び調査等を行なうことであります。その他、基金の機構、財務と会計及び監督等について所要の規定を定めたのであります。
 本案は、十二月九日当委員会に付託され、十三日迫水経済企画庁長官より提案理由の説明を聴取し、自来、数次にわたり慎重な審議を行ない、十六日質疑を終了し、直ちに採決に付しましたところ、全会一致をもって可決すべきものと決した次第であります。
 なお本案には全会一致をもって附帯決議を付することに決しました。
 以上、簡単でありますが、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(久保田鶴松君) 採決いたします。
 本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(久保田鶴松君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第六 中国地方開発促進法案
  (遠藤三郎君外四十二名提出)
 日程第七 北陸地方開発促進法案
  (田中角榮君外二十二名提出)
○副議長(久保田鶴松君) 日程第六、中国地方開発促進法案、日程第七、北陸地方開発促進法案、右両案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
○副議長(久保田鶴松君) 委員長の報告を求めます。国土総合開発特別委員長辻寛一君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔辻寛一君登壇〕
○辻寛一君 ただいま議題となりました中国地方開発促進法案及び北陸地方開発促進法案につきまして、国土総合開発特別委員会における審議の経過及び結果について御報告申し上げます。
 両案は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の共同提案にかかるものでありまして、その趣旨は、中国地方とは鳥取、島根、岡山、広島及び山口の五県、北陸地方とは富山、石川及び福井の三県の区域をいい、それぞれの地方における資源の総合的開発を促進し、国民経済の発展に寄与せんとするものであります。
 その要旨は、いずれも総理府に中国地方開発審議会、北陸地方開発審議会を設け、内閣総理大臣は、審議会の審議を経て中国地方開発促進計画、北陸地方開発促進計画を作成するものとし、右計画の実施に対し、政府は必要な資金の確保をはかり、かつ、財政の許す範囲内においてその実施の促進に努めなければならないと規定するほか、経済企画庁長官は、事業計画及び資金計画の調整を行なうものといたしております。
 なお、国の負担または補助の割合についての特別の措置については別に法律で定めるものとし、その他、必要な関係法律の一部を改正せんとするものであります。
 なお、中国地方開発促進法案におきましては、財政再建団体等が開発促進計画に基づく事業を実施するために財政再建計画に変更を加えようとする場合、自治大臣は、その承認にあたっては特に配慮しなければならないことといたしております。
 両案は、去る十四日本委員会に付託され、昨十六日、提出者を代表して遠藤三郎君及び田中角榮君からそれぞれ提案理由の説明を聴取し、質疑を行ない、内閣の意見を聴取した後、討論、採決の結果、中国地方開発促進法案及び北陸地方開発促進法案はいずれも全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決しました。
 なお、両案について、それぞれ、開発を促進するため、直ちに促進計画を樹立し、重要事業に対する国の負担または補助率については、地方財政の実情に即するよう必要な措置を講ずるとともに、地方開発資金の確保並びに運用に万全を期すべきである旨の附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(久保田鶴松君) 両案を一括して採決いたします。
 両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(久保田鶴松君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告の通り可決いたしました。
○副議長(久保田鶴松君) 日程第八、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、日程第九、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
○副議長(久保田鶴松君) 委員長の報告を求めます。法務委員長池田清志君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔池田清志君登壇〕
○池田清志君 ただいま議題となりました両法案につき、法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 御承知のように、政府は、人事院の勧告を尊重し、一般の政府職員の給与の改定を行なおうとしておりますが、裁判官及び検察官につきましても、その趣旨によりまして改善をしようとするものであります。すなわち、裁判官及び検察官の報酬または俸給の各月額を増加しようとするものでありまして、その増加比率は、これら裁判官の報酬及び検察官の俸給に対応するところの一般政府職員についての各俸給月額の増加比率と同様にしようとするものであります。
 法務委員会におきましては、去る十四日法案が付託をされましてから慎重審議を重ねて参りましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 かくて、昨十六日、質疑を終了し、討論に入りましたところ、自由民主党から賛成、日本社会党から反対の討論がありました。次いで、採決の結果、両法案は多数をもって政府原案通り可決せられた次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(久保田鶴松君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(久保田鶴松君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 一般職の職員の給与に関する法律
  等の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 防衛庁職員給与法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)
 特別職の職員の給与に関する法律
  の一部を改正する法律案(内閣
  提出)
 行政機関職員定員法等の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
○天野公義君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、行政機関職員定員法等の一部を改正する法律案、右四案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(久保田鶴松君) 天野公義君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(久保田鶴松君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、行政機関職員定員法等の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
○副議長(久保田鶴松君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長久野忠治君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔久野忠治君登壇〕
○久野忠治君 ただいま議題となりました四法案につき、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、給与三法案の要旨をごく簡単に申し上げますと、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案は、本年八月八日付の人事院勧告を実施するため、関係法律に所要の改正を行なおうとするもので、俸給表の改定と期末手当増額等の規定は本年十月一日にさかのぼって適用することとし、その他は昭和三十六年四月一日から施行することといたしております。
 次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案は、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案の例に準じて、防衛庁職員の俸給月額の改定等を行なおうとするものであります。
 次に、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案は、今回の一般職の職員の給与改定に伴い、従来より一般職の職員との均衡を考慮して定められております特別職の職員につきましても、その俸給月額に所要の改定を行なおうとするものであります。
 以上三法案は、いずれも十二月十二日本委員会に付託となり、十二月十四日政府より提案理由の説明を聴取し、直ちに質疑に入り、慎重審議を行ない、本日質疑を終了いたしましたところ、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案並びに防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党提案にかかる修正案がそれぞれ提出され、小笠委員より趣旨説明がなされ、続いて右三法案並びに修正案を一括議題として討論に入りましたところ、日本社会党を代表して石橋委員より、民主社会党を代表して受田委員よりそれぞれ反対の意見が述べられ、直ちに採決の結果、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案並びに防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案はいずれも多数をもって修正案の通り修正議決すべきものと決し、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案は多数をもって原案の通り可決いたしました。
 次に、行政機関職員定員法等の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
 本案の要旨は、昭和三十五年度における各行政機関の事業予定計画に即応して、必要やむを得ない事務の増加に伴う所要の増員を行なうとともに、業務の縮小に伴う余剰定員の縮減を行ない、これを公布の日から施行しようとするものであります。
 本案は、十二月十二日本委員会に付託され、十四日政府より提案理由の説明を聞いたのでありますが、これは、第三十四回国会に提出されて以来継続審査となり、過般の国会解散によって審議未了となりました同名の法案とほぼ同じ内容のものであります。本日、質疑が行なわれた後、小笠委員より、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の共同提案にかかる、定員外の常勤労務者等のうち五千人を定員に組み入れる旨の修正案が提出されました。討論の通告もありませんので、直ちに採決に入りましたところ、本案は全会一致をもって修正案の通り修正議決すべきものと議決した次第であります。
 なお本案に対し、石橋委員より三党共同提案にかかる附帯決議案が提出され、全会一致をもって議決いたしました。詳細は会議録に譲ることといたします。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(久保田鶴松君) 四案中、給与に関する法律案三案につき討論の通告があります。これを許します。西宮弘君。
    〔西宮弘君登壇〕
○西宮弘君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題と相なっております一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、同修正案、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、同修正案、及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について反対の意を明らかにするものであります。(拍手)
 われわれがこれらの法案に対しまして反対をいたしまするのは、次の理由でございます。
 まず第一に、今回の公務員給与の改正は、官公庁と民間との賃金格差及び標準生計費調査を基礎といたしました、去る八月八日の人事院勧告を、そのまま実施しようとするものであります。しかしながら、人事院勧告自体、下級職員の官民格差を不当に低く押えておるのであります。今回の改正によっても、なお五千円ないし八千円の格差が依然として残っておるのであります。また、標準生計費につきましても、はなはだしく不当に低くなっておるのであります。たとえば、東京都において、高校卒業十八才の男子の一日の食費は、わずかに百二十九円であります。一日百二十九円、すなわち、一食わずかに四十三円で食えというのでありまして、あるいは住宅費におきましては月額千三百八十円、被服費は月額七百九十円、合計いたしますると、一カ月の生計費八千七百十円にしかならないのであります。このように、とうてい生活のできない標準生計費と、不当に低くいたしました官民格差を基礎とした人事院勧告でありますので、それに基づいた給与法案が今回の法案であります。従いまして、われわれは、このような基礎に基づいた給与法案には、あくまでも反対せざるを得ないのであります。(拍手)
 第二に、今回の公務員給与の引き上げは、平均一二・四%、二千六百八十円といわれておるのでありますが、きわめて上に厚く下に薄いのであります。すなわち、上は二万三千七百円の引き上げに対し、下はわずかに七百円にすぎません。これをパーセントで見ますると、上級官僚に対しましては三七・五%も引き上げておるのでありますが、これに対しまして、下級職員に対してはわずかに九・五%という、まことに僅少な引き上げであります。これでは下級公務員諸君がとうてい納得しないのも当然といわなければなりません。(拍手)まして、七年という長い間、給与の引き上げが全く行なわれなかったことを考えまするときに、なおさらであります。また、最近、池田内閣の経済政策のもとにおきまして、諸物価の高騰はまことにすさまじく、標準家庭におきましても三千円ないし五千円の生計費の増加を来たしておる現況でありまして、下級公務員の生活は少しも改善されないのみならず、実質的にはむしろ生活程度は切り下げられることになっておるのであります。このようなはなはだしい上厚下薄でありますことが、反対の第二の理由であります。(拍手)
 第三には、公務員給与改善の日を十月一日からとしておる点であります。政府のしばしばの言明から明らかでありまするように、人事院勧告を尊重するという建前で今回の給与の引き上げを行なおうとしておるのであります。しかるに、今回の人事院勧告には、実施の時期を五月とするように勧告されておるのでありまするが、それにもかかわらず、政府は、これを十月実施に切り下げておるのであります。公労委の調停案、仲裁裁定、人事院勧告等を尊重するから違法な行為は行なわないようにと常に主張してきた政府の労働政策、公務員対策を、これでは政府がみずから破壊するものであるといわざるを得ません。(拍手)このような状況のもとでは、今後、公務員諸君の労働運動を違法呼ばわりすることは、とうていできないということを申し上げておきます。(拍手)
 第四に、今回の給与法改正案の内容を検討いたしまするときに、公務員諸君の賃金体系改善の要求を全く無視いたしまして、むしろ、賃金体系の改悪を行なおうとしておるというべきであります。すなわち、職階制強化のために、職階給の性格を一段と強めておるのであります。上級官僚を優遇し、その生活と地位を安定させて、特権官僚機構の充実をはかっておる一方、下級公務員に対しましては分裂支配と成績競争を強めようとしておることが特徴的であるのであります。一般行政職の場合、高等学校卒業者の初任給が八千七百円、三十年勤務いたしましても二万九千三百円、行政職俸給表(二)におきましては、中学校卒業の初給任が六千五百円、三十年勤続をいたしましてわずかに二万一千円という、まことに低賃金でありまして、給与を上げてもらいたいといたしまするならば、他人を押しのけ、け落としましても成績を上げることにきゅうきゅうたらざるを得ない仕組みに相なっておるのであります。これでは、国民に奉仕すべき公務員が、国民の利益よりも、まず自己の生活を考えて仕事をせざるを得ない結果に相なるのであります。(拍手)
 第五に、今回の給与法改正案に見られる低賃金と格差政策、職階制賃金体系をモデルといたしまして、これをあるいは地方公務員、公共企業体あるいは民間労働者に対する賃金政策として推し進め、低賃金政策合理化の基礎を作ろうとしておるのであります。さらに、今回の給与法の改正によりまして、公務員を低賃金と一そうの無権利状態につなぎとめまして、このあとに、試験制度や定年制を復活し、あるいは定員法を撤廃し、公務員の首切りと、行政、教育の合理化を進めようとしておるのであります。また、組合専従制限を初めといたしまして、公務員の労働組合権を一そう制限する公務員制度の改悪、あるいは教育基本法の改悪が計画され新安保体制強化のために、一般公務員、教育公務員を権力の尖兵に仕立て上げ、よってもって行政、教育の反動化、ファッショ化を企図しておると申さなければなりません。(拍手)従いまして、今回の給与法改正案は、その地ならしの役目をになっておるのであります。行政、教育の民主化のためにも、公務員に対する生活と権利を保障するというわが日本社会党の政策と、全く異なるといわなければなりません。
 最後に、政府と公務員の関係は、法的に見ますれば雇用契約でありまするが、要するに、労働力の売手と買手の関係にあります。従いまして、労働力の価格でありまする賃金あるいは労働条件等は、その労働力の買手でありまする政府と、売手でありまする公務員労働組合との間で、あくまでも労使対等の立場に立って協議、決定をし、国会の承認を求めることが、近代国家におけるあり方でなければなりません。(拍手)
 以上の諸点から、わが党は、今回の給与諸法案に反対であることを明らかにいたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
○副議長(久保田鶴松君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。
 まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して採決いたします。
 三案中、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の委員長の報告は可決、他の二案の委員長の報告は修正であります。三案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(久保田鶴松君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告の通り決しました(拍手)
 次に、行政機関職員定員法等の一部を改正する法律案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(久保田鶴松君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
 昭和三十五年五月のチリ地震津波
  による災害を受けた地方公共団
  体の起債の特例に関する法律の
  一部を改正する法律案(内閣提
  出)
 昭和三十五年度分の地方交付税の
  特例に関する法律案(内閣提出)
○天野公義君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律の一部を改正する法律案、昭和三十五年度分の地方交付税の特例に関する法律案、右両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(久保田鶴松君) 天野公義君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(久保田鶴松君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律の一部を改正する法律案、昭和三十五年度分の地方交付税の特例に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
○副議長(久保田鶴松君) 委員長の報告を求めます。地方行政委員長濱田幸雄君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔濱田幸雄君登壇〕
○濱田幸雄君 ただいま議題となりました二法案について、地方行政委員会における審査の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
 まず、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、昭和三十五年六月、七月、八月、九月及び十月の水害または風水害を受けた地方公共団体のうち、政令で定めるものに対し、チリ地震津波による災害を受けた地方公共団体に対してとりました措置と同様、地方税、使用料、手数料等の減免により生ずる財政収入の不足を補う場合、または災害対策に通常要する費用の財源とする場合においては、地方財政法の特例として、地方債を発行することができるよう措置を講じようとするものであります。
 本案は、十二月十日本委員会に付託され、十五日安井自治大臣より提案理由の説明を聴取いたしました。本十七日質疑を終了し、討論を省略して採決を行ないましたととろ、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決しました。
 次に、昭和三十五年度分の地方交付税の特例に関する法律案について申し上げます。
 本案は、地方公務員の給与改定に要する経費を昭和三十五年度分の普通交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入するため、単位費用の特例を設けるとともに、追加予算により増額された昭和三十五年度分の地方交付税の額、すなわち、三百五十七億円のうち、右の措置に要する約二百四十億円を本年度交付することとし、この額をこえる額につきましては、これを繰り越して昭和三十六年度分の地方交付税の総額に加算することができるよう措置することとするものでございます。
 本案は、十二月十四日本委員会に付託され、翌十五日安井自治大臣より提案理由の説明を聴取し、自来、慎重に審査いたしました。
 本案の審査において論議の中心となりました点は、今次の予算補正によって自動的に本年度の地方交付税の総額に加算せらるべき三百五十七億円について、政府は、さしあたり給与改定に必要な額約二百四十億円程度を交付するにとどめ、これをこえる百十七億円程度の額は、これを来年度に繰り越して使用できるようにしておるのでありますが、これは、本来、地方の自主財源たるべき本交付税の使途に条件ないし制限を加えようとするものであって、本制度の趣旨に反し、地方財政の独立性を侵すものではないか、また、現下の地方財政には、当然交付さるべき財源を翌年度に繰り越すような余裕は全く存在しないではないかというような、そういう意見があって、かような措置をとる場合、このことが、ひいては今後の本制度の運営並びに地方財政計画策定の上に大きな禍根を残すのではないかという点でありました。これに対して政府からは、「本年度はすでは年度も終了しようとしており、かつ、明年度の地方財政の状況は、必ずしも手放しの楽観を許さないものがあるので、これに対処して一部を繰り越し使用することは、むしろ地方行政の計画的な運営を保障する意味から適当である」という趣旨の答弁がありました。
 本十七日質疑を終了いたしましたところ、日本社会党及び民主社会党の共同提案にかかる修正案が提出され、日本社会党安井吉典委員より趣旨弁明がありました。
 修正案の要旨は、追加予算により増額された昭和三十五年度分の地方交付税の一部を、昭和三十六年度分の地方交付税の総額に加算して交付することができる旨の第二条の規定を削除するものであります。
 かくて、討論を省略して採決を行ないましたところ、修正案は賛成少数をもって否決、政府原案は賛成多数をもって可決、よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(久保田鶴松君) これより採決に入ります。
 まず、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律の一部を改正する法律案につき採決いたします。
 本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(久保田鶴松君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 次に、昭和三十五年度分の地方交付税の特例に関する法律案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(久保田鶴松君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○副議長(久保田鶴松君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後六時二十六分散会