第038回国会 本会議 第34号
昭和三十六年四月二十七日(木曜日)
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 議事日程 第二十七号
  昭和三十六年四月二十七日
   午後一時開議
 第一 日本開発銀行に関する外航船舶建造融資
  利子補給臨時措置法案(内閣提出)
 第二 防衛庁設置法の一部を改正する法律案(
  内閣提出)
 第三 自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣
  提出)
 第四 郵便法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
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○本日の会議に付した案件
 経済企画庁設置法の一部を改正する法律案(内
  閣提出、参議院回付)
 日程第一 日本開発銀行に関する外航船舶建造
  融資利子補給臨時措置法案(内閣提出)
 日程第二 防衛庁設置法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 日程第三 自衛隊法の一部を改正する法律案(
  内閣提出)
 日程第四 郵便法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
   午後一時三十七分開議
○議長(清瀬一郎君) これより会議を開きます。
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 経済企画庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)
○議長(清瀬一郎君) お諮りいたします。
 参議院から、内閣提出、経済企画庁設置法の一部を改正する法律案が回付されております。この際、議事日程に追加して、右回付案を議題とするに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 経済企画庁設置法の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。
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○議長(清瀬一郎君) 採決いたします。
 本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、参議院の修正に同意するに決しました。
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 日程第一 日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法案(内閣提出)
○議長(清瀬一郎君) 日程第一、日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法案を議題といたします。
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。運輸委員会理事高橋清一郎君。
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  〔報告書は会議録追録に掲載〕
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  〔高橋清一郎君登壇〕
○高橋清一郎君 ただいま議題となりました日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、本法案の趣旨を簡単に御説明いたします。
 わが国の海運企業は、もっぱら借入金によって新船建造を行なわざるを得なかったために、その資本構成は悪化し、これにわが国の金利水準が国際水準から見て著しく割高である事情が加わって、その企業内容は極度に悪化して参ったのであります。よって、かかる割高な金利負担の軽減をはかるために、日本開発銀行の融資についても利子補給を行なうことができるようにしようとするものであります。
 次に、本法案の内容のおもなる点を申し上げます。
 第一点は、政府は、日本開発銀行と契約を結び、外航船舶建造のための同行の融資について、当該融資の契約上の利率年六分五厘と年五分との差を限度として利子補給金を支給することができることとし、その年限は契約をした会計年度以降七年度以内とすること、第二点は、利子補給金の予算の制限、支給限度額及び日本開発銀行の利子引き下げ義務などを規定するとともに、海運会社が一定以上の利益金を計上した場合の国庫返納、海運会社に対する監査、勧告、海運会社及び日本開発銀行の義務違反に対する措置などについて、市中融資に対する利子補給の場合と同様に規制することであります。
 なお、政府が利子補給契約を結ぶことができるのは昭和三十九年三月三十一日までと定めようとするものであります。
 本法案は、去る二月二十二日本委員会に付託され、同月二十四日政府より提案理由の説明を聴取し、三月二十八日、四月十四日、十八日質疑を行ないましたが、その内容は会議録により御承知願います。
 かくて、四月二十一日、討論を省略し、採決の結果、本法案は起立総員をもって原案通り可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(清瀬一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
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 日程第二 防衛庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(清瀬一郎君) 日程第二、防衛庁設置法の一部を改正する法律案、日程第三、自衛隊法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長久野忠治君。
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  〔報告書は会議録追録に掲載〕
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  〔久野忠治君登壇〕
○久野忠治君 ただいま議題となりました防衛関係二法案につき、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、防衛庁設置法の一部を改正する法律案の要点を御説明申し上げますと、
 第一は、わが国の国力、国情に応じて防衛力を整備するため、自衛官一万一千七十四人、自衛官以外の職員二千四百六十人を増員することであります。
 第二は、陸、海、空各自衛隊の統合的かつ能率的な指揮運用を達成するため、統合幕僚会議の機能の充実をはかるとともに、統合幕僚会議に統合幕僚学校を新設することであります。
 第三は、防衛大学校に理工学に関する高度の理論及び応用に関する課程を新たに設けること等であります。
 次に、自衛隊法の一部を改正する法律案の要点を御説明申し上げますと、
 第一は、自衛隊の組織及び編成等を整備することであります。すなわち、陸上自衛隊においては、現在の六管区隊、四混成団を十三個師団に改編することであり、海上自衛隊においては、新たに、長官直轄部隊として教育航空集団を置くとともに、自衛艦隊は、護衛艦隊及び航空集団その他の直轄部隊をもって編成することにいたすことであり、航空自衛隊においては、西部航空方面隊を新設して、既設の第五航空団をその隷下に置くとともに、中部航空方面隊に第六及び第七航空団を新設すること等であります。
 さらに、陸、海、空各自衛隊の補給処における調達、補給等の統制業務を行なう機関として補給統制処を置くことができることとし、また、練習隊群を練習艦隊と改称し、自衛艦隊司令、航空総隊司令等の名称をそれぞれ司令官と改めることであります。
 第二は、防衛庁設置法における統合幕僚会議の所掌事務の改正に応じて、統合部隊の行動についての長官の指揮は統合幕僚会議の議長を通じて行なうものとし、これに関する長官の命令は統合幕僚会議の議長が執行するものといたすことであります。
 第三は、予備自衛官の員数を二千人増員するほか、自衛隊の任務遂行に支障のない限り、国際的な運動競技会等に対して自衛隊が必要な協力を行なうことができることといたすこと等であります。
 両案は、二月十五日本委員会に付託、政府より提案理由の説明を聴取した後、池田首相、西村防衛庁長官その他関係政府委員に対し、各委員より諸般の角度から熱心な質疑がなされたのでありますが、その詳細は何とぞ会議録によって御承知を願います。
 かくて、昨日質疑を打ち切り、両案を一括して討論に入りましたところ、自由民主党を代表して藤原委員より賛成の意見が、日本社会党を代表して山内委員より、また、民主社会党を代表して受田委員より、それぞれ反対の意見が述べられ、次いで採決いたしましたところ、いずれも多数をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(清瀬一郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。山内広君。
  〔山内広君登壇〕
○山内広君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案、いわゆる防衛二法案に断固反対の立場から、その理由を明らかにせんとするものであります。(拍手)
 まず、反対の第一の理由は、自衛隊の存在そのものが、戦争の放棄と戦力保持の禁止をうたった憲法の違反であり、平和を脅かすものであるからであります。(拍手)
 言うまでもなく、平和憲法は、日本民族の戦争への反省と、あやまちは繰り返すまいというかたい決意を全世界に表明したものであったはずであります。しかるに、昭和二十五年八月、警察予備隊として発足以来、歴代保守党内閣は、政府みずから国の基本法である憲法をじゅうりんし、その陰において着々と再軍備政策を推し進めて参りました結果が、本改正案に見られるごとく、実に二十六万八千三百三十三名、予備自衛官一万七千名という今日の巨大な姿に自衛隊は発展してきたのであります。また、これを質的に見ましても、各種ミサイルの装備など、その戦力は飛躍的に強化され、あまつさえ、昭和三十二年四月、岸内閣は、核兵器を持つことは憲法違反であると政府の統一見解を発表したこともありますけれども、いつの間にやら、政策としては核武装はしないけれども、防衛的小型核兵器なら憲法違反にはならぬと、その見解を変更して参っておるのであります。政策が変われば明日にも公然と核武装が行なわれるかもしれないのでありまして、実に恐怖、戦慄を禁じ得ないのであります。池田首相及び防衛当局は、必要最小限度の自衛力は憲法違反ではない、その限界はそのときどきの国際情勢や兵器の発達に応じてきめると言明し、放棄したはずの戦力と守るべき自衛力との限界については何ら具体的に示してはいないのであります。流動する国際情勢と、無限に殺人兵器が発達しております現代にあって、自衛のために必要な最小限度とは、これまた無限であり、小型の核兵器はおろか、全自衛隊の核武装化さえ容易に行なわれるであろうということを、十年間の自衛隊の歴史を通じて、国民は、はだ身にしみて承知しておるのであります。(拍手)
 反対の第二点は、こうした自衛隊の核武装化によって、抜き差しならぬ核戦争への危機に落ち込んでいくのではないかという国民の杞憂が、決して杞憂のままでは済まされないという事実であります。
 三十六年度の防衛基本方針では、装備の近代化及びその質的強化の促進がうたわれておるのでありますけれども、本改正案に見られる十三個師団への改編は、核武装に伴う火力の飛躍的強化に備え、また、その機動性を高めるための作戦基本単位の変革であり、新安保体制第一年度としての役割がここにひそめられておるのであります。第二次防衛計画におきましては、より一そうの量より質への強化、すなわち、核弾頭を装備し得るミサイルの整備が現実的な課題として登場しつつあることは、きわめて明白であります。
 さらに、十三個師団改編には、委員会の審議を通じて明らかなごとく、国内治安対策の強化という、いま一つのねらいが込められているのでありまして、これこそ、絶対に容認しがたい反対の第三の理由であります。
 現在、池田内閣の実施しつつある所得倍増計画は、独占資本へ奉仕するものでこそあれ、一般国民大衆には縁の遠いものであります。すなわち、公共料金の引き上げを初め、相次ぐ物価値上がりは、日々の国民生活に困苦をもたらし、池田政策を批判する国民の声は、今や、ちまたに高まりつつあるのであります。池田内閣がこうした独占資本本位の政策を改めない限り、労働者は合理化と失業に反対し、生活と権利を守るために戦い続けるでありましょう。農民は、貧農切り捨ての池田農政に反対し、みずからの力で豊かな農村建設のために立ち上がるでありましょう。このとき、公共の秩序と治安維持の名のもとに、国民の血税によってあがなわれた自衛隊が国民を弾圧する武装軍隊と化するおそれなしと、だれが保証できるでありましょうか。(拍手)新安保条約によって、いわゆる内乱条項がなくなり、米軍が直接日本国内の紛争に介入し得なくなった結果、日本を常に最良の前線基地として確保しておきたいというアメリカの意向と、安保、三池闘争を通じて危機感を深めた日本財界の要請に応じて、今や自衛隊はそのほこ先を国民同胞に向け始めたものと断ぜざるを得ないのであります。
 反対の第四点は、統合幕僚会議と議長の権限の強化についてであります。
 これは、一朝有事の際、情勢に即応し得る体制を整えるために、作戦、指揮系統を流線化しようとするものであって、陸、海、空三自衛隊の共同作戦にあたっては、統幕が基本命令を立案し、長官の指揮は統幕議長が執行するというものであります。かくして、新安保条約第五条の日米共同防衛条項が発動されるときは、米軍の指揮のもとに即座に行動し得る体制がここに整えられるわけであります。さらに、このような武官への権限の集中は、かつて軍部の独裁が日本を戦争の谷間に引きずり込んだあの過去の暗い歴史を思い浮かべるときに、実質的に文官優位の原則をくずし、将来に禍根を残すものとして、われわれの断じて認め得ない点であります。(拍手)
 以上、防衛二法案改正に対する反対理由を述べて参りましたが、翻って、十年間に及ぶ自衛隊の歴史を考えるときに、自衛隊の存在はむしろ極東の緊張を強め、戦争への危機を深めるものではないかという不安と危惧を、国民は、警察予備隊として発足当初より終始変わらず持ち続けてきたのであります。しかし、歴代の政府は、かつて一度たりとも、こうした国民の不安と疑惑を解消するために誠意ある態度を示したことはなかったのであります。特に、日米新安保条約締結によって、日本は防衛力増強の義務を負うこととなり、国民の不安はますます強められてきたのでありますが、この意味におきまして、六月に予定されております池田首相の訪米については、国民は深い関心を寄せているのであります。すでに、世上では、池田首相は防衛二法改正案を成立させた上、第二次防衛計画を手みやげに渡米するであろうということを信じて疑っておらないのであります。そのために、一月以来、第二次防衛計画について検討が加えられているにもかかわらず、委員会における首相及び防衛庁長官の答弁によっても明らかな通り、その具体的内容については目下検討中の一点張りで、何らその内容を明らかにしようとはしないばかりか、第二次計画の構想や日米首脳会談に臨む防衛に対する心がまえさえ語ろうとはしないのであります。
 池田首相初め、防衛当局者は、口を開けば国民に愛される自衛隊と言いながら、事ごとに国民の目をごまかし、隠れて事を運ぼうとするために、かえって国民の支持を失い、その証拠として、肝心の青年たちすらも自衛隊にそっぽを向き、声をからしての自衛隊員募集にもかかわらず、現在、二万一千名をこえる欠員をかかえて、防衛当局は定員の確保に苦慮しているありさまであります。青年たちが国のさきもりとしての誇りを持っていないのは、だれのために、何のために自衛隊が存在するかという基本的な問題に大多数の国民が疑問を持っているからであります。池田首相初め防衛当局が事ごとに秘密主義をとるのは、アメリカ防衛のための最前線部隊たる自衛隊の本質と、さきに述べたごときその反国民的性格そのものが、秘密主義をとらざるを得ない最大の理由だということを、私はここにつけ加えないわけにはいかないのであります。
 防衛二法案の委員会審議がたけなわのおり、私どもは、人工衛星船打ち上げの成功の報に接しました。偉大なる科学の進歩は、大量殺人兵器を生み出す一方に、その平和的利用は人類の未来に限りなき展望を与えるということを、私たちは痛切に感じておるのであります。
 すでに、委員会審議の過程で、日本にミサイル攻撃が行なわれた場合、在日米軍を含めて、この攻撃に対しては全く無力であることが明らかにされたたのであります。窮極兵器が発達した今日、自衛隊を強化して極東の緊張を強め、戦争への危機を深める道を歩むよりも、わが党が提唱してきたように、どこの国とも争わぬ、平等互恵の積極的中立の道こそ、平和憲法をいただく日本国民の歩むべき道であり、この道によってのみ日本の安全と繁栄が保障されることを申し添え、両改正案のすみやかな撤回を要求いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) 小川半次君。
  〔小川半次君登壇〕
○小川半次君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております防衛関係二法案に対し、賛成の意見を表明せんとするものであります。(拍手)
 およそ、人類の社会において、だれ一人として平和を念願しない者はないと思います。こうした人類の理想にもかかわらず、過去、幾多の戦争や紛争の悲劇が繰り返され、これに対処するため、永世中立国といわれるスイスや、北欧の理想境スエーデンを初め、世界各国が、いずれも、大小強弱の差はあっても、自衛軍を保持し、これによって祖国を守り、さらに、国際平和に寄与してきたというのが、過去の歴史であり、自衛軍を持つということは、今日、国際間の常識となっておるところであります。(拍手)わが国自衛隊もまた、かかる国際間の平和的意義と祖国防衛の必要性から存在するものであることは、今さら論ずるまでもないところであります。しかるに、ただいま社会党山内議員もそうであったごとく、わが国一部の中に、特に野党の諸君の中には、口を開けば、自衛隊は違憲であるかのごとく、また、自衛隊があるから戦争に巻き込まれるのだという一方的議論がなされておるのでありますが、独立国である以上、自衛権を持つことは当然の権利であり、これを裏づける必要最小限度の自衛力を保持することは何等憲法に違反するものでなく、日本の国土と国民の安全を守るための国家存立の基本的権利であると確信するものであります。(拍手)
 今日、世界的大戦は人類の破滅を来たすものであるという各国民の英知と進歩せる認識よりして、今直ちに全面戦争が起こるであろうとは考えられないところでありますが、キューバ、ラオス、コンゴ等、その他世界には幾多の局地紛争が続発し、また、極東方面を見ましても、東西両陣営に分離されている諸国を初め、政治、経済、軍事等、各分野にきわめて不安定な要素を持ち、常に局地紛争発生の危険性をはらんでいる状態であります。このような国際情勢の現実を直視し、わが国の国防を全うするため、いかなる恒久的対策を講ずべきかを真剣に考察するとき、われわれのとるべき道は明確であります。すなわち、それは、世界の恒久的平和機構たる国連の活動を積極的に支持することはもちろん、また、単独防衛が困難な現実にかんがみ、民主主義国家として志を同じくするアメリカとの集団安全保障体制のもとに、わが国に対する侵略に対処し得る防衛力を整備することこそ、戦争の発生を未然に防止し、ひいては極東及び世界の平和に寄与するゆえんであると確信するものであります。(拍手)
 民主政治下、国政のいかなる問題についても活発な議論をすることは、人それぞれの自由とは申しながら、しかし、国防という大問題について、国際社会の現実を無視する、いわゆる無防備中立というがごとき空想論にのみ走っていたならば、あるいは他国からの侵略を容易ならしめ、ついには国家の存立と民族の生命を危うくする結果ともなり、われわれの絶対容認できないところであります。(拍手)また、無防備が即平和であるという、痴人の夢にもひとしい議論が、今なお一部にあり、もちろん、わが国ほど平和のスローガンを安売りしている国はないのであって、われわれは、平和の美名のもとに扇動し暗躍する擬装平和主義者に乗ぜられてはならないのであります。(拍手)真に平和を欲する賢者は軽薄な平和論を口にしないものであるという先哲の教えに、いま一度耳を傾けねばならないと思うのであります。(拍手)平和は単なるスローガンやかけ声によって守られるものではなく、これに対処する備えこそ必要であり、その備えが自衛隊であり、これを整備、計画化して一そう有効なものにしようとするのが、今回のこの法案と見るべきであります。
 次に、野党の諸君は、防衛費の増大が直ちに国民生活を圧迫するかのごとく強調されるのでありますが、理想的な社会福祉国家といわれるスエーデンにおいてすら、歳出予算の一九%、国民所得の五・六%の国防費を支出しており、これに対して、わが国は、歳出予算の九・一%、国民所得の一・四%という防衛費であり、これは、国際的基準から見ましてもきわめて控え目な額でありまして、野党の言われるような不当なものでないことは、この数字が示しているところであります。(拍手)世界いずれの国といえども、財政上金が余っているから国防費に出そうという国は一国もないのであって、幾多の障害や困難に当面しながらも、国防のために必要なりとして、やむなく多額の経費を支出しており、国民もまた、その負担を自国及び民族存立のためになっているのであります。かかる各国の実情もまた、われわれのよく知らなければならない重要な点であります。わが国のごとく、国防のため国民所得の二%程度の支出は、決して民生安定を阻害することにはならないのであります。
 さらに、自衛隊と核装備について、しばしばいわれるところでありますが、政府は、自衛隊の核装備はもちろん、核兵器の持ち込みも絶対いたさない旨を再三言明しており、わが党においてもこのような態度を堅持いたすものでありまして、何ら懸念の余地はないのであります。
 その他、野党の諸君は、この法案の真のねらいとする点を故意に曲解して、飛躍的な批判をされるのでありますが、この二法案は、御承知の通り、文官優位の基本原則に立って、従来の防衛力整備計画に従って整備された艦船、航空機等を運用するために必要な増員を行なうとともに、陸上自衛隊においては、わが国国土の情勢に即した師団への改編を行ない、海上自衛隊においては、海、空部隊の統一的運用をはかるため自衛艦隊の編成を改正し、航空自衛隊においては、西部方面における指揮機構を整備して、日本全土の防空体制の充実をはかり、さらに、有事における三自衛隊の一そうの能率的かつ一体的指揮運用を達成するため、統合幕僚会議の所掌事務の改正を行なうものでありまして、要するに、わが国土と国民の安全のため、ひいては世界平和に寄与せんがため、自衛隊の充実と効率的使用を意図するものであります。
 このことは、冒頭に申し上げましたように、現在の世界情勢と極東情勢を冷静に検討いたしまする場合、当然の措置でありまして、国民の期待に沿うものであることを深く確信し、ここに賛意を表する次第であります。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) 討論はこれにて終局いたしました。
 よって、両案を一括して採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行ないます。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。
  〔議場閉鎖〕
○議長(清瀬一郎君) 氏名点呼を命じます。
  〔参事氏名を点呼〕
  〔各員投票〕
○議長(清瀬一郎君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――開鎖。
  〔議場開鎖〕
○議長(清瀬一郎君) 投票を計算いたさせます。
  〔参事投票を計算〕
○議長(清瀬一郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
  〔事務総長報告〕
 投票総数 三百五十七
  可とする者(白票)  二百二十二
  〔拍手〕
  否とする者(青票)   百三十五
  〔拍手〕
○議長(清瀬一郎君) 右の結果、防衛庁設置法の一部を改正する法律案外一件は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
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 防衛庁設置法の一部を改正する法律案外一件を委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名
      安倍晋太郎君    安藤  覺君
      相川 勝六君    逢澤  寛君
      愛知 揆一君    青木  正君
      赤澤 正道君    秋田 大助君
      秋山 利恭君    足立 篤郎君
      綾部健太郎君    荒木萬壽夫君
      荒舩清十郎君    有田 喜一君
      有馬 英治君    井出一太郎君
      井原 岸高君    井村 重雄君
      伊藤 五郎君    伊藤 郷一君
      伊藤宗一郎君    伊藤  幟君
      伊能繁次郎君    飯塚 定輔君
      生田 宏一君    池田 清志君
      池田 勇人君    石井光次郎君
      石田 博英君    一萬田尚登君
      今松 治郎君    宇田 國榮君
      宇野 宗佑君    植木庚子郎君
      内田 常雄君    内海 安吉君
      遠藤 三郎君    小笠 公韶君
      小川 半次君    小川 平二君
      小沢 辰男君    小澤佐重喜君
      小澤 太郎君    尾関 義一君
      大石 武一君    大上  司君
      大久保武雄君    大倉 三郎君
      大沢 雄一君    大高  康君
      大竹 作摩君    大橋 武夫君
      大平 正芳君    大村 清一君
      大森 玉木君    岡崎 英城君
      岡本  茂君    加藤 高藏君
      加藤常太郎君    金子 一平君
      金子 岩三君    金丸  信君
      上林山榮吉君    亀岡 高夫君
      鴨田 宗一君    唐澤 俊樹君
      仮谷 忠男君    川野 芳滿君
      川村善八郎君    菅  太郎君
      菅野和太郎君    簡牛 凡夫君
      木村 公平君    岸  信介君
      岸本 義廣君    北澤 直吉君
      久野 忠治君    久保田円次君
      久保田藤麿君    草野一郎平君
      藏内 修治君    小泉 純也君
      小金 義照君    小島 徹三君
      小平 久雄君    小山 長規君
      河本 敏夫君    佐々木秀世君
      佐々木義武君    佐藤 榮作君
      佐藤虎次郎君    佐藤洋之助君
      佐伯 宗義君    齋藤 邦吉君
      齋藤 憲三君    坂田 英一君
      坂田 道太君    笹本 一雄君
      薩摩 雄次君    始関 伊平君
      椎熊 三郎君    重政 誠之君
      篠田 弘作君    澁谷 直藏君
      島村 一郎君    首藤 新八君
      正示啓次郎君    周東 英雄君
      壽原 正一君    鈴木 正吾君
      鈴木 仙八君    鈴木 善幸君
      砂原  格君    瀬戸山三男君
      關谷 勝利君    田川 誠一君
      田口長治郎君    田澤 吉郎君
      田中伊三次君    田中 榮一君
      田中 龍夫君    田中 正巳君
      田邉 國男君    田村  元君
      高田 富與君    高橋清一郎君
      高見 三郎君    竹内 俊吉君
      竹下  登君    竹山祐太郎君
      舘林三喜男君    谷垣 專一君
      千葉 三郎君    中馬 辰猪君
      津雲 國利君    津島 文治君
      塚田十一郎君    堤 康次郎君
      綱島 正興君    寺島隆太郎君
      渡海元三郎君    床次 徳二君
      富田 健治君    内藤  隆君
      中垣 國男君    中野 四郎君
      中村 幸八君    中村三之丞君
      中村 寅太君    中村庸一郎君
      中山 マサ君    永田 亮一君
      永山 忠則君    灘尾 弘吉君
      二階堂 進君    丹羽喬四郎君
      丹羽 兵助君    西村 英一君
      西村 直己君    野田 卯一君
      野田 武夫君    野原 正勝君
      羽田武嗣郎君    橋本 龍伍君
      長谷川四郎君    長谷川 峻君
      八田 貞義君    濱田 幸雄君
      濱田 正信君    濱地 文平君
      濱野 清吾君    林   博君
      廣瀬 正雄君    福家 俊一君
      福田 赳夫君    藤井 勝志君
      藤枝 泉介君    藤田 義光君
      藤原 節夫君    藤本 捨助君
      船田  中君    古井 喜實君
      古川 丈吉君    保科善四郎君
      保利  茂君    坊  秀男君
      星島 二郎君    細田 吉藏君
      堀内 一雄君    本名  武君
      前尾繁三郎君    前田 正男君
      前田 義雄君    牧野 寛索君
      益谷 秀次君    松浦周太郎君
      松浦 東介君    松永  東君
      松野 頼三君    松村 謙三君
      松本 一郎君    松本 俊一君
      松山千惠子君    三浦 一雄君
      三和 精一君    水田三喜男君
      南好  雄君    宮澤 胤勇君
      毛利 松平君    森下 國雄君
      森田重次郎君    森山 欽司君
      八木 徹雄君    保岡 武久君
      山口 好一君    山崎  巖君
      山手 滿男君    山村新治郎君
      吉田 重延君    米田 吉盛君
      米山 恒治君    渡邊 良夫君
 否とする議員の氏名
      安宅 常彦君    阿部 五郎君
      淺沼 享子君    足鹿  覺君
      飛鳥田一雄君    有馬 輝武君
      淡谷 悠藏君    井伊 誠一君
      井岡 大治君    井手 以誠君
      猪俣 浩三君    石川 次夫君
      石田 宥全君    石橋 政嗣君
      石村 英雄君    石山 權作君
      板川 正吾君    稻村 隆一君
      小川 豊明君    緒方 孝男君
      大柴 滋夫君    大原  亨君
      岡  良一君    岡田 利春君
      岡本 隆一君    加藤 勘十君
      片島  港君    勝澤 芳雄君
      勝間田清一君    角屋堅次郎君
      川俣 清音君    川村 継義君
      河上丈太郎君    木原津與志君
      北山 愛郎君    久保 三郎君
      栗原 俊夫君    栗林 三郎君
      黒田 寿男君    小林 信一君
      小林  進君    小林 ちづ君
      小松  幹君    兒玉 末男君
      五島 虎雄君    河野  密君
      佐々木更三君    佐野 憲治君
      坂本 泰良君    阪上安太郎君
      實川 清之君    島上善五郎君
      島本 虎三君    下平 正一君
      東海林 稔君    杉山元治郎君
      鈴木茂三郎君    田口 誠治君
      田中織之進君    田中 武夫君
      田邊  誠君    田原 春次君
      多賀谷真稔君    高田 富之君
      高津 正道君    楯 兼次郎君
      坪野 米男君    戸叶 里子君
      堂森 芳夫君    中澤 茂一君
      中島  巖君    中嶋 英夫君
      中村 重光君    中村 英男君
      永井勝次郎君    楢崎弥之助君
      成田 知巳君    二宮 武夫君
      西宮  弘君    西村 関一君
      西村 力弥君    野口 忠夫君
      野原  覺君    芳賀  貢君
      長谷川 保君    畑   和君
      原   茂君    原   彪君
      日野 吉夫君    肥田 次郎君
      平岡忠次郎君    広瀬 秀吉君
      藤原豊次郎君    帆足  計君
      穗積 七郎君    前田榮之助君
      松井 政吉君    松井  誠君
      松平 忠久君    松前 重義君
      三木 喜夫君    三鍋 義三君
      三宅 正一君    武藤 山治君
      村山 喜一君    森島 守人君
      森本  靖君    八百板 正君
      矢尾喜三郎君    安井 吉典君
      安平 鹿一君    柳田 秀一君
      山内  広君    山口シヅエ君
      山口丈太郎君    山崎 始男君
      山中 吾郎君    山中日露史君
      山花 秀雄君    山本 幸一君
      湯山  勇君    横路 節雄君
      吉村 吉雄君    井堀 繁雄君
      稲富 稜人君    受田 新吉君
      内海  清君    佐々木良作君
      田中幾三郎君    玉置 一徳君
      西村 榮一君    本島百合子君
      川上 貫一君    志賀 義雄君
      谷口善太郎君
     ――――◇―――――
 日程第四 郵便法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(清瀬一郎君) 日程第四、郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。逓信委員長山手滿男君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔山手滿男君登壇〕
○山手滿男君 ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案に関し、逓信委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、去る二月二十五日内閣から提出されたものでありますが、その趣旨とするところは、郵便事業の経営財源を確保するため郵便料金の調整を行なうとともに、事業運営の合理化とサービスの改善をはかるため、郵便法の規定の一部に所要の改正を加えようとするものでありまして、内容の概略を申し上げますならば、まず、料金の調整につきましては、現行の郵便料金は、昭和二十六年十一月の改正以来、小包料金を除き、約十年間据え置かれており、その間、物数、特に、原価を償わない低料金郵便物の激増と、これが処理要員の増加、給与の向上、局舎施設の拡充等のため、事業財政はようやく逼迫して、昭和三十六年度以降、相当の赤字が予想されますので、この際、一部料金の引き上げを行ない、収支の健全化をはかるとともに、これを業務の正常運行の確保、事業の近代化推進等に要する経費にも充当しようとするものであります。
 料金改定の方針としては、国民生活並びに物価に対する影響を十分に考慮して、手紙とはがきの料金は据え置きとし、従来から著しく低料金であった新聞等の定期刊行物を内容とする第三種郵便物につき、従来一円のものを二円に、従来四円のものを六円に値上げし、また、いわゆるダイレクト・メール等に利用されておる第五種郵便物につき、従来百グラムまで八円のものを五十グラムまで十円に、従来百グラムまで五円の市内特別を五十グラムごとに八円に改めるほか、書留、速達等の特殊取り扱いの料金もおよそ十円程度引き上げることとしておりますが、他面、盲人用点字、録音物等については特に無料とすることに改めようとしております。小包郵便物の料金についても、ある程度の引き上げを行なう予定になっておりますが、この業務が、信書送達の業務に付帯する性質のものであることと、国鉄その他の運送業と並行的な立場にある事情等から、一定の基準のもとに、これを政令で定めることに改め、また、第三種郵便物の認可料等の付属的料金は省令で定めることに改めことにいたしております。
 次に、この法律案におきましては事業運営の合理化とサービスの向上をはかるための改正規定を含んでおりますが、その主要なものを申し上げれば、第一に、高層建築物に対する郵便配達上の困難を救済するため、本法施行後に建築される三階以上の建築物については、省令の定めるところにより、一階の出入口付近に郵便受け箱を設置しなければならないこととし、また、経過的に、国が郵便受け箱を時価よりも低い対価で建築物の所有者等に譲り渡すことができることとしたこと、第二に、郵便物の取り扱いを容易にするため、その大きさの最小限を定め、また、第三種から第五種までの郵便物の重さの制限を従来の一・二キログラムから一キログラムに引き下げたこと、第三は、事故防止のため、現金その他の貴重品は書留としなければ差し出すことができないこととしたこと、第四は、非常災害の場合、被災者に対して郵便はがき等を無償で交付することができることとしたこと等であります。
 なお、本案の施行期日は本年七月一日となっております。
 逓信委員会におきましては、本案の付託を受けまして以来、しばしば会議を開きまして、まず、提案理由の説明を聴取し、政府との間に質疑応答を重ね、特に、去る四月二十四日には、学識経験及び利害関係を有する参考人六名より本案に対する意見を聴取する等、あらゆる角度から慎重審議を行なったのでありますが、その詳細は会議録に譲ることといたします。
 かくして、本委員会は四月二十六日質疑を終了いたしましたところ、自由民主党を代表して廣瀬正雄君より、本案審議過程における論議の動向にかんがみ、本法律案の施行期日を本年六月一日と改める旨の修正案が提出され、次いで討論に入り、日本社会党を代表して大柴滋夫君、日本共産党を代表して谷口善太郎君は、修正案並びに原案に対して反対の意見を、また、自由民主党を代表して大上司君は、修正案及び同修正部分を除く原案に対して賛成の意見を述べられ、引き続き採決を行ないました結果、賛成多数をもって修正案及び修正部分を除く原案を可決、よって、本案は修正議決を見た次第であります。
 これをもって御報告を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(清瀬一郎君) 討論の通告があります。これを許します。田邊誠君。
  〔田邊誠君登壇〕
○田邊誠君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 この改正法律案の主たる内容である郵便料金の引き上げについて、政府は、郵便事業の運営に要する財源を確保するために、この程度の引き上げはやむを得ないものである、と理由を申し述べておりまするけれども、私どもが今回の郵便料金引き上げに反対をいたします第一の理由はこれが国民生活と日本経済に与える著しい影響についてであります。
 第三種、すなわち、新聞紙その他定期刊行物の五割ないし倍額の値上げは、経済、文化の恩恵に浴すことの少ない山村僻地の比較的所得の低い人々に打撃を与えるでありましょうし、商業ベースに乗った郵便物といわれる第五種のダイレクト・メールの引き上げも、商品価格にはね返り、ひっきょうするところ、国民大衆の負担となってくるのであります。今回の料金引き上げに、新聞協会、学術界、出版業界等がこぞって反対しているゆえんも、ここにあります。
 池田内閣は、日本経済の成長を謳歌せんとて、国民所得倍増の幻想を与えて参りましたけれども、国際収支の悪化等、先行きの見通しが暗いこととともに、公共料金を初めとする諸物価の相次ぐ値上げが国民の日常生活に暗影を投げかけていることを見のがすわけにはいかないのであります。さきに、国民の大きな不満と反対の世論に目をおおうて、国鉄運賃の値上げを強行いたしました池田内閣が、今回また、国民大衆の生活に最も密着し、国民に広く親しまれている郵便の料金引き上げを行なわんとすることは、国民に背を向けた厚顔無恥の政治であると同時に、これによって現在惹起しつつある値上げムードに拍車をかける結果を招来することは、明白な事実であります。(拍手)郵便料金の改定に引き続いて、電話料金の値上げ案がすでに国会に提出されており、さらに、東京電力は電気料金の値上げを政府に申請して参っておる実情であります。その他、ガス、水道、私鉄等の料金の引き上げもまた必至の情勢にあります。これら一連の公共料金の引き上げが他の一般諸物価の高騰をもたらし、国民生活に圧迫を加えていくことも、否定することができないでありましょう。かくして、国民各階層から、池田内閣の選挙後における最初の施策は物価値上げにあると批判をせられるのも、また当然の成り行きといわなければなりません。(拍手)
 わが党が郵便料金引き上げに反対をいたします第二の理由は、郵便業務の本来持つ公共性と、独占事業としての性格によって意義づけられる経営のあり方からであります。
 長い歴史を持つ郵便事業が、わが国はもちろん、諸外国においても国営事業として連綿と続いて参ったのは、そのあまねく普遍性、公共性を有すると同時に、「通信の秘密は、これを侵してはならない。」とする憲法第二十一条第二項の精神にのっとり、郵便物に関する秘密は国の責任において確保する建前から、国家独占事業として自他ともに認めてきたからであります。従って、郵便事業を他の一般公共企業と同一視することは基本的に誤りであるとともに、他の公社企業とも厳密にはその事業体系をいささか異にすると言えるのでありまして、経営の収支をまかなう道を料金収入等の事業収益のみにゆだねることは、決して妥当とは言い得ないのであります。戦前、逓信事業会計の余剰は一般会計に繰り入れて参り、戦後においては、昭和二十六年まで郵政会計の赤字を一般会計から補てんをしてきた経緯を顧みまするならば、過去における国家財政に協力してきたことに大きな原因を置いて生じた郵政事業の立ちおくれを克服するためには、一般会計からある程度の補てんを求めることは、諸外国においても現に多くの国がこのような措置をとっていることからして、郵便法に規定する通り、安い料金で国営事業を行なわんとする以上、当然の建前であろうと思うのであります。国民の庶民階層から預けられた零細な郵便貯金、簡易保険の積立金については、その運用を大蔵省が一手に掌握し、財界に対する財政投融資にその大部分が充てられていることと相見合って、郵政事業特別会計のみ料金収入をもととした独立採算をしていることは、まことに片手落ちと申さなければなりません。私どもが大衆負担の増大によって経営を維持せんとすることに反対するゆえんでございます。
 料金引き上げ反対の第三の理由は、もし、かりに、ある程度の料金改定を是認するとしても、改正案の内容がきわめて不合理、非科学的であることからであります。
 たとえば、第五種郵便物の料金引き上げと重量単位の制限強化によってその影響を受ける度合いは、商業ベースに乗ったダイレクト・メールよりも、国民文化の関係の深い学術出版物等がさらに大きく、場合によっては十割以上の値上げ率となる結果が生ずるのであります。さらに、年賀はがきの四円は、郵政審議会の五円案答申にもかかわらず、据え置きとなっておりまするけれども、政府の言う企業的立場を固執するとすれば、特別な低料金で保護すべき理由は乏しくなって参るのであります。
 私どもが今回の内容による郵便料金の引き上げに反対をいたさなければならない第四の理由は、独立採算制を貫かんとする政府の考え方からすれば、今回の料金引き上げの程度では相当長期間収支を償うことは不可能であり、近い将来において再び赤字を生ずる結果になるからであります。
 今回の値上げによっても、郵便物の種別に見れば、通常郵便物五種類のうち、二種、三種、四種とも、なおかつ原価と対比すれば赤字でありまして、わずかに黒字を保つ一種、五種も、逐年原価の上昇によって、近く赤字となることは必至であります。たとえ一歩譲って、総括原価主義の建前をとるといたしましても、当初、昭和三十六年度以降五カ年は収支償うことができると主張しておりました郵政当局の見通しが、私の委員会における質問に対し、郵政大臣及び郵政当局の答弁に見られるごとく、封書、はがきの逓送に航空便を用いる計画を繰り延べる等、事業内容の改善措置を放棄しても、なおかつ三年程度で再び赤字に転落することが明らかになって参ったことでもうかがい知れるのであります。本値上げ案が提出されて後二カ月にして補正予算を組まざるを得なくなり、さらに、自民党から出された修正案のごとく、わずか一カ月の繰り上げ施行まではからなければならない状況に照らしてみれば、おそらく、三年を待たずして、収支均衡を保つためには再び封書、はがきをも含めた料金値上げを策せざるを得ない事態に逢着するでありましょう。国民の不安は将来にわたって解消することがないのでありまして、私どもは、当面を糊塗する料金値上げをとりやめて、この際、郵政事業会計の赤字補てんは国の責任において一般会計から行ない、利用者たる国民大衆負担を軽減する道を講ずるよう、政府に勧告をいたしたいのであります。(拍手)
 わが国の郵便事業は、創設以来、今年をもって九十年を経過いたしました。その間、幾多の困難を克服して事業が守り続けられてきたのは、七割以上も人力に依存する事業の性格から、従業員の労苦に負うところまことに大きいといわなければならないのであります、劣悪な労働条件のもと、人員不足に悩まされながら黙々として働いてきた郵政労働者の努力があればこそ、全国津々浦々にわたって郵便の送達が日々欠くることなく行なわれ、すべての国民に経済、文化の恩恵を浴せしめることができたのであります。最近、政府及び郵政当局の無施策と、怠慢からくる人員不足と、施設の劣悪さによって、急増する郵便物を処理することができず、郵便物の遅延を惹起しておりますが、政府当局の側から、この原因を従業員に負わせんとするがごとき言辞が弄せられておりますることは、郵政事業の実態を知らざるもはなはだしく、まさに、責任の転嫁といわなければなりません。(拍手)
 この際、政府は、報いられることの少ない郵政労働者の待遇を改善し、国民へのサービスを普遍的に行ない、郵政事業の公共性を高めていくために、採算のみにとらわれることなく、郵政事業会計の抜本的安定の方針と、事業の健全な発展の方途を樹立すべきものであることを、私は、最後に、政府に対し強く要求をいたしまして、政府原案及び自民党修正案に対する私の反対討論を終わる次第であります。(拍手)
○議長(清瀬一郎君) これにて討論は終局いたしました。
 よって、採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
○議長(清瀬一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後二時四十六分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        運 輸 大 臣 木暮武太夫君
        郵 政 大 臣 小金 義照君
        国 務 大 臣 迫水 久常君
        国 務 大 臣 西村 直己君
 出席政府委員
        運輸省海運局次
        長       若狭 得治君