第038回国会 本会議 第10号
昭和三十六年二月二十八日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第六号
  昭和三十六年二月二十八日
   午後一時開議
 一 関税定率法の一部を改正する法律案(内閣
  提出)、関税暫定措置法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)及び関税定率法の一部を改
  正する法律の一部を改正する法律案(内閣提
  出)の趣旨説明
    …………………………………
 第一 所得に対する租税に関する二重課税の回
  避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ
  合衆国との間の条約を修正補足する議定書の
  締結について承認を求める件
 第二 所得に対する租税に関する二重課税の回
  避及び脱税の防止のための日本国とパキスタ
  ンとの間の条約を補足する議定書の締結につ
  いて承認を求めるの件
 第三 自治省設置法の
  一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 皇室経済法施行法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 第五 奄美群島復興特別措置
  法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 公営企業金融公庫法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
 第七 住宅金融公庫法等の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 所得に対する租税に関する二重課税
  の回避及び脱税の防止のための日本国とアメ
  リカ合衆国との間の条約を修正補足する議定
  書の締結について承認を求めるの件
 日程第二 所得に対する租税に関する二重課税
  の回避及び脱税の防止のための日本国とパキ
  スタンとの間の条約を補足する議定書の締結
  について承認を求めるの件
 日程第三 自治省設置法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 日程第四 皇室経済法施行法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)
 日程第五 奄美群島復興特別措置法の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
 日程第六 公営企業金融公庫法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)
 日程第七 住宅金融公庫法等の一部を改正する
  法律案(内閣提出)
 産業投資特別会計法の一部を改正する法律案(
  内閣提出)
 関税定率法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)、関税暫定措置法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)及び関税定率法の一部を改正
  する法律の一部を改正する法律案(内閣提
  出)の趣旨説明及び質疑
 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣
  提出)の趣旨説明及び質疑
   午後四時二十二分開議
○副議長(久保田鶴松君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○田邉國男君 内閣提出、関税定率法の一部を改正する法律案、関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の趣旨説明はあと回しにせられんことを望みます。
○副議長(久保田鶴松君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(久保田鶴松君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件
 日程第二 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とパキスタンとの間の条約を補足する議定書の締結について承認を求めるの件
○副議長(久保田鶴松君) 日程第一、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件、日程第二、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とパキスタンとの間の条約を補足する議定書の締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
○副議長(久保田鶴松君) 委員長の報告を求めます。外務委員長堀内一雄君。

  〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔堀内一雄君登壇〕
○堀内一雄君 ただいま議題となりました二つの案件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を報告申し上げます。
 まず、日米議定書につき申し上げます。
 この議定書は、昭和二十九年に締結され、三十二年に補足された二重課税に関する条約をさらに修正補足するものでありまして、昨年五月七日に東京において署名を了しました。
 そのおもなる内容は、日本銀行及び米国連邦準備銀行の受け取り利子の相互免除を認めたこと及び企業の利子の発生源泉の規定が不十分なため二重課税を生ずるおそれもありましたので、この点を修正して、利子の発生源泉を明確にしたこと等であります。
 次に、日本とパキスタンとの議定書につき申し上げます。
 この議定書は、昭和三十四年に締結された二重課税に関する条約に利子課税について補足するものでありまして、昨年六月二十八日に東京において署名を了しました。
 そのおもなる内容は、利子一般について三〇%以下の軽減税率を適用すること、また、公債の利子並びに重要産業に従事するパキスタンの企業及び日本のすべての企業が発行する社債及びこれらの企業に対する貸付金の利子は相互に免税すること、さらに、このようにしてパキスタンで免税された租税は日本で外国税額控除の際にパキスタンで支払ったものとみなすこと等であります。
 この二案件は、二月四日本委員会に付託され、同月八日会議を開き、政府の提案理由の説明を聞き、質疑を行ないましたが、その詳細は会議録により御了承を願います。
 かくて、二月二十二日、この二案件につき討論を省略して採決の結果、いずれも全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。
 以上、報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(久保田鶴松君) 両件を一括して採決いたします。
 両件は委員長報告の通り承認するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(久保田鶴松君) 御異議なしと認めます。よって、両件は委員長報告の通り承認するに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第三 自治省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○副議長(久保田鶴松君) 日程第三、自治省設置法の一部を改正する法律案、日程第四、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
○副議長(久保田鶴松君) 委員長の報告を求めます。内閣委員会理事草野一郎平君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔草野一郎平君登壇〕
○草野一郎平君 ただいま議題となりました両案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、自治省設置法の一部を改正する法律案は、昭和三十四年設置された自治省の付属機関たる地方財務会計制度調査会が、いまだその結論を出すに至らないので、その存続期間を一年延長し、昭和三十七年三月三十一日までとしようとするものであります。
 次に、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案は、現在、内廷費及び皇族費の定額は、それぞれ五千万円、三百万円と定められてありますが、いずれも昭和三十三年に改定されたものでありまして、今日までの実績と近年の情勢にかんがみ、とれらをそれぞれ五千八百万円、四百二十万円に増額改定しようとするものであります。
 両案は、二月十三日本委員会に付託、十四日政府より提案理由の説明を聞き、二十三日質疑を終了、討論の通告もないので直ちに採決の結果、いずれも全会一致をもってそれぞれ原案の通り可決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(久保田鶴松君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○副議長(久保田鶴松君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第五 奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第六 公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○副議長(久保田鶴松君) 日程第五、奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案、日程第六、公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
○副議長(久保田鶴松君) 委員長の報告を求めます。地方行政委員会理事田中榮一君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔田中榮一君登壇〕
○田中榮一君 ただいま議題となりました両法案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果の概要を申し上げます。
 まず、奄集群島復興特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、奄美群島復興信用基金の融資業務に要する資金を二億六千万円に増額しようとするものであります。
 奄美群島の復興事業は逐次推進を見つつあるのでありますが、御承知のように、同群島の経済ははなはだ脆弱でありますので、産業資金の融通が円滑を欠き、とのことが同群島復興の大きな隘路となっておりますことにかんがみ、さきに、その対策として、群島内の中小規模の事業者に対し小口の事業資金の貸付を行なわせるため、奄美群島復興信用基金に一億八千万円の政府出資をいたしておるのであります。しかし、この程度の資金をもちましてはとうてい熾烈な資金需要に応ずることができない状況でありますので、今回、政府は、その資金として新たに八千万円を追加することとし、これに伴い本案を提出いたしたのであります。
 本案は、二月四日当委員会に付託され、二月十日渡海自治政務次官より提案理由の説明を聴取し、慎重に審議を行なったのでありますが、その内容は会議録によって御承知いただきたいと存じます。
 本月二十三日質疑を終了し、討論を省略、直ちに採決の結果、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決しました。
 次に、公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、公営企業金融公庫の資本金十八億円を、三億円増額し、二十一億円としようとするものであります。
 御承知のごとく、本公庫は、昭和三十二年に設立され、地方公共団体の水道、交通等の公営企業にかかる地方債につき特に低利かつ安定した資金を融通することを業務とするものでありまして、その貸付累計額は昭和三十五年度末において約四百億円となる見込みでありますが、政府は、地方公営企業の現況にかんがみ、本公庫の業務運営の基礎を一そう充実する必要を認め、今回さらにその資金を増額しようとするものであります。
 本案は、二月四日本委員会に付託され、同十日渡海自治政務次官より提案理由の説明を聴取しました。
 本月二十三日質疑を終了し、討論を省略、直ちに採決を行ないましたところ、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決しました。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(久保田鶴松君) 両案を一括して採決いたします。
 両案は委員長報告の通り決するに御異議ございませんが。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(久保田鶴松君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第七 住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○副議長(久保田鶴松君) 日程第七、住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
○副議長(久保田鶴松君) 委員長の報告を求めます。建設委員会理事木村守江君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔木村守江君登壇〕
○木村守江君 ただいま議題となりました住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 住宅金融公庫は、昭和二十五年設立以来、国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設に必要な資金を融通し、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与してきたのでありますが、住宅金融公庫の業務は年を追って増加の一途をたどり、これが適正な処理をはかるために理事を一名増員することとしております。
 次に、宅地造成を積極的に推進するための改正であります。従来貸し付けることのできるのは、主としてその土地に公庫の貸付金にかかる住宅が建設される場合に限られていたものを、この範囲を拡大して、一般に住宅の用に供する土地並びに造成団地の居住者の利便に供する施設等の土地の取得造成にも必要な資金をあわせて貸し付けることができることとしたのであります。
 第三に、中高層耐火建築物等の建設及び宅地造成事業並びに産業労働者住宅建設に対する貸付の資金量を大幅に拡大して住宅政策の推進をはかる必要上、支障なしと認められる範囲において貸付金利を引き上げんとするものであります。すなわち、中高層耐火建築物等の建設資金の貸付利率は年六分五厘でありましたものを、住宅部分については年七分、住宅部分以外の部分については年七分五厘とし、土地の取得造成資金の貸付利率は、従来年六分五厘でありましたものを年七分五厘とし、また、産業労働者住宅の建設資金の貸付におきましては、中小規模の事業以外の事業、すなわち、大企業に従事する産業労働者のための住宅建設資金の貸付利率を、従来年六分五厘でありましたものを年七分とするものであります。
 以上が、本法律案の提案された理由並びにその要旨であります。
 本法律案は、去る二月十四日に付託されまして、委員会におきまして慎重に審査を進めて参ったのでありますが、その詳細は会議録に譲ることといたします。
 かくて、二月二十四日本法律案に対する質疑を終了しましたが、その際、日本社会党を代表して岡本隆一君より、本法律案に対する修正案を提出したい旨の動議があり、提案理由の説明がされました。
 修正案の内容は、中高層耐火建築物等の建設資金の貸付利率並びに土地の取得造成資金の貸付利率は従来通り年六分五厘に据え置かんとするものであります。
 かくて、原案並びに修正案を一括討論に付し、委員木村守江君は、自由民主党を代表して、修正案に反対し、原案に賛成の意見を述べ、次に、委員山中日露史君は、日本社会党を代表して、修正案に賛成し、原案に反対する意見を述べられました。
 次いで、採決に入り、修正案について採決の結果、岡本隆一君提出の修正案は賛成少数をもって否決、さらに、原案について採決の結果、多数をもって原案の通り可決すべきものと決しました。
 右、御報告申し上げます。
    ―――――――――――――
○副議長(久保田鶴松君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○副議長(久保田鶴松君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 産業投資特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○田邉國男君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(久保田鶴松君) 田邉君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(久保田鶴松君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 産業投資特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
○副議長(久保田鶴松君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長足立篤郎君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔副議長退席、議長着席〕
  〔足立篤郎君登壇〕
○足立篤郎君 ただいま議題となりました産業投資特別会計法の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 との法律案は、産業投資特別会計の原資を補完するため、三十五年度補正予算により、一般会計から三百五十億円をこの会計の資金に繰り入れようとするものであります。すなわち、産業投資特別会計の財源は弾力性に乏しく、将来経済の情勢に応じて適時適切な投資を行なう上に財源の不足が見込まれるわけでありますので、このような場合に備え、財源不足を補てんするための資金をあらかじめ財政事情の許すときに準備しておこうというのが、この法律案の内容であります。
 本案は、去る二月一日大蔵委員会に付託となり、自来、慎重審議を重ねましたが、特に、今回の繰り入れ措置と財政法との関係につきましては熱心な質疑応答がかわされたのであります。この問題は、補正予算に関係してすでに本会議及び予算委員会等におきまして十分論議されておりますので、その内容は速記録に譲ることといたします。
 かくて、本二十八日質疑を終了し、日本社会党を代表して武藤山治君より反対討論のあった後、直ちに採決いたしましたところ、起立多数をもって原案の通り可決となりました。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(清瀬一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 関税定率法の一部を改正する法律案(内閣提出)、関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(清瀬一郎君) 議院運営委員会の決定により、内閣提出、関税定率法の一部を改正する法律案、関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、以上三件の趣旨の説明を求めます。大蔵大臣水田三喜男君。
  〔国務大臣水田三喜男君登壇〕
○国務大臣(水田三喜男君) 関税定率法の一部を改正する法律案、関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 現行の関税率体系は、昭和二十六年の全面改正以後、ほとんどこれを踏襲して現在に至っているのでありますが、この間、わが国の産業貿易構造は大きく変革してきております。
 このような変化に対応し、今後の発展に備え、また、最近における貿易自由化の進展にも対応するため、現行の関税率を全面的に再検討するとともに、関税制度についてもその整備をはかる必要があります。このため、政府は、昨年四月に関税率審議会に諮り、昨年末その答申を得ましたので、これに基づきまして関税定率法及び関税暫定措置法につき改正を行なうことといたした次第であります。
 初めに、関税定率法の一部を改正する法律案につきまして、その概要を申し述べます。
 まず、関税率表についてでございますが、税表分類の方式につきましては、ブラッセル関税表の分類方式を採用いたすことといたしました。これは、現行の分類体系が最近の新しい輸入商品の実態に沿わないこと、及びブラッセル関税表の分類が国際的に最も広く認められていること等を考慮したものであります。
 また、関税率につきましては、基本的には、貿易の自由化を前提といたしまして必要な改正を行なったのでありますが、主食関係や非鉄金属の一部または石炭等のように、現在のところ基本的政策に未確定の要素が多いものにつきましては、検討時期を後日に延ばす意味で、現行税率据え置きといたしました。
 今回関税率を引き上げることといたしております品目は約二百五十品目でございますが、これらは、わが国において今後積極的に助長育成するためには現行税率では不十分と考えられる産業及び自由化による影響が大きいと思われる産業等の生産物でありまして、適当な保護が必要と考えたことによるものであります。ただし、この場合においても、単に内外の価格差を埋めるということではなく、将来における合理化の見込み等を勘案して税率を定めております。
 また、関税率を引き下げることとしておる品目は約三百九十品目ございます。この引き下げ品目は、すでに対外競争力を備えるまでに成長した産業の産品でございまして、保護関税の立場からは従来の税率を維持する必要が認められませんので、需要者の利益を考慮いたしまして引き下げを行なうこととしたものであります。
 なお、今回の改正案におきましては、従量税を採用いたすものがかなり増加いたしております。その形態も、単純な従量税ではなく、従価、従量のいずれか高い方の選択課税や、従価、従量の併課税率等、税率に弾力性を持たせることを考慮しております。
 以上のような改正案を作成するにあたりましては、需要者の立場に立って考慮を加えたことは申すまでもございません。また、関税の国際性、特にガット関係等につきましても十分に考慮いたしております。
 次に、緊急関税についての制度を新たに設けることにいたしました。この関税率改正におきましては、平常な貿易の状態におきまして国内産業の保護等をはかることといたしておりますが、今後輸入が自由化されて参りますと、海外価格が急落する等の異常の事態が発生し、それがわが国の産業に重大な損害を与える場合も十分考えられますので、このような緊急事態が生じた場合には、早急に関税率を引き上げ、国内産業を保護する必要がございます。緊急関税の制度は、このような場合に、緊急関税の賦課、ガット譲許の撤回、または譲許撤回の補償としての新たな譲許等を、一定の要件のもとに政府限りで行なうことができることとするものでございます。
 次に、関税割当制度でございますが、これは、特定の物品につきまして、一定数量以内の輸入には低税率を適用して需要者の要請を満たしますとともに、その数量をこえる数量の輸入には高税率を課して、それと競合する国内産業の保護をはかろうとするものでございます。
 次に、輸入禁制品の関係でございますが、これは、税率改正とは直接関係はございませんが、一昨年の衆議院大蔵委員会の決議もございますので、その御趣旨に従いまして、取り扱いを一そう慎重にいたすため、この際輸入映画等審議会を設置する等の改正をすることといたしました。
 次に、関税暫定措置法の一部を改正する法律案の概要を御説明いたします。
 第一に、現在暫定的に関税を減免いたしております物品のうち、重要機械類、給食用脱脂粉乳、農林漁業用重油、肥料製造用原油、製油用原油等につきましては、本年三月三十一日でその適用の期限が到来するのでございますが、最近におけるわが国産業の実情等を考慮し、所要の調整を加えて、その適用期間をさらに一年間延長することといたしました。
 第二に、減免税の必要を生じました物品を新たに減免税品目に追加することといたしますほか、貿易の自由化に伴う一時的輸入の増大により国内産業が打撃を受けるおそれのある物品につきましては、暫定的に増税を行ない、あるいは暫定的に関税割当制度を適用する等の措置をとることといたしました。
 最後に、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明いたします。
 この法律案は、最近における沖繩との貿易の実情を考慮いたしまして、沖繩から輸入されます物品のうち、外国産物品を原材料として沖繩で加工されたものにつきまして関税を軽減する制度を設け、沖繩において加えられた付加価値分については関税を課さないこととしようとするものでございます。
 以上が、関税定率法の一部を改正する法律案、関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 関税定率法の一部を改正する法律案(内閣提出)、関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(清瀬一郎君) ただいまの趣旨の説明に対しまして質疑の通告がありますから、これを許します。安井吉典君。
  〔安井吉典君登壇〕
○安井吉典君 私は、日本社会党を代表し、ただいま説明のありました関税定率法の一部を改正する法律案外二法案につき、池田総理大臣、水田大蔵大臣外関係閣僚に対し、その問題点に関し質問をいたしたいのであります。
 私は、まず、これらの法案を経済的側面からながめ、このたびの関税改正の基本的性格に関し問題があると考えるのであります。
 定率法改正法案において、明治以来の関税分類九百四十三品目を、ブラッセル関税分類統一表に準拠し二千二百三十三品目としておりますことは、貿易の商品構造の変化に対応するものとし、当然の措置と考えられますが、しかしながら、二重構造のもとの、おくれた農林漁業や零細企業に対する関税保護は、諸外国同様、十分手厚くなければならないといたしましても、わが国の関税率は、一般に国際水準に比し決して低くないのにかかわらず、新分類では、現行税率に比し、ただいま御説明がありましたように、据え置き千五百九十六品目、引き上げ二百五十一品目、引き下げはわずか三百八十六品目にすぎないのであります。
 この改正は政府の貿易自由化の前提措置であることは明らかでありますが、これまで政府の自由化に対するうたい文句であるところの、原材料のコストが下がり、国際的競争力が養われ、産業構造の是正に役立つし、国内物価も下がって、消費者の利益になるという、自由化の積極的な効果はどこかへけし飛んでしまい、個々の品目の検討から知り得ることは、今、管理貿易から自由貿易への転機に立って、独占資本の当然の要請とし、みずからの独占価格を保つため、ひたすら関税のプライス・メカニズムにたより、税率の引き下げを拒み、原材料に対する税の減免を要求し、関税を利潤の増大に奉仕させようとするカルテル関税の性格が露骨に現われているというべきであります。(拍手)先ほど大蔵大臣の御説明を受けましたが、私のこの指摘に対し、ぜひ池田総理の御見解を伺いたいのであります。
 私は、政府の進めつつある貿易・為替の自由化に相変わらず疑問を持ち、不安を抱いているものでありますが、とりわけ、自由化へのあせりのあまり、関税政策だけをこのように先ばしらせ、肝心の総合的な産業政策が全くできていない点など、重大な問題であると考えるのであります。しかしながら、この関税改正が貿易自由化の前提であるとされる以上、最近、計画手直しの声すら聞くとき、私は、この際、政府のこれからの自由化計画のあり方についてお尋ねをしておかなければならないのであります。
 政府は、昨年六月二十六日の貿易・為替自由化計画大綱の中で、砂糖の自由化順位は、ビートや澱粉保護のため、あとの順位にする、と発表いたしました。ところが、五カ月あとの十一月二十九日、大蔵、経企、農林三相会談で、国内甘味資源保護、精糖会社の超過利潤抑制並びに消費者価格引き下げの見地から、自由化時期を繰り上け、四月以降できるだけ早めにと決定をいたしました。さらに、二カ月余りあとの去る二月七日、総理、通産を加えた五相会議で、砂糖の自由化は当分見送ると決定された由であります。わずか七カ月余りの間に、大臣が会合するたびに方針が変わり、おくらせて、早めて、またおくらせて、一体、政府は、何を考え、何をしようとしているのか、国民は疑問に思うのであります。(拍手)これは砂糖の例でありますが、他品目にも複雑な動きがあると見えまして、迫水経済企画庁長官は再検討の要を言明して、これに対して政府部内の意向は不統一であると伝え聞くのであります。
 最近、わが国貿易をめぐる諸情勢は、アメリカの景気後退、ヨーロッパでも停滞、例のドル防衛、これらに無関係ではないと思われるわが国の一月の国際収支経常勘定九千九百万ドルの大きな赤字転落、さらには、ADRの発行見合わせなど、これら新たな事態の中で、経済企画庁長官、大蔵、通産、農林の各大臣より、それぞれの御所管に関し、今後の自由化についての計画やお見通しを、はっきりと伺いたいのであります。ことに、いわゆる文明国民の中で最高の税金を砂糖に払っているわが国民は、さきの砂糖の問題につき、その裏の深い事情まで知りたいと考えているのでありましょうから、御答弁の中につけ加えていただきたいのであります。
 なお、池田総理大臣は、この六月中旬以後の時期にアメリカを訪問される由でありますが、かつて岸前首相の安保渡米の手みやげが自由化促進計画であったことにならい、池田総理は、訪米に際し、IMF八条国移行の備えを固め、ドル防衛協力と自由化計画繰り上げの言質をとられてくるのではないかと、新聞は失礼なことを書いているのでありますが、私は、総理のお考えを関税審議に先だってお聞きしておきたいのであります。
 次に、関税率の国内法における改正も、ガット関税交渉を経なければ生きてこないのでありますが、わが国は、過去数回の交渉で、現行九百四十三品日中二百七十六品目の譲許税率を約束しているはずであり、この中の品目の税率改正は、当初の相手国などと再交渉し、その承認を受けなければなりません。昨年九月から引き続きジュネーブで開かれている関税交渉会議において、政府は、このたびの法改正に見合う協定成果を得ることができるお見込みかとうか、また、ガット非譲許品目については一応国際的な制約はないとしても、わが国が今大幅な品目にわたり引き上げを行なうことは、ガットの精神から、何ら支障なく運べるかどうか、さらに、税率の引き下げは、非譲許品目であっても、一方的意思ではできず、新たな一般関税交渉の締結を要するはずでありますが、今のジュネーブ会議において、政府はどのように措置されつつあるか、これらにつき外務大臣より明らかにしていただきたいと思います。
 私は、引き続いて、関税定率法改正法案の法制上の問題点につき、違憲の疑いのある二点にしぼり質問いたしたいと思います。
 このたび改正法案に新たに関税割当制とともに盛り込まれました緊急関税制の規定は、ある貨物が外国で急に値下がりする等により輸入が増加し、国内産業に重大な損害を与え、または与えるおそれがあり、国民経済上緊急に必要があると認められるとき、政府は、国会の議を経ることなく、政令で次の三種類の関税率の改正を行なうことができるとしているのであります。すなわち、一、法定関税の上にその貨物の内外価格の差額の範囲内で付加関税を課すること、二、その貨物がガット譲許品目であるときは、その譲許関税率を撤回または修正すること、三、右のガット交渉に際し、その代償として他の貨物の譲許関税率を修正し、または新譲許関税率を設定すること、これは、ガット第十九条の規定が認める緊急条項の国内法措置でありますが、関税も租税である以上、憲法第八十四条の「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」という、いわゆる租税法律主義の違反ではないかという問題が起きるのであります。これに対して、政府は、事態が緊急で、国会での立法手続のいとまがないときであり、その発動の要件や限度が限定されており、また、暫定的であり、厳格な租税法律主義の例外たり得ると、おそらく主張されると思うのであります。しかし、国会閉会中ならいざ知らず、国会の会期中において、このような事例が起きたといたしました場合でも、国会を無視し、政府限りで政令をもって関税の改正を行なうならば、国民は奇異の念を抱くに違いないのであります。ことに、前述の三番目の措置は、ガットで問題の品目の関税を引き上げることを認める代償とし、それ以外の別の品目が犠牲となり、その関税が引き下げられることであり、工合によっては関連産業に大きな影響を生ずるのでありますから、このような点まで、国会はみずからの権限を無条件で行政府に委任して、はたしてよいでありましょうか。
 外国の立法例を見ますと、西ドイツでは、国会の短く限られた審議期間で事前承認の後、政令にゆだね、アメリカ、カナダ、オーストラリアの型は、あらかじめ一定の幅を設け行政権に委任はいたしますが、独立の強い行政権限を持つ関税委員会の調査や、あるいは公聴会活動などの慎重な検討の末、発動するもののようであります。イギリス、フランス、ベルギーでは、関税率を全般的に行政府に委任はいたしますが、国会の事後承認を条件といたしております。
 かように見ますとき、ここに提出されましたわが国の緊急関税で、日本の政府は、外国のどの立法例にもない、国会の完全な無視という新しいスタイルを作ろうとされているように私には思われるのであります。政府は、違憲の疑いを解き、最小限、国会の事後承認の規定を挿入するというがごとく、立法府の権能尊重の修正を受け入れる用意がありましょうか、大蔵大臣にお考えを伺いたいのであります。
 関税法及び関税定率法による税関の映画、書籍等の検査が違憲の疑いがあるという論議は、これまでしばしばなされて参りました。すなわち、輸入映画等の税関検査は、単なる貨物検査の域を越え、その内容にまで及び、公安または風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品と判定したものの通関を拒否し、カットを命ずるという実態は、実質的な検閲にほかならず、憲法第二十一条の表現の自由の保障、とりわけ、同条第二項の「検閲は、これをしてはならない。」との規定に明らかに違反するものと考えられるのであります。しかるに、定率法改正法案では、検査後の処理について形式的な改正を行なったほか、従来からの税関長の諮問機関である輸入映画等審議会に法律上の根拠を与え、実質的には検査を強化するがごとき印象を与えているのであります。輸入劇映画について、これまで数多くの問題を生じて参りましたが、最近はテレビ・ニュースのフィルムが増加し、たとえば、キューバ革命裁判やカルカッタの暴動などのフィルムがひっかかったという実例を耳にするとき、二、三年中にはテレビの世界中継すら始まろうという際、何よりも迅速さをたっとぶこの種フィルム、たとえばビデオ・テープや未現像のフィルムの税関検査にトラブルが増加することは、想像にかたくないのであります。憲法学の書物で、この問題を取り上げているものについて見ますと、清宮教授は、微妙な問題であると言い、鵜飼教授は、明治憲法下でさえすでに問題であったもので、その同じ規定が、現行憲法のもとで、そのまま効力を持っているということは、とうてい考えられない、と述べ、宮沢教授は、検閲を禁ずる趣旨が、日本国内において発表される言論を、その発表に先だって審査するということを非とするにある以上、この検閲が憲法第二十一条の禁止する検閲に該当することは明白である、と断定されております。言論の自由というも、公共の福祉のワクの中のものであり、公安、風俗を害することは当然許されません。そのために刑法の規定があります。同時に、公的権力による言論の発表前の検査は違憲とせられているのでありますから、私は、これまでの長い違憲論議に終止符をこの際打つために、税関検査は純然たる貨物検査にとどめ、内容審査は映画倫理規程やテレビ・コードなどによる業者の自主的規制にゆだね、違反に対しては刑法で処断するという正しい通関方式を、このたびの法改正を契機に、ぜひ打ち立てるべきであると考えるが、政府の御所見を大蔵大臣から伺いたいのであります。(拍手)
 私は、詳細にわたる論議は委員会審査の際に譲り、以上の諸点に関する政府の責任ある御答弁を要求し、質問を終わるものであります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) 今回の関税制度に関する三法案の趣旨は、わが国の産業構造の変化、また、世界の大勢に基づきまする貿易自由化の線に沿いまして、品目並びに税率の改正を行なわんとするものでございます。私は、わが国の今の関税制度が昭和二十六年に占領中のあれとしてできました分は、いつかは改正しなければならぬと、こう考えておったのでございますが、先ほど申し上げましたような理由で、今回改正を決意いたしたのでございます。
 なお、関税率あるいは品目の整理と貿易の自由化の問題とは関係はございまするが、貿易自由化の計画は、昨年六月決定いたしましたあの計画に基づいて着々実行しておるのであります。これを今特に変える考えは持っておりません。
 私が六月アメリカを訪問しようという問題とIMF第八条の問題とは関係はございません。
 なお、譲許品目につきましては、今回ジュネーブの会議におきまして交渉を継続しておるのであります。われわれの主張が多分通ると今考えて交渉しておるのであります。
  〔国務大臣水田三喜男君登壇〕
○国務大臣(水田三喜男君) 私に対する三つの御質問にお答えします。
 第一は、為替の自由化の問題でございますが、昨年政府がきめました貿易・為替自由化大綱の中におきまして、経常取引についての自由化は二年以内にこれを行なうということになっております。そして、三十五年中にはこれだけの自由化をやるということがきめられてございますが、現在、この方針に従って、非居住者の自由円勘定を作ったり、円為替の導入等を初めとして、積極的に為替面の自由化を行ないまして、三十五年度中に予定されておりましたものは大体全部実施済みでございます。ですから、三十六年度において、あとの残余のものをできるだけすみやかに自由化をはかるために、今検討中でございます。
 その次の問題は、緊急関税制度が憲法違反ではないかというようなことでございましたが、この制度は、予想されなかった緊急事態に対処するための制度でありまして、発動の要件とか、あるいは税率の限度というものを法律で必要最小限度に定めて政府に委任するというものでございますから、憲法八十四条の課税法律主義というものに反するものではないと考えております。各国ともこういう制度は現在とっており、国会との調和をはかる具体的な方法もいろいろまちまちでございますが、さっき申されましたように、イギリスにおいては無制限にこれを政府に委任する、そのかわり事後承認を要するという制度になっておりますし、アメリカにおいては、この委任の範囲を非常に限定する、そのかわり事後承認は要らないというようなふうに、各国ともいろいろやり方が違っております。今度のわが国の場合は、政令委任事項は行政府の権限にまかせますが、この措置が相当の期間を越えて発動を継続する必要が生じたとき、たとえば、私は、一年以上この措置が続くというような場合には、これはもう緊急措置の趣旨に反すると思いますので、長くなれば、すぐに税率の改正の措置を国会に対してとるというふうになっておりますので、立法府の権能を無視している法律であるとは今のところ全然考えません。
 それから、最後に、映画の検閲の問題でございます。憲法に表現の自由の原則がございますが、この自由も、公共福祉のためには一定の制約を受けるのは当然でございまして、公安とかあるいは風俗を害する映画等の輸入を禁止するということは、決して憲法に違反するものとは考えておりません。現行法においては、税関の一般的な貨物検査に際して、そういうものを発見した場合には、この輸入を許可することはできない、そうして、税関長においてこれを没収するという規定になっておりますが、この点につきましては、しばしば国会でいろいろ論議されておることでございますので、今度はこれを一段と慎重にする、そういうような措置もとらないで慎重を期する方がいいということで、この審議会制度ができたわけでございますので、検閲強化とかなんとかいう方向とは全く反対で、従来のやり方を改めようというものでございますので、この点は御了解を願いたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕
○国務大臣(小坂善太郎君) ガットの関税交渉は目下ジュネーブにおいて行なわれておりまして、おおむね本法案通り改正できる見込みでありますが、まだ交渉中の段階でありますから、詳細申し述べることを差し控えたいと存じます。なお、各国との再交渉は四月の初めころまでに終了の見込みであります。今のところ、このほかガットの譲許品目について再交渉する考えを持っておりません。
 以上をもってお答えといたします。(拍手)
  〔国務大臣迫水久常君登壇〕
○国務大臣(迫水久常君) 政府は、昨年決定いたしました自由化大綱の線に沿って、貿易・為替の自由化を進めておりまして、私は、その方針には何も動揺がないと心得ております。私といたしましては、原則として、自由化はできるだけこれを促進することが国内物価対策及び輸出増進に資するものと考えておりまするから、自由化の問題については常時検討を怠らないでやっていくつもりでおります。
 砂糖の問題について御質問がございました。自由化大綱では、砂糖については慎重な考慮を払うべきものということになっておったのでございまするが、昨年秋、当時の農林大臣から、関税を幾分か引き上げることによって自由化は可能である、また、これによって精糖業者の超過利潤を解消し得るからというお話もございましたので、私は、消費者物価も下がるはずでありまするから、大蔵大臣といろいろ研究いたしました結果、自由化の実施を条件として関税の率を若干引き上げるという方針を当時きめたのであります。ところが、その後、新しい農林大臣から、いろいろ研究した結果、国内甘味資源の対策上、当分自由化というものは延期をした方がいいというお話がございまして、さらにまたいろいろ検討いたしましたが、きわめて大切な国内農業対策の見地からは、これももっともだと考えましたので、自由化の繰り上げという方針を取りやめまして、従って、関税の引き上げも中止をいたしたのでございます。なお、今後、砂糖はその輸入量をできるだけ増加いたしまして、国内甘味資源を害しない範囲内において消費者物価はこれを引き下げて参る方針でございます。(拍手)
  〔国務大臣椎名悦三郎君登壇〕
○国務大臣(椎名悦三郎君) 自由化品目の非常に多くの部分が通商産業省所管の物資でございます。それで、昨年六月に決定いたしました自由化計画の大綱では、三年後に自由化率をおおむね八〇%まで持っていこうというのでございまして、これに石炭と石油を加えますと九〇%になる。石炭、石油を、いつ、どういうふうにやるかということにつきましては、まだ慎重に考究中でございます。政府は、昨年来、逐次この大綱に沿うて自由化を進めて参りましたが、本年の四月に、原綿、原毛等を初めとして、いわゆる早期自由化品目の大部分を自由化いたしたいと考えております。かような措置をいたしますれば、大体において六〇%を上回ることになろうかと存じます。(拍手)
  〔国務大臣周東英雄君登壇〕
○国務大臣(周東英雄君) 農産物に関する為替及び貿易の自由化に関しましても、昨年の六月にきめられました貿易・為替自由化大綱にのっとって処置をいたして参るつもりであります。
 砂糖の自由化をしばらく見送りましたのは、ただいま企画庁長官から申し上げた通りであります。私どもは、畑作地帯における農家所得を確保し、かつ、国内生産の甘味資源の自給度を高めるために、御承知のように、てん菜生産振興臨時措置法に基づいて、てん菜工業を保護し、また、イモ澱粉の利用によりまする精製糖と結晶ブドウ糖の工業を保護いたしております。こういう意味合いから、しばらく見送っておりまするが、一方、消費者に対する砂糖の価格につきましては、最近の世界市場における砂糖の相場というものは落ちております。従って、その落ちた相場をもとにして、糖価の安定水準もずっと引き下げまして、同時に、外貨割当を増加しつつ、必要量を入れることによって消費者対策を考えておるわけであります。
 その他の農産物につきましては、大体、国内における保護措置を講じつつ、逐次やって参っておりまするが、米、麦、酪農製品等に関しましては、国内の農家のことを考え、いましばらく自由化は行なわないつもりであります。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) 以上をもって、この案の趣旨の説明に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(清瀬一郎君) 次に、内閣提出、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案の趣旨の説明を求めます。運輸大臣木暮武太夫君。
  〔国務大臣木暮武太夫君登壇〕
○国務大臣(木暮武太夫君) 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 国鉄の輸送力は、現状でも国民の輸送需要をまかない切れない実情にあり、なお、政府の所得倍増計画とも関連して、今後の経済発展の隘路とさえなるものと思われます。
 このような輸送力の現状並びに今後の輸送需要の増大に対処するため、国鉄においては昭和三十六年度を初年度とする新五カ年計画を策定いたしましたが、この計画においては、東北本線、北陸本線等の主要幹線千百キロの複線化、主要幹線千八百キロの電化、電化されない区間の全面的ディーゼル化、通勤輸送の緩和、踏切設備の改善、車両の増備及び東海道新幹線の建設等を計画しており、このためには総額九千七百五十億円、年額千九百五十億円の資金が必要となります。このほか、昭和三十六年度に例をとりますと、借入金の返還が約二百億円ありますので、所要資金は合計二千百五十億円に上ることとなります。
 これらの所要資金に対しまして、国鉄経営の収支状況から見ますと、自己資金によって調達される分は減価償却費等の繰り入れ約六百億円程度にすぎない実情にありますので、国鉄新五カ年計画を実施いたすためには何らかの資金確保の方法を講じなければならないことになります。この所要資金不足額を全面的に借入金によってまかなう場合には、本年度末において三千七百億円の多額に達する借入金はさらに膨大なものとなり、昭和四十年度においては一兆一千億円をこえ、その時における支払い利子は七百億円をこえる見通しとなり、とうてい健全な経営を維持することはできないものと思われます。これとともに、国家財政の現状から見ましても、このような膨大な財政融資は困難であります。
 翻って、設備資金所要額のうちには、通勤輸送対策、幹線輸送力増強、踏切設備の改善、取りかえ及び諸改良等、約千二百億円の採算に乗らない工事資金が含まれておりますので、これらの資金は、利子のつく借入金で本来まかなうべきものでないと考えられます。従いまして、一部借入金の増額によるほかに、運賃改定による増収によって所要資金を調達するほかないものと決意いたしたわけであります。
 運賃引き上げ率の決定にあたりましては、運輸審議会の答申を尊重し、また、国鉄運賃の国民生活への影響を十分考慮いたしまして、極力低位にとどめるべく、借入金の増額を、昭和三十六年度においては、前年度に比べ約百七十億円増加して約一千億円といたし、また、企業努力、経営の合理化等による自己資金の捻出をはかりまして、必要最小限度四百八十六億円、増収率一二%程度を運賃改定による増収額として見込むことといたしました。
 次に、運賃改定の内容についてでありますが、まず、旅客運賃の改定内容について申し上げますと、二等の普通旅客運賃の賃率は、三百キロメートルまでの第一地帯は一四・六%、三百一キロメートル以上の第二地帯は一二・五%の引き上げとし、一等の運賃は二等の一・六六六倍、すなわち、通行税込み二倍といたしました。なお、航路の旅客運賃も、これに伴いまして、ほぼ同程度の改定をいたしました。
 次に、貨物運賃についてでありますが、賃率をおおむね一五%引き上げることにいたしました。
 なお、定期旅客運賃につきましては、割引率はそのまま据え置くこととし、普通旅客運賃の賃率の引き上げに伴う改定にとどめることといたしております。
 以上が今回改定のおもなる点でありますが、この運賃改定によって得られます増収額は、これをあげて輸送力の増強に充て、今後五カ年間に国鉄輸送力の抜本的な拡充をはかり、もって今後の経済の伸びに伴う輸送要請にこたえたいと考えまして、今回の運賃改定もやむを得ない措置であると考えた次第であります。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(清瀬一郎君) ただいまの趣旨の説明に対しまして、質疑の通告がございますから、これを許します。西宮弘君。
  〔西宮弘君登壇〕
○西宮弘君 ただいま説明のありました国有鉄道運賃の改正に関しまする案件は、われわれ国民生活に最も影響がある重大問題でございますので、私は、日本社会党を代表いたしまして、若干の質問を試みようとするものであります。
 まず、質問の第一は、今回の国鉄運賃の値上げないしは郵便料金の値上げは選挙の公約違反ではないかということを、池田総理にお尋ねをいたしたいのであります。(拍手)
 先般の選挙にあたりましては、公共料金の値上げ等につきましては一言半句これに触れていなかったのであります。いな、それのみならず、一般物価については、ぜひこれを押えるのだ、値上げを抑制するのだということを、繰り返し繰り返し説明して参りました。たとえば、昨年十月の解散国会におきまして、池田総理の施政演説の中に、あるいはまた質問者に対する答弁の中にも、これらはいずれも明瞭に断言されておるのであります。あるいはまた、迫水経済企画庁長官のごとき、その経済演説の中に、消費者の立場に立っての物価の安定、こういう言葉を繰り返し強調いたしまして、あの短い演説の中に、消費者の立場に立ってということを、しつこいほど、うるさいほど繰り返しまして、これを力説いたしておったのであります。さらに、選挙戦に突入いたしまするや、各新聞よりの求めに応じまして回答いたしました自由民主党の公約の中にも、このことが明瞭にうたわれておりまして、消費者物価の値上がりを押える、こういうことが、あらゆる新聞に報道されております。さらに、ある新聞は、公共投資についてのアンケートを求めておるのでありますが、この公共投資に対する答えといたしましては、まず、国鉄輸送力の増強ということを劈頭第一にうたっておるのでありまして、国鉄輸送力の増強は政府の公共投資によってこれを実施するのだということを明言いたしておるのであります。以上は、わずかに二、三の例を拾い上げたにすぎませんけれども、このような、きわめて明々白々たる公約をもちまして選挙戦に臨んだのであります。ところが、選挙が終わりましたとたんに、これらの公約は、あたかも弊履のごとく捨て去られてしまったのであります。一般物価についてさえ、あくまでもその値上がりを押えると公約しておったのでありまして、まして、いわんや、政府みずから所管をいたしておりまする鉄道運賃あるいは郵便料金等の公共料金が値上げされるであろうなどとは、とうてい想像し得なかったのであります。
 私が池田総理にお尋ねをいたしたい第一点は、公約履行についての政治的、道義的責任についてであります。せっかくの公約を捨て去って、いささかも省みないこの態度は、われわれは断じて見のがすことができない重大問題だと考えます。総理はいかようにお考えであるか、お尋ねをいたします。
 質問の第二は、国鉄経営に対する政府の基本的な態度であります。
 国鉄は、もとより独立採算を建前といたしておるのでありますが、しかし、読んで字のごとく、公共企業体でありまするから、半分は公共性を持っております。たとえば、定期運賃、学生運賃の割引その他各種の割引だけでも、その金額は五百二十五億に達しておるのでありまするが、これらは、いずれも公共的な特殊な目的に奉仕するための制度でございます。これを国鉄の負担に負わしておきますことは、まことに酷に過ぎるといわなければなりません。たとえば、自動車の場合は、道路は国あるいは地方公共団体がこれを維持管理いたしまするし、船の場合は、港湾の施設は、これまた国または地方公共団体がその責めを負っておるのであります。これらに引き比べますると、鉄道は一切がっさい自分の負担でやらなければならないのでありまして、それだけでもすでに相当のハンディキャップであるのでありまするが、これに加えまして、前段申し上げたような特殊の社会政策的任務を担当いたしておるのでありまするから、国鉄にとってはまことに気の毒だといわなければなりません。その結果、あるいは経営の悪化、労働者の不足、労働条件の劣悪化を招来いたしておりますることも、これまた避けることのできないことでありまして、三日に一人ずつ職務中の事故で倒れていく職員があるのであります。こういう事実を軽々に看過することは絶対にできないのであります。この公共負担については、西欧諸国等は、いずれも政府の責任において負担しておるのでありますが、先般の鉄道運賃制度調査会あるいは日本国有鉄道諮問委員会等の答申ないしは意見も、この原則を確認いたしておるのであります。
 日本の鉄道は、今申し上げたような社会政策的な特別な任務を負っておりますほかに、さらに、いわゆる政治線、政治駅などと称されるような、まことに不可解な問題がございまして、一そうその経営を困難にいたしておるのであります。言うまでもなく、僻地の人々も文化を享受する点においては同じでなければなりませんけれども、往々にいたしまして、単なる政治的、政略的な事情から強引に決定されてしまうということがあるのは、独立採算を建前とする国鉄にとっては迷惑千万のことでございまして、さらに、これらの、政略的な、あるいは党勢拡張的な、不合理な新線建設等が、今日運賃値上げの理由となるといたしますならば、われわれ一般乗客は、とうていこれに耐えることができないのでございます。
 前段申し上げましたような社会政策的あるいは経済政策的公共負担は、当然に国がその責任を負うべきものだと信じます。さればこそ、前に引例をいたしました自由民主党の選挙公約には、公共投資の劈頭第一に国鉄輸送力の増強なる一項を高々と掲げまして、国鉄輸送力の増強のためには政府は公共投資をするということを明らかにいたしたのでありまして、さすがは自民党だと、国民ひとしく深い敬意を表したのであります。しかるに、ただ残念なのは、選挙が終わりますると、これらの公約は跡形もなく消え去ってしまったのでございます。公共投資なるものも、もとより、その原資は国民の税金でありますから、いたずらに安易に考うべきことではございませんが、今申し上げたような点については、それぞれ国が補償するのが当然であると考えます。この点に対する池田総理及び所管大臣の御意見を伺います。
 私は、ただいま、政府の責任を追及いたしまして、国鉄のために弁護をいたしました。しかし、国鉄に反省を求める点はないのかと申しますると、大ありでございます。問題はたくさんあるのでありますが、今は、ただ、昭和三十二年から実行にかかりました修正五カ年計画について取り上げたいと存じます。
 私が特に指摘をいたしたいのは、その計画をはたして忠実に実行したかどうかの点であります。経済力の伸長に比しましては、さなきだに小さ過ぎた計画が、それさえも満足に行なわれなかったといたしますならば、まさに言語道断でありまして、今日の交通の大混乱はむしろ当然だといわれてもやむを得ません。国鉄当局が公表いたしております資料によりましても、昭和三十五年度までの実績は、六七%の経費を投入いたしておるのであります。資金は六七%投入いたしておりますが、これによって実施をされました事業の実績は、いろいろ項目によって違いますけれども、最も重要だとみずから説明をいたしております輸送力、特に増線、電化、車両等につきましては、少ないのが二六%、多いので五七%、こういう状況でございまして、昭和三十五年は、前の五カ年計画から申しますと第四年目に相当いたしますから、当然に八〇%の進捗を示さなければならないのでありますが、実績は今申し上げた通りであります。今日交通に一大支障を来たしております理由のその最大なるものは、せっかくのこの五カ年計画も何ら忠実に履行しておらなかったというところにあることは、申すまでもないのでありまして、前回の実績をこのような不始末のまま放置いたしまして、その跡始末、そのしりぬぐいに今回運賃値上げをするというがごときは、絶対に了承することができないのであります。この点に関する所管大臣の御説明を承りたいと思います。
 次に、今回は新しい五カ年計画実施のために運賃値上げをするのだといわれるのでありますが、われわれにとりましては、そもそも、この五カ年計画そのものに多くの疑問を抱くのであります。たとえば、事業の面では、従来に比べて著しくふえるのでありますが、人員はわずかに新線建設の要員三百名をふやしておるだけでありまして、その他は事業量が画期的に膨張するのに対して、人は一人もふえておらない。どのようにして事業をやり遂げることができるか、常識では判断ができないのであります。さらに、今後起こり得る各種の要因も計算に入れて十分計画を練ってあるのかどうか。たとえば、この前の五カ年計画が実施されなかった、完遂されなかった理由には次の三つの理由があるといわれておるのであります。国鉄はかくのごとく説明をいたしておるのであります。すなわち、昭和三十三年の景気の後退、ベース・アップによる賃金の上昇、工事資材の値上がり、この三つを理由にいたしておるのであります。こういう問題ならば、おそらくこれから先も起こり得る可能性は十分にあるのでありますが、今回の計画は、こういうようなできごとのために途中で挫折するようなことが絶対にないのかどうか、五年後の昭和四十年になりましたときに、前回同様の申しわけ、弁明をするようなことはないかどうか、今のうちに、はっきり確かめておきたいと思います。
 なお、このようにしてやり遂げた結果はこういうことになるのであるか、一部少数の上層階層者あるいは独占企業だけが大幅にその利益を享受するような結果に終わりはしないかをおそれるのでございます。そうではなしに、真に一般国民大衆の交通輸送を確保し、快適なる旅行あるいは迅速なる貨物の輸送等を保障するに足る十分なる理想的な計画であるというならば、その根拠を具体的にお示しを願いたいのであります。
 私があえてこのような質問をいたしまするのは、今回国鉄当局が発表いたしました文書によりますると、この前の五カ年計画は、もともと、せっぱ詰まった国鉄の窮状を打開する必要最小限度のものであった、こうしるされたり、あるいはまた、前の計画は当初から実際には不可能に近いものを含んでいたとしるされたり、あるいはまた、元来この五カ年計画は一八%の運賃値上げを予定して立案されたものであった、その値上げが一三%にとどまったところにすでに計画が過小となる原因があった、こういうことを、今になりまして、おくめんもなく発表いたしておるのでありますが、かくのごときは全く無責任もはなはだしいといわなければなりません。(拍手)あの当時は、この計画さえ達成いたしますれば、すばらしい国鉄になるのだといって、運賃値上げの正当性を盛んに強調いたしたのであります。たとえば、それをしろうとにもわかりやすく説明をいたしますために、大都市の通勤時の電車では、電車の中で新聞、雑誌が読めるようになるのだとか、あるいはラッシュ・アワーでも、五年後には電車の中で新聞が読める程度に持っていきたい、今、週刊雑誌が売れるのは、国鉄が込んでいるからだという説もあるくらいで、それを五年たったら週刊雑誌が売れなくなって新聞が売れるところまで持っていきたい、こういうことを当時の責任者がしるしておるのであります。通勤電車の中で週刊雑誌が読めた時代がかつて日本の歴史にもあったのかと思うと、まことに感慨無量でございます。新聞でなくて、週刊雑誌でもけっこうでありますから、ともかく、通勤電車の中で楽に読むことができるように今回の計画が練ってあるのかどうか。ただいま都心部に通勤をいたしておりまする人たちは、毎朝、親子兄弟水杯をして別れを惜しんでおるのでありまして、そういう人たちに、この国会を通じまして希望を与えていただきたいと思います。この今回の計画は、ベース・アップその他今後当然起こり得る各種の条件を予想しながら、それを計算に入れ、それを完全に遂行して、国民大衆、勤労大衆の足を完全に確保できるかどうかをお尋ねいたしたいのであります。
 次に、具体的な問題を三つほどお尋ねをいたします。
 その一つは、石炭輸送の運賃についてであります。このように運賃が値上がりをいたしますると、石炭産業の合理化が不可能になると思うのでありまするが、通産、運輸両大臣の御所見を伺います。
 その二は、農林水産物の輸送の暫定措置の問題であります。これは、ぜひとも、政府の責任におきましてこの制度を恒久化する、制度化すべきであると考えるのでありまするが、これに対する農林、運輸両大臣のお答えを願います。
 その三は、貨物輸送についての取り扱い駅整理の問題であります。整理の結果は、当然に農民あるいは漁民、中小企業者等の負担の増を来たすのであります。これは同じく政府の責任において補てんすべきものであると考えるのでありますが、これについての政府の所見を伺います。
 最後に、池田総理、運輸大臣等にお伺いいたしたいのは、今回の運賃値上げにつきましては、いかようにして世論を確かめ、あるいは、これをどの程度まで取り入れたかということであります。あるいは庶民の生活実態をどのように理解をし、把握されておるかということであります。
 昨年十二月、値上げ案が発表されまするや、新聞は、ことごとく筆をそろえて値上げの不当を訴えまして、政府の反省を迫ったのであります。続いて、三日間ぶつ通し開かれました公聴会におきましても、業界代表はもちろんのこと、その他の第三者的学識者も、ほとんど大部分はこれに反対をいたしたのであります。国鉄運賃の値上げは、それ自身が問題でありますと同時に、他の物価に影響することが大きいからでございます。今回の国鉄運賃の値上げに伴いまして、特に、バス、電車の運賃などは当然に引き上げられるでありましょう。今やおそしと待機をいたしておるのであります。政府が国鉄運賃の値上げをいたしました以上、地方団体の経営いたしておりまする都市交通機関の値上げを押える根拠は全くないはずであります。池田内閣は、減税減税と宣伝をいたしておりますけれども、これら国鉄料金の引き上げ四百八十六億円を筆頭にいたしまして、あるいは医療費、国民年金、郵便、ガソリン税の引き上げなど、いずれも大衆のふところから出されまするいわゆる大衆収奪の金でありまして、その金は約千二、三百億の多きに達するのであります。そのほか、地方団体の営む各種公営企業、あるいは一般消費物価の値上がり等が相次いで行なわれまして、大衆の生活を強く圧迫をいたしておるのであります。
 その一例として、試みに国鉄の定期券を買う人々の員数を調べてみますと、昭和二十三年には、一カ月の定期を買う人の数と、六カ月の定期を買う人の数はちょうど同じでありました。ところが、昭和三十四年になりますると、一カ月の定期を買う人が実に全体の八五%を占め、六カ月の定期を買う人がわずかに五%しかありません。もちろん、六カ月の定期の方がはるかに有利なんでありますが、これを買うだけのまとまった金がないのであります。前回、昭和三十二年の値上げの際には、鉄道経営調査会に諮問をいたしまして、一年近い調査、審議の結果に基づいて値上げ案を国会に提出いたしたのでありまするが、今回は、あたかも問答無用とばかり、抜き打ち的に提案をいたしたのであります。政府は、庶民の生活実態等をいかように把握、分析をし、あるいは現在の世論をいかように理解をして今回の提案の決意をするに至ったかを、つまびらかにお聞かせ願いたいのであります。
 以上申し述べました各種の問題について、あくまでも懇切にして明確なる御答弁を、あえて国民大衆の名において要求いたします。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。
 選挙の公約につきましては、御承知の通り、社会保障制度拡充、減税あるいは公共投資でございます。そのもとになるものは所得倍増でございまして、所得倍増に対しましては、相当公共投資が必要であるのであります。国鉄その他郵便料金等、公共料金の引き下げは公約いたしておりません。従いまして、私は、公約の根本をなす所得倍増を実現するためには、この際、国鉄の運賃の引き上げはやむを得ぬと考えているのであります。もちろん、借入金、合理化等によりまして、運賃の引き上げは極力これを僅少にいたしたのでございます。私は、公約違反とは考えておりません。(拍手)なお、今後における公共料金につきましては、政府といたしましては、極力これを押えていく考えでございます。
 なお、国鉄運賃の引き上げによりまする影響につきましては、企画庁におきましては、消費者物価につきましては〇・一%の影響と計算しております。私も、かく考えております。なお、貨物運賃の引き上げにおきましても、卸売物価には〇・二%影響することに相なっております。過去の実績から申しまして、昭和二十八年には貨物並びに旅客運賃を一三%上げましたが、卸売物価は下がりましたが、上がってはおりません。三十二年に貨物運賃を一六%上げましたが、三十二年は、御承知の通り、卸売物価は下がっております。こういうように、経済というものは計算ずくで動くものではございません。その経済運営のよろしきを得れば、鉄道運賃の引き上げくらいは優に吸収し得るのが過去の実例であるのであります。(拍手)
  〔国務大臣木暮武太夫君登壇〕
○国務大臣(木暮武太夫君) お答えを申し上げます。
 日本国有鉄道は高い公共性を持っておることは、御承知の通りでございます。従いまして、公共負担が、日本国有鉄道としてこれを相当になさなければならぬことは、論を待たないのでございます。ただ、独立採算制を考えました場合に、公共負担があまりに多いということは、この経営を圧迫するおそれがあるのであります。要するに、このバランスをどうするかということが非常に重要な問題であると考えるのでございまして、今度、政府は、新線建設のごとき公共負担の利子補給を政府から出すことに予算を組んでおりますことは、御存じの通りでございます。また、すべてを政府の金で出してはどうだという御意見は一部にございますけれども、従来、日本の国有鉄道が、政府の直営の場合におきましても、建設資金は大体借入金、改良あるいは取りかえその他の資金というものは利用者の負担によるということの長い沿革がございますので、私は、ある程度は、鉄道が、これを利用するところの人たちの負担によりまして自己資金を捻出するという方法をとるべきであると考えておるのでございます。
 それから、第一次五カ年計画がうまくいかなかったではないか、そうして、今度の五カ年計画は挫折するおそれはないかというような御心配のお話がございましたが、御承知の通り、昭和三十五年度は、第一次五カ年計画のちょうど四年目に当たるのでございます。その進捗率は約六七%になっておるのでございまして、こういうふうになりましたおもな理由は、第一次五カ年計画が発足いたしましたときに、金融が引き締ってきたとか、あるいはまた、資材の値上がりがあって経費がたくさんかかったとか、仲裁裁定があって人件費に予想せざる費用がかかったとかいうようなことと相待ちまして、そうして十分の資金を得ることが困難であったことが、こういうふうになったのでございます。しかしながら、御安心をいただきたいことは、この四カ年の間におきまして、老朽設備の取りかえというようなことは大いにでき上がりまして、運転保安上の心配、危険というものは全くございませんですから、どうぞこの点は御安心を願いたいと思います。
 また、今回の計画でございまするが、先ほど提案の理由に申し上げました通りに、最小限度四百八十六億の自己資金を、これを国民の皆様方の負担によってやりますことと、一方では、減価償却費の繰り入れ六百億円、また、政府としても、なるべくこの際財政投資を十分にしたいというので、昨年に比べまして百七十億円を増加するという、約一千億に余る財政投資をいたしておりますので、国鉄の者もふるい立って、この金をもって五カ年間に十分御期待に沿うような鉄道輸送の強化整備に当たりたいということを申しておりますので、これも私は安心してしかるべきものであると存ずるのでございます。
 それから、要員の問題でございましたが、今度の新五カ年計画にあたりましては、東海道の新線増設の工事は、御承知の通り、新規の仕事ではございますし、非常に大きな仕事でございますので、これには三百名三十六年度の予算において増員をすることにいたしましたけれども、その他の仕事におきましては、要員を増すということは、今回の五カ年計画においてはいたさないことにするようにいたしておるのでございます。あるいは統計であるとか、あるいは設計であるとかいうような仕事は、場合によりましては外へ注文をする等のことによりまして、現在ある国鉄の要員を利用いたしまして、東海道線に三百名三十六年度は予算をふやすことをいたしました以外には、要員を増していくというようなことはやらぬ考えでございます。
 それから、農林水産物資の暫定割引についての御質問がございましたが、御承知の通り、農林水産物に対しましては、もともと低いぐらいに運賃をきめておるのでございます。農林水産物等の百一品目の物は、特別に低いところに格づけをいたしておるのでございまするが、これに加えて、暫定割引を今日はいたしておるのでございます。従いまして、暫定割引ということは運賃制度のワク外でございまして、これは実は改めたいという純理上からの希望があるのでございます。しかしながら、今回の国鉄運賃改定にあたりましては、いろいろのことを勘案して、国民の生活に影響することをよく考えまして、この農林水産物等に対する暫定割引は据え置くことにいたしましたから、これまた御安心を願いたいと思います。(拍手)
 それから、石炭の運賃のことを御質問でございましたが、御承知の通り、今度の国鉄の運賃改定は、国鉄が所得倍増に関連いたしまして、その使命を達成するための輸送力の強化整備をいたすため、最小限度に今度は運賃の改定をいたすのでございまして、従いまして、すべての品目につきまして一律に改定をいたしたのでございますから、この際、石炭がどうだ、何がどうだというようなことを、われわれは割引に考えていくということは、不適当であるというふうに考えておる次第でございます。
 それから、最後に、国鉄運賃改定に伴いまして、バスやいろいろの交通機関の値上がりがあるではないかというお話がございましたが、これも御心配はございません。ただいま、バスの値上げ、私鉄の値上げは、われわれの手元へは参っておりません。従来といえども、私鉄やあるいはバスの運賃を改定する場合には、ケース・バイ・ケースに、一つ一つその会社の実情を調べて運賃の改定をやっておりますので、国鉄運賃改定をしたから便乗して一気にすべての交通機関の値上がりがあるというようなことは、御心配には及ばないことであると思う次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣周東英雄君登壇〕
○国務大臣(周東英雄君) 農林水産物に対する公共割引制度に関しましては、ただいま運輸大臣が御答弁申し上げた通りでありますから、繰り返し申し上げません。(拍手)
  〔国務大臣椎名悦三郎君登壇〕
○国務大臣(椎名悦三郎君) 石炭鉱業は、昭和三十八年度までにトン当たり千二百円の炭価の引き下げを目標として、ただいま合理化の推進をやっておる最中でございます。従って、今回の鉄道運賃の改正による運賃値上げ分まで生産面において合理化によって吸収するということは、きわめて困難な状況になるのであります。そこで、合理化目標を達成するまでの期間については、石炭鉱業に対する負担の増加を実質上回避し得るように、何らかの特別の措置を暫定的に講じたい、かように考えておりまして、運輸大臣のお答えがございましたけれども、関係方面と十分に折衝をして参りたい、かように考えております。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) これにて趣旨説明に対する質疑と答弁を全部終わりました。
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○議長(清瀬一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後六時二分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        外 務 大 臣 小阪善太郎君
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        農 林 大 臣 周東 英雄君
        通商産業大臣  椎名悦三郎君
        運 輸 大 臣 小暮武太夫君
        建 設 大 臣 中村 梅吉君
        自 治 大 臣 安井  謙君
        国 務 大 臣 迫水 久常君
 出席政府委員
        法制局長    林  修三君
        総理府総務長官 藤枝 泉介君
        運輸省鉄道監督
        局長      岡本  悟君
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