第038回国会 文教委員会 第26号
昭和三十六年五月二十四日(水曜日)
    午後零時五十九分開議
 出席委員
   委員長 濱野  清吾君
   理事 臼井 莊一君 理事 坂田 道太君
   理事 中村庸一郎君 理事 米田 吉盛君
   理事 小林 信一君 理事 高津 正道君
   理事 山中 吾郎君
      伊藤 郷一君    上村千一郎君
      田川 誠一君    高橋 英吉君
      灘尾 弘吉君    花村 四郎君
      八木 徹雄君    井伊 誠一君
      野原  覺君    鈴木 義男君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
        国 務 大 臣 池田正之輔君
 出席政府委員
        文部政務次官  纐纈 彌三君
        文部事務官
        (大臣官房長) 天城  勲君
        文部事務官
        (大学学術局
        長)      小林 行雄君
        文部事務官
        (管理局長)  福田  繁君
 委員外の出席者
        議     員 山中 吾郎君
        専  門  員 石井  勗君
    ―――――――――――――
五月十八日
 委員井伊誠一君、三木喜夫君及び鈴木義男君辞
 任につき、その補欠として和田博雄君、成田知
 巳君及び片山哲君が議長の指名で委員に選任さ
 れた。
同月十九日
 委員赤城宗徳君、八木徹雄君、前田榮之助君及
 び和田博雄君辞任につき、その補欠として松山
 千恵子君、稻葉修君、栗林三郎君及び井伊誠一
 君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員稻葉修君及び栗林三郎君辞任につき、その
 補欠として八木徹雄君及び前田榮之助君が議長
 の指名で委員に選任された。
同月二十四日
 委員片山哲君辞任につき、その補欠として鈴木
 義男君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
五月十八日
 公立の盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校の
 幼稚部及び高等部の整備に関する特別措置法案
 (米田勲君提出、参法第二三号)(予)
同月二十日
 私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する
 法律案(内閣提出第二〇四号)
 学校給食法の一部を改正する法律案(矢嶋三義
 君外六名提出、参法第二四号)(予)
 夜間課程を置く高等学校における学校給食に関
 する法律の一部を改正する法律案(矢嶋三義君
 外六名提出、参法第二五号)(予)
 盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校の幼稚部
 及び高等部における学校給食に関する法律の一
 部を改正する法律案(矢嶋三義君外六名提出、
 参法第二六号)(予)
同月二十二日
 学校教育法の一部を改正する法律案(千葉千代
 世君外五名提出、参法第二八号)(予)
 公立の小学校及び中学校の特殊学級における教
 育の振興に関する法律案(千葉千代世君外五名
 提出、参法第二九号)(予)
同月二十四日
 神社法制定に関する請願(野田卯一君紹介)(
 第四〇〇三号)
 小、中学校の教科書代全額国庫負担に関する請
 願(森本靖君紹介)(第四〇二一号)
 大口市立大口小学校の屋内体操場改築費国庫補
 助に関する請願(池田清志君紹介)(第四〇四
 九号)
 大口市立中央公民館建設費国庫補助に関する請
 願(池田清志君紹介)(第四〇五〇号)
 養護教諭必置に関する請願(千葉三郎君紹介)
 (第四一三七号)
 同(飛鳥田一雄君紹介)(第四三〇七号)
 長野県に第十回冬季オリンピック招致に関する
 請願(松平忠久君紹介)(第四二二六号)
 滋賀県守山町立守山中学校新設に関する請願(
 宇野宗佑君紹介)(第四二七一号)
 滋賀県守山町立河西小学校体育館新築費国庫補
 助等に関する請願(宇野宗佑君紹介)(第四二
 七二号)
 高等学校施設拡充に関する請願(帆足計君紹
 介)(第四二七三号)
 公立文教施設整備に関する請願(仮谷忠男君紹
 介)(第四三三五号)
 同外七件(岸本義廣君紹介)(第四三三六号)
 同(濱田幸雄君紹介)(第四三三七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する
 法律案(内閣提出第二〇四号)
 義務教育費国庫負担法の一部を改正する法律案
 (村山喜一君外九名提出、衆法第三八号)
 公立高等学校施設費国庫補助法案(山崎始男君
 外九名提出、衆法第四〇号)
 学校教育に関する件
     ――――◇―――――
○濱野委員長 これより会議を開きます。
 私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題とし、その提案理由の説明を聴取いたします。荒木文部大臣。
    ―――――――――――――
○荒木国務大臣 このたび政府から提出いたしました私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、私立学校教職員共済組合法の改正でありますが、御承知のように私立学校教職員共済組合は、昭和二十八年に私立学校教職員の福利厚生をはかる目的をもって設けられたものであります。本組合の給付水準は、国立学校教職員のそれと均衡を保つ趣旨で法律制定当初から国家公務員共済組合法の給付に関する規定が準用されて参りました。従って、国家公務員共済組合の給付内容が改正された場合には、それに伴って改正することが必要とされたのでありますが、昭和三十三年に国家公務員共済組合法の改正がなされ、その給付水準の引き上げが行なわれた際は、本組合は、さしあたり短期給付についてのみ同法の改正規定を準用し、長期給付については、旧規定準用のままとなって今日に及んだのであります。
 そこで今回、長期給付に関しても改正後の国家公務員共済組合法の規定を準用し、その給付水準を国立学校教職員のそれと同一の程度に改め、私立学校教職員の福祉の増進をはかろうとするものであります。
 なお、標準給与の月額は、従来最低六千円から最高五万三千円までとなっておりましたのを、給与の実態を考慮して最低八千円から最高七万五千円までとすることとし、その他本組合が発足の際の経過措置によって、組合員で、旧私学恩給財団における従前の例による長期給付を選択している教職員についても一般の組合員と同じ給付を受けることとする等の改正を行なっております。
 次に、昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じた旧私学恩給財団の年金を受けている者――いわゆる既年金者の年金額は、昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じた旧財団法人私学恩給財団の年金の特別措置に関する法律によって定められておりますが、最近では、他と比較して低額になっておりますので、このたびこれを引き上げ、この制度によっている旧私学教職員の老後の生活の一助としようとするものであります。
 その他これらの改正に伴う経過措置について所要の規定を設けました。
 以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。
○濱野委員長 次に、補足説明を聴取いたします。福田管理局長。
○福田政府委員 ただいま提案になりました私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして文部大臣から説明がございましたので、若干補足説明をいたします。
 まず、私立学校教職員共済組合法の改正について申し上げます。改正の第一は、今回長期給付についても国家公務員共済組合法の新法を準用することとし、国家公務員共済組合の給付と同一程度に引き上げることであり、本改正の眼目であります。その内容を具体的に申し上げますと、たとえば、退職年金については、二十年で退職した者は従来の率によりますと平均標準給与の年額の三三・三%が支給されておりましたが、これが四〇%に引き上げられること、廃疾年金については、業務外傷病による廃疾年金のほかに業務上傷病による廃疾年金が加えられること、遺族年金については受給資格期間二十年以上を十年以上に改めるほか・職務死亡の場合にも遺族年金が支給されること、その他、退職一時金についても給付額の引き上げが行なわれること等の改正でございます。
 第二は、標準給与の月額の改訂であります。現行月額表は、昭和三十二年に定められたものでありますが、現在の私立学校教職員の給与の実態を考慮してこのたびこれを最低を八千円に最高を七万五千円に引き上げ、給付の向上をはかるとともに、あわせて負担の均衡をはかったものであります。
 第三に、本組合が発足の際その権利義務を承継した旧私学恩給財団の加入教職員の長期給付については給付の内容及び掛金の額は、なお恩給財団における従前の例によることができることとされ、これらの者は一般の組合員よりも掛金が低く十五年で年金を受けることができるが、その給付額は一般の組合員に比してかなり低く年額六万円でありますので、これら該当者の熱心な希望もあり、この際一般組合員と同様な給付が行なわれるよう改めようとするものであります。
 第四は、これらの改正に伴う経過措置についてであります。給付の計算方法については、改正前の期間は従前の計算方法によることを原則とし、おおむね国家公務員共済組合法の旧法から新法への給付引き上げの場合の経過措置に準じて定めております。また、一定の高齢者にはその在職年に応じ本組合発足前の私立学校在職年を資格期間に算入することとする等の措置を講じております。
 最後に、昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じた旧財団法人私学恩給財団の年金の特別措置に関する法律の一部改正でありますが、昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じた旧私学恩給財団の年金を受けるいわゆる既年金者の給付額については、従来この法律によりまして、たとえば十五年で年額三万円の給付がなされることになっておりますが、最近では他と比較して低額になっておりますので、これを国家公務員共済組合における既年金者の給付額引き上げの状況と対比し、約五〇%引き上げることとするものであります。
 その他国民金融公庫が行なう恩給担保金融に関する法律の一部を改正して木組合の年金を担保化しうる道を開くものでございます。
 次に、この法律の施行期日は、準備期間等を考慮し昭和三十七年一月一日を予定しております。
 以上がこの法律案の内容の概要であります。
○濱野委員長 本案についての質疑は追っていたすことといたします。
     ――――◇―――――
○濱野委員長 次に、義務教育費国庫負担法の一部を改正する法律案及び公立高等学校施設費国庫補助法案を一括議題とし、提出者よりその提案理由の説明を聴取いたします。山中吾郎君。
    ―――――――――――――
○山中(吾)議員 ただいま議題となりました義務教育費国庫負担法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
 すべて国民は、ひとしく教育を受ける権利を有し、義務教育はこれを無償とする、これは、日本国憲法第二十六条に明らかに規定されている条文であります。しかるに今日における義務教育の実態は、教育予算の不足が、教材教具の不備を生じ、教育の資質向上を阻害し、一方教育費の父母負担が年々増加することに伴い、家庭収入の差異による教育の機会均等が失われているのが実情であります。一昨年十一月文部省が発表しました「わが国の教育水準」によりましても明らかなように、義務教育学校教育費のうち、小学校については三六・二%、中学校については三四・六%が父母負担によってまかなわれているのであります。
 以上のごとき実態からいたしまして、父母負担のいかんが、学校教育費に大きく影響しているわけで、文部省発表の「わが国の教育水準」にも明らかにされている通り、地域別に見られる児童生徒の学力の差異はこのような結果に基づくものといわなければなりません。このような実情にかんがみ、義務教育の円滑な実施と、教育の資質向上並びに機会均等を促進するため、今回の法律改正を提案する次第であります。
 以下改正法案の内容について概略を御説明申し上げます。
 まず第一は、教材費国庫負担の児童生徒一人当たり単価を本法に規定し、その引き上げを行なうことであります。
 第二は、昭和三十七年度より三十九年度までの三カ年計画をもつて実施することとしたことであります。
 以上がこの改正法案を提出いたしました理由及び内容の概略であります。何とぞ、慎重に御審議の上すみやかに御賛成下さるようお願いいたします。
 次に公立高等学校施設費国庫補助法案について提案の理由を説明申し上げます。
 世界及び社会事情の急速な変化と技術革新に長期に対応し得る基礎学力を養い職業に必要なる教育を広く国民に実施するため、各国が後期中等教育、高等学校教育を重視し、特に先進諸国においてはこれを義務制化しようとしている。ところがわが国の高等学校は、その数においても、施設、設備においても不足、不備であって、老朽校舎の改築すら十分に行なわれていない状態であります。特に生産技術の進歩、農業生産の社会的技術的発展の必要に伴い、国民が一そう高度の生産教育の必要に迫られているおりから、高校進学希望者は増加し、その上、昭和三十八年以降の中学校卒業生数の激増を目前に控えて、公立高等学校の増築、新設は都市、農山漁村を問わず、不可避となっております。他方、地方財政は、国の財政に比べ相対的に縮小してきており、特に都道府県の財政格差もまた相当大きなものがあります。高校改築、増築、新設を都道府県まかせに放置する場合には、高等学校の改築、増築、新設が不十分となるのみならず、都道府県によって高等学校教育の機会均等は著しく差を生じ、国民の中等普通教育に対する希望は十分に満たされがたくなるおそれが十分にあります。以上のような次第から、その最も財源の必要とされる建物の建築に関する経費をとりあえず国庫より補助することが必要と考えるものであります。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
     ――――◇―――――
○濱野委員長 次に学校教育に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。高橋英吉君。
○高橋(英)委員 一般教育行政のことについていろいろ御質疑をしたいのですが、野原君があとから緊急重大な質問をしたいというので待ちかまえておるらしいですから、私は緊急な問題、すなわち高等専門学校の件について四、五簡単に、原稿によって明瞭に質問いたしますので、大臣その他においても一つ簡単に、しかし明確に御答弁を願いたいと思います。
 第一に、高等専門学校は第七十条の三により、工業に関する学科を置くとなっているが、将来法律改正により商業科、農業科その他の学科を置く意図や含みがあるのではないかということであります。まずこの点についてお伺いしたいと思います。
○荒木国務大臣 御指摘の点は、制度としましては御案内の通り学校教育法という学校体系を定める法律の一部改正ということで御審議、決定をいただいておりまして、従ってその建前から申しますと、ひとり工業に限らずほかの部門につきましても設け得る、制度上はそういう趣旨にはなっておりまするが、しかしこういう新しい制度を創設するにつきまして、現実運用面においてはあくまでも社会の要請の度合いによって判断すべきものと心得ますので、その意味からは目下最も熾烈な要望を注がれておりますところの工業に限って高等専門学校を置くという趣旨を、法律に明確に限定して御決定をいただいておる次第でございます。理論上はほかにも及び得るわけではございまするが、それはあくまでも国あるいは社会の要請にこたえて国会の御決定を待って、かりにいたすとしましても処理すべきもの、そういうことに考えておる次第でございます。
○高橋(英)委員 これは官房長からお答え願ってもいいと思いますが、今の大臣の答弁によって相当はっきりしたとは思いまするが、本来なら今度の改正法案に、まず表題といいますか、それには工業高等専門学校という表題をつけた方がいろんな疑いを招かないでいいのではないかという説も盛んにあったわけです。ところが何か法文作成の慣例上といいまするか、そういうふうなものは今大臣が言われたような高等専門学校というふうに、ひとり工業ばかりではない、ほかの職業課程の学校も包含するがごとき疑いを持たれるおそれのあるそういう表題を作らなければならなかったことの理由、こういうことについてはいろいろ御説明願っておったようにも思いまするが、ちょっと頭が悪いものだから忘れましたから、この点について一つ明快なるお答えを願いたい。
○天城政府委員 今大臣のお答えでも触れましたけれども、学校教育法は現在小学校から中、高、大学あるいは盲ろう学校等の学校制度を定めた法律であります。このたびの高等専門学校もこの学校教育法の一部改正という形をとったために、学校制度としては五年制の高等専門学校という制度を設けるという形をとるのが法律の建前からいって適当だ、こう考えたわけでありまして、第五章の二として、高等専門学校という新しい形の章を起こしたわけでございます。内容につきましては七十条の三で工業に関することをはっきり規定した、こういう形で、ある意味では法律の体裁上の問題、学校教育法全体の考え方という点からきていると御承知願いたいと思うのであります。
○高橋(英)委員 その点は大体了解いたしました。さらに第二点として、非常に重大な問題ですから、これは大臣からお答えを願いたいと思います。
 私立の工業関係の短期大学で希望のあるものは、付属の高等学校と短期大学の教育課程を連関せしめて一貫的教育を実施し、中級技術者の養成を行なうことができると思いますが、このような措置を政府は考えるべきではないかと思いますが、その点に対する御意見を伺いたい。
○荒木国務大臣 御質疑の点は私どもも同感でございまして、そういう短大に高等学校を付属せしめるというやり方で、そうでないよりももっと適切な徹底した教育が行なわれることが望ましいと存じておりまして、それに対する適当な措置を講じたいと存じております。
○高橋(英)委員 そうすると、その適当な措置といううちには、たとえば大臣通牒といいますか、次官通牒といいますか、そういうふうなものでそれぞれ関係方面に御通牒を出していただくというふうなお考えはありますか・どうですか。
○荒木国務大臣 仰せのような措置を、方法としてはとるべきだと存じます。
○高橋(英)委員 とるべきだと存じますで大体わかってはおります。われわれはよくわかってはおりますが、ぜひこれは一つとっていただかなければならないというわれわれ自民党の党員の総意ですが、ぜひ一つこれをこの改正法案が成立しました直後にお願いしたいと思いますが……。
○荒木国務大臣 その通りにいたします。
○高橋(英)委員 それから第三のお伺いですが、私立の高等専門学校に対する助成、あるいは工業に関する私立の短期大学で、高等専門校に転換せずそのまま存続するものに対する助成を、どういうふうにお考えになっておりますか、これを伺いたい。
○荒木国務大臣 今御指摘の点は、予算措置としましては、大学につきましては、十分ではございませんが一応の措置をいたしております。私立の高等専門学校というものができますのは、法案が国会を通過しませんければ確定的にはむろん申せませんけれども、決定いたしましても実施は来年度からのことになっておりますので、その予算措置も当然来年度以降の問題として善処いたしたいと考えておるところであります。
○高橋(英)委員 たとえばただいまの助成問題ですが、これは現在においては、私立大学については理科特別助成金というものが支出されておるというふうなことになっておると思います。従って短大に対しても、普通の大学に対してもこの特別助成金は支出になるというふうなことになりますが、専門学校に対しても、今言われました三十七年度からの助成ということは、やはり私大理科特別助成金と同様なものをやってほしいということをわれわれは希望するわけですが、大臣はどうお考えですか。
○荒木国務大臣 ただいまも申し上げました通り、来年度以降の予算措置の課題でございますから、具体的にはっきりはむろん申し上げられませんけれども、御指摘の通り大学についてとっておりますことに準じて措置をすることになろうかと考えております。
○高橋(英)委員 それからやはり短大の問題ですが、短大の恒久化ということが問題になっています。この問題については、文部省当局では常に、大学制度については現在中教審の方へ諮問をしておるから、その回答を待って後に態度をはっきりしたいというふうに言われておりまするが、現在でもそういうふうなお考えですか。
○荒木国務大臣 その通りでございます。この前の委員会でどなたかから類似の御質問がございまして、お答えした記憶がございますが、今の学校教育法によりますれば、短期大学は当分の間ということになっておると存じます。当分の間となってはおりますが、短大それ自体の実際のありさまはどうかといえば、実施されまして十年以上たちまして、それぞれ特色を発揮しつつ、社会の要請にこたえており、独自の存在理由があると私は考えるのでありまして、その意味においては恒久的にこの制度は存続すべきものと私は心得ております。ただ、今も御指摘のありましたように、大学制度一般について中教審に諮問され、審議されつつありますから、その結論がどう出ますか、その結論が出ました場合には当然尊重する立場に立たざるを得ないと思うのでありますが、その意味では中教審の答申待ちの意味もございます。ございますが、それ以前に、私の考えを率直に申し上げれば、ただいま申し上げたような気持でおる次第でございます。
○高橋(英)委員 大臣の御答弁一々得心がいくような御答弁で、質問者といたしましても非常に愉快でございますが、あと二点ほどお伺いしたいと思います。
 高等専門学校の審議会は、高等専門学校の設置に関する事項とともに、私立高等専門学校を設置する学校法人に関し、私立学校法に規定する事項をも調査、審議することにしているが、別に私立高等専門学校審議会を作るべきではありませんか。この点に対する御意見を伺います。
○天城政府委員 私立高等専門学校の設置と、これを設置する学校法人に関しまして私立学校法に規定する事項とは、非常に関係が深いわけでありますので、両者を同じ審議会で審議することができるように、今度の案で考えたわけでございます。もちろん、高等専門学校審議会の組織、運営につきましては、私立学校法の趣旨を十分生かしていけるように、実施の上で配慮したいと考えております。
○高橋(英)委員 運営の面で、私立学校関係に対しては特に留意するというようなことだと思いまするが、それよりも、別の審議機関を設けた方がいいというふうな意見もありますので、この点一つ慎重に御考慮を願いたいと思います。
 さらに、最後の一点ですが、私立学校法の一部改正の中に、「第三十条第一項第三号中、「大学院」の下に「、学科を」加える。」となっておるのでございますが、学校法人の寄付行為は所轄庁の認可事項であるので、この改正の結果、従来認可事項でなかった大学の学科の設置、廃止が認可事項となるのではないかという心配があるのですが、その点に対する御見解はいかがでありますか。
○天城政府委員 これは若干技術的な改正でございまして、この改正は、私立学校法の五条一項一号の改正によりまして、高等専門学校の学科の設置、廃止を認可事項といたしましたことと関連いたしまして、高等専門学校の学科の名称を寄付行為の必要記載事項としたのでありまして、従来の大学の学科についてまでこれを及ぼして認可にかからしめるという意味ではないわけでございます。
○高橋(英)委員 それでは、従来の認可事項というものに変化はないというふうなことになるわけですね。
○天城政府委員 認可事項として大学の問題を加えるという趣旨ではございません。
○高橋(英)委員 よくわかりました。
○濱野委員長 この際午後三時まで休憩をいたします。
   午後一時二十八分休憩
     ――――◇―――――
   午後四時十六分開議
○濱野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。野原覺君。
○野原(覺)委員 きょうは科学技術庁の池田長官にお越しをいただいたのでありますが、私は五月二十日の新聞記者との池田長官の会見で、科学技術者の養成のための勧告についての声明書を新聞で拝見をしたのであります。この問題は、長官はどのようにお考えになっておるか知りませんが、科学技術者の養成ということは、これは国策の最も大事な問題でもありますから、新聞を通じて国民諸君にアッピールするということはわかりますけれども、私は今日まで文教委員会が取り上げてきた経緯等から考えてみても、当然長官は文教委員会において、この国会を通じて国民の前にあなたの心境なり、この前の勧告についてはこういうことになったということの積極的な意見の表明があってしかるべきではないか、このように私は考えましたので、きょうは特にお越しをいただいたのであります。
 そこで池田長官にお尋ねをいたしますが、五月二十日に新聞記者諸君に発表をいたしました声明とはいかなる内容のものでございますか。同時に、そのような声明を発表された今日ただいまのあなたの御心境について御説明が願いたいのであります。
○池田(正)国務大臣 声明書を読み上げますか。
○野原(覺)委員 読んで下さい。
○池田(正)国務大臣 それでは、まず最初に声明書を読み上げます。
 私は、さきに文部省当局に対し科学技術者の養成の早急な達成をはかり、とくに今年度中にもその実現を図るため、公私立大学に協力を要請するよう所要の措置をとることを勧告した。しかるに、文部省当局は、これに対し、何等の誠意ある措置を講ぜず、今日に至ったことは、きわめて遺憾にたえない。
 幸い、各私立大学においては、勧告の趣旨にのっとり本年度は定員をはるかに超えて増加入学せしめたので、勧告の趣旨は事実上所期の目的を達成したものと認められる。しかしながら、この増加入学の現実に即しその育成を計ることは、あげて文部省当局に残された責任である。
 勿論、わが国における最近の設備投資の増加と第三次産業による技術者採用の異常な増大傾向等各方面の理工系学生に対する需要は想像以上のものがあり、その増員計画の達成のために大学の体質改善と教授方式近代化等こんご政府として格段の努力を必要とする。この点については、文部当局の認識と努力にまつものであるが、本大臣としても今後引続き大きな関心をもって注目を怠らない所存である。これが私の声明書でございます。今読み上げましたように、大体文部省の元来の性格からいって、これは私が最初希望するような措置はおそらくとり得ないかもしれない、そういう危険をはらんでおるということを、私は実は洞察しておったのであります。はたせるかなそういう結果になりまして、そこで私としましてはこれはどうしてもこの際はいかなる犠牲を払ってもこの理工系の学生の増員ということはやらなければいかぬ。というのは、申すまでもなくこれから日本の科学技術の推進をはかっていくというためには、御承知のようにこれはその基礎となるものは人とものであります。物的要件と人的要件であります。物的要件というのは、申すまでもなく、研究機関なりあるいは研究の環境をよくするとか、あるいは予算をよけいつけるとか、そういったようなことでありまして、それともう一つは、いわゆる人的要件、すなわち理工系の人材を養成すること、これが二つの柱となっていかなければ科学技術の振興ということは考えられないのであります。そういう意味でその二つのうち、それじゃどっちが先かといえば、これは当然人材を養成することがまず先、さような意味において私の立場から申しますと、人材を養成することはまず最大の急務である。ものの面においては、物的要素におきましてはすぐにはできないものもございますけれども、ものによっては金さえ出せばすぐに間に合うものもございます。しかし人的要素というものはこれはすぐには絶対間に合わないのであります。さような意味においてこれだけはどうしてもやらなければいけない。いかなる犠牲を払っても、今の国家の要請としてやらなきゃならぬという私は政治的信念に立ってこれを実は勧告をいたした次第であります。さような考えからいたしまして、先ほど申し上げたように、文部当局の従来のあり方から見て、どうもおそらくは私の期待するような結果は得られないかもしれないという危惧を私は持ちましたので、そこで自分の手の及ぶ範囲、すなわち主として私立大学の諸君の参集を求めて協力を願ったわけであります。その結果、各私立大学はことしは非常に、悪い言葉でいえば、水増しの入学を許可した。そういうような数字が大体約八千人くらいと私は見積もっておりますが、まだ正確な数字はつかんでおりませんけれども、そういうようなことであります。それと現在各私立大学は手続をとっておる。これらを合わせますと、約一万をオーバーする数字が、ここで最初政府が予定したよりも増加したという結果になりましたので、これで大体私は目的は達したということをここでうたった次第でございます。
 特に後段で私がこの最近の状況を書きましたが、それはいわゆる設備投資の非常な増加、それから第三次産業にわれわれが予想以上に理工系の卒業生が吸い上げられておるという事実、こういう事実に即応して、これからもまたこれだけで満足すべきものじゃないので、もっとうんとこれはふやさなければならない。それには大学それ自体の体質改善と、それから現在日本の大学のやっておるような理工系の特殊な科目になりますと、二十人とか三十人といったようなゼミナール式なといいましょうか、そういう教授方式をとっておる。これは当然改めて、もっと大量的と申しますと、大へん悪く響くかもしれませんけれども、ソビエトやドイツやアメリカがやっておるような教授方式、これは近代科学を利用することによって可能なんでありますから、そういう面に文部当局も日本の大学の学者諸君も、これはぜひ一つ協力してもらっていくことによって、所期の目的がある程度達せられるのじゃないかというのでこれをつけ加えた、こういう意味でございます。
○野原(覺)委員 ただいまの御心境、御所見に対して私は重ねてお尋ねをいたしておきたいと思いますが、そういたしますと、あなたの御答弁によると、三月十一日に科学技術者の養成について勧告をした。その勧告についてはその目的を達成したので、ピリオドを打つのだ、終止符を打つのだ、区切りをつけるのだ、こういう意味でこの声明書が出たのでございますか、これは非常に大事な点でございますから、お尋ねいたしておきます。
○池田(正)国務大臣 やはりこういう問題はタイミングがございますので、内容的には一応私の目的が大体達せられたので、これ以上やっても、また時期的にももう間に合いません。ぎりぎりの線まできました。この辺でピリオドを打つのがいいことだろうと思いましてやったわけであります。
○野原(覺)委員 長官は、勧告は文部大臣に出したのですね、三月十一日の勧告は……。ところが文部大臣は、あなたのただいまの御答弁を承りましても明らかでございますが、そのあなたの勧告の趣旨の実現のために協力をしていないでしょう、はっきり言って……。あなたは文部大臣に勧告を出して、その文部大臣は何も協力をしていない。今の御報告を承りますと、目的を達したのは私大の水増しということだったのです。文部大臣に勧告を出して、その勧告を受けた文部大臣は横を向いておる。何も協力をしていない。それで目的を達成したということになりますと、世間の人が何と言いますか。池田長官というのはどうも勧告だけを振り回し過ぎるきらいがあるのではないかというようなことが言われておるのです。ある人に言わせると、勧告権を乱用する男だと、こう言っている。私は実はそう思わない。あなたの勧告によって今日国論の中に、科学技術者が不足をしておる、なるほどこれは大へんだ――実は池田さんの施政演説や予算委員会における経済企画庁長官の所得倍増の説明くらいでは、世間の人にわからなかったのですけれども、あなたの思い切ったああいう勧告を出されたことによって、国民諸君は実は科学技術者の養成というのが目下焦眉の急だということを考えてきておる。だからそういう点からもあの勧告には勧告としての価値があった。そういう世論を引き上げたという点にも私はこれは価値があったと思いますけれども、しかしあなたが出した、文部大臣は何も協力していないのだ。私大の水増しで目的を達成したのだということになれば、私はこの勧告に終止符を打つというのは、これはおかしいと思うのです。私は終止符は打つべきではないと思う。少なくとも文部省に勧告を出して、その文部省が何らかその勧告に対して回答が出るか、何か誠意のある見解でも披瀝されるというならばいいです。いかがですか。この点は非常に大事な問題ですよ。いいかげんな勧告じゃないかという非難があなたに集まりますよ。それでいいですか。
○池田(正)国務大臣 私は非難とか、そういうものは問題にしていないのですけれども、何しろ同じ閣内においてそういつまでもけんかしているような格好はよくない。これは私はもしも総理大臣であればおのずからとる方法もあります。総理大臣じゃないものですから、残念ながらこれ以上の処置はちょっと無理じゃないかと思います。
○野原(覺)委員 あなたがそういう答弁をするならば、私は引き下がるわけにはいかぬです。この問題は総理大臣ならばおれはやるが、たかが大臣ではしようがないのだ。じゃ、なぜ勧告を出したのか、こういう反駁が出るのは当然であります。
 そこで池田長官にお聞きいたしますが、あなたの声明書の三行目「文部省当局は、これに対し、何等の誠意ある措置を講ぜず、今日に至ったことは、きわめて遺憾にたえない。」これはほんとうにこの文章の通りですか、通りであるとすれば私は文部大臣にお尋ねをしなくちゃならぬので、確かめておきたいと思うのです。科学技術庁長官の勧告は科学技術庁設置法の第十一条、これは法が明記した行政長官としての権限行使としてなされたのですか、文部大臣は何ら誠意ある措置を講ぜず今日に至った、こう明らかに書いておるということになりますと、これは大へんなことだと思うのです。何らの誠意も示さなかったのですか、ここのところをよく御説明願いたい。
○池田(正)国務大臣 書いてある通りであります。
○野原(覺)委員 そうなりますと、あなたの勧告は文部大臣によって完全に無視されたということに私どもは受け取らざるを得ませんが、よろしいですか。
○池田(正)国務大臣 あなたがそういうふうに私が無視されたとお考えになるのは御自由であります。ただ私は政治家として、実際をとっていくことがいいことだと思います。実利をとっていく、こう思っております。
○野原(覺)委員 何らの誠意ある措置も講ぜないということになれば、先ほども申し上げたように、終止符を打つべきではないんじゃないか、あなたは勧告をもてあそんだという非難を受けますよ、私はそう思うのです。これは荒木文部大臣にお尋ねいたしますが、池田長官から文部大臣に勧告が出されたのは三月十一日で、三月十五日の文教委員会におきまして私は文部大臣に質問をいたしました。これは速記をごらん下さるならば明らかでございますが、文部大臣はこのような勧告を受けて一体どう考えますかと私は端的に聞いたのであります。そうしたら文部大臣は、この勧告については文部省としては慎重に検討しなければならぬと思います。こう言っております。あなたがピリオドを打つのだといって出された声明書を見ると、あなたは何にも誠意ある措置を講じなかった、勧告に対しては完全に放擲といっては言い過ぎかもわかりませんが――検討したかとうかは知りませんけれども、反応というものはついぞ見せなかったということであります。そこで、この委員会で慎重に検討しなければならぬとおっしゃっておりながら、誠意ある措置を講ずることのできなかったのはどういうところにございますか、文部大臣の御見解を承りたい。
○荒木国務大臣 今、野原さん御指摘の通りの趣旨のことをお答えをしたと記憶いたします。そのときも申し上げたと思いますが、元来科学技術庁長官の勧告は、技術革新の社会的、国家的必要性に応じて科学技術者の育成措置というものが十分でない、だから将来にわたって遺憾なきを期するようにがんばれということが勧告の最も中心点であろう、こう受け取っておるのであります。その意味で慎重に誠意をもって検討せねばならないと、勧告を受けまして以来今日も考え続け、誠意をもってその措置対策を検討いたしつつある段階であります。政府として、文部省としてなすべき一番大きな主眼点は、予算措置を必要とするものはいかなる予算措置を今後にとるべきであろうか、そのまた根拠として、あるいはまた将来の対策として、立法措置を必要とするならば、その立法措置はいかなるものがあってどういう内容であるべきであろうかということを検討することが勧告の一番大きなねらいと心得ます。そういうことで三十七年度の予算を中心に、さらにまた次の通常国会を目ざしまして十分に検討を加えて遺憾なきを期する、一歩でも前進する努力をすることが忠実に勧告の趣旨を生かすゆえんだと受け取り、かつ今でもそう思っております。主眼点はまさしくその点にあると心得ます。
 誠意ある態度を示さないという言葉は別としまして、そういう点に触れておられる点は、想像しまするに、三十六年度を含めて十分考えろという勧告の趣旨もあったと思いますが、その三十六年度については、当時すでに三十六年度の予算案は審議中でありました。衆議院を通過して参議院段階で御審議中でありまして、予算措置を必要とするものは、池田内閣としては国会に対しまして正式に意思表示をし御審議を願っておる。だから三十六年度に予算措置を伴わないで何か具体的な有効な指貫があるならば検討しろという趣旨のことがあったと記憶します。その点について具体的な結論がまだ出ておらないことは事実でございます。その点を特に指摘されたと思いますが、それにつきましてもむろん最終的結論は出し得ないでおりますけれども、自来今日まで慎重にかつ誠意をもって検討し続けておることは事実でございます。従いまして私は文部省としては、勧告を受けましたそのとき以来今日まで誠意だけは尽くし続けておると考えておるのであります。勧告された側で具体的の結論が出ませんために、三十六年度の予算を伴わざる措置についてそういう御指摘があったのだというふうに受け取っておる次第であります。
○野原(覺)委員 三月十一日に勧告が出されたときには、文部省の事務当局の見解として、かなり強硬な態度で池田長官の勧告に対する反駁が出されたのであります。これは文部大臣の見解であったのかどうか知りませんが、具体的に指摘をして相当出たのであります。私はその当時の新聞記事をここに持っておりますが、これはすべての新聞に掲載されたので、おそらく記者会見においてその反駁が文部事務当局から出されたものではないかと私は思う。ところが今度の声明書はあの勧告書とは違いますよ。これは相当手きびしく攻撃をしておるのです。池田長官に言わせれば、おれが勧告したのに何らの誠意ある措置も講ぜぬじゃないか、今日に至ったことはきわめて遺憾にたえない、私はこれ以上の激しい非難攻撃はないと思う。これに対して文部省は沈黙しておられる。うんともすんとも今度は言わない。私はどうもこういうこそくな考え方というものが今日の文部行政を誤らしておるのじゃないかと思うのです。荒木文部大臣に信念があるならばなぜ反駁しないのですか。あなたは一国の文部の長官です。文部大臣です。日本の国の教育を預っておる人だ、荒木萬壽夫個人が攻撃されたのではないのです。文部大臣が池田長官から勧告をされたのに、何らの誠意ある措置を講ぜず、きわめて遺憾にたえぬじゃないか、こう言われて、一言も論駁をなさらないというのはどういうわけですか。これは記者諸君を通じて声明書が出たのです。これに対して一言も論駁をしないというのは、おそらく長いものには巻かれろ、あの池田というやつはうるさいやつだから、もういいかげん相手になるな、こういう考えであるとすれば、私は許しがたいのです。私は事教育政策に対しては、意見の相違はあってもいいと思います。もし長いものに巻かれろとか、ああいうような圧力を加えてくるものにはもう反駁するな、うるさいからいいかげんにしておけ、とこういうような考え方で国の文教政策が進められるということになれば、私はこれは実はゆゆしいことだろうと考えます。この点文部大臣はどうお考えになりますか。
○荒木国務大臣 先刻も申し上げました通り、当初の御質問にお答えしましたとき以来、同じ考えでおりますが、今も申し上げました通りでございます。それは繰り返し申し上げれば、池田長官の勧告は、あくまでも技術革新の国家的要請に備えて、現状では将来が思いやられる、遺憾なきを期せよという点に、勧告の趣旨の百のうちの九十九の重点があったと私は受け取るのであります。従って、今度の声明にいたしましても、そういう趣旨の勧告について、一応の勧告のケリをつけるという長官自身の見解が表明されたと受け取るのであります。それは先刻も申し上げた通り、予算については三十七年度以降立法措置を講ずるとしましても、常識的に考えて、次の通常国会たらざるを得ない。そういう課題につながる事柄が問題の勧告の実質の大部分を占めるはずでございますから、そのことを真剣に誠意を持って受け取って、取っ組むということで、勧告の大部分の趣旨は達成されつつあるという状態だと私は理解をいたします。
 さらにまた、野原さんも御指摘の通り、勧告の第一義的な目標ではないにいたしましても、結果的には科学技術者の養成が重大課題であるということを一般国民にも理解するに役立ったということもあわせますると、そのことで私は勧告の趣旨は生きておる、大部分の趣旨は透徹される段階に進行を始めておる、また始めさすべきである、われわれが受け取り、努力することによって、勧告の趣旨にこたえ得ておると私は存じておりまして、池田長官の声明の用語の激烈である、ないということは第二義的なものであって、その含まれておる趣旨をまじめに、まともに受け取り、勧告の趣旨を生かすことこそがわれわれのなすべきこと、こう心得ておりまして、憤慨したこともなければ、反駁を加えねばならぬとも毛頭思っておりません。当初事務当局が数学的に何かを、叶ったようですけれども、あれは私の意思ではありません。数字そのものとして、文部省の持っておるものに立脚して、記者諸君の質問に答えたことがああなったろうと想像いたしております。何もあれにあのとき以来反駁するなどという考えは、文部省としては、ございませんことを申し添えさしていただきます。
○野原(覺)委員 重ねてお尋ねいたしますが、私は文部省の見解については、今のあなたのお考え方については不満ですから、その点は逐次明らかにして参りますが、大事なことですから、繰り返してお尋ねしておきますが、あなたはこの声明書に書かれておる、文部省のとった態度はきわめて遺憾にたえないというのを甘んじてお受けなさる、こういうことですね。
○荒木国務大臣 遺憾にたえないと、勧告をした長官として感じられること、そのことにかれこれ申し上げる必要はないと、こう考えます。あくまでも先刻来申し上げるように、権限に基づいてなされた勧告の趣旨を、誠意をもってまともに受け取って、それに応じた考慮をし措置をすることが私のなすべき事柄だ、こう理解しておるわけであります。
○野原(覺)委員 文部大臣は、この三月十一日の勧告に対しては慎重に検討したのだ、こういうことを言われますが、私はどうも、ただいまの答弁並びにあの勧告が出てからの文部省の態度を、私なりに見ておりますと、慎重に検討された形跡を、遺憾ながら私は見ることはできないのです。池田長官というのはああいう男だから勧告したのだ、なにほっとけ、こういう気持ではございませんか、率直にいって。あなた方が一体どこで慎重に検討しました。私は、慎重に検討したならば、このような勧告、このような声明を出されて、人間だったら怒ると思います。個人が罵倒されたのならばいいけれども、いやしくも文部大臣、文部省が、国の教育を預かる文部省が、誠意ある措置を講じてないのだ、遺憾にたえないのだといわれても、沈黙せざるを得ないというのは、何も検討しなかったからじゃないですか。一体どういう検討をしたのですか。池田科学技術庁長官のこの三月十一日の勧告書はここにある。私はその点について、一つ一つお尋ねをして参ってもよいのでございますが、いつ、どういう検討をしたのです。検討をしたならば、科学技術庁長官のこの一カ条一カ条についての意見が出ておるはずです。これをお聞きしましょう。大事な点は、三月十一日の勧告では、説明資料なんですが、説明資料の五項が大事じゃないかと私は実は思っておる。「私立大学の理工学系学生の増員計画を促進するためには、つぎのような措置を講ずる必要があると考える。」これは池田長官の意見がここに出ておるのです。それまではほんとうの抽象的な勧告になっております。これは政府の方針からいっても反駁の余地はない。この意見のところが問題なんです。「(1)現行の大学設置基準、大学設置審議会の申合事項等大学の設置のために必要とされる基準は、私立大学における現実とそぐわぬ点が多く、かつ国立大学の取扱と差別的な点もあるので、これに関する再検討を行う必要がある。」これは一つ一つお尋ねして参りますが、再検討を行ないましたか。再検討をしたかどうか。再検討をした結果、池田長官は、差別的な点もある、こういっておる。私立大学における現実とそぐわぬ点も多い、国立と差別をしておると、こういっております。これは慎重に検討すれば、この長官の見解が誤りか正しいかという文部省の見解が出るはずです。この点はいかがですか。検討したならば出ておるはずだ。これを説明してもらいたい。
○小林(行)政府委員 御勧告の説明資料の五項の一でございますが、従来、国立大学につきましては、御承知のように、予算で年々の経費が一年々々限られて、規制されるわけでございますので、たとえば施設の充実というようなことにつきましても、年次的な進行を認めておる。私立大学につきましては、全体の計画を立ててもらいまして、少なくともその八割以上のものを一年次で整理してもらうというような行き方を従来とっておったわけでございます。そういう点から申しますと、やはり多少やむを得ない点でございますが、国立大学の取り扱いと私立大学の取り扱いが違っておったという点はございます。なお大学設置審議会の審査の方針といたしまして、どういうふうに審査をするかという点もそれに関連してくるわけでございます。その私立大学の審査につきましては、三十五年度の審査においては、従来の審査方針をある程度緩和いたしまして、施設設備の充実の年次割計画、それから、教員の整備の年次割計画というようなものを改めたのでございますが、こういう点につきましても、今後やはり現在のような理工系科学技術者の需要の特に大きい、また必要度の高い時期には、この点に検討を加えて、もし改正すべき点があれば改正したいということで、現在も実は続けて検討中でございます。
○野原(覺)委員 あとでまとめて申し上げたいと思うので、今の小林局長の答弁に対しては、私はあとで意見を一括して申し上げようと思います。
 その次は、私立大学における現実とそぐわぬ点が多い、国立大学の取り扱いと差別的な点がある、これの具体的な表示として、(イ)としてこう書いてある。「教授等の教員構成及び施設設備については、初年度において完成年度における六割〜八割程度を保有する必要があるとしている」これは私立大学の場合で、「国立大学の場合は初年度に必要な教員及び施設設備のみで認められる。」これは当初三月十一日に勧告を出したときには、これは局長、あなたの御見解か緒方次官の見解か知りませんが、こういうことはないと新聞に反駁されたのです。これはお認めになりますか。池田長官が具体的にこれを支持しておりますが、国立大学の場合は初年度に必要な教員、施設設備で、その設置を認めながら、私立大学は六割ないし八割の施設設備がなければならぬ、こういうようなことでやっておるのだ、これが具体的な国立と私立の差別だという長官の見解を文部当局は認められるかどうか。
○小林(行)政府委員 先ほどのお答えの中にも申しましたように、従来の審査の方針といたしましては、国立大学については、年々予算で教員の数を縛られるわけでございますので、年次的に学年進行的に整備をしていくということでございます。私立大学につきましては、従来は完成年度までのものを初年度でということでございましたものを、三十五年度から六割程度を初年度でという整備の方針にいたしましたのですが、それにいたしましても、御勧告にありますように、その点につきましては私立大学と国立大学の取り扱いに差等があるわけでございます。
○野原(覺)委員 認められるのですね。それじゃ(ロ)「教授の資格要件は、学位や教育経歴が重視され、産業界、研究所等における実地経験等が充分考慮されないこと。」この見解に対してはどのような結論に達しましたか、文部省は。
○小林(行)政府委員 大学の教授の資格要件でございますが、学部あるいは学科の新設の場合には、これは教員の資格審査のオートノミーを持っております大学におきましても、そうでない大学におきましても、大学設置審議会の方に従来届けてもらいまして、そこで審査をしていくということでやっております。もちろん学位あるいは教育経歴の重視ということもございますが、私どもといたしましては、産業界や研究所における業績、あるいは経験についても従来相当配慮せられておるというふうに考えておったのでございます。しかし今後急速な理工系の学生の増員を行なわなければならぬ、従って相当数の教員の需要が見込まれるわけでございますので、その対策といたしまして、実務の経験の非常に豊かな産業界等の人で適当な人がありますれば、そういう人もやはり教官になり得るようなことを考える必要があるのじゃないかという現在の考え方でございまして、この基準の内容についても、ただいま検討中でございます。
○野原(覺)委員 (ハ)は、「校地の面積は、原則として校舎面積の六倍以上を私立大学の場合は必要とする」しかるに、国立大学においては三倍程度である。この見解はいかがですか。
○小林(行)政府委員 これは大学設置基準によりますと、原則として校舎面積の六倍以上を必要とするということになっておりますが、ただ私大の場合におきましても、たとえば大都市等で学校の所在地の近隣に新たな校地を獲得することが困難であるというような場合におきましては、この六倍という基準は現在においても相当緩和して適用をいたしておるわけでございます。なおこの点につきましては、国立大学と私立大学の間には差別はいたしておりません。
○野原(覺)委員 池田科学技術庁長官は池田長官としての見解であるし、その見解に基づいて勧告を出したのであるから、この勧告は絶対に正しい、間違いのない勧告だとは私も思っていないのですよ。これは人間の出す勧告ですから、科学技術庁長官といえども勧告を出すけれども、その出した勧告が絶対に正しいとは思っていない。あるいは文部省の見解が正しいのかもわからぬのです。だから今小林局長から言われたような考え方、具体的な池田長官の勧告の中に示しておるこの意見についての考え方をなぜ文部大臣は池田長官に表示しないのか、表示しましたか。このことについてはおれはこう考える、文部当局はこう考える、――アメリカとソビエトの条約のやりとりじゃない、交渉のやりとりじゃないのですよ。あなた方二人は池田内閣の閣僚じゃないですか。だから君は勧告を出したけれども、文部当局はこう考えるんだと、なぜざっくばらんな話し合いが事文教政策においてできなかったのか、文部大臣のお考えを聞きたい。小林局長の言われたような考え方を認める認めないは別にして、そういう考え方があるならば、積極的にあなたは――誠意ある措置を示されない、遺憾にたえないと罵倒されておるのですよ。けなされておるのです。だからそういうことがないためにも、あなたの見解を積極的に示すべきではなかったか。これは回答を要求しなかったからやらなかったといえば、私はあまりにしゃくし定規的な考え方だろうと思う。なるほど科学技術庁設置法には回答を要求する権利も、第十一条の二項でございますかにあります。それがこないから文部省はやらぬのだということであるならば、これはどうもはなはだおかしな話です。こういう技術者養成の不足を緩和するところの問題でございますから、進んでもっとひざをつき合わした話し合いというものがあってしかるべきものじゃないか。実は私は、党の方針としても、過日の予算委員会で取り上げるつもりでおったのです。一体こういうことで池田内閣はいいのかどうかということを私は総理にただしたいと考えておったのですが、本日残念ながら総理を呼んでもなかなか参りませんから、私はここで遺憾ながらお二人にただしておきたいのでございます。小林局長のただいまの見解、考え方を文部大臣は科学技術庁長官にかつて示したことがあるかないか、いかがですか。
○荒木国務大臣 勧告者たる池田長官には話したことはございません。と申しますのは、しいて反発せんがために話していないということでは毛頭ないのでありまして、長官の権限に基づく勧告というものは、ある課題で団体交渉でもするという問題でもないと私は心得ておるのであります。それは先刻も申し上げましたが、日本の技術革新の時代に立っての日本の将来を憂えて、これではいかぬ、ことしだけの問題じゃない、三十七、八、九、十、――所得倍増だけを考えましても、十年間の将来にわたって遺憾なきを期せよ、十年で終わるのじゃない、さらに次の十年、あるいは永久の将来を考えて遺憾なきを期する心底をもって十分に善処しようということが、私は勧告の主眼点であると思いますので、その勧告を契機として、今までより以上に、慎重に万全の措置を講ずべく努力するというきっかけを与えてもらったことで、勧告の趣旨は、私は大部分達せられる筋合いのものと心得ておりますので、何も勧告が出たから、おっとり刀で十分検討もしないことを池田長官に答えるというのが勧告の制度、もしくはその趣旨ではないと理解いたしておるのである。
 今政府委員からお答え申し上げましたのは、当該担当局長として、勧告の趣旨を尊重して、検討し始めている中間的な段階を御披露申し上げたことと私は理解いたします。私が、文部省として最終的にそうあらねばならぬ、あるいはそれではいけないと判断を下した最終結論では毛頭ないのであります。ことに設置基準にいたしましても、勧告があったから、直ちに変えるという性質のものではございませんで、野原さんも万々御承知のように、いつかも申し上げたと思いますが、新しい学校制度が発足をしました直後は、私学においても千差万別でありまして、中には、言葉が過ぎるかしれませんが、いかがわしい大学もあった。それでは私学全体の名折れだからという考え方に立って、大学というものはかくあるべしという基準がなければいかぬということを、私学みずからの発意において検討され、決定されて、それを基準に、大学のいわば設備内容、その他質の向上のために自粛されながら運営されて参った。そのことを制度化する必要があるという段階になりまして、その内容それ自体が文部省令という形で大学設置基準として確立され、それに基づいて官公私立を差別することを絶対に許さぬという厳粛さをもって、そのものさしで設置の認可ないしは法律に定められております事柄等を処理して参っておるわけでございまして、それ自体が私学みずからの見識に発するものでございます。あくまでも大学の内容を充実していこう、質の向上をはかっていこうという趣旨のもので、一朝一夕にできたものではございませんので、勧告の趣旨は十分わかります。いつかも申し上げましたように、設置基準ができましたから、十年以上たっておるとするならば、さらにまた世界的な技術革新の線に沿うべく、あらためて考え直すべき課題が新たに起こっておるのじゃなかろうか。そのことを大学設置審議会それ自体にも相談をして、これこそまた慎重に将来を達観して考えていただいて、それを正式に取り入れて、省令の改正という段階にならざるを得ない。ですから国会でいろいろそのことをつっつかれますけれども、事柄の性質上、おのずからかすに時日をもってし、権威者の方々にも十分御意見を承って、出していただいて、設置基準そのものの変更という段階になろうかと心得るのであります。従って事務当局としましては、一応こういうことが検討の課題ではなかろうかということで、設置審議会等に御相談するときの話題の一つを、検討中のその途中を御披露申し上げたと私は理解いたすのでございます。従いまして、慎重に誠意をもって勧告を受け取り、検討いたしておりますという心がまえと、現実の一たんを申し上げれば、以上のごとくでございます。
   〔委員長退席、坂田(道)委員長代理着席〕
○野原(覺)委員 私はあなたと見解が全く違うのです。勧告には勧告それ自体の価値があるということは、私も先ほど認めたのですが、しかし科学技術庁設置法の第十一条で、科学技術庁の長官として、各省の行政長官に勧告権を与えておるゆえんのものは、勧告のしっぱなしではないと思う。あなたも科学技術庁の長官をかつてやられたことがあるはずです。第十一条をお読みでしょう。第十一条の一項から五項に至るまでの一貫した法文の趣旨というものをあなたはどうお考えになりますか。池田長官は勧告のしつばなし、荒木文部大臣は勧告の受けっぱなし、私はそう思うのです。私だけじゃないです。この問題に関心を持って注目しておるすべての人がそう見ておるのです。あなたは受けっぱなし、池田長官はしっぱなし。そうしておれは勧告をやったんだ、おれは勧告をもらったんだ。そうして今小林局長に言えば、なるほど検討したかもわからぬが、ああいう意見がある。文部大臣は、そういう見解があるならば、なぜそれを科学技術庁長官と話し合わぬのか。また科学技術庁長官はなぜ回答を求めないのか。
 では、私は池田長官にお尋ねいたしますが、第十一条の二項によって、「必要な資料の提出及び説明を求めることができる。」というのがありますが、あなたはかって文部大臣に必要な資料の提出及び説明を求めたことがございませんか。
○池田(正)国務大臣 ありません。
○野原(覺)委員 なぜしないのです。私は、あなたの勧告の趣旨を実現するためには、文部大臣に対して資料の提出なり説明を求めることが大事だと思いますが、これをしなかったのは、どういうわけですか。
○池田(正)国務大臣 私も政治家でありますから、一応の物事に対する見通しを立てて、やっているつもりであります。文部省というところは元来そういうところで、こっちから出せといっても、何を出していいかわからぬというような役所でありますから、当てにならぬ。そこで私の方で適当にこれはやる以外にないということであります。
○野原(覺)委員 文部大臣、今の御答弁に対して、あなたはどう考えます。文部省はそういうところですか。資料を出せと言われても、ろくすっぽな資料も出せない、当てにならぬというところですか。これは私は聞き捨てにならぬことだと思う。笑いごとではない。一国の文部省はそういうところですか、文部大臣の見解を承わりたい。
○荒木国務大臣 そういうところでないと思っております。
○野原(覺)委員 私は、この問題は池田長官が最近世論、世論というと語弊がありますが、一部の人でございますが、どうもあの人は勧告権を乱用しすぎるのではないかという非難が出ております。これはあなたの党内にもあるようです。私は個人的に聞いた。それから若干そういう人々もある。しかし私は、先ほども言ったように、実はそうじゃないという見解できたのでございますが、遺憾ながら池田長官の答弁を聞いていると、あなたは十一条三項に基づく勧告権の発動をした。ところがこの勧告権を発動する前に、二項によって資料の提出及び説明を求めることができる。あなたは文部省はそんなところだと言いますが、池田内閣の文部省ですよ。韓国の文部省ではない。ソ連の文部省でもない。日本の文部省です。あなたの同僚大臣です。そんなところであるならば、そんなところであるようにあなたは閣内においてそれをたたき直さなければならぬじゃないですか。私は遺憾ながらあなたの答弁も無責任きわまるものと思う。その点はあなたはどう思いますか。そうお考えになりませんか。文部省はそんなところだ、受けっぱなしでほっておくというようなことはいかがなものかと思う。
 それから四項によって――せっかく勧告を出され、あなたは勧告に基づく声明書までここに出されたわけです。しかもこれは池田内閣の政策の最も大事な金看板、それを達成するためには十七万、四十四万絶対必要である。これは池田内閣としては大事な国策中の国策である。それが三人で争われているわけでございますから、そういう重要な問題ならば、なぜこの四項を発動しないか。四項によれば回答を求めることができることになっておる。ところがこの四項を発動しない。五項に至ってはどうかといえば、五項においては、これは閣議を開いて政府が方針を出すことになっておる。これをなさらない。私は池田長官が、科学技術者の養成をしなければならぬ、不足解消は焦眉の急務だと本気でお考えならば、閣議を開いて池田総理に、政府はなぜ方針を出さないか、おれはこういう勧告をやっておるけれども、文部省というところはろくな資料もよう提出しないようなだらしのないところなんだ。だから政府みずから方針を出すべきではないかということを、五項を発動したらいかがです。「長官は、第三項の規定により勧告した重要事項に関し特に必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し当該事項について内閣法第六条の規定による措置がとられるよう意見を具申することができる。」とありますが、池田長官は総理大臣にかつてこの問題について意見を具申したことがあるかないか、これをお尋ねします。
○池田(正)国務大臣 そういう具申はやっておりません。というのは先ほども若干触れましたように、およそ政治家が行動を起こすときには、大体の見通しに立ってやらねばならないと私は思っております。そこでそういうものをかりに出しても、その結果はただ単に閣内の意思が不一致のような格好が出たりいろいろなことになりますと、これはまずいのでありまして、要は私の勧告の趣旨が貫徹されることが最大のねらいでございますから、そういう意味で私は出さなかったわけで、実利をとった、こういうふうに私は考えております。
○野原(覺)委員 遺憾ながらそれは実利になりませんよ。私はこの点はあなたにも落ち度があると思うのです。あなたが第三項によって勧告権を発動するならば、二項なり四項あるいは五項というその他の項も、これは考えておくべきなんです。だから私は、池田長官は勧告権をもてあそんだという非難に対してあなたは論駁できないと思う。せっかく法律が第十一条で与えておるその他の権限をあなたは行使しないで、勧告権だけ、三項だけ出しておるということは、勧告権の乱用だと言われても、あなたは反駁できませんよ。
 そこで次にお尋ねをいたしますが、この声明書でありますが、「幸い、各私立大学においては、勧告の趣旨にのっとり本年度は定員をはるかに越えて増加入学せしめたので、勧告の趣旨は事実上所期の目的を達成したものと認められる。」こうあります。そして今長官の御答弁をお聞きしますと、八千人くらいは定員外の入学があっただろう、こういうことですが、文部大臣はこの数を御承知ですか。いかがです。
○荒木国務大臣 大よそそういう見当かとは思いますが、正確には把握いたしておりません。
○野原(覺)委員 そうすると八千人の定員外の入学があった、あるいは増員入学と申しますか、それがあったといたしますと、これに伴って学科が大学においては新設されておるのではなかろうかと思うのですが、池田長官はこの辺をどうごらんになりますか。
○池田(正)国務大臣 学科の新設は、そういうのはないはずであります。しかし文部省に届出して、近く学生を募集して入学させるという計画は現在あるはずであります。これが約三千人くらいになろうと思います。それですから八千人と三千人加えますと一万一千人になりますから、そういう意味で私は先ほど来私の大体の目的は達成された、こういうことを申し上げておるのであります。
○野原(覺)委員 そういたしますと、これは局長でけっこうですが、当初三千四十何名の増員入学を本年度は認めましたね。そうなると定員外入学が八千名、そのほかに文部大臣に対する届出によって増加入学する者が三千人ということになれば、本年度の理工科系の大学に入学する増員は結局一万四千名を越える、このように考えてよろしゅうございますか。
○小林(行)政府委員 三十六年度の大学設置の認可の状況を申しますと、私立大学の理工系の学生の増員数は、正規に認可になりましたものが、大学につきまして千五十五人、それから短期大学について二百十人、合わせて千二百六十五人が三十五年度の学生増員として承認されたものでございます。
 なお八千人という数字は、実は三十六年度の全国の理工系学生の入学の実際の状況は現在調べ中でございまして、まだ的確に調べておりませんが、三十五年の実績を申しますと、多少数字のでこぼこはありまするけれども、ややそれに近い数字が出ております。そういう意味で八千人ということを仰せられたのではなかろうかと思っております。
 なお、先般本年度において今後さらに増員の希望があるということを表明されました学校の数は、文部省が私立大学の当局者においでを願いまして実情を調査いたしました結果でございますが、千三百四十という数字が出ております。
○野原(覺)委員 私は具体的な数字を聞いておるのです。そういたしますと、昭和三十五年度に比べて、これからその届出によって増員するものをも含めて何名の増員になるわけですか。
○小林(行)政府委員 先ほど申しましたように、三十六年度の理工系学生増員として正規に認可を受けましたものが千二百六十五でございます。これは前年度に比べて当然増加するものでございますし、それから実は大学側の方から増員したいということで学生増員を届出のありましたのが、全体として二千八百八十ございます。この合計が正式に定員増として増加になるわけでございます。それ以外に定員を上回って実際入学されておる数につきましては、三十六年度ではまだ調査中で把握をしていないわけであります。
○野原(覺)委員 まことに奇怪千万な答弁ですね。池田長官は数をつかんでいるじゃないですか、八千名増員だと。だから文部省は何も協力しないけれども、私大の協力によって大体人材養成の目的は達成できるからピリオドを打つのだと先ほど言われておる。ところがあなたはつかんでいない。文部大臣はつかんでいない。これはまことに私は不可解千万だと思うのです。これは重大ですよ。これはいいかげんに聞き流しては困りますよ。科学技術庁の長官が私大の定員外入学の数をつかんで、文部省が知らぬというのは一体どういうわけですか。そうすると私は荒木文部大臣にお尋ねしますが、池田長官が言った八千人というのはでたらめですか。池田長官はこの八千名に信頼をし、それからなお三千名ふえるであろうという確信を持って遺憾ながらこの勧告については打ち切る、こう言って声明書が出たのです。あなたは何も数を持たぬじゃないですか。それで一体文部行政ができますか。それで一体文部大臣が勤まりますか。科学技術庁の長官が数をつかんでおるのに文部大臣が数を知らぬ、こういうばかなことは私は了解できない。どういうわけでそうなっているのか、これは私は聞きのがしできません。文部大臣の見解を承りたい。
○荒木国務大臣 繰り返し申し上げますが、正確に把握できないのであります。これは戦後今日まで毎年同じ状態でございますから、程度の差こそあれ、正確な数字はつかみ得ないままに今日まで参っております。形式的に正確な数字と申し上げれば、私立大学の学生定員というものは認可されました数字の累計が正確な数字と申し上げる以外には、正確な数字はつかみ得ないのであります。毎年統計法に基づいて、指定統計の報告が出て参ります。これは法律上の義務に基づいて、各大学から出て参るわけでありますから、その指定統計に現われました数字は例年平均いたしますと、認可学生定員の七割増見当になっておるようであります。ですから第二次的に一応正確に近い数字と言えば、指定統計の数字だろうと思います。そのほかに何がしかの、いわゆる俗に言えばやみ定員的なものがあるようでありますが、これは正確に把握できないのであります。もっとも克明に各私立大学の学生名簿等をひっくり返しまして監査でもするというならば、あるいは把握できるかとも思いますが、今の制度から見ますと、完全に何十何人の数まで正確に把握することは不可能に近いような状態でございますので、ほんとうの数字はつかみ得ない、遺憾ながら実情はそういうことであります。そういうことであってはいけないとむろん思いますが、さてそれに対してどういう措置を講じたらいいかもあわせて勧告に基づいて検討中でございます。
○野原(覺)委員 池田長官、あなたはどうしてその数字を御承知なんですか。文部大臣がつかめないと言っておるのです。文部大臣がつかめないものをあなたはどうしてつかめるのですか。あなたによれば一万一千――私は何十何人の相違をついておるのではないですよ。何十何人の違いという、それは正確な数はなかなか容易ではありません。国立の大学――小学校においても、そんなものは容易でないことは私も知っておる。四千人を一万一千人では、あまりにけたが違うじゃありませんか。池田長官はどうしてつかんだか。あなたはいいかげんな答弁をするのですか。文部大臣はそれは知らぬと言っておりますが、あなたはこの一万一千人については確信がありますか。確信があるならば、実はこういう方法でおれはこの数字を持っておるということを御答弁願いたい。文部大臣はそれを知らぬと言っておりますが、いかがですか。
○池田(正)国務大臣 これはおそらく文部大臣が知らないのがほんとうかもしれません。
   〔坂田(道)委員長代理退席、委員長着席〕
それはなぜかと言えば、文部省の官僚は上の方に上げないのです。今局長から具体的な答弁があった。私はきょうはあまりそういうことは言いたくなかったのですけれども、今文部省に届け出られている数字は、私は大体三千人と申し上げたのですが、おそらく三千人をオーバーするはずです。それは、私は各大学を一つ一つ調べてみた。ところが今大学局長は、自分のところへ来たのは千三十四人だ、こう言っておる。その千三十四人という数字は、その前の段階で各大学から文部省にふやしたいということで言ったのです。そのときに文部省は一つずつ学校を呼んで、ちょいとハッパをかけた。そのときの数字が千三十四人。ところが、今はもうすでにまた変わってきておる。その変わって届け出した数字が、大ざっぱにつかんで三千人・そういう数字になっておる。それはおそらく局長以上はたな上げされて何も御存じないかもしれない。あるいは局長、知っておってもうそをついたかもわからない。どうも文部省の役人にはそういうくせがあるから、それだけ申し上げます。
○野原(覺)委員 私は、実は池田長官がこの問題についてはピリオドを打つ、こういうことでもありましたから、実は私自身もこの問題についてピリオドを打とうかなと思ってきょうはお尋ねしたのです。しかしながら尋ねていけばいくほど、奇怪千万な答弁にばかり接しておりますから、これはますます私はほうっておけなくなってきた。
 そこで文部大臣にお尋ねします。これはいいかげんなことじゃない。池田長官だけじゃない、世間の人がおよそ一万名くらいの増員ができたと思っておるのに、大学の監督機関である文部大臣がその数もようつかまない、しかも驚くなかれ、一万人も誤差があるじゃありませんか、トータルをとってみれば。そういうような把握の仕方で一体いいのかどうか。私は文部大臣にお尋ねしたいことは、この定員の増員については、あなたの認可事項ですか、それとも届出事項になっておりますか、それとも報告事項になっておりますか、そのどちらですか、お尋ねします。
○荒木国務大臣 法律上は届出事項になっておると承知いたします。
○野原(覺)委員 そうすると、届け出があったのは何名ですか。先ほどの数ですね。
○小林(行)政府委員 三十六年度において、新たに学生の増をしたいということで届け出のありましたのが二千八百八十人という数字であります。
○野原(覺)委員 そういたしますと、池田長官の言うその数字は届け出てないことになりますね。届け出ないで定員がふえた場合には、どうなるのですか、文部大臣。届け出ないで定員がふえるんだ。これを黙認するということになれば、正直者がばかを見るで、届け出るようなめんどうくさいことはみんなやめますよ。どうなんですか、文部大臣の見解は。
○荒木国務大臣 これは三十六年度のみに限りませんで、先刻も申し上げました通り、戦後新大学制度になりまして以来、多かれ少なかれ毎年今と同じような状況で今日にたどりついておるのであります。遺憾だと思いますが、法律制度上届出事項になっておることが、届け出られないことを有効な方法で正確を期する手だてもないままに今日に推移しておると思います。先刻も申し上げた通り、これでいいのかという課題も新たに勧告の線からはっきりして参りますから、今後についてその対策も考えてみたいと思っております。
○野原(覺)委員 この三月三十一日付で文部省大学学術局長小林行雄から私立大学を設置する学校法人理事長、各私立大学(短期大学を除く)長にあてた「大学に係る認可届出事項等について」の通達を実は私拝見したのでございますが、これによると、大学の場合の定員増は協議事項になっておるのです。文部大臣は先ほど届出事項だと言った。この通達の中身はこうなっておる。一、認可事項、二が協議事項、三が届出事項、四が報告事項、こう分けて、つまり認可事項はこれこれだ、協議事項はこれこれなんだ、届出にはこれこれが該当するし、報告はこれこれだから、今後は一つ間違わぬように遅滞なくやりてもらいたいというのが小林局長の通達なんです。協議事項になっておりますね。これは大田、御承知ですか。届出というのは別に項がある。届出にしないで協議にしている。あなたの答弁は局長の通達と違うじゃないですか、いかがですか。
○荒木国務大臣 今お答えしましたように、法律の規定に基づいて申し上げれば、届出事項が正確であります。ただし一般に許可・認可の事項につきまして認可条件がつくことが通例でございます。ものにもよりますけれども、学科の増設あるいは定員増ということは、法律上は届出事項ではあるけれども、学部の新設のときに認可事項になっておりますので、定員の問題あるいは学科の問題を離れて、学部の新設についての認可ということは、その実体を失うから、当分の間は認可条件として付記いたしまして、生徒増、学生増、学科の増設等については協議して下さい、法律上の制度は届出事項として届け出てこられますけれども、条件として、それは協議することにいたしたいということで、数年来ずっとやってきておるのであります。
 協議するにつきましては、大学設置基準に照らしまして、大学設置審議会の意見を聞きながら、協議にオーケーを出したりノーを出すというやり方で今日まできておるのでございます。このことは法律制度論としましては、少なくとも過去においては適切な措置であったと私は思います。ですから三月三十一日現在で、各大学にそういう当該局長名で念のために通達を出しますことそれ自体は、私は適切なる処置だと思います。ただ問題は、池田長官の勧告が出されました直後に、国会の問題にもなっておるときに、それがそのまま発送されたということからいたしまして、何か他意あるがごとく私学側でとられたことも私は承知いたしております。これは参議院の委員会でお尋ねにあずかって、当時申し上げたことでありますが、その措置そのものは、法規に照らし、法律論として当然文部事務当局としては念のためになすべきことをなしたことでございまして、それ自体は適切だと思いますが、タイミングが政治的に考えれば適切でなかったと私は判断いたしております。局長名で出しましたために、私どものところには相談なしに出されておりますことを遺憾とは思いますが、それ自体としては、従来もそういう考え方で措置をしておりましたことを念のために通達したにすぎない、こう心得ております。
○野原(覺)委員 文部大臣は私の尋ねたことだけ御答弁いただけばけっこうなんで、私は小林局長のこの通達が適切であるか不適切であるかということを問題にして聞いておるんじゃないのです。定員外の入学とか、生徒の増員というものは、届出事項なのか、協議事項なのか私は尋ねておる。あなたは一番最初に届出事項と答弁をされた。ところが、通達には協議事項とあるじゃないか。届出事項がなければ協議の中に入るんだろうかと思って、一枚めくってみましたら、御丁寧に届出事項は別に書いておりますから、どっちなのか。今の御答弁を聞くと、それは当分の間は協議することが正しいんだ――それでは協議事項じゃありませんか。届出と協議は法律上違いますよ。文部大臣御承知だろうと思う。届出と協議はだいぶん違いますよ。どっちですか。これは私大事な点ですから、はっきりしておきたいと思う。法律上は届出だ、ところが通達は協議とあるから、文部省の見解としては、生徒の増員、定員増というような問題は、学科の増設もともに含めて協議事項という方針ではないかと私は思っておるのですよ。いかがですか。これは明確にして下さい。
○荒木国務大臣 ただいま申し上げました通り、法律の条文そのままの用語でいいますれば、届出事項でございます。しかし純然たる届出事項じゃなしに、認可しますときに、学部の新設の認可のときに、当分の間、届出ではあるけれども、扱いは協議ということで届出を処理したいということになっておりますために、それを届出事項という分類に入れておるということでございます。
○野原(覺)委員 そうしますと、この通達をまじめに守って協議を求めてくる大学もあれば、あるいはまた法律をたてにとって届出でやってくる大学もあれば、今度は、そんなものはほうっておけ、認可じゃないんだから、というので何千人も黙ってふやす大学もある。野放しである。黙ってやったってその効果は法律上は無効にはならない。野放しだ。こういうことになると、文部大臣の私立大学に対する監督権の行使というものは、全くこれは何もなくなるじゃありませんか。権威がないじゃないですか。あなたどう考えているんです。こういう通達をどんどん出される。先ほど言いましたように、私もこれは池田長官がつかんだ数が正しいんじゃないかと思います。おそらく池田長官は各私立大学に照会したに違いない。それではっきりした数をつかんでいるに違いない。なぜそういうことをなさらないのです。法律上の形式にとらわれて、文部省にでんとすわって、大学から、事務局から持ってくる紙きれだけを待っておるから、正確な数の把握ができないじゃないですか。一国の文部省が、どこの大学に何名の学生がある、理工系の大学は何人だ、今度の定員増はどのくらいだということを積極的につかんでいないじゃないですか。あなたの方は法律をあまりたてにとり過ぎる、規則をたてにとり過ぎるから、だから池田長官から、文部省なんというのは、というああいう批判が出てくるのではないかと思います。これは届け出た学校もあるでしょう、協議をした学校もあるでしょう、黙ってやった学校もあるでしょう、どうするんです。これは一体どうするんです、はっきりして下さい。そのどちらを選ぶも御自由だという見解ですか。どうなんですか。
○荒木国務大臣 法律、制度ばかりでいくからつかみ得ないというお説でございますが、文部省という行政府は、法律、制度に従って行動すべきであって、それ以外のことではやるべきじゃない、これはもう当然のことと心得ます。ですけれども、さっきも申し上げました通り、戦後新制度ができまして以来、毎年正確な数字はつかみ得ないままに今日にきております。それは大学設置基準に基づくところの許認可ないしは届出事項等、そういう処理の結果がそうなっておるので、実情を把握できないという現在の制度そのものに検討を要する点があるであろう。さらにまた一面法律、制度にあることを私学側が忠実に守ってくれないための結果でもあろうかと一応考えざるを得ない。その両面を考え合わせまして、これではいけないから、今後に対しては再検討をする部分があるならば再検討をしつつ、私学側とも十分連絡をとりながら改善する措置を講じなければなるまい、こう思っておる次第でございます。
○野原(覺)委員 私はそういう答弁では納得できないですよ。私だけじゃないです。これは私立大学側は憤慨しますよ。全く方針がないじゃありませんか。
 私は端的にお聞きしますが、法律上は届出事項だ。法律上届出事項ならば、なぜ届出事項だとして指導しないのか。あなたの方は、届け出てきてもそれは違法じゃない。違法というのは言葉が強過ぎますけれども、違反ではない。はいはいと言って受ける。ところが協議事項だといって指導したから、その指導に従って、協議に応じてきても、はいはい――言うまでもなくこれは問題がない。黙ってやっても問題がないというならば、だれがめんどうくさい手続をやりますか。権威がないじゃないか、見識がないじゃないかということを私は言っておるんですよ。今日文部行政に何の見識がありますか、何の権威がありますか、みななめておりますよ、そういうことをやるから……。だれがやりますか。だから一万一千の数だって、たった三千か四千しかつかめない。私はそういう不見識な文部行政を追及しておるのです。だから私は、文部大臣に申し上げたいことは、この小林局長の通達は撤回するかどうか。理由は協議事項として通達しておる。法律上は届出事項だと文部大臣が言うのですから、あくまでも法律上の通達を出すべきですよ。それをなぜ協議事項として出したのです。自今三月三十一日の協議事項として出したこの通達は撤回するといろなら、私は了解いたします。これは生きておりますか。これが生きておるというなら、私はなおこの問題を追及しますが、どうです。そうならば届出ということは大臣は取り消しなさいよ。あくまでも協議でいくんだということを言いなさいよ。撤回かどちらです。
○荒木国務大臣 その通牒は生きております。法律上届出事項ではございますが、認可に条件を付するということは違法の措置ではなくて適切な措置であったと思います。ただし今後に向かって今まで通りに協議事項としてやっていくべきかいなかということは、今までの実態と考え合わせつつ、現状を掌握しつつ、将来に向かって検討をすべき課題ではないかと考えて、今検討を命じているところであります。そして設置審議会の意向等も聞きながら、結論が出ましたならば、将来に向かって協議するという手続は要らないという意思表示をすべき時期は当然あり得ると思います。今は生きておると申し上ぐべきだと思います。
○野原(覺)委員 あなたがそういう御答弁をするならば私は申し上げますが、文部省の大学学術局の庶務課がこの定員増の事務を扱っている。それで私はこの書類の手続形式を調べてみましたところが、学部学科の増設または学生定員の変更に関する申請書記載様式、とこうある。届出ならば申請とはいかなることです。法律のいろはを知っておるならば、申請は認可にこそ必要であれ、届出に申請という文句を使うべきじゃない。こういうことをやっておりますよ。これは文部大臣はどうお考えですか。あくまでもこの申請が正しいんだとお考えですか。申請ということで、さも文部省のお許しがなければお前のところの定員はふえぬのだぞ、こういう威圧をかけておるのでしょう。それとも申請と書いておるのはどういうわけです。それでは私が手に入れたこの書式はでたらめかと言いたい。これは私は大学からもらってきた。文部省から示されたのは申請書記載様式だ。それで学科と定員、つまり届出事項を申請書と書かせるそのお考え方、これはどういうことですか。
○小林(行)政府委員 先ほど大臣がお答えいたしましたように、学生定員の変更につきましては、法律制度としては届出事項でございますが、従来の事実上の取り扱いといたしまして、学部の設置認可の際も、学生定員の変更についても、今後協議をして下さいという条件がついているわけでございますので、その条件に従って協議を従来事実上してもらっておるのでありますが、私どもとしては協議される事項について、言葉はそうおっしゃられれば必ずしも適当でないかもしれませんけれども、従来そういうものについて申請書という言葉を使っております。今まで特にこの点について学校側にも異論がなかったのでございます。もしこの点について特に検討すべきことがあるとすれば、将来十分検討をいたしたいと思います。
○野原(覺)委員 文部大臣は、認可とはどういうことか、それから届出とはどういうことか、報告とはどういうことか、協議とはどういうことか、私は法律上のお考え方を持っていらっしゃると思うのです。今取り消すとすればなんて、局長あなたはいいかげんな答弁をしておりますが、そんないいかげんな答弁に私は納得できませんよ。申請なんというような言葉は、認可、許可に対して使う法律上の用語じゃありませんか。事務当局がそういう考え方をするのは、私は承知できませんよ。どうなんです。申請書なんて書かせるというようなことは、とんでもないことですよ。申請とか出願とか申し立てというのは、公の機関である相手方に一定の行為を要求する、または期待する場合に法律では使うことになっておるのです。これは公文書なんでしょう。公文書ですから、これは法律上の用語でやるべきなんですよ。それを実は法律上は実態的には届出でありながら申請と書かせる、こういうことが官僚行政じゃないかと言うのです。これは取り消すなら取り消すと言って下さい。自今この申請は使いません、そんなら私は了解します。しかしこれをいいかげんにされるならば、私は了解できない。大臣の見解を承ります。
○荒木国務大臣 法律上届出事項でありましても、先ほど来申し上げますように、学部認可のときの認可条件として当分の間は学科の増設または定員の増員等について協議して下さいという条件を付することは、私は少なくとも過去においては適切であったろう、こう考えます。従ってそれを適切なりとし適法なりとして考えました場合、届出のときの書式と違った書式を要望せざるを得なかったろうと思います。その場合に、届出の場合と表現を違える意味において申請という言葉を使っておると思います。申請は何も官僚に対してござり奉るという意味じゃなしに、申し出るという意味合いに使って今日まできておるかと思います。用語の当、不当を含めまして、検討すべき課題であるとは思いますが、特に野原さんに御指摘、おしかりをいただくような意図があったのではなかろうと私は思っておるわけであります。
○野原(覺)委員 私は何も意図があったとかなんとかいうことは言わないですけれども、これは法律上の用語としては正しくないということを言っているのです。これはなるほど政策的に、大学を設置する場合に協議事項として条件をつけておった。今後学科を新設するとか定員をふやす場合には文部大臣と協議をしてくれ、文部大臣は大学設置審議会の意見を聞いてやるかどうかは別にして、とにかく協議をしてもらいたい、はい、よろしゅうございます、そういう話し合いが成り立って大学ができたんだ、そういう経過、いきさつにかんがみて協議事項でいくというならそれでもよいのです。しかし法律上はあくまでも届出だ。そうならば、たとい協議事項であろうとも申請という語句は不穏当ですよ。つまり法律上の届出なんですから、あなたの意思がどうあろうとも、大学はやろうと思えばできるのでしょう、どうですか。文部大臣はこの定員増については、これはいけないと言って断わることができるのですか。大臣の見解を私は聞いておきたいと思う。あなたは協議事項なんだからいけない、こうかぶりを振って断わることができますか、どうですか。
○荒木国務大臣 別に制裁規定もございませず、拒否することが可能であるとは思いません。協議事項等にいたしましたのは、あくまでも大学の、私学の質を低下せしめないようにという配慮からの当時の認可条件であったと私は思いますが、それにもかかわらず届出のしっぱなしで現に増員がなされるということを食いとめる方法は制度上はございません。ただそういうことが行なわれておったゆえんのものは、今申し上げた大学の質の低下を防ぎたいという本来大学設置審議会の使命とするところの考え方に立って、そうなってきておると存じますが、さらに学科ないしは定員等に関連を持って、一部の補助金は積算されつつ、大蔵省との折衝のもとに予算措置が講ぜられるということとの関連におきましても、実情を考え実態を把握する意味合いにおいて、認可条件等もあったことと思いまするが、従ってそういうこととの関連において、さらにまた科学技術庁長官の勧告の趣旨にもかんがみながら、今後に向かって十分検討を加えたい。この結論はまだ出ておりませんけれども、検討すべき一つの課題だと申し上げておるわけであります。
○山中(吾)委員 関連して。法律に従ってやるべきだという文部大臣の持論なんですから、私学の科学技術者の養成を奨励するという立場から、届出事項を認可と実態は同じような協議事項にしていくということが問題になっておると思うのですから、その届出事項そのままに法律通りに届出事項にして、そうして定員増になると、大学設置基準という法律の中に何名以上の学生についてはどれだけの坪数が要るという法律の基準があるのですから、届出をそのまま認めて、あとでそちらの学校についてはこれだけの定員がふえたのであるから、向こう二年後、一年後にこういうふうに設備を増設しなければならないという通牒、またそれをしなければ取り消しということも可能であり、一方にその設備の増強に対しては文部大臣としても設備の援助計画を立てるということでくれば、これは解決するのであるし、そういう御答弁がない限りは私はこの質問は永久に続くと思うのです。
 同時に池田長官が、勧告の目的はこの水増し入学が実現をしたので目的を果たしたと言っておられるけれども、これは少しも果たしていない。このあとに文部省において年次計画を立てて、その水増しした学生を教育するだけの設備充実計画その他を立てることが確認されないと、勧告の目的は果たしていないわけでありますから、その計画を、文部大臣が届出というような法律のすなおな条項に従って、そうして届出事項を協議事項にしないで認めたということにして、向こう何年後にこういう設備充実計画を立てるということを確認をしたら、初めて池田長官が勧告の目的を果たしたのであるし、水増しのままで何らの処置をしなければ、やみ入学を認めることを目的として勧告をしたのだ、そうして文部省も今後は届出制度を協議事項、さらに認可に近いような方向でやっていくといえば、これは押えていくだけになるというところに私は問題があると思うのです。そこで野原委員の質問に対して、文部省の方においては届出制度をそのまま実行して、そうしてそのときにかれこれ干渉しないが、しかし一たん定員を増加したあとについては、大学設置基準という法律に従って、これ以上の設備を増強しなければならぬ、そういう指示もし、一方に政府としても設備補助その他の増額に努力するということで、この行政を、科学教育充実という一つの目標と、大学の質を低下させないという二つの要請を全うしていくということがここで答弁できないのですか。私は、できればこの問題は解決するのだと思う。大臣、それから長官もついでに、やみ入学がふえたから目的は果たしたという、それが政治家かもしれませんが、そんな見識のない政治家はないと思うのです。もう一度その点二つお答えを願いたい。
○荒木国務大臣 今、山中さんの指摘されましたことは、実は私も同感でございまして、内部ではそういうことを申しておるわけであります。今までの認可条件で協議事項にしておりますゆえんのものも、そもそもそういうことになるときを推察すれば、今、山中さんの御指摘のことを協議という形で、その都度主義で、届出ではあるけれども、その都度主義で施設設備の充実、質の低下防止ということを念を押すために協議事項になっておると私は推察をいたします。しかし協議事項などということによって無用の刺激を与えることが、むしろ今日では表面的になってきておることは、時の流れによって、あるいは私学それ自体が自信を持ってきた、良心的になってきたということの集約された結論がそういう形で現われてきておるとも想像いたします。従って野原さんにもお答え申し上げましたように、今後検討すべき課題の一つとして私は事務当局には指摘しておるわけでございます。
 さらに蛇足ながら申し添えさせていただきますが、先刻野原さんからしかられましたが、私はしかられる値打があると思う。それは、定員々々とやかましく言いながら、実際は定員が守られていないじゃないかという点であります。これは一面私学みずからが良心的であるならば、そんなことはあり得ない道理ですけれども、想像すれば、私学経営の面からする切実な要請でもございましょうし、容易ならざる困難さを私学経営には内在しておると思いますから、そういう実情等も考え合わせてみまする場合に、定員と実際の数というものは減耗補充の意味も含めますと、そうそう何十何人の末まで常に的確なものである必要もないという要素もございます。それにしましても、認可ということ、あるいは届出にしても、それが実数実態そのものでないという現実は、批評は別として、望ましいことではないのだから、常に文部省と私学はそれぞれもう何にも隠すものがないのだというようにありたいと私は念願するわけでありまして、そうするためにはどうすればよいかという課題として、しかられる値打があると思います。制度がありながら制度通りいかないことを、警告も発しなければ具体的措置もしないで今日まできておったとすれば、その点は私はおしかりを受けてもやむを得ない事柄だと思います。ですから今後そういうことがないように、どうすればよいかということを含めて、私は誠実に勧告を受け取り検討を加えつつあります、とこう申し上げておるわけであります。
○池田(正)国務大臣 実はさっきから黙って聞いておりますと、大学局長も何かまたいいかげんな数字を言ったりしますから、あえて申し上げますけれども、私はさっき三千人と言ったのは少し遠慮して言ったのです。もっと多いはずなのです。その数字は申し上げません。それを二千八百、どこから出した数字か私にはわからない。まあそういうことは別としまして、大学設置審議会、審査会ですか、どっちですか、その構成それ自体が私に言わせるとおかしいのです。文部大臣が諮問する大学審議会の中に――これはついでだから、文部大臣が今大いにしかられてもいい、しかられるのに値するといって、賢明な方ですからお考えのようですが、おそらく気がついてないだろうと思うので、この機会に私申し上げますが、一体審議会に文部次官と大学局長と管理局長と三人入っておる。こういう審議会というのはあり得ないと思う。その構成それ自体がおかしな構成で、そうすれば文部省の意見に従ってみな引きずられますよ。本質的に実態的に、ほんとうの審議会にならぬのです、諮問機関にならぬのです。そういうこともあります。
 それからこれは古い話ですけれども、ついでだから御参考までに申し上げますけれども、今から数年前、この大学設置審議会の下に専門委員会というものがありました。それが各大学を回って歩く。各大学の連中は何と言っておるかと言いますと、集団暴力団、とこう言っておる。君のところの学校はまだ来ないか、おれのところはあした来るのだ、集団暴力団だと言っておる。これは文部大臣御存じない。それほど悪質なものです。悪質な実態を私つかんでおりますけれども、それ以上申し上げません。ですから文部大臣からも、この点は一つ十分に御検討を願いたいと思う。
 それから協議事項、これは私から言うのはおかしいのですけれども、協議事項としてこういうものを十数年間やっておる。それほど必要なものであるならば、これは法律を改正すべきです。それをやらないで、まだ当分々々とか言っている。しかしこれは文部大臣も今検討中だとおっしゃいますから、一つ大いに検討してもらおうということであります。
 さっきから局長の言っていることは、わけのわからぬことを言っているので、私には実際納得できない。しかし私立大学も当然これは今回そういうような措置をとっておる。従って今後の内容の充実、教育の低下を防ぐという方法等につきましても、これは私も内面指導をいたしまして――文部省は当然行政指導でおやりになることと思いますけれども、私自身も大いに責任がございますから、内面指導をいたしまして、質の低下しないようにやっていきたい、かように考えております。
○野原(覺)委員 もう時間もありませんから、池田長官に簡単に尋ねて終わります。あなたにお尋ねしたいのは、増員した私大の理工科系の生徒に対する予算措置なんですが、これは三十七年度以降においては当然考えなければなるまいかと思うし、あなたの声明の中にもそれがうたってあるわけです。ところが文部省としては、その文部省が把握した人員分しか考えないというわけですが、この点どう考えますか。
○池田(正)国務大臣 私はそう聞かなかったのですけれども、もしそうだとすればこれは大へんな誤まりで、当然これはやるべきです。ただ、率直に申し上げますと、文部省が例年これらに関する予算の折衝をやって、文部省自体がその予算をとったことはないのです。これは、悪くいえば圧力団体ということになりますけれども、党の方で大いに努力してとってきている予算です。
○野原(覺)委員 これは文部大臣どうですか。今の点は、あなたの方でつかんだ数だけの人員を相手にされるでしょう。ところが池田長官としては、この声明の中では、これから文部省のやることをおれは見守っていくのだ、こう書いておるわけなんですが、あなたの方は、長官に言わせれば、やはり大学の現実に即した予算措置を考うべきだと言っておるし、文部省は文部省でつかんだ人員分しか考えないということになると、それは違うのだと言っておりますが、大臣はどう考えますか。
○荒木国務大臣 今の点は、文部省が責任をもってつかんだ数に基づくほかには話のしょうがないと思います。今まで私の承知しているところでは、予算折衝をします場合の積算の基礎たる学生数は、認可定員でなくして、さっきも申し上げた統計法に基づいて指定統計として、正式に法律上の義務づけられた立場で私学から出されます指定統計の数字を積算根拠にいたしております。それ以外の数字は制度上から申し上げれば正式に言うべき根拠にはなり得ない。ですから今後も指定統計の数字を根拠にやるほかになかろうと思います。もっとも、そう申しましたからとて、先ほど申し上げたように認可定員といわゆる現定員との誤差が現実にある、それはどうするのだという課題は残りますけれども、それは先ほど来申し上げますようなことで、今後に向かってそういう誤差の極力少なくなるようなことを私学ともとくと腹を打ち割って相談しつつ、対策は対策として並行的にやりながら、根拠としては指定統計の数字が正式な根拠であろう、こう思います。
○野原(覺)委員 池田長官は、勧告をされて、その勧告の趣旨がまだ達成もされないのに勧告についてピリオドを打つなんということは、いささか軽率ではありませんか。これは新聞にはそう書いておりましたが、実は私はあなたのこの声明書からはそう受け取っていない。声明書によれば、あなたは大きな関心を持って注目するというのですから、一応あの勧告については、あれはあのままにしておくけれども、ピリオドを打ったのではない。大きな関心を持って注目するということは、あくまでも勧告をした科学技術者養成のあの趣旨の実現のためにおれはやるのだ、こう解釈してよろしいですか。
○池田(正)国務大臣 その通りでございます。
○野原(覺)委員 そういたしますと勧告はまだ打ち切られておりません。私どもはあの勧告の問題はこれで終わったとは実は考えない。きょうも御両人の間に意見の一致する点があるかと思って、いろいろお尋ねしましたけれども、どなたがお聞きしてもわかるように、一致した点が少ないのであります。全く考え方が違う。根底から考え方の違う面がある。従ってこの問題は私ども今後もやはり取り上げて究明して参らなければならぬかと思うのであります。
 池田長官に再々来ていただくのもなんでございますから、この機会にもう一点だけお尋ねしておきたい。新聞によりますと、あなたは科学技術者の待遇改善について人事院に勧告すると書いてありますが、これは具体的内容ができたわけでございますか。
○池田(正)国務大臣 これは日本の科学技術者の待遇及びその環境が他の国々と比較しまして、決していいとは申されないのであります。従ってこれは改善しなければならぬ、是正しなければならぬと私はかたく信じております。これを勧告の形で出しますか、法制的ななにもありますので、そういう何らかの措置をとりたい、かように考えます。
○野原(覺)委員 私は池田長官に要望をして終わりたいと思うのです。勧告のしっぱなしになってはいけませんよ。あなたも池田内閣の閣僚の一人ですから、科学技術者の給与の問題について待遇がよくないということであれば、まず池田内閣、政府自体が取り上げるべき問題なんです。閣議においてあなたがそれを発言し、政府の方針として待遇改善をやるならやるという不動の方針をやはり出さなければならぬと思う。なるほど十一条には勧告権をうたってありますけれども、しかし第十一条の勧告権だけをいたずらに振りかざして――先ほど来文部省に対する勧告にしてもそうでございますが、その回答を求めるのか、見解を積極的に聞くのかというとそれもなさらない。政府の方針も立てない。私はこれでは若干物足らないのです。だからまず池田内閣自身がどういう方針をとるのかということを、国務大臣の一人として――政府で方針を立てない限りは、人事院に幾ら勧告してもこれは実を結ばない。せっかく勧告するならば、その趣旨が実を結ぶような方向で考うべきではないかということを要望いたしまして、きょうの質問を終わります。
○濱野委員長 臼井君。
○臼井委員 野原さんがいろいろの御質問されたので、池田長官においでいただくことはめったにございませんから、この機会に一、二簡単に関連質問をいたしたいと思います。
 池田長官の勧告についてはいろいろの波紋を描いたのですが、しかし世間に科学技術教育の振興ということの必要性を非常に強調され、また認識を深くさせたと私は思います。ただ出された時期です。三月十一日に出されたのですが、これはすでに予算も三十六年度のあれが通ったという時期なんです。その前の予算の折衝の時期において、何かそういうようなお考えがあったのか、あるいは何らか文部省に対して内部的な交渉があったのか、そのいきさつを伺いたいと思います。
○池田(正)国務大臣 ただいまこういう質問が与党内から出ることはおそれ入った話なのであります。しかしいい機会ですから申し上げますが、大体私どもが、特に私の場合は、就任したのが十二月の初めでございます。すでに予算折衝は始まっております。同時にまた自分も就任したばかりで、なれない省でありますから、自分のことで精いっぱい――実は初めはわからなかった。就任後、年を越してから、だんだん調べてみると、これは大へんなことだ、今十七万人足りないと科学技術会議では答申を出しております。現在の実情から申しますと、十七万人でも足りないというのが私の見解です。そこでその当時私は大学局長及び文部次官という方々に来てもらって話をしたのです。ほとんど受け入れてくれないのですね。あなたは文部省の中の機構を御存じないかもしれないが――私は時間があればゆっくり御説明してもいいんです。これはなかなか歯が立たない。下の方が一枚岩になっている。歯が立たない。これが実態なんです。従って文部大臣も非常に苦心なさっていられると思う。これは文部省の古い伝統です。(臼井委員「その時期だけでけっこうです。」と呼ぶ)そこで、その時期は、つまり予算が衆議院を通過してから出さないと政府に御迷惑がかかるということで、私は予算の衆議院通過後――予算がなくなってもやる方法はあるということを強調したわけであります。そこをねらって私は出した、こういう意味でございます。
○臼井委員 予算が通過されてからの方が政府に迷惑をかけなかったからというようなことですが、その点は私どもから考えるとむしろ逆で、予算のある――もっとも予算編成まぎわに御就任になったからやむを得なかったかということは、今お話を伺ってあれですが、私は七月ごろ御就任になったと思ったものだから、大へん失礼をいたしました。ただ、もう一つ、勧告を出されての御期待には、相当予算を伴わなければ、やはり納得のいくような、要するに誠意を示したというか、そういう結果が出ないのではないかと思うのですが、その点はどうなんですか。予算はなくてもできる方法が十分あるということですか、三十六年度においてですね。
○池田(正)国務大臣 これは基本的な話になりますけれども、つまり大学は国立と公立と私立があるのです。そこで量から申しますと、公立と私立を合わせますと大体七〇%、実体的に。そこでなぜ文部省はこの公立と私立に協力を求めなかったのか、御承知のように公立というのは東京都立とか名古屋、大阪、神戸、こういう有力な府県、都市であります。従ってこれに対して科目をふやしてくれといえば、一つの大学はそれぞれスタッフを持っておりますから、従ってここに第二機械科を設ける、あるいは電子工学科を設ける、最初はしかもジュニア・クラスの一年生、これを三つ四つやったって、教授陣にも何ほどの支障も来たさないし、予算だってわずかなことですから、ことしはもう予算の編成が済んだから協力はできないが、来年からはできるだけ心配してやろうといえば、そういう府県、都市が必ず協力してくれるというねらい――私学も同様であります。私立大学の場合も、それのできる学校とできない学校があります。しかし大部分の学校は今では非常に力ができておりますから、それができる。従って三月の初めを選んだのは、あのときにすぐやれば、公立でもできたんです。しかし、そのうちに時間がずれましたから、公立となるとやはり予算が伴いますから、すぐにはできません。私立のようにはいきません。そこで私は私立だけをつかまえた、こういうことがあったわけであります。そこのところを、私が私立の肩を持つとか何とかいうふうに世間では誤解しているようでありますが、そうではない。予算を伴わないものでも、話し合いで、今度は予算の援助はできないが、国家要請だからやってもらいたいということでやれば、ことしの四月からりっぱに公私立大学でできたはずなんです。それを今まで文部省が検討々々とかいって、何年検討すれば一体結論が出るのか、私にはわかりませんけれども、しかし最近だいぶいい方向に来ておるようですから、これ以上申し上げません。
○臼井委員 予算は来年つけてやるから文部省の意向だけをやれということも、責任ある文部省ならば、無責任ですね。来年から、予算折衝のときに自信を持って予算をつけて、それで三十七年度からやるというのなら私はわかる。ただ今の論争のあれを見ると、三十七年度のことはまだわからぬので、これは文部省も相当力を入れるでしょうが、三十六年度のことについて、何だかまだ非常に満足できない。たとえば私学に対して相当協力を要請する以上は、やはり予算をつけないで数だけふやせということは、私はもしそういうことを文部省がやったらまことに無責任なことで、それなら国立学校で、私学以上にまだ定員がついているんだから、自分の所管の国立でやるべきだろう、こういうふうに反撃を食うのは当然だ。そこに三十六年度からやるということについての非常な困難性があるのじゃないか、私はこう思うのであります。
 それから、この点については文部省だけに勧告をお出しになったのですか。それとも、たとえば――御承知のように文部省がやろうとして、またわれわれが私学に対してもできるだけのことをしたい、こう思うていても、難関は大蔵省なんですね。ですから、むしろ勧告の趣旨も大蔵省あたりにお出しになることが必要だと思うのです。そういうことができないものであるか、どういうわけで文部省だけにこれをお出しになったか、その点をお伺いしたい。
○池田(正)国務大臣 大蔵省に予算を今から出せということは、これはどうかと思うのです。しかし文部省に出した勧告文は、各省に配ってあります。それから今せっかくの臼井さんの御意見でございますが、どうも文部大臣と同じようなお考えのようでありますけれども、三十七年からおやりなさい、それからでいいんじゃないか、私はそんなまぬるい事態じゃないと思っておる。今日の事態は、一年待つということは大へんなことです。御承知のようにことしの大学の卒業生の状態を見ますと、一例を申しますが、たとえば東大の理学部が二十三人でしたか――はっきりした数字は忘れましたけれども、物理学科、それに対して二百何十名会社から申し込みが出ている。これはとうていまかない切れるものじゃない。現に私の役所が七十五人の理工系の卒業生が必要なんです。ところが三十二人しかとれない。今それを調べておりますけれども、各府県でのこれは、比較的楽なはずなんです。各府県の土木課、これはどうなっておるか。土木部というのが府県にあります。臼井さんの方の千葉にもあるわけであります。千葉県に何人とったか、私、今資料を持っておりませんけれども、全体を合わして、そう――最近の数字、四月初めの数字を見ますと、まだ結論は出ていない。(臼井委員「その必要性は私は認めておるわけなんです。」と呼ぶ)単なる必要性とかそんななまぬるいものでない……。(臼井委員「そんなら、なぜ補正予算を要求しない……」と呼ぶ)これから予算なしでやることを――結果が現われているじゃないですか。だから私は言っている。そういうなまぬるいものじゃないので、今各府県の土木課の技術員は、大学卒業生は二割まで採用できない。私は山形県ですけれども、一人もとれない。新潟県は十二人なにしまして、たった一人です。これが実態です。一年待ったらいいじゃないか。三十七年から新設やったらいいじゃないかとあなたはおっしゃるけれども、そんななまぬるいことじゃない。
○臼井委員 わかりました。私の言うのは、勧告を出された。それを実行させることを三十六年度からやるということは、三月十一日に出されて、やられるのは無理じゃないか。
○池田(正)国務大臣 そんなことはない。
○臼井委員 それは予算なしに手品みたいにできればけっこう、あるいは無責任に定員だけかまわずふやせということでやるなら、これはまた幾らでもふやせられるでしょう。しかし、内容と実質を伴って教育の本旨に沿った充実した教育をやろうというならば、これはやはり予算が伴わなければ見せかけだけの充実であって、いかぬのではないか。そこで、その趣旨に沿うならば、三十七年度に大いに期待をして、私学にも助成金を十分にやって、ただやみの定員をふやすことでなく、正式に納得のいくようなあれをしていただきたい。こういう趣旨で、私は何も長官と争うという意味ではなしに、この趣旨の必要なことは、私も実は先般の当委員会でもそう言ったのですが、かつて四年間八千人増、こういう計画を政府で立てましたときに、一体これくらいの増で間に合うのかと言ったところが、いや、これは経済審議庁の経済の計画に従ってやったのだ、こう言うのですね。ですから文部省としてはやはり政府の方針に従ってやる。そういう点においては確かに十カ年経済倍増の線からいえば、少なくとも今度立てた計画は少なかったということは実際言えるので、今後これをどう是正するかという問題があります。どうもただ文部省だけに責任を負わせても、大臣がおっしゃるような、そう言っては失礼だけれども、微力な文部省だけではこれは解決しない。やはり内閣が一体となってその問題を打開する方向に持っていかなければならぬ。それにはやはり閣僚としての池田大臣も大いに文部大臣と協力せられて、むしろ池田総理の方に強く要望されて、少なくとも三十七年度においては画期的な計画の出ることを私は期待いたします。しかし大いに啓発せられたことについては私も池田長官に敬意を表しまして、私の質問を終わります。
○濱野委員長 小林信一君。
○小林(信)委員 もう時間がありませんので、簡単にお尋ねいたしますが、これは今の大論争とはちょっと違いますが、しかしその大論争を聞くだけに、いよいよ教育行政がもっと根本的に一切のものを考えていかなければならぬということでは、ことに十分な関連を持つわけです。池田長官の声明書の中にもはっきりありますように、最近膨大な設備投資がなされる。私たちの伺うところでも、すでに池田内閣が十年後に予想したものを今現実に見るような状態である。従ってそれから考、えても、今論争しております三十六年度でいいだろう、あるいは三十七年度まで待てとかいうようなことも、これはことによるともう問題にならないような状態になるかもしれませんが、そういうような現実を見まして、いよいよ根本的な問題が幾つも浮かび出てくるわけですが、もっとも数をふやす、新しい学校が出るということを予想しますときに思うものは、一体勉強をする生徒の環境をこのままにしておいていいかということなのです。ということは、非常に勉強する人たちの環境というようなものは騒音があってはいけない。あるいは風紀上悪い影響のあるものはいけないということが、非常に法律にもいろんな規則にも盛られて、これが厳重に守られるようにしているわけですが、最近の経済事情の中ではすべてその点が放置されているような状態です。してみれば、こういう問題をいよいよ重大に考えなければならない時期だと思うのですが、つい先日の新聞に、首都圏整備委員会で、諮問をして、これに対して答申が出て、これは今ちょっとお聞きしましたら、どうもまだ本物ではないようだというお話だったんですが、学校都市を作らなければいけないという話が答申の中にあったとか出るとかいう話ですが、こういう根本問題をいよいよ考えていかなければならな、ときだと思うのです。これは文部大臣にお聞きしたいのですが、そういう問題について文部省としては何かお考えになっておられるかどうか。
○荒木国務大臣 特別に具体的に申し上げるようなことは考えておりません。私も今の小林さんのお話に関連して、むしろ大学都市を富士のすそ野へ持っていって大理想を実現するようなことを考えたらどうだ、これは東京都の人口がただ無計画にふえる一方にまかせるという環境下においては、大学はこんなところに置くべきではないという線から着想されたどなたかの構想があると聞いております。できるものならばそういうことも考えたいものだと思いますが、今具体的に御披露できるようなものを持っていないのであります。
○小林(信)委員 実はこれは地方の中、小学校のようなところには非常に厳重にこの規定が施行されているわけです。近所に精米屋さんができれば、これは何メートル以内であるから作ってはいけないというふうに、非常に厳重にされていますけれども、学校全体、国全体からながめれば、かえってそういう割合環境の整っているところには施行されるけれども、こういう都会地は全然そういう規定が放置されているということが非常に問題だと思うのです。もちろん軍事基地というようなものもありまして、防音の問題も非常に重大になっておりますけれども、こういうことも仕方がないのだということにして放置されていくということは非常に問題でありますし、今論争しているような、これからの国の経済事情を考えると、もちろんこれは文部省自体で考えられるべきものではなくて、首都圏整備法に基づき、あるいは政府全体の問題として慎重に考えられていかなければならぬと思うのです。今大臣が富士のすそ野というようなことを言われたのですが、実は私の県あたりでは受け入れ態勢を整えようとしておるわけです。ところが観光地としていこうか、あるいは工業地帯としていこうか、実は迷っているわけです。もちろん私は今ここでそういうところへ持っていくようにしましょうなんていう御答弁を承る必要はないのですが、工場の発展とかあるいは今観光地帯が非常に隆盛になっているわけですから、そういうものへいこうか、だがもし学校都市として指定されるようなことがあれば、最もこれを優先的に受け入れたいというように、かえって至るところにそういう受け入れ態勢が今整えられているわけですが、一番大事な政府にそういう意図がない、文部省にそういう考えが今もって作られないということは、非常に遺憾だと思うのです。おそらく首都圏整備の問題としては必ずこの問題が論議されてくると思うのです。これはもっと大きな力でなされなければならない問題で、文部省自体としてできるかできないかというふうな御苦心もあると思いますが、その動機はやはり文部省が作っていかなければならぬと思うのですが、こういうふうな一つ一つの基本的な教育の問題というものは、今のいろいろ御論議なさっておられる基本の問題として、私は早く手をつけなければならぬと思うわけなんです。残念ながらきょうは時間がございませんので、実は委員長に午前中通告しておったのですが、その機会が得られなくて残念ですが、こういう点を一つ御検討していただいて、私たちも研究しまして、いろいろ御意見を承りたいと思うわけですけれども、本日は今の程度で終わりたいと思います。
○濱野委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明後二十六日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会いたすこととし、これにて散会いたします。午後六時二十二分散会