第040回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号
昭和三十七年三月七日(水曜日)
   午後二時九分開議
 出席委員
   委員長 加藤常太郎君
   理事 青木  正君 理事 篠田 弘作君
   理事 高橋 英吉君 理事 竹山祐太郎君
   理事 丹羽喬四郎君 理事 島上善五郎君
   理事 畑   和君
      荒舩清十郎君    仮谷 忠男君
      藏内 修治君    薩摩 雄次君
      田中 榮一君    中垣 國男君
      林   博君    福永 一臣君
      太田 一夫君    坪野 米男君
      堀  昌雄君    山中日露史君
      山花 秀雄君    井堀 繁男君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        自 治 大 臣 安井  謙君
 出席政府委員
        法制局長官   林  修三君
        自治政務次官  大上  司君
        自治事務官
        (選挙局長)  松村 清之君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公職選挙法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第一〇八号)
 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法
 律の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇九
 号)
     ――――◇―――――
○加藤委員長 これより会議を開きます。
 公職選挙法等の一部を改正する法律案及び国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、審査に入ります。
 先ほどの理事会の協議により、内閣総理大臣に対する質疑は全部で三時間以内とし、その質疑時間の割当は、自由民主党一時間二十分、日本社会党一時間二十分、民主社会党二十分となっておりますので、御了承願います。
 これより池田内閣総理大臣に対する質疑に入ります。高橋英吉君。
○高橋(英)委員 池田総理大臣は時間の制約があるそうでございますから、安井大臣に対しましてはまた別の機会にお尋ねすることにいたしまして、本日は総理大臣だけに一つ質問さしていただきたいと思います。与党質問ですから、勢い八百長のごとく見られますけれども、こういうふうな超党派的な、民主主義の基本に関するような重要法案ですから、真剣勝負のつもりでやりますから、一つ総理もそのつもりで御答弁願いたいと思いますが、だんだん頭が悪くなってきましたので、最初に非常に幼稚な質問から始めさしていただきます。
 第一に、選挙制度審議会の性格、権限と国会の審議権との関連について、お伺いいたしたいと思います。いわゆる学識経験の豊かな審議会の方々が長い期間にわたって、最高の熱意のもとに最善の努力をしていただいた結晶として、あのようなりっぱな内容だと称せられる答申ができ上がったことに対しましては、われわれ衷心より敬意を表するものでありまするとともに、進んでこれを尊重するにやぶさかなものではございません。しかし、それだからといって、政府はそれをそのまま政府案として国会に提出し、国会はまたそのままそれを全部うのみにして、何らの検討も加えず、審議もせず、また何らの修正もせず、手直しもせずしてこれを通過させなければならない義務があるのでありましょうか。すなわち法律上の義務にいたしましても、政治上の義務にいたしましても、道徳上の義務にいたしましても、そういうものがあるのでありましょうか。私はないと信ずるのでございまするが、どうでございましょう。尊重と、うのみということは、大へん違うと思うのでございますが、どうお考えでございますか。この点からまずお伺いしたいと思います。
○池田国務大臣 選挙制度審議会の委員の各位が長い間、しかも非常に熱心に御審議いただきましてりっぱな御答申をいただいたことは、高橋委員のおっしゃる通り、われわれは感銘するところであります。御質問の、審議会設置法の第三条にありまする、答申を尊重するということは、あくまで尊重でございまして、これをうのみにしろということではないと私は考えます。それで私は、できるだけ答申案の線に沿いまして、その趣旨を生かしながら立案いたし、御審議願うことにいたしておるのであります。
○高橋(英)委員 総理の御答弁のように、私もさように考えております。ところが、世にも不思議な現象が起こっておるのでございます。一たび選挙制度審議会の答申が発表されまするや、一部の言論機関や、いわゆる有識者と称せられる人たちの間に、あたかもこれがバイブルのごとく、聖典のごとく、またがっての教育勅語のごとく絶対善的のものであり、これをそのままうのみにしないものはことごとくが背教者であり、悪徳政治家であるかのごとく論難し、国の最高機関たる国会の審議権に対し重大なる圧力を加えているのではないかとの疑いすら生ぜしめているのでございますが、これは結局、選挙制度審議会が国会以上の特別の存在であり、国会の審議権すら拘束し、国会はただ命これ従うべきだという考え方が基本的にあるのではないか。これは何か政府にそういう間違った考え方を持たすような言動があったのではないか。すなわち、審議会の決定は国会並びに政府を無制限に、絶対的に拘束するものであるという、そういう錯覚を起こさせるような言動が政府にあったのではないかと思いますが、その点どうでしょう。
○池田国務大臣 あの答申案そのものが非常にりっぱであるというお考えのもとに、答申案より違った場合に、これを是正しよう、あるいはまた答申がりっぱであるからこの通りにやってもらいたいというお気持から、いろいろ批判が出ておると思うのでございます。委員の各位は、これを全部このままうのみにしろというお気持でもないと私は考えておるのであります。またわれわれの立場といたしましても、ただ命これ従うというふうなことは申しておりません。あくまで誠意を持って慎重に考え、そうして答申の趣旨をできるだけ生かしていこう、これが私は尊重するという意味と考えておるのであります。
○高橋(英)委員 それで、政府の方で間違いがあったのではないということはよくわかりました。
 さらにお伺いしたいのは、政府が現在の審議会内の一部の行き方や空気に対しては、どういうふうにお考えになっておるかということでございます。すなわち審議会委員の一部の人の中には、政府並びに自民党が、その答申をうのみにしないということを不満として委員を辞任するとか今後の審議を打ち切るという、そういう言動に出ておると承るのでございますが、それに対し総理はどういうお考えを持っておられるか。これを公正妥当とお考えになっておるか、それとも多少行き過ぎだとお考えになっておるか、それともまた極端過激な考え方、やり方とお考えになっておるか、これをお伺いしたいと思うのですが、大体自己の意見のみが絶対善であり、これに反するものが絶対悪であるという考え方、自分の意見のみが絶対善であって、これに反するものは絶対悪であるという考え方、自己の思い通りにならなければ直ちに極端たる直接的行動に出るというようなやり方は、いってみますれば独裁的ファッショに通ずるものであり、非民主的思想の現われであり、特権意識の現われであるとはお考えにならないでありましょうか。審議会の人たちはもちろん優秀な人たちばかりであり、特に選ばれた人として、日本人の間においても特別な座を持っておる人たちに違いはありません。しかし神様ではありません。申し上げるまでもなく神様ではないのであります。必ずしもその結論が完璧無欠、絶対善とは断言できますまい。また、もちろんわれわれ国会議員も神様ではないから、間違いも多いでしょう。しかし数万ないし数十万の選挙民に選出されてきておりますわれわれにも、数の多いせいもありますが、百花繚乱、相当以上の知性と良識、その上豊かな情操すらも兼ね備えておるつもりでありまして、そうばかばかりおりません。その神様ではない審議会の委員の人たちが出した結論に対して、国会議員が憲法上最も尊厳なる審議権を行使しようとするのに対し、これを否定し、牽制するがごときそういうふうな行動は、最もはなはだしき非民主的な行動とお考えにはならないでございましょうか。さらに委員辞任、審議打ち切りのごとき極端なる、言動は、いわゆる世論なる仮面をかりる言論暴力とともに、国会議員をして一種の重圧を感ぜしめ、その良心に従って最善を尽くすことができないような結果を招来するおそれがあると称する者があるのであります。そういうことを言う人があるのでありますが、そういう点はどうでしょう。世の識者の中にも、あまりに高圧的な、高飛車的な、押しつけがましい一部の言動に対して、非常な義憤を感じておる者があるようでございますが、総理はそういう点について、どうお考えでございましょうか。
○池田国務大臣 選挙制度審議会の委員をお引き受け下さいました方々は、お話の通り、まことにりっぱな方々のみでございます。いろいろお考えの点もございましょうが、私は、意に満たないところがありましても、事重要な仕事でございまするから、今後とも引き続いて御審議願いたいという念願を持っておるのであります。辞表を出されたということは聞いておりまするが、そのお気持等はつぶさに私聞いておりませんので、今そういうものに対しましての批判は差し控えたい。ただいちずにこの重大な仕事を、全員こぞって一つ審議を続けていただきたいという念願であるのであります。
○高橋(英)委員 非常に御利口な総理の答弁で、私も感心したわけですが、同じようなことをいま一つお聞きしたい。
 私は、政府が選挙制度審議会に期待されたもの、望まれたものは、すべて建設的なものであって破壊的なものではない、改善、改良的なものであって革命的なものではなく、言ってみますれば栄養剤的なもので、良薬であって、劇薬的なものではなかったと信じますが、その点どうでしょうか。もし答申の中に、角をためて牛を殺すごとき劇薬的、革命的なものがあったとしましたならば、憲法違反的なものがありましたといたしましたならば、それは必ずしも全面的に尊重すべきものではなく、相当手直しすべきものと信じまするが、政府は、答申中さようなものがあったとお思いになりまするかどうか、その点はどうでしょう。
○池田国務大臣 答申の趣旨は、栄養剤というばかりではなしに、やはり今の選挙制度におきましては相当の薬を盛って直さなければならぬ、健康を増進するために、栄養保持という意味でなしに、りっぱなからだにするために相当の薬を盛らなきゃならぬということは私も考えておるのであります。私はその意味におきまして、今回の答申は、わが国の選挙制度を従来よりもよりよくする非常な前進と考えまして、答申の大部分を尊重し、そうして施行することにいたしたのであります。ただ一、二、立法技術上むずかしい点がございますので、他の法令その他との関係を考慮いたしまして、答申案を一部変えた点はございまするが、大体の趣旨におきましては、答申案はりっぱなものだと考えております。
○高橋(英)委員 私のたとえの引き方が悪かったので、栄養剤的なんかというなまぬるい表現でしたが、しかし総理の答弁から、必ずしも劇薬的なもの、革命的なもの、破壊的なものを望んだものではないということ、しかも大部分は非常に良薬的なものであって御採用になったということ。一部は、あるところは私が申し上げまするような劇薬的なにおいがあったかもしれないというので、御採用にならなかったのじゃないかと推察されるような御答弁と了承いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、連座制についてお伺いしたいのですが、意思なきところ責任なしというのが近代社会の鉄則だと信じます。ところが、連座制はこの鉄則に反しておるのであります。意思のないところに責任を持たせる。すなわち自己の意思によらず、自己の行動に基づかず、自己の責任にあらずして議員失格という死刑の宣告を受けるのでありまするから、言うまでもなく非常な鉄則違反であるのでございます。鉄則違反の法規を作るのは例外中の例外でなければならないと信じまするが、総理の御見解はどうでございましょう。民事の問題でも、無過失責任とかそういうふうなものは非常に慎重で、特別の場合の例外中の例外でなければ規定されておりません。いわんや刑事犯的なもの、こういうふうな重大な連座制のごときに鉄則違反をするというふうなことは、よほどでなければならないと存じまするが、一体日本のほかに、連座制をとっているようなところ、すなわち意思のないところに責任を着せる、そういうふうな特別な規定を持っておる国がほかにありましょうか。この点をお伺いいたしたいと思います。
○池田国務大臣 刑罰は、やはり意思があり違法であるということが原則でございます。罪を犯す意のない者を罰するということは、例外中の例外と心得ております。それだけこの選挙というものが重大な問題であるので、例外の例外として従来も置いておることは御承知の通りでございます。で、この連座制の制度は、そういう意味におきまして、私の知るところでは、私は選挙法は勉強が足りないのでございますが、イギリスにおいて連座制の規定があるやに聞いております。これは事務当局の方からお答えいたすことにいたします。
○高橋(英)委員 詳しいことは、いずれ大臣や局長からお聞きしたいと思いますが、大体私が説明いたしますると、イギリスだけが連座制をやっておって、イギリスの連座制は総括主宰者、出納責任者だけ、すなわち日本の現行法と同様でございますが、しかしイギリスはさらにこの効果を拡大して効果あらしむべく、その失格した議員が次の選挙に立候補することを禁止しておるというふうな制度になっております。そうしてまた一方、買収なんかという悪質な選挙違反の関係の票の取り扱いに対しましては、減票制という非常におもしろい制度をとっておるのでございまするが、たとえば連座制ということになりますると、イギリスの連座制は非常に実効あるおもしろいものだと思います。すなわち英国の連座制の幅は非常に狭い、しかし奥行きは深い。今のように連座の対象は二人ではありまするが、連座の結果は次回の選挙における立候補にまで及ぼしておるのでございまして、連座で失格した者は次回の総選挙に立候補できないという制度であります。日本のような、非常に慎重な裁判が行なわれるところ、非常に裁判がおそいという評判の国では、いろいろこれは評論家その他から批判されておりまするように、実際失格の判決があったときには、すでに次の選挙によって当選しておるとか落選しておるとか、次の選挙が行なわれておる。日本のような場合でも、この英国の連座制で失格するような人は次の総選挙に立候補ができない、そういう方式をとった方がいいのではないか。日本の現在のような、憲法違反とかいろいろな弊害が伴うところの幅を広げ過ぎるような連座制でいくよりも、より効果的にするために、次回の立候補禁止、そういうふうな制度をとるのがいいのではないか。この点についての総理のお考えをお聞きしたいと思います。
○池田国務大臣 非常に選挙法の専門的な御質問で、お答えが私は不十分であることをおそれるのでありまするが、この連座制にかかった人が次の選挙に出られない、いわゆる国民の非常な権利である被選挙権を剥奪するということにつきましては、いろいろ議論のあるところだと思います。私は審議会の内部のことを十分存じておりませんが、やはりこういう点も御議論になったのではないかと思います。しかし答申にはそれが載っておりません。それからまた選挙違反のあった場合の減票制度、この減票の票の計算がなかなかむずかしいのじゃないか、どの程度の違反があったらどういうふうに減察する、その減票の仕方がなかなかやっかいな点があると思います。従いまして、お話の通りに裁判がおくれるということは非常によくないことでございます。やはり裁判をこういうものにつきましては極力急いでやるというふうな方法によりまして、黒白を早くつけるという方法に出ることが適当だと考えております。
○高橋(英)委員 総理の御答弁はよく了解いたしましたが、総理の答弁では、裁判の問題もありましたので、私も一言申し上げたいのですが、過去に選挙違反があって、総括主宰者とか候補者の秘書が逃亡数年間というような、そういう長い期間に及んで、それが出てこなかったからというふうな問題を連座制とくっつけるような評論家があるのであって、これは時効の問題、裁判の問題で、連座制とは一つも関係ないわけなんです。それをごっちゃにしたような評論が一流の評論家の氏名で出ている、われわれくろうとから見ますと、ちょいちょい失笑を禁じ得ない場合があるのでありますが、そういう点をごっちゃにしないように、総理初めそれぞれの関係者においてお考え願いたいと思います。ただいまの英国の減票制の問題は、事実上なかなかむずかしいというふうなお話で、はっきりした結論の御答弁がなかったようでございますが、これはむろん多忙なる総理に、こういう技術的なことを研究していただきたいとは思っておりません。一つの問題として、これはぜひ研究していただきたいと思うのでございまして、私は、この英国式の減票制度こそもっとも合理的な選挙違反に対する処理方法ではないか、かように思っております。日本のように、何でもかんでも連座制に持っていって議員の失格ばかりをねらおうとするのは、基本的に考え方が間違っていると思うのであります。審議会の答申によれば、親子、夫婦、兄弟、姉妹が五票、十票でも選挙違反をやった場合でも失格することになっておるのでありますが、これがはたして国会議員に対する適正妥当な処置と考えられるでございましょうか。申すまでもなく、国会は国の最高機関であり、国会議員はそのメンバーであり、国家にとって最も重要な役割を持っておるのであります。従って、その地位の変動に対する規定は最も慎重でなければなりません。国会議員に対するある種の身分保障規定のごときも雄弁にこれを物語っておるものと私どもは信じております。もし国会議員が大根でも切られるようにすぱりすぱりとわずかのことで首を切られるようなことは、不合理千万だとお考えにならないでありましょうか。ことに五票、十票のために議員が失格した場合、その議員の背後にある数万、数十万の選挙民の意思は、それほど値打のないものということができましょうか。われわれはまた、いかにも簡単にその地位を奪われるほど議員の地位は安っぽいものではなく、またその背後の数万、数十万のけがれざる選挙民の厳たる存在を思うときに、国会議員個人は、軽しといえども、選挙民はもしとする感を深くするとともに英国の減票制度こそ最も条理にかなっておると思いますが、この点につきましては、いま少し深くお考えの上の御答弁が願われないでございましょうか。
○池田国務大臣 先進国、しかも選挙につきましては非常にりっぱな制度と言われておりますイギリスにおきまして、減票制度あるいは被選挙権の剥奪等が行なわれておりますので、われわれこの点につきましても今後十分検討をしていきたいと思います。ただ連座制の設けられるゆえんの毛のは、選挙をあくまできれいにしていこうというので、総括主宰者あるいは出納責任者等の非行によりまして連座の規定を設けたのも、ほんとうにこれは公明にしようという一念から、私は例外の例外として設けられたものと考えております。しこうして今回、その二つの出納責任者等の範囲を広くすると同時に、弊害があると見られます親族等について連座制の規定が設けられる答申が出たのでございますが、しかしこれも例外の例外といたしまして、また他の法律との妥協点等も考えまして、例外の例外として適当な改正をする必要があると私は考えたのであります。
○高橋(英)委員 一応了承いたすことにいたしまして、次の質問に移ります。具体的内容で総理に聞くのはどうかと思いますが、小さな問題のようで大きな問題ですから、これもお答え願いたいと思います。
 今度の政府の提案のうちに、家族を連座の対象としておりますが、家族を連座の対象としたのは、個人尊重、自主独立の民主主義というふうな建前のもとに、戦後、家族制度が御承知のように廃止になっておりますが、この思想と矛盾する時代逆行的なものであるというふうな説、さらにまた罪九族に及ぶというような時代錯誤的思想がそこに含まれておるのではないかというふうな非難も起こっておるようでございますが、この点に対する総理のお考え方をお知らせ願いたいと思います。
○池田国務大臣 法制上また一般通念上いろいろ議論のあるところでございますが、私はその議論をしんしゃくいたしまして今のような案にいたしたのであります。総括主宰者あるいは出納責任者等と候補者の関係もさることでございますが、一般世論と申しますか――一部の世論かも、わかりませんが、一つの考え方として、家族というものは候補者に対して特別の関係があるからというふうな通念上からきておると思うのであります。しかしその通念につきましても、選挙の市大性から考えまして、やはりそれが合法であり、合理的であるというふうにしなければならぬと私は考えたのであります。
○高橋(英)委員 これは非常にむずかしい問題があるのでありまして、われわれはこういうばかげたことは絶対規定すべきではないと思いますけれども、しかしいわゆる世論なるものがいろいろなことを言っておりますし、答申案にもああいうものがありますので、私どもも一応そういうふうな説にも耳を傾けようという気持でおりますが、しかし、こういうことも言うのであります。すなわち、親族であるがゆえに、日本の現在の刑法の規定だけを見ましても、いろいろな免責規定があります。責任を免ずるところの規定があります。窃盗の場合、お互いの親子、兄弟が盗み合った場合、親族相盗、家族相盗の場合、相盗む場合におきましては、私が申し上げるまでもなく、これは罪にならないということになっております。また偽証罪をやりました場合でも罪にならない それから犯人を隠した場合でも犯人隠匿にならない。ちょっと考えましても、親族であるがゆえに、家族であるがゆえに、非常にいろいろの責任を免除するところの規定があるのでございますが、それは、家族制度は廃止されても、親子とか夫婦とか兄弟とかいう血や愛情で結合された特殊な関係においては、お互いに助け合ったり、かばい合ったり、犠牲になり合うというのは人類自然の形として、特別な情状配置的な法律ができておるのでありますが、この連座制度というものはこれと全然逆の行き方であって、自然の人情に反すると、言われておりますが、この点について総理はどう考えになりますか。
○池田国務大臣 親族の関係にある場合の刑の執行につきまして、また量刑につきまして、いろいろお話のように、重い場合も軽い場合もあると思いますが、これは人情というものと、そしてまた選挙制度を公明にりっぱにしていこうという、こういう二つのあれがあるのでございます。そして、えてして親戚の者が選挙について違法な行為に出やすい、こういうことも頭に入れた場合におきまして、やはり人情論ばかりではいかない。その人情論が違法な行為を起こす場合が多いというふうに見た場合におきましては、ある程度意を通じて、そうして違法な行為をしたとき、しかもそれが悪質であった場合におきましては、こういう公明という絶対命令のために、例外の例外を置くことも、これはやむを得ないのじゃないか、そのことがいいという問題でなしに、公明選挙という大きい旗じるしのもとに、例外の例外もあるいは認めるべきではないか、私はこう考えておるのであります。
○高橋(英)委員 これは非常な問題だと思います。公明選挙と今の人情問題との調和をどこに求めるかという問題はありましょう。しかしほかの刑事問題でも、親が犯罪を犯したために子供がそれをかくまう、それからうそをついで、証言をするというふうなこと、これは許されていることなのです。それと同様に、親のため、夫のため、子のため、妻のために、死ぬほどの思いで選挙違反をやってまで当選さしたいというのは、家族、親族の人情の常でございますので、一般刑事的な議論から申しまするならば、情状酌量されるべきはずであると思うのであります。従って、いつのころから始まりましたか、夫の選挙に妻が検挙される、収監されるというふうなことが、戦前でもありましたし、戦後ことにそれがひどくなっておるようでございます。これは、ほんとうに情けを知らざる、鬼検察官、鬼検事のやり方だというふうな批判があり、人権じゅうりん的なものだ、そういうふうな議論も、法務委員会や人権擁護団体にすら起こったこともあります。妻が夫のため、夫が妻のために、親が子のために選挙違反をやるというのは当然だという日本人の思想、これをあくまでも追及し、妻にまで及ぼし、子にまで、親にまで及ぼすというのは、これは人権じゅうりんだ、あまりにも情けを知らざるものだというふうに、従来刑事問題で検挙してすらも問題になっておったのでございますが、さらに今度は連座規定まで設けて、親族、家族のものの選挙違反が、その主人の失格にまで影響を及ぼすというふうになったというのは、これは先ほど総理もおっしゃいましたように、私が知る限りにおいて、たった一つの英国の連座制度にすらないもの、世界各国にはないもの、日本人みたいな人情のない民族はないのではないかと思われるような規定ではないかと、私どもはほんとうに恥ずかしい思いをするのでございまするけれども、しかしこれも公明選挙のためなら、いさぎよく後退せざるを得ない場合もありまするが、いずれにしましても、こういう規定は、こういうふうな悲劇も起こることはないかということをお尋ねしたいのです。すなわち、親族や家族の間の相剋摩擦といいまするか、非常な深刻な悲劇、一生涯しこりを残すところの悲劇、そういうものが起こりやしないか。すなわち、家族の一人の自白といいまするか、選挙違反を認めるような供述さえなかったならば、その当選者が失格しなかったであろうというふうなことになりました場合、その自白、自供がやむを得ざる場合であったといたしましても、なぜ死んでも口を割らずに済まさなかったのかというようなことになったりしまして――これは人間の常です。生涯の家族悲劇、家庭悲劇といいますか、親族悲劇、そういうものが起こるおそれがあると思いまするが、この点についてどうお考えですか。
○池田国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、公明選挙をぜひ実現したい、その間におきまして、違反の起こりやすいような事例を取り上げて、連座の制度を拡大したのでございます。従いまして、われわれは、選挙にあたっては、こういうことにかからないように心がけていく、これがやはり親子兄弟の人情のいいところだと考えておるのであります。従いまして、そういう悲劇の起こらないように、候補者とその親族は自粛自戒していきたいものだと念願しております。
○高橋(英)委員 なるほど総理のお説教は、私どももそういうつもりでございますが、しかし現実にはもっと深刻な悲劇が起こるおそれが十分あります。私ども四十年弁護士業に従事しておりますから、よくわかりますが、これはほんとうにその立場に立った家族が、言うべきか言わざるべきか、ハムレットじゃありませんが、進退両難に陥って自殺すらもするような、そういう悲劇がかなり起こると思いますが、そういうおそれはないとお思いでございますか。それは民族の一つの思想とか習性というようなものも含まれておると思いますから、非常に重大な問題だと思います。
○池田国務大臣 私はお話の点はよくわかります。よくわかりますが、先ほど答えたように、そういう身近なものから一つ自粛していこう、私は高橋さんのお気持わかりますから、多分小委員会ではこの親族の連座規定はなかったと思います。しかし総会においてこれが出て参りました。私はあなたのようなお気持もわかりますが、この答申を尊重する意味におきまして、ただいまお答えしたような意味で、今度これを自粛していこうという考えで、答申尊重の意味からこの規定をあえて置いたわけでございます。今後立候補者並びにその親族は、一般人よりも特にこの点をお考えいただいて、そうして公明選挙を祈念するために、こういう例外的の規定を置いたということを常に反省していかなければならぬことだと考えております。
○高橋(英)委員 もう一、二ありますが、最後に、小さな問題で重大な問題をお聞きしたいと思います。
 この親族の連座規定の場合に、政府提案によりますと、禁固以上の刑を言い渡されても、執行猶予の恩典がついた場合においては連座規定は適用にならない、すなわち当選者は失格しないというふうなことになっておるのでございますが、これはあまりに裁判官に対する責任を過重ならしめるのではないか、もしくは裁判官の権力があまりに強くなり過ぎるのではないかというふうな感じがするのであります。すなわち裁判官の判決一つで政治家の運命というもの、当選者の死活というものがきまるのでございますが、いろんな意味において危険なことがないであろうか、こういう感じを持つものでございます。むろん当選訴訟とか、そういう選挙そのものといいますか、当選の効力に対する裁判、そういうものは裁判官が判決するのでございますかり、それに対して裁判官がどういう判決をしましようとも、良識に従った、良心に従った判決をいたしましょうとも、それは問題でないのでございますが、ここで裁判官が判決するところの事案は一つの刑事事件です。選挙違反という一つの刑事事件にすぎないのでございます。一つの刑事事件であって、これはほんとうに純粋公正な刑事政策的な立場から、刑事罰としての純粋な立場から判事は判決しなければならないのであります。ところがその判決一つで代議士が失格する、参議院議員が失格するかどうかというふうなことになるわけなんです。この場合に、純粋な刑事裁判なるものが、刑事判決なるものがゆがめられるおそれはないであろうか。同情の余り、当然禁固刑に、実刑に処せなければならないものを執行猶予をつけたり、逆に、その政治家を政治界から放逐したらいいというふうに主観的にその判事が考えた場合において、執行猶予をつけるべきものでも執行猶予をつけずに実刑の言い渡しをする、そういうふうな場合がありはしないか。すなわち純粋の刑事事件が政治的その他の雑音にゆがめられて、刑事事件としての本来の使命を果たすことができないというふうなおそれがあるのではないか、いろんな危険がありはしないかどうか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
○池田国務大臣 先ほどの御答弁のところの小委員会の報告というのは間違いまして、親子、夫婦になっております。その分の答申では、今度は兄弟も入れたわけでありますので、答弁が間違っておりますから訂正いたします。それから今の連座の場合におきまして、禁固以上の刑、それから執行猶予があった場合を除く、これによりまして裁判官が刑事罰としての判断を、他の連座があるから間違いはしないか、あるいは軽くなったり、あるいは重くなったり、こういう御心配のようでございますが、私は裁判官の地位から申しまして、そういうことはあり得ないものだと思っておるのであります。そしてまたこれは即座に失格するのでございません。検察側の方が起訴することに相なっておりますし、その場合にまた裁判官が決定することに相なるのでありますので、前もって非常に重大な権限を与える、それによって判決、刑罰の量定に差があるということは、私は考えられないと思っております。
○高橋(英)委員 総理はお人がいいらしいですから、そういうようにお考えでございましょうが、われわれ多年の経験を持つ者から申しますと、非常に危険なんです。昨日も大阪である裁判長に会いましたところが、もうとてもこういうふうな悪条件のもとでは、誤判もまたいたし方がないということをはっきり、言っておりました。そういうふうな工合に、判事も神様ではございませんので、なかなか一人の人にこういう強大な権力を持たす、過重な責任を負わすということはどうであろうかとも思いますけれども、公明選挙と親族とか何とかの人情の調和点をここらあたりで求めなければならぬということになりますれば、私はまた総理の御命令に従うこともやぶさかでないと思いますが、その点は十分研究させてもらいたいと思います。さらにお尋ねしたいのは、答申の原案の自動失格規定、連座制の対象になるような人々が刑事判決があった場合、選挙違反の判決があった、場合には、直ちに自動的に当選者が失格するというふうな規定ですね。これは先ほど申し上げました意思のないところに責任がないというものの鉄則にほんとうに反するものであり、特に憲法違反ではないかという疑いすら持っておるのでございますが、この憲法違反というふうな問題、自動失格規定について、これはどうせ社会党の島上君あたりから修正案として出されるそうでございますが、そのときに私ども完膚ないまで粉砕する議論をいたそうと思いますけれども、一応総理の御見解をただしておきたいと思います。
○池田国務大臣 この連座制につきまして、連座の判決がありましたら直ちに失格するということは、私はいかにもひどいと申しますか、その場合におきまして、やはり小委員会でありましたごとく、検事の告訴を待って、これをもう一つ審議するということが、慎重なあれでいいのではないかと考えたのであります。これが憲法違反かどうか、法律的の構成につきましては法制局長官から答えることにいたしたいと思います。
○高橋(英)委員 最後の質問に移りますが、時間がまだあるようでございますけれども、お疲れのようですから、なるべく社会党さんにも遠慮してもらうことにして、私からまずその範を示したいと思います。大体公明選挙、選挙粛正というふうな根本問題を解決するために、各関係者にいろいろ苦労していただいております。しかし今まで論じました、そうしてできましたところの答申その他の成案、これは結局私から見ますと、枝葉末節の問題であって、根本的にはもっと違うものがあるのではないか、かように考えます。すなわち、私の考えといたしましては、選挙区制度の問題が、根本的に今の選挙粛正の問題、公明選挙の問題にもつながるのではないか。すなわち小選挙区制を採用いたしまして、同士相はむという苛烈残酷な選挙を避けまして、政策、政党で争うという、堂々と政策、政党で争うところの小選挙区にすることによって、この選挙界多年の弊風は一掃されるというふうに信じますが、総理はどういうふうなお考えでございまするか、小選挙区制に対するお考え方もあわせて明確にしていただきたいと思います。
○池田国務大臣 選挙制度審議会を設けましたものは、選挙の公明を期する上において、一般選挙公明運動を極力展開すると同時に、今の選挙制度におきましてなお改善を要すべきものがあると考えて、諮問し、答申を得たのであります。これによりまして、選挙の公明化に対しまして相当進んできた、数歩前進したと私は考えておるのであります。しこうしてこの選挙の公明化の一つのあれとして、選挙区制の問題があることも承知いたしております。しかしこれは重大な問題でございまして、しかも、この問題につきまして審議会でも論議されております。またこの制度につきましては、国会の附帯決議に、慎重に一つ考えろという附帯決議もついておりますので、私は、今の立場といたしまして、小選挙区制あるいは比例代表制等々の問題につきましては、意見の開陳を差し控えさせていただきたいと思います。
○高橋(英)委員 大体了承しました。いろいろまだ質問したいことがありますけれども、今申し上げましたように、私は遠慮の模範を示したわけであります。
○加藤委員長 次に高上善五郎君。
○島上委員 私は、ただいま議題となっておりまする選挙法改正に関連して、総理に若干の質問をいたしたいと思います。そこでまず私、前もって総理にお願いしておきたいことは、この興趣に関しては、国民がきわめて重大な関心を持っております。野党の私に答えるというよりは、国民に答えるという気持で、誠意を持って具体的に――失礼な言い分かもしませんけれども、おざなりの答弁では私宅承知しませんし、国民も納得しないと思いますから、具体的をお答えを願いたいということをお願いしておきます。まず法案に関連して、内容に入る前に、その前提として伺っておきたいことは、近来の選挙は、衆議院の選挙を初め、参議院、地方選挙に至るまで、金と物に汚された選挙になっておる。それが年々はなはだしくなってきておる。この事実はもう遺憾ながら数字の示すところでございますから、否定することはできまいと思う。池田総裁が出現し、池田総理ができまして後に行なわれた昭和三十五年十一月の選挙が、その点において最もひどい選挙であった。こういうような状態で、もしこのまま推移するならば、民主政治の基本が危殆に瀕する、国民が民主政治に対する信頼を失ってしまうという危険すら感じないわけには参りません。そこで私は、この深刻な状態を思い切って改めるためには、まずその前提として、このような腐敗不正の選挙に対する厳粛な反省が必要だと思うのです。その反省なくして、五票や十票の買収は当然である、妻が夫のために熱心の余り買収するのは当然であるというような考えを持っておったのでは、とうていこの粛正ができるものではないと思うのです。池田総理に、自分の総理、総裁としてのもとに行なわれた最初の選挙に対する反省というものがおありかどうか。当然あると思いますが、そのお気持をまず承っておきたい。
○池田国務大臣 最近の選挙におきましては、それが衆議院選挙であろうと地方の選挙でありましょうと、非常に公正でない場合が相当あるということは世論でございます。私もそれを認めるにやぶさかではございません。従いまして、昨年度の予算を作ります場合におきましても、公明選挙運動に対しましての経費は従来よりも村当たくさんに、日本の津々浦々公明選挙のために皆さんが挺身していただきますよう私は期待して措置をとっておるのであります。またこの選挙制度改正を思い立ち、そしてああいう法律を設けまして、そうして慎重審議を願ったゆえんもここにあるのでございます。私は、選挙の公明ということが民主主義の発達の上に絶対要件でございますので、今後もこの点に向かってできるだけの努力をいたしたいと考えております。
○島上委員 現在のこの不正腐敗の極度にあると言ってもよろしい状態を改めるには、公明選挙運動も必要だと思います。また、さらにそれよりも必要なのは法律の峻厳な改正であります。同時に、もう一つ必要なのは政党自体の自粛と反省です。この政党自体の反省と自粛なくしては、私は法改正のほんとうの熱意も起こってこないと思うのです。名前をあげるのはこの際差し控えておきますが、実に大がかりな――これは検事の言った言葉そのままを披露いたします。必要とあれば名前を言ってもよろしいが、島上さん、あなた方が想像するようななまやさしいものではないですよ、徹頭徹尾買収選挙である、組織的な大がかりな買収選挙であるということを、ある事件を捜査している検事が申されました。私どもが想像する何十倍かの大がかりな買収選挙、それも一カ所や二カ所ではないのです。それが全部と言ってよろしいほど自民党の候補者諸君です。私は名前を言えとおっしゃるならば言いますけれども、この際差し控えておきます。そして今総括主宰者、出納責任者が起訴されて、裁判が進行中です。私の想像するところによれば、もし裁判が迅速に進行するならば、失格する者が相当出ると思う。こういうような事実に対して、総裁として、池田総裁が自分の党員の中にそういう者を出したという事実に対して、もし反省しておる、自粛しようという気持がありますならば、当然何らかの措置がとられるべきものではないかと思う。しかるに、現在そう目されている人々が党の相当重要な地位におる。社会党ならば当然除名します。この次の選挙にはもちろん公認しません。そういうような、党としての党規に照らして何らかの措置をする、次の選挙には公認しない――先ほど高幡君はいいことを言ってくれた。イギリスでは次の選挙には立候補できないような規定があると、大へんほめておりました。党自体が自粛の意味において、そのような措置をおとりになるというお考えがあるかどうか、伺っておきたい。
○池田国務大臣 今裁判係属中でございますので、私はこれに対しまする判断、措置は答弁を差し控えたいと思います。また党におきましての措置につきましては、やはり党議にかけてきまるものでございますから、総裁の意向だけでどうこういうわけには参りません。裁判の確定を待ちまして、党としてどういう措置をとるかを考えたいと思います。
○高橋委員 裁判が確定した時分には、現行法によりますと、おそらく次の選挙が済んでおるでしょう。現にそういう人があるでしょう。そういう人は涼しい顔をしているでしょう。党の何らかの措置もしていないでしょう。そういうことでは、私は残念ながら総裁として党を規律し統率する立場にある池田さんに、あの選挙に対する反省があるとは受け取れません。また党自体が自粛をすることが必要であるということもお認めになっていないように思います。私は先ほど申しましたように、法律改正一点張りでは今日の事態を改めることはできないと思うのです。法律改正が必要であり、党自体の自粛反省が必要であり、また国民の協力を求めるために、いわゆる公明選挙運動のような、そういう方面からの改革も必要でございましょう。しかし今のようなお答えですから、私はその問題についてはこれ以上質問いたしません。ただ残念ながら総裁としての池田さんの、あの悪質な醜悪な選挙に対する反省の誠意というものは認めることはできません。(「総理大臣の資格で来ているんだ」と呼ぶ者あり)総理大臣に対する質問と同時に、総裁に対して質問してもちっとも差しつかえありません。
 そこで私は次の質問に移りますが、法律改正をする場合に、最近の選挙の醜悪な事態にかんがみまして、最も必要な最重点は、金と物による選挙、一口に言うならば買収選挙を根絶することだと思うのです。その他の点も必要はないと申しませんが、これが一番大事な重点だと思いますが、総理はどのようにお考えですか。
○池田国務大臣 買収選挙は違法でございますから、これを排撃すべきことは当然でございます。
○島上委員 残念ながら現行法ではそれが、ざる法と言われておりますように、大がかりな買収を行なっても、実効は上げていないのです。昭和三十年の選挙で、大がかりな買収を総括主宰者がやって、夫妻が逃げて、奥さんが関係があってという事実が明らかになっても、実効を上げていないでしょう。それから私が今指摘したように、三十五年十一月の選挙からすでに一年半近くもなりまする今日、裁判がまだ遅々として進まない。これがもし現行法のままであるならば、最高裁へ行って有罪が確定して、当選無効の訴訟をまた最帯域まで起こしてということになりますれば、実効が少しも上がらぬ。こういう実効が少しも上がらぬいわゆるざる法を、実効の上がるように改めるということが今日最も必要ではないかと私ども考える。総理はどのようにお考えですか。
○池田国務大臣 私はそういう意味におきまして、さいぜんも高橋君の質問に、裁判を急いでやるべきだということをお答えしておるのでございます。
○島上委員 裁判を急いでやるということだけでしたら、現行法にもいわゆる百口裁判という規定があります。しかし、そういう規定があるにもかかわらず、実際には三年も五年もかかっておって実効が上がらぬ、これが現状です。そこで、現行法を実効が上がるように、買収選挙の根絶ができるように改正しようとするのが私は今度の選挙法改正の一番重要な点であり、国民の願いもそこにあると思うのです。裁判を促進するということだけでしたら現行法で事が足りるじゃないですか。いかがですか。
○池田国務大臣 買収等の起こらないように全体的にこの選挙法を改正しておるのでございます。しかし、それだけでも十分でございませんから、いわゆる運用におきまして裁判を急いでやり、そうして黒白を早くつけることが必要だとお答えしておるのでございます。
○島上委員 買収等が起こらぬように選挙法を改正するということは、買収等を事前に防止するという措置が必要であると同時に、起こった場合にはこれに対して峻厳な処罰をするということが伴わなければだめですよ。買収をしても、それが大がかりであればあるほど裁判に時間がかかって、当選した者はけろりとしておるようなことでは法律としての効果が何もないのですから、私どもが法律を改正する以上はそういう実効の上がる法律にしなければ意味がないと思うのです。いかがですか。
○池田国務大臣 実効の上がるように前の選挙法よりもよほど改善されたと私は考えております。出納責任者の範囲にいたしましても、総括主宰者の範囲にいたしましても、非常に広げております。また、選挙の公営、事前運動等あらゆる方面から違反の起こらないように改正されておると私は心得えております。
○島上委員 実効が上がるような改正になっているかなっていないかは、もう少しあとで内容に触れて伺います。
 その前にもう一点伺っておきたいのは、選挙法の改正という与党野党のルールをきめる、それから議員自身の身分に関する重大な改正は、各党の意見を持ち寄ってはなかなか思い切った改正がむずかしいものです。これは過去の経験が示しております。自民党のある人が私に述懐しておりますが、自民党として党内だけをまとめるのでもなかなか容易ではない、それがほんとうだろうと思うのです。そうだとするならば、これはいわゆる第三者の学識経験者を中心とした審議会に答申を求めて、これを尊重するというふうにすることが一番適当である。であるからこそ、審議会設置法の第三条にも答申は尊重しなければならぬという政府に対する義務規定があるわけだと思うのです。他の法案と違った扱いをする必要がこと選挙法に関してはあると思います。この点はいかがでしょうか。
○池田国務大臣 選挙法の改正というものは、国会議員の方々は非常に経験者でお詳しい点がございますので、一般の法律よりも改正が非常にむずかしく、また非常に論議があることはお話の通りでございます。従って、私はそういうことも考え、また重要な事柄でございますので、法律を設けまして審議会を起こし、その答申を尊重するという建前で進んでおるのであります。今度の改正案につきましても、審議会の委員が熱心に御審議下さいましてりっぱな答申が出てきたのであります。われわれはこれによりまして相当勇気づけられて、その答申がなかったならばここまでいかないようなことまでも規定を設けましてやっておるのであります。その意味におきまして、今度の答申を尊重して国会に早急に提案したということは、今まであまり例のない措置だと私は考えております。
○島上委員 答申を尊重したという、言葉を言いますけれども、私はその言葉はあとで訂正してもらわなければならぬと思う。尊重しておりません。百三項目のうち七十四項目取り入れたから尊重という、量のことをおっしゃっておるのですか。それとも、与党町党で話し合っただけでも技術的に改正のできるようなさまつな問題もたくさんございますが、審議会においても世論においても一番重要だといわれる点を骨抜きにしてしまって――いかに骨抜きになったかはあとでまた触れますが、骨抜きにし実効の上がらないものにしてしまって、これで尊重ということは、日本語は重宝かもしれませんけれども、少なくとも尊重という言葉には当てはまらぬと思う。尊重ではない。審議会の委員の一部の人がどうのこうのとさつき高橋さんが言っておりますが、一部の人ではありません。審議会の委員の全部といってよいほど、政府は審議会の答申を無視しておる、骨抜きにしておる、こういうことを言っております。この審議会の委員の諸君の言っておる、無視しておる、骨抜きにしておる、不満であるという言い分が間違っておるとお考えですか。この前は自治大臣が、十二分に尊重したと言っております。これはばかにするにもほどがある。私は自治大臣に、十二分という言葉の意味も含めて今後また質問したいと思いますが、大事な点を尊重しないで骨抜きにして、まあ愚にもつかない、といっては言葉が過ぎるかもしれませんけれども、どうでもいいような項目を含めて七十四項目採用したから量の点ではたくさん採用しておりましょうが、私はほんとうの意味の尊重は量ではなくて質だと思う。審議会が最も大事だとする、国民が最も要望する重要な点を尊重してこそほんとうの尊重です。ポスターの枚数を答申より千枚少なくしたとか、はがきの枚数を答申よりも五百枚多くしたとかいうことではないと思う。いかがですか。
○池田国務大臣 繰り返して申し上げましたごとく、私は答申案の大部分を法案に入れておると思います。お話の点は連座規定の問題あるいは選挙資金の問題等と思いまするが、高級官吏の被選挙権剥奪の問題につきましても私は答申の趣旨を尊重いたしまして、規定の仕方は違いまするけれども、その根本的答申は私は今度の改正案に盛っておると考えておるのであります。総体におきまして、従来選挙制度審議会の制度を設けましてもなかなかその通りに行かなかったのであります。今回は、繰り返して申し上げますように、その答申はほとんど全部私は入れたと言い得ると思います。
○島上委員 そうしますると、審議会の委員の大多数あるいは全部が、政府の取り扱いは骨抜きにし不満である、こういう考えを持っておる。その考えは間違いだ、こういうことですね。
○池田国務大臣 私は委員の方々につきましての御批判は今申し上げる自由を持ちませんが、われわれの出した法案と答申のあった原案との違いにつきまして御説明して、尊重しているということを御了解願いたいと思います。委員の方々の御意見を私がここで御批判することは差し控えたいと思います。
○島上委員 口で批判しなくても事実でもって答えているのですから、これ以上私はそのことは聞きません。
 それから、選挙法は各党の意見を持ち寄ったりあるいは党内だけでまとめようとするとなかなか困難であるということは、総理も今お答えの通りです。そこで審議会の答申というものが出てこれを尊重しなければならぬわけだろうと思いますが、答申が出ますと、まず党内をどういうふうに説得するつもりか。了解を求めるつもりか、あるいは党内の意見を聞くつもりか知りませんが、党内と相談するのは政党内閣制だから当然だ、こういうことをきっとおっしゃるでしょうが、国会の審議権というものは厳として存在しているのです。党内を持ち回って、しかも事もあろうに派閥の会合に大臣が持ち回って、自治省の原案を後退々々、とめどもなく後退してしまって、それを国会に出してきて、そうしてこのごろは大野副総裁が、政府案を無修正で通したい、こう言っておる。こういうことになると、国会の審議権というものは一体どういうことになりますか。政府は、法律にもあるのですから、答申通りのものを出して、国会の場において国民の見ている公然たる場所で堂々と議論する。そうして修正するものなら修正する。これがほんとうではないかと思う。そうして、各党の意見も聞く。特に国民の世論に謙虚に耳を傾けて、国民の要求をすなおに受け入れる、こういう態度こそがほんとうの民主国会のあり方ではなかろうかと思う。まず与党ですみずみに至るまでずたずたに骨抜きしてしまって、その骨抜きにしたものを出してきて、今度無修正で通す。国民の世論にも少しも耳を傾けようとしない。野党の声にも少しも耳を傾けようとしない。これが正しい国会の審議権尊重といえるでしょうか。
○池田国務大臣 議院内閣制をとりまして、そうしてわれわれとしては最良の案を出して御審議願おうとしているのであります。最良の案でございますから、これが原案通り通ることを望むのは人情でございます。しかし、それを通す通さぬは一に国会においておきめになることでございます。
○島上委員 最良の案だとおっしゃるようですから、時間の関係もありますので、そろそろ案の内容に入ります。
 私が先ほども触れましたように、現在の選挙法はざる法だといわれているほど穴だらけです。脱法行為の巧みな者は選挙違反にひっかからずに、りっぱに実質的な選挙違反がやれるようにできておる。そういうようなざる法を、その抜け穴をふさいで実効のある法律にするということが今度の法改正において一番大事なことではないかと思う。今私が申しました答申の三点が、はたして実効が上がるようにできているかいないかは、私これから具体的に伺いますから、お答え願いたい。
 まず政治資金規正法は御承知のように、従来も、国と請負その他特別の利益を伴う契約の当事者は、選挙に関して寄付してはならない、こうなっておりました。これは当然のことです。今度は、本来ならば政治寄金、選挙寄金全部を含めて個人の寄付に限るべきだという意見が圧倒的でございましたが、一挙にそこまで改正すると混乱が起こるだろうから、まあ政党も苦しいだろうからといって、いわば現実に妥協した形で、国から財政投融資、補助金、交付金、利子補給等を受けている法人、ここまでしか範囲を広げてない。しかし肝心なことは、選挙に関するといなとを問わず禁止しようという点です。今度はそれを「選挙に関して」という六文字を加えています。ある委員は、これは詐欺にひとしい行為だ、こういっておる。六文字を加えたことによって全く実効の上がらない、役に立たぬ法律に実体を変えてしまった。一体、一般の政治資金と選挙の資金と、どう区別しますか。選挙のときだけ使う特別の紙幣でも発行したらわかるでしょうけれども、同じ紙幣が政党のふところに入って、選挙に使おうがどこへ使おうが自由じゃないですか。「選挙に関して」というこの六文字がついたために、これは全く実効の上がらないざる法になってしまった。
 そこで私は伺いますが、国の財政投融資、補助金、交付金、利子補給、私今調べ中ですから、正確な数字はここでは持っておりませんが、おそらく一兆に近い金ではなかろうかと思う。財政投融資だけで八千五百何十億かですから、この一兆に近い国民のお金を特別の便宜を与えて提供している相手からは政治献金をもらわぬというのは、私は当然ではないかと思う。あたりまえのことですよ。「選挙に関して」という言葉をつけたことによって、逆に申しますならば、選挙に関してでなければどんなにもらっても差しつかえないということです。私は奨励する結果にさえなると思う。一兆もの国民のお金をある大きな特定の会社、法人に大へんな便宜を与えて提供しておいて、そこから政治献金を幾らもらって毛よろしいということは、私はこれは疑獄、汚職の温床が常に存在することだと思う。こういうことを断ち切らないで、どうして選挙界、政界をきれいにすることができますか。「選挙に関して」という六文字を入れたことによって骨抜きになり、ざる法になったと、私は言うし一般の人も言っております。そうでないとおっしゃるならば、そうでないという事実をはっきり指摘してお答え願いたい。
○池田国務大臣 政治がりっぱに行なわれるということは必要でございます。われわれは、選挙に関する資金と政治活動に関する資金とは、おのずからそこに違いがあると思います。原案では選挙並びに政治に関する資金、両方を加えるようでございますが、御承知の通り、これからは政党活動というものをりっぱに、そうして相当拡大していかなければいかぬ。これは今度の選挙法の改正案にも載っておると思います。しこうして、政治活動あるいは政党活動をりっぱにするためには金がかかるということ、これは委員の方もお認めになっておる。われわれは今後の選挙の公明をあれする場合において、政党法あるいは政治資金規正法につきまして十分検討を加えていかなければならぬということを念願しておるし、また委員の方々もそういうお気持を持っておられるようであります。従いまして、政治に関する資金につきましては、今後検討することにいたしておるのでございます。従って、とりあえず選挙を間近に控えておりますから、この資金関係は選挙に関する資金としてやって、そうして政党の活動、政治資金等につきましては、政治資金規正法あるいは政党法等の制定の際に十分考慮していこうというのがわれわれの念願であるのであります。
○島上委員 私に言わしむるならば、とりあえずというのは逃げ口上にすぎないと思う。政党法を審議する審議会におきましてこの問題を審議しております。政府に警告し、監視する意味において審議はストップすることになりましたが、今までの審議の過程においては、政治寄金は厳格に個人に限るべきである、こういう考えが圧倒的です。しかし、一挙にそうすると政党も困るだろうし、多少の混乱も起きるから、それこそとりあえずさしあたっての措置として、今言った国と契約の関係にある者、財政投融資、補助金、交付金、利子補給を受けている者に限って限定して政治資金、選挙資金の寄金を禁止しよう、これが第一歩。これがせんだっても、自治省が原案を作成する際に、これを「選挙に関して」というふうに後退したために、この中で行なわれた議論は、この一歩前進すらできなければその先のことを議論してもむだだ、こういう考えです。私もそうだと思うのです。わずかな一歩前進すらできなくて、三歩も四歩も前進できますか。これは単なる限られた対象に対するほんのわずかな制限にすぎない。この制限をしたからといって、自民党さんは国民協会を作って大いに金を集めているのですから、そうお困りにもなるまいと思う。そうして国民が要求するのは、国民のお金なんですから。国民のお金を財政投融資、補助金、交付金、利子補給といって、ただで与えているものもあれば、低利長期で貸し与えているものもあれば、いずれにしましても非常な便宜を与えている。相手は受益者です。受益者から幾ら金をもらってもよろしい。「選挙に関して」でさえなければ幾らもらってもよろしいということは、私どもどうしても納得できないし、国民も釈然としない。これは当然の話じゃないですか。現に公職選挙法の中にも、政治資金規正法の中にも、ほんの少しでありますけれどもこういう規正があるのです。この機会に審議会が要求するほんの一歩前進程度のものを認めることができなくて、「選挙に関して」という六文字を入れてざる法にしてしまった。私はおそらくかりに審議会が今後審議を再開するにしましても、こういう状態ではさらにその先の前進した審議ができないのじゃないか、審議する熱意を失ってしまうのじゃないかと思う。少なくとも、ここで総理がどんなに詭弁を弄して弁解しようと毛、政治資金規正に関しては何の規正もしないと同じことです。むしろ、「選挙に関して」でさえなければよろしいから大いにしなさいといって奨励する結果になると私は思う。これに対しては、総理は今以上の答弁を求めてもしないでしょうから、私はもうこのことに対しては総理の答弁を求めません。しかし、今言ったように、全くのざる法で何らの効果もない。何らの改正もしないと等しいものであり、これをもって改正である、政治資金について改正したということを言うならば、国民を欺く以外の何ものでもない。私はそう言わざるを得ません。
 それから次の問題、連座制です。連座制は対象を広げました。それから家族の問題も含めました。ところが、この家族の問題につきましても、同居し、かつ意思を通じ、悪質違反を犯して、裁判で実刑を科せられて、執行猶予でない君という、こういう五つのしぼりをかけた。しぼりをかけたというのは安井大臣の言葉ですからそのまま私も使いますが、こういうしぼりをかけて、これで一体実効が上がりますか。これまた何の実効も上がりません。まあひょっとしたら千人に一人ぐらいの効果はあるかもしれない。その程度のもので一体連座制を強化したと言えるでしょうか。少なくとも審議会が求める、国民が求める連座制強化には、何にもこれでは実効が上がっていない。(発言する者あり)それは自民党を支持する一部の国民の考えは違います。多数の国民の考えを私は言っておる。
  〔発言する者多し〕
○加藤委員長 静粛に願います。
○島上委員 念のために数字を申しましょう。法務省が発表したものです。犯罪白書というものを一出しましたが、それによりますと、三十二年の選挙において選挙違反の九八%までが執行猶予がついております。三十四年が九四%。それからこれは最高裁事務当局の発表しました司法統計表という、昭和三十五年版ですか、これによりますと、この前の選挙――その前を含めてだろうと思いますが、有罪者、懲役百五人のうち、百三人が執行猶予、禁固十二人のうち十一人が執行猶予、参議院選挙の場合は、懲役九十八人のうち九十七人が執行猶予、禁固二十人で二十人が執行猶予。同居し、意思を通じ、悪質違反をやって、禁固以上の刑に処せられて、さらに執行猶予のつかない者ということになれば、これよりさらに大きくしぼられることは当然でしょう。このままだとしましても、執行猶予にならぬ者は百人に一人くらい、私が千人に一人と言ったのはこれです。その前のしぼりがあるのですから。千人に一人程度のもので一体連座制が強化したことになりますか。これで一体国民に、連座制を大いに強化したということを総理がまじめに言えるならば言って下さい。国民が批判するでしょうから。
○池田国務大臣 先ほど高橋委員の御質問にあり、そうしてお答えした通りでございまして、私は連座させることを目的としたのではない、あくまでこういうことのないことを念願いたしまして規定を設けたのであります。規定を設けます場合におきまてしも、やはり国民一般の感情もございますし、そしてまた片方では公明選挙という至上命令もございますので、私はこの程度が最も時宜に適した有効な措置と考えておるのであります。
○島上委員 連座制を、連座にかけることが目的でないと言われる。われわれも、連座にかけることを必ずしも目的としておりません。われわれは一票たりとも買収はしない、買収選挙をやめよう、こういうことを国民の前に誓う、与党も野党も誓う。その誓いの表われとして、一票たりとも買収したらその選挙は無効である、このくらいの法律改正をしなければほんとうじゃないと思うのです。先ほど高橋君は、この連座が刑罰であるように言っておりましたが、総理は一体、連座は刑罰であるとお考えですか。
○池田国務大臣 刑法の方は私はしろうとでございますが、連座自体は刑事罰ではないと考えております。
○島上委員 ですから、自民党の皆さんが鬼の首でもとったように、憲法違反、憲法違反と言っておりますが、これは憲法違反ではありません、刑罰ではないのですから。連座というのは、これは私なりに考えてみますが、買収による不正な投票は無効である。もしこれがいわゆる減票が的確にできますれば、減票制が一番合理的です。しかし、これは事実上できないのです。そこで、たとい一票たりとも、五票たりとも、買収によって得た投票は無効である、こういう思想に徹するならば、買収に対する連座は私は当然だと思う。買収を根絶しようというお考えには、私は総理も同感だと思います。買収を根絶しよう、自民党も社会党も民社党も共産党も、買収は一票たりともしないという誓いを国民の前にはっきりとする、そういう意味において連座制をきびしく強化する、こういうお考えはないですか。
○池田国務大臣 買収というのは一票もあり得ないことを望んでおるのであります。しかし、その買収があったときに、総括責任者とか、選挙に特別の立場にあった人につきましては連座ということも例外的に、やむを得ず認めなければならぬことはお答えした通りでございます。しかし、買収があったから何でもかんでも全部無効だということは、これは選挙自体に対して非常な恐怖心を起こさす。やはりものには程度がありますから、その程度を考えながら、これが防止措置を漸次とっていくのが私は政治だと考えます。
○島上委員 買収をやらぬという考えに徹するならば、程度なんというのはおかしいと思うのです。五票ならかまわぬ――五万票で当選したが、その中で五票が買収で、四万九千九百九十五票は正しい票であった、だから五票や十票の買収はいいじゃないかという考えは、これは五一票でも千票でも何万票でも買収してもいいということに通じるのです。私どもは、たとい一票たりとも買収はすべからず、買収によって得た票は無効である、こういう考えに徹して連座制を強化することが必要だと思う。
 もう一つ、一番重要な点ですが、この対象者が買収によって有罪判決を最終的に受けた場合は当然失格する、こういう答申です。私もそうしなければ実効が上がらぬと思うのです。なぜならば、現にあるでしょう。御記憶を呼び起こしていただけばわかるでしょう。忘れたら私から名前を言ってもいいのですけれども、この際遠慮しておきましょう。現にこういう二人の裁判を二回やらなければいかぬですから、そのために、任期中に衆議院議員で連座制によって失格した人がありますか。私は寡聞にして知りません。買収をやって総括主宰者や出納責任者が起訴され有罪になった事例はたくさんございますけれども、本人が失格した例は私、寡聞にして存じません。これじゃ何にもならぬじゃないですか。連座はあってなきにひとしいものです。精神的な効果は多少あるかもしれませんけれども、実質的な効果は何にもない。その実質的な効果は何にもないことを、これまた連座制を強化した、答申を尊重したと言って国民を欺いている。この点は尊重できませんと正直に言ったらいい、私はうそは申しませんと言うのですから。連座制強化と政治資金の規正と高級公務員の立候補制限は残念ながら尊重できません、こうおっしゃるなら、私ども立場は違いますけれども、その答弁の限りにおいては了とするのですよ。尊重した、尊重したと言って、このように何にも実効のないざる法にすりかえてしまって国民を欺いている。一体、今言った点について実効が上がるというお考えがあったら、なるべく具体的な事例によって御答弁願いたいと思う。
○池田国務大臣 一票でも買収があることはよくない。しからば、一票でも買収があったらすぐに連座にかけるか、これは極端でございましょう。だから、買収自体は悪いけれども、悪いからといって全部連座制にかけるわけにはいきません。従いまして、前の選挙法では総括主宰者と出納責任者というものの連座を認めた。今回の答申におきましては、総括主宰者の範囲、出納責任者の範囲を答申通りに拡大いたしました。問題三つのうちの親族の連座制、この問題につきましては、先ほど来申し上げますように、親族なるがゆえに直ちに連座にかかるということでなしに、やはり悪質の者、そうして意を通じた者、こういうことに合理的に改めたのでございます。三つの点で、この点だけでございます。
 しこうして、当然失格にするかという御質問につきましては、委員会におきましても、相当法律専門家の間に議論があったのであります。私は、やはり法律専門家の議論を相当聞かなければいかぬ、尊重しなければならぬと思う。われわれが考えましても、この分は前の程度のあれで、効果が上がる上がらぬはこれまた別の問題でございます。こういうことはよくないから連座の規定にかかります。連座にかかった場合にそれが直ちにということは、今の場合少し行き過ぎである。それで法律専門家の言われるように、検察庁の提訴を待って、そうして効果の上がるように早く処理することが一つの方法じゃないかと考えております。
 こうやってみますと、私は相当委員会の議論その他を尊重してやっておると言い得ると思うのであります。
○島上委員 総理は、委員会においてそういう議論があったということを、さっきからときどきお引き合いに出しております。政府が尊重すべき義務を法律で負わされているのは審議会の答申です。審議会の中の委員会のある委員がこう言った、ある委員がこう言った、それを尊重するということは、これは尊重じゃありません。審議会において決定して答申したものが政府の尊重すべきものです。それから、委員会の中にこういう意見があった、ああいう意見があった、これは私はおかしいと思う。何も私も言っているわけじゃありませんし、審議会でも言っているわけでもありません。だれがやった違反でも、一票でも連座するとは言っていない。連座の対象は運動員にまで広げるべきだという議論は前々からあった議論です。しかし、運動員という制度がない今日においては、これは非常に危険を伴いますから、そこできわめて限定しております。総括主催者、出納責任者及びそれに準ずる支出をした者と親族、これは当然候補者ときわめて密接な関係にある人々ですから、候補者がそういう人々のやった買収は知らぬということは、成り立たぬと私は思うのです。候補者が何らかの形で知っておる買収について候補者が責任を負うべきものです。総理はこれ以上の答弁はしないでしょうから、時間もありませんし、これもこの程度にしておきます。
 高級公務員の点を簡単に触れておきます。これはあなたがよく好んで使う委員会の議論においても、高級公務員と限られておるのです。高級公務員が国家の権力組織を使い、費用を使い、在職中に目に余るような事前運動をやって、業者に票を割り当てたり、そうして当選しておる。きわめて高い当選率を示しておる。そういう目に余る弊害を取り除こうというのが答申の精神であって、それを一般公務員に範囲を広げて焦点をぼかしてすりかえてしまった。(「公務員を高級と下級に分けるのか」と呼ぶ者あり)そういう議論がかりにあったにしても、その議論は今後ゆっくりやることにしましょう。私は答申に限って言っているのです。答申
 は、はっきり分けて高級と言っている。そうして、この答申の中には、どこの官庁の何局長というあれまで出ましたけれども、これは列挙するにはやはり多少慎重を要するからというので、答申には列挙しておりませんけれども、法律を作る際には列挙するようにという趣旨です。ところが、一般公務員に範囲を広げてしまった。私はこれはあとの委員会ではもっと具体的に伺わなければならぬと思いますが、これこそ憲法違反です。今日、公務員は公務員法、人事院規則あるいは選挙法によって、まるでがんじがらめに縛られておる。その上こういうことをやろうとする。私はこれこそ憲法違反だと思う。少なくとも高級公務員の立候補制限をしようとする内容を一般公務員に広げて、立候補制限ではなくて在職中の事前運動云々というふうにしたことは、答申の趣旨を尊重していない。答申の内容を全くすりかえておるということだけは事実です。いかがですか。
○池田国務大臣 これは私は、この地位、職権を利用して投票をかき集める、そのこと事体がよくないと思う。これはやはり、その人をにくまずその行為をにくむ、この精神から申しまして、それが高級であろうがそうでなかろうが、職権を乱用し、地位を利用して票をかき集めることを禁止するのは、この精神からであります。私は説明におきまして、何が高級なりやということにつきまして、非常にむずかしい問題があります。たとえばその人がある地位におりまして、そうしてその後りっぱな選挙をやって当選した。これはだめだ、というわけにはいかぬでしょう。また、高級官吏ということを定義しましても、それにごく近い人がある、そうして非常に地位を利用した場合にも、これは高級でないから、というふうなわけにはいかぬと思うのです。私はそれよりも、職務を乱用して投票を集めるという、その罪をにくむということが本筋であろうと考えます。
○島上委員 一般の公務員は、公務員法と人事院規則にこの通りがんじがらめになっていることは御存じでしょう。時間がないから私はこれはしませんけれども、ちゃんと書いてきていますよ。がんじがらめになっている。一般の公務員は選挙権を行使する以外にできないようにされているのです。だから、今度は高級公務員というものに限った答申をしているのです。これはお答えしなくてもよろしい。よろしいが、少なくとも高級公務員という答申に対して、一般に広げる、焦点をぼかして内容をすりかえたということは事実ですから、これははっきりしております。
 それから最後に、時間がもうきましたから、一点だけ簡単に伺っておきます。
 審議会は、アンバランス是正の答申だけをすみやかにして、あとはしばらくは休む。アンバランス是正は、私の承るところによりますと、十三日の小委員会できめるようです。そうしますと、おそらく十五、六日ごろ総会を開いて答申をするでしょう。この答申の内容は、すでに巷間伝えられております十四区において十四名減、十一区は十四名増、こういう案です。私はこの内容のよしあしはここで言おうとは思いません。これが近く出ることは必至です。去年の十二月の総会で、これを二月中に答申するようにきめました趣旨は、二月中に答申して今度の国会で成立を期さなければ、アンバランス是正の意味がなくなってしまう。やがて規正問題を含めた改正に手をつけるのですから、この国会でやらなければ改正の意味がなくなってしまう。私もそうだと思うのです。近く、おそらくこの二十日前に今伝えられておるような案の答申があると思います。それを今国会で提出する、そうして成立を期するというお考えがあるかどうか。
○池田国務大臣 委員会の運営あるいは方針等は私は十分知っておりません。御質問の点は、答申が出ましてからとくと考慮いたしたいと考えております。
○島上委員 答申が出ましてから考慮をする、与党と相談するということは、今度の国会に提出するお考えはないということですよ。このアンバランスの是正は憲法違反の疑いもなければ、もう技術的な問題ですよ。法律も簡単です。今のようなお答えだと、私は残念ながら、今国会が提出して成立を期するという考えがないとしか受け取れませんが、あるかないか、簡単でいいですからお答え願いたい。
○池田国務大臣 これは出るか出ないかわからない、出る見込みだと言っておるのでありまして、出たときに考えればいいことであります。
○島上委員 そういう人をばかにしたような、特にこれは審議会をばかにしておる。審議会、また怒りますよ。こういうような答弁では私は全然誠意を認めることができませんし、納得もできませんから、今後委員会において自治大臣に対する質問の中でさらに深く突っ込んで質問しますし、また総理に対しても今後何回か出てきてもらうことを要求し、なお保留して私の質問を終わります。
○加藤委員長 次に堀昌雄君。
○堀委員 私は総理に少し基本的な問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 それはまず第一に、今回いろいろと問題になりました背景には、民主主義というものを一体どういうふうに理解をするか、選挙というものを政治家の側で見た場合、国民の側で見た場合には、これはどういう形になっておるか。ここが私は今回の問題の取り扱いにきわめて重大な問題だと感じます。
 そこで総理に第一にお伺いをいたしたいことは、今、新聞論調その他ラジオ、テレビ、あらゆる言論機関を通じて非常に非難が集中をいたしております点を総理は一体どういうふうにお考えになっておるか、承りたいと思います。
○池田国務大臣 私は、新聞の論調も常に注目いたしております。そういう意味において、できるだけ尊重し、われわれの意図するところを本国会におきまして十分議論して、御了解を得たいという方向で進んでおるのであります。
○堀委員 現在主権が国民にあることが憲法で明らかにされておりますが、通説、いわれるところによりますと、主権者である国民が真にその権利が行使できるのは選挙のその日に限られておる。そのあとは事実上主権者である国民の声は、実は為政者が十分に取り上げていないのではないかということがしばしばいわれておるわけであります。そうなると、その間における国民の声を代弁するものは、やはり新聞の社説、論説であり、あるいはテレビやラジオ等におけるいろいろな政治に対する意見というものが、その間の国民の声を代表しておるものだ、こう理解をいたしますが、その点総理はそれを代表しておるものと考えられるかどうかお伺いをいたします。
○池田国務大臣 そういう点は各人の認識でございますから、私は断定できない。新聞の世論が国民を全部代表しておるものだということは、これは早計だと思う。それも一つのあれでございましょう。そしてまた、片方世論調査もございましょう。また、国民は、いろいろな方法で国会議員に意見を言う場合もございます。しかも、こういう問題につきましては、案が出てからすぐの批判と、そして国会で十分論議してからの批判と、またおのずからそこに違ってくるのであります。案が出て新聞に出たらこれが国民の世論であり、これ以外にはないんだという断定は私はしたくない。新聞の世論ももちろん見ます。いろいろな投書も見ます。そしてまた世論調査も見ます。各方面からやはりやっていかなければならない。これは政治家として一番大事なことであります。何が国民の世論であるかということを見つけるのが一番大事です。しかも、その世論がどういうふうな経過をたどってくるか、これが知れわたったときにはどうなっていくかという見通しをつけてやらなければならぬ。これが政治家たるところの一番むずかしいところであります。
○堀委員 今、世論調査等をおっしゃいましたけれども、現在の選挙法の取り扱いについては、問題は二つに分かれると思います。審議会が答申をいたしまして政府が国会に提案をするものが一段階であります。提案をされた法案が国会でどのように審議をされるかということが第二の段階であります。そこで、新聞論調があげて非難をいたしております点は、国会の審議の問題に今触れておるわけでございません。審議会の答申がなされて、政府が国会に提案されるまでの過程の中における取り扱いについて、新聞論調はあげて非難をしておるわけであります。私が調べたところによりますと、二月の十日ごろから二月二十八日までの間の各新聞の社説の中で、これを非難しておりますものは二十をこえておるわけであります。各新聞において、多いものは四回にわたって、この短時日の間に選挙法の問題に論説をさいておるわけであります。その中で、一つとして政府のやり方に賛成をしたものはありません。あなた方は、その他のいろいろな政策の問題については別でありますけれども、この選挙法の取り扱いについては、新聞の論調で政府の取り扱いに賛成をしておるものが一つでもあるかどうか。あるいはラジオ、テレビのそういうような論説に類するものの中で、あなた方のおやりになったことに賛成をしたものがあるかどうか。一つでもあれば承りたいと思いますが、総理はそういうものをお聞きになっておりますか。
○池田国務大臣 新聞の論調ばかりではいけない。また新聞の論調にいたしましても、十分われわれが審議していく過程におきましてまた納得していただくところもありますので、私は今の新聞の論調はこうだから、この選挙法自体の改正内容が全部いかぬというふうなことにお考えになるのはやはり即断かと思います。十分ここでこうやって議論する間に、だんだんわかってくると思うのであります。
○堀委員 新聞の論調はそこまでにいたします。
 その次に、選挙制度審議会は公聴会を開きまして、広く国民の中からこの問題に関する声を聞いたのであります。この公聴会において出されました意見というものは、集約的に今回の答申の線に全く一致しておったわけであります。公聴会における意見が一致をし、審議会における答申がその方向になり、新聞の論調がその線に並んでおるということで、では一体国民のどの部分があなた方に賛成をしておると言われるのか。一体公聴会は何のために開かれるのか、その点について総理の御見解を承りたいと思います。
○池田国務大臣 われわれは、この審議の過程を通じまして国民の了解を得ることを期待いたしておるのであります。これは十分審議したから――手続その他につきましては不満の点はございましょうが、これが一歩ではなく数歩前進であるということはだんだんおわかりいただけることと思って、こうやって審議を願っておるのであります。
○堀委員 私は、その中に実は非常に大きな問題があると思います。なぜかといいますと、今回の審議会の中で一番熱心に参加をされた人ほど、実は強い不満を持っておられるわけであります。これは私はまことに遺憾であったと思いますが、今回の審議会には特別委員の制度が設けられまして、私ども議員もこれに参加をいたしました。自由民主党からお出になっておりました特別委員の方は、残念ながら、どういう事情であったかはわかりませんけれども、青木委員を除く他の方々は、実はあまり御出席がなかったという事実があるわけであります。この問題については、審議会において何回か自由民主党の特別委員の御出席を慫慂するように、幹事に対して申し入れが、私の記憶にある範囲でも、私が属しておりました部会で三回以上にわたって行なわれた事実があるわけであります。問題は、実は今おっしゃるような形式的な問題ではなくて、自由民主党が、あるいは池田総理が、選挙法の改正に対してどういうかまえで国民に臨んでおられるかというところから問題は私は出てきておると思うのであります。
 そこで、新聞の論調をかりてちょっと私はここで申し上げてみますと、二月十四日の朝日では「骨抜きになった選挙法改正案」、二月十八日には、同じ朝日は「利己的な立場からの発言を排す」、二月二十四日には「許せぬ選挙法改正の骨抜き」、二月二十八日には「選挙法に自民党の良心を求む」、こういう格好の見出しで出ております。内容までは触れませんが、特にきわめておもしろい点を指摘しておりますのは、毎日新聞の二月二十七日の社説でありますが、ここでちょっと私は簡単に読み上げておきます。「政治問題化した選挙制度審議会答申の取り扱いについて自民党の大野副総裁が二十四日大阪で「選挙をやったことのないしろうとの理想案だから困る」と発言している。まことに聞き捨てならない暴言である。というのは、この発言のウラに、問題の答申を政府案作成の過程で大きくゆがめ、骨抜きにした自民党内の底流的な考え方がひそんでいると思われるからである、」というようなことから始まりまして、「こんどの選挙法改正の動きで、もう一つ見のがせない点は、公職選挙法という法律についての政治家の考え方である。いまの政治家たちはすべて、この法律を全く自分本位の観点からのみ、みているようだ。だが、選挙というものは主権を持つ国民の重大な権利の行使である。公選法はこの有権者の自由な意思の表明によって、選挙が公明かつ適正に行なわれることを確保する目的で作られているのではないか。そうだとすれば、選挙法はむしろ国民のためのものでなくてはならない。そして、政治家が実行不可能と称する「理想案」は、実は国民にとっては最も現実的な案なのだ。大野発言のような考え方は、明らかにこの国民の常識にも、立法の精神にも反するものである。自分たちのために醜悪な現状に選挙法を合致させることだけしか考えていない。」こういう批判を述べているわけであります。
 そこで私は今回の中で、実は御手洗さんが最終の総会で御発言になったことで、私も実はテレビで拝見しましたけれども、先ほどからも出ておりますが、首相が唐島さんとのテレビ対談で、私は総会の意見よりも部会の意見を聞いておりますから、その方をとったのです。こういう御発言がございました。これは私はあなたの一つのお考えの現われだと先ほどからも承っておりますが、そこで一体われわれの民主主義のルールで、総会の決定と部会の決定と、部会の中における少数意見と三つある場合には、われわれは一体いずれをとるのが正しいのか、総理の御見解を承りたい。
○池田国務大臣 それは総会の意見をとるのが正しいのであります。総会の正式の答申をとるのが本筋でございます。しかしその総会の答申を、われわれが慎重に考慮いたします場合に、一部少数意見の部会の意見も参考にすることは、私はやっていいことだと思います。だから私は総会の意見を無視するというのではありません。総会の意見は大部分聞いております。ただわれわれの意見と総会の意見と違った場合に、しかもまた立法技術士の問題から、部会の意見も参考にするということを申し上げたのであります。
○堀委員 具体的に部会の意見を御尊重になったのはどこですか、それでは。
○池田国務大臣 検事の提訴の問題がおもなものでございます。
○堀委員 検事の提訴について、総理大臣は、部会の意見はどうであったと御理解になっておりますか。
○池田国務大臣 いろいろな議論はあったことも聞いております。ただ問題は、直ちに連座にかかるということは行き過ぎではないか、やはり検事の提訴が必要ではないかという有力な議論があったということを聞いております。
○堀委員 部会における答申は、検事が直ちに附帯して公訴するということに部会ではなっておったわけであります。(発言する者あり)それは今そこらで違う違うという声がありますが、違わない。それは明らかに三十六年十二月十九日の町村会館で、大竹委員という第2委員長が答えられておりますが、「総括主宰者等の有罪判決が確定した時に当然失格にせよという意見は審議された。又確定後検事が訴を提起すべしという意見も出された。併し、両者とも少数で採用されなかった。理由は、直ちに失格ということであれば当選人は弁解、有利な証拠の提出の機会がない。ために検事の公訴と同時に訴を提起することとすればこれらの欠点は補われる。又証拠を共通して審理されることになる。」こういうことに実は審議会の部会長が答申をしているわけでありますから、なるほど最後の点の即応という点の飛躍はあったかもわかりませんが、部会の意見は決して皆さんが現実におとりになったものではございません。そこで私どもは今回の問題の中で、やはりわれわれが謙虚に考えて、みなければならないことは、審議会で矢部委員が言っておられますけれども、各種の法律、政策に基づくものについては、なるほどいろいろな審議会の答申を、その政党と、政党内閣であるところの政府が、いろいろと手を加えられることは、それは当然であろうと思う、ただ選挙法というものはいささか趣きを異にするのではないか、それは、これによってわれわれ国会議員が選ばれ、あるいはその他の議員が選ばれる土俵を作ることであって、その土俵をどういうふうに作るかということは、これに直接利害を持つものが、その利害のしに立って判断すべきものではなく、公正な第三者の立場、あるいはこれを選ぶ国民の立場というものが主体的に考えられなければならないのではないかということが矢部委員の意見でもありましたし、御手洗委員その他多数の意見であったのであります。私どもは、選挙制度審議会というものが置かれた趣旨を見ますと、員というものは直接に政治に携わる者が委員になっているのではありません。特別委員の制度が設けられたのは、それを多少補完をする意味で設けられたものだと理解をしておりますから、審議会が設置された精神は、やはりそういう第三者的と申しますか、公平な立場で国民の側から問題が処理できることを望んだと立法の精神を理解いたしております。そこで、総理はこの問題について、一体今の矢部委員あるいは御手洗委員等の考えと根本的に違うのかどうか、その点を一つ明らかにしていただきたい。
○池田国務大臣 先ほど来申し上げておるように、個々の委員の御意見に対しての批判は私は差し控えたいと思います。ただ、問題は非常に重要な問題でございます。従いまして、ああいう専門家、しかもりっぱな方々に対して、私は御意見を拝聴し、その意見を尊重いたします。こういうことから申しましても、われわれは公正にいろいろな意見を聞いて、りっぱな選挙法を作り上げたいという念願からいっておるのであります。従いまして、りっぱなものが出ましたから、大部分これを尊重していっておるのであります。ただ問題は、政府としてはやはり政府としての考えがございます。責任はあくまで政府でございます。従って、責任ある政府がこれは最良の案だと考えて、国民の代表であるあなた方に御審議願っておるのであります。
○堀委員 実は過般私どもがこの委員会に総理の御出席を願って審議会設置法の論議をいたしました。そのときに総理は、積極的に答申を尊重するのだ、こういうふうな御発言がございました。ところが、今度の国会が始まりまして、代表質問がありまして以来の首相の答弁は、答申の趣旨を尊重するということに後退をしてきたわけであります。答申を積極的に尊重するということと、答申の趣旨を尊重するということの間には、言葉の上ではわずかではありますが、実は現実の姿の中ではきわめて大きな開きが出たことが明らかになり、そのことが実は今国民世論があげて皆さんを非難しておることになっておると思うのであります。私どもはそういう意味で、今後のいろいろな審議会の取り扱い等について、やはり答申を積極的に尊重するのか、答申の趣旨を尊重する程度にとどまるのか、この点について総理の御見解を承りたい。
○池田国務大臣 答申を尊重するということは、答申の趣旨に沿って参りますということと私は心得ております。
○堀委員 今までの論議の中で国民が一番知りたいことは何かと申しますと、今後の選挙法のあり方だと私は思います。ここまで問題がきて、あるいは今後さらに国民の希望にこたえるような、金があのように使われないような選挙をほんとうに真剣に政府がやる気があるかどうか。国民の大多数は、実は今回の取り扱いで大きな失望を感じておるのであります。委員の中で辞表を出された方は、すでに絶望をされたがゆえに辞表を出されたと思いますし、審議会が現在審議を休んでおるのも、その点についてのあなた方の誠意をくみ取れないということが大きな原因であるのであります。一体総理大臣は、今後の選挙法の改正について、真に国民の権利を守るという意味において、今回新聞その他の世論の示した国民の意のあるところを体して選挙法の改正に臨まれる決意があるかどうか、お伺いしておきたいと思います。
○池田国務大臣 選挙制度審議会を設置するゆえんのものも、またそのときの決意も、今も何ら変わりございません。そうして、先ほど来申し上げておりますごとく、選挙の公明化をほんとうに実現していきたいという念願に燃えております。
○堀委員 そこで、今すでに参議院の選挙を目前に控えておりまして、われわれはこの選挙法の取り扱いはきわめて重要だと考えております。政府は、この選挙法を提案した以上は、すみやかにこれの成立をはかるべき責任があると思いますし、私どもは、審議会答申の線に沿って、この法案に国民の世論の上に立つところの修正を加えて一日も早く通したいと考えております。ただ問題は、参議院の選挙を目前に控えておるという関係で、今後の成り行きの中には幾らか問題があるのではないかと感じます。
 そこで私は、自由民主党の総裁であり総理であるあなたが、この方を促進するという建前をとって、過般出ました参議院の特例法のようなものを一体どういうふうに今後考えられるか。この点について一つお答えをいただきたいと思います。
○池田国務大臣 参議院の方から特例法が出ておるかどへか任じませんが、出ていないと思います。私は本会議でも申しましたごとく、これは最善の法案でございます。一日も早くこれを通していただきたい、こういうことをはっきり申し上げます。
○堀委員 今後参議院の選挙が行なわれます中で、私どもは、今回のこの法律が成立をいたしまして、これが実施をされる中で、いろいろとこの法律の不備な点も明らかになるであろうと思います。そういう点について、もし今回のあなた方のとられた問題が不十分であるというふうに次の選挙で感じられた場合には、今回あなた方が逆行させられた部分について、これをもとに戻した提案を今後される意思があるのかどうか。
○池田国務大臣 将来のいろいろな事態に即応いたしまして善処をしなければならぬと私は思います。だから、今どうするこうすると言いましても、事態はこれを施行してみないとわからぬことであります。
○加藤委員長 次に井堀繁男君。
○井堀委員 私は民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題に供されております公職選挙法の一部改正並びに政治資金規正法の改正について、重要なを一、二お尋ねをいたしておきたいと思うのであります。
 今度の政府原案を拝見いたしますると、確かに広範にわたる改正を意図しておる点については、善意に理解できると思います。今後審議を通じて漸次明らかにいたしたいと思うのでありますが、とりわけ今回の改正の中で、政府の説明を伺いますと、重要な部分を二、三指摘してお尋ねをしてみたいと思うのであります。
 その一つは、現在の選挙法が個人本位の選挙である点を指摘されまして、これを政党本位の選挙に改めようとする点を強調されておるのであります。まことに私どもの賛意を表するところであります。そこで、その内容がはたしてこの提案理由の説明と一致するかいなかは、今後の審議によって明らかにされるのでありますが、私どもが今日まで拝見をいたしますところによると、不徹底もはなはだしいと思われる点がありまするので、これは政策の重要な基点にもなると思いまするから、総理にお尋ねをいたしたいと思うのであります。この説明に従いますると、政党本位の運動を推進するということになりますと、その前提となるべきものを用意しなければならないと思うのであります。ところが、提案趣旨あるいは法案の内容を見ますると、ごく単純な二、三の事柄があげられておるにすぎないのであります。ここではっきりお尋ねをいたしたいと思いまするのは、政党本位の選挙に改めるということは、その説明の中でも言及されておりまするが、言うまでもなく政党政治、政党は政策をもって争うことは当然であります。また、議会は政党の責任において運営されておる現況からいたしまして、同じ政党の候補者が同一の選挙区で争うということは、この意味においては全く矛盾すると思うのであります。少なくとも政党本位の選挙を考える場合には、その前提となるべき選挙区制の問題に言及せざるを得ないと思うのであります。すなわち、各党のそれぞれの代表が一つの選挙区で政策を争うということは当然の常識であろうと思うのであります。そういたしますと、今回の答申はまだ今後続いてなされる予定のようでありますが、少なくともこの法案を出すからには、この基本的な問題に触れないで提案をするということは、いかにも無責任な提案であるとすら私は考えるのであります。これはきわめて重要なことでありますので、一党の総裁でもあるし、また法案提出の責任者であります総理の見解をまず伺っておきたいと思います。
○池田国務大臣 政党政治が行なわれておるときでございますから、選挙におきましても政党の占める地位は相当大きいのであります。しかし、お話のように、今は政党本位の選挙ということはなかなか行なわれておりません。従って、今回の改正におきましても、なべくるその方向に近づけるように改正をいたしておるのであります。お話の、政党本位ならばやはり小選挙区制がいいじゃないかという御議論はあるようでございます。しかし、この選挙区制の問題は選挙法の根本をなすものでございます。これはもちろん今度の審議会で御審議願うことに相なると思うのでございますが、慎重にやれという附帯決議がありまするがごとく、この問題は今後慎重に検討されると思います。ただ、それだからといって、近く行なわれる参議院選挙等におきまして今まで通りでいいかと申しますと、やはりそうでなしに、政党が選挙中におきましても政党としての選挙ができるように、今までよりも前進させていこうというのが今回の案でございます。
○井堀委員 後刻議論の対象になる問題と思いますから、この際は議論を避けますが、少なくとも政党本位に、すなわち政策を中心にして選挙が行なわれるということでなければ、この際の選挙法の改正というものは、仏を作って魂を入れない結果になるのではないか。他の部分でも政府は強調しております。たとえば公明選挙を推進することは、候補者の政見と政策を中心にして、選挙民の自由なる意思を集約していこうというのでありますから、全くその通りであります。これをやろうとするためには、もちろんあとでお伺いをいたしますもろもろの問題がありますけれども、この根本的な問題にヴェールをかぶせて選挙法の改正は、いみじくも、ちょっと御答弁にありましたが、この七月に予定されております参議院の半数改選に間に合わせるという御趣旨のようであります。それにいたしましても、衆議院はもちろんのことでありますが、参議院の選挙におきましても、政策、政見を中心にして争うという理想の姿だけをぜひ今回の選挙法改正の中に考えるべきではなかったか。もちろん区制の問題もあります。理想は言うまでもなく、一つの選挙区で各党一人の候補者をあげて戦うということが理想でありましょう。この問題は、かつての国会でもゲリマンダーを中心とする区制の問題で大へん混乱を続けて流産いたしております経過からいきまして、もちろん前回のような小選挙区を考えることは愚かなことであると思います。最近先進国においてもいろいろとこの問題は改善に改善を重ねてられまして、たとえば定員の半数を小選挙、区において一人一区制をとり、残る半数を比例代表による。すなわち政党に、一つの規定を設けて、移譲式な形式による比例代表制といったようなものは、私はわが国の実情にも必ずしも合わないものとは考えません。こういった根本について、政府は近く答申されるでありましょう審議会がもしこういうものに言及された場合の用意がもちろんなくてはならぬと思うのであります。これは答申を待ってからどうこうということではなくて、政策の根本をなすものでありまして、私は非常に重要なことだと思っておるのであります。
 なお、念のためにもう一度伺っておきたいと思いますが、そういった小選挙区制の不合理や欠陥を補うような措置を講じて小選挙区を採用するという点について、今日何かの御用意があるかどうかを将来のために伺っておきたい。
○池田国務大臣 選挙制度につきましては、先ほどお答えを申し上げましたように、いろいろ議論がございます。各国におきましてもいろいろな方式をとっております。私は、私自身として検討はいたしておりますが、せっかく審議会におきまして慎重に御研究なさる題目でありますので、私としては意見を申し述べることを差し控えます。
○井堀委員 次に、公明選挙を実行していきまする第二段階の処置としては、ここに提案されておりまするように、選挙犯罪に対する取り締まりを強化する、あるいはその犯罪に対して制裁を厳重に行なうということによって、今日の腐敗しておりまする選挙を少しでも改善していこうということについては、理想としてはわれわれは賛成しかねるのでありますけれども、現実からいいますならば、一つの前進であると思うのであります。
 そういう意味で実はお尋ねをいたすのであります。今回の提案によりますと、連座制の問題について、せっかく制裁を強化されようとしておりながら、なぜ連座制の当然の条件でありまするそれが失格を直ちに規定するというたとえば、イギリスにおける選挙の粛正が、連座制の強化によって成功したという前例もあるようであります。こういうように、連座制をとる場合におきましては、その範囲を拡大することはもちろんでありますけれども、当然失格の条件となすべきではなかったか。この点に対する所見を伺っておきたいと思います。
 次の問題は、その他の選挙事犯の場合におきまして、公民権の停止の問題であります。これも当然規定すべきではなかったか。選挙違反を犯した者は必ず公民権が停止されるものであるということが私は当然の規定ではないかと思う。なぜこういうような重要な部分で、政府は明確な規定をわざわざルーズにいたしたのかということについて、おそらく国民は理解に苦しんでおると思うのであります。この点については、法律上、技術上の問題ではなくて、政策の本質的な問題に関することだと思いますので、総理にお答えを願っておきたいと思います。
○池田国務大臣 連座の場合、失格の点につきましては、いろいろ検討いたしました。先ほど来お答えした通り、この原案の方が適切ではないかという結論を出したのでございます。
 それから、違反の場合の公民権の停止につきましては、これは違反の判決のとき、選挙権あるいは被選挙権の停止の措置がとられることがあるのであります。今回の答申におきましては、この点につきましては触れておりませんので、今まで通り、特に新たな規定を設けることをやめたのであります。
○井堀委員 答申は全面的にうのみにするという考えには私は同調するものではありません。国会は国会の権威において、それを参考に取り入れていんことがわれわれのなすべきことであります。しかし、答申の趣旨に反するようなことがありましたり、あるいはその答申に沿うといいながら、実質的には大事な部分でそれを免れようとするようなことは、最も卑劣な態度といわなければならぬと思うのであります。
 そういう点で、今お尋ねをいたした例でありますが、もちろん言及されておりませんけれども、公明選挙を推進する場合に、選挙事犯に対して制裁を強化せよという主張はきわめて強いものとなって出ておるのであります。それを具体化していくのはわれわれの任務でもあると思うので、ちょっとお尋ねしたのであります。
 ついでに、もう一つある。たとえば選挙違反の場合に、裁判がかなり長期にわたって、事実上その制裁は意味をなさぬような結果になって、百日裁判というような指示も裁判所で行なっておるようでありますが、こういうような点は、もちろんこの際考えておくべきではなかったか。また、選挙違反に対する逃亡や時効の規定などについては、もっと厳格に規定していくべきではなかったか。あるいは選挙事犯に関する恩赦や特赦などというものは、これはこの法案に書くべきものではないかもしれませんが、政策としては考慮を要すべき事柄であるといいまするか、こういう点に対する政府の見解をこの際聞いておきますることは、答申の精神に対するわれわれの態度をきめていく上に大切なことだと思いますから、具体的なものを二、三あげて総理の御答弁を伺っておきたいと思います。
○池田国務大臣 裁判が早く結論を出されることは、私は強く要望し、先ほど来御答弁申し上げてある通りでございます。そうして、逃亡その他の関係で時効中断の規定等も、一般と同じように今度は相当長くいたしておりますので、御趣旨の点はある程度入れられたと考えております。
○井堀委員 私どもは今後審議する上に、修正するとするならばそういう部分にかなりの声が国民として起こってくるだろうと思いまして伺ったのであります。
 なお次に、金がかからない選挙は世論でありまするし、また何人もこれに共鳴しない者はないと思うのでございます。そういうことを願いながら事実は選挙に金がかかる。問題はやはり、政治資金の規正という形で法案は出てきておるのでございますが、この点は隔靴掻痒の感がはなはだしいと思うのでありまして、これも今後の選挙法の審議の際に大切なことになると思いますから伺っておきたいと思います。
 それは、選挙資金の入手、選挙のために必要とする資金はもちろんでありまするが、政党が政党を維持していくために必要な経費も、もちろん政党本位の選挙をやる場合における大きなファクターになることは当然だと思うのであります。こういう意味において、選挙に限らず、やはり党を民主的なものにしていく、政党が近代的なものになるということが私は大前提になると思うのであります。一方には法律できびしい規定を設けると同時に、他方においては政党にもおのずから規正を加える必要が、国民の側からいえばあると思う。もちろん政党は民主的にということは、自主的に自粛し改善もいたすべきことは当然でありますが、しかし一方には選挙を争うし、党勢の拡張はやるのでありますから、おのずから国民的見地に立って規正を加える必要があると思うのであります。こういう点については、この選挙法改正の一つの大きな条件として、政党法もしくは公職選挙法の中に政党を規正する規定を入れるべきではなかったか。その点をことさらに見送ったのはどういう理由に基づくかを疑いまするので、一つ伺っておきたいと思います。
○池田国務大臣 御承知の通り、選挙制度審議会に諮問いたしておるのであります。審議会におきましては今のお話の政党法あるいは政治資金規正法等につきまして検討中であるのであります。私はその結果を見まして善処いたしたいと思います。
○井堀委員 けっこうであります。そういたしますると、その選挙法をわれわれが審議をしていきまするために、まだ二次、三次の答申が行なわれるということを予定して審議をしていかなければならぬということにもなると思うのでありますが、それはやむを得ぬことでありましょう。
 それから次に、もう一つ、私はいろいろ政策に関連をいたしまする点を総理に伺っておきたいと思うのであります。それは、公明選挙を推進していくための補強的なものとして最も重要なものは、先ほど申し上げるもののほかに、選挙事務並びに選挙管理を最も公正にそうして合理的に行なうということが前提にならなければならぬので、私はたびたびこの委員会で主張をしてきましたのであります。先日の新聞にちょっと出ておりましたが、選挙管理委員会を中央政府はもちろん、地方の首長の権力の外に、すなわち完全に独立をさせるということが一つ。いま一つは、その選挙管理委員会にあまり権力の付随しない、すなわち委託金のようなものをもっとどっさり予算化して、そうして選挙管理委員会を強化し、かつ今日のように型ばかりの選挙管理委員会ではなくて、自主的に選挙の取り締まりに対する意思を正しく強く表明できるくらいの選挙管理委員会を設けることが、私は絶対の条件になってきておると思うのであります。この点に対する何か御用意があるかどうかを伺っておきたい。
○池田国務大臣 選挙管理委員会に対しましての御意見は、全く同感でございます。われわれは地方自治法を改正いたしまして書型委員会の強化をはかっていきたい。そうしてまた、委員会のいろいろな行動につきましても、先ほど申し上げましたように、昭和三十六年度は前年に比べまして倍以上の予算を組みまして、管理委員会の活動を積極的にやっていこうという措置をとっておるのでございます。今後におきましても、選挙公明化を期するために管理委員会の活用を十分はかっていきたいと存じております。
○井堀委員 時間の都合がありまするから、もう一点だけ伺っておきたいと思います。それは先ほども御答弁の中にありましたように、次に予定されておりまする参議院の選挙はもうのっぴきならぬ朝日が来ておるとわれわれは見ておるのであります。先ほど来伺っておりますると、まだ答申が行なわれておりませんし、また、重要な部分について改善をすべきものがたくさんあると思うのであります。こういうものとあわせ考えまして、次の参議院の選挙にこの法案が結論を得ることができないということになりますと、参議院は特例を用意しておるかに聞いております。もしそういうようなことが一方にあるといたしまするならば、私は審議の上に支障を来たすだけではなく、国民から選挙法に対する国会の取り組み方に対して、政府はもちろんでありまするが、われわれ国会議員もその真意のほどを疑われるということが、今後選挙法に対する国民の信頼もしくはその尊厳に対する非常な冒涜になると思うのでありまして、この点は明確にしておくことが必要だと思いまするから、一言総理から答弁を求めておきたいと思います。
○池田国務大臣 参議院の特例の提案その他のことが話題に上っておりますが、私も新聞紙で見ておるのですが、まだ出ておりません。私はそういう心配をするよりも、この法案を早く通していただく、これが必要なことであると考えております。
○加藤委員長 これをもって内閣総理大臣に対する質疑は終わりました。
 次会は公報をもってお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十八分散会