第038回国会 農林水産委員会 第14号
昭和三十六年三月十五日(水曜日)
   午前十時二十三分開議
 出席委員
  委員長 坂田 英一君
   理事 秋山 利恭君 理事 大野 市郎君
   理事 小枝 一雄君 理事 小山 長規君
   理事 石田 宥全君 理事 角屋堅次郎君
   理事 芳賀  貢君
      安倍晋太郎君    飯塚 定輔君
      倉成  正君    田口長治郎君
      田邉 國男君    舘林三喜男君
      谷垣 專一君    綱島 正興君
      寺島隆太郎君    内藤  隆君
      中山 榮一君    野原 正勝君
      福永 一臣君    藤田 義光君
      本名  武君    松浦 東介君
      森田重次郎君    八木 徹雄君
      足鹿  覺君    淡谷 悠藏君
      片島  港君    川俣 清音君
      北山 愛郎君    東海林 稔君
      中澤 茂一君    西村 力弥君
      山田 長司君    湯山  勇君
      稲富 稜人君    玉置 一徳君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        農林大臣    周東 英雄君
 出席政府委員
        法制局長官   林  修三君
        農林政務次官  八田 貞義君
        農林事務官
        (大臣官房長) 昌谷  孝君
        農林事務官
        (大臣官房審議
        官)      大澤  隔君
        農林事務官
        (農林経済局長)坂村 吉正君
        農林事務官
        (農地局長)  伊東 正義君
        農林事務官
        (振興局長)  齋藤  誠君
 委員外の出席者
        農林事務官
        (振興局園芸課
        長)      石井 一雄君
        通商産業事務官
        (通商局農水産
        課長)     西尾 八起君
        専  門  員 岩隈  博君
    ―――――――――――――
三月十五日
 委員西村関一君及び楢崎弥之助君辞任につき、
 その補欠として淡谷悠藏君及び川俣清音君が議
 長の指名で委員に選任された。
同日
 委員淡谷悠藏君及び川俣清音君辞任につき、そ
 の補欠として西村関一君及び楢崎弥之助君が議
 長の指名で委員に選任された。
同日
 委員山田長司君辞任につき、その補欠として西
 村力弥君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員西村力弥君辞任につき、その補欠として山
 田長司君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
三月十四日
 果樹農業振興特別措置法制定促進に関する陳情
 書(静岡県議会議長岩崎亀)(第四四六号)
 急傾斜地帯農業振興臨時措置法の期限延長に関
 する陳情書(神奈川県中郡伊勢原町長竹内新三
 郎外五名)(第四四七号)
 同(大分県議会議長小林政治)(第四四八号)
 同(新潟市長渡辺浩太郎)(第四七九号)
 農業基本法制定に関する陳情書(岐阜県益田郡
 萩原町農業委員会長水口正郎)(第四八〇号)
 食糧管理改善に関する陳情書(東京都江東区深
 川佐賀町一丁目三十二番地全国米穀問屋組合連
 合会長望月政春外一名)(第四八一号)
 農業振興対策確立に関する陳情書(佐賀市赤松
 町三十五番地佐賀県農業協同組合中央会長古賀
 了)(第四八二号)
 沿岸漁業の経営維持資金制度創設に関する陳情
 書(香川県議会議長大久保雅彦)(第五〇九
 号)
 果樹新植及び機械開墾に対する融資措置に関す
 る陳情書(香川県議会議長大久保雅彦)(第五
 一〇号)
 農業資金融資に関する陳情書(東京都中央区京
 橋二丁目十一番地全日本農民組合書記長亀田得
 治)(第五四二号)
 官行造林廃止反対等に関する陳情書(東京都中
 央区京橋二丁目十一番地全日本農民組合書記長
 亀田得治)(第五四三号)
 農業災害補償制度改正に関する陳情書(東京都
 中央区京橋二丁目十一番地全日本農民組合書記
 長亀田得治)(第五四四号)
 米の統制制度存続等に関する陳情書(東京都中
 央区京橋二丁目十一番地全日本農民組合書記長
 亀田得治)(第五四五号)
 農業基本法政府案制定反対に関する陳情書(東
 京都中央区京橋二丁目十一番地全日本農民組合
 書記長亀田得治)(第五四六号)
 政府提出の農業基本法案の一部修正に関する陳
 情書(大津市東浦一番町滋賀県農業会議会長谷
 口久次郎)(第五六八号)
 農業資金融資に関する陳情書(三重県議会議長
 小久保久吉)(第五六九号)
 木材需給対策に関する陳情書(大阪市大正区千
 島町百六十三番地木材利用研究所河島義一)(
 第五七〇号)
 急傾斜地帯農業振興臨時措置法の期限延長等に
 関する陳情書(東京都議会議長村田宇之吉外九
 名)(第五九三号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農業基本法案(内閣提出第四四号)
 農業基本法案(北山愛郎君外十一名提出、衆法
 第二号)
 果樹農業振興特別措置法案(内閣提出第九九
 号)
     ――――◇―――――
○坂田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出の農業基本法案及び北山愛郎君外十一名提出の農業基本法案を一括議題として質疑に入ります。
 念のため申し上げますが、昨日の理事会の申し合わせによりまして、質疑時間は一人一時間三十分程度にお願いいたします。
 質疑の通告がありますので、これを許します。綱島正興君。
○綱島委員 私は、農業の基本問題及びただいま提出されております農業基本法案について一応の質問をいたしたいと存じております。
 まずお尋ねいたしたいのは、ただいま世界じゅう、これは日本だけではございません、世界じゅう、農民が持っておる社会上・経済上の不利益を除去して、他の産業従事者その他と大体均衡を得た所得をなし、かつ社会生活をするということについて、いろいろな工夫を従来から各国ともいたしております。たとえば、アメリカのニュー・ディール政策のごとき、あるいはパリティ・システムのごとき、あるいはヨーロッパ諸国における農業基本法の問題、こういうものについては各国非常な熱意と努力を傾けておるのでありますが、必ずしもその成果は十分にあがったとは申しかねるような実情であるのであります。ここに、わが国会は、この歴史的に非常な問題を残しておる農業経営の基本問題、農業政策上の基本問題、こういう諸懸案を解決するために、特に農業基本法を政府は提出をされ、このことについては、われわれも国民とともにひとしく非常な関心を持つと同時に、これがほんとうに内容の充実した法律として成立し、また、政府当局もこれの遂行について万全の用意と熱意を持って当たられんことを希望いたすのでありますが、まず第一問といたしましては、政府にははたして十分にこの法案の目的としておるものを達成する御用意があるか、御決意があるか、このことをまず第一にお尋ねしたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 最近の世界的傾向につきましては、お話しの通りでございます。わが国におきましても、他産業の成長に比べまして、えてして農業が自然的に経済的に社会的にいろんな不利な条件にある、それを是正して、他産業との均衡のあるりっぱな産業にしなければならない重大時期に私は来ておると感じておるのであります。従いまして、政府といたしましては、御審議願っておりますこの農業基本法をもとといたしまして、今後農業がりっぱな企業として成り立つよう、万全の努力をいたしたいと考えております。
○綱島委員 ただいま、十分な御努力を願うという御答弁でございましたので、特に私は念を入れてさらに伺っておきたいことは、御承知の通り、近代産業の体系は著しい機械力の発達によって生産が非常に増強した。ところが、農業というものは、この機械力を利用する度合いが他の産業に比ぶれば非常に困難でございます。たとえば、工業でありますと、一つの生産品を作るということになれば、目的品それ自身にずばりこの科学力を集中してやるのでございますが、農業は、作る目的物は科学力によって人為的にやることはほとんど困難でございますが、その生産を助成する外形的なものに機械力を利用するものであります。米なら米というものを作るために、機械力を米の製作そのものに使うわけにはいかぬ。やっぱりこれは一定の自然の現象でできてくるのでありまして、ただ現象を助くるためのいろいろな施設に機械力を利用するということにとどまるのでありますが、これが他産業と非常に異なる点でございます。ここに農業生産の困難性が第一に存するのでございます。それから、次に問題になりますのは、農産物の特殊なものあるいは特殊な時期を除きましては、一般的には農産物というものは商品化率というものが非常に低位にあるのであります。機械力の利用の結果、日進月歩の生産で非常に商品化率の高い近代製品というものが他の産業にはできるのでございますが、農業生産品というものは商品化率が非常に薄い。去年の米だから大した米じゃなかったが、ことしの米は大へんな米だという発明はほとんどございません。ただ野菜とか畜産でわずかな違いが出てくるだけであって、基本的な生産品については、その商品化率というものは非常に少ないのであります。この進歩の少ないということが、実は需要を拡大することができない。農業生産品の需要が拡大しない。需要の拡大しない産業は、特殊な価格政策以外ではその所得を補うことは非常に困難でございます。この点が第二に非常に農業が他産業に立ちおくれて参ります必然的な事情であって、農業政策というものは、人為的に特別な措置をするのでなければ、単に漫然として経済上の進歩とか科学上の進歩に基づいてやるというわけに参らないのでございます。ことには、御承知の通り、農業の産物の必要量の総量というものは、大体他の工業生産品とは比べものにならぬほど増加がない。商品化率が高くならない。量的に実は必要量が増していかない。こういう点が第二の欠点でございます。第三の欠点は何かというと、近代産業の基本的構成をなすところの計画生産が農業ではほとんど不可能である。なるほど多少の計画はございましても、風が吹けばそれっきりになる。雨の降りようが足らずでもいかぬし、降り過ぎてもいかぬ。日が照らぬでもいかぬし、日が照り過ぎてもいかぬ。こういうように、計画生産というものは一つの希望にとどまる。これが実は農業の持っておる基本的な欠点でございます。これが産業としての農業が所得の上に劣敗をいたして参る基本的な事情でございます。
 この三点について、総理大臣は大体どのような御決心があるか、農業基本法案が法律になったら、この諸政策を十分に履行されてこれをやられる御意思があるかどうか、この点を伺っておきたい。
○池田(勇)国務大臣 お話の通りの点がございますので、農業基本法におきましても、所々にありますように、農業というものは基本的に自然的・経済的・社会的の不利な点がある、われわれはこの三点を中心としてその不利な点をできるだけ是正していこう、こういうことが基本法の骨子であるのであります。
○綱島委員 実は、この政策は、言うにはやすく、非常にむずかしい。むずかしいから、各国がこの通り非常に苦労いたしております。一応見ると不要な予算と思えるものまで計上しなければならぬような実情になって参って、それが実は農業の持つ特性でございますので、特にこの点は御留意を願いたい。
 次に、第三問をいたします。これは世の非常な誤解を受けまして、社会党さんなどにはえらい魅力になりました貧農切り捨て論と世に称せられる議論であります。これについては、内閣から出されたこの基本法によると、そういうことは一つもない。そこで、この貧農切り捨て論ということはどういうところから起こってきたのか、私どもはほとんど理解に苦しむのでございますけれども、先ほどから申し上げましたように、農業というものが、農業生産品の需要はあまり拡大をしない、必要量が増加しない、そうして他の工業などは生産品の必要量が非常に上がってくる、そこに需要度の差というものが非常に出て参りますが、遅々としてではありますけれども農業もやはり生産はふえて参る。そこで、必要度が割合に増加しない産業は当然人口が減らざるを得ない事情に相なるのでありますが、それに対する総理のお考え方、これをどうすればいいか、また、どうして一体農業の他産業に対する劣勢を補うて、先ほどお答えになりましたように社会上・経済上の不利を補正するか、そのお考え方、あわせて、貧農切り捨てだという論に対して、これは切り捨てではないのだということをはっきり一つこの際お答えを願いたい。
○池田(勇)国務大臣 私は、貧農切り捨て論というものは、農業の実態を御存じない言葉だと思います。――どなたがおっしゃったかわかりませんが。今の日本の農業の経営が非常に零細経営である、他産業のように制約を受けなくてどんどん伸びるのでなしに、土地というものが大体きまっておりますから、そうして人口はふえるとも減らない、こういう状況で、ほかと比較してみますと、一町当たりの日本の生産性というものは、よその国に比べまして相当上位といいますか、比較にならぬほど、土地面積に対して二倍、三倍の生産性がある。しかし、一人当たりの所得になりますと、他の国の十分の一とか五分の一とか三分の一というふうな状況であるのであります。この実態を見て、そうして、他の産業がどんどん伸びて所得がふえるというときに、これまでの徳川時代そのままの農業人口を置いておいて、そうして農業といういろいろな制約を受けた産業に従事している人の所得を上げようなんということは、これは不可能でございます。だから、これは切り捨てじゃない。農業をりっぱな企業として成り立たすためには、発展的に農業従事人口が他のりっぱなよりいい職場につくということが自然の勢い。切り捨てじゃない。切り上げと申しますか、ほんとうに農業人口を切り上げていこうということであります。いつまでも今の人口をもって徳川時代の経営にしておいて、そうしてやるということは、貧農助成論。切り捨て法ということを言う人は、貧農をそのまま温存する貧農助成論に通ずる議論であって、私はとらざるところである。農業の実態、今後の状況、これを考えるならば、今の農業人口をできるだけもっとよりよい職場についてもらい、そうして、進んで農業に従事しようとする人の生産性の向上、生活の向上をはかるということが、政治家としてとるべき策である。いつまでも貧農を温存して生活水準を切り下げてほかと比べて非常に悪い条件に置こうという貧農助成論には、絶対にくみし得られないのであります。
○綱島委員 総理のお考えになっておることは大体読めますが、実は、その問題は非常に困難な問題でございますので、特に施策にあたっては十分な御考慮をわずらわしておきたいと思います。
 次に、御承知の通り、政府提出の法案の第一条にはこの法案の目的が列記してありますし、第二条に大体の施策を書いておられます。第三条には大体地方公共団体の中央政府と対応してなすべき義務が規定してございますし、第四条に規定されておりますのは、一項と二項で、実はこれが世の中の誤解を多少生んでおります点でございますので、特にこの際明らかにしておいていただきたいと思いますことは、経済上のいろいろな施策に対応して法制上及び財政上の処置をしなければならぬ、こういう規定がございます。ところが、同時に提出されております社会党の案には、予算を計上しなくちゃならないという規定がある。これがために、ややもすると、自民党の案、政府案は、これは予算なぞはいいかげんにして、ろくに組まずにごまかして、そうして財政上の処置をするという言葉で逃げているのじゃないか、こういう疑いが非常に農村に深いのです。この際一つその点については明らかに言明をしていただいて、財政上の処置というものは、予算処置も、あるいは税制、減税等の処置もみんな含んだ非常に厳密な意味であることを総理大臣の責任において明らかにして、今後、その後に書いてございます土地改良でございますとか、あるいは農地造成の問題でございますとか、あるいは協業の問題、あるいは農地信託の問題、遺産相続の問題等について遺憾なき措置を講ぜられると同時に、少なくともこの予算措置については十分なる責任を持っていただくということを明らかにしておいていただきたいと思いますが、御所見はいかがでございますか。
○池田(勇)国務大臣 私が施政方針演説でも述べましたように農業をりっぱな企業として成り立たせ、そうして農民の方々が他の産業と比べて均衡がとれるように伸びていくような施策をやりますことは、難事中の難事でございまするが、いつかはだれかがやらなければならぬ重要な国策であるのであります。今までも補助金とかいろいろなことをやって参りましたが、特にわが党といたしましては農業に対しまして一番力を入れたのでございますが、今までのようなやり方ではほんとうにりっぱな農業を作り上げるのには十分でない。ここで、私は、この難事中の難事を自分から買って出て、りっぱな農業を作り上げようという決心をいたしたのでございます。従いまして、社会党さんの法案もちょいちょい読んでおりまするが、この法制上、財政上の措置ということは、非常に広い意味なのです。これは予算の金額だけでどうこうというわけのものではないのです。いろいろな立法措置を伴います。また、予算だけではございません。お話のように、税制その他各般の財政上の措置でございます。予算の確保とか、単に予算々々と言っておりますが、これはもちろん予算は財政措置の重要な部分でございますが、単に予算だけでごまかす、――ごまかすというのは言葉が悪うございますが、単に予算だけで満足すべきものではないのです。財政上いろいろな措置をしなければいけない。負担の関係とか、単に補助金とかなんとかいう問題じゃないと思いまして、広く財政上とやったのでございます。もちろん予算その他も重要な部分でございますが、もっと広く書いておいた方が御安心がいけるのじゃないか、こう思いまして、実はこれは閣議で私は発言したような次第でございます。予算その他万般の措置を財政上の措置に入れてやっていく考えでございます。
○綱島委員 次に、経営構造の問題で…。(「その点どうしたのだ、ごまかされてだまっているのか」と呼ぶ者あり)わかった。よくわかりました。
 次に経営構造の問題でございます。
 御承知の通り、この経営については、家族自立経営をするということを大体中心的な目途として政府案は提出してございます。社会党案は協業ということで、なるほど農民の所有権というものについては農家の所有権を留保してございますけれでも、実質上はほとんどこれはコルホーズやソホーズの思想に大体通ずる書き方だと思っております。そこで、この共有的思想というものをわが国に持ってきたならどうなるか。御承知の通り、ロシヤでも山間地帯は非常に困っているようです。実は農民がたびたび反乱を起こしておる。そこで、こういう思想を日本の農村に持ち込むことは非常に警戒しなくちゃならない。そうして、日本の勤勉な農村の今日までの動労性、かたい思想、かたい生活体系というものの上に、文化的な、所得も他産業と均衡を得た社会を作る、こういうことにわれわれは努力せねばならぬと思っているのでございますが、総理は、この経営が家族自立経営を主体といたして、なおどうしてもやむを得ぬものについては協業体制をとるという御提案でございますが、これについてはどういう御用意がございましょうか。そのために、関連する農業諸団体の問題、それらの問題についても十分御留意を願われることでございましょうか。そのためには費用も要ることができて参りましょうが、そういうものについても十分な心を使われて、それに値する御施策が願えましょうか。この点をこの際明らかにしておきたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 私は、農村に生まれまして、農村のことは少しは知っているはずでございます。農民の土地に対する執着心というものは大へんなものでございます。戦後における日本の農業の急速な発展は、やっぱり農地改革がもとになり、農民の土地に対する執着ということは、これはもうぬぐい去ることのできない重要な問題でありますので、これを中心として農業を伸ばしていく、これが家族農業をわれわれが本筋とするゆえんであるのでございます。しかし、規定その他につきまして、あるいは土地の譲渡その他につきましてなかなか困難という場合には、補助的に協業というものを認めていく、原則はやっぱり家族農業中心で、今のコルホーズとか人民公社というような思想は私はとらない。日本人に合わないと思います。だから、やはり、農民の土地を愛する観念、これを伸ばしていく、それを原則としていく。そうして、補助として、特定の場合におきましては協業も認めていこう、こういう考えでございます。これがやはり日本の農民に一番合った、三千、四千年来の考え方だと私は思っております。
○綱島委員 日本の農民の習性というふうに話されましたが、これは、むしろ、根強い日本の輿の持っている性格、多種多様で、同じ畑でも上ぐろと下ぐろは性質が違うという、極端に言えば一反々々企部その田地田畑がおのおの違った生産力を持っておる、違った特質を持っておる、こういうことからして、実は能率的にもおのおのその人たちがこれを私有として経営することに生産の増強があるということもあわせてお考えを願いたい。これは、ひとりいろいろな制度から来ただけでなくて、実は、気象風土の関係、土地の持っておる生産要素の関係から決定されてきたものが非常に大きな事情であるから、漫然とただ制度の改革でやろうとしても、土地が変えられない以上は、気象風土が変えられない以上は、だれかが乱暴にこれを変えようといったって、それは失敗に終わることで、むしろその点では農民に対する一つの反逆ともいうべきものである。こういうことについての御注意を十分に払っていただきたいということをこの際希望をいたしておきます。
○池田(勇)国務大臣 お説の通りでございます。
○倉成委員 関連して…。
○坂田委員長 倉成君。
○倉成委員 私は、綱島委員の御質疑に対して総理大臣がいろいろ農業の基本的な考え方についてお話しになったことに関連しましてお尋ねをいたしてみたいと思います。
 まず、家族農業経営をとるかあるいは協業をとるかということは別にいたしましても、今日の日本の農業にとって一番大切なことは、国民経済の中において農業をどのように位置づけるかという基本的な観念を確立することが一番大事なことではないかと思うのであります。イギリスの例を引くまでもなく、イギリスが穀物法を一八四六年に撤廃をいたしまして、海外農業との競争にこれをさらし、工業国の道をたどったのでございますけれども、第一次大戦後は、後進国がだんだん工業化して参りまして、工業が工業生産物の販路という面で行き詰まって、従来の自由放任政策を保護政策に切りかえて今日に及んでおるのでございます。日本の場合に、この農業は非常に金のかかる農業である。しかし、総理は、予算委員会の中で民族の苗しろであるというような表現も使われましたし、また、綱島委員の御質疑に対して、むずかしいけれども企業として成り立たしたいというようなお話もございました。そこで、国民経済の中で農業の役割というのは、その時代、国情によっても違うのでありますけれども、日本の場合、農業をどういうふうに位置づけてお考えになるかという基本的なお考えをもう一度お伺いしてみたいのであります。
○池田(勇)国務大臣 私は、経済的に見ましても、日本の農業は、その土質といい、雨量といい、太陽熱といい、各方面から見まして、日本は農業に適している国と私は考えておるのであります。だから、施策よろしきを得れば、他の国にまさるとも劣らないりっぱな農業国として立ち得る。これは、また、産業として、工業、商業、農業、この三本の柱で私はいきたい、またいくべきだ、その条件を持っておるということが、経済的に見て、民族の点から見まして言える。私は、先般も申し上げましたように、農業というものは、ほんとうに原始産業でありますけれども、民族の苗しろなんだ。ある人は、都会は墓場であり、農村は苗しろである、こう言っております。この大事な、民族の発展の上から言っても必要な産業、こういうことから農業問題を考えていきたいと思っております。
○倉成委員 日本が農業としてもいろいろすぐれた条件を持っておる、また、農業は、単に経済的な企業としてでなく、民族の苗しろとして非常に重要な意味を持っておる、こういう総理のお考えに対して、私も全幅の賛成をいたすものでありますが、さて、今日の農業を、それならばどうしてもっと企業的なものにし、また民族の苗しろといわれる農民の生活を、どのようにして他の産業との格差をなくしていくかということは、また非常に大事な問題であります。
 そこで、先ほどもちょっと綱島委員からもお話がありまして、人口が減っていく問題について、貧農切り捨てでなく、貧農切り上げだというお話で、これについても興味深く拝聴したのでありますけれども、今日の日本の農業は、人口を減らす、あるいは人口が減っていくだけでは産業としては成り立たないのであります。もちろん、農業が近代化するための要件として、経済の進歩に従って人口がある程度減っていく、これは自然な勢いであるし、また、そうなければならないと私も信じます。しかし、今日の農村の実情ではどういうことになるかと申しますと、働き手がなくなると、今度は、人手が足らないというようなことで、人口がむやみに減って参りますと農業が非常に荒れ果てた姿になっていくということが現実である。従って、人口が減っていくということだけではなくして、もっとほかに重要な問題がここにあるのではないかと考えるのでありますが、これらの点についてどのようなお考えをお持ちか、伺いたいのでございます。
○池田(勇)国務大臣 これは、日本人の特性と申しますか、一を言うとすぐそれが全部一になってしまうように考えやすい。私が農業人口が減ると言ったら、もうりっぱな労働力を持っておる人は農村にいないようになる、すぐそう考えることがいかない。私は、余った人がいくんだ、りっぱな人が自分は農民として立つんだという、その農業を作り上げるようにしなければならないと考えておる。だから、人が減ったら農家には何もいない、――有力な新聞でも、それじゃ農村は女と子供と年寄りだけになるじゃないか、こういうことを書きますが、これは日本人の悪い考え方でございます。りっぱな人が残るようにしなければいかぬ。半分になれば一人当たりの所得が倍になります、それだけじゃいかない。最近の日本人の生活水準の向上によりまして、食べるもの、いわゆる食に対する考え方がだんだん変わって高度化しつつあるのであります。だから、私は、米麦ということでなしに、畜産、果樹等々をやっていくなれば、その生産性の向上が期せられると考えております。従って、りっぱな農民が残る、そうしてりっぱな企業として多角的にやっていって、日本人の食事の嗜好の変わっていくことに応ずるような農業経営にしたい。いわゆる多角化と申しますか、これには二月当たりの耕作面積も相当ふやしていかなければならぬ、こういうことで進んでいくべきだと思います。
○倉成委員 人口が減ったからといってすぐ農業がよくならないという意味を申し上げましたのは、残された農業が近代化していくためには、どうしても資本装備をもっと充実をして、また、近代的な農業にするための技術がこれに伴わなければならないということを指摘したかったのでございます。御承知のように、明治二十三年に日本の国立の農業試験場が設けられました。この明治以来の技術が昭和の時代になりまして結実いたしまして、日本の農業生産は非常に飛躍的に発展をして参りました。しかし、今日までの日本の農業の技術は、御承知のように、土地を節約する技術、すなわち品種改良であるとか肥料であるとか、こういうのが中心でありまして、労働を節約する技術、すなわち機械化であるとかあるいは土地改良というような問題についてはやや薄い点があったのではないかと思うのでありまして、新しい農業経営を作り上げていくためには、どうしてもこれらの進歩に適応した技術を確立することが必要でございます。たとえば、畜産の経営を考えてみましても、畜産はこれから伸びていくと言いながらも、今畜産の経営は一頭、二頭の畜産では赤字なんです。少なくとも五頭ないし六頭なければ黒字が出てこないというのが農業の経営の実態であります。そうすると、この試験研究の機関あるいは末端で苦労しておられる普及員の人々は非常に努力しておりますけれども、しかし、これらの技術がまだ十分確立してない。これらのためには、たとえば近代産業であれば日立製作所一つで五十億円の金を試験研究に投ずるということができるのですけれども、農業は蓄積がないからできない。どうしても技術の確立のために積極的な施策を講じて将来の方向を考えなければならない。また、これらのための金は惜しんではならないと考えるのでありますが、いかがなものでございましょう。
○池田(勇)国務大臣 お話の通りに、明治、大正時代におきまして農業の中心は米でございまして、米に関する研究は非常に進み、品種改良も行なわれたのであります。最近の米の増産は品種改良がその一つの原因でございます。そして、最近は、農業の機械化というので、三馬力、四馬力の耕転機を農家が持ちましたが、今のような一反とかあるいは五畝とかいうふうな区割りでは、耕転機も使いようがないのです。だから、牛馬よりもかえって時間がかかるというふうなこともありますし、やはり、農地を平地では五反とか八反ぐらいにするような格好にしていかなければだめである、そして、耕転機も、三、四馬力でなしに、二十馬力、三十馬力で、一尺二、三寸ぐらい深く耕すようにすべきだと私は考えております。何分にも、今まではそういう土地の制限がありますし、それから米麦中心でございましたが、今後はそれではいけない。それで、急に畜産の方をやりましても、畜産関係は獣医の人が専門でございます。ほんとうの畜産の指導員というものはなかなかない。私はせんだっても聞きましたが、千葉県なんかに行きますと、農家の方が指導員よりもよく知っているというような状態でございます。今後この農業基本法をやっていく上におきましては、畜産、果樹、また、新しい野菜の栽培法、これに十分力を入れていかなければならぬ。私はここで農林省にお願いしたいのは、米麦中心から脱却して、農業全体の技術、ことに、おくれた畜産、果樹の方面に一つ十分力を入れていっていただきたい。これがやはり農業をよくするもとでございます。そういう考えで農林大臣に御研究願っている次第でございます。
○坂田委員長 ちょっと速記をとめて。
○坂田委員長 速記を始めて下さい。
 暫時休憩いたします。
   午前十一時五分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時四十五分開議
○坂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出の農業基本法案及び北山愛郎君外十一名提出の農業基本法案に対する質疑を続行いたします。倉成正君。
○倉成委員 私は、午前中の質疑におきまして、農業を近代化するための重要な要件として、資本装備の充実と、特に技術の向上ということが必要であるということを申し上げたのであります。従来の技術がとかく土地節約的な技術に片寄っておりまして、これから先の農業の技術は、どうしても労働節約的な技術が必要であり、同時に、営農と結びついた技術を必要とすると考えるわけでございます。そこで、従来の試験場やあるいは研究機関、普及機関等で非常に欠けておる点をこれから抜本的に改めていかなければ、農業の近代化はできないわけでありまして、たとえば、果樹等につきましては、これまで国の施策というよりもほとんど民間の力によって伸びてきたわけであります。そこで、これらの技術の研究あるいは普及のためには、思い切った金を投じて、財政金融について金を惜しむべきでないという考え方を持っておるのでありますが、総理はこれに対してどのようなお考えをお持ちか、お伺いしたいのであります。
○池田(勇)国務大臣 今後農業の近代化、多角化に向かっていきます場合におきましては、技術指導、また高度の技術を要することはお話の通りでございます。金を惜しまずにということでございますが、金を十分大事にしながら、大事な金を使うのでございますから能率の上がるようにいたしたいと考えております。
○周東国務大臣 ちょっと補完をいたしますが、倉成さんのお話の通り、今後の農業の生産を上げ近代化するにつきましては、どうしても機械化だとか技術の高度化ということは必要なことであります。御指摘のように、ことに生産の伸びる果樹、畜産につきましての技術を重大視しておりまして、現在の農業改良普及員等につきましても、これをふやすことにつきましてはもちろん将来考えていくべきですが、さしあたっては、これらの中から、畜産、果樹というものに対する特殊の技能を養成するために、中央の試験場または各府県の試験場等に委嘱しまして再教育をいたしまして、同時に、農業者自体に対しましても、そのおのおのの技術の修得ということに対して、各府県に委嘱して、これを各種研修施設等において技術教育をやるという計画になっております。
○倉成委員 技術の重要性につきましては、総理並びに農林大臣の補足説明においてある程度わかるのでありますけれども、ほんとうに今後の農業の近代化をやるためには技術が一番中心的な課題になるという認識を総理御自身お持ちにならないと、大蔵大臣その他の財政的な理由によってどうしても金が惜しまれてくる。これでは、一文惜しみの銭失いということわざにもあるように、ほんとうの近代化というものはできないと思うからであります。
 さらに、これらの問題と関連して、資本装備を充実するためには、今日の農業の力では蓄積の能力がございませんから、どうしてもここに財政の措置、また金融の措置が必要になって参ります。今年の農林予算はある程度ふえて参りましたけれども、日本の農業に対する財政は、農業生産額に対する比率から見ますと、イギリスの四二%、アメリカの一〇%、イタリアの七%、西ドイツの七%等々と比べますと、決して高いものではございません。従って、農業を国民経済の中で総理の言われるように企業として成り立たせようという意欲に燃えておられるならば、これらの財政措置については十分惜しまないでやっていく配慮が必要であろうかと思うのであります。
 さらに、金融の問題で、特に経済の専門家である総理にお尋ねしたいのでありますけれども、農業の金利が非常に高い。これはわが国の一般の市中金利が西欧各国に比べて高いということからも来ておるかと思いますけれども、市中金利にいたしましても、西ドイツの平均七分五厘を別といたしますと、アメリカ、イタリア等は三分前後であります。日本の場合は八分二厘、そういったように非常に市中金利が高いし、農業の場合になりますと、長期、低利の資金を必要とするにかかわらず、日本の長期資金は五年ないし二十五年で、最低三分五厘から七分五厘という資金でありまして、欧米では七十年に及ぶ長期資金を三分ないし五分で貸しているという実情でございます。短期資金につきましては、日本の場合では一割以上、諸外国では農業の短期資金が三分ないし六分というように非常に安いのであります。これらの点は日本の経済構造に由来するかとも思いますけれども、一体どういうところにこういう原因があるか、また、農業の近代化を推し進めようという意欲があるならば、これらの金利の水準についてどういった施策を講ずるかということについて、総理が日ごろ専門とされます立場において明快にお答えをいただきたいのでございます。
○池田(勇)国務大臣 近代農業を形成しますためには財政的措置を十分とらなければならぬことはお説の通りであります。財政的措置ばかりでは十分でないところもございますから、金融的にこれを補完しなければなりません。金融で補完する上におきまして、財政投融資と農林漁業金融公庫でやっておるのであります。本来の形態の農林中金等が、今の農業に対しましての金融的立場が十分利用せられていないのではないかというきらいがあります。たとえば、系統でずっと集まって参りまするが、米代金は、ふえた相当部分が実はコールに出るというようなことで、日本のコール市場の相当の部分が農林中金の金によってまかなわれている。それが農民の米代その他のものである。こういうことは改めなければいかぬ。そこで、今般の予算関係におきまして、農林漁業の長期資金あるいは短期資金等にいたすべく、利子補給的の考え方を進めていっておるわけでございます。何と申しましても、農林漁業という長期資金を要するところにおきましては、長期にしかも低利にやらなければいかぬ。長期であると同時に低利でなければなりません。だから、今までも自作農創設その他にりきましては他よりも低利の資金でやっております。しかし、これは、低利であっても資金量が足りない、こういうことで、資金量をふやすと同時に低利にしなければならない。その施策につきましては、今回措置いたしましたような利子補給等々をやっていくよりほかに仕方がないと思います。ただ、日本の金利水準は、お話の通り、ドイツは相当高うございますが、他の国に比べますとなおのこと、ドイツより以上に高いという状況でございます。最近の金融正常化によりまして、だんだんと金利も低下の方向に行って喜ばしいことでございまするが、一般産業資金と違って、農業というものは、先ほど申し上げましたように、その特殊性から言って、長期であり、そして低利でなければならぬことはお話の通りでございます。この点に向かって努力を進めていっておりますし、また、今後もその努力を続けていきたいと思っております。
○倉成委員 長期、低利の資金を必要とするということについては総理もお認めになったわけでありますが、現在の段階ではまだ施策は不十分だということを指摘申し上げたいのであります。これはもちろん一挙にいろいろなことをやるのは全体の金融体系その他の問題があろうかと思いますけれども、農業の現実をどう認識するかというその認識の程度によって、これらの問題は大きな政策として進めなければならないということを指摘申し上げておきたいと思います。
 次に、私は、農業の問題を論ずる場合に、その地域性ということを強調したいのであります。北海道の農業もあれば、九州の農業もあります。災害を受けたところもあれば、豊作のところもある。そういたしますと、画一的な所得水準の上昇というようなことを考えまして、実際の具体的な農業をやっております農家にとっては、絵にかいたもちになる場合が非常にあるのであります。その極端な例といたしまして、たとえば、山間僻地であるとか、非常に傾斜地、砂地の場合であるとか、離島であるとか、こういう地域におきましては、近代化をやろうとしても、ほかに雇用の機会を求めようとしてもなかなかできない低所得層の農家が多数あることも否定のできない事実であります。これらの問題に対しましては、諸外国におきましても、アメリカでさえ大統領の直接の諮問委員会等を設けまして特別な措置を講じておるのでありますけれども、これらの地域性あるいはその極限の姿であります低所得の農家に対してどういうふうな配慮をお考えになるか、総理の御所見を伺いたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 先ほど申し上げましたごとく、米麦中心で、しかも平地農業ということが今まで主であったようでございます。お話の通り、離島の問題とか、あるいは平地でない段々畑の問題等につきまして、今後十分考えていかなければならぬ。土地改良、土地がくずれないようにすると同時に、段々畑に合うような農業というものを考えていかなければならぬ。それは、やはり、自然的現象といたしまして、そういうところでは果樹が今主たる問題になっておるのであります。そして、たとえばミカンなりビワにいたしましても、すぐ収穫があがるわけではございません。五年、十年、十五年ぐらいたたなければいかぬということになりますから、ミカンとか果樹の問題につきましても相当長期にいるわけでございます。だから、私は、米麦中心でなしに、ほんとうにその土地に合ったような作物をやっていかなければいかぬ、こう考えておるのであります。私の国のことを申して恐縮でございますが、離島で三百メートル、三百五十メートルの高さへいろんな肥料をかつぎ込んでやる、そして相当ミカンの収穫をあげております。これはミカンのカン詰その他海外にも行くようになっております。こういうことにつきまして、今までは粒々辛苦して五本なり十本なりふやしておったのを、計画的に相当ふやす、それには相当の長期、低利の資金でやっていかなければならぬ、こういうことになってくると思いますが、御承知の通り、今まで、農林省におきましては、果樹園芸という方はほとんど見向きしていない。生活水準が上がると同時に、果樹園芸の需要もふえてくる。またそれが収穫が高度であるのでございますから、私は、それをやるには、まず第一に、やはり長期、低利の資金ということでやっていきたいと考えております。
○倉成委員 これらの地域差の問題あるいは低所得の農家に対する対策についてはできるだけ長期、低利の資金を考えたいという総理の言葉でございますから、非常に力強く思うのでありますけれども、私は、低所得の農家に対します施策は、単なる長期、低利という資金だけではなくして、やはり、どういうことをやったらいいか、その指導あるいは特別な訓練、施策というのが必要じゃないかと思うのでありまして、これらの施策が従来の農林行政の中に非常に欠けておるということを御指摘申し上げたいのであります。
 そのほか、流通の問題、加工の問題、土地の価格の問題等、いろいろ農家の所得の向上のためには大切な問題がございますけれども、時間がございませんので、最後に総理に農業政策の進め方についての御所見を伺いたいと思います。
 それは、およそ理想を掲げて目的に近づくためには、現実を正しく認識することが必要であり、この現実から出発してその理想に到達するアプローチをいかにして明らかにするかということが必要になってくるのでありまして、そのためには、抜本的な対策、たとえば農林省の機構のごときも、現在の近代化をやる農業の態勢に合っているかどうか。一例をあげますと、先ほど総理が御指摘の果樹は、五%の生産量を農業生産の中で占めております。蚕糸は約三%であります。この蚕糸のためには、歴史的な事情はありましょうけれども、蚕糸局という局がある。果樹のためには園芸課という小さな課がありまして、ほとんどこれに見るべきものがございません。そういったことをやらずしていろいろな施策を考えましても、総理が幾ら考えられても現実にこれが実現できないということになってくるわけでありまして、金融の制度につきましても、できる、だけ長期、低利の資金と申しましても、なかなか農民の現実に要求するような資金を貸すわけには参らないということにもなりますし、この近代化を進めていくためのいろいろな要件があるのであります。これらの施策につきましては、やはり抜本的な、ある意味においては蛮勇をふるってやられる御決意があるかどうか、お伺い申し上げたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、農業自体の構造が変わってくるのでございますから、これに対する行政のあり方も変わってくるのが当然だと思っております。果樹園芸と口では何でございますが、今までの果樹園芸というのは、農家のうちでも相当お金のある連中がやっておった。貧農は果樹園芸に入れなかった。今度今までの果樹園芸を大きくすると同時に、今貧農でありましても、今後自分らは果樹園芸をやっていこうというときには、今までのようなやり方ではいけない。今までは果樹園芸は金持ちの農家が割合多かった。今度、そういう点につきまして、やはり政治の頭を切りかえていかなければならないと思います。ことに、果樹園芸なんというものは、十年、二十年先のことでございますから、非常に気長にやっていかなければならない。気長ということが農業には必要なんであります。私が子供のときに、ミカンを植えまして五、六年先を見通してやっておったのですが、もう七、八年目になると、これは掘り返してしまえというふうになったことを自分の実家で知っておりますが、よほど気長な気持でやらなければならない。それには、先ほど来の、行政自体、金融の点なんかも指導の点におきましても機構を変えてよほど長い目で見ていかなければ成功しない、かえって失敗するということになると思います。
○倉成委員 これらの機構を改革し、積極的に近代化を進めて参りますと、その陰に隠れて、非常な経済の進歩と同時に、不安定の要素がどうしてもここに出てくることも否定できない事実であります。ですから、これらの積極的な施策と同時に、農民に安心感を与えるということが政治の要諦でなければならないと思います。それは、たとえば、災害がありますと、国全体の統計の中ではわずかな収量の減少でありましても、一年に一度の収穫を失った農民の気持というものは深刻なものがあり、この気持をどういうふうに認識するかということによって政策のあり方が変わってくると思うのであります。経済成長がこれだけ非常に続いておりますけれども、やはり、これから先の長い間には不況も来るということも予想されなければなりませんし、いろいろな意味において、農民が安定した、安心した気持を持って農業にいそしむことができるということが非常に大事なことであるということと、もう一点は、今日の農民が非常に困っておりますことは、いろいろのむずかしい大きなことよりも、ちょっとした小さな手続です。せっかく制度がありましても、自作農創設資金を借りようとしても、手続が非常にむずかしくてうるさい、いろいろな制度がありましても、これが末端の農民には十分徹底していない、登記所の問題で言えば、登記料が非常に高いとか、そういったような、総理大臣からお考えになればまことに小さいようなものでありましても、そのことによって向上がはばまれているというのが実情であります。これらのことについて総理は十分な御認識があるかどうかをお伺いしておきたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 御質問の点がちょっとはっきりいたしませんが、総理大臣であっても、一池田でございます。農家に生まれ、農民とともに育ってきた私でございます。(笑声)その点は考えていきたいと思っております。
○坂田委員長 倉成君に申し上げますが、関連質問ですから、簡単にお願いいたします。
○倉成委員 私の申し上げましたのは、たとい農家のお生まれでありましても、東京に住んでおられると、やはり農民的な感覚が薄れてくる。ですから、どうしても、これは、そういった末端の実情を十分把握されまして、血の通った政治をこれにやっていただくことが何よりも大事なことだということを御指摘申し上げたわけであります。
 関連質問でありますから、時間が参りましたからこれで一応終わります。
○綱島委員 最後に御質問を申し上げたいと思う。それは、御承知の通り、農村の大体の貨幣所得は一兆五千億でございます。ところが、消費者が日本の農産物に対して払っております総額は大体三兆二千億ぐらいでございます。これは農政上から非常に考えなければならぬ。なるほど、このたびの基本法においては、いろいろ考えまして、農村に関連ある事業については低利融資をいたすようなことを考えておられるわけでありますが、実は、農村のこの粗収入というものをもっと補正してみまして、そうして、中間の利得というものを、――これは中小企業者もございますので手放しにも参りませんが、貨幣収入の少ない農村という立場を考慮したときは、農村と消費者との間の中間利得というものの幅をもっと少なくして、そうして農民の所得をもっとふやさなければならぬと考えておるのでありますが、これについて何らかお考え方がございますか。幸いにしてそれに対する適切な御考慮等がございましたら、お漏らしをいただきたい、こういうふうに考えております。
○池田(勇)国務大臣 綱島先生のおっしゃることは生鮮食料品のことでございますか。
○綱島委員 ではございません。生鮮食料品が差が非常にできるのでございますけれども、主食もいろいろみな含めてでございます。
○池田(勇)国務大臣 主食の点につきましては、御承知の通り、食管制度がございまして、いろいろ御議論になり、政府といたしましても、できるだけそのマージンを少なくしていこう、こういう考え方でございまするが、何分にも、倉敷料、金利等を要します。政府といたしましては、金利の点は、なるべく国庫の余裕金を使って、利子のつかない金をというので努力いたしておるのでございまするが、最近におきましては、米の配給所のマージンが少ないというので非常に強い要望も出てきておるようでございます。まあ、私は、主食につきましては、政府統制でございますから、その間にはできるだけ合理的にやれる方法もあると思いますが、今の生鮮食料品については、これが一番差が多い。私もときどきラジオを聞いておりますと、ジャガイモがどうだとかゴボウがどうだとかいうことを短波放送などでやっております。ああいうものを聞いたり、それから、出荷につきましての共同出荷等、いろいろ改良すべき点がございましょう。また、大都市の市場につきましても、なかなかこれはうまくいくようでいかないものです。都の統制がございますけれども、市場がまちまちであったり、また、経営者が過当競争をいたしまして、農民の方に青田売買というやり方をやって農民をまどわすとかつるとかいうことがあったり、いろんな改良すべき点が多いと思います。私も一度少し市場について研究したことがございますが、くだものなんかにつきましても、冷蔵庫を作って長期にわたってずっと安定する方法を考える、出荷、貯蔵、取引制度等々につきましても十分考えていかなければならぬ。こういうようなものはほんとうに自由主義で、都の監督はございますけれども、各市場の各経営者が農民のため消費者のためという気持をわき立たすように、彼らとしても相当金融が必要でございますから、そういう面から農林省がもっと米麦中心から価格、輸送というところにも入っていかなければ、果樹、畜産はそううまくいかないのじゃないか、今までの頭を切りかえていく必要が出てきたと私は考えております。
○藤田委員 関連して…。
○坂田委員長 藤田君。
○藤田委員 私は、綱島委員の質問に関連いたしまして、きわめて簡単に二、三点お伺いいたしたいと思うのであります。
 今回の基本法の性格は空前の産業立法であると私は思うのです。それは、前文がついておりますし、また、三十カ条の条文の中に各所に政府の義務をうたっております。こういう産業立法は前例がないのじゃないかと思うわけでございます。理想的な姿としましては基本法はまだ十分ではございませんが、この法律案提出に踏み切った総理の英断を率直に認めたいと思う一人であります。ところが、この基本法を流れております根本精神は何か。農業という産業界の一部門の経済を合理化させるための法律である、あるいは農家を保護するための法律である、つまり、経済合理化のための法律であるか、あるいは農業保護を中心とした法律であるか、諸説ふんぷんといたしております。私は、その両方を加味した法律であるというふうに解釈いたしておりますが、総理の御見解をお伺いいたしたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 実は、私は今まであまり法律案を見なかったのですが、今回の農業基本法につきまして、第一条の書き方を十分注意してくれと農林大臣に要求したのです。農林大臣は、第一条ばかりに盛り込むのもあれですが、どうです、前文をつけましょうかと言うから、それはけっこうじゃないか、これはもう憲法、教育基本法に次ぐものだから、やはり前文をつけたらいいだろう、前文をつけて下さいと農林大臣に頼んだ一人でございます。本会議でも申し上げましたように、いつかは何人かやらなければならぬことなんです。私は、これは悪いたとえかもわかりませんが、一国の産業といたしまして、工業もかわいいし商業もかわいい。しかし農業もかわいい。そのうちでやっぱり伸びていくよりも伸びにくいものが一番かわいいはずなのです。自分の子供でもみなそうなのです。だから、私は、低賃金、低所得でほんとうに朝から晩まで一家族そろってやるこの農業を政治家として一番かわいがらなければならぬ、これは人情だと思う。そこで、私は人からとやこう言われておりましょうけれども、自分の誠意はだんだん農民の方々を初めとして国民全般が知って下さる。ちょうど私は十年ほど前に日本のインフレをとめなければいかぬというので心を鬼にしてやった。今では大体、池田はやった、こう言われておる。農業につきましてもそのつもりで私はやる考えでございます。
○坂田委員長 藤田委員に申し上げますが、時間の制限もありますので、簡単に願います。
○藤田委員 先ほど総理の答弁もございましたが、もう少し敷衍してお聞きいたしたいと思うのです。
 従来の農業は食糧生産第一主義であった。これは何人も否定しない歴史的な事実であります。ところが、今回の農業基本法に盛られました条文だけを見ますと、農業というものの考え方が所得中心になってきておる。そうしますと、今総理が言われた、第一条に強調しております通り、他産業との生産性あるいは所得あるいは生活水準、こういうものの格差を是正するということが第一の命題になってくるわけでございます。所得を中心に農業というものを考えれば、当然企業という形態をとることが前提条件という錯覚に陥りやすい。しかし、午前中の綱島委員の質問に対しまして、総理は、あくまで家族農業経営をやるんだ、これが大前提である、補助的に協業の助長をやる、そういう意味だということを言われております。私も、農業というものの他産業との本質的な相違あるいは農地に対する農民の愛情その他からしまして、どうしても家族農業経営が基盤でなくちゃならぬ、補助的に協業の助長、この方針がいいと思うのですが、ある政党が生産法人中心の法案を出していることも事実なんです。この点に関しまして総理の答弁がさっきまだはっきりしなかった点があるように私は解釈いたしておりますので、この自立経営中心主義の家族農業経営、あくまでこれを根本に推し進めていくんだということ、これをお聞きいたしたいとともに、時間がございませんからついでにお伺いいたしておきたいと思うのですが、今度の法律案からしますと、先ほど総理が言われました通り、構造改善をされる。構造改善の中には、土地改良というものに対する従来の強い農村の執着、これをやや軽視するような表現を使っていないか。社会党は堂々と農用地の拡大、農耕地を広げるんだと法律にうたっておりますが、私たちは、従来通りやっぱり土地改良というものはこの法律においても農業の一つの軸心になっておる、さように考えておりますが、この二つの点をお答え願いたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 お話の通り、農民の心理から申しまして、私は、家族農業が本筋であると確信いたしておるのでございます。しこうして、また、農業自体が土地と離るべからざるもので、農業の根本は土地であります。農業をよくしようとすれば、土地をよくする、そしてまた農地を広くする、これは当然のことなのです。しかし、どこに最も力を入れるかということになりますと、私は、今与えられたものを広げながら、よくしながら、その形態を多角経営、中規模、大規模にしよう、こういうところでございます。土地改良をないがしろにしてはおりません。土地改良あってこそ作物がよくいくし農業の生産性が上がるのだ、そしてまた、適当な土地をどんどん耕していくということがやはり農業をかわいがるゆえんだと私は思います。
○藤田委員 最後に、いずれ機会を見てまた御質問をいたしたいと思いますが、政府の原案では、現在の米麦の食糧管理法に対する方針を具体的にはうたっておりません。価格の安定という表現を使っております。ところが、社会党案では、御存じの通り、現在の管理制度を維持改善すると、具体的にはっきりうたっております。この点に関しまして、全国の農家の非常な誤解があるといけませんから、私は、現在の食管法はこの基本法でも維持するのだという前提の価格安定である、こういうように解釈いたしております。総理の御見解をお伺いして質問を打ち切ります。
○池田(勇)国務大臣 食管法につきましては、議論はいろいろあります。私自身が、今から七、八年前、米の統制撤廃を言った男でございます。その急先鋒であった私が、今は一口も申しません。これは、やはり、農民の方々、そして大多数の人たちが納得のいく方法、しかもなれた方法、これが一番いいのでございます。食管法は維持していく考えに変わりはございません。
○坂田委員長 次に、石田宥全君。
○石田(宥)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、農業基本法を中心とする農業の基本問題について御質問を申し上げたいと思うのであります。
 最初に、政府の所得倍増政策と農業基本法を中心とする総理のお考えを承っておきたいと思うのであります。
○池田(勇)国務大臣 所得倍増構想でございますが、私がこれを言い出したのは、やはり農業問題からでございます。工業とか商業というものは、実はほうっておいても相当伸びる。農業というものにつきましては、ほうっておいてはいけないのです。ですから、私は、いろいろ考えまして、日本がほんとうにりっぱな経済の国として立つのにはどこへ力を入れたらいいかといったら、農業です。それから来ておるのでございます。御承知の通り、工業、商業というのは、政府があまりそうやらなくても、自然に伸びていく筋合いのものであります。だから、私が所得倍増構想を考え出したもとというのは、農業と労働者のことから来ておるのでございます。
○石田(宥)委員 この基本法につきましては、昭和三十三年度に農林漁業基本問題調査会設置法案が提案されました当時、政府は基本法を作る意思はないということを当初強く主張しておったわけです。この調査会の答申が行なわれた後においても、その態度はあいまいな態度で、政府与党の中には反対の意見が相当多かったのであります。昨年の総選挙直前に、池田総理は農業人口の六割削減論を発表されました。政府与党の方はそれがために選挙はきわめて不利であったということで、その選挙の後に党内でだいぶ問題を起こしたようであります。それらの経緯から見て、実は、今回の農業基本法の提案は、農業人口六割削減論を合理的にするところの一つの工作のように受け取れるのでありますが、池田総理は、基本法を制定して農業の振興をはかるということについては、やはりそういう経緯の上にこれをお考えになったのではないかと考えるのでありますが、いかがでしょうか。
○池田(勇)国務大臣 私は、農民六割削減論を言ったことはございません。先ほど申し上げましたように、貧農切り上げの議論でございます。
 農業基本法ということにつきまして、農業問題基本調査会ができるころにつきまして、これは人人の考え方、視野につきまして私はとやかく言いませんが、とにかく、日本の農業、これをこのままほうっておくわけにいかぬということは、心ある人はおわかりだと思います。だから、所得倍増構想は農業問題がもとである。私が所得倍増構想を言ったとき、新聞は、月給二倍論とか…。私の一番心配しておるのは、やはり農民と労働者でございます。これから発しておるのでありまして、私は、農業基本法はもうおそくとも早くない、早くやらなければいかぬ問題と考えます。
○石田(宥)委員 そこで、そのほかの産業はほうっておいても所得は伸びるけれども、農業は放任しておくわけにはいかない、そこで、それがために自立経営農業を育成するという構想のようであります。そういたしますると、今までの切り捨て論は今度切り上げ論に変わった。これは言葉のあやでございまして、あとで私はこの点は具体的な事例をあげて申し上げまするけれども、その切り上げをするということは、要するに、農業就労者が非常に多い、過小農経営である、だから小農を切り上げるのだ、こういうことでございまするならば、言葉はどうでもよろしゅうございますけれども、やはり、その貧農、小農はこれをなくしていくのだ、こういう構想には変わりはないと思いますが、いかがでしょう。
○池田(勇)国務大臣 小農々々とおっしゃるが、中農だって同じじゃございませんか。一部の大農、北海道あるいは東北方面の大農は別でございますが、私は、農業全体から言って、中農・小農という問題はもう問題でない、ほとんど全部が小農とわれわれは考えております。
○石田(宥)委員 そこで、基本的な問題を伺いたいと思うのでありますが、わが国の農業人口というものはきわめて多いのでありまして、世界各国の比較を実は申し上げるまでもないのでございまして、アメリカが最近は総人口中の農業人口は九%程度に下がっておる。カナダでさえも一五%程度、スイスも一五%程度、イギリスにおいては四・五%しかないのです。オランダでも一四%という程度でありますが、わが国では三八%強になる。こういうふうに、社会主義諸国は別といたしまして、自由主義陣営の中で日本くらい農業人口の比率の多い国はあまりございません。これは一体どういうことを意味するか。農業と他産業との所得がきわめて不均衡であって、終戦直後には農民の所得が他産業の所得と比較いたしまして二分の一程度であったのが、最近では三分の一以下になっている。水は低い方へ流れますけれども、人間は所得の高い方へ流れていく。これは当然だ。そうすると、日本の農業所得というものが他産業に比較して三分の一以下であるにもかかわらず、日本の農業人口が減らない。農業人口の比率が非常に高いのですね。これは一体どういうところに原因があるとお考えになりますか。
○池田(勇)国務大臣 今あなたのおっしゃった、アメリカは総人口の九%だということ、これは、今から二十年前、一九四〇年には総人口の二〇%が農民であった。それが二十年後に半分以下になった。この事例をやっぱりわれわれは見なければいかぬ。お話の通り、貧農切り捨て論でもないのに切り捨て論と言うことは、この事実を十分御存じないんじゃないか、こう私は考える。しかも、人口の三九%を占めて、そして非常な零細な集約的な農業で、もうかせぐに追いつく貧乏なしといったぐあいのこの農業をどうやっていったらいいかという施策が、日本の政治家になかったと思います。私は、お話のような事例を考えまして、何とかやらなければならぬ、この大事業を身を挺してやるつもりで決心いたして農業基本法を出したわけでございます。
○石田(宥)委員 そういたしますと、歴代の政府与党の責任であった、こういう答弁のようでありますが、もう少し具体的に一つ承りたい。もっと具体的にその理由をお聞きしないと、その貧農切り上げ論というものに対して私どもは同調いたしかねる。あとで私は具体的な問題をたくさん申し上げますけれども、もう少しその理由を明らかにしてもらいたい。歴代の内閣の責任であった、こういうことではちょっと受け取りがたい。
○池田(勇)国務大臣 歴代の内閣の責任とは言いません。これは、国民全部、政治家全部でございます。私は、こういうような事例につきまして十分検討を加え、今までもちろん土地改良、干拓あるいはいろいろな施策をしておりますけれども、つけ焼刃的じゃないかということでございます。ここまで来れば、だれかがやらなければならぬ。私は、あなたが今お述べになりました統計その他を見まして、こういう気になったのでございます。わが党は、いい時期でやるべきときだと、全部決意を新たにして、御審議願っておる次第であります。
○石田(宥)委員 これは、日本が特に農業人口の比率が大きいということには、単なる農政だけの問題じゃない。日本の低賃金、ことに賃金の二重構造、ここに大きな原因があるんじゃないか。農村を取り巻く都市の賃金というものは非常に低い。それから、一たび農業に従事した人たちが他産業に移っていったような場合には、社外工であるとか臨時工であるとか、あるいは日雇いとかいうようなきわめて低い賃金に置かれておるのでありまして、ほかの産業に移っても生活の安定が期し得られない。そういうところに大きな問題があるのであって、池田総理がどんな決意をされようとも、依然としてこの状態が続いて、農村から他の産業に移ろうとしても、移った場合であっても、そこに非常な低賃金が支配して、そうして、農業も苦しいけれども、しかしほかに移っても依然としてより以上苦しい低賃金が続いたとするならば、これではほかの産業に移れるものじゃないのです。ですから、私は、小農を切り上げられるのもけっこうだけれども、そういう切り上げられる小農というものをどこにどういうふうにおさめられるおつもりなのか、そのおさめどころを考えないで切り上げをされるということはきわめて重大な問題であろうと思うのでありまして、従って、私どもは、やはり、最低賃金制というものをきちっとしいて、低賃金をなくして賃金の二重構造を改めることなしに小農の切り上げをするということは、まことに乱暴きわまる議論だと言わなければならないと思うのです。御所見はいかがでしょうか。
○池田(勇)国務大臣 どうも農業問題と最低賃金制を一緒になさるのはいかがなものかと思います。私は、過去の状態を見て、今後いかに日本の経済構造が変わっていくかということを御想像にならずに、せつなせつなのことを、しかも過去の一番悪いときの事例だけをおとりになって御議論なさっているのではないかと思います。私は、農村を取り巻く都市とその他の大都市と、こういうものにつきましても、昔は賃金に相当差額がございましたが、しかし、だんだん平均していっている。そうして、今後第二次、第三次産業の伸びるにつれて、引っぱりだことは申しませんが、受け入れ態勢ができてくる。過去の農業から他に転職したときのあの悪条件というものは、それは私は否定するものではございませんが、その悪条件がなくなって、いい条件になりつつあり、なるのだという確信を持って私は言っておるのでございます。私は、そういう希望と意欲で政治はすべきものだと考えております。
○石田(宥)委員 総理は希望と意欲で政治をなさるということであるけれども、希望と意欲では政治はよくならない。希望と意欲ならばそれは簡単です。そうでない。やはり具体的な事実によってよくしなければならないのです。今、総理は、問うに落ちず語るに落ちて、最近は求人難の時代だ、こうおっしゃる。なるほど、求人難で、高等学校や中学校の卒業生は引っぱりだこでしょう。しかし、一面においてはまた就職難でもある。こういう事実を無視して、求人難の時代だからどこにでも就職できるというような考えは、きわめて安易な考えであって、東畑精一という人はこういう所論をしておる。新卒八十万中二十万人が農村にとどまるだけで、あとは都市に就職している、しかし、一面、老齢者、それから疾病者、あるいは工場の封鎖などの場合の中年以上の勤労者が年間三十万ずつ農村に還元されるということを指摘している。昭和三十二年に農林省は農林白書を発表しました。この農林白書の中で、重大な問題点として、日本の農村の労働力が漸次劣弱化しつつあるということを指摘しておるのであります。この傾向は最近ますます顕著となってきた。昨年の農業センサス、最近の発表によりますと、過去五年間の動きが出ておりますが、農業従事者は八・二%減じているが、しかし、農家人口は五・九%しか減少していない。これはやはりそのことを物語っていると思うのであります。で、良質の労力は近代産業に吸収される、劣弱な労力が農村に温存される、そして農村は近代産業への労力の供給源であり、低賃金の源泉であるとわれわれは見なければならないと思うのです。これは、私は、農政を議論する場合に、最低賃金制が関係ないなどという答弁はまことに無責任きわまると思う。ことに総理大臣としてそのような答弁は受け取りがたい。農村の人口を減らすのに、それを一体どこへやるのか。それは労働者以外にないでしょう。その場合に、農村を労働供給源として低賃金の源泉地としてそれを温存しようというなら別であるけれども、やはりこれは関連のある問題であります。悪く勘ぐれば、政府は農業基本法に名をかりて、求人難を緩和するために新卒等の優秀な労力を近代産業に供給し、かつ低賃金を維持せんとする陰謀の現われとも言うことができる。そうじゃないですか。総理の所見を伺いたい。
○池田(勇)国務大臣 最低賃金制の問題は農業ばかりではございません。これは中小企業その他各般の問題から考えるべきであります。私は、農民の方方が即最低賃金以下のものでいくという前提は誤っていると思います。それから、お話の通り、そういう議論もありましょう。農村の優良な青年はみな都会へ行って労働者になる、あと農村は不安だということ、私は必ずしもそれに賛成はいたしませんが、もし万一それであったとしたならばどうなさいますか。そういうことがよくないから、農家として自分が自立し得る有能な農民を作る、そういう農業を打ち立てるということが政治じゃありますまいか。私はそれをやろうとしておるのであります。ほうっておいたらどうなるのですか。
○石田(宥)委員 農林大臣がそういう答弁をされるなら話がわかるけれども、総理大臣は、そのほかの全体の産業、日本国民全体の福祉を考えなければならない立場であるから、最低賃金の問題は直接結びつくし、それから、賃金の二重構造という問題も直接関連のある問題だから、私はそれを指摘しておるのです。しかし、次へ移りましょう。
 次に、先ほど綱島委員からも指摘があったように、農業というものは本質的に科学技術を十分取り入れてやるわけにいかない。いわゆる劣勢産業であって、世界各国ともこれには相当な保護政策をやっておる。わが国においても不十分ながら保護政策がとられてきたのであります。しかし、農業人口を削減したいならば、実は簡単なんです。農業が立ち行かないようにすれば数年を出ずして農業人口は半減以下になるでしょう。総理が希望されるような状態になるでしょう。そこで、そういうふうな見地から、私は、この基本法と関連法案の中で本年度の政府の諸施策を見るときに、特に保護政策の著しい後退を指摘せざるを得ないのです。基本法を出して、農業をりっぱな産業に、難事中の難事だけれども思い切ってやるとおっしゃる総理大臣が、保護政策を後退させられておるのは一体どういうわけですか。私が言ったように、農業を立ち行かないようにされれば簡単に削減できる。やはりそういう意図があるのではないかとわれわれは考えざるを得ないのです。その心がまえはどうでしょうか。
○池田(勇)国務大臣 私は、農業が立ち行かぬようにすることが農業人口を減らすことだという考え方は少しどうかと思います。毛頭そういうことはないのです。私は、先ほど申し上げましたように、工業と商業と農業という三人の子供がおりましたときに、農業がなかなか立ち行かぬ、体が弱いというときには、親としてはまずその体の悪い立ち行かぬ子供に一番力を入れるのが親心じゃありませんか。私はそういう気持で言っておるのであります。それと同じようなことで農業を保護するというので農業基本法をこしらえたが、何だ保護政策をやめてしまうのかとおっしゃる。こういう保護政策というものは、農業をよくするための保護政策でございますから、ちょうど、かわいい子には旅をさせろということがございますが、長い目で見たときに、これはこういうふうにした方がいいという場合もございます。たとえば大豆の自由化の問題、あるいは大麦、はだか麦の問題、これはやはり、農業も国の産業の一つであり、国民全体の農業でございますから、私は、そういう点は見て立ち行くようにして、政策を変えると言ってはあれでございますが、農業のよくなる政策の一段階としてやるということは、言葉は悪いかもしれませんが、かわいい子には旅をさせろ、こういう意味の政策もとる必要があると考えております。
○石田(宥)委員 総理の腹の中はよくわかりました。かわいい子には旅をさせろということで苦難な道を歩かせようと、こういうことであるようであります。
 そこで、私は、以下具体的にお尋ねをいたしますが、先ほども申しましたように、農業の所得は他産業の三分の一以下の状況である。とするならば、国民所得を倍増するにあたっては、まず農民所得を三倍にする考え方が先行されなければならないと思うのです。ところが、今のようなお心がまえであるから、結局次に申し上げるようなことになったと思うのでありますが、農民所得三倍策というものをほうっておいて所得倍増論をおやりになりますから、物価は軒並みにどんどん上がって参ります。公共料金も上げようとしております。農業資材を初め家計費は大幅に値上がりを招来しておりますことは御案内の通り。
 そこで、農産物価格はどうするか。これは、大・はだか麦については、今総理からお話がありましたけれども、かわいい子に旅だそうであります。小麦はパリティ価格を放棄するということであります。米についてはどうか。これは、農林大臣の答弁によると、百五十キロ当たり一万四百五円で、前年度を下回らないという公約をしておられる。米の産額がわが国の農業生産額の五〇%を占めておりますから、これはまあ一つの典型的なものでありますが、ほかの物価はどんどん上がっておる、ほかの産業所得はどんどん上がっておる、農民の必要資材や生活費は上がっておる、にもかかわらず米価については据え置きをされる。そうすれば、そのことだけで総体的に農民の所得というものはずっと結果的に低下する。まずこれが第一点。
 それから、次に、政府は本年度予算編成にあたって税法の改正を行なっております。いわゆる一千億減税の公約履行ということでありましょうが、金額は変わりましたけれども、税制調査会の答申に基づいてすべて行なわれておるようであります。この税制調査会の答申によると、従来の米価との関連にありました、予約減税を廃止すると答申しておる。政府はまだこれに対しては最終決定をしておらないようでありまして、米価決定の際までこれを見送ると言っておるのであります。これは租税特別措置法の一部でございまして、問題はありましょうが、しかし、これは地域によって若干違いますけれども、私の県である新潟県などでは、この予約減税が、政府の言うところの自営農業というような二町歩程度の経営規模でありますと、米一石当たり六百円ないし七百円の手取り不足になるのであります。さらに、時期別格差も廃止すると伝えられておる。もちろんまだこれは最終決定ではないようでありますけれども、そのように準備は進められております。そういたしますと、これがやはり石当たり三百円ないし四百円となりますから、そういたしますと、米一石当たり約千円程度の引き下げになるという結果になるのであります。
 それから、次に、やはりこの税制調査会の答申との関連でございますが、ことしの減税の中では、法人税の減税をやり、所得税の減税をやり、事業税に対して家族専従者控除の適用をすることに決定をしております。ところが、所得税について白色申告の場合における家族専従者控除をやり、それから地方税である事業税に対しても家族専従者控除をやっておるにもかかわらず、農民が一番関係のある住民税所得割に対しては、白色申告に対しては家族専従者控除の適用を除外する。これは総理もよく御承知なんでありますが、一体、農民の税負担というものは、総理大臣、かつては専門家でいらっしゃったからよくおわかりの通りで、農民の租税公課を国税と地方税とその他で分けてみますると、国税は一一・二%しかないのです。地方税が四八・七%で、地方税の比率が非常に多い。さらにその他の諸賦課が四〇・一%あるわけです。従って、農民の所得税の対象になる者はきわめて少ないのです。これは六十万戸のうちわずか七%程度しか所得税の対象農家はないわけです。そういたしますると、所得税を納めることのできないような低所得の農民に対してのみ、この減税のいわゆる家族専従者控除の適用を除外するという、一体これくらい無慈悲な仕打ちがありますか。これはまことにわれわれの忍びがたい問題の一つであります。
 ところが、そのように低所得の農民に対して減税の恩典を全然適用しないだけでなしに、固定資産の評価は三年ごとに行なわれまして、ことしは評価がえの年です。土地については五%の評価の引き上げをやりました。農地については平均三%引き上げをやっておるのです。それから、家屋については、これは据え置きです。ところが、家屋の評価の据え置きということは、建物は、ことに農家の古い建物などは、年々この消損分が引き下げられなければならない。だから、これを据え置きにするということは、家屋に対する評価の引き上げという結果になる。さらにその上にガソリン税の引き上げをやられて、池田さんが考えておられる自立経営農家といわれるような自動耕転機を持っておるような農家はガソリン税の引き上げ分を負担しなければならないということになれば、これらの諸税、諸負担の伸びというものは相当なものです。一面、政府は、本年は間接税については全然触れない。一体、減税などというものは、相当所得の大きい者よりは、むしろ所得税を納入することのできないような低所得階層の減税こそが優先的に行なわれなければならない。にもかかわらず、ほとんど所得税すら納入する資格のない低所得階層である農民に対して増税をするということは、一体これはどういうことです。これもやはりかわいい子には旅で苦しませる、苦しんでも仕方がないということなのか。どういうことなんですか。
 これは、要するに、私が最初に申し上げたように、保護政策をやめて農業というものが立ちいかないような姿にすれば、農民はさっさと逃げ出してしまうから、まず逃げ出すときには一つ逃げ出させよう、こういう意図でもない限り、こんな無慈悲なことが行なわれるはずがない。
 もう一つあります。住民税の課税方式を統一して、今までの第二方式本文とただし書き、これは、今まで五つの課税方式があったうち、この二つが一番高いのです。全部高いところに統一しちゃって安いところはみな取り上げちゃって、高いところへ統一しちゃっている。
 こういうことを全部考えてごらんなさい。どれだけ増税になり、どれだけ負担が重くなるのか。その分だけ相対的に農民の所得は低下するのですよ。一つ総理の所信を伺いたい。
○池田(勇)国務大臣 かつての税制通でございまして、最近のことはよく存じませんが、今お話しのような点がございますから、農民の生活水準が上がるように抜本的な方策を講じようというのが私の考えでございます。苦しめて、そうして何とかなれということは、私は今初めて聞いたのですが、そんな気持は今まで考えたこともございません。よほど考え方が薄いと思いまするが、私はそういう苦しめてから何とかなれという気持は全然考えたことはない。少し人間が甘いかもわかりませんが、そういう気持は持っておりません。
 今の予約減税とかなんとかの問題は、今後の問題で検討しなければならぬと思います。
 それから、今の専従者控除、これは住民税についてのお話と思いまするが、住民税というものは、負担分任の精神から来ておりまして、所得税と同じような考え方ではなかなかいきにくく、いろいろ議論がございましたが、もう一年研究しようという結論になったようでございます。それから、住民税の問題は、国税での所得税の減税の場合に地方税に影響させないつもりで、税額計算をしておったのを所得計算にすることに改める方が国税と地方税との関連性を離す意味においていいということで、主として都会地の方におきまする問題でございますが、所得税額から住民税をはじくのをやめて、所得額からはじき出すようにしよう、――所得額というのは減税しても動きませんから。東京とか大都市は税額から来ておりまするから、所得税を減税いたしますると、即片一方の方が非常に減税になる。こういうことを改めるためにやったのであって、農民の負担を多くしょうということで税制調査会が考えたのではないと思います。これは県によりましても市町村別に違っておりまするから一律にはいきませんが、私は税制調査会の考え方はそうであろうと思います。
 いずれにいたしましても、こういうふうに負担力の少ない農民でございまするから、負担力が十分他の産業とも合うような方法にしようというのが農業基本法の願っておるところでございます。
○石田(宥)委員 きょう実は大蔵大臣の出席を求めたのでありますけれども、大蔵大臣も主税局長も都合が悪くて出られないということでありますので、あまりこまかな議論はいたしませんが、住民税の所得割というものと、同じ地方税である事業税というものと、やはりいずれも所得を対象にするのであって、これを区分するというのは、むしろ区分をする方がおかしいと思うのです。それから、地方税は、ことしは二千億の自然増が見込まれておる。二千億の自然増が見込まれておるのに、農民に住民税の所得割について専従者控除を適用しても、これは全体で五十億にも達しない額なんです。全体で二千億も自然増収で取る中から、わずか五十億くらいのもの。しかし、それが、農民にとっては、先ほど数字を申し上げたように、地方税の負担というものは非常に過重なものであるから、だれが考えてもこの問題は不合理なものと考えるのです。大蔵大臣はきょう見えませんけれども、大蔵大臣はこの間七日の日に参議院の答弁でこういうことを言っておるのです。日本には家族に給料を払うという慣習が確立していないので個人企業に専従者控除を実施するのはどうかとの意見があった、こういうことを言っておるのです。これは法制局の方で実ははっきりしておきたいと思うんですが、なるほど日本の農家では家族に給料というものを払う例はきわめて少ないでしょう。しかし、家族専従者に対してはそれぞれ物的給与をやっておる。物件で給与しておる。生活を全部まかなっておる。仕着せをやっておる。年ごろになれば、分家もするし、嫁にもやらなければならぬ。相当にまとまった金が必要になる。一体、物的給与は給与でないかどうか。これは私は憲法上の重大な問題の一つだと思うのですが、物件で給与したものは、一体給与と言えないのか。工業等における物件給与は、これは給与の中に入っておる。農業における家族の物件給与は給与でないのかどうか、この点一つ明らかにして下さい。
○林(修)政府委員 今の御質問の御趣旨、ちょっとはっきりいたしかねる点があるのでございますが、いわゆる専従者控除という制度は、結局これは家族内の問題で、実は、日本では、はっきりした給与形態というものではなくて、家族が一家の一定の事業を手伝っているというような状態だと思います。そのかわりその家族全体として生活を立てていく、その家族全体の所得によって生活を立てていく、そういう形態をとっている日本の実際の家庭、これは、農業、工業、商業を問わず、勤労者の家庭においても実は同じことだと思います。こういう場合に、その家族に対してもちろん食事を給与しあるいは衣服を給与するということはございますが、これは、租税の原則から言えば、これを給与と見るのではなく、やはり、一つの生活体としての所得、それを生活に使っておる、こういう状態だと思うわけでございまして、これを直ちに給与として別の給与課税をするというのは租税の原則から言ってどうかということだと思います。しかし、今の専従者控除という制度は、むしろその家族の行なっておる一つの企業、――商業とか工業とか、あるいは農業とかいう企業の経営を助けているということ、普通他人を雇えば給与を払う、それを家族であるから生活を見て実はただで使う、他人を使って法人形態等でやっておるものと、個人形態で家族を使っているものとの租税負担の均衡から、今の専従者控除を認める、こういうことだと思うのでございます。その家族の生活を見ていくということは、これは私は事業者に限らず勤労者もすべて同じことだと思います。そういうものを直ちに給与として課税するということは、直ちに来ないのではないかと考えております。
○石田(宥)委員 あなたに専従者控除の問題を聞いているのじゃないのです。物的給与は給与であるかないかということを聞いておる。そういたしますと、家族の作業衣であるとかいろいろな仕着せの分というものは、肥料や農薬や農機具と一緒なんです。今のやり方だと、肥料や農薬や農機具を必要経費として損金算入をしないで、それは所得に算入するということになる。だから、そうめんどうな議論をしないでいいから、物的給与は給与であるかないかということを明らかにしてもらえばいいんです。
○林(修)政府委員 抽象的におっしゃっても、そのいろいろの場合々々によって違ってくるわけでございまして、たとえば、勤労所得で言えば、勤労者が事業主から現金の支給のほかに場合によって一定の給与を受ける、これもある範囲をこえれば実は今所得と見て課税しております。一定範囲内のものは、たとえば食事を昼出すというような程度のものは課税をしておらないようでありますが、一定金額以上のものは課税するという形をとっております。従って、いわゆる給与所得というような形であれば、これも物的であろうと現金であろうと、そういう意味においては所得であることには間違いないと思います。しかし、今おっしゃった意味の、家族内で、一つの生活共同体の中で家族の生活を見ていくというものを直ちに給与と見るかどうかということは、これは実は租税政策と申しますか、租税学の方の別問題じゃないかという気がするわけでございます。
○石田(宥)委員 きょうは総理に質問を集中する意味で、これはあとに譲ります。
 次に、政府は、農業基本法を提案する際に、これに関連する多くの法案をすでに一部は提案され、一部は提案を準備されております。また、これと関連のある予算措置も見受けられるのであります。そこで、まだ予算は審議中でありまするし、法案はまだ審議を開始していないものが多い。基本法については本日ようやく審議を開始するという段階におきまして、地方に参りますると、この行政的な措置というものがずっと先行しておる。たとえば、小農切り上げ論ですか、そういう問題がかなり具体的に地方に出ている。私、この間ある業界紙で読んだのでありますが、こういうことを書いておった。「さいきん各地を歩いてきた人の話によると、政府の唱える農業構造改善がまことにむき出しの形で進められようとしているところがあるそうだ。こんどの予算に盛られている構造改善促進対策費(一県二地域)の獲得がねらいと見られるが、何でも、わが町村では、何反以上は自立経営、何反までは兼業経営、何反以下は離農といった見取図を作っているのだそうである。われわれの了解しているところでは、政府の基本対策のねらいは、農家を区分けして、それぞれの階層に適応した施策を講ずることもそうだが、そのこと自体も、それぞれの階層に、なべて都市勤労者なみの所得を保障することにあるはずである。このへんに基本対策の受取られかたの基本問題があると思うのだが、こういう話をきくと、あらためて貧農首切りを心配せざるを得ない思いにとらわれる。」という記事を読んで、実はおやおやと思っておった。ところが、この間三、四日前に新潟へ帰りましたところが、これがまた驚いたのでありますが、そのような措置が至るところに行なわれている。新潟県は全体で新潟県農林水産業総合計画というものが作られております。それによると、新潟県における完全自立経営は平均経営耕地面積二町五反とし、農業人口を現在の約四分の三に減らすことになっておる。すでにこの計画ができ上がっておる。隣りの福井県でも同様であって、福井県総合開発計画を作った。それによれば、福井県の自立家族経営の規模は二町五反とされ、農業人口を現在の七割に減らすことになっておる。また、栃木県では、農業人口五カ年計画を作り、農業人口を現在に比べて一割以上減らそうとしている。こういう事実が出ている。また、新潟県では、一定規模の面積以上は自立経営規模、ある一定の規模は兼業規模、ある一定の面積以下は切り捨て階層、こういう区分を県の改良普及員が各部落を回ってその見取図を作っておるという事実がある。また、一昨日新潟の県議会議員と会ったのでありますが、ある農林学校の予算の審議にあたって、新潟県の農業人口は、池田さんは六割削減と言っておるけれども、われわれは十年後に四割くらいは削減されるだろうと考えるので、学校建築の予算等については農業人口四割削減程度の予定で予算を編成するということを県の教育委員がその県会議員に話をしておるのであります。こうなりますると、法案はまだ審議に入ったばかりであるというのに、もはや地方におきましては、すでにその小農切り上げのための見取り図というものが、部落に、町村に、至るところにできて、これらの人たちが戦々きょうきょうとして、ある地域のごときは、すでにたんぼの値段が暴落を始めておる。これは、総理大臣、あなたはその統計をよくごらんになっておるかどうかわかりませんが、二町五反規模以上というものは、日本でどれくらいあるわけですか。農林省の統計調査部の統計によりますと、二町歩までの経営規模の農家は九三・四%です。そういたしますと、わずかに六・六%程度しか、二町歩以上の経営規模の農家というものはない。そうすると、わずか一〇%にも満たないいわゆる自立経営規模農家と称せられるものは、自分たちは自立経営規模農家としてまず安心だというけれども、それ以下の階層として見取り図を作られた農民の不安と動揺というものは、これはまことに深刻なものがある。考えてごらんなさい。池田さんも農村に育って農村のことをよくおわかり、だと言われるけれども、また、先ほどは、農地に対する執着は強いということも言われたが、一体、先祖代々そこで暮らしてきて、どうにかこうにか兼業や日雇いをやって生計を立てておるが、今さらどこにも出て行きようがないという農民に、お前はもはや切り捨て農家だぞ、お前の階層の規模は切り捨て農家なんだ、お前の規模は兼業農家で、何か兼業をしなければだめだぞという見取り図を見せつけられたときの農民の心理というものに対して、一体どうお考えになるか。私は、これはきわめて重大な問題であると思うのであります。一体、政府は、そのように改良普及員を動員したり、あるいは県庁や市町村に対してそれらの見取り図を作成するというような指導を与えたか、あるいは指令を発しておるか、そういう事実があるのかないのか、これをまず伺っておきたい。
○周東国務大臣 いろいろお示しでありましたが、政府からは、まだ農業基本法は制定されておりませんし、今後における新しい法律に基づいて各般の施策を進めて参る前に、さようなことを通達もいたしませなければ、また指導もいたしておりません。
○石田(宥)委員 ただいま私が指摘をいたしましたような事実が、地方に現存しておるのであります。こういう事実の前に、もしそのような指導も指示もしていないとするならば、これらの末端の農村の混乱を救うために、あるいは府県に対し、市町村に対し、農業団体に対して、そのような措置は穏当を欠くものである、これはやめるべきである、こういうふうな手配をさるべきであろうと思いますが、いかでがしょうか。
○周東国務大臣 おそらく県庁あるいは改良普及員がそういう指導をしているとは思いませんが、誤りを犯しているといけませんので、直ちにそういうふうな問題について調査の上、適当な処置を講じたいと思います。
○石田(宥)委員 そのような指導も指示もしておられないということですから、これは一つ取りやめるようにお手配を願えればけっこうであります。ぜひ一つそれをやっていただきたい。
 ところが、一面においてそれと符節を合わせるような問題があるのです。たとえば、大臣、こういう問題があるわけです。自作農維持創設資金というものが、ことしは百六十億になった。今の農村における低利、長期の資金としては、農民の一番喜ぶ資金であります。ところが、その配分は、私は一号、二号なんて申しませんけれども、従来は、維持資金と創設資金とで、これはその地域によって違うけれども、その地域の中間よりも低い層に対する維持資金が大体七〇%であって、その上の方に対する創設資金は三〇%であったのです。ところが、政府は本年から、自立経営農家を育成するというような趣旨から出たものであろうと考えるのでありますが、すでに各府県に対して、この創設資金を七〇%にして維持資金は三〇%に抑制をするようにという金額の割当までやっておるのです。そうすると、これは明らかにもうその方途を明示し、その指導をやっておると言わなければならないのであります。おそらく、先ほど申しましたような問題もそういうところから出たのではないかと思うのでありますが、あるいはその他若干の問題がございます。先ほどちょっと触れたモデル地区の創設の問題とか、いろいろやはり基本法と関連する予算措置の関係で、やはり私はそれが問題になったのであろうと思うのであります。ですから、そういう問題も、まだ法案の審議中であり、予算の審議中であるのに、そのような具体的な金額の割当までもやるということは行き過ぎじゃないかと思うが、いかがですか。
○周東国務大臣 ごもっともなお話でございまして、慎重に国会で審議をいただいております最中でありまして、まだそういうふうなことを地方に命じたこともなければ、配分関係を指示したこともございません。それはその通りであります。ただ、よく問題が出るのは、どうもふえたけれども片方は減ったじゃないかということもこの予算委員会でお話がございました。将来の問題としてその点についての運用上の問題は十分考えていきたいと思います。
○石田(宥)委員 総理大臣に伺いますが、今農林大臣といろいろお話をしておったのでありますが、政府は、小農を切り上げするために、実は私が今申し上げたような問題がすでに起こっておるけれども、ただ、しかし、それだけをやるというと、窮鼠ネコをかむというようなことから問題を起こす。そこで、田畑輪換のモデル地区を作るとか、あるいは水田酪農のモデル地区を作って、何か希望を持たせようという。これはいいことです。それからまた、政府の基本法の中にも指摘されておりますように、その才能と希望によっては、農業からほかの産業に移っていこうとする者に対する教育や訓練やあるいは就職のあっせんなどをする、こういうことも指摘してある。これはまことに親切なように見えるけれども、しかし、その人たちをどこへおさめるかということを少しも明らかにしておかないでこの切り上げ論をおやりになるということになると、これらの人たちが窮鼠ネコをかむような状態に追いやられる。そこで、政府は巧みにこう逃げ道をあけてある。だから、政府の農業基本法は、総合して見ると、そういう小農を切り上げするか切り捨てするために、いろいろな逃げ道を作って、そうして切り捨てをやろうというものであって、ちょうどこれは夜逃げにちようちんだ、こういう批判が今農村には出ておる。生活に行き詰まって夜逃げをする者にちょうちんを与えてやる、それが農業基本法の中における、ほかの産業に移行する者に対する教育や訓練やあるいは就職のあっせんなどをやるという表現になっておるのではないか、こういうふうに言われておるのであります。総理大臣は切り上げだ切り上げだと言われるけれども、一体、どこへどうおさめようかということについて、もう少し具体的な説明がないと、農民は納得いたしません。さっき言ったように、非常に不安にかられ、動揺をし、すでに、自分はどこへ行ったらいいかといってうろうろし始めて、たんぼをどんどん売り始めて、たんぼの値段が暴落をしている。そういう状態のときに、その農民をどこにおさめるのかという方向だけは明らかにする責任があると思う。どうでしょう。
○周東国務大臣 かわってお答えします。
 もし私どもの方が積極的、計画的に農民に仕事をやめさせるということをやるならば、あらかじめこれをどこへ持っていくかということを立てなければいかぬということは、御指摘の通りだと思う。私どもは、現在の日本の非常な勢いで伸びていく成長の高い鉱工業、第二次産業というものに労働人口が必要であります。それで、これは実際上日本の産業の力強い発展の実証であると思う。その実態を契機として、しかもそういう方面へ行きたいという農家をそのままにほうっておいてやるよりは、できるだけよい場所を与え、その方向へ行ってもところを得て生活が高まるようにするということのために、技術訓練、職業紹介をやるわけです。また、進んでは、今後計画が推進されますけれども、未開発地域の開発ということの総合計画のもとに、できれば未開発地、農山村へ工場を誘致しつつ、いながらにしてそちらで雇用の機会を得させて就業させるということであります。従って、どこへ何ぼということで計画的に今きめられるものではないと思います。
○石田(宥)委員 この点は、やはり、一番最初に私が総理に質問をいたしましたように、農民の所得が他産業の三分の一であるにもかかわらず、農業人口が減らないというところに大きな問題がある。それは、他の面で賃金の二重構造、こういうものがあって、農業を離れて行ってもそこに生活の安定の道が見出せないということで、苦しいけれどもそこにおるということが一つ。もう一つは、農業というものは、自家保有米をとる、いわゆる自給経済というものが半ばある。消費経済の中にはあるけれども農業というものには自給経済というものが一つの大きなささえとなっておる。そういうふうな農業の特異性というものを理解することなしに、ただ経営規模が大きければ自立経営が成り立つとか簡単に言うわけには私はいかないと思う。従って、私は、兼業というものを重要視しなければならないと考えておる。兼業を無視してはならないと思う。ところが、現在の兼業も問題がある。むしろ自立経営農家といわれるような規模の大きい農家が有利な兼業をやっている場合が多いのです。そういう問題は非常に複雑であって、そう簡単に切り上げるとか切り捨てるとかいう議論をしてはならない。ですから、それらの点から考えて、政府案である基本法の中において自立経営規模の農家云々ということを強く打ち出すということは、結局切り捨てや切り上げというものが大きく印象づけられるということになる。だから、その点を十分含んでこの問題は取り扱ってもらわなければならないと私は考える。
 時間が来たようでありますから、次に、やはり大きな問題の一つでありますが、最近漁業会社等の大資本が農業分野に進出をしておる。十万羽養鶏であるとか五千頭養豚であるとかいうようなものが、何億という資本を投下して農業分野に入ってきておる。このことは農民にとっては非常に重大な問題です。農民の非常な小資本の中に何億という資本をどんどん進出をしてくる。これは農民にとって大きな脅威の一つであります。しかし、一面において、農林漁業基本問題調査会の答申によると、畜産というものは十年ぐらい後にはおよそ三倍ぐらいに需要が伸びるであろう、畜産というものを伸ばさなければならぬ、こういう答申が行なわれた。このことがやはり相当農民に対する刺激剤となりまして、農民は畜産に対して異常な関心を持ち、至るところで多数羽飼育の養鶏をやったり、養豚をやったりし始めたのであります。
 ここで私は幾つかの問題をお尋ねしたいと思うのでありますが、まず第一は、政府の基本法によると、この基本法案の中には農民という言葉を全然使っておらない。農業従事者というふうに全部表現が統一されております。これは、よく池田総理などが言われるように、農業従事者という考え方は農業労働者という考え方と共通の理念がある。従来は農民としてずっと通用してきたものに、今度は、農民という用語を使わないで、農業従事者という用語を使っておる。もう一つは、農業所得を引き上げると、こうおっしゃるが、一体、農業所得を上げるという場合には、そういう大資本の進出、そういうものが限りなく広がっていくということを構想の中に入れられて農業所得というものをあるいは二倍にするとか何倍にするとかいう議論をされるのではないか。そうすると、池田総理の観念の中には、従来の農民というようなものは、一面において自立経営農家というものは一応うたい出しておるけれども、大資本が農業分野にどんどん進出するということを想定の中に入れてあるのではないか、そして、そういうものを考えたときに、農民という観念でなくて、農業従事者という観念に考え方が変わってきたのではないか、こういうふうに考えられるのでありますが、この点は、総理大臣、いかがですか。
○周東国務大臣 私からお答えいたします。
 私どもは、現在の農業というものを、将来もまた家族経営を中心として自立経営農家を作っていく、そこには別に資本、労働の関係はございません。だから、農業従事者というものは労働者ということだけを考えているのじゃなくて、やはり農家ということを頭に置いております。従って、今のお尋ねでございますが、なるほどこの前予算委員会でも淡谷さんが非常に心配してお尋ねになったことを覚えております。農村へ大資本が進出して、どんどんと畜産の分野、果樹の分野を侵してきたら困るじゃないか、この点は私どもも心配しております。そこで、私どもは、今度農業基本法を作って、成長農産物として畜産物及び果樹を取り上げております。これに対して、どうしても農家によってこの畜産の飼育経営というものをうまくいくようにしたい。これについては根本的にこの経営自体についても考え方を変えていかなければならぬ。どうしても、農民が有利な立場に立っていくには、従来のような少数飼育の副業的な観念をやめて、まとまった地域にまとまった生産をあげるということが、そのできたものをまとめて売る場合においても、ばらばらに少数ずつあるものを集めるよりも、集荷においても手数が省け、さらに進んではその畜産物を製品加工していく上におきましても力強いものになり、そこへ農業者の集団による協同組合等に施設をさせる、そうして、加工の面から、共同販売の面から、あるいは市場調節の場合における施設を考えるという方に持っていくという私どもの考えであります。石田さんの御心配の点は、政府もそういう方向に向かって参りますと同時に、農業者の自覚によって大きくしっかりと団結させることが必要だと思う。ただ、外から来るのは困る困るというて逃げてばかりおらないで、しっかりした農業団体、それには第一段に農業協同組合というものがしつかりしてもらわなければならない。それに政府の誘導的な助長的な方法を合わせて、しっかりした体制を作っていこう、こういう考えであります。
○石田(宥)委員 総理大臣、どうですか。もう一つ、大洋漁業とか日魯漁業とかいうようなものが、三億、五億という大資本を投下してどんどん進出してくる場合に、農民は力がない、団結も足りない、だからだんだん侵食されても仕方がない、だろう、こうばかり言ってはおれないと思う。やはり、農業の体質改善をやったり経営改善をやったりして、もっと競争力ができて能率が上がってくるまで、そういう大資本の進出に対して何らか規制の措置をとるべきではないか、こう考えるのでありますが、いかがでしょう。
○池田(勇)国務大臣 農民という言葉を使わずに農業従事者と言うのは他意があるのではないかというのですが、他意も何もございません。表現をはっきりさしたのです。たとえば、農家と申しましても、農家にはいろいろびんからきりまでございます。ことに、兼業農家、第一種、第二種というのがございます。農民という言葉もはっきりした方がいいというので、使われたのではないかと思います。
 それから、今の、漁業会社のみならず私はほかにもあると思いますが、そういう大資本が畜産に伸びていく、これが一般農家の畜産を阻害しやせぬかということですが、私はまだそう考えておりません。今後どういうふうな格好でいくか、そういうものに対しても、農家の方が負けないでそれを利用していくような方法を考えていく、その結果においてどうしてもこれはいかぬというふうなことがあれば、これはそのときに考える、今その必要はないと私は思います。
○石田(宥)委員 まあ総理の考え方ではそうであろうと思うのであります。が、しかし、これは何らかの措置をしませんと問題です。
 それから、この問題でもう一つお尋ねいたしますが、なるほど、農林漁業基本問題調査会の答申のように、食構造も変化いたしますし、畜産を伸ばすことにはわれわれも賛成です。賛成だが、しかし、今の社会的・経済的・政治的諸条件の中では、これは私は大へんなことになると思う。農民が畜産に関心を持ち、いろいろ多数羽飼育等に進出して参りましたために、最近のえさの値上がりというものに著しいものがある。一々数字はあげませんが、大豆かすのごときは四割何分か値上がりをしておる。ふすまについても相当の値上がりをしており、澱粉質の飼料については、ことしの夏ごろからさらに大幅に値上がりが出るであろうと言われておる。こういう中で畜産が盛んになりますると、農民は、鶏を飼ったり豚を飼ったりすることは、一体自分のためにやっておるのかだれのためにやっておるのかわからないじゃないか。総理大臣、どうですか。みんなで豚を飼ったり鶏を飼ったりする、飼料はどんどん暴騰しちゃうということになりますと、畜産に取りついたけれども、みんな赤字でやっていけなくなっちゃう。こういうところに政治力を働かせなければならないと私は思う。今のままで、養豚熱が盛んになった、養鶏熱が盛んになった、えさが暴騰したでは、農民はえさ屋のえさになってしまうだけじゃないですか。しかも、こういった状態のもとにおいて、飼料審議会というものは昨年八月以来開かれておらない。一体、飼料需給安定法というものがあり、飼料審議会というものがあるにもかかわらず、なぜ飼料の暴騰をそのまま放任しておるのか。こういう点で農民を少しかわいがってやらなければならない。これは重大な問題じゃないですか。これについて一つ対策を伺いたい。
○池田(勇)国務大臣 お話の通りでございます。今やはり果樹もそのきらいがありますが、畜産なんかはこれは中途半端だと思います。それで、畜産では飼料が一番大事なことなのですがこれに十分の助成が行なわれていない。もちろん、豆かすが高くなったのも、アメリカ大豆が相当高くなった、百三十五ドルぐらいになったということも影響いたしましようが、今は食油の方がなかなか思わしくないということで精油業者の生産が少なくなり、その結果豆かすが少なくなるというので暴騰ということにもなります。また、飼料業者につきましてもまだ十分じゃないので、これからだんだん草が出始めると飼料が安くなる、それまでにずっと高くしよう、こういうふうな時期的なずれがあり、まだ私は行政的にふなれだと思う。先般来、農林大臣に、何とかこういうところを調整しなければならぬ、――たとえば、この前もそうでございましたが、砂糖なんかは、盆暮れに高くなるというときは、輸入が少なくて困る、それを盆暮れの準備にうんと砂糖を入れておく、こういうふうな、行政でまだ改善しなければならぬ点が多々あると思います。具体的の問題につきましては農林大臣が答えると思いますが、飼料についてやっぱりもっと真剣に考えて、大体草の多いときは他の飼料は要らぬというふうなことを考えながらやるべきだと思う。具体的のことは農林大臣から…。
○周東国務大臣 ただいま総理大臣からお話し申し上げた通りでありまして、私ども、農業基本法を制定しますについて、大きな問題として、飼料に対する根本的な対策の再検討をやるつもりであります。しかし、さしあたって応急の処置といたしまして、まず、ふすまの増産というものを考えていく。これは、御承知のように、飼料用として入れてある小麦というものは、これは三月、四月の分約二万八千トン増産を行なう。しかも、それについて搗精歩合をもっと上げてやる。しかも、これについては、かねがね私ども考えておりますように、大きな製粉業者に頼まない。むしろ中小工業者等を動員して、六十六カ所くらいの製粉工場を使っております。ただいまそれを百二十くらいにふやしております。これで大きく増産していこう。それらの趣旨で、大きな製粉業者に対しても小売出荷について協力をしてもらう。それから、輸入のふすまについては、繰り上げ買付を四月、五月に五万トンとしてありますけれども、引き続いてさらに三万トンの買付を増加する。これらの売り方については、従来大体が競争入札のようになっておったが、むしろ、飼料の実需者、そういう方に直接随意契約でやられた方がよかろう、こういうことも考えております。それから、政府の持っておる食糧用としての大麦、はだか麦の需要がだんだんなくなっておる。これの飼料化ということが前々からきまっておりますが、四月以降、四万トン、これを大きく払い下げていきたい。これは準備を進めております。なお、もしできるならばこの年度内にと思っておりますが、これは制度上なかなか困難な形になっておりまして、今調べておるのは、倉庫に積んである下積みのものだとか、商品として価格の落ちているものについて緊急処分ができないかということも考えております。それから、大豆についても、三月、四月分の二万九千トンを繰り上げ買却ということを考える。それから、大豆かすを入れなくてはならぬ。これも大体四月を目ざして繰り上げ輸入を計画しております。それから、フィッシュ・ミールですが、日本の漁業者の作ったフィッシュ・ミールについて、今まで的確な調査というものがないのです。私どもは、何といっても日本の沿岸漁業者の作るフィッシュ・ミールを優先買い上げしたい。これについて漁業組合等が責任を持って内輪に数字を出してもらいたい。魚が来ないと、あまり甘い数字を出されますと計画が狂います。しかし、内輪に、このくらいのものは日本の漁村の振興のためにも計画的にしっかり出せるという数字を責任を持って出してもらいたい。それで、将来の需給推算の上に立ってのフィッシュ・ミールの不足分というものは、すみやかに輸入計画を作りたい。こういうふうにあわせて緊急の対策を立てております。大体四月下旬から効果があがってくると思います。これはただ机の上の問題でなくて実効をあげるよう督促をいたしております。これは私どもの政府の考えでございます。
○石田(宥)委員 ただいまの飼料対策について緊急に思い切って措置を願いたい。できるならば、この際飼料需給安定法の一部を改正いたしまして、今大臣が言われるように、入札方式によらないで実需者団体にこれを特別に売却する。もう一つは、昨年度の輸入小麦二百二十万トンでありますが、これを製粉会社に払い渡しをする際に、その製粉会社から出たふすまについて政府が一定の価格でこれを買い取る。今の飼料需給安定法の中でもそれを買い上げることができるということになっておるのでありますけれども、やはり、これらの点にメスを入れられないと、抜本的な対策ができないのではないか、私はこう考えるのでありまして、この点については早急に適切な勇断が望ましいのであります。
 最後に、もう一点伺っておきますが、午前中の倉成委員の質問に対して、総理大臣から土地改良の問題について答弁がありましたが、私は、実は基本法以前の問題として土地改良の問題があると思う。農場経営の基盤である農地が、さっき総理大臣も答弁の中に言われておるように、今のような機械化の時代に、一反割りくらいのたんぼの中へ機械を入れても、これは能率的でないし、経済的でないのです。どうしても、やはり、もっと効率的な、経済的な、機械が利用できるような業態にその基盤を改めなければならない。ところが、本年度の予算を見ましても、土地改良の予算というものはきわめてわずかなものでありますし、同時にまた、従来の土地改良法そのものが、これは一つの事業法なのであって、根本的な問題は少しも触れてない。この点は、社会党の提案しておる基本法の中には、その国土というものに対するあり方と農地というものに対する考え方を明らかにいたしておりますが、政府はこの点少しも触れておりません。ただ、土地改良をやるのだとか、あるいは農地を拡大するのだというようなことでは、これは解決になりません。先般実は農地局から資料を提出願ったのでありますが、膨大な土地改良事業がまだ半分も進んでいない。府県全体で四二・三%くらいしかこの進度率が進んでおらないのでありまして、これに対して思い切った措置を行なわれる必要がある。まず第一に、土地改良法というものを抜本的に改正する必要がある。同時に、土地改良事業というものが、先ほど申し上げたように、もはや一反割りの時代でないのであるからして、これをやはり根本的にやり直ししなければならない。同時に、五年も十年もたってもまだ半分も進まないで、相当資本を投下しておりながら経済効果が現われてきておらないというような問題が山積しておる。これについては、ことしこれからということはやはり無理かもしれないけれども、私は、やはり早急に対策を講ずべきであろうと思いますが、この点は農林大臣でけっこうですが、一つそれに対する腹がまえを承っておきたいと思います。
○周東国務大臣 土地の問題について、社会党の方でお出しになっておる案でははっきり書いてあるということですが、私は同じだと思っております。というのは、政府案におきましても、農業基盤の整備開発、水の問題等における開発という点においては必要な措置をとる、これに対して法制上、財政上の措置をとらなければならぬということになっておりまして、私どももこれに関して次の機会に必要なる法制を整備する必要があると思う。社会党さんの方の案におきましても、これは、なるほど、国有林野の開拓とか利用権設定とか、民有地の買い上げ、利用権設定とか書いてありますが、あの法律だけでは動きません。これをやるにしても、やはり、国有財産である国有地をどうするかということは別個の法律であります。また、民有地においても、買収するならいかなる措置をとるかというのは、法制上の問題がある。これはやはりわかっておると思う。だから、この点は同じだと思う。土地改良の点については、御指摘のように、地元負担の金とかいろいろな点で、せっかくできておるものが進まない、あるいは予算の関係で完全なでき上がりがおそくなっておるということは、土地改良法等についても新しい決意で考え直す必要があろう、こう考えておるのでありまして、当然、これは時期の問題で、私ども検討しておりますが、そういう法制的措置が必要になってくると思います。
○石田(宥)委員 今農林大臣は、社会党の案も政府案も大体同じだ、こうおっしゃっておられる。実は、この点は非常に違っておる。農地の集団化あるいは干拓、開墾、あるいは土地改良事業、こういうものは全額国庫負担においてやるという建前を明らかにしておるのでありまして、この点、大臣は別な関連法案で全額国庫負担で土地改良事業等はやれるということでありますならば、その点はあまり大きな違いはないことになりますが、いかがでしょうか。
○周東国務大臣 御指摘の点は予算の問題であります。私の申し上げたのは、土地をふやすとか、土地に対する利用区分を設定して云々という関係は、あの基本法だけでは動きません。その点は同じだ、これに対して法制なり予算制が要るのだ、それを私どもは新しい見地に立って考えます、これは同じだ、こう申し上げだのであります。
○坂田委員長 次は、角屋堅次郎君。
○角屋委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、本日から本委員会において本格的審議に入りました農業基本法の問題、今後の農業の基本体制、こういう問題について池田総理を中心にお伺いをいたしたいと思います。
 冒頭に池田総理に承りたいわけでありますが、御承知の通り、今度の通常国会は、もちろんいろいろな重要法案がございまするけれども、いわゆる国会の後半期は農政国会である、こういうふうなことで、全国の農業団体あるいは農民の方々から、基本法を中心にした今後の日本農政をどうするかという問題については重大な関心が寄せられておるのであります。おそらく、総理を初め自民党独自で行かれるそういう方面の会合の場合にも、相当集まられるでしょうし、私どもも、従来に増して農業基本法等の問題でしばしば現地に来てもらいたいという強い要請を受けておりますし、また、たくさんの参集を見ておるのが各地における例でございます。従いまして、私は、池田総理が就任の際に、今後国会の運営の問題については寛容の態度でもって十分話し合いをし、また論議をし、そして納得のいく姿においてこの問題を処理していきたい、こういう方針のように承っておりますし、いろいろ考え方はありまするけれども、過般の本年度予算の問題についても、両党の話し合いということが画期的なる形で初めて行なわれたという例もあるのであります。私どもは、本日を契機にして、これから真剣に本委員会の責任において農林水産の最も焦点になる農業基本法の問題に取り組みたいと思いますが、御案内の通り、すでに三月の半ばになっておりますし、また、審議の過程の中では三十数件に上るいろいろな重要法案が関連して出て参っておるわけでございます。従いまして、十分審議を尽くしていく所存ではありますけれども、従来見られましたように、どうしても今次国会で通過させなければならぬということで、十分なる審議のまだ尽くされていない段階で力でもって押し切る、こういうふうなことがあったならば、かりにそれは押し切られましても、実際にこれを実行しなければならぬ農業団体や農民の立場から見たならば、今後の非常に重要な法案であるだけに割り切れないものが残るだろうと思うのです。従って、私どもは、もちろん、今度の農業基本法の問題については、従来あまり出席された例のない総理みずから出られるというほど重要法案でありまするし、また、こういう重要法案については、農業団体はもちろん、学識経験者、各界各層の衆知を集めて、日本の農業基本法というものは国際的にやはり高い評価を持って迎えられる、こういうふうな責任をお互いにになわなければならぬということも考えておるのであります。従いまして、今度の国会の審議経過いかんによってはこの問題については最終的に数でもって押し切る、こういうことではなくて、あくまでも十分審議を尽くし、話し合いの上においてこの問題の処理をする、こういう態度で今後この問題に臨まれるのかどうかということをまず冒頭にお伺いしておきたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 農業基本法案を国会に提出するにつきましては、今まで一年以上われわれのみならず学識経験者の意見を聞きながら立案いたしたのでございます。われわれとしては、これで完璧なもの、完璧に近いものと考えております。従いまして御審議を願っておるのでございますが、私といたしましてもできるだけ野党の御意見を拝聴いたしますが、これは、やはり、野党の方におかれましても、十分審議して、そして納得がいきますればできるだけ早い機会に議決をしていただきたい、というのが私の希望でございます。まだ審議をしないうちに数で押し切るなんという気持は、私は毛頭ございません。十分審議をして、農村を中心として国全体がよくなるように、一つ真剣に御審議を願いたいと思います。
○角屋委員 先ほど石田委員も質疑の冒頭に触れられたわけでありますけれども、今回、政府・自民党の方からも農業基本法案が提示されましたし、同時にまた、私どもの方からも、かねてから農業基本法の法制化の問題について真剣に取り組んで参りまして、今次国会に独自の提案をいたしておることは、御承知の通りであります。私が、一昨々年でありますが、国会に初めて出て参りました当初、農林水産委員会における総括質問の際に、当時の三浦農林大臣に対して、今日の日本の置かれておる農業条件の中では農業基本法の問題に真剣に取り組むべきではないか、こういうことを質問したことを覚えておるのでありますが、その当時は三浦農林大臣は非常に消極的なかまえでありました。次いで福田農林大臣が就任された際に、例の農林漁業基本問題調査会の法案が論議されたことがございます。その際にも、私は、この農林漁業基本問題調査会の結論あるいは答申というもの即農業基本法に結びつくという、そういう気持でやっておられるかどうか、こういうことで承ったことがございますが、その際にも、答申を待たなければ農業基本法という形になるかどうかわからぬ、こういうお答えであったことを覚えております。先ほど来石田委員からもお話しのように、この農業基本法等の問題については、数年来農業諸団体から、先進諸国のいろいろな農業基本法等にも学びながら強い要請が出て参りましたのは、申し上げるまでもなく、今日日本農業が非常にやはり曲がりかどに来ておるとかあるいは転換期に来ておるとか言われる、その転換期に来ておる日本農業というものをどう打開をするかという苦悶の姿の中から、ほうはいたる農業基本法に対する要請として出て参ったと思うのであります。
 政府は、あるいは与党の諸君も、当初は私どもの判断では非常に消極的なかまえでありましたけれども、農林漁業基本問題調査会の答申が出、その答申の中身が、政府・自民党の考えておる方向における、つまり資本主義のベースにおけるところの日本農業の再編成という形において農業に対するところの基本対策なるものが打ち出されてきておる、かような観点と、昨年の秋総選挙を迎えるという、両々相待って農業基本法の制定に踏み切ったのではないか、かように私どもは判断しておりますし、同時に、この農業基本法の制定に踏み切る段階の中では、例の政府の所得倍増計画の策定、こういうものもからみまして今回の提案を見たものと思うのであります。しかし、政府の農業基本法案の中身というものを私どもが拝見をいたして参りますと、これは私どもから見てまことに問題の多い基本法案の中身であり、また、私どもの農業基本法案とはいろいろな面で違っておる問題を持っておることは、御判断の通りだろうと思うのであります。従って、政府の農業基本法案をもってしては、総選挙の際に池田総理が農業人口六割削減論を唱えて農民諸君へ異常なるショックを与え、また、その後に農業基本法に関連して具体的に打ち出されておりますいろいろな諸施策等と関連いたしまして、むしろ農民の不安は増すばかりではないか、こういう感じがいたすのであります。この際池田総理に次いでお伺いをいたしたいわけでありますけれども、総理は、日本農業の現状というものをどのように理解をし、政府が農業基本法を通じて将来の日本農業というものを一体どういう方向に持っていこうというのか、これを明らかにしてもらいたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 先ほど石田委員に対してお答えした通りでございます。御質問も同じでありますから、これで御了承願いたいと思います。
○角屋委員 先ほど石田委員との質問の過程の中でも、あるいは与党の諸君の質問の過程の中でもいろいろ総理あるいは農林大臣の答弁を聞いておりますると、農業基本法案の前文の中で最後に、「ここに、農業の向うべき新たなみちを明らかにし、農業に関する政策の目標を示すため、この法律を制定する。」、こういうふうにうたっておるわけでありまするけれども、一体、この政府の農業基本法案は従来の政府・自民党のとり来たった農業基本施策というものをどういうふうに変えていこうというのか。たとえば、食管の問題で尋ねれば、これは維持すると答えられる。いろんな問題を尋ねると、一体、従来とり来たった農業政策と、この農業基本法を通じて新しい方向に向かうという新しい施策というのは、具体的にどういうところにその意図が現われておるのかという点を、これは農林大臣でけっこうでありまするから、明らかにしてもらいたい。
○周東国務大臣 これは、その基本法案にも一条等にはっきり書いておりますように、新しい農業の方向としては、農業の生産性を上げるということが一つ大きな柱でございます。また、一面におきましては、農業従事者諸君の生活水準を他の産業に従事する諸君と均衡せしめるということであります。しこうして、それをやるについて考えられることは、その生産をさせるについては、従来の米麦中心の作付というものから、将来需要の伸びる作物を選択的に生産をさせていく、そういうことによって、一面においては生産性を引き上げるということと、それから総生産を上げるということが基本的な目標であります。しこうして、それをやるについて、従来やってきた点につきましては、農業の近代化ということが問題になっております。これは一面において生産性の向上ということと表裏する問題でありまして、当然に農業従事者一人当たりの生産を上げるということが問題であります。従来は、御承知のように、農業というものは、先ほどわが党の倉成委員が指摘したように、ともかく狭い土地において、これは日本の国情からやむを得なかったとは言え、そこに過剰な労働を投下して生産をあげるという実態であった。そこで、農業就業者の一人当たりの生産が低かった。この生産性の向上をはかるということは、ほんとうに私ども考えていくべき新しい農業政策の方向だと思います。しこうして、それらをやるについて、必要な場合において農業の共同化というものが浮かび上がって参りますが、その点については、原則の置きどころが社会党とは違ってきておる。私どもは、あくまでも個々の農家、家族経営を中心とする自立経営に高めていくということ、それらに対して、農家の必要とする場合においては部分的あるいは全面的の共同化というものを進めていく、これがねらいであります。
○角屋委員 先ほど、総理は、日本農業の現状と今後の方向の問題については、石田委員と質問が同じであるからということで言われたわけでありますけれども、御承知の通り、農林漁業基本問題調査会の答申の中では、基本問題と対策の方向づけという項で、近年農業者の生活水準なり所得が他産業従事者に比して格差が増大しておる、こういうことを問題にし、その原因を、農業の生産性の低さ、交易条件、価格条件の不利、雇用条件の制約、短期的変動にあるとして、これが対策の方向づけの契機を、経済成長、就業動向、貿易条件、これに求めて、農業政策の方向づけは、ただいまも大臣お話しのような、所得の均衡、生産性の向上、構造の改善という側面に分けて考えておるということは御承知の通りであります。私は、この農林漁業基本問題調査会の答申における分析というものについて意見があるわけでございますけれども、こういういろいろな、原因あるいは今後の方向づけの契機あるいは施策の方向ということをうたっておりますけれども、今日日本の農業がここまで来たという状態の中には、、過去におけるところの日本農政に対するところの批判と反省というものが何らなされてないのではないか、いわば、各国農業におおむね共通する農業の自然的・経済的・社会的制約の不利の指摘に終わっておるというところに私は問題があると思うのであります。先ほど、総理大臣は、今日こういう事態になったことについては歴代の政治家の責任であるかのごとく言われましたが、しかし、これはみずからの反省として言われるなら別でありますけれども、御承知の通り、池田総理は、総理になられるまで戦後幾たびか閣僚の陣にもあり、また国の台所を預かるという重要な地位にあったわけであります。従って、第三者的に、今日日本農業がここまで来たのは歴代の政治家の責任である、さらに言葉を返して追及されて参りますと、これは政治家のみならず国民全体の責任であるかのように転嫁されましたけれども、やはり、そういう反省が率直に出て、もっと日本農政に対するところの批判と反省の上に立たなければならぬのではないかと考えるのであります。私どもは、その点では、御承知の通り、基本法の前文において、「わが国の農民は、古来、それぞれの時代の支配者によって抑圧され続けてきた。明治維新後も地主制の圧迫に苦しみ、資本主義発展の踏み石とされ、また軍国主義と相つぐ戦争は、農村の資源を荒廃させた。わが国の農業が、今日なお、家族的過小経営の形態にとどまり、土地の利用や土地条件の整備が遅れ、農村の生活文化が前近代的状態を脱し得ないのは、これらの歴史的事情に基づくものといわなければならない。」、こういうふうに指摘いたしておるわけであります。総理は、こういう日本農業の今日逢着したところの歴史的な経過並びに原因というものについて、いかにお考えであるか、承りたいと思います。
○周東国務大臣 私からお答えいたします。
 過去における反省が足らぬではないかというお話で、社会党案の前文をお読みになりました。私どもは、過去にいろいろなことがあったについても、過去の農政というものに対して、それでは今後の農政はいかないということに立って、新しい農政の方向を打ち出しておるわけであります。従って、私どもの前文にも、長い間困苦に耐えて農業者はやってきた、しかし、いろいろな変化が生じてきた、今後これらの問題を克服して、過去において国民経済に寄与した農業者に対して報いるためにも、新しい方向を打ち出さなければならぬ、これがわれわれの制定の趣旨であるということを、はっきり前文に書いてあるのであります。その点は、よく過去を思い将来を思って、将来の農業のあり方をはっきり書いておるつもりであります。
○角屋委員 そんなこと前文に書いてない。今の点は、周東農林大臣の答弁、必ずしも私の質問に対して答えておられないと思うのですが、われわれが指摘した歴史的な経過というものについてどういうふうに考えておられるかということを言ったのです。何も与党の書いてあることを尋ねておるのではない。その点は総理大臣から一つ…。
○周東国務大臣 それは、一々個々に書きませぬけれども、この前文に書いてある通り、過去においていろいろな困苦に耐えてきたということについては、あるいは旧幕時代における農業者と為政者との関係もありましょうし、また、戦後における過小農形態に対して特殊な施設が講じられなかったという点もあろうと思う。しかしながら、一面におきましては、農地改革によって小作農が自作農になって、おのおの土地を所有して、みずからの土地を耕すというところに、新しい精神、息吹きが吹き込まれたことも事実であります。しかし、その後において、すべての財政その他の関係で、自作農にはなったけれどもその自作農は相変わらず耕作反別においては過小農形態をそのまま受け継いできただけでありまして、その面においてさらに政策は付け加えられるべきであったと私どもは思っております。それがおくれてきておるというところに、いろいろな私どもは反省すべき点はあります。今日、他産業の非常な伸びと日本経済の総合的な発展の中にあって、私どもは、今こそ農業に対する改革ができるときだ、このときに進んでやるということであります。歴史的の問題はもちろん頭に置いて考えることでございます。
○角屋委員 総理は、過般の予算委員会における松浦委員の質問に対しても、農村の見方というものを、民族の苗しろ、きょうも何か倉成委員の質問に対して同じようなお話があったように聞いておりますが、非常な古典的な農村に対する見解をお持ちのようでありますけれども、私どもは、日本の農業の今日置かれておる条件、そのよって来たった歴史的な経過の中では、この農村というものは、資本主義経済の中における、苗しろではなしに踏み石にされてきたという認識に立っておる。その辺のところは、さらにこの問題の論議ということで、発展することは次にいたしまして、本論に入ります。
 御承知の、政府が昨年の年末に決定をされました国民所得倍増計画、この国民所得倍増計画によりますと、御判断の通り、今後十年以内に国民生産二十六兆円、こういうことに達することを目標にいたしまして、産業別国民所得では、第一次産業、農林水産業の伸びが、基準年次から年率二・八%で最も低く、第二次産業が九%で最も高い。第三次産業は、商業、サービス業その他が八・二%、運輸・通信・公益事業が八・八%の伸びとなっておる。構成比で見ますと、第一次産業は一八・八%から一〇・一%に激減をする、これに反して第二次産業は三三・三%から三八・六%に増加する。一方、就業構造では、第一次産業千六百四十五万人が目標年次には所得倍増計画の中では千百五十四万人に減少を予定しておる。また、かねて与党内でも問題になりましたが、この期間中における農林水産関係の投資額というものを見ますと、総額十六兆一千三百億円のうちでわずかに一兆円にすぎない。国民所得倍増計画実施上特に留意すべき諸点とその対策の方向として、農業近代化の推進ということが冒頭に書かれておりますけれども、今申しました、これから農業の近代化をやらなければならぬという政府の御意図であるならば、きわめて零細的な家族経営である日本農業の状態に対する近代化のための行政投資というものが一兆円程度で十分いくのかどうかということに疑問を持たざるを得ない。先ほど来、与党の質問に対しても、非常に農村にあたたかい愛情を持つような御発言がありました。しかし、所得倍増計画の中身を見てみるならば、また、農業の近代化をやろうとする行政投資を見ても、十六兆円の中のわずか一兆円でものごとをやろうという中に、端的にやはり政府与党の依然たる農業軽視の計画というものが露呈されたのじゃないかというふうに思います。もっとも、予算委員会等における審議の経過等を見ますと、所得倍増計画というものは、これは一つの今後の指針であって、必ずしもこれに固執してやるつもりでない、こういう池田総理の答弁も私ども読んでおるわけでありますけれども、しかし、あの計画そのものは、御承知のように、昨年末に一応閣議の決定になっておるわけであります。先ほど来いろいろなことを総理みずからは言われますけれども、こういう形において、はたして農業基本法案でいろいろ並べておるところの農業の近代化の方向というのが生まれるのかどうか、今問題になっておるところの農業投資の問題について、その後どういうふうな見解の上に立たれておるか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 企画庁で諮問いたしました所得倍増計画の審議会の答申はお話のようでございます。普通の考え方ではそうなってくる。農業に対する関心が私ほどではございませんから。(笑声)そこで、私は、あれを見まして、これはいかないぞ、こういう考え方じゃほんとうの政治でないというので、われわれは考え方を答申の前文に書いたのでございます。この農業というものが普通の考え方でいけばそういう計算になります。また、私の気に入らぬところは、倍増に走るあまり、ベルト地帯の方に主として興る、こういうようなこともやはりよくない。これは閣議でもはっきりみんながそう言います。また、わが党も全部その考えで、新聞にも出た通りであります。私は、いかにわが党が農業に対して普通の学者や一般人が考えているよりもより以上に考えているかということが、あの所得倍増計画の前文にこの通りにはよらないということを書いたことで御了承願えると思います。
○角屋委員 私は、常々思うのでありますけれども、国会におけるお互いの審議のやりとりというもの、質問、答弁があるいはそつなく済まされる、こういうことで問題が解決するわけではございません。質問が上手であったり下手であったり、あるいは答弁が上手であったり下手であったりすることでなくて、その為政者の胸の中に脈々としてそういう農政に対する愛情があるのかどうかということが問題であろうと私は思う。池田総理は、今朝来いろんな意味において、農政に愛情を持ち、関心を持ち、これからやるのだということを言われておりますけれども、言葉の上ではそのことはそのまま受け取ってよかろうと思いますけれども、実際問題は、今申しましたようなことを率直に言って私は常々感じておるわけであります。先ほど来日本農業の今日置かれている問題についても従来の為政者の責任だと言われる中に、自分が入っておるということをはたして念頭に置いておられるのかどうか。あるいはまた、今日政権を担当しておる池田総理の経済企画庁の中で所得倍増計画がなされる、その中で閣議決定にまで持ってくる行政投資の中において一兆円という姿において出てくる、こういうところに、いかに本席上で池田総理が農業に愛情を持っていくのだと言っても、やはり、予算の問題の中で、あるいはまた財政投融資の面で、あるいは今日農業基本法案と関連して出てきておる諸法案の中で、これが具体的に出てきておらなければ、言葉だけではそのまま受け取るわけにいかない、私はこういうふうに思うわけであります。その点については池田総理の答弁を求めるまでもないと思いますが、今のような気持でこれから臨まれるかどうかということを再度お伺いいたします。
○池田(勇)国務大臣 戦後におきまして、われわれは農民の努力に報いるべくいろいろ施策をして参ったのでございます。世間でもわが自由民主党は農民党であると言われるほどやってきたのであります。しかるにかかわらず、今回農業基本法を制定しなければならぬようになっておるのは、責任じゃない。農業自体がいかに努力しても、他の産業が非常な伸び方をしますから。日本の農業だって、ほかの国の農業と負けぬようにいっている。まさるとも劣っていない。だが、他の産業が世界にないほどの非常な進歩をいたしますので、ふつり合いが起こってきておる。これは責任じゃない。普通以上にやってきておったが、ほかが画期的なものでございますから、この際それにおくれないように抜本的な施策を講じようとしておるのであります。私は、施政演説でも申しておりますように、また、選挙のとき農村各地を回ってずっとお話ししているように、農業というものは、思想的にほんとうに大事であり、産業酌に非常に大事なものであります。えてして、これには他の産業以上に倍、三倍の力を入れなければ、おくれを取り戻すことができない。こういうので私はこの農業基本法案を出しておるのであります。幾ら申しても、そういう気になっていないのじゃないかと言われては困るのでありまして、ほんとうにその気持で私はいこうといたしておるのであります。
○角屋委員 時間の関係もありますので、次に入ら、ざるを得ません。
 そこで、先ほど農林大臣がお答えになった問題に関連をするわけでありますが、第一条の国の農業に関する政策の目標という中に、農業の生産性の向上と他産業従事者と均衡する生活を営むことに目途を置いているが、私ども社会党の案を総理もごらんになられたと思いますが、「農民の所得及び生活水準が他産業に従事する者のそれと同一水準になるように高め」、こういうふうに言うておるわけでありますけれども、この政府案によりますと、所得の均衡という言葉は前文にも第一条にも出ておらずに、生活水準の格差の問題であるとか、あるいは生活水準を農業従事者と他の国民各層に均衡する、こういう表現で言っておるのであります。これは、西ドイツあるいはフランスその他各国の先進国における農業基本法等を見ましても、やはりそれぞれ特色はありますが、今日国際的には貿易自由化の問題を真剣に考えなければならないし、また、国内的には、先ほど石田委員も御指摘のように、農業外の資本力が好むと好まざるとにかかわらず今日具体的に農業の中に入ってきており、それはむしろ成長財といわれる畜産部面あるいは将来は果樹部面まで入るかもしれませんが、そういう姿になろうとしておるのであって、いわゆる内外の資本の攻勢の中においてきわめて脆弱な基盤に立つ日本の農民の方々がこれから安定的発展をやっていこうということは、なかなか苦難の道であろうと私は判断いたします。その際に、生活水準という形で表現はされておりますけれども、私が先ほど触れたように、所得倍増計画の中では、予算委員会における淡谷委員の質問に対して農林大臣がお答えになっておりましたように、今後生産の伸び二・八%にいく場合には十年後には一三三%になる、これに農業人口の削減等をあわせ考えた場合においてもやはり五割以上に伸びない、従って、所得倍増ということはやはり計画の中では考えておらないのだ、こういうことを率直に申し述べておったと思うのであります。従いまして、そういう政府の所得倍増計画あるいはまた農林漁業基本問題調査会における価格政策に対する考え方、あるいは所得政策に対する考え方、外国の先例にあるような農業と類似する他産業との所得均衡ということを明示することなく、生活水準の均衡ということで逃げたのではないか、率直に言ってこういう感じがいたすのでありますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
○周東国務大臣 一応ごもっともなお尋ねでありますが、私どもの方は、所得の均衡ということよりも、生活水準の均衡ということの方が広いと考えております。もとより所得も生活水準の中にある重要な部門でありますけれども、所得以外に、生活環境を変える、上下水道を設置し、あるいは農村における学校施設、社会保障施設、生活改善というような面が都会地その他の方向と均衡することが今後必要になってくると思う。これは、あなた方の方にも、別途生活環境の改善ということが、たしか言葉は違いますけれども出ておる。文化その他いろいろな面において農村の生活というものを他の方面と均衡する方向に持っていきたいというのが私どもの考えでございます。もとより生活水準の均衡の中では所得が重要な部門になりますけれども、それだけの均衡でなくて、所得も含め、生活環境、あらゆる施設についての均衡ができることが望ましいのでありまして、その意味において私どもは生活水準を均衡せしめると書いたわけであります。
○角屋委員 生活水準一般の中に所得も入ると言われて、生活環境その他後ほど私が指摘する問題についても触れられたわけでありますが、農家では、まず所得の問題、ふところの問題が先決問題になります。先ほど来各委員からも御指摘のように、農業所得は今日は他産業の所得の三分の一になっておる。この所得格差が非常に問題になっておる。こういう際に、農業と他産業との所得均衡をさせるというところに日本の農業基本法の特色を持たせ、具体的な今後の政策を基本的にどうするかということをなぜ端的に基本法の中に明示し得なかったのかということを私は率直に感ずるわけであります。大臣も御承知の通り、西ドイツの農業基本法の第一条の後半には、「農業従事者の社会的状態がこれと比較しうべき職業群と同等ならしめられるべきものとする。」とある。そして、御承知の通り、六千ないし八千の農業経営体の経営実績を集計し、かつ利用して、農業の現状に関する報告書、グリーン・レポートが出される。これに対して、措置したところの問題についてグリーン・プランとして明らかにし、これを連邦議会及び連邦参議院に提出する。条文は読みませんけれども、この中には具体的に農業と他の類似する職業群との所得の均衡の問題が条文の中で明確に考えられておることは御承知の通りであります。さらにまた、去年制定されましたフランスの農業基本法の中では、「農業と他の経済活動とのあいだの均衡を確立することを目的とする。」と前文にうたいながら、第一条の第二項において、「特に農業経営者および農業賃金労働者の社会的地位を他の職業部門のそれと同一水準に維持するため、農業従事者と他産業従事者とのあいだに存する所得の不均衡の原因を除去することにより、この発展の利益に農業を適正に参与せしめること。」、さらにまた、第二条の第四項の中で、「農業経営者および農業賃金労働者の労働、経営管理の責任、経営資本および土地資本に対して、他の経済活動部門において享受しうべき報酬と同等の報酬を確保すること。」とある。ドイツの農業基本法においても、あるいはまた昨年できましたフランスの農業基本法においても、やはり、農業という産業の基本的な性格は、第二次、第三次産業と違いまして、いかに政治的に積極的な施策を講じましても、経済成長の面では農業と他産業とが同等に伸びるということは産業本来の基本的性格から見てなかなか至難であります。従って、そういう面のカバーをする意味から、従来から各国ともに農業に対する保護的な政策をやらざるを得ない。これは農業の保有する基本的な性格から来ていると私は思う。そういう条件の中で営々として苦労して農業経営をやる農家においては、生活水準の前に、まず何といっても望むのは所得の問題であります。従いまして、各国ともに、この点を非常に重視して、フランスの場合も西ドイツの場合も、所得均衡ということを非常に強調しておるのだと思う。大臣は、生活水準の中に所得の問題も含むと言われましたけれども、その点を一つ再度お答えを願いたいと思います。
○周東国務大臣 所得を増大するということはもちろん私どもの基本法にもありますけれども、農業生産だけで所得の均衡をはかることが困難な事情はあなたも御承知の通り。そこで、保護政策によってその点を補えということが出てくるわけであります。先ほどちょっとお話のあった価格政策はそれに入ります。そういう価格政策についてはあとで別個お尋ねがあったらお答えいたします。私は、むしろ一人当たりの生産性というものを高めることを考えなくてはいかぬのじゃないか。その点は御質問にはございませんでしたけれども、社会党さんの方の基本法案には、生産性の向上ということが端的には現われておらない。これは生産力の増加ということになっておる。これも一あるいは生産が入っておるとおっしゃるかもしれませんが、しかし、今日考えられなければならぬことは、日本農業に対する過当労働の投下をどうするか、これが新しい農政としてはどうしても考えなければならぬ問題であります。その点を私どもは深く考えておるわけであります。その点において生産性を増加しつつ、それから必要な生産物の生産増加をはかって所得を増加するということはもとよりでありますけれども、それだけでなくて、生産性の増加によって、一面においては農業就業者一人当たりの手取りを多くするということを考える。しかして最後には価格の問題が出て参りますが、そういうふうに私どもは考えております。
○角屋委員 次に、法案の関係でありますが、従来やられなかった点で新しくこれから出て参ります問題としては、御承知のように、第六条で、農業の動向に関する年次報告ということで、「政府は、毎年、国会に、農業の動向及び政府が農業に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならない。」また、二項に、「前項の報告には、農業の生産性及び農業従事者の生活水準の動向並びにこれらについての政府の所見が含まれていなければならない。」、さらに、第七条で、「政府は、毎年、国会に、前条第一項の報告に係る農業の動向を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を提出しなければならない。」、この二項が国会に出て参るわけであります。さらにまた、従来なかった、これから公表として出て参りますものは、第八条の中に、「政府は、重要な農産物につき、需要及び生産の長期見通しをたて、これを公表しなければならない。この場合において、生産の長期見通しについては、必要に応じ、主要な生産地域についてもたてるものとする。」、さらに、第十一条の二項で、「政府は、定期的に、前項の施策につき、その実施の結果を農業生産の選択的拡大、農業所得の確保、農産物の流通の合理化、農産物の需要の増進、国民消費生活の安定等の見地から総合的に検討し、その結果を公表しなければならない。」、こういうふうに、政府が国会に書類として出す件が二項、また、一般に公表する件が二項、こういうふうにそれぞれの条文の中で出て参っておるわけでありますが、御承知の通り、私ども党の関係では、農業に対する基本計画というものを第三条でうたい、また、農業に関する年度計画というものを第四条でうたって、これについては国会に承認を求めるという条項になっておるということは御承知の通りであります。いずれにしても、これからの貿易自由化の問題、いろいろなことを展望して参りますると、農業についても、計画経済だとかやれ何だとか、統制経済だというようなことを大臣が参議院で口をすべらされて問題になったように聞いておりますけれども、そういうことではなくて、今日、保守政党であろうと、やはり一つの誘導的な計画にいたしましても、所得倍増計画を持つ、十カ年にわたっての計画を持つ、あるいは道路その他いろいろな問題についても計画的なものを定める、こういう傾向にあることは御承知の通りであります。この際、日本農業の新しい方向を計画的に推進をするためには、イタリア等で五カ年計画もあるようでありまするけれども、そういうことに必ずしも内容的に準ずるかどうかわかりませんが、要するに、農業の基本計画というもの、あるいは農業の年度計画というものを立て、それに対する予算あるいは財政投融資というものについては、はっきりこれを確保する。御承知の通り、従来の予算関係の成立しますまでの、あるいは成案ができますまでの経過を見ますると、農林水産関係の予算は最後にだめ押しをして相当の巨額の予算をとるというのが、率直に言って従来の姿なんです。むしろ、これから総理大臣が言われるような形で日本農業の新しい方向を熱意を持ってやられようとするならば、まず農林水産関係の予算については最初にきまる、あるいは年次的にある程度の展望の上に立ったものが確保される、財政投融資についてもしかり、こういう形で毎年繰り返されるような体制が必要である。従来は、いわゆる予算の分取り作戦の中で最後に農林予算が農政議員の方々の強い努力等もあってふえる。増額についての結果が出たところで政府・自由党の諸君等はまるで最初からきまっておったように自慢をされますけれども、そういう形できまる。従って、この農業基本法の中では、総理大臣が先ほど予算の問題でちょっと言われたようでありますけれども、こういう予算措置の問題にいたしましても、あるいは財政投融資関係の措置の問題にいたしましても、これからはやはり農業の問題で精力的にやろうとするならば、予算の問題も財政投融資の問題も計画的なものを考える、こういう配慮が必要であろうと思いますが、先ほども申しましたように、報告の問題、基本計画、年度計画の問題、それと予算、財政投融資関係の問題、あわせて一つお答え願いたいと思います。
○周東国務大臣 私ども、農業基本法案を立案した趣旨におきましても、ただいま御指摘のように、需要並びに生産の長期の見通しを立てて公表する、しこうして、これに関して農業生産に関する施策という、九条以下それぞれ出て参りまするが、その立てた長期見通しに沿って農業の選択的拡大あるいは農業生産基盤の整備及び開発とか農業技術の高度化とか、それぞれの問題を取り上げてこれに対して必要な策を講ずるということになっておりますから、おのずから長期見通しに立っての施策がこれによってきめられるわけだと思います。しかも、これらに対しましては、先ほど御指摘のように、年々の実績と、農業生産性の問題なりあるいは農業従事者に対する生活水準の問題なり、そういう施策をなして一体どういう形になってきておるかということの報告を議会にする、そして、私どもの意図している新しい農政に関する問題を議会の問題としてそこへ出して、しっかり御論議を願い、そうしてこれに対して別個の点があればまたこれを直していくという形にして、政府は積極的に農政を推進する熱意をここに現わしておるわけであります。従って、御指摘のような形の予算というものを編成する。必ずしもいつも農林予算が一番あとになっているわけではないですけれども、こういうことができてくれば、私は、おのずから農林省関係の予算等に関しても一つのはっきりした目標が出て、それによっていく、かように考えます。
○角屋委員 今言った新しいいろいろな国会に提示する問題、あるいは世上に公表する問題を責任を持ってやるためには、これはいろいろなことが必要でありますけれども、私は、農林省の場合で言うならば、統計調査機構の整備拡充という問題が非常に重要であろうと思う。過般来私どもは果樹農業振興の問題についていろいろ論議しておりますけれども、果樹農業については残念ながら農林省として資料が十分整備されていない。これから成長財と言われる果樹の問題についていろいろやろうといっても、樹齢別あるいは樹種別のいろいろ精査をした資料がないということが指摘されているわけです。こういう問題に取っ組む場合には、従来の農林省における統計調査機構は、御判断のように、食糧の非常に不足な当時から発足をしておりまして、いわゆる作物から、経済もやる、あるいは一般統計もやるという総合統計のような形に変遷をして参っているわけでありますけれども、しかし、やはり国際的な視野を持たなければなりませんから、従来やっているアウト・ルック・サービスについても、この際やはりこれらの問題と関連して新しい視点からやり方を考えていかなければならない。いろいろな問題が私はあろうと思いますが、この際一部の問題にわたるような観がありますけれども、非常に重要な一つの部面でありますので、農林大臣から統計機構の整備強化の問題についてお答え願いたいと思います。
○周東国務大臣 御指摘の点は全く同感であります。私どもも、この農業基本法の通過後の施行にあたって一番大事な点は、統計の問題を整備し統一することかと思います。いろいろ野党の方々から御質問を受けて、いろいろな統計がいろいろな目的で出ておって、どれによるかということが問題になる場合がある。こういう大きな政策をやるについては、その統計のやり方なり、どれによるということをはっきりすべき必要があろう。ただいま、三十六年度予算等におきましては、一応この農家家計経済調査、それから内閣における消費統計というものに対する拡充の予算をとっておりますが、それ以外に、根本的に統計についてはさらに検討を加えたい、かように思っております。
○角屋委員 先ほど来の石田委員の質問に対して総理がお答えになった答弁の中で、少し気にかかる点がありますので、この際確認しておきたいと思います。
 例の、農民と言いますか農業従事者と言いますかという場合に、私の承ったところでは、農家と言う場合には段段がある、ピンからキリまであると言われたか知りませんが、兼業もあれば専業もある、従ってはっきりさせたのだ、こういうふうに言われましたが、はっきりさしたのだという意味は、専業農家ないしは含むとしても第一種兼業程度のところまでを農業従事者としては主として考えたいのだ、こういう意味で先ほどの答弁になったのかどうか、その辺のところをちょっとお伺いしておきたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 そういうふうに言いますとまた誤解があるのです。第一種兼業農家といっても、いろいろな種類がございますから、そこで、農家と言ってもいろいろな種類があります。農民と言ってもまたいろいろなものがありますから、やはり、農業従事者と言うのが一番正確なんじゃないかということで私は使った。(角屋委員「兼業も入るという意味ですか」と呼ぶ)法制局長官でございませんから、はっきりしたことは…。私の気持は、だから、農家としたら第一種兼業、第二種兼業、第一種兼業の中でも農業従事者というものはあるわけですね。
○角屋委員 私ちょっと疑問があったから質問したのですが、総理の答弁を聞いていると、なおまたわからなくなるのですよ。われわれは、従来から、農家といえば、専業あり、第一種兼業あり、第二種兼業ありということで理解している。そういうものを総括して農業従事者という言葉で現わしたのか、あるいは、農業従事者という場合は、そういう従来の農家の分類の中で、含むべき、主として含むという考えのものと、ある程度薄い気持があるかどうか知りませんが、除外して考えたい部面と考え方の中にあって農業従事者という言葉を使われたか、その辺のところをもう一ぺん…。
○池田(勇)国務大臣 これは、一種兼業、二種兼業でも農業従事者はあり得るわけです。農業に従事しておるわけですから。(角屋委員「あるのですか」と呼ぶ)ある、ある。
○角屋委員 その点はまた別の機会にさらにいろいろ質問せられる方があろうと思いますから、次に移りたいと思います。
 わが党の農業基本法案と政府から出されました農業基本法案との対比という問題で、いろいろ新聞紙上その他でも対比しながら書いておるわけでありますけれども、そこで、予算委員会その他でも論議があり、また、本日の委員会でも、与党の諸君からも、その点がちょっと、最近地方を歩いてみて心配になられたのでしょう、質問がございまして、大臣からは、若干従来よりも前進をしたような答弁があったように私は判断したわけですが、それは、いわゆる農業のグラウンドというものを、一応、現在の耕地あるいは原野、こういうものに前提を置いて、これからの構造改善をやろうという、そういった考え方であるのか、あるいはまた、これからもさらに積極的に農業の総合開発というものをやろうというのか。つまり、これから伸びる生産財といわれる果樹の部面あるいは畜産の部面にしても、畜産には当然相当な草地を必要とするでありましょうし、果樹には相当な樹園地を必要とするでありましょう。事実、私は三重県でありますけれども、三重県の場合に例をとってみても、三重県の南部地方に約三千から五千の新しい、夏カンを中心とした樹園を作ろうということで、非常に積極的にやっておる。こういう問題の場合に、今日、開拓政策の後退と関連をして、私どもはこれが推進のためには苦労をいたしておる。いずれにいたしましても、開拓の問題、農地造成の問題ということで、私はこれは予算委員会の分科会でも大臣にお尋ねをして承ったわけでありますけれども、御承知の通り、政府の答弁の中では、現在の水田三百四十万町歩、畑二百七十三万町歩が、十年後においては、水田は若干減りまして三百三十六万町歩、畑が若干ふえまして二百八十五万町歩、こういうことで、もちろんつぶれ地等も予想いたしまして、差し引き若干の伸びという、そういう十年後の耕地の農業基盤というものを考えておるわけです。これは、わが党で言っておるように、三百万町歩、この中には耕地百万町歩、牧野二百万町歩というものを想定しておりますけれども、そういう面積は別といたしまして、今後ともやはり国土の総合開発の中における農業のグラウンドを拡大していく、――これは、国際的な耕地の利用率等の比率というものは、今さら指摘するまでもございませんから省略をいたしますけれども、そういう面にきわめて消極的なのではないか。もっとこの面を積極的に考えたらどうか。もちろん、終戦後実施されたような緊急開拓政策の中で、今日いわゆる既入植者の安定対策に非常に苦労しなければならぬという問題がございます。しかし、あれは、御承知の通り、海外から引き揚げの者を受け入れなければならないというとりあえずの緊急措置の問題もあり、また、財政投融資等の問題が適時適切に行なわれなかったという点もあるだろうと思います。そういう問題もございますから、やはり、今後やる場合においては、適地調査の点においても、耕境限界その他の面でいろいろな問題があり、また、入植の場合でも、科学的な基礎の上に立ってやらなければならない。あるいは、実施の場合においても、パイロット・ファームその他、従来の経験等に学びながら、営農類型等を十分に考慮し、新しい成長財等も十分考えに入れてやられていくことは当然必要だと思う。こういう面で、私は、政府の農業基本法案の中でもそういったような積極的な意欲がうたわれておるとは思いませんし、所得倍増計画におきましても、あるいは過般来の農林大臣その他の答弁からいたしましても、農地の造成に対する積極的な意欲というものはないんじゃないかと思いますが、その点、お伺いしておきます。
○周東国務大臣 お尋ねでございますが、私ども決して消極的ではございません。積極的にやりたいと思います。ただ、その積極的というのは、無計画に土地をふやすということであってはならぬと思います。私は、農業基本法制定の暁におきまして、先ほどもお答えしたいと思いますが、各種の農産物のこれからの伸びあるいは必要の面積を再検討して、さらにあの倍増計画に現われておる土地の問題について必要があれば修正を加えたい、こう思っております。これは総理初め、企画庁長官もたびたびお答えをしておるところであります。
○角屋委員 先ほど来の質問の中にも、価格政策の問題に関連して、御承知のように、今日まで、食糧管理法あるいは農産物価格安定法、あるいは繭糸価格安定法とか、いろいろな問題が従来からそれぞれの主要農産物の価格安定の措置として講ぜられてきたわけですが、総理の予算委員会における答弁、本日の委員会における答弁からしますと、食管法の問題については、従来は、当分の間維持するというふうに答えられておったと思いますが、今日、藤田委員でありましたかの質問に対して、食管法の問題については、簡単に、維持していくんだと、こういうふうにお答えになったと思うのでございますが、食管法を維持するということであるならば、食管法の中に含まれておる麦の中の大麦及びはだか麦、こういう問題について新しい特別措置法を作って、実質的に食管法からはずすということでなくて、考えようがもっとあるんじゃないかという感じがいたしますし、農産物価格安定法の問題にしても、農産物価格安定法の中に含まるべき大豆、菜種の問題について、交付金の問題についての暫定措置法が出されている。何となく、価格政策というものを見てみますと、従来米価にとられてきた生産費及び所得補償方式の考え方も含めて、これからのいわゆる農業基本法で考えておるその価格政策というものは、これはやはり需給均衡の上に立った価格政策である。従って、こういう考え方が、今後の推移にまかせますならば、やはり食管法そのものの改変にまで及ぶ可能性があるし、農産物価格安定法等においても、こういう形でなしくずし的にくずれていくんじゃないかという感じがするのでありますが、既存の価格安定法の問題と、それからやはり農産物価格安定の問題についてこの基本法ではどうやっていくかということを明確にお答え願いたいと思います。
○周東国務大臣 これは、たびたび議論になり、今後もなかなか議論がやかましいと思いますが、今日におきましても、米あるいは麦等につきまして、やはり、その支持されるべき価格のきめ方には、それぞれ違った形が出ております。生産費及び所得補償方式というのが米についてあり、麦についてはパリティ計算をもとにしておる。それから、繭糸価格安定については、需給状況を見て上値、下値をきめておる。農産物価格安定についてもそれぞれ違った立場をとっておる。これはそれぞれいろいろ理由があると思う。各農産物に一律に生産費及び所得補償方式をとることは、困難な事情もありましょうし、それが不適当な場合もある。それが現実の姿でかように違っておると思うのであります。今御指摘のように、何か需給均衡の上に立った価格というものは非常に悪いようにおっしゃるのですけれども、私どもは、ほんとうに農家のためを考えるならば、需要のないものを価格を支持してたくさん作らせることは、これは損を与えることで、親切な農政ではないと思います。やはり、需要に見合った将来の計画に沿っての生産を上げさせるということであって、そのできたものの価格が段高下になって損を与えてはいけないということで、安定させるということにねらいがあると思います。これは見方が違いますけれども、あなたの方の案でも、将来の需給計画を立て、生産計画を立て、年次計画を立てる、こういうことは、やはり生産量をただ何でも多くするということではないと私は想像いたします。おそらく、そこに、やはり農村等の関係においても、全体の経済の上に立って、需給の見通しの上に立って生産され供給されるという形が価格の安定する根本だと思うのであります。そういう考え方でございます。
○角屋委員 まあこの項目だけに焦点をしぼってやってもなかなか尽きない問題でありますし、きょうは総理の時間の関係もあるように承っておりまするのでこの程度にいたしますが、価格の問題については、私どもの、主要農産物についての生産費及び所得補償方式を貫くという考え方と、さらに、農業所得の大宗をなしておる食糧管理制度の問題についてはこれを維持改善していくという考え方が、やはり政府がこれからやっていこうという問題と相関連をして意見の違いのある一つの問題だと私は考えております。
 構造政策の問題について、先ほど来、石田委員も、貧農切り捨てではないかということでいろいろ御指摘がありまして、私もこの点については資料を整備して来ておるわけでありまするけれども、時間の関係もありますので、この際、農林大臣あるいはまた総理大臣でもけっこうでありますが、お伺いしたいのでありますが、あとの農業基本法の条章の中の第二十四条で、農業団体の整備ということで、「国は、農業の発展及び農業従事者の地位の向上を図ることができるように農業に関する団体の整備につき必要な施策を講ずるものとする。」、こういうことがうたわれておるわけであります。御判断の通り、今日苦悶する日本農業の姿の中で、私どもは既存の今日の農業団体にはいろんな意見を持っております。今日の農業に処するためには、実質的な経済団体として組織されておる農業団体自身がもっと積極的にこれに立ち向かっていくという姿勢が必要であろうと思うのです。しかし、そういう態勢に十分ないということを理由にして、政府の方でこれが適切な指導をやらない、あるいはまたいろいろ適切な援助をやらないということであってもいけない。また、これからの新しい農政の方向に対して、一体今日の農業団体の姿というものがこれでいいのかどうかということについても、いろいろこれから十分検討される問題であろうと思うのです。こういう点で、農林大臣は、農業団体のこれからの整備強化の問題についてどう考えておられるか、お伺いしておきたいと思います。
○周東国務大臣 私どもは、農業基本法制定後における農業政策の遂行にあたって、大きな役割を農業団体が占めるということを考えております。それに対しまして、十分、今の農業団体が、基礎的にも、精神的にもと申しますか考え方の上においても、真に農業者のための農業団体であるように仕向けていきたいと思います。基礎を確実ならしめるために、農業団体の整備ということに対しては特に予算をとって考え、また、合併をさせるということも考えておりますが、要は、私は、あくまでも農業団体が、ことに農業協同組合等が、相互扶助団体、そして農業者のためにあるのだという観念に徹して、みずから動く、そこへ政府は助長策をとるという行き方でありたい、かように考えております。
○角屋委員 かつて爼上にのぼったことがありますような農業団体の再編成とかなんとかいう問題については考えておられないかどうか、お伺いしておきたいと思います。
○周東国務大臣 それは、農業団体の整理統合、合併というような問題は、ただいま考えておりませんが、もし必要でない農業団体があるとすれば、それは整理合併の方向に向かって進めることが必要だと思います。
○角屋委員 最後に二つばかり、非常にじみな問題でありますが、お伺いして質問を終わりたいと思います。
 その一つは、農業の教育関係の問題であります。先ほど、総理は、農村に生まれたということを盛んに宣伝――宣伝じゃありません、話をされましたけれども、われわれ自身もやはり農村に育った一員であり、私自身の場合は農業関係の教育を受けてきた一人でありますけれども、しかし、今日、石田委員からもお触れになりましたように、新しい農政のにない手としてふさわしい者の養成及び確保ということを言い、しかもまた、これが教育等の問題等に関連をして触れられておりますけれども、今日における農村の人口移動傾向を見ますると、一家の次の時代をになわなければならぬ人も含めて離農しつつある傾向がある。また、農業教育に実際に入っておる諸君の中で、農業関係に携わっていくのではなくて、他の方面に行くという比率も最近非常にふえてきておるという状況であろうと思う。また、今日、大学あるいは高等学校等も含めまして、農業関係の技術者というものが現在のままでは少し余ってくるのじゃないかという意見も一部にあるやに聞いております。いずれにいたしましても、新しいこれからの苦難な農政を切り開いていくという観点に立って、農業の、じみではありますけれども教育問題、これは、単に学校教育ばかりでなしに、社会教育あるいは職能教育の問題も含めて、真剣に、農林大臣としてば文部大臣との間に十分協議をして、農業教育の振興問題、こういう問題に取っ組むべきじゃないか。従来の惰性のままにまかしておくのではなしに、新しい情勢下における農業教育というものはどうあるべきか、こういう点については、にない手の人々についてもそうでありますし、あるいはまた、農業関係に従事する技術者の問題もそうでありますし、こういう点についてやはり真剣に考うべき段階にあると思いますが、いかがでありましょうか。
○周東国務大臣 全く同感であります。じみなという言葉をお使いになりましたが、私は、これこそ将来の農村の一番大事な点だと考えております。従って、三十六年度の予算におきましても一部それは現われておりますが、まだ十分ではございません。今日、農業技術者の再教育と申しますか、ことに改良普及員の特技というものを特に伸ばすために、畜産並びに果樹の技師について、先ほども申しましたような十五府県等、あるいは中央農業試験場、畜産試験場において再教育をやる。また、同時に、農業者に対して伝習農場その他の場所におきまして技術を与えるということを考えておりますが、御指摘のように、農業大学等に入ってくる人は、どうも農業大学の方が農科が一番楽だというので、農業に志さなくても大学に入るということで入っておる、あとは農業の方に帰らぬということでありますが、むしろ、農村の中堅として残る人ならば、それらに農業教育をやるについて特殊な月謝等の減免等も考えられないかというようなことも考えて、農業教育について力を入れる必要があると、こういうように考えておりますので、全般的にはよく文部省とも連絡して考えていきたいと思います。
○角屋委員 最後に、法案関係では第二条の第八項になる問題でありますが、「農村における交通、衛生、文化等の環境の整備、生活改善、婦人労働の合理化等により農業従事者の福祉の向上を図ること。」、この中で環境整備という問題が出ておるわけであります。これは、かねて福田農林大臣当時に着目をされて、この方面の仕事に若干着手されたわけでありまするけれども、私どもがいろいろ資料をもらって見て参りますると、たとえば無点灯部落というようなものを一つとってみましても、開拓地で二千五百部落、四万三千戸、僻地の五戸以上のところで三千部落、四万三千戸、僻地で五戸以下のものが二万五千戸、全部締めまして十一万一千戸の無点灯部落というものがあるのであります。私どもは、こういう無点灯部落について、農林省が無点灯地区の解消のために計画的にやっていることは承知しております。しかし、積極的にやはり環境整備ということを言うならば、全国的に見て今当面のところこの数字が正しいとするならば十一万一千戸これは、最小限三カ年計画なら三カ年計画、あるいは二カ年計画なら二カ年計画でやっても、そう大きな経費がかかるわけではない。これは一例でありまするけれども、さらに、農村における健康関係の地域格差、あるいは教育関係の地域格差、あるいはまた文化関係の地域格差、こういうものをいろいろ見て参りますると、たとえば健康関係で乳児の死亡率等を見て参りましても、全国平均を一〇〇として、都市の七七に対して農村では一二〇というようなことで、死亡率が非常に高い。こういうようなこともありまするし、さらにまた、教育関係に入って参りますれば、高校の進学率は、全国平均が五一%で、都市が六二%に対して、農村関係は四一%というようなことでありまするし、また、文化関係におけるラジオの普及率とか、あるいはまた水道の普及率であるとか、道路の密度であるとか、あるいは鉄道の密度であるとか、あるいはまた電話の加入者数であるとか、あるいはその地域における会社がどの程度あるかとか、いろいろそういう問題を考えて参りますと、いわゆる都市的部分を除く小都市と農村を比べても相当の差があるし、また、中都市以上の都市と比べるならば相当大きな差がある。こういう面で、私どもは、環境整備ということはきわめてじみな方面のようでありますけれども、やはり、地域的な格差をなくす上から整備していく必要がある。先ほど大臣は所得均衡の問題は生活水準の均衡の中に含まれると言ったけれども、そういうことを言われ、そういう面で積極的な意欲を持たれるというならば、むしろこういう面で積極的に環境整備の面についてもやられる必要がある。その面では、たとえば、道路五カ年計画なんかで、はなばなしく相当な経費を使われる場合に、単に国道の幹線道路から県道におりてくるという形ばかりではなしに、農村僻地あるいは漁村僻地、あるいは山村僻地等における農業振興道路といいますか、あるいは農村における産業道路といいますか、そういう問題に積極的に取っ組んで、全体の道路計画の中からそういうものにもやはり予算を振り向けて、上から来る分と下から迎える分とをもって道路の整備の万全を期すること、こういう心がまえが必要であろう。ややもすれば、政治は都市中心になり、あるいは第二次、第三次産業中心になる、こういうきらいが必ずしもなくはないと思う。私どもは、日の当たらないところに光を通すという気持をお互いが持つならば、こういう環境整備の面は、きわめてじみではありますけれども、十分実態調査の上に立って積極的に推進をするということがきわめて重要な問題ではないかと思うのですが、この点についてお伺いいたします。
○周東国務大臣 この点も全く同感でございます。私もそれは非常に積極的に考えております。
 ことに、先ほど御指摘になりました無点灯部落の解消五カ年計画については、三十六年度はその二年目にあたっております。従来七千四百万円くらいだったのを、金のことを言ってはおかしいが、倍の一億八千万円になっております。無点灯部落の解消、昨年は四千戸であったのが、八千戸をやって、五カ年で解消するという予定であります。まだ金額が少ないと思う。
 それから、御指摘の乳幼児の問題がございます。これは、今厚生省と連絡して、無医村部落解消という目標のもとにこれをやっていこうという考えであります。
 それから、道路の問題、これは、もちろん、私どもも、山村、漁村、農村に対する道路の完成については、道路五カ年計画において額も二兆にしております。この点は御指摘の通り考えております。
 それから、特に生活改善という問題で、現在農林省では千八百人くらい府県に生活改善普及員というものを置いて、これが上下水道とか各種の問題に触れてやってきております。相当効果をおさめておるようであります。もっとも一つとこれを増したい。
 あらゆる点において、こまかい点は略しますが、生活環境の改善ということが、御指摘のように消極的であるということになりましょうが、それらのこともやはり農民、漁民、山村民の生活を上げていくということになると思います。
○角屋委員 わが党の方では、御承知のように、農村生活近代化法案というのを近く出す予定になっておるわけですけれども、不良住宅の解消にしても、雑然たる住宅の関係を、都市における都市計画を実施するように、農村における都市計画的なそういう面の積極的な実施という問題も含めて、私は真剣にこの問題は考えていただきたいと思います。
 本日は農業基本法案に対する当初の総括質問でありますので、しかも時間的に制約されて十分な論戦を展開することはできませんでしたけれども、いずれ各項にわたりました際にさらにお尋ねすることにいたしまして、これで私の質問を終わります。
○坂田委員長 農業基本法二法案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、明日午前十時から続行することにいたします。
     ――――◇―――――
○坂田委員長 次に、内閣提出、果樹農業振興特別措置法案を議題として、質疑を行ないます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。西村力弥君。
○西村(力)委員 簡単にお尋ねしますが、私、山形県です。山形県は、統計にも表われております通りに、サクランボの生産量は全国で一番です。ところが、今年度下半期の外貨割当申請を業者が非常に多額に出した、そういうことで、そのサクランボの買いたたきが行なわれるだろうといって、果樹サクランボを経営している諸君は大恐慌を来たしておるわけなんです。それについて農林省及び通産省の意見、態度というものをお聞きしたいわけですが、一体、ことしの今回の外貨割当申請はどのくらい出ておりますか。
○齋藤(誠)政府委員 今お尋ねになりましたサクランボの外貨申請額につきましては、今手元に資料がございませんので、後刻調べた上でお答えいたします。
○西村(力)委員 局長お知りでないようですが、農林省の食糧庁の食品課について調べてみますと、九十一万ドルとなっている。九十一万ドルの原料の桜桃を入れられたら、国内生産の桜桃の価格というのはどれほど買いたたかれるか、これはおそろしいことなんです。それで、いろいろあなたの方の担当の諸君とも話したのですが、やっぱり果樹振興という立場からこれは全部アウトにしたい、こういう意向が強い。これは確かにその通りです。ところが、よく調べてみますると、このカン詰用の桜桃のある種類はドレン・チェリーというのだそうですが、これが割当制で、サルファード・チェリーが自動承認制だ、こういうことになっているのだそうで、同じカン詰用のサクランボが二種類に分かれておる。どうもおかしいですね。この点は、そうなっておるかどうか。通産省の方はいられませんか。まだ来ないですか。
○齋藤(誠)政府委員 今の御質問でございますが、今手元にお答えの資料を持っておりませんので、後ほど調べましてお答え申し上げます。
○西村(力)委員 突然で、事前の連絡がなかったので、御準備がないこともやむを得ないと思うのですが、今また大臣も見えましたから申し上げますが、イタリアから九十一万ドルのサクランボのカン詰の原料を入れる、それでサクランボの生産者は大恐慌を来たしているわけです。それをやめにしてもらいたいと言ったら、農林省の事務当局の意見はまとまって、あなたの方でまとめて下さるのですかどうですか、これは全部アウトにしよう、こういうことで、通産省に持っていっている。ところが、よくよく調べてみると、そのカン詰用のサクランボのドレン・チェリーという種類のものが割当制で、サルファード・チェリーというのが自動承認制、こうなっている。二種類あるのだという。これは、大臣、やっぱり両方とも割当制にしていかなければ意味がないのじゃないか。せっかく生産者を守ろうとしても、一方に抜け穴があったらどうにもならないということになるのです。どうです、一つこれをはっきりして、両方とも割当制にしてこれを修正する、それの自由化のランクをはずして、両方とも割当制にするという、そういう態度で交渉する、こういう工合に、あなた一つはっきりした態度を示してもらいたい。
○周東国務大臣 実は、寡聞にして、きょうあなたの御質問を聞いて初めて知ったような次第ですから、よく事情を調べまして善処いたします。
○西村(力)委員 振興局長、大臣はよく調べるというのですが、振興局長としての立場を一つ表明してもらいたい。
○齋藤(誠)政府委員 今の点につきましては、今調べておりますけれども、基本的に、お話しになりました点につきましては、われわれといたしましても、今後の果樹振興との関係もありますので、外割等について消極的に扱いたい、こういう考え方でやっております。なおよく検討いたしまして、御趣旨に沿うようなことで検討いたしたいと思います。
○西村(力)委員 両方とも割当制にしてもらいたい。しかもなるべくこれは割当をしないような方向をとってもらいたいという趣旨は、これは、単に果樹生産者が困るというばかりじゃなく、まず、サクランボの生産というのは、非常に苦心の要るものなのです。私のうちにも十本ばかりありましたが、今一本もなくなったのはなぜかというと、全部虫に食われた。そして一本もなくなってしまった。相当手を入れて、消毒や何かを他の果樹以上にやらないと、うまく育たない。うまい生産をとれないのです。そういうことが一つと、それから、他の外貨獲得のために輸出するカン詰用のくだものと違いまして、サクランボというのは、カクテルにちょっと浮かしたり、あるいはお菓子の上にちょっとのせたり、フルーツの中に飾りにちょっと入れたり、そういう工合に、ほとんどが国内消費であり、しかもこれはアクセサリー的なものです。そういうものですから、少しぐらい値段が張ったって、これはそういうものを食べる人、飲む人が負担してもらえばいいことなので、これがもし外国へ輸出するカン詰の原料ということになると、あまり高くなればやはりやむを得ないときがあるかもしれませんけれども、サクランボに限ってはそんなことは一切御懸念がないわけです。必要がないわけです。ですから、これはやはり、そういう種類のものですから、外貨割当は基本的にはしないという方向をとってもらわないと、せっかく苦心してサクランボを育てて、またこれから増反しようと努力しておる諸君は、たまったものじゃないということになるわけです。さっき大臣のいないとき申し上げたのですが、農林省の園芸課と食糧庁の食品課が打ち合わせをして、振興局長か経済局長か、どっちかで調整をして、農林省の意見として、これは全部申請はアウトにしてもらおうということを通産省に持っていっておる、こういうことですから、大へんけっこうである。そういうことにしてもらいたいと思うのですが、そういう方向を今後ともとっていただきたいものだ。この点、大臣も、サクランボの果樹を育てる難儀と、それからその使い道から言って、こういうものはやはり大事な外貨を使うべきじゃないという方向をはっきりここで納得した、了承したという態度を表明してもらいたい。
○周東国務大臣 私は、日本の果樹を生産する農家のためのことを考えておりますから、お考えの方向でいきたいと思いますけれども、私は初めて聞くので、そうせいと言われても、また特殊な事情があるかもしれないので、よく調べた上で善処をいたします。
○西村(力)委員 通産省は来ておりますか。
○坂田委員長 出ておるはずです。
○西村(力)委員 こうやってサクランボの果樹振興の話をしておりますが、果樹振興法の中に対象品目としてサクランボが入っていなければちょっとおかしくなるのですが、これは入っているでしょうな。
○齋藤(誠)政府委員 昨日お答えいたしましたように、政令で樹種を指定することにいたしておりますが、桜桃も入れるように予定しております。
○西村(力)委員 通産省の方に伺いますが、農林省の食糧庁の食品課の回答では、ドレン・チェリーはFA制、サルファード・チェリーはAA制、こういうことを半日かかって調べていただいたのです。その通りであるだろうと思いまして、それは両方とも割当制にしてもらわなければいかぬと大臣に申したら、大臣は、検討する、善処する、こういうようなお話でしたが、あなたの方は担当省ですが、それでよろしいのかどうか。どういう工合になっているのでしょうか。
○西尾説明員 お答えいたします。
 貯蔵あるいは調製しました果実及びナット類は現在はAA表に載っておるわけでございますが、その際検討上なお十分でなかった点があるかもしれませんので、今後、大蔵省、農林省と十分協議いたしまして検討いたして参りたいと思います。
○西村(力)委員 続いて、検討の方向はどうですか。私の期待するような方向に検討してくれるかどうか。
○周東国務大臣 これは一つ政治的におまかせ願いたい。事務当局も問い詰められて今返事を求められることはちょっと無理だと思います。よく検討して善処することにしたいと思います。私もあなたの先ほどの御趣旨はよくわかっておりますから、よく考えて相談をいたします。
○西村(力)委員 大臣のお言葉を信じたいと思うのですが、しかし、はっきり記録に残さないと、どうも検討する検討するではちょっとどっちに向くかわからないと思うのです。文字通りに言えばそういうことになる。これはやはり通産省の方では何かやはり検討が不十分があるようにも見えるわけです。FA制のものとAA制のものと分けた場合に、検討が不十分であったようにも考えられる。再検討の結果は、今大臣が言われたというか、考えていらっしゃると推定する方向にぜひ持っていっていただかなければならぬと思います。通産省事務担当者としては答えられることができますかどうか、どうでしょうか。
○西尾説明員 そうしたことにつきましては、すべて今後十分慎重に三省間で検討をして参りたいと思います。
○西村(力)委員 それでは、ぜひ大臣に私の言う方向に努力をいた、だくことをお約束いただきまして、終わりたいと思います。
○坂田委員長 他に質疑の通告もありませんので、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。
○坂田委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決に入ります。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
○坂田委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。
    ―――――――――――――
○坂田委員長 ただいま可決いたしました果樹農業振興特別措置法案に対しまして、中澤茂一君より、自民、社会及び民社共同提案の附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。提出者にその趣旨説明を求めます。中澤茂一君。
○中澤委員 ただいま議決になりました果樹農業振興特別措置法案は、本委員会の質疑にもありましたように、種々問題があると考えられるのであります。ここにおいて、本案をさらに完璧なものとするために、次のような附帯決議を付するよう、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して動議を提出いたします。何とぞ御可決あらんことを希望いたします。
   果樹農業振興特別措置法案に対する附帯決議(案)
  政府は、果樹農業の飛躍的発展のために欠くことができない果実の流通、加工、消費拡大あるいは輸出等の面に対する具体的な施策を包含した総合的な制度をすみやかに確立すべきであるが、当面、次の諸点に留意してその施行にあたるべきである。
    記
 一、果樹園経営計画に対する都道府県知事の認定要件である樹園地面積の計画目標は、特別の場合には、五町歩以上とすること。
 二、本法の対象となる果樹の種類については、逐次これを拡大すること。
 三、本法の運用にあたっては、果樹園の新設、増反に偏することなく既成園の振興策についても十分な配慮を加えること。
 四、果樹植裁資金の貸付条件は、なるべく長期低利とし、またその貸付けにあたっては、従来の系統金融体系をみだすことのないよう特段の考慮を払うとともに、その融資手続は極力これを簡素化すること。
 五、果樹関係の農業改良普及員の増員と資質の向上を行ない、果樹園経営計画の作成指導にあたらしめること。
 六、ジュース類については、消費の宣伝啓発を行なうとともに、農林物資規格法により品質規格の改善向上に努めること。
 七、中央卸売市場における卸売業者の果実に対する市場手数料については、早急に検討して適正化を図ること。
  右決議する。
      衆議院農林水産委員会
  〔拍手〕
  
○坂田委員長 ただいまの附帯決議についての、政府の所見を求めます。周東農林大臣。
○周東国務大臣 ただいまの附帯決議に関しましては、委員会の決議の趣旨を尊重して、今後実行していきたいと思います。
○中澤委員 特に、この附帯決議の中で、第一の樹園地計画面積の問題でございますが、これは、やはり、山間僻地等いろいろな立地条件によって、どうしても十町歩の樹園地計画が不可能なところがあるのであります。それは果樹振興上非常にまずいことだとわれわれは考えておるので、どこまでも樹園地計画の五町歩単位のものも政府は認めていく、こういうことを特に政府は確認していただきたいと思うのでありますが、それについての御答弁を求めます。
○周東国務大臣 ただいまのお尋ねに関しましては、特殊の地帯に関しまして五町歩以上のものを認めることについては、私どもさようにしていくつもりでおります。
○坂田委員長 これより自民、社会、及び民社共同提案の附帯決議を付すべしとの動議について採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
○坂田委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。
    ―――――――――――――
○坂田委員長 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
○坂田委員長 御異議なしと認め、さように決しました。
 次会は明日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十四分散会
     ――――◇―――――