第039回国会 外務委員会 第13号
昭和三十六年十二月四日(月曜日)
    午前十時二十八分開議
 出席委員
   委員長 森下 國雄君
   理事 北澤 直吉君 理事 床次 徳二君
   理事 野田 武夫君 理事 福田 篤泰君
   理事 岡田 春夫君 理事 戸叶 里子君
      愛知 揆一君    宇都宮徳馬君
      椎熊 三郎君    正示啓次郎君
      竹山祐太郎君    堀内 一雄君
      稻村 隆一君    黒田 壽男君
      帆足  計君    穗積 七郎君
      森島 守人君    川上 貫一君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 小坂善太郎君
        運 輸 大 臣 斎藤  昇君
 委員外の出席者
        防衛庁参事官
        (防衛局長)  海原  治君
        防衛庁参事官
        (教育局長)  小幡 久男君
        外務事務官
        (アジア局長) 伊関佑二郎君
        外務事務官
        (アメリカ局
        長)      安藤 吉光君
        外務事務官
        (欧亜局長)  法眼 晋作君
        外務事務官
        (条約局長)  中川  融君
        外務事務官
        (国際連合局長
        事務代理)   高橋  覚君
        外務事務官
        (経済局経済協
        力部長)    甲斐文比古君
        外務事務官
        (情報文化局
        長)      曾野  明君
        運輸事務官
        (航空局長)  今井 栄文君
        運 輸 技 官
        (東京国際空港
        長)      岩田 勝雄君
        専  門  員 佐藤 敏人君
    ―――――――――――――
十二月四日
 委員田中正巳君辞任につき、その補欠として宇
 都宮徳馬君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員宇都宮徳馬君辞任につき、その補欠として
 田中正巳君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
○森下委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを順次許します。福田篤泰君。
○福田(篤)委員 私は今度の総理の東南アジア訪問並びに外相の東南アジアの歴訪につきまして、私の感じている点、また解明いたしたい諸点につきまして率直にお尋ねいたしたいと思います。時間の都合上、私も努めて観念論あるいは抽象論を避けまして、具体的な問題を提示いたしたいと思いますので、御答弁も抽象的なことはなるべく省いて、具体的に明快にお願い申し上げたいと思います。
 第一に、今度の東南アジア歴訪につきまして、日本の各新聞その他の論調につきましても、いろいろその努力を多とされる点が認められるのでありますが、外務大臣として一言にしていえば、どういうところに今度の歴訪の成果があったかという積極的な面につきまして御説明いただきたいと思います。
○小坂国務大臣 お答えを申し上げます。今度の東南アジアの歴訪につきましては、ただいまお言葉がございましたように、割合に成果は上がったと考えております。しからばどういう点であるかということでありまするが、列国の首脳者に会いまして、率直にひざを交えてわれわれの考え方を述べたり先方の考え方も聞いたりということで、日本が戦後著しい経済の復興をしたそのやり方について、経済の仕組み、あるいは日本国民の持っておる各種の技術的な高い水準、あるいは経済の行ないというようなものについての認識が、東南アジアの各国の首脳部の中に深くしみ込んだ。そのことが今後わが国にとってこれらの国との間の関係に、非常に大きなよい影響をもたらすという点であろうと思います。
○福田(篤)委員 今御答弁の趣旨は、私どももその通りだと思います。どうかそういう成果を今後の外交の上に十分生かしていただくように切望いたします。
 総理が歴訪を終わられたあとで記者会見をされ、またその他の談話の発表の中に、私どもの注意を引いた一つの点は、今度の歴訪について、自分は、日本として、アジアの一員という立場を非常に強く感じた、この一言であります。御承知の通り、日本は、地域的に、もちろんアジアの有力な一国として今後も繁栄しなければならぬわけでありますが、この総理の一言は、いわば具体的にどういうことを意味するのか。基本的には、日本の池田外交の基本が、従来の通り自由国家の一員ということが基本の線であると思うのであります。この点について、自由国家の一員であるという問題と、アジアの一員としての地位も有力になったという表現、この関連は、一体どこに解釈を求められる問題であるか、具体的に御説明いただきたいと思います。
○小坂国務大臣 わが国がアジアの一国であるということは、これはもう先験的なものでございまして、われわれアジア人であるということは、もう当然のことでございます。従って、われわれがアジアの国としてのわれわれの行き方を考えるというごとは当然でございますが、また一方、日本を繁栄させるために、わが国民の福祉を招来するためには、どういう政治、経済の仕組みがいいかということで、われわれ自由経済の体制をとる自由陣営に属しているわけでございます。すなわち、貿易に依存しておるという立場からして、こういうことが出てくるのは経済的な行き方でありますし、また、われわれの考え方として自由をとる、自由な政治、経済の体制のもとに行くことが、今の国民の働きをますます強め、日本の政治、経済における発展に資するということから、そういう態度をとっておるのでありますが、東南アジアに総理が旅行されまして、各国の歴訪した国の首脳者が日本に大きく期待をしている。日本の政治上の基盤なり、また経済力を日本が大きく持っておる。このことに強く期待していることからいたしまして、われわれアジアの国として、これらの国と手を携えて、われわれも繁栄し、またこれらの国をも大いに繁栄させるということが、われわれの国として持っておる大きな使命であるということを痛感されたことであろう、かように考える次第でございます。
○福田(篤)委員 今のお答えによりますと、基本線は、あくまで世界的な規模で、自由国家の一員という役割を果たしておる。しかし、同時にアジアの一国であるから、アジア的な性格を認識して、その役割も勤める、こういうふうに拝聴できたのでありますが、アジア自体がきわめて複雑な、多角的な性格を持っておることは御承知の通りであります。政治的に見ましても反共、中立、容共、この三つの体制がある。また経済の基盤もきわめて複雑でありまして、後ほど御質問する欧州の共同体の内容とはまるで違います。そうなると、アジアの一員としての地位をこれから認識する、強く打ち出すと申しましても、アジアの国がいろいろ複雑な、立場が違う国であります。そうなりますと、そこに使い分けと申しますか、日本の臨機応変と申しますか、非常に弾力のある政策というものが必要になってくる。これについて、現在一部では、これと反する太平洋の共同経済体という議論もありますし、アメリカ、カナダ、日本、豪州を含めたものが、むしろ経済発展の自然の形じゃないかという議論もありますし、またマラヤのラーマン首相が強く提唱し、着々実を結んでいるマレーシア連邦の思想というのもあります。いわば、こういう考え方と、今あなたのおっしゃったアジアの一員としての役割を果たす関連はどこに求めらるべきか、これを具体的に御説明いただきたいと思います。
○小坂国務大臣 アジアの国がそれぞれ経済発展の段階を異にし、あるいは宗教等においてもいろいろ違う面もあるということは、御承知の通りでございます。このアジアの諸国に対しまして、日本がアジアの一国として、どういう態度をもって臨んでいったらいいかということについては、お話のように、弾力的にそれぞれの国に対するそれぞれの態度をもって親密につき合っていくということが必要であろうかと思います。
 ただ、世界的な規模で見ますると、ヨーロッパ共同体に見られますような、コンモン・マーケットがさらに拡大していくというような趨勢に対しまして、アジアにも共同体を作ったらよいではないかという議論もあることは、御承知の通りでございます。しかしながら、ただ共同体を作れと申しましても、今申し上げたような、福田さんよく御承知のような、経済の発展段階の異なる国において、いきなりそういうものを作るということは、これは無理なことでございます。従って、そういうものを作る基盤をも醸成していく。ヨーロッパの共同体に見ましても、非常な長年月を要しておるのでございますし、われわれはそういう方向に向かってそういうものができる可能性というものを研究するということは、これは当然すべきものだと思います。しかし、ただ、そのことだけで、何かアジアだけまとまっていけばいいじゃないかというようなモンロー主義的な思想というものは、私は現在の段階においては、これをとることはなかなかむずかしい、こういうふうに考えております。お話の中にございましたマレーシア連邦、これなどはシンガポールとマラヤとの間の経済的な結びつきを両面で相補って考えていかないとできない。そこに北ボルネオ等を加えていくというような構想は、これはそこの地域における経済の必然から生まれてきておるものと考えます。従って、われわれは、それぞれのアジアの新興の意気に燃える諸国が、多くの問題を解決せんと要望しておる。また、多くの欲求を持っておる。その欲求を、われわれはいかにしてこれを満たす立場がとれるかということを、それぞれの国について深く考えて努力していく。そうしてわれわれとしては、アジア人として、西欧の人と交わるよりは、アジアの国の日本として、アジア人と交わる方が、ものの考え方その他において非常に近親性があるわけでありますから、これは深く交わり得る素養を持っておるわけであります。従って、われわれとしては、アジアの国の信頼をかち得て、そうしてアジアの国とともに、世界全体に対する日本としての立場を高揚していく、高めていくということが必要であろうと思います。また、それがあることが、アジアの国の日本として、アジアの国の信頼を得る日本として世界の各国に対するということが、日本の地位を高めるゆえんである、かように考えておる次第でございまして、そういう意味から、アジアの国の日本、しこうして自由陣営の中の日本という問題の調和点を見出していきたいと考えております。
○福田(篤)委員 今のアジアの共同体、主としてこれは経済的内容を持った市場共同の問題に触れて参りますが、これは後ほどもう少しこまかくお尋ねしたいと思います。
 今度の歴訪について、私どもが国民の一人として何か期待も持ち、また要望する声も強かった点は、せっかく総理大臣や外務大臣が行かれるのでありますから、東南アジアの首脳部と世界平和の問題についてじっくり話し合う。これは何といっても、アジアの経済繁栄の基礎は平和の確保でありますから、世界平和の問題について、どの程度まで各国首脳と話し合いをされたか、見通しについてどういうことがあったか。特に昨日のカルカッタの外電によりますと、カルカッタにおける民衆大会で、ネール氏が言っていることは、最近の緊迫した中共とインドとの国境紛争、これは場合によっては世界戦争に発展するかもしれないと非常にショッキングな表現を用いておるわけであります。そうなりますと、ネール自身もこの世界平和、アジアの平和についても具体的に一つの脅威とされておる点があるとわれわれは考えなければならない。ネール氏のみならず、各国首脳部との間で、世界の平和、アジアの平和維持について、具体的にどこまでの意見交換をされましたか、こういう点について伺いたい。
○小坂国務大臣 今度の旅行の一つの大きな成果は、今お話にもありましたように、各国の首脳との間で、ひざをつき合わせてよく話をしたということでございまして、その一つの議題として、当然一番大きな問題として平和の問題があると思います。私ども、日本という国が、心から平和を愛し、またこれを要望し、またその態勢に進みつつある国であるという認識は、各国の首脳において、日本に対して十分持たれたであろうということを確信をいたしております。
 と同時に、東南アジア全体の一つの傾向といたしまして、共産主義の持つ膨張政策に対する大きな脅威があろうというふうに思うのであります。私の立場として、いろいろな話をこうだとすることはできません。全般論として、何とか膨張主義というものをやめてもらいたい、こういう気持は強いという感じがいたします。しからば、いかにして世界の平和を、一方において膨張主義をとる共産主義に対して保っていくか。あるいは中立論といい、あるいは共同防衛論というものがあるわけでございます。これらをすべて実効性のあるものにしていかなければならない。そのためには各国それぞれの立場もございます。地理的な環境もございます。従って、その国がその環境において最善と思う平和への道をとっておるわけでございますが、それが、全体からすると必ずしも適当でないという場合もあろうかと思います。われわれとしては、内政干渉にわたるような、そうしたことはむろんできないわけでございますが、われわれの考え方も十分各国首脳に話し、各国首脳の考え方もこちらで聞き、相携えて世界の平和、またアジアの平和というものをいかにして獲得するかということは、今後に残された大きな問題として、今後も引き続いて、それぞれのルートを通してこの問題を解決していかなければならぬ、何としても平和を確保しなければならぬ、かような気持でおる次第でございます。
○福田(篤)委員 今の御答弁によると、アジアの平和、世界の平和、ひいてはその及ぼす問題として、中共の膨張政策、侵略政策というような点のお話があったわけですが、私はそれだけじゃないと思う。なるほどアジアにおける反共ないし中立の立場をとっておる国からいえば、中共の今とっておる膨張改築は、確かに一つの脅威であります。しかしそれ以外に、一部伝えられておるところによりますと、核実験の禁止の問題についても、ネール氏とはっきり意見が合致したようでございますし、現在の平和維持に大きな役割を務めておる国連に対するいろいろな意見交換もあったように聞いておりますが、中共の膨張政策につきましては、一体具体的にどういう内容を持って、その膨張政策が脅威となっておるか、重圧となっておるか。圧力という言葉を用いられておるようでありますが、それを具体的に御説明を願いたいと思うと同時に、中共のいわゆる脅威以外に、今言った世界平和の確保に必要な共通問題について、どこまで具体的に話し合われたか、この二点について具体的にお答え願いたい。
○小坂国務大臣 世界平和を考える場合、まずもって国連というものが中心にならなければならぬということで、国連中心、国連強化ということについての話し合いを各地でなされたようであります。さらにまた、核実験の問題、これは日本が常に先頭に立って、われわれとして世界唯一の被爆国であるし、これをもって最後の被爆国としなければならぬという気持から、核実験の停止、また核そのものの廃棄ということについて努力をしている点については、各国も高くこれを評価しておるという印象を持った次第でございます。これらの点については、今回の訪問を通じてさらに国連にこのことが打ち返され、国連において、いわゆるAA諸国の平和への要望、核実験の禁止の建前、あるいは国連の強化策というものについて大きく今後影響があることと考えております。
 なお、いわゆる中共の膨張主義といいますか、国境紛争の問題等につきましては、私、総理からその後詳しく伺っておりませんので、ここで申し上げることは差し控えたいと存じまするが、ビルマあたりでは、国境確定の問題は非常にうまくいっており、中共は、その点については非常に好意的であるということを申しておりました。しかし私も、全般的に、膨張政策というものは、世界平和を乱す一番根本の問題でございますから、何とかそういう気持を各国がとらぬようにすることが必要であろうと考えておる次第でございます。
○福田(篤)委員 中共のいわば膨張政策について、今御答弁がありましたような点は、特に武力の問題でありますが、私のお尋ねしたい重点は、今後の日本のアジアの市場開拓あるいは発展について大きな影響のある中共の経済主義、政治価格によるいわばダンピングと申しますか、そういう点についてお尋ねしたわけでありますが、資料を具体的に御説明願いたいと思います。
○甲斐説明員 中共は経済的に東南アジア諸国に進出しようとしている。その意図は、ただいま福田先生の御指摘のように、実は政治的に日本を駆逐しようという政治的意図から出ている。御承知のように、中共自身非常に経済的な困難があるにかかわらず、無理をしてこれらの諸国に対して進出をしているということでございます。貿易の面では、着々と中共の東南アジアに対する貿易額というものはふえつつあるわけでございますが、これはまたある場合には一進一退している。しかしながら無理をして、この中共は、東南アジア各国に対していわゆる経済援助をやっております。すでにビルマ、カンボジア、セイロン、インドネシアに対して二億ドル以上の援助を約束いたしておりますが、実際には四千四百万ドルくらいしか使っておりません。あとはまだから約束になっているわけであります。そうしてこれらの援助によって、具体的に申し上げますと、主として紡績工場であるとか、あるいは合板、製紙、セメント、製材、こういう工場を作っております。なお、カンボジアなどに対しましては、そのほか、学校であるとか、放送局あるいは築港など、いわゆるインフラ・ストラクチャーと私ども申しております社会施設、基礎的な、直接工場で生産を上げるより、もっと基礎の段階になる方面での援助もやっております。
 以上お答え申し上げます。
○福田(篤)委員 この間の池田・ネール会談で、広範ないろいろな問題を取り上げましたが、その中でやはり私どもが注意を引きました一つの点は、ネール氏の中立論の問題であります。彼の中立主義、中立論というものは、やはりアジアの今後の平和維持について私どもが研究しなければならぬ大きな問題ではないかと思うのでありますが、これについてどの程度まで総理とお話しなされたか、ないし、中共に対するインドの考え方というものについてどこまで突っ込んでお互いに意見交換をしたか、この点についてお答え願いたいと思います。
○小坂国務大臣 実は、その点について総理から非常に詳しくまだ話を聞いておりませんので、これはいずれ他の適当な機会に申し上げたいと思います。
○福田(篤)委員 次は経済的に見た、今問題になっておるアジアの共同市場の問題であります。御承知の通り、先ほど来お話しの通り、アジア自体が欧州共同体の構成の内容と違って、非工業国と申しますか、農業国を主体としておる。またいろいろな意味で、共通の基盤、宗教、言語、先ほどお話のあった通り、非常に複雑な内容を持っているわけでありますが、にもかかわらず、今の世界各国の経済共同体という共通の動きに対しまして、アジアも安閑としてその大きな流れの外におることはできない情勢にあることも、御承知の通りであります。そこで、今度もいろいろその点について総理もお考えになり、また各国とも具体的に相当突っ込んでお話しになったと承っておるのでありますが、こういう場合に、OAECの、この間東京におりましたウ・ニェン事務局長が、正式に日本政府に対しまして今後の東南アジアの経済協力、それから貿易量の増大について日本側に協力を求めたということも報ぜられておりますが、このOAECの関係、それからエカフェの関係、さらに政府がいろいろやろうとしていながらまだ何ら実効を示していない対外経済協力基金の問題、それからまた一部インドの点につきましても、相当具体的に触れたといわれておる民間投資の問題、こういう諸点につきまして、まずアジアの共同市場というものと、こういう各動き、いろいろな組織、これらの関連について、具体的に日本は一体どういう形で、どういう組織で、どれくらいの資金でこれに当たろうとするのか、その方向と内容につきましてまずお尋ねいたしたいと思います。
○小坂国務大臣 お話しの通り、アジアの諸国の一つのまとまった動きを、何かの形でくみとってみようじゃないかというようなことは、私どもも考えておりまして、ウ・ニェン氏の行っておりますエカフェの方で、わが方の経済企画庁の大来君が先般参りました際にも、そうしたことについていろいろ話をいたしました。幸い安芸君が先任の局長をいたしております関係もございまして、日本の知恵を大いに借りたいという機運が非常に高まってきております。そこで直ちに具体的な何か資金計画とかそういうようなものができるかというと、まだそこまではいっておりませんので、まずもって各国の経済の動態に関する報告書をまとめてみたらどうか、かような点が話に上っておるようでございます。その点からまず始めてはどうだろうというようなことを、私どもも一つの構想としていい構想のように考えております。全体の経済の実態に関する調査なくしては、これは何も計画はできないわけでございますから、まずそのことから始めたらいいじゃないか、 こういうふうに思っておる次第でございます。
 ただ、私このたびコロンボ・プランの閣僚会議に参りまして非常に感じたことでございますが、何といっても一次産品に依存している国が多いわけでございます。ところがマラヤにおいて行なわれました関係もございまして、ゴム、すずの価格というものについては、非常にマラヤの政府が多大の関心を示しております。ちょうど行っておりましたチェスター・ボールズアメリカ代表に対しましても、強く一次産品価格についての要望がございました。しかし、その他の国においては、米の問題があることは御承知の通りでありまして、わが国も、米を輸入する力というものはだんだんなくなってきておる。わが国の国内における米の需給関係というものは非常に改善されまして、むしろ米は将来においては若干でも輸出ができるのではないかというふうな状態になってきております今日、ビルマとかあるいはタイとか、そういう国に対するところの今まで米を買っておったわが国の貿易関係というものは、非常に変わってくるわけでございます。そこでわれわれとしては、これらの国に対してわれわれが必要とする一次産品、すなわちメーズであるとか、そういうようなものに作付転換をしてもらうとかいうようなことも、問題になってくるわけでございます。
 それから一方マラヤにおきましては、これは御承知のように鉄が出るわけでございますが、鉄の粉鉱を処理してスポンジ・アイアンにして日本に持ってきて、日本から延べ棒にして向こうへ出して建築材にするというような話で、合弁などもできて調印もされておるようなわけでございますが、そういうような国の一次産品を、先方に工場を作ってこれを一次製品にしていくというようなことも考えて参らなければならぬと思います。
 お話しのよりに、全体の計画からいたしてみますると、まだ何もできておりませんけれども、個々の、現実に先方が必要とする問題についての欲求に応ずるという形は、日本でも各種のものはぼつぼつやっておるわけでございます。中小企業のセンターあるいは農業の技術センターというようなものも着々と設置いたしておりまして、ことに農業で見ますると、小規模の土地を耕作するための機械、これは日本の機械が最も好評でございます。こういう面に多くの期待を集めておることは、喜ばしいことだと私たちは考えております。ただそれを、たとえば今の製鉄所を、今度は粉鉱の処理だけでなくて、製鉄所を作ってくれというような話もございます。しかしそういうものを作れば、全体の需要関係というものとそういうものの供給施設を作る場合の見合いをもっと研究してみなきゃならぬという問題も出て参りまして、まだ、アジア全体の問題については、ようやくそういうことを考える緒についたというくらいのものではないかと思っております。それは大いにお互いで努力をいたしまして、こういう関係をもっと調査して進めていかなきゃならぬと思います。
 ただ、先ほどちょっと触れましたが、コロンボ会議に出て私が感じましたことは、日本も非常に大きく期待されておるのでありますが、いかにも日本の寄与が少ないという感じでございます。今までの例を申し上げてみますと、昭和二十九年から三十五年度まで、技術援助で見ますと、ドルに換算いたしまして日本は二百九十万ドル出しております。三十五年に九十万ドル出しておるわけでございます。資本援助といたしましては、三十五年六月現在までで二千百万ドルというものを日本は拠出いたしておるのでございますが、アメリカにおいては一九五一年から六〇会計年度までに七十三億七千八百万ドル出しておる。五九会計年度だけ見ましても、資本援助が十四億九千七百万ドル、技術援助が四千万ドル、合計して十五億三千八百万ドルというものを出しております。イギリスにおきましても一九五一年から六〇年まで資本援助が四億五千八百万ドル、技術援助が千六百万ドル、一九五九年から六〇年までとってみますると、資本援助が一億二千四百万ドル、技術援助が三千四百万ドルということになっております。豪州、カナダ等をとってみましても、豪州では資本援助、技術援助足しまして一九五一年から六〇年まで七千七百万ドル、昨年度一年をとってみましても資本援助七百万ドル、技術援助二百九十万ドルということで、カナダのような遠いところにおきましても、今まで一九五〇年から六〇年までに、資本援助、技術援助含めまして二億七千五百万ドル、昨年度の資本援助、技術援助をとってみますと五千九百万ドル、そういうふうで、いわゆるドウナーズ・カントリーズといわれる国が、こういう遠いところにあるにもかかわらず、資本力も違いましょうけれども、相当な出資をしている。日本は、東南アジアの国でありながら、戦後の非常な痛手もございます関係もありますけれども、これに比較してコロンボ・プランの寄与が非常に少ないということを痛感するのであります。これでいろいろと訓練を受けてきた学生たちが、コロンボ会議が行なわれました機会に感謝の会を開いている。どうもどこへ行ってみても日本へ留学してきた人は非常に少なくて、この点じゃもっとこういうところをわれわれは努力して、具体的なこういう人と人とのつながりというような面でも、まだまだ東南アジア諸国に対してわれわれの努力すべき分野は大きく残されておるんじゃなかろうかというような感じがいたした次第であります。
○福田(篤)委員 今の御答弁でもわかりますように、口ではアジアの繁栄とかあるいはまた共同市場の構想とか言いましても、今まで日本の果たしてきた役割については、これはきわめて小さい。熱意が一体どこにあるのか、私どもは疑わざるを得ない。幸い今度の歴訪を機会として、もっと具体的に、もっと意欲的に、アジアの重要なメンバーとして具体的な計画を進められることを、深く希望する次第であります。
 次に、これはきょうの毎日新聞の社説を拝見して私は非常に示唆のある案だと思うのですが、この共同市場論につきまして、社説の伝えるところは、アジアの地域が、スターリング、それからドル、フラン、そういう通貨の点だけ見ても多種多様じゃないか、とりあえずこの通貨の決済機関的な機構をまず検討して、これを話し合いするだけでも一歩前進ではないかという案が示されておる。私も非常におもしろい案だと思うのでありまして、今までお述べになったいろいろな点もしごくごもっともでありますが、すぐ当面し、また解決しなければならぬこういう通貨決済という方針についても話し合いをし、解決しようというお考えがあるかどうか、もう一ぺん伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 私も、今お話の点は非常に示唆に富んだ考え方だと思いまして、十分検討さしていただきたいと思います。
○福田(篤)委員 これはまた今度の、これも新聞その他伝えられておるところによりまして、私ども非常に不可解に思い、またこのまま置いておいては国家的にも大へんなことになると思う点を一つ御質問して、政府の真意、決意をお伺いしたい。それは先般箱根会議で日米間で経済協力というムードが打ち出されました。しごくけっこうなことだと私ども喜んでおったのでありますが、その直後においてアメリカのとりました対日経済政策は大きな矛盾とあやまちを犯しておる。一つは輸出綿製品賦課金の問題であります。いろいろアメリカの国内的な事情もわからぬわけではありませんが、せっかく世界的にも誇示された日米経済協力というムードの中で、こういう不当なことを、まあ私ども常識では考えられないような時期において、方法において、来春の五月あたり実施しようという空気があるそうです。私ども常識で考えましても、アメリカにとってカナダに次ぐ日本は大事なお得意さまでありまして、日本にとっては逆ざやと申しましょうか、逆超になっている。毎年日本は五億ないし八億の輸入超過であります。アメリカにとりましては日本の市場は大へんな大事なお得意さま、しかも箱根会談でお互いに協力していこうというやさきに、アメリカの全体の経済の規模から言っても大した致命的な問題にならないと思われるこういう綿製品の輸出に対する賦課金を課そうというような考え方は、私はもってのほかであると思います。簡単に言えば、片手で握手して片手で顔をさかなでするようなやり方でありまして、私どもは友邦であるだけに、アメリカの友人としてのあやまちをこの際徹底的に正す必要があると思います。
 これに次ぎましてもう一つ奇怪なことは、キハダマグロの禁止問題です。これも伝えられるところによりますと、マグロの国際協定があることは御承知の通りでありますが、この国際条約の構成国はアメリカ、コスタリカ、エクアドル、パナマ、この国で国際条約を前から結んでおることは御承知の通りであります。これらの国に対しまして、アメリカが今度提案しようとする案は、これらの協定国以外の国が、定められた海域、東太平洋でありますが、西経百三十度から八十度の間、ここでとったキハダマグロについてはアメリカの輸入を禁止しようじゃないか。実際はこれは日本を対象としている。しかも三十五年度の実績を見ますと、キハダマグロを日本が対米輸出した金額は一千七百万ドル、マグロの輸出は日本の経済に重要な寄与をしておる大事な品物でありますが、その半分に近いマグロが、今度かりにこのアメリカの提案が成功し、そして輸出が禁止された場合には大打撃を受けます。こうなると日本の繊維業界あるいは水産界にとりまして、一体箱根会談で言ったのはうそだったのじゃないか、口先だけじゃないか。私は、友人であるだけに、こういうアメリカのはだの荒いと申しますか、外国の国民感情を無視する従来の荒っぽい外交について、厳粛なる反省を求める必要があろうと思います。アメリカ人というのは、御存じの通りこちらがほんとうの決意と信念を持って説得するならば、率直に聞く国民であります。従来ともすれば泣き寝入りをして、横車を押されるというようなことがあれば私はゆゆしい問題であろうと思いますので、この際政府ははっきりした態度で、強い決意で、そういう間違いは正す、絶対そういうばかばかしいことはやらせないということをアメリカに認識させる必要があろうと思うのです。この点について明快で具体的な決意をお伺いいたしたいと思います。
○小坂国務大臣 繊維の賦課金の問題といい、キハダマグロの問題といい、まことに私ども遺憾千万に考えております。お話のごとく、私ども箱根において双方の閣僚が六人ずつも出て、何のためにああいう話し合いをやったか、これは日米関係というものは非常に重要であるから、ことに経済関係において日米が深く理解し合って手を結んでいくということを考えて、そのために私どもは日米の貿易経済会議をやったわけでございます。ところが一部の産業保護を目的とするいわゆるロビーストを申しますか、そういう運動のために、今お話しのように、ほんとうにアメリカの全体の貿易からいえばごく一部分であるその問題のために大局を失う、日本国民の感情を大きくそこねるようなそういう問題について、もしアメリカの政府が理解し得ないとするならば、まことに残念なことと言わなければならないのであります。私どもは直ちに在米の朝海大使を通じてこのことを強く抗議いたしたのであります。またこちらでもいろいろと外交機関を通じて厳重な反省を促したい。あくまでもこの問題については、われわれが主張するところを強く主張いたし幸して、アメリカ側の反省を促したいと思っております。
○福田(篤)委員 この綿製品の賦課金については、さすがのアメリカ自身も驚いているようでありまして、上下両院合同経済委員会のハンツバーガー氏も、そんなむちゃな話はない、当然これは日本側の国民感情を尊重するだけでなくて、もっと日本というものを大事にしなければいかぬ、せっかくの日米経済協力の線を生かさなければいかぬと正論を述べて、報告書を出しております。またライシャワー大使も警告を出しているくらいでありますから、識者はひとしくこのアメリカ政府のとらんとしている対日経済施策には強い不信と反対の態度を示しておりますので、今お話しの通り、日本政府は当然当事国でありますから、アメリカ側の反省を求めて、必ずこのあやまちをさせない――くどいようでありますが、ただ抗議するだけでは何もならないのでありまして、今までの例から見ましても、私は必ず日本政府がアメリカにそういうことをさせない、あらゆる手段に訴えて、あらゆる方法を講じてもこういうあやまちを犯させないというかたい決意を、もう一度一つはっきり言明していただきたいと思います。
○小坂国務大臣 この問題についてアメリカ側がとらんとする措置がもしとられましたならば、日本の国民感情に重大な影響があるということは、従来から申しておるわけでございます。その点についてアメリカ側にあくまで反省を求めて、その考え方を修正せしめるというふうな気持で、強くその点は考えております。
○福田(篤)委員 最後に、今度の日韓問題につきまして一言お尋ねしたいのであります。それは対日請求権その他のいろいろ複雑な問題があるようでありまして、いろいろな御苦労を推察いたしますが、ただ私ども国民の一人として懸念にたえないのは、これらの日韓交渉、国交正常化の話し合いの過程において竹島問題が取り上げられておらないということであります。これは外務省の調査月報を見ましても、この領有権をめぐりまして日本から二十四回、韓国から十八回、合計四十二回の口上書を含めたいろいろな論争が長い間繰り返された。昭和二十七年の一月以来であります。こういう長い懸案、しかもあらゆる観点から見て、島根県の一部である日本の領土が、白昼公然と韓国の軍隊によって占拠されておる。しかもこういう四十回以上にわたる交渉の内容というものが国民に知らされておらない。問題の性質によっては、もちろん外交は機密を要しますから、でき上がるまで秘密を守ることも当然考えられますが、しかし、こういうふうに国内の世論なり世界の世論というものを得なければ解決できない問題、かつて日本が国際司法裁判所の提訴を申し出て、韓国がこれを断わってだめになりましたが、こういう国際的な問題、同時に国民の支持を得なければならない問題、これについて私は、やはり交渉の内容を堂々と発表して、国民や外国の積極的な支持を得ることが解決の道であろうと思うのであります。それにつきまして残念ながら外務省は秘密外交的な線を脱していない。しかもこういう日韓交渉という大事な過程において、先般実は杉代表あるいはその他の有力な責任者の方々にも意見を申し上げておるのでありますが、どうもこの問題には触れたがらない。痛いものにはさわらぬというような消極的な態度をとられることは、きわめて不可解な話であります。この際この日韓交渉の過程において日本の主張をはっきりと通して、いわばこれを平和的に解決するお考えがあるかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
○小坂国務大臣 竹島が島根県の一部であることは明々白々、何の疑いもいれないところであります。ただ公海上に排他的な李承晩ラインなるものを引いて、この関係で竹島は先方のものであると韓国側は言うのでありますが、この主張が当を得てないことは言うまでもないのであります。しかし、すでにお話がございました四十二回に及ぶ口上書の往復を見ておる問題を今またここで交渉してみても、これはやはり同じようなことかとも思いますが、問題はこの日韓関係が改善されましたならば、平和的な方法で第三者すなわち国際司法裁判所の側において、これを公平に裁かせるということが、一般的に考えて筋道であろうと思いますから、そういう方向に私ども持って参りたい、かように思います。韓国側においても、日韓関係を改善して国交を正常化するということでありますならば、これは第三者が裁くということに異議の持ちようがなかろう、持つべき筋合いではなかろう、かように思っておるわけであります。
○福田(篤)委員 第三者、いわば国際司法裁判所的な機構にまかす、この方法は私はあえて異論は唱えませんが、私がお尋ねしたいことは、これは日韓交渉の段階においてそういう見通しをつける、話し合いをつける意図があるかどうかという点であります。
○小坂国務大臣 日韓交渉の題目、議題そのものではございませんけれども、国交正常化に伴う当然のことといたしまして、両国間に係争のあった問題についてはこういう措置を考える。すなわち国際司法裁判所においてこれを判定してもらう、こういうことに合意するということは、当然考えるべきことだと思っております。
○森下委員長 ただいまこれについて関連質問の通告がありますから許します。竹山祐太郎君。
○竹山委員 外務大臣お帰りで、お留守中のことかもしれませんけれども、ちょうどいい機会ですから、今国連における中国問題が世界の注目の的でありますが、この中国問題に対する日本政府の態度について、この際、国民によくわかるように一つ御説明いただきたいと思います。
○小坂国務大臣 お答えを申し上げます。中国代表権問題の審議にあたりましては、各加盟国が、まず、中共と国府とがそれぞれ正当性を主張して譲らない現実を直視することが必要であると考えます。そのどちらの政府が国連において中国を代表すべきかの結論を出すにあたっては、国連憲章の規定に従うことはもちろん、その結果起こり得る政治的、軍事的影響が、単にアジアのみならず全世界的規模を持つべきことを十分協議した上で、慎重に検討すべきであるというのが、政府の基本的な見解でございます。
 次に中国代表権問題について重要事項指定の決議案の提案国に私どもはなっておるわけでありますが、この理由について簡単に申し上げます。わが国は中国とはきわめて古くから密接な関係にあり、極東の平和と安全に影響を及ぼすべき中国代表権問題の帰趨に関しては、至大の利害関係を持っておるわけでございます。中国代表権問題は非常に複雑であり、これに関する各国の主張も異なっております。一日の討論におきましても、米ソ間の代表において激しくこの問題が討議されておることは、すでに御承知のことでございまして、この問題の持つあらゆる面を十分に考慮すべきことでございます。従って、総会の勧告から見ても、政治的に重要性のある数多くの問題が重要議題であるというふうに指定されております。先ごろわが国が提案いたしました放射能の影響に関する科学委員会報告、これも重要問題に指定されたような前例もあるわけでありまして、これらの観点からいたしますれば、中国の代表権問題は、まさに重要問題中の重要問題であるというふうに考えまして、私どもはこの提案国になっておる次第でございます。
○森下委員長 岡田春夫君。
○岡田(春)委員 この機会に外務大臣に二、三の問題をお伺いしたいと思いますが、きょうは項目を大きく分けまして、日韓会談の基本的な二、三の点についてお伺いをするのと、第二は、前回の外務委員会で羽田の空港に第三国の軍用機の出入り、第三国のみならず、アメリカはもちろんですが、これらの軍用機が出入りしておる。そのことに関連をいたしまして、アジアの軍事緊張の足場として日本が使われつつあるこの点を、もう少し具体的に、外務省並びに外務大臣の御意見を伺いたいと考えております。最初に、日韓会談について質問を始めたいと思いますけれども、これはいずれ通常国会で本格的な論議になると思いますから、きょうは基本点の二、三だけを御質問するにとめたいと思います。
 そこで、日韓会談の質問に入る前に私の意見をまず最初に申し上げたいと思いますが、この間の箱根会談以来、日韓会談が急速に妥結の方向に進みつつあるようにいろいろといわれておるわけであります。この点について国民の関心は、日韓会談の早期妥結というものを了解し、これを支持するという態度ではなくて、池田・朴会談、あるいは池田・ラスク会談によって、日韓会談に対する国民の疑念はむしろ深まっていると見るべきではないかと私は考える。数多くの国民の疑惑の中で特に問題になるのは、一、二拾ってみますと、たとえば朴軍事政権は、政府が言うように、はたして合法政権であるのかどうだろうか、また外務委員会その他を通じて朴軍事政権というものは暫定政権であるということは、政府自身も認めておるのでありますが、そういう暫定政権であるならば、いずれ来年あたりには朴政権もまたつぶれるのであろう、つぶれる政権を相手にしてなぜ交渉を急いでいるのであろうか、こういう点が国民の疑念の第一だと思います。
 第二の疑念は、対日請求権の金額の問題について長い間交渉が行なわれておる。新聞を通じて見ても、韓国から申し入れている金額は、初めは高く、だんだん下がって、まるで大道ヤシのバナナのたたき売りみたいに金額が下がっている。そうしてこの金額の状態を見ると、一体この対日請求権の論拠というものはどこにあるのか、論拠はなくて、前の南ベトナムの賠償のときと同じように、話し合いでつかみ金でこういう金額をきめて、われわれ国民の税金をそういう面に使っていくのではないか、こういう点が第二の疑念として出ている点である。
 第三の点は、政府は盛んに日韓交渉の妥結を急いでいる。これに対して表面上の理由はいろいろつけるであろうけれども、会談を急いでいるというのは、結局はアメリカのさしがねに基づいて日本が南朝鮮の軍事増強のために片棒をかつぐという役割を果たさせられようとしているのだ、これが日韓会談のほんとうのねらいである、こういう点が第三の疑念として出ている。
 そのほかの疑念もいろいろありますが、私がきょう取り上げて参りたいのは、この国民のぬぐい切れない三つの疑念、この点を中心にまず質問を始めたいと思います。
 そこで、一言外務大臣初め政府当局に強く注意を喚起しておきたいのでございますが、最近の政府側の外務委員会における答弁を聞いていると、まことにどうも無責任である。委員会だけうまい言葉で切り抜けるならば、そのあとはどうでもいいのだ、こういう傾向が最近非常に出ております。この間の外務委員会の理事会におきましても、最近の政府の国会軽視の傾向、国民を瞞着するかのごとき傾向、こういう最近の政府の態度については、厳重に警告を発すべきである。自民党の一部理事の人も含めて、そういう意見が台頭していることを外務大臣はお忘れにならないように一つお考え願いたい。私は、今後外務大臣初め政府委員の諸君がここで答弁されることは速記録にはっきり残るのでありますから、あとでそれは違うんだというようなごまかしのないようにはっきり御答弁を願うことを最初に注意を喚起して、質問に入りたいと思います。
 まず、第一点として私が質問いたしたいのは、朴軍事政権が合法政権であるかどうかということについては、今まで再三質問が行なわれ、これに対する答弁が行なわれております。ところが政府側のこの答弁については、実は国民は納得ができないのであります。政府は合法政権の一つの理由として、たとえば朴軍事政権が二年後になったら文民政権に移ることを誓約した、だからこれは暫定政権ではあるけれども、今日の政権としては合法政権であるかのごときことを政府は今まで答弁している。これは、この間松本七郎君の質問に対する池田総理の答弁でも、こういう点ははっきりしております。ところが、こういうことを私が言うのはあれですが、たとえば例をあげて申し上げますならば、ある男が窃盗殺人の罪を犯してから、私は二年後においては窃盗殺人はいたしませんということを誓ったと言って、さきに犯した窃盗殺人の犯罪の罪を免れることはできない。こういう点からいっても、朴軍事政権というものが合法政権であるというこの論拠を、明確にまず最初に小坂外務大臣から政府の態度をお伺いしたいと思います。
○小坂国務大臣 この点については、今まで何回も申し上げておりますように、また今あなたのお言葉の中にもありましたように、この朴政権がいわゆる軍事革命をしてできたことは、その通りでありますけれども、その掲げております政策、政綱、これはまさに民主的な政権への担当者を見つけ出すまでの間に、やることを全部やっていきたい、そういう橋渡し的な役目を十分に果たしたいということが現われておるのであります。国連を尊重する問題にしても、外交的には日韓関係の正常化の問題にしても、経済的には民生の安定、福祉、経済の振興、そういう問題を掲げている点にしても、お話のような何も強盗殺人をやろうというような、そういう意図である政権とは思われないのであります。その国の国情による腐敗、不正を一掃するという必要を非常に強く感じてできたものと心得ておるのでありますが、その政権も、二年後には文民政権に移行することをはっきり天下に公約しておるのでありますから、それはその橋渡し的な性格を持つ暫定的な政権である、こういうように考えております。そこで、それではあなたの言うように、いつまでもただほうっておけばいいのかというと、われわれは非常に近くにある韓国のことでございますから、この国との間に不自然な関係ではなしに、正常な外交関係を持つことは当然であります。国民の大多数の要望は、そのことをきわめて自然な常識としてこれを歓迎していることと考えます。
○岡田(春)委員 今外務大臣の答弁によると、暫定政権であるというお話はわかりました。それでは朴軍事政権の今日の性格というものが民主的な政権であり、そしてまた合法的な政権であるかどうか。暫定的な政権であるという現在の御答弁についてはわかりましたが、その合法性と民主性の問題についての御意見を伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 民主性とおっしゃいますと、何か選挙によれという意味かとも思いますが、選挙によって成立している政権でございませんことは仰せの通りであります。ただそれでは、わが国がたくさんつき合いを持っているほかの国が、全部選挙によって政府を構成しているかというと、そうではないのでございまして、それぞれの国の事情によるものと考えております。
○岡田(春)委員 合法性の点はどうですか。
○小坂国務大臣 合法性というのは、何に対しての合法性かというと、その国にそれぞれの法規があって、その法規に基づいてできているという意味においては、私は合法的であると思います。いわゆる国際的な私どものいう民主政権というものであるかといえば、これは二年後にそういう政権に移行するということを声明している、かようなことであります。国際的にこの政権が合法であるか、非合法であるか、こういうことをきめることは、私どもとしては、しないことにしております。
○岡田(春)委員 今の答弁を伺っていると、国内の法律に合致しておるから合法的だというのですが、国内のどの法律に合致しておりますか。憲法は朴軍事政権の手によって停止された。国会は解散させられた。一体何に合法的なのですか。
○小坂国務大臣 憲法は、一部分緊急何とか措置法というものによって置きかえられておる部面はございます。しかし憲法によるところの大統領はそのままということは御承知の通りでございます。
○岡田(春)委員 そういうことの論議をしておると時間がなくなりますから進めますが、一応小坂さんの答弁のままでいくと、合法政権であるということになると、この朴軍事政権というものが成立をした基礎になっている本年の五月のクーデターというものも合法的であったということにならなければ論理的な一貫性がないと思うのだが、それではクーデターは合法的であったのですか、どうですか。
○小坂国務大臣 クーデターはクーデターです。
○岡田(春)委員 委員長、こういう外務大臣を注意しなくちゃだめです。クーデターはクーデターとはなんですか。ばかな話だ。だから私は最初に注意を喚起したじゃないですか。自民党を含めて外務大臣の最近のあり方というものに対して、非常に批判的であるということを注意を喚起しているじゃないですか、クーデターはクーデターとは何だ。あなたはそういうふまじめな答弁をしていいのですか。私はまだ言いたいことがあるが、初めからあなたとけんかするつもりはないけれども、クーデターはクーデターというのは、もう一度答弁し直して下さい。あれは合法的であるかどうかということを私は聞いているのだから。
○小坂国務大臣 あなたの質問がおかしいから私はそういう答えをするのです。クーデターはクーデターでしょう。クーデターというものはその国の法律に照らして合法的であるかどうかということなら、そういう質問をなさればよろしい。日本から見てこれは合法であるか非合法であるかということは、外務大臣として批判できません。現にその国の政権を構成しているものについて、それは非合法なものであるということは言えぬじゃありませんか。私の言うのは、クーデターというものは、現在あるその法律を無視して、力によって政権を作るというのがクーデターでございましょう。そんなことはお聞きにならぬでもおわかりでしょう。
○岡田(春)委員 それでは合法的であるか非合法であるか。
○小坂国務大臣 ですから私の言うのは、日本の外務大臣として他国に起きたそのことが非合法であるか合法であるかというような御質問に対しては、私はそのまままともにお答えせぬ方がいい、こう思っているのです。
○岡田(春)委員 アメリカから言われたから言えないのだろう。大体君は、クーデターはクーデターだなんという答弁では外務大臣としての資格はないですよ。合法か非合法かという質問を聞いているのに、朴軍事政権については合法的であるといいながら、その根拠になったクーデターについては合法であるか非合法であるか言えない。そういうことではたして外務大臣として勤まりますか。それじゃ私はこの点はあとで聞いて参ります。ほかの点から聞きます。今度はあなたには質問しませんよ。
 国連軍と韓国軍との関係について、伊関アジア局長からお伺いをしたいと思いますが、一九五〇年の七月十五日の大田協定及び五四年の協定、これに基づいてアメリカ軍司令官である国連軍司令官は――国連軍司令官というのには私は意見があるのですが、まあ俗に国連車と言っているから国連軍司令官ということにしておきましょう。この国連軍司令官は韓国軍司令官を兼ねることになっている。そしてまた、従って全韓国軍の指揮命令は国連軍の司令官の指揮命令のもとに置かれることになっていると思いますが、この点は伊関さんどうでございますか。
○伊関説明員 韓国軍が国連軍である限りにおいて、そういうふうになっております。
○岡田(春)委員 私の伺ったのは、国連軍である限りそうだというのは、それは国連軍だからそうですよ。だけれども、韓国軍の司令官はアメリカの軍司令官が任命されているわけでしょう。これは李承晩とマッカーサーとの協定に基づいて、一九五〇年の七月十五日の大田協定によってきめられておる。それから韓国軍の指揮命令は、国連軍の司令官がすることになっている。この点も今申し上げた大田協定並びに五四年の協定によってそうなっているはずです。まず第一に、韓国軍の司令官の点について、一つお答えを願いたいと思います。
○伊関説明員 国連軍というものが構成されておりまして、それに各国の軍隊が参加しておったわけであります。その総司令官はアメリカ軍の総司令官が兼ねておるわけであります。各国の軍隊には、またそれぞれの部隊に応じまして司令官がおるわけであります。
○岡田(春)委員 ですから、私の伺っているのは、韓国軍の司令官というのはありますね。しかしその司令官の点は、李承晩大統領とマッカーサーとの協定に基づいて、韓国軍の司令官は米軍司令官が兼務することになっている。その点が、さっきから実は伺っている点なんです。
 それからもう一つは、各国の司令官はあるでしょう。しかし国連の安保理事会の決議によって、統一軍司令部の司令官というのはアメリカの軍司令官が最高位の司令官であるということになっていますね。その指揮命令には従わなければならないことになっておりますね。それはどうなんですか。
○伊関説明員 作戦指揮権は国連軍総司令官が持っておりますから、それに従うわけであります。
○岡田(春)委員 兼務の問題はどうなんですか。
○伊関説明員 兼務になっておりましたかどうか、ちょっと今記憶がございません。
○岡田(春)委員 これは兼務になっているはずです。兼務になっているから、私は問題を伺っていきたいのです。
 もう一つは、この国連軍の指揮命令に基づいてやっている場合、韓国軍は国連軍になりますか。
○伊関説明員 いわゆる国連軍を構成いたします十六カ国というのは、韓国以外でありますから、韓国軍は国連軍と協力しておるというふうに見るべきかとも思います。
○岡田(春)委員 協力ですから、従って国連軍ではないわけですね。それはそうでしょう。というのは、国連加盟国によって編成された軍隊が国連軍でありますから、韓国軍は国連軍じゃございませんですね。
○伊関説明員 その通りでございます。
○岡田(春)委員 御記憶がないようですからお調べ願いたいのですが、しかしながら、韓国軍の司令官はアメリカの司令官が兼務しておる。この関係で、指揮命令の系統はアメリカの軍司令官が兼務するという形であるのだ。そうでなければ国連軍と一体の関係として使うというわけにはいかないわけでしょう。国連軍ではないが、韓国軍との関係はどうなるかと言ったら、あなたの御説明からいうと、答弁が明快に、系統的な答弁にならないわけじゃないですか。その点はどうなんですか。
○伊関説明員 一九五〇年の大田協定の当時、同一人であったかどうか、国連軍司令官が韓国軍の最高司令官であったかどうかは、ちょっと記憶にございませんが、現在は別でありまして、作戦の際に指揮を受ける、作戦指揮下に入る、現在の司令官は別でございます。
○岡田(春)委員 それでは、韓国軍が国連軍の指揮命令以外に独自の行動をすることが許されておりますか。
○伊関説明員 理論的には考え得るのじゃないかと思いますけれども、今度の協定によりましても、作戦指揮に関する限り国連軍の司令官のもとに置く。しかし国連軍司令官は、この作戦指揮権はいわゆる北方からの脅威がある場合以外に発動しないということになっておりますから、三十八度線で北鮮軍が攻めてくるという場合以外には使わぬということになっております。実際問題としてそれ以外に戦争が起こるということは考えられません。理論的にはあり得ることかとも思います。
○岡田(春)委員 理論的にはある。観念的にはあるが、実際問題としてはない、こういうことですね。そこら辺は重要ですから……。
○伊関説明員 いわゆる大きな意味の戦争という意味では、ちょっと考えられないというふうに思っております。
○岡田(春)委員 朴正熙という男は、韓国の現役軍人ですね。それでこの朴正煕という男の行なったクーデターという軍事行為は、国連軍司令官の指揮命令に基づいて行なったのか、国連軍司令官の許可を得て行なったのか、了解黙認によって行なったのか、この関係をアジア局長から、政治的な見解ではなくて、事実関係をまず伺いたいと思います。
○伊関説明員 それは全然国連軍司令官が知らぬ間にやった行動でございまして、もちろん黙認もなければ、許されてやった、そういうものでもございません。
○岡田(春)委員 それでは国連軍の指揮命令によらないでやったとするならば、朴という人たちのやった軍隊のクーデターというものは、国連軍の軍規違反である。国連の方針に沿わない行動をやったということになりますね。
○伊関説明員 そのためにこの革命直後、国連軍と韓国軍の間にいざこざはございましたけれども、ただ革命そのものは、いわゆる作戦行動というものとは違うものじゃないかと思っております。
○岡田(春)委員 ですから指揮命令に反したということになるわけではございませんか。全然了解なしにやったのだから……。
○伊関説明員 間接的には関連もございましょうけれども、直接には国連軍司令官は、そういう面まで指揮命令権が及ばぬ。要するに戦争の際の作戦指揮権でありますから、そういう革命をやるようなことに指揮権があるかというと、それには入っておらぬというふうにも考えられるわけでございます。
○岡田(春)委員 革命のために軍隊を使うということは、国連軍の中にはそれはないでしょう。しかし軍規というものがありますね。国連軍の軍規なり、そういう指揮命令の規律がありますね。その規律に反したことは、今御答弁の通りだ、そういうことになると、朴正煕という男は国連の方針に従わなかったということですよ。先ほどから小坂外務大臣は、合法であるとかなんとか言っているが、国連の方針にも従わないのが朴正煕という男である。その後において、ラスクがこの間来て、最近になってようやくアメリカの言うことを聞くようになったからいいじゃないかというようなこともあるようだが、この点に触れていると長くなるから次に進みますけれども、ともかくも朴正照という男を初め、現役軍人のクーデターをやった人々は、かつて日本で二・二六事件をやったときと同じような将校たち、いわゆる反乱軍、あるいはこれは国連軍の規律を乱したものである、こういう者が朴正煕じゃありませんか。これについて私は意見はこれ以上は申し述べません。
 続いて伺っておきます。これは中川さんにお伺いしてもけっこうですが、一九五〇年の七月七日の安保理事会の決議に基づいて、国連軍の編成というものが行なわれた。この国連軍の編成の決議の第六項に国連軍が「統一司令部の下にとられた行動の経過について適当な報告を安全保障理事会に提出するよう要請する。」という規定が実はあるんですよ。もう一度読みますと、第六項には、統一司令部のもとにとられた行動の経過について適当な報告を安保理事会に行なわなければならないという、安保理事会に対する国連軍の義務が規定されておる。先ほど申し上げたように、本来は国連軍の指揮命令に従わなければならなかった朴正熙その他一味、この一味の行動は当然安保理事会に国連軍の司令部を通じて報告しなければならないことになっておる。この報告は安保理事会に対して行なわれているでしょうか、どうでしょうか。
○中川説明員 安保理事会において、最近韓国におきまして韓国軍がとったクーデターの行動についてアメリカ政府から報告がなされたという事実は聞いておりません。
○岡田(春)委員 それじゃアメリカが、第六項の規定について、義務を行使しておらないということになりますか。
○中川説明員 その点は、先ほどから岡田先生からいろいろ御質問になりました韓国軍のクーデターの行動が、国連軍の統一司令部のもとにおいてとられた行動であるかどうかという点に直接関係するわけでございますが、これは先ほど伊関局長も申しました通り、いわゆる米韓軍事協定と申しますか、韓国軍を国連軍のオペレーショナル・コマンドのもとに置くという協定は、文字通り作戦の場合に関することでありまして、国内においてどのような行動をとるか、あるいは暴動がありましたときに韓国軍がいろいろ援助をやる、こういう問題でありますとか、そういう国内における問題は、韓国軍は国連軍の指揮下にないわけであります。従って韓国のクーデターは国連軍の統一司令部のもとにとられた行動であるというふうには私どもは解せられないのであります。従って、アメリカないし韓国の国連に対する違反ということは言えないと思います。
○岡田(春)委員 これはいずれ本格的な論議のときに私はやりたいと思っておりますが、南朝鮮にいるアメリカの軍隊というものは、国連軍の司令官と韓国軍の司令官という二枚看板を持っている。ことを巧みに運用しつつ侵略的な意図を明らかにしているのが、アメリカ帝国主義の意図である。こういう点はあとの本格的審議のときにやります。今の点は御答弁で大体わかりましたので、次に進みます。
 池田・朴会談のあとで対日請求権の問題について一つの見通しがついた。この点について伊関局長もその直後に新聞記者会見で発表しております。この点南朝鮮の新聞では、伊関さんの談話について問題が起こっているようです。伊関さんは対日請求権についてどういう談話を発表されたのか、池田・朴会談によって一致したと言われている対日請求権の内容はどういうものか、この点を伺いたい。
○伊関説明員 私はこの池田・朴会談のあとで、対日請求権につきまして、池田・朴会談でどういうことが話されたということを新聞社に発表したことはございません。
○岡田(春)委員 発表がないけれども、ジャパン・タイムスその他に出ているということはちょっとおかしい。それはいいとして、対日請求権の内容は個人的な請求権だけに限るということにきまったと言われておりますが、その点はどうですか。
○伊関説明員 新聞はそういうふうに書いておりますけれども、実際問題といたしましては、理論的に根拠のあるものに限るというふうに話がなっておるわけであります。これは朴議長も、池田・朴会談のあとでそういうふうに新聞に発表いたしております。それに対しまして、理論的に根拠のあるものをというのは、どういうものかというふうな質問がございまして、日本側から考えれば、主として個人の請求権が理論的に根拠のあるものの大部分である、中心でなかろうかというふうなことをわれわれは申しておるわけであります。
○岡田(春)委員 主として個人的な対日請求権が中心ではなかろうか、こういうことになるわけですが、そうするとその関係だけがサンフランシスコ条約の第四条に規定する韓国の対日請求権ということになる。借款という関係で新たに話が出ているようだが、この借款はサンフランシスコ条約第四条の規定に基づく請求権とは別のものである、こういうように解釈してもよろしいですか。
○伊関説明員 借款とおっしゃいますのは、いわゆる経済協力という意味でございますれば、これは全然別のものでございます。それから、いわゆるサンフランシスコ平和条約第四条に言う請求権がそれに限られるかどうかという点になりますと、われわれが理論的にと申しますのは、理論的に考えて大体それが主になると申しますのは、そういういろいろなものを、アメリカ解釈その他を考慮に入れまして、その上でそうなるであろうということを言っておるのでありますが、韓国側が必ずしもそういうふうに考えるかどうか別でございまして、その点は今後委員会において討議するわけでございます。
○岡田(春)委員 それに関連して、やはりこれは新聞にも出ておるし、大体間違いないと思うのですが、対日請求権といわゆる借款というか経済援助というか、こういうものを含めて金額は三億五千万ドル程度にきまったということが大体内定をしたという話があるが、この点はどうですか。
○伊関説明員 どういうところにきめるかというので今苦労しておるのでございまして、全然金額はきまっておりません。
○岡田(春)委員 三億五千万ドルぐらいでしょう。朴政権は地域限定政権だと池田首相が松本委員に対して答弁をしておりますが、それならば対日請求権は、その基礎になっているのは三十八度線以南の南朝鮮の内部におけるところの対日請求権で、三十八度以北の、北の方の対日請求権は含んでおらないと解釈してよろしいですか。
○伊関説明員 平和条約第四条(b)項におきまして、日本がこの請求権を放棄いたしておりますのも三十八度線以南のものでありまして、三十八度線以北のものにつきましては、これは別と考えております。
○岡田(春)委員 その点については、今伊関さんの答弁わかりましたが、相手国いわゆる韓国との合意に達しておりますか。
○伊関説明員 まだ話はそこまで参っておりません。
○岡田(春)委員 それがはっきりしない限りは、請求権の論拠は全然出てこないわけですね。三十八度線から北、鴨緑江までを含むという場合と南だけだという場合とは、これは全然違うわけですね。地域限定政権であるという態度が明確になっているならば、この点が交渉のまず基本になるわけだと思うのですが、この点はお話し合いになっているのでございますか、どうなんです。
○伊関説明員 張勉政権時代には、先方の代表との間にそういう問題につきましても話をいたしておりますが、今回の交渉におきましては、まだそこまでの話に至っていません。これはあながち請求権に限られた問題ではございません。在日韓国人の法的地位の問題等にもからんで参ります。あるいは漁業におきましても理論的には関係がある問題でございまして、こうした点につきましてはいずれ話をしたいと思っております。
○岡田(春)委員 日本の態度としては、あくまでも三十八度線以南の対日請求権である、その他のものもありますけれども、そういう態度をあくまでも堅持される、こういうようにわれわれが解釈してもよろしゅうございますか。
○伊関説明員 原則としてそういうふうに御解釈願ってけっこうだと思います。
○岡田(春)委員 原則というのがあいまいですな。それではあとでこれはやりましょう。
 それから日韓交渉の妥結を急いでいる、この点について一般の国民は最初に申し上げたように、アメリカのさしがねである、こういうことを国民は感じている。そのさしがねであるという証拠に、たとえば十月の末にライシャワー大使が日本側に、日米箱根会談の前に杉代表を京城に送るべきだ、それは池田・ラスク会談によって、何か日韓会談が促進させられるようなことになったという印象を国民に与えてはいけないから、日本側が自発的に杉代表を送るというような形にするべきではないかという強い要請があって、杉代表を送ることになったと言われているが、この事実はどうです。
 それから第二。池田・ラスク会談において、日韓会談の早期妥結がアメリカから強く要請されたと言われるが、この事実はどうか。
○小坂国務大臣 二つとも事実はございません。杉代表を韓国側へ派遣する方がいいと考えたのは私でございまして、杉代表がなられてからまだ先方に一度も顔つなぎしてないというのじゃ、先方の代表がこちらに来ておるのでありますから、相互主義の建前からいってそれがよかろう、こう考えて派遣いたしました。
 池田・ラスク会談で何か韓国の問題を早く処理しろというようなことをアメリカが言ったなどということは全然ございません。ラスク長官と池田総理大臣とは旧知の仲でありまして、日本に来た機会にいろいろな問題を話し合おうというのは、これは当然のことでございますが、今お話しのようなことは全くないことをはっきり申し上げておきたい。
○岡田(春)委員 また小坂さんとけんかするのはいやだけれども、あなたは池田・ラスク会談のときに出てないから知らないですよ。そういう事実が出ているのですよ。お前出てなかったじゃないかとあなたは言うかもしれませんが、これは間違いないですよ。あなたは出席したいと言って申し入れたけれども、池田さんに断わられたのですよ。お前の出る幕でないと言われたのです。これははっきりしているのですよ。それであなたは朝海大使とあとで箱根の池田邸に行ったじゃないか。そのときも会えなかったじゃないですか。われわれ知っていますよ。交渉について促進の問題が出ています。ラスクから、三億五千万ドルで大体きまったようだが、これに基づいて交渉を促進すべきではないかということが、池田さんに話が出ておる。これはあなたに聞いても、いない人がわかるわけはないのだから、今度池田さんが来たときに私聞いてみようと思いますが、これについて答弁したければ答弁したっていいけれども、あなた、答弁しますか。するんならなさい。
○小坂国務大臣 私もちっともあなたとけんかしたくないので、そのつもりで聞いていただきたいと思いますが、お前は出てなかったから知らないではないかと言われますが、その後私はラスクと何回も会っております。それから出てないからわからぬという意味では、あなたも出てないからなおわからぬだろうと私は思います。それからお話の中に、日韓会談をなぜ急ぐのかということでありましたが、日韓関係をよくした方がいいということは、もうずっと前から、終戦直後からすでに五回も会談をやっておることで、御承知の通りだと思うのであります。しかし先方の態度がなかなかそこまでこなかった。最近は先方の態度があるべきところに参った。従って、会談は妥結の方向に向かってきた、当然あるべきところにだんだん向かってきたということでありまして、ことさらに何か特別のことがあって急ぐのじゃない。ことさらにそれをぶちこわそうと考えれば、なぜ急ぐのかという議論が出るかもしれませんが、そういうことでは全然ない。このことは一つ平らにお考えになって御判断を願いたいと思います。
○岡田(春)委員 日韓問題ももっとやりたいのですが、斎藤さんがだいぶ待っておられる。十二時過ぎから何か予定もあるようですから、一つ端折って、本格的な論議のときにやりたいと思います。
 最後に一つ伺っておきます。日韓会談の問題で、いろいろ理由はつけられる、今のような理由もつけられると思いますが、結局は、南朝鮮の軍事増強に日本が片棒をかつぐということなんだということが、国民の強い印象です。小坂さんはそうじゃないと言うだろうが、そうじゃないと、はっきりあなたは断言できるかどうか。断言できるなら、ここではっきり断言なさっていただきたいのですが、この点どうです。
○小坂国務大臣 日本の立場から見て、日韓関係をよくした方がいいというふうに私どもは判断して、政府与党としてはその方向に向かって、いろいろな行動をとっておるということであります。
○岡田(春)委員 しつこいようですが、もう一点だけ重ねて伺っておきますが、南朝鮮の軍事増強には全然関係がない、こういう点、はっきりあなたはおっしゃることができますか。
○小坂国務大臣 全然関係ありません。
○岡田(春)委員 それじゃまたあとで、日韓会談の本格的な論議は、国会が始まったらやりましょう。
 齋藤さんお急ぎですから話を進めて参りますが、この前の委員会で私が羽田の空港使用について二、三質問をいたしました。これに対してあなたの役所の担当官並びに監督官といいますか、監理部長その他の答弁が非常にあいまいであった。それだけではなくて、答弁のできないことがたくさんあった。こういう点で、きょうは齋藤さんにおいでをいただいて事態を明確にしておきたいと思います。その点でまず伺いますけれども、あれからもう一月半もたっておるのですからお調べになっておると思うのですが、あまり具体的な問題では齋藤さん自身も知らないというなら、航空局長ですか、それから羽田の空港長も来てもらっておりますから、その関係から答弁していただいてけっこうです。
 第一点は、ことしの春、南ベトナムとアメリカの二重国籍の軍用機が羽田に乗り入れた事実がある。これはこの前も出しましたが、航空情報の七月号にもこれは出ている。齋藤さん、この前お見えにならないからおわかりにならないかもしれませんが、これは写真も出ております。写真もあけてみてもいいと思うのですが、ちょっと今……。この軍用機の問題、これは小坂さんがお答えになりますか、それとも齋藤さんの所管ですが齋藤さんの方でお答えになりますか。
○小坂国務大臣 先般からこの問題についてお答えしようということで何度も申し上げておったのですが、あなたの方でお受け入れ願わぬので、私今からお答えいたします。
 ベトナムの軍用機は、白黒写真では識別困難なほど米国の軍用機の標識と形状が酷似しているそうであります。しかしベトナムの場合は赤、青、白、オレンジ色をもって表示されているのに対して、アメリカの場合はオレンジ色は使用されておりません。従って、航空情報七月号の当該説明は間違っておりますということが、その後調査をいたしました結果判明いたしました。
○岡田(春)委員 今の御答弁だと、アメリカと南ベトナム二重国籍の飛行機ではない。しかし南ベトナムの飛行機が羽田へ来たのだということになるのですか。これは運輸大臣の方がむしろ担当でしょうから、その点をお答えいただきたい。
○斎藤国務大臣 おっしゃる通りでございます。ベトナムの飛行機であります。
○岡田(春)委員 来ているのですね。
○斎藤国務大臣 さようでございます。
○岡田(春)委員 羽田に南ベトナムの軍用機が来ているという事実は、明らかになりました。それで、航空局長あるいは空港長もおられますので、きょうはファイルを持ってきていただくことになっているはずですから、何でもお答えいただけると思うのですが、これはいつ入っているのですか。私の方でも日にちがはっきりしないのですが、たしか四月ごろだったと思うが、羽田の空港長さん見えておるのなら、いつごろか、ファイルを調べてお答えいただきたいのです。
○今井説明員 お答えいたします。ただいま大臣が申し上げましたように、本年ベトナム空軍の輸送機が四機羽田に入っております。これは本年の四月二十四日でございます。
○岡田(春)委員 それでは局長に伺いますが、その四機の中の一機がこれであるということになりますか。
○今井説明員 おそらく、本年ベトナム空軍機は四機しか入っておりませんから、もし羽田でとった写真といたしますれば、この四機の中の一機ではないかと思います。
○岡田(春)委員 一機はこれだとすれば、あとの三機は――八月の末に入っているのが三機ありませんか。
○今井説明員 これ以外に、ベトナム空軍の軍用機は入っておりません。
○岡田(春)委員 四月に四機一ぺんに入ったという意味ですか。あと、三機入ったという事実が出ているのですよ。
○今井説明員 空港当局の調査によりますと、私どもは間違いないと思いますが、この四月二十四日に軍用機が四機入ったというケースだけでございます。それ以外に話といたしまして、ベトナムの軍用機を入れたいというふうな話はあったようでございますが、空港当局から許可が出ないままで実際は入っておりません。
○岡田(春)委員 八月の末にベトナムの軍用機三機がソ連の見本市の見学をしたいという理由で羽田へ乗り入れている。そしてその乗り入れの帰り、数日後、帰途南ベトナムの軍用機に弾薬を積みたいと申し入れを行なったが、羽田の当局はこれを拒否している、こういう事実があるのじゃありませんか。
○今井説明員 今岡田先生のおっしゃったような話があったのでございますが、その場合は飛行機が入ったのではございませんので、ただ人が来て、そういう目的で――そういう目的というか弾薬を積みたいというような話があった話はございましたが、空港当局は拒否して却下いたしました関係で、従って、飛行機そのものは全然入っておりません。
○岡田(春)委員 それじゃ私の言っているのはそう間違いじゃないので、弾薬を積み込むために来たい、その申し込みの申請はソ連の見本市を見たい、こういう申請が出たが、これを拒否した、こういうことですね。岩田さんどうですか。
○岩田説明員 お答えいたします。その件については私の方ではわかりません。
○岡田(春)委員 わからなかったら困るですな。それではだれがわかるのですか。航空局長はわかるのですか。
○岩田説明員 その件につきましてそういううわさがあったことはありますけれども、私は直接聞いておりません。
○岡田(春)委員 それじゃ岩田さんは御存じないということは、わかりました。だけれども、私は岩田さんを別にここで尋問するとかそういうことではないのです。私はそういう所管は空港長の所管でないかと思って聞いたのですけれども、あなたの方で御存じなければ、航空局長は、そういう事実があったというのなら、航空局長の方でそういう事実は事実なのですね。申請書としても出ているのでしょう。
○今井説明員 私もそういうふうな話があったというふうなことを聞いただけでございまして、岩田君が今お答えいたしました通り、空港にそういう申請がなかったとすれば、そういう事実はなかったのではないか。いずれにいたしましても、先生がおっしゃったように飛行機そのものは入っていないということだけは確かでございます。
○岡田(春)委員 先ほどはそういう話があったとおっしゃったですね。航空局長はそういう話があったとお話しになりましたね。しかし岩田君が知らないならおれも知らないなんて言われると、これは何が何やら私はわからないので、そこらははっきりしておいていただかなくちゃ……。
○今井説明員 そういう話を私もちょっと聞いたというふうな程度でございまして、正式な文書で申請も何も出ておりませんし、今岩田君が答えましたように、明確にそういうものがあったかと言われると、そういう点についてはなかったといわざるを得ないと思います。
○岡田(春)委員 それではもっと進めますが、たとえば岩田空港長がこの前御答弁の中で、アメリカ以外の航空機も確かに来ております、これは軍用機の質問をしたときにそういう御答弁があった。それからベトナムの軍用機の来たことはわかりました。それ以外の軍用機も来ているでしょう。それ以外の軍用機がどれくらい、国別にどういうように羽田に来ているか。それについて何度も御答弁をわずらわすのは恐縮ですから、少し詳細に御答弁を願いたいと思います。
○岩田説明員 お答えいたします。
 外国軍用機の羽田乗り入れにつきましては、米国以外の軍用機につきましては、昭和三十六年四月にベトナム空軍が四機、九月にインドネシア空軍が一機、十月に英国空軍が一機入っております。
○岡田(春)委員 今の御答弁以外にもあるように私は記憶しておりますが、南ベトナムとイギリスとインドネシア、それだけは入っているという御答弁でしたが、アメリカはもちろん入っているわけですね。アメリカはどれくらい入っておりますか。
○岩田説明員 米軍機につきましては、国内の移動その他全部含めまして、一月から本年十月までに百四機入っております。
○岡田(春)委員 米車機だけでも百四機羽田に入っておる、民間空港である羽田に入っておる。これは大へんなことだと思いますが、私齋藤さんにお伺いしたいのは、羽田というのは民間空港で、これは国際民間空港条約に基づくもので、それに基づいていわゆる航空法というものもある。この民間空港にアメリカの軍用機だけでも百四機、これは軍用機ですよ、これだけでも百四機も入っているということは、これは羽田は民間空港であるかどうかわからないような状態になっていると思いますが、この点はこれでよろしいんでございましょうか、齋藤さん、お答え願いたいと思います。
○斎藤国務大臣 百四機というと非常に多いようでありますが、十カ月間月十機、このくらいは羽田空港に軍用機が入っても別段そう大したことはないと思います。
○岡田(春)委員 あなたは民間空港に軍用機が一カ月に十機も入っても大したことはないとおっしゃるわけだが、それ以外に、第三国の軍用機も入っているんですね。しかもそれだけではなくて、あとで質問いたして参ります軍用民間機といわれる事実上の軍用機も入っている、これは別なんですよ。それほど入っていても、あなたは大したことはないといわれたが、この前の答弁を聞いていると、こういう軍用機、軍用民間機が入っているために羽田は係留上支障を起こした、こういうことをこの前監理部長は答弁しているんですよ。あなたの場合には支障は起きていない、入ったってかまわない、こういうことになるんですな。それならそれでけっこうですが、私はあとでいろいろ質問して参りますけれども、もし齋藤さん御答弁になるなら、どうぞ。
○斎藤国務大臣 アメリカ以外の軍用機は先ほど空港長が説明をいたした通りごくわずかであります。今日の状態では民間航空に非常に支障を来たしておるという状況ではございません。
○岡田(春)委員 まあいいです。支障を来たしてはいないとおっしゃるけれども、この前支障を来たしておると言ったんだから。
 そこで前に栃内監理部長が答弁をされたことによると、先方から来た飛行機で、民間機で軍人軍属が乗ってくることもある、そういうことを答えておられる。きょう監理部長は見えておりませんが、民間機で軍人軍属が乗ってきたこともあるので、これはどうもチャーターしたのではないかと思われた、こういうことを理由としてあげられておるわけですね。その場合に、そういう飛行機というのはアメリカの民間機をさしてこういう答弁をされたんでしょうか、お調べになってきておられると思いますが……。
○今井説明員 ただいまの御質問の軍人軍属が乗っていたんではないかというふうなこともあったかという前の栃内さんの答弁でございますが、これはMATSのチャーター機であるかどうかということの判定につきましては、軍人軍属の乗っている飛行機である。出然空港当局としてはMATSのチャーター機ではないかというふうな判断の資に申し上げたものではないかと思います。
○岡田(春)委員 それはその通りなんですよ。そういう答弁をしたのですからその通りなんですが、そこでお伺いいたしたいのです。栃内さんのこの前の答弁をひろってみると、たとえば八月だけでも六十四機ですか、羽田へ発着している、アメリカの軍用民間機といわれる民間機ですね。この六十四機も入っている民間機は、羽田としては全部民間機として扱ったわけでしょう。これは答弁は、そういうようになっておるわけですね。たとえば例をあげて、私もう一度速記録をそのまま読んでみましょう。航空局長、お聞き下さい。この前の答弁の中で非常にはっきり答弁しておるわけです。速記録にございますが、栃内監理部長は、「この飛行機が軍用であるかどうかという点は、中からの荷物なりその他でもって推定はできますが、外見上はわかりません。」外見上はわかりませんと言っている。それから私から質問して、申請書に地位協定との関係が明文上明らかになっておりますかということに対して、栃内監理部長は「明文上、明らかになっておりません。」それからまた栃内氏は、今の質問に関連してチャーターされておるということで扱ったというような意味の答弁をされたけれども、あらためてそれを取り消し、「先ほどチャーターと申しましたのは、多少私の説明が悪かったと思います。」と言ってチャーターという事実を取り消している。これは取り消すのは当然なんですね。なぜならチャーターならチャージの請求はできないのですから、今チャージの請求書を出しておるのですから。これはあくまでも民間機として扱った、こういうことになるのだと思いますが、この点は間違いございませんね。
○今井説明員 私から前の栃内管理部長の答弁を補足的に説明さしていただきたいと思います。今、先生のお話になりました通り、私どもといたしましては、出時米軍の航空機が入って参りました場合、当然それは輸送機でございますので、外見上は何ら他の飛行機と明確に区別する姿はしておらないのでございますが、これが軍のチャーター機であるかどうかという点につきましては、空港当局としては、当時できるだけの手を講じて、それがMATSのチャーター機であるかどうかということを確認する努力をいたしておったのでございます。たとえば機長にその点についての明確な意思表示を求める。それで不徹底な場合には、立川にございますMATSのチャーターを主としてやっております飛行機の会社であるフライイング・タイガーの支店等に電話で連絡をいたしまして、それがMATSのチャーター機であるかどうか確認するということをいたしておったのでございます。しかしながら着陸料の請求につきましては、これは経理担当者の立場といたしまして、将来かりに請求権があるという場合に、請求しなかったということについての責任を考えますと、一応とにかく請求はしておこうというふうなケースも相当あったわけでございます。その後、先生の御質問後におきまして、羽田におきましてこのMATSのチャーター機が明確な証票を持っておるかどうかという点についての調査を空港関係の各役所につきまして調査いたしたのでございますが、それによってはっきりいたしましたことは、やはり米軍のMATSのチャーター機は明確にそういうふうな証票を持って入ってきておるということでございます。しかもその証票も実は税関当局に出しておったということでございます。これはこの証票等につきましては外務省の方からも、御質問がございますれば詳しくお話していただけると思いますが、この証票を実は税関の方へ出しておった。この点私どもとしてはなはだ申しわけないと思っておりますが、空港管理事務当局と税関との間に、今の問題になっておりますMATSのチャーター機につきましての、証票につきましての従来の事務連絡が必ずしも十分でなかったということでございまして、従いまして、その後は十分に連絡をとって、現在はMATSのチャーター機は空港当局にも同様の証明書を出すように、米軍と現在外務省を通じて折衝をしておるというような状況でございます。従いまして、従来は税関に対してそういうものを出しておる、こういうことがはっきりいたしたのでございます。
○岡田(春)委員 その経過はわかりましたが、もう一つ伺いたいのは、運輸省当局としては、飛行機がついたときには民間機として扱ったのでしょう。岩田さん、そうじゃないですか、この前あなたはそういうふうに答弁しておられますね。その通りですと言っておるじゃありませんか。そうでしょう。
○岩田説明員 前会のときに、私はそういうふうな御答弁はいたしておりません。ただ着陸料を請求するという意味で、民間機としての取り扱いにして、着陸料を請求するという意味でなっておるというような説明だったと思います、監理部長の説明が……。
○岡田(春)委員 しかしおかしいじゃありませんか。請求書を出すときには民間機で扱って、着陸したときには軍用機として扱うのですか。これはおかしいじゃないですか。どういうわけですか。請求書には民間機で請求書を出して、扱いは軍用機として扱うということは、一体どういう論拠に基づいているのですか。
○斎藤国務大臣 チャーター機は民間機でございますから、これは民間機として扱うべきだと思います。ただ、チャーター機は地位協定によって、もしチャーター機であれば着陸料を取らないという違いがあるだけでございます。
○岡田(春)委員 よろしいのですね。空港長並びに航空局長、それでいいのですね。民間機として扱った、それでいいのですね。答弁はそういうふうに言われたのですから……。違うのですか。大臣の言ったことを今度は局長が否定するわけですか。どうも困るね。これでは実際話にならない。私は大臣が答弁したのを信じますよ。それ以外に局長がまたこれを変えるということはないでしょう。大臣は民間機として扱ったのだとおっしゃったのに、それがまた違うのですか。何か思いつきで言っているのじゃないでしょう。正式の扱いがすでに事実あったのだから、八月六十四機、その前は五十何機、九月には四十何機というふうにあったのですから、それをどういうような扱いをしたのかということを聞いているのですよ。それは齋藤さんがはっきり言われておるのです。民間機として扱ったのなら扱ったでいいじゃないですか。別に何か意見があるのですか。
○今井説明員 今大臣のおっしゃった通りでございまして、要するに説明に多少のニュアンスの違いはございますが、民間機を米軍がチャーターいたしました場合には、チャーター機として着陸料が免除されておる、こういう趣旨でございます。
○岡田(春)委員 それはわかります。だから、羽田の空港に着いたときは民間機として扱ったのだというのは、齋藤さんがさっきそう言われた。それはそれでいいでしょう。
○今井説明員 そういうことでございます。
○岡田(春)委員 いつまでもこういうことをやっていたんでは時間的にもったいない。
 そこで私は伺いたい点があるのです。これはこの前も質問しているのですが、航空局長は速記録を調べておいでになったでしょうか。私はどうもあなたの答弁を聞いておるとちょっと心もとないのですが、もし民間機として扱っているのならば、ICAOの三十五条によって軍需品を積み込んでいるかどうか、軍需品を積み込んでいるという申請がない限りは、軍需品を積み込んでいる場合にはこれは禁止されるわけです。そういう手続をおとりになったかと言ったら、これはとっておりませんと答えておるわけです。この点はどうなんですか。
○今井説明員 その通りでございまして、私どもとしては、当然そういう申請がない以上は、条約の規定通り軍需品は積んでいないということを一応信頼いたしておりますから、従って、そういったものについての個々の立ち入り検査等は実施いたしておりません。
○岡田(春)委員 あなたそれは大へんな航空法違反じゃありませんか。日本の国内法の航空法第百二十八条をごらんになっているでしょう。航空法の第八章に外国航空機というのがありますね。あなたの所管ですよ。その中の百二十八条に軍需品輸送の禁止、「軍需品を輸送してはならない。」ということを立証するために、百三十四条で航空機の中の立ち入りの権限も与えられておる。これはおやりになってないでしょう。おやりになっておるのですか。やらないでしょう。立ち入りによってこれを検査する、こういうことが運輸省当局に権限として与えられているわけですね。これをおやりになったのですか。やっていないでしょう。
○今井説明員 法律の規定はその通りでございますが、実際問題といたしましては、個々の飛行機に一々立ち入って検査するということは、飛行機の運行についても非常な影響のある問題でございますし、それから国際慣例上もそういうようなことをやっておるケースは、通常の場合にはないように私どもは聞いております。従いまして、私どもとしては、立ち入りにつきましてそういう権限を行使する場合には、よほど特殊な場合でないとやれないというふうに考えております。従って、そういうような場合には相手国を十分信頼いたした上で処理するということが、一番妥当じゃないかと思います。
○岡田(春)委員 航空局長どうなんですか。軍需品を運んでおる事実がわかっておるのに、立ち入り検査をしない。軍需品輸送が禁止になっておるのにそれも検査をしない。しかも、あなた御存じのように百四十五条に罰則規定まであるわけです。十万円以下の罰金に処するという処罰規定もあるわけでしょう。百四十五条を読んでみましょうか。おわかりだろうと思いますが、あなたの権限のことですよ。百四十五条のたしか第十七号に、百二十八条の規定に違反して、同条の軍需品を輸送したときは十万円以下の罰金ということまであるわけです。一カ月に六十四台からどんどん軍需品を運んでおるのにこれを検査しない。民間機として扱っているからその手続もなかった。そういうことになれば、これははたしてあなたの行政事務をやっておるのに、妥当な事務をおやりになっておるんでしょうか。どうなんでしょう。おかしいじゃありませんか。この点について、あなたの方はここでぬけぬけと答弁されるけれども、羽田の基地に軍用機が入って、民間機として軍需品を運んでおる、それを羽田の空港当局は、条約の上でも法律の上でも軍需品輸送の禁止条項があるにもかかわらずその検査もやらない。抜け穴だらけである。これは明らかに、日本の羽田内における主権というものは全然ないと同じじゃありませんか。法律的にはこんなものがあったって、これは完全な抜け穴じゃありませんか。齋藤さんどうですか。
○斎藤国務大臣 ただいま航空局長がお答えいたしましたように、民間機に軍需品を積んでおるというような情報その他があれば、立ち入り検査もやるべきだと思うのですが、そういう情報がないのに一々民間機に立ち入って軍需品を積んでいるかいないかということは検査していない、こういうように答弁しておるのであります。
○岡田(春)委員 齋藤さん、私はあなたの答弁に従ってやっているのですよ。あなたはMATSのチャーターの関係があるけれども、扱いは民間機である、こういうことをさっき答弁されましたね。そうしたら、チャーターをしているというのは明らかに軍用機でしょう。軍需品を運んでおるのは明らかでしょう。軍需品を運んでおるのにやらない。
○斎藤国務大臣 兵器弾薬を積んでいるというような情報があれば、立ち入ってそういうようなことがないようにいたします。
○岡田(春)委員 チャーター機でアンカレッジあるいはその他沖繩の嘉手納、それからフィリピンのクラークフィールド、ここへ軍需品輸送をやっていた事実を明らかにこの前あなたの方の役人の人が答弁しているんですよ。その事実かあるのに――あなた、事実があればじゃなくて、その事実が明らかなのに調べないのはおかしいじゃないですか。
○斎藤国務大臣 私が報告として受けておりますのには、兵器弾薬をチャーター機が運んでおるというようにはなっておりません。兵器弾薬は積んでない、こういうように報告を受けております。
○岡田(春)委員 軍用機で、あれでございますか、一カ月に六十四台も兵器弾薬を全然運ばないで、定期便で通っておるのは、から身で走っているんですか。そんなことが考えられますか。一カ月に六十四台もから身で、軍用チャーター機が兵器弾薬を運ばないで飛んだなんということが考えられますか。そんな事実がありますか。おかしいですよ。
○斎藤国務大臣 兵器弾薬は運んでない、かように報告を受けております。
○岡田(春)委員 皆さんこういうことなんですよ。ひどいもんですね。軍用機が一カ月に六十四台も飛んで羽田に寄っているが、兵器弾薬は運んでいないという。それじゃ航空局長は立証して下さい。六十四台は一つも兵器弾薬を運んでおりません、そういう立証ができますか。
○今井説明員 今大臣がおっしゃいましたように、広く軍需品を輸送するということの中にも、禁止されております兵器弾薬というふうなものと、それ以外のものがあるということになると思います。従いまして、私どもとしては現在兵器弾薬等を運ぶものは、これはおそらくそう羽田には着いていない。軍需品につきましても、他にいろいろなものがございますので、私どもとしては、兵器弾薬を運んでおるというケースは、あまりないのじゃないかと確信しております。
○岡田(春)委員 あなたはそうは運んでいないだろうと言うが、そういうのはどういう論拠でそうになるのですか。論拠をはっきりしてもらわないと、そう運んでないだろうなんということを言われたって困りますよ。これはICAOの三十五条並びに国内航空法の規定をあなたは守らない、そういうことなんですか。定期便で運んでいるからには、軍需品を運んでいるのはあたりまえじゃありませんか。
○小坂国務大臣 若干前の質問と関連がありますから私からお答えいたしますが……。
○岡田(春)委員 ちょっと待って下さい。発言を許したのですか。
○森下委員長 答弁を許しました。
○小坂国務大臣 あなたの立論によりますと、飛行機が飛べば必ず軍需品輸送があるということでありますが、この前の御質問で、オランダのKLM機が羽田を経由して西イリアンに軍需品を輸送しているということをあなたはおっしゃいましたが、これは調査をいたしましたところが、そういう事実はないのでございます。飛行機は二月一日、二月二十八日、四月十日、五月十五日、八月一日、八月三十一日、これらに羽田を通ってビアク島へ行っておりますけれども、そういう飛行機が飛んだから軍需品輸送を行なったということは、必ずしも結論づけられないと思います。なおオランダの大使館に照会いたしました結果、オランダの外務省が承知する限りでは、そういう報道を行なったのは共産党機関紙デ・ワールヘイトで、この新聞紙が七月八日付でこういうことを言ったというだけでございます。
○岡田(春)委員 私の質問に関係しないところを一人で答えているのですが、これはどういうことなんですか。航空局長が答弁するというのにわざわざ立って、今のチャーター機の話をするのかと思ったら、西イリアンの話をし始めたんだが、これは一体どういうことなんですか。私はさっぱりわからないのだが、航空局長、一つその点答えて下さい。
○小坂国務大臣 今の話は私がわけのわからぬようなことを言ったようにおっしゃいますから、念のために申し上げます。あなたの立論は、飛行機が飛んでいれば軍需品を運んでいるのだろう、こういうことでございます。しかし、そういう点については御質問がございましたから、よく先方とも調査をした結果、そういうことはないということも明らかになっております。すなわちMATSが飛べばそこに必ず軍需品が運ばれておるのである、武器弾薬が運ばれておるのである、政府当局はそれをなぜ看過しておるかという御質問でございましたから、われわれとしてはそういう疑問があればそういう照会をし、そういうことがないということでございますから、ICAO条約三十五条とか百二十八条という規定によりまして、これはその場その場で抜き取り検査をしなくてもいい、こういうことになっておりますからそうしておるのであるということを申し上げたわけであります。すなわちあなたは初めからきめつけて考えていらっしゃるが、そういうものでもございません。政府は十分に注意をいたしておりますということを申し上げ、あなたのこの前の一方的な御論断は誤っておったということを申し上げて、御参考に供する次第でございます。
○岡田(春)委員 御参考にはなりません。あなたの言っている程度のことならわかっております。あなたはもっと勉強しなければだめですよ。そんなことを私は聞いているのじゃないので、航空局長、答えて下さい。
○今井説明員 今の点について私から申し上げます。大臣が申し上げましたのは、チャーターされた民間機――従って民間機であるから、着陸料の請求をしておったのだという趣旨にお答え申し上げたのだと思いますが、先生も御存じの通りチャーターされた民間機、つまり米軍のMATSがチャーターした飛行機というものは、要するに現在の航空法の武器弾薬輸送についての規定の適用についても除外されておるわけでございます。問題になりますのは、そういう飛行機がはたしてチャーター機であったかどうか、純然たる民間機であったかどうかという点が問題になるわけでございますが、航空当局としましては、先ほども御説明申し上げましたように、入ってきた飛行機がMATSのチャーター機であるかどうかについての確認の手段をいろいろ講じておったのでございますが、その後税関と打ち合わせの結果、税関にそういった証明書が参っておるということで、今まで入っておりましたフライイング・タイガーの飛行機は特に有償運送の許可申請、つまり純民間機として一般の有償賞物を運ぶ申請を出してきたもの以外は、軍のチャーター機であったということが判明いたしたわけでございます。従いまして、着陸料との関係になるわけでございますが、先ほど私から御答弁申し上げましたように、空港当局の経理担当者の立場といたしましては、いずれの場合でも着陸料の請求をしておけば、それがMATSのチャーター機である場合には当然支払われないということになりますし、それがもし純然たる民間機である場合には、当然請求をしなければならないものでございますので、一律に請求をしておるということでございます。従って、経理担当者の請求というものが、十分にこれがMATSのチャーター機である、あるいはない、そういうふうなことを最終的にはっきり明確にした上で請求はしておられなかったということが実情でございます。従いまして、フライイング・タイガーの会社から、着陸料の請求をしてくれというふうな申請があったものにつきまして請求をいたしましたケースもございますが、その場合でも、先方からの返事は、やはり調べてみるとチャーター機であるから、従って着陸料は免除されているはずなんだというような返事を、実はもらっておるような状況でございます。
○岡田(春)委員 その点では納得はいたしません。それはその当時には民間機として扱ったのだという事実は明らかなんですし、その後においてどうしたということは別問題です。私がさっきから伺っているのは、チャージの問題はもちろんですが、それよりもその扱いは何であったかということを聞いている。その扱いを民間機として扱っているなら、国際民間航空条約の三十五条に違反しているではないか。日本の国内法の百二十六条によって外国航空機の着陸問題に対する規定、百二十八条によって軍需品輸送禁止の規定、並びに百三十四条によって立ち入り検査の問題、これを怠っておられたということになるわけです。この点を私はさっきから伺っているわけです。この点ばかり何度もやっていてもしようがないから、もう少しこの点をはっきりして下さい。私らは、いつも委員会があるたびにこればかりやっていたって始まらないのだから、まだほかにもあるのだから、一つ進めたいと思います。きょうの御答弁では不満足です。このあともう一度伺いますから、それまでに十分準備してきて下さい。きょうはこの程度にしておきます。
 小坂さん、さっきからだいぶ冗談半分にやっておられるが、今度は一つあなたに伺っておきます。十一月二十日、九州の福岡付近において韓国の軍用機F86ジェット機一台が事故のために墜落して搭乗員が死亡した、こういう経過がございますね。この飛行機は日本の国内の基地から飛び立ったというこの事実があるのですが、これはどうですか。
○小坂国務大臣 事務当局からお答えいたします。
○安藤説明員 お答えいたします。
 今お話のありました韓国機は、調べてみますと、日本の木更津の方にやって参りました。これは修理のためでございます。そしてその帰途墜落したそうでございます。そしてこの韓国の軍用機が日本に修理のために参りますときには、成規の手続によって日本政府の許可を得て来ております。その飛行機が帰途墜落したものと認められます。
○岡田(春)委員 安藤さん重ねてお聞きしますが、このときは一つじゃないのでしょう。だいぶ来ているのでしょう。木更津というのは自衛隊の基地ですか、在日米軍基地ですか。どこへ来ているのですか。修理はどこでやったのですか。私知っているのは、三菱でやっているのでしょう。もっと詳細にお答え下さい。
○安藤説明員 お答えいたします。
 来たのは四機だそうでございます。参りましたのは四機で、その修理は岐阜の方でいたしております。なお追加で申し上げますと、先ほども申しました通り、韓国機がごくまれに日本に修理のために参りますときには、一々日本政府の許可を得て成規の手続をとって参る。それから、それがたまさか米軍の基地に入ってくるときには、日米合同委員会で承認を与えた上入らしております。こうやって入って参りました韓国機が、岐阜の方で修理をいたしまして、帰っていきますときに墜落したというふうに聞いております。
○岡田(春)委員 四機の飛行機が来て、それを岐阜で修理して――岐阜のどこでございますか。岐阜の三菱でしょう。そして岐阜で修理をして木更津まで飛んできて、木更津から板付へ飛んでいって、板付から韓国へ帰る途中に落ちたんですよ。そうでしょう。今の聞いていましたか。いいですか、岐阜で修理をして、そしてそれが木更津まで飛んできて――木更津は何か知らないが、自衛隊の基地か在日米軍基地か、それはわからないですか。どっちなんですか。木更津のどの基地なんですか。その点もお答え願いたいのです。それから板付へ行ったのでしょう。板付は在日米軍の基地なんです。それから飛んでいって落ちたんです。そうでしょう。
○安藤説明員 お答えいたします。
 参りましたのは木更津の基地でございます。これは日米両方で共同使用されております。それから岐阜に参りまして、三菱で修理いたしました。それが板付に行って、そして墜落したというふうに聞いております。
○岡田(春)委員 修理のために韓国から相当来ているのじゃありませんか。これだけではないでしょう、手続をとって……。再三来ているでしょう。防衛庁の方で御存じじゃないですか。
○海原説明員 お答え申し上げます。直接私の所管ではございませんが、私の承知している事実を申し上げますと、あの飛行機は米軍が韓国に、いわゆるMAPでございますけれども、援助協定に従いまして供与すべき予定の援助の飛行機でございます。これは一応木更津に陸揚げいたしましてから、日本国内で主として三菱がいわゆるオーバー・ホール的に完全に修理いたしましたものを韓国に帰す、こういうことになっておりますので、木更津の米軍基地から韓国の空軍の将校が受領いたしまして、飛んで帰る途中に不幸事故になった、こういうふうに私どもは承知いたしております。
○岡田(春)委員 それではもう少し伺っておきますが、今のに続いて御答弁願いたいと思いますが、そうすると木更津へ陸揚げをした韓国の軍用機というのは、四機だけではなくて、それ以外にたくさん来ているわけでございましょう。
○海原説明員 具体的に韓国空軍のためにどの程度の飛行機を渡しておりますかということは、私現在承知いたしておりません。ただ木更津が、日本に来ますものも含めまして一応米空軍があそこに陸揚げいたしまして、あそこで修理をいたしましてからそれぞれいわゆるMAPとして供与している、こういう事実は存じております。
○岡田(春)委員 韓国の軍用機は、修理は全部日本に来てするのじゃありませんか。そうでしょう。そのはずですよ。
○海原説明員 今御質問の点につきましては、具体的に私存じておりませんが、軽易な修理は韓国内におきましてやっております。大きなものにつきましては、一応日本に持って参りまして、たしか米空軍の指導下において、三菱その他の会社でやっておるように私は聞いておりますが、責任を持ってこの際お答えするだけの事実は存じておりません。
○岡田(春)委員 しかし、防衛局長がそこまで言うのですから、これはだんだんはっきりしてくる。小坂さん、聞いておいたらどうですか。韓国の兵器廠は日本にあるということですよ。修理工場は、全部日本でやる。こういう点で日韓会談が進められているのですよ。
 もう一つ進めますが、九月五日、六日、南朝鮮で行なわれたミサイル空輸大演習には、立川基地所属のアメリカ三一五航空師団から十二機の軍用機が参加している、この事実を御存じですね。
○海原説明員 承知いたしております。
○岡田(春)委員 その通りですね。もうこれでだんだんはっきりしてきた。兵器廠は日本、韓国の演習には日本の基地を使う、こういう点で、日本と韓国との軍事関係というのは非常に不可分の関係になってきている。日韓会談がNEATO体制だというのは、事実によって明らかである。それ以外に、防衛局長に伺いますが、自衛隊法第百条の二によって、現在日本の国内において第三国の兵員の訓練が行なわれておる。第三国の兵員というと韓国も含んでいる。それ以外の、たとえば南ベトナムもあるかもわからないし台湾もある。台湾は事実ある。こういう事実が事実あるのですが、最近訓練を受けている中には韓国もあるはずです。国籍、兵員の数、こういう点、明らかにしていただきたいと思います。
○小幡説明員 お答えいたします。
 百条の二によって自衛隊が外国軍人の教育訓練を担当しております実績を申しますと、防衛大学校でタイ国の学生を二名教育しております。そのほかに、昭和三十三年にフィリピンに行なわれました賠償の飛行機の必需要員――T34の乗員と整備員の教育でありますが、これにつきまして、六名、約二カ月、航空自衛隊で教育した実績がございます。韓国についてはございません。
○岡田(春)委員 これは宮城県松島の、自衛隊の基地だといわれているのですが、在日米軍の基地かもわからないのだけれども、ジェット訓練の基地、ここで韓国とタイその他の第三国の兵員が訓練を受けている事実がある。これはどうなんでございますか。
○小幡説明員 自衛隊関係では、外国人の訓練を行ないますときには、正式に外交機関を通じまして、防衛庁長官の方に委託がありまして、それからやるわけであります。今御指摘のジェットの空軍要員は、そういったケースは自衛隊としてはございません。また、米軍がやっておるかどうかということについては、私は今承知いたしておりません。
○岡田(春)委員 あなたの所管では、米軍の関係はおわかりにならないことは当然ですが、これは米軍がやっているのだと思うのです。防衛局長、これはお聞きになっておりませんか。
○海原説明員 今の自衛隊につきまして、私は承知いたしておりません。ただ、場所が松島といたしますと、あそこは完全に航空自衛隊のものになっておりますので、そこで米軍が訓練をいたすということはちょっと考えられないと思います。
○岡田(春)委員 それは考えられなくないですよ、自衛隊の基地をアメリカの在日米軍は使うことはできますから。それは地位協定によって、やろうと思ったらできますね、その点だけ伺っておきます。
○海原説明員 地位協定によります利用の方法でございますが、今岡田委員のおっしゃいますような、他国の軍人を教育するというような関係におきましての利用ということは、実は私ども承知いたしておりません。法的にやり得るかどうかということにつきましては、私の所管ではございませんので、お答えいたしかねます。
○岡田(春)委員 それはやれるのです。
 それからこれは外務省に戻りますが、昭和三十五年、すなわち昨年の三月二十三日、日本とアメリカとの政府間協定によって、日米合同第三国訓練計画という協定が結ばれている。この協定はICAファンドによって協定を結んでいるわけですが、この協定の所管は外務省のどこになりますか。協定を結んでいるが、この協定は政府間協定だということで、国会の承認も得ていない。しかし、これは財政支出を伴っているから、国会の承認を得なければならない。にもかかわらず、この協定は国会の承認をとっていない、もぐりの協定である。この協定に基づいて、第三国の人々の訓練をやっているでしょう。この中に軍人の訓練があるんじゃありませんか。
○安藤説明員 お答えいたします。軍事援助の関係で、このような協定があるということは、私存じておりません。
○岡田(春)委員 知らないのですか。私ここに持っているのは、外務省の調査月報ですが、これに書いてあるのでございますが、担当者が知らないというということになったら、私はどうしたらいいのですか。ここに一九六一年の八月外務省調査月報という資料に印刷してあるのですけれども、それも知らないとおっしゃる、あまりにも不勉強がひどいということになりませんか。
○小坂国務大臣 ICAの関係でございますと、経済協力部がやっておるということでございます。所管はそうでございます。
○岡田(春)委員 所管の問題を聞いているのではありませんよ、どうなんですか、これは。――それではあとにしましょう。いつまでも時間をとって、ほかの人に迷惑がかかるから……。
○小坂国務大臣 ちょっと補足さしていただきます。ICAの関係でございますから、軍の要員の訓練ということは、当然予測されていない、一般の経済関係というふうにわれわれは理解しております。
○岡田(春)委員 それではどんどん進めます。あとでもっとやりますが、重要な点を一つだけ伺っておきます。十一月の中旬に、アメリカのニューヨーク・タイムズで南ベトナムに米軍の将校が増員されたが、これは沖繩第三海兵師団岩国海兵団第一航空隊から派遣されたというこの事実が報道されている。防衛局長おわかりだろうと思いますが、これは事実でございますね。
○海原説明員 今御指摘の事実につきましては、新聞で私も読みました。
○岡田(春)委員 その点は御存じないのでございますか。
○海原説明員 知っておるかというお尋ねでございますが、私もニューヨーク・タイムズの記事で承知いたしました。
○岡田(春)委員 しかし、先ほどの韓国に対する飛行機の発着ですね、三一五、これはあなたは御存じだったのですが、この南ベトナムの方は知らないのですね。在日米軍関係でも知っているやつと知らないやつとあるわけですね。
○海原説明員 委員のお尋ねの趣旨が、岩国におります海兵団の一部が参加をしたか、こういうことでございますから、これはその参加の仕方にもいろいろございまして、部隊間における転属ということもありましょう、一時派遣されることもございましょう、そのような小さな部隊の移動につきましては、私どもとしましては、一々これを連絡を受ける建前にはなっておりません。調査いたしますれば判明いたします。大きな部隊の移動につきましては、そのつど連絡がございます。どの程度の部隊が、あるいは隊員が参加いたしましたかということにつきましては、現在私は承知いたしておりません。
○岡田(春)委員 もうこれでやめますが、これに関連して、情文局長見えておりますか。――この前から南ベトナムに対して自衛隊を派遣するという動きが、サイゴンの三つの新聞に再三出ましたね。これについて日本政府としては、自衛隊の派遣については何らかの意思表示があるのではないかと私は内心期待をしておった。これは小坂さんのいない間の話です。ベトナム友好協会と友好団体からこれについて意思表示をしてもらいたい、こういうことを再三外務省に申し入れたが、情文局長は何か記者会見で発表するとかなんとか言っておったそうだけれども、これに対する意思表示を国民に対してしておらない。この点は一体どうなんですか。自衛隊派遣問題について情文局長は一体どういうような措置をおとりになったか。
○曾野説明員 あの問題につきまして、記者会見で私は記者諸君に御説明いたしました。ところが、これはあまりにも荒唐無稽な話だというので、結局新聞はキャリーをしなかったのでございます。事実十一月十八日以後、南ベトナムの新聞はそういうことは一切報道しておりません。私どもといたしましては、そういううわさがありまして、現地の新聞もこういうことを報道しておりましたので、むしろ新聞がこの問題に対する私たちの考えをキャリーしてくれることを希望したのでありますが、この点につきましては、どうも新聞はあまりに問題外として扱ってくれませんでした。
 これが事実であります。
○岡田(春)委員 発表の仕方に問題があるのじゃないですか。それより、これほど再三、南ベトナムのサイゴンで自衛隊の派遣があるんだということを言っておるのに対して、あなたのお留守中、新聞発表はしたそうですが、あなたは帰ってこられたら、サイゴンの大使館を通じて、こういう点に何らかの申し入れなり、相手国の政府に対する交渉なり、あるいは新聞に対する申し入れなり、こういう措置をおとりになるべきだと思うが、この点について何か措置をおとりになるお考えがございますか。
○小坂国務大臣 お話のように、私の旅行中のことでございますが、私も先方でいろいろそちらの新聞を読んでおりまして、そういうことがありますので、これははなはだおもしろくないことであるということで、サイゴンにあります大使館からベトナムの政府に対して、そういうことはわれわれとして考えておらないことであるから、はなはだ迷惑であるということを申し入れてあります。
○岡田(春)委員 一言だけ。バンコックでベトナムの外務大臣と池田さんが会ったのじゃありませんか。
○小坂国務大臣 それは私承知いたしておりません。私の申したことは、わが方の日本大使館から先方の外務省に申した、こういうことでございます。
○岡田(春)委員 御承知なければいいですが、それはあとにします。
 ともかく先ほどからいろいろ質問して参りましても、答弁の肝心なところになると、政府の諸君は肝心な点がぼけてしまう。こういう御答弁では国民は納得しません。あなたはさっきオランダ航空の例をあげて、おまえの言っておるのはでたらめだといわんばかりにおっしゃるが、韓国の飛行機も日本から飛んでいるという事実が明らかである。こういう事実から見て、アジアの軍事緊張の根源地に日本がなりつつある、なっている。この点は国民としても見のがすわけにいきません。日本の国がそういう戦争の渦中に巻き込まれているという根源が、新しい安保条約であるという点からいっても、強く私は注意を喚起して、きょうの質問を終わります。
○小坂国務大臣 私どもの答弁の中で誤解を生ずるような点があるようでありますから、私ははっきり申し上げておきたいのでありますが、先ほども、韓国の飛行機は日本で修理をして、そうして韓国に持っていったということでございます。日本は工業国でございますから、そういう点はいろいろ便利なことであるということで、修理は引き受けておることもございます。しかし、それは何も日本の意思に反してやっているわけではない。正当な手続を経てやっておるのでございまして、そのことが直ちに日本が好戦的であるとか、戦争に巻き込まれる、またお話のようにNEATOのようなものを考えているということと結びつけられますと、はなはだ私どもは迷惑いたすことである、こういうふうに考えております。
○岡田(春)委員 これで終わりますが、修理をしておるということは兵器廠だということなんです。そういう点から見てもはっきりしておりますが、私はもうこれで終わります。
○森下委員長 午前の会議は、この程度にとどめて、午後は二時より再開をいたします。それまで休憩いたします。
   午後一時一分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時十一分開議
○森下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 国際情勢について質疑を継続いたします。愛知揆一君。
○愛知委員 近く通常国会も始まることでありますから、本格的な質疑はそのときに譲ることにいたしたいと思いますが、せっかくきょうは国政調査のための本委員会が開かれましたから、この機会に二つ三つの問題について外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
 実は、いつもそういう感じがするわけでありますが、きょうの午前中の委員会の質疑応答を拝聴しておりますと、野党としては質問がなかなかお上手でもあるし、同時に非常に辛らつでもあるし、また一つの異なった立場に立っておられる関係もあって、なかなか外務大臣の答弁も的を射ていないような感じが率直にするわけでありまして、とば口で議論がとどまっておって、国民としてはほんとうに聞きたい、正確な判断をするその基礎となるような事態が明らかにされないうらみがあるように思います。そこで、私は与党でもございますし、外務大臣も一つゆっくりした気持で、この委員会を通して、国民が知りたいと思っておることを、きわめて常識的に丁寧にお答えをいただきたいということを最初にお願いいたしておきたいと思います。
 まず、今回の池田総理、小坂外務大臣の東南アジア四カ国訪問については、けさほど福田委員からもいろいろ御質疑があって、いろいろの問題についての政府の態度というものは明らかになったわけでありますけれども、その中で、今回の東南アジア訪問の中で一つ具体的な結果が出た問題に、タイとの特別円の問題があるわけであります。このタイの特別円の問題についても、大体話がきまったということについての直ちに出ました社会党の見解というものは、タイは東南アジアの条約機構に入っている一員である、こういう関係から、何かタイとの間には特別にやってやらなければならぬような義務でもあるかのような印象を受けるような声明といいますか、発表がございました。同時に、ビルマについては、ビルマは中立政策をとっている国だから、この方には冷たい態度を日本がとって、その結果、ビルマの賠償問題の方には見るべき成果が上がらなかったといったような趣旨の社会党の談話が出ておりましたが、これなども、内容の実体や、その持つ沿革、あるいは性格といったような各具体的な問題についての解釈あるいは理解の仕方が足らないので、頭からこういうふうな意見が出てくるのではなかろうか、非常に私はこれを残念に思うわけでございます。タイの特別円の問題については、自分のことを申しては恐縮でございますが、ずいぶん長い間これには直接、間接の関係を持ちました。また昭和三十年には、個人的な、全く非公式な立場でございましたけれども、この問題についてタイ側の意向を相当詳細にサウンドした経験も持っておるものでありまして、私、結論を申すのもいかがかと思いますけれども、この長らくの間の懸案であった特別円の問題、ことにこの特別円の問題の性格というものは、戦時中というよりも、むしろ戦前からの引き継ぎの問題であって、そして幸いに現行の協定がまとまったときには非常に喜んだわけでありますけれども、どうも率直に言って、現在の協定の締結に際し、あるいはその後における両国の解釈には大きな違いがあって、これがその後の日タイ間における不幸な懸案として残っていたわけでありますから、この特別円の性格からいっても、あるいはタイ国側の意向からいっても、この際大乗的な立場に立って、総理大臣の訪タイに際して結論が出たということは、私自身としては非常に喜ばしいことと思っております。ことにタイ国が東南アジアの中心の国であるということ、日本の東南アジアとの経済その他の提携ということからいっても、これが一つの大きな中心勢力である、そういった意味でこの問題が解決したということも、政治的にも大きな意味があると思うのであります。しかし、せっかく九十六億円というものを、いわゆるクレジット・アンド・ローンという形式で処理するということになっておったことに対して、無償でこれを提供するということにあらためてなったということについては、その事態をよく知らなかった国民としては、何か割り切れない感じがするのではなかろうか。私のここで伺いたい点は、この九十六億円は無償で提供されるものであることになったと思いますが、これは八年間に平分して無償で交付されるようになったのであるか、あるいはそのほかにまだいろいろの細部があるのか。池田総理が帰られてあと外務大臣は一日残られて、細部についての交渉に当たられたというふうに新聞には報道されております。それからまた八年間でどれだけずつ払って、初めの六年間ですか、あるいは五年間ですかにどれだけ払って、残りはその後の処理だというふうなことが、報道されているようなものもあるわけであります。私見としては、こういった問題でありますから、大局観に立って処理するということが、合意したならば、あまりいろいろな風鈴をつけたり小手先をやらずに、率直に現行の協定については、相互の行き違いがあったならばあったということを明らかにして、そうして九十六億円は八年間にすっぽり無償で提供するということを明らかにすることが、野党の方々ももちろん、国民全体についても、その日本としての誠意というものが非常によくわかるのではないか。そこからおのずからなる妥当な結論が出、国会の審議も円滑にいくのではなかろうか、こう思いますので、その内容等について今まで考えられていること、あるいは双方の合意になりつつある点をできるだけ詳細に御説明願いたいと思います。
○小坂国務大臣 お答えを申し上げます。お話のようにタイの特別円問題は、非常に長い間の懸案でございました。これは、われわれとしてもタイとの友好関係の面からいたしましても、またタイが大きな日本の市場であるという点から見ましても、ぜひ解決したいと考えておった問題でございます。お話の中にもございましたように、ビルマの場合も、これは非常に重要な問題でございまして、私どもビルマの再検討条項に基づく賠償問題もぜひ解決したい、こう考えておりまして、私も約十日間にわたりまして先方に滞在して、話をしたのでありますが、大体において友好的な雰囲気のうちに解決せられるであろうという双方の気組みの問題としては、非常に盛り上がったように思いますけれども、解決までには至っておりません。しかし、このビルマとタイの問題は性質が違うのでありまして、お話のように全く片方は賠償の再検討条項に基づく問題、片方は戦争前あるいは戦時中を通じての懸案事項の解決の問題、しかも金額についてもこれは非常に大きく隔たりがある問題でございまして、懸案を解決する順序としてまずタイ、しこうしてビルマというふうになりますことは、これはやむを得ないことではなかろうか。われわれの懸案解決の積極的な意図の現われとして、この問題からまず解決していったということは、お認め願いたいと考えておる次第であります。
 このタイ特別円問題は、愛知さんが当事者としても御関係になり、よく御承知のことでございますので、何らこれについて御説明的なものを申し上げる必要はないと思いますが、昭和三十年八月五日に発効した特別円問題の解決に関する日本国とタイとの間の協定第一条に基づく五十四億円の現金払いは、昭和三十四年五月に全額支払いを完了いたしました。これは協定にありますようにスターリング・ポンドで支払っているわけであります。第二条に基づきます九十六億円の経済協力の実施につきましては、日タイ双方の間に協定文の解釈について意見の相違がございました。すなわち、タイ側は九十六億円の資本財及び役務の無償供与であるということを主張しておりましたが、わが方はインベストメント及びクレジットの形式においてこれを行なう、こういうことで考え方が平行線になっておったわけでございます。本年四月ごろから、タイ側から何とか一つ友好関係に基づいてこの問題を解決してもらいたいという要望がございまして、累次にわたる交渉を重ねました結果、先般池田総理の訪タイを機といたしまして、私もそのあとで参りまして細目の話し合いをして参りましたが、一応の解決の方針が合意されたわけでございます。これによりますと、九十六億円を八年間に支払う。無償で供与する。これは最初の年、すなわち一九六二年の五月から十億円ずつ七年間払いまして、八年目の年、すなわち一九六九年に二十六億円を払う、こういうことになっております。この支払いによりまして、タイ側は日本の品物を買う、あるいは日本の役務の調達によってこの金に相当するものを受け取っていく、こういうことが協定の内容でございます。ただ現在ございます協定第二条と今度の話し合いの結果との関係をどうするかということでございますが、これは双方において合意されたる協定の当時から意見が食い違っておったものでございますから、そのいきさつを明らかにして、それにかわるものとしてこういうことをするという形式をどういうふうな書き方にするかということは、しばらく事務当局において研究してもらいまして、その上で正式に合意を固めるというふうに考えておる次第でございます。
○愛知委員 その点でもう一つ伺いたいのは、そうすると現在の協定を廃棄して新しい協定を作るという方法と、それから現行協定の特に第二条を改定するという方法と、二つあるかと思うのでありますが、それはどららの方法を今考えておられるのでありましょうか。
○小坂国務大臣 お話のように、この第二条の扱い方については二つの方法があるわけでございますが、これはいかなる方法をとるにいたしましても、日本側において適当と考えることにまかせるということを、タイの外務大臣と私の間に話をしてきておりますから、これはいずれにした方がいいかということは、まだ私も一昨日帰ったばかりでございまして、土曜日で大蔵省側の人とも十分話し合いができませんでしたが、もう少しこれは話してみてから問題を考えたいと思います。
○愛知委員 その点については先ほども申しましたが、あまり事務的な小手先を使わずに正々堂々と扱っていただく方が、国会における審議についてもかえって適当ではないかということを、私は自分の意見としてこの際申し上げておく次第であります。
 時間の関係もございますから次に移りますが、ビルマの賠償の問題については再検討条項によって再検討されているわけでありますが、せっかく外務大臣も総理に先立って出発され、またあとでもお残りになっていろいろ御苦労をいただいたようであります。まとまらなかったことは非常に残念と思いますが、さらにビルマの総理大臣が近く来朝するそうでありますけれども、そのときまでに大体妥結の道があるのでありましょうか。その点と、それから大体どういう点が双方の意見の合致を見ないでおるのか、そういう点もお漏らし願えば幸いと思います。
○小坂国務大臣 私もできるだけこの協定をまとめたいと考えまして、一行の諸君とともに努力をいたしましたが、残念ながら、この問題については結論を得ないままに今回ラングーンを引き揚げて参ったわけでございます。しかしながら、双方において非常に親密な空気ができ上がりまして、ビルマ側においても日本の誠意なり立場というものについてはよく理解するし、われわれにおいてもビルマ側の気持もよくわかる。お互いに誠意と誠意をかわし合ったというような気持になっております。この問題は、過般東京で交渉を持たれましたときに、ビルマ側からこれは発表していいということで発表したわけでございますけれども、追加賠償の金額を二億ドル、そうして経済協力をほかに二億ドル、合わせて両方で合弁事業をしたい、こういう話がございました。私ども友邦であるビルマとの問に、われわれの持っておる経済的な知識あるいは技術的な知識というものを十分に使ってもらって、ビルマの経済開発、福祉の向上に役に立つということでありますれば、これはもとより非常にけっこうなことであると思いまして、合弁事業をやっていくという考え方そのものには、非常に賛成をいたしておるわけでございます。しかしながら、賠償増額再検討条項に基づいて二億ドルにするという考え方につきましては、われわれ現在ビルマとの間には、御承知のように二億ドルを十年間に支払うという賠償協定をもちまして、現在六年度を終わって七年度に入ってきておるところであります。ところが、常識的にいいまして、再検討する、リビューする結果、現在二億であったものが倍になるということでは、あまりにこの金額が大きくなり過ぎるのみならず、そういうことをいたしますれば、いわゆるチェーン・リアクションといいますか、他の国に対する連鎖反応も考えなければいけない。ビルマと日本との間が非常にうまくいったことによって、かえって日本が非常な苦境に立って、他の東南アジア諸国との間に非常におもしろからざる雰囲気がかもし出されることにもなるので、残念ながらそういう多額の増額には応じかねるということで、 これもはっきり申しまして外部に発表することでございますが、七千五百万ドルなら賠償増額に応じてもいい、こういう考え方を申しておるわけでございます。
 一方、経済協力、合弁事業をやっていくことについて、ビルマ側は、自分の力は資本の欠除に悩んでおるのだから、日本から出してもらうそのものをビルマ側の出資にして、そうしてそれに見合うものをさらに日本側出資として経済協力として出してもらって、そうしてそれに道を開いていきたい、こういうことでございますので、そのことは、さっき申し上げたようにわれわれはけっこうなんだが、問題は、その金額が幾ばくに見られるのが双方にとって無理のないところであるかということについて、いろいろ樽爼折衝いたしておるわけであります。しかし冒頭に申し上げましたように、非常に双方においての理解が深まるといいますか、友情が高まると申しますか、そういう、雰囲気としては非常によい雰囲気のもとに、ラングーンでの話は、結末には至りませんでしたが、結末に至るための道が開かられてきたというふうな感じは持って、ウ・ヌー首相が言っておりますように、あの交渉は決裂ではもちろんないし、中断でもない、これは引き続いて双方の話し合いが行なわれる。こういうことになっておるわけでございます。ウ・ヌー首相に対して池田総理が日本に訪問を招請されておりますし、これは快諾されておりますので、その時期がいつがいいか、また今の話とかみ合わせまして、いつごろがいいかというようなことは、今後よく双方で検討して参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。ウ・ヌー首相がお見えになりましても、金額でつばぜり合いをやるというときにお見えになるよりも、大体そういう問題もけりがついて、非常に愉快に日本の風物にも接していただける時期が最もよいのじゃないかというふうには考えている次第でございます。
○愛知委員 今相当詳細に御意見を伺いましたが、私のおそれることは、さらにいわゆるチェーン・リアクションというようなものが起こること、ことにフィリピンの関係その他におきまして同様の問題を起こすことがあっては大へんであるということ、それからいま一つは、きょうは大蔵大臣その他がおられませんから何でありますが、こういった対外的な債務というものは、常識的にいっても相当多額に上っており、また上りつつあるわけでありますから、おそらく国民一人当たりの負担からいいましても、年に数千円というようなところになるのじゃなかろうかという点から申しましても、この上とも抜かりなく、内外の情勢を十二分に検討されて、筋の立つような解決策を一つ樹立されるように、相当の勇気と熱意を持ってやっていただくように、この際として御希望申し上げる次第であります。
 それからもう一つ、この機会に伺っておきたいのは、ガリオア、エロアの問題については、その後どういうふうな経過になっておりましょうか。またいつごろ国会に対してその批准の手続がなされるのでありましょうか。またこれも大蔵大臣に伺うべきことかと思いますが、たとえば来年度の予算についてどういう関係になっておりますか。それらの点、お答えいただきたいと思います。
○小坂国務大臣 少し時間をとりまして恐縮でございますけれども、一応今までの数字等について簡単に御説明申し上げます。ガリオア、エロアの問題は、まず先方のベースで計算いたしますと十九億五千余万ドルというふうにいっておるわけでございます。これはガリオア、余剰報奨物資、米軍払い下げ物資というようなものが含まれております。それでわが方としては受け取ったベースにおいて計算をいたしましたが、これは何分にも先方が残置した資料、残していった資料でございまして、通産省が貿易庁や総司令部等の資料に基づいて、受取月日、輸送船別に各受領件ごとに関連資料について検討いたしまして、援助物資して考えられるものを集計いたしました結果、大体十七億九千万ドルばかりのものに集計いたしたのでございます。ただこの中から援助物資関係の控除が考えられますわけで、当然われわれが贈与を受けたもの、あるいはすでに先方に返還したもの、あるいは琉球向けの転送分あるいは米軍の石油運賃の減額分あるいは払い下げ物資等、そういうものを種々勘案いたし、また報奨物資についてもこれを勘案仕訳いたしました、結局十七億九千五百万ドルのうちからそういうものを引きますと、十七億一千八百万ドルというふうに算出をいたしたわけでございます。ただわれわれの方も残置した資料の中からそういうものをはじき出したということであって、それじゃこれ以外に何もなかったかといわれると、その点の証憑力はないわけであります。しかしながら、いろいろと外交折衝いたしました結果、四億九千万ドルというものを算出いたしました。ガリオアの問題につきましてはドイツに先例があるわけでございまして、ドイツにおきましては三十億の援助を受けましたうち十億ドルを返済した。そのほかに余剰報奨物資といたしまして二億三千万ドルのものがまだ現在残っておるということでございます。しかしながら、かりにこの余剰農産物を別といたしまして、三十億で十億ということになりますと、三三・一七八%ということになるわけでございます。これをかりに私どもの算出したベースにかけてみて、さらにそれから球琉に対する清算勘定あるいは韓国に対する清算勘定というような純商業的なベースで考えらるべきものを勘案いたしますと、四億九千万ドルという数になって参るのでございます。これを逆算してみますと、ドイツの場合に比べましてかなり有利な数になると考えておるわけでございます。アメリカのいっております決算ベースから考えてみますと、二五%くらいになるわけでございますが、その点では非常に有利かと思いますし、それからガリオア、余剰農産物、そういうものを全部一本にしてこういうものを算出したという、計算の仕方においてもよくなっていると思います。そういうようなことで六月にイニシアルをいたしたのでございますが、その後ずっと先方と返還の協定に関する話し合いを続けておりまして、先方でも人がかわったりいろいろいたしました。当方でも関係各官庁のいろいろな連絡等もございましたが、ようやくこれがこのほどほとんどまとまりまして、近く調印ができるという運びになりました。調印いたしますからには、通常国会には提案したいと考えております。これを予算的にどういうふうに組み込むかということは大蔵大臣の所管でございますので、私、大蔵大臣の意見をまだ伺っておりませんので、この際は申し上げることは差し控えたいと思います。
○愛知委員 私は、次に韓国の問題について一、二伺いたいのであります。その根本的な考え方の問題についてはあとでちょっと触れたいと思いますけれども、いわゆるこの請求権の問題は、私も新聞等で読んでおるだけでありますけれども、韓国側の請求権というものは八項目あると伝えられ、また私もそうなのかなと思っておるわけであります。しかし何がその八つの項目であるかということについては、どうも新聞の報道等では明確につかむことができない。私がいろいろ見たところによりますと、大よそ五つだけはやや内容がわかるような気もするわけで、たとえば一つは朝鮮銀行を通じて一九○九年から四五年までの間に搬出された金、銀といったものがあげられておるようであります。二つには日本政府が朝鮮に対して負うておる債務というものが掲げられてあるようでありまして、これにはたとえば逓信局関係の問題であるとか、その他いろいろ各項目があるようであります。それから第三番目には、一九四五年八月九日以後韓国から日本への送金になった分、あるいは第四には、韓国に本社のある法人の在日財産、それから第五には、韓国法人または自然人の日本国または日本国民に対する請求権というようなことがあげられておるようでありますが、一体それだけなのでありましょうか。それとも前々から伝えられているように、八つの項目があるとすれば、先方としてはそのほかにさらに三つの項目としてどういうものを考えられておるのでありましょうか。この辺のところを私どもつかめないので御説明を願いたいと思います。
○伊関説明員 お答え申し上げます。ただいままでのが五つの項目でございまして、そのほか第六といたしまして、韓国国民所有の日本法人の株式またはその他の証券を法的に認定することというのが第六項目でございます。それから第七項目は、前記の諸財産または請求権より生じた諸果実を返還する。それから第八項目に、前記の返還及び決済は協定成立後即時開始、おそくとも六カ月以内に終了する、この三つがついておるわけであります。
○愛知委員 そうすると、現在までのところはこの八項目が一応全部の向こうのもの、これ以外には出てくるアイテムはないわけですか。
○伊関説明員 これで全部カバーいたしておるわけでございます。もちろんこのほかに船舶とか文化財というものがございますが、一般請求権はこれだけでございます。
○愛知委員 そこで、私いろいろこの点から伺いたいと思うことがあるのでありますが、まずその一つは午前中にもこの点に触れた応答があったわけでありますが、去る十一月十二日の池田・朴会談が非常に成功裏に終わったと伝えられておるわけでありますが、この会談の内容について今朝も御答弁がありましたが、十一月十四日の夕刊各紙では、その会談において請求権の支払いは個人の請求権に限られるということに意見の一致を見たというふうに伝えられる記事が、各紙に出ておったのであります。ところが、それに対して韓国の「首席代表はこれを否定する言明を行ないましたし、十一月二十七日の外電では、韓国の外務部がやはり否定した。この真相については今朝も触れられたわけでありますけれども、これと今お話のありました八項目ということになってくると、何か非常にわからぬような感じがするわけですが、池田・朴会談においても、この八項目というものを基礎にした先方からの話があったものなのでしょうか。そしてそれを基礎にして、たとえば個人分についてはそれでは考えましょうとか、あるいはいわゆる法律的というか、合理的というか、そういう根拠のあるものについてならばこちらも相談に応じましょうというような話になったのでありましょうか。その辺のところはどういう状態になっておるのですか。
○小坂国務大臣 池田・朴会談後の記者会見におきまして、朴議長は、韓国側は決して戦争賠償のようなものを要求しているのではなくて、すべて法的根拠に基づいた要求を出しているものであるということを述べておられます。池田総理も、日本としては韓国に対する請求権の支払いには十分に法律的な根拠を持ち、またその支払いについて十分説明のつくものでなければならないという日本側の立場を朴議長に説明したものでありまして、この点については池田・朴会談の合意が見られたものと承知しております。しからば、何が十分に法律的な根拠のある請求であるかということについては、今後の委員会において韓国側と討議してきめることになろうと思われまするが、日本としては、恩給とか引揚者の見舞金とか郵便貯金の支払いというものを考慮することになると考えておる次第でございます。新聞の伝うるところは、けさほど伊関局長が申しましたように、伊関君が記者会見においてそういう発表をした、こういうことではないと御承知を願いたいと思います。
○愛知委員 そこで八項目に掲げられているようなことが、いわゆる法律的根拠のあるものというふうに理解されようとしつつあるのでしょうか。どうでしょうか。
○伊関説明員 先方はこの八項目が法的根拠のあるものというふうに一応考えているのではないかと思いますけれども、これ以外にもまだ要求すれば三十六年間の圧制というものに対する賠償的なものもあろう、しかし、そういうものは取り除いたいわゆるアメリカ解釈というもので、日本が莫大なものを置いてきた、それをもって相殺される、そうして法律的根拠のあるものがこれであるというふうなのが、従来の説明であったわけであります。今回朴・池田会談によりまして、こういうものにつきましても必ずしも法律的根拠があるというふうには日本側は考えていない面が多々あるという点は、お話が出たんじゃないかと思っております。
○愛知委員 そうすると、くどいようでありますが、この八項目以外にも、いろいろ自分たちの立場から言えば要求したいものも数々ある。しかし、それには触れない、それは要求はしない。それから八項目の中においてもこれからの話し合いで、いわゆる双方が合理的と思われる法的根拠のあるものにだんだんしぼっていく、こういうような趣旨をも含めて、大体の合意が政治的に両巨頭の間になされたのだ、こういうふうに理解してよろしいのですか。
○伊関説明員 その通りでけっこうだと思います。
○愛知委員 そうすると、一時いろいろ巷間に伝えられたような賠償も、あるいはいろいろの請求権も、それから狭義の請求権も突っ込みで何億ぐらいで勝負をしようじゃないかというようないわゆるつかみ的な考え方というものはすっかりクリアされた、なくなったというような意味合いにおいて、この会談というものは成功であった、こういうわけですか。
○伊関説明員 新聞には先方が何億要求したとか、これに対しましてわが方が何億ぐらい考えておるというふうなことがたびたび出ておりますが、これはいずれも根拠はないものでありまして、ただ従来先方が非常に大きなものだというふうに考えておったようであります、数は申しませんけれども。しかし今後はそうしたものではなくて、やはり一つ一つにつきまして詳しく当たりまして、そしてお互いに納得する理論的根拠のあるものだけに限られるということは、はっきりいたしておるわけでございます。
○愛知委員 それでは請求権の問題は一応このくらいにしまして、最後に、これは蛇足になるかと思いますが、今朝のいろいろの質疑応答を伺っておりまして感じましたので、念を押すようなことになると思いますが、ちょっとつけ加えてお尋ねをいたしたいと思います。それは、私どもの考えからいうと、けさほど外務大臣も言われたように、韓国は何といっても最もわが国に近い隣の国である、その国となるべくすみやかに、できるだけ早く国交を正常化したいということを考えるのは当然なことである、また国民の大多数もこれを非常に希望しておる、私はその通りであると思います。ただそこで今朝岡田委員からもいろいろ御意見がありましたように、この国交の正常化ということは、相手が軍事政権じゃないか、あるいはアメリカからの何か強圧があったのではないか、そしてそれを非常に急ぐのではないか、そこでそれはいわゆるNEATO体制というような反共軍事体制を結成するがために、それを非常に急ぐのではないか、けさ方こういう意見が岡田委員から開陳された。それから国民の一部にもそういう考え方をとっている人もあるようでもございますが、この点について今朝の政府側の御答弁は、必ずしも私も十分でなかったように思いますので、蛇足かもしれませんが、それを私、念のためにお伺いをいたしたいと思います。
 まずその一つは、ことしの五月にいわゆる軍部のクーデターによって軍事政権が成立した、そして現在の政権は何かということになると、やはりこれは軍事政権だ、私はこれは事実だと思うのです。しかし、小坂外務大臣が言われたようにクーデターはまさにクーデターであって、そしてそれ以上それがいいとか悪いとかということを日本の外務大臣がコメントすべきではない、私はそれをサポートいたします。その通りだと思います。しかし、これをいろいろ議論を詰めていきますと、いろいろな問題があると思うのです。たとえば国家再建非常措置法によっては、革命軍事委員会に憲法のワクを越えた権限行使を許しておるわけでございます。これも事実なんですね。それからまた一方においては形式的な問題とはいうものの、この政権は韓国民の自由意思の表明に直接の基礎を置いているものでない、これも私は事実だと思うのです。しかし、私はそこで言いたいことは、この軍事委員会による軍事政権ではあるけれども、これと前の民主政権との間に完全な法的な継続性がある、そしてまたこの政権は、将来彼らが表明をしているようないわば新々政権との間に法的な継続性があるのだ、これについての保証をわれわれとしてははっきりして、そして軍事政権ではあるけれども、それとの間に交渉しつつあるところの、また国民大多数の願望であるところの日韓国交正常化というものの内容が、われわれが納得し得るような内容であるならば、私はこういう状態の相手国であっても国交正常化をうんと推進することが適当である、私の意見はこうなんでありますが、それらの点について、このことはこうである、このことはこうでない、やはりこれはあまりいろいろと色をつけて考えたり、言うたりしないで、認めるべき事実は認め、しかし、その上に立ってこうすることの方がベターである、日本国家のためにもとるべきであるということの御説明と態度というものがはっきりされるならば、社会党の方々も納得をしてくれるであろう、こう確信するわけでありますが、その辺のところを御意見をもう少し明らかにしていただきたい。
○小坂国務大臣 韓国の現在の政権がクーデターによってできた。これが民主主義の原則に基づいて成立したものでないということは、これは現実の問題として否定し得ないところだと思うのです。ただ問題は、従来あった政権との継続性がどうか、あるいは二年後に文民政権を作って政権を委譲する、こう言っておるのでありますが、その間の継続性がどうであるかという継続性の問題であろうと思うのであります。前者に対する継続性の問題については、これは国家再建非常措置法というものがありまして、憲法のワクを越えて、さらに広範な権限を持っておるということも事実でありますが、憲法そのものを否定しておるのでもないし、現在大統領はそのまま同様の人がやっておるというようなことで、継続性を認めることができると思うのであります。なお、この考え方は私どもだけが言うのではございませんで、三十数カ国において同様の見解をとりまして、この間の継続性を認めて現政権との間に交渉を持っておるという事実に徴して明らかだと存ずるところでございます。またこの二年後の、すなわちこの八月十七日に、一年数カ月の後にできるであろうと考えられまする文民政権の間の問題でございまするが、種種の具体的な施策はとにかく現在の政権においてまず腐敗と不正を一掃する、そして経済の安定、民生の向上というものに対して全力を注ぐということを言っておりまするが、一つできるだけそういう問題を解決することに努めたあとで、二年後の民政移管を公約しておりますし、民政移管後の政府の形態とか国会の構成等について広範な世論をしんしゃくしていくということを宣言しておることを考慮してみますれば、現在の韓国の政治情勢は、これを長期的に見るならば、民主主義とは逆の方向に進みつつあるというよりは、むしろ従来民主主義の真の発展を阻害しておった諸要素が、取り除かれて、近い将来に同国の国情に適合した真の民主主義政府が樹立されるための生みの悩みを悩んでおる、こういうふうに理解をし得ると思うのでございます。そういう意味から申しましても、政策的に見ましても、国連尊重であるとか、あるいは日本政府との友好関係を打ち立てたい、あるいは経済発展のための施策をとっていくとかいうことは従来の張勉政府においてとったことと同じでございます。この方針は現在の革命政権においても受け継がれ、また将来できるであろう民主政権との間にも継続的にこの問題はいくであろう、こういうことが思われるのでございまして、そういう点から見まして、私ども特に現在の政権の成り立ちに異をことさらにはさんで、これとの関係を正常化するという自然の大勢に逆行するということは、われわれ両国の国民にとって必ずしも幸福なことでない、かように思っておる次第でございます。特にアメリカの何か圧力によってこの会談を急いでおるような議論をなすものが一部にございますけれども、それは全く荒唐無稽のことでございまして、私の箱根における行動等について、けさほど岡田委員が申されましたが、こうした取るに足らぬことでことさらに反駁も申しませんでしたが、全くそのようなことは事実に反することでございます。さようなことをことさらに言うよりは、隣国である韓国との間に早く正常化の関係を打ち立つべきであろう、私どもはさように考えます。
○愛知委員 そこで外務大臣、もう一つそういったようないろいろのお考えのほかに、やっぱり国際情勢から言いまして、南北朝鮮が統一されるということは非常に望むけれども、これは現実の課題として見た場合に、残念なことでありますが、とても私は望めないと思うのです。その事態を直視して、今、日本がどうすればいいかということになれば、いろいろ議論はあろうけれども、韓国との間に国交を正常化するのだ、私はこの点をもっと強く政府としてもわれわれ国民といたしましても認識をはっきりし、そしてその基礎の上に立たなければいかぬじゃないか、こう思いますが、この点の御意見はどうでございましょう。
○小坂国務大臣 私も全く愛知さんのただいまのお考えと同様に考えます。南北朝鮮の統一は望むべくしてなかなかこれを待っておったのではいつになるかわからない。これを待つべきだという議論は、それができるという前提に立たなければならぬと思うのでありまするが、片方は共産軍事政権、片方は現在のクーデターによる軍事政権、これを足して二で割ると中立政権ができるというようなことは、私は考えられぬことだと思います。両方とも朝鮮統一は望んでおるけれども、韓国においては、国連の監視下による統一選挙ということを主張し、片方は国連といえども外国である、こういうものの干渉を受けることは望ましからずということで選挙を拒否しておる。なぜ拒否するかということになりますと、これは一般の選挙をいたしますれば人口が違うのであります。韓国側においては二千五百万に達する人口を持っておりますし、北鮮側においては千百万程度の人口でございます。それは投票をすることによってどちらかということは、なかなか結果が明らかであるだけにむずかしい問題でありまして、私はただいま愛知さんの言われた考えと全く同様の気持から、日韓間の国交正常化ということは目下においてとるべき方策である、かように考えておる次第でございます。
○愛知委員 最後に、私質疑というより希望なのでありますけれども、こういったような非常に重大な日韓問題でありますが、やはり日本国民の気持からいたしましても、今朝福田委員からも指摘された問題があるわけでありますが、私は請求権というものについては、ほんとうに合理的な、できるだけ法的な根拠を持った、そうして現実の南北が分かれておるというような事態にも十分意を用いられて、できるだけしぼっていただきたい。それから同時に日本人の気持からすれば、李ライン問題ということで一言にして象徴されるかと思いますが、これをやはり国民的の納得のいくような解決をしてもらいたい。私は請求権と李ラインそれから国交の正常化、この三位一体同時解決ということができますれば、ほとんど大多数の国民が賛成をするということを確信するわけでありまして、どうか今後の日韓会談については、この気持を一つ貫徹できるような結果を導くように一段と政府側の御努力をわずらわしたいということを希望として申し上げて、きょうの私の質問を終わりたいと思います。
○小坂国務大臣 まことに仰せの通りでございまして、さような方針をもって望みたい、大いに精励いたしまして、日韓間の国交を、お互いに満足し得る、しかも合理的な基礎に立って解決をしたいと思います。
○森下委員長 穗積七郎君。
○穗積委員 時間もありませんから、一、二だけお尋ねをしたいと思います。
 第一にお尋ねしたいのは、先ほどちょっと与党委員の方の質問の中でお話がありましたが、ただいまの国連総会で中国の代表権問題について重要事項指定の決議案の提案国に日本がなっておること、このことは再々申しますように、ただいまの日本の立場としては百害あって一利ない、非常にまずいことをされたというふうに、われわれは国民の側に立って遺憾に思うわけです。どういうわけで一体国連総会においてこういう措置をとられたのか、その経過並びにお考えを伺っておきたいと思います。
○小坂国務大臣 中国の代表権問題は、これは非常に重要な問題たることは論を待たぬと思うのであります。ことにわが国にとりましては隣国でもあり、非常に長い歴史的な関係も持っておるのでありまして、この問題については、いずれが代表するかというのが代表権問題でございまするが、われわれは台湾におります国民政府との間に外交関係を持ち、戦争問題の処理をやっておる立場もございます。かたがた中国の大陸におきまして現実に支配権を及ぼしておる中華人民共和国、この関係も考慮しなければなりません。両方考えてみれば非常に重要問題中の重要問題であるということについては、論を待たぬと思います。かような立場からこの問題は国連において十分審議してもらいたいということを考えまして、重要問題として指定すべきことを考えておる次第であります。
○穗積委員 外交的に重要な影響を与えることは当然でありますけれども、今度の国連総会における取り扱いの戦術として、重要事項指定決議案というのは、これは非常に――この前私もあらかじめ指摘して、外務大臣のあやまちなきを期待をしたわけですけれども、これは中国の代表権を認めない、妨害をする、そういう意図を持った重要事項指定方式の戦術であるわけですね。そのことは明瞭なんです。中国が国連において正当な代表権を獲得することは重要なことであり、それをこの際今度の総会で解決すべきであるという友好的な意味で重要事項指定方式というものが生まれてきたのではない。むしろ今までのたな上げ方式というものが、国際世論の中でもう孤立いたしまして、今度の総会では持ち切れない。そこで非友好的な、すなわち、中国を敵視する戦術として、このことが考えられたわけですね。そのことは明瞭なんです。そういうものに、しかも池田内閣は中国については前向きであると言っておったにかかわらず、その池田内閣が提案国になるというようなことは、これはだれが見ましても、従来の前向きという宣伝が全くうそであって、アメリカに追随して中国の代表権を妨害するための加担をした、こういうこと以外に私はないと思うのですね。弁解があるならば承っておきたいと思います。
○小坂国務大臣 問題の規定の仕方が、穗積さん非常に誤解があると思います。間違っておると思います。私は、中国の代表権問題というのは非常に重要な問題であるということであって、そのために国連において十分加盟国の間で論議さるべきものである、こう考えておるのでございます。モラトリアムの問題というのは、これは代表権の問題を討議しないということであって、これは横向きかうしろ向きか知りませんが、前向きではないのであります。私どもは前向きの立場からこの問題を十分論議する、こういうことを提案しておるのであります。もとより、これはソ連のように、全然論議する必要のないものである、直ちに中国代表は中共であるということを認めればいいというふうに割り切って考える考え方には、私どもなっておりません。しかし、お話しのように重要問題にしたことが、これが中共に対する敵対行動であるとか敵視政策であるとか、さようなことは毛頭考えておらないのでありまして、さような誤解をされませんようにお願いしたいと思います。
○穗積委員 アメリカは日本とともに提案国になり、日本をしてこれに追随せしめた。そのときのアメリカの意図というのは、今言われたような形式論理ではなくて、中国の代表権をあくまで阻止する、こういう立場で提案国になり、しかも日本にも慫慂したわけですね。ところが、今小坂さんのおっしゃり方によれば、日本の重要事項指定の決議を提案したということについては、中国の代表権を阻止する、妨害をする、あるいはこれを延期せしめる、そういう意図ではなくして、単純なる意味でこれを真剣に討議する、前向きの姿勢であるということであるならば、それならば、一体内容についてお尋ねいたしますが、日本はアメリカと違って、中国の代表権を認めることが正当なりという立場で提案をなすったのでございますかどうか、それを伺っておきたいのです。
○小坂国務大臣 この問題については中共側は中国の代表権はわれにありと言い、国府側はその代表権はわれにありと言っておるわけです。しかも、国府側は非常に長い間国連の中に重要なポストを占めておることは、御承知の通りであります。その問題を単に形式論理として割り出すことは適当でない、従って、国連において十分加盟各国が討議することが必要である、こういう立場で日本は重要問題指定ということを言っておるわけであります。
○穗積委員 提案をする各国、それからこれに投票をする場合になれば、決議案に投票する場合の各国、そのおのおのというものが代表権を認めることがいいという立場に立って投票するものと、これを阻止しようとする反対の立場に立って取り扱うものと両方あるわけですね。一番重要な点は、その中国の代表権を認めることが正しい、これをぜひ実視すべきであるという立場に立つか立たぬかということが、問題の分かれ目だと思うのです。それで私はお尋ねいたしたいが、あなたは、それでは日本政府としては、中国の代表権を国連において認めることが正しいと思っておられるのか、これを阻止しようと考えておられるのか、どららですか、それを明確にしておいていただきたいと思います。
○小坂国務大臣 この問題は、非常に重要であるということを言っておるのであります。
○穗積委員 重要であるかないかということは、実は私も議論があります。国連において討議すべき問題は、ほとんどすべてが重要な問題である。であるならば、ほとんど三分の二以上の国連で討議される問題というものは、国際外交に非常に影響するところが多い問題でありまして、重要事項の指定をして討議すると言って、その境はないのです。それでは、中国の代表権問題が重要であると言うならば、それ以外のことは非重要問題だということになる。私はそうは考えないのです。そうじゃなくて、今度の問題は、これを食いとめるか食いとめないかという戦術に重要さがあるのです。アメリカ並びに日本が追随したこの国連総会における非友好的な中国に対する敵視的な戦術が、問題になっているのです。その点は、おかしな形式論理でごまかしにならないように、自民党の中ではそういう説明で通るかもしれませんが、日本の良識ある国民の間には、そういう議論では通りません。そこを国民は不満に思っているのです。そういうまるでやり手婆さんの小手先みたいな戦術で、新しい隆々たる中国の代表権というものを妨害しよう、これを阻止しよう、そういうこそくでしかも陋劣なる態度に問題がある。アメリカははっきりしておりますよ。中国は侵略国であるという言いがかりをつけて、そしてこれを国連に入れない、場合によれば、国連に入るならば、われわれは脱退するというようなことを言っておどかして、脅迫戦術でもって世論を阻止しようとしておる。日本はどうなんですか。この代表権を認めていこうという立場で重要事項として討議なさるのか、あるいはこれを妨害する立場で重要事項として提案しておられるのか、どちらですか。アメリカと同じですか、あるいはアメリカとは違った独自の立場をお持ちですか、それを聞いているのです。
○小坂国務大臣 私は、日本の国民の大多数は非常に慎重であって、この問題は非常に重要問題であるから、いわゆる十八条による重要事項指定方式というものによって十分討議されるということが、望ましいと思っているであろうと思います。すなわち、中国の代表権は中共にありということで直ちに国民政府を抹殺するというようなことを単純に割り切るようには、日本国民は考えておらぬと思います。従って、私は重要問題は重要問題として十分討議すべきであるというのであって、中共の方の意に特にかなうように日本が行動しなければ、日本政府はけしからぬというようなあなたの御立論のようでありますが、私はさようには思わない。重要問題は重要問題として討議すべきである。お前の態度はどうだと言いますが、私の態度は、重要問題であるから十分討議すべしという態度であります。従って、その討議の中から国連にふさわしい妥当なる結論が出てくれば、それが私は日本のとるべき態度であろう、かように思っている次第であります。
○穗積委員 われわれは、ここで質問をして、国民の前にわれわれ野党の考え、政府の所信、それを明らかにするのが国会の質疑応答の任務だと思うのです。ところが、そういうヒョウタンナマズのような御答弁では、全く意味がない質疑応答になると思うのです。私はもう一ぺんお尋ねいたします。アメリカは重要事項指定方式の提案国になりましたが、そのときには中国の代表権を阻止する目的を持って提案国になっております。そこで、日本も同様の提案国でありますけれども、アメリカと同じでありますか、アメリカとは違った立場で提案しておられるのか聞いておるのです。それをはっきりお答えいただきたい。
○小坂国務大臣 今のあなたの御質問の中に出ておりますことで、お答えになっておると思います。われわれは提案国であります。私は、その提案国としてのわれわれの意図は、重要な問題を十分国連で討議して、そして結論を出せ、こう言っておるのであります。アメリカはアメリカとしての考えがあって、これは今中共を国連に入れることはふさわしくない、こういう気持から提案しておるであろうというふうにあなたは推論されましたが、私もそうだと思います。その点は違いがあるというふうに言って差しつかえないと思います。
○穗積委員 違いがあるということだけはおっしゃいましたが、それでは一体、日本の立場はどうであるのか、それを聞いておるのです。中国の代表権が国連総会において認められることを日本は望み、かつそれに努力するという立場で国連総会に臨んでおられるのかどうか。あなたは国連総会で、国連総会でとおっしゃいますけれども、国連総会自身に意思があるわけではありませんよ。これに加盟しておる各国の意思によって初めて国連総会全体の意思が決定される。国会の決議でもそうです。国会という抽象的なものがあって、それが意思を持ってきめるのではなくて、各議員の意思が表決を通じて国会の意思となるわけでしょう。国連総会の意思というものは、それぞれの国の意思がサンマライズされて国連総会の意思となるわけです。そうであるならば、国連総会の正しい、正当なる権利と義務を遂行する加盟国であるとするならば、そのときに、われわれはこうだと思うという日本自身の意思なくして国連総会に対する働きはできないでしょう。国連総会の決定がどうなるかなんという見通しを聞いているのではなくて、日本はどうなんですか。各国がおのおの自分自身の意思を持つことが国連総会に臨む先決ではございませんか。議員が自分自身の政見なくして議会に出てきて何になりますか。だれかきめてくれるというような、顧みて他を言うようなことをおっしゃらないで、この際どういうことが違っており、どういうつもりであるということをはっきりおっしゃっていただきたいと思う。
○小坂国務大臣 お互いに何か問題を議論します場合に、初めから自分の意思をきめて、何でもかんでも相手を自分の意見に引き込むという議論の仕方と、非常にフランクな態度において、その問題の本質をきわめて、しかる後にそれでは自分はこういう意見をきめようという意見のきめ方と二通りあると思います。自分は前者をとるから、お前は後者をとってけしからぬということは、これは不当であると思います。やはり十分意見を戦わし、意見を聞いて、とるべきものがあれば、最終的に自分の意見をきめればよろしい、かように思っております。
○穗積委員 それなら国連総会で討議が始まったときに何と言うんですか。自分の意思を押しつけろなんて私は一言も言いません。どういう態度で討議に参加されるのか。第一これを提案するについては、提案するについての自分の立場を明らかにしなければなりません。そこからもうすでに――自分自身のオピニオンを持たずして、民主主義が成り立ちますか。すべて民主主義の政治が成り立つということは、各国、各人がそれ自身の自主的なオピニオンを持つということが前提条件でございますよ。その場合に、初めから出さないで、他の意向もサウンドしながらこれを有効にひっぱっていこう、そういう戦術的なことはわかりますよ。そういうことを押しつけろとか、他に対して強要しろ、圧力を加えろということを私は言っているのではない。日本自身がすでに提案国になり――将来ではありません、もう現在これを討議しなきゃならないでしょう。そのときに、意見なくして、私はどこへいっていいのかわからぬからみんなできめてくれ、そういう態度で日本の代表は臨まれるのですか。そんなばかばかしいことをおっしゃって、国民は納得いたしませんよ。
○小坂国務大臣 私は、お考えわからぬわけじゃありません。しかしこの段階において、私どもが提案国として日本の考え方を述べる場合には、これは非常に重要な問題であるということをこの段階においては言うがよろしいと思います。その討議の過程において、この場合にお前はどう考えるかということであれば、その必要に応じて意見を申せばよろしい、かように考えております。
○穗積委員 それでは、池田内閣は中国問題については前向きだ、その方針が特に六月の池田・ケネディ会談以後急速に変わって後向きになっていると私は思う。敵視政策をとろうとしておると思う。仮想敵国として戦争準備をしようとしておると思うのです。そう思いますけれども、いまだにあなた方は国会では前向きだ、前向きだとおっしゃってごまかしておられる。それがごまかしでないとおっしゃるなら、中国の代表権が実現することについては反対をしないということですね。前向きであるならば当然でしょう。どういう時期にどういう経過を経てこの中国の代表権を支持するということは、これはあとの外交上の手続の問題ですから申しませんが、基本的には日本政府は中国の代表権に対して前向きであるというならば、これに反対をしない、当然こういう言葉になりますが、それでよろしゅうございますか。そういう言葉でわれわれも信じ、かつ政府の責任もそこにあるというふうに理解してよろしゅうございますか。
○小坂国務大臣 私はこのたび東南アジアの国を少し回って参りましたが、どうも感じますことは、日本人は少しせっかち過ぎて、直ちに黒か白か結論を出さぬとばかみたいにおっしゃる、そういうくせがあるのではないかと思うのです。私はやはり前向きはあくまで前を向いておればいいので、前を向いておって事態を正確に認識して、そうしていかに行動するかということが前向きの姿勢であるということであろうと思うのです。前を向いておれば、直ちにすべてを投げうってそれに抱きつけばよろしいということでは、結論が少し早いと思います。私は、前向きの姿勢はあくまでも前を向いて、それをいかに進めていくかということは、それぞれの考え方があるので、それを一気呵成に前に飛んでいかなければ前向きでないとおっしゃる議論には賛成いたしかねる次第であります。
○穗積委員 仄聞するところによりますと、日本外務省は台湾政権と中華人民共和国政権との間に立って、二つの中国の代表権が国連において認められる、そして二つの中国の政権を承認をする、そういうことを望んでおる。いわゆる二つの中国論、二つの代表権論ですね。かつてアメリカが窮余の一策として考えました承継国方式にも通ずるわけであります。で、そういうものを考えておるのではないかということが国際的に今推測をされ、流布されているわけですね。そのことについてはどういうことでございましょうか。はたしてそういうお考えを持っておられるのかどうか。
○小坂国務大臣 この際、そういうものに対してことさらにコメントすることはいかがと思います。ただ、私として申し上げ得ることは、現実に中国大陸においては中共政権があり、台湾には国民政府の政権があるということは、これは事実の問題としてその通りであろうと思います。ただ、その両方とも二つの中国という考え方には反対をしておる、これもまた事実であります。そういう事実の上に立って、これをいかに判断するかということについては、これはお互いに英知をもって現実を見なければならぬというふうに思います。
○穗積委員 私はなぜ前もってこういうことをお尋ねするかといえば、日本の外務省の中には、あるいは与党の一部の中にも、非常に誤った考え方がある。中華人民共和国に対しても多少アプローチ、接近をしたいという考えを持つかのごとくしながら、実は二つの中国論を持っておるわけですね。そうしてまた、それを実現しようと宣伝をしたり、あるいは多少の動きを示したりする、これは根本的に誤っておる、これは何らの前向き姿勢ではないということを私は前もって注意しておきたいのです。二つの中国政策をもって国連における代表権問題も処理していこう、国交回復あるいは国家承認の問題も処理していこう、こういうお考えがもしありとするならば、これこそが、今の二つの政権ができている現実の上に立ってというあなたのお言葉がありましたけれども、現実を、現実をとおっしゃいますけれども、その現実というのは、二つの政権があるからということなんでしょう。それこそ非現実的なことなんです。二つの中国論こそ一番迂遠にして非現実的なことなんです、非友好的なことなんです。その事実を小坂外務大臣はどういうふうに認識しておられるのか。中国が最もきびしく言うことは、一切の貿易なり一切の国と国との交流問題について前提となるものは、友好三原則である。その中の中心の大きな問題は何といっても二つの中国の陰謀をしたり、陰謀に加担をしたりすることである。これはもう根本的にわれわれと相いれないということなんですね。それを全く認識していない。それは単なる相手側の一時的なる宣伝であり、時が流れ、情勢が変化するならば両方の政権もこの二つの中国論を認めるかもしらぬというような錯覚や一方的なる空想をして、これが現実的であるかのごとくお考えになることは、これは全く悲劇でございます。笑うべきことなんです。ですから、そういう点については、二つの中国問題については何らの夢想もしていないということを、この際明らかにすべきだと思う。それが先決だと思うのです。それについては、小坂外務大臣どうお考えになっておられるか、伺っておきたいのです。
○小坂国務大臣 ですから私は申し上げたように、二つの両方の政権がそれぞれ二つの中国というものには反対である、こういうことは現実として私どもは聞いておる、そういうことを申しておるのであります。
○穗積委員 ヒョウタンナマズのような御答弁ですからこれだけでも二十分たってしまいまして、あとの方にも迷惑になりますから、はなはだ遺憾しごくだと思うのでございます。ですから委員長にお願いしておきますが、今度はただ形式的に何分やったとか何時間やったということでなくて、内容によって納得のいくようなところへいったら、あとはもうむだな質疑応答だからやめる、それから内容が何ら核心に触れない、納得のいく御返事がないような場合には、時間にとらわれずに、外務委員会の権威をもってやっていただきたいと思うのです。それこそ私は外務委員長の権威ある、責任ある態度であると思いますから、そういうことを希望いたしまして、きょうはもうあと一点だけでやめておきます。
 ただ留保しておきたいのは、実は日韓会談につきまして、朴政権の合法性と正当性と安全性の問題について、先ほど岡田さんからお尋ねがあった。これに対してまた同様にヒョウタンナマズのような御返事で、私はこれでは納得いかないで、時間を得て続いてこの問題についてお尋ねしたいと思ったのですが、これは留保しておきます。
 ただ一点だけ日韓会談に関連をしてお尋ねをしておきたいものは、先ほど竹島問題についてお話がありましたけれども、この取り扱いについて一点お尋ねしておきたい。先ほどの御答弁でございますと、竹島は明らかに島根県の一部であり、日本の領土である、日本はあくまでこの方針を変えない、ここまではわかります。ところで日韓会談のさなかでこれをどう取り扱うかということが問題になるわけです。そのとき外務大臣は、これは日韓会談の正式議題として取り上げない、そうではなくて、この問題についてはやがて国際司法裁判所へまかせて、そこで時間をかけて第三者の判断によっていずれともきめようという点で合意に達して、何らかの形で記録に残して、前へ進みたいというお考えのように、先ほどの御答弁では受け取れるのです。そんなばかな話がありますか。われわれはそれでは納得するわけには参りません。領土の問題というのは国交回復の相手国との間で、しかも係争になっております領土問題というのは、請求権問題以前に、両国の国交を回復する、あるいはまた両国のいろいろな取りきめをする場合の前提条件なんです。それを両国で自主的に話をしないで、それをそらしてごまかして、そして早く日韓会談をでっち上げて、軍事的かつ経済的に韓国にてこ入れをする、そういうことを急ぐあまり、この重要な領土問題をごまかして、接触をしないで、討議をしないで前へ通る、しかもそれを司法裁判所という第三者にまかせて、あなたまかせで進もう、こんなことでは国民は納得しませんよ。小坂さん、よく聞いて下さい。あなたの方針は、そういうことをやるならば、これは取り扱い方がもう根本的に誤りですね。しかも、張勉政権のときにはこの問題は李承晩政権と同様に話をしたことがある。ところが朴政権では、今まで一ぺんも話をしておらないし、これからも話をしないでいく方針でしょう。李ラインの問題とか、あるいは請求権問題とか国籍問題とか、それ以上に重要な竹島問題ですから、直接これは話をし、もし向こうが友好的であるというならばそれで決着をつけるべきことでしょう。この態度は許されませんから、もう一ぺんお尋ねして注意を喚起しておきたいと思うのです。
○小坂国務大臣 最初にお断わりいたしておきますが、あなたの御質問に対して全く私が合意するということであれば、御納得がいくでありましょうけれども、残念ながら見解が異なりまする場合、あなたの御質問に対して幾らお答えしても御満足がいかないことは、場合によっては仕方がないことだと思うのであります。それをあくまで私に合意するような答弁を御要求になりますと、いつまでいっても果てしのない問題も中にはあるわけでありますから、さようなことをあらかじめ御了承願っておきたいと思います。
 それから竹島の問題につきましては、これはもう私どもから見れば帰趨は明らかだと思います。これは明瞭なことだと思います。竹島は日本の領土であります。しかし、これを先方との商議の対象とするということになりますれば、何か他の問題について取引させられるような傾向を引き起こさぬとも限らぬのであります。従って、この問題については、韓国は竹島は自分のものだと言い、われわれは竹島は日本のものだ、一点の疑いもないと言っておるのでありますから、それを公平な国際司法裁判所に提訴して、相手方がこれを応訴するということになりますれば、これは同じことじゃないか、そういうことは、両方が平行線をたどるような問題についていろいろ商議を重ねるよりも、両方が合意する見通しのある問題についてまず話し合いを固めて、そしてこの問題は司法裁判所で扱ってもらうということにすることは、私は何ら差しつかえないことであるのみならず、実際的にはその方法で行くべきである、こう思っております。
○穗積委員 注意だけいたしておきたいと思いますが、そういう客観的にも明瞭である領土問題に対して、何らの一片の理由なくそれを拒否するような政権、そういうような政権はそれだけでもう交渉の相手になりません。誤りですよ。それを私は言っているのです。それだけはだれが見ても主観的じゃなくて、客観的に明瞭である。その点は所信何ら変わっていないと強く言われるなら、その言葉だけで国民をごまかして、実は放棄しているわけでしょう。韓国との話し合いの中で初めから放棄してかかっているじゃありませんか。相手の主張を認めてかかっているじゃありませんか。そんなばかな交渉の仕方というものはありませんよ。売国的ですよ。御注意申し上げておきます。
○森下委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 時間がないようでございますから、ごく簡単にタイの特別円の問題だけに限って質問をしたいと思います。
 先ほど与党の愛知委員から、タイの特別円の問題について質問されたようでございますが、その答弁の内容は国民が聞きたいと思っていることは少しも答弁されません。私どもはどうして協定で約束したこと以外のことを今回約束されたかということの事情を聞きたいわけでございます。このタイの特別円の協定につきましては、すでに国会で昭和三十年に批准をされているわけでございますが、先ほど外務大臣の御答弁にもありましたように、一条で五十四億に相当する額のスターリング・ポンドを五年に分割してタイに払うものとする。それはもうすでに払ってしまった。二条におきましては九十六億円を限度額とする投資及びクレジットの形で日本がタイに供給するというふうに書いてあるわけでございます。ところが先ほど外務大臣は、九十六億円は八年間でタイに上げるんだということをごく淡々として、何か御自分のポケットマネーで払うようなそういうふうな感じでお話しになっていらっしゃるので、私は非常に不思議に思っているわけです。一たん条約においてこれを投資及びクレジットの形で供与するんだといっておきながら、今度はそれを贈与するんだ、グラントの形にするんだというふうなことになりますと、今まで一体どうふうな折衝をされてきたか。つまりこれの協定を結んだときと、今度タイを訪問されてこの協定の内容と違ったことを約束されるに至ったからには、何かそこに原因がなければならぬと思いますけれども、その直接の原因は何であるかを伺いたいと思います。
  〔委員長退席、床次委員長代理着席〕
○小坂国務大臣 先ほどお話しいたしましたように、この九十六億円の解釈について、こちらは今申し上げたような戸叶さんがお話しになったようなそういう解釈をとったわけです。クレジットにするかあるいはインベストメントにするか。そういう形でタイ側に九十六億円に相当するものをとってもらい、あとは元本はこっちへ返してもらう、そういうことの考え方でいったわけです。ところが、協定成立の当初から、タイ側においては、その解釈は自分らの方はとらぬところである、このために現実に協定は動かなかったわけであります。しかしいずれにしても、九十六億円というものは、タイ側の所得になるということは、最初から考えておったわけです。そこで九十六億円に相当するものをタイ側は最初から期待しておったわけです。その後、屡次にわたる交渉を続けましたけれども、どうしてもタイ側としては、これはそもそもの出来が、日本の戦時中の軍の諸費用の調達のためにそれを立てかえっておった金だ。立てかえておった金を日本から今度あらためて貸付を受けるというようなことではどうしても納得はできない、やはり自分らの解釈は一歩も譲れない、こういうことを非常に強く言っておったわけでありまして、その後も日タイ関係のいろいろ貿易じりその他の関係から見ましても、どうもこの辺で問題を解決しないと日タイ関係がなかなかうまく動いていかない、こういうような状況も感ぜられましたので、このたびこれは八年間に分割して払っていく、こういう考え方で話がまとまった、こういう経緯でございます。
○戸叶委員 そうしますと今の外務大臣の御答弁を伺っておりますと、タイの方はあくまでも、これはもらうものだと考えていた、日本の方ではそうではなくて、インベストメントとかあるいはクレジットの形でこれを供与するのだと考えた、初めからこれは食い違っていたのだ、こういうふうにおっしゃるのですけれども、食い違った形で条約というものを国会に批准されるというような不見識なことがあっていいものかどうか、この辺をまず伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 日本側としてはそういう解釈をとり、タイ側としては今申し上げたような解釈をとり、両方でこの解釈について最初から食い違っておったということであります。それは条約批准の際にどういう説明を政府がしたかということになるわけですが、日本側としては日本側の解釈で説明をしたのであります。しかし、その後においてどうしても条約上の解釈が違っておるということでこの協定が現実に動かなかった、こういうことであります。
○戸叶委員 そういうことになりますと、私どもは国会で条約を審議する場合に非常に大きな問題が出てくると思います。たとえば安保条約の審議そのほかの条約の審議におきましても、あとで解釈の違いが起きては困るからはっきりさせておいてもらいたいということを幾たびも幾たびも申しております。ところが政府はいやそういうことは起きないんだということで、今まで条約の審議をしてきたわけでございますが、この条約もちゃんと国会で批准してもうすでに六年もたっている。それで、ここへきてこちらはこちらの解釈でいたけれども、タイの方はタイの方の解釈でいたんだ、これでは私は国民は納得できないと思う。日本の国民は、やはり日本の国会で説明されたことを信頼して、そしてその条約の内容をそう理解した上に立ってこれを批准していると思うのですけれども、今になってタイの解釈と日本の解釈は違っていたのだから仕方がないというだけでは、私はあまりにも無責任であるということを言わなければならないと思うのです。タイにいらして、やはりここで九十六億払わないとまずいなというような、そういう状態が何かあったかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
○小坂国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、条約の解釈が双方で食い違っておったわけです。そこで先方は実はもっと大きな金額を言ったのを百五十億円ということに話をつけまして、そのつけた経緯も、いろいろ中に入った者が両方にいいようなことを言った経緯もあるようでございます。いずれにしても先方は最初からそういう考えをとっておった。そこでこの条約の解釈について、日本側から言えば実は向こうは一言もないというのです。しかし自分らの方としてはどうしても筋から見て、日本軍のいろんな経費を調達した金をタイの特別円として持っておって、それをまた日本から新たに貸し付けられるようなことでは、どうしても筋が通らないので、自分らの解釈はその通りなんだ、解釈が食い違ったことについては非常に日本側に御迷惑であるけれども、日本とタイとの友好的な状況にかんがみて、ぜひ一つこの問題を解決して大いに今後の友好関係を進めたい、こういうことでございました。さようなことで大局的な見地に立って見ますれば、この際この九十六億円は事柄の性質から見ましても、しかも分割払いでございますし、日本の財政上非常な負担になるというほどのものでもございませんし、事柄の筋からいっても、この辺で大所高所に立って解決をしてやることが望ましい、こういうふうな政治的な判断をするわけでございます。
○戸叶委員 今の外務大臣の御答弁で私は三つの問題があると思います。その一つは、初め百五十億円ということであった、ということは五十四億円と九十六億円とを足したものが百五十億円ですね。けれども中に入った人があって結局こういうふうな形になったということでありますが、そうすると、あの協定を結んだときにだれかがいて、そしてこの際はこういうことにしておきなさい、あとはあとでいいというようないいかげんなものでやったかどうかということが一つ。その次は、九十六億円というお金は大したお金ではないとおっしゃいますけれども、やはりこれは国民経済に及ぼす影響というものがあるし、国民がこれを払わなければならないのですから、外務大臣やあるいは総理大臣がこれは大した金じゃないからいいじゃないかというふうなことで解決できない問題じゃないかということが一つ。もう一つは、条約というものが国会で批准されたならば、なかなかそれは改正できないのだということを言われてこれまできたと思います。ことに池田さんが大蔵大臣のときには、たとえば通商航海条約とか、そういうふうな条約ならば改定してもいいけれども、清算勘定のあるような経済的な面の入っている協定というものは、そうたやすく改定できませんということを言い切っておられるわけでございまして、それがタイ特別円のことを聞いたのに対する答弁としてそう言い切っておられるわけです。
 それから私はここに速記を抜いて参りましたけれども、三十一年の四月、三十一年の五月、三十二年の二月二十七日に私も、それから先ほどの愛知さんも、いろいろな方がこれについて伺っているわけです。それに対してそこにいらっしゃいます中川さんも、アジア局長のときでございますが、私も相当詳しく昭和三十二年二月二十七日には聞いておりますけれども、これは向こうにやってしまいきりというものではないというふうなことを何たびも言っておりますし、またほかの方もそういうふうに決して向こうへやってしまうものじゃないのだということを、この条約の内容から当然のことではございますけれども、言っていらっしゃるわけです。それをごく簡単に、その当時からタイの方は考え方が違っていたのだから今になれば仕方がないじゃないかということで片づけられるということは、私はどうかと思うのです。やはり国民として聞きたいことは、政府が投資及びクレジットの形で供与すると言ったのを、今度は無償で贈与するというふうに変わったには何かがあるのじゃないかということを、もう少し納得のいくように説明していただきたいということだろうと思うのですけれども、この点はいかがでございましょうか。何にも理由はないということですか。
○小坂国務大臣 条約、協定を作りますときに、何か双方に都合のいいような解釈が行なわれた、すなわちこちらの解釈がそのままタイ側の解釈になっておったというふうに思われない節は、実はあるわけでございます。
 それから第二点に仰せになりました九十六億円はわずかなものだから、勝手に総理や外務大臣がポケットから出してもいいというふうなことは、私ども全然考えておらないのでありますが、金額的にもという意味は、日本とタイとの貿易関係を見てみますと、こちらがはるかに出超になっておるわけでございます。タイ特別円に関連して非常に日タイ間の貿易が阻害されるようなことになりますと、これは九十六億円を八年間に払うことを惜しむあまり、それにまさる何十倍というものを失うということにも一方からするとなる、こういう判断をとり得るわけで、その点を申し上げたのは、少し言葉が足りませんで、さような点、誤解があれば訂正申し上げたいと思います。
 それから現行の協定でありますが、九十六億円をクレジットかあるいはインベストメントの形でファンドするということは、何か読み方によれば、それだけのものはクレジットとかインベストメントでそういう勘定を向こうに設定する、しかし、これを必ずしも回収するというようなことに読み切れない面も多少あると思います。すなわちグラントと非常に違ったじゃないかということでありますが、当初から非常にロング・タームの、しかもロー・インタレストのものだから、 ロング・タームになれば多少経済情勢の変化もあるし、結局君の方の取り分になるよという説明を先方がとっておる節もございまして、どうもこの際解決しませんことには、日タイ間の貿易問題にもっと大きな形で響いてくるということも可能なような状況になっておることは事実でございまして、それこれ判断いたしまして、日タイ間の友好関係にかんがみて、いわゆる大所高所から判断してこれを妥当とした、こういう事情であります。
○戸叶委員 政府としては、その方がいいからということでおやりになったでしょうけれども、私どもとしては、一たん批准をした条約、しかも経済問題を含んでいる条約というものを、そういうふうに簡単に――ある国を訪問して、そして勝手に変えてもいいものかどうかというところに今後問題があると思うのです。こういうことを一つやりますと、今後いろいろなところにやはり政治的に波及していくのではないか。たとえばよその国とのクレームの問題とか、あるいはクレジットの問題とか、いろんな問題が、この一つの条約を廃棄するか、それとも直すかどうか知りませんけれども、そういうことをすることによって、今後においてよそへ波及していく面が非常に多くなるのじゃないかということも心配いたしますけれども、外務大臣に、どうでしょうかと伺えば、そんなことは絶対ありませんということをさっとお答えになってしまうでしょうけれども、やはり私はそういう問題が今後出てくると思うので、そういう懸念は全然ないと思っていらっしゃるかどうかということと、もう一つは、一たん批准した条約というものは、一条だけ除いて、しかも日本の経済に関係のあることを改定するかどうか、そういうふうな操作をするということは、日本とほかの国との権威という問題から考えても、許されるべきものかどうかというふうなことを一ぺんお伺いしたいと思います。
○小坂国務大臣 ただいまの御質問は、私も言いたい点は非常にたくさんあると思って拝聴しております。それは、一たん結んだ協定を変えるということは軽々にやるべきでないことは、重々仰せの通りであると思います。ただ、政治的な判断からいたしまして、従来のいろいろな複雑な経緯もあり、この際これを解決せざるを得ない、こういう判断に立ってこれを行なったということでございまするけれども、それじゃこれをどういう協定にしたらいいかということについては、ただいまお説のような点を十分私ども考慮いたしておりまして、いかなる形をとるのが最善かということについては、先ほども御答弁したことでありますが、十分に考えて参りたいと思っております。
○戸叶委員 先ほどこの条約二条を廃棄するのか、それとも新しい協定にするのかというようなことは、これから考えた上で決定するというふうなことを愛知委員にお答えのようでございましたが、大体そういうふうなものをいつごろお出しになろうとして考えていらっしゃるかということが一つと、それからやはりこの批准された条約が、簡単に条約の中の一条を廃棄するとか、そこを改正するとかいうようなことができるかできないかというような根本的な問題、そういうふうな問題について、この次の機会にまたあらためて質問したいと思いますけれども、この内容ですが、一体それをどういうふうな形でいつごろお出しになろうとするのか、それから日本側だけで作ろうとされるのか、タイと相談して作られるのか、この辺のこともお伺いしておきたいと思います。
○小坂国務大臣 この内容については、私も帰ってきて二日しかたっておりませんので、休日も間にございますので、できるだけ早く関係者と打ち合わせたいと思っております。これについては、日本側として、条約に書いてあることを解釈通りにいかぬことをやるわけでございますから、日本側として十分考えて、これならばということで私どもにまかせるべきであるということを、私、タイ側を訪問いたしました際に、先方の外務大臣その他に申しまして、日本側として適当なお考えがあればタイ側はそれに従うというふうに申しておりますので、われわれできめられることと考えております。
  〔床次委員長代理退席、委員長着席〕
 なお、協定そのものについて原文をしさいに読んでみますと、貸借とは言いながら、書き方そのものについてもやはり異議を差しはさみ得る余地もなきにしもあらずと思われますので、協定を作ります際には、そうした疑義が今後起きないという協定を作らなければならない、そういう方針で、私どもがいたしております協定については極力後になって異議を差しはさまれないような協定を作りまして、国会においても御承認をいただく方針でいたしておる次第であります。
○戸叶委員 今までの政府の答弁をずっと速記をたどって見ましても、今外務大臣は疑義をはさむような点があるということでおっしゃいましたけれども、この速記に残っていることは、明らかに投資及びクレジットの形だということで、これは戻ってくるお金ですよということまで念を押して言っていらっしゃるわけで、非常にその点が違っておりますので、今後注意をしていただきたいし、またこの問題はさらに追及をしたいと思いますが、最後に一点お伺いしたいのは、その九十六億円というものの内容を向こうはどういうふうなもので望んでいたか、この点を最後に伺っておきたいと思います。
○小坂国務大臣 内容は日本のものを買うということであります。それは品物であってもあるいは役務であっても、要するに日本からそういう品物を買う、こういうことであります。
○森下委員長 帆足計君。
○帆足委員 時間も移りましたので、要点を申し上げます。
 先ほど穗積君が質問いたしました中共の国連加盟の問題につきまして補足の質問を一つと、沖繩の祖国復帰の問題につきまして要望もし、また外務大臣にお尋ねいたしたいと思います。
 第一の、先ほどの穗積君からの質問に連関いたしまして、御承知のごとく、アメリカが今度中共の国連加盟の問題を重要事項に指定いたしましたのは、慎重に論議を尽くして、諸国の市を聞いて明るい結論を出そうということよりも、国連加盟をどうして阻止しようか、わらをもつかむ思いで、三分の二の投票に持っていってこれを流産させたいという意向であるということは、もうあまねく世人の知るところでありますが、外務大臣は、もちろんこのことをお心得になっておられるのでしょうか、まずそのことをお伺いいたしたいと思います。
○小坂国務大臣 アメリカの意向につきましては、去る土曜日の新聞にも出ておりましたが、非常に強く、中共の国連加盟はその資格において疑義がある、こういうことを言っておるようであります。
○帆足委員 そのようなアメリカの意向のもとに出される重要事項の提案について、日本政府がなぜちり払いの役目をなさろうとするのか、私は、それは国民の利益に反すると思うのです。もし日本政府の立場が保守政府として微妙な立場にあるとしても、それならばその会議で自己の所信を営々と開陳し、その前に各国の意見を十分に聞くということもよいことでしょうけれども、何を好んでみずから提案国の一つになろうとするのか。国民は、日本政府が愚かにも火中のクリを拾い、君子は瓜田にくつを入れずというが、卑しげな格好をして、瓜田にくつを入れている姿を見て心配しておることは、本日の朝日新聞の社説でも指摘しておる通りであって、あまねく世論はこの一点を心配しておると思うのです。従いまして、保守政府として微妙な立場にあるならば、黙っておればよいものを、なぜのそのそ出ていって、アメリカがそういうやましき一定の意図を持って政治的工作をもって重要事項に指定しようとしておるときに、その中に出ていこうとする、そういうさもしいお心持ちは一体どこから、どういう動機から来たのであるか、われわれはそれを知りたいと思いますが、いかがでしょうか。
○小坂国務大臣 この問題が非常に重要問題であるということについては、私は、国民はひとしく異議ないことであろうと思います。従って、国連において先ほどもお答えしたように、重要問題は重要問題として扱えということは、国連中心主義の私どもの立場からして少しももとるものではないと思います。ただ、お話のように、非常に中共に対する敵対心をあおっておるような誤解を受けるおそれがあるということがあるかもしれませんけれども、そういう問題については、国連において堂々と発言してわが国の考え方を明らかにすればよろしい、こう思う次第であります。
○帆足委員 国民がひとしく心配しておりますことをこの議席においてただし、そして私たちの要求を述べることが国会議員の職務であると思いますので、強くこの点をただした次第でありますけれども、先ほど穗積君が思い余って、大臣の答弁はヒョウタンナマズではないか、まことに不満足であると言った思いは、私どものすべての思いであると思います。ただいまの答弁を聞きまして、まことに残念と思います。私は、保守政党の立場に立っておられても、隣邦中国との数千年の両国の関係を思い、そして英国ですら中国を承認し、アジア諸国の大部分が中国の国連加盟にもはや賛成する状況になっておりますから、むしろその間をあっせんして、手順よく中国の国連加盟に賛成し、あっせんするような態度に出ることが、立場は異なっておってもアジアの一国としての務めであり、また日本国民もそれを多とするであろうものを、それもできがたい事情があって、しばらく沈黙を守るというならば、それも一つの立場でしょうけれども、先ほど大臣の言われたように、誤解か正解か知らぬけれども、世間から、かつてバチスタ時代の投票機械であったキューバのような態度を日本がうろちょろと極東の一国でありながらとっておるというような誤解か正解か受けることは、日本国民の品位において非常に残念だと思うのです。保守ならば保守で、国を思うこと深く切ならざれば独立の気風は青年の間にみなぎらない、こう福沢先生が言っておりますが、国を思うこと切にして深ければ、もう少し慎重にしてかつ見識ある態度をとっていただきたい、こう思うのですけれども、ただいまの御答弁をただ繰り返していただくだけではいたし方ありませんから、このことは本会議においてわが党から徹底的に追及し、政府の態度を変えていただきたいと思っておる次第です。
 それから第二に、沖繩の問題につきまして前の委員会で質問いたしましたが、政府の答弁はこれに対して消極的であったことを私は遺憾に存じております。植民地解放宣言において、アメリカは、植民地とは一国のその領域の人民の主権が他国の勢力によって支配を受けておることであるという定義をいたしました。この定義に対しては外務大臣も御賛成だという御発言でありましたが、それならば、かりに国際法学者の意見を見まして、一国の民族的統一性及び領土の保全が部分的または全面的に切り離されて他国の支配を受けておるというような条件は、やはり植民地解放宣言を適用する場所に当たるというような定義があるとしたならば、外務大臣はこの定義は植民地解放宣言の趣旨に合するものとお考えでしょうか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
○小坂国務大臣 植民地という言葉の定義は非常にむずかしいと思いますけれども、昨年の国連総会で採択されました植民地独立付与の決議に述べられております植民地とは、政治的な概念で明確な定義はございませんが、一応決議本文の第一項にいいます、住民が外国による征服支配及び搾取のもとに置かれる地域というふうな解釈が妥当であろうかと思います。その解釈から見ますと、沖繩においては外国による搾取が行なわれているという事実はございませんから、完全にこの宣言にいいます植民地の概念には入らぬ、かように思う次第でございます。
 また植民地独立付与宣言が沖繩について履行さるべきじゃないかという問題でありますが、政府は米国政府に対して、機会をとらえて沖繩をすみやかに日本の施政権のもとに復帰せしめるように要望して参りました。沖繩施政権の返還が実現できれば、このことは沖繩における外国の支配が解消し、住民の自由な要望に沿うて母国たる日本のもとへ戻れるわけでありますから、植民地独立付与宣言が意図しておることと考えます。しかしながらこの植民地独立付与の決議は、法律的には勧告以上のものでない結果、わが国は米国に対し直接な話し合いによって沖繩問題を解決するという方針をとっておりますので、国連の場で植民地独立付与宣言の履行を求めるという形で沖繩問題を扱うということは適当でない、こう思っております。
○帆足委員 沖繩の現状は、国の領土の一部が部分的に他国の支配に移っておる、こういうふうに考えてそれは間違いないと思いますが、外務大臣いかがでしょう。
○小坂国務大臣 沖繩の形は潜在主権という御承知のような形でありまして、アメリカが三権を持っておるということでありますが、この三権を持っておるアメリカは日本との間に十分話し合いをして、沖繩の住民の要望、また日本国民の考えというものを沖繩の現在の施政権を遂行する上に十分生かして参りたい、かように考えておる形であると思います。
○帆足委員 租借地であれ、植民地であれ、その国民と形式的には話し合いをしまして、そうして植民地になり、租借地になり、信託統治になっているのですから、話し合っているということは植民地の本質的なものでありませんし、また先ほど外務大臣が言われた幾つかの定義のうちで、経済的搾取が行なわれている、植民地においてはおおむねそのような状況がありますけれども、それが根本でなくして、一国の住民の人権が制限され、そして他国の政府の支配を受けておるというところに植民地の本質があることは御承知の通りですが、沖繩の現状は沖繩の潜在主権だけが観念の上で残されまして、三権がことごとくとられ、そして国民の人権、自由が制限されて、他国の支配を受けておる。従いまして沖繩の現状は、領土の部分が、その三権が他国に移っておる部分である、これは間違いのないことは事実であると思いますが、外務大臣はそうお考えですか。
○小坂国務大臣 平和条約の三条はそういうことをきめておりまして、三権がアメリカの施政のもとにあるということをきめておるわけでございますから、その分について言えば仰せの通りだと思います。
○帆足委員 私が今定義づけました定義は、実は単に国際公法学者の発言であるばかりでなく、植民地解放決議案の第六項でございます。すなわち一国の民族的統一性及び領土保全が部分的または全面的に分裂せしめられており、その目的を持つところのいかなる企図も、いかなることもこの国連憲章の目的と合致しないものである、こう書いてありますから、今や植民地解放決議案の趣旨に反するものであるということは、これはもう明確であると思います。私はこの解放決議案が国際連合で満場一致可決され、また一週間前にその実施の状況を査察する委員会が設けられるということが満場一致これまた可決されたことは、日本政府が沖繩の祖国復帰をアメリカと交渉する際において、道徳的にも、また実際的にも非常に有利なチャンスが与えられたものであるとして、これは日本政府に有利なこととして、政府が活用なさるべきことであろうと思って質問しておる次第でございます。
 サンフランシスコ条約の議事録を今開いてみますと、インドがこれに調印せずに、別に書簡を合衆国政府に出しております。その書簡の中でインドは、なぜサンフランシスコ条約に良識のあるインドが参加しなかったか、またアジアの一員として、そして敗戦国たる立場に置かれている日本に対して冷静に、そして理解ある態度を示していたところのインドが、しかもおそらく英国ともお互いに理解を持っておるであろうところのインドが、なぜサンフランシスコ条約に入らなかったかという気持、その理由がこの書簡の中に詳しく述べられておりますけれども、その第一は、この条約の各項目は日本に対して名誉ある国際共同体の一員としての地位を保証するものでなくてはならない、第二には、日本との平和に関連のあるすべての国民に対して普遍的に満足を与えるものでなくてはならない、しかるにサンフランシスコ条約の若干の項目の中にはこれと著しく抵触する項があるから、インドとしては賛成しがたい。その幾つかの条項を述べました一つに、琉球諸島と小笠原の条件は全く不合理な条件の一つであって、合衆国はこの島の上におのれが責任を持つところの信託統治権を求めておるだけでなくて、それまでの過渡期という名目のもとに三権を獲得して、そして自己の行政上の支配下に置こうとしている。これはやがて沖繩の島民並びに日本国民に重大なる不平をかもす原因となるであろうから、自己の良心においてインドはこれに調印することはできない、こういう通告を発しておるのであります。それに対してアメリカはどういう返答をしたかといいますと、信託統治というものは島民の自治を育成するための暫定措置にすぎないし、またそれまでの期間アメリカがどうしようかということはまだきまっていないのに、早くも日本国民の深刻な不満が訴えられるであろうなどという予言者めいたことをインドが言うことは理解に苦しむ、こういうような返答をアメリカはいたしておるのであります。ところが現実はどうであるかというと、現実は、潜在的主権とは名のみ、三権はことごとくアメリカに移されて、住民の基本的人権、言論、出版、結社、学問等の自由はもとより、祖国との往復までパスポート制度がきびしくしかれて、そうして著名なる自由主義的学者諸君ですら沖繩への渡航は必ずしも自由でないという状況は、このたびの国会議員団の視察並びに自由人権協会の沖繩調査視察に詳述されておる通りです。従いまして、私は外務大臣にお尋ねいたしますが、第一に、アメリカはなぜやがて信託統治にするということを言われたのか。もちろん信託統治にするというのは、アメリカがそのように義務づけられておるわけではないそうですが、しかし調印諸国を欺くためにやがて信託統治にするという美名でもってサンフランシスコ条約の中にこういう一文を挿入したとするならば、これは結婚詐欺のような問題である。まことに不徳義な問題である。外務大臣はこのサンフランシスコ条約の中に、しかも戦後型の非常にリベラルな形の信託統治という言葉を入れて、英国代表はこのインドの疑問に対して、でも信託統治という言葉があるからということで賛成しましたし、ダレスはさらに声を荒げて国際連合における信託統治というものがいかに自由を尊重した新しいタイプのものであるかということをインド代表は知らないかという意味の言葉まで使っておるのでございます。従って、この信託統治という言葉をアメリカはなぜ挿入し、現在その問題はアメリカ政府はどう考えておるか、そういう条件で調印に賛成した日本政府はこれにどう考えておられるか伺っておきたいと思います。
○小坂国務大臣 お言葉にもありましたように、信託統治にしなければならぬということを、アメリカが義務を負っておるわけではないわけでありますが、また一方われわれから言いましても、沖繩の施政権は将来において日本に返還されることは明瞭であるわけでありますから、何も信託統治という形を別にとって、そうして次にまた日本返還を考えるということよりも、ワン・ステップで考えるべきものである。その方がベターであるというふうに考えておる次第でございます。
○帆足委員 そうであるとするならば、外務大臣は現在の統治よりも軽い信託統治にしようとすれば、平和的信託統治ならば非常に軽いものです。軍事的信託統治は拒否権の行使のために行なうことはできません。そのためにアメリカは信託統治にしないのであるから、これまた外務大臣はヒョウタンナマズ式にほんとうの真相を言わないで信託統治というワン・ステップをとる必要はない。それならばワン・ステップをそのまま外務大臣のお言葉をいれて、実際はそうではないのですが、アメリカの意図はそうではないことは今申し上げた通りですが、信託統治にするよりも直ちに祖国復帰に進もうというならば、もう植民地解放決議案等において平等の軍事同盟ならば住民の諸権利を制限し、三権を奪う必要はないわけである。それは話し合いできめたと言っても、話し合いで暴行を働いているようなものでありまして、国民はそれを望んでおるわけではないわけです。無理にそういうことをしているわけですから、植民地解放決議案の実地査察が始まる前に、それと誤解されるような統治形態を続けることは時勢に適当したものではないから、一つ平和的に話し合いで解除してもらいたいということを即刻、私はアメリカ政府と交渉なさるべき絶好のチャンスと思う。でない限り、国民は声を大にして植民地解放決議案の実施を世論を背景として迫るであろう。外務大臣はどのようにお考えですか。
○小坂国務大臣 先ほど申し上げたように、この植民地解放宣言の規定、これには私どもは沖繩の場合は含まれていないというふうに思っておりますので、この問題をとらえまして、直ちにアメリカ側に交渉するという考え方は持っておりません。従来からの方針にのっとりまして、日本の県並みの待遇を日米相呼応して沖繩の同胞に与えるというところにまず持って参りたい、そして施政権の問題は、東西緊張の問題とも関連するわけでございますから、この緊張の問題の緩和されるに伴って日本に施政権が返ってくるようにする、こういう方針で望むのがよろしいと考えております。
○帆足委員 沖繩の同胞はわれわれの同胞でありまして、日本国民であって、奴隷ではありません。従って保守党の立場から――それに対しても批判がありますけれども、平等互恵の軍事同盟を結ぶというならば、何も沖繩の市民諸君の自由まで犠牲になさる必要は私はないと思う。また自由なる軍事同盟であるならば、沖繩に対して三権を奪うようなことをしておいて、話し合いの上であると称しながら、実際において他国の領土を侵略しておいて、そして軍事同盟も平和の保護も私はあったものでないと思うのです。従いまして、他国国尾の恨みを買うような状況を残しておいて、友好も親善もないわけでありますから、やはり植民地解放決議案の趣旨に基づいて、もし植民地というものの概念がアメリカの大脳の中に砂利かごみのように残っていなかったならば、軍事同盟を結んでも、こういう形態の軍事同盟というものは、私は文明国同士ならばあり得ないと思うのです。ただ軍事基地が必要ならグラウンドを借りるだけで、平等の見地で助け合う、それについてはまたそれについて政治的な批判はありますけれども、人権を無視するような形で行なわれるということは、やはり敗戦国に対する過去の植民地主義の残滓がこのようなむごい統治形態を残したのでありますから、従いまして、恥を知る外務大臣であられたならば、沖繩の状況は日本の恥であり、アメリカの恥だということはおわかりだと思う。かりに百歩を譲って、植民地解放決議案をそのまま機械的に適用できないという外務大臣のお考えでいっても、その精神の趣旨に従って沖繩の同胞を奴隷のような状況に置いてもらいたくない。かりに逆に今度はわれわれが軍事基地が必要だから、カリフォルニアを沖繩と同じようにしてもらいたい、そしてわれわれはお前の方には潜在主権を置いてあるけれども、三権はわれわれが握っておって、ニューヨークに行くのにもパスポートが必要であって、かりに大学の進歩的教授はニューヨークに行かさないぞと言ったら、一体アメリカはどういうでしょう。そこで外務大臣にお尋ねしますが、国会議員で沖繩の民情、芸術を視察しようと思って、そして渡航が許可されなかったような例がこれまでありますか、参考のために伺っておきたい。
○伊関説明員 私もはっきり覚えておりませんが、最近はそういうことはないと思っております。
○帆足委員 これは重要な問題でありまして、潜在主権と言いながら、われわれの国土に対して国会議員が行けないというようなことでも万一あるとするならば、私は、ライシャワー大使にも一つ国土から退去を御要求いたさねばならぬとまで思うほどのことであると思います。アメリカは一定の条約と条件に従って互恵平等の見地で軍事基地を置いておくならば、それは一つの論理として考え得ることでしょう。しかし沖繩の住民が奴隷のような状況に置かれておりながら、私は箱根会談もへったくそもあるものか、まず足元を清らかにして、そして真の友好を築き上げるのが保守政党としても努力せねばならぬ態度ではあるまいか。敗戦後すでに十六年たちまして、そしてわれわれは軍国主義のために大きな失敗をしました。反省すべき点もありますけれども、もう十六年たった今日、同胞の一部、しかも百万に達しようとする同胞が、終戦直後と同じように、ジープでひかれても、ひかれっぱなしのような状況に今もって置かれておって、そして少しばかりリベラルな思想を持っておれば日本に来ることもできないし、日本に参って多少の政治運動でもしたというならば、ふるさとに帰るパスポートが危ういというような状況では、私はアメリカのためにもならぬと思うのです。そういうことを許しておるのは――先ほど岡田君が羽田の空港に軍用機が盛んに飛ぶのに対して、これはやはりきまったことはきまったこととして厳重にせよと言われたが、日本は植民地ではないはずでありますから、アメリカに対してわれわれは要求すべきことはしっかり要求して、その平等の上に立って将来の平和を求めるというならば、その方向にわれわれは賛成ですけれども、沖繩の八十万の同胞が奴隷のような状況に置かれておって、そしてまあそれは話し合いでできたことであるから仕方がないというような態度にわれわれは賛成することはできませんから、この問題につきましては、もっと私も法律的に研究します。もう時間ですから、これはやめますが、沖繩が植民地であるという定義に当たるかどうかということについて、日本の解釈はそうであっても、インドやその他の諸国の解釈は別な解釈を一持っていたとしたならば、一体それはどういうふうに取り扱われるものでしょうか。条約局長からでも一言解説していただいて、そして私の質問は、次の機会に続行いたします。これで質問を終わります。
○中川説明員 昨年出ました国連における植民地解放宣言でございますが、あれに沖繩が含まれるという解釈は、実は国連では行われたということを聞いていないのでございます。日本だけの解釈ではないのでございます。御承知のようにあの決議はAAの案を基礎にしてできたわけでございます。そのAAの案を起草いたしましたのが、実はインドネシア政府が起草したのであります。そのインドネシアの代表がAAの会議であの案を報告しました際に、いろいろな案があったけれども、たとえば沖繩のようなところが含まれるという誤解を生ずるおそれもあるから、こういう案にしたのだということをインドネシアが説明したのでございます。
○帆足委員 それはどういう席で説明したのですか。
○中川説明員 AAの会議で説明したのです。
○帆足委員 それは速記録にありますか。
○中川説明員 これは松平大使からの公電できております。従って起草者の意思は、沖繩などは入らないという前提で作った宣言であるわけでありまして、日本としてもそのような解釈をとっている次第であります。
○森下委員 長川上貫一君。
○川上委員 時間がありませんから、簡単に二、三の点だけ外務大臣に質問します。
 政府の方では日韓会談を進められて、いわばしゃにむに朴政権と手を握ろうとしておられるようです。朴政権というものが合法的なものであるか、あるいは民主的なものであるか、あるいは憲法との関係はどうかというような問題があって、これはもちろん重要な問題でありますけれども、私はそういう点よりも、もっと根本的な深い将来の問題についての見通しの方が大事だと思うのです。そこで外交上の根本の問題、これは朴政権の性格が何かというようなそこにあるのではなくて、むしろ朝鮮の人民は今後どういう態度をとるであろうかというところに、外交上の基本的な問題があると思うのです。朝鮮人民は、現に朴政権によって戦いの目標を変えております。これは御承知だと思うのです。すなわち張勉時代には南北の協商、南北の交流、話し合いによる平和的な統一、これであったのが、今では変化しました。すなわち第一にアメリカ帝国主義の駆逐、それにつながる朴一味の打倒というのが韓国人民の戦いの目標に変わりました。これは明瞭です。この点は外交上最も慎重に検討をし、考えなければならぬ問題であって、この問題を無視して私は外交というものはないと思う。こういう戦いの目標が変わったにつれて戦いの方法が漸次変わりつつあるし、変わっておる。この韓国人民の動向、こういう問題について日本の政府、外務大臣はどうお考えになってどういう見通しを立てておられますか、
 この点をまずお聞きいたします。
○小坂国務大臣 日韓の関係を処理するに当たりまして、朴政権の性格よりも、むしろ将来の問題に目を注げという御議論に対しては私も同感であります。私は朴政権の将来の問題は民主政権につながる、こういうことでその見通しを立てておりますが、ただいまの韓国における国民の対政府の考え方、これについては、お述べになりましたこととは私は見解を異にいたしておりまして、そうではない、朴政権も懸命に国民の生活、福祉の安定、向上に努力しておる。日本も隣国である韓国民衆の福祉のために努力すべきものであろう。われわれの力の及ぶ範囲内においてできるだけこれに協力すべきである、かように思っておる次第でございます。
○川上委員 会談を進められる政府としてはそう言われるのが普通だし、そう言われるだろうと私も思うておったのですけれども、それは非常にあぶないのじゃないでしょうか。現に世界の状態から考えても――私はここであげ足をとったり、何か一本とろうというような考えで質問をしておりません。現にキューバがあります。この問題でアメリカがどういう失敗をしたか、これは世界周知の事実です。ラオスがあります。ラオスでアメリカと日本まで含めてあれがどういう結果になったかということも世界周知の事実です。日本はこの時分にはブンウムを支持し、扇動した。その結果は御承知の通りなんです。南ベトナムがあります。この南ベトナムがどういうコースでどういう方法をとって、現在どういうことになっておるか、これはもうりっぱな手本です。韓国が例外だとお考えになりますか。外交をする時分には小理屈じゃなしに、主観じゃなしに、国際的な状況や今までできてきたところの人民の闘争、これを深く研究して、そこで外交上の国策を立てなければあやまちます。国の運命をとんでもない方向へ持っていく危険がある。こういう点について外務大臣はきわめてのんきそうな答弁をしておられるのですが、腹の中からほんまにそう思いますか。韓国は大丈夫だとほんまに思いますか。これをもう一ぺん聞かしておいて下さい。
○小坂国務大臣 韓国が三十八度線を境にいたしまして北鮮と国を隔てられて、同じ同胞でありながらかきにせめぐといいますか、とにかく対峙した格好になっておることは、私どもとして非常に同情にたえないところでありますが、問題は共産主義の膨張政策にあろうかと思うのであります。今お述べになりましたラオスとかあるいは南ベトナムの問題、これらも先方から非常なインフィルトレーションがあるということが問題として大きな問題であろうと思いますので、世界平和を考えます場合に、やはり現在ある形においてその国をできるだけ内容を充実するというふうに考えて参りませんと、世界の平和というものはなかなか期し得ない。心互いに膨張政策ということはやめるように、かつての帝国主義がいけないと同様に、その国をひたすら膨張させるという政策をとることがないようにしてもらいたい。そういう考えを世界の各国において持つように、それこそ平和共存の考え方に通ずるのである、かように思っておる次第であります。
○川上委員 そういうことを外務大臣は言われますけれども、韓国の状態はそんな状態じゃないのじゃないですか。韓国が今後ベトナムやラオスのようにならないという保障は一つもない。むしろ反対に、必ずそういう方向をたどるだろう、これが人民闘争の方向だろうということをまず考えなければ、外交はできないのじゃないですか。国の運命をになうことはできないのじゃないですか。一口に言いましても、今日朴政権のもとでは、言論機関の大部分をつぶされておる、地方議会まで解散され、道知事から市長、判事、検事までが全部軍人になっておる。文官は一人もおらぬはずです。兵役未了者を政府機関並びに重要企業から全部追放し、このために非常にたくさんの人々が追放されておる。デモ、集会、ストライキは全部禁止。一切の社会団体二百三十というものが解散されておる。経済は破綻でしょう。人民生活はほとんど破壊と言うてもいい過ぎではない状態なんです。経済事情はきわめて悪い。農村は困窮をきわめている。そうして一方では戦争と挑発の練習ばかりしておる。ことしになってからでも、原爆戦想定の演習をしめて六回やっておる。これにはアメリカ軍が加わり、さらに在日米軍まで加わっておる。これだけを考えてみても、ほんとうに賢明なる外交家なら、こういうものを人民がほんとうにがまんするだろうかどうだろうか、この状態はラオスのブンウム政府よりも悪いです。極端に言うたら南ベトナムのゴディンジェム政府よりももっと悪いかも知れない。これで持てますか。これで人民闘争が起きぬと思いますか。主観は別にして、客観的に世界の動向を考えた時分に、われわれはこの危険ということを考えながら、日韓会談並びに朴政権とかたく手を握るということについて、日本の将来の運命の問題、アジアの平和の問題朝鮮人民だけじゃなしに、日本人民の安全の問題、これを一緒に考えなければ、アメリカが指図したからというて簡単に――指図したのじゃないと外務大臣は言うでしょうから、これは答えぬでもよろしいが、そう簡単に朴政権と手を握りさえすれば仕合わせがくるというようなものではなくて、非常に危険な、全く反対のものではないのですか。これは率直に外務大臣どうお考えになりますか。われわれは朴政権の性格がどうとか、憲法をどうしたとか、個々のところでこだわっておるのじゃないのです。そうではなくて、今後一体どういうことになると政府は思うておるのか。もし韓国が第二のベトナム、ラオスというような状態になれば――私は必ずなると思いますが、なれば日本はどのようなことになるか。この点についてどういうふうに考えておられるかということをもう一ぺん聞きたいと思う。
○小坂国務大臣 朴政権が韓国における腐敗、不正の状況を一掃するということを真剣に考えておりますのは、韓国にきれいな政治を置いて、そして民衆の支持を得る政権を作りたい、こういう純情からだと考えております。幸いにしてそうした第一期の営みは終わりました。今後は経済再建、民生安定について大いに努力をする、こういう段階になっておると私ども承知しておるのであります。この際わが国としても隣国としてできる限り韓国の民化安定に協力するということが、すなわちあなたのおっしゃるようなラオスやベトナムのような状況を朝鮮に作らないことになると思います。そういう意味で私どもは日韓会談というものの非常に大きな意義を認めておるわけであります。お話のように、ラオス、ベトナムのような状況が韓国に起こりました場合には、これは日本においては非常に重大な事態であるということは言うまでもないのでありまして、われわれはそういうことが起きませぬように、まずもって韓国の民生安定、経済の復興、そのことに協力せねばならない。これは韓国のためでもあるし、同時にわれわれ自身のことでもある、こういう気持を持つものであります。
○川上委員 外務大臣の答弁はまことにりっぱでありますが、そういう工合にうまくいきますか。朴政権のスローガンは滅共統一です。第二のスローガンは臨戦体制、民生の安定の方向へいくといって、どういうふうにしていくんですか。一切の民主主義を破壊し、民生の安定を考えず、そうして演習、戦争挑発ばかりやっておる。スローガンに臨戦体制ははっきりあります。こういうのを援助する、これに経済援助までやろうとしておる。アメリカはこれに対してどんどんてこ入れをして、ことしになってからでも三個団を送り込んでおる。来年の春までには駆逐艦を含む軍艦七隻を与えようとしておる。民生安定じゃない。戦争と挑発です。これに対して朝鮮の人民がじっとしておりますか。これがおると思うようなことで外交が実際にできますか。ここは、私はあげ足をとっておるのじゃないのです。何とかして外務大臣を言い込めて喜んでやろうというようなさもしい根性は持っておりません。実際に危険きわまる状態じゃないですか。ここのところに政府が踏み込んでごらんなさい。朝鮮においてはその通りになるかならぬかは別にして、必ず人民闘争の激発、アメリカの駆逐、これにつながる朴政権打倒、これと一緒になっておる日本を敵にする、こういう方向が生まれてくることは明らかなんです。そうなってごらんなさい。アメリカはすぐ干渉です。そうなると日本はどういう状態に置かれるかとほんとうは考えなければいかぬと私は思うんです。そういうことになった時分には、日本はまさに明らかに朝鮮人民の敵、アジアの敵にかっちりなりますよ。日本はアメリカの完全なる補給基地になります。これはわかり切ったことです。日本は進んでアジアの不安と戦争の中に入り込んでしまわなければならない。目の前に見えておる。この危険を含んでおるのが日韓会談だとわれわれは思わざるを得ない。この点についてそうだというように外務大臣が答弁しないであろうことは、私も予想しております。しかし、ここは考えなければだめなんじゃないでしょうか。ここのところを考えないで、何か日本と朴政権とが手を握りさえすればそれで事がうまくいくというようにお考えになっておるとすれば、これは日本の運命を全く誤らせるものじゃないか。
 時間がないからついでに言わしてもらいますが、あなたの外交、池田内閣の外交は、岸内閣よりは悪いですよ。岸内閣よりは悪質で危険ですよ。これはケネディの政策がますます反動化して、ますます危険になってくると同じように、日本も危険です。その典型的なものが日韓会談であります。この責任を相当伊関さんは負うておられるわけです。人生を全うし、日本民族に報いるためにお考えになった方がいい。私はここではっきり言っておきたい。朝鮮がどうなるかということを見てごらんなさい。従来の国際的な例があります。必ずあの手になることは明らかです。もうちゃんと朝鮮人民の動きが出ております。この朴政権のような政権にじっとがまんしておるような朝鮮人民と思いますか。世界の情勢はそんなものじゃない。私はこの点を日韓会談の問題では一番重要な点だと思うので、性格の問題もあるし、憲法との問題があろうけれども、それにとらわれるのではなくて、ここの点を考えなければ、日本の外交路線というものはあぶない、立たぬというように考えているのです。これについては何べん答弁を聞いても同じような答弁になると思いますが、お考えを願いたいと思う。最後に私は、同じようなことが中国にある。外務大臣おられますが、考えてごらんなさい。アメリカは中国を国連からはね出そうとしてもう八回もやっている。最初はアメリカ案に反対したのは一国だった。それが去年はどうです。三十四国になっている。ことしは三十八カ国、ひょっとしたら三十九になります。
○森下委員長 川上君、だいぶ時間が過ぎました。
○川上委員 私のとき、だけ時間を言う。委員長ちょっと慎しまなければいかぬ。すぐに済みます。
 この状態になっているから、たな上げ案が出せぬから、重要事項指定方式をとってきた。それに日本の外交はどうです。オーストラリアがいやじゃと言い、カナダがいやじゃと言った。日本はたった四国のうちに加わってこれの提案国になっているのです。将来どうなりますか。将来こんなことでいけると思いますか。必ず近い将来に朝鮮人民を敵にしてしまい、中国の問題も手も足もつかぬようになってしまい、アジアの孤児になってしまい、日本の外交路線というものは全くの失敗で、日本民族の運命がひどいことになるという方向をとってござる。賢明なる外務大臣はここで答弁はなかなかできぬだろうからしなさらぬでよろしいが、考えて下さい。
○森下委員長 もう時間がだいぶ過ぎました。
○川上委員 この点は私は大臣に質問するとか、糾問するとかいうのではなくて、十分にお考えになってもらいたい。私は意見の開陳をしたのではありません。このことは国民にとって重要な問題です。ここを考えぬような者は、日本の人民の運命をになうに足る政治家ではありません。これを考えなかったら政府ではありません。
○森下委員長 だいぶ時間が過ぎました。
○川上委員 この答弁は要らない。私は意見を議事録に明らかにとどめておいて、通常国会を通じてこの問題についてはさらに具体的に質問したいと思います。
○森下委員長 先ほどの穗積委員の発言の中に、もし不穏当な言葉がありましたならば、速記録を委員長のもとにおいて取り調べ、委員長においてこれを善処いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十八分散会