第039回国会 外務委員会 第6号
昭和三十六年十月十八日(水曜日)
   午前十時三十八分開議
 出席委員
   委員長 森下 國雄君
   理事 北澤 直吉君 理事 床次 徳二君
   理事 野田 武夫君 理事 福田 篤泰君
   理事 岡田 春夫君 理事 戸叶 里子君
   理事 松本 七郎君
      愛知 揆一君    池田正之輔君
      椎熊 三郎君    正示啓次郎君
      稻村 隆一君    帆足  計君
      森島 守人君    受田 新吉君
      川上 貫一君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 小坂善太郎君
 出席政府委員
        防衛庁参事官
        (防衛局長)  海原  治君
        外務政務次官  川村善八郎君
        外務事務官
        (アジア局長) 伊関佑二郎君
        外務事務官
        (アメリカ局
        長)      安藤 吉光君
        外務事務官
        (欧亜局長)  法眼 晋作君
        外務事務官
        (条約局長)  中川  融君
        外務事務官
        (国際連合局長
        事務代理)   高橋  覺君
 委員外の出席者
        運輸事務官
        (航空局監理部
        長)      栃内 一彦君
        運 輸 技 官
        (東京国際空港
        長)      岩田 勝雄君
        専  門  員 佐藤 敏人君
    ―――――――――――――
十月十三日
 橘湾に米海軍演習場設置反対に関する請願(坂
 田道太君紹介)(第二八一号)
 在日朝鮮人帰国協定の延長に関する請願(田中
 彰治君紹介)(第三八一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
○森下委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。岡田春夫君。
○岡田(春)委員 きょうは具体的な問題で一つ小坂外務大臣を初め関係の当局にお話を伺いたいと思いますが、それに入る前に、まず最初に一点だけ伺っておきたいのは、中国の代表権の問題、国連で代表権の問題が近いうちに問題になるわけなのでございますが、この点については大体いつごろ国連総会あるいは国連において正式の議題として論議されるようになってくるのか、この点をちょっと伺っておきたいと思います。
○高橋政府委員 お答えいたします。本会議における一般討論は、一応十九日に終わる予定になっております。一般討論が終わりますと、本会議が次に何を議題にするかきめるわけでございますけれども、今のところ、まだほかに本会議に直接委員会を経ずしてかかる問題として、たとえばアンゴラ問題とかいろいろございますが、何を先にやるかということをきめておりませんので、十九日以降は、どこか非常に早くこれを議題として取り上げてくれという要求をする国でもございますと、そうしてみながそれに賛成すれば、すぐ二十日以後に取り上げられる可能性はあるわけでございます。しかしそこのところは、何らきまっておりません。
○岡田(春)委員 大体二十日以降ではないかということですが、新聞等によって報道されるところによると、今月の末ぐらいというような話もあるわけです。これに対して日本側の政府としてはどういう態度をおとりになっておるか。これについては、この機会に小坂さんから率直に御答弁を願いたいと思います。
○小坂国務大臣 この問題は、非常に重要な問題でありますし、わが国にとりましても、ことに各種の関係がある問題であります。そこで御承知のように、ニュージーランドとソ連の案と二つ出ておるわけであります。この問題をどう扱うかということでありますが、一般討論が終わりましたあとで、緊急議題として各国がどういうものを持ってきておるか、そういうものも見ながら、適当な時期にこの問題を討議していくというのが日本の態度でございます。
○岡田(春)委員 これは非常にはっきりしておる問題で、代表権を中華人民共和国政権に認めるのか、認めないのか、こういう点が論議の中心になるわけです。それに対していろいろな方法、いわゆる巷間に言われる非手続事項方式とか、重要事項方式とか、幾つかの方式などもあるわけですが、中華人民共和国政権の国連の正式の代表権というものを認めさせるようにしようとしているのか、それに対して反対しようとしているのか、日本政府としては、どういう態度なのか、この点を伺いたいと思うわけです。
○小坂国務大臣 さっきも申し上げたように、非常に日本としては関係の多い問題でございます。御承知のようにわが国は台湾におります国民政府との間に日華条約を結びまして、戦後の処理をやっておるわけです。しかも戦後の処理に関連しては、当時の蒋介石総統は、いわゆる暴に報いるに暴をもってせずと言われて、日本の将兵を安全に帰還せしめてくれたこと、あるいは賠償放棄ということを言われた点など、幾多われわれとしては感謝すべき事柄を持っておるのであります。しかも一方には中国大陸において六億五千とも言われる膨大な人口を有して、そこに支配権を確立しておる中共政権があるということも、これまた事実であります。しかしこの両方ともに、いわゆる二つの中国というものに対しては強く反対をしておる。そこでこの問題の扱い方によりましては、極東の平和とか、あるいは世界の平和とか、そういうものに関する重大な結果も、扱い方が非常に悪ければ、想像されないでもない。従って非常に重要な問題でございますから、われわれとしては、この問題について、国連加盟国において、各種の立場から各様の意見が出て、そして世界の平和、極東の平和、また日本としての利益、安全というようなことに十分合致する方法が作り出されていくことを望む、こういう態度でございます。
○岡田(春)委員 極東の平和の点は、もうお話の通りですし、われわれも極東の平和であることを望んでおります。しかし問題は、今度採決になろうとしているのは、略して言います北京政権を国連代表権として認めるのかどうか、この点に実はしぼられてきているわけですね。私は、この問題を実はあまり掘り下げてきょうやるつもりはないのでございますが、これについて日本の政府が賛成なのか、反対なのか、これを進めるのか、進めないのか、この点が国民としては一番聞きたい点なんです。いろいろ考えておりますというようなお話であるわけですが、こういう点、大体どちらにウエートを置いて話をお進めになっておるのか、こういう点を実はさっきから伺っているわけです。
○小坂国務大臣 私どもの考えは、国連中心でございまして、さっき申し上げたように、国連において諸種の観点から、ことに平和という観点から、よい意見が出るように期待しつつ、その中にあって、日本としては、中国との歴史的な関係とか、あるいはさっき申し上げたような日本としての条約関係に立っておる立場、いろいろなことを――これは事実でございますから、やはり十分そういうことを述べながら、妥当なる国連における判断というものを醸成するように期待する、こういうことであります。
○岡田(春)委員 これはもうあまり触れませんが、これについてただ一つだけ伺っておきますが、今の御答弁はこういうように解釈してもよろしゅうございますか。国連中心主義であるから、国連の情勢として中華人民共和国政権の国連代表権が正式に認められるような情勢になれば、日本もそれに積極的に参加して投票することもある、こういうふうに理解してもよろしいわけですね。
○小坂国務大臣 私は、そういう結論を今申し上げるつもりはございません。国連でどういう結論が出るということを仮定していろいろ申し上げることは差し控えたいと思います。
○岡田(春)委員 しかしことしの臨時国会の劈頭において池田総理その他がお話しになったように、自由陣営の立場として日本があくまでも外交方針をとる、そういうことであるならば、当然それは北京政権に対して積極的に代表権問題で支持するという態度はとらないということだけは、間違いないじゃありませんか。日本の政府はどうですか。
○小坂国務大臣 私は、そういうことを申し上げておるのじゃないのです。国連において日本は日本の考え方というものを述べます。その場合は、おそらく結果についてというよりも、事実について申し上げるべきであろうと思います。
○岡田(春)委員 おそらくあなたの方でおやりになろうとしているのは事実ですから、歴史的な経過とかそういうものを長々と話をすることによって、重要事項方式を事実上とらさせるためのいろいろな裏工作をする。それに応じた表面のそういうことをやろうとする。私は小坂さんに一言だけ申し上げておきますが、小坂さん、この場合どうしますか。今度の国連総会において中葉人民共和国の政権が代表権を正式に認められた場合、小坂さんはどういう責任をお負いになりますか。この点だけをはっきりしておいてもらわなければならぬ。
○小坂国務大臣 私は、何か結論を予定し、そしてその仮定に立っていろいろものを言うということは、外務大臣として差し控えたいと思います。
○岡田(春)委員 それが卑怯な態度というのです。あなたは、実際北京政権というものを国連代表権として認めさせたくないのでしょう。表面においてはそういうことを言わないで、あいまいにしておいて、国連総会で歴史的な経過などを長々と述べて、そうしてそのときの情勢待ちで、日本はその中の波にまかせるような形で、実際アメリカの手先の役割を果たす。ほんとうの腹はここにあるのだが、それに対する責任は負わない、こういう卑怯な態度をとろうとしているのは明らかです。そうではありませんか。
○小坂国務大臣 私の態度をあなたがきめつけて、そうしてここでおっしゃるということ、これは日本の国として利益になることでございましょうか。私は、むしろその方に重点を置いて考えていただきたいと思います。
○岡田(春)委員 小坂さんのことを批判をしたら国の利益にならないのですか。それは、もうかつて東条さんが言ったと同じようなことをあなたは言っておるじゃありませんか。国会というものは与党と野党があって、与党の政策に対して批判をするのが健全な国会であり、民主主義のあり方です。これは国のためになるかならないかというような思想を持ち込むことに池田内閣のあなた自身の思想的な立場というものが、非常にはっきりしておると思う。しかし、この点は私はこれ以上触れません。問題は、もし国連の代表権が中華人民共和国政権に正式に認められるということになった場合、あなたはおそらく責任をおとりになるだろうと思う。外務大臣に便々としていないだろうと思う。小坂さんはそれぐらいの気持があるのだろうと私はここで想像して、次の論題に入りたいと思います。
 きょう主として私がお伺いをしたいのは、東南アジアにおける軍事情勢の問題、特にこれに対して日本がいかに協力をしつつあるか、この点を具体的な事例で私は質疑を進めて参りたいと思っております。そこで私はきょう質問するのにあたって、いいかげんな材料を基礎にしてやっているのじゃない、はっきりした証拠をもとにして私は進めますから、あなたの方も適当な議会答弁その他でごまかしのないように一つお願いしたいと思うのです。
 それについてまず小坂さんにお伺いしたいのは、この間のケネディ・池田会談の際にベルリン問題が取り上げられた。それと一緒にこの会談では南ベトナムの問題が相当取り上げられて、この問題はベルリン問題と同じように非常に重要な問題であり、国際緊張の一つの根源になっているという意味のいろいろな具体的なアメリカの方針がお話しがあったはずでありますが、この点について一つ、許される限りといいますか、小坂さんの見解を一つ伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 私どもは世界の平和ということを何よりも願っておる立場なんです。それには各国がいわゆる膨張主義というような考え方をとらぬで、やはり現状において自分の国民をよくしていくということを、各国民の自由に選ばれた、民意を代表する政府がこれを進めていくということが最も望ましい形である。もちろんそこには過渡的にいろいろなことがあるということは、これはまあ世界の現実でありますが、これが望ましいとは思っていないわけですね。そこでそういう立場からしますると、いろいろ共産主義の膨張政策というものは、われわれとしてははなはだ困るのであって、ことに東南アジア、アジア地区においてのそういういろいろな動きというものについては、われわれははなはだ迷惑に思い、そういう状態がなくなることを望んでおるわけでございます。ベルリンの問題等につきまして、われわれの訪米の際に、こういう点について、西側としては条約を無視された立場においてこの問題の緊張というものが持ち来たされているということに対しては、非常に困っておるというアメリカ側の気持の表明はございました。私どもも全くそれは困ったものだ、東南アジア等においてもそういうことがないようにできるだけしたいものだということは、これは一般的に私ども考えておることですし、申し上げることができると思います。特にただあなたのお話しのように、いわゆるベトナムの問題についてどうしよう、こうしようという具体的な話に花が咲いて長時間をそれに費したというようなことは、特に私はこの際申し上げることはないと思います。特にそういう点は、あなたが強調されるような点はなかったと思います。
○岡田(春)委員 それでは南ベトナムの情勢についてはお話がなかった、こういうことですか。ヨット会談でベルリンの情勢と一緒に南ベトナムの情勢についていろいろケネディから話があったわけでしょう。そういう情勢について、これはもう西欧いわゆるヨーロッパだけではなくて、アジアにおいてもこういう緊張の情勢があるんだ、だから国際緊張の非常に危機の情勢が強くなっている、こういう話があったんじゃありませんか。
○小坂国務大臣 あなたのようなそういうお話はありません。
○岡田(春)委員 それじゃ進めます。あとでやりましょう。
 具体的な例で少し伺って参りたいと思います。この間から新聞にもときどき出ておりますが、これは運輸省の航空局長においでを願うつもりであったのですが見えておらないようですけれども、そちらに一つ伺って参りたいと思います。
 羽田にフランイイング・タイガー・ラインズですか、いわゆるアメリカの民間機でありながら軍事輸送をする飛行機、これが去年の末から再三入って、そしてこれは軍事輸送をしているのだが、これに対する羽田乗り入れに対して着陸料の問題とかいろいろな問題でだいぶごたごたして紛争が起こっている、こういう話を私たち聞いているのですが、これについて一つ経過を簡単でけっこうですからお話しを願いたい。
○栃内説明員 新聞に出ておりましたフライイング・タイガーの羽田乗り入れ問題につきまして、大体の経過を一応御説明いたします。
 フライイング・タイガーは今年一月ごろからかなり入っております。そうして一番ふえましたのが七月から八月ということで、当時は御承知のように羽田の現在の飛行場は手狭でございまして、目下拡張を急いでおりますが、主としてバースすなわち飛行機を係留する場所が非常に不足しております。従いまして、一般の国際定期旅客を積む飛行機、この飛行機の係留に相当な支障が出つつあったことは事実でございます。従いまして、それが契機となりまして新聞紙上で問題になりました。その後米側と折衝をいたしまして、フライイング・タイガーの飛行機はできるだけ羽田を避けて米国の基地で交渉しましたところ、米側も非常に好意的な態度で受けてくれまして、私の方に先般届きました返事では、できるだけ羽田を使わないようにする、こういうことでございました。現に十月に入りましてからは非常に数が減っておる、こういう状況でございます。
○岡田(春)委員 まだいろいろ質問して参りますが、今の御答弁だと七月、八月が非常に多いと言う。去年の十二月ごろからずっとふえているはずですが、それでは乗り入れの数字、もしお持ちならば、フライイング・タイガーだけでけっこうですから、一つここでお答え願いたい。
○栃内説明員 今手元に持っております資料はことしの一月からのでございますが、フライトの数にいたしまして一月が三十二、これはフライイング・タイガー以外のものも含んでおります。それから二月が二十二、三月が二十六、四月が十八、五月と六月はございません。それから七月が五十九、これが先ほどふえたと申した分でございます。それから八月が六十四。それから九月になりまして減りまして四十四、それから十月はこれは十五日まで半月間の合計で七ということになっておりますので、おそらく十月は減るのではないか、かように考えております。
○岡田(春)委員 これについて一月の十一日に、フライイング・タイガーの東京事務所長というのですか、これから何か文書で、輸送乗り入れについて申し入れがあったわけでしょう。この文書の申し入れについて、これはどういう内容のものか、この点を伺いたいと思います。
○栃内説明員 一月に文書の申し入れがあったかどうかと申しますよりも、私の方でフライイング・タイガーとの関係でもって非常に関心を払いました点は、着陸料の問題でございます。この点につきましてはこちらからインヴォイスを送付しておったのでございますが、フライイング・タイガーの方では支払わない、こういうことを言って参りまして、それが……
○岡田(春)委員 それはあとでしょう、ずっとあとでしょう。
○栃内説明員 六月でございます。失礼いたしました。一月に先方からテクニカル・ランディングの申請を行ないまして、インヴォイスはフライイング・タイガーあて送ってくれ、こういうことがありました。それに基づいて請求をしたわけであります。
○岡田(春)委員 だから、今お話のように、向こうからあったのは、フライング・タイガーから着陸料を払うからそれを送ってくれ、こういう手紙が一月にあって、これに基づいてあなたの方でやられた、そういうことになりますね。
○栃内説明員 さようでございます。
○岡田(春)委員 そこで、その文書の中には、新しい安保条約の地位協定との関連が明文上明らかになっておりますか。
○栃内説明員 明文上、明らかになっておりません。
○岡田(春)委員 なっておらないとするならば、そのフライイング・タイガーの飛行機の乗り入れにあたって、これは民間機としての扱い、完全な民間機としての扱いをおやりになったわけですね。
○栃内説明員 チャーターされておるということで私の方は扱っておったのでございます。しかしその点ははっきりいたしておりません。
○岡田(春)委員 チャ一ターするというのは、どことチャーターしているのですか。
○栃内説明員 米軍とフライイング・タイガーの関係でございます。
○岡田(春)委員 それはどういう関係で明らかなんですか。文書の上では地位協定の関係が明確でなくて、米軍とのチャーターの関係があるということを御存じでやられたというのは、扱いは、どういう意味ですか。民間機の扱いではなくて、地位協定の扱いをした。向こうからの申し入れの文書によれば民間機の扱いであるにもかかわらず、あなたの方で勝手に、いわゆる民間機の扱いでなくて、米軍のチャーターによる、すなわち地位協定の第五条に基づくチャーター機であるという扱いをされたわけですか。
○栃内説明員 フライイング・タイガーは純粋に民間的なベースで羽田に入ってくる場合もございます。従いましてそれらを、ある程度不明の点もございましたが、一括して請求した、こういうことでございます。
○岡田(春)委員 ですから、民間で入ってくるのもあるし、そうでなく入ってくるのもあるというのですが、それは非常にはっきりしていいと思うのですが、それはどういうように区別したのですか。区別のしようがないじゃないですか。書類では、向こうは民間でよこすといっても、米軍のコントロールでチャーターとしてくるのだ、こういっている。扱いは全然違いますね。羽田における民間機としての扱いなら、ICAOによる規定並びに日本国内法による規定で、民間輸送機に対する検閲その他一切ありますね。そうでなくて、軍のチャーターによる場合、そういう点はある程度地位協定に基づいて制限を受けるわけですね。どういうように識別しておやりになるのですか。向こうからいってきた文書の中には、米軍のチャーターであるということはいってないでしょう。さっき御答弁のように、地位協定の関係は明文上明らかでない、こういう話ですから、それにもかかわらず、あなたの方は軍用機というように判断された飛行機については、本来民間航空機としてやるべき検閲、関税、これは実際問題としておやりにならなかったという意味ですか。
○栃内説明員 先ほどチャーターと申しましたのは、多少私の説明が悪かったと思います。先方から入りました飛行機で、軍人、軍属が乗っておるものその他ございますので、向こうからインヴォイスを送ってくれということがありましたので、、それに基づきまして請求書を出した、こういうことでございます。
○岡田(春)委員 それじゃ一つ伺っておきますが、その飛行機には、着陸について事前通告がございますかどうですか。もう一つは、その飛行機の行き先はどこですか。
○栃内説明員 羽田に着くにつきましては通知がございます。それから行く先につきましては、沖繩、フィリピン方面というように承知しております。
○岡田(春)委員 もう一つ伺いますが、その飛行機はどこから出ていますか、アンカレージですか。
○栃内説明員 セミアとアンカレッジがおもなものであります。
○岡田(春)委員 それでは事前通告があって、そうして軍人が乗っておる場合もあった、こういうことになりますね。
○栃内説明員 さようでございます。
○岡田(春)委員 それから空港長お見えのようですが、このフライイング・タイガー・ラインには軍用の標識がありますか。
○岩田説明員 なかったと思います。
○岡田(春)委員 それではこの飛行機に関しては、標識上からいっても軍用ではない。向こうからの正式公文書によっても軍用ではない。しかしその中から出てきたのは軍人が出てきたというような話で、軍人に関する限りは軍用としての扱いをなした、それ以外の点では、この飛行機それ自体については、民間飛行機としての一切の扱いをなした、こういうことになりますね。
○栃内説明員 この飛行機が軍用であるかどうかという点は、中からの荷物なりその他でもって推定はできますが、外見上はわかりません。
○岡田(春)委員 今の点、外見上はわからない、しかも推定以上をこえない――もう一つ伺っておきます。荷物の点が出ましたから、ICAOの三十五条で、軍需品を積んでおるような危険性がある場合には、検閲並びにそれに対する許可が必要ですが、この許可をとっておりますか。
○栃内説明員 とっておりません。
○岡田(春)委員 どうしておとりにならないのですか。それじゃ、あなた、ICAOに違反されたのですか。――それじゃ、それはあとにしましょうよ。時間がなくなりますから、答弁の方は一つ研究してやって下さい。けれども、これは明らかに違反ですよ。
 飛行機の場合は、これは私が言うのは釈迦に説法かもしれないけれども、民間機の場合の標識、軍用機の場合の標識、それは非常にはっきりしていなくちゃならないわけです。これは軍用機であるか、民間機であるか、識別できないようなものが相手国に入ってきた、それをもう主権侵害――もちろん民間機であっても主権侵害になるが、戦争の危険性を非常にあれするという意味で、はっきりしなければいけない。そういう点で私は標識の問題を伺ったのですが、先ほどあなたの御答弁を伺っておりますと、民間機としての一切の扱いをされた、軍人が出てきた場合に関する限りは、飛行機ではなく、その軍人ということで、地位協定の中に、軍人は軍人としての扱いがあるのですけれども、飛行機それ自体は民間協定として扱っているということになれば、当然ランディングに対する請求権はあるわけですね。請求権については、あなたの最初のお話を聞くと、何だか請求権はあるのだけれども、払ってもらえないような、払ってもらえるようなはっきりしない話でしょう。あくまでも日本側としては、民間空港を使って、民間の飛行機が来て、軍事輸送をしておったか何か知らないが、品物を運んでランディングした場合に、あそこに着いているときの係留料というのですか、それから着陸料の支払いというものは、当然要求できる権利がある、こういうように解釈してもよろしいのですね。
○栃内説明員 民間機であります場合には、当然請求できます。
○岡田(春)委員 そうでしょう。これらのフライイング・タイガーの扱いは全部民間機として扱ったのだから、これに対しては、当然請求権があるということになりますね。
○栃内説明員 今請求いたしております。
○岡田(春)委員 ところがこの請求に対して、先ほど御答弁のように、六月になってから支払えないと言ってきたのですね。これは事実ですね。支払えないということになってから、外務省が交渉を始めたわけですが、これの支払えないという理由として、この軍事輸送の飛行機というものは、地位協定との関係が非常に深いから、そのためにこれは支払えないと言ってきた。そこでこれについて外務省が、大使館と地位協定との関係でこの交渉を始めることになったわけですが、地位協定との関係はどうなるのですか、中川さん。
○中川政府委員 岡田委員よく御承知の通り、地位協定の第五条第一項によりまして、合衆国政府が管理しておる飛行機で、公の目的のために運航されているものは入港料、着陸料を払わないで日本の港あるいは飛行場に入ることができるわけでございます。従ってこれは、フライイング・タイガーがアメリカ合衆国政府によってチャーターされ、その監督下に運航されているものであれば、その地位協定の第五条第一項が適用になる、かような関係にあるわけであります。
○岡田(春)委員 それは御解釈はよくわかりますが、問題は、フライイング・タイガーが、地位協定に該当するものとして交渉されておるのかどうかということを伺っている。
○安藤政府委員 フライイング・タイガーの問題につきましては、実際は私の方の関係者と、航空局の関係者と協力いたしまして、主として航空局でアメリカ側と折衝いたしております。問題は、今、条約局長から申し上げました通り、このフライイング・タイガーがいわゆる地位協定の五条一項に該当するものであるかどうかという、事実問題とも関連してくるわけであります。米側の、その着陸料等を払わないという向こうの主張は、この五条一項のチャーター機であるということを言っておられるわけであります。われわれとしましては、その事実の認定という問題ともからんで、五条一項との関係を明らかにして交渉を進めていきたいという方針でございます。目下交渉しているわけでございます。
○岡田(春)委員 とにかく、方針はわかりましたけれども、交渉しているのですから、これは主として航空局の方でおやりになったら航空局の方でもけっこうですが、日本側としてはどちらの立場に立って交渉されているのか、いわゆる地位協定第五条のコントロールというのがありますね。チャーター機であるという根拠に立って交渉したのか、従来羽田空港において行なったと同じに扱って、民間機の扱いで扱ったというその立場において交渉されたのか、それは非常にはっきりしている点です。民間機として扱っているなら請求権は当然あるのですよ。それが違うのだとおっしゃるならまた別だけれども……。
○安藤政府委員 お答え申し上げます。現在交渉中でございまするが、先ほども申し述べました通り、事実問題としてこれが五条一項に該当するいわゆる軍用民間機であったのか、あるいはそうではなくて単なる十四条業者であったのか、それを今調べておるわけであります。事実問題を含めつつ五条一項の規定に該当するものかどうかという点について話をしておるのが実情でございます。
○岡田(春)委員 これは調べなくたってわかるでしょう。防衛庁の方、そうでしょう、MATSとの契約によってCRAFの一つだということになれば、これは明らかにコントロールしているのです。フライイング・タイガーはその中に入っているのじゃありませんか。その点はっきりしているのですよ。
○海原政府委員 岡田委員の御質問でございますが、私の所掌でございませんので、MATSかどうかという問題は、外務省、航空局でございますから、そちらから御答弁願いたいと思います。
○岡田(春)委員 外務省でなくちゃわからないのですか。防衛庁の方から長官に来てもらうように申し上げたのですがね、在日米軍の関係があるから。MATSというのは、立川にある航空輸送部の、もっと正式な名前があるかもしれませんが、軍事輸送部隊です。それからCRAFというのはそれに契約をしている民間輸送会社です。この関係は非常にはっきりしているのじゃありませんか。フライイング・タイガーはそれに入っているじゃありませんか。違うのですか。外務省の方でもけっこうですが、防衛庁の方でそういうのわかるのじゃありませんか。
○海原政府委員 今お話になっておりますフライイング・タイガーとMATSとの関係ということになりますと、私の方の関係はございません。在日米軍の指揮下、編成下にあるものにつきましては、私防衛局長として知っていることを御答弁いたします。
○岡田(春)委員 では、外務省でその点はっきりしているのでしょう。
○安藤政府委員 お答えいたします。MATSと契約しているようでございますが、ただMATSと契約しているということだけでは、五条一項の規定にはそのまま直ちに入りません。先ほど申し上げましたように、現在米側ではチャーター機であるといっております。われわれとしては、航空局が事実羽田の空港で取り扱っておられるので、チャーターしていたのかいないのかという事実問題につきまして――米側はチャーターしていたというふうにいっておりますが、チャーターしておりますと、五条一項の規定になりまして、先ほど来お話しの着陸料等は免除されるということになっております。
○岡田(春)委員 これは政府当局の方に注意を喚起しておきますが、今日軍用民間機の問題を取り上げるということは、私昨日から電話で御通知してあるわけですから、もっと詳しく調べておいてもらわないと、いたずらに時間ばかりかかって、私まだ三分の一もやってない、四分の一しかやってないのです。少し小坂さん能率を上げましょうよ。これじゃ困ります。
 もう少し伺いますが、それじゃ羽田の空港長でも監理部長でもけっこうですが、MATSと契約しているいわゆる軍用民間機が、羽田には、フライイング・タイガーだけでなくてたくさん入っているはずです。空港長の方ではリストがあるはずですからおわかりでしょうが、会社だけでもずいぶんあるはずですが、その会社を言ってみて下さいませんか。一社だけでも六十機から一月に入っているはずですから、何十社というか何社になるか知らないが、ずいぶんたくさんの会社が軍用輸送に羽田を使っているはずなんです。これは民間空港であるかないかわからないほど運んでおるわけですよ。
○栃内説明員 フライイング・タイガーのほかには、スリック・エアウェイズ、それからリドル、パン・アメリカン、現在はそれだけでございます。現在と申しますのは、ことしになってからは、それだけでございます。
○岡田(春)委員 それ以外に軍事輸送しているのはノース・ウエスト、トランスワールド、USオーバー・シーズ、こういうのが入っておりませんか。
○栃内説明員 以前に来たことがあるかどうか確かめておりませんが、いわゆるチャーターというような形式で来ておるものはございません。個人で何かそういうことはあるかもしれません。
○岡田(春)委員 もう一つ伺います。羽田の空港長でけっこうですが、七月、八月はフライイング・タイガーだけで約六十機、さっきの御答弁はそういうことじゃありませんか。それ以外に、今のようにお話しになると、リドルが約四十機、その他で約百機くらいになるのですが、どういう計算ですか。
○栃内説明員 先ほど申し上げましたのは、トータルの数字であります。
○岡田(春)委員 もう一つ伺います。アメリカの民間航空機は今のようなのが入っているというのだが、それ以外にMATSで契約した第三国の軍事輸送機も入っていましょう。民間機であるかないか……。
○栃内説明員 ございません。
○岡田(春)委員 中華航空はどうですか。
○栃内説明員 CATは純粋の民間機としては入っておりますが、チャーター機としては入っておりません。
○岡田(春)委員 それでは、CATの場合には民間機ですからいわゆる民間関係の法律条約の規定を受けるのですが、CATが軍事輸送をしたような場合にはどういうことになりますか。軍事品を輸送した場合……。
○栃内説明員 通ります荷物につきまして、税関関係その他で扱っておる分については別でございますが、いわゆるストップ・オーバーで行きますものについては、よくわらないわけであります。
 民間航空で入ってきます荷物のうち税関を通ります以外で、羽田で単に載せたまま次にまた飛んでいくというようなものについては、わからないわけでございます。
○岡田(春)委員 それは非常に困ることじゃありませんか。さっきのICAOの三十五条の違反をそこでも犯しているというわけです。三一五条をここにありますから念のためにもう一度で読んおきますが、ICAOの三十五条というのは、上空を通過するだけでもいけないことになっているのです。民間航空条約の三十五条で、軍需品または軍用器材は締約国の領域内または領域の上空をその国の許可なしに、国際航空に従事する航空機で運送してはならないと書いてある。そうでしょう。たとえば、あなたがお話しのように、中華航空が羽田に寄って向こうへ行った、そのとき軍事品を積んでおってもこれは抵触するのですよ。この点なぜお調べになっていないのですか。私あとで質問して参りますが、日本を中継基地にして軍事品がどんどん、たとえばラオスならラオスの戦争にアメリカが品物を送っている。これは日本が協力していることです。そういう点を押えるために民間航空としてはICAOの三十五条の規定があるのです。それを完全にあなたの方はお目こぼしになっているわけなんです。その点どうなんですか。私はこれは非常に重大な問題だと思うのですが、どうなんでございますか。アンカレッジから軍事品を運んで日本に寄って、去年から戦争のあるラオスの前線基地に軍事品を運んでいるのです。それを全部あなたは三十五条の適用というものをされないのです。一体これでいいのですか。日本の主権なんかあるのですか。非常に大へんな問題ですよ。小坂さんどうです、見解でもあったら述べて下さい。
○小坂国務大臣 ただいまのお話はよく事実関係を調べてみませんと、私も今卒然として伺いまして、直ちに意見を述べるわけにはいきませんが、よく事実関係を調べてみます。
○岡田(春)委員 事実関係を調べるのはいいけれども、事実だと認めているのだから……。航空局で認めているでしょう。あなたはそれを事実関係――何を調べるのですか。
○小坂国務大臣 さっきから私も御答弁を聞いておりましたが、要するにチャーター機であるかどうかということが問題ですね。そこでチャーター機であるかないかという事実関係をよく見ないと、今何とも申し上げられないということを申しておるわけでございます。
○岡田(春)委員 それでは小坂さんどうなんです。あなたのおっしゃる点では、チャーター機であった場合には軍事輸送をしてもいいのですか。チャーター機である場合には、アンカレッジから羽田を中継地として、日本を経由して軍事輸送をしてもいいのだという解釈になるのですか。
○中川政府委員 御承知のように国際民間航空条約、民間航空機に適用になる条約でございます。従って完全に一国の政府によってチャーターされ、運航される飛行機、こういうものはその国の、要するに国有の飛行機に準じて扱われるわけでありまして、民間航空協定の適用外になるわけであります。
○岡田(春)委員 中川さん、そんなことを言ってはいけませんよ。さっき航空局の監理部長が言っているでしょう。民間機でその中に軍人が乗っておって、そしてそれが民間機として扱われた。軍人が乗っていただけでも三十五条の問題ですよ。軍人が乗っているのに兵器も何にもそういうものを全然持たないで来ますか。しかもこれはアンカレッジからもう一カ所どこかあるけれども、クラークフィールドと沖繩の嘉手納に行くのでしょう。これについては三十五条の適用をしていないと言っているじゃありませんか。明らかに民間機の扱いとしては違反ですよ。さっきから答弁できない点ですが、これだけやっていては時間がかかるので困ります。あとで一緒に研究して答弁しますと小坂さんはおっしゃったのでありますから、三十五条の点も先ほど御答弁できなかったからあとで含めて御答弁願いたいと思います。
 もう一つ、今申し上げたように民間機を装って軍事輸送がどんどん行なわれる。この軍事輸送を羽田を足場にして行なわれておる。それだけではない。羽田では第三国の軍用機がどんどん入っておりますね。例をあげましょう。八月の末から九月の初めのはずだけれども、南ベトナムの軍用機三機が羽田に乗り入れている。そういう事実はありますよ。しかもそのときに弾薬を持ち帰るということを申し入れてあなたの方で断わっているでしょう。うそじゃありません。これは事実です。私は羽田で調べてきたのですから、あなた方はもし知らないなら知らないだけの話です。リストを調べてごらんなさい、ありますから。南ベトナムの軍用機が三機日本に着陸をして帰りに弾薬を持ち込みたい、こういうことで日本の羽田空港では拒否している。そしてこれについては、この飛行機があるかどうか。この飛行機の機種は何であったか。この点一つお答え願いたい。
○栃内説明員 ただいまわかりませんので、調査の上お答えいたします。
○岡田(春)委員 困りますな、何にもわからないんですな。
 南ベトナムの軍用機三機が入っているのは事実。それからもう一つ、あなた御存じなかったら今度は証拠を見せましょう。今度は「航空情報」を出しますが、ことしの四月か五月です。南ベトナムの軍用機が入っていますね。この「航空情報」に出ている。ところがこの南ベトナムの軍用機が奇怪千万で、われわれから見れば本性を明らかにしたと思うのだが、飛行機にアメリカの軍隊の軍用機の標識と南ベトナムの軍用機の標識と二つつけてある。こんなことは絶対許されないのですよ。ここに書いてあります。うそだと思ったら見せてもいいです。ICAO、民間航空条約によっても飛行機の国籍は一国しか認められない。二重登録は認められませんね。軍用機の場合においては、なおさら二重国籍なんか認められないのですよ。この事実を御存じですか、どうですか。写真までありますが。四月か五月に南ベトナムの空軍の標識をつけ、アメリカの軍隊の標識をつけた飛行機が羽田に入っている。空港長御存じでしょう。御存じなはずです。お答え下さい。
○岩田説明員 まことに申しわけありませんけれども、覚えがありません。よく調べましてお答えいたします。
○岡田(春)委員 困りますね。それで審議ができますか。何にも知らないじゃ審議できないじゃありませんか。見てごらんなさい。証拠があるのですよ。ファイルがあるでしょう。アメリカだけじゃないでしょう。南ベトナムの軍用機が入るのがわからないのですか。南ベトナムの軍用機は羽田に再三入っていますね。どうでございますか。全然記憶はございませんか。一回か二回入ったのを御存じありませんですか。
○岩田説明員 南ベトナムについては覚えがありませんけれども、米国以外の航空機が来ることがあります。
○岡田(春)委員 アメリカ以外の軍用機が――今御答弁の通りなんです。空港長という人は正直な人なんですよ。アメリカ以外の幾つかの国が入っているからこういう答弁をしているのですよ。今の南ベトナムともう一つあるでしょう。オランダ。オランダの新聞にだって出ていますよ。西イリアンに軍隊を運ぶために軍人をオランダの航空機によって一週間三回で運んでいる。これは北極を通って日本を経由して行っている。この事実もありましょう。これは事実でしょう。
○岩田説明員 KLMの臨時便が入りましたことがあります。しかし内容については存じません。
○岡田(春)委員 皆さん、これはこれほど重要なのです。羽田の空港はもはや民間航空ではないのです。軍事培地になっている。南ベトナムの飛行機がどんどん入る。その飛行機もインチキなもので、南ベトナムの空軍の標識とアメリカの標識をつけた飛行機が入っている。オランダから西イリアンに対して軍隊を輸送するために羽田を通している。これは小坂さん、カレル・ドールマンの船のときに日本はオランダに対して寄港を断わったでしょう。これを断わってあと義理が悪いから今度はオランダの飛行機を着けてやったのですよ。どうです。
○小坂国務大臣 そういうことは全然考えておりません。
○岡田(春)委員 小坂さん、私はまだ質問していないんですよ。あなたは何でも、そんなこと考えておりませんと、ばかの一つ覚えでそれだけ言っておれば間違いないと考えておるかもしれないが、そうはいきませんよ。とにかく羽田にはこれほど軍用機が入っており、民間機という名前のついた軍事輸送機が入っている。この事実は認めざるを得ないわけですね。航空局の方どうでございますか。小坂さん、さっき答弁したつもりならしなくてもいいですよ。
○小坂国務大臣 それじゃさっきの私の答弁でいいのですね。
○栃内説明員 民間機に軍人が乗っておるということは、これはあり得ることでございます。
○岡田(春)委員 民間機に軍人が乗っているということは、それはあるでしょうね。それは人間ですから何でも乗れるのですから、そんなことを私は言っているんじゃないですよ。さっきから軍事輸送をやっている、たとえばアンカレッジからクラークフィールド、嘉手納へ軍事輸送をやっている、こういう事実がすでに明らかになっている、あなたもお認めになったわけですね。それから南ベトナムというのは知りませんと言ったが、あなたは逃げるわけにはいきませんよ、こういう写真が出ているのですから。こういう事実がある。それから先ほど空港長が答弁されたように、オランダの西イリアンに対する兵器輸送は羽田を通じてやった、この事実だけでも、羽田というのはもはや民間航空の基地ではなくて、もはや軍事輸送のために積極的に協力している、だから羽田は狭くて困るんですよ。航空局としては、あなたは困っているでしょう。こういう事実は明らかじゃありませんか。そこでこういう点はどうされますか。この事実はお認めになったわけですが、その確認の上に立って私は質問を続けたいと思うのですが、いいですね。
○小坂国務大臣 岡田さんが非常によくお調べになっての数々の御質問で、これは敬意を表しますが、オランダの飛行機が羽田を通ったことはあるようですけれども、それが西イーアンへ兵器輸送したと断定してお話しになることは、私ども政府としてははなはだ困ることでございます。私はそういう点を考えておりませんことを明瞭にいたしておきたいと思います。
○岡田(春)委員 小坂さん、あなたはそれは調べもしないでそんなことを明言できるのですか。羽田空港長が認めているんじゃないですか。あなた自身がそんなことが迷惑であるなんて言って、オランダの新聞にはっきり出ているのですよ。あなたそんなことを言って、責任をどうするのですか。もしそれが事実だったら、あなたどういう責任をとるのですか。調べもしないでそんな責任を負ったような断言をしてよろしいんですか、あなた責任を負うなら負うとおっしゃいよ。
○小坂国務大臣 今私が黙っておりますれば、政府がそういう意図を持ってオランダの飛行機に兵器、弾薬を西イリアンに運ばしたことになるわけであります。私はそういう意図を持っておりませんということは、この際明らかにしておかなければならぬということでございます。
○岡田(春)委員 あなた個人の意図はそうかもしれぬ。それじゃあなたはそういう意図を持っていないなら、ICAOの三十五条の適用をなぜしないのですか。ICAOの三十五条の適用もしないで、そういう意図は持っておりません――あなたはこのときに、行かなければならぬときに、ほんとうは行きたかったのだよ、そういう繰り言はよしなさいよ、事実が証明しているじゃありませんか。
 私は、これからどんどん進めていきます、もう少し具体的に伺っていきますが、中川さん条文の問題で二、三御説明を願いたいのですが、地位協定の第五条の「公の目的で運航される」云々、この公の目的というのはどういうことを意味しますか。この公というのは、要するに私用以外だという答弁をされればそれっきりだけれども、これを認定するのはだれですか。
○中川政府委員 公の目的でございますから、つまり政府の目的ということでございます。その場合には、運航する政府の公の目的ということになるわけでございますが、それの認定はもとより条約の両当事国がやるわけでございます。
○岡田(春)委員 政府という場合には軍がもちろん入りますね、地位協定は軍のことですからね。いわゆる新安保の第六条に基づく軍事供与、簡単にいえば軍事基地を提供する問題なんです。それに基づいて生まれた地位協定の第五条ですから、政府のということは具体的に言うと軍ということですね。
○中川政府委員 もちろん政府の目的の中で軍の目的が一番多いと思います。しかし条文自体から必ずしも軍にだけ限局するということは正当でないと思います。ここにあります通り、要するに国家の目的ということであろうと思います。
○岡田(春)委員 その解釈にちょっと私意見があるのですが、この意見はちょっとよしましよう。と申しますのは、この五条の一項「合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機」になっていますから、これは国以外にないですよ。ですから民間と国との区別はここで出ておるのです。「国の」となっていますから……。従って「公の」という場合には軍という意味だと私は思います。
 その解釈はいいとして、もう一つ伺っておきますが、「合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に」、この三つが並べられております。原文を見ると「オア」という字を使っております。ですからアメリカの飛行機――飛行機の話で進めましょう。アメリカの飛行機がこの三つの中のどれかの目的のために公の目的で運航される場合には、当然これは着陸が自由である。着陸料の問題よりも、着陸が自由であるという点に出入の自由が保障されている点にむしろ問題があると私は思うのです。この場合に「飛行場」というのがありますね。この飛行場というのは原文で見ると「エニ」になっております。いかなる飛行場、日本の全体の飛行場に対してアメリカの飛行機、それからアメリカの飛行機でなくてもいいんですよ。外国の飛行機でもいいんですよ。具体的に誓うと、南ベトナムの飛行機がアメリカのために運航される場合には、これは出入が自由である、こういう法解釈になりますね。その飛行場というのは羽田に限らず、伊丹であろうが函館であろうが札幌でもよろしい、こういう法解釈をせざるを得ないと思いますが、どうですか。
○中川政府委員 大体岡田委員のお説の通りであると思います。「合衆国」というのは必ずしも合衆国政府の持っておる船舶、航空機ということではなく、アメリカの船舶、航空機あるいはアメリカ以外の国の船舶及び航空機で、アメリカによって――これはアメリカ国家であります。アメリカ合衆国によって合衆国のためにあるいは合衆国の管理のもとに公の目的で運航されるものは、このような特権が与えられるということになっておるわけであります。
○岡田(春)委員 この場合には後段で事前通告を必要ないことに解釈してもよろしゅうございますか。
○中川政府委員 これは船舶の場合は御承知の第五条三項によりまして、通常の状態においては事前に通告をしなければならぬということになっているのでございます。
 飛行機については特に書いてはございませんけれども、これはやはり第三条と同じように、通常の場合には当然通告すべきもの、また実際にも先ほど事務当局から説明のありました通り、通告は常にあるわけでございます。
○岡田(春)委員 そうじゃないんです。法律解釈でいうと、さっき言ったのは民間機の解釈なんです。コントロールされた軍用機それ自体の場合とか、そういう場合には通告を必要としないんでしょう。無通告で入ってますよ。
 そういう例はいいとして、もっと進めますが、合衆国によって、合衆国のために、合衆国の管理下にという場合、「合衆国のために」ということは、条文解釈ではどういう意味になりますか。私はこういう点も含むと思います。極東の一国がアメリカと軍事同盟の条約を結んでいる。たとえば台湾なら台湾が軍事同盟条約を結んでいる、その軍事同盟条約に基づいて台湾は合衆国のために一朝事態があった場合には協力をしなければならない。これはもう米韓防衛条約を見てもSEATOを見ても、それは全部はっきりしているわけです。米韓防衛条約の第二条を見てもそういうことになっています。共同援助、相互援助、いわゆるバンデンバーグ決議に基づいた……。その点、その他一切あります。そのためにこれは「合衆国のために」というのが出ているんでしょう。ですから日本のためでなくとも、その条約に基づいて台湾なら台湾という国が、アメリカに協力するために戦争を遂行する目的をもって日本に乗り入れてくる場合においても、これは合衆国のために羽田の飛行場に乗り入れても、これは着陸料はとられないし、出入が自由であるということが書いてある、こういうように解釈してもよろしいでしょうね。
○中川政府委員 そういうようには解釈していないのであります。
○岡田(春)委員 どういうふうに解釈するのですか。
○中川政府委員 これはアメリカ合衆国によって、アメリカ合衆国政府によりましてこのアメリカの飛行機もしくは第三国の飛行機が運航される場合、それは合衆国が自分の飛行機を運航する場合もございます。あるいは合衆国の民間航空機をチャーターして運航する場合もございます。あるいは第三国の航空機をチャーターして運航する場合もございます。しかし、いずれにせよアメリカ合衆国政府によりまして、その責任において運航される、こういう場合のことを規定しておりまして、御承知のようにこの条約は日本とアメリカ間の条約でございます。アメリカの政府機関以外のものに便宜を供与するということは考えていないのでございまして、従って、これはアメリカの責任において運航する航空機、かように解釈いたしておるわけでございます。
○岡田(春)委員 まあ条約解釈ばかりやると辛気くさくなるから進めますが、あなたは「合衆国によって」ということの解釈をされた。私は「合衆国のために」ということを言ったのです。しかもこれは「合衆国によって」というのが全体にかかるなら別ですよ。コントロールの面も、「管理の下に」ということにかかるなら別ですよ。原文を見てごらんなさい。原文を読みましょうか。原文に非常にこの点ははっきりしているのです。原文は並列なんです。「オペレーテッド・バイ・フォー・オア・アンダー・ザ・コントロール」となっているのです。これは並列なんですよ。「合衆国のために」ということはどういう意味をするのかということを、それじゃむしろ中川さんに伺わなくちゃならない。さっきは「合衆国によって、」の話を答弁されたのです。「ために」の方を一つ御答弁下さい。
○中川政府委員 この目的は、あくまでも日本とアメリカとの間の協力の条約でございます。従ってその目的は、第三国の利益のためにいろいろ飛行機を使う場合を予想して特権的地位を与えるのではないのでありまして、あくまでも日本に協力する当の相手であるアメリカの要するに目的のために使う飛行機について特権を認めておるわけでございまして、従って「合衆国のために」、「フォー」というのはそういう意味で入れてある字句であると考えております。
○岡田(春)委員 それじゃ答弁にならないですよ。「ために」というのは合衆国のためですよ。第三国が合衆国のためにやるということですよ。そのためにこの「ために」が入る、「フォー」が入るということになる。そうでしょう。日本とアメリカとの関係では安保条約はこの二つだけですけれども、アメリカ自身からいえばそうじゃないわけですよ。アメリカからいえば、日本に関する限りはアメリカと日本かもしれないが、台湾とアメリカとの関係からいえばアメリカと台湾の関係ですよ。SEATOに基づいて南ベトナムとアメリカの関係があるのですよ。このアメリカを通じてSEATOにある南ベトナムと台湾と日本とが結びつくのですよ。アメリカを通じて、ここに抜け穴があるために、われわれがかねがね言っているようにSEATOと日本の軍事基地が結びついている、NEATOと結びついている、米韓、米台と結びついている。ここにこの「ために」の問題があるのですよ。アメリカ自身にとっては当然そういうことになるじゃありませんか。解釈の問題からいって当然そうですよ。そうじゃないという解釈はできません。
○中川政府委員 ただいま岡田委員御指摘のように、アメリカはいろいろと条約上の権利義務を日本以外との国とも結んでおるわけでございます。しかしながら、日本がアメリカに便宜をこの条約あるいは地位協定に基づいて供与いたしますのは、別にアメリカと条約関係のある第三国のためにいろいろと便宜をはかるという趣旨じゃ決してないのでありまして、そういういろいろ事情がありましょうが、いずれにせよアメリカのためにいろいろ便宜を供与する、こういう趣旨でございますので、ここに書いてある「フォー」、「合衆国のために」というのは、まさしくアメリカのためにということでございます。
○岡田(春)委員 そういう解釈はなってないのです。それはあなたそうおっしゃるけれども、そういう解釈でいうと、原文の第六条を読んでごらんなさい。「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため」、この後段にかかるのですよ。あなたのさっきからの答弁は「日本国の安全に寄与し」云々の方だけを答弁している。後段の点は答弁をしていない。ここに安保条約の抜け穴があるわけです。事実上新安保に結びついて、南ベトナムや韓国や台湾と結びつける形がある。だからさっき答弁のあったように南ベトナムに軍用機が入ってくるのです。まあその点ばかりやっておってもあれですからもう一点お伺いしますが、この第五条の規定はこういうことにになりますね。例をあげて伺います。合衆国の飛行機――アメリカの軍用機もいいですね。アメリカの軍用機が公の目的で、あなたの解釈通りにしていいですよ。「合衆国によって、合衆国のために」こういうことで羽田に着けることができるわけですね。自由に出入りができるわけですね。そういう点はそういう解釈をしてもよろしいわけでしょう。
○中川政府委員 それはやはり合衆国の政府当局あるいは軍当局と申しますか、それが自分で運転をしているか、あるいはチャーターしてその管理下に運転しておる、そういう飛行機ということでございます。
○岡田(春)委員 それはそうですよ。羽田には自由に出入りできるわけですね。
○中川政府委員 五条一項によって自由に出入りが許されているわけでございます。
○岡田(春)委員 それではお伺いしますが、第六条の交換公文の事前協議条項について伺います。第六条の事前協議の条項では合衆国の軍隊が、これは三つあるのですが、一番最後、軍隊が日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用は、事前協議の対象になる。これは平たくいえばミリタリー・コンバト・オペレーションの場合において、アメリカの飛行機が日本の基地から日本国内の施設区域から出発をする。たとえばラオスに行く。その場合にこれは当然事前協議の対象になるということが書いてあるわけです。そうでございましょう。
○中川政府委員 その通りでございます。
○岡田(春)委員 それではもう一つ伺いますが、アメリの軍隊が日本国内の施設、区域ではない、すなわち立川でない羽田からミリタリー・コンバト・オペレーションをした場合には事前協議の対象にならないでしょう。どうです。
○中川政府委員 その問題も安保審議の際にしばしば問題になったのでございますが、これは要するにそういう施設、区域以外の港であるとかあるいは空港であるとか、こういうところからいわゆる戦闘作戦行動というものが行なわれるということはあり得ない、そういう前提のもとに施設、区域のみを書いてございまして、たとえば全然軍用の飛行機にいろいろサービスする施設のない羽田空港あたりを培地として、アメリカの空軍が出撃するということは考えられないことでございますので、特にそのための事前協議ということは書いてないわけでございます。
○岡田(春)委員 まず法律解釈から聞いていきましょう。法律解釈はどうです。事実論じゃないですよ。法律解釈を言って下さい。
○中川政府委員 この交換公文には、日本の施設、区域から出撃する場合、それについての事前協議のことをきめておるわけでございます。
○岡田(春)委員 日本の国内の施設、区域というところ以外から出発する場合には、事前協議の対象にならないでしょう。その法律解釈を聞いておるのです。どうなんですか。
○中川政府委員 その場合の法律解釈と事実問題とは分け得ないのでありまして、そういう事態はあり得ないといろ前提で規定していない、こういうことを申し上げておるわけです。
○岡田(春)委員 そんな話ではだめですよ。あなた、私は法律解釈を聞いておるのですよ。この条文の解釈では、基地から出る場合だけが事前協議の対象になるわけでしょう。
○中川政府委員 この公文に書いてあることは、基地から出撃する場合のことだけが書いてあるのです。
○岡田(春)委員 法律解釈はそうです。この公文に番いてあるものは、基地から出る場合。先ほどからずいぶん長く言っておるように基地以外で軍事協力、軍事輸送をやっておる場合は、事前協議の対象にならないのです。明らかじゃありませんか。さっきら羽田に軍人はおりませんからといって、事実論でごまかすけれども、事実そうでしょう。もっとあとで言いますけれども、まだまだ実例はある。防衛庁も見えておるが、マーグがどういうことをやっておるかということをいえば、羽田が使われるのです。これは事前協議の対象にならないでしょう。羽田からたとえば軍事輸送された場合は、これが事前協議の抜け穴です。
○中川政府委員 事前協議の場合、いずれにせよ戦闘作戦行動に出撃する場合のことでございます。たとえ日本の施設、区域を利用いたします場合でも、いわゆる単純なる補給行動には、事前協議の条項は適用されないことは御承知の通りであります。羽田から補給などをする場合には事前協議がないということは、その通りでございます。
○岡田(春)委員 あなた、さっきから法律解釈しておるように、アメリカの飛行機はどんどん羽田に入っておるのです。アメリカの飛行機が入って、その飛行機が羽田から出撃する場合には事前協議の対象にならないのですよ。何も羽田だけを例にあげる必要はないのですよ。これはあらゆる飛行場ですから、美保でもいいのですよ。もちろん三沢でもよければ岩国でもよければ鹿児島の飛行場でもいいのですよ。ここへ入るという権利は合衆国の軍隊の飛行機に与えられておる。鹿児島なら鹿児島の飛行場に、アメリカの飛行機は第五条によって自由に入ることができる。その飛行機がラオスに対して鹿児島の飛行場からまっすぐ飛んで行った。ミリタリ・コンバト・オペレーション、戦闘作戦行動に飛んで行った。これは事前協議の対象にならないのですよ。ここに事前協議の抜け穴があるのです。ごまかしがあるのです。これは法律解釈でどうしたって明らかなんです。あなたは事実上そんなことはないとおっしゃるけれども、事実上あるのです。軍人がおりてきたことを知っておる。南ベトナムの飛行機が着いておるのを知っておる。オランダの飛行機が着いておるのも知っておる。ことしの一月からずっとあのラオスの戦争中だ。ラオスの戦争においては嘉手納から飛行機が飛んで行っておる。沖繩から飛んで行くのに軍事協力をやっておる。ラオスの内戦に協力しておるのです。そういう証拠になるじゃありませんか。明らかじゃありませんか。どうです。
○中川政府委員 普通の港湾、空港等からアメリカの飛行機が飛んで出るという場合には事前協議はない。これは要するに事前協議の交換公文にそういう事態を予想して書いてないわけであります。予想してといいますか、そういう場合に戦闘作戦行動というものが予想されていないから書いてないのでございます。そういう事態が起こるということは、とうてい事実問題として考えられないということをまたつけ加えて、はなはだ法律論と離れて申しわけないのですが……。
○岡田(春)委員 あなた、条約局長だから法律論だけしてもらえばいいのです。あなたが事実問題としてあるのをないとおっしゃるのは常識を離れておりますよ。国民はこんなことを聞いたら驚きますよ、事実問題としてあるのですから。しかも第三国の「合衆国のために」ですから、事前協議のあれとしてこういうことも言えるわけですね。この交換公文で合衆国の軍隊が基地から飛び出る場合には、事前協議の対象になる。第五条のあなたがおっしゃる「合衆国のために」、たとえば例をあげて、たとえ話でいきます。台湾の飛行機が立川という施設から飛び立った。これは事前協議の対象にならないのです。そうでしょう。台湾の飛行機が立川という基地を通じてラオスの戦線に飛び立って行った。これは事前協議の対象になりません。どうですか。
○中川政府委員 要するにそういう第三国の航空機が日本の施設に勝手に入ってこられるという規定は、第五条一項の規定は合衆国が管理しておる場合であります。従って、管理しておる場合はその第三国籍の飛行機でありましても、これは合衆国の政府の飛行機と同じ待遇を与えられるのでありまして、もしそういう飛行機がたとえば日本の施設から軍事行動に直接飛んで出るということがかりにありとすれば、それはまさしく第六条による交換公文による事前協議の対象になるわけでありまして、これは合衆国の飛行機と同じ扱いになるわけであります。
○岡田(春)委員 あなたそれでは「合衆国の管理の下に」という文章の部分だけを使って、管理下にある飛行機だから事前協議の対象になる。これは間違いないですね。「合衆国のために」の方でなくて、管理の方だけなんですね。これはもう一度念を押しておきます。
○中川政府委員 合衆国の管理のもとにある、つまりチャーターしている飛行機の場合――船の場合は当然合衆国のその公船として扱われるわけでございます。もしそういう船が日本の港に入る場合は、たとえばこの地位協定の適用は当然あります。空港に入る場合にも、地位協定により律せられるということになります。
○岡田(春)委員 あなたの答弁しているのは管理のもとにある飛行機でしょう。問題は管理にない飛行機で、「合衆国のために」という場合の飛行機ですよ。管理、あなたはそういうことをおっしゃるけれども、台湾の飛行機はそれじゃ全部アメリカの管理になるわけですか、日本に来たら。管理というのは、それじゃ台湾の飛行機もというなら、それならそれで、それでも本質が明らかになるのですよ。日本に来ている台湾の飛行機も、韓国の飛行機も、南ベトナムの飛行機も、全部アメリカの管理だ、アメリカが親分で、こういう子分を連れて、かいらいの飛行機を使っているということをあなたは立証しようというなら、それでもいいのですよ。それじゃそういうことですか。
○中川政府委員 そういうことは全然申し上げていないつもりでございまして、要するに、この条約なり地位協定の適用のある種類の飛行機というものは、合衆国が直接自分で持っておる飛行機、あるいは合衆国が人の飛行機をチャーターして、管理のもとに運営、運航している飛行機、こういうものに適用あるということを申し上げているのであります。そのいずれにも当たらない純粋な第三国の飛行機が、第三国の管理のもとに入ってくる場合には、この条約なり地位協定は適用がないということを申し上げているわけであります。
○岡田(春)委員 それは条約の適用がないものは、そんなことをしたって適用はないですよ。問題は、その入ってきた飛行機を、それをどうするかということをさっきから聞いているのです。適用のない飛行機が来たって、適用がないのはあたりまえじゃないですか。
○中川政府委員 岡田委員が考えておられるケースは、たとえば、第三国の飛行機が第三国によって運営されておる、しかしながらその運営の目的がアメリカのためだという場合のことかと思いますが、それはこの条約には当てはまらない、この条約の規定の適用の対象外である、こういう解釈をとっておるわけであります。
○岡田(春)委員 そういう点にも事前協議の抜け穴があるわけです。それじゃたあなたのおっしゃる答弁の通りに、アメリカのコントロールのもとにある第三国の飛行機が基地を出る場合には、事前協議の対象になるのですね。そういうことになりますね。
○中川政府委員 全然アメリカのコントロールのもとにもない第三国の飛行機が、日本に入ってくる場合には、これは一般の国際法、国内法に基づく制限を当然受けるわけでございまして、勝手に日本の空港に入ってくるわけにいかないのでありまして、日本政府の承認しない限りそういう措置はとれないということでございます。
○岡田(春)委員 コントロールのある場合には、事前協議の対象になるでしょう。
○中川政府委員 アメリカ政府のコントロールのもとにある飛行機については、事前協議の対象になるわけであります。
○岡田(春)委員 それじゃこれは日本の新聞にも二月の二十一日に出ていますが、ラオスに台湾の飛行機が侵入をして撃墜をされているのでございます。この飛行機は日本から出発したものです。それはあなたのおっしゃるアメリカのコントロールのもとにおいて出発している。これが撃墜をされている。それは証拠があります。私は証拠があるからこれを言っている。それは事前協議をやりましたか、そういう場合に。ないでしょう。今までラオス戦線に出動するというので、合同委員会なりそういうところで事前協議があった、そういう事例がございますか。どんな問題でもいいですが、事前協議をやったことがありますか。
○中川政府委員 安保条約発効以来、条約第六条の実施に関する交換公文による事前協議というものが行なわれた事例はございません。また、ただいま御質問のありました、米軍コントロールのもとにラオスに出撃した事例があるというお話でありますが、これは交換公文による戦闘作戦行動というものは、日本の施設をベースといたしまして、そこから直接戦闘作戦行動を行なった場合でございます。私は、日本の施設から飛んでラオスの上空に直接行きまして、そうして戦闘をしたという事例はないと思うので、この事前協議という事態が起こっていない、そういう前提の事態が起こっていないというふうに了解いたしております。
○岡田(春)委員 そういう解釈でおっしゃるならいいのですが、あなたは語るに落ちたので、直接行かないならそれも事前協議の対象にならないわけでしょう。たとえば、立川から沖繩に寄って、それから台湾に寄ってラオスに行ったら、事前協議の対象にならないのでしょう。そういうことになりますね。
○中川政府委員 普通の状態のもとに日本から移動した、日本から単なる移動で外に出まして、それで集結しまして戦闘作戦行動を行なったというような場合を仮定すれば、これは日本から見れば移動でございまして、いわゆる出撃ではないわけでございます。
○岡田(春)委員 だから、たとえばラオスに行くために沖繩にちょっと寄った、油をちょっと入れた、そうして行くのは戦闘作戦行動ですよ、事実。それが沖繩に寄ることによって事前協議の対象にならないわけでしょう、あなたの答弁のあれからいえば。はっきりしていますよ。
○中川政府委員 これもしばしば問題になったところでございまして、日本から沖繩に行って、そこから出撃したという場合には、事前協議の対象にはならないわけでございます。
○岡田(春)委員 ですから、私さっきから十九日と言っているのはこれなんです。実例を先に申し上げましょう。これは証拠があるから私ははっきりこれを見せますが、二月十九日に、台湾の軍用機DC−3型、これはC47のことですが、これが「軍需物資投下中、タビエン南東方五キロの地点でプーマ政府軍によって撃墜された。」この乗組員は、「三名の台湾の国府軍人と三名のラオスのブンウム、ノサバン軍の軍人であった。このうちラオス軍人一名は落下傘で降下したため捕虜となった。」それから、「この乗員は台湾の中華航空の身分証明書とラオスのビエンチャンのワッタイ飛行場発行の出入許可証と、台北のアメリカ軍事顧問団の管理の下にあることをしめす詳細な航空手帖を持っており、」この三名の国府軍人の名前は、「アメリカ軍事援助顧問団防空部隊所属中華空軍大佐ワン、チェン、チュン、同少佐チャン、メン、チェン、大尉ファン、メン、シュンである。この航空手帖には台湾から日本(鹿児島、板付、岩国、名古屋、立川)への航路、飛行位置、報告、航路管制空間の記号、時間が詳細に地図とともに記入されており、ラオス、南ベトナム、タイ、ヒリッピンなどの各基地飛行場の通信呼出し符号、滑走路の長さなどがかいてあり、しかも台湾のアメリカ軍事顧問団によって任務が与えられ、その任務遂行について軍事顧問団に報告することが義務づけられている」ということです。その証拠はここに全部あります。お見せしますが、これは飛んだ航空のコースです。このコースが、これでは小さいから見えないかもしれないから見せますが、こういうことです。ビエンチャン、南ベトナム、台湾、那覇、大隅、鹿児島の上空を通って大島に行って立川に行っている。しかもこれは一回だけではない。定期航空路化している。三つのコースがある。このうちの飛行機の一機が撃墜されているのです。明らかにラオスの戦争に日本の軍事基地が協力している。これは明らかな証拠ですよ。はっきりしています。あなたは、事前協議の対象にならないのだから、事前協議をしてないから知らないでしょうが、この事実をお調べ下さいよ。これほど証拠があります。しかもこれには、航空路が全部あるし、航路のあれもある、人間はどういう人間かというのも出ています。これは台湾人、これは中華航空の身分証明です。立川に全部来ているのです。しかもこれは偽名を使ってビエンチャンのワッタイ飛行場から飛んでいます。その点がうしろに詳細に書いてございますが、これは特に日本の空軍基地の地形、特徴、空路、通信などが一切書かれております。とういう点を、今急に言っても、これは条約局長に言っても何にもならないので、アメリカ局長、アジア局長、その関係はすぐ言ったってわからないでしょうから、お調べ下さい。明らかですから。必要ならこの証拠書類をお貸ししてもいいのですよ。どうですか。これが一つです。まだあるのですよ。
○小坂国務大臣 私の方も調べてみてもいいですが、その出所は、どこから出たのですか。これはラオスで撃墜されたのでしょう。それをどこから御入手になったか、それも一つあわせてお伺いしたいと思います。
○岡田(春)委員 調べるためにはそういうことが必要なんですか。
○小坂国務大臣 さようでございます。あなたのお示しになりました飛行機の航空路の地図というものは、これは書けばだれでも書けるものでございます。従って、その出所を伺いたい。
○岡田(春)委員 それはアメリカへ報告する必要があるのですか。こういう事実があることは、私は命にかけて証明しますよ。出所なんか言わなくたって、必要がある場合には私は言いますよ。
○小坂国務大臣 あなたの命をいただいてもしようがありませんけれども、私、出所を一応言っていただいて、こういう経路で入手したが、これは真実かとお聞きになっていただくのが常識ではないかと思います。
○岡田(春)委員 あなたの方だって、出所を一々言っていますか。必要があれば私は言いますよ。まだ現在の段階ではあなたに言う必要がありません。それはアメリカと打ち合わせする危険性もあるからと私が判断するからです。(愛知委員「どこで作ったか何とも書いてないじゃないか」と呼び、その他発言する者あり)
○岡田(春)委員 これほど重大なことを言うのに、私がいいかげんなことを言うわけがありますか。冗談じゃないですよ。愛知君、これほど重大なことを言うのに、私がいいかげんなことを言っていると思うのかね、冗談じゃない。
○森下委員長 このことの配付についての質問が出ましたから……。
○岡田(春)委員 この配付については皆さんの参考のために差し上げたのです。
○森下委員長 委員長が許可して配付したことですから……。
○岡田(春)委員 参考のためにあげたのです。要らなかったら返したらいいでしょう。
 小坂さん、出所を言うか言わないかということは、私は必要なときにはあなたに教えますよ。しかし私はこれほど重大なことを言うのにいいかげんなものを発表するわけないですよ。私の政治生命の問題ですよ。もしこれほど大きな問題を全然架空なものを作っているのだとしたら、政治的にだって私はここにおれないですよ。そんないいかげんなことを私が発表していると思うかね。あなたならやるかもしらぬけれども、私はそんなことはしない。冗談じゃないよ。取り消しなさい、だまっていればいい気になって――私はこれ一つだけ例をあげているんじゃないのですよ。まだあるのです。見なさい、写真がもう一つあるのですよ。別な組もあるんだ。あなた、口でいいかげんな議会答弁でごまかそうといったって承知しませんよ。調べて下さい。調べないですか。調べないなら調べなくてもいいけれども、新聞に出ていますよ。お調べになるのですか、どうなんですか、大臣。
○小坂国務大臣 あまり興奮していろいろおっしゃるもので、(岡田(春)委員「あなたが変なことを言うからだ」と呼ぶ)私は、政府の調査を御要求なさいます場合には、どういうところでこういうことがあったと言われるから、それはどうなんであるか、こういうふうに聞くのが政府としては当然だと思うのです。そこで伺いましたが、お気にさわる点があれば、これは私は取り消してもよろしゅうございます。
○岡田(春)委員 それではそれは取り消されて、お調べ下さい。お互いにけんかをする必要もないんだから、おとなしくやりましょう。お調べになりますね。
○小坂国務大臣 ただ私が申し上げたいことは、これは日本としては非常に迷惑なことですね。従って、どこから出たかわからないそういうものが出ていると、それはこういうところから出ているがほんとうかどうかと、これは聞いてみるのが私どもとしては普通の常識なのでございます。従って、そう伺ったのですが、そういうことがわからないままに調べてみろとおっしゃれば、私どもとしてできるだけのことはいたします。
○岡田(春)委員 必要があったら教えると言ってますよ。あなたが取り消すと言ったのに、また変な口実をつけているから、私もまた言わなければならないのです。そういうことは、あまりめめしくつまらないことを言わないで、調べるなら調べると言いなさいよ。それ以外にもう一つあります。もう一つは――私なぜこういう問題をわあわあ言って取り上げるかというと、南ベトナムに今テーラー大将が行って、あそこでまた戦争の危険性があるのです。その危険性があるときに、一本の基地が戦争に協力するような結果になるのです。しかも立川の基地だけではなくて、羽田からもどんどん行なわれている実例があるのです。だから先ほどから私は言っている。あなたのおっしゃるように、われわれとしても、日本の基地を使われるというのは、戦争に巻き込まれるから迷惑なことですよ。そういうことのないために私は伺っているのです。
 もう一つ例をあげます。これは南ベトナムの空軍に属するC47ダコタ機、これが七月二日の午前一時に北べトナムのニンビンというところで撃墜されている。このニンビンという場所は、例の十七度線の南と北のいわゆる軍事警戒線になっているところから四百キロ北の方に入ったところにニンビンというところがあります。このニンビンで撃墜されたのだが、この飛行機の中を調べてみたら、中に入っている軍事装備のほとんどは日本製品である。落下傘、兵器一切、そうでないアメリカのものも一つか二つ三つくらいはあったかもしれません。それは知りませんけれども、大半は日本のものである。これについても台湾の軍人が乗組員で操縦をし、十人の南ベトナムのゲリラ部隊が乗っておった。これが撃墜されたために――これも日本を基地として、先ほど言っているように南ベトナムの空軍機が羽田へ来ているということに関連をして、日本から軍事輸送が行なわれた。こういう品物を使って入っている証拠が明白になってきている。これは撃墜された飛行機です。この中には手帳が全部ありますし、これはベトナムの乗っておった者、この中で二人だけ助かったそうです。これは台湾人です。こういう事実も上がっております。これもぜひお調べ願いたいのですが、これらの事実を総括した場合において、先ほどから言っているように、軍用民間機という名目で、民間機の名前で羽田へ入って、軍用の標識もつけないで、嘉手納とか、クラークフィールド基地に軍事輸送が行なわれて、その品物を使って南ベトナムが北ベトナムに飛行機によって侵犯をして、戦争という緊張状態を作りつつある一つの事例です。今まで私がいろいろ取り上げて参りました幾つかの問題というものは、南ベトナムにおいて緊張の状態が今後において起こるであろうといわれておるこのときに、日本の基地が使われるだけではなくて、羽田という民間航空路の空港まで使われる。こういうことで軍事援助が進められているという実例を明らかにして、政府に対して注意を喚起したいと思うのであります。政府だってまさかどんどんこれをやりますなんて言えるわけはないのだから、政府は、こういう事実もありますので一つこれは十分お調べを願いたいと思います。
○小坂国務大臣 そういう話はよく調べてみましょう。ただこのベトナムの問題は、御承知のように九月に入ってからでも、九月一日に特別の正規軍が二個大隊、千名ばかりでございますが、プオク・タン州に侵入して破壊力の大きい新兵器――これはどこ製ですかつまびらかにしませんが、これを利用して北軍に反撃を加えておる。あるいは九月十八日にも衝突がございましたし、その前の七月から八月二十日までをとってみましても、これは新聞にも出ておったことでありますが、新聞に発表された交戦件数だけでも大小合わせて百四十件に及んでいるわけです。これは非常に憂慮すべき事態でありまして、私ども近い場所にこういう事態が起きることははなはだ困ったことであって、何かこれを平和的に終息する方法を考えなければいかぬ、こう思っておることをつけ加えさしていただきます。
○岡田(春)委員 あなたが今言われたことの出所はどこですか。
○小坂国務大臣 これは新聞に出ております。
○岡田(春)委員 ああ新聞情報ですか。
○小坂国務大臣 そうでございます。新聞に出ていたことだけを申し上げたのです。
○岡田(春)委員 あなたは新聞情報だけしかもとにしないわけですね。それ以外に新聞情報なら幾らでもありますよ。私は新聞情報だからといって信用しないなどとは言っていませんけれども、新聞情報しかあなたには出所がないのですかということを言いたかったんです。そんなことはいいですわ。そんなことはいいけれども、一つあなたお調べ下さい。きょうはあなた方の方で答弁を留保されたものがたくさんあります。たとえばICAO三十五条の関係。それから先ほどお話の軍用民間機の、やはり先ほどから中川さんやその他アメリカ局長なんかで交渉している問題ですね。その他調べると言われた幾つかの問題がありますので、この点は留保しておきます。この次の委員会で御答弁を願いまして、それに基づいてまた質問を続行したいと思いますので、私の質問はきょうはこれで一応留保して終わりにいたしておきます。
○森下委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 北方領土につきまして自民党が統一見解を出したようでございますが、この領土の問題は非常に重大な問題でございまして、十分時間をかけなければならない問題だと思います。ただ私がこの前質問をいたしましたことで、ちょっと矛盾をしているような点が見えましたので、その点だけをきょうははっきりさせておいていただきたいと思います。
 この領土の問題というのは、何しろ日本の国民にとっては非常に重大な問題でございますから、具体的な、そしてまた実現できる解決をしなければならないと思っております。そういう面で社会党が党首会談を申し出ましたけれども、それに対して自民党の方はこれを断わったということが新聞に報道されているわけでございます。むしろ私はこういう問題は、与党なりあるいは政府の方から党首会談をやって、国民の問題として解決すべきではないかというふうに、積極的に出てきてしかるべきではないかと思いますけれども、社会党の方でその問題を取り上げて党首会談開催を要求したのに対して、これを断わってきたというその理由は一体どこにあるか、その点を伺いたいのです。それでもしもそれが党の方であるということならば、政府の方はどうお考えになるか。しかも与党は外務大臣の出ていらっしゃる自民党でございますから、政府と与党とが意見が違うということは私はあり得ないと思いますが、今の自民党の政府はそういうことがあり得るのかどうか、こういうことも伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 党の見解並びにその態度についての御質問でございますが、私ども今、党から政府へ派遣されておりますので、党の見解は党の方へ、両党の間でいろいろ具体化いたしましたらおただし願えれば大へんけっこうだと思います。
○戸叶委員 そうしますと、外務大臣としては党の方から派遣されておるわけでございますが、そうすると党の方で決定したことに対しては、それをお守りになるのか。それともそれは党で勝手になさいということでけ飛ばしておしまいになるのか。
○小坂国務大臣 私も党員でありますから党議には従います。
○戸叶委員 それでは今度の党首会談の問題は、外務大臣としては話し合いをしてほしくない、こういうようにお考えでございますか。
○小坂国務大臣 その問題は、まだよく話し合っておりません。
○戸叶委員 もうすでにその会談の申し込みがあって、そうして自民党の方では断わると言っておるわけです。それを話し合っておらないというのは、党から派遣されておる大臣としては少し怠慢ではないかと思いますけれども、御存じないのでしょうか。それともそれは大阪自身としては党首会談には反対だという御意見でございますか、この点をはっきりしておいていただきたいと思います。
○小坂国務大臣 自民党の方でも、おそらくこの時点でお話し合いをすることはあまり利益かない、こういうふうに判断されたのじゃないかと思いますが、これは私がそう想像するだけでございます。党がそう御決定になったのはそれだけの理由があると思いますし、私も党員でありますから、その御決定に従う、こういうふうに考えております。
○戸叶委員 党はそういうふうに決定したけれども、外務大臣としてはそういうことは望ましくないとお考えですか。やはり領土問題というものは国民的な利害のある大きな問題ですから、やはりまとまるものならば党首で話し合ってまとめていったらいいと思いますけれども、そういうことに対して、外務大臣としては喜ばしくないというふうなお考えでしょうか。党からきめられたから自分は反対だという態度でしょうか。この点をはっきりしていただきたい。
○小坂国務大臣 党首会談のごときものは両党にそれぞれの考え方があるので、その両党の考え方が、との時点で話し合ってもあまり利益がない、こういう判断だろうと思います。それは本質的に党首会談は絶対にやってはいけないという御決定ではないように思います。私はそれ以上のことは今の時点では何とも申し上げかねます。
○戸叶委員 それでは次の問題に移りたいと思いますけれども、池田総理大臣は予算委員会で、今度の領土の問題に対して、政府としては南千島まで返還を要求するというふうにおっしゃって、わが党の河野さんの質問に対して、社会党は千島全体を要求するのかというふうな言葉をもってきめつけられて私はびっくりしたのです。日本の国の総理大臣ともあろう者がそういうことを言っていいのかというふうなことを考えたのですが、ともかくそういうことで予算委員会は終わっております。私はそのときの速記をきょううっかりして持ってきませんでしたので、はっきりとその速記通りの言葉で覚えておりませんが、今申し上げたような答弁をされまして、私たちが、それは条件はありますけれども、千島に対して今後話し合いを持っていこうとする態度に対して、何かそんなことはできるものかというふうな調子で答弁をなさったので、私はその場に居合わせまして、あんなことを言っていいのかということを感じたわけです。そこで今度の自民党の統一見解というものを拝見いたしますと、北千島、樺太にも要求権があるというようなことを言っておるわけでございますが、政府、自民党の外交政策というものに何か具体性、実現性がなければそういうことはおっしゃらないと思いますが、どういう根拠に基づいてこれを発表されたかを伺っておきたいと思います。
○小坂国務大臣 予算委員会におきます質疑応答は私も聞いておりましたが、速記録を持っておるわけではないですから、一字一句正確ではないと思いますが、あのときの御質問では、千島の中に国後、択捉が入っておるから、国後、択捉を固有の領土であるということはどうなのだろうかという御質疑がございまして、総理は、そうじゃないのだ、国後、択捉は固有の領土であると言われた。こういう点だと思います。そこで自民党の統一見解でございますが、あれは非常に法理論的な立場に立って述べられておると思います。すなわち私どもはサンフランシスコの講和条約においてクーリル・アイランドというものを放棄したわけであります。ところが、その中には国後、択捉というのは含まれておらぬのだ、これは政府も言っておる通りであります。なおクーリル・アイランドというのは放棄した、放棄をしたけれども、これは関係国の国際会議でその帰属をきめるということになっておる、従って、その帰属は未決定である。従って、将来関係国が会議をする場合に日本も関係国によって呼ばれることがあるかもしれない、またあるであろう。その場合には、これはカイロ宣言その他に言うところのいわゆる暴力によって奪取し、あるいは食欲によってとったものではない、こういう意味において要求ができるのだ、こういうことだろうと思います。
○戸叶委員 今おっしゃったクーリル・アイランドとか、あるいは南千島、北千島の御議論とかは、私も政府がどういうお考えを持っておるかということをよく知っております。またそのことを今ここで繰り返そうとは思っておりません。ただ私か非常に疑問に思いますのは、今千島の問題に対して関係国が国際会議をするというような場合に北千島の問題に触れるということでございましたけれども、関係国が国際会議をするというような場合は、どういうふうな形で想定をされておるかを私は伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 これは将来のことに属するので、私は今自分の意見を述べるのはどうかと思います。ただ一番いい形はソ連も入って、日本も入って、そして権限ある関係国が全部――サンフランシスコで調印した関係国ですね、それから日本もその降伏者として調印している、その意味で関係国であります。ソ連も現在占有している、その法的な根拠があるないは別にして、そこにおるのでありますから、そういう意味で関係国、こういう関係国全部が寄って会議をすればこれは一番いい形であろうと思います。こういうことは重光さんも答弁しておられるようでありますが、政府はこういう形は将来において理論上考えられる形である、こういうふうに思っております。
○戸叶委員 私どもが千島全体を今後話し合いに持っていこうとするような意見に対して、政府の方はこれまでの答弁としては国後、択捉はとるけれども、サンフランシスコ講和条約で千島は放棄したのだという、そういうことを念頭においてこれまでの議論をされていたように私は考えております。ところが今回自民党が統一見解を出されたのを見ますと、今私が質問しましたように、千島にも樺太にも要求権があるのだということを強く打ち出しているわけです。そこへ今外務大臣の御答弁を伺っておりますと、そういうこともあろうと思うということです。そうなって参りますと、今までの政府の答弁は少なくともサンフランシスコ平和条約というものを認めて、そして千島を放棄したという立場に立っていらっしゃる。私はこの間、この領土問題すなわち千島の問題もそうであるし、沖繩、小笠原の問題もいろいろあるし、あのときは敗戦国という立場からあの条約が結ばれていて非常に卑屈なる態度が領土の問題なんかにはあったのだから、こういうものを関係国に話して改正するような努力をしたらどうかと申し上げましたところ、それに対して、そんなことは一度きめた条約ではできないのだ、こういって私はきめつけられたことを覚えております。今国連憲章さえも改正しようというときに、そういうふうな意見を持たれてはどうかということにさえも外務大臣がそんなことはあり得ない、こういうふうにおっしゃっておきながら、今度自民党が統一見解として出した発表を見ましたときに、国際会議で千島、樺太を要求するということになると、どうしてもサンフランシスコ条約に触れなければならないということになるのじゃないかと思いますけれども、サンフランシスコ条約に触れないでどういう形で一体この問題を解決できるのか、この点をもう一度お伺いしたいと思います。
○小坂国務大臣 これはサンフランシスコ条約そのままを言っておるのであります。変えなければできないということじゃない。さっき私が御説明しましたように、われわれが権制、権原を放棄した南樺太と千島、これは国後、択捉が入っていないものだとわれわれは了解しておりますが、これについてその帰属を関係国で将来きめるというととは、サンフランシスコ条約そのものにあるわけなんです。その場合にはわれわれとしてはさっき言ったような趣旨から、食欲によってもあるいは暴力によってもこれらを奪取したものじゃないのだということを歴史的な事実をあげて要求する権利を持つということであって、党の御決定は今まで政府の言っておることとは少しも違わないのであります。はっきりしております。
○戸叶委員 はっきり放棄したというのは、幾らソ連がそこにいなかったといいましても、放棄したという事実は認めざるを得ないと思う。それをどうやって今後、もしも考えられるとするならば日本のものにするかということは、これからの会議によるべきだと思うのです。自民党もそういう含みで私はここに国際会議でということを出していると思うのです。だから、その国際会議というものはどういう形でどういうものを考えて開こうとされているか。それからサンフランシスコ条約というものに全然触れずにそういうことができるかどうか、この点を私はもう一度念のために聞きたいと思います。
○小坂国務大臣 先ほど言ったようなことを繰り返しますことですが、サンフランシスコ条約そのものにそういうことが書いてあるわけですね。(「書いてないよ」と呼ぶ者あり)権利、権原を放棄したけれども、この帰属については関係国で寄って話をするということになっているわけです。その場合にそういうことをする、こういうことになっております。書いてあるというのは、それから読めるのでありまして、代表の演説その他でもってそういうふうに了解しているわけです。われわれは権利、権原を放棄している。放棄して、そのあとどうするかということを考えるのは常識であります。その場合はその関係国が寄るということになります。
○戸叶委員 私は、外務大臣のそういうごまかされるような答弁には納得できません。講和条約の第二条の(C)項にははっきり樺太の一部及びこれに近接する……。初めから読む必要はないと思いますから私は省略いたしますけれども、ここにすべての権利、権原、請求権を放棄するということが書いてあって、そうしてそのあとで国際会議において関係国でもってとか、そういうことは何も書いてないわけです。それを勝手にそういう解釈をされるというのはどうかと思うのです。自民党の方たちがこれを出されたのも、おそらくこの講和条約の中には南方の領土の問題もあるし、またいろいろな問題があるから、改定の方向に領土の問題を含めて持っていくべきではないかということを考えてされたことだと私は考えるのですけれども、小坂さんも一度そういうことはできないというふうに大みえを切ってしまった以上、そういう答弁をされるのか、それともあのとき全権として吉田さんが行かれたので吉田さんに対する気がねから、そういう態度をとっておられるのか。政府と自民党の意見の不一致というものは、国民がだんだんよく研究をすればするほど納得のいかない問題だと思うのです。従って、そういう点をはっきりさせておいていただきたいと思います。
○小坂国務大臣 きわめてはっきりしておると思いますが、われわれが放棄した、放棄したものはどこがきめるかといえば関係国が寄って相談することがきまっている。放棄しっぱなしで……(「どこにきまっている」と呼ぶ者あり)あなたは字に書いてなければといいますれども、放棄したものは放棄しっぱなしじゃないのです。放棄したものはどこかに帰属するわけです。そこで放棄したということである以上は、どこに帰属するかを関係国が寄って相談するのは、当然の常識なんです。そこでそういう自民党の決定になったわけです。それがあるからといって、少しも講和条約を直せという自民党の考えではないということは明瞭だと思います。
○戸叶委員 そうしますと、今の構想として持っていらっしゃることは、どういうふうな形で国際会議を開こうとされるか、その点が一点と、それからそれでは、サンフランシスコ講和条約には全然触れずにそういうことができるというふうにお考えになっているのかどうか、この点をもう一度確かめてみたいと思います。
○小坂国務大臣 さっきから言うことでおわかりだと思いますが、講和条約でわれわれ放棄しているのですから、その放棄した行く先をどうしてきめるかという問題、従って、講和条約そのものからこういう問題が発するのだと思います。しかしながら、それを具体的に、そういう会議をいつ開くとか、どういう方法で開くかという問題については、やはり国際間の諸情勢というものを十分にらみ合わせながらそういうものを考えなければいかぬ、こういうことであります。
○戸叶委員 社会党で具体的に、千島に対しての要求も、私たちはその間に条件さえ整えばするのだということをはっきり出したのに対して、政府の方ではそんなことはあり得ないと今まで言っておりながらこういうふうな発表をされる以上は、私は何らかの考えなり具体的な方策があって出されたと思います。そういうものがなくて、ただ北千島にも要求権があるのだ、帰属は国際会議だ、しかし国際会議はどういうものだかまだよくわからないのだ。これでは私はあまりに責任を回避し過ぎる態度だと思います。重大な領土の問題、重大な平和条約の問題、国際会議の問題に対して、ただ言いっぱなしで済ませるということであってはならないのであって、もしも日本の国の将来ということを考えるならば、政権をとっている政府与党の言うことなのですから、幾ら派遣されている外務大臣としても、そのくらいのことは、はっきりとした信念なり態度なり考え方を持っていなければならないと思うのです。それをただ、今のような、別に国際会議をどうというわけじゃない、いつどういうふうにするということも別に考えていない、そういうふうな態度でこういう発表をしてもいいものかどうかということを、私は国民の一人としてほんとうに嘆かなければならないと思います。一体どういうふうなことを考えていられるのか、もう一度はっきりさしていただきたいと思います。
○小坂国務大臣 私が幾らはっきり言っても、初めからわかろうとなさらないなら何回も同じことを繰り返すことになります。われわれの言っているのは、あくまでもちっとも違わないのです。党も政府もちっとも違わない。いわゆる歯舞、色丹は北海道の一部である。それから国後、択捉は日本固有の領土である。それから先のウルップから北の十八島嶼並びに南樺太は講和条約でわれわれは放棄している。しかしながらその放棄した先の帰属はきまっていない。そのきまる際には、われわれとしてはわれわれの考えを述べることは当然できることだということであって、少しも矛盾もなし、まことに具体的であり、しかも法理論的にも正しく、現在の国際情勢下にも合うことだと思う。われわれ政府としてみれば、講和条約というものを一度結べば、領土の更改は確定するのですよ。ですから歯舞、色丹だけで領土を画定してしまえば、あとまたいろいろな条件を出せば返してくれるだろうというような、そういう期待ではなかなかこの問題は解決しません、こういうふうに考えているわけです
○森下委員長 松本七郎君から関連質問の通告がありますからこれを許します。
○松本(七)委員 大臣、今度の問題はいろいろ問題はたくさんあると思うのですが、一つだけ伺っておきたいのは、桑港条約調印国から見た場合、あの条約によって一切の権利、権原及び請求権まで放棄しているのですね。それで今度はっきりと北千島まで要求できるのだ、こういう線を党の方針として出したということになりますと、これはやはり一体請求権を放棄したままでこれを要求するということはどのような方法でやれるのだろうかということは、調印国としては当然疑いを持つだろうと思う。もう一度端的に言えば、条約を改定して請求権を確保した上でこの要求をするのだろうか、あるいは何らかこの条約をそのままにしながら要求する方法があるのだろうか。これは私は連合諸国としても非常に疑惑を生むと思う。日本国民も非常に不安を感ずると思う。やはり端的ないわゆる失地回復の要求としてだんだん出てくるのじゃないか。従って、これは平和条約の改定にいかなければできないのではなかろうか。そうすると、自民党並びに今後の自民党の政府は、いつかは平和条約の改定まで乗り出すつもりだろうか、こういういろいろな問題をやはり含んでおると思う。ですから、ここのところははっきり、そういう方針を打ち出された以上は、その要求をどのような形、方法でやるかということの、ある程度具体的な構想というものを並行して打ち出していただく必要が私はあると思う。もしこれなしに、とにかく大方針だけ出すのだ――こういうことは今まで言われたことはないのですからね。やはり新しい方針として出てきているのですから、かりに今までの方針、心がまえとは矛盾しなかったとしても、実際はこれは私は大きな変更だと思いますけれども、矛盾しないと、今の大臣のお言葉通り受け取ったとしても、さて連合国なりあるいは調印国、それから日本国民はやはりその通りには受け取れない。今後についていろいろな不安を生む問題です。ですから、その点についてのお考えがある程度固まった上であれは発表されたものか、まだ全然その点までは具体化されておらないのか、そこだけはこの機会に伺っておきたい。
○小坂国務大臣 これは党で御決定になったことで、私がそれを全部責任を負ってここで申し上げることは不適当だと思いますけれども、私の考えは先ほど申し上げた通り、これは党の考えとも一致しておると私は考えております。
 それからお話のように平和条約を、あれは負けた際の条約だから今度変えるのだという運動は、私は好ましくないと思っております。これは先般申し上げた通りであります。しかしながら条約をそのままの形で、すなおに読んでも、帰属決定の会議というのは、これはいつの日にかあるわけです。条約そのものから読み取れるわけです。従って、その際には、日本としてももう一度日本の立場から言うてみる、これはいいことだと思います。しかしそれについては、いろいろの国際情勢もございますし、今ああ言ったからすぐに具体的なステップをとれ、こういうことになりますと、これはやはり世界情勢その他と勘案して考えていかなければならない問題だと思います。
○松本(七)委員 それは、条約から国際会議が開かれるということが読み取れると言われるけれども、それは日本政府あるいは小坂外相はそう読んでいるけれども、調印国はそう読んでおらない。ですから、とにかく要求するという線を出された以上、請求権を放棄したこの条項をそのままにして要求されるつもりかどうか、その点を伺っておきたい。国際会議を開くという要求もあるいはされるでしょう。
○小坂国務大臣 これも私どもはよく研究してみないと、卒然とここでお答えできません。今申し上げたようにこれは党の決定であって、私がすべてを代表してお答えするのは不適当だと思います。
○戸叶委員 今の御答弁を伺っておりますと、よく検討するとおっしゃったのですけれども、党と外務大臣、しかも与党の党できめられたことを外務大臣がこれから検討するなんということは、国民は納得しないと思うのです。やはりこういうふうに出した以上は――私どもも千島の問題は何とかして、条件はあるにしても日本の領土にしていきたいという考えを持っております。従って、政府がそういうふうにおっしゃるのでしたら、やはりこの場合に党首会談なり何なり持っていくということと、もう一つは国際会議でということが出ているのですから、やはり外務大臣としては具体的なものを持って、こうだからこうだということを国民に納得させなければ、あまりにも無責任外交ということを言わざるを得ないと思うのです。そんなことでごまかされるようでは、私はどうしても納得できません。はっきりさしていただきたい。
○小坂国務大臣 どうもそういうふうに、政府の言うことはすべて徹底的に間違っているという前提でお話しになると、これは党首会談を開いてもなかなかうまくいかぬだろうと思います。要するに私が言っておることをよく聞いていただけば、まことによくわかると思うのであります。何回も同じことを繰り返すことになるが、あなたの方も同じことばかり言われるからこっちも繰り返すことになるのです。要するに、講和条約で放棄しているものです。まだその帰属は未決定といわざるを得ないですね。その帰属をどうするかということについてきめるわけです。きめます場合にわれわれとしてはその成り立ちや由来を述べて、あのカイロ宣言とかあるいはその前の大西洋憲章とか、あるいはポツダム宣言の趣旨にもこの千島、樺太の放棄はそのままぴったり当たるものでございません、こういうことを言うことはいいことであります。それに反対なさるのでございますか。そうでないでしょう。
○戸叶委員 外務大臣、ごまかされてはいけないと思う。さっき松本委員がじゅんじゅんとして説かれた通りだと思うのです。日本の国は請求権を放棄しちゃって、そのあとで国際会議で帰属を決定するのだという読み方をしたと言っても、それは納得できないのです。だからここで国際会議できめるのだということを打ち出された以上は、何かの構想があっておやりになるだろうから、その点を聞きたいということと、一体講和条約というものと全然関係なくてそれができるのだという、その理論的な根拠なり法的な根拠があったらそれを示してもらいたいということをさっきから言っているのであって、ほかの答弁でごまかざれようとするところに問題があるのです。ですから今言いました二点だけをはっきりして下さればけっこうです。もし今外務大臣がそういう国際会議のことは今何も考えていませんならいませんでいいですし、それから桑港条約にも全然触れずに、そういうことができるのだ、こういうことを言い切れるのでしたら、あとでまた質問をすることにして、納得はいたしませんけれども、はっきりした御答弁だけを伺っておきたいと思います。
○小坂国務大臣 国際会議の具体的な日取りその他についてはこれは今のところ考えておられないだろうと思います。党もおそらくそういう意味だろうと思います。(戸叶委員「子供みたいなことを言わないで下さい。」と呼ぶ)しかし、そうおっしゃいますけれども、それじゃいわゆるクーリル・アイランズ、千島と南樺太、それについて話し合うということは子供みたいなことだとおっしゃるのですか。あなたの方はこれを返せとおっしゃるのでしょう。あなたの方も困るだろうから、この程度でやめますけれども、話し合いをなさるというお気持なら、政府としての考え方というのは、もっとすらっと読んでいただかないと、どうもそういうふうに食ってかかられても、私も答えのしようがないと思います。
○森下委員長 帆足計君より質疑の通告がありますので、これを許します。
○帆足委員 私は、ただいまの外務大臣の御答弁を伺ってまことに遺憾だと思っております。一体自民党の首脳部の方は、中国の言葉で、健亡症の人があり、家を移してその妻を忘れるというのがありまするが、それともう一つ心理学的には記憶喪失症というのがありまして、かつては忘れていたけれども、ときどき間歇温泉のように思い出して、そして何か論理の合わないことを言い出す。この二つの病気の混合した症状ではないかと私は思っておりますが、今のようなとぼけた話で、とにかくわれわれは千島の定義は多少問題があるとしましても、権利、権原及び請求権を放棄した、そういう状況のもとに一体この島かどこに帰属するかということについて、それでは連合国側でどうしているかといいますと、たとえばインドはどう思っているか、また英国はこれについてどういう声明をしたか、またアメリカがどういう声明をしたか、これを一体外務大臣はお調べでございますか。私は、連合国は、日本という国は少し健症忘ではあるまいか、間歇温泉のようにときどき、すでに放棄したものについて、若干の疑義ある点をただすならとにかくとして、全面にわたっていろいろなことを言うとするならば、これは論理学をわきまえない国民ではあるまいかと言われることを、日本の国際的信用のために非常に心配するものでございます。従いまして、今日のような、先ほど松本君のようなああいう論理整然たる質問が出ることは当然でありまして、外務大臣は当然少なくとも納得いく答えをせねばならぬ義務がありますけれども、たとえばアメリカ、イギリス、インド、フランス等がこれについて今までどういう声明をしたかということをお調べになって言われておるのかどうか、承りたいと思います。
○小坂国務大臣 私は平素から非常に帆足先生の記憶力、該博なる知識については敬意を表しております。しかしながら日本のことわざにも、弘法にも筆の誤りとか、上手の手から水が漏れるなどという言葉もございまして、今のお話は私どもとしては受け取れないのでございます。すなわち、インドは講和条約の調印国ではございませんので、これはちょっと御失念かと心得る次第でございます。なお私どもとしましては、アメリカやイギリスやフランスその他の意見は聞いておりますけれども、ここでいろいろ申し上げることもいかがかと思いますが、これは要するにわれわれとしては、われわれの希望を一方に持ちつつ、しかも国際情勢の流れにさおさしつつ、しかも世界平和とか、あるいは日本自体の利益とか、そういうことを考えながら、この問題を要求は要求として持ちつつ、いかにしたら賢明にこの要求を満たすことができるかということを、それこそ党派を越えて、みんなで研究していくべき問題であろうかと心得ております。
○帆足委員 ただいまの外務大臣の言われることは、まことに矛盾していると思うのですが、たとえばインドはサンフランシスコ条約に調印しなかったことは、外務委員の一人として知らない方はないと思う。しかし千島と沖縄の問題について、これは不合理な点があって、日本の自主的検討を十分経たものでないから、自分は良心的にこれに賛成できないといって、サンフランシスコ条約と別個に日本と講和条約を結んだことは御承知の通りです。そういうインドの善意の忠告があったときにも、当時の保守政党の責任者の諸君は、これに対して何らの措置をすることなくして、サンフランシスコ条約をきめて、国際条約が既定事実となっておる。その後、鳩山さんがとにかくとりあえず国交の回復をソ連としようと言ったときに、植原悦二郎氏は――保守党における私どもの最も尊敬している合理的頭脳の一人ですが、植原悦二郎氏は外務委員会で次のように言っております。私は与党の方にもこれは冷静に聞いていただきたいと思う。皆さんの先輩の植原悦二郎氏はそのときの外務委員会で、千島列島のことは残念ながらすでにサンフランシスコ条約の際に解決済みであります。しかも当時国後、択捉はこれに含むことが言明されて、吉田首相もその後これを取り消しておりません。すでに千島列島の帰属に関する限りは問題の処理が国際条約の上で済んでしまっているというきびしい事実を国民の前におおい隠してはなりません。無知と誤まった判断に基づく国民感情だけの論拠では危険であります。すでに決定した国際条約については、事実は事実としてこれを認めて、しかる後外交手段によっていかにこれを打開するかを誠実に探求すべきものであります。こう言っているのです。私は、とにかく保守政党の立場でありましても、こういう立場からこの問題を論議されるならば、それは世界の信用を失墜するものであるまいと思います。そこで、今インドのことは申し上げましたが、イギリスやアメリカまたはフランス、連合国の中のリーダーシップをとっておる国々が、この問題についてどう考えておるか、どう声明したかということを外務大臣はお調べになって、十分な資料のもとに、政府と与党とこの問題の意見の交換をなさったことかどうか、私はその証拠をあげますから、それについて外務大臣のお答えをお願いしたい。
○小坂国務大臣 法眼局長から御答弁いたします。
○法眼政府委員 桑港条約は御承知のように、日本はあの地域に対する権利、権原、請求権を放棄しておるわけです。しかし放棄しても、その終局的運命は規定してないのであります。これは事柄の性質上、いつの白か関係国が寄って終局的にきめるということは当然だろうと思います。今問題になっていることは、その際に日本は、桑港平和条約のときには、これは確定案を示されてイエスかノーかしかなかった。そこで日本が再び出家的希望といいますか、固有の領土というものを含めて、あの地域に関することをもう一回考えてくれということは決して不自然でなくて、そのことは日本が一方的に条約を改定するとかしないとかいうことではない、こういうふうにわれわれは解釈しておるわけで、そういうことは私は旧連合国の一般の考えであろうと思っております。
○帆足委員 これは政府委員、また事務当局の御答弁にはちょっと無理なことだろうと思います。従いまして、これは外務大臣の御答弁なさるべきことでありますが、千島の定義につきまして若干の問題がある。とにかくそれが善悪は別として、国際法上、それならばそれはまだ私は検討し得ることでありますけれども、国際条約で済んでしまったことは済んでしまったこととして、またその後のことは国際緊張の緩和と結びつけて合理的に取り扱わねばならぬ。国を愛しない者は一人もありませんけれども、ただでき合いで盲目的であっては因るのであって、やはり理性的であり論理的に国を愛することを私は知らねばならぬと思います。だとするならば、この問題について英国やフランスがどう考えておるか、アメリカは今特殊な立場におることも御承知の通りでありますが、その場合ですらアメリカもどう考えておるかというくらいのことは十分に御調査の上のことならばとにかく、それも調査せずにこういうことを言われるならば、私はアジア諸国に対して国際法に対する日本の信頼を失なうことをおそれます。現にダレスは当時九月何日でしたか、声明を発しまして、歯舞、色丹について日本側の発言がありましたのに対してこう言っております。千島列島という名称に歯舞、色丹を含むかどうかについて疑問を生じたことは事実である。しかし合衆国の見解としてはこれを含まないと思う。この点については紛争が起こったときには第二十二条によって国際司法裁判所に付議することができるであろう。当時、こういうような答弁をなされておるのでございます。私は当時はそれの善悪は別として、とにかく日本政府はこのことに深く触れず、そうして千島を放棄し、その請求権すら放擲しておりながら、今度与党が決定したような方法において主張するとすれば、これは外交の先輩のただいま朗読した植原悦二郎氏の論理から考えましても、私は、聡明なる自民党の中の外交のベテランの中には、この問題に対しては日本の信用上異議をいわれる政治家も多かろうと思います。従いまして、私は、この健忘症と記憶喪失症との混淆的病的状況であって、こいねがわくば日本の国際信義上サンフランシスコ条約においてきまったことは一応きまったこととして、自後の善後策をどうするかということについて社会党は党首会談を開き、また幹部会談も開きたい、こういうようなことであったことを思い合わせて、それに対してむげに保守党が避けられる。そうしてただいまのような、突如として小湧谷が爆発したような、前と接続詞がつかないような意見を出されることは政府のために、とにかく今は自民党が多数派で日本をあずかっているわけですから、国民はますます憂慮にたえない次第でございます。こいねがわくば、国際問題の解決については世界の諸国民の論理と理性による支持を受けなければ、世界の世論の支持の上に立ってでなければ、いかに私どもの民族的要求といえども実現は困難でありますから、その論理を無視しないで解決する手段を発見するような方向に努力していただかなければならない。今日の外務大臣の御答弁は、今までの御答弁の中で一番まずかった。一つ次の委員会までに勉強し直して、国民がもっと安心するような方針でやっていただきたい。また羽田の空港の問題につきましても、ああいう事実があるとするならば、やは岡田君からいいところを指摘してもらった、そういう手落ちがあったならば一つ直そうという、保守なら保守で明朗な態度でわれわれに接していただきたい。それが日本国民の望んでおるところと思うのでございます。
○小坂国務大臣 帆足君の御質疑の中に国後、択捉については若干の疑義があるというので、大体このことは千島の中に含まれて日本固有の領土でないかのごとき御発言がありましたけれども、これは一つ帆足君において十分御考慮を願いたいと思います。
 なお、アメリカの解釈ですが、それは一九五七年にも、またその次の年にもはっきりと国後、択捉は千島に含まれておらないと言っておることは御承知の通りだと思います。
 なお、国際司法裁判所には、北海道上空における米機の撃墜事件に関連して、この問題を提訴しておりますが、ソ連が応訴しないものですから、そのまま未確定になっておる。こういう事実も帆足君は御承知だと思いますが、それを御承知なければ十分御研究願いたいと思います。
○森下委員長 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時五分散会