第038回国会 外務委員会 第11号
昭和三十六年三月二十四日(金曜日)
    午前十時三十八分開議
 出席委員
   委員長 堀内 一雄君
   理事 竹内 俊吉君 理事 森下 國雄君
   理事 戸叶 里子君
      小泉 純也君    椎熊 三郎君
      正示啓次郎君    床次 徳二君
      橋本 龍伍君    松本 俊一君
      黒田 寿男君    帆足  計君
      穗積 七郎君    細迫 兼光君
      川上 貫一君
 出席政府委員
        外務政務次官  津島 文治君
        外務事務官
        (条約局長)  中川  融君
 委員外の出席者
        外務事務官
        (経済局次長) 高野 藤吉君
        大 蔵 技 官
        (主税局税関部
        関税調査官)  柴崎 芳博君
        専  門  員 佐藤 敏人君
    ―――――――――――――
三月二十三日
 委員森清君辞任につき、その補欠として橋本龍
 伍君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 通商に関する一方日本国と他方オランダ王国及
 びベルギー=ルクセンブルグ経済同盟との間の
 協定の締結について承認を求めるの件(条約第
 六号)
 国際電気通信条約の締結について承認を求める
 の件(条約第一一号)
 通商に関する日本国とキューバ共和国との間の
 協定の締結について承認を求めるの件(条約第
 一二号)
     ――――◇―――――
○堀内委員長 これより会議を開きます。
 国際電気通信条約の締結について承認を求めるの件及び通商に関する日本国とキューバ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、右二件を一括議題といたします。
    ―――――――――――――
  国際電気通信条約の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)通商に関する日本国とキューバ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一二号)
  〔本号(その二)に掲載〕
    ―――――――――――――
○堀内委員長 まず政府側より提案理由の説明を聴取いたします。外務政務次官津島文治君。
○津島政府委員 ただいま議題となりました国際電気通信条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この条約は、現行の一九五二年の国際電気通信条約を改正する目的をもって、一昨年十月からジュネーブで開催された国際電気通信連合(ITU)の全権委員会議において作成されたものでありまして、わが国も全権委員を派遣して新条約の審議に積極的に参加し、一昨年十二月二十一日に他の八十四カ国の全権委員とともにこの条約に署名を行ないました。
 この条約は、国連の専門機関の一つである国際電気通信連合の基本文書であり、現行条約と同様、国際電気通信連合の構成、目的及び組織を定めるとともに、電気通信に関する一般規定、無線通信に関する特別規定等を掲げており、現行条約の実施の経験にかんがみ、今日の事態に適応した改善が加えられております。
 この条約は、本年一月一日に発効し、現在までに批准を行なった英国、スエーデン、スイス等八カ国の間においてすでに効力を生じております。今回新たに連合の管理理事国に選任されたわが国といたしましても、この条約の当事国になることによりまして、電気通信分野における国際的地位をさらに向上せしめ、かつ、この分野における国際協力に積極的に寄与することができますとともに、わが国の電気通信業務の伸長発展を期待することができると考えられます。
 よって、ここにこの条約の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、通商に関する日本国とキューバ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 政府は、キューバの対日差別関税廃止及び戦後におけるキューバとの片貿易是正のため、機会あるごとにキューバとの通商協定締結に努力して参りましたが、昭和三十五年四月ラウール・セペーロ・ポニーリァ商務大臣を首席代表とするキューバ代表団が通商交渉のため来日いたしましたので、これと交渉を行ないました結果、妥結を見まして同月二十二日東京におきまして署名を行なった次第であります。
 この協定の内容は、関税、輸出入規制、出入国、滞在及び事業活動に対する最恵国待遇並びに船舶に対する内国民及び最恵国待遇の規定を骨子としておりまして、日本が戦後締結いたしましたインド、マラヤ等との協定に類似しております。
 この協定の締結により、両国間の通商関係は安定した基礎の上に発展するものと期待されます。
 よって、以上申し上げました利益を考慮し、また、キューバ側におきましては、すでに昨年五月十九日に批准済みでありますので、この協定の効力発生のため、わが国も必要な手続をできるだけ早急にとりたいと存じ、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。
 何とぞ慎重御審議の上、両件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたす次第であります。
○堀内委員長 ただいま提案理由の説明を聴取いたしました各件に対する質疑は、次会に行なうことといたします。
     ――――◇―――――
○堀内委員長 次に、日本国とパキスタンとの間の友好通商条約の締結について承認を求めるの件及び通商に関する一方日本国と他方オランダ王国及びベルギー=ルクセンブルグ経済同盟との間の協定の締結について承認を求めるの件、右両件を一括議題といたし、質疑に入ります。戸叶里子君。
○戸叶委員 私は本日、通商に関する一方日本国と他方オランダ王国及びベルギー=ルクセンブルグ経済同盟との間の協定につきまして、質疑をしたいと思います。
 まず、このベルギー=ルクセンブルグ経済同盟の法的地位というものを伺いたいと思うのです。それは一九二一年にベルギーとルクセンブルグとの間に結ばれた経済同盟の五条で、在来の通商条約及び経済協定は、関税同盟の名においてベルギー国により締結せらるべしとあって、両国間においては経済同盟という名で経済的条約を結べることになっております。しかし国際法上、この二国の合意というものが直ちに条約を締結する主体となり得るかどうかということに疑問を持つものでございますが、国際法上の主体として条約を締結する権限の法的根拠というものを明らかにしていただきたいと思います。
○高野説明員 ベネルックス三国は、昨年一九六〇年十一月一日に経済同盟条約を批准、発効いたしまして、それ以前に一九四八年の関税同盟以後、関税問題、貿易問題については一国として行動してきましたのですが、昨年の十一月に発効したこの条約によりまして、経済問題については、対外的には一つの単位として行動するという条約によって、国際法上一国として条約を結べるというような権限ができた次第でございます。
○戸叶委員 それは今説明された通り、もう決定されておるわけですね。それでそういうものが国際法上の主体として今度のような場合に条約を締結する権限があるかどうか、その法的な根拠はどこにあるかということを伺いたいと思います。
○高野説明員 二つの主権国家が合併して一国になるという場合に、政治問題も経済問題もできるわけで、このベネルックス経済同盟は、経済問題については、部分的には対外的に一国として見るということで、二つの国が合併したということと同じように、経済問題については相手国が一国でやるといえば、国際法上権限があると承知しております。
○戸叶委員 これは経済上の問題だけでしょうか。それからほかにも、もしもどこかの国とどこかの国が一緒に経済上の同盟なら同盟を結んだ場合には、一国としてそれを扱うというような例があるわけですか。
○高野説明員 現在のところは経済問題だけでございます。それからこれに正確に相当するものは現在ございませんが、御承知のヨーロッパ共同市場が、完全に十年ないし十三年後に一体となれば、経済問題については同じような状態になる、現在はまだそこまでいっておりませんが、そういうことになると思っております。
○戸叶委員 わが国に対するガット三十五条の適用によって、具体的にほかの国とどういうような差別が与えられるか、この点を伺いたいと思います。
○高野説明員 ガット三十五条を日本に対して適用しておる国は、法律的にいえば日本もその国もガットに入っておりましても、ガット関係がない、従って差別待遇ができるという状態になります。しかしこのベネルックス三国と通商協定を結びまして、法律的にはまだ三十五条援用を撤回しておりませんが、この協定によりまして、事実上ガットと同じように無差別待遇を与えるということになると思います。
○戸叶委員 具体的にはどういう差別が加えられておるかを説明して下さい。
○高野説明員 具体的には、たとえばガット三十五条を援用しておる国は日本に対して、ほかの国に対して、貿易を自由にさせておるにもかかわらず輸入制限をするということが考えられます。しかしベネルックス三国はこの協定によりまして、そういうことは事実上できないということでございます。
○戸叶委員 この第四条に、「締約国は、諸政府による差別的な措置及び不必要な制限で、国際貿易に従事する海運に影響のあるものの除去を奨励することに同意する。」とありますけれども、ここに言う「諸政府による差別的な措置及び不必要な制限」とはどういうことをさしているのでしょうか。
○高野説明員 これは日本及びベネルックスの相互及び日本、ベネルックスがほかの国に対して海運上の制限をできるだけ差別待遇をさせないように努力するという権原的な規定でございます。
○戸叶委員 「締約国は、諸政府による差別的な措置及び不必要な制限で、国際貿易に従事する海運に影響のあるものの除去を奨励することに同意する。」とあるわけですね。そうすると、この「諸政府による差別的な措置及び不必要な制限」というものは具体的にどういうふうなものを言うのか、私は伺いたいと思います。
○高野説明員 海運問題につきましては、積荷に関してある特定の国に対してこれを許さぬとか、ないしはほかの国に寄港を許しても、あるほかの特定国には許さぬといういろいろ差別的な海運問題がありますが、両国の間にはそれをしない、それからそれ以外の第三国に対してもできるだけこういう差別待遇をさせないように努力するということであります。
○戸叶委員 オランダは伝統的に海運国であるということはだれでも周知のことでございますけれども、この協定におきましては海事に関する規定というものがほとんどないわけでございます。その理由はどういうわけであるか。それからついでに海事についての最恵国待遇を与えるのかどうか、そしてまたどういう規制がなされるかどうか、この点を伺いたい。
○高野説明員 海運条項につきましては日本とオランダの間に一九一二年の通商航海条約に詳細な規定がありますので、これに従って運用されるわけで、それ以上新しい規定を設ける必要はないという理由で今度の協定にはつけ加えなかったわけであります。
○戸叶委員 そういうのは、前にあるのがそのまま生きているから今度は入れなかった、そういうふうに了解していいわけですね。それからあとの方で伺いました海事についての最恵国待遇を与えるのかどうかということもついでにお答え願いたいと思います。
○高野説明員 前の通商航海条約で与えておりますので、特にこれを明記しなかったわけであります。
○戸叶委員 第六条の2(a)で、スリナム及びオランダ領のアンティールについての本協定の適用はオランダ王国から書面による通告受領後一カ月となっているわけでございますが、文書から見ますと、適用されない場合も考えられるのでありますけれども、この地域についての特別の規定を設けた理由は何であるかを伺いたい。
○高野説明員 この二つの地域はオランダの国内法上一種の自治権を持っておりますので、オランダは国内的にこの二つの地域を説得した後に一カ月後にはわが方に通告する、そういう段取りになっております。
○戸叶委員 一種の自治権を持っているから特別扱いをした、こういうふうに了解していいわけですか。
○高野説明員 オランダが国内的に交渉しまして、その後了解がつきましたら通告して、一カ月後に適用される、そういうようなことであります。
○戸叶委員 そうするとこのスリナムとオランダ領のアンティール以外のところはそういう必要はないわけでございますね。
○高野説明員 その通りであります。
○戸叶委員 オランダ領のニューギニアが適用地域にならなかった理由はどういうわけでございますか。
○高野説明員 この協定では適用地域に含まれていると解釈しております。
○戸叶委員 この協定には入国、滞在、居住の規定がないわけですけれども、この点はどういうふうに規制されているのでしょうか。
○高野説明員 これは前の通商航海条約において適用されております。
○戸叶委員 日本とベネルックス三国の間の数年間の貿易の実績とおもなる品目を伺いたいと思います。
○高野説明員 四年前の一九五七年には輸出が四千五百万、輸入が四千六百万、一九五八年は輸出が五千七百万、輸入が二千七百万、一九五九年が輸出が五千八百万、輸入が四千二百万、昨年は輸出が六千三百万、輸入が四千百万。それから輸出入のおもな品目は輸出がカン詰類、鯨油、綿織物、スフ織物、陶磁器、繊維二次製品、そのほか双眼鏡、カメラ等であります。輸入のおもな品目はココア、バター、羊毛、鉄鉱、鉄鋼くず、非鉄金属類、精製乳糖、その他機械というようになっております。
○戸叶委員 ベネルックス三国は欧州共同体の加盟国で、これらとの間には特別の関税率があるように聞いておりますが、わが国にとって関係のある品目について、共同体における税率とガットの税率と、わが国に課せられている税率とを比較してみていただきたいと思います。これは大蔵省の方から伺います。
○柴崎説明員 ベネルックスは関税同盟として一本の税率を持っておるわけでございまして、従ってそのベネルックスの関税率は最高税率と最低税率と二本建になっております。そして最高税率は特にベネルックスに対して不利な扱いをする国に対して適用するということになっておりまして、日本には従来から最低税率の方を適用しております。それで日本は一九五五年にガットに加入する際に、ガットの加盟国と関税交渉したわけでございますが、ベネルックスとの間には関税交渉をいたしませんでした。従って日本はベネルックスに対して譲許税率を持っておりませんし、ベネルックスも日本に対しては譲許税率を持っておりません。そこでベネルックスが今度共同市場に加盟いたしまして、そして今度は共同市場が一本の対外関税率を持つことになります。そして、すでにその共同関税率はでき上がっております。そしてベネルックスがガットの従来の加盟国と関税交渉をした結果の譲許税率に対して、ガットの二十八条に基づく再交渉をやったわけでございます。日本はベネルックスと従来は関税交渉をやっておりませんが、しかしながら、ほかの加盟国であるドイツ、イタリアとは関税交渉をやって、十数品目のガット税率を日本は持っておりますし、相手国も日本に対して譲許しておるわけでございます。そこで日本はこのたび、九月からジュネーブで行なわれております二十八条に基づくところの関税交渉に参加いたしまして、共同市場を相手として関税交渉をしたわけでございますが、内容的にはドイツとイタリアの譲許税率等の修正のために関税交渉をやったわけでございます。近くこれはまとまる予定でおりますが、税率は、従って共同市場一本になれば、当然その対外共通関税率が適用されることになるわけであります。具体的の品目につきましては、今ここに表を持っておりませんから、ちょっと比較することはできません。
○戸叶委員 今おっしゃいましたように共同体の税率とガットの税率、あるいは日本に課せられている税率というようなものが、具体的な品目によって、ある程度違ってくるわけですね。だから、そういうものの表を、今でなくてけっこうですから、この次までにおもだったものを表にして出していただきたいと思います。
○柴崎説明員 わかりました。
○戸叶委員 欧州支払同盟というのをよく聞くのですけれども、それがどういう機関で、どういうふうな目的で創設されているか、この機会にちょっと伺っておきたいと思います。
○高野説明員 現在の共同市場ができる前には、御承知のOEECというのかございまして、これにEPU、ユーロピアン・ペイメント・ユニオンというのがございまして、直ちに決済せずにお互いに貸し借りをプールいたしまして、三国を含めた決済をやっていたわけでございます。しかし今度共同市場ができまして、それを廃止いたしまして、EMAというものになりまして、今までのようなそういう清算的な機構がなくなったということでございます。
○戸叶委員 今のところがちょっとはっきりしないのですが、そういうような欧州支払同盟というのは全然なくなってしまったと了承してよいわけですか。
○高野説明員 さようでございます。
○戸叶委員 参考までに伺いたいのですが、今のようなEPUというものが廃止されるような場合には、当該関係国だけの間で協定か何か結んで廃止するのですか、それともそのまま話し合いだけでいいわけなんでしょうか。
○高野説明員 もちろん協定を結んで廃止したわけです。
○戸叶委員 第一議定書の二で「欧州経済共同体の加盟国が共通の通商政策を採用することに決定し、かつ、その政策上必要な場合には、」この協定の修正をも前提とする交渉をすることになっておりますが、ベネルックス三国にとっては、欧州経済共同体の方を本協定よりも優先させるように考えるわけでございますが、そういう意味で、この協定は共同体の動向いかんによって、常に動揺をするのじゃないかというようなことが考えられますけれども、政府はこれでいいとお考えになっているのでしょうか。この共同体との関係で、本協定は不安定であるように私ども考えられますけれども、その点はいかがでございましょうか。
○高野説明員 この規定は、欧州経済共同体の共通の新しい政策をとるに際しまして、この協定と矛盾するような場合には、この現在の協定の方が、すなわち日本とベネルックスの協定の方が優先するものと考えております。そのために問題が起きたら交渉を開始して、どうしても話し合いがつかなかったら、この協定の方が優先するというふうに解釈しております。
○戸叶委員 そうしますと、このベネルックス三国にとって欧州経済共同体の方が本協定から優先させているのじゃなくて、本協定の方が優先しているわけなんですか。
○高野説明員 この協定は三年間でございまして、その間大きなあれはないと考えておりますし、またそのために話し合いをするというふうに書いておるわけで、日本としてはこの協定が優先する。共同体内部のことは向こうで話し合って、どうしてもこの協定と矛盾するような場合が三年以内に起きたら話し合うという趣旨でございます。
○戸叶委員 それでは私のとり方は反対なんですか。今の政府の説明ですと、この協定の方が欧州共同体の方よりも優先しているんだ。もしも矛盾したような内容の問題が起きてくれば話し合えばいいんだ。三年間のうちだからおそらくそういうことは起こらないだろう、こういうふうな御答弁でございましたね。それで、起きた場合には話し合っていけばいいんだ。そうしますと、話し合っても、もしもこの協定の方が優先するのであれば、別に話し合う必要はないのじゃないですか。逆だから、話し合いをしなければならないということに私たちには考えられるのですけれども……。
○高野説明員 戸叶委員のおっしゃることと私の申し上げたことと矛盾していないので、内容的には一致していると考えております。すなわち向こうがこの協定に矛盾するような政策の変更を要する場合には話し合う、カッコ内に「協定の必要な修正を含む。」とありまして、話し合ってどうしても話がつかない場合には、この協定があくまで生きる、そういうふうに考えております。
○戸叶委員 そうすると、最後にはこの協定の方が欧州共同体の方よりも優先するんだ、こういうふうな結論を出されたと思います。
 次に、交換公文におきまして、本協定が一九一二年の日蘭通商航海条約に対して優先することを合意しておりますけれども、本協定が日蘭通商航海条約と合致しないというようなことが実際に指摘されますかどうか、将来においてそういうような場合が出てくるという想定のもとに、こういう交換公文を取りかわしたのかどうか、この点を伺いたいと思います。
○中川政府委員 これはこの交換公文で明らかなように、一致しない部分も当然あるわけでございまして、一致しない部分は、今度の協定が優先するわけでございます。しかし今度の協定に含まれていないことがずいぶん今までの通商航海条約にあるわけでありまして、たとえば先ほどの船の問題とかその他あるわけでございまして、こういうものは今までの通商航海条約がそのまま効力を持っていくということは、この交換公文ではっきりしているわけでございます。
○戸叶委員 本協定と日蘭条約というものを比較しますと、日蘭条約の方が、その内容におきましては非常に詳しく書いてあるわけでございますけれども、ここにない部分はそれを適用する、そしてこの部分だけは新しく協定を結ぶ、そういうふうに了解するわけでございましょうか。
○中川政府委員 その通りでございます。
○戸叶委員 一九一二年の日蘭条約というのは、一九四一年に失効していると思うのですけれども、この失効ということは、条約の効力に対してどういう効果があるわけでしょうか。失効というのは、条約の効力が終了、すなわち廃棄を意味するのかどうか、こういう点を伺いたいと思います。
○中川政府委員 失効と申しますのは、この間の戦争によって日本とオランダが敵国関係になりましたので、それで従来の条約が一応みな失効したわけでございます。しかしながら平和条約の規定において、連合国側が復活を希望するものは、日本に一定期間内に通告することによって効力を復活するという規定がサンフランシスコ平和条約にあるわけでありまして、その規定に基づいて、オランダが、この通商航海条約については復活を向こうから申し入れてきたわけであります。それで戦後一九五三年に、日本国とオランダ国との間の通商航海条約はまた復活したわけでございます。従って現在依然として有効であります。
○戸叶委員 条約を失効させたあと再び復活させるというような場合に、新しい条約というものは国会の承認を必要とするのでしょうか、必要としないのでしょうか。
○中川政府委員 これはサンフランシスコ平和条約が国会の御承認を得ておりますから、その条約の規定の中で、連合国が希望するものは何カ月内に日本政府に通告することによって当然復活し得るという規定になっておりますから、自動的に復活するようなことをすでに国会で御承認を得ておるということになるわけであります。
○戸叶委員 そうすると、私国会で承認を得ているということは知らなかったものですから、どういう形で一般の人たちにそういうものを徹底させるかということをちょっと疑問に思ったわけです。
○中川政府委員 連合国から平和条約に基づきましてこの条約を復活したいという申し入れがありますと、その旨を官報に公示いたします。それによって一般国民に周知させておるわけでございます。
○戸叶委員 官報に公示すると同時に、さっきの条約局長のお話では、国会の承認を得たとおっしゃいましたね。
○中川政府委員 国会の御承認を得たというのは、サンフランシスコ平和条約について国会の御承認を得ておりますから、その根拠になる規定が国会で御承認を得ているというわけでございます。
○戸叶委員 そうすると、そういうふうな場合には、今のような形で、もしもサンフランシスコ条約でその基準なりその根本が国会の承認を得ないという場合でしたら、失効してそれが復活するというような場合には、官報だけじゃなくして、やはり国会の承認を得なければならないわけでございますね。この点念のために伺っておきたいと思います。
○中川政府委員 元来戦争がありますと、大体政治関係、あるいは経済関係でも、一般的な両国間の関係をきめておる経済関係の条約は失効するというのが国際法上の通説になっております。しかしながらどの条約が失効したかということは、結局平和条約ではっきりきめるわけでありまして、平和条約で失効する条約の種類をきめると同時に、なお復活する必要があるものについてはやはり平和条約できめるということになりますので、当然原則的には国会の御承認があるということになると思いますが、どのような平和条約をどういう場合に作るかというやり方が、いろいろ各国によって戦争ごとに違いますので、必ずしも一つの方式がきまっておるというわけではございませんけれども、一ぺん失効したものが復活するというようなことであれば、日本の憲法のもとでは、当然何かの形で国会の御承認があるというふうに考えていいんじゃないかと思います。
○戸叶委員 合意された議事録の三項で、ベネルックス諸国がガット規定第三十五条を援用する理由として、日本国からの輸入品の数量の急激な増加または同輸入品の価格の過度の変動によってベネルックス市場が撹乱されるおそれがあるということを理由として、さらに将来もこの規定の援用の撤回が困難であることが述べられているわけでございます。
 まず第一に、わが国に、ベネルックス市場に輸出の急激な増加を予測するような経済進出の意欲が存在するかどうか、この点を伺いたいと思います。
 第二に、価格の過度の変動とは、わが国の輸出産品のダンピングを危惧しているかのように聞こえるわけでございますが、はたしてそういうようなおそれを抱かせるような原因がわが国の貿易政策の中に存在するのかどうか、この点を確かめておきたいと思います。
○高野説明員 日本の繊維品及び陶磁器、それからミシンとかカメラというのは、相手が輸入制限がございませんと、急激に相手の市場にフラッドいたしますので、国によってはこれを非常におそれているのであります。そういう意味におきましてこの規定があるわけでございます。
 それから価格につきましても、以上申し上げたアイテムは、ほかの国に比べまして非常に安いのでありまして、これはまた相手の国に対しまして相当脅威を与えるという実情がございます。それでこの規定を設けたわけであります。
○戸叶委員 初めの方のミシンと、それから何を例にお出しになったのでしょうか、ちょっと聞こえませんでした。
○高野説明員 陶磁器、ミシン、繊維品、カメラ、そういうものは、日本の品物は相当競争力があるわけであります。
○戸叶委員 ガットの協定の十九条は、特定の産品の輸入に対する緊急措置を規定して、自国経済の保護措置をとることができるようになっているわけでございますが、このほかガット協定の一般原則の例外規定があるので、これらの規定を援用することによって、事実上三十五条の規定は必要ではないのではないかというようにも考えられるわけですけれども、この点はどうでございましょうか。
○高野説明員 十九条によりましてやる場合には、まず第一に無差別にやらなければならぬという点が一点と、それからそれによって輸入を制限した場合には、相手国から代償を要求されるという点で非常に窮屈なわけでございます。従ってある国は三十五条を援用いたしまして、そういう差別的にできるということ、ないしは、やっても相手から代償を要求されないということで、十九条によるよりも三十五条でやった方が簡単だということになる次第であります。
○戸叶委員 そうすると、簡単にできるから三十五条はあった方がいいというふうなことだけでございますか。別に三十五条はなくてもさほど影響はないというふうに考えてもいいわけでございましょうか。
○高野説明員 三十五条を援用しておりますと、相手の国とはガット関係がございませんので、何でもできるということになります。三十五条を援用しておりませんで、従って十九条でやりますと、無差別でやらなければならぬ、相手から賠償を要求される。要するに十九条を援用する場合には、ガット関係が完全にあって、三十五条は援用してないということで、ガットのほかの規定に束縛されるわけで、そういう意味合いにおきまして、三十五条を援用して、すなわちガット関係を結んでない、それで自由にやる方が利益があるわけでございます。
○戸叶委員 先ほどの合意された議事録の中でも示されておりますように、日本からの輸出品のダンピングというような問題があるわけでございまして、日本の国の低賃金とか労働の強化ということが、国際経済競争の場面で各国からの脅威となっているような面があるわけでございますけれども、この際各国の同一労働に対する賃金の比率とその生産の比率というようなものを調べてみたいと思うのですが、きょうは外務省の方に要求いたしましてもおそらくないと思いますので、労働省の方からでもお調べいただいて、お示しいただきたいと思います。もし今おありになるのでしたら出していただきたいと思います。
○高野説明員 きょうは資料を持って参りませんが、外務省の方に資料がございますので、また労働省とも相談いたしまして、さっそく提出するようにいたしたいと思います。
○戸叶委員 議事録の四項に、多角的な解決に到達するよう努力する、こういうふうにあるのですが、この多角的解決とはどういう意味をいうのかを御説明願いたいと思います。
○高野説明員 現在ガットにおきまして、日本だけでございませんが、いわゆる低価格ないしはフラッドした場合にどういうふうにお互いに防衛するか、どういう規定でやるか、これは三十五条を撤回するという前提のもとでございまして、今ガットで検討しております。ガットのメンバー全部そろって、そのうちのあるおもな国が理事国になりまして、それが解決した場合には当然三十五条をどこの国も援用してはいかぬ。三十五条にかわるような方法を今検討しております。これができた場合には三十五条を援用しないということになるわけでございます。その多角的でございます。
○戸叶委員 そういうような事態を三年の間に期待できるとお思いになっていらっしゃるのでしょうか。
○高野説明員 われわれは三年以内にもそれをできるだけ早くやって、ほかの国の三十五条援用を撤回させたいと努力している次第でございます。
○戸叶委員 議事録Bの第一項で「ベネルックス代表は、ベネルックス諸国から日本国への輸出品、特に日本国代表に手交した品目表に記載されている産品について保証を要請した」となっておりますけれども、ベネルックス諸国はどういうような要請をされたのでしょうか。
○高野説明員 御承知のように日本の自由化はまだ非常に進んでおりませんので、約四四%。多くの品目がまだ輸入制限の対象になっております。ベネルックス三国は、日本に対して自分が日本に輸出する強みを有する品目のリストを出しまして、これを特別に輸入させてくれという要請があったわけでございますが、日本としてはそういうものを先にやることはできないということで拒否したわけでございまして、それがこういうふうなことになっておるわけであります。
○戸叶委員 日本がまだ制限をしている面があるからこれを拒否したというわけでございますが、自由化という問題は遠い将来においての理想図としては理解されますけれども、今日のような日本の資本主義の制度におきましては、あっちこっちの国力の格差が激しい国際社会で、自由化には日本はちょっと期待できないというふうに思いますけれども、今日の国際社会で自由化による利益を得るのは、主として強くて大きな国だけであるというふうに私ども考えますけれども、この問題の見通しにつきましてはどういうふうなお考えを持っていらっしゃいますか。
○高野説明員 自由化は現在御承知のように世界の大勢で、自由化によって得するのは経済的に強力な国だけというお説でございますが、貿易というものは一方交通でなくて両方の交通で、売るためにはやはり買わなければならぬということで、日本が現在貿易を伸長していくのには、やはりある程度国内市場をあけませんと、日本の品物が安いというばかりでなく、日本が輸入制限をしておるから自分の方もするのだということも相当ありますから、そういう意味から自由化しなければならぬという点が一点。
 もう一つは、日本の商品がある程度の輸入制限を方々から受けておりますが、これはとりもなおさず日本の商品は競争力があるということで、日本が自由化したらお前の方も日本の製品を取り入れてくれといって、相手と交渉する一つの武器になりますので、そういう観点から自由化即強大国が利益を受けるということは即断できないと思います。
○戸叶委員 今の御答弁と私との間には若干の差があるわけでございますが、そうして考えて参りますと、自由化を徹底するとガット三十五条というよりも、むしろガットの一般協定の大改正がまず第一にされなければならないのではないかというふうに考えますけれども、この点はいかがでございましょうか。
○高野説明員 ガットは世界貿易をできるだけ伸長して、関税を低くし、輸入制限を撤廃するという趣旨でございまして、自由化を進めることが、すなわちガットの精神で自由化が進んでくればガットを改正する必要はなくてガットの精神がますます生きてくる、そういうふうに考えます。
○戸叶委員 そうすると日本としては、ガットの三十五条の援用国に対して、なるべくそれを廃止してもらうように今後も運動はしていくけれども、ガットそのものは自由化になろうがなるまいが非常に必要である、こういうふうに考えているわけでございますか。
○高野説明員 さように考えておる次第であります。
○戸叶委員 自動承認制というのと外貨資金自動割当制、それから全地域割当というものについて、この際説明をしていただきたいと思います。
○高野説明員 自動承認品目は銀行に外貨を申請すれば通産の許可を受けずに自動的に輸入できるという制度であります。自動外貨割当制というのは、趣旨は大体同じでございますけれども、これは銀行だけではなくて一々通産まで来て許可を受ける。しかしそれに載っておる品目は外貨予算が一応ワクがございますから、その範囲内で自動的にやる。それから全地域グローバルというのは、これはアイテムごとに大体数字がきまっておりまして、厳重な許可によってやる。しかしどこの国からでも輸入できる、そういうような制度でございます。
○戸叶委員 そうしますと、全地域割当の方が非常に広範囲にできるというふうに、そうばかりとも言えないので、三つそれぞれ違っているわけですね。それが該当する場合というのは、それぞれ違うわけでございますか。
○高野説明員 品目が一々、一つの品目でその制度にダブっているわけではございませんので、全地域グローバルが輸入制度上一番厳重に監視して、半分輸入制限をしているという格好になっております。ですから全地域グローバルが半分輸入制限といいますか、必要以上には輸入させないという制度のもとになっておるわけでございます。
○戸叶委員 この議事録Cの第一項でベネルックス諸国は「若干の特定の産品については現在数量的輸入制限を維持していること、及びこの制限が、日本国の若干の輸出品によって生ずるおそれのある特別の事態にかんがみ欠くことのできない」ということを書いているわけでございますが、この若干の輸出品とは何を意味するのか伺いたいと思います。これはこの議事録のおしまいの方に載っていることをさすのでしょうか。
○高野説明員 最後に表に載っている、これをさすのでございます。
○戸叶委員 わかりました。
 この議事録のCの第二項は相当に異議があるように思うわけでございます。すなわちベネルックスは協定の最初の一年間は附表の数量までを輸入して、第二年度よりの制限は、いかなる最悪の場合にも初年度以上であってはならないということになっているわけです。しかし景気の予期しない変動などによって右の制限以上に制限して強化しなければならないような事態が起こらないとも限らないわけでありますが、そういうような事態が起きたときには、一体どういうふうにされるか、伺いたいと思います。
○高野説明員 われわれは毎年このワクがふえることを予期して、またそういう交渉をするわけでございまして、この協定上は景気がある程度悪くなっても、この数量を削減するということは、協定上は可能でないと考えておる次第でございます。
○戸叶委員 この附表による割当は、ベネルックスの諸国のヨーロッパ地域だけに限定しているわけでございますけれども、ほかの国についてはどういう品目、数量の制限もないと理解してよいのでしょうか。本協定はこのことについては何も言及されておりませんけれども、そういうふうに理解されていいかどうか、伺いたいと思います。
○高野説明員 ほかの品目については自由にできるということになっております。
○戸叶委員 地域は……。
○高野説明員 できます。
○戸叶委員 備考には、「再輸出し又は加工の後再輸出するための商品の輸入が自由であるから、」制限割当に算入しない、こう書いてあるわけですけれども、実際の商行為でそのことを予測できるかどうかということを伺いたいと思います。ある程度はそれを予測できるといたしましても、割当のワク内で輸入したものが再輸出される場合もあると考えられますけれども、そういうような場合には再輸出したのはさらに輸入できるかどうか、との点も確かめておきたいと思います。
○高野説明員 われわれとしては相手国が再輸出することは自由でございまして、どれだけ再輸出のために輸入してもよろしいのであります。少なくともこの協定のワク内だけは相手が輸入するということで、その上に再輸出上幾ら相手が輸入してもかまわないということなのであります。
○戸叶委員 そうするとその点は全く自由になっているわけですね。何の制限もないと理解していいわけですね。
○高野説明員 その通りでございます。
○戸叶委員 私はこの協定の議定書、合意された議事録というものをずっと読んで見ましたときに、経済力に格差のある国が通商に関する協定を結ぶときの、非常に考えさせられるものを感じたわけでございます。私このときに思い出しましたのは日米の友好通商航海条約でございますけれども、なぜそういうものを考えたかと申しますと、ベネルックス諸国が自国の経済力と日本との経済的競争能力というものを自覚して、いたずらに相互主義とかあるいは内国民待遇というものを主張することなく、実際に即した規制を行なっているところに、非常に合理性を認めるわけでございます。そういう意味で、日米友好通商航海条約というものは相互主義、内国民待遇というように、一見平等に見えるのでございますけれども、アメリカは何といっても強大国であり、日本はそれに比べてずっと小さい、資源も少ない。そういうふうな面から考えますと、どんどん一方的に持っていかれてしまうというような形をとられるのじゃないかというふうに考えるわけでございますけれども、そういうふうな点でベルギー等の立場というものは非常によく考えているということを考えるにつけましても、日本とアメリカとの間に結ばれました。日米友好通商航海条約は、たしか十年の期限で、六三年にはその期限が切れると思いますけれども、内国民待遇とかそういうふうな面で考え直して、その協定を結び直すようなお考えはないかどうかを、この際確かめておきたいと思います。
○高野説明員 日米友好通商航海条約が十年たちましたら、経験によりまして若干不適当不便な面は一応改正是正することは当然でございますが、しかしお互いに有無相通じて、最恵国待遇、それからできるだけ自由に開放していくという立場では、ますます進めていった方がいいのじゃないかと私は考えます。
○戸叶委員 ただ問題は、今度の条約を見ましたときに、ベネルックス三国というものが日本の力なり日本の立場なりそういうものをよく考えて、そうして自分の方に有利なような制限の条項なり何なりを設けているわけでございますけれども、日本とアメリカとの間の友好通商航海条約というものは、日本が自分たちの力をアメリカと同じような立場に考えて、そういうふうな形での条約を結んでいる。そのことは前に日米友好通商航海条約が審議されたときにも問題になったことでございますけれども、そういう面をよく考えて、日米友好通商航海条約というものは、今度改定にあたっては十分考えていくべきではないか、こういうことを念のためにもう一度伺いたいと思います。
○高野説明員 日本の利益を擁護するという趣旨は同感でございますが、それが非常に制限的ないしは閉鎖的なことではたして利益を得るかどうかということになりますと、やはり有無相通じて交流するということが成長、拡大のためにはいいのではないかと考えております。しかし、実際的において非常に不便な面があれば、ある程度の留保なり、ある程度の改正ということは当然考えなければならぬと思います。方向としてはできるだけ相互最恵国で相互に自由を与えるという方向に進むべきものと考えております。
○戸叶委員 私は別に日本だけが制限された形でとか、そういうふうな気持で言っているのじゃないのですけれども、日本とアメリカとを比べたときに、アメリカが大きな国であり、そしてまた物資も多いような国で、日本と比べたときにはとても日本は太刀打ちできないような状態に置かれております。それでなおかつ同じような国であるかのような形でやった場合に、実際できないようなことまで日本に要求されているような内容がある、場合があるものですから、そういう面は特に考えて、なくするようにしていっていただきたい、こういうことを言うわけでございまして、何も卑屈になったり、こういうものはこういうふうに制限さるべきだという形で言っているわけではないということを申しておきたいと思います。
○高野説明員 具体的に一々のケースをとってみなければわからないと思うのでございますが、私が前に御説明申し上げましたように、日本の実情から、当然、日本の利益を保護するために、とるべき措置は、規定は考える、原則論としてはそう考えております。
○戸叶委員 けっこうでございます。
○堀内委員長 本日は、これにて散会いたします。
   午前十一時四十三分散会