第040回国会 社会労働委員会 第11号
昭和三十七年二月二十八日(水曜日)
   午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 中野  四郎君
   理事 大石 武一君 理事 齋藤 邦吉君
   理事 永山 忠則君 理事 藤本 捨助君
   理事 小林  進君 理事 滝井 義高君
   理事 八木 一男君
      安藤  覺君    井村 重雄君
      伊藤宗一郎君    浦野 幸男君
      小沢 辰男君    倉石 忠雄君
      澁谷 直藏君    中山 マサ君
      松山千惠子君    渡邊 良夫君
      大原  亨君    河野  正君
      五島 虎雄君    島本 虎三君
      田中織之進君    田邊  誠君
      田原 春次君    中村 英男君
      楢崎弥之助君    湯山  勇君
      吉村 吉雄君    本島百合子君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君
        労 働 大 臣 福永 健司君
 出席政府委員
        内閣官房長官  大平 正芳君
        総理府総務長官 小平 久雄君
        大蔵政務次官  天野 公義君
        文部政務次官  長谷川 峻君
        文部事務官
        (社会教育局
        長)      齋藤  正君
        厚生政務次官  森田重次郎君
        厚生事務官
        (大臣官房長) 山本 正淑君
        厚 生 技 官
        (医務局長)  川上 六馬君
        厚生事務官
        (社会局長)  大山  正君
        厚生事務官
        (保険局長)  高田 浩運君
        農林政務次官  中馬 辰猪君
        農林事務官
        (振興局長)  齋藤  誠君
        労働事務官
        (職業安定局
        長)      三治 重信君
        建設政務次官  木村 守江君
        建設事務官
        (住宅局長)  齋藤 常勝君
        自治政務次官  大上  司君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (主計官)   岩尾  一君
        文部事務官
        (初等中等教育
        局財務課長)  岩間英太郎君
        文部事務官
        (初等中等教育
        局高等教育課
        長)      上野芳太郎君
        文部事務官
        (大学学術局庶
        務課長)    西田亀久夫君
        厚生事務官
        (医務局次長) 鈴村 信吾君
        厚生事務官
        (保険局次長) 熊崎 正夫君
        農林事務官
        (振興局振興課
        長)      古西 一郎君
        通商産業事務官
        (中小企業庁振
        興部長)    加藤 悌次君
        郵政事務官
        (簡易保険局規
        画課長)    大松 喬寛君
        建設事務官
        (住宅局住宅総
        務課長)    大津留 温君
        自治事務官
        (財政局財政課
        長)      松島 五郎君
        専  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
二月二十八日
 委員淺沼享子君、島本虎三君、中村英男君、吉
 村吉雄君及び井堀繁男君辞任につき、その補欠
 として田原春次君、湯山男君、楢崎弥之助君、
 田中織之進君及び田中幾三郎君が議長の指名で
 委員に選任された。
同日
 委員田中織之進君、田原春次君、楢崎弥之助君、
 湯山勇君及び田中幾三郎君辞任にっき、その補
 欠として吉村吉雄君、淺沼享子君、中村英男君、
 島本虎三君及び井堀繁男君が議長の指名で委員
 に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 医療金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第三五号)
 臨時医療報酬調査会設置法案(内閣提出第一〇
 一号)
 厚生関係の基本施策に関する件(同和対策問
 題)
     ――――◇―――――
○中野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出の臨時医療報酬調査会設置法案を議題とし、審査を進めます。
○中野委員長 提案理由の説明を聴取いたします。小中総務長官。
○小平政府委員 ただいま議題となりました臨時医療報酬調査会設置法案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
 この法律案は、先般、厚生大臣より社会保障制度審議会に対して、社会保険等の適正な診療報酬を定めるためにとるべき方途について諮問が行なわれ、それに対する答申の中で、社会保険等の適正な診療報酬算定のルールを確立し、そのために必要な調査を行なう中立的な機関として医療報酬調査委員会を設ける必要がある旨が述べられておりますところに従いまして、臨時医療報酬調査会を設けることといたすものであります。
 本調査会は、社会保険等の適正な診療報酬の決定に資するため、適正な医療報酬の算定基準に関する事項を調査審議する機関として総理府に置かれるものであります。本調査会による調査審議の結果によりまして、従来しばしば問題となっております社会保険の診療報酬に関し、各関係者はもとより、国民一般が納得することができる適正な診療報酬算定のルールが確立され、これによって社会保険等の事業の適正円滑な運営が確立されることを期している次第であります。
 次に、法案の内容につき概要を申し上げます。
 まず、調査会の所掌事務は、適正な医療報酬の算定の基準に関する事項を調査審議するものとし、みずから調査審議して内閣総理大臣の諮問にこたえ、または内閣総理大臣に意見を申し出ることといたしております。
 次に、組織につきましては、委員を五人とし、この方面に学識経験のある方の中から内閣総理大臣が任命することといたしました。また、これと並んで専門の事項を調査するための専門委員を置くことといたしました。いずれもこの種調査会の例にならい、非常勤といたしております。
 さらに、本調査会の調査に関し、関係行政機関、地方公共団体及び関係団体との間の協力関係を規定しております。
 最後に、この調査会の事務を処理させるため、事務局を置くことといたしております。
 なお、附則で、本調査会の存続期間を二年としておりますが、その趣旨は、できる限り早期に結論を出していただくことを期待したことに出たものであります。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由及び法律案の内容でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○中野委員長 なお、本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
     ――――◇―――――
○中野委員長 医療金融公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。
○滝井委員 医療金融公庫法の一部を改正する法律案について質問をいたしたいのですが、ただいま大臣が予算委員会に出ておりますし、あとで同和問題、すなわち部落解放の問題についての質問がございますから、本日は、医療金融公庫に関連のある、簡易保険郵便年金福祉事業団法というのが新しく提案されておるようであります。これが今後、やはり日本の医療機関の適正な配置にも将来関係をする問題です。従って、医療金融公庫と関連をして、先にこの問題を郵政省当局から少しお聞かせ願いたいと思うのです。
 その前に厚生省にお願いをいたしたいのは、この医療金融公庫のいろいろの貸出条件と、それから年金福祉事業団、ちょうどこの郵便年金福祉事業団と非常によく似ておる年金福祉事業団のいろいろの貸出条件を対比した――三十六年度においていろいろの条件で貸し出しがされておるわけですが、それを対比した表を出してもらいたいと思うのです。これは建築坪当たりの単価が医療金融公庫では幾ら、それから年金福祉事業団では幾らというような、そういうところまでわかりやすい一つの表にして出してもらいたいと思うのです。そして同時に、将来どういうようにそれをしたいと希望しておるかということをも、あわせてつけ加えていただければ幸いでございます。その表によって、次回に、医療金融公庫の具体的な内容については、大蔵当局も来ていただいて質問をさしていただきたいと思います。医療金融公庫というのは、昭和三十五年の七月に医療金融公庫法が成立をするときに、医療機関の整備計画というものを厚生省が当委員会にお出しになったわけです。その当委員会にお出しになった医療機関の整備計画というものは、当時省議を決定しておりませんでした。この委員会にその整備計画が出て、私質問をしまして、一医務局の試案では困る、やはり国会に資料として出すからには、それは厚生大臣が責任を持ったものとして出してもらわないと審議ができないということで、厚生省は急遽省議を開いて省議決定をした、いわゆる大臣の責任を持った案としてこれが出てきたことを記憶しております。従って、この医療機関の整備計画とも簡易保険郵便年金福祉事業団は一応関連がございますので、そういう点から、きょうは郵政当局に少しお尋ねをしたい。
 まず、簡易保険郵便年金の福祉事業団は、一体どの程度の運用するお金と申しますか、出資金と申しますか、そういうもので発足をすることになるのでしょうか。
○大松説明員 お答え申し上げます。
 初年度の三十七年度といたしましては、出資金が四億三千八百万円でございます。この出資金は現金出資でございます。この現金出資は、福祉施設の建設に充当する資金でございます。それから運営資金といたしまして、療養収入でまかない切れないものを交付金として支出いたします。この額は四億四千二百万円でございます。出資金、交付金の概算はそういうことでございます。いずれも簡易保険特別会計から出資ないし交付金を支出いたすことにいたしております。
○滝井委員 そうしますと、簡易保険の特別会計から事業団に出す場合に、これはやはり政府出資ということになるのですか。
○大松説明員 政府が出資するという意味では政府出資ということでございますが、簡易保険の特別会計からの出資、こういうふうに御理解いただいたらいかがかと思います。
○滝井委員 実は私、そこらが一つわかりかねるところなんです。簡易生命保険なり郵便年金の特別会計から出す、そういうものを政府出資と普通にいいますかね。法案には、「政府は、」と、こうなっておるのですよ。われわれは、一般会計から出すものが政府の出資だと思っておったのです。ところが、今の御説明でも、あるいは予算の説明でも、何か政府が出すような感じがするので、私はこれは一般会計から出すのかなと思っておったのですが、どうも今の御説明では特別会計からと言う。そうすると、法案の第四条をちょっと読んでみたのですが、「事業団の資本金は、四億三千八百万円と附則第六条第一項の規定により政府から出資があったものとされる額との合計額とし、政府がその全額を出資する。」と、こうなっておるのです。従って、これは一般会計から出すものならば、これでわかると思うのです。そこで私は、一般会計から出しておるのかなと思って調べてみたけれども、そういう数字がない。今のように特別会計から出す。そうすると、当然特別会計からこれを出すのだということを書かないと、私はおかしいのじゃないかという感じがするのです。そこらは法制局に聞かないとわからぬところかもしれませんが、特別会計から出すものも政府の出資というかどうかということです。
○大松説明員 今先生もおっしゃいましたように、法制局の審議の段階でも政府から出資する、一応出資の主体としてとらまえた場合は政府ということに――ほかの事業団におきましてもそういう表現をとっておるようでございます。表現の問題といたしまして、やはり国なり政府が出資する会計は、一般会計もあり、特別会計もございますけれども、出資の主体としてとらまえた場合には政府という表現だろう、かように存ずるわけであります。
○滝井委員 医療金融公庫あたりの年金の還元融資を持ってくる場合は、これは政府出資というのですか。
○鈴村説明員 公庫の場合には政府出資とはいっておりません。
○滝井委員 そうしますと、特別会計から持ってくる場合は政府出資といい、医療金融公庫に持ってくる場合はいわない。これは同じようなものになるのでしょう。ちょっと法制局の林さんを呼んでもらいたいのですが、林さんがいなければ次長さんでもかまいません。
○大松説明員 私の言い足りないところがあったかと思いますが、この出資はいわゆる出資でございまして、もちろん利子のつく融資ではございませんので、その点は念のために申し上げておきたいと思います。
○滝井委員 利子がつくとか融資だとかいう意味ではなくて、政府が出資をするときには、私たちは、常識としては、一般会計からこの簡易保険郵便年金の福祉事業団に出すものだという常識を持っておるわけです。医療金融公庫でも、政府が出資をするというときには、一般会計から出ておりますね。
○鈴村説明員 政府出資は一般会計から出ております。あとは還元融資は借入金として受け入れております。
○滝井委員 私はそうなるのがほんとうだと思います。従って、年金福祉事業団なりあるいはこの簡保郵便年金の福祉事業団は、やはり簡易保険なり郵便年金の特別会計から借り入れるという形がほんとうではないかという感じがするのです。それを政府出資だという形をとることは、なるほど政府関係機関でございますから、あるいはそれを政府出資だと言えないことはなけれども、何か会計のやりくり上、幾分そこに混乱が起こってきておるのではないかと思う。ある機関に出す場合には、一般会計から出して政府出資といい、ある場合には特別会計から出したものまで政府出資だということになると、われわれ議員の立場からいってみると、その根源までやってみないとその金の素性、身元がはっきりしない。出資といえば政府が出すものだと常識的に考えておるのが、特別会計から出ていったものまで政府の出資だとなると、何かちょっと割り切れないものが出てくるのです。しかも、今まで年金福祉専業団は、こういう事業団を作らなくても、簡易生命保険法で必要な保険施設を作っておやりになっておるわけです。そのおやりになっておるものを、わざわざ事業団を作って、そうしてそこの同じ機関から政府出資だというお金を出すことは、何か屋上屋を架す――もちろんもとのものは、廃止することになることは当然なんでしょうが、今までその機関でできておったものが、なぜ政府出資の形でそこに持っていかなければ都合が悪いかということになる。これはどうして都合が悪いことになるのですか。こういうものを作らなければ、この簡易生命保険法の精神が運用できない何か大きな理由でもあるのですか。
○中野委員長 滝井君に申し上げますが、林法制局長官は参議院の本会議に入っておりまして、正午まで無理です。次長はかぜを引いて休んでおります。
 御了承願います。
○大松説明員 先生のおっしゃいましたように、現在国で直接福祉施設を運営いたしております。それを今回、事業団の運営に切りかえるというのが事業団法の趣旨でございます。そのねらいは、一口に申しまして、適切、能率的な運営を行ないますには、国が直接行ないますよりは、事業団で運営した方がベターであるということで提案をいたしておるわけでございます。私の方の施設の内容には、老人ホームでございますとか、目下建設を準備いたしております保養センターというものがございまして、普通の、いわゆる一般の行政事務にはどうもなじみにくいような仕事の内容、サービス内容と申しますか、そういうものでございますので、これを代行機関であります事業団の運営に切りかえることによりましてスムースな運営をしたい。ひいては加入者に対するサービスの向上をはかれるのじゃないか。また、それがはね返って参りまして、保険なり年金の事業の増強ということも期し得られるということで御審議を願っておるわけでございます。
○滝井委員 保養センターとかあるいは加入者ホーム、これは一言でいえば福祉施設だと思うのです。これはあなたも御存じの通り、労働省には労働福祉事業団というのがあるのです。そこでも同じことをやっているのです。それから厚生省に年金福祉事業団というのがあるのです。何も簡易保険の加入者を特別に、労働省なり厚生省のやることを、郵政省がわざわざそれをやらなければならぬということはないわけなんです。だからそこらあたりが、私に言わしめれば各省割拠なんです。本来厚生省なら厚生省がやらなければならないことを、郵政省が今度は、簡易保険を持っておるからといって、簡易保険の加入者のためにやるのだ、こうなったら日本の行政というものはおしまいですよ。郵政省は、今度は、郵便をやりながら、おれの簡易保険の被保険者のためには鉄道を作って乗せなければならぬ、病院も作らなければならぬ、家も作ってやらなければならぬ、そうなってしまう。これは行政の行き過ぎじゃないかと思うのです。今まで簡易保険法なりあるいは郵便年金法で、過去十数年やってきているのです。やってきて、そこに何か、こういう大きな隘路があったから、こいつはだめだったというのがありますか。何か大きい隘路があって、あなたの方の簡易生命保険行政なり郵便年金行政を遂行する上に、大きな支障があったというものがあればあげてみて下さい。
○大松説明員 老人ホーム等につきまして申し上げますと、実は戦前の契約で、かなり戦後のいわゆるインフレにつれて、年金の契約者が不利な結果に陥った点もございます。従いまして、そういうふうな戦前の年金の加入者の不利を現物でカバーしたいという気持もございまして、老人ホームを作りました。それから保険の契約にいたしましても、どうしても契約期間が長いわけでございます。従いまして、長期の契約期間の中には、どうしてもある程度の貨幣価値の下落と申しますか、そういう経済変動の影響は避けがたい面もあるわけであります。そういう加入者の不利を、契約期間のうちにこういう施設を利用することによりまして、ある程度、補完もできるのじゃないか。私らは福祉施設について一応現物配当的な観念でおりますが、そういうふうな効果もあるということで進めておるわけでございます。
○滝井委員 今の御答弁は、戦前の契約で年金がインフレーションのために非常に不利になった。これはあに年金のみならんやで、一切の日本の郵便貯金だって何だって、全部不利になってしまったのですよ。それから長期の契約だから貨幣価値が下落するというのも、今のと同じうらはらを言っただけで、一つです。それでは理由にならぬ。福祉事業団を作って現物を配当するとおっしゃるならば、国の機関である厚生省で老人ホームを作ってやるのですから、あなたの方の被保険者はそれに入れるようにしたらいい。お金は私どもの方が支払います、これでいいと思うのです。私は日本の行政というものはここにあると思うのだ。これから郵政省は病院をやるし、老人ホームもやるし、今に鉄道もやるし、それから観光バスも作る。福祉ということになれば何でもいい、住宅を作ろうということにもなっちゃう。金がたまれば何でもやってもいい、こういうむちゃなことはだめですよ。
 それで、私がさいぜん指摘したように、労働省に労働福祉事業団があり、あなたの方にこういう年金福祉事業団ができる、厚生省の保険局には同じようにやはり福祉事業団ができる、一方には医療金融公庫がある、こういう形になってきて、どこでもみな病院を作るのです。労災福祉事業団というものがあって、これも病院を作る。福祉といったら病院を作るか、老人ホームを作るよりやるものがない。そうすると、みんな同じことをやって、みんなちゃちなものになってしまう。それならばそれらの金を――昔毛利元就が教えたように、三本の矢を一つ一つ折れば折れる、それを一本にしたら強いのだ。一本に統制したらいい。一つきちっと話し合って、どこかで大きな施設を一本にやらせる。しかし金をそれぞれのものが出して統轄していく、こういう形をとれば――あそこに老人ホームの小さいのが一つできる、ここに加入者ホームが一つできるということでは、金がむだですよ。いわゆる年金加入者の資金というものを、現物配当をして有利にやるどころではなくて、不利の最もはなはだしきものがこういう形です。こういう法案は、これにわれわれ専門のところにかからぬから、いつの間にかすっといくかもしれません。しかし、これはわれわれ専門家から見たら、簡単にはのがせられないのです。今の御説明で、今まで簡易生命保険なり郵便年金で福祉施設を全部やっておったが、一体それが致命的な欠陥としてやれない状態があるかといったら、インフレで結局加入者が非常に損害を受けるという理由だけでは、理由にならないですよ。そこで、Lあなた方のおやりになる福祉施設というものの中に、今一端をお示しになったように、加入者ホームとか老人ホームがありましたが、そのほかにどういうものをおやりになるのか。福祉施設の一覧表を御説明願いたい。
○大松説明員 現在設置いたしておりますのは、診療所といわゆる加入者ホーム、目下建設中の保養センターがございます。
○滝井委員 そうすると、診療所、加入者ホーム、保養センター、これは年金ですから、御存じの通り、簡易生命保険をおやりになっておるのだから僕より専門家だと思いますが、今日本で生命保険が有利になろうとするならば、成人病を克服しなければならぬわけです。脳溢血、ガン、心臓病というようなものを克服しないと、うんと死んだら生命保険が大へんですから、なるべく寿命を延ばすということが必要になってくるわけです。これは成人病センターみたいなものをおやりになるんでしょう。
○大松説明員 将来そういうものも考えたらどうかと思っておりますが、具体的にはまだ何もございません。
○滝井委員 理論的に言ったら、必然的にこれを考えなければ筋が通らぬことになるわけです。そうしますと、厚生省も、成人病というのは今後の厚生行政の一番中心に置かなければならぬものなんでしょう、どうですか政務次官。
○森田政府委員 全然同感でございます。最も重要なる政策の一つとして厚生省では考えておるわけであります。
○滝井委員 そうしますと、厚生省が最も重要な施策として考えている成人病のセンターみたようなものを、今度はしろうとの郵政省が将来計画としてお作りになる。これは今言ったように加入者の現物配当的なものというならば、保養のホームとかあるいは診療所というよりか、さらに成人病のホーム対策というものがぐっと出てくることは必然です。これは年金の性格からそうならざるを得ない。そうしますと、厚生行政の一番柱の政策というものを郵政省がおやりになることになる。そうしますと、郵政省は診療所もできましたけれども、医師、栄養士、看護婦等の確保というものは、一体どういう方針でおやりになる方針ですか。これは大事な加入者のお金をつぎ込むわけですからその見通しをきちっと立てなければならぬと思うのですが、そういうのはどういう工合の計画をお立てになっていますか。
○大松説明員 現在加入者ホームに栄養士も入れております。成人病関係のセンターにつきましては、設置計画そのものも具体的なものは持っておりませんので、従いまして栄養士の獲得ということについて、まだ具体的に計画はいたしてない段階でございます。
○滝井委員 計画は出ておりませんけれども、法案の付録にある参考資料では、成人病センターの今後の計画数は三カ所できることになっておりますね。そうしますと、当然成人病の脳隘血、ガン、心臓病等に対する専門医を必要とするわけです。これは一人、二人ではだめなんです。あなたが最初に言われたように、約八、九億の傘が今年度出る。これは来年度はもっとふえます。というのは、あなたの方の簡易保険だけの資金の総計は八千百八十八億六千六百万円あるわけです。これはもちろん国債とかなんとか、全部やっておりますけれども。それから郵便年金が百四十二億四千万円あるわけです。八千三百三十一億六百万という莫大な金を持っておるわけです。従って、これだけのお金を拠出した被保険者の福祉を考えるならば、これはちょぼちょぼと作るわけにはいかぬ。これは零細な農村や中小企業の労働者から集めたお金なんですから、従って、成人病のセンターをお建てになろうとするならば機会均等、年金なり簡易保険の全国的な普及をはかり、その要望にこたえるためには全国的に作らなければいかぬでしょう。そうしないと不公平になる。これは歴史の必然です。大衆の要望の必然です。そうなりますと、あなたの方は、成人病対策をやる機関になるのです。そうならないとうそなのです。そうすると、一体厚生省は何をしているかと言わなければならぬのです。厚生省は、郵政省がこういうものを作るときに御相談にあずかりましたか、政務次官。
○森田政府委員 事務的には、こういうものを作るというようなことが連絡があったという程度でありまして、最後的な案についての連絡はまだ出ていない、こういうことでございます。
○田邊(誠)委員 ちょっと関連して。実は郵便年金や簡易保険の積立金、運用金を、いわゆる加入者の利益に供するということは、もちろん本来の役目です。しかし、そのことをすぐさま医療部門までこれを拡充して、今言っておる診療所や老人ホーム、あるいは保養センターというものを拡充強化する、こういうふうに法として考えることはきわめて危険性がある。今私どもが承知しておる限りにおいても、各県の簡易保険の診療所というのは、これは確かに加入者をある程度喜ばせる面もある。しかし、実際には、健康保険の適用、国民健康保険の適用等の面からいっても、非常に不都合な面もあるし、非常に中途半端な形で行なわれております。あるいは診療車を出して方々で時たま無料の診療をするという形もあるけれども、いわばこれは簡易保険の加入を奨励するための一つの手段に供されているのじゃないかとすらもいわれておるのです。私の承知する限りにおいては、この簡易保険なり郵便年金の積立金、運用金の半分は、郵政省が大蔵省からちょうだいをした、以前は郵政省でやっておったのでありますが、戦後においてこれをちょうだいをするということになった。その直接的な任務というのは、やはり何といっても、加入者を含めての国民大衆に対して広く積立金、運用金を活用するということである、従って医療の部門はあくまでも厚生行政、いわゆる全般的な医療行政の補完的な役目を果たすのが、その一環として許されておるところの任務のはずであります。それをいささか越えておるという状態であります。実はこの積立金、運用金の使用については、何かしら被保険者に直接的なそういったものを与えるという、こういったことだけに限定さるべきものではないのでありまして、あくまでも零細な、いわゆる低所得の国民に対して貸付をし、あるいは地方公共団体に対してこれを貸付をする、こういう使い道というものが運用金の本来的な役目なのであります。それを何か越権をして、今、医療行政にさらにこれを拡充しょう、こういう方向がとられていることは、医療の一元化という問題から言うならば、私は決してこれはとるべき最大の策だというふうには考えておらないのであります。郵政省は、この運用の問題について、本来の行き方、その拡充の方向、こういったものに対して明確な一つの計画というものがおありでないじゃないか、こういうふうにわれわれは実は考えるのですけれども、大松さん、あなたはどういうふうにお考えですか。
○大松説明員 簡易保険といたしましては、今福祉施設に投入いたしておりますのは、これはやはり限度があると存じます。そういうことで、一応ある程度の目安を置きましてそのワク内でやって、契約者からの要望もございますし、その他事業の発展にも寄与しますことは、結局は財政投融資の資金にも役立つと存じますので、福祉施設の方にある程度の資金をさいておるわけであります。もちろん形で申しますと、これは歳出として出しておりまして、積立金の運用ではないわけでございます。資金が出ていく面におきましては、同じことになろうかと思うのであります。それで一応のめどを置きまして、あまり大きくならない程度に、適度なところで福祉施設を設置していく、そういう方針で参っておるわけでございます。
○滝井委員 大臣が見えましたから、局長さんもあれだし、あすもう一回郵政大臣に来ていただいて、そしてこれは日本の医療機関の適正配置の問題なり、厚生行政の根本に関連する問題を含んできているわけです。従って、あす午後からでも郵政大臣と厚生大臣に出ていただいて、私、きちっとしてもらわなければいかぬと思います。きょうは十一時から部落問題を、やる約束をしておりますから、これで一応やめておきます。郵政省、十分答弁できるように十分考えて来ていただきたいと思います。
     ――――◇―――――
○中野委員長 停止関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申出がありますので、これを許します。八木一男君。
○八木(一)委員 委員長、本日部落解放問題について、集中的にわが党の各委員から御質問を申し上げたいということでこの場を打つことにおきめをいただいたわけでありまするが、内閣総理大臣を初め厚生大臣、労働大臣、通産大臣、農林大臣、文部大臣、大蔵大臣、自治大臣、建設大臣、官房長官、総務長官等の御出席を要求しておったわけであります。各委員会が忙しいことは承知いたしておりますけれども、私ども調べましたところ、労働大臣は、もはやILOの緊急質問の答弁は終わっている瞬間であります。厚生大臣はただいま来ておられまするけれども、まだお見えになっておりません総務長官は、先ほどの提案理由の説明でお見えになった。十一時にはまた必ず来ると御確言になっておられるにもかかわらず、まだお見えになっておりません。そのようなことは、この委員会審議を無視することであります。委員長から、内閣総理大臣、官房長官の出られない理由、並びに確かにかぜも引いてなくて健在だということがわかっている官房長官と総務長官、大蔵大臣、それから労働大臣が、直ちにかけ足でこの委員会に参集せられることを厳命することを要求いたします。
○中野委員長 でき得るだけ御趣旨に沿うようにいたしますが、おのおの、御承知の通りの委員会の関係等もございます。昨日のお約束では、もし大臣の出られない場合においては政務次官をもってこれにかわるという話でございまするから、それぞれ政務次官にも通告してございます。どうぞ質疑をお始め下さいますれば、その間に逐次それぞれ御要望に従うようにいたします。
○八木(一)委員 それぞれ政務次官に御通告になっておられるのはいいですけれども、労働大臣、それから官房長官、総務長官は、これをもはや確実に知っておられるはずでございまするし、官房長官は五分ほど御要務があるということを私承知しておりますが、総務長官、労働大臣に関する限りは、すぐ来られるはずであります。来られないことは委員会の無視でありまするので、大急ぎでやってくることを、もう一回強硬に御通告願いたいと思います。
○中野委員長 承知いたしました。
○八木(一)委員 ただいままっ先に厚生大臣は御出席下さいましたので、厚生大臣としてとともに、国務大臣としての厚生大臣にお伺いをいたしたいと思います。
 厚生大臣は、昭和三十三年の三月十一日に、前の総理大臣である岸信介氏から、この部落解放問題――政府では同和問題という名前で呼んでおられまするけれども、その問題について基本的な確約がなされました。岸内閣総理大臣として、特に自民党の政党内閣の首班として、この問題については、今後自民党の内閣はもちろんであるが、今後いかなる内閣でもそのようなことを踏襲していくべきだということについて、確実に見解を発表せられ、誓約をせられたわけであります。その内容について御承知であろうかと思いまするが、御承知であるかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
○灘尾国務大臣 当時総理大臣が同和対策についての所信を表明せられたことは承知いたしておりますが、その内容の詳細については記憶いたしておりません。
○八木(一)委員 厚生大臣は昔から内務省におられまして、役所の方の同和対策という問題について、今私どもの知っておる範囲では、一番造詣の深い方になっておられるわけであります。現在池田内閣の有力な閣僚であります。そのように三月十一日に、今後出足党内閣には完全にそれを実施するように申しつける。しかも、そのほかのいかなる政党が、いかなる分解併合しようとも、日本国の内閣総理大臣としては、日本国の内閣としては、このようなことをやらなければならないということを確言せられましたことを、一番この問題に御熱心である厚生大臣がはっきりと御存じないくらいでありまするから、その言葉が、現在の池田内閣になって、いかに不熱心に取り扱われて、なおざりにされておるかという証拠であろうと思います。そのような意味で、厚生大臣個人を別にお責めをするわけではありませんけれども、何回も、年がら年じゅうこういう問題について発言うをし、確認を求めなければ、それが後退するというようなことであれば、あるいは停頓するということであれば、四百年間かかった非常な差別、三百万人の同胞がほんとうに完全に人権をじゅうりんされておる問題を急速に解決するには、はなはだ心もとない状態にあると思う。その点で厚生大臣は、非常に反動的であるといわれた岸内閣があれほど前向きの姿勢を示したのに、それに続く池田内閣がそれよりもずっと後退しておるような状態では非常に嘆かわしいと思うのでありますから、今後閣議において、閣僚がみんな性根を入れるように、総理大臣がぼやぼやしないように、一つてこ入れをしていただきたいと思います。それについての厚生大臣の御意見を伺いたい。
○灘尾国務大臣 私は、岸総理の発言をそっくり覚えているわけではございませんので、さようなことを申し上げたわけでございます。岸総理大臣の言われました同和対策に対する所信というものについては、十分承知いたしておるつもりでございます。のみならず、この問題は、総理の言われましたように、かような問題が今日日本にあるということ自体が、私は日本の恥だと思っております。従って、いかなる内閣でありましても、この問題の解決のために努力することが当然の責務だと私は心得ております。さような意味におきまして、池田内閣において岸内閣より後退しておるとかいうふうな気持は、さらさら持っていないのであります。これは池田内閣がかわりましても、日本が民主国家としてある限りにおいて、この問題のために努力することは当然過ぎるほど当然だ、かように考えている次第であります。
○八木(一)委員 さすがに同和問題について先輩でおありになりますので、今の岸信介氏の発言については御存じなくても、その御信念のほどは敬意を払いたいと思いますが、それをもっと掘り下げて厚生大臣の御意見を伺いたいと思います。
 岸内閣総理大臣の答弁は、このようなことでありました。まずいろいろの質問をし、いろいろの見解を質問者並びに政府側として述べられました。その結論といたしまして、この非常な差別の問題については、日本の全国民がこれを解決するために当たらなければならない、この部落解放を要求する未解放部落の人たちの声、立場は権利であるということが確認をされたわけであります。三百年にわたって非常な差別を受けて、明治以後の状態も、観念的な差別は少し少なくなったように見えても、実質的な差別はさらに多くなっている。その根底はなくなっていない。差別が再生産されるような状態にある。そのような状態を完全に、急速に直してくれという要求は当然の権利であって、これに対して日本の全国民は、そんなことはすぐできないと言うようなことはできない。この権利に対して当然それにこたえなければならないし、こたえるのは日本全国民であって、その衝に当たるものは、いかなる政党の内閣であろうとも、だれが内閣総理大臣になろうとも、すべての内閣、すべての総理大臣の責任であるということ。と同時に、この問題の処理にあたって、ある政党が政党利己心を発揮して――選挙のときにその人たちの札をかせぐようなことで政党利己心を発揮して、そのような純粋な権利、完全に迅速に対処しなければならないような問題を曲げることは許されない。政党利己心は、いかなる政党といえどもこの問題について排除されなければならないということが確認をされたわけであります。
  〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕
それとともに、今まで部落問題といわれた問題は、目先の問題、すぐ目の前に見える、環境が悪いとか、家が狭い、道が狭い、その辺の衛生的な設備が非常に悪い、たとえばトラホームの患者がいるというようなことのみに集中されたけれども、そのことを解決するためた対処することはもちろん急速な任務であるけれども、根本的に、部落差別のもとをなす経済関係、生産関係を解決しなければ根本的な解決は行なわれないし、従って、表面的な、観念的な差別はなくなろうとも、潜在する実質的な差別は依然として残るということについて確認をされ、そのために環境改善のほかに、あるいは同和教育のほかに、生活の根元を立て直すための処置をあらゆる面で立てなければならないということが確認をされたわけであります。
 その次に、それに実際に対処するためには、今の行政機構が各省に分かれている。この部落解放の問題に関係する省は幾つある。厚生省あり、労働省あり、通産省あり、農林省あり、建設省あり、文部省あり、自治省あり、大蔵省あり、法務省あり。外務省とか、そういう特別な省を除いては、ほとんどすべての日本の官庁は関係がある。しかるにかかわらず、厚生省がその中で幾分幹事役になって、ごくわずかな連絡役をしているけれども、そのほかに各省の連絡はほとんどない。そういうことではならないので、抜本的な、ほんとうに総合的な対策を立てるために、部落問題解決のための強力な審議会を置くべきであるということが確認をされました。
 さらにまた、しかしながらこれだけ広範な、これだけ底の深い問題を解決するために審議会を置いても、即時にどれをどのようにしてやるかということが結論が出ない。出るまでの間、現在考えられるすべてのことについて各省で直ちに予算を組み、そして少しでも解決の方向に向かうように、結論を待ってからというようなことは許されない。即時に問題を進めなければならないというようなことが確認をされたわけであります。
 厚生大臣は、おそらくそのときの確認事項に御賛成であろうと思いますけれども、今、岸内閣総理大臣が私に対する答弁中に確認をされましたことにつきまして、私、質問の当事者でございますのではっきりと覚えておりますから、正確にお伝えをいたしました。その問題について、灘尾厚生大臣は、あるいはまた国務大臣として、池田内閣は同様に考えられておることが当然であろうと思いますし、官房長官から組閣後二回、同様に、それ以上にやるという御答弁を伺っておりますけれども、国務大臣として御出席の方は今灘尾厚生大臣だけでありますので、その意味で内閣を代表して、それについての御答弁を願いたいと思います。
○灘尾国務大臣 私が内閣を代表するのが適当であるかどうか問題であると思いますが、私の考えを申し上げたいと思います。
 お述べになりました御趣旨につきましては、私格別の異論はございません。また、その問題が日本全国民の問題であるというようなことも、全くその通りだと考えておる次第でございます。権利とかなんとかいうお言葉もございました。これは言葉のことをかれこれ申し上げようとは思いませんけれども、とにかく日本国民として、どうしても解決しなければならぬ問題だという自覚の上に私は立っておるわけでございます。
 従って、その解決策を一体どうするかというところにいろいろ議論もあり、問題もあろうかと思うのでありますが、私どもといたしましては、いわゆる差別意識というものの解消をぜひはかりたい、これが基本になっているわけであります。そのためにいろいろな施策もございましょうけれども、先ほどお話しになりました中にもございましたが、環境の改善であるとか教育の向上であるとか、あるいは経済的な力をつけていくとか、こういうふうないろいろな施策というものが考えられるわけでございますが、さような施策を総合して熱心にこれを継続することによって、だんだんこの問題が解決するのではなかろうか、こういう考え方のもとに施策を講じていくべきだ、かような考え方に立っております。
 これをやって参りますため、各省ばらばらで、十分な連絡もなくやるということは、これは確かによろしくない。できるでけ緊密な連絡をとってやるべきであるということは当然だと思います。また、その対策につきまして、政府全体として一つの要綱と申しますか、要領と申しますか、そういうようなものを持って、そしてお互いに力を合わしてやっていくというふうな意味のために審議会というようなものを作って、そこで十分に、慎重に審議をしていただきまして、その結果によって、さらにこれに基づいて、これを尊重して施策を進めていく、これも当然やるべきことだ、かように考えております。
 またお話のように、それができるまでほうっておくという性質のものではございません。その間といえども、やはり今申し上げましたような心持に基づいて、関係各省それぞれその持ち分を持って、しかも、お互いに連絡しながら進めていかなければならぬ、これまたお話の通りだと私は考えております。
○八木(一)委員 大体御答弁はけっこうでございますが、権利の問題で別に言葉をはっきり肯定されませんでした。これは困ると思います。憲法の条章で、差別をしてはならないという条章があることを賢明な総理大臣は御存じである。また、その差別の淵源に生存権が確保されていないという点は、勤労権が確保されていない点にもあると思う。これは内閣の見解ではなしに、憲法の条章で明らかに権利として規定されておる問題でございまして、厚生大臣は少し口ごもっておられましたけれども、その権利という問題について、はっきりと確認していただかないと困る。
○灘尾国務大臣 今お述べになりましたような、私から言えばきわめて広い意味の権利であると思います。さような意味におきましては何も異存はございません。
○八木(一)委員 さような意味合いにおいて、差別問題を、最もそういう憲法に規定された条章に違反することを受けているのが、三百万の未解放部落の諸君であります。また、生存権が最もじゅうりんをされているのも、その人たちが特にその傾向が強いわけでございます、また、勤労市場としても、ほとんど職場とはっきり名のつくようなものがない人が多いのも、その通りであります、そういうものの混淆したことが、これがすべて部落解放の問題であります。ただ昔言われたような賎称をもって侮べつをするというような観念的な、表面的な問題だけが部落問題だと、決して厚生大臣御自身を思っておられないと思いますけれども、そうではないのであって、それを解決するために、差別というものの温存せられないように再生産せられないように完全に払拭されるためには、そのようなあらゆる面のことが必要であり、あらゆる面のことを解決することを要求する声を正しいと見る見方がなければ、そのようなことが解決しないわけであります。そのような意味で、厚生大臣はもちろん同様のお考えを持っておられると思いますが、権利という問題についてもっとはっきりと認めて、いろいろの御発言をいただけると思いますが、それについて伺っておきたい。
○灘尾国務大臣 先ほどお答え申し上げました通りでございまして、八木さんのお述べになりましたような意味での権利ということでありますれば、私はかれこれ申し上げることはございません。
○八木(一)委員 官房長官がお見えになりましたので、実は御用があったことは知っておりますけれども、厚生大臣、官房長官、総務長官のおられるところで一度に御質問をしたかったわけであります。二度になりますから簡便に申し上げます。
 昭和三十三年三月十一日に、社会労働委員会において、私、当時の岸内閣総理大臣の出席を求めまして、部落解放問題――政府では同和問題という言葉を使っておられますが、この基本的な、根本的な問題について徹底的に論議をかわしたわけであります。その結果、内閣総理大臣と私どもの間に、意識のあらゆる点について確認がございました。その問題に今厚生大臣にも申し上げましたから、簡単に申し上げます。このような不当な差別、今観念的な賎称をもって言うような差別はありませんけれども、気持の上の潜在的な差別は前よりもひどくなっている。そのような状態を解決して、不当に人権がじゅうりんされている三百万人と称せられる同胞諸君の人権を回復するためには、これを解決するために、非常な全国民的な努力をもってこれに当たってもらわなければならない。行政の担当者である内閣は、いかなる人が総理大臣になろうとも、いかなる政党が内閣を編成しようとも、この問題について同様に熱心に、急速に解決するように対処していかなければならない。その内容としては、従前考えられているような表面的な環境をよくするとか、そのような問題では片づかない。根本的に、未解放部落の人の大部分が、生存する場所、労働する場所を得ることが非常に困難な情勢にあり、また耕作農民として働くのに、その生産手段たる農地を持っておらない人、あるいは非常に僅少しか持っていない人が多い。漁民の場合しかり、ありとあらゆる商売の場合にしかり、そういうような生産関係の根本的な問題を直していかなければ、根本的な解決ができない。従って、当面の環境改善あるいは同和教育の問題をやるとともに、その根本的な生産環境を直すために、大いに急速に努力して解決をしていかなければならない。そのようなことをするために、各省に分かれている問題を集中してやるために強力な審議会を置いて総括的にやっていかなければならないけれども、しかしながら問題が深く、ひどいので、その審議の結論の出るまでストップすることはならない。今考え得ることを各省の予算に組んで、どんどん進めていかなければならない。そういうことをやるために、各政党は政党利己心を起こしてはならない。自分の政党が得をするというようなことで、本質的な、三百万人という多くの人が非常に人権を侵害されておる問題を真剣に解決するとき、政党の利己心を発揮することは断じて許されない。かようなことについて確認をされました。岸内閣総理大臣は、今後自民党内閣はもちろんこれを踏襲すべきであるし、あらゆる内閣もこれを踏襲すべきであると思うということを言われました。それから岸内閣は退陣し、池田内閣ができましたときに、池田内閣の番頭役として官房長官から、同様の趣旨で、より熱心に取り組むという御返答を得ました。また、全国の部落解放の行進のときにお会いした際にも、そのようなことを、総務長官もおられましたけれども、官房長官から御発言があったわけです。そのような気持、信念について変わりはないか、大平官房長官の御意見を伺いたい。
○大平政府委員 ただいま引用されましたように、委員会におきまして八木委員等から、同和問題全般にわたりまして御意見が開陳されました。その席で岸首相は、これらの意見に全く同感である、同和地区の現況を放置しておくことは民主政治の恥辱でありまして、党派を超越し、協力してこの問題の解決に努力する旨答えられたと承っております。われわれ全く同感でございまして、その認識と決意に基づきまして、鋭意努力をして参るつもりでございます。
○八木(一)委員 これは官房長官と、国務大臣としての灘尾厚生大臣、両方に御質問をいたしたいと思いますが、今お二人から伺いまして、御決心がその通りだということであれば、それはけっこうであります。しかしながら、その御決心の実行がそう十分ではない。昭和三十三年ごろから、これに対処する予算が逐次ふえて参っておりますることは、私ども知っております。今年度も幾分ふえました。しかしながら、予算全体のふえたパーセンテージから考えますと、このふえ方はそれよりもはるかに下回っているわけであります。三百年、四百年にわたって非常に圧迫を受けたのであって、問題が非常に深い。しかも、三百万人の多くの同胞の問題である。今までの四百年のおくれを、ここ三年か五年、あるいは完全には十年というようなことで取り返さなければならないときに、それに対処する方向は、普通一般の方向ではできないのであります。これは普通の比率の十倍、二十倍、あるいは五十倍、百倍やっても、まだまだ足れりということにはならない。それにもかかわらず、予算全体の伸び率よりも本年の伸び率が少ない。そういうことで、今厚生大臣なり官房長官から伺った御決心が実際に移されないことになっていると言っても、これは過言ではないと思います。そういうことではいけないのであって、それについて官房長官の御答弁を願いたいと思います。
○大平政府委員 同和政策ということ、私の考えでは、同和政策という名称の政策――狭義の政策面だけを見ますと、予算の割合につきまして、御指摘のような点が指摘されると思います。ただ私どもは、経済全体の力を強くし、雇用の機会を多くし、高所得効率を持った就業機会をできるだけ用意していくということを経済政策の基本にとっておるわけでございまして、そういった全体の政策と相待ちまして、同和政策が有効に展開される素地をつちかっていくべきだと思うのでございます。従いまして、同和政策という名称を持った狭義の政策ばかりでなく、全体の政策でこの政策の効果的な推進をはかるという視野からごらんいただければ、私どもの気持もおわかり、願えると思うのでございまして、狭義の同和政策ばかりでなく、広く政府の政策全体でこういう問題の解決に適切な基盤を作っていくということも大事だと思うのでございまして、そういう方向で鋭意努力して参るつもりでございます。
○八木(一)委員 官房長官に根本的にお考え直しを願いたいと思う。それでは、さっき御発言になったようなことを言って、ほんとうはやる気がないのか。ほかの点ではりっぱな政治家であるといわれている官房房長官が、この点では非常に理解が少ないと思う。ほかの点では大学生であるかもしれないけれども、この点では幼稚園か小学4であるということを示している証拠であります。経済成長政策で労働者や貧困な農民が置き去りにされている実態は、あらゆるところで指摘されて御存じだと思う。それのもっと下積みの、あらゆる経済の成長のときに置き去りにしている人たちの問題であります。また、その人たちを置き去りにして、今まで経済が成長してきたわけです。明治年間に日本の資本主義はなぜ発達をしたか。未解放部落の人には、徳川時代の方がまだましだったのです。徳川の時代は差別をいたしました。しかし、皮革やそういう問題について、経済の独占権を与えた。武士の馬が死んだときには、武士はそれはさわらなかった。百姓の牛が死んだときにはさわらなかった。皮革製造が部落民の独占産業だった。それを明治の解放で取り上げた。太政官布告で賎称廃止というような観念的なことはきめたけれども、その経済的な基盤を奪って資本主義経済に移ったわけです。しかも、封建時代から資本主義経済に移るときに、武士階級に対しては秩禄公債といって、今でありましたら三千億か四千億円くらいに当たるそのような公債を発行して、これを武士階級に分けた。武士階級はそれで農地を買って、農民として自立ができました。また、そのような伝統を生かして、官吏としてどんどんと高級労働者――公務員というのは高級労働者、そういうところにいく道が開かれた。ところが、生産手段をとられて、資本主義経済に投げ出されて何もできなかった。商工業にいこうとしても、前の差別観念が残っている。賎称はなくなって、士農工商、えた、非人というような身分差別の言葉はなくなった。しかしながら、資本主義があった。位は残っておったわけです。天皇制を中心として公侯伯子男という、そのような貴族階級は残っておったわけです。そのようなものが残っていれば、そのようなものでない者がいやしい身分の者だとされることは、幾ら観念的に賎称をなくしたといっても残ります。従って、その人たちが独占産業を取り上げられて、農地はない、農地の配分を受けられなかった。商工業でいこうとしても、町に出たら家も貸してくれないわけであります。従って、商業が発展するときに家を確保して、そこで商売を始めようと思ってもそれができない。競争に立ちおくれる。たまたま苦労してそれをしても、まだ差別観念が残っているから未解放部落の人の店から買うなというような気分が残っている。商業としても発展できなかった。商工業者とても発展ができなかった。労働者として採用されようとしても、今でさえ残っているのですから、明治の初年は、そのような恒久的な安定した職業につくことはできなかった。そういう状態でほうり出された。ほうり出されてからずっときたわけだ。それを明治の資本主義経済は何をしたか。何にもしないわけだ。何もしないで、半永久失業者として放置した。その半永久失業者が、労働賃金を切り下げる大きなことになっていた。一般の労働者が賃金を上げてくれ、あまりの搾取に耐えかねて、生活が苦しいから要求をする。そうすると、お前は首切っても、それより半分の給料でやってくる者があるのだということで、おどしをかけて首を切る。あらゆる労働者の賃金引き下げのてこに使われてきた。終戦後の解放もそうであります。終戦後の解放は何をしたか。農地解放をしたといっているけれども、三反歩以上の自作農創設という方法でやられた。小作権を持っておる者に農地を解放した。部落農村居住者は、小作権も持っていない人が多かった。幾ら働いても農業の手伝いにしかなれなかった。たまたま努力して小作権を持っても、それはごく悪いところだ。山の陰であるとか、災害でその田畑、が流れるようなところのものである。小作権を持っておらないか、持っておっても非常に小さいところ、悪いところ、それを基盤にして農地解放が行なわれたから、農村地帯に住んでいる部落の人たちは、自作農として立ち上がる機会も、この戦後の民主革命のあとでもそれが得られなかった、そういう状態であります。
 そういうことは、まだまだ例をあげれば一ぱいありますけれども、今でも、今のこの時代で労働戦線で非常に差別が行なわれている。非常に思い上がった企業では、身元調査をして部落の出身者を――今は観念的な差別をすると猛烈に追及されますから、それは言いません。身元引き受け能力が足りないからという理由で、学校の成績も、あるいはその職業の適性検査も非常に優秀な成績であってもはねる傾向が強い、そういうような状態であります。今おっしゃったような高度成長政策、これは一般的に資本家、経営者の立場がいいだけで、その間労働者に、あるいは間接的に農民に、その人たちに犠牲をしいて、そうしてその回転がうまくいったならば、そのうちのごく一部分を、分けようということを表面的に美しい言葉でごまかしているだけの話であって、そういう問題が解決してからというようなことは、今のこの生活の格差が多いときに許される言葉ではありません。ことに部落解放問題については、そのような高度成長を待っているというようなことでは許されないわけであります。もちろん聡明な官房長官ですから、私の申し上げたことは、かなりおわかりになって下さっておられると思います。ほかのところでは私の先輩であり、私よりずっと御承知でありますが、この問題については、まだあまりによくおわかりになっておらないと思いまするが、そういうことです。ですから、そういうような答弁は、この問題については不適当であります。また、そういうような答弁でいいと思っていられるとすれば、根本的に差別の問題、その根源の貧乏の問題を解決する御意欲が少ないと言わなければならないと思います。政治家の大部分がそうであります。官房長官だけをお責めする気持はありませんけれども、直ちにそのような考え方を直していただいて、正面切ってこの問題に、取っ組んでいただかなければならないと思います。官房長官は非常に民主的ないい人であって、いろいろ大衆の陳情について直ちに総理大臣にかわってお会いになる、総理大臣に取次をなさるということがありましたけれども、先日非常に遺憾なことがありました。炭労の方にはお会いになったけれども、部落解放を要求して全国から歩いてきた大衆には、総理大臣にお会わせになることについて積極的ではありませんでした。かんべんをしてくれと言われる。時間的に不可能でありましたから、あきらめました。官房長官が熱心になられても、あるいは非常に問題に関係の深い灘尾さんか、前から熱心でおられますが、熱心になられても、その中心である池田さんがほんとうに問題を理解して、熱心にならなければ問題の進むことにブレーキがかかります。そういう問題のときには直ちに総理大臣に、総理大臣がぼやぼやしていても、会え、これに会わないなら政治家ではないときめつけるくらいの気持を持っていただかなければいけないと思う。そのようなことでありまして、そういう高度成長政策ではこれはいかないのです。それをやればますます格差がついて、その間に置き去りにされますだから、あとで並行して、というこではなしに、直ちにこの問題に対処ていただかなければならないと思います。ほかの同僚諸君が熱心な質問を持っておられますから、これ以上私は大平さんにも灘尾さんにも追及という形では申し上げませんが、今まで無理解な人が多かった。世の中が知らなかったから、置き去りにされている。これは追及ではなしに、これからの問題に取っ組んでいただきたいと思います。過去の責任追及は、この問題については、これは政党利己心にいささかつながる点もあろうかと思います。非常に責任を回避されたならば、これは責任を追及しなければなりませんけれども、全部が理解が足りないときに、急速に理解をしていただいて前向きに取っ組んでいただく。これが問題の解決であろうと思いますので、それ以上の追及は控えますけれども、この、今まで環境改善とか家の問題、文部省の問題、わかった問題だけでも全体の伸び率より少ないのです。何百年もの問題ですから、全体の伸び率の百倍くらいの率でもってしてもまだ少ないわけです。しかも予算の総額は御承知だろうと思いますが、直接の同和問題関係経費といわれる、われわれの部落解放の関係経費といわれるものは十一億しかない。二兆四千億のところで、国民のうちの二十分の一の人が、ほかの人の何百倍も対処して解決してやらなければならない問題があるのに、それが直接のものが十一億。それで伸び率は前より少ない、問題になりません。問題にならなかったことを御認識になっていただけると思いますが、それについてだけ簡単に御答弁を願います。
○大平政府委員 同和政策につきまして、八木先生から非常に御造詣の深い御見解を伺って、私どもしろうとでございますので、これからも御教示をいただいて鋭意善処したいと思います。ただ私が今申し上げたのは、われわれはこういう機会はできるだけ十分作ってこの同和政策の展開をお助けする気持だということを申し上げたのでございます。他意はないわけでございます。従って同和政策プロパーの問題といたしましても、今予算の計上が少ない、他の費目に比べまして総体的に貧弱じゃないかという御注意がございました。これも十分お話を承りまして私ども鋭意予算編成でも努力して参るつもりでございます。
○八木(一)委員 同僚議員の質問がありますから焦点に入ります。
 そこで、同和問題審議会設置法のことになりますが、これは各党の共同提案で設置をされました。それから発足のおくれたことにつきましてはあとで小平さんにまたお伺いをいたしますが、ここで小平さんにお伺いをしたいのは、同和問題審議会に政府としては何らかの諮問をされたかどうかお伺いしたいと思います。
○小平政府委員 御承知の通り同和対策審議会は昨年の十一月に委員の任命をいたしまして、十二月の七日に第一回の総会を開催いたしました。その第一回の総会にあたりまして、内閣総理大臣から、同和地区に関する社会的及び経済的諸問題を解決するための基本的方策について諮問をいたしたわけでございます。
○八木(一)委員 基本的政策について諮問をされた、これは非常にけっこうであります。そこで官房長官にお伺いをしたいと思いまするが、基本的政策を根本的に取っ組んでやることは非常に大事であります。諮問は妥当だと思いまするが、問題を進めるために、結局今非常に大事な問題についてはすべて年次計画が行なわれている。その諮問はそのままでもちろんけっこうでありまするが、それの年次計画といったような具体性を持った諮問をなさることが非常に必要であろうと思います。それについての御意見を一つ伺いたいと思います。
○小平政府委員 先ほど申しました通り、第一回の総会に諮問をいたました。その後この審議会は、一月十七日、それから二月の十三日、続いて熱心に総会を開いております。その間関係地区へ実地の調査にも出かけて行っております。そこで今御質問のございました、年次計画的な答申が出る意味での諮問ということかと思いますが、そのことは審議会の方において審議をされまして審議会の御意見が年次的な計画ということになるかどうか、その点はむしろ審議会の自主的な御判断におまかせしていく方が適当ではないか、だからどういう答申をということにつきましては、政府側としては何ら申し上げておりません。
○八木(一)委員 法律の制定後だいぶ日はたっておるが、発足してからまだ日にちがたっておりませんので、今の事態としては、審議会自体の審議に待つということも一つの方法だろうと思いますが、審議会というものは特にまだ発足したばかりの審議会ですから、非常に伝統のある、たとえば米価審議会であるとか社会保障制度審議会というような審議会、そういうような審議会でございましたならば非常に確信を持ってどんどんやっていくと思いまするが、委員の諸君はみなりっぱな方で確信を持ってやっていかれると思いますが、いまだそういう――これは始まったばっかりの審議会であります。それで政府側としては基本政策と言っていますが、それが具体性を持った、どんどん進められる年次的な計画ということを要望されることが審議を促進し、ほんとうによいものの出るもとになるので、そういう意味で年次計画ということについて一つ総理府として、あるいはまた内閣としてお考えをいただいて、そういう諮問を具体的に出すか。出さないとしてもそういうような強い気魄で審議会が当たっていかれるように、関係の方から慫慂せられる、そのような御配慮がしかるべきだと思いますが、それについて伺いたいと思います。
○小平政府委員 この種の審議会なり調査会なりというものは、御承知の通りたくさんございまするが、しかし、あらかじめどういう形での答申を、こういうことまで審議会の方に政府側として希望を申し上げているというのは私は少ないのじゃないか、ほとんどないのじゃないかと承知いたしておるわけであります。そこで、ただし先生のただいまの御意見もごもっともの点もございますししますから、先生の方から委員会においてこういうお話も出ておるという程度のことはお伝えしても差しつかえないだろうと思います。
○八木(一)委員 田原先輩から関連質問がありますから、その前にちょっと伺いたい。
 実は本年度総理府設置法等の一部を改正するという法律案が出ておりまして、そこの第三条で、「同和対策審議会設置法(昭和三十五年法律第百四十七号)の一部を次のように改正する。附則第三項中「二年」を「四年」に改める。」という内容を含んだ改正案が出ておるわけであります。これはわれわれが委員会においても、それからまた法律を内閣委員会に提案をいたしましたときの審議についても、いろいろと問題を提起し、問題にお答えをなさっていただいたこととしてこの点は非常によかったと思います。その点についての御努力は多といたしたいと存じます。ただし、これだけで問題が片づいたわけではございません。私どもが部落問題の審議会設置法を出しましたときに、また自由民主党から同和対策審議会を出されたときに、ともに考え方は恒久的な審議会という考え方であった。ところがたくさんあるいろいろな審議会、調査会であまり活動していないところがあるので、今後はこれをつづめていきたいという全体的な傾向であるので、これからのものは臨時という名前を冠して、大体二年間で切って、必要のあるものはつないでどんどん延ばしていくという傾向だということがブレーキになりまして、残念ながら恒久立法にならなかったわけでございますが、その間に、提案理由においても、また政府に対する質疑応答においても、これは必要なときには、どんどん政府みずから年限を延ばしてつないでいくという確認がされたわけであります。この法律が通りましてから発足までに、委員の選定が御承知のような事情でおくれまして、一年三カ月をけみして、残り九カ月でありますから、当然その任務は果たせないとして、二年間の延長をされることは非常に妥当な提案であろうと思います。本国会で可決をされてこの状態になるだろうと期待をいたしておるわけでありますが、一回そうなったからいいという問題ではありませんで、今の政府の基本政策についてということであり、年次計画もまだ具体的に諮問しておらないということになりますと、問題解決までに相当長時間を要し、また、ほんとうにありとあらゆる面に浸透した差別の問題、その根源の貧乏の問題を片づけるには相当長期間かかるが、長期間ということで解決がおくらされてはなりません。ほんとうは二年間ですべての問題が解決するような意気込みで審議会が運営されなければなりませんけれども、四、五百年にわたる問題で、何百万人の問題で、それをほんとうに根本的に解決するには、かなりの時日を要することも想像されるわけであります。従って第一段、第二段、第三段とぶつ続けにいろいろなことをやっていかなければならないと思います。その意味で、必要なときには、池田内閣が続く間はもちろんでありますが、その次の内閣にも引き継ぎをされまして、この問題の必要のある間は随時この期間延長の案を出されるというふうにしていただきたい。総務長官の御答弁を願います。
○小平政府委員 お話の通り、今国会に本審議会の存続期間をさらに二年間延長したい、こういう御提案を申し上げておるわけであります。この審議会が、御承知の通りの事情で発足が大へんおくれまして、八月までしかただいまのところ存続期間がないわけであります。そうしたことで、少なくとも二年間は存続したい。しからばといって、これをあまり長くすることもかえってまた結論の出ることをおくらせるということでも困るので、とりあえず二年ということにいたしました。お話の通り、もちろん本問題が二年間で解決するとは限らぬと思います。なお引き続いて審議を願う事項が残りましたならば、当然これはさらにまた延長して、引き続いてやっていただく、こういうことに当然なるだろうと思います。
○田原委員 関連して。総理府に設けられた同和対策審議会の予算を見ますと、調査費が二百九十四万円になっておりますが、それだけですか。
○小平政府委員 審議会関係の予算は、審議会本来の運出費は三十六年度が八十二万九千円でございましたが、三十七年度はわずかでございますがふえまして、八十四万九千円、こうなっております。そのほかに、本問題の性質上、どうしても実態調査というものに重点を置いてまずやらなければならぬ、こういう建前から、実態調査に要する経費として、ただいま申しました額の低かに二百九十四万五千円、これは三十七年度初めて計上されておるわけであります。
○田原委員 二カ年の期間を切って結論を出すというのに、わずか二百九十四万円の調査費では足りないと思います。やはり専門の調査員を常置並びに増員して、全国的に実態を調査してもらわなければいかぬと思いますが、それにはあまりにも少な過ぎる。たとえば防衛庁あたりではジェット機一機でも四億幾らを使っている。それから見ると、二カ年間で結論を得るためには専門の学識経験者を多数招聘してやれるだけの費用を用意しなければならぬ。これではあまりに少な過ぎるが、この増額などについてはほかに予算的には方法はないのですか。
○小平政府委員 ただいま申しました通り、二百九十四万五千円というのは三十七年度の一カ年だけの実態調査に要する経費として計上しておるわけであります。もちろん三十八年度におきましても、引き続いて調査が進むに従って増加を要するものと私どもも考えております。
 なお専門調査員のことでありますが、これについては第一回の総会の席上におきましても話が出まして、専門調査員はただいまのところ十名置く予定になっておりますが、各委員から適当な人がありましたならば会長の方に申し出を願って、その上で総会で相談をしてきめようということになっておりますが、今日まだ決定までには至っておらないようであります。しかし新年度には調査を現にやろうとしておるわけでありますから、なるべく早く御決定願うようにいたしたいと思います。
○八木(一)委員 今田原委員から言われましたように、調査費はほんとうに問題にならないと思います。六千部落三百万人といわれております。そういうところにただちょっと見に行くだけでもそんな金では全然足りないということになります。ちょっと見に行ってわかる問題ではありません。真剣に取っ組まなければならない。ですからそういう点では話にならない予算であります。総理府としては、さっきいろいろお開きいただいたと思いますが、ほんとうにあらゆる内閣がこれから根本的に急速に解決しようと取り組むときに、基本的な政策を作るそのもとの調査をするというとき、こんな少ない予算では本腰になったとは断じて言えないわけで、この問題について、関係の行政官庁である総理府がほんとうに本腰になっていただかなければならないと思います。またこの問題について閣議で御決定になられたことがあると思いますが、厚生大臣は実際的な面で一番関係が深いわけで、この問題について総務長官を大いに激励せられ、協力せられまして、そういう態勢が整うようにしていただきたいと思います。また内閣の番頭役である大卒官房長官もさっきこれまた本腰を入れて取り組むと言われましたので、本腰に取っ組んで、池田さんを教育をし、大蔵大臣を教育をして、そういう問題が解決するようにしていただかなければならないと思いますが、皆さんうなずいておられますので同様のお気持だと確認をいたします。代表として厚生大臣からその御決意を伺いたいと思います。
○灘尾国務大臣 御質問の御趣旨は十分了承いたしました。できるだけお互いに協力いたしまして推進して参りたいと存じます。
○八木(一)委員 この調査会の委員の選定につきましては、はなはだ不満な点が多いのであります。これは大体議員提出法案として成立したものでありまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党、その中で自由民主党と日本社会党は独自な案を持っておった。しかしながら問題を前進させるために意見調整をしまして、根本的にまとめて、これで提案をし、満場一致内閣委員会で可決し、それから衆議院、参議院を通ることになりました。その確認事項といたしまして、また法律の中にも書いてございますが、委員については特別な書き方がしてございます。普通、委員については、関係官庁の代表者のほかに学識経験者という言葉が使われておりますが、この場合は、特別にこの問題についての「経験を有する者」並びに「識見を有する者」という表現が使ってあるわけであります。というのは、いわゆる学識経験者という人たちでは問題がわからぬ、だから経験を有する者が一番大事な要素であるということで前段に響いてある。それが十分に生かされていない。またそれを観念的に処理をされておる。今までの部落解放の歴史を調べて見ますときに、政府が今と違って非常に不熱心であった、問題への関心が薄かったし、全国民的にそれを解決しようという機運もなかった、民主主義的な機運もなかったときに、こらえ切れずに運動を起こした人たち、ほんとうに苦しみを知り、あらゆる困難を乗り越えて、この問題の解決に当たってきた部落解放同盟という非常に大きな団体があり、そこにこういう問題を知っている指導者がたくさんいる。「識見を有する者」の中のまず第一に、ほとんど全部に当たるものが、ほんとうにこのような国民なり政府の無理解の間で苦闘をし、その中で運動を進めてきた人たちの経験が最も大事であろうと思うわけであります。ところがその後、はっきり申しますと、政党利己心によってこの法律を作ってはならないという申し合わせと事実上違う方向がとられました。急速に政府なり与党、政府とは言いませんけれども、与党の方で――部落解放同盟という組織は、これは何も政党と直結しない、政党支持自由の組織であります。大衆団体であります。ですから、自由民主党といえども、あるいは日本社会党といえども、民主社会党といえども、日本共産党といえども、その解放の問題に挺進する政党に信頼を寄せあらゆる政党に要望をしている団体であります。しかるにかかわらず、この部落解放同盟という団体が、今まで政権を大部分とられた政府の政策が悪いために、政策が不十分であるために、追及を重ねてきた。従って反射的に今までの政府に対して批判を寄せておる。そういう状態がありましたけれども、それを今まで政権を担当しておられた自由民主党とやや距離の遠い団体であるというふうに考えられた向きがありまして、政党利己心を発揮して、自由民主党に非常に近いような団体を作ろうという機運が与党の中におありになりました。その結果全日本同和会が生まれたわけであります。これは政党利己心を発揮しないでやっていこうということと大きく背反をするわけであります。しかも、自由民主党という政党があられますので、政府に対する質問の中にはありませんけれども、今度は政府が委員の任命にあたって、かような経緯を十分に知悉しておられながら、そのような意図を持って、臨時的に急速に歴史を持たないで作られた団体を非常に重視して、何十年の伝統を持っておる団体と形式的に同等に扱うというような処置をとられることは、これは実質的に非常に非民主的であり、またほんとうの意味で悪い政党利己心を発揮せられた状態であろうと思います。それについて小平長官はどう考えられるか。
○小平政府委員 委員の選考についてのお尋ねでございますが、当時の事情は八木先生も詳しく御承知と思いますが、私といたしましては、この審議会の設置法がお示しの通り、各党の共同一致によって、話し合いの結果、しかも議員立法としてできたものでございますから、この委員の選任にあたりましても、各党でお話し合いを願って、その一致の意見を見てぜひ任命をいたし、実はそういう心組みでもちろんおったわけでございます。しかしながらまた一面、この審議会の発足がじんぜんとしてそのためにおくれておりまして、二年の存続期間のうちの半分以上も経過してしまう、こういう事態になっております。各党の話し合いができぬために、その存続期間の二年間をまるまる空費してしまうということになりますと、これはまた政府の責任ということにもなりますし、そういう点で私も及ばずながら特に自民党と社会党のそれぞれの御関係の皆さんともずいぶん話をいたしましたが、遺憾ながら最後まで両党の意見の一致を見ることがなかなかできませんので、そこで今申しました事情からいたしまして、これ以上発足をおくらせることは決してこの法律がせっかくできましたゆえんではない、そういう見地から、私の判断で私としては最も公正に委員を御委嘱申し上げた、かように今でも信じておるわけであります。
○八木(一)委員 形式的に小平長官はそう御答弁にならなければ立場がなくなると思いますが、実質的には小平長官御存じの通りそうではなかった。当然「識見を有する者」という中には今までの運動形態、その組織、そういうものから見て、私は「識見を有する者」全部が全部、部落解放同盟の指導者であっていいと思う。ところがそれはまた別の観点の人がいますから、全日本同和会の人も入ってもよろしい。これは最初から政党間の話し合いでやることになっている。ところがそれにしても自民党の方は一対一ということを言われた。三対ゼロでいいと思いました。そこで、問題を進めることが必要だから、譲る決心はいたしまして、私なりに、ここにおられる同僚の方、特に田中織之進先輩やなんかといろいろのお話を申しましたときに、発足をさせるために、譲りに譲って、最大限譲ってこういうことにいたしましょうと言いましたときに、小平長官はそれをお約束になりました。ところがそのお約束が自由民主党の圧力によって破られているわけだ。これは十分に御承知のはずであります。今発足をいたしましたから、この問題は、政党利己心を超越して、ほんとうに識見を有する者の意見をどんどん発展させて、完全解放のための答申を出すという態勢には状態が悪いということを御認識いただいているはずだと思う。答弁は、小平長官のお立場もございますから、別にきょうは要求いたしませんけれども、それを埋める方法として、専門委員その他の問題、あるいは何らかの事故によって委員の任務がたとえば切れるという人があった場合に、その認定の不適当であった点をお埋めになっていただかなければならないと思います。あくまでも、ほんとうに部落問題に最も熱心で、苦しみを知り尽くしている人たちの意見が、この委員会にほんとうに反映されて、観念的で何にも知らないような、肩書きを持っている何々先生というような人の意見で完全解放の道がおそくなるようなことにならないように、委員の構成なり、あるいは専門委員の構成なり事務局の構成を考えていただくことが、ほんとうに完全解放の任務の中心点を持っておられる小平長官の責任であろうと思います。また後任者の責任があろうと思います。その点について今後その気持で最大の努力をするということを御披瀝を願いたいと思う。
○小平政府委員 お尋ねの前段につきまして、答弁を求めぬということですから、あえて申し上げる必要もないかと思いますが、ただ言葉の中に、何か社会党の皆さんとお約束をしたことを自足党の圧力でくつがえしたという点がございましたが、私はさような約束をしたとは思っていません。皆さんに御協力をむしろお願いいたしまして、決してお約束したことを自民党の圧力でくつがえしたということは、私は自分ではいたさなかったつもりであります。それから後段の点でありますが、先ほど申します通り専門委員の任命につきましては、各委員の方々の推薦等を待って適当と思われる方を審議会でまず選ぼうという、こういう段取りになっておりますから、その意見を十分尊重してもちろんやって参る、かように考えております。
○八木(一)委員 小平長官は立場上お苦しいからですけれども、約束ということは正面切ったら書面で取りかわさなければそういう約束をした覚えがないとしらを切れます。しかしながらそこにおられた方がたくさんここにおるのです、田中さん初め田原さんも楢崎さんも。僕は行って話をしたのです。ですから政治家としての御発言は約束と私どもとるわけです。しかしながらいろいろな状況がありましたから答弁は求めませんけれども、とにかくさっき言ったようにほんとうにこの問題に苦しんで、経験を持っておる人の意見が反映されて完全解放の道が早くなるように運営をされて、長官はまたどこかの大臣に栄転されるかもしれませんけれども、任期中はやっていただきたいと思いますし、また、後任者にまたこんなことを言わなくて済むように厳重に引き継いでいただくということをもう一回はっきりお約束を願いたい。
○小平政府委員 かりに欠員者ができた場合にどうするかという点等につきましても、これは私は根本的に各党が一致して議員立法で作った法律なんでありますから、やはりそういう根本の気持を十分尊重して後任者の選考などもやっていくべきである、さように私は考えておりますので、今ここで具体的にどういう立場の人を持ってくるかというお約束までは私はいたしかねる、かように考えております。
○八木(一)委員 私の御質問はそういう何の何がしを何しろというようなこことは言っておりません。そういうことはこういう席上で行政官庁の長官が言われることは非常に困難な問題であると思いますので、今申し上げたことは、この問題を非常に知悉し、この問題を解決するために熱意を持ち、それだけの具体的な経験を持っておる人の意見を十分に反映して、この完全解放の道が早く、しかもりっぱな方向をとるような運営を、また運営の中には今後の人事も入ります。そういうことを総務長官として最大の御努力を願いたいし、もちろん大臣に御栄転になったときには次の方にも申し送りをはっきりしておいていただきたい。
○小平政府委員 ただいまの委員の方々も非常に御熱心にやっておられますから、かりに欠員になったときというようなことを今申し上げるのもいかがかと思いますが、しかし先生のお示しのようにこの審議会が十分機能を発揮できるようにということはもう当然でございますから、その御趣旨に沿うような、今後ももちろん人選等はいたすべきであると思いますし、かりに途中でかわると――いずれはかわるのでありましょうが、そういう際には十分先生の意のあるところをお伝えしていきたいと思います。
○田中(織)委員 ちょっと関連して。官房長官急ぎのようなんですが、おられる間に関連して一、二伺いたいのですが、八木委員から部落解放の根本的な政策についてのお話が出たわけなんです。昨年御承知のように私ども部落解放団体の方でいろいろ国の政治に対する要請のために請願運動を起こしました。それが国会で建設委員会を除きまして、各委員会でそれぞれ採択をされた。建設委員会の方では委員長初め委員諸君も十分理解をされておったのでありますが、請願書で出したのを陳情書という形で受理された、それ以外のところは請願――若干農林関係で修正された点がありますけれども、全部採択されて内閣へ、いわゆる国会の意思、衆議院の意思として院議をもってこれが送達をされておることは、官房長官御存じだと思う。これは過般の臨時国会のことでございますが、その事雲の上に立ちまして、昨年の十二月の二十日過ぎであったと思うのでありますが、私ども社会党の方から、この請願に基づいて、特に三十七年度の予算編成について、国会の意思も決定されておることであるから特別に一つ御配慮願いたいということを総理大臣に実は要請をいたしました。官房長官にお目にかかったのでありますが、どこまでその要請が各省に伝達をされたのかお伺いをしたいと思うのです。なぜこのようなことを私伺うかと申しますと、全体としての予算は、なるほで三十六年度に比べますと一億六千万円ばかり政府関係全体で増額になっております。それは承知いたしておるのでありますけれども、私どもは金額は差し示しませんでしたけれども、やはりこの問題を大きく前進させるという意味合いにおいて、特に国会の議決があった直後でございますので、御勘案を願いたいということで、特に予算編成で第一次査定で不満足な結果しかわれわれ見ることができませんでしたので、実はお願いしたのでありますけれども、国会に提出されたのを全部拾ってみますると、十四億二千万円かで、前年度より一億六千万円は増加しておりますけれども、どうもどこまで、総理の代理として会われた官房長官がわれわれに、特別に一つ各省に注意も喚起し、御期待に沿うように善処するということの約束から見れば、いかにも金額は些少だし、努力された跡を見つけることができない。官房長官からその間の事情について伺いたい。これはいろいろのことを八木委員にもお答えになりましたけれども、現内閣としてこの問題に取り組む熱意の一つのバロメーターとしてわれわれは見ておるわけです。その点から見るときわめて遺憾な状態だと思うのでありますが、この点に対する官房長官の御所信を伺いたい。
○大平政府委員 私の方へは各党各派はもとより、民間諸団体からいろいろなお申し出があります。今言及されましたように、国会の請願という形におきまして政府に要請がたくさんございました。私はそれがありますと、当時も即刻関係各省にこれをお送りいたしまして、御検討いただくことにいたしておるわけでございます。問題は御請願をいただき、お申し出をいただきましたこと、趣旨として私どもは賛成でございましても、政府の側におきまして予算という形で具体化し、それに所要の財源をつけるということは別の手続としてあるわけでございます。これはもう田中先生に申し上げるまでもなくそういう制約があるわけでございますが、予算の編成上、お申し出並びに請願の御趣旨は極力具体化するように努力いたしておるわけでございます。それが一点でございます。
 それから今同和政策につきましては、先ほど総務長官からも御答弁がございました通り、審議会ができまして、本格的な審議がようやく始まったようでございます。私どもはこの答申に大きく期待を持っておるわけございます。この答申がありました暁は、これを尊重いたしまして、できる限り予算化することに努めることは当然の責務であると考えております。
○田中(織)委員 そういうことになりますと、結局通り一ぺんの連絡をされたとしか実は私どもに受け取れないのであります。その結果が一億六千万円の増、全体で十四億でありますが、本年度の二兆五千億に近い総予算の一体何%に当たるとあなたたちは見られているのか。はじけば出てくるのでありますけれども、〇・〇四九%にしか当たらないのです。そんな形で私は部落問題について政府が熱意を持って対処しているとは実は受け取れないのです。その意味で、いずれこの問題についてはまた別の機会にただしますけれども、それに関連して、幸いに厚生大臣もおられるし、総務一長官も直接おられますけれども、しかもその十四億の予算の大体六割までが、自民党の同和対策議員懇談会から立案された関係でありますけれども、部落の中から全国で十四、五の地区を選びまして、いわゆるモデル地区という形で、部落のいろいろな環境改善等の施設を推進するところの政策をとられておる。この点はモデル地区方式がとられたときから、自民党の同和問題の議員団の関係で会長でありました参議院の堀木さん、あるいは秋田大助衆議院議員とも私ども話をして、それはやめた方がいいということを申し上げてきておるのでありますが、この形をとりますと、モデル地区に選ばれたところはむしろ喜ぶかもしれませんけれども、いわゆる部落間にモデル地区としての指定を受けるために、新しい対立と分裂を引き起こす結果になってきておる。しかもこの点で国からの予算が、わずかの予算ではありますけれども、大部分がそういう意味で、重点的ということをお答えになるかもしれませんけれども、得られる結果は全国の部落民が要望しておる環境改憲等についても、従来このモデル地区方式がとられぬときよりも、むしろ一般的な部落の経済的な改善をはかるという点から見れば、施策が非常に後退してきておる、こういう実情になっておると私は思うのです。その意味で、予算全体の増額についても思い切った処置をとっていただきたい。これは同和対策審議会における結論が出るまでもなく、政府としてはすでに手をつけられておることでありますから、努力をしていただかなければなりませんが、このモデル地区方式というものは、先ほど総務長官がお答えになったような、基本的な問題について審議会に諮問をされておる段階でありますから、諮問をされるまでの間は、むしろこれは取りやめられなければ、部落の中に新しい分裂を起こして、差別を拡大再生産するような形になる危険性を包蔵しておると思いますが、この点については、一番政府関係で関係の深い厚生大臣初め、官房、総務両長官がおいでになるのでありますから、その点についてぜひ要請をいたしたいと思うのであります。モデル地区方式というものはストップをしてもらって、審議会の結論が出るまでの間は、このいう形で部落の中に新たな対立を招いていくような施策はやめてもらいたいと思いますが、この点について、厚生大臣からでも、あるいは全体の観点で官房長官の方からでも、政府の意見をお聞かせいただきたいと思います。
○灘尾国務大臣 モデル地区の設定によりまして、部落の中に争いを起こすとか対立を起こすとかいうことは、もちろんわらわれの本旨とするところではございません。ただ全体を通じまして、先ほど官房長官からもお答えもございましたが、日本の行政全体がやは同和問題ということを頭に置いての行政でなければならないと思います。そういう意味におきましては、特別の予算を待つまでもなく、一般の行政費の使い方につきましても、それぞれが頭に置いて考えていかなければならぬ。これは一般論でありますが、しかしそれだけでは足りないという点がもちろんございます。またいわゆる立ちおくれをなるべく早く取り返さなければならぬというような意味において、同和対策の予算を組んでいくということも当然考えなければならぬと思っております。その同和対策の予算を使うのにつきまして、モデル地区の方式を採用したのがいいか悪いか、いろいろ御議論があるところだと思います。田中さんの御意見に対しましても、われわれ検討するにはやぶさかではございませんが、私どもの考え方といたしましては、一般的に同和地区に対して必要な予算を配分するということももちろん考えておるわけでございますが、その間に、若干範囲の広いといいますか、各省にまたがるような計画を持ち、相当な金をかけてやっていくというふうなものが、モデル地区として選ばれておるだろうと思います。この同和対策の問題を考えます場合に、私はただ総花式にばらまいてしまったのでは効果的でないのではないかという考え方をいたしておるわけであります。と同時にまたせっかくそういう施設を考えるといたしまするならば、やはりその地区の住民の方はもちろんでございますが、住民の方も、その地区を管轄する市町村も、お互いにみな――先ほど全国民的という言葉がありましたが、みなが一緒になって地区の改善向上をはかっていくという心持になってくれなければ、せっかくの施設を講じましてもあまり意味がないというようなことにもなろうかと思います。私どもといたしましては、自立更生といいますか、そういったような気分の濃厚な地区に対して、しかもその市町村も熱心であり、府県もこれを適当と考えておるというような地区を選んで、効果的な施設を講じそれによって少なくともその地区は比較的早くよくなってくるだろうと思いますが、それだけで終わるべき問題ではございませんけれども、そういうやり方をやりまして、これが他の地区の諸君に対しても好影響を及ぼし、みながその気になって立ち上がろうというような気持になってくるのが一番望ましいのではなかろうか。限りある予算でございますので、できるだけ効果的に使うという意味合いも含めて、モデル地区の設定をいたしておるわけでございます。今直ちにこれをやめるという考え方はいたしておりませんけれども、部落の実情等につきましては、また御意見も伺い、私ども十分調査いたしまして、それが部落のためにかえって平和を害し、争いの種になるというふうな地区を選んでやったのではあまり効果もないということになるわけでございます。われわれも十分調査いたしたいと存じますが、私どもがモデル地区をやっております気持はそういうことでございます。なお田中さんの御意見につきましては、われわれとしても十分検討いたしたいと思います。
○田中(織)委員 官房長官のおられる間に、もう二点だけあわせて質問申し上げますからお聞きいただきたいのであります。
 一つは、先ほど私が申し上げましたように、自民党の中にも同和問題議員懇談会が設置せられまして、いろいろ部落の実情等について研究され、それが政府へいろいろ政策の実現という形で推進されておる点については敬意を表するのです。たまたま私ども最近手に入れましたところによりますと、この議員懇談会の同和問題資料第二集として、これは京都大学の教授だったと記憶するのでありますが、法学博士滝川政次郎なる学者が「歴史上より見たる同和問題」ということで議員懇談会で講演されたものが、こういうパンフレットになって、これは私どもの団体で複製したものでありますけれども、出しておられる。しかもその中に冒頭のところから見て、「今日の未解放部落、すなわち江戸時代に穢多、あるいは非人という名前で呼ばれました特殊部落の祖先は、中国から日本に帰化してきた民族の末裔であるというのが私の結論であります。」それからその次に「大体四世紀ごろ、つまり仁徳天皇の名前で日本の歴史に出ておる時代以後、日本は三韓を服属せしめておりましたので、それ以後欽明天皇の任那滅亡に至るまでの三世紀間に、日本に帰化してきた三韓人はおびただしい数に上っています。西暦六六三年、天智天皇の元年に日本は唐、新羅の連合軍と南鮮の白村江で戦いまして、大敗北を喫し、百済国はほろびまして、何百万という人間が日本に亡命して参ったのであります。つまりその子孫が今日の特殊部落の大宗をなしておる。」という記述があるわけなんです。この問題は官房長官あるいは総務長官、灘尾厚生大臣は、こういうものが自民党の議員懇談会から出されておるのを御存じか、どうか。しかもこの点については、いわゆる部落の起源として人種起源説をとっておるのでありますが、そういう形の考え方を基盤にして、いわゆる同和問題というものを取り上げられるということになれば、私これこそ本質的に重大な問題だと思うのです。同じ日本民族の中で、われわれの理解ではやはり封建時代の身分制、いわゆる政治の、そういう意味の、極端な言葉で言えば分裂政策の申し子として今日もなおそういうものが残存しているんだ、こういうことが、これは学者の間でも定説なんですね。ところがわれわれも学生時代から滝川政次郎なる学者の名前を知っておりますけれども、まあここ三年くらい前のことではないかとも思うのでありますけれども、こういう考え方を自民党の諸君に滝川教授が教えて、それに基づいて部落対策を講じられているということになれば、これは今同和対策審議会なりあるいは先ほど八木委員も触れられましたけれども、憲法十四条に規定しておる問題としてそれの正しい実現だという形で取り上げられるというのと大きな開きが出てくると思うのでありますが、この問題については官房長官も、これはどうも政府の同和対策の基本的な考え方にそういうものが持たれておるということになれば、私ゆゆしき問題だと思うので、この機会に伺っておくわであります。
  〔藤本委員長代理退席、委員長着席〕
 それから、あわせて関連でありますからもう一問お伺いをいたしますが、これは実は文部大臣が来ていただけばいいのでありますが、私どもの聞いたところによると、灘尾現厚生大臣がかって文部大臣でもございましたし、またこの財団法人に何らかの形で関係を持っておられるということでありますけれども、二月二十五日の読売新聞によりますと、「京都の西本願寺が、社会の谷間にあえぐ人たちを救おうと、設立をすすめていた財団法人「同和教育振興会」はこのほど発足した。親鸞聖人の七百回大遠忌の記念事業として計画され、岡寺の記念事業費一千万円に」、同寺というのは西本願寺、「一千万円に文部省の補助金一千万円をあわせ、このほど認可されたが、これよりさき、昨年六月に着工された同会の会館も京都市右京区山ノ内御堂町にちかく完成する。」という記事が出ておるのであります。同和教育の問題については、先般も文部省の初等中等局で計画をいたしました研修会の問題で私ども文部省へ抗議にも参ったようないきさつがあるのでありますが、教育の面から部落問題の解決のために資するということは非常に重要なことだと思うのです。ところが私がこの問題を取り上げまする点は、御承知のように憲法の二十条によりますと「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」それから「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」という憲法の規定があるわけなのです。私はそういう意味で、もちろん西本願寺が直接の対象ではないことは私も理解いたしますけれども、本願寺の関係が主体になってこしらえた財団法人というものに対して文部省が一千万円という補助金を出すということについては、これは私はやはり憲法二十条の「国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」という規定の実質的な内容に違反するおそれがあるのではないか。確かに西本願寺は信徒のうちに部落関係者が非常に多いのです。関西から中、四国、九州へかけまして、ほとんど未解放部落の関係の人は浄土真宗、しかも西本願寺の系統の檀徒が多いことは承知いたしております。そういう関係から、従来も同朋会なりその他の形で本願寺自体としても部落問題に取り組んでいるということについては私どもも承知しておるのでありますけれども、この際文部省から特定の宗教団体が実質的に中心になっておる団体に一千万円という多額の補助金を出してやるということは、どうもこれは憲法に違反するし、そういう形で同和教育問題を取のり上げられるということになりますと、私が前段に御質問申し上げました問題とも関連をいたしまして、部落問題について新しい党派性を持ち込むような結果になるのでありまして、その点は政党内閣の時代でありますから、特に部落のおくれた人たちの中には、やはり時の政権を持っておる政党とのつながりを考えておられる人たちはたくさんあるわけなのです。それは私、政党支持自由の原則に従ってけっこうなことだと思うのでありますけれども、あまり問題が問題だけに、この問題について党派性を持ち込まれるということになると、私どもがどんなに努力をいたしましても、差別は拡大されていく、こういうことになると思うのです。この点についてはすでに補助金が交付されたのかどうか。たしか三十六年度の予算か何かで文部省予算の中に計上されておるように伺うのでありますが、私ども予算審議のときに、うかつにもこの点についての詳細な検討ができなかたために、今日こういう質問をしなければならぬのでありまするけれども、これは憲法二十条の趣旨から言っても避けなければならぬことだし、重大な問題だと思うので、この際政府のこの二点に対する所信を伺っておきたいと思います。
○大平政府委員 先ほど御指摘の滝川教授の御講演でございますが、寡聞にして私はまだ拝見しておりません。おそらく自民党の懇談会におきまして一つの参考愚見として御意見を承ったことと思うのでございます。自民党並びに政府の同和対策は、滝川教授の説を定説と受け取って、それに準拠して立てられておるというものではないと思います。
 それから後段の西本願寺の同和教育の問題でございますが、これは私よく承知しておりませんから、政府委員が見えておりますから、一応お聞き取りを願いたいと思います。
○齋藤(正)政府委員 同和教育センターに対します一千万円の補助金は執行いたしました。これは三十六年度の予算に一千万円計上してあったものでございますが、最近支出をいたしました。これはお話のように特定の宗教団体に対する援助でありますれば、御指摘になりましたような憲法上の問題が出てくると思いますが、西本願寺が持っている財産を寄付いたしまして、そこで新たな同和教育のいろいろな資料を集めて、あるいは同和教育の担当者の相互研さんの場所を作る、こういう趣旨で財団法人として作りましたので、その点は憲法上の問題は起こらないのではないかと私は思うのであります。ただ御指摘のようにそういう社会教育関係団体として発足しました研究機関が、公正にその事業を運用する必要があって、特定の宗派の教義のために活用されるということはなくする必要がございますので、その点運営にあたりましても十分に注意して参りたいと思います。
○田中(織)委員 私は関連でありますからこれで終わりますが、この点は特定の宗教団体に直接渡しておりません。しかしこの財団法人の基金は西本願寺が親鸞上人の七百年忌の事業資金の中から一千万円出している、国から一千万円補助している。この点きわめて重大な問題を含んでいると私は思うのです。そういうことであれば、他の宗教団体が、直接ではないけれども、こういう形の財団法人を作れば、この問題に限らず文部省は補助金を出すのかということになると思うのです。この点はただいまの社会教育局長の御答弁には私満足するわけにはいかない。しかも資料等の問題については、あなたの方の次官も委員でありまするところの総理府所管の同和対策審議会というものがすでに発足しているのでありますから、かりにそういう計画が過去にあったといたしましても、審議会の活動のためにそういう金は入れられまして、審議会としていろいろ調査のための資料というようなものを国自体が確保せられることが本来の筋であって、その点は形式的には直接宗教団体に渡していたいということでありますけれども、こういう形の金の出し方というものについては私ども納得するわけにはいかない。すでに執行したということでありますけれども、この問題がやはり憲法二十条に違反しているという疑いはきわめて濃厚なんです。しかも文部省が特定の宗教団体との関係で、同和教育の振興というような問題を取り上げるということであれば、文部行政のいわゆるあなたたち自身が教育の中立性というものを私は侵していることになると思うのです。この点はきわめて重大な問題を含んでおるのでありますが、関連でありますから問題を指摘するだけにとどめておきますけれども、今の御答弁では納得するわけには参りません。
 なお前段の滝川教授の問題につきまして、私ども部落解放同盟としては、滝川教授に公開の討論会等を申し出ておるのでありますけれども、彼は卑劣にも会いません。しかし勢いこの問題が自民党の議員懇談会で、非売品でございますけれども、出版をされておるので、この点については今官房長官はこの講演のことについても御存じないようでありますし、もちろんそういうようなことを定説として政府は部落問題を考えているのではないという点は一応了承いたしますけれども、そういう形の、誤った考え方に基づいて、これは学者としても、私は許べからざる問題だと思うのです。しかもその意味で、学者的な立場において問題を明らかに社会の批判に訴えようじゃないかということに対して応じない。やはりこういう問題を講演する場を与えた自民党にも私は責任があると思う。この点は、政府と党とは分離した考え方の上に立って私どもやりますけれども、こういうあやまった考え方で同和対策を進められるということになれば根本的に間違ってくるわけなんですから、どうか一つその点については留意していただきたいことを申し上げて私の質問を終わります。
○楢崎委員 関連して、今の田中委員から質問をいたしました一番最後の二つの点について私どもが問題にするのは、この滝川教授の講演を自由民主党同和問題議員懇談会というのが印刷しておられる。公職選挙法の今度の場合でもしばしば言われておるように、政党政治で、政党内閣だから一応与党の意見も十分反映しなくちゃいけないということはよく言われるのですが、そういう点から見ても、この自由民主党同和問題議員懇談会というのは現在もあるのでしょう。これはどうです。
○小平政府委員 自民党には同和問題対策特別委員会というのが現にあるようですが、御指摘の議員懇談会というのはあるかどうか、私も党員の一人でありますが、実は存じません。
○楢崎委員 田中委員からも言われました通り、こういう滝川教授の講演を聞かれて、自民党同和問題議員懇談会の秋田さんが、「大へん有益な、そして興味の深いお話を承わりまして、われわれが当面取り組んでおります問題の起源、由来、歴史等をよく理解することができました」「この起源及び思想につきましては、おそらく先生のおっしゃる通りであろうと思います」ということをこのパンフレットにお書きなんですね。そうするとこれが自由民主党の中のいわゆる部落民に対する考え方の一つの大きな根拠をなしておるというふうに私どもは見ざるを得ないわけです。
 そこでこの点については、さらによく政府なり総務長官の方でこれをはっきりしてもらいたいと思うわけです。
 それから、西本願寺の問題、これは田中委員も納得することができないとおっしゃいました。われわれもそうです。これは大卒官房長官はよく知らないとおっしゃいましたので、重大問題ですから、この点は十分検討して、文部大臣あるいは池田総理からでも明確な見解をあとでお示しいただきたい。事務当局の考え方だけでは困りますので、田中委員の疑問点について、責任者から政府としての明確な態度を出してもらいたいと思います。
○灘尾国務大臣 私に対するお尋ねではなかったわけでありますが、私、多少関係がある、あるいはあったものでございますから、よけいなことかも存じませんが、私の承知しておる点について一応申し上げておきます。
 一つは滝川さんの講演のことでございますが、これは実は私は読んだこともございませんが、今お話しになりました懇談会というのがどうもはっきりいたさないのですが、自由民主党には御承知のように同和対策特別委員会というのがございます。私もその委員会に関係を持っておった一員でございますが、自由民主党の特別委員会といたしまして、いろいろな学説はありましょうけれども、そういうことに別に何もこだわっていないと思います。むしろ問題は前向きに解決しなければならぬというふうに考えておるわけでありますが、今の滝川教授の講演をいつどういう形で聞いたのか存じませんけれども、それによって自由民主党の同和対策特別委員会がこれを金科玉条としてやっていくというふうなものでないということは、私ははっきり申し上げられるのではないかと思うのでありまして、これは私が関係しておった立場から申し上げるわけであります。
 それから、いま一つ西本願事関係とおっしゃいましたが、この同和教育の振興会につきましても、私は若干関係を持っておったわけであります。この問題は、先ほど政府委員から御答弁になりましたが、そういうふうな憲法上の疑義あるいは一宗派の何か特別な機関であるとかいうようなことではいけないという考え方のもとに、文部省がいろいろ御指導になりまして、現在の同和教育振興会ができたように私は記憶しております。私は、この振興会ができましたときに――まだ会長という名義が残っているかもしれませんが、どうも会長に適当な人がないので、とにかく会長という名前だけは出してくれということで、現実には毎日々々の仕事にはタッチいたしておりませんけれども、その程度の関係は持っておったわけであります。また、これの設立につきましては若干お世話をいたしたこともございますが、今申し上げましたような、ちょうど楢崎さんの御心配になるようなことのないように配慮をいたしまして、この振興会を作ったつもりでおるわけでございます。文部省ももちろんその点について十分お考えをいただいておることと思うのでありますが、万一これが妙な方角にいくというようなことになりますれば、これはわれわれの本旨とするところではありません、また文部省としても黙っているわけがないだろうと思うのであります。成り立ちにつきましてはそういう点を十分配慮してこの振興会を作ったものと思います。
 ただ、西本願寺は同和教育の問題について非常に関心を持たれて、記念事業としてお金を出して何かしたいというお気持から話が出発したという経過はございますけれども、この団体を作るについては、西本願寺だけの団体、西本願寺のための団体という意味のものではないということで作ったように私は承知をいたしております。
○八木(一)委員 先ほどまで私質問しておりましたけれども、まだまだ官房長官、総務長官にも御質問がございます。また、国務大臣としての厚生大臣には御質問しましたけれども、厚生行政の担当者としての御質問が多分に残っております。しかし、時間がこういう時間になりましたので、一応私の午前中の質問はここで終わりたいと思います。
 それに先立ちまして、これは委員長にお願いがあるわけでございますけれども、要求した大臣が、かなり熱心に来ていただいた方もございますが、不熱心な方もございます。ことに労働大臣について私は非常に心外であります。労働大臣は予算委員会ということを言い、それから参議院の本会議ということを言いましたが、参議院の本会議におけるILOの質問に対る答弁もとつくの昔、十一時過ぎに終わっております。それで、すぐ来いという要求をされたのにかかわらず、それをすっぽかしておいて、十二時に炭労と会うということで来られませんでした。このような国務大臣の委員会無視の行動を許しておかれたならば、社会労働委員会は機能が麻痺いたします、そういうふうに麻痺をされましたならば委員長の重大な責任だろうと思う。労働大臣、農林大臣それから通産大臣等は、先ほど論議が展開されました通り、根本的に生活を立て直す意味において非常に重大でありますし、先ほど文部省関係で答弁の非常に不十分な問題がありましたからこれは文部大臣も、この四人は即刻来ていただきたい。そうして、午後の再開のときに大臣の方が待っていて、政府委員が申しわけありませんでしたと言って入ってくるようなことがないように、厳重に御配慮、御措置が願いたいと思う。
 なお、自治大臣、大蔵大臣もそれからあとすぐ来られよるうに要求いたしまして、午前中の質問を終わります。
○中野委員長 午後一時五十分まで休憩をいたします。
   午後一時七分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時三分開議
○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続けます。五島虎雄君。
○五島委員 きょうは午前中から、いわゆる同和対策問題について――私たちは部落開放の問題についてということで、名前は違いますけれども、この問題についてはすみやかに解決をしなければならない。その解決の勢力はだれがするか。それは国民全体がするとともに、各政党あるいは内閣、それらを中心としてこれを解決してかからなければならない問題であります。これはもう大臣も同感だろうと思うわけです。しかし現在の状況においては、この解決がいまだ未然形のままとなっております。あらゆる問題について差別が存在するということであります。大臣が午前中に御出席であるならば、八木委員から歴史的に、そうして基本的な態度というものが述べられ、質問を行ないましたから、大体了承されることであろうと思います。毎国会においてこの部落問題をわが社会党は取り上げながら、政府の意向を聞き、そうしてこの問題の解決のために努力を要請し続けて参りました。しかし福永労働大臣が就任以来、この部落の問題、同和対策の問題については、一度も質問する機会がございませんでした。もちろんこの問題解決にあたっては、労働省だけの問題で解決することはとうてい困難な問題であります。労働の面、あるいは通産行政の面、あるいは建設、農林、厚生、そのような全般にかかってこれの解決に総合的な力を注いでいかなければ、この問題の解決に一歩を前進することはできません。しかし御承知だと思いますけれども、数年前にわれわれ社会党としては部落解放特別委員会を党内に作りまして、そうしてこれが解決のために努力を続けて参ったのであります。ところが、幸いと思いますが、自由民主党の中にも同和対策特別委員会というものができまして、そうして歴代の内閣に対して同和対策の発展のための努力を要請しつつやって参りまして、予算の中にはここ数年来同和対策の経費が漸進的に増加してきました。そこでその面においては、増加されただけ同和対策が発展しているということは相対的に認識をすることができますけれども、これは根本的な解決の道にははるかに遠いのであります。従って本日は、各省の意向を聞き、そして、質問の中からその解決策を見出そうとするものであります。ちょうど大臣が来ておられますから、私が労働のことを中心的に聞けということでございますので、この総合的な一環として、労働省がどういうふうにこの問題に取っ組んでおられるかということについて、労働関係の若干の問題をまずお尋ねしておきたいと思うわけです。労働大臣も埼玉県出身でございます。従って同和問題に対しましては若干の関係があることだろうと思います、しかし私は兵庫県出身でありまして、六千部落、三百万人の部落民、こう総称されておりますけれども、兵庫県庁の調査によると、兵庫県にはその三百万人の中の三十三万人の部落の方がおられる。ですからその数においては大体日本で全国一になります。従って私たちもこの同和問題に対して、ゆるがせにすることはできない。従って非常にこれに注目し、あらゆる手段を尽くしてこれが解放のために努力しなければならないと思います。しかしその全体の姿の中に、労働問題というのは生きていく問題ですから、従って多くの重要な問題があるとともに、この労働問題というのは最も重要な問題でないかと思うわけであります。学校を卒業する、社会に出て就職をする、そうして生きていかなければない。ところが、部落の人々は集落をなし、そうして就職の機会均等もございません。この就職の機会均等の中にこれは差別が行なわれておる。学校の教育の中にも、あとで文部関係に質問されると思いますけれども、これも多くの問題が総合的に差別が行なわれておる。学校施設の問題等ついて差別が行なわれております。その差別された教育の中に社会人となって出ていくとき、就職の機会均等がないということは、彼らが一生を送るのに対して非常にゆゆしい問題ではないかと思われます。そうして今度は就職、仕事がなかったら一体どうなるか。これは三治局長の職業安定の関係になるだろうと思う。それらの問題を考えるとき、労働省は乾坤一番、奮励努力しなければ、これらの同和対策の抜本的な解決というのはなかなか困難であろうと私は思うわけであります。しかし予算上の問題をさいぜん触れましたけれども、その予算の面に現われる金額というのは、そうたくさん取れるものじゃないと思います。しかし抜本的な問題が非常に重大でございますから、労働大臣が各省関係といろいろこの問題について取っ組まれるはずであるし、取っ組んでもらわなければならないと思っておるところであります。従いまして労働省関係として、この同和問題に対するところの所見を、まず基本的にお尋ねしておきたいと思うわけであります。
○福永国務大臣 今日の日本において、今五島さんの言われるような差別があってはならないことは、これは申すまでもないわけでございます。政府施策全体がそういう観点から、足並みをそろえていかなければならぬことも申すまでもありません。私ども労働省といたしまして所管いたしまする事項につきましては、今るるお話のありましたような精神で、完璧を期していかなければならぬと重々考える次第であります。
○五島委員 差別があってはならないという大臣のその言葉というものは、まあ同じであります。差別をするかと言うと、差別はいたしませんと、こういうことになります。これは政府が差別するということでなくて、社会の仕組みの中に差別が行なわれるのではないか、こういうように思います。従って昨日も大臣あるいは三治局長を通じて、いろいろ質問をいたしましたけれども、いわゆるあの日雇い人夫の問題であります。そこで緊急失業対策の費用は二十万三千人の予定をされておりますけれども、二十万三千人の緊急失対人夫の人員の中に、この部落の人たちがどのくらい占めておるかとある県を調査いたしますと、六〇%から七〇%の日雇いの人たちは部落の人たちである、こういうようなことです。これは社会人の、成人の問題でございますが、これははたしてその通りの実情を示しておりますか。これは三治局長からでもけっこうでございます。
○三治政府委員 そういう部落の方たちが失対に、ある職安、ある地方でどのくらいの割合でいるかということは、まだ調査したことはございません。しかし失対の割当の場合には、いろいろの失業の原因を折衝に持ってこられる場合に、それの要請によって、私が前にやりましたときでも考慮はして配分しておることを覚えておりますが、われわれの方としてはそういうことで部落の方が失対の中で何人いるということについては、調査は全国的にはしておりません。ある一安定所の場合においては、あるいはそういうふうな失対のパーセンテージになるところはあろうかと思います。
○五島委員 職安としては、職安行政としては、これは部落の方だとか、あるいはこれは部落の方でないとかいうような調査というのは、おかしいと思う。しかし直接現場を担当しているところの職安関係の人々は、やはり職を求めんとするところの動態、動向、その実情というものは、私は知悉しておらなければならないと思います。これは経済の労働市場の実態を把握してかからなければ、やはり職業安定の万全を期することは不可能ではないかと思います。特に関西から以西の地方では、これらの状況が非常に濃厚であるということであります。ということは、これを労働省が認めるならば――認められるかどうかはあとでお尋ねしたいと思いますが、認められるならば、そうすると一般のそれらの人々の健全な仕事につく機会は、非常に少ないということを立証するわけであります。こういうことならば、一体これに対するところの対策などを、どう労働省は考えておられるのかということを聞いておきたいと思います。
○三治政府委員 まず第一に、われわれの方で力を入れておりますのは、新規学卒者の完全就職ということでございまして、これが新しく人生を立たれる人が、そういう差別上の問題で就職に支障がないように、まず第一に解決していかなければいけないと思います。それでことしの一二月卒業の就職者につきまして、この関係の同和対策を考えておられる方と職安と協力してサンプル的に調査した、兵庫県を含めた八県の結果を申し上げますと、中学卒業が四百六十四名のところ、進学者百三名を除きまして、就職者が二百八十三名になっております。そういうことでその他就職者以外は家事就業、家業に従事するということで、大体新規学卒、これは高等学校の場合におきましては、高等学校の卒業者は割に少なくて、調査対象三十四名で、就職者が二十二名というふうになっております。大体中学あるいは高等学校の新規学卒者については、就職が現在可能な状態になっております。これを職種別に見ましても、旋盤工とか機械工、女の方だと縫製工というふうになっておりまして、特別一般の新規学卒については特殊な部面は、あるいはあるかもわかりませんが、職安が紹介しております一般的な職種につきましては、そう変わったところはないのではないかというふうに考えております。それからあとでまた資料がありましたらお知らせしても――あるいは先生御存じかもわかりませんが、われわれ職安の窓として、職種別とか男女別とか、そういう客観的な区別について調査をすることは遠慮しております。しかし同和対策の方の、各県で作っておられるたしか同和対策協議会とかいう特別の、未解放部落の方たちの生活状態、就職状態を調査される機関がありますが、そういう調査の結果によりましても、やはり中高年令層の方たちが失対に就労されておる率は、一般よりは相当高かったというふうに感じております。それからもう一つは、そういう働ける方たちがなおいい職場を得るためには、やはり職業訓練をしなければならないと思います。この点は部落の力たちそれだけを対象にしてやるか、一般の中へどういうふうに入れていくかという問題で、種々苦慮しておるわけですが、三十七年においては、三重県では津で若い層を対象にして、そういう職業訓練をやるという計画もしておりますし、奈良県では何か訓練所へ入ったときには、県、市が一種の奨学金みたいなものを出して訓練を奨励する。この方法も非常にいいことだと思いますので、そういう訓練の拡大を通じて、やはり手に職を覚えてもらうという方法でやっていきたいと思います。なおその就職先の問題につきましては、せっかく就職してもそういうふうな差別的な環境に置かれてはまずいわけで、できるだけそういう差別的な環境に入らないような職場を、職安としては考えていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○田原委員 関連。そのような一般的な対策はやっておると思いますから、私は具体的な例を申し上げます。全国のセメント工場では、おそらく部落の青年は採用しない。お調べ願います。それからデパートでも採用しません。私の住んでおります福岡県の小倉市に井筒屋というデパートがある。身分を隠して娘たちが採用されましても、部落出身であるということがわかりますと、部落とは言わないけれども、何だかんだ理由をつけてみな断わってしまう。従って、今局長は部落の青年の職業訓練をおやりになると言われましたが、これも確かにいいと思います。しかし問題は、事業主の方の訓練というか、講習会でも開いて、有能にして健康な者は使う、むしろ進んでよけいにでも使うというくらいに気持を変えさせないことには、いかにあなたの方で職業訓練をやるといいましても――少なくともセメント会社では使ってないことは事実でございます。そのほかの工場でもあるかもしれません。一つは部落も貧乏なるがゆえに、進学率が非常に低い。義務教育をようやく終わるか終らぬかぐらいでありますので、そういう意味においては初めから資格はないけれども、少なくとも一つの工場に就職を希望し、そうして熱情があり、才能があると認められたら、その出身のいかんを問わず採用することは当然であります。労働省も今後力を入れることは、採用者側の考え方を変えるように不断の努力をして、注意あるいは激励してやるようにしてもらえるかどうか、これは一つ大臣の決意を聞かせておいていただきたいと思います。
○福永国務大臣 田原さんのおっしゃるのは、私は全然同感でございます。私の手近にもセメント工場は幾つかありますが、こんなばかなことはないと思います。さっそく私調べてみて、もしそういうことがありまするならば、適切かつ厳重な警告等も発して、そういう方法がいいかどうかは別といたしまして、効果的な措置をとりたいと考えておるわけでございます。デパート等について、一般的にはもちろんそうではなかろうと思いますが、今、田原さんが指摘されるようなものがあるといたしまするならば、これはもってのほかだと私は思うわけでございます。お説のように事業主において心骨違いのないような措置を、政府としても十分講じていかなければならぬと考えております。
○大原委員 関連して。今の点は、たとえば百貨店や特定の企業が、就労に際して差別扱いをする、そういう場合には、労務の紹介は職安を通すわけですから憲法違反ですよ。そういうところには、職安という国家機関としては十分な規制を加えて、職安行政を通じて監督する方法があるのではないですか。局長、いかがですか。
○三治政府委員 職安としては採用する権限がなくて、デパートなんかで、たとえば女子を三十名とかいうことで求人がくる。それを各職安機関が学校の先生と相談して適任者を推薦するわけです。それを採用するしないの場合の問題になると思います。従ってそういう出身別によってそれを区別するというふうな徴候が見えた場合に、職安としては公正に選考してもらわなければ困る。また非常に優秀な人が落ちて、情実関係の人が入るということについての指導、奨励ということはできると思いますが、その点のデパート側でもいろいろ選考した結果の問い合わせについての問題なんかは、微妙なところが出てくると思います。大臣のおっしゃったように、事業主側にそういう気持を起こさせないように、またそういうようなのは間違いであるということについて、職安としても努力していきたいというふうに考えております。
○大原委員 そういう事実についは、企業主の方はいろいろな理由を設けるわけですから、わからない場合が多いけれども、長い時間で見てみますと、あそこは部落出身者は雇わないということがわかる。そういう事実がわかりましたならば、今大臣もお話しになりましたが、厳重に警告を発して、当然全部の窓口は国家機関である職安がやるわけですから、企業に対してはそういう点でやはり人権を尊重するように、十分気をつけていただきたいと思います。特に要望いたしておきます。
 それから労働省の予算関係で、職業安定協力費が二百万円ここに計上してありますね。これは一体どういうふうにお使いになるのでしょうか。
○三治政府委員 これを特に置かれた動機は、一昨年でしたか、農林大臣の福田先生から、農村からの次三男対策の一環として、職安がそういう農村地帯になかなか影響が及ばないからということで、こういう制度ができたというふうになっております。しかしそれ以後年々ふやしまして、今のような予算になっておりますが、一人当たり年千円という実際上はほんとうの形ばかりになっておりますが、しかし実際に依頼しております協力員の方は、就職に実力のある人、顔のきく人、それから親切にやっていただく人を対象に今選考して、逐次任命して協力を願っておるところでございます。最近この協力員の方に対しても、われわれの方としては、こういう同和対策についても協力願うような人を選考し、できるだけ第一線機関で職業あっせんをするようにしたいと考えております。
○八木(一)委員 先ほどの田原さん、大原さん、五島さんの御質問にちょっと関連しますが、就職の差別の問題で、経営者にそのようなことをしたらいかぬという厳重な指導をしていただくことは、一応けっこうだと思いますが、直接的なところで政府だとか、地方行政団体だとか、公共企業体だとか、そういうところでもある。あるという現象が時代によって流動するわけです。本年みたいに労働者不足というときには、そういうことは割に現われません。また戦時中には人が不足になったので現われておりませんが、公共企業体で部落出身の青年を雇わないというところがありました。今の情勢では労働力不足ですから出ておりませんけれども、施策よろしきを得て不景気な時代がこなければいいと思うのですけれども、池田さんが言っておられるように経済を変動は避け得られないものであるというような悪い政策がとられておる以上、経済の波があってまた就職難の時代がくるということが考えられる。そういうときにそういう問題が起こるわけです。ですから経営者にも猛烈に指導をしていただくと同時に、政府や地方行政団体や公共企業体に、これは政府の方で直接指令が及ぶと思いますから、そういうことの万々ないようにこれは厳重な指導を願いたい。その点について労働大臣から……。
○福永国務大臣 この種のことについて広く民間の理解を求め、心得違いをなくするということから申しましても、まず政府や地方公共団体が模範を示さなければならぬことは当然であろうと思うわけであります。私は労働省に関する限り、そうしたことで心得違いのあるようなものがありますとすれば、これに対してはもとより警告を発することもけっこうでございまするし、今お話しのように雇用状況が現在のような事情でなく、失業も多く生ずるような事情というようなことになりますれば、ただいまの御発言と関連して、労働省がそれぞれ関係方面へ適当な通牒等を発してもよろしいか、こう考えております。
○大原委員 関連して。職業訓練ですか、つまり登録して失対事業をやる人は、部落関係は非常に多いのです。これは特徴的な現象です。というのは、就職の機会がないから、失対がどうしても生業のような形になっているということです。これは長い間の慣習や差別行政の結果でありますから、それをなくすためにはやはり計画的な、集中的な行政が必要です。そこで石炭なんかに対しても、失業多発地域等に対しまして集中的な政策をやるわけです。ですから職業訓練等も、そういう問題を念頭に置きながらやっていく。これだけでは解決しませんが、これも一つの同和行政、部落解放行政であると思うのです。従ってその点は特に念頭に置いて、これからも計画を立てていただきたい。行政全体がそういうふうに集中的な総合的になされることが私は大切だと思うのです。その点につきまして主管局長の御答弁を簡単にいただきたいと思います。
○三治政府委員 私、先日かわる前に職練局長をやっておりましたので先ほど若干申し上げたのですが、現在は主管局長ではございませんけれども、そういう方向で地方ともよく指導しながら、やはりそういう方たちが職を手に覚えられるように進むということが、解決の大きな手段になるのじゃないか、こういう考え方を持ってやりたいというふうに考えております。
○田原委員 関連して。そういう場合、労働省からも十分の注意を与えたりしておっても、なお採用後部落民であるということで事をかまえて、何とかかんとか言ってきますよ。それで馘首した場合の罰則がないので、罰則にかわるような処置、たとえば今後職安を通じては一切人を供給しない、これくらいの決意を前から事業主に与えておけば、そういう悲劇はなくなるのじゃないか。というのは、実に気の毒で、娘さんなんかデパートに試験を受けて入ったにもかかわらず、出身村があとでわかったことで首になりまして、自殺をする者がある。これは間接的な人殺しですよ。だからあなたの方で、職業訓練その他に際しまして事業主に十分の注意を与え、そうして政府の方針に従わせて、勝手に首切るところには人を送らぬというくらいの決意があるか。これを一つそこまでやってもらいたいと思うのですが、大臣、いかがですか。
○福永国務大臣 先ほども申しましたように、この種のことで心得違いの者を存在せしめてはならぬわけでありますが、直ちにそういうことを文字にして罰則等を設けることはどうかということについては、私、かなりいろいろの角度から検討しなければならぬと思うわけであります。ただいま田原さんの示唆なさるところは、そういう規則を設けることはいかがにしても、いろいろの行政措置でそういう不心得をなすような君に対しては、労働省で言うならば職業紹介を初め、いろいろのことでそこの思うように便宜をはかることは考慮をしてはどうか。このことは、単に労働省に限らず、いずれの事業場でも政府等と関連することが非常に多いので、そういう心得違いの者に対しては、政府はある程度行政措置上手かげんをするとかなんとかいうようなことになれば、これはその事業場の方においても、この点について大いに改めるということに効果があろうかと思うわけであります。そういうような気持で、私ども労働省の関係のことについては、できるだけ今おっしゃるような御趣旨のところへいくように、これは労働省部内に適当な方法で、教育ないしそういう考え方の徹底をはかっていかなければならぬわけであります。このやり方はなかなかむずかしかろうと思いますが、いずれにいたしましても今おっしゃったような気持で行政を進めていくということにつきましては、私も全く同感でございます。さようにいたしたいと存じます。
○五島委員 さいぜんから雇用の問題とか就職の問題、その機会均等の問題で、業者が部落出身なら採用しないということを会社の内規できめておる会社が関西にあるが、そういうことがあるならば、やはり雇用行政、安定行政としても、各同僚委員から強く要望されたように何らかの手を打たなければならぬと思います。しかし手を打つだけでこれが解決されようとは思いません。やはり精神的にこの部落民の同和対策に対するところの理解がなければならないし、理解とともに並行的に強い手を打たなければならぬと思います。ところが私がさいぜんから申し上げますように、就職の機会均等がない。就職しても賃金の平等がない。非常に安い。あるいは正規な会社に入れない。大企業には入れない。従ってさいぜん局長が発表されましたように、学校を卒業した数は伸びておるでしょう。数は健全な数をたどっておろうとも、その就職先の内容が、非常に中小零細企業の方向にいっているのじゃないか。だから部落出身者は低賃金で雇えるというような状況も、かなりあるようであります。従ってそういうようなことを根本的に解決する気持が労働省の中になければ、これらの問題は解決することができません。私は、雇用の安定の面、それから差別待遇とか機会均等がないということを中心として、労働大臣に聞いておるわけですけれども、しかしこの職業の世話をするということは、一体どういうところからきているかというと、学校の教育を終わった人からくるわけであります。ところが御承知の通り、労働しなければ生活ができないところの、この部落の人々は、すべて悪循環をいたしておりますから、子供の学校教育も不十分である。それは生活が低劣、劣悪であるから、学校教育に重点を注ぐことができない。なぜかならば、さいぜん触れましたように、日雇い労働に入らなければ就職の機会均等がない。そうすると賃金によって生活をしなければならないから、子供の教育まで十分でない。長期欠席者も、率としては非常に多いのじゃないか。文部省は来ておられると思いますが、しかもかわいい子供に十分な教育費用を出せないで、学校に行ったら、その学校の施設がよその学校の施設よりも非常に劣弱であった、そういうところで教育を受けている。生活が苦しいものだから、親の手助けをする。そうすると長期欠席になる。長期欠席をした人々が、中学校を卒業して高等学校に行こうと思ったって、行けないような状態がある。中学だけで就職しなければならない。それはどこへ行く。部落出身者だからなかなか採用ができないというような不平等が行なわれる。厚生大臣も来ておられますが、これだったら、自然と若い者が紅灯のちまたに安易な道をたどっていくことは、これは悪循環ではなかろうかと思う。池田総理がたびたび国会で、青少年問題を根本的に解決しなければならぬということを言い、労働大臣みずからも大きな柱としておられる。これは自由民主党が青少年の票をねらおうというところの宣伝じゃないだろうと思う。根本的な問題だろうと思う。ところが私が言うように、こういうものが正規の仕事につけないから、えい、もうめんどくさいということになる。だから安易な姿の中に身を落とす人々が多いのじゃなかろうかと思う。ですからこういう問題は、労働省だけで、解決することはできません。従って厚生省の青少年問題も必要でしょうし、あるいは環境の改善の問題も必要だと思うわけです。午前中に厚生大臣に聞いておられましたけれども、私はそういう問題は非常に重大だと思うわけです。つまり三つ子の魂百までですから、学校教育というものは非常に重大だと思うのです。私がさいぜん触れたように、長期欠席者がなぜ多いか。どこに現われるか。それは非常に生活の苦しいところの農村の学校においても現われるでしょうし、都市の部落管轄の学校というものは、長期欠席者の生徒数が比較的多いのじゃなかろうかと思う。それは一体どこからくるかというと、親の生活の劣弱であるということからきていると思う。その劣弱なものをどうして救うかということは、労働行政の生活の安定もあるでしょうし、その他もろもろの要件があるだろうと思う。幸い文部省が来ておられますから、この部落を管轄するところの学校の長期欠席率などが調べられておるものならば、ちょっと聞かせてもらいたいと思うのです。
○齋藤(正)政府委員 私、直接の担当ではございませんが、今長欠児童につきまして、部落とその他の関係というものを調べた資料を持っておりませんので、恐縮でございますがお答えするわけにいきません。
○五島委員 資料がなければ、説明を求めても仕方がありません。しかし方向としてはお認めになるのじゃないかと思うのですが、うなずいておられるから、その通りだと思います。
 そうすると、さいぜん私が述べましたように、たとえば部落のある中に小学校がある、その隣に部落でない小学校がある。その場合、施設はずいぶん違うように私たちは聞いている。学校の先生からも聞いている。これはどうでしょうか。どなたか担当の方はおられませんか。――ほかの部局の方がおられるのならば、私質問してもむだだと思います。しかしこれは一体どこからくるかということです。厚生大臣、これは社会生活からくると思います。ですから、もちろんその学校に子供を登校させている父兄の生活が劣弱であれば、現在の学校施設というものは、PTAの会費や寄付などによって学校が成り立っているわけです。そうすると生活の劣弱な人の多く住んでいるところから、寄付金が集まらないのは当然です。ところが金持ちがたくさん集まっているところは、どんどん寄付を出して、図書室だって食堂だって何でも設備はよくなります。そうすると、隣の学校はこんなに設備がよくて、自分たちの学校はガラスが割れているというのだったら、その学校の生徒だって、それは平等でない、自分たちだけはどうしてこんな学校にいるのだろうか、こういうようなことになってくる。子供のときからそういうような生活になれ切らせて、子供のときからそういうような生活状態で、いよいよ学校を卒業するということになると、就職の機会均等がないというならば、これは人間は曲がってしまわなければならない。従って国民を正常に、希望を持たせて生活させるということならば、こういうものを一貫的に考えていかなければならない問題じゃなかろうかと思います。そこで環境施設の問題についても、あるいは職業の安定についても、正規のところに就職せしめるというような事柄について今後――ここに関係の方々がたくさん御出席でございますけれども、文教関係の問題については、湯山委員から詳細に聞かれることになっておりますので、私はただこういう関係がある、従って政府当局は、審議会もできて、そして結論を二年ばかりで作るというように、総理府総務長官は午前中に言われましたけれども、あらゆる問題をここに集中されて、そして同和対策を根本的に解決されるように、口先だけではなく、あらゆる部局がほんとうに努力をされて、そしてりっぱな審議会の結論が得られるようにお願い申し上げたいと思うのです。私はほんとうに心から、皆様方に逆にお願いしたいと思うのです。私たちは質問をいたしまして、その通りでございますというような答弁は必要でございません。一つそういうような気持で努力をお願いいたしまして、私は労働大臣に対する質問を終わりますが、ほかの方が関連的に質問があるそうですから……。
○八木(一)委員 関連。今五島委員の言われたことを、労働大臣初めほかの方々もしっかり聞いていただいたと思いますが、労働大臣は午前中はおられませんでしたけれども、とにかくこの部落解放の問題は全国民的に解決しなければならない。それからもう一つ、その具体的な方法として、現象的な環境改善の問題にすぐ取りかかることは必要であるけれども、根本には、この差別が根底的になくならないのは、貧乏がなくならないからで、その貧乏の問題の根底は生産関係である。未解放部落の人たちは生産関係について立場を持っておらないということにあるということを、当時の岸総理大臣は確認をされたのであります。その他いろいろありますけれども、時間の関係で、あとで昭和三十三年三月十一日の社会労働委員会の速記録を御熟読願いたいと思いますが、その中で、その問題を解決するために労働省が一番大きな仕事をしなければならない。今部落の人たちの中で農業にいそしんでおる人がありますけれども――これはその速記録をお読みになればわかりますけれども、反別が非常に少ない。
  〔委員長退席、永山委員長代理着席〕
全国平均三反歩以下というような状態であります。場所も非常に悪い。日が当たらなくて、作物がうまくできない。水害になれば一ぺんに流れるというような悪いところしか持っておらない。ただでさえ政府の農業政策で、零細な農業の人たちが非常に状態が悪いことは御承知の通りであります。また前から資金を持っておりませんでしたから、経営者として、あるいは商業の担当者として進出する部門はひどく狭められております。勤労者としていく道が残されているだけでありますけれども、その道もさっきから再三言われておりますように、就職の差別で、大企業なり安定した企業なりに就職はしておらないという問題があります。それと同時に、就職をしても賃金の問題がある。五島委員から言われましたけれども、雇用の形態が不安定である。臨時工、社外工という問題は、労働大臣、十分わかり過ぎるほどわかっておられるはずでありますけれども、社外工といわれる人たちの大部分が部落の人たちである。臨時工の中にも非常に多いわけであります。こういう働く形態で――雇用形態に間接になりますが、そういう社外工あるいは臨時工というような問題を解決することが、一つの大きな推進力になるわけであります。これは一般的な労働政策として最も重要なものの一つでありまして、その問題を進めることが、このような問題を解決する一つの大きな方向になるわけです。そのような点で、労働大臣は完全解放の問題で非常に大きな立場を持っておられるわけでございまして、実は御質問中に、積極的に労働大臣からそいうことの御発言があることを期待しておったわけでありますが、答えられる際にそういう御発言がございませんでした。労働大臣みずからそういう問題を解決して、完全解放の方は労働行政の面で進めるというような決心をぜひお持ち願いたいと思いますし、これから閣議その他でこれを御推進願いたいと思うわけであります。そういう問題について、一つ前向きな、積極的な御返事をお約束いただいたならば、私の労働大臣に対する質問は今これだけにしておきます。
○福永国務大臣 御説のような考え方で、諸般の施策を積極的は進めたいと考えます。
○永山委員長代理 湯山委員。
○湯山委員 せっかく大蔵政務次官がお見えになっておりますから、今問題になりました雇用対策につきまして、私の聞いておる一つの実例を申し上げて、特に大蔵政務次官は御善処願いたいと思いますのは、金融機関は、採用にあたりまして相当厳密な身元調査をいたします。その中で私の聞きました例では、ある同校の卒業生の女子です。非常に成績もよくて、一次試験にパスした。ところが身元調査の結果、就職できなかった。そこで学校の先生が行って聞いてみましたところが、成績は非常にいいのだけれども、身元調査の結果工合が悪いという。なお聞きただしてみると、やはり部落出身者であるということが工合が悪いのだけれども、このことは絶対外へ言ってもらっては困るということで、結局そこへの就職はできないで、他へ世話してもらったという事実があるわけです。もし金融機関等が、身元調査の結果そういうことになった場合に、そのことで差別をするというようなことがあると、これは大へん重要な問題なので、特に金融機関等にはそういう身元調査ということがありますから、そういうことの出てくる可能性が一そう強いと思いますので、一つ大蔵政務次官、こういう点については十分御留意願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○天野政府委員 おっしゃられるような点につきましては、そういうことのないようによく指導したいと思います。
○湯山委員 農林省の方へお尋ねいたします。先ほど厚生大臣の方からも、モデル地区についての御意見の御開陳がございました。農林省では、農山漁村同和対策費として、本年は約二千八百万、それから来年度は大体四千六百万円程度の対策費を要求しておられます。その今予算要求しておられる分の内容については、当初農林省が要求された資料によりますと、二十五の町村がこの中にあげられております。その二十五の町村の内訳を見ますと、これが大へん片寄っております。どういうふうに片寄っておるかというと、たとえば二十五の町村の中で、徳島県が五つ、高知県が五つということになっておって、全国二十五の町村の中で徳島、高知が十を占めています。予算額においても、大体それに比例したものになっております。そこで、これは公式にではありませんけれども、非公式に尋ねてみますと、この市町村は、自民党の政調の方から上がってきたものをそのまま上げるので、農林省としての意思は入ってないのだというような説明でございました。はたしてそういう状態なのかどうなのか。あるいはもっと違うのか。農林省としてのこういう市町村指定のやり方ですね、それを御説明願いたいと思います。
○齋藤(誠)委員 ただいまモデル地区についての選定の手続に関連して御質問があったわけでございますが、これは各省とも同じだと思いますが、モデル地区指定の希望町村が各府県に報告されまして、それで各府県で、大体は民生部だと思いますが、それを取りまとめて中央に提出されるわけでございます。そこで関係省が集まりまして、そうして大体二省以上にまたがるものをモデル地区として取り上げる。農林省だけでやる事業については、従来の内容としては農林省の施策と同じ内容のものでございますので、二町にまたがるような地区につきましては、モデル地区として取り上げるということで、関係各省で協議会を持ちまして、そこで予定の地区をきめまして、調査をいたしました結果、最終的に地区をきめる、こういう手続をとっておるわけでございます。もちろんその間与党とのいろいろ連絡ということはございますけれども、今申し上げたような手続できめることにいたしておるわけでございます。
○湯山委員 局長は大へん遠慮深く御答弁になりましたけれども、それは建前はそうかもしれませんが、実際になぜここを入れたか――もうすでにきまっておるわけでしょう。大体三十七年度の指定町村というものは、多くの場合、たとえば簡易水道なら簡易水道にしても、あるいは隣保館にしても、実際は今の段階できまっておるということの方が変なので、実は予算がきまって、それから手続を申請して、それからきまるというのが常識だと思うのです。ただ農林省の同和対策費だけは、もうすでに第一次の予算要求のときから大体町村がきまっておる。こういうところは確かに問題なんです。それではおかしいじゃないかということを言いましたところが、実はそういう答弁で、われわれの方でとやかくしたのではなくて、党の方から上がってきたものをそのままやっているのだから、その詳細についてはわからないというのが、農林省の非公式な話だっわけで、これは私は間違いないと思うのですが、ほんとうは実質は大体そうじゃないのですか。
○齋藤(誠)政府委員 先ほど申し上げたようなところでございまして、地区を決定する場合におきましては、予算要求の前に関係省とそれぞれ班をきめまして、そうして上がってきております地区の中につきまして、調査班を編成し、大体予算要求の対象地区については調査いたすわけでございます。調査した結果、大体三十七年度の要求数字としては幾らにするかということであって、本年度六十八というものを予算要求しました。これに基づいて予算の実行をいたそう、こういう考え方をとっておるわけでございます。その際調査計画を立てます場合に、関係省の方のほかに、与党の方も一緒においで願うということも従来あったようでございます。
○湯山委員 こういう行政的な責任を持ってやらなければならない事項について、関係者間での調整は、これはけっこうだと思います。その段階に与党だけ入れるというのはどういうわけでしょう。そこへくるまでの前の段階でいろいろあるということはあってもいいと思いますけれども、今のお話では、各省折衝の段階で、しかも具体的のどの町村を入れるかという段階へ与党の意見を入れていくというようなことは、私どもには了解しかねるところで、そういうことではなくて、やはり行政機関の系統を通じて町村から県、県から国、こういくのが本筋だと思います。しかしこの同和対策事業の対象市町村の決定ということは、そういう経路を経ないで、もっと違った経路でなされている。そこに私は大へんな問題があると思うので、政務次官はそのいきさつを御存じないだろうと思うのですが、もし御存じならば、一つ御意見をお伺いいたしたいと思います。
○齋藤(誠)政府委員 地区の決定につきましては、先ほど申し上げましたように、二町にまたがっておるものをモデル地区として取り上げるというのが、従来の対象の基準になっております。従いまして地区の調査につきましては、負担の省におきましてそういう計画を立てられまして、農林省はそれに参加するという形をとっておるものでございますから、農林省自身でこれをどういうふうにしてどうするのだということについて御質問を受けても、ちょっと答弁に困るわけでございます。事実は今申し上げたようなことでございます。
○大原委員 関連して局長にお伺いしますが、モデル地区ということで意味があるのは、部落の差別の結果起きた貧困やそういう問題を解決するために、総合的にどういう施策が必要である、その際に地区を指定して、年次的に総合的に何年計画かでその部落の問題を解決していく、こういう総合計画があって本年度の計画が実施される、こういうことであるならばモデル地区は、やり方について基本的に問題があると思うけれども、これならなお行政の公平という面からいって筋は一応通る。そういう全体の展望とか、現在の時点においてはどういう段階かということについて、あなたは承知してやっておるのかどうか。総合的な計画を承知してやっておるのかどうか。こういう点について率直な御答弁を願います。
  〔永山委員長代理退席、委員長着席〕
○齋藤(誠)政府委員 同和対策自身につきましては、実は従来から厚生省でやっておりまして、農林省といたしましては零細農民対策、農村振興対策として、新農村建設事業であるとか、あるいは不振地区の振興対策とかいう形で、従来、取り上げておったわけでございます。それが三十四年に、同和対策の閣僚懇談会で一応の方針がきまりましたので、関係省におきましても同和対策という見地から、農業分野についても取り上げる、こういうことに実は相なったようなわけでございます。従って毎年度取り上げます地区について、各県から上がってきましたものをわれわれは審査して決定する、こういう建前をとっておりまして、同和対策全体として農林省が年次計画をもって今やっておるというふうな段階には、現在立ち至っておらないわけであります。
○湯山委員 私が聞いた範囲では、どういうのがどうきまったというのを知事も知らない。知事も知らない間にきまって、逆に県の力に通知がある、そういう事実があるのです。それは農林省から行ったのか、何か別の機関から行ったのか、そこらを明確にしたいのですけれども、とにかく知事が知らない間にどこかできまった。お前のところのこれが今度入る、そこで知事が申請を出すというような形を、少なくとも農林省のこの予算に関する限りは、そういう方法でやられておるのが相当あります。これは局長も御存じないはずはないと思うのです。本年度の各県別で見ましても、そういう地区を持っていながら、そういう要求がありながら、全然歩ていない県が相半たくさんあります。四国で申しましても徳島、高知は今のように二十五分の十、愛媛、香川は同じような状態にありながらゼロです。そういうことはもし農林省が主体性を持ってきめていくのならあり得ないことです。こういうことができておるということはどうしても納得ができないし、そしてそのいきさつにも、某局長の御答弁ですけれども不明朗なものがある、明確にならないものがある。そこでいろいろ聞いてみますと、いろいろないきさつが私にはわかってきたわけで、それは大へん困るということで、きょうおいでを願ったわけです。先ほどのモデル地区に対する厚生大臣の御答弁もありましたから、こういうような行き方では決して同和対策にはならない。むしろどこかで何か変な団体が下調査をやって、それをきめてそれをどこかの党に持ってきて、それが農林省に行く。同町に府県の方へも通知してはね返って、知事から申請したような形をとる、こういうやり方は行政の秩序を乱すものでもあるし、同和対策のやり方としては、そんなやり方をしておればかえって差別の再生産であるし、行政に逆行しているというので、これはぜひ是正しなければならない。むしろまだ予算もきまらないのですから、今から全部御破算にして――今局長は大体きまっておると言われたけれども、そういう不明朗な形できた今回のこの決定というものは一応御破算にして、予算はこれよりふえないでしょうから、それをもっと公平に、ほんとうにその県なり地方の要望を聞いて、必要なところに必要なふうな配分をする、やり直す必要があると思うのです。それについて政務次官、これは大きい問題ですから御答弁願います。
○中馬政府委員 先ほどの振興局長の答弁の中で多少誤解を生ずる点もあると思いますから申し上げますが、行政出局としては、その過程においてはもちろん与党の御意見を承りましたけれども、最終的には農林省の責任としてこれを決定あるいは内定をいたしたのであります。なおただいま、今すでに内定いたしておるという問題について、これを解消してやり直せという御意見でございますけれども、これは農林省独自の見解で決定いたしたものでなくて、他の関係各省との間において相談をいたしてきめた問題でありますから、ただいま即座にこれをくつがえすということは、私どもとしては考えるわけにはいかないと思います。
○湯山委員 委員長にお願いしたいと思うのです。これは今申し上げましたように、その決定のいきさつというものは、決して同和対策事業として適切な経路を通っておりません。そこで私は総務長官の御出席を願って、こういうモデル地区の指定の仕方というものは、これは明らかに同和対策事業にとっては逆行しているということを、総務長官によく今のことを認識してもらって、審議会としてもう一ぺんやり直す、まだ予算も通ってないのですから、予算がこれからどうなるかということもきまっていない。幸い内定の段階ですから、再検討願うということを総務長官に要請したいと思いますから、すみやかに総務長官の当委員会への出席を促していただきたい。
○中野委員長 承知しておりますから今……。
○八木(一)委員 農林政務次官と振興局長に申し上げますが、今湯山委員やほかの方が言われた意味は、どういう意味でそういうことを言っておられるか。農林政務次官や振興局長にその意味がおわかりになったらおっしゃっていただきたい。
○中馬政府委員 恐縮ですが、もう一回……。
○八木(一)委員 湯山委員がいろいろなことを心配されて御質問になった意味を、ほんとうにわかっていられるのかどうか。わかっていられるとするならば、どういう意味と解釈して受け答えしておるかということです。
○中馬政府委員 正確に判断ができておるかどうかはわかりませんけれども、多分二つあるのじゃないかと思います。一つは、決定の仕方について、与党の決定をそのまま政府が認めて、それを県の方に天下りに流した事実はないかどうか。もう一つは、地区の問題でございますけれども、高知県、徳島県等に片寄っておって、愛媛県あるいは香川県等においても同様の問題があるのに、あるいは条件があるのに、これが入っていないのは穏当ではないという意味であると思います。
○八木(一)委員 それが部落解放問題、政府の方では同和問題と言われておりますけれども、いろいろ差別という問題を根本解消するという問題と、どういうつながりをもって湯山委員が聞いていられるか、どういうふうに理解しておられるか。
○中馬政府委員 その点は、はっきりわかりませんけれども、決定の仕方あるいは地区の選定等について、もし穏当を欠き、あるいは片寄った決定をするならば、同和対策上好ましくないということではないかと思います。
○八木(一)委員 ほんとうにおわかりになったら、さっきのような御答弁は出てこない。部落解放問題については、朝も要請しているのに来ておられない。昭和三十三年三月十一日に岸内閣総理大臣と野党の質問の中で根本的な論議をせられて、意思確認がなされております。そういう中で、この問題は根本的に全国民的に解決する、あらゆる政府がその意味で努力をする、その方法として政党政派に堕してはいけないというようなことが言われております。もう一つ、この問題は部落を解放してほしい、解放しなければならない、差別がなくなるようにしなければならない、差別自体がある、差別のまた観念的なもとでもある貧乏の問題を解決しなければならない、その問題で農業の問題、労働の問題、そういう問題を解決しなければならないということの中に、これは権利であるということが確認をされておるわけであります。権利であるということを一つよく腹の中に理解しておいていただきたいと思います。
 ところで、今言われたようなやり方で予算が決定されると、どういうことが起こるか。与党の方に話して、県知事が、そういうところの調査を経ない、そしてそういうことがやられたならば、与党の力に話をしないと、その零細な農村の立ち上がろうとする対策が早く進まない。十分に予算が入らないということになる。そうなれば、権力を持っている、今一番政治権力の強い絶対多数である自由民主党の方にお願いしなければ、部落民が年産に従事して立ち上がるということができない。お願いしなければ、差別の根底である貧乏がなくならない、生産関係が立ち行かないということであるならば、権利ではありません。権利ということを確認しなければ、そういうことがほんとうに進まないのです。困っておるからどうにかして下さいということで問題を解決すべきものではないのです。あらゆる政府が全国民を代表して、これを解決することが義務であるということで、根本的に遂行しなければならないということが、政治の大きな場面で確約をされておるわけであります。それが農林省のやり方で、権力の強い方に拝み倒さなければこの問題が進まないということであれば、的に大きな政治の場で約束されたことが反対になってくるわけであります。お願いしてやってもらうものではないのです。徳川時代の政府が農地を分けなかった。明治時代の解放令の場合でも、農地の再配分をしなかった。終戦後の農地解放でも、小作権を持たなかった者に分けなかった。農村に住みながら農地を持っていない。生きる道がない。その間に努力してわずかな小作権を持った人がわずかな農地を持っておる。非常に零細なところで苦労をして生活をしなければならない。建設をしなければならない。その数百年の政府の責任を、ほかの人は楽をしてその人たちが苦しめられて、現にその子孫が苦しんでおる状況を解決することは、政府の責任である。それを要求することは当該の農民の権利であるということを考えたときに、その権利を持っている人が、政治権力を持っている一部分の人たち、しかもその問題を放置しておいた人たちに頼み込まなければ、その問題が早く進まないというようなことがあっては、逆行するわけであります。差別を助長するわけであります。部落解放問題を恩恵的に考えてはなりません。政府は今までの責任を果たし、義務を遂行する、そういう立場でやらなければならないのに、政党の意見を聞いて、そして知事もあとから行くというようなことがあるとするならば、最も間違った方向であります。厚生省にもモデル地区が――非常に不安でありますが、厚生省の行政はモデル地区ばかりではありません。農林省だけであります。農林省は全部モデル地区、しかもそのモデル地区が、先ほど大原委員の言われたような方向ではない。そのような拝み倒して、頼んだものにいく。徳島県にはいくけれども、愛媛県にはそれ以上の状態があっても一つもいかない。そのような行政は、なってないわけだ。そういうことをほんとうにあなたが知っておられたならば、その予算は組みかえることはできません、というような答弁はできないわけだ。岸内閣の方針を踏襲するということを、国務大臣である灘尾さん、内閣の大番頭である大平さんが、午前中に確認せられたところであります。そうならば、その方針に従えば、その予算を組みかえるということが、内閣の方針に従うことであります。また内閣が公約を果たすことにあなた方が反逆しないことになる。その予算を組みかえる、そのような方向で御返答なさらなければ、あなたは内閣の方針に反した答弁をされていることになる。そういうような問題で把握をしていただかなければなりません。また具体的には、片方に条件が違うところがあるのに、必要が多いところが疎略にされ、それと同時か以下のところが先にされたならば、そこに差別のもとである農村の貧困、部落農民の貧困の差が、その中でまた階段がつくことになる。そういうような方針について、初めてですからこれ以上申し上げませんけれども、認識を改めていただいて、今までのことはけっこうです。別にそれ以上追及はしませんけれども、改めていただいて、そのような過程で組まれた予算については、組み直すことを検討されなければならないと思う。それがいかに形式的に省議できまっておっても、間違いは正さなければなりません。そのような観点で、農林政務次官は組み直すという考え方でやっていただかなければならないと思いますが、農林政務次官は、内閣の方針がそうでありますから、農林大臣がおられなくても、断固として確信を持って改めるという前向きの御答弁をしていただいて、一つも差しつかえないものであると私どもは信じます。どうか政治のほんとうの正しい道に進んで、この線に従って、政治家としてのまじめな農林政務次官の前向きな御答弁を、ぜひ一つお願いいたしたいと思います。
○中馬政府委員 先ほども申し上げましたように、農林省独自で決定したのではなくて、関係各省との間で話し合いの結果、決定いたしたことは、先ほど振興局長からも申し上げましたので、その点、ただいま八木先生の方からの強い御発言もありましたから、省に帰って検討はいたしますけれども、必ずこれがどうなるということの確約は今できませんが、一つよく検討はさしてもらいたいと思います。
○楢崎委員 関連して。今のこのモデル地区の表を見られておかしいと思われるですか、思われぬですか。きまったいきさつは、今あなた方の言われたのを聞きましたが、政務次官として、こういうきめ方、実際に出ておる結論をおかしいと思われぬですか。愛媛には何にもない。徳島、高知には五つもある。とにかく十二県六十八地区ですね。ないところも多数ありますが、この表を見ておかしいと思われるかどうか、それだけ一つ聞かして下さい。これを再検討すべきであるということは各委員から言っておる通りですが、それは別として、この表を見られておかしいと思われるかどうか。
○中馬政府委員 一見すれば、なるほど全国四十三都道府県の中で十二、三の府県だけが指定されているということは、おかしいように思いますけれども、ただ地元負担とかあるいは県の助成とかという問題もございますので、あるいはこういう県はその点において熱意がなかったのではなかろうかという感じはいたします。
○楢崎委員 今の御答弁は私そのまま承っておきまして、後ほどまた与えられた質問のときにやります。
○湯山委員 では、今の農林省関係のことは、あとで総務長官が見えてからお伺いすることにします。
 次は文部省にお尋ねいたします。文部省のいろいろな同和関係の予算の中で、同和教育研究協議会の予算が大体百万円余り組まれております。三十六年度にこの研究協議会は何カ所でやる御予定で、どこどこでおやりになる御予定であったか、それが実は予定通りできなくて、会場変更その他の措置をおとりになったという事実を聞いておりますが、それは一体どこでどういうふうにして、どういう理由で予定通りできなかったか、これは政府委員でなくても、説明員からでけっこうですから、御答弁願いたいと思います。
○上野説明員 同和教育連絡協議会の学校教育関係の予算は、三十六年度四十七万一千円でございます。当初これを二会場に分けまして、同和地区に関連の深い西日本は徳島会場で実施をし、東日本は滋賀会場で実施をする予定でございましたが、徳島の方は予定通りきわめて充実した連絡協議会ができたのでございますけれども、滋賀県の方は、客観情勢その他の関係で、平穏にこれを開くことが困難であるという申し出が、共催である県の教育委員会の方からありましたので、これを延期いたしまして、本年の一月に東京でこれを実施いたしました。
○湯山委員 客観情勢その他というような表現ではなくて、大へん重要な問題ですから、具体的にどういう理由で、どういうことになってできなかったのだというようなことを、明確に一つ御答弁願います。
○上野説明員 県の教育委員会からの報告によりますと、近畿地区の教職員組合並びに部落解放同盟の近畿地区協議会が、この連絡協議会を開催するということに対して反対を申し入れて、強くその中止を要請したからであります。
○湯山委員 その教職員組合なり解放同盟が、いかなる理由で中止を要請したのでしょうか、その理由を伺いたい。
○上野説明員 その理由は、教職員組合なり解放同盟で進めてきた部落解放の運動に対して、この文部省主催で実施いたします連絡協議会がよくない影響を与えるのではないかということで、これに対しては反対であるということを申し入れたわけであります。
○湯山委員 もう少し具体的に言って下さい。私のお聞きしておるのは、よくない影響を与えるとかなんとかではなく、具体的に、ではなぜ、どういうよくない影響か、反対の理由はどこなのか、おわかりにならなければわからないというふうにお答えいただいてけっこうです。できるだけ詳細に御説明願いたいと思います。
  〔委員長退席、永山委員長代理着席〕
○上野説明員 その内容は、部落解放同盟なりあるいは教職員組合の方で進めて参りました部落解放運動と関連をとったいわゆる同和教育でなければならぬ、文部省の実施するような同和教育では微温的であって、不十分である、そういう趣旨だと解しております。
○湯山委員 どこが微温的だというのでしょうか。もう少し具体的にと言うのですから、ほんとうに具体的に言ってもらわないと、あとの質問ができません。
○上野説明員 部落解放運動と同和教育とを一体にしていないということではないかと私は解しております。つまりある意味で私どもから考えますれば、誤解があるのではないかというふうに考えますけれども、反動的な同和教育を実施されたのでは困る、そういうような意向のようであります。
○湯山委員 反動的なとか、なまぬるいとかいうことじゃなくて、どういう点がどうである、やり方のどういうところがどうなんだというような、具体的な事実についてはないのですか。
○上野説明員 事実についてはございません。
○湯山委員 それではどういう点が反動的だとかいうのは、御調査になっておられないですか、おの聞きになっておられないのですか。
○上野説明員 融和的な教育というふうな考え方をとっているのではないかというふうに私は解しております。
○湯山委員 そういうことに対して文部省の方では、それはこうこうであるというような釈明をなさいまして、理解を得るような何か措置をおとりになりましたか。
○上野説明員 日は差し迫っておりましたし、現地の会場県である滋加県の方から、平穏裏に開会することは困難な情勢にあるという判断を持って参りましたので、それに従いまして延期をいたしたわけであります。
○湯山委員 具体的にどういうふうにしてもらいたいというような要望もあったと聞いておりますが、それはお聞きになっておりませんか。
○上野説明員 向こうの方で具体的にと申しましても、日は差し迫っておりますから、波乱が起こってはいけないということを非常に心配されたものと考えております。
○湯山委員 幾らお聞きしても、それ以上のことは出てこないようですから、この考え方についてお尋ねをいたしたいと思います。それは先ほど五島委員から長欠についての質問がございました。部落出身の児童生徒の長欠の状態は、他の地区のものに比べて率が非常に大きいという御指摘がありまして、今私もある県のある村の、ある町のことをお聞きしますと、その小学校では長欠児童の七〇%が部落出身者である。理由は貧困ということをその学校の先生が、その議員に説明したそうです。一体この調査費――文部省の予算には百万程度組まれておりますし、それから今のような協議会の費用もあるし、それから研究協議会の開催というような費用も組んでおられます。一番大事な、こういうようなことがそのままほうっておかれて、長欠児がどれくらいあるかというようなことについての調査が不十分であって、それで同和教育を推進しようと思っても、これはなかなか推進にならないと思います。本来私どもこういう会に出て聞かされることは、先般も愛媛県でありましたからちょっと出席いたしました。そして皆さんのおっしゃるのを聞いておりますと、そんなに大ぜいが集まって、そうして大ぜいのいるところでいろいろ観念的な議論をしても、同和教育というものは前進しない。少数の人がほんとうに日常の体験、事実、そういうものを話し合って、その中からそれぞれ具体的なその地域々々の特性に合ったような、そういう教育を話し合って、そういう中から初めて同和教育というものの進展というものが見られるものだということをそこでも言っておりましたけれども、そういうことを抜きにして、文部省の方でとにかく教育委員会の指導主事とか校長さんとか、そういう人だけを集めて、現場の先生というものが日常取り組んでおる、その七〇%もの長欠児童をかかえて苦労しておる先生、家庭訪問をして家庭の事情をよく知っておる現場の先生、そういうものを抜きにした研究協議会をあるいは連絡協議会、そういうものだけでは上すべりしてしまって、ちっとも同和教育の前進にならない。そういうことではだめだということは当然おわかりのはずだと思うのですが、これは齋藤局長どうですか。
○齋藤(正)政府委員 同和教育の研究協議会につきましては、学校教育、社会教育、両面でやっておるわけです。社会教育の面では、担当社会教育主事が集まって研究する、これは行政の担当者の研究集会でございます。それから学校の方につきましてはこれは基本的に、要するに各個人々々の人権が尊重されて、そしてゆえなく差別がないということは、これは単に同和問題だけでなく、学校教育のいろいろな内容として当然出ていることでございますが。それが未解放部落の同和を含みます学校で、具体的にどういう障害が起こってくるかというようなことをやりますので、県の指導主事あるいは学校長あるいは管理者に立つ教育委員会関係、それから今回は教員も入っているそうでございますので、担当者も必要でございましょうし、そういうものを行政上のほかの施策にも反映させるその管理者というものが、十分にこういう研究協議会で実態を把握し、他の場所で行なわれておりますいろいろな事例というものを、よく理解して帰るということは必要だろうと思っております。
○湯山委員 一般的な教育でしたら、そういうふうなお考えもあると思います。しかし同和教育というのは、そういう一般的な教育の範疇では考えられない、そういう面の教育なんです。それを一般的な教育のあり方の線でやろうとするから、それでは何もならない。下手しますと、その議論なんというものは、おそらく上すべりな議論しかなされないと思うわけです。そんなものが同和教育だと指導者である指導主事が思い込んだら、それは大へんなんです。校長さんがそうやって研究発表したそういうものが同和教育だと思ってしまったら、これは大へんな間違いが起こりますから、そこでさっき滋賀県でありましたように、教職員組合とか部落解放同盟の人は、そういう教育をやってもらったのでは困る、そういう会をやってもらっては困る、やはりもっと現場の先生とか父兄とか、そういうものを加えた実質的なものにしないと、それはかえってその同和教育の会そのものが、これもまたさっきの話じゃないが、同話教育の前進を阻害する、こういう観点からの反対だったと思います。こういうことの認識が文部省も足りないと私は思うのです。それからやられる人も同じだと思いまして、これも私は同和教育のそういう会のあり方というものはどうなくてはならないかという問題について、やはり審議会で再検討してもらう必要があるのじゃないか。その前に文部省の方でもう一度同和教育について真剣に本質的なものから考えていって、そしてどうあるべきかということを結論を出す、そういう作業がその前提として必要でないか。ただ取れた予算で何回か協議会をする。ここでやらなければ文部省の中でやる、そういう行き方がとられることが、むしろ文部省のこの教育に対する認識の不足を物語っているというようにとれると思うのです。これはどうでしょうか。
○上野説明員 ただいまお話のように同和教育の協議会が、非常に広い層の参加者によって行なわれる、つまり指導主事だけではなしに、校長、教員も含めて、それで現場の実態に即した内容によって行なわれるということは、当然必要なことであり、私どももかくなければならないというふうに信じております。ただそういうことを推進する上において、どういうふうな順序でやっていったらいいかということで、ことしはああいうやり方を考えたわけであります。将来どういうふうにこれを進めていくかということにつきましては、私どももただいまの御意見もございますし、客観情勢の推移もございますので、できるだけ効果的な研究協議会が持てるようにやっていきたいと思っております。それからいろいろな点についても、府県の方とも連絡をとりまして資料を収集して、より効果的なものができるように努力して参りたいというふうに考えております。
○湯山委員 三十七年度はどことどことでやる予定ですか。何か愛媛県の方でもやるというようなうわさもちょっとあったようですか……。
○上野説明員 三十七年度、どこどこでやるかということにつきましては、まだ全然計画を立てておりません。具体的にどの県ということも立てておりません。
○湯山委員 地方でやる御予定ですか。東京でおやりになる御予定ですか。
○上野説明員 まあ仕方なければ最後は東京ということが考えられますけれども、これから研究を進めて、その上で決定いたしたいというふうに考えております。
○湯山委員 要望いたしたいと思います。文部省の方で今のように指導主事とか校長さんとか――現場の先生というのは何かこの間二十名くらいだったそうですけれども、そんな程度のものでは同和教育はほんとうには参りませんので、先般の滋賀県における反対等も、よく事前に解放同盟の方とかあるいは教職員組合、それと直接取り組んでいる先生の組合、そういうものともよく現地で意見を調整して、やはりほんとうのものならば現地でやることがいいことは間違いないわけですから、そういうふうにやれるような努力を、ぜひ文部省としてもやってもらいたいと思います。要望でございますから御答弁は要りません。
 それからいま一つは、集会所を今度十カ所八百万円程度の予算で設置される。そのことは私も大へんけっこうだと思うのですけれども、従来の隣保館等について、どうも相当荒れたままで放置されているのもあるわけです。こういう集会所等がうまく運営されるかどうか、大へん重要な問題だと思います。そこでその前提としては公民館主事、こういう人が相当熱心な人がなければ、せっかく作ったこの集会所をうまく運営できないと思います。そこでお見えになっているのが社会教育局長ですから、こういうことを文部省でおやりになるにつけても、社会教育主事の必置ということは、もう当然やらなければならない段階だと思います。ところが実際は今の段階では社会教育主事は必置になっておりません。公民館長の方は必置になっておりますけれども、これはあってもなくてもいい人の方が多いので、ほんとうに仕事をする公民館主審が必置でないということは、せっかくこういうふうにして集会所を作っても、またいい物置になったり、荒れたままで放置されるという心配がありますが、ぜひ公民館主事の必置ということをこの際やらなければならないと思いますけれども、どうでしょうか。
○齋藤(正)政府委員 集会所は、いわば簡単に申せば部落公民館――公民館の本来の機能を果たせば名前が違いましてもいいことでございますので、施設費とそれから設備、視聴覚器材等の設備を二分の一補助する、本年度は本館ということでございます。この配分につきましては、御指摘の通り、建物があって、そして教育委員会にしかるべき指導者がいないということでは、本来措置をして建てるという趣旨に沿いませんので、これは予算の配分上の問題でございまするけれども、本年度から始まることでございまするので、その運営が十分にできますように、人的、物的の条件をよく考えてきめたいと思っております。公民館主事の問題につきましては、現在社会教育主事の必置ということが経過的に進んでおる段階でございまして、現在のところ公民館主事ができるだけ置かれるということを望み、そういう行政指導もいたしたいと思いますが、まだ法律上これを全国の市町村に義務設置をするという段階にはなっておらないわであります。
○湯山委員 質問の方は終わりたいと思いますけれども、これは、ぜひその方向へ進めていただきたいと思います。そうでないと、せっかくお作りになっても、機能を十分発揮しないばかりでなくて、またこれからあとの問題にも影響してくると思いますから、ぜひ公民館主事を必置にするという制度化をすることに御努力を願いたいと思います。
 総務長官が見えたらまた質問することにして、一応終わります。
  〔永山委員長代理退席、藤本委員長代理着席〕
○藤本委員長代理 楢崎君。
○楢崎委員 農林水産関係について御質問をしたいと思います。
 昨年の臨時国会で、農林水産委員会に提出をいたしました部落解放に関する請願について、まず政府としてどのように、特に農林水産関係の責任者としてどのようにお考えになっておりますか、それをお聞かせ願いたい。
○中馬政府委員 昨年の国会における部落解放同盟中央本部その他からの請願につきましては、大体四つの項目が掲げてございます。第一は開墾可能な山林、原野、沼沢を部落農民に無償払い下げること、第二は開墾住宅費を含む営農資金を大幅助成すること、第三は、協同作業化のための設備資金を助成し、特に養豚、養鶏、果樹園芸に対し指導助成すること、第四は、国、公有林の入会権を解放すること、以上の要旨のうちで、国会におきましては第一及び第四の項目を除いて、二及び三の項目についてはその趣旨はいずれも妥当と認められる、よって本請願はこれを議院の会議に付して採択すべきものと議決をされております。従って、農林省におきましては、この四項目のうち二及び三の項目につきましては、極力この線に沿って、可能なる点においては解決をいたしたい、こういうふうに考えて、今回の予算の中においてもその趣旨を織り込んだつもりであります。
○楢崎委員 今回の予算とおっしゃいますが、特に同和関係直接のプロパー予算は幾らになっておりますか。
○中馬政府委員 国費四千八百万でございます。
○楢崎委員 そこで、先ほどから問題になっておりましたモデル地区でございます。御説明を開きますと、各下部の市町村から上がってきたものを検討してきめたということですが、そういう要望をしなかった県を一つ出してもらいたい。
○齋藤(誠)政府委員 上がって参りましたのは、十二県のほかに……。
○楢崎委員 出なかった方でいいです。
○齋藤(誠)政府委員 出なかったのは、十三県を除いて全部出なかったのであります。
○楢崎委員 十三県以外には要望はなかったというわけですか。ここに出ているのは十二県ですね。十二県以外の県は、要望は出なかったというのですか。
○齋藤(誠)政府委員 そのほかに岡山県が出ております。そこで、十三県以外は要望として出ていなかったのであります。
○楢崎委員 それでは、農林省としてどういう指導をして、各府県にこういうことを出せということは、どういう要領でされたか、ちょっと。
○齋藤(誠)政府委員 これは各省同じだと思いますが、各府県におきましては、毎年度市町村から希望地区数と事業計画を取りまとめて報告することになっております。その資料に基づいてわれわれは選定するわけでございます。
○楢崎委員 一応農林省から直接に出された指示はないわけですね。各省まとめて出されたというわけですか。
○齋藤(誠)政府委員 これは、例の閣僚懇談会で一般的な同和対策に対する方針がきまりましたので、その線に基づきまして、各省は同和対策を取り上げる。それで、各府県から希望の市町村を出させまして、農林省はそれに基づいてやるという方針で、各府県には連絡してあるわけであります。
○楢崎委員 それは毎年出されるのですか、それとも一ぺん出しておるから、わかっておるはずだということなんでしょうか。もし毎年出されるとすると、いつごろ出されてどういうものか、はっきりしてもらいたい。
○齋藤(誠)政府委員 農林省から、毎年の通知というよりも、毎年度主任官会議をやっておりますので、そこで打ち合わせをいたしまして、そういう手続をとっておるわけでございます。集まってくるのは農林省関係ばかりでなしに、全体のモデル地区の希望数というものが集まってくるわけでございます。
○楢崎委員 私は、特に同和対策のうちで農林水産関係を重視するのは、昨年二月にも質問いたしたと思いますけれども、同和地区は、七〇%以上が農村地帯にあるわけです。そして六〇%以上がいわゆる農家です。それで、特にこの農林水産関係の同和対策というものは、重要視されなければならないと思うわけです。そういう関係からいうと、各省にまたがっておるというようなことでなしに、たとえば農林省は農林省独自として、親切にそういう指導を各府県になさるべきではないでしょうか。この点はどうでしょう。
○齋藤(誠)政府委員 これは前の委員会におきまして、先生から同様な御質問があったわけでございます。今の請願の中にも、部落民三百万のうち、ほとんど半分以上が農村である、こういう御指摘があるわけでございます。農林省の中におきましても、一町歩未満は農民の七割を占めておるわけでございまして、いわば農林省全体の対策が、この七割の農民に対して農業政策を進めていると言っても過言ではないわけでございます。従って、農林省としましては、土地改良の面につきまして、あるいは畜産振興の面につきまして、農業全体としてどうすべきか、特に一町歩以下の零細農民をどうするかということが、農政の大きな課題でもあるわけでございます、そういう意味で農林省の万般の施策がきめられているわけでございます。従って、特に農林省といたしましては、このモデル地区につきましては、関係省とその地区においては総合的に事業計画が行なわれるという意味で、特別な予算措置を講じておりますけれども、しかし、それ以外の一般の農業政策によりまして、零細農対策については今後とも十分やっていかなければならぬ、こういうのが農林省の伝統的な考えでございます。
  〔藤本委員長代理退席、永山委員長代理着席〕
○楢崎委員 ちょっと先に事務的なことを聞いておきますが、県から要望がなくして、国の方からこうやるぞと言ったところがこの指定の中にあるかどうか、あったらその県を。
○齋藤(誠)政府委員 そういう地区はございません。
○楢崎委員 私どもの調査によりますとあるのですが、どうでしょうか。もう一ぺんはっきりして下さい。
○齋藤(誠)政府委員 これは先ほど申し上げましたように、モデル地区として、ひとり農業関係ばかりでなしに、厚生なり建設なり、そこの地区におきまして、いわばモデル地区として総合計画を立てたい、こういう地区が全国から上がってくるわけでございます。その中で、本年度具体的にどれだけを候補町村としてきめるかということで、その中の事業計画を見まして、農林関係の事業があるものにつきましては農林省が調査をし、それ以外の事業が入っているところは関係省が調査するということで、本年度全国から集まりましたものの中から地区をきめる、こういうふうにいたしているわけでございます。
○楢崎委員 総合施策という点から申請が出たとおっしゃいますが、そうすると、少なくとも農林関係のモデル地区で、自分のところは出していなかったが、きまったというようなところはありますか。
○齋藤(誠)政府委員 選ばれたモデル地区の中で、農林関係の事業を計画の中に織り込んでいるのを取り上げたわけでありますから、漏れたところはないと思います。
○楢崎委員 わかっているところだけ申しますと、群馬県の藤岡市、これは全然わからなかったそうですがね。だから、この点はお調べになって、次の機会に明確にしてもらいたい。
 なお、資料として、先ほどお聞きいたしました各府県に対する、こういうモデル地区申請に関する指示なり指導の資料をお願いしておきたいと思います。そこで、モデル地区ですが、モデル地区関係の予算は幾らになっておりますか。
○齋藤(誠)政府委員 先ほど政務次官から話がありましたように、全体として四千六百二十万七千円が三十七年度予算要求でございますが、そのうちモデル地区の事業費といたしまして四千六百十三万五千円、本省費が十八万二千円、これが三十七年度の同和対策に関する農林関係の予算でございます。
○楢崎委員 そうしますと、モデル地区以外には予算はないのですか。
○齋藤(誠)政府委員 先ほども申し上げましたけれども、農林省の同和対策としての特別の予算はそれだけでございまして、いわば農林省の各般の、土地改良事業であるとか、あるいは畜産の振興であるとか、果樹の振興であるとか、それらはいずれも地区を単位として、事業を単位として事業を行なっておりますので、先ほど申し上げましたように、農家戸数の七割を占めるものがみんな零細農民であるわけでございます。従って、農林省としては、それをこそ農民の生活向上、生産性向上ということで施策を進めておるわけでございます。新農村建設事業のようなものは、まさに町村ぐるみ事業を進めていこう、こういう内容のものでございます。それから山村等におきまする特におくれた不振地区につきましての振興対策として、林道網を開設するとかいうような、不振地区対策というものの角度から取り上げておるものもあるわけでございます。
○楢崎委員 そうすると、今のお答えから結論を出しますと、モデル地区以外の部落農家は一般施策でやっていく、こういうことでしょう。答弁を簡単に、要領よくやって下さい。
○齋藤(誠)政府委員 その通りでございます。
○楢崎委員 だから、部落農家に対する対策は、モデル地区対策以外にないということですね。今の御答弁によると、予算的にいうと、極言すればそういうことになりますね。だから、モデル地区というのが、非常な大きなウエートを持ってくるのです。先ほどから各委員が言っているのはそこなんです。そこで、あなた方、御答弁はなかなかむずかしいところはあろうと思いますけれども、問題は、やはりおっしゃいましたように、各市町村から上がってくる分はあるかもしれません。しかし、昨年の質問にもはっきりしておるように、たとえば全日本同和対策協議会といったような、全同対みたいなものが意見を出して、そうしてその意見が中心になってきめられていくから、こういう結論としてへんてこなモデル地区ができ上がる。だれが見てもこれはおかしいです。おかしいと今政務次官もおっしゃいました。ところが、おかしいのはおかしいけれども、おそらくこのおかしいのは、ほかの県から上がってこなかったからでしょう、熱意がなかったからでしょうという御答弁があった。これも私は重大な発言だと思いますけれども、これはもしそうでなかったら大へんです。これ以外のところは熱意がないということになりますからね。そこで、このモデル地区、少なくとも農林関係のモデル地区選定と、今三十七年度農林関係で対策を進めておられる構造改善事業とどのような関連があるか、これを伺いたいと思います。
○齋藤(誠)政府委員 構造改善事業にいたしましても、あるいは新農村事業にいたしましても、あるいは土地改良事業にいたしましても、一定の地区を単位といたしまして事業をやるわけでございます。端的に、構造改善事業の中で、かりに土地基盤整備事業を取り上げるということになりますれば、その百町歩なり二百町歩なりに包含される地区の農家は、大小を問わず、零細農でありましょうとも、やはり土地改良事業を進めていくということになるわけでございます。構造改善事業との直接的な関係におきましては、この構造改善事業を通じまして、より高い経営をここで作り出していこう、そのための条件を整えるような事業をこなしていきたいというのが、構造改善事業であるわけでございます。従って、その地区に包含される農家については、区別なく取り上げていきたいというのがわれわれの考えでございます。
  〔永山委員長代理退席、委員長着席〕
○楢崎委員 構造改善事業としては、三千百町村に対して今後十年間に構造改善を行なう。さしあたって三十七年度は二百地域を指定し、さらに九十二パイロット地区を指定する。予算もつけてある。この中に、いわゆる未解放部落地区が含まれるのでしょうか、どうでしょうか。
○齋藤(誠)政府委員 実は、先生からこの前の御質問でおしかりを受けたわけでございますが、農林省といたしましては、かような地域対策ということで事業を進めておりますので、特に未解放部落がどれだけあるかという調査を実はいたしておらないわけでございます。従いまして、当然これらの地区におきましては、それらの部落が入っておりましたら、それを包含して事業を実施いたし、そこに何らの区別を設けないというのが本来の建前でございます。地域的に農業の近代化をはかっていきたいという考え方でございます。
○田中(織)委員 関連して。今の楢崎委員、先ほどの湯山委員と振興局長との質疑応答を伺っておりまして、ことに今の答弁で私どうしても理解できないのです。私どもも、未解放部落に対する対策について、特別の予算を組めということは要求しません。しかし、未解放部落というものは、好んでそういうことになったわけではないのです。先ほども私ちょっと申し上げましたけれども、封建時代の身分差別、いわゆる政治の結果、今日未解放部落として経済的、社会的条件において劣悪な状態に置かれているんですから、これはやはり政治の責任において解決すべきであるというところに、部落の人たちが自分たちのための施策を要求することは、国民としての権利だという主張に立ってやっておるわけなんです。従いまして、政府がそれにこたえるものは、その意味で一番重点的にやらなければならないのです。その点からくるならば、やはり特別の、特殊な予算のワクというものも必要になってくるわけです。ところが、われわれが一般的に言って、特別な予算を作るということは、何か部落を抜き出した形でやるということは、ある意味から見れば、差別を助長することにもなる。しかし、それかといって、そういう施策をやることを要求しないと、もうあなたの答弁にありますように、零細農として、貧困な農家一般という形の中に閉じ込められていくということになれば、過去何百年の政治の所産として今日おくれた状態にある、普通の零細農とは違った立場にある部落農民というものが、救われる時期というものは一向にこないということになるところに、われわれはやはり特殊な予算を要求している。あなたたち行政の立場から見れば、特殊な予算をつけることは差別を助長することになるということで、それなら一般行政の中で、その点について重点的にやっているか。今楢崎委員から質問した構造改善の問題のことについても、二百町村を選ばれるということになれば、あなたが考えられるように、地域改善ということを考えられて、市町村単位でやるということもけっこうです。その場合には、二百のうちで――全国に六千部落あるんですよ。従って、その六千部落の、いわゆる農家として大きな部落をかかえておる農村が、その意味ではやはり構造改善の一般的な施策の中においてもまっ先に取り上げられるべきだということが、私どもの主張なんです。楢崎君もその立場から質問をされているんですけれども、二百町村のうちに関係部落を含んでいる町村が幾つあるかということを、現在の段階においても、農林水産委員会で楢崎委員が取り上げてでも、本日の会議までに局長が答弁できないというようなことは、部落問題についての根本的な認識が欠けているということになると私は思うのです。その点を改めてもらわなければならないのですが、あなたたちは、別に農地問題についての調査会の結論も待たずに、今国会で地主に対する融資法を提出してきておるじゃないですか。土地改革という形で、全国から見れば部落民の三百万よりもはるかに少ない地主のために、特別融資法まで、あなたちたが調査会の反撃を受けながらも国会に提出するだけの重点的な施策を講じながら、何百年の政治の所産として今日国民の中に下積みになっておる部落対策については、あなたたちは心がまえがないということは、幾ら部落問題は今日民主主義の世の中において不都合な問題だということで、これから農林省の所管においても各省の所管においても、重点的に努力しますと言ったって、現実にはサボっているという結果になると思うのですよ。この点はいかがですか。
 それからもう一つ、モデル地区の問題についてもそうなんです。楢崎委員から指摘をいたしましたように、これはあなた方が、そういう意味で部落を含んでおる農家の対策、あるいはそういう地区についてどうするかというようなことについて、行政庁自体が何の資料も持っていないから、端的にいえば自民党の中の特別委員会から出てくる、あるいは全同対という、割に僕らの立場からいって、天下り的な、官製的な融和団体から出てきた意見をそのままうのみにしているからなんです。同じようなことは、たとえば東北開発の問題についてそうじゃないですか。会社自体の計画というよりも、自民党の政調会の案が予算要求になって出てきているということを、私は予算の分科会で指摘いたしましたけれども、幾ら政党政治の時代だからといっても、あなた方行政の責任は、やはり党とは別な立場に立って考えてもらわなければならぬ。今度のいわゆるモデル地区の農村関係の対象が全国で十二府県しか申請しないなんて、そんなことはありませんよ。あなたたちがこういう施策をやるのだということになれば、多く出てきます。しかし、かりにあなたたち厚生省の統計で、部落は四千部落としても、毎年二十部落ずつやっていったってこれから何百年もかかるのですから、そんなことで部落問題はやれない。そういう意味で、一般行政の中での位置づけとして重点を置くという考え方に立って施策を進めてもらいたい。私ども社会党の委員が、今朝来、必ずしも社労委員会の所管ではない問題まで、委員長以下与党の理事諸君等の御向意によってここで取り上げられるということは、これはほんとうにせっぱ詰まった重大な問題だ。こういう観点から取り上げられているのですから、その点については根本的に一つ考え直しを願いたいと思うのですが、その点はいかがですか。
○齋藤(誠)政府委員 ただいま先生のお話しになりました点につきましては、私も全くそのように考えるわけでございます。それでありますからこそ、今度のモデル地区につきましては、農林省においても昨年度に約六割増しの予算をつけまして、拡充して参ったわけでございます。
 ただ御了解願えると思いますのは、たとえば土地改良のごとき問題をやります場合におきましては、その土地全体について事業をやらざるを得ない。従って、反当幾らということで負担をかけるわけでございます。その耕作者がどういう人であろうと、それに差別をつけるというふうなことは、土地改良の性質上あるいは農業経営の農業の性質上できないということも、御了解願えるのじゃなかろうかと思うのでございます。大体において農林省の政策は、そういう地域を対象としたような事業が多いわけでございます。あるいは経営におきましても、零細農の共同化をはかっていくといったような場合におきまして、やはり地域を単位といたしまして、その共同化に対する助成措置を講ずるというような考え方で零細農対策を講じておるわけでございます。従って、そういう地域的な性格を持っております関係上、農業政策としては勢い全般的にこれを進めていかざるを得ないという点も御了解願えるのじゃなかろうかと思うわけであります。しかし、それはそれといたしまして、別に同和対策につきまして特別の助成措置を講ずるということも、これまた必要なことであると思うわけであります。先生のお話しになりました御意見につきましては、私もそのように思うわけでございます。
○楢崎委員 今も田中委員から関連質問で出された通り、モデル地区以外は一般農林行政でやっていく、そこで具体的に三十七年度に現われておる施策とてしは、生産基盤の拡充強化ということで構造改善事業が出されておるわけです。そうして九十二のモデル地区以外はそういう一般施策で事をやるのだったならば、現在一番のひずみとして現われておる未解放部落農家の地域を取り上げていくというふうな御答弁がなければならない。私が最初に政務次官に請願の趣旨をどう考えられるかとお尋ねしたときに、第二番目と第三番目は極力施策の中に生かしていくと言われたが、具体的には何にもないじゃないですか。たとえば今度の構造改善事業で、十分その点を織り込んでやっていくというのならばまだ話はわかりますけれども、そういう点についてあいまいな答弁しかできないから、ほうきで掃いてもあとに残る部分が出てくるわけですので、この点についてもう一ぺん御答弁を願いたいと思います。
○齋藤(誠)政府委員 お言葉を返して恐縮でありますが、そういうような特別の同和対策としては、モデル地区ということで推進して参りたい。しかし、構造改善事業のような問題につきましては、いわば農民全体の所御格差がだんだん開いてきており、零細農民で、同和対策の対象になっておる部落よりも一そうひどいところもたくさんあるわけであります。そういうようなことから、農林省としてはやはり同様に構造改善事業を通じて事業を実施して参りたい、こういう考え方を立てておるので、御了承を願います。
○大原委員 今の問題に関連いたしまして、私は二つの具体的な案を申し上げますから、それに対して御見解をお述べいただきたいと思います。
 農漁村における未解放部落は、特に農村におきましはて耕作反別も狭くて、三反以下が多い。つまりくつとか竹の加工業とか、いろいろな部落産業をやっていたわけです。そのために農地解放の恩恵を受けなかったわけです。だから農地の周辺の山林、牧草地、あるいはたき木をとるような山もないわけで、部落の方々の要求といたしまして、たとえば地主に対しましては低利の融資をやっておる。これは農地解放という政治の原因によって地主が困っておるということが理由らしい。しかし、農林省や総理府で調査したところが、それほど一般に比べて地主は困っておらなかったという結果が出たそうであります。とにかく農地解放という政治の結果によってそうなったのだから、それに対して政府が施策をやって、長い間自分の差別をしてきた部落のそういう人に対して、養鶏とかその他の新しい分野における部落産業の事業をするための低利の融資を出す基金を設定して、そうしてみずから立ち上がる計画を持った人々に対しては融資をする、こういう一つの考え方が成立すると思います。
 もう一つは、そういう零細な農地解放の恩恵も受けなかったところの部落民に対して、たとえば公有林、国有林その他の入会権、たき木を取ったり下刈りをしたり、そういう権利を与える。時間がないから簡単に申し上げますが。私がある部落へ行ってみたら、親は内職をしているわけだ。そこでたき木を燃やしながらやっているわけだけれども、子供は学校から帰ってみると親が一生懸命にやっているものだから、たき木を取りに行くわけだ。自分の山がないからよその山へ取りに行くと、その山林所有者に追いまくられるわけだ。それであっても、何回でもこそこそとその山へ取りに行く。零細な規模で自分の使用するところのたき木がないというんだから。伝統的にそういうふうに山林からも農地からも追い出されている。だから、そこで子供が非常にひがんでくる。こういう話を聞いた。非常に深刻な話だけれども……。たとえばそういう部落民のために、公有林を農林省として開放するという政策をとるというようなことは、あなたは田中委員の発言に同調されたけれども、具体的な政策としてはこれはできる政策です。そういう政策等について、今日までもしお考えいただいていれば御答弁願いたいけれども、今日以後の問題としてこういう問題は一つ考えてみたいということであるならば、そのことを含めて政務次官の方から、今私は二つの具体的な提案をいたしましたけれども、やろうと思えばできる筋の通った提案である、私はそう確信いたしておりまするが、それについてあなたの抱負なり所見のほどを聞かしてもらいたい。
○中馬政府委員 公有林の入会権を開放することにつきましては、そういう関係の部落以外でも、山林あるいは私有林というものを持っていないところがかなりあるのでごいざまして、部落だけに対して公有林を開放するということは、ただいまのところ農林省としては考えておりません。
 それから融資の問題は、旧地主の解放連盟に対する二十億の融資の問題は、実は農林省の所管ではございませんで、総理府において総務長官のもとにおいて決定をした予算でありますので、ただいまのところ農林省とは直接関係ないことは、すでに農林大臣が予算委員会等において説明をいたしておるところであります。従って、先ほど局長が申したように、部落民であるからそういう人のために特に低利資金ということは考えておりませんで、一般的な営農資金その他において考えておるし、モデル地区を中心として部落の方々に対する政策を講じたいというのが方針であります。
○大原委員 関連質問だから簡単にやりますが、振興局長は田中委員の質問に対しまして、趣旨は同感だ、特に長い間の政治の中から出てきた部落の貧困に対して、何らかの措置をとるという考え方については賛成だと言っておった。だから私はそういう案を出してみた。私が申し上げたところが、政務次官の方は、政府全体の部落政策に対する考え方がまるっきり違うような御答弁である。
○中馬政府委員 先ほどの局長の答弁と私の答弁とは内容が同様であります。政府全体としての意見については、農林省としてはあくまでもモデル地区を中心として考えていきたい、その他については一般の農林行政の中で、農林全体としての予算あるいは行政の指導をやって参りたい、こう考えております。
○楢崎委員 私がこの社労で特に農林問題と関連して質問しておるのは、現在の池田内閣の農政の方向が、農業基本法の線に沿ってやっていくということです。そうすると、しばしば明確になっておりますように、いわゆる零細農は他産業に吸収していくという一つの方向。そうすると、先ほどから問題になっておるように、はたして就職の自由があるかというのです。あるいは就業の自由はあるかというのです。そこで、この社労とも非常に密接な関連があるから――これは農林委員会でやったらいいじゃないかというような考えがあるかもしれませんが、非常に重大な関連があるから、私はここで特に質問しているわけです。そこで、一般施策でやられるといいますが、御承知の通り、今も大原委員から言われましたように、統計がないとおっしゃいますけれども、大体平均三反歩以下です。そうすると、現在の池田内閣の農政あるいは基本法で三反以下の農家はどういう方向をとるべきか、とらせる方策をとっておるかわかっておるでしょう。そうすると、一般農政でやっていくということは、三反歩以下の農家は切り捨てていかれるということなんです。だから、何も施策がない。そこで、それをごまかすために、あえてモデル地区というへんてこなものをここに持ってきて、やっておりますよという一つの口実にしかならない。六千部落のうち一年に二十くらい解決しておって、何年かかるのです。結局施策がないということでしょう。しかも、先ほど大原委員からも出ましたように、このモデル地区の設定については計画がない、将来の展望がない。それで、その年その年の与党の方々あるいは全同対などの意見を中心にして、ばらばらな形でこれをやっていかれる、結論としてはそうなります。一体その三反歩以下の農家をどうしようというあれがあるなら、ここで言って下さい。特別な施策があるなら言って下さい。ないでしょう。資金の点でもない。
○齋藤(誠)政府委員 ただいま三反歩以下の農家についてどうかという御質問でございましたが、三反歩以下あるいは五反歩以下というような農家の問題になりますと、いわばこれは本来の農村問題になるわけでございます。われわれといたしまして、三反歩農家を、農業政策上切り捨てるとかいうような考え方は毛頭持っておりません。農業につきまして、かりに三反歩以下のものでありましても、五反歩以下のものでありましょうとも、農業に専念していこうというようなものに対しましては、あるいは自作農資金の長期融資を貸し付けるとか、あるいは最近の傾向で見ますると、構造改善事業の中でも取り上げられると思いますけれども、わずか三反、四反の連中が十戸くらい集まりまして、そうしてりっぱな企業としての養鶏をやって、相当の収入を上げているところもあるわけでございます。ただ、その中におきまして、現実には相当農村から労働力が都市に流れておるのも事実でございます。そういう形におきまして、外に出ていくというような条件を作るということにつきましては、これは出たいというものに対して援助をするという方法も、もちろん考えていかなければならぬと思いますが、少なくとも農業に残りたいという観点に立つ限りにおきましては、われわれの方として当然共同施設なりあるいは融資の面なり、行政、予算を通じまして積極的に農業として生産所得を上げていくように努めて参りたい、こういう考えでおります。
○楢崎委員 質問すれば時間がなんぼあっても足りませんけれども、限られておりますから、最後にしますが、結局今日の質問を通じて明らかになったのは、未解放部落農家についての対策は、モデル地区以外にはないということがはっきりした。それ以外のところは一般農政でやっていく。ところで、一般農政の方向は一般農政でけっこうです、三反歩以下あるいは五反歩以下の農政の問題として、これは農林委員会でやりましょう。
 そこで、モデル地区ですね、モデル地区は先ほどから言われておるように、これは完全に間違った政策でしょう。なぜならば、展望がなしに、計画がなしにこういうことがやられる、しかもそのきめられる経過についても大いなる疑問がある。そこで田中委員は取り消せという要望を出された、湯山委員は再検討せよという要請を出された。この二つを合わせて、ここで最低モデル地区については再検討をするという線は一つ出してもらいたいと思うのです。これは総務長官がお見えになったら、この点関連して要請をしようと思っておりましたが、おいでになりませんので……。これは明らかに、見られてわかる通りおかしいです。おかしいならば再検討するのがあたりまえです。再検討できない理由はどこにありますか。何か特別の圧力があれば別ですけれども、これはおかしいということがはっきりしておるから、再検討すべきである。最後にこの点について政務次官のお考えをお聞きしたいと思います。
○中馬政府委員 先ほどから明らかにいたしましたように、一見すれば地区が片寄っておるようでありますけれども、先ほども申し上げましたように、府県の方からの申請に基づいて内閣としては内定をいたしておるものでありまして、その間申請のない地区については、内閣としてはいかようにも裁定のしようがないことは御承知願いたいと思います。ただし、予算がまだ決定をいたしておりませんから……(発言する者あり)ちょっと聞きなさい、話をするから。いまだ予算が決定をしておりませんので、最終決定に至るまでは、政府としてはいろいろ研究をすることは当然でありますから、研究いたします。
○楢崎委員 まだ予算も決定しておらぬから、再検討する余地があったら十分しますというお答と思いまして、それを最後まで私ども監視していくわけですが、その点は十分お含みになって、最終段階までに一つ再検討をして出してもらいたい。
○八木(一)委員 今の楢崎君の質問に関連して申し上げたいと思います。政務次官にちょっとお聞き願いたいと思います。
 先ほど申し上げましたことを二度繰り返すわけではございませんが、内閣とわれわれの問でお約束をしたことについて、御理解をいただけたと思います。今までそういう一番大綱の方針がきまっておっても、お互いに全部に浸透をしておらない。その後農林省の政務次官を担当されて、すぐ――浸透しておらなかったことについては、ほかの省でもそういう例がございますから別にそれをとやかく申しませんが、今御理解をいただいた場合においては、その問題について、政務次官として大臣を補佐して十分にお考えをいただきたいと思うわけです。特に、今印象で申し上げては失礼だと思いますが、政務次官の方は、世の中の動きについて、政治の動きについて、そういう動きがあるならば考えなければならないというお気持を、かなり率直に披瀝していただきたい部面もございまするけれども、もちろん政務次官がおられるから遠慮をしておられるという場面もありましょうが振興局長の方にはどうもその点についての反省がほとんどない。農林省の伝統であるという言葉を言われた。農林省の伝統であっても、政治の大方針がきまったならば、これは間違った伝統はやめなければなりません。そういうことを平気で言えるようなところに反省がない。農林行政はむずかしいから、大臣や政務次官が賢明であられても、局長がそれに協力をしないときにはなかなか進まない。しかしながら、政党内閣であって大臣が責任を持ち、政務次官がそれを補佐しているわけです。大臣や政務次官や、そのもとの内閣がそういう方針になっているのに、局がそういうことに理解を持たないで、それを曲げるようなことがあったらわれわれは断じて許さないから、その点は銘記しておいてもらいたい。ほんとうにさっき申し上げたことがわかっているならば、モデル地区だけの方針で、その方針は変えませんというような答弁はどこからも出てこない。厚生省を見なさい。モデル地区のほかに一般部落地区に対して対処がされている。各省一緒だからモデル地区だけでやる――一緒だという意味は、今聞くひまはないから想像で申し上げると、農林行政も建設行政も厚生行政も一緒にやるところがモデル地区という意味じゃないかと思う。ところが、厚生省には、そのモデル地区じゃないところで、環境改善に対するそれだけの推進をやっておられる部分がある。これも不十分だけれども……。それならば、環境はいいけれども農業経営の方がうまくいっていない一般部落地区に対して、なぜ一般部落対策ができないか。ほかの省のやっていることを少し勉強しなさい。政務次官にさっきずいぶん強いことを申し上げて、政務次官まじめな政治家でおられると私伺っておりますから、今なれないことを聞かれたので、いろいろと答弁に苦労をされておりますから、政務次官にはそう申し上げませんけれども、局長はそういうことは十分わかっていなければいけない。もっと反省をして、モデル地区以外の政策をとれないというようなことは、もしそれを続けられるならば、池田内閣総理大臣からあなた方に、そのような間違いは内閣の方針に間違うというところまで追及をいたしますから、あなた方もそれを再検討して、モデル地区以外に一般部落対策を立てる、さらにもっと、モデル地区政策をやめるというところまで発展をしなければいけないと思う。モデル地区については、同和対策審議会において結論が出されるでありましょう。しかしながら、少なくとも一般部落対策を考えるという前向きのことを検討されなければならないと思う。政務次官に申し上げますが、そういう点について、今まで農林省で決定した方針を、この場で、総理大臣や農林大臣のおられないところで、野党の追及にあってすぐ変えると言われることは、なかなか与党内の政務次官の立場としてはお苦しいと思います。しかしながら、それは今までの農林省のいろいろな人が補佐をしておらなかった、内閣の部落問題に対する対策が農林省に浸透しておらなかった原因によるわけであります。それを十分にお聞き取りいただいて、まだこれから御検討――また昔を振り返って、たとえば三十三年の三月十一日の速記録なり、それから内閣のその後の動きなり、この部落解放問題に対するいろいろな追及なり、それに対する確信なり十分御研究いただきましたならば、今まで農林省の政策がこの点において間違っておった、これを改めるということが政治家としてのほんとうの行く道であるということを、賢明な、そして率直な政務次官は御理解をいただけると思います。そういう意味で、モデル地区以外の一般部落対策を考えないということについて、今直ちにはっきりとした御答弁をしていただきたいけれども、今のお立場上遠慮をいたしまするけれども、その問題についてはできませんということではなしに、十分に内閣の基本方針に従って検討をいたしますという御答弁だけ、ぜひ賜わりたいと存じます。
○中馬政府委員 先ほどの局長の答弁は、同和対策としてはモデル地区だけに限定をして、その他は絶対に今後もいたしませんという意味で発言したのではないと思います。今までの政策としては、昭和三十五年、六年、七年の三カ年にわたっては、内閣の方針に従って、同和対策を中心として政策を実行し、あわせ、その他については、一般の農政の中でこれを含めてやっていきたいという方針を述べたのであって、今後絶対に一般ではやらないとかいうようなことを申したようには聞こえておりません。
 また、同和対策関係の部落民の方が農林省に来られまして、主として私が中心となってその方々に対しては会見をいたし、また、意見は十分に聞いたつもりであります。従って、ことし予算を組む際においても、他の予算に比べてモデル地区においては約倍ぐらいに、昨年が二千百万ぐらいだったと思いますけれども、二年続けて二千万程度のものを、ことしは特に私ども奮発をいたしまして、四千六百万程度に増額をいたしたという努力はお認め願いたいと思います。
 その他については、最も重要な問題でありますから、よく一つ勉強をさせてもらうし、また事務当局に対しましても勉強するように、一つ申しておきたいと思います。
○中野委員長 大原亨君。
○大原委員 私は二省か三省ぐらいにありますが、最初に建設省に質問いたします。
 建設省の部落対策に対する本年度の方針、予算上の大まかな内容をお持ちでありましたら、一つ御答弁いただきたいと思います。
○齋藤(常)政府委員 建設省関係で同和対策の関係は、住宅あるいは下水その他ございますが、私住宅局長でございますので、住宅関係の予算だけを申し上げます。
 三十七年度におきましては、同和対策の住宅といたしまして、住宅地区改良事業によってやるものと、公営住宅建設事業によってやるものと、二本建でやっていきたい。これは従来の方針でございます。
 その中身を申し上げますと、住宅地区改良事業の方は、全体として四千五百戸の予算をとっておりますが、これは一般のスラム街等も含みますので、同和対策上は、現在は千三百戸程度を予定しております。これは地方からの希望によって積み上げて参りました数字でございまして、大体この程度になるであろうというように踏んでおる次第であります。
 それから公営住宅の方の関係は、約六百戸程度予定しておりますが、これはまだ各県、市町村の意見がまとまっておりませんので、明確な数字になっておらぬというふうな数字であります。以上でございます。
○大原委員 部落関係で、いわゆる第二種公営住宅や改良住宅の政策を中心に進められておるということについてはわかるのでありますが、その住宅難の実態について把握しておられますか。
○齋藤(常)政府委員 私ども住宅をやって参りますときに、各市町村あるいは各県の調査によりまして、これだけが必要であるということで希望が出て参りましたものを積み上げていくわけでありますから、その意味におきまして、実態は把握したつもりでございます。
○大原委員 部落関係においてはどれだけ住宅が足りなくて――一般的に住宅難については、いろいろな段階を設けて資料がありますけれども、足りなくて、そして自治体の方からどういう要請があったから、そういう要請に基づいてやる、こういうようにやるのじゃないのですか。
○齋藤(常)政府委員 住宅地区改良事業につきましても、公営住宅につきましても、部落の事情を十分調査した上で資料が地方から出て参りますので、それをもとにして割当をやって、建設をしていくということでございます。
○大原委員 今の御答弁はきわめて不満足であります。
 その次に、昨年の例によりまして、地元の自治体が負担し切れないで公営住宅の予算を返上した、こういう例がありますか。
○齋藤(常)政府委員 三十六年度におきましては、当初計画いたしましたものに対しまして、返上といいますか、実施できなかった戸数がございます。本日までのところで大体二百五十戸程度はできておらない、返上になっております。
○大原委員 消化不良二百五十戸というお話ですが、その消化できない原因はどういうところにあるのですか。
○齋藤(常)政府委員 住宅の関係につきまして、消化が十分でなくて、相当数消化不良が出て参ります分につきまして、われわれ自体非常に頭を痛めているわけでありますが、一般の公営住宅の建設につきましては、こういうような現象はあまりないわけであります。こういうような同和関係の予算の消化になりますると、住宅地区改良事業と公営住宅と全く同一でございますけれども、地区内における、あるいは公営住宅を建てる場合におきまする対象になる建物、そういうような場合におきまして、権利関係でありますとか、あるいはまた、内部におきまする紛争が相当ございまして、市町村当局が非常に苦労をしておるわけであります。そういうような苦労から、なかなか進捗しない点があるというふうにわれわれは考えておる次第であります。
○大原委員 私は、やはり単価が非常に値上がっておるということもあると思うのです。地元における土地その他の取得ができない、こういうこともあると思うのです。しかし結局は、部落というのは、後ほど具体的に例を示して申し上げるのですが、他の方は都市計画ができましてもそこだけが残っておるというのは、結局は非常に狭くてきたない住宅が密集いたしておる、そういう現実のためになかなかやりくりができない。そういう土地の権利等に対しまして非常に関心が強い、それから地場産業やその他の職業との関連が深い、こういう問題等もあって、実際上事業が進捗しない。だから、そういうところには財政上の特別の措置をしなければいけないのじゃないかと思います。というのは、第二種公営住宅では三分の二の補助ですね、それから不良住宅では、これも三分の二ですか、でありますが、結局は貧乏な部落の密集地帯があれば、地方自治体においてもいろいろな面において支出が多い、部落のある地方自治体がこのために支出がたくさんになって、そうして地方財政の上からも非常に困難があるのじゃないか、そういう問題も私はあるかと思うのですけれども、そういう面について特別の配慮を、財源上、補助率その他においてやるべきじゃないだろうか、こう思いますが、今までやられました御経験の上から考えて、建設省のお考えを伺いたい。
○齋藤(常)政府委員 第二種公営住宅の場合におきましては、別の土地に住宅を建てる場合でございますので、三分の二の補助でやっていく場合があるわけでございますが、問題は、住宅地区改良事業の場合におきましては、地区を指定しまして、その地区を清掃してさら地に直しまして、そこに新しく建てかえるわけでございます。そのために清掃費が特に用地の買収以外にかかりまして、その用地の買収費が非常にかさむためになかなか困難だというのが、これが予算上の問題でございます。そこで、三十七年度におきましては、補助率を上げるとか、いろいろな問題がございまして、われわれ事務当局といたしましては、要求はいたしましたけれども、なかなか思うようになりません。何とか新しい措置をしたいということを考えまして、特に住宅地区改良事業をやります場合、いわゆる改良事業をやります場合におきましては、公営住宅の場合と違いまして、用地費の単価を五五%増額いたしたわけでございます。一般の公営住宅の場合におきましては一九%の増額でございますのを、特に住宅地区改良事業におきましては五五%ということで、この事業が少しでもやりやすくなりますように、今せっかく努力しておるわけでございます。しかしながら、まだまだ不十分の点がありますので、今後なお一そう努力していきたいと思います。
○大原委員 これに関連して、私総理府にお聞きしょうと思ったのですが、お聞きしないで、私が知っている範囲で申し上げますと、たとえば和歌山の葦原というところには、千五百世帯から二千世帯くらいの不良住宅の密集地帯だった未解放部落がある。あるいは京都市の七条、和歌山の御坊市、それから神戸市の一番町、広島市の福島町、これは三千戸ある。これはどこから見ましても、周辺を見ましたならば、都市計画その他で復興いたしておるわけです。しかし、そこだけスラム街です。消防車も入らなければ、大雨がありましたら洪水で床の上まで浸水する、便所も何も差別がつかない、こういう状況であります。だからそういうところの再建をやろうと思えば、財政上、建設省の分野においても、都市計画から清掃事業あるいは住宅政策から抜本的な政策を立てなければどうにもならないというところへいっておるわけですが、自治省の方では、交付税その他においてこういう問題について財政上の措置をお考えになっておりますか、実情をどういうふうに把握されておりますか。市町村は、部落関係の二種公営住宅にいたしましても、住宅建設にいたしましても、非常に財政上困っておりますけれども、その点について財政上特に配慮されておるかどうか、実態をどう把握されておるか、こういうことに関連いたしまして自治省の方から一つお答え願いたい。
○大上政府委員 もちろんその問題について、地方財政で作業をすれば、財政的な負担になるということは論を待たないのでございます。従いまして、ただいまお述べになりました各地区の実態的な調査、あるいはこれに使用する地方公共団体の総括的な財政負担量、あるいはこれをどうさばいていくかという問題につきましては、根本的には、これはわれわれの方でも地方債をつけ、さらに特別交付金等と見合わせまして、いろいろな事業を財政的に援助しております方針は変わらないのであります。内部的なさらに掘り下げた面につきましては、たまたま所管課長が来ておりますので、事務当局から御説明させることにいたします。
○松島説明員 ただいまお尋ねのございました同和地区におきます事業に対する財源的な手当の問題でございますが、従来から、こういった地区におきます事業費と申しますか、対策費がかかりますことを考慮いたしまして、特別交付税の配分にあたりましては、その点を反映させるような配慮をして参っておるわけでございます。もちろん、ただいままでやっておりますものは、一定の人口なりあるいは地区の数なりというものを、基準をとりまして、それに応じて配分するというようなやり方をやっておるわけでございますが、ただいま御指摘のございましたようなある特殊な地域におきます大きな事業ということになりますと、どうしてもそれ、それ国が国庫補助金なり、先ほど建設省の方から御説明のございましたように不良住宅地区の改良事業でございますとか、そういうものになりますと、補助金等も相当出していただきませんと仕事が進みませんが、その場合におきます地方負担の問題につきましては、地方債を充当することによってこれを処置するという方法で具体的に解決する、こういう趣旨でやっておるわけでございます。
○湯山委員 関連して……。自治省にお尋ねいたしますが、来年度の地方財政計画の中で、同和事業対策関係にどれくらいの金額が見込まれておるか。それから実際には、今大原委員からも御指摘があったし、御答弁の中にもありましたが、政府の方でいろいろ計画を立てても自己負担が相当大きいのです。ところが、未解放部落というのは、そういう自己負担にたえないところの方がむしろ多いわけで、そのための対策ということになるわけですね。そういうことについて、一般的にどういうふうに考えておられるか。三十六年度では特別交付金はどれくらいの金額を考慮し、そういうことに対して起債はどの程度特別なワクづけをしたか、そういう点について御答弁願いたいと思います。
○松島説明員 国が計画いたします事業の地方負担は、御承知の通り、全額財政計画の中に計上いたすわけでございます。従いまして、その財源といたしましては、もちろん国庫支出金がございますが、そのほかは地方税なり地方交付税なり、あるいは地方債なりでまかなっていけるという建前で地方財政計画を作るわけでございます。私どもがただいま各省から資料をいただきまして調査した事業費の、総額は十九億ばかりになっていると存じます。これはもちろん国庫補助の対象になる事業だけでございます。それに対する地方負担は、六億八千万円程度と予定いたしております。この額は、全部、先ほど申しましたように地方財政計画上措置いたしております。ただ地方財政計画は、御承知の通り、全体としては財源措置がされましても、事業を実施いたしますのは個々の団体でございますので、その個々の団体における負担をどうするかということになってくるわけでございます。そこで、従来は、この中に取り上げられました事業のうち、いわゆる地方債の対象になるような事業は、地方債の対象にしてきておるわけであります。特に同和関係の事業につきましては――一般の地方債でございますと、一件々々建設いたしますものに即して詮議をいたすわけでございます。たとえば集会所なら集会所、あるいは下水施設なら下水施設というもの一件々々について詮議をいたしまして、その額が一定の限度額、町村で申しますとたしか百万円であったと思いますが、それ以下であります場合には起債の対象にしないということにしておるのでございますが、同和対策事業につきましては、一つ一つは百万円以下でございましても、それを合わせました場合、すなわち集会所と道路改良を合わせて百万円以上になるというような場合には、特別にこれは起債の対象にするというような別途の取り扱いもいたしておるのであります。なお、特別交付税の配分にあたりましても、これはたくさんの市町村にわたる問題でございますので、私どももできるだけ関係の市町村の意見を県を通じて伺いまして、配分にあたっては考慮いたす、こういうやり方をやっております。なお、三十六年度の特別交付税の額は、今集計中でございますので正確な数字を申し上げることが困難でございますが、三十五年度は五億五千万円特別交付税を交付いたしております。なお、地方債は五千万円程度許可をいたしておる次第でございます。
○大原委員 詳細な御答弁をいただきましたが、さらに財源面におきましては十分地元の要望等もお聞きいただきまして、御留意いただくように特にお願い申し上げておきます。時間がたちましたので、自治省関係はそれだけの質問にいたしておきますが、政務次官の方から一言だけ御答弁をいただきたい。
○大上政府委員 ただいま事務当局から御説明させたのですが、さらに財政的な面につきましてはいろいろな面もございますので、特にわれわれとしては、各省と協力一致してなおさらに調査を進め、国庫補助率の引き上げの方向に持っていきたい、このような基本的な態度で臨んでおります。なお、さらに個々の地方公共団体等にも触れましてよく措置をしていきたい、このような覚悟でおります。
○大原委員 それでは建設省の方の質問に返ります。
 二種住宅とか今の不良密集住宅等、いわゆる不良住宅対策でありますが、大体今原則として二間しかないわけです。一般にいわれておるスラム街の地域では、特に未解放部落等におきましては子供が多いわけであります。六畳、四畳半の二間、こういうようなことでは、実際上住宅としては入りにくいのであります。家庭生活あるいは子供の教育上いろいろな問題があるわけです。従って、今日の段階では全般的に、一種、二種を含めまして、住宅の広さを広くしていくことがぜひ必要であると思います。特にこういう住宅政策は、国の責任として非常に大きなウエートを占めておるし、建設省の方も数年前から逐次重点を置いてこられた政策であって、この点はまだ十分努力は足りないと思いますが、この方向でさらに飛躍的な努力を期待したい点であります。従って、その住宅の広さあるいはこの集団住宅等における共同施設の問題、そういう問題等につきましても、十分現在の段階においての配慮をしていただきたい。そうしないと、たとえば内職やその他の仕事が部落関係には多いわけであります。就職の機会がないために、地場産業、部落産業、皮革産業、その他内職が多いわけでありますが、そういう点も考慮いたしまして、この住宅の広さについても十分考慮いただきたいと思っておりますが、これは局長でもよろしゅうございますから、お聞きしたい。
○木村(守)政府委員 ただいま大原委員からの御質問でございますが、ごもっともな御質問だと考えております。なるべく住宅は広くしまして、そしていろいろな作業に差しつかえのないよりな住宅を作って参るのが理想と考えておりますが、現在の状態におきましては、なお御承知のように住宅の不足が唱えられておる関係上、なかなかそう大きい住宅を作って参ることはできないような状態に立ち至っております。しかしながら、政府といたしましては、昨年度におきましては第二種住宅においては一坪、本年度におきましては〇・五坪の拡張をいたしております。また、第一種の公営住宅におきましても、今年度は一坪の拡張をいたしておりまして、漸次御要望に沿うような線を打ち出して参りたいと考えておる次第であります。
○大原委員 私、詳細に御質問しようと思ったのですが、端折ってまとめて御質問いたしますが、不良住宅の密集地帯、いわゆる都市の中における未解放部落は、結局は他の地域における都市計画その他の最後のしわ寄せということになっておるのであります。その地域について、全国的に有名なところを私は五、六カ所あげて申し上げたのですけれども、とにかくそういうところは、住宅関係だけでなしに不良地区の清掃あるいは都市計画、その他建設省全体としまして、総合的に自衛隊と協力できるような態勢を現地指導しながら、そしてやはり地域の住民は非常に零細な、貧困な生活をしておるわけですから、そういう生活の実態に合うたような救済等も考えながら、集中的にやらなければならぬ、これなどは全国の六、七カ所、一千世帯、三千世帯、四千世帯、そういうスラム街の密集地帯というのは、これは公衆衛生上から言いましても何から言いましても、人道上から放置できない。そういう点であります。建設省全体としまして。私はこういう不良住宅の密集地帯につきましては、各局において十分部落対策ということを念頭に置きながら、総合的な、重点的な計画を進めていただくように、たくさん問題がございますけれども、私は特にこの問題を強く要望いたしたいと思うのであります。政務次官の御答弁をいただきたい。
○木村(守)政府委員 御質問の趣旨に従いまして、御承知のように、不良住宅地区の解消をはからんがために、本年度は不良住宅地区の四千五百戸の解消の予算をとっております。こういうような方法で、漸次いわゆる同和地帯等におけるところの不良住宅地区を解消したいと考えておる次第ございます。
○田中(織)委員 建設省関係に関連して伺うのですが、先ほど大原委員があげました未解放部落、特に不良住宅の密集地帯としての和歌山市の葦原地区の関係の問題でございますが、昨年はやはりちょっとした雨でも六回くらい、千五画戸の部落のうちで、第二室戸台風のときには千三百戸が浸水しておる。この去年の災害で、第二室戸台風で、都市災害として特に一番ひどい地区に上がったわけなんです。ところが、実情を災害のときに建設省からもおいで願って調べていただいたのでありますが、実はあそこの地区を流れておる和歌川という川がある。それの葦原町寄りの護岸工事が、南海地震以来の地盤沈下で実は相当道路ののりよりもはるかに低くなっておるわけです。そういう関係からちょっとした雨になると排水の悪いところへ向いて――御承知のように、市内を流れる河川が、和歌山のようなところは、木材の流木がある関係で、よけい水はけが悪くて、先ほど申しましたように六回も浸水しておる。ところが、調べてみると、三十二年に地盤沈下対策として護岸の土盛りと申しますか、かさ上げの問題が、予算がついておるのですけれども、問題は、河川敷に建っておるいわゆる不良住宅が約二百戸あるわけですがそういうものの立ちのき先がない。こういうような関係もあって、いまだに予算が執行されないというような実情にあることが判明いたしまして、これは特に今度の災害関係で直接低いものですから、その意味で決壊等のいわゆる被害状況というものは出ていないのであります。それから今申しました不良住宅の密集地帯でありますから、非常に危険なような状態にあるので、災害復旧に入れてもらいたいということも要請をしたのでありますが、三十二年度の予算がついておる。その意味で住宅関係の立ちのき先を見つければその予算を執行する、こういうような段階では実は進展しない。ぜひ一つこういう関係は実情をお調べいただいて、特に先ほど大原君の方から福島町の問題が出ましたが私も昨年の九月に現地を見ましたけれども、これは建設省の関係で大田川の改修工事の関係からいまだにやはり未解決な広島の問題についても、あそこの大田川の改修事務所に私も大原代議士とともに参りまして要請はいたしたのでありますが、そういうようにまだ三、四手をつけられるべく体制が整って実行されないというような関係がありますから、これは住宅、河川あるいは道路の改修、こういうようなものとの相関関係が出て参るわけでありますが、特に一つ御留意をいただきたいということを申し上げて、そのことについては何か政務次官の方にそういう報告が上がってきておりますかどうか、お答えが伺えれば伺いたいと思います。
○木村(守)政府委員 ただいま田中委員の質問でありますが、和歌山の葦原地区の問題は、私、詳細に存じておりません。しかし、ただいまのような実際の状態は各所にあることだろうと考えております。しかし、何と申しましても、地盤沈下による住宅地が道路よりも低い。しかも、河川敷に二百戸もあるというようなことを解消するためには、やはり河川改修をしなければならない。河川改修をするためには、住宅を立ちのいてもらうより方法がないというような問題になるだろうと思われますが、これらの問題につきましては、どうしても根本的の解決のために、これは第二極住宅等を作りましたときにそこに移転をしてもらうか、あるいはしばらくの間しんぼうしてもらいまして、そういう不良住宅地区の解消をはかって参らなければならないと考えております。しかしながら、実際問題として長い間住みなれた住宅でありますと、これは災害のときには浸水で非常に困りますが、災害が過ぎますと、またなかなかそこの長年住みなれたところから移転しようということはやらないような状態が多いのではないか。そういうところが相当多いものですから、なかなか予算がとってありましても実施ができない。そうして例年のようにそういう災害が起こりまして、悲惨な状態に取り残されておるという状態であろうと考えるのでございます。そういう点から考えまして、政府といたしましても、できるだけの指導をいたして、そういう悲惨な状態を繰り返さないように、なるべくすみやかに不良住宅地区の解消とともに、河川の改修をはかりまして、将来再度の災害を見ないような状態にいたして参りたい。これは事務当局を督励いたしまして、御要望に沿うような方法にいたして参りたいと考えておる次第でございます。
○大原委員 最後に総務長官にお尋ねいたします。
 今までいろいろと農林省あるいは文部省その他各省に聞きましたが、実際に部落の実態というものを責任を持って掌握しているところがない。だから是正すべき目標が立っていないということになる。しかも責任を持って、中心となってやる責任官庁が明確でない。総務長官、大体はあなたの御責任ですか。これは一つ審議会を作ったと思うのですが、審議会の運営等とも関連をしまして、やはりこの際そういうモテル地区という方式で――今までもいろいろ議論いたしましたけれども、モデル地区もほんとうに九牛の一毛でつかみ銭を出しておいて、これで部落対策をやったんだというような、エビでタイをつるようなそういう政策は、部落対策でない、こういうふうに思うわけです。従ってそういう点から考えて、今までのモデル地区政策を含めて、部落対策、同和対策について、抜本的な措置をとってもらいたい。私は、あとから同僚委員から質問があると思いますけれども、このことを強く要望しておきたいと思います。
○小平政府委員 いわゆる同和対策の事業を各省でそれぞれ所管に従ってやっておるが、どうも目標がはっきりしておらぬようじゃないか、特に実態把握が不十分だ、こういう御質問だと思うのですが、各省で現在把握しておる点が、具体的にどの程度に及んでおるか、はなはだ遺憾ですが、率直なところ私自身が実はあまりよくわかりません。しかしその点につきましては、今回発足をいたしました同和対策審議会におきましても、その第一回の総会に私も列席いたしましたが、その席でも委員の各位が、まず実態を把握することが第一だ、こういうことを強調されておりました。そういう点にかんがみまして、先ほども御発表といいますが、御披露申し上げました通り、十分ではありませんが、三十七年度の予算では、三百万弱の実態調査のための経費も、今度初めて計上いたしておりますし、現に各委員の諸君も、すでにもう現地の方に視察に参っております。第一回には関西方面に参りまして、京都、奈良、大阪、兵庫等を実地に見ておりますし、きょうからだと思いますが、関東地方にも出向いております。埼玉、群馬、長野等を視察する、こういうことで、現に視察に参っております。もちろん委員諸公の視察だけで十分な把握というわけには参らぬでありましょう。さらに詳細な調査ということが当然これは必要だと思っておりますが、いずれにいたしましても、審議会におきましても、そういう努力に現に着手された、こういう事態であります。この審議会は本年の八月で切れるのでありますが、さらに二年延長されるということも先ほど申し上げた通りであります。
 そういうことで、即刻の間には合わないかもしれませんが、いずれにしても、こういう基本的な問題から取り組んで、しこうして諮問を申し上げております基本的な対策というものについて審議会がりっぱな答申を出して下さることを私どもは期待いたしておりますし、また予算の関係におきましても、初年度はさっき申した通りでありますが、さらにこれがために必要とあらば、明年度におきましては、われわれといたしましてもできるだけの努力をいたしまして、実態調査等が十分できるようにいたして参りたい、かように考えておるわけでございます。
○湯山委員 総務長官においでいただきましたのは、先ほど私は農林省と文部省に質問いたしました。その中で明らかになりましたことは、農林省関係では、モデル地区の指定が大体きまっておる。そのきまったのが、政務次官もごらんになったわけですが、片寄っている、これを見ただけではおかしいということを、政務次官も、今おられなければ大へん残念ですけれども、委員長もお聞きになっておられますが、これはおかしい。その手続は、政府の答弁によりますと、各県から申請のあったモデル地区について、その中から農林省に関係のあるものを拾ったのだ、こういうことでございますけれども、実は各県の中には、どれがどうきまったということを事前に知らない、申請しないできまったようなのもあります。そこでその手続について、私どもいろいろ聞いてみますと、政府機関の中でなくて、どこか別の機関で大体予備審査のようなものをして、それから政府機関での協議をするそうですけれども、それを党へも諮って、そういうような形できめられておるので、農林省なら農林省が、責任を持ってこれはこういうわけでこうしたのだというようなお答えはできないというような、状態です。
 そこで、大体長官も御存じのように、まだ予算審議の過程においてもうすでにきまっておるということも変則でありますし、それからその経路におきましても大へん納得できないものがある。そういうきめ方だと、これはせっかくの対策がうしろ向きになって、かえって逆効果があるということを指摘いたしまして、政務次官も、今取り消すというわけにはいかないけれども、再検討してみようという約束をここでされたわけです。総務長官にお願いいたしたいことは、もしそういうことだと、これはせっかく審議会ができたのに、審議会ができた趣旨にも反することですから、この今回のモデル地区のこういうきめ方、この予算については、幸いまだ予算も成立してない段階でございますから、そこで審議会に諮っていただいて、もう一ぺんこれを再検討いたしていただくということをお願いいたしたい。文部省の予算にいたしましても、研究協議会ですか、集会というのを昨年二回を予定しておったのが、一回は、既定方針通りできなかったというような事実もありまして、同和教育の進め方というようなことも、相当これはむずかしい問題で、やり方によってはやはり逆な効果が出てくる問題です。こういう問題も一つ審議会において、そういう学識経験者、実際委員になった人、そういう人たちを、各省の次官もお入りのことですから、集めて、早急に一つ審議会で十分御検討願って、その方向を間違わないようにしていただきたい。これを一つ総務長官にお願いもするし、総務長官からお約束もいただきたいというのでおいで願ったわけであります。
○小平政府委員 農林省で指定をいたしましたモデル地区が非常に片寄っておる、こういうお話でございます。実は不勉強で申しわけございませんが、具体的にどういうことになっておるのか私も存じません。ただ、モデル地区の指定にあたっては、大体地方からの申請と申しますか、上申と申しますか、それに基づいて、各省で協議して指定をしておる、こういう事情になっておるわけでございますが、今御指摘のような事実があるといたしますならば、われわれの方からも関係各省に十分伝えまして検討をしてもらいたいと存じます。ただこれを審議会も発足したことであるから審議会に諮れ、こういうことでありますが、審議会の諮問は、先ほども申したのでありますが、基本的な対策について諮問をいたしておるわけでございます。たまたま具体的な問題としてこういう事実がある、こういう御指摘を受けたわけですが、私どもといたしましては、こういうことも問題になっておるということは参考的には伝えてけっこうだと思いますが、このこと自体を直ちに審議してと、こういうことは、たとえば審議会に諮問をいたしておる事情からしていかがなものであろうか、そう考えておるのですが、なおよく考えて善処してみたいと思います。それから教育関係で同様の趣旨のお話がございましたが、これも審議会といたしましても、もちろんこれは基本的に教育の問題なり、またこれは先ほどの農林省の指定したというモデル地区とも関係がありましょうが、どういうことで今後対策を進めていくことが適当であるかというようなことについても、もう万事御承知の権威ある皆さんですし、おそらくそういう点も含めて答申が出るものだ、私はそう期待いたしておるようなわけであります。
○湯山委員 特にモデル地区を設けるか設けないかという問題は、われわれが長官にお願いした中にも非常に大きな項目として、モデル地区はかえって差別を拡大する、再生産するおそれがあるということを申し上げてある通りなんで、そういう問題は、特に基本的な対策を決定する中での非常に重要な問題だと思いますので、それをぜひ含んで、なるべく早くそれについても御考慮願って、かりに全体の対策がきまらない中でもこれだけ講じなければならないという場合もあるし、今度の場合はそういうことがあってもしかるべきだと思います。そういう意味合いでぜひ今のような長官の御言明のようにお取り上げを願いたいということでございますから、一つ御配慮願いたいのであります。
○中野委員長 、委員長からも総務長官にお願いしておきます。今の湯山委員の希望、十二分に果たすように一つお取り計らいを願いたいと思います。田中織之進君。
○田中(織)委員 午前中に関連質問で基本的な問題についてはお伺いをいたしたのでありますが、なお自治省、文部省、通産省の関係で、もう時間もおそくなっておりまするので、できるだけ簡潔に質問を申し上げたいと思います。
 最初に自治省関係のことで、総務長官のお考えを一点だけ伺いたい点がありますので先に申し上げますが、先ほど財政課長の方から、三十六年度でありますか五年度でありますが、年度ははっきりいたさないのでありますが、地方自治体における同和対策の事業費について、数字をはっきり聞き取れなかったのですが、九億何がしという、私の聞き違いか、十九億でしたかよくわからないのでありますか、そういう事業費ということになっておる。そのうち地方負担が六億八千万円だ、こういうことになっておるのでありますが、この地方負担の問題と、それからあとで湯山委員でしたかにお答えになりました特別交付税、三十五年度五億五千万円と出ている、こういう関係から見ると、特別交付税で五億何千万円か出ているのに対して、地方自治体全体の同和対策の事業予算というものが十億足らずのものだということで、きわめて貧弱なことになっておるのではないかと思うのであります。そこで実例を一つ申し上げるのでありますが、先ほど大原委員から指摘をいたしました和歌山市の葦原地区は中小の皮革工業の中心であります。ところがその工場排水の関係が中小工場なものですからよくないために、排水ポンプをもって先ほど申し上げた和歌川という川に水を吐かしておるわけであります。この排水ポンプの現在の設備では、ちょっと雨が降っても吐かし切れませんので、強化のために和歌山市で四百八十万円の予算で実はポンプの補強事業を計画いたしておるわけであります。ところが市の方での負担が三五万円、これに対して県が負担している部分が百万円、残り八十万円は受益者負担ということで、関係の皮革工場と付近住民から、自治会を通じてその八十万円を集めていたというような実情なのです。このことがたまたま災害のときに問題になりましたので、市及び県に対して、そういう同和対策としてやる事業について、受益者負担というような考え方そのものが、たとえば産業道路の問題だとかいうような問題と同一に論ずるわけにはいかないではないかということで、現在折衝中なのですが、私はこういうことでは地方自治体として同和対策の仕事を進めるという上において非常に障害になるばかりでなく、自治体が計画いたしますものに対する補助金なりあるいは起債のワクなり、そういうものについても思い切った施策を講じていただかなければならぬと思います。少なくとも国及び地方行政団体の責任で行ないます環境改善等の問題に、それでなくても零細な部落民に対して、地元負担の名目で相当多額の寄付金を出させるというようなことは、これは根本的に趣旨に反しておると思うのでありますが、この点自治省はどういうように把握されておるのか、また同和対策の問題は国で直接行ないます事業のほか、自治体の協力を得なければならぬという観点から、中央政府としても考えていただかなければならない問題だと思いますので、この点についての総務長官の御所見を伺いたいと思うのであります。
○松島説明員 ただいま御指摘のございました和歌山市の間願について、私詳細を承知いたしておりませんが、一般的に申し上げまして、下水道のような事業をいたします場合には、当該関係地域の方々に受益者負担金を求めるということでやっておるわけでございます。ただいま御指摘のありました事例がそういうものとして適当であるかどうかという問題については、私も具体的な問題として承知いたしておりませんので、必ずしもそれがいいとか悪いとか申し上げることもできませんが、一般的に言えば、結局は負担能力の間願に帰着するのじゃないか。ただ負担能力がないと認められるところからとることの是非の問題はあるいはあろうかとも思います。従いましてそういう地域の方々が負担能力がないということであれば、環境の改憲を進めるためには、そういう負担をとらぬで事柄が進むようにすることが望ましいわけでございます。なお、具体的な事例を調査いたしまして、私たちもできるだけ善処いたしたいと思います。
○小平政府委員 私も、ただいま初めてそういうお話を承るわけで、この事業が、工事主体は、ただいまお示しの事実から申しますると、市がおやりになるのじゃないかと私ども思うでありますが、そういう場合におきまして、市自体の財政力もありましょうし、あるいは県の財政力もございましょうし、しかし今自治省から話がありましたように、特に負担能力のない地域あるいは同和対策の一環としてかりにやる、本来がそういうことでありますならば、われわれとしても、受益者負担と申しますか、地元負担と申しますか、そういうものはなくてやっていただけることをもちろん希望いたします。ただ、いかんせん、実情がよくわかりませんので、適切なお答えにならぬと思いますが、ただ私の感じだけを申し上げたわけであります。
○田中(織)委員 実は松島課長であったかどうかわからないのでありますけれども、昨年の十月の十一日に、部落解放要求貫徹請願運動で国民集会を持ちまして、その代表が自治省へお伺いしたときにも、一般的な問題として、同和対策の事業について、いわゆる受益者負担、地元負担的なものをとらせる方針かどうかということを伺ったそうでありますが、そのときには、どなたであったかわかりませんけれども、同和対策の関係では地元負担はさせないのだ、こういう意味の――その意味で、必要とあれば起債のワクについても、先ほどあなたがお答えになったように、たとえば一件百万円以下の場合にも、同和対策事業の場合には特例を講ずるということが二、三年前から実施されてきているので、そういう方法があるわけでありますから、私は、やはりこれは行政の責任においてやる問題、市町村ができなければ国全体が考える。また、そういう意味においてこそ私は、三十五年度五億五千万円だそうでありますけれども、特別交付税というものの配分が、関係地区の人口あるいは地域の広さ、産業の分布状況、そういうようなものを考慮して割当がきめられておるのだと思うのです。その意味で、もう少し実情に即してお調べを願いたいということです。
 それから、総務長官には、一般的にいって、私の見るところでは、やはり国が全体で十四億二千万円、内閣全体の各部の関係で三十七年度には予算がついております。昭和三十六年度、本年度におきましても、約十二億ばかりの予算がついておることを承知しておるのでありますが、それにしては、自治体の許された財政の中でやるにしても、私は、これは先ほどの報告のような、十億内外の事業費ということでは全く貧弱だと思う。その意味で、特に未解放部落を持っておる市町村に対する中央からの積極的な助成の問題について、一つ内閣全体の問題としてお考えをいただきたいということが一点。
 それから、もう一点の問題として、先ほどからモデル地区の指定の問題で、特に農林省関係のいわゆるモデル町村として指定された部落の指定の問題等には、先ほど委員長からもお話があったように、相当これは問題があると私は思う。一つは、それは部落の実態に基づいて行政機関が各省寄り集まって総合的に考えるということではなくて、非常に残念なことでありますけれども、全日本同和会という、部落解放同盟の階級的なやり方にあきたらないという諸君を、率直に申し上げますけれども、自民党の諸君がうしろ押しをして、一昨年に発会した組織が、部落の中へ入り込んできているわけなんです。そういう関係の人たちと自民党の政調の特別委員会の諸君との間でできたものですから、部落解放同盟の影響を持っておるような部落なんというものは、そういう意味でモデル地区として指定の対象に上がってこないというような実情が、全国六十八カ所の部落をきめておられるのに、関係府県が十二府県、しかも全国の部落の数は、厚生省の発表によりましても四千二百からの部落の中で、十四、五カ町村を拾い上げる。今度は農林省関係は六十八カ部落を取り上げているのでありますが、その配分の関係を見ても、同じ四国の関係で、徳島と高知が五部落ずつあって、香川にいたしましてもあるいは愛媛にいたしましても、相当部落が多いのですが、そういうところは一つも上がってこない。こういうようなことは、いずれにしても、問題が問題であるだけに、あまり党派性をこの問題に持ち込まないで一つ考えていただきたい。このことを一つ閣議に出られる立場において、総務長官に私、希望意見として述べておきたいと思うのです。
 そこで、自治省の方にお伺いをいたしたいのであります。先ほど湯山委員にお答えになりました地方自治体の、これはできれば三十五年、六年、あるいは三十年ころからの分でもけっこうでありますが、自治省が把握しておる地方自治体で取り組んでおられる問題についての予算について、各府県の、できれば市町村別の内訳等がわかりますれば、これを一つこの委員会を通じて資料としてお出しいただきたい。
 それから、三十五年度の同和対策関係の特別交付税が五億五千万円になるというのですが、これは従来通り、国が府県へ割り当てる分と、それから市町村への分は当該府県におまかせをするという配分を、二本立でやられておるんだろうと思うのでありますが、その点はどうか。従って、三十五年の五億五千万円のうちで、国が府県へ直接割り当てたものが幾らで、市町村の分として各府県へ割り当てたものが幾らか。これはトータルだけここでお答えをいただきまして、できればこれの各府県別の配分状況についても、資料として国会の方へお出しをいただきたいと思うのですが、この点いかがですか。
○松島説明員 前段の、関係地方団体におきます同和対策関係の予算と申しますか、それの調査があったら出すようにというお話ですけれども、私どもも、地方自治体としてやっております仕事のある部分だけを特に調査するということをいたしておりませんので、これを町村別にあるいは県別にという資料は、ただいまのところございません。個々具体的な問題として、たとえば起債の審議の対象になったというものなら――私の方は起債を直接やっておりませんので、関係の方と相談しなければ何とも申し上げかねますけれども、起債の申請のあったものでしたら、あるいはある程度把握できると思いますが、全体についての把握ということは、ちょっと困難でございます。
 それから、第二点の、三十五年度の地方特別交付税の県分と市町村分との割り振りは、県分は二億一千九百万円、市町村分が三億三千百万円でございます。
○田中(織)委員 この点の県分と市町村――市町村の関係は県で配分していると思いますので、わからないと思いますけれども、各府県別の割当の数字をお出しいただきたいと思うのです。いかがですか。
○松島説明員 調製いたしまして、お配りいたします。
○田中(織)委員 次に、三十六年度の特別交付税は全体で幾らぐらいになるでしょうか。大体例年のことだと、三月末になりますとこれの各府県への配分がきまるわけなんですが、トータルで当然三十五年度の五億五千万円を下回ることはないだろうということは推測せられるのでありますが、ごく概略の数字でけっこうでございます。ここでお答えはできませんか。
○松島説明員 三十六年度の交付税は、本日内定をいたして発表することになっておりましたが、ただ項目別の集計というのは、たとえば災害が幾ら、何が幾らというふうに全部横に集計をし直さなければなりませんので、今すぐにはちょっと御要望に沿いかねますが、もちろん前年よりはふえていると考えております。
○田中(織)委員 この点についても、横の数字の集計ができますれば、同和対策関係としてなにされた特別交付税の府県配分について、資料を国会の方へお出しをいただきたいと思うのです。
○中野委員長 出せますか。――出すようにいたします。
○田中(織)委員 委員長、そのようにお取り計らいをいただきたいと思います。
 そこで、さらに伺いますが、固定資産税の賦課率ですね、これは全国地方の制度といたしまして、やはり賦課率というものは一律ではございますけれども、評価の問題に関連をいたしまして、部落民の持っておるのは、これは都市部落、農村部落を問わず、住宅あるいは宅地等の条件にいたしましても、一般よりも数段低い段階にあるのです。ところが、現在の課税は、これは自治体等で具体的に、部落の力の強いところは実情に応じた査定をやらしておるわけでありますけれども、この点については、全般的に一つお考えをいただかなければならぬ段階にきているのではないかと思うのであります。こういう点について、自治省として固定資産税の担税力の問題に差のある事実をお認めいただかなければ、それからくるところの査定についての手かげんと申しますか、そういうことになってくると思うのでありますが、こういうような関係は、固定資産税の各地方自治・体での市町村税の問題でありますけれども、担税力の問題等については、部落の特殊性を自治省としてはお認めになっておるかどうか、簡潔でけっこうですから、お答え願いたい。
○松島説明員 固定資産税の問題については、私直接所管でございませんので、はたしてお答えいたしますことが正しいかどうか、と申しますか、自治省の考え方そのものであるかどうか、自信がございませんが、私の知っております限り、お答えをさしていただきたいと思います。
 固定資産税の評価につきましては、この税ができまして以来市町村がやっておるわけでございますけれども、全国的に見て参りますと、いろいろな不均衡があるということが指摘されているのでございます。この問題は、一方において土地などの値上がり率と申しますか、そういうものが地域によって非常に違っております。これは先生の御承知の通りでございます。そういったものがなかなかそのように是正されていかないという問題もございます。それからまた、土地だけをとりましても、土地の種類によります評価の均衡がはたしてとれているかどうか、具体的には農地と宅地との間、あるいは山林との間というものは適正になっているかどうか、こういうような問題もいろいろあるわけでございます。そこで、先般来固定資産評価制度審議会というものが設けられまして、そこでいろいろ御検討いただきました結果、答申をいただきまして、昭和三十九年度に御承知の通り三年ごとに評価がえをいたすことになっておりまして、前回は昭和三十六年度でございましたので、次の評価がえの時期、昭和三十九年度までに今度は根本的な評価のし直しをしようということで、ただいま準備を進めている段階でございます。従いまして、そういう形で評価の適正化が期せられますならば、今のような問題を解決していくのではないかというふうに私としては考えております。
○田中(織)委員 極端な事例ですけれども、差別がまだ生きておるという実情から見て、たとえば未解放部落のある地域の宅地の坪当たりの値段と、まあ道路一つ隔ててでありますけれども、いわゆる未解放部落以外の一般の人たちの住んでいる宅地と、すでに売買価格においても大きく差があるのです。そういう、面から見て、やはり何と言っても、部落差別というものがぬぐいがたい現実の問題として出ておるということを、私ら四六時見せつけられるわけなんです。そういう事情にあるときに、今後査定基準等の問題について、最近のいろいろな固定資産関係の評価状況とにらみ合わせて新しい方針をお立てになるということでありますから、特にそういう場合には、一つの問題として関係地区の固定資産の宅地、建物等の評価について、やはり特別な配慮を払うということの一項目をぜひ加えていただきたいことをこの機会に要望しておきたいと思います。
○松島説明員 御承知の通り、固定資産税は、住民税などと異なりまして、所得能力に応じて課税をするというよりは、固定資産の所有者が所有します固定資産そのものの価値に課税をする建前になっておるわけでございます。従いまして、その価値を正確に、あるいは均衡をとった評価をするということが第一の問題でございます。先ほど申しました固定資産の再評価を全面的に行なうということになりましたのも、そういう事情からであると私は承っております。従いまして、ただいま先生のおっしゃったような意味で評価が行なわれるかどうかには、ちょっと私も所得能力の問題が入って参りますので、直ちにそういうふうにできるということをお約束することができませんが、御意向のありましたことは、関係の方面によくお伝えいたしたいと思います。
○田中(織)委員 なお、地方税の問題では、財政課長も言われましたように、いわゆる均等割住民税の問題、こういうようなものは部落関係に低所得者が非常に多いわけですから、そういうようなものがやはり負担にたえられないというような点で、できるだけ低所得者に対する均等割の問題等についての配慮もあわせてお願いしておきたいと思うのであります。
 なお、自治省関係につきましては「先ほど総務長官、官房長官にも御質問申し上げたのでありますが、昨年の臨時国会の地方行政委員会で採択になって、本会議で可決をして内閣へ送付されました部落関係のいろいろの要請事項が六項目ございますので、十分目を通されておることと思うのでありますけれども、この機会にそれをよく、一つ国会の意思でもございまするから読み直していただきまして、今後の施策の上に実現していただきたいことを要望して、自治省関係を終わります。
 それから次に、だいぶ長くお待ちを願っておるので、文部省関係について二、三お伺いをいたしたいと思うのでありますが、この点につきましては同僚湯山委員から先ほどだんだんの質問がございましたので、できるだけ重複を避けて二、三点伺いたいのであります。先ほど問題になりました同和教育研究集会の問題を一月の末に本省でやられました。滋賀県では共催関係の滋賀県教委が代表を確保できないというようなことでなにしたのでありますが、どうも一つには、先ほど上野課長が申されたのでありますが、教職員組合と部落解放同盟からの反対の要請があったので、平穏にやることはできない、混乱が起こるかもしれぬというので、それを取りやめて本省でやった。このときに私ども、湯山君あるいは社会党関係から、こういうような形の研究集会はおやめになった方がいいんじゃないか、差別をなくするという問題について、そのときの課長補佐の、滋賀県の問題のときに要請に参りましたときの応対の問題もあって、民間では部落解放同盟だとか同和教育研究協議会というような形で兵庫県等でもやっておる。民間でやるのだから、おれの方はおれの方の金でやるのに何が悪いか、簡単に言えばそういう意味の受け答えがあったということで私ども参りました。そのときに政務次官にお会いしたがったのですが、おられなかったので、上野課長が応対された。そのときに、最後の結論として私どもの希望はいれられなかったわけでありますけれども、とにかく協議会の内容についても、私どもはやはり関係団体として実情を知りたいということで、特別に傍聴させてもらいましたので、その内容は存じております。しかし、たまたまそのときに、研究集会はおそらく社教の関係ではなわろうかということで局長に伺ったわけでありますが、滋賀県から、年を越している関係もありましたから、変更になって具体的にあすから開くということについて御存じなかったのかもしれませんけれども、問題は同じ文部省の関係で、同和教育の問題について一面で社会教育局が扱い、一面、符に初等あるいは中等教育の段階でもこの問題を正しく取り上げなければならぬという関係で、初中局も取り上げるということについてあえて私どもは反対はしませんけれども、同じ文部省の関係で同一の問題に対する――扱い方が違うかどうかまではせんさくはしてきておりませんけれども、分かれておるというような形は好ましい姿でないのではないか、少なくとも官制上そういうことになっておるということになれば、その間の緊密なる連絡が必要だと思うのでありますが、先ほど湯山委員の質問に対して齋藤局長と上野課長との間に答弁の食い違いがあったとは私は申しませんけれども、この点は今後文部省としても真剣に取り組んでもらわなければならぬ問題だけに伺っておきたいと思うのですが、いかがですか。
○長谷川政府委員 今思い出しましたが、田中議員が何か私のところに行くぞというお話があって、私が留守をいたしまして、その間にそうした気持のもつれ、私の方の役所に対してのもつれのあったことはまことに遺憾に思っております。御承知のように、同和問題は、文部省としても初中局と社教局と分かれておりまして、年々予算もよけいとりながらやっておりますが、研究協議会などにおきまして両方でやっておりますから、ある場合には、問題によって今のような誤解などを生ずる面があるのではないかと思いますが、全体的に予算もつけていき、そうしてこの問題は真剣にやはり考えていくという建前からいたしまして、御注意のあるように、内部においてよく連絡をとりつつやって参りたいと思っております。
○田中(織)委員 そこで次の問題として、これも午前中に申し上げましたのでくどくどは申し上げませんが、同和教育を進めていくということについての基本的な考え方の問題であります。これは古い時代の差別観念が残っておるのだという考え方の上で、部落解放とか差別撤廃とかやかましく言かなくとも、自然になくなっていくのだ、同和していくのだ、こういう考え方が、従来の戦時中からの一貫した考え方です。そういう意味で戦時中には水平社というものが、これは解散はさせられなかったけれども、同和報国会という形で、実は部落民を戦争にかり立てるための役割として、同和教育の問題なり同和対策というものが進められてきたのです。私らはそういう意味で、同じ民族の中で封建的な身分差別という過去の政治の所産として出てきておるこの問題をたな上げして、何か同和すればよいのだというような考え方では、この問題はいつまでたってもなくならないと思います。その証拠には、今日若い人たちが恋愛から結婚に進む場合においても、相手の娘さんが部落出身ということで結婚ができない、あるいは結婚して子供まであるのに離縁になったというようなことで、去年においても、私どものところに連絡があっただけでも、部落出身の女の子が自殺した事件が三件あります。実はそれほど深刻な問題なのです。ところが、部落関係の人の中にも、私が今申しましたように、そっとしておいたらだんだん消えていくものだ、こういう考え方が一つある。俗にいう寝た子を起こすなという意味で、寝ているんだから、寝ている子を何も起こす必要はないじゃないかということで、私どもの運動に対してもとやかく批判があるわけです。しかし、寝ている子なんですから、死んでいるんなら生き返ることはないが、寝ている子は必ず目をさますのであって、目を覚ましたときに、いわゆる差別事情となって現われてくるものでありますから、その意味で教育の基本的な問題として、同和教育という言葉はそのまま踏襲するといたしましても、問題はやはり過去の政治の所産として、これは今日の民主主義、人権尊重の新憲法のもとにおいて許されないものである、こういう考え方の上から、この差別問題をなくするという面を教育の面で考えていただかなければならないと私は思います。しかもこれは、午前中から通して農林、自治、これから通産省関係も伺いますが、建設、厚生というように、社会的、経済的事実として差別というものがあるわけですから、そういうものの一つの問題が結婚問題に障害となって現われてきており、極端な場合には、就職の場合にも差別が現われてくるというような問題になってきておるわけですから、ここのところをやはり考えていただかなければならないと思います。その意味で私けさ取り上げたのでありますが、自民党の同和問題議員懇談会――現在の政調会の特別委員会ができる前の懇談会のときの、滝川政治郎教授の「歴史上より見たる同和問題」というのをけさ私は取り上げたのであります。長谷川次官は御存じかどうかわかりませんが、ここの中には、極端にいえば部落民というものは朝鮮人の子孫だ、人種問題だという見解を取り上げて、しかもこの点については、先ほど楢崎委員も指摘されたのでありますが、秋田大助君のあいさつがついておるのであります。これ全く同感の意の立場であり、従って今日、自民党の政党政治のもとにおける文部省その他の行政機関までが、こんな間違った考え方の上で部落問題に、取り組まれたのでは大へんな迷惑を受ける。ことに教育の問題については、これはやはり歴史的な事実というものを明確にさせなければいけないと思いますし、この点が一番重大だと思うのでありますが、この点について文部省が同和教育というものに取り組む基本的な姿勢として、部落差別をどう考えておるかという点についてお考えを一つ伺いたいと思います。
○長谷川政府委員 私は、田中さん御承知のように宮城県の出身です。そうして九州で昭和八年から十五年ほど新聞記者をしておりまして、実は私の方には同和地区が全然ないが、私ああいうところをずっと歩きまして、部落などへは何べんも行ったことがあるんです。ですから、関係ない割合に、私は多少は、しろうとながら、においだけはわかっておる。だから教育の問題といたしますれば、今滝川さんの論文の話が出ましたけれども、私は滝川さんの本は読んだことはありますが、そのパンフレットは読んだことはありません。まあ人種的な問題とかいろいろなことを言われているようでありますが、そういう問題を離れましても、今の民主主義の制度において、封建主義時代から残ったこのひずみを直す、その一環として教育行政に――われわれは、それこそ教育の場においては機会均等、貧富の差も何もない、そうした意味で教育行政を推進したい、こう思っている次第でございます。
○田中(織)委員 時間も切迫しておりますので、この点についてはまた別の機会に、特に政務次官は、教育行政をあずかられる以上はよく問題の本質を理解していただきたいと思いますから、別の機会にお話し申し上げることにいたします。
 そこで、文部省関係にもう二点あわせて伺いますから、お答えをいただきたいと思うのであります。先ほど八木委員からも指摘されたように、やはり未解放部落には、都市、農村を問わず、現在、残念ですけれども、義務教育段階における不就学児童、それから長欠児童が、その関係都市町村の長欠あるいは不就学児童の数からいっても、相当の部分を占めているという実情がありすまので、特に最近の不就学児童の問題について全国的に数字がどういうようになっているか。私も昨年でしたか、予算委員会に資料を出していただきましたが、その後の状況はわかりませんけれども、特に同和地区には、そういう関係でそういう不幸な子供たちが多いわけであります。その点について、何か文部省としてお考え下さっておるかどうかという点が一点。
 それからもう一つの問題といたしまして、先ほどからるる質問が出ておりまするように、どちらかといえば、やはり低所得者が多いわけであります。そういう関係から、割合頭脳がよくても、残念ながら同等学校へ入学するというようなことも少ないというような問題で、たとえば高校全員入学の問題について、あるいは義務化の問題について、急先鋒にやはり部落の人たちが立ち上がっておるという実情は、政務次官も御存じだろうと思うのでありますが、そういう点から見て、いわゆる育英資金の関係について、現在、その意味において社会的にも経済的にも恵まれない未解放部落の子弟に対して、育英資金の貸与の問題について特別に御考慮を願いたいと思うのであります。この点は各府県の教育委員会等の関係で、たとえば高校段階等におきましては、私どもの指導で、やはりだんだん給費生、貸付を願っておる者がふえる傾向にあるのでありますけれども、できれば一つ文部省の新しい積極的な部落対策の問題として、そういう点については、特に本省から声をかけていただいて強化していただきたいと思うのでありますが、この点はどうかということ。
 それからもう一つは、別途、教科書の明年からの無償給付の問題についての法案が出ておるわけでありますけれども、これも御承知のように、昨年高知市の部落解放同盟が中心になりまして、高知市で、部落関係等について市で心配するというようなことが、直接的にやはり政府・与党を動かすようなきっかけになったことは事実だと思うのです。ところが、これは全体は三十八年度からなんですけれども、実は四月に進学する部落の子供たちで、この悩みを持っている者がすでにあるわけです。これは単に部落の子供たちだけではなしに児童の関係、いわゆる失対の窓口に働いている労働者なども同じく痛切な問題だと思うのでありますが、全国的に制度的には明年から進められるといたしましても、特に四月からの新学期に備えて、三十七年度において何らかの配慮を必要とするのじゃないかと思うのであります。この点についてのお考えを承って、文部省関係の質問を終わります。
○長谷川政府委員 前段の不就学児童の同和地区における状況と吉われましても、これはちょっと数字がつかみにくいので、ごかんべんをお願いしたいと思います。
 それから、同和地区の生徒に対して、特に育英資金を考えたらどうかというお話でありますが、育英資金は年々ふえておりますし、それから今田中委員のおっしゃったように、教育委員会などがあなた方の気持などを了解されて、その地区々々でワクを拡大と申しますか、申請が多ければこれもだんだんワクが拡大される。そうして育英会対個人という関係になっておりますが、全体のワクを広げることと、地方の教育委員会、学校長などが御推薦願う、このことがやはり必要ではないか。私の方とすれば、育英会資金のワクの拡大ということで、そういう気持を含めてやっていきたい、こう思っております。
 それから、たとえば昭和三十八年度から、今政府が提案いたしました教科書の無償配布が実現されるとしても、しかし三十七年度からでも、困っておるところのお子さん方に対していち早く教科書をただでやってくれぬか、こういう御資問でありますが、後段の三十八年度から実現する問題は、この国会で皆さん方の御審議をお願いいたしますれば、これはできることでございます。しかし、前段の三十七年度からということになりますと、これは御承知のように、就学奨励のために全国の貧困児童に対して教科書あるいは教材、そういうものに文部省の中において約二十五億円ほど予算をとっておりまして、そういう生徒諸君あるいはその他に対して、修学旅行の補助金などまで二十五億円の中において今日カバーしておることを御承知置きになって、これを一つ御活用のほどを私の方からお願い申し上げておきます。
○田中(織)委員 特に同和地区の不就学児童の問題、長欠児童の問題は、市町村別に見て、いわゆる関係地区を持っておる町村の内訳を見れば出てくるので、私どもの方で調査した資料もございますから、必要があればそういう資料はむしろ私どもの方から提供してもいいと考えておるわけでありまして、特に一つその点については御留意をいただきたい。
 最後に、通産省関係。大へん長くお待たせをいたしたのでありますが、中小企業庁の振興部長がおいで下さっておるということでありますけれども、通産行政につきましても、部落解放政策の立場から申し上げたい点がたくさんあるのであります特に部落産業とされておる皮革の関係につきましては、これは従来は部落の専業であったわけでありますが、戦前、特に日本の軍事態勢が整うにつれて需要が旺盛になると、かつてはさげすんでいた産業にも資本家が乗り出してくるという関係で、今日、全体の生産のおそらく八割近いものが大メーカーの手に移っているのだろうと思いのです。それにいたしましても、現在二割なり三割なりのものは、部落の中の中小というよりも、零細な業者によって生産されておるわけなんです。従いまして、これは中小企業庁の立場においても、これらのものは零細企業で、産業全体として皮革産業というものを見る場合には、御承知のように明治産業というような大手の会社があるわけですから、そういうことにはならないと思うのでありますが、特に部落の関係者が従事しておる零細な皮革事業に対しましては、通産省として特別な御処置を願わなければならないと思うのです。私どもも、そういう意味で各地区には協同組合を組織させるということに努力をいたしておるわけでございます。そこで、最近の生産設備の更新に従いまして、ここも合理化のあらしが吹きまくっておるわけなんで、その意味で設備の改善をはからなければならぬことに、特に零細企業なるがゆえに、直面しておるというのが実情であろうと思うのであります。この点について、特に設備の近代化のために、中小企業庁として部落の零細な――全体の生産を私つまびらかにしませんけれども、全体の三割くらいの生産しかこの人たちはできないのじゃないかと思うのであります。直接お考えをいただかなければならぬと思うのでありますが、これについて中小企業庁としてお考えをいただいておるかどうかということを、まず承りたいと思います。
○加藤説明員 通産省といたしましては、従前から、特に同和対策という形で予算等の措置をいたしておりません。来年度お願いいたしております予算についても同様でございます。ただ、私どもの考え方といたしましては、一般の中小企業の対策費を、そういった気の毒な人がやる事業でございますので、できるだけその辺の配慮を加えまして、重点的に運営をいたしていけば十分ではないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
 ただいまの皮革産業の設備の近代化の問題でございますが、従前から個々の企業者の設備の近代化の推進の問題と、それから私も相当存じておりますが、皮革関係で組合を持っておりまして、その組合の共同施設というふうな格好で設備を持っておる場合もあると思いますが、そういった共同施設の設備の更新なり近代化の問題、いろいろあると思います。前者の個々の設備につきましては、これは補助金ではございません。無利子で一年据置、五年に返済させるという考え方で設備近代化資金というのがございまして、これは本年度の予算が二十五億、三十七年度お願いしておりますのが、十億ふえまして三十五億ばかりになっておるわけでございますが、これをそういったなかなか金融ベースに乗りがたくて、しかも合理化をすることが必要であって、先の見通しとしても妥当であるというようなものには、県を通じて出させることになっております。それからもう一つの組合の共同施設の補助金につきましては、これは本年度の予算が一億五千万ばかりございますが、来年度は、これを倍増いたしまして三億円ということで、同じような考え方で、これもやはり県を通じまして出したいというふうに考えておるわけでございます。ただ、私関東方面はよく承知しておるはずでありますが、和歌山県あたりの実態をよく存じませんので、どういう設備のあり方になっておりますか、その辺がわからないのではっきりと申し上げられませんが、現在そういった国で助成する近代化の補助金がそのまま出るような態様にあるか、あるいは将来の見通しとしては、そういう考え方ができるかどうかという問題があると思いますが、これは全部府県の商工部を通じてやっておりますので、その辺いろいろ具体的な問題として御相談になっていただけば、一つ検討してみたいというふうに存じておるわけであります。
 もう一つは、いわゆる財政投融資という格好で政府の資金が出るわけでございますが、御承知の中小企業関係の専門の政府関係機関ということで、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫、この三つに対しまして、本年の予算は、大体財政資金がつきますのは八百四十億円でありますが、来年はこれを千百二十五億円、三四%ばかりふやしてつけるという格好になっておるわけであります。その中でやはり設備の改善のための資金ということになりますと、一般的には、国民金融公庫というのは御承知の大蔵省の所管でありますが、非常に零細な生業的なものを重点的に考えるということで、そういった国民金融公庫の金によって、ある程度設備の合理化ができるという面もあるのではないかと思いますが、中に相当零細というよりも、企業的な格好で本格的な設備の近代化をやろうというような場合には、やはり中小企業金融公庫の設備資金の融資があります。政府関係金融機関並びに直接無利子の貸付の制度、こういうものを利用いたしまして、先ほど申しましたように、そういうふうに特に気の毒な方々でなかなか金融ベースに乗りがたいというものであれば、ケース・バイ・ケースで一つ御相談にあずかる。実は今まであまり部落の実態もはっきりしなかったものでございますから、あるいはおしかりを受けるかと思いますけれども、その辺の配慮の足りなかった点は確かにあるのではないかと思います。今後そういうふうな運用でやっていったらいいのではないかと考えております。
○田中(織)委員 一般的に零細企業あるいは中小企業の設備の近代化資金ということで、特に明年度ワクもふえるようでありますが、いかがなものでしょうか。たとえば皮革関係とかあるいは食肉業者等は、ほとんど部落関係の人が多いわけです。都会では事情が違って参りますが、それの冷蔵設備、これはある程度共同的な関係でいく、それでないと、やはり豚のように、産地からの入荷の状況によって非常に暴騰するというような事情も出てくる。一面、これは皮革関係と密接な関係を持ってくるわけです。そういうようなものにもやはり設備近代化の――部長も、はたしてこういうものが貸付を受けられる態様にあるかどうかという点は、はっきりしないような答弁なんですけれども、実情に即してそういった方面に貸し出されるように、できれば一つ三十五億の中で何億かのワクを、そういう関係に予定していただくわけには参らないものでしょうか。
 それと、あとは財政投融資の関係でありますが、おっしゃる通り大蔵省の直接の所管でございますけれども、やはり部長もおっしゃるように、担保力だとかあるいはそういう意味で保証人を立てるといっても、普通のコマーシャル・ベースに乗るようなものであれば特別にここで取り上げてもらわなくてもいい――と言えば言い過ぎかもしれませんけれども、一般的なことで済むわけですが、一般的なことで済まない関係だけに、やはり今おっしゃるように、千百二十五億も、主としてそういう方面の資金需要に応ずるために、ことしは財政投融資も増額されるということであれば、関係の金融機関に特殊な一ほんとうは私どもの考え方からいっても、特殊扱いはしてもらいたくないのですけれども、しかし、一般的な形で言っておるとなかなか線上に出てこない業種があるものですから、過渡的な段階として特殊なワクをつけていただくとか、あるいは特別に注意を喚起していただくとかいうような処置を現在の段階ではとっていただかないと、窓口に出してみたけれどもはねられてしまったということになるのです。その面の指導は通産省としてお願いをしたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
○加藤説明員 御指摘の点、まことにもっともだと存ずるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、部落の実態、具体的に申しますと、国としてどうしても考えなければいけないそういった面の資金需要がどの程度あるかといったようなことすら、今までの段階では、実は全然資料もなくてわからないことになっておりますので、今御質問の特にワクを作るということは、ちょっと今すぐには困難ではなかろうかと思います。そこで、私先ほど申しましたように、今後そういう部落についての資金なり補助金の運用について、一つ頭に置いて配慮していただくというような方向で、これは私個人ではいけませんで、大蔵省その他ともいろいろ御相談しなければいけないことでございますが、府県にもそういう注意を喚起するという方向で、とりあえずやっていったらどうかというふうに存ずるわけでございます。
○田中(織)委員 これで終わりますが、与党の関係でも長野県の宮澤議員、奈良県の岡本議員のように、皮革産業に深い造詣を持っておられ、また関係を持っておられる方々がおられるわけでございますが、どうも対象は一定規模以上の大企業に勢い片寄るといえば語弊がありますけれども、そういう方面の実情しかあるいは御存じないのかもしれないという点も考えられますので、あるいは姫路であるとか、あるいは和歌山であるとか、大阪であるとかいうような地域のことについて、先ほども政務次官に申し上げたわけでありますけれども、私どもの方から若干の資料は通産省の方に差し上げてもよろしいと思います。どうか一つ実情を御調査、御認識いただくと同時に、これが行政の中ではっきり位置がきまりますまでの間は、過渡的な問題として一つ特別のワクを作っていただくとか、あるいはひもをつけていただくとかいうようなことについての格段の御処置をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○中野委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明三月一日午前十時より委員会、委員会散会後理事会を開会することとし、これにて散会いたします。
   午後六時二十三分散会