第039回国会 石炭対策特別委員会 第9号
昭和三十六年十月二十一日(土曜日)
    午前十時十九分開議
 出席委員
   委員長 有田 喜一君
   理事 神田  博君 理事 始関 伊平君
   理事 周東 英雄君 理事 多賀谷真稔君
   理事 松井 政吉君
      木村 守江君    藏内 修治君
      舘林三喜男君    中村 幸八君
      滝井 義高君    中村 重光君
      渡辺 惣蔵君    井堀 繁雄君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官       森   清君
        通商産業事務官
        (石炭局長)  今井  博君
        通商産業鉱務監
        督官(鉱山保安
        局長)     八谷 芳裕君
 委員外の出席者
        通商産業事務官
        (公益事業同次
        長)      宮本  惇君
        参  考  人
        (石炭鉱業連合
        会会長)    武内 礼蔵君
        参  考  人
        (全国石炭鉱業
        労働組合委員
        長)      重枝 琢巳君
        参  考  人
        (電気事業連合
        会会長)    太田垣士郎君
        参  考  人
        (石油連盟副会
        長)      南部 政二君
        参  考  人
        (電源開発株式
        会社総裁)   藤井 崇治君
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
十月二十一日
 委員伊藤卯四郎君辞任につき、その補欠として
 井堀繁雄君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員井堀繁雄君辞任につき、その補欠として伊
 藤卯四郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 石炭対策に関する件
     ――――◇―――――
○有田委員長 これより会議を開きます。
 石炭対策に関する件について調査を進めます。
 昨日に引き続き、本件に関する各界の方々の御意見を聴取するのでありますが、休日は石炭鉱業連合会会長武内礼藏君、全国石炭鉱業労働組合委員長重枝琢巳君、電気事業連合会会長太田垣士郎君、石油連盟副会長南部政二君、電源開発株式会社総裁藤井崇治君、以上五名の方が参考人として御出席になっております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は御多忙中にもかかわらず、特に委員会の要求をいれて御出席下さいましてまことにありがとう存じます。昨日も申し上げましたごとく、今日石炭対策をいかに講ずべきかという問題は、政界、産業界に限らず、社会全般においても論議の的となっておりまして、内閣から関係閣僚が現地におもむくなど、従来にない調査活動を行なっております。本院におきましては今国会特に本特別委員会が設けられまして、連日関係各大臣が出席されて、委員各位も熱心に討議を重ねておる実情であります。昨日も、石炭の問題は単に炭業面のみの検討では対策を練ることは不可能であるとの見地から、広く石油、鉄鋼面の方々の御意見もお聞きした次第でありまして、参考人各位におかれましては、それぞれの立場におかれて忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存ずるのであります。
 ただ、時間の関係上、最初に各参考人に約十五分ないし二十分ぐらいずつ御意見をお述べ願い、全部の参考人が意見の陳述を済ませられたあとで委員から質疑がありました場合には、それに対しまして率直にお答えを願いたいと存じますので、右お含みを願いたいと思います。
 なお、申し添えておきたいと存じますが、議事整理の関係もありますので、参考人の方で特にお帰りを急がれる方、また委員で参考人の方に質疑をなさる方は、あらかじめ委員長のところまでお申し出を願いたいのであります。発言の際には必ず委員長の許可を待てから発言なさるようお願いいたしたいと思います。
 それでは参考人の陳述をお願いしたいと思いますが、まず、参考人武内礼藏君からお願いしたいと思います。武内礼藏君。
○武内参考人 私が石炭鉱業連合会会長の武内でございます。衆議院におきまして超党派的に、石炭界の現状にかんがみ、特別委員会を御設置下さいまして、本日はわれわれに当面しておる石炭問題について意見を述べさせていただく機会を与えていただきましたことを、まずもって厚く感謝を申し上げる次第であります。
 御承知のように、現在の石炭業界のあり方は、全く先生方も御承知の通り、あるいは本日までたくさんな炭鉱をつぶし、たくさんな労務者に失業を与えましたが、次から次と常に閉山あるいは予告言い渡しというようなことになりましたことは、すでに御承知と思われます。私が重ねて申す段階ではないと信じます。つきましては、陳述いたします趣旨といたしましては、現段階に追い込まれた石炭鉱業の危機を突破する、これにつきましては、緊急対策と恒久対策の二種類がなくてはいかない、これは当然当面の問題をいかにして収拾するか、ひいてはわが国の今後に対処する石炭政策をいかに樹立するかという二つと思われます。この当面対策と恒久対策の一端としまして、今日までの経過と、また当面の措置をありのままを訴えまして、諸先生方の誤たざる判断のもとに石炭産業を安定産業たらしめ、地下資源をどこまでも国内資源として活用するということにしてほしいと、私は切に開会にあたりましてお願いを申す次第でございます。
 それでは、私は当面の問題につき、一応現在までの経過をたどりまして御参考に供したいと思います。
 まず第一に述べさしてもらいますことは、御承知のように、三十四年に石炭の単価を千二百円下げる――このときの基本は、京浜地区の三十三年度の実績が一カロリー当たり九十七銭についておったのであります。私どもも審議委員の一員になっておりますが、当時を回想いたしますれば、私どもも生産性の向上、合理化ということにつきましては、業界はあげてこれに邁進しようという決意を当時持ったものであります。ところが輸入エネルギーである石油に対しまして、三十三年から三十四年当時は一万円見当だったと思います、一キロリットル当たりのB、Cの油がそうだったと思いますが、これが三十八年に合理化達成の暁には、一キロリットル当たりが八千四百円だろうということで、われわれも千二百円の下げをいろいろ協議した結果、経済の対象としては、八千四百円に三十八年度になったならばなるだろうということを対象にやったのであります。この千二百円下げの前提になるものには三つあります。労務賃金の一部は諸情勢から見て上がるだろう、ただしその他の物価は横すべりだというのが、そのあぐるべき一点であります。次に、二項には、重油価格は三十八年度に八千四百円程度となるだろうということ。三項にあげましたものは、千二百円のうち四百円見当は政府の強力なる助成措置と相待って実現すること、これが千二百円下げの前提となる三つでありました。
 ところが第一項の物価におきましては、御承知のように、政府が発表されますように、逐年物価の騰貴ははなはだしい。すべてのものが上昇しております。ここに、第一点の大きな食い違いがあります。第二点の重油価格は、三十八年度に八千四百円程度となるだろうといっていたものが、この三十六年度――本日は石油関係あるいは電力関係の首脳部の方がおいでになっておりますから、私が各電力会社から承ったところ、また責任ある人からつぶさに聞いたところでは、六千九百円の仮払いを受けておる。三十八年を持たずして、本年度の電力の混焼にお使いになる油は、六千九百円の仮払いがしてある。これが第二点の大きな食い違い。第三点は、千二百円下げのうち、四百円見当は政府の強力なる助成措置と相待って実現する、こういうことになっておりますが、本日は石炭局長も御臨席でありますが、非常にほど遠い話で、四百円に該当する何々のものをやったか、おやりになったと思われることは率直に述べていただきたいと思います。また半面には、物価の位上がりだけでなくて、鉄道の運賃も一五%引き上げ、電力料金のごとき公益事業に属するものすら、必要程度の引き上げが行なわれたのであります。千二百円下げをめぐりまして、第一項、第二項、第三項のすべてが全く逆の方向に行きましたことが、今日石炭を危機に追い込んだ主要なる原因であることは、私ははっきり申し上げるにやぶさかでないのであります。
 重油の価格の暴落ということにつきまして佐藤通産大臣と私が会談した結果を御報告申し上げますが、ドイツと違ってわが国の石油は安定してない、こういうような答えでございました。今日現実に、石炭の経営者とこれに従業する従業員と、これに関連する産炭地一般が大へんな窮状を来たしておるのに、ただ政府が日本の石油は安定しておらないと言うくらいのことでは、これは納得すべきことじゃないと思う。無責任もはなはだしいと私は信ずる。これは意のあるところを意見交換をいたしたいのであります。ところが、その後ますます深刻化するために、通産大臣が中心となって本石炭危機を乗り切るということに本気になってもらい、またあらゆる角度から意見も聞き、対処方に努力してもらっておることも重ねて申し上げておきます。
 第二点に申し上げますことは、これはここに列席されておる石油関係なり消費者関係の方々にはいろいろ語弊があるのではないかとも思われますが、重油に対しては消費税を課し、石油関税を引き上げて、石炭合理化の財源に充当すべきであると私は考えます。今日の経済は、日本だけの経済ではなく、世界各国に通じております。あの西ドイツでさえも行なわれておるにもかかわらず、この地下資源の石炭をかくまで窮状に追い込みながら、外国でできることが何ゆえにできないか、私は痛切に先生方に訴えたいわけでございます。これは、消費者と石油販売者の方々につきましては、いろいろ私と逆の意見があることと最初から考えております。御承知のように、ただ石炭を拠る者と従業員だけが石炭業ではありません。これに材料を供給し、あるいは材木を供給し、あるいは石炭輸送に携わっておる者、こういう者を次々に数字的にあげましたならば、少なくとも五百万人をこえる石炭につながる国民があることを忘れていただいてはならぬと私は信じます。あるいはこの数字よりかまだ増大するかもしれぬと考えるものでございます。
 第三にあげたいことは、近代化資金の過去のあり方、これも当面問題として、この石炭危機を突破するに可能なる措置を十分に講じてほしいと思うものであります。これまでの経過といたしましては、三十五年度に石炭鉱業に渡った近代化資金は十八億六千万円、ところがこの中でわれわれの所属する連合会には三十五年度が一億四升万円、本年度は二億四千万円ということになっておるのでございます。現在わが国の炭鉱の全数は六百ございます。この内訳を申しますれば、大手と称しまするものに所属するものが七十五鉱、これは七月末の調べでございますが、私の連合会に所属するのもは五百二十五鉱、これを合わせまして六百になるのでございますが、あまりにも今日のような経済成長、これは国民としてけっこうと思いますが、しかしながら五百二十五鉱に対して、近代化資金というただ名月だけでつながる一億四千万円あるいは二億四千万円というような金額では、どうして近代化できるかということをよくそしゃくしてほしいと思うものであります。炭鉱というものは、生産資金が比較的かかる。今、私の連合会所属の五百二十五炭鉱が、かりに一鉱当たり一千万円の近代化資金を必要とした場合は、約五十億となることを考えてほしいのであります。過去においてこの一億四千万円あるいは一億四千万円に対して、これを借り入れた炭鉱は、五百二十五鉱のうち十数鉱で一億数千万借っておりますが、残る五百という炭鉱は一切合理化資金、近代化資金というものを借っていないことははっきりしております。これは石炭局長が御臨席でございますから、疑義があるところは、また、私の調べで間違いがあれば取り消しますが、大体間違っておりません。
 第四は、金融機関に関する特別措置を政府の指導によって緊急に行なってほしいという問題でございます。政策の無理がしわ寄せされて、優秀な炭鉱が金繰りに追われ、生産や合現化に支障を来たしておる。大手といえども、たとえば大正鉱業の再建重要要件に旧債務の一時たな上げということのあることは、周知の事実であります。そこでケース・バイ・ケースで、炭鉱より申請のあった場合、実情を調査してもらって、少なくとも該当するものは向こう一カ年間は旧債をたな上げして、炭鉱の合理化、再建の軌道に乗せるべきである。これに対しては、まず開銀や中小企業金融公庫など、政府機関の金融機関から先に申請者を即時調べていただいて、これは一年間はたな上げしてやろう、これはさにあらずという区別は、調査の上決定してもらってけっこうだと思います。その他市中銀行につきましては、こういう政府機関の金融機関がかかる情勢下になった場合は、そういう政府機関の現実にかんがみまして、われわれケース・バイ・ケースにおきましてこれに沿うだけの誠意を持って、炭鉱をこれ以上つぶさない、その間に当面の石炭危機を乗り切ってもらう施策を、今度こそ根本的、抜本的に先生方によっても御検討いただき、りっぱな施策を決定してほしいと私は考えます。必要に応じまして、資料もいろいろなものを、私どもにあるだけのものをお出しいたしますから、この席をかりまして参考につけ加える次第でございます。
 その次に、第五に申し上げますことは、現在の炭鉱整理でございます。炭鉱整理は、先生方には釈迦に説法と思われますが、一般国民は、炭鉱整理は国がやっておるというような考えを持っている人が基本的に多いのじゃないかと私は信じます。この機会に私は明らかにいたしますが、われわれ全国の石炭経営者は、――法文ではトン当たり最高二十円という強制徴収になっております。最初のすべり出しは十七円で徴収を受けましたが、一昨年からこれを最高の二十円に引き上げました。現在の政府からの支出は、御承知のように、昨年の予算に初めて、開発銀行の金利を下げたためにこの出所がなくなったので、大蔵省負担として四億がこの炭鉱整理に充当されております。これは、国が炭鉱を非能率のまま整理するというような簡単な考え方を持っておられる方は、先生方にはございませんが、この機会に私ははっきり申し上げておきます。それから、その後の現場の状態を述べますと、この九月末までに、全国で整理を申し込んだ数量は七百六十五万トン、実際に買い取りが済んだものは四百五十五万トンであります。これに対する法定額と申しますか、これは六百三十万トンでございます。この六百三十万トンのワクとしましても、現在の四百五十五万トンを差し引きまして未買収が百七十五万トンあります。業務の進捗ははなはだなまぬるい。本年度の買収計画は事業団は百万トンということを言うておりますが、この数字は少な過ぎる。しかしながら、実績から見ますれば四月から九月まで六カ月の間に、わずか十一炭鉱三十三万トンであります。何ゆえにかく事業団業務がひまをとるか。買収業務を急ぐべきであるが、それを妨げる原因があれば、その原因除去を急速に行なうべきである。これはちょっと言及いたしますが、非常に情勢が変化いたしまして、鉱害というものが事業団のスタートしたときから十倍くらいの数に上がっております。事業団業務の運営費にはすべてワクがあります。そのためにワクに入らない鉱山がある。ここに現在の作業が非常に渋滞しておる原因があります。今ではワクを突破しております。一例をあげますが、こういう悲惨な山がまだ九州には七つも八つもあることを御記憶願いたい。御参考に申し上げますが、たとえば二万トン月産しておりました九州採炭の新手が先月から中止閉山をいたしました。ところが中止閉山に伴う退職金並びに法定の手当、こういうものが未払いを合わせて三億五千万あります。これは国の事業団に持ち込もうということになっておりますが、今申し上げましたようなために――一カ月に排水と保坑に百万円要ります。自分の山を調査してもらうまでに、少なくとも一年以上かかる。千二百万というものを使って保坑あるいは排水をやっております。苦しくてつぶれた山が、さらに、買いつけをしてもらうためにそんなよけいな消費をしていることを御記憶下さいまして、事業団の運営につきまして十二分にこの際、当面問題として御検討願いたいと思います。
 恒久的な問題といたしましては、これは通商大臣にも申し上げましたが、やはりわが国の消費するエネルギー源に対する一つの機関を役所で設置してもらいたい。今日のように、重油がだぶついて余っておる、さりとて重油業者は決してもうかっていない、損をされている、こういうことはあり得べきことではない。だから今後におきましては、当面措置がついたら、恒久対策といたしまして、経済情勢は常に変わりますから、その経済情勢の変化に即応する施策を講じていただきまして、訂正なりあるいは是正なりしてもらうべきだと思います。まず、総合エネルギーの基本を一つの機関として作ってもらうこと。将来の問題はたくさんございますが、まずそういう機関を作ってもらいたい。石炭山はつぶれておる。油屋は損をしておる。これを押し詰めたならば何が出ますか。今後のエネルギー対策というものにつきましては、一つのりっぱな国の機関を設置してもらいまして、この調整を適切、妥当にやってもらうことを欲するものでございます。
 委員長、私はこれで陳述を終わります。大へんいろいろなことを述べまして恐縮いたしております。どうぞよろしくお願いいたします。
○有田委員長 次に、重枝参考人にお願いいたします。重枝参考人。
○重枝参考人 全炭鉱の重枝でございます。
 石炭産業が今、三十八年度までに千二百円下げるということを中心とする体質改善に向かって努力中であることは、すでに皆様御承知の通りでございます。労働組合の全炭鉱といたしましても、この大筋はこれを承認いたしまして、その過程において雇用の縮小やあるいは労働条件の停滞というような、われわれとしては忍びがたい問題がございますけれども、しかしこれと真剣に取り組んでおるわけであります。その理由は、現在のエネルギー消費構造の変革というものを乗り越えて、日本の石炭産業が確固たるエネルギー供給源の一つとして生き残っていくためには、どうしてもこの程度のものはやり遂げなければならないという考えからであるわけであります。これらの石炭産業界の全体の努力に対しまして、従来もちろん国会においても商工委員会等でいろいろ論議をされ、われわれの意見を述べる機会も与えられたわけであります。あるいは国もいろいろな施策をなされたわけでありますけれども、その国の施策はきわめて不十分であったと一言にして申し上げたいのでございます。石炭産業の全体の努力が実を結ばないうちに、さらに多くの困難が出て参ったわけであります。それについては、ただいま武内参考人からいろいろ述べられたわけでございますが、そういう点については私は詳しく触れませんけれども、せっかく石炭産業の全体が努力をしておるのに、その努力を打ち消すような、あるいは足を引っぱるような条件が次々に出てきておるにかかわらず、それをむしろ傍観をしておったというのが今日までの情勢であろうかと思うのでありますが、貿易の自由化が繰り上げられまして、ようやくこの深刻な炭鉱の事情というものが一応認識されつつあるのではないかと思います。われわれは今までいろいろな機会に声を大にして申し上げてきたのでありますけれども、それがなかなか認識されなかったという点は、きわめて残念に思っておるわけであります。最近政府の首脳部の方々、あるいは政党の首脳部の方々等がそれぞれ産炭地に行って視察されておりますが、その談話を読みますと、われわれが聞いておったよりも、思っておったよりも非常にひどいのにびっくりしたというようなことがございますが、そのような談話をあらためて発表されることに、実は関係者としてはびっくりしておるような事情であります。今この時期に根本的な対策を立てなければ、日本の石炭産業というものは大へんなことになる、こういうを十分御認識を願って、今政府の中にも閣僚会議やあるいは次官の連絡会議、衆議院においてもこういう特別な委員会ができて、今石炭産業に対する対策を立てなければならないという点で非常に盛り上がっておる国民的な世論の中で、ぜひ思い切ったことをしていただきたい、こう考えるわけであります。そこで、そのような点について、全炭鉱の私としましては私たちの考えている石炭政策について述べさせていただきたいと思います。
 その第一は、まず総合エネルギー政策の樹立によって日本の石炭産業の地位を確立をしていくということであります。エネルギーの消費構造が変わってきておるということは、われわれ十分認識をしておるということを先ほど述べました。しかし、単に重油が安いから、あるいは使いやすいからというようなことで、日本の産業が使うエネルギーを基本的にに対策を立てることなく放置しておったのでは、私は大へんなことになると考えるのであります。日本の地下資源の中で非常に大きな比重を占めております石炭産業の地位、日本の石炭の地位を確立をする、こういうことが何にもまして第一に必要であると思います。そのためには、石炭産業は、御承知のように、供給に対してあまり弾力性を持たないわけであります。そこで、需要を長期的に確保するということがその基本にならなければならない。すなわち、日本の産業が発展をしていく中で総エネルギーの消費量が一応計画できるわけでありますが、その中でどの程度日本の石炭を使うかということを確立をして、それを守っていくということでないと石炭産業はうまくいかないということであります。当面五千五百万万トン程度を考えられておりますけれども、それを最低限として、需要の確保というものを国の責任でやっていくということでなければならないと考えられるのであります。
 第二は、そういう総合エネルギー政策の中で石炭産業の地位を確立をする、需要を確保するということ、それを円滑に進めていくためには、石炭産業自体が近代化しなければなりませんので、石炭産業の近代化を推進していかなけれ、ばならないと思います。これは当然今言われておりますように、スクラップ・アンド・ビルドという線で進めざるを得ないと思います。しかし、スクラップ化する場合も、ただいま武内さんがおっしゃいましたように、なかなか計画的にうまくいかない、ビルドの方をとってみましても、なかなか計画的にうまくいっていない。日本の石炭産業の中に中小炭鉱の占める地位も非常に大きいわけでありますから、やはり大手とか中小とか大企業、中小企業というものを越えて、全体的に計画的に進めていかなければならないと思います。この中で私たち組合としても特に重要な関心を持っておりますのは、日本の石炭産業の総合開発をしていかなければならないということであります。御承知のように、石炭産業の職場は毎日々々、あるいは毎時間々々々、毎分々々変わっているわけであります。掘っていけばなくなるわけであります。そういう意味で、鉱区の問題がどうしても出て参ります。鉱区の調整あるいは総合開発ということはしばしば言われておりますけれども、なかなか実際には行なわれていないのであります。私たちはやはり総合開発委員会というようなものを作って、現在の鉱区の所有というものはそのままにしましても、どのように鉱区を総合的に開発するのがいいかということを検討をして、そのために必要な鉱区の分譲、譲渡、そういうようなものをスムーズにいくようにぜひともしてもらわなければならないと思います。一挙に所有関係を変えるということでなくて、現在の所有関係をそのままにしておいて、そのしに立っての総合的な開発というものは十分可能であると考えておるわけであります。また租鉱権鉱山が相当たくさんありますけれども、こういうようなものを認めておったのでは、いわゆる総合的な石炭産業の開発ということは不可能でありますから、そういうこそくなものはやめて、何となく低労働、低貸金におぶさっていくような租鉱権鉱山というものをやめて、もっと総合的にやっていくというようなことを近代化の中で特に考えていかなければならないと思っております。このようなものには多くの資金が必要でありますが、それは低利、あるいは場合によっては無利子の金を石炭産業全体が使えるようにしていくということもきわめて必要ではないかと思っております。
 第三は、炭鉱における労働者の労働条件の向上ということであります。体質改善といい、あるいは近代化といい、それをささえる大きな柱の一つは炭鉱労働者であります。この炭鉱労働者のことは無視して、単に産業政策的に、あるいは機械的に近代化をやる、体質改善をやるということでは、うまくいかないことは火を見るよりも明らかであると思うのであります。そこで、石炭産業を近代化し、石炭産業をささえる労働者に対しては、やはり生産性向士に見合うりっぱな労働条件を保障する、しかも、石炭産業においては最低賃金制を確立するということが必要であると思います。先般私たちは総理大臣あるいは通産大臣等と会見をいたしましたが、その際にもその必要性を十分認識しておるということをおっしゃっております。ところが、われわれ見ておりますと、最低賃金というのは、最低賃金法があるし、中央最低賃金審議会があるから、そちらの方にまかしておけばいいじゃないかというような考え方がどうもあるように思われます。しかし、一般の中小企業の最低賃金、あるいは単に最低賃金ということだけの観点から炭鉱における最低賃金を考えると、これまた実情に沿わないことになると思います。スクラップ・アント・ビルドという政策を進め、体質改善を進めていく、そういう大きな革命的な産業政策を進めていく、その中で、その政策をささえていく炭鉱労働者にどういうものを保障すべきかという関連性を十分持った最低賃金を考えていかないと、生きた最低賃金にならないわけでありますから、単に最低賃金さえ作ればいいという考え方ではなくて、そういう総合的な立場でぜひ考えていただかなければならないと思うわけであります。こういうことができますならば、石炭産業自体が労働者にとって魅力ある職場として残るわけであります。今日、炭鉱ではなかなか求人難であります。良質の労働力を確保することがむずかしくなっております。これはいわゆる日本経済の好況による求人難というものと、もう一つ別に、石炭産業が不安定である、労働条件がよくないということからくるところの、石炭産業からの労働者の逃避ということであります。もちろん、よそにりっぱな職業を求められない者は石炭産業から離れようとしないかもしれませんが、そのような労働力だけで、先ほどから申しますような総合エネルギー政策にささえられる石炭産業の近代化というものが達成されるはずはないのであります。石炭産業に残り、それをささえていく労働者の労働条件について、以上の二点を特に考えていただかなければならないと思うわけであります。
 第四は、離職者の対策であります。石炭産業は、スクラップ・アンド・ビルドという形でやっていきますと、残念ながら多くの離職者が出て参ります。炭鉱は、あるいは機械は、スクラップ化することができるかもしれませんけれども、炭鉱労働者はスクラップ化することができないということを、私がここで大きな声を出せば、そんなことはわかり切っていると言うことでありましょうけれども、そのことが政策の中で十分認められていないというところに、石炭政策がうまくいかない大きな原因の一つがあると私は思うのです。労働者はスクラップ化することはできない、この立場に立って真剣に離職者対策を考えていただきたいと思うのであります。他産業での職場の確保、それができない場合には、失業者の生活の確保ということは、やはり国が責任を持って手厚い保護を加えていくということでなければならないと思います。特にこの中で、健康保険等につきましては、失業いたしますと健康保険の適用がなくなってくるが、こういうようなことでなくて、やはり健康保険だけは、少なくとも一カ年程度はそのまま延長適用するというような処置も新たに考えられていいのではないかと思います。この離職者対策を手厚くやれということを申しますと、上石炭産業だけになかなかそうできないのじゃないかという論をよく聞きますけれども、政府が抜本的に、金を出してやっていくという、それがたとえ財政的にきわめて大きな負担になるようなことをきめておいても、負担を求めることが目的ではないから、勢い、ほかの産業に新しい職場を探していくということに対して、政府も関係者も今よりも一そう真剣になれば、実は多大な予算を使わなくて済むという結果をもたらすのではないかとさえも思っております。そのような点について、単に、気の毒だから、まあ何となくその場を糊塗するというような意味で離職者対策を考えるのではなくて、手厚い保護を加えるという前提のもとに、その手厚い保護というものが不必要なように、他産業における職場が確保できる方向に努力することが、この本質ではないかと考えております。
 第五は、産炭地の振興であります。石炭産業がスクラップ化される部面がだんだん出て参りましたり、あるいはきびしい石炭事情によりまして閉山する山がたくさん出て参りまして、産炭によって経済的なものを維持しておりましたいわゆる産炭地というものは、たちまち疲弊をして、非常に大きな問題を今日起こしているわけであります。こういうようなみじめな、暗い地帯を放置することはできないと思います。そこで、そこに工場を誘致したり、あるいは産炭地発電をやったり、いろいろ雇用の機会を得るような諸施策をしていかなければならないと思います。炭鉱労働者だけではありませんで、日本の労働者全体がいわゆる流動性に欠けておりますが、特に炭鉱労働者の場合には、失業いたしましてもなかなか流動性に欠けております。これは、日本の社会的な条件もそういうものを阻害している点が多々あると思いますので、やはり産炭地に工場等を作って、振興して、そこで雇用の機会を開発していくことが一番必要であるし、これは石炭を中心に繁栄している市町村の側からいっても深刻な問題であるわけであります。
 第六は、炭鉱の保安の確保でございます。石炭政策と保安の確保というものは、何となく結びつかないような印象を持たれる方もあるかと思います。しかし、炭鉱という特殊な職場におきましては、生産と保安というものとは絶対に切り離せない問題であります。全体的には、最近の災害率は軽減の方向にはありますけれども、御承知のように、昨年秋からことにしかけて多くの災害もございます。なお、これらは気をゆるめることはできないのであります。この原因はいろいろあると思いますが、大きな原因として、石炭政策と関連をして考えられるものは、その第一は、近代化を炭鉱が進めて参りますが、採炭方法その他いろいろな近代化をやっていく場合に、生産の方にだけ気をとられて、生産の近代化に対応する保安の近代化という点がおろそかにされておるというところに問題があるわけですから、生産の近代化、体質改善に対応した保安というものを考えなければならない。もう一つは、どうせこの山は、この切羽は、もうスクラップ化されるのだということで、それではあまり保安に金をかけるのももったいないではないか、あるいは別の観点からいえば、保安にかける金がないというような点があるわけであります。そういう点を十分確保しなければならないと思います。保安についての臨時措置法がきめられる方向に進んでおるようでありますが、保安を確保するという面に――保安の確保できない山はやめてしまうのだという線よりも、むしろいろいろな施策、助成をして保安を確保していくのだという方向にこの法が運用されるように、特にお願いをしたいと思うわけであります。
 以上、六点について申し述べましたけれども、その他私たちの石炭政策として考えておることは、文書等で皆さん承知していただきたいと思います。以上申しましたことも、ある意味では別に事新しいことはなかったのではないかと思います。問題は、それほど明らかになっておることでありまして、もう残っておる問題は、ただそれを実行するかしないかということであろうと思います。応急対策と恒久対策というようなこともいろいろ言われておるようでありますけれども、応急対策をやって、恒久対策は今からゆっくり考えるんだというようなことでは、とても間に合わないのが今日の状態だと思いますので、むしろ私は、応急対策、恒久対策を一緒にして、抜本的な立法、行政、予算措置を講じていっていただくということが、残った唯一の問題であると考えるのであります。
 なお、最後に、私たち、昨日も石炭鉱業合理化審議会の基本問題部会を開きましてこの問題についていろいろ論議をいたしました。今日の三十八年度千二百円下げという体質改善の基本は、この合理化審議会の答申に基づいて進められておるわけであります。ここでは関係者がきわめて専門的な立場から、いろいろ検討をいたしております。近く審議会としての意見も取りまとめて、それぞれのところに要望することに決定をいたしておりますが、このような審議会の討論、意見というような点についても、十分これを参考にしていただいて、りっぱな石炭政策を立て、それが実行できるように、一つお願をいたしたいと思います。
 以上で私の陳述を終わります。
○有田委員長 次に、太田垣参考人にお願いいたします。太田垣参考人。
○太田垣参考人 電気事業連合会の太田垣でございます。
 今日、石炭対策の問題が、重要な自由化を前にいたしまして、あらためて大きく取り上げられて、政府御当局並びに議会になどにおきまして石炭産業の合理化なり、その保護政策につきましていろいろと対策が研究せられておるわけでございますが、この際、われわれといたしましてまずお願いしておきたいことは、石炭対策が検討される場合には、石炭は電力、石油など、他のエネルギーと相互に関連するところがきわめて密接でございますので、この問題を、ひとり石炭対策としてだけではなく、広くエネルギー政策の一環として、総合的な見地から取り上げていただきたいということでございます。そしてまた、対策の樹立にあたりましては、単に一時的な見通しや問題の所在によって左右されるようなことなく、相当の長期にわたる見通しの上に立って、国民経済上最も合理的な石炭産業のあり方とその発展をはかり得るような、長い、いわゆる百年の大計としていただきたい、こう考えるのでございます。
 私ども電気事業者は、最近の非常な電力需要の増加に対処いたしまして、電源開発計画を繰り上げ、極力供給力の確保に努めておりますが、その開発に伴いまして、御存じのように、火力発電用の燃料の石炭や重油の消費量も逐年大きく増加しておる現状でございます。従いまして、われわれは、電力原価を引き下げます一つの大きな手段といたしまして、原価の中に現在でも二〇%を占め、将来さらに飛躍的に増加すると予想されます燃料費の節減のために・この発電用燃料消費の経済性を高めるということにいろいろと努力をいたしておるのでございますが、何と申しましても、発電用燃料としては、目下重油の力が石炭に比べて価格も安く、また発電所の建設費や運転費の点でも約二割も経済的であるのでございます。従いまして、現在でも相当量の重油を使用いたしておりますし、今後も重油専焼火力を積極的に建設する計画でおります。このように、安い重油を使いたいというのは、電気事業が私企業としてその経済性をさらに高めたいと思うからにほかならないのでありまして、また、このような能率経営によってこそ、電気事業がエネルギー・コストの低下を通じて国民経済の発展に寄与し得るものであると、われわれは確信しておる次第でございます。
 しかしながら、これに対しまして、エネルギー資源の供給の安定性あるいはセキュリティというような意味から、石油が安いからといって急激に発電用燃料を石炭から石油に切りかえていった場合、将来、もし事ある際には、石油の輸入が途絶して電力供給に支障を来たすのではないか、この面からも、国内資源である石炭の使用を考慮すべであるというようなことがいわれておりますが、この京につきましては、現在電気事業では、その発電量の八割近くは国内資源である水力と石炭によってまかなわれておりまして、十年後においても、その割合は約六割にしかならない見通しでございます。このように、電気事業では、海外資源の依存度は他産業に比べて低いものでありまして、その程度の依存度であれば、さほど問題ではないと考えておりますし、また、将来は石油にのみ依存するのではなくて、原子力発電の開発というものも真剣に目下計画し、その準備を進めておるのでございます。しかしながら、一方、貴重な国内資源であります石炭産業の将来を考え、また、大きく国家的の見地に立って今後のわが国経済の合理的な発展を考えますならば、電気事業といたしましても、経済的には多少の犠牲を払っても石炭対策に協力を惜しんではならないと思っております。この趣旨から、去る六月、経団連のごあっせんによりまして、石炭業界との間に長期安定取引の申し合わせをいたしたのであります。
 御承知のように、この申し合わせば、三十八年までに炭価の千二百円引き下げを前提といたしまして、電気事業といたしましては、三十八年度千八百万トン、四十二年度に二千万トンの石炭を引き取ることを約束いたしたのであります。これに対して、石炭業界は責任を持って供給を確保するとともに、三十八年度における重油ボイラー規制法の廃止、低廉な石油の使用については両業界は協力するということになっておるのでございます。この長期取引契約は、ひとえに国内炭の需要を長期的に安定させ、当面の石炭産業か合理化の促進を待とうとするのが眼目でございまして、われわれは、石炭の需要確保対策あるいは資金助成策など、いろいろと考えられる石炭対策というものは、すべてエネルギー消費の自由選択、ひいては産業界全体における経済原則を貫徹させるための準備的あるいは過渡的措置であるべきだと考えておるのでございます。
 石炭対策といたしましては、あくまでも重油に対抗し得る石炭価格を目標として石炭産業の合理化を徹底的に推し進めるのが本筋でございまして、このためには、現在考えられておりますビルド・アンド・スクラップの強化、離職者の救済、運賃補助などの合理化対策は大いに推進していただきたいと思うのでございます。そして、このような合理化によりまして将来炭価がさらに引き下げられ、経済べースに乗るようになれば、われわれといたしましても、長期取引で申し合わせた数量以上に石炭を使用するに決してやぶさかなものではないのでございます。
 以上のように、われわれは石炭の需要確保について自主的に協力して参ったのでございまするが、先般エネルギー懇談会の中間報告が発表されまして、これによりますと、石油の自由化が繰り上げられたことに伴って石炭の需要が減退し、昭和三十九年度において北九州に三百万トンの過剰炭が発生するという見通しから、その消化策といたしまして、いわゆる産炭地発電を行なって、その電力を超高圧電線によって遠隔の消費地に長距離送電するというA案と、さらに一方、産炭地ではなしに、揚地である阪神地区に石炭発電所を建設するというB案の二つの対策が、二者択一の形で取りしげられたのでありますが、現在の情勢ではA案につきましては、その経済性から見て実際性に乏しいとして、むしろB案の考え方が現実的であると考えられておるようであります。これらにつきましては、電気事業としての考えをさらに申し上げてみたいと存じます。
 まず、過剰炭が発生するという前提についてでございまするが、これにつきましては、先に申し上げました長期取引契約によりまして、電力のほか、鉄鋼、ガス、セメントの石炭大口消費産業の引取量を合わせますと、全需要の約七割が確保されたことになっており、自由化が繰り上げられたからといって、その他の需要が急激に減少するとは考えられないのであります。また、過剰炭の発生ということが、かりに五千五百万トン・ベース以上の増産を考えた上での話であれば、これはもちろん論外であります。むしろ、今日のところでは石炭需給は相当逼迫しておりまして、数十万トンの石炭輸入が必要であるとさえ考えられているのが実情でございます。事実電力会社におきましても、今年度の上期におきましては、石炭の納入量は契約量に比べまして約一割毛不足する状況でありまして、各社とも石炭確保に奔走しているのが現状でございます。この状態はまだ当分続くのではなかろうかと考えております。このような石炭不足の原因は、おもに炭鉱のスト、閉山、倒産などによるものでありまするが、石炭合理化の進展と今後の石炭労働情勢などからして、このようなことは今後と毛あり得ないことではないと思うのであります。いずれにいたしましても、今日のこのような状況から見まして、わずか数年後において石炭の供給が過剰になるという前提を立てることは、相当考えなければならないのではなかろうかと存じます。ここ一、二年の石炭需要の推移を見てから対策を立てても、決しておそくはなかろうと考えるのでございます。また、九州地区の石炭需要を見ましても、電力用炭だけでも今後毎年数十万トンの増加が予想されるほか、産炭地周辺の他の一般産業にあっても、鉄鋼その他、今後とも石炭需要がふえることも考えられまするので、かりに過剰炭が発生するといたしましても、それは一時的な現象にすぎず、将来とも需要不足であるということは、簡単には予測できないのではなかろうかと存じます。
 一方、ひるがえりまして、将来の石炭の供給力を考えました場合、石炭の人員整理が進捗していく過程で、最近すでに中堅労働者の減少が目立っており、機械化や技術進歩があっても、人員の面から、将来五千百万トンの出炭予定量を確保することが困難になるのではないかという不安を私どもは感じておるのでございます。
 われわれといたしましては、石炭需要の見通しについては以上のように考えているわけでございまするが、かりに、一瞬的にしろ過剰炭が発生するものといたしまして、その対策を考えまする場合、さきのA案、すなわち産炭地発電、長距離送電の方法は、われわれが検討いたしました範囲におきましても、決して経済的な方法でないことは明らかなのでございます。そこで、揚地発電所の建設はどうかということになるのでございまするが、まず、一時的な過剰炭を消化するために多顧の国家資金を投入して、少なくとも二十年というような耐用年数の長い石炭発電所を百万キロワットも建設するということは決して得策ではなく、むしろ電力会社の現有発電所の稼働率をさらに上げて運転したり、重油の混焼率をさらに下げるという方法によって石炭の消費量を増加させることを考える方がむしろ現実的ではなかろうかと存ずるのでございます。私どもは、先に申し上げました長期取引の線に沿って、揚地においても石炭を引き続き使用する見込みであって、これに必要な設備は今後とも保有して参るつもりでおりますし、場合によりましては、若干の新設をも考慮いたしておるのでございます。さきに申し上げましたように、私どもは、経済ベースに乗る限りは、現在約束しておる以上の石炭を使うことも決して考えないのではございません。まして、それが国民経済上プラスであるならばなおさらのことでありまして、このように考えますると、石炭業界といたしましては、炭価の引き下げに最重点を置かれて、みずから需要確保をはかっていただくのが第一ではなかろうかと存じます。また、ある期間それが間に合わなければ、炭価の補助金として国家資金を投入していただく方が、飛電所建設に投入するよりも、国民経済的に見て合理的であると考えるのでございます。また、この場合の資金投入額は、私どもの試算では、発電所建設に比べまして炭価補助金の方が非常に少額で済むということでございます。たとえば、百万キロの発電所の建設費は約五百七十億円でございまするが、炭価補助金は、トン当たり五百円といたしましても、五年間で七十五億で、財政支出という観点からも有利ではないかと私どもは考えております。
 以上のように、過剰炭の発生は一時的なものであること、現有設備によって過剰炭を消化することが可能であること、国家資金投入の方法としても、発電所建設よりも炭価補助の方が有利であること、これらの点から、今直ちに揚地発電所を建設することは、石炭対策といたしましては、決して適切な方法ではないと考えられるのでございます。さらにまた、もし揚地発電所が雄炭地振興事業団の手によって建設され、運営されるということになりますと、これは一つの電力会社の管内に一挙に大規模な発電設備を生ずることになって、電力系統運営の円滑化を阻害いたしまして、電力供給の秩序を乱すことにもなり得るのでございます。
 最後に、重油に対する関税、消費税について一言申し上げたいと存じます。
 最近、石炭対策に関連いたしまして、石油との価格調整策、あるいは石炭対策の所要財源といたしまして、特に亜油関税の引き上げや、消費税の徴収などについて考えられている向きもあるようでございますが、私どもといたしましては、さきの石炭業界との長期取引の話し合いの際にも、税金のかからない安い重油を使用するということを条件とし、二千万トンの石炭を引き取ることを約束したのでございまして、かような政策があるとすれば、業界の意向はすこぶる無視されたものでなかろうかと思うのでございます。かりに石油に課税いたしましても、従来の例から見まして、実際にはそれがそのまま石油価格の高騰とはならないということも考えられますし、まして、この税金を財源として揚地発電所の建設に充てられるようなことがありますれば、それは価格調整の効果も上からない税金を取って、エネルギー対策としても不経済な方法に投資するという
 ことになりまして、国民経済上まことに不合理な財政政策といわなければならない、こう考えておるのでございます。
 以上、簡単でありますが、電気事業者といたしまして以上、の意見を申し述べたのでありますが、最後に、私、一経済人として申し上げたいと思いますことは、今度の石炭問題というものを経済全体の立場から考えてみますると、これは日本経済にたまたま発生した、いわゆる病気で申しますれば、ガンというほどのものではなくても、相当悪費な腫瘍であるのであります。これは、じんぜん日をむなしくすると、他の産業にいろいろと波及いたしまして、日本経済全体の体力を弱めるような結果になりかねないと存ずるのであります。なおかつ、現在のようにああでもなかろう、こうでもなかろうで日を送りますと、おそらく私は自由経済の本質に汚点を残すようなことがないとも限らないと考えますので、今日の段階では、私は、もうこれはよほど思い切って石炭産業そのものずばりに相当な政治的な御考慮をお願いして、救助の手をお差し伸べになっていただくということが、経済全体として最も肝要なことではなかろうかと雇えまして、愚見を申し上げた次第であります。
 以上、で私の意見を終わらせていただきます。
○有田委員長 次に、南部参考人にお願いいたします。
○南部参考人 石油連盟の南部でございます。
 石油と石炭の問題につきましては、必ずしも日本だけではございませんで、ヨーロッパにおきましても、総合エネルギー政策の確立ということが、当面の問題になっておるやに考えられるのであります。わが国におきましても、総合エネルギー政策の見地から、石炭に対する政策をすみやかに樹立せられるように、われわれ石油人といたしまして、同じ一次エネルギーの業者といたしまして、衷心からこいねがっておるわけでございます。何と申しましても、国内における最も重要なるエネルギーの供給源でございますので、五千万トンなり六千万トンたりの石炭は、必ず国内で出るのであります。これの安定した経営に入られることを衷心から希望しておるわけでございます。
 また、他方、世界の全体の状況を、私見でございますが、申し上げれば、国連統計によりますると、一九五〇年、世界の石油の確認埋蔵量は百五十億トンといわれておったわけであります。当時、産出量は大体六億トンでございますが、一九六〇年の統計は、確認埋蔵量は四百二十三億トン、産出量は十二億トンというふうに、地下資源の探鉱技術の進歩と資本の国際的移動とによりまして、画期的な埋蔵量の増加を見ておるわけであります。産出しますエネルギー源としまして、石炭は、一九三九年と五九年とを――これも国連統計に示されておるところによりますと、石炭は二側七分の増産を見ておるようでございます。しかも、英、米、ドイツ等は、石炭の生産はやや落ち目になっておりまするが、ロシヤは約二倍半に増加をいたして、世界的には二割七分の石炭増産を見ておる統計がございます。
 石油の産出は、その間に約三倍に増加いたしておるわけでございまして、技術の尊新に伴いまして便利な石油というようなことで、また価格的にも石炭よりも有利な状況が出てきておるわけであります。特に最近におきましては、石油の産出地から船積み地に至りますパイプ・ラインの施設の大型化、あるいは積み出し施設の大型化、あるいはこれの輸入貿易地間におけるタンカー船の大型化等によりまして、その輸送コストの低減がはなはだしく急速に行なわれておるのでございます。十年前にはおおむね二万二、三千トン級のタンカーが平均の船腹でございましたが、最近、御存じのごとく、四万トン、六万トン、八万トン、十万トンというような船型の大型化が行なわれております。これら輸送の合理化に伴いまして、コストの低減を見ておるわけであります。石油のほとんど九八%、九九%までも輸入に依存しておりますわが国の石油の輸入CIF価格は、それに伴って合理化され、低下の傾向にあるわけであります。かつ、世界的に石油の確認埋蔵量が増加しますとともに、産油量もはなはだしく増加いたしております。世界的に見まするならば、ここ当分の間、多量の石油生産が行なわれるのではなかろうかといわれておるわけでございます。加うるに、最近、ロシヤは、国際石油市場に輸出を行ないまして、国際石油市場に進出をいたして参っております。日本においてもまた相当量の石油の輸入がソビエトから行なわれておる現状でございます。従いまして、この状況下で当分の間、石油価格は、特別の事情のない限り、高騰するという状況は予想せられないのでありますが、さりとて、現在の日本の国内の石油状況が常態であるとも申し上げかねますので、これは明年に自由化を控えまして、各企業の競争が相当に行なわれておりまして、最近、石油会社の採算もまた石炭会社と同様の状況に立ち至っておる次第であります。自由化を迎えまして、さらにこれが下がるかどうかというような御質問をよく方々で受けるのであります。これ以上当分下がるということは予想し得ないのではなかろうかと私ども考えるわけであります。しかし、それにいたしましても、純経済的立場に立って、カロリー当たりの価格が、石炭と石油と幾らであるか比較をし、あるいはその使用の容易さとか、あるいは品質の均一であるというような条件その他を勘案いたしますと、当分の間、石炭業者の側におかれまして、徹底的な合理化あるいは増産の努力をなさいましても、純経済的立場では、石油価格とのバランスにおいて石炭産業を安定せしめることは困難ではないかと考えます。従いまして、純経済的立場から申し上げれば、先ほど来お話のありました消費者のエネルギー自由選択ということが行なわれてしかるべきでございましょうが、価格の面でバランスし得ないというようなことでございますと、純経済的立場を離れて、むしろ社会的、政治的な問題として石炭産業の安定をはかっていただくよりほかないのではなかろうか、かように考えるのであります。従いまして、石炭の価格に石油価格をさや寄せせしめて、あるいは関税及び消費税を賦課することによって石炭産業を安定せしめるということは、全エネルギーの価格高騰を来たす。先ほど来電力側からお話のありましたように、全エネルギー消費者の負担においてということに相なりますので、むしろ政治的、社会的問題として、政府におかれまして抜本的な方法を講ぜられて、長期安定したる石炭業のあり方をお示し願い、かつ総合エネルギー政策の立場から、石炭のエネルギー源において占める地位はかくのごとくあるべしというふうなめどを、総合エネルギーの中における石炭の地位づけ、石油の地位づけを、まことに広範な問題ではございますが、すみやかに立てていただきたい、かように私ども希望するものでございます。
 なお、三十六年度の消費見込みを申し上げますれば、大体二千二百万キロリットル程度、電気事業で約六百四十万、鉱工業全体で千二百万、鉱工業のうちで鉄鋼約三百万、化学約二百万、窯業約二百二十万等、大口需要であります。なお、農林水産及び船舶、運輸等に使われますもの約四百万でございまして、このうち石炭と競合いたします部分は、主としていわゆるC重油と称されるものでございますが、C重油の消費は、千四百五十万キロリットル程度本年は見込まれておるわけであります。この重油の消費見込みのうちで、石炭をもってかえがたいもの、あるいは石油によってもいいが、石炭によってもいいというもの等が、業種によってあるわけであります。かつ、九州及び北海道等、産炭地におきましては、必ずしも重油価格が石炭価格より安いとは申せないのでございまして、産炭地においてでき得る限り石炭を消費願えれば、今後とも石炭需要は、電力あるいは鉄鋼、あるいはガス、あるいは窯業等大口消費者で、先ほどお話のありましたように、長期安定のお取引を願うならば、その他の石炭と重油の競合する部門はさして大量になるとは私ども考えていないのでございます。なお、重油によらなければなりませんもの、たとえば農林水産用、あるいは船舶等に関してましては、これはうてい今の状況では石炭をもって代替し得ない、かように考えられますので、石油全体の石炭との競合は、せいぜい五百万トン程度のものではなかろうかと考えられるのであります。従いまして、そのために、あるいは六百数十万トン消費せられる見込みの電力用重油あるいは農林水産等その他の消費に影響を及ぼす関税及び消費税の賦課等に対しては、私ども賛成いたしかねる次第でございます。
 なお、重ねて、純経済的立場から価格のバランスにおいてのみ石炭と石油をお考え願わないで、社会的問題、政治的問題として国家において根本的な対策をおとりになることを私ども衷心よりお願い申し上げる次第であります。
 私の陳述を終わります。
○有田委員長 次に、藤井参考人にお願いいたします。
○藤井参考人 冒頭にお許し願いたいと思いますことは、私が申し上げようと思うことは、もうすでに前にお述べになりました他の参考人から申し上げられたように思いますので、あるいは私の申し上げることは重複した部分が非常に多いかと思いますが、その点あらかじめ御容赦願いたいと存じます。
 急速に増大を続けるエネルギーの需要をいかに円滑に安定してまかなっていくかという問題は、経済の高度成長を達成するにあたりまして中心課題であることは、申すまでもありません。また、他方、わが国経済における貿易自由化の進行度は、当初のスケジュールよりもはるかに急速に進行する形勢にありまして、固体エネルギーから流体エネルギーへの転換、いわゆるエネルギー革命の直接的な影響に対し、いかに対処すべきかの問題が提起されるに至っておることも、申すまでもないことでございます。今日、政府並びに国会等におかれまして、いわゆる石炭対策についての御検討が種々進められておりますが、これは、こうした状況のもとで、特に自由化繰り上げにより最も直接的な打撃が予想される石炭、わが国経済において重要な地位を占めるところの石炭鉱業に対する対策が、緊急のものとなっているからであろうかと存ずるのであります。
 石炭、石油産業と並び、いわゆるエネルギー供給産業の主軸となっておりますところの電気事業といたしましても、石炭に対する適切な対策がすみやかに実施されることを切望しておりますが、同時に、石炭対策の今後指向する方向につきまして重大な関心を持っておる次第であります。電力部門におきましても、すでに、今後の石炭対策のあり方と密接な関連を有する重要な問題に直面いたしております。たとえば、石炭火力か重油専焼火力かの問題、さらに、石炭火力としましても、産炭地発電とか、あるいは揚地発電とかの問題、あるいはまた、水力開発をめぐりますいろいろの問題等があげられるのであります。これらはいずれも電力自体の重要問題であると同時に、石炭、石油等を含めた総合的なエネルギー政策において、初めて正しい位置づけと解答が与えられる問題であります。従いまして、石炭政策の樹立にあたりましても、それを単なる石炭保護の立場からのみ取り上げるのでなく、長期的な総合エネルギー政策の一環として、これは前の方々がすべておっしゃった通りに、全体として調和のとれた、矛盾のない対策を打ち出すことが絶対必要であると思うのであります。
 そこで、石炭対策を検討する場合に、当然、エネルギー政策の総合的目標をどこに定めるかをまず明らかにしておく必要があると考えます。私といたしましては、長期的な総合エネルギー政策の目標としては、次のような立場に立つのが最も正しいと考えておる次第であります。すなわち、要求される総エネルギーを、石炭、石油、天然ガス、原子力、水力などによりまして、それぞれの使用効率から見て最もふさわしい形態で、量的に毛経済的にも確保する。もちろん、この場合にも、経済性の許す限り国内に賦存しておる資源の活用を考慮するということにあると思うのであります。総合エネルギー政策に関する基本的な態度をこのように考えますると、国内資源たる石炭、水力の活用策が、今後の政策的配慮の中心に据えられるべき問題であるかと存ずるのであります。
 こうした観点に立ちまして、以下、私の関係いたしておりまする電気事業の立場から、石炭対策について一、二の意見を申し上げてみたいと存じます。
 石炭対策の目標は、要するに、重油その他の競合エネルギーと対抗できる価格で、安定供給ができるように生産し、また流通され、また労務者の雇用をどうするかというような、いわゆる石炭鉱業全般にわたる合理化を強力に推し進める以外にはないと思うのでありますが、それと同時に、石炭生産の一定規模を維持するために、市場の確保ということが必要でありましょう。この石炭市場確保対策の役割を演ずるのが、石炭による火力発電問題としていろいろ取り上られておるのであると思います。しかしながら、石炭火力に対しましては、機能的に全く変わりのない、いな、それよりもすぐれておると考えられるところの代替力を有する電池火力が存在することは、皆さん御存じの通りでございます。電気事業にとりましては、重油か石炭かの問題は、主として代替可能な供給力の間の経済比較の問題であります。今日の情勢では、先般来皆様方からお述べになりましたように、石炭の現行合理化路線は、三十八年度までにトン当たり千三百円引き下げ――カロリーの保証はないようでございますが、トン当たり千二百円引き下げる、生産規模を五千万トンないし五千五百万トンで大体現状の維持ができるという、この目標がたとい達成されたといたしましても、重油に対する相対価格の劣勢は避けがたいと考えられるのであります。それにもかかわらず、電気事業者としては、総合エネルギー政策に協力する立場から、先ほど太田垣さんからもお述べになりましたように、昭和三十五年度は約千六百万トン、三十八年度には千八百万トン、四十二年度には二千万トンの石炭の引き取りを長期的に契約されておるのであります。これは石炭の生産規模に占める比重から見ましても、現状以上に電気事業が石炭需要確保対策に貢献しようとする熱意にほかならないと存ずるのであります。もちろん、今後増大する火力発電用燃料について大幅に輸入エネルギーに依存するということは、国際収支のしからも、また国際情勢の変化いかんによりましては、安定供給力という点を考えますると、そういう面からも問題がありますことは申すまでもありませんが、それだからといって、割高な、不経済な石炭を強制的に電気事業者に使用させるとか、あるいは輸入エネルギーに不当に高い税金を課するというようなことは、国内エネルギー、消費産業全般にわたって国際競争上悪い影響を及ぼすことになるのはもちろん、電気事業にとっては、そのまま原価高騰を招くことになります。しかるに、電気事業は、その事業の性質上、容易には電気料金の値上げが許されず、また、原価高騰はそのまま経営を圧迫することになります。それでは石炭対策のために生じたひずみをすべて電気事業の負担において矯正し、それがひいては電気事業経営をも危殆に追い込むという不合理な結果を生ずることになります。
 次に、石炭火力を建設する場合、それを産炭地にすべきか、揚地すなわち電力の消費地近傍にすべきかの問題があるようでありますが、産炭地の発電は、比較的低品位の石炭を使用するものでありまして、本格的な低品位炭、たとえて言えば、従来使わなかった三千カロリー程度の石炭で火力を建設する問題があるのでありますが、これはすでに北九州の若松地方において電源開発会社によって先鞭がつけられておりますし、その後、同じように九州におきまして三千五百カロリー程度の石炭を使用する九州電力や西日本共同火力の建設が進められておるような次第であります。このように、産炭地火力を今後大幅に増大させることは、確かに石炭の安定した市場育成策としての一方策であることは、疑いのないところでありましょう。しかしながら、それが単に石炭対策としてのみ処理されるならば、総合的な対策とは言い得ないと思うのであります。なぜなら、そこで発生した電気は、電気事業者の手によって供給されなければなりませず、もしその発電原価が他の電力資源から得られるものよりも高いものであるならば、結局それが電気料金の高騰を招き、低廉な電力供給という国民経済的な要請にも反することとなるのであります。産炭地発電の大幅な拡充には、まず第一に使用石炭の職とその価格について安定した確実な保障が与えられなくてはならないのであります。さらに第二に、産炭地近傍に電力需用を積極的に育成するといった抜本的な対策が裏づけられない限り、電力を消費地にまで相当長距離にわたって送電することが必要となります。この場合、先ほどもお述べになりましたように、超高圧送電線の建設に要する膨大な資本費負担、その運転維持費、さらに送電ロスなどを考え合わせますれば、いかに山元では低廉な発電原価でも、結局消費地における重油火力に対しては問題でありますが、船舶による輸送によっての揚地火力に対しましても、太刀打ちが非常にむずかしいように考えられるのであります。産炭地火力に問題があるとすれば、それは揚地発電――これは選炭された商品炭利用の火力でありまするが、揚地発電ということになりますが、それに対しましても、消費地における重油火力という強敵があるのであります。すでに御承知の通り、北海道と九州を除く各地、特に東京、中部、関西等においては、火力発電は、石炭から重油への転換が急速に進んでおります。これは重油が現状すでに石炭よりはるかに有利であることから、採算を重視する企業者として当然の方向をたどっておるにすぎません。もし揚地石炭火力をそれに対抗せしめるとすれば、重油火力よりも資本費負担を少なくして、そして重油よりも安い価格で石炭が長期にわたり安定して供給されることが必要であります。もし合理化過程における一時的な余剰炭消化策としてならば、それにふさわしい、たとえば、先ほどもお述べになりましたように、既設火力の重油混焼率を一時引き下げるといったような方策によっても、相当の石炭量をさばけるはずであると思うのであります。
 いずれにいたしましても、産炭地火力も揚地火力も、これを単に石炭側の都合のみで推進すべきではないと考えます。電力需用にマッチしない発電計画というものはあり得ないはずでありまして、その発生電力の消化にはあらかじめ十分電力需用等の面を考慮されておられなければならないのであります。しかし、石炭対策上どうしても石炭火力による市場拡大が必要であるとするならば、これはあくまでも国民経済全体の責任と負担において行なうべきものでありまして、先ほども皆様が申されたように、結局長期にわたる総合エネルギー対策の確立のしに立って行なわれるべきでありまして、電気事業のみへの負担転嫁は避ける方がよいのではないかと存ずるのであります。
 また、発電所を建設する場合には、新しい企業主体、たとえば産炭地振興難業団が発電所、送電線の建設に直接当たるというような構想もあるやに仄聞いたしておりますが、従来の建設経験、あるいは完成後の電力運営、さらには建設技術者の不足等からいろいろ考えましても、むしろ、これは電気供給をしております電気事業者が担当した方が円滑にいくのではないかと思うのであります。
 最後に一言つけ加えて申し上げたいことがございます。それは、国内資源としてまだまだ有望な水力についてであります。水力は、総合エネルギー政策の中では、石炭と並んで枢要の位置に据えらるべき重要な、そして貴重な国内包蔵エネルギー資源であると序ずるのであります。この水力は、電力需給上どうしても水力でなければ果たせない、つまり代替性のない特性を持っておるのでありまして、石炭が重油に取ってかわられるほど切迫した事態に追い込まれておるとは思えないのでありますが、その開発条件が年々だんだん悪くなっておるということは事実であります。いずれにいたしましても、水力開発という問題を大いに考えなけれ、ばならないと思うのであります。これはいささか手前みその感がありますが、冷静にお考え願いたいと思うのであります。ことに水力発電の場合におきましては、一たび建設すれば、あとは循環資源でございまして、ただの水で電気が起きるのでありますから、この問題は総合エネルギー対策のときにぜひ考えてもらいたいと思うのであります。
 以上、いろいろ申し上げましたが、要するにこれを総合いたしますと、繰り返して申し上げますが、どうしても根本的な総合エネルギー対策を立てていただいて、そうして石炭対策を電力政策にかみ合わして考えられる場合には、経済性を十分とくと勘案してお考え願いたい。これよりほかに方法はないのではないかと思うのであります。
 時間の関係上非常に急ぎましたが、足らないところはまた御質問によってお答えすることといたします。
○有田委員長 以上で参考人の方々の一応の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○有田委員長 次に、参考人の方々に対する質疑を行なうのでありますが、太田垣参考人は時間を急いでおられますので、まず太田垣参考人に対する質疑を行なうようにお願いいたします。
 質疑の通告がありますから、これを許します。始関伊平君。
○始関委員 簡単に二、三お尋ねをいたします。
 あなたの先ほどのお話の中で、石炭対策としては、あくまで重油に対抗し得る石炭価格を目標として、石炭産業の合理化を徹底的に推し進めるのが本筋である、こうお話になりました。これはもちろん同感でございますが、しかし、日本の石炭問題というのが非常にめんどうな、むずかしい問題になっております理由は、申し上げるまでもございませんが、日本の石炭業というものが、アメリカに比べて能率が十五分の一、ヨーロッパに比べても二分の一と、きわめて低能率であります。従って、コストが高いわけでございますが、それと同時に、今度は逆に石油の方は世界一安い。御承知の通り、国際石油カルテルの本家でありますイギリスあるいはアメリカ、それから最近では、石油について私は持てる国になったと思うのでありますが、フランス等では、相当高いところで安定しておる。先ほど南部さんからお話がありましたように、石油は生産過剰ぎみだ、しかも、今申しましたような三国が、勝手に石油を持っていけないように、政府のコントロールのもとにある。でございますから、余った石油を持ってくる市場として、日本は一番目をつけられておる。従いまして、石油価格は低落してとどまるところを知らない。おまけにソ連石油がからんできております。こういう現状であると思うのでございます。従いまして、重油に対抗し得るんだ、こう言いましても、そのかくあるべき重油価格というものは一体どういう価格なんだという点の批判がなければならぬと私は思うのでございますが、あなたは、どんどん下がっていくその重油価格に対抗し得るように石炭価格を持っていく、こういう御意見であるのか、あるいは国際的に見てかくあるべき重油価格というものを想定して、その重油価格というものを目標に合理化を進めていけとおっしゃるのか、その辺一つ御意見を伺いたい。
○太田垣参考人 今始関委員から御質問でございますが、私どもは、結局、重油経済の本質から申しますと、いわゆる石油価格はそのままにしておいて、そうしてそれに対抗し縛るだけの力を養うのでなければならない、本町的にはそう考えております。しかしながら、一面、今申されましたように、世界情勢のなには、あるいは関税の問題もあります、あるいは石油カルテルの問題もありますしいたしますので、そこまで私どもはシビアには考えておりませんが、一応われわれが常識的に、たとえば将来六千円であるとか六千五百円であるとか、やはりその程度に匹敵するくらいなものは下げていただくのでなければ競争が成り立たないのじゃなかろうか、私どもはこう考えております。
○始関委員 具体的な数字をあげてお述べになりましたが、その点、押し問答のような議論をいたしましてもいけませんから、次の問題に入ります。
 先ほど来各参考人の方々の御意見の中で、太田垣さんは別でございますが、その他の方々の御意見では、重油価格をあるところで安定させるといたしましても、石炭鉱業の合理化は当面そこまで進まないだろう、こういう御見解の方がむしろ多かったように私はお聞き取りいたしました。そこで、重油価格は安い、石炭価格は、合理化を極力進めてもらわなければいけませんが、それでもなおギャップがある。そのギャップをどういうふうにするかということで石炭対策の行き方が違って参る、私はこう思います。ヨーロッパの国々でやっておりますのは、大体関税、消費税をかけてこの差額をなくするという方法でございます。この問題は、そういうふうな解決の方法が一つあるわけでございますが、それとは別にそういうやり方を避けまして、長期取引なりその他、価格のギャップがあるままで石炭の需要を確保しよう、こういう考え方が別に一つある。それで電力協会が二千万トンの長期引取契約というものを締結されましたことは、私はそれはそれで大へんけっこうだと思いますが、その考え方の根底は行く行くは、今太田垣さんがおっしゃったような六千五百円は私は無理だと思いますけれども、とにかく石炭価格を下げてもらう、過渡期においては、割高を忍んで自分たちが引き取る、こういうことだと思います。これは電力業界が進んでそういうような御方針をおとりになったのだから、まあそれでいいと思うのでございますが、ただ私は、お話にございましたように、重油が安ければそれだけ石炭を高く買えるという理屈もあると思いますけれども、しかし電力会社は、お話しのように私企業でございまして、しかも一ぺんきまった料金政策を前提にして、少なくとも五年なり六年は経常を維持していかなければいかぬ、こういう責任がございますね。ところが電力価格の決定というのは、私はあんなに窮屈にやる必要はなかろうと思いますけれども、実際は御承知の通り、最初電力会社の案が出て参りますときは、多少は水増しのようなものが出てくるかもしれませんが、それを通産省の事務局が切る、それから自民党でもいろいろな審議の段階で一度ならず二度くらいも切る、そうして閣議に参りますと池田さんの御意向ということでまた切られる、こういうことで非常に窮屈になっておると思います。そこで安い燃料と高い燃料と二つ並んでおるというときには、プール計算する建前であるとは申しましても、実際問題としてなかなか高いものは買えない、こういう事情があると思います。まあ電力会社がやるとおっしゃるからそれでもよろしゅうございますが、しかしセメントなんかになるとその点はもうあやふやになる。先ほど南部さんは直接石油と競合するのは五百万トンだとおっしゃったが、その市場の安定というものを考える場合に、最後の一制が問題ですね。五%でも問題だが、最後の五%が問題だ。しかも電力はまとまってもおりますし、国の監督も受けておるわけでございますから、それはそれでよろしいけれども、あとの五百万トンにつきましては、たびたび御指摘のように、いわゆる消費者自由選択という原則もあるわけですから、政府に何とかしろとおっしゃっても、これは押しつけるわけにいかない。南部さんは関税はいかぬ、何とか政府がうまくやったらよかろうとおっしゃるが、これは自由選択ということが原則であるにかかわらず、政府におっつけるという以外に方法がない、一体そういう方法でいけるかどうか、これはあとで南部さんにも伺いたい。電力会社の立場のみならず、実業界の大御所としての立場から、そういうことで政府に石炭の需要確保の責任を持てと言われたって、私は責任の持ちようがなかろうと思いますが、具体的にはどんなふうに考えられますか。
○太田垣参考人 非常にむずかしい御質問を受けたわけでございますが、私どもはやはり経済全体から見て、さいぜんも申し上げましたように、石炭救済政策というものが、今日の場合いろいろな政策が考えられておりますが、やはり他産業にしわ寄せしていくということが非常に多いようであります。それは一つ何とか考え直していただかなければ、日本経済全体から見ても、また石炭産業自身の自主性から見ても、おもしろくないんじゃなかろうか。そこで私どもは、もう今はいわゆる経済的な問題を離れて、大きな政治力の発動されるような時期じゃなかろうか、こう考えております。端的に申し上げますと、たとえばそれじゃそれだけのギャップをどうするかということであれば、関税である部分のしわ寄せによってそれをカバーする、そうではなしに、国家全体の考え方から、五千五百万トンの確保というものは国家的に必要であるということでございますれば、それだけの範囲において価格の助成というようなことは、私は、おやりになってしかるべきじゃなかろうか、これは手前勝手かもしれませんが、こう考えております。
○始関委員 価格の是正ということ々やり出しますと、これはきりのないことで、政策的には非常に慎重にやらなければならぬ問題だと思いますが、御意見として承っておきます。
 それから、そういったような困った事態を打解する方法として、政府の出資で産炭地発電あるいは揚地発電というものが出てきた。おそらく私は価格のギャップ等をそのままにしておけば、やはり三百万トンか五百万トンか知りませんけれども、消化の困難な石炭が余ってくると思う。それで石炭業者は労使双方とも非常に心理的に不安になり、金融機関も金を貸さぬ、こういうことになる。私は何はともあれ石炭業界自体としての自信、金融機関が金を貸してもいいという安心感、これを確立することが、今日の石炭対策のポイントだと思うのであります。そうすれば、国の機関で作った発電所に引き取らすということで、問題は解決すると思うのであります。これに対して電力業界は反対だというのだが、しかし電力の能力拡充というものは幾らやっても足りないというふうな情勢でもございますし、運営につきましては委託経営とかいうような方法があると思うので、なわ張り根性というと語弊がありますが、どうも電力業界はそういう観念から反対だとも思うのでございますが、そうしいて反対されなくてもよろしいのではなかろうかと思うのでございます。いかがでございますか。
○太田垣参考人 今の御意見でございますが、私どもはやはり私企業でございます。そうしてまた非常に多くのお得意先を持っておりますので、営業という面も考えなければならないわけであります。そこで今おっしゃるように、たとえば揚地発電にいたしましても、三百万トンの過剰炭を消費するがために、私どもの管轄内に百万トンの石炭専焼の火力をこしらえる。そうすると、一キロワット五万七千円としても、五百七十億の金がかかる。しかもその発電所というものは、二十年や三十年の後でなければ償却のできない恒久的な設備なんであります。しかも三百万トン程度の過剰炭を消費するために、それだけの大きな恒久的な設備を持って、はたして私どもが経済的にやっていけるかどうかということが、まず第一点でございます。
 それからいま一つは、この三百万トンの過剰炭というものは、それではどれだけ続くものであるか、将来、十年後になって――現在でも石炭が足りない、一割足りないといっておるのに、将来それで三百万トンの過剰炭というものがなくなった場合にはどうするか、そういう場合には、たとえて申しますれば、五百七十億も出して作った発電所がそのまま遊休施設して残るのではないか、こういうような考え方もあります。将来その石炭を確保するのにどなたに責任を持っていただけるのか。ただ三百万トンを消化するためにこういうものを作って、お前がそれをやれといって、これをやっていって三年後なら三年後、四年後なら四年後に、石炭が足りなくなる。そうすると、そり百万キロワットの発電所が稼働するだけの石炭がないというような場合には、一体どなたにその供給責任を持っていただけるのか。私どもはやはり商売人でございますので、そういう将来の点までも。お約束願わないと、ただ現在三百万トン過剰炭があるから、しかもそれを消化するためにこれだけの大きな費用をかけるというのでは納得ができないのであります。なおかつ、ただいま御説明申し上げましたように、それぐらいの程度のものならば現在の火力の余裕を動員いたしまして、あるいはまた一方、混焼設備を石炭の方を少し率を増しまして、いわゆる当歴のものなれば、そのぐらいのものなれば消化できるのではないか。しからば、未来においてそれだけのものが確保できるかできないかという、そういう不安なものを大きな金をかけてこさえるより、むしろ、その方面においてしばらく情勢を見る方がよかろう、そういう方を動員する方が至当じゃなかろうか。ましていわんや、三百万トンにトン当たり、ただいま申しましたように五百円ずつ御援助なさっても、五年間で七十五億御援助なさればいい。一方発電所を作るということは、将来の供給責任を持つとともに、五百七十億の金をかけなければならぬ、こういう、すこぶるそろばん高い話でありますが、私どもとしてはそろばんははずして簡単にお受けするわけにはいかない、こういう考え方で印しとげたのでございます。
○始関委員 御指摘のような不安もあるから国の力でやろうということだと思いますが、慎重にやれという御意見として承ります。
 今度はちょっと問題を変えまして、原子力発電の問題でございますが、ただいまのお話では、日本の電力産業は需給度が非常に高いというお話で、これはけっこうでございます。しかし電気全体としての需給度というものは、今後どんどん減って参る。そこで日本には石油資源といってもあまりないと思いますが、やはりエネルギー全体の長期安定という点から申しますと、国内資源というものが五〇%くらいないと何か不安なような感じがする。そういう意見が多いと思いますが、しかし石炭はそうむやみと増産できない。そこで登場しているのが原子力だと思います。電力用の燃料源を半年分も石油の形で貯備しようといったら非常な問題ですが、三年や五年分のウラニウム資源をたくわえることは簡単だ。私せんだってヨーロッパへ行って参ったのでありますが、エネルギー資源の大宗は石炭から原子力に移るのだ、石油というのは中間をつなぐだけだというような意見がだいぶある。今お話がございましたように、石油はまだ埋蔵量も相当ございますし、そう五十年や百年でなくなるわけのものではないと思いますが、かりに石油が相当長期間豊富であり十分であるとしても、やはり供給の安定という意味から、石油だけにあまり依存したのではいかぬ、ヨーロッパ諸国などの考え方はそうだと思いますが、そういう点から見ますと、日本ではもっともっと原子力発電というものに力を入れて、困難がいろいろあるかと思いますが、本格的に取り組まなければいかぬ。これは国の問題であると同時に、電力業者の問題であると思うのであります。最近は非常に下火なような感じがするのですが、これはどういうふうになっておるのか、簡単にお話をいただきたいと思います。
 もう一つ関連いたしまして、かりに一億キロワット・アワーの発電をいたします場合に、重油でやった場合とウランの輸入でやった場合とで、外貨支払い高というものは比較にならぬほど少ないと私は思いますが、もしそういう点の御調査があればお聞かせ願いたい。あとの質問は留保いたして私の質問を終わります。
○太田垣参考人 ただいま原子力発電について御質問があったのでありますが、私も全く同感でございまして、特に今御指摘なさいましたイギリスなんかが非常に原子力発電に熱を上げているというお話でございますが、これはイギリスの国情自身からいたしましてもそうなるべきが当然のことだと思います。日本でも私は同じだ思います。たとえばイギリスの石炭の埋蔵量というものもそう長く続くということではありませんし、しかもやはり石油をよそから持ってこなければならぬ、いざという場合にエネルギーをどうするかということが根本的の問題でありまするがゆえに、イギリスは他国以上に原子力に熱を持っておるのは事実でございます。従ってわが国におきましても、やはり石炭の埋蔵量についてもある程度の限界があり、ただいまおっしゃいましたように、石油は外国から持ってこなければならないということでありまするがゆえに、イギリスの国情と非常によく似た国情にあります。わが国といたしましても、将来原子力発電というものを大いに開発いたしましてエネルギー資源といたすとともに、私ら自身の電源開発だけではなしに、他の産業にいわゆる放射線というようなものを利用して、これが完全に危険性がなくなれば、一つの産業革命が起こるのじゃなかろうか。従って、発電所というような小さい考えでなしに、原子力そのものをいかに産業界に利用するかという意味からいたしましても、一日も早く私は原子力発電所というものを完成いたしまして、その原子力の利用を各産業について将来どうして持っていくかということについて研究しないと、世界の進展におくれるのじゃなかろうか。従って、こういう意味におきまして、エネルギーの問題だけでなしに、産業革命という一つの面からしても熱心にこれをやらなければならないと考えております。しかるにもかかわらず、世界的に今少しスロー・ダウンしているのじゃなかろうかというお話があったのでありますが、これは要するに経済ベースの問題でございまして、イギリスも非常に馬力をかけてやりつつありましたが、中途で一石炭がどんどん増産されて価格が安くなっていき、従って現在の原子力で発電いたしますより石炭でまかなっていく力が経済的に非常に安いものですから、現実の発電量として出す分については今はダウンいたしておりますが、しかし原子力発電そのものを研究いたしておりまする考え方につきましては、少しも退歩しておらないのであります。研究自身はどんどん進んでおりますが、竜を出す点においては現在経済ベースが合わないのでスロー・ダウンをしているということでございます。日本でもそれと同じような結果でありまして、最初の原子力委員会のお説では十年間に約五−七百万キロワットをお出しになる予定でありましたのが、最近になってそれが十年間に百万キロ、さらに先の十年間に七百万キロと、それだけスロー・ダウンいたしたのであります。しかしこれも私は国情から見まして、イギリスと同様に、とにかく原子力発電というものをもっともっと研究して、たとい大きな犠牲があっても、小さくともやはりこれは試験用として必ず持っていって、将来のエネルギーのほんとうの自立ということに対して貢献をさせなければならない、産業全体の進化に対してこれを貢献させなければならない、こう思います。私は今ここに資料を持っておりませんので、数字はまた後刻御報告申し上げますが、現在のところでは石油と原子力とのエネルギーの価格は、競争するというような点にはほとんどなってはおらないことは事実でございます。
○有田委員長 中村重光君。
○中村(重)委員 時間がずいぶん過ぎておるようですから、意見を避けまして、そのものずばり質問をしたと思いますので、御答弁も一つ簡潔にお願いいたします。
 現在の九つの電力会社を四つか五つに再々編成するといったような意見があるように聞くのでありますが、このことが事実であるとしますと、コストを下げる、さらには電力、電灯料金のプール計算ということが非常に望ましいと思うのでありますが、その点に対してはそういったことが事実かどうか、検討されておるかどうか、伺っておきます。
○太田垣参考人 今、現在の九つの会社をある程度整理して再々編成を云々というお話がございましたが、私どもはあくまで経済人で、ございまして、従って、経済的原則によってそれがかくあるべしということであれば、おそらく私は自然的にそういう傾向になっていくと思います。そしてまた、それは私どもやぶさかでないのであります。ただ問題は、一つの編成をいたしておいて、そしてそこに何らの経済的な自由な競争――あるいは競争といっては語弊がありますが、事業としての範囲をある程度制限をしておいて、そしてある程度の時間がきて、たとえば料金格差が起きたからこれとこれをくっつけなければならないとか、あるいは、ただいま申し上げたような理由によってくっつけるとかいうことではおかしい、こう考えております。経済的原則によって自然の形において統合されるということについては、私どもは自分自身でも研究もしなければなりませんし、またそうあるべきものとは思っております。統制的な考え方からこれをくっつけたり、離したりするということは、私ども私企業をやっております経済人としては賛成いたしかねる、こういうことであります。
○中村(重)委員 その点には反論もありますけれども、次の質問をします。
 問題の石炭産業ですが、御承知の通り、石炭産業というものは国の基礎産業である。さらにはエネルギーの安定性ということからいたしまして、相当重要視しなければならない、こう思うわけです。そこで、電力会社というのは公益性のある事業であるということで、相当国の保護があるわけです。今いろいろと議論されております需要供給の問題に対しましても、五千五百万トンというものが確かに安定した形において処理されていくかということは、これは相当問題がある。そこで、私は通産大臣にも質問をしたわけでありますが、先ほど来御意見の開陳の中にも千八巨万トンあるいは二千万トン、場合によってはもっと需要してもいいんだというような御意見もあったわけであります。しかし今度は供給者側からいたしますと、やはり、ほんとうに長期取引というものが円滑に行なわれていくものであるかどうかという一抹の不安がなきにしもあらずだと思う。そういうところの法的措置といったようなものも考えられなければならないのじゃなかろうか、そのように考えるのでございますが、もちろん私企業であるということから積極的な賛成はあり得ないとは考えますけれども、公益性という面からいたしましていろいろと検討されたこともあるのではなかろうかと思うのでございますが、その点に対してはどうお考えになりますか。
○太田垣参考人 需要供給の将来の考え方につきましては、お説の通りでございまして、私どもはむしろそういうふうに約束いたしましても、将来はたしてそれだけのものが入るであろうかどうかという点に不安を一持っておるくらいのものでございます。ただいまも説明いたしましたように、現在の私どもの四十二年度に二千万トンということは、企業としてはよほど踏み切った考え方でございます。従ってさいぜん申し上げたように、価格の点においても千二百円下げというものを前提にしてお考え願ったわけであります。その点についてはあくまで供給なさる面に資任を持っていただきませんと、そこでなかったからということでは、私の方は困ると思います。その点を一つ御了承願いたいと思います。
○中村(重)委員 需要者側といたしましても、この千二百円ダウンということは相当強い関心を持ってお考えになっておられると思う。先ほど来武内参考人の陳述の中にもございましたが、合理化法が制定されて、千二百円のコスト・ダウンを言い出した当時の条件と現在とは、これは根本的に異なってきたと思うわけであります。その点に対して何らかの法的な措置というものを加えずして、千二百円ダウンということがはたして可能とお考えになっておられるかどうか、その点に対してはこれまたいろいろ検討しておられると思いますので、一つお聞かせ願いたい。
○太田垣参考人 ただいまの御質問でございまするが、これは将来のことでございますから、千二百円下げは可能であるかどうかということは今後の経済情勢にもよることと存じますが、現在のところでいろいろと皆さん方のお話を承ってみると、すでに前提条件が非常に狂っておる、たとえば、その前提条件として物価の横ばいということが第一の条件であった、あるいはまた、労銀もそのうちの一つの要素であったとかいうことでございますから、そういう前提がだんだんくずれていったから、従って千二百円がむずかしいということであったのであります。千二百円というものは、私どもが契約した時分には、それが可能であるということがいわれたればこそやったわけであります。その後そういう周囲の条件によって千二百円というものが困難であるということであれば、ただいま私も申しげました通り、経済を離れて、この辺で政治的の解決をおやり下さってもけっこうではなかろうか、そうなれば、それだけのものは一つ石炭業者に対して政府からある程度めんどうを見てあげるとかなんとかいうことであれば解決つくのじゃないか、もうすでに今日ではそういう段階に入っているのではなかろうかと私どもは考えております。
○中村(重)委員 先ほどの陳述の中に、弱小炭鉱というか非能率炭鉱の買いつぶしの合理化ということを相当強調されておられるようであります。その反面においては、石炭不足の原因というのは、ストとかあるいは閉山、倒産というものがあるからだということを指摘しておられるようであります。ところが現在のような条件の異なった中において千二百円コスト・ダウンということを目標としての合理化を進めていくということになりますと、ストであるとかあるいは閉山、倒産というものは必然的に起こってくると考えられるわけであります。その点に対しては陳述をされたのでございますので、いろいろまた見解があろうかと思います。この点もっと詳しくお聞かせ願いたい。
○太田垣参考人 私も、そういうことの結果、産炭が現在ダウンをしたのだ、こういうふうに考えておりますが、しかしそういう点になりますと、これは一つの社会問題でございまして、私どもが経済的にこれを解決するということは私どもの力ではむずかしいのではなかろうか、こう考えております。
○有田委員長 松井政吉君。
○松井(政)委員 お急ぎのようでございますから要点を端的にお伺いいたしますので、そのものずばりお答え願いたいと思います。いろいろ太田垣参考人から御意見を拝聴いたしまして、非常に参考になりましたが、第一点は、要するに電気事業関係から離れて、太田垣さんも有名な経済界の大御所でございますから、日本全体の産業人という立場から一つ見解をお伺いしたいのですが、参考人はたびたび私企業の立場からそろばんの問題をお話しになりました。ところが電力は公益事業であることは間違いない。同時に、電力は国民全体が生活の中に吸収しなければならない問題である。従って、行政機構の中では公益事業局が担当している。これは間違いない。あなたも否定しないと思います。そうなって参りますと、昨日の参考人の御意見をお伺いしましても、同じ日本の産業界の電力、石炭、鉄鋼という重要なる産業といわれる中の石炭関係の代表者は、千二百円のコスト・ダウンに対して責任が持てないと申しておる。あなたの方は、千二百円ダウンよりもっと安くしなければ今契約した以上の買い取りはできないとおっしゃる。こうなって参りますと、われわれの方はいろいろの意見を聞いて、どうやったらいいか見当がつかない。そして石炭協会の方でもあなたの方でも、われわれの方はそろばん上やれないから国がやれ、こうおっしゃるのですね、最後には。これは重大な問題ですから、国がやらなければならぬ。けれども国がやる場合にはあらゆる産業界の方々、あるいは経営エンジニア的な方々の御協力がなければ、国がやれるものじゃないのです。そこでそうでなければやれないという、悪口を言えばおけつをまくったようなお考え方だけでは、われわれは承知でいない。こういう意味において、やはり公益的な立場に立ってどうしたらいいかということの見解を、一言でいいから第一番にお尋ねしたい。私は時間がございませんから全部質問します。
 それからもう一つは、エネルギー総合対策を立てるということについては、全参考人がみなおっしゃった。われわれもそのために、最善を尽くすために論議を重ねておるのでありますが、その場合に日本のエネルギー全体の中で石炭の占める地位というものは、ただいま。パーセントにしますと三二%ある。ところがヨーロッパ諸国には、すでに太田垣参考人御承知のように、石炭を中心にした総合エネルギーの中における石炭の地位というもののパーセントがこれくらい低い国はございません。七〇%、五〇%をはるかにこえております。これはトン数の問題で参りますならば、今の三二%確保、これで参りましても、日本のエネルギーは急速度に伸びるのでありまするから、パーセントが外国のように五〇%、七〇%にならなくとも、三二%のままでいってもやはり、石炭のトン数はふえていくわけです。エネルギーがぐっと上昇して参りますから。そういうことを考えますと、公益事業の立場でおやりになっております電力、しかもその電力の中で一番石炭と密接な関係をお持ちでございまする火力、これは外国並みにしろと無理に言っても、日本の現状というものは違うのでありますからやれないけれども、総合エネルギーの中における位置づけをしろということになりますと、やはり外国の例もわれわれは参考にしなければならない、現在の石炭の占める。パーセントも参考にしなければならない。今後日本のエネルギーが伸びるに従って、石炭のパーセント維持に対するトン数を消化していかなければならない。こういうことが考えられますが、そういうことについて一言でよろしゅうございますから見解をお述べになっていただきたい。
 それからもう一つお伺いいたしますが、すでに石炭はコスト・ダンしなければ困難だ、重油の方が遂に六千円台になってきた、こういう御説明をなさったのでありますが、国全体の経済から考えますと、やはり石油関係、重油関係というものは全部外貨が要るのです。輸入エネルギーは外貨が要るのです。そうすると、現在の資料を見ても、日本の輸入品目の中でトップを切っておるのは石油なんです。たしか僕の記憶だと二一%を占めておる。トップを切っておる。これはやはり外貨が要るのです。日本は御承知のように、経済論争は私はやりませんけれども、今外貨危機をどう取り除いたらいいかということで、これは政府もわれわれも全部一緒になって、どう経済を考え直したらいいかということで努力している。その場合に、あなたはそうおっしゃってはいないけれども、あなたの意見をずっと聞いておりますと、どうも輸入エネルギーの重油の方が安い、石炭は商いからという意味の言葉がわれわれの頭にこびりついておる。石炭政策の緊急対策、恒久対策、総合エネルギー対策を立てる場合に、われわれとしては不安が起こるのです。これは日本経済全体から見てやはりわれわれはできるだけ外貨の問題について取り組んでいかなければならないし、そういう意味においては輸入エネルギー等に対する考え方も、国内の資源がなければ別ですけれども、五千五百万トン・ベースでやっても百年以上の炭量があるという、われわれは資料に基づいて議論しておるのでございまするから、国内資源があるのでありますから、外貨危機を招くことについてはやはり十分な考慮を払わなければ日本全体の経済が順調にいかない、こういう考え方についての見解をお伺いいたしたい。この三点についてのお答えを願いたいと存じます。
○太田垣参考人 第一点の公益性云々の問題でございますが、やはり石炭産業が基礎産業であると同時に、私どもの電気産業も基礎産業である、こう私ども十分考えております。ただ、そろばんをはずしてはならぬということが今強調されたようでございますが、決して私どもはそう私企業の面のみをなにしておるわけではありません。やはり私どもも日本全国の需用家というものを持っておりまする関係上、電力コストの上がるということは公益性自身から考えてもできるだけ避けなければならない、こういう考え方から申し上げておるのでございます。その点一つ誤解のないように願いたい。
 それから、エネルギーの総合政策において石炭が占めるパーセンテージをそのままに、西欧ほどにいかないが維持せなければならない、そういう御質問だと思いまするが、これは私どもも同感でございます。しかしそれにはやはり前提条件があるので、ただどういうふうな犠牲を払ってもそれを維持せなければならぬかどうかということについては、私どもはやはりこれは考えなければならぬ問題だ、こう考えております。
 第三点の、石油は現在輸入のトップを占めておるものであって、非常に外貨をたくさん使っておる。従って現在外貨がどんどん減少するような場合、国内資源の石炭があるのに、それをある程度なにして、そして石油を使って外貨を減らすということは、国家全体の経済としておもしろくないのではないか、私どもすこぶる同感でございます。ただここにお考え願いたいことは、輸入自身の要素がいろいろとあると思います。消費に使う要素もありますれば、あるいはまた輸出に貢献する要素もあるのではなかろうか。従いまして、消費に使うような要素はできるだけ避けなければなりませんが、輸出に貢献のあるような石油の輸入であれば、これはまたある程度積極的にやらなければならないのではなかろうか、こういう考え方を私ども持っております。
○有田委員長 次に、木村守江君。
○木村(守)委員 私は太田垣参考人にお尋ねいたしたいと思います。
 石炭の問題につきましては、いろいろ心配しなければならない問題がたくさんありまするが、あなたのお話を聞いておりますと、少なくとも昭和三十八年度において五千五百万トンの石炭、これでは少な過ぎるくらいで、需要の面においては全然心配をすることがない、なおこれよりも少し増産してもいいのではないかというようなお話のように拝聴されるのでありまして、われわれのところに石炭が入ってこないような状態になることをおそれるというような話でありましたが、そういうお考えを持っておられるかどうか。ことに、あなたの言うことは、そういうことを言っておきながら、経済ベースに乗るようになればわれわれはもっと長期で、申し合わせた数量よりもたくさん使ってもいいというような話をしております。しかも、あなたのお話では昭和三十八年度にいわゆる重油が八千四百円、そういうときに石炭の値段を千二百円下げろ、下がった値段でそういう考え方を持っておると言われますが、今話を聞いておるうちに、先ほどあなたは日本で重油の値段は六千円から六千五百円ぐらいまで下がるのがあたりまえだろうというような話もあったようでありまするけれども、そういうふうに下がって参りました場合にも、なおこの石炭の消費をあなたが言われたような考え方で考えていいかどうか、お伺いします。
○太田垣参考人 第一点について先生の方に少々誤解があるようでございますから訂正しておきます。私どもは需要が急激に減少するとは考えられないまた過剰炭の発生ということがかりに五千五百万トン・ベース以上に増産を考えた上での話であれば、これは論外である、こう最初申し上げましたので、五千五百万トン以上に増産するという前提は全然持っておりません。それははっきり申し上げておきます。それからいま一つ、六千五百円ということは、これはもう私ども自身も少し渋いと思いますが、これは希望的の価格でありまして、これはおそらく七千円であるかもしれません、七千五百円であるかもしれませんが、そこまでくらいな覚悟でおやりにならないと、やはり世界の現在の、石油の増産情勢では、なかなか太刀打ちができかねるのではだかろうかという一つの想像でございますから、一つその点は御了承おき願います。
○木村(守)委員 私の質問した理由は、あなたの陳述書の中には、至るところに、経済ベースに乗るようにというような前提があるのです。こういうようなことから考えまして、石炭が三十八年度までに千二百円下がったとして千六百万トンですか、四十二年には二千万トン、こういう約束をしてあるというのですが、そういう場合に約束の数量をほんとうに消化できるかどうかというようなことを心配するから申し上げたのです。ことにあなたが三十八年に八千四百円という場合に、これが今言う六千円か六千五百円というような状態になった場合に、そういう心配はないかどうか、一応その点を……
○太田垣参考人 ただいま、ごもっともな御質問と思います。私どもといたしましては、やはり今申し上げましたように、千二百円下げというものを前提にいたしまして、三十八年度に千八百万トン、四十二年度に二千万トンということを契約したのでございますが、これはあくまで私どもといたしましては現在の電力価格、並びに現在の施設というようなものを勘案いたしまして御契約申し上げたのでございます。それだけのものをそれだけの価格でお納め願い、なおかつ、千二百円とお約束したものが、そうならなければ別でありますが、一応そういう価格であればお引き取りのでき得る数量であるということを申し上げておきます。
○木村(守)委員 それからあなたはエネルギー総合対策というものは、少なくとも他の産業にしわ寄せをしないような方向でなければいけないというような前提のもとに、いろいろ話をされております。ところがあなたの陳述書の中には、石炭業界との長期取引の話し合いの際にも、石油に税金のかからないことを条件としておるのでありまして、こういうようなことをすることはわれわれの意向を無視しておるというような陳述があります。ところが、油が非常に、安く入ってくる場合には、いろいろ関税をかけたり、あるいは消費税をかけたりするようなことをしなければ、他の産業にもいろいろな支障、しわ寄せが来ると思うのです。そういうようなことを考えずに、自分の方の都合のいいことだけにこの大きな問題の裏づけをするというようなこと、これを守らなければわれわれの業界の意向を無視したものであって、そういう場合には石炭の取引にも何か関係のあるような陳述でありますが、その点はいかがでありますか。
○太田垣参考人 今のお話は、これは程度の問題でございまして、われわれは自分自身の立場からそれを否定するということはできないと思います。ただしかし、それはやはり石炭の方々が千二百円お引きになるというところにも一つの前提がある、たとえば価格の横ばいということが前提なのでありますが、そういうもので、ある程度のなにがあるということは仕方がない思います。ただ石油に大きな関税をかけられて、一方では千二百円ベースでとらなければならないし、一方では大きな税金をかけられ、しかも大きな消費をしなければならないということは非常に私ども困りますので、それはある程度前提条件としていきたいと思います。
○木村(守)委員 石油に関税をかけるとか、消費税をかけるという問題は、電力業者だけの石油の問題じゃないと思うのです。そういうような点から考えて、少なくともあなたの前提とした話には、ちょっとちぐはぐな点があるのではないかと考えますので、お伺いしたのであります。
 それから、時間がありませんから端的に申し上げますが、お話を聞いておりますと、あるいは産炭地の振興事業団というものができるとしまして、そういうものが火力電力会社を始めるというようなことには反対だ、しかし自分の方でやるのなら必ずしも反対じゃないというようなふうにも受け取れる点があるのでありますが、その点どういうことなんですか。ことに、これに関連しまして、電発の総裁が――これは私的企業じゃないのです。これはあなたの方と違うのです。公的な電発の総裁があなたの意見を初めからしまいまで裏づけするようた、それを援護するような意見を開陳されたことにつきましては、われわれ非常に不満に思うのですが、太田垣さんはどうですか。
○太田垣参考人 それは大へんむずかしい御質問でございまして、別にわれわれやらなければならぬとも考えておりません。しかし、これまた電発を擁護するというのでおしかりを受けるかもしれませんけれども、刑にそういう気がなくても、現在電発というものあって、電発さんが現在低質炭の発電所を作っておられます。もしどうしてもやらなければならぬとすれば、こういう方々がおやりになる方がかえって便利ではなかろうか、こう考えます。なお、藤井総裁が裏づけをされたということですが、これは私ども藤井総裁の独断の御意見として承っておきます。
○有田委員長 滝井義尚君。
○滝井委員 端的に太田垣さんにお尋ねしたいのですが、昨日、大手の萩原石炭協会会長さんがお見えになって、千二百円の価格の引き下げはほとんど現在の段階では自信がありません、こういう御発言があったのです。きょう中小の連合会の方の代表の武内さんも、大体それに似通った御発言でございました。石炭鉱業審議会の基本部会の前提条件を、今ここで一つ一つ見ているのですが、全部狂ってしまっておるのです。前提条件全部くずれておる。これは池田内閣の経済政策の失敗もあずかって力があったわけです。それは政府の責任もあるでしょう。これは明らかに政府の責任があると見ておりますが、しかし、とにかく千二百円の引き下げというものは、業界あげで不可能だという、一つのそれは世論になりつつあるのですね。従って、基本部会の方において毛、これは再検討しようという動きが出てきておる。そういう前提が一つあります。いま一つは、石炭対策をやるための財源を一体どこに求めるかという問題が起こりつつあるわけです。そうしてこれも世論と化しつつあるのですが、これはやはり重油の関税を上げる以外にないだろうという意見が――社会党はもちろんもうそれを決定的な方向にしておりますが、他の方面においてもそういう意向が出てきつつあるわけです。そうしますと、太田垣さんの方の長期の契約をされる前提というものは、千二百円引き下げ、それから税金なんかかけて高くなるような重油ではだめだ、こういう御発言があったわけです。そうすると、その大きな二つの前提が全部くずれようとする客観情勢が濃厚になってきたわけです。その場合における長期契約というものは、電力界としては一体どうこれに対処するかということを、お聞かせ願いたい。
○太田垣参考人 私どもが将来二千万トンとか千八百万トンとかお約束いたしておりますのは、石炭業界が非常な窮状にお立ちになっておりますので、それでは一つ価格がこの程度のものであるならば、私どもの方としては長期契約いたしましょうということでお約束いたして参ったのでありまして、好んでその千八百万トンを確約するということではないのであります。従って、私どもが非常に大きな需要を持っておりまする石油の関税を上げるということは、これは業者としてはどうしても賛成しかねるということでございます。そこで私どもは、さいぜん申し上げましたように、そういうことでなしに、一つ大きな政治力を発揮願って、この際何とか石炭業者そのものずばりを救済できるような方法がないか、これは一つ政治の方面でお考え願えぬだろうか、こういう陳情をしたわけです。
○滝井委員 その場合に、今の御答弁の中でも問題が二つあるわけです。すなわち一つは、電力業界として、石炭政策そのものずばりの政策とは、一体どういう政策が考えられるのかということです。われわれも考えますが、電力業界として、石炭を大口に消費する電力業界の立場から見た場合のずばりの政策というものは一体どういうものがあるだろうかという、この問題が一つ。もう一つは、一体、前提条件がくずれてしまった場合、長期契約というものが現実にあるのだが、この長期契約というものを放棄するつもりであるのかどうか、こういう問題が出てくる。あるいは、その場合でもずばりの政策さえ出てくればこれは継続します、こういう二つの面があると思うのです。この両面を少し具体的に――これが今後われわれが石炭政策をやる上に一番大事なところだと思うのです。なぜならば、今後円木において石炭を使う産業というのは、あるいはその展望を持ち縛る産業というものは、電力と鉄鋼、ガス、これ以外にないのですね、われわれがいろいろ討議した結論では。そうすると、一番つえとも柱とも頼んでおる電力が、とにかく長期契約はそういうことではだめです、こうなれば、これは話にならぬわけです。まず今の二点について、これは腹を割って率直に言ってもらいたいと思うのですがね。
○太田垣参考人 しごくごもっともなことと私は思います。従いまして、私どもはあくまで量的な問題といたしまして、その千二百円という前提があれば、決して何もやぶさかにするものではありません。そこで、千二百円が維持できないのだがその解決をどうするのかということでございますが、それにはいろいろと産炭地発電とか揚地発電とか、あるいは税金の問題等をどうするとかいうことがあるのですが、たとえば千二百円はいけない、千百二十円でなければいかぬとかなんとかいうことであれば、その間のなには一応政府の方で補助してあげるとかいうことで、私どもは千二百円下げるということであればそのお約束を実行するにちっともやぶさかでないのでありまして、これはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、その点御了承願いたいと思います。
○滝井委員 そうしますと、太田垣さんの方のずばりの政策というのは、とにかく私の方としては約束は必ず守ります、しかし、少なくとも、千二百円でなくても千二百円の近くまでは一つ何とか政府が保証しなさい、裏を返せばそういうことですね。
○太田垣参考人 まあ私どもは足らぬところは政府でお出しになってもいいんじゃないか、こういうように思います。というのは、これを税金でおやりになるか、あるいは五千五百万トンの石炭というものがどうして毛国策上必要であるということであれば、国家全体の問題なんですから、それを維持するためにはそれだけの需要を確保しなければならぬ、それには、石炭業者の方では千二百円がむずかしくて千円なら千円、二百円は足らないということであれば、そこは国全体としてごらんになってもちっともおかしくないのではないか、まあ私はこういう考え方であります。
○滝井委員 もう一つ、あなたの御説明の中に私も共鳴する点があるのですが、だからちょっとお尋ねするのですが、現在日本における、石炭の需要と供給の関係で、供給が不足をして、山元貯炭が百六十万ないし百七十万トンしかないという、この現実です。さいぜんあなたの御指摘の中で、きわめて注目しなければならぬ一つの御指摘があった。それはわれわれが長期の契約をしても、現在の炭鉱の状態から、特に労働力の問題から、一体それだけの石炭が掘れるかどうかの一つの危惧と不安があるという点の御指摘があったわけです。これはわれわれも今のような石炭界の現状からそういう心配をしている。と同時に、その石炭の不足の原因として、あなたの公述の中で御指摘になっているのは、炭鉱のストと閉山と倒産、こういうことが石炭の需要に対する供給不足の原因として指摘されているわけです。ところがその前に、一体どうしてストが起こり、どうして閉山が起こり、どうして倒産が起こるかという、この解明が私はほしいのです。ここを電力業界としては一体どう見ておるか、こういう過剰な要求があるにもかかわらず、供給が不足している原因はどこにあるのか。石炭業界は今度で四回目の不況にぶつかったわけですが、一回目は傾斜生産で立ち上がっている、二回目は朝鮮動乱で立ち上がっている、三回目は神武景気で立ち上がっている、ところが現在は、ともかく岩戸景気だといわれているけれども立ち上がることができず、石炭の供給が不足だということになっているわけですが、電力業界としては、倒産、スト、閉山の前に何かがある感じがするのですが、それは一体どうして倒産が起こり、どうして閉山が起こり、どうしてストが起こるかという点については、何か原因があると思うのですが、それをどう見ておられますか。
○太田垣参考人 それはいろいろとたくさんの原因があるかと存じますが、結局やはり経済的な原則からいえば、いわゆる石炭自身がエネルギー資源としては、石油なんかの増産のためにだんだん苦境に立ち入らされたということが、経済的に見て大きな原因だ、私はこう考えます。
○有田委員長 太田垣参考人は相当お急ぎのようですので、あとの質問者は簡単に願います。井堀繁雄君。
○井堀委員 大へん時間もおそくなりましたから、ごく簡単に一、二お尋ねいたしたいと思います。あなたの公述を伺っておりますと、私企業の立場にむろんお立ちでございますから、発言の限度はもちろん心得ておられるだろうと思います。そこで、あなたの御説の中で二つばかり、私ども疑問に思った点がありますからお尋ねをいたしたいと思います。
 一つは、企業の立場から採算を考える、すなわち原価計算の上からすれば、石炭よりは石油の方が二割方経済的である、さらに原子力発電については真剣な計画と準備を進めておいでになるというのでありますから、これだけを伺いますと、石炭に対しましては、大口需要者といたしましての態度は、ますます不安を与える結果を私どもはっきり認識せざるを得ないように伺ったのであります。そこであなたの発言の中で、石炭に対するトン当たり五百円の国庫負担においての補助は、五年間にして七十五億であるから、建設資金に比べればごく軽いもので、しかも財政投融資などから見ると効率的な結果になるのではないかと御指摘になっている点は、前段とちょっとわれわれ矛盾をすると感じながら伺っておったわけであります。この点について一つお尋ねしてみたいと思うのであります。すなわち、今日エネルギーの中でも、電力関係の立場からすれば、石炭との協力関係というものは将来悲観的になる、しかしそれを国策の上から国庫補助金の形でつなげばこうなるという点が、一つここに問題になると思うのであります。五年間、これは概算でもちろんお出しになったものであろうと思いまするが、五年間で七十五億程度という立て方をいたしておるわけであります。この五年の間に、原子力の問題あるいは、石油との関係などについていろいろ御計画もあるだろうと思う。そういうものをこの機会に明らかにしていただきませんと、石炭対策を考えます国策としましてはそこを来たすと思いますので、この点についてのお見通しをはっきり伺っておきたいと思います。
○太田垣参考人 ただいまおっしゃいました五年間のなには、現在三百万トンのいわゆる過剰炭が出る傾向にある、そのために約百万キロワットの発電所を作って、その三百万トンの過剰炭を消費しようという議論に対しまして、私どもは百万キロワットの発電所を作るのには五百七十億の金が要る、しかし五百円の補助にいたしますれば、三百万トンとして年約十九億でございます。そうすれば五年間で約七十五億、これだけのものを補助すれば、そうすれば今懸念されておる三百万トンの過剰石炭というものは解決するんじゃないか。しかもその間においてはたして過剰になるのかあるいは減ってくるのかということこともまだほんとうの見通しはつかないんだから、そうであれば二十年間もしなければ償却のできない大きなものを作る必要はないんじゃないか。しかも、もし補助しておやりになることができればそれだけの程度で済みますし、なおかつ、私どもの現在の余剰の機械をもってしてもある程度の消化はできるんだから、まず三百万トンという前提が確定的なものではないと私どもは考えますので、従ってそういう議論が出たわけであります。
 それからなお原子力なり石油なりの点で、現在の石炭量が将来非常に縮小されて不安になるんじゃなかろうかというお説だと思いますが、現在の私どもの考えでは、石炭は今後やはり相当たいていかなければならないと思っております。たとえば事ある場合には、石油等が入らないというような場合には、やはり水力と石炭にたよらなければならないという面もありますし、やはり大体六割程度は維持しなければならぬということを私どもは考えております。ただしかし他の産業たとえば国鉄の需要がどんどん減っていく、何がどんどん減っていくというようなことで、そのためにつかえていくとすれば、これはまた別問題でありますが、私どもの企業におきましては、大体六割程度のものは国内資源のエネルギーによってまかなっていかなければならぬ、こう考えております。
○井堀委員 質問があいまいであったと思いますが、私の伺いたいのは、あなたの御説はあくまで採算に根拠を置いて事業をお考えになるのは当然だということは理解しての上でありますが、ただあなたが今お述べになりましたことの中で矛盾を感ずるのは、たとえば原子力発電を考える場合には、石炭は問題でなくなるんじゃないか、あったとしても補完的な存在――石油の問題等については価格の差で、政治的にあるいは社会的に操作をすることが可能であったとしても、原子力の場合にはどうお考えになるかということがここでははっきり発表されていないのでありますから、もし原子力に大きくたよるということになりますと、石炭対策はふっ飛んでしまうんじゃないか。たとえば五年間とこう書いてあるのは、原子力に対する計画や準備などの上から判断をして、五年間くらいは石炭に依存するという考え方の上に立ってこういうものをお出しになったのかと思って実はお尋ねをしたわけです。でありますから、このエネルギーの問題は、御存じのように、国策として重要な課題になってきておりまして、この点に対する電気業界の考え方というものをわれわれは十分伺っておかなければならぬと思いますので、質問に立ったわけであります。時間の関係でその点をしぼってお答えをいただいておるわけでありますから、そういう意味で一つお答えをいただきたいと思います。
○太田垣参考人 端的にお答え申し上げますが、五年間の時間的な経過では、原子力発電の採算は、石炭を消費する採算ととても太刀打ちはできない、こう考えております、さらに先のことだろうと考えております。
○井堀委員 もう一つお尋ねいたしたいのは、あなたの御意見ではっきりいたしましたのは――産炭地における発電所の問題をわれわれはぜひ実現したらという考え方を持っておる。わが党は民社党でありますが、そういう党でもそういう考え方を持っておるのでございますが、これとは全く対照的な御意見になっておりますので、先ほどどなたかからも質問があったようでありますが、今あなたのおっしゃいまする中で、一つは、私企業の立場から採算を問題にするということが当然であるのは繰り返すまでもないのでありますが、反面、五カ年間トン当たり五百円の国庫の補助金を要求するという立場からいたしますと、必ずしも経済ベースの上に立ってのみ考えていない。今日エネルギー対策は国策として政治的な色彩が強く出てきて、社会的な影響毛大きい問題でありますから、当然私は何らかの国庫の負担が行なわれるんじゃないかという判断を持っておりますが、その場合に、価格に対する補助金よりは、むしろ今後のエネルギー対策としては、将来性のあるやはりこういう建設資金の中にこそ必要性を痛感しておるのであります。しかしあなたはあっさりこれを採算の上で割り切っておいでのようでありますが、しかし採算の上から見ましても、向こう先五年も当てにならぬと言われる原子力発電なんかのことも、今日では単なる考えではなく、具体的に進んでいる対象であります。そういう点で矛盾を感じておりますので、もし補助金というような政治的な色彩をもってこの際問題を処理しようというのであれば、むしろ私は産炭地においてこういう国庫の補助が行なわれるというやり方の方が電力業界としても望ましいのではないか。もっとも阪神地方というあなた方の見解のようでありますが、私は北九州の産炭地の電力供給源としての将来性が、必ずしも阪神地方と比較して――現時点においてはそうかもしれませんが、そういう点に対する配慮が行なわれていないのではないか、こういう点について一つ伺って私の質問を終わりたいと思います。
○太田垣参考人 私どもの今考えておりまする反対理由は、現在の電力の消費の考え方からいたしますと、どうしても産炭地で発電したものはやはり本州へ持ってこなければならぬ、それについては非常に大きな費用を要する送電線を作らなければならぬ、そういう点から、それをしもやるということは、国家的に見ても損害じゃないか、それよりはむしろ掘ったものを船で持ってくれば、それよりもずっと安く持ってこれるというような考え方から言っておるのであります。産炭地でそれがどんどん消費できるということであれば、これはまた問題が別になってくるのではないかと考えております。
○有田委員長 多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 最初にちょっと事務的な問題を一、二お尋ねいたしますが、まず第一に、今回東京電力の値上げをやりましたときの燃料は、どのくらい考えられておるか。重油は幾らと見られ、石炭は幾らと見られたか、これが一つ。現在の火力発電においては、重油混焼率はどのくらになっておるかということが一つ。それから産炭地発電をやりますと、超高圧線で送って、今日ではどのくらいの地点までがペイするのか、たとえば岡山付近であるのか姫路付近であるのか、この三点についてお伺いしたい。
○太田垣参考人 数字の点はちょっと事務当局が持っていないそうでありますから、後刻また……。特に東京電力のなになんか、いろいろの内容がございますので、その方面とも今後打ち合わせいたしまして、お答えいたしたいと思います。
 それから今、産炭地発電が送電してどの程度になにするかというお話でございますが、やはりこれは同じことだと思います。たとえば岡山なら岡山、広島なら広島というところに持ってくる一つの大きな送電線を作る費用と、それから産炭地から広島まで船で持ってくる石炭の価格というようなものを、資本費とかなんとかとなにいたしますれば、そう変わりはないと思います。
○多賀谷委員 私が申しましたのは、たとえば阪神地区で今石炭専焼の火力発電所を作ろう、こういう計画があるとしますね。要するに、揚地発電です。そうすると、地点から言うと、産炭地で作った電力を超高圧線で送って、現在の技術をもってして、一体どの程度までいけばペイするのか。その場合に二通りある。これは資金の手当の面において、たとえば政府で全部金を見るということになれば、利子の要らない金を使うということになりましょう。しかし、その次には、今の財政投融資等でやればどのくらいになるのか、これは金利の問題があるでしょうからいろいろの数字が出ると思いますが、技術的に見ても、要するに、産炭地発電で送電した場合、その地点に船でわざわざ持ってくる場合、大体どの地点でペイするのか、こういうことを聞いている。
○太田垣参考人 送電線のなににもよりますし、現在では四十万ボルトという送電線が計画されておるようでございますが、こういう超高圧のものだと、私は非常に高くつくのじゃなかろうかと思います。はたしてどの地点でペイするかということについても、ちょっと私は今数字を持っておりませんので、技術的な問題もちょっとお答えいたしかねますが、もしそういう数字が必要でございますれば、後刻事務当局からお出しいたしたいと思います。
○多賀谷委員 揚地発電の方がいいのか、産炭地発電で超高圧送電の方がいいのかというのは、これは主として技術的な問題ですよ。一体どこまでいけばペイするのか、こういう問題です。阪神の場合はペイしないけれども、岡山の場合はペイするのだ、こういう理論だってあるだろう。もっとも船賃だって安くなるという問題もあるでしょう。そういうことが非常に重要な要素じゃないか。それから金利の問題もあるだろう。ただ、いやだいやだと言うのは、私はおかしいと思う。それから超高圧線の場合は、これは資金が高くなることは事実ですけれども、今度はロスの面から見ると、ずっと少なくなるのですから、そういう点もあわせて一つ計算されたものがあったらお聞かせ願いたい、かように思うわけです。というのは、あなたの方で、今直ちに揚地発電所を建設することは、石炭対策としては決して適切な方法でない、こういうことを言われておる。そう言われる根拠というものを私は技術的に知りたい、こう思うわけです。
○太田垣参考人 それは私の方でもかなり詳しく調べて、そして採算もとっておる材料がございますから、それは至急一つお手元までお届けいたします。
○多賀谷委員 先般来公述を聞いておりますと、ここに見えた方はみなエネルギーの関係者なんですね。そのエネルギーの関係者の中で、石炭の方は全部補助してくれと言ってもとてもだめだろうから、政府資金で火力をやってくれ、あるいは重油に関税をかけてくれ、こうおっしゃるところが、電力の方ば、私の方の領分はいやですよ、それは全部石炭で補助政策をやって下さい、こうおっしゃる。石油の方は石油の方で、僕らの方は絶対に領分を侵しては因ります、こういう言い方です。こうなると、われわれ、どうして政策を結んでいいかわからない。業界の代表者としてはあるいはやむを得ない点があるかもしれませんが、私がこの事実を見て感じましたことは、どうも日本の資本主義というのは、発展の過程において大きなあやまちを犯しておるのじゃないかと思うのです。資本主義なら資本主義、自由経済なら自由経済一本でくれば、たとえば三井の電力会社があったり、三井の鉄鋼会社があったり、三井の鉄道会社があったりする、そうすると、これは石炭が悪ければ鉄鋼でカバーしたり、電力でカバーしたりできるわけです。ところが、これが今の場合は、日本の資本主義というのは軍部が力を入れて、むしろ国鉄は国有になり、製鉄の方は日本製鉄株式会社という一木の会社になり、電力の方は国家管理のもとに日本発送電という形になって、これは独占資本になって、三井も三菱も、財閥から手が離れたわけです。そうして最近になって、これがまた、電力は私企業になった。だから政策をやる場合に、実にわれわれとしてむずかしい。今運賃補給の問題が出ておりますが、これは公社でありますから、運賃補給という形で一般財政投資ということができる。ところが、電力の場合は私企業だといわれると、電力料金の補給なんといいましてもなかなか簡単でない、そういうことを感ずるわけです。そこで、現在産炭地振興をやりましても、また産業の振興をやりましても、電力はやはり産業の米でありますから、九州あたりで産業を興すときに、一番問題になるネックは電力料金ですね。そういたしますと、今計画を見ると、重油をたく率がだんだん多くなる、重油をたく率が多くなるということは、全国的に見ると発電コストが大体同じになる、こういうことが言えると思うのです。そうすると、関西や中部や関東のようなところは、発電コストが産炭地と大体同じであるということになれば、配電コストが少なくて済む。そうすると、結局将来長い目で見ると、中部と関西と東京が、電力が一番安いということになるのですね。このことは、現在われわれが進めております地域開発という面から見ると、全く逆行するわけです。そこで私は、この電気料金を、どうしても政策的な料金にある部分は変えなければならぬ段階がくるのじゃないか、こういうように思うので、これについてはどういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたい。
○太田垣参考人 いろいろとありますが、政策料金というものをやりますとなかなかいろいろな摩擦もありますし、今おっしゃったような資本主義機構が大きな誤りを犯しておるという前提でありますと、ちょっと今私どももお答えはいたしかねるのでございますが、その辺で一つ御勘弁いただきたい。
○多賀谷委員 私は主として政策料金を聞いたわけですけれども、たとえば日本発送電という形になりますと、われわれは中部地方にはもう絶対に石炭の火力発電を認めない、全部重油でおやりなさい、こう言ううことができるわけですね。ところが、現在は九分割になって、各社みな私企業でしょう。そうすると、政策的に、たとえばあの重い石炭をわざわざ名古屋地方にまで持っていって、そこで火力発電する必要はない、重油で全部名古屋はまかなえばいいわけだ、こういう政策は、私企業ですからできないわけです。ここにわれわれとしては非常にむずかしい問題があるわけですけれども、しかし、それは別にして、それを補うものは何かというと、私は、燃料費の差による発電コストの調整が必要ではないかと思うのです。これは率直に言うと、重油をたく発電所から出る電気と、石炭をたく発電所から出る電気の調整が必要じゃないか。かつて御存じのように、水火力調整をやりまして、三百七十億も水火力調整金が使われたわけです。ですから、こういう政策をやればかなり政策として進むのじゃないか、今の私企業のままで、しかも、重油は自由化されるときに、お宅は重油を使ってはいけません、石炭を使って下さいといいましても、私はなかなか困難な問題があるのじゃないかと思うのですが、そういう点はどういうようにお考えですか。
○太田垣参考人 それは根本問題でございまして、やはり電力事業をどうすべきかという一つの問題であると思いますから、この際私は、ここでお答えできる範囲ではなかろうと思いますので、十分研究いたしまして……。
○多賀谷委員 私はむしろ、石炭は石炭の側で、こういうことをやったら合理化ができる、石油は石油の側で、こういうことをやれば合理化ができる、よそのことを言わなくてもいいのです、電気は電気の側でこういう制度を設けてもらえれば、何とか日本の国内エネルギーに使う方法があるのだということを聞きたかったわけであります。ドイツのごときは、火力発電にはまだ一%しか電池を使ってないのです。あるいはまた、イタリアは、御存じのように、今私が申しましたように、燃料による発電コストの調整をやっているわけです。各国でもやっているのですから、自分の側でこの程度はできるのだ、あとは私の方ではできません、こういう公述が私はほしかったわけです。その点、残念ですけれども、今後検討していただきたいと思います。
○有田委員長 太田垣参考人は飛行機の時間でお急ぎのようですから、これで……。大へんありがとうございました。
 なお、他の参考人は残って下さるのでございますが、だいぶ予定の時間も超過しましたので、きわめて簡潔に御質疑を願いたいと思います。
○藤井参考人 まことに申しわけございませんが、私、実はゆうべやむを得ない不幸がございまして、四時の飛行機に乗りたいと思います。会社にいろいろなものも残しておりますので、できればそれに間に合わしていただきたいと思います。
○有田委員長 藤井参考人に対して質問はありませんか。
○多賀谷委員 さっき私は政策料金の話をしたわけですが、政策料金をやる場合には、電発の存在というのは非常にウエートが大きいのではないか。ブール的な調整を各社がする場合には、むしろ電発から供給される電気料金で調整をしたらかなりうまくいくのではないか、こう思うのですが、どうでしょうか。
○藤井参考人 今のお説は一つの卓見だと思います。ところが、今の電源開発促進法では、遺憾ながら、そういう機能は持っておりませんからできないのでございますが、これは将来、もっと電源開発の持っている電力のウエートが大きくなり、そしてそういうふうに法律が改正されれば、一つの方法かと考えます。
○有田委員長 それでは藤井参考人、ありがとうございました。
 それでは、逐次発言を許しますが、簡単にお願いします。藏内修治君。
○藏内委員 武内さん、重枝さん、南部さんに、それぞれごく簡単に一、二点ずつお伺いをいたしたいと思います。
 昨日私は、大手の石炭協会の萩原会長に伺ったのでありますが、今の石炭合理化法による千二百円のコスト・ダウンということは非常に困難である、三十八年度において千二百円下げるということについては、全く自信がないというお返事でございました。これについては、やはり中小炭鉱の側としては、もっと条件がいろいろ悪かろうということは、われわれも容易に想像ができるところであります。そこで、これに対していろいろ施策を講ずる。率直に申しまして、中小炭鉱の方は、いろいろの物価の騰貴が、当時の条件に比べてある、従って、これに対する補償を要求せられておることもわれわれはよく承知をいたしておりますが、そういうようにしてかりにやってみて毛、現在のいろいろな火急の経費に消えてしまって、また来年度は同じような状態を繰り返していく。三十七年度にほんとうに達成できるならばいいが、これがまた、三十八年度に大手、中小一斉に合理化がすべり出すということも、われわれはとうてい予測もできないし、期待もなかなかむずかしいのではなかろうかと思います。そのように推移して参りますと、毎年々々同じように、その年度で単に現在の火を消すだけの資金をもらっておる、こういう程度の対策では、非常にいかぬのではないかと思うのです。金融機関の投融資の対象にも、一年たっても二年たってもなかなかいきにくいのではないか。従って、現在の段階では、とりあえず合理化を達成する年度を一応三十八年あたりに想定しておいて、それまでの間の炭価をはっきりと打ち出していく必要がありはしないか。合理化法におきましても標準炭価というものがありますが、標準炭価ということが現在何の意味もない、単なる活字に終わっておることも、御承知の通りであります。そこで、これらの合理化達成までの資金の獲得ということについて、それを石炭価による利潤を得ていくということでなしに、いかように解決をしていくか。炭価による利潤ということは、これから先は、毎年なかなか見込みがつかぬだろうと思う。そういう状態のときに、まず企業としてどういう工合にしてその資金を得ていくか、毎年いわゆる政策的な資金の補給に仰いでいくつもりなんだろうか、それともこの辺で、炭価というものに対して一つ基本的な新しい構想を打ち立てた方がいいとお思いになるのか、その辺について武内会長の御意見を承りたい。
○武内参考人 ただいまごもっともなお尋ねでございましたが、毎年々々こういうことを繰り返していくようなことではいかぬのではないか。なお、当面、炭価の問題につきましては、先ほど筑一条件として千二百円下げは困難だ、こういうことをはっきり、特に大手関係に対しても、これは大体からいえば、自由経済下の今日でありますから、ケース・バイ・ケースに行なわれますが、現在の石炭の置かれました諸情勢は、すでに各位御承知の通り、先ほど申しました三つの原則のもとに千二百円ときめたものが、三つのものが根本からどれもこわれてしまいました。それがさっき申しましたように、石炭鉱業を今日のどん底に追い込んで、従業員にも、われわれのところに資材を納入する人にも、どこにもここにも、経営者としての義務を果たし得ないという状態に瀕しておるのであります。そこに、さっきお尋ねになりました物価の値上がりというものにつきましても、五百円というような均等のものでありません、あるいは木材あるいは火薬、それぞれですが、これら五百円の試算は、連合会として試算しております。さっき電気関係の参考人から述べられて、お話はまことにりっぱだが、血の通わない話をする人たちだ。石炭鉱業は、こんな泣き事を大体申し上げたくありません。泣くに泣かれない今日の段階に追い込まれた一番の根本は、千二百円下げでございます。われわれ二カ年にわたって、過去は完全に果たしております。ところが、これは先生方御承知ないと思いますが、過去の商習慣といたしまして、大手と中小に対しましては値差がございます。この値差は百六十円くらいでございます。われわれも、約束したことを果たさぬということは毛頭ございません。ところが、おかしいことには、最近では、大手の人が中小の石炭を買うて、それを電気会社に自分の値段で納めるというのが実情でございます。現地御出身の先生方もおられますが、今日まで私ども、石炭といえどもかなり長い間、戦前戦後続けまして国には尽くした。それは非難もありましょう。石炭人の行儀が悪いとか、いろいろありましょうが、いずれにしても、労使とも石炭産業には生命を傾注して、今日まできたわけであります。今あなたのお話の物価補償を出せということも、実に笑いごとではないのです。それに今度またさらに下げるということは、それでなくても二年間に三百二十円よけい下げられておる。大手が八百円まで今度下げるといいますけれども、われわれはすでに八百円は下げてしもうておる。四百円というのは、政府何かの形で強力なる政治措置をやる、こういうことになっておりました。ただ、約束したものをやらないというようなことは――実際の話はこの値差関係まで言わなければならない。今日、公益事業ともあろうものが、大手なるものが買う、石炭は二百五十円以外には下げない、中小炭鉱のものはそれ以外に百五十円なり百七十円なり安い。こういうことは、さきには電気の人たちがいろいろ意見を述べられましたが、実に泣くに泣かれない。今日の石炭危機ということで、経営者の義務が果たせない。金融機関あるいは労務者に、自分と同じかまの飯を食っておる人にさえも未払いをし、離職金も払えないというような状態になりました。あなた方など出身地の方はよくおわかりになると思いますが、これは実に奇々怪々なるものがあるのであります。また、率直に述べるならば、電気会社というものは再編成すべきじゃないかというような感じも持ちます。ことに、きょうは太田垣参考人がここに並んでおって、お話としては実に筋の通ったりっぱなことでありますが、現在の社会情勢から見れば全く絶縁されたような話にしか受け取れない。あなたがお尋ねになりました要点は再び繰り返したくありませんから、石炭特別委員会は超党派的に熱心にこうやっていただいておりますので、すべての実情について、あれはどう、これはどうということがありますれば、何でも投げ出しますから、石炭が必要であるとするならば必要である施策を講じてほしい、こういうことをお答えしたいと思います。
○有田委員長 藏内君にちょっとお願いいたしますが、時間がありませんから、一問一答にせず、ずっと尋ねられることを一つにしてやって下さい。
○藏内委員 流通関係で中小はやはり非常にむずかしい、いろいろな条件が生まれてきておると思います。たとえば、炭の最終の需要者に、直接中小炭鉱の生産した石炭がいく量が一体どのくらいあるのか。これはあとで一活してお答えをいただいてけっこうであります。鉄鋼には原料炭が少ないですから、あまりいかぬと思いますが、要するに、最終需要者にまっすぐ炭鉱からいっておる時が、中小の今生産量中のどのくらいに当たっておるか、これが第一点。もし、こういうような流通の過程を改善する方策がかりにあるとすれば、中小の経営者として、どういう改善を希望しておられるか、これが第二点、武内会長にお願い申し上げます。
 一括してほかの参考人の方にも承っておきたいと思います。
 重枝参考人に伺いたいのは、中小の経営者の方々は、千二百円のコスト・ダウンのうち、自分たちに課せられた企業努力による八百円のコスト・ダウンというものはやっておる、これはほとんど完遂しておるということを言われております。これはいわゆる全炭の立場として、この八百円の企業努力によるコスト・ダウンということが果たされておるということを率直にあなたはお認めになるかどうか。
 それから当時の基本計画による場合には、労賃のいわゆる値上がりを三・八%くらいにたしか計算してあったはずであります。現在の場合、この三・八%の労賃の値上がりが全炭の場合にはどのくらいになっておるか、この二点についてお伺いしたいと思います。
 それから南部参考人にお伺いいたしたいのは、要するに、エネルギーの問題になると、石炭が油に対して非常に割高であるから、すべての産業のコストが上がってくる、輸出もこれで阻害されるということが、私は少し過度に言われていやしないかと思う。全部の工業生産額中、石炭燃料の使用額の占める率というものは割合に低いのじゃないか、そういう気がするのです。これは数字によって計算いたしますと、二・五%程度にしかなっていないと思うのであります。燃料費として石炭が石油に比べて割高であったとしても、これが要するに最終の製品のコストに及ぶ影響はそれほど過大ではないのじゃないかという観点からすれば・石油というものはもう少し石炭に対して譲歩する余地があるのじゃないかということが一点。石油業界の内部の情勢はよくわかりませんが、英米系の石油とか、ソ連系の石油とか、いろいろ複雑な様相のようでありますが、これをおしなべて、ここ比較的短期の見通しとして、どの辺まで石油は下がり得るか、この限度について一つ御意見を伺いたい。武内さんから一つ……。
○武内参考人 小炭鉱といえども需要家にどうして直接入っていないか、入るようにするにはどうするかという意味の御質問だったと思います。これは統計的に、概算を申し上げますれば、中小の直需口は、自分の生産炭の三割です。今連合会所属が千八百万トンという目途でおります。このうちの中小の直需口というものは約三割、どうしてこういうことになるかといってあなたは今お聞きになったが、どうすれば中小は中小で需要家と結びつくようになるかということですけれども、これは主として中小炭鉱と商社の金融が一番の中心になっております。需要家は金を貸さない。今の世になればなおさらのことです。そこで、御承知の石炭商という、石炭を商売にしておる人がおります。こういう人たちからわずかばかりの金を借りて、石炭商社を通じてやる。また一面には、さっきからも出ましたが、鉱区の分合の問題であります。最近になって非常に各所にこういう問題が多数出てきております。いかにしたら一番経済的にこの困難な石炭問題を打開することができるか、その要素として、鉱区の分合、どれから掘ったらいいか、それを今先生方に御検討願っておりますが、私のところがら、ここを少し掘らしてくれということで租鉱権をやりまして、掘った石炭だけはお前さんに金を渡すぞというようなことで、鉱区関係からつながった販売ルートというものがございます。それ以外にもまだありますが、まとまったものはその二つだと思います。さように一つ御承知おき願いたいと思います。
○重枝参考人 中小炭鉱が企業努力をしておるかどうかということですが、なかなかむずかしい質問で、企業努力の結果そうなったかどうかということは別にして、むしろ八百円下げということをさせられておるのが現実ではないかと思います。
 それから賃金は基本計画に盛られた三・八%を実現しているかということでありますが、この春はかなり上がりましたけれども、前年度等を考えまして三・八%の賃金の上昇というものは実現せられていないと思います。
○南部参考人 生産量におきます燃料費が過大に評価されておるではなかろうか、第二点といたしましては、もうちょっと石炭に譲歩してもいいんじゃなかろうか、近い将来における石油価格の見通しいかん、こういう御質問でごさいました。仰せのごとく、一般生産原価に占めます燃料費としましては、先ほど太田垣さんがおっしゃいました燃料費は、電力では二〇%をこす、これは特殊の問題です。一般生産の場合は、御承知のごとく二%前後であると思います。従って、そういう小さな原価だから、多少上がってもいいじゃないかというお説でございますが、これは石炭に対しても石油に対しても平等の問題でございます。私どもは、やはりエネルギー産業というものはなるべく安い価格で供給するということが本質ではなかろうか、かように考えております。石炭にもうちょっと譲歩していいじゃないかというお話でございますが、これは決して石油が石炭に対して拮抗し、かつ攻撃的意図を持っておるものではございませんので、これはもう一般の成り行きと申しますか、決して譲歩するの、しないのという問題ではないと私ども考えておりますので、一つ御了承願いたいと思います。
 それから、きわめて短期の石油価格の見通しはどうか、こういう御質問でございますが、国外の現状で、先ほど御指摘がありました六千何百円というような重油価格は、今のように海運業が非常な不況にある安い運賃でありましても、なおかつ七千円以下では、私ども石油業としては合理的な利潤を得ておるとは考えておりませんので、やはりどう勉強いたしましても、七千二、三百円というようなところが適正ではなかろうか、かように重油価格については考えております。ただ、申し上げておきますことは、石油は、前々申し上げましたように、水商売と申しますか、ガソリンの含有率の高い原油と低い原油とがございます。従って、日本の現在でありますと、おおむね二〇%程度ガソリンの収率を見て輸入の外貨をきめられておるわけでありますが、戦後、最高にとりましたときは、二九%もガソリンをとっておるわけであります。そのガソリン価格が高くなれば、重油価格はもっと下がっていいわけであります。重油価格が高くなれば、ガソリン価格を低くして石油会社としては採算がとれるれけであります。なお、灯油、軽油等、あるいはアスファルト、いろいろございますので、その全体としてのバランスにおいて石油業者としては価格を考えなければならない、かように考えておりますが、ただ、今の石炭合理化の前提となっております三十八年における八千四百円という価格は、はるかに下回った状態において当分安定するのではなかろうか。ただし、現状は、国内の特殊事情によりまして過当競争の結果、不当の価格で売買されておるのではなかろうか、いずれ安定すべきところで安定しなければ、石油業そのものも今後の経営が成り立たないという状況に相なっておるわけであります。
○有田委員長 松井政吉君。
○松井(政)委員 簡単のそのものずばりをお答え願いたいと思います。
 武内参考人にお伺いしますが、われわれも各参考人の御意見を聞きまして、国会で毛、今国会中に対策をやるべきもの、それから恒久的にエネルギー総合対策に並行して考えなければならないもの、こういう段階になってきております。ですから、武内参考人の立場から、柱として中小炭鉱の緊急にやらなければならないこと、それか国にやってもらいたいということのそのものずばりは、一体何と何か、これをお答え願いたい。
 それからもう一つ、当然、それをお答えになると、おそらく資金の問題が出てくるだろうと思いますが、現在の資金の量と現在の資金のあり方でお気に召さないでございましょうから、そうなりますと、要求する資金の量と、それからその資金のもろもろの種類、そういうものの内容について、そのものずばり一つお聞かせを願いたい。
 それから重枝参考人に一つお伺いしますが、労働組合の立場から、これはもう最近では経営者も労働者も考え方が同じだということをよく言われておりますけれども、要するに、生産態勢、それから需給対策、それから総合エネルギーの中における長期にわたる石炭の位置をきめる、こういうことについては、総合エネルギー中心に議論が行なわれるのでありますから、電力、石油、その他鉄鋼、ガス、いろいろな議論が出てくると思う。しかしながら、これはなかなか簡単に、議論が一日や二日では済まないと思いますけれども、国会で、やはり当面労働組合等の要求について何かしなければならない、たとえば離職者対策とか、あるいは産炭地の問題とか、あるいは最低保障賃金、こういう問題が大きな緊急対策として出ておると思うのですが、その緊急対策をずばり一つ答えていただきたいのです。今国会中に、国会としては政府に向かって何をきめてもらうことが必要か、これを聞かしていただく非常にわれわれは参考になると思います。
 南部さんに一言お伺いします。先ほど御説明の中に、産炭地においては、重油と石炭との格差があまりない、従いまして、石炭による発電等は産炭地の方が適当であるという意味のことを御説明なさったと思いますが、そうしますと、産炭地においては、石炭の価格と重油の価格との格差があまりないというのは、これは揚地の場合と違いまして、石炭の運賃がかからないとか、いろいろな条件があろうと思いますが、その辺のところを一つお聞かせを願いたいと思います。それから、そうすると、産炭地においては石炭発電の方がいいとお考えになるのは、石油業界としてもそう考えておられるのかどうか、この二点についてお答えを願いたいと思います。
○武内参考人 ただいま二つの事項を私にお尋ねがございました。今後、当面対策も、またさらに長期エネルギー対策も、先生方にも、再びこの轍を踏まないように御検討を願うことにしておりますが、今お尋ねになりました、従来では、石炭鉱業の中にはピンからキリまでありまして、これが施策の中に十ぱ一からげにあるということが、同じ石炭鉱業におきましても非常に不公平であり、また、せっかく貴重な国の予算が入手できない、こうお考えになっていただいて私はけっこうだと思います。つまり、私がさっき述べましたように、五百二十五鉱ありまして、この出炭量というものは、大手の、つまり十八社の七十五鉱と対照いたしまして、その比率からいけば僅々三五%です。全出炭量の三五%が私の方の連合会の生産であります。これが今申しました年産千八百万の目途で進んでおるというわけであります。今あなたのお尋ね下さった中に、これはよく私もまとめて、また先生方にお腹に入っていただくようにしますが、石炭といっても、ピンからキリまで、百あれば百違います。一尺三寸の石炭を掘っているところもあれば、四十尺の石炭を掘っているところもある。これをただ石炭鉱業という名のもとにやってきたところに、今日のような合理化あるいは生産性向上を進める上におきましても、大きなギャップが出てきている、こういうふうにお考え下さいまして、その分類はどうかということになれば、これはまた詳しい資料につきまして私は適当な機会に御説明申し上げたいと思います。
 当面と、そのもう一つの、次の設備なり、今後の近代化なりを国に取り上げてもらって推し進めてもらうということになった場合には、さきにちょっと述べましたが、五百二十五ある炭鉱で、概算五十億くらいの資金あるいは国家補償が要る。この設備に要る金は、中小金庫でもよし、国家補償でもよし、こういうものがない限りはなかなか入らない思います。ここの難局を切り抜けるために、今後こういう資金を出してやっていくような方法を講じてもらうとしても、現在の危機をどうするかというとトン当たり五百円くらいの補償をしてもらわなければいけない。これは率直な、偽らざる、悲壮な声だということにお聞き取りを願いたいと思います。
○重枝参考人 私は先ほど意見を述べたときも、根本対策と応急対策というものを区別すること自体が少し実情に合わないのじゃないかと申し上げたのであります。その通りでありまして、私の述べたことはこれはもう一日も早くやってもらわなければならぬことですから、今国会でぜひやっていただきたい。もちろん大きな予算措置等を伴うものもありましょう。そういうものは補正予算も終わっておることでありますから、これは新年度の予算の中に大幅に組み込まれるべきでありますけれども、しかしその場合でも、当面年末等を控えて資金的なものは必要であろうと思います。われわれ年末の期末手当というものもぼつぼつ交渉に入るわけであります。これはやはり出すべきだというように意見が一致しても、金がなくて払えないというようなみじめなことのないようにはしてもらいたいと思います。また、現に離職をしておる人々が年末を越すという問題があります。そういう点は当面といえば当面かもしれませんが、全体的な緊急なものとしてお考えを願いたいと思います。
○南部参考人 お答え申し上げます。
 産炭地における石炭価格と重油の価格でございますが、現状は重油価格が、先ほど申し上げますように不当に安くなっております。それにしても、産炭地においてはおおむねカロリー当たりの価格は対抗し得る価格である、かよう了承いたしております。
 それから、産炭地における発電にお前は賛成の意向を表示しておったが、それは業界の意向であるかというお確かめでございますが、賛成という意味においては、業界と今断言するわけには参りませんが、少なくとも業界といたしましては積極的に反対はいたしませんということだけははっきり申し上げて差しつかえないと存じております。
○始関委員 時間がおそくなって恐縮ですが、私はエネルギー総合対策というものをやる以上、やはりどうしても石油の問題から始めなければならぬ、石油を放置して総合エネルギー対策というものはあり得ない、こう考えておりますので、そろいう見地から南部さんに二、三点お伺いいたします。
 問題だけ申し上げますが、第一点は、今の重油その他の低落の状況は遠からず安定するだろう、こういうお話ですが、これはちょっとのことでは安定しない、何らかの措置が必要であろうと思うのですが、それについての御所見。それから業界の中には、何かやらなければならぬという意見と、うっちゃっておいて完全な自由放任でやれという意見とが対立していたのですが、最近では何かしなければいかぬという意見が多くなったということですが、業界の、空気を一つ。
 その第二点は、さっき太田垣さんにもお尋ねした問題ですが、いかにエネルギーだからといっても、消費者の自由選択という原則がありますから、政府は高いものを売りつけるわけにいきませんよ。これが一つ。それから石炭の合理化をやったらいいのですが、しかしやはりギャップがある、こういうことなんですね。これが第二の要素。しかしそのギャップを補うために関税はいかぬとおっしゃれば――その三つの条件を並べても答えが出てこない。その答えの一つは、さっきの、私は賛成いたしませんが、太田垣さんの、発電用の、石炭に対してトン当たり五百円の補助金を出すということも答えに出てくるのです。南部さんは政治力でやれとおっしゃるが、どういうことをお願いしておるのかということをお聞かせ願いたい。批判者としてはいいけれども、政府の責任者としてそういうことを言われても困るわけです。それが第二点。
 そのお答えのいかんによりますけれども、いいところがないとすれば、やはり私は、そういうことができるかどうか知りませんが、石炭の長期取引をやった者には免税をするという方法でも講ずれば一番いいと思うのですが、やはり税でもかけて、競争条件のバランスをとるということが必要になってくるだろうと思うのです。そういう意見が有力に主張できると思うのです。それでないと将来ややこしいことになって、収拾のつかぬことになる。石炭業に対する安定感というものは出てこない、こう思うのです。これはあなたが反対だとおっしゃいますから、賛否はあらためて聞きませんが、一体今の現状で、かりにドイツのようにキロリットル当たり二千二、三百円の消費税をかけたとして、これは一体販売価格にどのくらいはね返りますか。せっかくかけてもはね返らぬと意味がないと思うのです。これはやはり、石油業界でどういう安定措置をとるかということと関連がありますが、その三つの点につきまして簡単にお答えを願いたいと思います。
○南部参考人 現状の国内における重油市況の混乱状態が遠からず安定するだろうという意見だが、お前はどういう観点からそういうことを考えるか、こういうお話でございます。元来ガソリンにいたしましても、重油にいたしましても、必要以上の賢いだめというものはそう行なわれない。要るだけのものはとにかく、要るという性質の商品でございますので、ソビエト原油の輸入等によります特別な価格が出ておりますのに対する影響は、これはほんの一部の影響である。企業採算原理の線に立たされますれば、やはり採算に乗る価格で一応安定いたしませんと、石油会社は全部万歳になるという状況に相なっております。そこで今の状況は、外貨事前割当制度でございまして、外貨割当を全部食いつぶしますればその次の外貨割当に有利だという立場で、かつ自由化を目前に控えて、自分のセーラーをなるべく拡大したいという企業意欲があるわけでありまして、そういうような関係から無理をしておる傾向があるわけです。過当競争と一括して申しておりますが、しかしこれは長続きいたしませんので、それぞれ安定した経営に入りませんと、第一あとの再投資もいたしかねるということに相なりますから、やはり企業採算に合った価格に安定せざるを得ぬ、かように考えておるわけでございます。
 それから第二点でございますが、エネルギー政策で石油問題を度外視してやるということは考えられないときに、今お尋ねになりました件は、石油の今後の市況を野放しでいいのかどうかということ、これは、石油に関しましても石炭と同様の問題が御存じの通り、ございます。国内産の原油と輸入原油との価格差はおおむね二千円程度、あるいは二千五百円程度の原油価格の格差も実はあるわけであります。国内で産出します六十万トン、七十万トンの原油は、輸入原油より高いわけであります。これまた、石炭と同様に、石油業界内部にもそういう問題があるわけでございまして、自由化になりました暁に一体その問題をどう処理するかというようなことは、石炭価格と国内原油価格とは全く同様の立場に立たされるわけでございますし、過当競争が国内に行なわれた場合に、何らかの方途を講じないでいいかどうかという問題でございますが、不当な競争が起こった場合には、何らか需給を調整し得る政府に権限がありませんと――現況は外貨割当のみによって行政が行なわれておるわけであります。外貨割当がなくなり、為替管理がなくなりまして、勝手に入れて勝手に販売するということに相なりますと、これは市場の混乱に対して法的根拠に基づく何かの措置もとれない。あるいは、実はあまり苦しいものですから、値上しげをしたいなどと思いましていたしますと、公取委でおしかりを受けるということになりますので、独禁法の改正なり、何らかの施策を講じていただかなければ需給は安定した状態にならないのじゃないか、かように考えております。
○始関委員 第二点は、石炭の需要の確保策ですよ。あなたの出した条件のもとでは、どうしてよいかわからない。需要の安定策です。
○南部参考人 石炭は、私は高いものを無理に買えというのは、勝手なことを申し上げますが、始関先生のおっしゃったように、消費者選択の自由が理想ではあるが、それが国民経済的な立場なり社会的な立場なりで実行できないということであれば、最小限それを修正して国内資源の需要を確保する。無理に法律によって高いものを買えといわなくても、大口需要者は、先ほど来言われました長期取引のありました鉄鋼、電力、船舶、窯業、この四業種か、五業種で、七〇%程度は需要はあるはずなのでございます。ですから、それくらいのところは何かでいけそうなものだと私どもは考えるのでございますが、それを必ず法律で向こう何年問を縛れというようなことは、私はちょっと今の資本主義経済をとる以上無理があるような気がいたしまして、何かそこは話し合いでいきそうな――そう業種がたくさんあるわけではございませんし、その辺でいきそうなものだ、こう考えるのでございます。
○始関委員 第三点は、かりに関税を上げたらどのくらい油価にはね返りがくるか伺いたい。
○南部参考人 実は石油業界は本年、年間約二千億程度の納税義務者でございます。もう税金と申しますとふるえ上がるわけでございまして、これは市況の力関係でございまして、それをどれだけわれわれが消費者に転嫁し得るか。品物が不足ならば、これはほかのものでかえられないのでございますから、ガソリンにしても何にしても高くても買うわけです。ですから、過剰になればこれはどうにもならぬのでございます。何かその辺は、われわれの立場からいきますれば、関税なり消費税なり増徴される、ああいは新たに賦課されるというようなことがありますれば、あげてこれを消費者に転嫁したい。今はわれわれは負担する余力は全然ありませんで、現状ではもう揮発油税でも日一ぱいな格好が今の状況でございます。これは全く市況の力関係だと存じます。
○有田委員長 滝井君。
○滝井委員 私は武内さんに一点だけお尋ねしたいのですが、さいぜんの公述の中に、合理化事業団で四月から九月までの間に十一炭鉱、三十三万トン程度しか買ってもらえない、その間に炭鉱として。ポンプ・アップあるいは保坑のために相当の経費がつぎ込まれておる。そうしてようやく買ってもらうと、ばく大な留保金をとられる。こういうことになると炭鉱の立ち上がりはできない。といって、留保金をとらぬと鉱害が残るということになるわけですが、何か合理化事業団の買い上げを促進する、連合会として具体的な名案でもお持ちならば、一つ御明示を願いたい。
○武内参考人 よく御質問の御趣旨はわかりました。九月末で整理を申し込んだ数壁が七百六十五万トンあった。実際買い付けば四百五十五万トンであります。現在ワクというものは六百三十万トンとなっておりますが、このワクに対照してみても、まだ米買収は三十五万ある。これは率直に申し上げまして、スタートした当時は比較的スムーズにいきましたが、最近では九州のようにたくさんだまっているところでも、山間部は地表が山だというところが早いのです。ところが、鉱害がいささかでもある、人家があり、田畑があるというようなところになると、なかなかこれは剴切なお尋ねでございますが、私もいい答えを今日では出しきれません。ただ、問題は事業団の担当しておる人がいま少し接触を密にして――私はこういうことを申し上げようと思っていなかったのですが、かりに一例をあげますと、極端な事態としましては、これは田川のある炭鉱でございますが、買収された総額は一億一千万くらいでございました。その中にいろいろ被害者と事業団と鉱業権者と話し合いまして、四千万円くらいの陥落補償積立金をやった。ですから、そのときに双方調印をいたしまして事が済んでいる。ところが最近になって、六月でございましたが、六件福岡県で事業団が告訴をやったわけです。民事訴訟を起こしたわけです。実に気の毒です。四千万の鉱害の積み立てをしておって、事業団も了承しておきながら、そのあとで裁判所に民事訴訟として出して、その炭鉱には五千万円の不足金だということを申し出てきたわけです。私のところは発足以来、事業団のケース・バイ・ケースには全然関係しないという建前で、顧問とか何とかいうことで発足いたしました。ところが不意打ちにこの六月十一日に、六件の整理された者が民事訴訟を受けたというので、そういう人がやって、きましたから、私は意外千万だ、調印した後において、しかも積立金を四千万円もしておきながら、不足額五千万円とは何たることか。それで東京へ行きまして、田日理事長に会いますし、いずれにしてもお前さん方はその間に対処して、訴訟になるまで人事は尽くしたのか、ところが、手紙を二度出しましたということでございます。大方そんなことだろう、福岡に支団を置きながら、手紙を二度やったくらいで五千万の民事訴訟を提起する。まあ、君の方も、ぼくから延期せいと言わないから、よく人事を尽くしなさい。それから当該の訴訟された者にもまた、帰ってから皆集まってきましたから、お前さん力も人事の尽くし方が足りない、双方いま少し接触して――民事訴訟というようなものが鉱山の整備事業団に起こるなんということは予想もしなかったのです。これは今延期々々で三、四カ月、六月以来延長になっております。ところが今御質問なさったことに関連して、私は申し込んだ炭鉱の整理が急速にできないことは実に遺憾だということを申し上げたかったのです。今あなたから剴切な御質問がございましたが、そのことにつきまして、現在六件だけが福岡裁判所に訴訟を提起されております。それで私が双方ともに、お前さん方人事を尽くしたかと言った結果が、一月々々まだ延びているというような状態のわけであります。
 事業団の能率を上げる一方法といたしましては、これは御参考までに私の観察を申し上げるのですが、事業団の人事構成が一番ガンをなしておるのではないか、役人と大手の腰かけ社員では非能率にきわままっている、こう申し上げたいのです。私は率直にこれを石炭局に申し出で、事業団にも直接会っていろいろ言ったのです。私も一年前から直接申し入れましたが、私としても名案はございません。もう少し急速にスムーズにしたいと思っている間に、民事訴訟が六件も起きている。いささか前向きに進みかねた状態でございます。ただ私の主観で申し上げれば、人事構成に妥当でないところがあるというような感じがいたします。それだけでございます。
○有田委員長 井堀君。
○井堀委員 これで最後でございますが、ごく短くお尋ねをいたします。
 参考人の皆さんのそれぞれお述べになりましたことは、一々ごもっともだと思うのであります。そこで、今日、石炭対策がこんなに極端に行き詰まっております問題を、部分的に解決することは困難だと思うのでありますが、総合的な政府のそれぞれの政策の転換なり、従来無為無策だと思われましたエネルギー政策に対するてこ入れをしなければならぬ時期に当面したと思うのであります。従いまして、皆さんから貴重な御意見をちょうだいいたしましたが、今後もさらに御意見をちょうだいいたしたいと思うのであります。時間がありませんので、当面しておる最も私どもの憂慮いたしておりまする点を一つお尋ねいたしてみたいと思います。
 それは、こういう現況のもとにありましては、鉱山で働いておりまする労働者諸君の不安は、全く想像以上のものだと思うのであります。そういう精神的な打撃はもちろんでありますが、実際的には、こういう状態になりますと、家族をかかえて事業場に働いておりまする特殊の労働ケースでありますから、それだけに働いておりまする人たちだけではなく、家族を含めて非常な不安にさらされておると思うのです。たとえば一割なり五分の整理をいたすといたしましても、それは残り九制なり九割五分の全体の不安を、同様にかき立てていく性格のものだと思うのです。それが労働者の生活の不安、ことに雇用の不安定に耐えられざる労働者の心境というものは、われわれの想像以上のものだと思うのです。こういうことは何とか立て直しをなければならない現状にありまして、労働者自身がこういう不安、動揺をいたしておりましたのでは、労働意欲を正当にわれわれは求めるわけにいかぬと思う。しかし、そうだからといって、次の対策が立ちますまで放任することのできない緊急な事態だと思うのであります。ことに生活に直接大きな脅威を与える事態でありますから、この問題をすみやかに解決するという措置が、政策以前の問題として緊急措置をとらなければならぬものと思いまして、政府に対しましては、この問題について具体的な要請や、あるいはその対策を早急に実施するように要請いたしておりますし、今後もいたして参りたいと思いますが、この点について、経営者側の立場あるいは労働者の保護をいたしまする組合側の立場の御意見を、一つ簡単でけっこうでありますから、お聞かせいただきまするならば、緊急の措置を政府に要求いたしたいと思っております。
 それから石油関係の業者の団体について私がちょっと不安を感じますのは、こういう政策でどういう結果が生まれてくるかは今後のものでありますけれども、たとえば、先ほど藤井さんあるいは太田垣さんの御意見の中にも具体的に出ておりますのは、こういう問題を解決するときには、とかく国の財政的援助が多く要請されてくることは必然だと思うのであります。その場合に、同じ私企業で、しかも、自由経済のもとにあって、石炭については特別に炭価の国庫補助が行なわれる。そういう場合に、同じエネルギー関係の業者でありながら、特に石油の問題は、貿易その他非常に日本の国全体のエネルギー対策の中においても重要な部分をたくさん持っている。また、そういう点から同様財政的保護や助成を要求されてくることになると、またこういう問題の対策の際に、障害になることがたびたび経験されておるわけであります。でありますから、この際は石炭対策にしぼって、石油関係の業界におきましても積極的な協力援助をするという意味で、そういうものに対して自制もしくは業者の間において適切の措置をお講じになられるような御決意なり、また、そういう団体として、そういうことがはたして可能かどうかということについて一抹の不安を感じておりますので、この点だけをお答えいただきたいと思います。
○武内参考人 ただいま御質問の点は、経営者といたしましては自分でなくて、あるいは従業員の家族に至るまでに対して、さっき述べましたように、石炭として十ぱ一からげの施策の中に無理があると申しましたが、中小炭鉱は非常に条件もよくない。だから私は、連合会長としての事業主の立場の考え方をあなたにお答えいたしますが、まことに相済まぬ、退職金を出す金も、ようやく納得が得られても支出の場所がない、あるいは日常の遅払いも未払いもまだ残っておるというのは、事業主としては私はいささかも回避しません。これは一つがまの飯を食っているのだから、こういう未払いを作り、遅払いを作り、退職した者の退職金もやれないということは相済まぬということを、事業主として考えるということをここではっきり申し上げます。
 それから当面の切り抜けということについてのあなたの御質問でしたが、さきに述べましたように、いろいろと御検討も願えるでしょうが、最近におけるトン当たりの試算が連合会にはございますが、これはトン当たり五一円の切り抜けの補償金を支出してほしい。さらに、その山のコンディションの許すものだけには、設備投資あるいは近代化事業資金、こういうものを出してもらうということが、今のあなたの第二にお尋ね下さったことのお答えになるように私は考えます。それではそれをどこに申し出るかということもございましたが、この問題はすでに役所にも申し出ております。大臣にも申し出ております。これだけお答え申し上げます。
○重枝参考人 先ほど意見を述べたときにもそのことを申し上げましたが、石炭産業の危機だということは、労働者の方からいいますと、魅力がないというか、非常に不安を感じているということです。そこで、先ほど申し上げましたように、やはり魅力あるりっぱな産業であり、職場であるということを明らかにすることが、根本的に必要だと思うのです。最近の実例を申し上げますと、日鉄鑛業という会社がございますが、これが長崎県の北松浦郡に北松鉱業所というのを持っております。これは一般炭、強粘結炭をもって、相当比重の高い炭鉱であったわけですが、それが三十八年、九年、四十年にかけて鉱量がなくなって、終掘をせざるを得ないということになったわけです。そこで、円滑な人員の整理をするために、いろいろな施策で社会への就職あっせん等をやったわけです。将来に対する不安が増大をしましたので、基幹となるべき人たちがどんどん転職をする、それにつられて、転職の機会のない者も、何となくやめてしまうということになってきました。従って、そういう事情から、ある坑口の掘進が非常におくれまして――掘進をどんどんやっていかないと、採炭がいずれストップするわけです。そういうのに対して、会社側は、組夫あるいは臨時夫等を入れてやる以外にないじゃないかというようなことを申し出まして、組合といろいろ相談して、組合もやむを得ぬからよかろうという結論になったのですが、いざ募集をしてみると、組夫が集まらない、すでに組夫、臨時夫、そういうものでやろうとしても集まらないという実情なんです。それは石炭産業に対する不安を全体的に持っておるということだと思うので、それを払拭する。先ほど、恒久策、応急策というような区別なくやってもらいたいということを申し述べましたが、国会において、衆議院で特別委員会ができ、閣僚会議あるいは連絡会議等ができたということで、非常に期待をいたしております。この機会に、抽象的なことではなくて、こうこういう点を抜本的にやるんだということを、国会でも決議をしていただき、政府もそれにこたえて天下にそのことを明らかにするということをまず第一にやっていただくということになれば、石炭産業に対する希望をつないで、そこを自分たちの職場として十分やっていくということになるのではないか、そういうふうにお願いをいたしたいと思います。
○南部参考人 石油業界の方は歩調をそろえて石炭のために協力する態勢はとれるかという御質問と了承いたしますが、石油産業の国内の現状から申しますると、遺憾ながら御指摘のごとく一糸乱れず足並みをそろえてというわけにはなかなか参りにくい現状でございます。私ども、でき得る限り一致した方策で臨み得るように努力いたしたい、かように存じておりますが、御指摘のごとく非常に複雑な、困難な状況下にあることを御了承願います。
○有田委員長 以上で本日の調査を終えるのでありますが、最後に参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、大へん長時間にわたりまして貴重なる御意見を拝聴いたしました。われわれ資するところ大なるものがあったことをここに深く感謝いたします。
 なお、本日は、休憩時間も与えずに、またお食事もなくしてこんなに長くなりましたが、これも全くわれわれ委員の石炭問題に対する熱意のしからしむるところでありますので、あしからず御了承願いたいと思います。委員会を代表しまして、ここに厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 次会は、来たる二十四日火曜日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十三分散会