第039回国会 農林水産委員会 第2号
昭和三十六年十月二日(月曜日)
   午前十時十八分開議
 出席委員
   委員長 野原  正勝君
   理事 秋山 利恭君 理事 小山 長規君
   理事 田口長治郎君 理事 丹羽 兵助君
   理事 石田 宥全君 理事 芳賀  貢君
      飯塚 定輔君    金子 岩三君
      仮谷 忠男君    小枝 一雄君
      坂田 英一君    田邉 國男君
      谷垣 專一君    綱島 正興君
      寺島隆太郎君    内藤  隆君
      中山 榮一君    藤田 義光君
      本名  武君    松浦 東介君
      米山 恒治君    片島  港君
      北山 愛郎君    東海林 稔君
      中澤 茂一君    楢崎弥之助君
      湯山  勇君    稲富 稜人君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        農 林 大 臣 河野 一郎君
 出席政府委員
        法制局長官   林  修三君
        大蔵事務官
        (主計局長)  石野 信一君
        農林政務次官  中馬 辰猪君
        農林政務次官  中野 文門君
        農林事務官
        (大臣官房長) 昌谷  孝君
        農林事務官
        (農林経済局長)坂村 吉正君
        農林事務官
        (振興局長)  齋藤  誠君
        農林事務官
        (畜産局長)  森  茂雄君
        農林事務官
        (農林水産技術
        会議事務局長) 増田  盛君
        食糧庁長官   安田善一郎君
        林野庁長官   吉村 清英君
        水産庁長官   伊東 正義君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (大臣官房財務
        調査官)    松井 直行君
        大蔵事務官
        (主計官)   相沢 英之君
        農林事務官
        (水産庁次長) 村田 豊三君
        専  門  員 岩隈  博君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農林水産業の振興に関する件(農林水産業の基
 本施策)
     ――――◇―――――
○野原委員長 これより会議を開きます。
 農林水産業の振興に関する件につきまして調査を進めます。
 農林水産業の基本施策について河野農林大臣から説明を聴取することといたします。河野農林大臣。
○河野国務大臣 今国会に提出いたします農林省関係の法律案及び補正予算案につき、皆様の御協力を得て御審議をいただくにあたりまして、今後の施策について所信を申し述べるとともに、当面の措置につきましてその概要を御説明いたしたいと存じます。
 第一に、農業につきましては、さきに制定された農業基本法を基軸としてこれが具体化の施策を強力に展開することが今後の農政の基本であります。同法の目標は、国民経済の動向、農業をめぐる環境条件及び農業の現状と推移に即応した適時適切な諸施策の積み重ねによって実現されるべきものでありますが、私は、現段階におきましては、農業生産の選択的拡大と農業経営の近代化に重点を置き、これに必要な生産、価格、流通及び構造の諸条件の整備を総合的に行なって参る所存であります。
 これがため、まず園芸、畜産等の成長部門の伸長、資本装備の高度化、農地保有の合理化等によって生産性と収益性の高い近代農業の育成に努める所存であります。この考えに基づき、適地適産と生産地形成を目途として高度技術の導入、圃場の整備、農地の集団化、農業機械化、施設の高度化、販売加工の改善等農業構造改善に関する諸事業を総合的かつ計画的に実施するためおおむね全国にわたり農業構造改善事業を強力に推進する等強力な施策の展開をはかりたいと考えております。
 以上の方針に基づく諸施策の推進にはその基礎条件を整備することが必要でありますので、まず、農業技術の飛躍的な高度化をはかるため、農業技術革新の源泉となるべき試験研究の拡充強化に特段の重点を置くとともに、あわせて技術の普及指導体制の整備にも十分の配慮をいたしたいと考えております。次に、農業の高度化に即するよう土地及び水の有効利用と開発をはかるため、草地の改良造成を含め農業基盤の整備事業を促進することといたす考えでありますが、これについては、既清工地区の早期完成に最重点を置きつつ事業の効率的かつ総合的実施をはかる所存であります。さらに、農業生産の選択的拡大、農産物需要の増進等に資するためには農産物の価格の安定、流通の改善及び加工の増進をはかる必要がありますので、これらの施策を一そう整備強化して参る方針でありますが、従来十分でなかった畜産物及び青果物については特に意を用いる所存であります。
 なお、貿易の自由化につきましては、わが国農林漁業の実情を十分考慮しつつ慎重に対処することが必要でありますが、基本的には国際競争力の強化をはかることとし、必要に応じ関税率の調整等により急激な影響を防止する考えであります。その場合においても、米麦、酪農製品等わが国農業において重要な地位を占める品目については、相当期間輸入制限を存続する必要があるものと考えております。
 次に、米穀の管理につきましては、さきに現行制度の根幹を堅持するとともに最近の食糧事情と現行の管理制度の運用の実態にかんがみ所要の改善を行なうための構想を発表いたしましたが、これについては、今後なお関係方面の協力を求めつつ世論の動向を見きわめ、慎重に検討して成案を得たいと考えております。
 第二に、林業政策の基本方針について申し述べますと、まず、治山治水長期計画に基づき、国有林及び民有林の治山事業を推進して国土保全の万全を期するとともに、国民経済の急速な発展に伴う木材需要の増大に対処する施策に重点を置く考えであります。これがため、当面、木材需給の逼迫による木材価格の高騰に対処する施策として、さきに木材価格安定緊急対策を決定し、今明年度にわたり木材の増伐、輸入の増大を促進するための措置を実施中であります。他面、長期的な供給確保を目途として森林生産の拡大をはかるとともに、山村経済の振興をはかるため、造林の促進、林道の拡充を計画的に実施し、林業経営の改善に資する考えであります。
 第三に、水産政策につきましては、漁場改良造成事業を積極的に拡充実施するなど沿岸漁業の振興に施策の重点を置いて参りたいと思います。また、対外的にはわが国漁業の操業の場を極力拡大確保することに努め、中小漁業もこれに積極的に参加せしめるほか、水産資源の保護培養、水産物の流通改善、漁港整備事業の重点的実施等をはかって参る所存であります。
 これらの農林水産業諸施策を強力に推進するためには、必要な予算措置の確保をはかることはもとよりでありますが、これと相待って、農林漁業者の旺盛な資金需要にこたえ経営近代化に必要な資金の供給を円滑にするため、今国会に再提案を予定いたしております農業近代化資金助成法による農業近代化資金を中心とする組合系統資金の積極的活用及び農業改良資金の充実をはかるとともに、農林漁業金融公庫等に対する財政投融資の拡充には十分に配慮して参る所存であります。
 以上申し述べました基本的な考え方に基づきまして、今後農林漁業に関する諸施策を強力に推進して参る所存でありますが、当面、今臨時国会におきましては、まず第一に、前国会において審議未了となりました諸法律案の取り扱いでありますが、前国会における審議の経過等にもかんがみ、その後検討を加え、おおむね同趣旨のものを本国会に再提出することといたし、これにより農業基本法に基づく諸施策の具体化を進めて参りたいと考えております。
 第二は、本年発生災害に対する対策であります。本年は冬期雪害を初めとして三陸フェーン災害、六月下旬以降の梅雨前線豪雨災害、第二室戸台風等相次いで災害が発生し、農林水産業関係においても多額の被害をこうむりましたことは、まことに憂慮にたえません。これらの災害に際しましては、当面必要な応急措置を講じて来たのでありますが、さらに、これらの災害の実情にかんがみ、災害復旧の促進、被害農林漁業者の救済について万全を期するため、被害激甚地に対する害害復旧費補助率の引き上げ、天災融資の貸付限度の引き上げその他おおむね伊勢湾台風災害の場合に準ずる各般の特別の措置を講ずることとし、これに必要な特別措置法案及び補正予算案を今国会に提出し御審議を願うことにいたしております。
 第三には、今国会提出の補正予算案のうち、農林関係といたしましては、災害対策及び公務員の給与改訂のほか、本年産米麦価の決定と取り扱い数量の増大、流通飼料の需給及び価格安定等に伴う食糧管理特別会計の損失見込みの増加に対し一般会計から食糧管理特別会計へ必要な繰り入れを行なうこととしております。
 以上、農林水産業施策の今後の基本方針と当面の措置について、その概要を申し上げたのでありますが、今後の施策が円滑に行なわれますよう各位の御協力をお願いいたす次第であります。
    ―――――――――――――
○野原委員長 中馬農林政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。中馬農林政務次官。
○中馬政府委員 今回、河野大臣のもと、政務次官を仰せつかりました。もとより浅学非才でございますけれども、皆様の格段の御鞭撻をお願い申し上げて、政務次官としての仕事ができるようにお願いをいたしたいと思います。万事よろしくお願いいたしたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
○野原委員長 農林水産業の基本施策について質疑の通告があります。これを許します。藤田義光君。
○藤田委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、十数項目にわたりまして河野農林大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
 今回内閣改造におきまして過去数回農政を担当された河野さんが農林大臣になられましたことは、池田内閣の農政に対する熱意を反映した近来にない名人事であると思いまして、非常に力強く思っております。
 まず第一にお伺いいたしたいことは、河野さんが就任されまして早々に発表されました米の食管制度に関しまして、民間に相当の誤解のあることは否定できない事実であります。しかも、河野さんが今後の農政は農業基本法プラス・アルファでなくてはならぬということを言っておられる。このプラス・アルファという表現が非常に誤解を受けておるのであります。ただいま大臣の所信表明の劈頭におきましては、農業につきましては、さきに制定された農業基本法を基軸としてこれが具体化の施策を強力に展開することが今後の農政の基本でありますと言明されておるのであります。この観点からすると大体誤解は解けると思いますが、このプラス・アルファということは、農業基本法のほかに何か農政に関して考えられておるのか、あるいはあくまで農業基本法のワク内において今後農政を推進するという心がまえであるのか、この点を一つお伺いしたいと思うのであります。特に基本法の第一条におきましては農業の生産性の向上並びに農業従事者の生活水準を他産業従事者と均衡させるという厳然たる規定がありますので、この際大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
○河野国務大臣 最初に一言おわびを申し上げたいのでございますが、実は、私は、就任いたしましてから、参議院の方には委員会がございまして出席をしてごあいさつを申し上げたのですが、つい錯覚を起こしまして、この委員会に初めて本日出席をいたしたのでございますけれども、ごあいさつを申し上げる機会を失しまして、大へん御無礼いたしました。あらためて、大臣に就任いたしまして、これからまた皆さんに格段の御協力、御支援をちょうだいいたさなければなりませんですから、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
 そこで、ただいま、私が農業基本法プラス・アルファという表現をしておるが、プラス・アルファということが非常に誤解を招くということでございますが、それについて率直に私は申し上げます。
 従来、わが国の農政が明治、大正、昭和まで通じて常に保護農政に徹して参りました関係から、保護農政というものはどうしても水準以下のものを水準に上げるという傾向にあったわけであります。従って、農政というものは農業生活者の生活水準を引き上げる限界において農政が続けて参られたと私は解釈するのでございます。そういう関係から、常にわが国の農政は概念的に劣っておるものを社会の水準にまで到達するようにこれをしていくということが長年の慣習になり、そういうふうな常識になっておると思うのでございます。そこで、今回の農業基本法には、確かに藤田さんの今御指摘の通りに、それを目標といたしておることは事実でございます。しかし、その通りにいたしておりますけれども、ここに考えますところのものは、どうしても農業のワク内において他産業との均衡をはかっていくというふうに考えやすいのでございます。たとえて申しますと、農業の工業化というような点において、農業と工業とをどういうふうに組み合わせて参るか、農業それ自体だけでいくことはなかなか困難であるという場合に、私がプラス・アルファという言葉を使いましたのは、同じ農業にいたしましても、農業経営をいたします最近の養鶏業のごとくに、はたして今の十万羽養鶏が従来のワクの農業という考えでいくだろうかというような点、その農業がさらに前進してそこに加工業というようなものが相当に強く働いて参りまして、一次産業と二次産業とがある程度限界なしに前進して参るところに農業の推進、前進があるだろうというような意味で考えておるのでございまして、もしそれが誤解を招くといたしましたならば、私は決して取り消すのにやぶさかではございません。しかし、私の考えるところのものは、どこまでもそういう意味において考えておるのでございますから、その点はあしからず御了承いただきたいと思います。
○藤田委員 先般国会を通過いたしました農業基本法の第二条には、ただいま河野農林大臣が言われた通り表現されております。つまり、今後の農政は総合的に運営せねばならぬという第二条の規定がございます。この点は社会党が出しました原案と本質的に相違する点であります。農業自体の中で今後の農政を解決するという近視眼的な見解を打破しているわけでございます。
 次にお伺い申し上げたいことは、私たち先般ヨーロッパの先進国の農政を見たのでございます。共同市場は一九七〇年を目途に関税の障壁すら撤廃いたしまして、第二の合衆国ができつつあります。その間におきまして、先進国は、農業の生産性の向上と体質改善に全力をあげておる。この姿からしまして、イギリスもついに自由貿易連合から抜け出して共同市場に加入せざるを得ない、来月十日からいよいよその交渉がフランスで始まる、こういう情報を聞くにつけましても、日本の農業というものがこういう共同市場の姿に刺激されざるを得ない段階でございます。私たちが最後に訪問しました中近東のイランの農林大臣であるアルサン・ジャニー氏は、日本に対しまして、アジア、アフリカの強力な経済ブロックを作ってほしいという強烈な要求をしておりました。私たちは、東南アジア等に対しまして、この際、工業のごとき高度の技術の進出の前に、まず原始産業たる農業の思い切った援助あるいは農業技術センターの設置等の手を打つべき段階に来ている、こういうふうに考えるのでありますが、この点に関しまして大臣の所見を伺いたい。
○河野国務大臣 御指摘の点、私もそういう考えを持たぬことはございませんが、実は、私は、一昨年欧米を視察して帰りましたときに、欧州共同体の今後と日本のあり方について意見を取りまとめたのでございます。そのときに、これからの日本はどうしても東南アジア諸国と一体化した経済繁栄圏というものを作っていくのでなければならないのじゃなかろうかと考えたのでご、さいますが、すぐにそこに障害になるものは、これら諸国と日本の農業の関係でございます。この点は、欧州共同体におきましても、御承知の通り、なかなか農業関係においてむずかしい点があります。私は、今お話しの東南アジア諸国に農業技術センターを作ったらどうだ、いろいろこれらを強力に指導することにしたらどうだという御意見をしばしば拝聴いたしますけれども、何を作りましても、これらの諸国でいかように生産をいたしましても、その販売先がどこにあるかということが先に立つと思うのであります。現在の世界の農業というものが、特に主要食糧がやや生産過剰の傾向になろうとしておりまするときに、東南アジア諸国がこれらの主食の増産をいたしましても、なかなかその販売先に困難をきわめるだろうと思います。販売先のないものを作ったところで、これは決して長続きはするものじゃないと思います。そこで、これをだれが一体買うてやるかということになりますと、なかなかその購入先が自由国家群の中には少ないのじゃなかろうか。ことに、わが国においてこれらの米麦を購入するということは、ほとんど当面必要のないことであります。わが国の現在の農業が現在の農業構造である限り、東南アジアの農業との間に常に非常な競争の立場に立ち、競合の立場に立つことは当然でございます。従って、ただ簡単に農業技術の導入とか農業機械の導入とか申しましても、おのずから限界がある。そこで、日本農業の構造をどう持っていくか。東南アジアとの間にもし経済繁栄圏を設定して参るというようなことがわれわれの国是として、方向として考えられるとするならば、そこに日本農業の将来のあり方をどうすべきものかということを国策として決定することが先決問題である。そこで、もし誤解があるといけませんから私はついでに一つ申し上げておきたいと思いますが、私は、当面日本農業は絶対に保護政策を続けていかなければいけない。そうして、今申し上げますように、国是として日本農業の構造の改革に大規模な施策を用いて、そこに完全な構造改革が完成して、そうして日本農業が自立し、喧しくは内容的に変革を見たときにおいてのみ保護政策の必要でないというようなことがあるかもしれませんが、それまでは絶対に私は保護農業としての立場を堅持して参らなければならぬということは明確にいたしておきたいと思うのであります。間々間違って、農業が曲りかどに来たということは保護農政を転換するんであるかのごとくに誤解する人がありますけれども、それはそうじゃない。保護農政の中において、保護農政のうちにおいて、そのワク内において方向転換とか構造改革というものを実行すべきだ。話は二つ別々にあるものであるということを考えていかなければならぬと思っております。
○藤田委員 農業の保護政策は、すでに農業基本法を実施しておるヨーロッパ各国におきましても、価格政策あるいは金融政策その他補助金等の名目によって徹底した政策が行なわれておることは、大臣も現地を見られて痛感されたことであると思います。この点からして、私は、今の御所信に基づきましてさらに保護の度合いを強化するの段階ではないか、こういうふうに考えておるのであります。
 次にお伺い申し上げたいのは、米の管理制度の問題であります。大臣は七月三十一日付で構想を発表されておりますが、この問題に関しましては、今や賛否両論が激しく対立いたしておるのであります。大臣のこの管理制度に関する構想の軸心は、現在のやみ米の流通を軌道に乗せることにあるということを強調されているようであります。私は、現在の管理制度が完璧なものとは思いません。いずれ時期至らば手直しの必要があるということは全く同感であります。同感でありますが、この手直しの時期とその内容に関しましていささか大臣の所見をお伺いする必要を感じておるのであります。
 まず第一に、この問題に関して各方面に相当誤解あるいは反対がある、納得を得られなければ手直ししない、こういうことを再三言明されておりますが、この言葉の反面には、納得がいったならば次の通常国会において改正案を提案される予定であるかどうか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
○河野国務大臣 私は、時間を拝借いたしまして、私の考えておりますことをごく重点的にお話し申し上げて、そうしてお答えにかえたいと思うのであります。
 私は、現在の食管法の施行の過程におきまして、二つの点はどうしても考えなければならぬのじゃなかろうか。第一は、食糧が足りませんために高くてもやむを得ず買った時代と、今日は食糧は十分あるけれどもなおかつ高いお米を買っておる人が相当にあるという、この違いをはっきり意識して、そうして、配給米の価格以上で米を購入しても家計に差しつかえがない、何ら意に介しておらぬという方々が消費者の中におおむね三分の一ぐらいおられるというこの事実を、私は見のがす必要はないじゃないか。農家が少しでも米を高く売ろうと考えておる、少しでも米が高く売れることは農家の所得の上において非常にけっこうなことであると考えられるとき、そうして農家の所得を増大することができるというときに、一方において、米価が高くても差しつかえがないという購買力を無視してあえてこれを取り締まって、売っちゃいかぬ、買っちゃいかぬというて押える必要は、私はどこにも発見できない。この点が一点です。さらに、もう一点は、非常立法とも考えられるような、政府以外には売ってはならない、政府以外から買ってはならないというて、そうして罰則規定のついた義務行為を農民にもしくは消費者に負わしておかなければならぬ理由は今日の段階においてはないじゃないか。政府以外に売ったら処罰するぞ、政府以外から買ったら処罰するぞという罰則規定のついた義務を国民に負わしておかなければならぬ理由はなかろうじゃないか。この二点を続けていく必要が今日の食糧事情、社会事情においてあるだろうか。必要のないものはやめた方がいいじゃないか。もしくは、農家のために所得が増大することができるならば、急いでやった方がいいじゃないかという点を私は指摘いたしたいのであります。
 ただし、一方において、そういう二点に相反対の方向、これをやることによってどういう障害が起こるかという点を、また検討する必要があると思うのであります。その意味において、食糧のことでございますから、消費層にもしくは生産層に不安があってはいけない。そのために農家の諸君に不安を与えるというようなことがあって、それが誤解にしろ何にしろ、不安があってこれを実行することは適当でない、また消費者の中に不安があって買いだめをするというようなことがあってはいけないということは、十分に考えなければいかぬと思うのであります。でございますから、どこまでも国民全体の諸君に理解と協力を得られるように準備を十二分に整えて、それができるならばなるべく早くやった方がよろしいということが私の考え方でございます。
 でございますから、その準備をするために最善の努力を払って、その準備ができればなるべく早くやった方がよろしいというのが私の考えでございます。そういう意味において、準備ができれば次の通常国会に提案するつもりでおる、準備ができなければやるわけには参らぬ、こういうことでございます。
○藤田委員 その点に関連してお伺い申し上げたいのは、去る四月の中央公論に「米と麦」という論文を大臣の名前で発表されております。その内容、あるいは間違っておるかもしれませんが、間接統制の必要を非常に強調されておるような記憶を持っております。最近は、あの論文より一歩手前の措置をする段階であるというようなことを発言されたことも記憶いたしております。そうすれば、一歩手前であれば、将来は論文の趣旨のごとく間接統制に移行するという結論を出す人もあると思うのです。その点の御心境はどうであるか、お伺いしておきたい。
○河野国務大臣 皆さんも御承知の通りに、一般物価の決定については、経済行為としてそのもの自身の売り買いという立場で行なう方が適当であるという議論をなさる人もずいぶんたくさんございます。私は、確かにそういうものの考え方もないことはない、それが常道であろうということも決して否定する者じゃございません。しかし、政治上、米を中心にして、たとえば現在のわが国で実行しておりますように、一方においては食管法第三条にありますように、再生産を可能にするような米価を常にきめて参るんだ、そして農家経済の安定に資するんだという目的をここに明確にいたしております。また、第四条におきましては、これまた御承知の通りに、国民生活の安定という意味で、しいて申せば社会政策的な面を強く打ち出して、そこに一つの目的をもって消費者米価を決定するということにいたしております。従って、消費者米価と生産者米価との間にそれぞれ違った要因を持って米価の決定をすることに相なっております。私は、今日の政治が生産者米価は生産者米価、消費者米価は消費者米価として決定するにいたしましても、おのずからその限界はある程度持っていくということも一つの考え方であると思うのであります。つまり、他の面において十分に社会保障、社会政策的な立場から生活保障を強力に打ち出すことができるならば、消費者米価の決定においてのみこれを考えるということでない面が出てくるだろう。これは、そのときの政治のやり方において、私は、それぞれどれが正しいどれが正しくないということは言えぬと思うのであります。ところが、私が四月中央公論に文章を書きました当時におきましては、それまでのわれわれ――おそらく私がそういうことを申し上げては御無礼でございますが、われわれ政治をやっております者の常識として、生産者の米価が消費者の米価を上回るというようなことは、社会党の方にはそういう二重米価制度を長年主張されておる方がいらっしゃいますけれども、わが党においては、まだそこまで――そういう主張も私たちは考えておりましたけれども、なかなかそこまで財政上の見地その他の観点から踏み切りがつかなかった。そうして、そういう場合には他の方途をもってこれを考究すべしという意見もあったというふうに私は思うのでございます。でございますから、常に生産者米価は消費者米価の下にある。たとえば、私がそれを四月書きました当時には、生産者米価が一万四百円、政府の払い下げ価格が一万八百円、それが消費者価格になって一万一千六百円、一升百十六円というときでございます。私は、そういうふうに、生産者価格が消費者価格の下にあって、生産者と消費者との中間において米価をきめることができるというならば、そこに間接統制というものも一つの案だという考えを持っておったのでございます。ところが、今日のように、すでに生産者米価が一万一千五十二円五十銭に上位に決定をしました。そして、消費者価格が、政府の払い下げ価格一万八百円ということになりますと、私が当時考えておったような間接統制ということで米の政策をやる時代とは時代が違う。情勢が違う。条件が違う。つまり、そこまで強力に社会政策を打ち出して、そうして生産者価格は消費者価格を上回っても消費者価格は上げないという政治の方向がきめられました以上は、そういう方向になりました以上は、私の考えておりまする間接統制によって米の政策をやるという段階とは段階が違う。違った方式でわが党はやるということに決定をしたわけであります。そういうことになりますと、私は、かねて自分で考えておりました、消費者価格が幾らであろうが生産者価格は第三条の精神によってどこまでもこれを上げていってよろしいのだ、消費者価格は消費者価格として下に置いて、全然別個の要因によってものを考えていくべきだということが確立いたしました以上は、その政策はより上等の考え方である、農村としてはよりけっこうな考え方である、それでいくべきものであるということにいたしておるのでありまして、従って、私は、当時考えた考え方は今日とっておりませんということを明確にいたしたいと思います。
○藤田委員 そうしますると、大臣は二重価格の確立ということを言っておられますが、これは、現在の食管法のいわゆる米価体系を改正して、制度的、法制的に二重価格制を確立せよというのか、あるいは、現在の食管法のワク内で二重価格の確立ということを推進されるのか、その点をお伺いしておきたいと思います。
○河野国務大臣 その点は、食管法のワク内であるとかワク外であるとかいうことを別にいたしまして、食管法の第三条、第四条に価格の決定を明確に規定いたしております。その精神をそのまま進めて参るということでいいのじゃないか。現実が既成の事実を作って参ればそれでよろしいのじゃないか。それを、ただ一つの政策であるとか方針であるとかいうことによって、これが二重価格であるとかこれが二重価格でないとかいうことでなしに、食管法の精神は精神としてありますけれども、しかし、現実は、今申し上げましたように、皆さんの御承知の通り、生産者価格は第三条によって一万一千五十二円五十銭と決定をした、この決定を見たが、食管法の精神に照らして、どうなろうと、第四条の規定によって消費者価格は現行据え置きとするということに決定を見ております。この方向で行くことが正しいと考えております。
○藤田委員 現在の食管特別会計のワク内におきまして、事務人件費のごとき、食管関係の特別会計の特質からいたしまして、当然除外して農林省の一般会計に計上したらよろしいという考え方は非常に強いと思うのです。そうすることによって米の赤字に対する誤解が相当解けるのじゃないかと考えますが、明年度予算編成にあたり、そういうお考えがありますかどうですか。
 それから、米の管理という問題に関しましては長年政治家が非常に苦労してきておることは御存じの通りでありますが、大正七年、富山の米騒動を契機に米の収用令ができ、大正十年には米穀法ができ、昭和八年には米穀統制法ができて間接統制をやったが大失敗しておる。ついに十七年の現在の制度になったわけでございます。私は、いわゆる河野構想の中におきまして疑問を持っておりますのは、需給の見通しでございます。現に今年の十一月一日に切りかえられる持ち越し米も、七十五万トンから五十五万トンに減るであろうと言われております。また、現に総合食糧におきましては数百万トンの輸入をしておる。素朴な国民の考え方からすれば、こういう総合食糧において不足して輸入をしておるという現実からして、この昭和三十年から年間大体一千百万トン前後の平均収量があったからというので直ちに管理制度の本質に論議を向けるというのは軽率ではないか、総合食糧の輸入問題等が解消した暁には考えてもよろしい、こういう矛盾を感じておる人が多いと思うのでありますが、このいわゆる河野構想を実現するとすれば、需給の見通しに全幅の自信がありますか、この点をお伺いしておきたいと思います。
○河野国務大臣 今藤田さんが御指摘になりましたように、大正の末期から昭和の初めにかけてのお話がよく出て参ります。ところが、これからの食糧政策を考える上において、そういうものを全然参考にしてはならぬと私は思うのであります。なぜならぬか。当時はわが国が朝鮮、台湾と合わせて米一本で食糧政策を考えておりました。その間には、朝鮮、台湾の生産費の安い米、しかもこれについて政府のわが国内の内政の及ばざる面においてどんどん増産がされてきた。そのために、あるときは非常に足りなく、あるときは非常に余るというようなことで、余れば処置した。私も多少は昭和の初めから関係しておりますので当時の事情を心得ておりますが、これはもう今とは全然事情が違うということを私は強く意識したいのであります。と同時に、今お話がございましたが、外麦を二百三十万トンから輸入いたしておりますが、この外麦は米が足りないから入れておるのではないのでございます。これは私今そんなくだらぬことを言ったらおしかりを受けるかもしれませんが、今この外麦の輸入になりましたものを、それでは麦はやめるから米を食べたらどうだ、米が国内でできるのだからなるべくみんな食べて、足りない分を麦にしたらどうだと言いましたところが、これは強力なる管理でもいたしておればともかくとして、現状をもって推移いたしますならば、今、麦にかわった、たとえばパンやその他にかわった諸君があえて米が豊富になったからと言って米食にかわるだろうかどうだろうか、ここに私は相当の疑問があると思うのであります。それは、政策としては自然に、麦と言い米と言い、だんだん米も十分とれるようになるからなるべく米食を奨励していくということはけっこうでございます。それは決して私は反対ではございません。反対ではございませんが、麦の輸入量を抑さえてまず米を食べるというようにいたしましても、なかなかそうはいきにくい面があるだろう。従って、米と麦を合わせて考えていくべきではないか、こう思うのであります。ことに、内地の麦に比べて外麦は、わが国の食糧嗜好の面から参りまして、どうも外麦をパンにしたりその他にした場合の方が品質その他がいいようでございます。そういう面から参りまして、私は、ここに外麦の輸入をこの際押えるということはなかなか無理があるというふうに思うのであります。しかも、需給の面において、ただいまお話でございましたが、国内の米の生産も、今日この程度まで少なくとも技術その他施設の改良、改善ができて参りました。八千万石というものは、特別の事態が起こらざる限り、これを下回るということはまあないのではなかろうか、おおむね八千一、二百万石程度が平年作と見てよろしいのではなかろうかという気持がいたします。これは何も、私一人の気持でものを判断することは間違いでございましょうが、大体皆さん各方面で八千万石上という数字はどなたも肯定していただけると思うのであります。そういうことにいたしまして、そこに外麦、内麦を加えて参りますと、私は、決してそれが食糧資源に不安を与えるというようなことにならぬだろう。
 ただ、今十月末日から十一月初めにかけての持ち越し量についてお話がございました。この点も一つもう一ぺん御検討をいただきたいと思いますことは、従来の例と違いまして、 従来でございましたならば、おおむね十月末から十一月初めに新米を食べ始めてもおりますし、また政府の対象としてもそういうふうなことが考えられております。ところが、御承知の通り、早場奨励をいたしますし、それから生産技術の改善から早植えがだんだん徹底して参りまして、米の生産が少なくとも一、二カ月早まってきております。従って、政府の収納いたします数量も十月の末になりますと新米を二千万石くらい大体買っております。すでに九月、十月は新米を食べ始めて、しかも十月ともなれば新穀の配給をしておるようなわけでございます。食べ始めが早くなっておりまして、それを依然として十月末から十一月の旧米の持ち越し高ということでそろばんを入れますとそういう数字が出て参りますけれども、それは、ただ単に前年度産米を十月末から十一月に持ち越したという数字が少ないからといって、それだけで持ち越し量云々の議論をすることは間違いじゃなかろうか、こう思うのであります。
○藤田委員 しかしながら、河野構想でいきますと、管理米と自由米という併存ということになります。そうすれば、単に一定のバランスをとっておるときを押えて計画を立てましても、価格情勢によりまして一挙にそのバランスが変わってしまう、そういう危険が非常にあるのではないか。従って、米の需給にも非常な不安を生じ、また農家の所得にも河野構想の意図する結果が必ずしも出てこないのではないか、こういう懸念を持っておるのでございます。価格問題を中心とした管理米と自由米とのバランスの安定をどういうふうにしてやろうとするか。
○河野国務大臣 私は藤田さんとは全然逆のことを考えておるのであります。と申しますのは、先ほども御指摘になりました通りに、これから消費者価格を上げるということはなかなかむずかしい。そういう事態は、所得倍増計画がどんどん進んで参りまして、各個人の所得が非常にふえて参りますれば、それはある程度消費者価格は据え置くという必要はなかろう。しかし、生産者価格は、他産業との関係、一般国民所得からいたしますれば、年々上がっていくべきものである。そういたしますと、政府が購入いたしまする生産者価格と払い下げます配給価格との格差はだんだん広がっていくだろう。つまり、買上価格の方が高くなり、売り渡し価格との間に逆ざやがだんだん広がるだろう。ちょうど極端に申しますと今の麦と同じような格好になっていくだろう。でございますから、麦と同じような格好になれば、全部政府が買い上げて全部政府が売り渡すようになっていくだろう。そういう方向は私は考えられると思うのであります。ただし、今お話しのように、これもあなたはすでに御承知の通り、やみ価格はだんだんだんだん政府価格にくっついてきております。やみ価格は以前の食糧不足時代のように非常に高いやみ価格は今日もうだんだんなくなりまして、やみ価格と配給価格の間はだんだん接近しつつあるのが現状でございます。従って、非常な天災等が起こりまして食糧に非常に不安を起こしましたときに暴騰することはあるかもしれません。これは特別な要因が起こったときに暴騰があるかもしれません。そうでない限りにおきましては、私は、やみ価格、自由米価格と申しますか、その価格が暴騰するというような事態はあり得ぬのじゃなかろうかという気がいたします。
 そこで、つけ加えて申し上げておきますが、消費者に不安を与えるような、たとえば、飢饉が起こった、非常に不作である、全体量が足りない、需給の数字が合わないような、一般国民に不安を与えるような状態でありますならば、需給の数字が合わなければ直ちに私は輸入の処置に出ずべきだと思います。不作のときに、全体の数字のバランスが合わぬときに、あえて輸入を抑えて、そうして足りないものを分けて食べるという考え方はとる必要はない。足りないときには、足りないから輸入したらよろしいと思うのでございまして、いやしくも国民に食生活の上において不安を与えるというようなことはすべきものじゃない。従って、今御指摘のような、自由米の価格が暴騰して、そこに需給のバランスを破るというような事態が起こるまで放置しておくべきものじゃない、こう私は考えております。
○藤田委員 食管制度の最後の御質問は、ただいま大臣が述べられました通り、この制度についてはいろいろと問題が介在しておるのであります。従って、私は、この際、衆知を集めるという意味におきまして、法律的の根拠を持った調査会を設置する、そういうところで慎重に審議して結論を出す、こういう方途も必要ではないかと思いますが、大臣の所見を伺いたい。
○河野国務大臣 私が未熟な考えでございますがすでに一つの考えを発表いたしましてから、各方面からおおよそ議論は出尽くしておると思います。その出尽くしておりまする議論に対して、党の政務調査会もしくは内閣において責任を持ってこれを取りまとめまして、しかるべき成案を得て、通常国会なり、適当な時期にこれを法律化して改善して参るということで私は十分われわれ政治家としての責任を果たせるんじゃないか、こう考えております。
○藤田委員 次の問題に移ります。
 畜産振興ということは、農業基本法のいわゆる成長財の一つとして今後農林省も非常に力を入れていく心がまえを見せておりますが、この畜産振興の最大のガンは畜産物の価格対策とえさの対策であると思います。この点に関しまして大臣の考え方をお伺いいたしたいと思います。
○河野国務大臣 確かに、御指摘のように、これからの畜産が飼料と価格という二つの面において特に力を入れて参らなければならぬこと、その通りでございます。しかし、だんだんのこれまでの御努力によりまして、私は、相当の成果をあげておるんじゃないか。ただ、今国会にも提案いたしまする畜産物の価格安定についての考え方というようなものもこの国会で御審議を願って、そうして決定して参ることができれば、ある程度のものはそれでいけるんじゃないかという考えを持っておるのでございますが、何を申しましても、価格対策は非常にむずかしゅうございます。これで万全だろうと思って出て参りますと、逆の目が出てくる場合が非常に多いのでございます。たとえば豚肉、牛肉の場合にいたしましても、これを御承知の通り冷凍することによって品質が低下いたします、量目が減りますというようなことで、保存することによってその収入が減って参りますというようなこともございますし、また、豚等の場合について考えますると、何を申しましても短期間にすぐに次の製品が出回ってくるのでございますから、これをどの程度に安定値を求めて参るかというようなことについても、よほど慎重に検討いたさなければなりません。さればといって放擲しておいてよろしいというものではございませんので、その間に処して、施設としては十二分に施設をいたし、これが運用の面について格段の注意を払って参るということが一番適当ではないかと思うのでございます。
 それから、一つ私は、この機会に、私の考えが間違っておったらばいつでも私は是正いたしますが、よく各地の地方の畜産関係の方々から、地方においてこれらの肉の処理をして、そうして地方に冷蔵庫を作って、地方にこれをたくわえて、消費地において品薄のときに、値段が上がったときに出したらいいじゃないかという御議論がありますけれども、私のこれまでの経験するところによりますと、地方において処理いたしますことは、大消費地において処理することとの間に、処理上に相当経済的な差異がある。中央で処理することの方が、地方において処理するよりも相当収益が多い。――副製品が高く販売されますから。そこで、中央で処理することの方が収益が多いという点を特に考慮して参らなければならぬのじゃなかろうかという考えを私は持っております。これがもし間違っておればいつでも是正いたしますが、私はそう考えております。
 次に、えさの点であります。私は、わが国の農業の中で飼料関係ほど恵まれておるものはないような気持がいたします。そのために、畜産こそ一番早く世界農業の中で競争の段階に入り得るものであると思うのであります。ただし、酪農製品につきましては、牧草、牧野に負う点が非常に多うございます。濃厚飼料以外に負う点が非常に多うございます。でございますから、酪農製品は、欧米各国の非常に広地域において飼養いたしまするものに比べて劣弱性を持っております。が、しかし、他のものにつきましては、たとえばトウモロコシ、コウリャンその他の濃厚飼料は諸外国との間に価格差が比較的薄うございます。ですから、これらのものは割合にわが農業の中では有利に入手される。さればといって、それじゃ欧米よりも高いじゃないかと言われれば、確かに高うございます。安いとは申しませんけれども、その価格差が少のうございます。そういう関係にありますので、たとえば卵からマヨネーズというものは欧米に比べて比較的にわが国は有利な立場にあるということが言えるのではなかろうかと思うのであります。ただ、何を申しましても、農地の狭い日本でございますから、ここに畜産を育てて参る上におきましては、飼料の上において欧米とまた格段の新たな工夫をして参らなければならぬだろうということは当然考えられる点でございまして、私は、わが研究所、試験場等の技術陣に対しても、その点について特に綿密な試験研究をしてほしいということをお願い申しておるのでございますが、何分、そういうことを申して適当であるかどうか知りませんが、長年にわたって、研究所、試験場等の施設、経費等も不足しておった点があるのでございましょう、これらの技術の面について、私は、わが国全体の農業技術が国際的に非常に高水準にあるにかかわらず、最前線にある、ほんとうのいわゆる農業技術者の面において欧米に比べて必ずしも優位性を保持していないという点を非常に遺憾に考えておりますので、この点には明年度予算等についても特に注意をして参りたい、こう考えております。
○藤田委員 畜産物の価格で、例を牛乳にとりますと、ヨーロッパにおきましては、消費者価格が大体生産者価格の五〇%増以内、フランスが一番伺いように記憶しておりますが、そういう状況でありますが、日本におきましては、消費者価格は生産者価格の三倍以上、こういう状態でありますので、私は、畜産物価格安定法の意図するようなこそくな対策によってはとうてい畜産振興は望み得ない、こういうふうに考えておるのでございます。
 時間がございませんので、重点的に項目だけを述べて御質問を急ぎたいと思いますが、次にお伺いしたいのは、肥料の二法を廃止されることに決定したようでございます。これに関連して、私は、一年前に期限を延長したばかりの二法を廃止されるということはよほど検討された結果であると考えるのでございますが、これに関連して、硫安の輸出の赤字はどう措置されるつもりであるかということがまず第一点であります。第二点は、農林大臣は大体イギリス、ドイツ方式による肥料の補助金制度を考えておられるようであります。イギリスにおきましては一戸当たり二十万円の肥料補助金を出している。徹底した助成をやっておりますが、西ドイツ方式の補助金制度等を考えておられるかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
○河野国務大臣 ただいまの前段のお話しに対してお答えは必要ないことかもしれませんが、牛乳につきましては、これは多少欧米諸国と違った点があるのじゃなかろうか。ただ、日本は三倍だ、向こうは半分だ、それが非常に強く刺激いたしますが、御案内の通り、わが国は非常に集荷費に多額の費用を要します。道路が悪い、生産が非常に小規模である、それが散在しておるというような点等もございますから、一ぺんにそこまでいきにくい点があるのじゃなかろうか。これらについても特に考えていかなければならぬ点があるだろうと思うのでございまして、そこに集団化ということをこれから考えていく必要があるのじゃなかろうかというふうに思うのでございます。
 第二の肥料の点でございますが、私は、今御指摘の通りに、当時も発表いたしました通り、農家が使う肥料という面でそれが割高である、農業生産の上において割高であるというならば、それに補助金を出していく方がいいのであって、今のように肥料製造業者を保護する格好でいくということはどうも適当ではないのじゃないか。これは肥料の製造業については通産省でやってもらいたい。われわれは農林省において配給の面から、これを消費する場合にそれが割高になるかならぬかということを考慮していきたい。もしそれがどうしても割高でなければわが国肥料製造業が国際競争に打ち勝てぬということであるならばあるように、われわれはガットをはずしてドイツ式に農業振興費というような面においてこれを出していくということの方が適切ではないかという考えを持っておるのでございます。
○藤田委員 農業団体に関しましては基本法の二十四条に整備するというようなことをうたっておるのでありますが、農業団体の整備に関しまして何かお考えがあればお伺いいたしたいと思います。
○河野国務大臣 何分私まだ農林大臣に就任いたしましたばかりでありまして、あまりあれはどうだこれはどうだとお尋ねいただきましても、すべて考えておるわけではないのでありまして、団体の問題につきましては、これは先日も農業関係の有力な諸君と一席懇談はいたしました。そして、新しく起こる特殊農業の関係団体を整備強化するというようなことはどうかというような話は、もっぱらその席上において花が咲いたというような程度でありまして、今さしあたってすぐ団体を再編成するとか再整備するというようなところまではまだ私の考えはまとまってもおりませんし、それを対象にして考えておりません。
○藤田委員 肥料のことをちょっと。
○河野国務大臣 肥料二法は、ただいまお話しの通りに、これを次の国会でやめることにいたしたいということに方針を内閣としては一応きめております。それにかわる考え方は、今申し上げたように、補助金制度でいきたい、こう考えております。
○藤田委員 大臣は農業改善事業に非常な関心をお持ちと聞いておりますが、仄聞するのに、大体一ヵ町村一億二千万程度の金を投じて三千百ヵ町村、十カ年計画でこの事業を推進したいという考えのようであります。もし私の仄聞するのが事実とすれば、十年という年月は、今日のように経済情勢が激動する時期においては全く適当でない、もう少し圧縮してやる必要があると思うのでありますが、この点のお考え。
 それから、次に、農林省の機構改革も、これは農業基本法で明示したところであります。大臣就任早々人事の異動がございましたが、何か明年度あたり農林省の機構改革に関して構想がありますかどうですか、お考えをお伺いしたい。
○河野国務大臣 ただいまお話しの各町村ごとにその単位の農業構造の改善というようなことをいたしたいという考えで、せっかく今党の政務調査会の方とお打ち合わせをして成案を得たいということを検討中でございます。ただし、予算は、一応私の考えで明年度予算の要求は大蔵省に提出いたしております。しかし、今お話しの通り、この急変する時代に十ヵ年計画は長いじゃないか、五年くらいにしたらどうかという党の方に強い御要求のありますことも伺っておりますので、私とすればもちろん短期間を希望するのでございます。ただ、何分、財政上の点、さらに、案を立てましてから完全なものをやりますまでには、多少の時日は要るだろうという気がいたしますので、一応十年といたして要求しておりますが、なおよく勉強いたします。実は、九日に農政審議会をお集まりいただきまして、この案を農政審議会で一応御検討いただくということにいたしておるのでございます。
 機構改革につきましては、実は、果樹、園芸、蔬菜というものは、御承知の通り、畜産とともに新しく農村の方面において非常に強く要求されておる点でございます。従って、これらにこたえまして、新たに果樹、園芸、蔬菜を管掌する一局を作って、もっぱらこれが奨励に資したいということにいたして、せっかく関係方面と話し合いをいたしておるところでございます。
○藤田委員 最後にもう一点お伺い申し上げます。近代化資金あるいはビート対策、貿易の自由化等の諸問題がございますが、次の機会に譲りたいと思います。
 明年度予算編成期に入っておりますが、官房長官の通達によりまして、各省の要求は前年度の五割増以内にしろというような意味のことを通達しておるようであります。そのワク内で農林省も予算を編成しつつあるようでありますが、私は、こういう各省一律の通達によって農林省が拘束を受ける、こういうことはけしからぬ現象じゃないかと思うのです。特に、われわれが一番参考にいたしました西ドイツの農業基本法の実績を見ましても、四、五年間にその予算は飛躍的に増大しておる。こういう現実からしますと、ただいま農林省が作業中の去年の一千八百七十二億円に対して二千三百億というようなこそくな予算要求によっては、私は、実力大臣の面目いずこにありや、こういうことを、これは政党の立場を忘れて率直に大臣の決意をお伺いしたい。特に、私は、少なくとも去年の倍くらいの要求をせずんば農業基本法の意図する今後の農政の推進は絶望である、かように考えますので、この点に対する大臣の所見を伺っておきたい。
○河野国務大臣 官房長官の通達でやっておるのではございません。実は閣議におきまして明年度予算の編成を現在の経済財政の事情から考えてどの程度にすべきかというような論議をしばしばいたしております。そういう総括的な考えの中に各省とも一つこの程度で予算を考えようではないかということを閣議で申し合わせいたしまして、それに基づいて官房長官から専務当局に通達を出したということでございます。私は決して農林省予算が五割増しでいいとか倍でなければいかぬとかいうようなことはそれは現在の農村事情から考えて少ないより多い方がいいことはもちろん異存はございません。異存はございませんけれども、さればといって、なまいきなことを申して恐縮ですが、金も使いようでございます。また事業にはおのずから緩急がございます。明年に回せるものを無理にことしやらなければならぬというようなものはないだろうか、こういうようなこともやればやりようでございます。従って、五割増しの予算を今大蔵省の方に要求いたしましたのは、私が五割の制限を受けてやったのではありません。私が自分で、省内の予算を大体この辺でよかろうということを相談いたしまして、そして大蔵省に要求いたしておるのでございまして、決して私は五割以上にふえてはいかぬということをそう強く意識いたしておりませんから、藤田さん、どうか一つ党の方で必要なものがありましたらどんどんおっしゃっていただけば、これ以上ふえることに決してやぶさかでございません。
○藤田委員 私は、二千三百億というようなワク内で明年度予算を折衝しますと、農業基本法の第四条違反というような問題を野党の諸君から追撃を受ける危険があると思うのです。財政上・法制上の措置をせねばならぬという産業立法には珍らしい規定を作ったゆえんのものは、こういう場合において各省の例外的な措置を農林省はやってもよろしいということを天下に声明した厳然たる法律であると思うのであります。ただいま大臣が最後に、党として要求することがあれば思い切ってやってくれという一言がありましたので、この辺で引き下がりますが、相当たくさん要求が党から出ると思いますので、一つ全面的に大臣として受け入れていただきたい、こういうことをお願いして、私の割り当て時間はあと五、六分ありますが、一応この辺で打ち切っておきます。
○河野国務大臣 誤解があるといけませんから申し上げておきますが、私も農業基本法の精神を決して没却いたしておるのではございません。いかに農業基本法に精神がありましても、準備なしにやるわけには参りません。農業基本法が制定されましてから、ようやく審議会を第一回を開きまして、第二回目をこの九日に開いて、構造改造に対する御審議を願うということになっておるのであります。まだ十分の用意なしにむやみに予算を使うということは、国民に対してとるべき態度ではないと考えております。基本法違反である、基本法に対して野党から責任を問われるというような覚えは私は全然考えておりません。どうかその点御了承を願います。
○野原委員長 石田宥全君。
○石田(宥)委員 本委員会は、実力者といわれる河野さんを大臣に迎え、また大物の委員長を迎えて、大へん大きな期待をいたしておるわけであります。河野さんには、前の農林大臣時代にも本委員会でしばしばいろいろと問題の討議をいたしておったのでありますが、大きな期待を持っておっただけに、今度の食管法に対する河野構想が発表されましたことについては、実は大きな失望を禁じ得なかったのであります。
 今日、米作農民にとりましては、春の基本法審議の最中にも、所得倍増計画の中で、米は直接統制を廃止し間接統制に切りかえるものとするという文章が入っておったので、実は問題を起こしておったのであります。当時、基本法審議にあたりまして、米については大・はだか麦と同じように、基本法の指摘する選択的拡大の転換作物として考えておるのではないかということをしばしば追及したのでありますけれども、国会開会中は総理大臣も農林大臣もついに転換作物とは言わなかったのであります。ところが、国会が終了いたしまして一ヵ月ちょっとしかたたないわけでありますが、七月十二日からの米価審議会におきまして、周東農林大臣は、米の需給はほぼバランスし、過剰傾向にあるので、農業基本法に言う選択的拡大の条項による転換作物であると実は言明をいたしておる。この言明について、わが国の米作農民は実は非常なショックを受けたのであります。さらに、その後に河野さんが大臣に就任されますると、いち早く記者会見を行なわれて、食管制度に手を入れる、同時に、日本の輸出貿易を振興するためには外米の輸入もやむを得ないであろうということを言われたのであります。これらを考え合わせますと、これは日本の農業生産の中で五五%にも及ぶ米作農民に対しては非常な衝撃を与えておるわけであります。ただいま藤田さんからも食管制度の問題について触れられましたので、私は重複を避けつつこの問題をもう少し掘り下げてみたいと思うのでございます。
 まず第一に、今申し上げたように、周東農林大臣の、米は選択的拡大にいう転換作物であるというこの言明です。大麦・はだか麦については、もう余って困るから作付をやめろ、作っても買い上げを制限する、こういう法案が出されておるわけであります。米が転換作物であると言われる限りは、やがて米に対してもそういう運命が待ちかまえているのではないかという心配をしておるわけです。そこで、これについて、河野さんのいろいろ言葉の端々を見ると、やはり米は選択的拡大の中にいう転換作物であるという下心でものをしゃべっておられるように考えるのであるが、この問題については周東農林大臣と同様にお考えであるかどうであるかということをまず一つ承っておきたい。
○河野国務大臣 ただいま石田さんからいろいろ事実を御指摘の上お尋ねでございますが、その御指摘がはたして全貌を御指摘下さってお尋ねであるか、その一節をとらえて御指摘であるかということについて、失礼でございますが、私は多少疑問を持つのであります。
 周東さんのおっしゃったことについてもその前提がついておるのではないか。少なくとも私は周東君の意見に条件付賛成であります。条件付とは何だと申しますと、生産費の非常に高いところで米作をやっておる人は、他にその地で米作をやるよりも適当な農業生産の対象になるものがあるならば転換することが適当である、こういうこと、でなければならぬのであって、ただ無条件で米が農業基本法にいうところの転換作物であるということは、わが国においては絶対に通用しない議論である。これは、ここで今あなたとお話をいたさなくとも、どなたも別に御異存はなかろうと私は思うのであります。戦時中に、生産費のいかんを問わず、どこでも、幾らかかっても、食糧がとれるならば、食糧増産・食糧増産といちずに食糧増産の奨励をやって参りましたが、少なくともこれからは、非常に生産条件の悪いところで米を作るということについては、その農家の所得を確保する上において、他に有利な作物があれば、それは適当じゃないという考え方、つまり、米価決定の際、八〇%とるか、九〇%とるかということで、あなたの方といっでも議論するようでありますが、あなたの方との間に議論の対象になるような高い生産費のところの人は、よろしく他の適当な農業経営に転換するようにわれわれは指導していくことが適当ではないか、こう思うのでございまして、手放しで米が転換作物だといってこれを指摘するということはあり得ぬことだろう、こう思うのでございます。
 それから、外国に物を売るためには外米を輸入すべきだ、これについても、御承知の通り、たとえば台湾米を輸入いたします。台湾米の輸入についても、台湾と日本との関係で、台湾からバナナをそうたくさん買うわけにもいきませんし、肥料を売ります場合に台湾からある程度の物を買います。これも決して余っても買わなければならぬというものじゃないのでございまして、ときに、国内の米を他に作付をかえて、これを買わなければならぬというほどのものじゃございませんけれども、今申しますように、物を売る場合に向こうから買うという場合はあるわけでございますから、そういうものを事例にとって話をしたことはあります。
○石田(宥)委員 ここで、転換作物であるかどうかについては、いろいろそういう前提があったり条件があったりするでしょうけれども、根本的に需要と供給の関係を少し詳しく伺ってみたいと思うのであります。
 最近の新聞やあるいは雑誌の論評などでは、どうも米の需要というものがだんだん減少しておるのではないか、パン食に変わっておるのではないかということが――これは大臣が言われたことではありませんよ。新聞や雑誌にずいぶん載っておるわけです。この点は私は一般の国民の間にも非常に誤解があると思うので、とこで明らかにしたいと思うのでありますが、政府の家計調査年報というのがあります。これによりますと、都市世帯の米の購入量でありますが、全都市で世帯員一人当たりの消費量は、三十一年には九〇・一キロ、三十二年には九〇・九キロ、三十二年には九一・一キロ、三十四年には九二・一キロ、三十五年には大幅にふえまして九五・二キロにふえております。都会の米の消費量というものはどんどんふえておる。しかもそれはジグザグでなくて、平らにずっと調子を合わせてきたが、最近さらに急速に伸びた。これは農林省の調査でありますが、今年の一月から六月まではさらに大幅にふえておるわけですね。この点は一般の国民の間に誤解があるようでありますから私は申し上げるのでありますが、農家の消費量もその通りでありまして、これは農家経済調査の物財統計調査報告でありますが、これによりますと、世帯員一人当たりの消費職は、三十二年には一五七キロ、三十三年には一五六キロ、三十四年には一五七・二キロというふうに、やはり農家の米の消費量も若干ふえておる。そこで一般の人たちが考えておるパン食がどんどん伸びて、小麦の需要がどんどん伸びておるのじゃないか、今大臣の答弁を聞いておると、外麦の輸入については、これは食糧関係だけでもないというような前提がありますけれども、今日本人の食べておるパン、いわゆる硬質麦によるパンに嗜好が向いておって、日本の小麦などはなかなかそうはいかないのではないかというふうな発言がありましたが、私はこの点も問題があると思いますよ。これは日本が政策的にアメリカ小麦による製パンに力を注いできたという政策的な問題もありますけれども、とにかくパンの需要が相当に減っておるということです。たとえばパンだけで見ましても、三十一年には三七・九三キロであったのが、これはこまかく申しませんが、三十五年には三八・〇五キロになって、おる。その間三十四年には三九・四四キロなんです。三九・四四キロが三八・〇五キロに減っておる。私はおそらく今度は、ことしあたりの統計では米の需要がもっと伸びて、パンの需要はもっと減るだろうと思うのです。めん類はさらに大幅に減っております。こういうふうな需要の状況から見て、ここに河野構想に対して消費者のこれに賛成する人が多いという原因があるのじゃないか。あとでこの議論は発展させますけれども、そういうふうに見た場合に、米の需要については全国民的に将来まだ相当大幅に伸びる、その意味で政策を考えるべきではないかと思うのですが、一つ大臣の考え方を承っておきたい。
○河野国務大臣 私も今御指摘の数字を否定するものではございません。もちろん正しい数字でございますが、ただ私の経験から申しまして、景気、不景気、所得の増加、減少というものが米の消費に影響があるということは過去の例によっても明瞭なことだと思うのでございます。おそらく私は、わが党内閣の所得倍増、一般の労銀、賃金のベース・アップ等から、一般畜産物の消費が非常にふえておる、同様に米に対する消費がふえてきておるということではなかろうかと実は思っておるのでございまして、決して私も米の消費が減って麦の消費がふえておるというようなことは考えておりません。米の消費はまだふえていくものだということは考えております。ただしちょっと不景気がくればまた減るだろうという気がいたします。戦前でも米の消費については、一人一年平均の一石四升からたしか一石一斗くらいまでの大幅の増減があることは御承知の通りでございますから、その程度の増減は、景気、不景気によって出ておることが過去の事実でございますから、従って最近のように所得が増して参りますれば、米の消費がふえていくということは当然あり得ることだ、今後もその傾向はたどるだろう、私はこう考えております。
○石田(宥)委員 そこで、今大臣から米の値段についてお話がありましたが、ことしの一万一千五十二円五十銭という価格について、これは上位に決定された、こういう発言をされておるのですね。私は、上位に決定をされた一万一千五十二円五十銭という値段は高い値段だ、こういう発言に受け取れたのです、上位にきめたと言われたから。
○河野国務大臣 違います。政府の払い下げ価格の一万八百円よりも上にきめたということです。
○石田(宥)委員 ああ、そうですが。それならよろしいのですが、とにかく米の消費が伸びるということについ、は、これは私はやはり価格の問題も相当あると思うのですよ。パンは最近いろいろ上げておりますが、米は、消費者価格は三十二年度から上がっておりません。諸物価はずいぶん上がっておるけれども、消費者価格は上がっておらない。それから生産者価格についても、実は非常に誤解がございまして、ずっとどんどん上がりっぱなしに上がっておるように考えておる人が多いのです。これもまた一般の人たちの誤解でありますが、たとえばずっと昭和二十五、六年ごろから見ますと、二十八年一万六百八十二円であったのが、その後ずっと下がりっぱなしで、昭和三十五年にようやく一万四百二十二円でありますか、それでも二十八年よりうんと安い。ことしになってようやく二十八年より上回った、こういうことなんですね。ですからこの辺に一般の人たちが勘で話をしておる場合が非常に多い。勘でものを言うということが非常に危険である。とにかく私はパンやめん類の消費が減って、米の需要がふえるということは、やはり価格の問題が一つある、こう考えるわけです。
 そこで今度関連してくるのは小麦の輸入であります。これはどうも気にかかる発言が大臣にあったわけです。食糧政策でなくて外国小麦を輸入しなければならないという発言なんです。そうするとこれは輸出、輸入の関係で、昨年は二百六十二万八千トン外国小麦を輸入しておりますね。二百六十二万八千トンの小麦を輸入しておるということになると、これはやはり米の需給関係に非常に大きな影響を与えておることは、もう申し上げるまでもないのです。私はこの点は総理大臣に一度たださなければならぬと思うのでありますが、少なくともやはり主食というものを外国の米麦に依存するという基本的な方針は、私は大きな誤りだと思う。この点は何といってもやはり国内自給度を高めるということ――社会党の農業基本法では、第一条で国内自給度を高めるということを入れたのでありますが、政府与党の方ではついにこれを退けられたのでありますけれども、私はこれはやはり日本の外交政策との関係もあると実は考えておるが、この二百六十万トンにも及ぶところの外国小麦の輸入というものとの関係が米の需給について大きな影響をもたらすことは言うまでもないことであります。これについてさっきの私の聞き取り方があるいは間違っておるかどうか知りませんけれども、それは国内の食糧の関係でない別の面で輸入をしなければならぬという発言があったので、その点もあわせて、将来もこういう膨大な外国小麦の輸入をしなければならない事情が一体あるのかどうか。私どもは少なくとも国内自給度を高めて、不足分は外国に依存する、やはり基本は国内自給度を高めるということになければならないと思いますが、大臣はどういうふうにお考えですか。
○河野国務大臣 今の御発言で、もし私の答え方が言葉が足らなくてそういうふうにお聞きいただいたならば、私も訂正いたしますから御訂正をいただきたい。麦を食糧以外の面でということに対する点であります。私が食糧以外でと言うのは、えさ用の麦が非常に多うございますから、そこで麦の輸入は食糧並びに飼料ということにとらざるを得ません。言葉は飼料ということを入れないで、食糧だけでないということを言ったのは、その意味でございますから、さよう御承知願いたいと思います。今の数字につきましても、おおむね常識として食糧用麦二百万トン、飼料用麦五十万トンということが、私は現在の、むろんそれより多い少ないはありますけれども、一応の常識に考えております。従って五十万トンの飼料というものを一つ考慮に入れていただきたい。これがもし私の言いました説明が間違っておりましたら、食糧以外というのは今の五十万トンの飼料が入っておるということに一つ御了承いただきたいと思います。これは先ほどもお答え申し上げました通りに、今の情勢で参りますれば、こういう御説明が適当であるかどうかわかりませんが、ちょうど戦前に私たち米の問題を考えますときに、米と砂糖というものが相当に関連がございました。砂糖の輸入がふえて、砂糖の値段が下がりますと、米の消費量は減ったことがあります。今も確かに石田さんの御指摘のように、麦と米の価額の点が相当に両者の消費の上において影響のありますことは、私全くこれは同感でございます。そういうような意味合いからして、食糧用麦というものは今後どういうふうに変遷していくかということは、むろん考えられる点だと思いますが、何分にも動物蛋白をどんどん摂取いたします畜産というものが盛んになって参りますと、動物蛋白と米というものは、何か知らぬが日本の食生活面において結びつきにくいというような慣行になっておりますので、これらも今後食生活を改善していく上において、どういうふうにしていくべきかということも考えの一つに置く必要があろうと思います。いずれにいたしましても主食を国内で生産することが必要であるという点については、私も全く異論はございません。なるべく主食は国内で満たされるようにして参るという政策をとっていくことがよろしいということは、私もその通りに考えます。ただ何と申しましても農家経済が他産業に比べて非常に脆弱でございます。それと同時に与えられております条件が国際的に非常に悪うございます。この非常に悪い条件のもとに、農業に対して主食の国内生産ということをあまり強くこれに要求し過ぎますと、それが勢い農業政策の面に強い圧迫になってくる。これを全部全面的に保護をもってこれにかえていくことができるかといいますと、そこにある程度の妥当性を見出していかなければならぬ点があるのじゃなかろうかと思うのでありまして、これらがなかなか農政を進めていく上においてむずかしい点だと考えておりますから、せっかく御意見の点は十分考慮いたしまして間違いのない方向でいきだいと考えております。
○石田(宥)委員 ただいま大臣の答弁の中で、食糧についていろいろな指導的措置をとりたい、こういう御発言がありましたが、この点については実は従来はややともすると米食を抑制しようというような措置が、戦後の非常な米の不足時代の惰性と申しますか、今日まだ残っておる。私この間新潟県の平場の米の主産地に参りましたところ、学校に行きましたら学校給食でパンをやっておる。おっかさんたちに、あなた方米をとっていて、今米が余って困る時代がきそうだというのに、米がとれるまん中でパンで学校給食をやるとは何ですかと言ったら、実は私どももそうしたいのですが、パン食でやれという指導を受けておるのでという話。私はこういうふうな矛盾が至るところにあるように思うのです。これは文部省当局に農林省から強く要請されまして――全国では石川県その他で従来のパン食による学校給食を、米食に変えた県もあるように聞いておりますが、やはり積極的にこれを進めるべきではないか。
  〔委員長退席、田口(長)委員長代理着席〕
従来ややもすると報道機関や何かでもかなりそれを強く打ち出しておる。最も露骨なものは、米食ばかりやっておると神経痛やリューマチになりやすい、あるいは高血圧になるとか、こういう学者の記事が文芸欄なんかに実はしばしば載るのですね。しかしそれは昔のように米とたくあんだけで食っておった時代と、今のように動物蛋白も相当とるようになった時代とでは、その違いがあるということや、あるいはまた米を食べたならば完全食にするにはどういうものをもっととらなければならないとか、ビタミンはどういう面でとらなければならないという点についてはちっとも触れないで、ただ米ばかりを食っておると病気になりやすい。はなはだしきに至りましては、医学博士の林先生ですか、米ばかり食っていると頭が悪くなる――頭のよくなる本という本を書いておりますが、大学生は受験勉強するときには、その三週間くらい米を食わない方がいいというようなことを書いておる。一体何たることかと実は横断をいたしておるわけでありますが、そういう点についてはもう少し親切に指導をしなければいけないのじゃないか。昔のように、米ばかり食ってあとはほとんどたくあんか、米となまみそで生活しておる時代ならばあるいはそういう弊害があるかもしれませんけれども、今日は完全食についてはそれぞれの手配をいたしておるのでありますから、これについては何といっても厚生省にも責任がありましょうけれども、農林省が中心になって、エネルギー源としては何といっても米の方が安いのでありますから、安いエネルギー源をいかに合理的に、また保健衛生の面から見ても、これはどうしたならば完全なものになるかということについての指導が積極的に行なわれるべきであろうと考えるのでありますが、そういう点について、さきにちょっと触れられましたから、私の方も具体的に触れておるわけでありますが、御意見を承っておきたいのであります。
○河野国務大臣 実は学校給食につきましても、すでに農林省は文部省の方に、なるべく米産地においては米に切りかえるようにということの希望の申し入れをいたしておるそうでございます。ただ経費の点等でまだ十分いかぬことになっておりますが、そういう方針でせっかく努力するということにいたしておるそうでございますから、一つ御了承いただきたいと思います。
○石田(宥)委員 時間の制限があるようでありますから、これからいわゆる河野構想に入りたいと思うのであります。
 一般の商売ならば、安く買って高く売ったらいいわけです。しかし食糧というものは過去においていろいろ苦杯をなめておりますように、今河野さんのお話では、大正末期や昭和の初めのことを標準にしてものを考える必要はないとおっしゃるけれども、原則的には私は同じだと思う。高く買って安く売らなければならないというような事情も今日存在しておるわけであります。
  〔田口(長)委員長代理退席、委員長着席〕
だから今のような制度が行なわれておる。そこでいわゆる河野構想によれば、今まで通りに食管法は堅持するのだ、こう言っておるのです。食管法は堅持するのだ、しかしやみ米というようなものが存在するということは、これはどうも認めがたいというので、食管法は堅持するけれども、やみ米というものを合法化していくのだ、こういう考えなんです。ところが実は河野構想というのは第一次案、第二次案が発表されております。第二次案の八月二十四日の印刷物は、大臣がどの程度タッチしておるかよく存じませんが、少なくとも目を通しておられると考える。自由米を認めるということがどういう結果になるかということです。自由米を認めるということになぜ農民がおそれをなしておるかということは、こういう点にある。今の需給関係で見ますと、大消費地の消費者は大部分が、さきにちょっと触れましたように、ほかの諸物価と比較して、米が何よりも安い。従って少しぐらい高くともうまい米が食べたい。たまたま最近では、三十円か四十円高く出せばうまい米が手に入る。そこで配給米はまずいが、やみ米はうまいというのは常識化しておるのです。私はここに一つ実は問題があると思っておる。それはどうも全体を把握するのに困難なので、私はあまりはっきりしたことを申し上げられないのでありますけれども、配給の機関に入りますと、卸段階あたりで一、二等米というものはどうもやみに流れて、そうして二等米の一部と三、米のような低質米が、精米になると等級はわかりませんから、それが大部分配給に回る。実は部分的にはその事実も把握しておるのでありますが、そういうことから消費者をして誤らしめておる。消費者は、やみ米はうまいのだと、それが先入観念になっておる。
 それからもう一つは、山形や秋田や新潟などの主産地に参りますと、やみ米の方が政府に売り渡すよりも安く売っておる。だからやみ米を合法化することによって消費者米価が下がるのではないかという考え方がやはり潜在的にあると思うのです。ところが、もしここで自由米を合法的に認めるということになりますと、都会の人たちはどうなるかというと、配給米に依存する程度がだんだんと低くなって、大幅にやみ米に依存する人たちが多くなってくる。こういうことはもうだれにもわかるわけです。二十円や三十円高くてうまい米が食えるならば、みなそっちへいってしまう。どうにか生活ができる者はみなそこへいってしまう。そうすると配給米のウエートがずっと低くなってしまう。そうすると事実上これは統制というものは必要ないのではないかという、間接統制に移行するよりも――間接統制の内容にもよるけれども、それよりももっと危険な統制撤廃への突破口になる危険性がある。ここに農民が非常な心配をしておる点があるのです。この点については、河野さんがこういう自由米を認めるという考えをお持ちになる場合に、ここに一番大きな問題があると思うのです。
 それからもう一つは、ことしの春東京都で配給米は三日分しかないということがある、もし三日分しかないというようなことが都民のどこかへちょっとでも漏れたときに、都民はどういう心理作用になるか。これは大へんだというのでどんどん買いあさりをするでしょう。そうすると一方に売り惜しみが出てくる。これは暴動ものですよ。河野さんは大正末期や昭和の初めの時代とは時代が違うとおっしゃるけれども、たとえば大雪が降ったりあるいは台風で輸送が思うようにいかないというようなときに、東京都内に三日分しかないのだというようなことが明らかになった場合に、民心の動揺というものは非常なものなんです。そういうことになりますと、一般の消費者もやはりどこのうちでも米タンクを一つ備えつけて買いだめをするというのが常識化するでしょう。また時によってはどんどん売り出すかもしれぬが、やはり時には売り惜しみをする、そういう場合には、河野さんに言わせるならば、外米を輸入するからいいのだ、こうおっしゃるけれども、そんなのんきな場合じゃないですね。大雪が降って輸送ができなくなった、台風が来て輸送ができなくなった、そういうときに瞬間的にできるところの事態を、これから外米を持ってくるのだじゃお話にならない。そういうことになりますと、生産者にとっても不安であると同時に、消費者にとっても非常な不安を招くことは避くべからざるものなんです。これは河野さん専門で昔からやっていらっしゃるのですからよくおわかりのはずなんでありますが、そういうことについてはどのようにお考えになっておられるかを明らかにしていただきたいと思うのであります。
○河野国務大臣 ただいまお話しの点は二点だと思うのであります。
 一点は、自由米がどんどんふえていって結局配給米が減っていく、そして自由になるおそれがあるのじゃないかということが一点でございます。私は二十円や五十円高くていいのならば、どんどん自由米はふえるだろう、それほど世の中が甘いのならば、消費者価格を上げてはいかぬという議論は成り立たぬと思うのであります。消費者価格は二十円や五十円高くてもかまわぬじゃないか、どんどんそっちへいくだろうということになれば、消費者価格は上げてもよろしい時代だと思うのであります。従って、今の消費者の諸君が――三分の二からの消費者の諸君が配給米に依存しておられる事実は、巖として消費者価格を維持しなければいけないという要求の基礎であると私は思います。でありますから、そう軽々に自由米がふえるというふうには私は考えられません。もし自由米でいいのだ、どんどんそっちへいくのだというような、そういう世相が来ることを私は期待いたします。大へんけっこうです。そのときには配給米の価格を上げて国家負担を減らしていいのじゃないか、こう思うのでございまして、今の消費者価格はいつまでも現在の国民生活の安定を保持するという意味からこの価格を厳に確保しておるのでございますから、その点は、もし一般の消費者の諸君が自由米の方にどんどん移行して、そして配給を現在の価格で配給しなければならぬ必要がない、非常に少ない、期待が薄いというようなことであるならば、消費者価格を引き上げてよろしい、こう私は思うのであります。従って、消費者価格と生産者価格との間の調整については、少なくとも私は生産者価格は第三条によって上げていかなければならぬ、上がっていくべき要因がだんだん出てくるだろう、消費者価格については、そう簡単に自由米に依存する度が強く出てくるような甘い世の中にはなかなかなりにくいだろうと考えておるのでございます。私の考えが間違っておれば訂正いたします。
 第二の配給上の不安、これは現在のように完全統制をとっておりますと、一応政府は全部の責任をとっております関係から、都市においてときに配給量の減少することもございます。これは倉庫との関係で、無理して倉庫をどんどん政府が食糧について確保しないというような点等の関係、もしくは周辺からいかようにも米の東京移送ができるというような関係からいたしておるのでございまして、もしそういう不安等があるとするならば、この点については別途これを万全を期する方法は――国内全体を見て米が足りないという事態を私は先ほど申し上げて、輸入とか外米とか申したので、局地的に、たとえば東京、大阪というようなところで米が配給上に支障を来たすというような事態については、十分に国内的にこれを整備するということでいけるものだ、こう考えております。
○石田(宥)委員 さっき申しましたように、ずっと長い目で見て、米が不作であったとか、何か被害があったとかということで、不足分を外米に依存するというのは、これはわかるのですよ。何かの事態で、地域的にあるいはまた時期的に非常な不安が起こったというようなときに、まあ河野さんの構想によれば、物価統制令というものを動かしてということであるけれども、いやしくもこの米の値段というものは物価統制令などによって動くものじゃないのですね。最高価格をきめればまたやみが出ちゃうのですから、そんなことは子供だましの話なんで、どうもその点は私は河野さんの考え方にちょっと間違いがあるように思えるのですね。また一般の人たちの中には、食管法というものがありながら、河野さんに言わせると三分の一はやみ米だと、こうおっしゃるのですが、これは農協の全国中央会の調査によると、非常に少ないので、一%弱だ、こういう調査を出しておる。これはある程度押し問答になりましょう。しかしあまり大きな開きがあるので私はどうかと思うのですが、そんなにたくさんないことは、私は間違いないと思いますよ。そこで食管法がありながらそういうふうにやみがたくさんあることは、これはどうも食管法それ自体に欠陥があるのじゃないか、そういう考えももちろんあります。しかし御案内のように、今公職選挙法と売春禁止法と食管法は三大ざる法と、こういわれておる。いわゆるやみがあるからそれを今度合法化するという考え方に立つとして、たとえば公職選挙法でどうも戸別訪問や買収、供応は何といっても絶滅するわけにいかぬのだから、それを一つ合法的に道を開いてやろうかなんということになったら一体どうなるか。売春禁止法はやっぱり目こぼれがあるから、これはきちっと行なわれないんだから、これも裏道をつけてやって、どこかへ赤線地区や青線地区のようなものをまた認めてやろうといったようなことになったら大へんなことになる。それと同じことで、食管法というものがやはり今のような状態で実情に沿うように、生産者価格もきめられ、また消費者価格についても社会政策的な面があったり、最近においては特に物価抑制措置として非常に大きな役割を果たしておると思うのです。そういうものをただ形の上に、その法律が万全に実施されないから、その裏道を今度は合法化してやるという考え方であるとするならば、これはとんでもない話であると思う。
 そこでそういうことを前提として一つお伺いいたしたいことは、河野さんは自由米を認めることになると、消費者は安い米が食えるし、生産者は高く売れる、こういうことをよくおっしゃる。キャッチ・フレーズとしては、しろうとにとってはなかなかいい理論でしょうけれども、実際はそういうものではない。これはこの前大臣が大臣をやっておられたときにいろいろ議論をやったこともありますように、中間経費は、統制になってからと統制になる前とでは、統制になってからはほぼ一一・四、五%の中間経費であるけれども、統制前の状況というものは二四、五%になっておったということは、ずいぶん議論をいたしまして、これは大体意見の一致するところであったわけであります。そういたしますると、中間経費がずっとかさんで参りますと、われわれが心配をいたしますのは、むしろ河野さんが言われることと逆で、生産者は買いたたかれ、消費者の方はむしろ貰いものを買わされるのではないか――もちろん政府がその全部を買うからとおっしゃるでしょうけれども、しかしやはり思惑というものがありまして、その思惑部分というものについては、思惑が当たればいいけれども、思惑がはずれることもある。そういうようなことで、政府が高く買えば政府の方へ集まってやみには回らないし、また不作なんかになって、どうもやみ米が上がりそうだということになると、政府の方に出さなくなって、やみの方に流すというよろなことで、需給関係も非常に混乱を生ずるおそれがあるのではないかということがわれわれの大きな心配の一つなのでありますが、それに対してもう少し具体的に御答弁を願いたいと思います。
○河野国務大臣 はなはだ御無礼なことを申し上げて恐縮でございますが、だいぶ話が飛躍しておるように思うのです。(石田(宥)委員「飛躍していない。」と呼ぶ)と申しますのは、物価統制令によってとおっしゃいますけれども、私が言うところのものは、一部思惑で商人が買い占めをやるようなものについてはいろいろ措置を講ずる、こういうのでございます。一般の米価が需給の関係その他で上がり下がりするものを、物価統制令で押えたってきき目もないということぐらいは私も了承いたしております。ただ私の申しておるのは、今申し上げるように、相場の対象とし、買い占め等をやる者については、特定の個人については考えたい、こう申しておるのであります。
 それから第二段は、話が前後いたしますが、中間経費の点についてお触れになりました。これは私は現在のやみ米について申しておるのでありまして、戦前のように統制の方が経費が少ない、自由販売の方が経費が多いということは、それは御指摘のように、統制の方が経費が安くいくことはお話の通りでございます。ただ私の申しますのは、今のようにやみ輸送をし、やみ取引をしている場合の中間経費と、これを自由化して認めた場合の中間経費とは、どっちが安いかといえば、やみ取引の方が経費がよけい高くつくであろう、だからそれが自由化すれば、売る者、もしくは買う者にそれが均霑されるようなことになるだろう、こういうことを申しておるのでありまして、これは比較の対象が違っておるのでございます。
 最後に大筋として申し上げたいと思います。特に御考慮をわずらわしたいと思いますことは、米は申すまでもなく一度に出来秋に収穫いたしまして、これを年間を通じて消費をいたします。でございますから、時期的にこれが非常に不足するといいましても局地的に不足すると申しましても、年に一度非常に多量のものをとるのでございますから、時期的にと申しましても、おのずから六月、七月、八月という時期にこれが押し詰められて、そのとき以外に不足というようなことは、私はなかろうと思います。また局地的にと申しましても、今申し上げる時期と一致して局地というものは出てくる、こう思うのございます。ところが何分にも、今申し上げますように、年末に一応の出来高は計算がつきます。ことに年が明ければ実収高の報告も入ります。そこで年間を通じての配給もしくは消費の予想も立ちます。そこで大体の過不足、需給の計算が立って参りまするから、手当は、それが起こってきたときにすぐ手当をするのじゃないのであって、あらかじめまだ米を国内に十分に保有しておりますときに、ことしの米は足りるか足りないか、どれだけ少ないか、その手当をどうするというようなことは、ゆっくりいたせばけっこう間に合うのでありまして、しかもそれは、政府は常にその過不足については手当をするものなりということが常識になって参りますれば、足りないから思惑をやろうというようなばかげたことも私はなくなるだろうと思っておるのでございます。従って、この点については十分に手当をいたしますということを御了承いただけば、そこにそういう問題はなくなるのじゃないかと思うのでございます。
 なお一言つけ加えて申し上げておきたいと思いますることは、先ほどのやみ米の数字でございます。これは一千万石といい、もしくは三分の一弱といい、一方農協関係の調査が違うとおっしゃいますが、これは大ざっぱに計算をいたしましても、大体国内の生産高を八千万石以上ということに計算をいたしまして、政府が買います米が四千万石、農家の消費をどう多く見ても半分食べるという計算は絶対に私はないと思う。といたしますと、農家の消費量はまず四割というところが大体の常識の計数じゃなかろうかと思います。そういたしますと、そこにどうしても一千万石というおさまりのつかない数字が出ます。従ってこの一千万石というものはどこかどうかして流れているだろうということになるのでございます。やみのことでございますから、その調査はございませんけれども、方々から詰めていった結果、そういう数字が出てくるということでございまして、決して私はことさらに過大な数字を求めて案を考えているというのじゃございません。
○石田(宥)委員 あとの質問者の通告もありますから……。八月二十四日付のこの中で確認をしておきたい事項がちょっとあるわけです。この中では予約制度は存続するということが明らかになっております。これは大へんけっこうなことです。河野さんがこの前大臣の際に実はこの制度をお作りになって、われわれも大賛成いたしました。しかしそれには実は予約制度を作るということは田植え前にきめる。田植え前に価格をきめることによってその価格いかんによって植付を左右することができるという含みで、これは実はきまったわけです。ところが最近では政府の都合でだんだんと延びてしまって、もう一番除草の最中くらいにようやく米価がきまる。これじゃたとえばもち米の加算がどうだから今度もち米の植付を少なくするとか今度多くするというような、全然弾力性がなくなってしまう、こういう点について一つせっかく予約制度を存続されるというならば、やはり本来の趣旨に立ち返って明年度からはやっていただきたい。それから同時に予約制度を存続するということであり、減額補正も認めるということであるならば、これは予約加算というものは当然やはりお考えの中にあるものであると私どもは理解しておるのでありますが、この点はいかがでしょうか、その点が一つ。
 それから実はことしの春以来問題になっております予約減税の問題がございます。予約減税については、一昨年政府は予約減税は廃止する、予約減税は廃止するが、三の分はこれは米価部分なのであるから、従って予約減税の該当分は石当たりに換算して当時の計算では行当たり七十五円に該当する、こういうことでした。私どもは実は七十五円どころではないという計算をしておりましたが、まあ計算は別といたしましてそういうことでありましたが、私どもが猛烈に計算の基礎に誤まりがあるという指摘をいたしまして、実施されないで終わったわけです。ことしは、今度は春の国会の開会中にも、それから米価審議会の間にも――これは当然米価とうらはらの問題なのでありまして、米価が決定されるときに政府の基本的な態度が定まっていなければならないはずなのですね。特にこれは河野さんがお作りになったので、私ども小委員として折衝の任に当たったわけでありますが、当時の奨励部分が九百円、それから米価を上げるべきだけれども上げないから百円に該当する米価部分は五百円だ、そこで千四百円をこの税対象からはずすという実はこまかな計算があったわけです。だから結局は予約減税、これは米価部分だというふうに、われわれは常識化しておるわけです。ところが本年度の米価決定にあたりましては、この点はどうも政府は常にほおかぶりをして、ついに税制調査会では予約減税は廃止をすべきであるという答申をしておる。農林大臣もこの点はなはだ卑怯だと言わざるを得ないわけですが、ついに明らかにいたしません。今日なお農民の間には予約減税がどうなるか、もしこれを廃止するというならば、それに該当する部分だけは米価を引き上げるべきではないとかいう意見が出ておる。これは大臣、予約減税そのものだけではないですね。このことが今度は住民税や国民健康保険税に全部関連してくるのです。非常に大きな問題でありますから、農民が今実は非常に気づかっておるのでありますが、今私が申し上げたような経緯を踏んでおりますので、当然これは実力者大臣でありまするから、河野さんは前に決定した通りに予約減税は存続するという態度でお臨みであろうと思うのでありまするけれども、なおこの点は一つ確認をいたしておきたいと思うわけであります。
○河野国務大臣 ただいまのお話の通り予約集荷制度は継続して参る所存でございますが、その米価の決定は、確かに五年前に私始めたときには、当時非常に米の足りない時代でございまして、これによって生産意欲を高揚していただく必要があるということで、植付前に米価の決定をするということでスタートいたしましたけれども、その後いろいろな事情があったのでございましょう、だんだんおくれておりますことにつきましては、私も実はこんなにおくれるならかえって秋の収穫確定のときにきめた方が適当じゃないかという意見を吐いたくらいに、ことしの米価の決定の時期等は、これは私はもうちょっと早いかおそいかすることの方がいいんじゃないかという考えを持っておりますが、すでに済んだことであります。しかし明年度からはよく検討いたしまして、今お話しの通り植付前にいたしたい、こう考えます。ただしけさほどの新聞を拝見いたしますと、民主社会党さんの案が出ておりますが、あんなに早く早くといって御主張になりますと、どういうお考えか知りませんが、なるべく農家の再生産を保持する上において考えますと、その年のなるべくおそい方が正しい正確な数字がとれますから、私は正確な米価――正確という言葉は不適当でこざいましょう、農村経済に合致する、再生産に合致する数字がとれますから、必要の最小限度の早さ、そこで今申します通りに、その年の生産意欲を高揚し、生産もしくは経営に必要な時期という時期が一番適当じゃないかというふうに考えます。なお御議論、御意見等があれば承りますけれども、私は石田さんの御指摘になりました、まず六月田植えの始まる前というときにきめる方がいいのじゃないか、こう考えておりす。
 それから予約減税その他税制のことにつきましては、御指摘の通り、米価決定の際に諸般の条件を勘案して米価をきめておりますことは、慣例であると私は思います。今年の米価決定にあたりまして、それらの点を含めておきめになったのか、まだ私不勉強で勉強いたしておりません。早急に今後の米価のあり方もしくはただいまの税制のことにつきましては勉強いたしまして、そしてお答えをすることにいたしたい。きょうは留保さしていただきます。
○石田(宥)委員 時間がだいぶ参ったようでありますから、あと一括して、ちょっとこの文書の点についてお尋ねをいたしますが、この早期集荷の問題、米単作地帯対策等に対して必要な措置を行なう、こういうことで、要するに今の時期別の関係ですね。これはいわゆる早場米奨励金とも言っておりましたが、期別格差としてやはり米単作地帯に対する保護政策、こういうふうにわれわれは理解をしておったのでありますが、その点をやはり文書で明らかにされて大へんけっこうなことだと思うのでありますが、やはりこれは従来の考え方でお続けになるお考えであるかどうかをさらにお伺いしたい。
 それからもう一つは、予約制度のもとにおける概算金石当たり二千円を支払いするという、これは農家経済にとっては非常に助かるので大歓迎でありますが、これも明らかにされておりますが、その通り行なわれる御意思であるかどうか。
 それからもう一つは生産費算定方式でありますが、生産費及び所得補償方式を堅持する、これはもう生産費及び所得補償方式と申しましても、実は中身に若干問題がございまして、きょうは一応ここで議論はいたしませんが、問題はあります。とにかくその方式としてはこの方式によるということが明らかになったのはけっこうであります。そこで問題は、こういう基本的な構想の中に、一−四等包装込み手取平均一万一千五十二円五十銭、予約加算百円を含む、に定める、こういう文章になっておるわけです。この点は非常に誤解を生みやすいわけです。要するに一万一千五十二円五十銭というものは、これはことしの米価なんです。ところが基本構想の中にこういう数字が入って参りますと、何かこの一万一千五十二円五十銭が基本的なものになっていくような誤解を私は生んでいると思うのです。おそらくそうではなかろうと思います。やはり諸物価の値上がりその他の経済情勢の変化に基づいておきめになることであろうから、これはここで数字を出すべき性質のものではないのではないかと私は考えるのでありますが、これらの点も一つ明らかにしていただきたい。
 以上で私の質問は終わりたいと思います。
○河野国務大臣 今の一万一千五十二円五十銭は、御指摘の通りことしの米価はそういうふうにきめて書いてありますが、ことしについてはこの通りでございますということを例示したのでありまして、将来につきましては現行食管法の精神に基づきまして、再生産所得補償方式でやって参るということについては少しも変わりはありません。だんだん御指摘でございますが、私は現にとっておりますやり方を変えようという考えはないのでございます。ただ今流れておりますやみ米、しいて申せば都市の購買意欲、これにこたえて、農村が高く売れるならば売ってもいいじゃないかという軽い考えで持っておるのでございまして、それが非常に各方面に、疑惑に疑惑を生んでおりますことは非常に遺憾でございます。私は現行食管法をすべて農村のために有利に御解釈下すって、そして今お話の通りこれもこうやるだろう、これもこうやるだろう、全部その通りです。そういう点についていやしくも変更を加えるというような考えは毛頭持っておりません。特に申し上げておきたいと思いますことは、青田売り等についてはどういう考えを持っておるか、だんだんそういうこともできるじゃないかという御指摘もありましたが、これらにこたえるに予約集荷制度というものを、二千円出す、もちろんその通りいたしますということで、現在やっておりますことについて変えようということはない、しいて変えるといえば政府以外に売ってはいかぬということを、政府以外に売ることもけっこうでございます、高く買い手があったらお売りなさいというだけでございまして、それ以外に何ら考えておるところはございませんということで、御了承をいただきたいと思います。
○石田(宥)委員 以上をもちまして私の食管制度に対する、いわゆる河野構想についての質問を終わります。
    ―――――――――――――
○野原委員長 この際中野政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。中野政務次官。
○中野(文)政府委員 ごあいさつを申し上げます。私農林政務次官を拝命いたしております中野文門でございます。未熟者でございますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)
○野原委員長 午後一時三十分より再開することといたしまして、暫時休憩いたします。午後零時三十七分休憩
     ――――◇―――――
午後一時五十四分開議
○野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。芳賀貢君。
○芳賀委員 最初に食管問題について大臣にお尋ねします。
 午前中いわゆる河野構想なるものを聞いたわけでありますが、われわれの聞くところによると、河野構想なるものは世間を騒がすほどのものでないというような印象も実は受けるわけです。しかし河野さんは最初は処女のように出発しても終わりは脱兎のように出る場合もあるので、これは油断はならぬですが、この際問題になるような点を二・三点だけお尋ねしたいと思うのです。河野構想なるものは、現在の管理制度を一部変更して、そして現在あるところの管理米制度ともう一本自由米制度というものを新設して、この両建ての運用によって行なおうとする、そういう意図であることは明白であるが、もしも河野構想なるものを現在の食管制度の中に当てはめて実行しようとする場合には、当然立法上の改正措置というものが必要になると思いますが、その場合は食管法のいずれの個所を是正するというようなことについての具体的な考えを示してもらいたい。
○河野国務大臣 午前中に申し上げましたようなことでございまして、実は私もこれによってそう大きな変革が起こるというようなことは考えて今もおりませんし、現におらなかったのでございます。ところがそれがだんだん各方面から議論せられておりますうちに、ああなりやせぬか、こうなりやせぬかということが出て参りまして、どうしてそういうふうに発展するのだろうかというふうに、実は内心もう少しよく練らなければいかぬなと思って、今せっかく各方面の御意見を承っておるところでございます。要はどこまでも御心配のあるうちはいたさぬということが原則でございます。御了解を得てからやるということにいたしております。従って結論的にこういうふうにまとめてこの個所を改正してこうだということにまだ結論を出しておりません。各御要望等にこたえて直さなければならぬところはどんどん直してよろしい。問題は、先ほど申し上げたように、自由米制度をもう一本立てるという考え方よりも、現に政府の集荷配給いたしておりますもののほかに一千万石からの米がとにかくどこかで動いておる。この動いておるものを一応表面に出して、そうしてこれを政治の対象に公然と取り扱う形式をとった方がいいじゃないかという考え方をいたしておるのでございます。でございますから、食管法のどこを直してどうするつもりで、法律的にどう考えでいるかというところまで私自身の考えもまとめておるわけじゃないのでございます。これはいろいろな御注意、御意見等を承って――ある人は言います、あまりめんどうなことはやめて、罰則規定だけをはずしてやってみたらどうだという人もあります。しかし、これはあまりに極端な話でありまして、そういうことで、米を政府に売らなくてよろしい、政府から買わなくてよろしいというようなことにすることはどうかという気もいたしますので、なるべく各方面の御了解と御支持を得られるような形態において、そうしてくどくなりますが、農家の所得に幾らかでもプラスしていき得れば、その道を公然と認めたらいいだろう。それから現在のような社会秩序を乱しておるようなことはやめるように、理想の形態等をもう少し合理化する方がよかろう、取引の点においても、今現にありますような都市におけるやみ米の取引というようなものをもう少し合法化、合理化していくことがよかろうということでございます。
 特に私は考えなければならぬと思いますことは、現在のように政府米配給の過程におきましても、卸のところまでは幾らか計数的にもつかむことはできますけれども、小売と卸との関係、小売が消費者に渡る段階等になりますとなかなか実際の状況が、先ほど石田さんの御指摘になっておりましたような点についても、実は私も多少の不安を持っております。実情を調査するためにもう少し検討してみたらどうだというようなことも考えまして、そういうことについても今せっかく準備をいたしておるというようなことでございますので、何にしても食糧の制度をもう少し合理化していきたいということが主眼でございますから、結論として、こういうふうに法律を直して、こうするんだというところまでまだ至っておらないということを御了承願いたいと思います。
○芳賀委員 先日の本会議において、社会党の議員の質問に答えて、池田総理大臣は、現在の統制制度は変更しない、こういう言明をされましたし、また農林大臣はそのあとを受けて、特に具体的に現在の食管法の第三条、第四条は、これを改正する意思はないということを明確にされたわけでありますが、ただ第四条の場合には、これは第四条ノ二と三の条文があるわけです。ですから大臣の第三条、第四条を改正しないということは、この第三条はもちろん、第四条ノ二ないし三の条文についても、これを改正しない、つまり堅持するという、そういうお考えであるのかどうかお尋ねします。
○河野国務大臣 私は御質問にお答えしたのでございまして、その御質問が生産者価格、消費者価格に重点を置いてのお尋ねでございました。そこで私は、食管制度の基本は、生産者に対してその再生産を保障すること、農家経済に悪影響を及ぼさぬようにするということに主眼があり、消費者に対して消費米の価格を維持する、そうして国民の生活に不安を与えないというところに食管法の基本の精神があり、目的があるという解釈のもとに、この点に重点を置いてお答えしたのでありまして、今御指摘の点につきましては、他のものも記寂してありますから、他のものはおのずから別ということに御了承願いたいのであります。もし先般の私のお答えが適当でなかったならば、今のように訂正させていただきたい、こう思うのであります。
○芳賀委員 国会における答弁をみだりに、指摘があった場合は訂正するということになると、政治信念の根拠がないということになるわけです。それで明確にしてもらいたいのは、たとえば現在の制度を改正しない、特に中心をなす第三条の場合には、大臣は特に生産者価格の決定の趣旨が述べられたということだけを第三条で言っておるが、その前段は農民の生産した米穀についてはどのような形で政府に売り渡さなければならぬということが規定されて、売り渡される米穀についてはこのような趣旨で買い入れ米価を決定すべきであるということが第三条でうたわれておるわけです。第四条の場合には、政府が生産者から全面買い入れた米穀の売り渡しをする場合の売り渡しの相手に対する方針、消費者価格をきめる場合の精神というものが規定されておるのであって、単に生産者価格並びに消費者価格の算定の趣旨だけが述べられておるということではないのであります。ですから第三条、第四条を堅持するということになれば、現行の制度というものはいささかもゆるぎないということになって、農民もまた国民も生産者あるいは消費者の立場から、それぞれ納得し、安心するとわれわれは考えておるわけです。ただ第四条の場合には、これに関連して麦に対する買い入れ、売り渡し方式が第四条ノ二ないし三に規定されておるわけです。ですから食管制度というものは、これは単に米穀だけでなくて、米穀及び麦に対する国の制度ということになるのでありまして、これを切り離して麦に対しては論及しないということにはいかないと思うのです。ですから、あわせて麦の関係の規定である第四条ノ二ないし三の規定に対しても改正の意思がない、堅持する、そういうお考えであるかどうか明確にしてもらいたい。
○河野国務大臣 これは前国会で一ぺん提案をいたしましたが、さらに大・はだか麦、つまり麦類の一部の作付転換を意図いたして法案を今国会にも提案いたしたいと考えておるのであります。従って、その点については別途御審議を願うのでございますが、今御指摘の通り、私が申しますところのものは、第三条に規定しておりまする生産者価格、第四条に規定いたしておりまする消費者価格の点について変更を加える意思はないということをお答えしたのでございまして、その点を答えるために第三条、第四条ということを例示して出してお答え申し上げたのであります。その点が御質問の重点として、生産者価格について不安があるじゃないか、農家経済に悪影響を及ぼすおそれがあるじゃないか、さらにまた消費者価格について、これがくずれると国民大衆の生活を脅かすじゃないかという御質問でございましたから、それにお答えして、私は第三条の生産者価格、策四条の消費者価格を変更する意思はありません、こうお答え申し上げたのでございます。
○芳賀委員 それは、第三条、第四条についても、一番大切な前段の政府の米穀に対する買い入れ方式あるいは政府が買い入れた米穀の売り渡し方式のこの部分については、改正しないということは言わないわけなんですね。どうなんですか。
○河野国務大臣 それはかねて私はたびたび、この席ではございませんが印しておりますように、そこが一番私の考えておる点でございまして、御承知の通り第三条によって政府に売らなければならないと書いてありますが、御承知のような別の取引があるわけでございます。これは先ほど石田さんからも御指摘になりました通りに、法律には規定してあるが、それが実行がなかなかされていないという点でございます。従って、実行のされていない、しかもその点について改善の余地があると私は考えます点でございますから、その点は変えたいということでございます。
○芳賀委員 それは問題じゃないですか。だから、あなたの言動は油断がならないというのです。国会でばく然と聞いておると、食管法第三条、第四条は絶対改正いたしませんということを強調しながら、大事な第三条、第四条の本文ともなるべきものを改正する意思があるということになれば、食管法とまっこうから取り組んで、これを改正する意思を持っておる、その意図を進めようとしておるということが明らかになっておるじゃないですか。その点を国民の前に明らかにする必要があるのです、詭弁でなくて……。
○河野国務大臣 今御指摘の点でございますが、実は午前中にも申し上げました通りに、私の対象とするところのものはやみ取引されておる米であります。しかも政府に売らなければならぬ、売り渡し命令をつけるかつけぬか、これを実行しなければ云々という点にあります。農民に対して販売の自由を与えたいということが私の考え方であります。主点であります。初めからごまかしてそこにいこうというような考えは毛頭ありません。これが私の主眼でございます。くどいことを申すようでございますが、この段階において、農民みずから作ったものを、値段の決定を有利にするということも必要でございますが、その販売において自由を与えるということは、また同時に重大なことだと私は思います。どこに売れというような売り渡し命令を厳重につけて販売の自由を拘束することは、決して農民に対してとるべき道ではない。必要やむを得ざる場合においてのみ許されることであって、それがどういう場合においても、お前の作ったものをこっちに売れ、あっちに売れ、ここに売らなければ処罰するというような規定が今どきあること自体がおかしいんじゃないかという気持がいたすのでございまして、決して私は途中からそこに発展していこうというような気持はない、初めからその点を私は考えておるのであります。
○芳賀委員 それは非常に重要な発言なんですが、ただ問題は、大臣はやみが横行しておるということだけを特に強調されますが、やみ米が現存しておるということは、これは制度ではない、そういう事実があるということは認めざるを得ないが、やみ米の流通が制度化しておるということにはなっておらぬし、そういうことが既成事実だから認めるということになれば、これはやはり法治国家としての法基盤がゆらぐということになるとわれわれは考えておるわけです。問題は、河野構想なるものの趣旨は、現在の米の管理制度というものを、少なくとも麦の管理制度まで後退させようとすることが明らかであります。食管法の第四条ノ二の規定によれば、生産者が生産した麦類については、生産者ないしは生産者の委託を受けた者が政府に闘い上げてもらいたいという希望を明らかにした場合には、この希望に対して政府は無制限に応じて買い入れすることを要するということになっておるわけです。しかし、政府に売り渡しの希望がない、他にこれを販売したいというような考え方がある向きについては、米と違って政府に売るか政府以外に売るかということは農民の選択にまかされておるわけです。ですから、河野構想なるものは、政府に売り渡そうとする者に対しては、これは買い上げる、しかし、政府以外に売りたいという者については、生産者の意思にまかせる、こういうことになれば、当然これは米穀に対する管理制度というものを大幅に後退さして、少なくとも麦の管理制度までこれを移行させるという考えの上に立っておるとわれわれは判断しておるのです。それに間違いないでしょうか。
○河野国務大臣 午前中に石田さんからも強く御要望もあり、御指摘もありました。麦には予約集荷制度というものがございません。配給制度がございません。これは麦と同様だとおっしゃいますけれども、その点が違うと思います。米については、消費者の生活を安定、保護するという意味において、一定の価格で売る義務を政府が持っているという点が違う点で、私は、麦と同じように前進し発展していけない、いき得るものではない、基本が違う、こう思います。
○芳賀委員 予約制度というものは末節的な問題なんです。農民が政府以外に自由に売れる、いわゆる自由米制度というもの、これを制度として認めようとする場合は、現在の管理法にこれを適合させるためには、少なくとも麦の管理方式にこれを移行させなければ、これは政府としては実行することができないと思うのです。大筋はそうでしょう。いや、首を振ったってそうですよ。麦の場合は、生産した農民が政府に売り渡しを申し込んだ場合には無制限に買い入れる。河野構想の米の場合もそうじゃないですか。生産者が米を政府に売り渡そうとする場合には政府は無制限に買い入れます。麦の場合には、政府以外に生産者が売却したい場合には、その方に売り渡しても差しつかえない。河野構想の自由米構想というものは、政府以外に売り渡したい場合においては生産者の希望にまかせる。この柱というものは全く符合するでしょう。ただそれに予約制度があるとかないとかいっても、米の場合には予約制度があってもなくても生産した全量というものは自家保有を除いた以外は政府に売り渡すべしという命令規定があるから、基本的には河野構想なるものは現在の麦方式に米の管理方式を移行させる、これ以上明確な点はないじゃないですか。
○河野国務大臣 今のお話は、一面においてはそういうふうに考えられますけれども、米の場合におきましては、配給価格というものが決定いたしております。今現に一定の数量、一定の価格で配給する義務を政府が負っておる。これが私は麦の場合と違った例が出てくると思います。先ほども申し上げましたように、たとえば生産者価格が非常に高くなり、そうして消費者価格との問に非常に大きな開きが出て参りました場合には、全量が政府買上げになる、今の麦と同じようなことになるというふうに私は思います。しかし、内容とするところのものは、生産者価格と消費者価格が決定されまして、その間に消費者の生活を安定、保護するということをいたしておりますから、この政府の配給米に依存して参ります国民の需要相当量が出て参ります。このものは自由米としては流れて参りません。そこに自由米の量もおのずから限度があります。それから政府が収買する場合も一定の限度がここにはっきり出て参ります。消費者の価格、これを要求する消費者の数、量というものから、ここに自由米と配給米の量の分け前が違ってくる、こういうふうに思いますので、今言う通り、簡単に麦のように全量政府が買って政府が適当な価格でこれは幾らこれは幾らといって売り渡すわけにはいかない、そこに違いがあると思います。ただし、前段の、農民に自由に高く買手があればそっちに幾ら売ってもよろしい、それは私はそういうふうにしたいと思っております。ただし、それは売れなければ政府が全部買ってやる、政府は買うべき義務を持つということにしていきたいというのが私の考えであります。そのよしあしは別にいたしまして、そう考えております。
○芳賀委員 この際は農林大臣の構想なるものが食管法の第三条、第四条を改正する意図で進められておるということが明らかになればいいわけで、それ以外の議論というものは、また別の機会に譲ることにしたいと思います。
 それから、先ほどの石田委員の質問にお答えになったように、現在の消費者のうちの三分の一程度は現在の政府が決定しておる配給米の値段よりも高い値段で米を買いたいという意思が相当明確になっておる、だから、政府米よりも高い値段で米を買いたいという消費者に対しては別途に高く売り渡しのできる道を開いた方がいいと思う、それが農民保護だということを言われたのですが、一体、全国の消費者のうちの三分の一が、明らかに配給米よりも高い米を望む、値段が高くさえあればその方がいいというような意思が充満しておるかどうか、この点は十分調査検討した上でないと軽々な議論はできないと思うのです。しかも、その意思があるとすれば、同質の米を高い値段で買いたいという希望であるのかどうか、いかがですか。
○河野国務大臣 同質の米と申しましても、米にも千差万別ありまして、たとえばいい悪いと言いましても、これも人の好みにもよることでございますから、どれがいいか、どれが悪いか、どれが好質かということはなかなかむずかしいと思います。しかし、結論的に申しますれば、政府の配給米を要望していらっしゃる方が消費階級の中のおおむね三分の二強、それから、政府配給米を辞退され、もしくは配給米によらないという数量が三分の一弱という数字が出るのではないか。御承知の通り、いずれもやみ米のことでございますから、正確な数字は統計的につかむことは困難でございますが、先ほど申し上げましたように、全体の米の生産量から農村の自家消費米を引いたあとの残りのものを流通米といたしまして、その中で政府が配給する米が幾らあるかというものを引きますと、おおむねそういう数字が出てくるのじゃないか、こう思います。これらの人は大体政府の配給米によらずにその米で生活していらっしゃる、こういうふうに考えていいのじゃないかと思っております。
○芳賀委員 そうすると、午前中の御答弁は誤りがあったわけですね。
○河野国務大臣 同じことでございます。
○芳賀委員 午前中のあなたの答弁は、国民の消費者の中には現在の消費米よりも高い値段で米を買いたいという階層が三分の一あるから、そうなると、制度というものを改正して、農民利益の立場からも、高い米を買いたいという人に対してはそういう流通の道を開くべきである。今の御答弁はそうではなくて、配給機構それ自体の中において、流通機構それ自身に対する国民の意思が異なっておる点がある。配給米として配給を受けるよりも、自由意思によって米を購入したいという階層が相当ある、そういう意味の答弁をされたのであって、午前中の、高い米を買いたい階層が三分の一あるというのは誤りですか。
○河野国務大臣 私は午前と午後によって答弁を変えようとは考えておりません。今私の申しましたことは、言葉がまずくてそういうふうにおとりになったかもしれませんが、決してそういうことを言うておりません。芳賀さんのおっしゃるように、高い米を希望して買っておる者が三分の一というのは、そうじゃない。安い政府米を辞退されて、やみ米というか、その他の米に依存していらっしゃる人がおおむね三分の一弱あるのじゃないかという数字が出て参ります。これらの人は政府の配給米にことさら強い意欲を持っていらっしゃらない。具体的に申せば、高いやみ米によっておられる人があるということになっておりますから、そういう人があるならば、農村から合理的にこれらの米を売ってもいいじゃないか、こう私は申しておるのでありまして、何も無理に安いものはいやだ、高いものを食う、高いものを探して歩いている人が三分の一あるとは言っておりません。
○芳賀委員 訂正されれば、それでいいのですよ。ただ問題は重要ですから、農林省が調査されておる高い米を求めるか、安い米を求めるかという流通機構上の問題、配給上の問題に対する具体的な調査の結果、資料があって言われるのですから、その資料を当委員会に速急お出し願いたい。科学的な根拠がない問題を大臣と水かけ論だけで議論しても発展しませんので、その点を要求しておきます。
 もう一点お尋ねしたい点は、これは当然政府が買い入れた米の売り渡し方式の中に生ずる問題ですが、政府が生産者から米の買い入れを行なう場合には、等級については三等を基準として価格がきめられ、それより上位の品質である二等級、一等級については、基準等級よりも価格が高い。また三等の基準等級よりも下位であるところの四等級、五等級については、それぞれ相当の低い価格というものが設定されておるわけです。ですから今の買い入れ制度からいうと、上質の優良米はこの等級の判定によって基準価格よりも相当高価に買い入れを行なっておる。基準よりも品質の低位なものについては、基準価格より相当下回った価格で買い入れておる、こういう現実であります。ですから、いい米も悪い米も同じ価格で政府が買い入れておるということにはならぬわけです。ただ問題は、そのような厳密な等級区分をして買い入れた米を、政府が売り渡す場合は、この厳密な品質の差、等級差というものは、配給面において具体的に現われていないわけですね。先ほど石田委員も言われた通り、一等、二等というような良質の米は、悪質の業者の場合には、それをことさらにやみルートへ回すような場合もあるわけです。あるいは各等級を混入して、そうしてこれを上位の配給価格で売り渡しておるという実例も多々あるわけです。ですから、いい米を高く買いたい、少し悪い米は安く買いたいというような国民的消費者の希望があるとすれば、やはり買い入れした方式と同じように、品質の等差に基づいて、配給米の価格も厳密に取り引きされるように、こういう行政的な指導、運営をやることに対する自信が政府にあれば、この問題は解決できると思うのです。何もやみを是認するような制度改正までやらなければ解決できないという問題はないのですが、この点については、農林大臣はどのように考えておりますか。
○河野国務大臣 私は今の御意見には遺憾ながら同意できません。なぜかと申しますと、われわれ政府は国民の食糧を確保する、一面においては低所得者の生活の安定を保障する、この二つが目的でございまして、それ以上の目的、つまりいい米は高く売り、悪い米は安く売る、そういう複雑な組織をこの販売管理の上に適用していくということは、政治の上においては必要を越えておるのではなかろうかと私は思います。そこまで複雑にいたすことは――やってできぬことはないでしょうが、非常に経費がかかりますし、制度が複雑になりますし、監督が困難になりますし、今の政府事業としてこれを実行することは、私はとうてい不可能に近い問題だろうと思います。従って私はそれを実行することは適当でないという立場をとりたいと思っております。従ってそういうことが必要な場合には、これは別途やっていく方が適当であって、これを政府事業としてやることは適当でないというふうに私は考えるのであります。
 しからば格付は、買う場合においてはなぜ分けるか、これは農村の立場を考えまして、そうしてやはり農家経済、もしくは生産の奨励等から考えて、良質米を高く買うということは農業政策上としても実行しなければならぬという立場にありますので段階を設けて政府は購入いたします。販売の場合には今申し上げましたように、一本でやるということ以上は、監督上もしくは制度上困難であるというふうに私は考えます。
○芳賀委員 そこに政府の怠慢がある。言わないでおこうと思っていたが私は言いますが、一等から五等まで等級格差というものを設けて、巖密に検査して買い入れしている。これは三等が基準ですが、たとえば二等米については三等基準よりも六十キロについて八十円高く買い入れしている。一等については、三等よりも百六十円高く買い入れしている。ところが四等については、三等基準よりも八十円安く買い入れしておる。特に五等米については二百八十円安く買い入れしておるわけです。いい米は高く買っておるわけです。悪い米は安く買っておるわけです。そういうふうに買った米を、いい米は高く売らない、高い米を安く売るということは、これは政策上どうもというけれども、基準よりも二百八十円も安く買った米を上質米と同じように高く国民に売りつけなければならないということは理由が通らないと思う。むずかしくてやれぬからやらぬでは済まぬ問題です。そのくらいのことはやみ米を制度化して、せっかくの食管制度を破壊するよりも、これは行政的に役人が真剣に研究してかかればやれないことはない。ただ米穀業者の不当利潤を温存するような考え方が前提に立った場合においてはそういうことができないとしても、せっかく農民が丹精して作り上げた米を、適正な等級と価格で買い上げて、国民に売る場合はどうなってもかまわぬ、五等米だけを売り渡し価格で売られても国民は文句がいえない、こういう不当なやり方というものは了承できない。そういう点を改善する意思がほんとうにないのですか、明らかにして下さい。
○河野国務大臣 ただいまお答え申し上げました通り、買い上げの場合に格差、格付をしてやりますことは、政策上絶対に必要であります。良質の米を奨励する、品質をなるべくよくするということをして参ることは、絶対に必要である。これを一本で平均して買うということは絶対にしてはいかぬという気持を私は持っております。ただかくして買い上げた米を格付して売れということをおっしゃいましても、これは不可能に近いことでありますし、そういうことは経費が非常にかかる。また取り締まりを特に厳重にするといたしましても、現在のような簡単なことさえ、先ほどもお話のありました通りに、ざる法だと言われるようなことによって取り締まりがつかないのが現状でございます。政府に売り渡すべしとなっておっても、三分の一に近いものはどこかでどうにかなっているというような現実であります。これを、今おっしゃるように、高く買ったものは高く売る、安く買ったものは安く売ったらいいじゃないか、それはあたりまえじゃないかとおっしゃるけれども、そういうことが実際の現実の政治の上において絶対に必要性があるならば、これはやらなければならぬ。幾ら金がかかってでもやらなければならぬ。しかし、政府が食管法によって現行制度を継続いたしておりますゆえんのものは、先ほど来申し上げますように、国民食糧を低位に確保するということが目的でございまして、それを、良質のものは高く、悪いものは安くというようなところまでいく必要度がどの程度にあるかという判断に立ちまして、私は、そういうことはする必要はない、こういう判断に立っておるわけでございます。
○芳賀委員 それでは、大臣が言われた通り、消費者の中には三分の一以上現在より商い値段で買いたい者がある、そういう要求に応ずるために自由米制度を設けるというその根拠は失われたわけですね。この点だけは指摘しておきます。
 それから、次にお尋ねしたい点は、先ほど石田委員から予約減税の実施の問題が出ましたが、まだ勉強中である、検討中であるということで、この問題こそ、食管法改正以前に、今年産の米穀の価格決定と付帯して同時的に方針をきめるべきものが、いまだにきめられていないわけです。ですから、この食管法の河野構想を発表する前に、実は取り残されておったところの本年度の予約減税についてはどうするということを先に農林大臣として態度をきめるのが順序であったが、ここに大きな手落ちがあって、これはまだ勉強中であるということになると、相当問題が残るわけです。ただ、これは何も政府が行政的にやるわけではないのです。毎年々々国会において当年度の産米に対する予約減税の特別措置法を法律として制定することによって、これは一石一千四百円分を税の対象外に置くということになるので、政府として減税を行なう意思がないということが明らかになれば、われわれは、当然、立法府でありますから、われわれの独自の立場でこの法律を国会に提案して成立させる、そういう考えの上に立っておるのであって、この際勉強中とか検討中なんということは、河野さんの場合には通用しない言葉なんです。それで、この国会において政府の方針として予約減税法を出すとか出さないとか、それを所管の農林大臣――税金は大蔵大臣の所管ですが、農林大臣の米価に対する基本的な方針の一つとして、やはりその可否を、やるかやらぬかでいいですから、明らかにされた方がいいと思います。
○河野国務大臣 先ほども石田さんにお答えいたしました通りに、一万一千五十二円五十銭の米価決定の際に、あわせてその問題も検討済みであると実は私は考えておったのであります。ところが、先ほど石田さんから御指摘でございますから、そこで、私は、いずれ大蔵大臣その他とも相談いたしまして前大臣等の御意見を承りましてわが党並びにわれわれ政府の態度をきめてお答えいたしますということを省略して、勉強してお答えいたします、こう答えたのでございます。さよう御了承願います。
○芳賀委員 それは、後刻総理並びに大蔵大臣が出席しますから、あらためて尋ねたいと思います。
 次にお尋ねしたい点は、先ほども農林大臣の基本施策の中にも述べられておりましたが、貿易自由化と国内農村の対策についての問題になるわけでありますが、これは、御承知の通り、前国会においても大豆、菜種を対象にしていわゆる大豆なたね交付金暫定措置法なるものが提案されたわけですが、これは廃案に終わっておるわけです。ただ、その場合、自由化をやる場合、あるいは現在政府が行なおうとする価格保護政策を進めようとする場合も立法上の根拠というものは非常に不明確になっておるわけです。従前からあるのは農産物価格安定法でございまして、この安定法の中に大豆、菜種、イモ類、澱粉等が含まれておるわけですが、政府の現在の考え方は、この現行の農安法を一部眠らして、大豆、菜種については別途の方式で価格支持を進めていく、こういう方針であることはわれわれも理解できるわけです。ただ、その立法上の根拠がないままに、たとえば昨年の三十五年産の国内大豆についてもあるいは今年産の菜種についても行政的な措置でこれを進めてあるわけです。予算が通ったからということにもなるわけですが。それで、現在政府が行政的に行なっておる方法は、これは農安法の精神にも一部ありますが、まず生産者団体がいわゆる自主共販の形で集荷したものを、農安法に基づく調整保管計画というものを立てて、これを農林大臣が承認して、承認されたその調整保管数量を、たとえば全販連が善意な販売をすることによってその販売した平均の価格、一方政府の方では基準価格というものを設定して、政府が設定した基準価格と生産者団体が販売した平均価格との間に差額が生じた場合には、その差細分、不足分については政府がこれを不足払いという形で支出する、こういういわゆる通例不足払い方式を採用する方向で進んでおるわけです。ですから、今後も畑地農産物やあるいは畜産物の価格支持等の政策というものは、これは農基法によっても相当重要な問題となるわけですが、これらの農産物、特に政府がむりやり自由化に踏み切った国際競争にさらされる農産物に対しては、今後基本的にどのような価格支持の方式を進めようとするのか、特に農林大臣として農基法プラス・アルファの形でどういうふうに価格政策を進めるのか、その点一つお尋ねしたい。
○河野国務大臣 自由化と申しましても、農産物につきましては自由化することが原則と私は考えておりません。できるだけ自由化した方がよろしいということは考えておりますけれども、基本的に、国際競争に耐え得ないものも自由化して、農村に不利益を与えるというような考え方はとるべきでないと考えておりますので、今後といえども、品目別に、あるいはどの程度、関税の引き上げ程度でやれるか、それではやれないか、やれないとすれば、今お話しになりましたように価格を支持してその差損を補てんして参るかということを品目別に考えて、そして可能なものは自由化する、困難なものは自由化しないということでいくことが基本の考え方だと私は思います。
○芳賀委員 今取り上げたのは大豆と菜種ですが、菜種の場合は農産物価格安定法によると毎年の七月末に政府の買い入れ基準価格を決定して公表しなければならぬということになっておるわけです。ところが、自由化を進めるために行政的に農安法を今眠らすという考え方の上に立っておるのです。行政的に眠らすのですよ。そういう関係もあってすでに要綱なるものは農林省から発表になったが、一体政府の基準価格なるものをどこに置くかというその大事な価格なるものがいまだに決定公表されていないわけです。そうなると非常な不都合を生ずることになるが、一体、農林大臣として、就任以来相当たちますが、菜種の基準価格についてはこれも今勉強中であるのか、近日決定、発表する予定でおるのか、どういうことになっておりますか。
○河野国務大臣 菜種の価格につきましては、芳賀さん百も御承知で、どうなっておるかということもみな御承知だろうと思います。これは一応農林省からはこの程度の価格というものを大蔵省と合議いたし、大蔵省側からもこの程度でということで、両省合議の段階で、私、水田大蔵大臣とも再三話し合って、そして、皆さんからはがんばれがんばれという御声援をいただいておるのが現状である。ということは、現状は十分御承知だろうと思いまして、実はお話をいたさなかったのでございますが、つい今朝も大蔵省の方から最終案というものをいただいておりますが、それで了承しようか、もうちょっとがんばろうかという段階でございまして、少なくとも数日中に結論を得たいということになっておるわけでございます。
○芳賀委員 あなたは実力者ですから、大蔵大臣の方が実力者としては順位が下のようにわれわれは考えておるわけですが、(笑声)これは三十五年の大豆をきめた前例もあるわけですから、特に自由化を進めて選択的拡大の拡大品目とも言われる大豆、菜種について国内生産を確保するということであれば、相当積極的な価格支持をやらなければ全く期待に反することになるので、その点だけを御注意申し上げておきます。
 それから、次にお尋ねしたい点は、これは自由化の問題とも関係があるわけですが、大臣が就任早々砂糖の超過利潤の吸収を行なうということを天下に表明されたが、その後音さたがないわけです。最初に一発吸収すると言ってかまして、その後何もやらぬことにしたのか、経緯を国民は知りたいと思っておるわけです。
○河野国務大臣 これはまだどういう形式でどういうものにするかということは最終決定がございませんので、まだ発表の段階に至っておりませんが、超過利潤を吸収するという方針を変えておりません。今後もそのつもりでおります。
○芳賀委員 砂糖自由化の問題は、実は昨年末政府の内部において方針が決定されたわけです。ところが、いかなる理由か、自由化を見合わす、中止するというような政府の方針の変更があって、その後に周東さんの在任の終わりごろに超過利潤の吸収を問題として取り上げたという不明朗な経緯の上に立っておるわけです。われわれは大豆や菜種の自由化についても反対でありますが、ただ、これらのものを先に自由化する場合には、砂糖と比較した場合自由化の順位はおのずから変わってくると思うわけです。砂糖の自由化をやる場合には国内の甘味資源に不安定を与えるということにもなるが、その場合はやはりとるべき方法というものがあるわけです。当時も、関税の引き上げを行なって、そして砂糖の自由化を行なった場合に国内の甘味価格の安定と増産確保をやる、そういう方針であったようでありますが、自由化もとりやめた。関税の引き上げもやらぬ。残った問題は、三十四年度、三十五年度の両年度にわたる砂糖の超過利潤の吸収というものをまじめに政府が考えて、これを実行するかどうかという問題であります。前国会においてわれわれは政府に資料の提出を求めたわけでありますが、この超過利潤を計算した同じ農林省当局においても、第一回目と第二回目の利潤計算が非常に食い違っておるわけです。当初の計算によると、三十四年の超過利潤が三十六億円、三十五年が七十八億円で、総額百十四億ということになっておるのです。それが第二回目の農林省の試算によると、今度は三十四年度は十億八千万円、三十五年度は二十五億四千万円で、合わせて三十六億二千万円というように激減しておるわけです。この第一回目と第二回目の差というものは七十八億円にも及んでおるわけです。しかも、利潤吸収の対象にする分は、第二回目の試算による三十六億二千万円のうちから、法人税の引き当て分の十八億四千万を引いた残りの約十八億円を吸収の対象にするという方針のようにわれわれは承知したわけなんですが、同じ問題を扱っておる農林省の食糧庁当局の同じ役人が計算をして、わずかの間にこのような大きな差異が出るということは、計算上の誤りではなくて、やはり何らかの政治的の意図というものが介入してこういうそろばん上の差というものができたのではないか。こういう点をわれわれは疑問に思っておるわけですが、これらの伏在する問題を頭の中に入れて、農林大臣は今後この問題をどのように処理されるか、この方針について明らかにしてもらいたい。
○河野国務大臣 ただいま御指摘の計数につきましては、よく私も調査をしてみますが、何分そういうことを私了承しておりませんでしたので、さかのぼって勉強してみます。
 ただ、ここで申し上げられますことは、先ほど申し上げた通りに、超過利潤につきましてはこれを吸収するという方針は、その通り進むつもりでございます。
 なお、今後の問題につきましては、ただいま大豆、菜種等を先にやって砂糖がおそいじゃないかというお話でございますけれども、影響するところのものが、たとえば北海道におけるてん菜糖をどんどん工場を建てて奨励しております。それから暖地のビートについても目下検討中でございます。これは全国的に影響するところのものもあると同時に、またイモ類において非常に大きな問題が起こって参ります。ことに、サツマイモの価格、澱粉の価格、砂糖という一連したものを十分に検討いたしませんと、砂糖の問題について結論を出すことはむずかしいというような考えに立っておるのでございまして、これら一連の甘味対策というものの結論を出した上でないと、砂糖についての結論は出しにくい。せっかく各方面にも御勉強を願っておるわけでありまして、はっきり申せば、両党においても甘味資源の対策委員会まで作って御勉強願っておるわけであります。これらの結論をなるべく早くお出しいただいて結論に到達したい、こう思っております。事情は、今申し上げましたように、農村全体に及ぼす影響が非常に大きい。現に今は砂糖が予定いたしております価格よりも多少弱含みであります。そこにイモの方は澱粉初め強がかっております。というようなことでございますから、これらを考えますとなかなか困難な問題もあります。とは申せ、なるべく急いで結論を出すように御勉強願うということにしてやって参りたい、こう考えております。
○芳賀委員 甘味の問題に関連して、午前中の大臣の発言にも、農基法を高度に活用していくためには、農業のさらに路展した工業化ということが関連的に必要であるということが述べられたが、その点はわれわれとしても同感でございます。たとえば、前国会において、農業の工業化の問題について、特に今触れられた甘味資源の生産等については、原料を生産しておる農民の資本で近代的な工場を建設して、そこで生産と加工を一貫した農村工業というものを発展させるのは当然である、こういう議論が前国会の農基法の審議で行なわれたのですが、この趣旨については総理大臣も当時の周東農林大臣も賛成したわけです。ところが、運営上から見ると、御存じの北海道におけるビート工場の建設認可の問題は、前大臣のときまではきまらないで終わったわけです。それは、国会で農村工業を進めると言いながら、実際はその線に沿った決定ができなく終わったのですが、さすが河野さんは就任後直ちに快刀乱麻を断つような態度でホクレンのいわゆる資本による工場の認可を与えた。これは賞賛に値するわけです。ですから、この線をくずさないように今後進める必要があると思うのです。特に北海道の場合には八カ年計画を立てているが、実情は、前年度のビートの耕作よりも今年度の作付反別が若干下回っておるような、そういう状態に置かれておるわけです。これは農家がビートを耕作しても採算上十分の利益があがらないというそういう理由もあって反別が伸びないわけです。反別が伸びないで原料もふえないという状態の中で無計画に工場の新設だけを急ぐということになると、これは逆効果の形が生まれてくると思うので、今後の方針についても最初の信念を曲げないように進むべきだと思いますが、その辺はいかがですか。
○河野国務大臣 私は、今お話のありましたように、農村の第二次製品を買うということが絶対必要であるというような意味合いにおいて、できるだけ農村工業というものを保護奨励して参りたいという考えは、変える変えぬの問題ではなくて、それが基本の考え方だと思います。ただ、貿易の自由化に伴いまして、農産物のカン詰類をどうするかという問題が出てくるわけであります。この問題につきましては、御承知の通り、わが国のカン語用のブリキが割高でございます。従って、農産カン詰の場合に空カンの代金が非常に高くつきますから、中身よりも外側の方が高いというのが今日の現状でございます。これを国際的に見てみましても、わが国の空カン、つまりブリキで申しますと、トン当たりアメリカよりも二万円くらい高いというような数字も出ているようでございます。従って、最近のうちに通産大臣にお願いいたしまして、国内の鉄の用途別に販売価格を調整していただくように目下お願い中でございまして、そういうものができて、そして安い空カンが農村に入手できるようになり、そこに農産カン詰を強力に進めていくというような方向をとってもらいたいというようなことを考えておるのでございまして、ただいま御指摘のように、方針を変えるなということについては、変えるようなことは毛頭考えておりません。
○芳賀委員 最後に畜産農業に関係して、一、二お尋ねしておきますが、たとえば政府の所得倍増計画によっても、畜産農業の部分については、畜産の伸び率を基準年次から十年後には三倍に成長させる、特に牛乳については基準年次の、五・七倍に伸ばすという、そういう方針が述べられておるし、国民生活が漸次上昇する中においてはこういうことにもなろうかと思うわけですが、そういうことになると、一番の問題は、飼料資源の開発あるいは確保を政策的にどうやるかということが最大の基礎条件になると思いますが、従来の政府の畜産農業対策あるいは飼料対策というものはほとんど無力なものであって、ないにひとしいと。言われてもやむを得なかったと思います。従って、このような農業の中の成長部門と言われる畜産部門に大きな発展の期待を賢くとする場合、一体えさ資源の開発を具体的にどう進めるかという点については大臣の構想が当然あると思うわけです。たとえば昭和三十六年度の濃厚飼料の需給計画を見ると、年間八百万トンということになって、そのうちの三〇%の二百四十万トン程度は輸入飼料ということになっているわけです。ですから、これが一年牛乳にして二〇%くらいの伸びが示されるということになると、たとえば家畜の飼育頭数にしても急速な増加を示すと思うわけです。乳牛は今日約九十八万頭くらいですが、これが牛乳の生産を計画通り進めるとすれば、やはり十年で六百万頭、六千万石程度になると思います。ですから、この飼料対策というものを怠った場合には、期待は大きいけれども、飼料給源をほとんど外国に依存する、輸入飼料に依存するということになると、これは大きな蹉跌が来るとわれわれは考えるわけですが、この点に対する大臣の所見をお示し願いたい。
○河野国務大臣 御指摘のように、畜産の問題は飼料にあります。この飼料については二通りの考えがあるのじゃないかと私は思うのです。第一は国内で飼料資源を発見すること、この方法といたしましては、第一は、従来の車地改良というようなものをさらに前進いたしまして、ただ単に従来の牧野改良という考え方を、もう少し高度に牧草地帯を作る。言葉はどういうことになりますか、つまり、今までの炭カルをまいて牧野改良といった時代の牧野、牧草ではなしに、実際開墾してそこに牧草を作って、そしてそこに放牧するというようなところまでやらなければいかぬという意味で、明年度予算も実はそういう構想で予算を要求いたしておるわけであります。さらにまた、単作地帯の裏作も、御承知の通り、富山県、石川県等で一部実行していらっしゃるような、こういう道もさらに検討いたしまして、その可能な面に進めていく。私が先年モスクワに参りましたときに、五月のちょうど中ごろでありましたが、雪が解けたばかりのところに青い麦が五、六寸伸びておる。帰ってパリの郊外に出てみますと、パリの郊外の麦と同日においてモスクワの郊外の麦の同じ伸びを見たときに、私はここに農業の改良があるのだなという感を深くいたしました。そこに気象を越えて農業の改良という問題があるのだなという気持を持ったのでございますが、わが国におきましても、単作地帯においてまだまだ改良もしくは勉強する余地があるのじゃなかろうかということを考えるのでございまして、そこに必ず私は畜産の入る余地がまだあるだろうということを考えさせられ、せっかく技術面の御勉強を願っておるわけであります。
 さらに、ただいま飼料給源を輸入に求めることはというお話がございましたが、私はこれは必ずしも芳賀さんのお話し通りには考えませんで、やはり安い飼料資源は海外に求めて、そうしてわが国の緻密な技術の高い畜産の経営を生かし、ここに畜産の発達を期するということも考えられる道があるのじゃなかろうか、こう思うのであります。この点はすでに御承知の通り養鶏等においてりっぱに成功している点がそれじゃなかろうか。これらは、ただ国内国外を問わず、あらゆる角度から検討いたしまして、飼料の問題の解決に当たるということに考えて参りたい、こう思っております。
○芳賀委員 これは来年の予算編成にも関係のある問題ですが、今大臣の言われた草地の開発造成の問題等は、従来の政府の方針には載っていないわけです。河野さんが大臣になってそういう構想で進めるとすれば、これはわれわれは支持するわけですが、政府の倍増計画によると、農地に対しては十年後現在の畑地、水田に対して――水田については壊廃面積を埋めていくわけでありますが、結果的に現在の面積が約四万町歩減少する、畑地については現在の面積が約十五万町歩増加する、そういうことですから、これは現状維持と何にも変わらぬように思うのです。これに対して、わが党としては、畜産農業を主体とした今後の農業発展を進めるためには、やはりその基盤となる農業地の開発が重要であるということで、これは農地百万町歩、草地二百万町歩開発というものを計画的に進める、そういう構想を出しておるわけです。これをやるためには多額の国費の投入あるいはこれを行なうために必要な法制化というものが当然出てくるわけですが、今大臣が言われた通り、積極的に草地の造成、開発をやるとすれば、この際やはり立法上も十分な検討を加えて、これが急速に進み得るようにしたらいいじゃないか、そういうふうにわれわれは考えておるのですが、明年度の予算編成を期してそのような雄大な構想を進める御意思があるか、その点承りたい。
○河野国務大臣 ただいま御説明いたしましたように、一応予算には、従来の牧野の観念を変えまして、御説明いたしましたような趣旨において予算の要求をいたしております。今後のことにつきましても、なお検討いたしまして、必要によって処置いたしたい、こう考えます。
○野原委員長 暫時休憩いたします。午後三時二分休憩
     ――――◇―――――
午後三時六分開議
○野原委員長 休憩前に引き続きまして会議を開きます。
 総理大臣がお見えでございますから、総理大臣及び大蔵大臣に対する質疑をお願いいたします。
 まず藤田義光君。
○藤田委員 私たちは、ただいま委員長席にすわっております野原氏を団長に、先般ヨーロッパの先進国の農政を視察して参ったわけでございます。各国とも農業基本法並びにそれ類似の法律を実施いたしまして、相当の実績をあげつつある半面に、農政全般に関しましては日本と同工異曲の苦悩をなめつつある現状でございます。農業政策というものはいかにも深刻なむずかしい政策であるということを切実に体験して帰ったわけでございます。そこで、各国の、先進国の農業政策の一つの悩みとしまして、農業人口が漸減しつつあるということであります。イギリスのごときは、全人口のわずか四・五%という少数にもかかわりませず、減少の傾向をたどっておる。先般の選挙戦で、農業人口削減の問題で池田総理は誤解を受けた一人でございますが、この農業人口を減らすという政策にあらずして、減るのを阻止するのにきゅうきゅうたるヨーロッパ各国の政治家の努力の現状を見て参ったのでございますが、その中にありまして、われわれ農業基本法を実施した国として特に感銘を深くいたしましたのは、きわめて強力な保護政策をやっておるということであります。つまり、農産物の価格ないしは補助金あるいは金融制度におきましても思い切った手を打っております。にもかかわりませず、問題はなかなか円滑に解決されないという状況であります。この点に関しまして、池田総理は、農業基本法実施後に――関連法律がまだ未決定でありますのではっきりした御見解を伺う段階ではないと思いますが、農業の保護政策、こういうものに対しましてどの程度の御熱意を持っておられますか。農産物の価格、金融、特に金融制度におきましては、大蔵大臣も見えておりますが、私は一般市中金融の感覚で農業金融を見てもらいたくない。特にヨーロッパにおきましては、いずれも三十年以上の長期低利資金を運用いたしております。これが農業資金の本質であります。にもかかわりませず、大蔵省的な感覚で短期高利の金融をやるという誤解を受けますと、農業基本法の実体がなくなってしまうわけであります。この点に関しまして特に造詣の深い総理は、農業金融問題、農産物の価格の問題あるいは補助金政策、これらを総合した農業の保護というものに対しまして今後どういうふうな方針でいかれる予定でありますか、お伺いしたいと思います。
○池田国務大臣 お答え申し上げます。
 国内においてあらゆる研究を遂げられ、また、世界各国をお回りになりまして、造詣がますます深くなったことと思います。これは、お話の通り、原始産業、ことに農業につきましては各国とも非常な保護政策をやっておるのであります。ヨーロッパにおきましては、フランス、ドイツのごとく、まあデンマークその他も昔からでございますが、非常な保護政策をやっております。そうしてまた、イギリスが今度共同市場に参加することにつきましても、一番の問題はイギリスの農業、そうして英連邦の農業生産国、この問題が共同市場に参加する場合の一つの問題になっておるのであります。アメリカにおきましても、農業に対する保護制度は至れり尽くせり、非常な買い上げをいたしまして、そうして倉庫に詰める、あるいは、たとえば綿花のごときものでも、アメリカ国内の綿花の消費の値段と輸出の綿花の値段とは違い、輸出はこれを奨励するために安くしておる。これはやはりいろんな保護政策をやっておるのであります。しこうして、他の国とは違って、日本の経済組織、また社会組織の上から言って、日本ほど農業人口の割合が多くて、しかも他産業との格差がだんだん大きくなりつつあるときには、これは好ききらいの問題でなしに、どうしても農業を何とかしなければならぬということは、さきの国会以来私は申し上げておる。だから、農業基本法を制定いたしまして、今後画期的な措置をとろう。私は、そのときは内閣にはおられませんでしたが河野農林大臣と、フランスその他においては農業基本法で非常なお金がかかっておる、これはまあそれを覚悟でいこう、こういう話をしたことがございますが、私はそういうことは覚悟しておるのでございます。これはやらなければならぬ根本の施策でございますので、今お話しの点のように、金融、価格、補助金につきましても、できるだけのことはいたしますが、やはりその点のエキスパートの皆さん方から十分御鞭撻を願いたいと考えております。
○藤田委員 昭和三十七年度の予算編成期に逢着をいたしておりますが、きょう特に大蔵大臣をお呼びいたしましたのは、本日の総理との野党、与党の論議をよく聞いていただきまして、一つ肝に銘じていただきたいと思うためでありまして、あえて私は大蔵大臣の答弁を求めませんが、ぜひおっていただきたいと思います。
 この予算編成期にあたりまして特に申し上げたいのは、西ドイツが農業基本法を実施したのは昭和三十年であります。ちょうどわれわれが参りましたとき、昭和三十五年のグリーン・レポート、正確には一九六一年のグリーン・レポートがちょうどドイツの農林省でできた直後でございました。これによりますと、わずか五年間にドイツの農政予算というものは三二%近くに伸びております。つまり倍増以上の成果をあげておるのであります。これは、日本の農業基本法がドイツの農業基本法を最も参酌しているだけに、この予算的な激増の状況というものはわれわれ大いに参考にしなくてはならぬと思うのであります。また、一方フランスにおきましては、余剰農産物の問題でちょうど暴動が起きておりました。特に暴動が起きたからというので、ドゴール政権があわてて臨時国会を召集いたしまして、総理と農民代表の共同コミュニケを発表し、また、臨時国会において、農政予算を倍に増加して内乱を防止する、こういう最後の努力をいたしておりました。こういう点からしますと、私は、農民の暴動が起きたからというので直ちに臨時国会を開いて農政予算を倍増する、こういう醜態を阻止するためにも、他山の石として、日本におきましても、この際農業基本法を実施した初年度の三十七年度予算においては相当思い切った農政費を計上する必要があると思うのであります。官房長官から何かしかの通達があって、そのワク内で編成するという誤解を私は持っておりましたが、先ほど、河野農林大臣の答弁によりまして、そういうのには農業基本法を実施しておる農林省は拘束を受けておらぬ、金は使いようである、われわれは最も効果的に使うように二千三百億を要求しておるというお話でありました。いろいろ見解の相違もございますが、明年度予算編成にあたりましては、基本法の第四条に、ああいう産業立法には珍しい規定を作りまして、政府は財政上の措置をせねばならぬというような珍しい義務規定を作っておる趣旨からしましても、河野農林大臣が農業基本法違反の責めを受けないためにも、私たちは、農政費はこの際思い切って一つ大蔵省あたりも考慮すべきである、そういう見地で総理大臣として明年度予算を編成していただきたい。この点に関する御所見を伺っておきます。
○池田国務大臣 大体農業基本法に踏み切ってああいう法律を作ります場合においては、先ほど答えましたように、外国の例も一応は見ております。相当金がかかるということは覚悟した上でございます。私は、無理にむだな金は絶対禁物でございますが、ぜひ必要な金は惜しげなく出したいと考えておる次第であります。
○藤田委員 政府は去る二十六日の閣議で新貿易自由化計画を確定されております。これによりますと、現在の自由化率六五%を来年の一月一日までに一九〇%に引き上げるというような方針がきまったようであります。そうすれば、当然農産物に関しましても相当の自由化が予想されるのであります。しかし、一方、農産物に関しましては、農業基本法の十三条で規定しております通りに、相当強い保護的な措置を約束いたしておるのであります。この点に関しまして、たとえば私の選挙区――これは私の最高の財産でありますが、熊本のわれわれの選挙区におきましては相当多数のレモンを生産いたしております。こういうのが自由化いたしまして、安いものがどんどん入ってくるような事態を考えますと、これは与党、野党の別を問わずやはり政治生命をかけて反対しなければならぬ。こういうことも当然覚悟しなければならぬと思うわけでございます。この貿易の自由化に関しまして、特に農産物の貿易の自由化に関しまして総理の御所見を伺いまして、生産農家の不安を少しでもなくしたい、かように考えます。
○池田国務大臣 貿易・為替の自由化の問題で農産物のことが問題になりました。これはわが国ばかりではございません。どこでも主食その他重要な農産物につきましては自由化をしていない。アメリカにいたしましても、あるいはその他の国におきましても、非常な保護政策をとっておる。これはどこの国でも、またガットでも当然のことのように認めておるのであります。私は、わが国の実情、ことに先ほど申し上げましたように、酪農品その他につきましては非常に割高でございますので、これは貿易自由化といっても別の方法でいかなければならぬと思います。藤田さんの最も大切な選挙区でレモンの問題、私の最も大事な選挙区でもレモンを作っております。私どもの選挙区のレモンはあなたのところよりは数量からいくとよほど多く、全国の八割くらい持っております。あなたの方は最近の栽培で非常に近代化しておるのであります。私は熊木出身の方にお会いいたしました。しかし、このレモンの問題につきまして、私は率直に申し上げますが、国民全体のあれから言っても、レモンはやはり今のままで置いておく方がいいだろうか、私は考えます。四十円以上、高いときには一つが六十円ないし七十円いたします。しこうして、日本の今のレモンがアメリカのレモンに対抗できるかといったら絶対にできません。風味から言っても、品質から言っても、そうして耐久の度合いから言っても日本のものだったら二ヵ月ないし三ヵ月くらいしか持ちますまい。こういうものがいつになったら対抗できるかということを考えますと、熊本県の方の人はもっと短くてもいいと言いますが、広島の方はなかなかそうはいかぬということになります。私は、アメリカに行きましたときにも、この問題につきましていろいろ業者から聞いてみました。また政府当局に言いました。僕の選挙区は八割持っている、自由化されたら私は袋だたきになるような状態なんだが、日本国民全体の生活水準の引き上げから言ったらあえて踏み切らなければならぬかもしれない、しかし、その場合にアメリカは日本のミカンを買ってくれるか、カナダは買っているじゃないか、アメリカはなぜ日本のミカンを買わないんだ、レモンの自由化をしたときには日本のミカンを買うということを条件にしたいと思うがどうかということ、私はそこまで詰め寄ったこともございます。しかし、この自由化といっても、やはり農民自体のことも考えなければなりませんが、国民全体の生活水準ということを考える。そこで、私は、もし自由化するとすれば、今のレモンをどういうふうに切りかえていくか、品質改良にどういう措置をとっていくか等々を考えなければいけないと思います。だから、私は、大事な選挙区の方々に、大勢はこうだから、これをどう押し切っていくかということを考えてもらいたい。いつまでも今までのような広島レモンでは国民は承知いたしませんよと言っておる状況なんです。だからその点は十分考えまして善処いたしたいと考えます。
○野原委員長 石田宥全君。
○石田(宥)委員 せっかく総理が見えられたのですから、私は総理大臣として、また自由民主党の総裁としてお尋ねをしたいと思うのでありますが、私どもの農林水産常任委員会というところは、農政に関しましては実は与党も野党も立場が違わないような問題が非常に多いのであります。全く利害が相一致する場合が非常に多いのです。しかしながら本委員会において意見が一致いたしましても、ややもすると党の方から圧力がかかったり、政府の方から圧力がかかったりいたしまして、常任委員会においては意見の一致を見ながらも、それが成立できない、こういう場合がしばしばある。たとえば本年の国会において土地改良団体の財政再建に関する法律案というものについては、与野党全く意見の一致するところであった。またがっては飼料需給安定法の一部改正に関する法律案についても、これまた与野党の一致するところであったのでありますが、やはり党の役員会あるいは政府当局の意向によって、それが成立を見ることができない。それがためにややもすると委員会の内部にあつれきを生ずるというようなことがあるのでありまして、これについてはやはり常任委員会の自主性を尊重されまして、党や政府の方からあまり圧力をかけないで、円満に農政を進めることができるようにすべきであると考えるのでありますが、これについては総理としてまた総裁としての答弁をわずらわしたいと思います。
○池田国務大臣 国会の常任委員の制度は私は尊重いたします。しかし常任委員制度を尊重するがゆえに、常任委員会できめられたことは全部党議にしろ、また内閣の政策にしろというわけにもなかなかいきません。尊重はいたさなければなりませんけれども、やはり政治全体を見ながら、できるだけ委員会のお考えを尊重していくということが民主主義のあり方だと思います。
○石田(宥)委員 今回食管法の問題につきまして、いわゆる河野構想なるものが発表されたのであります。この問題については、春の農業基本法の、審議にあたりまして、政府の出しました所得倍増計画の中で、米の統制は直接統制を廃止して間接統制に切りかえるものとするという文章がある。このことについて特に総理の所見をただしたのでありますが、総理大臣は、私が総理をやっている限りこれは間接統制に移すようなことはいたしませんという答弁をしておる。ところが今回河野構想なるものを検討いたしまするに、なるほど統制の根幹は堅持すると言っておりますけれども、実は自由米を認めるということになりますと、間接統制と申しましてもいろいろな統制の仕方がございますが、考えようによってはある種の間接統制よりは、もっと統制撤廃に近いところのものになるのではないかとわれわれはおそれておる。ここに全国民がこれに鋭い批判をいたしておるわけであります。これに対して河野農林大臣から閣議で発言をされた際に、総理大臣から、この問題はきわめて重要な問題であるから慎重に取り扱うべきであるという発言が行なわれたと承っておるのでありますが、今私が申し上げましたように、間接統制への移行であり、また場合によっては間接統制から一歩飛躍をいたしまして、統制撤廃にまで進みそうな今の河野構想に対しては、総理は当然これに反対の意向をお持ちであろうと思うのでありますが、所見を承りたいと思います。
○池田国務大臣 さきの国会におきまして、企画庁の外郭団体の作った所得倍増計画の中には、お話の通りのことが載っておりました。しかし、私は、これは調査会の作ったもので、この通りにはやりません、池田内閣の続く限り米の直接統制は続けて参りますとはっきり申し上げております。従いまして、私は、河野農林大臣の入閣前から米の問題についてはお考えは聞きましたし、また本で読んでおります。そこでこの話が出ました。一つの思いつきだ、――思いつきというのは悪い意味ではございません。一つの考え方だ、しかし非常に重要な問題だから、閣議の決定とか了解事項にはいたしません、しかし、あなたの考え方は私は一つの考え方と思うから、一つこれを党に諮り、世論に聞かれたらどうですか、私はこういうことを国会で答弁しております、あなたの考え方は、私の答弁、私の考え方に違反していると思わない、だから批判しておるかしておらぬかということも、党やあるいは世論にお聞きになったらいい、こう河野さんに言ったわけです。そうすると、暑いときに北海道から仙台と各地をお回りになりましていろいろやっております。私は河野君に言いました。ほんとうに僕は敬服する、民主主義のやり方はこれでなければいかぬ、御苦労さんです、こう言ったのでございます。国会で河野さんにやめてもらいますと言うたことは、河野さんに農林大臣をやめてもらうのじゃない、いわゆる米の直接統制を根底からくつがえすというふうなことがあるならば、その案をやめてもらいます、こういうことなんでございます。
○石田(宥)委員 もう一点総理に伺いたいと思いますが、これも春の続きのようなことでありますが、農基法審議の際に、私ども社会党の提案いたしました基本法の中では、食糧は自給度を高めるということを第一条にうたっております。この点については農業団体その他からかなり強い要望があったにもかかわらず、政府・与党の方はこれをいれなかったわけです。それは昨年度の外国の小麦の輸入状況を見ると、二百六十二万八千トンの輸入をしておる。こういうところに私はやはり問題があったのじゃないかと思うのであります。やはり食糧というのは自給体制をとるのが正しいのであって、外国の米麦に依存をして国内の生産をチェックするような考え方というものは、何としても国策として間違いである、こう私は考えておるわけです。まあこまかなことは申し上げませんが、根本的には国内の食糧の自給度を高めるという、この基本を貫くべきであると考えておるのですが、この点についてのお考えを一つ明らかにしてもらいたい。
○池田国務大臣 お話の通りで、食糧のみならず一般の原材料につきましても、できるだけ国内の自給度を高めることが必要でございます。ことに食糧につきましては、私は自給度を高めるということはりっぱな考えだと思います。ただ、問題は、自給度を高めるということによりまして、今の世界経済の中に溶け込んだ日本として、その度合いというものをどう持っていくか、ということは、農民の生活の向上とかね合わせて考えなければなりません。食糧だけの問題ではないのです。その点だけ条件つきにいたします。
○石田(宥)委員 こまかな点は別な機会にまた予算委貴会等でおやりになると思いますから、次に大蔵大臣にちょっと伺いたいのでありますが、実は昭和三十六年度の生産者米価は、御案内のように二万一千五十二円五十銭と決定をした。これは閣議で決定をされておるわけであります。この米価決定に対しても重要な関連事項が一つ落とされておる。それは御案内のようにこれは昭和三十年でありますが、たまたま河野さんが農林大臣のときに、米価をもっと引き上げるべきであるけれども、諸般の事情で米価を引き上げるわけにいかないので、米価引き上げ該当部分として米一石について千四百円を課税の対象からはずすというところの、いわゆる予約減税の措置が行なわれて参ったのであります。一昨年政府は予約減税制度を廃止するという実は方針をおきめになった。その予約減税の該当分は米二石について七十五円に相当するから、普通の米の計算の上に七十五円をプラス・アルファをして、そうして予約減税制を取りやめるという実は提案が行なわれたわけです。ところが、その計算の基礎にいろいろ行き違いがあって、計算の基礎がずさんであったということで、私ども追及をいたしまして、それはさたやみになっておったのであります。一昨年から昨年はずっとこれが行なわれて参りまして、これは政府提案で行なわれて参りました。これは昭和三十六年産米の価格決定にあたってはこの点がついに決定を見なかったわけです。その後、食糧庁としては、当然米価該当部分をこういう形で処理して参ったのであるから予約減税を実施すべきであるという態度で大蔵当局に折衝が行なわれておるということでありますが、いまだその結論が出ておらないような状況であります。これはもう昭和三十年以来のことでありまして、農民はもう既得権としてこれを主張して参っておりまするし、政府もまたこれを実施して参ったのでありまするから、当然米価決定に際してこの点に触れておらなかったのでありまするから、予約減税は行なわれるべきものであるとわれわれは政府当局を信頼申し上げておるのでありますが、大蔵当局とされましては大よそいつごろまでにこれに対する最終の御決定を願えるのか、一つ承りたいと思います。
○水田国務大臣 まず一般論から申しますと、しばしばこの税制の特別措置というものは整理しろということを国会でも言われますし、また政府で委嘱しております税制調査会もこの問題をめぐって毎年論議が行なわれていることは御承知の通りと思います。こういう種類の税制の特別措置というものは税理論から見ましたならば、公平の原則に反して、できるだけ早く整理すべきものだということは、これはもう異論がございません。問題は、この種の措置は常に政治的な政策的な理由によって作られるものでございますから、その効果によって、最初の目的を達しておるか達していないかということによって改廃をきめるべきものだろうと思っております。ちょうど三十一年から今日までこういう種類の特別措置は、金額にして千五百億円私どもは整理をいたしましたし、ことに、三十六年度税制改正では、整理はしないが合理化そうというので、百六十億以上の内容改正をやったという事情でございますが、この予約減税の問題も同様にそういう議論の対象に長い間なって、これはもういいのだという強い意見もございましたが、農家の税負担のあり方から見て、私どもはまだこれは続けた方がいいという方針で去年までやって参りました。ところが、ことしに入りますと、これをきめた当時は、全農家に対してこの措置の恩典を受ける者は一二%前後という、恩典を受ける人も非常に多かったのでございますが、配偶者控除の制度ができたり、扶養控除の引き上げとか、あるいは白色申告における専従者控除というようなことで、だんだんに農家の減税政策が進んで参りましたので、現在においてこの特別措置のために恩典を受ける農家はもう二%しか事実上ない、こういうところまで来ておりますので、もしそうだとすると、この制度の存続の意味があるかどうかというような問題まで出てきまして、私どもは今政府部内でこれをどうするかということで慎重に検討をしておる段階でございますので、まだ結論が出ていない状況でございます。
○石田(宥)委員 大蔵大臣、あなたははなはだ認識不足だと思うのです。社会党あたりが特別措置法の整理をせよということは、今大臣もちょっと申されたような奨励的なものであるというふうにお考えのようでございますが、そうじゃないのです。だから、私ははっきり申し上げているのですが、大産業資本家などに与えている恩恵、奨励政策とは性格が違うのです。はっきり米価部分なんです。だから今日まで存続されてきているのです。ですから一昨年政府当局がそれを廃止するにあたっては、廃止する部分は基本米価に算入するという態度をとった。これは委員会の承認するところにならなかったのでありますけれども、そういう性格なんです。奨励金ではないのです。それから、二%くらいしか恩典にあずかるものがないなどということは、そういう考え方だからこの前もしくじったわけです。この前もやはり非常に間違った数字を基礎にして議論されたからこれはだめになったわけなんで、これは別にもっと慎重に検討してもらわなければなりませんが、少なくとも基本的にこの考えが違っております。ですから、それにはやはりあらゆる角度から十分検討されて早急に結論をお出しを願いたい。出されなければわれわれの方は国会の方で法案を提案いたしまして国会で決定するほかない、こう考えておるのでありまして、これは早急に一つ御決定を願いたいと思います。時間がないようでありますから、また別の機会にこの問題を論議したいと思いますが、本日の私の質問はこれで終わります。
○野原委員長 芳賀貢君。
○芳賀委員 総理にお尋ねいたしますが、先日の衆議院本会議においてわが党の下平議員の質問に総理はお答えになって、米の食管制度について、現在の直接統制の制度を堅持するということを前国会と同様に明確にされたわけです。そのあとで次いで河野農林大臣がさらに具体的に敷衍をして、農林大臣としては現行食管法の第三条、第四条の改正はいたしません、かかる意味において現行の食管法を堅持するということをまた述べられたのであります。池田総理大臣の食管制度を維持する、直接統制の制度を維持するということは、河野農林大臣と同様食管制度の根幹をなす第三条、第四条の改正を行なわない、堅持する、そういう御趣旨であったかどうか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
○池田国務大臣 私は実はまだ食管法の第三条、第四条を十分に読んでおりません。私の申し上げたことは、食管法の根本というものは、米の直接統制ということは、やはり適正な価格、すなわち再生産に適する価格、もっとくだいて言いますと、最近では、生産費及び所得補償方式、こういう格好で米の値段がきまりましたら、政府は農民の申し出によりまして無制限に買う、こういう原則、そうして、消費者価格の方も、これまた、国民生活の安定向上をはかる意味において、米の値段がきまったならば配給の数量によりまして政府がこれをお売りいたします、このことが私は食管法の根本を流れておる原則と考えております。それで、その原則は私は守って参ります、こう申し上げたのであります。食管法第三条あるいは第四条はまだ読んでおりませんが、主たる原則はそこにあると私は考えておるのであります。
○芳賀委員 一国の総理大臣が一番大事な食管法を読んでおらぬ、その根幹をなす第三条、第四条に何を書いてあるかわからぬということでは、農林大臣が農政面で池田総理の意思に反したようなことを現わしても、あなたは根拠を把握しておらぬからどうしようもないのです。一体、三条、四条を読んでおらぬとすれば、食管法の基本的なものは法律のどこに明らかにされておるか、抽象論でなく、具体的に、法制度の上に立ってこれが厳然としておるからして現在の制度を変えないのだ、そういうことで述べてもらいたいと思います。
○池田国務大臣 総理大臣だから各法律の各条文を全部覚えておるかというと、そうは私はいかぬと思います。私は勉強が足りぬかもわかりませんが、よく覚えておりませんが、食管法第三条、第四条あるいはその他の条文につきましても、私が先ほど申し上げましたように、米の直接統制は続けて参りますという趣旨は、そういう意味で言っておるのであります。あるいは三条、四条に手続規定とかいろんなものがあるかもわかりません。私は記憶いたしておりませんが、読むのは読んでおります。よく覚えておらぬということであります。そこで、この法律のもとの趣旨はこうだ、こう言うておるんです。そこで、あなたは、三条、四条については、米の直接統制ということよりも、直接統制をするについてのいろいろな手段、方法が書いてあるのじゃないか、こう言われるかもわかりませんが、そういうことについてはまだ私は十分覚えておらぬ、こういうことでございます。
○芳賀委員 先般の本会議で、総理大臣は、前国会で述べたと同様に、現在の食管制度は改正いたしませんということを明らかにされたわけですから、その総理の答弁に続いて、農林大臣から特に、食管法の第三条、第四条については絶対にこれを改正いたしません、これは堅持しますということが述べられたわけです。ですから、総理大臣は、河野答弁なるものの本旨は、総理大臣が常に言われておる、食管制度は堅持する、変えないということと全く共通のものであるかどうか、お聞きします。
○池田国務大臣 私は食管法を改正しないとは言っていないのであります。米の直接統制のあの根本方針は変えません、今の制度を続けて参ります、こういうことを言っておるのであります。三条、四条につきまして、河野さんが三条、四条を改正しないと言われたかどうか覚えておりませんが、河野さんの言われることは、私の米の直接統制は続けて参りますということと違いはないようでございます。ただ、いろいろな経済情勢の変化に応じまして、農民のため、国民のためになる新しい構想をお考えになって、これを国民の世論に聞いておられるのでございます。だから、法律を改正するとか、何条かん条という問題では私はないと思います。
○芳賀委員 根本的な問題でいいんですよ。それでは、総理大臣は、現在の直接統制の制度を変えないということは、今まで通りすべてやるということなんですか。
○池田国務大臣 根本は変えないと申しております。そうして、国民が納得し、それに協力し、しかも農民のためにいいということで、枝葉末節のことならば、これは変えるのがほんとうではございますまいか。これが民主主義の進歩的な政治というものであると私は思う。根本は変えませんよ。
○芳賀委員 その変えないという根本を示してもらいたいんです。少なくともわれわれが根本と解釈する点は、農民の生産した米についてはその全量を政府が買い上げる、政府が買い上げた米についてはその全量を国民に、消費者にこれを適正に売り渡しをする、このことが食管制度の根幹であるというふうにわれわれは理解しているし、そのことが形面的には食管制度そのものであるというふうにわれわれは考えているが、その点は変わりがないですか。
○池田国務大臣 そこが問題なんです。あなたは、農民の作られた米は一粒残らず買い上げる、自家用米は別でございますが、一粒残らず買い上げると言われる。あるいは、農民の作られたものは、自家用米を除いて、農民の欲するところにおいて全部買い上げますということと、欲しても欲しなくともみな買い上げるんだということと、経済理論的にはかなり違うところがあるかもわかりませんが、食管法を流れている趣旨から申しますると、農民は自由にする場合が多いのじゃないか、――自由にすることもできるということが今の食糧事情、経済事情から言って農民のためになるのじゃないか、そうして政府が配給規定によって配給いたしますということ、今度は消費者の方から言ったら、そんなかた苦しくなくとも、いつでも買えるようにしておいてくれれば、またほかの方で買うのもいいじゃないかという気持が国民にあるのじゃないかと思う。そこで、私は、幾らでも無制限に買い上げますということは、全部一粒残らず持って来なければいかぬということでいくのか、あなた方の発意によって全部買い上げますというのでいくか、どっちが今の実情に合うかということを、農林大臣、ことに農民にお聞きになったらどうですかというのが、今の現状なのでございます。
○芳賀委員 私たちの聞こうとするのは、今の制度をあなたは変えないというのですね。根本は何かというと、現在農民が生産して政府に米を売り渡しておる。政府は買っておる。そのやり方を根本的に変えないという考え方であれば、それはまた了承するんです。そのやり方がうまくない、生産者の売り渡すやり方、政府が買い入れる方式を、この根幹を変えたいというのであれば、その点もまた明らかにしてもらいたいわけなんです。ただ、現在の通りやるというその根本が変わらなければならぬ、変えたいとすれば、その方向というものを明確にする必要があるんじゃないですか。総理はそのいずれを選ぼうとしておられるか。
○池田国務大臣 これは先ほど来申し上げておる通りでございまして、国民あるいは農民の方々にとって問題は、幾らでも政府が買うんだという原則が大切なのか、何でもかんでも作ったものは自分の自家用以外は政府が一粒も残らず買うんだという趣旨か、この点は時代の進運によって世論に問おうではありませんか。それが私はほんとうの政治のやり方だと思います。河野農林大臣の気持もそうだと思います。もう、やみ米は絶対いかないのだ、そうして取り締まりによって罪に落とすというふうなことよりも、今の食管法の根本方針を堅持しながら時代に沿ったやり方をやった方がいいのじゃないかということを、どうでしょうかということをお聞きしている状態でございますから、まだその世論を聞かずに、どういうように条文を作り直すとかなんとかというところまでいくよりも、本質的なところを議論していただくのが私の庶幾するところであります。
○芳賀委員 一番肝心な本質だけ述べてもらえばいいわけです。これは前国会でも問題になった通り、自民党や政府の国民所得倍増計画の中で、いわゆる民間誘導政策の基調というものは、現在の食管の、いわゆる直接統制方式というものを間接統制に移行さして、将来は自由主義経済の原則に適合するように統制を撤廃するというのが基調になっておるわけです。そうなっておるけれども、総理大臣は、池田内閣の存続する限りそういうことはしない、――自民党の続く限りとは言っていないのですよ。池田内閣の続く限りは現在の食管制度、いわゆる直接統制のこの方式というものを変えません、堅持しますと言っている。そのことは、いわゆる現在の食管法の中に規定されておる基本的な方針、売り渡し、買い入れの方式というものは変更しないということであればわれわれは理解できますが、一番肝心な基本について、今度は農民が売りたいといえば買ってやるようにしたらいいかどうかというような、そういうことであるならば、これは現在の制度の根本を変えるという考え方の上に立っておるというふうに思われるわけです。ですから、ごく簡潔でいいわけです。今の方式というものを維持するのか、これを河野構想のように移行させようとするのか、変えたいと思っておるのか、その点だけ明らかになればいいわけであります。
○池田国務大臣 食管制度の根本の、農民の要求によりまして無制限に買い上げる、そうして、片一方にも安定した価格で売るという食管法の根本は変えません。池田内閣の続く限り変えません。しかし、私がやめて政治責任を負わぬようになったときのことまで、私が次の人に責任を負わすということはいけません。経済は動くのですから。私が責任者の間は変えません。そうして、河野さんの言われるようなことは、私の食管法に対する根本方針をくつがえすものじゃないと私は思っておるのですが、しかし、世論が、こわすものだということになれば、私はまた考え直さにゃいかぬと思います。そこで、そういうときには、世論がこうだし、自民党内もこうだから、河野さん、もう少し考えたらどうか、いわゆる考え方を変えたらどうかということは言うのですが、まだそこまでいっていないのですから、もっとやはり民主的だから議論しようじゃありませんか。私はそれがほんとうだと思います。
○芳賀委員 議論はけっこうですが、今総理の言われた、米の政府買い入れについては、農民が希望する場合にはその希望する数量を無制限に買いましょう、これは現在の米の買い入れ制度というものを大きく変更することになるのですよ。いいですか。現在の買い入れ制度というものを大きく変更さして、やはり食管法の適用になっておる麦の買い入れと同じ方式をとろうとすることになるわけです。ですから、われわれは、繰り返し繰り返し、現在の米の直接統制の基本を変更させるのではないか、そういうことを心配しているのですが、今ようやく総理から、現在の米の買い入れ制度というものを大きく変更させて、麦の買い入れ方式と同じようにこれを移行させる、その場合の姿というものは、農民の生産した米を政府に売り渡したいという希望がある場合にはそれを無制限に買い入れをする、政府以外に売りたいという場合にはどこへでも有利なところへ売って差しつかえありません、これだけ大きく違ってくるのでありますからして、今総理が言われたことが総理のほんとうの腹であるとするならば、その点だけを明確にしておいてもらえばよいわけです。
○池田国務大臣 先ほど来お答えしております通りに、食管法の根本理念というものは私が今申し上げた通りであります。そこで、今の河野構想が世論の支持、ことに農民の支持を受けていよいよ法律になるという場合におきましての手続上の問題は別でございまして、そういうことがよいか悪いかということを今議論してもらっているところなんであります。われわれはその議論に従おうとしている、そういうことでございますから、食管法の根本を、そうして、私が国会で約束したことに違うか違わぬかということについて御検討願えばよいわけであります。
○芳賀委員 では、この点だけを確認しておきたいと思います。総理大臣がしばしば食管制度の基本は変えないと言うそのことは、具体的には、現在の米の生産者から政府への売り渡し方式、また、政府が生産者から買い入れる方式というものはこれを改めて、麦と同じように、生産者が政府に売りたいという希望がある場合には政府がそれを無制限に買い入れる、生産者がもしも政府以外にそれを売りたいという場合には、これはその生産者の選択の自由を尊重して認めて、そうして政府以外に売り渡しても差しつかえない、こういうふうにしていきたい、それが総理の言うところの食管制度を維持するという内容であるかどうか、この点だけを明らかにしておいてもらえば、きょうの質問を終わりたいと思います。
○池田国務大臣 米と麦とを同じようにするか、こういうことでございますが、私は、その問題ではない。米のあり方を、米の統制をどうするかという問題を議論している。麦はどうなって
 いるか。支持価格その他がございましょう。今の麦と同じようにするかということは別問題である。米をどうするかという問題についての御質問に答えておるのであります。今まで申し上げたことは、私は変わっておりませんし、そうして河野さんのお考えと私の考え方は私は違わぬと思いますが、違うというならば、その違う理由を聞きたい、そうしてあと検討しようというのであります。だから、閣議の決定はもちろん、了解もしておらぬ、こういうことでございます。
○芳賀委員 そこで、質問を終わりますが、ようやく、池田総理の構想というものがいわゆる河野構想と全く同じだ、異質のものでないということが明らかになったわけですから、将来の議論というものはまた適当な機会に行ないたいと思います。
○野原委員長 湯山勇君。
○湯山委員 総理に一点お尋ねいたします。先般、今国会劈頭の本会議での総理の御答弁の中で、三十六年度末における総所得の成長は、当初基準にした十三兆六千億に対して、大体一七%あるいはそれを上回るか、とにかくその程度になるだろうというような御説明、御答弁がございました。その条件の中で中小企業対策等もやっていかれるということでございましたが、農業に対する御配慮は残念ながら聞かれませんでしたので、この際お尋ねいたしたいと思います。
 と申しますのは、農業については、総所得十三兆六千億という基準をおきめになるときと、それから、それ以後三十五年末の十四兆二、三千億、そういう実数が出たときとではあまり変わっていないと思います。これは、農業というものの性格から、特にこの間の総所得の伸び、経済の伸びというものが設備投資にあったというそういう条件から考えましても、この中にはほとんど農業の伸びというものは考えられていないだろう、こういうことが考えられます。実際にも、農業だけで言えば一、二%の伸びしかないと思います。ところが、三十六年度の推定は、総理が先般おっしゃいましたように、十三兆六千億に対して一七%程度の伸びが見られるだろう。こういうことでございますから、総所得の伸びの中で農業が一体どれだけの割合を占めておるか、これは推定する以外にございません。総理は全体として御把握になっておられるわけですから、あるいはその中で農業の総生産がどれだけ伸びたということをおつかみになっておられるのではないかというようにも思いますけれども、米価にしても、あれだけの運動があって六%程度しか伸びていないし、麦にしても大体同様の程度、たばこにしても五%程度、こういうことを考えてみますと、せいぜい農業の伸びというものは五%内外、あるいはもっと低いかもしれないと思います。そうなって参りますと、伸び過ぎた、成長し過ぎたんだと言われるその陰で、実際の農業はそういう設備投資等の恩典を受けておりませんから、農業の所得というものは取り残されていっている。つまり、その中で大へん大きく格差が開いてきているということが出てくるのじゃないかと思います。そういうことで、五%程度と計算してみましても、一七%と五%の開きだと一二%、平常の年における所得倍増計画の中では数年分、三年も四年分もの格差がここで出てきたのじゃないかということも考えられるわけでございます。ウサギとカメの競走で、ウサギが休んでいればいいのですけれども、速いウサギの方がとんとん行って、農業がこういう状態だと、これはとてもじゃないが農業基本法の中でいう所得の均衡をはかっていくということとは逆な現象がこの倍増計画の中で起こっているのじゃないかということも考えられます。さらに私どもが心配しておることは、確かに、全体的な経済の伸びの中で、零細農は、農外所得がふえましたから、農家所得においてはかなりな伸びが見られます。しかし、実際に農業をしておる専業農家、そういうところが実際は困ってきている。消費者物価の方は五%近くも上がってきている。所得の方は伸びていかない。格差は拡大してきておる。そういうことが、実際には米を売る農家というのは全部の農家じゃありませんけれども、その米を売る農家が、先般の米価の場合に、北の端から南の端まであれだけ大きな力でとにかく米価の要求をしたということも、そういう点にあるのじゃないかと思います。総理御自身も、何か昨日の新聞の大会のときに、かえって零細所得の方はそんなに困ってないで中間が困っているというようなこともお話しになりましたが、農村では確かにそういう事態がもっと深刻になっております。この上、手直し政策がなされて、あるいはひょっと来年度の経済の伸びを五%というようなことにされたとすれば、今度はそのあおりを食って、零細農、兼業所得で立っていた零細農もまたその中に巻き込まれていく。そうなってくると、この所得倍増計画の第一年度の伸び過ぎあるいは来年度の手直し、こういうことのしわ寄せは全部農村に来るのじゃないか。こういうことに対しては、さいぜんからの御答弁のように、相当お考えになっておる、予算も思い切って組むんだということですけれども、これはよほどの御決断あるいは具体的な対策がそういう面で講じられなければ、農村は、基本法はできたけれども、どうにもならない、倍増計画の中でさらに格差が拡大していく、こういうことになるのじゃないかと思います。国会の御答弁の中では、中小企業に対してはこういう対策をとるんだというようなことがかなり具体的に明確にされましたけれども、農業については一向そういうことのお示しがございませんでした。もちろん中小企業と農業とでは体質が違っておりますから、中小企業にはカンフル的な要素もかなりあると思います。しかし、だからといって農業を今この状態で放置する、あるいは当初お考えになったような状態で置くということは、私は許されないのじゃないかというように思いますので、この一点だけ総理にお尋ねいたしたいと思いますから、一つ今の点についてできるだけ具体的にお答えをいただきたいと思います。
○池田国務大臣 御質問の点は、第二次、第三次産業はうんと伸びるが、農業はあまり伸びないのじゃないか、これはどういうわけか、こういう御質問でございますか。
○湯山委員 一七%というような大きい成長の中で、農業というのはごくわずかしか伸びていない。一方は伸び過ぎて一方は伸び過ぎてない。伸び過ぎてないくらいじゃなくて足踏みしているわけだから、格差がうんと拡大していく。それが具体的にいろいろな現象になって出てきている。
○池田国務大臣 それならやはり私が言った通りの御質問だと思います。それは、私は例を申し上げましょう。先般ミコヤン第一副首相が参りましたときに、私は、ソ連大使館で、政治問題はせず、ミコヤンさん、あなたは経済の方は非常に専門だそうだが、あなたのところは二十年計画で、当初の十年を鉱工業生産二倍半、農業生産を二倍半に見ておられるようだが、ウクライナをうんとよくするためにこういう数字をお出しになったかわかりませんが、私の見るところでは、鉱工業生産、第二次産業と第一次産業を比べると大へんな違いでございますよ、こう話しました。昭和三十四年は鉱工業生産は三割近く伸びております。二割九分。農業生産はたぶん四%ないし五%くらいじゃございますまいか、二十九%に対して。それから、昨年の三十五年は、鉱工業生産は二五%伸びております。農業生産はやはり五%程度じゃありますまいか。ちょっと上だったですか、こんなものなのです。第一次産業は宿命的なのです。今年の見通しで、今までのところは、大体鉱工業生産は前年の各月に対しまして二二%ふえております。しかし、今後あの緊急の一連の措置でこの二二%の分がどうなるかということについては今検討いたしておりますが、私は少し下がってくれなければいかぬのじゃないかと思っております。そうして農業の方はやはり上がっていく。それで、誤解があっちゃいけませんが、来年、再来年五%というのは、十一兆六千億を基準にして三十八年は十七兆六千億、今これだけ上がったから、十七兆六千億にするんだったら大体五%くらいでも目的は達するというだけであって、来年、再来年を五%にするという意味じゃございません。五%にしたらかなりの不暑気が来るでしょう。その点は今後の様子を見ながら考えていかなければなりません。そこで、農業というものはそういう宿命的な産業であるから、農業所得自体をふやすことももちろん必要なんだが、一人当たりの所得をふやして他と均衡さそうというのが私の前からの考え方であり、今湯山さんが言われるように農業人口がどんどん減っていくというのは自然の勢いなのです。アメリカは二十年間で農業所得は倍になりました。しかし人口は二〇%が一〇%切れたために一人当たりの農業所得は二十年間に四倍になっておる。人口が二十年で半分になっておる。それを私は言っておる。だから、農業という原始産業の宿命的なところを全体としてふやすのみならず、一人当たりの所得をふやしていくということが、りっぱな農業を打ち立てるためにいいんじゃないか、こういうことであります。だから、第一次産業と第二次産業、第三次産業の伸び率は、どこの国でも違う。しかしソ連だけは違わぬようなことを言っておるから、私は、ミコヤンさんに、あなた間違いじゃありませんか、よく実績を見ましょう、日本はこうだと言ったことがございます。だから、鉱工業生産は伸びる、農業は伸びぬ。しかし、六%くらいの伸びならば世界のどの国に比べても農業生産の伸びは私は劣っていないと思います。
○湯山委員 私がお尋ねしておる要点は、他産業の伸びが非常に大きいということは、これは池田総理大臣もお認めになっておる通りです。それに比較して農業生産の伸びは実際は計画通りに伸びていない。かりに計画通りに伸びたとしても、そこに格差が大きくなってきている。これもおわかりになると思います。そうすると、農業基本法では、池田内閣の施策として格差を縮めていって所得の均衡をはかっていくということが重大なポイントであったけれども、他産業の伸びに順応して、今のように、一方が二〇%だからこれも二〇%というわけじゃありません。当初の九%の中で五%伸びるというのと、一七%の中で五%伸びるというのでは、格差においては大へんな開きが拡大してきておる。こういう事実が具体的に中間農を非常に窮地に追いやっておる。それからまた、池田総理は、いい人がいい農業をやってもらうということを前におっしゃいましたけれども、今年度の私の聞いた例では、中学卒業生で一名も農村に残る者がない、こういう事実も具体的に出ておるわけです。そういうことを見て参りますと、今こういう格差の拡大していく状態を何とかして詰めていく、そういう希望の持てるような施策を急速にやらなければ、現在中小企業に対してこの中で特に対策を立てるというのを言われるのと同じような気持で農業に対しても何らかの対策を立てなければ、農村は一そう格差が拡大するし、お考えになっておるような農業というものができてこないのじゃないかということを心配してお尋ねしておるわけですから、もう一度一つ御答弁願います。
○池田国務大臣 今話したことでおわかりいただけると思いますが、農業生産と他の生産とを同じ伸び率にするというのじゃない。ソ連はそう言っておりますが、私はそれはできぬと思う。だから、一人当たりの農業従事者の所得と他産業の従事者の所得とを均衡させよう、こういうことを言っておるわけです。だから、それはどうやっていくかというと、アメリカの例を引いたわけです。片方は生産が上がるけれども従事員が多くなる。片方はある程度生産が少ないけれども従事員も少なくなってりっぱな農業ができる。これを早くやろうというのが農業基本法を御審議願ったところなんです。今回の臨時国会におきましても、その関係法で一日も早く行ないたいために、私は臨時国会で農業基本法に関係する法案をできるだけ早くこの委員会で通過させていただくことが湯山先生のお気持に沿うゆえんであると考えております。
○野原委員長 稲富稜人君。
○稲富委員 至って短時間でございますので、要点をつかみまして二、三お尋ねいたしたいと思います。
 過般の国会におきまして農業基本法が通過いたしたわけでございますが、実は、農業基本法の審議の過程におきまして、私、総理に対しましても政府案の農業基本法の内容に対しては、われわれとしては足らざるところはずいぶんあるのだ、これに対していろいろわれわれも進言したいと思うから、そういう場合は修正でもできぬのかということをお尋ねしたときに、総理は、いい案があるならばそういうことに対してもやぶさかではないのだ、いい農基法を作ってもらいたいという総理の答弁を得ておりました。私たちはその機会を実は待っておったのでございますけれども、御承知のごとく、農業基本法はその機会がなくしてついに国会を通過いたしたのであります。ただいまも御意見がありましたごとく、これに関連した法案が今回は提案されると思いますので、関連法案等を通じまして、農業基本法で私たちの不満であるところ、農業基本法の内容で満ち足りないところ、こういう点に対しましては、所管庁に対する質問討議等を通じまして、そうしてわれわれは十分慎重にやりたいと思っておるのであります。それで、そういうような考え方に対しては、総理は依然として前の国会当時とお変わりないのであるか、これは繰り返すようでありますけれども、一応念のためにこの機会に承っておきたいと思います。
○池田国務大臣 前の国会で申し上げました通りでございます。
○稲富委員 この農業基本法の成立の目的というものが、ただいまも議論されましたように、農業所得と他の産業に従事する方の所程との均衡を保つということがその主体であることが明らかにされております。ところが、今も湯山君の質問の中にもあったのでございますが、農業が他の産業の伸びるように伸びることができないという一つの宿命的な産業であるということは、総理もただいまおわかりのところであります。それで、その中にわれわれが農業所得を増大して他の産業と均衡を保つようにするためには、政府としてのよほどの心がまえとそれに対する熱意がなければいけないと思うのであります。これに対しては、本日の委員会におきましても、先般の本会議におきましても、総理は農業に対しては保護政策をもって臨まなければならないのだということをはっきり意思表示をされております。問題は、保護政策ということになりましても、その内容がどうかということだと思うのであります。保護政策と言うことは簡単だ。しかしながら、どの面においての保護施策、保護政策というものをやっていくかということが大きな具体的な問題として取り上げられてこなければいけないと思うのであります。この問題で一番問題になるのは、これはきょう藤田君も質問しておりましたけれども、農民所得を増大するということの一番大きな問題は、やはり農産物の価格の問題が大きな役割を占めていると思うのであります。従来の関係は、御承知の通り、農産物というものは生産性を向上いたしますと価格が暴落いたしまして、豊作貧乏ということが農村経営の上に起こってくるのでございまして、これに対しては政府が十分なる価格政策を維持するということが必要であると思うのでございますが、これが農業基本法においては価格政策についてつまびらかでない。私たちは、農業基本法の精神を生かすために、農民の生産所得を増大することに対しては価格政策に対していかなる方法をとるかということが最も必要条件であらねばいけないと思うのでございますが、これに対してどういうような具体的なお考えを持っていらっしゃるのであるか、ただ需給関係によって価格を安定するのだということだけでは非常に不満であると思うのでありまして、これに対する具体策を総理としてはあるいは農林大臣としてはお示しになるつもりであるか、この点、この機会に承っておきたいと思います。
○池田国務大臣 お話の通りに、豊作貧乏の言葉も知っております。価格政策ということは、生産体制とともに考えなければならぬものだと思います。各国もそれをやっております。そこで、今日本では米については相当やっております。麦もある程度やっておりましたが、今後なかなかむずかしくなっていくと思います。イモにしてもそうであります。澱粉もそうであります。今後農村が伸びていく場合におきましても、酪農とか、果樹とか、畜産関係とか、いろいろな問題があると思います。そこで、農政審議会等で検討してもらう。その検討の内容に、この前の国会でも、鶏卵が入っていないじゃないか、こういうようなお話がございました。鶏卵を入れるか入れないかの議論がございました。しばらく様子を見ようということになっておるのでございまして、生産規模体制だけで、これで農業従事者の所得がうんと向上するというわけのもので毛ない。やはり価格政策というものがうらはらの問題であることは当然のことでございます。
○稲富委員 それは当然のことでございますけれども、実現に対しては具体性がなければいけないと思いますので、今の総理の御意見からいきますと、審議会等で価格対策に対する具体的な問題が出てくれば、これを政府はくんでいくのだ、またそういう価格政策に対しては積極的に政府はこれと組んでいくのだ、こういうような熱意がおありになるのか、そういう御意思であるかどうか、この点承っておきたいと思います。
○池田国務大臣 価格政策というものは必要でございます。しかし、いかなる種類のものについてどういう価格政策をとるかということは、農政審議会等できめなければいかぬ、そこで、私は、そういういろいろな問題がありますし、画期的の農業基本法というものを一日も早くやっていこうじゃありませんか、そうして、十分ではないかもわかりません、また今十分であっても来年、再来年は不十分になるかもわからぬ、だから、早く出発して農民に安心をしていただくように、そうして前向きでどんどん進んでもらうように、中学生も優秀な者は農村に残るように、一つ希望を持ってもらおうというのが考え方でございます。価格政策をどうするかといっても、これを早く実行して、米のような価格政策でいいか、あるいは牛乳とかバターはこうやるけれども、鶏卵はどうやるとか、いろいろな点があると思いますから、早く出発していただきたいというのが私の念願でございます。
○稲富委員 いま一点、次の大きな問題は、やはり農村金融の問題だと思います。今日やはり農業基本法に関連いたしました近代化助成資金等の立法措置も承っておりますが、現在の農業という産業の伸びが他の産業の伸びより低い。現在の農村の状態から見て、高率なるしかも短期の農業金融というものが実際に農村経済にどれほど役立つかという問題が起こってくると私は思います。従来の農村金融を考えておりますと、政府は政府としての財政的な理由によってやむなく短期あるいは高率の金利だということがよく言われておるようでございますが、私たちは、少なくとも農村金融というものは、政府の財政的な状態じゃなくして、農村経済の状態に沿った金融制度を確立することが必要であると思う。そういう点から申し上げますと、今日の政府の考えておられます農村金融というものは、あるいは期間において、あるいはその利子の点においてきびし過ぎる。はたしてこれでほんとうに農村の経営、農村の建設ができるかという、こういうような不安が私たちはあると思うのであります。これに対しても、やはり積極的に政府は取り組んで、財政処置等をやって、低利の金融をもっと積極的にやるべきだ、こう考えておりますが、今度の近代化資金なんかを見ておりますと、金利が高うございます。こういうことに対して総理はどういう考えを持っておるか。ただ単に農業基本法を作ればいいんだ、おそらくそういうようなことじゃないだろうと思うのでありますけれども、せっかくお作りになったならば、ほんとうに農村を立て直すような、農民の喜ぶような金融措置をとることが当然であると思いますので、これはどうせ機会を見まして農林大臣等にもお尋ねしなければいけない点があると思いますけれども、総理並びに大蔵大臣が見えておりますので、この機会に総理からこれに対する考え方を承りておきたいと思うのであります。
○池田国務大臣 戦前の農業と今の農業とは変わってきております。米麦中心が今度は果樹、畜産の方に変わってきておる。もう経済状態が変わってきております。それから、思想的には、農業というものは補助金ということが明治、大正、昭和の戦前は主でございました。しかし、戦後に至りましては、補助金よりも金融がいいじゃないかという議論が出まして、私が前の大蔵大臣のときに、農林漁業金融公庫というもので、補助金ももちろん状態によっては必要でございますが、一つ金融で進んでいった方が希望が持てる、それがまた能率的だということでああいうものを設けたわけであります。しかし、まだ十分御希望に沿いかねる点もあります。だから、農業経済というものを財政的な面から考えるということは、もう時代おくれなんです。だから、経済的に考えていかなければいけない。しからば、農民自体がほんとうに経済的に考えるようになってくるかというと、まだそうもいっていない。私は、農業金融の根幹をなしておる農林中央金庫あるいは農協、県連それから農中、この金の使い方なんかにつきましてももっと議論してもらいたいと思うのです。四千億円から出る米、四千数百億円になりましょうが、その金が時間的に季節的にどう動いているか。最近は日銀の売りオペを百五十億円にするとか二百億円にするとかで議論しておるようですが、その実態はどんなになっておるかということはあまり議論になりません。農民の金を農民が使おうという建前を立て、そうして、農民の金を農民で使おうというときにそれが非常に足りないというときには、政府の財政資金によるかあるいは政府の預金部資金、金融的な資金によるかというふうなことを十分検討して、しかも今後の果樹、酪農というものは長期の資金ですから、こういうものは経済的に考えて足らざるところを財政的に考える、こういう頭の切りかえが必要なんじゃないかと思います。だから、とにかく、金のあるないの問題は二の次で、やはり農家がよくなっていくようにすることで、金はインフレを起こさないように大蔵大臣が十分作るということ、あり金をばらまくなら、何もこれは大した苦労はないのであります。ないところをうまく作ってやっていくのが、これがいわゆる鶏と卵で、飼料をたくさんやって卵を生ますように大蔵大臣にやってもらいたい、しかも低金利で、こういう考え方に立っております。
 だんだん変わりつつありますが、農業基本法を契機として、もっと頭の切りかえをする、農民の方、あるいは農業関係の金融に携わっておる方、そうして政党も政府も農業基本法というものをもっと高く評価していかなければならぬと考えております。
○稲富委員 これは、総理、非常に政府の考え方が、悪い言葉で言いますとずるいと思うのです。もちろん農村の金融というものは、今度の近代化資金もそうでございますが、農村の金を農村に回すのだ、そういうことも必要でございますが、しかし、それなら、やはり農民負担の少なくなるような利子補給なり、そういうことをもっと積極的にやって、ほんとうに農村経済に役立つようなこういう金の貸し方が私は必要じゃないかと思う。農民は非常に金に因っております。経済が困っておりますから、借りるときは少々金利が高くても借りるのですよ。ところが、これが将来の経営にほんとうに役立つかといいますと、農民の立ち上がりに対しては非常に不十分な点が多いので、やはり、政府はもう一つ進んで、農村の金を農村に利用するならば、この金利に対してはもっと積極的な施策をやるとか、あるいは政府みずからの金融を農村のために開く。しかもこれは、やらなくちゃできないとおっしゃることはわかっておりますけれども、問題は、率直に言えば、安い金をしかももっと長く貸してもらいたいということなんです。農村というものはほかの産業と違いますので、直ちにこれの回収はできないわけなんです。その点、十分農村経済の状態を考えた金融というものを考えてもらわなければ、ほかの産業のような考え方ではいけないということなんです。これは私がそういうことを言わなくとも総理は十分御承知だと思いますけれども、遺憾ながら現在の農村金融というものはそういうような状態に置かれていないので、今日農業基本法がせっかく通りましたので、これを機会に政府の考え方も一つ変えてやっていただきたいというのが私の考え方なんで、その点を総理にお尋ねしておるわけなんです。
○池田国務大臣 今申し上げた通りで、どんどんやっていこうじゃございませんか。私はそれよりほかに答えることはないと思います。
○稲富委員 いろいろお聞きしたいこともありますけれども、また農林大臣に機会を見てお尋ねすることにして、総理に対してはこれで一応終わります。
○野原委員長 湯山勇君。
○湯山勇君 それでは、時間もございませんから、できるだけ簡単にお尋ねいたしたいと思います。
 その第一点は、今年度の米価決定にあたって、ああいう米価のきめ方というのは農業基本法の精神に反するというような批判が新聞論調にもありますし、あるいは評論家、学者あるいはその他からも相当出たことを農林大臣は御記憶だと思います。そういう中で現在の買い上げの制度というものは維持していくんだということをおっしゃいますと、ひょっとすると、先ほど大臣が御答弁になりました、農業基本法を基軸として保護政策を進めていくとか、あるいは基本法プラスアルファでいくとか、そういうことと若干食い違ってくるんじゃないかという心配がございますので、私は農業基本法を中心にしてまずお尋ねいたしたいと思いますので、この点について現行の生産費・所得補償方式というものを継続していくことと基本法との関連をどうお考えになっておられるか。もしその間に矛盾がないとすれば、他の農産物の価格支持政策についても同様のことが行なわれていくのじゃないか、行なわれていいんじゃないか。とすれば、私どもの出しておった基本法と同じことになりますので、その辺のことをまず伺いたいと思います。
○河野国務大臣 ただいまお話のありましたように、一万一千五十二円五十銭の米価が決定せられました当時に、少し高過ぎる、これでは農業基本法の線に沿って他の農業が伸びていく余地がないじゃないかというような議論もあったことも私は承知しております。しかし、私は、米価の一万一千五十二円五十銭というものが割高にきめられたという感じは持っていないのでございます。むしろ妥当な価格に決定になったと思うのであって、これが基盤となって、これより以上に収益のある農業を包蔵して参ることが将来の農家経済を安定させる上において必要なのである、そういうものを目途にして他の農業政策を進めていくべきものだ、具体的に申せば、この米価を基準にして、現在の割高の米作農家は他のより有利な農業を形成できるように奨励して参るべきものである、こう考えております。が、さればといって、今湯山さんの御指摘になりましたように、すべてのものを生産費・所得補償方式で決定していったらどうだという御意見のようでございますけれども、これは物によることで、米のように貯蔵も有利であり変質もいたさないというようなものと、他の農産物がすべてそういうことでやり得るかどうかということになりますと、必ずしもそうはいきかねるものがある。従って、農産物の中で価格支持政策を実行可能なものと非常に困難なものとがあります。困難なものにつきましては、奨励費等によって価格差を補償するというような方式によっていくのが適当なものもありましょうし、物によって私は変えていくべきじゃないかと思います。これを一本の農産物価格支持政策でいくということはなかなか困難である、こう考えます。
○湯山委員 今米についての具体的な点は大臣のお話でよくわかりましたが、私は、基本法の建前と、それから今の食管法の建前、そういうことについて一応原則的なお尋ねをもう一度いたしたいと思います。
 というのは、御存じのように、基本法の第十一条では、生産事情、需給事情その他の経済事情ということを参酌してきめていくということであって、必ずしも生産費を補償するとか所得を補償するとかいうことは言われておりません。ことに支持価格制度をとるということさえも基本法の中では抜けております。この審議も十分されておりませんけれども、今の委員長の野原さんが当時委員で、前農林大臣にこの問題でお聞きしたときに、当時のお答えはこうなっています。需要に応じた生産、これをはかっていくのだ、簡単に言えば、作った物が、必要な物が売れていって、そこで価格がきまっていくということが原則である、従って、やむを得ない場合のみの方策として価格支持政策はとるのだ、こういう御答弁があったわけです。しかし、私は、そういうやむを得ない場合にそうするというのじゃなくて、現実には七割以上のものが、品目じゃなくて量としては支持価格制度をいろいろな意味で受けているわけですから、これをくずしていくということはできないと思いますし、ことに保護政策をとっていくという点から言えば、これはやはり一つの大きな柱になると思います。その支持政策をとる場合に、単に需給事情、生産事情その他というようなことでいくのか、需給事情、生産事情あるいはその他という中に生産費及び所得補償という要素も入っておるのかどうか。生産費・所得補償ということと、それから今基本法に書かれておる価格安定の要素というものとの間に矛盾があるとすれば、大へんな問題になると思いますので、その点についての大臣のお考えを伺いたいと思います。
○河野国務大臣 私は矛盾があるとは考えておりません。ただし、農産物の価格決定の形成といたしましては、基本法にはまず比較的妥当に明示してあるのであって、米につきましては、従来の関係もありますし、従来の関係と申しますれば、非常に不足した当時にこれを強制供出せしめております関係等もございますというようなことから、また将来の農村の基盤になるものでございますし、そういったようなことからいたしまして、農家経済の基盤になるものでございますから、これについては安定性を強く主張するということに明示しておるじゃなかろうかと思います。
○湯山委員 麦につきましても、先般出ておった法案の中では若干の幅ができておったと思います。パリティを下らないように他の事情を考慮してきめるという従来のものが、先般の麦の政府買い入れの特例法では、そういうパリティを下回らないということは抜けて、パリティ、需給事情と並列的な、かなり幅のあるものになっておりました。もし基本法ができたらそういう体制をとるのだということになれば、将来の価格政策についての農民の不安は拡大してくると思います。そこで、麦等についてもやはり従来のものが踏襲されるのかどうか。
 それから、先ほどの所信の御表明の中に、畜産物及び青果物については価格政策をとっていくのだということがございましたが、畜産物の場合も同様に考えられるか、あるいは、青果物についてはまだ法案も出ていないのですけれども、青果物についての価格安定法というものを御考慮になっておられるかどうか、これもあわせて、時間がございませんからお願いしたいと思います。
○河野国務大臣 お答えの順序が変わるかもしれませんが、畜産物については御承知の通りであります。
 青果物につきましては、実は準備調査等がなかなか困難でございます。しかし、これはやらなければならぬことと考えますので、実は、明年度の予算等におきましては、さしあたりタマネギ程度をやってみたらどうだろうか、一つ一つ順次試験的にやっていってみて積み上げていったらどうだろうかというふうに考えておるのでありまして、手をつけてみようという段階に立っておるわけであります。将来はできるだけやる考えでおりますが、何分、青果物等につきましては、先ほど申し上げました通りに、米、畜産製品等とは違った要因が多うございます。非常に困難が多いものでございますから、かえってやることによって逆効果が出るようなことがあってもいけませんし、成果が全くあがらぬということがあってもいけませんし、十分研究を加える必要がある。と同時に、全然手をつけずして手をこまぬいておるわけにいきませんから、今申し上げたような程度で明年はいってみたいということで、せっかく部内において研究をさせておるところでございます。
 それから、麦について御指摘でございますが、麦は、御承知の通り、暫定的に今の方法をやっておるのでございまして、将来につきましては、一応これらのものが安定したときに一つ基本的に考えたい。これは先ほど総理からもお話しの通り、農産物全体についてどういう価格形成の上に農業経済を固めていくかという基本のものになるのでございますから、私といたしましては、今露骨にはっきり申し上げますと、これは農村の方でも御了解いただけるのじゃなかろうかと思いますことは、農産物の対米の比価というたらどういうことになるかわかりませんが、中心であります米に比べて大体どれはどのくらいの価格ということが、従来の農家経済の慣行にもあったと私は心得ます。これらのものが戦時中に戦争経済遂行上価格が非常にゆがめられておるものもございまして、その基盤に立って進んで参っておるものもあります。さればといって戦前の自由時代にこれをすみやかに戻すという考えはございません。が、新しい時代に新しい価格形成の上においてどういう程度が一番よろしいかということも検討を加える必要があるのではなかろうかと思います。問題は、価格支持政策になりまする基盤として、どの価格はどの程度にこれを基盤にしてこれを安定せしめるかという基本になることが一番私は大事と思います。そこで、そういうもの等についても実ははっきりしたものは持っておらぬわけですが、これらについても十分研究した上でものを進めていかなければならないのじゃなかろうか。何分、基本法は作りましたが、すべての準備がまだ十分できていないものでございますので、これらをいたずらに急いで失敗をするということも適当ではないと思いますから、十分万全を期していくという考えで、その間においては従来の保護政策、従来の行政を続けていくということでいきたいというのが私の考えでございます。
○湯山委員 麦についてはまだお聞きしたいこともありますが、これはまた法案のときにお尋ねしたいと思います。
 今、青果物については、タマネギについてさしあたって発足してみたいというお話でございましたが、選択的拡大の成長財としては、畜産、果樹ということはだれも異議のないところだと思います。ただその果樹も必ずしも現在安定していない面があると思います。早い話が、ことしの麦のああいう対策のあおりを食って、イチゴをたくさん作った、そのイチゴのあおりで、リンゴとか夏ミカンというものは相当終わりがたたかれて参りました。こういう事実から考えてみますと、ことに永年作である果樹というものは、法の適用がなければない方がいいのですけれども、やはりどこかで価格安定の対策がなければ実際はこわくてできないという要素が、もうすでに出かかっておると思います。そこで、タマネギということではなくて、さらに大臣のそういう方面における強力な推進をお願いいたしたいと思います。
 これは希望を述べる程度にとどめまして、同じ選択財、成長財でありながら、若干私は農林大臣のきょうの御所信の中で不満に思いますことは、貿易自由化に伴って、この中に、「米麦、酪農製品等わが国農業において重要な地位を占める品目については、相当期間輸入制限を存続する必要がある」、こういうことが述べられておりますけれども、くだもの関係については全然お触れになっていない。しかも自由化の品目の中にももうすでに発表になっている。これは私は非常に片手落ちではないかと思います。従来農林省がおとりになった態度も、そういう態度ではなくて、くだものについても将来重要な作物であるからこれの自由化は困難であるということを農林省自身もお述べになっておられますし、基本法審議の中でも、同じように、たとえばヨーロッパ共同市場の七カ国においても、あるいは自由貿易連合の五カ国においても、ガット二十五条の承認を得て農産物は保護しておる、わが国もいろいろ困難はあろうけれども、そういう重要なものは特に果樹、畜産等重要な部門については、今後育成するために、困難があってもやはり保護していかなければならないということを述べておられます。ところが、今成長財として重点的にこれをやっていこうと言われる中で、果実をこの中に入れておられないということは、私はどうも片手落ちではないかという印象を受けるわけです。しかも、基本法の中では、輸入制限をするまでの段階というものは相当複雑な手続がございます。一挙に直ちに輸入制限とか関税措置がとれるというふうには基本法の中ではなっておりません。これは大臣御存じの通りです。そうすると、もし来年十月、くだものが全面的に自由化される、果汁等もあるいはされるのではないかということも言われておりますが、そうなった場合には、せっかくの成長財として選択的拡大をしようというものが、そのことによって挫折する。こういうことは相当心配されておるところですけれども、これについて何かお考えがおありになればお聞かせ願いたいし、あるいは場合によれば自由化は取りやめるんだという御決意をお示しいただければ私は大へんけっこうだと思います。
○河野国務大臣 実は、わが国のくだもの類が、欧米各国を回りまして、実にみごとなりっぱなものだという意見を非常に深くいたしました。ところが、その反面において、わが国のくだものは非常に高い、割高である、これは一体どういうわけだろうか、ここに考えを入れなければならぬのじゃなかろうか、そういう意見を非常に深くしておるのであります。くだらぬことを申して恐縮ですが、ミカンはどんどん輸出する。カン詰を一番輸出する。そうでなくても、先ほど総理が申された通り、アメリカにも実は輸出したい。アメリカの方は消毒さえちゃんとしてくれれば話にのってもよろしいというようなことで、実は話をしております。ミカンがそれだけにいけて、ほかのものが向こうの圧迫を受けて、こちらの方がいかぬというのはどういうわけだろうか。たとえばリンゴに例をとってみますと、リンゴは生産者価格と消費者価格の間には三分の一、十円のものが三十円で売られる。二十円のものが六十円になるというくらいに値開きがあるのではないかと思います。こういうことは一体どこにそれだけのものがかからなければならないのかという点ですが、どうも、くだものに対する消費慣行が、中間において、包装において、もしくはそれを非常にきれいに作り上げて、ほんとうに作ったものとは別に中間においていろいろ、むだということが当たるか当たらぬかしりませんが、金がかかり過ぎる。従って、もっとくだものを思い切って安くして、内容、実質を国民が消費するんだという慣行が生まれてきたならば、もっと安いくだもの、生産者の手を離れる価格で、消費者までの間の中間経費がもっとうんと減ってくるならば、消費量も相当にふえるのではないか。これはもちろん御承知のことと思いますが、くだもの消費量が世界で一番少ない。イタリアの半分、その他の諸国に比べれば三分の一だという程度のくだものの消費量であるならば、わが国のくだものはまだ消費の面において五割ふえるとか倍額ふえるとかいうようなことがあってしかるべきである。そうなっていないのは価格が高いからである、おそらく、畜産製品のように、一般の所得が今日の段階になってくればもっと消費がうんとふえるだろうが、ふえるにはもっと値段を下げなければならぬということを主たる果樹の政策として持っていきたいというのでございまして、そこまで持っていくために、自由化すれば支障があるならば、これは厳に押えて差しつかえない。わが国の農業を成長拡大さす上において支障のあるものはどんどん押えるべきだ。この点については私は少しもやぶさかでありません。ただ、私は、今の値段を維持するために輸入を押えなければいかぬということには賛成しかねる、こういうことでございます。たとえば、先ほど総理からレモンの話がありましたが、レモンについても総理同様の見解において、私は、レモンはもっと安くていいんだ、安く下がっても日本のレモン生産は維持できるんだということを専門家の検討を得て方向をきめていきたい、こう考えております。
○湯山委員 私も、今大臣の言われた通りのことを、先般果樹振興法の審議のときに、あまりにも手間がかかり過ぎる、生産者の手間もかかり過ぎるし、中間経費もかかり過ぎる、むしろその食べ方の指導をしたらどうかというようなことを申して、その御努力を当局にもお願いしたわけでございます。今、競合するリンゴとかそういうものだけじゃなくて、バナナなんかが相当入ってくるということで、相当バナナの入り方も多くなってくると思います。すでに台湾だけじゃなくて中南米等からも入っておりますから、自由化されれば相当多量に入ってくる。しかも差益金は今一〇〇%程度とっておるでしょうけれども、関税ではとてもそんなにはとれないと思います。こういうことをいろいろ考えてみますと、来年、再来年というのじゃなくて、あるいは五年向こうとか、あるいはもっと七年向こうとか、そういう期限を切って自由化いたしますならば、また対策も方策もあると思いますけれども、もうきょうが十月に入っておるから、あと一年間で自由化するんだと言われても、とても対策が立たないと思います。そういう点から、大臣が今おっしゃったように、そういうことなら延ばしてもいいんだということであれば、私はくだもの関係の輸入については何年か時限を切ってでもいいから伸ばすべきだと思うし、ぜひそうしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○河野国務大臣 今私が申し上げた通りに、しいて言えば、くだものに対する消費をもっと増大する、消費を刺激するという意味からも、安いくだものが多少入ってもいいじゃないか。ただし、それによって国内のくだものを圧迫するというようなことであるならば考えなければならぬ。私は、今申しましたように、どこまでも国内生産に圧迫を加えるということであるならばこれは押えることにちっともやぶさかではございません。ただし、五年限りとか何年限りということになりますと、その間つい刺激が薄くなりがちで改良がおくれる、進歩がおくれるというようなきらいがありますので、機宜の処置は決して怠る考えはございませんから、一つ、なるべく消費の増大、そして湯山さん今おっしゃったように、生産の上の手間を省いて、そして中間経費も落として、もっと安いくだものをどんどん国民に供給するというような方向へいくべきだ、こう思うのでございます。
○湯山委員 次に、構造改善の問題について基本法に関連してお尋ねいたしたいと思います。
 構造改善については、基本法審議の中でもかなり追及はされましたけれども、明確にされておりませんでした。というのは、所得倍増計画の中で、十カ年の後に自立経営農家二・五ヘクタールの三人労働で一百万の粗収入、そういう自立農家を百万戸作るというようなことについても、これは一応の目途であって、そうなるかどうかということは今後の推移を見なければわからないんだというようなことや、他の関連した総合政策の中でそういうことができていくわけだから、今ここで農業政策の中でこれをどうするこうするということも言えないんだというような程度のことしか明確になっておりませんでした。きょう大臣の御所信の御表明の中を児ますと、かなり具体的な項目があげてございます。適地通産、主産地形成とか、高度技術の導入その他いろいろな諸施策をおあげになって、そしてこれらの諸事業を総合的かつ計画的に実施するためには、全国にわたって農業構造改善事業を強力に推進しなければならぬのだ、つまり、そういうことをやっていくためには、まずもって強力に全国的に構造改善政策をやらなければならぬのだということが述べられております。ところが、実際はこの構造改善についての農民の心配というものはなお払拭されてはいないと思います。たとえば貧農切り捨てというようなこともあるでしょうし、あるいは統制の撤廃というような問題もあるでしょうし、あるいは転業して行く先の問題、いろいろあって、この点については相当不安があるわけですが、ここで大臣が構造改善事業を強力に推進するということは、一体どういう内容でしょうか。倍増計画第二年になるわけでございますし、基本法もまた来年度は実質第一年になるかと思います。けれども、いずれにしても、基本法の自立農家の育成とか、あるいは倍増計画の中のああいう形の自立農家の百万戸育成というようなことを強力に進めていくという内容を持っておるんだとすれば、私はもう少し詳しくお聞きしないと了解しがたい点がありますので、この構造改善事業を強力に進めるというのは一体どういうことなのか、それと倍増計画にいうあの構造改善の具体的な内容とどういうつながりを持っておるのか、それを伺いたいと思います。
○河野国務大臣 実は、通常国会の当初に所信を表明いたします場合でございますと、予算の編成も終わり、一切の計画が具体化いたしておりますから、大へんお話が申し上げやすいのでございますが、たまたま臨時国会でございますし、明年度予算の決定もまだ見ておりません。まだ私農林大臣として大蔵省に予算を要求いたしておる段階でございまして、最終決定をしておりませんし、また、内輪のことでございますが、党の政調会等においても説明中でございまして、まだ最終決定を見ておりません。従って、たまたま臨時国会にあたって所信を申し上げる段階に当面いたしましたために申し上げたことでありまして、一応私の考えとして明年度予算を要求いたしておるものを申し上げたのでございます。それは、先ほども実は藤田さんに申し上げました通りに、おおむね全国の三千三、四百カ町村、その中の大都市周辺の農村は将来のことを勘案いたしましてこれを一部除きまして、そうして他の残った三千数百の町村を村ごとに構造改善していこう、それに対してはおおむね一村一億ないし一億二千万円程度の国費を導入してやっていきたい、こういうことでございまして、案その他具体的なものについては、実は、先ほど申しましたが、九日に農政審議会を開会いたしまして、審議会に御相談を申し上げまして、そうして最終の方向をきめたい、こう思っておるのであります。従って、まだ未熟なものでございまして、農政審議会のお力を拝借して、そして党の方の御意見も承って、さらに大蔵省を説得して最終決定をいたしたい、こう考えておるのでございますから、本日はこの程度で一つ御了承をいただきたい。
○湯山委員 今の点については了解できます。ただ、構造政策を進めていくという内容が、今の三千町村なら三千町村の中で二町五反程度の自立農家を作る、つまり就業構造を変えていくということを進めていこうとしておられるのか、それだけじゃなくて、もっと別の若干の内容を持っておられるのか。今大臣がおっしゃられたように、固まってない段階でございますから、それについてどうこう言うつもりはございません。ただ、そのおっしゃっていい程度を明確にしていただきたいと思います。
○河野国務大臣 私は現状をあまり強く変更しようとは考えておりません。もちろん、できるならば交換分合も願えればけっこうでございますし、土地の造成等についても可能であるならばけっこう、要は地元の各農協の役員もしくはそれぞれ農協関係の役員諸君に基盤を置きまして、それらの諸君からその村に適地適作の農業経営を一つ御計画いただきまして、それを中央においてなお懇談してそれぞれきめていこうという考えでございまして、そうする場合に、大体個人施設を三分の一、公共施設を三分の一、個人施設は資金の融通でいきたい、公共施設は補助金でいきたい、その残りの三分の一は、現に農林省が予算をもっていろいろ実施いたしておりますものを重点的にそれぞれの町村に振り向けるものを三分の一ということに経費の方向を定めまして、私は十ヵ年と考えておりましたが、今党の方から五年にしたらどうだというような案もございまして、この五年についてはまだ決定いたしておりませんが、おおむね五年ないし十年の間に三千数百ヵ町村を全部やろう、こういうことであります。
○湯山委員 今のようなお考えですと、先般基本法関連法として農地法、農協法が審議されておりましたが、まだ今度は出されていないようでございます。総理大臣から早く通すように頼まれましたけれども、出ていないので何とも言えないわけですが、これは前回通りお出しになられるお考えなのか、あるいは今のような御構想から若干の訂正を加えてお出しになる御予定なのか、それを伺いたいと思います。
○河野国務大臣 大体は同じでございますが、若干手直しして出したいと思っております。なるべく早く提案いたしたいと思っております。
○湯山委員 手直しの内容はまた法案が出てから伺うことにします。ただ、ここでお尋ねしたいことは、今いろいろ共同化――先ほどもプラス・アルファのお答えもございましたし、何万羽養鶏というのははたして農業であるかどうかというようなこともちょっとおっしゃられたと思います。今大きい水産資本が農村へ進出しておる実情は、大臣もよく御存じだと思います。そこで、そういう大きい水産資本に農地の所有を認めるお考えなのかどうなのか。原料を生産するという名目でそういうことが許されるとなると、これはさきのプラス・アルファとも関連して大へん大きい問題だと思います。それについては大臣はどういうお考えでしょうか。これも実際に農民はいろいろな意味で心配しておりますので、伺いたいと思います。
○河野国務大臣 実は私も多少そういうことについて相談を受けたこともあるのでございますが、これらの大資本が農村に進出いたしております場合に、その資金は農業関係資金を融通しておる問題が相当多いようであります。こういうことこそ農業団体等において積極的に農中等の金を使って早く計画していくべきものだと思うのでございますが、まだそういう段階になっておりませんことは、はなはだ私は遺憾に思う者でございますが、できるだけ奨励をいたしたいと考えております。しかし、さればといって、それらのものがおくれておるから片っ方がやっちゃ悪いということにも私は考えませんので、これらが農家の経済を圧迫するとか、もしくは従来考えられましたように農家を搾取の形態に置いて進出するというようなことであれば、巖に戒めなければならぬと考えるのでございまして、各農家の経済と相共助する形において出ていくならば、必ずしもこれを排除しなければならぬことはなかろう。現に今実行しておりますが、ブロイラーの種卵を分けておるとか、ひな鳥をかえして、それを各農家に育成さしているとかいうような形式、もしくは豚の子供を預けてこれを育成させておる形態等において、必ずしも排除しなければならぬ問題ばかりじゃない。これらについては十分注意をしつつ、農村経済に寄与でき、互いに共助できる方向で育成していきたい、こう考えております。
○湯山委員 今の御趣旨はわかりますが、そういうものに農地の所有も認めるというお気持があるのかどうか、その点を一つ。
○河野国務大臣 工場敷地に農地の転用を認める場合はありますけれども、それらに農地の所有を認める意思はありません。
○湯山委員 せっかく大臣がいらっしゃいますから、最後に災害対策を簡単にお尋ねいたします。
 一つは集中豪雨についてでございますが、集中豪雨については、せっかく洪水調節のダムを作りましても、水源涵養林が荒れておったために、かえって土砂が堆積して被害が増したというような実例等もありまして、どうしても水源涵養林の造成ということが先決だということは、だれもあの当時言ったことでございます。ところが、今度木材の緊急対策で国有林、民有林の伐採をするというようなことが発表されておりまして、私どもは、ああいうことがあった直後こういうことを御発表になる、相当木材資源が少なくなったときに従来以上に伐採を多くするということについては、不安がございます。そこで、それらについて総合してその対策をどうなさるか伺いたいのが一点。
 第二点は、今回の第一、室戸台風の中でいろいろな施策がとられようとしております。いろいろありますけれども、特に時間の関係がございますから果樹だけにしぼってお尋ねいたしますが、果樹についての個人的な被害については天災融資法の発動等によって低利の資金が融資されるということはございますけれども、これについては全然補償の道がないわけでございます。収穫期の果樹の被害というのは相当大きいし、樹勢挽回の肥料だとか農薬だとかいうようなものではどうにもならない段階のものも相当ございます。国会周辺のイチョウの木でもあんなになるくらいでございますから、果樹の被害というものは相当大きかったわけでございますが、これについて単に天災融資法だけの適用じゃなくて、この際国として何か別途にこれらについてお考えになる余地はないものだろうかということが第二点でございます。つまり、天災融資法の額を引き上げるとか期間を延ばすということじゃなくて、もっと抜本的な対策はおとりになれないだろうか。
 なお、この際やはり非常に大きな欠陥として考えられることは、果樹についての災害補償制度がないことでございます。県によっては県独自でそういうことをやっておる県もありますけれども、基本法の選択的拡大、そういうこととも関連して、果樹、青果物等に対する価格補償と同様に災害補償の道を開くべきではないかということを考えますが、これは一括してお答えいただいて、質問を終わりたいと思います。
○河野国務大臣 最初の、木材を増伐したが、今回の集中豪雨の経過から見て心配ないか、こういう点につきましては、もちろんその点は十分に考慮いたしまして、今度増伐いたします分につきましては、そういう心配のないように、新たに林道等を入れて伐採するとか、ないしは民有林でそういう心配のないところを指導して増伐させるという道をとっておるわけでございます。さらに、私は、多年植林が非常に低い、今までの植林に対する予算が少ないということを強く主張いたしまして、明年度の予算より、今までに比して申せば画期的な予算の要求がいたしてあります。そして、植林可能な分については日本国じゅうどこでも木を植えるような計画を立てていけということを強く指示いたしておりますが、何分まだ、戦争で乱伐いたしまして、戦後植林いたしましたものが十分の成果をあげておりません点もございましょう。また、増植するといたしましてもごく最近のことでございます。昭和三十年ごろから急にたくさん植えるようにいたしたのでございますから、まだ十分に樹齢に達しない点もございますが、現に相当の量を、植林事業は相当に強く大きく計画して植林いたしておるということを御承知いただきたいと思います。
 次に、今度の第二次室戸台風による果物の点でございますが、これにつきましては、今お話しになりました天災融資法の拡大であるとか貸付金の増額であるとか、公庫資金の増額であるとびいうようなことで、およそ考えられる点についてはそれぞれ必要な処置をとるように努力をいたしております。多分そういうふうに結果がなると考えます。
 それから、画期的とおっしゃいましたけれども、どうもなかなか案がございませんで、何さま果樹につきましては最近に急激にふえて参りましたので、これが農林行政の面から多少後退いたしておりますから、そこへこういう災害が起きましたので、非常に遺憾でございます。これらにつきましては、たとえば災害補償につきましても目下料率その他研究いたしましてやらせることに準備をいたしておる段階でございます。なるべく早く果樹等が新たにどんどん生産されますに対応して農林行政の面も強く保護して参るということに持っていきたい、こう考えておりますから、御了承願います。
○野原委員長 次会は明三日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。午後五時十分散会