第038回国会 農林水産委員会 第39号
昭和三十六年五月十八日(木曜日)
    午前十一時九分開議
 出席委員
   委員長 坂田 英一君
   理事 秋山 利恭君 理事 大野 市郎君
   理事 小山 長規君 理事 田口長治郎君
   理事 丹羽 兵助君 理事 石田 宥全君
   理事 角屋堅次郎君 理事 芳賀  貢君
      安倍晋太郎君    飯塚 定輔君
      金子 岩三君    川村善八郎君
      倉成  正君    田邉 國男君
      中馬 辰猪君    内藤  隆君
      中山 榮一君    野原 正勝君
      福永 一臣君    松浦 東介君
      松田 鐵藏君    森田重次郎君
      八木 徹雄君    足鹿  覺君
      大原  亨君    片島  港君
      東海林 稔君    中澤 茂一君
      楢崎弥之助君    西村 関一君
      山田 長司君    湯山  勇君
      稲富 稜人君    玉置 一徳君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 周東 英雄君
 出席政府委員
        農林政務次官  八田 貞義君
        農林事務官
        (大臣官房長) 昌谷  孝君
        農林事務官
        (農地局長)  伊東 正義君
        農林事務官
        (振興局長)  齋藤  誠君
        水産庁次長   高橋 泰彦君
 委員外の出席者
        農林事務官
        (農地局愛知用
        水公団監理官) 大山 一生君
        農林事務官
        (水産庁漁政部
        長)      林田悠紀夫君
        専  門  員 岩隈  博君
    ―――――――――――――
五月十八日
 委員綱島正興君、本名武君、北山愛郎君、楢崎
 弥之助君及び玉置一徳君辞任につき、その補欠
 として松田鐵藏君、倉成正君、大原亨君、山花
 秀雄君及び田中幾三郎君が議長の指名で委員に
 選任された。
同日
 委員松田鐵藏君、大原亨君、山花秀雄君及び田
 中幾三郎君辞任につき、その補欠として綱島正
 興君、北山愛郎君、楢崎弥之助君及び玉置一徳
 君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 小委員会設置に関する件
 愛知用水公団法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一四〇号)
 漁業権存続期間特例法案(内閣提出第一五〇
 号)
 急傾斜地帯農業振興臨時措置法等の一部を改正
 する法律案起草の件
 畑地農業振興のための基本制度の確立に関する
 件
     ――――◇―――――
○坂田委員長 これより会議を開きます。
 愛知用水公団法の一部を改正する法律案を議題として、質疑を行ないます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。角屋堅次郎君。
○角屋委員 愛知用水公団法の一部を改正する法律案については、一昨日以来本委員会における本格的な審議に入りまして、きのうは、それぞれ、愛知用水公団、県土地改良区の代表者等の参考人を招致し、現地のいろいろな実情についてもお伺いするとともに、商工関係の連合審査等も行なって本日の段階になったわけでありますが、ただ、法案の審議過程で、おそらく大臣は参議院の関係その他予算委員会の関係もありまして御出席が願えない事情等もありましたので、本日は特に大臣の出席を求めて数点にわたってお伺いをいたしたいと思うのであります。
 まず第一は、きのうでありましたか、長らく難航いたしておりました水資源開発公団法案が提案をされて参って、いずれこれは衆議院の段階でも審議されることに相なるわけですけれども、今審議しております愛知用水公団法の一部を改正する法律案の問題と、後ほど審議の過程に入る水資源開発公団の問題とはきわめて関連が深いわけであります。きのうの官房長官の出席を求めての連合審査会における質疑の中でも、この関連の問題について官房長官からもお話が出たわけでありますが、特に愛知用水公団についての責任の立場にある農林大臣から、この法案がかりに通過をし処理をされた場合において、今後爼上に上ってくる水資源開発公団との関連についてはどういう見解の立場をとっておられるか、との点まずお伺いいたしたいと思うのです。
○周東国務大臣 大へんたくさん重要法案を提出いたしまして皆様に御審議をわずらわして恐縮いたしておりますが、ことに、その関係上参議院の方の審議等のためにこちらに出席できなかったことをまことに恐縮に思っております。にもかかわりませず、皆様方が、急いでいるものについて大へん急いで審議を終わっていただきますことを心からまずお礼を申し上げます。
 それから、ただいまのお尋ねでありますが、水資源開発公団法の提出は、皆様も御承知のように、大都会とか工業地帯等に関連を持つ重要な水系等に関しましては、その水の開発並びに利用に関して各方面との関係からいたしまして総合的に開発することが必要だということで、かねがねの考え方を映しまして水資源開発公団法というものを提出することになりました。しかし、それより以前に私どもは愛知用水公団というものの今後のあり方と豊川用水というものを含めて考えた法案を提出いたしております。これは、もし早く水資源開発公団法というものの提出がありますならばそれと一本になる性質のものでありまするが、この方がなかなかまとまりませんでございましたので、やむなく別個の形をとった。しかも、そのことは、水資源開発公団の問題が確定する以前に、ことしの正月の十九日か十八日ごろだったと思いますが、愛知用水公団と豊川用水を一緒にした公団法を考えることとして予算の決定を見ましたので、それに関連した法案を出したような格好でありまして、いずれ、このことは、この両法案は内容としては目的とするところを同じうしておりますので、将来、水資源開発公団法による公団の設立の暁においては、この愛知用水並びに豊川用水の開発に支障のない時期においてその方に合併されるものと考えておりますが、今日の場合、別個に御審議をわずらわし、別個に仕事の一日も早くスタートすることを願っておる次第であります。
○角屋委員 今農林大臣の御説明によりますと、当面、水資源開発公団の成案の問題がおくれたために、愛知用水公団法の一部改正でもって豊川用水事業を含む形でとりあえず進んでいくけれども、将来の問題としては水資源開発公団の中にいわば吸収をして一本化した形で水資源の問題を中心にした運用をいたしたい、こういうお考え方のようでありますが、この場合に、きのうの質疑の過程でも、愛知用水公団は世銀あるいは余剰農産物資金の借り入れ等外資の導入を伴った諸問題等もあって、これはそういう関係の事務的な了承を得なければ機械的な統合ということには相ならないということで、従って、将来これが統合という場合においては当然そういう問題の手続を得た後に完全吸収という形でこれが処理されるというふうに判断をしていいものであるかどうか、その点重ねてお伺いいたしたい。
○周東国務大臣 角屋さんのお尋ねはごもっともであります。将来統合ということを進めますについては、私先ほど申し上げましたように、適当な時期に適当な処置をとって統合いたす、こう申し上げたのもそういう点にも触れておるわけであります。世銀等に関しての了承は求めて参るつもりであります。
○角屋委員 愛知用水公団法の一部改正法案を審議する立場といたしましても、あるいは水資源開発公団の問題を今後審議する立場からいたしましても、私ども農林水産関係の立場からして問題にします点は、もちろん経済の高度成長に伴いまして工業用水あるいは都市用水等の必要であることは十分認めるにやぶさかではございませんけれども、そういう経済の高度成長の中における工業あるいは都市用水等の所要の大きなしわ寄せというものを今後農林水産関係の確保すべき用水関係が受けるのではないか、こういうことが一つの大きな心配にならざるを得ないのであります。特に、なかなかむずかしい問題でありまして法制的にも議論の存するところでありますけれども、長い間の血と汗の結晶によって今日まで確保されてきておるところのいわば慣行水利権的なものは今後の総合開発の美名のもとにおいて一体どうなっていくのか、これらの問題についても、やはり農民擁護の立場からがっちりと法制的な見解の統一をするなり、あるいはまた水資源の利用に伴います今後の処理の過程におきましてそれが十分確保されないというと大へん大きな問題になってくるし、あるいは、今後の問題としては、いわゆる売水制度への切りかえというふうな問題等も出て参りますと、農民負担が総合的な立場から見て増高するのではないかという懸念もいろいろ心配されておる点であります。愛知用水公団のアロケーションの問題一つとらまえましても、いわゆる工業用水関係のコストあるいはまた都市用水関係のコストと農民負担との関係を見ます場合、いわゆる経済条件の劣弱な農民負担が非常に過酷ではないのかという点が、今後の愛知用水事業の仕上げ過程における純収益の展望等と見合って、きのうの参考人招致の中でもなかなか問題になった点でございます。従って、水資源開発公団法の場合においても、あるいは今後愛知用水公団法がとりあえず豊川用水事業を継承する場合においても、一体、総合開発の美名の中において、農業用水関係の確保あるいはまた農民負担の軽減の問題、さらにまた既得権で長い間継承されてきておる慣行水利権が擁護される問題等について十分配慮されるかどうかということが大へん問題であろうと思いますが、これらの問題に対して基本的にどういう立場で農林省として処理されるのであるか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
○周東国務大臣 角屋さんの重要な点について触れてのお尋ねはごもっともでありまして、私どもは、この水資源開発公団法の制定の際におきましても、その点は十分に配慮いたしまして、法律案を作る場合に考えておるわけであります。御指摘のように、農業用水というものの確保については、こういうような多目的ダムで他のことについて水を要する部面もありますが、その際常に優先的にこれを確保する方法を主張しておりまするし、また、そういうふうに考えております。従って、従来からありまする慣行水利権というようなものにつきましては、現在及び将来を通じましてこれは当然確保されるべきでありまして、たしか、法律の規定におきましても、慣行水利権についてはそのまま河川法の規定によって許可されたものとみなすというような規定もあったと思いますが、こういう関係で、慣行水利権は複雑多岐にわたっている問題ではありますけれども、御指摘のように、長い間の血の雨を降らしてまでもこれが確保に努力してきた過去の問題はよく私ども承知いたしております。これを簡単にほかの方面に取っていくということは許されませんし、また、そういうことはさせないつもりでありまするし、ただいま申し上げましたように、慣行水利権というものは、これは形の上において一応河川法の規定によって許可されたとみなすというような形で、これは実はいろいろな議論なく確保されるように私ども今後とも処置をいたしていきたいと思っております。
○角屋委員 これは将来の水資源開発公団の問題とも関連しますけれども、愛知用水公団法の当初設立された経緯といたしましては、申し上げるまでもなく、世銀あるいは余剰農産物等のいわゆる外資導入を伴うという観点から、従来の国営方式でなくて特別に公団を設置するというふうな経緯等もありまして、この公団設置につきましては当時与野党の間でもいろいろ論議の存した点であります。今回従来国営で発足をしておる豊川用水事業を含むという点については、いわゆる愛知用水公団の陣容というものを活用する面から便宜的に考えられた点にも相当なやはり問題が生ずるわけでありまするけれども、今後の農政上の問題といたしましては、例の農林漁業基本問題調査会等で農林省の行政機構改革等で考えられてきておるいわば行政上の監督・指導の面と事業面との分離問題こういう一つの見解があって、たとえば農地局等で従来やってきた国営関係の問題等についても、いわば事業面というふうなことから愛知用水公団法で国営の事業を継承し、将来、そのことが、その方面の組織形態というものが主体になってしまって、いわば農林省あるいは農地局としては行政の監督・指導というふうな形に非常に変貌していくのではないかということが一つの心配になっておるわけであります。農地局等との質疑の過程の中では、いわゆる公団システムと国営方式の二本立でいくんだ、いわゆる公団方式の今後の水資源開発の場合においても、特定水系を指定をし、それに基づいての重要拠点についての総合開発ということであって、当然その他の地域においても国営方式というものをとっていく、従って二本立でいくんだという見解等も表明されておりましたけれども、これは、やはり、農林大臣の責任ある立場から、今後の公団システムにおけるところの開発方式、あるいは従来から特定土地改良事業特別会計等でとってきておる国営方式というふうなものをどうやはり調整をし運営していくかということが一つの今後の問題であろうかと思うのであります。あるいは、いたずらに公団あるいは事業団、いろいろなものを設置することによって、高級官僚の自後の身を振る側の場所を見つけてみたり、一たんそういうものを作ると、森林開発公団に見られるごとく、事業が大体終了時期に来るとあとの仕事を無理やりに見つけてやらなければならぬという、場合によっては弊害の問題等も生じてくるわけでありますが、予算委員会における私の質問に対して大臣が答えた場合においても、農林省の行政機構改革の問題については、行政の指導・監督、事業面の分離というような形に必ずしも画一的にこだわることなく、総合的な視野からやはり次の通常国会あたりを前提にして十分検討いたしたいという見解の表明等もありましたが、そういう今後の農林省の行政機構の問題、さらにまた、今申しました公団システムによる運営方式と特定土地改良事業特別会計の国営事業におけるところの運営方式との今後の問題についてはどういうふうな見解のもとに処理をされようとするのか、この点承りたいと思います。
○周東国務大臣 お尋ねの点に関しては、私どもは、今後の土地改良事業とか、あるいは愛知用水あるいは豊川用水のような形が公団方式になったからといって、全部の国営による、特別会計による処置というものを全部移して公団方式にやるという考えは持っておりません。やはり、先ほど申しましたように、これは特定の水系に多分限定されると思います。たとえば利根川とか淀川とかいうようなもので、大都市の関係、いわゆる工業地帯の関係等を考えて、工業用水あるいは農業用水あるいは上水というような問題が関連する大きな河川については、どうも従来のいき方だけでは思い切った水の利用のために開発が進まない、これを一つの形に持っていって、早急にこれが成果をあけるように開発し、また、開発された水が必要な場面に分配されるようにというような形で水資源開発公団というものを作ったわけでありますが、その他の場所におきましては、従来の国営による、特別会計による行き方は今後とも続けて参るつもりでございます。
 それから、もう一つのお尋ねの、農業基本法等の執行にあたって、それが統一ある形で指導されあるいは誘導されなければならぬという立場においての機構の問題についてこの前触れましたが、それも、何もかも国の手からはずして民間団体に移すということではなくて、むしろ、必要なものは、ただいま申しましたような水資源開発公団というものに移る場合もありますが、やはり、私どものねらいは、国の新しい農政の方向に向かって間違いなきを期するためには、中央及び地方における機構等もそれに沿うて考えなければならぬということをこの前申し上げた次第でありまして、この点は、今後直ちに着手して十分考えを進めていきたいと思っております。
○角屋委員 昨年の予算編成以前に、農林省として、「水利開発管理公団(仮称)の概要」というてふうなことで、農地局の構想として愛知用水公団の発展的解消による新公団設立についてのいわば試案を示された資料がございます。これらの資料が今度の水資源開発公団をいろいろ難航の過程で論議する場合の農林省の一つの立場になっただろうと思いますが、その中でいろいろ問題がありますけれども、大臣はきょうは三十分くらいということでありますから詳細には触れませんが、たとえば、公団における資金上の構成の問題等については、御承知の通り、負担金なり借入金をやる、こういう場合に農林中金の余裕金あるいは資金運用部資金等の導入というようなことを考えるということになりますと、例の近代化資金の場合にも系統金融の活用ということが今日出て参っておるわけでありますが、約六千億に近い系統金融というようなものについて、とにかく新しい水資源開発公団でも場合によってはねらっていく、あるいはまた愛知用水公団等でもこういうものに目をつける、こういうようなことから、実際に、系統金融の金というものは、農民の直接の血と汗の結晶の集結であるものを農民に還元するという立場から見て、いずれ総合開発ということになりますと、単に農業上の諸問題ばかりでなしに、工業その他を含んでの総合開発ということになりますと、いわばウエートとして大産業・大企業にそういうものが活用されていくという将来の危険等を考えてみると、借入金のいわゆる借入先というものをどういうところに考えるかということは非常に重要な問題の一つであろうかと思うのですが、水資源開発公団の場合、政府が考えておるそういう資金源の問題、つまり、愛知用水公団法の一部改正の中では、従来の世銀資金の導入のほか、愛知用水公団の債券発行等も出て参っておるわけですけれども、そういう問題も含めて、いわゆる借入金の資金源という問題について、水資源開発公団の場合、あるいは今日考えておる愛知用水公団法の改正に伴います資金源の場合、どういう基本的な立場で運用されようとしておるか、この点をお伺いしたい。
○周東国務大臣 水資源の開発に関しまして、結局問題が資金にあるということは御指摘の通りであります。現在のところは、愛知用水公団について、御承知の通り、資金運用部の資金というものに大体限られているようであります。今後の問題は、ただいま検討いたしておりますのは、やはり、農林中金あたりに公団債を引き受けさせて有効に農業団体の集まった資金を使ったらどうかということについて今新しく研究しております。その際、今御指摘のように、せっかく農業団体で金を出してもそれがほかの方へ利用されてはだめじゃないかという問題です。もしもそれを研究の結果やるといたしますれば、その公団債発行の条件としては、その資金が農業関係の開発に使われるということでなければならぬので、どういう形でありますか、そういう点については十分条件をつけていきたいと思っております。ただいまのところ、金利等の関係から言いますれば、しばらくは資金運用部資金によらざるを得ないと思いますが、これは、一般的に言って、農業問題に関する今後のあり方として、資金源をどこに求めるか、あるいはその資金に関する貸付の場合における条件、金利、期間等に関しましては、現在いろいろの問題で出ております資金よりも、もっと有利な形でといいますか、金利を下げ、あるいは期限等を延ばしていくということについて、私はただいま検討をしておる次第であります。
○角屋委員 近く通水等を実施をし完了の段階にあります愛知用水事業は、外資導入等をやった画期的な開発事業ということに相なりまして、今日までの段階でも、本委員会でもしばしば現地調査を実施をし、また、必要な段階では参考人招致等もやりながら、今日事業完成というところまで持ってきたわけであります。この間、農林省なりあるいは愛知用水公団、県、あるいは地元関係のなみなみならぬ努力というものについては、私どもも深く敬意を表するにやぶさかではございませんが、申し上げるまでもなく、愛知用水事業の基幹的な工事が今日終了したのであって、これから実際に愛知用水工事を実施した成果の実りをどうして作っていくかということが今後の問題になるわけであります。しかも、また、かねて問題になっておりました知多半島方面における今後の工業等の発展に伴います工業用水の問題が、愛知用水事業の基本計画あるいは用水配分等の関連の問題の中でどう相なっていくのか。いわゆる非灌漑期の幹線の水路の利用なり、あるいは灌漑期においても、兼山におけるところの毎秒三十トンの水というものは常にフルに運転するわけじゃないから、通水断面を活用してやるとかいうふうないろいろなことが従来から流布されて参っておるわけでありますけれども、これは、下流地域との関連の問題もあり、また愛知用水事業の基本計画という問題もあって、今後ある長い展望の上に立つと相当の問題を持ってくるのじゃないかというふうに思うのであります。しかも、きのうの参考人招致の中でも、これらの問題については、公団あるいは県側でも、具体的には相当程度慎重を期しているのじゃないかと予想されながらも、表面的にはなかなかあいまいにいたしておるわけであります。この際、農林大臣として、愛知用水事業の基本計画における、特に農業用水優先確保の問題と、今後の名古屋、知多半島方面における工業の伸展に伴う愛知用水事業のこれに対する寄与の問題、こういうふうな問題について、どういうふうな段階にあるのか、あるいはまたどういう方針で今後臨まれようとするのか、この点一つ明確にお伺いしたいと思います。
○周東国務大臣 ごもっともなお尋ねであります。私どもも、愛知用水公団を作ったおもな目的は、あの地帯における灌漑用水を十分に取ってあの地帯における農業の発展に十分に資するということが目的でございます。ただいま御指摘の、その水は相当余るから工業用水に使わせろというようなことが出て参りましたことも御承知の通りですが、これは日本の経済全体から見れば非常にけっこうなことであります。余剰の水をその方に向けるということも、私はいいことだと思うのです。その際、私どもは、できる限り農家の負担を下げるためには、ああやってできた水を工業水に有利に使うのだから、むしろ向こうの方で少し持ってもらって、少しこっちの負担を下げたらどうかということまで実は話しているわけでありまして、具体的に今後工業用水がどういう形になって使われてくるかということは将来の問題でありますが、たとえば今申し上げているような事柄も考えつつ、余剰の水は有効に工業用水に使ってもらい、産業発展に使ってもらいつつ、農業用水については優先的に取る、そして、その間にお互いが相互扶助の立場に立って工業と農業の間の関連を進めていくことがよろしいのではないか、かように考えております。
○角屋委員 農村大臣は、非常に簡単に、何か余ったものでも活用できるような甘いしろうと考えをしておられるようでありますけれども、これは、申し上げるまでもなく、水の問題というのは上流、下流を含んでなかなか諸般の制約があるわけであります。特に、木曾川の下流の地域というのは、愛知県側でも三重県側でもそうでありますが、農業関係ではなかなか豊沃地帯であります。上流部における水の取水というものが大量になれば、海水の遡行によって塩害等を生ずるという事例が従来現地調査の結果でも出ているわけであります。そういうような問題もある。また、下流部における今後の水利用ということも十分考えていかなければならぬ。従って、余っておるというけれども、やはり、総合的な視野から見て計画的に処理をしないと、一般常識として余っておるという考えではなかなか処理できない。今渡流量等の制限規程の問題もある。上流、下流を含んでのいろいろな従来の既得権あるいは今後の発展の展望というものも十分にらみ合わさないと、単に愛知用水の受益地区内における交流の諸問題だけの関連では処理し得ない。また、同時に、そういう問題の処理が愛知用水事業の基本計画というものに支障を及ぼすということは絶対許すべきでない。こういういろいろな問題等もありまして、これらの問題については、今後具体的に現われる諸問題とも関連をして、是非曲直から見て追及しなければならぬ問題が生じてくる場合においては、私どもは今後とも本委員会においてこれを取り上げなければならぬと思っておるのであります。いささか心配でありますのは、大臣が何か、木曾川の水を愛知用水の幹線水路を通じて取る場合でも、余った水でも使うような感じが強いのではないかということですが、その点いかがですか。
○周東国務大臣 御心配でありますが、私は簡単には考えていないのです。余った水があればということで、つまり、優先的に農業灌漑用水を確保する、その上に余った水があれば工業用水にも利用させて、ともに発展させたらよかろうということであります。もちろん、これは、将来の問題として、計画に基づいて時期的にあるいはどういう場所でどういうふうに水を分けるかということも当然問題になってくる問題であります。そういう点は十分に慎重に計画に基づいて処理をいたしたいと考えております。
○角屋委員 愛知用水公団の法改正に伴っての職員等の身分の異動の問題、あるいはまた豊川用水事業の継承によるところの豊川用水事業の職員との関係というこの問題が、一昨日以来の審議の過程でも出て参っております。これは、やはり、今日までずいぶん苦労して仕事をして参りました愛知用水公団関係の職員についても、あるいは継承さるべき豊川用水事業の職員についても、この法改正が処理される場合において、二百数十名の者について残念ながら他に転用せざるを得ないという事態にあるようであります。これらの問題については、農林省、公団、あるいは豊川用水事業関係、あるいはまた県その他の受け入れ態勢の間で遅滞なく処理できるという責任を持って処理されるのであるかどうか、これは特に関係者としては非常に重要な問題でありますので、農林大臣の所信を承っておきたいと思います。
○周東国務大臣 細目についてはおそらく局長から御説明申し上げたと思いますが、私は、角屋さんの御心配のないように、責任を持ってこれが就職あるいは転職等にあたりましては努力し、一人も職を失なうことのないように努力をいたしたいと思っております。
○角屋委員 愛知用水事業の今後の営農指導の問題、あるいはまた耕地整理、水田の今後の残された改良等、各般の問題が具体的には出てくると思っておりますが、一昨日来の審議の中でもこの問題は相当具体的に取り上げて論議して参ったのでありますが、大臣にもいろいろお伺いしたい点はあるわけでありますけれども、時間の関係上これらの問題については割愛をいたしたいと思います。
 ただ、申し上げるまでもなく、今日愛知用水事業の関係は基幹の工事が終わったのであって、いよいよこれから営農指導の問題を含めて具体的に実り多き成果を得るように努力するのは今後の農林省の大きな責務にかかっておると思うのであります。その点では、現地側の要望に即して、愛知用水事業が外資導入等とも見合いながら非常に特異的な総合開発をやったという成果が今後においても得られるように努力をしてもらいたいということを要望しておきたいと思います。
 ただ、審議の過程で出て参った具体的な問題の一つに、これは与党の丹羽先生からも出ておった問題であり、私どもの連合審査の中ではわが党の加藤さんからも出ておった問題でありますけれども、危険防止の問題ということが一つ現地側の問題としては相当深刻な問題であろうと私は思うのですが、御承知の通り、愛知用水事業の幹線水路の設計断面、あるいはあの状況等を見て参りますと、水深、あるいは流速、あるいは設計断面におけるコンクリートのライニングとか、いろいろな点等から見て、児童その他危険を伴う要因がなかなか多いわけであります。今日まで百二十キロ近い幹線水路の中で四キロ近い程度のものについて危険防止のさく等を実施したということが、今日までの審議の中で出ておりましたが、これは、やはり、その程度でなくて、もっと人命尊重という立場から、今後とも、予算その他の問題についても、国、県、公団、こういうようなところで実施すべき必要な問題については、これはやはり金を惜しむことなく実施していく、こういうことで処理されて、せっかく行なった愛知用水事業の幹線水路が魔の水路になり果てないということについては、今後とも責任を持ってやる必要があるのじゃないか、こう思っておるわけですが、これは一昨日来の論議で現地の要請としてはきわめて強い問題の一つでありますので、特にこの際農林大臣の見解を承っておきたいと思います。
○周東国務大臣 御指摘の点はごもっともであります。私どもは、せっかく作ったものに魂を入れないようなことではだめでありますから、基幹水路ができた、これからあとにおける営農実施にあたって必要な処理は今後とも十分に考えていきたいと思っておりますし、その際において水路が非常に危険な立場にある、これに対して、さくその他に関して、人命を守る、農家の生命を守るために、また通行人の生命を守るために十分の処置を講じていきたと思います。
○坂田委員長 角屋君に申し上げますが、時間が切迫しておりますので……。
○角屋委員 一問だけで終わらしていただきます。
 愛知用水公団法の一部改正に伴います今回の法改正の問題は、単に愛知用水事業の終了に伴う職員の具体的な活用問題という当面の問題だけで私どもは必ずしも解釈するわけにいかずに、今後水を中心にした総合開発をやる場合の基本的な性格というものが一体どうなっていくのか、特に農林水産関係の立場から見てどうなのか、こういうふうな将来の展望を考えて参りますと、経済の高度成長に伴う水の工業用水、都市用水関係への利用ということは、方向としてもこれは認めなければならぬと思いますけれども、農業用水が慣行水利権その他水のコストとの問題とも関連して十分農民の立場に立って処理されないと、これが大産業・大企業の犠牲になってしまう、こういう危険がなしとしないところに、今後の水資源開発公団の問題についても、あるいは愛知用水公団法が将来発展していく方向についても、大きな疑点を持たざるを得ないという立場を私どもは持っておるのであります。同時に、お伺いした中で、大臣は画一的に処理しないと言いましたけれども、農林省の行政機構改革というような問題の中で、公団、事業団等ワン・クッション置いて、いわゆる農政上の国の責任というものをそれで回避していくという方向が今後出るとしますならば、これもやはり相当大きな問題になるだろうというふうなこと等も含んで、本問題の処理については今日まできわめて慎重にしてきたわけであります。いずれにいたしましても、愛知用水事業が終了する問題については、やはり、先ほども申しましたように、特に県あるいは土地改良区、地元農民というふうな立場から、いろいろ、公団等を通じ、県等を通じ、農林省に実り多き成果を得るための具体的な要望というものが今後相当に出て参るであろう。そういう問題については、特にこういう画期的な事業については、農林省としても本腰を入れて今後の具体的な指導・援助ということに当たられるよう、切に希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○坂田委員長 他に質疑の通告もないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。
    ―――――――――――――
○坂田委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決いたします。
 愛知用水公団法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○坂田委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決いたしました。
 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
 午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。
   午前十一時四十九分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時三十二分開議
○坂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。
 すなわち、水産に関する小委員会、食糧に関する小委員会、甘味資源に関する小委員会及び畜産に関する小委員会を設置することとし、各小委員会の委員数の決定並びに小委員及び小委員長の選任等につきましては委員長に御一任願いたいと存じます。
 なお、小委員の辞任及び補欠選任、並びに、小委員会において参考人の出頭を求める場合、その日時、人選、また関係方面からの資料の要求等につきましても委員長に御一任願いたいと存じます。
 以上について御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂田委員長 御異議なしと認め、さように決しました。
 なお、以上の各小委員及び小委員長は委員長において指名し、公報をもってお知らせすることといたします。
     ――――◇―――――
○坂田委員長 急傾斜地帯農業振興臨時措置法等の一部を改正する法律案起草の件についてお諮りいたします。
 御承知の通り、急傾斜地帯農業振興臨時措置法、湿田単作地帯農業改良促進法、海岸砂地地帯農業振興臨時措置法、畑地農業改良促進法、以上の四法律は来年三月三十一日をもって失効することになっておりますが、急傾斜地帯農業振興臨時措置法等による農業振興計画等の実施の状況にかんがみ、また、昨年積寒法の有効期限を昭和四十一年まで延長いたしましたこととも関連して、これら四法律の有効期限を四年間延長することが必要であると認めまして、ここに各位の御賛同を得てお手元に配付いたしましたような案を委員長において起草した次第であります。
    ―――――――――――――
  急傾斜地帯農業振興臨時措置法等
  の一部を改正する法律案
   急傾斜地帯農業振興臨時措置法
   等の一部を改正する法律
  (急傾斜地帯農業振興臨時措置法
  の一部改正)
 第一条急傾斜地帯農業振興臨時措
  置法(昭和二十七年法律第百三十
  五号)の一部を次のように改正す
  る。
   附則第二項中「昭和三十七年三
  月三十一日」を「昭和四十一年三
  月三十一日」に改める。
  (湿田単作地域農業改良促進法の
  一部改正)
 第二条 湿田単作地域農業改良促進
  法(昭和二十七年法律第三百五十
  四号)の一部を次のように改正す
  る。
   附則第二項中「昭和三十七年三
  月三十一日」を「昭和四十一年三
  月三十一日」に改める。
  (海岸砂地地帯農業振興臨時措置
  法の一部改正)
 第三条海岸砂地地帯農業振興臨時
  措置法(昭和二十八年法律第十二
  号)の一部を次のように改正す
  る。
   附則第二項中「昭和三十七年三
  月三十一日」を「昭和四十一年三
  月三十一日」に改める。
  (畑地農業改良促進法の一部改
  正)
 第四条 畑地農業改良促進法(昭和
  二十八年法律第二百五号)の一部
  を次のように改正する。
   附則第二項中「昭和三十七年三
  月三十一日」を「昭和四十一年三
  月三十一日」に改める。
    附 則
  この法律は、公布の日から施行す
 る。
    …………………………………
    理 由
  急傾斜地帯農業振興臨時措置法等
 による農業振興計画等の実施の状況
 にかんがみ、同法等の有効期限を延
 長する必要がある。これが、この法
 律案を提出する理由である。
    …………………………………
   本案施行に要する経費
  この法律を施行するには経費を要
 するが、その所要額は、土地改良法
 等当該事業に関する法律の施行に伴
 う経費を含むものであって、急傾斜
 地帯その他各地帯ごとの農業振興計
 画の内容によって定まる。昭和三十
 七年度において当初振興計画等の残
 事業量の二割程度の事業を実施する
 ものとすれば、その所要額は、約五
 十億円程度の見込みである。
    ―――――――――――――
○坂田委員長 この案について御意見なり御質疑があれば、この際発言を許します。
 足鹿覺君。
○足鹿委員 若干のお尋ねを農林大臣にいたしたいと思いますが、まず第一に、ただいま議題となっております四つの特殊立法は、積寒法とともに昭和二十六年、二十七年、二十八年と順を追って議員立法として決定をされ、今日に至ったものであります。自来、その法実施の実績について調べてみますと、その成績は遅々としてあがっておりません。積寒法におきましても制定以来十一年を経た今日約五九・二%、急傾斜が十年を経た今日三六・八%、湿田単作が五三・七%、砂地が三四・六%、畑地振興が三九・二%という程度でありまして、かつて食糧増産政策の重要な一環として低位生産地帯あるいは後進地域に対する民意を織り込んだこの法律の成果が、このような事態であっていいでありましょうか。私どもは、議員立法なるがゆえにこのような事態が放置されたり、またそのような考え方によってこういう事態になったとは考えませんが、三十四年の砂地法案及び畑地法案の審議の際におきましても、政府は、議員立法を認めない、政府提案でやるのだと言いつつ、今度は議員立法にまた依存をするというふうに、何か納得のいかない、その時折りの情勢が作用しておるように思われることを遺憾といたすものであります。このような遅々とした五つの特殊立法の進捗度の中にありましても、積寒法と湿田単作は主として水田を対象としたものでありますが、これは五〇%以上の一応の進度を示しておるのに反し、急傾斜、砂地、畑地等は三〇%余にすぎないのでありまして、同じ特殊立法の中にありましても、畑地と水田地帯には進度においてもこのように大きな開きのある事実を私は指摘をし、今後この法の運用に対していかように農林大臣は措置されようとされますか、議員立法の趣旨とその性格に特に意を用いられて今後いかようにこの法律の成果を短期間に当初の目的達成のために運用せられるかをこの際まず承っておきたいと思うのであります。
○周東国務大臣 御質問の点でありますが、別に、これらの五法律関係の仕事がおくれておることについて、議員立法であるからということはございません。私は、おそらく、その中でも積寒地帯と湿田単作地帯においてはかなり進捗しておると思いますが、その他の法案の出たのがこれよりもおくれているという点もありましょう、しかし、それは形式的な問題でありますが、どうしても、これらの地域というものが比較的農家として負担力の少ないところであり、これらの地域の改善その他についての問題についてはかなり経費がよけいかかるというようなときに、その間における特殊な配慮が多少おくれておるのではなかろうか、こういうような点も考えられるのであります。私どもは、今日一応この法律の施行期間の延期をお願いをいたしておきまして、農業基本法等においても、成立の暁におきましては、やはりあの中にも特殊地域については特殊な考慮を払わなければならぬことも書いております。そういう点等も参酌いたしまして、将来は、これらのおくれた地域、特殊な地域における農家、農業のあり方について特に考慮を払っていきたいと思うのであります。
○足鹿委員 従来の経緯等についてくどくどと申し上げる気持はございませんが、若干この際農林大臣の御認識を深めるためにも、一言申し上げて御意向を特に承っておきたい点があるのであります。
 それは、昭和三十四年に畑地農業と砂地の両方の期限延長を行ないました。その際に、他の急傾斜であるとか、積寒であるとか、湿田単作等との関係、振り合いを見まして、その期限を三十七年にそろえまして、そうして、そろえるという目的は、おのおのがちぐはぐなことをやめて、少なくとも目的をひとしくする畑地とその他のものとは、大体において大きくこれを総合制度化していくことが妥当であろうというので、各法律に基づく審議会の会長にもしばしば御出席を願って、意思統一を行ない、どのようなものを作るかということについてはその後お互いに検討しよう、こういうところにまで具体的に相談を進めて、そうして、そういう理解の上に当委員会としては附帯決議を付しまして、その延長に同意をいたしました。特に、畑地と砂地は、その目的とするところがきわめて一致しておりますので、これらを中心に畑地総合立法を検討すべきであるということが特に附帯決議では重視されて決定されたのであります。越えて昨年の畑地農業審議会におきまして、私も委員の一人として一年間その審議に従事いたしましたが、特に問題の重要性にかんがみまして、畑地農業審議会としては異例の措置として農林省の協力を求めまして、畑地農業改良研究会を設け、一方において農業の基本問題調査会が発足して作業を進めておるさなかであるにもかかわらず、きわめて後進性の強い畑地農業振興の専門的な研究をすることはきわめて時宜に適しておるという趣旨から、あえて研究会を設け、あらゆる角度から、三十名近い学識経験者あるいは審議会を代表する私どもが出席をいたしまして、特に元京都大学の教授でありました大槻正男先生を会長にしまして、二月から秋の十月まで月に数回ずつ会合を行ない、最終的には泊まり込みを行ないまして検討に検討を重ねて、大臣も報告によって御存じでありましょうが、「畑地農業改良の基本的方向」なる一文をまとめまして、日本の畑作農業の今後のあり方、またその近代化、高度化に必要な諸条件を検討いたしまして、これを審議会の全体会議に報告をし、去年の十月十四日に会長の松浦周太郎氏名をもって建議を農林大臣に行なって今日に至っておるのであります。しかるところ、政変等の事情もあったでありましょうが、しかしながら、いかに内閣はかわりましても、事務局はそう大きくかわっておるものでなく、事の重大であるだけその必要なことが認められておる以上は、もっと積極的に具体的にその建議の趣旨を、また従来の本委員会のたび重なる決議の趣旨を尊重されて、本日この延長の決議をするまでもなく、少なくとも畑地農業に対する総合的な制度について当局が本委員会にこれを報告し協議を求める程度の準備はされてよかったのではないかと思うのであります。しかるに、またまた四十一年までこれを延長するということでは、まことに私は遺憾に思うものでありまして、特に、畑地農業と水田地帯の生産力の格差、従って所得の格差は、水田地帯農家が二十八万円の収益をあげるのに対し、同程度の畑作地帯が十六万円程度に彷徨しているというこの大きな格差は、農業と他産業との所得の格差以前の問題として、農業内部のこの大きな格差をいかにして圧縮し解消するかという農政に課せられた重大な課題であるにもかかわりませず、これを今日までのこのままの姿でまたまた再延長するがごときは、私は、農政の貧困と言いますか、行政当局の怠慢とでも言いますか、まことに遺憾千万に思うものでございます。そういう点でわれわれにも一半の責任のあることを認めますが、少なくとも資料を整備し、大体の進むべき方向も具体的に検討したものを示しておるわけでありますから、これらの点に沿うてでき得る限りすみやかに畑地農業振興の総合制度の実現に向かって邁進されなければならぬと思います。
 ついては、この際、この種の特定農業地域法の今後のあり方については農基法との関連もあるので検討するというお話でありますが、四十一年までに総合制度を作るかあるいは他の措置を講じられるかということをきめたのでは、少なくとも今日の急迫した事態に間に合いません。従って、本法案の趣旨に沿うような対策を大体いつごろをめどとして農林大臣は検討される御所存であるか、この点を、農基法との関係を考慮するという先ほどの御答弁もありましたので、この際少なくとも大臣としての腹づもりを明確にしていただき、全国のこの畑地農業の将来について非常な不安を持ちまたこれに対する具体的対策の出ることを待っている農民に対して、その方向と限界を示してもらいたいと思います。ただばく然と考慮するというのではなくて、四十一年まで一応これは仮の延長と私は考えたいので、少なくとも来年度一ぱいくらいにはかわるべきものを作り、必要があればそのときには新しく出発するものに乗りかえていくぐらいの強い決意をもって対処されることを私は望むものでありますが、その点についての大臣の御所信を承りたいと思います。
○周東国務大臣 このたび制定をお願いしております農業基本法というもののねらいは、一つは、御指摘の通り、畑地というものの後進性というもの、及び、畑地の中でも地域的に特におくれておるという問題についての地域的格差といいますか、農業間における格差というものを解消し、また、そういうことのできるだけ格差を縮めていくことを一つの念願とし、目途としていることは御承知の通りであります。従って、私は、農業基本法も制定せられるのであり、ことに、その第二条二項でしたかに、特殊地域においては特にその地方の事情を考えて施策を立つることを義務といたしております。従って、従来は個別的に一つの法案ができておりますが、これに対しては根本的に考え直さなければならぬ。ことに、足鹿さん御苦労願いまして、昨年の十月十四日に畑地農業に関する根本に対する方策を答申いただきました。目下は、これらに対して、答申があったからすぐというわけになかなかいかない点もあり、いろいろな生産の問題なりあるいは畑地灌漑用水の問題なり、その他畑地における営農形態というような問題については相当に研究を詰め、そうしてよいものを作りたいという意味で、農林当局は自後研究を続けておるわけであります。今国会におきまして間に合わなかったことははなはだ遺憾といたしますけれども、まあ、妙な話ですが、その上の大きな基本となるべき農業基本法の制定というものに没頭を一面しており、片一方においては答申に基づいて研さんをいたしておりますものの、具体的にどうするかという問題についてはまだ問題を残しております。従って、できるだけ早く、これらの答申に基づいて、御趣旨を生かし、そうして、あるいは現在ある五つの法案を一本にまとめてやるのがいいのか、あるいは中によっては特別にやった方がいいのか、こういう点は十分考えて、できるだけ早く処置いたしたいと思います。これは、ちょっと期間は延長しておくが、しかし、四十一年まで捨てておく考えはございません。当然、これは、農業基本法が施行されれば、この法律の趣旨から言いましても、それぞれ必要な点は直ちに研究、施策立案に着手しなければならぬと私は考えております。
○足鹿委員 御所見を承ったわけでありますが、政府案の農業基本法の第二条によりますと、自然的・経済的・社会的な不利を補正することがまず農業基本法の目的の中心であるということをうたっておられます。だとするならば、私が今指摘したごとく、最も不利を受けておる問題に対して、この四つないし五つの農林省所管の特殊立法については根本的にお考え願わなければならぬ。従来においても、われわれ、国会の責任において、議員立法として、政府が手をつけない問題に対して、大蔵省がいい顔をしないにもかかわらずわれわれはその所信を通した。従って、われわれは、むしろこの自然的・経済的・社会的な不利を補正するということについては少なくとも今から十数年前に最も手近な問題としてこの問題を取り上げておったはずなんです。ですから、歴代の政府が直撃にこの問題を解決しようとしておったならば、前段で述べたように、平均して四十数%程度の進度などということはあり得ないと私は思う。そこに、熱意の欠除というか、具体的な対策のなかったというか、このような事態を現に招来しておると思うものであります。
 そこで、私は、大臣が今後なるべくすみやかにやるということでありますから、これ以上は来年度か再来年度かということについては申し上げません。申し上げませんが、ただ、問題は、この残事業をどうするかという問題であります。少なくとも、この本日もらいました資料によって見ましても、驚くべき残事業がございます。十年かかって半分も事業が進んでおらない。これは昭和三十四年に畑地と砂地の期限延長の際にも私は申し上げた。残事業を消化するために、新しい計画を樹立して、重点的に予算を計上し、少なくとも残事業の早期解消をはかるべきことを申し上げ、審議会においてもそのことは申し上げた。少なくとも私どもがこの問題に対して非常な熱意を持っておりますゆえんのものは、政府の農政方針によれば、食糧増産の段階から農業生産基盤の整備という新しい方向に農政の方針を打ち出されておるわけでありますから、少なくとも、従来のように食糧をたくさん作る面積を優先するというような考え方ではなくて、農業一般の条件をよく見て、それが食糧の増産になるかいなかよりも、農業の近代化や経営の高度化や専門化にどういう必要があるのかという観点に立ってその政策をきめられる筋合いであろうと思うのであります。そういう点から言いますならば、この自然的・社会的・経済的に恵まれなかったこれらの地帯に対して、急速な残事業の解消の手を打たるべき筋ではないかと思う。私は、昨年の予算において食糧増産対策というものを名前を変えて生産基盤の整備という項目に変えられた意味は、少なくともそういう点にあったと思う。ところが、依然として、看板だけであって、中身は従来の方針に大きな変化は見ないと言っても過言でないでしょう。この重大な特殊立法、四つないし五つの法案によって少なくとも完了しておらなければならぬ仕事が、いまだにその半分にも達しない、進捗度について見れば四〇%程度であるというに至っては、全く何をか言わんやであります。政府は農政転換を口にしながら、実質的には農政転換の生きた具体的な手に欠くるものがあることを証明しておると言って言い過ぎでないと私は思います。従って、この残事業の早期解消について、先ほど農林大臣はできる限りすみやかにと言われたが、少なくとも、できる限りすみやかな期間にどのような年次計画でどのような重点計画でもってこの事業を完遂されようとしておるか。たとえば、それに必要な予算の措置にしてみましても、補助率の問題もございます。大きな畑地灌漑の国営事業の実施されようとしておる地帯においても、大きいダムについても従来の補助率でこれを知らぬ顔をするというようなことでは、とても受益者の負担という点でたえられない問題もすでに起きてきておる。また、土地改良問題に端を発するところの改良区の再建整備問題も起きてきておる現状から考えて、補助率の引き上げ是正、また金利の長期・低利の融資の供給といったような一連の予算措置がこれまた伴って初めて残事業の短期解消という目的が達成できるのではないかと思うのであります。この点については昭和三十四年も当委員会において私がるる附帯決議を付する理由について申し上げておりますが、少なくとも、でき得る限りすみやかにやると言われるならば、その期間において残事業をどのような計画でどのような予算対策でこれを処置されようとお考えになっておりますか、この点、もしお考えがあるならばこの際承っておきたい。
○齋藤(誠)政府委員 今回この特殊立法についての期限延長がありました場合におきましては、われわれといたしましては、早急に残事業量についての第三次の計画案を作る考えでございまして、いずれ審議会に諮りましてきめることになろうかと考えておりますが、御承知のように、第二次計画におきましては残事業量の約六割ということが目安であったのでございます。もちろん、事業の内容によりまして、すでに百パーセント近いような事業もありますし、また、非常におくれたような事業もあるわけでございますが、計画量といたしましては、われわれといたしまして現在、事務的には、少なくとも残事業量は第三次計画において実現して参りたい、かように考えております。もっとも、その後におきまして、やはり、当初の計画から地元の要望が変わってきた部面もあったり、さらにまた、一そう当初の計画を延ばすべきものもあるというようなこともございますので、今その間の当初の計画と現在におきまする要望事項とを相照らし合わせながら第三次の事務当局案というものを計画量として策定をいたしておる段階にあるわけでございます。
 計画量としてはそのように考えておりますが、今お尋ねの、しからばこれに対する融資なり補助なりをどうすべきかということでございます。予算額といたしましては、この事業に必要な予算額についてはもちろん努力すべきでございますが、補助率等につきましては、なかなか御要望のようなことには現在までに至っていないことは申しわけないわけでございます。しかし、その間におきましても、たとえば畑地灌漑であるとか、あるいは本年度は北海道における畑地の土地改良事業であるとかいうような面におきましては若干の補助率の引き上げを行なっておるわけでございますが、なおこれらにつきましては今後の総合的な対策を検討する間におきまして十分研究して参りたい、かように考えております。
○足鹿委員 きわめて具体的な御質問を申し上げておるわけでありますが、これに対する振興局長の御答弁は満足できないのであります。すなわち、この北海道の、若干の変化はございますが、三十六年度予算を通覧して感じますことは、政府が、農基法で、選択的拡大であるとか、需給の見通しに立って伸ばすべき部門に対しては重点的な施策を講ずるとかいろいろ申しておられるが、実際において、畑地における生産基盤の整備拡大というようなことに対しては、予算そのものの上に情熱が盛られておらぬのではないか、何ら変化を認めることができないことを私は遺憾に思う者であります。そういう点からも、少なくとも、残事業の一掃の問題については、本年度あるいは来年度等によって、今局長が言われたように伸び縮みはあるといたしましても、それらをよく検討して、少なくとも基礎条件の整備程度はまず第一段階でめどをつけて終止符を打つ、そして、これから伸びるであろう第二段階の問題に向かって、振興局を中心に、また他の団体の協力を求めて、農民の意欲を高進して善処されなければならぬのではないかと思うわけでございますが、この点についてはあえてこれ以上申し上げません。
 第四の問題については、少なくとも私どもが従来から主張しております畑地農業の振興については、この特殊立法の前段にあって、少なくとも十年をわれわれは経過したわけでありますから、少なくともこの生産基礎条件というものはもう一応整備して目的を達成されておらなければならぬ段階だと思う。にもかかわらずそれが半ばにも達せぬという際に次の段階を望むことは、おそらく今の行政能力からしても困難かと思いますが、少なくとも問題を指摘しておきたいと思う。それは、先ほども述べましたように、選択的拡大ということが政府の農業基本法の中では特に重視されておる。貿易自由化の問題に関連してこの点が大きい問題として取り上げられておるのでありますが、これらといえども、木によって魚を求めるわけにも参りませず、整備された基礎条件の上に少なくとも経営と技術がそこに総合された新らしい体系のある畑地農業の振興政策というものが打ち立てられていかなければ、選択的拡大などということはおよそ言うべくして実行できないものだと言わざるを得ません。従来、農基法の精神を貫いておるもの、また、政府の農政の大きな流れとしては、ややもすれば多角経営というような考え方が前面に出ておるわけでありますが、私どもは、畑地農業に限らず、わが国の農業の今後のあり方については、生産性の低い多角経営であってはならぬ、少なくとも生産性の低い多角経営の再検討にまずわれわれは新しい進路を求めなければならぬ、そういう観点に立たざるを得ないのでありまして、水田の場合におきましては田畑の輪換による畜産との関係を考慮した飼料の自給化の問題、また、畑地の問題につきましては水資源の開発とその合理的利用の問題等、およそ大きな問題を解決していかなければならぬのであります。こういう畑地農業の振興は、従来の畑地振興というような狭いものではなくして、少なくとも水田の領域にもまた草地の領域にももっと大きく規模を広げた体系立った大きな政策が必要とされておる段階だと思うのであります。そういう問題に対してまず基本的な手を打ち、しかる後にまた――今麦を制限して他作物への転換を選択的拡大という立場から政府は指導しようとして問題を惹起しておりますが、そういう転換の場合にあっても、合理的な作付体系、輪作体系というものが動力や技術やいろいろなものとかみ合ってそこに具体的に農家に実施せしめる確信のある指導方針なくして、いたずらに選択的拡大などということは言うべくして行なわれるはずはございません。私は先般九州に参りました際に暖地てん菜糖の状態を見ました。大分県の実証でありますが、他の作物を作れば数万円の収入のあるいいたんぼで、ことさらにてん菜を栽培して、反当六千円、七千円というような見すばらしい収穫で、一年でてん菜栽培を打ち切って、現地には新光てん菜糖株式会社とかいう六百トンのてん菜工場がりっぱに完成しておるのにもかかわらず、開店休業の事態を招来して、労働問題、あるいは農民に対するてん菜栽培指導の責任を追及するようなあわただしい動きすらも出ております。これらは、技術体系といい、また輪作体系といい、具体的な生産技術に対する何らの確信もなく、具体的な指示も全くなし得ないままに、農民を一つの新しいものにつって、そうして、この甘味資源国内自給の前途に暗影をもたらすような事態を現出したことは、政府にもその一半の責任があると私は思う。大分県当局の話でも、農業関係のいろいろな名目の予算はほとんどてん菜糖に打ち入れ、つぎ込んで、他の仕事に大きな支障も来たしておるやに私は仄聞をいたしました。それまでつぎ込んだことがそんな事態になったということは、一体だれの責任でしょうか。その被害は農民が受けるのであります。また、その企業体が受けるのであります。そのことは甘味の国内自給に重大な支障となって現われ、あなた方が考えておられるような麦の代作としてのてん菜糖は、みじめなこのような事態によってつぶれていこうとしておるのであります。いかに現在転作ということが困難であり、かりに転作が成功したとしても、いろいろな他の条件によっては前作物にかわるような有利性というものは簡単に生まれるものでないということを証明しておると私は思うのであります。そういう点からも、この種の立法の目的とした基礎条件の整備、すなわち、新しい畑地農業あるいは後進地域に対する総合的な立法というものについては、少なくとも、営農技術と営農体系、そういったものをよく検討し、間違いのない体系を確立して、それによって指導していかなければならぬと思います。作付体系の場合においては、機械力の導入等は必須欠くべからざる最近の情勢になってきておると思いますが、それらがいかように組み立てられておるのか、全くわれわれは知ることができない。そういうことで一体何ができるでありましょう。
 そういった点から、今私が求めておるものは、生産基盤の急速な整備充実と、その上に置かれる体系ある一つの政策の統合的発展であります。そういう点から、全国的な畑地関係の地域施策をこの際確立してもらいたいのでありますが、その際における若干の構想の一端を申し上げますならば、まず、来たるべき総合立法の一つの問題点としては、草地を含めた畑地農業という点を一つの柱とし、第二には、その実施の段階にあっては、経済的劣弱地域の事業の優先実施の問題を考え、また、第三に、農協等による事業として近代的な農産物の第一次加工事業等の育成の問題を考える、そうして、これを各部門的に縦割り的な方式でいくか、ある限度においてこれを総合的なものでいくか、いろいろな問題があるでありましょうが、少なくとも総合的な運営によってこれらの後進地域なり後進畑地農業が総合的に振興せしめられるような一つの制度を考えるべきである。これが急速に樹立、実施の運びに至るべきものではないかと思うのであります。その点について私はまだいろいろと申し上げたいことをたくさん持っておりますが、重要な点でありますので、結論的に農林大臣の御所見か承り、私の申しておることが大きなあやまちを犯しておらない限り、この際政府の御所信を承って、この四法律の期限の延長には何ら異議を差しはさむものではありませんが、単にこれを延長することをもってのみ満足してはならない、この点を念を押してこの際大臣にお尋ねを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
○周東国務大臣 個別の問題についてはいろいろ研究いたさなければなりませんが、総括論といたしまして、足鹿委員の御所論は、私は傾聴いたしておりました。水田の経営についてはなお研究もされ、その方で今まで有利になっておったことは御承知の通りですが、今後の日本農業のあり方として、畑地における経営についてどういうことをするかということが、農業者の所得の増大にもなり、生産の増大にもなると思う、その意味におきましては、今後の農業政策の大きな一つのねらいは畑地農業をいかにしていくかという問題について取り組むべきであるというあなたの御所論には私は全く同感であって、私は、その意味においてこそ、畑地灌漑についてはもう数年前から考えている。水さえあれば関東平野における畑地農業がもっと発展し所得が上がったはずだ、こういうことも一つの点であると思います。今日の場合におきまして、私どもが、新しくやっていこうとする農業の成長部門における作物、あるいは農業経営の内容というものは、そういう意味においては大部分が畑地を対象にいたしております。今日まで五部門に分かれて特殊な立法がありますが、こういう点は当然再検討せられていくべきであり、そのやり方あるいは法制・制度の立て方について十分にできるだけ早く考えていきたい、こういうように私は考えて所信を述べた次第であります。
○坂田委員長 湯山勇君。
○湯山委員 大臣に簡単に最初に一つお尋ねいたしたいと思います。
 それは、今足鹿委員の御質問に対して、大臣も、非常に考えなければならないというようなことでありましたけれども、この特定地域の、今出されておる四つの法律、これに関連する事業が非常におくれておるという原因については一々お聞きしたいのですけれども、こちらから先に申し上げたいと思います。それには、大臣もおわかりのように、補助金の問題、条件の問題、その他いろいろな条件が重なっておるのであって、これを今後予定通り遂行していこうということになればそういう悪条件になっておるものを除去しなければならないわけで、そうすれば、今御質問の中にあって答弁が少しぼやけておりましたけれども、基準の引き下げとか、あるいは長期・低利の融資とか、予算の増額とか、そういうことは当然なされなければならないと思うのですが、これは大臣どうですか。
○周東国務大臣 私ども農基法の御審議を受けております間にたびたび申しましたように、これからの農村に関する施策について総合的に計画を立て、それに対して必要なる予算的あるいは金融的措置をつけるということを考えております。だから、私どもは、できるだけ御趣旨に沿いつつよい制度を立てて、それらの実行にあたっては十分に予算的あるいは金融的の措置について考慮を払っていきたいと思っております。
○湯山委員 そこで、その中で私は特に急傾斜地帯のことについてお尋ねしたいと思うのです。大臣は、農業基本法との関係もあるからこういう施策は進めていくのだということでございましたけれども、大臣も御存じだと思いますが、この急傾斜地帯で、大臣がおっしゃるような意味における農業基本法でいう選択的拡大、そういうことの対象になるところは、もう事業も相当進んでおります。この地域は、今振興局長の方からも、ずいぶん進んでいるところもある、要望の強いところもあるということが御指摘になりましたけれども、実は、今残っておるところというのは、そういう対象にならない、基本法が通った後になお残されていく、そういう条件のところだと思うのです。水があればいいとおっしゃいますが、これも御存じのように山のてっぺんにため池を作らなければどうにもならないというような性格のところであるし、それから、作っているものは、御存じのように、台風常襲地帯の関係もあって、イモと麦、その麦にしても南の方ははだか麦です。それらがいずれも選択的拡大の対象になっておりません。そうなってくると、むしろ、いろいろな施策をなされても、それによって絶対的な生産の拡大ということは望めない作物であるし、選択的拡大の中からも取り残されていく。そうすると、大臣が言うように農業基本法が前提になってこれらの地域開発をやっていこうということであれば、むしろ残る条件の方が強くて、進めていかれる条件が乏しいものが今日残されておる、これが実態なんです。そうすると、今のような御答弁を大臣がなさっても、むしろそのことは関係農民には不安の要素になっても楽観する要素にはなってこない。そこで、こういうことについてはもっと違った角度から御答弁願わなければ、私は今やめろと言われてもちょっとやめるわけにはいかない。そこでお尋ねしているのです。時間もおありにならないようですから、簡単によくわかるように一つ御答弁を願いたいと思います。
○周東国務大臣 具体的の場所がどこかということはよくわかりませんけれども、私は、湯山さんが、たしか農業基本法の審議のときであったかと思いますが、お尋ねになった点と同じ場所だと思います。その場所については、これはやはりよく調査をし、その場所に適した転作をやるとか、その転作がいかぬのならばいかなる措置をとるのがいいかということは、私はよくその実態を調査してこれに臨むべきであると思います。私が農業基本法を引きましたが、農業基本法によるとかえって残されるのではないかという話でしたけれども、やはり、この二条の二項等におきまして、施策を立てるについては特殊的地方事情を参酌してものを考えるし、これはそういう地域が非常に広域にわたってたくさんあるかどうかは知りませんが、しかし、特にそういう場所について特殊な施設をしなければならぬかどうかということは、少数であろうとも、その特殊な地帯における農業者の実態を調査して、それに適する施策を立てていくということが一つの方法だろうと思います。
○湯山委員 これは、大臣、急傾斜地帯というのは大体そういう性格を持っておると思います。ことに、大臣もよく御存じのように、海岸地帯、島、それから山と平地との境界でしかも傾斜の急なところというようなところは、大体同じような条件のところが多いわけです。やはり、その地帯が特殊であるからこそこういう立法があるわけで、一般的でないのですから、今のような観点で御配慮を願いたいと思うことと、もう一つは、こういう地帯の特徴として、山間部では林業兼業、海岸部では漁業兼業のところが特に取り残されています。これは地元負担の力が弱いということもありますし、今のような条件とからんでおるわけです。そうすると、この問題は、今おっしゃったようなきわめて特殊な中の特殊なものでなくて、むしろそういう急傾斜地帯では一般的なもの、こういうことでお考えいただかないといけないと思います。そこで、兼業に対する問題、こういうことも考えていただかなければならない。御存じのように、特に婦人労働が多いのです。こういうことを考えてみると、これは単に生産だけの問題ではなくて、もっと社会保障とか人道的な――急傾斜地帯の女の人は上がりおりするために特殊な病気さえ起きています。もっと人道的な観点からこれは考えていただかなければならぬ問題ではないかと思いますので、一つもう一度そういう点も含めて御答弁を願って、大臣に対するお尋ねはこれで終わりたいと思います。
○周東国務大臣 その御指摘の場所がどういうふうな場所かよく調査しなければわかりませんが、しかし、私どもは、一面において農業、林業等における対策を、特殊地帯には特殊地帯に応ずるように立てつつ、一面には、兼業のできるような場所ならば、農外所得の拡大について考慮するということ、もう一つは、今お話しのように、社会保障的なことを積極的に考える必要はないか、この点は、私、はっきり申しますが、厚生大臣とも話しております。農村関係において社会保障的な関係は非常におくれておる。ことに婦人に対する問題もおくれておる。こういう問題については、関係省とも連絡して次の段階にこれに特に力を入れたいと思っております。
○中澤委員 関連して伺いたいのでありますが、今湯山君が言ったように、特にこの急傾斜地帯の麦作が私の県なんかでも問題なんですが、麦作の転換のしょうがないということで非常に困っておるのです。どう転換していったらいいだろう、ビートもだめだし、転換のしょうがないじゃないかということを農民から言われるわけです。そこで、具体的なたとえば地域別対策なり営農類型なりそういうものが立たぬまでも、私は、麦はやはり現在の食管法でめんどうを見ていくべきだ、だから、むしろ現在提案されておる麦法案は撤回すべきだと思うが、どうですか大臣、そういうお考えはありませんか。
○周東国務大臣 ただいま撤回の意思はございません。が、しかし、今お話しのように、どうしてもそこは麦よりほかにはないのだという場所においては、何もしいてそれを変えさせるのでなくて、それをどうするかということを考えていく。麦が食糧として需要が減退するならば、さらに新しく考えられることは、麦自体の新しい用途を考え出す、すなわち、私が申しますように、飼料として持っていくについて、今日まだ決定的にいっておりませんが、アメリカ等でやっておりまするように、生産された麦にある種の手を加えることによって、飼料として非常に高く供給できるようなこともあります。こういう点は新しい用途として考えつつそういう特殊地帯においては臨むということも一つである。そうして、他の方面においては、転換させつつ、有利な作物に転換する。これは、私は、転換すると言っても、どこもかもみな一緒くたにせよというのではなくて、そこに地域的な問題を考慮して考えるということであります。
○中澤委員 もう一つだけ。
 私は、大臣、ちょっと変わった考えを持っているのです。大はだか増産態勢をとれということ。これはどういうことかというと、やはり政府も選択的拡大の一つの大きな路線としては畜産と園芸を考えているわけです。われわれも、畜産の振興ということは、牛乳三合論で御承知のように、考えているわけです。そこで、むしろ麦の増産対策をとってしまって、大・はだかは今もどんどん酪農民は買ってくれていますよ。私の方では、芽の出たところでサイロにみんなぶち込んでいます。非常に飼料効率が高いのです。それならば、むしろ、大臣、これはあなたに宿題にあげますが、乳価を少なくとも最低五十五円に保証すれば、今の麦は全部飼料に転換させられる、私はそういう考えを持っているのです。だから、これは答弁は要りませんよ、あなたの宿題に一つ考えておいて下さい。麦法案を撤回しないことは明らかですね、それだけ確認できればいいです。
○坂田委員長 他に御発言もなければ、本案につきまして衆議院規則第四十八条の二により内閣に対し意見を述べる機会を与えることにいたします。周東農林大臣。
○周東国務大臣 ただいま議員から出されました期間延長の法律案に関しましては、予算を伴うものでありますが、これが通過の暁においては、それに対して政府は善処いたしたいと思います。
○坂田委員長 お諮りいたします。
 お手元に配付いたしてあります通り、この急傾斜地帯農業振興臨時措置法等の一部を改正する法律案を本委員会の成案とし、委員会提出の法律案といたしたいと存じますが、これに対し賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○坂田委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とすることに決しました。
 ただいまの法律案に関する提出手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議こざいませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂田委員長 御異議なしと認め、さように決しました。
     ――――◇―――――
○坂田委員長 次に、畑地農業振興のための基本制度の確立に関する件について、足鹿覺君より、自民、社会、民社三派共同提案により決議をいたしたい旨の申し出があります。この際発言を許します。足鹿覺君。
○足鹿委員 ただいま委員長から申されましたように、畑地農業振興のための基本制度の確立に関する決議をすることについて、動議を提出いたします。
 まず案文を朗読いたします。
   畑地農業振興のための基本制度の確立に関する件
  農業の転換期に当り、畑地農業振興のための基本施策を確立する必要 いよいよ切なるものがある。
  去る三十四回国会において積寒法の期限延長を行ない、また今回、各種特殊地帯農業振興法の期限延長を行なうこととなつたが、政府は、速やかに畑地農業対策を総合した基本制度を確立するための特別の措置を講ずべきである。
  右決議する。
   昭和三十六年五月十八日
      衆議院農林水産委員会
 理由については、先ほどの質疑応答によって尽きていると思いますので、省略をいたします。
○坂田委員長 他に御発言がなければ、この際お諮りいたします。
 ただいま足鹿覺君より提案されました畑地農業振興のための基本制度の確立に関する件を本委員会の決議とするに御異議ありませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 本件の政府への参考送付等の手続につきましては委員長に御一任を願います。
     ――――◇―――――
○坂田委員長 次に、内閣提出、漁業権存続期間特例法案を議題として、質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、これを許します。芳賀貢君。
○芳賀委員 農林大臣にお尋ねしますが、これは漁業制度調査会の問題と非常に関連があるのですが、政府は、御承知の通り、昭和三十三年に漁業制度調査会法案を作りまして、二カ年間の期限で制度の改正に対する答申を求めることになったわけです。ですから、その当時は、今年度大幅な漁業権の免許の更新があるということは計算に入れて制度調査会ができたわけなんですが、その答申が一年間以上もおくれて、非常な障害を来たしたことは御存じの通りなんです。これは、政府の部内にそういう調査会を設けながら、どうしてその答申が一年もおくれるようなことを漫然として放置しておったか。これは農林大臣の重大な怠慢だとわれわれは考えておる。怠慢である場合には、こういう期限の延長を認めることは絶対にできないわけなんですが、特別の事情があればこの際述べて下さい。
○周東国務大臣 まことに相済まぬことでございますが、しかし、漁業権制度はかくのごとく非常にむずかしい問題でございまして、慎重の上にも慎重を加えて委員各位が答申をいただきまして、これは、単なる表に出ておる許可漁業権のみならず、入会権等がありますので、非常な慎重な態度をもって審議された結果、本年の三月ようやく答申を見たということでございます。
○芳賀委員 先般、当委員会に、当時の漁業制度調査会の会長の井出氏等を中心として参考人として出席してもらって、経過等について説明を聴取したわけですが、今回の答申の内容を見ましても、今大臣が言われたようなそういう制度改革に対して積極的な意欲的な答申の内容ではないわけです。あの程度の答申であれば何も三年間もかける必要はなかったのじゃないかと私は指摘したわけなんです。一体、あのような抽象的な答申というものに多大な期待を寄せておったというのはいかなる理由でしょうか。
○周東国務大臣 これは、委員各位の意見がなかなか慎重で、一本にまとまることが困難な点もあったと思います。私は、あの答申を受けまして、とれを実施に移す場合には、十分答申も答申として生かしながら、もしこれに対して不足な分があれば、これは政府として考えて補うことももちろんであります。要は、私は、芳賀さんは非常に専門家であられるかもしれませんので、あれはあまり大したことはなかったという話であるかと思いますけれども、漁業権の実態に即して考えますると、なかなか複雑な点がたくさんありまして、簡単にいかなかったのではなかろうかと私は考えております。
○芳賀委員 そこで、今回二カ年間の漁業権の免許の期限延長をやる意図のようですが、ただ二年間延ばしてもらいたいということでは理由にならぬと思う。一体、二年間延ばした場合、今後政府の責任においてどういうことをやるために二年間延ばすということをやはり明らかにしておく必要があると思う。調査会の答申の内容程度のものを現行制度の手直しとしてやるとすれば、二年間も延ばす必要はないとわれわれは考えております。むしろ更新すべき機会には更新して、手直し程度のことをやるんであれば漸次これはやれるんじゃないか、そういうように考えるのですが、答申は参考になると思いますが、現行の制度上にどういうような積極的な改正とか改革を加えようとするか、その大綱についてはやはり農林大臣から直接御意思のあるところを明らかにしておいていただきたいと思います。
○周東国務大臣 私は、予算の審議の際にもお答えをしたと思いますが、漁業の基本法というようなもの、これが必要になって参ると思います。ことに、その中におきまして、問題は沿岸漁業に関する問題であります。これが漁業権制度に非常な関係を持つわけです。従って、私どもは、一応本来のものを更新するよりも延長しておいて、そうしてその間に根本的な沿岸漁業に対する対策とか漁業の基本を立てたいと思っております。従って、これが早く樹立されればその間早くできまするし、かりにおくれても二年以内のうちには確立しなければならぬと考えております。
○芳賀委員 漁業権の問題は、これはやはり主として沿岸漁業の範疇に入ると思うのですが、その場合、その究極の目的は沿岸漁業の積極的な振興発展を目途にする必要があると思うのです。たとえば、政府におかれても、昨年あたりから沿岸漁業振興法を制度化するというようなそういう宣伝も行なわれたんですが、いまだに国会に基本的な沿岸漁業振興法案なるものは政府から提案されていないわけです。社会党からはすでに議員立法として内容の充実した沿岸漁業振興法案が出ております。また、これに関連して水産物の価格安定法案あるいは水産業改良助長法案等提案しておるわけです。ですから、ほんとうに今回の制度改正の意図を契機にして沿岸漁業の根本的な振興発展を期そうとするならば、たとえば、党派のいかんにかかわらず、国会に提案されたそういうような内容の豊かな法案等については、進んでこれと取り組んで、そうして野党の協力も求めて所期の成果をあげるということは、これは最も賢明な態度だと思うのですが、そういう幅の広い御意思はありますか。
○周東国務大臣 芳賀さんの御意見でございますが、社会党さんの案も拝見いたしておりますが、まだ、私には、あれでは十分に沿岸漁業の将来の基本を確立するわけにはいかぬのじゃないか、その点は、やはり、漁業制度調査会の答申を参考に、一つ漁業権また許可漁業権というようなものに触れまして、また、漁業の調整その他各般の事態が基本的にたくさん考えられなければならぬ、こういう意味合いにおきまして私どもはあの答申を待っておったのであります。私どもは、これができませんので、一応漁業に関する基本的な法制は先に譲るということを考えておりましたが、中間的にやはり漁業権制度の確立を待たないでもできる部分については先に進めようかということで、実は一つの法案を持っておりますが、まことにおくれまして、ただいま法制局で審議中でありますから、でき次第国会に提出するつもりで努力を続けております。
○芳賀委員 それでは、政府からもお出しになるのですか。沿岸漁業振興法を出す出すと言っても、会期末の何日か前に形式的に出しても、実際これは両院で審議を尽くすいとまがないのですよ。いつもそういう時間をことさら計算に入れて幕切れごとにちょっと出す。これは当然通らないですね。ただ今度は閉会中に宣伝材料だけに使うというような、そういう考えで最近政府は農林漁業関係の法案を扱っておる。たとえば農業災害補償法の根本改正にしても、いまだに正式な提案の手続をとっておられない。これにしても、これは重要法案だけれども、たとえばきょうあたり出したところで、これはもう何日も会期がないのですから、通りっこないということです。そういうことを計算に入れて幕切れに法案を出す。そうして、閉会になると、全国にただ宣伝だけして、ああいう中身のない農業基本法とあわせて宣伝の材料にする。これはやはり全国の農民、漁民を冒涜するようなことじゃないかと思う。政府は、もう少し真剣な態度で、法案を出す場合には十分審議を尽くせる時間的計算をしてその時期にお出しになるべきだと思いますが、いかがですか。
○周東国務大臣 御指摘の点につきまして、農業災害補償法につきましては、芳賀さんは一番よく御存じでありましょうが、内容的になかなかむずかしい点がありましたので、今日ようやく提案の運びとなりました。少しでも審議を進め、成立を目途にやって、もしいかなければ継続審議にしてでもこれは一日も早く通すということがよかろうと思っております。
 漁業につきましては、なるほど今日おくれております。これについては、まだ根本的なものが足りませんが、そういうふうなものは、その根本に触れざる点において成案を得れば、出して御審議を願った方がよろしいと思っておりますが、これがもし通らないという場合に、芳賀さんの御指摘のようなことは自民党はいたしません。私どもは、やろうとするならば、むしろこれからやろうとする根本的な基本法的なものを考えに入れつつ、今後こういうことをやりたいという宣伝はいたすかもしれませんが、こういうものを出しておいたからこれで十分であるというようなことは、私は考えておりませんし、そういう卑怯な宣伝はいたしません。
○芳賀委員 それでは、重ねてお尋ねしておきますが、この国会の会期中に、政府から今言われた沿岸漁業振興法は必ず提案されるのですか。
○周東国務大臣 だいぶん会期も切迫しておりまするが、法制局において審議が終われば出しまするが、審議が終わらなければ困難かと思います。
○芳賀委員 もう少し具体的な点をお尋ねしますが、たとえば漁業権の免許制度の内容の改正の問題にしても、先般の井出参考人等の説明によると、現状をあまり脱却しない程度の内容なわけなんです。明らかになった点は、わずかに、共同漁業権については現在の十年を二十年に延ばすべきである、それから、定置漁業権並びに区画漁業権については現在の五年をやはり倍の十年に延ばすべきだ、そういう期限の延長の点だけには触れたが、それ以外の点についてはあまり具体性のある説明はなかったわけです。この期限延長の問題についても、これは、それぞれの漁業権の内容を精査した場合は、単純に十年を二十年、五年を十年にすべきというような性格のものでないとわれわれは考えております。特に、沿岸漁業の場合には、たとえば海流の変化とか魚族の成長もありましょうし、いろいろな客観的な事情の変化というものはどうしてもあり得るわけですね。それを、たとえば共同漁業権については二十年間とか、定置漁業については十年というようなことは、全く自然の変遷する条件というものを漁業の実態の上から無視したような考え方じゃないかとわれわれは考えておるのですが、こういう点については、答申の内容だけをすべてうのみにして、それを制度改正の根本にしようという考えでこれから作業を進めるのですか、その点はいかがですか。
○周東国務大臣 その点は、先ほどお答えいたしましたように、私は、答申の内容は十分尊重し、参考にはいたしますが、私は私なりに、新しき立場に立って、今後の漁業のあり方、沿岸漁業のあり方等に関連いたしまして、慎重な立案をいたしたいと思います。
○芳賀委員 特に共同漁業権の場合には、答申の内容においても、今後は現在よりも積極的に漁業協同組合を主体にした建前で共同漁業権の免許を行なうべきであるということは示されておりますが、ただ、問題は、やはり、沿岸における完全なる資源の培養・増殖であるとか、沿岸漁業の振興に関して全面的な実施ということになると、やはり漁業権の性格についてもこれは根本的に触れる問題があると思うのです。たとえば、その共同漁業権の漁場内における浮き魚の扱いをどうするかという点は、これは非常に大事なところです。この共同漁業権漁場を完全に閉鎖するような方式でいくか、大体現行の線でいくかということは、これは非常に重大な点だと思うのです。こういう点は答申の内容においてはあまり触れていないわけですね。しかし、水産庁当局として、長年の調査とか経験の上に立った場合は、方向としてはどうしなければならぬくらいな腹づもりは、これはさまっていなければならぬと思うのです。何も対案を持たないで、調査会で検討して下さいというだけでは済まないと思うのです。ですから、そういう根本態度については、一体、農林省としては、大臣としてはどういうお考えを持っておりますか。
○周東国務大臣 この点は、私は、まだあなたの御指摘以外にたくさん問題があると思います。沿岸漁業を振興し、沿岸漁業というものを成り立つようにするためには、漁場の問題、漁業権の問題、その地域における他産業といいますか、能率漁業の入会の関係、いろいろな点が私はあると思う。こういう点、まだ今後私は慎重に考究した上、答申を重要な参考資料として立案をいたす所存であります。まだ具体的にこれをどうするということを申し上げるべき時期ではございません。
○芳賀委員 もう一点、前回の委員会でも指摘したのですが、沿岸漁業における底びき網漁業の操業区域と現在許可されておる共同漁業権漁場とが入り会っているような地域がある。特に北海道においてはその点がはなはだしいのです。この点についても、今後一体どうやるかという点も、これは非常に大事な点なんです。もう数年間毎年のようにこの問題が派生しております。水産庁としても根本的な解決はなかなかできがたい状態に置かれておるわけですね。ですから、これらもやはり漁業権の制度上の重大な課題として扱ってもらわなければならぬと思うのです。そういう調整をどういう方式でやるか、底びきの操業区域がここまで入り会っているから、では今度その内側だけを共同漁業権の区域に指定するなんてことになると、これは非常に後退した消極的なやり方ということになるのですがね。ですから、共同漁業権の区域外でなければ底びきの操業はできないというところまでこれを持っていけば、根本的な解決はできると思うのですが、これもやはり漁業権の問題として取り扱わなければならぬのですが、大臣の根本的なお考えはどうですか。
○周東国務大臣 その点は今触れたのです。私がたくさん問題があると申しましたのはそういう点も含めて申したので、漁場の調整の問題もある。ただし、繁殖保護上沿岸漁業に残すべきと申しますか、沿岸業者が魚をとり尽くさないようにするために一体どうしたらよろしいか、これは御指摘の底びき漁業だけではないと思うのです。このごろ、能率的な漁業として、電探操業をやり、火力を用いて一網打尽にとるような漁業もありますが、こういうものをやると、漁場、ことに沿岸漁業はどうなるかという、もっと根本に触れて考えなければならぬと思います。そういう点が多々あると思います。私は沿岸漁業については非常に関心を持って研究しております。それから、先ほど申しました通り、御指摘の点のみならず、沿岸漁業の振興、沿岸漁業に対する基本対策を立てるについては多々問題がありますので、今の答申を参考にしつつ、そうして慎重に立案をしたいと思っております。
○芳賀委員 これは、二年後に制度改正をやるなんということでなくて、底びきとの競合の問題は速急に調整解決すべき問題なんです。ですから、周東さんが農林大臣の在任中に、できればやった方がいいと思うのです。いつまで大臣をおやりになるかこれはわからぬが、やっておる時期内にこれをやるということは大事だと思うのですが、これはどうですか。これくらいのことをやらなければ、漁業制度の根本改正はできないと思うのですが、いかがですか。
○周東国務大臣 私の申し上げておるのは、農業に関しては農業基本法ができる、大事な漁業についても基本法が必要であろう、それがことに沿岸漁業に対して問題がある、しかもその点は漁業権制度とからむ、しかも、その漁業権だけの問題でなくて、許可漁業権もこれにからむ、そうしてこれは漁場の問題にからむ、こういう問題を慎重に取り上げてやりたいということは、次の段階で漁業に関する基本の法制を早く制定したいということでございます。御了承を願います。
○芳賀委員 そこで、今度の制度改正は、何と言っても漁業法の改正が中心になりますが、あわせて水産業協同組合法等を当然根本改正をやる必要があると思います。漁業法の場合には、特に、農業の場合と比較すると、漁業の経営については、これは個々の零細な経営体による経営をやるよりもやはり共同体による漁業の経営を行なうことの方が適切だとわれわれは考えておるのです。こういう点についても、今後の沿岸漁業の経営のやり方等についてもやはり制度改正の機会に根本的にこれを進める必要があると思うのです。しかし、生産共同体が自営するという場合においても、やはり、漁船とか漁具とか、そういう資本装備が十分に行なわれなければこれはできないと思います。沿岸漁業の場合には、特に農業の場合よりも沿岸漁民は資本的には非常に力が弱いのですから、そういう新しい近代的な漁業の経営を政府が進めようとする場合には、やはり、大幅な制度金融の問題とか、たとえば漁船を国が建造してそれを貸付するとか、そうした思い切った方策をとらなければ沿岸漁業の根本的な改善はできないと思うのですが、そっれくらいの意欲で今後取り組むという御意思はありますか。
○周東国務大臣 今日、沿岸漁業に関する改善策として、すでに漁業生産組合というものがあります。こういうものがありますが、御指摘のように、漁船、漁具というようなものを備えるについて資金が要る、これに対して考えなくちゃならぬということは、私は同感であります。これは当然将来の問題として考えなければなりません。私は、漁業というものはさらに農業よりもむずかしい点は、しからばこの漁業生産組合によって作った漁船をどこに持っていくか、簡単にどこへも持っていけない。そこに、漁場の調整というものは、沿岸における漁業のみならず、近海、沖合い、遠洋という漁業を通じてその間に各般の現在の漁業形態の調整が必要であろう。こういう問題は沿岸漁業の振興策を考えるときに当然漁業全体として考えなくちゃならぬ。こういうことまで実は考えてみたいと思っておるわけであります。非常にむずかしい問題でありますが、この国会が済みますれば当然そういう問題と取り組んで水産庁はやってもらいたい、こういう考えております。
○芳賀委員 最後にお尋ねをしておきたいと思いますが、たとえば政府提案の二年間の延長を認めたとしても、この二年後に制度の根本改正が全面的に行なわれるようでは、また延ばさなければならぬということになる。だから、少なくとも、われわれがこれを認める場合には、今後一年間の、この次の通常国会の会期中までには全部必要な制度改正上の法案はそろえて、そうして十分国会の審議を尽くして、完成させるということでなければならぬ。一年間ぐらいかかれば漁場調査とか何とかそういう大臣の言ったような仕事は全部完了するわけです。そうすると、この延長した二年後の更新の時期には、新しい制度改正のもとにおいて漁業権の更新が全面的に行なわれる、そういうことにならなければ、この二年延ばす意味は何もないわけです。ですから、ここで明らかにしていただきたい点は、少なくとも明年の通常国会の会期内には十分制度の根本改正の諸般の法律上の提案が行なわれ、それが国会の審議を尽くして同意を得てでき上がるような、野党にも支持されるようなそういうものを出さなければ、そういう意思がなければ、賛成してみてもしようがないのですよ。何にもやらないなら、今この機会に更新するものはした方が私はいいと思うのですが、その点はいかがですか。
○周東国務大臣 御心配の点はよくわかります。ただいま私が答弁したことで御了解を願いたいのは、この国会が済みますれば直ちに取り組むつもりでありますと申し上げた。これで御了解願いたいと思います。
○芳賀委員 それにあわせて、われわれ聞くところでは、西村水産庁長官が最近やめるというのですね。どこか大きな漁業会社の重役になるというのです。それから、そこにいる高橋次長も真珠の全国組合の重役になる、そういうことが伝わっておる。これは一身上のことは何もとやかく言う必要はないが、しかし、大事な漁業権の延長まで行なって制度改正を進めなければならぬ時期に、長官も次長もあわせてこれはもっと有利な経済的な収益のあがる方へ転出するということになれば、一体だれが今後中心になって制度改正の作業を進めるかということも、これは問題がある。人材が多くあると言えばそれはそれまでだが、こういう点も、今まで漁業制度調査会の答申が二年で当然やるべきのが三年もかかって、中身はまるきり抽象的なお経の文句みたいなもので終わっていることも、これは関係あるとわれわれは見ておるわけですが、これは、一番監督の任にある大臣としては、今後水産庁の陣容を十分確立してやるというような、そういう御意図は持っておるのですか。
○周東国務大臣 ただいま芳賀さんがおっしゃいましたように、かりに長官が異動するようなことがありましても、多士済々おることであります。これは人員を整えてやりますから、どうぞ御安心を願います。
○坂田委員長 次に、大原亨君。
○大原委員 私は、漁業権存続期間特例法案の第一条に関連いたしまして、以下申し上げる事実、それから具体的に条文の解釈、こういう問題につきまして御質問いたしたいと思います。
 今芳賀委員からも御指摘がございましたように、漁業関係者、漁民の中には、漁業権が本年の八月三十一日に終わるであろう、こういう立場に立って考えておった人があるわけです。そこで、一たん免許が白紙に返りまして新しく再出発するであろう、こういうふうに考えておった人々があるわけです。これは政治的には総合的な全体的な条件を含んで漁業政策が確立されることを望んでおるわけですけれども、具体的にはやはり利害関係者があるわけです。従って、私は、そういう事実をお話しして、この具体的な条文の解釈についてお聞きいたしたいと思います。
 最初に、漁業権に対する免許あるいは取り消しあるいは変更、そういうふうな権限は、具体的にはだれにあって、そして具体的にはどのような手続で行政行為がなされておるのか、こういう点についてお尋ねいたしたいと思います。
○高橋政府委員 まず、漁業権の免許の権限を有する者についてのお尋ねでございまするが、漁業権につきましては各都道府県知事が免許をいたすことを原則といたしております。ただ、管轄が二つの県にまたがるような漁場におきまする免許につきましては例外的に農林大臣が直接免許をする道を開いておりますけれども、原則としてはそれぞれの水面を管轄する知事がこれを免許いたすことになっております。
○大原委員 先ほどから農林大臣が予算委員会で呼ばれているという話であります。私は社会労働委員会に今までおりましたが、社会労働委員会では、予算委員会も大切だが社会労働委員会の方へ厚生大臣は主として出ることになっている。しかし、それぞれの委員会におきましていろいろ慣例があると思います。また、予算委員会も大切でありまするから、御退席いただいてけっこうだと思います。そのわきには大臣に劣らざる八田政務次官がおられますので、非常に敬意を表して私は言うわけですが、あとで事情をよくお聞きいただきまして、質問の趣旨につきまして御了解をいただいておきたいと思うのです。後にまたここに出席いただいてお尋ねする、こういうことにいたしまして、どうぞ。
 今事務局の方からお話がございましたが、各県内における漁業権につきましては知事がそういう権限を持っておる、こういうことなんですが、知事の権限と農林大臣の権限との関係ですね。農林大臣の権限はどうなんです。これに対して是正命令を出すとかあるいは指導・助言するとか、こういうことが、私はこの法律についての仕組みをよく知りませんけれども、あるはずです。農林大臣はどのような権限を持っておるのですか。
○高橋政府委員 ただいま申し上げましたように、管轄水面におきまする漁業権の免許につきましては都道府県知事に申請してその免許を受けるというように漁業法第十条で書いてございまするので、その点につきましては都道府県知事の権限に属しているということでございます。もちろん、この各条項で規定されておりますほかに、一般的に農林大臣が知事を指導するようなことは、これはもう通常の行政として当然やっておるわけでありまするが、漁業法に規定してありまする権限としては、ただいま説明した通りでございます。
○大原委員 指示とか指導とか監督とかいうふうな農林大臣が最終的な権限を持っている、最終的というか、知事をそういうふうに指導する権限を持っている、こういうことでありますが、たとえば、今回の第一条の第二項の一号の措置をなす場合等におきまして、当然農林大臣は具体的な問題についても個別的に漁業権の特例を設けるわけでありまするから、そういう問題につきましては、法の精神から言って、やはり個別的に指導とか助言とかあるいはその特例を設ける措置についての判断等をするであろう、こういうふうに私はあなたの御答弁から考えておりますが、この点についてどういう御見解でありますか。
○高橋政府委員 これは、ただいまの漁業権の免許につきまする権限と同様に、この特例の措置につきましても、漁業調整その他公益上の必要で漁業権の取り消し事由があるといったような場合に、当然二カ年の延長をせずに、知事が現地におけるこれらの具体的な事情を十分に調査し、また海区漁業調整委員会にも諮問した上で都道府県知事が認定するというふうにいたしておる次第でございます。
○大原委員 それでは、農林大臣は、やはり、上部機関といたしまして、政府機関といたしまして、指導とか助言とかあるいは監督等については、当然この法の趣旨が貫徹できるようなそういう権限を持っておる、具体的な問題については、最初御答弁になったように、原則として知事が権限を持っておる、このように解釈してよろしいですか。
○高橋政府委員 その通りでございます。
  〔委員長退席、田口(長)委員長代
  理着席〕
○大原委員 それで、私はこの問題に関連をいたしましてお尋ねするのですけれども、私は、漁業権の設定の仕方、あるいはこれに対する監督、あるいは漁業権を包括的に持っておる漁業協同組合のあり方、こういうものが、いわゆるほんとうの漁民のための漁業協同組合あるいは漁業権という意味において、法が制定いたしまして以来今日まで非常にたくさんの問題を持っておると思うのです。たとえば、私は、いろいろな点について、私の身辺だけでなしに相当離れたところの問題をも含めまして、漁業をめぐる問題に逢着いたしておるわけでありまするが、ちょっと離れまするが、漁業協同組合が包括的に漁業権を持っておるわけでしょうが、その漁業協同組合の適正なる規模、これは大体どのぐらいだというふうにお考えになっておりますか。
○高橋政府委員 この漁業協同組合の地区でありまするが、これも非常に重大な問題といたしまして、過日も漁業制度調査会において真剣に討議された一つの大きな項目でございました。その漁業制度調査会の審議におきましては、現在の漁業協同組合の地区は、農業協同組合その他に比較して非常に狭過ぎる、こういう傾向があるというような御見解とともに、今後漁業協同組合が沿岸漁業の振興をなす場合のにない手であるのであるから、この漁業協同組合の経済事業をもっと充実したものにするためには、現在程度の地区では少し狭過ぎるであろうというような御見解であったわけでございます。そういう方向で今後とも私ども来たるべき水産業協同組合法の改正に準備いたして参りたいと思います。ただ、この制度調査会で審議した一つの点でございまするけれども、やはり、この原則は、加入・脱退及び設立の自由が原則でございまして、その原則と、ただいま問題になりました、事実上非常に組合の地区が重複ないしは事実上非常に狭過ぎて経済効果を上げることができないという、そのような原則と事実との調整点をどのように求めるかという点が、今後の改正すべき一番のポイントであろうというような見解を示されておりまするので、私どもその線に沿うた改正に今後努力して参りたい、このように考えておる次第でございます。
○大原委員 非常に回り回った答弁ですが、私がお尋ねいたしましたのは、適正なる規模というのは大体どのくらいか、こういうことです。
 そこで、また私は質問を続けますが、この漁業協同組合をめぐりましていろいろ問題が起きると私は思うのです。たとえば賠償の問題あるいは漁業協同組合を中心とする融資の問題、漁業協同組合がそういう経済事業を行ないます際にそういういろいろな問題が全国的に私は起きておると思うのです。その際私は二つの面で問題があると思うのです。というのは、ほんとうに漁民の意思を反映をしまして、漁業権あるいは賠償問題、あるいはいろんな事業、これがなされておるかどうかという問題です。これは、農業協同組合とはさらに違いまして、漁民には漁民の部落の特殊性もある、あるいはその親戚縁者、いろんな関係の地域性もある、あるいは、あの文部省の統計によりましても、文字が読めない人はやっぱりそういう漁村などに多いわけです。一本釣やその他零細漁業、沿岸漁業に多いわけです。そうなりますると、どうしてもボス支配というものが起きてくるわけです。そういうことでいろいろ問題となるのは、あまりにも規模が大き過ぎて、そしてその事態を総会その他を開いて十分事実を知って自分たちの意思によって決定できないという場合もあるわけです。もう一つは、漁業権をめぐりまして賠償問題その他非常にたくさんの問題が起きてきて、そして、そういう民主的な運営の欠除した土台の上に、漁業権、賠償権等の大きな権限をいろんな方面へ政治的に働きかけて参りまして、本来漁業協同組合のあるべき姿とは全く違った方向へ行くような、そういうボス支配がある。私は、漁業権の問題は一方的に論議することはできぬと思うのです。漁業協同組合の規模をどうするか、あるいは連合体としてはどういう機能を果たさせるか、こういう問題がある。たとえば賠償問題等、海上でも河川でもそうですが、これをめぐりましても、関係のない漁業協同組合が漁業権の主張をいたしまして、ずっと十里も十五里も二十里も先からみんな来る。結局は、一部の人たちによって政治的にきめられて、一部の人にやられる。融資にいたしましても、漁業債券等を担保にいたしまして漁業協同組合の名前において、そうして公的な金融その他におきましても一部の役員だけが自分のために融資をして、ほかの事業の方へ流す、こういう例は具体的にあげまするとたくさんあるわけです。私が適正な規模と言うのは、下の、あまりにも零細であれば近代化ができない、共同事業ができないということもあるし、あまりにも大きくあり過ぎますと、これはやはり問題で、非民主的な運営となる。大体適正規模というのはどのくらいなんですか。全国で一番人数が多い漁業協同組合はどのくらいですか。
○高橋政府委員 漁業協同組合の適正規模がどの程度であるかということが一つのお尋ねのポイントでございますが、これはなかなかむずかしい問題でございまして、なかなか画一的に申し上げることは困難かと思いますが、しかし、一応、私ども通常の場合の意味におきます漁業協同組合を拝見いたしますと、通常の場合ですと旧市町村ぐらいの規模が一番うまくいっている例が多いのではないかというふうに考えておるわけでございます。もちろん、旧市町村という範囲とその経済なり漁業権の主体としての地理的な条件とは必ずしも一致しない場合が多いわけでございますが、一応の目標としてはその程度ということでございます。御指摘のように、組合というものは大きければ大きいほどよろしいというものでもございません。やはり、何と申しましても、人的な結合がなければ、もはやそれは協同組合であるかどうかという点も問題になるわけでございまして、その点から考えまして、特に漁業では、農業協同組合とも違いまして、生産面に対する漁民の関心はあるいは流通だけの問題よりもさらに強い面がございますので、そういう点か考えましても、にわかに組合というものは大きいほどよろしいというふうには断定できないわけでございます。その点が、流通を主体にした規模と生産面を考えました規模とをいかに調和させるかというところがむずかしいわけでございますが、結論的に申しますと、大体旧市町村ぐらいの単位が一番よろしかろうかというふうにただいまのところ考えております。
○大原委員 質問していることに答えて下さい。漁業協同組合の中で最も大きい規模の組合は何人ぐらいですか。
○高橋政府委員 ただいま手持ちがございませんので、私の記憶だけでお答えいたしますと、一番大きいのは、河川の漁業協同組合あたりでは、地区でも、たとえば一市三十六カ町村でございましたか、そういう組合もございます。しかし、これは非常に特殊の事例でございますし、このような水産増殖を主体にいたしますとこのような組合の地区も必要でございますけれども、単純な漁業協同組合のやり方をこの一市三十何カ町村というものを適用いたしますと、ただいま先生御指摘のようないろいろな弊害もございますので、来たるべき改正につきましては、この点も考えまして、あるいは答申もいただいておりますが、単純な漁業協同組合のほかに、漁業権を主体にした漁業組合制度というものを一つ考えまして、実態に即するようなやり方も考えて参りたい、このようにただいま検討をしておる段階でございます。
  〔田口(長)委員長代理退席、委員
  長着席〕
○大原委員 漁業協同組合以外に漁民組合、こういうお話がありましたので、これに関連して、旧市町村単位と言われたけれども、沿岸漁業で規模の最も大きいのは、もし御記憶になっておれば答弁して下さい。
○林田説明員 昭和三十三年十一月に臨時漁業センサスを行ないまして、地区別の組合数が、総数が三千四十五組合ございました。そのうちで、旧市町村未満が千五百三十一でありまして、旧市町村以上というのが二百十三でございます。大体三千のうちで二百十三が旧市町村以上でありまして、七%の率を占めております。組合員の人数別にそれを見てみますと、千人以上という組合が五十三ありまして、それが一・七%の率を占めております。
○大原委員 今の問題を一応おいておきまして、これから具体的な問題について質問いたしますが、広島県に、太田川のアユを中心といたしまして、太田川漁業組合があるのです。これが昭和三十三年四月の新間野平発電所のいわゆる中国電力のダムの開発をめぐりまして、七千二百万円の賠償が中国電力より支払われたわけであります。そのときに、組合の組合長でありました佐々本節吾氏が中心となりまして、今まで出資もいたしておりまして実際に相当の協同組合員の信任も持っておった人々が自分の知らないうちに整理をされまして、そこで新しい漁民の利益の問題が起きたわけです。これは昭和三十三年の話ですが、昭和二十九年当時の組合の実情を調べてみますと、太田川漁業協同組合というのは少くとも一千名以上の協同組合員があったわけです。それが、この賠償問題を契機にいたしまして、そういう役員の気に入った者やあるいは今までの既得権を一方的に剥奪をいたしまして、賠償金をたくさん取るために組合員を一方的に整理した。約四百数十名整理した。それをめぐりまして今日までずっと問題が起きておるわけであります。ところが、これは沿岸漁業ではなしに内水面漁業の問題です。それで、その間にはこういうことがあった。この佐々本節吾という組合長さんは、昭和三十二年の総会で、今日までのいろいろな個人的な問題を提起して数々の点を追及されて、総会の席上で不信任を受けた。そこで、辞表を提出いたしまして、功績があったかどうかは別といたしまして、退職金を二百万円ほど佐々本節吾氏が要求をいたしました。その要求に対しまして、太田川漁業協同組合は当時百万円を決定いたしました。その金を昭和三十二年の役員会の決定に基づきまして佐々本節吾氏はもらったわけです。そして、組合長のいすを当然辞職いたしまして、これは組合長、役員を左遷するという意思であったわけでありますが、しかしながら、そういうことにはならぬで、また、その退職金で工作したかどうかは別といたしまして、組合長に居すわったわけであります。これは保守とか革新とかいう問題ではないわけです。一千名の中で四百名もはじき出されておるのですから、そういう不満が非常にあったわけです。そういうことで、七千二百万円のいわゆる中電の賠償金の問題が三十三年四月以降におきまして出てきたわけです。そこで、その中には、川本某は賠償金の配分の直前に死亡したのでありますが、しかし、配分委員会で決定された十万円も、本人が死んだからもうやらぬ、こういうことでやらなかったという問題等も起きて参りました。その間、県の方におきましても、県知事も、そういう社会問題が起きて参りましたので、監査をいたして、改善命令を勧告いたしたのであります。しかし、そういう退職金等をもらいましたやつをもってどんどん工作をいたしますと、なかなか人事の更新や民主化はできないわけです。そとで、そういう人々が居すわりまして、現在、四百六名でありますが、その組合員をワク外に出したわけであります。そういうことはこまかに申し上げるとまだたくさんあって、あまりえげつないから私は言うのをはばかるのですけれども、そういうことがございまして、いろいろな経過があった後に、内水面としては非常に珍しいと思うのですけれども、四百六名の諸君が、加入・設立という行為は当然自由にできるのだという趣旨に基づきまして、別の太田川地区漁業協同組合というものを作りまして、県知事の認可を求めたわけです。それは昨年の九月三十一日で認可されました。ただし、これは不思議なことには漁業権のない協同組合であります。これはだんだんと法文の中身へ近づいて参りますから、私はこの点で少なくとも漁業法の精神に基づいて大臣の見解を聞くところなんですけれども、お急ぎの方もあるようでありますから端折っていくわけですが、そういう経過があったわけです。
 私は客観的に事実を申し上げたのだけれども、その後に知事が間へ入りまして県の内水面漁場管理委員会が裁定を下しました。それで、二百六十七名が漁業協同組合員として適正であろうから、できるならば佐々本節吾の太田川地区の協同組合と一緒になってはどうか、こういう裁定であります。しかしながら、この裁定の中にはもちろん個人片々を名ざしていない。県もそういうふうに指導しておらない。四百六人が親子代々沿岸漁業をやりまして、漁業法に基づいてそういう事実があるということは近所の人はだれでも知っている。新旧漁業組合の人もみんな知っているわけです。だから、そういうままで二百六十七名をだれにするかということになりますと問題であります。そこで、百三十九名がはじき出ておるわけでありますが、だれだれはいけないというふうにするわけにもいかないわけです。ここで、私は、事務当局でもよろしいのですが、お聞きいたしますが、いわゆる内水面の漁業協同組合員の資格は一体どういう条件なんですか。
○高橋政府委員 組合を設立して漁業権を取得する場合の要件はそれぞれ漁業法に規定してございますので、それをただいま申し上げます。
 水産業協同組合法第十八条、組合員たる資格でございますが、通常の場合ですと、「組合の地区内に住所を有し、且つ、漁業を営み又はこれに従事する日数が一年を通じて三十日から九十日までの間で定款で定める日数をこえる漁民」ということにしてございますが、ただし、河川におきましては、「水産動植物の採捕又は養殖をする者を主たる構成員とする組合にあっては、組合の地区内に住所を有し、且つ水産動植物の採捕又は養殖をする者(遊漁者を除く。)であって、採捕又は養殖に従事する日数が一年を通じて三十日から九十日までの間で定款で定める日数をこえるもの」を組合員、このように規定してございます。
○大原委員 その中で、最低三十日以上というのはわかりました。それから、もう一つの何とかを採捕するというのがありましたね。これは大体どういう意味なんですか。
○高橋政府委員 水産動植物の採捕でございますから、具体的に申しますと、河川でございますと、魚をつかまえる、こういう意味でございます。
○大原委員 とったりつかまえたりする、字の通りです。それではあまり明快ではありませんが、字の通りに御答弁になったのですが、そこで、お尋ねいたしますが、そういう問題が起きてきて、漁業の組合員の資格の問題をめぐっていろいろ議論になっておるわけであります。具体的な問題にあまり入ってきて恐縮なんですけれども、具体的な問題をどういうふうに解釈するのかということが、やはり漁民の権利と義務の問題ですから、私は、このことは問題の本質であると思うから、具体的な問題を中心としてこの新しく出された法律の解釈を言っているわけです。当然でしょう。だから、そういう点から私申し上げるのですが、今日までそういうことをめぐって四百六人の間で、――前はもう少し人数が多かったが四百六人に整理されて、なかなか境が出せない。そこで、どうでも太田川漁業協同組合という旧組合の組合長は自分の気に入らない人間を出す、具体的な問題で話し合いということになるとそういうことになってしまう。だから、自分が思うような組合を作ろうということであります。ここに、漁業権の問題で民主的に運営する問題と漁業権の問題、包括的な権利の問題の関係で本質的な問題があると思いますけれども、そういうことになりまして今日も紛争を続けておるわけであります。私が事実を申し上げるとあなたらの方はびっくりされるようなこともあるが、これは法案の審議をしておるのですから申し上げません。
 そこで、この問題で私は逐次お尋ねをいたしますが、本特例法案の第一条第二項の第一号、「漁業法第三十九条第一項の規定による漁業権の取消しの事由があるか、又はその事由が昭和三十八年八月三十一日までに発生することが確実であると認めて都道府県知事が指定した漁業権」、こういうふうなことがありますが、このいわゆる非民主的な運営の結果においてそういう問題を起こし、これはだれが見てもそうですし、県もそう認めておる。その結果において漁業権を喪失いたしましたところの組合員、漁民、そうして新しい漁業協同組合というものが実在をいたしまして、こういう経過に基づいて紛争を生じておるわけであります。もうアユの漁期に来るわけです。そういたしますと、供託金を出して実力入漁ということになるわけであります。こういうことになりますと、やはり私はいろいろな問題があると思うのですけれども、ここでいう、私が今申し上げた漁業法第三十九条第一項云々の規定は、こういう場合にいわゆる特例となり得るのかどうか、こういう一般的な解釈論についてあなたの御見解をお伺いしたい。
○林田説明員 先生の御質問は、これが三十九条の漁業調整に該当するかどうかということだと存じますが、これは、漁業調整上の必要がある場合はやはり延長させないという解釈でございます。しかしながら、もうアユの時期になりますし、できるだけ漁業者にアユをとらせるということが内水面漁業として必要なことでございますから、できるだけ円満に解決しまして、漁業権延長ができるということが一番いいわけでございますから、現在県知事の方でそういうふうな指導を行なっておりまして、それまでにもし円満に解決しないということになりましたならば、やはりこの条文に該当して取り消さざるを得ないという事態が生ずると存じます。
○大原委員 念のためにお尋ねいたしますが、八月三十一日はアユの漁期の終わりではないわけですね。九月、十月、十一月とございますね。免許が取り消された場合におきまして、政府が、農林省が、農林大臣が、池田内閣が、この法律に従って今日まで漁業権の問題について結論が出ていればこういう問題はないのですよ。そうでしょう。こういう紛争は起きないのです。次の漁業権の免許を取り消されて、次の段階の用意ができておらぬ。だから、こういう問題が起きるというのは、この法律において、三十六年八月までには漁業権の免許の白紙還元、そしてそこから新しい漁業権の問題が生まれてくる、こういうことを法律で期待をしておる、――期待権ではないけれども、そういう法律上の制度であると理解しておるわけです。そこで、そういう問題を通じて、白紙に立って民主的に解決するという方法が生まれてくる、漁民の意思によって生まれてくることを期待しているわけですね。今のあなたの答弁は非常に明快であります。その答弁自体といたしましては私は納得するわけですけれども、これは法文の通りであるというふうに思います。この趣旨もそうでなければならぬと思いますが、八月を越えてそういう実態が生じた場合には政府の責任ですけれども、具体的にはどうなるのですか。
○林田説明員 この漁業権存続期間特例法案の第二条によりまして、そういうふうな場合には民主的に新たにだれに漁業権を与えたらいいかということがきまりますと、この第二条で、「三十九年三月三十一日をこえない範囲内において都道府県知事が漁業権ごとに定める期日まで」の漁業権を付与することができるようになるわけでございます。
○大原委員 それでは、この太田川の例でありましたら、昭和三十六年の八月三十一日までに円満妥結するように指導するけれども、なおこの紛争状況が解決しない、こういう場合におきましては、都道府県知事が昭和三十九年三月三十一日まで実情に基づいて新たなる暫定措置をとる、そういうふうに解釈してよろしいか。
○林田説明員 先生のおっしゃる通りでございますが、昭和三十六年の八月三十一日がその川の漁業権の満了日かどうか、私はよく存じないのですが、その満了日において切れまして、それから新しい漁業権を新たな者に付与する、それが三十九年三月三十一日までの漁業権になるということでございます。
○大原委員 では、もう一回私が確認いたしますから、間違いなければ御答弁いただかぬでもよろしい。昭和三十六年八月三十一日が来ましても、私ども初め、皆さん方、特に農林省の方で強力に指導していただきまして、民主的に漁民のための漁業協同組合ができるように、こういうふうに御指導をいただく、こういうことを前提といたしまして、なおできない場合においては、都道府県知事がアユその他の漁期の期間において、その当面の適正な措置をとっていく、そういうふうに御答弁になりましたね。私もそのことを了承いたしております。
 そこで、私がもう一つお聞きしたい点は、内水面漁業の漁業権の中におきまして、漁業権の共有ということがあり得るのですか。
○高橋政府委員 あり得ます。
○大原委員 それでは、私は八田政務次官に一つ最後に御見解をお聞きしたいと思います。
 今までずっと事情をお聞きいただきまして、法文においてもあるいは事実についても十分御了解いただいたと思うのでありますが、私が農林大臣に第一番に要望したい点は、漁民の資格その他そういう今日までの経過、実情において、真に民主的な漁業協同組合ができて漁業権の円満な解決ができるように、利害関係者の皆さんが納得できるように、この上ともそういう強力な御指導をしてもらいたい。これに対する見解が一つと、もう一つは、今解釈において出て参りましたけれども、そういう解釈が前提であれば私は解決ができると確信をいたしておりますが、今の漁業権の共有の問題等を含めまして、一つ積極的に具体的な提案をしていただきまして、そうして、現状を解決する上に立って、漁民の権利、漁業権の上に立って、将来とも民主的に納得できる運営ができるように御努力をいただきたい。こういう二つの点について、非常に政治的な問題でありますから、政務次官の方から御答弁を願います。
○八田政府委員 ただいまの大原委員の御質問に対しまして、原則としましては知事の権限事項に属するものでございますが、大原委員の御意見が十分浸透いたしますように、民主的な運営というものができますように、指導・助言を農林省としてはやって参りたいと思います。
○坂田委員長 他に質疑の通告もないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。
    ―――――――――――――
○坂田委員長 本案に対し、田口長治郎君より、自民、社会及び民社共同提案による修正案が提出されております。修正案はお手元に配付いたしてある通りであります。
 まず修正案の趣旨について提出者の説明を求めます。田口長治郎君。
○田口(長)委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三派を代表いたしまして、漁業権存続期間特例法案に対する修正の動議を提出いたします。
 まず修正条文を朗読いたします。
   漁業権存続期間特例法案に対す
   る修正案
  漁業権存続期間特例法案の一部を
 次のように修正する。
  附則中「昭和三十六年五月一日」
 を「公布の日」に改める。
 以上であります。
 本修正の趣旨は簡明であります。すなわち、本案の施行日は昭和三十六年五月一日となっておりますが、すでに本日は五月十八日でありまして、予定されました施行日を過ぎておりますので、本案の施行日を公布の日に改めるという事務的なものであります。
 何とぞ各位の御賛同をお願いいたします。
    ―――――――――――――
○坂田委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
 討論の通告がありませんので、直ちに採決いたします。
 まず、田口長治郎君提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○坂田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
 次に、修正部分を除いた原案について採決たいします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○坂田委員長 起立総員。よって、本案は修正議決いたしました。
 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十二分散会
     ――――◇―――――