第040回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第17号
昭和三十七年四月二十七日(金曜日)
   午前十一時十六分開議
 出席委員
   委員長 加藤常太郎君
   理事 荒舩清十郎君 理事 高橋 英吉君
   理事 竹山祐太郎君 理事 丹羽喬四郎君
   理事 福永 一臣君 理事 島上善五郎君
   理事 畑   和君 理事 堀  昌雄君
      井村 重雄君    亀岡 高夫君
      仮谷 忠男君    藏内 修治君
      薩摩 雄次君    篠田 弘作君
      首藤 新八君    田中 榮一君
      徳安 實藏君    中垣 國男君
      永山 忠則君    林   博君
      古川 丈吉君    松本 一郎君
      米山 恒治君    太田 一夫君
      坪野 米男君    堂森 芳夫君
      山中日露史君    井堀 繁男君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 植木庚子郎君
        自 治 大 臣 安井  謙君
 出席政府委員
        警  視  監
        (警察庁刑事局
        長)      新井  裕君
        検     事
        (刑事局長)  竹内 壽平君
        自治政務次官  大上  司君
        自治事務官
        (選挙局長)  松村 清之君
 委員外の出席者
        検     事
        (刑事局刑事課
        長)      羽山 忠弘君
        検     事
        (刑事局参事
        官)      海治 立憲君
        自治事務官
        (選挙局選挙課
        長)      中村 啓一君
        自治事務官
        (選挙局管理課
        長)      桜沢東兵衛君
    ―――――――――――――
四月二十七日
 委員内田常雄君、仮谷忠男君、篠田弘作君、首
 藤新八君、田中榮一君、林博君、坂本泰良君及
 び山花秀雄君辞任につき、その補欠として永山
 忠則君、古川丈吉君、米山恒治君、徳安實藏君、
 亀岡高夫君、井村重雄君、田中織之進君及び堂
 森芳夫君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公職選挙法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第一〇八号)
 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法
 律の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇九
 号)
     ――――◇―――――
○加藤委員長 これより会議を開きます。
 公職選挙法等の一部を改正する法律案及び国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案を一括議題といたします。
 これより公職選挙法等の一部を改正する法律案及びこれに対する島上善五郎君外二名提出の修正案及び高橋英吉君外二名提出の修正案、並びに国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する高橋英吉君外四名提出の修正案について、一括して質疑を行ないます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。島上善五郎君。
○島上委員 政府原案に対してももちろん私の質問が残っておりますが、大臣がまだお見えになっていないようですから、最初に、自民党の高橋英吉君外から提出されました修正案について、質問いたします。
 この自民党の修正案の提案者であります高橋英吉君は、選挙制度審議会の特別委員として、審議会の審議にも参加されておりますし、審議会の答申の内容についてはもちろん、その根本精神についても十分御承知になっておるはずです。その高橋君からこのような提案をされましたことは、私は意外と申しますか、遺憾と申しますか、はなはだ了解に苦しむところであります。そこで、以下内容について御質問するのでありますが、内容に入ります前に、一般的なことをまず伺っておきたいと思います。
 今回の公職選挙法改正にあたって一番大事な点は、最近、選挙を重ねるごとに、腐敗、不正の選挙がはなはだしくなってきている。これはあとで私は法務省当局から、その数字的な根拠も示してもらおうと思っておりますが、その数字的根拠をあえて示すまでもなく、高橋英吉君たちも御承知だと思う。買収、供応を中心とする悪質違反が、年を追うごとにはなはだしくなってきている。そこで法律を改正するに際しては、買収、供応を中心とする悪質違反をいかにして防ぐかということと、出た場合には当然これに対する罰則を厳にする、私はもちろん罰則を厳にすることだけで事足れりとは思いませんけれども、差しあたってはこのような悪質違反に対して取り締まりを厳にすることと罰則を厳にすることが、遺憾なことではあるが必要な事態である。それが、連座制の強化となり、あるいはその他の罰則の強化という形にならざるを得ないわけであります。弊害の伴わない、あるいは弊害がほとんどないような方面については、形式犯その他言論等については緩和をする、弊害の多いところは取り締まり及び処罰を厳にする、こういうような思想の上に立って答申がなされたものであり、私は当然このようなものの考え方は是認され、肯定されて、選挙法改正に取り組むべきではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、いわばこの前提とも言うべき二つの考え方に対して、高橋英吉君はどのようにお考えか、承りたいと存じます。
○高橋(英)委員 島上委員からの御質問、ごもっともだと思います。私も審議会の特別委員をやっておりましたから、その精神はよくわかりますが、ただ公明選挙の目的を達成するために、罰則を強化するばかりが能ではない。それによってその目的が完全に達成されるということはほとんど望み得ないということは、今島上さんもおっしゃったことでございますので、私も同感でございます。しかし、ある程度は罰則関係の強化によってもその目的を達成しなければいかぬというふうなことに結論が相なった関係上、政府提案となり、われわれの修正案となったと思うのです。たびたび申し上げますけれども、罰則強化といいましても、刑事罰の強化の場合もありましょうし、今度のような連座制の強化というふうな問題もあります。今度は刑事罰の強化よりも、連座制の強化というふうな点に重点を置かれたようでございます。特別時効の廃止、これも刑罰強化のうちに入るでありましょうけれども、これは間接的なものでございます。連座制の強化ということ、これはなるほど連座制をより強化するならば選挙違反が少なくなるとか何とかいうふうな問題も起こってきましょうが、選挙が萎縮してしまうというようなおそれもありますし、根本問題としては、たびたび私が申し上げておりますように、意思のないところに責任を負わすという点、これはもう近代社会の鉄則に反するわけですから、なるべくこれを小範囲にとどめなければいけない。大体連座規定のあるのはイギリスと日本だけであって、世界各国にはない。今度のように連座制を広げますると、これはほとんど日本の国辱みたいなものを広告するのではないかというふうにも思われるのであります。専売特許として日本が輸出しまして、各国で輸入をしてくれればいいわけでございましょうけれども、こういうばかげた国辱的な立法については、各国ともまねはしないと思います。要するに私どもは、この連座制をより強化するということは、これは例外中の例外でございますから、非常に慎重に取り扱わなければならない、そういうふうな建前から、連座制の強化には根本的には絶対反対の立場ではおります。しかし現在の時弊といいまするか、現象的な弊害を除去するためには、多少これも必要ではないかというので、この程度が最も妥当であると信じまして、政府案に賛成し、また政府案を修正すべきであるというふうなことになっておるので、審議会の精神もよくわかっておりまして、これを心から尊重した結果がこういうふうなわれわれの立場と相なったものと御了承願いたいと思います。
○島上委員 日本の国辱を宣伝するようなものだとおっしゃいましたが、私もこういうふうに法律で連座制を強化したり、取り締まり、罰則を強化しなければならぬということは、そういう現状はほんとうに残念だと思います。そういう現状があるからこそ、これを改めるために、改革するために法律改正が必要だということになったわけですから、その現状がなくなれば、私は現在のような取り締まり木位ともいうべき法律は、大幅に緩和して改正すべきだと思うのです。そういう時期が一日も早くくることを、むしろ私は希望したいのであります。その現実を言わないで、法律改正が国辱だと言うことは、私は考え方が転倒しているのではないかと思うのであります。池田総理が、総理になり総裁になって初めて行なわれた選挙が、最も醜悪な選挙であるということは、遺憾ながら事実なんです。この事実は否定することはできない。私たちは同僚のことに関することだから、あまり触れたくはありませんけれども、法務省の法務次官をした人が、最高検のたしか検事長をした人が、立候補に際して、今度は法務大臣になる人だという振れ回りで立候補した人が、最大の悪質違反をしておるということは、これは事実でしょう。取り調べに当たった某検事は、私にこう言いました。あなた方が考えているようななまやさしいものではありません、もう徹頭徹尾、組織的な、計画的な買収である、現在の警察力をもってしてはその全貌を調べることはとうてい不可能である、氷山の一角にすぎない、こういうことさえ言っておる。私はそれはほんとうだろうと思うのです。それが大阪ばかりではない。東京にもある、福岡にもある、秋田にもある、北海道にもある。こういうことは私は言いたくないのです。こういう実態があるからこそ、これを防止するために法律改正をしなければならぬのです。私は総理への質問の際にも申しましたが、私どもは法律改正万能主義ではないのです。法律改正と政党及び候補者の自粛、反省と国民の自覚協力と、この三つが相待たなければ公明選挙のほんとうの目的を達することができない。しかし私ども国会議員として、国会で法律改正に当たっておりまする以上、法律改正の面から今そういう点を議論しているわけですが、ほんとうに私たちは、こういうようなことを言うのは、全く国会自体の権威にもかかわることであり、大きく言うならば国辱をさらすようなものですから残念です。残念ですが、強化するしかないと私は思う。野放しにして十億も二十億も使わせて富の再分配をしようなんという議論もありますけれども、これは私は論外だと思うのです。
 そこで伺いますが、根本的には連座制強化には反対だけれども、ある程度強化するのはやむを得ない。政府案も強化しているし、やむを得ない、こういうことです。そのある程度強化ということですけれども、強化する以上は法律的に実効がある強化でなければならぬと思うのです。精神的な効果をねらうだけでは、私は現在の選挙界の状況に対しては役に立たぬと思うのです。精神的な効果をねらう程度の改正では役に立たぬ。実際的に効果の上がる連座制の強化でなければ役に立たぬと思いますが、その点どのようにお考えでしょうか。
○高橋(英)委員 いろいろ有益な御訓示や御質問をいただいたので、だいぶ啓蒙される点はありますが、議論が平行線になっていかぬのですけれども、私ども刑罰の強化よりもより根本的に公明選挙の目的を達成する方法があるのではないか、井堀君が主張しております、民社党の主張しておりますあの公明選挙の方法、これなんかも最も適切な方法ではないかと思われるので、刑罰とか罰則とかを強化して、それで選挙違反がなくなるものだったら……。(畑委員「理屈では参りましたと言いなさい、わかっちゃいるけどやめられないか」と呼ぶ)御承知のように、昔の選挙違反の刑事罰から見ますと、現在の刑事罰は非常にきびしくなっておるにもかかわらず、いわゆる選挙違反というものは跡を断たない。従って連座制が強化されましても、これは決して予防できるとか、これがために選挙違反がなくなるというふうなことは考えられません。今畑君が言ったようにわかっちゃいるけれどもやめられないというようなことで、とにかく正当防衛といいますか、自衛権の行使といいますか、当選するためにはあらゆる手段、方法を講じますから、連座制の強化くらいでは決して従来のそういうふうな弊風は一掃されないと私は思います。かえって連座制の強化は予防的な、予戒的なものよりも、応報的なもの、すなわち復讐的なもの、懲罰的なもの、そういうものを含んでおるのじゃないかというように私どもには思われます。刑事罰なり連座制を強化して、それがために選挙違反がだんだん少なくなるというふうなことは、絶対に信じられない。先ほど申しましたように、刑事罰が幾ら強化されても、今日のようにきびしくなっても跡を断たないのでございますから、連座制が強化されても私は同じだと思う。連座制がねらうところは、選挙違反をやった者に対して、応報的に、懲罰的にその当選者を失格せしむるというふうなところにねらいがあると思われるので、これは前時代的な法律思想である。この点についても連座制の強化というものはどうかとも思われますけれども、いわゆる世論なるものがこれを望んでおりますから、われわれもいわゆる国民主権の代表者といたしまして、一応こういうふうな態度をとっている次第でございます。とにかく木を見て山を見ずというふうなこともありますから、あまりに局部的な現象ばかり見て、審議会も社会党さんの方も連座制の強化ばかりを主張されるようなきらいがあるのじゃないか。この程度が一番いいと思ってわれわれは修正したのです。その中でも親族連座の規定なんかは、大へんな問題です。わが党の中でも人道に反することには絶対に反対だという者が多いことは、御承知の通りでありますけれども、一応諸君の御要請も取り入れまして、いわゆる審議会の精神を尊重し、世論を取り入れてというふうな形で、この程度の修正が一番いいと思って出した次第で、ぜひ御賛成いただきたいと思います。
○島上委員 高橋提案者は非常に正直で私は好感を持っておりますが、ときどき不正直なところもあるのです。正直と不正直とまじっているのですね。審議会の答申がよくわかって尊重しているなどということは、あまりこの際言わぬ方がいいのではないかと思う。審議会の答申は行き過ぎだ、だから自分たちは尊重できない部分もあります、尊重できる部分もあるけれども、尊重できない部分もあります、この方が私は正確ではないかと思うのです。他の部分については正直なところがありますよ。連座制強化はだめだ、連座制を強化したからといって効果が上がるものではない、しかし世論が要求するから、まあ仕方がなしに、多少は強化したような格好をしなければならぬ、これが正直なところだと思う。それならそれでいいのですよ。私どもと考えが違うだけです。高橋議員も御承知だと思いますが、イギリスにおいてかつて、日本の今のわれわれでは想像もできないようなきびしい罰則を課した。候補者はその選挙区においては五年間か七年間立候補できない。私はほんとうに、できるならばそうしたいのです。そうしたいけれども、あまり一足飛びにいくと、それこそびっくりして混乱を起こすでしょうから、最小限度の強化という意味で、答申の線に沿うた社会党の修正案程度のものが今日必要ではなかろうか、こう考えているわけです。特にその連座制については、精神的な効果だけではだめです。それこそ、今正直におっしゃったように、当選するがためには手段を選ばず、勝てば官軍、当選してしまえばいいのだというような考えでやるから、当選に影響する罰則、すなわち連座制を強化しなければだめなんですよ。運動員が罰金を食った、三ヵ月か半年の体刑を食ったという程度では、ほんとうの効果が上がらぬのですよ。それほど今選挙界が腐敗している。私は、当選に実際に影響するような強化をしなければ、現在の選挙界の腐敗を改めることが困難である、こういうふうに考えておりますが、当選に影響するような罰則強化は反対である、そういうことをしてもだめだ、こういうお考えならばお考えでけっこうですから、その点はっきりお答えを願いたい。
○高橋(英)委員 私は罰則を強化しても全然効果がないとは言わないのですよ。先ほどの説明不足の点は訂正させていただきます。罰則を強化したら、ある程度目的を達せられましょう。しかし、それが総合的観点から考えて妥当な罰則強化であるかどうか、すなわちほかの犯罪やほかの社会現象その他と比べて合理的であるかどうかということに問題があると思うのです。連座制の強化というのは、何べんも言いますけれども、意思のないところに責任を負わせるのですから、これは人道精神に反するわけです。御承知のように、野蛮時代といいますか、昔のそういう時代には罪九族に及んで、主人が罰せられれば、何にも関係のない親族までも罰せられた。こういうことは人道精神に反するというので、意思のあるところに初めて罰が加えられる、責任を持たされるというふうなことに相なっていることは、御承知の通りでございます。従って民事上でも、過失による責任というものが特に今規定されておりますけれども、これも例外規定。刑事罰の問題におきましても、過失に基づくところの責任は、御承知のように非常に軽い。人が死んだ場合でも、殺人罪では死刑や無期にせられるのに対して、過失で人を死に至らしめた場合には罰金で済むという程度になっておるくらいでございますから、連座制の強化もそういうような意味において、意思のないのに責任を負わされるということになるのでございますから、これはそう極端にきびしい規定にすべきではない、範囲を広げるべきではない、ごく少数の、ほんとうに連座せしめてもそう過酷ではないというふうに思われる程度のもの、これに対して強化をするのは差しつかえないと思います。選挙違反は非常にきびしく取り締まらなければいかぬからといって単に十万円や二十万円の買収をしたからといって死刑にするわけにいきません。なるほど死刑にすれば、あるいはだいぶ違うかもしれませんけれども、そういうふうな不合理なことはできないという意味で、とにかく強化するのにもそれぞれの立場からつり合いのとれた、中庸をはずれない程度でいいというのがわれわれの主張であります。
○島上委員 高橋委員は法律家でございますから、私がこういうことを聞かぬでも十分御承知だと思いますが、連座は刑罰とお考えですか。
○高橋(英)委員 刑罰とは考えません。刑罰とは考えませんけれども、責任を負わされるという一つの法理的効果をねらっておるのでありますから、罰則には違いないと思います。広い意味において刑事罰といってもいいかもしれませんけれども、狭義においてはいわゆる刑事罰とは違います。
○島上委員 刑罰でないということは明らかです。これは定説です。刑罰ではございません。政治的責任を負うということにはなるでしょうけれども、刑罰ではないと思う。従ってこの連座制について罪九族を引き合いに出すことは、私は不適当だと思うのです。罪九族というのは、意思もないし行為もない親族が刑罰に処せられることをさしておるのだと私は理解しております。いかがでしょうか。
○高橋(英)委員 お説の通りでございまして、私の申し上げる連座制における意思のない者が責任を負わされるというのは、候補者自身のことなんです。候補者自身は意思がないわけなんで、他人の犯した罪といいますか、違反事項によって、当選しましたところの国会議員としての重要な地位がなくなってしまうという、政治家として死刑にも値するような、そういうふうな非常な責任が及んでくる、それは候補者に何ら意思の関係がないにもかかわらずそうなってきたということを申し上げておるのであります。
○島上委員 罪九族ということを前からしきりに言われておりますが、これは今のお答えでも明らかなように適当ではございませんし、国民に誤解を与えますから、私どもも今の時代に罪九族に及ぼすような法改正をやろうなどとは毛頭考えておりませんから、それに連座制強化は罪九族と同一のものではございませんから、これだけは一つ今後お使いにならぬようにお願いしたいと思います。
 今のお答えを聞いておりますと、連座制そのもの、候補者が行なった行為でもないし、候補者の意思によって行なった行為でもないから、連座すること自体が不適当である、こういう考えに立っているようでございますが、考え方としてはそういうお考えでしょうか。
○高橋(英)委員 さようでございます。
○島上委員 そういたしますと、連座制そのものを否定なさるわけですね。立場はそういうことですね。
○高橋(英)委員 連座制というものは近代社会の法則からいって、間違った規定とは申し上げませんけれども、例外中の例外、特別の場合における特別の法則だというふうに考えております。それから、これはあまり言わなくてもいいのですけれども、罪九族ということについてちょっと私の所見も申し述べさしていただきたいのですが、要するに罪九族という思想の裏返し、すなわち他の条件は何もないけれども、単に親族であるという自然的条件のために、特別に、その親族なり家族なりが犯したところの一つの行為によって責任が候補者に及ぶということ、これはすなわち罪九族に及ぶというふうな思想の裏返しになる。これはちょっと言い方はオーバーですよ、われわれが宣伝効果をねらって特に選んだ言葉ですから確かにオーバーには違いありませんけれども、やはり思想としましては、何らほかの条件がない、ただ親族であるという自然的な結合が土台となって、それによってここに責任者が生ずるというふうな思想、それは家族制度を放棄したところの精神にも反するし、罪九族的の思想に戻るのじゃないかというふうな考え方をしておるわけです。
○島上委員 そういたしますと、あなたの考えからいたしますれば、この修正案には親族連座の項を全部削除してお出しになるのが当然だと思いますが、どうして削除なさらなかったのですか。
○高橋(英)委員 これは、削除しろというのが党内大多数の意見ではございましたが、先ほど申し上げましたように、審議会の答申の精神を尊重し、世論みたいなものを取り入れまして、その上で、一切こういうものがないと親族が少し行き過ぎの行為に出るおそれもあるから、この際こういうものをこしらえて、親族に少し休息を与えてやるのもいいだろう、そういうふうな意味で賛成した次第でございます。
○島上委員 どうも一貫性がないように思えてしようがないのですが、私たちは親族に休息を与えようなどとは考えておりません。親族の方々も、法で許された合法的な運動は大いにやって可なりと思います。それこそ人情のしからしむるところだと思います。法律に許された範囲で十分やれるのです。法律に許されないことをやろうとするから、罰則があり連座があるわけですから、親族に休息させようというお考えを持っている方は――私は決して言葉じりをとらえるわけじゃありませんが、休息させようというお考えを持っている方は、親族が動くときには買収、供応が必然的につきものだというふうに突き詰めてお考えになっていらっしゃるのじゃないかと思うのです。私は親族といえども、一般の国民あるいは支持者が行なうのと同時に、合法的に行なえる範囲はかなり広範にあると思います。そういう広範にある運動をおやりになれば、他の人がやるよりも親族の場合には少し効果が多いと思うのです。そういう効果が多い親族がおるのに、休息させるということはずいぶんもったいない話じゃないですか。私たちは親族に合法的な範囲の運動を大いにやっていただこうと考えておりますし、またこれはちっとも非難され指弾さるべきことではないと思いますが、この点に関するお考えをもう一度伺っておきます。
○高橋(英)委員 お説までもなく、ひっかからぬ程度で親族、家族は一生懸命やるものと思います。しかし気分的に休養を与えるというふうなことも考えられますが、とにかく私どもは選挙の実情といたしますと、親族は出過ぎると怒られるし、またやらないと、他人にやらして自分たちはぬくぬくとやっているようなことで怒られますし、これの調節というものがなかなかむずかしいもので、適当にはやっておりますが、こういう法律ができれば、また適当に活用いたすつもりであります。供応とか買収が必ず親族につきものというふうなことは、あまり邪推が過ぎるのではないかというふうに思います。
○島上委員 そう邪推したくないけれども、こういう法律ができたら親族を休息させると言ってしまうから、そう言わざるを得ないのです。私たちは法律的にも処分されないし、また他の人々からも、おれたちが一生懸命やっているのに何だ、何もしないでと怒られることのないように、もっと熱心に、もっと合法的にやっていただく道が無限大といっていいほどあると思うのです。ですから、この法律ができたら親族に休息させようなんというふうに突き詰めてお考えになると、勢いそれじゃ親族の場合には買収、供応がつきものだ、こういうふうに反対側から解釈されると思うのです。
 そういう問答ばかりしておってもしようがないから質問を進めますけれども、親族の問題に入りましたから、これは自治大臣にお伺いいたします。今度の連座制強化の政府案ですが、親族の連座については、同居し、意思を通じ、禁固以上の刑に処せられ、執行猶予にならなかった場合、こういうような大臣のおっしゃるしぼりがかかっているわけです。これで一体実際の効果があるものですか。私は精神的にはあるいは効果があるかと思うのです。しかし実際法律的に効果が期待できるものでしょうか。もし期待できるとしたら、その事例をなるべく具体的に御答弁願いたい。
○安井国務大臣 親族連座につきましては、今高橋先生からもお話しした通り、一般的に親族なるがゆえに特別に対象としていろいろ法律的な制約を加えるのが妥当かどうかについては、相当議論が分かれる。しかし一方、現在の状況におきまして親族の果たしておる役割等について特別の関心を持って、今後法律を処理することを要請されておるという審議会の御意向もありましたので、そういった行き過ぎにならないような配慮を極力いたしましてこの法律案を出したわけでございます。はたしてこれが今後どういうように運営されますか、この点につきましては今後の運営の結果を待ってみたいと思っております。
○島上委員 私が実際の効果がないというのは、単に私の主観や単なる想像ではないのです。法務省が出しております統計によっても、選挙違反に関する処罰の結果を見ますと、ときには九九%、ときには一〇〇%まで執行猶予になっておるというような数字があがっております。執行猶予というしぼりが一つかかっただけでも、九九%は引っかからない、そういうことになるのです。(荒舩委員「そんなことはないな」と呼ぶ)法務省の統計が示しておるのです。それじゃ、法務省の統計を出しましょう。これを一つ確認してからにしましょう。最高検事務当局の司法統計年報昭和三十年版で、衆議院選挙の場合裁判を受けた二百九十人のうち有罪二百四十七人、無罪十一人、その他二十一人、この有罪の中で懲役百五人のうち執行猶予百三人、禁固十二人のうち執行猶予十一人、同統計の参議院選挙の場合を見ても、懲役九十八人のうち九十七人が執行猶予、禁固二十九人のうち全員が執行猶予となっている。私はこれが事実であろうと思うのですが、当局のお答えをいただきたい。
○羽山説明員 ただいまお読みになりました統計は、おそらく最高裁判所の統計であろうと思います。その通りでございます。
○島上委員 この通りであることは間違いないのです。こういうふうに九八%ないし九九%が執行猶予、懲役でもそうですよ。禁固の場合には全員。そうすると執行猶予にならなかった場合という一つのしぼりだけでも、九九%はかからぬということになる。その上に意思を通じ、同居をし。違反そのものがいわゆる悪質違反ですから、そういうことになって参りますと、私はしいて言うならば、千人のうち一人くらいは引っかかるかもしれないが、千人のうちの九百九十九人は引っかからぬという実態であろう、こう考えます。どうでしょうか自治大臣。
○安井国務大臣 これは連座の対象になるという意味からは、従来、総括主宰者が連座の対象になったという場合も、非常に少ないのじゃないかと思います。これはよほどの事例でございませんと、なかなかそういうふうに適用されるということは、裁判の結果出てこないのではないか。親族なるがゆえに特別に少ないのだ、また、法の量刑その他について特別の配慮があるからそんなになっておるのだというふうにも、私ども考えないわけでございます。
○島上委員 従来総括主宰者や出納責任者が連座の対象になった事例は、一ぱいあるんですよ。一ぱいあるけれども、裁判が三年も五年春かかるために、実際に連座によって失格した者がいないだけの話なんです。現に、現実に進行している裁判の中でも総括主宰者、出納責任者が起訴されて裁判されている事例がたくさんありますよ。一つ関係当局、その例をお答え願いたい。
○羽山説明員 昭和三十五年の衆議院議員選挙におきましての、総括主宰者といたしまして起訴されました者は三名でございますが、まだいずれも公判継続中でございまして、判決に至っておりません。出納責任者は五名でございますが、一名が裁判が確定いたしておりまして、あとは未確定でございます。
○島上委員 この通りですが、これがもし裁判がスピード・アップされて任期中に確定すれば、これに該当する人人は失格するということになろうかと思う。少なくともなるおそれがある。ただし現行法によっては、あらためて当選無効の訴訟を起こすということになっておりますために、実際に連座する人はほとんどないということになっております。家族の場合には、総括主宰者や出納責任者に比較して、しぼりがたくさんかかっているわけですね。無理がかかっている。総括主宰者や出納責任者はしぼりがかかっていない。総括主宰者や出納責任者にしぼりがかかってないで、家族にしぼりをかけている、こういうことです。私はこの点も第一不当だと思うのです。答申の精神は、総括主宰者、出納責任者は候補者と一体のものである、一体性という見地、同時に選挙に対してきわめて重要な役割を果たしておる。家族を連座の対象にせよという審議会の答申の精神は、やはり総括主宰者、出納責任者同様に候補者と一体性が強い、及び選挙に重要な役割を果たしている、こう見ているからだろうと思うのです。それなのに、親族にのみこういうしぼりをかけるということは、私は不当ではないかと思う。
○安井国務大臣 前にも申し上げたかと思いますが、親族といえども、総括主宰者、出納責任者と同じようなことをやっておる場合は同様な扱い――これは現行法通りになるわけであります。従いまして、それ以上に条件を広めようという場合でありますから、親族にはできる限りのしぼりをかけて、行き過ぎのないようにということであります。決して親族を特別に怪くしなければならぬということで扱っておるわけじゃないわけであります。
○島上委員 それでは、少しこまかくなって恐縮ですが、同居ということになっておりますね。議員の場合には宿舎に半年、自分の家に半年、あるいは宿舎にいる方が少し多いかもしれません。三日か十日か二十日か多いかもしれません。そういう場合には、同居とはどっちをさすのですか。
○安井国務大臣 同居というのは、通常判断しました同居の観念になろうと思いますが、技術的な点につきましては局長から御答弁いたさせます。
○松村(清)政府委員 これは裁判所の判例でございますが、同居の親族というその意義でございますが、事実上層を同じくして日常生活をしている親族をいうのであって、一時宿泊したにすぎない親族を含まない、こういう判例が出ております。
○島上委員 選挙区に家がございますね、ところが国会が、通常国会存五十日、臨時国会と合わせて百八十日、それから遊説、視察等を含めると、半年以上は家にいない。その場合でも家におる奥さんとか親とか兄弟は同居である、こういうふうに解釈しますね。
○松村(清)政府委員 同居といいますのは、住所または居所を同じくするという観念でいいかと思いますので、今のような場合はこの観念に該当すると考えられます。
○島上委員 少しあいまいなようでしたが、自宅が選挙区に、あるいは選挙区外でもいいですが、ある。しかし東京には宿舎がある。通常国会が百工十日で、臨時国会が二ヵ月も開くと半年以上、それだけ国会におる。視察に出かけたり、あるいは外国に行ったり、ということになれば、一年の半分以上は自宅にいない。そういう場合でも、ここにしぼりをかけておる同居に該当するかどうか。該当するならする、しないならしないとはっきりおっしゃって下さい。
○松村(清)政府委員 今のような場合は、普通住所を同じくするというように考えられると思いますので、該当すると考えていいかと思います。
○荒舩委員 関連。今の選挙局長の答弁はどうも少しあいまいだ。同居していなくても同居と見なすのですか。半年以上も宿舎におって、家族と別れておって、それで同居とみなしますか、それはおかしいじゃないですか。イエスかノーか、はっきり答弁願います。
○松村(清)政府委員 普通住所を同じくしておる……(荒舩委員「住所を同じくしてないんだよ、半年以上も」と呼ぶ)そこが問題ですが、そういう場合に住所を同じくしておると解釈せられますので、該当する、こういうふうにお答えしたわけであります。その住所かどうか、その点については一応問題があるかもしれませんが、具体的な場合、それは住所を同じくしておる、私はそういうふうに解するのでございます。
○荒舩委員 住所を同じくしてない場合はどうするのですか。たとえば三分の二は東京の議員宿舎におる、三分の一は国の自宅に帰る、そういう場合でも住居を同じくするのですか。三分の二は住居を同じくしてないのじゃないですか。
○松村(清)政府委員 それは住所を同じくしているというふうに考えます。
○島上委員 私もそういう解釈をとります。自宅がある以上は、自宅におる妻、親、兄弟は住居を同じくする。そこがつまり生活の根拠です。そうしませんと、この法律はいよいよもって妙なものになってしまう。私もそういうふうに解釈します。その解釈を荒舩君は曲解しておりますが、私は正解だと考えます。
 次にお伺いしますが、意思を通ずる、こういうしぼりがかかっておりますが、意思を通ずるとは具体的にはどういうことをさすのか。つまり女房に対して、お前は今度おれの選挙に運動員として、あるいは労務員として、あるいは何とかでやってほしい、はい、そうしましょう、こういう場合のことをさすのかどうか。
○松村(清)政府委員 これは概括的、抽象的と申しますか、自分の選挙運動をしてくれ、こういう関係があれば、意思を通ずる、こういうふうに言えるのでございます。
○島上委員 選挙運動をしてくれと候補者から頼まない。別にあらためてそういうことを言わない、言わなくてやった場合はどうでしょうか。私は自分の女房に、選挙運動をして下さいとは申しません。申しませんが、やります。当然のことです。合法的な範囲における運動は、当然のことです。やります。そうすると、頼まないけれどもやったというのは――やった事実をもちろん承知しております。そういう場合は私は意思を通じておると思いますが、どう思いますか。
○松村(清)政府委員 黙認したという形があれば、意思を通じておるというふうに解釈いたしております。
○島上委員 そういたしますと、候補者が、私は知らなかった、頼みもしなかった、こういう場合には意思を通じないということになりますか。
○松村(清)政府委員 これはまあ現実の場合に、客観的に見ましてそういうことを暗黙のうちに容認しておったかどうか、こういう点にかかってくると思います。具体的の場合について考えてみなければ、はっきりいたさないと思います。
○島上委員 これは知らなかった、頼まなかったということで結局は逃げられる。大きな抜け穴になりますよ。同居している親や兄弟や女房に対して、一つ運動して下さいなんてあらためて言う人がありますか。あらためて言わなくたって、運動するのが当然ですよ。それこそ人情のしからしむるところですよ。これは意思を通じないということになると、この意思を通じたというしぼりをかけたことが、またこれが重大な抜け穴になってしまう。もう少しはっきりとお答え願います。
○松村(清)政府委員 先ほども申しましたように、主観的なことでなくて、客観的にそういう事実が容認されておる、こういう形がやはり必要ではないかと思います。
○島上委員 主観的には、私は頼まなかった、知らなかったといっても、客観的に動いている事実を容認しておれば、私は意思を通じたことになると思うのです。そういう場合が多いのですよ。
 それからこれは大臣に伺いますが、執行猶予にならなかった場合、こう言いますけれども、執行猶予も私は有罪の判決だと思いますが、執行猶予は有罪の判決じゃないとお考えですか。
○安井国務大臣 有罪の判決には間違いないと思います。
○島上委員 法律にありますように、悪質違反を犯して有罪の判決を受けたにもかかわらず、これを、執行猶予がついた者は除く、執行猶予のつかない者は除かない。執行猶予も有罪ですから、同じ有罪であるにもかかわらず、除いたのは一体どういうことなんです。
○安井国務大臣 同じ罪をこうむるということになりましても、その情状によりましてこの罪は執行するのを猶予するような情状にある、ということは、いろいろな状況からその人の罪が軽いといいますか、特別の配慮をしてよろしいということであろうと思います。それに準じたわけであります。
○島上委員 これは私は納得できませんが、あまり時間をかけては……。先ほど大臣がお見えになる前に修正案の提案者に伺いましたが、この連座制を政府においても現状よりも強化しなければならぬというお考えと私は受け取りましたが、いかがですか。
○安井国務大臣 答申の御趣旨の線が、今の法律適用の上で極力無理のない限度においてある程度の強化をはかっておることは事実であります。
○島上委員 連座制を強化するということは、法律的に実際の効果が上がる点を強化するというのでなければ、私は意味がないと思いますが、精神的な効果を考えているのか、法律的に実際の効果が上がる点を強化しようというふうにお考えなのか。
○安井国務大臣 今のお話の通り、両面を考えながらやっておるわけでございます。
○島上委員 まあ、答弁としてはそうするしかないでしょうが、この政府の案も、さらにこれを修正しようとする自民党の案も、ともにそうですけれども、精神的な効果はあるいはあるかもしれない。それもほんとうに良心的な、気の小さい人です。良心的ならざる、気の大きい人には、これは効果がないのです。この程度のことでは効果がない。ましてや法律的な効果は何にもないと私は思うのです。自民党の修正案、三分の一以上の地域を主宰した者、こういうのですね。この修正案が通りますれば、よほどのばかでない限りは、地域主宰君は四分の一以下に分けます。四つか五つに分けます。そうなれば、これは何にもならぬじゃないですか。どうですか、四つに分けたら適用除外されるでしょう。
○高橋(英)委員 それは当然のことでございまして、四つに分けたものの四分の一の主事者は、この連座規定の対象にならないことは、これは法律の明記するところで、当然なわけです。それは、どうしてそういうふうにするようなことにしたかといいますと、要するに、何べんも言うようですけれども、連座制というものは例外中の例外の規定だから、よほど重要な立場の人の違反でなければ連座せしめないということなんです。だから、たとえばわれわれ今、一市一郡くらいに責任者を置いてやっておるものを、その一市一郡の主宰者が選挙違反をやったからというので、ことごとくそれが連座させられるということになったら、これは大へんな問題になるわけですから、要するに、何べんも言いますように、きのうも言ったように、総括主宰者に準ずる者、それから答申案にありますように広範囲の主宰者、そういうふうな非常に重要なものでなければならぬというので、三分の一程度のものだったらそれに該当するだろう、すなわち総括主宰者のほかに三名くらいは、そういう重要な人物と目されてもいたしかたないだろうというふうなことなんですが、あなた方のお説を聞くと、何か縛らなければいかぬので、縛らないようになることがいかぬという説のように聞こえますが、そうじゃないのです。縛るのは重要な役割の者が悪いことをしたのを縛るので、重要な立場でない者の悪いことをした者は連座制に関係させぬということになるわけですから、三分の一以下の四分の一、五分の一の責任者というものは、これは重要ならざる立場の人なんですから、当然除外さるべきもので、何か縛る者を先にきめて、そしてそれに当たらぬからそれは不都合な法律だというのは、ちょっとおかしいと思う。縛ることばかりを考えておられるような……。
○丹羽(喬)委員 ただいま私の最も尊敬をしております高橋先輩からるるお話がございました。法律の大家でございます、選挙法の大家でございますので、私今さらつけ加える必要もない次第でございますが、昨日も私が付加して申しました通りに、これは島上さんも先ほどからの御質問の中で、私は非常に意を強うするとともに、尊敬をした次第でございますが、まず日本であまり世界に類例のないような刑罰規定を設けることは恥であるという高橋委員のお説には御同感の意を表しました。しかしながら、現状においてやはりどうしてもある程度やむを得ぬじゃないかというようなことでございました。おそらくは審議会の答申の趣旨も、やむを得ざる劇薬的措置として連座制も幾分拡大をしなければならぬということでございます。私どもも、ことに親族の連座につきましては、候補者と同一性、あるいは古いことわざで申しますところの李下に冠を正さずとか、あるいは瓜田にくつを入れずというようなこともわからないことはないのでございますけれども、しかしながら、もしこれを非常に範囲を拡大してやりました場合におきましては、もちろん買収、供応というようなものにつきましては拡大をいたしましても連座になるということはある程度認容できるわけでございますが、私どもの議論といたしましては、今日の近代社会におきまして、親族なるがゆえに――親族という身分関係が漸次法律関係におきましては希薄になっている現在におきまして、ことさらにそれを取り上げまして、親族なるがゆえにそういった規定を重加いたしまして、そうして親族なるがゆえにねらわれるということによりまして、選挙の熾烈化をますます激しくさせることはどうであろうかという趣旨でございます。しかも、買収、供応した者はやむを得ませんけれども、ややもいたしますと、これが連座になる、候補者を失格させるというおそれがあるために、あるいは反対者から盛んに投書その他の中傷が行なわれる。現状は、島上さん初め皆様も御承知の通りでございますが、選挙運動というものはまことに熾烈なものでございますから、それだけ親族に中傷あるいは投書をどんどんしていけば、親族が引っぱられれば、それがもし新聞にでも出ればというので、相手を陥れて自分の方を有利にしようというような気配が非常に多い次第でございまして、たとえば今回の答申案にもございます自由妨害罪というようなものを設けられましたのも、いたずらに相手を虚偽に陥れまして選挙を有利に導こうというようなものを防止しようというのでございまして、これを有力な武器として使われましたならば親族が非常に気の毒な目にあうのじゃないかという点からいたしまして、できるだけそういったような弊害を除く、しかも取り締まり当局にも慎重な取り締まりを願いたいという趣旨で、これはできるだけしぼりにしぼりをかけてやった方がいいのではないかという趣旨で、答申案の趣旨は尊重いたしまして、現実とマッチしたこの今回の、たとえば親族につきましては三重にしぼりをかけるとか、あるいはまた地区責任者につきましては、選挙区を三個以内に分けまして、その地区責任者に相当する者につきましては、これが買収、供応した場合におきましては連座の対象になるというふうにいたしまして、この程度が最も妥当であるという考えでした次第でございます。しかも数個という点になりますと、あとでもって判例その他裁判上の争いにもなって参ります。これを捜査官の認定にまかせますと、非常な問題が起こって参ります。最後は最高裁できめることでございますが、その過程におきまして、数個が五つになるか六つになるか、あるいは五つはよかったが三つでは悪かった、こういうことで、それを捜査官の認定にまかせることは、この重大なる選挙関係の秩序というものが、一捜査官の判断でもって取り扱われることはどうであろうかという趣旨からいたしまして、私どもはこの際これを明確にしようという趣旨でやった次第でございまして、決してこれをゆがめるとか、あるいはまた特にざる法にするとかという趣旨じゃない次第でございますので、その点を御了解願いたい、こう思う次第でございます。
○島上委員 いかに弁明いたしましょうとも、これはざる法のざるの目をさらに大きくするものであることはもう明白です。読売の漫画に出ておった通りです。ドジョウどころではない、大きなウナギも大きなナマズも漏るような目に広げてしまおうとして一生懸命にやっておる。漫画に出ておった顔がどうも高橋さんと丹羽さんに似ておった。
 それで伺いますが、私どもは買収、供応は絶対にいかぬ、やるべきじゃない。十票や二十票の買収はそんなやかましく言うな、五万票とれば四万九千九百九十票が死んでしまうじゃないかというような議論をなす者がありますが、私はたとい十票たりとも買収をしないという考えに立たなければ、選挙がきれいにならぬと思うのです。ましてや地域に分けて、三分の一の地域なら重要な役割をしているが、四分の一あるいは五分の一の地域ならば重要な役割をしていないという考え方は、考え方自体が私はおかしいと思うのです。私は東京ですから、東京の例をとりましょう。東京の第一区でいえば、行政区が六つあります。私の選挙区も行政区が六つある。第五区は四つある。これは常識的に、行政区における党の支部長とか書記長をその地域の責任者とするのです。そうすると、さっきの御答弁の通りひっかからない。これは重要でないということになる。ところがお互いに選挙をやっている者ですからわかりまするけれども、かりに行政区が六つあっても、五つあっても、その中で候補者が集中的に票をとる区域が、一つか二つ必ずあるのです。五つに分けましても、ある一つの地域で当選する票のほとんど半分もとるところがある。一体当選する票の半分もとる地域の主宰者が重要でないというふうに考えること自体が、おかしいじゃないですか。どうでしょうか。得票で考えるというならまだ少しわかるところがあるけれども、地域で考えて、五分の一の地域の、その五分の一でもって当選する票の半分も半分以上もとるという場合に、それでも地域が五分の一だから、あるいは地域が四分の一だから重要でないという考えが成り立つでしょうか。
○高橋(英)委員 そういう考え方もあります。地域で分けるか、有権者の数で分けるか、得票数みたいなもので分けるかというふうなことはなかなか技術上むずかしいので、われわれも知恵をしぼったのですけれども、結局一応簡単に今の程度の分け方をして、これからまた島上さんの知恵も借りたりして、不公平にならないように、得票数とか有権者数とか地域の広さとか、そういうふうなものを総合したものによって重要性をきめるということが技術上できれば一番いいと思うのですが、今のところこれは法律技術士なかなかむずかしいというので、とりあえずこういうふうなことにいたした次第でございます。さらに出納出任者の二分の一というふうな連座制の拡大の規定もありまして、あの辺との連関で今のような弊害は除去できるのじゃないか、かように考えております。
○島上委員 連座制を妥当なりとする考え方は、候補者と一体性のあるもの及び選挙に重要な役割を果しているもの、こういう考えからきていると私は思うのです。その重要ということを地域で分けるということは、地域がどんなに広くともそこで大して得票がないという場合には、私は当落にそう決定的な重要な役割とは必ずしも言えないと思うのです。重要な役割ということは、得票に際しての重要な役割だと思うのです。得票に際して重要な役割でなければ、ほんとうの意味の重要な役割とは言えないと思うのですが、どうでしょう。
○高橋(英)委員 御説の通りで、そういうようなものを考慮しなければならぬのじゃないかという議論があって、ああなった。だから私は徹底的にこの問題を解決するのには、イギリスのような例の減票制、あれを採用するのがいいのじゃないかと思うのです。減票制によって、当落に影響するような違反を犯した者、違反行為のできた者、そういうような者に連座の規定を適用するというふうなことが一番いいのじゃないかと思いますが、これも技術上なかなかむずかしいと言われて、私どもの提言が今のところ退けられたような影にありますが、そういう意味において何が一番重要であるか、どういうふうな重要な人に連座せしめるかというふうなこと、これはなかなかむずかしい問題だと思います。島上さんのおっしゃることは一応にも二応にも私はもっともだと思いますが、ただ法律技術上むずかしいらしいので、現実にその法律を実施する場合に非常に問題だそうでございますので、この際はまげてこの程度で一つ御了承願って、お互いにまたよく研究してからもっと妥当に修正したいと思います。
○島上委員 こういう大事な選挙法の改正をまげるわけにいきません。やはりまっすぐにして出さなければならぬと思います。
 私は選挙における重要性というものを地域で分けるという考え方にはどうしても賛成できないし、ましてや、三分の一の地域に限定することに対してはなおさら賛成できない。これは選挙における重要性という考え方が、根本的に誤っておるということを指摘しないわけにいきません。こういうふうに分けたのは、私は分けた事情はわかります。結局は党内でいろいろの意見があって、連座制などというものに対して、根本的に反対な、高橋さんと同じような思想を持っておる方が非常に多くて、ほんとうはしたくないけれども、まあこの程度なら実際にはだれも引っかからぬのだから、その程度にしておけというようなことになったのだと思います。ですから、これはもうこれ以上質問いたしません。まさかその通りだとお答えもできまいから、これはこの程度で、答弁は要りません。
 そこで、これは法務当局になるかと思いますが、親族連座の場合に、逮捕に際しては大臣の請訓を仰ぐ、いわゆる請訓事項に入れるとか入れないとかいう御議論があるようですが、これに対してどのようにお考えでしょうか。
○羽山説明員 昨日来大臣にお目にかかっておりませんので、あとで刑事局長が参りましてお答え申し上げます。
○島上委員 これは重大なことですから、あとででもけっこうですから、あしたでもけっこうですから、これはぜひ明白にしてもらいたい。この法律が通る前に、流れる前にでもいいですが、通るか流れるか、その前に明白にしてもらいたい。これをもし請訓事項にするということになりましたならば、いよいよもって親族連座なるものは、あってなきにひとしいもので、国民を欺くものです。もう正直に、親族連座を抹消する、削ってしまう、こういうならまだすっきりしているのです。私は反対ですよ。反対ですが、法律としてはその方がごまかしがなくなるという意味において、すっきりしている。ですから、これは請訓事項にするかしないかは明確にあとでお答え願いたい。
 続いて、寄付制限についての点を伺いますが、当該選挙に関してということでは抽象的である、だから期日をはっきりする、こういうことが理由になっておるようでございますが、現行法においても当該選挙という言葉があります。現行法に当該選挙という言葉があるために、この法律の適用に際して非常に支障を免じており、困るということがありますどうか、まずその方面の当局者から伺います。
○新井政府委員 選挙法の罰則はすべて相対的でございまして、選挙に関連しないものはほとんど罰せられない、そういう意味では選挙の犯罪捜査というものは大へんむずかしいのでありますけれども、当該選挙ということがあるために非常にむずかしかったという経験は、特にございません。
○島上委員 ただいまの御答弁で明らかにされましたように、当該選挙という言葉がついているために法律の適用に非常に困難を来たすことはない、こういうことですから、高橋さんに一つ伺いますが、どうして当該選挙では都合が悪いから期日をはっきりしなければならぬということになったか、その間の理由をお伺いいたします。
○高橋(英)委員 ほかの関係はともかくですが、この後援会の寄付の問題は、これもあなた方の組合活動も含めて、われわれの政治生活に直結しているわけですから、従って非常に関心が深いわけであります。実際いろいろ考えてみますると、取り締まりをする方は、なるべく広義の解釈ができるような、そういう抽象的な規定がいいでしょうし、われわれ取り締まりを受ける方といたしましては、どうしてもその意義を明確にしてもらわなければならない、そういうふうな必要性があるわけで、従って従来は大した問題の場合でないときに、当該選挙という文字が使ってあったものだと思いますが、この後援会活動、後援会の寄付という問題は非常に重大な問題で、われわれの政治生活と直結しておる。その政治生活と選挙関係というものが、これはきのうも申し上げました通り、これまたほんとうにその限界がわからないわけです。判別しにくいというふうなことになっております。観念的にはむろん、政治活動と選挙活動は分けることができましょう。政治活動のうちの一部分として選挙活動というものは考えられるわけですが、しかし現実においては、どうしても政治活動と選挙活動が峻別しにくい、分けにくいというふうなことになっております。後援会なりそれぞれの後援団体みたいなものは、その政治家の大成を希求して結成したものに違いありませんが、結局政治家の大成は選挙と関連するわけですから、平素の政治活動といえども選挙に関係しないことはないということになる。ちょっとでも選挙の話が出ますると、後援会は選挙活動をしたというふうに認定されるおそれがあるので、非常に弊害が大きいと思います。すべての政治活動が萎縮するというような弊害も生ずると思いますので、私どもはこの際当該選挙というものを当該選挙に関しということ、すなわち当該選挙に際しということ、当該選挙を動機として行なわれるところの寄付、そういうものをそういう文字で表現いたしましても、実際においては具体的にはっきりすることができません。実態をつかむことができないという弊害がありますので、それを期間にすればはっきりしてしまう。ある期間で、その期間以後は絶対にそういう活動はできないということになるわけでございまして、今度のわれわれの修正は、ある期間以後は、法定期間以後は一切の後援会活動ができないということになるのですから、非常に進歩した修正だ、かように思っています。
○島上委員 高橋さんは正直だからつい出る言葉だろうと思うけれども、取り締まられる、取り締まられると言われますけれども、悪いことをやらなければちっとも取り締まられないのです。合法的に堂々とやっていれば、ちっとも取り締まられるなんということは頭に置く必要はない。私は後援会というものを持っておりませんけれども、かりに後援会が文字通りにある人を後援するためのものであるならば、後援会の活動というものは何もそうびくびくしないでやれると思うのです。高橋さんは後援会の活動というものは選挙活動以外にないとお考えでしょうか。つまり選挙運動をするほかに後援会の活動というものはないものかどうか。
○高橋(英)委員 これは昨日申し上げましたが、後援会活動は決して選挙活動ばかりではありません。平素の後援会活動は選挙と関係のないものが主たるものでございますけれども、しかし間接には、どうしてもある一定の年に来る、もしくは不定期に来るところの選挙と関連をしている。従って、後援会活動のときに選挙の話なんか出ると、選挙に関係した会合のようにとられるおそれがありまするし、それからすべて後援会の寄付とか供応とか、そういう一切の面における誤解を受けやすいところの活動につきましては、やはり間接には選挙に関係しないというふうなことはあり得ないという理屈にはなるのです。とにかく知能の低いと言いますと語弊がありますけれども、地方の後援会の人が、知能が高い、と言うとまた語弊がありますが、検事さんや警察官に理屈詰めにあって、結局後援会に寄付をしたら選挙のためになるわけじゃないかと理屈詰めになると、それは当該選挙に関しということになるというのが、日本の検察の方の事件関係の実情の成り行きです。そういうふうな弊害が実際あるわけですから、従ってこの際はっきりと分けた方がいいというふうなそういう考え方、すなわち選挙活動以外が後援会のほんとうの目的の活動であり趣旨であるというふうなことを申し上げることはできます。
○島上委員 後援会活動は、広い意味に解釈すれば、選挙活動というか選挙運動につながりを持っていると思うのです。しかし、そういう広い意味まで選挙法で取り締まっている、禁止しているわけじゃないのですから、この選挙法に禁止もしくは取り締まりの対象とならない広義の活動というものは一ぱいあると思うのですが、その点どうでしょうか。
○高橋(英)委員 むろん、言われる通り活動の分野は広大なものです。従ってある期間以外の後援会の活動は事前運動にもならない、選挙違反にもならないというので、この規定で明確に、誤解を受けないように、取り締まり権の乱用というふうな悪現象が起こらないようにするために明確にしたわけです。
○島上委員 明確にしたと言いますけれども、明確にしたのは金品の寄付や供応のことを明確にしただけなのです。私は金品の提供、供応の提供はいつでもいけないと思うのです。当該選挙に関するものは。これはそうでなければならぬと思います。どうですか。
○高橋(英)委員 むろん当該選挙に関係したら、事前運動にもやられますし、選挙違反にもやられますから、当然です。われわれの修正案が成立いたしましても、選挙に関する供応とか買収みたいな行為、これは事前運動として取り締まられるわけですし、犯罪になるわけですから、これにまでわれわれは触れておるわけではないのです。要するに選挙に関係していないものであるにもかかわらず、今島上さんが言われたように、多少のつながりがあるために、そういうふうに誤解されて検挙されるというおそれがある。従って常識上、任期満了の三カ月くらい前からそういうことをしなかったら、これは選挙に関係ないということになるのじゃないか。三カ月以前だったら、選挙に関係したとは言えないじゃないか。一応正規の後援会活動と選挙に関する後援会活動との区別は、そこでできるのではないかというふうなことなのです。とにかく、社会党さんの方でも六カ月という説も出ておったわけですから、六カ月前にするか三カ月前にするかということは、お互いの常識とか良識の問題で、そこは社会通念で適当に解決せらるべき期間だ、かように思っております。
○島上委員 その答弁は少し違いますよ。後援会の寄付の禁止は、後援会が選挙民に対して当該選挙に関して金品の寄付や供応をしてはならぬということをきめてあるわけでしょう。それから候補者が後援会に対して寄付をしてはならぬ、こういう禁止でございますよ。そういう禁止は、解散の翌日からだとか一月前だとか、期限を限定すべきではない。当該選挙に関して金品の寄付やごちそうするのですから、これはあたりまえだと思うのです。それはあなたの方の修正が通るとそういうことになるんでしょう。解散の翌日からですから、解散の当日まではよろしいということでしょう。そうじゃないですか。
○高橋(英)委員 むろん解散の翌日まではいいわけです。それで弊害がないと私ども思っております。
○島上委員 さっきの答弁と違います。
○高橋(英)委員 どこが違うか、僕も御指摘の法文をよく調べておらないけれども、とにかくこの後援団体に関する寄付というふうなことは徹底的に禁止した方がいいというふうなこと、これは堀君もここで主張されたわけですね。だからその趣旨に従って、政府原案ではそうなっていない、答申案でもそういうふうになっていないのを、ぴしっと期間を切ったのではあるけれども、期間の点については多少考え方は違うけれども、期間を切って徹底的に禁止をしたということについては、大体答申案でも政府原案でも期間が切っていないで、当該選挙ということになっているので、社会党さんの方からも、堀君でしたか、それは意味があいまいだから期間を切るべきだ、絶対禁止の期間を設けるべきものだという御主張があったわけなんですから、あなたの方でも、やはりわれわれと同じような思想を持たれておるもの、かように考えておる。ただ六カ月と三カ月の違いだけが問題だというふうに、大ざっぱにわれわれは考えております。
○丹羽(喬)委員 ただいまの高橋先生の御答弁の通りでございますけれども、誤解を招くといけませんから、ちょっと補足的に申し上げます。
 先ほどから島上さんがおっしゃっていらっしゃるように、選挙運動に関しましていろいろの金品を供与したり、あるいは供応したりすることは当然いけないことであります。これは選挙法の百二十九条ですか、はっきり事前運動は禁止されておるのでございまして、これは選挙期間前も選挙期間後もはっきり禁止されております。ただ、後援会の活動禁止というのは、今回の審議会の答申に初めて出てきた次第であります。(島上委員「現行法にもあります」と呼ぶ)現行法にもありますけれども、たとえば後援会自体の政治活動につきまして、候補者がその後援会に寄付をするとかその他につきましての禁止というものは、今回初めて出てきた次第でございます。寄付をしてはいかぬ。大体におきましては会員からいろいろの会費を集めてやるという建前でございますが、会員が、あるいは米を持ってくる者もある、いろいろなものを持ってくる者もあるというような場合におきまして、それじゃその代替として候補者がそれに見合うものを寄付する場合もあるし、いろいろの形で後援会に後援者が寄付する場合もございますので、これらのものを一律に禁止するということになりますと、やはり当該選挙に関しという言葉だけでは、当該選挙に関しというのが非常に明確を欠くというおそれがある次第でございますので、なぜいけないかという趣旨は、選挙運動に関すれば事前運動になるわけですが、それとのまぎらわしさがありますから、その点をはっきりした方がいいだろう、それにはやはり期間で区切るのが一番適当であろうというような趣旨で、社会党さんもおそらくそういう趣旨で三カ月とか六カ月とかおっしゃったと思う次第でございます。私どももそういう点ではやはり普通の選挙におきましては三カ月、解散がありました場合には解散の翌日というふうに明確化した方が、候補者自体からいたしましても、後援会活動の利用を規制する点からいたしましても、かえって明確になるだろうという趣旨で、こういう規定を設けた次第でございます。
○島上委員 社会党は、三カ月を六カ月にすればいいなどとは毛頭考えておりません。これはほんとうに迷惑千万な話です。当該選挙に関しという言葉は、答申にはついてなかったのです。それを自治省が自民党と相談の上、知恵をしぼって、当該選挙に関しとくっつけたわけなんです、これは明らかです。当該選挙に関してとつけなかった理由は、私も特別委員ですから、このように理解しておるのです。後援会というものは、それ自体、後援する人を衆議院議員であるならば衆議院議員としてりっぱな人にしよう、りっぱな政治家にするために後援しよう、従って選挙にも当選させよう、こういうことだと思うのです。そういうものであるから、その後援会が選挙民に対してごちそうしたり、金品の寄付をしたりしてはいかぬ。期間にかかわりなしに、選挙民にそういう寄付をしたり、ごちそうしたりしてはならぬ。それから、後援会というものは文字通りに後援者が集まって、会費を出し合って、特に必要ならば候補者には選挙資金を多少なり寄付する、こういうのが後援会のあるべき姿であって、名前が後援会であって、候補者から莫大な経費を出すようなあり方はいかぬ、こういう考えだと思うのです。こういう考えに対してどのようにお考えでしょうか。大臣から一つ。
○安井国務大臣 そういう後援会に名をかりて、平時といえども、非常な目に余る行為というものについては、当然道義的にも自粛さるべきものであろうと思います。しかしこれはおのずから程度の問題があるのでありまして、たとえば平素自分の政治活動についていろいろお世話になるので、何かの記念すべ行事があったとか、自分の身分上変化があったために、これに対する記念品を、ほんとうに自分の感謝の気持で配るということも、全面的に何もかもいかぬのだというふうにきめてしまうことは、私どもどうかと思うのであります。おのずから道義的に標準がある。しかしこれが多少選挙に関連をする時期においてそういうことをやるということになると、これは非常にまぎらわしいことになっていかぬからということで、当該選挙に関してはそういうようなものは一切禁止する、こういうふうに私どもは考えます。しかし平生お互いに社交のつき合いという意味から、いろいろ世話になった人に対して記念品を出すとか、あるいはたまに普通の程度の食事をするというようなことまで、すべてを禁止してしまうということは、社会生活の常識からはずれてくるのではないかというように考えております。当該選挙という言葉は、何も今度だけこれを使っておるわけではないのでありまして、今までの選挙法にも種々当該選挙という言葉を使っておりますので、そういうものを考えながら、なるべく明確にするという意味で使っておるわけでございます。
○島上委員 私は、大臣の後援会に対する考え方が、私どもと少し違っていると思うのです。後援会というものは、候補者というか、立候補予定者というか、現職議員ならば現職の政治家が後援されるものであって、こちらから後援するものじゃないのですよ。そうでしょう。どうですか。
○安井国務大臣 その判断の趣旨は、おっしゃる通りでございます。であるからといって、平素お世話になっておるような人に対して、たとえば自分が特別に記念すべきことがあったようなときに、記念品を自分の感謝の気持として、あるいは社交という意味で届けるということまで、すべてこれを理屈通り禁止してしまうということは、私は社会通念上どうかと思うのであります。おのずから私はここに程度があろう、こう思っております。
○島上委員 おのずから程度があるかもしれませんが、そういう考えでは程度も何もなくなってしまうのですよ。何も、平素お世話になっているものは後援会ばかりではないと思います。後援会という団体の活動を今対象にして議論しているわけですから、私は後援会に候補者が寄付をするということは、お金がたくさんあって、十万や五十万寄付しても痛くもかゆくもない人もあるかもしれませんが、そういうことと関係なしに、後援される側の者が後援会に莫大な金を寄付するということは、これは後援会のあるべき姿としては逆だと思うのです。ですから、後援会に候補者が寄付することを禁止するという考えは、そこから出てくる。後援会自体毛また、選挙運動が許される時期になって、後援会として合法的にやれる範囲で選挙運動をすることは、これは当然ですけれども、ここで禁止しようとしているのは、その選挙区の選挙民に対して金品や供応を禁止しようとしておる。ところが、政府案では、言葉は正確に今読んでおりませんが、通常の食事の範囲はよろしいとわざわざしてあるのです。これも問題です。一体、この後援会が通常の食事の範囲は提供してよろしいということは、後援会のメンバーだけに限るという考えなのか、メンバーでない一般の選挙民に対しても提供するという意味か、まずそれからお伺いしておきます。
○安井国務大臣 これは、後援会という行事が一般に行なわれております際に、たとえば告示の前でありましょうとも、この後援会行事というものは年中引き続き行なわれておる、そういう場合に、食事どきになって弁当も出せぬということも非常識ではないかという趣旨で、これはむろんメンバーに限って、そういう通常の食事という程度ならいい、ただ、これが告示になってからでありますと、それは各方面からの規制もはっきり現行法でもありますから、それは後援会といえどもはっきりやめた方がよかろう、こういうふうに解釈しております。
○島上委員 しかし、私の理解によりますれば、政府案によりますと、後援会の集会を、告示になった後に禁止しているわけではありませんから――そうでしょう。禁止はしていない。その禁止していない後援会の集会に、ここにある通常用いられる食事を提供するということが法律の違反になりますか。
○安井国務大臣 これはいろいろ解釈がありますが、この法律以外に、選挙運動の期間中になりますと、事務所での弁当以外のものを提供してはならぬという規定が別途にありますから、そういうものに抵触するおそれもあるので、告示期間中、いわゆる選挙運動期間中は、そういう食事の提供は差し控えるべきものだというふうに私どもは解釈しております。
○島上委員 差し控えるべきものだ、それは道義的な解釈の話です。法律的にいって禁止してあるかどうかということを私は聞いているのです。
○安井国務大臣 選挙運動期間中は禁止をしておるという解釈をはっきりとっております。
○島上委員 選挙運動期間中は後援会の集会を禁止しておりますか。
○安井国務大臣 集会は禁止しておりません。
○島上委員 その後援会の集会が、選挙法に規定する選挙運動に関与しない限りは、私は、そこで食事を提供することを、この法律の解釈からすれば、禁止していない、こう解釈しますが、どうでしょうか。
○安井国務大臣 ちょっと、恐縮ですが、もう一度……
○島上委員 私は法律上のことを聞いているのですよ。道義的なことを聞いているのじゃないのです。後援会の集会は、選挙の告示になった以後も禁止しておりません。その後援会の集会において、法律上禁止しておる選挙運動にわたらない限りは、食事を提供しても、この政府案からしますれば、法律に抵触しないのだ、私はこう解釈しますが、どうでしょうか。
○安井国務大臣 その面だけから申しますと、そういうふうに選挙運動と関係のない後援会活動を選挙運動期間中にやっても、それは本来抵触してはいないというふうに解釈できないこともないと思いますが、しかし、それは別の方面から、運動期間中につきましては、いわゆる百三十九条の飲食物提供の禁止規定といったようなもの、あるいは二百二一条の買収規定というようなものと逆に、今度は別個の方面から抵触をする危険がありますから、運動期間中については食事の提供はやらない方がよろしい、こういうふうに解釈しておるわけであります。
○島上委員 危険があるとか、おそれがあるとかいうことでなくて、この際はっきりしておいてもらいたい。私ははっきり聞いていますよ。選挙告示になりました後、つまり選挙運動期間中においても後援会の集会は禁止しておりません。そしてその後援会の集会において選挙運動にわたりますれば、食事の提供その他抵触します。選挙運動にわたらなければ、食事を提供しても――その他の法規に抵触するおそれがあるといいますが、抵触しません。選挙運動にわたらなければそうでしょう。それを明確にして下さい。
○安井国務大臣 今おっしゃる通りでございます。選挙運動にわたらなければ、通常の食事ならそれはかまわぬということになりますが、しかし、一方で百三十九条の飲食物提供の禁止規定というのがありますから、こういうものとの関連において、選挙運動期間中については食事は提供しない……
○島上委員 しかしとつくから、よけいあいまいになるのですよ。選挙運動にわたらなければかまわぬでしょう。今の法律によれば、そうでしょう。しかしというのは余分ですよ。
○松村(清)政府委員 大臣のお話を補足いたしますが、お話の通り、選挙運動に関しない場合には差しつかえないわけでございます。ただ、大臣のおっしゃっているのは、実際の場合に、百三十九条のこととか、あるいは二百二十一条の買収その他の規定に抵触する場合も出てくる、こういうふうに言われておりますので、法律的には島上委員のおっしゃる通りでけっこうでございます。
○島上委員 ですから、これは非常に抜け穴であり、おそるべきざるだと思うのです。
 それではもう一つ伺いますが、選挙運動期間中後援会の集会を開く。後援会の集会自体は選挙運動をしない。何かほかのことをやっておる。何か演芸会、歌謡曲をやったり、芝居をやったり、踊りをやったりしている。それだけのことなら選挙運動じゃないですね。踊りや芝居をやったり、歌をやったりして、後援会のメンバー以外の人に公開をして、大いに招待券でも発行して呼ぶ、これだけの会合なら、運動というふうに私はならぬと思いますが、どうでしょうか。
○松村(清)政府委員 これは具体的の場合に、その態様なり、当事者の意思その他を総合的に判断してきめなければならないと思いますが、選挙運動期間中に今おっしゃるような踊りや歌を皆に見せるということになりますると、利益供与といいますか、何かやはり選挙違反に多分に触れることになることも考えられます。
○島上委員 それはちょっとおかしいと思う。選挙運動期間中に集会を開くことを合法的に許されているのですよ。その集会が何をやろうと、これが一体選挙違反になりますか。それが選挙運動になれば、これはたとえば利益供与とか、いろいろ抵触しますよ。選挙運動と関係なしに、高橋英吉後援会主催で映画会をやる。選挙のことを一言も触れない。選挙に関する文書ももちろん配らぬし、うんともすんとも言わない。そういう集会が一体禁止されておりますか。
○松村(清)政府委員 これが純粋におっしゃる通りでございますれば、それはもちろん差しつかえないと思いますが、選挙運動期間中にそういうようなことが行なわれます場合には、総合的に判断して、選挙法に触れる場合もある。純粋にそのことだけなら、それは別に問題ございませんが、往々にして実際問題としましては選挙法に触れることがあることが多いのでございます。
○島上委員 それはにらまれるでしょう。ある筋から目を光らせてにらまれることはある。それは当然のことですよ。しかし、選挙に何ら関係のない集会ならば、法律上は禁止してないでしょう。告示の期間中に後援会の会合を開くことができるのですから。告示の期間中に後援会が会合を開くこと自体が選挙運動だからいかぬ、こうなっておればわかるのですけれども、会合を開くことができるのですから、後援会がその会合で何をやってはいかぬ、かにをやってはいかぬということは何もないでしょう。選挙運動をやれば選挙法に抵触する。あるいは抵触しない部分もあるでしょうが、抵触するでしょう。選挙運動をやらぬ限りは、その他の行事については何も規制はないでしょう。規制がありますか。
○松村(清)政府委員 ですから、先ほど申し上げますように、法律観念としては、そういうことは別に差しつかえないわけでございます。ただ、実際問題としましては、そういうことがしばしば選挙法の規定に抵触するように考えられる場合がある、こういうことを申し上げたのでございます。
○島上委員 だから、私がさっき言うように、選挙期間中にそういうことをやったら、選挙運動にわたりはしないかといってにらまれる。また、にらむ方も当然ですよ。警戒する方も当然ですよ。しかし、にらまれても、選挙に関係のない、ありきたりのというか、何か行事をやっておれば、それは法律上は禁止されてない。そうしてその行事に際して後援会自体が持っている会費の中から食事を出したって、これはひっかからないでしょう。そうでしょう。
○松村(清)政府委員 何度も申しますが、そのこと自体は差しつかえないわけであります。
○島上委員 そういうことになるから、ますますこれは問題ですよ。修正案を出しましたね。この修正案の中には、後援会が選挙民に対してする寄付を禁止しておる、後援会に対して候補者がする寄付も禁止しておる。それを衆議院の場合、解散の翌日から禁止しておる。解散の当日、ああ解散になった、これは大へんだといって、後援される人が百万円寄付しても、これはかまわないのですよ。そうでしょう。どうですか。
○高橋(英)委員 私もさように解釈します。先ほどからお聞きしておりますと、犯罪の意思がないのに、どうして犯罪になるとかならぬとか問答があるようですけれども、今の買収の意思もなく、選挙運動でもなくして金を候補者が選挙中にやったところで、ごちそうしたところで、それがほんとうに選挙運動に関係なしの金銭の授受だったら、選挙違反にならぬ。ただ、そういう場合には、それぞれの意思がそんたくされる。そんな人間にただで金をやるわけはないんだから。だから自然それは選挙違反になる。そういうふうなことで買収とか供応とか、そういうふうに認められて選挙違反になるけれども、実際そうでなかったら、それは問題にならぬ。たとえば後援会が、解散になるということを知らずに、二カ月ほど前から東京の成駒屋、団十郎でも呼ぶことになって、何用何日後援会主催で興行するということになっておったが、突然解散になった。解散になっても、それは団十郎さん予定があるから、その日以外にはだめだということになると、後援会は何ら選挙運動に関係なくしてその予定通りにやるということになったら、これは罪にならぬでしょう。要するに、犯罪の意思がなければ、私は罪にならぬと思います。ただ、当局が言うように、意思が推定されるおそれがあるのです。日本の今の警察当局といいますか、取り締まり関係者の厳正なる取り締まり態度から見ると、必ず理屈詰めに犯意があるように言わされてしまいますから、どうしてもそれは危険だから、やらぬ方がいいということになってくるというだけの話です。
○島上委員 あまり焦点をはぐらかさないで下さい。今大事なところを質問しているんです。
 法務大臣に――先ほどお伺いしましたが、大臣がいなくて御答弁がなかったのですが、親族連座規定に関連しまして親族を逮捕する際に、これを請訓事項にするとかしないとか、こういう御議論が自民党の中に強くあるようですが、法務省としてはどのようにお考えでしょうか。
○植木国務大臣 現行法におきましても、国会議員等の選挙の際におきまして、候補者自身の法規違反がいわゆる失格の事由になることは、御承知の通りであります。あるいはまた、総括主宰者でありますとか、あるいは出納責任者の買収その他一定の違反事件、これが連座の事由になること、これまた御承知の通りであります。これらの問題は、いずれも候補者の当落にも関係する重大な問題でございますから、われわれ法務当局といたしましては、慎重に事を処理する必要がある、かように考えまして、現在におきましても、そうした事犯が起こりました場合には、われわれといたしましては、事件の内容等を検察当局から報告を受けまして、そうして慎重に適正な取り扱いをするように心がけておるのでございます。従いまして、今回の法規改正によりまして、新たに親族の選挙違反、あるいはまた、地域主宰者の選挙違反が今度は連座事由になっております。従いまして、いろいろ研究いたしました結果、現在、先ほど申しましたような候補者自身、総括主宰者、出納責任者等について慎重な取り扱いをしておりますのに準じて、同様に慎重な取り扱いをいたしたい、かように考えておる次第であります。
○畑委員 関連して。ただいま法務大臣から答弁がございましたが、結局、今まで候補者あるいは従来の規定によって連座することになっておった総括主宰者、出納責任者、そういうものの逮捕等については慎重を期するという関係で、請訓事項にしておったのだ、ところが、今度地域主宰者と親族連座というものが加わるということになるものだから、従って、今までと同じように、新たに加えられるものも請訓事項に加えよう、こういうことだと私は思うのであります。しかも、それが今法案となっておる親族連座では、一応親族連座とはなっておるけれども、ほかのものと比べてえらく幾つものしぼりがかかっておる。ほとんどひっかかるような場合はございません。ほかの地域責任者あるいは総括責任者、出納責任者、この場合は、そういったしぼりがないのです。そうなりますと、ほとんどひっかかることがない。しかも当然失格ではないのだから、親族規定が加わったけれども、逆に、今までは奥さんたち、あるいは親兄弟、そういう者が買収等の容疑でつかまるというような場合に、請訓事項ではなかったのが、請訓事項になる。しかも実際には、ほかの総括責任者とだいぶ違って、えらくしぼりがかかって、ひっかかるような可能性がないというようなことで、かえって非常に不公平だと思う。そういう点で、仄聞するところによると、何か自民党の方からそういったことで法務省の方へ、圧力と言ってはおかしいかもしらぬけれども、そういうことで、細君や兄弟、そういった者は加わるのだから、それもぜひとも請訓事項にしろというようなことで、法務省の当局との折衝があったやに承っておる。そういうことは非常に不明朗であります。先ほど私も申し上げましたような関係からいたしましても、これは公平を失するというように考えますが、その辺はいかがですか。
○植木国務大臣 ただいま御質問の中で、請訓事項云々のお言葉がございましたが、私先ほどお答え申しましたのは、法務大臣といたしましては、検察庁当局からその事件の内容等の報告を受けて、そうして慎重に適切な取り扱いをするように心がけております、こう申し上げたのでございまして、別に請訓云々じゃございません。私の方としては、報告を受けて、そうしてそれによって慎重に適正な取り扱いをする、こういうことであります。
 それから第二の御質問の、法務当局に対して圧力云々のお話がございましたが、さようなことは全然ございません。私自身といたしましては、この法案ができました当時から、御承知のように、いわゆる連座事由の拡張、従来よりは機会が多くなるわけでありますから、従来連座事由になっておるところのものの取り扱いと、そうして今回のものとをどうすべきかということを、部内におきましてもかねて研究をいたしておりました。そうして、たまたま研究しております際に、最近になりましてから、こういう場合にどういう措置をするつもりかという御質問が一部の方からございましたから、いずれそれは機会を得まして明らかにいたしましょう、こう申しておったような次第でございます。重ねて強く、圧力云々のことは何ら私は感じておりませんから、御承知願いたいと思います。
○畑委員 圧力云々のことは絶対ないということで、一応信頼しておきたいと思います。
 ただ一つ、現在まで選挙違反の場合に、どういうものと、どういう場合に請訓事項になっておるか、それをお聞きしたい。
○植木国務大臣 請訓事項とおっしゃるその事柄の意味がよくわかりかねるのでございますけれども、いろいろに言われるのかもしれませんが、私どもといたしましては、報告を徴して、そうしてそれに対して十分慎重に適切な取り扱いをするために研究をしておる、こういうことでございまして、そうしておのずからその間におきまして、報告をして参りました先と、報告を受けたところとの間で話し合いといいますか、話があることは、これは当然のことだと思います。請訓事項云々とかなんとかいうことには、ちょっと私お答えいたしかねるのであります。
○畑委員 お答えいたしかねるということですが、そういうことはないというのではない。結局、どういう場合とどういう場合は、逮捕しなければならぬというようなことを稟請をしろ、上申をしろ、それは現地の検事正で普通はやります。それを、事重大だということでよくやります。それは私もわかっております。しかしながら、一応内規的に、選挙違反の場合に、これとこれとこういうものがひっかかる容疑ができた、逮捕しなければならぬというような場合には、上司の方に、法務省の方にですか、最高検ですか、そちらの方へ伺いを立てろ、こういうふうになって――伺いを立てろではおかしければ、報告をせよということになっている。その事項ですよ。それがいわゆる請訓事項だと思うのだけれども、そういうものはどうなんですか。
○植木国務大臣 重ねてお答えいたしますが、われわれといたしましては、第一線におります検事正から高等検察庁、高等検察庁から最高検、あるいは直接に法務大臣のもとに参る場合がございますが、いずれにいたしましても、報告を受けて、そうしてそれによって慎重な取り扱いになるように庶幾しておるということなんであります。
○畑委員 そうすると、別に内規的に、こういった場合には報告しろということがないとおっしゃるのか。私は常識的に、いろいろあるようだと思って聞いておるのですが、それが非常に答えをぼやかしておられるように聞こえてならぬのであります。その辺を、最後に一点だけでよろしゅうございますから、お伺いいたします。
○植木国務大臣 部内におきましては、刑事事件報告規程という、訓令によるものがございます、その中に、それぞれ、こういう場合にはこういう報告、こういう場合には――選挙のみではございません。刑事事件全体にわたっての報告を規定してあるものがございます。しかし、これは部内限りのものでございまして、この際ここで申し上げることは遠慮さしていただきたいと思います。
○島上委員 この際一言委員長に申し上げておきますが、私は今いよいよ重大な核心に触れる質問に入ってきたわけですから、その質問は留保して、再開の際に必ず質問をするということを委員長に通告しておいて、休憩に入りたいと思います。
○加藤委員長 午後三時より再開することとし、この際暫時休憩いたします。
   午後一時二十八分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時三十九分開議
○加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
 理事会の申し合わせにより、質疑は一人三十分以内とし、与野党交互に許すことにいたします。
 島上善五郎君。
○島上委員 私の質問は午前中に引き続いて、これから核心に触れるつもりですから、時間の制限ははなはだ迷惑でございます。前の続きですから、これは別です。
 後援会の寄付の問題でございますが、午前中に質問しました点でまだ不明確な個所がたくさんありますから、伺いますが、選挙運動期間すなわち告示後に後援会の集会を開くことは、法律上禁止されていない。その集会において通常の食事を提供することは、これまた法律上禁止されていない。ただ選挙運動期間中であるから、一歩を誤れば選挙運動になるおそれがあるし、選挙運動にわたりますれば食事を提供することができない、こういうことが明らかになったわけでありますが、この点は午後の質問を続ける際に、もっとはっきりさしておいて質問したいと思いますが、私が今言った通りで間違いないかどうか、高橋委員にお伺いいたします。
○高橋(英)委員 何べん答弁しても同じことになりますが、法律上は差しつかえないというふうに私ども思っております。
○島上委員 その後援会の宴会、行事で使う経費がどこから出ていようと差しつかえありませんか。
○高橋(英)委員 これも法律上は差しつかえないわけです。
○島上委員 法律上は差しつかえないとおっしゃいますが、解散の翌日からは候補者が後援団体に寄付することができませんから、たとい一万円たりともその後援会の集会の行事の経費が候補者から出ておるということは法律違反になるはずですが、いかがでしょう。
○高橋(英)委員 それは法律上当然禁止しておるわけですから、これはできません。先ほど、だれが出してもというふうに言ったかもしれませんが、これはむろん法律の範囲内のことですから、法律で禁止していることは別問題です。
○島上委員 そういたしますと、差しつかえないのですから、解散になった日に候補者の後援会にかりに百万円寄付する、そのお金が、今私が申しました選挙運動期間中に開かれる、あるいは催される後援会の行事に使われても、法律上差しつかえないですか。
○高橋(英)委員 一日違いでございますけれども、法律上はやはり差しつかえないということになっております。しかし、実際上の話をここにしなくてもおわかりのことと思いますが、とてもそういうことを、法律上そうだからといって、見のがすような日本の取り締まり当局ではありませんから、そういう危険なことをする候補者はおそらく一人もないと思います。
○島上委員 それはおかしい。法律上差しつかえないことを見のがさずに取り締まることができますか。法律上は差しつかえないのですから、解散の翌日からですから、その解散の当日なら百万円寄付したってかまわぬのですから、これを取り締まることができますか。取り締まり当局に伺います。
○新井政府委員 何を前提にして議論されているのかよくわからぬのですけれども、自民党が出された修正案によればということで理解をいたして参りますと、そういうもので何らか脱法的な行為が明らかでない限り、私はできないと思います。
○島上委員 そうなりますから、いよいよもってこれは大へんなことになるのです。今の答弁で明らかな通りです。法律上は解散になった日に後援会に百万円寄付しても、これは違反ではありません。その受けた百万円で選挙運動期間中に後援会が総会を開き、飯を出し、その他の行事をやっても、選挙連動に直接わたりさえしなければこれまた法律上は違反でない、こういうことになる。選挙運動に関係なければと言いますが、たとえば古川丈吉後援会が大きな看板を方々に立てて、演芸とか映画とか、いろいろなものに一般の選挙民を招待して、やったら、それは巧妙に脱法行為はできますけれども、事実は選挙運動ですよ。少なくとも選挙運動の援護運動にはなるのです。そういうことができるから、いよいよもってこの自民党の修正案が問題だと私は言うのです。後援会は、だれそれ後援会という名前ですから、その看板を町じゅう立てるとか、ポスターを町じゅう張りめぐらすということは問題ですけれども、会場の入口にある程度の、会場であるということを知らせるための表示はできますよ。会場の入口に表示できませんか。
○高橋(英)委員 これはちょっと誤解があるのじゃないかと思いますが、選挙運動は絶対にだめです。選挙運動じゃないものは差しつかえないのです。これは現在でも差しつかえないのですよ。現在差しつかえないものを、これからこの法律ができたら、解散の翌日からはできなくなるのです。今までできておるものを、今度はできなくなるわけです。今までは選挙中だろうと何だろうと、選挙に関係のない寄付だったら、後援会に百万円寄付しようと、千万円寄付しようと、差しつかえなかったわけです。ところが今度は、選挙関係の決定期間並びに今の解散の翌日からは、今までできておったものができなくなるという一歩も百歩も前進した法律です。島上さんの言われたような、いろいろな選挙運動にまぎらわしく思われるような行為、そういうふうなものは、結局取り締まり当局の選挙運動の一つの証拠といいますか、材料であるという認定の具に供せられて、たとい当事者は選挙運動でなかったとしても、選挙運動として客観的に認定づけられるおそれがあるわけですから、そういう危険なことは従来もしませんし、今後もしません。はっきり言いますと、今までできておるものが今後はできなくなるという法律ですから、今の根本的な問題、選挙運動でない場合には、今でもやはり選挙違反にならないというような理論の点については同じです。ただ危険ですから、だれも選挙中にそういう行為には出ないというふうなことなんです。
○島上委員 危険ですから出ないとおっしゃいますが、法律上差しつかえなければやったっていいじゃないですか。
○高橋(英)委員 そうはいかぬですよ。
○島上委員 現行法でも同じだ。現行法はいかぬから法律を改正しようというのでしょう。政府の改正案には「当該選挙に関し」となっておる。「当該選挙に関し」ということになりますと、解散の当日はもちろんのこと、前日でもその前でもひっかかりますよ。ところが、あなた方はその期間をはっきりしたから前進だと言うけれども、期間をはっきりして前進だということは、解散の翌日からは前進のように見えますけれども、解散の当日まではやれるのじゃないですか。だから私は今事例をあげて言っておるように、解散になった、これは大へんだといって後援会に百万円寄付することができる。その受けた寄付でもって後援会が選挙運動期間中に、告示になってから、選挙に関係ないかのように巧みに装って、巧みに脱法行為をして集会を開くことができるじゃないですか。こういうふうに問題があるから、大へんな改悪だと私は言うのですよ。選挙に関係ない、選挙のことは一言も言わぬといっても、後援会自体には名前がくっついている。候補者たる者の名前がくっついているのですから、その名前がくっついていること自体がもうすでに、期間中に大きな集会を開けば、これは選挙運動ですよ。私に言わしむれば広い意味の選挙運動です。しかし名前がくっついた集会を開いてはいかぬということにはならぬでしょう。高橋英吉後援会という名前がくっついて、その集会々開いてもかまわぬ、飯を出してもかまわぬ、映画を見せてもかまわぬのですから、それ自体が選挙運動に大きな効果を上げるということになる、すなわち選挙運動だということになるのですよ。これが大へんな弊害を生むということを私は言っている。従って、あなたの出した修正案が大へんな改悪だということを今言っているわけなんですよ。できるでしょう。できないというなら、できない法律的根拠を示してごらんなさい。
○高橋(英)委員 どうも丹羽君が言ったように、ほんとうに言い回しがうま過ぎるんだが、島上さん真剣に言うからほんとうらしく聞こえていかぬのですけれども、要するに今言われたようなことは、選挙運動でなければ何でもやれるのです、今野放しなんですから。それを解散の翌日からやれないようにしようというのが今度の法律で、非常に前進した法律なんです。ところが問題は、解散があるということが事前にわかるような場合に、十日も二十日も三十日も前からわかった場合にはこの規定が適用されるが、そこに弊害が起こりはしないかということになるのですが、そうかといって解散はいつあるかわからないのですから、解散がいつあるかわからないのに対していろいろな行為がある場合において、当該選挙に関してということになるかならぬかということはなかなか判定がむずかしい。これは先ほどから島上君が言っておられるような解釈を取り締まり当局がやってくれて、たとい客観的に見てどうも選挙運動のきらいがあるというふうに思われることも、実際においては意思がそうでないからこれは白であって、選挙違反にならないというふうに解釈してくれればいいのです。そういうふうにしてもらいたいと私は思う。島上さんが言うように、取り締まり当局がそういうふうに思ってくれればいいのだけれども、なかなかそうは思わないわけです。だから今の解散の場合でも、その解散によって執行されるところの総選挙に関してやったかどうかということはなかなかわかりにくい。従ってはっきりわかるために期間を切った。三カ月前と解散の翌日からというようなことで、こういう点は取り締まり当局の権力の乱用を防ぐとともに、われわれ安心してそこに法の限界というものを知って選挙運動に従事できるというふうなことで、今の島上さんの言っていることは、今でもなお問題のやつで、これはそういうふうな合法的な仮面を借りてやる選挙運動を厳重に取り締まらぬといかぬじゃないか、脱法行為を取り締まらぬといかぬじゃないかという議論なんですが、これは私ども大いに賛成するわけで、これは今度の法律ができても同じことの、根本的な問題であると思います。
○島上委員 現在野放ししているから、法律改正をして取り締まらなければならぬというので、現在よりもちょっぴりよくなったということで鼻高々と自慢されては困るのですよ。私の言っているのは、第一に、政府案は答申よりも著しく後退しておる、答申には当該選挙に関してなんてないですよ。それを、当該選挙に関してとつけて、それを今度は、あなたの方は、当該選挙に関してはすなわち解散の翌日から、こういうふうにしたのですから、答申から政府案が後退して、その政府案からまたさらに自民党の修正案が後退しているということを私は言っているのですよ。現在野放しだから、それよりちょっぴり前進だからということを自慢されても、これはだめなんです。私は現在と比較して言っているのじゃない。現在ははなはだしく弊害があるから、選挙制度審議会は、これを当該選挙に関してなんてつけないで、当該選挙に関しているのはきまっているから、後援会は選挙民にそういう供応をしたり寄付をしたりしてはならぬ、後援会に候補者が寄付するということはいかぬ、これは私は当然だと思う。先ほど午前に聞きましたように、後援会は候補予定者が後援される会であって、候補予定者が莫大な金を出してやる会ではないのです、それは逆ですよ。まあ、何度聞いても同じ答弁のようですから、私は問答はしませんが、後援会に対する考え方自体が私どもとだいぶ違いますし……。しかし政府案より著しい後退をしたことは明白ですよ。解散の当日までよろしいのですから、解散の当日百万円寄付して行事をやってもよろしいということになる。こんなざる法はないですよ。実質的には何にも寄付を制限しないと同じことですよ。以心伝心という言葉がありますが、この以心伝心的な選挙運動という形のものを、直接その集会でやらなくたって、以心伝心でごちそうをしたり何かをすれば、選挙運動期間中ですから、これは選挙運動ですよ。そういうことをやれないようにしなければほんとうの後援会の寄付を制限、禁止する効果は上がらぬことは、これはその通りなんですよ。これでは全然問題になりません。従いまして、私たちはこの修正案、改悪案はもう絶対に削除すべきものであるということを主張し、かつ要求します。
 もう一つの問題点、これがまた大へんな問題です。いわゆる事前の百回の演説会を今度はやめると、これはやめっぱなしになったわけですけれども、そうすると事前の運動については現行法と全く同様ですね。
○高橋(英)委員 事前運動の関係はもう現行法通りです。
 よけいなことをまたしゃべることになりますが、後援会の性質、私はちょっと違うのです。後援される者と後援会の会員とは対立しているわけじゃない、これは同心一体です。だから、後援会員で金のある者は金を出し、頭のある者は知恵を出し、力のある者は力を――蒋介石の昔のあれではないけれども、こういうふうなので、労力の提供、金銭の提供、頭の提供ということは、それらは後援される者と後援者とが一体になってやるのですから、候補者に金が余ったときには後援会に寄付して、一緒に後援会の発展を希望するというのは当然だと思うので、あまり固苦しく考えなくてもいいのじゃないかと思いますし、それから従来の後援会活動で、いろいろ選挙運動にあらざる活動をしているにもかかわらず、どうも色めがねで見られて、警察の方に相談すると、それはあぶないからやらない方がよかろうということで、従来やらずにおるというようなことで、この法律ができても危険なことは絶対にやりませんから、そういうような次第で、その点について私はちょっと考え方が違っております。
 事前連動に関しては要するに現行法通りで、社会党さんの御主張と同じじゃないかと思います。
○島上委員 選挙制度審議会の答申は御承知の通りです。選挙制度審議会は、言論もしくは文書による弊害のない面は緩和してよろしいではないか、こういう考え、私もそうだと思うのです。何も選挙法が取り締まりばかりに夢中になる必要はない。いわば選挙運動のルールをきめるので、ルールというのは何も取り締まりばかりきめないでもいいわけです。言論による事前運動は私は弊害がないと思うし、実際には紙一重のことが行なわれているのですよ。これは事実があるのですから、事実について伺いましょう。私はせんだって自治大臣が秋田県人会の総会に行って言ったことを引き合いに出しましたが、これは残念ながらテープにとってなかったのです。私も秋田県人会のメンバーですが、私はたまたま行かなかった。行っておればもっとよかったのですが、とにかくその県人会の総会へ行って、秋田県の参議院の候補者として長谷山行毅という名前まで出したことは事実です。一票頼みますと言ったか、御報告申し上げますと言ったか、これだけの違いです。党として御報告申し上げますと言えば、私の解釈によれば違反にならぬと思います。お願いしますと言えば違反になると思うのでありますが、どうですか。
○高橋(英)委員 さように私も考えます。
○島上委員 これは紙一重ですよ。だから党として、公認候補としてきまりましたから御報告申し上げますと言うことを、お願いしますと言ったって、どれだけの弊害がありますか。ちっとも弊害はないでしょう。弊害がないから、その事実はちゃんと前から知っておったけれども、自治大臣をあまり深く追及しないのです。どこが弊害がありますか。弊害があるならあるということを指摘して下さい。
○高橋(英)委員 テープレコーダーにとっておかなければいかなかったというほど非常に微妙な発言なんですね。そうしなければいかぬほど、事前運動が禁止されているがために大っぴらな選挙運動ができないわけです。だから、すれすれの線まではやむを得ない場合があってやりましょうけれども、はっきりした選挙運動はやり得なくなっている。そこに事前運動禁止の鉄のような罰則があるので、非常に選挙界を明朗化しておると思う。
○島上委員 現在の事前運動の禁止の法律があるから、お願いしますと言うかわりに、御報告申し上げますとか、もっと上手に言う方法もあるのですよ。じゃ聞きましょう。こういうことを言っている人がある。現に私は聞いた。私は党の公認候補者としてきまりました、本来ならばこの席で皆さんにお願いしたいところでありますが、法律の関係でそのことは告示後にいたします、こう言ったらどうですか。違反になりますか。
○高橋(英)委員 これは諸般の状況から取り締まり当局の良識、われわれの良識で考えて、違反になる場合もあり、ならない場合もあると思います。
○島上委員 刑事局長に伺いますが、私は何回も聞いているのです。私は七月一日に予想される参議院選挙の候補者として党から公認を受けました、ほんとうならばこの席で皆さんにお願いしたいところでありますが、選挙法の関係でそのことは告示後にいたします、どうぞ御了承願います、こう言ったら違反になりますか、なりませんか。
○新井政府委員 いろいろそういうことを私ども聞いておりますし、大へん巧妙にそういうことを言っておられると聞いておりますけれども、諸般の実情を勘案いたしませんと違反になるとも何とも言えない。たとえばその会合自体が非常に閉鎖的なものであって、一般に呼びかけるようなものでないものと、そのためにわざわざ催されたものであるというような場合で、おのおの違ってこようと思います。
○島上委員 違反になるともならぬとも言えないほど微妙な法律です。これは少なくとも違反になるとは言えないのですよ。私がさっきから言っているように、こういうことは違反になるのかならぬか紙一重のところです。こういうことを言わして一体弊害がありますか。選挙に大きな影響を及ぼすという弊害がありますか。弊害ないから、そうしてまた取り締まりようもないから、言論による事前運動は許しても一向差しつかえないし、それが審議会の答申の精神を生かすことでもある。また、新人の候補者が金を使わないでそういう機会を利用して出るということもできるわけですから、この改正案が現職本位で、新人の出る道をふさいだものだという批判があることも、そうだと思うのです。現職の人々は国会報告演説会で幾らでもやれるのです。この機会に、この次のことについても相当やれるのです。だから、そういうような弊害のないことは許してもいいじゃないか、こういうことを私どもは言っているのです。社会党の主張通りで、削ったならば社会党もこれに賛成するかのように言っておりますが、社会党は賛成しておりません。だから、紙一重で、現行法でさえやっている。それを許したら弊害があるから許せないというなら、その弊害をお教え願いたい。その弊害がはっきり指摘されれば、あるいは共鳴しないとも限りませんよ。どういう弊害があるからいかぬというふうにお教え願いたい。
○高橋(英)委員 今の程度のことは見のがしてもらっているというふうな実情、この程度ならよいわけなんです。脱法行為になるかならぬかという境目をひそかにやるのですから、あまり弊害が生じない。ところが、これが野放しになって、何もかも選挙運動やり放題ということになったら大へんなことになる。新人の進出抑止なんということはもってのほかで、新人こそ時局講演会とかいろいろなことで引っぱってきて幾らでもやれるので、これは誤解もはなはだしいと思う。何も新人だから演説会を開いてはいかぬということにはなっておりません。新人もやはりある程度演説会をやって、今言ったような微妙な、触れるか触れぬかという程度の演説をやっておけば、事前運動的な効果があるでしょう。しかし、野放しにやれないで費用もかからないし、大げさな騒ぎにならないというふうなことですから、これが私は一番よいと思います。
○島上委員 政府の案が、ちょうど告示の後に行なわれる個人演説会と同様の形のものを百回というふうに規定してあるところに問題がある。その告示のためのポスターが制限なしに張れるというので、その会場においてチラシ、これが種類も枚数も制限なしに配れるというところに問題があると思う。それはある程度共通しております。金のかかることも事実でしょう。やりようによってはかけないでもやれます。しかし、そういう方法をやめたから現行法通り一切を禁止しなければならぬということでは納得ができない。答申の精神もこれで全く殺されてしまうわけですから、答申の精神を生かして、今言った弊害を改める方法があるではないですか。今言ったように、政党の集会は新人もやるし、旧人も一律にやれる。わざわざ金をかけてやらぬでも、政党の集会もこのごろ至るところでやっておるでしょう。そういう集会をやっておれば何も別に金はかからぬ。特に個人の金というものは余分にはかからないのです。政党の集会とは限りません。せんだって、自治省の局長が答弁したように、それ以外の小規模の集会もありましょう。自分が金をかけてやる集会のことを言っておるのじゃないですよ。そういう機会に、言論によって、お願いしますということを言っても、お願いしますと言ったからといって弊害があるわけですか。あなたの今の答弁は、私の質問の答えになっていないですよ。言論による弊害のない運動はなるべく緩和しようという精神が、ここでは全然取り入れられていないじゃないですか。少しは取り入れておりますか。おったら、おるように御説明願いたい。
○高橋(英)委員 社会党さんの御主張の、政党の演説会を許したらどうかというふうなことは、これは非常にいい御意見だと思う。私ども心から賛成もいたしておりますし、敬意も表しております。従って、何とか今度もそれを中心の修正案にしたいといろいろ苦心したのですが、技術上どうしてもむずかしいところがありますし、それからまた、今政党法というふうなものができていないので、政党なるものが今のところ法人格みたいなもの、法律上認めるところの一つの団体になっていないというふうな関係、そういういろいろな関係があって、技術上むずかしいので、これは後日に譲って、臨時国会でまたゆっくり御相談したいと思っております。それは私ども敬意を表しておるのですから、そういうようなふうに修正することができるような技術上の新発見がありますならば、それに従うのにやぶさかでないのであります。
 それから、もう一つ何とか言われたが、ちょっと忘れましたが……。
○島上委員 なるほど、政党は法的にその地位が与えられていない、いわゆる政党法がないとおっしゃいますけれども、政党法ということ自体、非常に問題ですよ。総理もあなた方も、すぐ政党法といって、政党法はじきできるようなことを言っていますけれども、西ドイツだって長年の懸案になっていますが、まだできていない。私は、これからだってそう急にできるとは考えていない。日本の場合、政党法を作るということは、これから作ろうという議論もありましょうけれども、私の聞き及んでおるところでは、きのう出て参りました吉村正早大教授を初め、政党法は作るべきではないという意見の方が学識経験者の間に圧倒的に強い。私どももそういう意見に賛成です。ですから、政党法ができなければ、政治資金の規正もできないし、こういう政党の演説会における選挙運動もできない、こういうふうに考えてしまうのは私はおかしいと思うのです。今日政党法がなくても、選挙運動期間中、あるいは政治資金の規正において政党の規定があるじゃないですか。できないことはありませんよ、苦心しますれば。あなた方は、何とかしてざるの目を大きくしよう。大きくしようということばかり考えておるから、こういうところに考えが及ばないのです。できますよ。
 次に、……(「まだあるのか」と呼ぶ者あり)あります。あります。政府案に対する質問はほんの少ししかしてないのですから、政府案と関連して伺います。この改正案の基礎になっております答申案は、候補者中心の運動から政党中心の運動に移行せしめよう、一挙に行かないでだんだんそういう方向に移していこう、こういう考えの上に立っていることはもちろん御承知だろうと思うし、その考えが正しいということも是認されておると思いますが、自治大臣、いかがでしょう。
○安井国務大臣 その通りであろうと思います。
○島上委員 現在の法律におきましても、政党については政党及び政治団体、こういう表現を使っておりまして、ただ政党と、こういうふうに狭く定義をつけてないわけですが、私が今申しました候補者個人中心から政党中心へと――こういう政党中心へという言葉の中は政党及び政治団体、こういうふうに理解をしておるわけですが、自治大臣はいかがでしょうか。
○安井国務大臣 政治団体も非常に広い意味の政党に類するものかと思いますが、私どもはやはり政党本来の目的を持って作られた、主義主張を明らかにしたものを純政党とみなし、いわゆる政治団体というものが同じような扱いを受ける性質のものじゃなかろうと思っておるわけです。
○加藤委員長 ちょっと島上君、委員長から申し上げますが、先ほどの理事会の相談でもうきまったのでありますが、島上君を含めて質問を三十分ということですから……。
○島上委員 私の聞いておるのは、私のは午前の続きで、その次から、こういうふうに理解しておりますから……。
○加藤委員長 それは違う。島上君も含めてきめております。
○島上委員 現在、政党法がない限りは、政党と政治団体と、現行法にありますようにはっきり区別ができるものじゃないと思う。それはともかくとしまして、候補者中心から政党中心の運動に移行せしめようという考え方が正しい、それを是認されておりますが、それならば、今度の政府案の中にも選挙運動期間中における政党及び政治団体の活動に著しい規制を加えておりますが、この規制はできる限りはずして緩和すべきものではないかと私は考えますが、いかがでございますか。
○安井国務大臣 いわゆる政党以外の政治団体の活動をみだりに規制するのはどうかと思いますが、同じような形で行動半径を認めるということは、私はその団体の性格上いかがかと思っております。
○島上委員 それでは少し角度を変えて伺いますが、今私どもは選挙運動、選挙運動と一口に言っておりますが、選挙運動には二つの形があるように思うのです。それは候補者――私なら私及び候補者の側近の運動員が有権者に向かって呼びかける、あるいはお願いするといってもいいのですが、投票をお願いする運動、これが一つ、もう一つは、選挙民――国民が自分の権利を行使するために、自分の代表としてこういう人をぜひ選びたい、こういうような、呼びかけがなくとも選挙民が自発的に、自分たちはこういう人を選びたいといって動く運動と、この二つの形があると思いますが、自治大臣はどのようにお考えですか。
○安井国務大臣 政党そのものには、そういった二つの形はないと思います。
○島上委員 政党じゃない、選挙運動です。
○安井国務大臣 運動の形には、そういう形があると思います。
○島上委員 そこで、私が一口に言っている選挙運動というものの中には、二つの形のうちで最も望ましい形は、候補者がお願いしますお願いしますと言って呼びかけ、お願いする運動よりも、国民が自発的に、自分たちの主権を行使する機会ですから、自分たちの代表としてはこういう人を出したい、こういう運動が本来好ましい姿ではなかろうか、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。
○安井国務大臣 一がいに言えまいと思います。やはり対策を正面から打ち出して、主義主張を国民に大いに宣伝もし、理解してもらうという方法、それから今言われるような、政治団体あるいは後援会というようなものが、そういうある特定の人なり政党を応援をするという形、一がいにどっちが好ましいとも言えないと思いますが、二つの形があることは事実だと思います。
○加藤委員長 もう三十分を二分切れたんですが、特別におまけしてあと五分。
○島上委員 おまけが少な過ぎますよ。まだ聞きたいことがたくさんあるんです。
 私は、候補者が呼びかける運動を全然否定しているのじゃないんですよ。呼びかけるということは、政策を訴えて、政策に対する共鳴の投票を得んがための運動ですから、これは重要な運動の一つですよ。これは否定もなにもしていない。こういう運動があることを認めると同時に、その政策に賛成して、あるいはその人物に賛成して、大いにこの人を出そうという主権者の運動、出たい人より出したい人という言葉があったでしょう。要するに出たい人より出したい人の運動が盛んになる、自由濶達に行なわれることの方が望ましいんじゃないか、こういうふうに私は伺っているわけなんです。
○安井国務大臣 すんなり伺いますれば、その通りだと思います。ただそういうときに、応援をするという形というものも、今言われますように後援会が応援をするのだと言っても、これがまた非常に特殊の方法によるとか、あるいはその応援する団体が非常に特別の目的とかなんとかを持っているというようないろいろの場合もあろうと思いますので、御趣旨のように、出たい人より出したい人をというような趣旨でまともに応援なさるということは決して悪いことじゃないし、大いに推奨すべきことではあると思っております。
○島上委員 ぜひまともに、すんなりと聞いて下さい。その次に何か落とし穴でもあるかと思って警戒しているようですが、第一その時間がないですよ。出たい人より出したい人で、国民が自分の主権を行使するために、国民が自発的に行なう推薦運動というものが大いに自由濶達に許されてよろしいのではないか。これは買収供応を伴うことはもちろんいけませんよ。そういう悪質行為が伴わない限りは、自由濶達に許されてよろしいのではないかという考えを持っているから伺っているわけなんです。それも、何も後援会とか政党とか政治団体に限定して言っているわけじゃない。そういうものに属しない国民が一ぱいいるのですから、そういうものに属しない国民が、自分の主権を行使する重要な機会ですから、そういう推薦運動があっても、悪質行為の伴わない限りはよろしいのではないか、そういう行為は自由濶達に許してよろしいのではないか、こう考えるから伺っているわけです。もう時間ばかり委員長から催促されるので、そういうことになりますと、問題点がまだたくさんありますから、この問題点のところはあとに保留しておきます。
 そこでもう一つ伺っておかなければならぬのですが、選挙法の中で、知事、市町村長が任期中にやめた場合に、それによって生ずる立候補を禁止してございますね。この改正を、この選挙法の改正とは別のところで、自治法改正で出しておりますが、私はこれは納得いかぬのです。せっかく選挙法改正という大きな改正を出しておるのに――この改正理由も伺わなければならないけれども、理由のいかんも一つ問題ですが、選挙法の改正を出しておるのに、ほかの方で出しておるのは一体どういうわけですか。
○安井国務大臣 これは行政官である知事、市長等の任期の問題に関連する、いわゆる地方自治のあり方についての問題であるので地方自治法でやっておりますので、従いまして、選挙に関連いたしましての、たとえば選挙管理委員会といったようなものも自治法で扱う、こういうふうになっております。
○島上委員 これは現在の選挙法の改正になるのですよ。そうじゃないのですか。
○安井国務大臣 今の任期に関係のある部分については、そういう問題の扱いは自治法でやるということで扱っております。
○島上委員 これは納得しません。そうして留保しておきます。まだ東京都議会議員の定数の問題に対する改正の問題もありますし、その他の改正もありますから、それに関する質問は留保しておきます。
○加藤委員長 永山忠則君。時間の点を御考慮の上、なるべく簡潔に……。
○永山委員 私、目が悪いので、時間をできるだけ短く、要約してやりたいと思っております。
 今の島上君の意見に関連しておる点は、修正案の関係で、「当該選挙に関し」というのをはっきり期間で区別されたということで、解釈が明瞭になってきたので、当局の認定でやる範囲が縮小された点は、われわれは喜んでおるのであります。とにかく選挙は認定主義でございますから、当局の頭でいろいろ峻厳な調査もあれば、あるいは公平でないと思われるような摘発の結果にもなっておるのを、われわれはよく存じております。そこで「当該選挙に関し」ということになっておりますが、解散の翌日、その翌日でも、当該選挙に関係してないのだから百万円寄付するといっても、これは寄付できるわけなんです。ですから「当該選挙」ということは、きわめてあいまいです。そのかわり一年前でも、当該選挙に関して出したのだということになれば、またこれを摘発する要因にもなるというような、きわめて不明朗な点を是正されたというように考えておるのであります。
 さらに疑問点とされました、選挙運動でなければ後援会はどんな活動をしても問題がないか、こういうようなことでしたが、選挙運動でなくても後援会活動は縛ってある。このように私は解釈いたしております。「何人も、後援団体の総会その他の集会又は後援団体が行なう見学、旅行その他」これに類する「行事において、当該選挙に関し、」「饗応接待をし、又は金銭若しくは記念品その他」これに類する「物品を供与してはならない。」というのですから、会合が選挙に関係していなくても、選挙運動でなくても、行事をしていろいろな金を使うということになれば、全部みなこの禁止規定にかかるものであるというように解釈しておる。事前運動はもちろんですが、事前運動よりもさらに狭めて行事をして、それが金がかかる仕事ならみなかかる。すなわち何人も寄付してはならぬ、その金が、前にしてある金であろうが何であろうが、とにかくその金でやることになるわけでありますし、同時に選挙運動ということで縛ってございません。ですから、私はこの解釈は、選挙運動に関係なくても行事をして、これが金が要るような問題は大体みなかかるものであるというように解釈しておるのでございますが、当局のお考えをお聞きしたいのであります。
○安井国務大臣 その通りでございまして、三カ月あるいは解散の翌日からのそういった活動は禁止をしておる、こういうふうに解釈しております。
○永山委員 そこで私は、当該選挙に関してというのを期間的に明瞭にされたことは、これは捜査当局の認定というものの範囲を狭めて、きわめて適正であると考えます。
 その次に、選挙運動に従事する者と労務者というものは、実際上は今日はさらに区別できなくなっておるのでありまして、教育が進んで参りまして、労務者といえども、政治的判断及び選挙運動の能力をみな持っておるのでありまして、機械的労務に従事しているといいながら、実際は選挙運動の能力があるのでありますから、それを区別するということ自体がもう時代錯誤である。古い時代はともかくも、今のような国民思想が進んできて、各選挙が随所に行なわれて、婦人参政権もでき、教育の程度も進んでおるのですから、もう全然区別できない。また区別しましても、労務者と選挙従事者が、これが労務の仕事もやる、選挙運動の仕事もやるというふうに、はっきり分けた状態にはなっていないのであります。従ってわれわれは、選挙従事者に対しても届け出主義で人数を制限してはっきりすべしということを主張したのでありますが、実際はわれわれの主張よりもさらに明確にされまして、選挙従事者の「(事務員に限る。)」というようにカッコして、しかも人数の制限と届け出制をとられたということで、この事務員と労務者の関係がまた捜査当局の認定の範囲をきわめて縮小したという点に対して、当を得たものであると考えておるのでございますが、提案者のお考えをお聞きしたいのであります。
○高橋(英)委員 ただいま永山委員からお尋ねのありましたように、いろいろ従来の法律では、労務者と事務員との関係、運動員との関係等に紛淆を来たして、問題がしじゅう起こって参っておりますので、ここで今度のように明確にしたというふうなことに相なりました。
○永山委員 今回の選挙法の改正は、連座制を強化いたして、取り締まりもまた認定の範囲をいろいろの点で縮小したといいながら、やはり取り締まり当局の認定で処罰されるのが多いのであります。選挙は、御存じのように国の最高の重要な国民的行事でございますから、どうしても明朗なフェアな選挙をやらなければならぬのでございますが、しかし旧来どうも取り締まりの方法が必ずしも公平ではなかった。同時にまたその取り調べにあたっては、非常に誘導尋問その他、殺人、強盗を調べるような以上の行き過ぎの捜査が、ままわれわれの耳に入ってきております。たとえて申しますと、逃亡する憂いもないのに綱をつけて、そして腰かけへその綱をくくっておく、そして絶えず捜査官はどんどんかわる、本人には食事の時間も与えずに、ここで弁当だけ食べさすというようなきわめて峻厳な調査、これを言えば家に帰してやる、婦人を最近は――旧来は婦人に対しては非常な理由がなければ留置しなかったのでありますが、その婦人に対しましても、家庭の事情があるので、そこをうまく利用して、これだけのことを言うならば帰してやろうというような誘導尋問がしつこく行なわれる。そして警察官は調査を十分いたして、その目的を達していけば必ず表彰を受ける。最後にはその功労者は栄転をするといったことが行なわれるように聞いておるのであります。こういうように選挙法を無視する場合があり、また取り締まりの行き過ぎがあるように考えておるのでございます。ことに手が足らないので、ある候補者の問題で手を入れたならば、もう手の入れようがないから、それだけを重点的にやる、他の方で出ても、これはおろそかにするというようなこともあり得たのであります。この取り締まりの公平と適正なる取り締まりをするという点、ことに連座を広げましたので、連座関係者に対しましては、これがかりに細君がある関係でつかまった場合においては、すぐ新聞その他で悪宣伝をいたして、もうだめだということになるのであります。なお、何か戸別訪問という一つの形式犯があれば、それを理由に逮捕状でもって、そして何か次を引き出そうというように、証拠がないのに、次から次に証拠をとどめておいてやろうというような行き過ぎが旧来あったのでございますが、これらの点に対して、当局の取り締まり方針はどういうようなお考えでいられるかを聞きたいのであります。
○安井国務大臣 確かに人に嫌疑をかけまして、そして検挙する、あるいは捜査するといったようなことにつきましては、人権上からも十分な注意を払わなければなるまいと思います。従来の警察も十分心得ておったとは思うのでありますが、こういうような機会にさらに反省もいたしまして、行き過ぎのないように公平な取り扱いをいたしたい、十分心がけてやりたいと思っておる次第であります。
○加藤委員長 畑和君。
○畑委員 政府案と修正案と、両方に対して質問をいたします。
 まず最初に自治大臣にお尋ねいたしたい。あのような経過で政府の原案がきまりまして提案をされた。われわれはその重大な後退の点につきまして、答申の線に近いようなところで修正案を出した。ところで、審議が相当大詰めにきた現段階において、自民党の方で四つの点についての修正案を出されました。政府の方では、ともかくこの間も池田総理が最良の案と考えておるというようなことで提案をなさった、こういうことを言っておられる。もっといい案があれば別にこだわるわけではないというようなことも言うておられたのですが、そこで、今度の自民党の案が出たのにつきまして、担当大臣であられる自治大臣は、原案を出された立場もありますし、今度自民党から出てきた修正案についてどうお答えになりますか。それを聞きたい。
○安井国務大臣 今までも申し上げました通り、政府といたしましては答申を尊重し、でき得る限り最良と思われる法案を御提案申し上げたわけでございます。審議の過程におかれまして、いろいろ御審議の結果、より明確にものをいたした方がいいじゃないかといった点で御修正がありますれば、これは院の御意思に十分に沿って、きまった通りに運用いたしたいと思っております。
○畑委員 われわれの見解によりますれば、えらい後退であると考える。自治大臣は答申の線に沿ったと今おっしゃったが、えらい後退をしたとはお認めになりませんか。まずそれを聞きたい。
○安井国務大臣 いろいろの御議論もありましょうが、私はこれが政府原案よりえらく後退したものであるというふうには解釈いたしておりません。
○畑委員 こまかいことは申しませんけれども、連座制の強化の問題にいたしましても、あるいはまた高級公務員の立候補禁止の問題にいたしましても、政治資金規正の問題にいたしましても、さらにまた自民党修正案の際にも問題になっております後援団体の総会その他の行事のときにおいて何人も金品その他の寄付をしてはならぬという規定の問題も、答申とはだいぶ後退いたしております。そういう点からして、私は後退ではない、尊重しているという自治大臣の言葉がどうも不可解でならぬ。どうしてこれが後退でないと言われるのか。もう一度答弁願いたい。
○安井国務大臣 答申の線を尊重いたしてと申しておるのでございまして、私どもは極力尊重をいたすという態度に変わりはなかったわけであります。ただこれを法律上あるいは社会通念上照らし合わせまして、これが非常に現在の常識上行き過ぎになるというような点につきましては、答申そのものよりはこれを変更いたしております。これを後退だという御批評をいただくなら、これは御批評としてやむを得ないかと思いますが、私どもは現在の時代においては、こういう程度が最も妥当なものであろうと考えておったわけでございます。
○畑委員 結局、こまかくなりますけれども、また蒸し返しにもなろうかと存じますが、たとえば連座制の問題でも、午前中からも島上先生がるる申しておられましたけれども、われわれはとうてい後退でないというような言葉は出てこないはずだと思う。答申では当然失格ということをうたっている。これが一番大きいのです。政府案の方では当然失格を削って、検事の公訴提起ということになった。そうすると、何度も繰り返して言うようだけれども、選挙違反になり、連座ということになるが、しかし何年かかっても選挙違反者の判決がなかなか確定しない。四年も五年もかかる。それからその後に検事が公訴を提起する。そうしてこれは高裁が一審、最高裁が二審、こういう裁判になりますが、それから後ですから七年も八年もかかるということになる。そういたしますと、とても間に合わない。連座制を強化して当然失格にしようという答申の趣旨は、ともかく現在の選挙が腐敗もはなはだしいから、従って違反者を処罰するだけではだめだ、何とか荒療治をしなければならぬということで、そういうことを答申いたしたのでございます。ところがそれを憲法に違反するというような口実で――われわれには口実としか承れない。なぜかとなれば、なるほど憲法違反となるおそれがあるというような人もおります。しかしながら、そうでない人もあるのであります。この前も私、池田総理に尋ねたときに申しましたが、憲法九条の問題などは、公然と憲法違反を政府は犯している。それだのに今度の問題になると憲法違反だ、憲法違反だということを第一に掲げて、そうしてこれをはぐらかそうとする。私はこのこと自体、政府が答申案を後退させたということを幾ら否定しても、否定しきれないと思う。そのほかにも、親族連座の場合にずいぶんしぼりをかけております。これではひっかかりっこない。答申の線は、どうしても連座によって選挙違反の罰則を――一々刑罰は重くできないから、それで間接的に選挙違反をなくそう、こういう大精神です。その大精神に少しも沿うてないというふうに考えられる。この点は、これではやはり妥当でないとか、今の世の中に合わぬとか、そういったいいかげんな答弁では私は満足できない。この大精神をどうするか。選挙違反をなくそうという答申の大精神に決して沿うておらぬと思うが、どうですか。
○安井国務大臣 選挙違反をなくそうとするその熱意には、私ども変わりはないと確信しております。ただ検事の提訴を待って失格をするという点につきましては、これは憲法問題も一応議論の対象になります。また他の法律学者、専門家の御意見もいろいろ参酌いたしまして、これは当然そうすべきものであるというふうに解釈をいたしたわけであります。また親族連座につきましては、御承知のように、親族なるがゆえに特別の対象にして扱うということには、これまたいろいろの方面から異議がございます。そこで、選挙を粛正しようという大目的もある際でございますから、一応、まだ相当な異論があるにもかかわりませず、この問題を取り上げて、しかし行き過ぎにならないようにという制約をそれにつけたわけでございます。
○畑委員 行き過ぎ、行き過ぎと盛んに言いますけれども、行き過ぎるくらいにやらなければ選挙界の腐敗はとまらぬというのが答申の線なんですよ。荒療治をしなければいかぬのだ。ところが政府のやっているところは、痛いところではなくて、横っちょの方にメスを入れている。それではいつになってもなおらぬ。まっすぐに患部へ持っていってメスを入れなければならぬ。こういうのが答申案を尊重しなければならぬという世論である。学者たちも、ここの公聴会に来てくれた御手洗さんでも何でもそう言っていらっしゃいます。そこが問題なんです。政府はやる気があるのかないのか、きわめて疑問とわれわれは思わざるを得ない。
 それから、同じことを繰り返してもしようがないけれども、政治資金の問題です。これは憲法違反の問題はないはずです。それで、この問題に対して、政治資金規正法で、選挙に関するといなとを問わず、法律に規定するような一定の会社等から寄付なんかしてはいかぬ、こういうふうに答申がしておるのに、それが選挙に関してということになってしまった。選挙に関すると、一般の政治資金というのはほとんど区別がつかぬというのが世論のようであります。この点はいかがですか。何度もまだ政党法がどうだこうだと言って、それができないうちにはといったようなことを総理も言っておられましたが、やはりあなたもそういうことで言いのがれをされるかどうか。
○安井国務大臣 この問題につきまして総理からも御答弁があったかと思いますが、政府あるいは自治体と関係のある団体と申しましても、その関係のあり方が複雑な面が非常に多い。そして非常な広範囲にわたっております。これを一々整理をして、ほんとうに的確なものを選び出すのにはまだ技術的に困難を伴う。しかし、選挙に関しては、この際粛正をしなければならぬという意味もあって、そういったものが少々広範囲にわたり過ぎてもやむを得ぬじゃないか、この際献金を禁止しよう、しかし一般の政治活動までそれをそのまま押しつけたのではまだまだ相当不備が残る、そういう趣旨から、できるだけ早い機会に整理をいたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
○畑委員 やはり総理と同じような考えのようであります。ほんとうに答申の線を守ったということは夢にも言えない義理だと私は思うのです。それだから世論は、政府の今度の原案はきわめて答申を無視したものであるということで不満の意を表明しておると思う。新聞がほとんど筆をそろえて、おそらく一つも例外なしに、全部が全部、政府案を攻撃しておることによってもわかる。その点については、自治大臣は、世論は歓迎しておるとお思いですか。
○安井国務大臣 いろいろな見方もあり、また答申案がそのままでなかったという意味では、いろいろな御批評をいただいておることも承知しております。しかし、そうかといって、それがはしにも棒にもかからない法律であるというふうには私どもは考えておりません。
○畑委員 はしにも棒にもかからぬという意味じゃないけれども、根本的に、基本的に答申の重要な柱をへし折っておる、こういう世論が多い。新聞はほとんどそう書いておる、こういうふうに私は考えておる。これはまた議論していっても仕方がないと思うから、続けてまたほかの方について質問いたします。
 まず、今度は、自民党の高橋委員の方に質問いたしたい。主権在民という言葉がございますね。試験みたいで、まことに相済まぬのですけれども、どういう意味なのか承りたい。
○高橋(英)委員 これは現憲法制定の際に、私が国家主権説というのをひっさげて金森在民主権説博士に肉薄したところが、とうとうかぶとを脱いで、私の国家主権説が非常に妥当だというふうなことになって、当時の貴族院の浅井清博士から、衆議院における高橋議員の主張が正しいんだという裏書きをもらったりして、それは今法学者の間でも評判です。従って、国民主権説、国家主権説、それぞれ理由があると思いまするが、現在の解釈は、やはり国民主権説ということになっておりますから、私はそれに従います。すなわち、簡単にいいますれば、主権は国民にあるというふうな、そういう結論に一応同意しておきます。
○畑委員 そうすると、高橋さんは、国家主権説だった。そうして、国会においても盛んにそれを主張した。そうして、大いに傾聴すべきものだということで、あなたは当時勝ったのですか。
○高橋(英)委員 いや、ほめられておる。
○畑委員 しかし、現在の建前は、主権在民、国民主権ということであるということはお認めになりますね。
○高橋(英)委員 認めます。
○畑委員 そうすると、あなたが負けたことになりますか。
○高橋(英)委員 一応負けておきます。
○畑委員 そうすると、主権在民ということになりますと、国民が国のあるじであるということでございますね。
○高橋(英)委員 さようです。
○畑委員 そうしますと、国民自身がみずからの政治をするのではまかないきれぬから、結局代表を出して、日本の政治、あるいは地方の政治をやらせようというのが今の制度だ、こういうふうに思いますが、いかがですか。
○高橋(英)委員 貴説の通りです。
○畑委員 そういたしますると、結局選挙が非常に重大になるということにつきましては、高橋さんも御同意であると思う。わざわざ返事はもらわぬでもよろしい。
 ところで、その選挙は、最も国民の考えを表明するように、明朗公正でなければならぬ、そういうことについてはいかがですか。
○高橋(英)委員 それも貴説の通りです。
○畑委員 ところが、現状はいかがでございますか。理想的にいっておるとお考えですか、そうでございませんか。
○高橋(英)委員 一部はうまくいっておると思いまするし、一部はうまくいっていないと思っております。
○畑委員 うまくいってないのは、どっちの方に多くあると思いますか。どっちの方と言ってはなんだが、保守党の方に多いと思いますか、革新の方に多いと思いますか。
○高橋(英)委員 これは何とも言えませんけれども、検挙されやすいのは保守党であって、総評その他組合の力によって、検挙しにくいのは社会党さんや共産党さんというようなことになっている関係上、統計上においては保守党の方が多くなっているんじゃないかと思いますが、実質上は、より悪質な選挙違反が、検挙されない方にあるのじゃないかと思ったりしております。
○畑委員 どうもこれは異なことをお聞きする。これはまことにおかしいと思う。しかし検挙される者は保守党に多い、革新系の方には少ないということはお認めになるでしょう。これは事実であります。
○高橋(英)委員 統計上そうなっておりましよう。
○畑委員 ところが高橋さんは、実際はそうじゃないんだろうけれども、とにかく片方は選挙が上手で違反にならない、こういうようなお話ですが、私はそういうことはないと思う。それはやはり買収その他の悪質違反をやるから、やる件数、割合が多いから、従って引っぱられる人も多い。ほんとうはもっと多いんだけれども、まだそれでとどまっているんだ、私はそう考える。いかがですか。
○高橋(英)委員 そういうふうに思われますが、候補者も大体保守党の方が多いのじゃないかと思います。候補者数と検挙者数の統計は、ちょっと比率は今知っておりませんので、正確な御答弁はできませんけれども、さように思っております。
○畑委員 この話はそのくらいにいたしまして、次へ進みたいと思います。
 そこで、選挙が明朗に、国民の意思をそのまま反映しなくちゃならぬ。ところが実際においては、それが反映してないということが現実だろうと思う。その間に結局選挙違反が相当あるということは、それを物語っている。それだからこそ今度審議会も設けて、第三者に土俵を作ってもらう、そういうことで審議会が設置せられた、こういうふうに考えられますが、いかがですか。
○高橋(英)委員 そういうふうにも考えられますが、ふまじめなことを言って怒られますが、私はそうは思わぬのです。選挙啓蒙運動というふうなもの、すなわち国民の選挙に対する関心度とか国民教育で、国民の知識水準がまだ高度に達していないというような関係から、棄権者が御承知のように多いわけなんです。この棄権者は、ほとんどが保守党に投ずるような人たちの票なんでございまして、従って有権者全体の比率からいきますと、私ども保守党に対して支持する者が非常に多いんじゃないかと思いますし、それからまた汚れた票も多少ありましょうけれども、これは皆様が御想像になるほどの汚れたものじゃない。これはさっきイギリスの例をあげられましたけれども、イギリスの場合は、あれは制限選挙であったので、個々に買収することができたような時代ですが、今日御承知のような婦人の参政権もできて、膨大なる有権者数ですから、これは買収なんかできるようなものではない。運動員に多少費用をやったかやらぬかでいろいろ問題を起こしているような程度じゃないかと思いますので、大して汚れた票は保守党にはないと思います。ただし、もしそれがあったとするならば、英国の選挙制度のような減票制がしかるべきじゃないか、かように思っておる次第であります。
○畑委員 高橋さんは、そんなに保守党の方に買収や何かの悪質な例がないと、こうおっしゃる。ところが悪質者が非常に多いですよ。統計でもおわかりでしょう。ほとんど大部分が自民党の方の違反者でいらっしゃる。これは統計が示しておるのですよ。これは認めてもらえると思うのです。しかしそういうふうに多いから、そこで何とかしなきゃいかぬということで、これは選ばれる国会議員が適当な案を作るのじゃ困るから、そこで第三者の公正な人たちに一つ妙案を考えてもらって、これで一つやっていこうということで、池田総理も前に審議会の設置法案を上程して、われわれもあなた方に賛成をして、そして設置をした。その第三条には、御承知のように、答申を政府は尊重しなければならぬというように明白に書かれてある。そこで今度の選挙法の改正案ということになったわけです。そうなりますと、われわれはやはり公正な第三者の意見を尊重して、それを根本にしてやらなければいかぬというふうに考えるのですが、その点は高橋さん、いかがですか。
○高橋(英)委員 ごもっともな議論です。もし答申を出したところの審議会の構成メンバー並びにそれによる結論なるものが、私がこの前も言いましたように、バイブルのごとく、大いにその一字一句も尊重しなきゃいかぬというものでしたら別ですけれども、どうもいろいろな批判を聞きますと、あのメンバーの方々はいわゆる世論に弱いとか、従って曲学阿世的な傾向があるとか、頭がちょっとどうかしておるのじゃないかというふうな批評すらするほど、あまりに行き過ぎたといいますか、横にそれ過ぎた答申になっておると思われるのです。私どもは始終、後退だとかゆがめたとかいうふうな非常に不愉快な批判を受けるようでございますけれども、ゆがんでおるのはどっちであるか。こっちがまっすぐにしたのじゃないか。進んでおるのはこっちで、前進しておる、後退したのじゃない、横の方にそれたものをまっすぐ軌道の上に乗せた、こういうふうに思っておるわけであります。こういうふうにこっちは思っておるのですが、そういうふうに思っておる人もあるのです。けれども、大体根本的においては、あの答申でも妥当だと思いますが、いろいろ研究いたしましたところが、政府としても、御承知のように、憲法上の疑義もあるということになりますし、われわれも憲法上の疑義ばかりでなく、実情に即さないというふうないろいろな点があって、御承知のような修正案になったので、われわれ以外の人々が公平な立場、公正な立場から選挙法をこしらえてくれるというふうなことは、これはいわゆる国民主権の代表であって、国の最高機関である国会の議員の誇りを捨てたことになり、みずからを卑下することになるのじゃないですか。なるほど尊重しなければいかぬということになっております。従って政府も尊重いたしましたろうし、私どもも間接的には尊重いたしておりますが、要するに一種の諮問機関であるというふうに私どもは思っておるのでありますから、その諮問機関が出したところの答申を有力なる材料、資料として、そして最も公正妥当な今度の修正案というふうなものをやったものだ。こんなふうなことで、要するにわれわれは、国会の方が国の最高機関であって、すべての点について標準が上である、かように考えております。
○加藤委員長 島上君。もう先に相当やったのだから、簡単に……。
○島上委員 簡単に関連質問します。
 これは大臣に伺います。曲学阿世的なところがあるということは、審議会の委員に対してこれは重大な侮辱だと思うのです。曲学阿世というのは権力にこびることだと私は思う。世論に従うことは、あなたこれは当然のことですよ。世論に耳を傾けるということは、これは当然で、曲学阿世だと私は思わぬ。その審議会のメンバーの中に、曲学阿世的と言いましたが、曲学阿世的な意見があるかどうか。
 それから審議会の答申が曲がっておる、それを自分たちが直したのだ、まっすぐにしたのだ、こういうことをおっしゃいましたが、審議会の答申がこういうふうに曲がっておる、それをまっすぐにしたものであると大臣は解釈されますか。
○安井国務大臣 私は、高橋委員が、審議会の委員は曲学阿世的であると言われたというふうには聞いておりませんし、そういうような批評が一部にあると言われたように私は承りました。また、私自身も曲学阿世の人がおるというふうに考えておりません。
 それから答申を直したという点につきましては、私は曲がったものを直したとかなんとかというものじゃなくて、政府が責任を持って法律を執行していきます上に必要な妥当な修正といいますか、をやった、こういうふうに考えております。
○島上委員 もう一つだけ……。そういたしますると、あなたは自民党の修正案にさっき賛成された。ところが、修正案の提案者が今、曲がったものをまっすぐにするのだ、こういうふうに説明した。それとあなたと考えが違いますが、どういうわけですか。これは明らかに考えが違うでしょう。
○安井国務大臣 これはもう表現上の問題でありまして、決して特に曲がったものを直したとか、そういうつもりではございません。
○畑委員 先ほどのに戻りますが、高橋さんの答弁を聞いておりますと、結局答申案を作った人たちが曲学阿世の徒だと必ずしも言われたわけじゃないのでしょう。そういう人もいる、こういうふうに言ったものと私は善意に一応解釈して、しかし、それは少しおかしい。そうだとしても、それは少しおかしい。結局あなたは、少なくともそれを是認しておられるような言いっぷりですね。それは間違いない。従って、それをわれわれが正当に引き戻した、こういうような言いっぷりをされておる。これだけは間違いないと思う。そこで、先に申しました主権在民ということが出てくるのですが、先ほど私が申し上げましたような経過で、この選挙法の場合は別だということで、わざわざ審議会が設置された。それで答申を尊重しろということになったのです。それを尊重してやることは政府の義務であり、また国会議員の義務でも私はあろうと思うのです。そこにこそ主権在民がある。ところが高橋さんは、どうも選ばれたわれわれが、とにかく国権の最高機関だから、国家の最高機関だからというふうな言いっぷりをされる。それは確かにその通りですよ。一般論としてはその通りなんですけれども、法律的にはその通りなんですけれども、しかしあくまで、もとはやはり選んだ人にある。国民にある。だから国民の意思が反映するように、正確に反映するように選挙をやらなければならぬ。そのために、選挙が乱れておるから、選挙が腐敗しておるから、今度はそうでないように選挙法を変えよう、こういうことなんです。そのために審議会が設けられたんです。そうすると、それを尊重するということについて、やはり国会議員は謙虚でなければならぬと私は思う。ほかの場合と違うのです。ところが、きょうだけの答弁じゃございませんけれども、前の高橋さんの御答弁などを聞いておりますと、どうもそうでないようです。選ばれたわれわれに都合のいいように、議員の都合のいいように解釈し、またその点を明確にしようというふうに見られる。きのうも早稲田の吉村先生がその点をはっきり言われた。あなた方、とにかく選挙法というものはだれのために作られているか、国民のために作られている、こういうふうに言われたと思うのです。その点はどうですか。今私が申しましたことにつきまして、あなたはどうお考えになるか。
○高橋(英)委員 国民のため、国家のために作られたものであるということについては、もう貴説の通りです。ところが、もしその審議会の結論なるものが国民のためにならず、国家のためにならないということになると、われわれは断じて容認できない。やはり国民、主権者の代表としてその責務を果たさなければいかぬのですから、良心に従って今の答申に対して厳正なる批判をするという立場にあるわけです。
○畑委員 ますますもって聞き捨てならぬですよ、この選挙法に関する限りは。そういう考えだから、ますますもってわれわれは絶対反対なんですよ。政府原案にも反対だ。さらにそれをひん曲げてまた後退させようという自民党のこの提案、修正案にも絶対反対だ。基本的な認識の仕方が違うのだ。考え方が違うのです。この選挙法改正に対する基本的な考え方が違う。その点、私はもう少し明確にしなければ先へ進めない。もう一度言って下さい。
○高橋(英)委員 これは私個人の意見ですけれども、国会議員があの審議会に特別委員として、正会員として入ることができないようなあのやり方、国会議員は別のあれになって、あの人たちの間だけで審議をするというやり方、これから私は根本的に間違っておるし、そして国会議員自身があまりに自信がない、そういう立場だ。これは個人の意見ですよ。私の個人の意見ですが、しかし……(「提案をやっているのだから個人の意見なんか言うな」と呼ぶ者あり)よけいなことを言う。個人の意見であろうが差しつかえない。
○加藤委員長 御静粛に願います。
○高橋(英)委員 要するに私自身はさよう思っております。さように思っておりますが、しかし通説はわが党においても、われわれ国会議員の間においても、一応謙虚な気持で、遠慮した形においてああいう制度を作った方がいいだろうというふうなことで、ああいう審議会になったものです。従って私どもはどこまでもその基本線、あの審議会の意見、精神を尊重して、そして今度の修正案をこしらえたという、その根本的なものについては、これはもう絶対に間違いないのです。ただ考え方の違いがありますけれども……。
○畑委員 ますます奇々怪々だ、矛盾している。これは審議会に国会議員が正会員ですか、で入れない、特別委員ということになっている、そのこと自体が審議会の性格を現わしているのですよ。国会議員だから特別委員なんです。とにかく普通の委員は第三者だ。そうして国会議員は、ただ国会議員に関係することだから特別委員として一部入ってもらうということになっているのがこの審議会なんです。わかりましたか。ところが、それがけしからぬというようなあなたの御意見だと思う。個人的な意見と言われたけれども、個人的な意見といっても聞き捨てならぬです。あなたは修正案の提案者ですから、相当責任があるだろうと思う。それがそういったような認識の仕方をしているのは、私は大いに問題だと思う。いかがですか。
○丹羽(喬)委員 ちょっと。私も共同の提案者でございますから、一言今の問題で答弁させていただきます。ただいま畑さんのおっしゃった通りです。審議会設置法によりますと、われわれは特別委員でございまして、大体いわゆる学識経験者その他の人で構成されていることは、その通りでございます。われわれは必要に応じまして、われわれの経験に基づいて意見を言うということの建前になっておると思います。
  〔「答弁が食い違っているじゃない
  か」と呼ぶ者あり〕
○高橋(英)委員 一つも食い違っておりません。一応そういう見解もあるけれども、われわれは党議に服し、国会の通念に従ってああいう審議会も作ることに賛成し、その審議会の答申も尊重すべきところはは尊重したが、尊重すべからざるところを是正しなければならないというふうなことで今日のようなことになったので、尊重するということには少しもあなた方と意見は違いません。そして審議会が一応ああいう形になったことに対して賛成したことも間違いありません。ただあまりに国会議員がみずからを卑下し過ぎるから、もっと勇気を持って、自信を持ってやってもらいたいということを希望申し述べたにすぎないわけです。
○畑委員 国会議員があまり卑屈過ぎるから大いに自信を持ってやれ、こういうような意見を申し述べたにすぎない、こうおっしゃるけれども、大体そういう考え方がいかぬと僕は思うのです。ともかく今度の審議会設置法、これは審議会はどういうものか、今度の改正案の審議はどういうものか、これに対する認識がどうも私は欠けておるように思うのです。それは人によって丹羽さんと少しニュアンスが違うようで、丹羽さんの方がなかなか上手でうまく言いのがれられているようですが、その点高橋さんの方はなかなか正直でよろしい。よろしいけれども、ときどきボロをお出しになる。しかしそれが正直なだけに本音だと私は思うのです。それだけわれわれの認識とえらく違う。世間の認識とえらく違う。そのことだけはここで高橋さんの御意見を聞いたからよくわかりました。そういう問題について大臣、いかがですか。
○安井国務大臣 審議会の意見を政府といたしましても、あるいはそれぞれの関係の向きも御尊重なさっておる、またしなければならぬと思っております。同時に、国会の審議権は審議権で大いに尊重すべきものだと思っております。
  〔「何べん聞くのだ」と呼ぶ者あり〕
○畑委員 この問題は、うしろからもそういう話がありますし、何度繰り返しても同じようですが、大体考え方の違いが浮き彫りされたような感じがするわけです。なぜわれわれがあなた方の案に反対するか、あなた方がそういった案に固執されるか、そういうことがよくわかったような気がするわけです。
 そこで、時間の関係もございますから先に進みたいと思うのでありますが、先ほど来の話にも関連があるのですけれども、あなた方の言われていることは、そういう点も関連するのですが、どうもあなた方本位の考え方をしておられる。選挙法というものがあなた方に都合のいいようにということで、盛んにそういうふうに持っていこうとする努力をされているというふうに考えられる。きのう吉村さんからいろいろお話を聞いたと思うが、その点はいかがですか。
○高橋(英)委員 吉村さんとは審議会でも一行一義大いに論戦を戦わしたので、あの人の手並みも知っておりますから、そうキリストに対するほど私は心からなる尊敬をすることはできないわけであります。やはりあの人の議論にも欠点があるし、私の考え方の方にも長所があるというふうにはっきり感じました。昨日か一昨日の吉村さんの意見のうちにも、傾聴すべきものもあり、首をかしげるようなものもありましたことは間違いありません。
○加藤委員長 ちょっと畑君に申し上げます。もう二十九分たちました。
○畑委員 それじゃこまかい問題で、自民党の修正の一項目にあります選挙運動に従事する者に対する報酬支給の問題について質問いたします。
 この点についてはすでに現行法におきましても、労務者には報酬を払ってよろしいということになっております。その労務者の中には、厳正に機械的な事務に携わる人たちは入る、すなわち選挙運動に従事する事務員は入るという政府案になっているというふうに承知いたしております。そこで選挙運動のために使用する事務員に限るということで、選挙運動に従事する者に報酬を払うということにされたのは、選挙運動をし同時にたまには事務もやるという人たちは非常に区別がつきにくいということで、事務に従事している人に金をやると、選挙運動をやったために金をもらったんだろう、こういって警察に呼ばれて、これが買収行為なりと認定されるということは困るから、こういうものを特別に設けた、こうおっしゃられたように聞いておる。ところで選挙運動に従事するという者は、これはあくまで政治活動、みずからこの人を当選させようという考えで運動をやられる、そういう者には大体報酬を払うべきでないとわれわれは考えている。あなた方は、たまたま事務もやるという人が金をもらうということだと、やはりそれはけしからぬ、選挙運動でもらったのだろう、こう言われるから、こういうものを設けよう、こういうことですね。根本的にわれわれとは考え方が違うのですが、その点はいかがですか。
○丹羽(喬)委員 ただいまの選挙運動に従事する事務員に対する報酬の問題、これは私どもは、単純なる労務費にいたしましても、いやしくもわれわれの必死の選挙について労務を提供してくれる者は、精神的にはわれわれを当選させてやりたい――あいつを落選させてやろうというのでビラを張られたら、たまったもんじゃありません。そういう点では、あくまでもやはりそういう意図を持つ。しかしながら、事務員の報酬というものは御承知のように事務に対する報酬でございますから、一般の通念といたしまして、雇用契約の対象になるというような事務員に対しましては、これは報酬を払うことは当然ではないかという意見は、審議会の審議の途上におきましても、しばしば論議せられたことは畑さんも御承知の通りであります。その点がどうも、私先般この委員会においても質問をした次第でありますが、買収、供応といいましても、言うまでもなく、悪質の買収につきましても、末端買収というものはほとんど少ないのじゃないか、一票々々昔みたいに金を出しまして買収をするのは少ないのじゃないか、いわゆる運動買収が非常に多い。運動買収のうちには、アルバイトの学生を演説会にたまたま人がなくて立たせた、これはやはり選挙運動をした者だというが、大部分は事務をやっている者を立たせた場合にはどうなるか、こういう例がたくさんありますので、やはり事務員に対しましてもある程度報酬を出すことは妥当ではないか、しかもその報酬も無制限にはしない、やはり登録した者に限りまして、ある一定の限度に限って報酬をやるのは妥当ではないかというので、いわば現実の問題から考えまして、この点は政令において規制してもらいたいということで、修正になった次第でございます。
○加藤委員長 ちょっと委員長から申し上げます。畑さん、もう三分経過しています。
○畑委員 アルバイトなんかは、事務に従事したって明らかに労務者ですよ。アルバイトを口実にして、せびろを着たちゃんとした運動員をのがれるような方法にしようったって承服できません。アルバイトなら、だれが見たって労務者、事務員ですよ。ちゃんとしたせびろの人たちを運動員として金をやるとひっかかるから、事務員という抜け穴でのがれよう、こういった魂胆としか思われないのです。
○丹羽(喬)委員 今のお話でございますけれども、私どもそういう気は決してございません。アルバイトはそういう例もあるということを言ったわけでございます。きのうからも御議論がございますけれども、せびろを着た人でも雇用されたいという人もいますし、しるしばんてんの方でも相当に有力な方もあるわけでございまして、きのう吉村さんが言ったような区別は実際問題としてはつけにくい。でございますから、審議会におきましては一日一千円まで出そうじゃないかというのを、われわれのこの修正原案におきましては、それでは少しあれ過ぎるから労務者と同じように七百円にしよう、こういう趣旨でございますので、私どもはそのほかに決して他意がないということを御了承願います。
○加藤委員長 福永一臣君。
○福永(一)委員 私は、与党でありますからあまりくどい質問はいたしません。互譲の精神を発揮いたしまして、社会党に十分質問させたいので、急いでやります。
 そこで、ただいまいろいろ社会党の諸君の議論を聞いておりますと、審議会が出しました答申案と、この修正案との関連について、非常に御疑念があるようでございます。われわれの修正案が、非常にひんまげられてえらい後退した、こういう御批評でございますが、審議会の答申案というものが、正直に申して、われわれ議員である者あるいは選挙に臨む者、これに対して直感的に与えたものは何であるか。初めからわれわれを悪人扱いして、犯罪の常習犯のごとく見ておるということに対して、われわれは一種の侮辱というか、そういうものを感じたわけです。そうして前時代的な連座という言葉、これはあたかもかつてのキリシタン・バテレンの踏み絵を思い出さしたり、佐倉宗五郎のはりつけを思い出さしたり、言葉自体がどうも不愉快な感じを抱かせます。ですから、社会党の諸君は、後退だとか、骨抜きされたとかあるいは穴をこしらえたとか、いろいろおっしゃるけれども、この連座という言葉だけでも相当な効果があります。選挙民の大部分は法律を知りません。ここで審議がどうされたということもあまりよく理解ができないのですから、今度は連座だそうだ、今度はひっかかるそうだということでも大へんな効果があったと思います。ですから、安井大臣が言われるように、後退ではない、これはあなた、大へんな手柄です。歴史的な功績を残されております、この連座の言葉だけでも。しかし、そのはね返りはわれわれに来るのです。その首の座にすわるのはわれわれです。だからあなた方に賛成できないのです。
 そこで、審議会の根本理念、いろいろ議論がありますけれども、選挙をきれいにする、公明選挙をやる、金のかからぬ選挙をやる、これはわれわれもろ手をあげて賛成なんです。ところが、どうですか、金の面において、今の選挙において保守党だけが金を使うでしょうか、実際問題として。社会主義政党、共産党を含めて、こういう人たちの選挙を見ておりますと、非常に不可解な点があるのです。労組、たとえば官公労あるいは日教組、こういうものが非常に巧妙な運動をやっております。その場合に、民間の労組というものは自分の賃金から出すでしょうから国民の税金とは言えない。官公労とか日教組というものの給料は国民の税金です。そうして職場の乗りものとかあるいは交通機関を――国労なんかそうですが、みんなパスを持っているだろうけれども、いろいろ乗合自動車なんかに乗って、ただで運動して歩いております。そうして日教組は巧妙な戸別訪問をやっておりまして、やれ家庭訪問とかなんとかいうことで、三々五々とにこやかに訪れて行って、それとなく選挙の何をにおわせる。現に私の家庭なんかもそういうことを受けたことがある。そういう点を審議会は答申したでしょうか、答申に漏れているでしょうか、その点を安井自治大臣にちょっとお伺いしたいと思います。
○安井国務大臣 連座という言葉につきましては、お説のような言葉から受ける印象も今後は大いに考えなければなるまいかと思っております。従来の慣用語としてただいま使っているわけであります。
 公務員がその職を利用していろいろな選挙運動をやるというような点につきましては、今度の改正案におきましてはきびしく取り締まるように心がけておるつもりでございます。
○福永(一)委員 それから、労組に対する捜査とか手入れとかというのは――先ほどは自民党ばかり犯罪が起きて、高橋委員が統計まで言われていじめられておったが、労組なんかで非常に巧妙にやる。それであなた方が労組につるし上げられたりするので、警察官がこわがって近寄らぬということはありませんか。
○新井政府委員 別にそういうことはございません。
○福永(一)委員 新井刑事局長としては、社会党の諸君を前に置いて、あまり詳しいことは言えないと思う。あっさりありませんとおっしゃいましたが、われわれは、どうも少々手心を加えておると思います。遠慮なくやっていただきたいという希望を述べておきます。
 いろいろ、長い間の名論卓説を聞いてきましたが、この選挙法は大体むずかし過ぎるのですよ。われわれも選挙法の改正案なんか逐条的に読むと頭が痛い。それから、議論をしてみても、なかなか微妙なところがまだ残されておると私は思います。しかも選挙法を守るのは、候補者とか、われわれ幾らか選挙法のわかる人間ばかりじゃない。むしろ少ないのです。これは選挙民である国民の大多数の諸君が、まずこの法律を理解しないとひっかかってしまうのです。たとえて言うならば、先ほども永山君から質問がございましたが、選挙運動者が実費弁償で実際に働いて、そして自分の職場を休んで、あるいは車に乗ったり、あるいはバスに乗ったり電車に乗ったりしてやる。そういう実費弁償でさえも、一たび警察に引っぱられて尋問されると、警察官が誘導尋問いたしまして、あなたは運動したでしょう。はい、いたしました。それではあなたは御苦労賃ですね、報酬ですねと、こうやわらかく持ちかけてくると、法律知識がないから、はい、さようでございます。そうなると、警察はそのまま口述書を書くわけですね、そして拇印を押させるわけです。さて、本人は、これは大丈夫だと思って帰ってくると、呼び出しがきてぶち込まれる、裁判なんかになると、報酬、御苦労賃といっておりますから有罪になる。こういう点、第一線の警察官があまりそういう誘導尋問しないで――ひっかけるばかりが能じゃない、論功行賞で激励するばかりがほんとうの警察行政ではないと思いますが、その点を一つ十分気をつけていただきたいと思います。
 そこで、委員長、質疑打ち切りの動議を提出いたします。
○加藤委員長 採決いたします。……(発言する者、離席する者多く、聴取不能)動議を可決いたしました。
 暫時休憩いたします。
   午後五時四十二分休憩
     ――――◇―――――
   午後八時三十分開議
○加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 ただいま島上善五郎君外二名より、成規の賛成を得て、委員長の不信任に関する動議が提出されました。
 私の一身上のことでありますから、本席を理事荒舩清十郎君に譲ります。
  〔委員長退席、荒舩委員長代理着席〕
○荒舩委員長代理 委員長の指名により、私が委員長の職務を行ないます。
 これより島上善五郎君外二名提出の委員長不信任動議について議事を進めます。
 不信任動議提出者の出席を求めることといたします。事務局、提出者を呼んできて下さい。――ただいま事務局を通じまして不信任動議提出者の出席を求めましたが、遺憾ながら提出者の御出席はございません。従いまして趣旨弁明は放棄されたものと認めます。
 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出はありません。従いまして採決をいたします。
 島上善五郎君外二名提出の委員長不信任に関する動議に賛成の諸君の御起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○荒舩委員長代理 起立少数でございます。よって、本動議は否決せられました。(拍手)
 委員長の復席を願います。
  〔荒舩委員長代理退席、委員長着席〕
     ――――◇―――――
○加藤委員長 これより両案並びに三修正案を一括して討論に付します。中垣國男君。
  〔委員長退席、竹山委員長代理着席〕
○中垣委員 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました政府提出の公職選挙法等の一部を改正する法律案に対する社会党提出の修正案に反対し、わが党提出の修正案及び修正事項を除く政府案について、賛成の討論を行なわんとするものであります。
 御承知のように、今回の政府提出の改正法律案は、昨年選挙制度審議会より政府に対してなされた答申に基づき、政府がその答申を尊重して作成し、国会に提出したものであります。選挙の公明化に寄与するところ大なるものがあると考えるのであります。
 すなわち、政府の提案理由にも示されておりますように、今回の改正は各方面で論議されていた事項のほとんどすべてにわたる改正であり、これにより、第一に従来の選挙運動に関する制限が緩和され、言論、文書による選挙運動のワクが広められるのでありまして、選挙運動が自由かつ公明に行なわれることが期せられるのであります。また特に、従来の個人本位の選挙から、政党本位の選挙への道が開かれているとともに、選挙運動用ポスター、公営掲示場の新設や選挙運動用はがきの枚数増加、あるいは新聞広告の回数増加など、選挙公営の拡充強化と合理化がはかられており、さらに選挙運動費用についてもその合理化がはかられることにより、明朗な選挙の実現が期せられることになると考えるのであります。
 第二に、選挙違反に対する制裁が強化されておりますが、これは現在の選挙界の実情においては、ある程度やむを得ないものと考えられるのであります。また選挙に関する寄付を規制することも、ある程度はやむを得ない改正であると考えます。しかしながら、この政府案の一部について規定が明確でない点と、実情に即しない点があると考えられるのであります。これについては、わが党より提出の政府案に対する修正案によって、その不備と考えられる点が改められると考えるのであります。すなわち、修正案の提案理由にも述べられておりますように、いわゆる事前運動が認められると、年じゅう常に選挙運動が行なわれることになり、このための選挙運動費用が莫大となり、選挙の実情に即するとは言えないのであり、現段階においては事前運動を認めるべきでないと考えるのであります。
 次に、選挙運動のために使用する事務員に対して報酬を支給することにつきましては、政府案によりますと、その事務が機械的事務であるかどうかで区別することになり、機械的事務を少しでも越えた場合にこれに報酬が支払われたからといって、直ちに買収であるとすることは、社会常識からいっても行き過ぎであると考えられますし、また選挙の実際といたしましては、同一人の一連の行為としてなされることが通常であります。このような、面から、選挙運動のために使用される事務員についての規定を明確にするとともに、一定範囲内で報酬を支給することといたしますのは、時宜に適していると考えられるのであります。
 次に、後援団体に関する規制については、政府案は「当該選挙に関し」ということでありますが、これでは期間的に明確を欠くものであり、本条のような性質の規制は、禁止期間を明確に規定することが当然の措置であると考えられるのであります。
  〔竹山委員長代理退席、委員長着席〕
 最後に、連座の対象となる地域主宰者について、選挙制度審議会の答申は「相当広範囲にわたって選挙運動を主宰した者」としており、これに対して政府案は、数個に分けられた地域の選挙運動主宰者としております。しかし、数個ということになると、捜査当局の判断によって左右されたり、最終的には裁判例によらなければ定められないのでは、選挙の実情に沿わないと考えられるのであり、さらにこれが候補者の当選の失格にも通ずる重要事項でありますので、ぜひとも明確にすることは必要であると考えるのであります。
 以上、わが党の修正案は政府案の不明確な個所を明らかにし、実態に根をおろした適切なものと考えるのであります。
 なお、執行経費の基準法については、修正案及びこれを除く原案に賛成するものであります。
 以上をもちまして、討論を終わります。
○加藤委員長 次に、井堀繁男君。
○井堀委員 私は民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題に供せられております公職選挙法等の一部を改正する法律案、すなわち政府提出にかかるもの、次に、社会党より提出されておりまする公職選挙法等の一部を改正する法律案に対する修正案、さらに自民党高橋英吉君外四名より提出されておりまする公職選挙法等の一部を改正する法律案に対する修正案、五三件に対しまして、それぞれ立場を明らかにいたして参りたいと思います。
 まず第一に、政府提案にかかる原案並びに自民党の修正案に対しましては、反対の意思を明らかにいたしたいと思います。次に、社会党修正案に対しましては、多くの不満を持つものでありまするけれども、原案よりはるかにすぐれておる点がありますので、わが党といたしましては、わが党の所見を加えながら、社会党の修正案に賛成の意思を表明いたしたいと思います。以下、その理由を述べたいと思うのであります。
 去る三月の一日に政府原案が提案されましてから、今日まで審議を続けて参ったのでありまするが、政府案に対しましても、あるいは自民党の修正案に対しましても、まだ十分審議を尽くしたいと思いましたが、はなはだ残念ながら質疑が打ち切られたことに対しまして、非常に不満を感じ、かつ、その措置に対しまして強く抗議をいたしたいと思います。
 まず、この法案の性質でありまするが、申し上げるまでもなく、選挙法は日本の議会制度の基礎を築くものでありまして、この法案が各党共同して真剣に討議され、よき結論を得ることが、議会政治を守る上からもきわめて重要であったと思うのであります。しかるところ、本日は野党でありまする社会党の欠席のもとで、かかる重要法案が採決されることを、返す返すも遺憾に思う次第であります。政府が提案理由に強く主張しておりますように、民主政治の健全な発展を期するためには、選挙が公明かつ適正に行なわれなければならぬとしまして、そのための措置として、ここに選挙制度審議会の答申を尊重するという建前で本案の提案が行なわれたことを強調いたしておるのであります。しかるに、本案の内容を検討いたしますと、多くの点で、これから指摘をいたしますような重要なる欠陥を認めなければなりません。たとえば連座制の強化、政治資金の規正の合理化、これらにつきましては、全く骨抜きにして提案がなされております。ことに高級公務員の立候補の制限は、これを無視して、顧みられていないのであります。かくのごとき、答申案の趣旨を重要な部分において無視した政府原案に対しまして、非常な憤りすら感ずるのであります。
 申し上げるまでもなく、この法案を提案されますまでの経過についてでありますが、一昨々年十一月に行なわれました衆議院の選挙におきまして買収、供応といったような悪質な選挙腐敗の実情が国民の間から強く非難されまして、その国民の非難に対しまして政府が選挙制度に対する改革を余儀なくされましたことは、記憶に新たなところであります。この世論にこたえまして、政府は選挙制度審議会設置法案を提案するに至りましたことも、今さら説明するまでもありません。ことにこの審議会設置法の第三条に、ことさらに答申を尊重する意味のことを規定いたしておるのは、申し上げるまでもなく、この歴史的な経過に対する政府の反省を意味するものであったと思うのであります。かかる実情からいたしまして、今回の政府原案は、答申を尊重して、――すなわち民主政治の最も重要なことは、たとえそれが政府の諮問機関であったといたしましても、国民の意思を直接に問うことの困難な現状にありましては、こういう制度を尊重するということが、民主政治のあり方として当然といわなければなりません。従いましてその答申が、結果においてもし目的に沿わないような場合があり得たといたしましても、それは民主制度のもとにおける当然の帰結として、日本の国民全体がその責任を負うというのが当然であろうと思うのであります。私どもは立法権を尊重いたしまするとともに、この民主制度のきびしい原則を守るべきであったと思います。この点において政府原案が、さきに述べましたように、最も重要な部分をことさらに除き、あるいはこれをざる法にいたしましたことは、こういう意味においても返す返すも遺憾にたえぬところであります。
 さらに、この法案が提案されまする経過は、さきに述べましたように、政党並びに政府に対する国民の非難に対する反省の実を表わす一つの方法であったと思うのであります。こういう意味におきまして、この法案が審議会の答申に忠実であるということは、政党並びに政府の重要な任務であったと思うのであります。それが、以上申し上げますように、重要部分でその答申にそむきましたことを遺憾に思うことはもちろんでありまするが、かてて加えまして、今回高橋英吉君外四名から提案されました四項目にわたりまする修正は、さらにこれを後退せしめる性質のものを多く持っておることを、われわれは質疑の中で明らかにいたしました。このことをここで繰り返そうとは思いません。このように原案自身が世論の非難を受けるような内容であるのに、それを後退せしめるというのでありまするから、論を待たずその不法をなじらざるを得ないのであります。私どもはこういう意味におきまして、今回の自民党高橋英吉君外四名の提案されました修正案に対しましては、その撤回を希望いたしたのであります。ことにこの修正案に対しまして、野党第一党である日本社会党が審議を拒否してもその阻止に当たろうといたしましたことについては、われわれはその方法においては同意するととはできませんけれども、その情熱、その強い主張については、全く同意をせざるを得ないのであります。そして、結果におきましては、貴重なる審議の時間を空費することについて、まことに残念な状態を展開いたしましたことは、御案内の通りであります。わが党は微力ではありまするけれども、国会正常化を要請されておりまする現下におきまして、このように与野党の対立、しかも、以上申し上げましたような民主政治の基礎を確立する重要法案について、かかる状態を一日も早く、寸時もすみやかに解消することのために努力をいたして参ったのであります。残念ながら最後のどたんばに至りまして、いささかトラブルを生じたということは、非常に遺憾に思う次第であります。
 以上のような次第でありまして、われわれは社会党の修正案に対しましては、質疑で明らかにいたしましたように、多くの欠陥を指摘いたしました。足らざるものや行き過ぎたものなどについても、意見を開陳して参りました。ここではそのことを省略いたしますが、冒頭にも申し述べましたように、政府原案、高橋英吉君外四名の提案されました修正案よりは、答申案に近い内容のものであるという一点から、社会党の修正案に賛成をいたすものであります。以上の理由を、ごく簡単ではありましたけれども申し述べまして、わが党の態度を明らかにいたし、政府原案、自民党修正案に反対をし、社会党の修正案に同意をいたし、わが党の意見の大要を申し述べまして、討論を終わりたいと思います。(拍手)
○加藤委員長 これにて討論は終局いたしました。
 これより採決いたします。
 まず、公職選挙法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 初めに島上善五郎君外二名提出の修正案について採決いたします。
 これに賛成の方の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○加藤委員長 起立少数。よって、本修正案は否決いたしました。
 次に、高橋英吉君外四名提出の修正案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○加藤委員長 起立多数。よって、修正案は可決いたしました。(拍手)
 次に、ただいま可決いたしました修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○加藤委員長 起立多数。よって、修正部分を除く原案は可決いたしました。(拍手)
 これにて本案は、高橋英吉君外四名提出の修正案の通り修正議決すべきものと決しました。
 次に、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 まず、高橋英吉君外四名提出の修正案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○加藤委員長 起立多数。よって、修正案は可決いたしました。
 次に、ただいま可決いたしました修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○加藤委員長 起立多数。よって、修正部分を除く原案は可決いたしました。
 これにて本案は、高橋英吉君外四名提出の修正案の通り修正議決すべきものと決しました。
○加藤委員長 ただいま議決いたしました公職選挙法等の一部を改正する法律案に対し、井堀繁男君外一名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨説明を求めます。井堀繁男君。
○井堀委員 附帯決議の案文を朗読いたします。
   附帯決議(案)
  選挙の公明化を期するためには、制度の改正に併わせて、国民の一人一人の政治水準を高めることが先決の要件である。このため、政府においては、次の措置を速かに実施すること。
 (一)選挙違反に対する裁判を促進し、選挙犯罪に対する刑の執行の厳正を期し、広く国民に公明選挙の意義の徹底をはかること。
 (二)学校教育及び社会教育を通じて、広く国民の間に、民主政治、特に選挙に関する教育の普及徹底をはかるとともに、民間団体、政府関係機関並びに地方公共団体の関係機関が一体となって、公明選挙の推進に当るよう格別の配慮をすること。
 (三)右の各項、特に民間運動並びに選挙管理委員会の啓発活動を積極的に展開するため、市町村における末端組織の活動費を含めて、画期的な財政措置を講ずるものとし、差し当り予備費をもつて所要経費を支出すること。
 (四)選挙運動の公営の拡大、連座性の強化、高級公務員の立候補者制限、政治資金の規制について、さらに合理的な結論をうるよう格段の努力をはらい、次期通常国会にその改正案を提案するよう努力すること。
 右決議する。
以上であります。
○加藤委員長 これより採決いたします。
 ただいまの井堀繁男君外一名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○加藤委員長 起立総員。よって、井堀繁男君外一名提出の動議は可決されました。
 これにて公職選挙法等の一部を改正する法律案には、附帯決議を付することに決しました。
 ただいまの附帯決議に関し、政府より発言を求められております。この際、これを許します。安井自治大臣。
○安井国務大臣 選挙の公明化のために、ただいま議決されました附帯決議につきましては、政府といたしましては、十分意を体して、善処をいたしたいと存ずる次第でございます。(拍手)
○加藤委員長 なお、ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後九時一分散会
     ――――◇―――――