第039回国会 本会議 第7号
昭和三十六年十月十日(火曜日)
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 議事日程 第六号
  昭和三十六年十月十日
   午後二時開議
 一 一般職の職員の給与に関する法律の一部を
   改正する法律案(内閣提出)、特別職の職
   員の給与に関する法律の一部を改正する法
   律案(内閣提出)、裁判官の報酬等に関す
   る法律の一部を改正する法律案(内閣提
   出)、検察官の俸給等に関する法律の一部
   を改正する法律案(内閣提出)及び防衛庁
   職員給与法の一部を改正する法律案(内閣
   提出)の趣旨説明
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○本日の会議に付した案件
 地方財政審議会委員任命につき同意を求めるの
  件
 検査官任命につき同意を求めるの件
 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正
  する法律案(内閣提出)、特別職の職員の給
  与に関する法律の一部を改正する法律案(内
  閣提出)、裁判官の報酬等に関する法律の一
  部を改正する法律案(内閣提出)、検察官の
  俸給等に関する法律の一部を改正する法律案
  (内閣提出)及び防衛庁職員給与法の一部を
  改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び
  質疑
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   午後二時八分開議
○副議長(原健三郎君) これより会議を開きます。
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 地方財政審議会委員任命につき同意を求めるの件
○副議長(原健三郎君) お諮りいたします。
 内閣から、地方財政審議会委員に今吉敏雄君、荻田保君、児玉政介君、鈴木武雄君、遠山信一郎君を任命したいので、自治省設置法第十五条第二項の規定により本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出の通り同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○副議長(原健三郎君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。
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 検査官任命につき同意を求めるの件
○副議長(原健三郎君) 次に、検査官に塚越虎男君を任命したいので、会計検査院法第四条第一項の規定により本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出の通り同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○副議長(原健三郎君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。
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 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○副議長(原健三郎君) 議院運営委員会の決定により、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の趣旨の説明を順次求めます。国務大臣福永健司君。
  〔国務大臣福永健司君登壇〕
○国務大臣(福永健司君) 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 本年八月八日、人事院は国会及び内閣に対し、一般職国家公務員の俸給表を全面的に改善し、期末手当を増額し、初任給調整手当及び通勤手当を改定すべきことを勧告いたしたのでありますが、政府といたしまして慎重に検討を重ねました結果、これを実施することが妥当であるとの結論に達しましたので、本法について所要の改正を行なおうとするものであります。
 すなわち、第一に、全俸給表の全等級を通じまして、人事院勧告通り、俸給月額を現行の俸給月額よりおおむね千円ないし三千円程度増額いたすことといたしました。特に研究職俸給表につきましては、研究職の特殊性にかんがみまして、従来七等級構成とされておりました等級区分を六等級構成に改めまして、職員の研究能力等に応じて昇格できるよう改善を行ないました。これらの改善によりまして、本法の適用を受ける一般職国家公務員の全職種平均の給与水準は、おおむね七・一%上昇いたすこととなります。
 第二に、六月十五日に支給する期末手当の額を〇・二カ月分増額いたしまして、〇・九五カ月分とするとともに、十二月十五日に支給する期末手当の額も〇・二カ月分増額いたしまして、一・七カ月分とすることといたしました。
 第三に、科学技術振興の趣旨に沿い、本年四月から新設されました初任給調整手当の支給額の最高限を、月額二千円から二千五百円に引き上げますとともに、新たに、専門的知識を必要とし、採用による欠員の補充について、特別の事情があると認められる他の官職に採用される職員につきましても、支給額の最高限を月額千円とする初任給調整手当を支給することといたしました。
 第四に、通勤手当につきまして、交通機関等の利用者に対する支給額の最高限を、月額六百円から七百五十円に引き上げるとともに、自転車等の使用者に対する支給額を、月額百円から二百円に増額いたしました。
 第五に、俸給月額の改定に伴いまして、委員、顧問、参与等の非常勤職員に対する手当の支給額の最高限を、日額四千七百円から四千九百円に引き上げることといたしました。
 第六に、給与支給事務の能率化をはかるため、勤務一時間当たりの給与額等の端数計算につきまして、簡素化を行なうことといたしました。
 なお、本法に附則を設けまして、俸給の切りかえ方法及び切りかえに伴う措置を規定いたしますとともに、昭和三十二年当時行なわれましたいわゆる高学歴是正との権衡を考慮し、この際、昭和三十二年四月一日以降の新制大学以上の学歴取得者に対しても、前回に準じて措置いたすことといたしました。
 この法律案は、以上申し述べました内容につきまして改正を行なおうとするものでありますが、人事院勧告において、本年五月一日とすることを適当と考えるとされました実施時期につきましては、現下の経済情勢等にかんがみまして、これを本年十月一日とすることとし、初任給調整手当の改定に関する規定は、昭和三十七年四月一日から施行しようとするものであります。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
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○副議長(原健三郎君) 大蔵大臣水田三喜男君。
  〔国務大臣水田三喜男君登壇〕
○国務大臣(水田三喜男君) 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を申し述べます。
 政府は、今回人事院勧告に基づいて、昭和三十六年十月一日以降、一般職の職員の給与を改定することとし、別途法律案を提出して御審議を願うことといたしているのでありますが、これに伴いまして、従来より一般職の職員との均衡を考慮して定められております特別職の職員の給与につきましても、その俸給月額等に所要の改定を行なおうとするものであります。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
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○副議長(原健三郎君) 法務大臣植木庚子郎君。
  〔国務大臣植木庚子郎君登壇〕
○国務大臣(植木庚子郎君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の二案について、その趣旨を便宜一括して説明いたします。
 政府は、人事院勧告の趣旨にかんがみ、一般の政府職員の給与を改善する必要を認めまして、今国会に一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしましたことは、御承知の通りであります。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府、職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、この二法律案を提出した次第であります。
 この両法律案は、右の趣旨に従い、裁判官の報酬等に関する法律の別表及び第十五条に定める裁判官の報酬並びに検察官の俸給等に関する法律の別表及び第九条に定める検察官の俸給の各月額を増加しようとするものでありまして、改正後の裁判官の報酬及び検察官の俸給の各月額を現行のそれに比較いたしますと、その増加比率は、一般の政府職員についてのこれらに対応する各俸給月額の増加比率と同様となっております。
 なお、両法律案の附則におきましては、一般の政府職員の場合と同様、この報酬及び俸給の月額の改定を本年十月一日から適用することなど必要な措置を定めております。
 以上がこの二法律案の趣旨でございます。(拍手)
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○副議長(原健三郎君) 国務大臣藤枝泉介君。
  〔国務大臣藤枝泉介君登壇〕
○国務大臣(藤枝泉介君) 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を説明申し上げます。
 この改正案は、今般提出されました一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の例に準じまして、防衛庁職員の俸給月額の改定等を行なおうとするものであります。
 すなわち、まず、事務次官、統合幕僚会議の議長及び参事官等並びに自衛官の俸給表につきましては、一般職の例に準じて改定を行なうこととし、事務官等の俸給表につきましては、従前通り一般職に適用される俸給表によることといたしております。これにあわせて、防衛大学校の学生に対する学生手当の額につきましても改定を行なうことといたしております。
 また、今次の職員の俸給月額の改定にあわせて、営外手当の額の改定を行なうことといたしております。
 なお、この法律案は、公布の日を施行日とし、本年十月一日から適用することといたしております。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。
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 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○副議長(原健三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して、質疑の通告があります。これを許します。田口誠治君。
  〔田口誠治君登壇〕
○田口誠治君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案理由の説明のありました一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案外四件について、その内容とそれに関連をする諸事項について、池田総理大臣、大蔵大臣、労働大臣に御質問をいたしたいと思う次第でございます。(拍手)
 すべて、法治国家は、法によってすべてのものが律しられ、政治が具体化されることは当然のことで、中でも憲法を守ることを第一義としなければならないと思うのであります。この法則は、普遍的なものであって、何人も守らなければならないのであります。去る八月八日人事院より勧告のありました国家公務員の給与改定の審議に重要な関連がありまするので、池田総理大臣の今後の施政の基本的な考え方を含めて明確に御答弁を願いたいと思うのであります。
 思いまするに、太平洋戦争の徹底的な敗戦は、わが国に対して精神的にも物質的にも言語に絶する大きな打撃を与えましたが、他面におきましては、日本再生の機縁となって、平和主義の採用と民主主義の確立の二大原理を日本の国是として、新しく日本国憲法が制定、実施されておりますることは、皆さんの御承知の通りでございます。
 戦後制定されました労働組合法、労働関係調整法、労働基準法、いわゆる労働三法は、日本憲法が保障をする二十五条の健康にして文化的な最低限度の生活を営む権利、二十八条の勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利など、八カ条の条文を十分に体得をし、これを基調として制定されたのであります。これによって日本の労働者は、公務員労働者も民間労働者も、自由に自主的に団結体を結成して、法の保障するところに従って行動し、労使対等の自主的な団体交渉において労働条件の改善、生活の向上をはかりつつ、各職務を通じて、日本経済の健全な発展と文化の向上に寄与すべく努力いたして参ったのであります。
 情けないかな、当時は連合軍によって占領せられており、マッカーサー司令官の命令は日本国憲法に優先するがごとき処理がとられ、国民がひとしく嘆き悲しみ、憤激をいたしたことは皆さんの記憶に新しいところであります。(拍手)当時、労働組合は、民間、官公労を問わず、きわめて順調に発展をいたしておったのでありまするが、マッカーサー書簡によりまして、昭和二十三年七月三十一日付政令第二百一号が発せられ、公務員の労働組合より団体交渉権、争議権が剥奪され、その後国家公務員法の改正によって労働三法及び船員法の適用が除外され、憲法に保障するところの労働基本権が大幅に制限禁止されたのであります。敗戦国として占領政策がとられていた当時はやむを得なかったといたしましても、たとえ単独講和であろうとも、条約の効力発生後すみやかに憲法の保障するところに従って、国家公務員法、地方公務員法を改正し、剥奪されたる団体交渉権、争議権を付与すべきことが、政治の常道であると解するのであります。(拍手)何がゆえに憲法の意に反するがごとき法を存置し、手をこまねいておるのか、池田総理大臣、福永労働大臣よりお答えを願いたいと思うのであります。(拍手)
 次に、人事院の職務、性格、機能についてであります。
 国家公務員の労働組合より団体交渉権や争議権を剥奪したのは、国家公務員は国民全体の奉仕者たる性格を持っているというので、争議権は結局労働者の生存権を守る手段であるがゆえに、法律的にその生存権を保障する措置または機構が別に確立できるなれば、あえてストライキに訴える必要がないであろうというので争議権を取り上げたのであります。しかしながら、その代償として人事院を設置し、これに責務を負わせ、公務員の生存権を守らせることといたしたのでございます。このような重大な任務と性格を持つ人事院は、誕生して以来ここに十三年間、はたして公務員の生存権を守り、国家公務員法の第一条に示すがごとく、職員の最大の能力を発揮し得るような環境を作るための根本的な基準を具体的に確立をし、国民に対しても公務の民主的かつ能率的な運営を保障する措置がとられてきているでございましょうか。
 私は、残念ながらノーと言わざるを得ないのであります。たとえば、ここ数年間の勧告による賃金の体系を見ましても、昭和三十三年が初任給の是正、三十四年が中だるみの是正、三十五年が全面改正、それに本年の改定内容等々、何ら一貫した方針のない場当たり主義的な改正がなされている。この事実が人事院の自主性を失っていることを証明すると言えると思うのであります。(拍手)端的に申しますなれば、戦後飛躍的な日本経済の発展の中にありながら、財閥と意を通ずる国家権力者の手に握られている賃金統制の手段としての役割をになわされてきたにすぎないと、結果論より言うことができるのであります。そのことは、世界の資本主義諸国でもまれに見る低賃金のささえとなっている公務員給与の現状が、すべて人事院の勧告によってもたらされてきたということが明らかであるからであります。この動かせない事実に対して、政府はいかなる責任を感じているか、お聞きをいたしたいのであります。
 なお、政府の考えておる賃金方針は、エンゲル係数を算定の基礎としておるのか、またマーケット・バスケット方式をとっておるのか、それとも民間の賃金と合わせようとしておるのか、給与担当大臣の具体的なお答えを承りたいと思うのであります。
 次に、八月八日の人事院の勧告についての質問であります。
 このたびの人事院の勧告は、五月以降一人平均七・一%、一千七百九十七円の賃上げを骨子といたしまして、初任給の引き上げ、通勤手当の増額等であります。これは当然権威ある人事院の勧告であるとするなれば、公平で科学的で、かつ客観的であるべき内容が、明らかに作為的で政策的で、かつ、欺瞞的なものであるということを知ることができるのであります。(拍手)それはあたかも昨年四月以降の民間賃金の上昇率、消費者物価の動き、家計の消費支出等の実態と民間賃金との格差の是正の上に立ってこれを算出したごとくに言われておりまするけれども、事実とは大きな相違があるのでございます。それは本年の四月現在、五十名以上の中小企業を含む民間の平均賃金は、国家公務員の給与より七・三%高く、家計の消費支出も、全都市で九・三%の増加をいたしております。従って、民間賃金を確保し、家計の消費支出増を勘案して出された完全な金額の勧告とは言われないのであります。(拍手)それに加えて、本年四月以降の民間賃金は、後ほど申し上げまするごとく、急激に上昇いたしている実態をわれわれは認めなければならないと思うのであります。
 現に国民は、池田総理が御自慢の経済成長十カ年計画、公共料金の値上げ等に伴う諸物価の値上がりによって、ますます生活は苦境に追い込まれているのでございます。この値上がりムードの中に出された人事院の勧告内容には、国家公務員は申すに及ばず、全労働者は大きな不満と怒りを表明し、公務員諸君は四月以降一律五千円の賃上げを要求し、民間労働者の支持を得つつ、いまだかつて見ざる盛り上がりの中で戦っているのが実態であるのでございます。
 大蔵大臣は、去る二十八日の施政演説で、国家公務員の給与は、人事院勧告を尊重し云々と国民の前に約束をいたし、総理もまた答弁の中で、人事院の勧告を尊重し、民間賃金との格差の是正を行なうという意味の答弁をなされております。しかるに、政府から出された提案を見まするに、五月実施を十月実施にいたしておるのでございます。しかも、ただいま提案理由の説明のありましたように、現下の経済情勢にかんがみてという抽象的な表現であり、昨日予算委員会でわが党の委員が質問をいたしましたときに、大蔵大臣は、五月実施を十月実施にいたしましたことは、昨年の勧告でも五月を十月に延ばしたのであり、従って、今年も去年通りに十月から実施することがよいであろうというので十月実施に延ばしたというような無責任きわまるところの答弁をいたしておったのでございます。公務員の真剣な要求を何らまじめに取り上げておらないと解されるのであります。
 皆さん、組織は生きものであります。労働組合の対策は、一方的な権力で押えたり、その場しのぎのごまかしで解決できるものでは絶対にないのでございます。私がここで知っていただきたいのは、本年四月以降、民間賃金は三千円から三千五百円がベース・アップの常識となっております。今ここで、かりに政府提案のごとく十月実施ということにいたしますなれば、人事院の勧告の千七百九十七円にプラス本年四月からの民間賃金上昇額を中間に押えましても三千二百円、それにプラス今年四月までの民間賃金との格差是正の不足額〇・二%の四十円、合計して五千三十七円の賃上げをしなければ、政府のいうところの民間賃金との格差是正にはならないのでございます。科学的に総理府の統計による消費者物価指数の上昇率より算出いたしますなれば、一昨年の五月を一〇〇といたしまして、昨年の四月の指数は一〇三・五となっております。そのときに人事院は一二・四%、二千六百八十円の賃上げをいたしたのでございます。ことしの場合は、昨年の五月を一〇〇といたしまして、本年の八月までの上昇指数は一〇八・八となっております。従って、昨年と同じアップ比率で算出をいたしますなれば、三一・二%で、金額にして七千八百五十三円の賃上げをしなければならないのでございます。(拍手)政府はこの矛盾をいかにお考えになるのか、具体的に労働大臣、大蔵大臣よりお伺いをいたしたいと思うのでございます。
 人事院の勧告内容の矛盾や、政府の人事院勧告の不履行は、今年の勧告に対してばかりではありません。今日まで勧告通り実施されたことはきわめて少ないのでございます。問題は、国家公務員が生存権を守るための手段として行使するスト権を取り上げ、その代償として設置された人事院の勧告が尊重されず、国家公務員の生存権を保障する任務と人事院に課せられた権限が骨抜きにされているところに、重大な問題があると思うのであります。(拍手)昨年のベース・アップの実施にいたしましても、同様予算委員会で指摘されたごとく、自然増収が四百四十億円もあったにもかかわらず、財源がないから出せないといってうそぶいて、五月実施を十月実施におくらかしたではございませんか。
 ここで明確にお答えを願いたいことは、今回の人事院の勧告五月実施を十月実施にしようとすることは、財源がないのか、それとも経済団体の圧力でもあるのか、また、その他重大な理由でもあるのか、労働大臣の御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。(拍手)
 かくのごとく、国家公務員の給与、勤務条件等の改善に責務を持つ人事院という法的な存在がありましても、その使命を果たすことのできない存在にされておるところに重大な問題があると思います。従って、いかに国民全体の奉仕者であろうとも、憲法の保障するところに従って、団体交渉権、争議権を与え、三者構成の労働委員会を設置して、自主的に公務員の待遇改善を行なわしめることが最も正しいあり方であると思うのであります。福永労働大臣のお答えを願いたいのであります。(拍手)
 法務、特別職、自衛官の給与につきましては、内容的に関連がありますので、委員会に譲ることといたしまして、以上で私の質問を終わらしていただきまするが、最後に、今日まで人事院を無視し、勧告を尊重せず、公務員の切なる要求にこたえなかった政府の責任を追及するとともに、人事院勧告の内容を不満として、現在一律五千円の賃上げを要求し、強力に戦っているこの事態をまさか放任することはできないと思います。従って、この事態を円満に解決するためには、委員会の審議の過程において、本提案を修正されることを強く要望いたしまして、降壇をする次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 田口さんお話しの通りに、憲法第十五条におきましては、すべて公務員は全体の奉仕者としておるのであります。公共の事務に奉仕することに相なっておりますので、一般の勤労者と同様に取り扱うことはできないと考えます。ただ、私は、公務員につきましても、一般の労務者と同様に、できるだけ実態に沿うように努力はいたしておるのであります。(拍手)
  〔国務大臣水田三喜男君登壇〕
○国務大臣(水田三喜男君) 国家公務員の給与引き上げという問題は、国家財政に対するばかりでなく、国民経済に対しましても、相当影響のある問題でございます。ことに、国家公務員の給与をベース・アップするというときには、御承知のように、一般職や地方公務員まで大体これに準ずるというのが、慣習になっております。従って、ひとり国の財政事情だけでは決定できません。地方財政の実情というようなもの、そのほか、関連する諸般の事情を十分検討の上、決定さるべきであろうと思います。従って、私どもは、今度は人事院の勧告通り内容はそのままにいたしましたが、実施の時期につきましては、そういう諸般の事情を考えた上、十月一日から実施することが妥当であるという判断のもとに、そう決定した次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣福永健司君登壇〕
○国務大臣(福永健司君) 国家公務員は、国民全体の奉仕者として公共の事務に従事する特殊の地位のものでございます。この地位にかんがみまして、争議権、団体交渉権等について、民間の一般労働者と同様に取り扱うことは適当でないと考えます。この点に関する現行制度を変更しようとは、私は考えません。
 政府としては、公務員の給与等、法令で定めることとされておりまする事項につきましては、人事院の調査研究の結果による勧告を基礎として改定する現行制度の建前が、適当であると考えております。公務員給与の決定にあたっては、物価、生計費等を考慮することは申すまでもございませんが、公務員の給与は職務給の建前をとっておりまするので、民間給与との比較に重点を置いて定めるのが妥当であると考えます。
 公務員給与の引き上げにつきましては、人事院勧告の内容を尊重して改定いたしますことはすでに申し上げた通りでございますが、実施時期については、私からも見解を述べろということでございますが、これは国民経済全般の情勢とにらみ合わせまして、総合的判断のもとに十月一日からと決定いたしましたわけであります。
 次に、人事院は、中立的第三者機関といたしまして、その機能及び任務の遂行に十分努力しておられるものと私は考えております。
 いろいろ数字をおあげになりまして、田口さんの御意見によるところの賃上げについてお話がございました。御意見は拝聴いたしまして参考にいたしたいと存じますが、ここで、この数字の一々についてわれわれの見解を申し上げるというわけにも参りません。
 最後に、現行制度を三者構成のようなもので新たなるものに改めてはどうか、こういうような御意見がございましたが、以上述べましたように、私はおおむね現行制度をもって適当なりと考えておりますので、直ちに田口さんの御意見に賛成するわけには参りません。(拍手)
○副議長(原健三郎君) これにて質疑は終了いたしました。
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○副議長(原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後二時四十四分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        法 務 大 臣 植木庚子郎君
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        国 務 大 臣 福永 健司君
        自 治 大 臣 安井  謙君
        国 務 大 臣 藤枝 泉介君
 出席政府委員
        法制局長官   林  修三君
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